第006回国会 大蔵委員会 第23号
昭和二十四年十二月一日(木曜日)
    午前十一時四十四分開議
 出席委員
   委員長 川野 芳滿君
   理事 北澤 直吉君 理事 小山 長規君
   理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君
 理事 川島 金次君 理事 早稻田柳右エ門君
   理事 内藤 友明君
      岡野 清豪君    佐久間 徹君
      塚田十一郎君    苫米地英俊君
      中野 武雄君    西村 直己君
      三宅 則義君    宮幡  靖君
      田中織之進君    河田 賢治君
      深澤 義守君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  水田三喜男君
        通商産業政務次
        官       宮幡  靖君
 委員以外の出席者
        参議院議員   岡元 義人君
        通商産業事務官 前野 直定君
        專  門  員 黒田 久太君
        專  門  員 椎木 文也君
十二月一日
 委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として
 田中織之進君が議長の指名で委員に選任された。
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十一月三十日
 未復員者給与法の一部を改正する法律案(参議
 院提出、参法第三号)
 特別未帰還者給与法の一部を改正する法律案(
 参議院提出、参法第四号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
 輸出信用保険特別会計法案(内閣提出第五八
 号)
 未復員者給与法の一部を改正する法律案(参議
 院提出、参法第三号)
 特別未帰還者給与法の一部を改正する法律案(
 参議院提出、参法第四号)
    ―――――――――――――
○川野委員長 ただいまより会議を開きます。
 昨三十日本委員会に付託に相なりました復員者給与法の一部を改正する法律案及び、特別未帰還者給与法の一部を改正する法律案の両案を議題といたしまして、ます提案者参議院議員の岡元義人君より提案趣旨の説明を求めます。岡元義人君。
○岡元参議院議員 参議院発議になつておりますので、一応提案の趣旨をば簡單に御説明申し上げますと、従来から未復員者給与法の方はいろいろ問題がありまして、従来の俸給が百円でそのまますえ置きになつて参りましたが、百円では非常に少いのではないか。どうしてもいわゆる六千三百七円ベースの最低額に持つて行くといたしましても、最低二千九百七十一円という金額になるのだけれども、この点について関係方面とも折衝いたしたのでありますが、どうしてもいわゆる未復員者に対して、やはり特別な概念を持つているという線を固持されておりますので、やむを得ず三百円まで増額していただく。こういうことになりまして、百円を三百円に増額改正する。こういうぐあいに改めたのであります。
 それから第八條中の、遺骨引取りに関する経費が従来千五百円になつておりましたが、四月の鉄道運賃改正によりまして運賃が二百三十円増額になりました。この点汽車賃の改正の線に接近をさせるべく千七百円まで増額していただく。こういうことに改正したわけであります。
 それから帰郷旅費をば上陸地から帰郷地までの距離に応じまして、従来一千円になつておつたものをば一千円ないし三千円、別表をつけてこういうぐあいに増額改正いたした次第であります。
 それからもう一つ、一番問題になりましたのは療養費でありますが、療養費を従来の二年間の療養期間をば三年間に延長する。こういうぐあいに改正いたしたりであります。このほかにもいろいろ参観院といたしましては、遺族のいわゆる弔慰金というようなものも一応考虜できないかというので、改正の点に苦心いたしたのでありますが、どうしても予算措置事土財源的に困難な状態にありましたので、やむを得ず一応の改正案をば今回提出いたした次第であります。この改正案によりましても、たとえば遺家族の埋葬費でありますが、生活保護法との関係におきましても、最低五千円でありますけれども、この千七百円に増額されたものと、それから埋葬費関係全部合せましても、まだ三千円ちよつとしかならないというのでありまして、まだ一般の最低埋葬費よりも非常に低いということをば御了承願いまして、何とぞ衆議院におかれましても、改正案に御賛成していただくようにお願いしたいと思います。
 それから特別未帰還者給与法の一部を改正する法律案は、これは従来交渉いたしますとき、中共地区が問題になつたのでありますが、中共地区は確たる対象者を把握するのに困難ではないかということであります。そのときには中共地区だけは除くというので、わずかにシベリヤ地区の一般邦人だけにこの特別未帰還者給与法を適用する、こういうぐあいに相なつておつたのであります。しかしながら漸次中共地区からの通信も参るようになりまして、また受取り側の留守家族の方から見ますと、これは非常に不公平な状態になつておりますので、当然特別未帰還者給与法を、中共地区の未帰還者の留守家族にも適出して行くという趣旨を述べまして、この機会にソビエト地区だけでなく、いわゆる三十八度以北の北鮮及び北緯五十度以南の樺太、それから千島、それに中国共産地区、これだけのものを含めました留守家族にも、この未復員者給与法を適用するというように改正案として提出した次第であります。
 なお予算措置といたしましては、本年度当初に組みました予算が予定通り帰つて参りませんので、その方の財源が相当流用できるということから研究折衝いたしました結果、こういう法案を提出した次第であります。本年度の特別未帰還者に対する分は、大体八千二百万円というようなぐあいに組んでおつたのでありますが、現在まで四千二百万円程度でありますので、今度の改訂によりましても、さらに残額でもつて本年度はやつて行ける。本年度は大体二億五千万円というぐあいに増額になるわけでありますが、これも大体二万四千人程度をば本年度の対象者として見込んでおるわけであります。給与法の改正によりまするところの増額分は、場帰郷旅費の分で大体本年度増加額が七百万円、二十五年度増加額が八千二百万円、それから事務引揚げ経費の方が、本年度が四百万円、来年度が三百万円、こういうぐあいに見込んでおるのであります。それから療養費の方が、大体来年度増額、この三年間延長いたしますために一億一千七百万円だけふえておる。こういうことになるわけであります。大体総合的に予算措置を考えますと、昭和二十四年度が二億七千万万円、昭和二十五年度が十四億九千五百万円、こういうぐあいにこの改正によつて増額されて行くわけであります。大体の算定の基礎といたしましたのは、二十四年度帰還予定一万九千五百人、これは今度の十一月二十四日から来年三月二十五日までという期間を予定いたしております。しかし実際に一万九千五百人が帰つて来るかどうかということは、非常に困難な状態と一応考えられるのでありますが、大体この程度に見たわけであります。死亡公報を今度出すものが二万二千名、療養者が月平均大体一万人、扶養手当が大体延べにいたしまして二十万五千件であります。こういうぐあいに基礎の方を見ておつたのであります。それから帰還予定費が二十五年度が大体十四万人であります。死亡公報が一万八千、療養者が大体八千名、扶養手当の方が二十万三千件、大体このような算定の基礎でこの法案を組みましたので、以上御了承願いたいと田請います。
○川野委員長 これより質疑に入ります。内藤友明君。
○内藤(友)委員 ただいま提案理由の御説明を聞きまして、まことにけつこうなことだと思うのであります。なお提案者から予算的措置でこまごまお話せられましたので了承いたしたのでありますが、大蔵当局の水田さんにお伺いしたいのであります。今予算的措置のことを提案者からお話になりましたが、それはその通りと心得てよろしゆうございますか。それをひとつ……
○水田政府委員 今提案者岡元さんから説明された通り、この問題は非常に熱心に参議院が向うとの折衝にも当られましたし、私たちと全部相談の上でやつておりました関係上、予算の点は全部検討済みになつております。
○三宅(則)委員 この未復員者に対しましての数字の御説明があつたわけでありますが、さらに相当ソビエト地区また中共地区から帰つて参りますが、予算の範囲はどのくらいでありますか。もう一ぺん御説明願いたいと思います。
○岡元参議院議員 大体未復員者の状況につきましては、総司令部の発表を基準として一応考えなければならないと思うのであります。これは衆議院においても御同様かと存ずるのでありますけれども、その中から大体予算措置とにらみ合わせ、また従来の帰還状況等を勘案いたしまして、大体どの程度まで帰れるかということを把握するのには、実際から申しますと、これを確実に握り得るということは非常に困難な状態にあるのであります。そこで先ほど説明しましたように、残留数の中から来年一ぱい二十五年度までを考慮に入れまして、死亡の確認を得る。これは確実にこれだけの資料を得られるだろう。それによつて死亡確認の公報が出せるというところを、政府側とも十分打合わせてつかみました数をただいま申し上げたわけであります。それから大体この残留しております総司令部発表の数の中には、死亡者が相当含まれていることも一応考えられますので、今までの四年間の引揚げの状態とにらみ合わせまして、この程度のものは帰つて来るであろうということをつかみまして、二十三年事度予算処置をいたしたわけでありますので、的確な数字はここで申し上げられません。昭和二十四年十一月二十四日から、来年三月二十五日までの帰還予定を一万九千五百名、それからこの間に政府が発表できるであろうと考えられるところの死亡公報者を二万二千名、それからこの法の適用を受け得られるところの療養者、これは法文の中にも明らかにしてありますが、この病原の起因が問題となるのでありますけれども、大体療養者月平均一万人、それから扶養手当、これはいわゆる家族数によつて違いますが、延べにいたしまして二十万五千件。昭和二十五年度帰還予定者十四万人、それから死亡公報を一万八千件、療養者月八千名、これはだんだん減つて行くわけであります。それから扶養手当が二十万三千件、かように見ております。
○三宅(則)委員 今の御説明によりますと相当数が帰つて来るのでありますが、この家族の方に渡す手当二十万五千件というものにつきましては、わが衆議院におきましても、たとえば所得税等についても多小の軽減をしなければならぬのではないかという試案を持つておるのですが、その方につきまして、政府当局とお打合せになつておりましようか。
○岡元参議院議員 この問題につきましては、参議院におきましてもいろいろ課税特例法案等をば立案いたしまして、関係方面とも折衝いたしておりますが、いまだに解決つかずにおりますので、どうぞ衆議院の方のお力でひとつその方面をお進め願いたいと思います。
○三宅(則)委員 ただいま参議院の方では相当考慮しておるけれども、まだ関係方面と折衝が済んでいない、こういうわけでありますが、私の考え方といたしましては、これは未復員者に対しましてはその家族について相当気の毒なものがあるわけです。これは水田政務次官もおられるわけでありますが、今度大蔵省としても相当考えてもらつて、たとえて申しますと、その家族に対しましては要するに一割なら一割安くしてやるというようなことも構想ができると思いますが、政府といたしまして水田政務次官のお考えを承りたいと思います。
○水田政府委員 この問題につきましてはひとり未帰還者だけでなくて、遺骨の帰つて来られた遺族とか、あるいは未亡人についても同様の問題があるので、考えるときにはそういう点も一緒に考えたいということで、社会保障制度の一つとして、今全般的に審議会の問題になつております。現在のところ、まだこれをやると言うわけには参りませんが、非常にこの問題はむずかしゆうございまして、わずかの手当をもらつておるからといつて、事実うちに財産があつて、全体収入としては一般の人よりもはるかにいいという人もおりまして、やはりこれだけの所得に限つていいということになつたらむろん税はかかりませんし、ほかの收入と合せて相当多い收入をとつておる者は、国民と同じく税がかかるというので、これは具体的には非常にむずかしい問題になります。そこで、今社会保障審議会の方でまとめてそういうものは研究してもらう、こういうふうになつております。
○三宅(則)委員 ただいまの政務次官の御説明でありますが、私はこれに関連いたしまして、ぜひ今度の四月から施行せらるべき根本的の税制改革に、間に合うようにやつてもらつたら便宜だと思いますが、その辺はどんな構想であるか承りたいと思います。
○水田政府委員 研究いたします。
○田中(織)委員 関連いたしまして、今未復員者の問題あるいは引揚者の留守家族等に対する課税の問題についての社会政策的な考慮について、三宅委員から質問されている点はわれわれもまことに同感でありますが、私これに関連いたしまして、この際大蔵政務次官に伺つておきたいのは、そのほか社会政策的な制度として行われておるものに対しまして、なおいろいろの面において課税が行われておる。たとえば国民健康保険の関係において、医師がきわめてわずかな收入をもらつている部分につきましても――これはそれ以外の收入があることはもちろんでありますけれども、全体のやはりお医者ならお医者の收入の中に国民健康保険関係のわずかの収入、こういうようなものも当然やはり課税の対象に入れられておるという問題が――これは先般の大蔵委員会で和歌山県における実例で申し上げたときにも、その点を指摘しておいたのですが、あるわけであります。それから炭鉱等における、いわゆる石炭増産の見地から設置いたしました病院の関係におきましても、同様の事実が現われておる。さらに労働者の全般的ないわゆる福祉施設として、これは賃金その他の面において、カバーできないものを補う意味においてやつておりまする給食、ことに残業等の形において、ピッチを上げなければならぬというような関係において夜食を支給しておることも、これもいわゆる金額に換算いたしましてこれに対する課税となる。こういうような形で、広く申しますならば社会政策として行つているものに対しましても、むしろそれを促進するということでなくして――社会政策的な施設の促進の見地に立つて行つているものに対して、むしろそれを阻害するような意味の課税が、所得のあるところには必ずそれを追求して課税するのだという一つの公式的な議論から行われている問題が、私は数え上げてみればたくさんあると思います。この点は、今三宅委員からも指摘せられましたように、政府が通常国会には当然税制に関する拔本的な改革案を出されるわけでありますから、その際において、こうした点については十分その目的を阻害することのないような、税制の改革をやつてもらわなければならないと思うのであります。社会保障制度全般については、政府の方でもいろいろな研究を重ねておられることはわれわれも了解しておることでございますが、それと矛盾するような課税面の欠陷を、来るべき通常国会における税制の抜本的な改革において、必ず実行していただきたいと思うのであります。この点に対する大蔵政務次官の御見解をこの機会に承つておきたいと思うのであります。
○水田政府委員 確かにお説の通りで、これは現在考えております。たとえば今健康保険医の話が出ましたが、健康保険医に言わせると、あの保険はもうからないので、收入の少くとも五〇%ぐらいのところへかけてくれなければいけないと言うのを、現在七〇%ぐらいかけておるのであります。こういう問題で、保険料の收入だけでやつている医者に対しても、一般の医者と同じようにかかるのは不当だというような問題がございまして、そういう問題に対しましては、保険收入に対して一般の所得とは区別して、源泉課税で二〇%なら二〇%税をかけるとかいうようなことで解決したらどうか。そういう種類のものを全般的に現在検討しておりますので、御了承を願いたいと思います。
○島村委員 未復員者給与法の一部を改正する法律案及び特別未帰還者給与法の一部を改正する法律案につきましては、討論を省畧しましてただちに採決せられんことを望みます。
○川野委員長 島村君の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 御異議がないようでございますから、これより討論を省畧して採決に入ります。
 未復員者給与法の一部を改正する法律案及び特別未帰還者給与法の一部を改正する法律案について、賛成の諸君の起立を望みます。
    〔総員起立〕
○川野委員長 起立総員。よつて両案は原案通り可決いたしました。
 なお報告書の作成その他の件につきましては、委員長に御一任願います。
    ―――――――――――――
○川野委員長 次は輸出信用保險特別会計法案を議題として質疑を続行いたします。
○佐久間委員 私は再建のために貿易が非常に重要な役割を果すように考えられることは当然でありまして、先般の総理大臣並びに大蔵大臣の議会の演説の中にも、これを重視しておるようにわれわれは聞いたのであります。なおまたこの中に失業者を吸収するというようなことまで言われておるのでありまして、今後貿易に対する関心が高まつて来るということは必然でありましよう。それについて政府といたしましては、これらの育成あるいは進展のためにいろいろの方策を考える、こういうことになるのであろうと思いますが、その結果こういつたような輸出信用保險法というものが出て参つたと私は考えております。つきましてはこの根本法であるところの輸出信用保険法案というものが審議されまして、その結果輸出信用保険特別会計法案がこの委員会に付託された、こういう順序であろうと思います。しかしこの根本基礎事法案であるところの輸出信用保険法案の概要がわからないと、この審議がなかなかはかどらないだろう、こう思うので、一応この内容について御質問したいと思うのでございます。幸いこの法の直接の当事者であるところの宮幡政務次官が出ておられます。宮幡次官はいわばここはホーム・グラウンドであります。そこで幸いにこの席上で高邁な政治識見をわれわれは聞かせていただくことを期待いたしまして、御質問いたす次第であります。そこでこの法案が出るにつきましては、偶然にこれがぽこつと出たのではないだろうと思います。政府は先ほども私が申しました通り、輸出振興のためにいろいろの方途を考えておられた。たとえて言うならば、金融の面におきましても保証的の法案を考えたであろうし、あるいはまた信用保証という面も十分に考慮せられたろうと思うのでありまするが、この法案は出て参りませんで、まあいわば末端の方のこの保險法案にかわつて出て来たんじやないか、こういう考えをわれわれは持つのであります。その間何らかの事情がここには伏在しておりはせぬか。政府の意図と反するというような――反するというのではないかもしれません。なきにまさるであろうと思いますが、この法案が出て参りましたにつきましての諸般の事情をお聞かせ願うことができるならば、発表し得る程度でけつこうでございますから、ひとつ宮幡政務次官の御高見を承りたいと思うのであります。
○宮幡政府委員 佐久間委員にお答えいたします。すでに昨日参議院におきましても、外国為替及び外国貿易管理法が無事通過いたしまして、輸出の面におきましては、本日から自由の原則によつて画期的な貿易が開始せられる、かような状況になつたことはすでに御承知の通りであります。また佐久間委員の御説の中にもありましたように、現在の日本が経済自立達成のために、輸出を第一主義に展開いたしまして、通商産業省というようなもののでき上つた経過もまた御承知の通りであります。しこうして輸出の振興のためには、これまた十分御承知のように、国内の産業の振興が前提であつたわけでありますが、従来の経過におきましては、適切な言葉かどうかは存じませんが、巷間使用されておりますところの言葉で申せば、飢餓輸出をやつても輸出をせなければならぬ、こういう状況になりましたが、その後国際諸情勢の変化、ことには最近のポンドの切下げ及び日本におきますところのドル最低価格、いわゆるフロア・プライスの撤廃、あるいはローガン構想の示唆等もありまして、この面が大きく転換しております。すなわち飢餓輸出の面から、いわゆる満腹輸出という形になつて参つた。この満腹輸出は一時は輸出不振の時代もあるかもしれませんが、やがては輸出の振興を期待できるものであつて、通商産業省としては非常に期待を事かけて進んでおるのであります。
    〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
 しこうして輸出を振興せしむる方途につきましては、佐久間委員もおそらく胸中にそれぞれの御構想をお持ちになつておることは十分わかるのであります。しかしながら今まで管理貿易あるいは政府がことごとく許可を与えるというような貿易方式におきましては、輸出は振興して参らぬ。従つてローガン構想で教えられましたことによつて輸出自由の原則にもどりたい。若干の許可承認事項はまだ残りますが、輸出については大体八五%程度が自由になつた。こういう状況から考えますと、御説の輸出金融ということが国内の現下の金融事情と照し合せまして、通商産業省としては大きく考慮を拂わなければならない問題である。そこでまず輸出の船積み後の金融というものは、これはなさなければならぬのでありまするが、それよりも根本的なものは、結局輸出の契約が成立いたしまして、船積みされますまでのいわゆろ輸出事前の金融ということを配慮いたさなかつたならば、日本の産業経済の実情に即した輸出金融はできない、こういう観点から、しばらく前からその筋の方と折衝を進めて参りました。すでに通商産業委員会あるいはその他の機会あるごとに、国会の機関に御報告申し上げるのには、第六国会におきましてぜひとも輸出金融保証法というもの、すなわち国家がある程度の損失を負担するのだ。通常の保險契約によつて損失の負担のできないものは、国家がかわつて金融機関との包括保証契約を結ばしめて、その保証契約は政府と金融機関の集合体との契約によりて、金融機関を通ずるところの輸出業者に対する保証制度を実施いたしたい、かように考えて、法案の示します通り、輸出保証事制度法というものを考えて交渉いたしたのでありますが、現在の財政経済政策は、すでに御存じの通り政府が特定の業者あるいは一階層等に対しまして、補助あるいは援助というようなことを与えることは、根本的に認められない情勢に相なつた。われわれの考えました保証制度というものは決して補助金でなく、あるいは援助助成でなくして、ほんとうの相互保險だ、保險の制度を延長した趣旨に行くものであるということをるる説明いたしましたが、現下の情勢におきましては、この了解が困難となりまして、これはどうしても保險ならば保險の精神で行くようにということで、第二段階としては、保險の精神でもけつこうであるが、これは金融機関事を通じてやる保險、しかも貨物積出し前に契約後の金融をやる、ここに生命があるのだということを強調いたして交渉いたしましたが、事前金融はまかりならぬ、おおむね英国式の保証制度にならつて考えたらよかろう、かようなことで、今度は保險会社との包括契約をいたしまして、保險会社と輸出業者との間に結ばれます通常の保險契約で負担できないところの事項を保險する。これに対しまして政府が特別会計を設け保証する制度、かような段階になつて参つたのであります。しかしながら日本の輸出振興をはかるという上においては、貨物積出し前の一融措置が請ぜられない事以上、はなはだもつて金融面から見まする輸出振興ということは心もとないわけでありまして、現状におきましてはこの法律がやむを得ないものである。またこれが設けられないよりも、これが実施せられた方がまさつておることは当然でありますけれども、これをもちまして輸出金融万全なり、あるいは輸出金融がこれによつて解決され、るであろうなどということを考えておるものではないのであります。この点をお含みくださいまして、どうぞ委員各位におきまして十分なる御審議、御検討をいただきたいことをお願い申し上げます。
○佐久間委員 ただいまの御説明を承りまして、その間の事情がはつきりいたして参つたのでありまして、その点に関しましては非常な御努力をお拂いになつたということをほのかに聞いておりましたが、まさにその通りでありました。客観情勢がせつかく企図されました金融、いわゆる事前の金融措置について及ばなかつたということは非常に残念に存じます。将来その面になお一層の御努力をいただくことが期待できると私は思つております。
 そこでこの保險の内容の問題について多少お聞きいたしたいと思うのでありますが、この保險はいわゆるマリーン・ポリシーの中にインクルードされるものであると承知しております。しかしそうなりますと生産資金というものについての保險は保障はないわけだと思いますが、この点はどうでありますか。
○前野説明員 ただいま政務次官の方から御答弁いたしましたように、輸出の船積み前の金融につきましては本法案は触れておらないのでございます。従つて生産資金につきましてはこの法案ではカバーされておらないのであります。
○佐久間委員 生産資金については別にカバーできないということでありますが、しからばこの法案は業者と保險会社の直接契約によりまして、政府がこれを保証するという形をとるのかどうかということを御説明願いたい。
○宮幡政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、これは法文の第二條にありますように、包括保險契約に属するものであると御了承を願いたいと思います。
○佐久間委員 句括保險契事であるということはまさにその通りであります。こり中に担保の條項が記載されてあるようでございますが、これを見ますとなるほどこれはほとんど不可抗力に近いようなものでありまして、政府がこれに対して保証を与えてやる、こういうことによりまして貿易が進展して参るのが当然でございます。まあわれわれは了承しておりますけれども、野党方面から考えて政府は当然保証をしてやつた方がいいというようなものに対して、保險料をとつてその保險料でやつてやるというようなことは、どうも少しどうかとの御意見が出て来るだろうと思うのですけれども、政府がどれだけの予算措置をなすのでありますか。それに対して初めから政府はどれだけの腹をもつてこれに対するというのであるか。全部保險料をもつてこれをカバーして行く考えなのか。この点をひとつ御説明願いたいと思います。
○宮幡政府委員 まことにごもつともだと存じます。補正予算の中に載つておりますように、予算措置として五億の資金を特別会計に入れることになつております。それでたとい事前金融に対します一種の保証的な措置が講ぜられたといたしましても、これは独立採算制でやつて行くことが基本の方針になつております。本法を基準にして申上げますと、保險料として頂戴するのは政令で定めることになつており、しかも審議会の議を経て定めるのでありますが、今の千分の二・五を事務費その他の費用としてとろう。資金の点につきましてはものによりましてはこれによつて消耗いたさないと考える。たとえば損失を補填いたしましたならば、その保險会社の損失の点に対して一つの求償権をこの特別会計が取得いたしまして、この特別会計の権限内におきまして、この求償権によりましてその損失補填額を保險会社から回収できる、こういうような形もとれるではなかろうかと思います。元々事前金融を本体として考えたのでありまして、事前金融によつてまかなつて参りましたならば、今年度五億の金をもつて操作いたしましても、結論におきましては、千分の二・五の保險料が完全に独立採算制がとれる。しかもこれによりまして相当広い面の損失保証ということが達成できる、かように考えているものであります。その気持につきましてはただいまもかわりません。これを政府の負担において、一般会計の負担においてやるということは、当初から持つていないことを御了承願いたいのであります。
○佐久間委員 これは英国の方でやつておりますように、英国では生産資金までこの中に入れてやつているようでございますが、ここに出て参つたのは生産資金の分は除いたものになつているようでございます。将来この保險の不備と申しますとたくさんございますので、実際はこれを業者に適用いたしましてもあまり喜ばないし、輸出業者にいたしましても期待とはなはだかけ離れているように考えられますので、政府は将来こういう面について相当研究もし、考えても参ろうかと思います。つきましてはこの内容をあまり私がひねくりまわしまして、今ここでやる必要はないことだろうと思いますが、せつかくこういう案を考えつかれて、輸出振興のために何らかの手を打とうとする政府のお心持はよくわかるのでありまして、私は将来の問題として、課題として残さるべき問題だろうと存じますので、内容はあまりお聞きいたすまいと思います。どうかひとつ、時間的余裕がなかつたろうと存じますから、十分これを御研究いただきまして、今後なお一層完璧を期するようお願い申し上げておきまして、内容の質問は後日にまわそうと考えます。この点お願いいたします。
○宮幡政府委員 たいへんうがつたお説を伺いまして、われわれといたしまして感謝にたえないのであります。これは御承知のように英国には信用保証局というものが設けられており、しかも海外にそれぞれの機関を持ちまして、保險事故の査定を自由にできるという立場にいるこの英国式の制度になぞらつたものでありまして、日本はいまだ非常に評判の悪い盲貿易の域を脱しておらない。海外に駐在する財務官、商務官もいまだ実現していない。近くその運びになるのでありますが、いずれにしても世界全部にわたりましてさようなことの措置が講ぜられるのは、まだ相当後であると考えなければならない。そこで英国式の方では佐久間さん御承知の通りに千分の十の保險料をとりまして、これはまつたく独立採算制でやつております。こちらの方は生産資金をはずしました貨物積出し後の金融は、お説のようにまつたく消極的なものであります。しかしながら先ほども申し上げましたように、やらないにはまさる、こういう程度でありまして、まずもつて輸出振興の第一対策としまして、これを御審議願い、しかして第七国会も連続的に開会せられるのでありますから、その機会におきましてさらに一層の努力を次から次にと積み上げまして、真の輸出金融が達成せられますように努力いたして参りたいと存じております。その点につきましては、あるいは損害保險の行政全般を、かつての組織のように通商産業省におもどし願い、あるいは保險庁あるいは保險局というようなものを設定いたしまして、いまだ十分でないと考えられます法律の運用にも、行政機構がまつたく密着いたしますような制度等を考えておるわけであります。それらにつきましては、行政管理庁に対しまして行政制度の改革を、通商産業省案としてすでに申し入れてあります。もちろん大蔵省等との関係もありまして、まだ国内におきまする意見も整つておるわけではございませんが、輸出振興という大目標から、どうしてもかような線に進まなければならないと、せつかく努力を重ねておる次第であります。どうぞ大蔵委員各位におかれましてもこの実情を御了承の上、絶大なる御支援を賜わりたいということをこの際特に申し上げておきます。
○島村委員長代理 午前中はこの程度にいたしまして、午後は一時半から質疑を続行することにいたします。
  しばらく休憩いたします。
    午後零時三十二分休憩
     ―――――・―――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕