第005回国会 水産委員会 第23号
昭和二十四年九月七日(水曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 石原圓吉君
   理事 小高 熹郎君 理事 鈴木 善幸君
   理事 玉置 信一君 理事 林  好次君
   理事 砂間 一良君 理事 小松 勇次君
      川村善八郎君    田口長治郎君
      冨永格五郎君    夏堀源三郎君
      長谷川四郎君    奧村又十郎君
 委員外の出席者
        水産庁長官   飯山 太平君
        農林事務官   久宗  高君
        農林事務官   松元 威雄君
        専  門  員 小安 正三君
        専  門  員 斎藤 一郎君
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本日の会議に付した事件
 漁業法案
 漁業法施行法案
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○石原委員長 これより会議を開きます。
 前会漁業法並びに漁業法施行法案の逐条説明を聽取いたしたのでありますが、本日は両案を一括議題として質疑を行います。まず総体論に対して御質疑を願いたいと思います。
 本論に入る前に、ちよつと別の問題であるけれども、御報告をいたしておきます。鹿児島縣漁業者一同代表者森倉助より電報であります。「綿糸補給金削除されては関係漁業成立たぬ。ぜひ御配慮を請う。鹿児島縣関係漁業者総代森倉助。」こういう電報が本日午前八時五分に到達いたしましたから、御報告申し上げます。
○鈴木(善)委員 漁業法案の総体的な質疑をまず行いたいと思います。
 私ども先般各地を、漁業法に関する懇談会で國政調査をして参つたのでありますが、その際法案に対する漁民諸君のいろいろな危惧、この法案の底を流れておるものに対する疑惑が多多々あるようでありまして、このことをこの機会に解明いたしまして、今後の漁業制度の改革による漁村の無用の混乱をできるだけ回避するようにいたしたい、こういう念願から、その懇談会におきまして披瀝されました諸点をこの際お聞きしたいと思うのであります。
 まず第一点は、この漁業法は漁業権改革を最も重点として取上げておるのでありますが、漁業権改革は農地改革に相当するものと漁村では考えておるのであります。しかるに農地改革におきましては、耕作者に対しまして一定の農地を保有せしめて、集中になつております部分を國において買上げて再配分をする、あるいは不在地主的な土地を解放せしむるという方式をとつておるのでありますが、漁業権に関しましては、全面的にこれを國において買上げて、根本から再配分する、やりかえるという方式をとつておるのであります。何ゆえに農地改革と異なるような、根本的に、一挙に漁業権制度の全面的改革を断行するような方式をとらなければならないかという点であります。漁民諸君の意向といたしましては、まじめに経営しておるところの、自作とも称すべき漁業者が、一箇統ないし二箇統の定置を経営しておる、そういうものまでも取上げてこれを再配分するというような方式は、漁村に無用の混乱と紛争を巻き起して、漁業生産力を低下せしむるものではないかという危惧が非常に強いのであります。この点について農地改革と異なつた方式を漁業権改革においてとらなければならなかつた点を明確にしていただきたい、そのことを長官にお伺いする次第であります。
○飯山説明員 鈴木委員の御質問にお答えいたします。ただいま漁業法の改正が農地法の改正と根本精神において同一であるであろうにもかかわらず、結果において非常に違うじやないか、こういう点を御質問になつたかと思うのであります。その改革の精神においてはまつたく同一であることは、お事説の通りであります。しかしながらここに根事本的に性格に相違があるのであります。それは農地の方は、御承知の通り耕すものが個々に分割が容易にできるのであります。從つて自作農を創設するという、働くものに土地を與えるというこの精神を貫く上において、分割が容易に行われるのであります。しかしながら漁業権そのものは、御承知の通り一定の海区を要するのであります。從つて個々に分割するということは、御承知の通り非常に困難であります。從つてこれを農地と同様にこまかく各漁業者に分割するということは、とうていできかねるのであります。この点が一番違う点の一つであります。もう一つは、この改革の根本は、御承知の通り極東理事会の示唆に基いて行つておる問題であります。
 それから生産力の低下をこれが実行によつて来すので、はないかというお説であります事。もちろん生産力を低下するというふうな結果を招来することは、目下の國情において絶対に許されないのであります。今度の改正によつてその生産力を低下するということはないという見解を持つておるのであります。それはどういうことかと申しますと、漁業は農業よりも、慣行というようなことによつて與えられた個人個人の漁業権というものがあるのであります。たとえば将軍から墨附をいただいたというようなこと、あるいは藩主から墨附をいただいたというようなことで、個人が相当の大きな海区にわたる漁業権を持つておるというような事態もあるのであります。從つて、かような慣行によるというような封建制度は、これは御承知の通りに民主主義に反するのであります。待つて今度の改正の要事旨は、漁業の民主化をするということが最も重点になつておるのであります。しかも民主化と同時に、生産力を低下させないのではなくて、むしろ生産力を向上させる、こういうことをねらつておるのでありまして、われわれ当局としましては、民主化によつて生産力の向上をはかるという、この根本精神に基いて考えておりますので、この精神において、決して、農地と相違するものでないと、かような見解を持つております。
○鈴木(善)委員 長官の御説明によりますと、大体において第十一条で規定しておりますところの新しい漁場計画を策定をして、そうして合理的な漁場の総合利用をはかつて、生産力の発展をはかろう、その新しい漁場計画によつて、さらに慣行等の封建制をこの際打破しよう、こういう御答弁のように思うのであります。しかしながら、この新しい漁場計画の策定と申しましても、古い時代からの自然的な、あるいは社会的、経済的な諸条件の中に順応調整されて、自然的にここにでき上つて参りましたところの今日の漁場の利用の実態、これにまさるところの漁場計画を、わずか二年間に策定するというようなことは、これはほんとうに漁業の実情を考えます場合に、きわめて危険な独断的な考え方ではないか。今日の漁場の利用の実態は、幾多の自然的な悪条件を克服し、いろいろな技術的な点を改良し、経営の面におきましても、いろいろ容器を加えて、自然にいろいろな条件に順応して、調整、されてでき上つた漁場の利用の実態であります。これを二年間に新しい漁場計画を立てろということは、漁民諸君の言葉をかりて言いますならば、官僚の机上プランである。これはかえつて漁村に混乱を来さしめて、生産力の減退を来しはしないか、この点が非常に憂慮されておる大きな問題である、こう考えるのであります。從いまして、漁民諸君の要請としては、事農事地改革と同様に、現在休んでおる漁場、あるいは賃貸関係に立つて権利者が実際に漁場を経営してないという、不在地主的な漁業権、あるいは不当に集中されておるもの、こういうものの現状を調整委員会において調査審議しまして、その部分を國家において収容して、この点を再配分調整したらどうか。また封建性の強い慣行等の面について改革を加える、そういう程度にいたしまして、現状において調整委員会が調査審議いたしましても、このままで十分漁業の民主化にも、漁業の生産力の発展にも合致しておると認めるものについては、これを全面的に買い上げるというような方策をあえてとる必要はないのではないか、こういう輿論が強いのであります。從いまして、新しい漁場計画を二箇年間に策定するということが、今日までの多年にわたるところの自然的な、社会的な、あるいは経済的な諸条件に順応調整されてでき上つた漁場計画にまさるという、そういう見方は、これは非常な危険な考え方ではないか、こう考えるものであります。これに対して長官の、生産力の発展の面においても漁村に対して混乱を来さない、漁場秩序を維持できるという確信のほどを明確に伺いたいと思うのであります。
○飯山説明員 農地改革と同様に不在地主的な、いわゆる漁業権者、あるいは休業をしておる漁業権、こういうものさえ、この際再分配すれば十分でないか、民主化にも沿うものではないか、こういうような御意見に拜聽するのでありますが、しかし先ほど申し上げましたように、漁業権というものは、漁業法の精神から申しまして、漁民総有だ、こういうふうな、國有だとは申しませんが、日本漁民全体の持つておるものなり、こういう大体見解になつておるのであります。從つてこれを現在において正しく、しかも民主的に所有経営しておるものであるならば、この漁業法の改正によつても、決してその権利を失うということはなかろうと私は考えるのであります。從つて総有である以上、これを一応全体の所有であるというような考え方に基いて行くためには、やはり全体的にわたつて再分配の方法を講ずることが最も妥当である、適当である、かように考えるのであります。しかしながら、正しい民主的な経営者であるならば、それは総有の線に沿つて、決して混乱を来さずに経営が持続できるものなり、こういう見解を持つております。
○鈴木(善)委員 長官の御説明によりましても、民主的な、正しい、合理的な経営をやつておる漁業権者は、今回の漁業法の実施によつても必ずや再び漁業権を獲得できる、漁業の経営をなし得るものであろう、こういう点につきましては了解できるのでありますが、しからば、そういうふうに今回の漁業法が実施されても、当然に漁業権を獲得し、漁業の経営ができるであろう適格者から、何ゆえに全面的に取上げる必要があるか。結果は長官のおつしやるように、同じところにおちつくのであれば、そういう者からは取上げずに、封建的なもの、あるいは生産力の発展上阻害になるもの、そういうものを取上げて、その分についての調整をはかるということが、現実に則した、最も穏健なる改革の方途ではないか、こういうことが漁民諸君の意見として強く表明されておるのであります。
 それから、私がお尋ねいたしましたところの、今後当局が意図しておるところの新しい漁場計画、しかも二箇年間に策定されるところの、この新しい漁場計画なるものが、古い経験と、あらゆる諸条件に順応してでき上つたところの漁場の利用の実態、こういうものと比較して、新しい漁場計画こそ現状よりもさらにまさるであろう、生産力の面においても大いにまさるであろうという観点にお立ちになつておるようでありますが、絶対に長官の考えておらるるようなぐあいに、漁村に混乱を起したり、生産力の減退を来すことがないかどうか、この確信のほどをはつきりとここで表明されていただきたい、こう思うのであります。
○飯山説明員 今の二年間に新漁場の計画ができるか、どうかという点について、非常に御懸念があるようでありますが、私どもの考えております新計画というのは、現在の実情を全然無視したいわゆる机上プランと申されましたが、かような実際を離れた計画を立てておるのではありません。從来の正しい民主的なものを存続するならば、あえてそれらの方々に迷惑をかける必要がないのじやないか、こういうことでありますが、しかしできるならばこの機会に多数の働く漁民の人々に漁業の経営にあたつてもらうようにして行きたい、こういうことをねらつておるのであります。從つて所有権のみの問題ではなくして、漁業の経営の問題がここに入つて来るのであります。この経営をできるだけ、漁民諸君の多数の手に渡るようにして行きたい。それがためにはやはり総合的に考えるということがどうしても必要なのであります。從つてこれが生産力を増強するかしないかということになりますれば、見解の相違に帰着するのではないかと私はおそれるのでありますが、しかし私どもとしては、この経営を合理化するためには、多数の業者に與えるという形をとらなければならぬ。多数の漁民に與えるためには一部的の改正、改革のみによつては行われない。一応全体について構想を実施するのでなければ実行ができにくい、こういうふうに考えておるのでありまして、その点はこれ以上は意見の相違、見解の相違ということに私は考えたいのであります。
○鈴木(善)委員 長官の御答弁によりまして、この漁業権の運用を多数の漁民諸君の手によつて運用せしめたい、多くの漁民に漁業に直接從事し、あるいは経営に参加する機会を與えたいという御構想については、敬意を表するものであります。ただここにこれに関連して想起いたしますことは、指定遠洋漁業の面につきましては、なるほど現状の審査はいたすのでありますけれども、全面的にこれを取上げて再配分をするという観点には立つていない、ここに当局の矛盾がありはしないか。共同漁業の、現在の専用漁業権、区画漁業権あるいは定置漁業権等については、全面的に取上げて再調整をする、そして多数の漁民に参加せしむるの機会を與えるということを高らかに示していながら、資本制事漁業の面における指定遠洋漁業の場合においては、現在の経営者を擁護するがごとき方針を立てておる。現状においてはなはだしく不当な仕打ちをなしておる部分等についてのみ調整を加えよう、こういう観点に立つておられることは、矛盾しないかどうか。こういう点を指摘したいのであります。
 次にこの水面の総合利用につきまして、第一条に水面を総合的に利用して漁業生産力の発展をはかるというぐあいに明記しておるのでありますが、わが國の漁業で、漁業権よりももつと大きな工事ウエイトを持つておる許可漁業の面におきまして、巻上漁業、以東底びき網漁業のごとき漁業は、広い海区にわたる海域を対象とする漁業でありまして、技術的にもあるいは経済的にも、当然生産条件を同じうするところの、広い海区を單位として調整しなければならないことがはつきりわかつておるような許可漁業の調整につきまして、具体的な調整規定を法文上に明記せられる方針はないかどうか。ざらに指定遠洋漁業以外のこれらの許可漁業の調整について、農林大臣の権限において調整すべき許可漁業と、都道府縣知事の権限において調整すべき許可漁業とをはつきり区別いたしまして、そして法にそれぞれの調整規定を定める方針がないかどうか、その点をお伺いしたいと思うのであります。
○飯山説明員 第一点は、指定遠洋漁業に関する改正の方針が徹底を欠いておるではないかという御意見と思うのでありますが、この点は御承知の通り、指定遠洋漁業の漁場というものは、沿岸ではなくして相当遠洋においての漁場であります。從つてこれが事業を経営するにあたりましては、相当の技術なり施設なりを要するわけであります。從つて現在の沿岸漁民の形態において、これがただちに再配分をしてその経営にあたり得るかどうか、こういう点については相当の問題があると思うのであります。從つて将来におきましては、やはり漁業法の根本精神であるところの、働く者にその権利を與えられるということは当然で、あります。これはあらためて申すまでもないことと思うのであります。しかしながら漁場の関係、経営内容の事情からして、現在において漁業法の精神そのままを適用した場合に、現在の指定遠洋漁業がはたして現状を維持し、もしくは発展を期することができるかどうかという点については、私どもは多大の疑念を持つておるのであります。從つてこれらの推移を十分に見た上で、漁業法の改正が完全に行われた後には、当然指定遠洋漁業におきましてもこの精神を貫くということにならなければならないと考えております。
 それから第二点の、許可漁業の問題であります。これは第五國会におきましても論議が重ねられた問題でありますが、御説のように、許可漁業というものは大体回遊魚を主としております関係上、広い海区を基本にしなければ成立たないという漁業であります。從つてこれは農林大臣の許可に属すべきものと、地方長官に属すべきものとおのずから区別されなければならぬという点については、まつたく同感であります。從つて将来において、できるだけ近い将来において、この許可漁業をさような二段にわけて、そうしてこれが対策を具体化するということについては、はつきりここでそういう考えを持つておるということを申し上げておきたいのであります。ただ御承知のように、現在の以東底びきのごとき、非常に戰争の関係から混乱をいたしておるのであります。まずこれらの混乱状態をできるだけ是正したのちに、こういう制度をやはりあわせ行うということでなければ、現状においてこれらの混乱しておる状態をただちに解決することは非常に困難であります。これが解決策につきましてはいろいろくふうをいたしておりますが、今の許可制度の確立と同時に、これらの混乱の状態をできるだけ是正するという方向に進んでおるのであります。
○砂間委員 全般的な問題につきまして御質問いたします。第一は沿岸の漁業権を整理いたしまして、水面の総合的、立体的な利用をはかるということでありますが、その際共同漁業権その他を漁業協同組合に優先的に與え行くというふうな仕組みになつております。ところがこの協同組合の実力と申しますか、その資金や資材の面におきまして何らの対策も講ぜられていない。そのために、形の上ではそういう権利を優先的に協同組合に與えて行くということになりましてもも、実際運営の面で、これを漁民が全体的に運営して行くということは非常に困難だと思います。この点につきましては、これまで当局事の御説明を聞きましても、これは日本の社会、経済、財政全体の問題に関するものであつて、水産の方だけでどうこうするというふうなことは困難な問題であるというふうな御説明でありましたけれども、しかしこの漁業権改革の根本がそういう点にある以上、この点につきましてもつと具体的な、明確な措置を講ずることなしには、この改革の眼目が失われて行くことになると思うのであります。今のような事態で行きますと、結果これは絵に描いたぼたもちみたいな形に終つて、実際は漁民大衆の生活向上にも、あるいは漁業の発展ということにもならなくて、資力のある人たちが、かつて気ままに漁業権を事実上壟断して行くという結果になるということを恐れるものであります。この点につきまして、当局としてもつと具体的な、明確な措置を講ずることを考えておられるかどうか。もしおられるとすれば、こういう形でそれを将来実現して行く予定であるかということを、第一にお尋ねしたい。
○飯山説明員 砂間委員の御質問にお答えいたします。漁業法の改正が、働く漁民ということを題目にしておるけれども、現在の状態では、資金その他の関係において、絵に描いたぼたもちではないか、かような御批判があつたのでありますが、御承知の通り、漁業法そのものには、資金その他の点に関しては盛つてありませんので、資金の対策を講ずることが必要であるという御意見にはまつたく同感であります。しからばその実行方法いかんということになるのでありますが、現在漁業基金、共済基金設立て制度、つなぎ資金の制度、それから漁業手形の制度、この一連の金融措置を過般講じたのでありますが、この零細漁民の資金の道は、今日まで直接にはなかつたのであります。しかし今度の一連の金融制度におきまして、零細な漁民に漁業手形の融通ができるように相なりまして、共同漁業、つまり信用漁業を行わないところの協同組合でも、今度は協同組合が代表者となつてその組合員のために借入れができる。かような制度も今度設けられたのであります。これらは今度の実行の一つの方法だろうと思うのであります。それから現在農林中央金庫におきまして、二十四年度においても約六億の資金を協同組合関係に融資するというようなことに相なつております。これも今の零細なる漁業者への資金の道が開かれていることと思います。しかしながらもちろんこれらの点だけでは十分なる措置はできません。從つてもし定置漁業を経営するということになれば、相当資金面において実行が困難であるというようなことになると思いますが、しかし一面現在の漁村の実情を見ますと、人に欠けております。なるほど資金も欠けておりますけれども、はたして自営をして行く場合に、これが中心となつて堅実なる経営をし得るかどうかということになりますと、一時に全國の漁村をあげて協同團体によるところの経営に移すためには、遺憾ながらその人を得にくいのであります。一面において、資金と同時に中心になるところの人をつくるということがなければ十分で、ない。こういう意味におきましてこの漁業事法の改正に伴つて、やはり漁村をしよつて立つところの新しい人物が見出されなければならぬ。そのためには漁村の教育施設をしなければならぬというようなことで、縁遠いようでありますけれども、実は二十五年度の予算においては、漁業協同組合講習会というものを開いて、これに相当の額の補助金を出して、そうしてその中堅となるところの團体の職員もしくは役員というような方々を、できるだけ多数つくつて行くというふうな考え方もして。おるのであります。今のところ金融面についてはもちろん十分ではありませんけれども、むしろ團体についてはさような中金が努力いたします。一般の企業体に対する設備資金については、現在何らの処置も遺憾ながらないのでありますが、どうやら團体に対してだけは中金において六億の融資ができる、こういうことになつておりますので、もちろん十分ではありませんけれども、具体的にさような措置がとられておるというようなことを合せて御報告申し上げておきます。
○砂間委員 今の資金の点につきまして、漁業手形綱度や、あるいは農林中金の融資というようなことを勝訴になりましたが、手形制度につきましては私別に意見を持つておりますので、あとで問題にするつもりですが、今後協同組合がいろいろ事業をやつて行く場合に、ああいうふうな形で十分に資金の面が解決されるというふうには、私は決して考えておりません。それから農林中金の融資についても、從来の融資を見れば漁業会などに出ておりますけれども、それが、主として船だまりだとか、あるいは冷凍設備だとかいうふうに、そういう方面の設備資金に使われておるのでありまして、実際漁業のための漁船の建造だとか、あるいは定置をやるいろいろな費用だとか、そういう方面の運転資金にはほとんど使われていないのであります。そういう方面で資金や資材の裏づけをしてやるということは、國が十分めんどうを見てやらなければ、協同組合の健全なる発達ということも、また今度の漁業法の眼目とする初期の目的も達せられないというふうに考えるわけであります。この法案全体を通じてみまして、私は簡單に結論から申し上げますが、これは沿岸三百万の漁民を犠牲にして、大資本漁業を保護するものであるというふうな感想を持つものであります。その具体的な事実としましては先ほども鈴木委員からお話がありましたが、第一この指定遠洋漁業については、ほとんど從来の特権的地位を擁護するというふうなことだけにとどまつて、まだこの許可漁業の面につきましては何らの規定がないのでありますが、この許可漁業が最近沿岸の沖合を荒しておりまして、近年における不漁の原因の一つは、潮流の異変ということもありますけれども、沖の方で底びき綱やトロールで小さい魚までごつそり取つてしまうというような点が大きな原因となつている。しかもこの許可漁業の点について、これまで当局の許可の方針がまつたくでたらめでむちやくちやでありまして、以東の方の底びきなんかにしても相当過剰になつているというふうに私は考えておるので、あります。現に以西の底びきなんかにおきましては、一たん許可したものが三割減船だなんというふうなことを今ごろになつてやつている。まつたくお先真暗もはなはだしいと思うのです。この許可漁業の点について、今度の法案にはほとんど触れられていない。先ほど鈴木君の御質問によりますと、今後いろいろ考えて行く方針だというのですが、しかしいやしくも沿岸の漁業の総合的な、立体的な利用と解決をはかるという場合には、当然この法案の中に盛り込まれなければならぬ、その点が落ちているということは非常に片手落で、この法律の重大な欠陥をなしていると思います。それから沿岸の漁業の場合におきましても浮魚をはずしてしまう、はずしてしまつて、自由漁業にすれば、結局あぐりだとか巻網だとかいう比較的中小の資本漁業になると思うのですが、そういう連中が自由勝手にとるということになつて、もう一挺づりの漁師やなんかまつたくひ上つてしまうことになると思う。そういうふうな点についても何ら当面の対策が講ぜられていない。で残りかすみたいな共同漁業権を協同組合に與えるということになつておりますが、その共同漁業権やその他の若干の権利は協同組合に優先的に與えましても、先ほど申しましたように、資金や資材の点についてほとんど裏づけができていない、その結果沿岸の零細漁民が、まつたく漁業権は取上げられ、それから沖の方では比較的資本を持つている大きな漁業の連中に荒される、そうしてもうとても対抗できないということになつて、結局資本漁業の犠牲になつて没落して行くという結果になることは、今から十分予想できると思う。そういうような点につきまして考えますならば、先ほど来漁村の民主化だとか、あるいは漁民全体の生活の向上や利益をはかるというようなことが、言葉の上ではるる言われておりますけれども、この法案の内容と、それを実行して行く将来の結果からみるならば、まさにあべこべになつて、もう大資本漁業だけ保護して行くという結果になることは、今から十分予想できるわけであります。そういうふうな点につきまして、もし先ほど来の説明のように、ほんとうに働く漁民の全体の利益を眼目とするというのであるならば、その点についてもつと明確な確信ある方策をひとつお示し願いたい、こう思うわけであります。
○飯山説明員 ただいまの御質問の要点は、この漁業法の改正が、むしろ漁村の衰微を来すであろうという御見解のように拜聽いたしたのでありますが、われわれといたしましては、まずこの漁業法の改正を実行することが、零細漁民あるいは働く漁民のために非常に得策だという確信のもとに立てておりますので、これ以上は私といたしましてはお答えする限りでない、かように考えます。
○川村委員 二、三点お伺いしたいと思います。第一点はすでに鈴木委員並びに砂間委員から聞かれておることでありますが、ただその中に総合的に利用するということで、許可漁業権に関する問題はお二方とも非常に強調して、これに対して長官から答弁があつたのであります。ただその答弁の中に、できるだけ近い将来に許可漁業権の点を何とか整備しなければならぬといつたようなことを申されておりましたが、私はこの法案を十分審議して、しかもあるいは修正するなり、原案で通すといたしましても、その許可漁業権の問題は、非常にこのたびわれわれがまわつたうちで、どうして入れないのだという強い空気があつたことは事実であります。從つてただ單に近い将来においてというだけでは、われわれは納得が行かないのであしまして、一体漁業法が制定された後において、何年くらいに整備するんだ、あるいは別な法律で行くとか、あるいは法の改正をして織り込むとか、明確に大体の見当でもよろしゆうございますからお答えせられたいというのが一つ、それから漁村の民主化をして、生産の増強をはかる、こういう御答弁でありますが、なるほどそうでなければならないと思います。法案を見ますると、水面を総合的に利用して、もつて生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化、あわせてというと何かあとまわしになるようなことだが、長官の御答弁は、漁村の民主化をして、生産力の増強をはかりと言われる。一体どちらを先にするのか、たとえて、言えば村に五つの漁業権があつた。ところが三つはある個人がやつていて、二つは共同でやつていたという場合に、その村が五つとも共同にせよ、いわゆる民主化せよ、つまり村張り漁業でもやろうということは、何人も漁村の民主化といつたように考えられますが、それがために資本力もない、技術もない、あるいは資材も持たないものに、村張りだからといつてこれをやらせて、そしてほんとうに生産の増強ができるかどうかということをわれわれは懸念するのであります。從つて一体こちらをほんとうからいつて先にするのだ、民主化を先にするか、生産が減退してもいいから民主化を先にして、いわゆる生産をあとまわしにするか、この明確な御答弁を願いたいのであります。
○飯山説明員 川村委員の御一質問の第一点は、許可漁業の制度を何年以内に整備するのか、こういう御質問であります。これは先ほども申し上げましたように、第五國会においても論議をされて、われわれとしましては予約をいたしておるようになつておるのであります。從つて近き将来ということは、決してこの制度をわれわれが一時的の弁明として申し上げているのではありません。当然この漁業法の中に完全なる制度を織込む意図であつたと私も考えておるのであります。しかしこの制度は特殊な示唆に基いておるということも御承知の通りでありまして、その方をどうしても先決にしなければならぬというような事情のもとに、こういう結果になつたのでございます。待つてこの漁業法の実施される場合には、当然許可漁業というものはこれをどうしても明確に整備しなければならぬという事態に至ると思うのであります。從つてでき得るならば何年以内ということをはつきり申されませんけれども、少くもわれわれとしては、できるならば一年の間にこれを解決する必要があると考えておるのであります。しかし法律の制度になりまするがゆえに、いろいろ折衝先もありますので、はたしてその短期間にできるか、どうかということについては、これ以上明確に申し上げかねるのであげます。
 それから第二点の民主化か、生産増強かという点でありますが、この改正法案の趣旨にうたつてありますのは、民主化と生産というものを、民主化を從的に書いておる意味ではないのであります。順序としてはさようにお考えいただくかもしれませんが、これは両方を盛つておる、こういう考え方なのであります。
○川村委員 次に共同漁業権の問題でありますが、第三次案までは根付漁業権といつて、ほとんど定着性の動かない海草、貝類といつたようなことに限定されておつたのでありますが、今度の第四次案は第五種共同漁業権まであつて、その漁法事についてもいろいろに区別されておるのであります。しかし昨日の御説明には磯付魚といつたようなことで説明されたようでありますが、漁法から見ますとこれは条項にわたるようで恐縮ですが、第三種の共同漁業権のごときは、地びき、地こぎ、船びき、こうしたようなことになつておりますが、私ら通常観念性から考えますと磯付魚というものは、つまり磯があつたところについておるもの、言いかえれば岩があるとか、石がたくさんあるとか、そうしたところに海草が生えていて、その中に棲息しておるというのが磯付魚の観念であります。そうしますと共同漁業権の第三種は地びき、船びきといつたようなことで、つまり浮魚をとる漁法だとわれわれは考えておるのでありますが、昨日の説明通り聞いてそれでよいかどうか。それからこれは磯付魚といつた説明はないけれども、実は浮魚もとれるような方法に仕込んであるのだ、いわゆる法の技術、こう考えてよいかどうか、この問題であります。
○飯山説明員 根付、磯付ということは川村委員の申される通りだと思います。しかし共同漁業権を設けた趣旨から申しますと、つまり沿岸の一定の場所で多数の業者が從事するものは、技術的と申しますが、それが磯付ばかりに限つたのではなくて、そういう性質のものも共同漁業権として與えた方が漁民のためになる、こういう考え方で入れたのでありまして、根付、磯付という見解のみで入れたのではない。つまり共同漁業権の中にそういうものを盛つた方が、その地方の漁民諸君のためによろしいのだ、こういう考え方で盛つたのでありますから、その点はひとつ技術的と御解釈願つたらどうかと思います。
○川村委員 先ほどこの問題について、砂間君が指摘しておつたのでありますが、そうすると浮魚もとれるのだと解釈していいという御答弁のようでありますが、そういうふうに私は了承しております。
 第三点は漁業権の補償と免許許可料の問題で、ありますが、これについても各地でわれわれが強調したこと聞いて参つたのであります。それによりますると、漁業権の補償料は全部漁業権の消滅と同時に與えるのだ、こうなつておりますが、現在の規則で見ましても、二年以上休業した者は許可の、また免許の取消をするという法律が現在生きております。そうしますとその法律によつて当然二年以上休業しておる者は取上げなければならぬということであつて、取上げなかつたことは行政官庁が事務を怠つた、かように私は考えます。それはそれといたしまして、こうしたような休業しておる者、また今休業しておるけれども将来ともにこれが着業のできないというような漁業権にも補償料をやつて、それをさらにこの免許許可料にわれわれが織り込まれたり、もう一つは行政費でも調整費でも、その他いろいろ今度のこの漁業制度に関する経費というものを、全部織り込まれて免許許可料からとられた場合に、漁民がはたしてそれに対して負担力があるかどうかということを心配するのであります。たとえて言えば、現在ですら補給金がなくなると根付漁業のごときは成立たないという声が非常に強いときにおきまして、そうした多額な免許料、許可料を納めては漁業が成立たない。漁業が成立たないとするならば、その漁業法はほんとうに絵に描いたぼたもちになつてしまうのであります。その点を非常に各地で心配して、この場合免許料、許可料に行政費あるいは調整費を織り込むなという声が強かつたのでありますが、第一点の当然二年以上休業すると取消さなければならぬ漁業にも、これを補償するということは妥当でないが、この点において補償料を拂うとすれば、一体、どういう考えをもつて補償料を拂うか、いわゆる普通着業しておる者と、あるいは二年休業しておる者あるいは五年休業しておる者、あるいは極端に言うならば、免許許可を受けて一度も着業しないというような極端な漁業権も北海道にはたくさんあるのでありますが、このものについてどういう補償をして行くかということを伺いたいのであります。
○久宗説明員 技術的な問題に亘りますので私から御説明いたしたいと思います。ただいまの休業の漁業権の補償の問題につきましては、法文の中では明確にうたつておらないのであります。これは休業にはいろいろ事由がございまして、まつたく初めから全然やつていないというものもあれば、資材の関係でたまたまでできないというものもありますし、また前網あと網といつたような関係もございますので、これをいかに評価するかということについては非常に問題があるわけでございます。そこで今度の補償の規定の中におきましては、これをこまかく書きませんで、中央の漁業調整審議会ができました際にそちらにお諮りいたしまして、それをいかに評価すべきか、つまり最も公平にこれを考えて、将来の漁民の負担能力も考えて、審議会の御意見をよく拜聽した上できめて参りたいと思つておるわけであります。
○川村委員 私はその補償料を安く区切るとか高く区切るというよりも、もつと法律というものは、われわれはつくつた以上は守らなければならぬ。法律のある以上は、行政官はその自分の與えられた権限において実行しなければならぬ。こうなるというと、この法律でつまり補償してやるという前に、漁民の負担になる、めいわくになるような漁業権を持つておる人のものを、取消す意思がないかどうかということを私は伺いたい。それによつて大分負担が軽くなるということになる。現に北海道に七千幾らあつて、三千幾ら半分以下というならば、それを再検討した場合において、あるいはその中に五年休漁したものがある。免許、許可を受けてから着漁しないものがあるというような極端な場合に、これを取消したということになると、つまり國家も補償してやらなくてもよろしいし、われわれも免許、許可料を拂わなくてよいということになるのだから、これをどういうふうに取扱うかということを、あなた方行政官としての考え方を、一応ここで意思表示していただきたいものであります。
○久宗説明員 ただいまの御説明で落したわけでありますが、現在の規定では取消すことができるというふうになつておるわけであります。それでもちろん全然使つていない網につきましては、取消すこともできるわけでありますが、ただその場合には補償の問題として考えました場合には、全然初めから使つていないというような網についての評価は、きわめて低いものになるわけでありまして、それがもし現在において、どうしてもその網を取消さなければ他の漁業はできない、しかもその網は休漁であつて、全然価値がないというような場合は、これは取消すはずであつて、他の漁業に支障がないためにそのままになつておるわけでありますから、これを残すことによつて犠牲が非常に重くなるというふうには考えておらないわけであります。現在におきましては、それはやはり全体の総合調整の中で処理すべきであると考えておりますので、今個別的にその問題について、個々の休漁の網を取消すというところまでは考えておらないわけであります。
○川村委員 今の久宗課長の答弁は、これは私とは、あるいはあなた方の言う見解の相違かもしれぬけれども、北海道において実例を見ると、七千幾らのうち三千幾らより着漁していないのだ。そうすれば半分以上が着漁しておらないというと、それに補償してやつて、今度は免許料、許可料に織り込むときに負担が軽くなるというような、ばかげたことは私は考えられない。重くなることは当然のことである。それを必ずしも負担が重くなるとは考えられないという答弁が、私は当らないと思うのであつて、あなた方はもう一回考え直して、事さらに答弁をしてもらいたい。実際を調査してどのくらいそれによるところの負担が多くなるか。ただ補償するというだけではなく、それらのものを、いろいろ調整して行くのに、調整費が相当よけいにかかる。また行政の上においてもよけいかかるということになると、單なる補償の金額ばかりではなく、行政費にも、調整費にもやはりかかつて来る。両面からかかれば必ず半分くらいのものはよけいにかかる。いわゆる負担しなければならぬ。それを免許料、許可料に織り込まなければならぬということを考えるから、あなたの方に質問しておるのであつて、それが補償してやつても必ずしも負担が多くなるとは思わないという答弁は当らないと思うが、この点において、もう一回多くなるのかならないのか、もしなつた場合において、どういう責任を負うか、その責任も答弁を願いたいのであります。
○久宗説明員 休漁の網の評価につきまして、先ほどやはり、中央の漁業調整審議会の御意見を伺つた上でというふうに申し上げたわけでありますが、その際は一応漁業権というものは物権となつておりますので、憲法上の補償が要るわけでありますが、それがほんとうに経済的な価値を持つておる。それを不当に消滅させることによつて、本人又は第三者に対して損害を生ずるという場合には、それを考慮しての補償ということになるわけであります。從つて全然初めから、現在においてはまつたく無価値なものである。また経済的な関係もそれによつて第三者に対して生じていないというような網に対しては、その補償の額をかりにゼロということも、これは考えられ得ると思うのであります。ただその価値の中には、現在においてはたまたま漁の関係で価値がないが、魚の回遊があれば非常に価値があるというものも、ただいま現在において消滅させるので、それを無価値と見ることはできないわけでありまして、そういうような点は、地方のいろいろな実情もありましようし、それこそ法律でもつてこういう何年間の休漁のものは、たとえばゼロと見るといつたような画一的なきめ方はできないわけであります。もつと非常に具体的な基準を設けて、個々の網の客観的な価値に妥当するような補償がここで考えられるべきであると思いますので、かりに北海道の休漁の漁業が、回遊があつても、無償値のものであるということでありますならば、その価値は、その価値通りに評価されてかりにゼロという場合も出て来るであろうと思うのであります。從つて現実にその網の持つておる客観的な価値というものは補償されますが、ただ権利があるからといつて、それが評価されて非常に大きな負担になるということは、実際問題としてあり得ないということを申し上げたわけであります。それは中央審議会の漁民の代表者の方々の御意見としても、当然そういうところに落ちつけるはずだというふうに考えておるわけであります。
○川村委員 わかつたようでわからないのですが、実際に休んでおるものでも、極端に言えば、第三者から借金のある分は補償してやらなければならぬから、これを拂うんだということになりますると、無償値なものでも借金をこしらえておつた者が、それでは今度補償してやらなければならぬというあなた方のお考えですか。私はたとえ第三者にそれを担保にして借金しておつても、実際に無償値であるというならば、当然これは補償すべきでない。これは極端論かもしれませんけれども、かように考えるのであります。現に北海道の漁業権を見渡したときにおきましては、過去の、政治家がとつた漁業権がたくさんある。ですから、実際に北海道といえども、昔から漁業権を持つてみずから経営しておる人が何人あるか、これらの調査がはつきりできておるかどうか。そうした調査ができておらない現在におきまして、一体中央にできる漁業審議会が北海道のことをわかるかどうか。北海道から一体何人この審議会に委員としてあげられるかどうかという問題です。私はそういう机上論でなく、実際にあなた方がお調べになつて、無価値なものはこの際遠慮しないで取消してもらいたいというように、極端に考えておるのであります。でありますから、意見の相違になりましようけれども、後刻このことについては、あなた方と十分懇談して、実際に問題を取上げて善処されることを希望しまする
 それから第四は各方面で漁業権の保護区域を設けようという声が非常に大きかつたのであります。現在提案されておりまする法律案にはこの区域がないのでありますが、私ももつとも、だと考えております。そこでこの保護区域を、水深十五メートル以浅のものが定置漁業権でなくて、共同漁業権にするの、だとなつておりますが、現在の、定置事漁業権を見ますと、十五メートル以下にもあることは、はつきりしておりますが、今度共同漁業権になつても、各地の業者が納得すればけつこうでありますが、十五メートル以浅というと、大体十号であります。かりに十一尋と十尋となりますと、一号の違いで浅い所でありますと、百間も間隔があるかもしれませんけれども、海の急勾配のところだと、十間か十五間しかないんだ。その町分に片一方が十五メートルより深いといつて、そこに免許事業が許可になつた。ところがそこが今度ちようど十五メートル以浅でも、十間か十五間の刻みで行つて、操業ができるということになると、相剋摩擦をすることは当然であります。事こういうことがあるということをわれわれが今まで見せつけられて来たのでありますが、これに対して保護区域を別な法律で定めるか、あるいは、取締規則のようなもので定めるかどうかという問題と、その十メートル以浅、あるいは以深という二つのわすかの差の問題は、一体どういうふうにしてこれを緩和して行くか。すなわち漁業調整委員会で緩和して行くと言つても、なかなか、これは容易でないのであるが、これは法文化することが必要だと思うが、その点についてはどうかということを承りたいのであります。
○久宗説明員 ただいまの定置漁業権の保護区域の問題でありますが、これは必ずしも設けろというふうに規定する必要はないと思うのであります。実際問題として、今のような問題は各地に起るわけでございますが、これこそ私たちといたしましては、漁業調整委員会で処理していただきたいと思うのであります。こういうものを何らか縣の一般規則で技術的に書きわけるというようなことをいたしましても、どうもうまく運用できないわけでありまして、そういうような孫の一般的な規則の足りない部分をその海区、また網の実情に即して具体的な漁場計画の際又は指示でやつていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。
○川村委員 そうしますと、めんどうなことはすべて漁業調整委員会にやらせるのだ、行政官庁あたりは、漁業調整委員会でやつたことは、すべて是なりとして取上げるというようにお考えになつて、この法律をつくるならば、むしろすべて事場が漁業調整委員会でやるのだというので、これ一本でいいのではないか。極端に言えば、こんなにむずかしい、読んでもわからない、実行もできないようなこんな長い法律をつくるよりも、あなた方で、そういうめんどうの問題はそれもこれも漁業調整委員会でやるのだということであれば、法文というものはごくわかりやすく、あとめんどうなところは、細部にわたつては漁業調整委員会で調整するというのでいいと思いますが、これはどうですか。これは町か関係方面との、関係で、こういうむずかしいものをつくらなければならなかつたか、それとも漁業調整委員会に責任を持たせるの、たが、あまりやり過ぎる場合を考慮して、こういうめんどうな法律をつくつたか、最後ですからこれだけお伺いいたします。
○飯山説明員 大部漁業法の制定の根本に触れているように思うのでありますが、調整委員会に何か行政庁が全部責任を持たせるというふうに、川村委員はお考えのようでありますけれども、これはそういう意味で考えておるのではないのであります。調整委員会でできるくらいならば、法律そのものも今言うようにきわめて簡明で済むと思います。しかしこの漁業法は、日本の漁業の憲法であると私どもは考えておるのであります。從つてこれをきわめて簡明にして、調整委員会にまかすのだというようなことでは、いわゆる憲法としての価値を維持できないのではないか。私どもとしましては、できるだけ民意を取入れて、実際に即するという意味で調整委員会というものを設ける、こういう制度でありまして、行政庁の責任を転嫁するために調整委員会をつくつているのではないのであります。つまり漁業法の精神を最も効果的に上げるために調整委員の制度をつくる、こういう考え方でありまするので、今の説明のうちにいろいろ責任を転嫁するようにお聞きとりかもしれませんが、決してそういう意味でないことを御了承願いたいと思います。
○川村委員 われわれも漁業の憲法として考えているのですが、憲法ですら、第一章から第十一章までで百三条から成つておつて、そんなにめんどうなものでない。漁業法は一体どのくらいになつている。憲法よりむずかしい漁業法をつくらなければならないというのであれば別問題ですが、私は漁業調整委員会に権限をほとんどまかせているのだという解釈からして、また漁業調整委員会が審議したことを、道府縣知事がすべて実行に移すのだ、道府縣知事が調整委員会の意見を聞かせないでやるわけに行かない、こうなると、選ばれた者は漁民の代表の調整委員であり、知事は道府縣の住民が選んだ知事であつて、やはり漁民の知事とも言える、そうすると行政官と漁民との間に結ばれたことであるならば、あえてこんなにめんどうな法文をつくらなくてもよろしいと思います。やはり民主的であると解釈できるのですが、でき得れば私はそういう考え方から、この法の修正もしてみたいという考えを持つております。今長官の答弁から行くと、漁業調整委員会に全部まかせるのだということでないとするならば、一体権限はめんどうなところだけまかせるというのですか、それとも責任だけを持たせて、あとはかつてに知事にやらせるというのですか、どういう考え方なのですか。極端なことを聞くようですが、民選の知事といえども最後の決定権を持つているのだ、漁民の選んだ調整委員がすべての計画を立てて、これを知事に訴えるのだ、われわれの解釈では、いわゆる憲法とはいえ、われわれそのものがつくつて、われわれが行うのだ、こうなるとあまり法文にめんどうなことを書かなくてもいい、こういう解釈をするのですが、この点についてもう一回御答弁願いたい。
○久宗説明員 法文が非常に煩瑣になつているという点は確かにありまして、非常にわかりにくいということはあるわけでありますが、お尋ねの、委員会に全部まかしてしまうのかどうかという問題でありますが、これは委員会に手離しでまかすという形ではなくて、そのまかす内容は法律で規定するわけであります。こういう事項、こういう事項と書いてありまして、その具体的な判断が委員会にまかされるわけであります。たとえば適格性とか優先順位の問題について詳細に規定がありますのは法律のわくでありまして、それを具体的に判断する問題が委員会にまかされるわけであります。これをかつてに委員会に全部まかしてはいけないのであつて、國民の権利という問題に関連する問題でありますから、やはり法律でその大きなわくはきめて、その細部が委員会にまかされるという形になるわけであります。
 なお知事と委員会との関係でございますが、これはまた委員会一般について御質問が出ると思いますが、漁業調整委員会の性格上、ある利益代表機関として委員が選ばれて、それで投票することになると、たとえば業種の代表ということになつて出た場合には、当然その選挙團体の意向に從つて投票しなければならない。つまりこの事実はかりにこうと思つても、この業種の立場からとにかく反対しなければいかんという形になつたのでは、委員会の決定というものはどうしても漁業の実情に即し得ない。今の業種の問題もありましようし、地域の問題、あるいは階層の問題も出て参りますので、これはそういう形をとれないわけでありまして、これをいわゆる直接選挙によりまして、公平な第三者としての判断ということをそこに盛つたわけであります。しかしながら、そういう場合にこれをただちに決定機関といたしましたのは、その地方的な特殊な事情、あるいはその委員会がかりに非常にまずく構成されておるといつたような場合に、それを最終決定といたしましてただちに漁場の秩序に移すということは危険がございますので、その判断に基きまして、最終的には都道府縣知事が責任を持つてこれを処理するという二段構えにしておるわけでありますが、その場合に、委員会のおきめになつた御意向というものについては、当然知事といたしましても、それに大きく制約されて、それが不当であるということについて相当の確証があり、そういうのがはつきりしておる場合でなければ、それと違つた決定はでき得ないと思いますので、事実上は委員会の決定というものによつて処理されて行くだろう。ただ責任は、そこに二つの段階をもうけて処置してもらいたいと考えておるわけであります。
○川村委員 これ以上時間を費すことは、あまり不見識でありますので、これで質問を打切りますが、各条にわたりまして、この委員会の問題につきまして、さらに十分検討を加えて行きたいと思います。
○夏堀委員 前質問者三名の質問に関連してこの許可事業ということをもつと具体的にお伺いしたいと思う。総合的な水面の利用、これは非常に重大な問題であります。質問者の意見は大体一致しており、そしてこれに対する長官の答弁も大体同意しているというように伺つております。ただこれを実施する時期、これが問題としてまだ残されているようであります。これも非常に重大な問題でありますので、その実施の方法をこの漁業法の改正案の中に織り込むということで議事を進めたいと思うのでありまして、委員会においてこれを決定すればそうなるわけであります。ただ先ほど長官がおつしやつた、二年間もかかつた非常に複雑な法律である。そしてこれは極東理事会において云々ということがちよつと出たのでありましたが、そうしたことであれば、いろいろ大幅の修正を吟味されることであろうと思いますけれども、どの程度にその修正が行われる可能性があるかどうかということについては、これまで長官は何十回を関係方面といろいろ御折衝になつているでしようから、その空無によつても、ある程度の大幅修正はやむを得ないというお感じであるかどうか、またかたい法律案としてここに提出されたものであるという感じがあるかどうか。
 それからもう一つ、先ほどの許可漁業ということは、遠洋許可漁業と合せて、今度の法律案に近海の許可漁業の一項目を入れるべきではないかと考えるのであります。ただここに底びきの問題がある。たとえば以西底びきのように整理の段階に入つているものがある。そのために以西底びき以東底びきのような底でとる漁法に対しては、新聞の報道で私がつらつら伺つているところでは、水産庁の方で資源枯渇防止法案というものを考えておられるようでありますが、これは底びき漁業の整理案を含んでいるものであるかどうか。もしそうであれば、これは切り離して別の法律案に盛るべきである。ただ回遊魚に対しては農林省一本の許可として急速に促進してもらいたいと思う。以上のことをお伺いいたします。
○飯山説明員 夏堀委員の御質問の第一点でありますが、これは速記をとめてお話申し上げたいと思います。
○石原委員長 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○石原委員長 速記を始めてください。
○飯山説明員 第二の御質問の許可漁業の制度の問題でありますが、水産資源枯渇防止法案というのを実は今度の委員会の最後の日に、機会を見て申し上げたいと思つておりますが、枯渇防止法というものを現在立案いたしまして、関係筋に相談しておるのであります。これは御説のように、以西底びきの整理案を確実に、迅速に行うためにまず立案になるのでありますけれども、しかし單行法を出す以上、今後起り得るところの以東底びきというような漁業の種類に対しても、これが適用できるようにという含みで、実は立案をいたしております。從つて以東底びきという問題も、もし整理というような問題になれば、この枯渇防止法に基いて行う、こういうことになるかと思つております。われわれといたしましては、以西底びきの漁区の関係上、一日も早く以西底びきの整理を終了いたしたいというような考えのもとに、法律によらなければそれが非常に困難な点がありますので、その立案を急いで、できるならば臨時國会に提出いたしたい、かように予算の操作もいたしておるわけであります。それで漁業法の中に、近海いわゆる以東底びきを指定遠洋漁業と同じように扱うかどうかということについては、実はこの以東底びきの連合会あたりからも要望があるのでありますが、しかし以東底びきになりますと、先ほど申し上げましたように、戰時中の関係から非常に数がしふえておるのであります先ほど砂間委員から御批判を受けたのでありますが、無定見でやつたのではなくして、戰争中の非常な増産を至上命令とされたために、とにかく各縣が競つて増産のためにやつた結果が、事今日を招来しておるというのでありまして、必ずしも政府の無定見のために、今日のような過剰を来しておるという実情ではないのでありますが、とにかく過剰になつておる。これをやはりできるならば單行法について考える方がいいのじやないか、漁業法によるよりもその方がいいのじやないか、こういう見解を私としては持つておるわけであります。從つて漁業許可制度の確立については、この法律に基くのではないかという御意見もごもつともと思うのであります。しかし水産庁といたしまして、この臨時國会にそういう許可漁業の制度に関する改正案を出すということは非常に、困難でありますから、この臨時國会には、私どもといたしましては非常に困難と思います。しかし國会におきまして御修正になり、幸いにしてそれが関係方面においても了承されるということであれば、たいへんけつこうだ。かように考えております。
○夏堀委員 速記をとめていただきたいのですが……。
○石原委員長 では速記をとめて……。
    〔速記中止〕
○石原委員長 それでは速記を午前中はこの程度にとどめます。午後は一時より開会いたします。これで休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十分開議
○石原委員長 午前に引続き会議を開きます。
 本問題に移る前に、小松委員より災害について発言を求められておりますから、簡單にお述べを願います事。
○小松委員 この機会に災害復旧対策、ことに水産関係の施設その他に対する対策について、御当局がいかなる処置をおとりになつておるか、またいかなる今後の対策、方針をお立てになつておるかについて、簡單にお伺いしたいのであります。
 このたびの台風は全國的でありまして、その被害の状況は、すでに政府に各府縣よりの報告が参つておるので、長官も大要を御承知のことと存じます。私は全國的の実情はよく存じませんけれども、伊豆半島におけるところの水産関係の被害状況は、つぶさに調査して参りましたので、よく承知しておるのでありまするこのたびの水産関係の災害の多くは、激浪のための水産施設、漁港、及び船だまり、あるいは水産資材の流失等の被害がおもなるものであります。静岡縣とすれば、ほとんど伊豆半島の一角、熱海より白浜に至る間のわずかな地域でありますけれども、縣の調査によりますと、水産だけの被害が四億一千万余に相なつておるのであります。そのうちのおもなるものは、船だまり、船揚場等の三十箇所二億、あるいは漁港の八千万円、あるいは定置資材の、流失、船百七十隻の損失等が計上されておるのであります。かようないまだかつて見ざるところの災害でございまして、この復旧に対しましては、地方の力だけではとうてい私はでき得ないことと存ずるのであります。私が地方をまわつて参つた際にも、漁村の人々は、ほとんど激浪にさらわれて壊滅したその漁港、あるいは漁業施設の復旧に対して、老若男女を問わず、小学校の生徒までが出動して、おおしくも復興に働いておるのであります。しかしながらかような奉仕作業というものにはおよそ限度があるのであります。漁村の人は、ぜひとも船の出入だけできるような港をつくりたいといつて作業に努力しておるのでありますけれども、あの堆積を整理して、壊滅した港から船を出入りするというようなことは、容易なわざでないのであります。そこで第一に必要なことは、私は懸念の対策を立ててもらいたい。それに対して、政府の方としては今日いかなる対策を立てているか、この点をまず第一に伺いたい。そうして漁港、船だまり等の破損の多くは、いずれも災害の復旧とか、あるいは継続事業が中途半端になつておつて、完成を見なかつたがために、その災害をさらに大ならしめておるのであります。かような点は今までのこれらの施設工事に対しましての政府の御方針が、あるいは財政の関係もありましようが、あまりに中途半端な、なまはんかなものであつたという感を深くするのであります。ゆえに今後はかような点をも十分反省されまして、そうして一年でできるものを二年、三年というような継続事業にわたらないように、これをすみやかに完成するような努力をお願いしたいのであります。かつかような復旧事業に対しては、今後もちろん地方の負担もやむを得ないことかとは存じますけれども、災害の復旧工事でありますから、こういうものに対しては、今後全額國庫がこれを負担すべきことが、私は至当なる要求であろうと考えるのであります。これらの点につきましても、長官初め水産庁の関係諸君はできるだけの御努力を願いたいのであります。これらに対してのお考えはどうか。かつまた流失資材等に対しましても、これをすみやかに特配していただかなければ、漁労にさしつかえておるのであります。そこでわれわれが憂うることは、先に漁業資材に対しましては補給金の制度が設けられておつたのでありますが、承るところによりますと、三、四半期より補給金が廃止されるやに聞いておるのであります。この問題に対しては議論は後日に譲りまして、この災害に対しては、よしんば補給事金が廃止されても、補給金を交付しておつたときと同じような価格によつて、災害の資材に対しては特配すべきが妥当であろうと、私は要求するのであります。これらの点についても長官の御努力を促すとともに、いかなるお考えを持つておるか、重ねてお伺いしたいのであります。
○石原委員長 お諮りしますが、砂間君より同一の質問を要求されておりますので、当局の答弁に先だつて、許したいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石原委員長 それではごく簡單に……。
○砂間委員 キティ台風による伊豆半島方面の漁村の被害については、ただいま小松委員が詳細申された通りであります。ところがこういう被害は他にも、たとえばデラ台風の場合四國、九州方面、あるいはキティ台風の場合北海道方面、その他にも相当広範囲にわたつておるのであります事。單に伊豆方面だけの漁村の災害について私は問題にしておるのではないのでありますが、そういう意味において、これはきわめて重要な意義を持つておる問題だと思うのであります。その対策についても、小松委員からも詳しく質問がありましたが、私から端的に御質問申し上げたい点は、近年における地方財政の困窮の情勢にかんがみまして、防波堤であるとか、あるいは漁港の修築、前船だまり、そういつたものはこれは全額國庫負担でやつてもらいたい。地方でやるといつても、地方で分担するような余裕はとうていありません。全額國庫でこれをやつてもらいたい。それから漁船の建造や、網その他漁業用資材の配給についても、できればこれを無償で國の方で心配してもらいたい。それができない場合には、第二次策といたしまして、値上り前の安い公定価格をもつて手に入るように心配してほしい。その際には生業資金として必要な低利資金のあつせん融通を國の方からお願いしたい。その他にも民家が屋根が吹き飛んだり、つぶれたり、着る物を流されたり、いろいろそういうのがありますが、そういう生業資金についてもこれは水産関係だけではありませんが、生業資金についても國の方でいろいろめんどう見てもらいたいという要望を持つておるのでありますが、これについての水産当局の対策と申しますかお考えを御質問申し上げたいと思うわけであります。川村委員 小松委員並びに砂間委員から、災害全般のことについての対策について、水産庁当局の意味をただしておりますが、私は意見をただすというよりも、むしろこのことは全國的にはつきりしておる問題であつて、もちろん水産庁と、しては対策を立てておると存じますが、少くも水産常任委員会においても、これが対策を立てなければならぬということを考えております。いわゆる前の台風の場合の災害もありましよう、今度のキティ台風の災害の対策の問題もありましようが、これらを全面的に取上げて、水産常任委員会において対策小委員会をつくつて、そうして水産庁当局並びにその他関連する各省の当局とも懇談して、実現を期するように、ひとつ対策を立てられんことを要望いたす次第であります。
○石原委員長 この場合申し上げておきます。委員長もそこに考えるところがありまして、全國の災害の状況並びにこれに対する水産庁の対策案というものを明日の会議の劈頭に報告するようにということを、今朝長官に要求をしておいた次第でありますから、御承知置きを願います。
○飯山説明員 最初に小松委員の御質問にお答えいたしたいと思います。
 今回のキティ台風の被害が、特に関東方面に甚大であつたことはお話の通りであります。そうして伊豆牛島、静岡縣と神奈川縣が特に被害が甚大であつたということも、お話の通りであります。しかし現在までに判明しておりまする被害の数字は、神奈川縣、静岡縣だけにとどまつておりますので、水産庁からは資料課長と沿岸漁業課長と二班にわけまして、資料課長が静岡、神奈川、沿岸課長が千葉、東京、茨城、こういうふうに、見舞を兼ねて調査に出しておるのでありますが、本日帰つて来ましたので、今調査の材料を集めております。從つて現在詳細なる数字を申し上げかねるのでありますが、ただいままでに水産庁の手に入りました資料によりますると、静岡縣が先ほど約四億というお話がありましたが、私の方の数字では三億七千六百八十七万六千円という数字が出ております。それから神奈川の方は四億五百九十八万三千円という数字が出ております。そのうちやはり一番大きいのは漁港関係でありまして、両方あわせて約六億二千五百万円という数字になつております。で、これが対策いかんということでありますが、御承知の通り、災害対策につきましては政府が一括してこれを立てるというような考え方になつておるのでありまして、先般の九州を襲いましたあの六月のデラ台風に対しましては、預金部から約十一億三千万円の短期資金と、それから公共事業費として十二億万円の貸付、約二十三億三千万円というものを、政府が資金の融通をはかつておるのであります。それからヘスター台風のときには預金部から六億万円、ジユデイス台風の際にも同様六億万円、こういうふうに資金は出してあります。しかもこれは預金部の短期融資ということになつておるのであります。この額がどれだけ水産方面に融通されたかということは、これを各府縣に分配して、これを知事の裁量において各産業にわけることになつておりますので、現在照会しておりますけれども、まだ正確な数字が参つておりません。しかしわれわれといたしましては、できるだけ水産係り及び知事に対して、水産方面に対する高率の分配をやるようにということを要望しておるのであります。デラ台風の方は、水産関係でも約二十億という被害を受けておりますので、かような少額な数字ではとうてい不可能ではないかと思いますが、しかし政府の財政の関係で、これ以上の対策ができなかつたことと思うのであります。小松委員から、政府は応急対策としてどうか、恒久対策としてどうかというようにわけて御意見があつたのでありますが、キティ台風に対しましては、資料が整わないために、水産庁としては、まとめて幾らということはいまだ、要求ができませんが、調査理事が帰つて参りましたから、一両日中に資料がまとまることと思いますので、それと、さらに各孫の報告をまとめまして、それに基いて、今まであつたところの台風のときのような預金部資金の率、あるいは公共事業費の増額というような線で、応急の対策を進めて行きたいと考えております。
 それから恒久対策につきまして、今までの政府の工事が彌縫的であつた、ために、非常な損害をもたらしたであろうという御意見はごもつともと思うのでありますが、全國の漁港を修築するといたしましても、百何箇所というものがあげられるのであります。これを二十箇所とか、あるいは十五箇所というようにすれば、確かに御意見のようになるのでありますが、しかしわれわれといたしましては、全國からの要望がありますので、重点的にある地方だけに主力を注ぐということは、現状においては非常にむずかしいのでありまする從つて予算が十分に許されるならば、できるだけ多数を完全にするということは当然でありますけれども、今の公共事業費の漁港に対するわけ前の程度におきましては、恒久対策について、ただちに御意見のようなふうにはなかなかしにくいと思いますけれども、しかし結局は國家としては非常な損失を招くことでありまするので、できるだけ御意見のようになすべきものだと、われわれも考え薫るのであります。
 それから漁港の方は、漁港法案というものが各位の非常な御努力で、いずれ上程される運びになるのではないかと思いますが、大体重要な漁港は國家が百パーセント持つべきものだという見解を漁港法案においても盛られておりまするが、われわれも重要漁港に対しては常にそういう要望をしておるのであります。しかしそれが今日四十パーセントとか、あるいは五十パーセントというような程度になつているのは、まことに遺憾な点もありますが、これらの増率あるいは百パーセント補助というようなことにつきましては、ぜひとも水産常任委員、会各位の御協力御配慮を仰いで、そして一日も早く今御要望のありましたように、百パーセント國庫でこれを持つというふうにして行きたい、かように考えております。
 それからもう一つは資材の特配でありますが、補給金とからんで、お話があつたと思います。資材の配給につきましては、わくをただちに増大するということは、いろいろ関係がありましてむずかしいのでありますが、われわれといたしましては、從来の台風対策としては繰上げ配給をやる。たとえば四・三のものを四・二にする。あるいは四・四のものを四・三にするというような行き方で、実際の取扱いはしておるわけであります。從つて資材の方では九州方面における災害は割合に早く遊んだのであります。今回ももちろんそういう方法で資材の取扱いはいたすつもりでおります。ただ問題は、資材の場合に代金支拂いの問題であります。もちろん非常な被害をこうむつておる際でありますからして、資金の非常に困難なこともわかつておるのでありますが、これはわれわれといたしましては、先般きめられたいわゆる漁業手形の制度によつてこれをやつてもらう。こういうふうな運びをいたしております。九州地方も現にそれでやつたのでありますので、今回も資材の手当、資金についてはさような方法でやつて行こう。こういう考えを持つておるわけであります。
 それから無償でできるというようなことになれば、これはまことにけつこうでありますが、これは非常にむずかしいので、今の無償でできない場合には、かりに補給金がなくなつた場合には、補給金のあつた当時の価格で売るというわけでありますが、補給金につきましては、過般来当常任委員長を初め、委員各位で非常に御努力になつております。またわれわれも事務当局として、関係当局とはいろいろ折衝しておりますが、現在のところまだ補給金を切るという確定はいたしておりません。從つてわれわれは現在は補給金は継続しておる。こういう考え方で今いたしておるのであります。補給金の問題はまだ未解決なのでありまして、未解決の間は補給金は從来通りもらう。こういうふうに私どもは考えております。從つて今後も補給金は少くとも年度内、できるならば新年度においてもというような考え方で要望しておりますが、もし補給金が切られるような場合において、これを從前の価格ですえ置くというふうにするためには、支出の面がありますので、これをどういうふうな資金をもつてこれに充てるか、つまり財政方面の政府としての資金をいかにするかというような点については、今具体策を持つておりませんが、しかしこういう御要望も出ておりますし、また当然のことでありますから、われわれとしては、何とか補給金の切れた場合は特段の方法を講ずるようにいたしたいと考えております。大体小松委員の御質問にお答えしたと思います。
 砂間委員の御質問の中で、全額國庫補助ということは先ほど触れておきましたが、その次に漁船資材を無償でというようなことでありましたが、ただいま申し上げた次第で、ひとつ御了承を願いたいのでありますが、ただ生産資金、あるいは住宅、その他の水産業者の手当というようなものについての御要望もあつたのでありますが、住宅というようなことになれば厚生省関係というようなことにもなり、あるいはものによつては建設省と関係するところが多いと思いますので、これらの関係方面と御意思に從つて折衝を進めて、これが実現をいたすようにいたしたい。かように考えております。
 それからこれは先ほど川村委員の御意見であつたかと思うのでありますが、私どもも、実は毎年きまつて来るところの被害なのでありますから、何とか水産にも恒久的な災害対策の政策を立て、それによつて台風の被害の発生した場合には、即時活動ができるというように、機関と申しますか、機構を持つことが必要だと思うのであります。被害を受けてからいろいろ相談したり、折衝しておるということであれば、漁期を失する、時期を失するというおそれも多分にありますので、私どももできるだけの資料の収集なり、そういう方面に努力いたしますから、ぜひとも当委員会においてそういう御検討を願いまして、具体化するように御援助願いたい。かように考えるのであります。
○川村委員 ただいま水産長官から懇切な御答弁がありましたので、一応了承いたします。全國的の問題であつて、資料が集つておらないから云々ということでありますが、ごもつとも、だと思つています。ただこの場合北海道の出身の私として一言申し上げておきますことは、過般の台風において私のところへ来た電報をお見せいたしまして、かような次第であるということを連絡してあります。さらに私は道庁の水産部長に対して、資料を早く提出しろということも要求しておりますが、まだ私の所に来ておりませんし、今の長官の御答弁の中にも、靜岡と神奈川だけで、あと全國的に来ておらないということですが、私はそのことを考えて、ほかのことにも考え及ぼすのですが、どうも北海道はあまりに大きすぎるのか、資料の提示が非常に遅いのであります。この台風に関する限りは地元地区、関係漁業会から私の所に来ております。さらに北海道の新聞には全部書いてあります。今のお話で、まだ北海道庁から来ておらないという感じがしたのでありますが、つまり北海道の行政、特に水産関係だけ申し上げますと、北海道の水産行政の監督は、水産庁にも監督権があるのではなかろうかと考えるのでありますが、このことばかりでなく、すべて水産庁ですでに意思表示しろという連絡をとつておつたものですら、今日とやかく言つて、まだ一切意思表示をしておらない。しかもその意思表示をする前に、非常に混乱しておる問題もあるのであつて、今日三箇月もたつて意思表示しておらない点、かえつて混乱に導くような行政をやつておるという感じもしないでもないのであります。こういう点において、一体水産庁として、特に長官の提示した問題について、まだ回答を得ておらないというようなこと、それがためにひとり北海道ばかりでなく、関係縣が非常に迷惑しておる。それから特にわれわれ水産常任委員の中にも特定人があげられて、何か水産庁と妥協して、画策しておるというようなことや、それよりももつと極端なことは、何か関係事のある代議士の中で二、三人が五十万円もらつて云云だとかいつたようなことを耳にしたのでありますが、北海道の水産行政の弱体、つまり自分たちの責任を負わずして、そういうことを、公式の席上で長官にその措置はいかぬ、そういうことはどうだ、とかいつたようなことを質問したということを聞いていますが、こういうように、やはり日本全國の水産行政が区々ばらばらになつたのでは、この台風の解決はつかないばかりではなく、すべての水産行政の解決はつかないと思いますので、特に長官にこれを要望するのでありますが、この場合もちろん地方の官吏に対する権限はどの程度にあるかどうかということは、私にはよくわかりませんが、指導よろしきを得ないものは、あなたの方で監督する範囲においてこれができないということで、そうしたようないろいろな問題をかもして、つまりスムースに行くものも行かせないでということになつておるのか、どちらかわかりませんが、とにかく長官がわれわれの意志に沿うか、民間から選ばれた長官であるだけに、スムースに行くことを期待しておることが裏切られておるような、感じがするのであります事が、こういう点において北海道が欠けておるということを私は感ずるが、長官はどういうように感じておるか、もし感じておつても、このなりに一体北海道をまかせるままにしておくかということについて、長官の所信を伺いたいのであります。
○飯山説明員 大分御質問の内容がむずかしい問題でありまして、これは明確な答弁はできかねると思うのでありますが、私の考えがもしお答えになるならば、お答えさせていただきます。もちろん水産行政につきましては、農林大臣がこれを主管し、水産庁長官がこれの執行に当るということはこれははつきりしておる。從つて日本全國の水産の行政において、ある地方がこの全般的な情勢の進行を妨げるというようなことがありますならば、これはゆゆしき事柄だと思うのであります。從つてわれわれの権限の範囲においては、そういう事態を一日も早くなくするように努める。また未然にこれを防止するべく努力を拂う、かように考えております。先ほどの具体的なお話の一つかと思うのでありますが、この入会問題について、われわれは北海道道民の意向がわれわれの考えに反しておるのだというふうに私どもは最初受けておつたのであります。從つてもし道民全体の意向だとするならば、これはわれわれとしても一応考慮を加えなければならぬ問題じやないか、かように私は考えております。過般私出かけてその実情に接して見ますと、必ずしも今日まで遷延しておることは道漁民全部の意思でないということが明らかになりましたので、近い機会において、水産庁といたしましては、一定の方針に基いてこれが実行を期しておる、こういう次第であります。北海道の行政に当つておる人々の直接の監督は、これは北海道知事に属することになりますので、私としましては今後水産の全國的施策を進める上において、北海道のためにそれが支障を来すという場合がありますならば、その際は、われわれとしては断然それを実行するという手段を講じて行きたい。かように考えております。
○川村委員 私の質問はつまりこの台風によつて受けた被害というものは相当あるということは明らかになつておるにもかかわらず、私の方から電報で要請したものがまだ来ておらないのだ、新聞やその他には明らかになつておる。それをつまり水産庁に報告がないために、長官が神奈川縣と静岡縣だけを取上げておるように考えられる。特に私は北海道のいわゆる水産行政というものはうまく行つていないために、こうしたような報告も遅れているのじやないか、それで付随した問題として先ほど御答弁のあつたことをとらえたのであつて、決してそのあとの問題をとらえて云々ではないので、遅れておるということについて、今後遅らさないで、北海道の水産行政参をうまくやつて行きたいという信念から、長官に意見を煩わしたのでありますから、その点をひとつ御了承願いたいと思います。
○冨永委員 漁業法に関する質問は、大体午前中において同僚議員からそれぞれただされたのでありますが、その中の問題をまた繰返すようになりますが、私は決してそういう意味からではなしに、先般全國各地において、國政調査に関する懇談会を開いたときも、各地における一貫した意見であつて、しかも漁業法の底を流れる考え方に、漁民が非常に大きな不安を持つている、点が、午前中の質問においても、まだ必ずしも明確になつておらない。しかもその最後的な見解としては意見の相違だというふうになるのであります。しかしながら私どもが本法案を修正いたします場合には、どうしても築き詰めておかなければならない問題なので、この場合さらに伺つておきたいと思うのでありまするが、ただその前提として申し上げておきたいと思いますものは、長官は長官独自の見解から答弁されておるように思われる点が多い。この法案の原案作成者として、本法案の真意に立脚して答弁されておるという点からは、若干はずれておるのじやないか、從つて漁業者の総意を代表するわれわれの質問とぴつたり来ないのじやないか、こういう点もありますので、ひとつ御考慮願いたいと思うのであります。この法案には、計画的に新漁業権の免許を行うというふうになつておりますが、この計画というのは、どうしてたれがどのようにきめるのか、詳細にこの場合承つておきたいと思う。しかして最高の責任者としてたれがその責任をとるか、計画の適正化を、どうしてきめるか、これを言いかえれば計画が最も適切であるかどうかということは一体たれがきめるか。こう申し上げますれば、あるいは、いやそれは漁業調整委員がきめるのだ、中央審議会の委員がきめるというふうに御答弁になるかもしれませんが、しからば長官のお考えでは、その漁業調整委員なり、中央における審議会の委員なりが、はたして本法案が期待しておるようなりつぱな人物が選挙されて、しかもこの方々が二年間に、過去数十年間かかつて、いわゆる苦心粒々の結果今日を築き上げた漁業法の漁業の実体をこわしてまで、新しくやろうとする責任をとるだけの人物が、はたして御期待の通り選任されるかどうか。しからば一体その調整委員に対していかなる地位の保障を考えておられるか。私ども仄聞するところによりますれば、出頭した日当を考えておるだけにとどまるというようなことさえ聞いておるのでありますが、専心二箇年びつしりやつていただいても、あるいは期待に沿わないのではなかろうかと考えられる問題が非常に多い。悪質な漁業者の中には、全然顧みられない漁業権を借款の対象にして、これを補償に充てるという人さえあるということを聞いておるのであつて、これらの補償の金額が、新しく冤許される場合の金額に織込まれるという危険事を防ぐというようなこまかいことにまでわたりますと、ただ單に適格性、優先順位だけをきめられただけでは相済まぬと思うのでありまして、この調整委員に対する地位の保障と言いますか、あるいは経済的な保証と言いますか、運用上の保証と言いますか、そういう点に対して、一体長官はどういうふうにこれをお考えになつておるか、またこれほど大きな、いわゆる長官が先ほどお述べになりました憲法とも言うべき憲章だというこの大事業に対して、しからば農林大臣はどんな指導方針を持ちまた監督方針を用意しておられるか。昨日でしたか、予算内示の一端を伺いました程度の少額なものでは、私どもはとうてい納得でき得ないと考えるのであります。この点に関して長官の明確な答弁を承つておきたいと思います。飯山説明員 ただいまの冨永委員の御質問は、二年間に新計画が立ち得るかどうか、またその計画は非常に重大であるにかかわらず、これを立てた場合に、たれがその妥当であるかないかをきめるか、最高基準はどこか。そういうお尋ねがあつたのであります。もちろん今度の漁業法におきまして、漁場の調整をはかるということが、生産力を高度に発揮する一つの手段であるという意味においても、今までまた一面漁業権の民主化という面から考えられておるのであります。それで新計画と申しますと、ここに非常な現実を離れたところの計画のように、あるいは感ぜられる部分があるのじやないかと、かような気持がするのでありますが、決してこの漁業法にうたつております計画というものが、いたずらに從来の組織内容を破壊して、ただ一つの架空的、あるいは理想的と申しますか、そういう考えのもとに立てるものではないのであります。從つてわれわれは、この計画を立てる場合の最高責任者はもちろん農林大臣にあると考えております。これが執行に当ります水産長官はもちろん責任者である、かように考えております。ここで調整委員会というものが、この実行にあたりまして相当重大な責任の立場に立つということも明らかなのでありますが、その調整委員会の権威と申しますか、実力と申しますか、そういう点においていろいろ御不安があるようでありますが、私どもは民主化をして行くという建前から言えば、どうしても調整委員の制度を加えなければならない。民主化を進める上において、民意をできるだけ反映させるというような組織の一環として、調整委員会というものが生れて来るわけであります。從つて今必ずしも理想的な方々のみを網羅するということは非常に困難かと思いますけれども、少くも漁民の各位が信頼し、そして尊敬し得るような人が選ばれるであろうということを、私どもは予想するのであります。從つて現在の漁村において尊敬に値し、また信頼される人が選ばれるならば、それはその人たちによつて行くことが現在としては最善だ、こういうふうに考えられるわけであります。
 もう一つは、りつぱな人を委員に選んで、それらの方々の生活を保障する、あるいは不安なからしめるというようなことまで徹底的に行うということは、他のいろいろな委員会、行政的な委員会もありますが、その関係もありまして、ひとり漁業の調整委員のみにそういうふうな生活の安定と申しますか、徹底した待遇をするということは、非常に困難なのであります。しかしそれらの委員の方々は、少くも直接もしくは間接に、たとえば公益的にか、あるいはそこの行政的にか、相当密接な関係ある方々、及び直接漁業に関係のある方たが選ばれる、しかもそれは民主的に選ばれる、こういうことでありますので、私どもは、現在としては最もこれが妥当な方法だ、これ以外には現在として民主化を進めて行く上においての機関として適当なものは考えられない、こういう考えなのであります。從つてこの調整委員会が相当重大な責任を持つということはお説の通りであります。しかし最高と申しますか、あるいは最後と申しますか、その責任は農林大臣にあるのだ、こういう見解を持つております。
○冨永委員 今の長官の御答弁から考えれば、どうもただ單に看板のぬりかえになるのじやないかというふうにも考えられるのです。またこの法案から考えれば、あるいは角をためて牛を殺すような結果になるおそれはないかというような点も考えられるので、私どもはそうしたねらいの点から修正を考えてみたいのです。今私の質問に対する長官の答弁の中で漏れていると思います点は、これほどの大きなことをします場合の農林大臣は、どんな指導方針をもつて臨むか、それに対する用意はどうか、こういう点をもう一つお聞かせ願いたいと思います。
○飯山説明員 その漁業法の今度の改正の趣旨に、私はそれが明らかになつておると思うのであります。この漁業法を実施した場合の最高の責任者は農林大臣である。農林大臣はこの漁、業法の精神に從つてこれを実施して行く、こういうことであつて、いかなる指導方針かと言われれば、この漁業法の精神を指導精神としておる、こういうことに私は考えております。
○冨永委員 その点をやり合つていてもしようがないと思いますが、漁業法は漁業の民主化をそのねらいの一つといたしておりますが、本法によりますと、定置も区画の漁業権も、漁業権の免許について、漁業者と漁業從事者とを優先順位においては同等に取扱う、あるいは漁民に一定の優先の順位を與えてはおるのでありますが、いわゆる零細な沿岸漁業者、特に現行の許可漁業は沿岸漁民と密接不可分の関係にあるのであります。これらは一切都道府縣知事にまかせて、本法はまつたくこれに触れていないが、その理由はどういうわけであるか、またそれで一向さしつかえないのだという御見解であれば、その御意見もひとつあわせて伺いたい。これに関連して、從来専用漁業権の免許は、本省が直接その事務を担当していたのでありまして、いろいろ問題も非常に多かつたのですが、今回の漁業法ではこれを一切都道府縣知事にまかせているが、この点はどういう考え方か。また都道府縣知事に一切をまかせておいて、農林大臣または水産庁長官は、これと一体どんな関連性をもつて、漁業生産力の発展と漁業の民主化をおはかりになるお考えであるかどうか、こういう点について、はつきりお伺いをしておきたいと思うのであります。また漁業法には、漁業調整機構の運用によつて水面を総合的に利用する、こういう点を強調しておりますが、一体どんな方策をもつて水面の総合利用をしようというふうなお考えを持つておるのか、そういう点を具体的に伺つてみたいと思います。
○久宗説明員 先般から許可漁業の問題がいろいろ議論されておるわけでありますが、これにつきましては、法文の上では現行法とのつながりがありまして、明確でない点がありまして、そこで多少誤解があるのではないかと思いますので、その点事務的の御説明を申し上げたいと思います。
 今度の法案で許可漁業の内容に触れていないじやないかという御質問があるわけでありますが、これは許可漁業の根拠規定がございまして、それによつて府縣の小さな許可漁業につきましては、府縣で取締規則が出ておりますのは、皆さん御承知と思うのでございます。これの内容につきましては、この漁業権の再調整の際に、現在の許可を受けているものを全部一律にこれをやりかえてしまうという必要はないのであります。これは漁業権漁業と許可漁業の違いだと思うのであります。ただ漁業権の内容がかわることによつて一部の調整を必要事とする場合が出て参ります。そういう事情にありますので、当然府縣の取締規則というものは一部修正になるわけでありまして、ことに内水面関係などにおきましても違つた形になりますので、あるいは別な規則になるという場合もあるわけであります。その立案にあたりました際に、許可漁業についても詳しく法案の中に書けという要求が、関係方面からもあつたわけでありますが、これを一律に漁業法の中に規定いたしますと、地方の実情に從いまして、その地方では許可しない方がいい、この地方ではどうしても許可が必要であるといつたようなものを一律にきめることになりますので、それはやめまして、根拠規定だけを設けまして、府縣で取締規則を具体的につくるというふうにいたしたわけであります。事もちろんこれをつくります際は、農林大臣の承認を得るというふうになつておりますが、その際にその地方の実情に即しまして、漁業制度の改革と合わせて具体的に指導して、行くわけであります。なおその府縣の取締規則を、漁業制度の切りかえの際にどの程度にかえるかという問題につきましては、先般来、ずつと主務課長会議がたびたび開かれます際にいつでも問題になりまして、具体的に研究を進めておるわけであります。ただこれは二年後に実施するまでの間に一応段階をつけて、固めて、それで施行に移すというふうに考えております。それをやりましたあとで、なおかつ実際に今度許可を受けた人間をどうするか、あるいは適格性その他をこまかく設けるかというような問題は、どうせこれは委員会の問題となるわけでありますが、漁業権の処理の問題に忙殺されている際に、十万件からの許可の問題につきまして個々に当るということは、技術的に不可能でございますので、これをそのあとの段階に持つて行つたわけでおります。ただ許可制度そのものにつきましては、当然漁業法との関連において修正が行われるわけであります。
 なお指定遠洋漁業がなぜあそこに出ているのかという問題でありますが、これは指定遠洋漁業というものについての許可方針につきましては、行政官庁がかつてに許可するのではないというような形が、許可の方式としてとられたわけでありまして、またたびたび御説明申しております通り、特殊な國際漁場との関連があつてできた問題でありまして、そういう意味で特に許可のやり方が違うので、あそこに書いたわけであります。
 それからもう一つ非常に広い地域にわたる入会関係の許可漁業についての問題があるわけでありまして、それについてこれに規定がないということは、たびたび指摘されるところでございますが、これにつきましては、現在できております漁業調整委員会をそのまま相当大きな範囲の、たとえば三陸のいわしとか、北海道の入会といつたような問題に直接結びつけることが非常にむずかしいということと、そういうような非常に広範囲にわたる入会におきましては、何か相当技術的に研究すべき問題もあるし、委員会にただちに移すという段階ではないと考えられますし、なお行政官庁といたしましても、相当責任を持つて関與しなければならないというような段階にあると思われますので、これを法制化しなかつたわけであります。実際上各府縣あるいは関係者の方々がいろいろお集まりになつて、その入会の関係を調整して参つておるわけでありますが、これをどんな形で法制化するかという問題を、今ただちに現在の漁業調整委員会と結びつけて法制化する段階には、まだ達していないという考え方から、ここではそれを避けたわけであります。これが許可に関する技術的な御説明でございます。
 なお知事と農林大臣の関係についての御質問があつたわけでございます。先ほど漁場の計画化のところでもそのお話が出たのでありますが、これは法律的に申しますと、こういうことになるわけ事であります。説明上漁場計画という言葉を使つておりますが、これは法文の上で免許の内容をあらかじめきめるというふうにいたしております。それの法律上の責任者は都道府縣知事であります。そうしてそのきめる際に関係のある海区の委員会の意見を聞くという形になつております。これはいろいろな技術的な資料その他を縣が持つておりますので、縣の係官が相当こまかく技術的に調べまして、海区委員会の方々の意見をよくお聞きしておく。そうして大体それを固めまして、知事としてはこういうような漁業権の設定をしたいというものを、大体海区別につくることになると思います。それを委員会に正式にお諮りして、委員会に対してもいろいろその後の御注文があると思いますが、それらを全部にらみ合せた上で、最後に決定いたしますのは知事がするわけであります。しかし実際上から申しますと、これには技術的には縣の技術陣が応援して、現地の海区の委員会の方たが、その内容を自主的にきめ、最後にそれを法律上確定いたしますのは知事であるということになるわけであります。ただその漁場のつくり方というものは、ただいま申しましたようにこの生産力の発展、民主化といつた問題と非常に関連いたしておりますので、これが非常に不適当であるというような場合には、農林大臣は監督上の責任に基いて、この計画の内容について意見を述べて行くという形をとられるだろうということが考えられます。
○冨永委員 意見を述べるだけですか。
○久宗説明員 監督上それが特に必要であれば、その内容をそのまま実施に移せないということもあるだろうと思います。
○玉置(信)委員 先ほど来各地をまわられた状況を基礎にして、各委員からそれぞれ質問がありましたが、私も各地をまわりました。漁民の声をいろいろと聞きましたが、係の方の御答弁になつたことと、長官が先ほど来御答弁になつたことに対して矛盾を感ずることについて、二、三お伺いしたいと思います。なお多少重複する点、あるいは第五國会等において御答弁になつた点に触れるかもしれませんが、冨永委員も申されたように、この法案に対しては私ども相当大幅な修正を加えたいという考え方から、ここに漁民の賃の声を基礎として、一応当局の答弁をはつきり伺つておきたいと思いますので、これを前提としてお伺いするものであります。
 まず第一に鈴木委員からも先ほど質問がありましたが、この漁業制度改革の目標は、漁業生産力の発展と漁業の民主化をはかるということから、國家の一方的な意思によつて剥奪されるといえば語弊がありますが、買上げられる。そうしたことに対してこの既存の業者を守ろうとする法的な措置が少しもないように思う。これは農地改革等におきましては、農業者の耕作権の擁護がその中心になつているのでございますが、今言いましたように、漁業法においてはそれがない。しかしてこの立案の基本的な考え方で、今まで答弁されているところを総合してみます事と、現行の漁場関係の整理を行うというようなことはいろいろ申されまするが、さらにここではつきりしたことをお伺いしておきたいことは、この整理事とはどのような状態を基礎として考えられたものであるか。また行き話まつておるということを唱えられておりますが、この行き詰まつたと称するものはどういう点であるか、こういうことをまずお伺いしておきたいのでありまする
 それからその次は、この重要な法案の内容から見まして、先ほど来御答弁になつておりますが、後段に申し上げるような理由からして、重要な一部の漁業を除外しておる点、この点がはなはだ私は適当でないと思うのであります。長官からたびたび御答弁にありましたように、この漁業法が漁業憲法であるという限りにおきましては、日本全図に実在する漁業の一切をあげて、この法の規制によるべきであるにかかわらず、その漁業法みずからが一部を投げて、部分的な漁業法になり下つておるという点があるわけであります。その具体的の一例をあげますると、以来底びきその他現在の沿岸底びき漁業が地方漁業の重要な部門をなしておりますにかかわらず、これが除外をされておる、こういう点であります。この点につきましては、業者の率直な声といたしまして、北海道等におきましては、非常に大きな問題としてこれを取上げまして、将来北海道の入会問題を考慮に入れて、こうした措置をとつておるのではないか。また二面におきましては、こうしたものだけを除くということは、官僚の温存のためにやつたのではないか、かような激越な言葉を使つてさえ批判をいたしておるのであります。これに対してまず第一にお伺いしておきたいと思います。
○飯山説明員 ただいまの玉置委員の御質問にお答えしたいのでありますが、この整理の基本及び行き詰つた点というのはどういうことか、こういうことが最初にありました。整理の基本と申しますのは、民主化を行わなければならぬというこの基本の線なのであります。民主化を行うということが、いろいろ御意見もありましたように、この漁業法改正の重点になつておるのであります。從つて、民主化をするということがこの整理の基本になつておる、こういうふうに御解釈を願いたいと思います。それから行き詰まつたというのは、これは計画性のない現在の漁場秩序をそのままとし、漁業の現在の経営状態というものが、このままで推移するならば、漁業の将来というものは非常に不安定になる現状において、働く漁民の上に漁業権というものが付與される状態を来さなければ、零細漁民の将来の生活すらもより以上困窮させるということを考えている点なのであります。そういうふうに現在しなければならぬ状態にあるという点をさしておるわけであります。それから漁業法が憲法である以上、漁業全般を考えなければならないのではないかというお説は、ごもつともだと思うのでありますが、ただその中に、あるいは入会漁業の調整のためにこういうことを控えたのではないか、あるいは官僚の温存のためにこれを残したのではないかというような説がありますならば、この点は絶対にないということを申し上げたいのであります。入会の問題は、御承知の通りここ一、二年内の問題であります。特に問題になりましたのは昨年来の状態であります。從つてこの漁業法の改正とこれを結びつけるということは毛頭あり得ないのであります。それから以東底びき及び沿岸の小型の底びきというのは、非常に重大な状況に置かれておるのでありまして、これも先ほど夏堀委員からの御質問があつた際に申し上げたように、もし資源枯渇防止法というものが單行法で通過いたしますならば、これに照らして処理して行くという考えを現在持つておるので認めます。それから以東底びきにつきましては現在取締規則というものが別に設けてあるのでありまして、無規則であるわけではないのであります。しかし今後全般的にこの漁業法のもとに一本にしなければならぬという考えについては、これは全く私もその通り考えておりまするが、しかしすべての問題を一気に解決するということは、事実上非常に困難がありますので、まず最も複雑しておる沿岸の定置漁業、あるいは区画漁業、いわゆる共同漁業というようなものに重点を置いたことは事実なのでありますが、しかし一本にしなければならぬ、また遠からずそういうふうにすべきだという見解を持つておると御承知願いたいと思います。
○玉置(信)委員 次は、先ほど鈴木委員の質問に対して長官の御答弁の中に、まじめに自営している者に対しては、おそらくその漁業権が再び行くであろうから心配ないのではないかというような意味のことがありましたが、長官は立案者でないからそこまでの御答弁はいかがかとは思いまするが、その考え方は私と見解を同じうしているわけでありまして、絶つて質問せんとする要点はそこにあるわけであります。そうしたことが想像される以上、農地改革と同様に、現在自営しておる業者はこれを取上げないで、そのまま法的措置を講じて残してやるという立案をして行つたならばどうか、かように思うわけであります。それに対する重ねての御質問を申し上げまするこれと関連いたしまして、定置漁業、かりににしんの例をとつて、みました場合に、これが組合に移つて行つたという場合、すなわち組合自営の場合、後来の経営者も当然制限規則に拘束せられまして必要額の出資が許されないために、一面において、莫大な資金資材の融資を受ける方法に非常に苦しむ結果、地方の高利、個人金融に依存しなければならぬということが出て来るわけでありまして、これが從来北海道の定置漁業の非常ながんとなつておつたのでありますが、またこうした封建的な制度の再現を来すのではないかということも考えられるのであります。こういう点等から考えてみましても、やはり実事際に生産能率を高めて、生産意欲を持つて仕事に從事するというのには、從来やつておつた個々の業者が一番的確であると私は考えるのでありますが、これに対する長官のお考えは、とうか。
 その次は沿岸漁業に対する保護の問題でありまするが、どうも今まで沿岸漁民に対する保護施策というものがほとんどない。先ほど久宗課長からのお答えでしたか、あるいは長官のお答えでしたか、資源枯渇防止法というものを考えておるということでありますから、あるいは将来これを沿岸漁民の方へ援用される場合がある、だろうとは想像されまするが、かりに今後大型の漁船が沿岸近くに操業して参る場合において、沿岸の漁民が非常な脅威を受ける。そうした場合にこれを防ぐ方法としては、一方にとられる取締法以外にないわけであります。私はこの漁業法の面に対しまして、沿岸零細漁民が何らかのこれに対して法的根拠に基く抗議をなして、自分の漁場を守るというような組織が必要ではないか、かように考えるのでありますが、これに対していかなるお考えを持つておるかをお伺いいたしたいのであります。
○飯山説明員 ただいまの第一点の、つまり正しい、まじめな現在の経営者に権利が必ず與えられるということであるならば、あえて全面的に取上げる必要はないのではないか、こういう御意見であります。この民主化するということは、先般来申し上げておりまするように、全般的に考えなければ、これを部分的に考えるということではとうてい徹底しかねるのです。その民主化を全般的に徹底させるという形をとるためには、一応ここできめられておるような考え方をしなければならぬ、こういうことなのであります。從つて正しいとか、まじめとかいうことは、これは、主観的ではむしろきめにくいのでありまして、客観的にきめなくてはならぬ、こういうことになると思うのであります。それでこの際客観的に見て正しい、それからまじめに、しかも生産意欲に燃えておる業者が、もし民主化からはずれるということであるならば、これはむしろ民主化そのものが非常な誤りであるということになるのではないか、かように考えて、私は改正をされても、これらの客観的において正しい、まじめな、善良なるところの業者は、必ず漁業権の付與にあずかるものだ、こういう考え方を持つておるのであります。それから組合の経営に移した場合に、これが犠牲を拂つた場合、他のいわゆる商業資本と申しますか、仕込み業者であるとか、こういうふうな他の資本がやはり侵入して来て、そして從来のようなむしろ弊をさらに増すのではないか、こういう御意見かと思うのでありますが、この点は組合に漁業権を移して組合が自営するということについては、もちろん優先順位において第一順位にありますけれども、資金あるいは技術その他の点において、この経営において十分であるという資格がなければ、ただ組合が協同組合であるからというだけで、おそらく順位の優先になるということはあり得ないではないか、こういうふうに考える。また組合員自身も、資金の点において犠牲を拂つた場合に、これが対策が立たないといつた状態で組合員が自営権を持つて事業をするということは、これは成り立たないのではないか。また調整委員会におきましても、将来の経営をやはり堅実に行くという根本の考え方をもつて、計画性に基いてきめられる、こういうことになると私は思うのであります。しかしながら実際に資金が、どこから流れるかということは、実際問題としてなかなかつかみにくいのでありまして、この点は私どもの実際の経験から見ましても、よほど用心しなければそういうふうに陥りやすいという点のあることは、私も同感であります。從つて今後調整委員会あるいは地方長官において、この点はよほど重大な関心と努力を拂わなければならない必要があると思います。しかしそれだからといつて、從来のものにのみ権利を付與しておくというわけには参らないと思うのであります。
 もう一つ沿岸漁業の保護でありますが、繁殖漁業の保護ということは、從来の最初の漁業法からこれは盛られておるものでございます。しかしながらいろいろな稚魚の保証であるとか、あるいはそのために禁止区域を設けるとか、あるいは禁止期間を設けるということは、現に実施しておるのであります。これが十分に効果をあげておるかどうかという点については問題がありますけれども、今後日本の漁業を堅実に発達させて行こうというためには、どうしても、お説の通り、沿岸漁業が日本の漁業の大半を占めておりますから、この資源を保護して行くということが前提になるわけであります。從つて今度の資源枯渇防止というのは、実は健全というようなことが先になつては生まれましたけれども、今後は資源の保護をするという建前が中心になつて行くべき法律とならなければならぬ、かように考えておる。それでわれわれは、できるならば自然、むしろ資源保護法というふうなものにしたかつたのでありますが、これは関係方面とのいろいろな折衝と、また実際において資源保護ということになりますと、いろいろな統計とか資料の正確なものを持たなければならぬ、こういうことに行きあたりまして、現事態にそれがないということから、実は資源保護法というものになり得なかつたような事情があるのでありますが、将来はお説に從つて、やはり沿岸の資源の保護ということが日本の水産業の根本であるというこの見解については、まつたく同感であります。
○鈴木(善)委員 玉置委員から、午前中に私が御質問申し上げました点に再度触れまして、御質問があつたのでありますが、長官の御答弁を聞いておりまして、まず、立案の趣旨が那辺にあるかということがわからなくなつて来たのであります。長官は漁業の民主化と生産力の発展を期するためには、どうしても現在の漁業制度を根本的にやりかえなければならないという観点にお立ちになつておるように思うのであります。この漁業の民主化にいたしましても、これは法律論でありますが、なぜそういう方法をとらなければ日本の漁業の民主化ができないのかというところに、各委員の非常な疑問があるように私は見受けるのであります。それに対して明快なる回答が出てない。つまり終戰以来わが國の経済は、あらゆる面で民主化が行われて来たのでありますが、一般の経済界におきましては、現状をつぶさに調査検討いたしまして、そうしてそこに財閥の解体であるとか、あるいは独占禁止であるとか、独占的事業の分離解体であるとか、そういうぐあいに現状経済機構事を検討した上で、そこに集中なり、独占なり、極端なる資本収奪なり、そういう弊害の点をえぐりとつて、そうして日本の経済を健全な民主的なものにして行く、そういう方式がとられておるわけであります。また農地改革におきましても不在地主の追放であるとか、あるいは不当に集中したところの農地の解放であるとか、そういうぐあいに現状の農地制度のそのままを検討した上で、その欠陥であるところをえぐりとつて改革をやつた、こういう民主化の方向を、経済界においても農地改革においても行われておるにかかわらず、何ゆえに漁業制度だけが、おもちや箱を全部ひつくり返すようにひつくり返して、それから組立てなければならぬのであるか。現状の漁業権制度を調整委員会等において、十分に調査研究をとげて、そうして不当に集中しておつたり、あるいは働く漁民から不在地主的に利益を収奪するような、そういう悪い点、あるいは封建的な面、そういう点を取上げて、そのものを改革するという方法によつて、日本の漁業の民主化は期せられないのであるか。長官のやる方法でなければ、絶対に日本の漁業の民主化はできないのであるか。その方法論においてわれわれ委員の納得するような回答が出ていない。この点を明確にしていただきたいと思うのであります。
 第二点は、この漁業権制度を改革する基準をいろいろ長官に述べておりますが、その中で、わが國の沿岸の漁業制度は浦浜制度時代から部落漁民の総有である。部落漁民としてはその地先の漁場を相互的に、お互いに譲り合つて、自分らの総有の財産として、そこに生活の根拠を求めて来た。從つて今後も部落漁場の総有という基本観念によつて民主化はかつて行く、こういう御説明もあつたのであります。しかるにこの法案を検討して参りますと、また別の方面から言いますと、実事際に漁場を自営する者に漁業権を與えよという、大きな太い線をここに見受けられるのであります。はたして当局が漁業の民主化なり、あるいは生産力の発展の方向を、この漁場は総有であるという観念によつておやりになるのか、あるいは漁業権は実際に行使する者に與えるのであるか、いずれの点に基本の線をおいてこれを考えておられるのであるか。これが第二点であります。これを明確にしていただきたい。
 それからついででありますから、この際お尋ねしたいのでありますが、補償金を政府は三十箇年以内の漁業証舞でこれを支拂う。こういうことになつているのでありますが、私どもはこの三十年の長年月にわたつて初めてこれが資金化されるというような行き方では、一面非常に高率な免許料をとられる漁村としては、資本の蓄積ができない。漁業の発展ができないと考えるものであります。そこで現在の漁村の実情から考えまして、この漁業証券は一応三十箇年間の証券とすることは了承するとしても、これを漁村の生産施設、あるいは共同施設、漁民全体の福利施設等のために資金を必要とする場合には、この証券を監督官庁の許可を受けて資本化する道をなぜ開かぬのであるか。今日もしも漁業証券が資本化されて、漁村におけるあらゆる生産設備を拡張整備することができるということになりますれば、転換期にある、再建の途上にあるわが國漁業の発展に、大きな貢献をなし得るものであると考えるものであります。ぜひともこの証券については、漁村における漁業の発展のための基礎的施設に対して、これを資金化して使える道を開かなければならぬと思うが、当局はいかなる考えを持つておるか、この三点をお伺いします。
○飯山説明員 鈴木委員の質問の第一点は民主化の問題でありまするが、漁業法の改正が根本的にこういう制度をとらなければならぬか。こういう制度をとらなくとも、もつと民主化の線はあり得るじやないか。こういう御意見のように思います。この点は実際問題としてながめたときに、日本の諸制度のどれが根本的に改革されたかというようなことになりますると、農事地改革がその最たるものであると思うのであります。ほかの工業方面においては、御説の通りないと思います。しかしこの漁業の民主化を唱えられる根本は……ちよつと速記をとめていただきたい。
○石原委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○石原委員長 速記を始めて。
○飯山説明員 それから第二は総有ということと、働く者に與える、自営する者に與えるこの対蹠的な問題であります。これはこの前条文説明のときに、松元事務官から総有の観念だということをはつきり申し上げた。総有という――これは私にも実は法律的に考えて、総有というのは漁民だけか、國民の所有というのか、はつきいたしません。しかしここで言うことは漁民の総有ということで行つておるのだと思うのであります。國家と言えば國民のものだこういう考え方じやないかと思うのであります。水産に関する限りは漁民のものだ、そういう考え方じやないかと思うのでありますが、そういう考え方といたしまして、それを総有の観念と自営、つまりみずから働く者にはそれを與えるのだということは、私は別にこれは矛盾しないのじやないかと考えるのであります。なぜかと申しますれば、私の見解では働かざる漁民というものはないわけであります。漁民というものは水産に働いておる者だ、働かない漁民というものは私の観念にはないのだ、從つて漁民のものであるならば働いておる者にそれが與えられておるということは……。
○鈴木(善)委員 長官は聞き違えております。働く漁民に與えるということではなく、漁場の総有という基礎観念によつて新しい漁業制度を確立しようとするのか、それともみずから行使する――働く漁民でも、みずから行使する者、しない者があるわけですから、漁業権はみずから行使する者に與えるという基本観念で行くのか、総有という観念で行くのかどつちか……。
○飯山説明員 みずから働き自営する者に與えるということが、この漁業法の基本観念になつておるということははつきりいたしております。つまりみずから行使する者に與えるのだということは、これは根本原則です。それはそういうことであります。
 それから第三の補償金の問題でありますが、これは実はわれわれも鈴木委員のこれを資本化して、そうして運用のできる、あるいは資金化することができるということについては、これは当然に考えておるのであります。しかしその考え方で、あの当時は実はインフレを増すというような、つまり通貨を與えることはインフレを助長する、あの当時は何をおいてもインフレを抑止するということが日本の方針になつておつたのであります。ところが最近のように逆な時代になつて来た場合においては、一層これを資金化するという点が非常に大事なのでありまして、この点については、われわれも大藏当局方面とは、この問題は交渉を続けておるわけであります。ぜひ私どもは、これがかりに短期に資金にならなくても、担保にできれば資金の道ができるのである。これをぜひとも実現するように努力したいと思つております。
○鈴木(善)委員 私の第二の質問に対して、長官は明確に漁業権はみずから行使する者に與える。そういう基本的な方針に基いてこの漁業法案が立案されているということをはつきりと言明されたのでありますが、松元説明員の説明によりますと、沿岸漁業は沿岸漁民の総有という基本的な考え方のもとに、今後限られたこの海域を多数の漁民で利用して行くためには、個人に與えるよりも、法の理想としてはそういう観念の上に立つて、多数の漁民がこれに参加するような方式で進めて参りたい。だから実際に行使する個人よりも漁民の團体にこれを與えて多数漁民にこれを行使せしめる。沿岸の漁場は総有であるという基本観念に基いて立案しておられるという松元説明員の説明もありましたし、私どももこの法案を検討して参りますと、多分に松元説明員のおつしやつたような線に沿うて立案されておるように思考されるのであります。また沿岸の漁業の今後の見通しから言つても、そうでなくちやいけないし、あるいは漁民全体の連帯でもつて、この漁場を活用していただくということの説明も加えておるようであります。先ほどの長官の御答弁と基本的理念において食い違いがある。こういうぐあいに私考えるものでありますが、この点重ねてお伺いしたいのであります。
○飯山説明員 今の総有という観念は私は決して間違つておらぬと考えております。それからそれを行使する者と、つまり総有ということは私は矛盾しないのじやないかと考えます。なぜかと言うならば、かりにこれが総有のものを、行使させる者にそれを與えることは私はできると思います。総有のものを総有でこれを行使するということはできかねるから、これを特定の者に行使させるということは私はできると思います。こういうふうに私は考えます。
○鈴木(善)委員 今の長官の御答弁で、総有と実際に行使する者とに與えるという間の調整は可能である。こういう見解からいたしますならば、一切のあらゆる沿岸の漁業権は漁民團体に與えて、その漁民團体の管理のもとに、これを團体構成員である組合員に行使せしめる。これであれば今の総有と実際に行使する者とに使わせて行くということの調和が保てると思うのでありますが、この法案は漁民團体に與える共同漁業権と思うので、ありますけれども、定置漁業権のごときは、実際に漁民團体に與えるということよりも、行使するという条件を強くとつて免許する。こういうところに今の総有観念と実際に行使する者との調和がとれてない。今長官がおつしやるように調和がとれるとすれば、漁民團体に管理せしめ、その一切の行使は團体の構成員である組合員に利用せしむる。ちようど内地において定置漁業が漁業協同組合、漁業会の所有に大部分なつており、その組合の管理のもとに組合員がこれ場を行使しておる。こういう観点であれば、今の長官の御答弁に合致するのでありますけれども、この法案はそうでないというところに非常な矛盾をわれわれは感ずる。
○飯山説明員 今の点でありますが、つまり総有であつて行使する者に與える、こういうことをおつしやつたのでありますが、その行使をするという場合に、つまり働く者に行使させるのだ、こういうことがもう一つ入つております。つまり定置の場合に漁業團体にただ與える。漁業自営の場合は問題ないのでありますが、自営せざる團体に與えた場合には、つまり働く者ということにはずれる。こういうことになる。そこは團体で働く場合と個人で働く場合とあるが、しかし働く者に與えるという、その行使者はたれが行使するかということは、働く者に行使させる。こういうことなのであります。そこは個人でも團体でも――必ず團体でなければ與えられないというのでなければ徹底しないということにはならぬと思います。
○鈴木(善)委員 総有ということについて、長官は私どもの考えておる点とちよつと違う考えを持つておるようでありますが、先ほど私が申し上げましたように、これは浦浜制度時代には、部落漁民がお互いに入り会つて利用する。そこに生活の根拠を求めて、これは部落漁民全体の漁場であるという観念であつたと思うのであります。それが明治維新になつて欧米の方から資本主義制度が入つて来て、漁村にもいろいろな分化が行われた。職業的分化が行われて、散髪屋になつたり、風呂屋になつたり、宿屋になつたり、いろいろなものにわかれて行つて、結局残つた漁民が集まつて漁業組合という團体を作つた。そこで浦浜制度自体が部落のものであり、部落漁民のものであつたというものが、職業が分化されて、漁民團体に與えられた。これが漁場の総有観念だとわれわれは理解しておる。そこで今後この漁業権の部落漁民の総有関係と、実際に行使する者に與えるという、この二つのものを調和させるならば、漁業権の所有管理は漁業團体に持たして、そうしてその行使を組合が調整して組合員にこれを行使させるということであれば、長官のさつきの御意見ははつきり割り切れるのでありますけれども、その点がこの法案では出てない。むしろ総有観念という松元説明員の考え方と、この法案に現われているところは、定置等においては、その観念よりも、むしろ行使する者に與える、こういう関係になつておりまして、この法案がどこをねらつておるのであるかということがはつきりしない。ふらふらと総有観念と実際に行使する者に與えるという間を彷徨しているという感があるのでありますがこの点、あらかじめはつきりお伺いしたいのです。
○久宗説明員 ただいま総有という観念の問題が出まして、非常にむずかしい問題になつたのでございますが、これは法律的に一応御説明しておく必要があると存ずるのであります。なお実際問題として、今度の免許の基準とか、そういう非常に大事な問題に関連いたしますので、ごく技術的に法律的な内容を御説明したいと思います。なおそれについての考え方も若干つけ加えたいと思うのであります。
 ただいま鈴木委員の方からお話のございましたように、いわゆる総有という問題につきましては、浦浜時代の問題からずつとありまして、それがいろいろ分化して参りまして、組合にそれを持たせるというような形になつて来たわけでありますが、これ事には漁業の種類に考まして、いろいろ問題があると思います。つまり從来専用漁業権と見ておりましたような内容のものは、まさに入会的な内容のものでありまして、その権利関係は團体それ自体と、その内部の個人というものの両者を含めた、いわゆる総有でありまして、これはゲルマン法の観念でありまして、日本の法制にはないわけでありますが、われわれはこれを総有と観念しておるのであります。こういうような入会的なものと、総有という観念をもつと平たく解釈しまして、漁場は漁民のみんなのものだ、こういう考え方があるわけであります。それは、みんなが入会漁場に操業いたしますと、他の漁業といろいろ関連がありますし、一人々々がかつてなことをやられては困るというような意味のようでありまして、そういうような常識的な意味の、みんなのものだという漁場の中に、御承知の通り漁業が分化して参りまして、定置漁業その他大きな、相当個別的な経営が発達したわけであります。それでその入会漁場の中における個別的な経営と、みんなの入会漁場というのが重複しておるわけでありまして、それをどういうふうに仕わけるかということが問題、だつたのでありますが、現行法においては、それが何ら調整の措置がなく放置されまして、その結果、ただいま話の出ましたような、漁民の團体がそれを持つというような運動が事実は起つた。これは入会漁場と個別的な漁場との調整をつけようということで起つた問題なのでありまするそこで今度の制度改革がか行われました際に、今総有か個人経営に與えるのが原則か、どちらかというように、二つに大きくわけて御質問が出ておりましたけれども、これがやはり当初におい非常に問題になりまして、われわれの考え方といたしましては、漁民の漁場に対する考え方というものに一番沿つた方向としては、漁民の團体に管理させて、その内部で行使させるのが適当であろう、またそういうふうに一般的には漁民の意向があるのではないか、こういうふうに思つたわけであります。ただよくそれを突き詰めてみますと、その中にはやはり二つにわけなければならない問題があります。つまり、本来入会的性質がある漁業につきましては、その團体の内部の規制に從つて、各個人が個々に漁業をするわけであります。こういうようなものにつきましては、今度の法案におきましては、いわゆる共同漁業権とか、その他いわゆる協同組合の管理にまかしたものとして規定いたしたわけであります。それに対して定置漁業その他につきましては、團体優先というような規定は設けておりますが、原則は自営、つまり経営する者に與えるというふうに規定しております。この点が矛盾するじやないかというお話だろうと思うのでありますが、これは結局内容が入会的な漁業権の場合には問題はないのでありますが、そういうものじやない、個別的にも経営できる、またそういうものが本来の性質であるというような、たとえば定置なんかにつきましては、これは團体の内部でだれかに貸し付けるというような場合にも、その経営は非常に個別化するわけであります。そういうことを團体内部できめるのは、つまり團体内で貸し付けるのをきめても、團体外に貸し付けても、これは免許行為であるということが法律的には問題になつたのであります。つまり入会漁業の内部において、内部のとりきめで行使方法をきめるというのと違つて、それは純粋に考えて免許行為じやないか、それを行政官庁でないものがやるのはいけないということで、これは委員会の方でやるべき仕事である、あるいは委員会みずからがやるべき仕事だということで、それを仕わけたわけであります。その結果ああいうような書き方になつておるわけであります。漁業の種類、といたしまして、本来の入会的なものは組合の管理というものにまかせる。そうでない性質のものについては免許行為というものをはつきりきめなければならないから、ああいうふうに規定いたしまして、ただその内容は、漁場におきましては農地と違いまして、分割できないことから、しかも漁場はみんなのものだという観念と、その漁場の利益に均霑するといつたような問題も含めまして、そこに今の團体優先という規定が出て来たわけであります。漁業権の種類に從つて書き分けてございますので、法文だけごらんになりますと、非常に考え方の混乱ではないかというふうにお考えになると思うのでありますが、そういうふうなことを全部考え合した上で、ああいうふうに規定したわけであります。ですから、総有か、あるいは個人かというふうにお聞きになられても、ちよつとそれに対してイエスかノーかという御返答はできないわけでありまして、詳しく申し上げ言つたような点があるわけであります。
○石原委員長 この場合速記はやめてください。
    〔速記中止〕
○石原委員長 速記を始めて。
○奧村委員 漁業権の総有の問題でありますが、私も鈴木委員の御発言と同じように考えております。内容は幾分違いますが、この漁業法案は漁業権は沿岸漁民の総有であるとしているが、これの考え方のよしあしは別として、その総有であるという気持が、この法案に実事際においては一貫して現われていない。この考えを持つものでありまして、この考えのもとに修正をいたすべきものであると思うのであります。以下具体的に私の意見を申し上げ、御質問いたしたいと思うのであります。
 少し御当局においてはイデオロギーにとらわれており過ぎはせぬかと思う。すなわち御当局の御答弁によりますと、定置漁業権において漁業協同組合の自営を第一順位に置き、漁業生産組合を第二優先順位に置く。これによつて漁業権の総有の観念が盛られておるのだとしておられるのでありますが、これは観念の遊戯に堕しておるのであつて、現実にはそうでないと私は考えるのであります。そこで漁業協同組合の自営を第一優先順位に置いたということについて、深く掘り下げてお尋ねをしてみたいと思うのであります。それより先申し上げたいことは、まずこの法案で行くとすれば、有望な漁場、安定した漁場は、漁業協同組合が自営するならばまず優先的に借りられる。從つて、この法案で行くならば、おそらく個人の自営の漁場として残されるのは、経営の安定しない、有望でない漁場だけであるという結果になろうと思うのであります。しかも漁業協同組合は自営をしなければその漁場は持てない。つまりむりに法律でもつて自営を勧めておるのであります。自営の方法以外に、漁業協同組合に対して、漁業権を持たせる方法がない。自営をむりに勧めておる。そこでこの漁業協同組合に、何でもかでも自営をむりに勧める条件がそろつておるかどうか、はたしてそれがよいかどうか、具体的に検討してみなければならぬと思うのであります。
 それでまずお尋ねを申し上げたいことは、漁業協同組合は加入脱退の自由がまず根本条件になつておるのであります。役員の任期は一箇年ないし二箇年、その他会議の運営については、議長は組合長以外から出すというような、非常に民主的なものでありますが、この漁業協同組合は、從来の漁業会と比べると、非常に民主化されておるようであるが、それだけに非常に弱体なものである。特に定置漁業のような資本的な企業を経営するにおいては、はなはだ弱体なものである。それでこの法案を実施するとして、現在施行の漁業協同組合法を御訂正になる用意があるかどうか、これをまずお尋ねしてみたいと思います。
○飯山説明員 今の協同組合に強制的に與えるというふうなお言葉があつたのでありますが、協同組合の堅実なる発達をはかるためには、自営をするようになることが非常に必要である、こういう建前で、あります。從つてむりに力のない者にその権利を與えるということにはなつておりません。その資本あるいは技術、あるいは事業、こういうものが整つた協同組合からその権利を與えて行く、こういうことになります。從つて加入脱退が自由であるということがこの問題に相当関連を持つと思うのでありますけれども、協同組合の関係は、協同組合法によつてああいうふうにきめられておるのであります。すなわち加入脱退を自由にせよという原則のもとに協同組合はできておる。その加入脱退の性格とこの漁業権を付與するという問題を関連的に考えることは、非常にむずかしいのではないかと思います。從つて加入脱退が自由であるとしましても、実際問題として、そういうふうに出たり入つたりする――たとえば漁業の成績のいいときには入る、漁業の成績の悪いときには出る、かようなことは理論としてはなり立ちましようけれども、実際その部落においての問題としては、私はそんなに起り得ないことではないかと考えるのであります。從つて協同組合に権利を與えて協同組合が発展して行くならば、そこに多数の漁民が発展して行けるということになるのでありまして、強要するのではなくして、協同組合の実質がこれに伴うに從つてこの権利は與えられて行く、こういう考え方でなければならぬと考えております。
○奧村委員 現行では北海道では率は少いのでありますが、内地では大体定置漁業権は漁業会が持つて管理あるいは賃貸借をしております。それはいかなる漁業会でもその地元の漁業会には大体與えられておるのでありますが、この漁業法が施行になりますと、その継承團体である漁業協同組合が自営をしなければその漁業権から離れることになるわけであります。從つて自営をするか、漁業権を離すということになりましよう。漁業と漁業権とは切つて離れぬものである。從つて、その漁業協同組合の実力、条件が備わるといなとにかかわらず、自営をしなければ漁業権がとられるということのために、むりに自営に追いやられるということがないかどうか、お尋ねいたします。
○飯山説明員 協同組合が実力を持つた場合には、おそらくこの漁業法の精神に基いて、調整委員会はこの事実体を備えた協同組合に與えられるであろうと私は考えております。ただその実体を備えるまでは、今のお話のように漁業権を失うために、漁業者なり組合員なりが迷惑をするということはあり得るかもしれませんけれども、しかし漁業会が持つておりましても、自営をしない場合にはある特定の者にそれを貸し付けているわけなんでありまして、貸し付けていることによつて組合が受ける恩恵と申しますれば、これは漁獲物を取扱うという共同販売の面だろうと思うのであります。賃貸料をとり、また相当巨額の賃貸料を納めておる所もあるのでありまするけれども、これを今度の漁業法では、賃貸によつてつまり賃貸料をとるというようなことを根本的に認めない、こういうことから来ておりますので、事組合が自営しない場合、今までのような賃貸料で組合が収益をはかつて、そうして組合員の何と申しますか、利益を擁護するというような形は許されないわけでありますから、その協同組合にりつぱな人々が集まつて、そうしてこれが一日も早く実態を備えて、優先の順位を現実に確保する。こういうことに進むより道はないじやないか、こう考えておるのであります。
○久宗説明員 ちよつと事務的に若干補足いたしたいと思います。ただいまの奥村委員のお話でございますが、漁業権は、協同組合が自営しない場合は、漁業権から離れてしまうではないかということなのでありますが、これはまず自営する、しないにつきまして、は、漁業法施行法案の中で協同組合法を改正いたしまして、自営の条件につきましては、今まで非常な制約があつたわけでありますが、これをはずしまして、ただ自営の意思が多数の組合員の意思によつて決定するようなやり方に組みかえたわけでございます。そのために自営はある意味ではやりよくなつたけれども、ただ一部の人間が冒険的にやるというようなことは許されないのであつて、組合員の三分の二以上事が書面をもつて同意しなければできないということになつておるわけであります。なお協同組合に権利を持たせます場合に、先ほどの漁場がみんなのものだといつたような観念からも参りまして、ただ協同組合であればどんどん自営できるというのでなくて、その構成員のうちに、つまり比較的全体的な規模のものでなければ優先という形はとらないということも、あの法案の中に規定してあるわけであります。そうしてもう一つの問題といたしまして、いよいよいろいろな自営ができなかつたという場合は、どうなるかと申しますと、これは現在の漁業会が約六割定置漁業権を持つておりますが、そのうちの七割が貸し付けられておるわけであります。このような漁業権につきましては、現在は賃貸料をと つてやつておるわけでありますが、これは必ずしも不在地主が賃貸料、地代をとつて云々という問題ではなくて、そういうみんなの漁場が個別的に独占されて、そこの漁利が持ち去られてしまう。その漁利に均霑して、それをいろいろ生産施設に使つて行きたい、又いろいろ、権利の行使について注文をつけたいという意味で、漁業の賃貸が行われておるというのが本質だろうと思うのであります。もちろんゆがめられておる場合も相当あるわけでありますが、そういうものに対しましては、今度は補償金という形でその賃貸料に相当するものを年々補償金の償還額として参ることになるわけでありまして、從来賃貸料でいろいろ施設やつていたのでありますが、全然できなくなつてしまうということもないと考えられるわけであります。なお先ほど総有という問題が出まして、これにつきまして若干御説明申し上げましたが、いろいろ議論になりますので、純法律的に見て、総有という観念は、どうであるかということについて、若干松元説明員の方から補足させていただきたいと思います。
○松元説明員 先日の私の説明中、沿岸漁場は漁民の総有であると申し上げたことから少し議論が起つたわけでありますが、総有という意味は、厳密に申しますと二つに使つております。一つは法律的意味で所有の形態として総有と言う形、これは日本の法律にはない概念でありまして、ゲルマン法の概念であります。この総有と申します事のは、物を集團的に所有いたします場合に、ローマ法流の概念では法人という形でしか持てない、ないし共有という形でしか持てないわけであります。これに対しまして総有という概念は、共有とか、あるいはその集團が法人格をもつて物を所有するというのとは違つて、その集團そのものが直接物を所有する形態、少し法律的にやかましくなるのでありますが、そういう形態でありまして、現実的には、一定の集團が一定の――陸でありましたら入会山、海の場合で言えば漁場をどう使用するかについて、その集團の規約で利用方法をきめる。そうしてその集團の各メンバーに規約に從つてやらせる。こういう利用のしかた、これを総有と称しております。こういう形態でありますと、定置は総有には該当しない。なぜかと申しますと、定置で経営し得る人間は限られて参ります。この点他の共同漁業権、あるいはのり、そういつたような区画漁業権の利用方法とは違つておりまして、そういう意味の総有であれば定置は当らないわけであります。これが法律的の意味の総有で、これに当るものは共同漁業権及び組合に管理権の認められたひび建養殖業以下の区画漁業権でありまして、これを民法では、この総有という観念を表現し切れないので、一応入会権と規定して、その内容はすべて慣行によつております。これに対して漁業法では、一応これをローマ法流に翻訳いたしまして、その漁民の集團に法人というわくをかぶせて、それを協同組合とし、それに専用漁業権というものを與え、そうしてその組合員に各自漁業を営む権利を認めたわけであります。今度の新制度におきましてもそれを踏襲しまして、その漁民の集團に法人というわくをかぶせて、協同組合に共同漁業権と一定の区画漁業権を持たせる。それについては、先日御説明いたしました第八条で、各自漁業を営む権利を有することを認めておるわけであります。ところで定置につきましては、第八条では各自漁業を営む権利を有するとは書いておりません。しからば定置について先ほどから総有という観念が基本になつておるのではないかという議論があつたわけでありますが、これは定置と申しますよりは、定置のある漁場、この漁場は漁民の管理に属している、こういう意味であります。從つてその漁場の利益は漁民全般に帰属せしめらるべきものであろう。しかしながらその利用の形態において、各自がかつてに定置をやることは適当でない。從つて從来は定置漁業権を持つた協同組合が最も適当な経営者を選んで、その者に経営せしめた。そうして定置と他の入会漁場との調整を協同組合がとつていた。この形を踏襲すれば、あるいは先ほどのラフな意味の総有という形が貫かれるかもしれませんが、この場合に一定の集團的な漁民が漁場の利用方法をきめます場合に、必ずしも協同事組合という形をとる必要はない。要は漁民の集團的な管理の表現をとればよい。從つて今度は從来そういう協同組合が営んでいた役割を委員会に持たせたわけであります。これは一方では新しい協同組合は、從来と違いまして加入脱退の自由というような点もありますし、また漁民の意思を表現します場合に、定置漁業につきましては、むしろ委員会で漁場をいろいろ制約するのが適当であろうと考えたからであります。それならば共同漁業権につきましてもなぜ委員会でこういう漁場の利用をきめるというふうにしなかつたかと申しますと、それは共同漁業権は非常に漁場が複雑で、一々委員会でやるわけにいかないという点がある、共同漁業権については委員会で調整することがむずかしい。ついては、そこで、協同組合に総有的な共同漁業権を持たせる、そういう形を認めたわけであります。
 なお沿岸漁場が漁民全体の所有であるかどうかという実質的意味、先ほどの法律学的意味から離れました総有という観念につきましては、定置優先順位とからむ問題でありますからそこで改めて御説明いたしたいと思います。
○奧村委員 松元説明員にお尋ねをいたしますが、その総有という観念について、在来の浦浜漁民の総有という観念からして、地元部落の総有であるか、沿岸全体漁民の総有であるか、その点をお尋ねいたします。
○松元説明員 お答えいたします。漁場が、だれの所有であるかということを申し上げますと、これは抽象的には國民全部であることは申し上げるまでもありません。しかし國民全部の所有を具体的に、どういうような形で管理して行くか、これが問題だろうと思うのであります。その場合に、もしも沿岸漁民が、その沿岸漁民だけの私的な利益に走りまして、國民全体という立場を離れましたならば、それは漁民の立場とは言えないと思うのであります。そういう意味で、基本的にはやはり沿岸漁民全般、さらには國民全般のものではあるけれども、それを具体的に実際にやつて行くのは、それは地元地区の協同組合の管理である。こういうふうに了解いたしております。
○奧村委員 そういたしますと、在来の観念と根本から食い違つておるように思います。今までは浦浜漁民の総有という形か、漁業会の漁業権共有という形になつておる。從つてこれはその地元地区内の漁民の総有である。あなたの御説明によると、沿岸漁民全体の総有である。そこに非常に食い違いがある。それで沿岸漁民の総有であるというあなたの御意見によれば、それは海区調整委員会の行使にまかせればよいでしよう。しかしその部落の漁民の総有であるということであれば、漁業協同組合にこれは管理いたさすべきであると思うのであります。その点の御見解を承りたい。
○松元説明員 ただいま御説明いたしました沿岸漁民、あるいは國民全般の所有という点と、地元地区組合の所有という点、これは極端に申しますれば、あえて漁場に限らず、農地であろうと、あるいは工場施設であろうと、これはすべて國民全般の利益に帰属せしむべきものであろうと思つております。ただその利用のしかたを、抽象的に國民全般がどうしてきめるかということ、それができないので農地は農民にまかせ、漁場はその地域の地元地区の漁民にまかせた。こういうことであろうと了解しております。
○奧村委員 少し話は横道にそれましたので、漁業協同組合の問題に移りたいと思います。どうか御答弁の方もあまり横道にそれずに、お尋ねしたことだけになるべく重点をおいていただきたい。
 私のお尋ねしたことは、定置漁業なるものは、大体一漁場今日の資材の代金からいたしますれば、まず千五百万円以上の資金がいるものであります。しかも御存じの通り非常に危険であり、また暴風などによつては、根こそぎ破損される。こういう事業がやれるような漁業協同組合なるものは、まことに少いものであります。ところがその漁業協同組合が自営をしなければ漁業権を失うことになる。從つて在来の漁業会において漁業権を持つておつたような部落には、この定置漁業権を失う漁業協同組合が非常に多いと思う。これが問題である。ところが今までは漁業権を持つておつたので、賃貸料の問題ではない。賃貸料はわずかなものであつても、その漁業権の行使によつて漁夫を使わせることができる。それから水産の漁獲物は全部漁業会の販売所で扱うことができる。資材も一切漁業会が扱うことができる。その漁業権を中心にして漁業会、また以前の漁業協同組合が今日発展して来たものであります。ところがそういう危険な、また千五百万円以上も資本のかかることを自営しなければ、漁業権から離れるので、漁業協同組合の存立の基本を失うということになる。そういう危険な法律の書き方は困る。その意味をお尋ねしておるので、その核心に触れた御答弁がどうもないようでありますが、そうなつてもやむを得ないとお考えになつておられるか。どうですか。
○久宗説明員 問題は二点あると思います。
 まず第一点は現在自営しておる組合が、自営できなくなりはしないかという問題であろうと思います。現在の資料によりますと、定置漁業権のうち、先ほどお話いたしましたように、約六割は漁業会に所有されておりまして、そのうち実際貸し付けられておるものは約七割あるわけであります。あとの三割のうち、事実上形式内容ともにいわゆる漁業会の自営という形をとつておるものは非常に少くて、その三〇%のうち、つまり貸し付けられていない漁業権というものは、何らか形をかえていわゆる漁民の集團――あるいはこれが村張ということもありましようし、あるいは一種の網組合というものを形成しておる場合もある。いずれにしてもその三割というものは集團的に経営されておるわけであります。その集團的に経営されております網の実態は、大体私どもの調査したところによると、きわめて安定した漁場であつて、不安定な漁場には手を出さない。これは集團的で危険も伴いますし、当然のことであろうと思います。その場合には、すでに、そこに相当の蓄積もありますし、年々の網をそういう形で継続して来ているわけでありますから、今度の規定によりまして、優先順位というものが與えられておりますから、そのまま引移つて行けるだろうと思うのであります。問題は安定した漁場がきわめて少いので、漁業協同組合の自営というものを第一順位にいたしましても、それがただちに漁業権全体を自営するというところまで進むとはとうてい思えないわけでありまして、とりあえずは残されたわずかの優良漁場について、資本その他が整つた場合に、どこまで自営ができるだろうかということなのであります。全部を自営することが好ましいということではなくて、非常に不安定な漁場でありましたら、もつと経営能力のある、あるいは経営が多角化されておつて、その危険に耐え得るというような、個別的形態の会社でもやれるということで一向かまわないだろうと思います。その場合に漁業権を持たないことによつて他の発言力がなくなる。たとえば漁夫を雇つてくれとか、地元に水揚げしてくれといつた問題が出て来ると思うのであります。こういう問題については、委員会の方に機能を持たせたわけでありまして、なお法文の上では、優先順位の内部に第一順位、第二順位と参りました際に、第三順位の同順位の場合の問題が書いてございます。あの中に結局地元漁民というものが、資本的にも、労働的にも、できるだけ多く参加することができるようにと書いてありまして、自営ができない場合でも、あるいは会社が経営するという場合でも、優先順位の規定によつて直接権利に基いて、発言しておつたということとかわつて、委員会が発言する。また法律の規定でもこれをバツクしておる。こういうことになるわけであります。
○奧村委員 ただいまの御説明によりますと、從来漁業会の賃貸しておつたいろいろなとりきめについては、委員会がかわつてこれを行う。從つて大した影響はないという御答弁でありますが、これはほんとうに答弁のための答弁で、実際に賃貸あるいは漁業会が直接契約する場合と、漁業調整委員会がやるのと、地元の漁業会の利害の問題は、これは大違いであろうと思います。しかし、どうもこれ以上つつ込んで行つても見解の相違になろうと思いますから、ともかく自営の行われない漁業協同組合は、はなはだ弱体化するということだけは間違いがあるまいかと思います。
 次にそれでは三割の在来漁業を自営しておつた村張組合、そういつたものについてどういう結果を生ずるか、これについても私はお尋ねしたいことがあるのです。つまり私ども福井縣、京都府方面には、全國でもまれないわゆる村張組合、あるいは漁業協同組合の自営が発達しております。私もそれをやつて来ておりますので、その経験から特に申し上げてお尋ねをしたのです。つまり今日まで約三割が共同経営をやつておるというのは、いわゆる村張組合であつて、この法文にある漁業協同組合の自営ではありません。協同組合の自営なるものは今度初めて水産庁が発明され、また生産組合の宿営も今度初めて発明されるのであります。今まで自然発生的にそのようなものはできておりません。つまり今までの村張組合なるものは、一定の漁業権の上に立つて、加入、脱退の自由はない。一戸一株、これは徳川時代から自然発生的にできて来たものであります。その発生は漁業権を土台にして、しかも加入、脱退の自由がない。一戸一株の、それこそ共産的な経営で成立つているものである。それを漁業協同組合の自営と同じような観念で見ておられるのではないか。漁舶来協同組合品の、加入、脱退は自由である、この文句によつて從来の村張組合品と漁業協同組合とは性格が全然違う。かつてに組合員が出たり入つたりされるような組合ができるはずがない。この協同組合が、かつて日本の國に自営できた例があつたらおつしやつていただきたい。
○久宗説明員 漁業協同組合の自営の第一順位の問題につきまして、ただいま現実にあるものはそういうものではない、徳川以来のいわゆる村張組合が大部分であろう、こういうお話でありますが、私の考えでは、それは確かに事実であると思います。その中に二つあつて、いわゆる網組と言われるものが強固に形成されておつた、それが経営しているものと、いわゆる村張組合ということで、村民の全体の共同経営といつた形をとつている場合と三つあると思います。そこで現在私どもの準備した法案の中には、それを一応書きわけてあるわけであります。すなわち特殊な孤立部落において漁業に高度に依存している、他の産業がないという場合に、そこに協同組合ができている漁民だけで、その漁場の利益を壟断してしまうということになつたのでは、非常に困る場合ができると思います。そういう形をとつたのではとうていできない。また現在は法律の嚴密な意味における漁民ではないが、かつて漁民であつた家族もその網の利益に均霑してやつて行く、子供が大きくなれば、また綱にのせて行くといつた関係もあろうと思うのであります。そういつた関係も予想して、特例でありますが、いわゆる村張組合が漁業権を持てるという規定を現在の優先順位の中にも規定しております。但し私たちの考えでは、そういう村張組合の内容に立入つて行きました場合に、これが全村的という表現をとつておりますが、詳細に内部を調べてみると、土地柄が比較的孤立している関係もあり、古くからそういう網の権利ができておりますので、内部において民主的でない、むしろ封建的と言われる問題が非常に多いのであります。これはその地元の資源が限られているというような関係で、地元民とあとから来たよそ者という関係もございます。それから戸主中心であつて、家という單位で、その内部における個人の自由がきわめてひどい形で制約されているという場合もあるわけであります。そのままの形で、村張を合理的なものと見てただちに認めるのではなく、その内部は資源と見合いながら当然に民主化されなければならないと思うのであります。ただどうしても協同組合という形ではとりにくい、非漁民の一部もその漁場の利益にある、程度均霑させなければ、全体として成立たないというような村の構成もあろうかと思つて、特に厳密な制約を置いておりますが、村張という形も残したわけであります。
○奧村委員 私のお尋ねしたのは、漁業協同組合の自営なるものの形において、今日まで成立つている定置経営はどこかに例があるか、そういうのは今度の水産庁の発明じやないかというお尋ねでしたが、それについては今まではあまりなかつたという御答弁でありますから、それでけつこうであります。なるべく中心点だけの御答弁を願いたい。
 さて初めての漁業協同組合に、この定置漁業権を自営させることがいいか悪いかということはしばらく置きまして、まず今お話の村張組合もこれをかえなければいかん、漁業協同組合の精神に立ち帰つて、一世帶から何人もの加入者があつてもそれは入れねばならぬ、こういうお言葉のように聞きました。漁業協同組であるならばその通りであります。これは実際私が自分の組合で今日痛切に困つております。今までの村張組合がこの協同組合の精神によつてひつくりかえろうとしているのであります。特に私はそこを念を押すのであります。たとえば私の隣村に常神というところがある。この常神村は、この中で一週間ほどお調べになつて、理想的だというお話ですが、ここは四十一軒で元禄時代から村張でやつている。もう四十一軒以上は絶対にふやさぬ減らさぬ、そういう漁業権の上に立つて、非常に封建的、独占的な形であつたから、この組合が存立して来たものであると思う。しかし今度はその組合が、弟が分家すれば分家を認めてやる、兄弟が二十以上になれば、みんな組合員として協同組合に入る、そして加入、脱退は自由だ、これで從来の村張組合が維持できるかどうか。先ほどの長官の御答弁では、加入、脱退は自由としてあるが、事実はそういうことはないと言われるが、これは逃げ言葉であります。今日の漁村の状態は相当赤化思想も入つて参りまして、もうわれわれ組合長といえどもこれを抑えることができぬ。こういう法律を書いておいて、実際はそういうことはありませんというのは無責任であります。元に戻つて私のお尋ねすることは、從来の村張組合も、漁業協同組合的に加入、脱退を自由にして、つまり世帯單位でなしに、組合員單位でやつて行かれるのかどうかお尋ねいたします。
○松元説明員 これは協同組合法では個人加入でありますから、正面切つて申し上げますと確かにそうなるわけでありますが、現に正式に自営をしておる場合でも、一戸一人でございます。從つて私一昨日の説明でも申し上げたのですが、協同組合は個人加入である。これと漁利の均霑という思想から申しますと、その間を調整いたしますために、漁業協同組合が世帯單位で治まるならばいいが、しからざる場合には、別に全村的な漁民組合をつくることを前提として申し上げたのでありまする。
○奧村委員 その御答弁は不満足であります。私どもただいま協同組合をつくりつつあるのですが、その際に現実にその問題が起つておるのであります。実は今年の一月、三月ごろから、水産庁が「漁業協同組合のイロハ」という妙なものをお出しになつております。またビラをお張りになつて、われわれ在来の組合長などはボスであるということで、組合員は何人でも入れるんだ、漁民に限るんだと、あの法律の字句をしやにむに頭に入れ込んでおりますから、あなたの言われるように、一世帯一人にいたしたい、それなら許可すると言つたつて、それじや法律の精神に合わぬじやありませんか。法律は漁民に全部加入さす。加入脱退は自由で、そしてこれに優先順位を與えるとはつきり規定してある以上は、この法律規定によつて御答弁を願いたいと思うのです。
○松元説明員 從つて優先順位は、協同組合自営と全村的村張経営の、二元的経営を同一順位にします。もしその協同組合が世帯單位で治まるならいいが、治まらなかつた場合は別に組合をつくることを十分認めているわけであります。從つて議論は、かりに世帯單位であつても、そういう集團的な経営がいいか悪いかという問題ではなかろうと思うのであります。
○奧村委員 これもどうやら見解の相違に入つて行くようであります。そこでただいまの御答弁によると、村張組合と協同組合とを同一順位に置くというお言葉でありますが、村張組合では加入脱退の自由は認めておらぬというのですか。そうするとただいまも申し上げるように、徳川時代からの一つの封建的な観念によつてできたこの村張組合を、法律で認めて、新たに引揚者であろうとあるいは弟が分家しようと、その地区内で漁業をやる者について、永久にその組合に入れない、そういう村張組合を優先順位に置くということが、はたして民主的かどうか。
○松元説明員 ただいまの点で、新しい制度では村張組合といえども加入脱退は自由でございます。從つて正当な理由があつて分家して加入を申し込ん、だ場合に拒否することはできない。そういう加入、脱退は、もちろん形式上一応法文では自由でありますが、そういう組合で、はたして集團経営ができるかという実態の議論になると思うのであります。
○奧村委員 これはたいへんな問題になつたと思います。そうしますと、村張組合はこの規定にある漁業生産組合とは全然別のものであつて、漁業協同組合と同じ性格のものですか。
○松元説明員 ここで一つお断りしておきますが、実は村張組合という言葉がちよつと混同して使われているのであります。この中にも第九項の協同事組合に準ずる全村的漁民経営、かりに全村的漁民経営という言葉を使いますが、それと第十項のいわゆる村張組合と二つあるのであります。もちろんいずれの組合につきましても、理由なくして加入、脱退することはできないのでありますが、正当な理由があつて加入、脱退を申し込んだ場合には拒んではならぬのであります。
○奧村委員 なお念を押しでお尋ねいたしますが、その村張組合の場合、一定漁民が五人いる場合も入れるかどうか。
○松元説明員 その場合一戸一人でございます。從つて法文でも、漁民の七割以上と言わずに、世帯單位ということをうたつております。あの条文を見るとわかりますが、その地区に住む漁民の世帯單位で、七割以上入つている、と言うのであつて、あくまで世帯單位と考えております。
○奧村委員 それでは世帶がわかれれば加入させるが、世帯が一つであれば加入ができぬという解釈になるが、そこで今現実に各地方で問題になつているのです。それがこの条文の中で、どこに現われておりますか。
○松元説明員 確かに奧村委員の御指摘のように、一定の村張におきましては分家を制限しておることは事実であります。法律上は分家した場合には加入を拒めない、分家いたさない場合は加入できないのでございます。從つて分家をむりに押えつけるという実態がある場合に、そういう形態を認めていいかどうかということが問題になつているのでありますが、全般的に申しますと、それは一応は望ましくないことであります。ただ特殊事情によりまして、そういう部落では、どうしても戸数をふやさぬ場合がありますから、この法文では、正当な事由云々ということを言つております。その正当な事由という字句の解釈の問題でありますが、すなわち、正当な事由があれば加入を拒めるが、なかつた場合には拒めないのであります。
 それから村張の場合は出費一口ときまつているが、出資一口ということまでは法律には書いておりません。この点も不備ではないかと言われればそうでありますが、法律では全図的に一様に書き得るところの限度があるので、そういう場合は村張組合の実態にまかせたいと思うわけであります。
 なお今の答弁は一応法律ではこうだという内容の御説明で、実際問題は次へと譲つたわけでございます。
○奧村委員 食い下がるようではなはだ恐縮でありますが、私は決して当局をいじめるというのではなく、法案を明らかにして、修正点を見出してやるというつもりですから、どうかひとつ悪くお考えにならないようにお願いしたいと思います。
 それでは方面をかえまして、漁業協同組合の自営の問題に移りたいと思います。漁業協同組合の眼目は、組合員の漁獲物の共同販賣とか、共同加工、あるいは貯金の受入れ、あるいは共同運搬、そういう組合員の漁獲物などについての流通過程における利益をはかることであろうと思うのであります。ところが、この定置漁業の自営ということになると、流通過程から離れて生産手段の共有でありまして、思想は根本からかわつて来るものであります。今まで農業協同組合にしても、産業組合発足時代から今日まで、流通過程における協同化はしたが、生産手段の協同ということは、いまだかつてほとんどなかつたように私は承知しております。漁業において、この立遅れた漁業協同組合が、一足飛びに生産手段の協同ということが、これは画期的な思想に基いて行われるのであるが、これがはたして妥当であるか、どうか、しかもその流通手段の協同ということと、生産手段の協同ということ、全然性格の違つた事業を、一つの組合が一緒くたにやることについて、これは妥当かどうか。つつ込んでお尋ねするならば、もともとは流通手段の協同のためにつくつたものを、三分の二が賛成して定置漁業の経営に乗り出した。三分の一以下はこれに反対である。そうすると、やはり反対であつても経営をやられるならば、三分の一の反対の者もその損失は受けねばならぬということになります。從つて、いやならその者は出て行けということになるが、そうすると流通過程の協同ということが行われないということになる。そこに協同組合の根本の目的について矛盾を生ずると思うが、この点いかがでありますか。
○久宗説明員 ただいまの御質問は、協同組合が本来流通部面の協同化ではないか、それが生産部面まで協同化するのは一体どうなのか、こういう御質問だと思いまするこれはある一つの考え方に基いてこう規定したのではなくて、漁のそれ自体の実態から来ると思うのであります。もちろん生産部面の協同化という問題にも、漁業協同組合の自営という場合と、生産組合でやる場合と、これは違うと思うのでありますが、漁業の実態から申しますと、個々の零細な経営が個々ばらばらにあつて、それをただ販売する場合に協同化して、行こうというような形では、とうてい維持できない。これは現衣の経済構造の中で、小規模な経営というものが、大規模な経営に負けてしまうというのは本来の原則でありまして、いかんともしがたいわけであります。それをただ流通部面だけ協同化したら維持できて行くかというと、とうていそんなことは考えられない。それで、いわゆる小漁民と言われる者の実態が、だんだんだんずれて行つているわけであります。ことに資金、資材というようなものを考えました場合、個々のそういうような経営に対してこれを與えて行くということは、非常にむずかしいことでありますし、またその経営自体が小さければ小さいほど、いわゆる不安な要素に置かれるわけであります。そこで普通に考えましても、これを何とか生産部面まで協同化しなければとうてい維持できないということが、大きな見通しとして一つ考えられるのであります。又漁場の総合利用の点からもこれが必要であります。た、たその場合に、生産部面を、どう協同化するかということについては、先ほど申しましたように二種類ありまして、今の協同組合の定置の自営ということになりますと、定置の綱に乗る人たちというのは、定置の規模から限定されるので、組合員全体ではない。そうすると、今の協同組合の自営というのは、むしろそこの漁場事の利益の分配という問題が、主たる目的だろうと思うのであります。同時に組合員の一部が、そこに労働の機会を得て、そこで実質上の労賃を得られる、こういうことが考えられるわけであります。それに対して、いわゆる生産組合の方で考えておりますのは、もつと小規模なものでありまして、これは個々の小さなものが漁をばらばらにやるのは経費がかかつてやりきれない。また経営も不安定、だというので、これをひとつのより大きい経営体にまとめて、その中にみんなで乗り込んでやろうじやないか、これこそほんとうの意味での生産面の協同化であろうと思うのであります。こういうようなことは、一つの考え方ではなしに、実際問題として漁民の要求があり、そういうふうな問題が事実出て来ているわけであります。こういう場合に、ただそれが法人格が與えられないということのために、なかなかそれがまとまらないという場合に、非常に小さいものであつても法人格を與えて、そういうような生産部面の協同化ということが事実において必要になつて来た場合に、その道を開いた、こういう意味なのであります。そこで生産部面の協同化という方へ行くことは決して一つの、何と申しますか、ある架空に考えて、こういうしふうに持つて行つたらということでなくして、実際の漁の実情からも起るのではないか、また漁の技術上の関係から見ましても、協同的に漁労作業をやるという要素が、漁業の中にあるわけでありまして、それにた、だ法制的なバツクを與えたというようにお考えになつていただきたいと思います。なお、そういうふうな流通部面の協同化と生産部面の協同化を一緒にやることはどうか、こういう御質問でありますが、これについても、ある村を規定しました場合に、そごに大きな定置がある。これは從来みんなでやつて來た。ところがそれだけじやなくして、その漁のひまにはそこで小ずりもいたしましようし、他の小漁業もあるわけであります。個別的漁業もあるわけであります。それをわけて考えて行くということが、漁業の自営を非常に制限しましたために、ほとん、ど二枚看板で別の團体ができてやつて行くという不便があつたわけであります。それをもし協同組合の内部において、協同組合自身としても自営ができるというふうにしたら最も便利であろうということで、その道を開いたわけであります。何らかの事由で、別にしなければ始末がつかないという場合には、二つつくつちやいけないとは書いてないのであつて、どうしてもそういう必要があつた場合には、自営のための図体を別につくる、そういうことも起るであろう、しかし同じ中でもやつて行ける、こう思うのであります。その場合に、今の加入、脱退という問題、及び三分の一が脱退したらという問題がございますが、これは若干あり得ると思うのでございます。そういうような場合に、それじや一人でも反対したらできないというふうに法律で規定しますことは、非常にごくわずか起つて来る問題のために、何とかこういう形に乗つて行こうという者を、全体として押えてしまうということになりはしないかということを考えまして、むしろそういうふうに起つて来る噂のケースについては、いろいろ御相談にも乗つて、その内部をうまくやつて行くように指導して行くということが考えられるのではないか、そのために特に法案を、加入、脱退という問題を自由じやなくなしてしまうというふうなことで規定するということはとてもできないし、もし加入、脱退が自由ということを申しますと、そういう團体構成そのものがいけないという形になつておりますので、全然成り立たなくなつてしまう。そこでむしろ実際問題として、この辺というところをとつたわけであります。そのために個たの形式的に考えますと、いろいろな矛盾があるわけでありますが、なおかつこれによつて大部分のものは乗つて行けるのではないかというところで、法案を規定したわけであります。
○奧村委員 どうやらそこら辺に矛盾がひそんでおるように考えられます。先ほど長官の御答弁によりますと、漁業協同組合で資金、資材などまかなえて、定置の自営のできるような、つまり実力のある組合はやればよろしい、むりに弱体な、また小さい組合に勧めようとはせんという御答弁、ただいま久宗さんの御答弁によりますと、流通過程だけの組合では成り立たぬのだ、零細漁民に生産手段の共有をさせなければ組合が成り立たぬ。組合の存立のためにこの定置漁業の共同経営をやらず、こういうことを今御答弁になつたが、そこに食い違いがありますが、どちらに、重点を置かれるのでありますか。
○久宗説明員 ただいま、生産部面の協同化をしなければ成り立たないと言つたのは、團体が成り立たないのではなくて、その個々の漁民の生活が成り立たないという意味なのであります。つまり個々の経営、自分の小さな漁にかじりついて、とつたものをみんなで共同販賣して行こうというような程度では、ほかの資金、資材といつたようなものが、現実に考えます場合に、一つ一つの小さな経営にこまかくわけてしまうということが、資材の効果的な利用から見ましてもできがたいし、國家的に貴重な資材の配分の場合に、そこまで考えなければならない事態が来ると思うのであります。また同時に、そういうふうな個々の経営に対しては、金融というものが、いかにそういうものにつけろと言つても、金融の方からなかなかそれがつかないという問題にもなりますので、そういうような個別経営を維持しようとしても、実際問題としてできない。そこで何とか協同化しなければ、自分たちの生活が維持できないといつた形になつて来ると思うのであります。これに対して何らかそういう必要が起つた場合に、小さな規模のものであれば、生産組合というような形もとれるし、今のように大定置という形ではその利益にみんなが均霑しながら、自分の小さな漁も支障なくやつて行ける。そうして全体としての個人の生活も維持して行くといつたところに生産部面の協同化というのを持ち出すわけであります。
○奧村委員 だんだん御当局の御方針がわかつて来ました。それで零細漁民の生活の成り立つようにというお考えもあつて、その法案を規定なすつたのですが、ここに大きな考えの間違いがあるのではないかと思う、というのは定置漁業を官営すれば必ずもうかる、零細漁民が集つて何とか資材と資金を出してやれば必ずもうかるのだ、その観念が根本にあるように思います。これが大違いで、特に定置漁業なるものは、非常に豊漁、不漁の差がある。また大しけを食えば一朝にして何もかもなくなる。そういうものを、零細漁民に生活の手段を與えるために特に法律でこれをやらせよう、これは実際を考えるならば、非常な危険を冒されるのではないかと思います。というのは、零細漁民は生活のためにそれをやる。しかし資本家の経営は毎年利益があれば蓄積して行くものであります。零細漁民はその利益でもつて食べて行ごうとする。五箇年なり十箇年資金で、この定置を経営しなければならぬのに、毎年の利益を食つて行かなければならぬ。組合の利益ではたして生きて行くことができるものかどうか。必ずもうかるのだ、安定しておるのだというその観念に、われわれの考えと非常に食い違いがあるのですが、この点いかがですか。
○久宗説明員 ただいまの点でありますが、これは一番最初に御説明したわけでありますが、自営を第一順位にいたしておりますのは、定置漁業を一切合財自営でやれという意味は毛頭ないのであります。もちろん集團的な経営でありますから、こちらから注意しなくてももちろん危険というものは漁民自身が知つておるわけであります。ただなおかつ用心深くこれを総合でわつときめてしまうのではなしに、書面でもつてやる、やらないをきめる、その意思決定に非常に重点を置いたわけであります。從つて資材その他の問題もありますが、それがかりにあつても、漁場の安定、不安定ということから、必ずしもすぐ自営に走るということは、実際問題として考えられない。從つて自営にむりやりに追いやるということでもないし、おのずから集團的に経営される漁場というものはきまつて来るだろうと思うのであります。また集團的な経営でなければならないというものではなくて、どうしても相当不安定な漁場であるけれどもよく当る場合もあるというような漁場は、相当手広くやつておる経営者がやつて行く場合には、広くプールできますから、その漁場が経営できるわけです。そういうようなところには組合の経営というものは手を出さないであろうし、そこの漁民は労賃の形式で生活の根拠も得られるという形でいいわけでありまして、それ自身は、どちらの道を選ぶか、漁民自身が選ぶわけでありまして、そこまで法律では強制してないわけであります。ただ何か権利を離したくないということから、そういう動きが実際に相当あると思いますが、いよいよほんとうに自営をやるという場合に、自分の危険というものを考えて、おそらく官職が認可制度をとるよりも、漁民自身が三分の二という制約できめた方が、やるべきか、やらないかといつたような問題が合理的にきまるのではないかと考えております。
○奧村委員 そこに問題があると思うのです。つまり自営をしなければその漁業協同組合は漁業権から離れるでしよう、從つて漁業権から離れることは漁民として致命傷ですから、多少不安であつても漁業権を握るために三分の二以上が賛成して、客観的に見てはむりであると見えても、自営の道を歩むだろう、法律でそういうふうに自営をむりに進める、そこに問題があるということを私は申し上げるのであります。その点をどうかすなおに認められたらどうですか。
○久宗説明員 まあ優先順位という言葉で規定しておりますのでいそういうふうに考えられがちだと思うのであります。確かにおつしやるような考え方を持つておる漁民も相当あると思うのであります。しかしながら実際問題としては、それはやる人間が一番よく漁場の危険性を知つておるわけでありますから、われわれとしはそれを考慮するために、この規定を落してしまうということはとうてい考えられない、これによるマイナスよりも、むしろプラスの方が多かろうと思うのです。またそういうような漁場に対する発言権がなくなつてしまうという問題については、これは事実にうるさいほど委員会の機能の説明をいろいろな方法を通じてやつておるわけであります。つまり委員会を通じて漁場のいろいろな註文はなすべきだということにいたしておりますので、委員会というものの内容が、よくわかつてもらえれば、何も権利を持つておつて、むりやり言わなくてもできる、また法律自体にもどういう経営者がやるかという場合にはたとえば労働者を地元から雇うとかそういうことまで善いてあるわけであります。
○奧村委員 この問題はこれ以上つつ込んでもだめだと思いますが、それではなおもう一つお尋ねしておきますが、漁業協同組合の自営の場合、たとい村張組合の場合でも組合の重役等は私財を投じ、あるいは個人の信用で莫大な借金をして経営しておるものであります。そこで今度の新法による自営の場合、借金をする、いろいろ方面から金融をする、それから副業あるいは大荒れのために大欠損をする、出資金でもつて返済が償われない場合、個人に対して責任がかかるかどうかお尋ねいたします。
○松元説明員 その場合組合長が個人の名義で借りるのか、組合の名義で借金したのか……。
○奧村委員 現存の状態は組合の重代が個人で借りております。これは全責任があるわけだが、今後協同組合が法人でもつて経営する場合、責任は出資金のみに限るのかどうか。
○松元説明員 お答えいたします。もしも組合の名義で借金いたした場合は、組合が法人で借りたと同じでありますから有限責任であります。
○奧村委員 それではとうてい事業の経営は成立たないと思いますが、ただ一つ案ずるのは、自営をやらなければ漁業権は與えられない、自営するには資金も資材もそこまでの力はない、そこで裏をやる。つまり表面は自営ではあるが、裏で一資本家と結託をして経営をやる。そういうふうな裏の道が必ず生ずると思うのでありますが、それではこの漁業調整のほんとうの精神にもとると思うが、この点についていかにお考えになりますか。
○久宗説明員 この自営の規定の中に、協同組合が單独でできない場合に、協同組合と他の資本團体あるいは個々の資本家でもよろしゆうございますが、そういうものと共同経営の規定を設けております。つまりそういう場合に、協同組合が固まつたのだが、資本的に少し足りない。そこで金を借りるのではなしに、他の村の方たちの資本も少し入れて共同経営でやつて行きたいという場合、協同組合と他の経営体との共同経営という形も法文の中に認めておるわけであります。ただそういう共同経営体の意思が、どつちによつて決定されるか、つまり漁民の團体の方の意思に從つて、常に圧倒的にきまる。つまり漁民の方の意思が必らず通るという形において、そういう共同経営体ができた場合に、それもやはり組合自営として認めるという形のものを認めております。むしろくぐられるというよりも、そういう形は当然に当初においてはあるだろうというようなことから、そういうものを認めて、ただその内部の出資と議決権の限度をはつきりいたしたわけであります。ちよつと速記をとめていただきたいのですが……。
○石原委員長 ちよつと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○石原委員長 速記を始めてください。
○奧村委員 先ほどの久宗さんの御説明によりますと、漁業協同組合が組合ないし組合員外に対しても、從来のように漁業権を貸し與えるということは、つまり免許ということを事実に行うのだ、從つてこれはできないのだというお言葉なんですが、それは解釈の相違であつて、一応漁業協同組合に免許を受けて、その組合員が適当な方法でこれを行使する。こういうふうに考えれば、決して免許を協同組合がやるのではなく、そういう解釈は当らぬと思うのですが、その点はいかがですか。
○久宗説明員 これは先ほど例の総有の説明のところで出た問題でありますが、組合が権利を持つて、各組合員が組合の内部の規定に從つて各自漁業を営む権利がある、こういうやり方、いわゆる総有的なものについてはとつたわけであります。しかしながら定置漁業のような場合には、そういう解釈がとれないわけです。これは定置そのものは、今までのところは財産権でありますから、それを売つても、貸してもいいという形になるわけでありますが、今度の場合には、この免許をだれにするかという問題を、優先順位で非常にこまかく言つたわけです。それを一旦ある團体が受けて今度はそれをその團体とは人格の違うものに貸し付けることになりますと、それは法的には免許行為と同じになる訳です。これは入会的権利のように、團体の構成員が各自漁業を営む権利をもつている場合とは違うと私は思うのであります。その場合に貸して賃貸料をとることがいいか、悪いかという問題について言えば、これは漁業の場合にはいわゆる土地の場合とは意味が違うということは、はつきり言えると思うのでありますけれども、そういうことが法律行為として見た場合には、それは内容的に見れば免許の内容自体ではないかということについては、ことに優先順位その他をきめるということになると、その間に中間が入る形になりますので、これは説明しにくいことになると思うのであります。
○奧村委員 私は、どうしても漁業協同組合の自営を第一優先順位に置くということは適当でないという結論に達しなかつたら、私としては修正案がどうしてもできぬという考えがあるのであります。從つてこの問題であくまでも一応結論を得なければ、私は先に進めぬと思う。しかしどうもかんじんのところへ参りますと、見解の相違が明らかになつておらぬのですが、それではこれは当局としてそう素直に言えぬ立場もありましようが、これは一方的な私の意見にとどまるかもしれませんが、なお二、三申し上げたいと思います。というのは漁業協同組合の自営の場合、実際の経営、協同組合の自営と在来の経験のある個人の自営者の経営と、生産力の向上においてどちらがよいかということです。これに結局は結論を得ない。これも見解の相違に堕するだろうと思うのですが、実際私の体験からこういうことはわかつてもらえると思う。というのは零細漁民が集まつて定置漁業を自営する、その零細漁民の中で、組合長をつくりあるいは重役をつくり、それで個人経営者と同じような経営ができるかどうか、個人経営者があれば長い経験事があり、また欠損があろうと、利益があろうと、責任は全部自分にかかる、從つて真剣にやるし、また命令系統も一本であり、優秀な経営ができる。ところが零細漁民のみの集まりで、しかもこういう民主的な規定でやつた場合、実際問題としてはそれは絶対うまく行かぬ。現在私はここへ出て来る前に総会をやりまして、私は中央へ出たから組合長はもうできぬ、今日まで約七、八年やつて来たけれども、私はやめる、私のあとを、継いで、この定置漁業をたれかやつてくれる人があるかどうか。それでずいぶん議論をやつたのでありますが、結局、どうあつても私にやれという。私にやれと言つてもやれるものではない、君らが選挙せいと言つても、結局、いや、だれにやらしてもうまく行きませんのでということになつて来る。零細漁民は、磯であわびをとつたり、なまこをとつたりしている。かような頭の者が何千万円の資本を投じて機敏な活動をして、資材も獲得し、また資金も都合するということはできぬ。ところがこの協同組合法によりますと、すべては民主的で、組合員の決議でもつて事が行われる。定置漁業の経験の一つもない者が全部集まつて、その中で組合長をつくつて、しかも多数決でやるということがはたしてうまくできるかどうか。実際にその場合を想定せられたならば、そういうことはできないということをお感じになるだろうと思うのです。先般二月ほど前に、たしかここにおられる水産庁の松任谷漁政部長のお部屋でお待ちしておつた間に、水産庁の事務官の方々がこの問題で御協議になつておるのを、私はそばで聞いておつた。どなたか名前を忘れましたが、その中で非常に実際に適した御意見を出しておられました。つまり零細漁民だけで共同経営はできるものではない。わしのおやじは協同組合の経営をやつた。しかしそれはわしのおやじが個人で経営して来て、昔からの経験と顔と実力でもつて、わしがやつてやる、君らはついて来いというように、いわばボス的なやり方でもつて一人が強力に動いたから、わしの村の共同経営が実現した。從つてほんとうの共同経営なるものは、そういうボス的な一つの力が動かなければできないのだということを、現に水産庁の中でもお話があつた。いまだにその方はおられるはずです。それを私は実際自分が体験した。自分もおやじの代からやつて、自分の代でこれを共同経営に移したが、これは広言ではありませんが、自分だからできた。自分の資材、自分の倉庫、自分の金を全部出して、村で共同経営をやつてくれと言つたが、それでも村ではようやらなかつた。どうかあなた主宰になつてやつてくれ、こういうことでやつて来たが、今や私が足を引くという場合に組合長ができぬ。それでは入札しろというところまで来ております。しかしこれは全部が全部ではありません。私が先ほど言つた常神とか神子とか、相当安定した優秀な漁場においては、特に村張組合で加入、脱退を制限した所では、あるいはできるかもしれませんが、少し危険性のある漁場で、しかも組合員の数の多いような所では、必ず人事の問題でまずつまずくのではなかろうかと思います。
 それから第二に金の問題であります。はたして千何百万円の金をどうして都合をつけるか、漁業手形制度を実施になりますが、もと一応基金を積み立てて、その倍額を貸すというのでありますから、これに対して全部の資金を依存するということは全然できぬはずであります。そうすると一体金をどうしてつくるか。まずやりやすいことは、その漁業協同組合が貯金の受入れ事務をやつておる場合、必ずその組合員の貯金をます使うはずであります。その組合員の貯金を使つて、漁があればいいが、不漁の場合は、まず組合員の預金者に傷をつけます。こうなりますと、水産事業に手をつけたがために、今までの協同組合のほんとうの使命たる流通過程の協同事業を破壊してしまいます。この三つについて十分の御考慮があつてこの案を立てられたかどうかお尋ねいたします。
○久宗説明員 御経験に基いた貴重な御意見だと思うのであります。われわれもこの問題につきましては、当初からそれこそけんかをするほど内部でも議論をいたした問題でございます。今の零細漁民では定置漁業の経営はできないというお話でございましたが、再三申し上げましたように、現在の規定によつて考えておりますのは、何もかも一本に自営に持つて行くというのではないのであります。また実際問題として、資金の問題、それから今おつしやいます経験、あるいは人の問題も加わつて、こういう形になつたから、といつて、そう皆いきなり自営するという形のものでもないし、そういうことを予想しているものでもない。ただこういう法制をとります際に、現在すでにできておるものも、こういう規定を設けなければできなくなつてしまうということが考えられるわけであります。われわれといたしましては、もちろんとりあえず現在やつている共同経営のものがそのまま続けて行かれる。それからそれに近い状態にあるものは、だんだんこういうかつこうに移れるところは移つて行く。しかしそれは最後に全部こういう形になるのではなくて、漁場の関係からおそらくそれは限定されて来るだろうというように考えておるわけであります。同時にその場合に、各零細漁民の定置漁業ができないかどうかという点につきましては、これは今ここでできるともできないとも言われないと思うのであります。まつたく漁民自身の問題であろうと考えております。
 それから資金の問題でありますが、新たなこういう形態に対する特殊な金融がなければ、これにやつても絵に描いたもちになるのではないかという御意見も、先般から出ているわけでありますが、もちろん全般的に零細漁民に対する金融が、今の手形制度だけで全部まかなえるかどうかということについては、相当疑問があるわけでありまして、これはこれからだんだん積み重ねて行かなければならぬことでありますし、同時に金融の問題につきましては、水産内部でたとえば手形制度のような形で、技術的にこれを片づけ、ようといたしましても、國の全般的な経済の中に置かれている、いろいろな水産関係のゆがめられた現状から見まして、なお不足であろうと思うのであります。これはなお今後の制度改正を通じまして、漁業経済全体の國民経済の中における位置それ自体を問題にしなければならないと考えておるわけでありまして、今後に残された問題だろうと思うのであります。
○奧村委員 漁業協同組合自営の件については一応この程度にとどめまして、なお逐条審議の際お尋ねしたいことがあります。
 次に漁業生産組合に第二の優先順位を與えるという考え方についてお尋ねをいたしたいと思います。漁業生産組合に優先順位を與えるという根拠は、漁業協同組合の優先順位とは全然違いまして、資金と資材を共同して出し合うという経営形態がいいの、だから、これに個人より優先順位を與えるというお言葉でございます。まことに素朴な御説明ではありますが、それで法律をつくられたのではいささか困るのではないか。資金と労力とを共同して出し合うから個人の経営者より優先するという考え方は、おそらくこの漁業法案においてはじめて考えられ、発明されたのであつて、陸上においてはさような考え方はないように思います。共同がいいか、個人がいいかということは、これは非常な問題であつて、今ここで論議したつて及ばぬと思う。それを單に共同がよろしいというてこの法律を書き上げられたということについては不満足であつて、なおもう一つ御説明があれば承りたいと思います。
○久宗説明員 先ほど生産組合につきましては協同組合の自営と関連して御説明しましたが、簡單にふれたために誤解を生じたかと思いますので、もう一度申し上げたいと思います。この生産組合の第二順位の問題につきましては、これもやはり入会漁場の中にそういう定置漁業が営まれるという関係で、そこの漁場の利益に地元の人が資本的にもあるいは労働の機会としてもできるだけ多く参加した方がいい。これは普通の工場経営と違いまして、ある漁場を独占しなければならぬ。独占が悪いのではなくて、技術的にどうしても独占しなければならぬというところから来るわけでありまして、その場合に地元民の生活は非常にそれに依存いたしますから、一部の非常に少数の個人に漁場の利益が行つてしまうよりは、もつと広く資本的にも、あるいは労働の対価としても、それがわけられる方が適当だろうということから、生産組合というものを持ち出したわけであります。但しこの場合に根本の考え方が、そういう漁場の限られておることと、そのうちにそういう独占的な網を技術的に張らなければならないということから来るので、本来から言えば協同組合の自営と申しますか、全村的な規模のものでその利益をわけるというのが一番よいと考えましたので、生産組合を第二順位にしたわけであります。それで個人より優先させましたのは、生産組合というのはもちろん七人以上ということになりますが、必ずしも七人ではなくて、やはり相当多数になる場合もあろうかと思うのであります。いずれにいたしましても、資本的にも、それから労働の機会という点からも、もう少し多数人がこの漁場の利益に均霑するということを、考え方としてはとつたわけであります。また現実の問題といたしましては、個々の個人経営でやつておりますものが、こういう生産組合という形に組みかわるという場合もあり得るであろうということでありますが、これは必ずしもそういうものを望んでおるわけではないのであります。そういう場合もあり得るだろう。それからそうでなく、相当の経営者が集まつて、これは小さな網になるかと思いますが、幾つかの個別的な経営者が集まつて生産組合で権利を持つという場合もあろう。いずれにいたしましてもこの生産組合で考えられるのは、実際問題としては大定置できなくて、もう少し小さな経営の網になると思うのであります。ただ大きな定置につきましても、全村的なかつこうはとらない。それから從来一部の人たちが網組を形成してやつておつた。それでその網組が実際資力もあり、経営能力もあつてやつておる。他の漁民たちはこれと関係なく別の漁でちやんと飯が食えておる。こういう場合に、むりやりに協同組合の自営にしなくても、村の連中はみな納まる。その網組が組みかわつて生産組合という形をとつて行く場合もあろうかと思うのであります。いずれにいたしまして、そういうような考え方から、生産組合を第二順位にいたしておるわけであります。
○奧村委員 私の質疑はこれをもつて終ります。
○石原委員長 本日はこの程度にとどめたいと思います。なお明日は定刻十時より開会いたします。
 それから水野彦治郎委員は、病気のためにやむを得ず欠席するという電報が参りました。さよう御承知願います。
 これをもつて散会いたします。
    午後五時四分散会