第005回国会 本会議 第16号
昭和二十四年四月十二日(火曜日)
 議事日程 第十四号
    午後一時開議
 第一 自由討議
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 故議員大瀬久市君に対する弔詞贈呈の件
 國家公安委員会任命につき同意の件
 農地の改良及び災害復旧促進に関する決議案(坂田英一君外九名提出)
 大阪市における警察官の不当彈圧に関する緊急質問(久保田鶴松君提出)
 日本移民問題特に米國移民法修正法案に関連しての緊急質問(山本利壽君提出)
 日程第一 自由討議
    午後一時十四分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) この際御報告いたすことがあります。議員大瀬久市君は一昨十日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 この際北村徳太郎君より発言を求められております。これを許します。北村徳太郎君
    〔北村徳太郎君登壇〕
○北村徳太郎君 ただいま議長より悲しむべき御報告がございました。大瀬久市君の急逝でございます。これに対しましては院議をもつて弔詞を送られたいと思うのでありますが、その弔詞の内容は議長に御一任申し上げたいと思います。さような動議を提出いたします。
 なおこの場合、私は皆さんの御同意を得まして、謹んで弔辞を申し述べたいと思うのでございます。
 大瀬久市君は長崎縣北松浦郡の御出身でありまして、幼少のころから非常に向学心に燃えた方でございました。早く長崎縣師範学校を卒業後、しばらく教育のことに身を投じておられたのでありますが、やみがたい向学心のゆえに、文字通りのまことに涙ぐましい苦学力行をされまして文理科大学を御卒業になり、東京都廳に奉職されておつたのでございますが、先ごろの総選挙において、めでたく衆議院議員に御当選になりました。若冠にしてこの栄誉を得られましたことは、いかに郷党が同君に対して信頼をかけ、郷党の間に信望を厚くされておつたかということを十分に立証すると思うのでございます。
 あまりに突然な死でありまして、私どもはただ驚愕のほかはないのでございます。遺族の方々その他のことを思い浮べますと、まことに涙なきを得ないのでございます。ことに國会において、年少三十八歳、また教育について今まで造詣の深い方でございまして、今後國会の運営において、教育の面から同君の持つておられる抱負を十分に発揮していただきたかつたのでありますが、事さように行かずして、突然の訃に接して、何とも哀悼の言葉を知らない次第でございます。
 ここに私は、諸君にかわりに謹んで同君の霊を慰め、哀悼の言葉を述べる次第でございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 北村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議は可決せられました。
 ここに議長の手元において起草いたしました文案を朗読いたします。
 衆議院ハ議員大瀬久市君ノ長逝ヲ哀悼シ恭シク弔詞ヲ呈ス
 この弔詞の贈呈方は議長においてとりはからいます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 去る四月七日、内閣より、國家公安委員に植村環君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本院はこれに同意を與えるに決しました。
     ――――◇―――――
 農地の改良及び災害復旧促進に関する決議案(坂田英一君外九名提出)
    (委員会審査省略要求事件)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、坂田英一君外九名提出、農地の改良及び災害復旧促進に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 農地の改良及び災害復旧促進に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。坂田英一君。
    ―――――――――――――
    〔坂田英一君登壇〕
○坂田英一君 私は、ただいま議題となりました農地の改良及び災害復旧促進に関する決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず決議案を朗読いたします。
   農地改良及び災害復旧促進に関する決議
  現下の日本経済自立のためには食糧増産の確保を重要なる條件とし、これがため必要なる土地改良及び災害復旧に関する施設は最も緊急を要する事項である。しかるに本年度予算においては一部大規模農業水利をのぞき、他はすべてこれを延期せんとするは、極めて憂慮に堪えない。
  よつて政府は、農地改良及び災害復旧の実施に必要なる経費を支出するの外、長期低利の資金を融通する等の措置を可及的速かに講ずるとともに、その結果につき今期國会の開会中において、本院に報告すべきである。
  右決議する。
 農地の物的條件を改良復旧することは、農業生産力増強の基本を造成することであります。しかして、わが國農地の現状を見るに、災害の復旧を促進すべきものは六万六千余町歩も残されており、さらに水利施設、客土、排水等各種の改良事業の実行によらなければ生産力を維持増大し得ない農地の面積はすこぶる大であります。また一面、この改良事業を実施することによつて高度の生産技術及び経営組織を導入することが可能となり、農業生産力画期的発展が期待されるのであります。かくして、土地改良及び復旧事業は生産力の増進のために強大な可能性をつくり出す必須條件ともいうべきものであつて、経済九原則に即應し食糧の自給度を高め、もつて食糧輸入のための対日援助を軽減する意味においても、また輸出振興に劣ることなき重要性を持つものであります(拍手)
 しかるに、わが國農業は一戸当り平均一町歩以下の零細農業経営であり、從來からも自力負担によつて土地改良復旧事業を行うことができず、補助金と低利長期の融資に依存していたことは言うまでもない事実であつたのでありますが、現在においてはさらに第二次農地改革によつて農村民主化の基盤はつくられましたが、一層経営は零細化し、加うるに海外同胞の引揚げ帰農者等を受入れて農村人口は激増し、これがために、終戰後の短年月に三十三万町歩という四國全体の反別よりも廣い開拓地をつくつたにもかかわらず、経営の零細化は緩和されず、さらに進行しつつある現状であります。この事実は、これを裏から見ると、農村は失業救済に貢献し、これがために著しい負担を負つていると断じ得るのであります。また農民は、食糧供出強化のもとにおいては必然的に経営の自由と向上とを制約せられているのでありますが、農村の人々が日本再建のために堂々として刻苦精励している姿は眞に涙ぐましいものがあります。農村課税の急激な増加による農家経済の圧迫については詳論するまでもないのであります。
 以上述べたように、経営の零細性に加えて、近時の農村人口の受入れによる失業救済的負担、供出強化と作付の制約による経営自由の束縛、農村課税の重圧、價格シエーレ等三重、四重の重圧を忍びつつあります。從つて、農家経済の現状は、特殊の地帶を除き著しく困窮の状態にあることは、政府の農家生計費調べによつて見るも明瞭なる事実であります。(拍手)しかも、日本の地勢並びに自然的條件のために災害は頻発し、災害耕地十一万三百四十五町歩に対し、復旧工事を実施したものはその半ばにも過ぎない。かような実情を無視し、從來から実行されて來た補助金を打切つて、土地の改良及び復旧を全部農家の負担において行わしめようとするのであるならば、その影響の及ぶところ慄然たるものがあることをおそれるものであります。(拍手)
 私はさらに申し上げたい。たとい農家の経済がその負担に耐え得ると仮定しても、現在の農業経営は純粹な私的経営ではない。特に主食糧生産の面においては、さようであります。すなわち、食糧管理法と食糧確保臨時措置法のもとに強制的な割当制とマル公價格制を支柱とする実質的な國家の委託経営であり、その生産力の維持向上については國家も直接一半の責任を負うべきは理の当然であるといわねばならないのであります。(拍手)
 かような現状にあるにもかかわらず、二十四年度一般会計予算案において、土地改良予算は約八億三千万円であつて、縣営の継続事業及び北海道の直轄事業に限られ、國体経営の継続事業は補助延期となり、もちろん新規事業も一切認められていない。また災害復旧においても三十億五千万円であつて、ため池等の公共施設だけに限定せられ、しかもわずかに一六%を実施し得るにすぎず、耕地の流失・埋没等の復旧は、全部農家の負担によつて復旧を要請せられているのであります。かかる情勢においては農家経済に重大なる影響を及ぼし、これら事業の推進はおろか、食糧の増産並びに供出の確保に深刻なる生涯を惹起するおそれがあり、食糧の國内増産による経済の安定復興と対日援助の軽減を期する政策に重大なる暗影を投ずることとなるをおそれるものでありまして、きわめて憂慮のたえない。よつて政府は、農地の災害の復旧と食糧増産に必須なる土地改良事業の促進をなし、國土の荒廃、増産意欲の減退を極力防止するとともに供出確保に支障なかしむるため、これが実施に必要なる財政支出、長期低利金利等必要なる措置を速やかに講ずべきであると断ずるものであります。
 以上が本決議案の趣旨であります。何とぞ滿場の御賛成あらんことを望む次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 本案について討論の通告があります。これを許します。千賀康治君。
    〔千賀康治君登壇〕
○千賀康治君 私は、民主自由党を代表いたしまして、坂田英一君外数君提出なります農地の改良及び復旧促進に関する決議案に対する賛成討論を行うものであります。
 私どもの住んでおりまする日本の國土は、何といつてもこれよりふやすことができません。しかしながら、われわれは狭小な國土に多数の國民を盛り、また今年一年も、さらに自然増加のほか相当に多数の引揚者をわれわれはさらに包容しなければならないのでございます。一体この多数の人々の食糧はどうするのか、この点がわれわれ民族の自立の一番大きな問題でございます。われわれは、今連合軍、ことにアメリカから多数の食糧を贈與されておりますけれども、民族の独立ということを考えますると、何といたしましても一番重要なる資源、食糧はあくまでわれわれが確保しなければなりません。われわれ民族の手で確保しなければなりません。この観点から申しまして、この狭小なる國土で、いかにしてもわれわれの利用するこの食糧を確保しなければならないということを考えて参りますと、どうしたらよいのか。
 過去数年にわたつて、われわれは耕地面積を廣げるために、絶対面積を廣げるために、あらゆる手段を盡して参りました。山を起し、荒地を起し、その起した面積はすでに相当に廣くなつております。見ようによつては四國全面積にも相当する面積を赤はげにむいだと言われておるのでありますが、この赤はげの中でくわをとつておる人々の生産はどうかと檢討いたして見ますと、ほとんど滿足に生産をされている例は少いのであります。ここにいわゆる縣内移民、國内移民として入植をされた人々は、ほとんど今日におきましては、幻滅の悲哀と申しましようか、なすことなく、いかにして轉業しようかと、こればかり考えておるような状態でございます。
 さらに、これだけの面積の山を縮めたということから、われわれは大きな問題にぶつかりました。この水源を荒らされましたために、ここに貯藏されている水がわれわれの今まで持つていた田地・田畑を養つてくれるか、これに注ぎかけてくれるか、これが問題になつております。私自身といたしましても、愛知縣の山林行政の中枢をあずかつている身でございますが、この方面から見ますと、今やいかにわれわれは絶対面積が必要なりとはいえども、これ以上山の領分をどんどん田畑の領分にかかえてまいりますことは、すでに國民を養うべき森林資源が脅威されることになります。すでにこれが飽和点に達していることを考えますと、もう山をこれ以上征伐することはできないといたしますれば、何としてもわれわれは、民族自立のために、現在保有しているこの田畑の面積から増收しなければ他に道はないのでございます。
 この増收をいかにしてなすか。たとえば北海道一つを考えてみましても、北海道には数千町歩のツンドラ地帶があるのでありますが、これに適当な排水を設けることによつて、一朝にして大きな面積が得られましよう。また、今まで開発し盡されている本州、四國、九州を合わせたところの既耕地を見ますと、わずかに水路を直す、あるいは暗渠排水等を施設する、その他の方法によりまして、今までよりも数割まさるところの收穫を確保することができる地方は、まだ多々残つております。そればかりではない。過去二年、三年の間に水害を受けた面積さえも、いまだこれがすつかり直つていない、この復旧ができていないという現状におきましては、これを直すこと、あるいは諸施設を完備すること、あるいは大施設に着手すること、この農業耕地改良事業によりまして、われわれの必要とする貴重なる食糧が立ちどころに数割増收することは、火を見るよりも明らかなることでありますが、この施設に対しまして、今年度の予算がほんとうにわれわれの希望するだけあげられていないということは、何という情けないことでありましよう。われわれは、かような点を何としても強く要求いたしまして、内閣に反省をしていただかなければなりません。私は、たとい與党の立場であろうとも、この点につきましては、ことに当局の猛省を促す次第でございます。(拍手)
 かような意味におきまして、坂田君以下数名の方の提案に対しまして、滿腔の誠意をささげて賛意を表するものでございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 次に井上良二君。
    〔井上良二君登壇〕
○井上良二君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつております決議案に賛成の意を表したいと存じます。
 政府は昨年暮に、経済安定九原則の具体化に関する指令を受取つたのであります。この経済安定九原則の第九項目にあります食糧の集荷の能率化に関する具体化について、さらにこまかい指令を日本政府は受取つております。そのこまかい指令と申しますのは、食糧確保措置に関する指令でございます。この指令のうちに、食糧確保に必要なる増産の処置を継続してやれという指令が政府に來ております。同時に、この指令の次の項目にも、食糧集荷に関して政府は法律をもつて追加供出を強化せよというのがございます。
 ところが政府は、この追加供出の法制的な強化に関することだけを取上げて、食糧増産を行うに必要なるもろもろの対策については、一向具体的な予算なり、(拍手)法律なりをこの機会に出そうとしてないのであります。しかも、本年度予算に現れておりますうちで、過去三十年の長い間続けて來ました土地改良、農耕地の災害復旧に関する補助事業についてその全面的な大幅削減を行うとともに、特に縣営を除く地方團体縣営のこれら事業費を全面的に打切らんといたしているのであります。もし、かくのごときことをいたしました場合はたして政府は、現下わが國が当面いたしておりまするところの食糧の自給を一体どう考えておりますか。(拍手)
 わが國は、一年間に一千三、四百万石の米をアメリカの國民の負担において輸入いたし、放出を受けている現状でございます。年間二百万トンに達する厖大な食糧を年々援助されておる。この現状の中において、食糧増産に必要なるところの積極的な対策を何ら考えずに、單に外國の袖にすがつて、一方わが國の経済の再建を叫んでみたところで、それは何らわが國の國策に役に立たないのであります。(拍手)われわれは、かくのごとき見地から、今回政府の行おうとするこの食糧増産の基本でありますところの土地改良に対する事業費、災害復旧に関する政府の補助事業を、今後一層政府をして強硬に行わしめようというのであります。
 さしあたり、本年三百三十億あまりの事業費を対象にいたしまして、速急に必要なる追加予算を今國会に政府から提出してもらいたい。もしこの追加予算が、いろいろな関係で実現が不可能でございますならば、さしあたり百四十三億の融資の道を開き、この利子補給を政府において責任を持つてもらいたいと考えるのであります。このことが行われない限り、二合七勺の年間配給は完全に実施できず、二十四年度産米の供出の上に重大なる影響があるということを政府に警告し、本決議案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 次は大森玉木君。
    〔大森玉木君登壇〕
○大森玉木君 ただいま提案になりました各党連合の土地改良の決議案に対して、私は民主党を代表して賛成をいたすものであります。
 土地改良は、申し上げるまでもなく食糧の根源をなすものであります。食糧問題に対しましては、私は、この日本の現状において、何といたしましても食糧を確保するということが第一の問題であると思います。それは土地改良にあるのであります。その土地改良はすなわち國土保全の上からいたしましても、また治山治水に対しましても、最も重要なことであると思うのであります。
 現在の日本の田地はまことに狭隘であります。しかしながら、この狭隘は土地からたくさんの米をとるということが、すなわち土地改良の目的であると思う。またそれは不可能なことではないと私は思う。それは、現在皆樣も御承知のように、篤農家あたりはいかなることを言つておるかと申しますると、一反歩から四石ぐらいはとることができる、こう言うのであります。でありまするから、現在の二石あるいは二石二、三斗ぐらいの程度でありまするがために、現在の日本はどうであるかと申しますると、一千二百万石余りの米を輸入してもらつておる。これが、この土地改良が完全に行われ、これをまた技術と科学の進歩によつて増産いたしまするならば、この食糧の確保は私は決して不可能ではないと思う。できると思う。私どもの考えからいたしますると、大体一反歩から三石とりまするならば九千万石と相なる。でありまするから、これを四石とりますると余る。こういうことになるのでありまするから、決して私はこの土地改良という問題はおろそかにすべきものではないと思うのであります。
 また土地改良に対しましては、治山治水というものが最も根源をなすのでありまするが、その治山治水の根源は、やはり何と申しましても造林であります。その造林が今日はどうなつておるか、日本の國土の七割を有しておしまする山林の現状はどうであるかというと、いわゆる戰爭濫伐に濫伐を続けた結果、今日は皆さん御承知の通りはげ山になつておる。でありまするから、申し上げるまでもなく関東・東北のあの大水害は何が原因をなしたかと申しますると、これは山の濫伐であつたということを申し上げておきたい。これは專門化の発表によつて明らかであります。
 でありまするから、こうした点から考えまして、この土地改良と植林、これは表裏一体でなければいけない。こういうふうにいたしまして、私は一日も早く食糧の安定をなし、わが國において食料を確保するということが最も大切なことであると思うのでありまして、ただいま提案になられました案に対しまして、私は滿腔の敬意を表すると同時に賛成をいたすものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 次は深澤義守君。
    〔深澤義守君登壇〕
○深澤義守君 ただいま提案されました本決議案に対しまして、日本共産党を代表いたしまして賛同の意見を述べんとするものであります。
 まず、このたび吉田内閣が行わんとするところの政策は、日本の産業を荒廃に導くものであるということをわれわれは考えております。われわれは、産業の防衛のために、農業の防衛のために断固として闘わなければならないというこの見地から、本案に対して賛成せんとするものであります。
 第二は、今日日本の現状といたしまして、この敗戰の中に日本民族の独立を確保するという問題は、國民が熱心に要望している問題であります。その根本の問題といたしまして、食糧問題の解決は焦眉の急でございます。この見地に立ちまして、われわれは、日本におけるところの土地改良あるいは災害復旧がこの食糧問題解決の大きな問題であるという見地から、本案に対して賛成せんとするものであります。
 今日、日本農業の現状は、御承知のように侵略戰爭の犠牲によりまして、いまだかつてなき荒廃の状態に達したのであります。戰後といえども、歴代内閣はこの農業復興のためにはなはだ冷淡であつたのであります。わずかに今日日本の食糧が生産されるのは、農民の血と涙と汗の努力によつて続けられておるということをわれわれは確信しております。供出の問題におきましても、天くだり的な、官僚的な供出制度によつて、強権に脅かされつつ農民は救出をやつておる。税金の問題にいたしましても、生産資材を賣り、あるいは生活費を食つて税金を納めなければならないというのが、今日の日本の農業の現状であります。さらに七反歩程度の零細農が七〇%以上を占める日本の現状におきましては、この荒廃の農業を農民の自力によつて復旧するということは、はなはだ困難の状態にあるのであります。從つて、國家の負担においてこの農業復興が全面的に行われるべきであるということを、われわれは主張するものであります。こういう見地において、土地改良あるいは災害復旧の予算が極端に切りつめられておるということに対しましては、どうしても賛成することができないというわれわれは見解を持つているのであります。
 さらに、今日農業の問題に対しまして、供出、生産、價格の面におきまして農民に多大の犠牲を要求いたしまして、これを公共的な性格を持つておるように取扱つているのであります。ところが、土地改良や災害復旧の問題に対しましては、お前たちの利益になるのであるから、お前たちの自力においてこれをやれということは、はなはだしく不公平な取扱い方であります。價格や供出や生産の面において農民に犠牲をしい、土地造成、土地改良などの問題に対しましては農民の負担においてやれということは、まさに農民を奴隷的な立場に置くところの封建的なやり方であると断ぜざるを得ないのであります。こういう見地から、われわれは土地改良、災害復旧の問題に対しましては、全面的國家負担においてやるべしという主張をするものであります。
 最後に私は、過去におけるところの土地改良あるいは耕地整理等の問題が、ややもすれば地方の官僚あるいはボスの温存になつて來たという事実を知つているのであります。今後行われるところの日本の土地改良、災害復旧の問題に対しましては、あくまで働く農民の管理のもとにおいて行わなければならないという見解を持つているのであります。今日の農村の荒廃を復旧することは日本独立の根本問題であるという見地に立ちまして、全面的に土地改良、災害復旧の問題につきましては國家が十分の予算を編成すべしという意見を申し述べまして、本業に対するところの賛成意見にかえるものでございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 次は圖司安正君。
    〔圖司安正君登壇〕
○圖司安正君 私は、民主党を代表いたしまして本決議案に賛成いたすものであります。
 昨四月十一日の毎日新聞によりますると、本年度になつてから耕作を放棄いたしたる面積は実に五千二百五十九町歩に及ぶというのであります。そのうちで荒廃農地なるがゆえに放棄いたしたるものは、まさに三千五百二十五町歩に達するのであります。かりに今一反歩から一石余の生産があるといたしましたならば、まさしく五万石ないし七万石の生産が土地荒廃によつて失われたという結果になるだろうと思います。二合七勺の配給をいたしておるのでありまするから、ちようど一年間に所要する食糧の量は一石と計算されるのでありますが、この計算をもつてするならば、五万人ないし七万人の食糧が災害によつて失われた結果に相なるのであります。
 このように、昨年、一昨年の二箇年間にわたつて日本が北海道から九州にかけての災害によりましてこうむつた食糧の減産というものは取返しのつかない状態になつておるのであり、さらにそれらの人々が家屋を失い、土地を失い、食うに食なくして今日困窮しておる状態を思い見ますならば、私どもは災害復旧の一日もゆるがせにすべからざることを痛感いたす次第であります。(拍手)
 しかも、今日の土地改良に対するあるいは災害復旧に対する國家の予算編成上におきまする重要度を推測いたしまするに、はなはだ遺憾の点を感ぜざるを得ないのであります。われわれは、開墾と土地改良、あるいは災害復旧ということを比較いたすのではありませんけれども、今日開墾に力を注いでおるほどの熱力を土地改良あるいは災害復旧に注ぐといたしましたならば、現下最も必要といたしまする食糧問題の自給態勢に向つての努力を一歩進めることが、あえて不可能ではなかろうと思われるのであります。
 しかも、今日の日本の農業は断じて自由企業ではないのであります。つまり、食糧の供出は國家の名において農民に課された至上命令であり、價格におきましても、あるいはまた租税の両面におきましても、ことごとく國家に奉仕する態勢のもとに公企業的性格が與えられておるのであります。はたしてしかりといたしますならば、國会は補助政策というような間ぬるい手段をもつて今日の土地改良あるいは災害復旧をなすべきものでは断じてございません。すなわち國家の責任において、國家が必要とするところの食糧確保のために農民の生産基盤を培養するということこそ、今日政府がなさなければならない重大責務であると思うのであります。(拍手)
 こうした観点の上からいたしまして、昭和二十二年におきかえましては五百億に上るところの災害、昭和二十三年におきましてはまさに八百億を超えたところの災害に対しまして、國家の責任においてこれを復旧すると同時に、さらに生産の基盤でありまするところの土地改良に対して、拔本塞源的な方策をもつてこれが予算の増強をなすべきことに関して、私は民主党を代表してこの決議案に賛成する次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 次は今井耕君。
    〔今井耕君登壇〕
○今井耕君 私は、國民協同党を代表いたしまして、ただいま上程されました決議案につき所見の一端を述べて、衷心から賛意を表するものであります。
 食糧の増産確保上、土地改良及び災害の復旧は何としてでもこれを完遂しなければならぬ、こういうことを常に考えておりました折柄、今日この決議案が上程されましたことは、まことに欣快にたえない次第であります。
 私は、今回提案されておる予算に、先ほど提案理由の説明にも申されましたように、これらの経費が大削減されておるということは、実に不可解に存ずるのであります。特にこれらの事業は、農民自体が自力でやれ、こういうような趣旨であるのでありますけれども、これは今日の現状を知らない者が言うことでありまして、実は政府の誠意を疑わざるを得ないのであります。
 今日、日本の農業は非常に零細化され、なお強力なる統制によりまして、形式的には事業主でありますけれども、実質的には、はつきりと労働者的の性格にかわつておるのであります。そうして御承知のように、農産物の價格安と負担の過重によりまして正当なる労働賃金すら與えられておらないという立場になつておるのであります。從いまして、これらの事柄が自力でやれないということは当然であります。自力でやらす場合におきましては、まず自力でできるような経済にする政策をとらなければならぬと考えるのであります。
 他の産業に対しましては多額の補給金を出しまして、本年度の予算におきましても、実に補給金だけでも二千二十二億円というものを出す計画でありまして、この金額は、國民一戸当りにいたしますと約一万二千円の負担となるのであります。また、そのうちの四百六億円は輸入食糧の補給金ということになつておるのでありまして、この負担だけを考えてみましても、一戸平均二千五百円の負担ということになるのであります。こういうような負担につきましては、農民は何ら恩惠に浴さないで、一方的の重圧を受けるということになるのでありまして、一方においてこういうような重圧を加えるような方法をとり、他方において農村経済の自立上必須な土地改良、災害復旧に必要な経費を大幅に削減するということは、きわめて不公平なことであると考えるのであります。これによつて農業復興への農民の熱情を無視し、そして食糧の増産を阻害するようなことがあつてはならぬと考えるのであります。從いまして、これらの事業については、むしろ國みずからが行うか、または全額助成によつて行うところの方向に向うべきであると存ずるのでありまして、たとい百歩を譲りましても、最小限度、事業分量において二十三年度以上にこれを見込み、なお事業費と補助金との差額につきましても特別な融資の道を講ずるということが絶対に必要であると考えるのであります。
 本年度におきましては、経済九原則の線に沿いまして日本経済の自立に努力しなければならぬことは当然であります。しかし、これが実施にあたりましては食糧の増産確保が必須の條件であるとともに、これが実施によるところの犠牲と耐乏と努力は公平に負担しなければならぬのでありまして、これがため農家経済を破滅に導き、食糧の増産を阻害し、ひいてはその経済復興を不可能にするようなことがあつてはならぬと考えまして、この際土地改良及び災害復旧に関して万全の措置をとらなければならぬと考えるのであります。この意味におきまして、政府は責任を持つてこれが実現を期すべきであると考えるのであります。
 以上、所見の一端を述べまして賛意を表する次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 次は寺崎覺君。
    〔寺崎覺君〕
○寺崎覺君 私は、農民新党を代表いたしまして、ただいま上程されました決議案に賛成の意を表するものであります。
 日本再建は國民生活の安定から、國民生活の安定は食糧の確保であります。ただいまアメリカの放出物資によつて日本國民がどうやら命をつないでおるようでありますけれども、これは決して名誉でも、ほめたことでもありません。私どもは、私どもの方において國内の自給生産、自給自足をやらなければなりません。そのためには、どうしても農事の改良、耕地の災害復旧、開拓、開墾、干拓、こういう方面の事業を進めて行かなければなりません。その事業のためには予算の裏づけが必要である。これを農民に課するということになりますと、自由経済時代の農村でありましたならばそれを負担することもできたでありましようけれども、ただいまの農業は、一部國家管理であります。その供出といい、供出したる農産物の價格といい、さらに農地法を考えてみますときに、これはどうしても國家管理に入つておるのであります。政府は、政府の責任において全額國庫負担をもつてこの食糧増産計画をただちに進めねばならぬと考えます。
 私は、こういう決議案がこの本会議を全会一致をもつて通過いたしましても、予算の裏づけがないことには、どうにもならないことになつてしまう、空文の決議になつてしまう、こういうことを心配するものであります。政府当局並びに絶対多数を持つている民自党の皆樣に、この食糧増産計画が、予算の面に裏づけられて、一日も早く自給態勢ができますような措置を講ぜられますことを希望いたしまして、本案に賛成いたすものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
 この際農林大臣より発言を求められております。これを許します。農林大臣森幸太郎君。
    〔國務大臣森幸太郎君登壇〕
○國務大臣(森幸太郎君) ただいま滿場一致をもつて御決議になりました決議案は、もことに目下のわが國情として重要なる食糧問題の解決のために適当なる処置を政府に要請されたのであります。本予算におきまして計上いたしておりまする土地改良費、災害費というものは決して十分とは考えておらないのであります。どうかしてこの日本の現状に考えてみまして徹底的な施設を行いたいのでありまするが、御承知の通り財源の捻出等の関係より今お諮りいたしておるような程度にとどまつたのであります。しかしながら、日本の食糧は一日もゆるがせにしておけないのであります。政府は財源等を勘案いたしまして、極力御決議の趣旨に沿いたいと考えるのであります。しかしながら、この会期のうちに成案をして報告すべしという御決議でありまするが、事重大でありますので、取急いでこの御決議の趣旨に沿いたいとは存じまするが、あるいはこの会期に御報告でき得ないような場合があるかとも存じまするが、この点は御了承を願い、政府といたしましては極力この御決議の趣旨に沿うように努力いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 大阪市における警察官の不等彈圧に関する緊急質問(久保山鶴松君提出)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、久保山鶴松君提出、大阪市における警察官の不当彈圧に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 大阪市における警察官の不当弾圧に関する緊急質問を許可いたします。久保田鶴松君。
    〔久保田鶴松君登壇〕
○久保田鶴松君 私は、日本社会党を代表いたしまして、大阪で警察官が労働者に不当彈圧いたしました問題につきまして総理大臣、樋貝國務大臣、法務総裁、労働大臣に緊急質問をいたします。
 わが國の過去は、軍閥と官僚と資本閥との独占資本の━━━━━を行つておつたのであります。ところが、その軍閥はなくなりましたが、今まだ大資本家とそうして官僚との━━━━━を行おうといたしております。━━━━━━━━━━━━━━━━━行おうといたしておる。(発言する者多し)われわれに提出せられまして、そうしてこの問題によりまして、この議会においてわれわれが審議せんといたしておるときであります。このときにあたりまして、院外におきまして、労働者が外において立ち上りまするこのことが、何が惡いのでしよう。私はあたりまえと思う。
 このことから――経済三原則によりまするところの企業整理によりまして労働者に大きな負担をさせ、労働者が避け切れない、背負い切れないところのこの予算によりまして、この首切りをいたしますところの労働改正法を提出せんといたしておりまする問題によりまして、大阪におきまして、労働者の労働者大会を開いておつたのであります。労働者大会によりまして、警察官が彈圧いたしましたところの問題、二日の労働者のこの大会によりましての、大会後の行進に対する大阪市の不当彈圧をなしました――市警察でございますが、今警察は民主警察化させなければならないときでございまするが、このときにあたりまして、今日の警察はフアツシヨ警察化せんといたしておるのでございます。
 この二日の大会におきまして大阪市警察がとりました態度でございまするが、まずこの大会に対しまして、大会を終りまして示威行進に入ろうといたしましたときにおいて、扇町公園を出発いたしまして、そうして鳴尾というところまで参りましたときに――この点は私はよく聞いていただきたいのでございまするが、このときにおきましての警察官のとりました態度、二十七日と二日の大会に対しまする――この二日の大会の折には、しごくその秩序を正しく守つての團体の行動でございました。この團体行動の先頭が――一方においては電車道――電車が來る。一方においては警察の、警察官を滿載したところのトラツクが來る。あぶないがために、その組合の指揮をやつておりまする同志が、けがをさせてはならないというところから、これを待てと言うてとめたのであります。ところが、これをとめましたときに、(発言する者多し)とめておりますることを――私は土曜から日曜へかけて視察に帰つて参りました。夜前の急行で、今日帰つて來たところでございますが、実際を調査して來たのでございます。
 こういうことからいたしまして、今申しました、このけがをさせてはならないというので、とめてありまするのに対しまして、トラツクに滿載して参りましたところの警察官がトラツクからおりまして、その同志の頭を警棒でなぐりつけたのであります。そのなぐりつけましたのに対しまして、これをとめんといたしました者を、これまた警察官が檢束をしにかかつたのであります。このことによりまして、警察官は組合員を檢束を重ねんといたしましたから、また一番頭の隊がとまりましたがために、そこにすわり込まなければならないということになつてたのであります。このすわり込まなければならないということになりましたのに対しまして、四台の消防自動車のポンプで放水いたしたのであります。このポンプで水をかけられました同志が中耳炎を起し、あるいは急性肺炎を起し、そうして今日入院いたしておる状態でございます。
 私たちのこの問題につきまして、法務総裁あるいは総理大臣等に聞いておかなかればならない点はあの消防ポンプなるものは、消防組織法第二十四條によりまして、これが火事の起きたときに火を消すものであるか、あるいは人間に水をかけて病人をつくるものであるか、どの法規に基きましてこの消防自動車を使用したかということを、私は伺いたいのでございます。
 また今、日本の労働運動を民主化しなければならないこのときに、警察のフアツシヨ的なこの行いに対しまして、特に大阪におきまして、鈴木警察局長なる人の今度の問題に対してとりまして態度、私は、來るべき五月一日のメーデーを控えまして、この問題を政府においてはつきりしてもらわない限りにおきましては大きな問題が引起るのではないか。われ厖大衆運動をなす團体といたしまして、かような場合におきましては、武装をなしてこの運動に参加しなければならないということになろうと思います。そういうようなときにおきましては、総理大臣がどうお答えになるかしれませんが、吉田内閣の責任におきまして、この問題の起きたときに、おそらく吉田内閣の命とり、またそのときの責任は吉田内閣がどうとるかということでございます。
 法務総裁は、法律上の面から見まして、先ほど申しました消防組織法第二十四條以外のどの法律に基いてこの消防自動車を使用したとお考えになるか、またこの問題について今後どう考えられるか、再びこういうような問題を引起さないようなことを政府としてはつきりされ得るかということをお伺いしたいことが第一点。第二点といたしまして、警棒によつて十八名からなりまする重傷者あるいは軽傷者、この人たちらの問題を一体どう解決なさるかということ。それから、今度大阪に起きましたこの警察の彈圧事件に対する責任者である大阪市警察局長の鈴木さんに対しまして、この責任をどうなさるお考えであるか、かようなことを私はお伺いいたしたい。
 警察の民主化、また産業合理化による労働の強化という問題を考えますときにおきまして、この起きました問題は、單に大阪だけの問題ではございません。これは全國的に非常に大きな問題になるのでございます。すでに過去におきましては、戰爭以前に特高警察というのがございましたが、今日この問題をわれわれが考えます場合に、過去の特高警察に復帰し得るような今日の警察の行いでございます。ですから、この問題に対しまして、総理大臣あるいは法務総裁、労働大臣等に明確なる御答弁を伺いたい、かように私は存ずるのでございます。この御答弁によりまして再質問を試みたいと存ずるわけでございます。
 たくさんの資料は持つておりますが、時間もございませんので、この程度で私の質問は一應終ることにいたします。
○議長(幣原喜重郎君) 久保田君の御発言中━━━━━━━━━━は不穏当と思われますから、お取消しになつてはいかがでしようか。
○久保田鶴松君 不穏当の点は取消します。
○議長(幣原喜重郎君) 今の件は御本人から取消されました。
 これより政府側の答弁に入ります。まず副総理林國務大臣。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
○國務大臣(林讓治君) 久保田君の御質問にお答えいたします。
 憲法第二十八條の保障する團体権、國体交渉権その他の國体行動をする権利は、憲法及び法令に違反しないように行動しなければならないのであつて、もし公共の福祉に反すれば権利の濫用となり、取締りの対策となるものと考えるのであります。
 それから示威行進中の大衆に対しまして消火用水を注いだ云々の問題でありますが、消防法違反になるかどうかということにつきましては所管大臣より答弁をいたさせますから、さよう御了承お願いいたします。
 なお、メーデーに際しかかる不当彈圧が行われたとすれば全國的に大問題が起るが云々ということでありますが、公共の秩序の維持、生命及び財産の保護並びに交通の取締り等警察法に明示された警察権の行使は嚴正に行うべきものと考えるのでありますが、國家非常事態のような特別な事態の発生いたしません限り、警察に関し内閣総理大臣の統制権の及ばないことは、御承知のことと考えるのであります。
 また、大阪市の鈴木警察局長の問題でありますが、政府は自治体警察の正しい適用を切望するものでありますが、自治体警察自体に対しまして人事権も監督権も有しないのでありますから、さよう御了承をお願いいたしたいと思います。(拍手)
    [國務大臣樋貝詮三君登壇]
○國務大臣(樋貝詮三君) 今の久保田君の御質問に対して御答弁申し上げます。
 取締りは必要の限度にとどめたのでありまして、決して彈圧の事実はありません。なおトラツクが非常に狭い所に出ておつたというようなお話でありましたが、これも出ておりません。
 それからなお、警察法の規定に從いまして、いろいろの方面に対して助力を求めることが、今日適法になつております。從つて、消防として出動を求めることになりますので、決して違法ではありません。
 それからなお政府の責任云々と言われましたが、ちようど昨年の三月に警察制度が改正されまして國家警察と地方警察とに分離せられました以上、非常事態が発生いたします以前においては國家警察は常に自治体警察に入ることができないのでありまして、先ほど答弁がりました通り、内閣総理大臣は國家警察の長として所轄いたしておりますけれども、しかも自治体警察には入ることはならぬというようなことが法律に明定されておるようなわけでありまして、從つて今日この大阪の事件に対しましては、内閣総理大臣及び所轄大臣はこれに対して発言することは法律の許さぬところであります。非常事態の発生する時期までは何事も申し得ないような状態でございます。
 なお警棒に対するところの責任はどうするかというようなことでありましたが、ちようど三月二十七日に起りました事件においては、問題にされないくらい寛大の取締りをいたしました。また四月二日に、すなわち当面問題になりましたところの事件におきましては、三月二十七日の経験に顧みまして、自治体においても相当な取締りをしたことが明らかになつたような次第であります。その警棒のごときも不必要に使用したものではないということが今日において考えられておりますので、これに対しても、政府においては言うまでもなく責任を負うことのできないことであります。大阪地方の公安委員について今の件をお尋ねになるほかは、今日においては絶対に方法はないのであります。さよう御了承を願います。
    [國務大臣殖田俊吉君登壇]
○國務大臣(殖田俊吉君) ただいまの御質問は、大体自治体警察当局の職務執行の態度についてのお尋ねでございました。樋貝國務大臣からお答えいたしましたことで大体盡きているのでありますが、この自治体警察の職務執行の問題につきましては当該自治体において解決せらるべき問題でありまして、まず地方の公安委員会または地方の協議会においてこれは論ずべき問題であります。中央の政府におきましては、これを指揮監督する何らの権限を持つておりませんので、これ以上お答えができないのであります。
 また、自治体消防につきましても大体警察と同樣の取扱いをいたしておるのでありまして、これまた中央の政府において何らお答えができないのであります。
 また、この騒擾の間におきまして、お話のごとく警察当局におきまして何らか犯罪行為が発生したということでありまするならば、地方の檢察当局におきまして嚴正に処置する考えでございます。(拍手)
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
○國務大臣(鈴木正文君) 労働大臣といたしましては、あらゆる場合に労働者諸君がその意見を表明するために個人的にもそういつた十分の権利をもつておるということは根本的に認めておるのでありまして、それが合法的であり、かつ正当である場合には、保護こそすれ抑圧すべきであるというふうな考えは毛頭持つておりません。ただ、それが合法的でない場合、社会の一般の福祉と反するというような場合の判断、そうしてそういう場合における措置は、警察その他のそれぞれの当局の処置すべき範囲内でありまして、ただいま関係の各大臣からお答え申し上げたような内容でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日本移民問題特に米國移民法修正法案に関連しての緊急質問(山本利壽君提出)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、山本利壽君提出、日本移民問題特に米國移民法修正法案に関連しての緊急質問を許可せられんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 日本移民問題特に米國移民法修正法案に関連しての緊急質問を許可いたします。山本利壽君
    〔山本利壽君登壇〕
○山本利壽君 私は、日本移民問題特に米國移民法修正法案に関連いたしまして質問いたしたいと存じます。
 終戰以來、連合國特にアメリカ合衆國がわが國の再建に関してあらゆる面にわたつて援助を與えられましたことは、國民一同の感謝いたしておるところであります。しかも、われわれ日本人の経済生活はいまだ安定せられておらないのであります。この日本國民に精神的かつ経済的に不安定な感じを與えております原因の最大なるものの一つは、わが國における人口過剰という事実であると考えるのであります。
 敗戰後、わが國は樺太、朝鮮、台湾を手放しました。その上、海外よりの引揚げ者総数は本年三月三日現在において六百十四万四千六百三十九人となつており、その後引揚げを予定されているものが四十六万九千四十四名になつておるのであります。この狭い領土に八千万という厖大なる人口を有することが日本経済界の安定を困難ならしめておりますときに、米國におきましては移民法の修正法案がその議会に提案され、すでに下院におきましては、三月一日その通過を見たのであります。この報一たびわが國に傳わりまするや、朝野をあげて喜びと感謝の情を深くいたしたのであります。もちろん、この法案の通過によつて米國に入ることのできます日本の移民数はきわめて僅少なもののようでありますけれども、今後移民問題に関する限り他國人と同等の資格において取扱われるということがわれわれ日本人に與えるところの精神的喜びは偉大なものがあり、米國民の人道主義的な公平さを現すものとして敬意を表するものであります。
 米國側の調査によりますれば、現在米本土には十三万人、ハワイには十六万八千四百六十三名、合計約三十万人の日本移民が滞在しておるのでありまして、さらにアメリカ合衆國を除く南北アメリカには、日本國籍を持つております者が二十五万三千五百二十名となつておるのであります。これらの人々が、現在それぞれの地における手厚い保護のもとに日々の生活を営んでおりますことは、われわれとして、これまた感謝にたえない次第であります。これらの日本移民が、過去においてハワイの島々を、カナダ、カリフオルニア、ブラジル、ペルー、アルゼンチン等の荒野を開墾いたしまして生産的沃土と化し、それぞれの國に貢献して参りましたことは、隠すことのできない事実であり、日本人の移民としての優秀性を物語つているものと考えます。
 今手元にあります資料によつて、二、三の例を申し上げまするならば、米國移民法の実施せられました一九二四年、加州における日本人作付反別は二十五万エーカーを上まわつておるのであります。つまり日本の百万町歩以上を耕やして、その收穫價格は四千四百万ドル以上に上つておるのであります。なお、一九三四年ブラジルにおける日本人自営農業者十八万人について見まするならば、その年産額は、当時の金額において一億円に達しておるのであります。その他ハワイにおける砂糖きびの栽培、ブラジルにおけるコーヒー、ダハオにおける麻、ペルーにおける綿花等いずれも日本移民の貢献によつてその他の冨を増大しておるもの数多いのであります。
 しかしながら、戰前日本移民はあまりに愛國心に強く、偏狭なる日本精神に災いされまして他民族との同化性が乏しいという理由と、日本移民は日本軍閥政府の侵略主義政策におどる手先であるかのごとき疑いから、各地において排斥を受けたこともしばしばあるのであります。ポツダム宣言受諾以來今日までに、わが議会も政府も一新され、わが國民はあらゆる面において民主主義、文化主義的の方向に邁進いたしておるのであります。六・三制教育制度のごときも、米國教育使節團の示されたる意見をほとんどそのまま実施いたしまして、今や経済界の苦しさにも耐えて、その完成に邁進いたしておるのでありますから、米國を初め世界各國におかれましても、今後漸次日本移民のためにその門戸を拡大され、日本再建の道を容易ならしむるとともに、他面日本過剰人口を世界未開発の方面に導入することによつて世界人類福祉のための生産軍に加えられることを懇請するものであります。(拍手)
 以上、アメリカ下院において移民法修正に関するジヤツド法案が通過したことに対する感謝の意を申し上げるとともに、われわれの要望を述べたのでありますが、私は、かつて一九二四年よりあしかけ六箇年の間米國に留学する機会を得まして、カリフオルニア州、テキサス州、ニユーヨーク等において四つの学園に学んだのでありますが、その間教授並びに学友諸君より與えられた厖大なる好意と常に公平なる取扱いについては感謝の念に燃えているものであります。かつ一般市民の明朗にして民主主義的、人道主義的な行動を思い起して、必ずや今回のジヤツド法案も米國上院を通過するものと想像いたしておるのであります。しかし、この法案が米國上院に回付せられて後、まだこの法案の付託委員会さえも決しておらないかのように聞き及び、いささか危惧の念にかられておるものでありますが、外務大臣の入手せられておりますこの問題に関する消息を承りたいのであります。
 第二に、移民問題は講和会議を待つまでもなく各國に要請し得る問題であると思いますが、これに対する政府の見解を承りたいのであります。さらに、日本政府は日本全國民がこの法案の上程に多大の感激を覚えていること並びにその通過に多大の期待をもつていることを、適当なる関係筋を通じて米國政府並びにその國民に傳達するの意思とその用意があるかどうかをお尋ねしたいと考えるのであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 吉田外務大臣はほかにやむを得ない用向きがありまして出席されませんから、外務政務次官がかわりに答弁せられます。外務政務次官近藤鶴代君。
    〔政府委員近藤鶴代君登壇〕
○政府委員(近藤鶴代君) 外務大臣にかわりましてお答え申し上げます。
 ただいま山本議員から数箇條にわたりまして御質問がございましたが、このジヤツド法案は、御承知の通り目下米國議員におきまして審議中の懸案でございます。從いまして、この際日本政府といたしましての見解は遠慮いたしたいと思うのでございます。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) これより日程第一自由討議に入ります。
 椎熊三郎君、発言者を指名願います。
○椎熊三郎君 第九控室民主党在野党たる民主党は、自由討議に並木芳雄君を指名いたします。
○議長(幣原喜重郎君) 並木芳雄君、発言を許します。
    〔並木芳雄君登壇〕
○並木芳雄君 私は、國際教育協会から日本に対するアメリカへの留学生百名割当の選考に関して政府当局に緊急質問を試みる提案をしたのでございますが、議事運営の関係上自由討議となりましたので、特に吉田総理及び外務大臣並びに文部大臣の出席を得て御答弁を求め、私の自由討議を進めるつもりでございます。
 昨日は、皆樣御承知の通り、われわれ待望の永井氏が國際オリンピツク委員会に参加することを許されました。また近くは、政府の発表によりますと、商務官を送るような段取りになる予定との報道もあります。さらに最近では、われわれ熱望に熱望を重ねておりました國会議員の海外視察ということも予定されておるやに聞いておりました。私どもは、苦しい生活の中からも暗夜にともし火を求めるような感じがして参つたのであります。このさ中におきまして、去る四月九日、朝日新聞の第二面のトツプ記事に、留学制度新設、アメリカ陸軍十一万ドル補助、こういう大きな見出しで報ぜられました、日本、ドイツ、オーストリアに対して留学生を割当てるというのこの一大快適ニユースというものは、われわれをしてさらに感激せしめたものでございます。(拍手)
 ところが、私はこれを読んで行きまして、最後のところに、日本における選考が遅れておる、この一事、並びにもし日本の留学が行われないならば、この割当を他に振り向けるという記載がございました点に触れましたときに、実は愕然といたした次第でございます。せつかくのアメリカの御好意に対し、もし日本政府の段取りが遅れておるようなことによつてこの御好意に報いることができなかつたならば、何としてわれわれこれにこたえることができるだろう、また國民の側から言いましても、私たち待望の留学制度というものを確立する上において、この輿望にこたえるゆえんのものでない、この二つの観点から、これは私どうしても緊急質問として当局にお尋ねをしたかつた次第でございます。
 そこで、この問題が間違いのないように、新聞記事に記載されましたところを、簡單でございますから適宜読み上げた方がよろしいと思いますので、そういう形におきまして論を進めて参りたいと思います。
 この記事はニユーヨーク特電でございまして、ニユーヨーク・タイムスとの特殊記事で、日付は書いてございません。冒頭に「アメリカ留学熱が盛んな折から、今度日、独、オーストリア三國の大学生に対して、米政府の補助金による一年間の留学制度を設けることになつた」、こう触れております。すなわち、初めて新しい試みとして留学制度が設けられた、このことをうたつてありまして、続いて「國際教育協会副総裁ドナルド・シヤンク氏の発表によれば、新留学資金はドイツ、オーストリア、日本の復興計画の一部として立案され、これら三國における將來の指導的人物を養成することを目的とするもので、三月中旬、陸軍省と同協会の間に協定が調印された」と具体的に述べてあるのであります。つまり、これが日本、オーストリア、ドイツの復興計画の一部として立案されたところにわれわれは大きな意義を見出すものでありまして、その目的も有望なる指導的人物を養成するという点にあるのであります。しかも、その報道によりますと、すでに國際教育協会とアメリカ陸軍省との間に三月中旬に調印が行われておるという具体的事業を示しておるのであります。
 さらに「今までにも陸軍当局は個人的な留学生を認めて來たが、今回のように陸軍の復興資金から直接補助金を交付することは初めてのことである」。今までの留学生あるいは海外派遣が費用の点においてまちまちであつたにかかわらず、今回は直接アメリカの補助金によつて留学生のめんどうを見る、こういう点が書かれておるのであります。さらにシヤンク氏は「一九四九年―五〇年度にドイツから百五十名、日本から百名、オーストリアから五十名、合計三百名の留学生をとりたいと述べているが、これらの留学資金として陸運当局は十一万ドルを支出、さらに渡航のせわもする、また上陸後の國内旅行宿舎などについても協会が一切の責任をとることになつた」、こう書いてあります。つまり、具体的に何名をどこからとるか、そうしてそのせわはどこがするか、上陸までのせわは陸軍省がして、それからあとの宿舎、旅行その他の責任は一切國際教育協会が負うという点まで明らかにされておるのであります。そうして、採用者は大学在学生で、できれば三年生または上級者、大学卒業生もいいわけだげ、在学生七人につき卒業生三人の割合で選考される、どういう人を留学生に選ぶか、これを明示されておるのであります。そうしてシヤンク氏によれば、「ドイツでは一千名の志望者があり、すでに定員の二百名が決定した、しかし日本の選考は遅れていると語つた」、この点がつまり私たち重大関心の持つところでございまして、ドイツではすでに選考が終つたと言われておるのであります。
 この定員につきましては、最初のところに百五十名と書いてありますが、あとのところは二百名でございますから、五十名の違いが出て來てはおりますけれども、とにかく千人からの希望者があり、その中から嚴選して二百名が決定した、しかし日本の選考は遅れている――この点が、私たち本日この議場におきまして政府からの明言を得たい点であるのでございます。
 「ドイツの場合、選考はアメリカ人を委員長とする各州のドイツ教育者選考小委員会で行われたが、共産党主義者やナチス分子はあらかじめ除外された」――選考の方法について述べております。それから最後にこういうことがつけ加えてあるのであります。「なおシヤンク氏は日本についての左のようにつけ加えておる、國際教育協会は留学資金を日、独、オーストリア三國間に適宜配分する権利を持つておるので、もし日本からの留学がなければ、資金をドイツとオーストリアに振り向けることができる」、以上であります。もしわれわれがこの絶対の機会を逸するようなことがあるならば、國際教育協会は日本への割当を他に振り向けてしまう、早くしないかと言わぬばかりの記事でございまして、この点につきまして、外務省、文部省においてはいかなる取扱いをなされているのか、ぜひ明確にしていただきたいのであります。(拍手)
 最近、青少年の問題あるいは学生の問題が取上げられ、目的をはつきりつかめない人々の間には、あるいはその日暮し、あるいはぐらつくような方もある折柄、この大量なる留学制度、しかも將來有望な人材を養成するというニユースをもつてして、日本における若い学徒や青少年の意氣はいやが上にもあがつて來るものと私は確信しておるのであります。(拍手)そのときにおきまして、一体外務省あるいは文部省は何をしておるのだろうか、この記事を見てそう感じなかつた國民は一人もないと思うのであります。
 もちろん、占領治下において自主的外交というものがない以上、思う存分の活躍ができないことは推察せられるのでありますけれども、いやしくも自主的活動ができないということと積極的活動をしないこととを混同するがごときことがあるならば、これは外務省として、また外務大臣として、國民の負託に沿うところのものではないと思うのであります。もし実際に積極的な活動ができないならば、行政整理の要望せられておりまする今日、潔く外務省というものを廃止して、これを内閣に併合してしかるべきであろうと思います。
 しかしながら、われわれはたとい占領治下におきましても、許された範囲内において、あるいは海外引揚げの問題、あるいは賠償の問題、ただいま議題となりました移民の問題、その他いろいろその限度において活躍していただきたい分野が多いのでありまして、吉田外務大臣がその任にあらずとするならば、過半数を占めた民主自由党の中にはりつぱな人材がおられると思いますから、この際吉田総理大臣は專任の外務大臣を置いて、そうして國民の輿望にこたえることが適当であろうと私は感ずるのであります。その点、吉田総理大臣がお見えになるならば御意見を率直にお伺いしたいのでりますけれども、残念ながらお見えになりません。また副総理がおいでになるならば、林副総理の御意見も聞きたいのでありますが、さいわいに政務次官がおられますから、この点吉田総理大臣として專任外務大臣を置くことを漏らされておるかどうか、その御意思、あるいはまた政務次官として、近藤さんはこの点いかようにお考えになつておるか、この際御明答を得たいと思うのであります。
 これをもつて私の自由討議を終る次第であります。(拍手)
    〔國務大臣高瀬荘太郎君登壇〕
○國務大臣(高瀬荘太郎君) お答えいたします。ただいま御質問がありましたように、日本の学生が大量に米國へ留学できるようになりましたならば、日本の教育学術のためにこの上ない仕合せであると私も考えております。ただ、ただいま御質問にありました國際教育協会から日本への留学生百名の割当がすでにあつたという点につきましては、文部省としていろいろ調査をしてみたのでありますけれども、まだはつきりした情報を得ておらないのであります。今後もむろんこの点につきましては十分調査をいたしまして、御質問にありましたように、時期を逸することのないようにして行きたいと考えております。しかし、GHQの民間情報教育局におきまして、日本から米國へ留学生を送る計画を目下準備中の由であります。ただいま本國と打合せて計画をしておるようでありますが、はつきりした時期、人数はきまつておりません。しかし、できるだけ早い機会においてこれを実現したいといつて、たいへん努力をしてくれておりますから、近くこれが実現することになるだろうと考えております。
    〔政府委員近藤鶴代君登壇〕
○政府委員(近藤鶴代君) ただいま自由討議におきまして並木議員の御質問になりました点についてお答え申し上げたいと思います。
 ニユーヨーク・タイムスの特電に傳えられました留学生の補助の問題につきましては、私どもといたしましても、日本から米國への留学の道が大きく開かれるものと期待いたしまして、非常に喜びをもつて迎えた記事でございます。しかしながら、ただいまのところ、この新聞記事以外には確たる通報がございません。関係方面に対しまして確かめてみましたけれども、何ら本國からいまだ通報がないということでございます。從いまして、いずれ詳細の判明する時期もあると思いますので、今日はこの程度にお答え申し上げたいと思います。
 なお、外務大臣の專任の問題につきまして、ただいまお尋ねがございましたが、かつて同樣の御質問をお受けになりました吉田外務大臣は、自分が外務大臣として最も適当であるから兼任するということに仰せになりましたので、おそらくはさような御意思であろうと思います。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 佐々木秀世君、発言者を指名願います。
○佐々木秀世君 民主自由党は高橋權六君を指名いたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 高橋權六君、発言を許します。
    〔高橋權六君登壇〕
○高橋權六君 私は治山治水ということについて討議したいのであります。
 現在各地を旅行しまして山岳地帶がどうであるか、万代不易の欝蒼たる山を見ることが少くなつたのであります。これは終戰前までに濫伐に次ぐに濫閥をした結果でありまして、今日農村振興を唱える前に、なぜこの治山治水を怠るか。山間地帶に來て、はだにあわせざるを得ない今日である。國内の各地におけるところの水害、最近においては関東地方、九州地方、あるいはずつと過去においての恒例の山潮のごときは、みなこの濫伐の結果にほかならないのであります。ただそれのみではない。目下傾斜のはなはだしいところに至るまでそばを植え、むちやくちやに開墾々々に名をかりて濫伐をしておるのであります。こういうことは、農事に通ずるわれわれとしては実に残念でたまらないのである。必ずこの傾斜面は遠からず山林地帶に変化することは火を見るよりも明らかだと思つております。
 ただ諸君は、より以上の頭を持つておる方々であるから申し上げるまでもないが、今日あの欝蒼たるところの樹木に、降雨の際の雨量はどのくらいであるか、今樹木が欝蒼としておれば、いかなる効能があるか、樹木の葉のみならず、幹並びに樹木の間にあるところのしだ、こけのようなものにたくわえられる雨量のみならず、この樹木のために地中深く藏される水のことを考えなければならないのであります。この樹木のないがために、いかなる結果になつておるか。一たび降雨來らば、ただちに地面を氾濫せしめるのである。その水の結果、岩石土砂を流して、山に出でんとする山潮をして一ぺんに勃発せしめるものであります。その勢いたるや、どうであるか。普通の水の流れの二倍半というところの力は持つておるものであります。その水勢のために沿岸並びに樹木のごときものを流すのであります。そのために河川を閉鎖し、その雨量がまた二倍半の水勢をもつて流れるのであります。そういう結果は、人命並びに美田、山間地帶に至るまで流してしまうのであります。こういうことを考えないで何をするか。大体そういう方面から考えてもどうであるか。
 また針葉樹、闊葉樹のごときものも相当考えなければならないの。そうして植林に努力をしなければならないのであります。今日たきぎのごとき、木炭のごとき、あるいは建材のごときは、すべてより以上に必要を感じておるのであります。しかるに、農産物檢査所のごとき、あるいは資材調査事務所のごときものがあつて、われわれの最も大切な学校に要するところの建築材料は、ある方面に流して、ある方面に流さない。その結果木材が腐蝕しつつあるということも考えなければならないのであります。今日たきぎのごときはどうであるか。今木炭にかわるに、自動車の燃料のごときは、そのままのものを使うことに変化しつつあるのであります。そういう結果カーボンを生じて、機関を閉塞するような結果にもなるのであります。われわれは、一日としてこれをゆるがせにすることはできないのであります。
 また、今日至るところにダムをこしらえている。そして、ただダムをこしらえればよいもののごとく、またあるものの利益を得たんがために主張する者がなきにしもあらずであります。しかし、今日ダムをつくる場合にはどうであるか。ある方面のごときは礬土というものがある。非常にかたいところの岩盤があつてダムのできない難箇所があることも研究しなければならないことであります。ただ、それを考えないでダムをつくるということは実に軽率もはなはだしいもののである。あの宮崎方面について考えなければならない。宮崎方面にはダムの大きなものがあるが、一朝日照り続きの結果はどうであるか。われわれ一般家庭に対して線香送電という悲しいこともあるのである。ある場合には暗夜になつて、その結果暴漢が現われるような世の中になることもあるのであります。
 この水力電氣の源泉たるや何であるか、植林である。この植林をして非常に繁栄せしめたならば、その結果は必ずわれわれ國明を潤おわしめることができるのであります。水力電氣を起すには、大きなダムをつくらなくてもよい。少しばかりの落差があれば、小さなダムをつくることもできるのであります。そういう結果はどうなるか。あるいは動力に、あるいは機械工業に、あるいは紡織方面に――衛生方面におきましては太陽燈のごとき、すべてわれわれ國民に対して欠くべからざるところの原動力を與えるものである。目下増産を叫ばれておるところの石炭増産のごときものもそうであります。掘進に、排水に、あるいは送炭のごとき、またその他の方面にこの電力を用いることができる結果にもなるのである。
 本員は、常にそういうことを考えるとともに、農民のことを考えておるのである。なぜならば、日本全國至るところ非常に濕地が多いのである。水稲をやつと育成するくらいの土地がたくさんあるのである。また不毛な土地として放任されておる土地もあるのであります。その灌水の不便なるところには揚水機の設備を持つて灌漑をし、水稲並びに麦類を育成することができるのである。その反面に濕地帶の排水を十分にすれば、長い間この世界に埋もれているところの肥料が、ただちに作物に影響して現れるのあります。そういうことから考えまして、なぜに――諸君はいざ知らず、多数の政治家はなぜにそういう方面に努力しないかということを考えているのである。私は、ほんとうに今後の政治家たる者は、ただできないことのみを叫ぶよりもこういうことに努力しなければならないと思うのである。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ましてや、そうだと言う諸君はなおさらそうしてもらいたいのである。(拍手)
 最後に、この植林事業に要する費用というものは莫大である。しかしながら、今日失業救済ということを考える際においては、そういう方面もより以上に考えなければならないのであります。そういう観点から、治山治水、すなわち山治つて初めて國治まるものである。今日の日本のごときは、ほんとうに青々たるところの山を見られない。赤土の山を見る。その赤土に対して肥料も與えないで、ただ作物をつくるということは、実は矛盾もはなはだしいものである。そういう方面から樹木を多く繁殖せしめるときにおいては、この腐葉土というものがたくさんできる。先ほどほかの議員が言つた北海道のツンドラのごときものは、たくさんできるものであります。そういう意味から、治山治水を大いに主張する次第であります。(拍手)
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○佐々木秀世君 本日の自由討議はこの程度にとどめ、これにて散会されんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 佐々木君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時二十一分散会