第005回国会 本会議 第27号
昭和二十四年五月十二日(木曜日)
 議事日程 第二十五号
    午後一時開議
 第一 人口問題に関する決議案(床次徳二君外二十三名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第二 簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議
 第三 昭和二十二年度予備費使用総調書
  昭和二十二年度特別会計予備費使用総調書
  昭和二十三年度一般会計予備費使用総調書(その一)
  昭和二十三年度特別会計予備費使用総調書(その一)(承諾を求める件)
 第四 特殊財産資金歳入歳出決算
 第五 昭和二十一事業年度の持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産に関する財産目録及び收支計算書
 第六 昭和二十二事業年度前期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産に関する財産目録及び收支計算書
 第七 昭和二十二事業年度後期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産及び過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の規定に基きその譲受けたる財産に関する財産目録及び收支計算書
 第八 價格調整公團法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第九 過度経済力集中排除法第二十六條の規定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案(内閣提出)
 第十 競馬法の一部を改正する法律案(原健三郎君外六名提出)
第十一 酪農業調整法を廃止する法律案(内閣提出、参議院送付)
第十二 農地調整法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
第十三 日本專賣公社法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第十四 日本專賣公社法施行法案(内閣提出)
第十五 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
第十六 人権擁護委員法案(内閣提出)
第十七 檢察廳法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第十八 出版法及び新聞紙法を廃止する法律案(内閣提出)
第十九 認知の訴の特例に関する法律案(古島義英君提出)
第二十 公共企業体労働関係法の施行に関する法律案(内閣提出)
第二十一 國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関する法律案(内閣提出)
第二十二 國家公務員のための國設宿舎に関する法律案(内閣提出)
第二十三 臨時宅地賃貸價格修正法案(内閣提出)
第二十四 復興金融公庫に対する政府出資等に関する法律案(内閣提出)
第二十五 興業債券の発行限度の特例に関する法律案(内閣提出)
第二十六 民法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二十七 少年院法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二十八 少年法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二十九 都道府縣の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律案(内閣提出)
第三十 自轉車競技法の一部を改正する法律案(原健三郎君外六名提出)
第三十一 鉱山保安法(内閣提出)
第三十二 水産業團体整理特別措置法案(内閣提出)
第三十三 港則法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第三十四 船舶運営会の船員の退職手当に関する交付金を船舶所有者に交付する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
●本日の開議に付した事件
 日程第一 人口問題に関する決議案(床次徳二君外二十三名提出)
 日程第二 簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案(辻寛一君外二十四名提出)
 日程第三 昭和二十二年度予備費使用総調書
  昭和二十二年度特別会計予備費使用総調書
  昭和二十三年度一般会計予備費使用総調書(その一)
  昭和二十三年度特別会計予備費使用総調書(その一)(承諾を求める件)
 日程第四 特殊財産資金歳入歳出決算
 日程第五 昭和二十一事業年度の持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産に関する財産目録及び收支計算書
 日程第六 昭和二十二事業年度前期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産に関する財産目録及び收支計算書
 日程第七 昭和二十二事業年度後期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産及び過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の規定に基きその譲受けたる財産に関する財産目録及び收支計算書
 日程第八 價格調整公團法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第九 過度経済力集中排除法第二十六條の規定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案(内閣提出)
 日程第十 競馬法の一部を改正する法律案(原健三郎君外六名提出)
 日程第十一 酪農業調整法を廃止する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第十二 農地調整法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 日程第十三 日本專賣公社法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十四 日本專賣公社法施行法案(内閣提出)
 日程第十五 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十六 人権擁護委員法案(内閣提出)
 日程第十七 檢察廳法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十八 出版法及び新聞紙法を廃止する法律案(内閣提出)
 日程第十九 認知の訴の特例に関する法律案(古島義英君提出)
 日程第二十 公共企業体労働関係法の施行に関する法律案(内閣提出)
 日程第二十一 國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関する法律案(内閣提出)
 日程第二十二 國家公務員のための國設宿舎に関する法律案(内閣提出)
 日程第二十三 臨時宅地賃貸價格修正法案(内閣提出)
 日程第二十四 復興金融公庫に対する政府出資等に関する法律案(内閣提出)
 日程第二十五 興業債券の発行限度の特例に関する法律案(内閣提出)
 日程第二十六 民法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二十七 少年院法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二十八 少年法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二十九 都道府縣の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律案(内閣提出)
 日程第三十 自轉車競技法の一部を改正する法律案(原健三郎君外六名提出)
 日程第三十一 鉱山保安法(内閣提出)
 日程第三十二 水産業團体整理特別措置法案(内閣提出)
 日程第三十三 港則法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三十四 船舶運営会の船員の退職手当に関する交付金を船舶所有者に交付する法律案(内閣提出)
 水防法案(内閣提出)
 建設業法案(内閣提出)
 屋外廣告物法案(内閣提出)
    午後一時二十六分開議
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) これより開議を開きます。
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一は提出者から委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、人口問題に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。床次徳二君。
○床次徳二君 ただいま議題となりした人口問題に関する決議案の趣旨の御説明を申し上げます。
 まず決議案を朗読いたします。
   人口問題に関する決議
  現下わが國の人口は著しく過剰である。このために國民の生活水準の向上は容易に望まれないばかりでなく、他面、わが國の経済復興計画の樹立と実施に著しい困難を與えており、更に婦人解放、母性文化の向上に対しても大きな障碍をなしていることが認められる。よつて政府は、本問題に関して次の如き対策の必要なことを國民に徹底せしめるとともに、近く政府が設置しようとする人口問題審議会においても速かに積極的具体策を決定すべきである。
 第一 各種産業の振興を図るとともに、國土の開発、食糧の増産等により可及的多数の人口を養うことができるように努力すること。
 第二 將來における人口の理想目標を考慮するときは、現在の人口自然増加はある程度抑制せられることが望ましい。これがため健全な受胎調節思想の普及に努力すること。
  右に関しては、
  1 目標とする將來の自然増加率は、現下の状況に鑑みて、なるべく欧米諸國に準ずる程度とすること。
  2 適正なる受胎調節思想及び必要な薬品、用具等の普及を図ること。
    右に関しては保健所等の保健指導機関を利用し、更に各種社会保健法及び生活保護法等の運用に当つても適当考慮すること。
  3 優生思想及び優生保護法の普及を図ること。
  4 母性衛生上人工妊娠中絶よりも可及的受胎調節法を利用すること。
 第三 將來の海外移民に関しその研究調査の準備を行うとともに、関係方面にその援助をあらかじめ懇請すること。
   しかして移民により過剩人口を解決することは困難であるが、將來移民が認められることは單に國民生活の向上に役立つのみならず、わが國民の世界に対する感謝と國民感情に対する満足とを招來するものであつて、わが國の再建に寄與することが多大である。從つてこのためには過去におけるわが國の移民には相当欠点もあつたことに対し深い反省を加え、日本國民が今後は眞に世界に歓迎せられ、且つ世界の福祉増進に寄與することのできるような移民たり得るよう、國民自らが今から準備をし努力をすることが必要である。
  このことは取りも直さず日本國民が文化の高い平和的な民主國民となることに精進することと一致するものと確信する。
  右決議する。以上であります。
 御承知のことく、わが國の人口は昭和二十三年八月には八千万を越えたのでありまして、國土面積は明治二十五年に比較いたしますと若干減少しておりますが、人口はちようど倍加いたしたのであります。しかも戰爭によりまして國力はまつたく疲弊し、資源は消耗し、産業は壞滅いたしておるのであります。現在人口が著しく過剩であることに関しましては、國民のひとしく認めておるところでございます。近ごろの著しい人口の増加は、一つは約八百万を越えるところの在外法人の引揚げによることはもちろんでありますが、しかしながら、わが國の出生率は、昭和二十二年におきましては、人口千に対しまして三五・一の高位を示しておるのであります。また死亡率はこれに反しまして、保健衛生の向上いたしました結果といたしまして一四・八六に低下し、差引き自然増加は二〇・一五でありまして、一年間に約百六十万人が増加いたしたのでありまして、これは著しく世界の注目を引いたのであります。もとより、この数字は終戰後におきますところの特殊事情によるのでありますが、現在はすでにその峠を越えまして、將來は漸時低下の傾向にありまして、昭和三十年には自然増加率は一三あるいは一四に低下することを推定せられておりますが、しかしながら、わが國の総人口はなお九千万に達するのであります。この日本におきますところの自然増加の状況は、あたかも英國におきまして約四十年前の増加の状況に匹敵するのでありまして、現在の欧米のそれと比較いたしましたならば、なお相当高位にあると言わねばならないのであります。
 しからば、かかる人口の増加が國民生活に対していかなる影響を與えておるかということを考えますに、ただに國民の生活水準の向上に対しまして大きな負担となつておるばかりでなく、わが國の経済、産業の復興計画の樹立と実施に関しまして著しい困難を與えておるのであります。連合國の好意によりまするところの輸入せられたる食糧資源も、將來の國際收支の均衡を得るために経済の自立化、すなわち國内産業の積極的再建の方へ十分に効果的に使用せらるるはずでありますが、やむを得ず國民の消費生活に使用せられておる状態なのでありまして、このためには、一日もすみやかに経済が自立し得て、かつ國民生活水準がその目標へ復帰できるようになることを望むのでありまして、かかる程度の人口を私どもは希望するものであります。また、この人口問題は他の面から見ますならば、同時に婦人の解放の問題であり、また母性文化の向上の問題であります。経済上、また社会上に、両親あるいは社会の希望しないところの子女が生れることを防止することができましたならば、これは人口の増加を抑制することができるばかりでなしに、同時に國民の文化の向上に寄與するものと信ずるのであります。
 今日わが國の人口問題をいかに処置するかということに関しましては國民の重大なる関心事でありまして、今議会におきましても、すでに数回にわたりまして政府当局との間に質疑をかわされたのであります。これに対しまして、政府は近く人口問題審議会を設置し、その対策を総合して実施するとか、あるいは受胎調節に対しましては医学上、保健上の立場から適当なる相談指導を行うことを述べておられるのであります。しかしながら、今日國民の多数は、よりすみやかな、またより明瞭なるところの人口対策の確立を要望しておるにかんがみまして、厚生委員会におきましては、かねてよりその対策に対しまして審議を重ねて参つたのであります。過般結論を得ましてので、各派の賛同を得まして、ここに決議案として提出いたした次第であります。先に朗読いたしましたところによりまして大体の御了解を得たことと思いますが、なお二、三簡單に御説明を申し上げてみたいのであります。
 第一は、國民に対しまして人口政策の必要なるゆえんを十分に理解徹底せしめられたいと存ずるのでありまして、この点に関しましては、特に女性に対しまして、女性みずからの向上のために十分なる理解を得るよう努められたいと思うのであります。
 第二におきまして、本決議案において掲げました事項は、人口問題審議会におきましては可及的すみやかに積極的な具体策を樹立し、これを実地に移すように努められたいことであります。
 第三は、人口政策といたしまして、第一に各種の産業を振興し、その他國土の開発あるいは食糧増産等によりまして、國内におきまして可及的多数の人口を包容するようにいたしますること、同時に第二といたしまして、人口の自然増加を抑制する、さらに第三といたしまして、將來の移民に関しましても総合的にこれを実施することを必要と認めておるのであります。かかる三つの政策が同時に行われることが最も緊要であると存ずる次第であります。
 第四は、將來の人口対策の要点は、何と申しましても國内におきまして多数の人口を養うべく努力することであります。これがために、國土の開発あるいは土地改良、農業技術の改善、品種の改良等も行いまして食糧の増産をはかるべきでありますが、現在これを実施するにいたしましても、なおこれに対しましてはおのずから一定の限度のあることを知らねばならないのであります。したがつて、將來最も期待し得ることは、國内の各産業を発展し、かつ貿易を振興するという点でありまして、私は、一日もすみやかに経済九原則によりまするところの産業の復興自立を得べく努力をいたしますとともに、この実現に対し必要なる世界の援助を懇請せねばならないと信ずるのであります。なお、この実現のあかつきにおきましては相当國内における工業化が行われることと存じますが、この工業化が行われることによつて、おのずから人口の増加も緩和せられることと信ずるものであります。
 第五に、人口増加の抑制にはある程度の目標を定めることが必要であることを認めておるのであります。現下の状況におきましては、わが國の特殊性もありますが、一應これは欧米諸國に準ずるところの自然増加を目標としたならばいかがかという結論になつたのでありますが、これが具体的の数字に関しましては人口問題審議会の調査決定にまつた次第であります。かかる目標が確立せられまして、しかる後に初めて眞に実現可能なるところの産業復興計画ができるのでありまして、また國民がこの復興計画の目標を理解することにより、初めてその実施の完全を期することができると存じます。なおこの人口増加の抑制に関しましては、もとよりこれは國民に対し命令、強制するというものではなく、國民の各人がおのおのの理解のもとに、その自由な意思によつて行わなければ、そのほんとうの効果の上がらぬことは御承知の通りでありまして、これがために健全なる思想の普及並びに適正にその普及をはかることを必要と信ずるのであります。
 第六、移民によりまして今日人口問題を解決せんとする考えはきわめて大きな誤りであることを申し上げたいのであります。しかしながら、移民を行い得るということは、將來のわが國民の生活水準の向上には著しい好影響をもたらすものでありまして、この点は明瞭でありますが、またわが國民に対しまして明るい希望をもたらし、輝かしい歓喜を與えるのでありまして、この実現のあかつきにおきましては、世界に対しわが國民の感謝はいかに大きなものであるかということは、あらためて申し上げるまでもないと信じます。今日より関係方面の援助のもとに十分の調査と研究を行いまして、過去の非難を受けましたところの移民の欠点を補い、一層の精進をいたしましたならば、必ずやわが國民は、われわれの理想とし、かつ世界が期待するところの、文化の高い、平和的な、りつぱな民主國民となり得ると同時に、また世界人類の福祉の増進のために世界より歓迎せられるところのりつぱな移民となり得ることを確信するものであります。政府におかれましても、本問題は國民の熱望の存するところでありますことをよく察せられまして、すみやかに関係方面に対しましてその援助を懇請せられ、この準備に遺憾なきを期せられたいと存ずる次第であります。
 以上、はなはだ簡單ではありますが、本決議案の説明を終る次第であります。何とぞこの趣旨に御賛同くださいまして、満場一致の御賛成を希望する次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これより討論に入ります。順次発言を許します。まず福田昌子君。
    〔福田昌子君登壇〕
○福田昌子君 私は、ただいま上程されました人口問題に関する決議案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして賛成するものであります。
 今日人口問題は、日本再建の上におきましてきわめて緊要事であります。日本の今日の人口が超飽和状態にあり、しかも有史以來の旺盛なる自然増加率をもちまして、人口問題におきまする危機を呈しておるのであります。堤防はまさに崩壞寸前の状態にあるのであります。從いまして、私たちといたしましては、この緊急なる対策を考えなければならないのであります。
 対策といたしましては、まず増加人口に対しますところの人口扶養力の均衡ということが考えられます。しかし、人口扶養力というものを具体的に考えてみますると、國土の開発、食糧の増産、あるいはまた工業の発展等によりまして経済復興を促進いたすことが人口扶養力の増大をはかります場合に最も大切な問題でありますが、遺憾なことには、國内の資源、またその復興の促進に当りましては多くの隘路が横たわつておるのでありまして、從つて人口扶養力の増大によりまして人口増加に対しますところの対策をはかるということは非常な困難なる状態に立ち至つておりのであります。從いまして、人口そのものの減少をはかるということが今日の当面したところの問題になつて参ります。
 人口の減少ということを考えますと、対策といたしましては、いわゆる移民と、一つは出生の制限ということが問題になつて参りますが、移民ということは、これは日本の過去における移民の実績、また軍國主義的な移民政策、その結果からいたしまして、將來講和会議を迎えましたあかつきにおきましても、日本の人口増加を移民政策によつて緩和するということは非常に困難な問題であろうということは推察されるのであります。從いまして、当面に残された唯一の人口政策は、出生の制限ということ一つにかかつて参るのであります。
 出生の制限ということになりますると、他面産兒制限ということが考えられます。今日國民の各層において行われておりますところの産兒制限というもの、そのことを考えてみます場合におきまして、私たちは、この産兒制限の放任において來るところの二、三の弊害を考えてみなければならないのであります。産兒制限普及そのものは、今日におきましては約二五%足らずに普及されておるのでありますが、この普及率そのものから考えます場合におきては、欧米の文明先進國におきまして八〇%から九〇%の産兒制限が普及されております状況から考えますと、日本の今日の現状においては早急に産兒制限の普及をはからなければなりませんが、普及をはかると同時に、私たちといたしましては、産兒制限の当然の結果起こるところの二、三の弊害を考えなければなりません。
 産兒制限は、民間にこれを放置しておきますときには、有産階級、有識階級におきましてこれを利用することが多い結果、必然的に民族の素質の逆淘汰を來すのであります。また、これを放置しておきますときにおきましては性道徳の紊乱を來すのであります。從いまして、私たちは正しい産兒制限という観点に立ちまして産兒制限の指導普及をはからなければならないのであります。正しい産兒制限と申しますものは、これは社会的な観点に立つて、各個人の家庭生活の安定と文化向上との目的のもとに、また女性生活の改善、解放の目的のもとになされるところの産兒制限でなければならないと思うのであります。いわゆる社会的な産兒制限でなければならないと考えるのであります。
 第二点といたしましては、産兒制限の普及に当つては必ず優生保護法の健全なる適用がなければならないと思われるのであります。優秀ならざる素質の人に対しましては、優生保護法を完全に適用いたしまして劣惡階級の方々の出生を防ぐ、このいわば優生学的な産兒制限がなされなければならないと思うのであります。また産兒制限に附随いたしましては、必ず倫理と道徳との裏づけがなければならないと考えるのであります。すなわち道徳的な産兒制限、これが産兒制限の普及に対しまして最も重大な点になつて参ると思うのであります。從つて政府といたしましては、産兒制限の普及に当つて、性教育または社会教育の面からいたしまして、これらの点に十分に留意して、社会的な、また優生学的な、ことに道徳的な産兒制限の普及をはかることに重点が置かれなければならないのである。
 また今日勤労階級、農村階級におきましては、ことに婦人層におきまして、産兒制限に対しますところの要望がきわめて盛んになつて参つております。私たちが地方に参りましても、衛生問題におきまして第一に聞かれることは産兒制限問題であります。かような状態でありますがゆえに、こういつた階級に対しますところの適正なる産兒制限の指導をはかると同時に、また今日の健康保險、國民健康保險、あるいはまた生活保護法を適用いたしまして、産兒制限に要する費用の援助をなすべきであると私は考えるのであります。
 次にまた、今日の保健所を十分に活用いたしまして、その保健所に設置されますところの優生結婚相談所の完全なる、また活溌なる活用におきまして、医学的に見まして優秀ならざる低格者の方々に対して適正な、また積極的な産兒制限の指導普及をはかつていただきたいと思うのであります。こういうことのためには、今日公認になりましたところの避妊薬あるいは避妊器具の配給というものを、ある一定の階級に対しましては無料あるいは減額配給をいたしまして、その普及徹底をはかつていただくことを希望するものであります。
 私は、こういうような観点に立ちまして、近く内閣に設置されますところの人口問題審議会におきまして、まず日本の將來の人口の適正化に向いまして、正確なる調査のもとに適正人口の確立をはかるとともに、また移民あるいは人口扶養力の増大、あるいはまた正しい産兒制限の普及ものとにおきまして、日本の人口問題に対しまして誤りのない政策が打立てられることを希望するものであります。私は、この希望條件を述べまして、ただいま上程されました決議案に対し賛成するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 次は砂間一良君。
    〔砂間一良君登壇〕
○砂間一良君 私は、ただいま上程されております人口問題に対する決議案に、日本共産党を代表いたしまして賛成の趣旨を述べたいと思うのであります。
 現在過剩人口の現象が起つておりますことは事実であります。しかしながら、この原因については、單に日本の人口の自然増加率が高いからとか、あるいは海外領土の喪失だとか、あるいは海外同胞の引揚げというふうなことを問題にしておる人もあるのでありますけれども、かような意見は、ほんとうに正しい原因をつかんでおるものではないと思うのであります。人口過剩の眞の原因は、生産の破壞と失業者の増大、生活困窮者の増大にあるのでありまして、單に自然的條件によるのではなくして、社会的條件によるところが非常に大きいのであります。もし人口密度の点について申しますならば、ベルギーやオランダ、そのほか日本よりも密度の高い國がいくらもあるのであります。しかもそれらの國においては、現在日本で問題になつておるほど過剩人口の問題は問題になつておらないのであります。
 かつて昭和六、七年のころ、日本が深刻な経済恐慌に見舞われましたときに、あらゆる工場において高度の操業短縮が行われ、また工場閉鎖が行われて、失業者はちまたに氾濫しておつた。東海道を汽車にも乘れずに徒歩で歩く人が行列をつくつて行つたような時代もあつたのであります。ところが、日華事変が始まつて軍需工場が活氣ずくとともに、人口問題はいつの間にか解消してしまつて、かえつて人が足りないということがあらゆる方面で強調されまして、政府は生めよふやせよというふうなことを、かね、たいこで宣傳したことがあるのであります。かような事実を見ましても、人口問題は主として國の経済の盛衰によつて起るのでありまして、單なる自然的條件ではないのであります。現在の日本の生産力をもつてしましても、もしこれが一部少数者の利益のためではなくして、多数者の利益と幸福のために正しく民主的に運営されますならば、日本は現在の状態のもとにおいても、もつと多くの人口を包容することができ、人口問題は一瞬にして解消することができるでありましよう。
 今日の過剩人口の現象は、政府及び資本家の行政整理、企業整備によるところの一方的な首切りと、集中生産によるところの中小企業の崩壞、大量的な失業者の増大、低賃金、低米價、重税によるところの大衆の生活困難に主要な原因があるのであります。この点にかんがみまして、政府はよろしく不当な首切りと大資本家本位の集中生産方式をやめまして、失業者の救済、中小産業の保護、農業を破壞する天くだり強権供出制度の廃止、大衆課税の撤廃を断行いたしまして、勤労者の生活の安定と向上をはかるべきであります。
 次に産兒制限の問題についてでありますが、現在勤労大衆の生活が政府及び資本家の破壞的收奪政策のために極度の困難に追い詰められておることは事実であります。よつて、生活困窮者に健全な受胎調節思想を普及いたしまして、また病弱者の妊娠中絶をはかりまして適当に人口の自然増加を抑制することは、現在の状態のもとにおきましては必要にしてやむを得ない手段と考えるのであります。しかしながら、現在市中に氾濫しております薬品や用具等の中には、いかがわしいものが非常に多くあるのでありまして、受胎調節にはあまり効果がなく、かえつて人体に障害をもたらすものも少なくないのであります。大きな薬品会社の中には、まだ効果の確立しない薬品や用具を、官の認可を得るためにいろいろ策動いたしまして大々的に宣傳して、そうして暴利をむさぼつておるようなものも少なくないのであります。政府はよろしくこれらの悪質業者及び汚職官吏を徹底的に取締るべきであると思うのであります。
 次に移民の問題について一言触れたいと思うのでありますが、私どもは、地球上のあらゆる陸地は人類のものでありますから、人間はたれでも自由に移住し、平等な待遇を受け得られるような、そういう‥‥。
○議長(幣原喜重郎君) 砂間君、申合せの時間が参りましたから簡單に願います。
○砂間一良君(続) 社会制度の確立を望んでおるのであります。かつて日本の軍閥、財閥どもは、人口問題、移民問題を帝國主義的侵略の道具に利用しました。アメリカや南米その他海外におきまして、日本移民の問題について種々な問題が発生したのも、その一半の責任はここにあると考えるのであります。私どもは、かかる政策には絶対反対であります。日本がもし眞に民主化された平和國家として出発するならば、民主的な海外諸國は喜んで日本移民を迎えるでありましよう。從つて、移民問題解決のかぎは、これを受け入れる海外諸國にあると言うよりは、むしろわれわれの内部にあると言うべきであります。日本國家の民主化こそ移民問題解決の眞のかぎであると思うのであります。
 以上の観点に立ちまして、私は本決議案に賛成するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終結いたしました。
 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
 この際厚生大臣より発言を求められております。これを許します。林厚生大臣。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
○國務大臣(林讓治君) 現下の人口問題はきわめて重要な問題でありまして、これに対する合理的かつ適切な対策の樹立はきわめて緊要であると存じます。このときにあたりまして、本院が人口問題について決議せられましたことは、きわめて時宜に適したものでございまして、深く敬意を表するのであります。政府といたしましては、本問題の重要性にかんがみまして、御承知のように内閣に人口問題審議会を設置し、各界の権威者のお集まりを願いまして愼重に審議をいたし、すみやかに適切なる方策を樹立いたしたいと考えておる次第であります。御決議の御趣旨にもかんがみまして一層努力をいたしたいと考えるわけであります。(拍手)
     ――――◇―――――
 第二 簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案(辻寛一君外二十四名提出)
    (委員会審査省略要求事件)
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二は提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第二、簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。辻寛一君。
○辻寛一君 ただいま議題となりました簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず決議案を朗読いたします。
   簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案
  簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用は、元來事業経営と不可分一体をなし、事業者自らこれに当ることを本則とする。且つ、運用にあたつては、公共の利益を旨とし、資金の地方還元、加入者の福利増進を目途とすべきことは、両事業の公共性よりする当然の帰結である。
  しかるに現在、本積立金は大部分大藏省預金部資金に編入運用されているために、両事業経営の自主性を害し、独立採算の基礎を危くしているのみならず、地方公共團体等にあつては低利資金の融通を受けるに多大の不便を感じ、各種公共事業の遂行に障害を與えている状況であつて、地方融資再開の要望は全國にわたりすこぶる熾烈である。
  よつて政府は、速かに適当の措置を講じ、本積立金の運用管理を常態に復すべきである。
  右決議する。以上であります。
 さて、簡易生命保險及び郵便年金積立金は現在総額百三十億円をこえる巨額を算しているのでありますが、元來この積立金は保險年金事業の責任準備金を本体となすものでありまして、御承知の通り、國営たると民営たるとを問わず、保險のような事業では、事業経営者が資産の運用利まわりと死亡率、事業費等を経営上の要素をよくにらみ合せて保險料率その他を定め、事業全般の運営をいたすのが当然でありまして、資産の運用をみずからいたさないような保險年金事業は、完全なる独立企業とは申しがたいのであります。從つて、さきに國会を通過し、來る六月一日から施行の予定となつております郵政省設置法、簡易生命保險法、郵便年金法におきましても、積立金の運用は事業経営主体たる郵政大臣の所管のもとに置かれておるのであります。
 しかるに、昭和二十一年一月二十九日付関係方面の指令に基きました、現在におきましては、保險年金積立金は、契約者に対する小口の貸付を除くほかは、ことごとく大藏省預金部に預け入れ、大藏大臣の管轄のもとに運用せられることとなり、今日に至つておるのであります。その結果といたしまして、本來不可分の建前で行かねばならぬ事業経営と資産運用とが引離されて、両事業の運行上いろいろな面に少なからぬ支障を及ぼしておるのであります。その一、二をあげれば、簡易保險、郵便年金事業は、人件費や物件費がかさんで來て、現に極度の経営困難を來しておるのでありまして、これを大開して收支の改善をはかるには、経費の節減、事業の合理化を行う一面また資産の運用に創意くふうを凝らして、運用收益の増加に努めることが絶対に必要であるにかかわらず、この運用が預金部の手によつて行われ、逓信省は單にに年四分をあてがい扶持を受けるにすぎないという状態にあるのでありまして、簡易生命保險及郵便年金特別会計としては、眞の意味における独立採算制をとり得ない結果となつているのであります。事業者として資産の運用に創意くふうを施す余地がないということは、ひいては從業員の勤労意欲の低下を招き、事業の進展に惡影響を及ぼすこと、あらためて申すまでもありません。
 さらに本積立金は、その運用を契約の募集と直結いたしまして、大体保險年金加入の度に應じて各地方に還元し、主として加入者層の福祉の増進となるような公共事業に供給することが両制度創始以來の大眼目となつておるのでありまして、從前逓信省の手で運用いたしましておりました当時は、資金の地方還元が契約募集に対する市町村等の全面的協力を喚起いたしまして、事業の普及発達に多大の寄與をなしていたのでありますが、預金分でこれを運用するようになつてからは、保險年金の加入とは何らの関連もなく行われまする結果、契約の大量獲得という有力な道がとざされるに至つたのであります。
 保險年金積立金の運用が預金分の手にあることは、かように両事業の健全なる進展にきわめて重大な障害を與えているのでありますが、他面資金の融通を受ける側の地方公共團体等の状況を見まするに、現在地方金融事情が困難をきわめており、その建直しが今日の大問題となつておりますることは御案内の通りであります。しかるに、逓信省の手による保險年金積立金の地方融資は古い傳統を持つておりまして、地方財政に多大の貢献をなした歴史があり、きわめて簡易低廉なる資金ルートとして親しまれていた関係もありまして、その再開に関する要望は全國にわたり頗る熾烈でありまして、右に関する本院に対する請願、陳情は、第二國会以來二百六十六件という、これこそ驚くべき多数に達しているのであります。
 一方預金分資金中における本積立金の占むる地位について見まするに、大藏省の資料によりますと、本年二月末現在預金分資金総額千百五十四億余円中、本積立金は七十八億余円、割合にしてはわずかに六・八二%にすぎないのでありまして、本積立金の運用移管を行いましても、預金分資金にさしてる影響を與えるものとは思われません。むしろこの運用移管によつて保險年金事業をさらに飛躍的に発展せしめ、契約の増加による積立金の蓄積を大にし、公共事業資金の供給を潤沢ならしめるよう積極的な行き方をすることが國家全体としてははるかに利益であると考えるのであります。加うるに、本積立金は簡易生命保險法、郵便年金法の規定により、その運用を公共團体、國債、地方債その他に限定し、かつ簡易生命保險郵便年金事業審議会の議を経なければならぬことになつておりますから、事業経営当局と財政当局との間の連絡よろしきを得れば、國家資金の一元的運用の大乘的見地よりするも大なる支障は來さないと信ずるのであります。
 以上申し述べました理由によりまして、簡易保險、郵便年金積立金の運用管理は、現在の臨時的措置を改め、これを事業経営主体たる郵政大臣の所管に復することが適当である。政府はすみやかに右に関する所要の措置を講ずべきものと認め、逓信委員会を構成する二十五名の議員相諮りまして、所属各派の共同提案として本決議案を提出いたした次第であります。私どもは、決していわゆるなわ張りの拡張とか所管の爭いとかいうような、けつな氣持で本件を論じているのではありません。ただ簡易生命保險、郵便年金の当事業が、九千万円をこえる契約件数、千四百億円をこえる契約高を擁して國民の経済生活の安定と社会福祉の増進に多大の寄與をなしておる事業を思い、他面ほうはいとして起つておる地方融資再開を要望する國民の声に應じて本問題を解決することは刻下喫緊の要事と考えまして、あえて本決議案を提出して政府当局の善処を要望いたすものであります。何とぞこの趣旨を了とせられまして、満場一致御賛成あらんことを希望いたす次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に從発言の通告もございませんから、ただちに採決に入ります。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
 この際逓信大臣より発言を求められております。これを許します。小澤逓信大臣。
    〔國務大臣小澤佐重喜君登壇〕
○國務大臣(小澤佐重喜君) ただいま議決に相なりました簡易生命保險及び郵便年金積立金の運用に関する決議案の趣旨は十分了承をいたしました。政府におきましても、つとにこの必要を認めまして、あらゆる角度からこれが実現方に努力して参つたのでありますが、諸般の客観情勢が今日までその実現を許さなかつたことは、まことに遺憾に存じておる次第であります。しかしながら、ただいま満場一致をもちまして、こういう決議案が決定になりました以上は、ここに勇氣百倍、一意傳心この目的にすみやかに努力するように協力する次第であります。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第三、昭和二十二年度予備費使用総調書外三件(承諾を求める件)を一括議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長本間俊一君。
    〔本間俊一君登壇〕
○本間俊一君 ただいま上程されました昭和二十二年度予備費、同特別会計予備費並びに昭和二十三年度一般会計予備費、同特別会計予備費につきまして、決算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 昭和二十二年度予備費の予算額は二十億円でありますが、同年五月十六日から同二十三年三月三十日までの間におきまして十九億七千七百九十余万円を使用いたしております。そのうちおもな事項は、経済安定本部機構拡充並びに地方経済安定局設置に必要な経費、経済監視官設置に必要な経費、給與特別措置費の補足に必要な経費等であります。
 次に、同二十二年特別会計予備費の予算額は六十九億六千八百九十余万円でありますが、予備費を使用いたしました特別会計は地方分與税分與金等の八特別会計でありまして、使用総額四十八億八千九百四十余万円のうち、おもな事項は、葉たばこ購入に必要な経費、給與改善に必要な経費等であります。
 委員会は、本件の審査にあたりまして、政府当局の説明を聽取の上、会計檢査院の檢査報告をも参照して檢討を加えたのでございますが、詳細は速記録に譲ることといたしまして、五月六日質疑を打切り討論に入り、共産党の井之口君から、予備費の使用が本案の目的に沿つて行われておらず、災害復旧費等不測にして急を要する費途にはごく僅少の費用しか使われていないという理由で全面的にこれを否認する旨の意見が述べられましたが、民主自由党の川端君より、一般会計のうち内閣所管三件、文部省所管一件、運輸省所管一件、計五件に対しては承諾を與えず、これを除いて他はすべて承諾を與うべきものと議決すべきであるとの動議が提出され、採決の結果、多数をもつて右動議の通り議決いたしました。
 次に、昭和二十三年度一般会計予備費、同特別会計予備費につき承諾を求める件につきまして御報告申し上げます。
 昭和二十三年度一般会計予備費の予算額は六十五億円でありますが、このうち、同二十三年四月九日から同二十三年十二月二十四日までの間において五十一億千五百六十余万円を使用いたしております。そのうちおもな事項は、檢察審査会法の施行に必要な経費、徴税費の増加、震災風水害應急救助に必要な経費、農業共済保險実施に必要な経費等であります。
 次に、昭和二十三年度において予備費を使用いたしました特別会計は專賣局等の十特別会計でありまして、使用総額二十二億八千六十余万円のうち、おもな事項は、たばこ專賣、健康保險給付費並びに物件費等の單價増に伴う必要な経費等であります。
 委員会は、本件につきまして昭和二十二年度予備費とあわせて審査を行いましたが、五月六日、民主自由党の川端佳夫君より本件に対して承諾を與うべきものとの動機が提出せられ、採決の結果、多数をもつてさよう議決いたした次第であります。
 右つつしんで御報告を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいま委員長の報告がありました四件を一括して採決いたします。昭和二十二年度予備費使用総調書中、内閣所管、経済安定本部機構拡充に必要な経費のうち経済安定本部の項、地方経済安定局設置に必要な経費のうち経済安定本部の項、内閣所管、総理廳火災復旧に必要な経費、文部省所管、工業專門学校の経費、運輸省所管、水路図誌回收に必要な経費については、委員長の報告は承諾を與うべきものにあらずと決したものでありまして、その他は承諾を與うべきものと決したのであります。四件を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて四件は委員長報告の通り決しました。
○議長(幣原喜重郎君) 日程第四、特殊財産資金歳入歳出決算、日程第五、昭和二十一事業年度の持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産に関する財産目録及び收支計算書、日程第六、昭和二十二事業年度前期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産に関する財産目録及び收支計算書、日程第七、昭和二十二事業年度後期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産及び過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の規定に基きその譲受けたる財産に関する財産目録及び收支計算書、右四件は同一の委員会に付託された案件でありまするから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員長本間俊一君。
○本間俊一君 ただいま議題となりました特殊財産資金歳入歳出決算に関し、委員会の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本件は、さきに第二國会に提出せられたものでありますが、審議未了のまま今國会に持越されたものであります。この特別会計は、本邦、中華及び南方の諸地域においてわが國が沒收しまたは管理課に收めた敵産を活用し、生産力拡充及び軍事力の増強をはかることを主たる目的として昭和十八年三月設置せられ、同二十二年三月廃止に至るまでの期間を一会計年度としたもので、一般会計からの繰入金と、沒收財産で國の所得となつたものをもつて資金とし、この資金をもつて管理敵産の運用または在外法人に対する物的出資及び特定人に対する貸付等に運用せんとしたものであります。
 今その決算の概略を申し述べますれば、歳入の收入済額は七千九百五十九万余円、歳出の支出済額は十四万八千余円でありまして、差引七千九百四十四万二千余円の剩余を生じておりますが、そのうち本資金に属する財産の減價償却に九万六千余円を充当して、差引残余の金額七千九百三十四万五千余円を本会計の資金に繰入れて決算を終了いたしておるのであります。詳細は速記録をごらんいただくことといたしまして、採決の結果、多数をもつて本件は是認すべきものと議決いたした次第であります。
 次に持株会社整理委員会等に関する経理でございますが、これも審議の経過は速記録に譲ることといたしまして、質疑を終了、討論に入り、共産党の井之口君から、いわゆる昭電事件から見れば、同社の社長更迭は持株会社整理委員会の同社についての株主権の行使が適正を欠いた一事例で、將來もこの種のことが惹起される懸念がある、放出した株式は再び元の所有者の手にもどり、株價値上りの利益を元の所有者に收得せしめることとなるとの理由から承認ができないとの意見が開陳せられたのでありますが、採決の結果、多数をもつて異議なきものと議決いたした次第であります。
 右つつしんで御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいま委員長の御報告がありました四件を一括して採決いたします。四件を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて四件は委員長報告の通り決しました。
○議長(幣原喜重郎君) 日程第八、價格調整公團法の一部を改正する法律案、日程第九、過度経済力集中排除法第二十六條の規定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。経済安定委員長小野瀬忠兵衞君。
○小野瀬忠兵衞君 ただいま議題となりました價格調整公團法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、次の二点について現在の價格調整公團法の一部を改正せんとするものであります。
 その第一は、價格調整公團法は、價格等の調整をするため、從來は主として買取り、賣りもどしの方法を用いておりましたが、しかし公團の業務を簡易、合理的なものとするにはこれをやめて資金の受入れ交付の方法に轉換することがぜひとも必要であると考えられるのであります。これがためには、價格調整公團法を改正して、物價廳長官が関係の業者に價格調整あてられる資金を公團に納付するよう命ずることができるのもとしようというのであります。
 その第二は、價格調整公團はその対象となる物資を直接占有することなく、價格調整公團はその対象となる物資を直接占有することなく、單に帳簿上で処理する権限しか認められておらないのでありますが、價格調整公團が業務を正確かつ能率的に遂行するには、関係業者の提出する書類の正確性を実地においてつぶさに檢証して、いやしくも不正確な数字や、誤つた数字に基いて價格調整を行うことのないよう萬全を期する必要があるのであります。これがためには、價格調整公團の役員または職員に、制限的にせよ、いわゆる臨檢檢査権を與えようというのであります。以上が本改正法律案の要旨であります。
 本案については、去る十日提案理由の説明を聽取し、ただちに審議に入りまして、質疑ののち、この改正法律案は價格調整公團の業務の正確さと能率を期するためきわめて適当な措置でありますので、討論を省略しまして採決をいたしましたところ、多数をもつて本案は原案通り可決いたしました。以上御報告申し上げます。
 次に議題となりました過度経済力集中排除法第二十六條の規定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、御承知のことく現行の過度経済力集中排除法第二十六條の規定に、過度経済力の集中排除に関する持株会社整理委員会の職権及び記録並びにこれがために必要なる職員は、本年六月三十日までに別に法律を制定して、これを公正取引委員会に移すものとする旨が定められておりますので、この規定により本年六月三十日までに右の移管に関する法律を制定する必要があり、その要請に應ずるものであります。
 本案の内容は職権の移管、記録の引継、職員の処置等について規定し、これらの施行について必要な事項は政令で定める旨を規定しております。この移管の日につきましては、集中排除の実状況と見合せて、この法律施行後六箇月以内に公布される政令でこれを定めることになつております。これが本法律案の要旨であります。
 本案については、去る十日提案理由の説明を聽取して審議に入りましたが、質疑の後、本案は別に新たな権限をつけ加えるものではなく、單に既存の法律に基いて既に定められた権限を一つの機関から他の機関に移管するだけであつて、集中排除の方針、方法等にも変更を加えるものでありませんから、討論を省略して採決に入りましたが、本案は多数をもつて原案通り可決されました。
 右御報告申し上げます。
○議長(幣原喜重郎君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告通りに決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十、競馬法の一部を改正する法律案、日程第十一、酪農業調整法を廃止する法律案、日程第十二、農地調整法の一部を改正する等の法律案、右三案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長小笠原八十美君。
○小笠原八十美君 ただいま議題となりました、農林委員会付託にかかる、原健三郎君外六名提出、競馬法の一部を改正する法律案、内閣提出、参議院送付、酪農業調整法を廃止する法律案並びに内閣提出、農地調整法の一部を改正する等の法律案、以上三案につきまして、審議の経過及び結果の大要を御報告申し上げます。
 競馬法の一部を改正する法律案の目的並びに趣旨は、現行法による戰災を受けた市のみならず、著しく災害を受けた町村に対しても、内閣総理大臣が指定した場合には競馬の挙行を認めて、財源を確保させようというのであります。
 本法律案の内容は明瞭でありますので、質疑及び討論を省略いたし、去る十日表決に付しましたところ、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。
 次に酪農業調整法を廃止する法律案につきまして御報告申し上げます。御承知のことく、製酪業組合は昭和二十三年二月閉鎖機関に指定されましたため、酪農業調整法もまた空文に帰しましたので廃止いたしたいというのが、提案のおもなる理由であります。
 本法律案につきましては、民自党野原委員、民主党長谷川委員、共産党竹村委員より、酪農業調整法の廃止後の牛乳生産配給の調整並びに酪農振興の方策について、ほぼ同趣旨の質問が行われ、それに対して政府側より、牛乳統制については臨時物資需給調整法により行う、また畜産振興に関しては別途に考慮する旨の答弁がありました。
 次いで、去る十日討論を省略し表決に付しましたところ、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。
 次に農地調整法の一部を改正する等の法律案ついて報告いたします。農地改革は今や一段落を告げ、農村の階層構成も著しく変化いたし、農民の大多数は自作農となりました。今後は特に農業経営面の改善に力をいたすべき段階となりましたので、農地調整法並びに自作農創設特別措置法に所要の改正を加えたいというのが提案の理由であります。
 本法律案につきましては、昨十一日質疑を行い、社会党石井委員、共産党深澤、竹村両委員より第三次農地改革の見通しいかんとの質問に対し、政府側より第三次農地改革は行わない旨の答弁がありました。また農地委員会の構成が自作農ないし地主層に偏し過ぎる旨の発言がありました。これに対し、民主党大森委員、寺崎委員より、階層によるべきでなく、むしろ全村的に代表を出すべきであるとの意見の開陳がありました。さらに討論に付しましたところ民自党平野委員、民主党寺本、大森両委員、石川委員より賛成意見が、また社会党石井委員、共産党深澤委員より反対意見が述べられました。次いで採決に付しましたところ、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 以上御報告申し上げます。
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。その発言を許します。石井繁丸君。
    〔石井繁丸君登壇〕
○石井繁丸君 本法律案に対し、日本社会党を代表しまして反対の討論をいたすものであります。
 御承知のことく本法律案は、農地調整法並びに自作農創設特別措置法等農地改革を革命的に推進しました諸法律の重大な部分に対しまして改正を加えんとするものでありまして、その影響するところは非常に大きいのであります。現在一部におきましては、農地改革は行き過ぎである、一歩後退すべきであるというような意見が述べられているのであります。しかしながら、その点が大きな間違いであるということは、去る五月八日総司令部渉外局において発表されましたところの日本における農地改革の諸原則においても明らかであります。その要点は次の通りであります。
 一九四九年四月二十八日極東委員会において採択された政策を実施するため國務省において作成された指令は総司令部に受理された。その要旨は左の通りである。(一) 極東委員会の見解によれば、衡平にして健全なる農地改革計画は日本の民主化を促進する重要なる要素である。(二) 極東委員会は終戰以來日本の農業制度の徹底的改革を実現する目的をもつてとられた以下の諸措置の基盤たる根本原理を確認する。A 連合軍最高司令官が日本政府に対し発せる諸指令B 一九三八年農地調整法改正法律C 自作農創設特別措置法として知られる農地改革法律(三) 極東委員会は政治事項として前に左の決定をくだした。すなわちA 農地改革の固有の目標は、すべての小作人の経済的境遇を改善しかつ実行し得る限度において、從來存在していたよりもさらに多数の独立せる自作農家を創設することである。B これらの目的のために前掲第二項において明白にされている諸措置の基盤たる根本原理はさらに継続して適用さるべきである。
 要約しますれば、農地開放は現在まで正しく日本農村民主化のために遂行され、なおまた將來も引続いて自作農創設特別措置法の運営等によりまして農地の改革を前進すべしという意味と解されるのであります。つまり第二次農地改革に満足せず、第三次農地改革に邁進し、眞に働く者の農村を建設すべきである、かようなる見解にとられるのであります。(拍手)民自党の唱える農地改革行き過ぎ論とは、雲泥の相違がそこにあるのであります。(拍手)われわれは、自作農創設特別措置法第三條の認定買收の線を強化し、第三次農地改革を促進いたし、そうして農村の民主化をはからなければならない。しかるに、何らこの点に改正の措置が講ぜられておらない。この点におきまして、まず根本的の反対をいたさなければならないのであります。
 次にこの法律は、ある意味におきまして、あるいは農地委員会に農地管理委員会の性格を持たせる等進歩的な部分があるのでありまするが、しかしながら、人と時を得ないことを遺憾とするものであります。御承知の通り、民自党は農地改革は行き過ぎなりと言いまして、さらに選挙等におきましては、五町歩程度の耕作者を認めたい、あるいはまた小作地の取上げ等も相当に許すような言明をいたしたのであります。その結果、地主層におきましては、民自党内閣ができれば、あるいは土地の取上げが容認せられ、あるいは今まで開放せられた土地も一部取返しができるのではなかろうか、かように考えておる者すらもあるのであります。かような條件下におきまして、本法律案の改正がありまするのは、せつかく進歩性のあるところのこの点におきましても、吉田内閣のつくつたところの改正法律案であるから地主本位であろう、土地取上げ本位の法案であろうということを國民に曲解せられまして、農村におきまして土地取上げの傾向を助長し、多大の混乱を惹起する危險があるのであります。本改正は、人と時を得ないということにおいて遺憾に思うものであります。
 最後に、この法律案におきまして一番大きな欠陥は、農地委員の構成の要素であります。前農地委員は小作五人、地主三人、自作二人といたしたのでありまするが、今回は小作二人、自作六人、地主二人といたしまして、この構成区分を非常にかえたのであります。かように構成をかえたにつきましても、その根拠を示さず、漫然と、農地改革は非常に進んだからこの辺でよろしかろうという目見当でやつておるのであります。しかしながら、農地の改革がなお推進せらるべきときにおきまして、そうして現在のような、吉田内閣によつて土地取上げが許されるであろうというような誤解が行われるときに、かようなる農地委員の構成の変化は、旧地主層の農地委員の進出を多数に許しまして、農村におけるところの問題を紛糾させ、せつかく自作農創設特別措置法第三條におきまして認定買收等を加えたこともくつがえされ、そうして農地におけるところの混乱を惹起いたす危險があるのであります。われわれは、吉田内閣が農地委員の構成区分をかくのごとくいたすところに、故意なると不注意なるとを問わず、保守反動性があると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 御承知の通り、現在の小作人は五反歩をつくつておりまして、三反歩を借りておる。あるいは四反歩をつくつて二反歩を借りておる。こういう層が、農村において二割、三割を占めておるのであります。そうして、その二反歩あるいは三反歩の小作地は少いけれども、これを取上げられますると、ただちに轉落農家となり、農業の経営ができなくなるのであります。農地委員の選挙にあたり小作者を保護するということの行き方がとられないときにおきましては、この法律はただちに小作人の首切りの法律となり、農村に大きなる危險と不安定を発生せしめる根源を有するものとわれわれは解釈いたすのであります。
 なお改正法律案は、小作料の引上げをはかり、あるいはまた不在地主の範囲の縮小を考える等、幾多の点におきまして承服しがたい点があるのであります。日本社会党は、御承知の通り多年にわたりまして耕作農民の耕作権確保のために闘い、現在もなお努力をいたしておるのであります。かような立場から、第三次農地改革の精神並びに現小作層の耕作権の確立並びに農地委員会の反動化防止等におきまして努力をいたしております。これらの点につきまして十分なる措置もとられない、あるいは反動、逆行化の傾向のある本改正に対しましては、絶対に反対せざるを得ないのであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 次は平野三郎君。
    〔平野三郎君登壇〕
○平野三郎君 私は、ただいま議題となりました農地調整法の一部を改正する等の法律案に対し、民主自由党を代表いたしまして賛成の意見を述べるものであります。
 ただいま社会党の石井君も大いに礼讃せられましたことく、農地改革は、多年封建的なからに閉じ込められておりましたわが農村を革命的に解放いたしまして、農民の自主性を確保いたしまするとともに、農村を完全に民主化するところの画期的なる一大改革であつたのであります。今やこの改革は、おおむねその所期の目的を達成いたしました結果、わが農村におきますところの階級的闘爭は著しく変貌を遂げたのであります。すなわち、從來の多数小作人はそれぞれ自作農の地位を確保いたしたのでありまして、今やわが農村は、まつたくここに新しき姿となつたのであります。またこの法律は、この新しく変貌を遂げたるところの農村の実態によりまして改正せられたものでありまして、きわめて当然の措置であります。またこの法律は、不在地主の定義等に関して若干の改正を含んでおるのでありますが、これもとより当初の法律の中に当然規定せらるべきことであつたのでありますけれども、あまりに事が当然でありますがために規定せられなかつたのでありますことは、その後の実際におきましては、通牒等によりその通り指導せられたことによつて明らかなのであります。かくのごとく、きわめて当然なことを当然として規定せられなければならないことは当然でありましても、これが規定のないために、その間につけこんで農村に階級闘爭の毒ガスを吹き込み、平和なるところの農村をいたずらに撹乱するがごとき一部不穏なる分子がおるがために規定しなければならなかつたのであります。
 最近極東委員会から発せられましたる指令は、ただいま石井君がごていねいに朗読せられました通り、この内容は明らかに第三次農地改革を行うことを指令いたしたものでありますことは、社会党の諸君が日本の農村をもう一度よくながめ渡して、あらためて今の指令を冷靜に朗読せられるならば、よく御了解になるところと思うのであります。すなわち、この改正こそはこの極東委員会の指令に完全に合致するものであり、その要請にこたえるものであることを確信いたしまして、原案の通り可決すべきものであることをここに主張いたすものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 深川義守君。
    〔深川義守君登壇〕
○深澤義守君 ただいま提出されました本案に対しまして、日本共産党を代表して反対の意を表明するものであります。
 まず、日本民主化の基盤であるところの農地改革がいまだ十分に行われていないがために、全日本の働く農民の間から第二次農地改革の完遂の熱烈な要求が出ているのであります。それにもかかわらず、この第二次農地改革完遂に逆行するところの本案を提案することに対しましては、われわれは絶対に反対せざるを得ないのであります。
 さらに、五月八日発表されましたところの極東委員会の農地改革に対するところの諸原則におきましても、このたびの本案の改正が相反する結果になることをわれわれは指摘しなければならないのでございます。極東委員会の農地改革の諸原則は、ただいま社会党の石井君が読み上げられたのでありますが、その中には、日本の農業機構を長い間阻害しておつたところの要素を根絶しなければならないと言つておるのであります。さらに、今後といえどもこの農地改革を遂行すべしということがその趣旨であります。おそらくこの極東委員会の諸原則は、吉田内閣が成立することによつて農地改革は中絶されるであろうと期待しておりましたところの全日本の農村の保守勢力に対しまして、またあらゆる機会において吉田内閣の森濃相が、農地改革は行き過ぎであつた、すでに農地改革は完了しているという御意見に対するところの嚴粛な批判であるとわれわれは考えるのであります。(拍手)
 本案の内容を檢討いたしますると、まず第一に農地の移動統制の基準が非常にゆるやかになりまして、これこれの場合においては所有権の移轉並びに耕作権の移轉ができるというような内容を持つているのであります。これによつて、おそらく今後の日本の農村の耕作面積がいよいよますます零細化されるところの危險をわれわれは感ずるのでございます。農地改革が行われる以前におきましては、日本の耕作面積は一人当り一町以上であつたのでございまするが、農地改革後の今日におきましては七反余に減少しているという事実は、この農地改革を機会といたしまして日本全國に土地の取上げが行われているということであります。農林省の統計におきましても、二十五万件の土地取上げが行われておることが明らかになつておるのであります。この土地の零細化に対してさらに拍車を加えんとしておるのが本案の内容であるのであります。
 さらに第二の点につきましては農地改廃の問題でありますが、このたびの改正によりまして、五千坪以上の農地の改廃が農林大臣の承認によつて行われることになつておりまするが、從來中央におきましては中央農地委員会なるものがあつたのでありまするが、これは諮問機関として有名無実の権限しか持つていないのであります。われわれは、かかる農地改廃を行う場合におきましては、中央農地委員会を協議機関といたしまして、各縣の都道府縣委員をもつて選挙いたところの委員によつて構成される協議機関をつくり、中央農地委員会の議決によつて農地改廃を許すということにしなければ、はなはだ危險であると考えるのであります。
 第三点は、小作料等の改訂の手続が非常に簡易になつたことであります。從來経済的、社会的情勢は、小作料の値下げの要求が強かつたのでありまするが、その時代におきましては、小作料改訂も市町村農地委員会で決定し、さらに知事の認可を得なければならない。その場合においては縣農地委員会の承認を得なければならないというような複雑な手続になつておつたのであります。しかるに、最近の傾向といたしましては、小作料値上げの傾向が非常に強いのであります。このときにおきまして、小作料改訂の手続を簡易化するということは、いたずらに小作料の値上げを促進するという結果になりまして、おそらく全日本の働く農民諸君はこれに対して賛成することはできないと思うのであります。
 さらに市町村農地委員会の構成の問題でありまするが、これは地主二、小作二、その他六というような構成において行われておるのであります。先ほど平野議員も言つたように、農村の階級構成がかわつておりまするがゆえに、在來の構成をもつてしては不適当であるということは、われわれは認めるのでありまするが、農地調整法の第一の目的にもございまするように、この農地調整の目的は耕作者の利益を目的としておるのでありまするから、耕作せざる所有者を農地委員会に加えるということは、まことに法の趣旨に反するのであります。從つてわれわれは、全村の耕作する農民を基礎といたしまして、全村の選挙によつて農地委員会は構成さるべきである、こういう考えを持つておるのであります。
 さらに都道府縣農地委員会の構成でありまするが、今般の選挙におきましても、從前の選挙におきましても、これは市町村農地委員の間接選挙であつたのでありまするが、有権者による直接選挙によつて府縣農地委員会は構成さるべきであるという見解を持つておるのであります。
 さらに自作農特別措置法の改正でありまするが、先ほど平野議員は、不在地主の範囲を拡張したことに対しまして賛成せられておるようでありまするが、不在地主の範囲を拡張することによつて今後の農地改革というものが非常に小作人に不利に傾くということは間違いない事実であります。從つてわれわれは、この不在地主の範囲を拡張する法案に対しましては断じて賛成することができないのであります。(拍手)
 それから第十五條の宅地、建物の買收でありまするが、耕地が農民に保障せられまして、完全なる自作農になると同時に、その居住するところの宅地、建物が保障されなければ、また完全なる自作農の創設とは言えないのであります。自作農特別措置法の第十五條には、この宅地、建物の買收は規定せられておるのでありまするが、このたびの改正によりましては、この宅地、建物の買收が非常に困難になる内容を持つておるのであります。こういう意味において、われわれは自作農創設の意味から申しまして、この宅地、建物の買收を制限するがごとき方向に対しましては断じて賛成することができまいのであります。
 以上の点を指摘いたしまして、われわれは本案に対して絶対に反対するものでありまするが、本法案を支持するところの議員の皆様、あるいはこれを支持するところの政党の諸君に対しましては、おそらく全日本の働く農民が一大反撃を加えるであろうということを私は附言いたしまして、本案に対して絶対反対の意を表明するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 吉川久衛君。
    〔吉川久衛君登壇〕
○吉川久衛君 私は新政治協議会を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。
 本法案は、日本の農村の民主化と生産力を増強する上にきわめて重大なる内容を持つたものであります。しかるに委員会におきましては、與党の各位が何をあせつてか、十分に審議をさせないで、量の力で審議を打ち切られたということは、私はまことに遺憾にたえないものであります。われわれは、かような重要な問題は十分審議させて、しかる後に決定するというような態度を今後望んでやまないのであります。
 農地調整法を初めといたしまするこの農地改革の一連の法律は、日本の民主化のために非常な効果をもたらしたものであるということは、われわれはこれを認めなければなりません。しかしながら、政府や與党の諸君のお考えによりますと、農地改革はその目的を完遂されたように言われるところでは、まだ完全にこれが行われていないということを見逃すことはできないのであります。もし正否の言われるような状態であるといたしますならば、農地委員の選出に際しましては、階層別の比率をもつて選出するということではなくて、むしろ地主的な、あるいは小作的な自作農、それらの立場を解消しまして、全村的に公選をするというような方法がとられなければならないと思うのであります。しかしながら、私どもの見るところでは、まだこれが完全に行われておりませんから、現段階といたしましては、地主が二人、小作が二人、自作農が六人であるというこの比率は、ただいまのところ妥当であると考えるものであります。
 不在地主の範囲を廣めたこと、あるいは宅地、建物等の買收基準を改められたのは、社会党の石井君が言われましたところの、去る五月八日総司令部渉外局発表の日本における農地改革の諸原則に対して、若干の矛盾があるのではなかろうかということを私は心配しているものであります。その他の諸点に関しましては、大体においてこれを了とするものであります。
 しかしながら、日本の農業経営の方向は、好むと好まざるとにかかわらず、立体的な、多角的な、集約的な農業方向に轉向せざるを得ない現状から考えまするときに、これらの法規の中に採草地、牧草地、薪炭林等の未墾地の開放の内容は盛つておりますけれども、これは開発のための未墾地の開放規定でございまして、農地開放によりまして、いやが上にも零細化されましたところの日本の農業経営が、今申し上げましたような百八十度の轉換をしなければならないとすれば、どうしても薪炭林、牧草地、採草地等を多角的な農業経営のために必要とするような特別な措置がとられない限り、私どもは、営農を無視したところの、営農の伴わないところの非耕地重点主義の開放の方向は決して理想的な農地開放でないということを断言せざるを得ないのであります。
 五月八日発せられましたところの日本における農地開放の諸原則の末項に、これらの目的のために明白にされておりますところの諸措置の基盤たる根本原理はさらに継続して適用されなければならない、とあります。政府はこの線に向つえ十分農地開放の趣旨を徹底されなければならないと思うのであります。この点は、民自党の平野君が述べられた同じように、私は第二次農地改革を徹底的に遂行せよという指令であると解釈するのであります。
 私どもは、今後日本の封建性を拂拭いたしまして、民主的な文化的な生産力を増強して、國民に十分な食糧を供給するところの理想的な農村建設のためには、地主を反感憎惡の念をもつて徹底的に撲滅して、これを泣かして胸がすいたというような消極的な考え方では、絶対に協同農村の建設はできないと思います。私どもは、あくまでも反感憎惡の態度をもつて今までの地主であつたもの、現在のきわめて小さい地主に対抗するのではなくて、これらにも劣るところの小農プロレタリア大衆があるということを忘れてはならない。これを協同組合の経済制度の確立によつてレベル・アップして行くということなしには、の本の文化農村の建設はできないと思うのであります。
 私は、この見地に立つてみまするときに、本法案は政府が司令部の指令の線に沿つて十分な配慮をされんことを要望いたしまして、賛成の意を表するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず日程第十及び第十一を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案は委員長の報告の通りに決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に日程第十二につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十三、日本專賣公社法の一部を改正する法律案、日程第十四、日本專賣公社法施行法案、日程第十五、所得税法等の一部を改正する法律案、右三案はいずれも同一委員会に付託せられた議案でありまするから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員会理事小峯柳多君。
    〔小峯柳多君登壇〕
○小峯柳多君 ただいま議題となりました日本專賣公社法の一部を改正する法律案並びに日本專賣公社法施行法案について、大藏委員会にける審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず第一の法案について申し上げます。この法案が提出いたされました趣旨は、第一に、專賣事業審議会の設置を日本專賣公社の成立に先行させ、公社の発足の円滑を期するとともに、委員の構成を適正ならしめ、もつて公社の業務運営の円滑を期そうとするものでありまして、第二に、公社の役員、職員の離職後の制限に関し新たに規定を設けまして、國家公務員の場合との振合いを保つようにしようとするものであります。
 次に、この法案の要点について申し上げますと、第一は、專賣事業審議会の委員の構成並びに審議会に関する規定の施行日に関するものでありまして、委員に新たに「その他專賣事業に直接関係を有する者」を加え、これに伴い委員の数を二人増加して八人といたしております。すなわちこれによつて、審議会の構成委員中專賣事業関係者が葉タバコ耕作者のみでありましたのを、他の專賣事業関係者をも加えることとしようとするものであります。次に審議会に関する規定の施行日を五月十五日からといたしておりますが、これによつて六月一日から発足することになつておりますが日本專賣公社に先行して審議会を構成し、公社の発足を円滑ならしめようとするものであります。
 第二は公社の役職員の離職後の制限に関するものでありまして、公社の役職員は、その離職前五年間、專賣品の生産に関し臨時物資需給調整法に基く指定生産資材割当規則による物資の割当て事務に関係していた場合においては離職後二年間その割当事務と密接な関係にある営利会社その他の團体の役職員となつてはならないということにいたしまして、これに違反した者に対する罰則をもあわせて規定いたしております。
 次に第二の法案について申し上げます。この法案が提出いたされました趣旨は、日本專賣公社法が成立いたしましたに伴いまして、別の法律または制令で定めることになつております公社の設立手続、國から公社への職員及び財産の引継ぎ、その他日本專賣公社法施行に必要な事項を規定しようとするものであります。
 次にこの法案の要点について申し上げますと、第一は公社の設立の時期に関するものでありまして、その時期を昭和二十四年六月一日といたしております。これによつて公社の設立の時期を法律上明らかにしようとするものであります。
 第二は專賣局に勤務する職員、專賣事業に関して國が有する権利義務、專賣局特別会計に属する資産及び負債並びに係属中の訴訟、訴願に関するものでありまして、これらは公社に引継がれるものであることを規定しております。
 第三は資本金に関するものでありまして、昭和二十四年五月三十一日現在の貸借対照表に掲げる資産の額から負債の部に掲げる一般会計へ納付すべき益金、減價償却引当金、借入金及び短期負債の額の合計額を差引いた額をもつて公社の資本金の額とする旨を規定しております。
 第四は、專賣局特別会計の決算事務、登録税、印紙税及び関税の免除、商工省のアルコール專賣事業に從事する職員を公社の共済組合に所属させること等に関するものでありまして、それぞれ所要の規定をいたしております。
 右の両法案は、四月二十八日、本委員会に付託されたものでありまして、五月六日提案理由の説明を聽取し、五月十日質疑に入りましたところ、田中委員より公社は予定通り六月一日に発足できるかという質問があり、原田專賣局長官から、この両法案が通過すれば六月一日より発足できる旨の答弁がありました。次いで、右の両案について討論を省略し採決に入りましたところ、起立総員をもつて原案通り可決されました。以上御報告申し上げます。
 次に、同じく議題となつております所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、所得税法、法人税法、有價証券移轉税法、相続税法、通行税法及び取引高税法につき、その施行の状況にかんがみまして、加算税及び追徴税の計算を簡素化するため若干の改正を行わんとするものであります。すなわち、これ等諸税の加算税の計算につきまして、基礎税額が百円未満の場合はその納付を要せず、また百円未満の端数は切り捨てて計算するという從來の方法を改めて、千円未満についてこれを行うこととし、また加算税額が十円未満の場合は端数を切り捨てて計算するのを改めて、百未満においてこれを行うことにしようというのであります。また本法律の改正に伴いまして、追徴税の計算方法も、各法律の準用規定の結果、加算税の計算方法と同じく改められることになるのであります。
 右が本改正案の内容でありまして、本法律案は四月二十八日、本委員会に付託せられ、五月六日政府委員より提案理由の説明を聞き、十日、二、三の質疑を行つた後、討論を省略し、ただちに採決いたしましたところ、総員起立をもつて原案の通り可決いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言の通告がありませんから、これから採決に入ります。まず日程第十三及び第十四の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第十五につき採決いたします。本案は委員長の報告の通りに決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十六、人権擁護委員法案、日程第十七、檢察廳法の一部を改正する法律案、日程第十八、出版法及び新聞紙法を廃止する法律案、日程第十九、認知の訴の特例に関する法律案、右四案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長花村四郎君。
    〔花村四郎君登壇〕
○花村四郎君 ただいま上程と相なりました四法律案につきまして、法務委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず人権擁護委員法案について申し上げますと、日本國憲法は基本人権の尊重擁護を根本理念としていることは御承知の通りでありますが、民主政治生活に経驗の浅い日本においては、自由人権の思想はまだまだ國民の間に十分に徹底しておりません。ゆえに、諸所において基本人権の蹂躙と泣き寢入りの事実をしばしば耳にする現状にあるのであります。しかるに、現在これが救済機構といたしましては、法務廳人権擁護局のもとに、政令をもつて全國わずかに百五十人の人権擁護委員を設け、その事務の補助をなさしめているにすぎないのであります。ここにおいて、この委員の数を二万人の限度まで拡大し、全國津々浦々にわりまして自由人権思想を普及するとともに、人権蹂躙が起つた場合には、すみやかにこれを調査いたしまして関係機関に報告、勧告、告発をなす等委員の職務と責任を法律上明確ならしむるため本案が提案せらるるに至つたのであります。
 その内容の要点を申し上げますと、第一、人権擁護委員の定数は、先程申しましたように、全國を通じ二万人を越えない範囲内で法務総裁がこれを定め、市町村の区域に置くものとする。第二、委員となるには、まず市町村長がその議会の意見を聞いて、有資格者を法務総裁に推薦し、法務総裁は都道府縣知事、弁護士会の意見を聞いて委嘱を行う。第三、委員は國家公務員ではない。從つて給與の支給は受けないが、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。任期は二年とする、等でございます。
 本委員会におきましては、質疑の際、將來選任方法については、市町村長の推薦制を改め、人権蹂躙の最大の被害者であるところの勤労者、農民、中小商工業者等の團体の推薦制にするか公選にすべきである、名誉職にしないで將來は有給制にすべきである等の希望的意見が開陳せられましたが、現下における人権擁護の重要性と緊急性とにかんがみ、採決に入りましたところ、全会一致をもつて政府原案通り可決した次第であります。
 次に、檢察廳法の一部を改正する法律案について申し上げます。本案は、國家公務員法との調整、國家行政組織法及び法務廳設置法の一部を改正する法律に伴う必要な整理を行いまして、あわせてその他若干の改正をなさんとするものであります。
 その内容のおもなるものを申しますと、第一に檢察官の任免についてでありますが、從來一級の檢察官は内閣が、二級の檢察官は内閣総理大臣がそれぞれ任免することになつていたのでありますが、國家公務員法及び人事院規則によりまして、檢察官の任免は法務総裁がこれを行うもとと相なつたのであります。しかしながら、檢事総長、次長檢事、檢事長等は認証官であります関係上、その任免は内閣が行うことを適当と認め、その他の檢察官の任免は、國家公務員法の規定により法務総裁がこれを行うものとし、関係條文を整理してあります。また檢察官はその職務と責任の特殊性に基き、一般公務員とはその取扱いを異にすべきものであるという立場から、檢察官の任免手続、任用資格等に関する諸規定を國家公務員法附則第十三條による特例といたしているのであります。
 第二に、本年六月一日から國家行政組織法及び法務廳設置法の一部を改正する法律が施行される関係上、これに伴いまして從來政令で定めることになつていた檢察廳の職員の定員を法律で定めるものとしたほか、檢察廳が法務府とかわりますので、それら改正に順應する必要な整理を行つているのであります。
 第三に、その他檢察官適格審査会の予備委員に関する規定を新たに設けているのであります。この予備委員中、本委員と同じく國会議員が予備委員となる場合には、國会法第三十九條が適用される関係もあつて、この規定が設けられたわけであります。
 委員会におきましては、本案はすでに施行されている國家公務員法、本年六月一日から施行される國家行政組織法及び法務廳設置法の一部を改正する法律の線に沿う必要な整理改正であると認め、討論を省略し採決に入り、全会一致をもつて原案通り可決いたした次第であります。
 次に、出版法及び新聞紙法を廃止する法律案について申し上げます。出版法及び新聞紙法は、終戰後、昭和二十年九月二十七日以來、事実上適用されておりません。その理由は、連合軍最高司令官の覚書によつて、言論の自由を抑圧する法律として、その法の適用を停止しておつた次第であります。新憲法制定後は、憲法上の表現の自由を拘束する法律として、無効の法律と認定されておりました。いまさらここにこれを廃止する法案を提出することは時期が遅れておるわけでありますが、両法案の廃止を形式的に再確認してこれを公示せんとするのが要旨の第一であります。次に予約出版法は、言論の自由ではなくして、むしろ予約購読者の保護のために存在しておるものでありますから、二、三の字句を改訂してこれを存続せしめることにいたしました。これが要旨の第二であります。
 さて委員会におきましては、出版法及び新聞紙法を廃止した結果、出版自由の行き過ぎとなつて、國民道徳上弊害を生ずるおそれのある点が、最も多くの委員から質問せられました。これに対して政府から、一九四五年九月十九日以來プレス・コードが出版及び新聞界のよるべき基準として事実上守られており、わいせつ罪、名誉毀損、選挙運動、薬餌廣告等においては法律の規定が最後のわくとなつておるから心配はないとの答弁がありました。
 なお法務委員会は、この法案について文部委員会と連絡審査を行い、法制及び文教の両方面から審議を盡し、五月十日、全会一致で政府原案通り可決いたした次第であります。
 次に、認知の訴の特例に関する法律案について申し上げます。戰時中外地に出征する以前に、内地において男女間に子が生れ、あるいは出征の男子が外地において同胞の女子と通じて子が生れた場合があります。これらの場合において、親子が認知する意思を有しながら、不可抗力のため、双方または一方の訴えあるいは届出をなし得ない場合があります。これはまことに氣の毒なことであります。これらのうち最も多い場合の救済方法として、この特例法案を設けた次第であります。
 その内容は、今次の戰爭において戰地もしくはこれに準ずる地域に臨み、または國外において未復員中、その他これらと同様の実情にあつて死亡した者について、子、その直系卑属またはこれらの者の法定代理人が認知の訴えを提起する場合には、民法第七百八十七條但書の規定にかかわらず、戸籍法第四十四條の戸籍の訂正による死亡の記載、同法第八十六條の死亡の届出または同法第八十九條の死亡の報告があつた日から三年以内にこれをすることができる、但し、この法律施行の際すでに死亡の記載、届出または報告があつた死亡者については、この法律施行の日をもつてその死亡の記載、届出または報告があつた日とみなす、こういうのであります。本法案によつて、簡單迅速に訴えができるわけであります。実は、これ等の戰爭被害者の子を認知する方法がまつたくないとは認めませんが、戰爭被害者が一日も早くその身分関係の安全を見ることが望ましいので、民法の特例法案として、しごく適切と認め、古島委員提出の原案通り可決した次第であります。
 右一括して御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいま委員長の報告のありました四法案を一括して採決いたします。四案は委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて四案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二十、公共企業体労働関係法の施行に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員長倉石忠雄君。
    〔倉石忠雄君登壇〕
○倉石忠雄君 ただいま議題となりました、政府提出にかかる公共企業体労働関係法の施行に関する法律案の、労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 公共企業体労働関係法は本年六月一日から施行されることになつておりますので、その施行についての経過措置に関し、日本國有鉄道法及び日本專賣公社法の施行に関する法律案並びに國家公務員法の團体の登録に関する人事院規則等との関係を檢討しておりましたところ、その調整を了しましたので本國会に提出され、労働委員会に付託せられたのであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 以下、その主要なる点を申し上げまするに、この法律案は、ただいま申し上げました通り、そのほとんどが経過措置でありまして、第一條及び第二條は、現在國家公務員であつて、六月一日から公共企業体の職員となる者が組織している團体が引続き存続するのに必要な経過規定であります。次に第三條から第五條までの規定は、公共企業体労働関係法中の期日の読みかえと團体交渉の経過措置に関するものであります。さらに第六條は、公共企業体仲裁委員会と各調停委員会に対する國家公務員法の適用に関する規定であり、第七條は、労働大臣の権限の一部を都道府縣知事に委任することのできる旨を定め、第八條は公共企業体仲裁委員会の委員の手当及びその事務の必要上出頭を求められた者に関する費用の弁償について規定しておるのであります。
 以上が本法案の要旨でありますが、五月十日討論に入りましたところ、日本共産党より反対の意見が述べられたのでありますが、採決の結果、多数をもつて原案を可決した次第であります。
 以上簡單ではありますが、詳細は速記録により御承知願うことにして御報告を終る次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第二十一、國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関する法律案、日程第二十二、國家公務員のための國設宿舎に関する法律案、日程第二十三、臨時宅地賃貸價格修正法案、日程第二十四、復興金融公庫に対する政府出資等に関する法律案、日程第二十五、興業債券の発行限度の特例に関する法律案、右五案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員長川野芳滿君。
    〔川野芳滿君登壇〕
○川野芳滿君 ただいま議題となりました國の所有に属する物品の賣拂代金の納付に関する法律案について、大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 この法案が提出いたされました趣旨は、國の所有に属する物品の賣拂代金の納付及び延納に関する規定を整備しようとするものでありまして、すなわちこの賣拂代金の納付に関しましては、從來会計法の施行規定である予算、決算及会計令、及び政府が物件を賣り拂う場合の代金の延納に関する勅令の規定によつて來たのでありますが、これらの規定は、現下の状況からその内容について変更を加える必要があり、また國有財産の賣拂代金等の納付に関しましては、國有財産法の改正の際これを整備して法律中に規定しました関係上、物品の賣拂代金の納付に関しましても法律で規定することが望ましいので、今回法律をもつてこれを整備しようとするものであります。
 次に、この法案の要旨について申し上げます。すなわち第一は賣拂代金の納付期限に関するものでありまして、物品の引渡しのときまでに納付しなければならない旨規定しております。第二は賣拂代金の延納の特約に関するものでありまして、延納を認める必要がある場合を列挙しまして、この場合において確実な担保を提供させ、利息を付して一年以内の延納の特約をすることができる旨並びにその延納條件については大藏大臣と協議しなければならない旨規定しております。第三は延納の場合における担保提供及び利息支拂いの免除に関するものでありまして、この場合における條件並びにその條件については大藏大臣と協議しなければならない旨規定しております。
 この法案は、四月三十日、本委員会に付託されたものでありまして、五月六日提案理由の説明を聽取し、同日質疑に入りましたところ、田中委員よりは公團所有物件の拂下げ、國有林の拂下げ、延納利子の取扱等につき、塚田委員よりは國有建物の保險料につき、川島委員よりは延納の場合の担保内容、後拂いを慣習とする場合公團等所有物件の賣拂い等につき質疑があり、さらに五月十日質疑を行いましたところ、田中委員より財政收入確保の見地から國有財産の処分方針、処分價格の基準等につき、前尾委員より後拂いを慣習とする場合の実例につき、風早委員より國有財産の物品関係の主なる品目、数量、金額、延納の場合の担保、利息等につき質疑がありまして、これに対し政府委員よりそれぞれ答弁がありました。次いで討論を省略し採決に入りましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決されました。以上御報告申し上げます。
 次に議題となりました國家公務員のための國設宿舎に関する法律案について、大藏委員会における議審の経過と結果を概略御報告申し上げます。
 國家公務員の宿舎に関する基礎法規は、明治初年の太政官達等きわめて古く、今日の実情に適せざるとともに、各省取扱いも区々として統一を欠き、統轄官廳も明確を欠いている状況であります。今回その管理等に関する規定を整備し、統一した円滑な運営を確保しようというのが、この法律の意図するところであります。
 この法律の内容の要点を述べれば、まず第一に、この法律は國がその事務、事業の円滑な運営に資する目的をもつてみずから設置し公務員を居住させる宿谷をもつて國設宿舎とすることを明らかにしております。
 次に、この設置利用等の統一を保持するため、内閣総理大臣の所轄下に宿舎審議会を設けること及びその権限、構成等を規定するとともに、またその管理については大藏大臣が総合調整すること及び各省各廳の長はそれに從つて管理すべき旨定めております。
 次に宿舎の種類を公邸、無料宿舎、有料宿舎にわかち、おのおのにつき、だれに貸與するか、また有料、無料その他貸與條件を定め、また宿舎の明渡し等について規定しております。そして最後に附則をもつて、公布後二箇月を経て施行する旨及び現存宿舎の取扱いについて規定しております。
 この法律案は、四月二十八日委員会に付託せられ、五月六日政府委員の説明を聽取し、ついで川島、風早、宮幡、三宅各委員から、主として明渡し期限を六十日に限定する十九條但書と居住権の関係について熱心な質疑が行われました。ついで宮幡委員より、共産党を除く各派共同提案になる修正案の動議がありました。それを朗読いたします。
 國家公務員のための國設宿舎に関する法律案の一部を次のように修正する。
 第十條第一号、第二号及び第四号を次のように改める。
 一 参議院議長及び衆議院副議長
 二 参議院議長及び参議院副議長
 四 最高裁判所裁判官
 同條第七号を第八号とし、以下順次一号ずつ繰り下げ、第七号として次の一号を加える。
 七 衆議院事務総長及び参議院事務総長
 第十九條但書を次のように改める。
 但し、公邸及び無料宿舎にあつては六十日、有料宿舎にあつては六月をこえてはならない。
 附則に次の二項を加え、附則第三項を第五項とする。
 3 宿舎審議会は、第三條第二項に掲げる事項につき、調査審議の結果を國会に報告しなければならない。
 4 宿舎審議会が第三條第二項に掲げる事項につき調査審議を完了するまでは、國家公務員に貸與すべき宿舎に関しては、この法律の規定にかかわらず、なお從前の例による。以上が修正案の内容であります。
 続いて討論に入り、民自党を代表して宮幡委員は修正案及び修正部分を除く原案に賛成され、社会党を代表して田中委員は修正案及び修正部分を除く原案に対し希望意見を付して賛成され、次いで民主党を代表して荒木委員は修正案及び修正部分を除く原案ともに賛成され、共産党を代表して風早委員は修正案及び原案に反対せられ、最後に内藤委員は新政治協議会を代表し修正案及び修正部分を除く原案ともに賛成され、ただちに採決に入りましたところ、各派共同提案による修正案は多数をもつて可決し、また修正部分を除く原案についても多数をもつて可決し、よつて本案は修正議決せられました。以上御報告いたします。(拍手)
 次に臨時宅地賃貸價格修正法案について申し上げます。
 この法律案の目的とするところは、この第一條にうたわれている通り、宅地につき地租の課税標準たる賃貸價格が経済事情の変動等により著しく不均衡となつている状況にかんがみ、租税負担の適正をはかるため、さしあたり土地の賃貸價格の一般改定と切り離して、臨時に宅地の賃貸價格を修正せんとするものであり、この法律は、その実施の時期、基準、方法その他必要事項を規定するものであります。
 本法律案の内容を見まするに、まず修正の時期に関しては、本年四月一日現在の土地台帳に登録されている宅地の賃貸價格で著しく不均衡となつているものについて、本年十月一日においてこれを行うというのであります。
 次に修正賃貸價格の算出方法は、まず基準地区を選ぶのであります。すなわちこの基準地区は、戰災その他の災害を受けず、インフレーションによる一般的影響を受けていないと認められる市町村のうちからこれを選びます。この基準地区内の宅地に関しては、その賃貸價格を現行のままにすえ置くこととし、これを基準として基準地区以外の区域の宅地の賃貸價格を修正するのであります。基準地区以外の区域内の宅地に関しましては、原則として区域主義をとり、経済事情の変動等による影響の程度が同様であると認められる区域を一区域として、一定の割合をもつて一律に各筆の賃貸價格を修正するのであります。次に戰災その他により各筆相互間に不均衡のはなはだしい区域については、これは不適当でありますから、宅地各筆ごとにさらに修正を行うのであります。これらの宅地の賃貸價格は、地租の課税標準であり、國民の税負担に影響し、また地方公共團体の歳入にも関係するので、この修正にあたつて大藏省内に基準地区調査会を、財務局に原則として都道府縣ごとに地方宅地賃貸價格調査会を設置し、地方職員、学識経驗者等から委員を選び諮問することとなつております。なおこのほか、審査訴願等に関する規定その他必要な規定を定めております。
 本法律案は、四月二十八日付託されたもので、五月三日提案理由の説明を聽取し、十日に二、三の質疑を行つた後、討論を省略し、ただちに採決に入りましたが、多数をもつて原案の通り可決いたしました。以上御報告申し上げます。(拍手)
 次は、ただいま議題となりました復興金融公庫に対する政府出資等に関する法律案並びに興業債券の発行限度の特例に関する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず第一の法案について申し上げます。この法案が提出いたされました趣旨は、第一に、昭和二十四年度において、復興金融公庫に対し六百二十四億六千七百万円を限り登録國債の交付をもつて出資することができることといたしますとともに、第二に、同金庫の毎事業年度の剩余金を國庫に納付しなければならないことといたそうとするものであります。
 次に、この法案の要旨について申し上げますと、第一は登録國債の交付による政府出資に関するものでありまして、政府は昭和二十四年度において六百二十四億六千七百万円を限り登録國債を発行し、これを政府出資として復興金融公庫に交付することができることといたしております。これにより、本年度予算に計上されております現金出資分三百億円と合算して九百二十四億六千七百万円となりますので、全額政府出資である同金庫の現在資本金千四百五十億円のうち出資未済となつております千二百億円は二百七十五億三千三百万円となるわけであります。
 第二は、同金庫の毎事業年度の剩余金の國庫納付に関するものでありまして、毎事業年度において國庫に納付しなければならないことといたしております。これにより、從來復興金融委員会の承認を受けて次年度に繰越し新規資金に充当しておりました剩余金を、同金庫が全額政府出資の法人でありまして、かつ今後の貸付金が回收金をもつてまかなわれることとなりましたので、本年度から國庫に納付しなければならないことといたそうとするものであります。
 次に第二の法案について申し上げます。この法案が提出いたされました趣旨は、本年度予算において復興金融公庫の機能が著しく縮小されるようになりましたため、産業に必要な長期資金の供給が著しくきゆうくつとなつて参りましたが、経済の安定の復興のためには長期資金の円滑な供給がどうしても必要でありますので、この要請に應ずるため日本興業銀行の興業債券発行の限度を引上げることとしようとするものであります。
 次に本案の内容について申し上げますと、日本興業銀行は昭和二十五年三月末日まで拂込資本金額の二十倍に相当する金額を限り債券を発行することができることといたしておりまして、これにより現在拂込資本金額五億円の十倍、すなわち五十億円まで興業債券の発行ができることといたしております。
 以上が二法案の大要でありますが、第一の法案は、四月二十七日、本委員会に付託されたものでありまして、翌二十八日提案理由の説明を聽取し、第二の法案は、四月三十日、本委員会に付託されたものでありまして、五月六日提案理由の説明を聽取し、両案について昨十一日質疑に入りましたところ、田中委員よりは復金融資方針変更にかわる対策、交付國債の償還方法、復金の今後一箇年間の運営等について、島村委員よりは興業債券の償還期限及び利率並びに消化の見通しについて、風早委員よりは産業資金、ことに長期産業資金計画、復金融資先監査の根本的態度及びその方法等について質疑があり、宮幡委員よりは復金に関する小委員会設置の提案がありました。
 次いで討論に入りましたところ、宮幡委員は民主自由党を代表して、復金に対する交付國債は政府出資の未済分出資であつて、復金債の償却に充てらるべきもので、明年二月をもつて終了する復金をして有終の美をなさしめるための当然の措置であり、また、興業債券発行限度の拡張は、復金融資が期待できぬ実情において、産業資金緩和のためこれによるほかない旨を述べて、両案に対し賛成の意を表せられ、田中委員は社会党を代表して、中小企業、農林水産業に対する産業資金の方針が明確でなく、調達資金は独占資本を擁護することとなる点において両案に反対する旨を述べられ、荒木委員は民主党を代表して、興業債券発行限度の拡張により興銀から産業資金が出ることとなり、また復金に対する交付國債は現状やむを得ぬものとして、両案に対し賛成の意を表せられ、風早委員は共産党を代表して、確たる産業資金計画を持ち合わさないで、いたずらにこのような法案をつくつても有害無益である、ことに復金融資の回収分は、集中生産方式から考えて、きわめて巨大な企業のみに向けられることになり、興業債券についても、これに関連して同様のことが考えられる、かような反動的な両法案には絶体に反対する旨述べられました。次いで採決に入りましたところ、両案とも起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 以上、はなはだ簡單でありますが、御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。田中織之進君。
    〔田中織之進君登壇〕
○田中織之進君 私は、ただいま上程に相なつておりまする復興金融公庫に対する政府出資等に関する法律案並びに興業債券の発行限度の特例に関する法律案に対しまして反対、國務公務員のための國設宿舎に関する法律案に足しましては修正賛成の討論を、日本社会党を代表して行わんとするものであります。
 まず復興金融公庫に対する政府出資等に関する法律案並びに興業債券の発行限度の特例に関する法律案に対するわれわれの反対理由は、これは二十四年度における産業資金の確保に関する一つの手段でありまするから、こうした形における資金調達につきましては、必ずしもわれわれは反対するものではないのであります。しかしながら、現在まで第五國会に提出せられました各種の法律案、予算案等に関連いたしまして明らかになつたところによれば、二十四年度中における政府の確固たる資金計画がいまだ示されておらないのであります。ことに経済再建九原則の実施過程におきまして、すでに各企業において集中生産方式が強化せられようとしており、その過程において中小企業における倒産、崩壞が相次いで起る実情にあるのであります。政府としては、九原則の実施の犠牲として出るところのこれらの中小企業あるいは農林水産業の方面に対しまして、予算的な措置によつてこれを救済する方法がないのでございまするならば、当然金融的にこれをいかにして援助するかということについて責任をもつて考えなければならない立場に置かれているのであります。
 しかるに、この点に対する政府の方針は、政府委員の率直なる説明にもありまする通りに。いまだ確定的なものを持つておらないのであります。從いまして、せつかく國民の租税によるところの、たとえば復金債の三百億の償還の問題、あるいは今後興業債券の発行限度の拡大による百五十億ないし二百億の資金量の確保等が行われたとしましても、この中小企業あるいは農林水産業に対する明確なる方針と、それをやらすところの機構が確立されておらない限り、せつかく調達された資金は、現在の機構並びに從來の運営方針によりまするならば、当然独占資本あるいは巨大資本の方面に集中せられまして、これら最も資金を必要としておる方面に流れないという危險が多分にあるのであります。ことに興業債券の発行限度の拡大、今回のトッジ声明に出発するところの復金の機能の大金な変革過程に伴いまして、復金から閉め出された大企業方面に対して興銀が新たなる救済機関のような形をなす傾向が今や明白に見受けられるのであります。從いましてわれわれは、こうした形において政府が資金量を確保しようという努力に対しましては、あえて反対するものではないのでありますが、少くともこの資金の用途に対して、必要方面に流されるという確たる保証のない現状において、この両法案ともにわれわれは反対せざるを得ないのであります。
 ことに興業債券の発行限度の拡大を行つたといたしましても、その債券消化についての方針が明確でありません。政府の方では、あるいは千七百五十億の見返資金特別会計の運用を期待せられておるやに聞いておるのでございまするが、復金に対する交付公債の六百二十四億数千万円の消化の問題にいたしましても、今日まで明確になつたところによりますれば、見返資金特別会計によつて、はたしてこれがまかない得るやいなやということについては、確たる保証が與えられておらないのであります。一方、政府の意図しておるところの見返資金特別会計の運用にあたりましては、軍事公債をも含めた公債の償却等の、銀行資本を擁護した政策をとらんとしておるという点からも、われわれはこの両法案に対してはあくまで反対するものであります。
 國家公務員のための國設宿舎に関する法律案につきましては、これまた明治初年以來いわゆる國営宿舎に関する統一ある制度が確立されておらないという点から、これを法的な根拠におきまして統一するということについては、われわれ反対するものではないのであります。しかし、この法律案の各項目を檢討いたしましても、大藏当局みずからが認めておりまするように、きわめて不備な点があるのであります。しかしながら、先般議会を通過した予算の中に、十一億円という國営宿舎建設に関する予算が計上されておる。われわれは、この予算が早急に実施せられて、國家公務員に対する住宅問題解決のために積極的な施策が進められることを期待するがゆえに、不備なる点を幾多認めるのでありますけれども、この法案につきましては、先ほど委員長の報告のありました第十九條における居住権の保障に関する若干の修正をいたして、これに賛成せんとするものであります。
 原案によりますと、いかなる理由があろうとも六十日以内にはその宿舎を明け渡さなければならないという点は、現行の民法あるいは借家法に認められておるところの猶予期間をさらに圧縮するものでありまして、われわれはこれを肯定できないという建前から、委員会において取上げました結果、これが民法並びに借家法に準ずる猶予期間が設けられるまでに修正されたこと並びに宿舎審議会において諸般の基準調査が完了いたしますまでは現行の例によつて宿舎貸付に関する取扱いが行われる等の経過規定が設けられたということに修正案がなつておる点から、われわれは不備ではありますが、これに賛成するものであります。しかし賛成にあたりまして、われわれは、ことに有料宿舎に対する使用料の決定にあたりまして、宿舎審議会が民間の家賃との均衡を譲することは必要でありますけれども、あくまでこれらの國営宿舎は公務員の厚生施設として行われておるという点に思いをいたしまして、使用料の決定に対しましては十分厚生施設的な、社会政策的な考慮を拂うこと、並びに無料宿舎、有料宿舎の居住者の選定の基準の設定にあたりまして上級者が下級者の居住の権利を抑圧するというようなことの弊に陥らないように、十分その運用にあたつて留意せられるということ、同時にわれわれが本法案に賛成する基本的な理由でありますところの、本年度予算に計上せられておる十一億円によるところの國営宿舎の建設をすみやかに完了すること、以上の諸点に対して希望意見を述べまして、國営宿舎に関する法律案に対しましては賛成の意を表するものでございます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 河田賢治君。
    〔河田賢治君登壇〕
○河田賢治君 ただいま提案されました法律案の中で、國家公務員のための國設宿舎に関する法律案に反対の意見を、日本共産党を代表して申し述べるものであります。
 政府は、明治九年太政官達第五十三号官舎貸渡規則以下五つの法律等を今度廃しますが、このように博物館の中に納めなければならぬような法律をもつて今日までどうにかこうにかやつて來たのでありまするが、今度この法律を突如として本國会に提案したということは、言うまでもなく今日吉田内閣が行政整理、これによる大量の首切り、しかして宿舎におるところの職員の強制立ちのきというこの動機を持つておるものであります。從つて、こういう動機のもとに提出された法案に対して私たちは反対する。これが第一の理由であります。
 第二に、公務員の正当なる居住権が侵害されるということであります。なるほど、借家法第三條におきましては六箇月間のいわゆる明渡しの期間があるのでありますが、しかし、この法律とても大正十年当時の法律でありまして、その当時においては、今日のことく住宅難に苦しむような時代ではなかつたのであります。從つて、今日の住宅不足の場合において、幾多の裁判所の実例が示しますように、この居住権が今日は非常に尊重されておるのであります。しかも、それにもかかわらず、この古い法律、特に政府原案におきましてはわずか三箇月、これが修正案においては、借家法に準じて、特に有料宿舎においては六箇月ということになりましたが、このように古い法律、しかも居住権を侵害するような、無料宿舎に対しては二箇月、有料宿舎に対しては六箇月をもつていかなる場合にも立ちのかなければならぬ、特に公務員でなくなつた場合、あるいはまた上級の官吏が來た場合、こういう場合には立ちのかなければならないということを規定しておるのであります。こういうことから見ましても、この公務員の正当なる居住権が侵害され、かつまたこれによつて、憲法の保障しておりますところの基本的な人権、すなわち第十一條、十三條、二十二條、二十五條等の憲法の精神に違反したことになるのであります。こういうような点から、私たちはこの居住権を侵害するところの今度の提案に対して反対するものであります。
 第三に、有料宿舎につきましても、今日政府はこの法律によりまして、宿舎に入つておりますところの公務員の宿舎の値上げを策しておる。たとえば、公定價格のないときには普通の家賃並にこれをきめるということになつております。こういうところから家賃の値上げとなり、かくてまた実質上賃金がこれによつて低下するのであります。かくして、一般公務員、特に下級公務員の生活はこれによつてますます困窮する次第であります。こういう点から反対するのであります。
 第四には、この法律の施行の結果、これによつて一般の社会に大きな影響を與える。すなわち政府は、この法律をたてにとりまして、どんどん強行することになれば、今日の会社の社宅とか、あるいはその他一般の民家にもこの施行の影響が現われまして、やがてたくさんな立ちのきの問題、あるいは現在住んでおる一般の人々の家賃に対するいわゆるやみ價格のつり上げ、こういう結果になることは言うまでもないのであります。こういうように、この法案の影響というものは大きなものがあるのであります。
 第五に、政府はこの法案の裏づけといたしまして十一億の予算を先日予算案において通過したのでありまするが、しかしこの十一億の予算によつて建設される宿舎にいたしましても、これらは大部分は高級な官僚の宿舎でありまして、決して一般公務員の人々に、特に下級の人々にこの宿舎が渡るというわけのものではないのであります。從つて、今日このように住宅が非常に拂低し、戰災によつて数百万人の人々が家を失い、星空のもとに住み、あるいはまた一室に数家族が住んで、ぎこちのない生活をやつておるというこの時代において、この住宅の不足ということが非常に日本の経済の再建のために大きな惡影響、また社会的にも大きな惡影響を與えておるということは、これは万人の認めるところであります。
 從つて私たちは、以上の五つの反対理由をもちましてこの法律案に反対すると同時に、今後國費をもつて極力莫大な住宅を建設し、これらの住宅は人民の管理によつてやるということが必要であるということを申し述べて、本法案に反対の意を表明するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 風早八十二君。
    〔風早八十二君登壇〕
○風早八十二君 私は、日本共産党を代表して、ただいま上程されております諸法案のうち特に復興金融公庫に対する政府出資等に関する法律案に対して反対の意見を表明するものであります。
 本案の根本的な趣旨といたしますところは、要するに復興金融公庫がその積極的な融資機能を停止し、もつぱら資金回收をなし、その回收した限りにおいてのみ新たな融資を継続するというにあるのであります。復興金融公庫の厖大なる融資が主として日銀引受けによる復金債の発行であるという意味におきまして、これを通じてインフレーシヨンの根源になるというので、今まで日本の内外から幾多の非難が多かつたのでありまして、本來ならば復興金融公庫は経済再建に有害なるものとして廃止せられる運命にあつたのでありますが、政府は過渡的にこの機関による積極的な融資機能を停止する、かようにして辛うじて首をつなぎとめたと思われるのであります。
 この措置は、長期資金の欠乏が急を告げております今日、興業債券の発行限度の拡大とともに一應やむを得ない措置とも考えられるごとくではありますが、しかしながら、一方において政府が産業資金計画を全然欠いておる。他方におきまして、政府はまた集中生産方式を確立しておる。こういう事情のもとにおきまして、この復金は結局弱い会社からは回收する、そして、その資金を今度は一部の特権的な資本家にのみ融資するということにならないとは保証し得ないのであります。
 しかしながら、問題はそれだけではないのでありまして、むしろ復興金融公庫の融資の仕方と、そしてこれとうらはらになつております融資を受ける側の資金の使用の仕方にあるのであります。もしも、この復興金融公庫そのものが融資者として腐敗しておる、会社がまた腐敗しておるということでありますならば、このような機関のもとに大切な融資機能をゆだねるということは、実に政界、官界、財界の腐敗堕落、不正というものを非常に巻き起して行く、ひいては日本経済再建に対する重大なる障害になるということは、すでに幾多の実例が示している通りであります。
 たとえば、大藏当局の作成いたしました昭和二十四年一月十四日麻生鉱業株式会社資金監査報告によりましても、麻生鉱業株式会社は、國民の税金負担でまかなわれておりますところの復金の融資を、二十三年九月までに十九億九千万円も受けておるにかかわらず、その使用状況は乱脈をきわめておるのであります。(拍手)第一に、麻生一家に対する仮拂い金など未決算勘定というものの整理は乱脈をきわめておりまして、傳票に炭坑の住宅費、一般設備などの区分整理はありません。補助票には誤記があり、脱漏があり、鉛筆書きがあり、残高の記入が脱けておる。帳簿のでたらめ、経理の乱脈ということは、あきれるのほかはないのであります。(拍手)
 これはしかしながら、決して單なる帳簿の乱脈ぶるではないのでありまして、問題は、かようにして不正腐敗というものをごまかして行くその煙幕になるという点なのであります。すなわち第二に、筑豊炭田でも有数の大手筋の炭鉱でありますところのこの大会社の会計というものと、麻生一家の個人の会計との間がきわめて明確を欠いておるのであります。二十三年の六月に百五十六万円、あるいは七月に二百九十八万円、また八月には五百八十四万円、九月には六百二十三万円というふうに、実に頻繁に麻生一家に対して金が流れております。(拍手)これが全部仮拂い金として処理されておるのであります。利息などは年四分とはいいながら、実際は昭和二十年以降は全然利息は拂つておりません。麻生一家でこの金を一体何に使つたか。それをあるいは政治資金に使つたか使わなかつたか、そういうことは皆目わからないような仕組みになつておるのであります。
 第三に、その他の社外貸付でありますけれども、これもやはり社長の友人等に相当の金が流れておることは、大藏省の調査の記録に載つておる通りであります。(拍手)國民の税金というものは、復興金融公庫を通じて、このように乱暴に使用されておるのであります。その結果はどうであります。日本再建に最も重要な石炭増産の重責を負わされておりますところのこの大会社が、きわめて企業能率の惡い、最も劣惡なる部類に属していることは、まことにゆえなしとしないのであります。われわれは、國民の税金から、このような腐つた石炭資本家にびた一文たりとも融資することは絶対に反対であります。(拍手)すでに復興金融公庫そのものにつきましても、その放漫なる融資、あるいは融資先の選択が非常に不公平であるということは、証拠がはつきりあるのでありまして、会計檢査院の決算報告というものが具体的に指摘し証明しておるのであります。(拍手)
 以上私は、日本共産党を代表して、かような腐つた機関というものに、われわれ國民の大事なる血税をしぼり上げて、それを融資することには絶対に反対であるということを申し上げておきたいと思います。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず日程第二十一及び第二十二を一括して採決致します。日程第二十一の委員長の報告は可決でありまして、日程第二十二の委員長の報告は修正であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に、日程第二十三、第二十四及び第二十五を一括して採決致します。三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 日程第二十六、民法等の一部を改正する法律案、日程第二十七、少年院法の一部を改正する法律案、日程第二十八、少年法の一部を改正する法律案、右三案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長花村四郎君。
    〔花村四郎君登壇〕
○花村四郎君 ただいま上程に相なりました三法律案について、法務委員会の審議の経過並びに結果を簡單に御報告申し上げます。
 まず民法の一部を改正する法律案について申し上げますと、民法の雇人の給料につきましては先取特権の規定がありますが、その順位を一段と高めようとするもので、すなわち雇人の給料の先取特権を葬式の費用の先取特権に優先せしめようとするものであつて、それによつては人の賃金の確保を高めたのであります。六箇月間の給料につきましては、あくまでも他の一般債権者の差押えに先んじて自分の給料受取ることができるようにしたのであります。なお但書で金額は五十円を限度としてありますが、これは今日の時代に合わないので削除いたしました。これが要点の第一であります。
 次に、これに相当した処置を民事訴訟法第五百七十條第一項第六号においてとらんとすることが要旨の第二であります。すなわち、官吏、神職、僧侶、教師等の職務上の收入のほか工員、労務者、雇人等の給料も差押え禁止物に指定して、これを保護しようとする趣旨であります。
 さて委員会におきましては、企業整備等の折柄、賃金確保の必要を認めた次第であります。しかしながら、これに対しまして二つの修正意見が提出されました。すなわち、共産党の梨木委員より給料及び退職手当とすべしとの提案がありましたが、これは少数をもつて否決されました。次に押谷委員より、民事訴訟法において一箇年の收入が三百円を超過する云々とあるが、これは今日の時代に即さないので、「その支拂期において四分の一に相当する金額」とする修正案は多数をもつて可決されました。修正案を除いたその他の部分は多数をもつて可決されました。結局本法案は政府原案を修正議決した次第であります。
 次に少年法の一部を改正する法律案について申し上げますと、本案は、本年一月一日から施行された少年法の運用の実績を檢討した結果、少年院法、兒童福祉法及び本國会に提案中の犯罪者予防更正法案との間に必要な調整をなさんがため、また少年保護事件の身柄の取扱い、証拠品の処理等につき法の不備を補正せんがために提出せられたものでありまするが、その内容の要点を申しますと、一、少年院法との関係において、新たに、当該少年を現に收容観護している少年観護所または少年院の職員たる法務廳教官に家庭裁判所の決定の執行権限を與えたこと。二、兒童福祉法との関係において、十四歳未満の少年については、兒童福祉法の措置を優先的に適用させることとし、この少年については、家庭裁判所は都道府縣知事または兒童相談所長から送致を受けて初めてこれを取扱うこととしたこと。三、犯罪者予防更正法案との関係において、家庭裁判所が少年保護事件を地方少年保護委員会の保護観察に付する場合、必要あるときは、一時的に少年を少年保護所に收容することができることとしたこと。四、家庭裁判所は、少年保護事件について処分を決定する場合には、証拠品として領置されている凶器等につき沒收する等適当な処分をすることができるとしたこと。等でございます。
 委員会におきましては、本案は現下青少年の犯罪激化の傾向にかんがみ、少年の育成保護に必要な改正と認め、討論を省略し採決に入りましたところ、全会一致をもつて原案通り可決いたしました。
 最後に少年院法の一部を改正する法律案について申し上げますと、政府原案の提案理由並びに内容は、一、本年一月一日から施行されました少年院法の運用の実績を檢討した結果、十四歳に満たない少年について收容保護を加える必要がある場合には、すべて兒童福祉法による施設に入れる方が妥当と認められるので、少年院法第二條第二項を改め、十四歳未満の少年は少年院には收容しないことにした。二、少年観護所は本年一月一日から開設されたのでありますが、改正少年法の実施により、從來は刑事事件としてただちに拘留処分に付せられるような惡質な犯罪少年が観護の措置として少年観護所に收容されることとなり、從つて観護所の施設は相当強固なものを必要とするに至り、また最近少年犯罪の激増化、惡質化のため、とうてい現在の收容施設では收容し切れない状態に立ち至つたので、これが拡充強化を急いでいるのでありますが、現在の國家財政上その予算的措置が十分に伴わず、これが整備には多少の日時を要しますので、昭和二十六年三月三十一日までおよそ二年間は、拘置監の特に区別した場所をも少年観護所に充てることができるようにし、そこには犯罪少年であつて逃走のおそれのある者のみを收容することとした等であります。
 委員会におきましては、質疑の結果、少年院、観護所に対する本年度予算はすこぶる不十分なものであることが判明したのでありますが、現下の國家財政上やむを得ない。しかし一面、青少年の犯罪防止は、さきに本院において決議がなされた通り、きわめて急を要する重大問題でありますので、限られた予算の範囲内でこれら必要施設の空白を補う方途が考究されたのであります。その結果、討論の際、各党から次のような政府原案に対する修正の共同提案がなされるに至つたのであります。これを朗読いたします。
  少年院法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。第二十一條に次の二項を加える。2 特別少年院の施設の收容能力が十分でないため、特に必要があるときは、昭和二十六年三月三十一日までの間、少年を收容する監獄の特に区別した場所を特別少年院に充てることができる。3 女子の医療少年院の施設が十分でないため、特に必要があるときは、前項の日までの間、男子の医療少年院を特に区分して、男女の別に從つて少年を收容することができる。
 かくて採決に入りましたところ、多数をもつて政府原案を修正案のごとく修正議決いたした次第であります。
 右一括して御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。梨木作次郎君。
    〔梨木作次郎君登壇〕
○梨木作次郎君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程になつております民法等の一部を改正する法律案に対する見解を表明いたしたいと思います。
 この法律案に対しては、私は賛成するものであります。しかしながら、この法律案が委員会にかかつておる際におきまして、私は重大なる修正意見を提出したのであります。しかしながら、この修正意見は少数意見として否決せられたのであります。ところで、この法律案はその目的とするところは労働者の生活を擁護するところにあるのでありまして、この法律案だけをもつてしても、幾ばくなりとも労働者の生活保護のために役立つと考えまするがゆえに、われわれこれに賛成するものであります。しかしながら、この機会に私が委員会において提出いたしました修正意見を申し上げ、近き將來においてわれわれの修正意見の実現を期待する資料としてこれを発表いたしたいと思うのであります。
 現行民法によりますると、労働者の給料の先取特権は現在五十円しか認めておらないのでありまして、これを削除して六箇月全部について優先権を認めようとする本案に対しましては、われわれは全面的に賛成するのであります。ところが、現在労働者の間からは、給料に対する先取特権の民法の規定を改正すべしという非常に強い要求が出ているのであります。ところが、こういうような改正の要求はいかなる原因から出て來ておるかと申しますと、昨年の秋ごろから頻発しておりますところの給料の遅配欠配、または工場閉鎖や企業整備に基く首切り等のために、この労働者の給料、退職金の支拂いは非常な危險にさらされて來たのであります。この労働者の給料並びに先取特権に対する支拂いを確保するために、どうしてもこの先取特権の規定を改正し、六箇月のわくをはずしてこれを無制限にし、さらに退職金についても優先権を認めるようにしてもらいたいという要求が、ここから出て來ておるのであります。
 このような状態でありますから、もしも現在改正せられるところの先取特権を認めようとする給料の中に退職金が含まれておるのならばそれでよろしいのでありますが、政府の説明によりますと、必ずしもこの給料の中には退職金が含まれておるという明確な答弁がないのであります。從いましてわれわれは、給料並びに退職金にらいて先取特権を認めるように條文の上において明記することを要求し、さらに六箇月のわくをはずして無制限にこれを認めよ、こういう修正意見を出したゆえんのものも、これは現在労働者が当面しているところの困難な生活を擁護する一つの手がかりといたしまして、かような修正意見を出したのであります。
 さらに労働基準法において規定しておりますところの、労働者が人たるに値する生活を保障するためには、現在の給料に対する先取特権の規定ではまだまだ不十分なのでありまして、抵当権や税金に対してもこれを優先するというような規定に改めない限りは、憲法にいうところの健康で文化的な最低限度の生活を保障するというこの規定が空文に帰することになるのでありまして、從いまして、近い將來においてこの先取特権の規定を改正する場合におきましては、これらの点についても十分なる留意を施しまして、われわれの希望しているような修正意見が実現することを期待いたしまして、本案に賛成する者であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 三案を一括して採決いたします。日程第二十六及び第二十七の委員長の報告は修正でありまして、日程第二十八の委員長の報告は可決であります。三案は委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第二十九、都道府縣の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事川本末治君。
    〔川本末治君登壇〕
○川本末治君 ただいま議題となりました都道府縣の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知の通り、昨年三月新しい警察制度が実施せられまして、内務省の統制下にあつた道府縣警察部が廃止され、國家地方警察と自治体警察とが誕生したのでありますが、この制度の切りかえに應じまして、從來都道府縣が所有しておりました警察用の施設、器具、物品等の帰属が問題となつて参つておるのであります。國または都道府縣の所有する財産または物品で、國家地方警察に不必要であつて市町村警察に必要なものにつきましては、その市町村に無償譲渡する旨を警察法第九條に規定してあるのでありますが、國家地方警察に必要なものの処理につきましては何ら規定するところがないのであります。このために、警察制度の裏づけとなる財産の処理がいまだに行われず、新制度運営上種々の支障がありますので、政府は今回この点を明確に解決するため本法案を提出したものであると説明いたしておるのであります。
 本法案は、去る四月二十三日、本委員会付託となりまして、同月二十七日樋貝國務大臣の説明を聽取いたしました後、五月七日及び昨十一日の二回にわたりまして政府との間に熱心なる質疑が行われました。続いて同日討論に入りまして、社会党の門司委員、共産党の立花委員より反対意見が述べられ、また民主自由党の河原委員より賛成意見が述べられまして、次いで採決に入りまして。起立多数をもつてこれを可決すべきものと決定いたした次第であります。
 右報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。門司亮君。
    〔門司亮君登壇〕
○門司亮君 私は、ただいま議題になつております都道府縣の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律案について、委員長の報告に日本社会党を代表いたしまして反対の意見を表示するものであります。
 本法案は、政府説明によりまするならば、ただいま委員長報告にありました通り、警察法第九條の規定に設けられておりまする、いわゆる警察の分離の際に國家警察に必要なもの以外を地方警察に委譲するという規定があつて、國家警察が使つておりまするものがその帰属が明確でない、從つてこれを明確にするというためにこれを処理するという案件でありますが、内容は、現在都道府縣の所有に帰しておりまする都道府縣の財産を警察に使用いたしておりまする分を、ことごとく國家に無償で取上げようとする案であります。
 今日の警察が使用いたしておりまする、いわゆる國家地方警察が使用いたしておりまする廳舎並びに敷地等の関係は、すでに皆様も御承知の通り、今日まで國みずからがその施設に投じた費用というものはきわめてわずかなものでありまして、多くの場合は、その地方における住民の寄付によつて、いわゆる住民の負担において、今日の都道府縣の所有いたしておりまする、警察の使用しておりまするすべてのものがなされておるということは、すでに皆様も御承知の通りと思うのであります。しかるに政府は、ただ所有権と使用権とが相一致しないところにきわめて不合理があると申しておりまするが、もしそういうことが議論になりまするならば、当然これは地方住民の財産として、都道府縣に現在のままこれを所属せしめまして、有償で政府がその代金を支拂えばいいのであります。しかるにもかかわらず、これを無償で取上げるということは、一体どこにその根拠があるかということであります。
 さらにその総額は、政府が出しましたきわめてずさんな統計によりましても、土地を含まない、きわめてずさんな統計によりましても、三十億を越えておるのであります。今日地方の都道府縣の財政はきわめて逼迫しておることは御存じの通りであります。その際、都道府縣の持つておりまする、精密に調査いたしまするならば百億になんなんとするこの多くの都道府縣の財産を、無償で國家が沒收するというこの法律自体は、非常な國家の横暴性と、今日の民自党内閣の、きわめて地方住民の上を顧みざる、國民の生活を顧みない一つの大きな反動性の現われであるということを、はつきりとわれわれは言わなければならないのであります。(拍手)もし眞に現政府が國家の住民の生活を安定せしめるというためならば、当然都道府縣の財産にしておいて何らの支障のないものを、何がために無償でこれを沒收せんとするのか。もし政府が理由に述べておりまする通り、所有権と使用権とが相一致しなければならないという理論の上に立ちますならば、今日の都道府縣の持つておりまする財産目録に載つておりまするこれらの財産は、当然政府が有償をもつて買收すべきであるということを、私はここにはつきりと申し上げるのであります。
 國は、さきに地方公共團体からその制度の上で引上げて参りましたいわゆる医療團の発足に伴いまして、地方公共團体が持つておりました病院の多くを原價のままにおいて國の帰属にいたしたのであります。しかして今日、この医療團の解散に伴いまして、それらの財産の処分にあたつては、時價をもつて市町村にこれを拂い下げるというような無謀の策を片方には講じているのであります。地方の公共團体から取上げたものに対しましては原價でこれを拂いもどすが当然であるとわれわれは考えておりますときに、現状の時價においてこれを拂い下げようとし、一方國の使いまするものは無償でこれを取上げようとする政府の政策に対しましては、われわれは絶対に反対を表明するものであります。
 さらに最も重要にわれわれが考えなければならないものは、警察の中枢神経ともいうべき電信電話の施設であります。これらのものは他の法律において定めるということを書いておりますが、この警察の中枢神経すらも、一方において政府の考える通りにもしこれが規定されて参りますまらば、私は警察機能の中枢神経が非常に大きく麻痺いたしまして、將來の治安関係にきわめて大きな支障を來すものであるということを、ここにはつきり指摘しておきたいと思うのであります。
 以上、きわめて簡單ではございますが、本法案に対する反対の意見を申し述べる次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 立花敏男君。
    〔立花敏男君登壇〕
○立花敏男君 この法案の趣旨は、現在地方自治團体が所有しておりますところの、國家地方警察が使用しております土地並びに通信施設並びに自動車、トラック等の運輸施設をそつくりそのまま國家に取り上げまして、しかも一旦國家警察に取り上げましたものを再び逓信省の所管に移さんとしているものでありまして、これに対しまして日本共産党は絶対に反対の意を表明するものであります。
 思い起しますと、去る四月二十一日、本議場におきまして、全國の地方自治團体の熱烈なる要望を裏切りまして、地方配付税を数百億削減したのであります。今年の地方予算におきましては、最初政府が考えておりましたよりも、地方配付税、地方起債あるいは國庫支出金におきまして合計約千億の金が削られておるのであります。この結果といたしまして、地方の財政は破産し、地方の事業は麻痺し、自治体警察にいたしましても、その返上論の声さえ上つておる状態であります。一方地方住民といたしましては、この負担を全面的に地方税の増徴あるいは警察の強制寄付等の増加によりまして、まつたく生活が波紋に瀕し、地方住民の中には、すでに配給物を受取る金すらないという状態が増加しつつあるのであります。
 かかる際に、社会党の門司君は三十億と申されましたが、三十億をはるかに上まわるところの合計数十億に達する地方自治團体の財産を何らの具体的な補償なしに沒收するということは、單に経済的なる負担を地方自治体に與えるのみならず、かかる状態において地方の意向を無視し、かかる措置をするということは、精神上における地方自治團体への惡影響が当然考えられるのでありまして、中央に対する地方の不審の念をより一層強めるものであろうと考えられます。
 しかも、地方自治團体と國家とは異なつた二つの人格でありまして、一方の人格に属するものをかようなやり方で無償で取上げるということは、明らかにかつての官僚ファッショ的なやり方でありまして、しかも、かかるファッショ的なやり方を強行する必要は少しも存在しないということを、私は強調したいのであります。何となれば、一昨年警察法改正以來、現在まで引続き所有権の移轉なくして無事に事が運ばれておるのであります。いまさら何の必要があつてこれが所有権の移動を行わなければならないのか、了解に苦しむ次第であります。たとい一歩を譲りまして、國家に所有権を移すことが正しいといたしましても、さらになぜそれを國家警察の手を離れて逓信省の所管に移さなければならないか、ここに大きな問題があると考えられます。通信施設は、警察にとりましては――警察が全國的な直通電話を持つということは、警察業務の遂行上まことに中枢的なものでありまして、これを警察みずからの手で確保し、これがいかに必要であるかということは、警察自体がよく御存じであろうと思います。しかも、これを何のさしつかえがあつて逓信省に移さなければならないのか、ここに大きな問題があるのであります。
 かくして本法案の内容は、地方住民の利益に反し、地方自治團体の信頼を裏切り、さらに警察自体の意向を無視して断行されんとするところの、まつたく買弁的な性格を持つものであります。吉田首相は、新聞その他を通じまして、國鉄あるいは專賣局、あるいは郵政・通信等の事業の國有財産を民間に拂い下げるということをたびたび発表されておりますが、私たちといたしましては、この内容の法案こそ、かかる、かつての吉田首相の言明をそのまま実行せんとするものであると断定せざるを得ないのであります。
 しかも電氣通信事業に対する建設資金、すなわち見返資金からの百二十億という金は、この壇上から政府みずから明らかにされたように、これは明らかに外國よりの借金であります。さらに皆さんがわが共産党の反対を押し切つて決議をなされたように、この金はわれわれ日本人が自由に使えない金なのであります。これによつて國家の中枢機関とも國家警察の電信を逓信省の所管に移し、それをまた、かかる形で外國資本の影響下に置こうということは、これは断じて許すことができない。一國の基本的な施設である通信事業が他國の資本の影響下に置かれる、これを許しておいて、どこにわが國の自主的な独立があると言い得るでありましようか。
 吉田総理大臣は、きのうの新聞におきまして、國家警察増強の必要を発表されております。ところが、ただいま指摘いたしましたように、國家警察の中枢施設を外国資本の影響下に置こうとするがごとき考え方でやろうとするところの警察力の増強は、外國資本との協力においてやろうとするところの警察力の増加であり、かかるファッショ的な、賣國的な警察力の増加には断じて反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 五月一日のメーデーを見てください。東京六十万、全國で行われましたあのメーデーに、警察のファッショ的な干渉がなかつたならば、一つとして事故を起していないのであります。全國民は、現在だれ一人として警察力の増強を考えている者はありません。ただひとり吉田総理大臣だけが警察力の増強を考えておるのであります。われわれ日本共産党は、日本人民の名におきまして、かかる賣國的な警察力の増強に全面的に反対するとともに、都道府縣所有の財産の無償沒收に絶対反対するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決せられました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第三十、自轉車競技法の一部を改正する法律案、日程第三十一、鉱山保安法、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員会理事神田博君。
    〔神田博君登壇〕
○神田博君 ただいま議題となりました自轉車競技法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会における審議の経過並びに結果を概要御報告申し上げます。
 まず、本法は昭和二十三年法律第二百九号をもつて公布施行せられたものでありまして、今回改正せんといたします要旨は次の通りであります。
 現在本法の主催権は商工大臣の指定する都道府縣及び市に限定されておるのでありますが、今日におきましては、財政の逼迫せる、あるいは戰災を受けた町村に対しても財政上の寄與をなさしむることが必要であると考えまして、主催権を町村にまで拡張いたそうとするのでありまして、あわせて自轉車産業の進展、輸出貿易の伸張を期するという意味におきまして、本改正法案を提出した次第であります。
 なお本改正法案は、四月二十八日商工委員会に付託せられ、四月三十日、提案者代表の民自党原健三郎君よりその提案理由の説明を聽取し、五月十一日質疑に入りましたところ、民主党柳原三郎君より、「財政逼迫等を勘案して」とある以上、今日地方財政の逼迫していない縣、市はないのでありまして、これをさらに町村にまで適用するとなりますと無制限かつ濫立のおそれはないか、また社会党今澄勇君より、現状においてすら縣、市がその開催を收益の関係上さし控えておる際、小さい町村がこれを行い、しかも競輪場の施設に莫大な費用を要することは本法本來の趣旨に沿いがたいのではないか、次に共産党聽濤克巳君より、純朴なる地方農民の射倖心を助長するおそれはないかとの質疑がありました。これに対しまして、提案者原健三郎君より、町村に競技の主催権を與えたところで、初めから全然收益上の採算のとれない町村がこれを施行するはずはなく、本改正案によつて開催希望が殺到するものとは絶対考えられない、また射倖心云々の件につきましては一部懸念はないではないが、困窮にある地方財政に寄與する面と功罪いずれが大なりやを考えるならば十分償つてあまりあるものと考えるという答弁でありました。
 引続き討論に入りましたところ、民自党門脇勝太郎君、民主党橋本金一君並びに田中伊三次君より賛成の意見が述べられ、社会党今澄勇君、共産党聽濤克巳君より反対の意見があり、採決に入りましたところ、多数をもちまして改正法律案を可決いたしました次第であります。
 右御報告申上げます。(拍手)
 次に、ただいま議題となりました鉱山保安法の商工委員会における審議の経過並びに結果につきまして簡單に御報告申上げます。
 本案は、去る四月二十八日、本委員会に付託せられました。戰時中の濫掘による鉱業施設等の荒廃のため鉱山の保安状況は惡化し、鉱業の生産確保向上のためには保安條件の整備が焦眉の急務となつておるのであります。これを規制する現行法規には相当予備の点があり、監督機関も十分とは言い得なかつたのでありまして、これがため、本法案にはこれらの点につき特別の考慮をなされておるのであります。すなわち本法案の要旨は、第一條に明示するがごとく、鉱業の特殊性にかんがみて鉱山労働者の保護と鉱物資源の合理的開発をはかるという、この二つの目的をあわせて持つておるのであります。
 次に本法案の特色といたしますところは、第一には、鉱業の保安に関する鉱業権者及び保安技術職員、鉱山労働者等の責任を法律によつて明確に規定するということであります。
 第二の点は、鉱業保安が特殊の技術的事項に属する点にかんがみ、鉱山の現場機構を整備強化しようとしていることであります。すなわち、保安管理者、保安監督員等の制度を整備するとともに、保安委員会を設置し、保安規定を作成せしめ、現場における保安業務の最も円滑なる運営を期していることであります。
 第三の点は、監督機関の整備と、そのきわめて民主的な運営とをはかつておることであります。すなわち、中央に鉱山保安局を、地方に鉱山保安監督部、炭鉱保安監督部を置き、これらにおのおの鉱務監督官を配置して保安監督の強化をはかるとともに、これが民主的運営を確保するため、中央地方にそれぞれ労資、学識経驗者よりなる保安協議会を設け、重要事項について審議せしめると同時に、一方において監督命令に対する聽聞会の制度も設けておるのであります。以上が大体本案の特色ともいうべき点であります。
 本委員会におきましては、去る五月七日、十日及び十一日の三日間にわたつて審議をいたしました。その間労働委員会との連合審査も行われ、すこぶる活発な論戰が交されたのでありますが、それらの詳細につきましては委員会速記録に譲ることといたします。
 質疑終了後討論に入りまして、民主自由党代表小金義照君、民主党代表橋本金一君、民主党代表田中伊三次君、新政治協議会代表河野金昇君、以上の四氏はそれぞれ賛成意見を、日本社会党代表今澄勇君、日本共産党代表廳克巳君、以上二君はそれぞれ反対の意見を表明せられました。討論終了後採決の結果、多数をもつて可決すべきものと議決せられました。
 以上をもつて報告を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。今澄勇君。
    〔今澄勇君登壇〕
○今澄勇君 私は、ただいま議題となりました鉱山保安法案について、日本社会党を代表して反対の意見を申し述べる次第であります。
 四十幾年間、鉱業法、砂鉱法、あるいはその他の取締法規によつて雜然と保安行政が行われておりましたるところ、これが一元化されるということは、まことにこれは迅速にやらなければならないことであつたのであります。
 しかるに、この際保安行政が一元化されることはまことにけつこうでありまするが、大きな誤りがここに犯されておるということを指摘せざるを得ないのであります。その誤りは、すなわちこの鉱山保安法案の第一條に、本法は鉱山労働者の危害の防止と鉱物資源の合理的開発を目的としておると書いておりまするが、われわれは、労働基準法に連なる労働者の厚生保安を管轄するところのものは労働者でなければならないと思う。少くともこのような労働者の危害防止に関する行政が商工省に移つたということについては、大きな一つの問題をはらんでおるのであります。この鉱山保安法を最初に行つておりまする米國においても、これは労働省の管轄でも商工省の管轄でもない、独立の管轄者において、あらゆる経済関係に左右されないで、眞に鉱山労働者の災害防止のために活動しておるのであります。
 わが國における商工省は、今日石炭の問題においても、炭鉱の四千カロリー以下の鉱山の取はずしや、あるいはまたメリット主義による新採算等によつて、中小炭鉱はまさに危急に瀕し、さらに政府支拂いが遅れるために坑木は不足し、ここ半年もすでにその荷動きをやめておるという状態であります。鉱山の中に坑木がなくて、労働者の保安が一体どうして保たれますか。こういつた経済性に支配され、生産第一主義をやるところの商工省の所管にこの鉱山保安行政が移つたということは、生産のためにこの保安法を運用するという、労働者にとつて悲しむべき現実と相なつたことは、まことに残念に思う次第であります。
 第二番目に、この鉱山保安法に関して一体予算をどのくらいとるか、資金計画、さらに労働者を守るのであるから物資を動員しなければならぬ。それらの動員される物資の計画については、商工大臣は何らの準備もない。そうして、明確なる数字を申し上げることはできないという答弁であります。まことに予算を伴わざるかかる法案は、これ羊頭狗肉と言わざるを得ない。われわれは、こういう労働者の災害を防止するためには多額の予算と資材を動員しなければならない、かように考えておるのであります。
 第三点として内容でありまするが、二点だけ指摘して私は反対の意見を表したいと思う。第一は保安委員会であり、そして中央、地方の審議会でございますが、アメリカにおける立法を見ると、五人委員会の名のもとに、これは常時執行機関とか議決機関であります。事務局まで持つておるところの強力なるものである。わが國における保安委員会、審議会は、これはただ單なる諮問機関ということになつておるのであります。これをもつて見ても、労働者の意見をいかに無視し、労働者を参画したという形において資本家が怠慢なる、荒れはてたる鉱山の中における労働者の災害を見逃そうとする意図が含まれておるかということを指摘せざるを得ないのであります。
 次に鉱務監督官の権限については、これはまた非常に強力なものにしてあるのでございます。しかもアメリカにおいては、これらの鉱務監督官についてはリコールの制度が布かれて、この強力なる監督官があるいは資本家側に加担し、あるいは間違つて労働者の反対の行動をする場合には、リコールにより、ただちに引上げられる。わが國のこの法律案は、保安委員会は諮問機関であるが、この監督官がまことに強力なる力を與えられておる。リコールの制度を布く意思ありやと言うて聞いて見たところ、商工大臣は、その意思は全然ないという答弁でございます。
 結論として、この鉱山保安法は、労働者の参加を名目のみにとどめたところの、今日の生産第一主義、四千二百万トン、それを掘るためには実に怠慢なる鉱山における一切の不祥なるでき事にも目もおおわんとする意図が含まれており、まず生産するためのこれは行政保安廳であるということを確実にわれわれは指摘せざるを得ない。われわれは、生産その他の点も必要であるが、この保安法の意味する眞の目的は労働者の基本的人権の確保である。しかして、その災害を防止し、貴重なる生命を守るということがあくまでもこの保安法を貫く大きな目的でなければならないことを確信してやまないのであります。その意味において、本法案は警察法的な取締行政の色彩が濃い。しかして、この法案の運用いかんによつては、労働者に與えられたるところの爭議権もこれを抑圧することができるということを、私どもはまことに遺憾千万に存ずる次第であります。私は、このような意味合いから、ここに労働者を参加せしめることを口実に、保安施設に怠慢なる資本家の利益追求の犠牲に労働者、特に鉱山労働者がならんとする現実については、絶対に反対でございます。
 これに要するに、鉱山保安法は鉱山労働者の生命危害の防止をいたすものでありますから、これは強力なる労働行政の一環として、迅速に労働者のために運営さるべき法律をつくる必要があり、われわれは、これがために修正案を提出いたしまして、ほんとうの労働者の保安法をつくりたいと考えておりましたが、議事打切りの動議が出て、遂にそれを果し得ませんでした。近き機会において、眞に鉱山労働者の輿望にこたえるところの保安法をつくるであろうことをここに申し述べまして、反対の意見を表する次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 次は小金義照君。
    〔小金義照君登壇〕
○小金義照君 私は、民主自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました議案のうち鉱山保安法について賛成するものであります。
 この法律は、その第一條に明記しておりまする通り、鉱山労働者に対する危害を防止し、鉱物資源の合理的開発をはかることを目的とするものでありまするから、まず労働保護に関する特別法であると同時に特別警察法でもあり、また特殊な産業立法でもありまして、右の三つの性質を総合的に一体としたものを内容とする、きわめて重要な特別法であります。
 申すまでもなく、鉱業は一國産業の基礎をなすものでありまして、その盛衰消長はただちにその國の産業経済全般に重大な影響を與えるものであります。鉱業の保安は鉱山業経営の生命であります。鉱山労働者の安全なくして鉱業の経営はあり得ないのであります。と同時に、鉱業の経営なくして鉱山労働者はあり得ないのであります。この法律の内容及びその運用いかんは、わが國鉱業の発達を左右するものであるのみならず、ただちにわが國産業の全般にわたつて復興上重大な関係を持つものであります。
 そこで、わが國の現行の鉱業法を見ますと、これはたびたび修正を加えられておりまするが、明治三十八年に、すなわち四十五年ほど前に制定されたものであつて、政府においては全般にわたつて根本的な改変をする意思があるということを言明せられましたが、この鉱山の保安の問題は、もはや一刻も猶予することができない、その見地からこの第五國会に提案したというのであります。
 終戰以來、特に戰時中の濫掘に原因いたしまして、鉱業施設はひとく荒れ果てております。鉱山の保安状態は相当惡化して、災害もまた増加する傾向にあるのであります。これでは人命の安全及び鉱業生産の確保向上は望み得られないところでありまして、この法律の施行によつて、万難を排して災害の絶滅を期し、鉱産物の増加をはかり、その鉱産物増加の基礎條件をこれによつて裏づけたいというのであります。
 これを要するに、本法律案はおおむね妥当であると認められるのでありまするが、第一に、鉱山労働者に対する危害を防止することに完璧を期するとともに、捨石、鉱滓、排水、鉱煙の処理に伴う危害または鉱害の防止、土地の掘鑿による土地陥落その他の鉱害を防止する、いわゆる公益に対する危害、これらの防止について万全を期することがすなわち鉱物資源の開発を確保するゆえんであることを十分認識すること、第二に、本法の適用について無益な権限爭いなどをしないこと、十分氣をつけること、第三に、ストライキなどによるいわゆる保安の放棄は人命、公益を害すると同時に、天然資源を荒廃せしむることになるのでありまするが、これはこの法律以外の他の法規によつて規正されるというのであります。けれども、鉱山労働者の利益を侵害することなく、鉱業の保安の見地から十分これらの点について注意を拂うべきこと、第四、生命の安全と生産の確保を内容とする鉱業の保安を確保するためには、何はさておいても、まず保安設備を改善充実することがきわめて大事であります。この保安設備の確保充実をはかるためには、その基本的なものについては相当多額の資金と資材とを要するのであります。政府は、これらの点についても十分意を用いて遺憾なきを期せられること、以上四点を強く要望いたしまして、本案に賛成するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 聽濤克巳君。
    〔聽濤克巳君登壇〕
○聽濤克巳君 私は、日本共産党を代表しまして、本法案に反対を表明いたします。
 鉱山保安法案は、言うまでもなく鉱山の災害を防止し、労働者の身体、生命を守るということが目的であります。ところが、それならば一体今まで日本において非常におびただしい災害が起つて來ておりまするが、これは何を理由にして起つているでありましよう。これを究明することなくしては保安の目的を達し得られないことは、これまた言うまでもないことであります。
 ところで、終戰後日本の石炭産業におきましては二つの事実が非常に明らかに現われておるのである。第一には、政府が石炭増産を強行して來た事実であります。これは皆さんのよく御存じの通りである。これは皆さんのよく御存じの通りである。昭和二十二年救國増産運動が行われ、二十三年には三千六百万トンの増産が強行され、二十四年度は四千二百万トンの増産が強行されようとしております。もう一つの事実は、この政府の増産運動に対しまして、價格補給金あるいは復金の融資等におきまして、他のあらゆる産業に優先して、石炭に対しましては第一等の國家援助が行われて來ておる。莫大なる資金が投下されておるのである。このことは、だれの目にも明らかな事実であります。実は、このだれにも明らかな二つの事実の中からこそ、われわれは今日の鉱山の災害の眞の原因を発見することができるのであります。
 ところで、ここで指摘しなければなりませんのは、終戰後の炭鉱における鉱山労働者の罹災者数の推移でございます。すなわち簡單に申し上げますれば、昭和二十一年には六万二千四百二十四人の罹災者であつたものが、二十二年におきましては九万三千五百十六人、二十三年には十四万二百人に激増しております。これを出炭百万トン当りで調べてみますれば、昭和二十一年の二千七百七十六人に対しまして、二十二年には三千百七十一人、二十三年は実に四千五十二人に達しておるのである。このことは一体何を物語つているでありましよう。さきにあげました二つの明らかな事実を考え合せるならば、ここにはつきりした結論が出て來るではございませんか。
 第一に、すなわち政府の増産運動が強行されればされるほど年とともに労働者の災害が激増しておるということ、このことは、言いかえますならば、増産運動が労働者の身体、生命の危險において行われたということを、きわめて明瞭に物語つております。さらにもう一つの事実は、増産運動のため莫大な國家資金が投ぜられたにもかかわらず、この災害の増加を防止し得なかつたということ、これはいかなることでありましよう。これは裏を返して申しますならば、莫大な援助にもかかわらず、事実炭鉱資本家が安全の施設、保安の施設をサボタージュして來たという明らかな事実であります。炭鉱業その他における現場の状況は、如実にこれを物語つておる。事実、保安の設備の不完全あるいは労働の強化なども、すべて増産のたまにはやむを得ないの一言でもつて、どんどんこれが無視されて來ておるのは、現場の労働者諸君を最も苦しめておる問題であります。
 しからば、災害の眞の原因は、ここにすでに明らかになつておるのであります。一口にまとめて申し上げますならば、政府が莫大な國家援助を與えながら、石炭資本家の保安サボを放任しておきながら、労働者の一方的な犠牲によつてのみ増産を強行して來たということ、このことが鉱山災害の根本の原因であろうと思われるのである。つきまして、本日上程されておりまする鉱山保安法は、実はこの根本の原因につきましては、ただの一指も加えることなく、さらに名づけるに保安法をもつてしておるにすぎないのであります。このことは、労働者の保安のために立案されたものではないことをはつきり物語つておる。これは明らかに資本家的増産を強行する、今までやつて來た從來の政府の鉱山行政を合法化し、さらに進んで四千二百万トン増産を、この方法を強行してやらんとする目的によつてつくられたものであります。これは明らかに労働者にとりましては、ただ災害と犠牲の激増を約束する以外の何ものでもないのであります。私は、根本の反対理由をここに置いておるのであります。
 法案の内容について二、三の点を指摘いたしますれば、第一に、商工省の所管となつておることが、いま私の申し上げました性格を如実に物語つておる。このことは、今澄君もすでに指摘した通りであります。
 その次には、資源の保護ということが法案において強調されておりまするが、これは明らかに労働運動を彈圧する意図が背後にはつきりと現われておるのであります。すでに皆さん、全國の炭鉱至るところにおきまして、政府の派遣したあの炭鉱特別調査團なるものは、安全と増産に名をかりまして、爭議のあらゆる彈圧を強行しておるのであります。
 第三には、保安の義務を無制限に労働者に負わしておることであります。この中には、拡張解釈が幾らでもできるような、保安の規則を守らなければならないという規定を入れておる。ところが、労働者に対しましては常に嚴重にこれを施行して、資本家に対しましては非常にルーズにこれを実行して参つたのが事実であります。これは、この保安規則が労働者に大部分の責任を轉嫁しようとする、こういう明らかな意図も感じられるのである。
 第四には、官僚機構とその権限が強化されておることであります。新しい機構をつくりまして、政府は約三百人近い官僚をもつて監督させると言つておるけれども、いまだかつて、いかなる部分におきましても官僚によつて取締りのできたためしはない。事実この鉱山保安も問題におきましては、これら官僚ボスが鉱山の災害を拡大再生産して來たところの当の責任者である。こういう者に監督権を渡すということは、どろぼうに荷物の番を頼むようなものであります。これは労働者に全権を與える以外に絶対に解決の道はないものであります。
 そのほか、保安委員あるいは中央、地方の協議会の問題もありますが、これはすでに今澄議員の指摘した通りでありますから、ここでは省略いたします。
 かくいたしまして、本法案は、ここに労働者の犠牲において増産を強行しようとする意図によつてつくられたというだけではなくして、進んで保安に名をかりて労働者の爭議権彈圧の危險すらも持つている。しかも、この法案の提案者が民主自由党内閣であり、さらにこれを実施するものまた民主自由党内閣であるということは、この法案の今述べたような性格がまさに決定的にならうとしておるのであります。
 以上が私の反対論でございますがここにもう一つ重大な反対理由をつけ加えなければなりません。それは、昨日商工委員会におきましてこの法案の審議をやつておりましたとき、われわれ共産党員が質疑を続行中でありましたにもかかわらず、神田委員長代理は突如われわれの発言を封じておきまして、そうして民主党の田中伊三次君の動議を取上げまして、われわれの一切の質疑打切りを採決してしまつたのであります。私は、これはまことに委員会における正当なる発言を抑圧し、民主的な議事の進行を妨げ、委員会の権威と権限を破壞するところの、まことに傲慢無礼なしうちであると考えるのであります。
 この法案は、かくのごとくきわめてファッショ的な議事の運営によつて成立したものでありまするが、一体何のためにこういう暴力的審議が行われたのでありましようか。それこそは、先ほど冒頭に私が申し上げましたように、この保安法の根本原因として資本家の保安サボを取上げなければならないこと、そのためには莫大な國家援助の使途の行先をほんとうに糾明しなければならないことを主張しまして、特にその一例として、先ほど風早議員が指摘しましたような麻生鉱業の問題をわれわれは提起いたしまして、麻生鉱業の経営と経理に関する重大なる疑惑をわれわれは表明し、商工委員長初めその他の政府委員に対して、われわれがこれに対して熱心なる質疑を継続中、この暴挙が行われたのであります。皆さん、まことに微妙なる何ものかを感じさせられるではありませんか。
 しかしながら、結局のところ、こういう原論の封殺をやるということは、われわれをして麻生鉱業事件に対する疑惑をさらにさらに深くさせるだけであります。今日炭鉱の労働者諸君、金属鉱山の労働者諸君は、全國的なるストライキをもつて身を守るために闘つておりますが、このさ中においてこの反動的法案が提出されたということは、決して偶然ではありません。これはまさに民主自由党の人民抑圧の政策の一端が現われたにすぎないのである。しかしながら、私はここで断言いたしたい、必ずやかかる諸政策に対しましては、労働者を初め人民諸君の間から偉大なる反撃が起るであろうということを。日本共産党は人民の側に立つて、民主自由党のかかる反動的諸政策に対しまして徹底的に闘うことをもつて私の結論といたす次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。まず日程第三十について採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に日程第三十一について採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第三十二、水産業團体整理特別措置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。水産委員長石原圓吉君。
    〔石原圓吉君登壇〕
○石原圓吉君 ただいま議題となりました、政府提出、水産委員会付託にかかわる水産業團体整理特別措置法案に関し、その審議の経過及び結果の概要を御報告いたします。
 まず、本法案につきまして政府提案の理由を説明いたします。水産業協同組合法の制定に伴う水産業團体の整理等に関する法律中にその方途に関して規定してありますが、なお債権者の保護及び財産の評價基準等につき規定する必要があるので、その措置をとろうとするのが、本法案提出の主要なる理由であります。
 本法案は全文九箇條より成つておりまして、その内容のおもなる事項について概略御説明申し上げます。
 まず第一は、水産業團体より水産業協同組合へ債務を承継させるについて債権者保護の手続を講ずる点であります。第二には、水産業團体より水産業協同組合へ財産を移轉する際の財産の評價基準であります。以上がこの法案のおもなる事項であります。
 本法案は、五月六日、本委員会に付託され、七日政府委員より提案理由の説明を聽取、次いで十一日法案の逐條審議に入りまして、委員と政府委員との間に質疑應答が行われましたが、その詳しい内容につきましては会議録に譲ることといたします。
 かくて委員会は、討論を省略しまして、ただちに採決に入り、全員一致をもつて政府提案の本法案は可決された次第であります。
 以上御報告申し上げます。
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第三十三、港則法の一部を改正する法律案、日程第三十四、船舶運営会の船員の退職手当に関する交付金を船舶所有者に交付する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員会理事關谷勝利君。
    〔關谷勝利君登壇〕
○關谷勝利君 ただいま議題となりました二法案につきまして、きわめて簡單に御報告を申し上げます。
 まず港則法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案の趣旨を簡單に申し上げますを、現行港則法によりますと、港内諸施設の管理者と港長との事務範囲が明確を欠くおそれがありますので、港長は行政権を、管理者は管理権を行使するよう明らかにしようとするものであります。また新たに港内における船舶交通の安全の確保及び港内整頓のために港内並びに一定区域内の水質汚濁防止の條項を設けるとともに、從來の実績に徴しまして、特定港のみに適用されていました命令、許可等の制約を特定港以外の港にも準用することとするものであります。なお、現在の経済事情に即應いたしまして罰金の額を適当に改めようとするものであります。
 本案は、海上交通の安全を期するために当然の措置と認め、質疑並びに討論を省略して直ちに採決に入り、全会一致をもつて政府原案の通り可決した次第であります。
 次に船舶運営会の船員の退職手当に関する交付金を船舶所有者に交付する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案について政府委員より提案理由の説明を聽取し、これを審議いたしてのであります。本法案の趣旨を簡單に御説明申し上げますと、國家使用船が、さきに公布されました船舶運航管理令によりまして、本年四月一日から定期傭船制度に切りかえられましたので、從來船舶運営会所属であつて船員は船舶所有者に雇用されることとなりましたので、後日これら船員が退職する場合に交付する退職金の引当として交付金を当該船主に交付しようとするものであります。また船員が退職する場合に交付する退職手当については一定の基準を定め、なお右引当金は退職手当以外には一切使用できないことに規定しようとするものであります。
 本法案に対する質疑のおもなる点を申し上げますと、定期傭船切りかえにより船員の失業が生ずるのではないかとの質疑に対し、政府より、定期傭船切りかえに際しては全員船舶所有者が吸收するので心配はないとの答弁がありました。その他詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 かくて、討論を省略してただちに採決に入り、多数をもつて可決すべきものと決定した次第であります。
 右御報告を申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これより採決いたします。まず日程第三十三につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第三十四につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 水防法案(内閣提出)
 建設業法案(内閣提出)
 屋外廣告物法案(内閣提出)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、水防法案、建設業法案及び屋外廣告物法案の三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君に動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 水防法案、建設業法案、屋外廣告物法案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長淺利三朗君。
    〔淺利三朗君登壇〕
○淺利三朗君 ただいま議題となりました水防法案、建設業法案及び屋外廣告物法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず最初に水防法案について御報告申し上げます。本法案は、近年の水害の実情にかんがみ、災害復旧または防除工事と並行して水防組織を整備し、水防活動を強化して災害を最小限度にとどめる必要がある等の理由で提出せられたものであります。
 本法案の要旨は法案によつて御承知のこととは存じますが、本法の主眼とする点を簡單に申し上げます。現在の水防活動は、消防組織法において、消防署、消防團等の消防機関が水防の衝に当り、その活動の基準は消防法に定められておるのでありますが、消防法は消火を主眼として制定せられ、水防活動については適正を欠くきらいがあるがゆえに、水防に対してその特殊性に対應するために、消防法と相まつて水防法を設定する点にあるのであります。從つて、水防に関して既設消防機関の活動につきその基準を示すとともに、水害の特殊事情に應じて、消防機関のみをもつては不十分なる場合水防團を組織するという点にあるのであります。
 本法案について論議の中心となりました点の第一は、消防法のほかに水防法をつくるよりも、むしろ消防法を改正して足るのではないか、もし改正するならば水火災害に通ずる完全なる法案を制定すべきではないかとの点、第二は、その組織において新たに水防團を設置することによつて、かえつて機構を複雑化し、屋上屋を架するきらいなきやという点、第三は、第七條の都道府縣の水防計画は建設大臣の承認をもつて足り、國家消防長官の承認を受くる必要ありやいなやとの点、第四は、市町村等に水防の責任を負わせ、新たに水防團の設置により窮迫せる地方財政に対する負担の重圧は避くべきではないか、またこれに対して國家が財政的援助をなす意思ありやいなやとの点にあつたのであります。特に第四点については、地方行政委員会の要望も町村長会長の陳情等もありまして、特に愼重審議いたしたのであります。以上の論点に対しそれぞれ政府委員より答弁があり、特に第四点に対しては、政府は財政法の規定によつて適当に考慮するとの言明があつたのであります。詳細は速記録に譲ります。
 かくて討論に入り、民主自由党代表の瀬戸山君、民主党代表の天野君より、前述論議の点に触れて二、三希望を付して賛成の発言があり、また社会党代表の上林君、民主党代表の村瀬君は、前に論議となりました点を理由として反対の発言があり、特に村瀬君よりは、地方財政の影響について強く主張せられました。なお共産党の池田君、新政治協議会の笹森君より、それぞれ党を代表して反対の発言がありました。次いで採決に入り、多数をもつて原案通り可決いたしました。以上御報告申し上げます。
 次に建設業法案について御報告申し上げます。御承知のことく、建設事業は公共の福祉及び国民経済に至大なる関係を有するものでありまするが、近時建設業者の種々なる惡條件は建設工事の適正なる施工及び業者の健全なる発達を阻害しておりますので、これが是正と改善をいたさんとしたのが本法案であります。
 その内容について申し上げますと、第一は、本法案は公共の福祉に直接関係ある工事を施工する建設業者のみに適用することといたしております。從いまして、軽微なる工事を行うものは適用から除外されておるのであります。第二は登録制の実施であります。第三は請負契約の規正であります。第四は技術者の設置でありまして、これによつて建設工事の適正なる施行を企図しております。第五は建設業審議会の設置であります。
 以上が本法案の骨子でありますが、本法案の重要性にかんがみまして、本委員会においては、民間学識経驗者並びに発注者及び業者がそれぞれの代表者を招致いたしまして、参考人としてその意見を聽取いたしますとともに、愼重審議いたしました。全参考人より最も有益なる意見が述べられ、かついずれも賛成の意見を述べられました。
 次に、委員と当局との質疑應答中おもなるものを申し上げます。まず第一には、外國に事例ありやとの点に関しては、米國では十九の州が本法案よりさらに嚴重なる規定、すなわち免許制を設けてあるとの答弁があつたのであります。第二に、本法案は大業者の擁護のための法律ではないかとの質問がありましたが、これに対しては、登録要件を備えるものであれば大業者、中小業者の別なく全部本法律によつて保護育成せられるものであつて、特に大業者擁護のための法律ではないとの答弁がありました。第三には、登録要件中学歴なき者の実務経験を十年と改めることは長過ぎはしないかとの質問でありましたが、これに対しては、能力により多少の差異ありとしても、一人前の工事を責任をもつて主宰するには少なくとも十年の経驗が必要であるとの答弁がありました。第四は、契約の片務的是正の点、第五は建設業審議会の運営の点であります。これらの詳細は速記録に譲ります。
 かくて、五月十一日質疑を終了し、討論に入つたのでありますが、まず日本共産党代表の池田峯雄君、新政治協議会代表の笹森順造君より反対の発言があり、日本社会党代表の上林與市郎君より二、三の希望意見を付して本案に賛成の討論が行われました。また民主自由党の高田弥市君、民主党の増田連也君及び民主党の天野君よりそれぞれ賛成の討論があり、採決の結果、多数をもつて原案通り可決いたした次第であります。
 次に屋外廣告物法案について御報告申し上げます。現在の廣告物取締法は明治四十四年の制定にかかり、その内容は新憲法及び地方自治法の精神に照らして改正を必要とするものがりますので、これを廃止して、これにかわつて本法案を制定しようとするものであります。
 本法案の要旨は、美観風致を維持し、また公衆に対する危害を防止するために、屋外廣告物の表示の場所及び方法等に関し必要なる基準を定めることを目的としております。このため、法律によつて定められた基準に基き府縣において條例を制定してこれを行わんとするもので、これは地方自治の趣旨に沿うものであります。
 委員会におきましては、五月二日に付託されまして以來愼重審議を重ねました。次に論議の重点となりました一、二の点を申し上げます。
 第一は、本法案は憲法第二十一條に保障されている表現の自由と抵触しないかという点であります。これに対しては、表現の自由は公共の福祉に反しない限りにおいて尊重されるべきであるとの答弁がありました。
 第二は、本法案の施行により労働團体等の集会、宣傳活動等が制限される結果とならないかという点であります。これに対しては、本法案の目的とするところは純粋に美観風致の維持並びに危害の防止に限るのであり、廣告の内容を取締りの対象とすることはないという政府当局の答弁でありました。その他二、三の論議がありました。
 具議に討論に入り、日本社会党を代表して前田榮之助君、共産党を代表して池田峯雄君より反対意見の陳述があり、また民主自由党の大西弘君及び民主党の増田連也君、天野久君、新政治協議会代表の笹森順造君等より、それぞれ党を代表していずれも賛成の意見の開陳がありました。かくて採決に入り、多数をもつて本案を可決いたしました。
 右、三法案を一括して御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。上林與市郎君。
    〔上林與市郎君登壇〕
○上林與市郎君 ただいま一括議題となりました三法案のうち建設業法案については希望を付して賛成いたしますが、他の二法案、すなわち水防法案及び屋外廣告物法案に対して、日本社会党を代表して反対を表明するものであります。
 まず水防法案について申し上げます。今般政府が水防法案を提案し、これが制定を企図した目的を見まするに、消防法及び消防組織法の一部を改正して、從來消防團の活動対策であつたところの水害、火災、震災等より水災害のみを抽出分別して、しかして市町村を含むいわゆる水防團体、特に指定水防團体の責任において水災害を警戒し、防禦し及びこれによる水災害を軽減し、もつて公共の安全を保持せんとしているのであります。
 御承知の通りわが國は、災害、ことに水災害がしばしば起る國であります。また戰時戰後を通ずるいわゆる治山治水対策の不備怠慢及び他の惡條件が競合して、近年は特に水災害が激増し、人命財産を脅かすのみならず、國民生活の安定、國土復興に著しい支障となつているのであります。かかる現状にかんがみまして、われわれは水災害施策の基本的課題として完全なる立法の必要性を痛感すると同時に、これが実現の一日も早からんことを期待するものでありますけれども、なおかつ本法案に対しては次の理由から強く反対するものであります。
 第一の理由は水防團の組織及び運営上の点であります。本法案を見るに、都道府縣知事の指定を受けない市町村は任意ということにはなつておりますが、原則として水防活動の組織主体たる水防團の設置を予定しているのであります。ここに見られる水防團の活動対象となつている主たる事項は、從來消防團によつてなされていた事柄とほとんどダブつているのであります。かような点を考えてみる場合、今回政府は何ゆえに原稿消防法の整備強化をはかつて水災害対策の完全を期するの方法を採用しなかつたのであるか、その点了解に苦しむのであります。これらの措置を講ずることなく、政府があえて本法案を提案したことは、機構の複雜化、すなわち屋上屋を架する、いたずらなる機構いじりにすぎないといわれても弁明の余地がないと思うのであります。かりに今日の水災害の重要性にかんがみまして根本的立法を試みんといたしましても、現行消防法はそのままに存続せしめ、別にまた水防法を制定するといつたような部分的立法はやめて、水災害はもちろん、一切の災害の防止対策を織り込んだ総合的、統一的立法こそ現下の急務であり、現下の要請にこたえるゆえんであると信ずるのであります。
 次に反対の理由は費用負担に関する点であります。本法案は、第三十二條及び第三十三條において、水防管理團体及び都道府縣の費用負担について規定をしているのであります。これによれば、もし市町村が水防事務の処理のために水防團を設置する場合はもちろんのこと、一たび水防團に指定されますると、当該市町村はこれに要する費用のことごとく負担する建前になつているのであります。これでは、それでなくとも諸経費の膨脹ゆえに貧窮にあえいでいる町村財政、ことに経済九原則実施の過程において、地方財源として予想された配付税は半減を見、公共事業費として計上さるべきはずの國庫負担もまたはなはだしき削減にあつて、六・三制の実施、自治体警察はもちろん、消防團の維持存続さえ危ぶまれる現状において、さらに別個の機構を新設して費用を負担せしめることは、その趣旨のいかんにかかわらず、地方財政を破綻に追い込んで、現実にはむしろ本法案の趣旨に逆行する結果になるおそれなしとしないのであります。そこでわれわれは、水災害の重要性にかんがみまして、かりにあらゆる災害を総合統一した立法をする場合においても、これに要する費用のごときは、基本的には政府の責任においてまかなわるべきものであると考えるものであつて、この点について本法案は致命的欠陷を有するのであります。以上二点を主たる理由として反対するものであります。
 次に屋外廣告物法案について申し上げますが、本法案に対しましては全面的に反対の意を表するものであります。本法の目的たる美観風致を維持し及び公衆に対する危害を防止することは、社会党といえども希望するところでありますが、本法はあまりに多くの不備の点があつて、その結果、本法が実施される場合は、農民運動、労働運動、社会運動等の健全なる発達を阻害するおそれがあると思うのであります。本法第二條に、はり紙及びはり札が取締りの対象となつておりますが、これらによる美観風致の維持は、廣告者の住所氏名を明記いたしまして責任を明らかにし、それに期間を付して本法の目的を達することができるのに、本法は國民の民主的精神の信頼を無視し、いたずらに法律で無理解な統制を行わんとすることは、まことに不当であるといわなければならぬのであります。憲法第二十一條においては、民主主義政治発達のため「集会、結社及び原論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と規定されておるが、美観風致を維持する美名に隠れて、憲法に保障されたる國民の自由を無法に彈圧すべきではないと考えるのであります。(拍手)
 こまかい点にわたつて述べるとすれば、いまだ多くの議論の余地がありますけれども、この際これを省略して、以上主たる点だけを指摘し、右二法案に対して反対の意を表明するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 次は池田峯雄君。
    〔池田峯雄君登壇〕
○池田峯雄君 共産党は、現政府が往年の治安維持法、治安警察法あるいは帝國憲法の條文を小きざみにし、こまぎれにして、よろいの上に法衣をまとう粉飾を凝らしながら、あらゆる法案の中にこつそりと忍ばせて來ることに対しまして、徹底的に反省しているものであります。(拍手)從いまして、本日上程されました屋外廣告物法案の中にも、かような意図が明らかに看板されますがゆえに、私はこの法案に絶対反対せんとするものであります。(拍手)
 この法律は、美観風致の維持、公衆に対する危害の防止とう、きわめて漠然たる範疇に基いて、都道府縣條例により、一定の地域内の屋外廣告物の表示、あるいは廣告物を提出する物件の設置を制限ないし禁止することができるという、憲法第二十一條に保障されております一切の表現の自由を束縛せんとする、きわめて重大な法律なのであります。
 政府委員の答弁によりますると、美観風致の維持を必要と認める地域内において、すべての屋外廣告物にひとしく制限ないし禁止の処置をとることができるが、個々の廣告物の内容について制限ないし禁止することはないというのであるけれども、本法第五條では、廣告物及びこれを提出する物件の形状、面積、色彩、意匠その他表示の方法について禁止または制限することができることになつておるのであります。從いまして、もし内容について制限または禁止せんとする意思があるならば、この第五條を適用して、あらゆるものをあらゆる場所で禁止制限することが可能なのであります。(拍手)
 また政府委員の答弁によりますると、美観風致を維持するに必要な地域内においても当然例外は認めなければならないということでありますから、極端に申しますと、かりに日本全國を美観風致維持に必要な地域といたしました場合においても、あるものは例外としてこれを認め、あるものは例外としてこれを禁止し制限することもまた決して不可能ではないのであります。(拍手)從つて、これは現政府のきわめて陰險なる半人民的意図がこの法文の中に隠されているということを、われわれは絶対に見のがすことができないのであります。(「紙がないのだ」と呼ぶ者あり。)
 そんなことはないという声がありますけれども、今全國で大きな問題となつておりまする公安條例、これに対して、基本的人権の蹂躪として一大反対運動が起りつつある。この現実、この事実を何と見るのでありますか。今審議中のこの法案は、だれによつて、だれのために使われるか、きわめて明々白々たるものがあります。すなわち、今や吉田内閣の政策が刻々破綻に瀕し、労働者、農民、市民等大多数の人民大衆がようやく現政府に対して批判と反対の機運を色濃くして來たことに不安を感じまして、これら國民の自由になる意思の表現を奪わんがために、すなわちあの接吻であるとか、はだかの踊りの看板であるとか、ああいうものを取締るのではなくして、まさに、共産党、労農党、社会党、あるいは労働組合、農民組合等のビラ、ポスター、プラカードまで禁止制限せんとする意図あることは、きわめて明らかであると断言できるのであります。(拍手)このことは、建設委員会における民自党の諸君の賛成の意見の中におきましても、この國会の周囲にはりめぐらされておる労働法規改惡反対、首切り反対のビラ、あれこそまさに美観風致を害するから、立ちどころに取締らなければならないということを、はつきり言明しているのであります。私たちの概念に從いますならば、この汚れた日本におきまして、混乱せる日本におきまして、富貴も淫するするあたわず、威武も屈するあたわず、孟子のいわゆる浩然の氣を表わしているものがあのビラであると思うのであります。(拍手)
 かつて治安維持法が制定せられましたときに、これが適用は共産主義者に対してのみという当時の政府の説明であつたのであります。しかしながら、共産主義者ばかりでなく、多くの社会改良主義者、あるいは進歩的学者、自由主義者、ブルジョア民主主義学者までが、この法律によつて、治安維持法という惡法によつて逮捕され、監禁され、投獄されたのではありませんか。あるいはまた、ドイツのワイマール憲法がナチス・ヒトラーの手によつて、いかなる径路によつてそれが無惨にも蹂躪されたかという歴史をひもともとならば、まことに思い半ばにすぎるものがあるのであります。(拍手)美観風致というまことに耳ざわりのいい概念から憲法の一角がくずれ落ち、基本的人権が次々とはぎとられ、遂にはこの民主主義の殿堂も、黙れというあの一喝によつて軍部の鼻息をうかがわなければならないような、でくのぼう議員ぞろいになつてしまつたあの状態に、だれがならないと保証できるでございましようか。(拍手)私は、民主主義を守り、憲法に保障された國民の権利を守るために、民主主義を守れと私どもを選挙してくれた多くの國民の声を代表いたしまして、本法案に絶対反対するものでございます。(拍手)
 なおまた水防法案に対しましても共産党は絶対反対するものであります。私は、この法案が建設委員会に提出せられましてときに、往時軍部、官僚が横暴をきわめておりました時の、あのやり方をふと連想せざるを得なかつたのであります。すなわち彼らは、やまと魂、皇國精神、あるは滅私奉公、一億玉碎等の言葉を盛んに使用いたしまして、雨あられと降り注ぐ爆彈、燒夷彈に対してバケツと火たたきで対抗しろ、対抗できると指導し、原子爆彈に対しては白い着物を着てこれを防げ、敵の本土上陸には一人一殺、竹やり戰術を唱導したあのやり方、あの考え方が、そのまま水防法案の中に生かされていることを指摘することは、決して困難ではないと信ずるのであります。
 本法案の提案理由の中に、こううたつております。「御承知の通り、近年洪水による災害は激増の一途をたどり、昭和二十三年度のごときは、公共土木施設の被害のみでも五百億円に上つておりますところ、一方治水の根本対策たる河川砂防の費用は、國家財政の現状より思うにまかせないありさまで、このまま放置いたしますならば、洪水の害は遂にとどまるところを知らないのであります。」と書いてあります。すなわち、今や國土の荒廃その極に達し、本年度のごとき僅少なる公共事業費をもつてしては、本年予想せられます大水害、大被害をとうてい防止することができない現状にあることを政府自身認めておるのでありますが、しかも吉田内閣の力では、この被害を未然に食いとめることはできない、不可能である。政府が政府の任務を全うすることができない。そこで、こういつた民自党政府の性格といたしましては、荒れ果てた國土を顧みるいとまがない。そこで政府が考え出したのがこの水防法であり、往年の防空訓練さながらの竹やり、バケツ戰術であるといつても絶対過言ではないと思うのであります。(拍手)
 しかも、この水防法に要する費用は当該水防管理團体が負担すると規定されておりますからして、政府の責任は毫末もその法案にうたわれていないのであります。しかるに、市町村、市町村組合あるいは水防予防組合等に対しましては、その区域における水防を十分に果すべき責任を有するというように規定されているのであります。一体現在の地方公共團体に、かような経費をまかない、しかもその責任を十分に果すことができる経済的基礎がるでありましようか。(拍手)地方の財源はほとんど中央に吸收され、地方配付税の配付率は削減され、二十二年、二十三年度の災害復旧あるいは六・三制の学校建築等のために莫大な負債を負うておる状態であり、さらに自治警察費あるいは教育費等当然國庫が負担すべきものを地方が負担し、一方地方産業の疲弊もようやくその極に達しようとしているとき、政府は災害防除のための手段をとつてやることはできない、お前たちで責任をもつてやれ、そうして今度堤防が崩れて災害が起きても、それはお前たいの責任だぞ、といわんばかりの法案でございます。(拍手)
 かような一片の法律によりましては、水害を防止することは絶対にできません。近代的科学兵器に竹やりで対抗せよというのと同様、あたら尊い人命を、また労力と資材とを、いたずらに荒れ狂う自然の猛威の飜弄にまかせるのみであります。共産党は、大企業あるいは独占資本擁護のための経費、警察、税務署等の人民收奪用経費の全面的削減によつて税金を減らし、公共事業費を大々的に増額して國土の復興に充当すべきことがまず現在の政府の責任であるということを要求いたしまして、本法案には絶対反対の意を表明する次第であります。(拍手)
 なおまた建設業法案に対しましては、はやり反対でございます。特にこの建設業法の中で問題になりますものは審議会でございます。この審議会なるものは、從來日本の政治権力と密接な関係を持ち、不当利得をむさぼつておりましたところの、そういう惡質な大土木業者がこの審議会に多数参加いたしまして、そうしてこの建設業審議会なるものが工事を独占し、またこの審議会が惡の花、毒きのこの温床になるであろうということは、これは言をまたないところのであります。從いまして、この法案においても、あるいは建設業者の不正を取締るというようなことがうたわれておりますけれども、しかしながら、由來日本の土木建築業者に不正はつきもののことくいわれておる。これは日本の官僚機構、日本の政治機構、そこに根本的な原因があるのであります。すなわち大土建業者と‥‥
○副議長(岩本信行君) 池田君、池田君に申し上げます。申合せの時間をきわめて多く経過しておりますので、簡單にお願いいたします。
○池田峯雄君(続) 大土建業者と高級官僚、あるいはある政党幹部との結合によるところの不当利得、これが政界を汚辱させていたのでありまして、これが本法案によります審議会を中心といたしまして、きわめて合法的に、公然と惡の花が栄えることになることがはつきりと見通されますがゆえに、わが党はこの法案に絶対反対いたしまして、この審議会は労働組合、農民組合、あるいは市民團体、あるいは土建労働組合、職員組合、あるいは中小土建業者の代表等によつて構成すべきことを要求いたしまして、以上三法案に対しまして、反対の討論を終る次第でございます。
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決いたします。まず水防法案について採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に建設業法案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に屋外廣告物法案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 明十三日は定刻より特に本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後六時二十八分散会