第006回国会 大蔵委員会 第13号
昭和二十四年十一月十九日(土曜日)
    午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長 川野 芳滿君
   理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君
   理事 小山 長規君 理事 島村 一郎君
   理事 前尾繁三郎君 理事 川島 金次君
   理事 荒木萬壽夫君 理事 林  百郎君
 理事 早稻田柳右エ門君 理事 内藤 友明君
      江田斗米吉君    佐久間 徹君
      塚田十一郎君    中野 武雄君
      西村 直己君    三宅 則義君
      山口六郎次君    田中織之進君
      松尾トシ子君    宮腰 喜助君
      河田 賢治君    中村 寅太君
      中野 四郎君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  水田三喜男君
        (主税局長)
        大蔵事務官   平田敬一郎君
        国税庁長官   高橋  衞君
 委員外の出席者
        專  門  員 黒田 久太君
        專  門  員 椎木 文也君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 日本專売公社法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一六号)
 所得税法の臨時特例等に関する法律案(内閣提
 出第三三号)
 物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 三四号)
 織物消費税法等を廃止する法律案(内閣提出第
 三五号)
 外国為替特別会計法案(内閣提出第三九号)
 選定公述人の一部変更の件
    ―――――――――――――
○川野委員長 これより会議を開きます。
 税法に対する質疑を続行いたします前に、昨日付託されました外国為替特別会計法案を議題として、まず政府の提案の趣旨説明を求めます。水田政務次官。
○水田政府委員 外国為替特別会計法案の提出の理由を御説明申し上げます。
 今回この法律を制定しようといたします趣旨は、政府の行う外国為替、外国通貨等の売買及びこれに伴う取引に関する経理を、他から区別して明確にしようとするものであります。すなわち現在は、貿易特別会計に外国為替資金を設置し、同資金の運用として外国為替、外国通貨等の売買その他の取引を行つているのでありますが、今回外国為替資金を廃止いたしまして、新たに外国為替特別会計を設置し、外国為替等の売拂い代金、外国為替銀行に対する貸付金の償還金、及び付属雑收入等をもつて歳入とし、外国為替等の買取り代金、外国為替銀行に対する貸付金、外国為替の管理に要する事務取扱費等をもつて歳出とし、政府の行う外国為替、外国通貨等の売買及びこれに伴う取引に関する経理の全体を明らかにすることといたし、これに伴う所要の措置を規定いたそうとするものであります。
 以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
○川野委員長 次に前会に引続き税法三案に対する質疑を続行いたします。林百郎君。
○林(百)委員 質疑をする前に、私の方からも資料を正式に要求して、速記録に載せておきたいと思います。後ほどこれはまた私の方で書いてあるのをお渡しいたしますが、第一に、昭和二十五年度の国民所得の計算の基礎となつている賃金の指数、雇用の指数、物価の指数、生産の指数であります。第二には、生計費の中に占めている公定の物資と、やみ物資との金額の比率であります。これを昭和三十一、二十二、二十三、二十四、各年度の六月と十二月の基準ごとに要求したいと思います。第三に、新たに政府はGPIの計算の基準を変更しましたけれども、新しいGPIの計算の基準によつて計算した場合の最近から昭和二十三年、昨年六月まで遡及して計算した指数、これが一つと、それから古いもとのCPIの計算一基準によつて、昭和二十三年六月から最近までの指数、これを各月別に新しい基準によるものはさかのぼつて古い基準によつて、最近までの月別のものを要求したいと思います。
 四として、新しいCPIに基く実質賃金の指数、それから古いCP工に基く実質賃金の指数、これを昭和二十三年の六月から最近までのものを月別に願いたいと思います。
 五として、政府の新しくつくつたCPIともとのCPIに基くCPSの生計費、それから品目別の指数をお願いしたいと思います。品目別の内訳は住居費、飲食費、衣服費等であります。これは昨昭和二十三年の六月から最近まで月別のものを要求します。
 六として、物品税の改訂とそれから織物消費税の廃止と、清涼飲料税の廃止に伴う課税対象物資の生産庫出し金額、徴税の予定額、徴税実績額、これは法人、個人別に願います。これを終戦直後から最近まで毎年度四半期分。
 七として、昭和二十三年四月以降最近までの勤労所得税の徴税見込み額、徴税実績、これは四半期ごと、人員は階層別に算出したもの。
 八として、これは政府が政府の数字で準備しておるようでありますが、補給金の廃止による物価改訂に伴う物価の上昇指数、それから消費財、生産財に対する現在までの上昇指数と、今後の変動の見通し。
 九として、昭和二十四年度の補正予算に計上された勤労所得の増徴分の階層別、すなわち人員の内訳。
 十として、昭和二十四年度補正予算の自然増収分の法人税のうち、過年度の徴収分、それから脱税を摘発してとつた分、それ以外の分、これをそれぞれ左記の資本金額別に算出したものを提出してもらいたい。資本金額は百万円以下からのもの、それから一千万円以下のもの、一億円以下のもの、こういう順序で計算してもらいたい。
 十一として、昭和二十四年度の年末更正決定における申告所得税――昭和二十三年の決定額を基準にした申告所得税の修正申告の期待倍率、更正決定の実施と予定倍率を各税務署別、業種別に出してもらいたい。
 十二として、昭和二十三年度以降の各種税金に対する延滞利子の収入額とその使途を、税務署別に各半期ごとに出してもらいたい。
 十三として、終戦後現在までの税金の滞納をどう処理しているかという処理状況を出してもらいたい。これは所得税、財産税、非戰災者税、家屋税、取引高税などの件数と金額と年度別税金滞納の処理状況であります。
 十四として、終戰以来の各種税別の滞納件数と金額を年度別に出してもらいたい。
 最後に十五として、税金滞納に対する差押え物件の売拂い件数と金額一それからそれに対する該当税額は幾らであるか。該当税額幾らのものを売つて幾らの代金がとれたか。これを法人と個人別にして、年度は各年度上半期、下半期にして、二十三、二十四の二年だけでけつこうであります。それから右差押え物件の売却済の件数と金額と、未売拂い件数、金額との比較、すつかり売拂つたものと売抑わないものとの件数、金額の比率、これだけ要求しておきます。これは大分たくさんですから書面で出しておきます。
○平田政府委員 今資料の御要求がありましたもののうちで、すでにあるものもあろうと思います。それから今後相当時間を経てつくらなければ、できないものもあると思います。また事柄によりまして、ちよつと調製がなかなか困難なものもあるようであります。私どもとしましては、その期日を考えましてできる範囲において出しますから、御了承願います。
○林(百)委員 もちろんどうしてもできないものをむりに出せとは言いませんが、この法案が通つた後でもけつこうですから、いずれ出してもらいたい。この法案の審議前にどの程度のものができますか、これもひとつあなたの方から知らせてもらいたいと思います。
 次に質問いたしますが、これはすでに大蔵省の方で数字が出て、各委員会で問題になつている点だと思いますが、補給金の改廃に基く物価の値上りと、それからこのたびの減税による勤労所得に対する減税額とが、実質的に勤労者の生活にどう影響して来るかという点について、政府の考えをお聞きしたいと思います。
○平田政府委員 今回の税制におきましては一方で所得税の減税、間接税の廃止、軽減があるわけであります。他方におきましては、御承知の通り貨物運賃が値上りになり、それから主食等が値上りになり、その他補給金の廃止に伴つて値上りになるものがあります。この計算は、考え方によりましていろいろな計算方法はあるわけでございますが、私どもは一応間接税が減つたことによりまして、それだけ物価はおおむね下る。それを反対に運賃の値上り等によりましてやはり物価が上つて来る。それで主食や配給品の値段は当然上る。やみの動きがどうなるか、これは相当問題でありまして、むしろやみとしては相当下る方向だと思いますが、そういう分は除きまして、直接に動く分だけを計算いたしました資料だけを申し上げたいと思います。あとはいろいろ御意見によりまして、適当にお考え願うことはけつこうだと思いますが、そういう判断で計算いたしましたものを申し上げますと、まず年収が五万円くらいの独身者の勤労所得者の場合は、現在に比べまして大体〇・七一%くらい差引き手取りが増加する。生計費の負担が軽くなるという計算が出るようであります。それからまた年収十万円の夫婦者の場合は、大体二・三六%くらい生計費の負担が下る。年収十五万円くらいの夫婦及び子供二人くらいの世帯でありますと、差引きいたしまして三・九三%くらい生計費の負担が下る、こういう計算を一応つくつております。ただこれは運賃の値上げによりまして、最終消費者価格にどういうふうに現われて来るか。あるいは間接税の廃止によりまして、取終消費者価格がどのくらい動くか。これはいろいろ見方がございますので、なお見方につきましてはいろいろ検討いたしておりまするが、今申し上げましたように、一応減税によりまして税金分だけ物価が下るし、反対に運賃の値上り等によりまして物価が上る。こういう前提で計算いたしますと、今申し上げましたようなことになりまするし、大体の傾向としてはかようなことに相なるのではないかと思つております。
○林(百)委員 たとえば扶養家族五人で八千五百円から九千円の者が、今度の税改革によつて月に三百五十五円軽減負担になる。その点はどうですか。ちよつと数字を……。
○平田政府委員 今のお話、どういう趣旨でありますか、あまり例外的なことは計算してないのですが、月収一万円で奥さんと子供二人の場合ですと、三・五三%くらい負担が下る、こういう計算であります。
○林(百)委員 金額にしてどのくらいになりますか。
○平田政府委員 所得税だけでありますと、月収一万円で奥さんと子供四人の場合は、三百九十五円下る。現在は八百九十五円の負担が、改正案によりますと五百円になりまして、三百九十五円下りますから、所得税は四割四分だけ減税になる、こういう計算になります。
○林(百)委員 月收九千円ならどうですか。
○平田政府委員 九千円は計算が今手元にございませんが、八千円の場合ですと、現在は四百二十五円の負担ですが、改正案によりますと、四十五円だけになりまして、軽減が三百八十円になります。ほとんど八割九分減税になります。
○林(百)委員 これは国会から出ておる統計の提要でありますが、家族四・六人で昭和二十四年の六月の主食の生計費が三千四百十七円になつております。これが来年度一月から一・一割の値上りになり、消費者価格が上るということは明らかである。そうすると少くとも家族四・六人の人の生活費は、主食の費用だけでも大体一箇月三百八十円くらい上る。これは一つの要素でありますが、主食の値上りだけでも、月收八千円から九千円、一万円の階層の者にとつては、今度の所得税の税率の軽減では大した実質的な影響がない。むしろ負担増になるという数字がわれわれの数字では出て来ておるわけですが、この点でわれわれとしては、今度の税制の改革がむしろ中以下の勤労所得者に対しては負担が重くなる。税の数字だけから言えば、今平田局長の言うように下るようになるけれども、いろいろ補給金の廃止による値上り、あるいは主要食糧の値上り、こういう要素を入れて行くと、実質的な生活の面に及ぼす影響は、かえつて負担が重くなるという数字が出て来る。これについて聞きたい。
○平田政府委員 今林さんの御数字に出ましたが、二つの点が御検討を要するのではないかと思います。一つは間接税の引下げによりまして大衆には相当好影響があると思います。それをどう見ておるのかという点が第一点。第二点は主食全体を見ておるのですか。配給分だけしか見ていないのですか。実際の家計費に現われました主食費には両方あると思いますが、その辺をどう見ておられるか。それによつて数字が大分違つて来ます。
○林(百)委員 私の方の数字から申しますと、主食ということはおもに配給の米の消費者価格ですら一割上つておる。あなたの方は今言つたように間接税による値下りということを言いますが、これは間接税の点でまたあなたの方にお聞きしますが、今度の間接税の引下げで全然免税の品目の中では、生活に最も切実なものに対してはそう値下がない。われわれはそう解釈しております。かりにそれがあるとしても、しからば補給金の廃止に基く電力あるいは基礎物資に対する値上りの要素、これを入れて行つたらあなたの力の数字はどうなるか。これは私どもの独断でありません。たとえば東洋経済の今年度の十月二十九日発行のものを見ましても、シャウプ勧告とこのたび政府の出した所得税の改正法案によつても、下層の所得者階層に対しては、かえつて負担が増加するという数字がはつきり出ておるのでありまして、この点について政府の考えをもう一度お聞きしたいと思います。
○平田政府委員 ただいま間接税の改正につきまして、下層にはあまり響かないというような御意見でありますが、これはまつたく見解の相違でありまして、今度の間接税の改正は、まつたく必需品的なものを除外するという考え方から出ておるのであります。取引高税は大体生計費に全画一的に影響するのですが、これを廃止しておる。主食にはほとんど課税しておりません。主食以外の物価は取引高税の廃止によりまして非常に好影響があります。これは取引高税の創設に関しまして、おそらく林さんはまさに反対の御主張をなさつたところだと思いますが、これを撤廃した。もう一つ織物消費税、たとえば綿織物等に課税しておりますが、これも全然廃止する。それから物品税におきましても、たとえば茶だとかかつおぶしだとか、その他大体必需品的な性質の強いものを、課税から排除いたしております。それからマッチの税率も三分の一に落しております。そういうような意味でで今度の間接税はまさに必需品的なものに対して、極力考えようという趣旨でできておりまして、これが大衆の家計費に響かないという考え方は、とんでもない見解の差だと思います。私どもは大いにいい影響があると考えております。それからもう一つ家族の多い人は主食に相当費用がかかつておる。これはまつたくその通りですが、CPS等の実際の統計によりますと、現在の配給の事情のもとにおきましては、やはり配給以外の食糧をむりをして買つておられるようです。配給以外の食糧は、数量から申しますとそう多くはございませんが、やみ価格が高いために、家計費の支出から申しますと相当な額になつておる。この方は御承知の通り食糧の輸入の増加等によりまして、やみはむしろ下りぎみにある。最近新聞紙に出ました統計によりましても、主食のやみ価格は下りつつある。おそらく今度の予算が通過しまして食糧の輸入が現実に行われますならば、農林大臣が言つておられますように、米麦だけの二合七勺の配給も可能であろうという見通しでありまして、そうなりますと、なおさらやみは下つて来るのではないか。主食の配給の価格が上りますけれども、それによります影響はそういうものと比べますと、結局減税その他がありまして、差引しますと先ほど私が申し上げましたように実質的には確かによくなる、かように私どもは思つております。
○林(百)委員 平田主税局長によりますと、このたびの所得税の改正によつて、実質的には勤労者の生活がかえつてよくなるというようなお話でありますが、たとえばわれわれの方の数字によりますと、主食、魚、ガス代、電気代、家賃の値上げ、それから鉄道貨物運賃値上りによるはね返り、こういう要素、またこのほかに一つ大きな要素がありますが、これは局長が言つておらないだけれども、われわれはその点もあとでお聞きしたいと思いますが、こういう要素によりまして、ことに月收八千円から一万円程度の者については、数字の上から言つても主食の一割値上げだけでも、すでに所得税の減税を越しておるというような数字であります。そこでもしこの補給金やいろいろなものの廃止によるはね返りが、実質的に国民の生活にはね返つて影響して来るよりも、今度の減税の方がプラスであると言うならば、私は後ほどなおこまかい数字によつて、実質的に平田主税局長にお尋ねしたいと思うのであります。そのほか局長が無視されておる要素の中に、たとえば資産の再評価に基く勤労者の賃金に及ぼす影響の要素、あるいは地方税の負担の増額というような要素もこれに入れて来まして、一切の要素を含んで来ますと、低所得者階級にとつては、かえつて負担が増加するということが、一般のわれわれの常識になつておる。ですから今言つた資産の再評価に基く利潤の処分、それに基く勤労者に対する賃金の減額、あるいは地方税、特に不動産税の増額に基く家賃あるいは地代の値上り、あるいはそのほかの鉄道貨物運賃の値上り、こういうもののはね返りが生活にどう影響して来るか、こういうすべての要素を入れて、なお平田主税局長は、そういうようにこのたびの減税によつて、勤労者の具体的な生活は楽になるという結論を持つておられるのかどうか。この点をお聞きしたい。
○平田政府委員 四月以降実行の見込みでありますところの資産の再評価、あるいは地方税の増徴、そういう問題は確かにさらに要素として検討すべき問題の一つだと思います。しかしながらまだ具体的にははつきりきまつておりませんので、まだ精密な数字をもつて申し上げるところまで至つておりませんが、大体におきまして家族の多い世帶におきましては、この場合におきましても相当下る。やはり彼此相殺いたしまして、結局におきましてはそれらの月収一万円、家族が二人とか三人、四人というくらいのところは、所得税の改正その他を通じまして考えますと必ず下る、かように考えます。
○林(百)委員 その点は局長がそうおつしやるなら、だんだん次の材料からその意見をさらにただして行きたいと思いますが、次の問題としまして、本年度の所得税の自然増徴の中に、源泉徴收の分としての自然増徴が百四十九億五千万円ありますが、この内容はどういうところから源泉徴収、ことに勤労所得に対して自然増が現れて来たか、その点をお聞きしたい。
○平田政府委員 これはまつたく最近の勤労所得税の徴収実績によりまして計算した数字でありまして、当初の見込みに比較いたしまして、勤労所得税の収入は非常に順調でございます。この理由はおそらく当初の予算で見込みましたものよりも、若干賃金が上つたのが大きな原因だと思いますが、今度歳入予算を計算しました根拠を若干申し上げますと、昭和二十四年の四月から八月までの徴收のこまかい実績でありますが、これは五百十億になつております。それからこれも正確な統計でありますが、八月一箇月分の徴收額が百十三億になつております。今後九月以降は大体賃金は横ばいと見まして、八月の百十三億の分を九月から三月まで入つて来ると考えまして計算しますと、七百九十三億という数字が出まして、それにさらに年末には若干民間では賞與がありますから、賞與を二〇%と見ますと、その税額が三十七億円。それから大体毎年四月におきましては、前年度分の若干ずれて入ります分がございますが、それを一〇%と見て十一億円、災害等によりまして少し減免がありまして、これが四千七百万円くらい、差引きまして結局千三百五十一億円くらいの収入になる。当初予算に比較しまして百四十九億の増加であります。これは今申しましたように、まつたく最近の実績に基きまして、賃金を横ばいと見まして計算した数字であります。それに対しまして今度の税法の軽減によりまして五十六億六千万円だけ減収になりますので、それを差引きまして千二百九十四億円というものを、補正予算の予算額として計上いたしたわけでございます。
○林(百)委員 そうすると結局勤労所得に対する自然増徴は、局長の話によりますと、名目賃金が上つて、それに基く予想以上の増徴があつたと解釈していいのか。あるいはそのほかの要素があると考えるか。その点を聞きたい。
○平田政府委員 名目賃金と実質賃金というのは、結局貨幣賃金と貨幣購買力と申しますか、物価の状況とかみ合せて出て来る概念でありまして、私どもはそこまでこの点に対して議論する必要はないと思います。私どもが計算しましたのは要するに貨幣賃金、この賃金が上つて来ておる。その結果増收になつておる。そういうことだけでこの歳入の説明は十分だと考えております。
○林(百)委員 七月、八月に官吏の行政整理がありましたが、この行政整理の退職金に対しても課税されたのかどうか。もし課税されたのであればその金額は、退職金全部が幾らで、それに対して課税額は幾らかということがわかれば説明してもらいたい。
○平田政府委員 官吏の退職金だけを別にして調べまして計算したものはございません。
○林(百)委員 そうすると官吏の退職金が七月、八月に予想せざる状態として出た。これも自然増の一つの要素として入れられておるかどうか。
○平田政府委員 その後の計算によりまする毎月の收入を見ましても、先ほど申しました八月の数字と大体同じようなことになつておりまして、八月の数字をもとにすることはきわめて適切なものだと考えております。
○林(百)委員 そうすると官吏の退職金は入つていないというのか、そこをはつきり言つてもらいたい。それが入つていなくても自然増があつて、しかも今後その趨勢が進んで行くということになるならば、相当名目賃金の上昇があると考えなければならないが、そういう見込みがあるのかどうか。あなたの先ほどの言葉ですと、この下半期はむしろ賃金は横ばい状態になるんじやないかと言われておるにもかかわらず、下半期にその増勢を維持して行くということは、あなたの言うことの中に矛盾があると私は考える。
○平田政府委員 退職金等も、課税になつた分は全部今までの実績の中に入つております。
 それから八月の実績をもとにしてその後の趨勢を見たのでありますが、九月、十月の大体概算による実績は出ておりますが、その数字によりましても大差はないので、これをずつと延ばしてみるということは、きわめて合理的なものだと考えております。
○林(百)委員 そうすると七月、八月の退職金を入れても課税額が相当増額した、その趨勢が十月、十一月も続いておるということになりますと、官吏に対する退職金の要素というものは、それがその後首切りがなくてもなおふえておるという状態がどういう形で出て来ておるか。もしそれがあるとすれば、やはり首切りがどんどん続けられておるということか。あるいは民間企業の勤労者に対する名目賃金が、あなたのお考えでは上つておるということになるか。どちらですか。
○平田政府委員 概算によりますと、八月が百十二億、九月が百十五億、十月が百二十二億という数字になつております。これは退職金等の分は大して大きなフアクターではないと思います。大体においてやはり民間の貨幣賃金がどうであるかということによつて、影響されておると考えておるわけでありまして、今申し上げました数字は、かようなところから見ましても、しごく妥当な数字だと考えております。
○林(百)委員 そうすると今言つた勤労所得の課税対象額がふえておるということは、局長の見解によると、名目賃金がその後どんどん上つておるのだというふうに解釈してよいのですか。それから企業整備によつてどんどん失業者が出ておりますが、そういう要素はそこに全然響いて来ないのか。失業者が出ておつてもなお課税対象額が上るというのは、よほど名目賃金が上つていなければならないが、もしそれほど勤労者に対する名目賃金が上つておるというならば、その数字もわれわれに示してもらいたいと思います。
○平田政府委員 これは最初に予算で見た数字に比べまして、最近の貨幣賃金が相当上つておるということでありまして、毎月急激に上つておるとは申し上げておりません。
○林(百)委員 毎月少くとも源泉徴収分として百四十九億もの自然増ができるほど、勤労所得がふえておるというのだから、よほど大きな要素がなければならないはずだ。しかもそれが上半期のみでなくて、下半期にもその趨勢が維持されるということになれば、どんどん首切りが起り失業者が出て来る。しかもわれわれから言えば、名目賃金がそう上つておるということはあまり聞いておりません。それにもかかわらず課税の対象から言えばどんどんふえておるということ、これはむしろ実質的な賃金の中へ税金が食い込んでおるのであつて、勤労者の生活が自然にゆたかになつて来て、そのゆたかになつた余力が税金にとられておるという形ではなく、非常なむりがあるのだ。ことに上半期としては退職金というような要素があつたからだが、その退職金の要素が大したものではなくて、その増勢がそのまま下半期にも続くということになれば、われわれは首切りを予想しなければならない。あるいはよほどの名目賃の値上りがなければ、それだけの数字は出て来ない。かように解釈する。
○平田政府委員 最近の賃金の動きを若干申し上げておきますと、大体当初予算で計上しました際は、昨年の十一月ごろのベースをもとにしまして計算いたしておるのでありますが、その十一月の全産業の平均賃金が七千二百八円、十二月は賞與等がありますので九千六十円になつております。一月が八千三百七十一円、これは若干臨時的なものが入つておると思います。従いまして二月は下りまして七千九百七十四円、それでもやはり十一月に比べますと七百円ほどの増加になつております。その後は若干波動がありますが、三月は八千三百二十七円、四月は八千五百九十三円、六月が八千二百七十円、七月はさらにもとにもどりまして八千六百九十三円。これは統計局の調査でありますが、こういう調査がありまして、最初予算で見込みましたものに比べまして、やはり大体一割強上つております。
○林(百)委員 そうするとわれわれの方は、退職金その他の要素があり、しかも本年度の下半期には名目賃金ですらそう増額しておらないという見解のもとに聞いておりますが、政府側では名目賃金もどんどん上つておるのだと言われますが、かりに名目賃金があなたの言うような数字で上つたとしても、それはやはり実質的な生活の必要度が上るから名目賃金が上る。それを名目賃金が上つたからといつて、上半期の増徴率をそのまま下半期に及ぼして行くということになれば、実質的な労働者に対する影響というものは、非常に深刻になると思うのであります。そこでそうした数字から離れて、実質的な労働者の生活状態というものは、本年度の上半期に比べて下半期はだんだん状態がよくなる。だから上半期でとつただけのものは、下半期でどんどんとつて行つてもよいのだという見解を持つておられるのですか。
○平田政府委員 税金は税法で徴收するわけでありまして、現行税法でこのまま三月まで行くとするならば、これだけ入つて来るということを、大体八月ごろのレベルをもとにしまして計算いたしました。八月までの騰貴率でさらに延ばしたわけではございません。八月ごろのレベルをもちまして、その後ずつと維持するものとして――若干波動はあるかもしれませんが、計算すると勤労所得税はこのくらいになる、かような計算をいたしておるわけであります。八月からさらにどんどん上るという計算はいたしておりません。
○林(百)委員 そこが大事なところなのです。あなたの方は、税法できまつているのだから税法でとつて行けば、実質的な生活の面は税法とは関係ないと言われるが、もし実質的生活状態が本年度下半期には相当苦しくなるということになるならば、税制改革についてももう少し勤労所得者に対しては、基礎控除なり税率なりを下げなければならないという考慮も出て来るのです。そこでやはりあなたの出す数字だけの問題でなく、実質的な勤労者の生活がどういう状態にあるかということについての政府のはつきりした見解がなければ、われわれのこの法案についての賛否の態度が出ないわけです。そこで本年度の下平期における勤労者の生活が、本年度の上半期に比べてどういう情勢に推移すると政府は考えておるかということをお聞きするわけです。
○平田政府委員 その問題はたしか労働大臣も本会議で答えておられたと思いますが、最近は若干実質賃金がよくなつている、こういうことを申し上げればきわめてはつきりするだろうと思います。
○林(百)委員 それは二言か三言でよくなるということになるならば問題ないのですが、政府としてはどういう数字をもつてそういうことを言うか。たとえば私の方の調べによりますと、ほとんどもう各家庭とも赤字です。一人世帯のところで四割、二人から三人、四人になるとどうしても平均三割の赤字になつている。この家庭の赤字を借金で埋めているものが三割、それから食費の切下げや売り食いで切り拔けているものは、ほとんど一割六分か一割五分という数字が出ておるのです。この趨勢は年末に至つてますます深刻になつて行くという数字を持つておる。それにもかかわらずあなたの方は非常によい、天国のごとき状態にだんだんなつて来るのだということになると、よほどこれは見解が違う。だからもう少し――これはあなたも元安本にいて十分その点は研究されていると思います。主税局長という立場ばかりではなくて、勤労者の実質的な生活の点についての見通しをお聞きしたいと思う。
○平田政府委員 私の言つたことを楽になつておるとおとりになつているようですが、私は現在におきましては、国民全体がまだなかなかそう楽な生活ではないと考えます。ただ最近の一、二年間の経過をたどつて考えますと、少しずつよくなつて来ているということは確かに言い得るのではないか。しかしそういう状態の中におきましても、相当苦しい世帯が大部分でありますから、政府といたしましてはできる限り減税等のことも考えまして、さらに生活がよくなるように考えたいということで、今回の法案も提出したようなわけであります。
○林(百)委員 そうすると、ここであなたの方に一応数字をお伺いいたしたいのですが、補給金の廃止に基く現行パリテイが、どういう比率にかわるかということが一つと、消費者の価格が一体上るのか下るのか。上るとすれば何パーセント上るのか。それから食料については、非常に重要な鮮魚はどうなるのか。それからガスと電気、これが一体現行の何割ぐらい上るか。もちろん下るということは言わないだろうが、ガスと電気が何パーセントぐらい上るというように見込んでいるか。数字があつたら、何割でけつこうですからお答え願いたい。
○平田政府委員 あまりこまかい計算は他日お話してもいいかと思います。大体そういう観点を総合しまして計算した結果を申し上げますと、間接税補給金等の還元によりまして、生計費が上るいろいろな要素を計算いたしまして、月収一万円で子供二人の場合におきましては、大体四・二%くらい生計費が高くなる。その予想だけを機械的に計算しますと運賃はこういう形になつても必ずしも上るということは予想されませんが、大体全部上るものと考えまして四・二%だけ強くなる。反対に間接税の改正等によりまして、生計費に及ぼす間接税が下るという点を計算しますと、三・二%くらい生計費は楽になる。所得税が、さつきも申し上げましたように四・二%くらい軽減になり、差引きますと三%くらい生計費が楽になる、こういう計算が可能だということを申し上げたのであります。
○林(百)委員 補給金の廃止と運賃の値上り、あるいは地方税の負担の増加もありますが、生計費の高騰率は、こういう要素を入れてわずか四分二厘ですか。もし四・二%というならその四・二%の数字の出て来た根拠、たとえば主食は何パーセント、ガス電気は何パーセント、鮮魚は何パーセント、こういうものが出て来なければ、あなたの方からかつてに、税で下るだけのパーセンテージよりももつと低い騰貴率を出して来て、これだけ税を下げればプラスになるということでは、われわれは信用できない。しかも現にわれわれの方の――これは数字よりも何よりも、実際の生活の現実面から言えば、一万円から七、八千円の勤労者が赤字だということは間違いない事実だ。しかも年末に至るに従つてますます苦しくなる。だから代議士の滞在手当を上げなければならないという要請が国会にすら起きているときに、大蔵省だけが国民の生活が楽になるという数字を持つていることがどうも納得できない。だから、四・二%という数字がどういう根拠から出ているかということをお伺いしたい。
○平田政府委員 たとえば主食の配給分だけですと、確かに一一・三%ぐらい引上げになります。でありますが、主食に使つておりますところの家計費の支出金額というものは、CPSの中で占めておりますのは、全体の生計費の中で大体一五%、その一五%分が一一・三%上るわけでございますから、全体に対しましては、やはり二%弱になるわけでございます。その他補給金の廃止に伴いましていろいろなものが上りますが、それは生計費の中で占める地位がそれぞれ違いますので、そういうもののウエイトを適当に推定いたして計算してみますと、今申し上げましたようなことになるわけであります。これを押問答してもしようがありませんから、適当な機会にまた資料等で詳しく説明してもけつこうです。
○林(百)委員 局長も適当な機会に十分な資料を出すというのでありますから、この点はやめます。
 次に、申告納税分百九十六億円、これは源泉徴収と違つて、自然減になつたのですか。その理由と状況をお話願います。
○平田政府委員 これは最近の課税の状況と申しますか、税務署を国税局で調査しました状況に基きまして、二十三年分の課税額をもとにしまして、一応概算で出した数字でございます。大体におきまして、農業は所得金額におきまして、本年に比較しまして二四%ぐらいふえる。営業は三五%ふえる。そういたしまして、徴収歩合等も適正に計算して出しますと、大体千七百億くらいの見込みが出て参ります。当初千九百億見込んでいたのでありますが、それに対して二百億の減を見たのであります。なお災害等によります減収額も約四十四億円程度計算して出した数字でございます。
○林(百)委員 そうすると、はつきりお聞きしたいのですが、結局申告納税分は約二百億近くの減税があるが、これは農民あるいは中小企業、あるいはその他それぞれの申告納税者の生活状態がよくなくて、担税力が減じたと見るのか。あるいは徴税技術が惡かつたのか。その根本的な原因はどこにあるかということをお聞きしたい。
○平田政府委員 これは大体におきまして、最初予算で見ておりましたものに対して、最近の状況のもとにおきます所得の増加率が、若干低下したことが大部分の原因でありまして、それに基きまして、災害等による減もさらに織り込みまして計算しました結果、約二百億の減になるということであります。
○林(百)委員 そうすると、結論としては、担税力が減じたというように解釈していいかということが一つと、それからこの申告税の減額分に対して、年末更正決定によつてこれを何とか補強するという考慮が、政府側においてはなされているかどうか、その点についてお聞きしたい。
○平田政府委員 この不足分を補強するつもりは全然ございません。大体現在のところ申告所得税の成績はなお非常に惡うございまして、最近までの徴收実績も申告分は非常に惡いのであります。この予算額に達するまでには、もちろん税法の規定に従いまして、現在いろいろ調査いたしておりますが、その調査の方針に基きまして、しかるべく適正な更正決定をやつて行くということでやりまして、今申し上げましたような大体の歳入が見込まれるだろう、こういうことであります。
○林(百)委員 そうすると、申告納税の減額分については、将来もこの担税力が減じたという考慮のもとに、相当年末の更正決定についても考慮して、負担力を相当減じてやるような配慮を政府としてはやるのかどうか、お聞きしたい。
○平田政府委員 担税力が減じたということを考慮してという抽象的なことでは、私ども考えていないのでありまして、最近における所得の実情をできる限り実態に即して調査して、それに基きまして適正な更正決定をやる、そういうことから計算してみますと、大体この程度の收入になるということであります。
○田中(織)委員 今主税局長の言われた所得の実態に即した調査でございますが、その一つの現われとして、大阪国税局の管内で行われておる昨年度の所得百万円以上、また本年度百万円以上の所得ありと見られるものを、国税局自体で直接調査せられておるのがあるわけであります。われわれ聞くところによりますと、大阪の国税局の管内だけで八千件ある。それが今和歌山県で調査を行つておりますが、この点の調査にあたりましてとられておる方法が、非常に私問題になると思うのです。一つの方法といたしましては、二十一年度の財産税の徴収のとき以後の資産の増加分とかいうものを、まずはじき出しまして、それからあと二十二年度、三年度、二十四年度の申告分、こういうものを合計したものを差引いたあとは、これは二十四年度の所得分だということで今修正申告を慫慂しておるのです。形は修正申告の慫慂ということでありますが、実際は申告しなければ更正決定ということになる。しかもそれには追徴税、加算税がつくという形で、しやにむに修正申告に判を押させるという形を、大阪の国税局で直接やつておりますが、その点は主税局長の方でそういう取扱いをやつておることが、今主税局長の言われた所得の実態に応じた調査か。何らか年末の更正決定についての資料をつかむという意味でやつておられるのかどうか。その点をひとつお伺いしたい。
○平田政府委員 本年度から新しく国税庁の発足に伴いまして、従来の査察部を調査査察部に改めまして、大納税者につきましては原則としまして国税局の調査課で直接調べまして、よく実態を調べて更正決定をするということにいたしたのでございます。従いまして個人につきましても、御指摘のように百万円以上の納税者の場合におきましては、シヤウプ勧告に基くところでございますが、できる限り必ず個別的に帳面等を調べまして、適正な所得を調査した上で、税法に従つて正しい所得を決定する。かようなことにいたしておるのでございます。そういう方針の結果といたしまして、今お話のように大阪局におきましても、直接国税局で百万円以上の個人の所得税納税者につきましては、調査をいたしておるかと思いますが、その調査する際におきましてはいろいろな方法がありまして、帳面が不完全な場合におきましては、一定の期間の資産増減から間接に所得を測定するということもあり得ると思います。帳面が完備しておりますときは、もちろんこのような方法は必要ないのでありまして、支出、収入の内容を詳細に計算してみますと、それで出て来る。しかし不完備な場合におきましては、一面におきましては今お話のように一定の期間の資産増減、それが大体所得の増減と相一致することが多いから、そういう方面から所得を計算するということも確かにあり得ると考えます。なおそれをもつて一般の場合にすぐ使うかということでございますが、それは業態により事情によりまして、さらに適切を期すべきものでありまして、たまたま例外的にさような関係で従来の課税漏れがはつきり出て来て、その結果所得が非常にふえたものを全面に及ぼすというようなことは適正な方法ではない。これはあくまでも標準的なものについて調べまして、それに基いて全体の所得を判断して行く。さらにそういう角度から吟味して全体の所得の増減を見るべきものだ。かように考えているわけであります。
 なお先ほど出ました申告所得税は、最近まで、成績が非常におもしろくございませんで、十月末日までに申告所得税は三百九十九億しか納税になつておりません。勤労所得税はこれに反しまして十月末までに七百九十二億円ほどもう納めている。予算額は勤労所得税が千二百二億円、これに対しまして七百四十二億円でございますから、すでに六割七分入つております。これに対しまして申告所得税は、当初の予算千九百億に対しまして三百九十九億でありまして、二割一分しか入つていない。従いまして政府におきましても、これは実に申告の成績がしからしめているのでございますが、今申しましたようにさらに実態をできる限り多くの納税者について調査いたしまして、調査したものにつきましてはその調査額に基き、あるいは完全な調査ができない納税者につきましては、そういうものをもとにしてできるだけ精密な調査をやりまして、それによつて更正決定をやる。現に最近少しずつやつておりますが、できる限り年内に更正決定を済ます。そうしてできる限り申告納税の円滑適正な徴税を確保しようということで、今着々進行しているわけでございます。そういう点とにらみ合せまして、最近の所得の状況とにらみ合せまして、特に申告所得税を千七百億に予算の見積りがえをいたしましたことを、重ねて申し上げておきます。
○田中(織)委員 今の調査査察部の手で直接調査せられるということは、先般の改正でそういうことになつているのでありますが、これは和歌山市の滋野というお医者さんの場合であります。前年度いわゆる修正申告の指導によりまして、八十万円と決定して納めているのでありますが、今度の調査課の出動によりまして二百八十万円でなければいかぬ。こういうことで本年度八十万円の前年度と同じ申告をいたしておつたのでありますが、その差額の二百万円を新しく修正申告で出せ、こういうことになつたわけであります。その場合に明確なる帳簿がないということで、実情を調査したのでありますが、たとえばお医者さんでありますから、薬局にある薬品を書き出せということで、投薬している封を切つた薬びんに残つているものまで、時価で計算して九万何千円というものを書き出さしたのでありますが、財産税の徴収のときにもこれは必要ないということを指導されたと私は思うのです。ことにお医者さんの場合に健康保険等の未収分があります。そういうものを徹底的に出さして、それを二十二年度、三年度、四年度の予定申告を差引いたものを全部で二百万円出さなければいかぬ。それに対して一体自分の方でそれを申告しなかつたらどうなるんだということになると、大体一千万円くらいおまえのところへかけるから病院がつぶれてしまうだろう。こういう形で年脅迫的に二百万円の修正申告に判をつかしたという事実が起つている。私は実情を調べた場合に、本人は当然捜査令状の呈示を要求すると思うのですが、そういう場合にも捜査令状等も持つていない。結局捜査令状を持つて来て徹底的に調べあげれば、一千万円くらいおまえのところはかかるから、病院がつぶれてしまうだろう。つぶれてもやむを得ない。こういう態度でやつて来た。ことに大阪から和歌山に出張するのですが、大体前日から来ていても、十一時ごろ朝飯と晝飯を兼ねて食つて来て、調べる方に晝飯を食わさない。晩の九時ごろまで一緒につるし上げられている。こういうような事実は――和歌山へ行かれた方はわかりますが、あすこに丸正という百貨店があつて、いまだに戦災を受けて二階以上の鉄筋があめの棒のようになつていることは、御存じの方もあろうと思う。これは当時の和歌山の軍政部の方から、和歌山市の美観をそこねるからということで非常に復旧をやかましく言つて来ておる。ここの社長は私の先輩でありますが、空襲のときに井戸の中へおつこちて死んだという悲惨な実情でありますが、そこの店員たちが大体六、七千円ぐらいの給料で復旧をいたしました。ところが二十四年度におきまして見込みからいたしまするならば、二百五十万円の所得があるというのです。そうしてその二百五十万円の所得を全部課税対象に持つて行くという形で、今度の調査が行われておりますが、そういうことであれば、和歌山市の美観をそこねるという意味における丸正百貨店の復旧ということも、全然できないことになるのですが、たといそういう調査で出て来たものでも、それが全部いわゆる所得税の対象であるという形においてやつて行かれる方針かどうか。今この問題は大阪の国税局の査察部長も少し行き過ぎを認めております。認めておりますけれども、おそらく全国でこういう形でいわゆる更正決定の前触れとしてやつておるのだろうと思うのです。もちろん百万円以上の所得というような負担力のある人に多くの負担をしてもらうということに対しては、われわれはあえて反対するものではありませんけれども、実情は私は少しむりだと思うのですが、その点について主税局長は何かお聞きになつておりますか。
○平田政府委員 今具体的問題について御意見のようでございますが、お話のごとくでありますれば、若干修正を要すべき点もあるようでございますが、具体的問題につきましてここで私調べないでお答えするのはどうかと思いますので、これはすぐには間に合わぬかと思いまするが、国税庁について調べました上で、適当な機会に御説明するようにいたしたいと考えております。
○田中(織)委員 なおこの点につきまして帳簿等の提示を求めるということは、当然やらなければならぬと思いますけれども、たとえば二十二年度においても、三年度においても、更正決定等で所轄の税務署がやつておるという部分につきましては、やはり二十二年度、二十三年度にさかのぼつての所得の調査ということもやらなければならぬことは、当然のことだと思うのであります。そういうようにして出ました調査におきましても、当然やはり二十四年度分における部分を私は主として課税の対象にしなければならぬ、かように思うのですが、二十二年度、二十三年度においては、それは結局脱税じやないか。税務署が十分の調査に基いて更正決定をやつてすつたもんだのあげく、確定して納めたものまでを今度は査察部が出て行つて、二十一年度の財産税の徴収以後にさかのぼつてやるということについては、私は調査の方法としてなら問題ないと思いますけれども、それがただちに課税の対象になるということになりますれば、従来税務署がやつて来た大蔵当局側の責任を納税者におつかぶせてしまうことになり、同時にそういう形で行きますならば、所得税というものは、あくまで税源をふやすことを目的とした苛斂誅求であつてはならぬことは当然のことだと思いますので、そういう点についても現に私が具体的に名前を申し上げた通り、具体的の事実でありますから、主税局長の方でも国税庁に連絡をとられまして、実情を調査の上で私はこの問題について主税局長として、大蔵当局として善処されたいことを要望して、この関連質問は終ります。
○平田政府委員 今お話になりました一度決定したものに対しまして、あとで修正をするかしないかという問題でございますが、この決定は裁判のごとく非常に手続をかけて一ぺん決定して、これだけ出せというところまでには至つておりません。一ぺんきめたものにつきましては、なるべくそれをむし返さないということは常識としては一応もつともだと思いますけれども、これはしかしよく調べた結果、間違いがございました場合におきましては、やはり時効が切れるまでは適正に直しまして、それによつて負担の公平をはかるというのが基本的にも原則であろうと考えます。従いまして一旦決定しましたものにつきましても、さらによく調査しました上で、相当大きな違いがございました場合におきましては、やはりそれぞれ修正すべきものじやないかと思います。ただ修正する際におきまして妥協しまして、前の分は直さないで、あとの分で適当にふくらまして行くといつた方法は、法律に照しまして正しくございませんので、やはり事実を的確に調べまして、その年度年度の所得として適正な決定をするという方向で行くのが妥当であると思いますが、今の具体的なケースにつきましては、きようここに材料を持ち合せておりませんので、よく調べまして適当な機会に御報告いたします。
○林(百)委員 これは国会議員の一員として、ことに政府当局に、また平田主税局長にも話したい。こういうふうに国会議員が具体的な例をもつて質問しているのですから、あなたの方も知つておらないはずはないと思うのですが、いろいろの事情でわからないというなら、これは責任をもつて答えていただきたい。巷間では、あなたは知つているかどうか知らないが、一にどろぼう、二に税金というはやり歌すらできているほど、最近の税金問題というのは切実な問題である。ですから田中君のこうした具体的な例の中に、最も最近の税行政の実態が出ていると思いますから、これは責任をもつてあなたの方も答えてもらいたいということを、私からも要望しておきます。
 そこで今の申告税の問題をもう少し聞きたいと思います。これは重要な問題でして実にせんせんきようきようとしております。最近ではもう税務署と普通の民間人との間に、はげしい闘いというと変ですが、場合によつては暴力ざたまで起きるような問題が起きている。源泉徴収なら簡易にやれますが、申告になると更正決定に対し納税者側が納得できないということになる。ところが税務署の方は差押え、競売と来るということで、これは一にどろぼう、二に税金というわけなんです。そこで申告納税の当初の目標が千九百億であつたのが、来年三月までに千七百億の見込みをつけておるのでありますが、もう一度お尋ねしますが、現在までの申告納税の実績、これはどうなつておりますか。
○平田政府委員 予算額千九百億円に対しまして十月末の累計で三百九十九億円、二割一分の收入です。勤労所得税は千二百億円の予算に対しまして七百四十二億円、六割七分です。
○林(百)委員 すでに十月までですから大体半年以上でありますが、これで二割一分ですね。これがこのまま行つても大体半分しかとれないと思うのであります。ところが千七百億とれるという見通し、これで行きますと大体九割はとれるという見通しと思いますが、すでに半年たつてまだ二割しかとれないのに、この先これをカバーして九割までとるということになりますと、年末からずつと会計年度の終りになつて猛烈な税金攻勢が予想されるわけでありまして、これについて千七百億という見込みを立てた根拠を聞きたい。
○平田政府委員 千七百億の見込みを立てました根拠は、最近の調査の実際等から見まして、前年度所得額に比べまして農業所得が二割四分ふえる、営業所得は三割五分ふえるということで計算しまして出して来た数字であります。そうしてさらにこの税金が入るか入らないかという問題でありますが、御承知の通り、この農業所得の方は單作地帯は納期をずらしておりまして、大部分が一月に入つて来る。また例年の例によりましても農業所得の大部分は、一月に入つて来るということに相なります。従いまして農業所得の方は供米代金等が入つて参りまするし、私ども適正な調査に努力をいたしさえすれば、大体問題はなかろうと考えております。ただ営業所得の方はなかなか問題がございまして、現在のような状況でありまして、私ども相当な努力を要するのではないかと思います。ただことしは最初からなるべく個別的に納税者についてよく調べるということをやつておりまして、全国的に少くとも二割くらいは実地によく当つて帳面を調べた上、正しい所得額を見出す。その他の納税者につきましても極力実地に当つて調べました上で、適正な決定をするという方針に進めておりまして、これで年末にかけまして相当更正決定をせざるを得ぬ状況にあります。それで更正決定をいたしまして適正な徴税に努力をし、納税者に実際の現在の納税の状況を御反省いただきまして、よく協力してもらいますならば、私ども何とか收入見込み額は確保できるのではないか、またぜひ確保いたしたいと考えておるわけでございます。なお前年度は十月末までに申告所得税は一割九分しか入つておりません。ことしは少しはよくなつております。大体そういう状況でございます。
○林(百)委員 平田主税局長の言う農業二割四分、営業三割五分というのは、これは昭和二十四年度の予算を編成したときにそういう見込みで組んであるわけなんです。それはあなたも御存じだと思う。それでとれなくて、こういう新しい事態が起きているにもかかわらず、なお依然として本年度当初の予算を組んだ際の見通しを、今日なおそういう見解を持つておられるということは、これはますます担税能力が限界に達し、むしろ担税能力が縮小している際に、なおそういう当初の見通しのままで税金をかけるということになれば、これは相当――相当どころではない、大きな問題であります。ことに本年度上半期分の大体四倍から五倍の申告税をとらなければならないということになると、これは相当大きな問題だと思う。そこで私がお聞きしたいことは、農業の収益が二割四分昨年より増す、それから営業の収益が三割五分増すということは、どういうところから根拠が出ているか。特に最近農村の実態、中小商工業者の実態は、むしろ営業が苦しくなつて、昨年よりは実質的に収入は減つているという際に、それをどういう数字か知らないが、名目的にふえているということで、しかもこの下半期に上半期の四倍から五倍の申告税をとるということになると、相当猛烈な更正決定が年末に来る。そうすると実際文字通り税金とからんで、相当深刻な事態が発生するというようにわれわれは考える。これについて政府はあくまでそういうことをやられるつもりかどうか。
○平田政府委員 農業所得がふえますのは、大部分は米価等農産物価格の引上げに原因するわけでございます。それと若干生産の増加もございますが、そういうものによりまして二割四分の増加は、最近までにきまりました状況のもとにおきまして、大体妥当だと考えております。それから営業の三割五分の増加は、昨年の一月から十二月までの実績に対しまする本年の一月から十二月までの見込みの増でございまして、御承知の通り昨年の上半期に比べますと、最近の物価の高さは相当高くなつております。昨年の一月ごろに比べますと、やはり五割増くらいのところに来ておりますので、そういうものの増と、一面におきましては生産の増等もございまして、そういうものと関連して考えましても、まあこの程度は妥当なる数字ではないか。なおこれは決してそういう架室な数字から出したわけではございませんので、大体におきまして各方面で国税庁が指導しまして実態調査をやつておりますが、そういう調査の結果に基きまして算定いたしましたものでございますから、前年の一月から十二月までの実績に対しまして、ことしの一月から十二月までの実情が、三割五分くらいふえることを見込みますのは、見込みとしてはむりではなかろうと考えております。ただ御指摘のように、いかんせん申告の成績が非常に不十分でございまして、現在まで納まつている税が非常に少いのであります。従いましてこの十二月から一月、二月、三月、実際は四月まで――会計年度の締切りは四月まででありますから、四月までにかけまして申告所得税の納税者は、大いに勉強していただかなければならない実情に追い込まれている。役所といたしましても、よほど勉強を要するのではないかと考えます。
 そこで事実御指摘の勤労所得者の所得税が源泉で差引かれているために、相当よい成績で入つて来ている。あるいはその他の税につきましても、相当各納税者は苦しいながら納めておられるのでありますが、そういううちにおきまして、やはり申告所得税の納税者もこの程度の納税はしていただかなければ、負担の均衡は得られませんし、また財政の健全化ということもできないのではないか、かように考えているわけでありまして、私ども国民各位の御理解を得まして、極力円滑適正な税收入の確保に努力いたしたい。かように考えているわけでございます。
○川島委員 林君から農業所得の問題も出ましたが、きわめて重要なことでありますから一言承つておきたい。今政府は農業所得に対して各農業団体等と税務署とが折衝中であります。ことに問題となつているのは税務署が査定いたしまする場合に、反当収量をどこに置いたかということが非常に重要なポイントになつている。一体政府では全国の農村に対して反当収量の基準というものを、どの辺に置いてあるのかということをひとつ承つておきたい。
○平田政府委員 反当収入につきましては、あまり画一に走るのはかえつて弊害がございますので、ことしはなるべく各税務署に調査させまして、これを国税庁でよく調べまして、それで妥当であるかどうかをきめることにいたしております。今全国平均の数字を持ち合わしておりませんのでございますが、国税庁に連絡しまして申し上げてもよいですけれども、これは全国によりまして非常に実情によつて違つていると思います。
○川島委員 これは埼玉県の例なんですが、先般の全国の反当収入に関する中央作柄審査会の第一回の発表が、二石二斗九升ということです。この二石二斗九升という作柄審査会の発表の反当収量をほとんど動かせないものとして、それを基準としてさらに一割もしくは一割五分上まわるような反当收量の査定をして来ている。この平均作柄による二石二斗九升という反当收量というものは、おそらく標準農家の反当收量である。標準農家以下の多い各府県において、しかもその標準農家の反当収量で査定をされている。こういう一方的な非常にむりな査定をして来ておる。従つてこれは埼玉県だけでなく、全国の單作地帯の農家が税務署に連日大多数殺到して、税務署の吏員は仕事も手につかないというような形になつておる。これは一体国税庁がそういう指令を出したのか、あるいは政府がそういう指導をしているのか、非常に問題であるのであります。これについて主税局長は何か知つている事柄がありましたならば、この際示してもらいたい。
○平田政府委員 反当收入をどう見るかという問題は、結局その場その場の現地の事情に即しまして、実際に適合するようにつくるということでございまして、それをいかにして実際に適合したものにするかということにつきましては、御指摘のようにでき得る限り関係団体、まじめな団体等の意見なりをよく聞いて、適正を期するようにということにいたしております。それからまた国税庁におきましても、作成方法につきましては常に連絡しまして、指導いたしていると思いまするが、今の具体的な計数につきましては、私聞き合していないのでありますが、でき得る限り各地の実情に応じまして、その他まじめな農業団体の意見等を聞きまして、適正をはかるようにという方針で、国税庁からはやかましく指導していると思います。
○川島委員 主税局長はそう言われますが、実際は違うのです。今私が申し上げました二石二斗九升という反当收量を基準としてしまつている。この基準以下に、適正に現地の実況に照し合せて下まわつて来るのがあればいざ知らず、おおむね二石一斗九升という標準反当収量を動かせない基準としている。それを基準として上ヘアツプして来ている。それへ一割ないし一割五分くらい、反当収量をおつかぶせ的に一方的に来ている。そして米価の値上りを基準としてそれに算定して来て、お前のところは一町の耕作反別であるからこれこれ、五反歩のものはこれこれ、こういうことを実際において今やつているのです。そういうことはおそらく私は、埼玉県なら埼玉県の税務署の署長の考えだけでやつているのではないの思う。それは東京財務局ですか、そと方からの指令か、もしくは政府が全般的に指導した一つの暗示的な指令によつて、税務署長というものがそういう強硬な態度に出ているのではないかと思う。そういうことがもしあるということならば、これは重大な問題だと思う。どうも政府は、そういつた査定の場合に標準は示さない、こういう常に言つているのでありますけれども、納税者側から見ればもう徹底的にそれはある。しかもそれが動かせない。こういう形で農民には臨んで来ているのであります。そういうことがもし事実ありとせば、政府はどういう処置を財務局もしくは全国の各税務署長に指導するかということについても、所見をひとつ承つておきたいと思います。
○平田政府委員 農業所得の調査につきましては、今申し上げたより以上に申し上げる必要はないと思うのであります。要するに各地の実情によつて非常に違つておりますので、その実情に応じてでき得る限りデータを集めまして、それに基きまして税務署が一応原案をつくると思います。それをさらにできる限りまじめな団体に意見をよく開いて、適切なものを期したい。ただ税務署がつくるにつきましては、もちろん各税務署間のバランスを失してはこれは適正を欠きますので、国税局はその内容等につきましてよく審査をしまして、適切な指導を與えていると思います。それから国税庁におきましては、さらに全国的に通じまする大きな問題につきましては、どういうような見方をするかということにつきまして、始終協議はいたしていると思いますが、細部にわたつて具体的に、どの地方の標準を幾らにするとか、それを納税者に適用する場合にはどの標準率を用いるとかということは、結局現場の実情によりまして決定すべきものでありまして、それをあまりにも抽象的な、画一的な標準で押しつけることは考えるべきものではない。かように考えております。
○川島委員 その局長の抽象的におつしやることはよくわかるのですが、実際は、今繰返して申し上げますが、そうではないのです。それで埼玉県の一例は昨年は五千四百円程度、ところが米価の値上り等を勘案しての七千三百円平均というようなことで、一律に来ている。いかに税務署に農業団体のまじめな代表者が折衝しても、これはもう動かない。しかも私の見聞したところによりますと、一町以上を耕している者は比較的薄いのです。それで三反、四反という零細な農家には、この二石二斗九升という標準を上まわるほど非常に厚くなつて来ている。これは事実なんです。しかもこれは政府の方針だと言つている。これをやつてしまうと、総体的には政府が調査して発表された日本全国の米の収穫以上に上まわつている。税金の上ではこれは私は重大な問題だと思うのです。ですから、そういう事実が現実にあるのですから、一体そういうことの根拠というものがどこかにあつたに違いない。私は大蔵省にあつたとはあえて申さぬが、しかし国税庁のどこかの部署から、そういう指令かあるいは秘密指令というか、何という指令かわからぬが、そういう指令が飛んで来ている。従つて善良なる税務署長はその指令を拳々服膺して、いわば弱い農民に対決をしている。こういう形なんです。そうして零細な農家をこの一方的な課税の脅威にさらし、農民を当惑さしている。そしてますます農民をして窮乏に追いやつているという実情があるのです。これは埼玉県だけではない。私が最近あちこちをまわつて参りました府県では、至る所にそういうことがあつて、農民がその苦痛を訴えている。そういうことがかりにあるとすれば――かりにではない。現にあるのですが、そういうことに対して一体政府はどういうように国税庁を指導しようとしているのか。これをひとつ明確に、抽象的ではなしにお伺いしておきたい。
○林(百)委員 ちよつと関連して……。実際は政府の方針で、水増しして画一的にかけて来ており、しかもそれを明らかに大蔵省、ことに税金を取扱う方面からの秘密指令というか指示に基いてやつているのですが、ただ一線の徴税官吏は何と言つているかというと、国会で皆さんの代表がきめたということで、責任を国会に転嫁してやつている。実際は政府のそういう方針で出ているにもかかわらず、今度具体的に執行する場合の徴税官吏は、これは国会で皆さんの代表した代議士がきめたんだ。文句があるならば国会に言つてくれと言う。これはわれわれとしては非常に迷惑だ。われわれはどこへ行つても官吏にそう言われてそれで逃げられてしまう。実際そういう画一的な水増し的な、反収幾ら、これに対する税金幾らというような期待倍率をかけた画一的な方針でやれということを言つているのかいないのか。そういう指示をしたかしないか。はつきりしてもらいたい。われわれは国会の責任を明らかにしてもらわなければ困る。
○平田政府委員 今国会の責任のお話がございましたが、私は税法につきましては、これは国会の御審議を経まして可決になつたのでありますから、これはもちろん国会議員さんとして責任を負つていただきたいと思うのであります。ただかけ方につきましては、これは全然行政官庁の責任でありまして、その税法通り正しく執行されているかどうかということになるのでありますが、これはもちろんその行政官庁が責任を持つべきものであります。両者はわけて考えていただきたいということをはつきり申し上げます。
 それから今の課税の所得の見積り方に関する問題でありますが、これは簡単にお話になりますけれども、率直に申し上げますと実はむずかしいのです。完全な帳面がございますれば、それから役所の側におきましても完全な人手がございますれば、これはまた非常に問題は解決しやすい点もあるのでございますが、遺憾ながら農業所得等につきましては、実際におきまして事実の調査が、納税者の側におきましてもなかなか十分でございませんし、従いましてまた税務署におきましても完璧を期待したいのですが、なかなか期しがたい。そこである程度見解の差が出て来る。従いまして先ほど申し上げましたように、できる限り税務署におきましても実情を調べますと同時に、まじめな団体等の意見も聞きまして、できる限り実情に即するようにやつてもらいたい、やるようにということを申し上げているわけでございます。さような状態でございますから、これはやはり税務署だけにまかしておかないで、もちろん国税局というものが税務署を監督する役所としてございますが、その上にさらに国税庁が国税局を監督いたしまして、適正化を期しているわけであります。従いまして、甲の税務署の見方と乙の税務署の見方とバランスがとれなかつたり、あるいは実情に即しないようなことがあると思いました場合は直させたり、あるいは低いと思いました場合は上げる場合があるかもしれません。そういういろいろなことをやりまして、極力完全な所得をつかむということを期して努力しているわけでありまして、議論としてそれ以外にあまり言うべきことはございません。しかし今申しましたように必ず全部の納税者につきまして、みな完全な帳簿がありまして、全部調べることはできませんから、ある人について調べたものをもとにいたしまして、他の納税者につきましても推定して、更正決定をせざるを得ぬという実情に現在あることは、御指摘の通りであります。そういう場合におきましては、前年度に比べて何割くらいふえるのが妥当であるということを、税務署できめることがあろうかと思います。問題はそれがよいか悪いかということでございますが、それはそれぞれ現地の実情に応じまして適切を期すべきでございまするし、またそれによつてお互いに極力努力いたしまして、できるだけ公正に進めたい、そういうことを申し上げるよりほかないということを、ひとつ御了承願いたいと考える次第でございます。
○内藤(友)委員 資料をひとつお願いしたいのでございますが、それは一つは帳簿であります。政府はここに一月三十一日まで帳簿を備えつけるものは届け出るということを言つておりますが、もう帳簿の様式はおきまりだろうと思います。それを至急ひとつ、どんな様式の帳簿を出しておられるのか、ちやんとしたものをいただきたいと思います。
 それからもう一つお願いしたいのでありますが、それは大蔵省が第一線の税務署へ、徴税のことについて時折通牒を出しておられますが、その通牒の写しをひとついただきたいと思います。それを私どもは見なければ、平田さんのお言葉がぴんと来ないのです。さつきからそれで行つたり来たりの議論ばかりなのでありまして、それをはつきりすれば、だれも一つももう言いませんから……。
○平田政府委員 帳面の様式でございますが、これは私ども実は各業種、業態、地域等によりましても、なかなか一律な様式をきめるということはむずかしいだろうと思つております。だから政令によりましては、こういう事項は少くとも記載しなくちやならぬというのを、法律事項にいたしまして、あとの様式は極力各業種業態によりまして、なるべく正しい様式をつくつてもらつて、それを承認してやつて行く。中央におきましてもサンプル的に、あるいはそういうものをつくることについて目下研究いたしております。若干の腹案はできておりまするが、ただこの様式を法律で強制するということは考えておりません。
 それから記載事項は必ず勅令、政令できめます。それに基めまして、さらに基本的な様式をできるだけ定めまして、普及をはかりたいと思つておりますけれども、必ずその様式でなければならぬというところまでは強制するつもりはございません。もう少し伸縮性を持たせたい。
○内藤(友)委員 もう一つ、何か政府は青色申告用紙のほかに、藍色申告用紙を考えておられるようでございますが……。
○平田政府委員 申告用紙のことにつきましては、なるべく完全な様式と、少し複雑な所得を持つておられる納税者の様式と、いろいろ色をかえてくふうしてみよう。なるべく完全な、納税者につきましては記載事項を簡單にしまして、わかりやすいものにしたいということで、研究しておるわけであります。
○中村(寅)委員 主税局長は先ほど農業所得の増加率を二割四分と踏んでいると言われたが、その詳細な基礎資料の要求を提出したいと思います。
○平田政府委員 役所が、前の財務局、現在の国税庁から国税局に通達の訓令を出します。それから国税局が税務署に対しまして、さらに訓令を出すわけであります。これはいろいろたくさんございまして、出せと言われましても簡單には出せません。それは将来におきましては、その中ででき得る限り法規の解釈に類するような通牒は、これは納税者に重大な関係がございますので、現在ももちろんときどき公表いたしておりまするが、法規のごとく整然と編纂いたしまして公開する。見やすいような形にいたしたいと考えております。しかしこれを全部編纂しますと、お手元に配つております納税法規集の十倍くらいの分量になると思いますので、これはひとつ鋭意勉強しましてやりたいと思いますが、今すぐにはちよつとむずかしいだろうと思います。
○川野委員長 午前中はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開いたします。
    午後零時二十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十三分開議
○川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 税法三案に対する質疑を続行いたします。内藤友明君。
○内藤(友)委員 一昨日でありましたか、少しお尋ねしたのでありますが、局長がお見えにならなかつたので、それだけお尋ねしてないのであります。局長はなかなか答弁がお上手で、大蔵省きつての上手に御答弁になるそうでありまして、尋ねる方が下手なので、のらりくらりと逃げられるのでありますが、実はこれだけはひとつ良心的にお尋ねして、またほんとうにお答えをいただきたいと思うのであります。
 まずお尋ねいたしたいと思いますことは、平田さんはシヤウプ税制勧告を正直に忠実に実行なさるのでありますか。それとも自分の都合の悪いのはやらぬ。自分の都合のよいのだけやるということなのでありますか。まずこれからひとつお聞き申し上げたいと思うのであります。
○平田政府委員 シヤウプ勧告につきましては、たびたび申しておりますように、基本的な構想、考え方というものは、極力勧告の趣旨に沿つて参りたいと考えております。その方がまた国家、国民のためにもよいことではないかと考えておるわけであります。ただ具体的な細目等につきましては、極力日本の実情に即するように適当な調整を加えて参りたいと考えておる次第であります。
○内藤(友)委員 基本的なことは尊重してやるというのでありますが、そういうことになりますと、基本的なことであるかどうかということが残る問題になると思います。そこで私はいろいろお尋ねしたいことがあるのであります。法律案要綱というものをいただきましたが、その第二の要領の、一、所得税の中にいろいろと暫定期な処置をおきめになつておられるのでありますが、大蔵省の方からいただきましたこの勧告書を読んでみますと、四十九ページに農業者、申告納税をする個人業者、自由職業者にも、一九四九年十月一日から効力を発する一五%の勤労所得控除が與えらるべきこと、それが一九五〇年に提示さるべき申告書に反映さるべきことを勧告する、というのがあるのであります。私はこの勧告書を読みまして、十月から農業所得税が一五%軽くなるのだと思つて実は非常に喜んでおつたのでありますが、それがこの法律案要綱の中のどこに出ておるのでありますか、それを次にお尋ね申し上げたいのであります。
○平田政府委員 ただいまの問題は、政府におきましてもなるべくこの方針に従つてやるべくいろいろ研究いたしたのでございますが、ただ今回の改正の順序といたしまして、なるべく来年の一月一日以後の分にして、そのかわり一月一日を期してなるべく多くのものについて考えよう、こういうように補正予算に伴う税制改正の方針が相なりましたために、大体二十四年分にさかのぼりましてやる分はしばらく見合わせよう、かようなことに相なつたのでございます。従いまして三・七五%の申告所得税の控除、これは今回の提案には入つておりませんことを御了解願います。
○内藤(友)委員 どうも、申告書に反映さるべきことを勧告するというのがだめになつたようでおりますが、これは私の計算でありますけれども、もし勧告通り一五%控除されますと、五十億ないし六十億程度の農業者の負担軽減になるのではないかと思うのであります。ところが一方、一昨日予算説明書というものをいただいたのでありますが、それによりますと、政府は今年度におきまして自然増収二百億ぐらいあることを申しておられるのであります。それだけのたくさんの自然増收があるのならば、なぜこの六十億内外の農業者の負担軽減を、シヤウプ先生が村を歩きながら痛切にお感じになつたのだろうと思うのでありますが、それをあえてなさらなかつたのか。それをお尋ねしたいのであります。
○平田政府委員 二百億程度の自然増收を計上いたしておりますが、一方申告所得税の方は、先ほど申し上げましたように、むしろ二百億円ほどの自然減収を実は見込んでおります。減収は今回の補正予算の追加財源に全体として相なつておるわけでありまして、そのおもなる区分は、主として輸入食糧の繰上げ購入と申しますか、最初の予定よりもよけいに入つて来たことのための追加歳出の財源が、当初に比較いたしますと増加いたすことに相なりましたので、申告所得税の減税ということまで考えなかつたのでございます。それともう一つは、先ほど申しましたように、すべて二十五年一月以後の分について考える方がより公平じやないかという考え方がありました。従つて二十五年度分からは――第一期は来年の六月になりますが、相当申告所得税の納税者も、かりにシヤウプ案通りにやりましても軽減に相なりますので、そのときまでしばらくお待ち願いましても、さほどむりじやなかろうというふうに考えまして、私どもそういう決定に同意いたした次第でございますことを、御承知置き願いたいと思うのでございます。
○内藤(友)委員 実はこの夏議会がありませんでしたときに、私ども委員会の招集に応じて参りました際、事務の方のお方から非常に厖大な国民の負担に関する資料をいただいたのであります。あの中を見ますると、国民の負担関係におきましては農民の負担が一番重いということは、随所に具体的な数字で出ているのであります。また私どもも決してこれは農村に関係があるから、そういうことを申すのではございませんが、今日の農民の負担というものは非常に重い。しかもその重い負担が再生産を非常に阻害しておる。増收に対しても非常に阻害しでおる。またそういうことが土地改良ができなくなつておる原因でもあり、その他の改良施設もこのためにはばまれておるということが、私どもよく村をまわりましてほんとうにわかるのでありますが、シヤウプ勧告が出まして、そういうような窮状にある農村に対して、少しでも他よりも早目に何とかしてやろうという勧告だと思つて、非常に喜んでおつたのであります。ところが今度の改正案全体をながめますると、なるほど工場で働いておられる人たちの所得税の軽減にはなつておりますけれども、農民の負担は依然としてそのままになつておるということは、一生懸命に食糧の増産に努力いたしておりまする農村の人たちに対して、私どもはまことに相済まぬような気がいたすのであります。そこでこれは私どもがそういうことを申すのではないのでありまして、シヤウプ勧告も十月からやりなさいと言つておるのでありますが、政府は今度の税制の暫定的な改正に対して、この勧告書通りに改められる心持があるかどうか。もしないのならばぜひ勧告書通りもう一ぺんやり直していただきたい気持を持つておるのでありますが、これに対して農村の実情をよくごそんたくいただきまして、平田さんの御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。
○平田政府委員 気持といたしましては内藤委員のお気持と私もまつたく同様な気持を持つておるわけでございますが、ただ一面やはり今回の補正予算の所要財源に相当多額な金を要しましたのと、他面におきましては、いま少し具体的に言つて、課税時期をいつにした方がいいか、減税の時期をいつにした方がいいかということの実質的な公平ということを考えますれば、やはり申告所得税にさかのぼつてやりますと、また勤労者の側におきましても問題があるというような点もございますので、私どもとしましては、できればそれをやりますのも有力な一つの方法だと考えたわけでございますが、大体来年の一月以後減税を実行することに相なりましてもいたし方なかろう。本年一年限りでありますからごしんぼう願いまして、来年度からさらに税法が改正されると相当農民の所得税は減税になりますので、そのときに讓つていただきましてもさほどむりではなかろう、かように考えましてここに提案いたした次第であります。
○川野委員長 国税庁長官高橋衛君がお見えになつておりますので、この際御報告申し上げます。
○林(百)委員 午前中の質疑の継続をしたいと思います。このたびの税制改革で一番問題になりますのは、源泉徴收の分が四百十九億の自然増收になつていることが一つと、申告納税が百九十六億減税になつていること、この二つの点が非常に重要な点だとわれわれは考えておるのであります。そこで午前中の平田主税局長の答弁の中で、勤労者の名目的な賃金も上つているし、また実質的な賃金も、この税制改革によつて将来の物価改訂のはね返りを考えても、なお実質的に向上して行くのだという見解のもとに、今後の百四十九億の増税も、勤労者にとつてはそうむりではないという御答弁があつたのであります。ところがわれわれの調査した資料によりますと、日本の勤労者階級の全体からみて名目賃金も、また実質的な賃金からいつても、今年度当初より今年度末に至つて、改善の方向をたどつておらないという数字が出ております。そこでもう一度主税局長にお尋ねしたいのですが、名目的な賃金が上つたという具体的な例がありましたならば、こういう例があるということを知つていたら、説明してもらいたいと思います。
○平田政府委員 午前中に詳しく読上げました数字は、内閣統計局の調査に基いての全産業の毎月の賃金統計でありまして、これによつて昨年の十一月七千二百円くらいのものが、最近におきましては八千六百九十三円ということになつています。これは内閣統計局の調査をそのまま申し上げたわけであります。
○林(百)委員 具体的にあなたの見聞している限りで、どこの会社でどういうふうに賃金が上つた。具体的にこういう例があるということをお持ちですか。
○平田政府委員 今手元に資料はございませんが、こういう数字でございますので、会社によつては相当上つている例がたくさんあると思います。
○林(百)委員 ここで抽象的な押問答をしてもしかたがないと思いますが、名目賃金という意味をあなたは御承知だと思います。たとえば労働時間が長くなるとか、あるいは残業手当を切り下げるとか、こういうことによつて名目的な賃金の切下げということをあなたも御承知だと思う。そこでわれわれの方の調査並びに日経連の――これはあなた方が常日ごろ親しくしている組織であるから御存じだと思いますが、そこで第一にわれわれの産別の調査、その次に日経連の通達、この二つをお知らせする。これでもなおあなたは、日本の勤労階級に対する名目賃金が全般に上つていると思うかどうか、御意見を承りたいと思うのだが、産別の調査によりますと、六月中の賃金切下げの状況は、金属だけで二十四組合に達し、実質賃金の切下げは激増の一途をたどつている。例を申しますと冨士産業の三鷹工場では現行の給與の二割引下げ、健康保険補助金の切下げ、專従者給與の九月以降の打切り、時間外手当の引下げ、交通費補助の打切り、食堂補助の廃止などが通告されている。それから日本鋼管の川崎製鉄所では、能率給を一人二百円の削減をし、さらに現行三交替制は二交替制となつて、従来の八時間勤務が十時間勤務となつておる。同じく川崎の日本鋼管の鶴見製鉄所でありますが、能率給一人七百円の切下げを行つておるという状態になつております。この事例をあなたは御存じかどうか。これをまずお聞きしたい。こういうように、厚生資金の打切りあるいは労働時間の延長、あるいは時間外手当の引下げというような形で、この表面に出ている毎月々々のサラリーについては影響がなくても、それが補助的な面で厚生資金の打切り、健康保険の補助金の打切り、あるいは労働時間を三交替制から二交替制にするということで、これは名目的な賃金にすら影響を及ぼしておるのだということを、あなたは御存じかどうか、まずお聞きしたい。
○平田政府委員 冨士産業がどうなつているか、私調査しておりませんのでよく存じませんが、今お話になりましたような例も、中にはあるだろうという推測はつくわけであります。
○林(百)委員 その次に日経連の正式な意見として、全経営者に通達しているところによると、第一には固定給を半固定給にして、さらに牛固定給を出来高拂いに切りかえる、欠勤の場合の賃金は三割方引下げる、退職金の通算期間も半固定給は三分の一とするということで、退職金並びに欠勤の場合の賃金引下げを強化せよという通達が日経連から出ております。これをも合せて、われわれの見ておる資料によれば、名目賃金も勤労階級全体としては下つておる。しかもこの傾向がますます強化されようとする際に、源泉徴収を百四十九億増徴するということは、勤労階級にとつては大きな負担になるとわれわれは解釈するのでありますが、この日経連の通達についてあなたは御存じかどうか。
○平田政府委員 日経連からどういう通達が出ておりますか、それは私は承知いたしておりません。
 それから林さんは今勤労所得税の増徴をしておるとおつしやいますが、これは非常に誤解を招くものでありまして、私ども決して増徴はいたしておりません。税金は税法に基きまして計算しておるわけでありまして、現在の税法に基いて最近の状況で見積ればこれぐらいの歳入になるというだけでおりまして、増徴でも何でもありません。そこが非常に大事なところであります。
○林(百)委員 あなたの方の減税ということも非常に誤解になる。
○平田政府委員 そういう点が非常に重要な問題でありまして、私どもは税法に従つて現在の賃金の状況で計算するとどうなる。これはまつたく現行法に基く税の收入の見積りにすぎない。それに対しまして、私どもがさらに今回法案を提案いたしまして、これで減税すれば、これははつきりした減税であります。また反対に今回これを増率いたしまして、それで増収になりますとにして率をかけて、最初の見込によりたくさんとるということになれば、これは結局税率をもかえて増徴したということと同じ意味になる。そういう意味で、われわれはあなたの資料にも増という言葉が使つてあるのだから、これはましてそんなことに異議を言うべきはずではない。
 そこでさらにわれわれの方で大事なことは、労働省で発表しておる賃金の遅欠配であります。これは少くとも労働組合なりあるいは労働関係に関心を持つておる方ならば、今いかに賃金が遅配、欠配になつておるかということは多言を要しないと思いますが、一九四九年、今年の一月には遅配の件数が千百八十六であつたものが、二月には二千八十六、三月には三千七十三、四月には三千百六十九、五月には三千百七十四、少くとも今年の一月と五月、六月とを比べると、三倍の増加を示しておるわけであります。こうした三倍にも遅配の数が増加しておるということは、勤労階級全体に対する賃金については、名目賃金ですら、この遅配件数の多いところから見ても、われわれは減じておると断定せざるを得ない。この点について、局長の意見を伺いたいと思います。
○平田政府委員 増徴と増收の問題ですが、私どもは自然増收――増收という言葉を使つております。増徴という言葉は使つておりません。自然増收につきましては、これはかりに補正予算で自然増收を見なくても、今の税法がある限りにおいては、出て来べきものは出て来るわけであります。ただ現在の状況のもとにおいて、当初の見積りと若干ベースがかわつて来たようでございますから、この際見積りがえをしよう、こういうわけのものでございまして、増徴とお考えになりますことが非常に誤解を招きやすいので、ひとつ御了承を願いたいと思います。そうして私の計算はあくまでも実際の支拂い貸金をもとにしてやつております。税金も実際に徴税できました額をもとにしで計算いたしておるわけでございます。これは部分的にはいろいろの現象もあろうかと思いますが、大体においては間違いなかろう、かように確信いたしております。
○林(百)委員 平田さんの言うのは、税金をかける対象の税額を見積りかえしておると言うのでしよう。見積りがえして、実際は名目賃金はずつと上つておるのだから、従来の税率でも税金はこれだけ余分にとれるのだ。ところが、その見積りがえをして従来よりも名目賃金が上つておると言うのは、実際は名目賃金が上つておらないにもかかわらず、上つたという大蔵省の算定のもとに税金をかけたら、勤労者の負担というものは、結果においては税金を増徴されておると同じ結果が来るではありませんか。その日本の勤労階級全体に対する名目賃金は上つておるか上つておらないかという問題、あなたの方は名目賃金はどんどん上つておるのだ、また実質賃金もどんどん上つておるのだと言われる。しかしわれわれの方は、今言つたように賃金の遅配、欠配は数万、あるいは厚生資金やいろいろの打切り、あるいは退職金の打切り、労働時間の延長というような形によつて名目賃金は下つておる。下つておるにもかかわらず、あなたの方が名目賃金は上つていると言つて税金をかけて来れば、結果においては税金を増徴されると同じ結果になる。だから名目賃金が上つていると言うならば、今言つたわれわれの方の具体的な事例、また日経連から出ている通達、あるいは労働省から出ている遅配の数字、こういうものを打破るだけのしつかりした根拠を示されればまた別です。
○平田政府委員 重ねて申し上げますが、税金というものは予算の見積りでとるわけではないのです。税法に基きまして税金は納税者が納税するし、徴税者も税法に従つて徴税するわけです。従いましてこの見積りは今の税法のもとにおきましては、現在の賃金の状態で推移するとするならば、どれくらいの収入が上るかというような見積りをしたのにすぎないのであります。その見積りがえをしたから増税するという性質のものでは全然ございません。これはあくまでも現行法律によりまして、それぞれ税金は徴収するものでありまして、その法律が実施されますならば、今の状況ではこれぐらいの収入になるだろう、こういう見積りをいたしておるわけであります。従いまして林さんは自然増収と増税を混同しておられるようでありますが、これはぜひともひとつわかつていただきたいと思います。
 それからさらに今度の税法の改正によりまして税が減りますが、これこそはまさに減税であります。税法がかわりましたために、まさに減る額であります。従いまして反対に税率を上げまして、税収入がふえますと、それはもちろん増税でございます。自然増収はあくまでも今の税法のもとにおきまして、最近の状況から本年度幾らぐらいの歳入になるだろうか、その見積りをいたしておるわけであります。その見積りの根拠といたしましては、先ほどからたびたび申し上げておりますように、昨年の十一月ごろの数字と、最近の数字とは、支拂い賃金において相当かわつておりますので、最近の賃金をもとにしまして、これで計算いたしておるわけでございます。これは課税にも実際にも反映されて、最近毎月入つて来ております。それをもとにして計算しておるということを重ねて申し上げておきたいと思います。
○川野委員長 大蔵大臣がお見えになりましたが、実は大蔵大臣は予算委員会にまた出席されることになつておりますので、大蔵大臣に対する質疑をまずお願いいたします。川島金次君。
○川島委員 簡単に数点をお尋ねしたいと思うのであります。昨日もちよつと主税局長にあらましお尋ねしたのでありますが、納得ができませんので、重ねて大臣に御答弁願いたいと思いまする
 それは今度の所得税の臨時特例法案外二法案は、主として給與所得者に対する減税措置だけであります。給與所得者が今日の経済段階において、きわめて負担の過重を痛感しながら、生計も困難な事情に置かれていることはもとよりでありますので、この給與所得者に対する減税措置を急速に措置するということは必ずしも異議はない。がしかし、給與所得以外の農業零細所得者、あるいはまた中小企業等における、ことに零細な所得階級が、引続き過当な税率によつて過当な負担を背負い込んで来ておる。その現実の問題を当面に置いて何ゆえに給與所得者だけの減税措置を講じて、他の農村及び中小商工業を含めた業種所得、ことに零細業者所得者の軽減措置を並行して行うという方策をとらなかつたか。その根拠をまず承つておきたい。
○池田国務大臣 なぜ農業、中小商工業者の減税と勤労階級の減税を並行してやらなかつたかという御質問でございますが、並行してやるのであります。来年の一月一日から、すなわち昭和二十五年分からやつておるのであります。予算的には会計年度は四月から三月まででございますから、勤労階級の減税は昭和二十四年度の補正予算で出て参りましたが、所得税法から申しますと、二十五年分からやる計画で今行つておるのであります。もしシヤウプ勧告のように二十四年分から農業所得や中小商工業所得をまけるのならば、あなたの見解をもつてすれば、勤労所得者もなぜこの十一月からまけないか、こういうことになるのであります。シヤウプの勧告には、事業所得につきましては、申告納税の分については、昭和二十四年の所得からやる。勤労階級には昭和二十五年の分からやる。こう載つておりますが、この分は私は二十五年の所得から一齊にやつて行く、こういうことに改めたのであります。
○川島委員 何か納得ができないのですが、この臨時措置は言うまでもないことですが、とりあえず基礎控除は年二万四千円、扶養控除は一万二千円となつて来た。これと今の農業所得者及びその他の営業者には関係がないわけであります。この二万四千円及び扶養控除一万二千円というのが、同時に行われれば並行だということになる。しかしこの暫定措置というものは給與所得、源泉徴收分に対してのみ行われる暫定措置である、こう私は理解しておる。そうすると、今大臣がおつしやられました並行しておるとはなつておらないが、その点を聞いておるのです。
○池田国務大臣 所得の計算は、その年の一月一日から十二月三十一日までを計算するのであります。しかして申告納税の分につきましては、納期が五月あるいは十月というふうになつております。しかして勤労階級の源泉徴収の分は毎月とることになつております。従いましてもし勤労所得に対する分が申告納税で年に三回とか四回とかというのならば、何も今回の臨時国会に出す必要はないのでありますが、二十五年の一月一日から一齊にまけて行こうとするときには、勤労階級も一月一日からとつて行くわけでございますから、今回御審議を願つておる。しかして申告納税の分は、納期は第七国会で御審議願つても十分間に合うから、出さなかつただけであります。
○川島委員 どうも何か三百代言式の答弁でございますが、一体業種所得者でも一ぺんにとるのだからという立論に立つて大臣はそう言うのであろう。しかし給與所得者の課税に対しても、業種所得者に対する課税に対しても、一つの税法というもので臨まれた場合には同じであると私は思う。そういう前提に立てば、給與所得者のみの暫定措置を講ずるだけでなく、現在の業種所得についても非常な負担の過重であるということは言い得る。これは大臣が大いに痛感されればこそ、こういう一つの暫定措置も出て来た。いわんやシヤウプ勧告にも、今の税率だけで日本の国民から税金をとつたならば、少くとも予算の二倍にも三倍にもなるだろうという、でたらめな日本の税であるということを指摘しておる。そのでたらめの指摘されておるような税率によつて、業種所得も昭和二十四年度は引続き徴收されて行かなければならぬ。そういう意味で、これは大臣がどういう考え方であるかしれぬから、われわれとしては給與所得に対する課税軽減も、あわせて一般の業種所得者に対しても、同一な処置を講ずるということはすればできる。そのしない方法をとつて、給與所得者だけに暫定措置を講じたという、その明確な根拠を私は知りたい。
○池田国務大臣 所得税法の所得の計算は、先ほど申し上げましたように二十四年分の所得税につきましては、一月一日から十二月三十一日までの所得を計算して納めるわけです。勤労所得につきましては、毎月々々の源泉徴收になつております関係上、二十四年分につきましては十二月で納めてしまう。そこで過不足があつた場合には一月において年末調整をやるわけです。勤労所得者はこの十二月で二十四年分を全部納めたことになる。しかして事業所得者は二十四年の分で申告納税をやつておりますけれども、一月に確定申告を出してやることになる。そこで二十四年分がすつかり済んでしまう。新たに二十五年分は一月一日から始まるわけです。私は二十五年分から減税して行きたい、こういう考えです。もし二十五年分から減税する場合に、今回の臨時国会で勤労所得者の減税を御承認を得なければ、一月からはやはり昔の税法で基礎控除一万五千円、扶養家族控除千八百円の税額で行くことになつて、これでは勤労所得者は困りましよう。そこでこの臨時国会で、二十五年分の所得について勤労所得者は一月からやつて行く。それから事業所得者、いわゆる申告納税の分は納期が四月か五月になつております。だから第七国会で御審議になつても十分間に合う。だから今回は出さなかつた。所得というものは会計年度で行くのではありませんよ。暦年で計算するのであります。これはもう川島先生は十分所得税はおわかりでありますから、少し考えてくださればわかると思います。
 そこでシヤウプ博士はなぜああいう勧告を出したかということを申し上げましよう。これは申告納税分については非常に今お気の毒だ。重税だということよりも、もつと端的に言えば、勤労控除の二割五分は多過ぎたのだ。だから控除は一割にして、そうして差額の一割五分は他の面で考慮しなければいかぬ、こういう信念を持たれた。そこで差額の一割五分を二十四年分の所得からやつて行つて、農業者、中小商工業者を助けたい、こういう信念のもとに勧告されたわけです。そこで一五%の差額を十月から施行して三・七五%の所得控除にしよう。シヤウプの勧告はこういうことだつたと思います。しかしあなたの言うように並行してやるということになりますれば、あなたの議論を突き通せば、勤労階級は二十四年分は一つもまけずに置いて申告納税だけまけるということになつて、並行してスタートせぬことになる。従つて私は減税は並行してスタートした方が、勤労階級にも、農業者、中小商工業者にもいいというあなたと同じ考えで、今回とりあえず源泉徴收を出したわけです。
○川島委員 どうも頭脳明晰と言われる池田大蔵大臣に似合わない三百代言的な言葉だと思います。一体勤労所得者がこの一月から減税の処置を受ける。そうして二十五年に入つて、業種所得者は一月にさかのぼつて実施されるのだからという意味なんでしよう。
○池田国務大臣 その通り。
○川島委員 全体的には業種所得も二十四年中の減税は一つも受けないということになる、その点です。
○池田国務大臣 勤労所得も同じです。
○川島委員 勤労所得はわかつておる。それでシャウプ勧告もこれをやるべきだということを言つておる。そこで私は今の問題を取上げておるのです。どうもぼくには話がよくわからぬです。
○池田国務大臣 所得の計算を年度で行くか暦年で行くかという問題です。シヤウプ博士の農業者、いわゆる申告納税の分は二十四年からまけてやる、勤労所得者はこ十五年からでいい、こういうシヤウプ博士の勧告通りにやるのならば、今の三・七五%の減税案を出してもよろしうございましようが、私は減税は同時に出発して行くべきものだという信念のもとにやつたのであります。各階級を通じてまけるという基本原則にのつとつたことはもちろんでありますが、各階層のまけ方については、私はあなたと同じように並行して出発するのがいいと思つて、施行しているのであります。これは主税局長あるいは国税庁長官からお話をさせます。
○川島委員 その問題はその程度にしておきましよう。
 そこで次にお伺いいたすのですが、大体政府は本年度のただいま上程中の補正予算、これは明年度の総予算の前提となつておる。明年度の予算大綱も大体内定しておるやに承つておる。明年度の歳出、歳入の予算の大綱が大体でき上つておるということになれば、必然的に税制に関する全面的な改正が、少くともまとまつていなければならないと私は考えておる。そこで大臣にお伺いするのですが、明年度の予算編成にあたつての前提である税制の全面的改正について、まとまつている部分とまとまつていない部分、もし全体がまとまつているならばそのまとまつている部分について、大綱をここに示していただきたい。
○池田国務大臣 大体の大綱はできておりますが、税率、基礎控除あるいは扶養家族の点につきましては、ただいま検討中でございまして、まだ発表する段階に至つておりません。
○川島委員 それであればいつごろそれが発表できる段階になるのか、見通しがあれば承りたい。
○池田国務大臣 昭和二十五年度の予算案と同時に決定いたしたいと思います。
○川島委員 そうすると政府がすでに内定しておるという明年度の予算というものは、きわめて架空的なものであるということになつて来るのではないか。少くとも税制の全面的な改正が前提となつてこそ、この補正予算を前提とする明年度の予算というものは、大綱なりでも大体まとまつて来るべき性質のものである。しかし全面的の税制の改正案がいまだにまとまりがついていないにもかかわらず、明年度の予算の大網が数字的にまとまつて来たということは、まことに納得ができないことになるのでありますが、その点はどういう関係なんですか。
○池田国務大臣 大綱はまとまつております。歳入歳出とも六千六百数十億円、こうまとまつておるのであります。税におきましても大体四千四百四十億円程度、あるいは四千四百五十億円程度、こういうふうになつております。しかしその内容につきまして基礎控除をどうするか、扶養家族の控除をどうするか、税率をどうするかというこまかい問題につきましては検討しておるのであります。また私には大体の腹はありますけれども、今ここで申し上げるわけにはいかない。しかし来年度の予算の大綱はきまつております。
○川島委員 それでは続いてお伺いしますが、まず所得税の問題について大綱がきまつておるという腹があることを前提としてお伺いしますが、この暫定軽減措置の一例をあげれば、基礎控除の年二万四千円、扶養家族控除の一万二千円、勤労控除の百分の十というこの引下げ、それから五万円以下の百分の二十から始まつて三十万円の金額の百分の五十五にとどめるという、この暫定措置は、来るべき予算の編成の際に上程されるところの全面的の所得税改正にあたつても、これが基本となつて動かないものであるか、あるいはまたこれが若干動く見通しを持つておるのか、その点をひとつお伺いしたい。
○池田国務大臣 今回の暫定措置は一応シヤウプ案によつて立案いたしまして、しかもシヤウプ案よりも階級別にやつておりますために、シヤウプ案と同じところもありまするし、シヤウプ案よりもちよつときついところもあります。従いまして来年度におきましては、シヤウプ案よりも、しかもこの暫定措置よりもきつくなることはありません。シヤウプ案によるこの暫定措置よりも減税の分が大きくなりましよう。しからば基礎控除の二万四千円を何ぼにするか、扶養家族の一万二千円の控除を幾らに引上げるか、税率の五万円以下二〇%から三十万円超五五%をどうやるかにつきましては、まだ来年の国民経済の状況ということをはつきりつかまえておりませんので、そしてまた各税の見積りを今計算いたしておりますので、申し上げられないというのであります。ただここではつきり申し上げることは、シヤウプ勧告案よりも所得税がきつくなることはないということを申し上げておきます。
○川島委員 それでは重ねてお伺いしますが、大臣はたしか前国会の終了直後であつたと思うのです。真偽のほどはわかりませんが、当時新聞紙の伝えるところによりますと、今の国民の経済生活の実体と物価の指数とをながめた場合に、現在の一万五千円の基礎控除では、これは問題にならない。少くとも戦前は、昭和十五年当時は基礎控除は百円だつた。年額は一千二百円だつた。従つて理想を言えば、一箇年に十二万円くらいの基礎控除を必要とするんだ、こういうことをほのめかして、非常に大巾な基礎控除の引上げをやるかのごとき口吻を、新聞記者団に漏らしております。それからもう一つは、あなたの所属する政党の政務調査会では、シヤウプ勧告が出る前後において、基礎控除は少くとも一人年額二万七千円を最小限度とする、こういう政務調査会案というものを打出して世間に発表されておる。こういう一連のことを考えますと、少くとも大蔵大臣は、今日の国民大衆の生活の実体と、国民が受ける物価指数の圧力とを勘案して、この二万四千円では少くとも満足しておらないのではないか。大臣の私見からすれば、二万五千円どころでなく、三万円、四万円にしたいのではないかというふうに受けとれるような談話が当時あつた。そこで聞くのですが、この基礎控除の年二万四千円というものがはたして大臣は満足なものであるか。これによつて大臣の財政演説の中に言われるような、日本の経済を安定し、国民の経済生活は安定の域に達するんだという考え方を持たれるかどうか、これをひとつ承つておきたい。
○池田国務大臣 新聞に発表したかどうか知りませんが、あなたのお話にもあつた通り、理想を言えば税は安いに越したことはございません。しかし税をあまり安くし過ぎて――というと語弊がありますが、税をあまりとらずに、借入金によつて経済をまかなうということになると、かえつて減税が経済復興にわずらいする場合もあるのであります。これはやはり基礎控除が非常に多額なことを望むのでありますが、これに達するのには、まず経済の安定をはかり、そうしてみんなが楽に過して行くような、いわゆる自立経済を立てなければならぬ。これであるのであります。従いまして徐々に税の軽減に向つて進みたいと考えておるのであります。従いまして、今シヤウプ勧告案よりもきつくはならぬということは、自分の考えておりまする来年度の歳入歳出のわくのうちで、所得税につきましても、ひとつできるだけ軽減をするようにやつて行きたいというので、努力いたしておる次第であります。その場合に、基礎控除を引上げるか、勤労控除をふやすか、あるいは税率へ持つて行くかという問題になりますと、これはよほど考えなければなりません。きのうも予算総会で申し上げておきましたが、二万四千円を二万七千円にいたしますと、全体で九十八、九億、百億足らずの減収になります。それから勤労所得一割控除を一割五分控除にして、五分だけ控除をふやしますと、百億あまりの減収になります。税率を五万円以下二〇から始まつて、百万円超五五ということにして、その間の換算をやつて行くということになると、百七、八十億円の減収になる。こういうふうな状況で、私はとにかくお話の通りにできるだけ所得税を安くしたいというので、日夜いろいろな計算をやつて努力いたしておるのであります。だから今後の財政状況、今後の租税収入の状況等を見まして、できるだけ減税をはかつて行きたい。今年できなければ来度、私は今の状態で行けば二十六年度はもつと減税ができるのじやないか、かように考えておる次第でございます。私は財政計画を大体自分では立てております。今年の債務償還はどれだけ、来年の債務償還は今年の五、六割程度にとどめます。そうして再来年はほとんど債務償還にあまり行かなくともよいということになれば、それだけ減税ができる。また安定の軌道に乗つたと申しておりますが、また安定の軌道に乗つたと私は確信しておりますが、うつかりするといやなインフレになりかねない要素もなきにしもあらずでありますから、この際は理想にすぐ走らずに、着実に、ステツプ・バイ・ステツプ、経済の再建を見合いながら減税に向つて行こうといたしておるのであります。
○川島委員 時間がないから、余分のごとを言つていただかなくてもよいのですが、問題は、大臣はこの基礎控除二万四千円というものを出して来たことに満足しているのかどうか。これで国民の、ことに勤労大衆の生活の安定に、現実において寄與できる確信を持つてやつておるかどうか。この点なんです。これは基礎控除だけでなしに、扶養控除あるいは税率の問題をひつくるめて考えた場合に、それを聞いているのです。
○池田国務大臣 これはよけいなことだとおつしやいますが、来年度の減税はどうか、そうして再来年度の減税はどうかということは、これは今の税率をきめるときの、よけいなことでなくて、ほんとうに重要なことです。私の財政政策はこうだということで行つておるのであります。従いまして二万四千円で満足するかと言つたら、決して満足しない、それはお話のように再来年度においてもまた実現できるだろう、こういうふうに言つておるのであります。繰越して申し上げますが、税はできるだけ少いに越したことはありません。しかも二万四千円でそれじや勤労階級も農業者も楽かと言つたら、決して楽じやない。この非常にいたましい敗戰下から飛び出すためには、相当のがまんをしていただかなければならぬ。しかしわれわれは徐々に減税に向い、徐々に健全財政をつくる。だから私は本会議でも言いました。このときに歳出も相当ふやし、減税にも充てる、こういう予算は今の世界でごらんくださつてもあまり例はありません。これだけ日本の経済が安定しておると私は言い得ると思う。
○川島委員 それがまたよけいなことだ。どうも聞かないことを答弁されては困る。貴重な時間だ。委員長は時間を制限しておる。(笑声)
 大臣にもう一歩突込んでお尋ねしたいのですが、今の日本の勤労階級、ことに所得十万を單位とした以下の大衆、この階級の食糧費というものは、生計費の六五%ないし七〇%、こういう事情になつておる。エンゲル係数の上からいつても、このように食費が六五%ないし七〇%を占めておるという現実の上に立つたときに、勤労大衆の生計というものが、はたしてこの程度の減税によつて若干でも救われると思つておられるか。この点もひとつお伺いしておきたい。
○池田国務大臣 今回の減税によりまして、勤労階級はもちろん、他の階級も相当生計に楽を来すと思います。たとい米価が上りましても、あるいは運賃が上りましても、今までよりは楽になると考えております。
○川島委員 楽になるという確信がありますれば、その確信の根拠等、何か数字的な説明を、われわれの納得のできるようにしていただきたい。
○池田国務大臣 政府委員をしていたさせます。(「大事な点を逃げておる」と呼ぶ者あり)私がこまかい数字を申し上げるよりも、その点は私の承認を得てつくりました数字を、政府委員からやらすことは当然だと思います。
○川島委員 それではさらにお伺いします。本年度及び昨年度の階層別所得というものの、政府から出された資料がある。それによると大体五万とか七、八万という者が圧倒的に多い。ところが今度の物価改訂、運賃の引上げとか、その他補給金の削減等からはね返つて来る物価の高騰、こういつたことを一面的に見渡しますと、私の勘でありますけれども、非常に所得階層別の分布というものが、十万円以上の者が非常に多くなつて来て、従来と主客転倒した形になつて来るのではないかという私どもは見通しを持つておるのですが、そういう問題について大臣が知つておられましたならば、この際示してもらいたいと思います。
○池田国務大臣 所得階層別は年々相当かわつて参ります。ことにわが国の今までのように経済がはつきりしていないときには、そのかわり方も多いと思うのであります。今ここに正確な資料、数字を持つておりませんが、とにかくかわることは当然だと思います。
○川島委員 かわることは当然だということは、私の今のお尋ねをした内容を肯定されてのお話だと私は理解するのですが、こういうことにかりになつたといたしまするならば、今ここに大臣が出されておる明年度の税制の改正の場合にも、大体これ以下にはならぬ。しかもこれより軽くなるといつても、そう多くを期待することができないということになりますれば、その所得階層別によつて十万あるいは十五万以上の者が非常にふくらんで来る。そして従来圧倒的であつた七、八万の者が少くなつて来る。しかも十万以上の者が多くなるということになると、この税制の改正をかりにやりましても、政府が考えておるような非常に実質的な大衆の負担の軽減にはならないというおそれが十分にあるのではないか。すなわち生活水準というか所得水準が平均して高くなる。たとえば農業者に言わせれば米価の値上りその他の値上りで、やはり所得が上つて来る。それから給與者においても政府が最近言われているように名目賃金が引上つて来ておる。こういうことを前提として考えると、この税制改正の前提である暫定措置程度のものが来年度実施されても、実質的には国民階層の大部分を占めるものの負担というものは、必ずしも軽くなつて来ない。こういう形になろうと思うのですが、この点はいかがですか。
○池田国務大臣 インフレ下における増税、減税の問題を取扱つておられると思うのであります。もし来年度において名目賃金がどんどん上り、そしていわゆるインフレ様相を呈して来ますならば、基礎控除の二万四千円あるいは税率の引下げ等でまかないきれますまい。しかし私は大体経済安定が軌道に乗るから名目賃金だけの上昇は来年はない、こう考えておりますので、この程度の減税で今の日本経済としてはがまんしていただくべきものじやないかと考えておるわけであります。
○川島委員 たとえば今の六千三百円の賃金ベースをくぎづけにするということになりますれば――この六千三百円の賃金ベースというものは、昨年の六月現在の物価指数が非常に大きなウエートをなしてでき上つたものです。ところが一般の物価上昇があれば、政府は国民全体の所得がそれだけ多くなつたと計算を立てておる。そうすると、今年の初めあるいは去年の年末当時における十万円以下の所得者に対する大巾の減税であれば、それは実質的に税の軽減になつて来るけれども、大衆の所得というものが転倒して来て、平均は多くなつておる。十万円以上になる者が多くなつて来た場合に、この税法の改正程度では、必ずしも実質的には負担の軽減にならないという結果になることを、私は確信しておるのです。大臣はそういう考えは持たれないとすれば別問題であります。
 第三番目には先ほど大臣もちよつと触れてあるのですが、三十万円を基準として五五%でとめる。この税率の問題でもまだ検討中であると言いのがれておりますから、水かけ論になるきらいがあるのでありますが、私どもは――大臣はもとよりそういう考えを持つておると思うのですが、三十万円を基準として打切つて五五%でとりやめておく。そしてそれ以上の所得者に対しては、何ら累進的なものを定めておらないという、この税率の設定の仕方というものが、はたして税の根本的な本質的な建前から言つて妥当であるかどうか。こういうことについてきわめて大きな疑問があるのでございます。その事柄について大臣はどういうふうに現在考えておられるか。この三十万円をもつて五五%で打切るという課税の仕方、税率の立て方というものが、はたして国民の租税に対する公正な合理的な課税の基本をなすものであるかどうか。このことについて大臣の所見を承つておきたい。
○池田国務大臣 三十万円超五五%のこの税率は、今までのように所得に対しまして九十二、三パーセントというふうな超過累進税率からいうと、いかにも非常な激変のように考えられるのでありますが、この五五%をきめます場合におきましては、一応住民税の問題も考えなければなりません。しこうして大体所得税の限界というものがございます。所得税の限界は私はイギリスなどは一時九七・五%までとつたことがありますが、私は所得税の限度は八〇%か七五%ぐらいがいいのではないかという気持を持つておるのであります。そうしてみますと国税の五五%と地方税の税率の二割というあの住民税のことを考えますと、大体国の税率は五五%程度でこの際はいいのではないか。これは資本の蓄積等あらゆる経済全般のことを考えてからの結論であります。しこうしてもう一つの問題は三十万円で五五%がいいか。五十万円で五五%がいいか。百万円で五五%がいいか。これはまた検討しなければならぬ問題だと思います。税收その他ほかの間接税等のことも考えなければならぬので、税制全般の問題でございます。従つて五五%の率を直すということは毛頭考えておりませんが、三十万円ということについてはただいま検討いたしております。税收等の関係がありますから、はつきり申し上げられませんが、検討はいたしております。
○川島委員 この三十万円を基準として、五十五で押えて累進は認めない。しかも五万円から始まつて百分の二十、しかも二十五万円のわずかな開きの間に五十五という大きな段階がこまかくついている。私はこういう税率の立て方というものは少額所得者に対して非常に重い形に結果にはなる。しかも今年の物価事情、国民所得の事情から見ても、おそらく二十万円以上三十万円というものはほとんどざらになつて来るのじやないか、こういうことになつて来るとき、この五十五で押えて、しかも高額所得者に対して何ら累進の方法をとらないということは、地方の府県民税もしくはその他の市町村民の税率を考えましても、きわめて妥当でないということだけは言えるのではないかと思う。その点について大臣がどのように調整して行こうかという考え方を持つているのじやないかと思うので、これに対する考え方と、これをどう直せばよいのかという腹案でもあれば、この機会に非公式でもよいですから聞かしてもらいたいと思います。あなたの私見だけでもいいのです。
○池田国務大臣 所得税の税率は地方の住民税と関連して考えなければならないのであります。私見では、所得税、住民税、合せて最高税率は七十五が適当であると思います。しこうして、今の財政状況を考えてみますと、お話の通り三十万円以上の人はざらにあるとおつしやいますが、さらにもないのでございまして、まあ三十万円以上の人は今の状態から行けば、合せて七十五くらいの負担をしていただかなければならぬ。そこで財政の状況がよくなつて来れば、今の貨幣価値から申しまして、三十万円超、五十万円超、百万円超、二百万円超ということに行くのがほんとうであると思いますが、これは財政の状況、経済の状況というものを考えなければならぬことである。そこで私が先ほど申し上げたように、基礎控除の問題、勤労階級の勤労控除の問題、税率の問題、三つあります。理論的に申し上げますと、私はまず基礎控除を上げるべきであると思う。それから税率について考え、それから勤労階級の控除を考える。理論的にはこうなつて参りますが、しかし実際面で行きますと、二割五分控除を一割控除にされるということになると、勤労階級にはかなりの痛手でございます。しかも中小の商工業者、農業者に対しては合算面で相当の特典がありますから、理論を抜きにして、まず飛びつくとすれば一割を一割五分控除というように、まず経過的には飛びつくべきものじやないかと思います。理論と実際と税制の経過的の問題とを兼ね合せなければなりません。従つて、来年度の大綱はきめてありますが、なおここで国民の負担の軽減、ことに勤労階級の軽減が考え得られるならば、まずその方に行つてみたいというのが私見であります。理論的には基礎控除が先です。税率が二番、三番目が勤労控除の増額ということになりまして、五十五ですえ置き、地方税等も考えてどうこうという点につきましては、よほど議論がありますが、しかし私は経過的に富裕税を置きまして、これは何も所得に対する課税ではございませんが、大資産家に対しましての、いわゆる所得の補完税とまでは私は申し上げませんが、補完税的な意味において富裕税もあることを御考慮くださるならば、今の財政状況からいつて、この程度でいたし方がないのじやないか。しかし努力はいたします。
○川島委員 時間がありませんから、まず一、二点お伺いします。農業の所得というものは、言うまでもなく今日の日本の農業の実体では、一つの家族集体的な勤労の結晶である、こういうことが言える。そこでその農業に従事いたしております農家の家族の所得に対しても、私どもは勤労控除あるいはまたそれぞれの基礎控除を適用して行くべきが、最も現実的なやり方であろうと思いますが、そういう事柄について大臣はどのように考えているかということをまず簡単に伺います。
○池田国務大臣 農業所得を勤労所得と見るということにつきましては賛成できませんが、今の農業の実体から申しまして、家族が農業所得に参加いたしている場合については、適当な控除をやるべきであるという考えを持つております。しかしこれは明年度から実行して行きたい。その額につきましては検討中でございます。これによりまして農家におきましては、税率とか基礎控除の問題と同様、あるいはそれ以上の軽減が起る階級もあると思うのであります。
○川島委員 そうすると、農業に従事する農家の家族に対しても、適当な軽減措置を講ずるということが、必ず明年度の税制改正の場合には実現できるのだというふうに、われわれは理解していいのですか。
○池田国務大臣 実現すべく努力いたします。農業ばかりではございません。中小商工業者にもやりたいと思います。また勤労階級におきましても、家族数、学生等につきましてはできるだけそれをやつて行きたい。税率とか基礎控除の問題より、今の日本の生活状態の実体に沿うような税制改正をして行きたい、こういう点を考えましたから、あまり基礎控除を上げたり、税率をどうこうというわけに行かなかつたのでありまして、除々にりつぱなものにして参ります。
○川島委員 ほかの方も大臣に対する質問が残つているようでありますから、最後に、これは本案とは直接関係のないことでありますが、きわめて国民的な関心事であり、重要なことであると思うので一言伺います。日本の今の経済の安定から復興に持つて行きます場合に、長期金融という問題がきわめて重要な課題となつております。この長期金融に対して何か政府は特殊銀行を通じて、特殊銀行の資本の増加あるいは債券の増加、こういうことを何か具体的に計画されているというふうに伝え聞いているのでありますが、その事柄が進んでいるのでしたら、この機会にお示しを願いたいと思います。
○池田国務大臣 長期金融の問題は、設備資金を中心にしての問題と思いますが、最近私はこの長期金融、設備資金につきましては、まず第一に自己資本で行くべきであるという考えを持つております。従つてそれが反映いたしましてかどうか、今年四月から九月末までの増資は四百二、三十億円になつております。社債も七十億円余り出している。こういうかつこうをとつて来ております。しかし増資あるいは社債の発行だけでは足りません。そこで、財政演説にも言つておりますように、興業銀行を中軸として長期資金の円滑をはかる。興業銀行の増資、債券発行につきましては、御承知の通りただいま十億円で二十倍になつておりますが、できるだけ早い機会に、本国会には間に合いかねると思いますが、第七国会にはこれを増資し、また倍数も二十倍よりもつと上に、二十五倍か三十倍くらいにしたいという考えを持つております。また中小商工金融の設備資金としましては、農林中金の融資を八億円にして二十倍、商工中央金庫を五億円にして二十倍にするという計画を持つております。この分につきましては、この国会に多分提案できると考えております。あれやこれや、この金融問題につきましては、不動産金融についてもこの前述べておりますように、とにかく今の状態は市中銀行が商業金融を建前といたしております関係上、長期金融設備資金に非常に困つておりますから、私としてはこの方面に今度力を十分注いで行きたいと、努力いたしておる次第でございます。
○川島委員 そのことでもう一ぺんお尋ねしておきたいのです。たしかきのうの日経新聞紙上かと思いますが、今の興業銀行あるいは中金、農業中央金庫、これらの増資の計画、それから具体的なその債券の増発の計画が、きわめて明瞭に数字的に報道されておるのです。あの点は大蔵省から出たのだと思いますが、あの方向で進んでおるのですか。
○池田国務大臣 不幸にして日本経済新聞のその欄を読んでおりません。どんなことが載つておりますか、私が今申し上げ得られることは今言つた程度でございます。
○川島委員 最後にもう一点尋ねておきたいと思いますが、通貨の発行の問題は、これまた財政、金融、物価事情等に大きな関連を持つ重大問題だと思う。年度末における通貨の増発傾向が喧伝されておりますが、大蔵大臣としては昭和二十四年度の年度末における通貨の増発は、現在の三千億弱を基準としてどの程度伸びて行くという見通しを持つておられるか。それからまたどの程度が最も望ましいのであるかという希望意見でもあれば、それをもあわせて御明示願いたい。
○池田国務大臣 大体今年末の通貨のあり高は、いろいろ議論がありますが、私は大体昨年度程度ではないかという考えを持つております。その程度でちようどいいのではないか。すなわち十二月は三千五百六十億程度ではないかと考えております。
○川野委員長 川島君に御相談しますが、あと大臣に対する質問の通告がたくさんございますので、またの機会にお願いしたいのですが……。
○川島委員 それではもう一点、年度末に通貨の発行量は大体三千五、六百億になるということになると、その通貨の増発に伴つて各種の物価にも影響が相当あるのではないか。その通貨の増発と物価関係とはどういうふうに見通され、どういうふうに考えておられるか。これを最後にお尋ねいたします。
○池田国務大臣 通貨と物価の関係は議論があるところでありますが、年末の通貨はあまり物価に影響はありません。季節的のものでございます。年末にどつと出て一月からまた收縮いたしますから、物価にそう影響があるものと考えておりません。
○川島委員 年度末の通貨です。
○池田国務大臣 お話の点が年末の通貨と考えておりましたが、年度末の三月につきましては今年の三月程度ではないかと思つております。あるいは今年の三月よりちよつと上るかもわかりません。この理由は租税收入が今年内において相当入つております。昨年よりも入りがよろしゆうございます。従つて一月、二月、三月の分は昨年ほどには入つて来ないということと、片一方では見返り資金が来年の一月、二月、三月からどんどん出るようになりますから、三月末の分は今のところは今年の三月よりも上まわるのではないか。これは何と申しましても予想でありまして、あまり通貨のことをお考えになる必要はないと思います。これは抑えるでもなし、野放図に出すわけでもありません。
○川野委員長 内藤友明君。
○内藤(友)委員 大臣にお尋ねいたしたいことはきわめて簡単明瞭なことであります。それは農民の負担の問題でありまして、結論から申しますと、農民の負担は他の業者に比べて、大蔵大臣は重いと見ておられるかどうかということであります。この夏休み中に大蔵委員会が招集されまして、国会図書館の調査部でいろいろと調べられました厖大なる資料を事務の方から四、五册いただいたのであります。この資料の中にもそういうところがすいぶんたくさん出ておるのでありますが、他の業者に比べましで農民の負担が非常に思い。私はその印刷物を持つて来ておりませんから、具体的な数字を申し上げることはできぬのでありますが、非常に重い、こういうことになつておるのであります。そこでシヤウプ博士も日本に来られまして、親しく農村を見られましていろいろ調査せられました結果、これはなるほど重いというので、先ほど川島委員からお尋ねがありましたように、この十月からまけてやろうということになつたのであります。私どもはこの委員会に関係しておりますと、各方面から減税の陳情に接するのであります。しかし私どもは一昨年からこれをやつておるのでありますが、農民から減税の陳情を受けたことはごく少いのであります。御承知の通り農地改革が行われました後においての農民の状態は、自作農階級になりまして、東京まで出かけて来ておのれの税金の過重であるということを陳情する、その旅費なんというものはないのであります。ことに共産党の皆さんもこのことを顧みられないのでありまして、共産党も取上げられない。ただ黙つて農民は重税に苦しんで泣いておるのであります。そこで私が大臣にまずお伺いいたしたいのは、多くの國民階層の中で農業者の税金は特に重いと考えておられるかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
○池田国務大臣 これは所得のあるところには所得税を課する、この建前で行きますと、だれが軽くてだれが重いということはなかなか困難なのであります。たとえばシヤウプ博士は現行税制で勤労所得の二割五分控除は低過ぎる、こういうお考えを持つておる。そうして今の農村の実態からいつて、成年の家族が農業所得に関與しておる場合においては、ある程度これは控除しなければならない、こういうことを言つておられる。シヤウプ博士の考えでは、今までの農民に対する現行税制は少し重かつたのではないかということを、お考えになつたようであります。私もある程度それは是認できるのじやないかと思つております。私は中小商工業者に対して農業者が重いということは、今のところはつきり申し上げかねますが、シヤウプ博士あたりはそういうことを言つておられるのであります。
○内藤(友)委員 どうもつかまえどころのないお答えでありますが、先ほど川島委員も尋ねられましたように、十月一日から農業者の負担をまけるようにしつかりやれ、こういうふうに印刷物にはちやんと書いてあるのでありますが、先ほど川島委員に対しての御返答は、来年一月からまけてやる、こういうのであります。ところがシヤウプ勧告は十月一日からやるようにしろ、こういうことになつておりますので、農業所得計算から申しますと、十月一日からでも計算はできるのであります。この勧告と反したことが今度の暫定処置案に出ておるのですが、今度の通常国会にはこの勧告通りのものをお出しになるおつもりであるのかどうか。
○池田国務大臣 シヤウプ博士の勧告はマツカーサー司令官並びに吉田総理に出されたのであります。日本政府はこのシヤウプ勧告の基本は採用いたしますが、個々の問題については採用していない場合もあります。すなわち酒の税金も早く上げろと言われておりますが、上げません。取引高税は来年の四月からのを、これは早くやめた方がいいからといつて一月からやめる。織物消費税につきましても段階的にまけろといつておる。それで基本原則にはそういうふうにありますが、必ずしもあの通りをやつて行く気持はないのであります。やはり日本の経済、日本の実情に沿い、また財政状況から勘案いたしまして、今回の提案をいたした次第でございます。しからば第七国会においてシヤウプ博士の二十四年度から減税するという案を出すかと言つたら、ただいまのところ出す考えはございません。
○田中(織)委員 この際大臣に二点ばかり伺つておきたいと思いますが、今回国会に出されました補正予算に二十四年度二百十三億の税の自然増收を見込んでおられまするが、これの自然増收を二百十三億と見込まれた根拠をひとつ承りたいのであります。きよう午前の委員会で二十四年度の徴税の状況について伺つたのでありまするが、所得税、ことに申告所得税につきましては、昨年度よりは若干いいようでありますが、なお十月末現在で二一%というような状況であり、先行きなかなか徴税を予定だけ確保するということも骨の折れる問題だと思うのであります。ことに先ほどからの川島委員、あるいはただいまの内藤委員の御質問で明らかになつたのでありまするが、シヤウプ勧告によつて減税が二十四年度から実施されるということを、一般の農民にしてもその他の人々にしても期待しておるので、実際は二十五年度からでないと実施されないということが、先ほどからの大臣の答弁で明らかになつて来ておるのでありまするが、そういう点から来年の一月から三、四月ごろまでに納めまする二十四年度分の税收につきましても、これはシヤウプ勧告によつてまけてくれるという錯覚からもつて来て、納税成績にも影響を持つて来ることは当然だと思うのでありますが、大臣は補正予算の財源といたしまして、二百十三億の自然増收を見積りました根拠について、ひとつ御説明を承りたいのであります。
○池田国務大臣 この自然増收を年度内に出すがいいか、出さない方がいいか、これは考えものでございます。今までも自然増収を出した例はございますが、たとえば二・八の賞與金を出すということがありました。いろいろな場合がありますが、おおむね出さないのを普通といたしております。今年なぜ自然増収を出したかと申しますると、あまりにもはつきり増收があるのであります。しかして片方には食糧の輸入が予定よりも六十万トンばかりふえて参りました。そうするとドツジ・ラインでこの四月のような観念で行きますと、この分を増税とかなんとかでやる手もあるのであります。私は経済が大体安定の軌道に乘つたのであるから、そういうことはいけない。急に六十万トンふえて来たから、今までの実績から見て自然増収があるから、政府に入つた金で借入金をせずに特別会計の方に入れよう。こういうことをやつた。そこで二百十三億円の自然増収をどういうところから見たかと申しますと、法人の所得に対する法人税が予算の二百七十億に対しまして、なお二百二十七億円の増収がある。これは二百七十億円に対しまして十月末で――多分資料をお持ちだと思いますが、九十何パーセント入つている。来年の三月まででございますから二百二、三十億は優に入つて来る。今度勤労所得税につきましても御承知の通り十月末で六十何パーセント――これは毎日確実に入つて来ますし、十二月は多いのでございますから、これはもう百五十億近くの増収ははつきり目に見えておる。しかも酒につきましては、いもを非常に割当てましてしようちゆうにして売つた。やみのカストリを退治してしまつて、どんどんしようちゆうを飲ましたから、百億余の増収がある。これは確実でございます。こまかい問題で言いますと、相続税でも出て参りますし、印紙税でも入つて参ります。印紙税がなぜたくさん入るかと言つたら、罰金なんかが非常に多くなつた。こういうところから入つて来るから、たとい取引高税とか織物消費税、物品税で二、三十億、四、五十億の減収は出ましても、なおかつ四百二、三十億の増収が出る。しかして振返つて見ますと、お話の通りに申告納税の分が、私が予算をつくりますときには非常に少なかつた。そして十二月末でも二一%しか入つていない。去年は一九・九%入つている。去年よりはよいが何にしても悪いというので、今の実態を見きわめて、片一方では自然増収があるから、片一方では自然減収があるからというので、百九十何億――二百億ばかりの予算を減らしたわけです。こうやつて参りますと、私は二百十三億の自然増収が確実に出るということをはつきり申し上げます。まだ控え目にしてこのくらいでございます。そこでそう考えてみますと、昨年度の申告納税は千二百億、勤労所得税は六百二、三十億、しかし実績は勤労所得税は去年も百億以上の増収が出ました。そうして一九・九%しか入つていない事業所得税も、千二百億に対しましてあまり赤が出なかつた。五、六十億ぐらいでございます。そうすると千九百億円について四%ぐらいならば八十億ぐらいの減收と見ていいのですが、これは二百億の減収を見ておりますから、私は十分申告納税千七百億は入つて来ると確信いたしておるのであります。決して水増しをやつて増収を見たわけではありません。日本の財政状態はしかくよくなつて来たということを申し上げます。
○田中(織)委員 決して私は水増しをやつた收入を見込んでおるとは申しておらないのでありまして、問題は私は本年度の申告所得税につきましても、現に昨年より若干成績はいいものの、非常に国税庁としては苦心をしておるというところが事実であります。ことに大体本年度の予算を編成するときからそうでありまするが、農業について二四%、一般の営業について三五%の所得増加を見込んだということから、二十三年度よりも平均いたしまして、七割近いものを本年度において税収として見込んでおることに非常なむりがある。従つてその意味から現に国税庁の方ではいわゆる中間仮更正決定を行つて、片方に国税庁で百万円以上のいわゆる大口所得に対する査察班が、各地に出動しなければならぬという実情にあるのでありまして、なるほど大臣の説明されたように、法人税その他の面から来るところの増収分がありましよう。しかしその面においてそれだけに申告所得税の面における苛斂誅求の声は、現在あとを断たないどころか、むしろ非常に強くなつて来ているという面も、大臣にひとつ御考慮願わなければならぬ。午前中にもこの点について大阪国税局管内の具体的な事例をあげて、大蔵当局に対して善処を要望した通りであります。
 次に大臣もほかの委員会への出席の関係もありますから、もう一点だけ伺つておきたいと思うのであります。それは先ほど川島委員から質問いたしました関係で、大体納税者のうちで三十万円以上の所得者と、五万円以上三十万円までの所得者との比率をどの程度に見込まれておるか。私は三十万円以上五五%できめたという点にも問題があると思いますが、これは先ほどの大臣の御説明も一つの考え方だと思うのでありますが、大体税収の実際の経験その他から見まして、三十万円以上はどの程度の比率になるか。その点を明らかにしていただきたい。
○池田国務大臣 私は税務に長くおりましたので苛斂誅求ということが一番いやなのであります。決して苛斂誅求はいたしません。大阪の例がございましたが、今大阪では申告状況は一番悪うございますので、高等財務講習所の全職員を大阪に出張を命じました。そうして各財務局から二百人の、督戰隊と申しますと何ですが、有能な人を持つて行つて、そうして大阪財務局管内の徴税に当つております。とにかく地方によつて厚薄があつてはいけませんから、できるだけ実地調査をして原簿のないようにあらゆる苦労を拂つておるのであります。しかし何分にも勤労所得税は、予算の千二百億円が百五十億円も増収をする。そうして事業所得はいわゆる営業者あるいは農業者等から、千九百億円の分が二百億円も減収を来すということは、よほど税務行政上考えなければならぬことだ。昔の勤労階級の所得と営業者、農業者の所得と比べて今年の予算を見ると、非常に世の中がかわつたことを感ずるのであります。そこで申告納税の分につきましてもつと徹底して調査したいというのが私の念願で、これが国民負担の公平を期するゆえんだと思います。しかしてもし苛斂誅求があるとしますれば、苛斂誅求をやつた税務官吏を教えてくだされば適当な措置を講じます。しかしあるところでは十分調査をしなければ、正直者がばかを見るという状況であるのであります。
 それから所得の階層別の問題でありますが、これは私の大体の勘はわかりますけれども、農業者と営業者と商業者あるいは勤労階級とみな業種別によつて違うと思います。私がここで勘を申し上げて、それが新聞やラジオになつたりするのがあつてもいけませんから、数字は申し上げない方がいいのじやないか。三十万円以上の所得者というのは、パーセンテージにするとそう多いことはないと思うのであります。
○田中(織)委員 これは確かにシヤウプ勧告の中にもあつたと思うのですけれども、今日の三十万円超の所得階層を大体一〇%と見ているようでありますが、その点について大臣の大体の勘というものはどこらにあるか。しかしこれは実際の徴税の関係から見て、過去におけるひとつのはつきりした比率というものが出て参るべきものだと思うのです。その後の経済事情の変化というものはもちろん織り込まなければいかぬけれども、過去におけるひとつの確たる数字というものが出て来ると思うのですが、大臣の勘と言われる点は大体どの点ですか。
○池田国務大臣 今言つたような業種別によつて違います。予算を組みますときには、累進税率の関係があるから一応の階層別はこしらえております。主税局長が資料を持つているそうでありますから、主税局長から二十三年の実績をあとでお話申し上げます。
○田中(織)委員 もう一点伺います。今度の補正予算における減税の問題でございますが、ドツジ公使が再び来朝されまして、すでに補正予算を中心とする折衝に入られた過程において、これは新聞の報道であるからどの程度まで真実かということも、問題であろうと思いますけれども、大体取引高税を別にして、二百億程度の減税が行われるという線に基いて折衝されたように、われわれは新聞紙上で承知しておりますが、今回国会に提出された予算を見て参りますと、約百億近い取引高税を入れまして、減税は二百億そこそこのものに相なると考えておりまするこの点はもちろん今年度に行われない部分が、来年度に必ず実現することと思いますが、われわれは大蔵大臣が少くとも取引高税を別にして、二百億以上の減税を行われるという意気込みで折衝されているということで、非常に意を強くしておつたのでありますが、取引高税を入れて二百億というので、いささか期待はずれになつておりますが、この間の事情を大臣から御説明願います。
○池田国務大臣 ドツジ氏と私との話はどこへも公表しないことになつています。財務官と祕書官しか知りません。新聞に出ておることはうそだといつては何ですが、私は全然関與いたしておりません。それは補正予算を組むときに当初は二百三十七億の減税が可能だ。つまり補給金を減じたために二百三十七億の減税可能だというふうに発表された内容については、私は何も言つておりません。いろいろの問題もありますが、私は一緒に出発して、ほかの財政施策、運賃の引上げ、米価の引上げ等から考えまして、今の案が一番よいということにいたしたのであります。
○林(百)委員 大臣もお忙しそうでありますから大きな問題だけをお聞きして、こまかいことは政府委員からお聞きしたいと思います。第一にお伺いしたいのは、減税の問題と来年度の予算編成の問題が大きく響いて来るのでありますが、池田大蔵大臣の大きな財政方針として、補給金を廃止して行く方針をとられるようでありますけれども、これが具体的にどの補給金をどのように廃止して行く考えかをお聞きしたいと思います。その次にその問題にからみまして、補給金を廃止された後の基礎物資の物価が騰貴するという形が出て来ると思いますが、この補給金の廃止と、これが基礎物資への物価の値上りというはね返り影響をどういうふうに見られているか。この点をお聞きしたい。
○池田国務大臣 補給金を廃止いたしましてわが国経済をほんとうの姿にし、あわせて国際市場とのさやよせをすることは、私の財政政策の根本であります。従いまして就任以来補給金を極力減少いたしまして、今年度二千二十二億円を大体二百四十億円程度減らして、これを減税の財源の一部に充てたわけであります。しからばどういうものを減らしたかと申しますと、まず石炭の補給金を減らし、鉄鋼に参り、ソーダを少くし、マニラ麻等漁網関係を減らし、来年度になつてからの補給金は鉄と肥料、一部のソーダたけであります。すなわち安定帶物資におきまして四百億余りであります。それから主食に対する輸入補給金が四百数十億に相なつております。これだけでございます。私は当初、来年度の補給金は八百二十五億と考えておつたのでありますが、まだ小麦協定に入つていないこと等を考えまして、九百億にふやしております。来年度小麦協定に入りますと、九十二ドルの分が八十一ドルぐらいに下つて来ますから、輸入補給金が減つて参ります。来年度におきましては鉄、肥料と一部のソーダをやめて、再来年度になりましたならば、主食輸入補給金にとどめたいと考えておるのでございます。補給金を撤廃した場合の物価への影響は一概には申し上げられませんが、多分実質賃金の問題で話したと思います。たとえば鉄に補給金をやめますと、自転車に影響する。生ゴムの補給金をやめますと、やはり自転車のタイヤに影響する等いろいろな影響がありますが、一般物価水準には大した影響はないと考えるものであります。そしてまたその影響の部分だけは減税でまかなつて行こう、こういう方針で行つております。
○林(百)委員 今の問題に関連して、そうすると補給金の廃止によつて安定帶物資に対する値上りがある場合は、将来は減税という形でこれを相殺して行くという方針を来年度もとられるかどうか。来年度もし補給金の廃止によつて安定帶物資の値上りがあつた場合に、それが何らかの国民生活に影響するような事態が出た場合には、減税でこれを相殺して行く方針をとられる。これは来年度具体的に出た場合にも、そういう方針をとられるのかどうか、これが一つ。
 それから輸入食糧に対する補給金でありますが、これもやはり農林大臣そのほかの各大臣に関連して来ると思いますが、将来の方針としては、やはり輸入食糧の補給金もなるべくこれを少くして、国内の農業復興という面に切りかえて行くべきだと思うが、この場合、大蔵大臣としてはどう考えるか。この二点を、補給金の問題についてお尋ねいたしたい。
○池田国務大臣 来年度には補給金が九百億円程度になります関係上、今のシヤウプ勧告案によつて減税しようとしておるのであります。再来年度におきましては、今の安定帶物資の補給金が四百億円余減つて参りますので、その分だけは減税その他の必要な方面に向けられると思います。
 次に輸入食糧の補給金をどうこうというお話でございますが、輸入食糧の補給金は、農産物の国際物価に比べまして日本の米や小麦が安いからであります。そこで日本の小麦が高くなつて国際物価にさや寄せになれば、輸入補給金はそれたけ少くなつて参ります。また逆に申しますと、外国の小麦は高過ぎるから、外国の小麦が安くなつて来れば、輸入補給金は少くなつて来るのであります。従つて本年度の七百三十億円の輸入補給金が出て来た幾部分は、アメリカの小麦の相場が下つて来たことにもよるのであります。先ほど申し上げましたように小麦協定に参加いたしまして、百二十万トンの分が八十二ドル程度で来ますならば、補給金は、私は六十億円ぐらい減る見込みでおります。だからこれは日本のいわゆる主食の価格と、外国の主食の価格との差を出すのが、主食に対する輸入補給金であります。たとえば九十一ドルにいたしますと、横浜着の小麦は五千四、五百円になりましよう。それが今では、小麦の公定価格は三千二百円だと思います。大体数字はあとから調べますから御了承願いますが、そうすると三千三百円というものが輸入補給金になつて来る。運賃が安くなる、向うの小麦が安くなつて横浜着で四千円足らずになつて来るということになりますと、補給金はなくなる。それからまた片一方から言つて、日本の米や小麦が高くなつて来る。たとえば肥料に対する補給金はやめて、米の値が上つて来たならば、その差額は少くなつて来ますから補給金はなくなる。こういう状況であるのであります。今までは非常に差があつた。どこに行つたかわからぬように使つておつたのを、今度は見返資金特別会計というものができて、それをはりきりいたすことにしたのであります。しこうして、いらぬことを言うようでありますが、来年の米は一月に値段をかえまして、たとい来年の一月から二割の肥料を上げ、三月から一割五分上げ、そうして七月ごろからとつぱらつたにいたしましても、来年中は米の値段は上げないつもりで、一一%を一月一日から上げて行くつもりであります。
○林(百)委員 私は補給金の漸減の方法の具体的な手段として、少し大臣と違う方法を考えておるのであります。たとえばある特定の国にだけ特定の契約によつて小麦を購入する。あるいは小麦協定に参加しておる特定の国だけの協約ということになりますと、値段あるいは数量の点で、やはり日本の国のある程度のフリー・ハンドの点が制限されて来る。もしたとえばアルゼンチンのごとく小麦が非常に暴落しておる。そういう場合には、アメリカあるいは小麦協定に参加している国以外の非常に下つた国から小麦を輸入する。アルゼンチンのごときは二割も下つておる。そういうなフリー・ハンドの方法を将来講ずることが大事だと思います。それから先ほどあなたの説明にもありましたように、これは農林大臣も言つておるのですが、たとえば今年の予想より六十万トン余分に小麦が入つて来た。これは農林大臣は、非常なアメリカの好意であると農林委員会で言われておるのでありますが、そういう場合に、なるべく補給金を少くするというあなたの方針を、さらに輸入の食糧の補給金にまで及ぼすということで、そうしたある特定の国と協定に基いて小麦を輸入するということから、わが国の自主性を回復するという方向に努力する意思があるかどうか。またその可能性があるかどうかということだけ伺います。
○池田国務大臣 小麦協定は国際協定でございます。特定の国との契約ではございません。そしてまた主食の必要さは私の申すまでもないことであります。御承知の通り、貿易が民間貿易になつて参りますので、貿易のイニシアチーブはこれから十分発揮できると思います。
○林(百)委員 次の問題としては、これも相当日本の経済問題については大きな影響を及ぼすと思いますが、実は本日の新聞にもありましたが、円レートの問題であります。池田大蔵大臣並びに吉田内閣の政策としては、円レートを支持して、企業の合理化によつてポンド切下げに対して対抗して行くのだという方針を、堅持されておるようでありますが、スナイダー財務長官の来朝とけさの新聞によりますと、結局は円レートの問題について、何らか変更があり得るかというようなことが出ておる点が一つと、それから相当の企業家でもポンドの切下げに対する対抗として、円レートを今のままこれを支持して、企業の合理化という形でやると言つても、そう簡単に企業の合理化というものができるものではないし、大体機械化の過程において、また労働者の労働強化、低賃金というような問題については限度があるので、円レートを切下げることによつてプラス・マイナスのいろいろ複雑な問題がある。円レートの問題については相当企業家自体の方にも意見があると思うのでありますが、この問題について池田大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。それについて、もし企業の合理化ということを主張するならば、その企業の合理化の具体的な内容、日本の産業家としてはこういう点を考えるべきじやないかという具体的な指示が、大蔵大臣にあるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
○池田国務大臣 円レートの問題はポンドを切下げましたあの日に、私が変更しないということをはつきり申した通りであります。私がはつきり申しましてから後に、司令部からもありますし、その後の情勢に何ら変更はありません。円レートの切下げはないということを申し上げます。
 企業の合理化によつてまかないがつくかということは、企業の合理化ばかりでも行きますまい。貿易振興についてはいろいろな手がございます。しかし何をおいてもわが国の企業は合理化しなければいかぬ。その合理化の具体的な方針はどうかと申しますると、いかにも日本の企業は戰後におきましての立直りが非常に遅れたと私は思うのでございますが、このごろでもインフレ論者がまだ相当多い。ちようど為替レートを下げたならば輸出がよくなる。それは特殊の人はよくなりましようが、日本の国全体はどうなるか。それからまた賃金を引上げて物価を上げて、こういうようにやつたら企業が興るというように言われますが、これは空まわりの何もならぬ増産でございます。何と申しましても企業の合理化をやらなければならぬ。それにはどうしても経営をかえて行かなければならぬ。経営をかえるとはどういうことかとということになりますと、もう少し能率を上げなければならぬ。能率を上げるにはいろんな方法がありましようが、非常に設備その他が惡うございます。外国の人に言わせますと、日本は今ほとんどスクラップの機械を使つてやつておる。これでは能率が上らないというようなことを言つておるようでありますが、私は設備の補修改善をやるのが一番必要だと思う。そしてまた事務的にも高能率、高賃金が必要だと思う。こういうことが合理化のさしむき手をつけなければならぬ問題だと思つております。
○林(百)委員 もちろん設備の改善はけつこうだと思いますが、その問題の能率を上げるということ、高能率、高賃金ということは、要するに勤労階級にとつては実質的な賃金の低下あるいは企業整備、首切りという形を意味しておるのではないかとわれわれは考える。こういう要素も企業の合理化の中に入るか入らないか、お尋ねいたします。
○池田国務大臣 これは首切りという言葉は惡うございますが、とにかく国全体として立つて行けないような場合には、やはり合理化して行かなければならぬ。そしてその間に首切りが起れば、やめた人についてはまた職を見つければいいのであつて、戰後の状態をお考えになつてもおわかりになるように、同じ仕事をやつておる会社で、戰後早く立ち上つて整備をして再出発をしたものは非常によくなつておる。いつまでも経営者が経済界の見通しをつけずに、労働攻勢に押されて優柔不断であつた会社は今なお困つておる、こういうことをお考えになりましたら、国の経済をどうやつて行くかということについての示唆がわかると思うのであります。
○林(百)委員 あなたの示唆というのは、大体首切りということも企業合理化の中には含まれるということに、解釈してもいいように思われます。この点はあなたと水かけ論になります。そこで次の問題でありますが、これはこまかい点はまた平田主税局長に聞きたいと思いますが、この源泉徴收の自然増の百四十九億であります。これは大蔵大臣に言わせると、これが六割もとれておる。これがこのたびの減税並びに補正予算を組む上について、非常に大きな要素になつておるようであります。この源泉徴収分の自然増というのは、一体日本の勤労所得者に対する名目賃金全体が上つたということで、そういう数字が出ておるのかどうかということが一つと、かりに日本の勤労階級に対する名目賃金全体が上つたとすれば、それはやはり実質的な生活の必要から上つておるのであつて、それを自然増という形で、今度の減税で五十六億くらい減つておりますが、結局は九十二億くらい自然増になる形になると思いますが、そうすると実質的な生活の必要から名目賃金が上つて来たとすれば、それはやはり余裕としてとつておくべきものであつて、それに税金がかかつて、それを今の税率でとつてしまうということになると、実質的な生活に切り込むことになるから、実質的な生活の賃金というものは下つて来るように考えられる。そこで質問を要約しますと、この源泉徴收による百四十九億の自然増というのは、結局名目賃金が上つたためであるかどうか。その名目賃金が上つたことに対して、この自然増という形でこうした税金をとつて行つても、実質的な生活には何ら影響がないかとうか。この二つの点をお伺いいたします。
○池田国務大臣 名目賃金が上つたとか下つたとかいう問題ではございません。見込んでおつた予算よりも收入が多かつた、これだけでございます。個々の人について見れば、あるいは名目賃金の上つた人もありましようし、また下つた人もありましよう。この予算は昨年十一月のベースで見たのであります。その後いろいろな給與の状態が予算よりもかわつて来ましてそうなつて来たのであります。
○林(百)委員 これは結局勤労所得者階層全体からいつて、やはり所得が上つて来たから最初の見込みより自然増が出て来たといように、われわれは解釈するわけです。そこで一体実際所得階級全体に対する給與賃金が上つておるかどうかということが、第一の問題であります。私の方の調査によると、たとえば厚生資金を打ち切つてしまうとか、あるいは労働時間を延長するとかいうような形で、名目的に現われた賃金は上つても、労働の実質が非常に強化されておる。実は名目賃金が上つても、実質的には賃金は上らないことになつておるわけでございます。この労働の面だけから見ても、それにいろいろの物価の値上り、いろいろの影響があつて、むしろ勤労階級の生活の実態としては赤字である。これはまあ吉田内閣としては、勤労者の生活も安定に向い御同慶の至りだということを、安定本部長官まで言つておるわけでありますが、生活の実態からいえば、決して御同慶の至りではないので、むしろ非常に赤字が加わつておる。こういう勤労階級全体の実相からいつて、この源泉徴収の自然増というものをこのままやつて行けば、むしろ負担は重くなる。実質的な負担というものはこの程度の減税では軽くならない。生活の負担というものは、むしろ実質的には重くなつて行くのだというように、われわれは解釈しておるわけです。その点についての大蔵大臣の見解をお聞きしたい。
○池田国務大臣 先ほど申し上げましたように、昨年の十一月ベースで予算が組んであつたのであります。その後全工業につきましての名目賃金は相当上つておるようであります。こういうことが増收の原因であると思うのであります。時間外とかいろいろなことをやつて名目的賃金は上つたけれども、実質的賃金にはいろいろな関係があつて、賃金は上つていない。こういうような御説でございまするが、そういう場面もありましよう。そういう場面を私は否定するものではありません。しかし実際とれたからとれた。これを出すのがこの自然増収の見込みであります。将来の税制改正の問題としては、財政の状況から勘案いたしまして、お手元に減税案を出しておるのであります。
○林(百)委員 それからもう一つは、実はシヤウプ勧告の中でもつとも大きな要素でもあるし、これは各階層とも非常に大きな関心を持つておる問題でありますが、資産の再評価の問題であります。これは大蔵省としてもいろいろ心構えなり準備なりをされておると思いますが、これを具体的に、どういう順序を経て、どういうようにシヤウプ勧告による資産の再評価に手をつけて行かれるのであるか。これを今の段階で説明のできる範囲でけつこうです。これは影響するところが大きいから、大蔵大臣も非常に慎重に答弁されると思いますが、今の段階でどの程度になつているか。どういうような順序を経て、これを具体化して行くかというような計画が立つていたらお聞きしたい。
○池田国務大臣 この資産再評価の問題はシヤウプ勧告をまつまでもなく、大蔵省におきましても昨年の暮れごろからも研究に入つているのであります。その後ずつと検討を続けまして、そしてシヤウプにも資料を出したのであります。大体の考え方はあまりかわつておりません。しかしてまたシヤウプ勧告のあの受入れ方につきましても、私は日本の経済の実情に沿つたようなやり方で行かなければいかぬと思います。どんな順序でどういうように進んでいるかということは、これは理財局長が主になつて主税局長と相談してやつておりますので、具体的な進行状態は知りませんが、私の考え方では、一番の問題は強制するかどうかということであると思います。私は強制とも非強制とも申し上げません。とにかく資産再評価ということは、日本の経済建直しの一環として必要でございまするから、皆さんひとつおやりください。しかしてその標準は、シヤウプ博士は取得価格に対しまして物価指数の上昇に応じたもので行くと言つておりますが、私はこれは最高限に考えたいと思います。しかし最低をどうするかということは、今のような強制する問題とひつかかつて参りますが、適当におやりくださればいい。適当というのはどのくらいか。あの標準以下――私は各業種別によつて違うと思います。たとえば鉄道関係のごときは、私鉄なんかはあまりやらないという意向が多いようです。これがまた運賃に影響してもいけません。物価に非常な影響があつてもいけません。たとえばここで申し上げますと、もし発送電の方をあのままでやつたならば、資産は今十七億円か十五億円前後の拂込みで、そうして借入金が百何億あります。それだけの資産でやつてごらんなさい。あれはそれだけの資産で評価しますと二千億以上になります。これを減価償却しろと言つたときには電力料がすぐ動いて来ます。そこで最高限はきめますが、その評価の程度に至りましては、私は業種別に検討を加えなければならぬ。しかも業種別に検討を加えた上になお彈力性を持たせたいというのが私の考えでございます。これは物価政策、いろいろな問題に影響いたしますので、よほど愼重に考えておりまするが、シヤウプの勧告の趣旨を考えつつ、わが国の経済の現状並びに将来を頭に入れて適当に措置したいと思います。
 第二段の問題は評価に対して六%の課税では納税に困るじやないかという議論がありますが、私は困らぬと思います。とにかく、詳しい話をしますと長くなりますが、お困りには原則としてならない。六%ならそう困る問題じやない。もしお困りの場合については、シヤウプは三年間と言つておりますが、五年間くらいでとつてもいいという、非常な何といいますか、さらつとした考え方で進んでおります。
○林(百)委員 たいへんさらつとしているようであります。そこで実際具体的に手をつけることですが、業者や各階層とも心構えをしておかなければならないと思います。今度、大蔵大臣の言われるように二十五年度の本予算の提出と同時に、税制の根本的な改正法案を出すという準備らしいのですが、そのときにやはりこの問題が出て来るのかどうか。あるいはこの問題は重要だから、もう少し後に各階層の意見も聞いて具体化するのか。大体いつごろから具体的の法案ができ、実行するということになるのか。
○池田国務大臣 従来国会におきましては、予算案が出たときに必ずしも同時に税法案は出なかつたのでありますが、前の国会から非常にやかましくなりましたから、予算案と同時に出す方向に行つております。しからば税制案になおプラスのこの資産再評価の問題をやるというと、よほど忙しい。そこで原則は予算案と税制案と同時にということでありますが、再評価の問題はもう少しその実体を調べるべく、遅れるかもわからぬ。今のところいつどういう形式で出すということははつきり申し上げられませんが、なるべく急いで調査いたしまして、早く出したいという考えであります。
○林(百)委員 これは数字はいつもお聞きしているのですけれども、どうもよく納得できないのですが、国税の減税と地方税との関係です。国税の減税をしても地方税の、たとえば住民税あるいは不動産税、その他具体的に言うと六・三制の寄付というものが税以外にまだ残る。こういうふうな形で行きますと、せつかく大蔵大臣が苦労して税額を減免してくれたんだが、この地方税の負担が強化されて来ると、むしろプラス・マイナス同じことじやないかというような数字が出ているのですが、この点について大蔵大臣の御見解を伺いたい。
○池田国務大臣 これは国税を審議いたしますときに、地方税も当然一緒に審議しなければならぬ問題でございます。従いまして先ほど来からの御質問にお答えいたしますように、すなわち最高税率の問題とかいろいろな問題で関連いたします。しかし地方の分は相手が非常に数多いのでございます。そして各団体ごとに負担力その他が違つて参つておりますから、よほど考えなければならぬと思います。国税に関しまする資料は相当程度シヤウプ博士も握つてお考えのようでありますが、地方税に対する資料は国税ほど握つておりません。従いまして率とか税収入につきましては、相当変更があるものと見込んでおります。せつかく今地方自治庁等と連絡いたしまして検討中でございます。
○林(百)委員 私は終りました。
    ―――――――――――――
○川野委員長 それでは税に関する三法案に対する質疑はあとまわしといたしまして、先日質問終了となりました日本專売公社法の一部を改正する法律案を議題として討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。前尾繁三郎君。
○前尾委員 私は民主自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本專売公社法の一部を改正する法律案について、賛成をいたすものでございます。すなわちこの法律は先般專売局から專売公社として発足いたしましたその当時におきまして、当然改正さるべき問題であつたのであります。それが延び延びとなりまして、ただいまこの改正案が提出されたわけでございますが、内容を見ますと、当然会計規則としてこういうような法律を要することでもありますし、なおまた公社として、国の会計と違いまして、かなりの彈力性を持たせるというところにそのねらいがあるのであります。当然の手続法でありまして、何らこれに対して特に異議を申すべき筋合いはないのでございます。ただ希望といたしましては、なお将来精細に検討され、よりよい法律にしていただきたいのであります。まず第一段といたしましてはこの改正で十分と考えるので、本法律案に賛成をいたすものでございます。
○川野委員長 田中織之進君。
○田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本改正法律案に対して反対の意思を表明するものであります。本来日本專売公社並びに日本国有鉄道法は、新しい企業形態としての発足をいたしたものでありまして、專売公社法の中にも、これは日本国有鉄道とともに、経理については公共企業体に通ずる経理に関する法律を制定するということを、明記しているのでありまして、公共企業体の共通した問題といたしまして、そうした経理に関する單行法を制定すべきであるのであります。その本来の公共企業体のいわゆる独立採算制に基いたところの、経理の自主性を中心といたしました法律を制定しなければならないにもかかわらず、従来の專売局の会計規則をそのまま踏襲するというところに、まずわれわれが反対する根本の理由があるのであります。ことに日本專売公社は、御承知の通り本年度におきまして千二百億、明年度におきましてもほぼ同額の益金を出しまして、日本の国家財政に寄與するところの特殊なる企業でございます。従いましてこの企業を継続するという建前に立ちまするならば、経理の面におきましても、他の部門と違つたところの、相当彈力性のある行き方をさせるべきであることは当然であります。ところがこの改正法律案にはそういう点がことごとく抹殺せられておるのでありまして、われわれはその意味におきまして最小限度といたしまして、專売公社が策定いたしました予算につきまして、大蔵大臣がこれを調整するにあたりましては、專売公社のいわゆる民主的にしてかつ企業能率の向上に資するような点を、十分考慮しなければならぬという点を、三十四條の二項に但書としてつけ加えること。
 また公社は、もちろん予算に予備費を計上することになつておるのでありまするが、予定いたしました予備費でなおまかない切れない場合が生ずるのでありまして、そういうような場合における予備費に不足を生じた場合の規定も、これだけ事こまかに経理に関する規定を制定いたしまする以上、当然やらなければいかぬ。ことに專売公社と同時に発足いたしましたところの日本国有鉄道につきましては、今回の改正案にそうした規定があるにもかかわらず、予備費が不足した場合の規定が本改正案にはないのであります。そういう意味におきまして、第三十六條の二項といたしまして、新たに公社の予備費が不足した場合におきましては、「予算の定めるところに従い、專売品の売上額の増加により収入の見積りを越える収入に相当する金額を事業のため、直接必要とする経費に使用することができる。」という旨の規定を挿入すべきである。
 さらに專売公社の従業員の給與が、絶対に赤字の出ない必す黒字を出すという特殊な性格を持つ專売公社におきまして、なお他の企業体である鉄道公社よりも待遇が惡い。さらに一般の公務員の給與にもはるかに及ばないというような状態に陥つておる関係から、われわれは專売公社に働く職員並びに一般従業員の努力によりまして、生産原価の引下げが行われ、またこれら職員の努力によつて売上量が増加した等によりまする利益金の増加分につきましては、待遇改善を含めましたところの職員の厚生施設、その他福利増進のためにこれを使用することを規定する旨をもつて、四十三條の十三の第四項として、「專売品の生産原価の引下げ、売上量の増加等による利益金の増加分については、職員の厚生施設その他福利増進に寄與するように使用することに努めなければならない。」という訓示規定を挿入すること。
 さらに、改正法には專売公社の所有する重要なる財産を譲渡し、または交換しようとするときは、必ず国会の議決を経なければならないという規定が挿入されておりまするが、この点は、專売公社は御承知の通り公共企業体として、全額国が出資いたしておりまするところの、いわば国民のものであるという建前から、譲渡もしくは交換する場合のほか、あるいはこれを担保に供する、あるいはまた貸しつけるというような場合においても、当然国会の議決を経なければならぬという規定を挿入すべきであるという点。
 さらに最も重要なのは、四十三條の二十一におきまして、專売公社の職員に対する給與準則を定めなければならぬという規定につきまして、われわれは当然公社に給與準則を持つことには反対するものではございませんけれども、四十三條の二十一の後段におきましては、この給與準則については一事業年度の国会の議決を経たところの予算の中で、しかも給與総額を越えてはならないということで、国庫から予算をもつて專売公社職員の給與をがんじがらめに縛ろうとすることができる規定を持つておることに対しまして、これはきわめて不当である。ことに專売公社の職員につきましてはその公共企業性にかんがみまして、憲法で保障されましたところの労働者の基本的権利であります罷業権が奪われておる。そういう代償といたしまして公共企業体労働関係法という單行法が制定されまして、罷業権を奪つたかわりに強力なる調停委員会、あるいは仲裁委員会によるところの待遇改善の機会を與えておるのでありまするから、現に專売公社の労働組合から、この公共企業体労働関係法によるところの調停を申し立てられておる段階である。当然給與ベースその他の労働條件が変更されるような状態にある矢先でありまするから、予算をもつて、ことに国会の議決を経た給與予算で、かりに補正予算等を出す形による救済方法があるにいたしましても、こういう規定を挿入することは、法制的な点から申しましても不適当であるという見地から、四十三條の二十一の後段を削る。
 以上五点の最小限度の修正をわれわれは考えておるのでありますが、この点につきましては委員会の質疑を通じて、政府側にこれらの点についての修正を行う意思がないかということを、われわれはたびたび質問をいたしたのでありまするが、政府側ではこの点について明答を與えない。修正に応じられない態度を示されておるのであります。政府側が現在の段階におきましても、われわれが最小限度專売公社の企業の独立性と経理の自主制を確保する見地、さらに三万八千余、臨時職員を合せまするならば、四万を越えますところの專売公社職員の福利増進のために、最小限度必要だとするところの修正に応ぜられるならば、われわれは本案に対してあえて反対するものではありませんけれども、現在の段階におきまして、われわれの最小限度の修正意見をも政府側はのむことができない、こういう建前に立ちまするならば、われわれは本法律案は專売公社の設立の趣旨を没却して、いたずらに国庫収入に重要なる関係を持つているという面で、官僚の会計規則を專売公社に押しつけるところの悪法である。ことにこの点は專売公社法に規定をいたしておりますところの、公共企業体の経理に関する單行法を制定しなければならない義務を放擲いたしまして、従来の專売局の会計規則を、そのまま公社に押しつけようとするところの惡法であるという建前におきまして、本法案に対しましては遺憾ながら反対をするものであります。
○川野委員長 宮腰喜助君。
○宮腰委員 私は民主党野党派を代表しまして、本案に賛成するものであります。本法案は官僚專売から公社経営に移した趣旨を徹底させるために、公社独立の会計制度を樹立して能率的な運営をなさんとするものであつて、その趣旨においては賛意を表するものであります。しかし所期の効果をあげるといなとは、制度の改正そのものよりも、むしろ公社当局の企業運営に対する努力いかんにかかつていることに注意を喚起したい。以上の見解のもとに本案に賛成するものであります。
○川野委員長 河田賢治君。
○河田委員 私は日本共産党を代表して本案に対して反対の意を表するものであります。最近政府部内におきましては、タバコの民営移管の問題がありまして、先ほど来政務次官もタバコを初めとして電気通信並びに国鉄等をやがては民営にしたい。その第一歩として政府は目下タバコの民営移管を研究中である。しかしながらまだ通常国会にも出さぬかもしれぬということを言われましたが、大体こういう建前で今日のタバコの專売公社というものが経営されております。もちろんタバコ民営の問題についてはこの法案の関係外ではありますが、しかし今日民営の問題は、全国耕作者六十万、従業員四万、それからまた一般のタバコの消費者に対して大きな影響があるのでありますから、こういう建前から今日この法案が論議されるのでありまして、共産党は前もつて公社の切りかえということにも反対しましたが、この法案の内容につきましては、依然として大蔵大臣の権限が強化されている。言うまでもなく今日の公社の企業というものは、やはりある程度企業体である関係から、会計において十分広汎な責任と、創意的な経営に対する能率を発揮させるという面がなければならない。ところがこの法案によりますと、依然として大蔵大臣がその資金の調達の面から、あるいはその他労働者の給與の面、予算の面等におきましても、きわめて煩わしいところの行政的な経営の方針になつている。つまりこの会計の規則の改正の面では、まつたく企業経営と行政経営というものがごつちやにされている。こういう点が第一のわれわれの反対の理由なのであります。こういう結果から今日專売公社におきましても、たとえば第一・四半期の生産報奨金等が、その四半期が終つて次の四半期に来なければもらえないということになる。それがために従業員諸君の生産意欲も減退している。こういう事実も明らかになつているのであります。これがさらに今度の法案によつて強化されるということは言えないのであります。
 第二の理由といたしましては、御承知のごとく先ほど田中委員からも発言がありましたが、專売局の従業員諸君の給與の問題等をきわめて低劣な賃金、あるいは農民に対するところの低い報奨制、こういうものによつて縛つている。これでのつぴきならぬようにしている。特にここで指摘したいことは、今日專売局においては、先ほど通りました定員法によりまして、大体三万八千人を使用しておりますが、そのほかに千二百億の税収をあげるためには、やはり二千数百名のものを毎日臨時工として雇つている。それを使用しなければ千二百億の税収をあげられないという段階に今日来ている。こういう事実を見ましても、先ほどの国会で通過いたしました定員法というものが、どんなに事態を無視したばかばかしい法律であつたかということが明らかである。しかしながらこれがために損害をこうむるものは従業員でありまして、二箇月ごとに雇入れを励行されるところの臨時工などは、やはり一つの差別待遇を受ける。一般の従業員以下の待遇をもつてますます低賃金を押しつけられる。こういう結果に今日なつている。こういう意味から申しまして、今日この法案によつて上の方を大蔵大臣によつて縛られれば、ますます従業員諸君の生活ははるかに耐えがたいものになつて行く。また農民に対する賠償金の低いという点から、また最近における肥料の値上げ等によりまして、現在においても茨城方面においてはタバコ耕作農民がタバコの耕作日を放棄している。こういう実情があるのであります。こういう点から見まして、ますますこの面かこの法案によつて強化されるということを、われわれは断定せざるを得ないのであります。従つてわれわれはこの法案の実施が、全従業員並びにタバコ耕作農民に及ぼす影響がきわめて多いというのみでなく、今日の公社経営自体が――いいタバコをつくりたい、おいしいタバコを安くつくりたいということを、今日大蔵当局の官僚行政がはばんでいるという事実もあるのでありまして、こういう点から私たちはこの法律案に対しては断然反対する。こういう共産党の意見でありまする
○川野委員長 討論は終局いたしました。これより採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り決定いたしました。
 なお報告書その他のことは委員長に御一任願います。
    ―――――――――――――
○川野委員長 この際皆様にお諮りいたしたいことかございます。それは明後二十一日の公聽会における公述人選定の件についてでありますが、昨日の委員会におきまして御報告いたしました公述人中、農業復興会議総務部長保田豊氏、商大教授都留重人氏は都合により出席できない旨通知がありましたので、そのかわりとして朝日新聞論説委員土屋清氏、及び全国指導農業協同組合連合会農政部長平尾卯二郎氏の二名を、公述人として選定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 御異議ないようですからさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○川野委員長 なおこの際御報告いたしておきます。それは本委員会より要求いたしました旧軍関係債権の処理に関する法律案に関する資料の件でありますが、要求資料中「終戰当時の特殊物件拂下状況」「終戰後における臨時軍事費支拂明細書」につきましては、その量が厖大でありまして、印刷が間に合はぬ事情にありますので、昨日の理事会におきまして政府側の懇請をいれ、委員長の手元に一部だけ保管いたし、委員の方には随時ごらん願うことに決定いたしました。この点御了承願いたいと存じます。なお参考のため委員長の手元にある資料の名を申し上げておきます。まず厚生省復員局より提出せられました「第二国会不当財産処理委員会報告」、これは特殊物件に関するものであります。次に同じく厚生省復員局より提出されました「臨時軍事費の終戰後における支拂額調書」、それと商工省提出の昭和二十年八月十四日以降の「官有物件拂下調査書」、以上であります。以上御報告しておきます。
 なお重ねて御報告申し上げますが、それは昨日お諮りいたしました国際観光ホテル整備法案に関する、観光委員会との連合審査会開会の日時についてでありますが、本日観光委員長と打合せの結果、来る十一月二十一日、月曜の午後一時より開会することに決定いたしましたので、御報告いたしておきます。
    ―――――――――――――
○川野委員長 次に税法三案に一対する質疑を続行いたします。先ほど田中委員の質疑に対する政府委員の答弁が保留になつておりますので、この際答弁を求めます。
○平田政府委員 三十万円超過の調べのお尋ねがあつたと思いますが、二十三年分の実績は、詳しい統計を調整中でありまして、後ほど提出いたしますが、それによつて計算してみますと、申告所得税の方で所得で一一・八%、人員で二・一%、全体の所得税を通じますと、所得で五・九%、人員では〇・八%という数字に相なつております。
○田中(織)委員 二十三年度の実績で、申告の方で一一・八%、人員で二・一%ということでありますが、私の方で調べたのと大分開きがあるのであります。これは一つの側面的なものになると思いますけれども、各国税局別に二十三年度の実際のものを出していただきたいと思います。私の方で調べた数字もありますが、それと大分食い違いがありますので、そうしたことが、先ほど川島委員から大臣に質問いたしましたように、三十万円以上を五五%とし、一律に押えて行くということと非常に深い関係がありますから、各国税局別のものを出していただきたいと思います。
 なお先ほどの大臣の答弁の中で、五五%を百万円以上ということにするならば、百七、八十億の減収になる。これは大臣が予算委員会で申された数字であろうと思いますが、そういうことを言われたと思うのであります。私らは、その点はどうも理解できないのですが、国税庁長官なり主税局長の方で、やはり同じような見解を持つておられるかどうか。
○平田政府委員 最高五五%にいたしますと、順次税率を上の方にずらして行くことになると思いますが、大臣のお話になりましたのは、当然下の方から順々に刻みを上げて行きまして、最高を五五%にした場合の一応の計算をお話になつたのではなかろうかと思います。私も最高五五%という税率をつくつて、あとはそれに合して適当な税率をつくりますと、やはりそういうようになろうかと思います。
○田中(織)委員 なお私こまかい点を尋ねたいのですが、私の要求した国税庁長官が見えておりますので、酒税の問題について一点だけ伺つておきたいと思います。おそらく現在の造石数は百二十万石だと聞いておるのでおりますが、酒税の徴收関係から出て参るところの百二十万石に対する割水の平均は、大体どの程度になつておりますか。この点を示していただきたいと思います。これは税の関係で、割水した部分は、税金を納める意味において当然出て来ると私は思うのです。
○高橋(衞)政府委員 ただいまの割水歩合が幾らであるかという御質問についてお答えいたします。
 清酒につきましては、大体平均的に申しますと一八・五度くらいの原酒ができるのが普通であります。従つて規格は十六度または十五度になつておりますが、全体の平均として考えますと大体一五%くらいの割水になつておると思います。
○田中(織)委員 私の伺つたのもそれくらいであります。ところがそういたしますと、増石数は大体二十一万六千石出ているので、合計の売上げ石数が百四十一万石になると思うのですが、これは酒屋さんの実際の経験から聞いたのでありますが、この割水歩合というものは、税務署で税金の関係で申告をするのが、今申します一・八割ということになるわけでありますが、実際は四割割水しておる。最近われわれが飲むところの酒が非常に水つぽいと思うと、原因はこういうところにある。そういたしますと、ここに四割から届け出でております一・八割、一八%のものを差引きますと、二割二分というものが実際は割水しておるが、税金が納まつておらない。こういうことに相なるのであります。そういたしますと石数によつて二十六万石になりまして、五百円平均といたしましても、酒屋さんの関係において百三十億脱税しておるという計算に相なるのであります。この点は大分酒税の自然増收があるということを、先ほど大蔵大臣が得々と言われたのでありますが、相当零細なる、ことに申告所得について調査をせられておると思うのでありますが、酒屋さんのように数から申しまして少いものをぴしやつと押えることによりまして、ここに百億内外の脱税を捕捉できるということになれば、相当国税庁としてもやりよくなると思われますが、この点について国税庁長官の意向を聞いておきたいのであります。
○高橋(衞)政府委員 酒造業者の監督につきましては、税務署におきましてきわめて嚴重な監督をしております。まず最初に釀造をいたしまするところで、でき上つた酒精度並びに酒量を必ず監督しております。しかる後に割水する場合におきましては立会いをいたしまして、倉出しの石数もはつきり見当を出しております。従つて御説のようなことが起り得るはずはないと考えております。しかしながらもしもそういうような事実がどこかにあるといたしますれば、これははなはだしい惡質な脱税者と考えますので、ぜひひとつお教えを願いたいと思います。
○松尾委員 ある会社で従業員に交通費としてささいな金子を給料とともに渡しておる場合には、税金の課税対象になるのでしようか。
○高橋(衞)政府委員 交通費として各従業員または職員に支給いたしましたものも、所得として計算されます。従つて課税の対象になるものであります。
○松尾委員 それから従来ですと、それが所轄税務署においてはとらなかつたものが、急に二年さかのぼつてとりたいというような通告を受けたそうであります。しかもこの十二月一ぱいにこれを徴収してしまいたいというので、会社の方ではこれを拂えないから従業員の方から拂うというような、政治的問題が起つている事実があるのでありますけれども、これに対して支拂い方法を何とか考えていただくわけに行かないでしようか。
○高橋(衞)政府委員 税務署の見落しによつて課税されていなかつたというふうな場合におきましては、さかのぼつて税の徴収をするということも、またやむを得ないことになると思うのであります。
○松尾委員 しかし見落しということもございますので、特別に支拂い方法を講じていただいたらどうか。これは一つの大きな会社であります。もう一つは国鉄の問題でありますけれども、十円から十五円の夜勤手当を出しておつたのです。助役の地位にある人は四十円ぐらいというのでありますけれども、これも今まで課税の対象としていなかつたのだそうであります。しかしここに至りましてこれを発見いたしまして、二年さかのぼつてこれを至急に徴收するということになりましたので、それが二億円にのぼるのだそうであります。そうして年末で物入りのときにあたつて、政府の言うような年末資金、越年資金などの特別の御考慮を願えないというようなかつこうにあるときに、一人三、四千円ずつ一度に徴收されるということはまことに痛いというので、たいへん大騒ぎをやつて、先日官房長官をお尋ねしましたところが、かようなささいなものは、おそらく課税の対象にはならぬよ、こういうお話でありましたので、それならばそういうふうに了承いたしますからというので、きびすを返そうといたしましたら、これは変だと思つたらしく、係に調べさせたところが、やはり対象になるらしいからちよつ持つてくれ、こういうお話でありましたが、これを長官の方で何とか考えていただく方法はないものでございましようか。
○高橋(衞)政府委員 国鉄の問題につきましては、実は三、四箇月前にある職場を調べました際に発見いたしました結果、おそらく全国にあるだろうということで全国的に調査いたしました結果、ただいまのお話に大体近い数字の捕脱額があがつて参つたわけであります。これは宿直料とか夜勤料というようなものが大部分でございます。これらに対しても、金額はわずかでありましても、次々に重なりますと相当の金額になりまするし、またその性質上、所得に属することははつきりいたしておりますので、どうしても支拂つていただくということが必要であると考えます。しかしながらあまり急激な徴収ということもむりだと思いますので、その点は国鉄当局とも十分打合せをした上、お支拂いを願うという建前にいたしておるのであります。
○松尾委員 それでその支拂い方法、徴収方法についてどのような結論が出たのでありますか。
○高橋(衞)政府委員 はつきりした具体的なことは、こまかくいろいろ打合せをしておりますので、ここに資料を持つておりませんために申し上げかねますが、これはずいぶん長くいろいろ研究しました結果、できるだけお支拂いになりやすいような方法で、しかしながら全部支拂つていただくという方法で打合せをした次第であります。
○松尾委員 そのときに延滞利子のようなものも課税されるのでありましようか。
○高橋(衞)政府委員 延滯利子はいかなる場合においてもかけられるのが原則であります。
○松尾委員 その場合に、国鉄とも言うべきところですから、政府の手落ちというものが十分あると思うのですけれども……。
○高橋(衞)政府委員 それは国鉄の方に聞いていただかなければ私どもにはわかりません。
○松尾委員 そのほかにもう一点平田主税局長にお尋ねしたいのですが、物品税のことにつきまして、四十五條におもちやが入つております。それから四十八條に文具が入つておりますが、これは子供に関係していることでありまして、この前の前、私が大蔵委員会にいるときに物品税の廃止を主張したのですけれども、そのままになつております。おそらく主税局長もお子さんをお持ちのことと思いますし、これは弱い者の持つて遊ぶものであるとか、あるいはかわいい子供の学用品などになりますので、考えますと弱い者と強い者のいわゆる差別待遇を、税の上でも現わしていただくと非常に困ると思うのです。そうして昨日の御説明の中に、二百七十億の物品税の確保というわく内で考えたので、順次にこれをはずして行つたのだというお説を聞きましたが、こうしたお考えのもとにやりますと、これらの物品税はまず第一に排除していただかなければならない性質のものではないかと思うのです。ことにセルロイド製品の婦人のくしなどにも大分長くかかつているので、今年は私は大蔵委員会のたつた一人の婦人でひどくいじめられているのですけれども、御説明願います。
○林(百)委員 関連して……。この前の国会で平田さんがこう言つているのです。物品税につきましては、先般も申し上げましたように、もしも財政事情が相当許すようになりました場合におきましては、税率をだんだん低落して行くという方向に行くべきものじやなかろうか。従いましてその際におきましては、必需的な性質の多いものから除外して行くというのは、考え方としては当然の行き方だというのですが、今度免税になつた事務用品の中にはタイプライター、金銭登録器があるし、自動車のごときはうんと下つている。それで今言つたように子供の必需品とか、そのほかわれわれの生活に必要なものは、下げたとはいえ免税になつておらないのです。たとえば紙にしてもマツチにしてもいろいろなものがそうである。こういう点はあなたがこの前の国会で言われたのとよほど違うので、あなたも家庭をお持ちになつていると思いますが、やはり家庭に必要なものは免税して、大きな会社なんかで買うようなものは、これはむしろ税金をかけたつていいのです。家の苦労は奥さんに聞いてみればよくわかる。これは松尾さんのおつしやる通りです。その点この前の国会であなたの言われたのと違うのかどうか。この点お聞きしたい。
○平田政府委員 今松尾委員のお話のあつたのとまつたく同じ考えを持つておるのでございまして、今度はたとえば文房具などにおきましても、いろいろこまごました必需品的なものははずす考えでございます。もつともそれは政令になつておりますので、大体の考えを申し上げてみたいと思います。万年筆はただいま三割ですが、これは全部除くのは少しやつてみることにしまして、とりあえず三割を一割に下げる。書類箱とか書類かご、あるいは筆立、筆、すずり、そういう種類のものは全部課税から除外する考えでございます。おもちやにつきましては、これはいろいろございますので、免税点を引上げて、できるだけ一般に使われるようなおもちやは、課税から除外いたしたいと考えております。これは税法の施行と同時にやる考えでございます。それからくしにつきましても課税から除外する考えでございます。
 それから林委員のお話でございますが、生活必需品については極力考えておるのでございまして、たとえば緑茶、かつおぶし、その他たくさんありまするが、いろいろな食料品、たとえばバター、ケチャップ、ソーセージ、びん、カン詰食料品、こういうものは原則としてできる限り課税から除外する。それからくつ、はきもの、これはまつ先に除外いたします。こういうわけで極力考えておるわけでございます。ただ事務用品を課税から除外することに御異論があるようでありますが、これは考え方によりますと、結局これに課税しますと会社のコストになる。こういう種類によつては、消費税の課税から行きますとやや本筋でないものがあります。税でとればとれぬことはないのでございますが、そういうような会社企業につきましては、それぞれ法人税なりあるいは事業税等で課税した方がむしろいいんであつて、こういう消費税として課税をするのはやや本筋ではないだろう、こういう節が考えられますので、大いに能率化といつたようなことを考えまして、計算機とかタイプライターという事務用品につきましては、課税から除外することにいたしたのでございます。その点に関してだけ見解の差があるようでございますが、その他はおおむねあまり見解の差はないと思つております。
○松尾委員 万年筆その他今の局長がおつしやられたもののほかはだめなんですね。文房具それからおもちやは全廃なんでございますか。
○平田政府委員 おもちやにつきましては、いろいろ値段によつてやはり相当現在として税金を拂つてもらつてもよいだろうということで、免税点を考えたいと思つております。
 それから文房具につきましては先ほど例示いたしましたが、「硯、パレット、パレツト・ナイフ、ペーパー・ナイフ、筆立、矢立、硯用蓋、墨置台、肉池、水入、ペン立、ペン皿」こういう類似のものは課税から除外することにいたしたいと思います。
○田中(織)委員 ただいま松尾委員から御質問申し上げました交通費、それから国鉄の夜勤料等に対する課税の問題でございますが、私きよう午前中にも――これは例の百万円以上の大口の大阪国税局で今調査をやつておる問題でありますが、そのときにも私質問申し上げたのであります。今長官の御答弁の中に、大蔵省の方で見落しておつたという事件についても、これは所得があつたという事実がはつきりしている以上、税金を納めてもらわなければいかぬ。こういうことでありますが、従来所得税の確定申告にあたつても、実際の徴税目標を確保するという見地から、相当税務署の方で指導をやつておると思うのです。またそうした指導によつて、税務署は、率直に申しまするなら、その線まで来ない場合には更正決定をやつておる。そういうものについて取立てて来たものを、あと別の調査方法によつて出て来たからと言つて、そいつをそつくり全部とつてしまう。こういうことは全体の租税政策の見地から見て、適当かどうかということの考慮が拂われなければならぬと思うのですが、あくまでたとい税務署の落度であつても、見落しであつても、それは納税者が責任を持たなければならぬ。こういうことがある。先ほど大蔵大臣が得々として自然増收の二百十三億円を説明されておりましたけれども、反面においてこうした形において、ある意味から見れば税源を絶やすような、今年限りで所得が済んでしまうような徴税の仕方をやつておるということは――われわれは従来これはよけいなせわと言われるかもしれませんけれども、国会の中に租税完納の推進本部もこしらえて、納税の完遂のためにわれわれ一面においては協力して来ておるのでありまするが、そういう面から見て、もちろん率直に言うなら私は所得はあると思う。その所得を全部とにかくとつてしまうということでは、一体国民が納めておる税金は、国民全体のために支出する面において、その八〇%以上のものを一般国民に還元するような形において、やられておるかどうかという問題とも関連して来る問題だと思うのです。大きな租税政策の見地から、こうした問題については考慮して行かなければならぬ問題だと思うのですが、長官としての政治的な見解を伺いたい。
○高橋(衞)政府委員 午前中御質問があつたということを、先ほど平田局長からお伺いいたしたのでありますが、今年度は、御承知の通り目標制度というものを全然廃止いたしまして、もつぱら実際の所得の調査を徹底するという方法をやつておる次第であります。実は百万円以上の所得のものにつきましては、各国税局に調査官を設けまして、その調査官が直後調査をする。しかもこの調査にあたりましては、税法に従つて正確に実態をつかむということで行つております。ただいま政治的な見地からというお話がありましたが、国税庁といたしましては、どこまでも税法に従つて、ほんとうに正確に税法の通り実行することが、われわれの責務であると考えておりますので、その方向で進んで行きたいと考えます。
○田中(織)委員 われわれ税金問題で多くの人と接する場合においてよく聞くことですし、税務署当局もよく言われることは、税法そのもの、税率その他の点において非常に欠陥があり、むりがあるということはみな認めておる。しかし税務署としては税法に規定した形においてやらなければならぬ、こういう建前から、文句があれば議会に言うて行け、こう言うのですから、税務署自身としても、また国税庁長官としても、現在のいろいろな租税の制度から見まして、相当過重な税金であるということは十分認められておることだと思うのです。そういうときに突如として実情に即したという形においてやられる。しかもそういうことになりますれば、私は伺わなければならぬことになるのですが、たとえば国民所得というものは、かれこれ三兆近い数字を政府は出しておる。しかし課税対象となつておるものは、せいぜい二兆程度のものだと私は思う。そういう面から見れば、三兆が課税対象になれば、二兆との差額は、共産党の諸君から言わせれば脱税になるのじやないか、こういうことで、これは徹底的に取立てなければならぬということも、今までよく言われた議論であります。そういう意味において、所得があるものは必らず所得税を拂わなければならぬということは原則なんです。しかしそこに現われておる所得を全部とにかく所得税としてとつてしまうことは、私は所得税の建前ではないと思うのですが、その点はいかがですか。
○高橋(衞)政府委員 税法の解釈にはある程度の巾があります。従いまして税法を正しく解釈するということについては、従来も努力して参りましたし、今後も努力して行きたいと考えます。しかしながら税務官の裁量の余地のあるような税の決定をさせることは弊害のもとであります。従つてどこまでも国税庁としては細目にわたる解釈のついた、しつかりした税法のもとに、その税法の通り実行するという建前で進んで行きたいと考えております。
○田中(織)委員 私はその点につきましても、たとえば今朝午前中に私が具体的に指摘いたしました百万円以上の病院のことでありますが、そういう場合に、二十一年度の財産税の徴収のときには、改正したようなときには書き出さなくてもいいということで税務署の方で指導された。ところが現に今度の百万円の調査にあたつては、それが三分の一しか残つていないので、それを時価に換算して書き出した。そうしたところがそれは二十四年度の所得だとして修正申告をさせようという。これは実際にやつていることなんだ。そういうことについて、二十一年度の財産税の徴收のときから、そういう解釈がさらに厳格になつた。しかも二十一年度の財産税徴收のときよりも、今の時価で計算するということになると、二十一年から現在までの物価の変動というようなものがあつて、そういう問題をどういうふうにとにかく考慮されるか。これはもちろん、確かに第一線の税務官吏というものが、巾のある、人によつて違うというような能度はいけないので、その点はわかりますけれども、少くとも二十一年度から二十三年度、二十四年度にかけての物価の変動というようなものは、これは少くとも常識人としては当然考えなければならぬ問題だと思う。従つてそういう点についても、私は当然考慮を拂わなければならぬ問題だと思うのです。ことに国鉄の場合その他――これは車両関係の会社におきましても大きな問題になつておることは私も聞いておりますが、ことに国鉄にいたしましても一般公務員同様に、現在の給與ベースの改訂に対しまして、政治の面においては何らこれを解決する政治が行われていない。そういう面において、私は総額二億円に達するものを、今ここで国税庁が取上げるということは重大な問題だと思うのですが、いかがでしようか。
○高橋(衞)政府委員 ただいま御指摘の、あるお医者さんについての調査の問題につきましては、ここに陳情書もいただいておりますので、具体的に調査をしてみたいと思います。もちろん確たる帳簿がなく、調査する方法がない場合におきましては、その人の一年間における財産の増減というものを、所得の推定の材料として調査するという場合はあり得ると思うのであります。しかしながら、もちろん物価の変動によつて、たとえばその人の病院の建物も、財産税当時から見ら、同じ建物について、物価が上つたことによるところの増加額、これは所得には全然なりません。これは売却されて、差益が出たときにおいて初めて所得になるのであります。従つてその調査の過程においていかなることが行われたかということによつて、その是非の問題は決定いたさるべきものであろうと考えるのであります。
 なおただいま国鉄の問題について、二億円程度のものを当分控えたらどうかというお話がありましたが、控えるということは、国税庁には與えられた権限はないのであります。いやしくも所得を発見した以上は、それをどこまでも納めていただくということが、われわれの職務であると考えております。
○島村委員 本日はこの程度で散会せられんことを望みます。
○宮腰委員 これは共産党や社会党あたりから申し入れるところでしようが、それは国税庁の長官に対してお願いしたいのですが、査察官の待遇について、こういうような陳情書が参つております。「国税査察官制度発足の際、査察官募集にあたつて大蔵省は一般の税務職員より一階級優遇する旨を発表したにもかかわらず、現在に至るも全然実施されない。特に国税庁査察官の職階は別表の通りであります。これを国税庁税務署と比較すると、一階級低いありさまであります。」というような陳情書が参つておりますが、その事実がありますかどうか。
○高橋(衞)政府委員 国税査察官の仕事は非常に困難な仕事であり、また税務のうちでも最も人にきらわれる仕事であります。従いまして、その待遇につきましては何とかしてよくして行きたいと考えまして、たとえば役付の職員を多くするとか、その他の方法によりまして、その実現を期して行きたいと考えておる次第であります。
○宮腰委員 その点は、この休会中に、税務署の査察だとか、国税庁の査察をして歩くたびに、査察官から言われたことでありますから、ぜひ実現していただきたい。
○川野委員長 先ほど島村君の散会の動議がありましたが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 御異議ないようでございますので、本日はこれにて散会いたします。
    午後五時六分散会