第005回国会 本会議 第36号
昭和二十四年五月二十二日(日曜日)
 議事日程 第三十四号
    午後一時開議
 第一 地方財政法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 第二 戰時中政府が買收した鉄道の讓渡に関する法律案(廣川弘禪君外五名提出)
 第三 通訳案内業法案(内閣提出、参議院送付)
 第四 公証人法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第五 社会教育法案(内閣提出、参議院送付)
 第六 災害復旧促進に関する決議案(大内一郎君外四十四名提出)(委員会審査省略要求事件)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日本國有鉄道監理委員会の委員指名について同意を求めるの件
 水先法案(内閣提出、参議院回付)
 水防法案(内閣提出、参議院回付)
 外國保險事業者に関する法律案(内閣提出、参議院回付)
 全國選挙管理委員の指名
 日程第一 地方財政法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 日程第二 戰時中政府が買收した鉄道の讓渡に関する法律案(廣川弘禪君外五名提出)
 日程第三 通訳安定業法案(内閣提出、参議院送付)
 日程第四 公証人法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第五 社会教育法案(内閣提出、参議院送付)
 引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案(中山マサ君外二十九名提出)
 優生保護法の一部を改正する法律案(参議院提出)
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案(天野久君提出)
 食料品配給公團法の一部を改正する等の法律案(参議院提出)
    午後二時三十五分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより本日の会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) まずお諮りをいたします。内閣より、日本國有鉄道監理委員会の委員に阿部藤造君、佐々木義彦君、佐藤喜一郎君、栃木嘉郎君鈴木清秀君を指名するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本件は同意を與えるに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、水先法案についての参議院回付案、水防法案についての参議院回付案及び外國保險事業者に関する法律案についての参議院回付案をこの際逐次議題となし、その審議を進められんことを望ます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 水先法案の参議院回付案を議題といたします。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 次に水防法案の参議院回付案を議題といたします。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 次に外國保險事業者に関する法律案の参議院回付案を議題といたします。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 次に、内閣から全國選挙管理委員会委員渡邊銕藏君が辞任した旨の通知がありましたので、一名を補充しなければなりません。よつてこの際全國選挙管理委員会の委員の指名を行います。
○山本猛夫君 全國選挙管理委員会の委員の指名については、議長において指名せられんことを臨みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて議長は全國選挙管理委員会の委員に工藤鐵男君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、地方財政法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事川西清君。
    〔川西清君登壇〕
○川西清君 ただいま上程されました地方財政法の一部を改正する等の法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、地方財政法の一部を改正するほか、河川法その他地方財政に関係ある十八に上る各個の法律について各一部を改正することを内容とし、地方財政の安定と合理化、特に國と地方團体との経費の負担区分を明確にすることを目的としたものであります。
 まず地方財政法に関しましては、國の直轄工事に対する地方公共團体の負担金について、その工事着手前に予定金額を通知し、その金額に不服のある地方團体は内閣に対し意見を申し出ることができることとし、その他義務教育職員費に対する國庫負担金を新たに文部省所管の歳出予算に計上すること、並びに地方公共團体の負担を伴う予備費使用調書につきましても地方財政委員会の意見を求めることを要するものとすることについて所要の改正を加えておるのであります。
 次に河川法以下の各法律の改正は、主として國と地方公共團体との間の各種事業費の負担区分に関するものでありまして、從來これらの経費はすべて地方公共團体が負担し、國がその一部を補助するという建前であつたのを、地方財政法第十条の精神に即應するよう國が一定の率をもつて負担することに明らかに定めたものであります。
 本法律案は、五月四日、本委員会に付託されましたが、本委員会は会議を開くこと八回、愼重審議を重ねました。本法案の内容及び審議の詳細は会議録に讓りますが、これを要約すれば、本法案は地方財政の確立上いまだ完全とは申されませんけれども、地方財政の安定と合理化をはかり、地方の立場を強化することに一歩を進めておりますので、大多数の賛成を得たのでありますが、さらにその線に沿いましてその趣旨の徹底をはかるために次のような修正の動議が提出せられ、また要望が述べられたのであります。討論を経て採決の結果、多数をもちまして修正案は可決せられ、続いて修正部分を除いた原案を多数をもつて可決されましたので、本案は修正議決されたのであります。
 次に修正並びに要望の概略を申し上げます。修正の第一は、地方財政法第二十条の次に新たに一条を加えまして、國の負担金、補助金等の支出金の算定または支出時期その他の支出について不服のある場合、地方公共團体は内閣を経由いたしまして國会に意見書を提出することができることとし、國の公共團体に対する委任事務の財源措置について不服のある場合と同一歩調をとることとしたことであります。修正の第二は、同じく地方財政法の一部を改正して、京都、大阪、横浜、神戸、名古屋の四大市にも当籤金付証票、すなわちいわゆる宝くじの発賣を認め、五大市の現下の財政に資せんとするものであります。
 要望事項として委員より述べられましたことは次の二点であります。すなわち第一に、地方財政法第十条による國と地方公共團体との負担区分につきましては、政府は今後一層調査檢討いたしまして、たとえば食糧、薪炭等の配給に要する経費等、國政事務のために地方公共團体に不当に経費を負担させることのないよう努力すべきこと。第二は、右修正の第一はなお國の負担に属する支出金の支出の遅延ないし不拂い等の場合に際して地方公共團体を保護するに不十分であるから、政府においては、さらにかかる場合に処するため、公共團体の國に対する積極的な請求權を確立する法律的な措置を講ずるよう努力すべきこと、というのであります。
 以上をもつて御報告を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言もなければ、ただちに採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長の報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二、戰時中政府が買收した鉄道の讓渡に関する法律案、日程第三、通訳案内業法案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。運輸委員長稻田直道君。
    〔稻田直道君登壇〕
○稻田直道君 ただいま議題となりました戰時中政府が買收した鉄道の讓渡に関する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案の趣旨を簡單に御説明申し上げますと、政府が昭和十八年及び十九年に、今時戰爭遂行の目的の必要から当時の地方鉄道路線を買收いたしましたが、かかる路線は、今日におきましてはその目的はまつたく消滅しておりますので、この際日本國有鉄道をして旧所有会社等へこれを讓渡させまして、地方鉄道の強化並びに地方交通の利便をはかるとともに、また日本國有鉄道の財政改善の一助にしようとするものであります。
 本案の内容のおもなる点をあげますと、第一に、鉄道の讓渡は公共の利益に合致する限りこれを行うのであります。第二に、讓渡の新制ができる会社の範囲を定めたことであります。第三に、運輸大臣は讓渡の申請のありました鉄道について、所定の事項につきまして國有鉄道讓渡審査会の議を経てこれを決定することであります。第四に、讓渡價格は地方鉄道法第三十一条から第三十三条までの規定を準用して算出した金額を基準として公正妥当に定めることであります。第五に、所定の職員が讓渡先会社へ引継がれることを希望した場合は当該会社へ引継がれること等にしようとするものであります。
 次に本法案に対する質疑のおもなる点を申し上げますと、私鉄に移つたためにサービスまたは業務能率の低下がありはしないかとか、また第一条における「公共の利益に合致する」とは具体的に如何なる場合であるかというようなこと、また國有鉄道讓渡審査会の委員に利用者の代表者を加えてはどうか等につきまして熱心に質疑應答がとりかわされたのでありますが、その詳細につきましては会議録に讓りたいと存じます。
 次に、民主自由党の高橋定一君より本法案に対する修正案の提出があり、そのおもなる内容は次の通りであります。
 すなわち修正の第一点は、第一条中「関係のある会社」とありまするに対しましてこれに「等」という文字を加え、さらに第二条に、第四号といたしまして「その他の会社であつて鉄道事業経営の能力ありかつ経理的基礎が確実な者」という一項を加えることによりまして、讓渡を受け得る者の資格をひとり旧所有者に限ることなく、いやしくも経済的方面から見ましても、また企業能力の点からいいましても適当と認められる者は讓渡を受けることができるということに修正したのであります。
 第二点は讓渡の價格のことでありますが、修正案におきましては、鉄道の讓渡の價格は当該鉄道の買收價格並びに買收吉当該鉄道に関して支出いたされました建設改良費のほか時價及び当該鉄道企業就役力を参酌いたしまして公正妥当に定めることにするという規定にいたしまして、運輸審議会が讓渡價格を決定するにあたりまして準拠すべき基準を明らかにしたのであります。
 第三点といたしましては、この問題の重要性にかんがみまして、第四条に、運輸大臣は当該鉄道を讓渡すべきこと及び第二項第二号から第八号までに掲げてありますいろいろの讓渡に関する事項を決定いたします場合におきましては両議院の同意を得なければならないという一項を加えまして、讓渡についてその公正を期したことであります。
 第四点といたしましては、第三章國有鉄道讓渡審査会に関する規定の一部を削除した点であります。これは、本法の附則第二項の規定によりまして國有鉄道讓渡審査会の権限が今後運輸省内に設置せられまする運輸審議会に移される結果といたしまして当然の措置であると存じます。
 第五の点は、会社の資本増加並びに不動産に関する権利の取得に関しまして國税及び地方税の減免を規定しておりますところの第二十二条を削除いたしまして、讓渡について、あくまで公正を期したことであります。
 かくて討論に入りまして、まず日本社会党の佐々木更三君より、本法案は鉄道國有法の精神に違反する点等より考慮し本案に反対の意見を述べられました。天野公義君は民主自由党を代表して、本法案の目的とするところは國鉄財政の改善並びに國民大衆の利便となり、かつその時期を得たものであり、よつて本法案に賛成の意見を述べられました。次に日本共産党を代表して田中堯平君より、本法案は公共の利益に合致せず並びに地方交通の利便の増進等に寄與するものにあらず、よつて本法案に反対する旨の意見を述べられました。次に第九控室の民主党を代表して差益宗義君より、本法案は日本國有鉄道が発足してから審議すべきものであり、現在においては民営に移すことは時期尚早であるから、本案に対する態度は保留する旨の意見を開陳せられました。かくて討論を終了いたしまして、ただちに修正案について採決の結果、多数をもつてこれを可決し、修正部分を除く原案についても、採決の結果、これまた多数をもつて可決いたし、よつて戰時中政府が買收した鉄道の讓渡に関する法律案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 右御報告申し上げます。
 次に、ただいま議題となりました通訳案内業法案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、去る四月二十二日、予備審査のため本委員会に付託せられまして、愼重審議いたしたのであります。その趣旨は、從來の案内業者取締規則は昭和二十二年法律第七十二号によつて失効し、現在通訳案内業は全く自由業となつておりますため無秩序、無統制に流れるおそれがありますので、その健全なる発達と外客接遇の向上をはからんとするものであります。
 その内容の主なる点をあげますと、業者の素質の統一と向上をはかるために運輸大臣が全國的に資格試験を行い、その需要を勘案して都道府縣知事が免許をなし得ることとし、免許は五年目ごとに更新を受けることとすること、次はまた免許の取消し及び営業の停止等を行うときは十分業者に抗弁の機会を與え、その処分に不服のあるときは訴願をなし得ることとし、業者の取締りの民主化をはかつたこと等であります。なお從來の取締規則によつて営業しておる者につきましては、本法施行後三箇月を限り本法による免許を受けた者と見做して営業をなし得るよう経過的措置を講じたことであります。
 次に質疑應答は、通訳案内業を自由営業としておいていかなる弊害を生じておるかということ、免許制とするため將來健全なる発展を逆に祖師することとなりはしないかということ、また免許事業であるのに監督事項を規定しないのはいかなる理由であるか等の点について行われたのでありまするが、それらの詳細は会議録に讓りたいと存じます。
 かくて討論を省略いたし、ただちに採決に入り、多数をもつて原案通り可決いたしました次第でございます。
 以上報告を申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 質疑の通告があります。これを許します。田中織之進君。
    〔田中織之進君登壇〕
○田中織之進君 ただいま議題になつておりまする戰時中買收した鉄道の拂下げに関する法律案に対しまして、私は最後に二、三点、きわめて重要な点についてただしておきたいと思うのであります。
 まず第一点は、本案の審議に関する運輸委員会と大藏委員会の連合審査会において私が大藏大臣に質問いたそうと試みたのでありますが、ついに大藏大臣が出席にならなかつたので委員会において保留いたしましたところの、本案ときわめて重大な関係がございまする、現内閣の財政政策の一つでありますところの國有財産の整理によりまして國家財政に寄與するという大きな政策につきまして――この点につきましては、吉田総理大臣が、本國会の劈頭における施政演説におきましても強調せられておる点でございまするので、会期もあと一日に迫りました本國会のこの長い期間を通じまして、政府においてはすでに具体的な調査が進められておることと信じまするが故に、この機会に、現内閣が政策として取上げております國有財産の整理による國家財政の改善という点につきまして、大藏大臣は予算編成の責任者といたしまして、この点についていかなる確信を持つておられるかということをただしたいのであります。
 私がこのことを、大藏委員会において他の法案に関連してただしたところによりますると、まだ具体的な調査はなされておらないということでございましたので、この國有財産整理の一部分としての、戰時中買收いたしました鉄道の拂下げに関する問題も、本國会には提出されないものと考えておりましたところ、会期切迫いたしましたところへ突如として、しかも議員提出という形で出されたところに、この法案のきわめて重大なる政治的意義をわれわれは見逃すわけには参りませんので、私は少くともこの法案が、民主党の政党内閣でありますところの吉田内閣の政府提案という形をとらずに、民自党議員提出という形において出された以上、政府と必ず緊密なる連絡あることを信じますがゆえに、大藏大臣につきまして、この拂下げの対象になつておりますところの國有鉄道を含めました一切の國有財産の整理についての方針を、この際明確にしていただきたいと思うのであります。
 同時に、これに関連いたしまして、私がただいま指摘いたしましたように、この問題は当然國有財産整理の政府の大方針に從いまして、政府の責任において國会の審議を経なければならないものと考えるのでありますが、これが民主自由党の議員提出という形で出されておる理由であります。われわれの聞くところによりますれば、民主自由党の内部におきましても、この法律の制定に賛成されておらない人もあるやに聞くのであります。從いまして、民主自由党が党議をもつてこの法案の提出を決定したと言われるのでございますから、唯一の民自党の党議決定によつてこれがなされたものであるか。私はこの点を、提案者でありますところの民自党が明白にされる必要があると信ずるがゆえに、この点を伺うのであります。
 次に大藏大臣にお伺いしておきたい問題は、この戰時中買收せられました鉄道の拂下げが決定いたしました場合の讓渡代金の支拂いについて、こまかい規定がなされておるのでありますが、これにつきまして國有財産法第三十一条を準用せられておる点が、われわれの納得の行かない点でございます。御承知のことと思いますが、國有財産法第三十一条は、國有財産の処分にあたりまして、その代金の支拂いについて、公共團体あるいは寺院その他教育関係等に関しまして國有財産を讓渡いたしました場合の分割支拂い、あるいは延納に関する規定をいたしたものでございますが、この法案の対象になつておりますところの路線の讓受人と予定されておるものは、いずれも営利会社であります。この営利会社に対しまして國有財産法第三十一条を準用するという規定を設けられておることは、私は民自党の資本家擁護の政策が露骨に現われて來ておるものと考えられますがゆえに、この点に対する大藏大臣の見解を承つておきたいと思います。
 さらに運輸大臣に伺つておきたい問題は、この拂下げが鉄道の財政に寄與するということでございまするが、委員会における運輸大臣の答弁では、われわれは明白に財政にどの程度に寄與するかという点についての確信を持つことができないのであります。ことに、一應これは審議会にかけて決定いたすものでございますが、現に委員会に提出されました資料等に予定されております十路線の讓渡が全部行われるといたしました場合を前提としたことでけつこうでございますから、それが現在の鉄道特別会計にいかに影響を持つて來るか、運賃收入その他の点における歳入面にどの程度に現われて來て、また拂下げ代金の收納が國有財産の鉄道会計の上にどの程度に寄與するかということにつきまして、運輸大臣から明確に御答弁を願いたいのであります。
 私は、以上の質問を通じまして、最後にお伺いをしておかなければならない重大なる一点があるのであります。この法律によりますところの拂下げ路線の選定あるいは讓渡價格、支拂い方法等の審議権は運輸審議会に付與される結果、きわめて厖大なる利権の根源をなすおそれがあるのであります。この点に対しまして、國民大衆は多大の疑惑を持つておるのではないかと私は考えますので、かくのごとき総括的なる大幅委任立法を制定せられようとしておるところの提案者の眞の意思を私はこの際明白にしていただきたいのであります。
 同時に、この法案は、一部戰爭犠牲者の救済に名を借りて露骨なる縁故拂下げを行わんとするものではないかとの疑いをわれわれは抱かざるを得ないのであります。ことに拂下げを請願し、あるいは予定されておりますところの路線の経営者の中には、吉田総理大臣の女婿であられるところの議員麻生太賀吉君ほか数名の諸君が、社長その他の重要なるポストについておられるやにわれわれは聞くのでありますが、こうしたことが、かつての石炭國管問題に対するあの不祥事件等々と関連をいたしまして、國民の今後この法律の実施過程に起します疑惑を一掃する意味におきまして、提案せられました民主自由党に対しまして、かくのごとき廣汎なる委任立法をなされることを中止せられまして、今からでも遅くはありませんから(「とんでもない」と呼ぶ者あり)本法案を撤回せられる意思をはたして持つておられるかどうかという点を、最後に確かめておきたいのであります。
 以上をもつて私の質問を終ります。(拍手)
    〔國務大臣池田勇人君登壇〕
○國務大臣(池田勇人君) 田中君の御質問にお答えいたします。
 まず國有財産の賣拂いの基本方針でございますが、御承知のごとく、國有財産は公有財産、公共用財産、雑種財産と三分せられております。私の所管いたしておりますのは雑種財産でございまして、今年度の予算におきましても、一般の雑種財産について二十数億、財産税物納によります財産の賣拂い十億、計三十数億を計上しているのであります。しかして、これは相手方と交渉いたしまして、適当な價格で、その時々賣つております。今日問題になつております買收鉄道の賣拂いは運輸省所管の公有財産でございます。これにつきましては、適当なる時期に、適当なる價格で賣られることと思うのでありますが、その他各省の所掌しておりまする公有財産につきまして、目下大藏省といたしまして、賣拂い可能な物件について調査いたしておるのでございます。
 第二の、賣拂いに関して分割拂いを認めることについての御質問でございますが、これは議員提出で、私から御説明するのはいかがかと思いますが、思うに、多額に上る金額を一度に支掃いを命ずることは、賣拂い金額にも影響いたしますので、分割拂い、分納を認めることが適当ではないかと、自分としては考えております。
    〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
○國務大臣(大屋晋三君) ただいまの御質問にお答えいたします。
 第一点の、この買收鉄道によつて國鉄がどれくらいの財政上の寄與がなされるかという御質問でございますが、これは、その元の所有者で、買いもどしを政府に請求いたしておりますものの希望買入れ値段は、十線で四億四千万円の申入れでございます。これを当時昭和十八、十九年に買收いたしました買收價格は一億七千万円でございまして、これを時價におおよそ見積ると三十七億余円ということになつております。
 第二問の拂下げの手続に関しては、運輸審議会において、先ほどの法案の委員長説明の中にもありましたような基準におきまして審議をいたしまして、それを運輸大臣が國会の両院の協賛を得ましてこれをなすものでございますから、そこに何らの不正の疑惑の余地はないと考えております。(拍手)
○田中織之進君 私の質問の中で、提案者に対して撤回の意思ありやいなやを確かめたことに対して御説明を得たいと思います。
    〔關谷勝利君登壇〕
○關谷勝利君 田中君にお答えいたします。提案者といたしましては、この法案を撤回する意思はありません。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて質疑は終了いたしました。
 討論の通告があります。これを許します。門司亮君。
    〔門司亮登壇〕
○門司亮君 私は、ただいま上程されました戰時中政府が買收した鉄道の讓渡に関する法律案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして反対の意見を表明するものであります。以下、その反対の理由を、時間の制約を受けておりますので、きわめて簡單にいたしたいと思うのであります。
 政府は、この法案の提出にあたつて、民自党の諸君の提案にかかるものについては、ほとんどその関係がないかのごとき言辞を弄しておりまするが、われわれは、この点に対しては、與党の立場にある民自党であり、ことに本問題は長い間終戰後唱えられた問題であり、われわれの常識から考えまするならば、当然政府みずからが、國有財産に関連を持つておりますので、提出すべきであると考えておつたのであります。この点については、先ほどの質問にもありました通り、從いましてわれわれは、これが民自党の諸君の手によつて提出されたということについて、一連の関連なしとは断じて考えないのであります。
 さらにわが國における輸送計画その他を勘案いたしまするならば、われわれは当然今日の日本が再建されようといたしまするきわめて重要な時期における輸送計画自体は、明らかに國有國営をもつてなすにあらざれば、とうてい所期の目的を達することができないということを、深く考えておるのであります。
 しかるに提案者は、その拂下げの理由の第一条に、公共の利益という文字を使つておるのでございまするが、公共の利益とは一体何であるかということであります。もし、公共の利益は國民全体の利益であり、さらにそれを使用する者の利益であり、さらにそれに関連を持つものの利益であると考えまするならば、この場合、まず第一に國全体の利益を考えまするならば、先ほど申し上げました通り、わが國の現状に即して、当然これは國有國営でなければならないということ、さらにこれを利用いたしておりまする多くの住民をさして公共の利益というならば、本問題は明らかに地元民のきわめて熾烈なる反対があるという事実であります。この事実については、おそらく民主自由党の諸君といえども見のがすことのできない事実であると私は考える。
 その実例を申し上げるならば、たとえば青梅線においては、その地元公共團体の意思決定機関である八王子市会が反対しておるではないか。さらに鶴見線あるいは南武線に対しては、これと最も不可分な関係を持つ住民を代表する意思決定の機関である川崎市会自体が、本問題に反対しておる事実があるのであります。さらに、わが國の生産とわが國の産業にきわめて密接不可分なる関係を持つこの輸送関係に対して、これを最も利用いたしておりますもの、今日日本の産業復興に最も重要なる役割を演ずるそれらの諸君が、これに対していかなる態度をとつておるか。わが國のマンチエスターといわれ、わが國の産業生産の最も重要なる地方である京浜工業地帯の工場主全体、今日京浜間における大なる代表会社四十五会社が、連署をもつてこれに反対しておるという事実は、日本の産業経済あげて反対しておるのだということを私はここに明言する。かくのごときことを考えますならば、どこに公益に合致する理由があるか。われわれは、かくのごとき案は、公共の利益に合致するという本法案の第一条の目的それ時代にきわめて多く背反した法律であるということを、はつきり申し上げる。
 さらに次に考えまするものは、本法案は、先ほど修正の意見によつて、戰時中買收された会社「等」という文字を入れてのがれておりますが、提案者の佐藤君の説明を聞きまするならば、二十二会社買收した中で、この十会社を選んだということは、それらの会社がいまだ何らかの形で残存しておるから、これらのものだけを選んだということを、はつきり答弁しておる事実がある。これを考えますならば、たとい修正案に「等」という文字を入れましても、実際は縁故拂下げであるということを、われわれは見のがすことはできない。
 しかも、その買收價格は一億七千万円であり、時價に見積りますならば、政府当局は三十七億と申しておりますが、昭和十八年ないし十九年に一億七千万円の時價が、今日わずかに三十七億とは、だれが考えましようか。物價指数の高騰から申し上げますならば数百億にならなければならないものを三十七億というように算定し、しかもこの十社の、拂下げを要望いたしておりますものの要望價格は約四億四千万円であるということを、ただいま運輸大臣が申しておる。そういたしますならば、希望價格と実際の價格とのきわめて多額の開きを何によつて調整するかということであります。(「賣らないだけだよ」と呼ぶ者あり)賣らないだけだというならば、賣らないような法案をなぜ出したか。(拍手)かくのごとき無定見のもとに、民主自由党の意図をさらに暴露しておるのであります。
 さらに最も奇怪なるものは、その二十二条に、これらの財産の讓渡に対して地方税を課さないということが明記してある。財産取得税を課さないということは一体何であるか。これが名義のみの変更による場合は、われわれもまた一應考慮いたしまするが、單なる名義のみの変更ではない。縁故会社に拂い下げられて、そうして莫大なる收益を得るものでありますならば、明らかにこれに財産取得税を課さなければならない。しかるに財産取得税を免除したということは、いかに民自党が資本家擁護の政党であるかということを遺憾なく暴露したものであると私は申し上げる。かくのごとき買收價格に対して地方税を免除いたしますならば、当然市町村の財政窮乏にさらに拍車をかけるものであるということをわれわれはまた知らなければならないのであります。
 さらに、この法律によつて拂い下げられまするならば、やがて運輸交通に寄與すること重大であると申しておりまするが、はたしてそうであるか。もし拂下げによつて運輸交通にきわめて寄與することがあるといたしますると、現政府は運輸計画の上においてこれらの路線を十分合法的に経営する能力なきものであることを、遺憾なく民自党自身が暴露しておるものである。
 われわれは、さらに具体的に申し上げますならば、今日資材、資金等はおそらく統制されて、たといこれが民営に移りましても、資材、資金、ことに資材の配給がことさら余分にあるとは、だれも信じない。資材の統制を受けておりまする今日、これが民営であろうと、官営であろうと、國有であろうと、どこにその違いがございましようか。もしその違いがなかつたということを諸君が肯定されますならば、おそらく本法の骨になつておりまする運輸行政の円滑を期するとか、あるいは運送能力の増強ができ得るというようなことは、断じて日本の現段階においては考えられないということを十分銘記していただきたい。
 さらに、本法案の性質は明らかに委任法案である。同時に、最後に申し上げておきたいと思いますことは、以上反対理由に述べましたことを勘案して参りますならば、本法案は、明らかに民主自由党の持つ、いわゆる資本主義擁護のその一端の現われであり、さらにわれわれが危惧することは、やがて民主自由党自体が、今日の日本における國有國営を排して、明らかに資本の隷属下に一切の産業経済を置かんとする意図であり、さらにわれわれが杞憂するならば、やがて來らんとする外國資本との関連をいかにするか。日本の輸送計画の最も重要なるこれらの路線を、もし民有にまかせて、そうしてこれと外國資本の結託を得まするならば、やがて日本のすべての輸送計画、これに伴う産業計画は、明らかに外國資本の膝下に敷かれなければならぬということを、われわれはここに見のがすことができ得ないのであります。(拍手)
 われわれ日本社会党は、かくのごとき意味において、本法案に対しましては断固として反対の意思表示をいたすものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 松本一郡君。
    〔松本一郎君登壇〕
○松本一郎君 ただいま上程になりましたる戰時中に買收いたしました鉄道の一部を拂い下げる法律案につきまして、私は民主自由党を代表いたしまして賛成の意を票せんとするものであります。(拍手)
 そもそもこの法律案は、今に始まつたことではないのであります。昭和二十年終戰直後におきまして、第九十議会に請願が提出され、それ以來、昨年の第四國会までしばしば当國会に請願が提出され、採択され、しかも満場一致をもつて可決に相なつておることは、御承知の通りである。(拍手)なおまた、昨年の五月、当國会の運輸交通委員会におきましては、政党政派を超越いたしまして、この拂下げ案に対して、一度各議員は実地を調査することに相なり、七、八月ごろ、運輸委員会の決議をもつて、実地調査に手わけをして出たのであります。そのとき、社会党の議員の中からも二人確かに参加いたしておりました。(拍手)しかもなお、昨年の十二月一日、ただいま提案になりました案とほぼ同じようなものを、第四國会に、政党政派を超越して、運輸委員会は十九名の連署で当國会に提案に相なつたのであります。但し、第四國会は解散國会でありましたために、審議をいたさずして未了に相なり、諸君のお耳にも入らなかつたのであるが、その十九人の提案者の中には、社会党の代議士、ことに現在なお議席にある人も確かに連署していることは、書類をごらんになればわかる。(拍手)しかも、当時は共産党の議員はわずか四名でありましたがために、運輸委員会には一人の委員も送つておりません。但し、今日共産党は三十五人となりましたが、当時もし共産党が多数あれば、運輸委員会に出席して賛成しておつたかもわからない。
    〔「賛成したとは何だ」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。
○松本一郎君(続) 次に私は、本法案は非常に重大なる意味を持ちますがために、何がゆえに私どもがこの案に賛成をするかということを申し上げたいと思うのであります。
 戰時中、昭和十七、十八の両年度にわたりまして政府が買收いたしましたる路線は、御承知の二十二路線である。これは軍の作戰の必要上買收いたしたものでありまして、すでに戰爭がなくなつた今日、これを民有民営に移し、そして昭和十七年以前の自然なる形態に復するということは、むしろ当然といわなければならぬ。何がゆえに今日までこれが遅れておつたかというと、一旦國営事業としたものでありますから、この公共の機関ともいうべきものを、そう簡單に拂い下げることは容易でないというので、各党とも愼重を期しておつたのでありまするが、最近になりますると、國鉄の赤字は、連年御承知のごとく蓄積、累積でありまして、この二十三年度のごときは、運賃は三倍に値上げをしながらも、なお三百二億という赤字の補填を一般関係から出さなければならぬという状態になつたのであります。
 御承知のごとく、昭和十九年までは毎年黒字でありましたこの國鉄が、昭和二十年から初めて八億の赤字を出して、二十一年にはこれが四十二億となり、二十二年には百五十七億となり、そして二十三年の昨年度は、運賃を三倍に上げながら、なおかつ三百二億というものを國民の税金からこの特別会計に繰入れたことは、御承知の通りであります。かような状態で参りますならば、この二十四年度におきましても、これは先般可決いたしましたあの二十四年度予算をごらん願えば明らかでありますが、すなわち國鉄の旅客運賃を値上げして、そして旅客と貨物の総收入におきまして約千百四十億が先般可決した予算であります。ところが、運輸省当局の歳入予算を見ますれば千百十七億、すでに予算編成当時におきまして、二十三億という赤字が出ているのが今年の予算であります。
 この分で参りますと、たとい六月一日からコーポレーシヨンとし、企業合理化、能率増進をはかりましても、およそかようなことは往々にして観念論に終ります。ゆえに、これまでの経験から申しますれば、この二十四年度予算において、おそらく運輸当局のこの予算は、また百億あるいは百五十億の赤字が出るのではないか。この分で行けば、來年また値上げか、一般会計から繰入れるか、このことを私ども想像いたしたときに、何としてでもこの國鉄の根本機構の改革をはかるとともに、この際賣却すべきそういう特殊な路線はすみやかに賣却して、將來に生ずる赤字補填の一端とすることが必要である。こういう考えから……。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。
○松本一郎君(続) かような意味から、この二十四年度に相当赤字の出ることを私ども心配いたしましたとき、特殊なかような路線だけは、これを適当な價額で拂い下げて、またぞろ運賃の値上げ、あるいは國民負担の税金に轉嫁することを防ごうというのが、この拂下げ案の一つのねらいであつたのであります。
 第二は、今日わが日本におきまして、重要産業は國有國営がいいか、あるいは民有民営がいいか、しきりにイデオロギーの鬪爭がいたされまするけれども、いずれも一長一短があります。ゆえに、かような特殊な地方鉄道は、この際價額の点で折れ合いがつき、國民の利益となるならば、拂下げをして民営でやらしてみ、それで能率が向上し、サービスがよくなり、公共的の性質が非常に発揮され、片方今後國鉄が依然として赤字であり、成績が上らなければ、また一部路線を賣却するということもやむを得ないこととなる。(拍手)ここにおいて、わが日本の運輸省の國鉄事業の將來に、これこそ重大な試金石を投じたしのといわなければなりません。(拍手)
 諸君も御承知のごとく、昨年の秋であつた。ある筋の意向として何が傳えられましたか。全國五十八路線、五十キロ未満の短路線のうち、赤字が五〇%以上出ておるものは、この際廃線にしてしまえ、その数はと見れば、二十六路線の國鉄がまさに廃線の運命に陥らんとしたのであります。当時私どもそれを聞いたときに、事容易ならぬ、ゆえにすみやかに國鉄の合理化をはかり、能率を向上し、そうして独立採算制のもとに收支のバランスをとらなければならぬということを、運輸委員としても痛感いたしたのでありまするが、幸いにも、この問題はその後立消えとなりましたけれども、今回これを拂い下げることによつて今後國鉄全体に非常な刺激となり、いわそる國鉄は國民の公の機関であるという使命に立脚して、本然の姿になるならば、國民全体非常に喜ばしいことと存ずるのであります。
 なおかつ國鉄の赤字を克服する。これをひとり鉄道職員あるいは政府のみに依存してはならない。すなわち石炭を掘り、あるいはこれを提供する業者、あるいは電力を提供する人、これらの人も、いささかでも安い石炭、電力を供給せざれば運賃が高くなり、國民が迷惑するのだという氣持に立脚すること、いま一つは、土木業の請負をする人ももとよりである。同時に一般乗客も、あの貴重な窓ガラスを破壊して乘るような乘客のあるうちは、どうして赤字を解消できますか。同時に鉄道從業員も、かつて私どもが鉄道に奉職しておつた時代は、一般乗客に立たせておいて鉄道職員が座席に着いておる者は一人もなかつた。もしも同僚にあるならば、注意をして立たせたのである。しかるに、今日の鉄道職員の姿はなつておらぬではないか。八千万國民が協力一致して、われらの公の事業を愛するという精神になつて初めて國鉄は独立採算制が……。
○議長(幣原喜重郎君) 松本君、申合せの時間が参りましたから簡單に願います。
○松本一郎君(続) かような意味におきまして、この國鉄の拂下げにわれわれは賛成するが、ただこの内容におきまして、最初の提案者の原案は、昨年と殆どかわらぬのであります。昨年の案とくらべて、特定の会社に賣り渡すと書いてありましたのを、これをその他にも賣り渡すことができることに一条、二条を修正したのが、ごらんの通りであります。このことというのは、今日の世相にかんがみ、吉田首相がしばしば言われる官紀の粛正、吏道の刷新――民主自由党吉田内閣だけは、片山、芦田内閣のような、ああいう轍は断じてふまないという強い信念であります。また原案によりますと、運輸審議会に対する大幅なる委任立法でありましたが、これでは、七人の審議会委員にこの大きな仕事をまかせ、しかも價格におきましては四億が買おうといい、百億の値打があるといつて、いずれとも決定いたしかねるものを……。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 松本君、結論を急いでください。
○松本一郎君(続) もう少しです。――かようなことになつておりますから、これはどうしても、いま一度われわれ國会の調査、同意がなければ賣り渡すことができぬと修正いたしたのであります。この意味において、民自党は党議をもつて修正したのであります。民自党の誠意はかくのごとくである。私どもは、かような意味から、國民に納得の行くようにこの拂下げ法案を作成いたしたのでありまして、ぜひとも諸君の心からなる御賛成をいただきたいと切にお願いする次第であります。
○議長(幣原喜重郎君) ちよつと一言いたします。今松本君の御発言中事実に相違したということを申し出られた方がありますから、調査をいたしまして、その上で善処いたします。佐伯宗義君。
    〔離席する者多く、議場騒然〕
    〔佐伯宗義君登壇〕
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。――靜粛に願います。御着席を願います。佐伯君、御発言を進めてください。
○佐伯宗義君 私は、民主党を代表いたしまして、ただいま上程されておりまする議案に対し、本案はしばらくこれを留保し、今次國会において決議することに対し、反対の意義を明らかにせんとするものであります。まず結論的に申しますると、本案は……。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。
○佐伯宗義君(続) 近く日本國有鉄道の発足に伴いまして、わが國の鉄道事業のあり方に関する根本的政策を確立した上で、その内容を整え、次期國会にこれを提出されんことを要望するものであります。
 その理由を簡單に率直に述べてみたいと思います。すなわち本法案は、主として戰時中に、戰爭と関連して政府が強制的に買收した地方鉄道を、再び民有に還元せしめようとするものであります。すでに買收の目的である戰爭の終つておる今日としては、一應もつともなことのように考えられます。また國家財政上の要求にも應ずるものであり、かつ國有鉄道の合理化にも寄與するものであります。特に公共施設とはいえ、これらの鉄道はもともと國家が建設したものではなく、民間において多年苦心した結晶であるという歴史的事実を尊重し、その生みの親である旧関係者に……
    〔発言するもの多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 今発言中でありまするから靜粛に願います。
○佐伯宗義君(続) 再び育成強化せしめようとすることは、今日のような、ただ創造意欲より以外に何ものも持たないわが國の経済事情下においては、これまたしごく適切な措置であるとも考えられるのであります。しかしながら、本法案の是非を決定するものは、ただ以上の理由だけでは、なおいまだその本質に徹したものは言い得ないのであります。何となれば、一國経済の動脈ともいうべき鉄道事業が、その目的とする機能を発揮し、國民の福祉を増進するような企業組織であるためには、國有鉄道であるべきか、民有民営であるべきか、その他に方式があるべきかという根本的な問題を明確にしておかなければならぬと存じます。
 そもそもわが國における現行の鉄道政策は、御承知の通り國有鉄道法の第一條に銘記されているように、國有國営主義を宣明しております。その但書において、一地方の交通を目的とする鉄道は、これを例外的に民有をも認めているのでありますが、これとても決して鉄道國有主義の本義を侵しておるものではありません。しかるに、今回新たに発生する日本國有鉄道なる公共企業体は、現行わが國の國有國営主義の原則とは、その本質において異なるものがあるように考えられるのであります。從つて、わが國の鉄道政策は、この際革新的修正を加えなければならないのであります。しかるに、かかる鉄道國有法の根本主義に手を加えないで、單に戰時中買收したものであるからという理由のみをもつて國有を民有に還元しようとすることは、その手続において正当を欠くのみならず、理念的にも大きな矛盾を持つものといわねばなりません。
 元來わが國の鉄道事業は、國家的な交通機関と地方的な交通機関との混合した、複雜かつ厖大な組織のもとに経営され、かつ運営されて來たのでありますから、このような條件のもとで國鉄の自立経済をはかろうとするには、旧來のような強力を國家権力を背景としてならばいざ知らず、今日のようないわゆる民主的企業形態としては、けだし適当だとはいい得ないのではないかと存ずるのであります。ここにこそ新たなる公共企業体への発足の意義が存するのでありまして、この意味において、日本國有鉄道は、コーポレーシヨンとしての新たなる経済理念のもとに、今後のあり方とこれに伴う新たな機構と組織を確立しなければなりません。すなわち、國有たると民有たるとを問わず、すべての路線は、その本質的性格とその機能に即して、これを國家と地方との二つの交通分野に再編成しなければならぬとするものであります。
 いささか具体的に説明いたしまするならば、一國交通における幹線鉄道と、一地方交通を目的とする鉄道とは、おのずからその基盤とする交通圏に著しい差異があり、たとえば國の行政に中央と地方との区別があるように、一地方の交通を目的とする鉄道は、一定地方社会の交通の流れに應じて、その中心である都市に急進的に集中する形態をとるのが普通であります。この都市を中心力とせる地方交通圏内にとどまるものを地方鉄道となし、國有鉄道はこれら地方交通圏を貫通する幹線鉄道に限定し、もつて國家、地方の分野を明らかにしてのみ、よく厖大なる國有鉄道の自立的運営をなし得るものなりと信ずるのであります。(拍手)
 かかる観点から、わが党は、本法案はしばらくこれを留保し、六月一日から新たに発足する日本國有鉄道をして國有鉄道と地方鉄道との分野を画定せしめ、その性質に基いて、現在民有鉄道であつても國の幹線的性質を持つた路線であるならばこれを日本國有鉄道に移し、これと反対に、國有の路線であつても、それが地方交通圏に入るべきものは、ひとり戰時中買收せられたものに限らず、これを地方鉄道に移管すべきものなりと信ずるのであります。(拍手)しかもこの企業形態は、個人の創意と公共の福祉とが完全に一致する公私一体的な内容と経営を持つ新たなる構成によるべきものでなければなりません。
 かくのごとくパブリツク・コーポレーシヨンの理念を取入れました地方鉄道の企業形態を構成いたさしめまして、國家と地方とを有機的運営といたしまする國鉄事業の再編成案を次期國会に提出するまで、本案を留保せられんことを要望するものであります。
 最後に一言したいことは、わが党の主張する公共企業体は、國有あるいは民営というような、一方的に編成したものではなく、公私相ともに併立して、しかも調和したる新しい企業組織を創造しようとするものでありまして、現下の情勢に見、ややもすれば生産手段を中心にして國有か民営かという資本と労働との両端相いれない独裁的、破壊的思想を超克した企業組織を確立し、もつてわが國の再建の基盤たらしめようとするものでありますから、重ねてこれをわが國鉄道政策の上に実現されるよう要望するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 田中堯平君。
    〔田中堯平君登壇〕
○田中堯平君 日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されておりまする戰時中買收した私鉄の拂下げ法案並びに通訳案内業法案の二法案に対して反対の意思を表明いたします。
 先ほど民自党の松本君から、共産党はその当時少数であつたから運輸委員会に参加しておらなかつた、もしも今日のように三十五人あつて運輸委員会に参加しておつたならば賛成をしたであろうというような、けしからぬ発言をされました。共産党は、五人であろうが三十人であろうが、こういう不都合なる案に対しては徹頭徹尾反対であります。(拍手)反対だけではない。これから行われるかもしれないところのいろいろな不都合な行為がありますならば、今日は各委員会に共産党はみな顔を出しておりますから、徹底的にこれを檢討することを覚悟していただきたいのであります。(拍手)
 さて、まず戰時中の買收鉄道拂下げに対して反対の理由を申し述べます。
 第一に、本案提案の理由を見ますと、戰時中戰爭目的遂行のために買收した鉄道であるから、今や戰後となつて目的が解消した、それゆえこれを元の所有者に拂下げをしてやるということが、これが提案理由であります。ところが、戰爭目的が終つたから拂い下げるということは、もつともなりくつに聞えて、実は何も意味のないことであります。日本の鉄道は、昭和あるいは大正、明治の昔から、およそ軍國主義日本の目的を達成する意味を多かれ少なかれ含んで敷設されているのであります。平時の経済の目的ということと、戰爭目的ということと画然区別をして、戰爭目的なるがゆえにこれは拂下げをする、しからざるものは残しておくというような区別は、絶対にできないのであります。現に今日問題になつている十線を見ましても、この十線はただ戰爭目的だけではない。現に平時の経済に貢献をし、地方交通に非常なる意味を持つている。こういうものを拂い下げるということを、ただ戰時中の買收鉄道であるから拂い下げるということは、全然意味はないのであります。これが第一点。
 第二点は、本法案の第一條に、財政の改善をやるためと書いてある。一体財政の改善になるか。これは先ほど運輸大臣から答弁があつたように、拂下げ希望價格はわずかに四億四千万円、ところが、政府の非常に安い評價によりましても三十七億円、昭和十八、九年に買い上げた時の價格は一億七千万で円ありますが、その当時に比べると、物價指数はおそらく百二十倍にも百五十倍にもなつている。それならば、その後修理改善のために四億以上の資本を投下しておりまするから、一億七千万円に合計すると五億にも六億にもなる。これの百二十倍、百五十倍ということになるならば、おそらく何百億円という厖大なる國有財産であります。これが、たかが四億四千万円、これでたたき賣つて、何の財政の健全化でありまするか。(拍手)
 民自党の諸君は、今國民はみなたけのこ生活をしておるから、國家も鉄道もこれまたたけのこ生活をやらなければならぬというような、まるでむちやくちやなことを言つておられる。皆さん、國民もたけのこ生活、國家も政府もたけのこ生活、次第々々に消極退嬰に陥つて、一体何が残るか、亡國以外に何も残りはしない。鉄道をちぎつて端から賣る。今度は全体の鉄道さえもだれかの手に渡してしまう。現に運輸大臣並びに提案者の答弁を開きますると、國営を民営に移すところの一歩前進の計画がここに具体化しておるのである。民自党の官僚民営化という基本方針の一つの現われであるということを盛んに強調されておる。(「だれが強調しておる」と呼ぶ者あり)それは運輸大臣並びに提案者であります。しかし、そのような方針によつては、日本の鉄道は再建されないし、経済の再建も國家の再建もあり得ない。日本は、そういう行き方をするならば、滅びざるを得ない。
 そこで、一体財政の健全化ということならば、相当價格に賣るということでなければならぬし、第二には、もうかるような線を賣るということは少しも財政上利益にならぬ。ところが、この十線の中をごらんなさい。あるいは阪和鉄道、青梅線、あるいは鶴見の臨港線のごときは、今日でも黒字であるのみならず、將來非常に有望なる線である。しかも、これを拂下げの中に入れておるじやないか。これが何で財政の改善になりますか。そうしてしかも、十八年と十九年に買收したものに限るとしておる。その前後にもちやんと買收したものがあるにもかかわらず、そのうちで、しかもいろいろな縁故的な十線だけを拂い下げ、あとのものは拂い下げないということであつたならば、これは國民がいろいろ疑惑を抱いてもしかたがない筋合いのものであります。ましてや、今日この十社のうちには、政党のいろいろな関係者が社長であり、あるいは重役であるというふうに聞いておる。ますますもつてこれは疑惑の種とならざるを得ないのであります。
 それから第一條に、財政の改善と並んで、地方鉄道の強化とか、あるいは公共の利益とか、まことに美辞麗句が並べてある。ところがこの美辞麗句が、第二條以下に盛られておる拂渡しの手続をとつて、少しもこれは実現されません。正反対の結果になる。公共の利益というけれども、これは先ほども話がありましたように、阪和鉄道にいたしましても、あるいは鶴見の臨港線にいたしましても、この沿線の住民諸君は、労働者、農民に限らず、資本家、企業家に至るまでが、連名が必死になつて拂下げの反対運動をやつておる。しかるにもかかわらず、これを二束三文の値でたたき賣ろうということである。これは一つも公共の利益を考えてはいないのであります。國鉄の從事員諸君にとりましても、國営から民営にかわることになれば、待遇その他が劣悪化することはきまり切つておる。またサービスの低下、運賃の値上げ、そういうふうな面を通じまして地方住民に対して非常な不利益を與えることになることは、火を見るよりも明らかでありますが、これをもつて公共の利益とは何であるか。(拍手)それが地方鉄道の強化とあるけれども、一体これは何のことやら、さつぱりわからない。地方鉄道の強化ではなしに、地方財閥を強化することになる。(拍手)
 地方の交通を強化するということならば、現在のように國営のままにしておいて、その欠点を直して行けばよろしい。幾らでも赤字の補正もできまするし、サービスの改善もできる。それをやらないで、今日の國営がいけないと言う。いけないではありません。そうではなしに、官僚的なる、不合理なる、放漫なる経営のゆえに大きな赤字が出ておる。たとえば、石炭その他の資材をまことに高値に買い入れるとか、あるいは不用品と称して、まだまだ用のある物を安値でどんどん賣り渡すとか、あるいは工事のごときを非常な高値でトンネル会社に請負わせる等々の、そういうずさんなる計画によつて國鉄の赤字は生じておるのであつて、これらの不合理を一切粛正するならば、この赤字は一ぺんに消えてしまう。國営がいけないのではない、官僚主義がいけないのであります。(拍手)
 それなのに、國営がいかぬと言つて、これを民間に拂い下げる。しからばサービスがよくなるか。なるほど、昔、日本の資本主義の勃興期におきましては、あるいは國営よりも民営の方がサービスがよかつた時代もあたましよう。これは昔のことであつて、資本主義が隆々として興るときには、そういうことは可能であつても、今や全世界の資本主義は衰退期にある、滅亡期にある、そういうときに、公共事業を私経営にして何になりましよう。現に世界の趨勢をごらんなさい。英國においてでさえも、昨年鉄道はみな國有國営にしたではありませんか。こういうふうな世界の趨勢に逆行して、まるで時代錯誤なる政策を断行しようとしておる。(「アメリカはどうだ」と呼ぶ者あり)アメリカは、これはまだ資本主義が相当な力を持つておる。それゆえに私経営の交通会社はありまするけれども、しかしみなさん、アメリカにおいてでさえも、すでに赤字会社が続出しております。交通事業そのものが今日私経営でやられるわけがない。
 さてその次に、第三番目に反対をいたしまする理由は、鉄道の從事員が引継ぎに際して待遇上の不利益をこうむる。そこで、これを何とかして押えよう、なだめようというので、この保護規定が設けられておるが、しかしこの保護規定につきましては、委員会における運輸大臣の答弁――含みのある答弁でありましたが、これによつても、まつたく空文化することが約束されておる。こんなものを掲げられておりましても、一向に実効を発揮しないのであります。それゆえ、この多数の引継職員はひどい目にあうこと必定であります。それでわれわれは、この点からもまた反対せざるを得ないのであります。
 かくのごとく、財政の健全化にもならない。公共の利益にもならない。地方交通の強化にもならない。しかるにもかかわらず、民自党はこの拂下げを強行しようとした。会期は余すところ幾らもなくなつてから、にわかにこさを上程して來て、われわれの要求する資料もほとんど出さない。そうして何でもかでもこれをやれという。われわれがいろいろな質問をなしたのに対して、政府当局も提案者も、氣に入つたような答弁は何一つない。何でもかでもこれを通せという態度をとられる。
 しかも、先ほど申しましたように、毎日毎日、全國のこの私鉄の沿道の人々が、拂い下げられては困るという、まるで必死の反対運動が、陳情團が私たちの前に來ておるのである。これは皆さん百も御承知のことである。そういうふうに國民が反対する。しかもこれを決行してみて、國家も何も利益は得るところがない。こういうような愚劣なる案を何ゆえに強行しなければならぬか。そこにわけがある。あえて私はそのわけは言いませんけれども、古來ずつと今まで見ておりますと、鉄道の売買については、とかくへんちくりんなことがつきつといやいすのであります。もしも、こういうことがこれから行われようものなら、共産党は断じて承知はできない、監視する。
 なおその次は通訳案内業法でありますが、全日本でたつた二百か三百の通訳をつくるために國家試験を行うとは何のことか。たつた二、三百の通訳、これに國家試験をするということは、結局これはスイスの眞似をするにすぎない。われわれは、スイスのように日本を再建しようとは思わないのであります。われわれは、観光によつて外國人のふところに寄生するような植民地的日本をつくろうとすることには反対である。(拍手)これは自由業にまかせておけばいいのであつて、國家が大なたを振つてここに法規をつくるというようなことは、笑いぐさになるのであります。
 かるががゆえに、この両法案に炊いて、共産党は絶対に反対をいたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの田中君の発言中に摘発という言葉があつたようでありまするが、速記録を取調べ、もし不穏当でありますれば適当に処理をいたします。早川崇君。
    〔早川崇君登壇〕
○早川崇君 私は、新政治協議会を代表いたしまして、本法律案に反対の意を表する次第であります。(拍手)
 第一に反対理由は、かくのごとく全國民的な反対を買つておりますところのこの法案の審議の手続の問題であります。十七日に提案せられて、わずか四日間の委員会において、廣く公聽会を開くこともいたさないで、突然本会議に上程せられました。きわめて非民主的なかかる審議に対しまして、さらに政府部内におきましても、この法案に対しては幾多の異論があると聞いております。これが民自党の提案となりまして、提案せられました事情の内部に伏在する理由は存じませんが、とにかくかくも多数の反対が國民各位から寄せられておる法案の、かくのごとき非民主的な審議方法から申しまして、まず第一に私は反対せざるを得ないのであります。
 第二点は、われわれの抱いておりまする基本的理念から申しましても、同時にこの法案に反対せざるを得ないのであります。現在のわが國情における運輸事業の公共性から申しまして、少くとも國有國営ないしは日本國有鉄道公社のごとき独立採算のあるところの制度にするという線までが、國民各位の要望にこたえるゆえんであります。しかしながら、たとい地方鉄道についても、その中には、かなり幹線に近い鉄道の線路が含まれているきて、拂下げに関しまして、まつたく営利的な、戰時中買い上げられた会社に全面的にこれを移讓するという、かくのごとききわめて非進歩的な、きわめて反動的なこの法案に対しましては、根本理念においてわれわれは反対をせざるを得ないのであります。
 第三には、財政的な面から申しまして、これまた反対せざるを得ないのであります。提案者のこの法案の提案理由といたしまする最も大きな理由は、財政的な面から日本の國家財政を助けるというのであります。しかしながら諸君、すでにこの拂い下げられる会社の要望する價格は、わずか四億円という要望が出ておる。他方、政府の要望が三十七億。先ほど共産党の人も言われましたが、資産を時價にはじきますと、百数十億円に上るところの價格になるわけであります。
 今度拂下げを予定されておりますところの十社程度の線路でありますが、この線路の中には、阪和線とか、あるいは南武線とか、その他二、三の線路におきまして、すでに昨年度より黒字会計になつておる線路があるのであります。かくのごとき事情におきまして、もし諸君が、この法律案の中に盛られておりますように、あくまで公正妥当な値段で拂い下げるということを貫徹するならば、おそらく百億あるいはそれ移讓の價格の拂下げを受けなければならないのでありますけれども、かくのごとき價格の拂下げに應じようとする業者は、私はあるまいと思う。さらにまた、赤字になつたから拂い下げるという政府の答弁でありましたけれども、赤字であるような線路を拂い受けようとするような業者が、はたしておりますか。
 かかる観点から申しまして、この法律案に盛られておりますように、あくまでも公正にこれを実行しようとするのであれば、おそらくこの法案に應ずる会社は一つもくなつて、何ら意味をなさない法律案になつてしまうと私は思う。そこに私は、この法案が、あるいはその價格をめぐつていろいろなスキヤンダル、あるいは評價がえをめぐつて非常な疑獄事件の危險すらあると言うゆえんでありまして、かかる意味から申しまして、すでに黒字の鉄道が多いのだから、拂い下げたら、國家財政、鉄道会計が遂に今度は赤字になる。拂下げ價格の点において公正妥当にこれを貫徹しようと思えば、とても拂い受ける能力のある会社がないということになりまして、那辺にこの法律案の意図するところがあるかということを、私は疑わざるを得ないのであります。おそらく、これを一般の受益者、國民大衆に轉嫁いたしまして、やれ旅客運賃を上げるとか、貨物運賃を上げるとか、あるいは旅客列車を減すとか、いろいろ國民大衆、受益者諸君の迷惑の上に一部の会社の利己的な利益を擁護するというのが、せいぜいの落ちでありますので、私はかかる拂下げ法律案に全面的に反対せざるを得ない次第であります。
 さらに最後に、この法律案に予定されておりまする線路は十線ほどございますが、これは單なるローカル線といえない線が多々あります。たとえば阪和線にいたしましても、これが民間に拂い下げられることによりまして、和歌山縣や三重縣から大阪に行く人は、六十キロのところを百十キロほど遠まわりしなければなりません。旅客においても貨物においても運賃の値上げは必至であります。そのほか南武線その他の線において、幾多かくのごとき幹線に類する私鉄をも拂い下げようとするような傾向があるのでございまして、私は、この法案の実際の意図がはたして那辺にあるかということを疑わざるを得ないのでございます。
 かかる観点から申しまして、國家財政のためにもならない。もしためになろうとすると、これの買手がない。さらに黒字鉄道まで払い下げようということになると、まさにこの法律案は、日本の現在の経済再建、あるいは國家財政の救済の意味において、まつたく無意味な法案である。あえてかくのごとく私鉄に拂い下げることによつていろいろな混乱、労働者に対するいろいろな不安をここに生ずるがごとき無意味なるこの拂下げ法案に対しまして、私は新政治協議会を代表いたしまして、断固として反対の意を表明する次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 まず日程第二、戰時中政府が買收した鉄道の讓渡に関する法律案につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(幣原喜重郎君) 投票洩れはありませんか。――投票洩れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。閉鎖。
 これより投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(幣原喜重郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百十三
  可とするもの(白票) 二百十三
    〔拍手〕
  否とするもの(青票) 百
    〔拍手〕
○議長(幣原喜重郎君) 右の結果、本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 廣川弘禪君外五名提出戰時中政府が買收した鉄道の讓渡に関する法律案を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
   阿左美廣治君  青木 孝義君
   青木  正君  青柳 一郎君
   淺香 忠雄君  淺利 三朗君
   有田 二郎君  井手 光治君
   飯塚 定輔君  幾多 和平君
   池田正之輔君  池田 勇人君
   石田 博英君  石原 圓吉君
   石原  登君  稻田 直道君
   今泉 貞雄君  今村 忠助君
   岩本 信行君  岩川 與助君
   宇田  恒君  宇野秀次郎君
   内海 安吉君  江崎 真澄君
   江花  靜君  遠藤 三郎君
   小川 平二君  小川原政信君
   小澤佐重喜君  小高 熹郎君
  小野瀬忠兵衞君  尾崎 末吉君
   尾関 義一君  越智  茂君
   大石 武一君  大泉 寛三君
   大内 一郎君  大西  弘君
   大橋 武夫君  大村 清一君
   大和田義榮君  岡延右エ門君
   岡崎 勝男君  岡田 五郎君
   岡西 明貞君  岡野 清豪君
  岡村利右衞門君  押谷 富三君
   加藤隆太郎君  鹿野 彦吉君
   鍛冶 良作君  角田 幸吉君
   片岡伊三郎君  甲木  保君
   門脇勝太郎君  上林山榮吉君
   神田  博君  川西  清君
   川端 佳夫君  川村善八郎君
   川本 末治君  河原伊三郎君
   菅家 喜六君  木村 公平君
   菊池 義郎君  北澤 直吉君
   金原 舜二君  倉石 忠雄君
   栗山長次郎君  黒澤富次郎君
   小金 義照君  小平 久雄君
   小玉 治行君  五島 秀次君
   佐久間 徹君  佐々木秀世君
   佐瀬 昌三君  佐藤 榮作君
   佐藤 重遠君  佐藤 親弘君
   坂田 英一君  坂本  實君
   志田 義信君  清水 逸平君
   篠田 弘作君  澁谷雄太郎君
   首藤 新八君  白井 佐吉君
   庄司 一郎君  周東 英雄君
   鈴木 明良君  鈴木 仙八君
   鈴木 善幸君  瀬戸山三男君
   關谷 正一君  關谷 勝利君
   千賀 康治君  田口長治郎君
   田嶋 好文君  田中 啓一君
   田中 重彌君  田中  元君
   高木  章君  高木吉之助君
   高木 松吉君  高塩 三郎君
   高田 弥市君  高橋 英吉君
   高橋 定一君  高橋  等君
   高間 松吉君  竹尾  弌君
   玉置 信一君  玉置  實君
   塚原 俊郎君  土倉 宗明君
   坪内 八郎君  飛嶋  繁君
   苫米地英俊君  冨永格五郎君
   奈良 治二君  内藤  隆君
   中川 俊思君  中島 守利君
   中野 武雄君  中村 幸八君
   中村 純一君  中山 マサ君
   仲内 憲治君  永井 英修君
   永田  節君  西村 英一君
   西村 直己君  西村 久之君
   根本龍太郎君  野原 正勝君
   野村專太郎君 橋本登美三郎君
   橋本 龍伍君  幡谷仙次郎君
   花村 四郎君  林  讓治君
   原田 雪松君  樋貝 詮三君
   平澤 長吉君  平島 良一君
   廣川 弘禪君  福井  勇君
   福田 篤泰君  福田  一君
   福永 一臣君  福永 健司君
   藤枝 良介君  舟越  弘君
   古島 義英君  星島 二郎君
   本間 俊一君  眞鍋  勝君
   前田  郁君  前田 正男君
   牧野 寛索君  益谷 秀次君
   松井 豊吉君  松浦 東介君
   松木  弘君  松田 鐵藏君
   松永 佛骨君  松本 一郎君
   松本 善壽君  丸山 直友君
   三宅 則義君  水田三喜男君
   水谷  昇君  南  好雄君
   宮幡  靖君  宮原幸三郎君
   村上  勇君  村上 清治君
   森   曉君 藥師神岩太郎君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山村新治郎君  山本 猛夫君
   吉武 惠市君  龍野喜一郎君
   若林 義孝君  若松 虎雄君
   渡邊 良夫君  亘  四郎君
   逢澤  寛君  天野  久君
   大西 禎夫君 木村小左衞門君
   小坂善太郎君  小松 勇次君
   島田 末信君  鈴木 幹雄君
   田中伊三次君  田中不破三君
   圖司 安正君  坪川 信三君
   寺島隆太郎君  寺本  齋君
   中垣 國男君  中村 又一君
   永井 要造君  長野 長廣君
   原   彪君  保利  茂君
   山崎 岩男君  山本 利壽君
   吉田  安君
 否とする議員の氏名
   足鹿  覺君  青野 武一君
   井上 良二君  石井 繁丸君
   石川金次郎君  稻村 順三君
   受田 新吉君  大矢 省三君
   上林與市郎君  佐々木更三君
   坂本 泰良君  鈴木茂三郎君
   田中織之進君  田万 廣文君
   堤 ツルヨ君  戸叶 里子君
   成田 知巳君  前田 種男君
   松井 政吉君  松岡 駒吉君
   松本 七郎君  三宅 正一君
   門司  亮君  八百板 正君
   荒木萬壽夫君  小野  孝君
   川崎 秀二君  北村徳太郎君
   小林 運美君  河本 敏夫君
   佐伯 宗義君  坂口 主税君
   篠山茂太郎君  志賀健太郎君
   椎熊 三郎君  清藤 唯七君
   園田  直君  苫米地義三君
   中曽根康弘君  並木 芳雄君
   長谷川四郎君  林  好次君
   増田 連也君  宮腰 喜助君
   井之口政雄君  池田 峯雄君
   江崎 一治君  加藤  充君
   風早八十二君  春日 正一君
   上村  進君  神山 茂夫君
   柄澤登志子君  川上 貫一君
   河田 賢治君  苅田アサノ君
   木村  榮君  聽濤 克巳君
   今野 武雄君  志賀 義雄君
   砂間 一良君  田島 ひで君
   田代 文久君  田中 堯平君
   高田 富之君  竹村奈良一君
   立花 敏男君  谷口善太郎君
   土橋 一吉君  徳田 球一君
   梨木作次郎君  林  百郎君
   深澤 義守君  横田甚太郎君
   米原  昶君  渡部 義通君
   井出一太郎君  石田 一松君
   今井  耕君  大石ヨシエ君
   金子與重郎君  河口 陽一君
   木下  榮君  木村 俊夫君
   吉川 久衛君  小林  進君
   河野 金昇君  高倉 定助君
   竹山祐太郎君  寺崎  覺君
   内藤 友明君  早川  崇君
   平川 篤雄君  船田 享二君
   三木 武夫君  石野 久男君
   岡田 春夫君  黒田 寿男君
   浦口 鉄男君  北  二郎君
    ―――――――――――――
○議長(幣原喜重郎君) 次に日程第三につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第四、公証人法等の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長花村四郎君。
    ―――――――――――――
    〔花村四郎君登壇〕
○花村四郎君 ただいま議題と相なりました公証人法等の一部を改正する法律案につきまして、その要旨及び委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず本改正案の要点を申し上げますと、第一に、法務廳設置法の一部を改正する法律により、司法事務局またはその出張所が法務局もしくは地方法務局またはその支局もしくは出張所に改組されることと相なりましたとともに、公証人懲戒委員会についてはこれを公証人審査会として同法に規定されることになりましたので、これらに伴い公証人法の関係規定を整理しようとするものであります。
 第二に、現行法の規定は公証、認証等の手続につきあまりにも嚴格にすぎますので、今度公証制度の趣旨に反しない範囲内においてこれを適当に是正して、ますます公証制度の機能を発揮せしめようとするものでございます。
 第三に、公証人の任用資格等につき、現行法では、判事、檢事または弁護士たる資格を有する者に限つて所定の試驗及び実地修習を経ないで公証人に任せられることができるのでありますが、今度これを改正して、多年法務に携わり、公証人の職務に必要な学識経驗を有する者で、公証人審査会の選考を経た者もまた試驗及び実地修習を経ることなくして公証人に任ぜられることを得るものとしようとするものでございます。以上が改正原案の要旨であります。
 本案は、まず参議院に提出されましたところ、選考を経て公証人となる者を当分の間に限り、また懲戒委員会のかわりに、公証人審査会を置くと修正されたのであります。修議員法務委員会においては、第二十八條にいわゆる印鑑証明書の提出その他確実なる方法とある、確実なる方法とは何か、また公証人定員の補充方法をどうするか等につき質問がございましたが、討論を省略いたしまして、前回一致をもちまして参議院送付の案文通り可決された次第でございます。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言もなければ採決に入ります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
○議長(幣原喜重郎君) 日程第五、社会教育法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文部委員長原彪君。
    〔原彪君登壇〕
○原彪君 ただいま議題となりました社会教育法案につきまして、文部委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申し上げます。
 まずその概要を申し上げます。元來、社会教育は國民相互の間において行われる自主的な自己教育ではありますが、教育基本法第七條にもありますように、一面國及び地方公共團体によつて積極的に奨励されねばなりません。しかるに、國及び地方公共團体の社会教育に関する任務はあまり明瞭でなく、社会教育の重要性が叫ばれましても、それがなかなか実際の行政面に具体的に現われて來なかつたのであります。從つて本法案は、國及び地方公共團体の社会教育に関する任務を明らかにするとともに、社会教育の体系を確立するため社会教育に法的根拠を與える必要がありますので、ここに提案された次第でございます。
 本法案の内容といたしましては、第一に、すでに発足いたしまたところの都道府縣及び市町村の教育委員会が、社会教育、すなわち主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動、これには体育及びレクリエーシヨン等も含むのでありますが、その教育活動に関していかなる権限と任務を持つべきかということについては明確を欠いておつたのであります。この際本法において、できるだけ具体的に國及び地方公共團体の社会教育に関する事務内容を明確にしようとするものでございます。
 第二には、社会教育関係の各種の團体と國及び地方公共團体との関係について規定しておるのでありますが、國及び地方公共團体としては、民間の社会教育関係團体が、できるだけ自主的に、かつ積極的に活動し得るように、これを助長するため各團体の指導者の養成に努め、その機能の十分な発揮発達をはかる観点から、國及び地方公共團体がこれらの任務に應じ得るように規定いたしてございます。一面各團体の活発な自主性を確保助長するために、不当に團体を統制支配し、あるいは干渉することのないように規定してございます。
 第三には、都道府縣及び市町村に社会教育委員を置きまして、教育委員会に対して助言を行い、あるいは諮問に答える機関としております。
 第四に、公民館の目的、事業、運営方針、職員の取扱い等を明らかにするとともに、政府でも積極的にその運営に対する財政的援助をなし得る道を開き、公民館が眞に市町村の社会教育上その総合中心施設として発達するように規定してあります。
 第五に、社会教育の有力な手段である通信教育に種々な利便を與えて、通信教育の発達をはかるように定めてあります。
 本法案は、去る五月二十日参議院より本院に送付せられ、文部委員会に付託せられたのでありますが、本委員会におきましては、きわめて愼重審議を重ねたのであります。しかして、共産党を代表して渡部義通君の反対意見をもつて討論を終局し、次いで採決いたしました結果、賛成絶対多数をもちまして、本案は原案通り可決せられたのであります。詳しくは速記録によつて御承知願います。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。渡部義通君。
    〔渡部義通君登壇〕
○渡部義通君 社会教育法案に対する日本共産党の反対意見を述べます。
 本議案は、大幅な修正を経て参議院から送付されたものでありまして、参議院の送付案は、文部大臣あるいは教育長の社会教育に対する統制を多少とも緩和した意味では、数歩進歩的なものになつたのであります。しかしながら、問題はいかなる社会教育を行うのか、当局が行おうとするところの社会教育の根本目標がどこにあるかという問題であります。当局は、この問題については、委員会において何ら肯定に値するような答弁をなしておりません。
 現在の日本がほんとうに必要とするところの社会教育の方向は、言うまでもなくポツダム宣言あるいは日本國憲法の原則及び精神に基いて行わなければなりません。これは一方では軍國主義的あるいは専制主義的な傾向を排除し、他方では國民の文化的な生活を高め、その思想及び政治上における自由を助成し、民主主義を助成し、また恒久平和に協力するという方向でなければならないのであります。しかし、このような教育は、実は現在労働階級を初めとするところの勤労大衆の間で、自主的に、積極的に、最も廣く行われておるのでありまして、この勤労大衆の意欲と創意性と活動を十分に展開し、十分に助成することなくしては、今申し上げたような社会教育は絶対に行われ得ないのであります。
 労働階級を先頭とするところの、このような國民的な、自発的な、現に行われておる教育運動こそ、新しい日本の社会教育の基礎でなければなりません。ところが本法案の中には、依然としてこの勤労大衆の意欲と創意性と活動とを十分に取上げるような精神はどこにも貫かれてないのであります。そこにはやはり依然として、当局の社会教育に対する統制という精神があるのであります。これが反対の第一の理由であります。
 では、当局はどのような立場からその社会教育を行おうとするのか。かつて日本の教育は、天皇制や團体に対する國民の盲目的な信奉を助成するために、養成するために行われて來たし、また戰時中は、大政翼賛会の運動において見られたように、やはり天皇絶対の思想とか、あるいは排外主義とか、あるいは日本の東洋支配の合理性を説くような、あるいはそれを承認するような社会教育の方針がとられて來たのであります。
 現在においては、やはり國家の性質と、また現在の時代的な要請とに應じて、現在の政府が、新らしい、それに應じた社会教育の方針をとらざるを得ないのでありまして、現在における政府の根本的な性質は、本國会のあらゆる法案において見られたように、また現に行われておるあらゆる政治的な、政策的な事実のうちに見られておるように、これは國民の生活の権利も自由も犠牲にし、日本民族の独立さえも犠牲にして、大資本的な政策を行い、買弁的な政策を行うことにあるのでありまして、このような方向に向つて日本國民の精神的な統一、思想的な統一というような事柄によつて、つまり社会教育をこの吉田反動内閣の政治経済政策の遂行の上に利用しようとするところに、統制しようとするところに、この社会教育法案の本質があると、われわれは考えざるを得ないのであります。(拍手)
 それだけではない。この社会教育法案において、われわれ日本人として心眼を開いて警戒しなければならないことは、かつて日本が中國を支配しようとする意図をもつて、中國の占領地帯において行つたところの宣撫工作的な意味が、この法案の中にもひそめられておるということを、われわれは日本民族としてはつきり警戒しておかなければならぬと思うのであります。(拍手)
 われわれは、以上のような理由によりまして、このような法案が通りまして、それが実際問題として文部大臣や教育長の統制のもとに社会教育が置かれるようなことになりますならば、それは現在すでに勤労大衆の中からりつぱに起きておるところの大衆的な、國民的な、自発的な、積極的な社会教育活動というものを排除して、あるいはそれにとつてかわろうとする方向をとつて進行するものであるということ、從つてこれは現在の正しい社会教育運動、勤労大衆の自発的な、階級的な、日本の民主革命に必要な社会教育を圧殺する結果になるという根本的な見地に立ちまして、共産党としては、このような社会教育法案に反対せざるを得ないのであります。以上が反対の理由であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、中山マサ君外二十九名提出、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議がありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 引揚同胞対策審議会設置法の一部を改定する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。中山マサ君。
    〔中山マサ君登壇〕
○中山マサ君 ただいま議題となりました引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨弁明をいたします。
 この審議会は、法律によりますと、その設置期間は施行の日より一年となつておりまして、本年八月三十一日で廃止されることになるのであります。そこで、この一年とありますのを、もう一年延長して二年に改めようというのが、本法律案の改正点てございます。この改正法律案を提出することにつきましては、各党の御了承を得まして、海外同胞引揚に関する特別委員会の委員全員を提出者とすることになつているのでございます。
 なお改正の理由といたしましては、間もなくソ連領よりの引揚げが再開されようとしておりますが、在外資産の問題、引揚者の住宅問題等、引揚問題に関しましてはまだいろいろと問題が残つておりますので、これらの問題解決のためにも、さらに一年の延長を必要とするのでございます。
 本案の趣旨と現下の情勢とをお考えあわせくださいまして、何とぞ本案に御賛成くださいますように御願い申し上げます次第でございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言もなければ、ただちに採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、参議院提出、優生保護法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしとみめます。よつて日程は追加せられました。
 優生保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事松永佛骨君。
    〔松永佛骨君登壇〕
○松永佛骨君 ただいま議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。
 優生保護法は昨年制定せられたのでありますが、実施以來の成績に徴し、また最近の社会経済情勢の変化に対應して所要の改正を行おうとするのが、本改正法律案の提案理由であります。
 次に本改正案の内容のおもなる点を申し上げますれば、第一は、人工妊娠中絶に関してその施行範囲を廣げることであります。第二は、優生結婚相談所において受胎調節に関する適正な方法の普及指導をなさしめることであります。
 本法律案は、四月三十日、予備審査のため本委員会に付託、ついで五月十三日、本付託となり、十四日提案者より提案理由を聽取したのであります。ついで、十六日以来四回にわたり愼重な審議が行われたのでありますが、最も議論の焦点となりました点は、改正案第十三條第一項第三号の、妊娠の継続または分娩によつて生活が著しく窮迫するものという点でありまして、これに対しては、人道上、風教上または刑法との関係、あるいは母性保護の点、手術費用及び予算等の点に関し、きわめて熱心な質疑應答が行われたのであります。その二、三の要点を申し上げますと、本法案は社会悪を増長するおそれなきや、本法案は政治、経済、宗教、倫理、哲学、教育、科学等各方面より、より深く研究し、総合的結論を生み出すべきである等でありますが、詳細は速記録に讓ります。
 ついで質疑を打ち切り討論に入りましたところ、委員より次の修正案が提出されたのであります。すなわち
  第十三條第一項の改正規定を次のように改める。
  第十三条第一項中、第一号から第三号までを次のように改め、第四号を第三号とする。
  一 本人又は配偶者が精神病又は精神薄弱であるもの。
  二 妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により、母体の健康を著しく害するおそれのあるもの。
  同條第二項及び第三項の改正規定中「同條第二項中「第一号から第三号」を「第一号または第二号」に、「第四号」を「第三号または第四号」に改め、同條第三項を次のように改める。」を次のように改める。「同條第二項を次のように改める。
 2 前項の申請には、同項第一号の場合にあつては他の医師の意見書を、同項第二号の場合にあつては身体的理由によるときは、他の医師の、経済的理由によるときは他の医師及び民生委員の意見書を、同項第三号の場合にあつては民生委員の意見書を添えることを要する。同條第三項を次のように改める。と修正しようとするものであります。
 かくて討論を終り、まず修正案の部分について採決に入りましたところ、満場一致をもつて修正案通り可決すべきものと決しました。ついでその他の部分の原案について採決に入りましたところ、本法律案は満場一致をもつて原案通り可決すべきものと決した次第でございます。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言もなければ、ただちに採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員会報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進めるられんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長中島守利君。
    〔中島守利君登壇〕
○中島守利君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果の概略を御報告申し上げます。
 まず本改正法律案が提出いたされました趣旨について申し上げますと、御承知のごとく、昨年七月実施されました地方税制及び財政制度の全般的改正によりまして地方財源の強化がはかられたのであります。それにもかかわらず、その後における給與ベースの改訂、物件費の高騰及び委任事務費の増加等の事由により、再び地方團体の財源は窮乏を告げ、あらゆる努力を盡しても、なおかつ昨年度の決算において收支の均衡を保持しがたい地方團体が少くない情勢にあるのであります。このような情勢に対処し、でき得る限り税收入の増加をはかるとともに、経済九原則の線に沿い徴税確保の措置を講ずる等のため、現行税制度に必要な改正を加えんとするものであります。その内容につきましては、九十数箇條にわたる改正を含むものでありますが、その主眼点は、第一は、既存の税目に対して若干の変更を加えたことであり、第二には、税收入の確保及び租税徴收の強化をはかるために所要の改正を行つたことであります。
 第一の点に関しましては、一、住民税の一人当り平均賦課額を、府縣民税及び市町村民税を合せて現行の九百円から千四百五十円に引上げ、これによつて約七十五億円の増收を見込んだこと、二、地租及び家屋税の標準賦課率をそれぞれ賃貸價格の百分の二百及び百分の二百五十から両者ともに百分の五百に引上げ、約八十億円の増收をはかつたこと、三、電氣供給事業等二、三特定の事業に対する事業税については、所得にかえて收入金額を標準として課税するようにいたしたこと、四、入場税の規定を整備したこと、五、鉱区税及び狩猟者税の賦課率を引上げたこと、六、電話加入権税の名称を電話税と改めたこと、七、道府縣法定外独立税については、道府縣は、特別の事情がある場合においては、條例をもつてこれに対する市町村附加税の賦課を禁止しまたは賦課率に制限を加えることができることにしたこと、八、目的税に関する規定を整備したこと等がその主要なものであります。
 次に第二点としましては、一、新たに地方税に関する滞納処分の規定を設けたこと、二、道府縣の徴税吏員に対し通告処分その他國税犯則取締法によると同様の権限を與えることといたした点、三、入場税の徴收方法について、特別徴收義務者をして道府縣が発行する証紙をもつて徴收せしめるようにしたこと、四、罰則を強化したこと等がおもな点であります。
 本改正法律案は、去る五月六日、本委員会に付託せられ、地方財政法の一部を改正する法律案と一括して議題に供しましたので、五月七日より委員会を開くこと九回に及び、その間政府より提案理由の説明を聽取した後、政府当局との間に質疑應答が行われたのでありますが、住民税の平均賦課額の引上げ、入場税中博物館、美術館等に対する新たな課税規定、滞納処分、徴税吏員に対する協力を権限の付與、入場税徴收に都道府縣発行の証紙を使用せしめる点等の問題をめぐつて活発なる論議が展開せられたのでありますが、ことに入場税一般につきまして、その税率を、現行の百分の百五十という他に類例を見ない高率なものから、せめて百分の百程度に引下げるべきであるという修正意見が強く主張せられたのであります。この修正意見につきましては、原則的には、各委員はもとより政府側においても異論のないところであり、税率引下げが入場料金の統制撤廃と相まつて実施せられるならば税收入の点でも減少のおそれなしとする見解を一應了承せられ、また青木経済安定本部長官は、その答弁において、入場料金の統制は近き機会にこれを解除する用意がある旨を確信せられたのであります。しかしながら、今日他の税目、なかんずく住民税のごときものまでが引上げを企図されている現状にあつて、ひとり選択税たる入場税のみを引下げることはいささか躊躇される節もあり、なおまたその実施上の細目にわたつては十分研究すべき余地が残されているのでありまして、今後小委員会を設けて一層の檢討を重ねた上、次の機会においてその実現を期することとして、この際は一應現行のままとすることにいたしたのであります。さらに罰則の改正規定その他につきましても幾多の問題があるのでありますが、審議の期日も切迫しております関係上十分な檢討を加える運びに至りませんので、これらは不満ながらしばらく政府の原案によることに帰着いたしたのであります。
 なお一転御報告申し上げておきたいことは、附則第二項に、ガス供給行その他に対する事業税に関する改正規定は、その料金について物價統制令による統制額があるときは、昭和二十四年四月一日以後においてそれぞれその統制額の改定されたときの属する年度分の地方税から適用する旨が定められているのでありますが、これによれば、かりに年度末に統制料金の改正が行われた場合においても、なおその年度初めに遡及してその改正額に基く税額が賦課せられることとなるのであつて、はてはだ苛酷ではないかという質疑に対して、政府もその点を認め、その年度分とあるところはその事業年度分、すなわち六箇月と解釈して措置する旨答弁いたしたことであります。
 質疑應答の詳細は速記録に讓りたいと思いますが、要するに、今日地方財政が配付税の大幅な削減等により異常な苦境に立たされております際に、地方税制に重大な改正を加えますことは、かえつて無用の混乱を與えるおそれもあり、本委員会としても、なお考究すべきものが多々あると考えられますので、今後十分の用意をいたして、近く実施を予想される税制の全般的改革に臨んで地方税制の根本的建直しを行うことが適当であるという見解が支配的であつたのであります。このような見解に基いて、次のごとく民主自由党、日本社会党、第九控室民主党、第十控質民主党並びに新政治協議会の五派共同提出修正案が上程せられたのであります。
 修正案の概要を御説明申し上げますと、その第一点は、改正法案において、滞納処分に関する規定が第四十五條の二以下第四十五條三十五までの三十四箇條の條文として新たに加えられましたものを、この際全部削除し、滞納処分については現行通り國税の例によることとし、從いまして、第二十四條の規定を復活することといたしたのであります。
 政府の説明によりますと、現行法のような規定の仕方では手続に明確を欠き、住民の財産に強制権を発動する重要な規定を本法中に欠いていることは適当でないので、この規定を設けたものであるというのでありますが、國税と地方税とはその性格上おのずから異つた点があるのでありまして、その賦課、徴收はもとより、滞納処分の場合といえども自治の精神に立脚して行わるべきものであつて、強権を発動するごときは努めて避けるべきであると思うのであります。加うるに、市町村の徴收吏員に國の税務官吏と同様な権限を與えること等については、法律上からも幾多の疑義があるのでありまして、なお十分審議檢討を要するものがあるのであります。ことに、この規定を新たに設けることによつて滞納処分が從來より強化されることは容易に想像されるところであり、またそこに改正の目的があると察せられるのでありますが、その結果地方人心に及ぼす影響にはまことに憂慮すべきものがあるのであります。かような理由から、一應これを現行法通りにいたしたいと思うのであります。
 次に修正の第二点は、改正案では、第七十五條及び第七十六條において、入場税に関する規定を改めて、課税対象を四種類に区分し、從來不明確であつた美術館、博物館、展覧会等の文化ないし教育施設を第二種の施設として明示し、さらに新たに遊覧船や遊覧自動車を第四種の施設として課税の対象と定め、この二種については税率を百分の六十として、他の娯楽施設と区別してこれに低い税率を課することを定めているのでありますが、美術館、博物館等の文化、教育の施設を課税対象とすること自体が不穏当であるばかりでなく、前に申し述べましたことく、入場税については全面的に再檢討の時期に立至つているのでありますから、この際はこれを現行法通りにいたしたいというのであります。以上が修正案の要旨であります。
 修正案の提案理由の説明がありました後、修正案を含む原案に対して討論が行われたのでありますが、その内容につきましては会議録に讓りたいと思いますが、特に民主党からは、本会議における討論を省略いたす関係上、本委員会の討論において次の三点を希望して賛成の意を表されたのであります。それは、シヤウプ博士の來朝を機として地方財政を再檢討するにあたり、地方自治の裏ずけとなるべき確実なる財源を制定すること、負担を軽減する措置を次の臨時國会に提案すること、公共事業費、特に六・三制、災害復旧費について考慮し、地方自治育成のために努力することの三点であります。
 次いで採決に入りましたところ、修正案は起立多数をもつて可決せられ、修正案を除く原案を起立多数をもつて可決せられ、よつて本案は修正議決せられたのであります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。足鹿覺君。
    〔足鹿覺君登壇〕
○足鹿覺君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま審議中の地方税法の一部を改正する法律案に対し、修正案を除く原案に対し反対意見を表明するものであります。まず最初に、原案全体に対する総括的な反対理由について申し述べます。
 第一、政府は地方財政に対する根本的解決策をたな上げして、配付税その他の減額の穴埋めを地方自治体並びに地方住民に轉嫁せんとしつつあることについてであります。すなわち政府は、地方配付税法に基き当然地方公共團体に交付すべき配付税千百十六億円を、勝手に五百七十七億円に減額したのでありますが、この差額は実に五百三十九億円の巨額に達するのであります。かりに百歩を讓つて、地方財政委員会が当初予定した八百五十五億円との差額について見ましても実に二百七十八億余万円になるのでありまして、これは当然政府がその責任において、かわるべき財源を確立すべきであるにかかわらず、その努力を怠り、この姑息な地方税法の一部改正を通じて、その責任を一切地方公共團体に轉嫁し、地方財政の窮乏を見殺しにせんとするがごとき、きわめて冷酷にして憎むべき態度と言わなければなりません。また政府は、公共事業費の削減による國庫支出金の減少並びに地方起債に対しても極度の制限をしたのであります。逆に國家予算においては、千二百億円に及ぶ價格調整費を増額いたしました。
 これらを見るならば、地方予算に対する犠牲の強要がだれのためであるかは、おのずから明らかであります。そして政府は、地方予算に対する犠牲の強要によつて生じた穴埋めを地方住民に対して強要し、地方公共團体の上に肩がわりさせ、まつたく限度に達している地方税を二倍に増徴せんとしているのであります。すなわち住民税六割、地租、家屋税二・七倍、事業税二・三倍等の引上げは、苛酷なというより、むしろ非常識きわまる、無謀な施策と断ぜざるを得ないのであります。これを國税の面においてあわせ考えるとき、二十三年度の四千百二十三億に対し、二十四年度は六千三百五十六億円であつて、約六割の増收でありまして、國税、地方税を合すれば実に厖大な増收になるのであります。そこで、このような大増税は、とうてい平常の徴收手段、方法をもつてしては予算額の確保は困難であるとの見通しの上に立つて、権力的徴税を進めるために、滞納処分罰則の強化等の今次改正案となつて現われたものであろうと存ずるのであります。
 政府はむしろ今日こそ地方財政確立に対する根本的改正を断行し、地方自治体を財政的に裏づけるに足る財源を地方に分與し、もつて地方公共團体の健全な発達を企図すべきであるにもかかわらず、一方において地方自治廳を設置して内務省の復活をはからんとし、依然として地方を中央に隷属せしめんとするがごとき意図が、本年度総予算並びに本改正案その他を通じて明瞭であります。われわれは、地方自治擁護の立場から、断固本案に反対せんとするものであります。(拍手)
 次に第二点として申し述べたいことは、もしかりに本案が通過成立いたしましても、相当額以上の大穴は決して埋まらないことは自明であります。しかるに、それにもかかわらず、政府は國家施設の建設維持につき寄附金徴收の弊風を暗黙のうちに認めるがごとき態度をとつているのでありまして、今回の改正に際しましても何らこれが措置を講じていないことは、私どもの最も遺憾とするところであります。すなわち、地方住民に対する税にかわる寄付金の額は、昭和二十二年決算について見ましても、実に三十二億二千有余万円に上つておるのでありますが、おそらく本年度におきましては、國立大学の建設を初めとし、六・三制教育施設補助の打切り等による教育関係の強制寄付金の激増することは疑う余地もありません。これらを初めとして、警察、消防等その他の現況から推して、本年度のこれら寄付金の推定はおそらく一千億円にも達するのではないかと想像できるのでありまして、地方財政窮乏にいよいよ拍車を加え、地方住民の生活を重圧することは火を見るよりも明らかであります。この重大な問題に対しましても何ら根本的なる手を打たず、依然として地方住民の寄付金によらねば実施できぬような制度を立て、その実施を地方に迫つたり、政府施策の跡始末を地方に轉嫁するがごときはもつてのほかのことでありまして、この際断固として排除することが必要であると信ずるものであります。(拍手)
 以上、これを要するに、今次改正案は地方財政確立の根本に触れることを避け、部分的、一時を糊塗する、きわめて拙劣姑息な案でありまして、われわれの絶対に承服しがたいところであります。
 以上、一般的に本案に対する反対意見を述べたのでありますが、次に法案自体の内容につきましても、具体的に大いに檢討を要する点があるのであります。すなわち、地方税の引上げに対する反対といたしましては、住民税増徴、地租、家屋税の二倍引上げ等を見ましても、たとえば地租、家屋税について見ますならば、この結果は必ずや小作料、家賃の引上げを招來することは明らかであります。また課税客体範囲を拡大いたしまして、法人でない社團あるいは財團に対するところの住民税の賦課の範囲を拡張いたしましておる点等であります。さらにまた、不納煽動等に対する罪を設定することにつきましても、私どもは断じて承服しがたいのであります。國税犯則取締法の適用といい、現在の税金の民主化運動を一方的に反税闘爭と速断しやすいような法的根拠を設けてこれを弾圧せんとする最近の傾向につきましては、断じて私どもの承服しがたいところであります。(拍手)
 以上、一般的、具体的な点について申し上げたのでありますが、私どもは、これを要するに、まさにシヤウプ博士の來朝を機といたしまして、中央地方を通ずる根本的改正を直前に控えた今日、部分的姑息な改正を、しかも憲法並びに法律に違反する疑いを冒してまで提出する政府の地方公共團体に対する態度のきわめて不親切であり、違憲的傾向のあることを指摘し、中央本位の施策につきましてその反省を強く促すとともに、日本社会党は、修正点を除きまして他の原案に対し絶対反対の意見を表示するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 谷口善太郎君。
    〔谷口善太郎君登壇〕
○谷口善太郎君 日本共産党を代表して本案に反対いたします。
 本案の目的とするところは、今社会党の足鹿君の説にもありましたことく、地方配付税を大幅に削減した穴埋めと、國が地方に渡さなければならないいろいろな負担金を常に國が渡さないでいるという実情から來る地方の窮乏状態を打開するための手段として、吉田内閣が掲げておりますところの増税をやらないという、この公約を裏切つて、ここに大きな増税をやろうとしているところにあります。國の税金も、地方の税金も、拂うのは人民大衆でございまして、國の予算で増税をやらなくとも、地方の予算で増税をやれば、申すまでもなく困るのは人民大衆であります。これを実行しようというのが本案の眞の目的であり、第二の目的は、こういうふうな非常な無謀な増税をやるに当つて、当然國民大衆から反撥を食うであろう、これに対して、その徴收方法に警察的手段を用いてこれを強化しよう、こういう法的根拠を與えようとするのが本案の目的であります。
 私どもは、すでに配付税が減額されましたときに、これは國の負担を地方團体に轉嫁するものとして強硬に反対して來たのでありますが、この穴埋めのためになされる本案には、もちろん根本的に反対せざるを得ないわけであります。のみならず、この改正案で増税となります税額は、いろいろな意味から、ただに人民大衆を收奪するというだけでなく、吉田内閣の持つている最も大事な物價体系の廃家にすらなるものであることを指摘したいと思うのであります。
 住民税は、御承知の通りこれは人頭性的性格を持つているのでありまして、有産者も、あるいは社会の上層にいる人間も、無産者労働階級も、ともにほとんどその差がなく課税されるという点、こういう性質を持つ税金でありますが、これが九百円から千四百五十円に増額される。申すまでもなく、勤労者大衆にとつて非常な苛酷な重税であることは明らかであります。
 また地租、家屋税、これの増徴は、先ほど足鹿君の言葉の中に、この結果として家賃、小作料が必ず上るであろうということをおつしやつていましたが、委員会における政府の説明によりますと、上るであろうではなく、確かに小作料と家賃を上げることを明言しているのであります。(拍手)このことは、土地を持つ地主、家を持つ家主を保護するところの政策でありまして、有産者を保護し、その反面に勤労階級を收奪しようという民主自由党の階級的性質が明らかに現われていることを、私どもは指摘せざるを得ないのであります。(拍手)
 特に小作料の値上げについては非常に大きな問題があります。御承知の通り小作料は、今日の物價の状態から見ると明らかに安い。この点につきましては、政府も、特に小作料もしくは家賃の値上げになることを承認しつつ、しかしこれはだれが見ても非常に低い賃貸價格のままで置かれているので、これの改訂は当然である、こういうふうに説明していたのでありますが、家賃もしくは小作料の低いことは、その低さの中で今日の勤労階級の生活が維持されている。特に小作料の場合は、日本における土地開放、農民解放の戰後強行されつつあるこの重大な政策実行の上において、地主的土地所有、この問題に対して痛烈な一撃を與えることによつて土地革命が実行されつつある。この点を私どもは指摘したいのでありますが、今度の増税は、この土地改革の根本となつているところの地主の土地所有に何らの利益も與えないというこの施策に、かえつて利益を與えようとする。反面に、そのような状態で、物價体系の中で均衡をとろうとしておる政府の米價政策は、この地租値上げによる小作料の値上げが行われるとすれば、当然この物價体系に一つの欠陥が持ち込まれることになる。從つて、もしも小作人の生産する米價に大きな改訂を與えて、生産費を償う米價で政府が承認するならば、これはよろしい。しかし、米價を抑えて小作料だけを値上げする。こういうやり方は、政府の施策を認めるとしても、すでにその破壊が行われることを私どもは指摘したいのであります。(拍手)この点につきまして、委員会で物價廳の菅野第五部長にお尋ねしましたところ、彼は、この点については何らの返事もできない。こういう状態でこの悪法が強行されるとすれば、当然農民の側から大きな反撥があり、地方の財源としてこの税率の値上げが実行できるかといえば、その反対のことになることは明らかであります。
 次に入場税の問題でありますが、これはなかなか委員会でおもしろいことがありました。博物館、動物園、美術館、植物園のごとき文化的な施設に対する入場税の徴收は、國民の文化に対する大きな関心を抑制するものであるから当然反対すべきだ、あるいは反対であるという意見が國会の内外に高く、私どもの委員会でも、民主自由党の諸君もこれに同調されました。
 また映画、演劇あるいは学生の野球、こういうものに対する入場税の全廃もしくは値下げ、これも先ほど委員長の報告にあつた通り、全員これをなすべきだという意見でありました。そうして、これが大体通つたのでありますが、先ほど委員長の報告には、いろいろの情勢上、特に地租、家屋税あるいは住民税のごとき税金を一方に値上げし、選択税である入場税を値下げするような状態ではよろしくないので、これを取下げたという発表がありましたが、実はそうではなくて、委員会全体の意見で映画、演劇等の入場税を引下げることが決定され、てしかる後、ある方面からの要望によつてこれを引下げないことにしたのであります。このことは、國会のこの案を審議するところの委員会が全員で引下げることをきめて、別な方面からそれに反対論が出るとただちに引下がるという、この事実の中に、絶対多数を擁する民主自由党の自主性を持たない本質が暴露されておる。(拍手)わたしどもは、こういう日本の國会の自主性のない状態に対しては、ただに入場税問題のみならず、こういう状態に対しては断固として鬪わざるを得ないのであります。また競馬、ゴルフあるいはマージヤン、有産者階級がこういう高級な賭博をやる。腐り果てたこういうものには、うんとたくさんの税率をかけるべきだという意見を私は出したのでありますが、これには民主自由党の諸君は一顧も與えられなかつた。もつてその党の本質がまた明らかになるものと思います。(拍手)
 私どもは、入場税のうち競馬、ゴルフ、あるいは競馬、マージヤンのごときものはとるべきだと思いますが、その他は全廃すべしという意見を持ちますが、ただ私は全廃々々を言つているのではないのであります。こうして地方の税金の減收になるおそれがあるならば、私どもは、今日政府当局まで認めている有産者階級、資本家階級の大きな脱税を摘発すれば、これによる地方税も必然徴收され得るのでありますから、この脱税摘発をやることを主張いたします。四月二十三日の大藏委員会における平田主税局長の答弁に、昨年九月以來六十一億くらいの脱税があつたことがわかつた、これは調べればもつともつとたくさんの脱税が発見されるだろうというような意味のことを言つており、その脱税の中に一口三億六千万に及ぶものもあり、あるいは一億以上に及んでいるものもある。特にそういう例をあげておるのでありますが、これを摘発すれば、こういうばかばかしい人民收奪の悪税を増收しなくても当然地方財政がまかない得るという見地に私どもは立つのでありますが、同時に國の財政において、先ほど足鹿君からも申しましたので詳しくは申しませんが、独占資本家を助ける價格調整費を全廃すれば、かくのごとき悪法は無用になる、私どもはこう言いたいのであります。
 しかるに國民に対する税金は、本年ばかりでなく、本年に至るまでに刻々と増税されまして、また地方税も法定外独立税は実に何百を数え、生活分野のすべてにかかる恐ろしい状態でありまして、ただ今税金のかけてないものは、極端に言えば空氣と日光にすぎない、こういう状態になつておくところへ、こういう増税をいたしますれば、先ほど申しましたように、当然これに対する反対的人民運動が起ります。また非常に不当な、非常に公正でない徴税手段も当然とられることは、今日までの例が示しております。これに対しまして、いわゆる滞納処分強化あるいは罰則の強化を今度の改正案でいたそうとしたのでありますが、これに対しましては、入江衆議院法制局長すら、非常にむりがあり、関係当局すら、これはよろしくないではないかという発言があつたくらいでありまして、当然われわれの反対したところであります。
 今度の修正案でこれが全廃されたことは、私どもも、もちろん反対ではありません。ただ、その点は修正されましたが、第百三十七條の二でいわゆる不納運動の罪を設定し、公正な税金を納めるために、あるいはまた税金が納められなくて、しかも不当な課税を訂正してもらうために、そういう意味で税務署もしくは徴税役人に交渉するこの民主運動すら、これを犯罪視し、これを非常な苛酷て罰則によつて処断しようという條文が入つているのであります。この運動に対して、諸君は、これうただ反税鬪爭、あるいは政府に対する税金を納めない不納の運動というふうに解釈をされておりますが、先ほど主税局長の脱税の問題の中で、たとえば……
○議長(幣原喜重郎君) 谷口君、簡單に結論をつけてください。
○谷口善太郎君(続) 中野税務署前の小久保産業が一億円の脱税をしていたのを摘発したのは、中野民主商工会の運動である。こういう民主運動を保護してこそ、かくのごとき脱税に対する摘発が行われるのでありまして、取締るどころか、政府の立場から大いに賞賛すべきだと私どもは思います。
 こういう点から本案に私どもは反対するものでありますが、最後に、地方予算の豊富化をはかるために價格調整費の全廃、配付税を法律通り渡すこと、公共的事業費の國庫全額負担を私どもはここに叫びまして、そして人民の手そのものによる眞の税制改革をやつて行きたいと考えております。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決いたします。まず委員長の報告にかかる修正につき採決いたします。本案の委員長の報告にかかる修正の部分に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて修正部分を可決いたしました。
 次に修正部分を除いた原案につて採決いたします。修正部分を除いた原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて修正部分を除いた原案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、天野久君提出、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありません。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員会委員出嶋好分君。
    〔田嶋好文君登壇〕
○田嶋好文君 ただいま議題と相なりました罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案につき、その要旨及び委員会における審議の経過並びに結果を申し挙げます。
 御承知の通り、罹災都市借地借家臨時処理法におきまして、罹災建物の滅失当時における建物の借主は、その建物の敷地またはそのかえ地に借地権の存しない場合には、その土地の所有者に対し本法律施行の日から二箇年以内に建物所有の目的で賃貸の申し出をすることによつて、他の者に優先して、相当な借地條件でその土地を賃借することができること等を定め、罹災者保護の措置を講じております。
 御承知のように、山梨縣谷村町は、昭和二十四年五月十三日の火災により、その大半を焼失しましたが、本法律が適用せられておらないのであります。同町は甲府市に次ぐ大きな町で、借地借家関係が古く、從つて明確な契約がないため種々の紛爭が起り、現地住民より本法適用の強き要望がありますので、本法案が提出された次第であります。
 委員会におきましては、討論を省略し、全会一致をもつて可決されました。以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言もなければ、ただちに採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありません。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、参議院提出、食料品配給公團法の一部を改正する等の法律案を議題とし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 食料品配給公團法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事山村新治郎君。
    〔山村新治郎君登壇〕
○山村新治郎君 ただいま議題となりました、農林委員会付託にかかわる、参議院送付、藤野繁雄君外十八名提案、参法第八号、食料品配給公團法の一部を改正する等の法律案の審議の経過並びにその結果の大要を御報告申し上げます。
 かねてより政府は、現行公團統制方式あるいは行政整理の問題に関連し、農林関係五公團につきましてもこれを三公團に統合することを内容とした法律案を提出して参つていたのでありまして、本委員会は、現存公團制度につき種々の角度より愼重な審議を続けて参つたのでありますが、容易にその結論を得るに至らなかつたのであります。そこで、公團方式に関する根本問題につきましては引続き調査を行い、近き將來においてその改廃の方法を考究することといたし、結局その成案を得るまでの措置といたしまして、さしあたり現存の各公團をこのままさらに一應來年四月一日まで延期するのがこの際とるべき妥当な策であるとの結論に達しましたので、内閣提出法案につきましては審議を中止し、本委員会の右の結論とほぼ同一内容を有する参議院提出の本法律案の審議に入ることとしたのであります。
 その法律案の要点は三つあります。すなわち第一点は、現存の農林関係配給五公團は現存のままとし、その存続期間を來年四月一日まで延期する。第二点は、現行法は運轉資金の必要あるときは、復興金融公庫から借入れることになつておるのを、金融の現状から見まして、ひとり復興金融金庫に限定することは不適当なので、この制限を除去する、第三点は、油糧配給公團の基本金一千万円を十五億一千万円に増額して、原料輸入代金の支拂い及び油糧生産に支障のないようにする。以上が本法律案提案の理由並びに内容の大要であります。
 本法律案につきましては、去る二十日提案理由の説明を聞き、本日質疑並びに討論を省略して採決を行うことといたしました。採決に先だちまして、民自党坂本委員より、各派を代表して修正案が述べられました。修正案の内容は、現行食料品公團の取扱い物資中よりグルタミン酸ソーダ並びにカン詰を除こうというのであります。引続きまして討論を省略して、修正案並びに原案について採決いたしたところ全会一致をもつて可決すべきものと議決いたした次第であります。
 以上御報告申し上げます。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○椎熊三郎君 議長……。
○議長(幣原喜重郎君) 椎熊三郎君。――今椎熊三郎君より院内秩序について議事進行に関する発言を求められておるのであります。それゆえこれを許した次第であります。
    〔椎熊三郎君登壇〕
○椎熊三郎君 議院内の秩序維持に関しまして議長の所信をただしたいと存じます。
 去る十九日、本会議における議場の暴行騒擾事件は、すでに諸君御承知の通りでございます。しかもこの問題は、本院におきましては重大な問題として取扱いまして、目下懲罰委員会に付議せられております。私は今、十九日に起りました騒擾事件そのものを論じようとするのではございません。それはすでに懲罰委員会で調査中でございます。私は、これに関連いたしましてこの國会内に起りましたる附随した幾多の忌まわしい問題について、まことに遺憾に存じまして、かくては本院の秩序を維持し神聖を保持することができないと考えますので、議長の所信をただすのでございます。(拍手)
 あの暴行事件の直後におきまして、被害者たる民主自由党の小西寅松君は非常に興奮、御憤慨でございました。しかるところ、加害者と目されておりました共産党側におきましては、共産党の中央失効委員であると言われておる志賀義雄君が何らか個人的に小西君との関係があるとのうわさで、加害者たる立花君をみずから帶同いたしまして民主自由党の控室を訪問し、陳謝陳弁これ努めて、その上、みずから加害者と目されておる立花君は、小西君の目前に平身低頭して、この頭をなぐつてくれと頭を差出したという。そして小西君は、憤慨のあまり鉄拳の制裁を二度まで加えたという。諸君は、このことを何と思わるる。
 諸君、私はこの問題――事実をまず先に申し上げますが、そのことあつて後、昨日に至りますと、正午やや過ぎ、本國会内の衆議院の食堂におきまして、小西君を中心とし、國会に直接関係なき小西君の兄弟分とか称する人々多数引き具しまして、そこに廣川幹事長もおられたとのことでございますが、再び志賀君は立花君を帶同してその席上に現われ、礼を厚うして、これらの人々に握手を求めて陳弁し、そして食事をともにして、いわゆる手打ち式なるものを、仲直り式なるものをやつたということであります。この事実――諸君私は、小西君は代議士会におきまして……(「そんなことはない」「そんな議事進行があるか」と呼ぶ者あり)なければ、日本の國会のために、はなはだしあわせでございます。小西君は、私直接に会つてお話を聞いております。
 そこで私は言う。共産党の諸君は、常に口を開けば日本の民主化を叫び、反動封建制に反抗しておる。暴力にも権力にも反抗して日本の民主化をはかりたいと口では言う。しかし、私は思うに、共産党の本來の性格はそうではない。彼らは暴力革命をもつてその目的を達せんとする、一種暴力的徒党であることを私は思う。その性格は、はしなくも先般の議場内において小西君に加えられたる暴行事件によつて明らかにせられておる。しかも彼らは笑つておるが、心中はなはだ忸怩たるものがあると思う。彼らは常に――志賀君のごときは、かつては監獄に十八年も入つておつとか、それを唯一の自慢にして、それほど権力に反抗し、暴力に対抗できる人間かと思いのほか、一侠客と聞くや、後難を恐れてか、小西君の実力を恐れてか、あの被害者に対し、加害者たる立花君を連れて行つて、みずから進んで頭をなぐらせるというこの卑屈の行動を何と思う。これが暴力に屈服したる共産党の正体暴露にあらずして何ぞや。(拍手)
 私の言及したい点は、今日新憲法下における國会内において、いまだ親分子分であるとか、侠客の仁義であるとか、暴力によつて問題を解決するというがごときこの反動的思想が、今なお日本の國会の一部に残存しておるということを誤解せらるる憂いがあるということを、私は心配するのです。(拍手)かくては、日本の民主化はおそらく私どもが考えるようなものではなくして、彼らはえらそうなことを言つてはおりまするが、時としては暴力を用い、権力者の前に屈服し、強力なる力の前にはみずからの頭をたれて、なぐられてもなおかつ恥をしのんであやまるという状態、それは私は、昨日の運営委員会におきましてこの事実を問わんとして事情を申し上げたところ、まつたく恐縮して、実に醜態を演じた態度でおるではないか。その後における各党に向つての了解運動のごときも実に醜態をきわめておる。
 諸君、一体共産党は、林百郎君の懲罰の問題のときでもそうであるが、えらそうなことを言うが、強い力の前には――あるいは戰術か知らぬが頭を下げて、その場を糊塗せんとする。今回のこの許すべからざる問題は、日本の國会の中に侠客道を氣取り、親分子分を氣取り、議会以外のある種の力をたのんで議会の関係者に一つの圧力を加えるがごときこの状態は、断じて日本の國会の自主性を確立するものではないと思う。(拍手)
 思えば、極右と極左とは常に一致する場合もあるというが、よくも似たような行動をやつたものでございます。諸君はこの事実を見て、一体何と思うのだ。今日の國会内において、手打式とか仲直りの宴会であるとか、そういうことで問題を解決すべきでしようか。私は、小西寅松君の受けたる暴行は、ひとり小西君の不名誉たるのみならず、われわれ議員の全体の力をもつてこれを擁護しなければならぬと考えるがゆえに、加害者を懲罰に付すべしという意見に賛成しておる次第である。
 事いやしくも國会の懲罰委員会に付議せられた以上、事は公の問題で、被害者、加害者との間に暗黙のうちに了解を遂げるがごとき行動は、断じて愼まなければならぬ問題であると私は思う。(拍手)この大事な國会の権威を失墜して、共産党は公党たるの面目を蹂躪してまでも、一個人たる小西君の前に頭をたれ避けて、蹂躪せられて、なおかつ哀訴嘆願しなければならぬという諸君の卑怯未練なる行動を、私は痛罵したのであります。(拍手)
 小西君にとりましては、おそらく痛快しごくのことであつたでございましようが、それは小西君の感情であつて、われわれ新國会に席を有する國会議員といたしましては、そのようなことは断じて黙視することはできません。衆議院議長におかれましては、今なお日本の國会にかくのごとき反動、かくのごとき暴力、かくのごとき保守的な行動がなお残存しておるということに対して、將來國会の秩序を維持することがはたして可能なりやいなや、それらの点について衆議院議長の所信を問いただしたいのであります。
 なおこの暴行事件は、新憲法始まつて以來、わが國第一回國会以來、あのような不祥事件は断じてございませんでした。しかもこの暴行事件に附随して、かくのごとき醜事実が暴露せられたということも、かつての國会には見られない状況であつたのでございます。この点、國会の秩序を維持する上に重大なる責任を持つておられまする幣原議長におかれましては、その所信を明らかにして、われわれが眞に新憲法下におけるこの國会の権威を維持することができまするよう明快なる御答弁を賜わりたいと思うのであります。以上簡單に申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) お答えいたします。ただいまのお話の事件に関しましては、議長は全然完治いたしておりません。なお稻村順三君よりも國会内の民主的秩序維持について議事進行の発言を求められておりまするが、この問題につきましては、ただいまの抗弁で御了承願います。
    ―――――――――――――
○山本猛夫君 残余の日程は延期せられんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) よつて動議のごとく決しました。――山本君の動議に御異議がなければ、動議のごとく決しました。
 明二十三日は当会期の終了日でありまするから、午前十時より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後六時十八分散会