第005回国会 文部委員会 第27号
昭和二十四年八月二十二日(月曜日)
    午前十一時十五分開議
 出席委員
   委員長 原   彪君
   理事 佐藤 重遠君 理事 水谷  昇君
   理事 千賀 康治君 理事 圓谷 光衞君
   理事 松本 七郎君 理事 今野 武雄君
   理事 船田 享二君
      岡延右エ門君    甲木  保君
      高木  章君    田中 啓一君
      中山 マサ君    滿尾 君亮君
      若林 義孝君    森戸 辰男君
 委員外の出席者
        議     員 土倉 宗明君
        文部事務官   伊藤日出登君
        文部事務官   久保田藤麿君
        文部事務官   田中 徳治君
        文部事務官   森田  孝君
        文部事務官   福田  繁君
        文部事務官   佐藤  薫君
        專  門  員 武藤 智雄君
       專  門  員 横田重左衞門君
八月九日
 平澤長吉君辞任につき、その補欠として木村公
 平君が議長の指名で委員に選任された。
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五月三十一日
 新制大学六・三制問題に関する件
 教育委員会に関する件
 國宝保存に関する件
の閉会中審査を本委員会に委託された。
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本日の会議に付した事件
 新制大学六・三制問題に関する説明聽取
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○原委員長 これより会議を開きます。
 議題に入る前に一言申し上げたいのでありますが、お暑い折柄、また休会中にかかわらず御参集いただきましてまことにありがたくお礼申し上げます。
 本日会議を開くに至りましたのは、過日の理事会におきまして決定したのでございまするが、主たる目的は六・三制の予算の問題でございます。これは御承知のように本委員会の決議によりまして本会議におきまして、満場一致六・三制完全実施に関する決議案が通過いたし、院議と相なりまして、文部当局としてもこの院議を尊重して、その後極力予算の獲得に盡力されておつたのであります。非常な難関もあるようでございますが、なお現在努力中であるとのことでございますし、最近全國の各府縣に対して六・三制、なかんずく新制中学の校舎の建築状況についてその実施調査をなされ、その資料を全部集められて、それを基礎にして予算の獲得に御盡力なさつているようでございますので、この機会にその実態調査に基く文部当局の御説明を求めまして、本委員会としても、側面より予算獲得について御援助申し上げたいということから、休会中にかかわらず委員会を聞くに立ち至つたのでございます。
 それでは議題に入りまして六・三制問題に関しまして当局より説明を求めまして、あわせて委員諸君よりいろいろ当局に対して御意見を出していただきたいと存じます。
○久保田説明員 さきの議会で両院の六・三制完全実施の予算的措置を急速にやれという御決定を受けておりますのと、引続いて教育刷新委員会からも完全実施に必要な予算的措置をやれという決議があり、それにこたえますため、予算的措置としてその院議に沿い、また國民の要望にこたえるためにも、第一番に着手いたしましたことに、見返り資金の中で、幾らかの資金を貸していただいて、現に地方で、國家的意味の予算的措置ができておらねにもかかわらず、やむを得ざる必要から現に校舎を建築しているような場面に、ぜひ早く融資をしたい。また一方失業対策の面から見て、都会地でそうした関係を早く促進させて、失業対策の線にも沿う機会を持ちたいということで、安本を通じ、大藏省の関係を通じてESSの方に活を持込んでおりましたが、担当者が國に帰りました関係やら、失業対策の関係が今留保されております関係で未決定でおりまして、一應たな上げのような状態に置かれてあります。
 たまたまいま一つの問題、從來やつて來ましたこの六・三関係の予算要求は基礎が非常にしろうとわかりがしにくいと申しますか、また一方地方の要求に過大な分があつたというような決議の面を多少発見いたしておりますので、嚴格な、しかもまことにもつともだと皆さんに理解納得していただける実態調査に基いた基本的な基礎を持ちたいと考えまして、その後各地方にもたいへんな御迷惑をかけて、一應私ども完全だと考えますような基礎資料をつくり上げましたので、委員長の方にもお願いし、理解あるおはかりをいただきまして、本日の会合を持つていただいたわけでございます。これによりまして、基本的な数学に基いた私どもの本年度当面の予算要求、さらに引続いて來年度の予算関係を早急にきめなけらばならぬ段階に時間的に参りましたので、その点を何分の御指示を仰ぎたいという意味で、一應の案、一應のケースをただいまお手元に配付しておるわけでございます。これに基きまして一通りの御説明をさせていただこうと考えたのでございます。
 ただいまお手元に差止げてあります資料のうちの長い一枚紙で、「校舎狭隘な学校に於ける不正常授業状況の一例」というのがあるわけでございます。たとえばこれは全國のいろいろな関係の中から、ごくわかりやすいような例を幾つか拾い上げて御参考に書いたのでございますが、一番最初は茨城縣東茨城郡渡里村の状況でございます。その学校では現在六百二十四坪の從來の校舎を持つております。それから生徒が現在二千二百六十人おりまして、それを現実には六百二十四坪では絶対に收容できませんから、とりあえず東部三七部隊の兵舎等を廣い建物を借りて、そこで現在七六%といつた程度の教室授業で不完全な授業をやつております。その学校がとりあえず現在その子供たちに校舎を提供しておる様子は一人について〇・二八坪といつた状況であります。
 その次の島津縣の仁多郡馬木村、これは二百十五坪という校舎しか持つておりませんで、これでは六百六十八名の生徒の收容ができないわけでございますので、五十四坪の蚕の飼育所を借りて、そこで授業を四一%といつた低い程度の利用率でやつとやつておる。その状態は一人当りが〇・三二坪の関係になります。
 その次のは、お寺を借りております。平均一人当りが〇・三八坪へその次のは共同作業場、それからタバコの收納所を借りて、約〇・四坪の利用率をいたしております。
 その次は北海道の例でございますが、これはまつたく仮教室で、そういうものがないので、一年から六年まで中学校の生徒も全部二部教授をやつて学校の不足分を補つております。その次のは公会堂を借りてその不足分を補つておる、こういう実例を拾い上げたわけであります。
 こうした状態の個々の学校を高等学校以下の学校一切の個々について全部調べ上げました結果を一番下の「六・三制教育施設の実施(速報)」と書いたものにとりまとめた次第でございます。これの最初の第一の問題は、全國の学校がどれだけあつて、全國の生徒が今どれだけある。こういう関係を一應押えました。
 その次をめくりますと、現在それぞれり学校が持つております学校の保有面積、小学校、中学校、高等学校のそれぞれの面積を全部洗い上げたという数字でございます。
 第三に行きますと、その第一、第二の基礎によります各学校生徒が一人当りどういう基準でその学校の校舎を利用しておるかという関係の図表でございまして、そのうちの一番最後のところに「應急最小標準面積」というのがございまして、小学校で申しますと、〇・七、中学校も〇・七、これが私どものここで取上げた基準でございます。これに先ほど申しましたように、まつたく校舎がなかつたり、仮教室で、たとえば〇・三とか〇・四とかいつた程度の現在の学校を、何とかして〇・七の線まで持ち上げて來られないか。〇・七と申します数字は、この六・三の関係が始まりますとともに、これの対象の面積として一教室三十五坪、五十人でございますから、そこで〇・七という数字が一應基本になつて來ておるわけでありまして、この〇・七に、ただいまそのうしろにあげておきましたアメリカの学校の場合を考えますと、ちようど半分にしか当らない数字でございます。しかも先ほど申し上げた非常に困つておる学校の例で申しますと、ややこれの倍に持つて行こうという数字なのでありますが、それをだんだんと引上げて行きまして、その次にはそれを〇・八五まで持つて行きたい。その次には一人一坪の線まで持つて行きたい。その場合にも下の図表に示しておきましたように、講堂なり室内体操場といつた種類のものを含めて、まず一人一坪の線まで持つて行きたい。その次には一・二の線まで持つて行けば一應理想型になる。こういう考え方の基本をここでお示ししたわけでございます。
 以上のような基礎におきまして現在の学校を洗いました結果が、次の表の「基準段階別の校舎現有面積の実態」というものに表わしたわけでございまして、それの最初のところに、應急最低基準に達しないもの、ただいま申しました〇・七に及ばない市町村の單位数が千九百七十二ある。この千九百七十二の市町村に対して應急の手当をして行けば、ます〇・七の関係における子供たちの教室が一應保有させられる、こういうことになるわけでございます。それによつて一應助かる小・中学校の子供たちが四百七十九万八千九百二十二、これだけの子供たちがその恩惠を受けられる。さてそれでは千九百七十二の町村よりはいいけれども、從つて〇・七坪よりはいいのだが、それ以上に、〇・八五に達しておらものが四千七百七十九町村ある。その次に〇・八五には達しておるが、私どもの一應理想型と言います一人一坪の線に及ばぬものが三千三百九十四ある。たまたま講堂なり雨天体操場なりそうしたものを持つておるがゆえに、一應一坪越えておるものが全國では一千八十五箇町村ある。こういう形の関係を表わしたわけでございます。
 そこで千九百七十二單位の市町村のそうした学校を、こういう考え方でその面積をこれから補つて行こうと考えるのかという問題に対しての、その次がそれの答えでございます。それにここに書いてございますから、ごらんいただくとわかりいいと思いますが、現在市町村の持つております学校の建物の中で、それの最低基準を押えて、それから出て来た余裕の面積は小学校にでも中学校にでも融通をさせるのだという面積があるわけでありますから、これも一應の基礎に置く。その次には現在持つております面積のほかに、今年の戰災復旧なり、震災復旧なりで一應増加する見込みの面積のものも当然これはふえるわけでありますから、これも差引く。そのほかにわれわれの考えております〇・七坪をその生徒にかけた最低の坪数、これだけの計算をそこに置きまして、差引き残つた坪数だけを〇・七に引上げるについて必要な面積だ、こんなふうに計算をいたして來たわけでございます。それにあとこまかい線がございますが、後ほど御説することにしまして、そうしたこまかい個々の計算に基いた面積を出して來て、それに対してその全國の計算を出して來ましたものが、この星の打つてあります人のところで四十八万三千三百三十八坪、これが全國について千九百七十二町村の学校に対して、應急に措置をしてやらなければならぬ総面積になつて來るわけでございます。それに対しまして次のページの一番上にABCと例をあげておりますが、同じ一つの市町村の中にありましても、事実上流用の不可能な場合が一應考えられます。
 その次にはずつといなかの方あたりでたまたま分校の教室、学校というようなものをつくらなければならぬ事態のものが相当ありまするが、それらのものは五十人の計算で一学級をつくらせることになつておりまするけれども、たといその数は三十五人といつたような少い数であつてもそこに一クラスなりの学級だけをつくつてやらなければならぬ場面が起つて來ます。それから第三の場合には事実上古い建物とか現に軍の施設なんかを利用しておるというような場面なんかで、坪数の計算では一應出て來たわけでありますが、実際の利用率はそうは行かないといつたようか場合を一應考慮に入れますので、先ほど申し上げました全國の総坪数が四十八万二千坪でありますが、それに約一〇%、一割近いものの加算だけは見てやらなければならない。そういうものを加算して行きまして、一應そこへ出しました数字が五十三万一千六百七十二坪、これだけがただいま当面の私どもの要求として措置させていただきたい、数字になつて來たわけでございます。
 ところがさいぜんから申し上げておりますように、まず〇・七に引上げ、引続いて〇・八五に引上げ、さらに一人一坪の線までに引上げて行く、この全國的な措置を段階的にいたしましたトータルの数字は、六のところにあげております四百万四千三百十四坪、こういうトータルの坪数が出て参ります。その中でまず應急の〇・七にまで引上げます数字が五十三万一千六百七十二坪、それの差引になります三百四十七万二千六百四十二坪、これが來年度からの年次計画でもつて解決したい坪数ということになるのでございます。
 ここで一應ごくわかりやすくするために、明年度からの五箇年計画にそれを割つて行きますと、約六十九万四千坪が平均の坪数になりまして、それを資金面に置きかえてみますと、トータルの四百万坪に対しますものが、これを補助金を半額にし、起債額を半額に置きました数字でございますが、三百九十三億九千万円、こういう関係になるのでございます。これの單價の置き方も一方建築をしながら、一方建物の古いのがまいつて行く。また六・三制の実施に始まつて建てて來たはずの新しい建物ですら、現実にはもう相当まいつております関係もございますので、せめて全体の五%だけは鉄筋コンクリートのものを認めて行くわけににいかぬか。その計数をそこに一應入れまして、その單價を二十五年度から加えて來ております。その結果出て來ております数字が、またとりあえずの分につきましては坪單價が一万七千七百五十円、そうした鉄筋コンクリートの分を五%計算に加味しましたものが、一坪一万九千九百六十九円、こういう引算でトータルを出して來ております。
 さしあたつて一應御檢討いただきたいことは、本年度のまず應急に措置したい千九百七十二箇町村に対します分はこれでよろしかろうが、第二段はトータルの四百万坪を私どもはわかりやすくするために、一應五年の継続事業という形で、均分の形で出して來ておりますが、ここらについての何分の御指示を仰ぎたいわけであります。先ほどの御質問にお答えいたしまして、個々にわたつては後ほど御説明させていただこうと思いますが、一應終ります。
○伊藤説明員 六・三の問題につきましては、かねがね皆様の御配慮をいただいております。私どもといたしましても当面の最も重要な問題の一つとして、非常な決意をもつて仕事をいたして参つておるのでございますが、先ごろの議会以後の政府のやつて参りましたことにつきましては、ただいま局長から一應御説明をいたしたのでありますが、なお私から多少つけ加えましてお話を申し上げておきたいと思うのでございます。
 先般の議会に院議で、できるだけ早い議会に六・三の補助金を計上するようにという御決定をいただいたのでありまして、政府といたしましては、この点非常に心に銘じまして、われわれといたしましてもその最も早い機会をねらつておりましたところが、先ほどし上げましたように、見返り資金の問題で一應機会到來と見て、これに約十五億の金を計上いたすことを閣議決定いたしまして、関係方面と折衝いたしておるわけであります。これにつきましてはただいまも申し上げましたように、関係方面の当局者が今ちよつと不在であるということ、並びに見返し資金の査定は、御承知のように事項別に一つずつきめて行くという方針をとつておりますので、今日に至りますまで、まだ関係方面との折衝が終つていないのでございます、なお政府といたしましては、だんだん臨時議会も迫り、また明年度の予算も決定をいたして参らなければならぬというような段階に参つておりますので、この月の中旬に明年度の予算の編成方針を閣議で決定いたしたのでございます。この中にも公共事業の使用方針の中に、教育施設の整備を重点を置いてやるということを特に記載いたし、そういう方針を樹立いたしまして、院議の方針に沿いたいという態度をとつて参つておるのでございます。從つて政府としては明年度の予算にはぜひ六・三の補助金を計上したいという覚悟をいたしておるわけでございます。
 なお臨時國会には新聞等で御承知のように補正予算を組みたいという政府の腹があるようでございますが、これらについては大体御承知のように、税制との関連をにらみ合せまして來年度予算の方針に從つて、また密接な関係に立つて、今度の臨時國会に出します補正予算を組んで参るような方針を政府としてはとつておりますので、われわれとしてもぜひ臨時國会の補正予算の中に、この六・三の補助金を計上いたしてもらいたいということで、文部省としては一生懸命にやつておるわけてございます。從いまして私どもただいま申し述べました資料も臨時國会の補正予算を組みます際にぜひ利用し、それに間に合うようにと思つて實は努力をして参つておるのでございます。これらの点も十分ごしんしやくを願いまして、六・三予算の計上を、特に差迫つております臨時國会に対する補正予算の中にぜひ組んで参りたいという文部省の熱望を御了承いただき、何分の御支援、御鞭撻をお願いしたいと思つております。
○岡(延)委員 ただいま伊藤次官の御説明中に伺いましたが、十五億円を見返り資金の中から支出するという閣議決定、これは見通しとしていかがでございましようか。すでに関係方面の了解を得たとか、そういう点について……。
○伊藤説明員 この点については、ただいま申し上げましたように、今日に至るまで未決定なのであります。しかしこれから先はただ私の私見でございまして、たいへん恐縮でございますが、御承知のように見返り貸金の本來の性質から考えまして、これを六・三の補助金に持つて行くということはよほど困難じやないだろうかという感じを持つのでございます。しかし私どもとしては、先ほど申し上げましたように、両院の御決定もあり、とにかく早い機会にあらゆる機会をこのために使いたいという気持で、見返り資金に計上を願つておるのでありまして、できるだけ努力はいたして参りたいと思うのでありますが、見返り資金の本來の性質その他の事情から考えまして、よほど努力しなければ成就しがたいのじやないかというような感じを抱いておるのでございます。
○今野委員 今度文部省でこういうような調査をなされて出されたことは、たいへんりつぱなことだと思いますが、ただ私、念のためにこの計算について少しお伺いしたいと思います。それは当初に六・三制のプランが出されたときのものを拜見いたしますと、やはりこういうふうに坪数がどのくらい、今まで轉用できるものはどのくらいということでやつておるのであります。それで轉用できるものというのが非常に怪しかつたのだろうと思いますけれども、そういうふうにやつたために、あとで非常に大きな見込違いができたのではないか。そのために昨年作成されて二十四年度の予算請求の基礎にされた案は、数字の上に非常に大きな狂いが出て來た。当初は七万二千九百の教室を建てればよかろう、ところが今度は十三万九千というような非常に厖大なものにふえて來ておるのであります。こういう点の心配が今度の計画についてないかどうかということを考えてみますと、大体現在の教室についての調べは非常に嚴密に行われたようでありますが、ただ單に計算をしただけでなくて、あとで一割をふやすというようなことでいろいろな調整をはかるという考慮も行われておるのでありますが、しかもなお何かしら数字の根拠が十分はつきりしないのではないかという点もあるわけであります。第一は一般公式とそこに称せられて書いてあるところによりますと、應急の最低基準面積というものを出して、それから中学校については現有面積とかいうものを差引いておりますが、こういうものは半端なものは建てておらないはずでありますから、必ずしも最低必要だけで建てておるわけではありません。戰災復旧にしてもそうであろうと存ずるのであります。從つてこれはやや大き目のものになつておると考えてさしつかえないと思うのであります。そういうのは引き去つておる。それから高等学校の余裕面積につきましても、これもあまり半端なことはできないということになると、この計算によると、多少とも大きな数字が引かれておるのではないか。そうすると建設必要面積というものは、第一には應急面積という中が、これは半端な校舎は建てられないということから、非常に少な目になつておると考えなければならぬ。それから引き去るものが大き目になつておるから、かなり大きな誤差が実際の間に生ずるのではないか、こういうふうに考えられる。そうしてわれわれのいろいろな計算の場合に、そういう誤差をこの程度のことで一割と見てよろしいかどうかということについては、一割ということではとても済むまいということがいろいろな計算から言われるわけであります。しかもこの一割の内訳を見てみますと、通学距離の点とか、あるいはそういう点も含まれておるのでありまして、必ずしも今言つたような誤差を埋めるという問題でもなさそうであるし、そうすると一割を増したということだけでは、とてもむずかしいのではなかろうか、こういうようにも考えられるのであります。もしそうだとすると、あとでまたこれじやぐあいが惡いというので予算を請求して、いやそれはもうできたはずだということを言われてしまうと、たいへんまずいように思うのでございますけれども、その点はいかがでございますか。
○久保田説明員 ただいまの今野委員のお話、まことにに御親切で、まことにありがたいと思うのでありますが、今度はこの表の一番うしろに御参考のためにそれをつけておいたのでございます。これによつて各町村の一校々々に洗つてございますので、今野先生の言われるような誤差の部分が多少あろうかと思いますけれども、從來われわれが犯しましたような意味の誤差は、まず先生がお考えなほど過大に見なくてもよくはなかろうかというふうに考えております。それから約一割の計算の中のABCと出しましたCが、いかにも利用價値がないというふうに読めたのかもしれませんが、これにもただいまお話のような意味を多少含めたつもりでおります。
 それからいま一つは、これからの本年度の措置がこうだ、來年からの措置がこうだということがきまれば、市町村の方では從來國の補助とにらみ合せてではありませんが、大げさに申せばいささかそれを度外視した意味のことも事実やつてくれておるのが現状でありまして、ただいまおつしやるような懸念は全然皆無であるとは申せませんが、從來犯して來ましたような程度ではまず起り得ぬであろうというふうにお考えいただけばよろしいのではないかと考えております。
○今野委員 その点は私の方に資料もありませんし、そういう御説明を承るにとどめておきます。
 次に金額でありますが、ただいまのお話によりますと、大体十五億ということでありますが、これで見ますと、約五十億とまでは行かなくとも、大体四十七億幾らというものがあるわけでありますが、これはさつきのお話の中では補正予算でこれだけを出させよう、こういことでありますか。
○久保田説明員 この一割の数は、これは実は非常に急いで、本日はここに間に合せるために約一割という数字を押えて参りましたが、いずれ清算をいたしますので、個々の学校について計算していただいて、その結果一割が一割よりももう少し出るかもしれませんが、そういうように清算をしておることを追加させていただきます。
 それからこの四十七億は、できますれば補正予算できめていただきたい。なぜならば次の議会ということになりますと、寒い地域――日本全國そうでありますが、ことに寒い地域の工事は事実上できなくなつてしまいますので公共事業の性格から見て、できれば補正予算で全額きめていただけば、まことに仕合せだと考えております。
○今野委員 それから現在やむを得ない事情で、学校をあつちこつちで建てておる。それで補助がもらえないで困つておるということがあるわけであります。それが必ずしも最低基準云々には当てはまらないかもしれませんけれども、事実いろいろな事情でそういうものを建てて、そうして國庫の補助が出ないために非常に困つておる、こういうところについては、どういう考慮が拂われておるか。すでに建ててしまつた、あるいは建てかけておるというようなものについては……。
○久保田説明員 多少つつ込んだ話になるわけでありますが、事実公共事業ということから申せば、でき上つたものに対しての補助関係は一應いけないということになつておりますが、一應本年度内の分は予算的な措置がこういう関係になつたということのために、ぜひこれは別な意味での閣議決定をやつていただかなければならぬ、また法的な措置をしていただくなりいたしまして、その分からこの方のカバーができるように措置したいと思つております。
○岡(延)委員 先ほど文部次官は十五億の見返り資金の今後の見通しに困難であるということを申されたのでありますが、実は私は数日前池田大藏大臣と懇談する機会があつたのでありますが、その際大藏大臣は、これらの全般的見通しについて、特に六・三制問題の全般的見通しについて、関係方面がなかなか理解をしてくれない、今日の段階においては國家の支出は一銭一文といえども経済復興、國家再建のために用うべしという固い基本方針が立てられておる、こういうお話であります。また今の今野君の質問及び久保田局長のお答えにも関連しておりますが、関係方面の方針としても、とにもかくにも無理算段をして寄付金なりその他によつて担当の校舎ができておるではないかというようなことまで申しておるそうでありますが、これは実際われわれが地方監察し、あるいは自分の選挙区に備つた結果、ずいぶん六・三制問題の深刻なることを承知しておるのであります。なるほどそれはできておるかもしれません。しかしながらそれは寄付による、それはまだよい方でありまして、個人からまで借金をして建てた、こういうことのために非常にその実施責任者である市町村長は責任を感じて、あるいは首をくくつた町村町もあり、あるいはそのためにやめた町村長もたくさんあり、ただリコールをやられんとしつつある市町村長もある。かような様相を呈しておる状況でありますから、でき上つたものに対しては公共事業費というものは充当すべきではないというような原則論は、格段の考慮をしていたたかなければ困るというふうに私は思うのであります。かたがたこの深刻なる様相をよく関係方面においても理解していただくように、当局において特別の御努力をしていただきたい、かよに私は思つております。
○原委員長 ただいまの岡君の御質問でありますが、六・三制の決議案にかんがみまして、当委員会としてもこの予算獲得には当局に御協力を申し上げることにはやぶさかではないのでありますが、第五國会終了後当局の関係方面に対する折衝の経過、それから十五億を望んでおられるようでありますが、その十五億の基礎、十五億ならばどの程度の校舎ができるか、その内容をひとつ御説明願いたいと思います。
○岡(延)委員 その前に公共事業費はでき上つたものに対しては充当しないというその原則に対して特別の考慮をしていただきたい。その点についてもひとつ御当局の御答弁をいただきたいと思います。
○久保田説明員 公共事業費がこれらの事業にだけしか使えないという式の扱い方は、実は閣議決定でできております。その点本年の公共事業取扱い要領という程度のものでありまして、関係筋の監督がそれに対して嚴重であるということが事実の傾向がございますので、本年度のような予算措置はこういう事情であつたということが確認されて、しかもこの予算が認められる限りにおいては可能なる相談だと考えております。
 それから十五億の金額でどれくらいのことができるのかというお話でありますが、一應それでにらみました教室が二千五百九十六教室でございまして、坪数になおしますと九万八百六十坪でございます。しかもそれの地方への配分関係は北海道から中央、九州までの全國にわたりますが、その中の最もひどい関係の分をまずその中から拾い出そう、今度やりました千九百七十二の單位の中からまた拾うという形にならざるを得ないかと考えます。
○原委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○原委員長 それでは速記を始めてください。
○松本(七)委員 伊藤次官のお話では、見返り資金からの流用は非常にむずかしいということでしたが、今後予想される見返り貸金だけを今当てにされておるのか、それともほかに何か引出すべき財源を考えておられるのか伺いたいと思います。
○伊藤説明員 私どもといたしましては、あらゆる機会を考えておるのでございますが、何といたしましても、補助金を出すという点については、予算に計上する以外に手はない、これはただいま申し上げましたように、今度の補正予算にぜひ組むようにいたしたいという希望を持つておる次第であります。その他貸付金につきましては、この見返り資金のほかに、預金部資金についての折衝も事務的にいたしてみたのであります。しかしこの方はいろいろ話合いをしました結果、見返り資金よりももつと困難である実情になりまして、見返り資金の方もやる、それから今の預金部資金の方の融資の問題も取上げるといつた二筋道は、かえつて事務的な折衝の上に損であるというような見解に到達しましたので、とにかく補正予算の組まれるまでは、この見返り資金一本やりで行こうというので今日まで進んで参つておるのでございます。
○原委員長 ただいま土倉君から発言を求められておりますが、土倉君は委員外であります。発言を許すことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 それではさようとりはからいます。土倉君。
○土倉宗明君 ちよつとお伺いしたいのですが、ここに示されました貸金計画の備考の、木造が九五%、鉄筋コンクリート五%、これは二十四年度としての單價は坪当り木造については一万六千円、鉄筋コンクリートが四万円という計画になつております。二十五年度以降の木造については一万八千円、鉄筋コンクリートは四万五千円と、かなり値上りと申しますか、この資金計画の根本はデイス・インフレを建前としておりまする政府の立場から、これだけ二十五年度以後物價高になるというお見通しのこの資金計画の面は、かなりこれだけについても大きな議論があるのでにないか、こういうふうに思われまするが、これにやはり一万八千円と見込まれたならば、木造においては一万八千円、コンクリートにおいては四万円というふうにすえ置かれて資金計画を立てられたらどういうものか、こういうように私は思うのですが、御見解を承りたいと思います。
○久保田説明員 これに一應お説の通りでよろしかろうと考えたのでありますが、安本の方に一應單價の計算を相談いたしましたところが、例の給與ベースの問題とからみまして、一應こういう数字で出しておいてくれということで、これに安本の計画に從つたものでございまして、またこれを清算いたします時分には、もつとつつ込んだ計算をしなければならぬと考えております。
○今野委員 今の経費の問題ですが、この二十四年度の木造の経費に二万円という話だつたように思いますが、これが一万六十円となつているのはどういうわけですか。
○久保田説明員 当初本年度の予算をこしらえます当時に4万円でありまして、本年度できました公共事業の木造関係の単價は一万六千円という形にでき上つております。
○原委員長 ほかに御質問はございませんか――それでは暫時休憩しまして、午後より開きたいと存じます。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時二分開議
○原委員長 午前に引続き会議を開きます。
○千賀委員 午前中に六・三制の予算につきまして、詳細に予算編成方針、その他の説明を受けました。大体われわれも文部省の企図しておられるところに共鳴をいたします。われわれといたしましても、もちろん足らざるを各方面において深刻に体驗しつつあるので、ぜひとも文部省の既定方針を強力に推薦していただきまして、われわれもまたこれに協議することを惜しみません。大いに予算獲得に清進をしていただきたいと思います。
 いま一つ土倉議員の方からも若干御意見が出ておりますが、今までむりをして、あるいは個人の手からお借りをしてまでも校舎をつくつてしまつたような町村は、將來の教育の補助がその方に行くか行かないかということについて相当疑問があるらしいのでありまするが――よその縣は知りません、少くとも愛知縣におきましては政府を信頼いたしまして、おれたちが先に何かをしてやれば、政府はあとで必ず見てくれるのだということに無形の信頼、無形の併用をつなぎまして、どの町村もむりをしてやつております。これが一切先にやつたんだからお前たち金があつたはずだどいつて顧みられぬということになりますると、將來つくり遅れたものを、金をやつてつくらせてやるよりも、全体の結果といたしましては、國民精神に及ぼすとこるあるいは國民の政治に信頼するかいなかの度合いを深くするか、しからざるか、かような観点から考えてみますると、むしろ今までつくつたものを放擲しますことに非常に影響が多くて得るところが少ないのであります。愛知縣の例におきましては何としても今までつくつたもの、政府の補助を目当てにつくつたもの、それには報いてやらなければなりません。むしろつくり遅れたところを將來はやらないんだということを声明して、とうとうそれができなくなつてしまう。その総合的な害惡よりも、やるからといつてつくつてしまつたが金が來ない。この結果の害惡の方がはるかに國民精神に及ぼすものは大きいことを私は確かに知つております。かような点で、すでに工事を完了したもの等に対しまして、絶対に冷酷な取扱いをしないという立場から、これは両々相まつて將來の御研究を願いたい、こういうことを切に希望をいたします。
 それから次には六・三制の問題とは全然別であります史跡名勝天然記念物一覧表をいただいておりますが、これについてひとつ伺つておきたいことがございます。それはこの史跡名勝天然記念物の指定物、あるいは指名場所を新たに増加することは、縣議会等によつてやることと、あるいは縣に史跡名勝天然記念物の委員会がありますが、その委員会にのみよつてやり得るのか、中央の方で、あるいは國会等が何懸では幾つふやせとか、どういう種類のものをどこにふやせとかいうことの示唆を與えたならば、それがたやすくできるかできないかということであります。なぜ私がこんな質問をするかというと、日本の漁業問題でございますが、現在に日本の漁業水域というものは非常に戰前に比べて縮小されまして、支那海のほとんど全部もいけません、太平洋の大部分もいけません、北氷洋の方もだめになつております。戰前の何分の一というような、すこぶる貧弱な面積になつておるのでございます。これを連合國等に対しまして、あの手この手でふやしてもらいたいということを運動いたしましても、一向これが思うようにふやしてもらえない現情であります。さればといつて、このままにわれわれの持つている現在規定せられている水域の中で、いかに漁業に精を出しましても、その中に包蔵されている魚の量というものは限りがありまして、ただそこで濫獲をすれば魚かなくなつてしまうということのみであります。ほとんど漁業の方面は、その対象といたします。水族、魚族の方面から、日本の漁業は崩壊しつつある現状であります。これを打開いたしますのには、何といつても今さしとめられおります水域を、連合國の理解を得まして漁業区に編入させてもらう、これよりほかに手がないのであります。ところでここに一番大きな支障となつておりますのは、日本の漁業はいわゆる原始掠奪漁業であつて、魚を目に当つたもの、網に入つたもの、およそ生きとし生けるものをすくいとつてこれを利用することだけは日本の漁業の特徴でありまして、その人間が必要とする魚族を、またときに大いに保護してこれをあふれるほどふやしてやり、そのふえ過ぎるものを人間が利用して行こうという、いわゆる自然と人間との調和について、日本民族というものは一向に配慮をいたしておらない。この点が先進諸國からたいへん惡感情をもつて迎えられておりまして、日本人の漁業水域をふやしてやることはいわゆる世界の天然資源の枯渇になり、またこれの荒廃に帰する以外の何ものでもない。ただこういうような考えを持たれておることが今一番大きな障害になつております。そこで私は本委員会にかわつて参りまする前は、水産委員会におりまして、このことを水産委員会においても強く提唱をいたしたものでございまするが、法律上の措置によりまして、日本の漁業にいわゆる幼魚、稚魚を殺戮するような漁業を禁止するとか、あるいは大幅に繁殖物等を指定してその区域の禁漁を指定するというようなことも、非常に必要でありますけれども、ここまで病膏肓に入つた日本の漁業を根本的にに今申し上げたような取扱いをして面目を一新するということは、言うことはやすいのでありまするが、実際問題といたしましては、何年の後に達成するか、十何年の後か、何十年の後か、ほとんどこれは難事中の難事に属するのであります。そこで一つの便法といたしまして私が常々考えておりますることは、たとえば房州の鯛ノ浦におきまする鯛の群棲地または伊勢の五十鈴川におきまする――あれは宗教上の関係でありますが、すべて一河川の完全禁漁によりまして、あゆその他はや等の有力な繁殖場になつておる、かようなもの、岐阜縣の一部にはうなぎの同様な名所もあります。こういうようなものが今までは宗教上の目的によつてのみ若干ほほえましいいろいろな名勝が日本の中に残されておりまするけれど、これを特定の魚族の繁殖場というようなことで名勝天然記念物等にある区域を指定いたしまして、少くも法律的にこの操作完成して來るまでの暫定措置といたしましても、日本中各水域に淡水といわず海水といわず相当に廣範囲に多数の各魚族の繁殖地等を保護することができまするならば、これは一石二鳥の効果をあげることになるのであります。かような意味から今中央におきまして史跡名勝天然記念物等を各府縣に随時にふやしたいというような場合に、一体これがただちにできるものか、縣の委員会を通じてのみできるものか、その点の御見解を承りたいと思うのであります。
○森田説明員 初めの方の問題は、御希望のようでございましたから、大臣によく申し上げまして、できるだけわれわれ予算をとるように努力をいたしたいと思います。
 第三の史跡名勝天然記念物でありますが、御承知のように史蹟名勝天然記念物保存法というものが大正八年にできております。非常に昔の法律でありますので、新しい時代に即應するように改正の必要に迫られておるのでありますが、その際千賀委員からお話のありましたような趣旨もまた考慮せられることがあるかとも考えられるのであります。ただいまこの法律を見まして考えられるのは、史跡名勝はそれぞれ史跡としてあるいは名勝地としてあるいは天然記念物地としてそれぞれの指定せられる委員会の見解というものがあるのでありまして、それぞれの立場と今の水族保存の立場とは、おのずから立場もまた見解も違うことあるかと考えるのであります。從いましてこの法律の改正の場合に、お説の意味は十分に考慮に入れることにいたしたいとは考えておりますが、さような魚族の保存というような点についての考慮を全面的に入れるかどうかは相当疑問がありはしないかと考えております。なおお話の中に地方において單独でこれがなし得るかどうかというお説がありましたが、史蹟名勝天然記念物保存法の第一條には史蹟名勝天然記念物の指定は主務大臣がこれを行うことになつておりまして、急を要する場合においてその仮指定を行うことが知事にまかされておるのであります。從つて知事は一應指定はできるのでありますが、終局においては主務大臣、ただいまは文部大臣になつておるのでありますが、文部大臣の指定を要するというふうにこの法律においてはなつております。ただ地方分権化の進んでおります現在おいて、大正八年制定の法律をいかに現在の行政の趨勢に從つて改正すべきかということは、われわれの方もよく研究をいたしてみたいと考えておるのであります。
○松本(七)委員 六・三制の予算の問題と並んで定員定額制がこの前の第五國会で審議されたのですが、あの当時文部省の方の御説明では、教員の整理を行う必要はこれによつて起らないということが、はつきりと言われておつたと思う。その後各地方で非常に整理の問題が現在起つておる。特に福岡縣のごときは一番被害が大きいように思いますが、どういうところからそういう欠陥が現れて來たのか、文部省の初めの計算のどこに間違いがあつたか、これからこの問題をどのように処置して行こうとせられておるのか、その点を承りたいと思います。
○森田説明員 お答えいたします。ただいまの定員定額制の問題については、実は明日の会議において御審議を願うということを伺つておりましたので、本日その主任の係官が参つておらたないのであります。本日帰りまして傳えまして、明日の文部委員会でお答えいたしたいと思います。
○松本(七)委員 それは地方自治廳から地方長官あてに出されておる通牒が各地方自治体において定員制以上のものを採用してはいかぬというような通牒が出たのであります。それを問題に特にとり上げて地方自治廳の方にも出ていただくということになつておつたと思うのですが、文部省としての今までおやりになつた処理方針などはおわかりでないのですか。
○森田説明員 その点についても、あわせて明日お答えいたしたいと思います。
○松本(七)委員 それでは、その次の問題は高等学校の学区の問題ですが、新制高等学校に学区制がしかれた、しかもそれが統一的な方針というものがきまつておらないために、方々で混乱が起つておるように思われます。たとえば特に希望者の多かつた今までの旧制中学校で、それが学区制になつたためにやめて、他のところに行かなければならぬ。ところが別な指定された学校に行くとなると、そこでは設備が不十分であるというような問題が方々に起つております。こういう問題に関しては、一應在学しておる者は現在の学校でやつて新しく入る者から学区制をとるというような一定の方針をきめられなければ、いろいろな混乱が起ると思うのですが、そういう点についての見解をお聞きしたい。
○森田説明員 この点については、いずれ詳しくは明日お答えをいたしたいと思いますが、ただ私の知る限りにおきましては、各地方において関係方面の指示がまちまちであるそうでありまして、各地方からもこれが統一的な処置並びに行き過ぎに対しての警戒を要求しておる声が相当強いのでありますが、目下この点については、これが緩和策並びにその基準の設定につきまして関係方面と協議中でありまして、いずれ近いうちにはつきりした処置がとられるのではないかと考えております。
○松本(七)委員 ではこれも明日もつと詳しい御説明を伺うことにいたします。
 次に高等学校設置基準の暫定案を現在行つておるわけでありますが、これがいずれは正式基準法規として提出されるだろうと思います。その傳えられる案によりますと、この教職員の定員数で從來の甲乙両表というものが抹消され――特に定時制夜間課程を含みますが、この定時制の定員数が非常に減員になる。もしそういうことになりますと、現存でも相当学校運営に困難を來しておる状況にあるのに、これが実現されれば勤労青年の教育向上には一大支障を來すのではないかということが憂慮されるわけです。全日制に比べて、こういうふうに定時制というものが第二義的な立場に置かれることになりますと、せつかくの教育の機会均等というものが減殺されるという遺憾な状態になると思うのです。こういう点が一つ。
 もう一つはこの新しくつくろうといわれておる高等学校設置基準によると、いわゆる主事というものをなくすることになつておるようです。特に夜間課程で高等学校の校長が全日制、定時制の両課程を兼務しておる場合、晝夜遺憾なく職務を遂行することが非常に困難であるということは当然言える点であります。勤務の点から申しましても、晝夜十二時以上の勤務は、とてもできるものではない。だから夜間においては、どうしても校長にかわつて主事がその仕事を代行するというようなことを現在やつて來たのでありますが、この主事制がなくなることによつてどういう結果を招來するかという点を考えてみますと、やはり主事というものは存続しておく必要があるのではなかろうかと考えます。こういう心配が全國の夜間高等学校教育連盟あたりでは非常に憂慮されておるようです。これに対する方針を伺いたい。
○原委員長 ただいまの松本君の御質問に対しては、大臣、次官はちようど司令部に行つておられますし、また担当官も出席しておりませんので、明日御質問を継続していただきまして、答弁いたさせるようにいたしたいと思いますから、御了承願いたいと思います。
○松本(七)委員 それでは残りのものも全部明日にいたします。
○原委員長 さようお願いいたします。
 それではこの際ちよつとお諮りいたしますが、六・三制の問題につきましては、文部当局も熱心に実態調査をされた結果を今日御報告になつたのでありますが当委員会としましても、この予算獲得ということは、政府にまかせて傍観することはできないのでありまして、司令部との折衝その他についてはひとつ理事の方に御一任願えないでしようか――よろしゆうございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 それでは六・三制の予算の問題について今後の折衝等については、理事の方に御一任願つたと了承いたします。それでは理事の方とお打合せの上いたします。
○岡(延)委員 この点もあるいは大臣、次官等がおられないのでお答えできないかとも思われますが、議会担当の總務課長がおられますので、できればお伺いしたいのであります。來るべき臨時國会は文部省が提出しようとしておられる確定的でなくてもよろしゆうございますが、これこれくらいのものを出そうと思つておるということをお答えいただければ、われわれ委員としての心構えとしても参考になり、かつまた今日お答え願うことができますれば明日の委員会はそれについて何らかの予備知識を得られる。そういうことを考えますので、もしおさしつかえのないところをお傳えいただければけつこうだと思います。
○森田説明員 ただいま考えております次の臨時國会に提出する予定の法案といたしましては、五つほどあります。しかしながら最終的に提出するかどうか確定をいたしていないのがあるので、その点御了承の上お聞き取り願いたいのであります。第一番は教育委員会法の一部改正、二番目が國立学校設置法の一部改正であります。第三が公立大学の職員法であります。第四番目が私立学校法、第五番目が私立学校法の施行に伴う法律の整備に関する法律であります。そのうちで最後の私立学校法と私立学校法の施行に伴うところの諸法令の整備につきましては、御承知の通りにシヤウプ・ミツシヨンの答申の関係その他もありまして、なお臨時國会は提出することが確定をいたしかねておるような次第であります。その他の法案につましてはただいま着々準備を進めつつありますが、内容的にはまだ関係方面との折衝の余地もありまして、この席で詳しく申しあげることができないのははなはだ遺憾に存じます。國立中学校設置法につきましては、定員の関係につきまして若干の改正がある予定になつております。それから二番目はこの前御制定を願つたときに実は留保はなつておりまして、法律に盛ることができませんでした商船大学の問題であります。この商船大学を、今回大体機運が熟したようでありまして運輸省との話合いもだんだんついて参りましたので、商船大学の設置をいたしたいと考えて提案するのであります。それから次の公立大学の職員法というのは今度新制大学を設置するにつきまして官立の專門学校で公立の大学、專門学校と一つになつて公立の大学を設置したところがあるのでありますが、これらの官立の專門学校において從來事務に從事しておつた人の身分関係が明確を欠いて、その点について事務上不便をしておりましたので、新しく公立大学職員法というものを設けまして、主として官立の專門学校が公立の大学に併合されて、新しい大学になつたところの職員の身分の切りかえを規定しおるのであります。それから教育委員会法の一部改正でありますが、これは御承知の通りさきに改正していただきまして、昭和二十五年度と昭和二十七年度に選挙をまとめたのであります。昭和二十五年度の選挙につきましてはなお市町村の委員会設置の範囲につきまして、研究の余地が非常にあるのありまして、委員会の運営の実績、さらにその既存の委員会の運営状況をもしんしやくいたしましてきめたいと思いましたので、昭和二十五年度すなわち來年度は市に限つて委員会を設置することができるようにいたしたいと考えたのであります。そのほか從來の教育員会法によつて教育委員会の権限の明確を欠いた点が若干ありますので、それらの点につきまして今回でき得る限りその明確化を期した改正をしていただきたいと思うのであります。
 以上が大体今度の臨時國会は提案する法案の名前とそのおもな内容であります。
○今野委員 今日お答えいただけるかどうかわからないのですが、一應お聞きしたいことがあるのであります。
 第一は、教員免許法がもう実施されるようになると思います。それについて各方面のいろいろな事情を聞きますと、特に助教の人などは免許を得るために講習を受ける。ところが山間僻陬の地においては、普通の人がなかなか就職しないのですから、あり合せのところから助教をとつておるところが非常に多いそうです、そういうところでそういう人たちを講習に出してしまうと、またたいへんさしつかえが來るというような事情を東北や北海道の方面で訴えられておりますが、こういうような実施の実際にあたつての困難を一体どいうふうに解決して行くか、そういうような点についてお伺いしたいと思います。
 その次には新制高校と新制大学の問題であります。今度は新制大学ができたのでありますが、こういうところの実施の状況によりますと、新制高校の卒業生と旧制から來た者との間に非常に大きな学力の違いがあるために同じ教室で教えていても、とても両方とも講義をすることは非常に困難である。片一方旧制から來た者は、こんな程度の低い講義は聞けないと言うし、片一方では非常にむずかしくてどうにもならぬというような実情が現在現われて來ておるようであります。これは教授の人たちからの話であります。こういうような点をよく考えてみますと、事実新制高校――私の子供も新制高校に行つておるのでありますが、新制高校の教授内容というものは程度があまりにも低過ぎる。ことにたとえば数学など教えるにしても、ある年度においては幾何だけ教える、ある年度においては代数だけ教える、選択制になつておるからでありましようが、そういうような数学教育というような点から見ても、まるでお話にならない方法がとられておる。こういうような点は早急に改善する意思が一体あるかどうか。これは新制学校ばかりではなく、一般の教育効果の問題にしても、子供や父兄にとつて非常は大きな問題になつているのでありますが、これに対して何らかの打つ手はないか、こういう点であります。
 それから第三に大学管理法の問題であります。大学管理法が今度は起草委員会をつくつて、その手によつて起草して行くというような話でありますが、この委員会の構成にあたつて、たとえば日本学術会議からも委員が出ておりますが、御承知のように日本学術会議には大学校のためにたしか第二委員会でありましたか、特別な委員会ができておるわけであります。しかるにその委員会の委員長初め委員の方々はその中に少しもとられていないで、全然別個の人たちが入つているとか、あるいはこの大学管理法の問題に対して、特にたくさんの意見を持つていたところの日教組やその他の、あるいは民主主義科学者協会とか、そういうようないろいろ團体、こういうものが非常にたくさんの意見を持つており、そのために從來この國会に対してもいろいろと働きかけがあつたわけでありますが、そういうものを代表する人たちが少しも見当らない様子でありますこういうことに対して、一体どういう事情でそのようになつたか、お知らせ願えれば仕合せであります。
○森田説明員 第一点の、新しい大学の労力の平均がとれないので、教育上非常に支障があるという点は、過渡的の現在におきましては、まことに御説ごもつともな点でありまして、私どももまた同様な声を聞いておるのであります。しかしながらこの新制大学の制度が完成いたしましたあかつきにおいては、かような状態はなくなるだろうとわれわれは考えておるのでありますが、過渡的にここ二年ないし三年の間は学力の程度の低い人は何らかの方法をもつて学力が追いつくように、それぞれ講習なり、あるいはまた自分自身で勉強して行くというように各人が努力する以外には、ただいま適当な考えは浮かばないのであります。
 第一番目の新制高等学校の学力の問題でありますが、これは実は学習指導要領の編纂が来年度から全面的に改正をいたされることになつておりまして、その際には、ただいま今野委員から御指摘になりましたような点も十分考慮の上で改正をされることと考えておるような次第であります。
 第三番目の大学管理法の起草準備委員会の、委員の選任についてでありますが、これは新聞その他によつて御承知の通りに、文部省におきましては、日本学術会議あるいは大学学長会議、あるいは教育刷新委員会等からそれぞれ代表者を正式に選んでいただいたのでありまして、そのほかの委員は、それぞれ関係方面とも協議の上で、この学術会議なり、あるいは教育刷新委員会からの代表者として出られた方々の意見をもきまして選任をいたしたのであります。しかしながらその他になおこの大学管理法に関して、それぞれ御意見を持つておられる團体なりあるいは個人なりがたくさんあることは十分承知しておるでおりまして、文部省といたしましては、單に今まですでに披瀝せられておりますところの大学管理法案についてのいろいろの意見を起草準備委員会においてとりまとめて、そうして起草準備委員会において一つの素案をつくつていただきまして、この素案をさらに廣く各方面の御意見を承るように公表いたしまして、そしてこれに関して意見を持つておられる方々の意見をも十分に聞く機会を得たいと考えております。從いまして起草準備委員会に名前が載らなかつたからということによつて、お互い管理法の起草につきまして意見を述べる機会がなくなつたというのではないのでありまして、その点を十分御了承の上、一應の案ができて公表せられた際に、さらに廣く各方面の御意見を承りたいという態度で文部省はおります。その点を御了承願いたいと思います。
 それから助教の新免状の問題でありますが、この点は実は御承知の通りに、二箇年間從來の免許状でできるわけでありましてその二箇年の間にそれぞれ講習会なり、あるいはさらに学校に入つていただくなりその他によつて、新しい免許法の規定するところの免状に切りかえるという考えを持つておりますが、具体的に各学校におきまして、定員の少いために、助教の方が講習なりその他に長く出られることは非常に不便を感ずるので、学校は困るというのが御説だろうと思つておりますが、その点につきましては、講習会に長期学校を欠席して出席しなければならぬというようなふうには必ずしもしなくても、十分に勉強のできるような方法を、たとえば通信教育なり、あるいは日曜日なり土曜日なりだけ行くとか、あるいはまた夜間だけ出ていただくとかいうようないろいろの方法を目下研究中でありまして、さような、定員が足らないためにせつかくの機会をも逸するということができ得る限り少くて済むように今研究いたしておりますので、その点御承知願いたいと思います
○今野委員 第一免許法の問題は、これは非常に実際の学校の現状から見て、もしやり方がまずいと、実際の学校教育を台なしにするおそれもありまするから、くれぐれも御注意くださるようにお願い申し上げます。
 それからその次に大学管理法でありますが、これは今おつしやつたところによりますと、十分公表して十分意見も取入れられるようにするという話でありますが、大体いつごろこれができ、そしていつの國会に出されるかという大体の目安をおわかりでしたらひとつ。
○森田説明員 ただいまの大学管理法の成案を得る時期でありますが、実は第一回委員会を九月の上旬に開かれることになつておりまして、それ以上のことは、ちよつと今から見通しがつきかねる状態であります。文部省といたしましては、でき得る限り早く成案を得ていただきたいということを希望しております。
○原委員長 それでは残余の質疑は明日に譲りまして、本日はこの程度で散会するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原委員長 それではさよういたします。明日は正十時より開会いたしたいと思いますので、御出席賜わりたいと存じます。
 ではこれで散会いたします。
    午後三時四十四分散会