第005回国会 農林委員会 第8号
昭和二十四年四月十二日(火曜日)
    午前十一時二十二分開議
 出席委員
   委員長 小笠原八十美君
   理事 坂本  實君 理事 松浦 東介君
   理事 八木 一郎君 理事 八百板 正君
   理事 小林 運美君 理事 深澤 義守君
   理事 寺本  齋君
      遠藤 三郎君    河野 謙三君
      坂田 英一君    野原 正勝君
      平野 三郎君    渕  通義君
      村上 清治君   藥師神岩太郎君
      石井 繁丸君    井上 良二君
      大森 玉木君    竹村奈良一君
      中垣 國男君    吉川 久衛君
      寺崎  覺君
 出席國務大臣
        農 林 大 臣 森 幸太郎君
 出席政府委員
        経済安定政務次
        官       中川 以良君
        農林事務官
        (大臣官房会計
        課長)     伊東 正義君
        農林事務官
        (総務局長)  平川  守君
        農林事務官
        (畜産局畜政課
        長)      伊藤 嘉彦君
        食糧管理局長官 安孫子藤吉君
        林野局長官   三浦 辰男君
 委員外の出席者
        農 林 技 官
        (開拓局指導部
        開墾課長)   清野  保君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
四月八日
 六郷村地内の未墾地買收反対に関する請願(永
 野彦治郎君紹介)(第二〇九号)
 養蠣水産業者に対する加配米制度復活の請願(
 川村善八郎君紹介)(第二三四号)
 兵庫県の土地改良事業費國庫補助等に関する請
 願(首藤新八君紹介)(第二三八号)
 農地委員会機構縮小反対に関する請願(深澤義
 守君紹介)(第二三九号)
 和歌山縣の農業土木事業費及び災害耕地復旧事
 業費國庫補助の請願(水谷昇君紹介)(第二四
 一号)
 三重縣の土地改良事業費国庫補助増額の請願(
 水谷昇君紹介)(第二四二号)
 農地法の一部改正に関する請願(圓谷光衞君紹
 介)(第二四三号)
 上磯町所在の排水溝切替工事施行の請願(冨永
 格五郎君紹介)(第二四四号)
 小清水、上砥草原間植民軌道開設の請願(林好
 次君紹介)(第二五〇号)
 農業災害補償法の一部改正に関する請願(圓谷
 光衛君紹介)(第二六八号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 農林予算に関する件
    ―――――――――――――
○小笠原委員長 これより会議を開きます。
 本日は前会におきましてお打合せをいたしておきました農林予算に関する件について、政府の説明を聽取することにいたしたいと思います。それでは本件を議題とし、政府の説明を求めます。
○森國務大臣 この機会に農林行政各般にわたつておりますが、一應現在の施設の方針を申し上げたいと存じます。
 御承知の通り本年度の食糧事情は、百八十万トンの輸入を懇請する情勢になつておりますので、七月アメリカの議会が、これを経費の上において承認してくれるかくれないか未知数でありますが、大体懇請をいたしまして、百八十万トンの食糧輸入ができるという予想を立てておるわけであります。先般シヤムより五万トンの米が輸入されることになりまして、これもアメリカに対して、さらにこの五万トンに対する増加輸入も許容されるような情勢になつておりますので、二十三米穀年度におきましては、大体不安なく当初計画の二合七勺の配給が維持できるのではなかろうかと考えておるわけであります。麦作の方におきまして一部的には非常に悲観されました中國、九州方面、あの暖地方面には、すでに相当の被害がありまして、ばれいしよに轉作いたした面もあるのでありますが、関東、北陸方面には寒害、雪害等がありませんので、大体大した減耗ではないのではないかと思つておるのでございます。四國、九州の方面は目下調査に出しております。ここ数日いたしますれば全部の状況が統計されることと考えるのでありますが、この麦作に対しましても、肥料の手配、農薬の手配等を遺憾なく行いまして、できるだけの善後措置を講じたわけであります。
 現在の日本の食糧がそういう情勢でありますから、できるだけ食糧増産に努力をいたしたいというのが私の念願でありまして、とりあえず本年度のさつまいもを能率を上げたいという氣持からいたしましてい御承知のキユアリング施設を五億二千万円ばかりの予算を見積りまして、全國的に主要な生産地また主要な消費地にその施設をいたしまして、甘藷の貯蔵を計画いたしておるのであります。來年の四月、五月の候までには貯蔵し得られる見込みがあります。腐敗を防ぐとともに一時にさつまいもが配給されるというようなことなしにやつて行きたいと考えておるわけであります。
 肥料の生産におきましても、御承知の石炭等の事情もありますが、幸い電力等の事情もよろしいので、予定計画の生産もでき得ることと考えております。
 しかし先般も各市町村長の代表との会がありましたときも、地方が非常に酸性化いたしまして、化学肥料の能率を十分に上げないような土地もできておるというような説も出ておりましたが、私はこれも認めておるのであります。こういう地方には中和の方法を考え、また有畜農業を取入れまして、そうして土地の有機質の増加、土質の改良等をやつて行きたいと考えておるのであります。何分予算の編成におきまして、当初相当の計画をもつて公共事業費を考えたのでありますが、四囲のいろいろな事情から、十分なる予算の見積りができ得なかつたことを残念に思うのであります。ことに土地改良につきましては、都道府県の事業に対しましては、お手元へ出しておりますような相当の助成もできるのでありますが、個人單位の経営に対しましては、予算の関係上これを計上することができ得なかつたことは、まことに残念な次第でありますので、こういうような事情に置くことは、今日の食糧事情から許されないのでありまして、でき得べくんば適当な機会を得まして、こういう方面にもさらに檢討を加えて、こういう事業の未完成に終らないようにやつて行きたいと考えておるわけであります。
 なお土地の拡張につきましては、開墾と干拓と二つの道があるのであります。開墾は非常に進捗いたしておるのでありますが、この農地改革の進捗が森林計画と齟齬する点がありまして、御承知の本年の一月に、政府といたしましては地方に注意を與えまして、今後未耕地の開拓地に対しましては、地方における審査委員会の議を経て、その承認を求めて初めて土地の買收を定めるという方針をとりまして、そうして地方におけるこの方面の摩擦をできるだけ少くいたしまして、土地の開墾をいたしたいと考えておるわけであります。
 なお干拓については、沿岸干拓と湖沼干拓とあるのでありますが、沿岸の干拓は潮の干満を利用いたしまして、その当該地の環境によりまして、実に簡單に干拓し得られる地方もあります。また港湾の深度等によりまして、なかなか規模が大きくあつて、非常に費用もかかり、年数もかかるという干拓予定地もあるのであります。そういつたところはすでに漁業権の買收を終りまして、組合においては相当の経費を投じておるのでありますが、何分三年あるいは五年の予定計画におかれておるのでありまして、今日のような予算の緊縮しております場合においては、できるだけ早く一年か二年で完成するという干拓地を求めたいと考えております。湖沼における干拓は、水を干しまして低水地と用水路をつくればよいのでありますから、これはきわめて簡易に行われますので、こういうふうな干拓は今後力を入れてやるべきであると考えておるのであります。殊に水害等の問題は、すでに國土保安の上からやかましく問題になりまして、建設省の携わつてやつておる仕事であります森林の荒廃が、非常な原因をいたしておることは私が申し上げるまでもないのであります。特に現政府といたしましては、國土保安の上から治山治水に力を入れて行きたい。治山治水に力を入れる今日の仕事といたしましては、御承知の通り里山があまりにも濫伐過伐になつておる。奥山が利用されておらないということが事実でありますので、どうかしてこの際奥山の利用をやりたいという氣持で、林道開発、あるいは木馬道あるいは車馬道等に力を入れまして、林道を開発し、奥山を利用いたしまして、里山をしばらく休養の位置に置くということが、治山治水の上から申しましても適当でないかと考えておるわけであります。
 なお造林におきましても、伐切後植林が遅れておる点が相当ありますので、現在百五、六十万町歩の植林をしなければならない計画になつておるのでありますが、また今後年々歳々の適当な伐採を加えますと、少くとも二百五、六十万町歩は五箇年の後を考えましても植栽をしなければならない。この植栽につきまして第一に考えることは苗圃であります。苗圃が食糧事情のために非常に狭くなりまして、苗の生産が十分にできておりませんので、植林いたしたくても苗がない、こういう関係で、もしもあやまつて粗悪な苗を植林いたしますれば、二年か三年でまたやりかえなければならぬという悲境に陥るのでありますから、今日森林組合等にも十分注意いたしておりますが、政府におきましても、しつかりしたほんとうの正しき苗の生産に力を入れて行きたい。また森林組合にも働きかけまして、りつぱな苗木を養成することに力を入れて行きたいと考えておるわけであります。また山林の経営の上におきまして、國有林として持つておる林地を、いつまでも國有林として持つておるのがよいか、あるいはこれを民有林に移して、民有林としての経営をやつた方が合理的であるかということを、十分に檢討を加えまして、現在の國有林に対しましても相当の整理を行つて行きたい、かように考えておるわけであります。
 なお保安林というものは戰争当時非常な勢いをもつて開放されまして、それがために國土保安の上においての非常な障害を來しておることも事実でありますので、國有林の整理とともに、民有林に対しましても保安林としての計画をもつて行きたいと考えておるわけであります。
 なお話が主要食糧生産の面にまわりますが、今日の主要食糧生産の上において、ことに米麦等の生産の上におきまして、科学技術の取入れが非常に遅れておると思います。日本の今日の科学的指導機関として農事試驗場が携わつておつたのでありまするが、農事試驗場があまりにも地方的に散在いたしておりますので、この際これを総合いたしまして強力なものにいたしたい。ことに御承知の通り六・三制の制定の結果、地方における乙種、甲種の農学校が、新制中学あるいは新制高等学校と変化いたしまして、農家の子弟に特殊の技術を教養する道がないのであります。ということは、畜産学校であるとか農学校であるとか、林業学校というものは甲種程度で設けられたのであります。それが今回の学制において消滅いたしましたことはまことに農業方面から申しまして遺憾にたえないのであります。こういう子弟に対する教養をどうするかということが、今後に残されたる問題でありまして、これは各地における農事試驗場において、十分なる技術、学術の修練をいたしまして、昔の甲種的学校の成績に負けないような技術指導者を養成して行きたい、かように考えているわけであります。
 なお科学の取入れにおきましても、今日まで民間においていわゆる篤農家、老農家という人が、長い間の経驗によつて特種の技術を持つている。その特殊の技術であつて科学的には説明はつかないけれども、とにかく栽培の上において、あるいは品種の上において、あるいはその生産の上において、実にすぐれた成績をあげておるというものが相当あるのであります。そういうふうなものを、各地における農事試驗場においてこれを早速に取入れまして、その技術を普及いたしたい、こう考えておるわけであります。なお米の供出制度が叫ばれまして、これは戰争のおかげでありますけれども、質よりも量という氣持で、品種が非常に低下しておる点もありますので、このいい品種の生産ということについても、今後力を入れて行きたいと思うのであります。
 次に蚕糸業方面について、一言現在考えておりますることを申し上げたいと存ずるのであります。御承知のように、今日の生糸に対するレートは四百二十円ということに特別になつておりまして、五千六百掛という價格を維持しておるのであります。これが今想像されているように、三百三十円というレートに設定せられますると、ほとんど輸出ができ得ないような情勢になるのであります。もしさようなことになりますならば、蚕糸業の問題において重大な結果を及ぼします。現在製糸業者の立場におきましては、五千六百掛の原料を持つておるのであります。この五千六百掛の繭を今現に糸にしておるのでありますが、その糸がかりに三百三十円、三百五十円というようなレートに引上げられますと、非常なる損失を來して來るのでありまして、この問題についてはまだ具体的に皆さんに御報告申し上げる機会に至つておりませんが、何とかして製糸業者に打撃の及ばないように、從つて今年の養蚕にさしつかえのないようにいたしたいと考えておるわけであります。ことにアメリカの情勢は、昨年來非常に輸出が殖えておつたのでありますが、その輸出の殖えた結果アメリカに相当滯貨しておりまして、現に貿易関係におきましても、相当の滯貨糸がありますために、金融方面に非常に苦痛を感じておりまして、從つてこの春繭の買入資金をどこから持つて來るかという悩みを持つ製糸家も、中にはあるのであります。実は五箇年計画を立てましたときに製糸設備がぐんぐん進捗いたしまして、ほとんど五箇年計画通り製糸規模が整備いたしたのでありますが、なお食糧事情が窮迫いたしておるために養蚕の振興が遅れまして、繭の生産がなお製糸規模に対して六割程度くらいの情勢に置かれておるのであります。そこに日本の全蚕糸業者が、悩みを持つておりますので、これが十分なる原料がありますれば生糸家といたしましても、相当企業が合理化されて行くのでありますが、そこにいわゆる跛行的な結果を見ております。しかし今政府として考えておりますことは、絹糸の消費を相当制約いたし、あれに使つちやいかぬ、これに使つちやいかぬというように、そういう方面において非常に規制を加えておるのでありますが、今日の段階におきましては、これをよろしく撤廃いたしまして、自由に絹糸の消費をせしめ、また養蚕家におきましても、また繭糸くず繭等の統制を廃止しまして、これは養蚕家の自由に家内工業によろう、あるいは委託加工によろう、これらのものを処分さすというふうなことが、今日の繊維事情から申しましても適当ではないかと、かように考えておるのであります。さしあたり先ほど申しましたこの五千六百掛の繭をもつておる製糸業者に対して、何とかしてこれを切抜けせしめたいという氣持で、せつかく今努力いたしておることを御報告申し上げる程度に止めたいと存ずるのであります。
 次に金融問題でありまするが、金融は非常に農村が緊迫しておりまして、ことに農業会が農業協同組合に改組されまして間もないのであります。まだ農業協同組合が眞に活動の力をいたしておりませんので、一日も早く農業協同組合が自主的な発達をするように助成して行きたいと考えておるのでありますが、それにつきましても、農林金融金庫というものを独立さしたいというようなことを、常に考えておるのでありますが、まだ農業者自体が出資するという立場に來ませんのと、國家の資金関係で金庫設置は今日の段階でどうしても実現ができないというような情勢にあるのであります。しかし昨年の九月定められました農林水産の復興金融の道でありますが、これが九月から三月一ぱいまでに四十億円のわくをもらつたのでありますが、資金等の都合で二十一億の金を融通いたしたのであります。これは中央農林金庫を通じてでありますが、その道によつて、この二十四年度におきましては相当の金額を工面いたしまして、長期金融の道を考えて行きたいと、かように考えておるわけであります。
 いろいろ農林行政の上において多岐にわたつておりますので、主なものを二、三拾い上げて御報告申し上げた次第でありますが、なお御質問に應じましてお答えをすることにいたしまして、一應この辺で打切りたいと思います。
○平野委員 二十四年度の予算におきまして、特に農林関係が著しく圧縮せられたこと、特に公共事業費のうちにおきまして、土地改良費が全然計上せられなかつた等、実にさんたんたる結果に相なつておりますることについても、ただいま農林大臣からもはなはだ遺憾であるという御説明がありましたけれども、この問題は單に遺憾を表明するようなことでは済されないことと思うのであります。今回農林関係が著しく削減を受けたということは、もとよりドツジ氏の強い線によつてやむを得ないと見られるのでありますけれども、しかしこれが公共事業の各費目を通じまして、総括的に一律に削減されたというならば、あえてこれは了承するにやぶさかでありませんけれども、この費目をながめて見ます場合に、決して一律でないのであつて、特に農業関係及び文教施設費が、極端なるところの削減を受けておるのであります。中にはむしろ増額しておるようなものもあるのでありまして、最初の七百億円の大藏省の原案を見ましても、行刑施設費のごときは十二億のものが、五百億の今日の予算におきまして、かえつて十三億にふえておる。また道路のごときも、七百億円のうちにおいて五十七億であつたものが、五十八億になつておる。その他港湾などにおきましても、四十五億が三十七億に削減せられた程度でありまして、かえつてふえておるものもあるくらいであり、減額されたものもその比率がはなはだ少いのであるにかかわらず、特に文教施設と農業関係におきましては、驚くべき削減を受けたのであり、農業関係は当初百五十六億の要求がわずかに、八十八億というふうなほとんど半分程度に切下げられておるという事実を見るのであります。ぼくはこれは結局農林関係の努力が足らなかつたということを指摘せざるを得ないのでありまして、結局これはドツジ氏が日本の農業に対するところの根本的認識を欠いておる。日本の農業が一つの私的資本であるというような観点から、かような結果を見たのでありまして、これはどうしても日本の農業というものは私的資本ではなくして、使用收益権を國家の管理のもとにおいて、農民にその経営を委託するという仕組みになつておることは、日本人ことごとく理解しておるわけでありますけれども、不幸にしてアメリカからお見えになつておる方々は、十分この点を認識せられなかつたわけであります。その結果かような措置を見たわけでありまして、これすなわち私は、農林関係の責任者の努力が欠けておるということを強く指摘をしなければならぬのであります。先ほども大臣は、食糧増産について最大の努力をいたさなければならぬということを言われておるのでありますが、そうした努力を農民に要求しながら、かような結果となつたのでは、私は農民に何のかんばせあつて相まみえるか、まことに面目を失する結果になると言わざるを得ないのであります。
 山林関係におきましても、七百億円の予算におきまして四十四億が、三十六億円に削減された。これは削減の率は農業関係に比較しますと少いようでありますけれども、元來農林関係は、当初要求額そのものが、非常に内輪の見積りで窮屈なものであつたがために、この削減というものも致命的なものでありまして、現に治山事業費のごときも國土保安上、特に治山治水には努力をするということを大臣は言明しておられますけれども、本年度におけるところの事業内容というものは、昨年度に比較して著しく圧縮しなければならぬということになつております。また林道につきましても、林野は非常に濫伐されて、奥地林の開発を今後やらなければならぬということを大臣は言われましたけれども、この予算をもつていたしましては、おそらく昨年度より著しく事業分量が減少せざるを得ないというようなところでありまして、どうしてもこの際農業関係を最小限度五十七億、林野関係において六億の復活を断じてしなければならぬ。またこれは結局日本の農業に対するところの認識の不足から來たものでありますから、十分説明をいたしまして納得をしてもらえば、この復活は可能であるのであります。大臣もただいまこれについて、適当なる機会に適当なる方法をもつて善処をするということを言明せられたのでありますけれども、その適当なる時機というのはいつであるか、また適当なる方法というのはどういう方法であるかということをこの際伺いまして、そうしてこの予算の復活について、どういう所信と方途を抱いておられるかということを、強くお尋ねをいたしたいのであります。ことにこれは本会議におきましても、野党派の諸君から種々御質問もあつたことであり、また予算委員会におきましても、おそらく相当議論のあつたことと思いますけれども、この点については、おそらく共産党の諸君もやはり同じ意見であつて、日本の農業というものに対するところの問題は、政党政派を超越しまして、國民の一致した要望でありますから、この点を深く御認識の上において、決死の努力をしていただきたい。大体この予算の均衡につきましても、大藏大臣や安本長官ばかりが当つたというところに、私は農林関係が署しく被害を受けた大きな原因があると思うのであつて、農林大臣の責任も重大なるものがあると思うのでありますから、特にこの点も本委員会におきましても強く指摘して、大臣の所信を伺つておきたいと思う次第であります。
○森國務大臣 平野さんの御質問まことにごもつともな次第でありまして、私は決して現在の予算で満足いたしておるものではありません、機会を得るごとに必ず私の努力を続けて、当初の目的を達成するよう努力いたしたいと考えておるのであります。しからばいずれの時機において、どういう方法においてということは、ただいまお答え申し上げる段階に入つておらないことを御承知願いたいと思います。何分物價も上り、賃金も上つておる関係でありますが、お手元にまわつておりまする表でごらんくださる通り、二十四年度の公共事業費は、なるほど当初の計画よりは減つたわけであります。しかし農林省関係におきましては、昨年は二九・五%であつたのが、本年は二九・一%で〇・四%減つておるわけであります。これは総額の上から申しまして、もつとふえなければならぬのでありますが、御承知のように建設省において道路拡張ということに特に力を入れられまして、こういうようなものしか獲得できなかつたことは遺憾に存ずる次第であります。しかしこの森林業におきましては、昨年は二十三億二千五百万四千円でありましたが、本年度は三十六億九千万円を獲得いたしまして、昨年は四・五%でありましたのが、今年は七・四%まで上昇しておるのであります。水産においては一・三%が一・七%に総体の比率が上つておるのであります。この森林事業に対しましては先ほど私が申し上げましたが、特に林道、植林ということに力を入れてやつておりまして、予算のことは公共事業費が当初の計画より減額した、この比例から考えていただきますならば、相当治山治水の事業には力を入れておることを御承認願いたいと思うのであります。
○井上(良)委員 大臣にちよつと伺いたいのですが、今大臣から本年度予算を通しましての農林大臣としての考え方を伺つたのでありますが、森農林大臣は、大臣に就任して、一体どういうことを中心に農政を進めて行こうとするのか、その根本的な重点がさつぱり明らかにされておらないのであります。これは予算説明でございますから、全般的な説明をされたと思いますが、この予算を通覧しましても、今の大臣の御説明を伺いましても、特にわが國の農政の上ではこれを中心に重点を置かなければならぬ、今一番当面しておる重要問題はこれであるから、これに全力を注ぐという一つの大きな目標を示されなければならぬと思いますが、それに何ら新しい方針が示されておりません。これは非常に森農政の上において、何かこう今までの機構にそのまま乗つて、その日暮らしのような印象を強く與えまして、非常に遺憾に存ずるのであります。何と申しましても、今日わが國の当面しておる一番重要な問題は、食糧が不足をしておるという事実でありまして、今大臣は、昨年わが國は大体百八十万トンほど輸入しておる。それと同じ量を本年もまた輸入を懇請すると言われたが、そうすると國内的には何ら増産的な対策が講じられておらぬということを数字の上ではつきり示すことになる。もちろん昨年と今年とでは、配給量もふえておりますけれども、根本的に食糧増産に対する具体的な対策というものが、予算の面に一つも現われていない。また逆に削られておる現状にある。予算面にふえておるのは人件費がふえておるだけであつて、農業のいろいろな施設及び改良というようなものについては、全然予算が組まれておらないという点を、農林大臣は一体どう考えられるか。こういう状態で、下は農民から上は國の財政及び食糧事情から、農林大臣の責任は非常に重要でありますが、これらに対してどうお考えになりますか、この点をまず伺つておきたいと思います。
○森國務大臣 私は農林行政として、日本が食糧事情から独立するということ、すべてをそこに集中して行きたい、かように考えております。しからば百八十万トン去年輸入して、今年も百八十万トンの輸入を計画しておるなら、ちつともそこに増産の数字が現われておらないのではないかという井上さんの御質問のようでありますが、数字の上から申しますれば、その通りであります。しかしこの百八十万トンは、必ず輸入されるという條件のもとに予定を立てて懇請をいたしておるのでありますが、今世界の食糧事情、世界の國際関係等を考えますと、いつまでもいつまでもこのアメリカの食糧というものが輸入されるかどうかという点も、これは一つの大きい考慮の中に入れておかなければならぬのではないかと思うのであります。それで一應その計画のもとに、内地においていわゆる増産、自給の方針に向つて進んで行きたい、こういうのが私の気持ちなのであります。しからば少しの機構もかえておらないではないか、予算の上においても、土地改良のごときは減らしておるじやないか、努力しておらぬじやないか、こういうおしかりでありますが、この予算の編成に対しましては、井上委員もすでに行政当局にお立ちになつておつたわけでありますから、よく御承知と思いますが、必ずしも数字をあげることが食糧増産ではない。今日の行政をどうして食糧増産に仕向けて行くかということが行政技術であるのではないか、かように私は考えるわけであります。肥料生産におきましても、ただ肥料を生産して、肥料公團の手を通じて配給をするという一つの定まつた公式をほんとうに農業生産の上から肥料というものが効率を上げるように、農業者が迷惑をしないように、この肥料の生産と配給をうまく適当に動かして行く、ここに同じ肥料であるけれども、その肥料が食糧増産に対して効率を上げて行く、こういうふうに考えておるのであります。ただ現存各地に散在している農事試驗場を総合したつて、どこに何らの價値があるかと言われるならば、現在の農事試驗場のやつておりまする仕事をほんとうに食糧増産の方に向けて行く、機構はあるいは縮少するかもしれませんが、その農事試驗場の働きをしてほんとうの農事試驗場たらしめ、食糧増産の線に沿わして行くようにいたして行きたい。また森林の経営の上におきましても、今日の森林の行政機構は依然としてそのままである。あるいは今度は行政整理において整理するかもしれません。整理するかもしれませんが、今日あるこの行政組織をして、ほんとうに国土保安の上についての森林行政を今までとは改めて行く、こういうふうに持つて行きたいと考えるのであります。今日の農林行政は現内閣がつくられたものではありません。長い長い歴史を持ち、長い間の経驗と沿革、変化によつて出て來た今日の行政でありますから、一時にこれを根本的に改革するということは、今皆さんに御相談申し上げておりますこの行政機構の改革すら繰返し繰返しやつて來た問題でりまするが、これは容易なものではない。しかもこれをあえて行つて行きたい、こういう氣持ちでやるについては、相当の出血もあり、反対も出て参りますが、今日の農業行政の上におきましても、改善しなければならぬものはどんどん改善して行きますけれども、この改善することがそう簡單に行かないことは、井上委員もよくお察しくださることと思うのであります。とにかく私は、私の責任といたしまして、どうかしてこの食糧増産をいたして、アメリカからできるだけ食糧をもらわぬようにして、そして各産業に働く國民諸君の食糧の不安感を除きたい。あしたから食う物がないとか、食う物を買う金がないようになるというような食糧不安感から除いて、國民の体育の向上と並行して行きたい、こういう氣持で考えておるのであります。まことに微力なものでありまして、御期待に沿うことははなはだむずかしいと思いますが、特に経驗を持たれる井上議員なんか特にひとつ御指導をお願いいたしたいと思うのであります。
○井上(良)委員 非常に答弁が丁寧ですが、何を言うてるかさつぱり要領を得ないのですが、私はやはりせつかく森さんが長い農林行政の、また農事の実際の経驗者としてその局に立たれたのでありますから、自分が在野時代から常に日本の農政に対しての一つの識見を持つておる、その識見をやはり大臣になつたときに表わすことが必要なのです。そのことがこれに一向現われてないのです。森さんが常にこの委員会で、また在野当時いろいろ主張されたことが、ここに現われてない。これは森さん自身の私は大きな政治的な自殺じやないかと思うのです。そういう点から、大臣がせつかくその職につかれた以上は、わしが大臣になつたからは、これとこれだけは必ずやつて見せるという、一つの大きな方針がやはり予算の中に織り込まれて來なければならぬ。数字には示してないけれども、まあ機構いじりでひとつ能率を上げてみようというようなことでは、これはどうもその下の農民は納得できないのです。特にわれわれが今大臣に一番閣議でがんばつてもらいたいことは、いわゆるわが國の経済の再建とか、あるいはまた民族の独立とかいうようなことが言われておりますが、しかしそれの中心を貫くものは、やはり食糧の確保なのです。食糧が年間三箇月も不足しておる現状で、しかもその食糧をまかなうことができ得ないようなわが國の経済状態では、とうてい日本の経済の再建も独立もあり得ないのです。これは内閣の中において、この問題が國策の中心であるということを強くがんばつて、これに必要なる諸経費なり、予算を思い切りとるということで、ひとつがんばつてもらわなければならぬと思います。昨年度の予算は追加予算を入れて四千八百億のうちで、相当農林予算にも多く計上されておる。しかし本年七千億の予算になつて、わずかの金額しか予算にまわつていない。しかもそのまわつておる大部分は、さきに申した人件費である。いわゆる農民全体の事業施設としての予算は、新規予算としてはほとんど見るべきものがない。逆に昨年度計画されたものがどんどん削られておる。特に食糧の増産に対して、緊急食糧増産に必要な経費というものが全面的に削られておる。これは一割増産運動その他の関係からこしらえた予算でございますが、たとえば一割増産をいたしますならば六百万石とれる。六百万石かりに確保できますならば、もうあとわずかの半額余りが輸入されれば、事が済むようなことになりまして、ここ二、三年一割増産の運動を展開し、それに必要なる施設を十分整えますならば、もう輸入はしなくてもいいような自給体制になり得る。そういう点が全然度外視されておるということでありますから、これはいろいろな関係方面との関係から、大臣としても非常に困難の中に闘われておると思いますけれども、予算全体を見て、われわれとしては非常に遺憾の意を表するとともに、至急にこれが追加予算なりその他の方法で善処を願わなければならぬと考えております。
 なおこの際特に申し上げておきたい点は、政府の方では、この食糧増産に必要なる経費を見積らぬのみならず、最近國会に対して、司令部の指令として食糧確保臨時措置法を改正して、追加供出を法的に強制しようという案を出そうとしておる。これは必ず出すかどうかということをひとつ伺いたい。それからこの指令の内容を見ておりますと、政府の方では單に指令の後段の面だけを取入れまして、前段の面を全然忘れておるのではないかということであります。この十二月二十四日付で政府に手交されました六千二百五十七号、この指令の内容によりますと、利用し得る主要食糧農産物の最大限実行可能な集荷を確信するための諸処置をとり、これを完遂すること、右の中には収穫の諸條件が確定した収穫時またはその直前において法的に強制力を伴う追加割当を規定するための必要な省令を改正または公布することを含むということが、最後に書いてありますが、このもう一つ前の項目のAに、主要食糧農産物の最大限の増加に必要なる諸処置を継続するということが書いてある。この最大限の食糧増産に必要なる処置を講ぜよということが指令で來ておるのですよ、政府に対して。食糧増産に必要なる最大限の処置を講ぜよ、それを継続せよということが、向うの指令として日本政府にいたされておる。この方は全然ほつたらかして、追加供出、追加割当の方だけを法的に強制力をもつてやろうとしておる。これは何としてもわれわれは納得できないのです。いずれ法律案が出ました場合、十分われわれは討議するつもりでありますけれども、これは片手落ちなんです。この指令を一体農林大臣は何と考えられますか。これは司令部から日本政府に対して要求しておる指令なんです。この指令を農林大臣は忠実に実行しようとしますが、この方については全然手を入れていないじやありませんか。それで法的に追加供出だけはこしらえよう、こういうのではめちやくちやなんです。そういう行き方は森さんの農林大臣のもとにおいては、われわれとして納得できない。これが官僚出の大臣であるとか、全然農林行政にしろうとの人がなつておるというなら何とも言わぬでありましようが、少くとも長い間農政を研究されて、少くとも農村に対しては深い自覚と自信を持つておるあなたが、かんじんの食糧増産に対する指令が來ておりながら、その方はなおざりにしておいて、片方の農民に重い負担をかける追加供出の方は、法的に処置しようということは、何としても納得できない。これは指令違反である、はつきり言えば……。この点に対する大臣のはつきりした責任ある答弁を願いたい。
○森國務大臣 指令に対して臨時措置法の改正をするらしいというお尋ねがありましたが、御承知の今お読みになつたような指令に基いてこれは処置しなければならないような情勢になつております。井上議員も御承知の通り、私は全然臨時措置法には心から賛成をし得なかつた立場にあつたのである。しかし臨時措置法としまして、今日配給制度の現存しておる以上、生産意欲を減退させないということによつて事前割当をして、それを再び補正はしない、割当はしない、こういうことで前前内閣でありますか、この法案が成立いたしたのである。もともと私は供出の今日の方式は、生産意欲を決して増強せしむるものではない、この供出方式はこれはかえなければいけないという考えを持つて今でもおるのであります。一体今までの供出制度は、立毛の結果によつて供出額が定められておりまして、地方というもの、農民の努力というものが、一向そこに考慮されておらないというのでありまして、これでは國家的生産の上からみましても、よろしくないことである。適当な時期にこの供出様式をかえなければならぬ。私はかように考えておるのでありますが、年度の途中においてこれをなすということは、いたずらに混乱を起さしめるものでありますから、いずれ皆様に御相談申し上げる機会が近くあると思うのでありまするが、本年度の超過供出は、御承知の通りに自主的な超過供出であるのであります。ところが諸般の食糧事情、また國内の食糧事情の動き等から考えまして、九原則にも示されてあるごとくに、集荷を強化しろということになりまして、これが今指令になつて來たのであります。前段のこの食糧増産の方式においても、これを継続しろということはよく承知いたしております。先ほど私の申し上げたことを、十分に井上委員は御了解くだされなかつたかもしれませんけれども、できるだけ生産を増加する措置をとることと、一方供出量におきましても、その年の事情によりまして、これを修正することを法制化して行くという、この両方の道を考えておるのであつて、超過供出を法制化してそうして生産の方面には一向努力していない。こういうおしかりでありましたが、生産の方面におきましても、予算の許される範囲内におきまして、また私の先ほど申しました気持において、この増産の方面には、極力私は力を入れておるということを申し上げたいと思うのであります。これは数字の上に現われておらないからうそじやないか、だめじやないか、人間ばかりふやしておる。こうおしかりでありますが、これは井上議員もよく御承知であろうと思います。数字をあげることが決して増産になることではないのでありまして、あらゆる施策をもつて増産に一意邁進する。そうして一面にはそういう指令をもらつた以上は、これは一應法制化しなければならない。けれども御承知のように、これは臨時の措置法であります。あくまでも臨時の立法でありますから、これは將來において皆様の御協力を得まして、ほんとうの生産意欲を向上し、日本の食糧を独立する方向に導くような供出制度の方式にかえて行きたい。かように実は考えておることを御承知願いたいと思います。
○深澤委員 日本の経済自立の立場から、日本の食糧の独立の立場から申しまして、食糧の自給自足の問題を解決するということは、大臣も言われたようにわれわれも同感でありますが、その立場に立つて、まず食糧確保の問題が、日本の政治の上に重点的に考えられなければならないという状態にあるにかかわらず、非常に農村関係が虐待されておるというこの事実、これは農林当局がより以上の熱意を持つて、閣内においても、あるいは國際的な立場においても、鬪つてもらわなければならないと考えるのでありますが、そういうようなことから申しまして、今年度の予算獲得にはまことに熱意がなかつたということを、われわれは申し上げることができると思うのであります。今大臣は昨年度よりも四割方予算はふえておる。こういうようなことを言われたが、しかし数的にはふえておるけれども、実際においては物價指数が昨年よりも約七割方上つておるというこの事実を、全然考えられておらない。從つて予算が四割上つても、予算の実効になりますると、物價指数が七割上昇しておるというような現実においては、去年よりもずつと予算は減つておるということが、実質的に言えるのであります。こういう予算をもつてしては、おそらく農業発展のための食糧確保の努力は期待し得られないというふうにわれわれは考えるのであります。さらにもう一つは、生産増強についていろいろなことを申しますが、問題は生産を増強するのは機構や施設や、そういう問題でなしに、眞に生産をするところの農民に対して、生産意欲を與え、生産に喜びを與えることが、根本問題であると考えるのであります。御承知のように日本の農業は、あの戰争によつておそらく未曽有の荒廃状態に陷つたのであります。その後において、食糧あるいは生産物資の不足のために、その荒廃からまだ立ち直つていない。今日日本の食糧が維持されるのは、まつたく農民の血と涙と汗の努力によつてのみ確保されておるという事実を、われわれは認識しなければならないのであります。從つて大臣は先ほど化学的な指導とか、いろいろな技術的な指導ということを強調せられたが、問題は農民が喜んで生産するという科学生産、米價政策、農産物價格の政策、あるいは生産に必要なるところの物資、そういうものの潤沢なる配給なしに、日本の農業の復活は不可能である。生産増強はまず農民を対象として考えなければならないということにまず重点を置かれなければならない。この点については大臣どうお考えになつておるか、こういう点をまずお伺いしたいと思います。
○森國務大臣 先ほど比率を申し上げましたのは、なるほど物價が上つたとか人件費が上つたということとは別で、私の申し上げたことは、昨年の公共事業費のうちの比例に対して〇、四は減つておる。しかし森林業あるいはその他に対しましては、総体の経費の上から見て、それだけの比率が余計にふえておると言うので、物が上つたから比率が上つたくらいじやだめじやないかというお話でありましたが、その割合を申し上げたのであります。なお生産に関しては、農民の生産意欲を向上しなければいけないというお氣持、まことに私も同感であります。決して施設や何かでのみ生産を増強するわけには行きません。今日の農村の事情は、実に同情にたえない情勢になつておりますので、どうかしてこの農村の氣持を取入れて、喜んで増産してもらうようにもつて行きたい、かように私はすべての施策を考えておるわけであります。私は今まで行政されておつた人間でありますから、行政されておつた氣持で、今日の行政のいけない点を是正して行きたい。こういうことを初めからお誓いいたしておるわけであります。何分今経済九原則によりまして、予算の編成においてもお察しの通りの情勢になつておるわけでありますから、伸ばしたい手も、突き出したい足も出せないというような環境に置かれておる。この環境において、どうして生産意欲を向上して行くかということに努力を拂つておるわけでありまして、決して私は施策によつてのみ増産ができるものと思いません。喜んでこの國策に協力してもらえるような農業の体制をつくつて行きたい、こういう氣持で行政をいたしておることを御承知願いたいと思います。
○深澤委員 農民の生産意欲を十分発揮させるということに対して、大臣が御賛成になるならば、このたび問題になつておりますところの食糧確保措置法の改正を行いまして、追加供出を法制化するということは、まさに農民の生産意欲を極端に押えるものである。これは大臣の今言われたことと逆行する方向である。この点についておそらく全國の農民が反対しておる。これをあえてやろうとすることは、今大臣が言われたその信念と相反することになる。この点については、私はおそらく大臣自体も賛成し得ない問題であると思う。この点について、はつきりした御明答をお伺いしたいと思うのであります。
○森國務大臣 この問題については先ほど井上さんにお答えいたしましたが、現在の供出様式は私はきらいだというのです。けれどもこれは臨時措置法として、今この年度の段階において、これをどうするこうするということはでき得ないのであります。それで近い將來においては、皆様とよく御相談をして、眞に農業者が喜んで國家の施策に協力してもらえるような方法を具体化して行きたい、こういうのであります。先ほど井上さんからお話のあつたように、これは関係筋から、超過供出に対して十分でないから一應これを法制化しろという指令がありました。私としては、もともとこの臨時措置法には反対だつたけれども、そういう法制がある以上は、法治國民としてはこの法制によつてやつて行かなければならぬ。これはもともと臨時措置法であります。臨時の措置としてこれはやむなく施行されておるのでありますから、根本的に法式をかえて行かなければならないというような氣持を持つておるのであります。今日の段階としては、先ほど井上さんがお話になつたような、やむを得ない事情にあることを御承知を願いたいと思います。
○竹村委員 大臣はさきに本年度の食糧事情について、まず百八十万トンの輸入があるから、大体本年度の食糧事情は見通しがついた、こういうふうにおつしやつたのでありますが、しかしながらこれはもちろん二合七勺の非農家の面についてだけ考えておられるのではないかというような感じがするのであります。というのは、現在全國各府縣で非常に明らかになつておりまして、おそらく大臣は御承知であろうと思いますが、いわゆる轉落農家の配給の面であります。これは農林省に対しても全國各府縣から相当陳情が來、あるいはいろいろ要望が來ておると思う。というのは、各地で本年度の生産あるいはその他において、また超過供出の面において、再三これは懇請だと言われておりますけれども、実は強制的な超過供出がやられておるところの面が多いのであります。今日轉落した農家が配給を受けるに際しましては、大体二分の一くらいしか還元配給を受けておらない。各地においては町村長会、農業調整委員会等が開かれまして、これが増加について非常にやかましく要求しておる事実があるのでありますが、この分も含めて本年度は還元配給を完全にするというお考えで、食糧事情は問題じやないと考えておられるかどうかということをお聞きしたいことと、もう一つは、先ほど大臣も言われたように、本年度の暖冬異変において麦作は非常に減收することだと私たちは思うのです。從つてこれに対しては相当な補正をやらなければならぬ。これはちやんと、事前割当をした場合に、もし天災地変とかその他の災害によつて減收したならば、これは補正するということになつておる。相当な補正をしなければならないが、これを相当補正してもなお二合七勺農家の還元配給を続けて行くだけの見通しがあろうか、またこれに対して、これをやらないとするならば、おそらく農業の再生産というものが食糧の面からもできなくなつて來ると考えるのであるが、こういう点をお伺いしたいのであります。もう一つは、先ほど大臣は農業の機械化をやる、農業の科学化をやらなければならぬ、こういうふうにおつしやつておる。しかし今日の農村の経済状態のもとにおいて、しかも今日の米價というものがあの怪しげなパリテイー計算によつて決定されておつて、生産費というものが考えられていない。その上にたとえば土地改良業においても、縣営の公共事業でやればやらして、個人のやるものには補助がない。これは原則論になつて参りますけれども、農業は結局政府では何とかかんとか言つておりますけれども、大体企業と認めておられるような傾向にある。先般の大臣に対する質問においては、大体企業でもあるし、あるいはそうでもないというようなどうもあやふやなことをおつしやつておられますけれども、しかしこの予算全体から見ますれば、農業を企業として考えておられる。農業は企業と考えておられるから、そういう個人に対する災害の復旧工事の補助なんかを出されないようにしておる。そういう事情のもとにおいては、農民がこれから機械化し、みずから個人で土地改良し、災害復旧する経済的余裕がない。その余裕もないところにむりにやろうとしてもできない。できないものを言葉の上だけでやるのだとおつしやつても、これは不可能であります。これに対しても農民に経済力がなくなつて、生産費に償わない米價と過酷な税金とで、農民の経済というものをある程度破滅に導いておいて、そうして國家の補助をほとんどなされず、なおそれで土地改良も個人ででき、あるいは機械化ができると考えておらるるか、私はできないと思うのであります。ところがこれをできるとおつしやられるなら、どういう形でやられるのか、これも具体的にお聞かせ願いたいと思う。
 それからもう一つは、今日たとえば食糧供出に関する仕事は、当然國家がやらなくてはならぬ。これは國家がやるのが当然でありまして、市町村がやるのではないのであります。しかるに供出事務に携わる仕事に対して、各市町村に対する補助金が、これだけではたして実際の供出事務に携わられるかどうか。供出事務は單に割当だけ行うのではなしに、事前割当を行う場合には、地方調査あるいはその他のいろいろのことをやらなければならない。しかるに食糧の供出事務が、これだけの國家の費用ではたしてやれるかどうか、これはやれないと思う。これは全額國庫負担にしなければならないが、この予算にはその全額國庫負担の額が盛られていない。これに対して農林大臣は早急に追加予算でも組んで、町村に対して全額國庫で負担するというお氣持があるかどうかということを、お聞かせ願いたいのであります。
 それからもう一つこの際ついでにお聞きしておきたいのでありますが、たとえば農村に対する共済事業の農業保險の問題でありますが、あれに対しても委員長さんも非常に御苦労なさつておると私は承つたのであります。昨年度賃金ベースが改正になつたときに、あれは國庫で三分の二は負担するということになつておる。ところが三千七百円ベースの三分の二は補助されたと聞いておりますが、六千三百円ぺースになつてからそれだけのずれは――三千七百円なりの補助を出しておられて、それを六千三百円に直して出さなければならないが、それを出されたか。これは昨年度の問題でありますのでちよつとわかりませんので、この際お聞かせ願いたいと思います。
 こういういろいろなことがありますが、まず根本的には農業をやはり企業と考えておられる。だから今度の米價の問題に対しても、生産費を基礎として実際に引合う米價を設定される考えがあるかどうか、こういう点をお聞かせ願いたいと思います。
○森國務大臣 機械化するというようにお聞取りくだすつたようでありますが、そうではないのであります。現在の農業の経営があまりにも非科学的な点が多いまた今日の科学をいま少しく深く取入れて行く必要がある。かように考えまして、試驗場等の活動によりまして、科学力を農業経営の上に持つて行きたい。こういうことを申し上げたのであります。
 なお食糧の配給につきましては、なるほど冬暖かかつたために、四國、九州方面においては麦の予想はずれができております。しかし今日までの報告をとりまとめますると、全國的に見まして、さように悲観する程度ではないのではないか。今年は、先ほど申しましたように、さらにかんしよ、ばれいしよの生産にも一層力を入れて参りまして、総合配給の上におきましては、決して不安感を與えるようなことはない、かように考えておるわけであります。また経費の点につきましては、ずいぶん内容が複雑いたしておりますので、他の政府委員からお答えをしていただきますが災害のことにつきましては、御説の通りでありますので、この年度におきましては相当これも増額いたしまして、地方に迷惑のかからないようにやつて行きたいかように考えておるわけであります。
 農業は企業体であるかという重ねての御質問でありましたが、これはその土地というものを資本と考えて行けば企業体のようにも見えます。また労働、勤労という点から見ますれば、企業でないようにも考えられるのでありますが、これは両方の見方があろうと思います。はつきり企業体であるということは考えられませんが、これは双方の考え方によつて見て行くことが、農業というものに対する考え方ではないか、かように私は考えておるわけであります。
○竹村委員 食糧の問題は、もちろんこれは見通しはあるとおつしやるのですが、たとえば轉落農家に対して、各縣から要求されているいわゆる農家手当米というものが、私の言うたのは大体半分くらいに減らされておる。それだから轉落農家に対しては実際の三合近く、あるいは二合七勺というものが配給されずして、その半分ぐらいしか配給されていない。これは各縣で非常にやかましい問題と思うのでありますが、これに対して府縣から要求することがあるいは過大である、うそである、こう考えられて半分にしておられるのか。実際政府は府縣の知事の言つて來ることを信用なされぬで、その手当米を半減されるのか、あるいはこれはどういう理由で半減されるのか。もし実際知事の言つて來ることがほんとうであるならば、これは当然やらなければならぬ。それでは食糧問題が万全であるとは言えない。配給者だけではなしに、農家にしろ轉落しておる人があるのだから、これに対して実際やらなければならぬと思うが、これがほんとうに正しい要求であるならば、これをやる氣持があるかどうか、この点が一つ欠けておる。この点をお答え願いたい。
○安孫子政府委員 私からお答え申し上げます。轉落農家の問題につきましては、約一月ばかり前に、各縣の実情がそれぞれ違いますもので個別的に折衝いたしまして、府縣当局と十分な了解を得まして、ある程度全体の数量の把握をいたしたわけであります。この結論に基きまして関係方面ともいろいろ交渉いたしました結果、大体府縣と打合せをいたしました数量について、農家用といたしまして配給する一つのわくを設定いたしまして、それに應じましてただいま配給を開始しておるわけであります。もちろん今後農繁期等に粗なりますれば、またそれのみでは十分でないという事態も生ずるだろうと思います。その辺の状況につきましては、その都度なお縣とも打合せいたしまして善処して参りたい、かように考えております。
○竹村委員 今大体各縣と打合せて了解を得たと言われるけれども、しかしそれは一方的な政府の押しつけであつて、了解でないと思う。もし了解であるとするならば、はなはだけしからぬ。至るところでこの事実があるのでありますが、各村においては実際政府が――農業調査委員、あるいは町村長が寄つて、おれの村ではこれだけ足らぬ。しかし縣に政府からこれだけ割当が來るのだから、このわく内でやつてくれというような形で、実際農家には三分の一とか、あるいは半分というように削られておる。もし府縣の考えが全部了解しているのだというのならば、これははなはだけしからぬ大きな問題だと思うのですが、それは実際了解を得たものかどうか。あるいは一應これはわくがあるのだから、まあこれでしんぼうせよと言つて、食糧の割当のように押しつけられたものかどうか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
○安孫子政府委員 先ほど申し上げましたのは各府縣といろいろその縣の今後におきまする需給の見通しにつきまして、もちろんわれわれは農家用の配給についても一つの見通しを持ちましていろいろ折衝いたしまして、さしあたり大体こういうところで行こうというような話合いを一應つけまして、その結論に基いて処理をいたしておるわけであります。もちろん各縣におきましては、それで十分だということを言つてはおりません。問題はなお今後に残ると思います。その点は今後の情勢の変化に應じまして、関係方面とも折衝して、これを解決して参りたい、かような心構えをいたしておるわけであります。
○大森委員 私は簡單に大臣にお尋ねをいたします。現在の農村におきましては荒廃地をたくさん出しております。さらに一方この予算を見ますると、開拓團を入植させて相当の費用を支出いたしておる。ここに矛盾がないかどうか。既製田を荒廃させ、そうして一方では開拓團を入れて、政府資本によつてこれを開墾さすということは、これは矛盾ではないか。しかしてこの矛盾はどこから來るかということについて、私は考えてみたいと思います。それはなぜかと申しますると、今日農家の供出に対しましては、その土地柄を考えず、どこでも一律に供出の割当をする。この問題は供出の問題、次には税金の問題であります。まずこの税金に対しましても、やはり反当りいくらという課税を持つて來る。そのためにどうしても山田などはつくつても合わないからやめるというので、放棄する者がたくさん出ておることは事実であります。私の土地でもやつております。こういうことを根本方針として大臣に考えていただきたい。それは農村の負担の軽減でありますとか、農村所得についてである。これを根本的に考えなければ私はこうした問題の矛盾は解決できないと思うのであります。
 なお私はもう一つついでにお尋ねをいたしたい。私どもの地方は雪國でありまするから、植林問題に対しましてはいろいろ困難な事情が伴うのであります。そこで山林の火災に対しましては保險がありまするが、雪害保險というものをおつくりになる御意思がないか、こういうことも合せてお尋ねをいたしたい。今いろいろこれに理屈をつけて申し上げるとたくさんあるのでありますが簡單にただ要点だけをお尋ねいたします。
○森國務大臣 供出制度の問題でありますが、まことにごもつともなのであります。私が今日の制度の方式が不合理であるというのはその点にあるのであります。これは一律一体に耕地としてながめるというどの考え方がよろしくない、かように考えておるのであります。これはどうしてもひとつ皆様の御協力を得て、是正いたしたいと考えておるのであります。
 負担の問題でありますが、これは農村によつて税務署に申告いたしまして、その申告が受入れられないで更正される。更正せられた場合に、向うの更正法定が妥当であるかどうかということを判断するのに自分は苦しむのであります。ということは、税務署から理由なく更正する、われわれも理由なく更正を拒絶する。双方において自分の主張を裏づける何ものも持つておらない。これが今日の納税の状況でないか、私はこう思うのであります。それでありますから、國民の一人として納得の行く税金というものは負担しなければならぬ。農業経営の上において、どれだけのものを負担することが國民の義務としていいのであるかということを、私は一應科学的にと言つては大げさですが、それをつかみたい。かように考えております。税務署のやり方が、こちらの税務署は一反歩に対して七千円の課税をやる。こちらは六千五百円、こちらは五千五百円と、税務署によつて違つて來る。こういうふうな今日の情勢であります。もちろん農業経営につきましても、近郊地帶の農業、海岸地帶の農業、山林地帶の農業、北、南、西、東、いろいろ事情が違つておりますが、違つておるだけ種々別々でなければならない。それを税務署が農業所得は大体この標準で行くということは、もつてのほかの話であると私は考えております。それでわずかの経費でありますが、三百万円ばかりの経費をもちまして、全國的に農家にごく簡易な簿記式によりまして、一体どういう所得を持つておるか、自分自身の経営を簿記式にやつてみる。なるほどこんなへたなことをしておつたのでは農業はやつて行けない。こういう点に欠点がある。これは直さなければならぬという進歩の一つの助けになり、なおまた一面においては、自分はこれだけは納めてもよい。これ以上は絶対に納める必要がないという主張の裏づけになるところの調査をやつてみたい。かように考えておる。農業改良局なり、統計局がありますから、この仕事としてやつてみたい、かように考えておるわけであります。
 なお雪害の面につきましては、山林の火災保險はありますけれども雪害保險についてはできておらない。これは今後共済保險制度を拡張する上におきましては、十分に研究をしておきたいと思うのであります。相当に林相を持つて來た所はよろしいのですが、植林間もないところの森林が、雪害のために非常な損害をこうむつて、非常な手数を年々繰返さなければならぬということもありますので、これは國家的の立場から、相当保險制度を設くべきものであるというような考え方もありますので、十分調査研究を積んで行きたい、かように考えております。
○大森委員 なおもう一言つけ加えて、開拓関係の方が出ておられますならばお尋ねをいたしたいと思います。どういうことかと申しますと、私ども山林も関係いたしておりますが、一方では、植林を國土保全の上からいつても最も強力に推し進めなければならないというのが現在の状態であります。ところが一方で開墾、いわゆる開拓團というものが入りまして、これを切り拂つておる。一方は植える、一方は切るというような状態に相なつております。ところでこの問題は、昨年あたりも私どもこの委員会などでやかましく言つて問題となつて、あるいは次官通牒などで各地へ何か通牒が参つておるはずであります。ところが私ども地方の開拓課などへ行つて尋ねますと、依然としてやはりそれを継続いたしておる。あるいは昨年の何月かに指令が出ておる、その指令に基いてわれわれはやつておるのである、これが停止の命令が出ない以上は停止できない。そこで、近ごろはその点は緩和されて、政府の方針が違つておるじやないか、こういうことを尋ねますと、彼らは何と言うか。それはごもつともである、しかしながら割当額だけを何とか分配して消化して帳じりを合せなければ補助金がとれない。こういうことを私は聞いたのであります。こういうような状態でありますならば、帳簿の上に開拓ができ、開墾ができておるという状態が、日本の開墾の今日の現然じやないか。私どもの地方において見るとただいま申し上げた通りであります。開墾というものに何ができておるか、こういうことを、私は開拓関係の主管の人がおられますればお尋ねいたしたい。とにかくただいま申し上げたような状態であります。山は切つてしまつたがあとはそのままになつておる。一体どこでどれだけ食糧がとれたというのでありますか。開拓を始めて何年かたちますが、今日までの間は開拓團は食糧増産でなくて、食糧消費地であると断言してはばからぬ。将來八千万の國民を養つて行く上においては、食糧増産のためによく調査の上、適当な土地を開墾することは大切なことであります。しかしながらこの開墾するということが、帳簿の上だけの開墾であつては断じてならないと思う。その点現在の実情はどうなつておるか、担当しておられる方からお聞かせ願いたい。
○清野説明員 開墾の実績につきまして御質問であります。昭和二十年の秋に開墾を実施いたしましたのは、北海道、内地合せますと約三十三万町歩程度開墾ができておりまして、現在なお農家が十六万戸程度のものが入つております。開墾の実績に対する内容につきましては、一部には機械開墾の失敗等によるところの不良のものがないとは申し上げません。なおまた計画が若干遅れましたために、道路その他のために開墾地がつぶれたというような実績もございます。なおまた入植者の性質の惡いために一部が脱落いたしまして、その開墾地が現在荒廃しておるものが若干あるということも御承知かと思います。しかしながら私たちが現在開墾地に対して補助金を交付する場合は、必ず現地を検査いたしまして、これに対して補助金を交付しておるのでありまして、しかもなおその補助金が入植者への交付金であります以上、われわれとしては開墾に対する補助金の交付は、開墾の内容とともに檢査いたしまして交付している実情であります。お話のような、開墾地がむだに開墾をされそれが荒廃しておるというようなもし事実がありますならば、調査いたしました上で、これに対する補助金の返還等の措置を行いたいと存じます。
○大森委員 それでは大体帳簿の上では何十何万町歩できておるということでありますからそれで了承いたします。しかしながら二十年から今日までの開墾いたしておる面積において、どのくらい收穫を出しておるかということをちよつと聞きたいと思います。
○清野説明員 現在開墾地の生産数量を確実に把握することが非常に困難であることは、現在既耕地の生産数量の把握が困難であると同じように、私としましてここに的確なる数字をもつて御説明できないのを遺憾に思います。二十二年度の開墾実績に対する営農面積の統計によりますると、その当時の開墾面積の、これは主として縣営でやつておりますところの代行開墾地でありますが、約七割五分ないし八割程度の開墾実績に対する営農面積を現在つくつております。残念ながら小團地でありますところの五十町歩以下の小開墾地につきましては、的確なる資料が把握できませんので申し上げられませんが、大体以上申し上げましたような数字で、それと同時に相当な生産が上つておると確信いたしますが、先ほど申し上げましたように、的確なる資料をつかめないことを遺憾に思います。
○小林(運)委員 時間がないようでございますから、簡單に御質問申し上げたいと思いますが、先ほど農林大臣から食糧の問題等につきましていろいろ御懇切なるお話がありましたが、本年度におきまして百八十万トンの食糧の輸入をする、まだシヤムから五万トンを入れるというようなお話がありました。われわれは独立の國家としまして、食糧を自給自足をしなければならぬということは考えますが、この狭い日本の土地から、ただ食糧だけをとつている方法がいいかどうか、これから貿易が自由になりました場合に、われわれこの日本の農地からもつと効果あるものをたくさんとつて食糧にかえるということも、今後相当考えて行かなければならぬことではないかと思うのであります。なお農林大臣から先ほど蚕糸業の問題について特にお話がございましたが現在の日本の國内の問題、また外國に対するいろいろな問題から考えまして、われわれはドルを相当とらなければいかぬ。百八十万トンの食糧を輸入するにも、これはただもらうのではない。結局われわれは何かの代償を拂わなければならない。これに関しましては生糸がございます。現在輸出貿易の三割以上を占めている蚕糸業の問題につきまして、大臣が特に御心配を願つておることは、われわれも十分承知しておりますが、先ほど昨二十三年度産の繭の價格五千六百掛の、すでに製糸業者が手に入れました繭の値段につきましては、いろいろ御配慮を願つておるようでありますが、本年度の春蚕並びに夏秋蚕の繭に対しましては、農林大臣はしばしば五千六百掛を維持するということを声明せられております。先ほどはすでに製糸業者の手に入りました五千六百掛についてはいろいろやつておるというお話がありましたが、春繭と夏秋蚕の問題についてはお話がなかつたのであります。この問題につきましては、三百三十円の為替レートになりますと、現在外國の生糸の値段から換算いたしまして、四千掛内外ということになります。その場合にわれわれはこの價格の差をどうするか。輸出品に対する補給金というものはこの間関係方面からのお話がありまして、やらぬということになつておりますが、國内繰作としてやる方法が相当あると思います。この問題につきまして、農林大臣は春繭並びに夏秋蚕の繭の掛目を、大体どのくらいにお考えになつておるか。またもう一面、もしこれを國内の繰作の問題としてやるならば、すでにわれわれは繭の事業税というものを拂つておる。掛目にしまして三百掛内外でございますが、こういう問題はどうされるのか。聞くところによりますとこの問題もどうもあやしいというような話であります。さようなことになりますと、われわれはすでに養蚕の計画も立つておるという立場からいたしまして、大臣といたしましてこの春繭、秋繭の價格をどの程度にどういう方法でやるお考えなのか、明確な御返事をいただきたいと思うのであります。
 それからもう一つお話を承りたいのは、第二次吉田内閣の当時、大臣もすでに閣僚の御一人として君存じのことと思いますが、製糸労務者に対しまする補給金の四億五千万円というものを政府が引取りまして、二億円を業者から出した。あと二億五千万円というものを政府が補償して、これを出してやるということを政府は言明されております。ところが最近に至りまして、業者の二億円というものはいいが、あとの二億五千万円はもうやれないというようなお話を聞いております。この間のいきさつ等もいろいろあるようでありますが、第二次吉田内閣におきまして補給金の二億五千万円を出すと明確に言われたその責任がどこにあるか。現在これをどういうふうにされるか。その点を明確に御返事を頂きたいと思うのであります。
○森國務大臣 食糧の問題でありますが私は日本人は日本でできたものしか食べないというような狭義な自給自足を考えておるのではありません。べルギーの國では自國の食糧生産は非常に少いけれども、國民が一致協力して工業にいそしみ、農村においても、家庭においても軽工業を発達させて、そうして輸出品を生産して、食糧を外國から獲得して生活を営んで行くという事実がありますが、日本におきましても、この限られたる狭土で、年々百六十万の人口がふえて行く場合において、どうして食糧問題を解決して行くか。究極的には土地を利用して一毛作を二毛作にすれば收獲が倍になるという理屈も考えられます。できるだけの力をもつて自國の食糧を生産する。一面においては工業力を利用して、外國の食糧を取入れるという二つの道を選んで行かなければならぬと思います。蚕糸業は一反歩から現在八貫目か九貫目しか繭をとつておりませんが、これを奨励、督励いたしまして、かりに十五貫の反当りの收繭量を得ますとすれば、今日の生糸相場からして、これをアメリカへ送りますと、アメリカから十五石の小麦がざつと入るわけであります。そうしますれば、桑畑を開墾して麦をつくり、さつまいもをさしますよりも、むしろこれは蚕素業の経営によつて食糧を確保することが、食糧問題解決についてのいい方法であることは、申し上げるまでもないのであります。しかし今日の貿易関係が決して自主的ではないということは、小林委員も御承知の通りであると考えます。それでできるだけ内地における食糧を増産いたしまして、ガリオア物資で入つて來るところの食糧を、いくらかでも少くして行きたいという政策を、実はとつておるわけであります。しかし蚕糸業というものは戰前戰後を問わず、わが國の輸出において、原料からすべてがほんとうに國内産であつて、最も大事な輸出品であることは申し上げるまでもないのであります。これが現在は四百二十円の仮定レートでやつておりますが、予想されるような三百三十円というとレートにされますると、お話のように、少くとも現在のレート勘定で行きますれば、四百二十円そこそこまでとなり、何とか今日の生糸相場が維持できますけれども、いかに製糸業を合理化いたしましても、この三百三十円ではどうしても、現状を維持することができない。そこで非常に政府といたしましては苦慮を重ねておるのであります。三百三十円ときまつたわけではありませんけれども、暫定的に特別のレートを考えてもらう。あるいはその他の方法によつて補給金は輸出品にはお話のように許されませんが、國内消費の方面において消費を盛んにする。そうしますと、ここに絹織物の消費税が約百億見積られてあるわけであります。これを何とか緩和して、國内消費をふやして行くとか、いろいろの手段があろうと思いますが、さしあたり今製糸家が手持ちいたしておるところの五千六百掛の原料を、何とかして合理的に救済せなければ、政府の公定價格のもとにきめたこの原料が、製糸で清算がつかないというようなことがあつてはたいへんでありまするから、何とかこの問題について処置をいたしたい。これが一つの問題であります。
 その次には今年の春蚕、秋蚕繭をどうするか。すでに養蚕は計画をいたしておるのでありまするから、この養蚕家に対して私は五千六百掛の價格を何とかして維持して行きたい。こういうことを考えたのであります。いろいろレートの関係上、五千六百掛がどうしても維持できないとすれば、玉繭、くず繭というものを解放いたしまして、そうしてこの價格をいくらか下げてでもこのレートに引き合うように考えて行く道はないか。あるいはこれに対して特別なる方法をもつて助成の道がないかということを、今せつかく研究を重ねておるわけであります。まだこうするとかああするとか具体的にまだ決定が行つておりませんから、申すことは差控えたいと思うのでありますが、政府といたしましては、この國産であるところの蚕糸業がどうかして滅びないように、何としても維持して行くことに努力を続けておるわけであります。
 なお製糸労働者の補給金の問題でありますが、これはお話の通りであります。その当時三十億万円の経費をもつて、石炭、繊維、電氣の労働者に対する賃金の補給金が定められてあつたのでありまするが、この繊維、羊毛、生糸というものは、経済三原則を示されたあとに決定されまして、どうしてもこれを支拂うことが許されないのであります。四億五千万円補償する中の二億円は経営者の方面において出されております。あとの二億五千万円を政府がこれを補給するという建前で予算を立てて、政府はそういうことを発表したのでありますが、経済三原則を発表したのちのことであるから、絶対に賃金の補給はできない。また今日の段階として、この二十四年度においては賃金の向上は絶対に認めない。こういうことにされておりまするから、もしここで二億五千万円を補給いたしまして、賃金を上げた場合において、どうしてこの二十四年に製糸企業の経営が成り立つて行くかということが、強く関係方面から指示される点等がありまして、遂にこの二億五千万円を補給することを許されなかつたのです。しかしながらこの労働者の立場を考え、また企業の合理化を支持して行く上から申しましても、何としましても労資協調して、この國家的事業を経営して行かなければならぬので、今労働省、農林省、あるいは製糸企業家、製糸労働組合政府と、この三者が寄りまして、この問題解決に努力いたしておるわけであります。
○小笠原委員長 本日はこの程度にとどめまして次会は明十三日午前十時より開会いたします。時間にはどうか委員諸君も政府委員諸君も御出席を願います。
 これをもつて散会いたします。
    午後一時六分散会