第004回国会 本会議 第20号
昭和二十三年十二月二十二日(水曜日)
 議事日程 第十九号
    午前零時五分開議
 第一 議員外崎千代吉君懲罰事犯の件
 第二 製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した事件
 日程第一 議員外崎千代吉君懲罰事犯の件
 日程第二 製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 大藏省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 復興金融金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 公認会計士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(大藏委員長提出)
 地方自治法の一部を改正する法律案(参議院提出)
 未復員者給與法の一部を改正する法律案(参議院提出)
 昭和二十三年度一般会計予算補正(第二号)、
 昭和二十三年度特別会計予算補正(特第二号)
 蚕糸業安定緊急対策に関する決議案(松崎朝治君外七名提出)
 課税適正化に関する決議案(佐々木秀世君外七名提出)
 議場内粛正に関する決議案(戸叶里子君外十二名提出)
 供出と農業課税減免に関する繁急質問(的場金右衞門君提出)
 炭鉱國管問題に関する緊急質問(花月純誠君提出)
 経済安定九原則に関する緊急質問(平川篤雄君提出)
 議事進行に関する発言
 政党献金の法律上の解釈に関する緊急質問(猪俣浩三君提出)
 農地改革に関する緊急質問(八百板正君提出)
 農産地物價格に関する緊急質問(矢後嘉藏君提出)
 ジフテリア予防接種事件に関する山崎君の緊急質問に対する内閣総理大臣臨時代理林厚生大臣の答 弁政界浄化と選挙取締りに対する緊急質問(本藤恒松君提路)
 單一為替レート設定に関する緊急質問(川合彰武君提出)
    午後五時一分開議
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、議員外崎千代吉君懲罰事犯の件を議題といたします。外崎千代吉君の退席を求めます。懲罰委員長の報告を求めます。明禮輝三郎君。
    〔明禮輝三郎甫登壇〕
○明禮輝三郎君 ただいま議題となりました議員外崎千代吉君懲罰事犯の件について、簡單に委員会の経過及び結果について御報告申し上げます。
 本件は、去る十八日、議長から本番委員会に付託せられたのであります。委員会は、二十日に会議を開きまして、議長からの説明はこれを省略いたし、委員長において速記録に基き説明を了した後、事犯者外崎千代吉君の身上弁明を聞きました上、種々協議いたしました結果、全会一致をもちまして、議員外崎千代吉君に対し社会法第百二十二條第二号により公会議場における陳謝を命ずべきものと決した次第であります。
 今、委員会において起草いたしました陳謝文案を朗読いたします。
   陳謝文案
  私こと昭和二十三年十二月十一日の本会議におきましての討論中、不穏当な言辞をいたしましたにつきまして、社会法第百二十二條第二号により公開議場における陳謝を命ぜられておりましたところ、昭和二十三年十二月十八日の本会議に議長より右陳謝の意をを表するよう命ぜられたに拘らず、院議に從わなかつたため再び懲罰委員会に付せられましたことは、洵に議員として申訳のないことであります。ここに改めて陳謝の意を表します。
  私こと昭和二十三年十二月十一日の本会議におきまして、政、財、官界の徹底的粛正に関する決議案対する討論中、個々の議員の名誉に関し、或は公党の面目に関し、不用意の内に委員として穏当を欠き、議員自らを侮辱するが如き発言をいたしましたことは、議員の職分に顧みて慚愧の至りに堪えません。謹んで誠意を以ちまして、衷心より陳謝いたします。
 以上簡單ながら、懲罰委員会における審査の経過及び結果について御報告を申し上げた次第であります。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 本件につき採決いたします。議員外崎千代吉君懲罰事犯の件委員長報告に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて議員外崎千代吉君懲罰事犯の件は委員長報告の通り議決いたしました。外崎千代吉君の入場を許します。
 ただいまの議決に基き宣告いたします。外崎千代吉君に対し社会法第百二條第二号により公開議場における陳謝を命ずべきものと議決いたしました。よつて議長は、外崎千代吉君に対し公開議場において陳謝の意を表すべきことを命じます。外崎千代吉君登壇を求めます。
    〔「おらない」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 外崎千代吉君に対し陳謝の意を表することを命ずるのでありますが、外崎君が出席いたしておりませんから、適当の機会に議長よりこれを命じます。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員長島村一郎君。
    〔島村一郎君登壇〕
○島村一郎君 ただいま議題となりました製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案について、委員会の審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本改正案は、きんし十本当り現行十一円を十五円に、みのり十グラム当り十円を十五円に、のぞみ十グラム当り九円を十一円にそれぞれ値上げし、專賣益金を確保いたさんとするものであります。
 本薬については、去る一日提案理由の説明を聽取し、七日より数回にわたり審議いたしましたが、この間委員諸君よりは、今回の値上げと予算との関係を初め、たばこの品質、價格及び配給操作等をめぐつて種々論議されました。
 かくて、二十日討論に入り、民主自由党を代表して宮幡委員は賛成意見を述べられ、社会党の重井委員、國民協同党の河野委員、同党の河野委員、社会革新党の本藤委員長、労働者農民党の堀江委員は、それぞれ各党を代表して反対の意見を述べられました。次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 簡単でございますが、以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、大藏省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案及び復興金融金庫法の一部を改正する法律案の両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 大藏省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、復興金融金庫法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員長島村一郎。
    〔島村一郎君登壇〕
○島村一郎君 ただいま議題となりました大藏省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本案は、政府職員に対する今回の給與水準改善等に伴い生ずる食糧管理特別会計、國有鉄道事業特別会計及び通信事業特別会計昭和二十三年度における歳入不足は、これらの会計の収支の状況に顧み一般会計から補足する必要があり、また大藏省預金部特別会計の収支の状況に顧み、同会計の歳入不足を補足するための一般会計からする繰入金の繰入れの限度額を減額いたさんとするものでありまして、九日質疑に入り、特別会計の独立採算制及び予算審議との関係等について政府の意向をただし、二十二日、討論を省略し採決に入りましたが、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 次に、復興金融金庫法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 復興金融金庫の資本金は、去る七月、九百億円より千三百五十億円に増加いたしたのでありますが、本年度末までの所要資金をまかなうために、今回さらに百億円を追加して、資本金を千四百五十億円といたしたいというのが、本改正案の要旨でありまして、去る一日提案理由の説明を聽取し、九日より五回に渡つて審議いたしました。
 委員会本においては、本案の重要性にかんがみ、その審議にあたつては尊重を期し、資料の要求はもちろん、委員諸君と政府委員との間には終始熱心なる質疑應答がかわされましたが、最も論議の焦点となりましたものは、復興金融金庫の機構改革並びに金庫融資の回復状況等についてでありまして、それぞれ政府委員より答弁がございましたが、これは速記録に譲りたいと存じます。またこの間、十日には懇談会を開き基本的な問題をめぐつて忌憚なき意見の交換を行いましたことを、つけ加えておきます。
 かくて二十二日ほとんど議論も盡され、ただちに討論に入りましたが、民主自由党を代表して宮幡委員は賛成の意見を、社会党代表の佐藤委員は復興金融金庫の改組を條件として賛成されました。また社会革新党の本藤委員は、第三條及び第四條第一項中「千四百五十億円」とあるは千四百億円ぐらいにすべきであるとして反対の意見述べられ労働者農民党の堀江委員は反対の意見を述べられました。次いで採決に入りましたが、原案は多数を持つて可決されました。
 右、ご報告申し上げます。
○議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。これを許します。本藤恒松君。
    〔本藤恒松君登壇〕
○本藤恒松君 ただいま上程になりました復興金融金庫法一部改正案に対しまして、私は、この一千三百五十億円を一千四百五十億円に改めるという政府原案に対しまして、その総額を一千四百億円にするという修正をいたしたいと思うのであります。その理由は、健全財政を確立するために、政府の申されるのでは、その百億円のうち、市中銀行より五十億円募集集ができる、あとの五十億円は日本銀行に引受けてもらうというのであるから、この五十億円は、結局赤字公債と同じくインフレを助長するものであるから、わが党といたしましては、これを五十億円の増額にしたいと思うのであります。
 なお私は、復興金融金庫に対しまして、実はこれは日本の基礎産業の再建といたして、石炭、肥料、鉄鋼という重点産業に主として融通されておるのでありまするが、石炭は数年後にはだんだんと日本の埋蔵量も少くなるのでありますから、このほかに、日本の現在においては、あとの増産であるとか、または加工であるとか、いわゆる天然ガスの利用であるとか、なおまた電源開発であるとか、かようの方面にもやはり復興金融資金を融通して、日本の再建をはからねばならぬと思うのであります。なお肥料という問題に対しましても、現在の化学肥料に重点を置くよりも、いわゆる畜産農業を獎励いたして、たとえば高冷地帯の日本全山の草を、あるいは肉とし、あるいは乳とし、なおこれを…
○議長(松岡駒吉君) 本藤君、ちよつと御注意申し上げます。反対討論の発言を許可したものでありまするが、修正の説明を許したのではないのであります。從つて用語に御注意を願います
○本藤恒松君(続) その肥料をやはり増産して、日本の食糧問題、獎來農村のあらゆる問題を解決したい、この方面にもやはり復興の融通われわれは希望するのであります。
 なお、この運営につきまして最も遺憾な点は、回収の点が実に怠慢というか、いわゆる復興金庫における政府諸君が実に怠慢しておることを遺憾に思うのであります。政府の報告の表から見ても、運轉資金の回収が実に悪い。ただ悪いだけで事が済むなら、何も私は反対いたすのではありませんが、この回収の悪いということは、一つは復興金融金庫の金を利用する一般の國民の頭は、復金の金は借りれば借りもらいだというような感を非常に深く持つておるのであります。このために、復興金をめぐるいろいろな醜悪な問題が起きておると、私は考えるのであります。なお、これは、例を申し上げれば昭和電工がその代表でありますが、これをめぐつて、あらゆる方面にこの問題があると思いますから、私は、これはただ増額々々をいたさないで、すみやかに回収に全力を注いでやつていただきたいと思うのであります。
 なおつけ加えて申し上げれば、現在選挙戰に向つておる直前、うわさに聞けば、鉱山関係、肥料に関係のある候補者―むしろ私は復金に関係のある者とも言いたいが、これらの人たちが、選挙前に、すでに立候補の公認やら、選挙に対して、二百万、三百万の金を使つて運動して、おるということも、うわさによれぱ聞くのであります。一般の、要するに國民の中では、そういうことはできないのであります。こういう復金の金は、ただ借りもらいというような思想を國民に與えており、運用がよくないから、こういういろいろな問題が起るのだと思いますので、これは、一つは復金の回収を厳重に、その内容を調べて、いたさなけれぱならぬと私は思います。
 なおまた、復金には委員制度がありまするが、この委員は、五千万以上は委員会においての決定という権限があるのでありますが、私は、この五千万以上という特権を委員会に持たすということは、結局政治的にこの運用をされることがいかぬと思いますから、この委員会もすみやかに廃して、復金は復金の中で業務をいたし、政府は監督すべきであるように、われわれは思うのであります。
○議長(松岡駒吉君) 本藤君反対の論旨明確にして下さい。
○本藤恒松君(続) そのために、復金の運用に対しましては、今よりもなお國家安全産業のため、いわゆる中小企業のため、また農村のため、漁村のため、各般に運用されるように、私は希望いたすのであります。ゆえに、ただいたずらなる増額は反対いたすのであります。
○議長(松岡駒吉君) 堀江實藏君。
    〔堀江實藏君登壇〕
○堀江實藏君 ただいま日程に上つております復興金融金庫法の一部を改正する法律案につきまして、労働者農民党を代表しまして反対の討論をいたしたいと思います。
 複輿金庫は、敗戦後こんとんとした日本経済の実情のもとにおいては存在の意義があつたが、現在の事情下においては、まつたくその意義を喪失していると私は考えるのであります。復金の本質は、國家資金をもつて、いわゆる重点産秦に融資して、経済の振興をはかるに目的があるのでありますが、市中銀行が融資しないような企業に対して、國家資金をもつて金融をするということは、まず第一に企業の國営民主化と國家金融の関通かうまく調整されて勧めて可能であつて、現在のような情勢下における復金の金融は全然本質から離れているという点について、まず第一に反対いたしたいのであります。
 從つて、これに関連していろいろの不正が起り、特にインフレが進行して行く、そしてまた金融が梗塞しているために、市中においても、やみ金融が横行しているような時代におきまして、インフレの進行と金融の梗塞から見て、また私企業に対しての國家金融の本質からいつて、これはただもらいであるというような考えによつて金融がなされているという点、從つて世上のうわさによれば、復金の金融については一割、ニ割のコミツシヨンは当然であるというようなうわささえ立つているのでありまして、昭和電工事件を初めとする醜悪な事件が國民の憤激を買つているのは、復金の本質に矛盾があるからだということを断言し得るのであります。
 私は簡単に結諭をつけたいと思いますが、最近経済九原則が指示されまして、そして為替一本レートを設定するためには、九原則が冷嚴なる監督のもとに実行されなければならないという場合において、日本の経済の方向は、インフレーシヨン経済からデフレ経済の傾向に移行して行くということがはつきりしている現在において、この厖大な復金の金融がはたして回収できるかどうかということは、実に重大な問題であります。もしも相当な金額が回収できなかつた場合におきましては、國民の血税によつてこれが償却されなければならないという意味におきまして、われわれは断固として反対しなければならない。また、その復金の融資に関連しまして重点産業の保護育成がなされているということから、この復金の性格が階級的であることが明瞭になつているのであります。
 簡単でありますが、以上の諸点におきまして、この増資に対しましては断然反対するものでありまして、皆様の御賛成を要望いたしまして降壇するものであります。(拍手)、
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず、大藏省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に、復興金融金庫法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛威の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、大藏委員長提出・公認会計士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 公認会計士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。大藏委員長島村一郎君。
    〔島村一郎君登壇〕
○島村一郎君 ただいま上程されました公認会計士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、簡単にその趣旨を弁明いたします。本案は、衆議院大藏委員全員の共同提案になるものでありまして、先般両院を通過いたしました公認会計士法の一部を改正する法律のその附則中の一部を改正せんとするものであります。その改正の要点は、法律の施行期日を、ただいままで附則中に「公布の日から」とありましたのを、「昭和二十四年四月一日から」と改正いたしたいとするものでございます。満場の御賛同をこいねがいます。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決せられました。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、参議院提出、地方自治法の一部を改正する法律案及び未復員者給與法の一部を改正する法律案の両案は、参議院の要求の通り委員会の審査を省略してこの際一括上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なし認めます。よつて日程は追加せられました。
 地方自治法の一部を改正する法律案、未復員者給與法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題といたします。
○議長(松岡駒吉君) 両案を一括して採決いたします。両案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて両案は可決せられました。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事郎日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、昭和二十三年度一般会計予算補正(第二号)及び昭和二十三年度特別会計予算補正(特第二号)の両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 昭和二十三年度一般会計予算補正(第二号)、昭和二十三年度特別会計予算補正(特第二号)、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員会理事苫米地英俊君。
    〔苫米地英俊君登壇〕
○苫米地英俊君 ただいま議題となりました昭和二十三年度一般会計予算補正第二号及び昭和二十三年度特別会計予算補正特第二号について、予算委員会の審議の経過及びその結果を御報告いたします。
 まず、今回政府より提出せられました昭和二十三年度一般会計予算補正第二号及び昭和二十三年度特別会計予算補正特第二号について、二号及びついて、その内容を簡單に申し上げます。
 今回の予算補正は、政府職員給與改善費、災害復旧費等本予算成立後の情勢の変化に対應するため必要とする経費を追加する等の措置を講ずるためのものでありまして、一般会計におきましては、蔵入歳出とも補正額五百八十六億八千三百余万円となつております。また特別会計におきましては、歳入補正額七百三十六億三千二百余万円、歳出補正額七百二十三億三千五百余万円であります。以上の補正の結果、昭和二十三年度予算額は、一般会計におきましては、歳入歳出ともおのおの四千七百三十一億四千五百余万円となり、特別会計におきましては、歳入一兆一千九百三十二億五千余万円、歳出一兆九百六十二億八千五百余万円と相なりまして、一般会計、特別会計を通じて予算純計は、歳入一兆六百三十八億五百余万円、歳出一兆六百億六千五百余万円と相なつております。
 次に、一般会計の歳入歳出補正のおもなるものを申し上げますと、歳出におきまして、終戰処理費百二十億円、給與改善費二百六十二億七千八百余万円、災害復旧費六十億円、價格調整費百十億円、その他合計七百三億五千六百余万円でありまして、その財源といたしましては、租税自然増收四百十億円百万円、給與に伴う所得税増加四十六億九千七百万円歳出節約額百九億七千五百余万円、その他合計七百三億五千六百余万円と相なつております。
 次に、この予算案の審議にあたりましては、その緊急なる性格にかんがみ、委員諸君と政府の間には、きわめて熱心なる質疑應答がかわされたのであります。
 まず、この追加予算とインフレーシヨンの関係及び今後のインフレーシヨンの見通しはどうか、年末の発券高は三千五百億を越えるのではないかとの質問に対し、政府側より、最近の通貨膨張の一原因は、供米の成績好調伴う政府買入れ代金の支拂い増加に基くものである、最近の物資は横ばい傾向となつているが、ただ賃金のみは上昇を続けている、先般主食も増配されたので、この際賃金の安定をはかり、物價と賃金の悪循環を断つ決意を持つている、この予算は不不確実な財源の計上を避けたが、徴税は現在までの実績から見て、おおむね順調の見通しであり、予算通りの收入を期待できる、また明年一月以降は供米代金が激減するので、通貨増発の心配はないと思う、との答弁がありました。
 次に歳入面に関する質疑の若干を申し上げますと、次の通りであります。
 第一に、租税の自然増收として四百五十七億円が計上されたが、現在の租税負担額は、すでに租税能力の限界点に達していると思われる、この自然増收はいかなる根拠によつたものであるか、またその完全な徴税は困難ではないかとの質問に対して、本年六月当時における國民所得推定額は一兆九千億円であつたが、その後の諸般の事情によつて、十一月物價水準での國民所得は二兆三千九百億円と増加したので、租税の自然増收を計上したのである、現在の徴税実績からすれば、明年四月までには完全に徴税できる見込みである、との答弁がありました。
 また、歳出節約額百十億円が計上されているが、これ以上経費削減の余地はないか、行政整理をどうして行わないのかとの質問に対し、政府側より、吉田内閣は合理的行政整理の実施を目的としているが、目下行政機構の簡素化及び失業対策を愼重に檢討しているので、明年度には必ず実施できるものと思う、との答弁がありました。
 また、農民に対する課税方法について政府の見解を求められたに対しては、政府側より、本年は昨年度のごとき混乱を避けるための施策を講じている、御承知の通り農民の所得の計算はすこぶる困難であるが、その計算の基礎となる正しい所得を補足するために、十分なる指導下に農民から詳細な收支の申告を集める等の方法により、昨年度の幣を取除き、また更正法決定についても公正なる運営の方法を檢討し、目下その具体化に努力中である。次に、主食の超過供出分に対しては免税すべきではないかとの質問に対し、政府側より、超過分の生産に対しては、施肥及び労力等のために特に加重的に必要となつた経費を收入金額から差引く等の方法によつて税の過重を埋め合せる方針である、との答弁がありました。
 また、地方貸付金償還金三十五億円を計上しているが、地方財政窮乏の現状において、その運用に支障はないかとの質問に対し、政府側より、租税の自然増收による配付税配付金百一億の増額を計上しているので、貸付金を償還しても運営上の支障は起らないと思うが、なお実態調査にも努めているから、その結果を見て政治的に善処いたしたい、との答弁がありました。
 次に、歳出に関する質疑について述べますならば、まず第一に、給與の改善案が成立したのであるが、これは当初の提出法案とは異なつた給與ベースを基礎としている、この予算は当然組みかえるべきではないかとの質問に対し、政府側より、政府職員の給與は給與特別措置費として一括計上してあり、多少の異動があつても行政措置で善処できる、また年度末の三月において調整をなすことは今までの慣例でもあるので組みかえの必要はないと思う、との答弁がありました。
 災害復旧費につきましては、六十億の予算では少な過ぎると思われるが、政府の復旧対策及びその金融対策いかんとの質問に対しましては、政府側より、六十億円はもちろん満足な金額ではないが、窮迫した財政の現状にかんがみ、明年七月の出水期までの應急的措置として計上したものである、なお資金的措置としてはすでに七十四億円余の資金の放出を行い、さらに市中銀行の協力をも求めており、日銀に対しては命令を発して、資金融通準則最優先順位として取扱うように万全の措置をはかつている、との弁明がありました。
 また、中小企業に対する課税の圧迫は資金梗塞を引起し、今次の追加予算に水増し課税は中小商工業者の倒産をも予想せしめるが、政府の中小企業対策と年末の資金対策はいかんとの質問に対し、政府側より、中小企業は全國高の四六%を占め、全國工場数の九七%を占める重要な地位にあるので、在來の保護救済的な施策を採用しないで、企業の自主性を確保せんとするものである、金融対策としては、將來性のある企業に十分彈力性のある措置を講じ、資材面については迅速確実な割当を行い、將來性のないものに対しては整理もやむを得ない、また年末における資金的措置としては、第三・四半期において、復金の代理貨制度のわくの拡張等・全体で二十五億円程度の資金の放出を予定している、との答弁がありました。
 その資金ベース、経済三原則、價格調整費、取引高税、一本爲替レート、船舶運営会補助費、國有鉄道特別会計、講和会議、賠償等の諸問題並びに今般連合軍最高司令官から発せられた経済九原則その他について熱心な質疑應答がかわされたのでありますが、詳細はこれを速記録に譲りたいと思います。
 次に公社会について申し上げます。本追加予算の持つ意義重要性にかんがみ、尊重審議に資するため、十二月六日公社会を開き、経営者側より経團連代表を、また中小企業代表として日本商工会議所より、また労働組合より、また労働組合よりは総同盟、全官、國鉄等の労組代表の意見を聽取いたしたのでありますが、その詳細は速記録に譲ります。
 次に討論に入り、民主自由党を代表し宮幡靖君より、本予算は公務員の給與改善、災害復旧費等眞に緊急必要にして、その必然性を肯定せざるを得ぬ予算であるとして、本補正予算に賛成。
 民主党を代表し押川定秋君より、厖大なる当初予算にさらに水ぶくれの歳入を持つてし、苛酷なる租税の徴収など國民負担を加重し、また歳出における價格調整費の計上は日本の再建復興を阻害し、健全財政を危うくしているが、現在の社会情勢にかんがみて、九原則にマツチするような政府政策の改善を要求し、予算実行に警告を促して、本補正予算に賛成。
 國民協同党を代表し小技一雄君より、給與改善費については公務員法と一体不可分であり、給與の支給方法については不十分であるが、運営のよろしきを得て公務員の生活を擁護すべく、災害に対しては將來に対し善処すべく、また米價の適正をはかり、給與ベースとの均衡を保つように要望して、本予算補正に賛成。
 日本農民党を代表し河口陽一君より、人件費を削減した眞の行政整理を実行し、出先機関及び公團等の可能なものから廃止、ことに肥料公團は、府縣全國組織も整つたのであるから当然廃止すべきであるとの意見があつて、原案に賛成。
 日本社会党を代表し竹谷源太郎碧より、本予算は給與の改訂に伴い組みかえるのが良心的である、從つて適正なる予算とすべく、ただちに補正を必要とするのである。また歳入歳出とも不満足ではあるが、緊急不可欠の予算であるために賛成。
 次に、労働者農民党を代表して中原健次君より、本補正予算案は統一性及び完全性がなく、大衆の生活を破綻に陥れる金融資本再建の予算であり、インフレーシヨンの措置は講ぜられていないので、本補正予算を返付するとび討論がありました。
 次に、社会党新党を代表して大原博夫君より、比の予算に計上された程度の給與改善費では官公吏の最低生活も維持できない、災害復旧費についても不満足であり、予算の算定の基礎が不明確であるが、やむを得ざる緊急性を認めて、本補正予算に賛成。
 また、新自由党を代表し世耕弘一君より本予算には國家財政に健全性及び民力涵養に意図がうかがわれない、歳入の税収等に安易な態度が見られ、官僚統制主義が温存され、公約が予算面に示されていないのは遺憾であるが、緊急性にかんがみ、本補正予算に賛成。
 第一議員倶第部を代表し織田正信君より、本補正予算には、戰後の政府を通じて一貫して見られる権力統制の性質が現われている、また日本の政治家の言行不一致が示されており、終戰処理費の増額と他の経費との間には均衡がとれていないので、本補正予算に反対。
 次に、日本共産党を代表し野坂參三君より、本予算は人民の生活の犠牲において大資本の救済と補強とを策しているので、本補正予算を返上組みかえを要求。
 以上を以つて討論を終わり、採決に入り、労働者農民党及び日本共産党の返上の動議は否決され、原案が多数を持つて本日午後二時四十分可決された次第であります。
 以上をもつて報告といたします。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 討論の通告があります。これを許します。中原健次君。
    〔中原健次君登壇〕
○中原健次君 ここに議題と相なつておりまする追加補正予等に対しまして、私は反対をいたすものであります。そうして、労働者農民党を代表いたしまして、この追加補正予算の組みかえを政府に要求いたす次第であります。
 吉田内閣は、さきの第三社会において國家公務員法の改正を行いました。また本第四回社会劈頭におきましては、公共企業体労働関係法の通過を強行いたしました。この二つの法律は、その成立に先だつて、政府職員並びに公共企業体職員の諸君の生活安定のための待遇改善の措置を講ずるということが当然であつたのであります。しかるに、ここに遅れて、ようやく待遇改善を含む本予算を上程せられたのであります。從つて、この提案理由としても、政府は職員の給與水準引上げ並びに災害復旧費等本予算成立後の情勢変化に対應するために云々と、これを説明いたしておるのであります。
 しかしながら、この追加予算はきわめて場当り的なものであり、また、ずさんそのものでございまして、財政経済の見透しに対し、あるいはまたその計画に対し、何らの関連性を持つこともなく、ただ漠然と編成されておるのであります。このことは、すなわちその日かせぎの無定見をおのずから暴露するものでございます。このようにいたしまして、一般会計においては、本追加予算額七百三億円を含みまして、当初予算と合算いたしまするならば四千七百三十一億円と相なつておるのであります。さらにまた特別会計を合算いたしますと、一兆一千九百三十二億という厖大な特別会計予算の総計に相なつておる次第でありますが、ここにわれわれが、もうひ一つ気づかなければならない問題は、この追加補正予算を上程したその瞬間において、さらに続いて追加予算を予定しなければならない事情のあることそれであります。
 思うに、このことは、政府の予算に対するきわめて無定見たるものを暴露すると同時に、本追加補正予算の統一性なく、場当り的な、いわゆる完全性を欠く予算編成方式のものであるということを指摘せねばならないのであります。このずさんさを最も如実に示しておりますも少に給與改善費があるのでありますが、その給與改善費の中で、まずお互いが最も大きく注目いたしました問題に、すなわち給與ベース五千三百三十円の当初提案がございます。
 政府は、八方反対に遭遇いたしまして、遂にその当初のベース方針を捨てまして、六千三百七円に、こつそりとすりかえをいたしたのでございます。しかし、表面は一千円程度の平均引上げと見せつけられてはおりますが、これを手取りにいたしました場合に、はたして労働者の手元にどれだけの増額がなされるものでございましようか。その間のトリツク的な事情に対して、われわれはきわめて忿懣を禁じ得ないないものがあります。しかも、それのみならず、このベースに関通いたしまして、時間の延長を労働強化を再審として盛り込んでおることが発見されたわけでありまして、これは恐るべき、いわゆる青酸カリ的毒素が隠されておるということを、われわれは遺憾ながら指摘せねばならないのであります。
 この給與改善費増額が、二百六十億のわく内でやり繰りされることに相なつておるのでありますが、この結果といたしまして、生計費の必要額をはるかに下まわり、まさに勤労階級はこのために飢餓線下の生活を約束されるに至つたという事実を見のがしてはならないのであります。このようなことでは、遂にその機務能率の向上を期待することがむりであり、また優秀者は、ために忍びがたく、その職場を逃げ出して行くのでありましようし、あるいはまた、生活のやむを得ざる不可避的事情として、不正あるいは腐敗の助長されるおそれがないと保証しがたいのであります。
 また、この場合問題になることは、給與額に引上げに伴いまして当然取り取上げられなければならない問題に、勤労所得税の免税点引上げその他税の軽減措置がなされなければならないということであります。これなしには、待遇改善の意味するところは、おそらく何にもならないことに相なるのでありまして、ことに自然増収の四百億の見積もりの中で、源泉課税の占めます部分は百八十五億の多額に上つておるのであります。なお、関係公務員の給與改善に伴うはね返りのそれは四十八億円と見込まれておる次第でありまして、まことにはなはなだしき矛盾であることを考えなければなりません。その他諸税は主として大収課税により、また申告所得税にいたしましても、勤労者、農民、中小商工業者に対する容赦なき苛斂誅求と相なるておるわけであります。政府は、この場合大きく目を轉じて、いわゆる負担能力ある階級、すなわち大所得階級に向つて徴税の対策を集中しなければならないことを、雄弁に教えられる次第でございます。國民の所得総額が二兆四千億と言われておるが、そのうち租税対象として考えられるものは、ようやく九千億しかない。從つて、残りの部分一兆五千億と予想されるものは、一体どのように今後処理して行こうとするか。われわれは、徴税対象として特にこの点に注目を拂わなければならないことを強調するものであります。
 さらに予算の不健全性として、予備費四十五億がまずあげられるのでありますが、かかる大づかみの計上は、当勧予算の予備費二十億に対しまして二・五五倍に当るわけであります。財政法第二十四條が申しております予見しがたい予算不足に充てるものとしては、その額の内容がはなはだ多額に過ぎるわけでございます。もつとも、最終の日になつて、この予備費の内訳なるものが発表されました。もとより、その最終日の瞬間のことでありまして、この予備費の内訳をせんさくすることは時間的に困難でございました。ただ政府は、かくのごとくいたしまして、最終日に予備費のつじつまを合わせておるにすぎないのであります。すべてが、かくのごとく、その積算の基礎ははなはだ不明確でありまして、予算民主化に反する最もはなはだしいものであるといわなければならないのであります。
 また、價格調整費百十億がございますが、わが國の現在の生産成績は、昨年の末に比べまして六三%増を示し、これを事変前のそれに比しますならば、六五%という生産成績と相なつておるのであります。インフレの方針によつて、物價高は天井を知らずに高進いたしております。その中に、低賃金と生産増とのいろいろな関連から考えますならば、生産コストははなはだしく安く相なつておる次第でありまして、またこのような関係から、経営側の採算歩どまりは上昇いたしておることを見のがしてはならないのであります。それにもかかわらず、これら特殊大企業に対しまして、國家財政の負担によつて、きわめて当然のごとくにこれを援助するの政策に出で、それを続けておるということは、われわれ勤労階級の断じて許してはならない一点であると考えるのであります。
 また、似通つたものに船舶運営会補助金がございます。すなわち、この予算案の中で二十五億を計上しておるのであります。まず補助金を考える前に、この運営会の合理的経営の調整をなぜはからないのであるか。たとえば船主の傭船料のごときは、その公共性にかんがみて、これをただちに廃止すべきものであり、そして採算確立のあらゆる方途を、まずもつて講じなければならないと考えるのであります。私どもは、ここに、ただこの中で緊急当面のやむを得ざるものとしてこれに含まれるうち、給與との関連性のある一部分に関しましては、もとよりこれを承認しなければならない。だが、これを除く大部分に対しまして、すなわちその補助金の大部分に対して、われわれはあくまでこれを再吟味、再敏討しなければならないことを主張いたすものであります。
○議長(松岡駒吉君) 中原君、残り時間がきわめてわずかであります。
○中原健次君(続) ところが、こればかりではない。軍事公債の利拂い二十二億円がございますが、これはすでに議論済みの問題でありまして、われわれは、これが支拂いを拒否しなければならないと考えるのであります。ことに、國家財政の緊急を口にする政府は、なぜこれをたな上げせないのであるか。ここにまた、持てる階級に厚い政策が発見される次第でございます。
 私は、ここにさらに災害復旧費六十億について考えたいと思うのであります。これは、その必要額の一五%にしか当らぬのでありまして、災害の跡なおなまなましい災害の復旧費といたしましては、あまりにも配慮が乏し過ぎる。ことに農林関係にあつては、最低必要額の七十四億に対して十八億の予算にしかなつておらぬのであります。また、農村民主化の施策として農地改革のことが行われておるが、今第二次の徹底を期することは最も肝要なことと考えておるにかかわらず、その経費についての考慮きわめて薄いために、このことは依然として放置され、かくのごとき取扱い方は、すなわち農地改革を中絶して、むしろ再び農村に保守反動の勢力を温存せんとするのではないかとの疑いを持たされる次第でありまして、私どもはここに積極的に第二次農地改革をすみやかに徹底せしめ、続いて第三次改革を行わなければならないことを主張いたすものであります。
 また農産物中、ことに米價を生産費割る安値に押え、農民の勤労報酬が、そのために千八百円ベースという低賃金計算でしかない状態に相なつておるのでありますが、さらにまた、消費價格の面は五千三百円を上まわり、消費大衆にその差金の重荷を負わしめてるこの実情を、われわれは見のがすことができないのでありまして、かくのごとき施策は、すなわち大資本に対してはあらゆる方法で國家援助を惜しまぬ一方、これら勤労大衆に対する配慮のはなはだ乏しいというよりも、むしろ配慮のなきことを、われわれは指摘しなければならぬことを遺憾とするものであります。
○議長(松岡駒吉君) 結論を急いで下さい。
○中原健次君(続) なお、地方貸付金の回収三十五億は、地方財政の窮迫せる実情を忘れて、これを配付税から天引せんとしておるのでありますが、このことは、ひいて地方自治体の確立を阻害するばかりか、直接には地方公務員給與改善を妨げる結果に相なるのであります。回収はしばらくこれを延期すべきものであるということを、私はこの場合特に強く主張いたしておきます。以上は、きわめて大ざつぱに本追加予算を檢討いたしたわけでありますが、これを要するに、必至的に來り襲うであろうところの、より一層なるインフレーシヨンの助長情勢と、より深刻なる大衆生活の窮乏招來の必至の実情と、私どもは、この吉田内閣の既定方針としてあげている行政整理に伴う大量の首切り、企業整備ともからみ合う一大失業群が荒れすさむ雲風の中に放り出されるであろうということを予想し、かれこれ総合して考えますならば、このような施策は、わが日本の勤労階級に対するきわめて無責任、そうして勤労階級に対する憎むべき一つの圧迫的、反逆的な施策であるということをいわなければならないのであります。(拍手)日本経済の再興は、はたしてこのような事情をもつていたしまして可能でありましようか。國民生活の安定が、はたしてこのような実情をもつてして保護されるでありましようか。政治を担当する者は、眞実にして率直に日本の平和的再建確立に対して、その目的達成のために、勤労する人民大衆としつくり協力する態勢をつくり上げる熱情を持たなければならないのでありまして、そのことなしには万事終わりであるということを、私は附言いたしておきます。
 今や世界恒久平和に向かいまして、われわれは、その一大理想を達成せんとするあらゆる努力を傾けている。從つてわれわれは、この正常なるべき道を阻害するごときすべての事柄に反対するものであつて、從つて以上申し上げますような理由によつて、この追加補正予算に反対を表明すると同時に、政府は誠実を傾けてこの予算の組みかえのことを実行せられるよう、そのことを強く要求いたしまして、労働者農民党を代表して反対の討論を行つたのでございます。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 尾崎末吉君。
    〔尾崎末吉君登壇〕
○尾崎末吉君 私は、民主自由党を代表いたしまして、ここに上程せられました、政府提出にかかる昭和二十三年度一般会計予算補正第二号及び特別会計予算補正特第二号、すなわち追加予算案に賛成をいたすものであります。この追加予算案の実質は、歳入歳出ともに総額五百八十六億余円でありまして、昭和二十三年度末予算総額の一割四分に当るのであります。そのうちのおもなるものは、官吏の現在賃金三千七百九十一円ベースから今回新たに修正決定せられて、昭和二十三年十二月一町から支給すべき六千三百七円ベースの差額金二百六十二億並びに災害復旧費六十億円及び既定経費不足や新規事項の追加にして緊急やむを得ざる最小限度のものであります。
 今、この追加予算編成の跡を愼重に検討いたしまするに、過去の片山、芦囲両内閣における予算編成と異なる特長があるのであります。その第一点は、現下のわが國の財政政策が特に経済全般に及ぼす関係の大なるにかんがみまして、財政の健全性を貫いてインフレを収束することの用意と、連合國の対日援助と相まち國民経済再建の基本的用意とにより、一般会計及び特別会計並びに地方財政を通じて愼重に収入との均衡をはかり、ここに経済三原則並びに去る十八日アメリカ政府からマ元帥を通じて日本経済の安定自立に関して與えられた九原則を活用することのできる根底があることであります。
 その第二点は、國民が今日極度に生活難にあえぐとき、歳入財源の影響がただちに一般物資に波及して、この上インフレーシヨンを助長することを極力避けるため、鉄道運賃や通信料金値上げ等の得やすいものに手を触れなかつた点であります。
 その第三点は、國民負担の現状を深く洞察して、その負担が過重にわたらぬ範囲にとどめた点であります。
 その第四点は、この予算に盛られた官吏の新賃金と民間賃金並びに國民の消費水準とを深く勘案しながら、國家公務員法の改正に伴う官吏の、地位尊重のためその待遇を改善し、関連して企業の合理化と勤労者の能率向上の秩序ある態勢を整えたことであります。
 当初この給與ベースは、國家財政の現状と、一般経済その他に與える影響等を考えまして、五千三百三十円といたし、公務員に忍ぶべきを忍んでもらいながら一意能率の向上と生産の増強とをはかり、遠からずその待遇がさらに上昇することを期するように相なつていたのであります。しかるに、野党側の多くが、これを六千三百七円に引上くべきことを強く要求いたしたことと、関係有力筋のごあつせんがありましたのとに顧み、これを六千三百七円ベースといたしたのでありますが、これが一般産業並びに経済方面へ悪影響を及ぼすことを極力排除するとともに、能率の増進と生産の増強とを強く期待するために、政府は一週三十三時間勤務の現状及び最初の野党案をしりぞけまして、これを一週間四十時間以上四十八時間勤務といたしましたで、この最低延長時間を計算に入れますと、五千二百三円とひとしいものと相なるのでありますが、毎月の所得額は増加することとなり、当初案よりも、なお一層健全性を増すことと相なつておるのであります。(拍手)
 その第五点は、災害復旧費六十億円の計上であります。もとより委員長報告のごとく、各地の風水害、北陸の震災、アイオン台風による災害等に対し六十億円をもつてしては、これで十分なりとは言えないのでありますが、政府当局の説明の通り、急を要する復旧に應ずることができるのでありまして、これを片山、芦田両内閣当時の災害復旧費に比べますれば、はるかに多額の数字でありまして、その努力の跡と、現政府の災害復旧や國民経済再建に対する熱意を見ることができるのであります。(拍手)その他既定経費の不足や、新規事項にして緊急やむを得ないものの経費の予算も、現段階においては、おおむね妥当であることを認め得られるのであります。しかしながら、ここに政府に対し特に強く要望いたしておきますことは、もはや担税力の限度を越えて苦悶する國民に対して、名目利益対象の課税を行うことの弊害を是正し善処せられることと、できるだげすみやかに取引商税の撤廃を断行して、國民経済と日常生活とを明朗にすることであります。さらに、この予算をもつて寒冷地手当や電産等に適切妥当なる行政措置を講ぜられたいということであります。他面、今回のこの追加予算案の審議が著しく遷延いたしたことにより、公務員にはいたずらなる焦燥を與え、國民多数にもまたはなはだしく非難せられたことは、社会の信用上からも重大事でありますので、三大野党を初め社会みずからが深く反省すべきことをこいねがうのであります。(拍手)
 これらの理由により、私はこの追加予算案に賛成をいたすのでありますが、一面においては、その日の生活にあえぎながら越年にさらに悩む公務員の待望を深く察し、一面においては、風水害や震災等に富む地方の人々が、その復旧費の與えられる日を待ちわびておる衷情等をも深くこれを洞察して、この予算案が議員総員をもつてすみやかに議決せられんことをこいねがうものであります。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 織田正信君。
    〔織田正信君登壇〕
○織田正信君 第一議員倶楽部を代表して、今回提出されました昭和二十三年度補正予算に対して反対をするものであります。
 その反対の理由といたしまするところの第一点は、今回の予算の財源の大半が租税の自然増収に求められておるという点であります。政府は、賃金と物價と生産指数の上昇をもつてその根拠としているようでありまするが、十一月二十日の閣議内定では、租税の自然増収見積りは二百二十億であつたのが、急に四百十億に変更したという事実は、歳出の要請から不当な見積りをしたとしか考えられません。旅客運賃、通信料金、たばこ等の値上げはしなくても、すなわち間接税が直接税に変わつただけであります。
 今日の日本國民は、長期の戰爭負担のため重税に苦しめられて來ましたが、敗戰後は、その結果が集中的に表現されて、インフレと物資不足に苦しめられております。しかるに、政治は依然として悪政が続けられているといとであります。世の識者は、今日の状態を評して、清朝末期の現象にさも似たりだと申しております。悪税に苦しめられる國民、國民の汗とあぶらの税金で生活する者が厖大しつつあり、しかも、これら官界の腐敗ぶりは、心ある人々の義憤の的となつている状態であります。しかもなおこの状態から百八十度の轉換をせんとする努力なくして旧態依然たる政治の継続が行われておるということ、これがために法律の濫発による権力統制と刑務所の増設をもつてしておる現状は、まさに悪逆無道の政治と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 GHQ・ESSSの労働課長でありますヘブラー氏も、日本人民の現在の租税の負担はあまりにも重いのであつて、この上の過重はとうてい実行不可能であると、毎日新聞紙上で声明をいたしておるのであります。まさに今日の政治家の急務は財政支出を徹底的に削減することにあり、これがためには、官療資本、すなわち國有財産の費却等、國民の汗とあぶらの税金で生活する人人を必要最小限度にするということであると信じます。このことはマ書簡にも明示されておるところであり、吉田内閣もまた民主自由党も常日ごろから唱えておるところでありながら、依然として野党にるところの言葉と、一旦政局に立つて行うことの内容とのこの相違には、あまりにもだまされて來た國民が、今日また失望を感じようとしておる現状であります。(拍手)重ねて申しますが、直接税たると間接税たるとを問わず、財源を重税にのみ頼ることなくして、厖大化しつつある官僚資本を民間に費却し、國民の汗とあぶらの税金によつて生活する人々を必要最小限度にして支出を抑制し、國民を富ますといことこそ、今日の政治のとるべき措置であると信じます。
 反対の第二の理由は、マ書簡九原則の第一項目にもあげられておりまするが、支出の引締めを行うことが今日の急務であります。しかるに、ガリ版刷りの大綱のみ示したこの予算の編成の仕方は、この内容を詳細に調べて、それが適当であるかどうか、十分審議することが不可能な状態に置かれておるということ、これは前芦田内閣におきましても、民主自由党自身が強く攻撃したことでありまするが、この点に関しましても、依然として旧態依然たる状態が行われておるということであります。しかるに、今回の大綱に示されました資料をもつていたしましても、十二分にこの支出の適否の判断が期しがたいのであります。
 反対の第三の理由は、今回追加いたしました予算のねらつておりますところは、給與の改善と災害の復旧費であります。しかるに、この追加予算に便乗いたしまして、予算の年分以上が終戰処理費等、大半の額が便乗予算として含まれておるということであります。これらの理由を、物價騰貴のためであると政府は説明しておるのでありますが、物價騰貴のためでありますなあらば、何も終戰処理費等にのみ限ることなく、米價その他全般にわたる問題であると信じます。しかるに、終戰処理費等一部にのみこのことを追加するということは、他の全般にわたつてより以上の犠牲を強要することであります。
 以上三点、反対の理由を述べまして、第一議員倶楽部として、今回提出されました追加予算に対して反対をいたすものであります。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 勝間田清一君。
    〔勝間田清一君登壇〕
○勝間田清一君 私は、ここに上程されました昭和二十三年度一般会計予算補正第二号並びに特別会計特第二号に対しまして、日本社会党を代表いたしまして、本予算がいわゆる給與の予算であり、同時にこれが災害復旧の予算であるという意味において、きわめて重大でありかつ緊急を要するという見地から賛成の意を表するものであります。
 しかしながら私は、この予算に対して重大な欠陥の多くを指摘せざるを得ないのでありまして、片山内閣成立以來、われわれは幾多の批判と困難の中に立たせられたけれども、現在におきましては、かつての批判者が今まさに批判される段階に立つておると考えるものであります。しかしながら、われわれは、いたずらに批判のための批判をせんとするものではありません。いかなる内閣が予算の編成に当りましようとも、幾多の困難があることは、われわれは十分にこれを承知いたすものであります。また同時に、われわれがこの予算についてあえて批判せんとするものは、この予算の実行にあたりまして、われ尊重大なる警告をなさんとするものであります。いたずらに、從來吉田内閣が日ごろ豪語しておつたところの、あるいは供米後の自由販費であるとか、あるいは料飲店の再開であるとかいつたような、ばかげ切つた政策が泡沫に帰したことだけを指摘するものでもありません。(拍手)同時にわれわれは、いわゆる例の小澤國務大臣が、三月一日に、新財源を発見して取引高税を撤廃すると豪語したその事実が、現在まつたく雲散霧消したことを指摘せんとするものでもありません。(拍手)また、今後のこの予算全体を通じまして、常にいわゆる民主自由党は財源の困難を指摘して参つたけれども、われわれは、数箇月以前において民主自由党の諸君が、農民からどぶろくに課税することによつてを百億徴収する、いわゆるどぶろく課税に対する意見の片鱗をも聞くことのできなかつたという事実を指摘せんとするものでもありません。われわれは、むしろ問題はさらに基本的な点にあると存ずるものであります。
 すなわち、今度の予算の本質というものの中に、給與の予算対し、また災害復旧の予算に対しまして、政府はその態度において、眞にこの予算と取組もうとする熱意がないばかりでなしに、むしろ勤労大衆に対して低賃金を押しつけ、同時に首切りまでも計画している点でありまして、この点を、常に従來政府は、物價と賃金との悪循環という基礎に立つて主張せられて來た。しかしながらわれわれは、この論拠に対して謙虚に批判しなければならぬと思うものであります。
 言うまでもなく、現在賃金の指数に対して、いわゆる消費者の実効價格の指数は確かに進歩いたしております。それあるがゆえに、実質賃金は現在一五九に達していることは当然でありまするけれども、この事実をもつて賃金を押しつげよう、あるいは低賃金にこれをくぎづげしようとする政府の意図の中には、私は重大なる欠陥二つを指摘せざるを得ないのであります。
 一つは、申すまでもなく政府は、現在の勤労大衆の生活、生計費に関して全然眼をおおうているという事実であります。諸君も御存じの通りに、現在勤労大衆の実質賃金は、政府の豪語にもかかわらず、戰前のわずかに三八%に過ぎないのでありまして、しかも勤労大衆の家計費は、戰前の四六%に過ぎないのであります。何ゆえに実質賃金が三八%であつて、家計費が四六%であるかということは、言うまでもなく現在の実質賃金をもつていたしましては、勤労者はその日の生活ができないことを意味するものでありまして、それあるがゆえに、勤労者は自己の着物を費り、あるいはあらゆる物資を費つて、たけのこ生活をすることによつてこれを賄い、あるいはまた、いわゆるアルバイトと称して手内職をすることによつて初めて生活を保つておるのでありまして、一五九の実質賃金で食えないから、たけのこをやり、あるいはアルバイトをやるというのが、現在の実態であります。その事案を無視して、実質賃金が向上しておるから、その代償に賃金をくぎづけしようとするこの政府の意図というものは、断じて労働者の受入れるところではないことを、われわれは知るものであります。(拍手)
 同時に、かつてエンゲルが、生計費の中で五三%を占むる家計が最も最低の家計であると言つておつたのであります。しかるに、現在政府が豪語しておる実質賃金の水準をもつていたしましても、実に六五・七%にこれが当るという事実でありまして、現在の家計の実態を見ますならば、われわれは慄然たらざるを得ないのが事実だと考えるものであります。
 しかもわれわれは、こういつた家計や、そういつた実態を見るだげでなしに、逆にわれわれは、現在の企業の実態を見なければならぬと存ずるものであります。先ほど來の弁士もいわれました通りに、現在の日本の生産額、御案内の通りに、昨年の一ー三月を一〇〇にいたLますならば、生産量は三一一に現在到達いたしております。しかるにもかかわらず、勤労者の雇用量は、昨年の一〇〇に対して現在一〇〇を占むるに過ぎません。一人当りの労働の生産性は、確実に向上をいたしております。從つて、一單位の中に占むるところの労働の賃金量というものは、昨年の一ー三月を一〇〇にいたしますると、本年はわずかに七〇%、七割を上つておるにすぎないのであります。しかるに、企業が賣るところの生産物一の実質價格指数におきましては、実に三一三に上つておるのであります。すなわち、生産物の價格に対して、むしろ賃金に下まわつておるという実情を、われわれは無視して考えることは出来ないのであります。(拍手)
 かかる事実を無視して、労働者、勤労大衆に対して低賃金を押しつけ、さらにわれわれは、首切りまでも用意するところの政府に対しては、断固反対せざるを得ないものであります。(拍手)われわれは、六千三百七円案に対して、これが完全なる支給を望むことを強く要望するものであります。それと同時に、大量馘首に対しては、われわれは断固これに反対することを、ここに誓うものであります。
 さらにわれわれの考えるべき事柄は、このたびの災害復旧費に対してであります。常に農民の諸君は、あるいは租税恐慌に、あるいはすべての農業恐慌に見舞われておるにもかかわらず、これに対するいわゆる自然増収八十四億を見積つた。にもかかわらず、災害復旧費に対しては、わずかに六十億しかこれを見積つていなのであります。これは言うまでもなく、現在の資材をもつていたしましても、九十億に匹敵する予算は当然計上せらるべきであります。われわれは、現在の吉田内閣が、一見農民の味方であるがごとくよそおいながら、事実は農具に対する搾取者であることを、反対者であることを、指摘せざるを得ないのであります。(拍手)
 次にわれわれの指摘しなければならない問題は、先ほど尾崎末吉氏が、口をきわめて本予算の健全性を主張せられた。われわれは、これに対して遺憾ながら反対せざるを得ないものであります。(拍手)この事実を、ここにわれわれは積極的に示すでありましよう。
 すなわち政府は、一般会計において収入五百八十六億八千万円を見積つておるのでありまするけれども、これに対する所得税の自然収入三百七十億円という数字を見積つております。その収入は、全収入に対して六割三分を占めております。そうして政府は、國民所得を二兆三千九百億円と見積り、國税負担を一七・二%に見積つておりまするけれども、われわれの討議の経過におきましては、いわゆる國民所得を合せたのではなくて、租税に折合うような分配、國民所得を計上したという実情にあると信ずるものであります。(拍手)水増し予算という言葉があるならば、これこそ実に水増し予算の実体であると言うべきでありましよう。(拍手)
 しかも政府は、先ほど申した通りに、農民に対する重税を課しており、さらに勤労大衆に対しましては、合計二百三十一億七千万円の、いわゆる勤労所得の自然増収を見積つているのであります。よく現在口を開げば、二百六十二億円の予算を計上することは國民に対して非常な大きな犠牲をしいると主張しておつたけけれども、この勤労所得に対するはね返りや、源泉課税の増収分二百三十一億というものは、官吏の給與改善費の二百六十二億に匹敵する数字であります。勤労着から税金をとつて他の勤労者に與えて行くという詐欺政策以外の何ものでもない。
 しかるにわれわれは、これらの一切のものを、いわゆる脱税捕捉に持つて行くことを主張するものであります。すなわち、四百十億の自然増収を見積つてする政府でありまするけれども、それが徴収に対しましては、いわゆる脱税捕捉に行くべきであると信ずるものであります。昨年七月から、もし現在の所得税の捕捉率四割のものを六割に厖大することにいたしましたならば、五十万円以上の高額の所得者から、三百八十億円の増収を得ることを知るものであります。単に、この所得税の自然増収、なかんずく農民に対する税の実施というものについては、この実行の上におきまして、すべてこれらを軽減し、同時に脱税者にこれを完全に振向けることを、われわれは要求するものであります。(拍手)
 またわれわれは、それ以外に考えることは、現在の政府が、國立病院における自然増収を十五億円見積るとか、あるいは超過電力料金を十億円見積るとか、あるいは地方財政の返還金を三十五億円見積るとか、これらすべての点を合せまするならば、われわれは、その収入の面において決して健全財政と認めることは断じてできないのであります。
 さらにこの事柄は、次のの問題を考えることによつて明確になるのであります。それは言うまでもなく、本予算案が、尾崎末吉氏の言うがごとくに、いわゆる経済の三原則に合い、マ書簡の九原則に合うかのごとき観を呈しておるのでありまするけれども、この関係には絶対に賛成するわけには参らぬのであります。
 今度の予算が第二次追加予算を必至とするものであるということは明確であります。すでに、本予算案に計上せられなかつたところの鉄道及び通信会計における赤字三十五億、公團の赤字二十億、その他の特別会計十億、あるいは補給金の赤字八十億、あるいは必要やむを得ざる新規事業二十億、その他合計いたしまして三百七十億というものを除外し、それにほおかむりをして、本予算というものを計上いたしたのであります。鉄道その他の特別会計の赤字を放棄して、その上に予算を計上しておるところのこの予算を、われわれは健全財政ということもできなければ、インフレ処理のための予算と断定することは絶対にできないものと信ずるものであります。(拍手)われわれは、同時にこのことは、次の物價引上げを含んでおるものと考えるのでありまして、いわゆる尾崎氏は、物遺引上げを含まない予算であると言うけれども、すでに鉄道や通信やその他の特別会計の厖大な赤字を含んでおるのでありまするがゆえに、次の機会におきましては、いかに民主自由党の諸君が希望しようとも、鉄道、通信会計の赤字克服の問題は、重要な問題としておおいかぶさつて來るに違いないのであります。
 またわれわれは、補給金八十億の問題につきましても、同様のことがいい得られるものと存ずるのであります。また現に、本年度における予算を見れば明確であります。本予算のうちで、石炭関係のみをもつていたしましても三十九億五千万円を計上しておるではありませんか。いわゆる北海道の暖房用炭、炭鉱労働者の賃金のはね返り、石炭業の生産奨励金、あるいは北海道の地区炭鉱の從業員手当等々の、当然に補給金として出しておるところのこれらのものを、いかに処理して行くかという問題は、これは物價を考慮せずしては処理できないものと信ずるのであります。
 われわれが眞に考える事柄は、特別会計や一般重要産業における処置を全然ほおかむりしたところの予算であるがゆえに、これは物價を上げず、赤字融資をせず、補給金を出さずというこの三原則に対して一致する予算であると考えることは、絶対にできないものと思うものであります。また事実吉田内閣は、脱税を捕捉し、脱税者を厳罰にするとか、また價格、配給計画を強化して、これが範囲を拡張するとか、すべて政府においては実に困難な問題が山積しておるけれども、これらの九原則に対して、いかにこれを好意的に考えても、吉田内閣はその責任をとることは絶対に不可能とわれわれは予測せざるを得ません。
 われわれは、これらの以上諸点について幾多の困難を指摘し、幾多の点についてこれを批判して参つたのでありますけれども、われわれは、現在の実施と将来の計画において、それらを十分取り入れられることを希望するものであります。しかしながら、現にこれら対して、われわれがあえて賛成せんとするところのものは、言うまでもなく、先ほど來申した通りに、われわれは、現在の給與予算というものは勤労大衆の年末を控えての切実なる要求であるばかりでなしに、また災害の復旧費が同様の緊急性にあるにかんがみまして、現在単に反対するがための反対は実に簡単であると存ずるものであります。われわれは、従來まで幾多の批判は聞いて來たけれども、批判に到達するところの努力と熱意とを失つたところの政党に対しては、われわれだ、これをまことに批判せざるを得ないものと信ずるのであります。(拍手)われわれは、門前において説教することはできる。しかし、いかにしてそれを実現するか対する熱意と責任とを持たざるところの政党に対しては、われわれは遺憾ながら賛成することはできないのであります。われわれは、最大可能の熱情と最大可能の誠意を傾けてこの予算を成立させることの努力をここに要望してわれわれ代表の討論を終るものであります。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 野坂參三君。
    〔野坂參三君登壇〕
○野坂參三君 私は、日本共産党を代表しまして、本補正予算案を返上し、その組みかえを主張するものであります。
 政府の説明するところによれば、この補正予算案は宮公吏その他の給與改善と災害復旧を中心とするものであると言つている。しかるに、その実際の内容を見たとき、その名目とはまつたく異なつて、政府は一方では官公吏、電氣、海運、石炭、非鉄金属、繊維などの從業員に対して現実に食えない低賃金を押しつげておきながら、他方では、大資本に対しては補給金の名で莫大な補助を続けておるのであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
しかも、それらの負担を、労働者はもちろん、農民、中小商工業者に対する苛勲請求に求め、まつたく大資本擁護のための一方的収奪を企てていることは、きわめて明瞭であります。共産党は、勤労大衆の生活安定と経済の自主的再建を阻害するこのような欺瞞的予
算には、絶対に反対せざるを得ないのであります。私は、以下十点にわたつて反対の理由を申し述べたいと思います。
 第一に、われわれは、適正價格による完全配給を基礎とする最低賃金制の確立を主張するものであります。さしあたつて官公吏の給與は、手取り七千三百円を八月にさかのぼつて支給し、十一月以降は、さらに物價水準にスライドして九千百十七円を支給すべきである。また政府が、四月から三箇月間給與改訂を故意に遅らしたために生じた赤字補給金として、二、八箇月分を即時支拂うべきことを、われわれは主張するもののであります。
 第二点、しかるに今回の六千三百七円案は、約一時間半の労働時間を延長し、さらに現物給與を差引いている。そのほか超過勤務手当などの既得権を
削減し、労働基準法以下の賃金引下げを企てる奴隷的賃金案であります。従來の基準に換算すれば、現物給與差引を別にしても、実質的には五千二百円にしかすぎないのであります。このような低賃金政策こそ、生産意欲を失わ。しめ、経済復興を阻害するところの根本原因であります。しかるに政府は、人件費があたかも厖大予算と重税の原因であるかのごとくに逆宣傳を行い、官公吏六十万の首切り、行政整理を強行しようとしているのであります。しかし、実際には人件費は、一般及び特別会計を合せた歳出の一二%であり、事業会計を除けば、わずかに九・四%にすぎないのであります。
 第三点は、手取り七千三百円支給に必要な経費並びに窮乏せる地方財政を救済するに必要な全額国庫負担額を合計すれば、約一千三百億円であります。この財源は、第一に大資本家救済費を根本的に削減すること、第二に、大口脱税を徹底的に民主的な方法によつて徴収することによつて、容易にまかなうことができるのであります。(「具体的にどういうふうにやるんだ」と呼ぶ者あり)共産党が政府をつくれば必ずやつて見せる。
 第四点、農民は事前割当と強権供出の重圧に悩んでいるばかりではない。政府の低賃金政策によつて、大衆の購買力が枯渇してしまつたために、農産物のマル公割れは、今や全般化しております。この農民の窮状に対し、政府は何らの措置を講じていない。その上、さらに農地委員会の経費さえも一銭も計上していない。現在農地委員会は、当初予算の経費だけでは職員の待遇にも事欠き、また実際上定員以上の人員をもつて事務の渋滞と闘つている実情をまつたく無視して、農地委員会の活動を財政面から締め出しております。これは事実上農地改革の打切りにひとしいものであり、また政府は、十一月の物価價水準を認めながら、米價を生産費以下にすえ置いておるのであります。
 第五点には、中小商工業者もまた同じく政府の低賃金政策による賣れ行き不振に悩まされております。しかるに政府は、この窮状に対し救済措置を講じていない。その上、為替レートをてことして企業整理を強行しようとしており、商工大臣は、引合わない企業はつぶしてしまつてもよいとまで公言しているのであります。
 第六点、以上の収奪政策の上、さらに重税が人民の上にのしかかつている。すなわち政府は、勤労者、農民、中小商工業者の生活がまつたく破綻しておる事実を無視して、実に生活費に食い込む重税を課しておる。これは明らかに不当である。人民の税負担はすでに限度を越えている。われわれの計算によれば、直接・間接・地方税を合計すれば、当初予算だけでも収入の約七割に及んでいるのであります。しかるに政府は、今度の追加予算では、さらに水増しを強め、源泉所得税は当初に比し六一%増し、申告分も一三%。増しの重税を準備している。また、勤労所得税は歳入の四八%を占め、農民、中小商工業者に対する天くだり更正決定も、いよいよ強化されようとしております。これに反し、約数千億に達する大口脱税はまつたく徴収されていないありさまであります。
 第七点として、地方財政に対しては、窮乏その極に達しておる事実を認めない。その上に、三十五億円の償還金を取立てようとしている。また、本來全額國庫負担とすべき六・三制その他の経費も依然として地方に押しつけ、特に六・三制の施設費は、全然予算に計上していないのであります。
 第八点、かくのごとく人民に対しては低賃金と首切り、企業整理と重税の収奪政策を強化しているのに引きかえ、大資本だけに対しては補給金その他の救済補強致策をとつている。價格補給金一つをとつてみても約六百六十億の巨額に上つております。政府の説明によれば、いわゆる給與改訂のためと称する百十億の價格補給金の内訳について、政府は何も明確な説明をなすことができないで、きわめてあいまいにやつている。われわれの見るところでは、少くも十億内外の使途不明な分がここに計上されておることを見ることができる。このようにして、予算は直接間接に大資本の救済に充てられ、あるいはその食いものになつている。ここに政界、財界の腐敗の一大温床がある。さらに不生産的消費の増大と相まち、総計一兆六百億に上る厖大インフレ予算が成立しようとしておるのであります。
 第九点、以上のごとき人民収奪は、政府の意図に反し、逆にますます國内事情の狭隘化をもたらし、再び大資本のために人為的購買力を創設する政策、言いかえれば厖大なインフレ予算が必至とならざるを得ない。これは、さらに増大する不生産的消費による生産の砂壊と相まち、インフレの悪化は不可避であります。政府のいわゆる収支均衡政策とは、実に計画的インフレ政策にほかならないのであります。
 最後に、日本共産党は、人民の生活安定と向上、自主再建のために、第一に、大資本家と國家権力との結合を断ち切り、予算の一大削減を断行すべきことを主張する。第二に、勤労所得税、取引高税その他の大衆課税を即時廃止し、他方大口脱税を徹底的に徴収し、大所得者に就しては高率累進税を課すべきことを主張する。第三に、金融機関と重要産業、すなわち資金と資材を國営人民管理に移し、積極的な人民の生活安定と経済再建のための財政経済政策を樹立すべきことを主張する。
 以上の理由によりまして、日本共産党は、当補正予算に反対し、これを返上して組かえを要求する者であります。
(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 中曽根康弘君。
    〔中曽根康弘君登壇〕
○中曽根康弘君 私は、民主党を代表いたしまして、ただいま議題となつております両議案に対して、忍びがたきを忍んで賛威の意を表する者であります。
 吉田内閣成立してここに三箇月、われわれは、この内閣の能力とこの内閣の出現が日本民族の國際信用に及ぼす影響を考慮したがゆえに、國家の前途を思つて、この内閣の誕生に消極的見解をとつたのであります。はたせるかな、内閣出現と同時に、ニユーヨーク・ヘラルド・トリビユーンを初めとして、日本は國際世論の猛烈な反撃を浴び、吉田内閣は、國際的には好ましからぬ勢力の傀儡としての刻印を押されたのであります。
 しからば、國内的にはこの内閣の治績いかんと言えば、統制撤廃をもつて國民をあおつたこの自由経済内閣が成立直後、皮肉にも、今まで自由経済にあつたあの燃料のたどんが統制に入つたのでありますが、この最初の文字通りの黒星は、その後の内閣の運命を暗示したのであります。すなわち、総理大臣が唱えた冒頭解散の失敗、六千三百七円ベースの突然の出現、経済三原則による内閣の混乱、十七日の審議終了の失策、憲法七條解散の敗北、田中政務次官の強制牧容、二十七日首相の民自党秘書代議士会の失言、三十日解散の不可能、あるいはさらに第四回國会に入つては、未曽有の泉山事件、関係方面による政府法律案の否定、はては給與関係法案のものまねによる再修正等、御承知の通りの黒星の連続であつたのであります。(拍手)しかも、これに並行して石炭、海運、電氣等のストライキは勃発し、石炭においては生産実績の激減、たとえば九月の一〇三%、十月の九九%は、十一月に入つて九五・五%ととなり、十二月上旬においては九〇・七%に減つたのであります。海運においては、第一次テストによつて、十一月上旬においては計画に対し一〇二%、中旬においては一〇一%であつたものが、下旬にいたつては七八%に下り、第二次テストによつては、十二月上旬は実に七一%の実績に下つたのであります。この間の輸送量の低下量は実に十八万トン、船舶運営会の収入減は一億五千万円に及んだのであります。このほか、産業に及ぼす影響に至つては実にはかり知れざるものがあるのでありまして、しかも、この二箇月聞に及ぶこれら争議の解決の停滞は、実に吉田内閣の労働政策における無策無能をそのまま暴露しておるのであります。(拍手)
 かくのごとき内閣によつて作成提出された追加予算の内容は、またまさに内閣の性格とその能力を明らかに示しでおるのであります。まず第一の性格は、現内閣の公約無視に現われておるのであります。すなわち、たとえば統制撤廃であるとか、あるいは料飲店の再開のごときは、一本の政令をもつてこれをやることができるのであります。しかるに、その政令すらいまだ出て來ない。あるいは取引高税の廃止、自由販賣に至つては、片鱗すら現われることができないのであります。
 第二は、給與法案の上にその内閣の性格が現われているのであります。すなわち、五千三百円ベースを固執して、合理的、科学的であると、本余議においても委員会においても揚言した直後、政府原案は関係方面よりまつたく否認せられ、あまつさえ、從來否定を続けて來た六千三百七円ベースに平然として乗りかえを行つて、野党の政策を猿まねして当面を糊塗したのは、御承知の通りであります。(拍手)ここにもまた吉田内閣の反勤労者的性格が暴露されているのであります。
 第三に、災害復旧費においては、昨秋片山総理を予算委員室において閉じこめて経費の増額を要求した民主自由党の現内閣が計上した金額はわずかに六十億円、前内閣が本予算に計上した額は百二十六億円であります。現在の災害は、福井地震あるいはアイオン台風等によつて、損害額は実に四百億、追加要求額は二百億に上つているのでありますが、これに対してわずかに六十億円であることを思えば、いかに現内閣が災害復旧をおろそかにしているかということは、歴然たるものがあるのであります。(拍手)
 歳入面を見れば、まず驚くべきことは、租税自然増収四百十億円の事実であります。この所得税を中心にする水増し増税は、その方針において、あるいは間接税中心より直接税中心へのアイデアにかわるとか、あるいはまた経済安定九原則に示されたような安定恐慌を決心しての増税であるならば、一應了解せられないでもないのであります。しかしながら、委員会における質疑應答によれば、それはまつたく無策の結果、國民所得を水増しして増税に安易なる逃げ道を見つけたのでありまして、特に申告所得水増し百三十九億のうち、農林水産業所得の割当が八十四億円なるに対して、営業事業関係所得の割当が四十四億、その他十億なるを見れば、いかに現内閣が農林水産重課を行つているか、唖然たらざるを得ないのであります。
 國民所得の点より見れば、ここに安本の調査に示すように、本年度國民所得の算定は二兆三千億円であります。それに対する農林水産関係の所得は五千百三十五億、その他の事業所得は九千三百五億円であります。しかるに、この数字に逆比例して、農業方面に二倍の課税がかかつておるという事実を、われわれは断じて見逃すことができないのであります。ここに吉田内閣の反農民的、反漁民的性格が明らかに示されているのであります。(拍手)このことは、來る二十七日に行われるであろう全國地方長官会議において、來年度の供出事前割当量の驚ぐべき水増し――一説によれば、來年度は六千五百万石といわれているのでありますが、現民主自由党に釣られた自由販賣の夢はどこへやら、税金と供出で農漁村をしぼるこの政策は、まつたく農民漁民の期待を裏切るものでありまして、一月中旬行われるであろう農業所得の更正決定における税金旋風に、あるいはまた本年度の事前供出割当に、必ずや農漁民の吉田現内閣に対する怨嗟の声は、全國津々浦々に現われることを断じて予言する者であります。(拍手)
 さらに、前議会に提出を公約した取引高税廃止法案に至つては、第四回國会に至るもいまだ現われず、統制撤廃にしてもまたしかり、ここに中小商工業を瞞着する現内閣の反中小企業的性格は、歴然たるものがあるのであります。(拍手)
 さらに言えば、本通加予算審議中明らかにされた、まつたく遺憾な事実は、貿易及び為替の問題について、政府に確固たる定見がないということであります。五箇年許画については、総理は、從來の封鎖的、自給自足的な構想を改めて輸出中心主義に轉換する旨の見解を述べられたのでありますが、この構想については、われわれもかねがね、主張するところであつて、同感を禁じ得ないのてあります。しかしながら、さらに具体的にいかに年度計画を組み立てるかという点に至つては、総理大臣はもちろん、内閣全体として何らの政策もないのであります。長期五箇年計画は経済復興の基本的政策であり、傳えられるとらろによれば、現内閣は、前内閣設定の五箇年計画に関する委員会すら一度も開催したことがないように思えるのでありますが、ここにも國際的視野に欠けた現内閣の性格の一端が現われておるのであります。(拍手)
 為替相場の問題に至つては、さらに現内閣に統一的な調査すらいまだに行われておらない事実があるのであります。委員会の質問において、一体一ドル何円を適当とするか、その際の國内の物價と企業の原價にいかなる影響が現われるか、それによつていかなる企業が倒れ、いかなる企業が有利となるか、その場合の為替調整量をいかに措置するか、等國民全体がまさに聞かんとしておるこの質問に対して、何ら統一的調査と見解を示さなかつたのは、まつたく遺憾とするところでありまして、(拍手)特に國際貨易復活の際の蚕糸業の安定措置に関する具体的構想すらうかがい得なかつたのは、まさに全國農村の期待を裏切るものといわなければなりません。(拍手)
 さらに最後に最も見のがすべからざる重大なる問題は、最近関係方面より指示された経済安定九原則に関する内閣の態度であります。私は、日本國民みずからが確立すべきこの経済安定九原則を関係方面より指示せられたる事態を、深く悲しむものであります。しかるに吉田総理は、マ元帥に対して、これを誠実に履行する旨の回答を提出しておるにもかかわらず、何らこれに対する決意も対策も考えていないのは、一昨日來の予算委員会において暴露されたところであります。(拍手)
 実に九原則の実施は、必然的に國民大衆に対して徴税の強化、行政と企業の整備合理化「飢餓的輸出及び必然的にこれに伴う賃金安定、犠牲の平等化、失業と労働強化等の一連の耐乏的生活をしいるものであります。それはまた、他面日本民族が、みずからの経済安定と復興に対していかなる熱意と眞剣なる努力を示すかということを、世界の前にためさんとしておるものであります。このような米國政府の要請は、赤字金融や補給金による他力本願のこじき根性になり下つている日本國民、特に経済人に対して、一台鉄鎚を與えるものといわなければなりません。今こそ日本國民全体は、このきびしい現実を直視し、新たなる行動と勇氣を振い起さなければならないのであります。
 しかるに総理大臣は、日本國民に、みずからその決意と対策を表明したことがあるか、野党攻勢に押しつぶされて、議会乗切りと解散にのみ血道をあげているのが現状ではありませんか。(拍手)かくのごときありさまは、吉田内閣がまさに世界と國民に対する義務を怠つておるものであつて、断じて國民の総意をあげてこの責任を追究せざるを得ないのであります。
 これを要するに、現内閣は、長期計画その他の基本的國策においても、まつたく無為無策を示すものであり、本追加予算に現われた具体的政策を見ても、それはまつたく公約を裏切り、勤労者をないがしろにし、中小商工業者を瞞着し、農漁民に対して苛斂誅求せんとするものであつて、しかも綱紀粛正を唱えたこの内閣が、ニユーヨーク・タイムス紙のトツプを飾つた泉山事件を起すに至つては、十九世紀的旧態全依然たる保守党の残骸を二十世紀の今日は露呈しておるものといわなければならないのであります。(拍手)
 今や経済安定九原則の実施は、日本民族の危機突破の唯一の血路であります。これを貫徹するためには、階級を越えた全國民の友愛と連帯のもとに、放任をためて流通秩序を確立し、労資の協調提携をはかり、國際信用のある強力な政策力の結集を行わなければならないのであります。政府も、朝に立つて初めて日本の立場と國政の困難を知られたことと信ずるのであります。そしてまた、総理大臣以下関係閣僚の諸公は、よくもまあこの弱体内閣にして命を長らえて來たと、感無量なるものがあるであろうと思うのであります。この九原則の完遂は、実に政党政脈を超越した民族的義務であつて、すべての政治勢力は、すべからく既往の経緯を捨て、党略を離れ、この客観情勢に焦点を合すべく、愛國的政治力結集のため眞創なる努力を展開し、連合國の好意と日本國民の信託にこたえなければならないのであります。
 そのためには一大前提条件がある。吉田内閣と民自党のイデオロギーないし政策そのものが、根本的に再険討されなければならないのであります。そしてまた、國際的良心の回復が断行されなければならないのであります。これが日本のの政治と民主主義を前進させる基本的条件なのであります。総選挙がすべてを決するのでは断じてない。政策の轉換と國際的視野の回復が次期政為力結集の原動力になるであろうということを、ここに厳粛に宣言するものであります。(拍手)
 私は、本追加予算の内容については、まつたくずさんきわまるものであると断ずるものでありますが、しかしながら、世の中には悪いものでも必要なものがある。年末を控えて、公務員の生計と企業の金詰まりと災害血の苦難を思い、まことに大局的見地に立つて、やむを得ざる必要なる悪予算として、本追加予算を万斛の涙をのんで事務手続上通過せしめることに賛意を表するものであります。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 井出一太郎君。
    〔井出一太郎君登壇〕
○井出一太郎君 私は、國民協同党を代表いたしまして、ただいま上程中の補正予算両案に対し賛意を表するものであります。しかしながら、きわめてきびしき條件のもとにこれを承認いたすのでありまして、以下、いささかわが党としての所見を開陳し、政府に対して、予算行使上にあたつて重大なる警告を発したいと思うのであります。
 われわれは、吉田内閣ができました際に、いち早く、この内閣の性格が國会のマジヨリテイの上に立たざる変則的政権であるがゆえに、國会運営はきわめて困難であることを指摘いたしました。しかして、早晩総辞職ないし解散の段階におもむくことは明らかであるが、当面の緊急課題である官公吏の給與水準引上げと災害対策を予算化することは一日の遅延も許されざることを力説いたしたのであかます。しかるに政府は、劈頭解散の武器をひつさげて、もつて國会を恫喝し、総理の施政方針演説をさえ頑として行わざる非民主的態度を持して臨んだのであります。公務員法の修正だけを行えば能事終れりとする考え方のもとに、ひたすら解散へ逃げ込こまんとする党利党略に汲々たるものがあつたのであります。公務員法の修正によつて、勤労者としての官公吏の基本的権利を大巾に制限いたしまする以上、当然にその裏づげたる待遇改善を政府似義務として行つて、官公吏が國民としての望ましき地位たることを確保すべきことは、マ元帥書簡が明白に示しているところであります。これをほおかむりして、いたずらに解散にのみ持ち込もうとすることの許されないのは当然であり、しかも給與予算は参議院の緊急集会で行えばよいというこがごとき放言が政府筋から傳わるに至りましては、その非立憲的感覚まさに救いがたい感を抱いたのであります。(拍手)吉田総理は、口を開けば民主政治のよき慣例をつくりたいと言われる。しかるに、その言動の相反することかくのごときに至つては、断じて承服しがたいのであります。
 かくて、幾多の紆余曲折のありましたものの、公務員法修正と待遇改善は不可分一体である、かように主張するわれわれの論理の前には、吉田首相も遂に屈服せざるを得ず、しぶしぶと、しかも倉卒の間に作成提出せられましたのが、今回の補正予算であります。これを拝見いたしましたるとき、その内容の粗笨にして貧困なること、批評を絶するばかりであります。ちようど、未曽有なる蔵相泉山氏の性格をほうふつたらしむるものがあつたのであります。一般会計において、五百八十六億に上る歳入総額のうち四百十億を租税の自然増収に求め、五十億近いものが絵與所得に対する税のはね返りをもつてまかなうに至りましでは、まさに策も略もない水増し予算であります。いかに準備不足といわれましても、これでは兒戯に類すると申すのほかなく、民主自由党政務調査会は健在なりやと問いたいのであります。
 先ほど尾崎末吉君は、いかにも本予算が満足であるかのごとく自画自賛をいたされましたが、取引高税の廃止といい、その他幾多の財源を用意され、在野一年有半の間、傳家の宝刀をみがぎながら、まさに時至れるを待機されておりました民主自由党の政策が、本予算案に片鱗さえもうかがわれませんことは、ただいまこの壇上に立つた私をして、いたずらに脾肉の嘆きをかこたしめるのみであります。(拍手)われわれは、政策の面において、特にそれが具体的、集中的に反映する予算において、朝野両勢力が火花を散らす論議を闘わせることに議会政治の妙諦があると信ずるものであります。しかるに、歳出の面を見ましても、何ら民主自由党の政策の特長を見出すことあたわず、インフレの増進に伴つた数字の膨張を計上しただげにとどまり、あえて論ずるに値するものなく、まことに拍子抜けの感を覚えるのであります。
 われわれの最も遺憾とするところは、給與と相並んで今次予算の骨路をなすべき災害対策費において、僅々六十億円を計上するばかりで、お茶を濁している点でございます。建設省関係で約五百億、農林省関係で三百億を越えるといわれております本年度災害に対し、すずめの涙にひとしきこの額をもつてしては、荒廃せる国土の防衛は脆弱きわまるものでありまして、盆谷、周東両大臣ははたして安閑としてその職にとどまりおられまするやを問いたいのであります。さらにまた、財政三原則とやらを一つ覚えのごとく、このトーチカに立てこもつて、酔顔もうろうたる迷答弁に終始した泉山前大藏大臣、今いずこにおわしますや、大臣席すこぶる寂蓼の感にたえられないのであります。
 政府は事ごとに、予算審議の遅延は野党に責任ありと称して今日に至りましたが、給與法案における失態は何たることでありましよう。人事委員会の勧告を無視して五千三百三十円ベースを固持し、いささかの反省するところなく、そのはてがようやく去る十五日に至りまして、野党の合理的、科学的正論の前に無条件降伏をいたしましたことは、天下周知の事実であります。給與法案と予算案は、さきにも申し述べましたるごとく一体不可分であります。政府の考え方が、そのプリンシプルにおいて、またそのスケジユールにおいて、全面的に否定せられましたる以上は、いやしくも責任を解し、恥を知る政治家ならば潔く桂冠すべきでありましよう。(拍手)給與法案が根本的に改変せられましたる以上は、その基礎の上に数字を調整し、款項目を調整して、予算案を組みかえて國会に提出すべきであります。
 政府が組閣以来経験されたでありましようところの少数党内閣の悲哀は、われわれもこれを十分に同情いたしておるものであります。されば、武士の情を知る者として、組みかえをせざる予算案といえども、今日の段階において年末を控えて、首を長くして新給與を待ち構えておらるる三百万官公吏諸君のために、われわれは予算成立に協力して参つたのであります。政府並びに與党は、みずからの立場と、おのれの非力とを、十分に肝に銘じて旬ちなければなりません。(拍手)しかるに、予算案審議の最終段階たる昨夜の委員会において、遂に委員長の不信任を可決せざるを得ぬかごとき事態に相なりましたことは、まことに遺憾とするところであります。(拍手)ステーツマンシツプを回復することの急、今日より大なることはないのであります。政府は、自己の責任によつてこの予算を提出し、院内多数派の協力によつて本案が成立を見ようとしておるこの事実を、銘記せられたい。
 今次予算審議の途上、いわゆる経済九原則が発表せられました。われわれは、これを単に國内政治の面において政争の具に供するがごときことは、断然避けなければなりません。われわれの祖國と民族が現在置かれている立場、もろもろの國際的情勢を背景として考えまするときに、マ元帥より首相に寄せられた書簡の意義は、きわめて重大であります。現内閣が意図するがごとき古典的自由経済は前世紀の夢であることも、今回の九原則によつて明確に相なつたと信ずるのであります。(拍手)われわれは、國民協同の観点に立つて祖國の再建と民族の復興を説き、新たなる決意をもつて、しかも最もタイムリーに立ち上らなければなりません。
 政府は、この予算が本日衆議院を通過して、あとは選挙に逃げ込みさえすればよいというふうなことは、これはもつてのほかである。この予算の行使にあたつて、どこまでも責任を痛感せられ、万全を期していただかなければならぬのであります。たとえば徴税の面においても、今後明年三月までの間に、極度の重圧が一般大衆の面におおいかぶさつて参る。勤労所得税の重課は言うまでもなく、農業課税においてはその再生産を不可能ならしめ、中小商工業においては、企業の立ち行かぬまでに採算を不可能にするおそれが出ております。徴税の重点をやみ所得の捕捉に向け、苛斂誅求はできるだけ避けなければならない。また、歳出の面においても思い切つた効率的な運営を行いまして、予算技術と称せられるところの、余人のうかがい知れない官僚のメカニズムにメスを入れまして、官界腐敗の温床をも徹底的に清掃しなければならぬのであります。
 われわれは、なお幾多の注文をつけるべきものを持つておるのでありまするが、この上に言を用いますことを避けまして、以上きわめて簡単に本予算案に対する意見を開陳し、政府当局に痛烈なる反省を求め、嚴重なる警告を発する次第であります。わが党といたしましては、きわめて不満足ではありまするが、他日に再補正の機会を求め、歳末の押し迫つた今日、一刻も早く給與の支沸いを可能ならしめ、また災害地の復旧に時を移さず、緊急にこれをなすべき意味において、本予算案に賛成をいたすものであります。
○副議長(田中萬逸君) 叶凸君。
    〔叶凸君登壇〕
○叶凸君 社会革新党を代表して、ただいま上程を見たる本追加予算に一應賛意を表するものであります。
 連日にわたる徹夜審議の状況よりかんがみ、各党代表の討論内容を検討した結果、本議員は一切の重複を避け、先輩同僚議員諸君のこれ以上の過労を避けんとする者であります。(拍手)社会革新党の本追加予算に対する見解は、本日の予算委員会における大原委員の討論内容と本議員の発言内容とを合せて構成されるものなることを、まず申し上げる次第であります。
 さて本追加予算は、当初政府は新給與と災害復旧費だけを提案する心算であつたようであり、かかる彌縫策が許されずと判明するや、公務員法の通過、衆議院解散、追加予算は参議院の緊急集会に持ち込む方法を考えたらしく、これも不可能と判明して、再轉して一應年度内所要経費の全部を盛り込んだ総額七百三億円の追加予算を提出したものであるが、諸君も御承知のごとく、新給與ベースを中心として難航に難航を続け、ようやく本日の本会議にたどり着いて來たものであります。
 さて、今度の追加予算の特色は、財源の大都分を租税の自然増収に求めた点であります。歳入五百八十六億のうち、租税と印紙収入が四百八十三億、その他三十億は砂糖消費税を課税することによつたものであり、また所得税のうち四十七億は公務員新給與に対するはね返りであり、残りの四百十億はいわゆる自然増収として計上されたものであります。最も問題となるのは、申告所得税百三十九億であり、申告所得税は、当初予算では千八十三億が計上されて、このうち十月末までに徴収されたものは、二割弱、二百四十三億に過ぎない。税務署の更正決定は十一月以降のことで、これにより徴収できる額がかなり多額に上るであろうことは、昨年度の例に徹しても予想できるのであります。残り八百四十億は、決してなまやさしいところの数字ではないのであります。
 現在税法に定められておりまする所得税負担は、國民の負担能力との均衡を完全に失つたものであり、第一線の税務署の死に物狂いの敢闘にもかかわらず、その現実は、勤労大衆の反撃と、やみ不当利得者の奸策と相まつて、抜本的施策の改革をやらざる限り非常なる危機にあることを、強く指摘せざるを得ないのであります。第一線税務官吏の一割ないし二割は過労のため健康を失つており、また第三区人よりの徴税は、これは徹底しなければならぬが、最も困難なる状態に置かれておるものと、本議員は観察するのであります。徴税の民主化、税務署の能率化、近代化は、まつたく焦眉の急であります。
 悪税は革命の母であるとは、東西古今を通じてのまつたき金言であります。いかなる合理的な徴税の対象種目も、非常識なる過重になれば悪税に化することは、論をまたないのであります。わが國におけるいかなる財源も、聰明なる政治的達観をもつて、緩急よろしきを得なければ、日本の前途まことに寒心にたえざるものがあるのであります。支出面の巖正実施とともに、徴税の方法手段、機構の急速なる再検討と民主的改革を強く要望して、結論とする次第であります。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 世耕弘一君。
    〔世耕弘一君登壇〕
○世耕弘一君 私は、ただいま議題となつておりまする諸案に対しまして、新自由党を代表いたしまして、意見を付して賛成の意を表したいと思うのであります。
 本予算案の内容を通観いたしまするに、おうむね消費的な予算であつて、生産増強方面に直接使われる予算がはなはだ僅少であるということは遺憾であります。また、緊急を要する災害復旧予算がはなはだ少額であるということは、災害地の民情を軽視した処置だと思うのであります。よつて、この点に関しては次善の策を立てることを要求したいと思うのであります。
 次に政府は、財政の三原則を唱えながら、従來同様復金の融資等巖重に整理することなく、また價格補給金あるいは補助金等の名目に隠れて、なお巨額の支出が計上されていることは、健全財政の建前に相反するものであることを、強く指摘したいと思うのであります。思うに政府は、赤字金融の弊害をそのまま放置しているものと認められるのであります。これは民意に相反すると思うのであります。この際政府は民力の涵養と國家財政の健全性にきわめて愼重なる態度で臨むことを要望するものであります。
 次に、政府職員等の給與ベースに伴う経費の関係は、なお理論的にも実際的にも十分検討の必要を感ずるのでありますが、この際事態の緊急性にかんがみ、一應了承した次第であります。
 さらに租税負担のことについて、農村地方と都会地との間に幾多の問題が残されておるのであります。ことに、中小商工業者の窮状は寒心にたえないものがあるのであります。政府は、この点について何らの施策を持たなかつたことは、むしろ不都合であると思うのであります。この点、再認識を要求いたします。なおまた予算の歳入面において、税収入に過大の見積りをしていることは、將來の國家財政の堅実味を失うものであると指摘したいのであります。よつて、かくのごときことは愼重を期すべきであると注意を喚起いたしたいと思うのであります。
 元來政府は、民情に即せず、ただ税収に安易を求むる弊害が從來も多かつたのでありますが、これは税制の上に慎むべき重要な問題であると考えまして、特にこの際戒告を発したいと思うのであります。
 私が政府にこの機会に勧告したいと思うことは、近來税務行政に幾多の弊害が起り、民間に非難が起つておることであります。この非難を除去する意味において、私は、税務体制の新たなる組織をもつて、これが科学的な計画に基いて税制方面の体制を確立することが、國家的に見て必要であるということを、述べたいのであります。しかして、國家財政の公平にして円満なる運営の方法を講じ、もつて国庫収入を確立せしめ、國民負担の公平を期するようにいたしたいと思います。この意味において私は、税務應のごとき独立官應を設置することを要望するのであります。
 次に、本予算の本質を通覧するに、概して社会主義的な理念に基いて組み立てられた感が多いのであります。しかも、官僚統制主義の体制にのつとつて予算編成をしておることは明白であり、この点吉田内閣の存在の意義が失われており、國民は深く失望するものと思われます。かつまた、吉田内閣が國民に公約した政策が予算の上に片鱗も現われていないことは、はなはだわれわれの不可解とするところであります。
 ここに注意を促したいことは、政府がマル公價格を決定するに際しまして品質と價格の点に関しまして認識を欠いておると私は申し上げたいのであります。そもそも商品と價格は不可分である。これが実施にあたつて、價格と品質との両面に十分の取締りが肝要でであるが、この点組織を持つていないのは遺憾である。要するに、價格維持は品質維持が重要であることを、特に政府に強く注意を喚起したいと思うのであります。すなわち價格統制の失敗は、ことごとく品質の統制強化をせざりしところに現在のやみの原因をつくつてあるということを、ここに指摘しておきたいのであります。思うに、價格は品質によつて区別され、かつ品質と價格は不可分のものであるということを、ここに注意を喚起したいのであります。
 次に、政府職員の給與ベース問題は、ただちに民間企業に重大な関係があるのでありまするから、今後これが更改にあたつて愼重に取扱うことを要望するものであります。さらに、政府職員に準ずる勤労者にして総與案に漏れたものが多数あるのであるが、これが対策につき緊急の措置を要望するものであります。もしこれが対策を誤るようなことがあらば重大な問題が発生することの注意を喚起したいのであります。
 また、特にこの際申し上げたいことは、ストライキが発生して後の賃金ベース等の改正は、労働界に悪弊を生ぜしむるものと思われるのであります。よつて、常にストライキ発生前に事前の策を立つべきであるということの注意を喚起したいのであります。政府企
業はもちろんのこと、民間企業に対しても、この点について十分考慮を拂い、もつて最善を盡して労資の無用の摩擦を避けるように政府として指導すべきであるということを、ここにつけ加えて警告を発したいと思うのであります。
 結論として申し上げまするならば、本予算は、その編成にあたつて、はなはだ新鮮味を欠いておるということであります。時間を省略する意味において簡単にいたしまするが、通貨政策の面から見た場合、あるいは為替対策の面から見た場合、あるいはインフレ対策並びに生産増強に対する重要政策において、遺憾ながら見るものがなかつたということは残念であります。
 最後に、政府予算の支出について申し上げたいと思います。もちろん、政府予算の支出にあたつて愼重を期することは申し上げるまでもないことでありまするが、せつかく民情をくみとつて、われわれが早急に審議成立せしめたその予算が、拂い出しにあたつて往々数箇月を経るような場合があるので、予算の審議を促進した理由、民意をくんで予算を決定したことも、この行政処置によつて、かえつてその機会を失うことが往々あり、その非難が多いのであります。かくのごときことは、今後その弊害のないよう特に政府は十分注意を拂われんことを希望し、本予算に賛成の意を表する次第であります。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 河口陽一君。
    〔河口陽一君登壇〕
○河口陽一君 私は、日本農民党を代表いたしまして、ただいま提案になりました補正予算に対して賛成の意見を申し述べたいと思います。
 平和の國の再建を目ざす日本國民が戦争終了以來踏んで参りました道がいかに苦労を重ねたものであつたか、また歴代の内閣がいかに努力を拂つて参つたかということに対し、私は敬意と感謝の念を深くするものであります。
    〔副議長退席、議長着席〕
しかしながら、その成果は、これまでの苦労とは遺憾ながら反比例しているのを、はなはだ残念に存ずるのであります。
 今日國民の最も憂慮する問題は数多くありますが、そのおもなるものには、各種の労働問題の行き悩みから生ずるストライキを初めとし、いやしくも國民の指導的また模範的地位にある者、すなわち政界、官界人の一大不祥事件であります。このことは、敗戦の混乱より一日一時もすみやかに脱したいという國民感情と、これに便乗したところの指導者が砂上の楼閣を夢みた罪悪の現われであると断ぜざるを得ないものであります。今こそわれわれは、大地に立つて世界を見なければなりません。アメリカ國においても、ソ連國においても、その今日の強力な姿は、基礎産業たる農業の確立、農業不安のなきことが、しからしめているのであります。
 さきに農地の解放令あり、昭和二十年十二月九日、連合軍総司令部より農民の解放令あり、さらに本日の新聞紙上には、極東委員会の指令に基く自由な農民組織を推進するため農業協同組合に関する指令、これらを考えまするに、この際日本の民主北、平和なる國家の再建は、基礎産業たる農業の発達、向上、充実にあることは、判然としておるのであります。(拍手)労働問題の解決も、インフレの克服も、政界、官界の粛正も、一切の社会悪の解決のかぎは農民が握つておるがゆえに、農民の政治的、社会的、経済的確立の方途をこの際強力に立てなければならぬのであります。しかるに、本予算は不満足な点多々あるので、次に二、三点指摘いたしたいと存じます。
 第一点といたしまして、行政整理の問題であります。まず整理可能なる肥料、飼料公團の廃止、しかしてこの仕事は、今度自主的に組織されました農業協同組合に取扱わしむるの方途を政府は立てなかつたことであります。(拍手)
 第二点、さきに政府は、米價を基準とした賃金物價を定めると発表しておきながら、今回の賃金は、米價を無視したる賃金であります。今までの賃金ベースでは食えないことは、私どもよくわかるのであります。今回六千三百七円にしたることは賛成であるが、賃金を上げれば米價もスライドするの方途が立てられていない。賃金と物價は一環をなすことは今さら申し上げるまでもあり吏せん。(拍手)昨年度政府は、千八百円の賃金ベースにより米價は千七百円に決定し、今年三千七百九十一円の賃金ベースをもつて、米價三千五百九十五円ときめたのであります。今この比率で行くと、賃金六千三百七円ときめたならば、一体政府は米價を何ほどに考えておられるか。これまでの賃金と米價の率で計算をいたしますると、米價は実に五千九百八十五円となります。さきに農家に支拂つた三千五百九十五円を差引いた残金に、供出の三千万石代と、さらに政府が計画する超過供出三百万石の代金を合計すると、実に一千二百三十五億円という巨額になります。これを國民負担にいたすといたしましても、非常な困難なことが予想されるのであります。賃金を改定する限り、ひとり農民のみインフレ抑圧の犠牲にすることは、断じて許されません。(拍手)
 第三点、災害復旧費でありますが、私は、今回の追加予算には、客観的に見て少くとも九十億円程度計上されることを予想したのでありますが、わずかに六十億としたことも、農村を軽視したものであると断じます。
 第四に、米作単作地帯に対して何らの措置がとられておらないことであります。このことは、第二國会において、大臣は明らかに考慮すると発表していたにもかかわらず、ほおかむりしているのは、けしからぬと思うのであります。今年二月、農業手形による融資
が決定されて以來、この手形により借り入れた農民は、主として北海道、東北六縣並びに當山縣、新潟縣の単作地帯のみで、他はほとんど借りなかつたことの一事をもつてしても、いかに農家経済が困難か、うかがい知れるのであります。從つて、米價は生産費價格にすることが最も望ましいのでありますが、現段階においてこれが許されぬとすれば、当然別途な方途が立てらるべきであります。肥料、温床資材、土地改良、土工組合等には相当額の予算を計上すべきであります。追加予算にこれらが除かれたと聞く北海道並びに単作地帯の農民は、いかに失望落胆するか、私はあまりの腹立たしさに、涙の出る思いがするをのであります。(拍手)
 第五に、農林水産業に対する申告課税の問題であります。農林水産の申告水増税の八十四億が妥当とするならば、一般企業の四十億、さらに法人税の五十億が過少である。さきに政府は、本年度予算において、農家一戸当り平均課税所得額は五万九千八百円とし、今回の水増しにあたり六万四千円とした基礎が明らかでないにもかかわらず、八十四億円を計上し、一般企業は、本予算当初一戸当り課税所得額十万九千五百円とし、今回の水増し額は十三万八千円としたにもかかわらず、四十億にとどめている。このことは、まつたく判断に苦しむのであります。地方では、法人にすると税金が安くなるというので、盛んに一般個人企業が法人に組織がえをやつている。しかりとすれば、これまた法人税の五十億は妥当でない。ともかく勤労者、農民の税負担が多く、一般企業法人の負担が少いということを指摘いたします。
 以上申し上げました点は、ぜひとも本追加予算において実現していただきたいのでありますが、客観的情勢より見ての希望條件にとどめ、次期予算編成に実現せしむるよう政府当局の猛省を促し、ここに政府案に賛成の意見を終ります。
 なおこの機会に、講和條約の成立とスポーツの國際参加に対し政府は最善の努力を拂われんことを望みます。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成表起立〕
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、松崎朝治君外十六名提出、蚕糸業安定緊急対策に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御意異議しと認めます。よつて日程は追加せられまし
た。
 蚕糸業安定緊急対策に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。小林運美君。
    〔小林運美君登壇〕
○小林運美君 私は、各党各派を代表いたしまして、本決議案の趣旨弁明をいたします。
 最初に決議案文を朗読いたします。
   蚕糸業安定急緊対策に関する決議
  蚕糸業の振興を図り生糸の輸出を増進することは、現下わが國経済再建のため絶対の要件である。
  しかるに対外為替レートの設定の如何によつては蚕糸業は壊滅の危機に瀕する。
  よつてこれに対処するため、政府は、速かに繭糸價格の安定を骨子とする蚕糸業安定制度を確立すべし。
  右決議する。
 以上でありますが、今回の経済安定九原則におきましても、日本の自立促進のためには、単一為替レートの早期決定がその根幹をなしておるのであります。しかるに、この単一為替レートの設定にあたり最も影響を受けるものは、現在わが國輸出貿易の重要部面を占める蚕糸業であります。わが國の蚕糸業は、農業の経営において、また繊維産業として、きわめて重要なる地位を占め、生糸は輸入物資の見返りとして、外貨獲得の巨擘として、はたまた國内繊維資源として、戦後日本経済の再建、國民生活の安定に欠くことのできない物資であることは、御承知の通りであります。今後蚕糸業の安定なくしては、日本の再建は絶望と称するも過言ではないのであります。
 政府は、一昨年蚕糸業復興五箇年計画を樹立いたしまして、繭及び生糸の生産確保のため各種の施策を講じて來たのでありますが、蚕糸業者も、生産上の悪條件を克服いたしまして産繭及び生糸の生産確保に努め、政府の計画に沿つて参つたのでありますが、幸いにいたしまして、本年一月以來生糸の輸出は好轉いたしまして、また食糧事情の緩和も繭の増産に影響をもたらしまして、本年の産繭は生産計画を突破するの実情にあるのであります。また生糸の生産も好調を続けまして、海外における生糸、絹織物の需要はますます増大いたしまして、本年度の輸出目標五万俵はすでに突破いたしまして、來年度輸出目標でありまする七万俵をも突破するのではないかと思われるのであります。現在各種輸出産業が不振をきわめておるこの際、生糸、絹織物のかかる輸出状況は、日本経済再建に最も重要なる地位を占めておることは、明確なる事実でございます。
 なお、本年度繭價格は五千六百掛、すなわち繭一貫目にいたしまして九百円ほどでありますが、これに生糸の公定生産費を加えました生糸價格十三万六千円とアメリカのドル建糸價、すなわち現在のアクセプト、プライス一ポンド二ドル四十五セントと比較いたしますと、標準物にいたしまして、為替は四百六十二円ぐらいになるのでありまして、今回の為替レートのわれわれの予想とは、はなはだかけ離れておると考えるのであります。またアメリカのドル建糸價も、競争繊維のナイロンの價格等の関係もありまして、異常につり上げることは、今後の生糸の需要の面から考えまして、はなはだ困難なる状況にあるのであります。
 かくて、蚕糸業の復興も緒につかんとすることのときに際しまして、今回の単一為替レートの早期設定は、蚕糸業界はもちろん、わが國輸出産業には重大なる問題であります。これが円との比率並びに為替レート設定の時期につきまして、その決定いかんによりましては、百万にあまる養蚕農家はもちろん、繭の生産は非常に困難をきわめるのでございます。また製糸業者が操業不可能に陥りますことは、火を見るよりも明らかな事実であります。かくては、輸出の大宗でありまする蚕糸業が破局の危機に直面すると申しても、さしつかえないのであります。ここにおきまして、蚕糸業の難局打開の方途は、一にかかつて政府の蚕糸業安定対策の急速なる決定いかんあるのであります。
 絹糸價の安定は、わが國はもちろん、アメリカを初めといたしまして各國の関係業者はひとしく熱望するところでありまして、本年の六月フランスに開かれました世界絹業者大会におきましても、糸價安定の方策を協議せられまして、特にわが国より派遣せられました代表者に対しまして、これらの諸國の方々から、強力に糸價安定を要請されたのであります。幸にいたしまして、現在数十億の蚕糸関係の價格益金が政府に確保されているのであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
この際政府は、これらのものを根幹といたしまして、強力なる絹糸價安定の具体的措置を講ずべきものであると信ずるのであります。
 右、簡単ながら提案理由を斉申し上げまして、各位の御賛同を願いたいのであります。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
 農林大臣より発言を求められております。これを許します。農林大臣周東英雄君。
    〔國務大臣周東英雄君登壇〕
○國務大臣(周東英雄君) ただいま御決議になりました蚕糸業安定緊急対策に関する決議の御趣旨は政府においてもまことに同感であります。蚕糸業が、かつてはわが國における輸出の大宗であり、また今後におきましても、國際貸借の決済上最も重大なる産業であることは、御承知の通りであります。これが振興につきましては、万全の策を立てるべく政府においても考慮中でありまするが、ことに近く単一為替レートの設立を予想いたされまするときにおきまして、その率のいかん、またその決定の時期いかんは、蚕糸業に與うる打撃は最も大きなものと考えます。從いまして政府は、ただいまの決議の御趣旨にのつとり、打撃を受くることなきよう万全の対策を立てる所存であります。一言申し上げておきます。(拍手)
     ――――◇―――――
 課税適正化に関する決議案(佐々木秀世君外七名提出)
   (委員会審査省略要求事件)
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、佐々木秀世着外七名提出、課税適正化に関する決議案は、提出者の要求通り委員会の審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(田中萬逸君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 課税適正化に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。佐々木秀世君。
    〔佐々木秀世君登壇〕
○佐々木秀世君 ただいま議題となりました、各派共同提案でありまする課税適正化に関する決議案の提案理由を、ごく簡単に申し上げます。
 まず、決議案文を朗読いたします。
   課税適正化に関する決議
  現下のインフレーシヨンを克服するためには、徴税の完遂こそ急務である。このため当面の問題として徴税機構の充実と課税の適正化を図ることが肝要である。しかるに現状は税務公務員の素質低下國民に対する接遇の不適切、課税調査の粗漏、不当課税、國正熱意の不足等により万全を期し得られない状況にある。 よつて本院は目下の税務行政の澁滞を解き、國民の協力を得て、徴税の完遂を期するため、左記に関し政府において行政措置をもつて至急善処するよう要望する。
 一、税務公務員の充実と素質向上を図り、国民に対する接遇の民主に努めること
 二、各税務署を単位として税務調整委員制度を設置し、課税適正化と納税の促進を図ること
 三、税務当局の指導に従い予定申告した納税者に対する加算税、延滞利子の徴収はこれを適当に減免すること
 四、分割納税をできる限り認めること
 右決議する。
 本年度の租税収入の目標額は二千六百七十七億でありまして、十月末日までに納税せられたものは千二十二億円であります。昨年度よりは幾分よいようになつておるのでありますが、この達成率は三割八分二厘でありまして、十一月以降明年三月末までには、なお千六百五十五億の徴税をいたさねばなりません。しかるに、全國各地に不当課税反対、節時是正の要求が猛然と起り、あるいは税務署に対するところの陳情あるいはまた地方民大会、業者大会、開催等となりまして、はなはだしきは、農民の中には耕作を放棄し、あるいは中小企業者の中には廃業する等の重大なる社会不安を惹起しつつあるのであります。
 税務当局は、本年七月の所得税予定申告に際し、昨年度の確定瀬の二倍ないし三倍を申告する旨の指導を行い、更正決定については三倍ないし四倍という方針で臨んでいると聞いているのであります。高崎市における五十三業種の平均は三・五六倍となつており、水戸市西部商店界の平均は三・七倍となつているのであります。また、北海道地方におきましても三倍近くに決定せられたというようなことも聞いておるのであります。課税資料の不備なため、業種間の課税不均衡があつたり、個々の業者に対する課税の不公平が各地に起り、群馬懸のある農村におきましては、あぜ続きの水田が、反当り所得税の決定七千二百円、同じところでありながらも、一方は六千円と決定されたというようなこともあるのであります。
 中小企業著の実態について見ましても、先般全國商工会議所の代表者の会合が開かれた席上の多数の叫びは、第一に、物價は昨年の二倍程度になつてはいるが、その利益はそれに伴わず、特に八月以降の物價は横ばいの傾向にあるのであつて、更生決定に見られたような三倍ないし四倍というようなこどは納得できがたいと言つており、また営業収入に対しましても、経費の所要率は昨年度よりはまさに増加の一途をたどり、すなわち商品の賣れ行きが悪いにかかわらず、原材料費あるいは労働賃金等の諸経費が高騰しておるとも言つておるのであります。農村、中小企業者に対する金融が逼迫しておりますために、これら業者は、やみによる高い利子を拂つて補つておるというような状態でございます。かかる実態でありますので、税務当局が業者の実態を把握する必要のあることは当然であり、的確な資料に基いて更正決定をしなければならないと私は思うのであります。そこで、この際税務調整委員制度を設置して納税者の協力を得る方途を考えられたしと願うものであります。交渉團体を認めないとは言つておりまするが、一部には、ある政党の指導により、あるいは地方民大会、業者大会等の結果税務署に交渉する等の処置も講ぜられていることは、たまたま耳にするのであります。税務調整委員制度を設置して申告納税制度の徹底をはかり、的確な資料を集め、納税者の実態を把握していただきたいのであります。
 次に、税務官吏の素質向上をはかつていただきたいということであります。ある地方におきましては、最近の税務官吏は徳川時代の悪代官であるというような声も聞いているのであります。その官吏の状態を考えまするならば、薄給に甘んじて第一線にあつて徴税の任に当つておりますることにつきましては、まことに同情に値するものでありますけれども、税務官吏が國民の信頼を失うということはゆゆしき一大事といわなければなりません。こうした点から考えましても、政府におかれましては、税務官吏の待遇はもちろん、その納税に対しましては、齟齬を來さないように万全の策を講じていただきたいのであります。
 私は、以上提出の理由を申し上げ、全員の御賛成をお願いする次第であります。
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
 この際大屋大藏大臣より発言を求められております。これを許します。大藏大臣大屋晋三君。
    〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
○國務大臣(大屋晋三君) ただいま御決議に相なりました課税の適正化に関しまする事柄は、一々適切な事柄でございますので、政府におきましても、御趣旨を尊重いたしまして善処いたす考えでございます。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、戸叶星子君外十二名提出、議場内粛正に関する決議案は、提出者の要求通り委員会の審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(田中萬逸君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 議場内粛正に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。戸叶里子君。
    〔戸叶里子君登壇〕
○戸叶里子君 ただいま上程されました議場内粛正に関する決議案の趣旨弁明をいたします。
 まず文案を朗読いたします。
   議場内粛正に関する決議
  國会は國権の最高の機関なり。議場の神聖を守るは國民の信託を受けたるわれらの最大の義務なりと信ず。よつて今後議員は酒氣を帯びて議場並びに委員会に入ることを厳禁すべし。
  右決議する。
 申すまでもなく、新憲法のもとに國会は國権の最高権威であり、國民の信託を受けた私どもは、その責任を果すために最大の努力を拂うべきであります。しかるに、今回の泉山事件のごときは、議会始まつて以來前代末聞の不祥事件であり、この神聖な國会に悲しむべき汚点を残したものであると思うのであります。(拍手)大藏大臣といえば、閣僚の中でも中枢閣僚であり、國会には重要な法案が審議されておりましたため、この不祥事件の報道に対しまして、國民のある者は國会に対して失望を感じたのであります。またある者は、憤りのあまり國会に対する信頼の念を失つたことでありましよう。静かに私たちは、わが國の現状を考えてみなければならないと思うのであります。わが國は、今や一刻も早く民主的、平和的文化國家として立ち上り、世界の信用を得なければならない立場にあるのであります。ポツダム宣言の十二條には、「平和的傾向を有しかつ責任のある政府が樹立せられるにおいては連合國占領軍はただちに日本國より撤収せらるべし」と書いてあります。平和的にして責任ある政府の樹立の全責任は國会にあります。かくのごとき重大な責任を持つ國会の一挙手一投足は、全國民のみならず、諸外國の環視の中に置かれております。かかる重大なるときに今回の事件が勃発したのに対して、諸外國では唖然としてこの醜態を見守つている次第であります。
 かくのごとく國内においてのみならず、國際的にも國会の信用を失墜せしめたこの事件の責任は、ひとり泉山氏の藏相辞職、議員辞任によつて解決せらるべきでなく、吉田内閣の全責任であり、また國会あげて自粛しなければならない道義的責任を感ずべきであります。(拍手)
 しかし、ここで私たちは、今回の不祥事件発生の原因を突き詰めて考えてみなければなりません。その原因の一つとして、節度を越えた飲酒ということが言えるのであります。(拍手)さきに石炭國管案審議の際に、議員の一人が議場に汚点を残したのも、酒のためであります。あの際に私たちは、議場内粛正の決議案を提出しようとしたのでありましたが、今回に限り各自の自粛にまとうというので、それを握り潰されてしまいました。しかるに、その結果再びかくのごとき醜態が生じたのであります。
 酒は、疲労回復のために、ときには必要でありましよう。また、ときには飲んで楽しむこともありましよう。しかし、公務員がその職務において酒氣を帯びて執務せざるがごとく、議員たる者が酒氣を帯びて議場に臨むがごときことは、嚴に慎しむべきであります。(拍手)あの翌日の英字新聞によると、酒が自由に溢れれていた会議で云々と書いてありましたが、國会に行けば、いくらでも酒が飲めるというような印象を與えたことは、まことに遺憾とするところであります。(拍手)
 國内ではインフレが高進し、勤労階級の生活がますます苦しくなり、対外的には外貨導入及べ講和会議促進のための國内態勢を整えなければならないときに、議員は身命を賭して、日本再建のため、國民の要望にこたえるために、その職責を果すべきであります。政治家は、民に先んじて憂え、民に遅れて樂しむという信念のもとに、その行動をなすべきであります。(拍手)今回のこのマイナスを取戻すためにも、かつ將來再びかかる過ちを繰返さないためにも、満場一致この決議案に賛成あらんことを望みます。(拍手)
○副議長(田中萬逸君) 討論の通告があります。これを許します。武田キヨ君。
    〔武田キヨ君登壇〕
○武田キヨ君 ただいま上程せられました院内粛正の決議案に対しまして賛成の意を表するものでございます。
 私ども國会議員は、國民の正しい高い希望を國会を通じて実生活に実現できるように努力する責任があるのでございます。(拍手)私どもに寄せられたこの國民の信託は高く、かつその期待はこの上もなく大きいものと考えられております。すべての國民が、國会のあり方や國会議員の行動について非常な関心を持ち、注目しておりますこと、現在のようなのは、かつてないのでございます。これは、もつぱら國民の政治に対する熱意の現われでございまして、民主政治達成のためには当然とはいえ、この國民的自覚は喜ばしいことと申さなければなりません。私ども議員が、この重大な責任を果しますためには、われわれ全智全能を盡しましてもなお足りないものがありはしないかと思うくらいでございまして、今日強い國民的信念のもとに、お互いが國家再建の最善の方途を誤らないように、ほとんど晝夜のわかちなく努力精進いたしておりますことは、お互いの良心に尋ねまして恥じないところであると信じます。(拍手)
 しかるに、この際たまたま少数の人たちが節度を欠いた行動のために、多数の議員がその責任の遂行に疑義をはさまれるがごときことがあり、ひいては國会の権威の軽重まで問われるようなことになる憂えがあるということに
なりますれば、それは、わが國の民主政治発達のために重大な障害であると申さねばなりません。(拍手)あくまで、われら議員は日夜自粛自戒いたしまして、よりよき議員活動のために、人間の弱点として陥りやすい点はあらかじめこれをとり除いて、足らざるを補う心持を持つて行かなければならぬと存じます。
 酒氣を帯びていたします行動は、ややともすれば愼重を欠きます。ふまじめと見られやすいものであります。議員活動の主体である法案を審議する本会議及び委員会では酒氣を帯びることを禁止するということは、事は瑣末のようでございますが、われわれ議員が國民の最高の信託に沿う厳粛な心持から、またその職責の遂行に万全を盡すための態度として、このくらいの心構えは当然であると思うのでございます。(拍手)
 右の意味におきまして、私はこの法案に賛成をいたすものでございます。(拍手)
○副議長義(田中萬逸君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、的場金右衞門君提出、供出と農業課税減免に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
○副議長(田中萬逸君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 供出と農業課税の減免に関する緊急質問を許可いたします。的場金右衞門君。
    〔的場金右衞門君登壇〕
○的場金右衞門君 私は、供出の制度と農業課税のことにつきまして、大藏大臣及び農林大臣にお尋ねをいたします。
 まず供出の制度のことでありますが、農家の自家食糧その他農家が自家で消費するものについては、許された限度の保有量が認められておるはずであります。今日米麦、甘藷等を供出いたしますのは、食糧管理法及べ食糧確保臨時措置法等によりまして供出せしめられておるのでありますが、これによりますと、法的には自家の食糧や自家の飼料等生産者の自家消費量は保有せしめて、その残余を全部政府に賣り渡すということに相なつておるのであります。從つて、自家消費量に不足する零細農家の供出を強要されるという場合はあり得ないはずなのでありますし、一般農家も、許された範囲内の自家消費量を保有して、残りを供出せなければならないはずなのでありますが、農村の実際は、さようになつておりません。大都分の地方が自家消費を残し得ずして供出をいたしまして、数箇月間は、安い價格で供出をして、高い價格で配給を受けておる。かような状態にありまして、農村は自己の食糧さえも配給を受けつつある実情にあります。
 なお災害がありますれば、その災害物あつた分については割当を補正して、修正いたしまして減免しなければならないはずでありますが、災害を受けましても、この補正が行われない、行われても、それが遅れて、供出を強要された後に補正が行われる、かようなことになつておるのが実際の状態であります。いま少し徹底的に、かようなことのないように、この処置を考えなければならないと思うのでありますが、政府におきましては、いかなる指導をなしつつあるのか。また、これが取扱いの方法が不都合な状態にあることを、よく御承知になつておるのでありますか。農村の実情を知る私どもは、まことに農民に対して同情せざるを得ないのでありまして、かような点を是正する御意思があるのか。今指導しておられる指導は、まことに不徹底でありまして、法律違反になつておると思うのであります。この点を、まず第一にお尋ねいたします。
 次に、今年行いました匿名供出の問題でありますが、早期供出の奨励金あるいは超過供出の代金については納税の対象にしないというようなふれ出しで、農村ではこれを信じて供出をいたしております。匿名供出をいたしまして、それが今日になりますと、申告課税であるから税金の対象になるのである、かようなことであります。匿名供出というようなととは何のために指導し、何のために今年は匿名供出ということをなさつたのでありますか、この点を伺いたいのであります。私どもは、税金の対象にもならず、翌年の供出が過重にならぬように超過供出は匿名でやる、こういうわけでありますが、部落の代表者名をもつて供出をするのでありますから、たくさん出した部落は翌年たくさん割当を受けるという結果になりますので、割当の面においても、税金の面においても、匿名供出ということは意義をなさぬと思うのであります。これはいかように相なるのでありますか、この点をお伺いする次第であります。農林省の指導と大藏省の意見とが食い違いを生じた結果、かようなことになつておるのであろうと思うのであります。常に農民は役人にだまされております。これもまつたくごまかしで、課税にも供出にも、匿名の意義はまつたくないのではありませんか。
 その次に、いも類の供出のことでありますが、今年の甘藷の供出は、まことに悪質な、水分の多いいもが一時に殺到いたしまして、至るところに腐敗いも山積しておることは、皆様御承知の通りであります。これは、いかなるところに原因しているのでありましようか。甘藷の價格が、悪い質のいもに利益があるようになつておるから、かようなことになるのであると思うのであります。水分の多いいも、収穫量の多い悪質のいもの生産者が利益を受ける半面、澱粉含有量の多い、収穫量の少い優良いもの生産者は、収量の少いだけ損をしておるのであります。その結果は、悪質で多収で貯藏輸送の困難ないもの奨励となつておるのであります。まつたく奨励が逆になつておる。それで、今年のいものごとく、消費者がきらつて配給を拒否し、水分が多いから腐る、腐敗いもが各地に山積される状態となつたのであります。
 申すまでもなく、水分の少い、澱粉含有量の多い、貯藏のきく優良なるいもは、収穫量が少いのでありますから、高い價格にせなければならないはずなのであります。地方ごとにいもの品質が違うならば、地方ごとに價格の差を置いてきめなければならないし、品種ごとに違うならば、品種ごとに差を置かなければならない、かようなことにいたしますならば、優良な品質のいもがたくさんできて、輸送もきくし、貯藏もきくし、しかして収穫時に一時に供出せしめないで、貯藏を奨励いたしまして、翌春に至るまで、順次必要なだけずつ供出をせしめる、かようなことにいたしますならば、よいいもが順次春まで來るのでありますから、配給を受ける人たちも非常に喜んで、いもの來るのを待つであろうと思うのであります。
 しかるに、同一の品質の澱粉の價格に差が置かれておりまして、地域ごとに澱粉には價格の差が置かれてあります。この澱粉は品質が同じものである。同じ澱粉には價格の差を置いて、品質の違ういも差がない、あつても少い、かような不合理な取扱いがされておるのであります。かような不合理なことは、だれが一体考えてやるのでありますか。同一の品質の澱粉は同一の價格にするべきものではないか。しかも澱粉だけがそういうことになりまして、同じいもでつくります、しようちゆう、酒のごときは、價格の差がないのであります。ただ澱粉だけが、さようなことになつておる。これは、悪いいもの生産地にあります澱粉業者の運動によつて、かようなことが行われておるではないかと、われわれは疑わざるを得ないのであります。
 次に、生産者の供出價格と、消費者の配給を受けます配給價格とは、非常な違いがあります。玄米一俵供出する價格と、配給を受けます價格を計算いたしますと、三百八十三円八十六銭八厘の違いがあります。米一俵三百八十何円という違いがある。こういう大きな開きは、何で必要があるのてしようか。いも十貫匁には百五円の開きがあります。百姓が今目の前でいもを供出いたしますと、その十貫のいもに百五円加算されて、お隣りの貧困者、いもさえも配給を受けなければならない、かわいそうな貧困な者たちが、今供出した価格に、何の手数もかからないのに百五円加算されて、配給を受けつつあります。今日の供出制度なり配給機構を改めまして、この中間搾取をなくすべきではありませんか。生産者の協同組合で、みずから供出をすれば、何もいらない。消費者の協同組合で、みずから配給を受ける、かような仕組にいたしまして、この莫大なる経費を生産者と消費者へ與えるくふうをなさなければならないと考えますが、政府は、これに対していかなる見解を持たれるのでありますか、このままでよいとお考えてありますか、この点をお伺いいたします。
○副議長(田中萬逸君) 的場君、時間が参りました。お急ぎを願います。
○的場金右衞門君(続) 最後に、農村の課税につきましてお尋ねいたします。
 農村は重税に苦しみまして、肥料の配給さえ受けられない者が続出する実情にあります。農業課税につきましては、不合理、不適正なるものが多いと思います。生産費は過小に見積り、収護は過大に見積りまして、税額を多くすることにだけ苦心し、農家の申告はまつたく無視して課税されるありさまであります。なお二重三重の課税さえあります。たとえば家畜の飼料作物を栽培いたしますと、それを販賣しないのに税の対象となる。それによつて生産されました畜産物には、さらに課税をされます。なお、自家に繋留する子牛や子馬を市場へ出しますと、販賣をしない自家繋留のものにも課税をされて、なお販賣するときは、さらにまた税金がかかる。二重、三重、四重と、同一の収入に課税がされております。
 これは、いま少し農業課税を緩和し、堅実なる農村を育成して生産の増強をはかり、税源を培養することを考えねばなりません。百姓をぬれ手ぬぐいと心得て、しぼるほど出ると考えたら、たいへんな、間違いであります。今の農村は、しぼつても出ない。ぬれていないのであります。しぼる前に、まずぬらさなければならない。搾取の前に――しぼりとる前に、まず與えなければならない。農村を健全なるものに育成して税源を培養するという意味で、いま少し重税を緩和し、合理的に公平適正なる課税に是正する具体的方途に、お考えになつておりませんか、このままでは相済まぬと思いますが、いかなる方策によつて農村課税というものを適正に是正しようとなさるのであるか、この点をお伺いする次第であります。
    〔国務大臣周東英雄君登壇〕
○国務大臣(周東英雄君) お答えをいたします。
 第一のお尋ねでありますが、農家に対する事前の供出割当が、後に災害のために減収したときに、その補正が非常に遅れる、また不適正である、これに対して適正な指導をしておらぬじやないかというお尋ねでありますが、まことに今日の場合、まだ作報事務所等の充実が遅れておりますために、災害減収等における的確な調査が十分できないために、所によりましては、その減収の実態が的確につかめておらないために、いろいろと問題の起きておる所もあることは、御指摘の通りであります。これらにつきましては、順次適当な処置を講じつつあることを御了承を願いたいと思います。なお今年は、災害調査に対しまして一應線を画したのでありますが、地方によりましては、実収高の調査におきまして、予想外に減収のところがあるようでありますが、これらに対しましては、今後ともできる限りの処置を講じたいと思つております。
 第二に、匿名供出は何の意味かというお尋ねであります。これは前内閣の終りにできたのでありますが、これは御指摘のように、最初から別に税を免れるために匿名になつたのではないのであります。どこまでも税は申告税予納制度をとつておりますから、匿名であろうがなかろうが、これは正しく実収について申告をすべきものでありますから、その対象にはなつておらない。しからば、それは何かといいますが、主としてこれは來年度の割当に関して基準にとらないようにということで匿名になつたようでありますが、しかし、私ども考えますのに、あまりこれは実体的に効果はないのじやないか、これは敏討してみたいと思います。
 次の、いもの問題についてのお尋ねでありますが、今年はあまりに目方分量主義をとられて、品質の悪いものでも、目方がよけいとれるいもを指定されたために、悪い、腐りやすいいもが、たくさんできて困つた、こういうお話であります。これについては、お話の通り私も同感であります。前内閣時代におきめになりましたが、今後いもの供出等を考えるときにおきましては、品質、品位、品等を考えて價格をつけ、供出についても、その品位、品等に沿うて適正な供出方法を考えて行くことが妥当であろうかと考えております。 それから次に、生産者價格と消費者價格との間において、あまりに開きがあるというお話であります。これは消費者價格におきましては、今日食糧需給特別会計の費用が全部消費者價格に織り込まれることになつているために、おのずからこの費用が多くなり、價格が増大しておりまするが、この中につきましてほ、相当に考慮を要する点が多々あると思います。同時に、食糧配給公團等における経費に実際的な検討を加えて、でき得る限り消費者價格に織り込まるべき部分を少くすることに努めたいと思います。
 最後に農業課税の問題でありますが、この点につきましては、御指摘の通りであります。從いまして」今後の農業課税については、でき得る限りこれを軽減するためには、何と申しましても、農業所得決定の基準に対して改善を加えることと、それからもう一つは、農業課税は所得の申告主義をとつているのに対しまして内面指導をすることと同時に、この査定にあたりまして、民主的にもつと農村等におきまして適当な機関を設けて諮問をする制度をとること等につきまして、財務当局と相談をいたしておる最中であります。
    〔政府委員塚田十一郎君登壇〕
○政府委員(塚田十一郎君) 大臣にかわりまして御答弁申し上げます。
 農業課税が非常に重いという御質疑の点は、私どもも、まことに同感であります。しかし税が重いのは、実は今日の状態におきましては、農業課税だげではないのでありまして、他のすべての税が非常に重くなつている点は、私ども非常に懸念いたしておる点であります。そこで、御承知のように所得税は、所得のあるところに税をかけないというわけには参らないのでありまして、私は、今日のこの農業所得という問題については、むしろ農村の所得が、総収入と総必要経費との十分なる勘案によつて適正に把握されているかどうかというところに、問題があると考えるのであります。そこで、収入の面には、ほとんど今日の状態では問題はないのでありまして、むしろ必要経費の面にはたして十分なる考慮が拂われておるかどうかという点に、今日の農業課税におきましては非常な問題がある。そういうことによりまして、前國会以來、私どもも財政金融委員会におましていろいろと審議いたしまして、本年度におきましては、早場米の供出奨励及び超過供出米に対しまして、特にそれらの場合には経費がよけいかかるという事情を十分に考慮して、少くとも農業課税が適正に行われますようにということを十分考慮するように、第一線にもそれぞれ指示をいたして、万全を期しておる次第でございます。
○的場金右衞門君 同一品質の澱粉の價格は同一にしなければならぬと思うのであるが、大臣はどう考えておられるか、お聞きしたいのであります。
    〔國務大臣周東英雄君登壇〕
○國務大臣(周東英雄君) 大体その点につきましては私も同感に考えますから、研究いたしたいと思います。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、花月純誠君提出、炭鉱國管問題に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
○副議長(田中萬逸君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられまた。
 炭鉱國管問題に関する緊急質問を許可いたします。花月純誠君。
    〔「総理大臣を出せ」と呼ぶ者あり〕
○副議長(田中萬逸君) 総理大臣は、ただいま参議院の予算総会に出席中であります。
    〔花月純誠君登壇〕
○花月純誠君 私は、いわゆる炭管問題の眞相並びにその政治責任について質問いたすのでありますが、答弁を要求する閣僚は吉田首相と殖田法務総裁でありますけれども、ただいま吉田首相は、緊急な御用事でおいでになりませんから、法務総裁か十分これをお聞きとどめおきくださいまして、私の意のあるところを十分お傳えおき願つて、適当な機会において御答弁を願いたいのであります。
 吉田内閣ができましたときに、その十大政綱のつとして、いわゆる政、財、官界の粛正をあげられましたことは、当然ではありますけれども、國民が大いに喜んで期待をいたしたと思うのであります。今日まで、相当この問題は摘発せられたのでありますけれども、今日、今の瞬間において、われわれ並びに國民の感じておりますところは、どういうことかというと、あの昭電事件で、芦田前首相が召喚をせられました。あるいは社会党の何がしが召喚せられたというような問題で、國民に與えておる印象は、まず民主党の重大なる出血と、次いで社会党の不評であります。ところが、ここになお残つておる問題は、いわゆる繊維疑獄がまだ相当発展するという予想と、もう一つ重大なのは、石炭國融管問題が一部手はつきましたけれども、そのほとんど大部分が、これから先に摘発をされるという実情にあつて、同じ政、財、官界の粛正でありながら、おそらくは民主自由党の中に出血を多く要求せられると想像される問題だけが、今日明日に解散を控えましてわれわれが実に残念に思うところであります。
 私は、この問題を実は論議するつもりはなかつたのでありますけれども、こういう問題を急遽質問いたします理由を申し上げますが、それは、ようやく本日となつて、私はこの質問をせねばならぬという一つの確信を到達したのである。なぜかC私は、単なる想像をもつて言うのではなくして、政治家の責任においてこの演説をするのであります。私が、新聞雑誌、人のうわさ、あるいはその他重要ないろいろ複雑多岐な問題を静かに考えて、ようやく昨日ごろ、この石炭國管問題が眞の中核線に到達したという私は信念を抱くに至つた。なぜか。
 私は、当時自由党におりまして、その眞相を知らなくとも、当時の雰囲氣だけは、はつきり私は知つておる。しかも当時、私は、この問題について実にふしぎな点を数々と発見しておつたのでありまするが、その後民主自由党が成立いたしまするときに、あの人々と一緒になることは断じて私は賛成をしないと称して、二十数名の者と署名捺印をして、これに反対をいたしたのでありまするけれども、いよいよとなつて、これを断行したものは、実は私一人であつたのであります。(拍手)その雰囲気をほんとうに知つて、いよいよこれはその中核に達したという確信を持つに至りましたので、この緊急質問をなすに至つたのであります。
 私は、この点において、こう思います。今日ただいまにおいても、私の信ずるところによれば、ある人々が、すでにもう逮捕せられる状況にあると私は信じておる。(拍手)そこで私は、あの芦田首相あたりが、天下にあれだけ影響を與えたことは、もちろんその地位によりますけれども、現職議員として、この席上で論議せられた、これが非常な影響があると思う。この意味において、もしも石炭國管問題に関する人々が、この議場において、今日でも明日でも逮捕要求をせられるということがあつたならば、たといそれが普通
の議員であつても、私は相当天下に影響すると思うのでありますけれども、解散をせられたあとの影響というものは、同じ議員がかりに逮捕せられましても、少いと思う。
 この意味において、私は吉田首相にお尋ねを申しておくのでありますが、もしも解散直後において、あなたに應しておられる人々の中に相当多数の出血が出ました場合には、一体どうなさるか。この問題は、私の信ずるところによると、今じやなくて、議院が解散せられまして、この選挙中、すなわち議員のない間に発展する可能性があると私は信じておる。すなわち今じやなくて、選挙の済んだ後じやなくて、選挙を執行する最中においてすらこの問題が最も発展すると、私は諸多の事情によつて確信を持つておるのであります。 その場合に、私は第一番に、そういう議員が――今の議員でありますが、選挙中においては、もう一國民となつておるのであります。そういう人々が多数逮捕せられた場合には、どういう態度をおとりになるかということ。第二は、もしもその政党を支配し、影響力を持ち、ほんとうにその党の名誉にも関するような人々にこれが及んだ場合には、議会が解散せられておる、衆議院はないのだ、そういう場合において、どういう態度をおとりになるのか。第三は、もしも内閣の運命に関するような人に、そういう疑惑がかりに與えられたとするならば、一体どうす。るのだ。私は、これは念のためにお聞きしておくのでありますが、議会は解散せられておるのだ。まだあとは成立しておらないのだ。もしもそういうことが起つた場合に、吉田首相は、かねがね粛正内閣としてこれを天下に唱道しておられることでありますが、その選挙の最中においても重大決意をなさるかどうかということを、私は聞いておきたい。ことに、もしも吉田首相そのものに何か問題が起つたときには、どうなさるか。私は、これは……
○副議長(田中萬逸君) 花月君、時間です。簡潔に願います。
○花月純誠君(続) 勝間田君が申しましたから、具体的には申し上げませんけれども、そういうことも予想せられるではないか。新聞記事を見ましても、あの千葉無盡の問題を聞きましても、あるいは先般の百五十万円云々の問題を聞きましても、私はそういうことが予想せられるのであるということを考えてみたとき、一体その事態が起り、なおそれが選挙の最中には、どういう態度をおとりになるかということを、私はこの際聞いておきたい。
 なお法務総裁にお尋ねしておきますが、今日のこの石炭國管問題の調査の眞相を、私はお開かせ願いたい。なお今後のその発展の見通しについて、できるだけ詳しく私はお聞かせを願いたい。ただ、こういうことをなぜ聞きますかというと、不正というものは、検察廳がこれを知つて初めてわかるのではなくて、すでに現存しているのだ。この間の田中角榮君の問題にしましても、われわれがすでに十分知つているような問題についてさえ、法務総裁は、これは容疑があるかどうかわからぬからというような答弁をされたことを考えてみますと、私は、よほどしつかりなさいませんと、この眞相というものはなかなかつかめないと思う。こういう意味におきまして……
○副議長(田中萬逸君) 花月君、重ねで注意します。
○花月純誠君(続) 法務総裁はどういう考えをもつておられるか、これに対しまして明確な御答弁を要求するのであります。
 時間が参りましたから、これで失礼いたしますが、私の問わんとするところは、実は今明日に解散を控えた重要な問題でありますから、特に政府の明確な御答弁を要求してやまぬ次第であります。
    〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
○國務大臣(殖田俊吉君) お答えをいたします。
 前半の御質疑は、総理大臣に対する御質疑のように承りました。よく御趣旨は承りましたから、総理大臣に傳えまして、いずれお話があるかと思います。私が伺ひました分は、石炭國管の問題はどうなつているか。これは事捜査中に属しまするので、せつかくでありまするが、お答えができません。しかしながら、各種の事件が起りますれば、何も電氣のモーターがまわるように検察が時間的に動くのではありませんから、停頓するときもありますし、進行するときもありますし――――であります。
    〔「――――とは何か」と呼び、発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 静粛に。
○國務大臣(殖田俊吉君)(続) そうして、いついかなるときに、どこに発展しますか、どこに星が落ちて参りますかわかりません。しかしながら……
    〔発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 静粛に。
○國務大臣(殖田俊吉君)(続) お聞きなさい。――検察は最も嚴正公平であります。政党であろうと個人であろうと、容赦しません。(「法律の問題ではないじやないかと呼ぶ者あり)法律の問題です。法律上の問題である。人間がするのです。検察がやるのです。
    〔発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 静粛に。
○國務大臣(殖田俊吉君)(続) 巖正公平にやるのである。巖正公平にやる。(「取消せ取消せ」と呼び、その他発言する者多し)わからぬか。巖正公平に……
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○國務大臣(殖田俊吉君)(続) わかりました。事柄はわかりました。事は私の誤解です。
    〔発言する者、離席する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 静粛に願います。御着席を願います。
○國務大臣(殖田俊吉君)(続) ただいま私の言葉が悪うございました。それは取消します。しかしながら、花月さんに申し上げますが、それは事件というものは、何も機械的に來るのではない。事件は山のように出て来ることもあるし、出て來ないこともある。それに應じて検察が動くのであつて、必ずしも機械のように、きようは十分、きようは二十分というわけには行かない。それは十分覚悟されなければいかぬ。これは、いつどこで出て來るかわからぬ。いつ飛行機が飛んで來るかわからぬ。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○國務大臣(殖田俊吉君)(続) 取消した言葉じやありませんか。言葉は取消した。取消した言葉だから、もう一ぺん言い直しておく……
○花月純誠君 議長……、
    〔発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 花月君、あなたの時間は超過しておるから、自席から簡潔に願います。
○花月純誠君 ただいまの法務総裁の……
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○副議長(田中萬逸君) 静粛に願います。――静粛に願います。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○副議長(田中萬逸君) 登壇してはいけません。登壇を許しません。あなたの時間は超過しておる……(発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能)静粛に願います。(発言する者、離席する者多く、議場騒然)花月君――花月君、各派の協約ができました。登壇を許します。簡潔に願います。
    〔花月純誠君登壇〕
○花月純誠君 ただいま法務総裁からの御答弁は、大体において了承いたしたのでありますが、しかしお言葉の中に―――――なんとかいうお言葉がありましたが……
    〔発言する者多し〕
○副議長(田中萬逸君) 静粛に願います。
○花月純誠君(続) ただ。ああいうお言葉が出ますうちに、私は実は一つの疑点を持つ。それは、検察当局におきましては巖正公平でありますけれども、その上層部において、かなりそこに謀略があるのではないかということが、今日流布されております。
    〔副議長退席、議長着席〕
ことに、先ほど申し上げました田中角榮君の問題のときに、容疑があるかないかというような問題が言われているときに、すでにわれわれは、その内容までかなり詳しく知つておつたのであります。それは、不正というものは、檢察廳が初めて知つてこれを摘発するのでありますけれども、犯罪そのものは民間にすでにあるのであつて、ある意味におきましては、何にも知らない民間人の方が詳しいこともあるのでありますから、どうか法務総裁は、こういうことを十分御注意になりまして、今後この問題につきまして、よほどの確信をお持ちになると同時に、すでにそういうことを疑われておりますところの、政略的に断じて利用せられませんように、特に私はお願いをいたしておくのであります。(「具体的に言え」と呼ぶものあり)具体的に言うことは、私の目的とは違います。私は、さような党利党略において立つたのと違うのでありますから、さようなことは申す必要はないのであります。これを法務総裁にお願いをいたしまして、私の再質問を終りたいと思います。
○議長(松岡駒吉君) 法務総裁は答弁がないそうであります。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、平川篤雄君提出、経済安定九原則に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」「反対」「進行々々」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。――静粛に願います。あらためてお諮りします。今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 経済安定九原則に関する緊急質問を許可いたします。平川篤雄君。
    〔平川篤雄君登壇〕
○平川篤雄君 私は、連合軍総司令官の日本政府に対する指令に関しまして、総理大臣並びに安定本部長官の所信をただしたいと想います。
 日本の経済安定並びに復興が、徹底した壊滅の現実から発足しなければならないということ、從つて回復は緩慢であり、建設は長期にわたらざるを得ないこと及びこれがためには物資と資金を合衆國から仰がざるを得ないこと、この三点は、必然的に日本経済のあり方を制約し、巖格な計画を要求するものであります。現実においては、私利私欲は公益のために大幅に制限せられざるを得ず、経済における自由の方式は、単に手段的な立場を許されるのみであります。
 先日辻さんに、自由経済の方向にわが國の経済態勢を切替えて行くとか、あるいは、わが民主自由党が自自主義経済を目標として統制の緩和排除に向つて前進を試みんとするとか言われておるのでありますが、かかる目的的な把握は、少くともここに数箇年は現実に即せざるものといわざるを得ません。大屋商工大臣は、いわゆる為替レートの設定、それから徹底した企業の合理化というような事柄、從いまして不必要な統制は撤廃する、御承知の通りの事柄をうまく組合せましてと、生産第一主義を説明しておられるのであります。戦前の過剰生産時代の合理化をそのまま当てはめることに、よつて、結局は弱小なる者の犠牲において企業の合理化を行い、生産を上げようという思想にすぎないのであります。かような方式は、指令の冒頭に示されました、経済の安定は日本の経済復興を継続し、アメリカの支出した資金を有効に使用せしめることを保障する、最も緊急な必要事である、という言葉に反するのであります。われわれは、すみやかに長期復興計画を國民的立場において樹立して、誠意をもつてこれが実施に当らなければなりません。かかる計画を得たからは、少くともその期間は、いかなる内閣が出現しましようとも、その政策ほ、すでに制約を免れることは不可能であります。要は、ここ数箇年は計画経済を行わざるを得ず、しかも、従來にも増しての強化促進をこの指令は命じておるのであります。
 政府並びに民主自由党の諸君の主張の根底にあるものは、これとまつたく矛盾したものであります。政府與党の政調会長は、民自党の政策と何らかわりはないと言いつつも、率直に政策の轉換を認めておられるように、紙上に拝見をいたしました。本指令は、徴税、融資、賃金、貿易管理、物價統制、配給割当制度、供出制度等の強化拡大を要求しておるのでありますが、吉田内閣成立以來、各閣僚の言明と相違する点が多々あるように考える次第であります。この点に関し、各大臣を代表して経済安定本部長官から、從來の御方針に変更があるかないか、また中には、さつそく手をつけなければならない問題があるのでありますが、これについて、いかなる御措置をおとりになろうとしておるのか、この際お聞きしておきたい次第であります。
 さて、吉田内閣の閣僚諸君や與党の諸君は、自由経済への復元、統制の撤廃をただちに可能であるような印象を大衆に與えておることについては、また猛省をしていただかなければならないのであります。前二代の総理大臣は、その施政の演説におきまして、國歩のきわめて難難なる事情を率直に披瀝しまして、國民に耐乏と勤労とを要請し、その救國的熱情に訴えるところがあつたのでありますが、先日の首相の演説は、すべてこれ党派意識の露骨なる表現にとどまり、泉山氏の経済に関する演説も、まつたくその域を出ていないのであります。このように、政府が國民に安易な感じを與え、大衆の歓心を買うために事態を正視することを阻害するような種々の宣傳をなすということは、まさに許すべからざることであります。閣僚諸君の御答弁は、一部少数の者の心からなる喝采を浴びております。次にみずからが被害者となることを自覚しない混乱期の大衆の感情をくすぐつておる。しかし、識者とまじめな生産者は、冷たく批判し、憤激すら覚えておるのであります。 吉田内閣の存在は、長ければ長いほど國民を極端な両翼に分裂せしめる。承るところによりますと、総理は四國の大会において、政党は民主自由党と共産党があればそれで済むと言われたそうであります。このような思想をお持ちであるならば、この現実の担当者である資格はありません。平等に困苦をわかち、すべてをあげて協力すべき事態に直面しながら、日々労資のみぞを深め、抗争を激化し、國民の協力態勢を崩壊せしめつつあるのであります。
 指令は、日本人の全般的生活水準がどの程度まで改善せられるかは経済の安定復興に日本人が全面的支持を與えるの度合いのいかんできめられようといつておりますが、かかる際においては、勤労者諸君を不逞のやからとして敵にまわすような政府では、支持の度合いに期待することは思いもよりません。(拍手)まして、日本國民が経済安定復興の計画を実施するにあたつて、どんな業績を示すかは、将来日本から追加資金を要請する場合にしんしやくせられる材料となろうとあるに至つたとき、國民の落胆はその極に達するのであります。かくて、吉田内閣の存在はまさに罪悪であると申しても過言ではないのであります。(拍手)総理大臣は、この点に関し責任を痛感されますかどうか、お答えを願いたいのであります。
 先日岩本國務大臣は、與党代表者の質問に答えまして、行政整理の計画を、まことに颯爽と語られたのでありますが、本会議においてこれを追究せられるや、民主自由党の研究した政策であると称して、何ら恥ずる色がなかつたのであります。かかる態度は、決して岩本國務大臣にとどまりません。かかる指令を受けるような情勢下においては、政党政治であるとはいえ、それしも國際的制約と國内事情による限定を受けておることは、賢明なる閣僚諸君のよく承知せられておるところであります。取引高税とか、自由販賣とか、それは必ずしも根本的な問題ではない。そのような選挙対策的論議のために日々を過すべきではないのであります。閣僚諸君は、民自党員ではありましても、國際的には日本の最高指導者であります。よかれあしかれ、列國は諸君を注目し、諸君の言動は日本の歴史を決定するのであります。私は嚴重なる反省を要求いたします。
 経済安定措置の目的に対しましては、政治的な闘争やイデオロギー的な批判というものは一切許されない、とマ元帥の書簡にあるのでありますが、選挙を前にして、民主自由党内閣は、この言論の問題につきまして何らかの措置を講ぜられる用意があるのでありますか、この点を明らかにしていただきたいのであります。
 われわれは、解散を前にいたしまして、この指令を政府が受けましたことは、総理を初め現内閣に対する重大な警告であると考えております。かつて第一次吉田内閣の末期にも解散を前にいたしまして……、
○議長(松岡駒吉君) 時間がきわめてわずかしかありません。
○平川篤雄君(続) 関係方面より警告がありまして、時の大藏大臣石橋湛山氏は、自由党は決して野放図な統制撤廃はやらないのだと声明をした事実があります。まさに時を同じゆうして同じようなことが起つたことは、私ははなはだ意味があると考えざるを得ません。総理大臣は、はたしていかなを感懐をもつてこの指令を受取られたのでありましようか。内外に対する現政府並びに民主自由党の今後の方針をこの際鮮明せられることが、正しい選挙が行われるためにも、はたまた國際的疑惑を一掃するためにも、絶対必要と信ずるものであヶます。この点に関し、総理の誠実なる御見解の開陳を要求してやまない次第であります。(拍手)
    〔「議長、時間をはかつて置いてください」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 時間はちやんと見ております。
    〔國務大臣周東英雄君登壇〕
○國務大臣(周東英雄君) お答えします。
 このたび経済九原則をマツカーサー元帥から示された、これに対して政府はすべての政策をかえる必要があると思うかどうか、という御趣旨の御質問であります。今日あらためて九原則が出たということを、しきりにおつしやいますが、私どもの考えるところは、本年の七月に出ました経済十原則の内容と、今度出ました九原則の内容とは、ほとんどかわつておりません。ただこの七月はマッカーサー元帥からお示しになりましたが、このたびはワフシントンからマツカーサー元帥に対して指令が出た点が違つている点であると思います。
 しかして、その内容とするところを見ましても、今後日本政府の経済安定を期するために、第一為替レートの設定と輸出貿易の振興によつて日本の國力を安定せしめるということ、このことに対しましては、すでに民主自由党は在野当時におきまして、七月の十五日に、為替単一レートの設立を目途としてあらゆる総合施設を集中すべきであるということを発表いたしております。しかして、この点におきまして、このたび出ましたところの経済九原則の内容は、財政金融、それから物價、賃金等につきまして、その施策というものはすでに発表した民主自由党の施策とかわつておらぬことは当然であり
 しかして、諸君から今御質問がありましたが、民主自由党は、物價統制におきましても、従來発表いたしておりますものは、あくまでも必要なる統制については、有効適切なる方向に集中いたしてこれを行う、しかしながら、不必要の統制についてはこれを解く、ということを申しているのであります。この点については、政策の矛盾はございません。しかしながら、新たに単一為替レートの設定ということが起ります以上、今後におきまして、物價政策におきましても、ただ単に國内物價の関係だげでこれを規制することはできず、今後におきましてほ、國際物價に國内物價をさや合せをするというようなこと及び國際物價にのつとつて行われる國内物價の問題は、当然にこれを維持するために、あらゆる面において、企業の合理化と生産コストの低下に向つて、すべて企業の合理化、健全化のあらゆる施策を集中して行かなければならぬことは当然であります。そういう面からいたしまして、わが党の政策は、それらに集中いたす考えでありますので、これらについて、わが党の政策と矛盾することはなく、この新しい立場において、内閣は新しい情勢に應じて施策を立てて行くつもりでありますから、御安心願いたいと思います。
○議長(松岡駒吉君) 田中織之進君より、議事進行に関して発言を求められております。これを許します。田中織之進君。
    〔田中織之進君登壇〕
○田中織之進君 私は、先ほどの花月純誠君の質問に対する殖田法務総裁のきわめて不謹旗かつ不穏当なる答弁に関しまして、議事進行上、この際発言をいたしておきたいと思うのであります。
 先ほどの本議場におきまして、御承知の通り、われわれは議場内粛正に関する本院の決意を表明したはずであります。しかも、日ごろきわめて謹巖なる態度で率直なる答弁をすることをもつて、われわれは一應法務総裁の答弁態度を了承いたしておつたのでありまするが、その謹嚴なる殖田法務総裁が、この決議案の可決後いくばくもたたないのに、いささかあるものを含んだがごとき態度をもつて、事さわめて嚴正なるべき検察権の発動に関し――――なる表現を用いるがごとき――これは先ほどわれわれの要求に基いて法務総裁は取消しましたけれども、そのほかにも、心にやましいことがあれば、威丈高になつて威圧するというがごとき、あなたは発言をなされておるのでありまするが、私は、法務総裁の答弁こそ、やましいところがあるから威丈高になつてわれわれに対してきわめて不当なるところの威圧をもつて答弁をしたものであると解するのであります。
 花月君の質問された問題は、法務総裁にとつてはきわめて重大な質問であるとわれわれは考えるのであります。最近の検察当局のやり方を見まするならば、われわれは、そこにきわめてへんぱなるものを見出すのであります。ある意味においては、政略的なる取締り方針が行われておる。そういう態度は、法務総裁として検察当局を指揮命令する立場にある者として、きわめて嚴粛に考えなければならない問題であると思うのであります。
 法務総裁も御承知の通り、最近検察当局において石炭國管問題等に関連いたしまして家宅捜索を行われたことが報道せられておる議員諸君が多々ある。それらの問題に対して検察当局がとりつつあるその後の態度、しかも先般、わが党の水谷長三郎君等に対する任意出頭の問題のごときは、まさに政局がきわめて重要性を帯びているときに、ああした内容に関する参考人としての任意出頭を求めることは、私はきわめて政略的な党利党略を打つたというにおいを多分に感ずるのであります。私は、こうしたことこそ、あなたは取消しなされたけれども、厳正なるべき検察権の発動を――――であると考えておるところの、きわめて不謹慎の態度の表明であると考えるので、この点については、われわれは先ほどここで可決したところの議場内粛正に関する議案は、あなたは議員ではありませんけれども、この議場に出る以上、私は巖に守らなければならない道徳であると考えるのでありますから、この際巖に戒めてもらわなければならないと思うのであります。
 われわれは、國会の本日までの審議状況を通覧いたしまして、政府閣僚の答弁態度、あるいは答弁内容の問題については、単に殖田法務総裁のみならず、吉田首相以下現内閣の閣僚は、すべて國会を無視し、この議場の神聖を汚すがごとき不謹慎なる態度をとつていることに対し、この殖田法務総裁の不当不謹慎なる答弁態度に関連いたしまして、巖重に議長においてこの問題に対する反省を強く要求せられんことを望むものであります。
○議長(松岡駒吉君) お聞き及びの通りでありますから、お含みを願います。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、猪俣浩三君提出、政党献金の法律上の解釈に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 政党献金の法律上の解釈に関する緊急質問を許可いたします。猪俣浩三君。
    〔猪俣浩三君登壇〕
○猪俣浩三君 政党献金につきまして、最初に法律上の問題を法務総裁におただしいたします。次に、事実上の問題につきまして吉田総理にお尋ねしたいのでありますが、御臨席ありませんから、かわつてやはり法務総裁の御答弁をお願いしたいと思うのであります。 法律上の問題につきましては、政党献金者の政党献金の届出義務者は何人なりや。という問題に関連するのでありまするが、各政党の書記長または幹事長といわれる者が第一次の届出義務者であることは、常識上明らかであります。但し、ここに第二次の義務者といたしまして、政党の献金を自分自身で受取つたか、またはその政党献金ありしことの報告を受けた政党の代表者、すなわち総裁または委員長と称せられる人たちは、自分自身で受取つた瞬間、あるいはその報告を受けた瞬間におきまして、いわゆるその受取つた金額に対しまして届出をなすべき義務が発生するものなりと、本員は考えるのであります。
 この政党献金の届出義務者につきまして規定せられておりますところの勅令第百一号の第五條の二項には、團体の主幹者というものを届出義務者としておるのであります。この團体の主幹者というものの中に、情を知れる政党の代表者、すなわち総裁というものが、どうしても含まれておるものと解釈するのであります。その理由は、この勅令百一号及び昭和二十二年十二月三十日に公布になりましたところの政令三百二十八号は、いずれもポツダム宣言の受諾に件い発する命令から出ておりますところの、いわゆる占領軍の管理政策に基く管理法であることは、申すまでもないのでありまして、われわれ國民は、十分にこの法令を実施しかつ履行するところの嚴粛なる義務があることは、申すまでもないのであります。
 かようなるところの重大なる法令でありますからには、いやしくも一党の総裁が、その献金の情を知りながら、なお何らその履行について責任を負わぬという法理は、出て來ないのであります。この團体の主幹者という抽象的文字を用いておりまするその解釈は、あげてこの法令の性質から理解しなければならぬことは、法律の一ページでも研究した者の首肯するところでありまして、すなわち團体の主幹者の中には、政党の献金をみずから取扱いたるか、あるいはその報告を受けたる総裁が、必ずその届出をなすべき、あるいはさしずをし指揮するだけの責任を負うということに解釈せざれば、この法令を、はなはだつまらないところの一種の行政犯と解釈する結果に相なるのであります。さようなことは許されない状態なのでありまして、どうしても献金の事実を知れる総裁は、少くともその届出を指揮し、さしずするだげの責任を有するものと解釈しなければならぬのであります。私は、そのような見解を持つておりますが、これに対して法務総裁はいかなる見解をお持ちであるか、お伺いしたいのであります。これが第一点であります。
 もし、この情を知れる政党の総裁が、何らその献金について責任がないという御解釈ならば、その根拠がどこにあるのであるか、もしさような解釈に相なりますならば、その政党に献金する者が直接その総裁に金を渡し、総裁が何人にも、すなわち書記長、幹事長というものにも何ら知らせなかつた場合には、これを処罰することができないということになり、この献金を何人も届け出る義務者がないという結果に陥りまして、これは法令の解釈上はなはだ妥当を欠くことに相なるのでありますが、かような情を知れる政党の総裁が、なおかつ何ら責任がないという根拠がありまするならば、お示し願いたいのであります。これが第二点であります。
 第三点といたしましては、このいわゆる政党献金の届出義務者が何人なりやという点につきまして、もし法務総裁の見解と検察当局の見解とが一致せざる場合におきましては、これをいかに調整せられるのであるか。この点につきまして、検察廳法第十四條との関係におきまして、これはどういうふうに相なるのであるかをお聞きしたいのであります。これが第三点であります。
 第四点といたしましては、この勅令百一号または政令三百二十八号は相当難解であり、明確を欠く法令になつておりまするし、いわゆる團体の主幹者というものにいたしましても明確を欠いておる点があるのでありまするが、これに対しまして政府は改正の意思ありやいなやという点を、第四点としてお伺いいたします。
 第五点といたしましては、法務総裁は、この勅令百一号または政令三百二十八号を最も巖粛に履行すべき重大なる法令と理解せられておるやいなや、その点についてお伺いをいたしたいのであります。
 最後に、吉田総理大臣に対しまするところの献金問題につきまして、事実関係につきましてお伺いをいたしたいと思うのであります。吉田総理大臣の政党献金につきまして、一体法務総裁は、どの程度の御報告を受けているのであるか。星島二郎氏が不当財産委員会におきまして証言しました百五十万円の献金、梅村から出た金はこの百五十万円にとどまらず、そのほかになお百万円の献金がありまして、(拍手)これが星島氏から直接吉田総理に手交されているという論をなす者がありまして、その証人は、本日検察当局に出頭しているはずであります。かような事実につきまして、法務総裁はいかなる報告を受けておるのでありますか。それが事実であるといたしまするならば、そして私は事実である確信を持つておるのでありまするが、さようなことに相なりますると、これは相当重大な問題だと思うのであります。百五十万円と百万円と合せて二百五十万円が梅村清氏から出ておるのでありまして、そのうち百五十万円は星島二郎氏がかつてに使つて、あとの百万円は、そつくりそのまま自由党への献金といたしまして、吉田総理大臣に渡されておるとのことであります。かような事実がありといたしますならば、これはいわゆる政令三百二十八号または勅令百一号の違反にあらずや、その点につきましての法務総裁の御答弁を煩わしたいのであります。(拍手)
    〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
    〔「酔つぱらいはさめたか」と呼ぶ者あり〕
○國務大臣(殖田俊吉君) 私は酒は飲みませんから酔つぱらいません。ついでに申し上げておきますが、私が先ほど取消しました言葉は、実は十分でありませんでした。私は、いかなる政党にも、いかなる人にも拘束されることなく、自由にやるということを申したつもりであつたのでありますが、それが不十分でありました。そのことを申し上げておきます。
 ただいまの猪俣さんの御質問にお答えをいたします。
 勅令第百一号には主幹者と書いてございます。政令第三百二十八号には、幹事長のほか、これに準ずる主幹者とございます。この二つは同じ意味と解しております。すなわち、後者の幹事長その他云々は例示と解しておるのでありまして、やはり主幹者と考えておるのであります。その例示でわかりますように、ここに申しまする主幹者というのは、いわゆる幹事長、書記長級の者をさすものでありまして、党首を助ける――党首のない場合もありまするが、党首のあります場合には党首を助ける事務の責任者、こういう意味に解しております。從つて、総裁、党首等團体の代表者を言うものとは解しておりません。もつとも、小さな團体にありましては、代表者が事務責任者を兼ねておる場合もあるかも知れません。以上のことは、政治資金規正法第六條におきまして、代表者と主幹者とを書きわけるということに徴しまして明らかであろうと思います。もつとも、猪俣さんのお話がありました代表者が金を受取つた、そして幹事長に渡さない、ということがありはしないかというような場合が想像されるのでありますが、今日は、つまり二十三年七月二十九日の政治資金規正法では、そういうことはあり得ないことになります。しかしながら、その前の規定では、必ずしも猪俣さんの御心配のようなことがあり得ないとも限らないのであります。(「それでどうする」と呼ぶ者あり)それで新しい法律ができて、それでち
やんとりつぱになつたのです。
 その次に、検察廳当局と法務総裁との見解の相違があつたならばどうするかというお尋ねでありますが、これは、まつたく見解の相違はあり得ざることと考えております。
 それから、先ほどお尋ねの勅令百一号と政令三百二十八号とは重大な法律と思うかということですが、その通りであります。非常に重要な法令でありまするからは、これは愼重に適正に適用しなければならぬと考えておりま
す。
 それから、吉田総理大臣に百万円云云の問題がありまして、これは告発を受けております。目下取調べ中でございます。その他百万円のほかに百五十万円があるというお話は、私は初耳ありまして、これはまだ報告を受けておりません。
 多分御質問はこれだげであつたと思います。
    〔猪俣浩三君登壇〕
○議長(松岡駒吉君) もう時間がわずかですから……
○猪俣浩三君 今の法務総裁の答弁に対しまして、ここで法律議論をしても始まらないのでありまするが、勅令百一号と政令の三百二十八号は、規定している事実が違うのであります。これは一般法と特別法の関係でありまして、政令の三百二十八号は、限られた事項につきまして、限られた年月におけるある特殊の届出を要求しておるのでありまして、勅令百一号は一般法であります。ゆえに、勅令百一号の團体の主幹者ということを政令三百二十八号で例示したものなりという法理は成立たない。この法律は現在併存しておるのであつて、規定しておる事項が違うのであります。
 なおまた政治資金規正法の六條は、結社の届出の場合は、政党の代表とか、あるいは指揮者であるとか、あるいは会計責任者というものを届出るというだげでありまして、政党献金の責任者としての見解を表明したものでは断じてないのであります。さようなことで御答弁なさつては――私は今から二週間前に、この点については十分研究してくれということを法務應に申し込んである。のみならず、私のこの質問は、二、三日前にすでに予告せられておりまして、法務應が來て、詳しくこの各項を聞いて行つておるのであります。しかるに、今かような貧弱なる御答弁を承るのでは、どうも満足できない。
 なお吉田総理大臣は、本会議におきまして、これは政党献金であるから、私はそんなものは届け出なかつたというように、御答弁になつておるのでありますが、これは政令三百二十八号または勅令百一号を、非常に軽い形式犯あるいは行政罰を取締るくらいに考えておる、いわゆる法令を蔑視して、嚴粛なる法令であるということを理解せざることから起つて來た答弁だと思うのでありまして、はなはだ遺憾に存ずるのであります。かようなことであるから、百万円受取つても知らぬ顔していらつしやるのであろうと思うのであります。(拍手)
 今法務総裁の答弁によりましても、私のお聞きしたこの法令の重要さについては、一言もお触れにならなかつた。この團体の主幹者というものを何人とするかという解釈は、この法令がいかに重要な法令であるかということのその解釈から出て來るのでありまして、重要なる法律なりと解釈したならば、必ず團体の代表者がその一般の責任を負うという結論に到達するのでありまして、この法令の蔑視から、かような答弁に相なると思うのであります。しかし、敵軍の行動を自由奔放のような御答弁をなさるように、まつたく法律にしろうとでいらつしやる法務総裁でありますから、私はこれ以上質問しないのでありますが、検事くらい、いわゆる法令のわくにはまつている、自由奔放と反対の行動をしなければならないものはないのでありまして、基本的人権のために当然のことでありまするにかかわらず、検事が自由奔放に活動するような印象をこの國会に與えられた法務総裁は、はなはだ私は遺憾に存ずるのであります。(拍手)
    〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
○國務大臣(殖田俊吉君) 猪俣さんにお答えをいたします。
 猪俣さんのおつしやる通りでありまして、数日前に質問の御要旨を承りまして、愼重に研究いたしました結果、私はただいまのような答弁を申し上げたのであります。法令が重要であればこそ、かような答弁を申し上げたのであります。(拍手)
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、八百板正君提出、農地改革に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 農地改革に関する緊急質問を許可いたします。八百板正君。
    〔八百板正君登壇〕
○八百板正君 私は、農地改革に関連する二、三の点をお尋ねいたしたいと存ずる者であります。
 農地制度の改革は、終戦後日本民主化のためにとられた最大の政策であつたことは、今さらこれを論究する必要はないのでありますが、これは単に戦後の日本の最大の変革であつただけでなく、日本の歴史の上から見ても、大化の改新以來最大の経済的変革と申すことができるのであります。また、これは日本を戦争に導いた経済的基盤を破壊し、日本経済の民主化をはかるという意味においては、財閥の解体とも一対をたすところの二大政策であつたはずであります。從つて、この難事業は容易のことをもつて達成することはできないのでありましてわれわれは、絶えずこの進行を検討し、この意義を再認織することを忘れてはならないのであります。(拍手)
 今や農地制度の改革は、着手以來実に二年、ようやくにして実質的な仕上げの段階に進み來つたと申すべきであるのであります。ところが、この最も重大な締めくくりの段階にあたつて、意外にもこれを逆にもどし、農村民主化のこの農地改革をあともどりさせるのではないかという、重大懸念が生ずるに至つたのであります。
 吉田内閣が、第一次内閣以來その果して來た役割と、民自党の保守的性格にかんがみ、封建的地主擁護の立場に立つことは、すでにして輿論の一致するところであります。はたせるかな、去月五日の閣議において、農地改革を打切り、あまつさえ、再び地主制度の、復活に導くがごとき内容の農地調整法改正の要綱を決定したと報ぜられたのであります。これは有力なる反対にあい、遂に日の目を見ずに立消えになつたと聞くのでありますが、このことの與えた全國にわたる影響は、断じて消えてはおらないのであります。農地改革はこの辺でうやむやにしてもよいとの印象を與え、農地改革関係者の熱意をさまし、さらにはまた反動勢力に力をかす結果を招くとすれば、これはきわめてゆゆしき重大事と申さなければならないのであります。事実このことのために、全國各地においては、不正地主が、この分ならば、おしまいまでごまかし通せると考え、反動勢力と結んで農地改革の阻害行為に出ているということは、われわれも今日、これを現実に見るのであります。日本の民主化は永久のものであり、農村の民主化も永久のものである。農地改革は断じて中断せられるものであつてはならないと思うのであります。政府は、いやいやながらこれをやろうとするのであるか。この改革は、公正と徹底を期するためにも、とりあえず一箇年は延長すべきものであると、われわれは考えるのである。
 農地改革は農民解放のためのものであり、從つて農民解放は、農業を近代産業の水準に引上げ、これを合理化することなくして、なし遂げることはできないのであります。政府は第三次の農地改革をやらないというならば、せめて第二次の農地改革を徹底し、農地
の交換分合くらいは即時強力に行える用意があつてしかるべきものと思うのであります。 農業協同組合は、今のところ残念ながら、旧農業会の看板の塗りかえに、すぎない実情であります。農地改革によつて受けた農民の利益を守るためにも、また昨二十一日発表されましたところのマツカーサー元帥の指令の農民組織に関する十六原則にも示されたところの政府の積極的援助の義務からも、農業協同組合対策が、あるいは農地部に、あるいは経済部に、地方において分散不統一、しかも弱力をもつて行われるようであつては、断じて農民解放の実をあげることはできないのであります。また、農民組合は農民解放運動の主軸をなすものでありますが、ややもすれば、最近政府はこれをじやまもの扱いにし、農地改革関係機関への組合代表参加を除外し、あるいはこれを減らす傾向を見るのであります。農民組合の奨励を内容とするところの十六原則にも背反するといわなければならないのでありまして、農林大臣は、この十六原則の発表の機会をとらえまして、その所信と態度を表明すべきものであると私は考えます。
 次に、農地改革の裏づげとなるところの予算的処置につきまして、大藏大臣にお尋ねいたしたいのであります。
 六千三百円ベースによるところの公務員給與改善は、全國の農地委員会書記にも適用し、その生活を保障して農地改革の推進をはかる用意がなされたと思うのでありますが、全部で四億一千万円くらいの追加予算で、一体この大事業がはたしてやれると考えておられるのかどうか。去月十八日、政府は、全國農地委員が会同協議しまして、委員手当等につきまして予算上の追加計上を要請いたしましたのに対しまして、吉田総理大臣の名前をもつて、文書によつて、すなわち財政の許し得る限度において希望に沿うよう検討中であることを回答いたしたのであります。この総理大臣の言明は、はたして國家財政の限度において、どれだけの数字を計上したか。地方財政の支出は、今日財政法により不可能である。農地改革をほんとうにやる氣があるならば、一体これを財政的にどうする考えであるのか。大藏大臣にこれを明らかにしてもらいたいと思うのであります。
 なおこの機会に、最後に法務総裁にお尋ねいたしておきたいと存ずるのであります。日本農村の根強い封建性を抜きとるための改革というものは、尋常一様の力をもつて達成することはできないのであります。從つて農地改革は、この困難の途上にあり、あるいは地主勢力の組織的妨害があり、この中で推し進めるためには、農地調整法違反行為に対しては巖罰をもつて臨まなしければならないのであります。しかるに、農地調整法第十七條は、たとえば知事、農地委員の承認なくして土地の取上げをした者に対しては二年以下の懲役、一万円以上の罰金を定めたのでありまするけれども、はたしてこの処罰はどれだけ励行せられたのであるか。
 日本農民組合は、福島縣、富山縣、新潟縣その他の各地において、從來これらの違反行為数百件を摘発したのであります。けれども検察当局は、みずから発動するどころか、告発されても動かないという状態であります。いまだ単独事犯として処罰された話を私は聞かないのであります。しかし、現実にこの違反は、全國の村々、どの村に行つても、十数件、数十件、多きは数百件を数えることができるのであります。一体法務應には、農地調整法違反に対してどんな統計数字ができ上つておるのであるか、これを明示せられたいと思うのであります。そうして、眞に農地改革に熱意を有せられるならば、特に誤解を受けがちな民自党内閣の法務総裁は、この際一段と罰則の励行を指令すべきであると考えるのであります。農地改革に対して協力の態度の最も欠けておるものは裁判所であり、檢察廳である、というふうに言われておつたのでありまするが、法務総裁は、この檢察廳をあらためてここに督励し、法の励行を指示する意思ありやいなや。これをこの機会において明確にされんことを希望するものであります。
    〔國務大臣周東英雄君登壇〕
○國務大臣(周東英雄君) 八百板君にお答えをいたします。
 現内閣が農地改革を打切るやのうわさがあるが、それが非常に悪い影響を與えているというような御質問がありましたが、内閣成立後、内閣が農地改革を打切るということを言つたことはございません。第二次農地改革は徹底してこれを行うということを申し上げておるわけであります。ただ、いわゆる第三次農地改革、一町未満の地主の土地を解放するという問題につきまして、これはやらぬということを申し上げておるわけでありますから、よろしく御了承を願いたいと思います。
 それから、御指摘の農地改革を行つても、これに対してあるいは農業の近代化の励行、あるいは協同組合による経営の合理化等がなければ農地解放は効果を結ばぬという御意見は、そのまま賛成であります。この点につきましても、たびたびこの席からお話を申し上げているように、近代化に対しましては、大きく科学披術を農業に取入れ、あるい土地の交換分合等は土地政策として十分に考え、かつ土地の総合利用計画を立つる等の方法を、もつて、土地生産力の増進、適地適作等を考えて行きたいということを考えております。
 なお、協同組合を活用して、経済面、生産面、流通経済面において、農家経営の合理化、経営の安定化に資したいということについては、われわれも同感であります。
 以上、お答えを申し上げます。
    〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
○國務大臣(殖田俊吉君) 農地改革の完遂のためには、農地調整法の適正な運用が絶対的の要請であります。その違反に対しましては、初めから重大な関心を持つて臨んでおりまして、悪質な違反者に対しましては断固検挙処罰する方針をとつておるのであります。処罰した例があるかというお話でありまするが、今年一月から十月までの農地調整法違反事件の人員を調べておりますのによりますと、受理の人員総数が四千二十四人、そのうち処理を終りました者が千三十二人となつております。今後といえども十分嚴重に処罰をして行きたいつもりであります。
    〔政府委員、塚田十一郎君登壇〕
○政府委員(塚田十一郎君) お答えいたします。農地改革に関係しましての、今度の追加予算に計上いたしました経費は、御指摘の通り四億一千八百万円だけであります。そのために、農地委員会の委員手当なども遂にに計上できなかつたのでありますが、このような結果になりましたのは、政府が農地改革に対して熱意を持たなかつたということでは決してないのであります。
御承知のように、今度の予算が非常にきゆうくつなものであつて、緊急まことにやむを得ないもののうち、さらにまた緊急のもののみを計上いだした結果、こういうような結果になつたということを、御了解願いたいと存ずるのであります。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、矢後嘉藏君提出、農産物價格に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 農産物價格に関する緊急質問を許可いたします。矢後嘉藏君。
    〔「総理大臣を出せ」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 総理大臣は参議院の本会議に出席中であります。
    〔矢後嘉藏君登壇〕
○矢後嘉藏君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府に、現下日本の食糧問題を解決せんとする高度の観点に立ちまして、インフレ処理の一環として、日本農業再建の基本的な農産物價格適正化に関する問題等を強調いたしまして、そして農民生活の安定とその地位の向上のための諸問題をお伺いしたいのでございます。
 第一点といたしましては、農産物價格を再生産費を見積つた、生産費を償うとにろの、合理的な價格に改訂する意思ありやいなやという点でございます。この問題は、本議場においてしばしば論ぜられておるのでございまするが、私の言わんとするところは、終戦直後、ある程度のインフレーシヨンの進行によりまして多少ゆとりを得ました日本農民も、昨年あたりから、もはや貯蓄も使いはたし、今年春は肥料、農機具購入資金にも著しく悩んだことは、あのスタンプ手形の出現を見たほどであります。この農家経営の困難、そして農民の貧窮化ということは、根本的に申しまするならば、わが日本特有とも言うべき零細農業に起因するものであります。しかしながら、また一面、低米價、低賃金という、日本再建をなさんとするところの資本主義的な物價経済政策によつて、より急速に窮乏化に追い込まれておると信ずるのであります。
 たとえば、農産物價格中の王座を占めておりまする米價の問題でございまするが、昭和二十三年度産第一回改訂は、生産者價格一石当り三千五百九十五円と政府が決定したのでありまするが、その算出の基礎について、私どもは納得の行かないものがあるのであります。本來ならば、物價は生産費によつて算出すべきものでありますが、その筋の意向等もあつて、パリテイー計算を採用したのでありまするが、そのパリテイー計算にいたしましても、農家の納得のできるようなものでなければならない。しかるに、政府は七十五品目をとつたのであります。これでは妥当な價格が出て來ない。私どもは、この政府の七十五品目は、マル公を中心にいたしましたところの生産資材がおもであると、こういうように理解するのでありまするが、これでは、現在の農民に納得の行くはずはないのであります。
 インフレーシヨンの進行の状態におきましては、生産資材は比較的統制がきいて、その價格を押えやすいのでありまするけれども、生活資材というものは、この抑制ががきかないのであります。ところが、今度の場合におきましては、この農民の生活資材が少いのであります。從つてわれわれは、このパリテイーには九十三品目の生活資材を入れて計算いたしたのでございますが、それによりますと、一石当り四千二百円となるのであります。政府は、このパリテイーにおきまして、このような不合理な点があるのであります。そこで、一このパリテイーをとります場合に、もつとウエートを廣くとつて、特に生活資材を多くとらなければならない。こういうことを私は指摘せざるを得ないのであります。
 なお、日本農業は、元來利潤というものがないのであります。從つて日本農民は、ただ食えさえすればよいというのが、昔も今もかわらないのであります。しかも一家は、老いも幼きも総働きである。企業の形態がどうであろうと、実際上においては、日本農業は賃金労働にほかならないのであります。從つて、その日その日の生活に窮するところの農民は、目の前に肥料あるいは農機具というような実際の生活に必要なる資材があつても、自分が食わなければならないために、この生活資材を犠牲にして買わないで、生活必需品を買つておるというような、悲惨なる実情でありますために、日本の農業は、その生産性が著しく低いのであります。これを換言いたしますならば、労働の生産性きわめて低い。從つて、生産費が高まるという実情にあるのでございます。もしも、日本の農民の生活がもつと経営が樂にでき、そうして知的水準が高まりますならば、おそらく日本の主要食糧は自給自足できると私は確信するものであります。政府は、この米價をつり合いのとれた値段に改訂する意思があるかどうか、こういうことをお伺いしたいのであります。なお、このパリテイーにおきましても、工業生産品との間にきわめて不公平がある。つまり工業生産品は、基準年度の六十五倍をもつて出したのでありますが、米價におきましては、六二・五倍、つまり二・五倍だけ安く定められておるという点であります。
 その次にお伺いしたいことは、農産物にも、他の産業と同様に價格差補給金を交付して、生産農民から高く買い、一般消費者に安く配給するという方策を立てられる御意思があるかどうか、こういう点であります。農産物價が高くなることによつて、消費者たる國民大衆、特に勤労大衆の、生活を圧迫するおそれがあるのであります。よつて政府は、当然に消費者價格を安くし、これに價格差補給金を表出することによつて農産物價格を維持すべきであると信ずるのであります。しかるに、今日政府のやり方は、この逆であつて、生産者からは安く買い、消費者にうんと高く賣つておる。つまり、本年度の生産者價格は三千五百九十五円であるのに対して、消費者の價格は五千三百五十五円、こういうようなことで、ことにその差額は、一石当り一千七百六十円となるのであります。この中間の費用が、あまりにも厖大すぎる。しかも、この差益金の中から食糧行政の費用、食糧管理局の人件費まで支拂つておるのであります。それになお、不当と思えるほどの食糧公團の費用を負担させておるのであります。それだけ農産物價格を安くしておるというこ
とになるのであります。石炭、鉄、肥料等に対しましては價格差補給金を交付しておる。現に今度の補正予算において、他の産業に対しましては百十億という厖大なる追加價格差補給金を見積つておるのであります。のみならず、これらの工業生産に対しましては、食糧とは違いまして、別に行政費を政府が負担しておるのであります。この点は、農産物に対してのみ不公平な取扱いになつておる。この際これを訂正される御意思があるかどうかということも、あわせてお伺いしたいのであります。
 今度のこうした予算は、つまり主として公務員に関する賃金ベースの点において、農村の方におきましては、いかにもこの労働者に、一般大衆の負担において増額する、こういうような印象を與えておるのでありますが、これらの点につきましても、この食糧に対して價格差補給金を交付するというようなことにいたしますならば、この点が是正できるのであると信ずるのでございます。
 なおその次に、第三点といたしましては、財政法の第三條を改正いたしまして、農産物價格を國会で決定すべきであると考えるのでありますが、これを実施するところの御意思があるかどうか、こういう点を伺いたいのであります。農産物は、今日生産から配給、消費に至りますまで、巖重なる統制下に置かれておるのであります。実質的には専賣と同様であります。しかも農産食糧品は、わが國再建の基本的な産業でありまして、國民生活はもとより、一般経済に至大な影響を及ぼすものであります。一般産業の増産、労働問題、インフレの問題、日本経済各般にわたるところの影響は重大であります。それにもかかわらず、國民の代表であります國会に諮ることなく、政府がかつてにきめておるということは、まことに不合理であります。よつて政府は、財政法第三條を改正して、タバコ、國鉄その他と同じように、國会で審議をしてきめる、こういうようにすべきであると信ずるのであります。
 第四点といたしまして、単作地帯の米を特別價格によつて買上げてはどうか、こういう点でございます。東北、北陸その他米の単作地帯は、御承知のように氣候の関係もございまして、二毛作、三毛作はなかなか困難であります。從つて生産費が非常に高くなる、こういうような関係でありますから、プール計算等によりまして、これらの単作地帯の農作物を特別價格をもつて買上げるという御意思があるかどうか、この点をお伺いしたいのでございます。
 第五点といたしまして、供出割当と同時に、そ、の代金の二分の一程度を前拂いすべきであると、私は考えるのでございまするが、この点についてお伺いしたいのであります。農業経営も他の産業に劣らない今日資金難であることは、御承知の通りであります。政府機関において必要品を購入されまする場合におきましては、その賣買契約と同時に、たいていの場合二分の一ないし三分の一、場合によりましては全額を前拂いしておるのであります。しかるに、先ほど申しましたように、今日の主用食糧品、特に米等におきましては、巖重な統制に置かれておつて、この食糧確保措置法によつて処罰を仮定されましたところの割当は、一つの契約でございます。從いまして私は、これは大体において全額を前拂いしてしかるべきものである、もし災害等がありましても、それは耕作者の責任でない限り國家が補償してしかるべきだ、こういう意見を持つものでございまするけれども、これは他の工業生産品等の購入と同様に、二分の一程度を前拂いすべきである、こう思うのでありまするが、これに対しまする農林大臣の所見を伺いたいのであります。
 第六点といたしまして、早場米の奨励金及び超過供出代金に対しまして免税することが妥当であると私は考えるのでございまするが、この理由は……
○議長(松岡駒吉君) 結論をお急ぎ願います。
○矢後嘉藏君(続) この理由は、先ほど來、予算討論おきまして、数氏によつて叫ばれておりましたから、さらに申し上げません。
 最後に、政府及び與党は、在野時代に公約いたしまして、供出後の米に対しましては自由販賣を許すということでございました。これに対しまして、過般來この議場から、農林大臣は、この主張は撤回しないのだ、ただその時期について研究中である、こう言われておるのでございまするが、この民自党内閣が成立いたしましてから、この主張に期待を持ちまするところの農民は――これに惑わされたところの農民諸君は、この超過供出をしぶつておる、こういう現状におるのでございます。われわれは、その当時から、かかることは少くとも一、二年の間はできないであろうということを指摘し、そうして委員会等におきましても、この点に対して論争して参つたのであります。はたせるかな、御承知のように、さる十八日付アメリカ政府よりマツカーサー司令官に対しまするあの経済安定九原則によりまして、この民主自由党の公約されて参りました米の自由販賣は、ふつ飛んでしまつたであろうと私は考えるのであります。先ほど周東農林大臣は、この九原則の質問に対しまして、新事態に即應してやる、こういうことを仰せられておるのでありまするが、この際できるものならばやる、できないものならやれない、少くとも昭和二十三年度産米に対してはどうするのであるかということを、明確にこの議場を通じて国民に声明される必要がある。そうしないならば、超過供出はなかなか困難である。農林大臣は、主管大臣といたしまして、このことを声明するところの責任があると、私は考えるのでございます。 以上によりまして私の質問を終る次第であります。(拍手)
    〔國務大臣周東英雄君登壇〕
○國務大臣(周東英雄君) お答えをいたします。
 農産物價を、生産費を償う、再生費を見積つた合理的價格にする必要はないか、というお尋ねでありますが、農産物價については、日本の農家の零細なるものが、ことに農産物については多数組合せて生産に從事しております現状から、これを生産費價格でもつて行くということは、今日のところ困難であります。ただ御指摘のように、パリテイー計算方式をとるといたしましても、その中に取入れるもの及びそのウエートの取方については十分検討いたして行きたいと考えます。
 また第二の、工業生産品と農薬品の價格を均衡を得せしむるようにすべきだということについては同感であります。その線に向つて努力いたしたいと思います。
 第三の、財政法第三條を適用して、米價を國会において決定する意思はないかということでありますが、ただいまのところ、さように考えておりません。ただでき得る限り民意を反映せしむるために、審議会等を設けまして諸問して、十分適正な米價をつくるようにいたしたいと考えております。
 その次に、早場米及び超過供出についての税の問題については、先ほど大藏次官から、申し上げた通りであります。
 また、供出割当決定とともに、その代金の半額の前拂いをしないかということでありますが、ただいまのところ、さようなことを考えておりません。
 最後に、供出後の米の自用販賣の問題でありますが、たびたびこの議場からはつきり申し上げておるのでありまして、二十三年度の米につきましては、一般供出後の米についてほ、これは供出について農家の協力を求める方針をとつておるということを申し上げたのであります。
     ――――◇―――――
○議長(松岡駒吉君) 去る十五日の山崎道子君の緊急質問に対し答弁のため、厚生大臣より発言を求められております。これを許します。厚生大臣林讓治君。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
○國務大臣(林讓治君) 本日厚生委員会におきましても、山崎議員と、首相がぜひ出席をいたしまして答弁を申し上げるようにとのお約束をいたしたわけであつたのでありますが、折柄本日は参議院の予算総会並びに本会議に出席をいたしておりまして、こちらに出席をすることができませんので、私がかわりまして責任をもつてお答えをいたしますから、お許しをお願いいたしたいと考えます。
 最初にあたりまして、水問題をジフテリア予防接種事件に関しましての緊急質問として、首相は本問題は全面的に政府の責任であるということを確認するかどうかというお話でありますが、今回相当多数の犠牲者、被害者を出したことは、まことに遺憾でありまして、政府といたしましては、これらの方々に対しまして深くおわびを申し上げる次第であります。また國民各位に対しまして不安の念を起させたことに対しましては、まことに遺憾の意を表するわけであります。
 なお、本問題に対し根本的に解決するの用意ありやいなや、こういう御質問でありますが、本問題につきましては、政府はその原因につき徹底的に究明いたしまして、今後かかることの起らぬように十分なる処置をとりたいと考えておる次第であります。とりあえず昨日、予防接種に使用される全ワクチンの使用を停止いたしまして、製品の製造過程の巖密な再調査及び製品の再検定を実施するの措置をとつた次第であります。
 なお、至急政府代表閣僚を派遣して被害者に陳謝し、慰問、弔問並びに善後策を講ずる意思ありやいなやとの御質問でありますが、これは本日委員会においてもお答えをいたしました通り、議会が終了いたしましたならば、ただちに厚生大臣といたしまして私が現地に出張いたしまして、衷心より御慰問を申し上げたいと考えております。
 なお諸費用につきましては、例外的の支出を仰ぐようにいたしまして、できる限りの弔意を表するとともに、すべて諸経費に対しても十分たる処置をとりたいと考えておるわけであります。
 なお今後、この毒素が原因となりまして不具廃疾者になつたような場合には、生涯これが生活を保障するやいなや、またこの際國家補償法を制定して、文化日本のあり方を世界に声明する考えありやいなやという御質問でありますが、政府といたしましては、今後十分研究して善処いたしたいと考えておるわけであります。さよう御了承置き願います。
○山崎道子君 議長、簡単でございますが……。
○議長(松岡駒吉君) 御遠慮願えませんか。
○山崎道子君 ちよつと大事なところです。
○議長(松岡駒吉君) その席でおやりください。
○山崎道子君 ただいまの答弁ですが、國家の責任において國立のワクチン製造所をつくる用意があるかどうか、できなければ國家の責任において委託製剤をする意思があるかということを、総理大臣の責任において御答弁をお願いしておきます。
 それから、ただいまの御答弁では、政府の全責任であるということを確認するかどうかということについての御答弁があいまいであつたと思います。もう一度お願いいたしたいと思います。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
○國務大臣(林讓治君) ただいま、國家がこれを製薬するかという点につきましての御質問であつたのでありますが、今國家がこれをただちに製造するようなことは考えておりませんが委託につきましては十二分なる処置をとりたいと考えて、委託製剤をさせるというつもりでおります。
 それからなお、國家がこれを全部補償するかという御質問でありますが、この点につきましては、ただいま申し上げた答弁によつて御勘弁をお願いいたしたいと思います。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、本藤恒松君提出、政界浄化と選挙取締りに対する緊急質問を許可されんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君)  御異議なしと認めます。よつて日程は追放せられました。
 政界浄化と選挙取締りに対する緊急質問を許可いたします。本藤恒松君。
    〔本藤恒松君登壇〕
○本藤恒松君 総選挙という声を聞いておる前に、一應吉田総理大臣並びに法務総裁に伺いたいのであります。
 この吉田内閣は、政界浄化、財界浄化または官界の浄化ということを最も主張されておるのでありまするが、まず吉田総理大臣が、新聞におきましても、ただいま猪俣議員からのいろいろな総理大臣への質問におきましても、吉田総理大臣自身、幾多の疑惑事件が起きておるのであります。こういう事件を起しておる総理大臣の下に、いわゆる選挙内閣として選挙をいたすということは、國民として実に不明朗であるがゆえに、吉田総理大臣は、むしろこの際自分の一切の事件を明瞭にした後に選挙されてはどうか。また、もし自分の主張するところの政界浄化を國のために実際に身をもつていたすならば、私はむしろ、辞して選挙をやるべきであるように考えるのであります。
 なお選挙というものは、時期とその方法を選ばなければ、結局選挙しても、なお悪い結果を見る。むしろ、今度の選挙をこのままでいたすならば、日本の再建どころではない、亡國に導くようになりはしないかと思うのであります。日本の民主化の途上におきましても、なおこの選挙を通じて、いかに再建するかという重大な時期に到達しておるところに、いたずらに今の吉田総理は、その組閣直後から、冒頭解散とか、またはただ党利党略のため、自分の内閣の命をつなぐ、自分の党利のためのみの解散を主張しておるのであるが、これは、いかにもわれわれ國民として迷惑するのであります。(拍手)なお総理大臣に聞いていただきたいが、総理大臣は来ないのであるから、後刻適当な時期に答弁を願う。
 なお、今われわれがいろいろなうわさを聞くところによりますると、吉田内閣ができて以來、いろいろな政党もありますが、ことに吉田内閣を支持しようという党の諸君が、むしろ立候補の争いをして、公認の争いやら、選挙はあすあすというので事前運動をいたして、すでに巷間傳うるところによると、二、三百万も使つておる。なおまた、これはうわさであるけれども、五百万、一千万使つても当選しようと言つておるやみ成金や、不法な成金が今活躍しておるのであります。こういうような点からいたしまして、正解浄化というものをいかにするか、選挙が正しくなければ決して政界は浄化になりません。こういう点において、もし総選挙があつた場合には、法務総裁は、これに対する取締りをどういうふうになされるか、正しくおやりにならなかつたら、これこそ、この選挙を通じて日本の國を亡國に導くものであると私は言いたいのであります。(拍手)
 第一、政党構威の党費の不明確こそ、いわゆる政党の腐敗堕落であるのであります。腐敗堕落している政党があればこそ政界は浄化しないのであります。こういう点において、吉田総理大臣は民自党の総裁であるから、正しく党費を公開して、りつぱな政党とし、なおりつぱな方法をとつてやらなければならぬと私は思うのでありますが、吉田総理大臣に、特に総裁として、また総理大臣の位置において、この選挙に臨まれるところの心がけを國民にはつきりと傳えてもらいたいのであります。また法務総裁も、この選挙にあたつて、どういうようにお取扱いになるか、今現在うわさにあるいろいろな幾多の醜悪な問題を、どう処理して臨まれるか、これもはつきり承りたいのであります。
 以上、法務総裁と総理大臣にお伺いいたしたいのであります。(拍手)
    〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
○國務大臣(殖田俊吉君) お答えをいたします。
 選挙公営に伴いまして、選挙運動が從前に比しまして、きわめて厳格に制限されましたことは、御承知の通りであります。これらの違反事犯に対しましては、選挙運動等臨時特例法の精神にのつとりまして、巖正公平を旨といたしまして、仮借するところなく取締るつもりであります。もつとも、選挙運動の初期におきましては、法の不知または誤解に基く違反行為がないとも限りません。多分相当に多かろうと存じます。そこで、法の周知徹底ということに遇進いたしまして、万遺漏なきを期したいと思つております。事犯の性質によりまして、むろん寛嚴よろしきを得るのでありますが、とにかく政界浄化ということを第一の目的といたしまして選挙取締に当りたいと考えております。
○本藤恒松君 この席から……
○議長(松岡駒吉君) 再質問はひとつご遠慮願います。
○本藤恒松君 総理大臣の御答弁は後刻承りたいと存じます。
 それから、ただいま法務総裁の答弁がありましたが、いかに口では正しくやろうと言つても、その時期と方法を選ばなければ、現在の段階においておやりになるということは、断じて公平に粛正選挙はできませんから、その点をはつきりなお承りたいのであります。
○議長(松岡駒吉君) 御答弁ありますか。――法務総裁は答弁ないそうであります。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、川合彰君提出、単一為替レート設定に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 単一為替レート設定に関する緊急質問を許可いたします。川合彰武君。
    〔川合彰武君登壇〕
○川合彰武君 御承知の通りに、米國の國務省並びに陸軍省は日本政府に対して九原則なる勧告を與え、これに呼應いたしましてマツカーサー元帥は、わが國の総理大臣であるところの吉田茂氏に対しまして、これまたいろいろな勧告を與えております。この勧告の要点は、申すまでもなく、日本の輸出産業を振興せんがために、早く単一為替レートを設定するように日本の國内において諸般の経済的な施策をせねばならないということに帰するのであります。
 私思うのに、こういうようにアメリカの國務省あるいはまた陸軍省から、日本の國内問題である為替レートの設定というようなことを半ば命令的にいろいろと示唆されたということは、日本の國民として、また日本の政府として、きわめて不名誉な事柄であると思わざるを得ないのであります。なぜ、こういうような勧告が行われたかと申しまするならば、これは現在の吉田内閣、あるいはその内閣を支持する民主自由党という政党が、保守反動政策をとつているがゆえに、日本の経済再建の基調をなす為替レートの設定さえもできない、そこで、アメリカがこれに対していろいろな援助を與えようとする一つの現われであろうと思うのであります。
 こういうことを思うときに、昨年の三月二十二日、ちようど昨年の四月選挙の直前において、マツカーサ一元帥が、第一次吉田内閣に対しまして、いろいろな統制経済に関する命令的な勧告を行われた。それとあたかも彷彿たるものがあると私は思うのであります。すなわち、吉田内閣の命脈が盡きているか、あるいはこれ以上吉田内閣を存続せしむることは連合軍の政策から見て思わしくないし、新日本の建設というような観点から見て思わしくないから、この辺でカンフル注射をすることが必要であるというような見地から、今回の勧告が行われたように思うのであります。
 本來ならば、為替レートというような問題は、その辺におられるお方は御存じのない方もあるかもしれませんが、國内物價の反映であつて、これを外國の援助によつて設定するいうことは、その國としてはきわめて恥辱とすべき事項であります。それが、日本の國内の力をもつてできずして、今日アメリカの援助を借りなければ為替レートの設定ができないということは、とりもなおさず日本の政府が、日本國内におけるインフレーシヨンの収束をみずからの力をもつてしてはできないということを証明するにほかならないのであります。私の力説したい点は、この点にあるのであります。(拍手)すなわち理論的にいうならば、為替レートというものは國内物價の反映であるという、われわれは理論的な基礎を持つ限りにおいて、そういうような際に為替レートの設定を半ば命令的に勧告されたということは、ときの政府が國内のインフレーシヨン収束に対して何らの力がない、無力であるということを、外國が証明していることにほかならぬと思うのであります。(拍手)
 われわれは、芦田内閣時分において、いわゆる経済の十原則というものが、一應サゼスチョンの形において当時の芦田内閣に示唆されたということを記憶しております。しかしながら、同じような内容を持つたものが、アメリカの國務省あるいは陸軍省の名目をもち、同時にマツカーサー元帥の公式な文書をもつて、時の内閣に対して、これが半ば命令的に示唆されたということは、いかに吉田内閣が経済政策に対して無力であるかということを証明する以外の何ものでもないのであります。(拍手)現在の與党であるところの民主自由党の諸君も、拍手されておるようでありますが、そのことは、とりもなおさず諸君與党みずからが吉田内閣の経済政策は無力であることを実証したものであるというように、私は思うのであります。(拍手)
 しかも、ここでわれわれの注意せねばならない点は、為替レートを設定するという場合におきましては、われわれは諸外國の例に見るごとく、また日本の過去において、すなわち昭和五年の濱口内閣当時におけるところの金の輸出を行つたときにおいて、きわめてデフレーシヨンの財政政策がとられたのでありまするが、もし一本の為替レートが設定された場合においては、おそらく日本の経済に大きなるところのデフレーシヨンに見舞われると思うのであります。すなわち、単一為替レートの設定ということは、安定恐慌あるいは調整恐慌を必ず伴うということは、諸君も御承知通りであります。しかも、この調整恐慌あるいは安定恐慌は、日本経済の企業の合理化、あるいはまた官應方面におけるところの人員の整理というような、日本経済の上において相当の犠牲を、私たちは考えねばならぬと思うのであります。
 その場合において、私どもがここで考えねばならぬのは、為替レートの設定ということは何のために行うか。要するにそれは、日本國民の大多数の幸福のために行うという点であります。ところが、そういうようなことに対して、現在の政府は、はたしてどういうようなうとを考え、現にどういうような施策をとりつつあるか。私は、大藏委員会その他の委員会において、商工大臣あるいは一前の大藏大臣の泉山君にも質問したのでありますが、何らこれに対するところの準備も、あるいはまた用意もないということが、明らかにされておるのであります。こういう点において、おそらく安定恐慌あるいは調整恐慌というものの出來を思わし、しかも國民の相当犠牲を甘受すべきときにおいて、時の政府が、これらに対して何らの準備も用意もないということは、いかに國民のためを思わない内閣であるかということを証明しておると断ぜざるを得ないのであります。
 しかも私たちは、現在の財政の面において、來るべきデフレーシヨンの能勢へのスタートを開始すべき時期において何らこういうようなことを考えることなく、しかも本日通過したところの追加予算において、この追加予算は第二次追加予算を含むというような、きわめて不健全な予算をもつて得々としておるというような、きわめて無能力にして無責任な内閣もつてしては、単一為替レートの設定ということに対する用意と準備がないということも、けだし当然だと思うのであります。
○議長(松岡駒吉君) 川合君、時間が参りましたから結論をお急ぎください。
○川合彰武君(続) 特に私は、先ほどから農村の問題を言つておられるのでありますが、まじめにお聞き願いたい点は、現在の食料品の輸入價格というものは百三十五円のレートで参つておりますが、かりにこれが――私は、購買力の低下その他諸般の状況から考えまして、日本の為替レートというものは、四百円ないし四百五十円の範囲において設定せられることが、現在の段階においてほ望ましいと考えるのでありますが、食料品は現在百三十五円のレートになつておる。しからば、かりに四百五十円になつた場合においては、日本の國内におけるところの食料品というものは急激に暴騰せねばならぬという結論になるのであります。もし海外から輸入されるところの食料品が現在の價格の三倍になつた場合においては、國内の食料品の價格というものは、どういうように調整するか、こういうような点において、あらかじめ準備するところがなければならぬと思うのでありますが、今まで私がお聞きした範囲においては、現在の閣僚においては、こういうような問題に対して何らの考慮をすることなく、いたずらに党利党略のみ考えておるというのが、現在の吉田内闘の閣僚の頭の中にあるすべてであるということを、私は特に申し上げたいのであります。
○議長(松岡駒吉君) 川合君、時間を超過いたしましたから結論を急いでください。
○川合彰武君(続) 私はひそかに思うのに、英國のポンドが安定して、第二次世界大戦において、英國があの強靭性ををもつて戦い來つたということは、どこに原因があるかというなら、ポンドの強みにあつた。そのポンドの強みというものは、どこにあるか。一九二五年に――ポンドはいろいろな経過をたどつて來た、そのポンドの安定期を期せんがために、英國においては超党派的た管理委員会を組織して、ポンドの安定のためにいろいろなことをはかつたのであります。私は、そういうようなことを思う場合、あるいはインドのルビーのために、ことに昨年死んだところのケインズ卿がわざわざ派遣されて、深い思いをなしてルビーの安定のためをはかつたということを思う場合において……
○議長(松岡駒吉君) 川合君、時間を超過いたしました。
○川合彰武君(続) 私は、日本においても、為替レートの設定いうこの重大な問題に関連して、ちようど英國の管理委員会のような委員会を組織する用意があるかどうかということを、吉田総理から承りたい。(「総理大臣はいないよ」と呼ぶ者あり)吉田総理がいない場合においては、適当な機会において、ぜひともわれわれは答弁を得たい。同時に、全國民がまたこれに対するところの答弁を要求しておると私は思うのであります。
 それと同時に私は、単一為替のレートというものは、単に外國から希望れたものを日本政府が受動的に受けいれるのではなくて、日本みずからが、適当な時期において適当なレートを設定すべきであると思うが、一体現在の内閣は――単一為替レートは四百円か四百五十円の間を私は思うが、これに対して、現在の吉田内閣は、どの程度のレートを適当と思うかどうか、これが第二点。
 第三点としては、國民に対して……
○議長(松岡駒吉君) 川合君、ほんとうに時間が経過いたしました。申合せがありますから……
○川合彰武君(続) 為替レート決定の時期をいつごろとするということを、この機会に明らかにすることが望ましいと思われるが、吉田内閣は、為替レート決定の時期をいつごろにしようとする方針であるか、これまたこの機会に明示願いたいと思うのであります。他の点については、いずれ総選挙後、この壇上において質問する機会があろうかと思います。
 以上三点について答弁を煩わしたいと思うのであります。(拍手)
    〔國務大臣周東英雄君登壇〕
○國務大臣(周東英雄君) お答えをします。
 川合彰武君は非常な勉強家でありますから、よく事情を御存じと思います。あなたは、このたび発せられた経済九原則に対して、これは為替単一レートの設定を促進するために命令された、これは内閣の非常に不名誉だとおつしやいましたが、私が考えるに、七月に十原則が示唆されたときに、すでにこの準備をを命令されたと思います。それがいろいろな関係で前内閣時代も実行ができなかつたことに基因することと私は考えます。その点は、よくお考え願いたいと思います。それに対して、民事党内閣に対していろいろお話がありましたが、これに対しましては、すべてお返しをいたします。民自党は、すでに七月に十原則が出た当時、これに対処するために、七月十九日に、為替単一レート設定を目途とする総合施策をしなければすべての経済の安定できないという立場において、物價、賃金、企業合理化、その他に対する総合施策を発表いたしております。今後われわれは、これを着実に実行して行くつもりでありますから、御安心を願いたいと思います。
 しかして、単一為替レートの設定の時期はということでありますが、ただいま十分愼重研究の上この時期は考えたいと思います。
○議長(松岡駒吉君) 明二十三日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後十一時三十三分散会