第004回国会 本会議 第11号
昭和二十三年十二月十三日(月曜日)
 議事日程 第十号
    午後一時開議
 一 國務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
  請 願
 第一 消防吏員に司法警察権の一部を付與に関する請願(第五号)
 第二 医薬品類に対する取引高税免除の請願(第一一号)
 第三 旧新井崎軍用地跡地有償拂下の請願(第一四号)
 第四 清涼飲料水に対する課税軽減の請願(第六〇号)
 第五 質屋業に対する取引高税免除の請願(第一五条)
 第六 手藝料の独立並びに手藝教員檢定制度を復活する請願(第五六号)
 第七 木工業從業員に労務加配米配給の請願(第三号)
 第八 山口縣の松樹害虫防除費國庫補助の請願(第一二号)
 第九 國有林矢櫃山拂下の請願(第一三号)
 第一〇 北海道における土功組合の更生に関する請願(第二三号)
 第一一 石狩原野開発促進に関する請願(第二四号)
 第一二 品井沼水害予防組合所有の農地外土地建物並びに農業用施設買收に関する請願(第二五号)
 第一三 北海道土地改良軌道客土事業施行の請願(第二六号)
 第一四 漁船保險対策に関する請願(第八号)
 第一五 請戸漁港修築の請願(第二九号)
 第一六 伊豫大島船溜修築の請願(第三七号)
 第一七 放送機構改革に関する請願(第一号)
 第一八 牛朱別川改修工事施行の請願(第六号)
 第一九 勝沼大月線を國道に編入並びに改修工事施行の請願(第一〇号)
 第二〇 吉田川改修工事施行の請願(第二一号)
 第二一 鶴田川治水対策実施の請願(第二二号)
 第二二 前馬川の暗渠改良工事施行の請願(第三三号)
 第二三 岡山縣下の溪流に砂防工事施行の請願外三十件(第四七号)
 第二四 一ッ瀬川及びその支流三財川の改修工事施行の請願(第五九号)
 第二五 原狹、船木両町に上水道施設の請願(第六九号)
○本日の会議に付した事件
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 檢察官の俸給等に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 議員の身上弁明
 請願日程第一乃至第二五
 國務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
 未復員者給與法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 議事進行に関する発言
 議事進行に関する発言
 議員の身上の弁明
 特別未帰還者給與法案(参議院提出)
 國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 國務大臣の演説に対する質疑
 議員泉山三六君を懲罰委員会に付するの動機(石田一松君提出)
    午後三時二十分開議
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する等の法立案及び檢察官の俸給等に関する法律の一部を改正する等の法律案の両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動機に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する等の法律案、檢察官の俸給等に関する法律の一部を改正する等の法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長高橋英吉君。
    〔高橋英吉君登壇〕
○高橋英吉君 ただいま議題となりました裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する等の法律案及び檢察官の俸給等に関する法律の一部を改正する等の法律案について、その要旨及び委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 裁判官及び檢察官の給與について現在適用されている法律は、昭和二十三年六月以降の判事等の報酬等に関する法律と、同年同月の檢事等の俸給等に関する法律とであります。そしてこれらの法律は、ともに三千七百九十一円ベースのものであります。それで、これを五千三百三十円ベースのものに引上げる必要があります。これが両法案提出の理由であります。
 この法案の内容は簡單でありまして、一般政府職員の例にならい、認証官たる判事については十六割、その他の判事については約十七割に相当する金額に増額せんとし、檢事についても同樣増額せんとするものであります。
 さて委員会においては、判檢事の報酬、俸給の増額については少しの異論もなく、全委員の賛同するところでありました。その結果、本日討論採決となり、採決の結果、政府原案の通り全会一致で可決した次第であります。
 右、両案について一括して御報告申し上げます。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 田中萬逸君より、一身上の弁明について発言を求められております。この際これを許します。田中萬逸君。
    〔田中萬逸君登壇〕
○田中萬逸君 私は、去る十二月七日、檢察当局から参考人として事情を聽取せられました。それは、私の重役として関係をいたしております日進織物工業株式会社の大山專務のとの間における金銭受渡しの点について聞かれたのであります。しかるところ、一部の新聞紙上では、私のことについて、何か炭管事件に関係があるかのごとき報道をせられたのでありますが、私に関する限り、かかる容疑事実などは断じてありません。(拍手)ここに機会を與えられたことを幸いとして、以上の通り弁明をいたしておきます。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 請願日程第一、消防吏員に司法警察権の一部を付與に関する請願外二十四件の請願を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(松岡駒吉君) 各請願は委員長の報告を省略して採択するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて各請願はいずれも採択するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 國務大臣の演説に対する質疑を続行いたします。三木武夫君。
    〔三木武夫君登壇〕
○三木武夫君 私は、國民協同党を代表して、吉田内閣の施政の基本的方針について若干の質問をいたしたいと存じます。総選挙も近く行われる状態になりましたので、國民の冷靜なる判断に資するため、総理大臣の誠実かつ率直な御答弁を要望いたします。
 われわれは、敗戰の結果であるとはいえ、進んでみずからの新しき憲法の中に、戰争の放棄を最も重要なる項目の一つとして規定して、平和への國民的決意を明白にいたしたのでありました。從つて、一日もすみやかに國際連合への加盟が許されて、この國民的決意を世界平和建設への努力として表現し得る機会を望んでやまないものであります。そのためには、まず講和條約の締結が前提であり、先般衆議院においても、これが促進に関する決議案が満場一致可決されましたが、政府は、現在日本の國民が内心いかに講和條約の早期締結を望んでおるかを誠意をもつて世界に告げ、これが促進に努力せなければならぬと存じます。(拍手)
 講和條約が締結されるまでは、國際政治に対するわれわれの公式的発言権はむろんないのでありますが、日本國民の生存が國際的関連性を持つ以上は、國民の重大なる関心は米ソ両國対立の將來に注がれていることは事実であります。米ソ両大國及び國際連合の諸國が、恐るべき原子戰争の惨禍から人類とその文明を擁護するために、世界を破局的段階に追いやることなく、全力をあげて平和條件を見出されるであろうことを、切に念願してやまざる次第であります。(拍手)特に、わが國が極東の一島國として、中華民國の情勢には、これまた極めて重大なる関心を持たざるを得ないのであります。われわれは、これら中國地域の対立勢力が、民族的立場に立つてすみやかに調和点を発見し、平和的解決に達し、アジアの経済復興のために安定せる基礎を確立するに至ることを、切望にたえない次第であります。(拍手)
 今後わが國の経済的自立のためには、まずみずからが全力をあげなければなりませんが、一面連合國の好意ある援助を得て、とりわけアジア諸民族との間に緊密なる経済関係を結ぶことが必要であります。幸い中國においても、張群氏その他有力者からアジア経済集團の形成が提唱せられております。もし、かかる構想が具体化し、アジア諸民族の資源と産業を包括する総合的アジア復興計画の実施が促進され、われわれにもその実施の担当が許されて、もしこれにアメリカの極東マーシャル・プランのごとき適用が期待されるとするならば、けだしアジアの安定と復興は、期して待つべきものがあると思われます。(拍手)吉田総理大臣は、首相及び外相として、現下の世界情勢のうちで、そもそもいずこに日本立國の方途を求めんとするものであるか、講和條約につき、いかなる見通しと対策を有するか、アジア経済集團の提唱をいかに考えておるか、御所見を承りたいのであります。
 吉田首相は、わが國が再び國際社会の一員として認められる前提として、民主政治の確立をお説きになりました。もとより当然のことであります。政治のみならず、ポツダム宣言の趣旨に從つて、経済文化の民主化を積極的に遂行し、平和的な責任政治を確立することが、ポツダム宣言最大の前提であります。しかるに、政府の與党たる民主自由党は、不幸にして、この点において著しく國際的に不信用であることは、おおうべくもありません。われわれは、民主主義における健全な保守主義の役割を否定するものではなく、占領下においても自主的態度を失わざることを努力すべきことは、いうまでもありません。しかも、民主主義を前提とする限り、保守主義といつても、断じて反動主義であつてはならないのであります。(拍手)自主的態度というのは、いたずらな反抗的態度をいうのでは決してない。われわれは、ともすれば敗戰國民の陥りやすい小國民的センチメンタリズムに乗じて、大局を忘れさせてはならぬと思います。(拍手)わが國の政府が國際的に信頼されることが再建のためにいかに必要であるかに思いをいたし、吉田首相は、この國際的批判が事実に基くものであるとするならば、大いに反省あつてしかるべきである。もし誤解に基くものであるというならば、すみやかにその誤解を一掃されるよう努力することを要望いたします。あえてこれを言うゆえんのものは、民主自由党は政府の與党であり、國会最大政党でありますがゆえに、この事実が國民の幸不幸に重大な影響を持つから私が言うのである。(拍手)
 吉田首相の力説させる民主政治の確立について忘れてはならないことは、民主政治の根本は、まず國会の尊重と國会に対する責任感から始まるということであります。國会に対して傲慢な態度や、國会の要求にもかかわらず施政方針の演説を回避し、今ようやくなされておるものも、内容きわめて空疎、具体的な方策も見出すことはできません。かかる態度は、決して本國会を尊重するの態度ではなく、民主政治とはなはだ縁の遠いものであるということを、残念ながら申し上げておきたいと思う。
 しかも、言うところの民主政治の確立の主要なる内容は、総選挙後の第一党が、たとい絶多数党でなくとも單独政権を担当すべく、連立内閣を排斥するという慣例をつくり上げることにあるもののごとくであります。首相の主張は、原則として二大政党制及び絶対多数党の單独内閣を慣例として來たイギリス型の憲政常道論を前提としてなされたものと思われます。しかし日本の現実は、好むといなとにかかわらず、かかる公式論をもつて律することはできないのであります。公式論が何であろうと、現実に絶対多数党が存在しなければ、内閣は連立内閣たらざるを得ないのである。いかに連立内閣の欠陥と弱体、何事もなし得ないことは、この内閣が身をもつて体驗しておるのではないか。また総選挙後の政権帰趨の問題にしても、選挙の結果絶対多数党が成立すれば、事態はきわめて明白であります。しかしながら‥‥。
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○三木武夫君(続) しかし、絶対多数党が存在しない場合の政権の帰趨は、これを原則的に言うとするならば、そのときの國際的信用と國民的要望を考慮して、國会の多数が最も妥当なりと判断するものを総理として指名するということにほかならないと私は思う。憲法の規定もまた、このことを明らかに認めております。しかし、具体的な問題として、特別の支障なき限り総選挙後の第一党は尊重すべきであることは当然であります。もし第一党が少数党である場合は、多数派工作をやつて連立政権を樹立すべきであつて、それに失敗をして國会のマジヨリテイを得られなければ、潔く挂冠すべきものであります。次に第二党が組閣に当ればいいのであつて、かかる公式こそ慣行して確立すべきものであり、吉田内閣のごとく、多数派工作の努力を一切拂わず、せつかく参加を承諾した社会革新党までもあえて憤慨脱落せしめておきながら、少数党なるのゆえをもつて、ただちに‥‥
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○三木武夫君(続) 解散を企図するがごとき独善的行爲を‥‥
    〔発言する者多く、聽取不能〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○三木武夫君(続) よき慣例として残すわけには行かないのであります。われわれは、後世のために民主政治のよき慣行をつくらなければならないと思うのであります。憲法制定後日なお浅く、今後憲法の技術的運営をくふうせなければならぬことは、きわめて多いのであります。從つて各政党は、謙虚な氣持でこれが檢討に協力し合つて行くべきであります。そのために、わが党は、先般本議場を通じて、当面の諸問題を話し合うために各党代表者会談の開催を提唱したのであつたが、政府は、これにすら應じなかつたのであります。自己の哲学から独断された標準を唯一の原則として押しつけようといつたような態度では、憲法政治のよき慣例がつくられるものでは断じてないのであります。(拍手)吉田総理大臣は、民主政治確立の見地から反省される必要はないか、もし絶対多数党なき場合の政権授受方式をどうすべきだと考えておりますが、次の総選挙の結果、民主自由党がもしかりに第一党になつたとするならば、主張通り連立内閣を排斥して、少数党でも單独内閣を組織するのか、この点を明らかにしておいていただきたいと思う。
 次に、吉田首相の行動及び主張は、議会政治の運営には二大政党が便利であり――遠き將來において、日本もまた二大政党の時代が來るであろうと私も思う。しかし、その二大政党の時代が來るためには、國民的基盤が安定することが前提であり‥‥。
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○三木武夫君(続) 今日のごとき不安定な時代に、國民の政治的意思や國民の政治的要求等を、保守と急進の陣営に、ないしは資本主義と社会主義の陣営に、單純に二大区分することは、いかに議会運営が便利であるとはいえ、現実に可能なことではないと信じます。理想を持つことはいいけれども、現実を無視して、公式論で現実を律しようとする態度は、独善というものであります。(拍手)しかし、小党分立がよいというわけではない。小党分立にも種々なる弊害があり、日本の政党は小党分立への終始符を打つて統合への時代であることは承認をいたします。だからといつて、今ただちに日本が二大政党に飛躍することはできないということであります。
 かりに、今日のごとき不安定な時代に、しいて保守政党と急進政党の二大政党制がもし実現されれば、いかなる結果になるでありましようか。両陣営が階級至上主義の立場をとることは必至であり、保守政党はますます右へ右へと、急進政党はますます左へ左へという結果を招來して、議会政治の健全な存続を維持するものではないと思います。イギリスの議会政治が理想的に運営されているゆえんのものは、安定せる國民的基盤のもとに、國民相互に寛容の精神が養われるの歴史的過程を経て、保守党は進歩的たることによつて中央へ中央へと寄つて來る。労働党は、現実的たることによつて中央へ中央へと寄つて來る。この努力が、今日理想的なイギリスの議会の政治方式を見出しておることを、教訓とせなければならぬと思う。
 吉田首相は、時に、政党は自由党と共産党とあればよいとの放言をしておられるが、もちろん座興の言として聞きのがしはおるが、もしかりに、かかる意識が潜在的にあるとすれば、これは議会政治を守らんとする理想では断じてないと思います。(拍手)敗戰のどん底から、國民の血と汗で祖國を再建せなければならぬ日本として、國民を保守戰線と人民戰線の二大陣営に分裂せしめて、あたかも國内戰争のごとき熾烈なる闘争の上に、日本の復興がはたして可能でありましようか。断じてわれわれはさようには信じない。
 われわれは、階級の存在を否定するものではなく、ただ階級と階級に対等の立場を保障しつつも、強権によらず、暴力と独裁によらず、企業と労働の二大階級の協同が成立せねばならぬと主張するのであります。(拍手)このためには、資本家も、労働者も、地主も、小作人も、絶対的階級至上主義ないしは階級的利己主義はこれを捨てなければならない。階級を超えて、民族共通の基盤と協同の理想を認めることなくして、祖國の復興は成就できるものではありません。かかる基盤の上に立つて、ともすれば分裂せんとする階級間の紐帶となり、社会的均衡を保全せんとする政治勢力の結集が、復興期の日本の政治にはぜひ必要であると、確信をいたすものであります。われわれは、これを協同主義勢力の結集と呼ぶが、通俗的には中道政治力の結集と呼んでもよろしい。しかも、この勢力が日本政界の主流的勢力であることが望ましいと考えます。白か黒かと、單純に一方的に物事をきめたがる日本人的趣味から言えば、この道は苦難の道であるに相違ない。しかし、政治の本質が國民の興味につながるものではなく、日本の復興につながるものとせば、民族的自立のためにこの政治理想を生かし、この政治勢力を結集しなければならぬと私は思います。
 悲しむべきエピソードは、人生にも國家の行路にも、ときどき起りはいたします。しかし落胆すべきではない。失望すべきではないと思う。日本の政治の混沌は、この理想を生かし、この政治勢力を結集せんとする苦悶の政治過程にほかならないと、私は確信するものであります。われわれは、保守合同に参加せず、急進勢力に加担せず、いかに苦難の道であろうとも、この理想に生きんとするものであります。(拍手)吉田首相は、今日の情勢下における日本の政治のあり方、政党のあり方について、どういう御見解をお持ちになつているか、率直に承りたいと思います。
 民自党の大衆的人氣は、統制撤廃、自由経済の実行にあります。しかし今日、いずれの國たるとを問わず、古い形の自由経済をそのまま実行している國は存在いたしません。米英のごとき経済的に惠まれた國においても、現在自由経済は、そのままは認めておられません。戰後英國民が、自由経済への復帰を唱えた保守党よりも、社会主義を唱える労働党の政権を選んだことは言うまでもなく、また最近の米國の選挙も、米國民が、自由経済を唱える共和党よりも、ニユー・デイール政策の上に立つ民主党に加担したことは、何を示しておりますか。
 今日資本主義といつても、非常に進歩的な社会政策と結合しなければならず、労働大衆を敵視するが如き政権は認めるわけには行かないのであります。いわんや、現在の日本のごとく、きわめて制約せられた諸條件の中において、四つの島に八千数百万の國民が生活を確保して行かねばならぬ、まことに容易ならぬ前途を思うとき、計画と統制は、好むと好まざるにかかわらず、とうていこれを否定することはできないのであります。しかも日本が、米國の救済資金や復興資金の行為的援助によつて長期計画を樹立し、復興を成就せなければなりません以上、無計画な自由経済の基礎の上に外國の資金的援助が得られるなどとは、夢にも思われないことであります。(拍手)現下の日本経済は、國民生活確保の必需物資及び日本復興の基礎物資の生産・配給については長期の計画を立てその計画に基いて統制すべきであり、それ以外の大勢に関係ない物資の統制撤廃は、われわれも賛成であります。
 要するに日本経済は、國家の計画経済を骨骼とし、廣範な自由市場経済を包括された混合経済が実体であり、これにより一つの新しき経済秩序が生み出されつつあることを、われわれは認めなければなりません。從つて、計画経済にのみ重点を置いて社会主義への移行を説くのも事実を曲げるものであれば、自由経済にのみ重点を置いて自由経済復帰を説くのも、現実を無視するものといわなければなりません。この計画性と自由性の割合は、必ずしもイデオロギーの問題ではなく、日本の現実の條件と現実の必要の問題であるといわなければならないと思います。民主自由党が、ただ漠然と統制撤廃、自由経済復帰を説くのは、一時の國民の歓心は買えても、終局においては國民を欺く結果となると申さなければなりません。(拍手)現に、民主自由党が公約した取引高税は別にしましても、予算措置を伴わない生鮮食料、料理屋営業の統制撤廃すら、いまだにできない状態ではありませんか。(拍手)かかる現実を無視した、漠然たる事由経済復帰への宣傳は、國民に日本経済の実体が安易であるとの印象を與え、眞の経済安定の生涯となるばかりであります。現政府は、日本の経済が、近い将來において、民自党の主張する自由企業、自由経済の体制に完全に復帰し得ると、ほんとうに考えているのであるか。日本の今後の経済復興と建設は自由経済の方式だけで達成し得ると考えているのである。もし達成が不可能であるとするならば、計画経済の役割と範囲と方式並びに統制と自由の限界に関して、安本長官は國民の前にその見解を明らかにすべきであると思います。(拍手)
 政府は、施政方針演説において、生産第一主義的経済復興を強調されました。その必要は、何人も異論をさしはさむものはありません。しかし、國民の聞かんとするところは、そういう抽象論でなくして、生産復興は一体どこから始めて、どこに重点を置いて、いかにして、いかなる体制と機構によつて処理するかということを、國民は聞きたいのであります。かかる具体的方策に言及しない演説は、施政方針演説と言うわけには参らないのであります。生産復興は、各種の要素が総合的に解決されなければ、目的は達せられるものではない。
 今後、わが國産業の重点は、重工業、化学工業、精密工業に移らねばならぬと思います。それらを含めて鉱工業生産指数が、せめて戰前の七〇%くらいまでには急速に引上げねば、何一つ問題は解決するものではないのであります。そのためには、まず資金の面であるが、企業の資本蓄積ができていない今日、肺病患者にマラソン競走をやらせるような方式では、生産が復興できるものではない。資金の計画的造出と合理的配置が必要であり、そのためには、金融機構についてもこれを再檢討せねばならぬ段階に來ていることは、事実であります。資材にしても、その多くは輸入にまたねばならぬわが國として、輸入力確保のための画期的輸出増進策が取上げられなければならないし、労働不安の解消も焦眉の急であり、今後政府は賃金政策、賃金安定策をどういうふうにせられようとするのか御発表がございませんが、われわれは、基本給はスライド制を採用し、それ以外は、日本の賃金体系を能率給的体系をもつて貫いて、賃金と生産収益をマツチさせねばならぬという主張をいたします。また主要産業部門には、從來の経営協議会とは別に、英國などでやつておるような運営協議会のごときものを設置して、経営者と労働者の代表が協力して、生産増強あるいは合理化、雇用関係の調節等の企画を立て、生産を通じて企業と労働の協同が成立するようなくふうがあつてしかるべきものと存じます。政府は生産復興に対してどういう対策をお持ちになつているのか承つて置きたい。
 また政府は、企業の合理化を重要な項目として提起されましたが、しかし政府の言う合理化は、昔の過剰生産時代の合理化を考えているのではないかと思われる筋があります。今日の事情はまつたく異なつて、過小生産時代の合理化であり、その方式は、過剩人員、過剩設備、創業率向上の三者の積極的バランスをとることにあるのであります。要するに、かくのごとくして國民経済のわくを拡大することであります。政府は、企業の合理化のための人員整理を、自由経済的自然淘汰によつてするようでありますが、今日のごとく、生産低下のわくの中で整理をやるとするならば、個別的には解決できるでありましようけれども、國民経済的には、問題を解決できるものでは断じてありません。(拍手)われわれは、経済の安定恐慌の拡大と遷延を防止して、失業を最小限度に食いとめるという努力をしなければならないと思います。そのためには、企業の合理化も、計画的な、なしくずし的な合理化でなければ、問題を國民経済的に解決することはできない、という主張を持つものであります。今後の企業の合理化の方式は、どういう方式を考えているのか。これまた政府の所見を伺つておきたい。
 國民経済のわくを拡大するのには、かつて米國においても、ルーズヴエルト氏の時代に、テネシー・ヴアレーの開発計画、すなわちTVAのごとき河川の総合開発を、一大國家事業として計画した。もちろん日本の場合は、アメリカの援助がなければこういう計画は困難でありましようが、とにかく水力電源あるいは資源、農地その他の総合的開発を実施するくらいな積極的な方策によつて生産力の拡大、新規雇用の機会の増大への道を開いて行かなければ、問題を根本的に解決できるものではありません。また、さらに廣汎な社会保障制度を確立して國民生活の確保を期すべきことは、申すまでもありません。
 以上のごとく、日本の復興は、周到な長期計画を樹立し、これに基いて行われなければならぬが、安本長官は、五箇年計画案を前内閣から引継いだという程度の報告的言及しかなされなかつたのであります。五箇年計画を眞劍に取上げる意思があるのかないのか。もし、これを眞劍に取上げて檢討しているとするならば、その計画のもとにおいては、どのくらいの期間にインフレーションを収束させる予想か。通貨の安定は今後どういう方式をとるのか。輸出入と外資導入に対する見通しはどうなのか。問題は多岐にわたるけれども、安本長官の、この点についての明らかな御答弁を求めたいと思います。
 戰後のわが國の農業政策は、農村の民主化と農業生産力の向上を目ざして、農地改革と農業協同組合の設立を中心として行われて参りました。画期的な土地改革ではあつたけれども、経済規模の零細化的方向はますます進行する情勢にあります。しかも、一部特殊作物を除いては農民生産物の公價は低ぎに押えられているに反し、農家の購入必需品の相当部分はやみ取引に依存し、農作物と鉱工業生産品の價格のシェーレは次第に顕著となり、両者間のパリテイは、もう現実に失われてしまつております。その上、供出制度によつてガラス張りの中に行われる農家経済は、農業課税の重圧を眞正面から受けざるを得ないのであります。ここにおいて、農家の家計は破れ、農村恐慌に脅える声は、日本の農村に次第に高まりつつあるのであります。はなはだしきは耕作権放棄等が頻発して、農村の將來に深刻な暗影を投じているといわなければなりません。自由経済を標榜する現内閣は、この農村の窮乏化に対して、いかなる対策をもつて臨まんとするのでありますか。自由経済方式が、農村恐慌に対処していかに脆弱なものであつたかは、歴史が雄弁にこれを物語つております。(拍手)
 世界経済における日本農業の地位を的確に把握して、必要なる自給性を確保し、輸出農作物の選択と奨励に努力し、農村資本の蓄積、農村金融の打通、供出制度の改善、農産物價及び課税に対する根本的是正、農村工業及び畜産の奨励保護、治水、土地改良、植林の促進、農業技術の向上、農村指導者の育成等、こういう諸問題については、適切なる対策を樹立しなければなりません。これらの諸対策は、一方において、総合的計画性を持つ國家行政の強力な施策と、他方協同組合による自発的努力にまたなければ、自由経済的イデオロギーで対処できるものでは断じてないと思います。(拍手)ことに、強力な協同のメカニズムにより、経済恐慌から農村を防衞し、さらに農業生産力の向上を期するためには、協同組合の健全な発達を強力に助成すべきものと信じます。しかるに資金面においては、鉱工業方面には復金融資のみにても千三百五十億円が割当てられたに反し、原始産業部門は、わが党の強き主張によつて、ようやく前内閣時代、農林漁業復興資金として四十億が実現したにすぎないという、あまりにもひどい虐待ぶりであります。
 土地生産力の増強には國家資本の導入が絶対に必要であり、政府は、農林漁業復興資金を拡充して、農林復興金融金庫のごとき恒久的措置をとる考えはないか。中小企業についても、これと同じような措置が必要と思います。要は、民自党年來の主張による自由経済方式とは、これら山積する農村の諸問題をどう解決せんとするものであるか、全國農民のために明白に承つておきたいと存じます。(拍手)
 日本の再建が文教の刷新振興にまつことは贅言を要しません。今日、教育基本法、学校教育法、教育委員会法等が制定を見て、教育民主化の体制は、一應形式的には確立をせられましたが、その内実は日本の実情に即せざるもの多く、幾多の弊害が生じつつあることは、はなはだ遺憾であります。すなわち、いたずらに教育民主化の議論にふけり、教法の末節にこだわり、日本復興再建に結ばれたる生産教育、なかんずく実力の向上、科学技術教育のための施設の拡充、勤労青年のための高等実業教育の振興等に、ほとんど見るべき施策はありません。ことに新制中学校の建設の問題は、地方財政を危殆に陷らしめ、租税の重圧に加えて、さらに人頭税的寄附の負担は、國民の家計を破綻せしめつつあります。前内閣は、わが党の熱烈なる要求にこたえて、追加予算の編成には、六・三制予算の不足額を優先的に計上する旨、閣議了解事項を定めたのであるが、目下提出中の予算案には、その片鱗だに見えないことは、現内閣の文教に対する冷淡なる態度を表示するものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)教育の機会均等、教育尊重の建前よりして、苦しい國家財政の中にあつても、六・三制の実施には國家の補助率を高めるとともに文部、大藏、安本の三者の緊密な協力のもとに、長期かつ実際に即した漸進的計画を樹立し、強力な指導を加えなければ、教育の混乱収拾すべからざるに至るでありましよう。
 さらに憂慮すべきは、教職員の轉退職者相次いで、資格、学力なき者をもつて補充しても、なおその不足十余万に及んでおります。しかも養成機関においては、應募者定員に満たざるものが現在の実情であります。文化國家建設の國民的理想は、何によつて一体支柱を求めんとするのであるか。教育公務員特例法案は、われらの努力によつて衆議院を通過しましたが、さらに一歩を進めて、單独法たる完全なる教育公務員法の成立を見て、われわれは教育委員会を中心として本來の民主的教育体制を確立せしめるとともに、教職員が実践力と品位を維持し、國民に対して負う責任とともに、國家將來の歴史により大いなる責任を負うの自覚を與うべきものと信じます。要は、日本再建における教育の地位をいかに評價し、いかなる具体的方策をもつて臨まんとするのかについて、文部大臣の御答弁を求めたいのであります。
 最後に、正解、官界、財界の浄化について一言触れておきたい。疑獄事件の続出は、内外にきわめて深刻な衝動を與え、これらは、敗戰後における最も不幸なる出來事の一つであります。一日もすみやかに眞相が究明されて、世界の前にも、國民の前にも、日本が粛正された姿を表示せねばならぬと信じます。わが党は、つとにこれが徹底的究明を党議をもつて決定し、この党議を貫かんとするがために、檢察当局の活動に大いに期待するものでありますけれども、一面、檢察当局の責任きわめて重大なりと言はざるを得ません。もし、いささかにても感情のさしはさむものあらんか、民主政治の基盤はくずれ、暗黒政治の再現となることは、言うをまちません。愼重なれ、されど峻嚴なれ、と警告し、要望して、私の質問演説を終ることにいたします。(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) 三木君にお答えいたします。
 講和條約の早期締結あるいは國際連合の加盟ということは、これはお説の通り‥‥
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○國務大臣(吉田茂君)(続) 國民の最も熱心に希望するところであり、政府としても、むろんこれを希望しております。また、米ソの関係とか、中國における國共の対立、これは日本といたしても重大関心を持つておるのであります。しかしながら、現在日本國としては外交停止の状態にあるのでありますから、外務大臣として、これに対して意見を述べることは差控えます。また、張君の提唱せられたアジア連盟、アジア経済集團の構想に対しても、これはけつこうなことと思いますが、これまた外務大臣としては批評を差控えたいと思います。
    〔議長退席、副議長着席〕
 また、外國の現内閣に対する批評が云々というお話でありますが、今日外國の通信員、外國人に深い接触を持つておるのは、三木君より私の方がよけいであると考えますが、私の接触いたしておるところでは、外國の新聞記者等に接した私の感じでは、いかに嚴粛に考えてみましても、現内閣に対して決して誹謗を加えてはおりません。でありますから、外國のわが吉田内閣に対する國際信用については、どうぞ御安心いただきたいと思います。
 また、私の民主主義に対する観念いかんということでありますが、私は、あくまでも民主主義は二大政党の対立で行きたいものである、小党分立では民主主義は十分に行えないと確信する者であります。(拍手)また、敗戰後の日本において思想の混乱もしくは生活不安の状態の直後においては、自然小党分立ということになるでありましようが、だんだん日本國民の思想がおちつき、生活が安定せられるに從つて、自然に大政党分立、対立ということの形式が成立し得ると思います。また、二大政党が相対立して、そして互いの責任をもつて切瑳琢磨して、政局打開に分担をするということになりまして、初めて民主政治は完全にこれを実行することができるのであつて、いたずらに小党が分立して、その連合とかあるいは勢力の安泰によつて政治をいたす間は、民主主義はすつきりした形をなつすことはできないと確信いたします。(拍手)
 また、自由経済、統制経済のお話でありますが、いろいろむずかしい議論は別といたして、ともかく日本の経済が世界の経済の一環をなし。世界経済の潮流に乗るということによつて、初めて日本の経済再建なり復興ができるのであつて、私はこのためにも、戰爭時代に採用されたこの統制経済はなるべく少くして必要の範囲にとどめ、自由経済に移行せしめて、世界の経済の一環をなすように持つて行くことが、われわれとして努むべき経済政策であると考えるのであります。(拍手)
    〔國務大臣泉山三六君登壇〕
○國務大臣(泉山三六君) 御質問の第一点、自由と統制の限界につきましては、要するに当該物資の需給状況がどの程度の均衡を保たれておるか、またそれが不均衡の場合において國民経済にいかなる影響があるか等によつて決すべきでありまして、一般的また抽象的なる限界線を設くべきではないと考えるのであります。すべからく、個々の物資のそれぞれにつきまして、その需給状況、將來の見通し、また外國よりの援助との関係その他を愼重に檢討して、個別的にこれを実践に移したいと考える次第であります。
 御質問の第二点、生産の増強につきましては、原料の輸入並びに國有し現の生産増強に努力いたし、まず資材及び動力の供給の増加をはからなければならないのであります。さらにまた資金につきましては、彈力性に富む金融によりまして企業活動を旺盛にいたし、労働問題につきましても、その実質賃金の確保向上に努め、爭議の防止と労働生産性の向上に資したいと思うのでございます。なお、統制の整理及び経済三原則の遵守等によりまして、企業の生産性、自主性の回復をはかりたいと、あわせ思うのでございます。
 御質問の第三点、企業合理化の問題につきましては、まず國際経済との関連を重視し、わが國経済が世界経済の一環として自立し得るように、企業の種別及び経営内容につきまして檢討を加える所存でございます。そのためには、爲替レートの設定をでき得る限り急ぎ、各企業の採算制の合理的なる基準を示したいと存ずるのであります。次に、企業の非能率化の原因といたしましては、政府が煩雑なる統制を行い、自主的なる運営を妨げて参りました面のある一方には、企業が統制の保護のもとに安易なる経営に安んじて参りました面もこれあることと思われますので、今後は、各企業の創意と責任に基く自主的なる企業採算制の確立に施策の重点を置き、いわゆる三原則の基本方針を堅持いたし、もつて赤字融資、價格差補給金の交付のごときはこれを行わない方針でございます。
 御質問の第四点、復興計画につきましては、昭和五年ないし九年の水準によりまして、計画終年度におきまして、正常にしてかつ自主的なる経済を確立するにあるのであります。そのためには、計画を前期と後期とにわかち、その前期におきましては、それが実施計画となることを前提といたしまして、まず生産その他國民生活を撹乱しつつあるインフレの克服に重点を置き、なお後期におきましては本格的なる復興をはかる方針でございます。
 御質問の第五点、農林水産金融につきましては、その重要性につきまして、内閣におきましてもこれを十分認めておりますことは、たびたび本國会におきまして言明いたした通りであります。從いまして政府は、この方面に対する金融には万全の措置を講ずる所存でございまして、なお現に農林中央金庫を通じまして特別の有しを行つておることは御承知の通りでございます。ただ恒久的なる農林水産復興金融金庫、かようなる機関をつくることにつきましては、目下金融制度の全面的改正の一環といたしまして、これと相にらみ合せまして檢討中でございます。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
○國務大臣(増田甲子七君) 三木さんの御質問にお答え申し上げます。大体において、すでに安本長官からお答え申し上げました通りでございますが、賃金政策につきましては、基準賃金、生活給、固定給等はスライド制によつて、あとは能率給によつて実質賃金を高めて行くという主義方針に、私は賛成でございます。
 それから産業合理化は、御説の通り過剩生産によつて産業合理化を行おうとするのではございません。過小生産ではございますが、しかし、一つ一つの企業体をそれぞれ檢討してみますと、過剩労力を抱えておりますから、企業体が自主性、健全性を確立するために産業合理化が必要である、こういうわけでございます。もちろん、産業合理化を行うにあたつては、お説のごとく計画的に合理化をなす必要がると考えております。
 それから、テネシー・ヴアレー・アソシェーションのことを示唆されましたが、これは、私ども民主自由党といたしましては大規模なる産業政策を考えている次第でございまして、もとよりその與党の政策を実現すべき吉田内閣としては、あなたの示唆は非常にけつこうな示唆であると考えております。
 それから社会保障制度につきましては、そのうち失業保險のごときは、これは今非常に成功を収めていることは、御認識くだすつている通りであります。(拍手)
    〔國務大臣周東英雄君登壇〕
○國務大臣(周東英雄君) お答え申し上げます。
 三木君は、戰後の農村対策として、農業生産力の増強は、農地改革が実行され、農業協同組合はできたが、これだけでは農村経済の安定も生産力も増強しないであろう、以下いろいろお述べになりました政策をとらなければ目的を達しないが、政府はいかなる方策を持つかというお尋ねであります。お話の通りであります。今日、農地改革によつて自作農家が農地を所有して、自作自営農家になつたことは、大体目的を達したのでありますが、これは土地所有を得たというだけであります。しかも、お話のように、大体所有はいたしましたが、過小農家であります。しかして、この過小農家に農村経済の安定を得せしめ、かつ農業生産力を増大するにつきましては種々なる施策がいるのでありますが、政府といたしましては、今後第一に、この農地改革後における土地政策といたしましては、土地の総合的利用計画の樹立を基本といたしまして、その上に立つて適地適作を進めて行くということ、かつまた場合によりましては、土地の交換分合等を進めつつ合理的経営に進めて行くことは、もちろんであります。
 なお御指摘のように、戰後におきまして、ともかくも農村に負担が過重になつて來たことは認められるのでありまして、今日その面といたしまして、今後農業所得に課する税の問題につきましては、所得額決定方法について十分適正な方法に改善すべく、今日努力中であります。
 かつ最も問題になりますのは、何と申しましても、農産物價と工業生産品價格とのシェーレの幅が次第に大きくなつているという点に対して御心配のようでありますが、この点につきましては、でき得る限り農業生産物に対する價格について適正な價格を維持するとともに、むしろ農家の必要とする生活必需物資、農業用資材等につきまして、その原料・材料を増加して生産を増加するとともに、むしろ工場の適正化をはかることによつてコストを下げることよつて價格を低廉ならしめるという方策をとることが、最も大事であります。從つて、それに関連いたしまして、御指摘のように、農家の生産につきまして、むしろ食糧生産のみに片寄らずに、輸出工業生産、輸出農産物等について一般作物の轉換をするということも考えられまするし、また御指摘のように、農村工業も、政府といたしましては、現に的確なる施策を行うために、全國に大体七十六の基幹工場を置き、技術並びに工場経営の上から適切なる方策を講ずるよう指導いたしておるのでありまするが、この面によつて、あるいは農産加工、畜産加工、輸出品加工等に関する農村工業を進めて、農家の多角形経営に應じて農家経営の安全をはかるべく努力いたしております。さらに、今日農家の基本條件であるところの土地の保護保存のために、治山治水に対しましては、昨年を第一年とする徹底した五箇年計画のもとに急速に立案を進めたい、かように存じておる次第であります。
 しかして最後に、これらの諸施策は自由経済をとらんとする方策のもとにおいては矛盾するではないかというような御意見がありましたが、われわれは、これらの施策におきましては、自由経済主義におきましても、かりに統制経済を行われる現下におきましても矛盾するものではなく、むしろ現下においてこそ、すみやかにこれらの施策を行うことが適当である、かように考えております。(拍手)
 この際、一昨々日田中織之進君からお尋ねになりましたことにつきまして、簡潔にお答えを申し上げます。
 第一において、政府の農村政策についてお尋ねがありました。今日農村の実情といたしまして、ただいま申し上げましたように、農地改革によつて農村の民主化がある程度完結に近づいております。しかし、これらに対しまして、何と申しましても、ただいま申しましたように、農家経済の安定と農業生産力増進のためには、今後でき上つたこれらの自作農家をして完全に働かしむるように諸施策を行うことが第一であります。その点につきましては、一部第二次農地改革の目的は是認いたすといたしましても、その中における不合理性を是正するとともに、むしろ先ほど申しましたように、農地の交換分合、あるいは土地の総合計画、利用というような根本策に新しく土地政策が向けられて行くべきと考えます。
 次に、治山治水をいろいろの政策と関連して考えております。今日國土が荒れまして、さなきだに災害頻発しておる今日、そのもとを治めるための大幅の植林並びに山腹砂防工事を進めるべき五箇年計画を進めております。同時に、これと関連いたしましては、從來未墾地開墾等につきまして、ややもすると、机上計画に基いて行き過ぎの点が多々あるのであります。これらの点につきましては、嚴正に候補地を選定いたしまして、治山治水上さしつかえなきや、即墾地との関係はよいか、また灌漑用水等の準備はあるかというような点を考慮しつつ、科学的に嚴重に土地の選定を進める方針であります。
 さらに今日、治山治水の面から申しましても、民有林地に関する施策は重大であります。今日、森林面積が約二千三百万町歩の中で、千五百万町歩くらいは民有林であります。これが原地の保全とその経営の安定をはかることは、新内閣の政策の中心であります。從つて、一面におきまして、長期を要する林業経営に対して一部國庫の助成をしますとともに、森林組合を強化いたしまして施業案を立て、その施業に從つて植伐を進めるように努めて行くことが必要と考えております。
 第二にお尋ねでありましたが、これは、ただいま申し上げましたように、第三次農地改革を徹底する意思はないかというお尋ねでありました。これは主として一町歩未満の地主の開放のお尋ねでありまするが、今日政府は、さようなことは考えておりません。むしろ第二次農地改革によつて、自作農家としてのこの零細農家に対して、その農家経営の安定と農業生産向上のために必要なる農地制度を進めるつもりでおります。
 第三は、農地委員会の費用についてのお尋ねでありました。これは、今日最も必要な経費といたしまして、すでに出ておりまする一般経費三十億余のほかに、このたび追加予算によりまして、委員会の專任職員等の水準増加に伴う経費及び一部事務所の増加をいたしております。大体四億一千万円余であります。
 その次のお尋ねは、農地改革によつて政府が賣り拂つたところの土地代金が六十億前後あるが、その運用はどうかというお尋ねでありました。これにつきましては、お尋ね程度の金は今ありまするが、これらは、農地証券の買上げ請求に應ずるため、または一部現金拂いになつておりまする旧地主の支拂い等に充てるものでありまして、大体余剰がないと考えておるのであります。もし、それ以上の余裕ができます場合においては、これらの運用については愼重に考慮いたしたいと思つております。
 それから、供出方法についてのお尋ねでありました。ごもつともなお尋ねでありまするが、今日供出及び生産割当等につきましては、その実施を適正にいたしますために、これらの機関としては、すべての生産に関與せざる中立的な人を選ぶのがよろしいと考えて、今日作物報告事務所等を使つて、これらの割当に関する意見調査をいたしております。しかしながら、今日まで作物報告事務所は、いまだ発足間もありませんので、あるいは完全に行つておりませんかと思いますが、今後できるだけ早い機会におきまして機構を充実して、完全なる民主的方法によつてきめたいと、かように考えております。
 その次に米價のお尋ねでありました。米價については、現在できておりまする三千五百九十五円は安過ぎた、社会党もこれに反対であるというお話でありますが、これはすでに前内閣におきまして、いろいろの観点に立つて、今日の物價との比較的均衡から、これは大体一應均衡を得ておるものとして定められておるものでありますから、今日におきまして、もし賃金等の水準の値上げに伴うて他の物價の値上り等の関係が起りました場合におきましては、自然的にこれに関連して改訂に必要があると考えます。その場合につきましては、スライド制にして、さかのぼつて追加支拂いをすることになつておりますから、今日ただいますぐに変更する意思はございません。
 なおその際に、今後米價決定に対しては國会等において決定してはどうかという御意見があつたようであります。今日の場合、私どもは、國会ですべてを決定するということを考えておりませんが、農林省または経済安定本部等におきまして愼重にこれを決定する前提といたしまして、あるいは中央における農業調整委員会等適当な諮問機関を設けて諮問して、そこに國会の意思を反映して決定する方面に進めたいと考えております。
 なお最後に、農業課税について軽減する意思はないかというお話でありました。今日農村に対して、ややその負担が過重になつておるやに考えられます。これにつきましては、主として農業所得の決定について改善を要するものと考え、かつまた農村において申告制度をとつておる今日、申告に関しまして内面的指導をするにつきまして、十分な民主的な機関を設けることが必要であると考えますが、それら種々の点に対しましての改善について、目下、大藏当局と折衝中であることを申し上げておきます。
 先ほどの三木さんのお尋ねの中で、農村金融については、大藏大臣から答弁いたしましたので私略しましたが、今日お話の通り、政府が終戰後、鉄工業関係において、すでに千四百五十億余円の政府出資のもとに、その復興に関する金融をつけておる今日、今まで政府におきまして農業金融に対して積極的施設がなかつた、この点に関しましては、目下、大藏大臣が御答弁申し上げましたような方向に向つて研究を進めていることを申し上げておきます。(拍手)
    〔國務大臣下條康麿君登壇〕
○國務大臣(下條康麿君) 三木さんのお尋ね中、文部省関係の事項につきまして、お答え申し上げたいと存じます。
 まず第一に、わが國再建の根本問題たる教育の大体の構想について申し上げたいと存じます。御承知の通り教育は、人格の完成をはかりまして、よつてもつて平和と正義を愛好する國民を養成することを目的といたしておるものであります。從いまして、この線に沿いまして、具体的の施設といたしましては、文教の刷新と教育の民主化でありまして、すなわち現に実施いたしておりますところの六・三制の実施並びに近く発足を見んとするところの新制大学、かような面に、今後一層の努力を拂いたいと思うのであります。なお、教育の民主化をはかります教育委員会制度の適正なる運用を指導するということも、この面の関係事項であります。これらの民主化の実施にあたりまして、先ほど三木さんが非常に御心配になりました、わが國の実情に沿わない点があるならば、それにつきましては十分是正をする必要があると考えておるのであります。
 そのほか、かような文教刷新の一端といたしまして、科学技術の振興、この点につきましては、逐次予算が増額されておりまするが、明年度においては、相当この点に関しては増額を計画したいと考えておるのであります。
 なお社会教育の面につきましても、学校方面の教育が自治的運営になります関係上、今後文部省の所管といたしましては、社会教育に重点を置きたいと考えておるのであります。
 今申した六・三制の予算のことにつきまして、約七億円の予算が次の年度の追加予算の優先計上を約束せられたようにお述べになりましたが、この点は、昭和二十三年度の劈頭において予算処理が済んでいるように考えております。なお、六・三制の実施にあたりまして、いろいろ経費の関係上困難なことがありますことは、お述べになつたとおりでありまして、この点につきましては、文部省といたしまして、將來その経費の増額につきまして考慮いたしたいと考えております。
 教育公務員法の点につきましては、すでに昨日本院を通過いたしました特例法をもつて、教育公務員の職務と責任の特殊性にふさわしい適当な案であると考えまして、ただいま單独立法を考えておらないのであります。
 なお、教員の離職についてお述べになつた点は、まことにごもつともであります。しかしながら、最近教育公務員の給與の改善がありました結果、離職の統計が次第に改善せられておりますことは、まことに喜ばしいことであると思います。從いまして、文部省といたしましては、教育公務員の給與の改善につきましては、今後とも一層努力いたしたいと考えおります。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 三木君、よろしゆうございますか。――大原博夫君。
    〔大原博夫君登壇〕
○大原博夫君 私は、社会革新党を代表いたしまして、冷靜にまた公平な立場に立つて若干の質問を行いたいと思います。
 まず第一に解散問題についてでありますが、私はこの問題について、いささか研究をいたしまして結論を得たのであります。法律的解釈も、また七條による解散を認めている学者に対する反駁も、実際から見た解散についても同意ができたのでありまして、第三回國会において、これに関する緊急質問を申し出て、お許しを得ておつたのでありますが、遂にその機会を得ませんでした。今度のこの機会にと存じましたが、時間を長くとりますから、これを一切差控えたいと思います。しかし憲法の解釈は、憲法を制定した國会みずからが論議を盡して決定すべきであります。しかるに本議場においては、いまだ論議が盡されておりません。今回の解散については、野党三派と政府との間に、不信任案提出によつて解散を行うとの協定が成立しておりますが、これは一時的の妥協であつて、憲法の根本的解釈ではありません。この際私は、第七條によつて内閣に單独の解散権はないということを確信をいたしておるものであります。ついては、二、三の点だけを質問するにとどめたいと思います。
 総理大臣は、憲法第七條によつて内閣に解散権ありとの御解釈でありますか、これをまずお伺いいたしたいのであります。本議場において、原議員の質問に対して吉田総理は、政府は第何條で解散するとも声明したことはないと答弁をしておられます。参議院においては、内村氏の質問に対して、第七條による解散ができることは学者の通説であると答弁しておられるのであります。私は、学者の意見でなく、総理大臣の御意見として御見解をただしたいのであります。今日に至りまして、はつきりした御見解がないとは思わないのでありますから、どうぞ御答弁をお願いいたします。
 内閣の政治責任でいつでも解散ができるということになると、國民の選挙した代表者からなつているところの國権の最高機関である國会の機能をいつでも停止させ、衆議院議員の権利をいつでも剥奪することができるのでありまして、一種のクーデタであります。しからば、國会は國権の最高機関でも何でもなくなつて、最高権力は実に内閣にあることになるのであります。これは新憲法の精神に反することであります。また、解散の権限が天皇にあり、かつ非民主的であるといわれておつた旧憲法よりも、首相を國会が指名する民主憲法といわれる新憲法の内閣の方が、比較にならない強い権力を持つことになるのであります。これもまた憲法の精神でないと思います。私は、内閣は國会の下部機関であるとも認めませんが、今内閣に廣い解散権を許し、内閣がこれを惡用し、濫用するときには、内閣総理大臣は実に独裁権を有する結果となると思うのであります。新憲法の精神は、断じてかかることを許さないと思います。民主國家建設の任務を負う國会が第一に心がくべきことは、いかなる理由によつても、一つの独裁権を許してはならないということであります。
 吉田首相の御演説や御答弁を靜かに聞いて考えますことは、吉田首相の憲法常道によつて、総選挙後において第一党の総裁を指名するとなると、絶対過半数の場合は関係はございませんが、比較多数の第一党であつた場合、他の政党の氏名投票は形式的投票と見なければなりません。そのときに第一党の総裁が指名されても、やはり、ただいまの通り少数党内閣であります。これでは議会の運営がうまく行かないというので、首相の今までのお考えによれば、少数党内閣であるがゆえに再度解散するおつもりでありますか。また多数党内閣が倒れて、首相の御持論のように在野第一党の総裁を指名するとすると、しかる場合には、また少数党内閣であります。今度の吉田内閣のように、しやにむに解散を断行することが憲政の常道であるとせられますか。かくのごときは、その煩にたえないであろうと私は思います。私は、総理の指名を受けるべき立場におかれておる人が、総理指名の主導権を握るのはいい、そうしてこの内閣の組織に着手し、この人は、政策を示して他党の協力を求め、多数をもつて総理の指名を受ける、これが当然と思うのであります。万一、今回の場合のように少数で指名を受けた場合には、第一、議会に信任を問い、否決された場合には初めて辞職するかまたは解散すべきであると思うのであります。これが憲政の常道とすべきであると思うのでありますが、この内閣のように、吉田首相の憲政常道論は、どうも私には理解ができません。かかる場合には、いかにいたすべきであるか、吉田首相の御見解をはつきりと承りたいと思うのであります。
 今の機会には信用がない、解散をしてやり直すべしとの議論もあるようでありまするが、何度解散をいたしましても、解散によつて議会粛正の目的を達し得るとは私は思いません。何となれば、議会政治の腐敗の原因中最も大なるものは、実にひんぴんたる解散にあるのであります。議会を権威あるものにするためには、議員が年中解散を苦にすることなく、おちついて審議のできるように、ある程度の地位の安定を與えなければなりません。しからざれば、議員は年中選挙運動に沒頭いたしまして、議会政治の最大欠陥であるところの、いたずらに國民の歓心を買う煽動政治に陷るでありましよう。いよいよ政治を困難にいたしまして、國のために、まことに悲しむべきことであります。そうして、正しい、りつぱな人物は漸次減少し、今後二、三回も毎年解散を行いますならば、おそらく議会からその影をひそめるでありましよう。しかして、種々の意味の、あるいはボスか、あるいはやみ成金か、資本價の手先か、ないしは時代思想をつかむ官僚をもつて議会を埋めるであろうと思います。私は、解散はなるべく避けて行くべきであつて、むやみに解散権をを内閣に與うべきにあらずと考えておるのでありまするが、首相の御見解をただします。
 次に、経済関係について質問をいたします。首相の演説におきましても、また安本長官の演説におきましても、施政方針として何らの特色を示しておりません。安本長官の演説を檢討してみますと、取引高税の撤廃は、廃止する根本方針にかわりはないといい、供出後の自由販賣については、その時期は考慮中といい、生鮮食料品の統制の廃止及び料飲店再開については、その時期方法を考慮中と述べておられるのであります。演説だけ聞きましたのでは、何党の安本長官の演説であるか、区別が困難であります。取引高税は、われわれは最初から反対したのでありますが、これに賛成をせられた前内閣の與党三派の方といえども、今日では、これを廃止するという根本方針は、おそらく持たれてるのであろうと思います。生鮮食料品の統制の廃止や、大衆料飲店再開についても、その時期方法を考慮中であろうと思うのであります。從つて、これらの問題は、何党といえども大した異議のないところであつて、その時期方法について考究中であることが実情であろうと思うのであります。要は、これらの問題が問題となるのは、これらの問題の即時断行を迫つて國会開会を要求した政党が内閣をとつたのであるから、すでに今日において、ただちに断行し得るやいなやにあると思うのであります。大藏大臣の演説のように、今日に至つてもなお根本方針にかわりがなかつたり、その時期と方法を考慮中であつたりしたのでは、問題はほとんど價値を失つておる。勝負はすでにあつたものと私は思うのであります。(拍手)
 また大藏大臣は、不必要と考える統制は思い切つて廃止する。他方國民経済と復興とに欠くことのできない基本的な統制はむしろ強化する、と述べられておるのであります。一昨日、予算委員会において、いかなるものの統制を解き、いかなるものが統制を強化されますか、再三押してお尋ねをしたところが、愼重考究中であるということを一歩も出ません。野菜の話も出ましたが、これも明白になつてはおりません。意地惡く聞いたのではないのであります。それでは何の統制をはずすのであるか、まつたく確信のない御演説であつたと申さなければならぬのであります。今年中にやるという名にとらわれまして、三月に廃止するとかしないとかいうのでありますが、むりやりに三月にやろうとされれば、どうしてもむりを犯すものであります。小さい面子にとらわれて、むりをしないで、來年度の予算で廃止すべきであると私は思います。私は、そうしたむりをしないで、まじめに國政に当つてもらいたいと思うのであります。
 また、統制の解き得るものは統制を解いて行くことには賛成でありますが、現在日本には、統制経済は必要であり、避けることはできないのであります。この統制のわくの中にあつて、自由経済の働く余地は十分にあると思います。日本の全企業の九五%は中小工業であります。これらの中小工業に生産意欲をかり立てて働いてもらわなければならぬのであります。この統制のわくにあつて、現内閣は自由経済の立場から、いかなる施策によつてインフレを収束せしむるお考えでありますか。生産第一主義であると連日拜聽いたしました。それ一つによつて収束はできるものではございませんし、インフレ政策に対する一連の総合施策を伺いたいのであります。
 生産第一主義は、まことにけつこうでございます。しかし、中小企業の困つておるのは、資材難と金融難と重税であります。資材と金があれば、生産は十分上るのでありまして、ことさら生産第一主義でなくても、その成績は上るのであります。從つて、生産第一主義は資材と金融とを十分にしてやるということでなければならぬのであります。また現実として、資材はどうして多く與え得るつもりであるか。また、中小企業の資材を獲得するために、金融は第三・四半期において六十七、八億円をどうしても必要とするのであるが、年末を含めて二十五億円を融通するというのであります。二十五億円では、年末の破産を辛うじて防ぐにとどまるというにすぎないのでありますが、これではたして生産を期待し得るでありましようか。それをもつと多く融通する意思がないか、この辺をお伺いいたしたいのであります。
 企業整備をすると言われるのでありますが、これも時期的ずれが必ず來ると思うが、どうであるか。これをどう調整するつもりであるか。また賃金三原則の適用は生産増強と逆行することになりはしないか。考えるまでもなく、生産第一主義は各方面で突き当るという状態であります。以上の観点に立つて、政府の施策に関し、できるだけ具体的の御答弁をお願いいたします。
 また、ただいま三木氏の質問に対しまして大藏大臣は、價格補給金は今後出さない方針であるということであります。現に追加予算に出ておるのでありますが、少し理解に苦しむのであります。ついでに、この眞意をお伺いいたしたいと思います。(拍手)
 日本は、輸出の振興なくして、経済の再建はもとより、維持もして行けません。日本人が生きて行き、漸次生活をゆたかにして行く道は、輸出振興のほかにございません。昨年の輸出実績は一億七千四百万円で、今年の前半期は昨年のそれに劣りまして、今年中の全体も、あるいは昨年のそれを多く出ないと予想せられるのでありますが、これは幾多の原因のあることはわかつております。いかなる原因があるにいたしましても、他國の製品よりも、より安いよい品物を生産しなくてはならないのであります。近く外國の工業も復興し、過剰生産の時代もまた來るのでありましよう。いよいよ日本の輸出が困難となるのであります。從つて、これに対應する準備がなければならないのであります。経済安定本部の新政策として、標準爲替レートを創定して、國際的経済の観点から、來年四月を期して全面的物價改訂を実施し、同時に賃金安定策を断行して、物價と賃金の同時安定をはかると傳えられておるのでありますが、中小企業家は、その成行きを心配しておりますので、その構想の大体でもよいから承つておきたいと思うのであります。
 これはなかなか困難な問題であると思います。三原則や企業整備、あるいは標準爲替レートを基礎とする物價改訂、この一連の政策によつて、当分生産も澁滯をして來ると思うのであります。少々澁滯いたしましても、これを断行すべきでありますが、生産第一主義という甘い言葉とは、当分距離ができると思うのであります。輸出の異常なる高進の道は、机上の計画ではできません。そろばんでは、はじき出せないのであります。計画のからを破つて膨張するためには、企業家のはち切れるような創意くふうによらなければならないのであります。安價でいいものをつくることに期待する以外に道はないのであります。ここに自由経済の生きる道がある。すなわち、大きな計画経済のわくがある。企業の面によつて創意くふうに大きな期待をかけなければならないのであります。それには、中小企業家に手腕を振う余地を與えなければならぬ。資材もろくに與えず、金融もつけず、税は取上げて、どうして生産増強ができるかと言いたいのであります。これに対しまして、現内閣はいかなる構想を持つておられるか。いかなる対策を立てておられるか。これをお伺いしたいのであります。
 日本では、農業といい、漁業といい、工業といい、ことごとく小企業であります。われわれの協同社会主義は、こうした小企業や勤労者の基盤の上に立つておるのであります。すなわち、統制経済の大きなわくの中にあつて、小企業家の生産意欲を高め、その文化や生活をゆたかにすることであります。そうして國家再建に努力しようとするのであります。しかし、何と申しましても小企業家は弱い。インフレの波にも弱いが、デフレの波にも弱いのである。農業、漁業、一般企業それぞれ協同組合をつくつて、お互いに相助け合うのでありますが、いまだ弱いのであります。この協同組合をもり立ててやらなければならないのであります。発足したばかりのこの協同組合は、國庫の助成をまたなければならないと思います。これに対する政府の御所見をただしたいのであります。
 大藏大臣は、去る四日の施政方針の演説において、赤字融資とか價格差補給金の交付による企業赤字の負担など企業の経済性、自主性と相矛盾するような処置はこれをとらないと言明をされました。また金融政策は健全金融を建前として、いわゆる赤字金融は一切これを行わない方針で進むと述べられておるのであります。当然のことであります。しかるに、同じ演説の後段におきましては、しかし現在各方面で悩んでいる金詰りの実情は十分に認識し、金融に一層の彈力性を與えたいものとくふうしている、とあるのであります。これは前後矛盾しておるのでありまして、解釈に苦しんでおりますから、その眞意を確かめておきたいと思うのであります。
 別のところにおきまして、特に中小企業及び農漁村金融の円滑化には格別の措置を講じたいと述べておられます。本日の議場においても、そういう答弁があつたのでありますが、これは当然の処置と思うのであるが、一昨日予算委員会で、大藏大臣は、米價を引上げたから、現在農村に対する金融措置は考えていないと答弁されているのであります、これはどうしたことでありますか。施政方針演説とまつたく相反しておるのである。一体いかなるお考えであるか、またいかなる御処置を講ずるお考えであるか、これを具体的にお答えを願いたいのである。
 また、新給與について一口お尋ねしてみますが、新給與は、公務員法の性格によつて、われわれは公務員の生活を保障しなければならない立場にあると思うのでありますが、この点に関しましても、予算委員会において増田労働大臣は、他の地域においては政府提案の給與で生活できるのであるが、特地においては多少の赤字が出るかもしれないと答弁しておられた。また大藏大臣も、赤字なしに生活できるとは、どうも保証ができないとしておられるのでありますが、初めから赤字の出ると予想されるような給與は公務員法と抵触しないか。この点もお尋ねしてみたいと思います。
 現在、日本のインフレを助長するものは何かといいますと、莫大な予算である。國民をして重税に苦悩せしめるものは何か、莫大な予算である。インフレの進行を食いとめる手近な道は何か、予算の緊縮である。國民負担軽減の道は何か、予算の緊縮であります。今日インフレーションを収束し、國民負担の軽減をはかり、國民生活を安定するものは、予算の緊縮であります。わが党は、去る七月、二十三年度予算の審議に際しまして、予算の二割天引きを主張いたしたのも、この理由であります。いま一つ並行して行うべき道は、物價や賃金の凹凸を一旦是正いたしまして、次で一律に五分あるいは一割と引下げることである。これはフランスの行つた道であります。明年四月から実施されるという、國際的経済観点から物價改訂や賃金統制で合理的に低物價に改訂せられるならばよろしいのでございますが、しからざる限り、これを行うべきであると思うのであります。これに対する政府の御意見を伺いたいと思います。
 政府は、三原則に基き企業の合理化を強調し、赤字融資をしないと言つているが、歴代の政府は、追加予算また追加予算で、予算上で、赤字の融資を國民の負担においてやつているのであります。政府は、國民の要望なりとして、あちらに少し、こちらに少し歳出を増加しては、予算の膨張をさせているのである。今日までのやり方は、予算を水ぶくれさしてはインフレーションを高進させ、予算額を上げても、その効率は下つておるのである。行政整理は、まことにけつこうである。しかし、緊縮は行政整理だけでは小さいです。政府の経費を削減し、一般の事業費も削減すべきであります。政府全体にわたつて合理化しなければなりません。この國会は、來年度の予算を審議する國会である。來年度の予算において、少なくとも本年の予算の二割ないし三割を削減し、そして減税を断行して國民負担を軽減し、再生産を高めなければならないと思うのであります。緊縮いたしますならば、事業もかえつて効率をあげることができる。同じ賃金でも、インフレを圧縮してやれば、生活を樂にすることができる。取引高税を廃止するのも、緊縮によつて廃止することができるのであります。取引高税を廃止するかわりに、さらに惡税を新設することは、何らの意識もなく、ただ名目にこだわるだけであります。政府は思い切つて予算の緊縮をせられんことを要望いたします。
 七日の本会議において、岩本國務相は、五十七、八万の、相当思い切つた人員整理を自信をもつて発表せられ、また同日参議院で、内村氏の質問に対して増田労働大臣は、なるべく血の出ない行政整理をすると言つておられるのであります。配置轉換によつて、出血なしに多量の人員整理ができますならば、この上ないことでありますが、なかなか困難な事情であると思うのであります。こうした大きな公約は、断然断行せられんことを大いに期待するものであります。政府は、この行政整理は断行するところの決意は十分であります。また、行政整理のほかに予算の大削減の意思がありますか、これをお伺いをいたします。
 最後に、農村問題について質問を試みてみたいと思います。農村は、今や轉落の一途をたどつているということができるのであります。経済安定本部の統計を見ましても、一昨年、昭和二十一年六月の新円は、農村は五一・八%を占め、昨年の六月には二八・五%になり、今年六月は二〇・一%に現じているのでありまして、十二月現在では、おそらくその半分以下になつておりましよう。さらに、同じく農業経済調査によりますれば、農家の総収入から総支出を差引いた剩余金は、一昨年すなわち二十一年は四千九百二十八円であつたものが、二十二年には、一挙にして七千二百六十七円の赤字となつているのであります。さらに今年は、肥料購入の代金もなくして、農業手形になつたことも、明らかなことであります。かかる現象は何がゆえに起つたかということは、言うまでもなく農家必需物資のはなはだ高いこと、農産物價格の安いこと、課税の過重であることであります。大体この三つが原因でありまして、小農業では、インフレーションの波が乗り切れないのであります。
 政府の調査によりますと、今年は、農家一戸当り平均所得は六万四千円、税金は一万四百円、残り五万三千六百円でありますが、政府の調査の中には、都市近郊の農家も入つておりましよう。柑橘その他の特殊農家も入つておりましよう。一般農村には、政府調査の一戸当り平均六万四千円は、見積りが不当であります。百歩譲つて、政府の調査が正しいとしても、税を引いて五万三千六百円は、公務員の家庭のごとく、これがそのまま生活費に充てられるのではないのであります。これをもつて、次の生産のために物資購入の元手とするのであります。これで、農家の生活がどうして支えられるでありましよう。今日までは、預金を引出して赤字生活をやつて参りました。過重な税金も、ごむりごもつともと拂うて來たのでありますが。もういけないのであります。淳朴な農民が、滯納をめぐつて、農村において紛争を巻き起しているのも、このためであります。
 そもそも農業所得税が不当である。政府当局は、農業所得の見積りがいかに不当であるかということを、御存じでありましようか。公務員の生活と、税をしぼり取られている農民の生活と、どちらが樂をし、ぜいたくをしておるか。彼らは、ぜいたくをしないで、きわめて切り詰めておるのであります。それでも、農家は何といつても金がかからないといつているのでありますが、生活に金がかからないどころではない。今日では、全國至るところ、物價は同じであります。
 税務署の所得算定の方法は、柿の木一本あれば千円、自家用蔬菜畑が一畝あれば千円、鶏が二羽おれば、毎日卵一箇を生むものと見て月に三百円、一年三千六百円、小やぎを買つて來れば、半年を経れば一日五合と見て、半年四千五百円、一年九千円という見方をしているのであります。いずれも自家用であつて、純農村では、賣るにも賣れないのであります。当局では、これは所得税として当然の見方であるといつているようでありますが、しからば、都会生活者の柿の木から税をとつておるか。また鶏を飼育する者が多いのでありますが、税をとつておるか、はなはだ多い内職から税をとつておるか。これらは捕捉しがたいと言うでありましようあ、そこであります。
 今日は捕捉しやすいものから税はとられておる。収入の捕捉しやすい農家は坪刈りをしたり、脱穀に立会つたりまでして供出させられ、税がとられておる。これが、重税に泣く農民の姿であります。今年は、申告納税による更正決定、さらに追加予算による追加更正決定の負担であります。これは、いわゆる公務員の年末調整であります。この調整に泣くでありましよう。公務員は、年末調整の手段も講ぜられるでありましようが、農民には、年末調整もなく、越年資金もないのであります。この農民を長く苦境に置くことはできないと思うのであります。政府は、こういう農民の窮状を知つておられるでありましようか。農業所得の算定にあたつて、その所得の中から、再生産に必要な額だけは、少くとも税の対象から除外すべきであります。果樹あるいは蔬菜、僅少の鶏などは、実際において自家用のものであるから、金は生れて來ないのであります。こうした金の生れて來ないものから徴税することは、ひどすぎると思うのでありますが、農林大臣の御所見を伺いたいのであります。
 また農林大臣は、農村の課税軽減について大藏大臣と交渉中であると答弁しておられるようでありますが、そのお考えはいかなるものでありますか。その経過はどうであるか、お知らせをお願いいたします。
 また農村は、來るべき農村恐慌におびえております。今日の農村は、來るべき危機に耐え得ないことは、言うまでもございません。政府は、農村恐慌に対していかなる観察をしておられるのか、その対策をいかに立てておられるのか、お伺いいたしたいのであります。
 私は、農村恐慌の第一の対策は、農産物の供出制度を改善して、これを維持することであります。その價格は、一般物價とにらみ合せて、公正なる價格にきめることであります。農民は供出制度をきらつておるが、これは供出制度のうちの機構や規則が惡いのでありまして、これを改善すれば、供出制度そのものが惡いのではない。これを自由経済の組織に移しますときには、きわめて近い將來において、農村は徹底的にたたきつけられるでありましよう。將來は、供出制度を單に食糧政策から生まれて來るところの一政策と考えてはならないと思うのであります。この点につきまして農林大臣の御所見を伺うのであります。
 第二の対策といたしましては、農業協同組合をしてそれぞれ適当なる農村工業を起させることであります。工業のない農業協同組合は、農村恐慌を乗り切る力はございません、農村恐慌の救済策として、將來多額の費用を要することを思えば、單に融資するということでなくして、これを奬励し、大いに助成すべきであると思うのである。政府は、來年度の予算から相当額を計上して農村工業を助成するお考えはございませんか。
 私は、現内閣必ずしも保守反動とも言わないのでありますが、思想の大きな川の流れを、堰堤を築いて防ごうとしておられるのではないかと思うて、不安であるのであります。小さい川の流れでも、堰堤で防ぎ止めることはできないのであります。川が大きければ大きいだけ、一箇所に激流を起こさせないように、あちらに曲げ、こちらに曲げて、これを海に流さなくてはならないのであります。私は、この解散によつて、勤労階級とまつたく対立すると思うのであります。こうした眞正面の激突を誘発することは、日本の悲劇であると思うので、大いに考慮せられまして、國家を安全に導かれたいことを要請いたしまして、私の質問を終ります。(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) 大原君に答えをいたします。
 第一の御質問は、政府に解散権ありやいなやという御質問のようでありますが、これについての学者の議論は別といたして、政府としては、このたびは不信任案通過をまつて解散をいたすことに四党協定ができておることは、御承知の通りであろうと思います。
 また、憲政の常道論でありますが、これはしばしば私がここで申し述べておりますが、議会において首班の指名は受けたが、少数党であるから、さらに國民に信任を問うべきである、これが憲政の常道論なりと私は信ずるものであります。
 また、少数党内閣であるから解散をやるということは、今後よろしくないというようなお話でありますが、このたびの政変は、與党が責任をとらなければならぬ事態が起つたために、少数党である民自党が政局に立つたので、これは異例であると思います。異例をもつて他を律することはできないと私は考えうるのであります。(拍手)
    〔政府委員塚田十一郎君登壇〕
○政府委員(塚田十一郎君) 大臣がその筋へ連絡に行つておられますので、大臣にかわりまして、大原さんの御質問にお答え申し上げます。
 中小企業金融の具体策がどういうぐあいになつておるかというお尋ねでありますが、中小企業に対する金融は、政府が最も意を用いております点でありまして、大体その具体策は、一般金融機関からの融資を今までよりも一層円滑にいたしたい、そういう方向に向つていろいろな具体策を考えておるのであります。その一つとして、先般すでに御承知のように、丙種産業に対して日本銀行に相談なしで貸し出し得る限度三十万円を五十万円に拡張いたしました。また、本國会に提案にまでは至りませんでしたけれども、信用保証協会法案というようなものも実は用意いたしておる次第であります。次に、復金の貸出しを一層積極的に活用して行く。御承知のように、復金の中小企業に対する貸出しは、代理貸しと保証貸付と直接の融資と三つあるのでありますが、この代理貸しのわくが、第三・四半期において四億五千万円でありましたのを、代理貸しが非常に需要がある点にかんがみまして、これえを八億五千万円に拡張するというような措置をいたしましたなどが、その実例であります。さらに勧銀、興銀及び商工中金を通じて貸付いたしますものを、日本銀行から特別の融資をいたしまして、これらの三つの金融機関からの貸出しを一層積極的にいたす、こういうような措置も講じております。以上を通じまして、御指摘のように需要に対してはなお十分とはいえないと思いますが、今日の段階において、できるだけの最大限の措置をいたしている、こういうふうに御了解願いたいと存じます。
 次に、價格補給金をどうするかというお尋ねでありますが、これは御承知のように、價格補給金というものが、今日のわが國の予算において非常に大きな要素を占めている、それでなくてさえ重い國民負担を一層重くする大きな要素になつているというような点を考えまして、價格調整金というものは、なるべく出さないようにいたしたいという根本方針を持つていることは、御承知の通りであります。ただ、これを一氣に廃止するというわけに参りませんので、だんだんに減らして行く、そういう方向において今度の追加予算なども編成せられているというように御了承願いたいのであります。
 次に、現在の財政が國民経済にとつて非常に過重な負担になつているという点であります。この点につきましては、御指摘の点は、まつたく同感であります。政府におきましても、そのように考えておるのでありまして、どうかして歳出を削減することによつて國民負担をできるだけ軽減して参りたい、そういう方向に、今度の追加予算におきましても極力努力いたしたいのでありますが、まだ十分に参つておらぬ点もあるのであります。しかし、二十四年度の予算以降におきましては、ぜひこの根本方針に基きまして、緊縮をモットーにした予算を編成いたしたい、こういうふうに考えている次第であります。(拍手)
    〔政府委員神田博君登壇〕
○政府委員(神田博君) 安定本部の長官が、ただいま塚田君のお話の通り不在でありますので、大原君の御質問に対しまして、私からお答えいたしたいと思います。
 安定本部長官の先般行いました演説につきまして、内容がないではないかというお尋ねのようでございましたが、これはよく読んでいただけば、内容のあることを十分おわかり願えると思います。
 なお、この演説の中にいろいろ約束されていることがある、取引高税の廃止であるとか、あるいは料飲店の再開であるとか、生鮮食料品等の統制撤廃等について約束しているが、確信はないのではないかというようなお尋ねであつたようでありますが、確信のあるものだけを申し述べてありましたので、さよう御了承願いたいと思います。(拍手)
 さらに、來年度におきまして物價の改訂をするかどうかというような意味の御質問に承りましたが、ただいま大藏政務次官の塚田君から答弁がありましたように、來年度におきましては、政府予算の相当圧縮を考えたい、すなわち補給金等について相当考慮の余地がありますので、これらの点その他等もにらみ合せますと、物價改訂の問題が出て來るだろうということは、御想像ができると思います。どの程度であるかということは、ただいま申し上げる時期でないことを御了承願いたいと思います。
 さらに、生産第一主義の具対策はどういうことであるかというようなお尋ねでありましたが、これは、生産増強が経済安定復興の前提である意味におきまして、われわれは生産第一主義を強調しているのでありまして、この生産第一主義を完遂いたしますには、資材の面におきましても、資金の面におきましても、あるいはまた労働の面におきましても、十分な総合施策にまたなければならないことはもとよりでありまして、これら各般の施策につきましては十分檢討しておる次第でありまして、ことに、われわれといたしましては、企業につきまして自主性と採算性を回復せしめたい、しかして、積極的に業者の創意と責任のもとにおいて生産が完遂されるような態勢を整えまして、健全な経済基盤を確立いたしたい、そのためには、統制の簡素化を強力に措置いたしたい、そうして、企業合理化についても十分考慮いたしまして、生産第一主義を完遂して参りたい、かように考えております。
 なお、物價と賃金を動じに安定させるというが、この具体的措置はどうであろうかというようなお尋ねもあつたようでありますが、物價と賃金との関係につきましては、相互に均衡を得させるというような價格体系を設定いたしまして、これを維持することに努力が從來から拂われておつたことは御了承の通りでありますが、最近の傾向といたしましては、物價は比較的におちついておるのでありますが、賃金がひとり上昇しておる。(「うそを言うな」と呼ぶ者あり)これは統計に現われておるのでありまして、うそを言うなと言う方がうそを言つておるのである。ことに最近、実質賃金が相当充実しておる状態でありますので、物價と賃金とのバランスの維持に努力いたしまして、この安定をはかりたい。政府といたしましては、いわゆる三原則に基きまして、この線に沿いまして経営者、労働者、また消費者諸君の十分なる御協力をお願いしたい、かように考えておる次第であります。
 以上をもちまして答弁にかえる次第であります。(拍手)
    〔國務大臣周東英雄君登壇〕
○國務大臣(周東英雄君) 大原君にお答えいたします。
御意見のように、戰爭後、農家の収支の不均衡から來る結果、非常に農家経済が困窮に陥つて來ておるということは、私も大体同感であります。その上、最近において、だんだん租税負担が重くなつて來る結果、いよいよ農家の収支のバランスが不均衡になつて來たということも、大体同感であります。しかして、今御指摘のしからばこのまま推移するときに、農村恐慌は必至であるが、これに対する対策はどうかということであります。私は、今日の場合、農産物等の過剩あるいは外國からのダンピングによる恐慌ということは、当分創造がつきませんが、御指摘のように、結局するところ農産物の價格と工業生産價格との幅の大きくなること及び租税等の負担の過大によりまして、ここに恐慌が起り、また起らんとしつつある状況に対して、大体同感するものであります。
 これが対策といたしましては、大体におきまして、積極的には農家の収入増加方策を考えることが第一であります。これに対し、ある程度農家の必要とする生産基礎條件たる土地の改良等につきましては、大きく國家資本を導入しつつ生産力を高めて行くということが大事であり、かつ個々の農家にとつては、生産経済におきまして多角経営化するということについては、最も第一にとるべき方策と考えます。
 しかして、その際に考えられることは、あまりにも今日まで、食糧政策の面におきまして、農業における澱粉質の生産、米、甘藷、ばれいしよ等の生産に重きを置き過ぎた結果、農業生産に対する負担割合が多かつた。むしろ、この点については、蛋白、脂肪給源である水産、畜産に関する政策をあわせ考え、農家生産におきまして、作付割合に比して収入も増加し、かつ輸出の裏づけとなるべき適地生産に向けて行くということが、一つの収入増加の必要な点だと考えます。同時に、御指摘になりました農村工業は、これらの面と関連して、常に適地に沿うように指導されて行くべきでありまして、そこには多分に畜産加工、水産加工、農産加工等の農村工業の面について力を入れて行きたいと考えます。
 これに対して、御指摘の融資の面のみならず、財政的補助を考えたらどうかということであります。これにつきましては、だんだんと補助政策をやめて、自主的な融資の方法ということに向けておりますけれども、なお愼重に考究してみたいと考えます。さらに消極的面につきましては、課税の適正化について努力いたしたい。先ほど申しましたような意味において、結局農業所得の算定の基準を改正する余地はないかということについて種々相談をいたしておりますし、申告税制度に関して、いま少しく農家の指導面に考慮を拂う余地はないかというような点について、折衝中であります。なおその際において、すべての生産並びに流通経済に関して、協同組合を中心として育成すべしという点については、大体同感であります。
○副議長(田中萬逸君) 石野久男君。
    〔石野久男君登壇〕
○石野久男君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、政府の施政演説に対する質問をいたすものであります。
 吉田総理は、その施政演説におきまして、本追加予算は二週間で本会議の審議を完了し、その後不信任案が上程され、可決されるという前提に基いて、國会に上程されたものであると言つたのであります。これは簡單に聞きのがすことのできない事柄であつて、吉田首相は、しばしば四党協定に從つて不信任案が上程され、それが通過することによつて國会は解散されるものであると確信しておると声明しているのでありますが、これは國会のまつたく関知しないところであります。もし政府と社会党、民主党、國民協同党との間にかような協定があつて、その協定に基いて國会が運営されるということになるならば、國会が國権の最高機関たるの権威は喪失され、政治が最も惡質なやみ取引によつて公然行われることを意味するものであつて、私は、かようなことを施政演説において吉田首相が発言されたことについて、その政治的良心を疑うものであります。
 私が、この際吉田首相にお尋ねしたい第一点は、あなたが協定に基いてとおつしやる、その予算審議を二週間と限られた客観的、主体的な必須な條件はどのようなものであつたかということを、お聞きしたいのであります。
 第二点は、予算審議の実情のいかんにかかわらず、あなたが四党協定履行を強調されているように承知しておるのでありますが、あなたは、追加予算を本國会で通過させるというそのことについては、あまり重要視していないかに見受けられるのでありまして、いわゆる雲のような存在であるところのその四党協定を強引に履行させることを特に重要視しておるように思われるのでありまするが、これは、数日來の政情とにらみ合せましても、とくにはつきり総理大臣より、このことに関する御意見を承つておきたいのでございます。
 第三点は、このいわゆる四党協定なるものは、まつたくわれわれの関知しないところのものであつて、吉田総理はこれを特に重視して、約束履行を社、民、協の三党に迫るこの態度は、まつたく國会の審議権を無視し、國会の民主的運営を政府の権力をもつて故意に牽制しているように思われるのでありますが、これは明らかに立法部に対する行政府の権力の干渉であつて、憲法第四十一條の精神に反する政治フアツシヨであり、この内閣の反動性を遺憾なく暴露したものであると存ずるのであります。(拍手)吉田首相は、協定履行を強力に主張されることによつて、近く予想されておりまする総選挙に対する政府並びに與党の態勢を有利に展開しようとする意図あるがごとき風聞きさえも耳にするのでありますが、首相は、これに対してどのようにお考えになつておられるか、お聞きしたいのであります。
 次に私は、泉山大藏大臣兼安本長官及び関係各官僚に対して質問いたしたいのであります。
 大藏大臣は、本予算案はもつぱら給與並びに災害に対する追加予算であると言明されたのでありますが、事実はまつたく違つているのであります。官公廳の労働者や、あるいは災害地の罹災者を優遇し、あるいは救済するかのごときゼスチユアが、実際には労働者、農民及び中小企業者に過大な負担を強要し、その大部分を、予算的には予備費扱いすることによつて独占資本に奉仕しようとする、実に巧妙な惡辣な内容を持つ便乘予算であります。次の点について私は質問いたしたい。
 第一点といたしましては、歳出五百八十六億に含まれておる給與予算は、わずかに二百六十二億であり、災害予算は六十億、合計三百二十二億は、本予算案の五五%である。残り四五%に達する二百六十四億は、提案の趣旨とはまつたくかけ離れた便乘予算であります。本追加予算案を、もつぱら給與並びに災害対策予算なりと、泉山藏相兼安本長官が趣旨説明したということは、まつたくでたらめであつたということを、お認めになられるかどうか、お聞きしたい。
 第二に、この予算は莫大な予備費的内容をもつて構成されているのでございます。すなわち、予備費四十五億、價格調整費に含まれおる今後の物價値上りを見込んだと見られる五十九億、あるいはその他船舶運営会の補助だとか、あるいは終戰処理費等の中に含まれておるそうした予備費的性格のものを合算すると、およそ二百億に達するであろうと予想できるのであります。これは明らかに、生活不安のもとにあえぎ疲れておる労働者並びに災害のために美田を失い、住むに家のない、困窮している人民大衆に対して、給與並びに災害対策予算なりという美名を與えて、実はほんとうに、これこそ階級を抑圧する独占資本に巧妙に奉仕する吉田内閣の反動性を露骨に現わしておるものでありまして、國民を欺瞞するもはなはだしいものであります。(拍手)本追加予算は、財政法第二十四條に示されておる、予見しがたい予算の不足に充てるため云々とある予備費設定の趣旨に反するものであると思考しますが、大藏大臣はいかにお考えになつておりますか、所見を承りたいのであります。
 第三は、政府は全官公廳労働者に五千三百三十円を強要しているのでありますが、さきに人事委員会より六千三百七円案が政府に提示された際に、上野人事委員は、この六千三百七円ペースは、すでに貧乏線以下であると言われた。これを下まわる給與は、官吏の能率を阻害し、官吏を腐敗せしむるものであると、極言しておられるのであります。労働者農民党は、官吏の給與は一般國民生活水準を保障すべきこと及び國家財政とのにらみ合せによることを前提といたしまして、八月基準におきまして、CPSに基く給與六千八百円を絶対確保すべきであると主張して來ているのでありまして、三箇月のずれを持つた十一月基準賃金で、政府が五千三百三十円を官公吏に強要することに対しては、絶対に反対する態度を持つものでございます。政府は、はたしてこの五千三百三十円ペースで、官公労働者が食つて行けると思つておるのでありませうか。このペースで労働力の再生産が可能なりとお考えになつておるのでありますか。私はこの際、泉山大藏大臣及び増田労働大臣に対して、あなた方の生活の実態と比較なさつて、はつきりしたお答弁をいただきたのでございます。
 第四に、この際お尋ねしますが、石炭産業あるいは金属鉱山、電氣産業、海員労働組合等全國の労働者が強く要望して闘つておりまする最低賃金制に関しまして、政府はいかなる所見を持つておられるのであるか、この点に関しまして、大藏大臣、労働大臣、商工大臣より、はつきりその所見を承りたいのであります。特に泉山大藏大臣に対しましては、日本の長期経済再建計画とにらみ合せて、最低賃金制度に対してどのような御所見をお持ちであるか、承つておきたいのであります。
 第五に、本予算は災害対策を強調しておられるのでありますが、この予算で組んでおる災害対策費六十億が、各省要求額二百六十四億のわずか四分の一にもまだ満たないのであります。アイオン台風並びに関西の地震等によつて本年度災害だけを通算いたしましても、およそ二千億になんなんとする大きな額になるものと予想されるのでありまするが、僅々六十億の予算で、政府はどれだけの災害復旧を考えておられるのでありましようか。しかもこの六十億は、すでにこの六十億を見合いとして、復金から三十九億、四十億近い融資がなされておる実情でありますると、本予算がかりに成立いたしましても、すでに融資されておる分を穴埋めすることといたしますれば、災害復旧は、この予算において、來年再びめぐり來るでありましよう雪解けから降雨期にかけてのその時期にまで、実際にはこれから先も進捗しないという事実が、この中に含まれておるのでございまするが、大藏大臣は、莫大な予備費的内容をもつこの予算のうちから、どうして災害復旧に対してこれ以上のものを組み込もうとするお考えを持たれなかつたか。あるいはまた建設大臣は、この六十億によつて、どれだけ災害地における現場作業がなし得られるとお考えになつておられるかということの、誠意ある後答弁をお願いしたいのでございます。
 第六に、政府は給與災害対策予算の美名に隠れて、予備費を通ずる資本家奉仕をこの予算の歳出にたくらんでおるのでありますが、一たび目を歳入面に轉じますると、これをまかなうところの予算の約六〇パーセントを占めるものが、すなわち四百十億の税の自然増収を見込んでおるのでありまして、この四百十億のうち、所得税だけを見ましても、所得税で自然増収されると予定された三百七十億というものは、ほとんど労働者並びに農村の方々や漁民の方々によつて、これがまかなわれて行くのであります。すなわち、労働者から取立てる源泉課税としての二百三十一億を合せまして三百十六億というものは、三百七十億の八五%を占めておるのであります。所得税の自然増収は、ほとんど働く労働者や農民あるいは中小企業の方々から収奪することとなるのでありまして、その他の諸税が、ほとんど大衆課税的性格を持つておるということと考え合せまするならば、吉田内閣のもとに酷使されて行く労働者、農民、中小商工業者の、この暮から來年の三月に至るところのいわゆる第四・四半期における担税能力は、思うだにぞつとするものがあるのでございます。
 十一月、十二月の納税成績を予定通りと考えましても、おそらくこの第四・四半期には、当期予算から來るところの未徴税の額が千五百億ないし千六百億あると予想されるのであります。昨年度からなお滯納になつております約二百四十億の額と、今度この追加予算に組まれた額を合算いたしましたときに、はたして泉山大藏大臣は、この予定された税の取立について、ほんとうにどのような苦しい場面において、農村あるいは労働者、あるいは漁村におけるところの人々が、どのように申告な納税闘爭をこの間に展開されるかということを、予想せられておるでありましようか。そしてまた、それがほんとうに予定されたように、それを徴税し得るとお思いになつておられるかということを、お尋ねしたいのでございます。まことに深刻な納税闘爭が刻々に展開されて行くだらうと私は予想するのでございます。從つてこれは、今後の日本の経済再建の面からも、インフレーションを考える面からいたしましても、まことに惡い材料を提出するものであると考えるのでございます。大藏大臣は、かくのごとき予算のもとにおいて、かくのごとき大衆収奪の税のもとにおいて、日本の生産がほんとうに働く者の手によつて再建されるかどうかということも、お尋ねしたいのでございます。
 なお大藏大臣は、常に口を開けば三原則を唱えるのでございまして、たとえば、石炭産業の労働者諸君が最低賃金を闘おうとする場合、三原則を強調して一歩も譲らない態度をとられるのでございますが、本予算に組まれておりますところの、價格調整費として出されておる補助金、あるいはタバコの値上げ等によるところのものは、明らかに三原則を破るものであります。大藏大臣は、今次議会に提案されましたこの予算において、まつたくその原則を破る態勢をここに盛り込んでおるのでございますが、今後三原則に対して政府はどのようなお考えを持たれるかということを、お尋ねしたいのでございます。
 最後に私はお尋ねしたい。一昨日日本議場におきまして決議されました、いわゆる官界、政界、財界の徹底的粛正に関する決議案に対しまして、政府はすでに解散の腹構えをきめておられると言い、あるいは、それがほとんど決定的だというふうにさえも喧轉されておるのでございますが‥‥
○副議長(田中萬逸君) 石野君、時間が迫つております。
○石野久男君(続) この決議案に対する政府の考え方、本國会におきまするところのこの期間中に、綱紀粛正に対する内閣の建前が、解散とのにらみ合せをどのように考えておられるか。特に今日不当財産取引調査委員会において問題となつておるその懸案と解散との関係を、どのようにお考えになつておるかということを、私は総理大臣にお伺いしたいのでございます。
 なお、先般岩本國務相は、五十七万の首切りを公表されたのでございますが、この五十七万の首切りは、やがて一般私企業におけるところの首切りの前哨戰といわれると思うのでございます。政府は、この六十万の首切りが行われる場合における、いわゆる産業界における混乱、この失業して行く人々の収拾策をいかに考えておられるかということについて、お尋ねいたしたいのでございます。
 以上、簡單でございますが、私の質問に対しまして、誠意ある御答弁をお願いしたいのであります。(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) 石野君にお答えをいたします。
 いわゆる四党協定なるものは、予算案その他の審議議了を円満ならしむるために公然協定せられたものであつて、やみ取引でも何でもないのであります。
 また、ただいま官吏粛正その他についてお尋ねがございましたが、これは解散があるとなしとにかかわらず、政府は初めの方針通り断行いたすつもりでおります。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 大藏大臣は関係方面と打合せのため退席されております。大藏政務次官塚田十一郎君。
    〔政府委員塚田十一郎君登壇〕
○政府委員(塚田十一郎君) 大臣にかわりまして、石野さんの御質問にお答えいたします。
 御質問の第一点は、今度の追加予算におきまして、給與改善費、災害復旧費だけを組むと言いながら、その他のものをたいへん便乘して組んでおるという御質問であつたと思うのでありますが、実は今度の予算におきましては、いろいろな都合で、いわゆる予備費という形で出しておりますものの内容が出ておりませんので、そういう御疑念がでたのであろうと思うのであります。しかし、これは近く――近くではありません、すぐに出すつもりでありますが、それをごらんくだされば、決してそれが便乘予算という性質を持つておらぬものであるということを、十分御納得していただけると確信いたしております。
 次に、人事院の六千三百七円に対して政府の額は五千三百三十円になつておるということについての見解にたいするおたずねでありますが、この政府案の五千三百三十円は、どういう根拠に立つておるものであるかということは、すでに予算委員会その他において、しばしば表明せられておりますので、この際は、これを繰返すことは遠慮いたしますが、ただ根本におきましては、私どもは、かりに五千三百三十円をふやしましても、日本の今日の生産が、今日のような状態で非常に乏しい時代には、結局まわりまわつて、また同じ結果になる、こういうように考えて、あらゆる情勢を総合判断いたしまして、今日の官吏の給與は、この程度でしんぼうしていただくのが一番妥当じやないか、こういうように考えておる次第であります。
 次に、災害対策六十億円は非常に少いというお尋ねでありました。私どもは、必ずしもこの六十億円で十分であるとは考えておらぬのでありますが、これも各般の事情を総合判断いたしまして、この程度で一應今度の追加予算は何とかやつて行けるのではないか、こういうように考えて、この六十億円という計上をいたしたいのであります。
 次に、中小企業者及び農民が重税に悩んでおる、はたして今度の予算の中に組んでおる自然増収が徴収できるかというお尋ねでありますが、私どもも、國民の各階層――必ずしも中小企業者、農民だけであるとは思つておりません。中小企業者、農民その他の國民各階層の税負担が非常に多いものであるというように考えております。從つて、先ほども答弁申し上げましたように、何とかして歳出を削減することによつて國民負担を軽減して参りたいと、熱心に私どもは考えておるのであります。なお徴税の実際の面において、はたしてこれができるかどうかということでありますが、これは、今日のわが國の置かれております事情を十分御了解していただいた上の國民各階層の熱心なる御協力によりまして、必ずできるものという確信を持つておる次第であります。
 以上、簡單にお答え申し上げます。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) この際暫時休憩いたします。
    午後六時一分休憩
     ――――◇―――――
    午前八時四十六分開議
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、未復員者給與法の一部を改正する法律案は、内閣の要求の通り委員会の審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを臨みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 未復員者給與法の一部を改正する法律案を議題といたします。その趣旨弁明を許します。大藏政務次官塚田十一郎君。
    〔政府委員塚田十一郎君登壇〕
○政府委員(塚田十一郎君) ただいま議題となりました未復員者給法の一部を改正する法律案につきまして‥‥
    〔「大藏大臣はどうした」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○政府委員(塚田十一郎君)(続) 提案の理由を御説明申し上げまして、各位の御審議をお願いいたしたいと存じます。
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○政府委員(塚田十一郎君)(続) 未復員者にかかる給與につきましては、第一及び第二國会で御賛成いただきました未復員者給與法によつて処理しておるのでありますが、その後における経済事情等の変化に伴い、特に引揚同胞対策審議会の決議の趣旨にかんがみ、さらにこの法律の一部を改正することといたしました。
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○政府委員(塚田十一郎君)(続) 次に法律案の内容を御説明いたします。
 第一に、既存の給與の引上げであります。すなわち、扶養手当は二百二十五円を二百五十円に、帰郷旅費は四百五十円を千円に、遺骨の引取りに要する経費は八百円を千五百円に、遺骨の埋葬に要する経費は千円を千五百円に、それぞれ増額することといたしました。
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○政府委員(塚田十一郎君)(続) 最低八百円から最高一万九千円の一時金を支給するものであります。なお、療養費の支給を受けているが死亡した場合には、遺骨埋葬に要する経費として、新たに千五百円を支給することといたしました。
 以上、この法律の骨子を御説明いたしましたが、未復員者の残置する扶養家族、復員者であつて疾病負傷に悩む者等の緊急の要望を御了察くださいまして、すみやかに御審議の上御賛成あらんことを希望いたします。(拍手)
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 暫時休憩いたします。
    午後八時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後九時五十五分開議
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 成重光眞君より、議事進行に関し発言を求められております。これを許します。成重光眞君。
    〔成重光眞君登壇〕
○成重光眞君 私は議事進行に関し発言を求めたいと思います。
 ただいま議題となつております特別未帰還者給與法は、まことに機宜に適した法案であると信じます。特別未帰還者とは、元の陸海軍に属していない者で、昭和二十年九月二日から引続き海外に在留し、まだ帰國せず、かつソビエト連邦社会主義共和國の地域内において未復員者と同様の実情にある者に対する給與法であると私は見ます。われらは、本法案の審議はまことに緊要にして適切なるものと信ずるのであります。いまや敗戰四年を迎え、海外に残留する未復員者四十数万を残し、四たびの冬を迎えんとするとき、これらの未帰還者はもちろんのこと、その留守家族の方々の心情や察するに余りあると、私は信ずるのであります。(拍手)
 政府は、この法案の審議にあたりましては、当然その主管大臣たる大藏大臣がこの席において‥‥(「厚生大臣がいるよ」と呼ぶ者あり)もちろん、本法案に関する限りは、給與法でありますから、その主管大臣は大藏大臣であるのであります。(拍手)われわれは、この大藏大臣が本議場におきまして、これら未帰還者並びに留守家族の方々に対し、眞摯なる姿をもつて、同情ある言辞をもつて、この説明に当るべきであると信ずるのであります。(拍手)ところが、先ほど院内において見ますと、泉山大藏大臣は、不謹慎にも泥酔しておつたのであります。しかも、その行動たるや、婦人代議士に対して、まことに不謹慎なる行動をとつておるということは、われわれは、この大事なときに見のがすことができない。大藏大臣は、不謹慎きわまるものと考えるのであります。(拍手)從つて、この機会に、もしさようでありとするならば、私どもは断じて許すことはできないと存じますが、願わくば、私はそうでないと思いたいので、この機会に、泉山大藏大臣に、この席において本給與法案に対する再説明を要求いたしまして、議事進行の発言を終ります。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 成重君の発言は、ただいまお聞きの通りでありますが、これに対し政府より御答弁があれば承ります。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○國務大臣(林讓治君) ただいま成重君の‥‥(議場騒然、聽取不能)お話のように、泉山大藏大臣が出席をいたすはずでありましたが、大藏大臣は‥‥。
    〔議場騒然、聽取不能〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○國務大臣(林讓治君)(続) 大藏大臣を‥‥。
    〔議場騒然、聽取不能〕
○議長(松岡駒吉君) この際暫時休憩いたします。(議場騒然)この際暫時休憩いたします。
    午後十時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後十時二十三分開議
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。厚生大臣林讓治君。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
○國務大臣(林讓治君) 本日、泉山大藏大臣が出席をいたしまして御説明を申し上げるべきはずのところでありますけれども、(「靜かに靜かに」と呼ぶ者あり)本日参議院の食堂におきまして、大藏委員をお招きをいたしまして、いささかお酒をいただいたようであります。久しく、連日の大藏並びに安本の要件などにつきまして、日夜働いておつた関係上、いくらかそのために氣分を惡くいたしまして、そのために、塚田政務次官にかわつて御説明を申し上げさしたわけであります。つきましては、いま少しく時間の拝借を願いまして、後刻出まして重ねて御説明を申し上げさせることになつておるわけでありまするから、暫時の間御猶予を願いたい。この点につきまして、私が御刻御説明申し上げさせるということを申し上げまするとともに、ただいまのところにおきましては、私が各位に、泉山君にかわりまして陳謝をいたす次第であります。暫時の間御猶予を願います。(拍手、発言する者多し)
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 榊原千代君より、議事進行について発言を求められました。予算審査につき大藏大臣の出席を求むるの件について、とのことであります。これを許します。榊原千代君。
    〔榊原千代君登壇〕
○榊原千代君 私は、議事進行につきまして御質問申し上げたいと思います。吉田総理大臣と泉山藏相がおいでにならなければ、吉田総理大臣でもよろしゆうございますが、御出席を希望いたします。(拍手)
    〔「吉田を出せ」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) ただいま総理大臣の出席を求めております。
○榊原千代君(続) 吉田総理大臣にお伺いしたいと思います。
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○榊原千代君(続) 吉田総理大臣は‥‥。
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○榊原千代君(続) 吉田総理大臣は封建的な方だと思いますけれども、少くとも近藤鶴代女史を抜擢された限りにおきましては、長い外交官生活の間において、婦人を尊重することを学ばれていらつしやつたと思ひまして、私たち婦人議員は、この点については非常に高く買つている次第でございます。ところが、この吉田総理大臣の主宰する内閣の閣僚につきまして、私たちは、ただいま目の前がひつくり返るような経驗をしたのであります。(拍手)怒るにも怒れない、何とも言いようのない思いでございます。この壇上において、このような発言をしなければならないということを、私は非常に悲しく思います。(拍手)また、國民に対しましても非常に済まなく思います。顔向けのならない思いでございます。
 全官公の職員たちにしろ、多くの勤労者階級の人たちは、今晩のこの審議を、目をみはつて、もうほんとうに泣くばかりに待つておるのであります。(拍手)私どもは、夜を徹して予算審議をするつもりで、ここに集まつております。(拍手)ところが、本会議に出て見ますと、大藏大臣が御出席になつていらつしやいません。理由はと申しますと、へべれけに酔つぱらつて、そしてしかも、廊下で同僚婦人議員に対して、まことに侮辱した行動に出ているというようなことを伺つております。(拍手)
 解散というような、國会としては重大な関頭に立つているときであります。大藏大臣は、死ぬまでもこの議場に御出席にならなければならないと思うのであります。(拍手)しかも上程されておりますものは、未帰還者給與法案というようなものであります。どんなに未復員者たちの遺族が悲しい氣持で待つているかということを、皆様も御承知だろうと思います。新聞によつて、四十万の人たちが帰還できないというようなことが書かれてあるのを読みましたときに、私どもは、もうほんとうに悲しくて、何ですか、お氣の毒でたまらないような次第であります。(拍手)幼い子供たちを抱えて、夫の帰りを待つている人たちもあると思います。お父さんの顔を早く見たい人もあると思います。また、つえとも頼むむすこの帰つて來るのを一日千秋の思いで待つている人たちもあると思います。こういうような人たちに対して、この未帰還者給與法によつて、少しでもその手当が引上げられましたならば、どんなにうれしいことかと、私どもも、わが事のように望んで、喜び待つている次第であります。(拍手)
 それを、大藏大臣が不謹慎にもお酒を飲んでいて、このような重大法案が上程されているにもかかわらず御出席にならないで、そうして政務官をして代弁させるなどというようなことは、およそ不謹慎なことだと思います。(拍手)政府は一体、この予算案を通過させることなどに対しまして誠意を持つていらつしやるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。予算案をどうなさいますか、これを通過させるお心があるのでございましようか、この予算の審議が遅延しております責任はどこにあるのでございましようか、お伺いたしたいと思います。
 大藏大臣が婦人に対してこのような行爲にお出になる。すなわち非常に封建的な方でいらつしやいます。婦人を玩弄視し、手段視し、婦人の人格などというものを認めていらつしやらないということでありまして、全婦人議員を代表し、また全日本の婦人を代表しまして、憤らずにおられないのであります。(拍手)
 國民は、今や暮に差向いまして、いろいろと年の瀬を超えることに苦労しておりますときに、議場において、しかも政府の最も中心になるべきこの大藏大臣がいらつしやらないなどということは、國民に何と言つて弁解をしたらいいか、私どもは苦しむものであります。(「大藏大臣除名だ」と呼ぶ者あり、拍手)イギリスの國会などにおいては、議員が議場において婦人に戯れたりいたしますならば、それは除名にも値するところのものだと申します。(拍手)これを、私はどうか懲罰に付しまして、除名されることを希望いたします。(拍手)
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○榊原千代君(続) とにかく、この予算が通らないということは、政府はどうなさるおつもりであるか、それをお伺いしたいと思います。
 以上をもつて私の質問を終ります。(拍手)
○國務大臣(吉田茂君) ‥‥(発言する者多く、聽取不能)にあたりまして、泉山大藏大臣がこの席におらなかつたことは、まことに遺憾であります。なお事実を調査いたしまして善処いたしますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。――靜粛に願います。
 山下春江君より一身上の弁明をしたいとのことであります。叶凸君より議事進行の発言を求められましたが、これが内容がわかりませんから、適当な機会にこれを許します。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。――靜粛に願います。
 未復員者給與法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
○今村忠助君 議事日程‥‥。
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 今村君、ちよつとお待ちください。
     ――――◇―――――
○議丁(松岡駒吉君) 先ほどの山下春江君よりの一身上の弁明をこの際許します。
    〔山下春江君登壇〕
○山下春江君 本日午後六時ごろ(発言する者多し)午後六時ごろ、私ども大藏委員は、大藏委員会にかかつている法案の通過をスムースにするために大藏大臣の招宴がありました。その席上、泉山大藏大臣は泥酔いたし‥‥
    〔「資格がない」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○山下春江君(続) 私に向つて、廊下に出ることを、彼は暴力をもつて強要いたしました。私も相当な力は持つておりますけれども、泥酔せる男子にはかないません。そこで、彼は暴力をもつて私を参議院食堂の外の廊下に引出しました。そうして、彼の行いました行動は‥‥
    〔「恥を知れ」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
○山下春江君(続) 私が恥を知らなければならないことを、私はここに断言いたします。私に向つて恥を知れと言う民主自由党に、私はあえて申します。大藏大臣に向つて私は申します。今晩あなたは泥酔して許される立場の人でない、そのあなたが何をなさんとするか。そんなことが何で今晩必要なんだと彼は申しました。私に恥を知れと言う前に、綱紀粛正を呼ぶ吉田内閣の恥を知らしめんと、私は立つたのであります。(拍手)
 この追加予算が今夕通過するかしないかは、先ほど榊原女史が言つた通り、全國のこの公務員法に縛られた全官公二百万が、かたずをのんで待つている。この今夕、その当の責任者である大藏大臣が泥酔して、そんなことが何だ、おれは君が好きなんだという言葉が、どうあれば吐けるのですか。(拍手)綱紀粛正とは、一体全体どこなんでしよう。
    〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。山下君に注意します。一身上の‥‥
    〔発言する者多し〕
○山下春江君(続) 私はあえて申します。かくのごとき世界の注視の的であるこの追加予算の通過せんとするまぎわにおいて、保守反動と呼ばれる民主自由党内閣が、せつかく全國から選ばれたる女性の代議士をかくの如く扱いますることをもつて、世界は保守反動の党と言うのであります。
○議長(松岡駒吉君) 一身上の弁明の範囲において発言せられんことを‥‥
○山下春江君(続) これを説明しなければ、一身上の弁明はわかりません。かくのごとき行動をとつた、これが私の一身上の弁明です。かくのごときことをこの壇上において言わなければならない日本國会の婦人代議士が、いかに侮辱されておるかを、満場の皆様は熟知されたでありましよう。こんなことで、日本の民主主義がどうして行われるのか。そういう吉田内閣によつて、このせつぱつまつた國会が動かされるのか。いかに日本國民が不幸であるか。
 私は、泉山大藏大臣に侮辱された一身上の弁明を終え、同時に、かくのごとき内閣によつて、このせつぱつまつた國会が運営されておる日本國民の不幸を絶叫して、降壇するものであります。(拍手)
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、参議院提出、特別未帰還者給與法案を議題となし、委員長の報告を省略し、ただちに議決されんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の道義に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 特別未帰還者給法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(松岡駒吉君) ただちに採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、議院運営委員長提出、國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) ただいまの今村君の動機はしばらく御留保を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて留保と決しました。
 この際しばらく休憩いたします。
    午後十時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後十一時九分開議
○副議長(田中萬逸君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊念動議を提出いたします。すなわち、議院運営委員長提出、國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(田中萬逸君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 國会議院の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事石田博英君。
    〔石田博英君登壇〕
○石田博英君 ただいま議題となりました國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案について、提案の理由を御説明いたします。
 本案は議院運営委員会において立案したものでありました、國会議員の歳費は、今回内閣総理大臣を初め特別職の官吏の俸給の改正に対應いたしまして、この改正案を提出した次第であります。その金額は、議長は内閣総理大臣及び最高裁判所長官と同額の四万円、副議長は國務大臣と同額の三万二千円とし、議員は二万八千八百円といたしました。また、議員の秘書の給料は現在月額五千円でありますが、今回の一般官吏の給與改善に対應いたしまして月額七千円といたしました。しかして、議員の歳費及び秘書の給料の増額は、ともに本年十一月一日にさかのぼつて支給することにいたしました。
 何とぞ御賛成あらんことを希望して、本案の説明を終ります。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(田中萬逸君) 國務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。大瀧亀代司君。
    〔大瀧亀代司君登壇〕
○大瀧亀代司君 私は、新自由党を代表いたしまして、内閣総理大臣に対し若干の質問を行いたいと思うのであります。すでに各党から質疑があつたので、できるだけ重複を避けまして、簡單に質問いたしたいと思うのであります。
 先ほど、石野君の四党協定の質問に対し、首相は、議会運営のため協定したものだと述べられたのでありまするが、まず首相の常識を疑わざるを得ないのであります。不信任案の提出は、與党、政府と野党との最も対立を意味するばかりでなく、鋭き彈劾を物語るものであります。これを單なる議院運営のために協定をなしたというようなことは、まつたく空前にして絶後のものであろうと思うのであります。國民を愚弄すること、これほどはなはだしきはないと思うのであります。それほど解散がやりたかつたならば、多数で解散の決議をすればよいのであります。おそらく、各党の解散決議に賛成しなかつたのは、不信任案の通過によつて解散するのではなくして、内閣の総辞職を要望したからであると思うのであります。
 國会議員は、議会において、國民を代表して演説、討論、表決の自由を有しておるのであります。各党の代表者が、党員を無視して、かつてな各種の協定をなすことは、これはあり得るのであります。また大政党の方々が、議会運営について種々なる協定を結ぶことは、これまたあり得るのであります。しかしながら、不信任案を可決せしめるような協定をしたことは、いかに憲政を冒涜する、やみ取引としての非難があつつても、これまた何らかの抗弁はなし得るであろうと思うのでありますが、しかしながら、國会の本会議において、吉田総理大臣は、二週間という審議期間を確定し、かつその不信任案を通過せしめる協定の線に從つて解散を断行する、というように演説されたのであります。かくのごときは、國会議員の権利を蹂躪し、國家最高機関である國会を無視する、憲法否定の行爲であつて、断じて許すべきでないと私は思うのであります。首相は、この点に対し、どうしてこうした協定が結ばれたのであるか、憲法否定である、憲法違反の行爲であるという私の質問に対し、國会並びに國会を通じ國民の得心の行くように御説明をお願いいたしたいのであります。かうのごとくしては、吉田首相が常に力説してやまぬ憲法常道を、みずからの手によつて破壊するものといわざるを得ないのであります。
 第二には、首相は占領政策と内政とは不離一体なりと言われたであります。しからば、わが國の今日置かれている立場は、各政党が思い思いの政策を國民に公約してみても、いざその実行に直面しますると、そこにおのずから限度の存ずることは、いうまでもないと思うのであります。過日の辻寛一君の質問に対する各大臣の答弁内容は、一体関係方面と折衝の結果のものか、または占領政策と適合しておるものであるかということを、首相に明確に承りたいと思うのであります。もしも、そうでなかつたといたしますならば、それはきわめて無責任であるばかりでなく、國民をして錯覚を起さしめ、やがては占領政策にも重大なる影響を及ぼすものと思いますが、これに対する首相の御見解を承りたいと思うのであります。
 次に、政界、財界、官界の浄化について今日問題となつている幾多の事件の捜査官僚の後に解散をなすべしとすることについては、すでに國会において決議の通りであります。もしも、この際こうした態度に出なかつたら、粛正内閣として國民の期待に沿わざることとなるはもちろん、解散によつて種種なる疑惑を晦冥ならしむるための策謀との非難を甘受しなければならぬと思うのであります。首相は、この決議の趣旨に対していかにお考えになるか、承りたいと思うのであります。
 また、これに関連することでありまするが、吉田総理大臣は、政界、官界、在韓粛正を強調せられて、常に責任政治、道義政治の確立を云々せられておるのであります。総理大臣の任命した、いわゆる副大臣たる政務次官が、事件の容疑者となつた場合、ことに粛正の本家本元であるべき法務廳の政務次官が、こうしたことになつたという今日、これに対していかなる責任をとらるるかを承りたいのであります。新聞紙上で見たのでありますが、吉田内閣の組閣その他人事につきましては、いかがわしい者は一切これを排除して任命しない、かように新聞が傳えておつたのであります。精選に精選したところから、しかもこれが出たということに対して、何の責任もなしに、ほのかむりで通つたのでありましては、議会はもちろん、國民も納得しないのみか、今後の日本の動議國家建設にも重大なる影響があると思うのでありますが、これに対しまして総理大臣はいかにお考えになりますかを伺いたいのであります。
 なお粛正内閣で、その粛正の途上、その内閣総理大臣に対してまで、粛正をするでなしに、粛正をさるるようなうわさが次から次と出來ますことは、はなはだ遺憾に存ずるのであります。百万円事件等については、すでに首相においても弁明せられたが、昨日不当財産取引調査委員会において、意外なるお話も承つたのであります。それは、社会党の梶川議員が‥‥。
    〔発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 私語を禁じます。




○大瀧亀代司君(続) これは、吉田首相のためにも國家のためにも明らかにしなければならぬことでありますから、申し上げるのであります。(発言する者あり)吉田内閣の時代において勅撰議員となつた渡部某氏から三百万の公債が提供せられ、それが千葉事件となつて、玉屋喜章氏から百八十万円の金を首相が受取つたかどうか、こういうような間でありましたが、総理大臣は、そういうことはない。私も、ないことを信じておるのであります。しかしながら、ただないということであるならば、國民に対して、こうしてないんだ、こういうことはいかぬのだというような適当な処置をとることが最も必要だと思うのであります。首相は、これに対していかなる態度をとられるか、粛正の途上において、総理大臣は、これをこのまま放置しておいては――総理大臣御本人のためにはもちろん、再建途上の日本の名誉のためにも、何らかの処置をとることが絶対に必要と思うのでありますが、首相はすでに何らかの処置をとられたかどうか、また、これよりとらんとするのか、伺いたいのであります。そうでないと、國民の思想教育に及ぼす影響が実に重大であると私は思うのであります。この点に関して、首相より詳細なる御説明をお願いしたいと思うのであります。
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 四党協定は、政府と四党と直接にいたしたのではなくて、GHQと政府、またその他の党との間の多角契約であります。ゆえに、これは政府が正しいと考えたことく、他党においても正しいと考えられたからであると、私は信ずるのであります。(拍手)ゆえに私は、大瀧君の御意見とは所見を異にいたしております。
 また、占領政策と内閣とは緊密な関係にある、その通りであります。ゆえに、占領政策と私の内閣は十分協力するために、ごく親密なる関係を結んでいるのであつて、その政策には積極的に協力をいたす考えを持つて、常に接触を保つております。この点は御安心を願いたいと思う。
 また綱紀の粛正等については、解散がるなしにかかわらず、なお続行いたして、最も公正に、また嚴重にいたす考えであります。また、ただいま法務廳の田中次官のことについてお話がありましたが、任命の当時においては、十分その筋と連絡をとり、その筋の調査をまつて任命いたしたのでありますが、その後において現われた事実のために、遂に辞職せしめなければならぬことになりましたが、しかし政府としては、たとい自分の党の党員であつても一旦嫌疑のある場合には、これを曲庇せずに処断するということが、政府として公正な処置である、かくすることが、すなわち綱紀を維持するゆえんなりと、私は考えるのであります。また、ただいまお話の三百万円云々ということは、私において全然関係ないことで、関知しないことであります。
○副議長(田中萬逸君) 相馬助治君。
    〔相馬助治君登壇〕
○相馬助治君 私は、第一議員倶樂部を代表いたしまして、内閣総理大臣に対し次のことをお尋ねいたします。
 本日、この議場の混乱の有樣を見るにつけましても、われわれは、一日も早く予算案を通過し、かつ政界浄化の手続が済みましたならば、まず本國会を解散し、敬虔な態度をもつて信を國民に問うの段階が來たことを、本日のこの混乱が物語ると思うのであります。(拍手)私は、この解散論の過程を通じまして、何やら割り切れぬ二つの印象を受取つたのであります。一つは憲法解釈の問題でありますが、政府と各党をめぐつて激しい論争が行われましたけれども、結局どちらともつかない、すなわち、正しく論証されることもなく、政治的妥協による不信任案提出というものによつて一應議論が終りました。この四党協定なるものが非立憲的なものであるかどうかというような批判は、この際差控えるといたしましても、このことは、日本の憲法が、その表現において、あるいは内容において、今まさに再吟味する段階が來たことを物語るものであると思うのであります。政府は、この際進んで憲法改正の意思ありやいなや、これをまず第一に参りたいのであります。
 次に、この憲法に対しましては、日本國民は、最も民主的な手続をもつて、すなわち、われわれ日本人の自発的意思をもつて制定されたものであることを信じております。從つて、これが解釈は、あくまでも日本人の自主的判断によつてなされるべきものでなければならないことは、あまりにも当然であります。戰い敗れ、占領軍の指揮下にあるとは申せ、いまだ世界に例のないといわれるところの寛大公正なる占領政策といわれるこの連合郡のもとにおいて、われわれは相当程度の政治的自由を持つていることを信じているものであります。從いまして、あくまでもあなたまかせの態度を捨て、追從と迎合を排することが、すなわち國民の一人々々が、特に國民の代表たるわれわれ國会議員が、まずわれわれみずからの胸に巣食うところの――――性を拂拭することが、ポツダム宣言に忠実なるゆえんでもあろうかと思うのであります。(拍手)こうした点に関しまして、從來ともすれば國会の審議権を軽んずるかのごとき、すなわち政治的責任の存在を不明ならしむるような、いくつかの事例のあつたことは、現吉田内閣総理大臣もこれを認めるところであろうと思うのであります。私ども第一議員倶樂部が、先般の内閣総理大臣選挙において、吉田氏に一致して投票したるものは、この点に関し吉田内閣に期待するところ多大なるものがあつたがゆえでありました。(拍手)
 しかるに、このたびの四党協定は、結局するところある筋に御厄介をかけたという点において、内閣総理大臣は、いな政府は、このことに直接あずかり知らないとのお答えが先ほどあつたのでありまするけれども、このことは、一体現政府として、この四党協定があくまで正しいものであるということを信ぜられるかどうか。もちろん、連合軍の指導下にある今の日本でありまして、政府あるいは正統、その一方的な独断によつて政策の行い得ないことは、私も知るところであります。しかも私は、無所属の議員なるゆがえに、これらの点につきましては、言葉鋭く皆樣に尋ねるところの資格のないものであるとおつしやる方があるかも知れませんけれども、私は、この点に関し、みずからを十分反省した上で、むしろわれわれの態度から率直にこのことをお尋ねしたいと思つて、かかる発言をするのであります。
 以上要するに、政局昏迷の原因は、日本の現在の政治が内藏するところの主観的な條件と、加うるにむずかしい客観條件、この複雜さにあることを思いまするがゆえに、この際内閣総理大臣は、本國会を通じて、GHQは基本的に内政不干渉であるということを明確にされ、日本の内政はあくまで日本政府にその最終的責任がある旨を國民に訴えられ、祖國再編への決意を新たにしていただきたいと思うのであります。
 次に、具体的な政策の問題でありまするが、支那の古語にも、國を治むる者まず水を治めよと申しております。この水の問題から考えましても、あの降る雨はかまわないでおきますれば、家も田畑も人命をも流すものでありまするが、これを適当に措置するならば、これは無限の動力であることは、今さら私が申すまでもあありません。從いまして、生産復興がまず動力の復興を先行とする考え方から、政府はこの際、國家再建の総合的具体策として大々的にダムを建設し、電氣次号を興すというような、そういう積極的な構想あらば、ぜひ承りたいと思うのであります。これに関しまして、私の聞くところによりますると、いま日本の政府は、セメントであるとか、鋼材であるとか、あるいはガラスというような重要物資を、どこかの國に輸出していると聞くのであります。これにはいろいろ政治的理由があるとはおもいますけれども、これらの重要物資なしには、断じて祖國は復興いたしません。かかる観点から、これらのものが、どこの國に、どれだけ行つているか、そうしてまた首相として、これらに対して將來どうお考えであるかということを、お聞かせ願えれば幸いであります。
 次に、行政整理の問題であります。今日、行政整理というものがきわめてむずかしい問題ではあるけれども、また何人もこれを眞劍に考えてみなければならないということは議論の余地がないと思うのでありますが、しかし、このたび構想のみを発表いたしましたので、深刻なる動搖が官吏の間に渦巻きつつあることは、政府も見のがし得ないところであろうと思うのであります。それで、この際吉田内閣総理大臣は、徹底的な行政簡素化をするといたしましたならば、まず大臣の数から減らしてかからなければだめだと思うのであります。かつ、高級官吏を中心に整理しなければならないという具体的な数字は、すなわち人事院の一般会計予算の定員調べによりますると、昭和二十一年に一級官吏を一として、昭和二十三年には一・八九にまで、これが大きくなつております。にもかかわらず、三級官吏におきましては、昭和二十一年を一といたしまして、二十三年には一・三八となつているのであります。かかることを考えてみることと、もう一つは、今日日本の教育界が、わずかに女学校を出たての、ほとんど社会的経験もない、また教養も高からざる人々によつて占められているというような、かかるへんばな現実、すなわち、あるところでは人が余り、ある所では人が足らない、その人の余つている所でも相当高い俸給をはみ、伴こ押しが仕事であるというような人が、だぶついておることは、この数字をもつてしても明確でありまして、この際、かかる一級官を中心に首を切るならば、また種沿うの抱懷するところの行政整理なるものに、われわれは十分協力するにやぶさかではありません。これらに関する決意と構想とを承りたいと思うのであります。
 最後に一つ申し上げたいことは、文化日本建設とか祖國再建とか口では言われながら、事実において、文化日本建設も、祖國日本再建も、その言う口の下から、みずからのくつの下にふみにじつているようなのが、今の日本のあらゆる面における姿であります。こういうふうな観点から、われわれは祖國再建の具体策として、何としても次の時代を背負うところの子供たちや青年たちにより大きな明るい希望をつながなければならぬと思うのでありまして、かかる観点から眺めてみますると、何といたしましても、断固として教育費の増額をはからなければならない。また、別途科学研究費とういようなものの画期的増額をはからなければならない。しからば、その具体案として教育税というような目的税をとるところの構想ありやいなや、あるいは、國家総予算の中からパーセンテージを押えて天引予算を計上するような、そういう英断ありや、これらの点について明快率直なる答弁をお願いするものであります。(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) ただいま相馬君の御質疑でありますが、四党協定なるものが、あたかも憲法違反のようなお話でありましたが、私はそうは考えないのであります。いわゆる憲法にしても、憲政にしても、議会政治は妥協であります。互いに互讓の精神をもつて行くということが憲法政治、議会政治の精神であります。四党協定はこの精神に基いたものでありまして、決して私は、あなたの御意見のように考えないのであります。
 また行政整理については、これは何にいたしましても行政整理をいたすべきであつて、御意見ごもつともであります。ゆえに、吉田内閣といたしては、もし今後再び総選挙の後において首班の指名を受けたならば、徹底的にいたす考えであります。そのためには、あるいは閣僚の数を減らすということも一案であろうと思いまするが、なおこれは研究いたした上で申し述べます。
 その他のことは主管大臣から申し述べます。(拍手)
    〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
○國務大臣(大屋晋三君) ただいまの相馬君の御質問にお答えいたします。
 治山治水のうちの一部といたしまして、水力電氣の大きなダムをつくつてやる意思はないか、構想はないかという御質問でありますが、これに対しては、目下関係方面と協議をいたし、大いに構想を練つておる次第であります。
 また第二問の、鋼材、ガラス製品あるいはセメント等を外國に輸出するのはいかんというお尋ねでございますが、わが國の工業は、関係國の好意によりまして復興資材、食糧その他を受けておりまする関係上、それ報ゆる意味をもちまして、これら三商品、生産品の五%ないし七%を、それぞれの國に輸出しておる次第でございます。
 右、お答えいたします。
○相馬助治君 自席から申し上げます。
 私は、四党協定が憲法違反であるとか何とかいうことは、しばらく問題外とすると申したのであります。要するに、この現実から見て、現在吉田内閣において憲法改正の決意ありやいなや、こういうのでお尋ねしたのでございます。
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
○國務大臣(吉田茂君) それは私が記憶違いでありました。政府といたしましては、ただいまのところは、憲法を改正する意思または考えは持つておりません。(拍手)
     ――――◇―――――
 議員泉山三六君を懲罰委員会に付する動議(石田一松君提出)
○副議長(田中萬逸君) 石田一松君より、成規の賛成を得て、議員泉山三六君を懲罰委員会に付するの動議が提出せられました。右動議を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。提出者石田一松君。
    〔石田一松君登壇〕
○石田一松君 ただいま議題となりました議員泉山三六君を懲罰委員会の議に付する動議の提出趣旨弁明をいたしたいと思います。
 休憩前の本会議のこの演壇におきまして、同僚議員榊原千代君のなされた議事進行に関する発言及び同僚議員山下春江君のなされた一身上の弁明を承つたわれわれは、みずからの耳を疑うほどに唖然としたのであります。しかもこの内容が現在最も官公労組の人たちが関心をもつております追加予算、しかも賃金ベースに関したこの予算の審議最中、しかも一方、未帰還者の家族の方たちにいかに給與するかという、まことにわれわれ國民として関心の深いこの予算的法案が議場において審議されようとする際に、その最高の責任者であるところの議員泉山三六君、すなわち現内閣の大藏大臣は、院内において酒を飲んで、まことに婦人議員に対してみだりがましい行爲があつたというのであります。私たちは、このことは日本の議会始まつて以來の不祥事であると考えます。ここに、その重大性にかんがみまして、議員泉山三六君を懲罰委員会に付するの動議を提出した次第であります。満場の御賛成をお願いいたします。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 懲罰の動機は討論を用いずして採決をいたすのであります。よつて、ただちに採決いたします。石田一松君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(田中萬逸君) 起立多数。よつて議員泉山三六君を懲罰委員会に付するに決しました。
 名十四日は午前零時五分より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後十一時四十八分散会