第005回国会 経済安定委員会 第14号
昭和二十四年五月十日(火曜日)
    午前十一時三分開議
 出席委員
   委員長 小野瀬忠兵衞君
   理事 首藤 新八君 理事 多田  勇君
   理事 前田 正男君 理事 森   曉君
   理事 森山 欽司君 理事 高田 富之君
      足立 篤郎君    小川 平二君
      志田 義信君    中村  清君
      中村 純一君    永井 英修君
      細田 榮藏君    勝間田清一君
      高橋清治郎君    横田甚太郎君
      田中不破三君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 青木 孝義君
 出席政府委員
        経済安定政務次
        官       中川 以良君
        総理廳事務官
        (経済安定本部
        財政金融局長) 内田 常雄君
        総理廳事務官
        (物價廳第一部
        長)      吉田 晴二君
        公正取引委員会
        委員長     中山喜久松君
        公正取引委員会
        委員      横田 正俊君
        総理廳事務官
        (公正取引委員
        会総務部長)  黄田多喜夫君
        貿易廳次長   新井  茂君
 委員外の出席者
        総理廳事務官  清島 省三君
        專  門  員 圓地與四松君
        專  門  員 菅田清治郎君
    ―――――――――――――
五月九日
 單一為替レート設定に関する陳情書(東京都港
 区芝田町一丁目十二番地森永ビル内日本中小企
 業連盟会長豊田雅孝)(第三四九号)
 絹、人絹織機復元資金に関する陳情書(丹後織
 物工業協同組合理事長古賀精一外四十一名)(
 第三五六号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三四
 号)
 價格調整公團法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一八九号)
 過度経済力集中排除法第二十六條の規定による
 持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会
 への移管に関する法律案(内閣提出第一九〇
 号)
    ―――――――――――――
○小野瀬委員長 これより会議を開きます。
 昨日に引続きまして、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。質疑は通告順にこれを許します。高田富之君。
○高田(富)委員 それでは二、三御質問申し上げたいと思います。今回の独禁法の改正の要点の一つは、外資の導入に便ならしめるという点が、提案理由の御説明の際にも述べられたのですが、今まで外國商社との契約で成立したものの中に、現在の独禁法に違反するような事実があつたのではないかと思われるようなふしもあるのであります。その一つとしてカルテツクスと日石の契約が先般成立したそうでありますが、その概略がどういうものであつたか。その大体をひとつ御説明願いたいと思います。
○横田(正)政府委員 ただいまのカルテツクスと日石の國際契約でありますが、正確なことを申し上げた方がよろしかろうと思いますけれども、実はここに資料を持ち合せておりませんので、後ほど資料を取寄せまして正確なことをお答え申し上げます。
○高田(富)委員 そうしますと午後あたりにお願いできますでしようか。
○横田(正)政府委員 承知しました。
○高田(富)委員 それではその方は午後御答弁を願いたいと思います。それからちよつと別の問題になりますが、今度の改正案の十六條の営業の讓り受けの制限のことであります。今までは会社の営業を全部もしくは一部の讓り受けのときでも該当したのでありますが、今後は営業の全部または重要部分と、こうなつておりますけれども、その重要部分というのは讓り渡しをする方にとつてですか。それとも讓り渡しを受ける方にとつての重要部分ですか。
○横田(正)政府委員 これは讓渡いたします方の会社につきまして、重要部分という趣旨になると存じます。これは現在実際にいろいろ営業、讓受の認可申請がございまして、それを審査して参りますると、その中にきわめて小部分の営業讓受の件数がございまして、それを一々こちらに申請させることも不必要であるというふうに考えられましたので、今回第一号を「営業の全部又は重要部分の讓受」ということに改めております。しかし同時に第二号を新たに設けまして、「他の会社の國内における営業上の固定資産の全部又は重要部分の讓受」というのを加えまして、固定資産の全部または重要部分でありますれば、それを認可申請あるいは届出の対象とするということにいたしまして、調和をとつた次第でございます。
○高田(富)委員 その点ですが、そうすると讓渡を受ける方にとつて、それが相当重要な意義がある場合でも、讓渡をする方にとつて重要部分でなければ讓渡を認めることになつて、かえつて讓渡を要求する方の、むしろ経済力をだんだんに集中して行く方の側にとつては、この前の場合は一部分で、相当嚴重に取締られたのだが、重要部分というようなことで、あいまいになりまして、讓渡を受ける方にとつてきわめてそれがのどから手が出るほどほしい分であつても、それは問題なしに讓渡を受けるというようなことになつて、独禁法の精神に反することになるのではないかと思いますが、この点はどうでしようか。
○横田(正)政府委員 ただいま御質問のような問題も考えられるのでございますが、大体第一項の考え方は、会社が他の会社を食いつぶして行く。結局全部あるいは相当重要なる部分を併合してしまいまして、他の会社がだんだん食いつぶされて行く。そちらの面の方に重点を置きまして規定したわけでございまして、あるいは多少御懸念のような点もないではないのでありますが、大体この程度でよくはないかということにいたした次第でございます。
○高田(富)委員 どうもそこの点がそういう懸念のあるということをお認めのようですが、やはり讓り渡しをする方の側よりも、こういう法律の精神からいつても、讓り渡しを受けたがる方が取締りの対象になるべきものであつて、そのほしがる方について相当嚴格に取締らないと、この法の精神が変なことになるのではないかと思います。どうもその点がまだちよつとはつきりしないのですが、いかがなものでしよう。
○横田(正)政府委員 どうもその点は、結局見方の相違ということになるかと存じます。要するに讓り渡す方の会社につきましての重要部分ということになるわけでありまして、かりに讓り渡す方が小さな会社でございますれば、小部分を讓り渡すということは大して問題ではなく、またかりに大きな会社の部分を讓り渡すということになりますれば、これはむしろだんだん経済力が分散して行くという方面に向うわけでございますから、まずこの程度でよろしいのではないかと考える次第でございます。
○高田(富)委員 それでは別の質問に移ります。実は本委員会で近く調査をすることになつてはおりますが、この間東芝の関係につきましていろいろ事情を伺いまして、われわれの方で考えてみましたのでありますが、今度の東芝に対する持株整理委員会の指令案というものの中に、東芝車輛を合併するならば、株式の買いもどしをしてよろしいというふうな指令の内容がありますが、これはどうも独禁法の十條に違反するように考えられるのであります。これにつきましては集排法の規定によりまして、公正取引委員会として何らかの指示をなさいましたでしようか。
○横田(正)政府委員 あれはたしか案におきまして公正取引委員会の認可を條件としておつたように思うのでございます。結局株を持ちますことについて独占禁止法上の要件が備つておりますれば、持つことができるわけでございまして、この点はなお当委員会の今後の問題となし得るものと存じます。
○高田(富)委員 例の東芝車輛の合併問題に関する指令については、あなたの方の御見解はどうなんですか。
○横田(正)政府委員 その点はなおまだ具体的案件として公正取引委員会に参つておりませんので、はつきりしたことは申し上げられませんが、具体的案件として参りました場合によく調査いたしまして、決定をいたしたいと存じております。
○高田(富)委員 次にお伺いしたいことは、先般來新聞の講賣調整の問題で相当たいへんな問題になりまして、その結果かなり移動もあつたようでありますが、あの新聞の講読調整をやつた調整会といいますか、何かそういうような團体がうつたように思うのですが、それについてはどういうふうにあなたの方では扱われましたか。それをちよつと伺いたいと思います。
○黄田政府委員 この問題は事業者團体法の問題になり得る可能性がございまして、クリヤリング・ハウスと普通言つておりますけれども、これが間に入りまして、何か統制的なことをやる可能性なきやいなやということで、たしか新聞協会でございましたか御相談がございましたので、事業者團体法の規定に触れることのないようにという注意を私の方からいたしまして、それに基いてその團体が行動したのだというふうに記憶しております。
○高田(富)委員 これは独禁法の関係では不公正な競爭、それからカルテル的な仕事になりませんか。これは独禁法方面からの違反としては考えられないのですか。
○黄田政府委員 不公正な競爭とかあるいはカルテルとかいうことは、本問題に関しましては起りませんでございます。
○高田(富)委員 何か相当檢察廳あたりまで動き出さなければならぬような問題が講読調整問題ではあつて、相当大きな問題になつたように報ぜられておりますが、結局そういうふうな事業者團体法関係の疑いがあるから、それにひつかからぬようにうまくやりたまえというようなところで、うまくやれたというような御答弁でありますが、これはどういうものですか。そういう疑いも濃厚であり、事実上相当弊害のあるような問題について、もう少しはつきりと強い態度で出ないと、ほとんど法があつてもないも同樣になつてしまう。
 それから講読調整会と用紙割当事務廳は、仕事の方面はどういうふうな関連になつておるのですか。
○黄田政府委員 先ほど申し上げましたように、本件が問題になる当初に私の方に相談があつた次第でございますが、この問題と用紙割当事務廳でございますか、あれとは直接な関係がないように私は考えるのでございます。何しろ本件はわれわれと直接の関係はございませんので、当初にちよつと私の方の関係の法律に関してアドバイスしたくらいでございまして、深くは実は私どもは触れておらないのであります。
○高田(富)委員 どうもこれは講読調整会がやつておることが違反の疑いが濃厚なので、何といいますか、助け船というような形で、國会でやつたというふうな仕事にしてこれをやつて行く。そうすれば團体法の違反の方は消えるというふうな関係にあるように考えるのですが、そういう点はどうですか。
○黄田政府委員 われわれといたしましては、たとえば大きな新聞に利益になるようにとか、小さい新聞に不利益になるようにとかいう意図は全然ございませんので、まつたく白い立場で公平に御相談に應じたというふうに考えております。
○高田(富)委員 それから最近それとの関連もありますが、大きな新聞がたいへん小さい新聞を買收している傾向があるようでありますが、ああいうふうな場合もやはり競爭関係にあるものに対する合併でありまして、相当本法に触れる点があるように思うのですが、それについてはどういうふうな見解を持つておられますか。
○横田(正)政府委員 その点は実は具体的問題でございますので、はつきりしたことを申し上げることをはばかるのでございますが、確かに仰せのような問題が全國にわたりましてございまして、委員会としましても現在大いに研究中でございます。
○高田(富)委員 それから映画の方の一手販賣機関でセントラル・ムーヴイング・ピクチユア・アソシエーシヨンですか、これはやはりある程度問題になるんじやないかと思いますが、これについての御見解はどうですか。
○横田(正)政府委員 その問題も実は具体的案件でございますので、ここではつきりしたことを申し上げることをはばかりますが、現在大いに研究中でございます。その程度で御了承願いたいと思います。
○高田(富)委員 そういうふうな例はたくさんあるんじやないかと思うのですが、今まで法律を運用して行かれる上で、この取引委員会の報告書などを拜見いたしましても、違反に対する嚴重な制裁をやつたとかいうことが非常に少くて、ほとんどないんじやないかと思うのですが、嫌疑をかけられていろいろ拘束されたのはむしろ中小企業方面で、その法面ではかなり本法がききまして、相当苦しい立場に置かれておるのですが、大きなところではほとんど有名無実で問題にならないというふうに、運用の実績がうかがわれるようにわれわれは思うのでありますが、この年次報告の中にありますいろいろなケースについて見ましても、どうも中小企業方面の問題が非常に多い。こういう感を深くするわけです。何か特別大きな問題について、相当大きな大手筋に対するはつきりした指示をして、そうして罰争ま適用もしたというふうな例がありましたら、御説明願いたいと思います。
○横田(正)政府委員 実は公正取引委員会が発足いたしましてから、そろそろ約二年になるわけでございまして、その間あまり目に立ちますような大きな仕事をいたしませんことは、まことに申訳なく思つておる次第でございますが、だんだん当委員会の機構も充実して参りましたし、なお独占禁止法に対する國民一般の理解も次第に深まつて参りましたので、それらの点からいたしまして、最近になつてやつとわが委員会も多少活発な活動を見るようになつたと存じます。お話の年次報告はたいへん古いものでございますので、最近のことにつきましてはまだ國会に対して御報告を申し上げてございませんのですが、やつと御希望に沿うのではないかと思われる事件に着手しつつございますので、この点はもう少しかすに日をもつていただきますれば、小さいものばかりをいじめておる役所でないということをお認め願える時期が、必ず近き將來に参ると存じます。なお問題が非常に具体的の問題に関係ございますので、あまり詳細な内容を申し上げることは躊躇いたしますが、大体そういう方向に委員会の動きが向つておりますことを申し上げまして、御了承願いたいと思います。
○高田(富)委員 それでは先ほど保留しまして日石のカルテツクスの問題ですが、これはまたあとで詳細な御報告を願つて御質問したいと思いますが、これで一應打切ります。
○小野瀬委員長 それでは森山委員。
○森山委員 一、二御質疑いたします。さきに経済團体の方から独占禁止法の改正についての要望がありました。第一には國際協定、貿易協定についてあつたのでありますが、それについては貿易廳の方からも関係の方がお見えになつてお話があると思いますので、これは留保いたしまして、第二の問題といたしまして第十一條の金融機関の持株の率を、五%を一〇%にしてくれという希望がありました。改正案では担保権の行使及び代物弁済による株式を取得する場合に、特例を設けられておるわけでありますが、その一〇%の希望を認められなかつたわけであります。これを経済團体の側から見ると、この改正ができなかつたことは、金融機関の資金運用を不当に拘束し、金融会社の自己資金の充実、産業資金の円滑な調達を阻害するという見解をとつておるわけなのでありますが、まずこれについて取引委員会側の御意見を伺いたいと思います。
○横田(正)政府委員 十一條第二項の百分の五が少し低く過ぎはしないかという御質問でございます。これ点は現行法通りで今回改正が加えられておりませんが、この百分の五という制限規定が設けられました根本の考え方は、私からくどくど申し上げるまでもなく、要する金融関係が主として事業関係に対するおもしろからぬ支配をすることを、未然に防止するという一点に盡きるのではないかと考えます。特に日本におきまする今までのいわゆる財閥の反省から、この規定が出ておると存ずるのでございます。結局金融機関が事業会社等の株を持ちます場合に、單なる資金の運用の面から考えますならば、一つの会社の株式を百分の五持ちますれば足りるのでありまして、何も一つの会社の株だけを持つ必要はないと思います。さらに進みまして何らかその会社の事業に関心を持ち、それ以上の株を持つて支配的比率になるような程度の株を持つということになりますと、それが独占禁止法が憂慮しておる結果に導きやすいのでありまして、つまり百分の五というパーセンテージは、支配的比率からかなり遠いところで、かつ金融業がその資金を運用する上において、この程度まで持てればよろしいというそのラインで、百分の五にきめてあるわけであります。もちろんきわめて形式的な制限でありまして、事案によりましてこれを伸び縮みさせるということは、具体的事案に対しましては都合のいい面もございますが、そうなりますと、公正取引委員会の認可をするとか、いろいろな條件をきめるとかきわめて複雜になります。大体この独禁法ではそういう認可というような関係を、だんだん後退させて参つておる関係からいたしましても、そういう個々の事案についての差別的取扱いは避けたいというような考えから、現行法のままにいたした次第であります。なおこの点は根本的にさかのぼりますれば、金融機関がその資金をいかなる事項にいかなる方法をもつて、いかなる程度に利用すべきかという根本的な問題とも関連いたします。この点は御承知のごとく金融業法と申しますか、こちらの関係の法令の研究が今なされつつございますので、それらの点とも考え合せまして、なお問題は多少將來にも残つておるかと存ずる次第でございます。
○森山委員 次に事業会社の持株あるいは役員兼任につきましては、競爭関係がある場合を除いては、今回の改正案においては制限をなくしておるわけでありますが、現在の主要なる会社は制限会社あるいは会社証券保有等制限令等によりまして、制限を受けておるわけでございます。今回の独占禁止法の改正に伴つて、一般会社についてはその制限を相当なくしておりますが、これらの法規についての制限がなお残つておるといたしますれば、主要な会社については依然としてその制限を除かれておらないということになるわけでありまして、本法改正の趣旨に沿いまして、これらの法令についての改廃に関しまして、委員会の御意見を伺いたいと思うのであります。
○黄田政府委員 まことにごもつともな御意見でございまして、せつかく独占禁止法におきまして持株の制限を解除するように、今回の改正法案で試みておるのでございますが、一方に制限会社令あるいは株式保有制限令というものがございまして、制限会社等が株式の保有が依然としてできない。しかもその会社の数は大きいものが九百もあり、また関係会社、從属会社等を入れれば数千にも上るということでございましては、一つの大きな穴が明くわけでございまして、この点はせつかく独禁法を改正するという機会でございますので、それと歩調を合せるようにいたしたいものと存ずるのでございます。この点に関しましては経済安定本部その他とも連絡いたしまして、御希望の御趣旨に沿い得るようせつかく努力中でございます。
○森山委員 なお二、三小さな問題について御質問いたしたいと思います。陸運小運送店の複数制を認めるかどうかという問題について、御意見をお伺いいたしたいと思います。
○横田(正)政府委員 小運送店につきまして複数制を設けますことは、独占禁止法のいわゆる自由かつ公正な競爭を促進するという面からいたしまして、きわめて望ましいことだと考えております。
○森山委員 その場合当該事業に監督官廳その他でいろいろな制限を付するというようなことについて、公正取引委員会との関係はどういうふうになるでありましようか。
○横田(正)政府委員 これは実は小運送の操業を許します場合につきまして、一々公正取引委員会に相談があるわけではございませんので、御承知のように法律によりまして審議会でございましたか、委員会でございましたか、そちらに一々諮問をして業者を認めるという建前になつておりまして、從つてその個々の問題につきまして、一々当委員会に相談があるというようなことはないのでございますが、しかしこの制度そのものにつきましては、運輸当局とわれわれの方とは常にきわめて密接な関係を結びまして、われわれの意見がかなり取入れられつつ現在の制度ができておるように存じまするし、なお今後制度の問題といたしまして改善すべき点がございますれば、当委員会としましては独占禁止法の精神からいたしまして、運輸省に対して大いに協力いたしたいと考えておる次第でございます。
○森山委員 なお同樣な問題でございますが、営業トラツク業の免許に関しまして、從來三十台の車体保有を條件としておつたわけでございますが、この問題につきましての御見解を承りたいと思います。
○横田(正)政府委員 これも三十台が妥当であるか、もつと少くてもいいのじやないか、あるいはもつと多い方がいいのじやないかというような、その妥当性の問題につきましては、残念ながらただいま何も申し上げられないのであります。しかしわれわれの考え方から申し上げますれば、あまりに條件を重くいたしまして、新たなる業者の起ることの妨げになるようなことは、私たちの立場からいたしますると、あまり好ましくないことだと存じます。
○森山委員 これは私もよくわからないのでございますが、主食集荷の登録に関しまして、農業協同組合と業者とが並行してその登録を認められておるわけでございます。その場合往々にして農業協同組合の方が、各農家に物資その他の配給とかあるいはいろいろな便宜を與えております関係上か、その集荷の登録について事実上農業協同組合が圧力を加えて、集荷の独占をはかるというような面もあるやに聞いておるますが、こういう場合につきましてはどういう御見解でありましようか。
○横田(正)政府委員 その点に関しましては、昨日も御質疑がございましたが、われわれといたしましては、それが農業協同組合でございましようとも、あるいは一般の事業者あるいはその事業者の團体でありましようとも、その間に別に区別をつけて考えておるわけではございませんので、結局その團体なり業者なりがやりまする行為が、不公正なる競爭方法に該当します場合、あるいはむりなことをしまして、そこに他の業者との間に非常な不当な格差がもし生ずるというような場合がございますれば、独占禁止法の問題になし得るのじやないかと考えております。
○森山委員 大体こまかい質問も終りましたが、最初に留保いたしました質問、すなわち昨日多田委員から御質問になられ、貿易廳の方からの関係官の御出席を求められたわけでありますが、多田委員はおいでにならないので、この際多分類似の問題だろうと思いますし、また経済團体の方からも希望がございますので、國際協定及び貿易協定についての本法との関係についての御質問をいたしたいと思います。
 從來國際的商慣習として、通常とりきめられておる契約または協定には、多かれ少かれ制限約款が付してある。あるいはまた國際経済の面において、カルテル解体の措置は一向進展していない。そういうような時期におきまして、本法の第六條におきましては相当な改正を加えたわけでございますけれども、この改正をもつていたしましても、國際協定あるいは貿易協定については、本法の適用がむりであるという経済團体側の意見がございますので、それにつきまして委員会あるいは貿易廳側の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○黄田政府委員 本法改正を試みました一つの大きな理由が、第六條を改正したいという点にございましたことは、昨日も御説明申し上げました通りでございまして、その結果といたしましてずいぶん緩和されているのでございます。それは二つの点において緩和されているのでございまして、一つは今までは貿易協定、貿易に関する國際協定というものは、事前に公正取引委員会において認可を必要としていたのでございます。これが煩瑣なる事務の澁滯ということになるおそれがあるということを考えまして、今般の改正法案におきましては、事後の届出で済むということにいたしたのでございます。また第二の改正点といたしましては、從來の第一項第二号の規定を削除いたしまして、事業活動に必要な科学または技術に関する知識情報の交換を制限することというのが、今までの第六條にございましたのを、これあるがためにパテントの取得とか、実施権の取得というふうなことが制限されはしないかということを考えまして、第一項第二号というものを削除いたしたのでございまして、これによりまして貿易の振興は相当期待できるのではないかというふうに考えております。
○新井(茂)政府委員 ただいま公正取引委員会からお話の通り、今回の改正によりまして、貿易の振興上相当便宜に相なつたことと存ずるのでありますが、貿易振興だけの立場から申しますると、さらに一歩を進めまして、たとえば國内の小さい業者が独自の力だけでは貿易の事業をやる力がないという場合において、共同の組織によつて貿易の業務をやるということとか、あるいはまた戰爭前にいろいろ日本の輸出品がダンピングであるということのために、海外におきまして非常に非難があり、またこれに対する対抗の措置をとられた苦い経驗がございまするので、今後こういうことを防止する意味におきまして、何らか適当な組織がつくられる道が開かれるならば、これは非常に望ましいことであると考えておるのであります。さきに公正取引委員会からお話のありましたようないろいろな事情のために、今回の改正案におちついたような次第でございます。
○森山委員 この問題は將來においては大きな問題になる。というのは、日本の貿易が予定通り発達して参りまするならば、大きな問題として起きて來ると思いますので、貿易廳あるいは業界、実務家の方々の御意見を委員会の方において強力に御推進なられることをお願いいたします。
○小野瀬委員長 次は横田委員に発言を許します。
○横田委員 今まとまつておりませんので午後にします。
○小野瀬委員長 では首藤新八君に質疑を許します。
○首藤委員 私の質問の主なるものは昨日多田委員の質問がありましたので、大体それで了承いたしましたが、なお二、三御質問申し上げたい。同時にまたきのう多田委員の質問したことで、重複になりまするが非常に重大でありますので、重ねて御質問したい点も一、二ありますから、御了承願いたいと存じます。なおその前にあたりまして、先月の正式委員会でなかつたかと思いますが、一應いろいろ御質問申し上げたときに、われわれの最も疑問とする点に対しましての当局の御回答が、詳細の点については触れたくないということで要領を得なかつたのでありますが、昨日の多田委員あるいは今日の森山委員の御質問に対しましても、最もかんじんなところが、とかく回答が回避されるような傾向にあるのでありますが、こういう点についてはどういうわけでそういうふうに明答を與えられないものであるか。これは今後の質問に対して重要な関係がありますので、まずその点からお伺いしたいと思います。
○横田(正)政府委員 御質問の趣旨が、はなはだ私不明にしてはつきりのみ込めないのでございまするが、私どもが本日いろいろの御質問に対しまして、この問題についてはあまり触れたくないということを申し上げました趣旨は、結局独占禁止法上具体的案件の有無等に関しまして、意見を述べることが禁止せられておりますような関係からいたしまして、そういう点に触れまする問題は御容赦を願いたい。こういう趣旨でお答えをいたしておる次第でございます。
○首藤委員 はなはだ私不可解と思うのであります。対外的にあまねく國民に一々御発表になることは、そういう関係があると存じますが、いやしくも國会内において、しかもこの問題を討議する根本問題に触れる場合に、そういう回答ができないというようなことでは、勢いこの問題の討議ができないのではないかと思うのでありますが、この問題についてどういうふうなお考えを持つておるか。それをまずお伺いしたいと思います。
○横田(正)政府委員 ただいま私の申し上げました点がはなはだ不十分でございまして、ここに補足を申し上げますが、実は独占禁止法の三十八條に公正取引委員会の委員長、委員並びに職員は「事件に関する事実の有無又は法令の適用について、意見を外部に発表してはならない。」ということになつております。「但し、この法律に規定する場合又はこの法律に関する研究の結果を発表する場合は、この限りでない。」ということにはなつておりますが、この規定の関係からいたしまして、あまり事件に関する具体的なことについてお答えをいたしますることを、躊躇いたしておる次第でございます。ただこの法律に触れません範囲内において、できる限り御納得の行くような御説明をいたしたいと考えております。
○首藤委員 なるほど三十八條にはそういう明文はありまするけれども、これは明文にありまする通り、外部に対してみだりに事件の有無、あるいはその他のことを発表してはならぬという制限でありまして、いやしくも國会内では、私はこれは適用されないものだと思うのであります。同時にまたかりにこれが制約を受けておるといたしましても、事件そのものに対して御回答を願わなくても、事例その他によつて十分に説明ができるものと確信をするものであります。それでないと、どれもこれも重要なものについて、しかも質疑をいたしたいという点について、この三十八條を適用されて回答できないというようなことでは、結局この法文全体の審議ができなくなるというふうに考えるのであります。その点をはつきりして、今後の質問に対しましては、明快な御回答を願いたいと考えるのであります。
 そこで私がまず伺いたいと思いますのは、昨日多田委員がちよつと触れておりましたが、今度の法案で現状のよりも非常に緩和されたということになつております。要するに合併、合同でありますが、しかしながら依然として五百万円という一つのラインを引かれておるのであります。しかるに今日の五百万円は、御承知のごとく最近の物價の異常な高騰から、過去におけるところの五万円、あるいはそれ以下のごく小さいものに匹敵するのであります。実際問題として、そういう問題はほとんどないのであります。大部分はそれ以上になつております。と同時に経済九原則という絶対的な命令で、どうしても本年はこの九原則の実行面におきまして、原價を安くする、コストを安くする、あるいは品質を向上する。そうして一本レートの三百六十円が異動せずして輸出が可能な状態に持つて行くということが、経済復興の最も大きな基礎工作だとわれわれは信ずるのであります。しかるに一昨年の企業許可令の撤廃以來、各産業とも雨後のたけのこのごとく中小企業が非常にたくさんできまして、現在では各産業とも操業率が多くは低下しておるのであります。從つてこの面から原價が安くなり、品質が粗惡になるということになつておりますから、ただいま申し上げましたごとく、どうしても企業の合同をやらなければならぬ。從つてこの際経済九原則をなるべく容易に実現いたしますためには、政府みずからがさようなコースをたどりやすいような道を開くということが、最も必要ではないかと存ずるのであります。しかるに從來よりも緩和したことにはなりますけれども、現在の経済状態から五百万円はあまりにも低過ぎるのでありまして、せつかく御当局が最近の経済状態に即應するように御変更にはなつておりますけれども、あまりにも微温的で徹底していない。從つてこの際最低を一千万円くらいに引上げる必要があると考えるのであります。もし当局でそういう意思がないということであれば、われわれ委員会の方でまず一千万円くらいに修正するというふうにした方がいいのではないかと思いますが、そういうぐあいにいたしまして、今までの関係筋との御交渉の経過その他から見て、どういうふうな結果で、どういうふうなお考えを持たれるか。その点からひとつお聞きしたいと思います。
○横田(正)政府委員 ただいま御質疑の点は、昨日も簡單にお答え申したのでございますが、この総資産五百万円は、なるほど考え方によりますときわめて低きに失するようでございますが、われわれは最近昭和二十三年九月三十日現在において、大藏省調査部において調査いたしました全國会社業種別資産分布表によりまして、いろいろ研究いたしたのでありますが、総資産五百万円未満の会社と申しますものは、実に会社総数の八六%の多きを占めておる状態でございます。この点はもちろんただいまの各会社におきまする評價が、低きに失しておる点もあるかと存じますが、現状におきましては五百万円あたりが適当ではないかと考えて、今度の改正の基準をここに置いたのでございます。この点はなお將來の資産の評價がえその他の関係を考慮いたしまして、今後においてなお是正する分は適当に是正することに、やぶさかでないことを申し上げる次第でございます。
○首藤委員 いろいろ情勢を御勘案の上で御決定なさつたそうでありますけれども、この法を制定した当時の各中小企業の資本金と、現在は格段の相違を來しておるのであります。ことに一昨年から昨年、さらにまた本年にかけまして、その以前におきましてはおおむね中小企業は資本金二十万円以下のものが大部分であつたのでありますけれども、これらのものが最近におきましてはほとんど何百万円という資本金に増加せざるを得なくなつております。また実際に大部分のものがこういうふうに大幅の増資をしておるのでありますから、御当局が調査いたした場合の比率と、今日では相当大きな相違があると思います。從つて今後に必要があれば、あらためて御改正をなさるという御趣旨でありますけれども、事態は遷延を許さない。少くともこういうことは一日早ければ一日早いほど、経済の復興に大きな効果がある。むしろこの際は一日も早く、進んで政府がそういう面に指導的立場をとり、一般の産業界、産業人をこの線に進ませるということが、経済再建途上におきまして最も必要だと思うのであります。從つてただいま申し上げましたごとく、御当局では今しばらく情勢をごらんになつて、これからかえるべきものはかえるということでありますけれども、われわれは今日ただちに改訂する必要があるという考え方から、もし御当局がただいま御変更の意思がなければ、委員会の方でかえてみたいという希望を持つておるのであります。これに対してどういうお考えを持つておるか、お答えを願いたい。
○横田(正)政府委員 ただいまもし政府の方で変更しなければ、委員会の方で変更してまでというお話でございましたが、この問題は結局われわれの日日やつております認可事務が円滑に行われるかどうかということと、非常に密接な関係があるものであると考えます。結局認可申請されましても、われわれの方で迅速に調査をいたしまして、認可すべきやいなやを決定いたしますれば、さまで事業者側に御迷惑をかけずに済むわけであります。この点はあるいは今までのわれわれの扱いに、いろいろな事情からいたしまして御満足の行かなかつた点があるかと存じますが、今後はその点の改良も十分いたすつもりでございますので、われわれといたしましては一應この五百万円の線で今回の改正は進んで、先ほども申しましたように、今後の情勢を見させていただきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
○首藤委員 これで本問題は一應終ります。第二條の競爭という定義でありますが、從來の法案よりも今度のは具体的に「同一の需要者に同種又は類似」あるいは「同一の供給者から同種又は類似」という事例が書かれてありまして、從來の法案よりもやや明確になつておりますけれども、なおこの程度では一般に競爭という定義について、疑問が釈然としないのではないかというふうに考えられるのでありますが、この「同一の需要者に同種又は類似の商品又は役務を供給すること」、この同一需要者ということは特定の甲なら甲、乙なら乙という人に同じ品物を賣る場合をさすものであるか。あるいはまた甲、乙、丙いずれもが必要とするものに対して、同種の物の販賣をさしたものであるか。この点ちよつとわかつたようでわかりにくい点がありますので、明確にお答え願います。
○横田(正)政府委員 まことに條文が抽象的でございまして、いろいろ御疑問がおありのことと存じまするが、ただいまの「同一の需要者に同種又は類似の商品又は役務を供給すること」、この同一の需要者というのは、具体的に個々の特定の人をさしていうのかどうかというお話でございますが、そうであると申してもよろしゆうございますし、あるいはそういう人が無数に一つの層をなしておるという状態を考えてもよいかと思います。要するに一つのある市場におきまして、二人の業者がその市場に現われて参ります需要者を、お互いに爭つてそれに供給する関係、そういうことをすることのできる状態をいうということになるわけでございます。ただ個々の人をとつてみますと、特定の人が問題になるかとも存じますが、これを廣くそういう人たちの集まり、層というふうに御解釈願つてもよいのではないかと思います。
○首藤委員 たとえば日用品のごとく、同じものでどの家庭でも必要とする場合に、販賣者もまた同じものをたくさんこしらえておる、そういう場合においてはむろんこれに適用されるものと考えるのでありますが、そういうふうに解釈してよいかどうか。この点をひとつお伺いしたい。
 それからそういう場合におきまして、その生産家が販賣の区域を異にする。ある生産家は同じ品物ではあるけれども、販賣区域は北海道である。ある生産家は九州である、あるいは近畿であるとはつきり販賣の区域が異なつておるという場合に、これを適用されるかされないか。その点ひとつお伺いしたい。
○横田(正)政府委員 前に御指摘になりました例がちよつとはつきりいたしませんが、お説のような関係は競爭関係になり得ると存じます。
 なお区域を異にして同種のまたは類似の商品、役務を供給しているという関係でございますが、これは北海道である事業をやつておりますものと、九州で同種の事業をやつておりますものは、大体において区域が違いまするし、その間に同じ顧客を相手にするということは、ほとんど考えられない場合が多いかと存じますので、それらの場合はもちろん競爭関係にはないのでありますが、しかし單に北海道でやつておるから、九州でやつておるからというだけでは、実は問題はきまらないのでありまして、北海道で石炭を掘る。九州で石炭を掘る。その石炭は統制というような関係を別にして考えますと、同じ顧客を共通になし得る点がございますので、それらの関係におきますと競爭関係に入る場合があり得るわけであります。なお区域が、たとえば東京と隣接縣でございます千葉とで同種の企業を営んでおります者が、たまたま現在東京で営んでおります者は東京の顧客のみを相手にし、千葉で営んでおります者は千葉のみを相手にしておるという状態がございましても、きわめて簡單にその販賣先を変更し得る場合等につきましては、東京と千葉の場合でございますれば、ただちに競爭に入り得る状態にあるとも家えるわけであります。これが今回の改正法の定義の中で「当該事業活動の施設又は態樣に重要な変更を加える」ことが、さまで重要でない変更を加えさえすれば、ただちに同一顧客をひつぱり合い得るという状態は、やはり競爭関係に立つということになるわけであります。
○首藤委員 第八條、第十五條に不当な事業能力の較差ということが書かれておりますが、これもどうもわかつたようなわからぬような氣がいたすのであります。たとえば較差というのは同じ業者がたくさんある。その中に一、二設備その他で非常に大きな違いがあるというようなことをさすものであるか。あるいは他の面の較差をさすものであるか。その点をお伺いいたしたい。
○横田(正)政府委員 不当な事業能力の較差につきましては、第二條の第五項に定義がございます。「この法律において不当な事業能力の較差とは、事業者と競爭者の事業能力の間に、著しい較差がある場合において、その事業者の優越した事業能力が、技術的理由により正当とされるものでなく、且つ、その較差が左の各号の一に掲げる事由により私的独占を行うことができる程度であるものをいう。二、二、三とございますが、要するにある事業者の事業能力が、その設備その他の関係におきましてきわめて大きいのでございまして、その結果他の競爭者が圧倒せられてしまいまして、ただちに本法の第二條の第三項で定義してございます私的独占の状態に入り得る、そういうような形を備えて参りますと、それを不当な事業能力の較差と名づけておるのでございまして、これはただいま御説明になりました、ある事業者がきわめて規模が大きくてというお話でありまするが、それならばある業種につきまして、その生産能力なり販賣能力の何パーセントをその業者が占めておれば、そこで較差ということになるかという点は、これは簡單に実はパーセンテージだけでも申し上げられないことでありまするが、このパーセンテージが相当の大きさでなければならぬということだけは、申し上げられると思うのであります。なおこの較差が、その事業者のきわめて優秀なる点によりまして生じております場合は、ただいま読みましたように第五項の規定で、技術的理由によつて正当とされるものでありますれば、かりに相当なパーセンテージを占めておりましても、それは不当なものではないのでありまして、その点はこの独占禁止法におきましても、きわめて優秀なる事業者は、かなりな規模を持つて事業を行い得るということを保障しておることになるかと存じます。
○首藤委員 今の較差の問題につきまして、パーセンテージでどの程度のパーセンテージを占めたならばこれに該当するかどうか。それがはつきりしませんとまた非常に困難を來すのでありまするが、たとえば同じ業者が二百ばかりある。その場合にその業者の中の三工場ないし四工場が、全量の七〇%以上を占めた場合には較差に該当するかどうか。この点ひとつ御意見を伺いたい。
○横田(正)政府委員 ただいまのお話のようなパーセンテージは、確かに一應問題になり得るパーセンテージであることだけは、申し上げられると思うのであります。しかしこれも先ほどちよつと触れましたように、技術的理由によつて正当とされるかどうかというような点が総合考慮せられまして、不当な事業能力の較差になるかどうかということが決定するものと考えます。
○首藤委員 ところがこれも先ほどの経済九原則に関連いたしまして、最近政府の方では集中生産を極力奬励する。從つてそれがためにクーポン制をやる。いいところの製品、いわゆる需要者の選択にまかせて、いい製品をつくるところに集中生産をやらせるという方式をとつておるのでありまするが、今の御説明において、この工場の技術が優秀であれば、これを適用しないということでありまするけれども、かりにこういう場合に、ある一つの工場が全体の七〇%ないし八〇%の集中を見た場合においても、なおかつ技術の優秀なるがゆえにこれは排除されるものであるかどうか。この点ひとつお伺いいたしたい。
○横田(正)政府委員 第五項の「技術的理由により正当とされるものでなく、」というのが正当とされることになりますれば、かりに相当なパーセンテージを占めましても、独占禁止法上論議されるおそれはないと考えるのであります。
○小野瀬委員長 ただいまの問題について中村純一委員から関連質問がございますので、これを許します。
○中村(純)委員 実は私も先ほど首藤委員の御指摘になりました第二條の同一という言葉につきまして、非常に疑問を持つておつたのでありますが、ただいまの政府側の御答弁によりまして、これは大体において一定の取引分野においてという意味に御解釈のようでありますが、もしはたしてそうでありますならば、本法の他の場所において一定の取引分野という言葉を使つており、その場所においてそれと違う同一という言葉を使つておりますと、解釈上どうしてもこの同一ということは、物理的な同一性をさす意味にならざるを得ないと思うのであります。もしさようなことでありますならば、この言葉はこれを一定の取引分野においてということに修正になる方が、適当ではないかと思うのでありますが、いかがでありましようか。
○横田(正)政府委員 ただいま仰せのごとく同一の取引分野と一定の取引分野ということを入れましても、趣旨は何らかわりはないと存じます。
○小野瀬委員長 午前中の質疑はこの程度にいたしまして、午後はただいま本委員会に付託になつておりまする價格調整公團法の一部を改正する法律案、並びに過度経済力集中排除法第二十六條の規定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案の提案理由の説明がございますから、この提案理由の説明を聽取いたしまして、そのあとで質疑を継続いたすことにいたします。ただいま申し上げたように、二つの法案の提案理由の説明がございますから、各委員におかれましてはぜひ御出席をいただきたいと思います。
○多田委員 皆さんに御相談したいのですが、それは見返り資金の使途について、最近新聞紙上に具体的な安本の考え方というものが発表になつておるのであります。これは安本の考え方がはたしてあの通りであるかどうか。それはわからないのでありますけれども、少くとも安本が見返り資金についての一つの計画を立てる場合には、本委員会に一應の話をするということになつておるはずなのであります。ところが安本からは何らこれに関する発言もございませんし、しかも新聞紙上には、どの会社にどの程度というように、具体的に金融のわくが発表されておるのであります。これは日本の産業にとつて非常に大きな問題でありますし、影響するところが非常に大きいと思いますので、午後の委員会に安本長官並びに金融局長を呼びまして、この問題に対する質疑を行いたいと考えますので、見返り資金に関する件を議題に供するための動議を提出いたします。
○小野瀬委員長 多田委員の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小野瀬委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。
○森山委員 今日は安本関係で二法案の提案理由の御説明があるわけでありますが、前回あるいは前々回の委員会から、安本長官の御出席をいろいろ要望しておつたのでございます。本日拜見するところ、非常にお忙しい中を政務次官と物價廳の五部長さんたちがお見えのようでございますが、從來の長官の出席状況を見ますると、十四回の委員会においてわずか五回しか出席していないのであります。そればかりではなく、これは新聞の惡口だと思いまするが、東京新聞によりますると、「七日の予算委員会は安本当局の説明を聞こうとしたが、青木長官は留守。事務当局者もいくら催促しても來ず流会になつた。それがきようも開かれない。口の惡い連中によれば『役人どもは業者との下打合せがまだ済んでないものだから委員会でしやべるわけにはいかぬと見える』のだそうな」という惡口が書いてあるのであります。このあとの方は口さがないジヤーナリストの惡口といたしましても、七日の予算委員会に安本長官が留守であつた。予算委員会でさえそうでありますから、われわれ主務の委員会である経済安定委員会などには、なかなかお出ましになれないほどお忙しいのだろうと思いますが、十四回も開いておるのに五回の出席しかない。しかも前々から出席を要望しておるにかかわらず、御出席にならないということは、まことに遺憾にたえないのでございます。從いまして、いかなる事情があるか知りませんが、午後の委員会にはぜひ長官の御出席をお願いいたしたいと思います。また長官の御出席がない場合は、法案の審議に入らないようにしていただきたいと思います。
○小野瀬委員長 了承いたしました。
 それでは午前はこれで休憩いたします。
    午後零時三十二分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後二時十二分開議
○小野瀬委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
○多田委員 見返り資金の運用について緊急質問をいたしたいと思います。去る二十八日の日本経済新聞に、米國対日見返資金の処分案ということで、安本案として報道されたものがありますが、それによりますと非常は具体的に詳細に報道されておりますが、見返り資金の処分については、相当愼重に取扱わなければならないと思いますし、なお当委員会としましても、見返り資金の処分については非常に関心を持ちまして、大体の処分案が内定した場合には、一應委員会の意向も聽取してほしいという申入れをしてあるはずであります。ところが突然に新聞紙上にこのような報道がされ、その結果に財界にも大きな影響を與え、いろいろな問題の発生する危險もございますので、この処分案についての安本当局の考え方、このような案があつたのかどうか、あるいはまたどの程度の状態にあるか、あるいは見返り資金の処分についての根本的な方針が、どういうような形においてきめられたかというような点について、長官から御説明願いたいと思います。
○青木國務大臣 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。御承知の通り米國対日援助見返資金というものは、大体千七百五十億ということが明確になつておるのでありますが、これがあたかも世間では打出の小づちと申しまするか、これから何でも出て來るのだというふうに考えられて來たと思いますが、私どもとしては、これがどういうふうに使われるかということについて、いろいろ考えて参りました。しかしながらこの問題をどう決定するかについては、安定本部がまず一應これについて研究してみるということは、われわれの仕事であるというふうに考えて参りましたけれども、この間新聞紙に出ておりましたのは、私のまつたく関知しないところでありまして、從つて責任を持つものではございません。もちろんまたその内容についても私は全然承知をいたしておりません。そういう間にああいうものが出たのでありますが、何しろ御承知の通り経済安定本部は各省にわたる各般の事項について、常に関係的なものについては研究いたしておりまするので、すべてその関係事項については、各省の方々もおいでを願つて連絡をとつて仕事をいたしておる状態でございます。そういう関係から大体こんなことを考えたらどうか、こういう事柄について事務当局が心覚えにつくつたものがどこかで出た、こういうことだと存じます。從いまして今日私がここでこの問題について大綱的に申し上げますれば、結局経済安定本部といたしましても、この内容について一應何とか準備をしておく必要があるのではないか、こういうような考え方から、それならばこの見返り資金というものの運営方法についての考え方を、ひとつこんなものではないか、こんなふうに考えたらどうかという試案をつくつてみたのであります。その点につきまして事務当局から、現在までの経過並びにその考え方というものの内容を申し上げさせたいと存じます。その点どうぞさように御了承を願いたいと存じます。
○内田政府委員 新聞に出ておりました見返り資金の運用計画と申しますか、これにつきましての経緯はただいま大臣からお話がありました通りであります。なお今まで私ども愼重に研究して参りましたので、これからさしつかえない範囲で大臣のお許しを得まして、これは安定本部の事務当局の、今のところ試案にすぎませんが、お話を申し上げてみたいと思います。それに先だちまして、ただいま部数があまりなかつたと思いますが、見返り資金が今回予算上設けられることになりましたについて、司令部の指令が四月一日に出ております。続いて四月十五日に、ジヨセフ・ドツジ公使の今回の予算に関する声明が公にされておりますので、そのうちで見返り資金に関する部分を多少拔き書きをいたしたものをお配りしておきましたので、皆さん十分御承知のことだろうと思いますが、この指令ないし声明は見返り資金に関係があるので、まずこれを読ましていただきます。
 最初に司令部の覚書でありますが、第三項といたしまして、「日本政府が右資金を引出すに当つては最高司令官により許可された金額及び目的に限定されるものとする。」それから第四項でありまするが、「日本政府が右資金を使用せんとする場合には個別且つ具体的な提案を総司令官に提出しなければならぬ。右提案においては日本政府は國内の通貨金融の安定を維持促進し、輸出を増進し及び経済九原則に示されたその他の目的を遂行するための絶対的必要性を考慮することを要する。この目的のため右の提案においては國債、特に日本銀行及びその他の金融機関の保有する國債を効果的に償還することの必要を認識すると同時に、公私企業の正当な資金需要を調整することを要する。政府の通常の歳入、國民の貯蓄乃至は現在の融資源から資金の得られる場合には原則として日本政府の本資金使用は認められないであろう。」それから第五項として「本資金の放出に関する総司令官の許可方針の重点は日本政府、日本銀行その他の金融機関によつて政府の予算若くは通貨金融統制の分野において既に設定された諸目標が如何に達成されつつあるかにかかるものである。」これはおもなるもので、特にこの資金の使途に関する事項だけをここに拔き書きをしてみました。
 その次にドツジ公使の声明でありますが、これを見ますと、「この資金の使用は総司令官の管理下において嚴重に監督せられ且つ、日本の特殊事情を考慮しつつ他の諸國に対する米國の同種の援助資金に関する原則に依らしめるものである。その主要なる用途は國債の償還と経済再建に直接且つ迅速に貢献すべき資本的投資に向けられるものである。それは政治家の福引袋ではない。見返資金の放出を考慮するに当つては本年度予算に見込まれた租税徴收目標は如何に達成されているか、政府の歳出は如何に管理されているか、経済九原則の諸目標は如何に実施されているかに重点がおかれるものである。」こういうことが示されておるのであります。そうしてこの見返り資金の使用に関しましては、現在のところこれ以外のよるべきものは示されておりません。ただすでに御承知のように、政府がこの資金に関しましては、これは財政上の資金でありますから、米國対日援助見返資金特別会計法という特別会計法案を、この國会に提出をしておるはずであります。その特別会計法は主として予算上の経理技術を書いたものではありますが、私が今読み上げましたような指令の一部を、あの法律の中には織り込んであるだけでありまして、これも指令なり覚書の内容と同工異曲でありまして、從つてどう現実にこれを動かすかということについては、もつぱら今後の司令部の指示にまたなければならない、こういう性格のものでございます。ただこれが指令なり覚書にありますように、いかに総司令官の嚴重な管理に置かれ、何に使うかということは、一つ一つ個別的に総司令官の許可を得なければならないものであるにいたしましても、やはりこれは日本の財政の中の仕組みであり、日本政府が責任をもつてやらなければならない仕事の範疇に属すると私どもは思いますので、今後この資金の運用に関しまして、どういうさしずが司令部側からあるかもしれませんが、一應われわれとしてはわれわれの考え方をもつて、今後の司令部に接触して参りたいという趣旨から、今までいろいろ勉強をして参つて來ておるという段階でございます。ただいま読み上げましたところで明らかでありますように、第一に申し上げなければならないことは、この金はもちろん一部分は公私企業に対して融資するものでありますが、むしろ主要な部分は、政府の國債買入れ償還というようなことを通じまして、通貨金融の調整の目的に使われる。言いかえると一つの大きな意味でのマーケツト・オペレーシヨンのフアンドのプールであるということであります。從つて一つの金融機関のようなものではない。いわんや今までありましたところの、復興金融金庫の貸出しの源泉というものではないのでありまして、今後一年間における日本の経済界における通貨金融の状況に應じて、もし日本の経済がインフレ状況に向う危險がありとすれば、この金は直接産業界には出ないで、むしろ國債の買入れ償還等を通じて金融の面にもどされて行く。あるいは欧州における見返り資金の例のように、この資金の使用というものが、米國側によつて許可せられないで、押え込まれてしまう。その反対に非常に予算の執行等にも関連して、デフレ状態が現われて來て、経済がなかなかうまく動かないというような場合には、おそらくはこのフアンドから産業界に向つて、直接この資金が勇敢に投入せられるというような、非常に断力性を持つところの仕組みになつているということであります。その結果この資金につきましては、新聞に出ていましたように、私どもといたしましてはこの資金、すなわち予算に現われておるところの千七百五十億円を引当てにして、一年間にいわゆる企業別の資金計画というものは立てられない性質のものであります。なぜならば、先ほど申しましたように、そういう計画を立ててみましても、これは通貨金融の状況いかんによつて、不当融資が抑制せられあるいは促進される。しかも具体的に一つ一つの問題として取上げられて來る。こういうかつこうのものでありますから、昨年までやつて参りました復興金融金庫の資金計画のように、安定本部で事業別の資金の割当をきめまして、その範囲で執行機関として復金のように各四半期ごとに貸出しを機械的に続けて行くわけに参らぬ。ことにこの資金はすでに千七百五十億円の金が與えられているものではなしに、御承知のように一年を通じまして、米國からの対日援助物資が國内で賣られて、その賣上げ金が逐次貿易資金特別会計に入つて來る。その貿易資金特別会計から司令部の通報に基きまして、逐次見返資金特別会計に拂われて來るということで、司令部側のまつたくの通報のみによつてきまつて來るものであつて、それがどのようにきまつて來るかということにつきましては、今ここで予定はできません。これは米國の対日援助の総額を基礎とした見通しにすぎない。こういうことでありますから、新聞に出ましたような意味における資金計画は立てようがありません。ただ私といたしましては、立てようはないけれども、司令部が一つ一つの案件をとらえて、この資金の放出を許可される場合に、日本政府としては経済復興のために大体こういう種類の範囲から取上げてもらいたいという基礎になるものは、たとい占領下に置かれておるわれわれといたしましても、政府を持つ以上はぜひやつてもらいたいという基礎的な、準備的なものを研究いたしておるわけで、いわば算術の分母でありまして、そのうちどういう分子が取上げられるかは知らないけれども、要するに分母の中の分子として観念して行きたいということで、やつて参つておるわけであります。
 そこで先ほど大臣からお話がありましたように、一應この資金運営に関する基礎的な考え方というようなものを、われわれ限りとしてつくつてみたいもので、多くは不明の状態にありますために、この指令ないし政令の範囲を出ないのでありますが、私どもとして考えなければならないことは、まず第一に、この資金運営の一般方針というようなもの、すなわち指令なり政令をさらに碎いたところの考え方というもの、次にはこの資金をどういう企業の範囲に運営して参るか、また國債償還との関係をにらんで行くかという、この資金運営の対象についての問題。第三番目といたしましては、どういう形でこの資金を供給するか。たとえば企業に金を出す際におきましても、株式の引受けというようなこともあり得るだろうし、あるいは融資という形で行くのか。あるいはそれが公企業である場合には、國債の引受けとか、地方債の引受けとかいうような形も考えられましようし、さらにまた、もしこの資金が一々國が直接取上げて貸し得ないような中小の企業というようなものを対象とする場合には、直接貸しをするかわりに、たとえば興銀債とかあるいは農林中央金庫の債券とか、そういうものにこの資金から投資をして、そうして具体的な個々の貸出しは、これらの金融機関をしてやらせるというような道行が考えられるかどうか。こういう問題。それから第四番目といたしましては、運用の條件、すなわち金利とか期限とかあるいは担保とか、こういうようなものに関する條件、この四つの問題について考えております。
 そこで最初の運営の方針につきましては、この指令なり政令なりを分析いたしまして、私どもが、あるいはこれは私どもだけでなしに、日本の政府各省あるいは公私の企業等がこの資金を対象として考える場合に、先ほども大臣からお話がありましたように、これは打出の小づちではないのだ。大体こういう考え方で使われるべきだということを、いろいろな表現を用いて徹底させるようなことを作文として考えております。
 第二番目の対象、どういうものに貸出すのかということが一番問題でありますが、まず第一には國債の買入れ償還ということになるわけでありまして、その國債の買入れ償還による通貨金融の調整と関連して、残りものを直接企業に出すということに、大きくわけるとなるわけでありますが、國債につきましては、一体いかなる國債を買い入れるか。だれが持つている國債を買い入れるか。すなわち日本銀行の保有している國債を買い入れるとするならば、この金は直接日本銀行に納まつてしまつて、もう一ぺん日本銀行から金融機関を通じて金を出さない限り市中金融のプラスにはならない。しかしインフレーションの傾向が認められる場合には、一般の金融機関の持つておる國債を買い上げるよりも、日本銀行の持つておる國債を買い上げることによつて、それだけ通貨の收縮方策を促進しなければならぬこともありましよう。
 なおこれらの問題のほかに、現実の問題といたしまして私どもが予想いたしておりますのは、復金債の償還の問題でありまして、御承知のように復金は本年度からは新しく貸出しはいたしませんが、昨年までの貸出しのために千九十億ばかりの復金債を現在出しておるのであります。この復金債はすべて一年以内に償還期限が來るのでありまして、どうしてこの復金債を返すかということにつきまして、先般國会で成立いたしました予算の中におきまして、一つの仕組みがとられておる。御承知のように政府は一般会計から復金に三百億円の出資をする。復金は政府から出資としてもらつた現金で復金債の一部を返そう。そのほかに復金は今まで貸しておつた金を回收いたしまして、その回收金をもつて復金債の一部を現金で償還する。ところがそれだけでも足りないので、結局政府から復金に六百二十五億円ばかりの交付公債を與えることが、予算の中に仕組まれておるのでありますが、復金はこの交付公債をどこかで金にかえて、その現金をもつて復金債を償還する。こういうことに相なることが予想されるのであります。その場合、復金が持つている、復金が政府からもらつた公債を結局見返り資金が買上げて、そうして現金を復金に渡し、復金がその金をもつて金融機関の復金債を償還する。こういう筋書きになるのではないかと私は考えるのでありますが、そうなると、この六百二十五億円というようなものは、優先的に見返り資金から使われるのではなかろうか。これを数字的に申し上げますと、千七百五十億円の見返り資金のうち、予算にありますように國有鉄道の建設改良費として百五十億円、通信事業の建設費として百二十億円、合計二百七十億円は、これらの特別会計の建設費として使うことが予算できめらてておるので、あとに残る金は千四百八十億になるわけです。この千四百八十億から、かりに私が考えますように、今の復金債見返りの公債というものを六百二十五億円買い上げるとすれば、あとに残る金は八百五十五億円くらいになります。この八百五十五億が今度はマーケツト・オペレーシヨンのための公債の買入れと、それから企業に対する貸出しということにかわるのじやなかろうか。從つて先ほどから長々申しましたこの資金は、一年間の資金計画は成り立たないにしても、かりに必要であると考えれば、われわれがどういう資金計画を立てても、おそらくはこの八百五十五億円以内のものでなければならぬ。そこで先般新聞に出ましたというのは、おそらくそれに近い数字だつたろうと思いますが、まず最初にこの八百五十五億の金が一時にできて、各産業、各企業に資金を供給するとすれば、その中にどういうものが入つて來るかという最初の大きな檢討の資料として私どもがつくりましたものが、新聞に抜かれたものだろうと思いのであります。その後さような考え方が成り立つものでないことは、これはわかつておる。これを立体的にいろいろ組み立てていろいろな作業をいたしておりますが、この対象の問題としては、そういうことの問題が考えられなければならない問題であります。
 企業の中でも、どういう企業を取上げるかということも、現在復金がなくなり、かつ一般の金融情勢が金詰まりの状態にある場合におきまして、いろいろな企業――これは私企業のみならず、國の企業にも、あるいは地方公共團体の企業等においても、みなこの金をねらつておるという状態にあるのでありますが、金のことはとうてい許されないので、何らかわれわれとしてはこの金がマツチするところの範疇をつくらなければならぬだろうと考えて、いろいろの柱を考えておりましたが、今のところ、私どもが事務的に考えておる柱といたしましては、第一番目に結局日本経済復興のために絶対緊要な基幹産業に属する部門、たとえて申すと貿易のための船舶であるとか、あるいは水力発電であるとか、あるいは鉄鋼の増産資金だとか、また一部の石炭についての設備資金というようなものが、この基幹産業の中に入るのではなかろうかと思います。その次はやはり食糧増産関係の資金というような柱を立てる必要があるのではなかろうかと思います。これはおそらくは肥料であるとか、農林水産業というような産業に属するものが、ここに入つて來るのじやなかろうかと思います。それから第三番目としては、輸出の増進のための産業、これは指令にも明らかになつております。それと関連して、國内資源の活用によつて輸入を顯著に節減することができるような種目の産業、こういうものは積極的輸出と消極的輸出ということになるかもしれませんが、こういうものがおそらく三番目の柱として立ち得る事業じやなかろうかと思います。それから今申しました三本の柱だけ立ててみましても、産業は相互に関連し合つておりますから、全体として均衡がとれなければならない。ことに関連産業部門というものもありますから、関連産業の特に重要なものは、今の三つの産業と一緒に考えて行かなければならぬと思います。勤労者の住宅というようなものもやはりこの資金にマツチするものとして考えていいのじやなかろうか。このほかに、これは非常にむずかしい点だと思いますが、たとえば鉄道の電化でありますとか、あるいはその他の地方公共團体の事業のうち、特殊のものを取上げ得るかどうかということが問題になると思います。鉄道の電化にいたしましても、國の鉄道会計の予算としてはもうすでにきまつておる。先ほど申しました百五十億の、見返り資金が優先的に使われることがきまつておるので、鉄道がさらに電化のためにこういう金を使うとすれば、もう一度國会に國有鉄道特別会計の電化のための予算補正が必要になつて來る。これは通信事業についても同じ問題で出る。また國有林野特別会計等が、國有林野の培養のためにこの資金を使うということで考えられるにしても、同じような補正予算の問題が起り得るのではないか。この辺に非常にむずかしさがあるのじやないかと思います。地方公共團体の特殊の計画にいたしましても、地方債の発行というものが、御承知のようにすでに確定せられている。しかもその確定の趣旨は政府の財政の中における余裕、すなわち簡易保險、郵便年金、厚生保險等の積立金を見合いにして、一應二百三十三億というものがきめられておる経緯から考えますと、そこにもむずかしさがあるのでありますが、資金の運営の対象として考え得るものではなかろうかと考えております。それから第三番目の資金運営の形態でありますが、私どもはこれは國が使う場合、あるいは地方公共團体が使う場合、國債の引受けとか地方債の引受けとかいうようなことになるでありましようが、私企業が使います場合はおそらく株式の引受けという形は許されもしないし、適当でもなかろう。始終株が上下するのでこの資金の出動等にも非常なむずかしさがある。財政資金としてさういうことに初めから向うことはむりがあるのではなかろうか。結局融資という形が原則になつて参るのではなかろうか。しかしその場合にも、さつきもちよつと触れましたように、中小の企業とかあるいは農林富産業等に対しましては、直接融資ができないというようなむずかしい場合もある。そういう場合には結局金融債の引受けというような道をも認めてもらうべきじやなかろうか。そういう方向でわれわれとしては司令部に対しても、積極的にそのようにしてもらいたいと考えております。運用の條件としては利子が問題ですが、今のところ私どもの考えでは、利子は一般の金利というものを標準にしながら、特殊のものについては結局國債金利というものが最低のところになるだろう。言いかえると、一般金利から國債金利の間ぐらいできめられるのじやなかろうか。期限につきましては、これは今まで復金の貸出しのように、一應三年で返すとか五年で返すとかいうようにして、果してそのときに返せるか返せないかわからないのに、先のことは先のことだというようなことでは相ならぬのでございます。必要な場合には、実際償還のできるところまで長く延ばしていいのじやなかろうか。十年あるいはそれ以上延ばしてもいいのじやなかろうかというような、私どもだけの考え方を持つております。指令の中には償還が確実でなければならぬということがありますので、償還を絶対確実ならしめるという方法としては、定期償還、割賦償還の両方を認める。担保は、とり得るものは原則としてとる。むろん初めから担保があるわけじやないので、この資金ででき上るものを担保とするというようなことも考えられるのであります。とにかく担保はとるのだというようなことに相なるだろうと思います。
 以上長々と述べましたが、こういつたような範囲においてわれわれだけとしての考えを練りつつあります。そして先ほど申しました四本なり五本の柱の中で、具体的にどういう企業を入れるかということについては、これは終局的には司令部の判断できまるのでありますが、國内としては、安定本部だけできめるべきじやないので、先般來産業官廳を初め各省とも協議会を二回ほど開きまして、檢討を重ねております。しかしこれもまつたく、私が先ほど申すように分母になるだけでありまして、その中から、たとえばどういうものを取上げるかということは、現在まだ予想もでき得ないのですが、ただ最後に申し上げたいことは、指令にもありましたように、その金は、これを出す業種がいかに重要であり必要であつても、結局政府の歳入で当然まかなわなければならないような性質を持つた資金はこの金を充てられない。言いかえると、たとえば公共事業費というものがある。道路であるとか河川であるとかをやらなければならぬ。しかも國を復興するためにはぜひしなければならぬというような必要な業種がありましても、これらについては國の公共事業費として一般の歳入をもつて支弁すべき性質のものであつて、財政の規模の中ですでにきめられている。そこで今回の見返り資金の問題がありましても、公共事業費削減に対する復活要求というような形を持つた資金に対しては、この場合の意味からも、おそらくむずかしかろうと思うこと。それから本來自己資金をもつて資本形成をすべきようなもの、あるいは一般の金融機関から当然貸し出さるべきもの、あるいは借受けるべきもの、こういう金融のわくに置くべきものについては、やはり指令によつてこの資金から出せない。そういうような幅の制約があるわけでありまして、それらのことも十分考えて参つて、司令部に具体的な申請を出す場合には、十分考慮して参らなければならぬと思つております。現在までの段階は新聞にいろいろ出ましても、私が右申し上げた段階を出ておりません。さよう御了承願います。
○多田委員 よく事情はわかりましたが、新聞にこのように具体的に報道されますと、非常に大きな影響を與えますので、今後こういつたことのないように十分御考慮願いたいと思います。
 次にお伺いしたいのは、千七百五十億の見返り資金、これはその当時五億三千万ドルを基本にして、千七百五十億というものの数字が出たのでありますけれども、最近の新聞の報道によりますと、アメリカの議会に四億九千万ドル余が提案されておるようでございますが、この見返り資金はガリオア、イロアの四億九千万ドルを基本にして、五億三千万ドルは一應御破算にして、四億九千万ドルの範囲内において立てられるものかどうか。この辺の見通しについて御説明願えましたら伺いたいのであります。
○青木國務大臣 新聞に出ておりましたので、われわれもそのことは了承いたしておりますが、大体これは腰だめできめておるものでございますので、正確にこれがきめられて來ることがあるかとも思つておりますけれども、ただいまのところ今申し上げましたように、腰だめできめておる次第であります。
○森山委員 これに関連してお伺いしたいのでございますが、今見返り資金の運営の対象といたしまして、再建上必要な基幹産業にそれを支出するというお話でございました。その中に船舶の問題があつたわけでございます。現在輸出品をバイヤーが買い入れて、これが海外の消費者に渡るまでの間に、あるいは輸入物資を日本に運ぶまでの間に、船が外國船によるために、船賃が非常にかかるということが大きな問題になつておるわけでございます。この問題について私はつきり記憶に残つてないのですが、東京新聞か何かに、日本において相当造船を許可して、われわれの、現在望んでおるような面において、造船を盛んにするとか何とかいう記事があつたように記憶しておりますが、これについてどうなつておるか、お伺いしておきたいのであります。と申しますのは、私漏れ聞いたところによりますと、海運総局か何かからそういう案を持つて行きましたところ、安本の幹事会かなんかで相当セクシヨナリズム的な批判があつたことを、一部の者から聞いたのでございます。それについてお伺いしたいと思います。
○青木國務大臣 ただいまの御質問でございますが、もちろんわが國が海運関係におきまして、船舶の建造についてできるだけの力をいたすということに相なつていることは、御承知の通りであります。但しこれについての一定の標準というか、それを数字上明白に申し上げるということは、極東委員会等の関係がありまして、申し上げることができないのでございます。
○森山委員 極東委員会その他の関係においてむずかしい問題があるのかもしれないのでございますが、いずれかの機会に、安本御当局から何らかの会議の形式をもつて、われわれに事態の進行をお知らせ願いたいと思います。
○青木國務大臣 せつかくの御質問でございますが、今のところ船舶の建造等については、ただいま申し上げた以上のことを申し上げることができないのでございます。さよう御了承を願いたいと思います。
○高田(富)委員 ちよつと関連して御質問いたします。先ほどの御説明の中で、國家予算にきめられた範囲のものはその範囲でやるべきもので、それの追加という意味では用いられないというわけですが、根本的な趣旨はそういうことになるかもしれません。しかし実際問題としては、ああいうふうな大きな別途会計ができたために、相当実際國家再建のために必要な事業ができない関係になつている。しかしどうしてもこれは相当教育の方面や災害復旧の問題などについても必要なので、そういう意味合いを多少かえれば、いくらでも目的に合致するようになるだろうと思います。そういう点を強力にやはり推す必要があると思いますが、その点は当局の案の中にも入つているのでございますか。
○青木國務大臣 おつしやる通り、ただわれわれがこういうふうに事務的に作業をいたし研究をいたして参りますと、原則的にこういうふうなものだという把握をいたしておりますが、しかしながらおつしやることも当然われわれは考えて、そういうものも入れて考えることができるというふうに解釈をいたしております。
○森山委員 一つだけお伺いしたいのですが、産業に資金を配当した場合に、輸出増進ということがその大きな根幹になるようでございますが、その中に観光事業は含まれるかどうか。
○青木國務大臣 観光事業とおつしやるのは、外國人なんかが日本を見物に來るというような意味の……。
○森山委員 そうでございます。たとえば日光とか別府とかのホテル施設その他に、こういう資金の配当を考えておられるかどうか。
○青木國務大臣 ただいまのところでは、バイヤーのホテルといつたようなものを考えておりますから、やはりそういうものも一般的な意味で言えば入るという解釈をいたしております。
○首藤委員 この見返り資金の貸出しはいつごろから実行されるものでありますか。仄聞するところによると、早くても七月以降ということを承つておるのでありますが、もしさように遅れるものでありますならば、その間におけるポケツトに対してどういう対策をとられるかどうか。
 もう一つは、かりに七月以降に出ましても、その金額は当初はわずかじやないかと考えるのであります。從つてそういう場合には、企業の方の貸出しを先にして、國債の償還はなるべくあとまわしにすることが必要であると考えるのでありますが、そういう操作ができるものであるかどうか。この二つの点をお伺いしてみたいと思います。
○青木國務大臣 御質問の点は、この見返り勘定のみをわれわれ対象として、日本経済の推進と申しますか、安定経済の運営と申しますか、そういうことを考えているのではございませんので、やはりこの当面しておりまするいろいろな資金面の操作というような問題については、かねて発表しておりまするポリシー・ボードというようなものからも考えられますし、また政府資金が税收等によつて一方から入つて來れば、他方においてこれをただちにまた資金面に流用することができる。あるいは政府の支拂いに充てるとかいうようなことも、政府支拂いを敏速にやつて行くというようなことでもつて、それらの資金面への運営ないしは活動を絶えずやつて行きたいというふうに考えております。
○首藤委員 今の質問の一つはわかりましたが、公債の買入れをあとまわしにするという操作はできるものであるかどうか。この点をひとつお伺いしたい。
○内田政府委員 先ほどお尋ねのいつからこの金が動くかということにつきましては、先ほどちよつと触れたのでありますが、司令部側からの対日援助の金額は、一年間の予算はアメリカとしてはあるわけでありますが、具体的に援助資金によつて買いつけられた物資が日本側に輸出されて、それが國内で拂い下げられて円が入るわけであります。これはまだはつきりしないのでありますが、先方の話ではある期間ごとにまとめて、アメリカの援助額を日本側に通報する。これは十日になるか一月になるかわかりませんが、とにかく通報する。これはドルの金額でありますが、その通報に基いて、今度は日本側は先般きまつた三百六十円の為替レートをかけて、それを見返り資金に組んで行くわけであります。現在のところまだ第一回の通報を受けておりません。從つて金は一文ももらつておらぬわけであります。それで私どもはただいま御指摘のような不安がありまして、はたしてこの金はいつごろから動き出すか、第一回の通報はいつ來るかということは非常な関心を持つております。第一・四半期もおいおい過ぎておりますので、今お尋ねのように七月にならなければこの金は動かぬだろうという御心配になるかもしれませんが、必ずしもそうではないのであります。もつと早く向うの通報が來て、第一・四半期の終りごろからは動くのではなかろうかということを期待いたしております。それまでの間現実に今まで継続的にやつておる事業で、ぜひ必要な困つておるものにつきましては、日本銀行とも相談いたしまして司令部とも話合うのでありますが、見返り資金が絶対つきそうなものをなるべく選びまして、一時日銀から市中金融機関を通じて、いわゆるつなぎ資金を出すという話合いを目下つけつつありまして、その一部のものは日本銀行を通じて出ておるのではないかと思います。それから金が詰まつておるから、國債の償還をあとまわしにして、直接貸出しを先にできぬかというお話でありましたが、これは金が詰まつておるからということでこの資金が動くのではなくして、日本全体として通貨の発行量はどうなつておるか、インフレーシヨンの傾向に向つておるか、デフレーシヨンの傾向に向つておるかということによつて、どつちを先にするかということが、アメリカ側によつてきめられることと思うのであります。私どもも何も通貨を減らしてデフレの傾向になるのはいやだとは決して思つておりませんので、いわゆるデイスインフレの範疇内において、できるだけお説のような方向に向つて司令部に交渉をしたいと考えております。
○首藤委員 この点は見返り資金とはちよつとはずれておりますけれども、先般長官に御質問申し上げました場合に、長官から明確な御回答があつたのでありますが、その後一般の経済界に非常に強くうわさされておりますので、もう一度この問題をお尋ねしてみたいと思います。それは通貨の措置であります。先般長官から断じて通貨の措置はしないというはつきりした御回答を得たのでありますが、少くともインフレ過程におきましては通貨の措置はない。やろうとしてもやれないというのは常識でありますけれども、一たび財界が安定いたしましたならば、次に來るべきものは当然通貨の措置でなければならぬ。ことに為替一本レートが設定され、國際経済に日本経済を直結しようという点に思いをいたしますると、一層通貨の措置というものが不可避な問題になると思われるのであります。同時に最近は民間の各経済研究所の方面におきましても、全國的に近く通貨措置は免れないということを盛んに宣傳されておりますから、一般民間におきましては、この問題につきまして日に日に不安の度を濃厚にしつつあるのであります。從つてもし長官が先般御回答になつたように、断じてやらないという御決意と御自信を持つておるならば、この際國民があまねく安心するように、断じてやらないという理由とその根拠をお示しになつて、徹底するような方法をとることが、私は現在の情勢から見まして最も必要ではないかと考える一人であります。これに対してどういうお考えを持つておるか、もう一度お伺いしてみたいと思います。
○青木國務大臣 再度のお尋ねでございますが、おつしやるように通貨の処理あるいは措置と申しますか、処理はどういうことをお考えの上で通貨処理とおつしやつておるかというお言葉の意味が、よく私にものみ込めませんが、私がここではつきり申し上げたいことは、御承知のように最近單一為替レートが設定されまして、三百六十円という一つの為替基準というものが定められました。このことがただちに通貨処理の前提であるというような御解釈のように思うのでありますが、私どもの考えとしては、これを何か平價の切下げといつたような意味に考えて、この前も申しましたように百円を十円にするとか、あるいは百円を一円にするとかいうような意味で、もしこれを別な解釈をすれば、金円といつたようなものでこれを計算して、その單位をきめるというような考え方でありまするならば、さようなことは断じてないというふうに私は考えるものであります。なぜならば現在われわれは日本経済が安定するということを目ざしておりまして、インフレを收束せしめ、通貨の膨張というようなことは防いで行く、こういうことのために予算の実質的均衡ということをいたしておるのであります。さらにわが國の経済力を國際経済に直結せしめる意味で、貿易の振興ということをもつぱらはかつている状態でありまして、この際かりにそういうものを金円を基礎としてかえてみたところでそれがどういうことになるか。結局通貨の数量というか、この日本國民経済に流通する絶対量というか、そういうものが減るというだけであつて、そういうことをやることによつてわが國の経済がどういうふうになるかということを考えてみますれば、さようなことをやるべき理由もまずないと思いまするし、ことにかりにそういうことを一應考えてみて、それならば現在問題になつている対日援助見返資金というようなものをどうするかということを考えても、これは要するに私どもの考えをもつてすれば、千七百五十億というものは日本経済の安定資金である。すなわち安定経済への目標を定めて、そのためにいわば安全弁としてこれを用いるというように考えておりますので、結局は日本経済が安定する。安定するということは、同時に為替の維持ということに沿つて行くものであるというふうに考えて参りますれば、ことさらに今日特に通貨の切下げというような通貨措置を考える必要はない。また別な意味で言葉をかえて申せば、今回の総合予算の完全均衡の原則なり、あるいは為替レートの設定そのものが実は通貨措置自体である。いわば通貨上におけるというか、日本経済における無血革命的な、あるいは民主革命を遂行せんとするものであつて、これ以外に別の方法による通貨措置はあり得ないというふうにも考えておるものでありまして、特に強くベトーネンいたしたいのは、通貨措置は一切やる考えはない。少くとも政府においてそんな考えは毛頭ないということを、この際はつきり申し上げる次第であります。
○首藤委員 非常に明快な御回答を得たのでありますけれども、ただいま申し上げましたごとく、民間ではかなり強くこれが想像されておるのでありまして、一部ではすでに金融措置の作業が開始されておる。すでにその方法として具体的な問題も実は想像されておるのであります。今長官の御回答を聞きますと、そういうことは全部一場のデマであるということにはなりまするけれども、何といつても経済界が安定する、インフレが收束されるということになりますと、一應平價の切下げ、あるいは預金の凍結等々の措置が講ぜられるものであるというのが、一般経済人の常識となつておるのであります。從つて今御回答のように断じてやらないという御決意でありますれば、現在各方面に強くうわさされておりますこれらのデマを一掃する、何らかの措置が必要であろうと私は考えるのでありますが、それらについてその徹底するような措置をとられる御意思ありやいなや。この点をお聞きしてみたい。
○青木國務大臣 おつしやることはいろいろとわれわれも聞いてはおりまするけれども、実際日本の現在の経済事情から、あるいは國際情勢から見ましても、特にそういう声明を必要とするかどうかということについては、私は疑問ではありますけれども、しかし誤解をすることをおそれるという意味ならば、特に声明をいたすことも考えることはできるのであります。おそらくここにも新聞関係の記者諸君もおいでのことと思いますから、そういう点については、もし一部にそういう懸念があり、あるいは誤解のためにいろいろと迷惑をこうむるというようなことがあるとするならば、特にこの点については宣傳関係と申しますか、新聞記者諸君においても御注意、御記憶を願いたいと思つておる次第であります。ただいまのところ別にそういうことについて、特に國民の皆樣にそういうことを申し上げようという考えは私は持つておりません。
    ―――――――――――――
○小野瀬委員長 それではこれより内閣提出第一八九号、價格調整公團法の一部を改正する法律案、内閣提出第一九〇号、過度経済力集中排除法第二十六條の規定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案を一括議題とし、政府当局より提案理由の説明を聽取いたします。青木國務大臣。
    ―――――――――――――
○青木國務大臣 ただいま上程されました價格調整公團法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
 價格調整公團は、昭和二十二年六月設立以來本日まで経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基き、物價廳長官のなす指導及び監督に從いまして、價格等の適正な調整に関する業務を行い、見るべき成果をあげて参つたのでありますが、この間の経驗にかんがみまして、價格調整公團が業務を一層円滑確実に行うとともに、これを簡素強力に遂行できるようにするため、次の二点について現在の價格調整公團法の一部を改正する必要が痛感されるに至りました。
 その第一は、價格調整公團は價格等の調整をするため、(一)資金の受入れまたは交付、(二)物資の買取り及び賣りもどしをすることができるよう定められておりまして、從來はこの二方法のうち、主として買取り、賣りもどしの方法を用いておりました。しかし將來價格調整公團の業務を簡素合理的なものにするには、この買取り、賣りもどしの方法によることをやめて、資金の受入れ、交付の方法に轉換することが、諸般の事情にかんがみましてぜひとも必要であると考えられるのであります。その際法的な強制力がなければ、円滑にこの價格調整方式を運用して行くことは困難でありますので、價疑調整公團法を改正して、物價廳長官が関係の業者に、價格調整に充てられる資金を公團に納付するよう命ずることができるものとする必要があるのであります。
 その第二は、價格調整公團は他の配給公團の場合と違いまして、その價格調整の対象となる物資を直接占有することなく、單に帳簿上で処理する権限しか認められておらないのでありますが、價格調整公團が業務を正確かつ能率的に遂行しますには、関係業者の提出する書類の正確性を実地においてつぶさに檢証しまして、いやしくも不正確な数字や誤つた数字に基いて價格調整を行うことのないよう、万全を期す必要があるのであります。このための手段として、價格調整公團法には價格調整公團の当該官吏に、いわゆる臨檢檢査権を認める規定が設けられておるのでありますが、実際におきまして今日まで價格調整公團に当該官吏が置かれたことはなく、この規定はまつたくの空文に終つておるのであります。つきましては、價格調整公團の役員または職員に、制限的にしろいわゆる臨檢形式的官吏とその他の政府職員との差別をなくする点におきまして、國家公務員法の精神から見ましても適当なものと思われるのであります。
 以上をもちまして價格調整公團法の一部を改正する法律案の説明を終ります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださることを切望いたします。
 引続きまして、ただいま上程されました過度経済力集中排除法第二十六條の規定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案について、提案の理由を御説明いたします。
 現行の過度経済力集中排除法第二十六條の規定によりますれば、過度経済力の集中排除に関する持株会社整理委員会の職権及び記録並びにこれがために必要なる職員は、本年六月三十日までに別に法律を制定して、これを公正取引委員会に移すものとする旨が定められております。從いましてこの規定により、本年六月三十日までに右の移管に関する法律を制定する必要があるわけでありまして、ただいま議題になつております法案は、この要請にこたえようとするものであります。
 本法案の内容につきまして若干御説明いたしますと、第一條は職権の移管、第二條は記録の引継、第三條は職員の処置について規定し、第四條におきまして、これらの施行について必要な事項は政令で定める旨を規定しております。これらの移管の日につきましては、現在なおはつきり見通されない事情もありますので、集中排除の実施状況と見合せて、この法律施行後六箇月以内に公布される政令でこれを定めることになつております。次に持株会社整理委員会令の規定の中には、過度経済力集中排除法に基く職権に関する規定がありますが、右の移管に伴いましてこれらの規定を改める必要がありますので、附則第二項以下におきまして、持株会社整理委員会令の一部を改正する規定を定めることになつております。
 以上の説明でおわかりのことと思いますが、この法案は別に新たに権限をつけ加えるものはなく、單に既存の法律に基いて、すでに定められた権限を、一の機関から他の機関に移管するだけのものであります。またこの法案によつて集中排除の方針、方法等に変更を加えるものでもありません。何とぞ御審議の上、可決あらんことを望みます。
 なおこの機会におきまして、集中排除法の実施状況につき御説明申し上げます。集中排除の実施は、いろいろな事情により当初の予定されたところより遅れて参つておりますが、昨年九月総司令部から集中排除法の運用に関する四原則が示されて以來、漸次進捗を見つつあります。御承知のように昨年二月に、三百二十五の会社が経済力集中として指定されましたが、今日までその指定を解除されたものは二百七十八社であります。從つて四十七社が残存したわけでありますが、四十七社のうち十三社は、企業の分割を要しないで持株の開放等、軽微な措置で済むものでありまして、企業の分割を要するものは三十四社になるわけであります。三十四社のうち六社については、すでに再編成についての決定指令が通達され、三社については指令案が通達されておりますので、未措置の数は二十五社となるのであります。この二十五社の大部分は企業の分割について相当いろいろな問題を持つておる事情もありますから、決定指令が発せられ、この指令に基いて具体的に整備計画の確定する期日を見通すことは困難な状態にありますが、遅くともこれから大体六箇月以内には、すべての会社についての措置が決定せられるものと思われます。政府としてもすみやかに集中排除の実施が完了するよう、努力をいたしておる次第であります。
○小野瀬委員長 これより價格調整公團法の一部を改正する法律案、過度経済力集中排除法第二十六條の規定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案について一括質疑を許します。森山欽司君。
○森山委員 價格調整公團についてお伺いしたいのでありますが、公團の取扱い物資につきまして、一部にこの公團統制をはずしてくれろという希望があるのであります。特に石材につきましては、切石部面についてはその公團統制をはずすことについて、業界はもちろん要望しておりますし、また一般の官廳側におきましても、大体御異議がないようなんでありますが、砂利等の関係上――と申しますのは、砂利業者は金融その他の関係で、この統制をはずされることを極度にきらつておるというようなぐあいで、同じ石材の中でも砂利は存続を希望し、切石はその存続を希望しないというちぐはぐな状態になつておるわけであります。この際切石の統制をはずすことが大体各方面において異存がないにかかわらず、何ゆえにこの統制が残つておるか。砂利とのつき合いを切石までしなければならないのかということについて、ちよつと御意見を伺います。
○吉田政府委員 ただいま御質問のございました切石その他の石材の價格調整の問題でありますが、これにつきましてはただいまお話の通り、大体各方面とも異存はないのであります。これは近日中にはずす予定になつております。現在手続き中でございますので、おそらく近日中にはずれることになると思います。
○森山委員 そうすると、それは砂利も含めて全部石材関係ははずす、こういう意味でありますか。
○吉田政府委員 砂利につきましては、実は多少まだ問題が残つておるわけデありまして、ただいま御質問の中にもございましたように、切石の方は業者の方にも異存がないのでありますが、砂利につきましては多少業者側に異存があるわけであります。またその間多少準備の必要のある点もございますので、これも大体においてはずすことについては、方針として決定しておるわけであります。その時期につきましては、まだ多少考慮の余地がありますので、多少時期は遅れる見込みでございます。
○森山委員 そうすると、切石は砂利とは別箇に切り離して、できるだけ早い時期に統制をはずす、こういうことでございますか。
○吉田政府委員 ただいまの御質問の通りでございます。
○小野瀬委員長 ほかに御質疑はありませんか。
○森(曉)委員 ただいま議題に供されております價格調整公團法の一部を改正する法律案、過度経済力集中排除法第二十六條の規定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案、この両案についてはこれをもつて質疑を打切り、討論を省略し、ただちに採決されんことを望みます。
○小野瀬委員 森君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小野瀬委員長 それではこれより價格調整公團法の一部を改正する法律案、過度経済集中排除法第二十六條の規定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案の両案について採決いたします。原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小野瀬委員長 起立多数。よつて價格調整公團法の一部を改正する法律案、過度経済力集中排除法第二十六條の念定による持株会社整理委員会の職権等の公正取引委員会への移管に関する法律案の両案は、原案の通り可決されました。
 なお両案に対する委員会報告書その他の取扱いについては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませぬか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小野瀬委員長 それではさように決定いたします。
    ―――――――――――――
○森山委員 いつも同じことを言うのでございますが、どうも最近の行政組織法関係の法案は、わが経済安定委員会の所管に属しておらないで、内閣委員会の所管に属しております関係上、われわれの対象とする官廳がわれわれの委員会の管轄外であるということは、どうも実質的にもおかしい。また法律的にも行政管理廳の設置法に対する解釈については、私は衆議院の法制局とその所見を異にいたしておりますので、法制的に見ましても、まことにピントがはずれておるというのが私の心境でございます。最近また経済調査廳法の一部を改正する法律案が出ておりますが、これもおそらく内閣に移る。ところで價格調整公團法の一部を改正する法律案については、これも廣い意味の行政組織法の一つだと思うのですが、これはこちらにかかる。片方は現在日程に上つておる行政整理その他との関連があるからであるからでありましようが、何か委員長の方でわれわれの委員会として最も誠実に委員の任務を達成し得るような方法を、考え直していただきたいと思います。毎度同じことを言うようでありますが、私はどうしても経済安定本部設置法とか、あるいは経済調査廳法の一部を改正する法律案とか、われわれと最も密接な関係のある組織法に対しまして、單純に御意見を申し上げて聞きおく程度にとどまるようでは、われわれは委員の正当の職責を果せないということを痛感いたしますので、委員長より國会のそれぞれの部局に対して、十分な御連絡をお願いいたしたいと思います。
○小野瀬委員長 森山君にお答え申し上げます。ただいまの御発言の問題については、先般來法制局ともいろいろ打合せをいたして調査を願つたのでございますが、現在としては法制局の解釈は、やはり組織法は内閣委員会に属するものであるというような御見解でもありますし、なおまた運営委員会においてもさような取扱うことに決定いたしておりますし、本國会においては会期もすでに余すところ幾余日もございませんので、このまま進めるよりほかないと思うのでございます。しかしながら森山委員の御発言はまことにごもつともなことでございますので、今後委員長会議等があります場合には、十分に森山君の言われることが実現できますように、私から強く要望いたす考えでございます。
 なおこの際お諮りいたしますが、先般内閣委員会との連合審査会において審査いたしました経済安定本部設置法案に関する本委員会の態度を決定する必要がありますので、御意見がありますればこれを承りたいと存じます。ちよつと速記をとめて協議いたしたいと思います。
    〔速記中止〕
○小野瀬委員長 速記を始めてください。
 それでは経済安定本部設置法案の審議はこれを後刻に延ばしまして、独禁法の質疑を継続いたしたいと思います。先ほど質疑の残りがありましたから、首藤委員に質疑を許します。
○首藤委員 それでは先ほどの質問に続きまして、もう一、二お伺いしてみたいと思うのであります。第十九條に「事業者は、不公正な競爭方法を用いてはならない。」ということがあるのであります。公正な競爭と不公正な競爭の限界点――これを具体的にいたしまするのには、どういう標準をもつて限界点を置くのかどうか。各産業によつて事情は異なりますから、画一的に決定することは困難だと思いまするけれども、大体において標準を具体的にお示しくださればけつこうだと思います。
○横田(正)政府委員 ただいまお話の不公正競爭方法につきましては、独占禁止法第二條の六項に規定がございまして、ここに一から七までの事項が掲げてあるのでございます。この一々の御説明を省略さしていただきたいと思いますが、今お示しの問題は、この各号の中に不当に不当にという言葉を繰返し用いておりますので、結局個々の具体的の場合につきまして、どの程度のことが不当に当るかということが問題になるわけでございます。今お話の通り、どうも具体的の事案についてでありませんと、それを不当と認めるか、あるいは当然許さるべきものと認めるか、その限界についてはつきりしたことを申し上げられないのであります。どうも独占禁止法の中にはそういう言葉が相当にございまして、適用する側、適用を受けます側にとりましても、非常に不便があると思うのでございますが、あるいはその点がむしろこの法律の特徴で、おもしろい運用もこういうところにきつかけを求め得るのではなイかと存ずるのであります。なおこの一から六までのほかに、七号におきまシては、奬來公正取引委員会が諸般の事情を見ましてから、どうもこういう方法は独占禁止法の精神にかんがみておもしろくないということになりますると、公聽会を開きました上で、新たに公正な競爭方法としていろいろなもとを指定する一種の立法権を、この法律によつて與えられることになつておることをつけ加えて申し述べておきます。
○首藤委員 ただいまも御答弁の中にありましたが、独占禁止法の條文は、どうもほかの法文と違つて明確を欠く点が非常に多いのであります。明確を欠くことにかえつておもしろみがあるというようなお話がありましたけれども、一般の國民は事業を遂行いたします上において、この法文が非常に重要な関係を持つ機会が多いのであります。しかもその場合に法文を見ましてもどうもはつきりしないということから、非常にこの問題について臆病になつて來る。進んで当局の方に参つて質問をいたしましても、先ほどのような御回答で明確な返事ができないというようなことから非常に臆病になつて、かえつてこれがためにやれるものがやれないというような観念であきらめる。しかもそれが産業の面においていろいろな影響をもたらして來るという点が、非常に多いと思うのであります。從つてこの点につきましてはもう少し明確に、わざわざ尋ねに行かなくても法文を見ただけで一應は納得の行くような方法にかえていただきたいと思うのでありまするが、それができるものかできないものか。ひとつお伺いしたい。
 もう一つは先ほど來から合併会社の資本金の引上げその他について、いろいろ御質問申し上げたのでありまするが、この二、三年前から独禁法あるいは事業者團体法あるいは集中排除法と、一貫して次から次へとかような法律ができたのでありますが、これあるがゆえに少くともわれわれの考えによりますと、日本の経済の復興を最低二箇年くらい遅らしておりはせんか。これがなければもつと迅速に復興しておるものが、かような法律をつくつたために非常に復興の支障になつておるというように考えられるのでありまして、一日も早くこれが廃止あるいは徹底して緩和されるということを希望しておるのであります。今回の改正も御当局の氣持はなるべく現実の状態に即したいということを目的として、改正されたらしいのでありますけれども、われわれの眼から見まするとまだ緩漫すぎる。もつと進んであらゆる障害を取除く必要ありというふうに考えられるのでありますから、今後この問題につきましては格段の御関心をもつて――業者の経済復興の面において少くともこういうことが支障になつておる。從つてその支障をとつてやるということに特に御関心をもつて、なるべく早目に一層の改正を希望してやまぬ次第であります。これは私の希望でありまするけれども、特にお願いしておきたいと思うのであります。
○志田委員 先日來独禁法の改正案につきましてはいろいろ質疑がございまして、大体私の質疑したいこともその中に包含されておるので、各委員からされました質疑の点につきましては省略いたしますが、たしかに今回の独禁法改正にあたりまして、この改正がひとり政府のみならず民間におきましても、非常な要望を持つておる事実にかんがみまして、三、四の点についてお尋ね申し上げたいと思うのであります。それはこの独禁改正法が御承知の通り外資導入あるいは貿易の促進ないしは証券の消化、この三つの問題が、これを改正する要因になつておると思うのでありますけれども、もちろん日本の現下の経済自立のためには、民間外資の導入が不可欠な要因であると思うのでありまして、日本の國内会社の株式の取得にあたりましても、現行の第六條その制限が非常に嚴重過ぎる。こういう点からこのたびこれが緩和をなされるものと思うのでありまするが、それにつきまして政府当局は民間外資の導入額をどの程度に御算定になつておるかについて、まず御質問申し上げたいと思います。
○中山(喜)政府委員 ただいまの御質問は、外資導入の額をおよそどれくらいと政府は予想しておるかという御質問でございましたが、これは私といたしましてはお答えいたします立場にもありませんし、またその資料も持ち合せないということをここに率直に申し上げます。
○志田委員 民間外資の導入額の想定が、今日の場合政府委員はなし得ない、またその資料も御持参ならないというお話でございましたが、いやしくもこのたびの改正法規におきましては、証券の消化、外資の導入、貿易の促進の問題が一番問題になるのでありまして、私たちの立場からいたしますれば、この点を想定することがかなり重要でと思つておるのでありまして、もし資料がないようでございましたら、今後十分御勉強いただきたいと思うのであります。
 それから証券の消化の問題でありまするけれども、今日までの委員会の経過を見ておりますと、証券の消化にはあまり各委員ともお触れになつておらないようでありますが、再建整備関係の会社が、増資新設の発行株をすみやかに消化することは、日本の経済復興のためにきわめて重要であることは申し上げるまでもないのでありまして、その意味におきまして、現行の第十條で、株式保有が原則的に禁止されていたものが緩和され、競爭的立場にないものが会社持株を認められるということになつたと存じておるのでありまするが、たとえば金融業の関係で、無盡とか保險業におきまして、各会社相互間において株式を取得する場合は、さしつかえないものであるかどうかをお尋ね申し上げます。
○横田(正)政府委員 その点は現行法の十一條も、今度の改正後の十一條もほとんどかわりはないのでございまして、結局第十一條の一項におきまして、金融業を営む会社が同種の競爭関係にある他の金融会社の株を持つことは絶対に禁ぜられております。異種の金融業の株式を持つこと並びに一般の事業会社の株を持ちますることは、第二項をもちまして百分の五まではよろしいことになつておるわけでございまして、この点はけさほども百分の五があまりに低きに失するのではないかという御質問をいただいたのでございますが、けさほど申しましたような考え方からいたしまして、一應今回は現行法に手を触れないということにいたした次第でございます。
○志田委員 ただいまの御説明によりますと、このたびの改正法規は証券の民主化ないしは経済の民主化のために、これらの会社法的な予防規定を緩和したものと解するというふうに拜承したのでありますが、そうでないのでありましようか。
○横田(正)政府委員 全般的に見まして株式保有に関しましては、非常に緩和になつておると存じますが、残念ながらただいまお尋ねの点につきましては現行のままということになつております。なお金融業全体の問題といたしまして、將來また考える機会もあるかと思いますが、今回はこの程度にとどめた次第であります。
○志田委員 民間外資の導入についてまだ正確な御推定もないようでありますが、外國資本がたとえば間接投資、間接のインヴエストの形で入つて参りますと、どうしても証券会社を通じまして日本会社の株式を取得するか、あるいは日本の公社債等の発行に應募する形式をとつて來るものとわれわれは推定いたしております。そういう場合に割安な國内株が外國の投機者によつて買い占められるような危險があつた場合におきましては、政府はこの改正独禁法によつて処置できるものとお考えになつておられますか。どうでありますか。その点について明確にお答え願えればありがたいと存じます。
○横田(正)政府委員 十一條によりましても、御承知のように証券業を営む会社が業務として株式を取得いたします場合には、先ほど申しました百分の五の制限がないわけでございますから、たとえば外國の会社が証券会社を人形に使いまして、その会社によつて株式を保有し、かつその株を実質的に支配して、日本の産業を支配するというようなことになりますれば、結局形は適法の形をとりましても、独占禁止法の第十七條の「何らの名義を以てするかを問わず、第九條から前條までの規定による禁止又は制限を免れる行為をしてはならない。」これにかかることになりまして、外虜会社といえども独占禁止法の対象になるものと考えられます。
○志田委員 今のお話は全株を取得する場合にのみ認可制度を規定しておるのが今までの現行法なのでありますが、会社の株の一部を持つというような場合にも、やはりこの百分の五の制限をつけるのでございますか。
○横田(正)政府委員 さようであります。
○志田委員 もう一つお尋ね申し上げたいのは、昨日他の委員からちよつと触れておつたようでありますけれども、私はもう少しくわしく御回答を願いたいことがあるのであります。それは本法と事業者團体法との関連性についての質疑でございますが、昨日本委員会におきましての御回答は不十分であると思いますので、あらためて御質問申し上げます。
 日本の経済再建の基本をなすものは、もちろん各界のおける中小工業の発達にまつべきものであることは論をまたないのでありますが、その中におきましてもこの中小工業の中核をなすべきものは、生産加工企業であるということも同樣でございます。言いかえますれば、農村、漁村の原始的の生産財、たとえて言いますならば、農畜産物、林産物、水産物、鉱産物等の加工を業とするものを今後高度の発達せしめることが、すなわち日本の経済再建の基本要綱だと信じておるのでありまして、特に私が選出された東北地方におきましては、今後これを有力にかつ強固に推進しなければならないと確信いたしておるのであります。これらの生産加工企業体を協同組合のみに限ることはもとより不合理でありまして、会社事業の方が適当なものでございますし、あるいは協同組合の適当なものもあろうかと存じますが、会社企業としても資本家のみの会社ではございませんので、生産民を加えた会社もやはり存続してよいわけでございまして、現に郷土会社というものは日本においても相当の資本金をもちまして、二、三存続いたしておるのであります。そうした場合に生産者と加工技術を有する從業員との共同会社が生れておる今日の現状から推しまして、これを高度に発達せしめることがよいということになりましたならば、事業者團体法というものは私的独占の禁止及び統制の排除を目的とするものと了解しておりますが、実際的には事業者團体法は私的独占にわたらざるまたは公正なる競爭を阻害するおそれのないもの、たとえば民主的の性格を持つておる共同形態の会社團体に対しまして、今日の事業者團体法は大きな行き過ぎがあるように私たちは考えておるのでありまして、政府はこの機会に事業者團体法を、このたび改正されますところの独禁法と同樣の趣旨におきまして、同法中の事業者及び事業者團体の範囲を改正する意思があるかどうか。あればその内容を承りたいと存じておるのであります。
○横田(正)政府委員 ただいまお話の水産加工業のみならず、一般の産業につきまして株式会社等の形体によります事業、共同の企業が起ることはわれわれといたしましても御同感なのであります。この点は最初に独禁法と事業者團体法との関係いかんというお話でございますが、お話の通り事業者團体法は本來独禁法の附属法令的な性質を持つておるにかかわらず、その予防的の関係におきましてかなりきつい面がございまして、日本の産業復興の上にいかがかと思われるような節がたしかにあるのでございます。從いまして昨日も申し上げました通り、われわれといたしましては昨年の九月、すでに事業者團体法の改正を考えまして、独禁法の改正と並行して鋭意研究をして参つたのでございます。研究の中心の問題は二点でありますが、その一つが今まさに御指摘になりました点であつたのでございます。そしてその改正の努力はつい最近まで続けて参つたのでございますが、残念ながら今回改正法案として復金法と並びまして、こちらへお出しすることができなくなりました。この点はわれわれといたしましても相当各方面を調査いたしましたし、また地方から熱心な方が公正取引委員会へわざわざおいでになりまして、種々事情をお話いただいたこともございまして、実情は相当よくわかつておるつもりでございます。從いまして今後この事業團体法改正につきましては、なお不断の努力を続け、ある程度の線まで改正いたしまして、日本の産業復興に資したい決心でおる次第でございます。
○志田委員 けさほど森山委員から小運送に対する御質問があつたのに対して、政府委員から御答弁がありましたが、私はその補足的な質問を最後にいたしたいと思うのであります。政府委員から小運送の複数制の問題につきまして、運輸省内に設置を見ております小運送店審議会と十分密切な連絡をとつて、万遺憾なきを期しているというお話でありましたが、特にその中で重要な制限をつけないようにして、この複数制を認めて行くようにしたいという御発言のようでございました。ところがわれわれの承知いたしております程度におきましては、この運輸省内における審議会におきましては、すでに重要な條件が付されておると思つておるのであります。すなわち五十万トン以上の集配貨物を擁する駅を中心とする都市を第一次といたしまして、すでに五月十一日をもつてその審議を打切りまして、その中に小運送の複数を希望する店舗を出すものを認めようという制限をつけております。さらに第二次には三十万トンと規制しておりますし、ことに第三次には十万トンというふうに、全國の六大都市から小都市、小都市から各町村へという行き方を現存やろうとしておるのであります。從いましてこの複数制の認許可の問題は、かなり大きな制限がついておるのでありまして、御承知の通り從來小運送店がマル通に合併せられましたのは、戰時中の行政的な要請がかなりあつたからでありまして、戰時中合同したものが今日分離を希望しておる実情なのであります。その條件におきましても、トラツク三十台以上持つておるものというようなことを、不文律に規制されておるように聞いておるのでありますが、政府委員と安本当局と運輸省の審議室との間に、はたして有効密切なり御連絡があつたかどうか。さらにお尋ね申し上げたいと思います。
○横田(正)政府委員 私の先ほどのお答えが正確を欠きましたためか、ただいまの御質疑の中に多少誤解もあるやに存じます。審議会と公正取引委員会とは、実は直接の関係は何らございませんので、結局そういう法制をつくるにつきまして、われわれの方と関係行政官廳といろいろな折衝があつたことは、先ほど申し上げたのであります。なお審議会において決定せられたことが、はたして独占禁止法の精神に反するかどうかという点につきましては、十分研究をいたすつもりでございます。御承知の通り、ただいま小運送関係の日通につきましては、集中排除の関係もございまして、こちらの関係がなお未定の樣子でもございますし、その他今後の諸般の事情を考えまして、われわれの役所の権限の範囲内におきまして、できる限り公正、自由な競爭が行われますように、万全の処置をいたしたいと存じております。あるいはわれわれの活動に対していろいろな御批判もあるかと存じますが、今後大いに研究いたしまして、十分御期待に沿いたいと考えております。
○志田委員 ただいまのお話によりまして大体了承をいたしましたが、この問題につきましては、運輸当局の反省を要求しなければならぬような事態も、すでに起きておると思うのであります。すなわち今日日本通産が集中排除の問題にかかつておるにかかわらず、あるいは港湾会社と意を通じまして巧みに談合いたして、特定免許の形式をもつて小運送店を支店的に、自分のブランチのごとくに、全國的に相当多くすでに許可を得てやつておるのであります。この特定免許についても、小運送はすでに現実問題として業務を開始いたしておるのでありますから、この点につきまして安本当局といたしましては、御警戒の上に十分密接な連絡をなさることが、われわれとしては望ましいと思つておるのであります。
○小野瀬委員長 それでは多田さんに追加質問を許します。
○多田委員 きのう一部質問を保留してありますので、二、三お伺いいたしたいのであります。
 最初に第二條のうち、競爭の範囲について「同一の需要者に同種又は類似の商品又は役務を供給すること」ということが示されておりますけれども、同一の需要者に対してこういつた行為をすることが競爭であるが、たとえば同一の販賣業者にこういつたことをした場合には、競爭に該当しないかどうか。この点をお伺いいたします。
○横田(正)政府委員 ここに需要者、供給者とございますのは、きわめて相対的な意味があるわけでございまして、たとえば小賣業者は卸賣業者に対しましては需要者になるわけでございます。そういうふうに各段階でお考えいただくようになると思います。
○多田委員 これは非常に便宜な解釈のようでございますが、誤解の生じないように訂正する必要があるのではないかと考えます。
 次に第十四條の改正案ですが、十四條の改正案によりますと、会社の役員はその会社と國内において競爭関係にある他の会社の株式を、全然所有してはならないという非常に強い制限を加えてございますが、競爭関係にある他の会社の事業に対して圧力を加えない限度においては、株式の保有もある程度認めるべきじやないかというふうに考えますけれども、この点についてのお考えをお伺いいたします。
○横田(正)政府委員 この役員の株式保有の制限は、その考え方につきましては、結局会社が競爭会社の株を持ちます場合の制限とまつたく歩調を一にしたわけでございまして、この点はあるいはお考えによりましては、現行法より多少きつくなつておるという向きもあるかと存じまするが、大体役員はその会社と異体同心と申してもいいのではないかという考え方が根本になつております。なお会社につきましては、競爭関係子会社の株は持てることになつておりまして、その関係におきまして、役員もやはり自分の勤めておりまする会社の子会社の株、あるいは反対に親会社の株は持てることになるわけでございます。
○多田委員 何か非常に強い制限のような感じがしますのでお聞きしたわけでございます。
 次に第十五條ですが、これは先ほど來再三問題になつている点でございますが、この第三項に届出制度をとつておりまして、この法案の他の條項にも届出制度を規定されておりますが、届出をした場合に、その内容がこの法律に牴触するというような場合には、公正取引委員会がそれに対する処置をすることになるだろうと思います。届出をしていつそれに対してどのような事態が起るかわからないというようなことになりますと、届出をした人たちの不安がいつまでも去るまいというような点がありますので、届出をした後に一定の期間を限つて、その期間内に公正取引委員会が、それに対する意思表示をしなかつた場合は、それは当然正当な自由であるというような取扱い方をすることが必要ではないか、こう考えておりますが、それに対する御意見を伺いたい。
○黄田政府委員 認可制にすべきかあるいは届出制にすべきかという点は、一利一害でございまして、大まかに見ますならば、届出だけをして、認可を受ける必要がないということにしておきます方が、一般業界にとりましては樂なようにも見えるのであります。ただ、ただいま多田委員から御指摘になりましたように、いつどういうことを言つて來られるかもわからない。それよりもむしろ事前に認可を受けておいた方が、かえつて安心であるという考え方も成立し得るわけでございます。ただ合併となりますと、一旦合併をしたものはあとにおいてそれをまた元にもどすことが非常に困難でありますために、一應認可ということをした方がかえつて親切じやないかというふうなことから、こういうことになつたわけなのでございますが、この点に関しましてはわれわれといたしましても、案をかえること数回に及んでいるのでありまして、議論はどつちにも立ち得るというふうな状況なのでございます。その結果が大体現在の改正法案という点におちついたわけなのでございます。
○多田委員 認可制度をとつた方がいいという考え方から申し上げるのではないのでありまして、その点誤解のなすように願いたいと思います。
 それから第十六條でございますが、第十六條の外國の会社が國内の会社の営業あるいは重要部分の引受けをするというような場合には、公正取引委員会の認可を得なければならないというふうに規定されておりますが、外國人の財産取得に関する政令におきましても、外國人が日本内地において営業権あるいはその他の物権を取得する場合には、一々その政令に基いて認可を受けなければならないように規定されておるようであります。そういたしますと外國人の財産取得に関する政令においても認可を受けなければならないし、それと並行して公正取引委員会の認可を受けなければならないということになりますと、非常に手続が煩瑣になりますので、この間の政令との関係を、もう少し簡單に行くような方法にすることが考えられないかどうか。この点についてお伺いをいたします。
○黄田政府委員 この点は実に問題となる点でございまして、せつかく外資を入れようとしても、日本の規則に縛られて、方々に足を進んで所定の手続を踏まなければならないということで、相当のめんどうを外國の投資者にかけるということになるのでありまして、実に現在でも問題になつておる点なのでございます。ただ外國人の事業活動に関する政令の中におきましても、與えられた認可というものは他の諸法令により規則を除外するものでない。ほかの法令によつて必要とされるところの許可、認可というふうなものも、それによつて與えられたものではないということを明確に書いておるのでありまして、その点では規則上一向さしつかえないのでありますけれども、ただ実際上めんどうだという点は残るのでございまして、たとえば事業活動をやつて得た結果、もうけた金を本國に送るというような場合には、また為替管理委員会の方の認可がいるというようなことがあるのでございます。その点できるだけ一本になり得ないかという点が、現在では問題になつておるのでありまして、これは安本が中心になつて目下研究しております。ただそういうことになりましたあかつきにおきましても、公正取引委員会が独禁法の観点からするところの許可、認可というものは観点が違いますので、ほかの行政官廳における許可、認可事項が一本になり得た場合におきましても、公正取引委員会の認可というものは、やはり別の段階の問題として、残さざるを得ないのではないかというふうに考えております。
○多田委員 外國の会社に対する制限が非常に強いような感じがするのでありますが、このために外資の導入を妨げるというようなおそれがないかどうか。これはむしろ外國人の財産取得に関する政令で、外國人からこういつた申請があつた場合には、その政令に基く認可を受けると同時に、その当事者が直接公正取引委員会に申請するのでなしに、政令に基く認可を與える際には、公正取引委員会の同意を得て認可をするという手続を省略するというような形にして、ぜひ一本にするということが必要であると思うのであります。それといま一つは、外國の会社の國内における事業活動については、この法律で非常に大きな制限を加えておるが、その理由について御説明願えましたら、お願いしたいと思います。
○黄田政府委員 第一の点に関しまして私が先ほど申しましたことに補足をいたします。仰せの通り、外資委員会というものが國内にできておりますが、それが認可を與える際には、ほかの関係官廳と連絡して、内部連絡事項として異議ありやいなやをただして、その上で認可ということになりましたならば、一本で済ませることができるかどうかということを、現在研究中でございます。
 それから第二の点の、外國会社に対していろいろな制限が加わつておるということでございますけれども、これは実はそうではないのでございまして、外國会社も日本において事業活動を営む以上、日本の事業家と同樣の制限に服するということを、改正法案におきましてただ明らかにしただけでございます。現行法におきましても、むろん独禁法の適用は、外國会社にも、少くとも日本において事業活動を営んでおる以上、日本の法令のもとに服すべきであるという建前は、ちよつともかわつていないのでありますけれども、今度の改正法案におきましては、いろいろ疑点があつた方面もございましたので、その点を明確にしただけなのでございます。
○多田委員 外國会社に対する制限が、別段國内会社に対する制限とかわらないというお話でございますが、第十六條の但書によりますと、國内の会社に対しては十五條の届出制を採用するけれども、外國の会社に対しては認可制をとるということで、國内の会社と外國の会社との関係について、幾分差があるような感じがするのでありますが、それが対外的に與える影響も考えなければならないと思いますので、むしろ外國人の財産取得に関する政令については、外國人の日本における財産の取得に関する制限を加えても、この法律では、國内におけるあらゆる会社は、外國の会社も含めて、同じような形においてこの法律を適用するという形をとることが至当ではないか、こういうように考えられますので、一應意見として申し上げました。
○黄田政府委員 御指摘の通り、十六條の但書におきまして、外國会社に関してのみ認可を要することとしておりますけれども、これはどういうわけかと申しますと、十五條の第三項で、五百万円以下の会社は合併をした日から三十日以内に届け出るということになつておりまして、これを外國会社に適用いたしますと、実は外國には五百万円というような円の勘定がない。それをもし換算するということになりますと、ドルにしますと非常に少いものになりまして、そんな会社は実際には存在しない。そういうようなことから実際に即しまして、わざわざここに書いただけでございまして、これは何も外國会社であるがゆえに、差別的の扱いをしたというようなことではないのでございます。
○横田(正)政府委員 けさほど高田委員から御質問のございましたカルテツクス問題につきまして、簡單にお答え申し上げます。
 御承知の通りカルテツクスと日石との間の契約につきましては、すでに新聞紙等においても報ぜられました通り、日本にアメリカの油が入ることにつきましては、われわれとして非常に関心を持つ問題でございまして、このカルテツクスという会社は、御承知のことと算じますが、スタンダード・オイル・カンパニー・オブ・カリフオルニアと、テキサス・コーポレーシヨンという二つの会社が、五〇%ずつ株を持つておる会社でございまして、一九四八年に、比較的最近設立せられたものでございます。今回日本石油との間に二つの契約を締結しようとしておるわけでございまして、その一つは、かりにこれを委託契約と申します。この委託契約に関する條項はいろいろになつておりますが、われわれの観点から問題になりまする点を主として申し上げますると、日石がカルテツクス石油製品の日本國内における販賣の委託を受けるということを内容とするのでありまするが、独占禁止法の問題としまして、日石はカルテツクスの競爭品の取扱いを禁止されることに、この契約ではなるのでありまして、この関係におきまして種々問題があり得るかと思います。もう一つの契約は、いわば選択契約とでも申しまするか、カルテツクスが日石の必要としまする原油を供給する。そのかわりに日石が現に所有し、または將來所有するある特定せられました施設を買い取る権利を、カルテツクスに與えようとするものでございまするが、この後者の契約は一種の予約的なものでございまして、なおその内容の契約が現実に実現するかどうかは、今後にかかつておるわけでございます。この面におきましては、独占禁止法上の問題はただちには起つて來ないように思われるのであります。前の委託契約におきまして、カルテツクスが日石を束縛しまして、その油を日本に入れるということに関しましては、今後いかなる程度に、いかなる性質のものが日本に入つて参りまするか、その内容によりましては、独占禁止法上の問題もあり得るのでありますが、御承知のように、すでに外油の輸入ということにつきましては、カルテツクスのみならず、予想せられまする競爭会社がいろいろございまして、戰前から日本と関係を持つておりましたスタンダード・ヴアキユーム・オブ・コンパニー・シエル、日本ではライジング・サンと言つておりますシエル、それからユニオン・オイル、それに最近やや具体化して参りましたタイド・ウオーター・アソシエイテツド等のカルテツクスの競爭会社が予想せられるのでありまして、これらの点から考えまして、なお今後の動きを見ませんと、はたして独占禁止法を発動すべきような事態が今後生ずるかどうか、はつきりしたことは申されません。なおこのカルテツクスと日本石油との間の國際契約については、なお公正取引委員会において認可につき檢討中でありまして、なお認可の手続は済んでおらないのでございます。
○高田(富)委員 そうすると、これは委託契約の方はまだ認可にならないのですね。
○横田(正)政府委員 そうです。
○高田(富)委員 それから選択契約の方ですが、今の御説明によりますと、原油を向うから供給する。そして施設を買い取るというのは、これは買い取るかどうかわからないのですか。
○横田(正)政府委員 さようであります。その買い取るかどうかの権利を、カルテツクスが持つているわけであります。その選択権をカルテツクスが持つているのであります。たしか石油がこちらに入るようになつてから、六箇月間にその権利を行使するようなことになつておつたと思います。
○高田(富)委員 すると、それは予約だからいいというけれども、現実化して來れば、それはただちに問題になるじやないですか。その施設を買い取るということになれば、國内でそういう事業活動をすることになつて、將來株を所有するなり何かの関係にもなつて來る。ですから、そういう予約それ自体も相当問題になるのじやないですか。
○横田(正)政府委員 もちろん独占禁止法上のいろいろの株の問題とか、その他の問題があり得るわけです。ただいま申しましたのは予約で、具体的な関係は今後という点が、確定的な契約というのとは大分違います。
○多田委員 本日はこの程度にして十二日に質疑を継続することとし、これにて散会せられんことを望みます。
○小野瀬委員長 多田委員の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小野瀬委員長 御異議ないようでございますから、次会は十二日午後一時より開会することとし、本日はこの程度で散会いたします。
    午後四時四十四分散会