第005回国会 大蔵委員会 第14号
昭和二十四年四月十五日(金曜日)
    午前十時五十二分開議
 出席委員
   委員長 川野 芳滿君
   理事 小峯 柳多君 理事 島村 一郎君
   理事 塚田十一郎君 理事 宮幡  靖君
   理事 荒木萬壽夫君 理事 風早八十二君
      石原  登君    高間 松吉君
      岡野 清豪君    小山 長規君
      北澤 直吉君    佐久間 徹君
      前尾繁三郎君    三宅 則義君
      吉田 省三君    中崎  敏君
      宮腰 喜助君    河田 賢治君
      内藤 友明君
 出席政府委員
        大藏政務次官  中野 武雄君
        大藏事務官
        (大臣官房次
        長)      河野 通一君
        大藏事務官
        (主計局次長) 阪田 泰二君
        大藏事務官
        (主計局法規課
        長)      佐藤 一郎君
        大藏事務官
        (理財局長)  伊原  隆君
        大藏事務官
        (銀行局長)  愛知 揆一君
 委員外の出席者
        議     員 小坂善太郎君
        大藏事務官   藤本  哲君
        参  考  人
        (日本銀行総
        裁)      一万田直登君
        專  門  員 黒田 久太君
        專  門  員 椎木 文也君
四月十四日
 委員大上司君辞任につき、その補欠として高間
 松吉君が議長の指名で委員に選任された。
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四月十四日
 取引高税廃止に関する陳情書(福岡縣議会経済
 常任委員長野田貫造)(第一四〇号)
 引揚者に対する特別融資再開の陳情書(福岡縣
 議会経済常任委員長野田貫造)(第一四一号)
 所得税調査員制度制定の陳情書(福岡縣議会経
 済常任委員長野田貫造)(第一四三号)
 中小企業專門の金融機関設置に関する陳情書(
 福岡縣議会経済常任委員長野田貫造)(第一六
 一号)
 戰災都市に対する旧軍用地並びに建造物無償讓
 渡等の陳情書(姫路市長石見元秀外十九名)(
 第一六九号)
 電氣、瓦斯及び入場税に関する陳情書(姫路市
 長石見元秀外十九名)(第一七三号)
 富くじ、当せん金附証票法改正の陳情書(姫路
 市長石見元秀外十九名)(第一七六号)
 引揚者に対する特別融資再開の陳情書(群馬縣
 海外引揚者同盟理事長土屋寅藏)(第一八三
 号)
 五大都市に当せん金附証票発賣権附與の陳情書
 (京都市会議長内藤清次郎外九名)(第一八六
 号)
 預金部資金の償還年限に関する陳情書(東京都
 議会議長石原永明外十一名)(第一九二号)
 養蚕業者に対する二重課税是正の陳情書(福岡
 縣議会経済常任委員長野田貫造)(第二〇八
 号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
 連合審査会開会に関する件
 米國対日援助見返資金特別会計法案(内閣提出
 第三四号)
 國立病院特別会計法案(内閣提出第三八号)
 貴金属特別会計法案(内閣提出第四〇号)
 貿易特別会計法案(内閣提出第四一号)
 財政金融政策に関する件
    ―――――――――――――
○川野委員長 ただいまより会議を開きます。
 昨十四日本委員会に付託に相なりました國立病院特別会計法案、貴金属特別会計法案及び貿易特別会計法案の三案を一括議題といたしまして、政府の説明を求めます。中野政務次官。
    ―――――――――――――
○中野政府委員 ただいま議題となりました國立病院特別会計法案提出の理由を御説明申し上げます。
 今回この法律を制定しようといたしますのは、國立病院の円滑なる運営とその経理の適正をはかるために、特別会計を設置いたしまして、一般会計と区分して経理をいたそうとするものであります。國立病院は、適正なる医療を普及いたし、もつて國民の健康なる生活を確保するため、昭和二十年十二月一日より発足いたしたのでありまして、現在全國に九十八箇所の病院を有し、その病床数は約二万四千に上つているのであります。
 元來國立病院は元陸海軍病院を引継いだのでありまして、発足当初は当然元陸海軍病院時代より入院しておりました患者が、大部分を占めていたのでありますが、その後外來施設等も拡充いたし、また一般の國立病院に対する認識もおいおい高まつて参りました結果、利用者も次第に増加いたしまして、その運営も漸次軌道に乘つて参つたのであります。右に伴いまして、國立病院の経理面におきましても、漸次改善の跡が見られるのでありますが、何分一般の官廳とは異つて、病院の事業を経営している特殊な官廳でありますから、その経理面を明確に整理し、適切な経営方策を立てて行くためには、特別の会計を設置してこれを経理することが、最も適当であると認められるのであります。よつて今回本法律案により、特別会計を設置し、一般会計と経理を区分することにより、その收支を明らかにいたし、なおその足らないところは、一般会計から補足する措置を講じまして、國立病院の経理の明確適正を期するとともに、その円滑なる運営をはかろうとするものであります。なお準備の都合もありますので、七月一日から特別会計を設置いたしたいと思うのであります。
 以上の理由によりまして、この法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
 次に貴金属特別会計法案提出の理由を御説明申し上げます。
 今回この法律を制定しようといたします趣旨は、政府の行う貴金属の買入れ、賣拂いまたは管理に関する経理を明確にしようとするものであります。すなわち從來の金資金特別会計は、金資金の運用に関する経理を一般会計と区分して行つているのでありますが、この会計は、資金運用利殖金すなわち賣買差益金及び附属雜收入をもつて歳入とし、産金奬励費、事務取扱費、資金運用手数料、附属諸費及び資金の運用損失金をもつて、歳出として経理して参つたのであります。從つて金資金の運用として行つておる貴金属の買入れ及び賣拂いについては、その全体は特別会計の歳入歳出に計上されてはいないのみならず、金、銀、白金その他の貴金属に運用するようになつても、依然金資金の名称のままであつたのであります。よつて、今回從來の金資金特別会計法を廃止し、新たに特別会計を設置し、貴金属の賣拂代金及び附属雜收入をもつて歳入とし、貴金属買入代金、事務取扱費その他の諸費をもつて歳出とし、政府の行う貴金属の買入れ及び賣拂いの全体を明らかにするとともに、名称も貴金属特別会計と改め、これに伴う所要の措置を規定いたそうとするものであります。
 以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
 次に貿易特別会計法案提出の理由を御説明申し上げます。
 今回この法律を制定しようといたします趣旨は、貿易に関する政府の経理を明確にしようとするものであります。すなわち從來の貿易資金特別会計は、貿易資金の運用に関する経理を一般会計と区分して行つているのでありますが、この会計は、資金運用益金、公團納付金及び附属雜收入をもつて歳入とし、事務取扱費、資金運用手数料及び附属諸費をもつて、歳出として経理して参つたのであります。從つて貿易資金の運用として行つている貿易物資の買入れ及び賣拂い、外貨請求権の買入れ及び賣拂い等、貿易及びこれに準ずる取引に関する資金の受入れ、拂出しは、特別会計の歳入歳出に計上されてはいなかつたのであります。よつて今回從來の貿易資金特別会計法を廃止し、新たに特別会計法を設置し、輸入物資の賣拂い代金、輸入物資の買入者に賣り拂う外貨請求権の賣拂い代金等、從來歳入として経理していなかつたものも歳入として経理し、また輸出物資の買入れ代金、輸出物資の賣拂者から買い取る外貨請求権の買取り代金等も、同樣に歳出として経理して、貿易に関する政府の経理の全体を明らかにするとともに、名称も貿易特別会計と改め、これに伴う所要の措置を規定いたそうとするものであります。
 以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
○川野委員長 ただいま説明を聽取いたしました國立病院特別会計法案は、厚生委員会にとりましても重要な関連を有する法案でありまして、同委員会より連合審査会の要求がありましたので、衆議院規則第六十條により、本案に関し厚生委員会と連合審査会を開くことに、御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 御異議はないようでございますので、さよう決定いたします。なお開会の日時等につきましては、委員長に御一任を願います。
    ―――――――――――――
○川野委員長 次に米國対日援助見返資金特別会計法案を議題とし、質疑を継続いたします。
○荒木委員 本案につきましては、今まで同僚委員から相当詳しく御質問がありまして、およそわかつたのでありますけれども、ある程度の重複をお許しいただきまして、簡單にお尋ね申し上げたいと思います。
 まず第一に、この法律の施行につきましての責任官廳いかんということであります。と申しますのは、第二條によれば、「大藏大臣が、法令の定めるところに從い、管理する。」とありまして、一應明確なようではありますけれども、数日前から問題になつておりまする第四條の第六項、七項との関連において、さらにまた第十四條に日本銀行の事務取扱いの規定がございますることとの関連におきまして、一体責任者はだれかという意味において、はつきりしない点があるように考えるのでありますが、今申し上げた各條項に照しまして、その間の関係を明確に御説明願いたいと思います。
○伊原政府委員 私から御説明申し上げますことが適当であるかどうかわかりませんが、一應申し上げます。安本等とも相談いたしまして、一昨日でありましたか、閣議の了解を得ましたところに從いまして、責任関係を御説明申し上げます。
 この米國対日援助見返資金特別会計法案の第二條にございますように、この会計の管理の責任者は大藏大臣でございますが、この千七百五十億円というものの運用は、日本の資金計画に非常に大きな影響がございまするので、安定本部におきまして、総合資金計画の一環として、対日援助見返資金の運用計画は安本がこれを定めます。そうしてこの資金の運用計画につきましては、年間の計画及び四半期別の運用計画を定めまして、國債に幾ら、産業資金に幾らというように、できるだけ具体的にいたし、しかもその産業の復興融資につきましては、原則といたしまして企業別に細分した計画を立てるというふうになつております。そこで次に大藏省といたしましては、先ほど申し上げましたように、この援助見返り資金を管理いたしまして、ただいま申し上げました安本の定める運用方針によりまして、資金を運用いたすのでございますが、大藏省はこの資金の運用につきまして、予算執行上必要な統制を加えるということは、予算大臣としてあり得るということになります。それから安本がこの運用計画をつくるにあたりましては、もちろん資金の管理者であります大藏省と密接な連絡を保つのでありますが、運用計画をつくるにあたりまして、安本の中に関係各省の担当官をもつて、援助資金運用協議会というものをつくつたらいかがか、というふうに考えておるわけであります。
 なお第十四條にございます日本銀行に事務を取扱わせるという点につきましては、たとえば産業資金に直接貸出しをいたします場合、または國債を買入れて償還をいたします場合に、大藏省の責任におきまして日本銀行がその事務を取扱う。從來も日本銀行はいろいろな國家事務の委任を受けておるのでございますが、それと同じように事務を取扱つてもらう、こういうふうな考え方であります。これはお示しの通り、対内的な責任のみならず、この資金の運用関係は國際的な責任を生ずる問題でありますので、いやしくもその間に権限と責任の紛淆を來すことのないように、安定本部、大藏省、日本銀行というようなものは、権限と責任をはつきりいたさなければならぬという根本方針で考えているのであります。
○荒木委員 大体新聞に出ていることと同樣なことで、ほぼわかるのでありますが、祕密会におきましてそれぞれ論議されましたので、これ以上議論する必要もないのでありますけれども、第四條の第六項、七項に関しまする限りは、連合軍最高司令官が、いわば管理の責任を持つ大藏大臣、ないしただいまお話のような運用の面において責任を持つ安本長官の、一種の上級官廳的な立場に実際上立つことになると思いますが、その辺の御見解を伺いたいと思います。
○佐藤(一)政府委員 ただいまの御質問について私あるいはちよつと誤解しておるかもしれませんが、最高司令官に対する承認というのはあくまで手続の一段階でありまして、もちろん責任は、これを管理しておるところの大藏大臣、並びにその計画の立案作成に関しては、安本長官というものが当ることになつておるわけでありまして、最高司令官の承認をもちろん受けますが、当面の責任者はただいまの通りであります。
○荒木委員 承認を請求し、監査を請求される方はだれでございますか。
○佐藤(一)政府委員 この建前から申しますと、大藏大臣が承認を受けることになるのであります。なお監査につきましては、これは司令官の任意でございまして、特にこちらから要求を出すということはございません。
○荒木委員 從いまして今の御説明によれば、大藏大臣だけが表面に出られるようでありますが、大藏大臣の上に連合軍最高司令官が一種の行政官廳的立場において、要求官廳らしき立場に置かれるということは、これは爭えない。この條文上の解釈から行けばそうだと思うのでありまして、その辺は國内法の体裁上適切でないように考えられるのであります。これはいささか意見にわたりますので、そういう見解を申し上げるにとどめたいと思うのであります。
 さらにお伺いしたいことは、これも今まである程度同僚委員がお触れになつたのでありますけれども、先ほどの理財局長の御説明によれば、この資金の運用は非常に重要であるから、安本におきまして、一般の資金計画の一環として運用することをつかさどる。それについては運用協議会を設けるというお話のようでありましたが、運用協議会そのものの構想をこの際お伺いしたいと思います。
○伊原政府委員 ただいままでの構想におきましては、安定本部に、関係各省の担当官をもつて構成する運用協議会を設けるということに相なつております。すなわちたとえば商工省、あるいは農林省、逓信省等、この資金の運用に関して、ことに産業資金部面におきまして、日本の経済復興のためにこの資金を使用することに強い関心を持つておりますところの、関係各省の担当官をもつて構成いたします運用協議会というふうなものを設ける、こういう構想になつております。
○荒木委員 新聞によりますると、日本銀行内にも類似の委員会みたようなものを設けらるるやに仄聞しますが、そういう御考案が政府側におありかどうか、お伺いしたいと思います。
○伊原政府委員 日本銀行の問題につきましては、ただいま公式に申し上げる段階になつておるのかどうか存じませんが、ただいまの構想では、日本銀行に政策委員会というものを設ける。これはこの対日援助資金の問題とは直接には関係はございませんで、日本銀行の信用政策、割引政策とか、市場操作であるとか、そういうふうな日本銀行の行います信用政策の最高をつかさどりますために、日本銀行そのものの中に政策委員会というものができる。從いましてそういうものができました場合におきましては、たとえば國債の償還を行う資金によりまして、日本銀行の公債を償還いたしました場合に、日本銀行からそれと見合うだけの資金を、産業界に還元するというふうな通貨信用政策につきましては、この政策委員会と申しますか、その委員会において十分に考慮されることに、なるのではないかと思うのであります。
○荒木委員 安本に設けられます予定の運用協議会、及び今の御説明の日本銀行内に設けられます金融政策委員会と申しますか、そういうものは政令に基いて設置される御意向か、ないしは法規に基かざる事実上の協議会ないしは委員会になるか、その点を伺いたいと思います。
○伊原政府委員 日本銀行の方の問題は、おそらくは日本銀行法の改正によりまして、法律自体で設けられることに相なると思います。それから安定本部に付置せられます援助資金運用協議会、これは事実上の各省の集まり、連絡会というふうなことに相なると思います。從來の復金の委員会とか幹事会とか、ああいうふうな構想は全然ございませんので、要するに國内的責任のみならず、この運用につきましては、國際的の責任が重大な問題でありますので、責任の所在、権限の所在の紛淆を來さないようにという点だけは、十分注意しなければならないという考えでありますので、事実上の集まりということに相なると思います。
○荒木委員 事実上の運用協議会といたしましても、一方日銀関係でもつて、日本銀行法の改正により、法律に基く金融政策委員会が設けられるといたしますれば、それと、事実上の存在たる連絡協議会、それに基く政府側の責任との相互混淆を來しはしないかということをおそれるのでありますが、その辺はどういう総合調整と申しますか、政府全体としての意思を決定する上に、どういう調整をされるおつもりであろうか、伺いたいと思います。
○伊原政府委員 この援助資金の運用協議会の方は、先ほど申し上げましたように、安定本部が、御存じのように資金計画というものを四半期ごと並びに年間を通じてやつておるのでありますが、ことにこの援助資金の運用が通貨信用政策に非常に大きな影響がありますので、ある程度具体的にこれをつくる。その場合に、ことに産業資金をどの程度直接援助資金から企業体に貸出しが許されますか、はつきりはいたしませんけれども、ことに産業資金の部面につきましては、先ほど申し上げましたように、産業復興に重大な関心を持つております各省の意見を十分に聞いて、安定本部でこれを定めたい、こういう考えで、責任者たる安本が運用計画をつくるにあたりまして、その運用計画について諮問する。または運用計画に基く資金の運用について報告を受けるというような意味で、関係各省の協議会ができるのでありまして、安本が運用計画をつくります諮問といいますか、それをつくるまでの経過において、いろいろ相談をする集まりであります。責任は安本にあるのでありまして、安本が資金計画をきめました場合には、おそらくはこれは閣議によつてきまる。そのきまつた場合に、たとえば國債を幾ら償還するというふうなことに相なりました場合には、どこの銀行に幾ら償還するかとか、償還した結果産業資金にまた幾ら還元するとかいうふうな、つまり信用政策と言いますか、信用に関連する部面につきましては、日本銀行の機能として、日本銀行の中にできます政策委員会がこれをつかさどる。日本銀行の監督は大屋大臣が監督をする。日本銀行の監督機関は大藏大臣である。こういうふうな関係になつて來るのであります。
○荒木委員 そうしますと、安本の中にできます事実上の連絡機関という仰せでありますが、その運用協議会が國全体としては本資金の運用については、大本を定めることになるかと思いますが、復興金融金庫が事実上停止しております今日、今後の、なかんずく産業資金の調達については、この資金に依存する度合いが、政府側の御言明によりましても非常に重大であります。復金の運用そのものがとかくの非難があります一面の理由は、官廳代表の幹事会が実権を握つて、金融界ないしは産業界の実態の把握が十分でなかつたというようなことが、一つの欠陷であるように一般に指摘されておるようであります。私もそういうふうに思う一人でありますけれども、そういう考え方に立ちまして、実際上國全体の、いわば最高の総合調整をします安本に設けられんとする運用協議会そのものは、もつと制度上も権威あるものにし、しかもその協議会ないしは委員会のメンバーも、單に官廳の代表担当事務官等がお集まりになつて、審議されるということよりも、それもある程度必要でございましようが、さらに金融界ないしは産業界の現実面を十分に把握した人々をもつて構成される、もつと権威ある法規上の存在としての協議会ないしは委員会に格上げすると申しますか、強化するようなお考えは政府側におありかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○伊原政府委員 これはよく安定本部等とも相談いたさないと、また私一存では申し上げかねることでありますが、お示しの通り從來の復金の幹事会とか、ああいう感じのものではいけないのでありまして、この千七百五十億というものは、日本全体の復興のために與えられた資金でありますから、國全体総がかりで、衆知をしぼつて考えなければならないという点につきまして、まつたく私も同じように考えるのであります。ただその責任の所在ということははつきりいたさなければなりませんので、その責任の所在はあくまでも政府がとる。その中で資金の計画に関しましては、安定本部に権限と責任があり、この資金の管理につきましては、大藏大臣に責任があるということでありますので、その責任者が、案をつくります過程におきまして、各省との連絡、それから民間のいろいろな御見解というふうなものを伺うという、何らかの仕組みをつくることは、私も必要であると思います。なお十分に御意見の点は研究いたすことにいたします。
○荒木委員 ただいまの点は、私は本來ならばこの法案の審議にあたりまして、当然もつと力こぶを入れた具体案を――もし法規によつて設置するとしますならば、その案そのものも添えてお出し願つてしかるべき問題と思うのでありますが、その点は問題が問題でありますから、しいて追究いたしませんけれども、本案が採決されます以前に、十分御相談願いまして、單に私は言いがかりでなしに、千七百五十億円に上りまする、ことに二十四年度の予算の執行に関連いたしまして起る諸般の影響が、ほとんどこの資金の運用いかんにかかつておるという見地からいたしまして、本案採決以前に政府側の確たる御意向を承りたいと存じますので、委員長におきまして、しかるべくおとりはからいの上、適当のときに政府側の最後的な具体的な御意向をお漏らし願いたいと思います。以上で私の質問を打切ります。
○川野委員長 承知いたしました。
 ほかに質疑はございませんか。――なければ、本案に関しましては、これにて質疑を打切りたいと思いますが、いかがですか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 これにて質疑を打切ります。
    ―――――――――――――
○川野委員長 次は貴金属特別会計法案を議題といたしまして、質疑を許します。御質疑はございませんか。
○前尾委員 法案自体については大して疑問もないのでありますが、こういう貴金属特別会計法を設けまして、ことに金については、特殊なものでありますから、わかるのでありますが、その他のいろいろな貴金属について、これを政府で買い上げて、それを統制するという目的については、必ずしもはつきりしておりませんので、それについて御質問申し上げたいと思います。特に銀につきましては、これは総司令部の意向もあるのでありましようが、相当余つておるように聞いておるのでありますが、それに対する將來の処分というようなことについての御説明があれば、承りたいと思います。
○伊原政府委員 銀につきましては――ちよつと速記をとめてください。
○川野委員長 速記をとめて……。
○藤本説明員 お答え申し上げます。その他の貴金属につきましては、現在統制しておりますものは白金でありますが、白金は、御承知のように狹義の白金と、その他イリドスミンとかロジウム、バラジウムというような、いわゆる白金族というものが包括されております。この統制が行われました時期は、実は御承知のように昭和十二年に産金法並びに金資金特別会計法というようなものができまして、産金奬励というような趣旨から、とりあえず金塊につきまして措置がとられまして、終戰になるまでの間は、金につきましてだけは、一應金資金特別会計法において統制をしておつたのでありますが、終戰後におきまして、これに新たに銀と白金とが加わつたのであります。白金につきましては、御承知のように國内においては北海道その他一部のところにおきまして、イリドスミンが生産されるばかりでありまして、國内に特に生産資源がございません関係から、すでに國内に輸入されましたものを、回收の形において政府に集めなければならぬ。つまり製品としてつくられたものも一應廃品にいたしまして、これを地金の形において政府に回收する、こういう面において現在は政府の集中が行われたわけであります。何分にも白金については、國内資源がない関係から、また一面國内における需要というものは非常に強いわけでありますから、現在においては、白金については國内資源がないにかかわらず、買上げ並びに配給のお世話をしなければならぬ、こういう状況であります。
○北澤委員 ちよつと速記を中止してください。
    〔速記中止〕
○川野委員長 速記を始めてください。
○三宅(則)委員 この貴金属特別会計法における種類について第一條二項に書いてありますが、このうち現在どのくらいの数量になり、どのくらいの金額になる予定か、おわかりならお知らせ願いたいと存じます。
    〔委員長退席、宮幡委員長代理着席〕
○藤本説明員 三月末現在における貴金属特別会計の前身であります金資金特別会計の貸借対照表によりまして、現在の手持の貴金属の数量を申し上げますと、金地金が二トン六百キロほどございます。銀地金が百九十六トンほどございます。白金につきましては、これは御承知のように純粹の白金という形よりは、イリドスミンという形でさまざまな原素が入つております関係から、拂い下げてから分析するというような関係になつておるので、現在手持の数量を申し上げることはできないから金額で申し上げますと、約二千百万円ほど持つております。
○三宅(則)委員 この特別会計法案において、実際金の利用せらるべきものは、この第八條に、支拂いに関して現金に不足があるときは、この会計から借入れるようにすると書いてありますが、それはどのくらいの予定ですか。もし予定がわかりましたらお知らせ願いたい。
○藤本説明員 お答え申し上げます。ただいまの点につきましては、貴金属特別会計法案の第八條におきまして、「この会計において、支拂上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、又は國庫余裕金を繰替使用することができる。」こうなつておりまして、実は本年度におきましては、予算総則で一時借入金の関係並びに國庫余裕金の関係を規定しておりませんから、二十四年度におきましては第八條の関係は一應起つて参りません。將來はどうかという問題でございますが、本年度の予算におきましては、一般会計からこの会計に二十六億三千三百万円の繰入れをいたします関係から、本年度においては、大体資金の不足は來たさない考えでありますし、來年度以降におきましては、もちろん年度を通じての資金收支においては支障ないように考えるつもりでありますが、年度の進行中におきまして、やはり一般会計から繰入金をもらうというようなことは、時期的に少しずれるというようなことも考えられます関係から、來年度以降におきましては、第八條の関係において、適切な措置を講じたいと思つております。
○三宅(則)委員 もう一項だけ簡單に申し上げますが、附則の一番しまいの方に、連合國占領軍云々と書いてありますが、これに対する説明をしていただきたいと思います。
○藤本説明員 附則の最後にございます連合國占領軍の管理下云々というこの法規は、昭和二十三年法律第百十九号で規定されまして、詳しい内容を申し上げますと非常にこまかいのでありますが、かいつまんで申し上げますと、終戰後連合國占領軍に接收されました民間事業会社の貴金属の一部が、接收後におきまして、民間事業会社の希望がございまして、大藏省を通して司令部に解除方を申請しまして、一應解除を受けてこれを民間の会社に使わしたのでありますが、その後になりまして、再び政府において返還すべきであるという要請がありまして、政府として持つております金属を再び接收下に置きまして、返還しなければならないところの貴金属を、解除を受けた会社から、これに相当する金額を政府においていただく、こういう関係を規定したものでございます。
○宮幡委員長代理 ほかに御質問はございませんか。
 ただいま議題になつております貴金属特別会計法案に対しまして、御質疑がないようでありますから、この際質疑を打切りまして、討論を省略し、ただちに採決をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮幡委員長代理 それでは採決いたします。貴金属特別会計法案に対し、賛成の方の起立を求めます。
    〔総員起立〕
○宮幡委員長代理 起立総員。よつて貴金属特別会計法案は原案の通り可決せられました。
 なお報告書作成の件については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮幡委員長代理 それではさように決しました。
 午後は一時に再開して質疑を継続することとし、午前中はこれにて休憩いたします。
    午前十一時三十九分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後一時三十三分開議
○川野委員長 午前に引続き会議を開きます。
 一万田日本銀行総裁がお見えになつておりますので、質疑をいたしたいと存じますが、総裁は非常に御多忙であられますので、質問はできるだけひとつ簡潔にお願いいたしたいと存じます。
○塚田委員 一万田総裁に御多忙なところをお越し願いました大藏委員会の氣持は、非常に今日のこのさしせまつた金融の逼迫に対して、私どももまた國民もひとしく、どういうぐあいにこれがなるのかということを心配いたしておるのであります。そこで結局これは日本銀行当局がどういうようにお考えになつておるかということを、承知いたしたいわけなのでありますが、ただその場合に、政府及び政府の與党である民自党の考え方と、日本銀行の考え方といくらか食い違つているのじやないかということを、ぼんやりと民間で心配いたしておる向きもある。そういう点をひとつ頭に置いていただきまして、当面の金融措置に対してのお考えを伺いたいと思います。
○一万田参考人 きようここにまかり出まして、今後の金融政策というような点についてお話ができますことは、私は非常に光栄でもありますし、また欣快に存じます。
 すべて経済政策は今後九原則のわくのうちでやらなくてはならぬ。九原則に対する批判はむろんあり得ると思いますが、これは今日の問題ではありません。九原則は、私が申すまでもなく経済の安定を所期しておる。経済の安定はどうすればよいか。結局インフレを收束する。インフレを收束するのにはどうすればよいか。いわゆるインフレーシヨンの起る根本の原因を取除くことが、インフレ收束のもとであります。むろん日本の経済からそう急激にこの根本を除き得ない事情も認めなければなりません。しかしインフレを收束するのはその点にあるのであります。今回この九原則の一つとして予算がああいうふうに編成されております。この予算と、一般の金融政策がどういう関係を持つだろうか。これが一つの問題であります。この予算で直接通貨の收縮になる金額と言いますか、予算面から生ずる金額は、私が承知しておる限りでは、三百二十七億ぐらいは收縮になる。これは主として貿易資金特別会計の二百五十億の日本銀行返金を中心とする金でありますが、これは收縮をいたす。のみならず、昨年に比していわゆる増税と言いますか、税金の徴收が約二千億近くふえております。これはやはり傾向としては大きなデフレ傾向をとる。もちろんその間において大藏省証券を発行する。投資において資金の調達をいたす。これが日本銀行の引受けということが從來通りでありますれば、これはインフレ的な傾向、この辺はいろいろと複雜な事情もありますが、大観いたしまして、今回の予算はデフレ的の傾向をとるということは、これはいなみがたいことであると私は考えております。そこで金融政策をやる場合に、一体どういうふうな目標をまず大観しておくかということが、もつとも必要である。私の大観する第一は、今日の金融と言いますか、いわゆる資金量というものをこれ以上減してはいけない。大体今日の資金水準には置かなくてはならぬ。これが一つの大きな考え方であります。そうしますと、もろもろのデフレ的な傾向は、同時にこれを補う金融政策をとつて行かなくてはならぬ、こういうことに相なります。同時にそういうふうにインフレの原因のもとを除く予算が立つておる。そこでこれはひとり予算面、財政面ばかりではありません。経済自体においても九原則を実行して行かなくてはならぬ。言いかえれば、日本の産業が從來ペイする基礎に立つておらない。もろもろの形で赤字を出しておる。あるいはまた政府の財政資金に依存することが多かつたのであります。こういうものは九原則に適應しません。こういうものが取除かれて行くにはどうすればよいか。結局経済におきましても、自分のペイしない原因がどこにあるのか。自分の足で立ち得ない原因がどこにあるのか。その根源、その病根を除いて行くという方向をとらなくてはならぬ。かりに今日それをいとうて、取除かないでおきましても、近いうちに單一為替相場が立てば、すぐにそれはいけなくなる。現在の國際競爭に耐え得るものではない。そこでまずこの根源を取除く。言いかえれば、企業の合理化ということはこの際あくまでやらねばならぬ。企業の合理化をやる。この建前は忘れてはならぬ。こういうふうなインフレの根源になる点を、財政、経済の両面におきましてまず取除くことをやる。そうしてこれをどういうふうにして大過なくやつて行くかという点において、金融というものが非常に大きな役割を果しますし、また愼重にやらなくてはいけない。言いかえれば、病人が手術台の上に乘つたのであります。そこで内科医として常に聽診器を耳にあて、手には脈をとりつつ、この病人の病勢が惡化したり、頓死したりすることのないように、健全なからだに回復するように配慮しなくてはならないが、同時に金融面におきましても、インフレは收束しなくてはならない。言いかえれば、少くとも今日の資金量の範囲内でこれをまかなつて行く。こういうことは九原則を実行する上において、やはり絶対の要請であります。そこで非常にむずかしい問題がもろもろと起るのであります。なかなか今後における金融というものが決してなまやさしくないということは、おわかりくださると思うのであります。
 そこで、こういう場合にどうすればいいかということは、金融の政策といたしましては、まず蓄積資金を培養するといいますか、できるだけ預貯金の増加、いわゆる蓄積資金の増加をはかるということが、これがもう根本の大きな問題で、この増加いかんが今後の金融の問題を大きく左右いたします。特に予算面で、税金で二千億以上も今回は徴税するのであります。そうしてみると、これは強制貯蓄に該当いたします。これだけ國民の金融機関に対する貯蓄というものは、どうしても少からざるを得ない状況にあるのであります。しかも今後経済界では整備が進んで行きますと、いろいろな問題がある。言いかえれば、これも九原則で、日本國民が勤勉で、大いに働いて、そして大いに節約せよ、いわゆる國民の耐乏生活ということをもとにして、貯蓄というものの増大をはかつて行かなければならない。そこで私は、こちらさまにもお願いしたいのですが、私はここに貯蓄の増強ということを旗じるしに、今後夏にかけて全國的にひとつ行脚してみよう、そして國民運動を展開しようと、今考えております。なぜかならば、こういうふうな事態のもとにおいて、今日でも國民の生活水準が低いのであります。しかもなおかつこれ以上に耐え忍んで國家のために貯蓄してくれ、こういうことを言わなければならない。貯蓄に限りませんが、九原則のこの苦しさを忍んでくれと言わなければならない。それを國民の一人一人によく訴えまして、何ゆえにこの九原則というものを今日日本でやらなくてはならないか、なぜ苦しまなくてはならないか、苦しんだ結果日本は一体どうなるのか、言いかえれば、日本の独立も、日本の將來の繁栄も、この九原則の苦しみを一應耐え忍んで初めて來るので、將來は明るいんだということを、國民の一人々々によく納得してもらうことが最も必要で、これは私の立場から、貯蓄の増強ということを中心にいたしましてやるつもりにしております。これはしかし大きな政治、あるいは社会の問題で、たとえば昨年も税金で相当苦しんでいた。まして今度は二千億を増徴するという、ここにはいろいろな社会問題の頽廃があるのであります。社会惡のおもしろくない事態が生ずる。これはただ一例にすぎません。そうしてみると、税金を耐え忍べ、なぜ耐え忍ばなければならないかということをよく國民に徹底せぬ限りは、はなはだ寒心すべきことだろうと思う。これは一つの政治の問題として、皆樣方に十分お取上げを願いたいと思うのであります。
 こういうふうにして貯蓄を増す、資金量をふやすということを考えます。そして同時にインフレーシヨンを防止しなくてはならない。從つて資金量に限りがあるということは、蓄積資金もそうでありますが、日本銀行からも新しい追加信用は困難であるという前提がある。そうしてみると、この限られた資金量をよく回轉させるということが大事なのであります。同じ資金量でも、その回轉度合いによりましては、この資金量を非常に大きくすることができる。言いかえれば、産業用にまかなうことができるのであります。そこでこの一定の資金量の回轉をよくするためには、金融といたしましては、信用取引が行ける――いわゆる信用が確立するということが根本であります。今日のようにすべての企業がお互いに未拂いを続けて、そして一見モラトリアムみたいな状況にあるということは、実に私どもとしては耐え忍び得ない。何とかしてこれを除去することに力をいたしておるのでありますが、しかし企業の根本におきまして、ある意味において、こういう場所でこういう言葉はおもしろくないのでありますが、わかりやすく言えば、道樂をし過ぎております。いくらでも道樂しておると、なかなか道樂からできた不始末は始末がしにくい。始末がつかずに、次々に道樂をし続ける。これではいかぬ。そこで、どうしても一定量の資金で、回轉をよくしてまかなうというためには、この信用を確立することが必要であります。まず根本においては今後不始末をしない。未拂いと言えば普通石炭というようなことが頭に浮ぶのでありますが、石炭業者は今後未拂いを生じないという信用を確立することが必要であります。またそういうことを確立させることが安定本部の使命だと私は思います。そういうことができないなら、何の安定本部か、私は理解に苦しむのであります。そういうことをひとつはつきりやる。そうしますと、すでにたまつた未拂いというものは責めてもしかたがありません。経済問題としてはもうすでに起つたこと、これをひとつ始末をいたしまして、きれいにし、今後はそういう未拂いというものを生じないよう、從來の未拂いを清算する。ここにおいて初めて金融というものが円滑に行くのであります。手形決済が十分に行かなくて金融の円滑をはかろうということは、まことに不可能を求めるようなものであります。こういうことがあつてはなりません。こういうふうな考え方で、今後日本の経済界は、内科医が常に聽診器で聞き、脈を見るごとく、この九原則実施の上で経済界に大きな惡い影響を與えないように、また混乱を生じないような形でもつて金融をやつて行こう。これが私が今考えておる問題であります。
 そこで、少し具体的な問題に入りますと、今日どういう程度の貯蓄ができるだろうかということが、先ほど申しましたように根本の問題であります。これにつきましては、いろいろな見解があるのであります。これは貯蓄自体のとり方にもよります。しかし私の考えでは、少くとも二千億見当は二十四年にもできるだろう。目標は二千五百億にしてもよろしいのであります。しかし二千億くらいには到達をしたい。内輪に見る人はなお少いのでありますが、大体二千億前後というようなところで、ひとつがんばつてみよう、こういうふうに考える。そうしてみますと、大体の考えとしては、そのほかに貿易の黒字が千七百五十億出ております。これも産業資金にまわし得るのだ。むろんすでにきまつた使途は別であります。そうしますと、私は大体資金量として四千五百億くらいの金は二十四年度に市場に持ち得る、こういうふうに考えております。そうしてみると、大体千四、五百億の設備資金と、二千億見当の、あるいは二千億以上の運轉資金を十分まかない得る、こういうふうに考えております。これは今申しましたような預貯金の増加いかんにもよりますが、しかし総じて見ますれば、一般の人々が九原則を実施する場合におきまして、金融的に非常に困るだろうというような考え方をしておる人が多いのでありますが、それは当りません。そう心配することは何もいりません。ただ問題は、今日の企業の状況を改善する点において、非常に困難さがあるということなのであります。これをずつと掃除をして行く、そこに困難がある。たとえば企業の整備ということは、先ほど申しましたように合理化をやる。人員も要すれば整理するのもやむを得ません。やはりこの整理も必要であります。その他設備あるいは機械も、いろいろ補修、補給しなくてはならない。こういうふうな点等々、企業を自分の足の上に乘せる努力、その点において非常に困難さがある。これは企業自体を離れますが、今日の購買力の関係、あるいは海外の市場の要請等から、相当な手持商品があり、それがはけておりません。これは公團というようなものを見ればよくわかりますが、貿易公團でも非常な巨額の手持商品がある。こういうふうな商品をなるべく賣れるように持つて行くとか、あるいはまた一時これを資金化して、そうしてこれから生ずるデフレの副作用をなるべく防いで行くというような処置において、むずかしさがあるのでありますが、しかし自分の足の上に乘つた健全なる企業において、資金難を訴えるということは、今後において私はさせたくもないし、またそういうことはなくて済む、こういうようにお考えくださつてけつこうだと考えておるのであります。こういう点がどうもやかまし過ぎる。ここには産業家はおられますまいが、産業家から見れば、どうもやはりまだまだ私は考え方が甘過ぎると思う。これは大体昭和五年の濱口内閣当時の金解禁と似たような、今度為替相場が立ちますから、金本位に帰るとも、大ざつぱに言うていいのでありますが、あのときの産業家の企業合理化の熱意と苦しさに比べますと、まだまだ今日はよほど甘い。これは一に、戰時中は何でもつくれば政府でめんどうを見る。なんでも買い上げる。終戰後はインフレの力によつて、物を持ちさえすればもうかる。何でもつくれば賣れる。すべてそういう精神になれて來ておる。そこへもつて來て、比較的急なカーブを切りまして安定に向うというところに、産業家も、少し急に來たという意味で、シヨツクを受けるのであります。しかし靜かに考えてみれば、そこはひとつ思い切つて、なすべきことはなしてもらわなければならぬ、こういうふうに私は考える。
 そこで、さらに当面の具体的の今後の金融上の問題について、触れてみたいと思います。それは第一に、復金がああいうふうに資金の融通をとめました。そこで復金的なあるいは財政的な資金でないと設備資金がなかなか出にくい。そこで、どうすればいいかという問題に今当面しております。私の考えでは、日本の経済を維持して行く上において、そうして九原則の実施のわくのうちで、なおかつどうしても必要なる設備資金は、復金があろうがあるまいが、そんなことは私は問題にしておりません。出すべきだ、こういう感情を持つております。そうしないと、日本の経済というものは、これは非常な破滅が――破滅まで行かないにしても、非常な惡影響をこうむります。從來復金という形で出ておりましたから、やりやすいというだけの問題でありまして、この資金を出さなければならぬということにおいて、私は一点の疑いもさしはさむ余地はない。そこで私は、この当面必要とする設備資金には、私の方が中心になつてひとつこれを調達して、そうしてこの経済の運行に支障がないようにしたい。ただ問題は、こういう場合にそんならどれほどの設備資金が必要であるかということが問題である。これはやはり安本というようなところで、この九原則実施のもとで、一体二十四年度にはどういう産業計画を必要とするかということを、はつきり立てなければならない。こういうものが立たずにおいて、盲めつぽうに、あるいは個々のものがかつてに整理をしたり、あるいはいろいろ積極的に増産計画をしたりすれば、産業というものがばらばらになるおそれがある。整理にしてもばらばらになるおそれがある。それではいけないので、産業というものは一つの有機体でありますから、一つの事業のやり方が他の事業に影響を與えます。それで、やはりこういう整理におきましても、一つの産業計画の線に沿つて整理をやる、こういう行き方をしなくてはならぬ。安本でもおそらくこういう作業をしておることと確信しておるのでありますが、そういうふうにしてひとつやつていただきたい。こういうふうにして、いくらの設備資金が二十四年度にいるか、さらにそれが具体的に、第一・四半期の四―六の期間にどうしても出さなければならぬ設備資金が、これは設備の補修、改善とかいろいろと概算がありますが、私は六、七十億あれば一應行くんじやないかという見解をとつておりますが、これは今市中銀行にお頼みしまして、会社ごとにシンジケートをつくり、そうして出して、もしも銀行に金が足りないならば、私の方から出します。これは復金があろうが、なかろうが、出さなくちやならぬ。そうして將來通貨の膨脹を避ける意味におきまして、貿易の黒字から出ますあの資金で、産業にまわし得るわくのうちに振りかえていただく、こういうふうに考える。もしも振りかえができぬということになつても、この資金は必要であります。それはそのときに日本銀行で腹をきめております。それはそれで適当に処理して行く。とにかく必要な資金だけはあくまで出そう。これは設備資金に対する当面の問題であります。これができれば、一般が言うように、この二十四年度のああいう予算が立てば、もう設備も改修も何もできぬじやないかというようなことが、ともすれば新聞に出ますが、そういうことは絶対にありません。そういうふうな考え方は、実に私は遺憾としておるのでありますが、そういうことは絶対にありません。
 それからさらに未拂いの問題。これも先ほどちよつと触れましたが、今後未拂いは出さない。もう道樂はやめるということでありますれば、從來の不始末は私は始末したがよろしい。これを始末しないと、先ほど申しました資金量の確立ということは困難で、一定量の資金をうまく回轉しなければならぬのに、言いかえれば洪水の泥水のようなもので、水源地では水があがるようになつておるのだけれども、まことに濁つてどぶのような始末になつておる。これを澄まして清潔にして行く。そうすれば信用も十分に行く。手形の取引も確実に行く。これには未拂いがあつて困るから、掃除をして、將來この産業はもう未拂いはしないから、もうできないから、こういう前提のもとで、この未拂いも始末しよう、こういうふうに思つております。それで今石炭についてもいろいろ考慮して、石炭ばかりではありませんが、大体の未拂いについて適当な口からこれを立てかえまして、ずつと流して拂つておりまして、近いうちには百億くらいの金がこの未拂いの中に流れ込んで行くだろうと考えております。これは結局最後は金融機関への返金にも相当なるのでありますから、未拂いの金を出すとどつかに消えうせて、インフレになるというものでは決してありません。筋が立ちさえすればやつてよろしいのであります。この場合は完全にひもつきできちつと未拂いを決済して行こう、こういうふうに考えておる。これが今日当面しておる問題の第二であります。
 第三は、今後におきまして企業の合理化でいろいろ整理用の資金がいる。これも私の考えでは、企業の合理化ということは、今日の日本の経済で絶対の要請であります。從いましてこの金を出し澁つておいて合理化しようということは、羊頭狗肉であります。こういうふうなことではだめなんであります。合理化を要請する以上は、合理化に所要する資金は調達するにやぶさかでないのでありまして、これは出すように金融機関にもお願いをしております。ただ今後資金は復金的な資金がなくなりましたから、すべて市中銀行からいたします。從いまして相手方の信用、企業の信用ということがどうしても中心になります。この点については企業家の方に十分信用を持つようにひとつしてほしい。これも合理化に関連するのでありますが、そういうふうに行きたい。金融機関としては公共性に立脚いたしまして、金をもうけるとか、もうけぬとかいうことでは、この難局は乘り切れません。預貯金というものは自分の金ではないのでありまして、これは國民の資金であります。從つて金融機関としては、この國民資金をいかに國民産業に役立てるかという観点において、運営をやつて行かなくちやならぬ。そういう公共性に立つことを十分考えておりまして、今後は一層その立場を深めて行つて、今日の難局を金融上からうまくやつて行きたい、かようにも考えております。
 それからその次の資金的問題としては、貿易資金というふうな問題ですが、日本の産業が貿易に依存するのはもちろんである。たとえば二十四年度においては約六億に近い輸出を考えなくてはなりません。從つて貿易資金が増大をします。まして今日の企業においては相当みな商品を持つておりまして、販賣ができずにおります。これもやはり轉換をしてなるべくそういう商品が海外向けに行くように、企業自体も輸出産業に切りかえなければなりませんが、商品もなるべく輸出の方に向けるようにして行く。そうなりますとやはり貿易資金というものがたくさんいります。そこで貿易手形というものは前から再割りすることになつておりますが、從來若干の條件をつけてやつております。これは商業手形というような意味合いで、たとえば期限を六十日間にする。それから完成品の手形でなければならぬ。それにLCがついておる。こういう條件がついておつたのでありますが、私はこれを貿易資金の状況から判断いたしてこういう條件をとりまして、たとえば期日が六十日でなくても、日本銀行法で言います九十日でよろしい。それから日本銀行としては完成品なりやいなやということは見ない。これは市中金融機関にまかせる。こういうふうにしましてたとえば日本銀行としてはLCがついておる貿易手形であれば、いつでも再割りする。いわゆるつうつうで金を貸してやる。金を買ういう観念に私はかえました。日本銀行として金を買うことは当然なすべきことであります。從つてLCのついておるものならよろしい。從つて今後貿易手形が割れないということは大体において生じない。こういうふうに考えております。これがまた一つの問題、さらに中小工業の金融ということ――やはり特に轉換期における中小企業というものは相当苦難の道を進まねばなりません。しかしながら今日の事態において中小工業なるがゆえに金融面、いわゆる経済的意義においてこれを救済することは困難であります。これは九原則の許すところではありません。九原則というものは常に自分の足でやるということを言うておるのでありますから、救済的意味を金融面にかぶるわけには参りません。從つて中小企業自身においても、自分の信用を高めまた経営の能率を上げて、十分金融機関の相手に持つて行くように仕組みを考えて行かなければなりません。しかしそれかと言うて企業自体ばかりにそういう負担を持ち込むことも十分でないのであります。從つて金融面でもめんどうを見ようということで、さしあたつて私どもがやつておりますことは――中小企業金融というのはいろいろあります。たとえば地方銀行なんかそういう金融をやつておる。大銀行でも相当小口の金融を持つておりますが、すべてこれが中小企業金融であります。何か特別の金融機関でやらないと、中小企業金融でないかのように思われると大きな間違いで、銀行の貸出しの中の相当の部分は中小企業金融であります。その中小企業金融が多い少いということを、單に中小企業專門の貸出し機関だけを見て話されても、実は迷惑する次第でありますが、しかしいずれにしてもこういう方面にむろん力をいたして参りますが、私の方としても中小企業に関係の深い興銀、勧銀、商工組合中央金庫に特に金をお預けして、この金を中小企業にまわしてくださいということをずつと從來から頼んでやつておる。これは非常に成績がよろしいのであります。大体二箇月ぐらいで回轉をしております。その金が約十億に上つております。これをさしあたり倍額くらいの二十億くらいのところに持つて行く。二十億となればこれは二箇月で廻轉いたしますから、年間にすれば二百億くらいのものになりましよう。相当な金になるのであります。これも倍にすると申しますが、別にわくを設けておるわけではない。それがほんとうによく回轉するなら何も心配せぬでもよろしいのでありますから、そのうち状況を見つつふやしてもよろしい、こういう考え方をいたしております。いろいろ問題がありましようからあとで御質問を受けてもよろしいのでありますが、インフレを收束しても、なおかつ財政面は産業をまかなつて行くというふうな、なかなか困難なる状況にある。これを両方よく見つつ親切に金融を見て行こうというのが、今日の金融政策のごく大筋になつております。さように御承知を願います。
○小峯委員 お話を伺つた中で二、三なお説明をこまかくしていただきたい点があります。滯りの解決の御構想を伺いまして私ども非常に同感なのですが、その滯りの中に少し種類の違つた、言いかえますと地方の災害復旧に関するものが相当ある。土建を中心にするものでありますが、この中にも御説の道樂をしたような面が、地方廳にも多少あるように思います。しかしこれが相当かさんでおるようでして、災害復旧の問題が金融の面からとまるような状態であります。予算の措置も今度は非常に少くなつておりまして、この問題も実は新年度で解決する見込みがないのでありますが、これに対する解決方法がお考えの中にありましようか、伺つておきたいと思います。
○一万田参考人 先日もたとえば石炭の方に土建業者がいろいろ仕事をしておる。ところが石炭がああいう状況で、未拂いを受けておる金額も数億あるという話がありました。この未拂いは先ほど申しましたように適宜に解決して行こうとしております。勢い土建業者の方にもこれがまわつて行くと思いますが、さしあたつてなし得べきことは、結局土建業者はその未拂いに相当する分、あるいはそれ以上を金融機関から借りております。金融機関に借りておる金はしばらく御猶予願うように考えよう。それかというて借りておる金を猶予願つたから、新規の貸出しをせぬというようなことのないように、未拂いの分は猶予して新しい金を出すようにあつせんしました。それが今なし得べき一番手近な方法だ、こういうふうに話しておきまして、それが一番けつこうだろうというようなお話で、土建業者はみんなお帰りになりました。
○小峯委員 金融の対象が実は地方廳になります縣の方の費用になつておりますので、一般のものとは少し違うだろうと思う。地方の縣の代表的な銀行がありますが、それに対して縣が融通してもらう。これもやはりわくの問題になります。もつとも九原則に触れて來る問題ですが、普通の業者の問題でなく地方の公共團体になつておる。その辺はどうでありましようか。たとえば私どもの方では予算でもきまれば、わくは小さいのですが、支拂いを促進するような方法で、なるべく期初めにいくらか集中して行くならば、かつこうがつくのではないかという感じがするのであります。
○一万田参考人 そうすると地方の公共團体が組まれる予算には、それを拂うように組んでないでしようか。
○小峯委員 組んでないのです。
○一万田参考人 そうすると仕事をさせて金を拂わぬ、それをどこかの金融でやるというようなことは問題で、これはやはり根本で地方公共團体でもう少ししつかり財政を建直さなければ……。
○小峯委員 それは御説の通り公共事業費が普通の予算と違いまして、建設省あたりで一應査定する。仕事を始めるにも実績の関係や何かありまして仕事を進めて行く。あとの公共予算で組んだ中から埋めて行くというかつこうをとつておりますから累積しておる。実際においては地方の事業がにつちもさつちも行かなくなつておる。新しい事業でできないのではなく、今の滯りでもつてにつちもさつちも行かなくなつておるのであります。一般の滯りの問題とは性格が多少違うのです。
○一万田参考人 それはいろいろ問題がありましようから、具体的な事柄として地方々々で解決して行くという以外に方法がありません。どういうむりをされておるのか、その程度もわかりませんし、金額の程度もわかりません。ただ根本原則としては救済的意味で金融をして行くことは、九原則の趣旨にももとりますから、なかなか困難です。金融という範囲で行く以上は、これはやはり少くともつなぎという程度の性質を持ち、あとで返してくれるということでないと行けない。それ以上の救済的になつたら、皆樣方のお力で予算にお組みになつて、予算から出すようにしたらよろしい。当然出すべき予算からはねのけておいて、それを金融でもつて何とか始末しろというのは筋が通らぬと思います。
○小峯委員 もう一つ先ほどのお話の中に触れていないのですが、結局今度の予算に関連して自己資金の問題が出て來るだろうと思います。端的に言うと、証券市場の問題だろうと思う。証券市場に対する金融の問題、これは何か少し端に寄つているような見方をされるが、今日の段階としては、証券金融は非常に重大な問題だと思います。これに対して総裁が、新聞に回轉資金のようにして使つて云々という言葉があつたようでありますが、どんなふうに考えておられますか。
○一万田参考人 証券の形で貯蓄を吸收するという意味でさしあたり増資もありますが、中心を社債に置いて、大体黒字で國債を償還に向ける銀行は、樂に社債をある程度持つてもらうこともできます。そういう見地から社債を大いにして行く。そうすると自分の力で集めた金だから、大事に使うという観念になる。借入金という安易な行き方はやめる。貿易の黒字から借りるという点。ことに復金という字が黒字というのにかわつたのでは何ら意味がない。それでこれをいかに生かして使うかということに苦心している。これは金額はどうなりますか將來にまたなければなりませんが、百億なら百億という金をひとつ別なわくにしてもらう。そして各会社に、会社の状態で増資の困難なものもありましよう。社債も困難かもしれませんが、できるだけ社債を発行してもらう。そうすると証券業者の手持が一時たくさんになる。そのときに回轉資金で証券金融をカバーして荷を軽くしてやる。そして序々に賣りさばいて、その代金が基金に返る。次の社債にこれを使う。そうしますと、設備に百億を使えば一回轉、設備資金ですから百億の値打しかない。しかしこれを社債の形で使えば数回轉して数百億の値打を生ずる。その上にもつて來て、借りた金でない、自分の金だというので、考え方も違う。同時に証券市場も育成されて行く。こういうふうな考え方であります。今後どういうふうな話が向うからあるかわかりませんが、極力これを推し進めて行こう。株についてはこれを適用してもよいのではないかと思うが、株ということになりますと重要産業であるかどうかとか、いろいろな條件をよほど考えないと一概に行きませんが、ある程度は増資という形で市場資金を集めるということも、今の設備資金の調達の困難な場合ではいいじやないかと考えております。
○小峯委員 今の回轉基金の問題は、社債を中心にお考えのようでありますが……。
○一万田参考人 社債が一番です。國債というのがなくなりましたから……。
○小峯委員 優良な株式については同じ考えですか。
○一万田参考人 よくはないかという考えを持つておりますが、株となるとまたよほど考えなければならないと思います。
○小峯委員 もう一つ、中小企業の金融のお話がありましたが、御承知の通り金融と名がつけば、今まで銀行でやつております中小企業金融という問題は、総裁の言われる金融のわくをはみ出したものがある。これは救済を必要とする。しかしこれは九原則の性質から言えばむずかしい。それをつつぱなしますといろいろ社会問題が出るだろう。私はあなたのおつしやる中小企業金融のほかに、もう一つ違つた中小企業金融があると考えるのでありますが……。
○一万田参考人 そのなさつている仕事が、日本の今日の経済に、たとえば輸出産業に関連しているとか、あるいは國民の必需物資に関連しているとかというものでありますれば、そういうものは必ずしも私の考えの外に置いていない。そうして一人ではなかなか相手になるまいから、そういう方々は連帶的な体制をお組みなさい。そうしていらつしやい。そうすると信用の相手になりますからと言つているのですが、業者はなかなかそういう点ののみ込みが惡うございまして、あるいは自分のところだけよければいいというような考え方が、ああいう方には強くて、なかなか連帶的な関係に組むということがうまく行かない。そういうようにやつてくれれば何も企業の大小は問いません。
○小峯委員 その問題と関連しまして、無盡の金融が中小企業の金融方面に非常に活動しておる。これはお説の通りミニチユア・フアイナンスですが、何かの形であの方面に対して、金融的な政策を加えるところの方法はありませんか。
○一万田参考人 無盡も今度私の方の直接の取引先にしました。十分に無盡でもできるようにしました。
○塚田委員 いろいろ説明を伺いましてよくわかりました。そこで二、三の点についてお尋ねいたしたいのであります。先ほど総裁から、今日の資金量を減らさないのだというお話があつたのであります。この減らさないのだという内容についてでありますが、二十四年度の生産計画におきましては、生産がもう少しふえることになつておるはずであり、また國民所得の数字も大きくなるのでありますから、そういうものと資金量を減らさないという点を、どういうふうにお考えになつていらつしやるか。今の日本銀行券の数字を維持するというお考えが、減らさないというお考えであるか。少くとも生産や所得の増加につれてふえて行くものをお考えになつておるか。それらの面をあるいは資金回轉の面で補うというようにお考えになつておるか。
○一万田参考人 資金量の現在の水準という意味は、言いかえれば今日デフレかデイスインフレかという問題が非常にありまして、今日以上に金融という側から金融を引きしめ、そうして困難にするというような考え方がある。しかしそういうことはない。少くとも今日以上に金融をしめることは適切でない。こういうような意味で、もちろん所得がふえるとか、取引量が非常にふえ、増産になれば、それにつれて價格政策がかわらぬ限り、言いかえれば價格が低下しない限りにおきましては、通貨量はふえます。それはふえてもよろしい。そういう意味であります。
○塚田委員 次にお尋ねいたしたいのは、今日の日銀の金融の政策の上で、どうも地方に集まつた預金が中央へ來て、依然として使われる傾向が強いじやないかというように、私ども正確な数字を持たぬものでありますから、あるいは見当違いなお尋ねかもしれませんが、そういう感じがしてならぬのであります。もし数字などでその点についてお聞かせ願えるところがあつたら……。
○一万田参考人 数字は今私持つておりませんが、從來は日本の産業構成から、そう地方では資金の需要がありません。自然、たとえば大銀行の支店は地方で預金を集めて、中央に持つて來る、こういう傾きがあることはむろん否定できません。しかし終戰後特に企業の分散が行われて、それぞれの工場で独立の会社になつて行くというような、地域的な分散が行われております。その結果から地方で集めた資金はまず地方の需要を充たして、余りがあればなるべく中央に持つて來る、こういうふうな仕組みに今はしております。地方でそれだけの預金が集まるということは、それだけの生産活動がその地方にあるということを意味しておる。それだけの生産活動があるということは、同時に資金の需要があるということも意味するのですから、そう地方から資金を引上げるということは好ましくない。こういう意味合いで、これは金融機関も承知して、地方ではみなシンジケートができて、地方所在の地方銀行を中心としまして、大銀行の支店も合せまして、そうしてそこで資金を現場で賄うという仕組みになつております。從來そういうふうな懸念がありましたが、戰後においてもどうもそういう傾向は必ずしも薄らいだとも言えないかもしれませんが、政府との、特に復金というような関係で、いろいろ政府関係の動きが多かつたものですから、どうもいろいろの会社が東京に來て、資金繰りをする人が多いのです。九州のはてからわざわざ東京まで來て、何とか金の調達ができぬかというようなことがよくあるのです。東京に來てもわからない。九州の仕事をしておる人に東京で金を貸してやるというようなことは誤りで、私はやはり九州で金の調達をやつた方がいいというように思うのですが、業者自体にどうもそういう傾向がやはりある。それで最近では地方の会社は地方で資金を調達することにしておりますから、御心配になつておるかもしれませんが、今お尋ねの点は大体うまく行くだろう、こういうふうに考えております。
○塚田委員 次にもう一点お尋ねいたしたいのは、金融機関の目で見させて、堅実なものに金融をさせて行く。堅実でさえあれば、絶対に金には不自由はさせないお考えであるように伺つたのでありますが、金融機関の立場から見させた場合に、堅実なものははたして今の経済状態で、ほんとうに伸ばしてやつていいものであるかどうかということが、非常に私ども懸念する点であります。ことに農業なんかの場合になりますと、これは他の商工業から見れば、おそらく金融機関の目から見て、金はなるべく出したくないというような事業であると思います。そうなります場合に、農村工業なんかをいたしますときに、資金需要をいたしましても、なかなか金が借りられない。そういう場合に借りられない状態が、地方に資金の需要がないということで、今おつしやるように、地方に資金の需要がないから、中央に金が集まつて來るというようになつて、だんだんいなか、ことに農業とかいうようなものが、金融難から産業が興らないという状態になつて來る懸念がある。過去には相当あつたと思います。今でもそういう状態があるのじやないかというふうに考えております。金融で産業を健全化して行くという考え方には、私は何かもう一つ別の基準から、その考えを補足する基準を一つ置いて行かなければならぬのじやないかと考えるのですが、その点……。
○一万田参考人 一つの点の金融から見て、健全というふうには必ずしも私考えておらないのです。それで私たちが今日相談しておることは、今日のこの難局を切り拔けて行くのに、金融とか産業とかいうようなことを言つておつてはだめなのです。それよりもむしろ産業と金融というのは、やはり渾然一体にならなければならぬ。それには産業家も自分のポジツシヨンをいつわりなく金融機関によく相談いたしまして、こういう状況だ、どうしようか、こういうふうにお互いに腹を割つて、そうしてここを乘り切つて行かなければ、うまく行かないじやないか。そういう方向に行くのでなければならぬ。何か金融というものが産業に優先しているというような、そういうけちくさい考えは少しも持つておりません。同時に金融でもつて産業をかれこれするというような世評が、從來なくはありませんが、それは事業自体が道樂しているのですから、道樂している場合に、女房役の金融というものは、懷中を預かつているのは当然なんだが、それを道樂している者に懷中を預けておけば、翌日配給物も受取れません。そういうようなことでは國がつぶれます。それだから、産業が眞にインフレ的な考えから目ざめてやつてくれれば、女房役はむしろお小づかいはどうだろうかくらいに思つて、知らぬうちにたもとの中に小づかいを入れてくれるようになるのです。問題はそこにあると思うのです。だから從來のやり方は、インフレの根本にメスを入れない。底を探らずに何とか金融の一時を糊塗して來たというのが、日本経済の実態だと私は考えております。
○小山委員 総裁の根本のお話を伺いまして、なるほどそうだろうと思いますけれども、今塚田委員が言われましたように、金融機関はとかく自分の預金がどうなるかということが根本にあると思います。從つて農村金融というようなことは、普通の金融にまかせておいたのではとうていできない。從つて農業金融なりあるいは漁業金融なりというものについては、普通の商業銀行ではむずかしいじやないか。從つてこの面においては、日本銀行としても特にこういう面に力を入れるようなお考えはないのですか。それとも何か適当な方法をお考えですか。
○一万田参考人 私は今後における日本の農業というものを、非常に重視しております。なぜかというと、それは同時に、目下の状況では、農業というと、いかにもいなかのような感じを國民は持ちやすい。ところがこれは今日では最も重要な輸出産業です。農業を輸出産業と考えてよろしい。非常に巨額なものを海外から輸入しているのだから、農業がうまく行くということ、増産ができるということは、少くとも輸入を減らす。輸入を減らすことは、輸出が多くなくても國際收支がとれるということになる。そしてまず今日の國際情勢の推移を考えてみると、なかなか心配です。少くともそういう國際情勢の大きな変化があつた場合に、國民を食生活にいくらかでも安心ができる状態に置くことは、私は國を思う場合に絶対的な要請じやないか。それで農業の増産ということについては、今後資金面からでもできるだけ援助する。これはお話のように、農業資金あるいは漁業資金というものは、普通の金融機関から出るのはなかなか困難です。それでこれは結局、農林中央金庫というようなものの機能を考えてみなくてはならぬ。また今後貿易上における黒字の産業資金というような場合に、農業というものは十分考慮に入れて運営していただきたい、こういうふうに今具体的には考えております。
○小山委員 現在農業手形あるいは漁業手形というような制度があるのですけれども、これは実際問題としては、地方ではほとんど利用されておらない。これは結局日銀に持つて來ても、日銀の担保の対象になるというような問題ともからんで來るじやないか。農業手形、漁業手形が一向利用されないというのは、日銀総裁はどういうふうにお考えになつておりますか。
○一万田参考人 農業手形を技術的に改善するという点は、農業組合の大会のときにもお話が出ているのです。これは改善すべき点もあろうかと思いますが、これが相当役立つていると思います。ただ今年は魚がとれないのですよ。漁業手形で網やいろいろお買いになつても、魚がとれないから全然拂えない。こういうようなのは、金融機関、金融機関と言いましても、いつ拂われるかわからぬような漁業なんかについては、少し長いめの、三箇年くらいな、何か適当な金融を考えるように、しなくてはならぬと思いますが、今の漁業手形の問題は銀行屋さんはほとんど出しておらぬのです。魚は長崎の沖の方へ行つて、東北の方へは全然來ないので、全然魚はとれない、どうもしかたがないというような状況であります。
○小山委員 農林中央金庫に日銀が金を流す場合に、やはり担保をおとりになるわけですか。
○一万田参考人 もちろんとります。
○小山委員 どういう担保をとつておりますか。
○一万田参考人 それはいろいろのものをとります。
○小山委員 手形でもおとりになりますか。
○一万田参考人 場合によつてはとります。
○小山委員 場合によつてはですか。それとも主として手形をとられるのですか。
○一万田参考人 担保の点については御心配なさる点はありません。担保につきましては、中央銀行としてはやはり中央銀行の貨幣價値の維持、從つて資産の流動性というようないろいろな制約を受けまして、きまつた規則がありますが、それは國の経済のその時の実際の状況に應じて、やむを得ないという状況があればということで、担保については何もそんなに固く考えずに、彈力性をもつて操作しております。しかしむちやくちやなものを持込んで金を借ろうという、これはむりですよ。
○小山委員 今、具体的なことをお伺いしたのですが、さらにもう一つお伺いしたいのは、きのうも大藏委員会でいろいろ尋ねてみましたところが援助資金特別会計から放出されるといいますか、市中に還元される時期は早くて五月の下旬――私の想像では六月になるじやないかと思いますが、そういたしますと、貿易会計に吸い上げられて來る金額というものは、私は調べておりませんが、相当な数字になろうかと思います。そういうようなことと、もう一つは、今度の予算の編成の関係その他から、相当資金の逼迫が起るはずである。そこでこの間のつなぎといいますか、当面の四、五、六の間のつなぎの金融について、何か特別のお考えはありませんか。聞くところによると、総裁は特定融資というようなことをお考えになつておるということでありますが、その構想についてお伺いしたい。
○一万田参考人 その点については、先ほどもちよつと触れましたが、たとえば設備資金はどうしても必要だから六、七十億出します。それはほんとうを言うと、貿易会計の今度の見返り資金が今使えるなら、それから出していただけば、事は済むのです。それが遅れることはむろん承知しております。それで六、七十億の設備資金を出し、將來見返り資金を使えるときには振りかわつてもらう。いわゆるつなぎを出すという点ははつきり申し上げておきます。ほかのものについても、そういう必要があれば出す。ただどういう程度の金額を出すかということは、嚴密に査定をしなくちやなりません。その査定した額だけは、九原則を実行する上において、必要な資金ということになればこれを出さなければ、事業は刻刻と日一日と活動しているから、それにかてを與えぬわけには行かぬわけです。だからそれは出さなくちやなりません。
○小山委員 今仰しやつたように、大体六十億ということをお考えになつておいでですか。
○一万田参考人 私どもが査定をして六、七十億は、最小限度出さなくちやならぬと思つておるのです。むろんそれは今後、安本において十分檢討する。いわゆる安本の産業計画といいますか、二十四年度の生産計画、九原則実行のもとにおいて、いかに日本の産業をやつて行くかという計画が立たなくちやなりません。その計画に基いてそれは加減されると思います。
○小山委員 それで六十億という金を貸し出されるというのは、これは新たに貸出ししようというお考えでございましようが、そうしますと、今市中に行われております高率適用ということとどういう関係がありますか。
○一万田参考人 高率適用ということは、何も御心配はいらない。高率適用ということは、日本銀行の金利をお考えになると、日本銀行の金利は今安いのは一銭四厘、そうして市中貸出しは二銭八厘。日本銀行の預貯金の増加を考えずに、ただ日本銀行に來て、手形を書いて一銭四厘で借りて二銭八厘で貸してもうけて行こうという処置は、無制限に許さるべきことではありません。そうしますと、一生懸命に預貯金を集めるのに苦労して、インフレーシヨンにならぬように、なるべく預貯金の範囲で仕事をしようという最も大事な、正直ないい人は損ばかりしている。そうしてたとえば日本銀行に來て、安い金を借りて高くまわしている人が得をする。そうするとそういう銀行というものは、組合の俸給の引上げですか、こういう賃金要求にはすぐ應じてしまう。そうすると横の連絡で苦労する、そういう状況なんです。九原則でも原則として日本銀行に依存しないという建前であり原則であります。そうしてみると日本銀行の金利が、市中の金利よりも高いというのが原則であるべきであります。しかし日本の今日の経済情勢では、日本銀行の信用に依存せぬということは不可能であります。そこである程度の依存は認めなければならない。その認めらるべき範囲は、まあ普通の金利でひとつ上げましよう。しかしそれ以上お借りになれば、そうもうけられませんが、それでももうけるようにしてやるのです。私の方の高率適用でも二銭五厘から二銭七厘で、市中銀行は二銭八厘だから、一厘から三厘のさやが上る。それでも貸してやつて、貸さぬとは言わない。しかしそうむちやくちやにもうけては困る。そこで預貯金の増強を大いにはかつて行き、その一割二分くらいまでは安い金利で差し上げ、それ以上になれば、それより高い金利になる。しかしそれでもいくらかはもうけられるのですが、なお貸出しを躊躇しない。こういうのですから、私から言えば実に至れり盡せりで、どうぞ高率適用については御心配なさらぬように……。
○小山委員 今高率適用の問題が出ましたが、さしあたりのつなぎ資金としての高率適用は、あるいはおつしやるように特に見なくちやならぬと考えられるのですが、それはそれとして、高率適用の問題になつて來るのは、むしろ私は將來ではないかと思います。と申しますのは、今度の援助資金特別会計から公債の償還をするというようなふうに聞いているのですが、そのうちで日銀で持つておられる公債あるいは復金債に対して償還が行われた場合に、さつきお話のデフレーシヨンを起さない資金量は從來通りであるという考え方からすれば、これは市中に還元しなければならない。市中に還元する場合に、日銀としてはおそらくこれを市中に対して預金をしてお持ちになるのではなくて、貸出しとしておやりになるだろうと思います。ここにまたたちまち高率適用の問題が出て來て、これは非常に障害になりはしないかというように考えるのですが、その点はいかがですか。
○一万田参考人 たとえば見返り資金の中で、日本銀行手持の國債あるいは復金債――復金債は償還するように予算にも載つておりますが――を償還する。しかしこれは私がこまかく申し上げるまでもなく、中央銀行のフアンクシヨンは一体何かということを考えてくださればおわかりになるので、中央銀行というものは市場に必要とする資金を常に確保する。いわゆる足らぬとなればふやしてあげる。多過ぎるとなれば減らす。こういうフアンクシヨンを常に中央銀行はやつて、市場にあるべき資金量を常に保つているわけです。そこで通貨價値を維持して行く、あるいは物價の安定を期するということが、中央銀行の根本の使命であります。それでそういうふうにデフレ的傾向があればむろん還元する。還元する場合に第一にとる手は、結局これはオープン・マーケツト・オペレーシヨンと英語で言えば言う言葉で、要するに市中銀行の手持の有價証券をそれだけの金額で買い上げてやる。そうするとそれだけ市場に金が出ます。それから、今お話の高率適用の問題がありますが、さつき言つたように、これは主に手形割引の形になります。そうすれば貿易資金が非常に増大する。そこでその部門の金は市場に出て行ける。それでも償還を受けた金額の範囲内では、日本銀行の通貨の膨脹にはならない、インフレにはならない、こういう方向に行きます。ただ高率適用とすべておひつかけになるけれども、高率適用というものは、中央銀行を利用する場合に、ただアンビツシヤスな銀行や企業がもうけられるというだけの問題で、資金の量には何も影響があるべきものではない。もともと中央銀行から金を借りてもうけようというようなことは不心得千万で、國民の犧牲においてそういうことをある企業がするということになるが、それはそうもうけさすべきものではない。それはひとつよく御了承願いたいと思います。
○川野委員長 小山君に御相談申しますが、一万田総裁はここにおられる時間が非常に短いので……。
○小山委員 それでは今の話はこれで打切ります。もう一つ、日銀総裁が言われておりますところの、企業合理化資金はめんどうを見るのだと言いますが、実際問題としては、銀行が相手にするような先は、おそらくこの問題は起らないのであつて、むしろ銀行が危險だと思うような整理資金が一番問題になるので、そういうものは日本産業全体を考えれば、必要ないのだからよろしいのだという立場に立たれます先ほどのお話のように、日本の産業全体のことを考えれば、場合によつては普通の市中銀行が考えても危險だと思うようなものも、救済しなければならない場合があるが、それについては特別の金融措置をお考えになつたか。あるいは普通の自由経済の考え方で、金融機関が健全と見たものだけなさいましたか。その辺をひとつ伺いたい。
○一万田参考人 企業の合理化に続く整理資金の合理化ということは、一体何を意味するかということをお考え願いたい。企業の合理化ということは、企業を合理化すればその企業が將來一人歩きで立つて行けるということを意味する。從つてそういう会社に必要とする整理資金を出すということは、取引銀行としては当然の責務である。從來貸してある金の保全にもそれをやらなくちやならぬ。將來貸す金もそういうふうなりつぱな会社で貸すのだから、そこの整理資金が逃げるということはありません。從來の市中銀行が相手にせぬ企業というものは、どういうことを内容的に意味するか。その企業は今の日本の経済で温存をせぬでもよろしいという企業なら、つぶれてもよろしい。しかし日本の國家経済の將來において、どうしても必要とする。しかしそれは内容が惡い。これはどうするかという問題であります。こういうものこそ預貯金をとつて仕事をしておる金融機関の責任にまかせるのは、國家としてはなはだ不親切である。それほど國家的に見て必要で、一般のものが相手にできぬようなものを温存せんとするならば、そのためにこそ産業復興公團というものがあるのじやないかと私は考えておる。
○佐久間委員 先ほど共同で信用を高めて融資を受けるというようなお話を承りましたが、小さい金融でございますが、そういう面については中央農林金庫の利用によりましてというお話でありますが、なお五十万円、六十万円の小さい金額を、漁村あるいは中小工業に流してやるために、昨今言われておる信用保証制度というものについてのお考えは、いかがでございましようか。
○一万田参考人 これは私はいいと思います。いいと思うが、非常に性格と運用に注意していただきたい。何だか信用保証をただ保証すると書きさえすれば、すぐ融通できるような考えを持てばこれは甘い考えで、ただ信用保証協会が責任を持つて、むしろ金を借ろうという人が自分の責任をもつてもやれるのだというふうに、嚴重に監査しております。そういうような意味合いの信用保証協会ができて、それが保証することは奬励していいと思います。
○川野委員長 ちよつとお諮りいたしますが、ただいま小坂議員が委員外の発言を要求されておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 それでは御異議ないようでございますので、小坂君に発言を許可いたします。小坂善太郎君。
○小坂善太郎君 私は委員外の者でございますが、一万田総裁がお見えになるというので参りまして、お話を承りまして、たいへん裨益するところが多うございますから、三つばかりちよつとお伺いしたいと思う。総裁のお話を承つておりますと、今ほとんど金融梗塞などは心配いらぬというくらいの力強いお話でありますけれども、現に公團が手形をもつて支拂つておりまして、その公團の支拂手形を市中銀行に持つて行くと、割れないという実情が相当にあるわけであります。政府の方では税金徴收は相当強行しておりますから、日銀にもその辺の資金があるのではないかと思うのでありますが、市中銀行のそういう金融梗塞はどういう点から出しておるのでしよう。
○一万田参考人 その点についてお答え申し上げます。今私が金融の梗塞――程度によりますが、金融が非常に苦しいということを決して認めぬのではなく認める。そこになつて來て初めてここにインフレーシヨンに根本のメスを入れようというので、すべての人が眞劍になつて來た。それで金融が非常に詰つている。率直にそれはそれでよろしい。ただこれをいかに解くかということが根本の問題で、公團認承手形というものがあります。たとえば配炭公團を例にとりますと、配炭公團から石炭の配給を受けて、ある意味においてその石炭代を拂つていない金額が現在百八十億円ある。それですから配炭公團の認承手形がなかなか落ちません。そういう手形を金融機関に割引きしろといつても、配炭公團の取引先は石炭を持つて行つて金を拂わない人ばかりである。なぜ配炭公團から石炭の配給を受けて拂わないのか。はたして事実拂えないのか。拂わないのか。拂わないという意思ならば拂うようにさせる。事実拂えないなら何がゆえに拂えないのか。その不合理性を除去して行かぬと、ただこれで金融面で援助して行けばインフレーシヨンに落ち込む以外に何ものもない。九原則の要求するところはそういうものでない。九原則はそういう根本にメスを入れて、そういうところを取除いて行くというところにある。なぜ今そういう手形が落ちないか。今後そういうことは起らないように安本あたりで考えてくれている。そういうことになりますれば、今までの未拂いはまたぐつと流して一應行くわけである、こういうふうに考えている。
○小坂善太郎君 その政府支拂いが遅れておりまするために結局電力料、石炭料が拂えないという根本にメスを入れて行くというお考え、確かにその通りでけつこうでありますけれども、それに関連いたしまして、鉄道あたりでは正式契約以外の契約が相当ありまして、鉄道がさて拂うかというと正式契約の分も怪しい。エイド資金が百五億円ある。今契約分もかなり怪しい。鉄道が拂わないとすぐ車輛会社に未拂いが起る。車輛会社に未拂いが起ると、さらに鉄鋼業の方に未拂いができる。鉄鋼業に未拂いが起るとさらに鉱山に行くということで、だんだんそういう面から一種の安定恐慌みたようなものが、鉱山面から起きて來るというようなこともあるのですが、これについて何かそういうところに、金融というものは――今の総裁のおつしやる九原則を誠実に実行するという意味から、正面切つて申しますとなかなかできないのでありますが、それについて現実の問題としては困ると思うのですが、何とか方法がございますか。
○一万田参考人 それについては決して九原則に反しない。言いかえれば今回は鉄道会計もきちつとした会計になりました。特別会計から將來赤は出ないという状態になりましたので、それで私が今鉄道会計の從來の未拂いは、二十四年度の予算がまだ御審議中ですが、そこに計上してある金額を見かえて、最近五十億ばかり金をお出ししてあります。そのかわりその金を鉄道会計に充てれば整理資金に使われるおそれがある。それは差上げずに置いて、それを未拂いの各業者にひもつきで流してあげる。五十億ぐらいの金をそういうふうにしております。それで一應鉄道の未拂いはまあ済む状況になるようです。先方のお話ではそうすると、二十四年度に計上してある予算を立てかえて、從來の未拂いに充てますから、たとえば車輛というものについては、二十四年度は注文はできないということであります。そこで車輛会社をどうするかという問題が起ります。これは鉄道会計とは関係ないことで、鉄道とは緑を切つて、ただ車輛という事業を今後日本でどういうふうに取扱うべきかという、純然たる経済問題として解決して行こう、そういうように考えておるのであります。
○小坂善太郎君 もう一つお伺いしたいのでありますが、ただいまエイド資金の運営の問題が、別の委員から出ておりましたが、この中で市中銀行の手持公債を買上げるという面もございます。そういう場合になりますと、市中銀行の公債は日銀にほとんど大部分入つておりますから、日銀に差金ができる。それでマーケツト・オペレーシヨンをやるということでありますが、その際の運営方法でございますが、最近盛んに委員会という言葉がはやつております。このやり方がいいか惡いか、疑問の点があると思いますが、この運営の面については、何か日銀では委員会というようなことをお考えになつておりますか。
○一万田参考人 それにつきましてはどうなりますか。見返り資金の運用については、まだ案が何も確定していないと承知しております。それで政府の方でおきまりにならぬものをかれこれ言うわけに参りません。しかしマーケツト・オペレーシヨンという範囲は、中央銀行のフアンクシヨンですから、新聞で御承知のように、近く日本銀行にも一つの新しいボードができます。これはできると私は確信しております。これにはいろいろ関係方面の人が委員になつておられるし、大藏省の方も安本も來られます。そこでひとつ考えて行く、こう考えております。
○宮幡委員長代理 時間の関係で長いことはお尋ねできないと思いますが、今までの質疑の間で相当要を盡したわけでありますが、たとえばただいま審議しておりまする二十四年度の予算が成立いたしまして、実施面に移される。そして傾向は御説のようにデイスインフレ傾向となりまして、そして物價も改訂されなかつたという前提のもとにおきまして、日銀総裁として金利の水準をどこにお持ちになるか、この点をひとつ……。
○一万田参考人 今日におきましては、金利というものは、ごく端的に申しますれば動かせない。今日の金利のままで行くつもりであります。そうして今後の経済の情勢をよく見まして、その他たとえば物價が今後どうなるか。いろいろのフアクターを考えまして、それらとの均衡の上に考えて行こう。これは全般的に考えてみる時期が來ると思いますが、今さしあたり金利というものは今日以上に上げることも困難だし、下げることも困難、このままで行くと思つております。
○宮幡委員長代理 それに関連いたしまして、利息制限法を改正するというような御意図をお持ちになつておるかどうか。それからお耳に達しておると思いますが、いわゆる市中銀行の金融に往往にして裏街道というものがございまして、かなり金融政策を乱しておるわけであります。これとまた相拮抗いたしまして、いわゆる私設銀行とでも言うべき金融が横行しております。これらは総裁が前段お話のような一連の金融政策に逆行するところの、一つの大きな波であろうと思いますが、これらに対するお考えをおさしつかえない程度にお聞かせ願いたい。
○一万田参考人 今の御質問の点は、金利ということよりもむしろ行政的ななにが非常に強いようですから、銀行局長がおられるから、むしろ銀行局長から御答弁をお願いしたらいいのじやないか。
○宮幡委員長代理 銀行局長は常にいじめているわけですから、実施面について総裁に、御意見でけつこうです。
○一万田参考人 実施面としては、そういう金利があること自体がはなはだおもしろくない。そういうものを除外することに全力をあげるという以外にはありません。これは要するにやみというようなものがある結果で、やみ取引というものをなくしなければいかぬ。やみ取引があれば必ずやみ金融がある。しかし九原則を今後実行して行く上からやみ取引はだんだんなくなつて行く。從つて、やみ金融というような金融を受けて仕事をしても、購買力その他から見て、おそらくもう成立ちますまい。そういうふうに考えます。從つて、私どもとしては正常な仕事をなさつている方で、單に金融にお困りになつているからというて、やみ金融に行つて金融を受けるというようなことはどうぞなさらぬで、自分たちはこんな正直な仕事をしているのに、どうして金融が苦しいかという方がありますれば、どうぞ取引先の銀行にお出でになつて、話ができなければ日本銀行にお出でになつていただけば、私の方には融資あつせん部というものが活動しておりまして、月に七十億くらいのお話合いをつけております。そこにおいでになれば、必ず正しい金融である限りは、そんなところに行かなくもおつつけ申し上げます。
○宮幡委員長代理 また他の機会に……。
○川野委員長 実は御約束の時間は二時半でございましたが、ずいぶん経過いたしておりますので、一万田日本銀行総裁に対する質疑はこれにて終了いたします。どうも御多忙中ありがとうございました。
    ―――――――――――――
○川野委員長 次は國立病院特別会計法案及び貿易特別会計法案の二案を議題とし、質疑を続行いたします。
    〔委員長退席、宮幡委員長代理着席〕
○宮幡委員長代理 ただいま議題となつております貿易特別会計法案につきましては、政府委員がお見えになつております。國立病院特別会計法案の方につきましては、厚生委員会の方と合同審査を申込まれ、合同審査することになつております。本日はこの方の質疑は中止いたしまして、貿易特別会計法案についての御質疑をお願いしたいと思います。
 皆樣にお諮りいたしますが、本日はこの程度で散会いたしまして、明日質疑を継続することにいたしたいと思います。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮幡委員長代理 それではこれをもつて散会いたします。
    午後二時五十九分散会