第005回国会 農林委員会 第51号
昭和二十四年十月二十二日(土曜日)
    午前十一時十二分開議
 出席委員
   委員長 小笠原八十美君
   理事 河野 謙三君 理事 松浦 東介君
  理事 藥師神岩太郎君 理事 山村新治郎君
   理事 八百板 正君 理事 小林 運美君
   理事 深澤 義守君 理事 寺本  齋君
   理事 吉川 久衛君
      小淵 光平君    奈良 治二君
      平野 三郎君    渕  通義君
      石井 繁丸君    井上 良二君
      大森 玉木君    山口 武秀君
      寺崎  覺君
 委員外の出席者
        農林政務次官  坂本  實君
        農林事務官   小倉 武一君
        食糧庁長官   安孫子藤吉君
        專  門  員 岩隈  博君
        專  門  員 藤井  信君
十月二十二日
 理事小林運美君の補欠として小林運美君が理事
 に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案
 食糧増産確保基本法案
    ―――――――――――――
○小笠原委員長 これより会議を開きます。
 去る九月二十九日委員小林運美君が委員を辞任せられ、その補欠として同日議長において園田直君が委員に指名せられました。また去る十七日園田君が委員を辞任せられ、その補欠として、小林運美君が議長において委員に指名せられました。
 なお委員を辞任せられました小林運美君は理事でありましたので、理事の補欠選挙を行わねばなりませんが、先例によりまして委員長において指名することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 それでは御異議なしと認めまして、小林運美君を理事に指名いたします。
 それでは議事に入ります。食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案及び食糧増産確保基本法案を一括議題として、質疑を継続いたしたいのでありますが、関係者が政務次官のみで、昨日要求の大蔵省当局もまだ返事がありません。なお物價庁並びに会計檢査院の方は出席できないとのことであります。なお食糧庁長官並びに農林省のその他の関係の方々も、まだ御出席がありませんが、御出席のあるまで休憩いたしましようか、それとも政務次官に御質疑なさいますか。
    〔「休憩」「休憩」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 それでは暫時休憩いたします。
    午前十一時十三分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時三十二分開議
○小笠原委員長 それでは休憩前に引続いて会議を開きます。
 食糧法に関連して松浦君。
○松浦委員 きようの委員会にも農林大臣が御出席ないことは、まことにわれわれ遺憾とするところであります。さて昨日、いろいろ食糧庁長官から、今年の米作問題について御答弁を承つたのでありますけれども、きようの新聞を拜見いたしますと、各新聞は一齊に恐ろしいことを書いておるのであります。すなわち今年の米作は六千五百万石を上まわるのであつて、前年に比較して百四十五万石の増石であり、戰後の最高豊作であるということをうたつておるのでありますけれども、一体これはどういうところから出発いたしたのでありますか。われわれの感覚とは大分違つておるのではないかと思うのであります。從つて昨日の本委員会における食糧庁長官の御答弁とも、大きな矛盾があるのでありまして、われわれは昨日の長官のいろいろな御説明に対しましても、これは何としても疑心をさしはさまざるを得ないような事情にあるのであります。こういうことになりますと、一体農林省のほんとうの腹はどの程度にあるのか、どの程度の数字をほんとうのものと思つてつかんでおるのか、その眞相をお聞きいたしたいのであります。またきようのこの新聞記事は、一部凶作に悩む地方に対して與えるところの影響というものは、きわめて甚大であると私は考える。中央に向つて強く補正を要求しておるところの地方に対しまして、非常に大きな刺激を與えるものであると思うのであります。この新聞の発表によりますと、農林省の発表といたしておりますが、これはおそらく農林省の秘蔵子であるところの、作物報告事務所の統計を基礎にいたしたようにわれわれは考えるのでありますけれども、一体どこでこういう、まことに刺激を與えるところのものを発表したのであるか、まずこれをお聞きしたいと思うのであります。
○安孫子説明員 二十四年度米の予想収穫高は、昨日付で発表になりまして本日新聞に出たわけであります。これは昨日も申し上げましたように、相当高い数字でありますけれども、私どもといたしましては、現在の作況はこれを下まわるものであろうという予測を持つております。十月一日現在でございますけれども、これの末端における実際の調査は、おそらく九月二十日とかその時分のものが基礎になつて、この十月一日現在というものが推定されたものというふうに一應考えざるを得ないのであります。そういたしますと、私どもが食糧事務所なり、あるいは府縣の方からの報告、個別折衝によつて得した状況によりますと、今年の作柄はしり下りになりまして、あとになるほど悪い状況が判明いたして來ておりますので、第二回収穫予想を、ただいまからかれこれ申し上げますことは、これは絶対に控えなければならぬのでありますが、状況はその後において悪い方向に向いつつあるということは言い得るのではなかろうか、かように考えております。從いまして、農林省といたしまして、現在収穫予想高は六千五百五十四万八千石、こういうことでありますが、このほかにほんとうはどれぐらいに腹づもりを持つておるのかという点については、実は今はつきりしたことを申し上げる資料を持ちませんし、その辺をいろいろ檢討を加えつつあるわけであります、檢討を加えつつあるというのは、補正の観点からいたしましてこれを檢討しておる、こういう意味でございます。補正の際は、法律にもございますように、全体の数字と申しますよりも、各被害農家の被害の状況を集積いたしまして、補正をする建前でございますので、その方面の資料を整備いたしまして、適正な補正をすることに努力して参りたい。もちろんその際には、収穫予想高というものが相当大きい因子にはなりますけれども、これのみにはとらわれずに檢討を続けて、適正な補正を守ることに努力して参りたいというふうに考えております。
○松浦委員 ただいまの御答弁でありますけれども、私どもは、非常に今凶作に悩むところの地方が躍起となつている現在において、こういう数字を発表して、これがどういうふうな影響を與えるか、この点を、もう少し責任を持つた御答弁をいただきたいのであります。なおただいまの御答弁によりますと、九月の末ころまでのものを大体織り込んで統計したものが、この発表であろうというような御答弁でありますけれども、新聞紙の発表によると、そういうふうには書いておりません。「今回の予想は作物報告事務所が全國で三万四千地点について行つた粒数調査と同所長の報告した予想反収に基いたもので風水害、病虫害などは十月十日までの被害を計算に入れている」、かように明確に新聞は報道しているのでありますけれども、この点をもう一ぺん伺いたい。
○安孫子説明員 作報といたしましては、新聞に出ましたようなことで調査をされたとは任じますが、実情から申しますと、十月一日現在の発表を十月一日現在において全國的にキヤツチするということは、なかなか困難なことでありまして、そこにやはり相当時間の狂いがあろうと思います。またそれを織り込んだといたしましても、一つの想定が入つているものではなかろうかと存じますので、十月一日現在の全般の状況を、そこへただちに織り込まれたというこうとでなくて、そこに狂いがあるものであろうと私どもは考えております。その点は十分私どもとして、資料を整備して考慮したいというふうに考えております。
○小笠原委員長 松浦君に申し上げますが、小倉調査部長も出席しております。
○松浦委員 十月一日付の発表でありますので、その以後のことはわからかないはずであるというようなことでございますけれども、しかしはつきり新聞には十月十日までの風水害、病虫害をも、これは考慮に入れているのであるこういうふうに書いてあるのでありますが、一体これは農林省発表でありますけれども、その発表の責任はだれがとるのか、この点を一つお聞きいたしたい。
○安孫子説明員 発表の責任は農林大臣でありますが、その手続といたしましては、中央作況決定審議会にかけてここで決定いたしましたものを、農林大臣が発表することになつております。
○松浦委員 農林大臣の名において、こういうような、非常にわれわれの感覚とは相違があるところの発表をして生産農民の上にどういう影響を與えるかということを、どういうふうに考慮なすつたか、こういうことも伺いたいのであります。なお昨日長官の御説明によりますと、作報の報告と食糧事務所の報告と、地方廳報告による主張と、こういう三段構えの報告があつたようでありますけれども、農林省の発表、農林大臣の名において発表するものは、作物報告事務所一点張りに発表するものであるかどうか、この点もあわせてお伺いいたしたいのであります。
○安孫子説明員 農林省といたしまして正式に決定いたしますものは、中央作況決定審議会において決定されたものが発表され、これが農林省の正式の発表ということに相なります。
○松浦委員 どうも私は答弁に満足ができないのであります。中央作況決定審議会の議を、そのまま農林大臣の名において農林省発表になるのである。こういうようなことでありますけれども、私が聞いておるのは、これはだれの調査の結果であるかは存じませんけれども、いやしくも農林省発表としたものが、全國にどういう影響を與えるかということを御考慮に入れておるかどうかということを、承りたいと思います。
○小倉説明員 仰せの通り、作柄の調査につきましては、新しく農林省で、作物報告事務所で調査を始めて以來、中央作況決定審議会でもつて審議いたしまして、それで発表するということになるわけです。この際特に私どもが考えておりますものは、これが供出にどう影響するか、あるいは割当にどう影響するかということはなるべく考えずに、統計数字を地方の実情に沿うようにするという建前にいたしてございます。実は例年ならば、九月二十五日現在を十月五日に発表するのであります。ところが今年はいろいろな事情で作況決定審議会が遅れまして、御承知の通り十月一日現在を昨日発表したような次第であります。一日現在でありますから、それまでの事情はもちろん入つておるわけでありますし、なおその後も地方の作報事務所からいろいろ報告が参りますし、あるいは私どもの係なり課長なりに対して、縣あるいは地方の公共團体のごときが、いろいろ実情も報告されるので、そういう実情も一日現在となつておりますけれども、最近の事情になるべく入れた方がいいというつもりで、みなお尋ねのように、十日ごろまでの実情をなるべく織り込むという建前にいたしたわけであります。
○松浦委員 ただいまの御答弁によりますと、十月一日付の発表であるけれども、その後の事情もできるだけ取入れて発表した、こういうようなお話のようであります。長官の御答弁は、十月一日に発表であるから、それ以前のことすらなかなか集まらないのであつて、まして十月一日以後のことは入つていないというような御答弁と私はお聞きしたのでありますけれども、これは著しい相違があるのじやないかと思う。また農林大臣発表というものが、今小倉説明員の申されるのは、これは数字の現われたものはそのまま発表するというお言葉でありますけれども、農林大臣がいやしくもこれが政治的にどういう影響がある、社会的にどういう影響があるかということを、全然考えずに発表するということは非常に軽率なことである、かように私は思います。この点について、坂本政務次官の御意見を承りたい。
○坂本説明員 作況報告がいろいろ農民に、ことに供出制度の行われておりまする今日、いろいろ影響するであろうということに、御指摘の通りであると思います。ただ先ほど來事務当局から御説明を申し上げまする通り、今日の機構におきましては、統計調査局におきまして、いろいろ出先機関でありまする作物報告事務所を通じまして、最も冷静な数字を集めておる。こういうようなわけでありまして、これにいろいろ土地の特殊事情でありますとか、またこれに政治的な意味を持たせるということにおきましては、非常に危險性もありますので、一應いわゆる統計資料といたしましての数字につきましては、何らこれにさような政治的な意味をもつて修正をしないということが原則であろうかと思うのであります。なおこの発表につきましては、もちろん関係方面ともいろいろ折衝をいたすのでありますが、その発表の趣旨は、極力ありのままと申しますか、つまり出先機関のあらゆる能力を動員いたしましてつくり上げた資料である、かように御了承を願いたいと思うのであります。
○松浦委員 統計に現われた数字を機械的に発表するなとは私は申し上げておりません。しかしながら、どうしても発表しなければならないならば、これは現在の状況に関して、農林大臣の発表とすれば当然注釈つきが必要ではないかと思うのでありますが、この点坂本政務武官におかれましても、これは大臣の代理として、特に御注意を拂われんことを希望するのであります。同じことを繰返してもしようがないから、他の一、二点をお伺いいたします
 なお私どもは今年の米というものは、予想外の減収ではないか、こういうように見ておるのであります。機械的統計によれば、これは百四十五万石の増収のような発表もあるようでありますが、これはとんでもない雲泥の相違があるのではないか、こういうようにわれわれは感ずるのであります。言うまでもなく農業は、ことに稻作は天候に支配せられるところの産業でありますから、予想せざるところの天候の異変によつて、収穫に大きな差異が生ずることは当然であると考える。その場合、政府は昨日食糧庁長官から言明せられたような、供出量の割当について補正を行うことは、当然と考えるのでありますが、昨日の御答弁におかわりはないか、もう一ぺんお願いいたしたいのであります。
○安孫子説明員 今日新聞に出ました数字は、昨日も実は申し上げておる数字でありまして、この辺の事情も十分勘案いたしまして、本年度の稻作についての適正な補正をいたしたいと考えておるのでありまして昨日申し上げましたことと、ただいまの考えとかわつておりません。
○松浦委員 昨日長官は、大体今月末から遅くも來月五日までには、補正の発表をするであろうということを申されました。その補正の数量は、大体どのぐらいを見込んでおられるのであるか、片柳農林次官は、新聞の報ずるところによれば、岐阜において大体四百万石はやむを得ないであろうということを発表せられておるのでありますが、この点につきましてひとつ長官の御意見を伺いたい。
○安孫子説明員 本年度の補正数量を幾らにするかという点は、ただいま檢討を縣別に加えておる最中でございますので、ただいま何万石程度補正するということは、ちよつと申し上げる段階になつておりません。なお私どもといたしましては、この補正数量の想定をいたしまして、関係筋とも折衝を加えた後において、これが確定いたされますので、はなはだ残念でございますけれども、今のところどの程度という見当を申し上げにくい状態になつております。
○松浦委員 ことしの米の減収については、昨日食糧長官はたいへん御認識が深いようなことで、われわれも了承いたしておるのでありますけれども、一言だめを押しますならば、ことしの特徴といいますか、これは日本の穀倉と言われる、東北の山形縣の一つの例を見ましても、青田の場合は非常によかつたのであるが、キテイ台風や病虫害その他の影響によつて、だんだん悪化して、これが坪刈となり、さらにまた脱穀調整ということになりますと、予想外の減収であるということが発見せられたのであります。最初は非常に樂観しておつたのでありますが、だんだん失望落胆して、まるで農民はまつ青になつておるというような現状にあるのでありまして、これは各縣とも、そういう事情の地方から続々と補正の陳情に参つておるだろうと思うのでありますが、特に数字において非常な差違のある地方に対しましては、再調査をなさるご用意があるかどうか、この際承りたいのであります。
○安孫子説明員 ただいまお話もございましたように、ことしの作況は、私の見るところでは、当初非常にほめられておつたのでありますが、しり下りに状況が悪化しつつあるというのが、現状であろうと私も思つております。その点について再調査するかどうか、これは状況が悪化いたしてから、やはり相当ひどい縣につきましては、食糧廳といたしまして、農政局とも連繋して、各地に再調査に人を出しております。その結果も織り込みまして、決定をして参りたいと思つておりますので、今後新しく全國的に再調査のために人を派遣するという考えはございません。大体今までの状況の収集によりまして、大よその見当はつくというような考えをいたしております。今後はその資料に基きまして、本年の補正を適正にするように、集計を加えて参りたいと考えておるわけであります。
○石井委員 ただいま松浦委員から、本日農林省発表の作況に対しまして、いろいろと質問があつたのでありますが、これについて社会党を代表して、農林当局に質問を試みたいのであります。
 今度の作況によりますと、ただいま質問にあつたごとく、六千五百五十四万石、戰後最高の豊作である、こういうように言われておるのであります。ただいま松浦委員も言われた通りに、東北方面の米作の中心地であるところは、稻を刈り取つてみると、非常に鎌入れ不足で顔色を青くした、こういうような実情である、こう申しておるのであります。大体最近作況が、非常に秋落ちをする傾向があるので、かような実情に対して、政府においては、今後補正その他を要求されるであろう。こういうようないろいろな点を見越して、非常に増産であるという手をひとつ打つておいて、そうして供出あるいは超過供出を強制的にやつて、補正等をひとつ何とかのがれようという作戰上、こういう発表があつたのではないかとわれわれは考えられるわけであります。さような点について農林当局の御意見を承つておきたいと思います。
○坂本説明員 ただいま石井委員から、今回の発表について、特に減額補正を最小限度に食いとめるような意図もあつて、かような報告を出したのではないかとの御質問であつたのでありますが、先ほども申し上げます通り、いわゆる農林省の機関でありまする作報事務所の調査資料を積み上げまして、きわめて冷静に、きわめて機械的にでき上りました数字の発表なのでありまして、今お話がありまするような、政治的な意図を含んでおらないことにつきましては、この際明らかにいたしておきたいと存じます。
○石井委員 さような意図がなくて、非常に冷静な、科学的根拠に立つて発表したのであると申されますが、われわれ農林委員会としまして、九月に北海道地方等を視察いたしましたが、北海道の米作の中心地帶であるところの石狩平野におきましては、今年の八月初旬の冷害等において、非常に不作の傾向を來しておる。こういうことは現地にいまして明らかに認められるのである。また東北の穀倉地帶等につきましても、ただいま松浦委員が言う通りに、非常に不作の状態である。現に一昨日私の部落におきましても鎌入れをいたしたのでありますが、去年から見ますと、坪刈りにおきまして百匁ずつ収量が不足なんです。そこであまり少な過ぎるから、ひとつよい所を刈つてみたらどうかというので、田の一番実りのよさそうな所を選抜して刈つてみましても、やはり昨年からみますると大体百匁から少いのであります。坪刈りにおいても不作である。こういう状態でありまして、関東一帶におきます作柄に非常にかんばしくない。また九州方面におきましても、あの被害がありますから、台風等によつて作柄は悪い、こういうふうに言われております。読賣新聞の発表等によりますれば、東海、東北並びに近畿方面においては、作況が相当よさそうだということを言つておりまするが、他の方面における作況にあまりかんばしくないような点が述べられておる。それにもかかわらず、かようにたくさんの豊作を見越しておるということについては、まことにふに落ちないのでありますが、食糧庁方面としましては、実際の作況につきまして、ほんとうに見込まれるところは、どれくらいのところが確実であるかというような点について、いろいろと押えておかなければなるまいと思うのでありますが、農林省発表の六千五百五十四万石に対して、実際はどれくらいの違いができるであろうか、あるいはどれくらいがほんとうの実収であろうかというような点について、十分現に調査をしているのかどうかを承つておきたいと思います。
○安孫子説明員 六千五百五十四万八千二十石という数字については、農林省といたしまして、十月一日現在の収量はこうであろうと存じます。ただ食糧庁といたしまして扱いまする減額補正の場合は、もちろん先ほども申し上げましたように、この予想収穫高というものに相当牽制はいたされまするけれども、実際に被害を受けました農家の減額を適正にやつて行くという点に重点を置きまして、いろいろ資料を整備いたしておるのであります。それで作況とは切り離しまして、各農家の減収量というようなものを積み上げまして、今回の減額補正を適正にやつて参りたいという努力をいたしておるわけであります。もちろんその裏の問題といたしましては、予想収穫高が簡單に出ますれば、相当一面において増収した部分があり得るだろうということが、問題として残つて來ると思いますが、その辺は先ほども申し上げましたように、その後の収穫の状況は、私どもの感じとしましては、しり下りに悪化しつつあるという状況でありますので、第二面収穫予想高等におきましては、その辺は予測を許しませんけれども、数字として現われて來るのではないかというふうにも考えられるわけであります。
○石井委員 ただいま我孫子長官から、今回の報告に対しましては牽制されるところもあるが、しかし食糧庁としては具体的な事実をつかんで、そうして補正等もやつて行きたい。こういうふうに申されるのでありますが、実際は減額補正その他の問題について、若干拘束されるというどころではなく、作報の力に相当大きく拘束されるのが実情であります。そこで今回作報が中心になつて六千五百五十余万石、こういうような数を確定して発表したのであります。この確定化されたところの根拠が明瞭となつておらないと、各縣としましても、いろいろとこれらに対する意見の提出、自分たちの方のそれに対するところの実情を開陳するということにつきましても、非常に困難を感ずるのであります。ひとつその局にいる作報の統計部長の方におかれて、この六千五百五十余万石の収穫に対するところの、いろいろな資料と根拠等をお示し願いまして、そうしてこれに対するところの、各縣各米作農家の了解を得る上に費してもらいたいと思います。
○小倉説明員 本年度の作況予想のやり方と申しますか、根拠と申しますか、それについての御質問に、ここでお答えし得る限りお答えしたいと思います。
 このたびの作況の調査のやり方は、非常にこまかい話になつて恐縮でありますが、大体作物報告事務所の下部組織として出張所があるのであります。大体平均的に申しますと、五箇町村くらいを管轄区域にいたしておるのでありますが、その五箇町村くらいの中から、今日私どもの專門語で申しますと、抽出單位というものがありまして、その抽出單位という二町歩程度のものを選びまして、その粒数を計算するわけであります。つまり粒の計算をするわけです。なおそのほかに、大体その出張所管内の上の方に属するもの、中に属するもの、下の方に属するものというように、上、中、下の三段階について粒数計算をいたしまして、それを積み上げましたものが出來るわけですが、その粒数計算からいたしまして、從來の経驗なり資料によりまして、一升の粒数なり、あるいは粒果が何ぼ実るかという、稔実の歩合がありますので、それを計算いたしますと、大体どれくらいとれるだろうという予想収穫高が出て來るわけであります。なおそういうふうな粒数計算に基く予想のほかに、出張所長なり事務所長が見まわりました檢見であります。そういうものも参考といたしまして、出張所長、事務所長がどれくらいとれるという反収をきめるわけであります。その反収を本省のわれわれの方に報告して参つておるのでありますけれども、どうしても出張所長の檢見の方に主眼をおいた数量が、必ずしも統計局に資料がございませんので、私どもとしては、なるべく粒数の計算に基礎を置くようにというやり方でやつておるのであります。と申しますのは、昨年の収穫予想のときにおきましても、粒数計算をいたしたわけでありますけれども、その粒数計算に基く予想収穫高と坪刈その結果とが非常に相関関係が深いのであります。そういう経驗もあります。また今年の麦におきましても、収穫時期におきまして非常に作柄が悪いということが出まして、私どもといたしましても、粒数計算から作況を予想することは非常に危險ではないかと考えて、その点心配して、從つて粒数計算に基くよりも非常に下げた予想をいたしたわけでありますけれども、坪刈をいたしました。結果は、粒数計算に基く推定で間違つてなかつたというような経驗もございますし、このたびの予想につきましては、主として粒数計算に基く作柄の予想、それから附随的に作物報告所長の認めました反収の予想というものを考慮いたしまして決定をしたわけであります。
○石井委員 大体粒数計算その他によつて根拠をつくつておる、こういうことでありますが、今まで一番問題になつたのは、その縣とか郡とかいうことになりますと、作報におきましては、大体幾らの増あるいは幾らの減。また耕地面積の増減につきましても、縣については幾ら、あるいは郡については幾ら、こういうことまで発表ができておつたのであります。しかるに実際の供出を担当する場面であるところの町村ということになりますと、どの町村では幾ら収穫がふえておるとか、あるいはどの町村においては幾ら減つておるとか、あるいは耕地面積についての増減とかにつきましては、それが行きわたつておらないのであります。そこで非常に作報の報告と実際の供出場面については厄介な問題が発生するのであります。それで今年は作報の調査が町村並びに大字單位あたりまで、どの程度まで行きわたつておるかというような点について、御答弁を願いたいと思います。
○小倉説明員 御指摘の通りに、從來作物報告事務所におきましては、縣なり郡、そういう程度の面積なり収穫予想ということにとどまつておつたのでございますが、町村の割当、地方事務所の割当に支障があるという御要望がありましたので、私どもとしても、できるだけそういう御要望に沿いたいというつもりで、今年の小麦については、村についてもできるだけのことをいたしたいということで、作業もそのつもりで進めております。ところがなかなか限られた予算と人員の関係でありますので、十分なことはできませんが、面積の方については、今年の米については、ある程度町村別の面積が出せるように努力いたしまして、相当の結果が出るだろうと期待いたしております。今年の秋から冬にかけて、そういう作業ができると思いますので、來年の米の割当のときには、相当参考になる資料ができるのではないかというふうに思つております。
○石井委員 今年はどうですか。
○小倉説明員 今年収穫する米の面積について調査をいたしておるわけであります。
○石井委員 今年の六千五百五十余万石、これについての各町村にわたるところの収穫高、並びに耕作歩積の増加というような点につきましても、作報は一應資料をもつて、農業調整委員会あるいは食糧調整委員会、こういうふうないろいろな委員会等に出席して、答弁あるいは資料提供ができる。こういうふうな段階になつておるかどうかを確めておきたいのであります。
○小倉説明員 今年の米の問題につきましては、おそらく御指摘の点は、補正の問題につきまして町村別の割振りの場合のことだろうと存じますけれども、何分町村別に面積を割振るということは、初めてのことでございますので、それまでには間に合いかねるのではないかというふうに考えております。
○石井委員 私、最近の農村の実情を見まするのに、供出の非常に苦しかつたときにおいては、農村においては取れ高を非常に少く言おうとするような傾向があるのでありますが、最近あらゆる統制が撤廃されまして、そうして統制が主穀に重点を注ぐということになりましてから、食糧をやみに流したりするというようなことについての取締りが徹底いたしております。またやみ價格と産米買入れの價格というものが、大体平均化されて來た関係上、農村においては、とれたときはとれた、またとれないときはとれないと率直に言うような段階になつて來ておると、こう思うのであります。実際問題として、とれたけれどもとれない、こういうふうにかけ引をして、供出をうまくやりたいというふうな傾向は、非常に少くなつて來ておるわけであります。おそらく今度六千五百五十四万石につきまして、各方面から、かような取れ高は自分たちの飯米をほとんどなくすることである。かような叫びがあげられるであろうと思うのであります。これらについて、農林当局としましては、率直によく農民の声を聞いて、そうして補正その他について臨む氣持があるかどうか、この点農林大臣にかわつて、農林次官より御答弁を願いたいと思うのであります。
○坂本説明員 補正の問題につきましては、もとより農家の経営にも非常な影響もあることでございますので、どこまでもひとつ実情に即しまして、嚴格に補正をしなければならないと思うのであります。ただ先ほど來いろいろお話がございます通り、農林省が今回発表いたしましたいわゆる統計調査部の発表につきましての信憑性の問題でありますが、今事務局からも御説明を申し上げまする通り、いろいろ人件費の関係、あるいは物件費の関係、いわゆる予算も十分でありませんので、あるいは皆様方の御期待に沿えない点があると思いますが、先ほど申しまする通り、どこまでもこれは冷静に、機械的に積み上げた数字が、今回発表いたしました作況なのであります。もとより今年の、ことに九月中旬以後は状況が非常にかわつて参りまして、いわば急変をいたしたのでありまして、これらにつきましては、今後それらの実情も十分総合勘案をいたしまして、適正なる補正をしなければならない、かように考えておるようなわけであります。
○石井委員 米作の点につきましてはそれだけでありますが、かんしよのことについて農民がいろいろ悩んでおるので、この際農林当局にお願いしておきたいのは、大体さつまをつくるということになれば、今年の麦をまきつけるときから、あぜの立て方が違つて來るのであります。だから今のうちにいもの作付の方針をもつてまきつけをしないと、さつまはつくれない。ところが今に至るまで來年のさつまの問題は方針がついておらないというと、どういうふうな麦のまきつけをしていいか、さくの立て方にもまことに困るということで、各かんしよの作付地帶からいろいろと要請がありまして、それらの点につきまして、農林省は至急方針をきめて報告してもらわなければ、麦まきもできない。かようなことになつておりますから、これらについては、農林省としまして、至急はつきりした指示を與えてもらいたいと思うのであります。この点お願いしまして質問を終ります。
○井上(良)委員 先の小倉部長からの答弁によりますと、本年の作況の予想収穫高は、粒数計算を中心にした。しかし坪刈りをやらしてみて、大体その両方の数字が合致するようなことを申しておりますが、その点ちよつと変ではないかと思いますのは、御承知の通り、この予想収穫高というものは、十月十日現在までの作況を織り込んでおるのです。ところが全体的にしり下りになりましたのに、九月の中旬以後、十月上旬にかけての約一箇月間であります。ところがあなたの方に集まりました資料は、おそらく九月の中旬ごろに実際粒数計算をやられて、そうして各縣で集計をされたものが、十月一日ごろに本省に集まつたのじやないか。そうしてその後多少被害の進行があります点は、追加報告をされたのじやないか、こう思う。そうしますと、実際その粒数計算ではちやんと数字は出ますが、しかし坪刈りをやりました場合は、実際それだけの実収はありません。現に大阪あたりでも、その実情の食い違いに非常に困つておるのであります。問題はそこにあるのであります。それからいま一つは、町村に大体五つぐらいの單位を設け、抽出計算をされたようですが、そういう机上の計算ではちやんと合うかわかりません。しかし実際は山あり、谷あり、川ありで、日本の耕地というものは、実に入り組んでおりまして、温度なり水温なり。地味なりがことごとく違うのです。それを五つぐらいの抽出の方法によつて行つて、これが正しいのだということは全体にぶつかけられたのでは、そこに非常な誤算が起つて來はせぬかと思う。そういう地方、水利あるいはまた水温、地形というものは全然無視されて、大体五つ出すところの抽出の基本となるものは、同一地点を選んでやつていると思いますが、それにおいても、耕地は條件がことごとく違うのです。そのことごとく違う地方、地勢、水利、その他を全然無視されて、單に粒数計算だけで、全体の収穫面積にぶつかけらたのでは、非常に実情と一致しないものが出て來はせぬかと思いますが、この点に対する御意見はどうか。
 それから今申します通り、この資料というものは、大体九月の中旬ごろまでに、各管区の作報事務所から集まつた資料に基いて、その後多少の被害の進行の状況を報告されたのであつて、これは決して坪刈と粒数計算を一致さした数字ではないと私は思いますが、その点はどうですか。これは非常に大事なことでありますから、この点を明確にされたい。
○小倉説明員 坪刈りと粒数計算の関係につきましてまずお答え申し上げます。これは御指摘の通り、坪刈りの結果を見ないと確実なことはわかりません。從いまして、粒数計算だけでもつて、全國的にこれでいいというわけには参らぬことは、御指摘の通りであります。しかしながら粒数計算というものが、客観的に判断する場合には、現在においては、われわれが知つている唯一の資料なんであります。粒数計算以外には、客観的に判断する材料はないのであります。それと申しますのは、主観的な個人の手腕、力量では、全國的な推定をするわけに参りませんので、私どもとしては粒数計算によらざるを得ない。そういう技術的な制約があります。もう一つは、先ほど申し上げました通り、今年の坪刈りの結果、これは一部早場米地帶ではやつておるかもしれないが、まだわかりませんが、去年の粒数計算の結果から言うと、坪刈りの方が高いということで、粒数計算によることが大体妥当とされるということを申し上げたのであります。もちろん作柄につきましては、これは刈り取つてみなければほんとうのことはわかりません。從つて私どもといたしましても、作報の予想でございますから、これが全國的に、坪刈りの上にこの通り現われるということを、百パーセントの確信を持つて申し上げるわけには参らない性質のものであります。それから粒数計算によります場合の調査の單位でございますが、これは御指摘の通り、必ずしも十分ではございません。ことに村の反収をきめるというようなことでございますれば、これはただほんの参考になるものにすぎないのでありますけれども、縣なり全國というものを見ますと、これは相当の数になりますので、郡あるいは縣くらいの反収を見る場合には、これは相当正確であるように考える次第であります。
 それから被害の点につきましては、これは御指摘の通り、被害をどう織り込むかということは、非常にむずかしい問題であるわけでありまして、その点被害をどう調査するかということは、これは実はまだいい方法が発見されていないというと語弊がございますが、私どもとして、どう被害を把握するかということが、実はまだ十分でないわけであります。しかし十分でないながらも、粒数計算から反収を計算いたします場合に、被害のある地方とない地方では、おのずから稔実歩合なり、あるいは一升の粒数の計算の仕方がかわつて來るわけですから、その点においては考慮しておりますし、なお収穫皆無というような事態につきましては、これは面積の上から差引いて計算するというふうにいたしておる次第であります。なお御説明が足りなければ、御質疑に應じてお答えいたします。
○小笠原委員長 次は小林君、今日は土曜日で、御承知の通り委員長会議の申合せもありますから、簡單に……。
○小林(運)委員 先ほどの御説明によりますと、坪刈りと粒数計算の相関関係が高いというお話でございましたか、そこが非常に問題なんです。この作報の報告というものが、坪刈りが一番科学的の根拠を持つものだというふうに考えておりますが、ほかには何らの化学的の根拠はなくつての作報でありますかどうか。粒数計算以外にはないかどうか。
○小倉説明員 御指摘の点でございますが、ごもつともでございまして、私どもといたしましても、もちろん粒数計算だけでやつておるのでありませんで、むしろ先ほど申しました檢見ということもございますが、なお客観的な裏づけとなります作況試驗をやつておるのであります。氣象感應試驗の上では、これは大体縣の農事試驗場に試驗場をつくりまして、作況試驗をやつております。なおそのほか学校とか一部のそういう公共的な施設も利用さしていただきまして、作況試驗をやつておりまして、氣象状態ももちろん参考にやつておりますし。その点の氣象からの状態としては、一体、作柄はいいか悪いかという大体の判断も、継続的にいたしておる次第あります。
○小林(運)委員 ただいまのお話ですと、大体粒数計算というものが根本をなしておる。そこで坪刈りと粒数計算との相関計数というものが、昨年度の実績から出ているはずだろうと思うのですが、それによつて今年の粒数計算によると、実収高がこのくらいになるんだろうという推定が、今回の発表になつたと思うのですが、先ほど長官のお話でありますと、これは十月一日現在を集計したものだ。その後、いろいろ災害とか、虫害があつて実際はなかなかこんなにはとれないということが考えられるということでありますが、そういう話を突き詰めて考えますと、今回の発表には、粒数計算やその他の作報だけの数字を、町村のものをただ集めただけで、その間には何らか計数をかけていないかどうか。町村の収穫予想の数字に対して、その他の何か計数をかけているかどうかということを、お尋ねいたします。
○小倉説明員 お尋ねの点は、おそらく作物報告事務所の出張所で計算し、それを事務所で集計し、またそれを本省で集計するその面に何か加工してないかということであると存ずるのでありますが、それは必ずしも下から積み上げたものを機械的に集計するというだけではございませんので、同じ地帶に属する地方でも、隣縣同士が、たとえば粒数計算の結果が違うとか、一升粒数が違うというような場合、そういう特殊な違い方をいたしております場合には、この辺は特に被害がひどかつた、あるいはこの辺は作柄が氣象感應試驗から見ましても、特によかつたという実情がない限りにおいては、なるべくバランスと申しますか、從來の統計なり、経驗なりにかんがみまして、バランスをとるように加工はいたしております。
○小林(運)委員 そういたしますと、先ほど來の長官の話と大分食い違つているのですが、作報といたしましても、粒数計算でありますとか、一部坪刈りをやつたものに対して、いろいろ氣象の状況とか、その後の状況を勘案して今回の発表になつたと考えますと、先ほど長官のお話では、そういうようなことは、全然しないでやつた。しかも現在の考え方では、十月一日現在の予想よりは収穫が減るだろうというお話でありましたが、そういうことが初めからわかつておれば、今回の発表にもそういうことは加わつておるものと考えなければならないのですが、この辺が作報の方と長官の方との考えが、ちよつとかわつておるように思うのですが、長官の方はどういうふうにお考えになりますか。
○安孫子説明員 ただいまもお話がございましたように、被害調査の方法につきましては、実は非常に正確な方法というものは確立いたしておらぬのであります。それで食糧廳といたしましてただいまやつておりますものは、一つは縣の認定による被害調査というものが出て参ります。縣は多くの場合、町村において坪刈をいたしたり、あるいは毛見をいたしまして、その数字が縣でまとまつて出て來るのが一つの報告になつております。それから食糧事務所において被害調査をいたしております。この食糧事務所の被害調査は、末端におきます食糧檢査員が、各農家ごとにつきまして、場合によれば間取り、また場合によりますと実際の毛見、坪刈というようなものをいたしまして、それの集計をいたしたものが一つ出て來ておるのであります。それで現在のところ、被害調査についての的確な、これであれば大丈夫だというような調査方法なり、調査組織が確立いたしておりませんので、作報の状況あるいは縣の御報告、それから食糧檢査員の報告というようなものを勘案いたしまして、決定して行かなければならぬと考えておるわけであります。將來におきまして、組織の上におきましても、また技術的にもこれを捕捉します完全な方法が確立いたしますれば、問題は相当簡單になるかと思いますが、ただいまの段階はそうなつております。
○小林(運)委員 先ほどの作報の方のお話を承りますと、どこまでも科学的根拠に基いた粒数計算というようなものを基本にして、その後の氣象その他のことも勘案し、また災害等のことも勘案しての今回の発表だ、こういうふうにわれわれとるのですが、そういたしますと、今日の発表は、少くとも作報といたしましては、今後あまりかわりがない、実収とあまりかわりがないというような結論に、どうしてもわれわれ考えられるのですが、現在でもそういうふうにお考えでありますか。
○小倉説明員 実収の関係につきましては、なかなか私どもどうということは申し上げかねるのでございますが、これは天候の加減というようなことに、十月一日になつておりますと、さほど影響はないということももちろん考えられますけれども、影響を受けるということはもちろん考えられますし、また調査の方法が、予想の場合は粒数計算でありますけれども、推定実収の場合は、御承知の通り坪刈りであるというふうに方法がかわつて來るという点もありますし、そういう点の変化があるということも考えますが、大体のところは、そう予想と実収の推定が狂うということは、まずなかろうというふうに考えております。
○小林(運)委員 そうしますと、私は疑問をもつのですが、作報の方では、今日の発表は、極端な場合は違うけれども、大体において今日の発表が実収と大したかわりがないだろうというような考えであり、長官の方の話は、どうもいろいろの状況からいつて、これより少いだろうというような見込みですが、農林大臣はおりませんが、次官がおりますが、この調べのどつちをおとりになるのか、そのお考えを伺いたい。
○坂本説明員 先ほど來申し上げております通り、作報の調査に基きます作況報告は、もちろん非常に機械的なものでありますし、またそれに対します信憑性につきましても、いろいろ皆さん方の御意見もあるかと思いますが、もとよりこれの補正につきましては、地方廳からもそれぞれ資料が出ております。なおまた府縣の食糧事務所からも資料が出ております。從つて、それぞれの資料を総合いたしまして、最も適正であろうというところに落つけるべきものであると考えておるようなわけでありまして、御指摘の通り、最も確かなものをつかむことは、容易なことではないと思いますが、今申します通り、各般の資料をまとめまして、その上に立つて十分まとめてみたいと考えておるのであります。また中央農業調整審議会等もございますので、それらの機関にも諮りまして、最も適切なる補正をいたしたいと考えておる次第であります。
○小笠原委員長 お諮りいたします。今の問題はきわめて重大な問題であるから、統計調査部長の報告は、あまり箱に入つたような限定した発表であつて、國民の要望とは非常に幅があるのでありまするかも、この点を、今追究して答弁を求めてみたところで、責任者の大臣が参つておりませんから、政務次官並びに我孫子長官、統計部長を交えて、とくと相談して國民の要望する被害の程度をよく見きわめて、文書をもつて委員長まで回答して、それぞれ皆さんに御通知申し上げることにしたらいかがでしよう。
○小林(運)委員 委員長のおとりはからいなかなかけつこうなことだと思います。さようにしていただきたいと思いますが、私の先ほど質問したことと、次官の答弁がまつたく食違つて、とんでもないことを答弁されておるのであります。これは私の言い方か悪いのか、次官の答弁が作為的にそういうふうにおやりになるのかちよつと不明ですが、私は遺憾に思うのであります。委員長のおとりはからいまことにけつこうですが、私はこれにつきまして一言附言いたしたいのは、わが國の農業のいろいろの問題が、科学的根拠を非常に無視したやり方をやつておるということを、私非常に痛感しております。今回の作報がいくらかでもかような科学的基礎に置いた報告をしておるという傾向に対しては、私は敬意を表します。今後もますますそうしていただきたいと思うのでありますが、しかし作報の作柄の報告というものは、直接農村に対して非常な重要性を持つておりますから、今後とも、この問題につきましては、できるだけ正確に、科学的根拠に基いたものをやつていただきたい。それによつてわれわれはものを考えて行きたい。それをかような問題にいろいろ作為して、政治的に注釈を加えて、國民あるいは農民をたぶらかすようなことがあつては、私はけしからぬと思う。私は先ほど大臣に、一体どつちをとるかということを正確にお伺いしたかつたのです。今ここで委員長がいろいろおとりはからいでありますから、この問題はよくお考えになりまして、正確なものを出していただきたい。どつちが正しいかということをお願いして、一應私の質問を保留しておきます。
○深澤委員 農林省の責任ある立場において新聞に発表いたしました、終戰以來の大豊作、この新聞発表が、受取る方の農民の立場から、どういうぐあいに感じているかということを、私は申し上げたいと思います。御承知のように、数回にわたる台風のために、九州方面といわず四國といわず、全國的に相当被害のために苦しんでおります。そのために、災害復旧の問題も農民の非常な悩みの種であることも間違いありません。もう一つは、本年の氣象関係に基きまして、全國的にいもちの発生、その他の病蟲害の発生が、相当あつたことは間違いありません。われわれが東北をまわつてみた場合におきまして夜を徹して、うんかを焼き殺すための火をたいておつた農村が、非常にたくさんあつたのであります。そういうさ中に、農民は今年は非常にたいへんである。すでに本委員会に対しましても陳情がありましたように、東北方面あるいは大阪方面においては、保有量を確保することが困難であるという陳情すら來ているのであります。こういうような立場から、本年度の作柄に対しましては、農民は非常に不平を持つていることは間違いないのであります。しかるにもかかわらず、農林省が責任を持つた立場から終戰以來の大豊作という発表が行われるにおいては、おそらく全國農民は唖然としているに違いないと私は思う。ここにわれわれが考えることは、昨日も委員において問題になつたのでありますが、かんしよ等の統制撤廃というようなことを根拠にいたしまして、米麦に対する供出加重ということが当然問題になつて來ることは、これまた全國農民が恐れている問題であります。われわれは、農林省が意識的にそういうことの腹構えを持つて、こういうことが発表されているのではないかということすら疑うのであります。從つてここに問題になるのは、すでに第五國会において農林省が新しく出発し、農林省設置法には、農林省は農民の立場に立つて農民を擁護し、農民経済というものを守つて行くのだという重大な任務があるにもかかわらず、こういうような傾向に行くといたしますならば、遂に農民の怨府になるということを、われわれは考えるのであります。むしろ農民の収奪機関になる心配があるとわれわれは思うのであります。こういうような意味合いにおいて、この発表の及ぼす影響というものは、まことに重大であると考えます。われわれは、農林省が責任を持つて、この問題に対して、どういう考えを持つておられるか、この点をまず劈頭に、坂本政務次官から御答弁を願いたいと思います。
○坂本説明員 深澤委員の御意見は十分拜聽いたしたのでありますが、もとより今日行われております供出制度のもとにおきましては、いろいろこの作況の見方につきまして、非常に深刻な利害損失もあるのでありまして、いろいろこれに対します農民の考え方もあろうと思います。しかしながら先ほど來申します通り、統計調査部の発表いたします作況につきましては、きわめて機械的に、できるだけ科学的にやるということは、深澤委員も御承知の通りであります。もとよりこれに十分でない点もあると思いますが、しかし國の財政の許す限り、あるいは作報職員数におきまして、あるいはまたその技術の面におきまして、できるだけの努力を拂つておるのであります。從つてかような機関を通じて得た作況につきまして、われわれは政治的な意図を含ませることは、かえつておもしろくない点もありますし、むしろこれはありのままを報告するということが、最も正しいことであると思うのであります。これにつきましては、いささかも政治的な含みを持つた発表でないということは、ここに繰返して明らかにしておきたいと思うのであります。なお今後の減額補正の問題につきましては、先ほど來申します通り、あらゆる資料を総合いたしまして、適切なるものを求めなければならぬことは、申すまでもないと存じております。
○深澤委員 時間がありませんから、簡單に質問申し上げますが、もう一つ今の意見につけ加えたいのは、農林省はとる方の基礎数字だけは、はつきりこういうように発表するのであります。しかしながら、今一番問題になつておりますのは、この米價の問題であります。米價がいまだに決定していない、まことに矛盾きわまる話であります。こういうことを意識しておらないといたしましても、農民としては、実に不愉快千万である。とる方の数字だけはきちきちにきめて來るが、農民に拂うべき米價は少しも決定していない、こういうことに対しても、農林省に十分なる反省を私は求めたい。
 さらにこの発表の根拠が、作報の調査によるところのものであるということが明確にされておりますので、作報の責任者にお願いいたすのでありますが、つまり数字の発表というものは、單に調査機関の統計上の仕事ばかりではない。この発表が行われると同時に、これが起因となつて全國数百万の農民の生命をかけての問題が起つて來るのであります。ある場合におきましては、これによつて牢獄に入れられる農民があるのであります。この重大な数字の発表にあたつて、相当重大な決意と確信とを持つていなければ、こういう数字の発表はできないのでありますが、大体現在の作報の機構として、あるいは現在の能力からして、これだけの数字を確信があつて、そしていかなる立場からも少しも非難されることのないという自信を持つて、発表されたのかどうか、その点をひとつ作報の責任者にお伺いしたいと思います。
○小倉説明員 申し上げるまでもなく、私どもとしては最善の努力をいたしましてこれ以上のいい数字と申しますか、正確な数字はないという信念のもとに発表しているということを申し上げます。
○深澤委員 しからば私はこの調査方法について、はなはだ納得の行かざる問題をあげてみたいと思うのであります。先ほど小倉説明員は、五箇村にわたつて五箇所、二町歩というものを決定して、それによつて粒数計算をやり、それに作報所長の反収予想を含めて決定するのだということを説明されましたが、五箇村と申しますれば、少くとも一箇村百町歩あれば五百町歩であります。その五百町歩の中からわずか二町歩を抽出いたしまして、粒数計算と作報所長の反収予想とを、どういうぐあいにこね合せるか、こね合せて決定をするのであります。そうして二町歩のものによつて決定されたものを、あとの全部の五百町歩のものにかけるのであります。ところが御承知のように、農業の実際というものは、水の温度あるいは風の吹きぐあい、あるいは水の取入口、あるいは水の最後のところとでは非常に違う。五百町歩のたんぼにおいては、実に数十種類あるいは数百種類の事情の異つた点があるのであります。それにもかかわらず、その中の二町歩を抽出いたしまして、それによつて得た結論を全部の五百町歩にかけるということが、はたして耕作農民をして納得させ得る結果になるであろうか、また今日の日本の農業の、非常に原始的な方法において、そういう幾種類のあるいは何十種類の條件の違つているところへ持つて來て、そういう画一的な結論を出して、はたして実際の農業とぴつたり合うであろうか、こういう点について、作報はどの程度の確信を持つておるか。もう一つは粒数計算なら粒数計算というものが非常に科学的な唯一の檢査であると言われておるが、それにもかかわらず、作報の所長の縣見の結果によるところの反収予想をそれに附加するということ自体が、粒数計算の信憑性を、作報自体が信じていないということを裏書きしていると信ずるのであります。しからばその粒数計算のウエイトと作報所長の檢見の結果によるところの反収予想のウエイトとを、どういうように考えておられるか、そういう点について、ひとつ明快なる御答弁を願いたい。
○小倉説明員 粒数計算をやりまする数の問題でありますが、これは御指摘の通り、村の収量ということを考える場合には、一箇所二箇所ではもちろん論ずるに足らないのでありまして、これでもつて判断することは非常に危險と申すよりも不可能であるというように考えるのでありますが、これが地方事務所なりあるいは縣なりが反収をきめる場合には、相当役立つ、それで大体十分だろうというふうに私どもは考えております。もちろん將來町村まで面積、収量等をきめて行くということを考えますならば、これはもちろん相当粒数計算をいたします單位をふやすということも、必要になつて参るわけでございますが、私どもとしまして、町村までそういうことをやるという能力は、今のところ持ち合せておりません次第であります。現在のところ反収につきましては、郡あるいは作物報告事務所で言いましたならば、出張所という程度が精々であろうというふうに考えております。そういう廣範なものをいたしますならば、これは今年やりました程度で信憑力があるというふうに考えておる次第であります。
 それからこの單位をきめます場合、どれを選ぶかという場合にも、これは出張所の管内で、御指摘の通りいろいろ作況の事情も違いますし、また地方が違いますので、それは大体類似の地帶わけをいたすわけであります。同じ出張所の中でありましても、相当地方の高い所、あるいは低い所、あるいは耕地整理の済んでいる所とか、いない所とか、常習被害地であるとかないとか、そういう地帶を選びまして、そういう代表的なものから選ぶという方法も講じておりますので、ただむりに一箇所だけでもつて判断するよりも、信憑力が強いものであるというように考えておる次第であります。
○深澤委員 われわれも作報の末端の事情をよく承知しておりますが、その末端の、たとえば五箇村を一ブロツクとして得た結論の反収なら反収、作況なら作況というものが、また一つの出張所なら出張所に参りますと、そこの勘案というものによつてその数字が多少は変更されるのであります。それがさらに縣に参りますと、縣によつてまたいろいろな事情から変更されている。それがさらに中央に参りますと、中央の関係において変更されておる。こういうことをわれわれは事実知つているのであります。特に面積の点なんかにつきましては、面積のとりぐあいの場合においても、非常にそういうことが勘案されておる。たとえて申しますならば、申告漏れの問題であります。町村末端において一〇%であつたものが、縣に來て五%になつたり、中央に來て三%になつたりするというぐあいに、非常に統計の数字が科学的にやられたものが、なまのままずつと上に上つて來て集計されておらないというのが、今日の実情であります。從いまして、機械的に、統計数字をそのまま出したのがこの結論であつたということに言われておるけれども、面積のとり方から申しましても、あるいは反収やその他の点から申しましても、各段階段階において常に修正されておるということを、われわれは知つている。そういう意味において、先ほど坂本政務次官が言われたように、統計のなまの数字が、機械的にそのまま上つて來ておるのではない。やはりその作報の段階々々において、あるいは政治的に、地方的に勘案されているという事実を、われわれ知つているのであります。こういうことが結論に出て來ておるのであります。その点について、おそらく作報の方々といえども、その事情をよく御存じであろうと思いますが、そういうぐあいにわれわれは承知しております。それとも作報は、ほんとうに下で調べたなまのものが全國的に集計されておるのか、その点について、私ははつきりした御答弁を願いたいと思います。
○小倉説明員 御指摘の通り、これは先ほどもちよつとその点に触れて申し上げたのでございますけれども、末端からだんだん集計して、われわれのところで集計いたしまして、それを発表するということでは、必ずしもないのでありまして、出張所なり、あるいは地方事務所なりで集計をするときに、いろいろの事情を考慮するということは、もちろんこれはあることでございます。またわれわれのところでも、そういうことを考慮して計算いたす次第であります。しかし私どもの今回いたしましたことに関連するわけでありますけれども、出張所長なりが決定いたしました反収が、たといいろいろな事情から考慮して曲げられておつたということにいたしましても、その基礎の材料になつた数字そのものは曲げておらないのであります。もつともこれは全國一万五千人ばかりの人がいるわけですから、全然私どもの指示した調査の通りやつている、何ら事実を曲げにいないということは、百パーセントをもつて保証することは、あるいはできないかもしれませんけれども、大体データ自体は上へ上つて來るわけであります。從つて私どもが直すというよりは、ただ勘でもつて直すというよりも、むしろ事務所から出て來た基礎資料―所長の決定はこうなつているけれども、出て來た資料が実はこうなつている。その資料でもつて修正するということが実は多いのであります。從つて私どもが加工する場合におきましては、他のいろいろの利害関係ということで加工するということよりも、下から上つて來た資料相互間をにらんで加工するという面が、非常に多いのであります。
○深澤委員 最後に長官にお伺いしたいのでありますが、一應しかしどういう形においても、こういう農林省の責任ある発表が行われますと、これが補正その他の基礎数字になるということは、これは間違いない事実であると思います。ところが一面われわれは実情に即して、縣の資料やあるいはその他の食糧事務所等の資料も勘案して、実情に即した補正をやるということは常に言われている。しかし常にそれがくつがえされる、実際に即した補正がやられていない。そのために、供出関係において全國的に常に問題が起つているようなわけであります。ところが今度は相当農民の期待と相反する収穫予想であります。食糧長官としては、今度はひとつ型破りの、先ほど言明されているように、食糧事務所や縣の資料やその他を勘案して、やや農民の納得するような補正をやる確信があるか、そのためには、私はこの終戰以來の大豊作という六千五百万石以上の作況予想というものを、相当下まわる結果になりはせぬかと思うのでありますが、眞に実情に即した補正をやるという御確信があるならば、結局そういう大英断をやらざるを得ないと私は思うのでありますが、そういう御決意が長官にあるのかどうか、その点をひとつお伺いしたい。
○安孫子説明員 予想収穫高の五千五百五十万石は、これは下から盛上つた数字でありまして、しかも一定の方法によつて出て参りました数字でありますから、どの数字自体は、農林省といたしまして適当なものであると申しますが、動かせない数字であろうと思います。ただこの点で多少私どもの感じを申し上ますると、私どもが感じまする感覚は、やはりことしは作柄としてはそうよい作柄ではないというような感じを、実は持つているわけであります。これは理論的に一体どこからそういうものがはじき出されるのか、またその具体的な数字はどうかとこう言われますと、お答えはできないのでありますが、感じといたしましてはそういう感じがいたします。それでただ従來の統計とのつながりから申しまして、從來もやはりことしと同じような方法、あるいは組織のもとにおいて調査をされておつたならば、昨年はあるいは六千五百万石じやなく六千六百万石とか、六千七百万石という数字があるいは出ておつたかもしれぬと思うのでありますが、その辺は総体的な問題でありますので、たしかに昨年の作柄とことしの作柄とを比べますと、昨年の作柄よりはよくないだろうというようなことが、私たちの大体の感覚でございます。これは数字の上で対比いたしますと、非常に妙な形になりますけれども、総体的な関係を考慮に入れますれば、これはさようなことも言えるのではなかろうかと思つております、しからばそれを補正の際にどう織り込んで行くかということになりますと、実はただいまお話がございましたように、予想収穫高というものが、やはり一番大きな材料になると思うのであります。そのほか食糧事務所の被害調査、縣の御報告というようなものもございますけれども、結論におきましては、やはり予想収穫高というものが、一番大きな力を持つて来るものだと思います。しかしこの予想収穫高が、終戰以來数箇年間ずつと出ておりますが、私は必ずしもその間に一貫した、と申すと語弊がありますけれども、やはり調査方法が漸次完備して来ておるわけでありますから、それを同じウエイトにおいて見るということについて、いろいろ問題の点があろうと思いますので、その辺を十分勘案いたしますならば、六千五百五十万石という予想収穫が出たから、これは昨年の実収よりも高い。從つて全般的に言つて、補正数量は昨年よりも少くてもいいという結論が、ただちに出て来る性質のものではないと存じます。從つて私どもといたしましては、ただいまいろいろ御指示もあつたのでありますが、今年の被害の実態というものを明瞭にいたしまして、できる限り適切な補正をいたすことについて、努力をして参りたいと存じております。
○寺本委員 各委員から大体質問がありましたし、時間もありませんから、簡單に一点申し上げてみたいと思います。小倉統計調査部長の話では、今度の新聞に発表になりましたあの作報の発表は、供出割当に影響することは考えないで、統計の数字に基いて、ありのままの発表をしたというお話であります。そうして現在の氣持としては、多少減収ではないかと思うけれども、大体あの数字に近いものであろうという見通しを持つておるという御答弁であります。一方我孫子長官の御答弁では、かなりな減収を予想せられる、ことに昨年よりも減収ではないかという見込みだという御答弁でございます。作報の報告だと言つてしまえばそれまででありますが、農林大臣の責任において、農林省が発表するあの発表が、先ほど各委員からも申しましたように、農民に與える衝動というものは、かなり大きいものだと思います。私全國をまわつて見たわけではございませんが、ことに九州の各縣は、五回にわたる風水害で、かなりな減収を予想されておるのでございます。先ほど政務次官からも御答弁がありましたように、適当な減額補正を予想するという御答弁でございます。私もかなり大巾な減額補正をお願いしたいと思つておるのでございますが、先ほど委員長からのおとりなしによりまして、農林省が一本になつて腹をきめて、文書でもつてはつきりした答弁を出してもらいたいというお話であります。私も、今日の各委員の質問に対する政務次官、食糧廳長官、統計調査部長の御答弁では、どうも満足の行かない、了解に苦しむ点がたくさんございますので、その文書による答弁書を得まして、もつとつつ込んだ意見を伺いたいと思つておるのでございます。私はこれをもつて終ります。
○河野(謙)委員 本日の問題は、新聞発表の及ぼす影響が甚大であるということが中心でありますが、そこで私は、特に念を押して伺つておきたいのは、この新聞発表においては、十月十日までの病虫害、風水害の被害は織り込んであるということが書いてあるのですが、これは確かに当局が発表したことであるかどうか、それをまず伺いたい。
○小倉説明員 あの発表の中に入つておるものはそうであります。
○河野(謙)委員 そういたしますと、十月十日までには、大体早場所においては勝負がきまつておる、また早場所以外のところでも大部分がきまつておる。先ほど來その後の作況の変化については、十分調査して補正するという御意向があるように伺いますが、いたずらにそういう氣持を持つておられても、大体十月十日までの病虫害、風水害の被害が織り込んであるなら、その後どこの地方でどういう被害があつた、どういう作況の変化があつたということは、非常に限られた地区であると思う。これを逆に申せば、早場所においては、もう補正の余地はないということになると私は思うのでありますが、さようなことに考えてよろしゆうございますか。
○安孫子説明員 かりにただいまの御議論のようであるといたしましても、私はやはり補正をしなければならぬものと思つております。というのは、作報の調査報告は縣ベースのものであります。これは申し上げるまでもありませんが、被害がありました農家については補正をするという建前をとります以上、縣ベースとしてはたとえ百十パーセントでありましても、やはりこれは実情によつて補正はしなければならぬと思います。
○河野(謙)委員 ちよつとわからないのですが……。十月十日までの分がもう全部織り込んであるという発表でしたが、そうしますと、その後においてのいろいろな作況の変化は、今後の補正の材料にはなるでしようけれども、その以前のものは全部織り込んであるのですから、そこで私は非常に補正が困難であると思う。結論を申しますと、長官なり農林省なりが、今後実情に應じて補正に盡力する、努力すると言われましても、かようなまずい発表をしたために、結果において補正ができなくなる。できましても、その補正が非常にわずかなものになる、実情に沿わないものが結論として生れて來るということになる。その意味で私は本日の発表が非常にまずいと思う。これらにつきまして、私は特に遺憾の意を表するとともに、農林省において、この末尾にある十月十日までの状況を織り込んであるということを、取消せるなら取消して、これはどこまでも九月上旬もしくは中旬までの作況に基く報告であるということであれば、九月中旬以降現在までの作況の変化を基礎にして補正がやり得るのであるが、かようなことができるかどうか。またやつてもらわなければならぬと思いますが、かような末尾の問題については、特に取消しを私はお願いしたい、かように思います。
○安孫子説明員 ただいまその末尾の事項がありまするために、補正が非常に困難を來すのではなかろうかというお尋ねは、私もそうだと思います。非常に困難を來すものと思います。しかし何とかその困難なるうちにも、できるだけ補正を多くしたい、こういうことで今考えておるわけです。それに関連して、その末尾の字句をここで取消したらどうかという御提案でありますが、これはいろいろの関係もございまして、ただいまのところ、これを取消すというわけにはいかぬということを申し上げたいと思います。
○小笠原委員長 ただいまの質疑應答はきわめて重大でありまして、九月末から今日まで、國民から引続いて風水害とそれによる減収の問題は日々訴えがあるのでありますが、ただいまの答弁によると、全然國民の訴えを無視したような結果に至るのでありまして、はなはだ遺憾でありますが、要は発表は発表として、統計に現われたものといたしましても、政府の方で國民の訴えを無視せず、その方面を十分調査して、それとにらみあわせた補正をする用意があるかについて、大臣と打合せをして、最も早い期間のうちに委員長の方に御報告をいただき、委員長から各委員にこれを御通知申し上げることにいたしたいと思いますが、その用意があるかどうかということの御答弁を願いたいのであります。
○坂本説明員 先刻來各委員から、いろいろな角度からずいぶん御意見を伺つたのでありまして、ことにただいま委員長から、この取扱い方について農林省の態度を明らかにせよというお話でございます。十分御趣旨に沿いまして、大臣とお打合せをいたしまして、委員長のお手元まで御報告を申し上げることにいたしたいと存じます。
○吉川委員 この問題は與党野党を問わず、各党まつたく同様に遺憾の意を表しておるわけであります。政府委員の中におかれましても、それぞれ御意見あるいは説明に齟齬があつたり、どうしても納得のいかないものがあつたことは、今までの経過でよくわかつておるわけであります。そもそもこういう発表をなされる根拠がはなはだ不明確である。しかも政府発表は、小倉部長の御説明によれば非常に科学的に、機械的な調査によつて行われると言つておられるのでありますが、その基礎になつているものは、作報の報告が第一に取上げられていると思うのです。この前定員法の問題のときに盛んに論議されたのでありますが、この穀物の檢査員とかあるいは作報の機構は、きわめて不備であるということをわれわれも指摘し、政府もまた、特に農林当局もこれを認めていられたのです。さような不備なものによつてでつちあげられたところの数字を、このように大きく取扱われるような発表をされたということは、これははなはだ私どもは重要な問題だと考えるのです。ことに供出制度の行われているときに、こういう発表が全農民に及ぼす影響がどうであるかということを、考慮してなされたのであるか、なされなかつたのであるか。單に機械的に、毎年やつているのだから、恒例によつてやるのだというようなきわめて簡單なお考え方でおやりになつたのかどうか。そうでないとするならば、他意があつたのか、他意がないといたしましてもあの不備な作報の機構をもつて、ことにデラ台風以來キテイ台風に至る災害というものは甚大なものがあります。ことに私は北海道を初め高冷地、寒冷地の、あるいは單作地帯の対策議員同盟の一人といたしまして、そういつた方面を歩いて見て來たのでありますが、長野縣の千曲川の沿岸におけるところの災害、あるいは北海道の開花期に十四度以下に温度が下つた場合に、遂にがんようのものができてきて、そしてこれが結果に至らないというような冷害。あるいは富山縣に参りますと、百七十万石の割当のところ、五十万石の減収であると言われているのに、作報では、いや十三万石だという、この差があまりに大きいので、ただいま富山縣においてたいへんな問題になつている。こういう問題を、一々現地についてわれわれが見て來たのですが、これは取上げるとたいへん長いことになるのですが、その一つ一つがことごとく私どもが取上げなければならないような内容を持つた問題ばかりであります。そういうことを考えるときに、こういう不完全な作報の報告に基いて、しかも全國の農民に甚大な影響を及ぼすような数字の発表をしたということは、あまりに機械的ではなかつたか。農林省が、政府がさような不用意なことするということはないはずである。そこでわれわれは、他意があつたのじやないか。石井委員の御質問にもありましたように、これはおそらく、補正を控えて何らかの考慮がされているのではないかということも、私たちは考えざるを得ないのであります。ことに米價を早急にきめなければならないところに來ております。その米價も各方面の代表者によつてなされておりまして、米價審議会の答申と政府の考えとの間には、相当の開きがあるやに仄聞しております。そこでうんと増産ができたんだというこの数字を発表することによつて、そんなに米がとれたのならば高い米價が、農民の期待するような價格が決められなくても、どうもこの際はしかたがないのだと泣寝入をさせるために、米價を決定する直前において、かような発表がなされたのじやないかというような疑惑をわれわれは持つております。こういう点について、政府のはつきりしたお答えをお願いしたいと思います。ことにこのような重大問題の責任は農林大臣にあるというのに、農林大臣がこの席に出られないということ自体が、われわれのこの委員会をきわめて軽視しておるということが言われる。
    〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕
昨日の委員会において、大蔵省の委員の出席を求め、あるいは会計檢査院の出席を求めても、返事をしないとか、あるいは会議があつて出られないとか、本日農林大臣も会議があるそうでありますけれども、おそらく新しい憲法のもとに制定された國会法によれば、國会の審議権は、あくまでも尊重しなければならない。そうしてその審議に際しては、政府委員は何ごとをおいても、優先的にこの委員会に出席しなければならない義務がある。しかるにこの委員会をきわめて軽視し、無視しておるということは、國会法違反であり、憲法違反であるとも言い得る。われわれは、さような重大な問題のときに農林大臣が出られないということは、はなはだ遺憾である。先ほども同僚委員から指摘され、主張されたように、私もまたかような重大な内容を持つところのこの発表は、きわめて近い將來において、これを取消しはしなくてもよろしい。何となればこれは予想発表でありますから、そこで全農民や各党各派を代表して出られているところの農林委員会の、この意思を十分採用されまして、そうして委員会の全員、全農民が納得するような数字を再発表されんことを、私は要請するものであります。
○坂本説明員 吉川委員にお答えを申し上げます。農林大臣が出席しないことはまことに遺憾であるというお話でございました。実は昨日の委員会におきまする各委員の御質問にもお答えをいたしまするために、農林大臣が出席するようにけさほども打合せをいたしたのでありまするが、御承知のように、マツカーサ―元帥から吉田総理あてに、農地改革に伴いまする書簡が参りまして、これに対しまする諸般の打合せのために、今朝司令部へ参つて、さらに司令部の訪問を経りまして、公共事業費に関しまする予算の閣議がございまして、そちらに参つたようなわけであります。まことに恐縮に存じまするが、事情を御了察願いたいと存じます。
 さらに第五國会に通過いたしました定員法による農林省の職員の数というものが、充実しておらない点があるのじやないか、ことに作報の機構において、不十分な点があるのじやないかということの御指摘があつたのでございまするが、いわゆる行政整理というものも一段落いたしたのでありまして、今後いろいろな凹凸を極力是正をいたしまして、この必要人員の充実ということにつきましては、ひとつ十分これは意を用いなければならない点であると考えておるのであります。しかし、ながら認められました定員によりまして、作物報告事務所が全能力をあげておる。しかもできるだけの科学性を発揮いたしまして、努力いたしました数字でありますることは、私もまたこれを認めるものであります。しかしながら先ほど來申し上げまする通り、あるいは不十分な点もあるかと思いまするが、ともかく現在の機構において、できるだけの努力をしておるということは、ひとつぜひ御了承を願いたいと思うのであります。なおまた、かようないろいろな意味において影響の大きい作況を報告することは、ひとつもう少し考えたらどうかというお話でありまするが、これは毎年その年の作況を報告することは從來の例でもありまするし、不文律にもなつておるのでありまして、ことしは実は作付け面積等の調査に少し手間どりまして、手間どると申しまするのは、少しく念を入れましたために遅れたのでありまするが、これは例年発表することになつておるのでありまして、しかもそれは各方面の連絡も十分とつた上で、愼重な態度でこれを発表いたすのでありまして、この点は吉川委員は十分おわかりになつていることだと思うのであります。なお米價その他の問題につきましては、昨日も申し上げました通り、國会の要望に基きまして、各界、各府の代表者を集めて米價委員会をつくり、その答申案に基きまして、政府もなるべくその御趣旨に沿うように努力を続けておるのでありまして、ただいま司令部とも折衝中でありますので、一日も早くこれの決定を見たい。かようにせつかく努力をいたしておる最中であります。近々結論を得ることと存ずるのであります。以上御了解を願いたいと思うのであります。
○吉川委員 時間のようでありますから、私は簡單にちよつと……。私のお尋ねしたことについてのお考えがはつきりいたしませんから……。実は米價をすみやかにきめればならない段階に至つているときに、米価審議会の答申と、政府のただいまお考えになつておいでになるであろう、その價格との開きが、あまりあるやに私は聞いている。そこでその政府の立場を有利にするために、かくのごとき発表をされたのではないかということについてのお答えを願いたい。
○坂本説明員 先ほど來申し上げまする通り、今回の発表は何らさような政治的な意図のないことは、先般申し上げた通りであります。
○井上(良)委員 最後にちよつと一点だけ確かめておきたいのですが、さいぜんあたりから、小倉統計調査部長と食管の長官との話しが大分違う。違わぬと言うかもしれぬけれども、違う。それは小倉さんは、この予想収穫は大体実収とあまり狂わないという自信をもつて発表していると、こう言う。ところが、昨日以の食管長官の話しでは、少くとも相当額の減額補正をしなければならぬだろう、その数字を今あらゆる資料に基いて調査中だ、こういう答弁がされている。しかも、昨日本委員会に発表されますところによると、
    〔松浦委員長代理退席、委員長着席〕
縣側からの要求は、約一千万石に近い数字を減額補正するように要求して來ている。さらにまた食糧廳自身の持つております食糧事務所の調査によると、少くともここに四、五百万石の減額補正をせなければならぬことが、資料として政府に提出されている。この食違いを一体どうするか。問題はここにある。この問題――あなたのおつしやる実収とに狂いはないというのと、食糧事務所の実地において調べたところの推定との上に、現に四、五百万石の開きを見せている。またさきにだれかも申しました通り、農林次官自身が四、五百万石の補正をせなければなるまいということを言われている。今、河野委員から御指摘の通り、本収穫予想は、十月十日までのいろいろな減収を織り込んでいるということが報告されている。そうすると、その食違いは一体どうして直そうとするのですか。小倉さんはそれを認めないのですか、減収の事実は……。四、五百万石の開きを認めないのですか。これは非常に大事な問題でありまして、今後補正の割当がいろいろな面で折衝されるにあたつて、非常に重要であります。また昨日來、松浦君からも詳細に本委員会に陳情がありました通り、山形縣のある地帶におきましては、五割以上の減収があるということが、縣側の立合いにおいて実証されている。しかるに、この収穫予想の報告を見ると、山形縣では事前割当よりも増収になつている。こういう事実もあなたは一体どうごらんになりますか。これはこれから補正会議を進める上の、非常に重要な問題になつておりますから、この際、責任ある御答弁を伺つておきたい。
○小倉説明員 減収量につきましては、いろいろ見方もあると思いますが、私どもの見方といたしましては、これに縣の段階ですでに差引きされたものが出て参りましたので、私どもの資料から発表のものだけでは、減収量が幾らあるかと言うことはできないのですが、そういうような推算であります。
○小笠原委員長 ちよつとこれは皆さんにお諮りいたしますが、事務当局はやはりその範囲の事務をとつておるだけで、それに皆さんの御質問なさることは議論になつてしまいますから、この問題は大臣と政務次官とよく御相談なされて國民の要望のあることを十分取入れるような研究をしてまた近いうちに皆さんのところに委員長が回答を得て御報告して、それで今度はそれを根拠として議論する時期も、近いうちにあるだろうと思いますから、その程度でいかがでしようか。
○吉川委員 ただいまの委員長のお言葉まことにごもつともであります。私大賛成でありますが、先ほど委員長が、坂本政務次官というよりは政府に対して、これは重大問題であるから、この数字を大臣の名において取消すかどうかということを、よく大臣と相談をして発表しろとか、少くとも委員に返事をしろということを要請されました。私が先ほどお尋ねしたことについて、内容は非常に似ていることですが、一点だけ漏れている点だけをもう一ぺんお尋ねしておきたいと思う。それは委員長から要請されたものと非常に関連がございますが、これは十月一日現在の収穫予想発表であります。予想発表であるから。非常な影響がございますが、発表は発表で、してしまつたのだから、これを取消すということは、政府の対面もあるでしようから、私は特に許してもいいです。しかしそれよりは、すぐにその後に政府が予想したよりも、秋落ちのいろいろの状況があつた。そのためにその後の予想はこうだという。全委員も全農民も納得するような数字を再発表してもらいたいと思います。これについて、はつきりした御返事を願いたいと思います。
○小笠原委員長 どうでしよう。今吉川さんの問題も、一緒に委員長の要求に、書面をもつて回答させることによつて、皆さんに御通知を申し上げて、それを根拠としてまた論議する機会も近くあると思いますから、この程度でいかがでしようか。
○寺崎委員 ただいま収穫期に差し迫りまして、作報及び食糧檢査所から、坪刈り及び一反々々、一枚々々の実収額をとつております。その発表がいかに今度の供出に関連があるか、あるいはその数字をまとめて発表されるか、ただいま吉川委員の御質問と同時に、私のことに対しても発表を願いたい。
○小笠原委員長 だから同一時期でいいでしよう。
○寺崎委員 ええ。
○小笠原委員長 わかりました。
 それでは御質疑は皆さんお済みになつたようでありますが、休会中の継続審査の期間におきまして、委員各位は御熱心に多数御出席なされて、有効な、御熱心な御意見のもとに、今日まで円満に継続審査を続けて参りましたことにつきまして、委員長より各位に対して感謝の意を表します。
 それでは本日はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。
    午後一時三十四分散会