第006回国会 大蔵委員会 第18号
昭和二十四年十一月二十六日(土曜日)
    午前十一時二分開議
 出席委員
   委員長 川野 芳滿君
   理事 北澤 直吉君 理事 小峯 柳多君
   理事 小山 長規君 理事 島村 一郎君
   理事 前尾繁三郎君 理事 川島 金次君
   理事 林  百郎君 理事 内藤 友明君
      江田斗米吉君    岡野 清豪君
      佐久間 徹君    高間 松吉君
      田中 啓一君    塚田十一郎君
      中野 武雄君    西村 直己君
      三宅 則義君    田中織之進君
      中崎  敏君    宮腰 喜助君
      河田 賢治君
 出席政府委員
        外国為替管理委
        員会委員    杉原 雄吉君
        大蔵事務官   佐藤 一郎君
        厚生政務次官  矢野 酉雄君
        引揚援護庁次長 宮崎 太一君
 委員外の出席者
        厚生事務官   大須賀貞材君
        厚生事務官   岡崎  豊君
        厚生事務官   渡辺 文也君
        農林事務官   庄野五一郎君
        通商産業事務官 寺門  英君
        会計検査院事務
        官       小峰 保榮君
        專  門  員 黒田 久太君
        專  門  員 椎木 文也君
十一月二十六日
 委員鹿野彦吉君辞任につき、その補欠として小
 西英雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 未復員者給與法の一部を改正する法律案(内提
 出第五号)(参議院送付)
 旧軍関係債権の処理に関する法律案(内閣提出
 第一七号)
 薪炭需給調節特別会計における債務の支拂財源
 に充てるための一般会計からする繰入金に関す
 る法律案(内閣提出第三一号)
 外国為替特別会計法案(内閣提出第三九号)
 大蔵省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十
 四年度における歳入不足補てんのための一般会
 計からする繰入金に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第五三号)
    ―――――――――――――
○川野委員長 これより開会いたします。
 大蔵省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。林百郎君。
○林(百)委員 この四億四千万円増加するに至つた理由をひとつ御説明願いたいと思います。
○佐藤(一)政府委員 御説明いたします。これは提案理由で御説明いたしましたように、本年度の大蔵省預金部特別会計外二特別会計と実はございますが、その内容は農業共済再保險の特別会計の農業勘定に繰入れる法律でございます。ちよつとわかりにくいのでありますが、前回の国会におきまして、大蔵省預金部特別会計と、それから農業共済再保險特別会計、もう一つは開拓者資金融通特別会計、この三会計に歳入不足補填のための繰入れを必要といたしまして、その三会計の繰入れを一本の法律で御審議を願いましたために、この表題はこうなつておりますが、内容は預金部とは全然関係がありませんで、外二特別会計とございますこの二特別会計のうちの一つであるところの農業共済再保險特別会計に対する繰入れ、こういうことでございます。表題の関係で非常にわかりにくくなつておるのでございます。これはただいま予算委員会の方で審議をしていただいておりますところの本年度の補正予算の中に、農業共済再保險特別会計に対して、一般会計から繰入れる金額が予定してございまして、そのために必要な根拠規定をここに設けるという意味で、前回の法律にございます金額の限度を、さらに今回の予算に合わせまして、四億四千万円だけプラスをして金額の引上げをはかる、こういう法律でございます。
○林(百)委員 それはよくわかつておりますが、四億四千万円を新しくプラスするに至つた原因と理由を伺いたい。
○佐藤(一)政府委員 これは本年度暖冬等の関係から、麦に関しまして、異常災害が各地に頻発いたしておるのであります。従いまして当初予定いたしました金額以上に、再保險金の支拂いが増加して参つた。そのために本会計に不足を生ずることになつたのであります。
○林(百)委員 暖冬異変で麦の非常な減收があつたといいますが、その損害は大体どのくらい見積つておられますか。
○佐藤(一)政府委員 これは御承知のように、共済金の支拂い対象となりますのは、基準收穫量に対する三割以上の被害でございますが、それに対しますところの面積が四十三万町歩でございます。そうしてこのために必要な総体の金額が十九億円でございます。
○林(百)委員 十九億の損害の三分の一を保險で支拂つてやるというように解釈していいですか。
○佐藤(一)政府委員 これは共済金額の支拂総額が十九億円になるわけです。それでこの中で農業共済保險組合が自分で負担いたします分と、政府の負担する所要額というものがございまして、政府の負担する再保險金の支拂所要額は十四億円ということになつております。
○林(百)委員 そこで十四億の保險金の支拂い方法ですが、これはどういうふうに支拂つてやるのですか。
○佐藤(一)政府委員 これは御承知のように、各共済組合から連合会を通じまして、政府としては現在再保險の形をとつてあるのです。その再保險分だけをこちらでもつて見ておるわけです。
○河田委員 再保險をするにしましても、たとえば災害があつた場合には、これはやはり連合会の方から申請するものなのですか。
○佐藤(一)政府委員 さようでございます。
○河田委員 ままこういうことを聞くのでありますが、村によつてはそう大した災害もないのに災害を報告して、この金がいわば取合いつこになつておる。それから一方においては村の方ではとつておきながら、現実には百姓の方へそれだけの金を渡してない。こういうようなことがあるのですが、こういうことについてどの程度の監督をされておるか、一応伺いたいと思います。
○佐藤(一)政府委員 これは全国並びに各府県ごとに審査会というものがございまして、そうしていやしくも災害がない、あるいは過小の災害についてみだりに保險金の支拂いの行われないように十分な審査をいたしまして、かつまた各地の均衡をはかつております。それからなお地方においてただいまお話のように、各地方公共団体が当然支拂わなければならないものについて支拂つておらぬものについては、これも同様に各府県に監督官を置きまして、そうして常時監査をするという建前になつております。
○林(百)委員 農業共済再保險の保險料の支拂い状況、これは農村で聞きますと、非常に支拂い状況が惡いように聞きますが、これはおわかりですか。
○佐藤(一)政府委員 ちよつと今数字の持合せがございませんが、農林省の方から資料を差上げます。
○林(百)委員 そうしますと連合会からの再保險の保險料はどうですか。
○佐藤(一)政府委員 それも前のと同様ですが、あわせて……。
○林(百)委員 そうしますと、それは後ほど資料をいただきますが、これはやはりきちんきちんと保險料を再保險の方が拂われているのかどうか。これがいい加減になりますと、また大きな問題になりますが、もし保險料あるいは再保險料が組合員から支拂われないということになりますと、その原因を究明しないとまたこの会計について追加の処置をしなければならないような問題も起きて来ると思いますが、その点の大体の趨勢はどうです。
○佐藤(一)政府委員 今数字が手元にございませんが、全体といたしましては、この会計についてはそういうおそれはございません。全体としては会計としては十分歳入確保の方法を講じております。
○林(百)委員 その歳入の方法を確保しているというのは、具体的にどういう方法でやつておりますか。
○佐藤(一)政府委員 歳入確保のために常に非常な努力を、この会計としては従来からも拂つておりますが、同時に一面において保險金の支拂いをするわけであります。一種の相殺関係に立つわけでありまして、できるだけ保險料を一方においてとるということを、行政の運営上やつております。
○田中(織)委員 農林省の方がお見えになつておりませんと、あるいはおわかりにならないかもしれませんが、今度の農業災害保險の再保險に対する大蔵省預金部からの繰入れの問題であります。これはただいま佐藤さんの御説によると、麦の災害によるところの再保險金の支拂いが増加したということでございますが、別に今国会に出されております農業災害補償法の一部改正案関係では、牛馬の死亡廃用共済にかかる共済掛金の一部を、一般会計からの繰入れということが出ておりますが、今度の増加額の農業災害の中で、麦だとか今言う家畜の死亡廃用等による共済金等との内訳がわかりましたら……。
○佐藤(一)政府委員 ちよつと今予算の数字を手元に持つておりませんが、今回農業共済再保險特別会計に繰入れます予算額の内容は、三つになつておりまして、一つがただいま田中委員のおつしやいました家畜再保險の問題、もう一つは例の従来の蚕繭につきまして、製糸業者が負担しておりました分を国庫負担に振りかえることにいたしました。それからただいまここに問題になつております麦の関係の三本が予算にも載つておりまして、その三本を一括して農業再保險特別会計へ繰入れておるのでございます。ところが前の家畜保險の分と三件について国庫負担に振りかわつたものにつきましては、ただいまお話がございました農業災害補償法の方において、根拠規定をすでに設けてございます。それで麦の分だけにつきまして予算節約をして、それの根拠となるところの法的根拠を欠いておりますので、それでこの法律案の中で限度を引上げまして、麦の分だけの関係をこの法律で根拠を與える。こういうことであります。
○田中(織)委員 そうしますと農業共済再保險特別会計の中の農業関係だけの繰入れ額が、四億四千六十六万円不足するので、これは一般会計から繰入れる。こういうことに相なるわけですね。
○佐藤(一)政府委員 さようでございます。
○川島委員 この機会にちよつとお尋ねするのですが、私の記憶がありませんので、参考までにお伺いしておきます。農業共済保險の再保險でない共済保險の方の、農家自身で支拂います保險料の基準はどういうものでありますか。
○佐藤(一)政府委員 基準といいますと保險料の率でございますか。
○川島委員 そうです。
○佐藤(一)政府委員 私保險料を最近のものをおぼえておりませんが、これは農林省の方から調べさせます。料率の内容は至急調べてお答えします。
○川島委員 それからもう一つお伺いしますが、再保險の特別会計において、今回は産麦だけの非常災害による保險の財源の不足ということになりますが、これは麦に限つたことでない。麦の非常災害の発生を相当受けたくらいでありますから、他の農産物においても相当の災害をこうむつておることは事実でありますが、ここに産麦の再保險金の支拂いの増加だけが出て来たのはどういうのでしよう。他にはその災害がなかつたのかという問題なんですが、その点はどうですか。
○佐藤(一)政府委員 これは稻等につきましては前回の国会においてすでに出ておりました。それで麦の分だけが今回現われております。
○川島委員 そうすると参考のために聞くのですが、共済保險再保險は麦とか稻とかその他それぞれの種別があつて、それに対する一定の予算を立てて来ておる、再保險の予算を立てる、こういう形になつておりますか。
○佐藤(一)政府委員 さようでございます。
○田中(織)委員 えらいとびとびになりますが、この法律だとすると、今申しますように大蔵省預金部特別会計外二特別会計となつておつて、大蔵省預金部特別会計と農業再保險特別会計の二つが出ておりますが、ほかの一会計というのは何でございますか。それと大蔵省預金部の特別会計への繰入れの金額はどういうようになるのでしようか。
○佐藤(一)政府委員 これは非常におわかりにくいと思いますが、実は前回の国会において大蔵省預金部に相当の赤字が出ました。その繰入れをいたしました金額は四十数億だつたと思いますが、前回の国会で出ております。それから開拓者資金融通特別会計というのがやはり資金が不足いたしまして、それに対しても八億くらいでしたか、繰入れることになりました。それから農業共済再保險特別会計というのにも赤字を生じまして、そのために繰入れを必要としております。この三本の繰入れを一括いたしまして、一本の法律で前回の国会で御審議を願つたのであります。こういうふうに大蔵省預金部特別会計外二特別会計、こういうことになつております。ところが今回はこの三会計の中の農業共済再保險特別会計に関してのみ、あらためて繰入れの増額が必要でありますが、たまたま前国会に出しましたこの法律案によつて金額の限度をおきめ願つておりますので、その従来八億でありましたものを四億プラスして十二億に引上げていただくという関係でありまして、今回の改正といたしましては預金部並びに開拓者資金融通については直接の関係がございません。
○田中(織)委員 どうもややつこしい名称が法案についておるものですから……。それでわかりました。ついでにお伺いいたしますが、大蔵省預金部特別会計については現在どういうようになつておりますか。あるいはおそらく前回のような赤字は出ておらぬだろうとは思いますけれども、どうも多額の資金をかかえ込むだけで、一向この資金が必要な方面に流れない関係があるので、あるいは赤字が出るのではないかというような、宝の持ち腐れのような感もあるわけでありますが、この際大蔵省預金部特別会計のごく概略をお知らせ願いたいと思います。
○佐藤(一)政府委員 預金部につきましては、御承知のように例の戰時中からの国債をたくさんかかえ込んでございまして、いずれも相当利率が低くなつておりますので、そのための逆さや関係から、赤字がずつと生じて来ておるような関係であります。もちろん長く放置しておくことはできませんので、大蔵省としましても各種の方策を立てて、十分にその逆さやを訂正して、赤字の解消を一般会計等から繰入れましてはかつておるわけでございますが、相当の人件費、事務費というもので、現在においても逓信省等でやつていただいておる経費等が相当ございますから、なお赤字があると思います。その最近におきますところの收支のバランス状況は、ちよつと今手元にありませんが、関係当局に言いまして必要でしたらおつくりして差上げます。
○田中(織)委員 それではひとつ資料を提出願いたいと思います。最近われわれはこうした行き方につきましては、賛成することのできない立場であります。相当租税收入をもつて国債の償却等が行われておるのでありますが、預金部の手持の国債等につきましても、国債償却の方針に従つて償却いたしましたものが、資金として環元しておるのだろうとは思いますが、その点はいかがなものでありましようか。
○佐藤(一)政府委員 ちよつとそれは……。
    ―――――――――――――
○川野委員長 それでは本案に対する質疑はあとまわしにいたしまして、未復員者給與法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。
○林(百)委員 まず未復員者の数を発表してもらいたい。
○矢野政府委員 今の御要望に応じて発表さしていただきます。今政府においていたします一切のこれらの数字の発表は、総司令部発表に基いておるのでございますので、その点御了承願いたいと思います。十一月三日の現在では、満州地区において六万三百十二名、ソ連地区におきまして三十二万六千六百十七名、計三十八万六千九百二十九名。過般ソ連から総司令部の方への通告によりまして、ただいま五隻だけナホトカの方に迎えにやることになつておりますが、その通告が総計一万人でございまするので、それが完了いたしますれば、三十八万六千九百二十九名から一万名引きまするので三十七万六千九百二十九名、こういうことになる次第でございます。以上お答え申し上げます。
○林(百)委員 この法案に「満十八歳未満の子のうち」とありますが、その満十八歳未満の子供というのはどのくらいに算定しておりますか。
○矢野政府委員 それについては渡辺事務官の方から御説明させますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○渡辺説明員 この法律の基礎になつておる十八歳未満の子供の数でございますか。
○林(百)委員 適用を受ける者の数です。
○渡辺説明員 留守宅渡し担任件数の中で、扶養手当を受ける者の数は大体二・七人というふうに算定してございます。そのうちの内訳は、妻が〇・九人、長子が〇・五人、その他の親族が、一・三人ということになつております。
○林(百)委員 そうすると結局幾らになるわけですか。具体的に調査してないのですか。まだ帰つて来ないのが何件あつて、その家庭の中に満十八歳未満の子供が幾らあるということは……。
○渡辺説明員 九月末の留守宅渡しの実施件数が四万九千五百四十五で、それにただいま申し上げた扶養親族の員数の二・七人をかけていただいた数が、扶養親族全体の数であります。そのうち御質問の十八歳未満の長子というのは、二・七をかけたものの答えに〇・五をかけていただけばいいのであります。
○林(百)委員 実は未復員者の家族並びに人員の数について非常な問題がある。たとえばソ同盟の方では大体あと一万人ぐらいで、ソ連の未復員者はもうないのだと言うし、こちらの方はまだ三十八万人もあると言うし、今日本政府で調査したものによると、留守宅で金をもらつているのが四万九千五百四十五家族になるわけですね。もし留守宅がこれだけあるとすれば、この家族の数について調べれば、日本政府の数字が出て来ると思う。その家族の中で具体的に十八歳未満の者が大体どのくらいいるかという数が出て来る。これは司令部の発表のものと違うとしても、日本政府独自で調べた宅がわかつているのだから、その宅の人数とその中における十八歳未満の者が幾らかということが出て来ると思うのです。それを出していただきたい。
○渡辺説明員 ただいまの御質問ですと、未復員者の数は即未復員者給與法の適用を受ける者というふうに、御解釈になつていると思うのでありますが、未復員者給與法の扶養給與を受けているものは、扶養親族というわくではまつた未復員者の方に対してのみやつているのでありまして、未復員者の数とは若干齟齬いたすのではないかと思つております。
○林(百)委員 そうすると、留守宅家族になつているものは幾人ですか。その適用を受ける人数は幾らですか。
○渡辺説明員 ただいま申し上げた九月末の四万九千五百四十五件に二・七をかけたのが、この法律の適用を受けている員数であります。
○林(百)委員 そうすると給與を受けている者の数はどうして調査したのですか。
○渡辺説明員 給與の実施は、ただいま各県の民政部の世話課で実施をしておりますので、その世話課から報告をとつてまとめております。
○林(百)委員 そうすると、この四万九千五百四十五家族の主人が帰つて来ないというわけですね。
○渡辺説明員 そういうわけでございます。
○林(百)委員 そうするとその抑留されている地域別はどうなんですか。
○渡辺説明員 四万九千五百四十五家族の抑留地域別は、ただいま資料がございませんが、調べれば資料は差上げられます。今ここには材料がございません。
○林(百)委員 そうすると、日本政府独自でこの未復員者の数を調べてみたことはありますか。
○渡辺説明員 それは政令を出しまして、末復員者の数は当つているということになつておりますが、私担任外でございますので、その点はつきり申し上げかねます。
○林(百)委員 だれが担任しているのですか。その担任している人から日本政府独自の調査を出してもらいたい。
○矢野政府委員 それは各県々々の單位において調査しつつありますが、まだ完全な調査の結論に達しておりません。現在のところまだ日本政府の独自の数をただいまそのままに発表することは、差控えたいと思つておりますので、しばらく御猶予を願いたいと思います。
○林(百)委員 それはどうして発表できないのですか。実は未復員者の数のことで非常に問題があるのです。最も被害を受けているのはわが党なんですが、至る所でその質問を受ける。あたかも日本共産党の責任で帰つて来ないようなことを各地で言われる。しかもここで司令部の発表とソ連の発表との間に、三十万に及ぶ差異があるということになると、ゆゆしい問題なんです。そこで日本政府独自の発表をそこに参考に入れて、われわれも考えてみたいと思つているわけです。これは日本の国の未復員者だから日本政府が調査し、各市町村、各府県へまだ帰つて来ない者の数を届けろ。これは一番正確にさつそくわかる問題だと思う。これをなぜ今までしないか、またなぜその数が発表できないかということをお聞きしたい。
○矢野政府委員 それは御希望としては、私たちもぜひそういうふうにしたいと思いますけれども、各般の事情で、まだそれを全面的に発表することの事情に立ち至つておりません。その点はお尋ねになりましても、ただいまこれだけであるということを発表することもできないような事情でございますので、その点はごかんべんを願いたいと思います。
 それからただいまのソ連当局と連合軍の残留日本人の数の食い違いということについても、わが政府といたしましては、ソ連当局から、もうあと一万人しか残つていないとか、そういうことは何も実は報告を受けておりません。直接共産党自体からその御通告の趣があればともかくとして、まだ独立の交渉権がございませんので、結局は総司令部の発表に基くよりほか、私たちとしてはソ連当局との交渉ができないわけであります。今回の一万人帰すということについても、もちろん司令部からの通告によつて配船の手当をいたしたのでありまして、それに対してはあとどれだけ日本人が残留するというような何らの條件をつけないで、これだけ送還するというのでございますから、ソ連当局の正式にどれだけの数が残留しているかということについての意思表示は、まだ日本政府としては、受けておらぬような次第でございます。
○田中(織)委員 今矢野政務次官が言われましたが、今ナホトカに配船している五隻の船の一万は、ソ連が先般発表した九万何がしの中ですか。それとも外ですか。ついでに本年中に帰還する予定、それから先般ソ連側が発表いたしましたうち、もうすでに全部帰還が完了しているか、あるいはしていないとすれば、どの程度残つているかということを、あわせてお伺いしたいと思います。
○矢野政府委員 一万人がもしも全部今回帰還いたしました場合においては、九万五千という通告の数からいたしますと、六名不足するだけだと思います。但し私たち政府といたしましては、樺太の帰還者並びに大連地区の一般邦人の帰還者は、実は九万五千の中には入つていないというように解釈しておつたのでございます。何となれば、先方の通告は捕虜という言葉がございましたので、一般邦人は捕虜の中に入つていない国際法上の慣例でございますから、実は九万五千の先方の通告に従つて、これらの一般邦人、樺太、大連地区等の人々を差引けば、今絶対の数ははつきり記憶しておりませんが、相当数その間開きがまだあるわけでございます。
○林(百)委員 あなたの方はかつてに大連、樺太の数を含んでおらないと解釈するなら、その数は幾らあるかということです。それもわからなくて含んでいるとかいないとか言えないはずです。もし大連、樺太からの未復員の数がわかるというならば、しからばまだソ連から帰つて来ないという数が当然言えるはずだ。自分の都合の惡いときは言わなんで、自分の都合のいいときは違うと思いますというようなことでは、首尾一貫しないと思うのです。だからもし大連、樺太の一般同胞も含まれていないというなら、その数は幾らです。実際のことを言つてみてください。
○矢野政府委員 いわゆる九万五千を本年度帰すという先方の通告を私たちの方で受取つたのは、シベリア地区の捕虜を帰すという報告として実は受取つたのでございます。ゆえにその中に捕虜でない一般邦人が大連地区並びに樺太地区から引揚げて来たのでございますから、先方の意思表示に従つて正、確にそれを差引けば、その間さいぜん申し上げた六人程度の数の食い違いでなくて、もつと差がたくさんつくというような意味でございます。その数はただいまここに持ち合せがありませんので、それを差引けばどれだけ差が出るかについては、後刻御答弁申し上げてもよろしゆうございます。資料を差上げてけつこうでございます。
○川野委員長 ちよつと林委員に御相談申し上げますが、実は本法案の内容は簡單なわけなんですが、引揚げ等の問題については引揚委員会等もございまして、相当検討されておるかのように私は考えますので、できるだけひとつ簡單に御質問願いたいと存じます。
○林(百)委員 引揚委員会でも本年の春からずつと未復員者の数を要求しているのですが、なかなか発表がないし、それから十一月二十日には大体報告するということを引揚委員会であなたは言明されているはずだ。それならばきようは二十六日ですから十一月二十日は過ぎていますから、もうあなたの方から責任のある数字の発表があつてもいいと思うのです。私たちがなぜこれを言うかというと、私の方の党にも関係あるということのほかに、なおこの委員会としても一体この該当数が幾らあるかということ、これも何か四万九千五百四十五家族にただ二・七人かけるだけだというのですが、もう少し正確な調査がないと、一体幾らの金をやるのかということすらわからない。それでは大蔵委員会として責任が果せないと思うのです。そういう意味で私はぜひ聞きたいと思うのですが、十一月二十日には相当正確な数字を発表すると、あなたは引揚委員会で言明されている。この責任はどうしてくれるのですか。
○矢野政府委員 特別委員会において、十一月二十日に私自身が政府として発表するということを申し上げたのではありません。調査をしておるが、十一月二十日までには大体調査も相当の見通しがつくであろう。しかしそれは事情が許した場合において公表するのであつて、無條件的に公表をいたしますということは申し上げておりません。これは速記録をごらんいただきますと、あとの方にその旨ははつきりと私は申し添えております。国の引揚げ促進に最も都合のよい環境に置きたいというのが、私たちの念願でございますので、まだその引揚げ促進等にプラスにならないような問題は、なるべく政府としては出しやばつたことは愼みたいというふうな気持において、実は意思を表明したような次第でございます。
○林(百)委員 その数字を発表することが、引揚げの促進を阻害するというのですが、それはどうして阻害することになるのですか。あなたの言う事情、これは秘密会にしてもけつこうです。秘密会にしてもけつこうだから、なぜ一体日本政府の持つている数字を発表できないのか。それを発表することによつてどういう影響を及ぼすかということを、ぜひ聞かしてもらいたいと思う。もし何んでしたら秘密会にしてけつこうです。
○矢野政府委員 その問題は日本が完全な国際公法上の独立国でありますれば、政府の意思で自由に思う存分にできますけれども、御存知のような環境に置かれておりますので、一切これらの数字においても、日本独自の調査は事実上不可能であります。何となればソ連との交渉もできなければ、中共地区との交渉もできない現状であります以上は、当然総司令部のその発表の数字を最も唯一の根拠とするよりほかに道がないと私は思つております。また現実において非常に困難の――ぼく自身が動乱の中におつて、しかも八月の、十五日を過ぎても、あちこちと召集を受けているような実態もあり、各種の資料等も焼却されておるので、あの動乱の中で一分一厘――よしんば日本政府が調査権、交渉権というものがあつても、確実な間違いのない実数というものを算定することができないことは、少くともあの禍乱の中における実情を体験した者は、これは御理解ができると思います。
 以上のような理由のもとに、あくまで私は総司令部の発表を政府の一切の算定の基礎として、しこうして国内的に予算等の編成においては、それに基いてまた各県々々の世話課というものを中心といたしまして、さらに民生委員等の協力を得て、真に近い実数をとつて、そしてそれを予算編成の基礎の数として皆様の御審議を願つているような次第でございます。
○田中(織)委員 なるほど未復員者の数を確認する方法といたしましては、ただいま矢野さんが言われましたような形において行われなければならない。それが現在とざされておることは了解できるのであります。国内的な調査の範囲内において一分一厘違わないという数は、これは出すわけには参らないと思いますが、ほぼそれに近い数を国内的な調査によつて確保することはできると私は思う。現に政府はある程度それについての数があり、それと総司令部の関係において発表され政府に指示されて来ておる数との間に、どの程度の開きがあるかというようなことも十分検討して、初めて引揚げ促進の運動が全国民的な運動として展開できるんじやないかと思う。引揚げ促進の問題は、ただ單に政府がやつておるだけではなくして、国会の方も特別委員会までつくつて十分やつておるのですから、従つてそのことが、公表を差控えなければならないといたしますならば、少くとも政府と国会とが一体となつて引揚げ促進をするという見地から、政府自体が調べられました数字と総司令部の発表との間、あるいはソ連側が示しておる数字との間にどの程度の開きがあるかということは、少くとも国会委員会の秘密会等において明らかにされるべきが至当だと私は思います。またそれは可能だと思いますがいかがでしよう。
○矢野政府委員 ただいまの御意見並びに御質問はまつたくごもつともでありまして、その通りに実は政府もぜひ進めて行きたいと一切の調査をし、準備をしておるような次第であります。ゆえに皆様の御希望に沿うように、一切のものの資料を公表申し上げる機会が一日も早く来るように、いろいろと折衝しておりますから、いましばらくお許しを願いたいと思います。それから総司令部の発表と、未復員者給與法に基いて給與をしておりまするその数の根拠になつておりまするものの開きがあつて、非常にそこに算定に困るというようなことは全然ございません。ただいまのところ事務当局のさいぜん申し上げました算定の根拠に従つて、今回の予算措置も実はお願いするような次第でございます。
○林(百)委員 全然われわれ雲をつかむような話なんですが、そうしますと国民の方は、まだ大体三十万も満州あるいはソ連地区に残留するんだということを信じ込んで、あたかも日本政府が十分調査して発表したかの感を抱いている。しかも、そういう国際的な非常に複雑な情勢があつて、あなたが国会議員にすら発表できないという場合に、ソ連大使館に行つて坐り込み戰術など、しかも参議院議員が先頭に立つてやつている。こういうようなことこそほんとうに引揚げを阻害し、国際情勢を惡化することになると思う。そういうことに対してはあなた方の方は適当な処置はなさらないのですか。そういう引揚者の数の点についてはいろいろ複雑な事情で、日本国政府独自の調査の数の発表すらできない際に、一部国民が一方的な考えでわれわれ日本を戰勝国として管理する責任ある大使館に行つて、坐り込み戰術までして迷惑をかけるというようなことをさしていていいんですか。
○矢野政府委員 その御質問に対しては、政府としてそれを奨励も全然いたしませんし、また禁止はいたしておりませんが、私自身実は特別委員長時代以来、シーボルト議長であるとかあるいはその他の総司令部関係の正式の交渉機関とは交渉し、また民間の宗教団体その他の各種団体との折衝はいたしましたけれども、少くとも私に関する限りはソ連大使館その他にも、正式の議員として、私交渉に行つたことはありません。新聞の伝えるところによりますと、某議員等がソ連大使館に陳情に行かれたように承つておりますが、これは何ら政府自体の責任に属するものでなくして、またそれらの人々が治安を乱し非常な害惡を流すというような、法に反するようなことをやりました場合においては、それぞれ適当な処置をいたしまするが、ただいまのところ新聞関係の情報であつて、それがはたして法によつて取締るべきであるか、むしろそれらの議員各位の自粛をお願いする以外に、政府としてこれをただちに取締るというような意思はまだ決定しておりません。
○林(百)委員 そういうことを別に禁止をしないと言うんですが、現にソ連大使館に行つて坐り込み戰術をして、しかもソ連大使館では自分の方は自分の国の発表に責任を持つ、これ以上のことを言われても困ると言つている。しからば行つた連中がしつかりした資料を持つているかというと、これもあなた自身正確な数字を発表することができないのだから、もちろん行つた連中も正確な数字を持つているはずはない。ですから今後は引揚者の問題については、政府が責任ある数字を発表するまでは、軽挙妄動しないようにという方針を、はつきり政府としても出してもらいたい。そうでなかつたら、あなたが責任ある数字をここに発表してもらつて、これこれのものは当然ソ連地区にいるんだけれどもまだ帰つて来ない、これは遺憾千万であるならあると言つてもらわないと、国際的にも非常に大きな問題になると思う。そこでもうまとめてお聞きしますが、なぜ一体発表できないかということですね。これはGHQの方で発表はいかぬということをあなたの方に言つて来ているのかどうか。この点が第一点。未復員者の数をあなたの方に発表してはいかぬということを言つているかどうかということ。それから向うの責任においてそうさせられているのかどうかということ。これが一つ。それから第二として、日本政府が四年間かかつて――終戰後四年になつているんですが、一体どういう方法で未復員者の調査をしているのか。これもその結論は大体持つているのかどうか。持つているけれども発表ができないのか。あるいはまだ持ち得ないのかどうか。この点が第二。まずこれだけ聞きたい。
○矢野政府委員 大体さいぜんから部分的の御質問に個々にお答えしている中で、ほとんど実は盡していると思つております。第一の御質問に対しては、さいぜん申し上げたような事情でございます。ただ、林議員の御質問の中に、何ら確実な数を持たないでやつているというような前提にお立ちでありますが、それは林議員のお考えの御自由でありますが、私たちはあくまで、総司令部の発表を、現在においては最も根拠のある数字として、国際法においてもそれを信ずることが唯一であるという、その認識のもとに一切を進めております。しかし、さいぜん申し上げましたような混乱等のために、神様でない限り一分一厘も違わない未復員者の数、その確実性を保証するということは非常に困難でありますので、国内的なら国内的に各県の世話部を中心に、また外務省は外務省の立場から各種の調査をしておりますので、その国内的な調査の完了と、公表の許される事情に立至つた場合には、その間の食違いがどれだけであるということを申し上げ得る時期があろうと思います。しかしただいまのところ政府といたしましては、政府の意思においてまだ発表する時期でないというふうに認定をしておりますので、この点お許しを願いたいと思います。
○林(百)委員 ここで、そんなのらくら問答を幾らしていてもしようがないのですが、そうしますと、この法案の適用を受ける者の数は、先ほど言いました四万九千五百四十五に二・七をかけた数といいますね。そうでしよう。その点、人数にして幾らで、金額にして幾らだ。それが大体いつごろまで続くのか。それをお聞きしたい。
○渡辺説明員 四万九千五百四十五に二・七をかけまして十三万三千七百七十一名。これがこの法律、未復員者給與法に該当する人間であります。給與手当を受けている……。
○林(百)委員 すると、これが一人当り六百円になるわけですか。これに六百円かけるんですか。
○渡辺説明員 そうではありません。十三万三千七百七十一名というのは扶養手当を受ける全員のことでありまして、十三万三千七百七十一名のうち、それに〇・五をかけて、六万六千八百八十五人というのが、今回十一月から六百円になるものであります。
○林(百)委員 これに二百円ふえるわけですね。
○渡辺説明員 そうであります。
○林(百)委員 そうすると、今までの未復員者に対する給與、これは総額にして幾らですか。
○渡辺説明員 御質問がちよつとわかりかねますが、扶養手当だけですか。
○林(百)委員 扶養手当全部。
○渡辺説明員 今までですか……。
○林(百)委員 ことしだけ。
○渡辺説明員 今年度の扶養手当だけ、その今年度の当初四月から申し上げます。月々申し上げましようか。四月、三千二百七十八万八千六百四十八円。五月九千三十八万五千八百三十一円、六月一億一千二百四十四万七千百二十五円、七月七千五百二十七万千三百四十四円、八月五千六百七十四万八千七百二十二円、九月九千五百五十四万二千八百四十六円、この数字が各月異同がございますのは、ある月において拂い渡すことにいたしましても、受取りに来なかつたため、翌月に繰込んだりしたために若干数の異同はございます。しかしこれは支拂いの実績でございますので、数字としては間違いないと思います。
○林(百)委員 そうすると大体いつごろまで、この給與を支給する必要があるという見通しを持つておるのでしようか。
○渡辺説明員 これは四万九千五百四十五の人たちが帰りきるまで続くというふうに考えております。
○林(百)委員 その大体の見通しによつて今後の金額が出て来るわけでしよう。
○矢野政府委員 その問題は、実は政府としては非常に焦慮いたしておるのであります。いろいろと総指令部を通じてソ連当局の正確なる死亡者の数であるとか、あるいは入院者の数であるとか、現在残留しておる総数であるとかいうことを、しばしば御報告を願つておりますけれども、いまだ一回もそれについてのソ連当局の回答が、総司令部を通じてありません。だから現実においてはソ連地区を全部調査する以外には、その道はないのでありまして、その点の御質問はそれがわからない限りにおいては、ただいま渡邊説明員が申し上げたより以外には申し上げる方法はないと思います。
○林(百)委員 そうすると、この未復員者は全部ソ連関係と見ているかどうかということが一つ。それからもう一つは、ソ連関係で何らの返事をしないということは、こちらの数字が見込み違いであるのか。こちらの数字の方が見込み違いで、向うとしては全部責任を果しているのではないか。そういうふうに解釈し得るのかどうか。
○渡辺説明員 ただいまの林委員の御質問に対しましては、四万九千五百四十五の地域別は先ほどの御説明の通り握つておりますが、ここに資料がありませんからあとで資料を差上げることにいたします。
 それからつけ加えますが、林委員の御質問の中の留守宅渡しを実施している人間というものは、未復員者の数には関係がないのでございます。
○林(百)委員 なくても家族の数がはつきりするくらいなら、未復員者の数だつてわかるはずではありませんか。家族の数が発表できるくらいなら、なぜ未復員者の全体の数が発表できないのですか。
○渡辺説明員 家族の数は未復員者給與法を適用しておるはずでありますので、それはわかると思います。未復員者の数については先ほどの御説明の通りであります。
○林(百)委員 給與を受ける家族の数だけが発表できて、未復員者全体の数が発表できないというばかなことはないと思います。
○川野委員長 各位に御相談申し上げますが、実は御承知のように復員等の問題については特別委員会もできておることでございまして、相当議論になつておるようでございますので、この委員会におきましては、できるだけ本案に関連のある質問を願いたいと存じます。実は御承知のように、まだ未審議の法案がたくさんございますので、先ほど理事会におきましても、できるだけ審議を促進する、こういうような申合せもあつたようでございますから、その線に沿うて質問もできるだけ簡略に願いたいと存じます。田中織之進君。
○田中(織)委員 この未復員者給與法の適用しておるという人員は、先ほど私が矢野政務次官に御質問申し上げたと同じように、やはり日本側の一つの独自の調査によつて、適用者というものが出て来ておるわけです。従つて先ほどの林君からの質問によりますと、十一月二十日ごろまでにはある程度の調査が完了する見通しも持つておられたことと思いますので、公開の席上ではいろいろの関係からさしさわりがあるだろうと思いますが、別の機会でよろしゆうございますから、私は日本側自体の未復員者の数についての調査というものは、少くとも政府に協力して、国民にかわつて引揚げ促進をしておる国会には、政府としてお示しになることが当然の義務だと思いますので、そういう機会を早急につくつていただきたい。あくまで未定稿であることはよくわかつておりますが、その点は今後のわれわれ国会側の動きとしても、重要な一つの資料になるわけですから、国会の方に示していただきたいことを希望いたします。
 次にこの法案がきわめて簡單だということを委員長も言われておるのでありますが、なるほど簡單なものであります。しかし未復員者給與法を実施いたしました建前からいたしますならば、私は未復員者給與の問題につきましては、こういう簡單な改正では済まされない幾多の問題があると思う。それらの点について私これからお伺いしたいと思う。ことに直接法案に関係のある部分から御質問申し上げますが、今回未復員者の家族に対するいわゆる扶養手当を、一般公務員の扶養手当と同様に、妻及び一子の分について六百円に引上げるということは、最小限度の政府の改正として提案されておるのであります。私は公務員の扶養手当と同額にするという考え方には賛成でありますが、御承知の通り未復員者給與法の適用を受ける扶養家族というのは、まだ主人が帰つて来ておらぬ。従つて内地で公務員として働いておる人の扶養家族とは、同じ扶養家族であつても條件が違うと思う。従つて扶養手当につきまして内地の一般公務員より以下であるのを、せめて公務員の程度までに引上げるという程度の今回の改正でありますが、さらにそれを積極的に進めて、扶養手当につきましてもさらに増額しなければ、これらの人たちの生計というものは、憲法で保障された最低限度の生活を確保することも不可能だと思いますが、この点について政府当局としてはいかにお考えになつておりますか。率直に申しますならば、扶養手当は妻及び子供が今度の改正で一人だけは六百円になつて、その他のものが四百円になる程度の改正では、これらの未復員者の家族は、憲法で保障された最低の生活も十分できないと思いますが、それについて政府はどういうふうになされるお考えであるか。お伺いしたいと思います。
○矢野政府委員 ただいまの御質問はまつたくごもつともな御質問でありまして、実はその線に沿うべく今回も相当努力いたしましたが、政府の提案は一応その程度に今回はとどめなければならぬような事情に立至りました。しかし次期国会においても立法府である国会の方で、この改正の法律案に関係ある特別未帰還者給與法、それからこの改正法律案というのも御提出の様子を大体承つておりますので、結局は今御質問の中にありましたように、その幸福を享受する人たちのための立法でありますので、あえて厚生当局が立案しなくとも、立法府の方でそういう方向にお進みくだされば、こちらとしてはわれわれの希望が立法府において満たされるということになりますので、それに実は御協調申し上げておるような次第でございます。近くそれが上程されることは実は私たちは待望しておる次第でございます。
○田中(織)委員 国会の方として本法並びに特別未復員者の給與の問題について、これは各派協調して今準備をしておることは、政務次官の言われる通りでありますが、私は本法は政府提案である関係から、政府がさらに竿頭一歩を進めて施策を講ずることは、政治の衝に当る政府の責任であるという見地から御質問申し上げておるのでありまして、そういう見地から以下の御質問に対してお答えを願いたいと思うのであります。
 ただいまの四條二項の改正の理由にも、公務員の扶養手当と同様に改むるということになつておるのでありまするが、そういたしまするならば、根本的には現在第三條で規定しておる未復員者の俸給を月額百円にきめておることは、著しく権衡を失すると思う。もちろん未復員者で外地に抑留されておるところでは、本人は最低限度の生活はしておるわけでありますから、われわれは公務員と同じ六千三百七円ベースの給與を要求はいたしませんけれども、少くともその半分程度のものを確保してやらなければ、またこの改正法案にも出ております程度の家族手当では、とうてい生計が維持できないのでありますが、未復員者の本人の俸給につきまして、これを少くとも公務員の半額の三千円程度に引上げるべきではないか。物価情勢その他の関係から見て、また留守家族の生活を確保するという見地から、それが絶対に必要だと考えるのでありますが、その点についての政府の御所見はいかがですか。
○矢野政府委員 まつたく御同感でありまして、百円はお話にならないような低額でありますので、一応厚生当局としては三倍の三百円というような見当で、実は案を進めておりましたが、立法府の方ですでに御計画になつておりますので、厚生省が発案するか、立法府が発案するかという二つの場合には、むしろ立法府の方がその本質上お出しいただくことが適当であると思つて、実は厚生省は協調することとして、手を差控えるというような次第であります。いずれ皆様の方で御提案いただきます中に、あるいは帰郷旅費も千円が三千円程度、あるいは引揚げ旅費の千五百円が千七百円になるなど、さまざまなご希望が立法府で立案されておるやに承つており、関係方面との折衝も進んでおるようで、たいへん喜んでおる次第であります。
○田中(織)委員 今政務次官の言われたように、国会側で準備いたしておる中には、確かにそういう部分があるのでありますが、かりに現在の百円が三倍になつても三百円で、これは私が主張いたしておりまする、少くとも公務員の半分の三千円の十分の一にしか当らないのでありまして、政府は少くとも未復員者を、公務員あるいは公務員に準ずるものだという基本的な考えがあります以上、それに準ずる取扱いを給與の面において行うことは、当然政府の責任だと思う。これらの人たちは待遇改善の要求をするところの、何らの権利も保障されておらないのであります。この点につきましては、厚生当局といたしましては格段の努力をしなければならぬ。また根本的にはこうした給與を適用しなくても済むような態が、一日も早く来ることを念願することはもちろんでありますが、これが現実に存する以上、私はそうした基本的な考え方で進んでいただきたいのでありまして、その点から一括して申しますならば、未復員者の帰郷旅費の問題につきましても、私は現行の千円は少くともいろいろの関係から申しまして三千円に引上げる。あるいはまた未復員者の死亡した場合の埋葬費その他の関係につきましても、現在の千五百円程度では葬式一つ出せるものでないことは、矢野さんも御存じのことだと思いますので、こうした点につきまして本法の成立の過程から見ましても、立法府の独自の努力によりまして、これが進められるようないきさつもありますので、そういうわれわれの努力は今後も続けるつもりではございますけれども、それだけに頼らずに、政府自体として勇敢に、少くとも公務員に準ずるという基本的な態度として、本法がさらに徹底的な改正をせられることを強く希望するのであります。
 最後に、終戰と同時に、おそらく抑留地においてもそうだろうと思うのでありますが、いわゆる軍隊における階級というものは廃止されておると思うのであります。しかし給與の点につきましては、たしか十一條であつたかと思いますけれども、まだ旧軍隊時代の階級による給與が前提になつておるように見受けるのであります。ことに兵の階級についての問題でありますが、その点については現在もおそらく復員のときの清算の関係もあろうと思いますが、これもすでに終戰と同時に軍隊の階級というものが、抑留地においてもおそらく全部排除されておることと思いますので、その点から見て十一條におきましては、そういう兵の階級について軍隊時代の階級に基いての給與を改めて、これを一律に現在の最低の百円なら百円ということにしてもらいたいと思いますが、その点について政府としていかにお考えになつておるか伺いたい。
○矢野政府委員 初めからの御意見は実は厚生省自体としてもぜひその線に沿うて積極的に改善すべく、万全を盡したいと思つております。
 さらに実は米窪さんが労働大臣のときにも、完全失業者は舞鶴に上陸したときの引揚者であるから、失業手当も当然適用すべきであるというようなことを、私は委員長として申し入れたような次第もございまして、ただいまもその点、法の適用も受けられるような措置ができるようにいろいろと折衝し、また研究も続けております。
 それから最後の問題については、ごもつともの御意見でありますから、ぜひ事務当局も、また関係当局とも連絡をとりまして、すぐに調査をいたしたいと思つております。
○河田委員 田中君が引揚者の給與の問題などは質問しましたから、私はそれには触れませんが、先ほど矢野政務次官は、総司令部の発表の引揚者数を大体中心にして、そうしてこれを最も確実なものだとされておるのであります。ところがこの春第五国会におきまして、当大蔵委員会で未復員者給與法の改正がありましたときに、この引揚者の数について、他の方面にないかということを私が質問したときに、政府委員は、戰犯を除いて三万人ばかりの者がまだ東南方方面におるということを言われたわけです。その人々は一体帰つて来ましたかどうか。それをまずお伺いします。
○矢野政府委員 その当時の政府委員がどういう程度の回答を申し上げたか。現在私自身その資料を持ちませんので、よく調査いたしました上で御返答申し上げることにいたします。
○河田委員 政府委員がどう申し上げたかわからぬということでありますが、これは速記録にも出ておりますから、ごらん願いたいと思います。やはりその当時外務省が総司令部の発表としてこの大蔵委員会に出しましたときにも、やはりすべて総司令部の方の発表はゼロになつておる。その後においても南方から三万人帰つたというようなことは、私たちは新聞などでも拝見しておりません。また今年の十月一日付で外務省管理局引揚渡航課で、やはり総司令部の発表として統計表を出しておりますが、それはやはりゼロになつておる。一体この総司令部の発表について、ほんとうに政府はこのまま確かなものであると考えておるか。この春私が尋ねましたときに、三万人も残つておるということを言われたが、一体これについて総司令部の方の発表にも相当の誤差があるのではないか、こういうことをあなた方はお考えにならぬか。これをはつきり伺いたい。
○矢野政府委員 さいぜん申し上げましたように、結局ああいういまだかつて見ざる動乱に遭遇しましたので、おそらく総司令部のその数でも、絶対確実であるということはできないかと思います。またさいぜんの御質問の中の三万人まだ在留するということを、厚生当局がお答えしたかいなや、はつきり私はさいぜん申し上げた通りに実は存じません。あるいは外務省の方からのお答えかとも思いますが、その点はつきり調べた上でお答えをいたしますので、ただいま即答するのはお許しを願いたいと申し上げておる次第であります。
○河田委員 厚生省の方から各府県等に対しまして、未復員者の数を発表するというような指令あるいは訓令、あるいはそういつた通達をお出しになつたことがありますか。
○矢野政府委員 厚生省としてそういうことを通達いたしたことはないそうでございます。
○川島委員 一言だけお尋ねしておきますけれども、この給與法の適用を受けている未復員者の留守家族で、生活が困難で、その上に生活の保護を受けておる家族が相当厖大な数字に上つておるのでありますが、その家族数等がわかつておりますれば、この際示してもらいたい。
○矢野政府委員 大体六%の程度でございます。
○林(百)委員 資料だけ注文いたします。この給與法の適用を受ける留守宅の抑留地別のもの、それが各府県でどうなつておるか、それを調査した年月日、それをしつかり書いて明日までにお出し願いたい。
○前尾委員 未復員者給與法の一部を改正する法律案につきましては、すでに審議も一応済んだことでありますし、なおまたその質問のうちに希望條件も十分述べられておると思いますので、討論を省略いたしましてただちに採決に入られんことを希望いたします。
○川野委員長 前尾君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 御異議がないようでございますので採決に入ります。
 本案に賛成の諸君の起立を願います。
    〔総員起立〕
○川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り決定いたしました。
 なお報告書その他のことについては委員長に御一任を願います。
 午前はこの程度にいたしまして午後一時半から再開いたします。
    午後零時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十九分開議
○川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 まず大蔵省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。川島金次君。
○川島委員 この機会に、農業保險の料率算定の基礎は、どういうふうな形になつて行われておるかを伺つておきたいと思います。
○庄野説明員 今農業共済といたしまして実施いたしておりますものは、農作物共済と蚕繭共済と家畜共済とございまして、ここに提出されておりますものが農業共済に関するものでございます。農業共済の中には水稻、陸稻と麦の共済業を実施いたしておるわけであります。その保險料の算定の基礎になりますものは、昭和元年から昭和二十年までの、毎年の各県別の被害統計を基準にいたしまして被害率を算定して、保險料の料率算定の基礎にいたしております。それが各県別に算定されるわけでありまして、それを県内の町村ごとに十二階級にわかつて、十二階級によつて町村別の掛金率を出しまして、それによつて掛金を徴收することになつております。
○川島委員 その十二階級を平均いたしますと、どれくらいになりますか。
○庄野説明員 全国平均いたしますと、麦の掛金率が一、五〇八%になつております。
○川島委員 その一、五〇八というものを料金に直すとどういうふうになりますか。
○庄野説明員 麦の共済金額は、保險の一般の言葉で申しますと保險金額ということになりますが、農家に支拂う共済金額が反当り二千円、千五百円、千円、こういう三段階で決定いたしておりますが、最高一石五斗以上の收益のあるものが二千円、こういうことになつております。それによりまして反当り二千円の共済金額を支給するように、農家に対しましては、一・五〇八をかけまして、二十一円ばかりになるわけでございます。そのうち水稻と陸稻と麦というものは、掛金のうち一部を国庫において負担するということになつておりまして、農家の負担部分が一・五〇八のうち〇・八一五%、それから政府の負担部分が〇・六九三、こういうふうになつております。
○川島委員 共済金の支拂いについて、通常災害と異常災害、またその中間に何か專門的な言葉で言い表わし方があるらしいのですが、それはどういうふうなことになつておりますか。
○庄野説明員 料率計算にあたりましては、被害の程度によりまして、毎年起るような普通の被害を通常被害、それによつて算定いたしましたものを通常被害率と称します。それから数年置きくらいに起るようなちよつと大きな被害を異常災害と言いまして、その料率を計算したものを異常災害率と申します。それから十年以上二十年、三十年の間に起るような非常にまれな大災害を超異常災害と申しまして、その料率を超異常災害率と申します。その三者を集計したものを全国平均いたしまして一・五〇八になるわけでございます。この災害率をどういうふうに農家と政府において負担するか。この負担区分によつて農家から徴收する分と、国庫が繰入れる分を算定しているわけであります。それで農家の負担する部分は通常災害のうち、全国共通の最低の災害率が出るわけであります。たとえば三重県が麦では通常災害の一番最低でございますが、この三重県の最低の通常災害率までは農民が全部これを持つ。それから通常災害率のうち三重県の線を引きまして、残りの部分の二分の一を農民が持つ、二分の一を政府が持つ。それから異常災害につきましては、その二分の一を農民が、二分の一を政府が持つ。超異常災害については全部これを政府が持つ。そういう計算で先ほど申しました〇・八一五%が農家負担、〇・六九三が消費者負担、こういうことに算定をいたしております。
○川島委員 先ほどの説明によりますと、三割以上の被害に対して、その保險料を拂う。しかも今回の増加を要する四億何がしの分は四十三万町歩にわたつておる。この四十三万町歩のただいま申しておりまする国庫の負担に帰するところの異常災害の程度というのは、どういう程度になるものでありますか。具体的に……。
○庄野説明員 二十四年産の麦につきましては、御承知のように昨年の暮れから本年の二月にかけまして、明治三十六年以来の暖冬異変という状況で、非常に麦が徒長いたしまして軟弱に育つている。それから二月から三月上旬にかけまして非常な寒波が襲つて参りました。そのために軟弱に育つた麦が寒害、雪害、そういうものを受けて、それから三月ごろからやはり暖冬のために病害菌の越冬したものが多い関係で、病害が非常に発生いたしまして、さび病、白しぶ病、根腐れ病、そういうものが全面的に発生いたしまして、五月中旬ごろから御承知の通りデラ台風その他が西部を襲つた。こういう麦としては非常な不作の年でございまして、こういうふうに大きな被害を受けたわけであります。それで保險金の安拂いは、耕地の各筆ごとに引受けをやり、共済金を計算することになつておりまして、その各筆の減收が三割以上になつたときに保險金を支拂つて、保險の支拂い限度は反当收益の二分の一を基準にして、先ほど申しました二千円というものを支拂うわけであります。それで三割以上から全損までの間を三割以上五割まで、五割から七割、七割から九割、九割以上、こういう段階にわけて共済金の支拂い価格を割合で出して支拂つているわけであります。それで三割以上のうちに超異常災害がどれくらいという数字は、今各県のものもまだ数府県支拂いが残つておりまして、全部統計を締めておりませんので、ここで申し上げかねる状況でございます。
○川島委員 麦の保險金はわかつたのですが、水稻の保險金は反当りどのくらいなんですか。
○庄野説明員 二石以上の分が三千九百円でございます。
○川島委員 反当收量の価格に対する三分の一ということになるわけですか。反当收量の收獲物の価格の三分の一になるわけですか。
○庄野説明員 反当收益が二石といたしますと、米の一石の生産者価格がきまるわけでありまして、それを二石分と算定いたしまして、それを標準にして大体その半分ということで決定いたしております。三千九百円というのはやはり計算の都合がありまして、ちよつきり半分にはなりませんが、大体半分ということになつております。
○川島委員 そうすると現在農村における所得課税の関係で、反当が大体七千九百円か九千七百円か記憶がありませんが、一例をあげますと埼玉県あたりで、今度の二十四年度の課税の査定は、大体反当九千円近くになつているのじやないかと思うのですが、その点はどういうふうになつておりますか。
○庄野説明員 水稻は水稻だけとして收益を計算いたしております。税金の方の査定と申しますと通年で反当收益が出るのじやないかと思いますが、水稻だけでございますが、それは私の方はマル公で生産者価格を基準にして計算いたしております。
○川島委員 その税務署の査定の場合にも、やはり生産者価格で査定しておるわけですか。かりに九千円といたしますとその半分の四千五百円ということになつて、政府の今の農業共済保險の保險金額とは大分違つて来るのですね。
○庄野説明員 それは超過供出なんかがあつて、そういう收益がふえて来るのじやないかと思いますけれども、私の方は超過供出じやない、通常の供出価格の分だけで計算いたしております。
○川島委員 そうするとこの農業共済というものはきわめて合理的ではないように感ずるのですが、政府はそういうことについて何か考えたことがありますか。
○庄野説明員 補償法の百六條に「農作物共済及び蚕繭共済の共済金額は、主務大臣が共済目的の種類ごとに單位当り收穫量別にその收穫物の価格の二分の一を標準として定める」ということになつておるわけであります。收穫物の価格の二分の一を標準にするということは、大体その收穫量を各筆について計算するのが合理的でありますけれども、今の保險の方の陣容なり技術的な面から、一々各筆ごとに收益を計算することが非常に困難でございますので、大体二石以上の生産のある水田、それから一石五斗以上二石未満の水田、一石五斗未満の水田、こういう三段階にわけまして、その二石以上なら二石というものに生産者価格をかけまして、それによつて二分の一を標準にして定めているわけであります。各筆ごとにその收益を算定してそれにかける。そういうことまでまだ技術的に進んでおらないわけであります。
○川島委員 だんだんわかつて参りましたが、農家が生産に携わつております場合に、農家自身の過失等によらずして、いわば天災によつて、営々辛苦いたしました作物がほとんど收穫にならないような事情になつたときに、農家にとつてはこれは最も致命的な打撃であります。その致命的な打撃を受けた農家に対する災害の共済としての精神から申しまして、今日の実際の農村の経済から見まして、この程度の共済金の支拂いで、農家の立上りと再生産への政府の協力になるとは考えられません。そこで政府はこの種農業共済保險につきましても、現実の農村の経済実態に即応いたしました共済保險というものを、考え直す必要があるのではないかと思うのです。ことに最近では言うまでもなく農家に対する課税もきわめて過重になつておる。また農家自体の経済状況というものは、昨今きわめて切実な影響をこうむつて、はなはだしい窮乏に追いやられておる。しかもその上に昨日わが党から提案されました農林大臣不信任案の中にも説明がありました通り、農村の今後における経済状況というものは、国際的な食糧事情とにらみ合せまして、いよいよ困難をきわめるような態に入つて来るときに、しかも日本国民の食糧の生産に営々として精力を傾けております農村の人たちに、この程度の共済保險では十分な農家の救済にならない。そこでこれら経済の実態に即応した新しい観点に立つての、農業共済の方法を別に考える余地はないのか、また考えていないのかというようなことにつきましての所見がありましたら、この際聞いておきたいと思う。
○庄野説明員 これは補償制度の目的が第一條にございますが、農業者が不慮の故によつて受けることのある損失を補填して、農業経営の安定をはかり、農業生産力の発展に資するというのがこの補償法の目的でございまして、これについて現在のところ、今御説明申し上げましたように、反当收益の大体二分の一を補償限度にいたしておるわけでありまして、二分の一で農家経営の安定に資し得るか、あるいは再生産の確保の資金となり得るかということが問題になるわけであります。現在においては御承知のように今申しました各筆ごとに保險をやつておる農家におきましては――数筆の耕地をつくつておるわけでありますが――大体その保險は各筆ごとの損害だけを計算して、各農家経営のこれを豊凶ならして生じた損害についての補償でなしに、各筆ごとの損害だけを補償の対象といたしまして、片方の田は非常な豊作で、経営全体としては非常に有利な場合も、やはり補償金を拂う、こういう制度になつております。それでこの補償制度の実施あるいは発動をする前に、すでに農家の経営においては、各筆の危險の分散が行われるわけでありまして、二分の一というこの限度をきめましたのもそういうような意味と、やはり農家負担の掛金の点から考えて、やはり二分の一程度にとめるというように決定されたわけでありますが、今御質問のありましたように、この二分の一でいいかどうかということについては、特に單作地帶では年一回の收穫しかないのに、二分の一の補償ではとても経営の安定ができないというような要求もありまして、これを七割ないし八割程度まで上げるかどうかということについて、研究をいたしております。但しそういうような引上げということになりますと、各筆ごとにやる今の保險制度を改めて、農家経営單位の豊凶をならしてみて、損害が発生した場合、今の供出制度と同じような保險金を拂う。こういうような方向に持つて行かなければならぬのではないかというので、私たちは実際に今実験的に各町村にお願いして調査をいたしております。
○林(百)委員 討論を省略するような方針らしいですから、討論にかえて質疑をいたします。
 大体の事情はわかりましたが、農村の実情をお聞きしますと、農業共済保險の保險料の支拂いが非常に困難になつて来ておる。農家の経営が非常に苦しいために、この程度の出費も相当の負担に感ずるというような実情の声を聞くわけですが、将来保險の料金を下げて、農家だとかあるいは農業一般の国民の負担を軽減して、国家が補償するというような方向へ、将来切りかえることに努力する意思があるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○庄野説明員 御質問のように農家の金詰まりというような面から、保險の掛金の支拂いも農家から引下げということが要望されているわけでございますが、これについては料率の問題があるわけでありまして、ただいまの料率は二十二年度から実施いたしておりまして、五年ごとですから二十七年には改訂するということになつております。災害の状況によつては県單位に申しますと、料率の下るところもありますが、また被害の相当かさんだところは上る。これは自然的な災害の方から来る高低が生ずるわけであります。この掛金は、今は国と農民の両者で大体半々の程度で負担しております。農民負担の軽減という点から申しますと、さらに国庫負担の支出というものが要望されておるわけでありますが、現在の財政状態では、非常に困難ではないかと考えております。
○内藤(友)委員 今課長から農民負担の軽減というお話もありましたが、私は元来この保險というものは、消費者負担にすべきものではないかということを考えております。どこの工業生産でも、その工場の保險料というものは、全部工業生産物の消費者がこれを負担している。これは当然だ。だから私は農業保險も国と消費者が負担すべきで、農民が負担すべきものではないと考えておりますが、その方向に持つて行かれる意思がありますか。この点をお聞きしたい。
○庄野説明員 ただいま私の説明で農民と国家の負担と言つた国家の負担は、補償法の本則から申しますと、消費者負担ということが原則になつておるわけであります。これは二十二年度の水稻から共済事業を実施いたしました際に、今国が負担しておる分は米価に繰入れて、消費者に転嫁するように措置するようになつておつたのでありますが、当時から低米価政策という問題と米の消費者価格を上げない、こういうような基本線から米価に繰入れることができなくなりまして、国家が負担するという臨時的な措置をとられておるわけでありまして、毎年この消費者負担分は臨時立法によりまして国庫から特別会計に繰入れる。こういうような措置がとられておるわけであります。ただそういう消費者負担の問題は、今後統制という問題がどうなるかということによつて、徴收技術の問題とからんで非常に困難な場合も生ずるわけでありまして、さしずめ蚕繭共済につきましても消費者が負担するように、二十三年度は掛金を製糸業者から徴收したのでありますが、二十四年度においては統制が撤廃になつてその徴收が困難だ、そのために国庫より負担する、こういうような臨時的措置をとつておるわけでありまして、統制の問題ともからみまして、徴收技術の面からもよく検討しなくてはならぬだろうと考えております。
○宮腰委員 この保險料の支拂いですが、ごく最近東北の団体が上京されましての陳情の中に、米による保險料の支拂いということを言われておりましたが、この問題に関しましても超過供出の価格と同様な米の価格で保險料をとつてくれ、こういう希望と、東北のような單作地帶にはもう少し負けてほしいという意見もありましたが、これはどういうお考えでありますか。
○庄野説明員 いわゆる掛金の物納の問題でございますが、これは現在非常に不完全なものを実施いたしております。それは昨年から超過供出は三倍買上げということになりましたので、事前割当も供出責任量を完遂いたしました農家については、保險の掛金を納める場合に、超過供出の方のそれに相当する米麦あるいはかんしよ、そういうものを供出いたしますれば、超過供出の価格で買い上げて、それを掛金に充当するという方法をとつて来たわけであります。それにつきまして超過供出の価格の恩典を受ける農家は、事前割当の責任を持たなければならぬ。それでわれわれの方で言いますと、災害を受けた農家は補正を受けますから、補正ラインから超過供出というものはあり得ないということでしたが、災害を受けた農家も超過供出ができるようにということになりまして、そういうふうに物納ができるようにやつてくれないかという要望でありました。われわれも補償法から申しますと、災害を受けた農家は超過供出ができない。超過供出の恩典に浴さない。それで補正ライン以上の超過供出も認められるようにということを、食糧庁の方に連絡して折衝いたしておりますが、なかなかこれは供出問題、予算の問題ともからみまして、難航をいたしておる実情でございます。しかしこれはあきらめずに、保險の掛金に関する限りは、超過供出と同じような取扱いをされたいということを、要望する方針であります。
○林(百)委員 先ほど川島委員からの説明もありましたが、共済保險によつて農家の不測の災害に対する補償を十分してやらなければならないというのが、われわれの意見でありますが、そこで参考までにお聞きしておきたい。このたびの措置は暖冬異変による麦の損害に対する補償ということになつておるそうでありますが、大体ことしは台風やいろいろありましたが、これによる米の方の損害が幾らで、この保險による救済が幾らであつたか。また麦による損害は幾らで、この保險による補償が幾らであつたか。この二つをお聞きしておきたい。これは将来農民の天、災地変による損害は、十分この保險によつて補償すべきであるというわれわれの見解から、参考までにその数字をお聞きしたいのであります。
○庄野説明員 本年産の麦の支拂いでございますが、これにつきましては、農民に支拂います保險金が全部まだまとまつておりません。まだ三府県ほど損害評価の提出が遅れておりまして、全部のとりまとめができておりませんが、ここで繰入れの問題になつております四億四千万円の算出の基礎のときの集計で申しますと、農家に支拂います総金額は十九億九千六百余万円になります。そのうち政府で負担いたします再保險金を、十四億一千九百六十三万円程度見込んでおりまして、大体九月から支拂いを開始いたしまして、ただいまのところでは三府県を残しまして、大体政府の支拂いは終了いたしております。
○林(百)委員 損害の累計は幾らになるのですか。どのくらいのものがこの保險によつて補償されるかということを知りたいのです。
○佐藤(一)政府委員 大体実損は、支拂総共済金額の倍と見ていただければいいわけです。
○林(百)委員 そうすると三十八億ですか。
○佐藤(一)政府委員 そうでございます。
○林(百)委員 全国の損害はそれだけですか。
○佐藤(一)政府委員 これは三割以上です。三割以下は保險の対象になりませんから、われわれの集計に上つておりません。これは災害の方の統計から見ますと、ピラミツド型になりまして、非常に三割以下の程度が低くなつておりますが、それはわれわれの集計に出て来ないわけです。米についてはちようど損害集計期ではつきりしたことをとりまとめ中でございまして、正確なことを申し上げることができないのであります。
○林(百)委員 もし米の損害が出て来て、これが不足になりますと、またこの臨時的の措置はやるのですか。
○佐藤(一)政府委員 ただいまのところは麦で四億四千万円程度の不足金ができて、これを一般会計から繰入れて支拂うということにいたしておりまして、水稻の支拂い財源といたしましては、收入保險料を二十四億程度今見込んでおるわけでありまして、それをオーバーする災害が起りますれば、繰入れあるいは借入れという措置を講じなければならぬと思つておりますが、現在のところは二十四億程度の財源が特別会計にあります。
○林(百)委員 そこ最後にわれわれが注意かたがたあなたにお聞きしておきたいことは、市町村農業共済組合から保險料が都道府県農業共済保險組合に行き、これがさらに政府の農業共済保險の特別会計に入る。また損害があつた場合にはこの逆の支拂いがあるということになつておるのでありますが、この保險料の納入支拂いについて不正や腐敗や情実が介在しないように、十分嚴重な監視、監督が必要だと思いますが、これに対する政府の措置はどういう措置をとつておられますか。
○庄野説明員 保險料の徴收とそれから再保險金の支拂い、あるいは共済金の支拂い、こういうものにつきましては、監督官庁といたしましては、町村の共済組合につきましては府県が当り、府県には政府補助の職員二級官一、三級官一が置かれておりまして、政府補助といたしましては二名の行政官がおります。県においては県費補助でさらに数名の人員を設置いたしまして指導監督に当る。それから政府におきましては保險課の職員が県連合会の経理監査を随時実施いたしまして、そういう不正のないように万全の注意を拂つておるわけであります。
○田中(織)委員 先ほど庄野さんの御説明の中で、〇・六九三は消費者負担で、これは本来ならば米麦等の消費者価格に織り込むべきだけれども、低米価政策の見地からこれは臨時的な措置として、一般会計から繰入れになつておるというように御説明になつたのでありますが、われわれの従来聞いておるところでは、これが現実に米麦等の消費者価格の中に織り込まれておるように聞いておるのです。それは二十二年から実施しておると思うのですが、消費者価格の中に織り込まずに、国の方で一般会計からこれを繰入れる、そういう方式をとつておられますかどうか。私が先般決算委員会で伺いました、生産者価格と消費者価格との開き二千二百五十円に関する内訳の説明を、食糧庁当局から承つたのと多少違うように感ずるのですが、いかがですか。
○庄野説明員 これは二十二年から農林省と大蔵省と物価庁との間に、非常に大きな問題になつておることでありまして、消費者に転嫁するように農林省としては要求したのでありますが、消費者価格を上げないという見地からそういう措置が講ぜられなくなりまして、一切これは米価の中には織り込んでありません。そのために昭和二十四年度の第五国会においても、食糧管理特別会計にその赤字といたしましては、二十八億九千八百四十八万三千円を繰入れるということになつておるわけであります。
○田中(織)委員 そうすると、第五国会で二十四年度の予算における食管特別会計への赤字補填の二十八億というのは、本来ならば消費者に転嫁すべきこの〇・六九三%に当る部分の保險料を一般会計から繰入れておる、かように了解していいわけですか。
○庄野説明員 ただ〇・六九三%は麦だけでありまして、そのほか水稻については二・二四〇五、陸稻については八・一八〇〇、こういうような料率で算定いたした分が二十八億何がしになるわけであります。
○田中(織)委員 この問題は先ほど林委員から指摘せられましたように、現在供出制度によつて、しかも低米価で掠奪的な買上げを政府が一方的にやつておるのであります。また一方税金の負担の面においても、現在のインフレ收束の一切の犠牲を農民は背負わされておるような現実になつておるのでありますから、われわれとしてはこの農業災害に対する補償というようなものは、これはもう全部国で補償すべき筋合いのものだ、こういう見地に立つておるので、特に供出制度という形において、農民とすれば二重、三重の税金負担という形になつて来ておるわけでありますから、そういう面に向つて農林当局として、ぜひとも災害補償の全額国庫負担による補償制度というものを実施するように、御努力願いたいのであります。それから同時にこの際お伺いしておきたいのでありますが、農業災害が最近頻発いたします関係から、共済保險組合の仕事が相当頻繁になつて来ておると思うのです。現在人件費に対する補助が国から出ておるわけでありまして、大体町村で二名くらいの分として補助が出ておるように理解しておるのでありますが、実際は一名置くか置かないかで、しかもそれが災害保險の方に專任することができずに、他の職務を兼職しておる。こういうのが共済組合の末端における実情と思いますので、この点につきましては全国の保險の組合から、事務費の補助率についてこれを増額するような要望がたびたび行われておることは、共済保險課長の御存じの通りだと思うのであります。この点につきましては、明年度の予算も近くきまることと思いますが、そうしたことについて農林当局としては、この共済保險の重要性にかんがみて、来年度における国からの補助の増額について、現在いかなる処置を講ぜられようとしておりますか。この際承つておきたいと思います。
○庄野説明員 今御質問にありましたように、この保險業の最も重要なる点は、町村共済組合の拡充強化であるとわれわれも考えておるわけでありまして、現在のところ町村の共済組合に対しましては、職員一名につい三分の二補助ということで、平均いたしまして年額四万三千円というものを交付しております。それで共済団体といたしましては、町村組合の強化ということが最も大事なことでありまして、この三分の二補助ということのために、協同組合あたりと兼務しておりまして、共済事務に專念することができないというきらいもありまして、われわれといたしましても団体の要望に応じて全額補助、あるいは事務内容によりましては二名以上を設置するように持つて行きたい。こういう考えで、これは二十四年本年度当初からそういう努力を続けておるのでありますが、二十五年度においてもただいまのところでは残念ながらその実現が困難な状態にございます。
○西村(直)委員 大体本案の説明はただいままでの質疑によりまして明らかになり、希望意見等も明らかになりましたので、この程度で質疑を打切り、討論を省略してただちに採決せられんことを希望いたします。
○川野委員長 西村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 御異議がないようでありますので、討論を省略して採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を願います。
    〔総員起立〕
○川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り決定いたしました。なお報告書その他の件につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
    ―――――――――――――
○川野委員長 薪炭需給調節特別会計における債務の支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案は、すでに質疑打切りになつておりますので、これから討論に移りたいと思います。討論は通告順にこれを許します。前尾繁三郎君。
○前尾委員 ただいま議題となりました薪炭需給調節特別会計における債務の支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、民主自由党を代表して賛成の意を表するものでございます。おそらく最近におきましては、この繰入金について非常な問題が論議されております最たるものではないかと思うのであります。しかしそれはこの特別会計が長年にわたつて非常に整理が惡く、大きな赤字を出しており、さらにまたその内容におきましていろいろな疑惑を持たれ、あるいは刑事事件も伏在しておるのではないかという点でございます。しかしこの繰入金に関することのみに限つて考えますと、すでに長年にわたつて出て参りました赤字の補填ではありまするが、この繰入金によりまして、一方において一番また問題となつております生産者に対する未拂金、これが支拂われないために、一面においては非常な問題を起しておる次第であります。従いましてこれは何としても支拂わなくちやならぬ。また薪炭債券にいたしましても、それによつていろいろ金融上の問題があるわけであります。それでおそらく赤字はこれ以上に上るものではありましようが、ただいま提案になつております限度においては、どうしても繰入れなくちやならぬものでありますとともに、またそれによつて生産者なり金融の問題を特に解決する必要があると思うのでございます。しかしこの赤字の問題、いわんやその内容におきまして、それがいかなる責任をとられるかという問題については、もちろん未解決のままであります。従いまして何としてもこれははつきり糾明していただくことはもとよりであります。あえてわれわれはそれに反対するものではなしに、むしろ進んで政府はその原因をはつきり糾明し、またそこに行われておりますいろいろな問題も明瞭にされて、責任を明瞭にされますことは、何としてもわれわれとして希望しておることであります。なおまた今後において債権の取立て、これも徹底的にやつていただかなければならぬ問題であります。また債務の支拂いにつきましては、先ほど申し上げた趣旨から早急に生産者に対して優先的に支拂いを願いたい。またいろいろこれに関連いたしまして、農協が振替拂いしておりました資金の金利の問題、あるいは担保品の処分による損失の問題というようなことも、いろいろあるようでありますから、それに対しまして適当な処置をとつていただくということが、必要であろうかと思うのであります。しかしいずれにいたしましても、ただいま申し上げましたような生産者の支拂い、あるいは薪炭証券の返済等につきましては、急を要する問題であります。またこれは当然そういうような他の問題とは別箇になされていい問題と、われわれは考える次第でありますので、この法案に対しましてはわれわれは何ら反対する理由はありませんので、賛成の意を表する次第であります。
○川野委員長 田中織之進君。
○田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になつております薪炭需給特例会計への一般会計からの繰入れに関する法律案に対して、反対の意見を述べようとするものであります。薪炭需給特別会計の赤字の原因につきましては、與党の前尾委員からもその点が認められておりますように、赤字発生の原因、また赤字の内容そのものには幾多の問題があるのであります。ことにこの問題に関連いたしましては、刑事問題の発生も今や必至の情勢にあるのでありまして、これを糾明しなければ、今回の一般会計の繰入れの上に、五十四億七千万円という多額の国民の血税をこれに補填するということは、軽々にやるべきではないのであります。ことにこの薪炭特別会計の赤字の発生の過程を見て参りましても、二十三年末から本年初頭にかけての赤字が、殺到的に出て来ておるという事実は、政府側の示しておる数字にも否定することのできないものがあるのであります。たとえば昨日の本委員会における質疑におきまして、薪炭債券の二十八億数千万円というものが、五月二十日に一度に発行されておるのであります。政府の説明によりまするとそれは四月、五月、六月、七月においても引続き政府が買上げをいたした関係からいつた資金であると、かように申しておりまするけれども、買入れと同時に売渡しが行われておるのでありまするから、その面から見てわれわれは実際本年の二月から買入れをきわめて抑制いたしまして、ほとんど四月以降は停止するような状況のもとにおきまして、二十八億数千万円という多額の薪炭債券によつて調達した資金が、この会計において急速に支出せられたということにつきましては、多大の疑問を、いな疑惑を持たざるを得ないのであります。そういう点が一つ。
 さらに政府の方において薪炭会計の運営を中止いたしまして、赤字を補填するという計画が発表せられるや、政府が本委員会に提出いたしました資料によつても明らかなるごとく、卸売業者等の未回收金の回收が著しく低下しておるというこの事実を見ましても、われわれは清算過程における特別会計に多大な、その赤字のほぼ総額に匹敵する――われわれの見るところでは、さらにこの調子であれで赤字は十億程度ふえるものだという見込みでありまするが、その大部分のものをこの際一挙に補填するというやり方をとりますることは、現在なおこの売掛金として残つておる約二十億、また手持薪炭の売却処分等にあたりましても、こういう方針が示されるならば、これは結局龍頭蛇尾に終つて、国民のために当然回收しなければならないものも、きわめて不十分にしか行われないということが、すでに本法案が提出されるまでの過程における、未回收金の回收の著しい低下においても言われるところでありまして、そういう点からもわれわれは本法案には反対するものであります。従いまして一方においてわれわれは、現在約二十億の生産者に対する未拂金はすみやかに支拂わなければならないと思うのであります。従つて昨日またそれ以前からわれわれが本委員会の質疑において、政府に幾たびか本案の撤回を要求して参りましたように、生産者に対する未拂金約二十億を一日も早く拂つてやらなければならない見地から、これを一般会計から融通するということにいたしまして、あとの五十四億七千万という薪炭債券を償還しなければならないのでありまするが、これはいわば政府と内輪の関係にある日銀が持つておるものでありまするから、こういうものは特別会計の赤字がはつきりと清算されてから、繰り入れるべきかどうかということを決定すべきなのでありまして、政府の説明によつてわれわれが聞き得たことは、五十四億七千万円のうち、約二十億はさしあたり生産者に対する未拂金の返還に充てるといたしましても、残り三十四億七千万円は薪炭債券を落して、日銀の手持資金を豊富にする政府一流の金融資本に対する忠義立ての方式である、かようにわれわれは認めざるを得ないのであります。そういう意味におきまして、われわれはこの薪炭特別会計の赤字の内容をさらに徹底的に検討する見地から、本案の撤回を要求し、そうしてあらためて生産者に対する未拂金の二十億を一般会計から融通いたしまして、薪炭債券の償却並びに赤字の補填等につきましては、本特別会計の清算が完了いたさないでも、確たる見通しがついた上に行つても十分間に合う。そういう見地から本法案に対しまして、社会党といたしましては反対の意思を表明するものであります。
○川野委員長 宮腰喜助君。
○宮腰委員 私は民主党野党派を代表しまして、本案に反対をするものであります。すでに本案については予算委員会、農林委員会で再三審議されて、その点は十分盡されておると思うのでありますが、実際昭和十五年から昭和二十四年まで、いろいろ行政措置の怠慢もあつたと言われますが、実際には昭和二十四年の一月から七月までの不始末も、相当あると考えるのであります。この不正措置として空気輸送とかいろいろの問題が残されておりますが、こういうような問題をまず片づけないで、さつそくこの特別会計に一般会計から繰入れるということは、そういうようないろいろな不始末を片づけた後になすべき性質のものであるわけであります。こういう意味合いから一時借入金でまかないまして、将来この問題の不始末が片づいた後に、本案を提出するのが順序だと考えるのでありまして、本案に対しては反対の意思を表明するものであります。
○川野委員長 林百郎君。
○林(百)委員 私は共産党を代表しまして、本案のすみやかなる撤回を要求し、並びに撤回返上したいと思うのであります。その理由は、第一にこの五十四億の一般会計からの補填が、大きな原因になつておることであります。これは現物の不足として十四億円が計、上されておるのであります。この現物不足の木炭の五百二十万俵、まきの二千三百万把、ガスまきの二十七万五千俵、この不足になりました原因をつぶさに調査した結果、たとえば現品が未生産であるにもかかわらず、支拂い証票を出すとか、あるいは現品が未生産であるにもかかわらず、受入れの証票を出すとか、あるいは保管中の損失とか、盗難にあつたとか、あるいは二重の売拂いをしたとか、事由が不明だとか、一つとしてわれわれが納得し得る理由がないのであります。これは明らかに刑事的な責任を当然負うべきであります。これは国警においてもすでに調査をしておるのであります。こうして刑事事件にもなり、国警でも発動しておるもの対して、われわれは臭いものにはふたをするという形で、このままこの法案をのむわけには行かないのであります。
 第二の理由といたしましては、卸売業者から政府が要求されておるところの保管料、減耗料あるいは手直し費というものでありますけれども、この保管料、減耗料あるいは手直し費というものも、全部これが生産者と消費者との間に介在しておるところの卸売業者が、これを不正にやりくりしているのでありまして、その不正のやりくりの資金を、政府にその責任を転嫁して要求しておるということであります。このことはすでに会計検査院におきましても、卸売業者からの請求分であるところの保管料、減耗料、手直し料の十億円というものは、こうした一般会計から特別会計に繰入れるという措置をすべきでないということを、認めておるのであります。この支出の不当を認めておるのでありますから、これをカバーするということは明らかに不当であつて、この点においてもわれわれはこの法案を認めることができないのであります。
 第三といたしましては、赤字の計算でありますけれども、林野庁当局は、三十九億九千万円の赤字を計算しておるのであります。会計検査院の計算によりますと、二十九億五千七百万円でよろしいという査定をしておるのであります。こうした林野庁と会計検査院との両者の間の意見の相違あるいは算定の相違を、このまま不明の形のままで、この法案をわれわれは通過させるわけに行かないと思うのであります。
 次に第四といたしましては、この跡始末につきまして、未回收分が二十億損害があるということが予定されておるのであります。ところがこの二十億の未回收分というのは、当然卸売業者が政府に支拂うべきものでありまして、なぜこの未回收分を政府は回收することができないのであるか。しかも卸売業者はこの政府に支拂うべき支拂金を操作することによつて、現地の生産者から直接買付をして経済統制の違反すら起しているのであります。こうした不正と腐敗が積り積つた結果、この五十四億という赤字が出たのでありまして、われわれはこの不正と腐敗をこのままにしたままで、この法案を通過させることは何としても承服しがたいのであります。従つてわが党といたしましては、本法案はすみやかに政府に返上し、政府はまたすみやかにこれを撤回し、十分に国民に対してそのよつて来るべきところを明らかにし、われわれは国民の血税を一文たりともむだに使わないように、国会が責任をもつてその使途を明らかにする道を政府が開いて来た場合にのみ、初めてわれわれはこの法案について、真劍に考慮を拂うことができるのであります。今のままの形においては、われわれは国民の代議員としての任務を果すことはできませんから、われわれはこの法案をすみやかに返上いたしたいと思うのであります。
○川野委員長 内藤友明君。
○内藤(友)委員 私は新政治協議会を代表いたしまして、この五十四億七千万円を繰入れる法律案に対しまして承認しがたいのであります。理由は先ほど来、田中さんや宮腰さんの申し上げたことと大同小異でありますが、こういうふうなことは将来清算を完了した後において、初めて行うべきものであると思うのであります。それが一つの理由。第二の理由はこの法案を出されたために、政府の薪炭政策というものはまつたく混乱に陷りまして、この冬をどう乗り切るのか、まことに遺憾なものがあるのであります。そういうふうなことから、この案の通過にはどうしても私どもは賛成いたしがたいのであります。
○川野委員長 討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○川野委員長 起立多数。よつて本委は原案通り可決いたしました。
 なお、報告書の作成その他の件については、委員長に御一任を願います。
    ―――――――――――――
○川野委員長 次は旧軍関係債権の処理に関する法律案を議題として、質疑を継続いたします。
○田中(織)委員 いろいろ本案に対する質疑も行われておりますが、われわれが要求いたしました資料の中で、まつたく何百分の一かの資料だけが提出されておるのでありまして、非常に本案の審議にわれわれは困難を感じておるのであります。会計検査院の昭和二十二年度決算検査報告の五ページに、臨時軍費決算の整理に関する事項が載つておるのでありますが、私はこの旧軍債権の整理に関する法律案の、政府の方で一応取立てるべきだ、こういうように申されておる金額がきわめて微々たるものであるという点から、この二十二年度の決算検査報告書の五ページにおきましても、会計検査院が臨軍費の結末がついておらないことを示されておるのであります。「二十二年度までの臨時軍費整理支出は三百八十一億五千五百余万円であるが、これに対する收入は、臨時軍費特別会計歳計剩余金百七十九億八百余万円と臨時軍費整理收入一億六千八百余万円とがあり、結局二百億七千七百余万円の收入不足がそのままとなつていて、臨時軍事費の結末がついていない。」こういうことを示されておるのでありますが、こうしたことが当然この軍債権としてその何十分の一かを、今度この法律で取立てるというよりも、むしろこの法律を制定することによつて、まだ残されておるこの債権をこれで打ち切ろうという意図が、はつきりわれわれに見受けられるのでありまして、私はそういう点から会計検査院がその後臨軍費の結末について、大蔵当局に対してどういうような処置を要請せられておるかということについて、まず承りたいと思う。
    〔委員長退席、前尾委員長代理着席〕
○小峰説明員 会計検査院の検査第四局長でございます。実は昨日午前中の御質疑を、ただいま田中さんのおつしやつたように伺いませんでしたので、私が参りまして、私からお答えするのはあるいは適当でないかもしれませんが、一応存じておることだけ申し上げて御参考に供したいと思います。ただいま御指摘になりました臨時軍事費の未決算收入不足が約二百億であります。これは二十一年以来会計検査院で引続き検査報告に掲載いたしまして、改善を促しておる事項であります。戰争中から現在に至りますまで、臨時軍費の経理というものは、簡單に申しますと国庫の金をかき集めまして、普通は御承知のように收入支出というものはぴつたり合うのでありまして、最近はむしろ收入の方が非常に多いというのが常態であります。そういたしませんと支出がまかなえないのでありますが、臨時軍費に関する限り戰争中より收入が常に支出より少いという状態を続けていたのであります。と申しますのは、なるべく公債を発行しない。御承知のように臨時軍事費は財源の大宗が公債でございます。臨軍公債の発行をなるべく差控える。こういう関係で常に支出が收入をオーバーしておる。こういうような実情にあつたわけです。それで終戰を迎えましたのですが、それでは何で收入不足を補つているかと申しますと、これは日銀の国庫余裕金であつたのであります。日銀の国庫余裕金が相当大きな資金のプールをしているのは御承知の通りでありますが、この余つている金を一時臨軍の方にまわしておる。こういうような操作をずつとやつていたわけであります。ところが終戰後になりまして、そういう操作を長く続けでおることはおもしろくない。足りない分は公債を出すなり何なりして、收入支出をぴつたり合せるようにしろという勅令が実は出たのであります。それでこの勅令によりまして臨軍公債を募集いたしますと、予算の面でも決算の面でも收入支出がとんとんになるように、操作ができるわけであります。それをやるべきだという勅令が出たので、收入の足りない面、今まで国庫金をかき集めて、收支のバランスをとつているというような変則的なやり方は早くやめて、そうして公債を出してきちんと整理すべきだということを、実は連年会計検査院は言つておるわけであります。それで現在審議になつております戰時債権とはこれは関係ないわけであります。戰時債権と申しますと、もう十分御承知と思いますが、これは前拂金をやり過ぎておつたり、あるいは物を売つた金が入つて来なかつたり、そういうような相手方から代金をとるべきものが、まだ入つていないというのが戰時債権であります。今申し上げましたように検査報告に掲げました二百億七千万円という差額は、いわば臨時軍事費の支出に対する見合いの歳入の調達を、まだしていないという問題でありまして、全然別個の問題でございますので、その点をひとつ御了承願いたいと思います。
○田中(織)委員 しかし私はその間に全然別個だという考え方はよう持たないのであります。たとえば会計検査院まで出るものかどうかということでありますが、これは臨時軍事費の歳出面に関する問題だろうと思うのであります。そういうものが現にここに出ておる資料によりましても、いわゆる未回收額の調書がここにできておるわけでありますが、相当の金額になるわけであります。こういうものまでは会計検査院は一々出て来ないような仕組みになつておるのですかどうですか。
○小峰説明員 お答えいたします。未回收額の調書を実は私の方でまだいただいておりません。これは国の歳入として徴收決定をいたしまして、それから收納になる手はずになりますが、そうなりますと私の方で資料がそろう、こういう状態でございまして、この委員会の御要求で政府側が作成いたしました未回收債権というものは、部分的にはこれは徴收決定になりましたものとか、そういうものはわかつておると思いますが、全体としての額は現在の仕組みではわかるようになつておりません。
 それから先ほど私の説明があるいは不十分だつたかもしれませんが、二百億という臨軍の決算上赤字が出ております。もちろん未回收債権というものがどんどんとかりに入つて参りますと、これは一部は一般会計の普通の歳入にもなりますが、たしかまだ現在の制度では一部は臨軍收入の歳入になる面もございます。これがどんどん入りますと二百億だけ公債を募集しなくてもいいという関係になります。その意味では関連がございますが、法案と、会計検査院で二年にわたりましてそこに早く臨軍の決算整理をすべきだという点とは、依然として関係ないわけでございます。それから会計検査院のその計上いたしましたのは早く整理すべきだという点と、これは規定上一般会計の決算の上にあげることになつております臨時軍事費の整理、毎年きまりました整理の分だけは一般会計の上に計上することになつておりますから、政府がこれを一般会計の上に決算に載せませんで別整理をしておる点、これもよろしくないといつて批難――批難とまでは申せないかもしれませんが、検査報告に掲げてあるわけであります。
○田中(織)委員 大体臨軍費というものが一つの深いデイールの中において操作されておつたということは、私も戰争中そういうものを若干のぞいたような立場にありますから、わからないことはないのでありますが、会計検査院でこの決算検査報告書に出ておりまするように、二百億からの歳入の不足がある。これはトータルで出て来ておるものですか。それともどの部分の歳入が入つておらないので、結局トータルにおいて二百億になるような形になつておるのか。その細目がはつきりわかつた上で、この二百億というものが出て参つたものでしようか。それとも歳入歳出の総額を差引した関係から歳入は二百億不足して、これが入つてお、らないというような形になつておるという一つの結果的な数字なんですか。その点はいかがなんですか。
○小峰説明員 ただいまの御質問にお答え申します。臨時軍事費は、御承知の通り科目整理なども比較的一般会計ほど科目も多うございませんし、非常にルーズといえばルーズのような整理をしておつたわけでありますが、この支出はもちろん臨時軍費支出であります。それから收入の一番大きなものは、当時は御承知のように軍資金歳入というものだつたわけであります。そのうちの一番大きな部分を占めるのが公債費、こういう関係にあつたわけであります。結局支出総額が幾らかこれははつきり出るわけであります。それに対して今までに入りました一般会計からの繰入れ、これは主として租税の繰入れでありますが、繰入れなり今までに募集いたしました公債の手取金なり、こういうものを全部集計いたしますと、そこに赤字が出るのは二百億になるわけであります。今後この二百億を整理いたしますとすると、これも当然現在の情勢では主として公債金ということになるわけでありまして、この二百億の赤字をかりに整理するといたしますれば公債金、こういうことになるわけであります。それで先ほど御質問のように、かき集めたものとの差かとおつしやいますと、あるいはそういう表現も成り立つかと思います。
○田中(織)委員 そういたしますと、会計検査院からではなくて、これは佐藤さんからお答え願いたいと存じますが、ここに資料として出されました未回收額の調書を見ますと、低いのになるとわずか五円、十八円三十一銭、こういうような零細な金額があるのであります。ことにこれは東京機器工業で品目別にあげておるのでありますが、その中には十八円三十一銭、大きいので五万三百七十八円というような関係のものがあるのでありますが、どうしてこういうわずかな金額のものが今までに回收できないで、今度こういう法律によつて――場合によれば住所不定でわからないというようなことになると、結局そのまま回收できないものとして処理されようとするのでありますが、五円だとか十八円三十一銭だとかいうような零細な金額があるかと思いますと、他面相当大きな何億という金額のものも出ておるわけであります。これは今までどうして整理がつかなかつたか。
○佐藤(一)政府委員 お答え申し上げます。今の田中さんの御質問でございますが、実はお手元の資料の中に出ておるかと思いますが、十六億円の未回收債権がございます。そのうちで特別経理会社の分が十億円ばかりございます。それから閉鎖機関の分が約三億四千万円あります。御承知かと思いますが、これらの会社は、例の経理応急措置法あるいは閉鎖機関令等によりまして、一定の整理が終り、あるいは整備計画の認可が終りますまでは債権を動かしてはならぬ、債務を動かしてはならぬ、こういうことになつております。それで、たとい零細な金額でございましても、特経会社に指定せられましたものは、その整理が完了いたすまでは一応そのまま載せてある。それからなお、ごく零細なものにつきましては、住所不明等のものもございます。大体そういう関係でございます。
○田中(織)委員 そういたしますと、政府の方では、ここに出ております十六億余の未回收債権のうち、大体何パーセント程度が実際に回收できるお見込みなんですか。
○佐藤(一)政府委員 特別経理会社の分は、例の再建整備計画等がございまして、そちらの方が全部完了いたしませんとはつきりいたしませんが、その場合に御承知のように一定の整備計画に基きまして、債権の切捨てが、たとえば百万円のものが五十万円というふうに、一定の切捨率に基きまして認められるという場合がございます。それらの特別な取扱いをいたしますもののほか、現在債権の確定いたしておりますものは全部とるという予定にいたしております。閉鎖機関等の分につきましても、同様に現在まだその閉鎖機関の整理が完了いたしておりませんので、その結果を待つておるような次第であります。
○田中(織)委員 次にお伺いしますのは、これはおそらく現在まで、復員局その他旧軍需省等の関係もありますが、帳簿その他の上から残つておるものであります。私はこれ以外にまだまだ呑舟の魚を逃がしているような気がしてならないのでありますが、何らかの機会にそういうようなものが出て来ました場合には、どういうように処理されるか。ここに予定されている十六億のほかに……。
    〔前尾委員長代理退席、委員長着席〕
○佐藤(一)政府委員 言いかえますと、まだ全然当方にわかつておりません調定未済額というものがございますので、調定の手続をとりましてから債権確定手続をとる、こういう予定であります。
○田中(織)委員 そういたしますと、このものにつきましての時効という問題は当面にはないわけですか。
○佐藤(一)政府委員 御承知のような混乱した状況を経ておりまして、資料等が焼却あるいは亡失いたし、あるいはそれについて関係者が全然知つておらないというようなものが、知らぬ間に時効にかかることがあるといたしますれば、その点はやむを得ないと思いますが、できるだけ調査をいたしまして、たとい本人が債権を確認しませんでも、もしわかつております場合には時効中断の手続をとりまして、一定の、債権の確定が行われるまではとにかくそのままにしておく、こういうふうに、考えております。
○田中(織)委員 この点は、政府の提出資料を見てもよく内容がわからないので、大きな食い違いが出て参つたのであります。終戰のどさくさに、油の一ぱい入つた軍のタンクがいつの間にかある運送会社のものになつていたという事実があるのでありますが、こういうようなものも、嚴密に申しますならば国の財源だと思う。そういうようなものも広い国政調査の見地からわれわれが今後出さなければ、戰争のために大きな犠牲を拂つた者の霊が浮ばれないことになるわけですが、政府の方で出されている十六億何がしという財源は、われわれが会計検査院の立場にあるわけではないので、現実にこれはどの帳簿からどれだけ出ているかということは、政府側を信用するよりほかないわけであります。私の承知いたしておる関係におきましても、そういうようなものが五、六あるわけであります。それで私質問申し上げておるのであります。このうちの五分の一以上は特経会社の関係のようにうかがわれるのでありまして、言葉は適切ではないかもしれませんが、大きな金額は案外回收されないで、小さいものだけ取立てるという結果に陷りはしないかという点を懸念するのであります。終戰当時故意に書類を焼却した部分もありますので、この点につきましては、会計検査院の方もお見えになつておりますので、やはり十分の調査をして、敗戰という不幸な事実によつて不当な利得を得たというようなことのないように、やつていただかなければならないと思うのであります。特に今政府の方で一応確定したものとして出されております十六億以外の面についても、大蔵当局はもちろん会計検査院においても、精細な審査をされることを希望いたしまして、私の質問を終ります。
○林(百)委員 会計検査院の方が見えているが、中島飛行機関係で、会計検査院で認定した不正支拂いと考慮されている金額はどのくらいですか。
○小峰説明員 林さんにお答えいたします。中島飛行機関係で、会計検査院が認定した不正の金額、こういう御質問でございますが、中島飛行機は御承知のように終戰の少し前、二十年の四月第一種軍需工廠になりまして、国の機関となつたわけであります。そしてそのときから終戰までの支出金額、これは約二十九億でありますが、この金は国の機関として支出したわけであります。この中には濫費じやないか、終戰後の整理もでたらめじやないか、こういうことで当時検査報告に載せたものも相当にあるのでありますが、しかしこれは国の機関の濫費でありまして、不正と見るのはいかがかと思うのであります。ちようど現在でもいろいろ国の機関がむだ使いをしたり、不当な支出をいたしまして、会計検査院から批難を受けるのが相当ございますが、それと同じ態様であります。これをいわゆる不正というふうに見るのはいかがかど思うわけであります。先ほどから申し上げておりますが、二十年の四月から国の機関の中に中島飛行機は入つたのでありまして、第一軍需工廠として国営になつたわけであります。終戰後までの国の機関としての支出は累計で二十九億ほどになりますが、これは相当濫費もあつたようであります。当時われわれ非常に微力でありまして、これの十分な検査ということは実はできたとは申し上げかねる状態であつたのでありますが、その微力なわれわれの力をもつてしても、ひどいと思うような案件がぽつぽつ出ております。臨時軍事費の検査報告に相当掲載してございますのは、不当支出、濫費ではなはだけしからぬのであります。しかしながら国の機関としての不当支出でありまして、これを不正と断ずるのはいかがかと思うわけであります。ただ中島飛行機として負担すべきものを国が負担している、こういう関係のものは検査報告に載つておりますものの中にもございます。それはたとえば退職金であります。終戰を機会にあの厖大な第一軍需工廠というものが解体いたしまして、ずいぶん大勢おりました職員、従業員を、一齊にごく少数の整理要員だけを残しまして解職したわけでありますが、そのときに相当多くの退職金を支給したわけであります。ところが御承知のように中島飛行機は、相当飛行機会社としても歴史の古い会社でありまして、職員、工員の中には中島飛行機の発生以来いるような人も相当おつたのであります。ところが国営は御承知のように、今申し上げたわずか四箇月か五箇月であります。しかもわずかの期間国営であつたというだけで、国の負担においてたくさんの退職給與を出した、こういうような事実がございまして、これは当時検査報告に載せまして私ども批難したのであります。会社の負担をもう少しよけいにしてもいいのではないかというような意味で、批難をしたことがあつたのでありますが、こういうようなものは結局会社で負担すべきものを、国で負担しているから国の負担が多い。会社にもつと負担させるべきだ、こういうような案がありましたので、この関係におきましては、国対中島飛行機という関係が出るのでありますが、ほかの案につきましては国の機関としての支出、国の行為でありまして、この中に不正と申し上げ、犯罪を構成するような事実があつたかどうかということについては、私どもは現在のところわかりません。
○林(百)委員 そこでこの軍関係の債権として確定し得ると考えるようなもの、刑事的な不正とか何とかいう、刑事的な責任になるならないは別として、それは当然拂い過ぎている、あるいは軍に返すべき物品代金があつたとかいうような形で、軍関係の債権と認定し得るようなものはどのくらいあるとお考えか。こういうことはあなたの方で検討したことはありませんか。富士産業となつた後でもいいのですが……。
○小峰説明員 ただいまのお話でございますが、国で中島から没收すべきもの、富士産業なんかから回收すべき額は、私ども実は検討したことはございませんが、税金で取上げるとか、戰補税の関係とかいうものは相当ございますが、国営機関の濫費、そういうものに対しまして、国で中島あるいは富士産業に責任を負わして取上げ得ると考えるものは、今御説明いたしました退職金の国の負担が多過ぎた、こういう面くらいのものではないかと考えます。
○林(百)委員 実はあなたに来ていただいたのは、軍関係の債権、これは拂下げ物品の物品代であるとかいろいろありますが、この額を算定し確定するについては、会計検査院立会いの上でやつた――たしか佐藤さんはそう言つたと思います。私の記憶が不正確であつたら訂正してもらいたいが、会計検査院立会いの上で旧軍関係拂下げ物品代金とか、いろいろの債権が確定されたということを聞いたのです。ところが会計検査院の報告をいろいろ読んでみますと、こんなものでなく非常な厖大なものがなお不当と認められ、むしろ回收さるべきものだというように認定された例がたくさん出ておるのですが、この軍関係の債権の確定にあなたたちが立会つた上できめたか、それを聞きたい。
○小峰説明員 十六億の未回收債権に対しまして、会計検査院が立会いと申しますか、承認とでも申しますか、こういうようなことをした事実は今までのところ一切ございません。それから検査報告に載せました不当事項は、回收の対象としては考えられないのではないかと思つております。
○林(百)委員 そうすると、どうも佐藤君と会計検査院の人と二人並べておいて双方かみ合せるのは変だが、昨日の佐藤君の報告はどうもおかしい。会計検査院の報告書を見ても大分おかしい点があるからと言つたら、いやこれは会計検査院の認定を全部経ておると言つたので、それならあなたに来てもらつて、実際そうかどうかを聞こうと思つたのです。そうすると私たちの考えていた通り、軍関係の債権は会計検査院は会計検査院独自の立場で別個にきめたと思うが、ひとつ佐藤君の方からその正確な答弁を聞きたい。
○佐藤(一)政府委員 ちよつと私の御説明が足りなかつたかしれませんが、未回収債権を復員局の方で確定いたします際に、会計検査院の検査報告によりまして、検査上これはいかぬというふうに確認せられたものを材料にしてつくつた、こういう意味で申し述べるべきであつたのでありますが、私の説明がその点足りなかつたかもしれませんので、明白に訂正を申し上げます。
○林(百)委員 そうすると具体的に聞いてみたいのですが、この軍債権の中でいろいろの問題があるのです。たとえばあなたの方からいただいた資料の鐘紡の材料を一つとつてみますと、旧陸軍省関係の債権が九十一万というのですが、これはどうしてこういうような計算が出て、しかも鐘紡のような成績のいい会社から、なぜ九十一万円くらいのものが回收できないかということを聞きたい。
○岡崎説明員 旧陸軍関係の鐘紡に対する未回收額は、現在三百十六万九千五百二十三円ございます。これは終戰後千住製絨廠及び大阪造兵廠におきまして、綿糸またはパルプを買いました代金等、東京第二造兵廠におきまして工員を戰時中派遣しましたに要する経費三千三百三十円の合計金額でございまして、終戰後すぐ回収に努力したのでございますが、その後鎌淵紡績株式会社が特経会社になりましたために、まだ未回収になつている次第でございます。
○林(百)委員 たとえば鐘紡もそうだし、東洋レーヨンなんかも四百万……。
○岡崎説明員 東洋レーヨンの未回收は五百三十一万七千五百二十七円、陸軍関係がございます。これは元陸軍千住製絨廠におきまして、綿糸、綿布の拂下げ代でございまして、その金額は東洋レーヨンがこのたび特経会社の整備計画が認可になりましたので、その分は十月におきまして全部回収済みでございます。
○林(百)委員 そうするとこれに載つているのはどういうわけです。
○岡崎説明員 これは七月末現在におきまして計上いたしましたので、この印刷にもちよつと書いておきましたが、東洋レーヨンは全部回収済みであります。
○林(百)委員 それでは三菱化成、これなんかも何億という厖大な脱税が問題になつているのですが、これはどういうように確定されたか。
○大須賀説明員 三菱化成の債権は二百十九万五千八百十一円でございまするが、説明に書いてございますように、兵器部品注文に対する前金拂いをしております。終戰前に人絹パルプその他兵器部品の製造用に官給しておりましたが、終戰によつて前金払い過拂い並びに官給したものの兵器としてなつて参りませんものでありますから、そのまま工場に拂下げをいたしまして今日に至つております。これも特経会社の関係で債券は回收できないものであります。
○林(百)委員 特経会社、特経会社とみな逃げてしまうのですが、特経会社だつて清算する責任は政府にあるわけでしよう。やはりその経理関係で、その経理のやり方が特殊な経理のやり方があるわけで、回收していけないということはないのでしよう。未回收のものがあればちやんと回收すべきだと思うのですが、特経会社だからとれないということはないと思うのです。
○佐藤(一)政府委員 それは御承知と思いますが、特経会社につきましては、例の再建整備計画を提出してもらいまして、そうしてその整備計画が正式に認可になりますものは、全然債務関係を動かすことができないわけであります。それが正式になりまして、そうして幾らという金額が確定いたしましてから、今度はとるべきものをとる、こういうことになつております。
○林(百)委員 だからその整備計画なり何なりに対しては、政府としてはどういう処置をしているわけですか。
○佐藤(一)政府委員 これは現在大蔵省の方で例の再建整備計画を検討いたしておりまして、相当進捗いたしておりますが、まだ全部にわたつて完了するまでには至つておりません。そしてただいま例にございましたようなものは、まだ正式にその認可が下りない。いわゆる特経会社としての解除がないわけでございます。
○林(百)委員 そういう整備計画は出ていることは全部出ているわけですが、出ていてしかもこういう軍関係の債権のごとく、すみやかに回收しなければならないものを、いつまでもこうして置けば結局貨幣価値が非常に下つたころとるようになつたり、あるいはうやむやになる危險があるのですが、そういう点はすみやかに処理する方法を講じているかどうか。
○佐藤(一)政府委員 これは出ておるのでございますが、何分にも非常に対象が厖大であり、またその内容が複雑でございます。企業再建整備計画は、御承知のように現在の全体の経済情勢とにらみ合せまして、会社をどう建て直すかという問題でございますので、なかなかそう簡単に参らないのが多いのでございます。しかしながら政府としましては、相当これについてはただいまお話のような点もありますので急いでおります。まだ全部完了いたしておりませんが、相当程度進んでおります。なお今後もそれについては特別に整理を急ぐという方針で進んでおります。
○林(百)委員 そうすると非常に物価が騰貴して貨幣価値が落ちて来ますと、債権を回收するときとその当時の値段とは非常に違つて来ると思うのですが、一応基準としてどういう認定をしている。先ほどの説明ですと、本年度の七月とか何とか聞いておりましたが、そうなりますと、当時の品物に比べて非常に安く評価していると思う。たとえば鐘紡にしても、東洋レーヨンにしても、いつを基準にしていつの物価で評価されているのですか。
○佐藤(一)政府委員 政府に対する債務につきましては、もちろん金額の確定したものでございますから、その確定金額によつているのでございます。
○林(百)委員 その確定金額というのは、その当初債権の発生したごろで、その後の貨幣価格の変動、物価の変動は別に考えていないわけですか。
○佐藤(一)政府委員 見ておりません。
○林(百)委員 そうすると、先へ行けば行くほど貨幣価値が下つて有利になります。早く回收すればそれだけのものが相当国家的に有意義に使われるものが、早く回收しないことによつて物価が非常に変動し、貨幣価値が変動することによつて、国家としては大きな損失をこうむると思うが、その点はどういうふうに考えているか。特にたとえば交易営団ですが、これを見ますと牛肉、豚肉、羊毛とあるが、一体なぜこういうものが團牧できないのか。牛肉、豚肉の値段だつてその後非常に上つておりますから、一体いつを基準にしているか。こんなものまでとれないのはどういうわけですか。
○佐藤(一)政府委員 交易営団も、この表にございます閉鎖機関の中に入つております。また閉鎖機関の方はいろいろな関係がありまして、まだ特別経理会社ほどには進捗しておらないようでございますが、その関係で現在そのままになつております。
○田中(織)委員 閉鎖機関の関係は、特経会社よりも進んでないようにも見受けるのでありますが、今度の軍債権の問題は、閉鎖機関令なりあるいは特経会社にする処置令の関係で、その方のけじめがつかなければ、そう取立てるわけに行かないことは、先ほどからの御説明でよくわかるのであります。しかし片方閉鎖機関は閉鎖機関で、閉鎖機関処理委員会の方で、どんどんやはり物の処分をやつておられるのでありますが、さような関係から、あるいは閉鎖機関の関係では、もうほとんど関係のものは、こうした債権が回收できないというようなことも見通されるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。どんどん閉鎖機関の関係で持つておりますものを、ことに交易営団なり国家の関係のものは、手持のものをほとんど二足三文のように処理委員会で処分しているようでありますが、そういうことになりますと、たとい個々に確定した債権がありましても、結局閉鎖機関の関係の方で取立てられるような時期になつたときには、取引がないというようなことになりはしないですか。
○佐藤(一)政府委員 これは特経会社も同様でございますが、実際問題といたしましては、ただいまおつしやいましたように、たとえば一定の切捨てが特経会社等について行われる。あるいはまた閉鎖機関につきましても整理の手続を進めまして、そうして最後にバランスを見た結果によりまして、ただいまおつしやつたように、全部が完全に入ることができないようなことの予想もいたされます。
○林(百)委員 この閉鎖機関だとか特経会社だとかいうものは、非常な大きな会社が多いわけなんです。そういうところは非常に漫々的で御親切にずつと延ばしておるのです。たとえばこの中に住宅営団だとか何だとかありますが、それはわずかなものです。そういうものに対してはどしどし整理をしているという形ですが、こういう面から見ても、非常に大きな会社に対してはむしろ手心を加え、債権の確定が遅れ回収が遅れることによつて、大きな損失を国に與えているにもかかわらず、非常に庶民的に切実な要求を持つているような債権は、遠慮会釈もなしに整理し取立てるという方針に対して、政府はもつと考え直して、大きなところはすみやかに処理し、回牧し得る能力もあるのだから、そういうのを回收する考えはないのですか。
○佐藤(一)政府委員 これは戰時利得の処理でありますとか、戦後の――つまり従来の関係をどう処理するかという全体の国の政策にかかつて来るわけでございまして、私どももこの債権を回收いたします前提といたしましては、もちろんこの再建整備の政策などを前提にしてとつておるのであります。従いまして終戰直後に行われましたあの再建政策というものを頭に置いて、取立てるものは取立てるということは、現在としてはやむを得ないわけでございまして、もしその方面におきまして一定の再建の計画が立つて、はつきり金額が確定したならば、その上でどしどしと滞納処分の手続をもつて取立てる。現状としてはそういう以外には取立てられないのです。
○宮腰委員 その当時の売買価格と今日の売買価格と相当隔たりがありますが、マル公の引上げなんかになつた場合には、その価格の利益になつた分については相当の税を課しているのです。将来こういうような価格増によつて利益を得ておる会社に対しては、特別な利得を追究するという方法を講ずる必要があると考えますが、政府は一体どういうお考えでしようか。
○佐藤(一)政府委員 ちよつとよくわかりませんが、たとえば特経会社……。
○宮腰委員 いや、どの会社も全部です。厖大な利益が招来されておるのですが、たとえば今薬品の場合でも、十円のものが五十円に上つたというと、その四十円に対して相当の税をかけている。三年も四年も前の価格できめられたものを、今日手持しているものもあるだろうと思いますし、そういう場合に、その債務者に対して、その利得を追究する考えがあるかどうか。
○佐藤(一)政府委員 これは結局もしも現在手持のものがあるというようなものは、もちろんその当時の価格において処分いたすのでありまして、それらは結局清算の結果、全体のバランスに現われて来るわけでありますから、そのバランスに現われて来たもののうち、もしこの関係においてとるべき債権があるということであれば当然取立てます。但しそれらによる特別の利得というものについては、直接これとは関連はいたしておりません。
○林(百)委員 こういうことですね。普通の民間ですと、軍の保管しておるもののマル公が上りますと、一定の不当利得ということで税金がたくさんかかつて来る。ところが軍関係の物資の代金を拂わないでいたときに、その代金がそのまま全然物価とスライドしなくて残つておるということになりまして、結局金さえ拂えばよいということから、その一部を売つて金を拂つて、あとは幾らでもよそに流してしまうこともできる。そういう場合に、一定の軍関係の物資がどこかにあるということになれば、その債権を回収する場合にも、その物資のマル公の値上りなり、あるいはその当時の市場価格の値上りにスライドしてやらなければ、非常な利得を受けることになる。だから早く処理しなければならぬ。早く処理するについては、特経だとか閉鎖機関だとかいつて遅々として進まないということになれば、厖大な軍関係の物資を持つておるものは、インフレによつて非常に利得を得ることになる。これは金銭債権にかわつてしまつておる。そういう処置を政府としては適当に処理しないのか。これは戰争当時の血の出るような献納物資でまかなわれておるものでありますから、そういうことを聞いておるのであります。
○佐藤(一)政府委員 現在別に特別措置をとつておりません。一般的に租税というような方法を通じて、できるだけ的確な調査に基いて、そういう不当の利得のないようにいたしております。
○林(百)委員 それからこまかいことですが、非常に小さい金額が上つております。たとえば日本タイプで三百十円、名古屋逓信局で七十円、これはどういうわけですか。
○佐藤(一)政府委員 これはさつき田中さんから御質問がありまして、同じようにお答え申し上げましたが、つまり持経会社関係に指定されますと、財産を動かせないものでありますから、それでそのまま載つておるようなものがあるわけであります。
○林(百)委員 逓信局などは特経ではないでしよう。名古屋逓信局の七十円というのは何ですか。
○佐藤(一)政府委員 これはこの表の中にちよいちよい役所のものがあるのでありますが、私も実はこれを初めて見ましてびつくりしたのであります。これはたいてい未調定になつておるものでありまして、言いかえますと、軍の関係者はこれはお前の方に貸しがあると言うが、相手の役所はそういうものはないということで争いになつておりまして、はつきりいたさない分がそのまま出ておるのだそうであります。
○林(百)委員 七十円が争いになるということは了解できないのでありますが、そういう説明ならよろしい。この表はどうも納得ができない。たとえば野田俊作氏の二万九千円とあるが、これはどういうわけですか。
○大須賀説明員 これは官有物のことです。これはタイプが間違つておりますから御訂正を願います。
○林(百)委員 それはどうして二万円ばかりのものを回収しないのですか。これは特経でも閉鎖機関でもないでしよう。
○大須賀説明員 これは今日資料を持つて参りませんが、記憶によりますと、二万九千三百円というものをまだ野田俊作氏は確認しないのでございます。
○林(百)委員 確認しないと言つて異議を言うと、みなこれは不確定になつてしまうのですか。どういう点で確定しないのですか。
○佐藤(一)政府委員 そういうものがたくさんあるのです。こちらがあると言うのに向うが承知しないのです。そこで今回この法律をお願いしているわけですが、そういうふうに何ぼ精を出しましても、懸案のままになつてずつとたまつてしまつて処理が進まない。そこでこの法律によつて、一種の債権の確定の手続を向うが承知しなくても、催告によつて確定させてしまうということにしまして、ただし、もちろん異議の訴えをさらに出すということについて妨げるものではありませんが、一応確定せしめるということを諮つているわけであります。
○林(百)委員 そうすると、両方の間で物品の数字が違うから拂わないのか、金がなくて拂わないのか、その辺の調査もしなければ、一応おれは異議があるのだと言えば、全部とれないことになると思います。そういう点も、やはりこちらに有力な証拠があるならば、すみやかに回収の措置がとれないものですか。
○佐藤(一)政府委員 これは林さんは弁護士でおいでですから、私よりよく御存じだろうと思いますが、こちらではそう申しておりますが、向うがやはり承知いたしませんと、民事訴訟のややこしい手続で、本来なら取立てをしなければならぬのでございますが、そういうことをできるだけ簡略にするという意味で、この法案を御審議願つているようなわけであります。もちろん当方としては、一定の資料を持つているのでありますけれども、どうしても向うがそれについて承認をしないというのが、現実の問題としては相当あるわけであります。
○林(百)委員 そこでそういう債権の異議を申立てると、裁判所で調停にかけたり、延期したり、分割納付に付したりするというようなことになると、これは異議を申し立てていると、結局得をするということになると思いますが、確固たる資料があつたならば、もう少し国家権力でもつて適当に取上げるという方法にしなかつたら、これは非常に寛大で、結局拂わないで、しりをまくつてすわつている者が一番得をするということになるのではないですか。
○佐藤(一)政府委員 いわゆる、何人といえども裁判を受くるの権利を剥奪されないわけでございますので、われわれといたしましてはその場合に、全然最終的にも一方的にこれを確定するということはできないものと考えております。但しこの法律によりまして、本来でありますと、政府が挙証いたさなければならない問題も、一応この法律によつて債権を確定いたします。しかしてこの承認をどうしてもがえんじない場合には、その挙証によつてやることになるので、実際の手続におきましては、非常に簡略になるのであります。
○林(百)委員 これによりますと、一応債権ということになつておりますから、国家の立場からいうと債権としてもう確定しているものです。そうすると、一応まず取立てておいて、それから、異議のあるものだけは、あとで異議申立ての裁判が確定したとき拂う。たとえば税金の例のように一応どんどんとつて、異議があれば裁判をする。その裁判の結果拂いもどすというような方法があると思います。税金よりもつと取上げていいものを、わずか七十円か八十円のものを異議があるからというて取立てないのは、これはおかしいと思います。だから結局、あなたはこの法律案は債権を取立てるための法案だと言うが、実際は、軍関係の債権はめんどうだから免除してやるというのが、この法案の真意じやないかと私は思う。たとえば昭和電工の例を見ますと、大体三万円ぐらいのものがあるのですが、こういうものなんかも復金から融資した場合に、そこから先の国の債権は差押えなり何なりしておいて、あとで文句があつたら拂いもどすという方法が幾らでもできると思う。急いでこれを確保しなかつたら、先ほど言つたように貨幣価値は下つて行くというようなことになるから、軍関係の債権は、もつと強力に確保する方法を考えたらどうかと思います。
○佐藤(一)政府委員 昭和電工の場合は特経会社でございますので、少額な金もそのままになつているわけでございますが、全体の問題としては、実は私たち債権を取立てるという面だけを、考えているものにとりましては、むしろできるだけ簡單にするという意味におきまして、そういう方法が事務的には望ましいのでありますが、実際問題といたしましては、たびたび申し上げましたように、税金とはあくまで本質が違うという関係上、どうしても税金と同じ手続をとるというところまでは行き得ないわけであります。
○林(百)委員 会計検査院の方にお聞きします。川西航空機株式会社というものがあつたのですが、それに対して既納物品代及び加工賃一億九千三百八十三万円、完成未納品及び仕掛品出来高一億二千四十六万円、合せて三億円を軍需省航空兵器総局と商工省整理部が拂つているのです。これに対して会計検査院は、一億九千三百八十三万円は明らかに過大支拂いである、それから一億二千四十六万円も多過ぎると言われておるのでありますが、この川西航空機の軍需省航空兵器総局の支拂いについて、何か記憶にあることはありませんか。また今読んだのはその通りですか。
○小峰説明員 これはその通りです。私は当時主管課長をしておりまして、この金額をまとめました。
○林(百)委員 そうすると佐藤さんにお聞きしますが、この川西工場に対して軍債権を幾らと認定しておりますか。
○寺門説明員 お答え申し上げます。現在は明和興業株式会社となつておりますが、これに対しては工具類の拂下げ代が二十六万一千百二十一円五銭ございます。そのほかは全然ございません。
○林(百)委員 そうすると会計検査院で見ても、大体一億九千三百八十三万円は過大な支拂いだ、なお未納金は二千三百万円と推算されるのに、一億二千四十六万円も拂つておるというのですが、会計検査院の検査は一億近くあるのを不当支拂分債権としてわずかに二十六万というのは少な過ぎるように思いますが、そういう関係はいかがですか。
○佐藤(一)政府委員 これはさつき小峰さんからもちよつとお話が出ましたのですが、今寺門説明員が申しました二十数万と、ただいまの不当支出額は同じ対象のものではございません。それで不当支出額の問題は考え方はいろいろございますが、法律的に申しますと国営時代の不当支出額ということになりますので、これはやはり不当ではあるけれども必ずしも違法ではないということで、債権には上せてございません。
○河田委員 大分たくさんのものを一一聞くわけには行きませんから、特徴的のものを一つ聞いておきたい。それは旧軍関係だと思いますが、復員軍人帰農組合というのが一万九千九百二十円、金額はわずかでございますが、これはどういう性質のものですか。
○大須賀説明員 復員軍人帰農組合につきましては、資料がございませんので、あとで調べて御報告申し上げます。
○河田委員 それではあとで資料として提出していただきます。それから各県の知事とか、経済部長、あるいは市長、こういうのは個人でございますか、それとも法人ですか。
○大須賀説明員 これは個人ではございません。代表者としてのものであります。
○河田委員 特に官庁関係が相当あるようですが、たとえば大蔵省関係に專売局、税務署、造幣局、こういうものが若干あるわけです。こういうものを取立てるのには、お互い官庁同士ですから、まず民間債務のように確定しないことはないと思う。こういうものがいまだに残つておるということは、今日の官庁事務がいかに非能率的であるかということを証明しておると思う。民間会社から取立てるについてはいろいろの問題もありまするけれども、各官庁同士の中において、こういう問題がいまだにきまらぬというようなことは、政府の怠慢だと私は思います。
○佐藤(一)政府委員 これは私もまことに遺憾だと思つておるのですが、その中にはただいま申しました資料等もございませんし、あるいは当時の人間もおらぬというようなこともありまして、終戦後の今日においては必ずしも相手の官庁が承服するとは限らない。しかし今度の法律が万一御審議の結果通るようになれば、できるだけ処理を促進する。もちろん一般会計同士の場合においては問題になりません。これはあるいはこのまま打切るか、おそらく物品の拂下げの場合に問題になつておるのです。そういう点はできるだけすみやかに措置を講じたいと思います。
○川島委員 二、三お尋ねいたします。先ほどからいろいろ質疑応答を聞いておりますと、この十六億の未回收の、政府側で債権と称するものはきわめて不確定な債権であつて、債権になつておらぬような感じが強くいたします。大まかに聞きますが、この十六億の中で調定済みになつておるものはどのくらいあるのですか。ほとんどこれは調定済みになつていないものですか。それをまずお聞きしたい。
○佐藤(一)政府委員 十六億のうちで債権者の確定いたしておりますものが十二億七千三百万ございます。それから残りがまだ未確定のものでございます。
○川島委員 そうするとこの十二億三千何ぼというのは、債務者が確認をした額ですね。
○佐藤(一)政府委員 そうです。
○川島委員 それではよろしゆうございます。それからこの中で住所不明の者があるのですか。これは全部住所がわかつておりますか。
○佐藤(一)政府委員 三千二百万ばかり住所不明なんです。
○川島委員 件数にしてどのくらいですか。
○佐藤(一)政府委員 ちよつと今件数は手元に資料がありませんから……。
○川島委員 それからこの法律が施行されまして調定をいたしますと、分納なり延納などが行われる。そこで大蔵大臣は利息を付するということになつておりますが、その利息を付する時期は一体いつなんです。
○佐藤(一)政府委員 これは延納の特約をいたします際に、そのときの市場金利を標準にいたします。
○川島委員 そうすると終戦以前すでに債務を負つておつたにかかわらず、終戰後四年も五年もたつている。それでこれから調定をする。調定が成立したときに初めて利息がかかるということになると、数年間は利息も何もとらぬで延納を承認するという形になる。そうすると今まですでに納めた者はそのままであつて、新たにこれから延納する者は、調定になつてから初めて利息を付するということになると、非常に均衡がとれない形になりますが、その点はどうですか。
○佐藤(一)政府委員 これは従来早く納めた者との均衡ということですが、これは実はいろいろの考え方があると思うのであります。考えようによりますと、ゆつくり納めた者が得をするように考えられる場合もあろうかと思いますが、私どもといたしましては債権である以上は、やはり一定の延納の特約をいたします際には、つまりあらかじめそれを承知して延納いたします際は、一定の利息をとるというのが一般の原則であるという建前を考えております。
○川島委員 債権が確定して調定が成立すれば、それは拂下げを受けたときあるいは過誤拂い前渡しを受けたときから、すでに債務者というものは非常な利益をしておるにもかかわらず、しかもその後正直な者は納めてしまつて、今まで納めない者は戰争終了後四年も五年もたつて初めて調足し、調定されてから初めて利息がつけられる。これはどうも私法律家ではございませんが、国民的な立場においてちよつと納得の行きかねる点があると思いますが、そういう行き方ではたして正しいものであるかどうか。そういうふうに考えておられるかどうか。念のために聞いておきたいと思います。
○佐藤(一)政府委員 これは理論的にはもちろん法定利息をとるべきものでございまして、今実情を聞きましたところが、でき得る限りはやはり法定利息をとつておるそうでございますが、やはり事情によつてとれない場合もあるそうであります。しかし方針としてはとつておるそうでございます。
○川島委員 事情によつてとらないというのはどういうのですか。その事情というのは……。
○佐藤(一)政府委員 陸軍、軍需省関係は一律にとつておるそうでありますが、海軍省関係につきましては、その債務者の資力というようなことを考えて、利子を現在までとつてないものがあるそうであります。
○川島委員 その説明はちよつとよくわかりませんが、債務者の事情といつて、大体ここに出ておるいわゆる債務者というものは、われわれが大ざつぱに見ても相当有力な、戰争中の法人もしくは個人であつたのです。それがわずかな法定利息が抑えないというような事情にあるということは、ちよつとうなずけないのですが、どういう具体的な内容なんでしようか。
○佐藤(一)政府委員 これはいろいろ運営の状況を聞いて見ますと、なるほどおつしやいますように当然とるべきもので、單に無資力という以外にとれないものもあるようでございますが、これはただいまおつしやいましたように、今後はひとつ合せて全部とるような方針に、できるだけ統一をいたして行きたい。実はこの法律案が出ますまでは、この取立てにつきましても十分そういう点が運営上も不十分な点がございまして、今回この法律がもしできますれば、法律的にそういうものについても運営上誤りないようにやつて行きたい、こう考えております。
○川島委員 特に形から申せば当然法定利息にとつてしかるべきだと思いますので、全面的にそれは実施するような方向に行つてもらいたい。
 最後にその債権の取立てを実施する場合に、その主務官庁はどこがやることになるのですか。
○佐藤(一)政府委員 これは陸軍省並びに海軍省につきましては、厚生省の引揚援護庁の中に復員局というのがございまして、そこで旧陸軍並びに海軍の経理関係者のごく少数の人が現在残つておりまして、取立てております。それから軍需省の分につきましては通産省が責任を持つことになつております。
○林(百)委員 第七條の二項ですが、これはなかなかむずかしくて、いろいろの法律が出て来てわからないのですが……。
○佐藤(一)政府委員 これは御説明したかと思いますが、国税滞納処分の例によるということが根本的の原則でございます。国税滞納処分の長所というか特色は、いわゆる民訴訟法の手続によりますよりも、ずつと簡略な手続によることができる点と、もう一つは他の債権者に優先する、いわゆる債権者平等の原則の例外になつておるという点でございます。私どもがここで滞納処分の規定を援用いたします気持は、その前の長所を生かしたいという気持でございます。従いまして各法律におきまして、滞納処分が優先的な地位を與えられておる、それらの規定は排除する必要があるというので、ここに特に置いてあるわけでございます。
○島村委員 本案に対しましては各位の数時間にわたる熱心な質疑がありましたから、質疑はこの程度で打切られんことを望みます。
○川野委員長 島村君の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 御異議ないようでございますから、旧軍関係債権の処理に関する法律案については、質疑を終了いたします。
 なお討論は後日に譲ることにいたします。
    ―――――――――――――
○川野委員長 次は外国為替特別会計法案を議題として、質疑に入ります。
○小山委員 ただいま議題になりました法律案の中で、一点だけお聞きしておきたいことがありますが、輸入の金融についてであります。輸入業者が輸入する場合にLCについての五〇%を納める。そうしてそれは担保を認めろということになつておるようでありますが、担保の中には不動産も入りますかどうか。また不動産を入れた方が輸入の金融上、非常に現下の金詰まり状態上、役に立つのではないかと思うのでありますけれども、その御方針であるかどうか。それをお伺いしたいと思います。
○杉原政府委員 今の御質問ですが、それはこの会計は関係なく、本案の方だろうと思いますが、まだその点ははつきりきまつていないと思います。現金を積み立てることもできるし、銀行の保証もできるし、他の担保もできるという広い範囲になるか、あるいは一定のものに限られるか、まだよく聞いておりません。もうきまつておるかもしれませんが、私は聞いておりません。
○北澤委員 二、三点お聞きしたいのですが、従来から貿易特別会計の中に外国為替資金というものを置いて運営しておつたのですが、これを今回特に改めまして、外国為替特別会計を設けて歳入歳出としてやるようになりました理由、どうしてもそうしなければならぬのか。特にそういうふうに制度を改めた理由につきまして、ちよつとお伺いしたい。
○杉原政府委員 貿易特別会計の方では直接円と外貨との結びつきがありませんので、この会計におきましては外貨と円の受拂いを、はつきりした分だけをやることになつております。従いましてこの会計におきましては輸入の場合に外貨を供給する、そういう場合には円をとつておきまして、それから、外貨を出す。また輸出におきましては、輸出して取得しました外貨をこの会計で受けまして、それからあとであるいは同時に円を拂います。それを原則にして嚴重にやる。そうして政府の行います外国為替等の売買をはつきり記録しておこうというために、この会計を別にいたしました。
○北澤委員 これを歳入歳出としまして縛つてしまうと、貿易のようなそのときどきの情勢によつて臨機応変の処置を要するものについては、不便な点がありはしないかと思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
○杉原政府委員 その点はまことにその通りでございます。こういう仕事をいたします会計といたしましては、基金の方が確かに適当であろうと思われますが、また一方政府の歳入歳出というものは、相対的に見るために基金ではよくない、やはりこういう会計でやつた方がいいということになりまして、この会計という形をとりました。
○北澤委員 この特別会計には、そうしますと相当大幅の予備費とでもいうようなものを計上するわけですか。
○杉原政府委員 その点に関しましては第四條に、やはり資本という観念がちよつと入つておりまして、この会計をやつて行くためには全部を歳出歳入でやつて行くという観念では非常にきゆうくつでありますので、そこに資本という考えを入れまして、ある一定の資本を置きまして、それで運営いたします。
○北澤委員 それではその第四條の資本の内容についてお伺いしたいのですが、その第一は、「この法律施行の際外国為替資金に属していた資産の額から」云々と書いてありますが、これは大体どのくらいの額になりますか。それから貿易特別会計から繰入れられる金額、もうつは連合軍最高司令部――総司令部の勘定に属する金額で、外国為替で会計するその内容を御説明を願いたい。
○杉原政府委員 ただいまのは三つからなつておりますが、第一のただいまやつております外国為替資金、これから繰入れられる分でございますが、この会計は、実は外貨を持ちますと円の方が出拂いになつて赤になりますので、現在のところでは――ちよつと十九日までの数字を申し上げますと、この会計の外国為替資金で今やつております分でございますが、これの入りといたしましては、最初に六月の二十五日にスタートいたしましたときに、五億円を貿易特別会計から繰入れまして、これは旅行小切手、それから外国人が持つて入りましたドルのノートその他をかえる仕事がありましたので、五億を繰入れまして出発いたしまして、それから十一月一日から総司令部の持つております外貨の商業勘定の経緯と記録をこちら側へよこされましたので、その仕事を始めました。その結果といたしまして、最初に受入れました五億、それから輸入によりまして資金が入りました。これが二十億、それから国庫からの繰入金を六十億、合計八十五億、こういうものが……。
○北澤委員 その六十億は司令部の関係ですか。
○杉原政府委員 六十億はまだスタートしておりませんで、六十億国庫からの余裕金を借りております。それから安拂いの方は六十一億支拂つております。輸出によるものを支拂いました。ただいま残が二十四億ございます。これがさしずめ引継ぎ金額でございます。
 それから第二項の貿易特別会計から繰入れるのは、五十億予定されております。それから第三番目の、総司令部の方から受けるもの、これは全然まだわれわれには明かしておりません。
○北澤委員 総司令部から移管を受けるのは外貨でございますか。
○杉原政府委員 外貨になると思います。
○北澤委員 そうしますと、外国為替資金の方から来るのが五億、それから二十四億という残額は今の借入金関係ですか。
○杉原政府委員 これは現在の残でございまして、結局は六十億借入れをしておりますから赤字になつております。
○北澤委員 それと貿易関係の五十億、そうすると大体その程度の金額で十分運営できるという見込みですか。
○杉原政府委員 おそらくこれはむずかしいと思いますが、一時借入れ限度というものがそのために設けてございます。それは予算の方で限度がきめられていると思います。
○林(百)委員 外国為替関係の操作でありますが、この操作は外国為替管理委員会のイニシアテイーヴで操作できるのかどうか。今は国際的な、連合軍の管理下にあるわけですが、こういう場合に貿易関係の外国為替の操作、これを日本政府の思うようにできるものかどうか。その点の将来の見通しはどうですか。
○杉原政府委員 これは今のところまだはつきりお答えできませんが、もちろん自由な操作はできないと思います。できる範囲でだんだんやつて行くことになると思います。
○林(百)委員 そうすると具体的に言うとそれはどういうようになるわけですか。たとえば向うのドルを買いたい。あるいは売りたいというような場合、それはやはり向うから指示がある時期に指示のある価格でやるのか。それともこちらでやりたい場合には向うへ申請して、向うの許可を得るということになるのですか。
○杉原政府委員 今の林さんの御質問は、外貨がほしい場合でございますか。
○林(百)委員 そうでございます。ほしい場合あるいは売りたい場合、そういう場合は、いつ幾らこれだけやれと関係方面から指示があつて、そのとき初めてこれが動くのか。あるいは日本政府の考えで少し外貨がほしいと思うときには、これだけほしいということを申請して許可を得て操作するのですか。
○杉原政府委員 現在ですか。
○林(百)委員 そうです。それからこの会計ができた後の操作……。
○杉原政府委員 この会計ができますれば、輸出する場合は銀行としましてこの会計に入つているわけであります。輸入の場合は銀行としまして必要な外貨を差上げます。
○林(百)委員 そうすると一々関係方面に申請して許可を得るとかいうことなしに……。
○杉原政府委員 輸入の場合でございますと、為替管理法に規定してございますが、外貨予算というものをつくりまして、その外貨予算に従つて銀行で許可するということになると思います。銀行で許可のあつた分は、向うから必ず出します。
○林(百)委員 それから外国銀行で大蔵大臣の指定するところというのがありますが、いわゆる外国為替銀行の指定、これは具体的にどうするのですか。
○杉原政府委員 ここにございます一番初めの外国銀行――三條でございますか、「外国為替等を外国為替銀行及び外国にある外国銀行」こういうことでございますか。
○林(百)委員 そうです。大蔵大臣の指定するものです。
○杉原政府委員 外国為替銀行というのは、こちらの大蔵大臣が許可、認可をいたします外国為替銀行であります。この外国銀行と申しますのは、これは国庫の金でございますので、どこの外国銀行にでも置いてもいいという会計の随意に置かれるべきものではなくて、大蔵大臣がここに置いてもよろしいと指定されましたところに預け入れて置くわけでございます。
○林(百)委員 大体どこの国のどういうような銀行を指定するかというようなことはわからないのですか。もしわかつていたら、大体どういう――たとえばドル地域ばかりでなくポンド地域もある、あるいはドル地域だけならドル地域だけというふうに……。
○杉原政府委員 これは大蔵大臣の方で、私のお答えすべき問題ではないと思いますが、もちろんドルのみならず、ポンドの方にも置かなければぐあいが悪いと思います。
○林(百)委員 そのほかの国、ソ連とか中共、そういう国々はどうですか。
○杉原政府委員 そうなりますと、これは私のお答えできない問題でございます。
○小峯委員 ただいま林君から御質問がありましたが、外国銀行の問題は相当重要でございますので、大蔵省の局長を次の機会にお呼び願つておきたいと思います。
 それから少し遠まわりになるかもしれませんが、外国為替委員会の動いておる方向について、どの程度の仕事をやつておるのか。その活動の状況をひとつ概略でよろしいですが、お話願いたい。
○杉原政府委員 その点は設置法が上程になつておると思いますが、そちらの方でひとつ御検討願いたいと思います。
○川野委員長 ちよつと小峯君に御相談申し上げますが、実は明日復金の問題について質問願うことになつておりますので、銀行局長は明日来ることになつております。明日でよろしゆうございますか。
○小峯委員 けつこうです。それでは優先外貨、これもいろいろ取沙汰されておりまして、ドル資金あるいは外貨で表示された資金のあるパーセントを限つて、旋行に使うとかあるいは見本を取寄せるとかいうふうに、輸出資金の優先使用方法があるだろうと思うのですが、この資金によつてどのくらいの活動が行われておるか、具体的にはこの資金を使つて海外に出ておる人がどのくらいになつておるかということを御承知でしたら、伺つておきたい。
○杉原政府委員 今確かな記憶がございませんで、ちよつと聞きましたところ、一万二千ドルくらいしかまだ出ておりません。これが非常に遅れておる、理由は、私の聞くところでは、こちら側だけの理由でございませんで、向うの――こちらから行く先が、日本の者をあまり入れて実情を知らせたくないという理由かどうか知りませんが、なかなか許可がおりないという点が多いと思います。
○小峯委員 私はこの優先外貨制の活用の方法いかんでは、いわゆる盲貿易がよほど直つて来はしないかと期待しておつた。今お話の通りですと、実に心細い限りなのですが、これも仄聞するところによりますと、今まではたくさん許可がなかつた。今後は相当激増することがあるだろうというふうなお話も承つておるのであります。どうかその辺の消息をお調べになれたら調べていただいて、あとでけつこうでありますから御答弁いただきたいと思います。
 それから外国銀行のお話が今林委員から出ましたが、外国銀行として外国為替銀行との違い、これはもちろんはつきりしておることでありますが、外国銀行と日本の銀行で外国為替銀行に指定されたものとの間におけるけじめ、優劣というか、今のままでは相当あるだろうと思います。外国為替をこういうふうに扱つて来ます場合、今の日本の銀行ではまだ御承知の通りコルレスが開けておりませんが、その点でハンデイキヤツプがあるだろうと思います。そのコルレスの問題で御承知になつております点、言いかえればいつごろからコルレスの問題が日本の銀行で開けるか、また関連して外国銀行の方針、業務の問題でありますが、この問題も最近業界ではやかましい問題になつておりますが、その辺の消息を承つておきたい。
○杉原政府委員 今のコルレスの問題は私は承知しておりません。コルレスはできるだけ最近の機会に開かせてくれるということを司令部の方で言つておりますから、割合に早い時期あるいは輸入の始まる前、あるいはそれに近く許されることと信じております。そのほかのことはひとつ大蔵省の方にお聞き願いたいと思います。
○林(百)委員 この外国為替の価格の決定ですが、第十一條を見ますと、「この会計において保有する外国為替等の価格は、毎会計年度三月三十一日において外国為替相場」「第一條の規定により大蔵大臣が指定する外国為替相場をいい」とありますが、これは一年に一回だけきめるというわけですか。その後の変動についてはどういう処置もとらないのですか。
○杉原政府委員 これは外国為替の相場をここで決定いたすのではございませんで、この決算を一年に一回やりますので、その決算のときの相場をきめるのでございます。
○林(百)委員 そうすると外国為替相場というのは、そのときどきの相場によつて取引するわけですか。
○杉原政府委員 それは為替管理法をごらん願いたいと思います。為替管理法にどうするかということが書いてございます。
○林(百)委員 それを簡單に説明していただきたい。
○杉原政府委員 これは基準相場を大蔵大臣が内閣の承認を得てきめます。
○林(百)委員 管理法をここで説明してください。
○杉原政府委員 それから今度は「外国為替管理委員会は、大蔵大臣の承認を得て、外国為替管理委員会が外国為替を売買する相場を定めなければならない。」これが政府が買い上げ、あるいは売り下げる相場であります。これをきめます。そのほか「外国為替管理委員会は、大蔵大臣の承認を得て、正当な外国為替取引における外国為替の売相場及び買相場並びに取扱手数料を定めることができる。」こういうのであります。
○林(百)委員 あるいは連合審査とダブつているところがあるかもしれませんから、簡單に答えていただけばけつこうです。もう一つ伺いますが、民間貿易によつて取得する外国為替は全部ここに統合されるのですか。民間貿易と外国為替管理委員会による為替の統制、この関係はどうなのでしようか。
○杉原政府委員 これは大体日本の外貨というのはいつも非常に少いもので、これを一つに集結して一番有効に使おうというのが為替管理法でございますから、民間貿易によりましても、これはすべてこれに集中いたします。
○林(百)委員 そうすると具体的に民間貿易をする場合の決済は、民間貿易の業者が直接対外的にやるのでなく、外国為替管理委員会との間にいろいろ操作して、貿易の決済をして行くわけですか。
○杉原政府委員 これは直接いたしません。すべて外国為替銀行を通じていたします。
○川野委員長 本日はこの程度にいたしまして、明日午前十時から開会することにいたします。
    午後四時五十四分散会