第005回国会 厚生委員会 第27号
昭和二十四年八月十九日(金曜日)
    午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 堀川 恭平君
   理事 大石 武一君 理事 中川 俊思君
   理事 松永 佛骨君 理事 床次 徳二君
   理事 苅田アサノ君 理事 橘  直治君
      青柳 一郎君    今泉 貞雄君
      高橋  等君    丸山 直友君
      岡  良一君    堤 ツルヨ君
      松谷天光光君
 委員外の出席者
        厚生政務次官  矢野 酉雄君
        厚生事務官   慶松 一郎君
        厚生事務官   木村忠二郎君
        厚生事務官   小島 徳雄君
        厚生事務官   安田  巖君
        厚生事務官   小山進次郎君
        厚 生 技 官 三木 行治君
六月十七日
 委員田中彰治君及び奈良治二君辞任につき、そ
 の補欠として坂本實君及び坂田英一君が議長の
 指名で委員に選任された。
八月十九日
 委員山崎岩男君辞任につき、その補欠として橘
 直治君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事山崎岩男君の補欠として橘直治君が理事に
 当選した。
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五月三十一日
 厚生行政に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 遺族援護に関する件
 厚生行政一般に関する件
    ―――――――――――――
○堀川委員長 それではこれより会議を開きます。
 まず理事の補欠選任を議題といたします。本日理事の山崎岩男君が委員を辞任いたし、理事が一名欠員となりましたので、その補欠選任を行いたいと存じまするが、これを委員長より指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀川委員長 御異議がなければ山崎君の補欠として選任された橘直治君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
○堀川委員長 次に遺族援護に関する件を議題といたします。第五國会におきまして決議されました遺族援護に関する決議に関しまして、その後の状況の説明をまず政府より聽取することにいたしますが、その前に矢野政務次官からちよつとごあいさつがあるそうであります。
○矢野説明員 私厚生政務次官に任命を受けました矢野酉雄でございます。いささか立法府から厚生行政の実態をながめておりましたが、厚生行政の内部に入りましてその現日本の段階において大きい役割を持つていることを実はいまさらながら認識を新たにしたような次第でございます。私みずからが引揚げの体驗を持ち、これに関するいろいろな援護事業、あるいはまた社会全般の不安、生活不安等を除去して行くためには、厚生行政の持つ使命にいよいよ重大であるやに私は痛感するものでございます。皆様の御鞭撻をいただきまして最も良心的に私の任務を遂行したいと思いますので、一段の御鞭撻、御支持を心からお願いをする次第でございます。一言ごあいさつをいたす次第でございます。(拍手)
○堀川委員長 では小島兒童局長より説明をお願いいたします。
○小島説明員 去る第五國会に衆議院におきまして、遺族の問題に対する御決議をいただきました。なおあわせて参議院におきましても大体同様の趣旨の御決議をいただきました。しかも國会におかれましては、衆議院の厚生委員会、並びに衆議院の厚生委員会、ほかに九人の関係議員の方のお集まりをいただきまして、母子福祉連盟というものを國会内において設けられまして、この問題についていろいろ御研究いただき、またそういう方面に関するいろいろ推進をいただきました点につきまして、この際厚く御礼申し上げておきたいと考えます。政府におきましても、この國会の趣旨を体しまして、できる限り遺族並びに母子を中心としましたところの援護問題につきまして、関係局が相寄りまして研究を遂げまして、各関係官廳とも十分連絡をとりまして、対策を練りつつあるのでありますが、その問題につきましては、いろいろ解決しなければならぬ部面が多いのでありまして、一つにおきましては現行規定の運用、もう一つは新しいこれらの問題につきましての対策を立案する、こういう面が考えられると思うのであります。現行規定の問題につきましては、それぞれ社会局方面におきましては社会局長から御説明があると思いますが、生活保護の運用等の問題につきましていろいろ考究せられまして、すでに対策を講ぜられておるのであります。なおこの前の決議にございましたところの生業資金の問題、あるいは授産場の問題、あるいは母子保護施設の問題、あるいは遺族年金の問題、寡婦年金の問題、こういうような各種の手続につきましてはそれぞれ根本的な対策を要する問題がございます。從いまして閉会中におきまして、ただちにこれを実施に移すことは予算の関係もございますし、なかなか困難な事情もございますが、その運用につきましては、われわれできる限り國会の趣旨に沿うよう努力いたし、なおこの問題につきましては関係方面とも現在十分連絡いたしております。ことに今日の状況におきましては、いわゆる母子家庭を中心といたしました遺族ばかりではございませんが、母子家庭を中心といたしましたそういう家庭において、一つの生活困窮に陷つた場合における生活保護による運用ばかりでなく、これらのものを未然に防止するような対策を講ずる必要がある。こういうことでできる限り早い機会にそれらの問題につきまして、予算方面、あるいは立法方面につきまして、できる限りの考慮をいたしまして、なるべく早い機会においてこれらの問題が、ひとり現行規定の運用ばかりでなく、こういう新しい制度の運用によりましても新しい道が開けるような方途について、われわれとして最善の努力をすべく研究をいたしております。しかしこの問題について、しからばただちにどういうふうになるかという報告段階まではまだ逹しておらないのでありますが、われわれといたしまして、これらの問題についてあらゆる方面からこれらの援護ができるような対策について研究をして、目下折衝しておる。こういうことだけを御報告申し上げまして、なおこまかい問題について御意見がありますれば、その都度お答え申し上げたいと思います。
○青柳委員 われわれが愼重審議いたしまして、本会議におきまして決定を見ました遺族援護に関する決議のその後につきまして、手元に配付してあります文部省、厚生省両省通牒があるのであります。これによりますと戰没者に対する葬儀、その他の行事について一般文民同様な取扱いをしろというわれわれの要求には沿わないものでありますが、從前から行われておりました公務員が私人として葬儀に列席することをとめておりましたのを、今回はその制限を緩和いたしまして、私人として列席することを得ることになりました点は、政府の御努力に対しまして厚く濃く感謝の意を表する次第でございます。われわれの決議いたしました七項目の中の第一項目がそれに関する問題であります。
 第二項目の遺族年金または弔慰金を支給する問題について、私少し申し上げておきたいと思うのでありますが、まずそれに入ります前に、政府御当局に伺いたいことがございます。それは先般國会におきまして阿波丸事件に基く日本の請求権を放棄したのであります。この阿波丸による犠牲者の援護は從前はどうなつておつたのでありますか。阿波丸の沈没せられた結果出ました犠牲者に対する政治の援護の從前のお取扱いについて御存じならば伺いたいと存じます。御関係があるいはないのかもしれませんが、私が結局申し上げたい点は、先般の阿波丸事件に基く決議の際に、その決議の理由といたしまして提案者が國内措置として、本事件の犠牲者を慰藉するためにも適当な手段を早く講ずべき必要がある、講和談判まで待つてそれから遺族に援護を設すのはおそい、だからこの際決議を行つて早目に遺族に対して援護の手を延べる、こういうことを述べておるのであります。総理もまたその後の國会において、この遺族の援護について御報告をしておられまして、すみやかに死亡した家族に対して見舞金を支給することに努力する、こう総理は報告しておられるのであります。私はこの阿波丸事件の犠牲者に対する見舞金あるいは弔慰金というものが、少くとも早目に現われて來るものと固く信ずるものであります。かくすればこの際こそ遺族に対して年金または一時金を出すことを申し出る非常によい機会になるのであります。私はここに阿波丸事件による死亡者の遺族に弔慰金を出される際に、同時に戰死者に対する遺族に対する問題も必ず取上げていただくことを切にお願いする次第であります。その点をどうぞお忘れなく御記憶を願いたいと存じます。
 次にこの問題につきましては從前から参議院におきまして、いろいろ関係当局と折衝いたし、割合うまいぐあいに進みつつあるというのでありますが、なお全面的に了承を得ておらぬのであります。この問題はもう一歩というところであると私は存じておるのであります。來るべき國会におきましては、こちらの方の了解を得るために参議院の方のみならず、われわれの手をもつて、できれば協同して遺族に対する年金また一時金の給與に努力いたしたいと存ずる次第であります。この点につきましては、明日非公式ではございますが、参議院の厚生委員の方々と母子連盟の会合を持ちますので、その際御協議を願いたいと存ずるのでありますが、いずれにいたしましても、政府当局におきましては、機をつかまえて、この問題をその都度関係方面に強く申出を願いたいと思います。われわれまたただいま申し上げましたように、できるならば、参議院と手を取り合つてこの問題の実現に努力いたしたいと存ずる次第でございます。
 次にわれわれの決議の第三にございますように、「生活保護の基準額を眞に人たるに値する生活をなし得る程度まで即時引き上げ、特に老人、婦女子の家庭の生活の確保を図ること」こうあるのであります。この点につきましては、この決議の後におきまして、第十次の改訂が行われました。われわれもある程度これに助力することができたのでありますが、その結果從前に飲食費の割合が八五%であつたものが、八二%というパーセンテージに下つたということは、第三の決議要求するところにはまだ沿わないところが多いのでございますが、なおこれに一歩を進めたものと存じ、御同問にたえない次第であります。
 なお生活保護の問題、子女の育英、生業の問題、授産場、母子寮、その他課税、農地、供出等の問題につきましては、残された問題がたくさんあるのであります。われわれもいろいろな機会にこの努力方について十分盡したいと思いますが、政府御当局もなお格段の御努力を切に切にお願いする次第であります。
○矢野説明員 お答えをいたします。青柳委員と同様に、実は立法府の立場から、私たちも阿波丸事件の善後処置を急速にまた妥当に解決するために、実は行政府を督励したような次第でありますが、率直に申し上げまして、みずから行政府に入りながら、本日はこれに関する資料を関係の諸君持参しておらぬような次第でありますので、御意見はまつたく同感でありますから、よく御趣旨に沿うように関係官とただちに協議をいたしまして、善処いたしたいと思つておるのであります。
 それから遺族救護並びに自立の問題は、両院の満場一致の御議決でありまして、この線に沿つていかなる具体的方法を立てるか、しばしば厚生省関係の責任の部局において連絡の協議をやつておるような次第であります。ただこれは関係当局並びになかんずく政府のある部局におきましては、引揚者であるとか、あるいは遺族であるとか、あるいは未償還者の家族であるとかというような、これらの諸君を援護し、その自立せしむべきものはこれを助成する道を講じ、あるいは自立のできない人々に國家が全面的にこれを救護するという対策を立てんとする場合において、何か國民生活の水準に一歩でも近づけて行こうという立法府の御意志であるのにもかかわらず、私たち努力の足らないために、國民水準よりか一歩引上げて、特殊的にこれを待遇するかのごとき認識を実は與えておるのでありまするため、制度にいたしましても、あるいは予算措置においても、非常に困難な状態に今まで置かれておつたのであります。行政府といたしましても、決して平等の原則以上の特殊な処遇をしていただきたいという要望でないということを、関係当局にも十分理解をしていただくように努力いたしますとともに、大藏その他の経済廳に対しても、予算関係のある官廳に対しても十分の努力をしたいと思つておりますので、ぜひ立法府の衆議院におかせられましても、この認識が正しく関係当局において持たれるように、また大藏当局等も十分この点を理解してくれるように、何分行政府を御鞭撻また御協力を心からお願いする次第であります。実は過般二十五年度の補正予算においても、何とか少しでも両院の院議に沿うような予算措置をいたしたいと協議を続けている次第でありますし、さらに二十五年度の本予算においてはどの道をとるか、総合的の計画の中に入れてしまうか、あるいは遺族という言葉を使わないで、救護すべき社会のあらゆる階層の人々を救護して行くというような総合的構想によつてこれを救護して行くか、いろいろと今構想を練りつつある次第であります。一面には更正資金等のわくを新たに設けまして、二十五億か三十億の程度予算をつくつて、生業の基礎として助成するというような道を立てたらどうであろうかというような協議も、実は具体的にやつたような次第でありまして、また最後の、この線で行くという段階には逹しておりませんので、この点御了恕願いたいと思う次第であります。
○青柳委員 ただいま政務次官のお話に非常に援護の本質に触れたしかも私全面的に御同感の御意見であります。われわれの決議いたしました遺族援護に関する決議の一項の葬儀の際の処遇と、遺族年金または弔慰金支給の場合のこの二つは、純然たる遺族に関する問題でございます。第三以下の生活保護の問題、子女の育英、生業の問題、授産場、母子寮及び保育所の増設の問題、課税、農地、供出等の問題、これら一連のものは、決して遺族のみに関する問題ではないのでございます。遺族が一番困つておりますのが、そのほか引揚者あるいは戰災者にも全部通ずるものであるのであります。私どもは生活保護をいたします際に、生活保護法の第一条にございます平等無差別の原則をあくまでもとりたいと思うのであります。もちろん遺族の中にも生活の非常に樂な人もございますし、そのうちには苦しい人もあります。すべてこれらの戰爭犠牲者を一律に見まして、一番弱いものに一番多くの保護を與え、実質的な無差別平等をぜひぜひつくりたいと存ずる次第であります。ただいまの次官のお話は全面的に同感でありますとともに、私個人の意見といたしましては、そういう戰爭犠牲者を全部一つにひつくるめて、いな、生活要保護者を全部一つにひつくるめて、一番弱いところに必要なものを與える。決して遺族だけではありません。引揚者だけではありません。一番困つているものに強いものを加えるという無差別平等主義の実現を私個人といたしましてもはかりたいのであります。ただいま次官の申されました点は非常に同感でありますとともに、これは遺族だけとか、引揚者だけとかいう考えでいろいろ與えられて決して成功するものではございません。全部を一つにひつくるめての折衝なり、御協議が願わしいと存ずる次第であります。
○堀川委員長 ほかに御質疑はありませんか。
○堤委員 暑いので私が少しぼんやりしているせいかもしれないのでありますが、ただいまの説明では私は何もつかみかねるのでございます。今まで厚生省当局において政府といろいろ御交渉になつたり、それから御協力なさつた点の経過についてもう少し丁寧な説明をしていただかなければ納得が行かないのでございますが、できたらもう少し詳しい報告をしていただきたいと思います。
○小島説明員 ちよつと速記をとめてください。
○堀川委員長 では速記をとめて……。
    〔速記中止〕
○堀川委員長 ほかに御質疑はありませんか。
○丸山委員 遺族のみに限定した問題ではございませんが、先般九州地方の行政を見て参りましたときに、ある地方のある縣で生活保護法の適用者が、他の府縣よりも非常に少い縣が一つあるのであります。特にその縣の経済状況がゆたかであるということのために、生活保護法の適用者が各府縣に比較して非常に少いならばけつこうなのでありますが、そうでなくて特別に少いのであります。その理由が、生活保護法を適用する基準を決定するのに、非常に嚴格な見方をしておられる。その結果非常に少くなつたというような結果が出ておるのであります。もちろん法を嚴格に適用することは非常にけつこうなことであるとは考えますが、生活保護法の適用をあまりに嚴格に、的確に定めまして、そして何らの余裕のないようなほんとうの最低生活だけを指して行くということになりますと、生活保護法の適用者が將來立ち上る上においての熱意を失うというような結果を生じまして、かえつて法の目的を損したり、將來その人の復活を阻害するというような方向に行くのではないか、かように私は見て参つたのであります。そのことのよしあしは別といたしまして、ともかくも生活保護法の適用の基準が、府縣によりあまりに大きな開きがあるということは、法の運用に対しておもしろくないのではないか、かように考えます。厚生当局におかれまして、この基準の適用あるいは認定というものを、各府縣の基準を大体において一致させた方がよろしいとお考えになりますでしようか。あるいはまちまちにその府縣のままにまかせておいた方がよろしいとお考えになりますか。もし一致させる方がよろしいとなるならば、嚴重なきめ方をするがよろしいか、あるいは現在一般に行われておるような方法で行われた方がようしいか。一致させるように御努力なさるという御意向があるかどうかということを、ちよつと承りたいと思います。
○木村(忠)説明員 生活保護法の基準につきまして私の方といたしましては、全國一律の基準を定めておるのではないのであります。土地の事情に應じました基準を定めております。現在におきまして、段階を一應東京その他の六大都市並びにこれに準ずる地域、それからその他の都市、町村、こういうように一應三段階にわけ、そのほかに全國を土地の寒い、暖かいによりまして八つの地域にわけまして、それによりましても、たとえば光熱費のようなものにつきまして差を設けるような方法をとりまして地域に應じました必要経費というものが算出できるようなことにいたしておるのであります。それは昨年の十一月の改訂からこの方法をとることにいたしたのであります。この方法をとるようにいたしました結果といたしましては、これを嚴正にやつてもらうことが最も公平な道であると私どもは考えております。ただわれわれの非常に遺憾といたしております点は、先ほど青柳委員からも御指摘になりましたように、われわれのとつておりますところの最低生活の基準が、あまりに低過ぎるという点であります。從いましてわれわれといたしましては、非常に嚴格にこれを実施していただきたいと思つているのでありますが、これをほんとうに嚴格にやりますためには、基準はもう少し妥当なものにしなければならぬのではなかろうかというふうに考えております。從いましてわれわれといたしましては、今後基準をほんとうに最低生活として、だれが見ても相当だというものにいたしたい。それにつきまして今後努力いたしたいと考えます。九州の某縣におきまして、非常にこれを嚴格にいたしております結果、非常に要保護者の率が少くなつているという事実があるのでありますが、これにつきましては非常に嚴格にやつているという以外に、そうひどく惡いことをしているということにはなつていない。行つてみますと、やつておりますことは妥当である。ただ現在の基準があまりに低過ぎるということになるのではないかと考えます。ただこの際におきましてこれに手心を許しますと、これを取扱いまする人の氣持によりまして、その相手方に対する好惡によりまして、給與の差が設けられるということになりまして、かえつて弊害が生ずるのではないかと思つております。從いましてわれわれといたしましては、基準を妥当なものにすること、しかもこれが実情に合うものということにいたしまして、取扱いは常に公平になるようにいたして参りたいというように考えておる次第であります。
○苅田委員 ただいまの御答弁に関連してお聞きしたいのです。社会局長は現在生活保護法の一番の欠点として基準の問題をおつしやつたのには私もたいへん同感であります。そこでお伺いしたいのは、結局それは予算に関係して來ると思うのですが、承るところによりますと、ただいま厚生省でも追加予算あるいは二十五年度の予算について相当審議が進んでおりまして、ある点は大体予定はできておるように伺つておるのでありますけれども、生活保護に関して追加予算が組まれておるかどうか、あるいは二十年度に大体どれだけのものを予定しておるかどうかということをついでにお聞きしたいと思います。
○木村(忠)説明員 われわれとしましては、生活の最低基準につきまして、どれが最も合理的であるかということを前々から檢討いたして参つたのでありますが、これにつきましては現在権威のあるものがわれわれの手にないのであります。また諸外國の例を徴してみようと思つたのでありますが、これにつきましても非常に資料が乏しいのでありまして、現在の國情のもとにおいて、どういう生活が最低生活として、しかも健康で文化的なものであるかということにつきましては、いろいろな資料をあさつておるのでありますけれども、現在までそういうものが手に入つておりません。われわれとしましては、今われわれがとつております資料が一番その方につきましては檢討されているのではなかろうかと思います。それにつきましては、この前に衆議院におきまして御説明申し上げましたが、大体現在一般の生活水準は生計費の六二%が飲食物費になつておるという実情に徴しまして、これよりも一〇%ぐらい上まわつた程度、大体七〇%前後のところに最低生活費の線を引くのが妥当なのではなかろうかというふうに考えまして、大体そういうところを基礎といたしまして明年度の予算を要求いたしております。これにつきましては、なお先般第十次の改訂をいたします際にこの基礎をもちまして、財務当局に折衝いたしたような次第であります。これは至急に米價の改訂に対應しますところの切りかえをしなければならなかつた関係上、折衝の途中において第十次の改訂を行いましたので、十次の改訂が低いものになつておりますが、なお今後も引続きまして財務当局の方とは折衝を続けたい、かように考えております。
○苅田委員 生活保護がどういう基準をとりたいということはわかつたわけですけれども、まだ具体的には追加予算の点とか、あるいは二十五年度予算に大体どれだけのものを必要とするというようなことまでにきまつていないわけなんですか。
○木村(忠)説明員 二十五年度の当初の予算といたしましては、この前衆議院の委員会において申し上げました基準をもちまして要求をいたしております。
○丸山委員 先ほどの御答弁で大体了解いたしますが、しかし実際生活保護法を適用せられておるものの側から見ますと、同じような土地の状況、もちろん基準においてもその他においてもかわらない隣縣においての適用の基準と、その府縣との基準とがあまりに違つて來ておりますと、やはり非常な不都合が感じられるのであります。もし今の予算関係で給與基準というものを上げることができないために、あまり嚴重にすることが、不都合であるならば、やはり何らかの形式で嚴重にやり過ぎないようにしてもらいたいと私どもは感じます。また理論的には嚴重にやる方が正しいのではないかということであれば、やはりその地方においての府縣ごとに、あまりに基準の差があり過ぎるというようなことは望ましからぬように考える。何かそれに対するお考えがありますか。
○木村(忠)説明員 各縣の取扱いがまちまちでありますることは、これは実際上そういうことになつているということはあると思いますが、われわれの目からいたしますれば、これはその縣その縣で比率が違うというだけでもつて、取扱いが嚴重であるかどうかということは言えない。具体的に各縣でやつていることを監査した結果、出すべからざるものを出しているかということが明らかになつて來るのであります。例をあげれば、山形縣と秋田縣においては要保護者への支給の率が違つているのでありますが、大体経済状況は似たようなものであります。どちらが正しいかということについては、現場において監査しなければならぬ。監査した上で、妥当なる指導をいたすように努めているのであります。ただいまお話になりましたように、私どもとしては非常にルーズにやれということは、これは最近の基準の立て方からいたしますると申せないのであります。われわれといたしまして嚴格にやれ、嚴格にやり過ぎて出すべきものを予算上の都合から出さないといつた点がありましたならば、これは出すべきものは出すようにいたしているのであります。ただ出すベからざるものを出せということはわれわれとしては言いかねるのであります。この問題につきましては、詳細に保護課長から御説明申し上げて、御参考にいたしたいと思います。
○小山説明員 ただいまお話になりました問題は、生活保護法の現在の根幹に触れる問題でございますので、多少具体的に申し上げることにいたします。実はこの問題が統計上に現われ始めたのがちようど昨年の十月ごろからでありまして、ただいま御指摘になりました縣の被保護者率、つまり縣の総人口に対する保護を受ける者の率が急速に低下をし始めて参つているのであります。どういうわけでそういうふうに低下をして來ているのかということをしさいに檢討いたしましたところ、その縣におきましてはいろいろの檢討の末、最も嚴格に生活保護法の適用をすということを強行した結果、そういうふうに下つて來たのであるということがわかつたのでございます。それでこの問題を御理解願う前提として、ごく簡單にその縣の特徴を申し上げたいと思いますが、その縣は九州随一の縣であります。縣のその方面の仕事に当つている人は、私どもの目から見ましても、全國でこの方面の仕事を担当している者のうちの第一級に属する人であります。從つて人については十分信頼ができる、こういうような條件の縣でございます。こういつた條件の縣で、生活保護法を非常に正しく施行した結果がそうなつて來たのだということでありますから、私どもとしては、これは將來の生活保護法の動向を決する上において、非常に重大な問題を提供する案件であるという角度から、愼重に檢討を始めたのであります。ちようど同じような感じをGHQの方においても持たれまして、GHQの係官といろいろ相談した結果、これは簡單に紙の上でどうこう言うべきものではない、われわれ事務的な責任を持つている者が現地に行つて、つぶさに実地を檢討した結果、結論を出すべき問題であるということになりまして、今年の三月中旬ごろGHQのこの方面の課長と私現地に参りまして、縣からも話をききまするし、また実際に市町村も四箇所ばかり訪れまして、実地の檢討をしたわけであります。その際得ました一應の結論として、縣の考え方は考え方として間違つているところは一つもないという結論が出て参つております。しかしながら縣がこういつた方策を強行した時期に多少問題がある。と申しますのは、この縣がかかる強攻策をとりました時期が、ちようど昨年の八月ごろであつたのであります。昨年の八月ごろといいますと、ちようど第八次の基準改訂か行われますときでありまして、当時基準改訂が行われます前におきましては、六大都市五人世帶で千五百円という基準が実施されておつたのであります。この基準は八月一日の改訂によりまして一挙に四千百円に引上げられたのであります。問題と申しますのは、この生活保護法を嚴重に実施するということが行われましたときに採用されました基準が千五百円の基準であつたわけであります。從つて考え方に正しいとしても、採用された基準が千五百円であるとすれば、当然それから出る結果は非常にむりなものになるということが、いろいろ檢討いたしました結果、唯一の疑問点として残つたわけであります。それ以外におきまして、たとえば市町村に対する訓練、あるいは民生委員に対する教育の程度等は、その地の軍政部の非常に強力な指導の結果もありますけれども、私ども他の縣を見ました眼で見ましても、まず第一級の水準にあると申してもよい程度によく訓練されております。すべての問題を十分にこなしておる。われわれがこれくらいこなしておるかと思うくらいに、民主委員が十分こなしておるという、非常に水準の高い状態であつたわけであります。そういう状態でありましたから、結局問題としては千五百円の基準を基礎にしてすべてを進めておつたというところにあるのだという結論であつたのであります。それ以外に、たとえば非常にむりな仕事をしいていないかというようなこともいろいろ檢討いたしましたけれども、確かにこの縣に積極的に生業を與えて立ち上らせるという方面には、非常な努力と指導を加えております。その結果、稼働能力のあるもののほとんどすベてと言つていいくらいの人々が何らかの職を與えられて、それによつて收入を得ておる。その結果また扶助費が減額されている。こういうことになつておるのでありますが、それ自体決して惡いことではなく、むしろ生活保護法に積極性を持たせるという意味において、その努力に買うべきものであるという感想を持つたのであります。そういう事情でありますから、三月の査察の際には、私どもといたしましては、昨年中に保護を停止されました世帶、あるいは廃止されました世帶は、およそ一万世帶程度あつたのでありますが、これについてできるだけ早い機会においてもう一回現在の生活状態を綿密に調べ直してもらいたい、現在の基準、つまり当時の基準に四千三百円という基準でありますが、この基準によつてもう一回嚴密に收入支出を当つてもらいたい。昨年保護を廃止もしくは停止したあとにおいて、その世帶がどうなつておるかということを嚴重にひとつ追究してもらいたいということを、注文として残して帰つて参つたのであります。この結果がどうなるかということを非常な関心を持つて待つておつたのでありますが、この縣におきましてはこの指示を非常に忠実に守つてくれまして、四月の十五日から二十五日まで十日間にわたつて、すでに廃、停止をいたしました一万世帶について、全部その後の状況を調べてくれたのであります。その結果は、大体におきまして調べ直した結果、現在の状態において保護をしなければなるまいと思われるものが、数に多少正確ではございませんが、一五%前後でございまして、これはただちに保護を再開いたしました。それ以外の中には、たとえば死亡したり、行方不明になつたりいたしました等のために、実際上問題にならなくなつたものもあります。まあ大体の議論といたしまして、おおむね現在にやつておる。生活保護法の水準以上のところでやつておるという結論を持つて非常に喜んで縣の責任者が参つたのであります。その報告を受けてもう一回私自身現地に参りまして、綿密に現地調査を実施いたしたのであります。その結果、少くともこの縣が行つた調査のやり方には決してゆがめられたところはないという感想を得て、私といたしましては、現在の生活保護法の基準をあの縣で嚴格にやるとすれば、大体現在現われておるような結論が現われるだろうということを肯定せざるを得ないという気持ちで帰つて参つたのであります。もちろんこの点についてまだ多少のむりがあるという感じは残つております。また私以上に、私と参りました関係当局の係官は、もつと消極的な感想を持つておりますが、私としては、感想は別として、そういうことを是認せざるを得まいという感じを現在でも持つております。でありますから、結局あの縣における特殊の事情、それによつて説明し得る以外の事柄は、やはり先ほど來局長が御説明申し上げましたように、現在の生活扶助費の基準額が非常にむりなところにあるということをあの縣の実績が物語つてくれておるのだというように考えざるを得まいというのが、私どもが現在持つておる結論であります。こういつた結論に基きまして、先ほどもお尋ねがありましたが、来年度におきましてはぜひともこの基準を、文字通り人らしい生活のできる最低の水準まで持つて行きたい、具体的に申しますと、エンゲル係数から見まして七〇%程度のところにはぜひとも持つて行きたい、かように考えておるわけであります。
○丸山委員 詳細の御説明を承りまして了解いたしましたが、そういうような数もこの法を正しく運営し、最も國民の福利上けつこうなやり方であるというふうなことでありまするならば、從いまして他の府縣ははなはだルーズである、こう申さなければならぬわけであります。ルーズに流れることは嚴重に戒めなければならないことと考えられますので、なるべくそういうことの実態の御説明というようなものを各府縣になさいまして、ルーズに流れることを防止するような方法を講じていただくことを特に私からお願いして終ります。
○岡(良)委員 先般委員長のお供をいたしまして近畿数府縣の方へ視察に参りましたところ、たまたま大阪府で近畿地方数府縣の遺族代表の方々と懇談する機会を得たのでありますが、そのときの所見、また当時の遺族代表の方々の情報の二、三を披露いたしまして、当局の御所見を具体的に承りたいと思うのであります。
 まず第一に各府懸の遺族代表の御意見を総合いたしますと、遺族の團体の間に、府縣ごとにいろいろな対立というような姿が見受けられるのであります。ひとしく戰爭による最も大きな打撃を受けた遺族の痛切な切望が、大きな團体となつて力強く政府当局に善処の要求をいたすべき筋合にもかかわらず、これらの團体が府懸においても別個な対立組織を持つておるというような傾向が見受けられたのでありまして、これは遺族自身のためにもまことに遺憾なことだと私ども考えておるのでありますが、遺族團体の指導と申しましようか、そういう点について、現在特にそういうふうな対立の傾向があるという事実に対しまして、当局としていかなる対策を御用意になつておられましようか、その点をまず第一にお尋ねをいたしたいのであります。
 それから当時遺族の代表の方々が涙を流して訴えられるところの最も大きな問題は、社会一般の遺族に対する理解の不足であるという恨み事でありまして、どうもいろいろな制約あつて公葬もできないし、また公人が個人の資格においてでなければ参列することができないというようなこと等がありまして、これがさらに反動的な氣持を誘い起して、何か戰犯扱いのような印象を受けることがあるということは、非常に残念であるということをこまごまと訴えられる未亡人もあつたのでありますが、要するに遺族の問題は單に物資的に報いるだけではなく、とにかく國の至上命令によつて、大きな打撃を受けられた家族たちの問題でありますから、精神的にそうして偏見のないような指導をするというような思いやりを、政策の上に打ち出して行く必要があろうかと考えるのであります。そういう点につきましては、もちろん遺族そのものに対するいろいろ具体的な政策が実際に顧慮されることが最も望ましいことではありますが、ともあれそういうふうな一般的な氣持があることは非常に耐えがたいということを訴えられておりましたが、こういう点について政府として、何か具体的な方法を御用意になつておられないだろうかという点をお伺いいたします。
 それから生活保護法の問題でありますが生活保護法のことにつきましては、先ほど來るる御当局の御答弁もありましたが、たとえば奈良縣の遺族代表がこういうふうに訴えられております。自分の家は自分の村では一番の旧家である。自分の家は四百年たつておる家であつて、村一番の大きな家だ。ところが四百年もたつておるから住宅もいたんでおる。ところがなかなかこれを修理するにも費用がかかるが、それだけの住宅を持つておると民生委員の方々といたしましては、やはり適用に対して躊躇されるという趣がありますので、非常に困つておるというお話もありました。生活保護法につきましては、住宅についても最近顧慮されておるようには聞いておりますけれども、しかし特別に遺族の方々のそういうような窮況に対しましては、民生委員の方々といたしましても幅の廣い考えで対処すべきではないかということを痛感いたしたのでありますが、その点につきましても御当局の考えを承りたいと思います。
 それから最後に遺族の方々の一様に訴えられたことは、最近はやつと三千円ばかりのお金をいろいろな名目で手にすることができたけれども、われわれの打撃というものは、この程度のものをもつてしてはとうてい報いられないのだ。ところで生活保護法ということになると、やはりいろいろ嚴重なしきたりがありまして、適用を漏れる実例が多々ある。何かそういう点で民生委員の方では遺族たる身分にかんがみて特別な考慮を拂つてもらうようなわけに行くまいか、こいうふうな訴えがるるあつたのであります。それでこの遺族に対してはある方々は何か年金の給與ということをしてもらえないものだろうか。これがさ少であろうとも、やはり政府としてわれわれに報いるという心持を具体的に現わしてもらうというふうにならないものであろうかという要求があつたのでありまして、こういう点につきまして政府のお考えを承りたいと存じます。
 なおあわせて総括的な問題でありますが、先ほど來無差別平等という御意見も出ております。なるほど無差別平等で、憲法で文化的な生活が保障されておるが、しかし社会保障制度も審議会が発足したとはいいながら、昨年、一昨年の保險制度の委員会の答申案等を見ましても、かなりな予算を伴うことだと思うのであります。從いまして彌縫的に個々の不合理あるいは足らないものを補うということは期待できるかもしれませんが、現在の國家財政で社会保障制度が急速に実現をされる―これに私どもの衷心からの願いでありますが、なかなか容易ならぬことだと思います。これがほんとうに実現されれば問題にないのでありますが、こういう点について当局といたしましては、社会保障制度審議会の急速なる決定を待つて、当局としては責任をもつてこれが急速な実現に邁進をするという御決意があるかどうか、かつまたそれにもかかわらず、國家財政等の事情がありまして、いろいろその点において行き届かない点があるとすれば、これに何としてもやはり社会保障の大前提といたしまして、廣く戰爭犠牲者、特に最も打撃を受けておる遺族に対する厚生援護のあたたかい手を差延ぶべきだと思います。そういう観点から、大阪並びにその近傍の遺族代表のこもごもの声を集約いたしましてお尋ねをいたし、あわせて社会保障制度についての当局の決意のほどをこの際あらためて伺いたいと思います。
○木村(忠)説明員 遺族の問題につきましては、われわれとしては國民として國家のためにと申しますか、戰爭によりまして非常な打撃を受けられたことに対しまして、まことにお氣の毒に存ずるのでございます。從つて当然の考えとして遺族に対する特別なる保障ということは考えられなければならぬのであります。ただ現在のところにおいて、遺族に対して特別なる保障をするということが盛られていないということは、まことに遺憾に存ずるわけであります。ただこれについて物質的に何ら報いないというだけでなく、さらに國民全体が白い目をもつて当るということははなはだ申訳ない、これは政府と申しますか、われわれこういう仕事に当つております者として、われわれのやり方が適当でないためにそういう状況になるのかと思うのでありますが、これについてはまことに申訳なく思つております。國民としてはこれらの方々にほんとうに心底から同情の念をもつて当らなければならぬものであろうと考えております。われわれはこれに対して物質的には報いる道を持つていないのでありますから、第一線の者を指導するに際しましては、常に氣持の上だけでもあたたかい氣持をもつてこれに当るようにしていただきたいということを、常に念頭に置いて指導いたしておるような次第であります。ただ足りません点は遺憾に思つておる次第であります。
 第一に遺族團体の点でありますが、現在各種の民間團体につきましては、表向きこれに対する助成をいたしますことはわれわれとしてはできないのでありまして、中央から一つの指令を出しまして、これによつていろいろな團体を組織するということは、いろいろな意味からいたしまして適当でないというふうに考えております。地方において実際に遺族の方々がお互いに励まし合うという意味をもちまして團体を設け、それでもつていろいろな事業をやつて行かれるということはわれわれの最も歓迎するところでありまして、それらの事業においてわれわれが御援助できますことについては、できるだけ御援助いたしたいというふうに考えております。現在お話のようにいろいろな遺族の團体がありまして、その團体相互の間において、いろいろ摩擦もあるというようなことも開いておるのでありますが、これをどういうふうに統合するかということにつきましては、われわれとしてその指導いたしていないのであります。ただこれができるだけ正しく発逹して行くということを希望しておるというだけであります。これについては内面的に御援助申し上げるというだけでありまして、それ以上のことは現在としてはできもしませんし、またしてはならないのであります。つまり政府がこれを誘導するということについてはしてはならぬ、やはり自発的に盛り上つて、それが正しく、伸びて行くようにいたすべきであろうと思つております。それから遺族に対して冷たい氣持を國民が持つておるということは、先ほど申し上げましたように、われわれのやり方がまだ十分でないという点を非常に遺憾だと思います。ただ遺族に対しまして特別なる処置をとるということは現在ではできないのであります。ただこれに対しまして、國家保障として別途考えるということならば、これは國家におきまして、損害を受けました者に対して補償することを考えます部局におきまして十分考えていただきたい。われわれはそういう氣持を持つております。われわれのように、國民全体の生活の最低のものを維持する、最低生活を保障するという仕事をいたしておりまする面からいたしますれば、原因のいかんを問わず、物質的に最低の生活が維持できるというところまでやつて行かなければならぬのじやないかと思つております。ただ現在われわれの持つております基準は、先ほど申しましたように、きわめて低いものであるという点まことに申訳ないと思つておりまして、この点もできるだけ人たるに値する生活にまで持ち上げるように努力するというのが、われわれとしまして現在なさなければならぬ責務であるというふうに考えまして、この問題に向つて努力いたしております。この点につきましては、皆さん方の一應の御鞭撻をお願いしたいと思つております。
○矢野説明員 社会保障制度の問題は、実はすでに御承知のごとく政府がその審議会をつくりまして、衆議院、参議院からも皆様御承認の上に委員を派遣していただいておるわけでありまして、実は政府独自の立場としても、現在の段階においてはいろいろとさいぜんもその一端に触れましたが、大きく総合的計画のもとに、一本で全部これを救つて行くようにするか、今は社会保障制度というものが総合的の制度を確立しませんけれども、それぞれの面においては、すでに立法の手続をし、予算的裏づけをもつて働きかけておるのもたくさんありますので、その大きい構想から全部をまとめるようにすべきであるが、今のような段階において、一應のまとめをして行くようにすべきか、これも政府自身としては考究しておりますが、最も民主的に結論を出していただきたいために、皆さんの御承認のもとに、社会保障制度の審議会をつくつておるようなわけであります。この会は総会並びに小委員会を設けまして、それぞれ非常に御熱心に運営していただいておりますので、遠からず結論を出していただけるであろうと推定しておるような次第でございます。この結論を最も重視いたしまして、その結論に應じたる立法措置並びに予算措置をして行きたいと考えておる次第でございます。
○岡(良)委員 私の聞き違いかもしれませんが、実は遺族の方から先般こういうふうなお訴えを聞いたのであります。現在農家においては、主人がおつて働いておる場合には、妻たる者あるいは年齢により控除される者は扶養家族として税金を控除されておる。ところが遺家族の場合、つれあいが失われたために非常な過重労働をやつておるにもかかわらず、妻たる者が控除されておらないということは、明らかに非常な矛盾ではないかという点を指摘しておる遺家族の代表がありましたが、その点について眞相を承りたいと思います。
 いま一つは、生活保護法の適用において、民生委員が最近しばしば何か躊躇するような傾向があるのは、生活保護資金の政府負担分の支拂いが、どちらかというと、遅れがちになり、從つて実質的には町村の負担分はわずかではありますけれども、立てかえ拂いといたしまして、相当な負担をしなければならぬというような事情が財政の貧弱な村々等においてありますために、生活保護法で受くべくして受けられないというふうな矛盾があるという点を聞いたのでありますが、この機会におきまして、あるいは私の聞き違いかもしれませんが、この二点について当局の御答弁をお願いいたしたいと思います。
○中川委員 ただいま岡委員の第一の問題でありますが、これは去る第五國会におきましても、未亡人に関する基礎控除の問題として、この席で取上げられたと思いますが、これについて私も実はちよつとお尋ねをしたいと思つておつたのであります。この遺族援護に関する決議案は、末尾に書いてありますように、次の國会において本院に報告をしなければならぬということになつているのでありますが、その中の具体的の項目の最後の第七でありますが、課税、農地及び供出の問題のこの課税が、ただいま岡委員のお尋ねになつた点に該当すると思うのであります。そのときも大藏当局の意向として聞きました場合に、大藏当局の意向では、ただいま岡委員の御質問になつたような点について、どうもあまり期待が持てないじやないかというようなことをちよつとだけ考えておるのであります。この点につきまして、ちようど岡委員からただいま御質問がありましたので、あわせて大藏当局との折衝の経過並びに、まだむろん最後決定までには至つていないたろうと思いますが、もし折衝の経過が多少でもおわかりになりましたならば、御説明願いたい。なお農地及び供出の問題についても、農林当局との御折衝があるだろうと思いますが、そういう点についても、今日までの大略の経過をお話願えれば幸いでございます。
○小島説明員 ただいまの税の関係で、主人が生きている間に遺族は扶養家族として基礎控除される、主人がなくなつた場合には、主人の働きも妻があわせてしなければならぬのに、扶養家族としての基礎控除もない、こういう問題につきまして、各方面から意見が國会にも提出されますし、われわれの方にもそういう要望がきわめて多数來ているわけであります。この問題につきましても、われわれとしましてむりからぬ要望であるというふうに考えておりまして、もし法律の制定ができますれば、それを法律に書くように努力いたしたいと考えます。結局基礎控除の問題でございますが、そういう問題につきまして、今大藏省に対して折衝しております。この問題はまだ未決定でありますが、われわれといたしましては、できる限りそういう問題について努力いたしたいと考えます。
 それから農地についての問題でございますが、これは農林省方面で考えるべき問題でありますが、この問題は、基本観念としては相当困難があるじやないか。ただ山実際上の運用の面を考慮してどういうふうにするかという問題は、結局そういう家庭を、援護の精神をくんで考慮するということで一切の取扱いがなさるべきであると思うのでありますが、実際の基本観念として一應一般的な面からしてそういう供出を特に減額して実施することは相当困難があるということは承知しておりますが、実際問題として運用する場合は、そういう精神をできる限り排除して実施するというように、運用の方で妙を得るように、われわれとしても関係当局に努力折衝しております。
○床次委員 ただいま御説明がありましたが、実は未亡人の所得税の問題につきましては、私どもは両方で考えなければならぬ問題がある。所得税法そのもので考える、あるいはお手元に社会局案としまして、未亡人福祉法ですか、こういう方面で考えることも適当であろうかと考えますが、もう一つ考えなければならぬ問題は、社会保障の問題じやないかと思います。社会保障制度審議会の方でどのように考えておられるか知りませんが、この公的扶助の小委員会の中には必ずしも未亡人援護というような問題が取上げられておられないような氣がするのであります。いずれ委員会の方の御報告も承ることができるかと思いますが、根本はどちらかの部面において必ず取上げてもらわないと、これが落ちてしまうのではないかということを私は懸念するのであります。税法の問題は大藏省と交渉して一生懸命その措置をやろうとしても、できればよろしゆうございますが、その見通しいかんによりましては、私は税法としてこの問題を取上げることは困難で、むしろ社会保障の問題として取上げることが確率が多いのだという感じを持つておりますが、御当局はどういう見通しを持つておられますか。あるいはこの未亡人福祉法案、これでもつて実施するのだということであれば、私はそこに重点を置いて考えたいが、御当局の見通しを伺いたい。私はむしろ社会保障制度において未亡人のこういう問題を取上げるべきじやないかという意見を持つておるのでありますが、いかがでありましようか。
○小島説明員 今お話の未亡人福祉法は非常に困難があると思いますが、そういう問題がかりにでき上るといたしまして、その案で実施することが相当可能性があるかという問題であります。これは案といたしましても、その案で実施するか、その案を大藏省の税法の中に取入れるようにするか、これはどの法律案で取上げられても私はけつこうだと思います。そういう趣旨ができる限り実現するような最もいい方法で実施するのがいいのじやないかと考えております。なおこういう問題が非常に解決困難があるから、社会保障の問題で根本的に考えなければならぬという御意見、これはごもつともであります。從つてもしこういう法案が非常に困難がありますれば、今いろいろ御議論に出ておりますが、社会保障制度として根本的に考えて実施すべきものだと考えております。
○木村(忠)説明員 先ほどの生活保護の適用の問題につきまして、一般の政府負担金の送付が遅れているために躊躇しておるというお話がありました。大体われわれの方といたしまして実際やつていることを申し上げますと、前月中に政府の方の負担金は縣並びに市町村まで全部届くというように手配しております。また御承知のように四月、五月の二箇月は暫定予算でございまして、暫定予算ができましてからこれを送りますので、少し遅れたということはございますが、厚生省から地方に負担金を送りますのは、大体前月中に送りまして、そうして翌月早々これを支給するという建前をとつております。また実際にそうなつているように監督いたしております。現に東京都においても大分遅れておると思いますが、たしか六月分からは六月の初めから支給するということになつております。
○中川委員 今の税の問題ですが、大藏省と現在折衝していらつしやる経過は、今あちらからお話がありましたが、私もちよつと困難じやないかと思うので、さつきそれを申し上げたのですが、見通し並びに経過の概要、それがもしわかりましたらお話願いたい。
○小島説明員 相当困難があるということはわれわれも了承いたしておるわけでありますけれども、われわれといたしましては、できる限り折衝いたしまして、その困難を打開いたしたいと努力いたしております。ただ大藏省当局におきましても、そういうような問題について事務当局としてはある程度の理解を持つておるのでございますが、それを税法として全面的に取上げるということになりますと、相当困難があるということもわれわれは了承いたしております。從つて問題がもし解決しなければ、先ほど申し上げましたように、社会保障制度として対策を根本的に考えなければならぬ、かように考えております。
○岡(良)委員 少し問題がはずれますが、生活保護の問題が出たので、あわせて社会局長に伺いたいと思います。私どもの郷土金澤市でありますが、生活保護法の適用者が、詳しい数字は忘れましたが、大体三千人余りあるのでありまして、生活保護のための費用の支出が大体二百万円そこそこであります。ところが医療保護の方は、人数は約三分の二ほどでありますが、支出が二百万円を突破しておるというような状況でございます。この医療保護につきましては、私も医者といたしまして親しくその適用を受けた患者を診察いたしまするが、この支拂の前に、これの適正な審査ということについて当局は何か具体的な措置を講じておられるかどうかという点について、いささか疑問に思うような例も見受けるのでありますが、この点もあわせて承りたいと思います。
○木村(忠)説明員 生活保護法の中の医療扶助の問題でありますが、これは最初は非常に低かつたのでありますけれども、一点の單價が高くなつて参るにつれまして、また一面医寮費が生活費の割に高くなるという実情からいたしまして医療扶助の額はだんだんふえて参りましたので、現在では全國的に見まして生活扶助よりも少し少いという程度になつております。ただ場所によりましては、今お話のように医療扶助の方が高くなつているというところもあるようであります。それにつきましては、実際問題といたしまして、その医療扶助を受けなければならない人が医療扶助を受け、しかもこれがふえて來ているというなら当然拂わなければならぬと思います。また当然しなければならない手当をしてこれに必要な経費をとるというのも、当然拂わなければならぬと思いますが、今お話のように、その間にいろいろな問題もあるようであります。これは今年の三月に医療扶助制度のやり方についての詳細なる通牒を出しました。なおそれとともに、この医療扶助を実施いたすにつきまして、その請求が妥当であるかどうかという点を審査するために、審査の経費を地方縣に出しまして、それによつて審査をさせるようにいたしておりますが、これまた最近その審査の組織がぼつぼつそろつて來ているといつたような状況でありますので、今後この点に妥当ならざる支出は抑制されるようになるだろうと考えております。
○青柳委員 ただいま税金の問題がございましたが、ただいまの税金の問題は法律の建前に関する問題でありまして、実は運営の面でいろいろ考えなくてはならない点がほかにもあるのであります。たとえば同じ営業をやつておりましても、婦人の家庭と男のある家庭と同じ営業をやつている場合に、同額の所得を見積られるというのが実情でありますが、婦人、子供のみの家庭でありますと、営業をやつて行くのに男のある家庭よりも、必要な経費がよけいかかる場合があるのでありますが、現実においてはそういうことを税務署が認めておられない場合が多々ありまして、われわれそういう嘆きをしばしば聞くのであります。これは税制の運営の面の問題であると存じます。
 また次に先ほどもお話がございました農地の問題でありますが、遺族あるいは未亡人の家庭でありますと、法制の上では農地調整法の第九條に特別の事由ある場合には土地を返してもらうことができるという規定があるのでありますが、現実には弱い婦人の手でこれが実現をはかることがむずかしいのであります。しかしこれまた運営の面による救済の余地のある点であります。また供出の場合につきましても、現在の事前割当は男の所帶と男のいない所帶と同じ量の割当を受けるのであります。その結果女の人はむりをして男の人を雇い、高い金をかけて生産して割当量を完遂する。しかも政府に買上げられる價格は同じであるのでありますが、この点は初めの割当を実情に即したように行う必要があるのであります。要するに税金について必要経費の面、農地を返してもらうこと、また供出の割当についてすベて法制は整つておるのでありますが、実際の運営の面におきまして、男と女と同じように見られるために、遺族の家庭、未亡人家庭が非常に悲嘆にくれておるという実情なのであります。從いましてこの点につきましては厚生当局におかれまして、それぞれの関係当局とよくお話合いを進められまして、実際の運営の面において円滑にして、しかも妥当なる解決を得られるように地方に通牒を発せられまして、地方におきましては民生委員の協力なる助力のもとに、正しい運営を行うようにされてはいかがかと存ずるのでありますが、御当局の御意見を承りたいと存じます。
○矢野説明員 免税の点、その他適切なる御質問でありますが、率直に申しますと、厚生当局は大藏当局等との折衝がまだあまり具体的に進んでいないように私は聞いておりましたので、十分御趣旨を体しまして、きようからでもただちに大藏省当局と折衝を開始するように局長を鞭撻したいと思つております。
 それからさいぜん丸山委員でいらつしやいましたか、その他からこの生活保護法の適用等が各縣において非常に硬軟二つのはなはだしい事実を示しているというようなことにつきましては、社会局長並びに説明員から、ことに説明員はよく実態を調査して御返答申し上げたのでございます。しかしこの問題は生活保護法の適用だけでなく、あるいは生業資金を借り受けるというような問題、その他非常に民生委員の各位が実際にお当りくださるのでありまして、どんなにABCという三段の基準を事務当局が机の上で立てましても、実際の末端の運営に当つてくださる方々は民生委員の各位でございますので、ことに民生委員諸君は今の世の中にほとんど純然たる奉仕的の立場からお働きを願つておるような次第でございまして、過般七月一日、二日、三日、北海道におきまする初めての民生委員総会等にお示しくださいました熱意等を見ますときに、このままで待遇をするに忍びないというぐらい実際熱意を示していただいたのでございます。しかし今のような制度の精神は、あくまで待ち続けて行きたい政府の意向でありますが、あるいは調査費であるとか、あるいは研究費、事務所の費用等を政府がもつと負担いたしまして、民生委員の各位が皆さんのおつくりくださいました立法の精神を十分にくんでいただいて、また政府当局がお願いしたいという氣持を十分に察していただきまして、この法が実際の上に間然することなく活用されるように、民生委員の各位に一段の御奮発を願いますように、政府といたしましてもお願いをいたしたいと思つておるような次第でございます。
 この二十二日にその問題ばかりではございませんが、全國の社会課長、厚生課長の会議を開くことにいたしておりますので、これらの課長諸君にも民生委員の方々が一段と法の適用に御活動願うように懇請するように、政府から要望したいと思いまして、かつまた皆様の御趣旨に沿いたいと実は考えておるような次第でございます。
○堀川委員長 それではこの程度で休憩いたします。午後は一時半から開会いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十分開議
○堀川委員長 それでは午前中に引続きまして、会議を開きます。
 この際苅田委員より要求がありますので、集團赤痢の発生事件を議題といたします。この際右に関する発言を許すことにいたします。苅田委員。
○苅田委員 集團赤痢の発生というような傳染病に関して、それに関連した問題について少しお聞きしたいと思います。新聞紙上にも報道されておりますように、今夏集團赤痢が埼玉縣とかあるいは長野縣、新潟縣、千葉縣とかそういう方面で相当出まして、これが社会的な問題になつておる通りなんですけれども、近年一般に傳染病が戰後非常な減少の傾向があつたにもかかわりませず、こんな集團赤痢が非常に蔓延しておるということについて、どういう原因であるかということと、それから、この蔓延の現在の状態と、これに対する厚生省の処置、こういうことについてまずお伺いしたいと思います。
○三木(行)説明員 まず現状につきまして御報告申し上げたいと思いますが、これは八月十二日現在の状態であります。集團赤痢の発生いたしておりまするところ、あるいはいたしましたところは東京都西多摩郡平井村、多西村、これは六月下旬から七月下旬までに発生いたしまして、患者数は約九十、死者は五名であります。茨城縣におきましては日立市の日立鉱山の寮、それから土浦市中村町引揚者の寮、これは前者が十四名の患者、後者が十名の患者、死者はございません。それから千葉縣におきましては、東葛飾郡の柏町でありますが、これは六月三日から七月下旬にかけて六十六名の患者が出ております。死者は六名。埼玉縣におきましては、鷲宮町、太田村ほか数箇村におきまして、六月上旬から七月下旬にかけて七十三名の患者、死者は六名であります。長野縣におきましては、下高井郡夜間瀬村は七月七日ころから発生いたしまして、患者数二十三名、死者一名、同じく長野縣上田市中常田区、これに七月十六日から発生いたしまして、七月二十八日まで、患者数は二十八名、死者はございません。同じく長野縣の松本市の蟻崎國立松本療養所でありますが、これは七月十四日に発生いたしまして、患者数十四人、死者はございません。新潟縣におきましては、新潟市及び周辺の二町三村、これは六月十四日ごろから発生いたしまして、患者がちよつと多くございまして、二百五十七名に及んでおりますが、死者の報告にございません。和歌山におきましては、和歌山市に七月中旬から発生いたしまして、患者数は二十七名であります。長崎縣におきましては、西彼杵郡高浜村端島鉱山寮に五月の二十八日ごろから発生いたしまして、七月十五日まで、患者数は四十二名で、死者はございません。最後に佐賀縣、佐賀市外の高木瀬村の引揚者寮に六月二十八日から七月五日まで、その数十三名でございまして、死者はございません。
 これらに対してとつた処置でありますが、このうち委員の皆さんも新聞等で御存じでございます埼玉縣の例をとつてその対策を御説明申し上げたいと思います。この埼玉縣鷲宮町におきましては、大体今年の一月ごろからときどき下痢患者、消化不良というような死亡診断書が初め出ているのでありますが、これは特別に著明なことはなかつたのであります。ところが七月の中旬になりまして、これはどうも少しおかしいじやないか、しかも二、三続いて來るというので、調べてみますと、そこに相当数の患者がおつた。そこで埼玉縣といたしましては、さつそく私どもの方に連絡もいたしますし、鷲宮町に臨時防疫本部を設置いたしまして、翌日は加須町の加須保健所の管内関係三十三箇村の町村長を集めましてこれが対策を協議し、ただちに檢病的戸口調査をやり、あるいは檢便をやり、また虱族昆虫あるいは食品衞生の係官も動員いたしまして、青年團及び消防隊の應援のもとに極力これが防遏をはかつたのであります。ところが、幸いなことにはこれらの予防措置によりまして、小學校を改造いたしまして傳染病舍にするというような準備もいたしましたけれども、さようなこともなく、おおむね七月の終りごろにおきましては新患者の発生は見ないという状態になつているのでありまして、患者は本年一月以降のもの、それも死亡診断書によりまして、赤痢でないというもの等も一々医師につき調べてみますと、結局推定患者は百七十六名、そのうち死亡が三十名であろうというような結果になつているのであります。昨日現在におきまして、赤痢患者は五十四名が治療中であるという状態であります。
 御指摘になりましたように、傳染病患者は戰後一時上昇いたしましたけれども、二十三年度におきましては、未曽有の好成績をあげておりますにもかかわらず、今年度におきまして赤痢患者が相当に出て参りましたことは、私どもとしては非常に遺憾に存じでいるところであります。そこでただちに全國に通牒を出しまして、早期発見及び早期鎭圧に関する万般の措置を講ずるような手配をいたしているような次第であります。
 これが原因として見られますのは、埼玉縣に例をとつて見ますと、この地域は御存じのように、昭和二十二年秋の水害によりまして、床の上浸水おおむね一、二尺というような被害をこうむつているのであります。その当時からの保菌者がいるのではないか、それが発病をした、ところがそれに対してすみやかに届出をし、すみやかに鎭圧いたしませなんだために、お葬式の会葬に参りましたために廣がるというようなことが原因であつたように考えられるのでありまして、そういう点につきまして特ににDDTの散布でありますとか、あるいは便所の管理あるいは床下の掃除をおそまきながら十分励行するというような措置をとつておるのであります。この機会にお手元にお配りいたしました資料につきまして、本年度における傳染病発生概況につきまして御報告を申し上げたいと思うのであります。
 まず最近十箇年間の法定傳染柄の死者数の方の表をごらんいただきますと、ここにごらんになりますように、これは昭和二十三年まででありますが、昭和二十三年が最も少く、総数におきまして五万六千百九十一ということになつております。逐年、二十年をピークといたしまして二十一年、二十二年、二十三年は特に少い、こういう状態であります。これは患者数でありますが、死者数につきましても同様な関係が見られるのであります。次の資料の二十四年の上半期傳染病の発生概況でありますが、この表をごらんいただきますと、赤痢につきましては七月二十三日現在におきまして五千八百七十四、昨年の七月二十三日までの累計は四千四百八十三でありますから、昨年を一〇〇といたしまするならば、今年度は一三一、三割一分増しということに相なるわけでございます。なお腸チフスにおきましては昨年の七割一分、パラチフスにおきましては七割七分、痘瘡におきましては非常にふえておりまして、七十六割というような、七倍にもふえておるのであります。これは密航者によりまして蔓延いたしたのであります。率といたしましては非常に大きく、またこれに対しては適切な措置を講じましておおむね終息いたしておるのでありますが、絶対数につきましては百二十二名、昨年は十六名、こういう次第であります。発疹チフスは八十二名、昨年の四百六名に比べますと二割であります。しかもこの発疹チフスの中にはいわゆる発疹熱と称する、発疹チフスときわめて近似したものも含まれているのでありまして、眞性発疹チフスは八十九名よりもはるかに少いということになるわけであります。なお猩紅熱につきましては、二千八百四十八、昨年同期は千六百六十一でありますから、これも相当にふえておるのであります。これは今年度におきましては異型猩紅熱と申しまして、人から人にうつらない眞性の猩紅熱とはやや違つたもの、そうして死者を出さない軽症の者が今年はあるのでありまして、それも猩紅熱に入れておるのであります。ジフテリアは九割三分、流行性脳脊髄炎は六割八分、日本脳炎に至りましては昨年の二千七百七十一に比べまして百六十一名、これも眞性の日本脳炎と決定されたものは今日わずかに十五名でありまして、百六十一名のうち十五名が眞性である。從いましてそのトータルにおきましては二万二千九百七十一名、昨年の同期に比べまして、八八%といろ状態であります。もとより赤痢のような、注意をすれば防ぎ得る疾患がかように集團的に出て参りましたことは、防疫当局としてまことに申訳なく、一層の努力を必要とすると存じますが、國民保健概況から申し上げれば、昨年と比べまして必ずしも惡いというわけではなく、むしろ少くなつておる状態であるということをこの機会に御報告申し上げたいと思います。
○苅田委員 所澤病院の赤痢患者の実情について調査した報告を持つているのですが、これによりますと、入院患者が七十七名、しかも院長の言うところによると、実際はこれよりもずつと多いだろうと言う。そしてその中で二〇%の死亡率があるわけです。ここは町立の病院ですから予算が少く、そのために看護婦の手も足りなくてひどい状態になつている。こういう場合には國家としては費用の点で、國が三分の一、縣が三分の一、市町村が三分の一というとりきめがあるのだそうですけれれども、そういうものが少しもこちらに來ていないというふうに聞いております。こういう点について、関係当局の方がもしお調べになつておれば、どういうふうになつているかお聞きしたいと思います。
○三木(行)説明員 お示しになりました所澤の病院については具体的に存じておらぬのでありますが、傳染病予防費につきましては、ペスト、コレラを除く法定傳染病については、御指摘になりました國、縣、市町村が三分の一ずつ負担することになつております。そしてこれらの経費はいわゆる決済補助でありまして、一應村において立てかえておいて、決算をした結果に対して三分の一を補助するというようになつておりまして、これは前渡金のようなわけではないのであります。これらの傳染病予防費についてはわが國で昔から誇り得る制度で、それは予算の面において特にそうでありまして、傳染病防遏に関しては、惜しみなく必要な経費は出しているという実情でありますので、ただいま御指摘になつた病院についても、決算に対して三分の一の補助をすることは間違いございません。御了承を得たいと思います。
○苅田委員 ただいま御説明になりました傳染病の統計を見ましても非常に疱瘡が多い。これはおそらく今問題になつているワクチンの製造に大きな関係があるのではないかと思うのであります。これは疱瘡ばかりでなくて、たとえば百日咳あるいはジフテリアの問題について、今年の冬から春にかけて全國で非常にいろいろな問題があつたわけで、直接私どもも自分の出身縣である岡山縣の方々の市町村からも苦情を得ているようなわけでありますが、これは大臣官房の統計調査部で出されたものを見ましても、百日咳が本年度の累計が五万八千六百九十九となつている。昨年の二万五千九百六十八に比べると二倍以上の死亡率になつているわけであります。こういう悲惨な状態であります。これらはおおむねワクチンをもつて解決できる問題だと思います。同様なことは肺炎なんかにもあると思うのでありますけれども、こうしたワクチンの製造ができないために、國民保健上大きな問題が起つていることに対して、厚生省としてはどういう処置をとつておられるか、これについての御見解を承りたいと思います。
○慶松説明員 ワクチンの生産あるいは供給については、御存じのように昨年の暮に不祥事がございまして、それ以來製造所の再檢討をいたしましたが、あるいは製造をとめたり、またすでに出ておりました製品の再檢討をいたしたために、供給が事実非常に少くなつた時代がございまして、たいへんな御迷惑をかけておりますことにつきましては、まことに申訳なく存ずるのであります。がしかし今日におきましては、大体その見通しがつきましたので、その点を数字的に御説明いたしまして御了解を得たいと存じます。
 昨年の十二月、正しく申しますと、本年一月からすべての製造所を一應閉鎖と申しますか、製造を一時中止いたさせまして、そうしてすベてあらためて檢討をいたしたのでございます。そうして本年の四月に至りまして、從來四十箇所ばかりございました製造所をとにかく十一箇所に限定いたしまして、それらに対しましては製造の再開始をいたさしめるに至つたのであります。なお目下それに加えまして四箇所再開始をさせるべく準備いたしておるのであります。一方できております製品につきましても、これらを一般の人々に使つていただきますためには、とにかくああいう不祥事がございましたので、その点安心して使つていただきますためには、再檢査をすることが最も必要でございますので、再檢査をいたしたわけでございますがしかしその再檢査と同時にもちろん幾らかずつ新しい品が出て來たわけでございます。そこで大体年間に必要といたしますこれらのワクチンの量と、それから今日までできました量と、それから今日すでにできておりまして、これを檢定をするわけでありますが、檢定にかかつております量と、それから今年十二月までにどのくらいできるかという量を考えまして大体本年度において年間を通じて必要なワクチンの量に対しての過不足の数字を申し上げますと、もちろん過去一月から三月までの間におけるいささか不足しておつた点は、これは一應お許し願うとして、全体としてのバランスをひとつ申し上げたいと存じます。それは一つ二つのものについて申し上げたいと思いますが、そのおもなるものについて申し上げますと、まず破傷風血清でございますが、大体破傷風血清に年間に六百リツトル必要といたします。それがすでに本年の一月からついこの間の八月十五日までに檢定いたしまして、そうしてその間にもちろんどんどん使つておりますが、これは再檢査の分も入れまして、約二百六十リツトルまでにできて使つておるわけであります。そうして目下檢定中のものが五百リツトルございます。これは今月一ぱいでその檢定が終りますので、從いましてそのトータル二百六十リツトルというものが、本年供給し得る量でございます。年間の所要量は六百リツトルでございますので、破傷風の血清は十分間に合うと考えます。
 次はジフテリアの血清でございます。これは予防に使う血清でございますが、これは年間に三千リツトル必要といたします。それが本年の一月から八月までに再檢査あるいは新しいものを檢査いたしましたのが、ちようど三百五十リツトルぐらいございます。これはもちろん全体三千リツトルにしますと一割ぐらいでございますが、そのほかにただいま檢定中のものが四百リツトルございます。これは九月に檢定が全部終ります。そうしますと合計七百五十リツトルばかりができますが、そのほかに現在すでに製造されまして、製造業者が持つておりますもの、これはまだ檢定しておりませんが、約千二百リツトルございますので、それを合せますと約二千リツトルというものが現在あるわけでございます。現在檢定をしておらないものもございますけれども、しかし年間に三千リツトルでございます。從つてそのバランスは千リツトル不足ということになります。これにつきましては目下大いに増産に努力しておる次第でございますが、いずれにいたしましてもジフテリア血清につきましては、多少見通しとしてただいまのところでは千リツトル足りない。但しまだ今月と九月から十二月まで相当期間はございます。
 それから発疹チフスのワクチンでございますが、これは大体年間に三千リツトル必要といたしますが、すでにその中で本年の一月から八月までに千リツトル余檢定を完了いたしました。これはすでに使つております。なお現在二千リツトルがすでに檢定に提出されております。これは九月一ぱいに檢定が終ります。從いましてそれだけがございますれば、今年は何もつくらないでも十分間に合うという見通しはついております。
 それから腸チフス、パラチフス、これはただいま流行期にあるわけでございます。これが大体年間に一万六千リツトル必要といたしますが、すでに八月までに一万一千リツトル余すでに檢定を済ませまして使われている次第でございます。それに対しまして、ただいま檢定中のものが九月一ぱいに檢定が終りますのが六千リツトルございます。なおそのほかに製造業者の手持が約一万五千リツトルございますので、これは十分足りるものでございます。
 次はただいまもお話がございました痘瘡に対しまする痘苗でございますが、痘苗は大体平年でございますと一千万人分ぐらいあれば足りるのでございますが、本年はいささか蔓延の徴候がございましたので、全人口に種痘しようという計画を立てたのでございます。そうしますと八千万ということになりますが、しかし実際上種痘をやりますのは六千四百万人ぐらいでございます。八月十五日までにすでに千四百万人分が檢査をされまして使われたわけでございます。從いまして先ほどお話のございました大阪その他におきまして、本年発生いたしました痘瘡に対しましては、大体満足をするだけの量は出ていると私どもは存じております。ただいま公衆衞生関係についてお話いたしたのでございますが、必要な量は大体できているのでございまして、ただいま檢定中のものが三百二十万人分ぐらいございます。それ以外にすでに二千四百万人分ができておりまして、これはただちに檢定にまわされ得るものでございます。なおそのほかに四千万人分を製造する手配ができております。從いまして本年中にはたとい全部の人々に種痘するといたしましても、まず供給できる見通しが立つております。
 次はジフテリアのおもなものだけ申し上げます。ジフテリアの特徴でございますが、これは年間にいたしますと一万リツトル必要といたします。一万リツトルに対しましてこれは昨年不祥事件を起しました根本なものでございますので、愼重を期しまして、再檢査等に十分な時日をかけておりますために遅れております。本日までわずか二十四リツトルが出たにすぎません。但しこれは治療に使うのでありませんで、予防に使うものでございますが、しかしただいま檢定をやつておりまして、それが約六千リツトル見通しがございます。これは九月一ぱいに終ります。
 なお、この機会に申し上げますが、大体再檢査をやつておつたのはすベて百日咳ワクチンとジフテリア・トキソイドを除きましては、全部再檢査を終りまして、この二つも九月一ぱいには再檢査が終る予定でございますが、六千リツトルは今再檢定中なのと、手持が約二千八百リツトルございます。合せましても八千リツトル余になりますが、実際檢定で落ちるのがございますので、まず七千リツトルぐらいは供給できます。いささかこれは不足でございます。正直に申しましてジフテリア・トキソイドは不足でございます。先ほど申しましたジフテリアの血清が約六千リツトル足りませんで、これは今年中に大いにつくるべく努力するわけでありますが、從いましてジフテリアが一番危い、ジフテリア・トキソイドは製造業者がたくさんございますので、從つてこれを製造するのも又比較的樂であるという点も考えに入れる必要があると存じます。百日咳ワクチンに至りましては、これは大体予防の意味で使いますと、年間に二万リツトル必要といたしますが、ただいま檢定中のものが二千五百リツトルございます。これは実は百日咳ワクチンは製造量あるいは手持量から申しましても足りないものでございます。御指摘になりましたように、確かに百日咳とジフテリアにそういう藥ができております。しかしもしも百日咳ワクチンを治療だけに使うといたしますと、これに非常に少くて済むのでありまして、治療だけに使いますと、六十リツトルだけでございますと、治療は大体一万人分くらい――この九月から十二月までの累計を考えますと、大体それくらいなのでありますが、それには十分間に合うという見通しを私どもは持つております。なおそのほかコレラとかペストのワクチンにつきましても、再檢定をやつておりますが、これらはあまり平生必要とするものではございませんが、もしも起つて参りましても、コレラにつきましてもペストにいたしましても、間に合うだけの量の供給は十分見通しがついてございます。なおBCGワクチンにつきましては、平年ならば三千五百万人分くらいを要しますが、本年はまず二千百万人分くらいを必要といたします。実は檢定の方法等がいろいろ注文がございまして、だんだん檢定に時間を要します。大体一月半くらいで檢定が済むべきものが三月くらいかかるような状態になつておりますので、いささか檢定が遅れまして、從つて十月からでないと予防接種ができないと思いますが、現に檢定中でございますので、十月にはまず千二百万人分くらいは供給できる見通しがすでについております。あと千二百万人分あるいは一千万人分くらいの供給はそう困難でないと考えております。大体数字的に見ますとそういう状態でございますが、從來よりも檢定の方法を強化いたします。すなわら從來は小わけしましたものだけを限定しておつたのでありますが、今回はまず元で大入りびんで一ぺん檢定して、さらに小わけしたものを檢定するという万全の策をとりましたことと、なお檢定を非常に詳しくやりますために時間がかかります。從來よりもそういう点で十分愼重を期するようにいたしておるのでありますが、但しそのためにまた再檢査に時間がかかりまして遅れたのでありますが、ごく最近に至りまして大体の見通しがつくようになりましたので、本日御報告ができるようになつた次第でございます。大体バランスの点はそういうことでございます。
○苅田委員 政府の方でもこれらの問題について非常に努力していただいていることは、まことにけつこうなのでございますが、ただいまの御説明でもはつきりしておりますように、ジフテリアないし百日咳はまだ非常に不安心だと思うのですが、これはただものをつくるだけで十分なのでなく、やはり時間に間に合うようにつくるということが必要だと思うのですけれども、今年の冬までに必ず必要量だけつくるという見通しがあるかないかということを、さらにもう一度聞かしていただきたいことと、それから製造が遅れた一つの原因として、ただいまも御説明になつたように、非常に檢定の方法が嚴重になつたということ、これは非常にけつこうだと思うのですけれども、こういうワクチンなんかは、以前にほとんど傳研と北研あたりが製造しておつた。ところが最近ではただいまおつしやつたように、非常にたくさんの業者がこれをかつてにつくつているわけなので、先年この問題が起りましたときにも厚生委員会で問題になつたと聞いておるのであります。そこでこういう重要な問題は、やはり一定の、できれば國立のワクチンの研究所でこれを責任をもつてつくるというような処置をとつた方がもつといいんじやないかというようなことも考えられるのでありますけれども、こういう問題について政府の方ではどういう御見解を持つておられるか、この点をお聞きしたいと思います。
 それから第三点として、先だつて公衆衞生局長に個人的にお尋ねしました際に、今年の腸チフスの注射は從來の十分の一の量をやつている。しかしそれで刺戟すれば眠つている免疫性を起すことによつて十分に目的にかなうのだという御説明があつたかと思うのでありますけれども、そういうことが医学上はつきり認められておるかどうかということ、もしそうでおれば先年制定されました予防接種法にきめられている注射の量とは違うわけなんですけれども、政府としては予防接種法を改訂する意思を持つておられるかどうか。以上三点について御説明願いたいと思います。
○慶松説明員 第一点の足りないと思われておるものにつきましては、私ども万全の努力をいたしまして、製造業者を督励し、また資材その他も十分に供給いたしまして、できるようにいたしたいと思います。なお第二点の傳研あるいは政府の機関でこれをつくるという問題につきましては、從來もそういう時代がございましたが、非常に多くなりましたので、ただいま御説明いたしましたように、非常に嚴選いたしまして、設備の十分と考えられるものに対してのみ許可をいたしました。しかしながら、これをいかに取扱つて政府が責任をもつて供給するようにするかということにつきましては、いろいろ考え方があると思うのであります。必ずしも政府自身がやらなくても、全部買上するとかいろいろな方法によつて解決できると思うのであります。また一面細菌製剤に対する監視員を強化いたしまして、この点の解決に努力いたしたいと感じておる次第であります。
○三木(行)説明員 本年は〇・一CCの皮内法をやつているようであるが、その免疫効果はどうか、なお予防接種法を改正する意思はないかというお尋ねであります。本年度〇・一CCの皮内接種法を採用いたしましたのは、いわゆる初回の免疫ではなくて追加免疫の場合だけであります。本年度といえども初めて注射をやる方々には予防接種法の定める接種法を採用いたしておるのであります。最近注射をなさつた方に対してのみ〇・一CCの皮内法を臨時便法として採用して実施いたしたのであります。もちろんこれらにつきましては私どもも学問的根拠を持つておるのでありますが、ただわが國におきましてはなお十分過ぎるほどのデーターがあるというわけではないのでありまして、これはあくまでも本年度限りの便法ということにいたしまして、成績を見た上で改正をするかしないかということをきめたいと考えておるのであります。この方法の免疫効果につきましては大体同じことでありますが、ただ〇・一CCの皮内法におきましては副作用が少い、全くないと言つてもいいくらいの利点があるのであります。それと同時に從來の皮下注射になれている点から申しますと、皮内法というのは技術的な困難がある。現に腸パラ・ワクチン類が予定よりもよけい必要を感じておるということは、地方末端におきまして実は皮内法によらず皮下法によつている。これは技術になれないために皮下法によつているということであると思うのであります。それにいたしましても、本年度の便法として採用いたしたのでありまして、これが成果については十分檢討を遂げたいと考えているのであります。
○苅田委員 最後の御答弁につきまして、私ども重ねて自分としての意見を申し上げたいと思うのですが、予防接種法というのは國できめられた法律であつて、しかももしこれに反するときには罰金をもつて処分されるという嚴重な規則を持つておる法律だと思うのです。そういうものに対して政府の方が片方ではそういうように嚴重に取締りをしながら、片方には便法――おそらくこれにワクチンの予防注射液が足りないというような事情があるからだと思うのですけれども、そういうことに藉口いたしまして、いまだはつきりした確信も、医学上のはつきりした根拠もないことについて、便法をもつて試驗的にやるというようなことを、こういつた嚴重な法律できめられたものに対して行うということは、私は無責任じやないかと思うのであります。本年度そういう事情があつてやむを得ないというのであれば、率直にそういう点を言つていただいて、もう少しこういう法律に対しては責任を持つた注射をやつていただきたいと実は考えるのであります。
○三木(行)説明員 先ほどの私の説明の中に失言がありましたのでこの機会に訂正いたして、お答えをいたしたいと思います。接種量を幾らにするということは法律にきめてあるわけではないのでありまして、省令においてきめてあるわけであります。從いまして私どもといたしましては、決して法律違反を犯しているわけではございません。かつまたその自信がないじやないかという御質問でありますが、この点につきましては私があまり率直に過ぎたのでありまして、実際問題といたしまして、外國の成績等から見ましても、これは十分実際に行い得る方法であるということに相なつておるのであります。ただ私どもが顧慮いたしますことは、技術的に皮内注射というものが地方末端まで普及いたしておりません。その点につきましては若干の経驗があるということがほんとうのことであります。御了解願いたいと思います。
○苅田委員 そうであれば至急にそういう技術的な点について、施術者があやまちのないように万全な策を講ぜられたいということを重ねてお願いいたしておきます。
 それから先ほど所澤の病院のときの私の質問に対して御回答がなかつた分があるわけなので、それに関連した問題で私一つ伺いたいと思います。それは現在二〇%というような大きな死亡率を出しております一端の原因が、先ほどお話しましたように、患者に比例いたしまして、非常に医者とかあるいは看護婦の手が少いということが確かにあるわけであります。何でも二人か三人かの看護婦がこれだけの者を受持つているというようなわけなのです。これは町立の病院で私は直接関係がないと思うのですけれども、しかし今回私どもが厚生委員会の一員として視察しますときにも、いずれの病院に参りましても訴えられておりますのは、こういうお医者さんとかあるいは看護婦さんとかあるいは雜役とかいう者が非常に少いという訴えがまず第一番にあるわけなのです。ところが最近聞くところによりますと、國立病院あるいは療養所において、今度定員法が発表されまして、これによつて今まででも少いところに持つて來て、さらに人員が減らされるということを聞いておるわけなのですけれども、これは一体どういうところからこういうことが起つて來たか。私どもとしてはむしろこれは増加させられなければならないのじやないかというふうに考えて視察を終つて帰つて來てみると、かえつてこれが減少されているというような報告を聞くわけなのですが、先ほどの質問と関連いたしまして、この点についての御答弁を願いたいと思います。
○三木(行)説明員 所澤の病院につきましては、私どもの方もさつそく視察を遂げまして、調査いたしたいと思います。ただ病院の監督をやつております医務局等とも連絡を十分にいたしまして、さような定員よりも足りないというようなことのないように指導いたして参りたいと存じます。
○苅田委員 病院の定員のことにつきまして、私はあとからでいいのでございますが、関係の当局の方をお呼びいただきまして、ただいまの質問についての御答弁をいただきたいと思います。
 それからなおこちらから通告しておきました質問の整理の中に、結核についての質問をしたいということを申し上げておると思うのでありますけれども、この問題はただいま引続いて申し上げてよろしいでしようか。
○堀川委員長 ちよつとあとまわしにしていただきたいのですが、実はあとまだ松谷さんの御質問があるのと、それが済みましたならば、保險局長の社会保障に関する中間報告をしていただくことになつております。局長はほかへ行かなければならぬので、ちよつと取急いでおりますので、あとまわしにしていただきます。
○苅田委員 あつとでもきつこうですから、それでは結核についての質問、それから國立病院。関係の質問を残しておきますから、どうぞきようあすの委員会で、この問題についての質問をさしていただきたいということをお願いしておきます。
○青柳委員 今の血清につきまして関連して簡單にお願いしたいと思いますが、先般厚生委員の視察をいたしまして光に参りました。光の竹田工場を視察した際に、いろいろな話を聞いたのであります。そのうちで非常にもつともに思う点がありますので、一應当局の御意見なりその後の御処置なりを承つておきたいと思うのであります。
 昨年の十一月の京都のジフテリア血清の事件で、全國のワクチン血清が生産停止を受けまして、生産工場の選定許可というような制度をとられましたことは当然の処置でありますが、各府縣へ配付済みのもの、あるいは各メーカーが手持ちのワクチン、血清類が國家で再檢定をするために引き上げられたのでありまして、その代金が回收がまだできていないものもあり、再檢定中にもう有効期間の切れてしまつたものもあるのであります。武田製薬では何でも生産再開を許されましたが、停止期間が長いために、その間の資金がすつかり出てしまつたというのでありまして、現在七月二十三日に私ども参りました際に、未回收金が腸パラ・ワクチンとジフテリア・トキソイドと痘瘡だけで三千数百万円ある、こういう話なのであります。これらの資金についての当然の御措置があるべきだと思うのでありますが、その点どうなつておりますかというのが第一点であります。
 第二点は何でもGHQから厚生省に対しての要求によりますと、痘瘡を八千万人分腸パラ・ワクチンを明年度の必要量を合せまして、七万リツトルの生産命令があつたということを聞いておりますが、腸パラにつきましても問題でありますが、痘瘡の牛の代金が非常に高い。これを買うのに非常に金がかかるので、そういうことについての金融の措置について要求がございました。そういうふうに必要資材を買い入れるときの金融の面がどうなつておるかという点が第二点であります。第三は新しい基準によりましてくみとりと拔取りの二度の檢定が必要となつて参りましたけれども、予研の檢定能力が不足なために、おのおのこの二つの檢定に約一箇月ずつ、大体平均して三箇月かかるそうでありまして、現在光の武田工場では手持ちの品物がやはり三千数百万円に上つておる。相当の期間寝かさなければならぬ。その金融についてお考えを願いたい。これももつともなことだと存じます。これが第三点であります。
 第四点は再檢定をやつておるうちに有効期限が切れてしまつた藥は捨ててしまわなければならないのであります。これは一面から考えると非常にもつたいないことにもなるのでありまして、予研の不足檢定能力をむだにしてしまつたということもありましようし、現在必要なワクチンが廃棄されなければならないというような点にもなりましようけれども、業者としては非常な損失となるのであります。これは國家の必要によりましての損失でありますので、この点につきましての國家の御措置があるべきでなかろうかと思うのであります。その四つの点、いかにも業者が申しますことをそのまま取次ぐようで、はなはだ妙なのでありますが、もつともなことと私ども考えておるのであります。この四つの点につきまして、当局のお考え、現在とつておられます御措置をお聞きしたいと存じます。
○慶松説明員 第一の点は、ごく簡單に申しますと、補償というような問題だと存じます。すなわち昨年の暮以來、ワクチンの再檢定をやりまして、それによつてだめになつた品、あるいは期限切れの品、その処置でございます。これは金の面における処置だと考えますが、それを申し上げますと、大体これは、正確な金額を出すことは非常にむずかしいのでございます。なぜかと申しますと、一部分は業者が手持ちをしておるものがございます。また一部分は府縣廳に行つておるものがございます。また一部分は、さらに末端の市町村に行つておるものがございますので、その調査に非常に日にちをとりまして、今日までもその調査をやつておるのでございますが、大体縣から報告がございましたが、事実各縣においても報告をすることに、非常に調査に日にちを要した次第でございます。それで大体どのくらいの損失と申しますか、期限切れだとか、あるいは再檢定をやつた結果不合格になつたというようなものが、金額でどれくらいになるかと申しますと、約一億二千万円から三千万円と考えられます。これを一億二千万円強と大体踏んでおるのでございますが、そうしますと、そのうちで一番大きな金額に属しますのは、発疹チフスのワクチン、腸チフス、パラチフスの混合ワクチンでございます。この二つは、政府が全部買い上げておる次第でございます。昨年度におきましては、從いましてこのものがどれくらいになるかと申しますと、これは約七千万円になります。そのごく大ざつぱな内訳は、発疹チフスが五千万円、腸チフス、パラチフス混合ワクチンが二千万円でございます。これは政府が買い上げておりますので、從いまして、要するに買上げて、これはまたお金が政府に入つて來るわけでございますが、結局入りませんで、歳入減というわけでございます。そのほかに、どうしても補償いたしまして、有効期間が切れるとか、あるいは再檢定でためになりましたものに支拂うべきものが、まず大ざつぱに申しまして五千万円になると存じます。その中で一番大きいのがジフテリア・トキソイドでございまして、それが三千八百万円くらい、その中で占めております。これに対しましては、目下大藏当局と折衝中でございまして、すなわち歳出に属します約五千万円――四千八百何万円でございますが、これを予備金その他で行きたいというために努力中でございます。なお今年も幾らかのワクチンの買上費を持つておりますので、それを、あらかじめ了解が得られますれば、流用する等によつても、速急に解決いたしたいと存じておる次第であります。
 次は金融の点でございます。ことに金融で一番問題になりましたのは、日本人全部に種痘するためには、これは牛を使うわけでございますが、牛が非常に高くて、一頭二十五万円くらいいたします。それのために非常にお金がたくさんいるのでございますが、しかし私どもはすでに日銀その他と話合いをいたしまして、先ほど苅田委員の御質問に対して私申しましたように、二千四百万ないし二千五百万人分はすでにできておるのでありますが、これらに対しまする金融は完全に成功いたしまして、銀行から貸してもらうことに成功いたしております。
 次は予研におきましての檢定の問題でございますが、檢定は確かに非常に強化と申しますか、嚴重になりました。そこで人員等も十分でございませんところもございます。それに対しましては、関係の部局とも連絡いたしまして、人員の増加等につきましても目下檢討いたしたいと思つております。当然來年度の予算につきましても、この点は考慮した予算を厚生省においては頼んでおる次第でございますが、なお日にちを要します点は、これは單に人手が少いというだけじやございません。これは檢定をやります方法上から申しまして、どうしてもそれくらいの、たとえばものによつては実際上三箇月かかるものもございますので、そこでこれは人手の点よりも、定められました檢定の方法によつて、それくらいかかると考えなくてはなりません。從いまして、これらに対します金融の点は当然考慮さるべきでありまして、本年も実は、全部國家で買い上げれば、こういう点は解決すると思つたのでありまして、非常に努力したのでありますが、結局一割ばかりのものを買い上げることによつて金繰りをやるということになつておりますので、本年は正直に申しまして、五月以降から出だしたので、それに対しましてぼつぼつ今日買うことになつております。それによつて一部は金繰りができると考えますが、一面金融には大いに努力いたしたいと思つております。
 なお、さらに御質問の有効期限が切れましたものにつきましては、これはものによりましては檢定をやり直しまして、やり直しましたときから有効であるというように処置しておりますか、あるいは処置せんとしておるものもございます。これは正直に申しますと、関係方面の了解を得まして、そういうふうな措置をとつておるのでありますが、また事実ものによりましては、御存じの通り期限が切れれば効力が非常に弱つて、使えないものもございますから、それらは先ほど申しました補償の対象にせざるを得ない、こういう次第でございます。
○堀川委員長 よろしゆうございますか。――松谷委員。
○松谷委員 医療関係の質問は明日に延ばさせていただきますが、先ほど苅田委員から御質問のありました点に関連して、一、二点お伺いいたします。
 当局がお示しくだすつた数字によりますと、今年の傳染病発生は昨年よりも数は減つておる。全体から見ればそうでありますが、赤痢の点なんかをとつてみますと、昨年よりはやはりふえておるというふうな実情がうかがえるのでありまして、ことに先ほど苅田委員も御指摘になつたような、埼玉縣などの例、あるいはまた東京などの例から見ましても、やはり相当集團的にこれが発生しておる点を私どもはやはり考えなければならないので、その場合にことに埼玉縣に現われた原因を先ほど局長が説明されていたのによりましても、遠くその原因は二十二年度の水害の災いにあつたらしいというような御説明もあつたから考えてみましたときに、私どもやはりこれは國家の予防衞生行政における一つの貧困の現われではないかということを考えざるを得ないのであります。そう思わせられる一つの理由というのが、先ごろ問題になりました厚生省の機構改革の際に、予防局が廃止されるというような実情を前にいたしまして、一層私どもその懸念が強くなつて來るのでございますが、現在公衆衞生局がかつての予防局の分野をも担当されている今日、局長とされて、そこに行政面において相当重荷であるというような実情に遭遇されたことはないかどうか。あるいはまた、かつての予防局が存在していた時代と今日の状態と比較されて、一体行政の面はどういうふうにやつておいでになるかというような点を伺いたいと思います。
○三木(行)説明員 予防局が廃止せられてどういうふうな不都合があるかというお尋ねでありますが、私どもといたしましても予防局があることは望ましいことであります。ただ現実の問題といたしましては環境衞生部がございまして、そこで衞生部長が環境衞生関係の仕事を見ております。そこでその運用の妙によりまして、さきほど特別にこれでは責任が負えないというようなことがあるとは考えておらない次第でございます。
○松谷委員 ただいま局長のお話で、衞生部がそれを担当しておるから大して不足は感じておらないというお話でございますが、それならば一層拍車をかけてこうした遠くに原因を持つておるような集團疫痢などの発生に対する予防衞生の点に、もつと当局は遇進していただきたいということを特に要望したいと思います。
 それからなおいま一つお願いをしたいことは埼玉縣の先ほどお話に出ておりました加須保健所でございますか、ここの状態を聞いてみますと、鷲宮町、この辺一帶の人口大体十四万七千くらいを一つの保健所が担当しなければならぬ状態になつております。しかもその保健所の状態が非常に貧困であつて、外科医一人、若い看護婦さんが二人というような状態でこれを担当しておつたので、今回の集團疫痢の場合も早期発見がまつたく困難であつた。もちろんそこには農村の封建制も手傳い、あるいは医者の方々の個人的な問題もあつたでしようが、そういう貧弱な保健所の存在も相当の影響を與えていることを考えなければならないと思いますが、この点についてこうしたまことに貧弱な保健所が一体全國にどのくらいあるのか、あるいはどのような状態に保健所の実態はなつておるかという点について私ども資料を得たいと思います。できるだけ早く当局で各保健所の実態を調査したものをいただきたいと思います。これは後日にひとつお願いいたします。
○三木(行)説明員 最初の一層努力をせよというお話でありますが、その点につきましては、当然私どもも大いに努力をいたす所存であります。
 なお加須保健所が貧困であつたという点につきましては、私どももまことに御意見の通りであると思うのでありまして、御存じのように保健所は今完成の途上にありまして、全國でモデル保健所と称する將來あるべき保健所は、ただいま四十六箇所しかないのであります。これを明年度におきましては、全國二百箇所のモデル保健所として、それ以外のものにつきましては、今日言われておりますCクラスの保健所に全部改善したい。そうして次の年度におきましてそのCクラス全部をモデルに持つて行く。そういたしますとモデル保健所におきましては、定員が六十一名ということに相なりますので、相当にこれは信頼し得る、かように考えておるのであります。申すまでもなく保健所というものは、地方末端における衞生行政の中心でありますからして、この保健所を強化するということは、とりもなおさずこれらの予防行政につきましても、そり他衞生行政全般につきましての確実なる対策の地歩を占めるということに相なると存じますが、その点につきまして、十分努力を続けて行きたいと思うのであります。
 なお加須におきまする保健所の状態は、そのように人数は少かつたのでありますが、そのほかこれに配するに公衆衞生監視員、食品衞生監視員というものが加わつておるのであります。これらが手足となつて相当に働いておる。私どもは現状をもつて決して満足するものではありませんが、完成までに若干の時日を要することも事実であります。また弱くともやるだけのことはやらなければならないということも事実であります。加須の保健所は非常に貧弱な陣容ではありますが、非常に努力をいたしておりますことは私も行つて見て参りました。昨日も防疫課長が行つて参りまして、地方の方々が保健所の活動に対して非常に讃辞を呈し、協力を望んでおられるということを聞いて喜んでおるのであります。しかし根幹は保健所の完璧な陣営の強化でございますので、その点につきまして遇進いたしたい所存であります。なお現状の調査等につきまして若干のものはございますが、どういう程度の資料が御必要でありますか、のちほどお伺いいたしまして新たにととのえる必要があるものにつきましては至急ととのえたいと思います。
○堀川委員長 では次に社会保障に関する件につきまして、政府から中間報告をいたしたいと申し出ておるのであります。つきましてはこれについて発言を許したいと存じます。安田説明員。
○安田説明員 私先月の末に保險局長を仰せつかりまして、今後いろいろ御指導を賜わることになりますのでよろしくお願いします。
 社会保障制度審議会のことは、実は総理廰で主管いたしておるのであしますが、便宜私から承知いたしておりますことを御説明申し上げたいと存じます。お手元に差上げてございます社会保障制度審議会の委員会の会議録によりまして、ごく簡單に御説明申し上げたいと思います。社会保障制度審議会の総会といたしましては、四月の二十四日に第一回がございまして、それから五月、六月、七月と、第四回が終りまして、この八月二十四日に第五回目の総会が開かれることになつております。その回に五つの小委員会にわかれまして、その小委員会が、一番最後の二枚の紙に書いてございますが、このような日時に開かれておるわけでございます。第一回の社会保障制度審議会の総会は、四月二十四日に行われたのでありますが、このときは会長、副会長、常務委員の選挙がございまして、なお会長から、審議会の審議の方針につきましてはここにも書いてございますけれども政府の原案を承認するための審議会ではなくて、各人の発言は完全に自由とし、委員自体が案をつくつて行くようにしたいから活発な発言を期待する。審議会としてすぐれた調査を残すようにし、長期の構想で審議を進めて行きたい。こういうような方針についての発言がございました。なおこれが設置されるまでの事務的な経過と、木高副会長の社会保障制度調査会のことにつきまして若干の御説明があつたくらいでございます。
 それから第二回の審議会が五月の二十四日に開かれたのでありますが、このときは結局審議の方法といたしまして、五つの小委員会を設置しよう。それはその裏のページにございます運営小委員会、社会保障小委員会、社会医療小委員会、公的扶助小委員会、総合企画小委員会、この五つの小委員会にわけまして、それでそれぞれの委員の配置と委員長をきめまして当日は大体それで終つたわけであります。なおそのときにありました特殊のことは、各省廰において社会保障制度に関して企画、立案するようなことがあつた場合には、この審議会の意見を求めるよう会長の名で各省に通知を出すということであります。これは社会保障制度審議会の設置法にも書いてあることでございまして、その法律の趣旨をさらに具体的に会長名で各省に通知をしよう、こういうことであります。
 第三回は六月二十四日に開かれたのでございますが、これは今申しましたような各小委員会がそれぞれその間に開かれておりますので、その小委員会の委員長からの報告でございます。これの内容はここに書いてございますから、できれば省略させていただきたいと思います。一が社会医療小委員会、二が社会保險小委員会、三は公的扶助小委員会、四が総合企画小委員会、そういつたようなことでございます。
 それから第四回目が先月の七月二十三日に開かれたのであります。このときになりましてやや実質的なとりきめがなされたのでありますが、これの一に書いてありますように、審議会に事務局を持ちたいということを正式に意思決定をいたしまして、政府にこれを申し入れるということであります。このことにつきましてはその後社会保障制度審議会の会長、副会長その他から政府に申入れがございまして、政府といたしましては規模はどういうふうになるかわかりませんけれども、事務局を何らかの形で設置するというような方向へ進んでおります。
 それから第二番目に社会保險のうちでことに医療をやつております医療保險が現在相当経営が苦しくなつておりますので、この医療保險の保險経済を助けるために、給付額の一割を國庫で負担してくれ、こういうことを審議会できめまして、そしてそれを会長の名前で社会保障制度審議会の設置法の趣旨に基きまして、総理に勧告をするということがきめられたのであります。これはこまかい案文あるいはその実行方法につきましては、社会保險小委員会にまかすことにその場においてきまつておりますが、その後開かれました社会保險小委員会におきましてその案文内容等がきまりまして、その内容をもつて過日総理及び大蔵大臣、厚生大臣にそれぞれ勧告あるいは助言がなされたのでございます。その記録はうしろについております健康保險等の給付に対する國庫負担の件、これが政府に今出されておるわけであります。実質的な問題としましては、くどくど申し述べましたけれども、事務局の件とそれから今の医療保險の給付の一割というものを國庫で負担しろ、こういう勧告をしたという段階になつております。あるいはまたあと二、三回もいたしましたならばさらに根本的な方針等がきまるのではないかというふうに見られております。以上であります。
○堀川委員長 何かありませんか。
○丸山委員 ただいまの最後の問題でございますが、健康保險の給付金に関する補助をせられることは非常に必要だと私も考えておりますが、先般の議会におきまして健康保險の財政が非常に危機に陷りましたために、御承知のような改正が行われたのでございます。あの改正が行われましてもますます健康保險の財政は不良な状況に陷つておる、こういうことなのでございますが、事実その後保險組合等の保險金の納付の状況、未納の状況、その他について実際の数字をお伺いしたい。
○安田説明員 この前の國会で健康保險組合の保險経済が赤字になるというので料率の引上げでありますとか、一部負担をお願いいたしまして、そのときは大体それで見通しがつくと思つておつたのでありますが、その後事情が非常に変化をいたしまして、一口に申しますと患者の利用率、つまり受診率というものが急激な上昇をいたしたのであります。当初は一部負担として初診料を本人負担とするということで相当ブレーキになるようなことも考えておりましたけれども、これもあまり問題にならないぐらいに受診率が上つて参つたのであります。われわれといたしましても今その点についていろいろ苦慮いたしておりまして、この國庫負担金を一割出していただきたいというほかにもいろいろな手を今考えております。しかし何分事務的にだけ考えて解決のつかない問題かもしれませんので、いろいろな方面とも折衝いたしまして、現在最善の努力をいたしておるつもりでございます。なおその保險料の徴收の状況でございますが、私もここに数字は持つておりませんが、政府官署の健康保險の料金の徴收は、五月の末日で、たしか三割に満たないような状況であつたかと思うのであります。これは非常に成績が惡いのでありますけれども、丸山先生もご承知のように、昭和二十三年度におきまして十三箇月分とつておるような状況でありますとか、あるいはいつも年度のかわるときに馬力をかけております関係上、少し落ちるような状況であります。しかしこれは医師に対する支拂い等が遅れましては申訳ありませんから、現在は各ブロツクごとに会議をいたしまして、九月一ぱいは徴收に全力を盡そう、滯納等があつたものについても、この際どしどし滯納処分をやりまして、保險料のきまつたものの徴收については全力を盡しまして、保險経済の方の運営に支障を來さないような努力をいたしておる次第であります。
○苅田委員 関連してお伺いいたしますが、ただいま丸山委員からお聞きになりましたように、大体今年はこの調子で行くと、三十四億くらい赤字が出るというようなことだと思うのですけれども、それに対してただいま保險局の方で考えておいでになる政府からの繰入れは大体七億程度というふうに私は聞いておるのであります。そうしますと、その間に非常にたくさん差があります。こういう事情からいたしましてやはりこれに対して一番大きな関心を持つておる労働組合あたりでは今年の秋には――一度そういう心配もあつた、つまり家族がただいまでは半額で見ていただけるようになつておるのですが、これが全廃されるのではないかということが非常に心配されておるわけです。こういう事情について保險局の方ではそういうお考えはないかどうかということについてお聞きしたいと思います。
○安田説明員 健康保險の赤字の問題につきまして参議院からすぐ來いというお話がありまして、先ほどから実は急いでおつたのでありますが、ざつと申し上げますと、大体三十億くらいの赤字が三十四年度に生ずる見込みであるということはお話の通りであります。そこで八月から、昨年法律で千分の五十五という料率がきまつておりますのが、実際は五十であつた。五パーセントだけは上げられるようになつておりましたので、健康保險審議会の労資の方、中立の方、その他いろいろな委員の方がお集りの席上で御説明して、五パーセント上げることはやむを得ないだろうということで、法律の認める範囲内で千分の五十五に上げました。その上げました結果、その赤字が二十二億五千万円くらいに圧縮されたわけであります。この二十二億五千万円の中で積立金というものが五億円ばかりあるのです。それから明年の三月分のお医者さんに対する支拂いを四月に繰延べようという計画を新たに立ててみると、これが十億、それで十億と五億で十五億になりますから、二十二億五千万円からそれを引きますとあと七億円ばかり残る。そうするとあと七億を國庫でみてもらえば一應つじつまが合う、こういう計算なのであります。しかしこれはいろいろ仮定の上に立つての議論も相当ありますので、あるいはお話のような家族給付を切るというような問題が出て來るかもしれぬと思います。と申しますのは家族給付というものは、元は健康保險は任意給付でありまして、料率をきめますときはそのことを頭に入れないできめてあつたのであります。しかし当時戰爭中保險経済は利用者が少くて割に樂でありましたので、だんだんと拡張されまして、そういうふうに家族給付を拡げて行つたわけでありますが、しかしそういう意思があるかというお話になりますと、私どもといたしましては健康保險制度本來の使命といいますか、制度本來の目的を逹成するためには、できるだけそういう方向には持つて行きたくないというつもりでおりますので、何かそれを國庫の負担なりあるいはその他の方法によりまして持つて行きたい。しかし残念なことには、今の状況でありますと受診率がどの程度上つて行くか、ことに五割負担がございますけれども、家族の方の医療の給付というものが、今後どの程度に上つて行くかということがちよつと見当がつかない。先ほどの二十二億五千万という赤字は、被保險者の受診率にいたしましても、家族の受診率にいたしましても控え目にわれわれは見ておりますから、今後それがどこまで上るか、それがきまりませんと、保險が成立たないというような状況もございますので、氣持としては私ども今申し上げた通りでございますけれども、今のところは何ともわからないという状況でございます。
○苅田委員 ただいま安田説明員もおつしやいましたように、現在社会保障制度がはつきり確立していない現状で、健康保險の家族給付が打切られるということは、これはそうでなくてさえ最低賃金制がきまつていないで、非常に生活が困難になつておる労働者にとつては、今ではこれは賃金の一部になつておると思うのであります。そういうことをただ保險経済の点からだけで打切られるということは、これは大きな社会問題になると思うのです。今厚生省の方でもできるだけ御努力はされておりますが、問題は大藏省とも関係があると思う。それでこれは非常に大きな問題と思いますので、至急に大藏省の方と御交渉になつて、この点だけはぜひ承知するように御努力を願いたい。できれば私は明日に継続いたします本委員会に大藏省の主計局の厚生省の方面の予算を扱つておられる責任者にお出でいただいてその点と、その他一、二の点についてお伺いしたいと思いますので、あすの委員会には直接その方面の方を呼んでいただきたいと思います。そして厚生省としては、ただいまおつしやつたように極力努力していただいて、この点は少くともそういう改惡をしないように私どもはできるだけ協力したいと思いますので、お願いしたいと思います。
○青柳委員 本日も引揚援護廳の方がお見えになつておらなかつたようでありますが、最近帰つて來ます引揚者の状況、ことに定着援護の方策につきまして承りたいと思いますので、明日関係当局の御出席をお願いいたします。
○堀川委員長 青柳委員のお申入れに対しましては私も同感でありますから、あす引揚援護廳の方が來られるように手配をいたします。
○岡(良)委員 私は明日今度新しく出た引揚者の出迎えに関するポツダム政令について少しく伺いたいと思います。なお社会保障制度の点についても質問をしたいと思います。それから皆さんのお手元にも届いていることと思いますが、矢追博士の問題について関係の同僚の方々や、その門下の方々から陳情をいただいておりますが、事個人の身分に関する問題とも考えられますので、委員長の方でこの問題の取扱い方についてしかるべく御善処願いたいと思つております。
○堀川委員長 ただいま岡委員が申された件につきましては、相当門下生からいろいろの陳情が來ておりますが、事人事に関する問題でありますので、軽卒に取上げるということもどうかと存じておりますから、月曜日に理事会を聞いて一應皆さんの御意見を伺つたらどうかと考えておりますので、さよう御了承願いたいと思います。
 それではこの程度で本日は散会いたします。
    午後三時二十一分散会