第005回国会 本会議 第28号
昭和二十四年五月十三日(金曜日)
 議事日程 第二十六号
    午後一時開議
 第一 國立國会図書館法第二十條の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律案(図書館運営委員長提出)
 第二 國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 外國保險事業者に関する法律案(内閣提出)
 第四 郵政事業特別会計法案(内閣提出)
 第五 電氣通信事業特別会計法案(内閣提出)
 第六 犯罪者予防更生法案(内閣提出)
 第七 犯罪者予防更生法施行法案(内閣提出)
 第八 社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第九 死体解剖保存法案(内閣提出、参議院送付)
 第十 裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十一 皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第十二 土地改良法案(内閣提出)
 第十三 土地改良法施行法案(内閣提出)
 第十四 水先法案(内閣提出)
 第十五 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十六 内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十七 國立世論調査所設置法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 内閣からの申出にかかる大藏省設置法案中修正の件
 配炭公團の改組に伴う中小炭鉱危機に関する緊急質問(今澄勇君提出)
 炭鉱ストに関する緊急質問(岡田春夫君提出)
 身体障害者対策に関する決議案(鈴木仙八君外十九名提出)
 水力電源開発に関する決議案(神田博君外二十三名提出)
 日程第十六 内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十七 國立世論調査所設置法案(内閣提出)
 日程第一 國立國会図書館法第二十條の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律案(図書館運営委員長提出)
 日程第二 國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 外國保險事業者に関する法律案(内閣提出)
 日程第四 郵政事業特別会計法案(内閣提出)
 日程第五 電氣通信事業特別会計法案(内閣提出)
 日程第六 犯罪者予防更生法案(内閣提出)
 日程第七 犯罪者予防更正法施行法案(内閣提出)
 日程第十 裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十一 皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第八 社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第九 死体解剖保存法案(内閣提出、参議院送付)
 日程第十二 土地改良法案(内閣提出)
 日程第十三 土地改良法施行法案(内閣提出)
 日程第十四 水先法案(内閣提出)
 日程第十五 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 労働組合法案(内閣提出)
 労働関係調整法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    午後二時五十三分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより本日の会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 内閣より大藏省設置法案中修正したいとの申出があります。この申出を承諾するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて承諾するに決しました。
     ――――◇―――――
 配炭公團改組に伴う中小炭鉱危機に関する緊急質問(今澄勇君提出)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、今澄勇君提出、配炭公團改組に伴う中小炭鉱危機に関する緊急質問及び岡田春夫君提出、炭鉱ストに関する緊急質問を逐次許可せられんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 配炭公團改組に伴う中小炭鉱危機に関する緊急質問を許可いたします。今澄勇君。
    〔今澄勇君登壇〕
○今澄勇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、配炭公團改組に伴う中小炭鉱危機に関し、炭鉱の労働問題とあわせて、吉田総理、商工、大藏、労働、法務の各大臣に緊急質問を申し上げる次第であります。
 昭和二十三年度の石炭三千六百万トンは、コスト主義に加えるメリツト主義をもつて遂行されたのであります。吉田内閣成立以來、昭和二十四年度の四千二百万トンは、これを純然たるメリツト主義に切りかえようというのでございまして、御承知のように本日國会に対し配炭公團の改組の法律を出しました。四千カロリー以下は自由市場に放逐して、低品位炭はかたよれる一方的なメリツト主義でたたきつけ、全國中小炭鉱四百六十鉱、九万に及ぶ炭鉱労働者の死活の問題として、宇部、常磐及び九州、北海道の一部において大動搖を來たしておることは、皆さん方の御承知の通りでございます。宇部においては特に全市、小野田においても全市、常磐の福島、茨城の両縣をあげて問題となつておりまするこの際、炭鉱労働組合全國四十数万は、明日より一齊にストライキに入らんといたしておるのであります。この問題に関して、私は以下四点をあげて御質問申し上げたいと思います。
 まず第一点は、政府がこれまで行つて來たコスト主義によつて生産にかり立てられ、そうして災害をものともせず生産を続けて來た四百六十鉱の中小炭鉱が、今度の配炭公團法の改組と、それに伴うメリツト炭價によつて全滅いたすのでございますが、この責任は、きのうはコスト主義によつて炭鉱を継続せしめ、今日はメリツト主義を採用して、それらのものを全部崩壞せしめる。しかるに政府は、これらの中小炭鉱のその崩壞のあとの責任、九万余に及ぶ労働者の失業、生活保障というものには何ら触れておらないのでございますが、もしこの法案のごとくならば、中小炭鉱はまさに資金、資材、食糧、輸送等の問題の援助と保護を受けることができないから、これが崩壞することは確かであります。この責任はあげて政府にあるといわなければなりません。(拍手)政府は、こういつた政策の急極端なる百八十度の轉換によつて生み出されるところのこれらの炭鉱労働者とその企業者に対して、いかなる形において責任をとろうとするか、これを私は聞きたいのであります。
 それに加えて私は、メリツト主義ということになると、高級炭も低級炭も、掘り出す手数と設備は、同じであるから、そのコストは同じであります。しかるに、その値段が高級炭一トンに対して低級炭六トンをもつてしてもなお足らないというような極端なる差がつけば、ここで利益を受けるものは大炭鉱、三井、三菱その他五、六の大手筋にとどまるのであります。それらの株式は連日暴騰を続けておるのであります。政府は、このような一部大手筋炭鉱と何らかの黙契を結んで、かかる処置を行つたのではないかという疑念をも生ぜざるを得ないのでありますが、この点についての明確なる御答弁を願いたいのでございます。(拍手)
 かくて引起された炭鉱爭議については、中労委は御承知のように末弘案をもつてここに勧告をいたしました。労働組合側は、今日の四千二百万トンの達成の重大なるにかんがみ、不満をしのび、これを承諾せるにもかかわらず、連盟側は、今日に至るまで頑迷そのものをもつてこれを拒否する、國会においては、そういつた強行なる措置をとる法律を出し、政府がこれを強行し、経済界に置いては、かような一部大手筋を含める炭鉱資本家の強力なる圧力によつて、この爭議がなかなか解決しない現状でございます。炭鉱爭議に対して、鈴木労働大臣は、目下中労委のあつせんにまかしておくべき状態である、この状態が経過したならば政府は何とかするであろう、明言の限りでないということでございました。私はこの際、コスト主義とメリツト主義に伴う政策の変更についても政府は責任を負うとともに、それによつて巻き起されておる今次の炭労の爭議については、その責任のほとんど全部は吉田内閣にありといわなければならないのである。(拍手)しかるにもかかわらず、中労委にこれを一任して、何らこれに対して手を打たないがごとき態度は、まことに責任回避もはなはだしきものであると言わなければならないが、総理大臣、労働大臣、商工大臣の見解を承りたいのであります。
 しかして、復興金融金庫の融資並びに補償金の打切りに伴う中小炭鉱の資金の金詰りは、はなはだしいものである。坑木の代金が拂えない。從つて坑木が入らない。坑木なき炭鉱において働く労働者は、原子爆彈の上において作業するも同じである。これら炭鉱労働者の当面せる大きな災害の問題についても、数字は年々炭鉱労働者の災害が可及的に増大しておることを示しておるのでありますが、中小炭鉱に関する融資の問題について、この際大藏大臣より明確なる御答弁を求めたい。
 次に十二日午後一時より、当衆議院正門横において、常磐地区炭鉱労働者の中小鉱山の代表八名がハンストに入つておるのでございます。このハンガー・ストライキは、すでに本日に至るまで続けられておる。このような無謀な措置によつて中小炭鉱のこうむる大打撃、それによつて生ずる労働者の利益を守るために、昨日午後一時よりストライキをいたしておるのである。その状態はまことに氣の毒なものである。ちようど吉村隊においてノルマというものが行われた。それは、かの北辺の地において、生産を達成しない者がきびしきしもとのもとにあえいだことは、皆様方御承知の通りである。わが日本の現在の状態において、戰時中も戰後も孜々として生産に励み、しかしてその生産を達成して來た國家の功労者ともいうべきこれら中小炭鉱経営者、その労働者が、今日國会の表玄関においてハンストをいたさなければならないというような哀れな状態に陷つたことは、これ政府のノルマにあらずして何ぞや、まことに全國民の断じて許し得ざるところであります。
 われわれは、このような現実の事態を眺めるときに、政府はここに配炭公團法の一部改正に伴うこれらの中小鉱山のいわゆる生存権と、そうしてその労働者をいかなる対策をもつて救わんとするか、ここに私は緊急質問を申し上げた次第であります。第一の質問については、全國四十幾万の炭鉱労働者並びに四百六十鉱に及ぶ中小炭鉱の代表のひとしく聞かんとするところである。明快にして誠意あるご答弁を求める次第でございます。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
○國務大臣(林讓治君) 今澄議員に対してお答えいたします。今回の配炭公團法の改正の要点は、公團法の期限の延長のほか、販賣業者の復活と、需給の緩和と、炭種について公團の取扱いを廃止するということであり、中小生産業者のみについて特別の取扱いをするというようなことはございません。なお公團取扱い停止に伴いまして價格その他の点について調整を要する点がありますので、これらについては目下研究中であります。なお詳細のことにつきましては所管大臣よりお答えすることにいたします。
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
○國務大臣(鈴木正文君) 配炭公團の組織の変更によりまして影響を受けるところの労働者諸君は、私どもの見通しでは、大よそ七万人前後ではないかと思つております。そのうち業界の変化とどういうような関係にあるかということは、今後の推移、政策によるのでありますけれども、必ずしも低品位炭の鉱業に対してこれを壞滅せしめるような方針をとるはずはないのでありまして、それは別に商工大臣その他等からお聞きを願いたいのでありますが、その方面の炭鉱はそれぞれの立場において生き得るように、國家の重要な産業部門として生存し得るような政策を同時に並行すべきものであり、それに対してなお出て來る失業者諸君に対しましては、退職手当等において十分の考慮を拂うとともに、この配置轉換及び失業救済事業等に別個に適宜の方策を講じたいと存じます。
    〔國務大臣稻垣平太郎君登壇〕
○國務大臣(稻垣平太郎君) ただいまの御質問にお答えいたします。四千カロリー以下をはずした、こういうことでありますが、四千カロリー以下の低品位炭を出しておりまするところは必ずしも中小炭鉱ばかりではないのでありまして、中小炭鉱以外のものも四千カロリー以下を出しておるところがあるのであります。從つて、中小炭鉱ばかりが大きな影響をこうむるというわけではないのでありまして、なお中小炭鉱におきましても、能率の向上並びに選炭設備の改善によりまして十分この点に対処し得ると私は思うのであります。いわんや販賣機構の改革なり、あるいはその地域における需要の開発、こういう点におきまして、ある意味においては運賃プールの関係からむしろ利益になる、こういう点もあると私は存ずるのであります。
    〔今澄勇君登壇〕
○今澄勇君 ただいま関係大臣より御答弁がございましたが、まことに不誠意きわまるものである。私は、この際もしこの議場の前にハンストをしておる八名の諸君が議場の前で息を引きとりたる場合は、議長はいかなる処置をとられるか、これもあわせて質問いたしたい。
 さらに私が、このような事件を起しておるにもかかわらず、政府が越すと主義からメリツト主義にかわつたために、ここに中小炭鉱四百六十がその死命を制せられると質問したことについては、何らの答弁がないが、林副首相から私は明確なる答弁を承りたい。
 それから、今の中小炭鉱のみではない、大炭鉱もここに低品位の石炭を出しておるというお話でありましたが、大炭鉱は優良炭も出しておるのであるから、混炭その他の方法をとるならば何らの打撃も受けないということについて、私は中小炭鉱のみが徹底的なる打撃を受けるということを、あわせて商工大臣にもう一度質問を申し上げて、再質問とする次第でございます。(拍手)
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
○國務大臣(林讓治君) ただいま申し上げましたことを別に繰返す必要もないと考えますが、先ほどの労働大臣並びにその他の御答弁で足りておると私は考えております。(拍手)
    〔國務大臣稻垣平太郎君登壇〕
○國務大臣(稻垣平太郎君) お答えいたします。今の今澄君のお話のように混炭の問題もございます。しかしながら、私の申し上げましたのは個々の問題について申し上げたのではなくて、原則的なる問題といたしまして、必ずしも中小炭鉱業ばかりにあらずと、かように申し上げたのであります。
     ――――◇―――――
 炭鉱ストに関する緊急質問(岡田春夫君提出)
○議長(幣原喜重郎君) 次は炭鉱ストに関する緊急質問を許可いたします。岡田春夫君。
    〔岡田春夫君登壇〕
○岡田春夫君 ただいま今澄君から炭鉱問題について緊急質問が行われたのでありますが、吉田内閣のきわめて不誠意なる態度をもつて、われわれとしては何ら納得し得ざる答弁のみがここに並べられたわけであります。炭鉱ストの問題が解決しないことは、吉田政権のこのような不誠意な態度に原因があるということを、まず第一に言わなければなりません。(拍手)
 炭鉱ストの問題は、御承知の通りに五月三日より全國五十万の炭鉱労働者の諸君が波状的なストライキを展開いたしておりまするが、明十四日を期しまして、炭鉱労働者の諸君が全國的なるストに突入する、きわめて重大なる段階に到達をいたしております。
 しからば、このような重大なる段階に到達した原因が那辺にあるかということについて簡單に申し上げますならば、去年の末に石炭鉱業連盟と炭鉱労働組合との間において團体交渉の結果、十月から本年三月三十一日までの賃金の協定がなされております。この賃金協定の結果といたしまして、三月三十一日までの期限が満了するにあたりまして、四月以降の賃金について新たなる労資間の團体交渉が行われたのでありますけれども、この新たなる賃金の交渉の過程におきまして、前賃金協定の第四項から明らかに規定されておりまする通りに、この賃金協定の期間が満了しました後において新たなる賃金を決定するにあたつては、労資双方の新たなる團体交渉の結果において決定すべきであるという協定書の決定を、連盟側が一方的にこれを無視いたしまして、四月初旬に至りまして、この協定書を無視して一方的に團体交渉を打切り、前協定の協定事項を蹂躙いたしまして、参加会社に賃金の支拂いは前協定の八割を支給すべきであるという通達をいたし、この通達の結果、四月においてはどの山においても八割の賃金しか支拂われておらないのであります。これに対しまして、五月十日の商工委員会と労働委員会の連合審査会におきまして、この問題につき労働大臣に所見を伺いましたところが、その席上におきまして、労働大臣並びに賀來労政局長は、協定期間が満了後において新たなる賃金が決定されるまでの経過措置としては、前協定がそのまま継続されるのが妥当であるという答弁をされておるのでありまするが、この措置を一方的に資本家側が蹂躙いたしまして、かようなストの段階にまで追い込んでしまつたのが根本の原因であります。
 この点について、まず労働大臣に伺いたいのでありますが、さような一方的な措置を講じて、暴挙を講ずることによつて八割の賃金を支給しておるということは、労働基準法の第二十四條に違反するものであるとわれわれは確信するが、労働大臣はこれをいかに考えておるかということを、まず第一にお伺いいたしたいと思います。
 続いて法務総裁に伺いたいと思いますが、賃金の未拂いにつきましては、三月十一日の檢事総長の談話によりまして、正当なる労働に対する報酬は全額支拂わなければならない、この全額を支拂われないで未拂いにしておくとするならば、これは明らかに労働基準法の違反であるということを檢事総長が談話として発表されておりますが、今度の場合においても当然これは檢事総長の談話が適用されまして、労働基準法の違反であるとわれわれは確信いたしますが、この点については法務総裁はいかに考えられるかということをお伺いいたしたいのであります。
 その次、第二の問題でありますが、今度のストの根本的な原因というものは、炭鉱労働者の賃金が一般の産業労働者に比較して不当に安くきめられておるというところに根本の問題があります。(「うそ言え」と呼ぶ者あり)民主自由党の諸君はうそ言えと言つておられますけれども、これは炭鉱の実情を民自党の諸君は知らないのであります。知らないという実例を一つあげて申し上げましよう。一月の労働賃金を調べてごらんなさい。政府の発表によると、全國の産業の平均賃金は八千十五円であります。炭鉱労働者の坑外の賃金は幾らかというと、男子の場合においては六千六百七十八円であります。しかも女子の場合においては、驚くなかれ三千七百八十六円なのであります。このような状態から見ました場合において、この賃金の比較を考えて見ました場合においても、たとい厚生施設の点を考慮いたしましても、これは炭鉱労働者の賃金が不当に安くきめられているということは明らかであります。まず第一に、かように不当に安くきめられている政府自身の統計の結果として出ているこの統計を私は今提示いたしたのでありますが、商工大臣はかような不当なる低い賃金が炭鉱労働者にとつてはたして妥当なものと思われるかどうかということをお伺いしたいと思います。
 しかも、このようにして賃金は不当に安くきめられている結果において、先ほど社会党の今澄君も申しました通りに、最近炭鉱の災害は非常な増加を示しておる。過去十年間の経驗を見ましても、炭鉱労働者の災害というものは毎日百八十七件、死傷者は毎日百七十人も出ている。これを別に計算いたしますると、われわれが今ここで話しているたつた七分間に一人ずつのけが人や死人が出ているというような、きわめて惨憺たる状態なのであります。このような惨憺たる状態において働かなければ食えないというのが、あの炭鉱労働者の悲痛な状態であります。しかも、このような状態において、資本家側は一方的にその安い賃金を大道のやしのごとく値切つて、八割以下にまで値切ることによつて、今や重大なる危機に当面せんといたしておるのであります。このときにおいて、このような惨憺たる状態に対して、商工大臣は、三月十二日にGHQの‥‥の。
○議長(幣原喜重郎君) 岡田君、申合せの時間が参りました。
○岡田春夫君 GHQから増炭指令が出ているが、これに違反するのではないか、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
 最後に、マーカット氏の非公式の声明が四月二十一日に発表されまして、この炭鉱スト問題の解決は一にかかつて政府の責任であるということを言つておりますが、この問題について政府は明らかなる責任を負わなければならない。昨日は参議院において、強制調停によつてこの問題を解決するかのごとき答弁をしておられますが、吉田政権は、労調法の第十八條によつて、強制調停というような暴力的な行為をもつてストライキを解決されるような考えであるならば、問題は簡單に解決しない。根本的な解決の方針をここに明らかにされんことをわれわれは要求いたしまして質疑を終る次第であります。(拍手)
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
○國務大臣(鈴木正文君) 石炭のストライキは遺憾しごくのことでありまして、政府自身決してこれを漫然と放置しておいたのではありませんけれども、しかし、事の本質上、これは労資双方の円満な妥結によつてまず解決点を見出すべきが順序であり、その意味におきまして中労委にこのあつせんを依頼し、中労委の活動を願つておつたのであります。御指摘のように、幾たびかの紆余曲折を経まして、なかなかその妥結に至りませんでしたけれども、昨日最後の案を中労委の末弘会長から出しまして、本日午後一時から、経営者側もあらためてその協議を承諾して、協議を続けておる状態であります。こういう微妙な段階にありますので、ここ一両日中労委の最後の努力にまちたいと思います。それが成功しなかつた場合に対します、たとえば政府の協定とか調停とかいうふうな方式は考えておりますけれども、事きわめて微妙な段階でありますので、ここ一両日、今続けておるところの、実際に交渉に入りました中労委の努力にまちたいと考えております。
 それから賃金の問題でありますが、無協約時代の賃金は、前協約の賃金が合理的な限りこれは継続的である。合理的なものであれば、これが支拂わるべきであると、こういうお答えを申し上げましたので、三月以後の賃金は、全的にそれが合理的であるかどうかという問題は、労資双方あるいは中労委等のあつせんによりまして決定すべきものであり、八割を支拂つたその残りの二割の部分が合理的に支拂わるべきものであるかどうかということは、労資双方及び中労委等の解決によるべきものであり、これが決定した後に支拂われなかつた場合には労働基準法の違反になることもちろんでありますが、不確定部分に対して、ただちにそれが支拂われないということを労働基準法の違反として取扱うのは、やや行き過ぎであると考えるのであります。
    〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
○國務大臣(殖田俊吉君) 基準法違反の問題につきましての檢事総長の先般発表いたしました談話は、今日においてもその効力を失つておりません。あの方針に從つて今日も処理して参つておるのであります。ただ、これを具体的に問題に適用する場合につきましては、その具体的問題を取上げまして、一々十分檢討の上これを処理するのであります。ただいまお話の点が労働基準法に違反するのであるつかどうかということは、私は目下まだその具体的事実について存じません。これは労働省当局と十分に連絡の上、調査をいたしまして適当に善処する考えであります。
    〔國務大臣稻垣平太郎君登壇〕
○國務大臣(稻垣平太郎君) お答えいたします。炭鉱賃金が他の産業に比べてどうかというお話であつたように存ずるのでありますが、御承知のように調査團の報告によりますと、大体福利費において千七、八百円から二千五、六百円を炭鉱労働者には支給されておることに相なつております。その他の報奬物資等を勘案いたしまして、私は一般の産業との間に何らの隔りがない、かように存じております。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
○國務大臣(林讓治君) ただいま労働大臣より詳細に御答弁になりましたから、特に私からとしては申し上げることはないと考えております。ただ炭鉱のストライキのようなものは、先ほど労働大臣からもおつしやいましたように、今日の場合においては中労委のごあつせんによりましてこれが解決を期待いたしておるわけであります。
    〔岡田春夫君発言を求む〕
○議長(幣原喜重郎君) 岡田君、岡田君は申合せの時間をすでに超過いたしておりますので‥‥。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
     ――――◇―――――
 身体障害者対策に関する決議案(鈴木仙八君外十九名提出)
     (委員会審査省略要求事件)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、鈴木仙八君外十九名提出、身体障害者対策に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 身体障害者対策に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。鈴木仙八君。
    〔鈴木仙八君登壇〕
○鈴木仙八君 ただいま議題となりました身体障害者対策に関する決議案の趣旨弁明をいたします。
    〔議長退席、副議長着席〕
 身体障害者の生活の確保に関しましては、経済安定九原則の実施に伴い緊急にこれが対策を必要とする状況にあるのでありますが、かねてから、私や橋本龍伍君ほか各党の身体障害者である諸君並びにこの問題に深き関心を寄せられている代議士諸君と相はかり、全國に数百万と称せられる身体障害者及びその家族の人達の幸福のために活動して参つたのであります。この際すみやかに身体障害者の福祉法を制定いたしたいのでありますが、その制定を見る間にも、これら身体障害者に対する諸施策を実施すべく、各党の共同提案として本決議案を提案した次第であります。
 まず最初に身体障害者対策に関する決議案を朗読いたします。
   身体障害者対策に関する決議
  新憲法の発布によつて、すべて國民は、法の下に平等であり、且つ最低の生きる権利を與えられた。
  しかるに現実は、法の運営よろしきを得ないため、今なお不平等且つ最低の生活すら営むことのできない百数十万の身体障害者のあることを見のがしてはならない。
  よつて政府は、身体障害者に対する認識を新たにし、完全なるその福祉法の制定を見るまで、次の諸施策を急速に実施すべきである。
 一、中途失明者に対する保護対策を樹立すること
 二、婦人、老人、幼年の身体障害者に対する特殊援護施設を講ずること
 三、各種公共施設を身体障害者に優先的に開放すること
 四、胸部疾患者に対する栄養食餌の補給及び特配をすること
 五、重度の身体障害者に対する授産設備を増設すること
  右決議する。
以上が身体障害者対策に関する決議案の案文でございます。
 すでにこの決議案の案文によりまして、皆様方はこの決議案の内容をとくと御了解いただいたものと了承いたします。私ども、わけて私自身も身体障害者でありまして、若いころは非常な苦痛と劣等感とに悩まされ、自棄的な氣持になつたことがあります。そのゆえをもちまして、身体障害者の悩みと苦痛をだれよりも切実に強く感ずるのであります。と同時に、終戰後のこの破局的な経済危機の中にあつて、一般健康人でさえもが生きる苦しみにもがく状態の中に、重いハンデイキヤツプを背負つた身体障害者が、死にまさる苦しみに耐えて辛くも生き長らえて來た苦闘のあとを振り返つてみるとき、まつたく涙なしにはおられないのであります。生きねばならぬ、だがどうしたら生きることができるか、絶望の明日を前に死を思い、惡を考えて、もだえ抜いたであろうこの身体障害者に、眞実の意味において私は文化的な最低生活に生きる権利を與えなければならないと考えるものであります。
 すべて國民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると明記されておりますが、この身体障害者の実情は、それとはあまりに懸隔があり過ぎるのであります。それは法的に何らの保護・更生・援護に関する対策がなされなかつたからであろうと考えます。私どもは、第一國会以來、数次にわたつて全國身体障害者更生同盟をはじめ各種團体及び身体障害者からの請願・陳情等に接しましたが、海外同胞引揚げに関する決議は本院においてたびたびなされたのに、この身体障害者問題に関しては、まだ何らの具体策の講ぜられなかつたことを率直に認めなければなりません。しかしながら、今回幸いにして各党共同提案によつて身体障害者の福祉・更生・援護に関する提案がなされたことは、國会が本問題をきわめて重視していることを國民の前に鮮明するものであると信ずるのであります。
 ここにおいて、私どもはまず身体障害者に関する総合的な施策の必要を認めるのであります。政府は、この身体障害者問題を合理的に処理するために、さきに審議機関を設置し、全面的な解決に乗り出したのでありますが、経済安定九原則の実施その他の社会情勢の変化によりまして、急速に身体障害者に対する積極的な施策、救済策、更生策等を講じなければならぬと考えるのであります。さきに身体障害者團体から税金の減免に関する請願もあり、また旅行費用の減免に関する陳情もあり、さらに身体障害者福祉法制定促進に関する陳情・請願もありますので、私どもは、これに関しまして議員提案といたしまして、ぜひとも本院に上程し、皆様方の御賛成を賜りたいと、このように考えるのであります。
 この身体障害者福祉法は、身体の機能が不自由なために、生活上、就職上きわめて不利な條件にある者に対して、國または地方公共團体が保護指導を與えることによつて、その生活の向上をはかることを目的とするものであります。
 現在身体障害者と称せられる者はどのくらいいるかと申しますと、手足を失つた者またはその機能を失つた者は約二十万人、精神異常者は約四万人、らい患者約二万人、盲とつんぼとおし並びに強度の弱視、難聽者を含めて約三十八万人、そのうち約三千七百人が、昨年夏マツカーサー元帥の主賓として來朝した、幸福の青い鳥、三重苦の聖女ヘレン・ケラー女史と同じく、目も見えず、耳の聞えず、口もきけない人たちであります。ヘレン・ケラー女史の來朝は、連合國においても、この身体障害者問題に関して重大なる関心を持つていることを示すものでありまして、日本がこの方面に対してすみやかに手段を講ずるようにという深い親心を示すものではないかと考えるのであります。その他結核患者は、全國で登録されている数が三十八万三千八百十七人、推定は百四十万人で、しかも実数はこれをはるかに上まわるのではないかと考えます。しかうして、これらのおびただしい不幸な人たちの約半数は婦人なのであります。
 この身体障害者の就職は困難をきわめ、官廳、大工場等においては絶無に近く、わずかに個人工場や小工場においては採用されておりますが、それも上肢切断者等はまつたく望みがなく、下肢切断の女子に限られている状態でありまして、その他においては、不自由なからだで石鹸賣や名刺その他の外交をし、また街頭に、列車の中に更生資金を募る等の痛々しい姿を見受ける状態であります。
 その職業補導施設の状況を見ましても、眞にみじめなものでありまして、施設は東京、大阪、福岡の三箇所で、收容人員は合わせて六百人、他に五十人收容の能力を持つもの約十箇所であります。全部合せても一千百人で、補導手当にあたつては、二十四年度改正により一日十円九十八銭で、それ以前は一日七円という驚くべき事実が、労働省の直轄にひとしい公的な施設において今なお行われているのであります。まつたく身体障害者の生きる道はいばらの道であります。ことにそれが婦人の場合におきましてはなおさらのことでありまして、婦人の就職授産を特に強調する理由は、婦人といえば結婚を考え、家庭に入つてよき母となることをすぐ念頭に思うのでありますが、それが身体障害者の場合においては夢にのみ許されたもので、容易に果されない希望であり、悲しい宿命であるのでありまして、婦人問題として特に取上げるゆえんであります。
 このほかに、胸部疾患者あるいは中途失明者等幾多の重要な問題が考えられますが、最後に一言申し上げたいことは身体障害者の家庭の問題でありまして、かたわ者である私自身が、今は亡き母親の慈愛の抱擁の思い出もなまなましい実感なのでありますが、ばかな子ほどかわいく、不具の子ほどふびんが増すということわざは、今になつて初めて私は母の切実な親心であつたことを知るのであります。まつたく身内に不具者を持つた家族の人たちの非常なる悲しみや御苦労は察するに余りがあるのでありまして、皆様方の御共感をいただけるものと信じます。
 身体障害者問題は、このように種々さまざまな問題をはらんでいるのでありまして、その家族を含めるとき、実に数百万人の生死に関する重大問題でありますので、皆様方の同胞を思う超党派的な熱烈な御支持によりまして、満場一致で本決議案に御賛成をたまわり、身体障害者福祉法がすみやかに制定されますよう努力をたまわらんことを切に希望いたしまして、私の提案理由の説明といたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
 この際厚生大臣より発言を求められております。これを許します。厚生大臣林讓治君。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
○國務大臣(林讓治君) ただいま上程になりました身体障害者対策に関する決議に関しまして政府の所見を申し上げたいと考えるのであります。
 決議の中にも御強調になられたように、身体障害者の大部分は、きわめて御同情申し上ぐべき実情に置かれておられる人々が非常に多いのであります。政府といたしましては、その援護のためには十分盡さなければならぬ。從つて、今日まで光明寮であるとか、あるいは收容授産場の設置など各般の処置をとつて参つておりますが、これをもつて満足いたしているものではございません。さらに身体障害者更正指導所を設置いたしますがために、このたび設置法案を目下御審議を願つているような実情にあるのであります。なお今後におきましても、御決議の御趣旨を十分体しまして一層の努力をいたしたいと考えるわけであります。(拍手)
     ――――◇―――――
 水力電源開発に関する決議案(神田博君外二十三名提出)
     (委員会審査省略要求事件)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、神田博君外二十三名提出、水力電源開発に関する決議案は、提出者の要求通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 水力電源開発に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。多武良哲三君。
    〔多武良哲三君登壇〕
○多武良哲三君 ただいま上程になりました水力電源開発に関する決議案につきまして、提案者の一人といたしまして簡單にこの趣旨弁明をさせていただきます。なおその前に本決議案を朗読いたします。
   水力電源開発に関する決議
  平和日本再建の道は、自立経済を確立し、民生の安定を期する以外になく、そのためには動力と燃料の確保をまず第一に計らねばならない。幸にわが國は豊富な水力資源に惠まれているから、これが急速なる開発を行い、電力不足に悩みつつあるわが國鉱工業生産を増強し、復興計画の実現を期すべきである。
  しかるに水力電源開発が未だ本格的に着手されていないことは、まことに遺憾に堪えない。しかも、水力電源開発には、相当の年月と多額の資金を必要とするものであるから、この際政府は、速かに具体的水力電源開発計画を樹立するとともに、電氣事業の健全な運営を図り、所要資金、資材の優先的割当を行うべきである。
  よつて本院は、政府が電源の開発及び電氣事業の発達のために、左の各項に対して速かに必要な措置を講じ、その結果を本院に報告することを要求する。
 一、綜合エネルギー源の中核として、既設電力設備の改良と、新水力電源の開発とを強力に推進するため、開発計画の具体化、資金、資材の手当を緊急に措置すること
 一、電氣事業の経済的基礎を確立し、自力再生産力を保持せしめるために電力料金の合理的決定、企業の能率的運営及び労働意欲の昂揚に対して必要なる措置を講ずること
 一、電力の効率的利用及び電力配分の適正化につき、有効なる措置を講ずること
 一、電力行政の運営につき、諮問機関として民主的審議機関を設置すること
  右決議する。
以上であります。
 御承知の通り、企業三原則を守り、経済九原則の線に沿いまして輸出の振興をはかり、同時に生産を増強いたしまして自立経済を確立することは、われわれ國民の一大責任であります。この責任を全うするためには、いろいろな方策もございましようが、わが國天然資源を最も能率的に利用することが第一に実行されなければならないと存じます。しかるに、御承知の通りわが國は國土狹少、しかもその保有する天然資源はきわめて貧弱なものであります。水力資源のみがわずかに豊富であるといい得る程度であります。動力源、熱源としての石炭は、現状以上に消費する場合には、近々二百年足らずで皆無に帰すると憂えている学者もあると承つております。しかしながら、水力資源は太陽のある限り無盡藏の水力資源を合理的に開発いたしまして、現在むだに放流されておりますところのエネルギーを生産財として、アルミニウム、肥料その他の化学製品の生産を増強するとともに農村電化の普及発達をはかり、食糧の増産と農村生活の文化的向上を促進する、こういうことは目下の急務であると固く信ずるものであります。よつてこの際、政府に対しまして、電源開発の具体案を樹立していただき、すみやかに工事を実施することを強く要望すると同時に、將來の電力行政につきましても有効適切なる措置を講ずるよう要請する決議案を提出いたした次第であります。どうか愼重御審議の上、全員一致をもちまして御賛成あらんことをお願いいたしまして、本決議案の趣旨弁明を終りといたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程順序変更の緊急動議を提出いたします。すなわち、日程第十六及び第十七の両案を繰上げこの際これを一括上程し、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せられました。
 日程第十六、内閣法の一部を改正する法律案、日程第十七、國立世論調査所設置法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長齋藤隆夫君。
    〔齋藤隆夫君登壇〕
○齋藤隆夫君 ただいま議題となりましたところの内閣法の一部を改正する法律案並びに國立世論調査所設置法案について、内閣委員会の審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 まず内閣法の一部を改正する法律案について申し上げますが、本案の要旨は國家行政組織法の施行に伴い内閣法の一部を改正しようとするのでありまして、その内容は、行政官廳法に規定されておりました内閣官房長官の規定を本法中に移し、かつ内閣官房長官は國務大臣をもつて充てることができることとし、從つて秘書官を置くことにいたしたのであります。なお從來政令で規定されていた内閣官房次長及び國務大臣秘書官に関する規定を本法に移して、内閣官房次長の名称を内閣官房副長官と改め、内部部局におきましても國家行政組織法に定める基準に基いて規定し、本年六月一日から施行しようとするものであります。
 本案は、去る四月十八日、本委員会に付託せられまして、ただちに政府の説明を聞き、質疑を行つた後、五月十二日討論を終結して採決の結果、多数をもつて原案の通り可決したのであります。
 次に國立世論調査所設置法案について申し上げます。本案の要旨は、現在総理廳官房審議室内に置かれてある世論調査部を、一層その自主性と公正の完璧を期して、総理府の附属機関として独立せしめようとするものであります。しかして、その運営には、世論調査に関係ある民間の学術團体から推薦された七人の学識経驗者からなる世論調査審議会をして当らせることとし、本年六月一日から施行しようとするものであります。
 本案は、去る四月十八日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、質疑を行つた後、五月十二日討論を終結、採決の結果、多数をもつて原案通り可決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第一は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、國立國会図書館法第二十條の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。図書館運営委員長早稻田柳右エ門君。
    ―――――――――――――
    〔早稻田柳右エ門君登壇〕
○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました、國立國会図書館法第二十條の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律案につきまして、ごく簡單に提案の理由を御説明いたします。
 國立國会図書館の行政各部門支部図書館は、昨昭和二十三年創設以來逐次その業務を整備して、ようやく國立國会図書館の一翼として國会並びに行政各部門に対し図書館奉仕に努めつつありますが、これら支部図書館の職員は專任者がありませんので、その業務運行上遺憾な点が少なくなかつたのであります。そこで、その改善につきまして委員会として種々協議いたしたのでありますが、最近これら支部図書館の利用はようやく活発となり、各行政部門の調査機能に対し、あるいは行政施策の企画に対し寄與するところが増大しつつある現状にかんがみまして、これら支部図書館が当該部門の官廳資料と專門分野の図書とを有する專門図書館として十分機能を発揮するよう、從來規定上必ずしも明らかでなかつたその職員の地位につきましてたまたま各行政部門の設置法、定員法等が制定される機会にあたりまして、行政各部門支部図書館の設置を法律上確認し、その職員に関し必要な規定を制定せんとするのが、この法案を提出する理由であります。
 何とぞ原案の通り可決せられんことを希望いたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第二、國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、日程第三、外國保險事業者に関する法律案、日程第四、郵政事業特別会計法案、日程第五、電氣通信事業特別会計法案、右四案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員会理事宮幡靖君。
    〔宮幡靖君登壇〕
○宮幡靖君 ただいま議題となりました國家公務員共済組合法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果をきわめて簡單に御報告申し上げます。
 この法案が提出いたされました趣旨は、昨年七月一日この法律が施行せられましてから諸般の情勢が変化し、また実施の実情からいたしましても改正を要する点が生じて來たからであります。
 次に、今回改正しようといたします主要なる点について申し上げます。すなわち第一点は年金額の増額でありまして、これによつて、恩給法臨時特例の改正により、恩給が実際給與ベースを基準とするように増額されましたのに準じて、共済組合の長期給付を引上げようとするものであります。
 第二点は、非現業雇用人に対する退職給付等長期給付制度の適用でありまして、これによつて現業雇用人との不均衡を是正しようとするものであります。
 第三点は、健康保險法と同様に初診料を組合員の自費負担とすることでありまして、これによつて濫診濫療を防止するとともに、保險医の統一的取扱いを可能にしようとするものであります。なをこのほかに哺育手当金、埋葬料の最低保障額を引上げて、最近の物價事情に即應することとしようといたしております。
 第四点は、日本國有鉄道及び日本專賣公社の設立等に伴い組合における苦情処理機関でもある審議会の設置等についても所要の改正を行い、これによつて実情に即應するものとしようとするものであります。
 この法案は、四月二十八日、本委員会に付託されたものでありまして、五月六日提案理由の説明を聽取し、同日質疑に入りました。質疑の内容につきましては速記録をごらん願いたいと存じます。但し、本法案につきまして修正案が民主自由党より提出せられましたので、その要領だけを申し上げておきます。
 修正の要点は、附則第一項中「第三十條から第三十三條まで、第三十六條及び第三十七條の改正規定は、昭和二十四年五月一日から、」を削り「同年六月一日から」を「昭和二十四年六月一日から」に改め、「昭和二十三年七月一日から」に下に「第三十六條及び第三十七條の改正規定は、昭和二十四年五月一日から」を加えるのでありまして、この修正の要旨は、本法が五月一日の施行に間に合うように成立いたしません関係上、附則において施行に対しまする規定を調整いたしたものであります。
 この法案の採決の模様は、修正案及び修正案を除く原案につきまして、起立多数をもつて可決せられた次第であります。
 なお本法案は、全面的に見まして、その筋の御勧告もあり、なお十分檢討を加うべき余地があるものといたしまして、本委員会において次のとおり附帯決議をいたしました。その決議を朗読いたします。
 國家公務員共済組合法改正に関する決議
 本委員会は、國家公務員共済組合法については、國家公務員法との関係等よりして將來該制度に関し、その性格、会計等につき、根本的檢討を加える必要があるものと認める。かように附帯決議をいたしました。その他の御報告は委員会の速記録に讓りまして省略させていただきます。
 次に外國保險事業者に関する法律案について、大藏委員会における審議の経過並びに結果をこれまた簡單に御報告申し上げます。
 この法案が提出いたされました趣旨は、外國保險事業者の日本における保險事業に関する基準を定めて、これにより日本保險事業者との公平をはかるとともに、日本における保險契約者、被保險者その他の債権者の利益を保護しようとするものであります。
 次に、この法案の要旨について申し上げます。すなわち第一はこの法律の目的に関するものでありまして、その目的は、日本保險事業者と公平の條件のもとに外國保險事業者の日本における保險事業を規正することであるといたしております。
 第二は免許及び供託に関するものでありまして、外國保險事業者が日本において保險事業を営むには大藏大臣の免許を受け、一千万円の金額を供託しなければならないことといたしております。
 第三は責任準備金等に関するものでありまして、外國保險事業者が日本において締結する保險契約は円建を原則とし、その責任準備金等相当額は日本円に投資しなければならないことといたしております。
 第四は日本の保險監督行政上の特殊性を必要以上に外國保險事業者に強要せぬような措置に関するものでありまして、まず日本において保險事業を営み得る者の範囲を会社または個人に限定せず、法人たる組合組織のものにまで拡張し、また責任準備金等の算出についても、本國において採用されている方法を日本において用いることができることとし、また一旦免許を受けた後に新たな種類の保險事業を営もうとするときは認可をもつて足りることといたしております。
 第五は監督に関するものでありまして、外國保險事業者の日本における事業活動に対する監督その他については商法、非訟事件手続法及び保險業法に必要な規定を準用することといたしております。
 第六は罰則に関するものでありまして、諸規定の違反に対し所要の罰則を規定しております。
 第七は保險契約の募集に関するものでありまして、外國保險事業者の日本においてなす保險契約の募集については、昨年施行されました保險募集の取締に関する法律を適用するようにするため、商法に所要の改正を行つております。
 第八は事業再開に関するものでありまして、戰前日本において事業を営んでいた保險会社が、日本においてその事業を再開しようといたしますときは、所定の証明書を添付して簡單な届出をすれば大藏大臣の免許を受けたものとみなすことといたしております。
 この法案は、五月六非、本委員会に付託されたものでありまして、翌七日提案理由の説明を聽取し、五月十日質疑に入りました。質疑の内容は速記録をごらん願うことにいたしまして、この際省略をいたします。
 次いで採決に入りましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決せられました。以上御報告申し上げます。
 次に郵政事業特別会計法案並びに電氣通信事業特別会計法案について、大藏委員会における審議の経過並びに結果を簡單に御報告申し上げます。
 右の両法案は、本年六月一日逓信省が郵政省及び電氣通信省に分割されるに伴いまして、現在の通信事業特別会計を廃止して新たに郵政事業特別会計を設置しようとするものであります。
 右の両法案は内容においてはほとんど同様でありまして、現在の通信事業特別会計のほとんど全部と通信事業特別会計令中の重要な事項とをあわせ規定しておるものでありますが、なお從來の通信事業の経営の実績に顧みまして、二、三の点について改善の規定を加えたものであります。すなわち、右の両法案と現在の通信事業特別会計法と異なりますおもなる点は、第一に、両法案では調整資金を保有できる事項を削除しております。第二に両法案では新たに作業資金の保有等に関する規定を設けております。第三に、両法案では新たに公債及び借入金の起債余力の翌年度への繰越しに関する規定を設けております。
 この法案は、五月十一日、本委員会に付託されたものでありまして、翌十二日提案理由の説明を聽取し、同日質疑に入りました。質疑の内容には速記録によつてごらん願うことにいたします。
 次いで討論を省略し採決に入りましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決せられました。以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これより採決いたします。まず日程第二につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第三、第四及び第五を一括して採決いたします。三案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 日程の順序変更の緊急動議を提出いたします。すなわち、日程第六及び第七とともに、この際日程第十及び第十一を繰上げ、四案を一括して上程せられんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せられました。
 日程第六、犯罪者予防更生法案、日程第七、犯罪者予防更正法施行法案、日程第十、裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案、日程第十一、皇族の身分を離れたも者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長花村四郎君。
    〔花村四郎君登壇〕
○花村四郎君 ただいま議題と相なりました四法案につき、法務委員会における審議の経過並びに結果の概略を御報告申し上げます。
 まず犯罪者予防更生法案について申し上げます。
 現下の犯罪対策といたしましては、財政上及び効率上の見地から、犯罪者を社会において保護監督し、これによつてその更生を促し、再犯を防止することに重点を置かなければならないのでありまして、ここに犯罪者予防更生制度を確立する必要があるのであります。すなわち、保護観察を中心とする犯罪者予防更生法の制定施行は、刑の執行猶予、行刑、仮出獄並びに少年保護の各制度の欠陷を是正し、現下の社会不安を緩和して國家再建の要件を確立するため必須緊急の要務であると存じます。
 この法案の目的といたしますところは、具体的に申しますと、まず第一に保護観察の実施によりまして犯罪を犯した者の改善及び更生を助けること、第二に恩赦の適正な運用をはかること、第三に社会正義及び犯罪予防の見地から仮釈放、刑の執行猶予その他の関係制度の公正妥当な運用をはかること、最後に犯罪予防の活動を助長することでありまして、この四つを目標として犯罪を鎭圧し、社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進するため犯罪対策を確立せんとするものであります。
 さて委員会におきましては、刑務所その他の矯正施設は極度の過剩拘禁の状態にありました、これを新設することも次第に困難となつております折柄、刑務所に犯罪者を收容しても、再犯防止の効果は必ずしも良好ではないと認めたのであります。それで、各派共同提案として次の修正案が提出されました。その要旨は、刑の執行猶予者を一般的に保護観察に付することをやめ、特に十八歳に満たないとき、懲役、禁錮につき刑の執行猶予の言渡しを受けた者を保護観察に付しようとするものであります。
 五月十二日、この修正案は可決され、その他の部分は政府原案通り全会一致にて可決されました。結局この法案は修正議決された次第であります。
 次に犯罪者予防更正法施行法案について申し上げます。
 この施行法案の内容について簡單に申し上げますと、第一は予算上の観点からの暫定的措置であります。第二は委員の任期に関する点であります。第三は保護観察の対象に関する規定であります。第四は関係法律の改正であります。第五は、犯罪者予防更正法の施行と同時に現存の少年審判所を廃止し、その廃止の際少年審判所の職員の職にある者がただちに新法のもとにおける職務に從事し得るようにする規定を設けたことであります。
 委員会においては、施行に伴う当然の措置と認め、五月十二日、政府原案の通り全会一致をもつて可決いたした次第でございます。
 次に裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案についてて申し上げます。
 終戰後の社会情勢を反映いたしまして、民事、刑事、行政等各種の事件は増加の一途をたどりつつありましたが、近時刑事事件のごときは、犯罪激化のため著しい激増ぶりを示しているのであります。また民事訴訟法、刑事訴訟法等手続法が民主主義的に改正せられたため、裁判所の負担は質的に著しく増大したのであります。さらに家庭裁判所は本年一月一日新たに設置せられたのでありますが、草創の際きわめて貧弱な機構で一應の発足をしたため、当面の事務処理にすら事欠くありさまでありますのみならず、近時この裁判所の所管する家庭事件、少年事件は著しく増加しつつあるのであります。このような特殊の事情を考慮し、機構改革、行政整理の折柄ではあるが、以上の情勢に対処するため最少必要限度の裁判所職員の増加をなさんがため本案を提出するに至つたものであります。
 その内容の概略を申しますと、第一に、裁判官については、昭和二十四年七月一日以降において、新民訴、新刑訴運用のため判事三十三人、判事補十九人、簡易裁判所判事三十五人を、同じく十月一日以降において、家庭裁判所充実のため判事二十六人、判事補二十八人をそれぞれ増員せんとするものであります。御参考までに申し上げますが、現在判事の定員は九百五十七人、判事補は三百二十五人、簡易裁判所判事は六百九十三人であります。
 第二点は、裁判所調査官については、東京高等裁判所に配置すべき調査官二人を増員せんとするものであります。これは同裁判所が取扱う租税事件等の激増に備えるためでありますが、現在調査官の定員は二十人であります。
 第三に裁判所事務官、書記官等についてでありますが、まず両者の定員を分離して規定することと改め、事務官について二百数十人、書記官等について六百数十人をそれぞれ増員せんとするものであります。
 委員会におきましては、質疑の結果、世相を反映して近時激増の一途をたどりつつある民事事件、行政事件、ことに刑事事件に対処し、民主主義的諸立法にのつとる基本人権の擁護と治安維持法の万全を期するためには、行政整理の際ではあるが、この程度の裁判所職員の増員は必要やむを得ないものと認めまして、討論を省略し、採決に入りましたところ、全会一致をもつて原案通り可決した次第であります。
 最後に、皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 元來、皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律は、皇室典範の附属法として、同時に戸籍法に対する特別法として皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍の取扱いを規定するものでありまするが、同法は旧戸籍法に即して制定されているのであります。ところが、新戸籍法は民主的に、終戰後の民法の改正に対應して、一つの夫婦及びこれと氏を同じゆうする子を戸籍の編製單位とし、三代同籍を避ける建前をとつておりますので、この新戸籍法の建前の線に沿うように改正をなさんとするものであります。これが本法律案を提出するに至つた理由であります。
 その内容の一例をあげますと、現行の同法第一條によれば、皇室典範第十一條の規定により、皇族の身分を離れた者について新戸籍を編製し、その第十三條の規定により、これと同時に皇族の身分を離れた配偶者や直系卑属はすべてその新戸籍に入ることになりますが、直系卑属に配偶者や、さらに直系卑属がある場合には、その新戸籍には一つの夫婦及びこれと氏を同じゆうする子以外の者も同籍とする結果を生ずるに至り、新戸籍法の建前に沿いませんので、このような場合には、その直系卑属につきましては、一つの夫婦とその子、もし配偶者がない場合にはその者とその子ごとにそれぞれ新戸籍を編製するようにしようとするものであります。この他要するに、以上と同様に新戸籍法に即應する必要な整理改正と認め、討論を省略して採決に入り、全会一致をもつて原案通り可決した次第であります。
 右一括して御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 四案を一括して採決いたします。日程第六の委員長の報告は修正でありまして、日程第七、第十、第十一の委員長の報告は可決であります。四案を委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて四案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第八、社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する法律案、日程第九、死体解剖保存法案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事岡西明貞君。
    〔岡西明貞君登壇〕
    〔副議長退席、議長着席〕
○岡西明貞君 ただいま議題となりました社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する法律案及び死体解剖保存法案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。
 まず社会保險診療報酬支拂基金法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法は昨年八月から実施されたのでありますが、その実施の成績に徴しまして、さらに診療報酬支拂資金の潤沢化と診療報酬請求書審査の適正化を期して基金運営の円滑化をはかろうとするのが、政府の本改正法律案提出の理由であります。
 次に本改正案の内容のおもなる点を申し上げますれば、第一は、基金が各保險者から委託を受ける診療報酬支拂資金の一月分を一月半分に増額することであります。第二は、診療報酬請求書審査委員会の委員に学識経驗者を加えて、委員を増加することであります。第三は、療報酬請求書を提出した診療担当者に対しては出頭説明を求め得る等の審査委員会の権限を認めまして、療報酬請求書の審査の適正を期することであります。
 本改正案は、四月二十一日、本委員会に付託せられ、二十六日政府の提案理由を聽取した後、ただちに審議に入り、同日及び五月十二日にわたり、きわめて熱心な質疑應答が行われたのであります。その詳細は速記録に讓ります。
 次いで質疑を打切り討論に入つたのでありますが、委員より、本法附則中施行期日「五月一日」とあるを「六月一日」と改める旨の修正案が提出されたのであります。かくて討論を終り、修正案の部分につき採決に入りましたところ、多数をもつて修正案通り可決すべきものと決しまして。次いで、その他の部分の原案につき採決に入りましたところ、本法律案は多数をもつて政府原案通り可決すべきものと決した次第であります。
 次に死体解剖保存法案について申し上げます。死因不明死体の死因調査に関する厚生省令を法律に改めるとともに、これと密接な関連を有する大学等へ死体交付に関する法律の内容をこれに統合し、あわせて死体の解剖または保存に関する統一的法制を整備しようとするのが、政府の本法案提案の理由であります。
 次に、その内容のおもなる点を申し上げます。第一は、死体の解剖及び保存の適正を期することによりまして医学の教育または研究に資するとともに、公衆衛生の向上をはかつたことであります。第二は、死体の解剖をしようとするものは原則として行政廳の許可を受けなければならぬこととしてのでありますが、死体の解剖を特に必要とする場合、たとえば医学に関する大学の教授または厚生大臣の特に認定した者が解剖する場合、その他刑事訴訟法等他の法律の規定に基いて解剖する場合等には、あらかじめ許可を受けることを要せず、事後の届出をもつて足ることとしたことであります。第三は、死体の解剖をしようとする者は原則として遺族の承認を受けねばならないこととしたのでありますが、さらに進んで遺族の承諾を要せず解剖し得る場合の基準をも明らかにしたのであります。第四は、解剖は解剖室において行うべきことを規定したほか、死体の保存につきましても、医学に関する大学または総合病院において保存する場合等を除き、原則として都道府縣知事の許可を受けることを要することとしたのであります。
 本法案は、四月三十日予備審査のため本委員会に付託せられ、五月六日政府の提案理由を聽取し、十二日、本付託となり、質疑應答ののち、討論を省略して採決に入りましたところ、本法案は全員一致をもつて政府原案通り可決すべきものと決した次第であります。
 右報告を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 本案については討論の通告があります。これを許します。田代文久君。
    〔田代文久君登壇〕
○田代文久君 私は、日本共産党を代表いたしまして本案に反対をいたします。
 御承知のように、現在の保險診療はまさに危機に瀕しておるのでありまして、医者に対する支拂いが非常に遅延しておる。まだ三月までしかこれが支拂われていないというような実情になつておるのでありまして、ある保險医のごときは、この保險診療を中止するというような事態に立ち至つておるのであります。
 こういう事態に対しまして保險局長はいかなる答弁をいたしたかと言いますと、これは事務の澁滞並びに医療費がかさむというような結果かくのごとき事態になつておるということを説明いたされたのであります。これに対する対策として出ましたものが、すなわちこの法案でありまして、その法案のねらいといたしまするところは、患者が保險医にみてもらいまして、保險医が診療したその請求書に対しまして、今までにもまさつて嚴格にこれを審査する、しかもそれに対しましては罰則をも加えてこれを審査する、こうすることによりまして、その支出に対しまして制限を加えるというのが本法案のねらいになつておるのであります。
 かくのごときことをなされることによりまして、どういう結果を生むかと申しますと、ここに医療に対する官僚の統制、そうして好ましくないところの差別診療あるいは制限診療というようなことが行われることは、火を見るよりも明らかであります。ここにおきまして、全國の医師会におきましては、こういう法案が提出されてはならないというので、厚生委員会に対しましても、われわれのところにおきましても、数通の本案に対する反対陳情あるいは抗議というようなものがたくさん参つておる実情になつておるのであります。今さらかくのごとき法案をつくる必要は断じてないのであります。
 私が申し上げるまでもなく、日本の人民、勤労大衆の疾患あるいは病氣というものは、健康上における赤字であります。健康上における赤字というものは、当然これは國家が補償すべき性質のものである。憲法第二十五條におきましても、われわれは文化的な、そうして健康なる最低生活を保障されておるし、またかくのごとき生活をなし得る権利を持つておる。社会保障に対し、あるいは公衆衛生に対しまして、國家がその増進に対して当然責任を持たねばならないという憲法第二十五條の主張があるにもかかわらず、実際におきましては、こういうふうに勤労大衆に対し、國民の健康に対して圧迫されるというような結果が出ておるのであります。
 その実情といたしましては、たとえば事務費のごときものであります。昨年度におきまして事務費は三千万円計上されて、実際にこれが使われたのでありますが、これに対する政府の補償は幾らであつたかと申しますと、わずかに九百万円にすぎないのであります。本年度は事務費が非常にふえるというので、二億四千万円の予算を組んでおりまするが、これに対しまして、國家の補償はわずかに七千二百万円であります。経済面における赤字、すなわち炭鉱産業の補償とか、あるいは産業設備営團の補償、あるいは貿易産業に対する補償というような、こういう大資本家経済に対する赤字に対しましては、本國会におきましても幾度となく数十億あるいは数百億円の予算が、しかもその金はわれわれ日本の人民の膏血をしぼりましたるところのその税金であります。これが大資本家の擁護のためには続々としていういうふうに補償されながら、國民の健康保險を守らねばならないところのその補償に対して二億四千万円を組むことができないというような法案が、この法案の実情になつておるのであります。
 本國会におきましても、國立病院の特別会計あるいは健康保險法の一部改正におきまして、初診料を取るとか、あるいは零細なる治療費を持たない患者から金をとるというような、こういう法案を続々として通過させ、今またかくのごとき法案を提出しておるのであります。われわれ日本共産党は、かくのごとき勤労大衆あるいは保險医に圧迫を加えるかくのごとき法案に対しましては断固反対するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず日程第八について採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 次に日程第九につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十二、土地改良法案、日程第十三、土地改良法施行法案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長小笠原八十美君。
    〔小笠原八十美君登壇〕
○小笠原八十美君 ただいま議題と相なりました、農林委員会付託にかかる、内閣提出、土地改良法案並びに土地改良法施行法案の審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。
 御承知のごとく、現在の日本は農業経営における基本的生産手段たる土地及び水の利用を合理化して食糧並びにその他の農産物を最大限度に増産いたさねばならぬのでありますが、このためには耕地整理法、水利組合法及び北海道土功組合法を同一法制のもとに統一いたし、また土地改良事業への参加資格が從來土地所有者に限られておりましたのを、農地改革後の新事態に対應して耕作者、所有者及び使用收益権者とし、これらが主体となつて土地改良区を設立し、土地改良事業を行うようにいたし、さらに國営及び都道府縣営の土地改良事業に対しても法律的規定を與えようとするのが提案の理由であります。
 本法律案につきましては、去る十一日質疑を行い、民自党坂本、渕両委員、社会党石井、八百板、井上の各委員、共産党深澤、竹村両委員、新政治協議会寺崎、吉川両委員より、本法律案の必要性は十分認めるが、予算の裏づけが十分でないのは遺憾である旨の発言がありました。
 次いで、十二日討論に移り、民自党坂本委員、共産党竹村委員、新政治協議会寺崎委員より、現下における土地改良の重要性にかんがみ、これを強力に推進するに足る十分な予算措置を講ずるべきであるとの希望を付して、いずれも賛成の意を表されました。続いて表決に付しましたるところ、全会一致をもつて可決いたしました。
 次に土地改良法施行法案について御報告申し上げます。
 土地改良の施行に伴いまして、これに必要な措置を講ずる必要がありますが、その第一点は、耕地整理法、北海道土功組合法を廃止し、水利組合法は水害予防組合法に改め、それに伴つて現存の耕地整理組合、普通水利組合及び北海道土功組合にそれぞれ所要の措置を講じたこと、第二点は土地改良事業を施行して地方が増進し、地租の値上りを來すのでありますが、それについては地租上の恩典を與えたいという点、以上が提案のおもなる理由であります。
 本法案につきましては、昨十二日社会党井上委員、共産党竹村委員より簡單な質疑がありましたが、内閣も簡單明白でありますので、討論を省略してただちに表決に付しまするところ、全会一致をもつて可決いたしました次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいま議題になつておりまする両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第十四 水先法案(内閣提出)
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十四、水先法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員会理事關谷勝利君。
    〔關谷勝利君登壇〕
○關谷勝利君 ただいま議題となりました水先法案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、五月九日まず運輸大臣より提案理由の説明を聽取し、これを愼重審議したのであります。本法案の趣旨を簡單に申し上げますと、現行水先法は明治三十二年に制定せられましたもので、目下復興途上にあるわが國海運の実情に沿わない点が多々ありますので、船舶航行の安全、海難による損失防止及び水路の障害事故の防止等に万全の措置を講ずるために現行水先法の内容を刷新するとともに、法律の形式を整える意味において、現行法を廃し本法案を制定しようとするものであります。
 本法案の内容のおもなる点は、一、水先人の欠格事由を整備すること、二、水先業務が免許業なることを明確にすること、三、水先人の免許を更新制度にすること、四、水先区を整備すること、五、強制水先制度を採用すること、六、監督規定を整備すること、七、水先審議会を設置すること、八、罰則を整備すること等であります。
 本法案に対する質疑の主なる点を申し上げますと、第十七條における正当なる事由がある場合とはいかなる場合であるかとの質疑に対し、政府委員より、正当な事由とは荒天の場合あるいは水先人が出拂つて一人もいない場合である旨の答弁があり、また水先人審議会の委員には船舶職員がなれるかとの質疑に対し、政府委員より、船舶職員といえども必要ある場合は水先の業務に関係を有する者として運輸大臣が命ずることができる旨の答弁がありました。その他詳細な点は会議録に讓ることといたします。
 かくて討議を省略し、ただちに採決に入り、全員賛成し、原案通り本法案を可決いたした次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言もありませんから、ただちに採決に入ります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十五、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を願います。経済安定委員長小野瀬忠兵衞君。
    〔小野瀬忠兵衞君登壇〕
○小野瀬忠兵衞君 ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、御承知のごとく私的独占禁止法が制定公布を見ましてからの約二箇年の経過により、日本経済の実態に不適当なる諸規定が認められ、ことに日本経済の再建自立のために不可欠の外資導入並びに再建整備法に基く証券消化等の問題に関連いたしまして諸規定を緩和並びに調整することが必要となつたので、本改正法案が提出されたのであります。
 本案のおもなる要点を申し上げますと、まず第一に、独禁法の法益を阻害しない限り、会社の大小、業種のいかんを問わず、会社の持株を原則的に禁止したり、一定数以上の役員兼任を機械的にしたりするような会社法的な規定をできるだけ削除しようとしたことであります。
 第二に、現行法中には國際契約、会社の株式取得、個人の株式取得、会社合併、営業讓受等について嚴重な認可申請を要する事項がきわめて多いのでありますが、このような認可制は敏速を要する経済界の実情に沿わない点もありますので、これらをできるだけ削除いたしまして、特に必要なものについてのみ有効かつ適切に事後届出制に改めようとしたのであります。
 第三に、現行法中随所に用いられている競爭という字句の定義をできるだけ明瞭にするとともに、役員兼任、株式取得に関する制限規定は、外國会社、外國事業者等についても、本法の法域内にある限り適用がある旨を明らかにしようとしたのであります。以上が本改正法律案の要旨であります。
 本案については、去る七日提案理由の説明を聽取し、引続き九日、十日及び十二日に審議をいたしました。本委員会においては、委員諸君より熱心なる質疑がありましたが、民主自由党、民主党野党派、民主党連立派の共同提案として修正案が提出されました。
 修正案の要旨は、國内の会社の合併の場合において、そのいずれか一つの会社の総資産が五百万円を超えたるときは、あらかじめ公正取引委員会の認可を受けねばならないという改正案について、これを修正して五百万円の制限を除き、すべて合併の場合は届出だけでよいこととしたことであります。なおその他はこれに関連する事項の修正及び字句の修正であります。修正案を朗読することは省略いたしまして、詳細は速記録に讓ることといたします。
 次いで討論に入り、共産党を代表して、高田委員より、社会党を代表して勝間田委員よりそれぞれ反対の意見を述べられ、また民主自由党を代表して多田委員より、民主党を代表して森山委員よりそれぞれ賛成の意見を述べられました。次いで採決に入りましたが、修正案は多数をもつて可決されました。また修正案を除いた本改正法律案は原案通り可決されました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 本案については討論の通告があります。順次その発言を許します。勝間田清一君。
    〔勝間田清一君登壇〕
○勝間田清一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案並びにその修正に対しまして反対いたしたいと存ずるものであります。もちろん、現在の私的独占に関する禁止の法律の中にはいくたの改正を要する点があるかと存じます。あるいは迅速をたつとぶ経済の現状におきまして、その手続が十分迅速に進め得ない條項もあるでありましよう。また独占という意味においても、競爭という意味におきましても、十分日本の現在の実情に合わない点もかなりあるに違いありません。そういう問題を修正することについては、われわれはもちろん反対するものではございませんけれども、結局一番大きな問題となるべき点は、特にこの十條を中心とするところの私的独占に対するいわゆる禁止に対して相当廣汎な緩和の政策をとらんとする点についてであります。このことは、現在の日本の経済を再建する上におきまして、きわめて重要なる問題と言わなければなりません。
 しかしながら、われわれがここに明らかに看取できる点は、これらの緩和の政策は結局日本の経済の再建というものをいわるゆ資本家の独占的な力によつて行わんとするものであり、いわゆる独占禁止あるいは集中排除のいろいろの政策によつて、しかるべく社会化されて來たところの日本の社会をもう一遍昔の秩序に返さんとする一連の政策の一環としてわれわれは看取できるのであります。
 特にこの度の政策におきましては、競爭の範囲におきましても、まず第一に親子の会社におきましては競爭の危險がたとい看取せられる場合といえどもこれを除外することになつておることは、御案内の通りであります。また、それ以外の産業におきましては、株式の保有の面におきましても、社債の保有の面におきましても、役員の兼職の問題におきましても、これを全面的に開放し、自由になさんとするところの政策であることは明らかであります。このことは、この民主自由党の内閣が、大衆の收奪のもとにおいて金融資本に対して一切の支配権を許して行こうとする政策を考える場合に、またいわゆる集中生産を行つて中小企業を破滅に陷らせんとする政策を考える場合に、また最近のメリツト・システムをとることによつて中小炭鉱を危機に陷れんとする政策を考える場合において、われわれはいかに現在の政府が一つの企業の集中とそれに対する独占的な支配とを考えておるかということが明確にわかると存ずるものであります。こういう関係において考えておるがゆえに、現在傳えられるように、再び三井、三菱の主役が日本に君臨いたしまして産業の独占的支配権を握らんとする意図が明らかになつて参るのであります。
 從來、この大きな混乱の建直しのために、勤労大衆は眞に祖國の再建と國民生活の安定のために努力して参つたのであります。ひとたびその産業の発展がある水準にまで到達するやいなや、いわゆる立ち直りかけたところの資本家は、外資導入と力を合せて、再び旧來の資本主義の復帰と独占的な支配力への回復を願つておるという段階に到達しておると思うのであります。その政策の一環としてこれを見得ますがゆえに、私どもはこれに対して断固反対せざるを得ません。(拍手)
 われわれは、祖國再建の道は資本の蓄積を社会的資本の蓄積にこれを動員し、これを基幹産業を通じて社会化することによつて社会的な投資を行つて、その上に日本の現在の産業の復興を行つて行く政策のみがわれわれの眞実の政策であると信じておるものであります。われわれは、今後の社会の経済の回復を、こういつた旧來の資本家や、それらの力によつて独占的に行つて行こうとする一切の政策に対しては、断固反対するものであります。(拍手)よつてわが党は、これに対する反対の意を表明するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 高田富之君。
    〔高田富之君登壇〕
○高田富之君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本法案に対し反対の意を表明する次第であります。
 本法案の主要な点は、國際取引の認可制を届出制にしたことと、株式の保有制限を大幅に緩和し、重役の兼任制を大幅に緩和したという点がおもな点でありますが、これはまず第一に、独占禁止法の基礎をなしておりますところのポツダム宣言に基いて発せられました一九四五年十一月六日の財閥解体に関する覚書の條項に明らかに違反するのであります。ここに公正取引委員会の年次報告がありますが、この冒頭にも、本法の制定に至りました沿革が詳細に記載せられております。その中にも、この財閥解体の指令につきましては特に詳細に述べられ、本法の制定に至りましたその基礎になつた條項はこの中のこの項であるということを示し、その中で、特に好ましからざる法人相互間の証券所有を除去並びに防止し云々ということが記載されておるのであります。
 私どもは、今日このように独占禁止法が大幅に緩和せられ、その行き方がポツダム宣言に基くこのような重大な指令の條項に違反するという行き方、また独占禁止法緩和とあわせまして、ただいま問題になつております一連の、たとえば財閥同族支配力排除法のある種の緩和が問題にされつつあるのでありまして、これら一連を総合的に考えまして、財閥復活への要求が非常に近時大きく取上げられつつあるということは、この思想、この行き方がポツダム宣言の趣旨に明確に違反するものであることが、きわめて根本的に重大な問題であることを、私はここにはつきり申し上げたのであります。(拍手)
 そもそもポツダム宣言に基く覚書によりまして独禁法あるいは集中排除法等が制定せられました。しかしながら、今日までこれらの重要法律が実施せられて参りました経過にかんがみましても、その実施の過程におきまして、日本の歴代の政府、あるいはこれらの実施に当りました公正取引委員会、持株会社整理委員会等の諸機関の活動等を見ますと、決して誠実にかつ熱意をもつて財閥の解体にあたり、あるいは日本経済の徹底民主化のために活動し來つたとは考えられないのでありまして、折あらば何とか財閥の復活を考え、でき得る限りこの法律の適用を緩和し、何とかしてこの勢力を温存しようとする絶えざる努力が拂われて來たことは、幾多の事実によつてこれを立証することができるのであります。(拍手)この点につきましては、この席からは時間の都合で申し上げられませんが、委員会におきましても、幾多の最近の事実をあげて質問しております。ことに大きな企業に関する問題、外國会社と國内会社との契約の問題、外國会社の國内における事業の問題等に至りましては、きわめてあいまいな措置がとられ、何らの措置をとられないような事例が多いのであります。また最近東芝の問題等につきましては、目下委員会で取上げておりますが、特に持株会社整理委員会のやり方につきましては、幾多の疑惑が持たれている次第であります。
 要するに、このようにいたしましてサボリ続けて参りました本法の実施も、ようやくにしてある種の國際的な動きを見、これに便乘しつつ、ときこそ至れりとばかりに、わが國における反動的な動きが表面化して参りまして、今こそ財閥の復活を意図する好機であるというので、このようなことが表面化して参りましたことは、まことに日本の正しい行き方、あるべき正しい日本の経済民主化の方向を誤る重大な事件であるとわれわれは言わなければなりません。
 さて私がここで特に一言しなければなりませんことは、今までこの独占禁止法等によりまして、大資本はこれを免れる道が幾らもあつた。ことに國家的な独占の形によりまして、ただいま勝間田氏も強調されましたように、私的独占をやれない場合には、國家の力を借りまして集中生産をやつたり、價格統制をやつたり、資金統制をやつたりいたしまして、國家の力を借りまして不公正な競爭を公然とやりまして、国家的な独占資本の形を構成して参りました。この結果、独占禁止法の犠牲者は主として中小企業であつたのであります。中小企業は、これがためにいろいろな点で制約を受けまして、自由な企業の発展を大いに制約せられて参つた。そのために、この独占禁止法の緩和が中小企業の立場から喜ぶべきことであるかのように中小企業の方方がお考えになる向きがあろうと考える。しかし、これは非常な間違いでありまして、特に中小企業の味方と考えられる諸君のために一言いたしたい。これは根本は、大資本がより大きくここでみずからの集中を公然と実行し、コンツエルンの形態の復活を考え、外國資本の買弁化をはかる行き方でありまして、中小企業はより一層これがために窮地に陷れられることは明らかなのであります。(拍手)
 さて私どもは、先ほど申し上げましたように、その他の一連の動きとあわせまして、この反動的な行き方、財閥復活への行き方に対して、ここで重大なる警告をこれらの反動勢力に対していたさねばなりませんが、けさの讀賣新聞にもありますが、近く追放の大量の解除がありそうだということでありまして、「吉田内閣もこの問題には深く関心を示しており、政府の重要ポストに追放解除者を復活せしめるよう努力しておる。訴願委員会が審査を終つた四百五十件のうち約半数は解除になるものと予想され、消息通筋の見るところでは、そのおもな氏名は次の通り、向井忠晴、五島慶太、岩崎彦彌太、村田省藏、加納久朗」というような名前も列挙せられておるのであります。
 なお、こういうふうな動きは、私はおそらく最近の外國における一部の動きに便乘しようとする日本の反動勢力の動きであろうと思いますが、先般毎日新聞におきまして、在日米國の商業会議所における意見というのが出まして、皆さんも非常に注目を拂われたと思いますが、在日米商業会議所分科委員会におきましては、独占禁止法集中排除、財閥追放、労働基準法、これらのものを大幅に緩和する方がよろしい、それから財閥追放は非民主的であるというような意見を出されたのであります。
 ところが、それから二、三日たちまして、われわれのさらに注目しなければならない意見が発表せられたのでありますが、それは同じく新聞紙の報道によりますと、前総司令部民政局次長チヤールス・ケーデイス氏は、十日、ニユーヨークの民間團体外交関係評議会で講演いたしまして、日本の財閥復活につきまして次のように述べたという。「米國の一部の利害関係者及び刊行物は、日本の利害関係者と手を握つて財閥を復活させようとしているが、もし日本の財閥のため黒幕的運動者の努力が、特に米國内の特別な弁護論者たちにより援助され、けしかけられて成功するようなことがあれば、すでに確立された政治上の民主主義を重大な危險に陷れるだろう。日本の財閥が米國の一部の独占企業とひそかに手をつないで、その権力を復活しようとする試みは総司令部にとつて重大問題を提示するものである。二千人余の人々が、日本の会社の幹部の地位から追われたからといつて、産業の能率や生産がはなはだしく阻害されたと主張するのはばかげている。」というような意見も出ておる次第であります。
 私は、何もここでだれがこう言つた、彼がこう言つたということを問題にしようとするものではない。要は、われわれがどこまでも、他國のだれがどう言おうとも頑として動じない自主的な方針をもつてわが國の再建のために堂々と主張することが必要である。それは、方針はただ一つ、ポツダム宣言の示すところの、連合各國が示したこの大方針をもつて邁進することあるのみでありまして、これにさからつて、もしだれかうまいことを言つてくれたならば、その機に便乘して、うまいことをやろうというような非自主的な考えを持つからこそ、終始日本の立場がぐらつくのである。われわれがポツダム宣言の線に沿つて正しい日本経済のあり方を考えて行くならば、われわれは必ずや民族の独立をなし遂げ、経済の平和的な再建をなし遂げることができると確信するものであります。
 なお、われわれがこの機会に一言いたしたいことは、集中排除や独占禁止というやり方では、決して平和的な民主的なやり方を徹底し、かつ生産の飛躍的拡大をはかることはできません。ほんとうに正しいやり方は、どうしても大企業は大企業としてこれを公共的に人民の手で活用し、徹底的に拡大する方向をとらねばならぬ。すなわち、重要産業、金融機関、貿易等の國営人民管理によるところの大発展を期することのみがポツダム宣言の線に沿い、かつ生産を拡大し得る唯一の正しい道であることを、この機会に強調いたしたいのであります。
 以上をもつて、本法案に対する、きわめて反動的な、危險きわまる本法案に対するわが党の反対趣旨を概略申し上げた次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 労働組合法案(内閣提出)
 労働関係調整法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案の両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加されました。
 労働組合法案、労働関係調整法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員長倉石忠雄君。
    〔倉石忠雄君登壇〕
○倉石忠雄君 ただいま議題となりました、政府提出にかかる労働組合法案並びに労働関係調整法の一部を改正する法律案の、労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず労働組合法案について述べまするに、現行の労働組合法は昭和二十年十二月に公布、翌年三月から施行せられ、爾來早くも三年有余を経過したのであります。この間、わが國の労働組合運動は、終戰直後の空白状態から一躍他にその例を見ない急激な発展を遂げたのでありまして、本法の功績はまことに偉大なものがあつたのであります。しかしながら、一面その後の実施の過程において、当時予想せられなかつた不備の点が現われて参りましたので、これらの諸点について立法上の措置を施す必要が生じたのであります。
 次に、現行労働組合法施行以來の三年間は、いわば労働組合の搖籃期とも言うべき時期で、ともかく労働組合がわが國において発達することを促進するのが最大の急務であつたのでありまするが、三年を経過いたした今日では、諸般の情勢より、かかる発達を遂げた労働組合が、ただちに自主的、民主的であり、かつ経済再建に対してその責任をみずから負うところの、自由にして建設的な労働組合となることが、何よりも要請されるに至つたのであります。かかる態勢確立のために必要な立法上の措置を講ずることが喫緊の急務となつたのであります。
 最後に、現行労働組合法は言うまでもなく旧憲法下において制定されました法律でありますので、新憲法及びその成立後に行われました諸立法との調整をはかる必要が生じて参つたのであります。
 以上が本法案提出の目的でありますが、以下本法案の大要を申し上げますれば、第一章総則につきましては、本法の目的を憲法第二十八條との関係から、現行法より、より具体的に規定し、労働者の團結権、團体行動権の保障を明確化しております。すなわち、労働組合の暴力の行使等は正当なる行為でないことを明らかにし、さらに労働組合に加入し得る者の範囲を明示するとともに、使用者の財政上の援助をも禁止して、労働組合の自主性を保障いたしたのであります。
 第二章の労働組合の章につきましては、現行法の規定中届出、規約変更命令、組合解散命令等行政ないし裁判所の干與に関する規定を一切廃止いたしまして、労働組合の一層自由なる発展を期すると同時に、組合員の平等公正なる会計監査及び役員選挙、同盟能業、規約改正における無記名投票制等を組合規約の必要記載事項とすることにより労働者度の民主性、責任性の保障をはかり、さらに使用者が正当なる理由なくして團体交渉権を擁護し、その不当労働行為の範囲を拡充して、使用者の労働組合に対する一切の干渉妨害を排除することにより團結権及び團体行動権を保障いたしたのであります。
 第三章労働協約の章につきましては、労働協約の不合理なる延長を排除することにより合理的な労資関係の保障をはかり、また現行法の不必要なる條文を削除いたしまして法の簡素化をはかつたのであります。
 第四章労働委員会の章につきましては、その職責、権限、組織を法律上明定することによりまして労働委員会の性格を明確にし、かつその権限を強化するとともに、特にその準司法的機能についての公正妥当なる運営を保障いたしたのであります。また不当労働行為の防止及び是正のための有効適切なる措置を講じ、さらに中央労働委員会に地方労働委員会の処分に対する再審査権、規則制定権等も與え、かつ全國的な問題の優先的管轄権を明確にすることにより労資間の紛爭議の合理的解決をはかつたのであります。
 第五章罰則につきましては、不当労働行為の性格にかんがみ、これが直罰の方針を改めまして、労働委員会及び裁判所の命令違反に対しては有効かつ強化されたる罰則を科することにより正常なる労働関係をはかることといたしたのであります。
 次に労働関係調整法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法案提出の趣旨も、大体においてただいま申し述べましたる労働組合法とほぼ同様であります。特に労働関係調整法につきましては、労働爭議中、公益事業の爭議行為と公共の福祉との調整にその改正の重点を置き、形式も一部改正とされておるのであります。
 以下、その改正の要点について申し上げますれば、第一に、公益事業の追加指定が現行行政機関のみで行うこととなつているのを、新憲法との関係から立法手続によることがより妥当な措置であると考えられまするので、國会の承認を得て行うことといたしてのであります。
 第二には、調停案を当事者双方が受諾した後には、調停委員会の見解を聞かなければ、その調停案の解釈または履行について爭議行為をなし得ないことといたしまして、労資間の無用の紛爭をつとめて除去することにいたしたのであります。
 第三には、公益事業における爭議行為の制限についての改正であります。すなわち、公益事業における労働爭議をつとめて防止し、早期かつ平和的に解決しようとするものであります。その他從來調停とあつせんとが混用され、かえつて事態を紛糾させることもありましたが、その本質を明確にいたしたのであります。
 以上の趣旨のもとに両法案は本國会に提出せられ、労働委員会に付託されたのであります。しかして本委員会は、五月四日より六回にわたり開催し、なお五月九日両法案に対する公聽会を開催いたしまして、愼重審議を重ねた次第であります。政府からは吉田総理大臣ほか関係閣僚その他政府委員が出席せられ、熱心なる質疑應答がなされたのでありまするが、両法案に対する質疑は五月十一日終了いたしまして、同十三日討論に入りましたところ、民主自由党及び民主党より共同修正案が提出せられたのであります。
 簡單にその要旨を申し述べますれば、まず労働組合法案では、第一に、法案中の不適当と思われる字句の修正をいたしました。第二には、法案第十九條二十項において、東京都地方労働委員会の委員をおのおの七人とすること、第三には、法案第二十二條の労働委員会の委員、職員の臨檢の場合には、その身分を証明する証票の提示をしなければならないとすること、第四には、労働省設置法、運輸省設置法の一部を、この法案成立のために変更される箇所の整理のため改正すること、次に労働関係調整法の一部を改正する法律案では、法案第三十七條の改正規定中、公益事業の三十日の冷却期間後六十日を限つて爭議行為を許すことについては、解釈上きわめて誤解を生ずるおそれがありましたので、これを削除すること、以上であります。
 ついで、日本社会党、日本共産党、新政治協議会、労働者農民党より、おのおの原案についての意見が表明せられ、次に修正案に対する採決に入りましたところ、多数をもつて可決、また修正案を除く原案についてもこれを可決するに至つた次第であります。
 以上簡單ではありまするが、詳細は速記録により御承知願うことといたしまして、御報告を終る次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。大矢省三君。
    〔大矢省三君登壇〕
○大矢省三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になつております労働組合法並びに労働関係調整法の一部を改正する法律案、すなわちこの改惡法案に対して反対の意思を表明するものであります。
 終戰以來三年有余、わが労働組合は世界にその例を見ないところの発展を遂げて、現在は三万の組合、組合員数六百数十万の組織を見ておるのであります。この間日本の生産復興に、またわが國の民主化のために、日本再建をはかり知れないところの貢献をなして参つたのであります。さらにまた、最近部分的にはいろいろ申されておりまするけれども、全体の方向といたしまして、労働運動がきわめて健全な方向に向いつつあることは、これはすでに政府みずからが認めておるところであります。しかも、非常に民主的にして建設的な発展を遂げておることは喜ばしい限りであるのであります。
 わが國の経済復興と九原則の実施にあたりまして現行の労働組合法と労調法の改正を必要だと言つておるのでありますが、政府は本案の説明にあたりまして、第一に、過去三年間の経驗にかんがみまして、自由にして民主的な、建設的な労働組合の助成を促進するためというのが第一であります。第二には、これによつて公正なる労資関係を維持し、さらに労働爭議と公共の福祉の調節をはかるというのが第二点であります。第三番目には、先ほど申しました経済九原則の円滑なる実施に対処するために本案を提出されたというのであります。
 しかるに、私どもこの法案を審議するにあたつて、政府の説明と相反する箇所が方々に見られるのであります。各條に、非常に反動的にして、さらに憲法に違反のおそれのある箇所が各所に見受けられるのであります。さらに労働組合にとつて重要な組合の自主性に対して、これらに非常に干渉し、さらに非組合員の資格を拡大いたしまして、著しく組合の弱体化をねらつているのであります。さらにまた、これが一種の取締り法でもあるのであります。特に注意すべきことは、自主的に発展しつつある日本の労働運動に対して、檢査廳の取締りの対象になるべき落し穴が各所に見られるのであります。また本案全体を通じて見まするに、きわめてあいまいであり、この解釈がいかようにも解釈できるようになつており、これが論議の中心となつたのであります。
 今逐條的にその内容を檢討してみますると、第一に本法の基本ともいうべき第一條において、政府案では、憲法に保障されておるところの團結権、團体交渉権、團体行動権が單なる團体交渉の手続規定のごときあいまいなものに改惡されておるのであります。特に第一條の二項においては、いかなる場合においても暴力の行使は労働組合の正当なる行為として解釈されてはならないと規定しておるのであります。これは労働組合の組織母体であるところの労働者の人格を無視し、労働組合を暴力團とひとしい取扱いをし、組合に対する侮辱もはなはだしいものであります。かつて吉田総理が労働者を不逞のやからと言つたことがありますが、その考え方がここに現われているのであります。(拍手)およそ労働組合で、暴力の行使を正しいと解釈しているものが一体ありますか。もし暴力を取締るというならば、日本の刑法にちやんと規定があるのであつて、いつでもこれを取締ることはできるのでありますから、かような規定をここに置くことは、日本の國会の名誉の上にも、さらに國際的にも非常な汚点を残すものであると私は考えるのであります。
 次に、この第二條の規定は、從來は使用者の利益を代表する者という言葉であつたものが、今度はこの改正案では、こまかく規定いたしまして、しかもそれは先ほど申しましたように、いかようにも解釈できるところの非組合員を不当に拡大いたしまして、労働組合の弱体を企図し、さらに分裂をも意図する目的をもつて制定されていることであります。また第二項には、いまだかつてなかつたところの政治活動に対して制限を加えているのであります。これは極東委員会が発しました労働組合に対する十六原則の六項に、労働組合は政治活動に参加し、また政党の支持をすることを許されるということが規定してあるにかかわらず、これまたその政治的な活動の自由を抑制することの規定を置いたのであります。
 第五條には、從來組合は届出主義であつた。それが今度の改正におきましては、労働委員会に証拠を提出して、第二條第二項に適合することの立証をしなければ保護を與えない、こういうふうな、いわゆる認可主義にかわつているのであります。次に同條の第四号には、法のもとには平等であるべき憲法の保障、すなわち人種、信條、性別、門地により差別されないという憲法第十四條を特にまげて、信條だけを削除して、憲法にない宗教をここに書いている。これは明らかに憲法違反のおそれのあることを私どもは看破するのであります。(拍手)
 さらにまた各條を通じて、自主的な組合を助成するのだ、民主的な組合の発達を願うのだと言つておきながら、その運営の内部規約にまで随所にその自主性を侵害し、干渉していることであります。一例を申しますならば、組合の役員の選挙にかくかくあるべしといい、無記名投票によつて云々ということは、大会議場で起立に問い、さらにまたあらゆる方法の選挙がるにかかわらず、無記名によらなければならぬ。特に三万、四万とある大きな労働組合に、そういうふうな内部に干渉をするということは、むしろ政府の意図するところの民主的にして自由な運動を抑圧していることであります。
 また不当労働行為、さらに正当なる行為という言葉が至るところにあるのであります。ことに、かつて日本の労働組合に彈圧を加えたあの特高警察が利用したるがごとき、また官憲あるいは檢察廳が取締りの対象としたごとき、先ほど申しました暴力行為の行使をここに揚げたことは、労働者の爭議権を非常に抑圧し、爭議を不可能にすることのできるような取締り方針のあることをわれわれは深く憂慮するのであります。至るところにこの彈圧がある。
 ことに労調法の、公共企業体に対して三十日の冷却期間、さらにそれに対して六十日、すなわち二箇月の爭議が当然と規定されている。これは私ども強く反対いたしましたが、幸いにして、先ほど委員長の報告によりまして、この箇所が取除かれたのであります。この箇所がありまするならば、むしろ爭議を獎励する法である。あるいは早くやらなければ期間が済みますから、一日も早く爭議をやれということに解釈されるような、いわゆる爭議獎励法ともなつておるのでありますが、この点が幸いにして削除されたことは、私たちの要求、主張がいかに正しかつたかということの証明であります(拍手)
 特に、先ほど申しました公共の福祉ということを非常に濫用いたしまして、絶えず労働者に向つての権利を抑圧していることであります。公共の福祉の重要性は、これはだれが見ても当然でありますから、私どもも認めるにやぶさかではありませんけれども、これに名をかりてやるということは、かつての軍閥、官僚が、天皇の名に隠れて、しかも民衆を圧迫して來たごとき濫用は、私は断じて許されてはならぬと思うのであります。(拍手)およそ労働法というものは基本法である。さらにまた一つの保護法でなければならぬのであります。この基本法を、故意にこういうようにあいまいに改惡いたしまして、また保護法であるべきものを、内部に対して干渉をし、取締るというふうな、この内容については、私どもはあくまでも反対するものであります。
 特に、非民主的な、短時日の間にこれを強硬に通過させようとするこの態度であります。これは数回公聽会を開きましたが、使用者側を除いて、労働者はもちろんのこと、識者の間においても全面的に反対し、與党の民自党の中ですらも、これに反対の意思を私どもは聞くのであります。先だつての公聽会におきまして、かかる法案を國会が通すならば、それは大きな國会の恥辱であります、それは世界に向つての大きな恥さらしであるということまで言つておるのであります。(拍手)
 何がゆえに一体こうした全面的な反対を押し切つてここに通過させようとするかと申しますれば、その意図は、資本家の代表日経連と、さらに今日の資本家を代表しているところの反動的な現政府との共謀によりまして、來るべき企業整備の賃金値下げ、馘首、あるいは企業整備に備えるために、これをしやにむに通過させようとする意図のあることをわれわれは認めるのであります。
 さきに公務員法を制定して、公務員に対して爭議権を剥奪した。さらに今國会に提案されているところのあの定員法であります。これまた馘首をすることのために制定した。これは明らかに、この法案といい、さらにまた過般通過した公務員法といい、ことごとくが労働者に対する挑戰であるのであります。私どもは、この法案の成立にあたつて、來るべく起るであろうところの社会不安、労資の摩擦、あるいは経済九原則の実施に大なる支障の來ることをおそれるのであります。これらの一切の責任は、かくのごとき態度に出たところの吉田内閣はもちろんのこと、これを支持し、多数をかりてしやにむにこれを通過させようとするところの民主自由党の負うべきものであると考えるのであります。私は、この法案提出にあたつて、民自党吉田内閣の崩壞するところの端緒にもなるということをここで断言するものであります。(拍手)
 終りに私は、社会党といたしましては、かようなる組合を抑圧し、取締り的な、さらに彈圧的な改惡に対しては絶対反対すると同時に、われわれは眞に自主的な、しかも建設的な労働組合法の制定をいたすために修正案を用意しておつたのであります。しかしながら、時間的なずれ、あるいは諸般の関係において出すことができなかつたことを、まことに遺憾といたすのでありますが、あの委員会の討論の際にこれを詳しく述べてありまするから、後日かくあるべきりつぱな労働法が必要であるという社会党の修正内容をごらん願いたいのであります。
 私は、あくまでもこの反動的な改惡に対して闘うと同時に、これを必ずや後日粉砕することのあることをここに警告し、この反動的な改惡法案に対して全面的な反対をいたしまして、私の反対演説を終るものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君)  三浦寅之助君。
    〔三浦寅之助君登壇〕
○三浦寅之助君 私は、民主自由党を代表いたしまして、このたび提案されました労働組合法改正法案並びに労調法一部改正法案に対しまして、修正案を含めまして賛成の意を表するものであります。
 労働組合の目的使命は、労働條件の維持向上をはかるとともに、産業の民主化と経済の興隆をはからんとすることは当然であります。刻下の急務は、長期の戰爭によりまして崩壞に瀕した産業を復興し、生産の回復をはかることであります。しかして、その重大なる責務は國民の過半を占めまする労働階級に課せられているのであつて、労働者こそは実に日本再建の責任と使命に輝けるものというべきであります。この意味におきまして、産業復興が低賃金を労働者に押しつけ、労働者の犠牲においてのみなされることの不合理の許されないことはもちろんであります。それだからと申しまして、賃金の引上げのみを要求することは、現在のこの日本の経済的情勢下において不可能なことは申すまでもないのであります。
 今までの労働組合の性格は、階級的闘爭團体として発達して來たのであります。すなわち、労働組合の全機能をストライキに沒入した、いわゆるストライキ團体であつたといつても過言ではないのであります。しかしながら、日本の経済状態は、もはやこういうようなストライキは許されるものとは考えられないのであります。日本の経済を再建するために、闘爭組合の性格から脱却いたしまして、建設的でなければならにと思うのであります。(拍手)
 正しい労働関係は、経営者と労働者が相互に深い理解と愛情によつて結ばれ、その任務を自覚し、両者対等の立場に立つて協力一致することであります。すなわち、経営者は労働者の生活を十分に考慮し、労働者は生産に責任を持つことでなければなりません。そこには、搾取と闘爭にかわるに民主的経営と建設的労働組合が生れるのであります。敗戰日本の建設は、社会主義や共産主義を基調とする階級闘爭を排撃いたしまして、自由民主主義の上に立つ強固なる労働大衆の團結にまたなければならないと思うのであります。(拍手)かかる立場から、今回提案されましたところの法案を檢討しまするならば、私は、まことに建設的な、自由な、民主的な労働組合運動を発展せしめるために最も適当なる法案であり、この法律案が通過してこそ初めて労働者の生活向上ができることと信ずるのであります。(拍手)
 しかるに、この法案に対しまして、各委員会を通じまして最も強く主張されましたことは、今回の改正案におきまして、第一條に正当行為を明示してことであります。すなわち正当行為を明示した中に、暴力の行使は正当な行為と解釈されないという点に反対が集中されたようであります。この反対を靜かに檢討いたしますならば、從來の労働組合運動が組合運動であるならば、何をやつてもさしつかえはない、あるいはこれは許されるものであるというような誤れる考えから來ておるのであります。すなわち、この考えを進めるならば、あるいは労働者独裁、あるいは暴力革命をも企図せんとするがごとき考えの人々が、これに対して強く彈圧法規であり、あるいは取締り法規であるというようなことを言うて反対するのであります。しかしながら、少くとも、いかなる労働運動でありましようとも、この暴力行使や、あるいは何をやつてもよろしいというような、われわれの秩序をみだし、あるいは身体、あるいは器物に対し傷害、暴力を與えるごときことは、断じて許されないことであります。
 過去の労働爭議の実情を考えましても、重役を監禁し、あるいは課長の住宅に入つて乱暴、強迫をするとか、あるいは金庫を破り、はなはだしきに至つては、重役の頭の上においてタバコの火を消すというような暴力行為も行われたのであります。こういうこうを容認されて、一体健全なる労働運動ができるでありましようか。現行法のもとにおいても。正当ならざる行為のできないことは当然でありまして、この誤れる正当なる行為の解釈をはつきりさせまして、正しい労働運動をするがために、この暴力行為の條項を入れることは、当然すぎるほど当然と言わなければならないのであります。
 さらにこれに対しまする反対は、委員会を通じ、あるいは先ほど大矢君も申されたようでありましたが、從來使用者が労働組合の専從者に対して給料を支拂つておつたことを、この改正案についてはつきりと禁止したことに対する反対であります。この専從者の給料が、從來誤つたる解釈のもとにおいて支拂われておつたのでありまして、民主的なる、健全なる労働運動をわれわれが考えるならば、いやしくも使用者の援助を受けて、使用者から専從者の給料をもらつてるということでは、決して民主的なる健全なる組合運動とは称し得ないのであります。
 しかるに政府に対しまして、あるいは労働組合を財政的に圧迫するとか、あるいは最低賃金制度のない場合において、この専從者の負担を労働者にせしむるということは、今日生活のできない労働者を圧迫するものであるとか、あるいは労働者の既得権の侵害であるとか、いろいろ論じられておるようであります。しかしながら、いやしくも労働組合が健全であり、しかもりつぱなるところの活動をする場合において、専從者の給料をもらつていることは、いかに不合理であり、かくのごときことによつて組合が御用化されて、健全なる発達が阻害されることは当然すぎるほど当然であります。
 しかも、かくのごとき労働組合の運動者は、常に労働組合は何人の干渉も排斥するとか、あるいは自由なるものであるということを呼称しながら、専從者の給料だけは使用者が負担すべきものであるというようにこれを要求することは、あまりに御都合主義であり、氣ままきわまるところの議論であると言わざるを得ないのであります。今日の労働組合が、経済的に苦しいながらも組合費を負担し、その最も中心にあたるところの専從者の給料を負担すること、それこそ健全なる労働組合が発達する上にも必要でありまして、この法案に対して多く反対するということは、まつたくその理由なきものと言わなければならぬと思うのであります。
 また、先ほども大矢君から申し上げたようでありますが、労働組合の範囲に対しまして、組合に加入し得ない者の範囲、すなわち役員であるとか、あるいは雇入れ、解雇、異動、昇進というような人事をつかさどる監督的地位にある者、あるいは機密事項を取扱うところの職員とかいうものに対して、これを禁止することは当然であります。この問題に対しましても、あるいは組合を弱体化するとか、組合分裂の政策であるとかいうような意見が行われたのでありますが、いやしくも使用者の利益を代表する立場にあり、同時に労働運動に從事しない立場の人をしてこれを加入せしめるということが、いかに健全なる労働運動を阻害するものであるかということを考えるならば、この規定も当然であり、いな、現行の法規のもとにおいても当然それはかく解釈すべきものを從來誤つた解釈のもとにおいて行われたということを、われわれは考えざるを得ないのであります。
 しかも、この法案に対しまして多く行われるところの憲法違反の問題であります。各條項において憲法違反を叫ばれておりますが、これは憲法そのものをほんとうに解釈しない議論であります。なるほど、憲法第二十八條において勤労者の團結権及び團体交渉その他の團体行動権の保障されていることは当然であります。しかしながら、憲法第十三條を見ましても、「すべて國民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する國民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」、しかもまた第十二條においては、國民に保障する自由及び権利は、國民の不断の努力によつてこれを保持するものでありまして、國民はこれを濫用してはならないばかりでなく、公共の福祉のためにこれを利用することは当然であります。でありますから、少なくとも公共の福祉の範囲において行き過ぎたり、また労働運動の誤れる点に対しましてある程度制限を置くということは、何ら憲法違反ではないのであります。しかも、これらの公共福祉の問題に対し、これを曲解いたしまして、ただ労働者が憲法の基本的権利があるのだから、これに対して少しでも制限することは憲法違反であるとかいうようなことをもつて議論される、その議論自体が私は憲法違反であると思うのであります。
 時間がありませんから結論を急ぎますが、このたびの労働組合法その他各條項においてこれを精査いたしましても、この組合員の平等権、あるいは役員の選挙、あるいは同盟罷業等におきまして選挙によらなければならないというような規定をしており、同時にまた資格のある会計檢査人におきましてこれを檢査しなければならぬという規定に対しましても、いろいろこれに対する批判があるのでありますが、いやしくも民主的な組合運動をする場合におきまして、こういう規定によつて從來のごときボス幹部の排撃ができるのであります。しかも、從來の労働組合の費用が、眞の労働組合運動に使われた以外に、他の目的のために、あるいは政治活動、あるいは必要以外の方に使われなかつたとは、たれが保証するでありましようか。こういうような点に対しまして、公正なる資格のある会計をつかさどる人によつてこれを監査して、組合の前に向つてこれを公表するということは、一体何が惡いでありましようか。正しい労働運動をするならば、進んでこれらの規定を制定すべきであるということは当然であります。しかも、過去の三箇年の労働組合運動の実績を見ましても、一部これらの誤れるところのボス幹部に指導されて、行き過ぎたる労働運動、あるいは健全なる労資の関係を破壞するところの幾多の事例を考えました際におきましても、私はこの役員の選挙、あるいはこの選挙法を考えるということの規定は、これまた民主的な労働組合運動の健全なる発達のために、まことに喜ぶべきことであろうと思うのであります。
 また労働関係調整法の改正の條項につきましても、これが一度権威ある労働委員会によつて採択され、しかもその履行や解釈の点において爭いがあつた場合には、あるいは一度労働委員会においてこれが当事者双方におきまして受諾せられたるところの組合調停案、受諾後においてこれに対してある程度これが解決まで爭議を引延ばすということは、いやしくも労働委員会の調停の趣旨を理解し、労働委員会の権威を保持し、労働委員会の調停をして最も権威あらしむる意味におきましても、当然の改正であろうと思うのであります。
 私は、かく考えました際におきまして、この法案に反対の人々が、この法案に対しまして、あるいは取締法規であるとか、あるいは彈圧法規であるとか、あるいは資本家擁護のものであるとか、あるいは政府と資本家と民主自由党の結託による、陰謀による法案であるというようなことを言われることは、これはまつたくこの法案を傷つけんがためのものでありまして、かくのごとき反対は断じてその理由がないのであります。いな私は、この法案の全体を通じまして、ことに法案の中に使用者の不当労働行為を明確にいたしまして、そうしてこの不当労働行為、使用者に対するところのいろいろな制限を設けることによりましても、あらゆる点から考えまして、この法案こそは、まつたく進歩的な法律案であり、(拍手)また同時に眞の労働者の生活、眞の労働者の保護立法であるということを断言せざるを得ないのであります。
 私は、かくしてわが民主自由党こそは、眞の健全なる労働組合運動をなすところの、最も適当なる、また最も労働組合運動に対して理解のあるものであるということを断言するものであります。(拍手)しかして私は、わが民主自由党の組合運動こそ、民主自由党の主張の立場に立つてこそ、初めて健全なる労働組合運動ができるばかりではない、初めてこれで労働者の生活は救われ、また今日破壞せるところの日本の経済情勢、長い戰爭によつて七割の経済力を失つた日本の再建は、実に民主自由党の主張する正しい労働運動によつて初めてなし得るものであると思うのであります。(拍手)
 こういう意味合いにおきまして、この法律案が通過いたしましたならば、今日一部誤れる人々によつて反対の運動はされておりますけれども、わが党の立場、わが党の主張というものが十分に労働者諸君に理解ができたならば、必ずやこぞつてわが党のために協力されることを確信いたしまして、私の賛成演説を終るものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 春日正一君。
    〔春日正一君登壇〕
○春日正一君 共産党といたしましては、この二つの法案に対して絶対反対であります。
 この法案がつくられた経過、あるいは提案に至るまでのやり口を見ますと、官僚だけがこそこそとつくつたものだという非難は、すべての人が言つておるのであります。これをここに出して來て、政府の説明を聞いてみますと、経済九原則の実施に即應するために自主的、民主的、健全な労働組合をつくりたい、こう言つております。はたしてその通りかどうか。
 第一番に、今度の法律ではいろいろな條文が現行法から除かれております。その中でも、現行法第二十一條、第二十五條を削除しておるのであります。これには一体どういうことが書いてあるか。二十一條には、労働協約は相互に守らなくてはならなぬということが規定してある。二十五條には平和條項が規定してある。あるいは、この平和條項の手続を経ないでいずれも爭議行為に入つてはならないということが規定してある。これをお前さんたち削つておるのだ。そうして、これを削つた理由としては、そういうことはわかりきつたことがから削つたのだ、こう言つておる。しかし、実際の効果を見るならば、かつて労働攻勢が盛んであつて、賃金の値上げが要求されるときには、資本家どもは、この値上げを一刻でも遅らせたいために、平和條項の挿入を盛んに主張したのである。今経済九原則に名をかりて、首切りとか、企業整備、低賃金をやろうということになると、この平和條項がじやまになるのであります。だからこれを削除して、この労働協約の一方的破棄をやり、そうして首切り、企業整備をがむしやらにやつて行こう、こういうたくらみが、この削除とこの法案第十五條の條文によつて明らかに出ております。(拍手)これがいわゆる提案者の経済九原則に即應する改正、これがこの改正のねらいである。首切りと企業整備と低賃金、これがねらいだ。
 さらに第一條、これは問題のあつたところでありますけれども、法文を非常にややこしく、日本人が読んだのでは一読、二読、三読しても、どこに重点があるかわからぬというような法文を書いて、しかもよく読んでみると、労働組合の目的が團体交渉とか、役員の選挙とか、そんなことが目的であるかのように書いて、この憲法二十八條の條文を制限して、それによつて労働者の團結権を奪おうとしておる。
 さらにもつと大事なことは、先ほど來指摘されておりますように、この但書に、いかなる場合にも暴力の行使は云々ということが書いてある。しかし、政府が現行法第二十五條、二十一條の削除は自明の理であるから削除するというならば、暴力の行使が惡いというほど自明な理はないのだから、なぜこのようなものを入れておるのか。明らかに暴力の行使というこの條文によつて、労働運動をあらゆる機会に干渉し、断圧せんとする落し穴である。(拍手)このことは、最近における東芝、川岸の爭議における警察の動員、豊和工業における断圧、そのほかの事実を見るならば、明らかにこの暴力云々は労働運動に対するかくのごとき官廳の干渉を導き入れようとする陰謀であることは、きわめて明らかである。
 さらに第二條、第五條において、労働組合の資格をいろいろと制限し、組合の規約に干渉をしておるのであります。こういう規約がなければ労働組合と認めないから、この法の保護を與えないという。憲法に保障されておる團結権というものはこの法によつて制限され、この憲法の保障を受けない労働者がたくさん出て來るということ、しかもこの法によつて労働組合の内部に対する官廳と資本家階級の干渉が誘発されて來る。これではたして自主的な労働組合、民主的な労働組合ということができるかどうか。自主的ということと、民主的ということは、日本の現政府のやつておる、何かといえば外國勢力に頼るというような口吻を漏らすことではなくして、自分の考えで、自分の力でやつてのけるということである。そうとするならば、労働者がいかなる組合をつくり、いかなる規約によつて行動しようとも、それが刑法その他の規則に触れないならば、決して制限さるべき必要はないと思う。
 しかも非常にこつけいなことには、先ほど三浦議員も言つたように、専從者の給與というものは、これは資本家が出すのはけしからぬと言つておるけれども、これに対し政府委員は、こういうものは國際労働機関にわれわれ日本の代表が出席した場合に、資本家から組合幹部が給料をもらつておるというようなことになるなら、これは恥かしいから、そういうことはしては困るということを言つておる。しかし、労働者が資本家から給料をもらつておるのはなくして、組合専從者の給與というものは、戰後の労働運動によつて、その実力によつて闘いとつたものである。(拍手)これは日本労働運動の誇るべき力を示すものである。決して政府委員が言つておるような性質のものではない。むしろ國際労働機関に出て行つて、そこで恥じることがあるとするならば、現在全國数千の工場に起つておる賃金の遅拂い、つまり人を使つておいて給料も拂わないというようなみじめな状態を出して來た資本家とその政府の無能力こそ世界に向つて恥ずべきであることは明らかである。(拍手)
 かように、これらの法律は決して労働組合を民主的にし、自主的にするというようなものではなくて、政府の政策によつて労働組合の規約に干渉し、口輪をはめて、そのたずなを引張つて、集中生産、企業整備、首切り、この困難の中に労働者を引ずり込んで、ここで非常な苦しみを負わせようとするところの、明らかに資本家階級の陰謀である。(拍手)しかも、これについては一部の勢力の独裁だとか何だとかいうことを盛んに言つておるけれども、この法案に対してこれに賛成すると言つた者は、あの労働委員会の公聽会において、わずか日経連の代表者三名である。労働代表はもちろんのこと、諸君の中から出られた委員も、われわれと一緒に公正なものでえあるといつて選んだところの中立の学識経驗者諸君も、口をそろえて、この法案は非民主的である、憲法違反の疑いがある、撤回すべきが当然であると言つている。(拍手)
 労働者の氣持ちがどんなものか。われわれは、今回の労働法規改惡が、集中生産、行政整理、重税を含む今年度予算と表裏一体をなす首切り、低賃金、労働強化を強制し、われわれ労働大衆の基本的人権と生活権を侵害し剥奪して、もつて民主的運動に大打撃を與えるものと断定せざるを得ない。これが大体全國の労働組合の集中的な意見である。しかもそれに加えて、中立、学識経驗者まで反対であるとするならば、この法規を改惡して労働運動を彈圧しようとするものは、日経連の、あの上層部に巣を食つておるところの買弁的な大資本家、さらにこれにつながる民主自由党及び現政府、この少数の資本勢力である。これこそ今民主的な労働組合を牛耳つて、昔の産報みたような形の、政府の統制する組合に持つて行こうとしておるのだ。こう言つてもさしつかえないと思う。
 結論としまして、最近出されております公安條令、屋外廣告物、こういうものを考えても、さらにポツダム政令あるいは國家公務員法というようなものを考えてみても、明らかに改惡である。今、日本に民主革命を進めようとするところの労働組合に対し最も大きな彈圧を含んでいるということを徹底的に断言し得るのであります。(拍手)しかもそれだけではなく、現在地方の工場閉鎖のためにその地方が疲弊するということで、土地の農民も商人も、あるいは地方自治團体の議会すらもこれに反対しておるということが、非常に大きく出ておるのであります。東芝の松川工場、同じく網干工場の閉鎖には、民主自由党の諸君の中にも反対者であるはずだ。そういう大きな動きの中に、労働階級がこの運動の中心となつて、六・三制予算の削減に対する反対、地方財政の窮乏に対する反対、あるいは重税に対する反対、供出あるいは災害復旧、これらの問題の解決のために、全人民の中心として闘うというこの力、これを諸君は恐れておる。だから、この労働組合に対する彈圧は、ひとり労働階級に対する彈圧ではなくして、全人民に対する彈圧である、こう断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 最後に言いたいことは、諸君はこういう労働組合法をつくつて、経済九原則で首を切つて、それで日本が復興するというように主張しておられる。はたしてそうか。外國の例を見るまでもないと思う。昭和五年、六年、あの不景氣なときに、労働者は企業整備でやはり首切られた。そうして労働運動は彈圧された。しかし、労働者を首切つたために何が起つたか。購買力が減つて、國内市場はさらに過剩生産になつて過剩物資を生じ、どうにもならなくなつた。輸出の促進といつてみたけれども、どうにもならなくなつた。結局、これらの過剩物資の新しい市場をつくるために、あの戰爭という道を行つたという事実、この事実を諸君は眞劒に思い返す必要があると思う。
 今諸君がやろうとしておることは、これと大体同じ性質を持つたものである。工場を閉鎖して、労働者を首切つて、失業者を氾濫させて、それで國内の購買力というものが一体どうなるか。輸出の増進と言う。しかし最近の状態を見るならば、アメリカにおいても、フランス、イギリスにおいても、世界の諸國において過剩生産、輸出しなくてはならぬものがどんどんふえて行つておる。こういう事実の前に、諸君が國内で首切つて、市場をことさらに狹くして、日本の産業を破壞して、それで飢餓輸出、はたしてこれで日本が立つと思うかどうか。この点について諸君は眞劒に考える必要がある。諸君の一旦の考え違いによつて日本が再び救うべからざる状態に陷るとしたならば、諸君があやまつたくらいでは済まないということ、この点を十分に考えて、日本を発展させるために、すべての生産機関を動かし、國内の購買力をふやし、國民の生活水準を高めるというこの方法こそ、ただ一つの現在の状態からの抜け道である、そうして、この方向の主たる勢力になるものが労働階級であるとすれば、労働階級の運動をいささかも束縛し制肘するがごときことは絶対に許されないものであるということは明らかである。
 諸君は、この大きな人民の動きに対して目を閉じることは自由であるけれども、それは迫り來る革命の大つなみの前に諸君自身が目を閉じているのだ。このつなみはなくなるものではない。(拍手)諸君が独善的に、こうした法案によつて、諸君の頭で人民を押え得ると思うならば、それは大きな間違いである。この大きな人民の闘爭によつて必ず諸君がその信頼を失墜し、諸君が考えたところを乘り越えて日本の革命が前進するということ、このことは明らかである。われわれは、今澎湃として全國に起りつつあるところの労働者、農民、商人、中小企業、これらのすべての階級の日本の産業を守り、文化を守り、民族の独立を全うしようとするところのこの大きな運動の中心になつて、この法案に断固として反対するとともに、今後とも諸君がかかる政策を強行するならば、諸君らに対し断固たる政治的な闘いをやることをここに宣言するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 小川半次君。
    〔小川半次君登壇〕
○小川半次君 私は二、三の意見を申し上げまして、本案並びに修正案に賛成するものであります。
 わが國に労働組合法が施行されて以來、この法律を最もよく愛し、最もよく理解して來たのは、組合員であるところの労働者であると思うのであります。しかしながら、労働者といえども、おそらくは現行組合法を最も完全なる法律であるといつて金科玉條としているのではないのでありまして、諸外國の労働に関する諸法規を比べますれば、わが國に特に組合法などは、はるかに劣つているのであります。しかもアメリカやイギリスにおきましては、その國自体の社会施設あるいは福利厚生施設が、ことごとく労働者に対して保護的に設備されているのであります。そうして、その生活はきわめて健康的であり、かつ文化的であるのであります。わが國の憲法におきましても、その二十五條に「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定されているのでありますが、現在のわが國の國民生活、特に労働者の現実の生活から見るとき、この憲法第二十五條はまつたく空文にひとしく、むしろ重苦しい夢でしかないのであります。私は、今後わが國において、本法施行に附随して、あらゆる角度から労働者に重点を置くところの政策が行われなければならないことを、強く政府に申し上げるものであります。
 次に、私は委員会においても申し上げたのでありますが、労働組合法とうものは労働者の保護法であるという、はつきりした性格がそこに現われておらなければならないのであります。そうしたことが一見して明瞭に、保護法であるということが判明しなければならないにかかわらず、本案は時には保護法に見えたり、時にはまた取締法に見えたりして、まことに不明確というか、少しずるい内容を持つておるようであります。私自身とうひいき目に見ましても、時には保護法に見えたり、あるいは取締法に見えたり、その差というものは、たとえば保護法と組合法とのシーソー・ゲームのようなぐあいに見えたり、時にはまた取締法の方が六対四で、要するに保護法よりも二点勝越しというようなぐあいにも見えたりするのでありますが、今後の運営は必ず保護法的にもつて行かなければならないことを政府に望むものであります。
 先ほど大矢議員や春日委員から、第一條第二項に「いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない。」というこのことを規定したことについて反対の御意見が出ておりますが、過去三年間における團体交渉や労働爭議闘をつぶさに檢討するとき、労働組合の闘爭活動から逸脱して、多数による傍若無人の威迫や暴力が行われ、しかも刑法第三十五條の「法令又ハ正當ノ業務ニ因リ為シタル行為ハ之ヲ罰セス」というこの條文を理由として、爭議行為に正当ならざるものなしとして、はばからなかつたのであります。はなはだしきに至つては、爭議行為として行われる場合は、殺人あるいは放火さえも罰せられぬと論じたところの弁護人があるのであります。これがため國家の権力さえも萎縮し、経営者はまさに呆然として経営の自信を失わんとするありさまであつたのであります。もしこのまま成行きに放置いたしますならば、日本の経済復興の前途暗澹たるものがあると言わねばならぬのであります。(拍手)さらに私は、この條文を規定しなければならないほど日本の組合運動の行き過ぎを指導した一部の指導者に対して、まじめな労働者のためににくむものであります。(拍手)
 ただいま本会議におきまして、組合専從者の給料の件について賛否両論がでたのでありましたが、私からもこれについて一言したいと思います。組合専從者が使用者側から給料を支給されておるということは、ときには御用組合に陷る傾向があり、かつ日本の労働組合の恥辱であり、威信を失うものであと言わなければならぬのであります。世界各國の労働組合を見ましても、専從者が使用者側から給料を支給されておる組合はどこの國にもないのでありまして、(拍手)日本の労働者が世界の労働者の前に立つて何ら卑下することなく対等の立場で語られる、すなわち世界に通ずる労働者となるためにも、まずこうした点を是正しなければならぬと思うのであります。反対理由として、しばしば低賃金を云々されましたが、私も日本の労働者は低賃金であることは一應認めるものでありますが、労働者が低賃金であるから組合専從者の給料を組合員が支拂うことはむりであると言われるのでありますが、私の調査では、今専從者の給料を組合員から支給するといたしますれば、大体組合員一人一箇月七十円程度となると思うのでありまして、この程度では、さほどむりではないのであります。私は、それよりも、組合幹部が組合員から闘爭資金などと称しては一回に二百円とか三百円ずつ金を出さすことこそ、むりなやり方だと思うのであります。(拍手)
 なおわれわれは、労働関係調整法の改正案中より第三十七條の二項を削除いたしましたのは、この二項の解釈には種々の疑義があるからであります。すなわち一部におきましては、健全組合の爭議権を抑圧するものであると言はれ、また一方においては不健全組合に対してむりに爭議を誘発するものとも解釈されるので、いずれも妥当ではなく、削除することがより建設的であると考えたからであります。特にわが民主党は、これが削除を強く主張して、民主自由党の同調を得た次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 石田一松君。
    〔石田一松君登壇〕
○石田一松君 私は、ただいま議題となつております労働組合法案並びに労働関係調整法の一部を改正する法律案、これに付随して提出されました修正案、全部を一括して、新政治協議会を代表して反対の討論をするものであります。(拍手)
 私は、これら両法案を愼重に審議いたしましたその経過からして、この両法案こそ、労働者諸君が今年の春以來声をからして叫んでいた改惡以外の何ものでもないという結論に到達したのであります。(拍手)しかも、提案趣旨の弁明に言われておるところの本案の改正目的以外に、ある反動的な、大きな陰謀的な目的が本案の裏に秘められておるということが、明らかに看取されるのであります。(拍手)しかも、現行法の実施以來三年間の労働組合運動の行き過ぎ、あるいは不法行為等についての幾多の資料を政府はわれわれに提出したのでありますが、この提出されたるところの資料のすべては、労働者に不利にして使用者に有利な、一方的な資料のみが提出されておるのであります。(拍手)しかも、本案を改正しなければならなかつたというその根拠として、これらの資料がその材料になつておるのであります。しかもこの点は、私のみでなく、去る九月の公聽会における労働運動の権威者末弘博士自身が、はつきりと、大膽に、率直に、司令部を交えて現政府が調査した労働運動の資料は、まことに観察の点において一方的である、ということを断言なさつたのであります。(拍手)しかも私は、この一方的な材料によつて改正の必要を強調するところに政府の秘められた意図があると考えるものであります。
 この組合法案の第一條のごときは、憲法第二十八條の具体化されたものである、わかりよくこれを書き直したものであるという政府当局の説明であつたのでありますが、この細部にわたる質問を展開するたびに、政府当局の答弁はまつたく支離滅裂になつてしまつたのであります。しかも、憲法第二十八條を具体化したと言いつつ、第二十八條の労働者に與えられたいわゆる保障を大幅に制限したということだけは絶対に間違いはないのであります。(拍手)しかも私は‥‥(「原稿も読めないじやないか」と呼び、その他発言する者あり)黙れ、やかましい。議長は何をしておるか。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。
    〔発言する者多し〕
○石田一松君 議長はなぜ注意せぬのか。(発言する者多し)しかも――続けます。しかも、第一條第二項の但書の暴力行使の規定に至りましては、現行刑法におきましても、まつたく一箇所にも用いていない暴力という言葉を用いておるのであります。しかも、その暴力行為という問題に関する世界の学者の学説は、まことに難解なるものとして、いまだにこの解決が見出されていないという問題の言葉なのであります。この言葉を政府は本案の第一條の第二項の但書に使つておるのであります。
 もちろん、暴力行為が許されるべきものでないことは当然でありますが、もしこの暴力否定の規定をここに設けるとするならば、この暴力を行使しなければならなかつた原因に、使用者側がこれをいたずらに挑発し、あるいは誘発するがごとき行為があつた場合にはこの限りでないという除外例を設けておくことが、眞に立法の体裁になるのであります。(拍手)にもかかわらず、一方的な取締りこの範囲の廣い暴力行為という規定を設けましたことによつて、今後警察官憲が労働運動に干渉するところの手がかりを與えたものということだけは間違いがないのであります。おそらく、今後労働爭議が展開されたときに、この法案によつて、この但書によつて、警察官憲がいかにこの爭議に干渉するかは、事実をもつて諸君が認識あそばすことと思います。(拍手)
 私が特にここに強調すなければならないと思いますことは、本案の第五條の條文の中に、労働組合の組合員の資格を剥奪し得る條件に、信條の文字をことさらに削除したということであります。労働省の第一次試案には、この信條という言葉があつたのでありますが、本案にはわざわざこれを削除しております。しかも、この削除した大きなねらいは、審議の過程におきまして、おそらく労働運動から共産主義者を追放しよう、放逐しよう、この考えが多分にあることだけは間違いがありません。
 私たちといえども。労働爭議のいわゆるこの経済的な運動に対して、一部の共産主義者が特にこれを惡意をもつて指導するというならば、これを排撃することにおいて決して人後に落ちるものではないのであります。しかしながら、私がここに強調しなければならないことは、この勢力を排撃するということの方法であります。私は特にこの際申し上げますが、一回の選挙によつて一党が多数をとつたことを奇貨として、法律を改正することによつて自分たちの思想と相反する者に一つの掣肘を加えるという立法をすることがもし許されるとするならば、これが独裁政治でなくて何でありますか。(拍手)共産主義がいけないことはわかつていおる。共産党の指導がいけなかつたならば、諸君が持つておるところの資本主義あるいは自由主義の思想を高らかに唱えて、理論と実際とをもつて、日本の労働組合がみずからの意思によつて共産主義者を放逐する方法に導けばいいのであります。それを、いたずらに法律を改正して、みずからの反動性を守ろうとするがごときは、諸君が共産党の宣傳をするために常に用いている――やがて共産党が多数になつたら、合法政党を全部否認し粛正して共産党独裁の政権をつくるだろう、そういう宣傳をしておるにもかかわらず、諸君自身がすでに共産党がやるであろうということを今やつておるではないか。まことに諸君はみずから語るに落ちているものであります。
 しかも、過日の公聽会において末弘博士が公述をなさいましたその冒頭に、もし國会が本案を政府に返して練り直せと言う勇氣があるならば、そうなさる方が將來のためにはまことに得策でありますと、こういうことをおつしやつたのであります。労働運動の権威者末弘博士のこの公述は、政府委員あるいは労働大臣が、一部の使用者の有利をはかるために、その場その場のいい加減な答弁をした百万べんの答弁よりか、この末弘博士の一回の公述の方がわれわれにとつては大いに参考になつたのであります。
 しかもこの公述人を選ぶにおいて、最も嚴正中立な立場にある学識経驗者を三人選んだのでありますが、この三人の学者の中の一人が、本案が憲法違反の疑いがあるということ、本案が彈圧法であるということ、もし政府が提案理由に説明する通りに組合の民主性、自主性、責任性を重んじようとするならば、使用者側の不当労働行為を禁止することのみによつてその目的は達し得ると断言しておるのであります。この点からわれわれが言いましても、本案は、一部使用者のために、しかも九原則実施という一つの機会を利用して、多数の力によつて労働運動を今この際彈圧しようとする意思以外の何ものでもないと断言するものであります。(拍手)
 今盛んに議場外において、労働者諸君が、しかも六百数十万の組織労働者が、血の叫びを上げて本案の通過を阻止しようとしておるのであります。この院外の、直接この法律によつて自分の生活の脅威を感じつつあるところの労働者諸君が、あの悲痛な叫びを上げて反対をしている声を押し切つて、何の必要があつてこれを通過させなければならぬか。私はここにあえて言う。彼ら労働者は日本人であります。この祖國の再建のためには彼らの労働力をすべてささげ盡そうと、今脱皮し、また自己反省をし、自己批判をし、おのずから民主的な、穏健な日本の再建に着々と組合が再編成されつつある現在なのであります。かれらが穏健な方向に進もうとし、組合を再編成しようとするこの際、政府がかかる彈圧的なこの法律を実施することによつて、かれらのいわゆる労働意欲を刺激し、しかもかれらが今決意したところの決意を鈍らせる以外の何ものでもないこの法案を、なぜ諸君は強行しようとするのでありますか。おそらく私は、諸君の強行しようとする考えは、ほんとうに諸君の政党の、いわゆる現内閣の反動性と保守性とを惜しげもなく暴露したものであると私は考えるのであります。
 こういう観点に‥‥(「そんなのんきなことを言つておられるか」と呼び、その他発言する者多し)うるさい。黙つている。たまにはこの上に上つてしやべれ。――私は、かかる観点におきまして、新政治協議会を代表して、両案に対してまつこうから反対の意思表示をいたします。但し政府は、これを撤回して、ほんとうに正しい観点で、日本の労働組合運動の実態を公平なる立場で調査して、公平なる資料に立つて、再び來國会にでも正しい修正案を出すべきであります。草々の間に、今年の二月十四日に発表されたあの労働省試案とまるつきりかわつてしまつたようなこんな法案を出しては、諸君みずから保守政党の名前に反するだろうと私は思うのであります。以上をもつて反対理由といたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 島田末信君。
    〔島田末信君登壇〕
○島田末信君 私は、民主党を代表いたしまして、ただいま上程されておりまする両案につきまして、修正案を伴う本案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
 そもそもわが國の労働立法は、ポツダム宣言に示されたる日本民主化の主要なる任務の一つといたしまして、労働者の解放を志し、労働の隷属性を拂拭して、労資対等の立場における健全なる経済社会の建設を達成せんがために、むしろわが國労働者の労働運動に対する成熟、自覚を持たずいたしまして、いわゆる與えられたる法律として、昭和二十年十月二十二日労組法をまず制定いたしまして、この法律は翌年の三月一日からこれを施行し、さらに昭和二十一年九月二十七日に労働関係調整法を制定いたしまして、同年十月十三日からこれを実施して参りましたことは、すでに御承知の通りであります。
 この與えられたる法律が、世界的にも最も進歩的な労働法規の一つとして施行せられてここに三年有余、わが國労働運動発達のために貢献し來つた役割は決して過小に評價してはなりません。全國組合数が三万に達し、組織労働者数五百三十万を数えるこの量的発達につきましては、この驚異的実績を示した点、まことに本法の功績偉大であつたといわねばならないのであります。
 しかしながら、一面わが産業界の実情に思いをいたしますときに、せつかく與えられたるりつぱな労働法規も、運用において一部少数者の非民主的跳梁をほしいままにせしめるようなこの放縦性を看過いたしましたために、往々にして労働組合の不健全なる活動を招來し、日本経済の現状よりながめまして、まことに不穏当と考えられるような爭議行為が、しごく当然のように頻発して参りましたことは、國民の常に顰蹙したところでありまして、労資一体的協力下にわが國経済の復興を眞劒に志す國民の側からは、現行労働法規改正必至の声を叫ばしめまして、労働組合の民主性並びに責任性を如実に具現して、一部不健全なる活動をその余地なからしめ、もつて眞に自由にしてかつ建設的なる労働運動の助成発達を期するにあらざれば、わが國経済の復興は断じて望み得ないということは、われわれひとしく痛感したところであります。(拍手)すなわち、過去三年有余の貴重な体驗に徴し、かつは経済安定九原則の実施上もはやこれ以上遷延を許さない現下の國情に促されまして、ここに政府は十分なる用意と決意をもちまして労働法規改正を提案いたしましたことは、まことに時宜を得たものとして、まず私は賛意を表したいのであります。
 次に、この法律は新憲法制定以前に生まれたものでありますから、新憲法の制定と同時に、最も早い機会に、これが精神に即していささかも間然しないように改正されるのが当然であつたのであります。諸般の情勢上やむを得なかつたとは申しながら、今日改正を見ましたことは、むしろ遅きに失したといわねばなりません。
 すべてわが國の諸法制並びに諸制度が、その基本法である憲法の精神を逸脱して存在できないことはもちろんでありますが、同時に、わが國の置かれたる特殊事情よりながめまして、連合國の対日労働管理方策に誠実であるべきことは多言を要しないのであります。從つて、日本労働組合に対する十六原則が、わが國労働立法の規範として尊重されねばならないことも申すまでもないことであります。私は、この法規が改正されるにつきまして、十六原則を基準として、これに背馳しないように十分に心がけると同時に、わが新憲法に示す労働権の保障を一層平明にして具体的ならしめ、政府が確信をもつて今後の正常なる労働運動の発達に寄與し得べき最も進歩的なる改正案であると提言し得たことは、まことに当を得たものと考えるのであります。
 さらに今回の労働組合法の改正は、條文の体裁におきまして、從來とかく法文が親しみがたいものとして一般人から対岸の火災視されるようなきらいを免れなかつた実情から考えてみまして、このたびの法案がきわめてわかりやすくされたことは、一つの進歩であると申さねばなりません。特に自由にして建設的なる労働運動発展への宝典として親しまねばならぬこの法規が、全國の労働者にとつて読みやすく、わかりやすく、平易なる文章をもつてつづられたことは、私は心から賛意を表したいのであります。
 以下法文につきまして、おもなる改正点を一瞥いたしますと、まず第一章総則におきましては、労資対等の原則を明らかにし、かつ憲法第二十八條の労働権の保障を具体的に明確化するとともに、暴力行為の正当なる労働行為でないということを認めて、これを明文化いたしましたことは当然ではありますが、わが國労働者の置かれた地位と保障されたる権利とを両然たらしめておりますと同時に、從來ややもするれば行き過ぎの感を抱かしめた労働組合運動の不健全活動に対しまして嚴然たる猛省を促しておるのであります。
 第二章労働組合においては、労働組合の運営が從來官廳干與のありましたことを排除いたしますとともに、一部独裁的組合指導の余地をもなからしめて、特に組合の会計監査の方法や役員の選挙、同盟罷業あるいは規約改正等重要事項の決定に対しましては、無記名投票制の実施等を規約の必要記載條件として取上げてありますことは、これまた民主的にしてかつ責任ある労働組合運営の將來が十分期待されると存じまして、これまた賛意を表するものであります。なお本章は、労働組合の民主性を制度化する反面、使用者の不当労働行為を嚴重に戒めておるのでありまして、その適用範囲を拡張いたしますと同時に、労働組合に対する一切の干渉妨害を排除し、もつて時代感覚に鈍重なる一部使用者によつてややともすれば侵害の余地を有したる労働権を明快に擁護しておることであります。
 第三章労働協約におきましては、協約の有効期間を三箇年と限定いたしまして合理的な労資関係の保障をはかるとともに、現行法中実益のないような條文は削除いたしまして、法の簡素化をはかつておるのでありますが、これまたうなずくことができるのであります。
 第四章労働委員会は、新たにその職責、権限、組織を法的に明らかにして性格を明瞭にしておりますが、その権限を強化して、労働委員会が今後労働問題解決に処すべき重要度と使命をいよいよ重からしめておるのであります。ことに、從來の中立委員を公益委員に改め、公益委員のみが決定権を有する準司法的な活動分野を設定いたしましたことは、労働紛糾の公正妥当なる運営を保障するものといたしまして、これまた興味ある改正点であると考えるのであります。
 次に労働関係調整法の一部を改正する法律案につきましては、その改正の要点が公益事業の爭議行為と公共の福祉との調整に重点を置かれたことは、これまた十分われわれは首肯し得るのでありまして、公益事業の追加指定が國会の承認を経ることとしたのは、新憲法の精神にかんがみまして、しごく当然なる措置であるとわれわれは考えるのであります。
 最後に私は、政府が本法提案の趣旨弁明中に述べられましたる一節を引用し來りまして、私の結論を急ぎたいと思うのであります。すなわち政府は、経済再建、特に九原則実行のために労働者及び労働組合の責任はきわめて重大であるが、労働問題に関しては、法律の改正は問題解決の全部ではなく、行政運営、労働教育、特に政治全般の総合施策が並行実施されることの重要性を認め、かつ労資の自覚と努力及び公正なる世論の批判と協力を肝要として、労働者の地位の向上、自由にして建設的なる労働組合の発達及び労働運動と公共の福祉の調整に最善を盡すことを約束しておるのであります。さらに法的措置と行政と相まつて労資各方面の協力下に日本経済再建の目的達成に邁進せんとする決意を示しておるのでありますが、私は政府の確固たる方針と決意に対しましては深い信頼感を有するとともに、今後の施策に対しましては、政府の責任ある行動を強く要求してやまないのであります。
 私は、改正法案全文を通読しますとき、眞に國を愛し、眞に國民の幸福を願う全國の労働者並びに事業主は、今こそ互に相手を尊重して、軽く握手して、この課せられたる経済安定の道を一路邁進すべきであると信ずるのであります。過去の賃金鉄則から解放されて、労資対等の地位を確立し、進歩的賃金の法則確立を明日の金字塔として樹立するためには、資本と労働の協力に基く欠乏経済の打開以外には断じてありません。分配の基礎をなす資本の蓄積こそ、わが國自立経済達成への急務とすべき現下の至上課題でありまして、私は本法改正を契機として、よろしく政府は率先して経済再建への一大國民運動を展開すべきであると考えるのであります。労働組合法の五章、三十三條の全文に國民的な血が通い、これの生きた運用がなされまするとき、その時こそ、一部不健全なる組合指導力と及び蒙昧なる一部の使用者たちが、その正常にしてかつ健全なる日本再建の途上から影を失う時であると堅く信じてやまないのであります。
 以上私の所信を披瀝いたしまして、本案に賛成するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 石野久男君。
    〔石野久男君登壇〕
○石野久男君 私は、ただいま上程されておりまする二つの法案及び修正案に対しまして、労働者農民党を代表して反対するものであります。
 日華事変から太平洋戰爭にかけて、日本の資本主義及び帝國主義的な野望はその極点に達したのでございます。この間におきまして、労働者は七十年の長い間、軍隊と官憲に守られた資本家のもとで、あくどい搾取を受けておつたのである。隷属的な労働を強いられて來ておつたのであります。基本的な労働権を獲得しようとするわれわれの先輩の幾たびかにわたるところの努力は、軍隊と官憲に守られ、そうして資本家のあと押しによるところの時の政権によつて、いつでもつぶされてしまつておつたのでございます。戰爭がついに敗戰というみじめな事実となつて現われたときに、そこには國土の荒廃と、そうしてむごたらしい生活、餓死的な恐怖と欠乏が残されておつた。一体これはだれの罪であるか。これこそ資本家のあくどい労働者圧迫の帝國主義的な精神の罪であつたと言わなければならない。
 この敗戰によつてポツダム宣言を受けた日本が、民主化を絶対の命令として要請を受けたときに、長い間しいたげられて來た労働者が初て基本的な人権を保障され、そうして一九四五年の十二月二十二日、労働組合法案が成立したのであります。この労働組合法は、労働者が長い間搾取され、そうして隷属し、しかも幾たびか帝国主義戰爭にかり立てられたところの犠牲の総決算として獲得した、永久に保障されたところの権利であると言えるのであります。(拍手)
 今、この労働組合法及び労働関係調整法が改正さえるにあたつて、われわれが考えなければならない点は、この法が改正されるにあたつて、この法益を受けるところの労働者が、どのようにこれを考えておるかということを眞劒に考えてやることであります。わが國のこの現状において、労働者の持つ任務が眞に日本の再建と日本の復興のために重要な要素であるということを、民主自由党の諸君が眞劒に考えるならば、この法案を改正するにあたつて最も眞劒に労働者諸君の声を聞いてやる必要があるということを、私は諸君に忠告するものであります。(拍手)
 政府は本法改正にあたりまして、その重要な点として、三箇年の経驗にかんがみるものであるということを言つておるのであります。はたして、そのような三箇年の経驗をした者がだれであつたか。幾たびも論じられておりますように、労働者は、現行法に対する不満足は持つておりながらも、今日諸君らが提出しており、政府が提出しておるところのこの法案に対しては絶対反対の意思表示をしておるのであります。第三者がどのような見解を持つておるのかということについては、政府の示した第二次試案に対する全國各地の公聽会の席上において行われたところの意見に徴しても、またこの國会がさる九日に労働委員会の公聽会として持たれたその席上における第三者の発言をもつてしても、諸君らは十分知り過ぎているほど知つているはずであります。ただひとりのこの法案に対して賛成するものは、日本経済團体連盟の諸君が述べておつたその意見であつたのであります。民主自由党及び吉田内閣が、今日のこの法案を提出しようとする意図は、明らかに日経連の諸君の意見と完全に一致することを私はここではつきり申し上げるものであります。
 われわれは、國家の最高の決議機関として、しかも神聖なこの國会においてこの法律を審議するにあたつて、このように全國の労働者が、しかも一般に中立的な立場に立つている者もすべてが反対する法案を、吉田内閣及びその與党である民主自由党が、資本家陣営の意見をそのままに、この國会を強引に通過させようとするその意図に対しては絶対反対を表明するとともに、この神聖なるべき國会の最も恥辱とすべきであるということをはつきり宣言するものであります。(拍手)本法案が成立することによつて、労働権の剥奪、嚴しい官憲の取締りと干渉に対する労働者の憎悪と、労働者が今日その押しひしがれて行くところの生活の窮乏と欠乏の中から、吉田内閣打倒の重々しい実力となつて現われるであろうということを、今日吉田内閣及び民主自由党の諸君がいかにこれに説明を加えましようとも、憲法違反の疑いのあることは事実であります。しかも、労働権は剥奪され、組合を取締つて、その自主的にして健全なる組合運動を抑圧する以外の何ものでもないということは、はつきりしている事実であります。しかるに、政府及び民主自由党の諸君は、この法案が成立することによつて自主的にして健全なる組合運動の推進が行われるものだと言つておるのである。民主自由党の諸君は、組合運動のその組合の中にいるところの労働者がどのような氣持ちを持つておるか、どのような生活をしておるかということについては、いささかも承知していないのである。この法案が制定されるとき、おそらくは職制上の支配と権利を過重に資本家に対して保障し、労働者を彈圧する結果以外の何ものも出て來ないのである。
 われわれは、本法案の全般を通じて、次の四つの点について大きな彈圧的なたくらみがある、そのたくらみを指摘しなければならない。第一條、第二條、第五條の第四項におけるところのその趣旨は、明らかに憲法に対する違反的な行為である。しかもまた、極東委員会の日本労働組合に対する十六原則に対して、それを歪曲するものであるということが言えるのである。第二には、法案の各條に貫いてあるものが、それは労働権に対する過酷な制限であるということである。第三には、官憲の干渉とその介入を容易にしているということである。第四には、この法案全体を通じて、著しく理解に苦しむところの文章がこの中に織込まれているということであります。特に第一條のごときは、反対した委員の諸君がしばしば言つているように、まつたく何のことが書いてあるのかわからないような字句になつておるのであります。
 第一條に規定されておるところの團結権、團体交渉権及び行動権は、憲法第二十八條のその條項を具体的に規定すべきものであるということを政府は言つております。しかしながら、この條項におけるこれらの規定の仕方は、決して具体的には記述していない。むしろ、その幅を狹め、制約しているものであります。しかも、この條項におけるところの擁護という文字は、明らかに憲法に保障したるところの‥‥。
○議長(幣原喜重郎君) 石野君、あなたの持合せの時間が参りました。簡單に願います。
○石野久男君(続) 承知しました。――明らかに‥‥(発言する者多く、聽取不能)という言葉に訴えておるのであります。民主自由党の諸君、民主自由党の諸君は、眞に日本の経済再建を考え、経済九原則の円滑な推進を心から願つておるとするならば、吉田首相がしばしば言つておるように、戰後わが國に残された唯一の資源である労働力の育成と培養に、國民経済全般の立場からいま一度再檢討を加うべきである。(発言する者多し)
 労働者が今日どのような生活をしておるか。賃金不拂いによつて、妻子をかかえたところの労働者が今どのように食い繋ぎをやつておるか。これらの労働者がただ一つ持つておるものは、團結権と、憲法第二十八條によつて保障されたところの労働権であります。來るべき企業整備と失業に対して、社会秩序の保障となつて現われるであろうところの‥‥。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 石野君、私の注意が‥‥(議場騒然、聽取不能)
○石野久男君(続) 承知しました。――私は、断固としてこのような変更に対しては反対するものであるということを、労働者農民党の声によつて、ここにはつきり申し上げるものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(幣原喜重郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票函閉鎖。開匣。閉鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(幣原喜重郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百二十三
  可とする者(白票) 二百三十五
  否とする者(青票)   八十八
    〔拍手〕
○議長(幣原喜重郎君) 右の結果、両案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
  阿左美廣治君  足立篤郎君
  安部俊吾君  青木正君
  淺香忠雄君  淺利三朗君
  天野公義君  井手光治君
  井上知治君  伊藤郷一君
  飯塚定輔君  池田勇人君
  池見茂隆君  石田博英君
  石原圓吉君  稻田直道君
  岩川與助君  宇田恒君
  内海安吉君  江崎真澄君
  江花靜君  遠藤三郎君
  小笠原八十美君  小高熹郎君
  小野瀬忠兵衞君  小淵光平君
  尾崎末吉君  尾関義一君
  越智茂君  大石武一君
  大泉寛三君  大内一郎君
  大西弘君  大橋武夫君
  大和田義榮君  岡延右エ門君
  岡崎勝男君  岡西明貞君
  岡野清豪君  押谷富三君
  鹿野彦吉君  鍛冶良作君
  角田幸吉君  風間啓吉君
  柏原義則君  片岡伊三郎君
  甲木保君  門脇勝太郎君
  上林山榮吉君  神田博君
  川野芳滿君  川端佳夫君
  川本末治君  河原伊三郎君
  菅家喜六君  木村公平君
  菊池義郎君  北川定務君
  北澤直吉君  倉石忠雄君
  栗山長次郎君  黒澤富次郎君
  小平久雄君  小玉治行君
  小西英雄君  小峯柳多君
  小山長規君  五島秀次君
  河長謙三君  近藤鶴代君
  佐久間徹君  佐々木秀世君
  佐々木盛雄君  佐瀬昌三君
  佐藤榮作君  佐藤重遠君
  佐藤親弘君  坂田英一君
  坂本實君  志田義信君
  清水逸平君  塩田賀四郎君
  篠田弘作君  澁谷雄太郎君
  首藤新八君  庄司一郎君
  周東英雄君  鈴木明良君
  鈴木仙八君  鈴木正文君
  瀬戸山三男君  關谷勝利君
  千賀康治君  田嶋好文君
  田中啓一君  田中重彌君
  田中元君  田中萬逸君
  田渕光一君  高木章君
  高木吉之助君  高木松吉君
  高塩三郎君  高橋英吉君
  高橋權六君  高橋定一君
  高橋等君  高間松吉君
  竹尾弌君  玉置信一君
  玉置實君  中馬辰猪君
  塚田十一郎君  塚原俊郎君
  辻寛一君  圓谷光衞君
  坪内八郎君  飛嶋繁君
  苫米地英俊君  奈良治二君
  中川俊思君  中村清君
  中村幸八君  中村純一君
  中山マサ君  仲内憲治君
  永井英修君  永田節君
  夏堀源三郎君  丹羽彪吉君
  西村英一君  西村直己君
  西村久之君  根本龍太郎君
  野原正勝君  野村專太郎君
  橋本登美三郎君  橋本龍伍君
  幡谷仙次郎君  畠山鶴吉君
  林讓治君  原健三郎君
  平井義一君  平澤長吉君
  平島良一君  廣川弘禪君
  福井勇君  福田篤泰君
  福永一臣君  福永健司君
  藤枝泉介君  渕通義君
  船越弘君  降旗徳弥君
  本多市郎君  本間俊一君
  眞鍋勝君  前尾繁三郎君
  牧野寛索君  益谷秀次君
  松浦東介君  松木弘君
  松田鐵藏君  松野頼三君
  松本一郎君  松本善壽君
  丸山直友君  三浦寅之助君
  三宅則義君  水田三喜男君
  水谷昇君  南好雄君
  宮原幸三郎君  村上勇君
  守島伍郎君  森幸太郎君
  森曉君  森下孝君
  八木一郎君  藥師神岩太郎君
  柳澤義男君  山口好一君
  山村新治郎君  山本猛夫君
  山本久雄君  吉田吉太郎君
  吉武惠市君  龍野喜一郎君
  若林義孝君  渡邊良夫君
  亘四郎君  有田喜一君
  小川半次君  大森玉木君
  金塚孝君  川崎秀二君
  小林運美君  河本敏夫君
  坂口主税君  笹山茂太郎君
  志賀健次郎君  椎熊三郎君
  清藤唯七君  高橋清治郎君
  千葉三郎君  床次徳二君
  中島茂喜君  中曽根康弘君
  並木芳雄君  橋本金一君
  長谷川四郎君  畠山重勇君
  林好次君  増田連也君
  宮腰喜助君  村瀬宣親君
  森山欽司君  柳原三郎君
  逢澤寛君  大西正男君
  奧村又十郎君  小坂善太郎君
  島田末信君  鈴木幹雄君
  田中伊三次君  田中不破三君
  圖司安吉君  坪川信三君
  寺本齋君  永井要造君
  長野長廣君  原彪君
  保利茂君  山崎岩男君
  山本利壽君
 否とする議員の氏名
  青野武一君  赤松勇君
  淺沼稻次郎君  井上良二君
  猪俣浩三君  石井繁丸君
  石川金次郎君  稻村順三君
  今澄勇君  受田新吉君
  大矢省三君  勝間田清一君
  上林與市郎君  川島金次君
  久保田鶴松君  佐々木更三君
  鈴木茂三郎君  田中織之進君
  堤ツルヨ君  戸叶里子君
  中崎敏君  成田知巳君
  前田榮之助君  前田種男君
  松井政吉君  松尾トシ子君
  松岡駒吉君  松澤兼人君
  松本七郎君  水谷長三郎君
  門司亮君  森戸辰君
  八百板正君  米窪滿亮君
  井之口政雄君  池田峯雄君
  加藤充君  風早八十二君
  春日正一君  上村進君
  神山茂夫君  柄澤登志子君
  川上貫一君  河田賢治君
  苅田アサノ君  木村榮君
  聽濤克巳君  今野武雄君
  砂間一良君  田代文久君
  田中堯平君  高田富之君
  竹村奈良一君  立花敏男君
  谷口善太郎君  土橋一吉君
  徳田球一君  中西伊之助君
  梨木作次郎君  野坂參三君
  林百郎君  深澤義守君
  横田甚太郎君  米原昶君
  渡部義通君  石田一松君
  今井耕君  吉川久衛君
  河野金昇君  笹森順造君
  竹山祐太郎君  内藤友明君
  三木武夫君  金子與重郎君
  小林信一君  羽田野次郎君
  山手滿男君  河口陽一君
  小平忠君  高倉定助君
  寺崎覺君  中村寅太君
  松本六太郎君  石野久男君
  岡田春夫君  黒田寿男君
  玉井祐吉君  中原健次君
    ―――――――――――――
○議長(幣原喜重郎君) 明十四日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後七時三十六分散会