第006回国会 本会議 第4号
昭和二十四年十月三十一日(月曜日)
 議事日程 第四号
    午後一時開議
    質問
 一 薪炭特別会計に関する緊急質問(井上良二君提出)
 二 現行社会保険制度の危機突破に関する緊急質問(岡良一君提出)
 三 石炭手当及び寒冷地手当に関する緊急質問(松澤兼人君提出)
 四 失業対策に関する緊急質問(前田種男君提出)
 五 藷類統制撤廃に関する緊急質問(金子與重郎君提出)
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●本日の会議に付した事件
 船舶法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 災害地対策特別委員会における調査の報告
 一 薪炭特別会計に関する緊急質問(井上良二君提出)
 二 現行社会保険制度の危機突破に関する緊急質問(岡良一君提出)
 三 石炭手当及び寒冷地手当に関する緊急質問(松澤兼人君提出)
 四 失業対策に関する緊急質問(前田種男君提出)
 五 藷類統制撤廃に関する緊急質問(金子與重郎君提出)
 貿易振興対策に関する緊急質問(山手滿男君提出)
 食糧の輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 海運復興に関する緊急質問(米窪滿亮君提出)
    午後一時六分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、船舶法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 今村君の同議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 船舶法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長稻田直道君。
    〔稻田直道君登壇〕
○稻田直道君 ただいま議題となりました船舶法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。
 本法案の趣旨を簡単に申し上げますと、現行の船舶法におきましては、一旦船舶が登録され、船舶国籍証書が交付されました後におきまして登録の抹消又は変更すべき事由が発生いたしました場合、当事者の申出をまつて初めて船舶原簿を整備することになつております。しかも、変更がありました場合には、当該船舶の航行は何らさしつかえないことになつておりまするので、往々にして所定の手続きを怠るものがあり、従いまして登録簿と現在船舶との間に少からず食い違いを生じている実状でありまするので、これを是正いたしまして日本船舶の現状を明確に把握いたしまするために、本案の通りに改めんとするのであります。
 その内容のおもなる点をあげますると、第一点といたしまして、船舶所有者は定期的に一定期日までに船舶国籍証書を管海官庁に提出してその検認を受けることとし、検認を受けない船舶国籍証書は無効として、管海官庁においてその船舶の登録を職権をもつて抹消するということであります。
 第二点といたしましては、船舶所有者の変更があつた場合には、変更登録並びに船舶国籍証書の書きかえを申請した後でなければその船舶を航行させてはならぬということであります。
 第三点といたしましては、日本船舶でないものが日本船舶を偽装した場合に、その行為の悪質性が特に著しい場合には船舶を没収し得るということであります。
 第四点といたしましては、罰金の額を現下の経済事情に適応するように調整する、こういうことにしようとするものであります。
 次に、本法案に対する質疑の主なる点を申し上げますと、本法案は登簿船を対象としているが、不登簿船については調査を行わないのかとの質問に対して、政府委員より、今回はさしあたり登簿船のみを調査し、不登簿船については将来調査を行う予定であるとの答弁であり、又罰則においては船舶を没収し得ると規定されているが、これはいかなる場合であるかとの質問に対して、政府委員より、特に悪質と認められる場合にこれを没収するのであるとの答弁がありました。その他の詳細は会議録に譲ることといたします。
 かくて討論を省略して、ただちに裁決に入り、全会一致をもつて政府原案通り可決いたしました次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言もなければ、ただちに裁決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 災害地対策特別委員長より同委員会における調査の報告をしたい旨の申し出があります。これを許します。災害地対策特別委員長大内一郎君。
    〔大内一郎君登壇〕
○大内一郎君 災害地対策特別委員会において慎重審議、調査研究しました結晶につきまして、簡単明瞭に御報告したいと存じます。
 申すまでもなく、災害地対策特別委員会は予算を取扱わない委員会でありまして、これは私から申すまでもなく各位の御了承の点であると考えます。従つてわれわれは災害地対策をいかにした方がよろしいかということを決定したにすぎないのであります。従いまして、これを予算化し制度化するためには、各位の非常なる御協力をいただきまして、われわれの決定しましたところの政策の実現を期したいということを、衷心から念願するものであります。(拍手)
 災害地対策に関する報告書といたしまして、これを議長の手許に差し上げておきましたから、これを印刷に付されまして皆さんのお手許に特別配布になることと私は考えます。従つて、これをごらんいただけばよろしいのでありますが、この席上において、端的に私はその要旨だけを、極めて簡単に申し上げておきたいと思います。
 皆さんも御了承になつておるように、過去十数年間にわたり、我が国土経営は、戦争目的遂行という名のもとに、全く閑却せられ、治水も治山もほとんど放任せられてきたのであります。すなわち、河川、道路、港湾のごときは施設の増築あるいは改修に何らの努力もなされず、戦争中濫伐され、山林は荒廃し、植林は行われなかつたのであります。かえつて加うるに無計画なる開拓によりその荒廃は度を増し、あるいは掠奪農法により地方は著しく減耗し、又貯水、灌漑の施設もきわめて不完全にして、耕地の改良も行われない実状であつたのであります。これによりまして、一昨年来の引き続く台風の襲来により甚大なる被害をこうむつたのであつて、これが復旧は一日一刻もゆるがせにすべきものではないのであります。それにもかかわらず、国家の財政は窮乏をきわめておりますために適切なる対策を欠いておることは、誠に遺憾にたえない次第であります。かかる状況にあつたときにデラ、キテイ台風等の一連の台風が襲来し、旱魃もこうむり、ためにこれらの被害は必然的に増加せられたのであります。これはひとり被害民のために悲しむべきのみならず、社会不安を除き、食糧を確保し、国民の経済力を充実せしめ、民生の安定を期する上からも、誠に慨嘆にたえない次第であります。
 本特別委員会においては、この委員会設置以来、累次にわたり委員会を開催し、政府当局に対し、一般災害復旧状況について説明を求め、またその対策等についてただすとともに、九州、四国、中国等に起つたこれらの災害に対しまして、また北海道の旱害、そうした各地の災害に対しても特派議員を派遣いたしまして、その実情を調査いたしたのであります。そうした実情を調査した結晶といたしまして、我が委員会においては、その対策を決定したような次第であります。
 また、この際特に申し上げておきたいと思いますことは、今日日本の実状から見まして、ほとんど毎年災害が起つてくるのであります。これは私からご説明申し上げるまでもなく、日本の地勢がアジア大陸を抱きまして、亜熱帯から寒帯に至るまで細長い地形をしておるのでありますから、必ず毎年台風は襲来します。そういたしましたならば、日本のいずれの地帯かに災害の起らない年はないのであります。災害は連続的に毎年起る。かように予定されました場合において、この災害地対策委員会というものを臨時の委員会としておくことは必ずしも適当ではない。災害が起りましたならば、その災害に即応して、ただちに施設をなし得るような態勢を整えておくことが必要であるというような意見が、委員会においては圧倒的に多数であつたのであります。すなわち、災害を防滅、除去するために災害地対策委員会を常設的の委員会にして、恒久的にその対策を考究せしめることが必要であるというような意見が、委員会においてはすこぶる多かつたのであります。これに対しましては各位におかれましても十分に御考慮をいただきたいと私は考えるのであります。
 なお、この際各方面にわたりまして対策を決定いたしました。これを一々朗読いたしますことは、まことに煩にたえませんから、その項目だけを申し上げておきます。一般財政金融関係、森林関係、開拓関係、干拓関係、水産関係、港湾関係、土木関係、厚生関係、測候関係、その他立法措置関係等数十項目にわたつておるのでありますが、これを私は一々朗読するの煩を避けます。皆さんは、お手許に御配布を受けました時に、これをよくごらんになりまして、われわれの決定しましたところの対策に対しまして深甚なる御同情を仰ぎたいと考えるのであります。
 またこの際申し上げてみたいと思いますことは、災害地対策委員会において、災害費を優先的になるべく多く計上してもらいたいという委員会の総意を代表いたしまして、予算閣議中の内閣に参りまして、増田官房長官に会見を求め、その点を申し上げたのでありますが、その際官房長官からは、災害を防止し除去するためには、その経費を御期待に添うようにできる限り計上する方針であるというお話があつたのであります。しかしながら、われわれ委員会の目から見ますれば相当物足らない点もあり、また一層政府の努力によりまして、ほんとうに災害を絶滅するようにしたいと私どもは考えておるのであります。できるならば災害地対策委員会というようなものの必要がなくなつて、これを解消せしめるような状態にならなければ、われわれの目的は達成することができないのである。その災害を絶滅せしめるために、私ども委員会において決定したところの政策をことごとく行うことができましたならば、必ず災害をなからしむることができるのではないかと、かような考えを持つておる次第でありますから、この委員会の決定を予算化し、制度化するために、諸君の絶大なるご支援を賜わらんことを切にお願いいたしまして、私の御報告といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) これより緊急質問一ないし五を逐次許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 質問一、薪炭特別会計に関する緊急質問を許可いたします。井上良二君。
    〔井上良二君登壇〕
○井上良二君 ただいま議題となりました薪炭特別会計に関する緊急質問を試みたいと存じます。この薪炭特別会計の問題は、第三次吉田内閣ができまして始めて天下にその醜をさらした、腐敗きわまる内容でございますので、これから私が質問いたします数点に対しましては、総理大臣並びに各関係大臣の責任と誠意ある答弁を要求いたすのであります。
 質問の第一は、政府は現行薪炭特別会計と物資需給調整法に基づく薪炭需給調整規則によつて薪炭の一定買上げと販売を行う責任があるにかかわらず、今春四月以来、全国的に薪炭の買上げを停止したのみならず、これまで政府が買い上げた代金を支払わず、生産者に重大な損害を与え、他方卸業者の売掛代金の回収を積極的に行わずして、突如として去る七月三十一日、本特別会計法の運用を停止し、薪炭需給調整規則を廃止して、薪炭の一手買上げと販売を打切つたのであります。この薪炭特別会計法とその資金の運用は、国会で議決承認した法律に基くものであつて、天災地変等非常の場合を除くのほか、この法律の効力と機能を行政府たる政府が一方的に独断的にこれを停止することは、明らかに憲法違反であり、国家最高の機関たる国会を完全に無視するファッショ的な行為であつて、全国民は断じて許すことはできません。政府は、いかなる法的根拠によつて、かくのごとき非民主的な措置をとつたのであるか、総理大臣並びに関係大臣の責任ある答弁を求めるとともに、また政府はこの生産者に与えた損害を以下に補償されんとするか、御明答を願いたいのであります。
 第二点は、政府は、本特別会計の運用の停止に関連して聞き捨てならないことは、この薪炭会計が薪炭の現物を売り買いする会計であるにかかわらず、その決算において一度も現物のたなおろしをしていないと言明しておるが、しからば政府は、今日まで国会に提出、承認を求めてきた薪炭会計の決算書はいずれも机上の偽装の計算書であつたことを認めるかいなか。また、この会計報告と同様、現物を対象とする他の特別会計の決算書もまた現物と照合しない机上の決算報告であるやいなや、あわせて明答されたいのであります。万一机上の偽装の決算報告書であるとすれば、かくのごとき偽装の決算報告書によつて国会と国民をあざむいてきた責任を、政府はいかに負わんとするか、この点を承りたい。
 第三は、増田官房長官は、去る八月四日、新聞記者との会見において、本薪炭特別会計の赤字は歴代内閣の責任であると発表しているが、政府が、今日まで本特別会計の赤字約五十五億円の内容はいずれも現内閣の薪炭行政の失敗によつて生じたものであるにかかわらず、その責任の所在を明らかにせず、過去十箇年にわたる歴代内閣の共同責任であるがごとく放送して吉田内閣の政治的責任を逃れんとするがごとき卑怯きわまる態度に対しては、われらは断固糾弾せなければなりません。
 本年七月末、農林、経本、大蔵の三省名をもつて発表せる赤字約五十五億円の内容を検討してみると、実に常識では考えられない、悪辣というか、無軌道というか、全く乱脈きわまる会計内容に驚かざるを得ないのであります。たとえて申しますと、山で、まだからすや、すずめが鳴いているところの立木が、薪炭生産品として政府に買い上げられたり、二重の支払証票が発行されたり、生産地駅から発車した貨車積みの薪炭が目的地に着かなかつたり、その他十八項目にわたる行方不明の不足薪炭が、金額にして実に十四億円に上つているのであります。これらはいずれもが民法上の債務不履行に基く損害賠償の対象事件であり、また刑法上の横領、詐欺、公文書偽造、背任等の犯罪を構成することになると思うが、政府はこの乱脈きわまる不正の数々の事実を一体何と見るか。
 更に、昨年冬、消費地における薪炭の保管減耗、手直し料等による損害約十億円及び長尺物のまき値下げによる損害三億四千万円等を初め、現にまだ売りさばいていない政府手持の現物薪炭の損害を、売渡す前から二十億円と推定するなど、そのいずれもが薪炭行政の失敗と監督不行き届きに基く現吉田内閣の責任であつて、歴代内閣の責任でないことは明らかであります。もし吉田内閣がこの赤字を歴代内閣の共同責任であるというならば、昭和十五年以来、本薪炭会計が始まつてから歴代内閣が行つてきた薪炭会計の内容を、いま少しよく検討されてから申されたいのであります。
 参考までに、昭和十五年から二十二年に至る八年間の薪炭特別会計の損益を示しますと、昭和十五年度の赤字八百三十万円、昭和十六年度の赤字百八十四万円、昭和十七年度が同じく百六十九万円、昭和十八年度の利益が百五十万円、昭和十九年度の赤字四千六百万円、昭和二十年度の利益一億三百六十五万円、かくのごとくでございまして、第一次吉田内閣の成立する以前までの本会計は、四千七百万円の黒字となつておるのであります。この第一次吉田内閣が在任していた昭和二十一年度には一億八千万円の赤字を出し、二十二年の片山内閣当時には、赤字どころか逆に二万二千円の黒字となつておるのであります。ところがまた、第二次、第三次吉田内閣の昭和二十三年度末、すなわち本年の三月末においては、三十三億五千万円の赤字があると発表しているではないか。もし政府があくまで本会計の赤字を歴代内閣の共同責任であると言うならば、どの赤字が共同責任であるかを、増田官房長官及び農林大臣は明確にされたいと思うのであります。
 次に第四点として大蔵大臣並びに農林大臣に質問したいことは、政府は本特別会計を政府の一方的な措置によりその運用と機能を停止して、目下薪炭会計は清算事務に全力を注ぎ、いまだ赤字の内容が具体的に明らかになつていない今日、昭和二十四年度補正予算において、薪炭特別会計の赤字補填として、一般会計より五十四億七千万円を本会計に繰入れんとしているが、大蔵大臣は薪炭特別会計の赤字がすでに五十四億七千万円あるとの認定に基いてこの補正予算に計上せんとするのかを承りたい。われわれが農林委員会において質問したところによると、政府は、本特別会計の生産は明年四月ごろまでに完了したいと考えて目下清算事務に全力をあげていると言明しているのであります。然るに政府は、本会計法の改正も行わず、また清算について国会に報告もせず、従つて承認もされていないのに、昭和二十四年度補正予算に、本会計の赤字補填として五十四億七千万円を一般会計より本特別会計に繰入れるがごときは、国法上、財政上断じて許さるべき行為でないと考えますが、大蔵大臣の所見を承りたい。
 政府の説明するところによると、この五十四億七千万円は、日銀が手持している薪炭債券の支払期日が来ているので、その償還に充てるとのことであるが、それ程政府が債務の支払いに忠実ならば、何ゆえ今春四月以前から政府が買い上げてきた約二十億に上る薪炭生産者の政府未払代金をすみやかに支払つてやらないのか。かれら山村の生産者は、日々の飯米さえ買うことができ得ない惨状であつて、たびたび政府に対してその苦衷を訴え、支払いの促進を陳情してきたのにかかわらず、これら山村の零細な薪炭生産者にはその代金を支払わず、その金利さえ満足に補償せずに七箇月間も放任して、大資本である都市の卸業者への売掛代金の回収はきわめてこれを寛大にし、さらに金融資本への支払いのためには法規を無視し、国民の血税をしぼりとつても即時支払つてやるというこの政府の態度こそ、勤労国民を犠牲にして金融資本に奉仕せんとする民自党内閣の本質を完全に暴露したものであつて、国民の断じて許さないところであります。(拍手)これに対する総理大臣、大蔵大臣の見解を伺いたい。
 次に政府は、この五十四億七千万円を含む二十四年度の補正予算が国会を通過すれば、薪炭生産者にこの予算額の中から未払代金を支払うかのごとく言明しているが、その根拠を明確に答弁していただきたい。われわれの承知するところでは、五十四億七千万円は薪炭債券の支払期限が来ているので、その支払いに充てんとするのではないかと思われるが、はたしたしからば、この補正予算が国会を通過しても、生産者その他に支払う約三十億はこの補正予算には組まれていないではないか。政府は、政府手持薪炭の売却、卸業者からの売掛代金の回収等の収入が予想されるから、本会計法に規定せる通り薪炭債券の支払い分を一部借りかえてその支払いを延期し、即時薪炭生産者に未払代金とその利子を支払うために補正予算を組むことが最も緊要ではないかと思うが、大蔵大臣、農林大臣の考え方を聞きたい。
 最後に私は、本薪炭特別会計がこの赤字を出したというのは、薪炭を自由販売にせんとする計画的な意図のもとに、ことさらに赤字を出して、本会計の運用を不能の陥れたのではないかと思われる点がきわめて多いので、本特別会計の本日までの清算の内容、すなわち約二十億に上る卸業者に対する売掛金代金の回収状況、政府手持薪炭の在庫数量、保管減耗、手直し料等による損害と売りさばき状況、運送途中に紛失せる薪炭の損害の賠償取立状況、さらに三十三億五千万円に上る現物不足を中心とする赤字内容の清算と究明の状況、その責任を以下に追及したか。さらに本特別会計の停止によつて国民生活に重大な関係のある薪炭の需給に今後政府は以下に責任を持ち得るや、これらの点を、本国会を通して国民に明確に報告をされたいと思います。
 かくのごとく薪炭特別会計の運用を誤り、国法を無視し、国会の権威を冒涜して、国家と国民に莫大な損害を与えたこの事実に対して、農林大臣、安本長官、大蔵大臣、さらに吉田内閣の全閣僚は、その政治的失敗を国民に謝して、すみやかに引責辞職をすべき必要があると考えますが、総理大臣の本問題に対する責任ある答弁を要求したいと思います。
 以上質問申し上げました数点は、この問題に対するきわめて重要な諸点でございまして、これらに対する各大臣の誠意ある答弁を要求いたします。万一答弁が不満足の場合は再質問をすることを保留いたしまして、私の質問はこれをもつて終わります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) 井上君にお答えをいたします。
 薪炭特別会計法の効力を政府が独断で停止したというようなご意見でありますが、この点については農林大臣から詳細お答えをいたします。
 また、この薪炭会計は昭和十五年以来の問題であつて、その間片山内閣のときには黒字であつたということでありますが、私の承知いたしておるところは、そうでないのであります。詳細のことは主幹大臣からお答えをいたします。
 薪炭会計の経理については、われわれは積年の宿弊と考え、これを断固として処分いたさなければならぬ、こう考えて、この問題の解決に、前に着手いたしておるのであります。この内閣におきましては、あるいはこの臨時国会においては、先ず補正予算を提出して一応の処置を講ずる、さらにまた債権の回収においては、全力をあげて努力いたすつもりでおります。その他の件については主幹大臣からお答えいたします。
    〔国務大臣増田甲子七君登壇〕
○国務大臣(増田甲子七君) 井上さんの御質問にお答え申上げます。薪炭特別会計の経理の不当であるということにつきましては、井上さんが政務次官であつたときの内閣をも含めた歴代内閣の宿弊でございますことは、総理大臣の御指摘の通りであります。そこで政府といたしましては、ただほおかむりをして過ごしてはいけない、結局自主的責任あるいは形式的責任を果たさなければいかぬというわけで、この宿弊を断固改めるつもりで、今回臨時国会において適当な措置をとりたい、その前提として買上げ業務だけは一応停止した次第でございまして、会計自身は存続いたしております。繰り返して申し上げますが、薪炭特別会計は、その設定当時から毎年々々いわゆる赤字を出しておるのでございまして、その意味において、私は歴代内閣の責任である、こう断じた次第でございます。
    〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
○国務大臣(森幸太郎君) 井上議員にお答えいたします。薪炭特別会計につきましては、農林委員会でいろいろ御質疑がありまして、当時政府といたしましては、今日の生産計画等についてお答えいたしておつたのでありますが、なお重ねての御質問でありまするから、一応お答えをいたします。
 薪炭特別会計法は、御承知の通り財政法第二章の第十三条によつて設けられてあるのであります。この特別会計は、特定の資金を保有して特定の事業を行う場合に、特別にこういうふうな会計方式を作るのは、御承知の通りであります。この薪炭特別会計におきましても、買入れ、販売というやり方につきましては、農林省令によつてこれを規則として定めて行くのでありますから、これを運用の上において、農林省令によりまして一時停止いたしましたことは、決してこの法律を廃止したわけではありません。また憲法に違反することは断じてないと考えているわけであります。
 なお、たなおろしをしなかつたではないかというおしかりでありますが、御承知の通り、この薪炭特別会計は昭和十五年八月にできたのであります。由来十一次内閣がかわつております。その間、この特別会計法の年々の経理につきましては、会計検査院がこれを検査されておつたのでありますが、この時代におきましては、現物の移動は、集荷業者なり、あるいは輸送業者、配給業者をして行わしておつたのでありますが、これはまことに少数な担当者でありましたためでもあつたか、たなおろしということは、はなはだ遺憾ながら行われておらないのは事実であります。これは、特別会計の経理の上におきまして特殊な経理方法がこの薪炭特別会計に設けられているのであります。それは年度末における在庫品を市価によつて評価する、こういうふうなやり方になつておりまして、この評価の見積が、つまり空疎な収入として今日まで計上されてきたことが、今日赤字の累積した結果と思うのであります。
 今井上君は、各内閣時代についていろいろお話になりましたが、非常に数字が違つております。これは今はつきりと申し上げてもいいのでありまするが、二十三年度末の赤字の内容につきましては、今検討中であります。この臨時国会の会期中には大体しつかりしたことはわかると思いますが、今調査しておりまする点で申しますると、先ほど井上君は、片山内閣のときは黒字が出た、かようにおつしやつておりますが、断じて黒字は出ておりません。十五年、十六年、十七年以来すべて赤字であります。片山内閣のときには、今の調査によりますと六億八千二百四十九万五千円の赤字が出ております。二十三年度の年度末の累積によりまして二十三億八千万円ということになつておるのでありまするが、これは十五年以来の赤字の累積であります。なお、しつかりした数字はお手元におまわしいたしますが、今お話のような、片山内閣時代には黒字であつたということは断じてありません。
 補正予算において、一般会計から五十数億の繰入は、赤字補填という意味ではありません。これは補正予算が出れば、おのずからわかろうと思いますが、特別会計の債務の一部を返還するために一般会計から繰入れるのであります。従つて、今お話になりました生産者に対しましては、ただちにこれが支払いを予定いたしておるのであります。
 また、今日の整備の状況を申し上げますならば、今日収入未済のものが十月十五日現在で二十二億五千八百万円あります。手持のまき、炭、これを売払う見込のものが十億六千九百万円あります。そうして支払いの終わつていないもの、これは十月十五日現在でありまするが、二十三億一千九百万円であります。従つて政府といたしましては、この年度初めにおきまして、二十三年度末の赤字に驚きまして、この運用を停止いたして、すみやかにこれを整備しなければならない、こういう立場でこの会計の整備にかかつておるのであります。それで、本年の八月特別会計の機能は停止しましたが、政府はこの債権債務の確定、卸売業者への収入の強化、手持薪炭の最も有利な価格による販売、過去数年にわたるところの現物不足薪炭の追及に努めてきておるのでありますが、薪炭の不需要期であつたために、八月、九月の収入は約五億円であります。十月中旬まで債務に償還いたしました金額は約六億円であります。右のうちに、手持薪炭は十二月までに販売を完了して、政府の債権の回収に早く努力をいたしたいと考えておるわけであります。以上数字等につきましては、非常に誤解をされるのでありまするから、はつきりとお手元に発表いたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいま大蔵大臣に対しまする御質問があつたようでありまするが、大蔵大臣は本日はご出席がありませんから、大蔵政務次官からかわつて答弁いたします。大蔵政務次官水田三喜男君。
    〔政府委員水田三喜男君登壇〕
○政府委員(水田三喜男君) お答えいたします。薪炭特別会計における赤字の額は目下確定しておりませんが、いずれにしろ年度内に現金収支を調整するために、その債務の支払財源としまして一般会計から五十四億七千万円を繰入れる予定になつておることは事実であります。しかしながら、これは先程の御質問のように、かつてに繰入れるのではありませんので、当然補正予算を提出する際には、一般会計から繰入をなすための法律案を提出する予定になつておりまして、この点は目下折衝中であります。
 第二の御質問の点でございますが、未払金をそのままにしておいて薪炭証券の償還費だけを繰入れることはけしからぬというお話でございましたが、この点は委員会において、しばしば井上さんにも政府から説明しております通り、二十億円を超すかもしれませんが、この未払金は必ず支払う方針でおります。そうなれば、なぜこの未払金の支払いをはつきりと予算に断つて入れないかというお話でありましたが、大体薪炭証券の償還額だけを立てておけば、その範囲で、一方未収金がありますので、この未収金の回収と相まつて、これだけの未払金は必ず返せる、こういう見通しの上で五十四億七千万円だけ繰入れたい、こういうことでありますので、御了承願います。
○井上良二君 議長……。
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの問題はお約束の時間が過ぎております。従つて再質問はもし必要ならば、きわめて簡単に願います。
    〔井上良二君登壇〕
○井上良二君 ただいま総理大臣、官房長官、農林大臣とも、まことに私の質問しました重要なる点には触れておりません。ただ吉田内閣は、いかにその責任をのがれるかということだけに一生懸命であつて、私がただいま質問いたしましたこの赤字の内容が歴代内閣の責任であるというようなことを申しておりますけれども、私の調べたところの決算報告書は会計検査院の決算報告書でありまして、これがもし誤つておるとあなたがたが言うならば、どこを一体信用してよいのですか。われわれは会計検査院の決算によつて初めてこれを信用しておるのであります。もしこれが間違いであるというならば、政府は会計検査院の決算の報告は、これは認めないとおつしやるのですか。この点を、総理大臣あるいは大蔵大臣、農林大臣も明確にされたいと思います。
 それから今一つ、農林大臣は薪炭の一手買上げ、一手販売は農林省令による需給調整規則によつてやつたと申しておりますけれども、少くともこれは物調法によつて規定された範囲において行われる規則でありますから、当然その元は物調法によつてやられることであります。従つて、そういう省令のかつてなことによつて、かんじんの法律が曲げられるというようなことは断じて国会としては承認できません。この点に対して明確な御所見を承りたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
○国務大臣(森幸太郎君) 井上君の重ねての御質問にお答えいたします。物調法でやつているのではありません。先ほど申しました薪炭特別会計法というものは、薪炭を買い上げ販売する場合の会計の方式を特別会計法において定めてあるのであります。買入れ販売そのもののやり方は農林省令で、規則でやつておるのでありますから、物調法でやつておるのではありません。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 現行社会保険制度の危機突破に関する緊急質問を許可いたします。岡良一君。
    〔岡良一君登壇〕
○岡良一君 日本社会党を代表いたしまして、社会保険、なかんずく現在行われておりまする健康保険諸制度が目下会計上の赤字のために非常な危機に見舞われているのでありまして、この危機を政府はいかなる施策をもつて突破せんとせられるかをただしたいのであります。
 健康保険制度は、昭和二年、当時賃金百円以下の百九十万人の労働者を対象といたしまして、漸次拡大発展いたして、現在は被保険者は六百万人を超え、その扶養家族を加うるならば、おそらく二千万人を超えているのであります。これに加うるに、国民健康保険制度は、これまた昨年七月発足をいたしましてより、すでに五千七百の市町村においてその設立を見、その対象は二千七百万人を突破いたしまして、現在は全人口の七割がこの保険制度の恩典に浴することになつているのであります。しかも、これらの被保険者はほとんど労働者であり、農民である。従いまして、健康保険制度は、これらの労働者や農民の、その日々の生活のかてであるところの労働力を疾病から守り、労働力の保全を策するところのもつとも緊要なる制度といたしまして、われわれは、その帰趨につきましては重大なる関心を払いつつあるのであります。
 ところが、この保険制度が、現在会計上の赤字によつて危機に陥りました。危機の実態は、健康保険制度におきましては、保険料率を千分の五十五に引上げましても年間に十二億四千六百万円の赤字が予想されている。しかも保険料率の引上げをいたすとするならば、先般の第五国会においては千分の四十が五十五に引上げられ、かつまたこれが、一部に伝えられるがごとく千分の六十五に引上げられますならば、標準報酬を六千円といたしましても一人当たり年間九百円、総体におきましては、事業主及び労働者に対しまして、それぞれ五十四億の大きな負担加重となるのでありまして、明らかに実質賃金の厖大なる切下げとなるのであります。あるいはまた国民健康保険におきましても、現在すでにその医療報酬の支払いの四一%というものは借入金あるいは繰入金によつてまかなわれております。ところが保険会計は、現在のところ、一般市町村の会計に比べまして二分の一ないし三分の一の巨額に達しますので、とうてい将来とてもこの繰入金や借入金をもつて保険会計をまかなつていくことは不可能であります。
 しからば、なぜこうした赤字が出て来たか。この赤字の原因は、政府の伝うるところによれば受診率の増加である。利用者が増えたと申している。なるほど健康保険におきましては、受診率は一箇年の間に〇・七から二・四六と、三倍強にふえている。国民健康保険におきましても、昨年に比べまして約二倍にふえ、しかも漸次急増の道をたどつております。しかしながら、かかる利用率の増加こそは、ひつきよう十年の間、無謀な戦争のために虫ばまれたところの国民体力の低下、国民抵抗力の減退、並びに戦後における放漫なインフレ政策による大衆の生活破綻よりいたしまして、保険証をもつて続々病院、医院に大衆がかけつけるからであります。
 かかる事情からいたしまして、現在健康保険制度並びに国民健康保険制度は非常なる危機に陥つているのであります。そこで、かかる観点よりいたしまして、私はまず総理大臣にお伺いをいたしたいのであります。御存知のごとく、このようにいたしまして、利用率の増加というものが、結局無謀なる戦争と放漫なるインフレ政策に基づくものであるならば、当然それによつて来されたるところの保険財政というものの赤字は政府の責任において補償すべきものであると考えます。さらにまた、先般社会保障制度審議会が発足いたしまして、社会保障制度も実現されようといたしておりますが、現行の健康保険制度こそは、その根本でなければならない。いまだ補償制度全般が実施に至らないならば、この健康保険制度を現在政府の責任において当然守るべきが至当と考えるのであります。
 かかる観点よりいたしまして、まず総理大臣に御所見を伺いたいのでありまするが、外紙の伝うるところによれば、英国の政府が、その公約を無視いたしまして、あるいは平価の切下げをやり、あるいは賃金や給与のストップをやる。そうして国民に一段の耐乏生活を要求しているにもかかわらず、英国の国民が政府に対して信任を与えておるゆえんのものは、一昨年断行いたしましたところの社会保障制度のために、英国の国民がもつぱら政府に対して信頼感をつなぎ、また生活に対して安定感を抱いているからであると伝えられているのである。かかる事実こそは、実に健康保険制度の今日の危機においては、含蓄ある教訓と申さねばならないのであります。すでに労働組合を初め、日本医師会、日本歯科医師会あるいは経営者の協会も、こもごも声を大にして医療報酬の国庫一部負担を要求いたしている。あるいは社会保障制度審議会の第一次勧告におきましても、三十一億の赤字は、緊急立法を行つて、もつて政府が財政的に善処すべきことを要請いたしている。あるいは、一昨々日の全国国民健康保険組合の代表者大会におきましては、これまた医療報酬並びに施設費の国庫負担七十億を要求いたしている。しかも、その大会に寄せられましたる首相のメッセージによりますれば、吉田総理大臣は、国民健康保険は社会保障制度の根本である、従つてその復興と発展のためには協力を惜しまないことを言明されているのであります。かかる事情からいたしまして、吉田総理大臣は社会保障制度審議会の勧告を無視されるのか、その権威を尊重されるのか、この点をまずお伺いをいたしたい。その次には、これに関連いたしまして、あくまでも医療報酬を、健康保険並びに国民健康保険においては、国庫の一般会計よりの繰入れによつて、政府の負担においてこれを実現さるる用意があるかどうか、この点を明らかに御答弁願いたいのであります。
 次は厚生大臣にお尋ねをいたしたい。先般の常任委員会における厚生当局の答弁によりますれば、二十二億四千万円の赤字については、五億円は積立金を流用する、十億は他の別途の金融操作による、残りの七億については、大蔵省と一般会計よりの繰入れについて交渉中であるというお話でありましたが、一昨日の本議場における議決によりまして、厚生年金の積立金からこれを補填することと相成つたのであります。厚生年金は、御存じのように、日本の労働者が、日本の労働者のその老後の生活安定のために、全く汗の一しずく一しずくを積み立てているものである。かかる積立金を赤字のために流用する。それでは、厚生年金そのものの赤字を一体どう処断されるつもりであるか。
 最近政府においては、あるいは予算の均衡を叫び、あるいはまた資本の蓄積をうたつておられる。しかしながら、今日のように原料資源に乏しく、生活の物資に不足し、あるいは設備、技術において低い。こういう段階においては、労働者や農民の労働力こそはもつとも重要なる再生産の基本でなければならぬ。かかる労働力を保全しようとするところの健康保険制度に対して、何ら的確なる、責任ある補償をなさないということでもつて、どうしてほんとうに資本の蓄積ができるのか。あるいはまた予算の均衡を唱えられまするが、賃金の遅欠配は一般化し、あるいは賃金ベースの改訂を拒み、農民には定米価をしいながら、しかも彼らの労働力、彼らの生活のかてである労働力を守らんとするところの保険制度の危機をそのまま放任し、あるいは彌縫的に補完せんとするがごとき態度をもつてしては、どこに本当の意味の均衡が期待されるでしようか。かかる観点からいたしまして、厚生大臣は、本国会あるいは来るべき国会において、医療報酬の国庫負担を明文化するところの、明らかなる法の改正を実施される用意ありやいなやをお伺いいたしたい。われわれが医療報酬の一部国庫負担の実現を要求するのは、決して赤字財政の克服だけではなく、憲法に保障されましたところの国民の健康を政府がその責任において保証するというところの大原則を制度の上に実現することを期待いたしまして、強くこのことを要求いたすのでありまするが、厚生大臣の御所見を承りたいのであります。
 次は、社会保障税の実施に関連いたしましてお伺いいたしたい。シャウブ・ミッションの報告によりまして、社会保障税の名のもとに、従来の保険料というものは、一般所得税とともに大蔵省が一元的にこれを徴収することとなり、かつまたその料率は均一化すべきことが要請されておるのであります。ところが社会保障税を実施いたしまするならば必ずやそれに先行するものは現行社会保険制度の根本的なる改革でなければならない。一元的なる統合がこれに先行しなければならないのであります。かかる観点よりいたしまして、われわれは、現在の極めて複雑多岐なるところの社会保険制度、なかんずく共済保険、国民健康保険、健康保険等の複雑なる医療保険制度につきましては、われわれはあくまでも単一化されたる国民保健省を作り、そのもとに医療と予防と公衆衛生の吻合をはかり、あるいは公的医療機関の充実と適正化をはかり、あるいは医療担当者に対する再教育の徹底をはかり、また医薬材料の価格の適正化をはかり、また医療担当者の生活の保障を前提とする登録人頭制の採用、かくのごとき原則に貫かれたるところの一元的な国民医療体系の確立を希望するものでありますが、社会保障税の実施を前にいたしまして、厚生大臣はいかなる構想をお持ちであるか、この点あわせて御答弁を要求いたすものであります。
 以上、総理大臣並びに厚生大臣の御答弁によつては再質問を留保いたすつもりであります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) 岡君にお答えいたします。健康保険制度の利用がだんだん増大いたしました結果、財政に相当の圧迫を加えておるということはお説の通りであります。政府といたしては、なるべくこの制度が円滑に行わるるように、当面の危機についても万全の策を講じたいと考えておりまするが、その総合的社会保障制度については、御承知の通り社会保障制度審議会が設けられておるのでありまするが、その結論を待つて、すみやかに何らかの具体的措置を講じたい、こう考えております。さようご了承を願いたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣林讓治君登壇〕
○国務大臣(林讓治君) 岡君にお答えをいたします。最近健康保険及び国民健康保険の利用者が激増いたしましたがために、これらの保険の財政が極めて困難になつておりますることは、お説の通りでありまして、その対策につきましては、政府も特に苦心をいたしておるところであります。ときあたかも社会保障制度審議会の勧告もありまして、政府といたしましては、健康保険制度の運営について慎重な検討を加えました結果、これらの保険の財政の健全化をはかるために、一面保険料を適正に賦課いたしまして、これを完全に徴収し、歳入の増加を図り、他面医師及び被保険者に対して一層適正なる医療給付を行うよう指導して、歳出面の厳正をはかることに努力中であります。さしあたりの措置といたしましては、国庫余裕金より十億円、健康保険積立金より約四億円、合計約十四億円の繰りかえ使用を行つて、医療報酬の順調なる支払いに努めておるところでありまして、目下のところ、一応収支のバランスを得るに至つた次第であります。また国民健康保険についても、これをなるべく組合経営より市町村公営に移すよう極力指導いたし、健康保険についても同様、保険料の合理的賦課徴収に留意いたしまして、保険経済の健全化に努力いたしておる次第であります。政府といたしましては、健康保険及び国民健康保険の重要性にかんがみまして、今後ともこれが運営に重大なる関心を払い、将来不足の状態に立至りましたという場合においては、その際に必要に応じまして適当なる対策を講じて運営の万全を期したいと考えておるわけであります。
 なお医療費の一部を国庫が負担すべきであるというご意見は、まことにごもつともであると私は存じておるわけでありますが、ただいま申上げました通り、健康保険につきましては、応急的処置により一応収支のバランスを得る見込みが立ちましたし、また国民健康保険については、個々の市町村における保険経済の実態をさらに詳細に検討いたしまして、市町村事体にも収支両面にわたつてくふうと努力をお願いいたしまして、正確なる保険経済の実態をつかんだ上で善処いたしたいと考えておるわけであります。なお社会保険の建前から、医療費の一部については当然国家が負担すべきものであるかどうかという御意見もあるわけでありますが、この点は近く社会保障制度審議会で何分の結論が出ることと存じますので、そのご趣旨に従いまして今後考えて行きたいと考えております。さようご了承をお願いいたします。(拍手)
○岡良一君 簡単でありますから自席からお許しを願います。
 総理大臣の御答弁では、社会保障制度審議会の勧告にまつて漸次実現をして行くつもりであるというお答えでありましたが、それでは、八月の下旬に発せられました社会保障制度審議会の第一次勧告における、緊急立法によつて、三十一億の国庫負担を実施すべきであるという要請を、この二箇月間なおたな上げにしておられる。これでは、あたかも御答弁は顧みて他を言うがごとき感がいたすのでありますが、総理大臣は社会保障制度審議会の勧告に対し、誠意を持つてこれが実現にあたられる御所存なりやいなやを、重ねて明確にお答え願いたいと思います。
    〔国務大臣増田甲子七君登壇〕
○国務大臣(増田甲子七君) 岡さんの重ねての御質問に、総理にかわつて御答弁申上げます。総理が社会保障制度審議会の答申をまつて善処したいということは、総合的の社会保障制度に関する答申をまつという意味でございます。
    〔「総理が答えよ」と呼び、その他発言するものあり〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
○国務大臣(増田甲子七君)(続) もう一ぺん繰返して申し上げますが、総合的社会保障制度の充実整備は社会保障制度審議会の答申をまつて善処いたしたいということを申し上げた次第でございます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 質問三、石炭手当及び寒冷地手当に関する緊急質問を許可いたします。松澤兼人君。
    〔松澤兼人君登壇〕
○松澤兼人君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府職員に対する石炭手当及び寒冷地手当支給に関する緊急質問及びこれに関連する事項について緊急質問をいたしたいと存じておるのであります。
 政府職員に対する石炭手当及び寒冷地手当支給に関する法律は、御承知のように第五国会におきまして、衆議院人事委員長星島二郎氏の名によつて、衆議院、参議院を全会一致をもつて通過成立した法律であります。この法律に基きまして、七月九日、人事院は内閣に勧告をしたのであります。
 政府職員に対するこれらの手当は、従来も支給されておつたのでありますが、政府はこれに対して何らの定見もなく、あるいは一年限りの法律により、あるいは暫定措置といたしまして、何らよるべき法律的な根拠もなく、いわゆるやみ支給をして問題を惹起したことがあつたのであります。北海道及び寒冷地に常時在勤する政府職員は、他の地に勤務する職員に比べまして、冬期間燃料、住居、被服、身のまわり等に相当莫大な家計上の支出を負担しなければならず、特に多くの家族を有するものは、その支出の増高に苦慮しておるのであります。そのために事務、業務の能率は低下いたしまして、効率的な公務の執行が困難となつているのであります。われわれが人事委員会においてこの法律を作ることを提唱し、委員会も全員一致これに賛成し、法案の起草をなしたのも、この理由に基くものでありますし、かつ衆参両院が全員の賛成をもつてこれを成立せしめましたのも、この理由によるものであります。本年からは、従来のような年末になつてから陳情運動を行い、やみ支給をするがごとき政府職員を卑屈ならしめるような方法によらず、法律によつて正々堂々とこれを規定し、北海道及び寒冷地に常時在勤する職員は当然の権利として支給を受け、政府は当然の義務としてこれを支給するという法律的な根拠を与え、その職務に専念して頂きたいと考えたのであります。
 特に石炭手当のごときは、北海道においては夏中に冬期の燃料を手当することが地方の慣習であり、人事院が七月九日に内閣に対して勧告をいたしましたのも、まことに時宜に適した措置であるとわれわれは考えておるのであります。内閣は、この勧告を受けて、閣議で実施することを決定し、石炭手当は八月と十月、寒冷地手当は十月と十一月と、それぞれ二回にわけて支給することにしたのでありますが、手当の基準が、人事院の勧告より閣議の決定が下まわつておりますことは、誠に残念であります。すなわち人事院の勧告では、石炭一トンの価格は四級ないし八級の塊炭及び粉炭の小売マル公の平均を三千三百二十一円九十銭としたのに対し、政府はこれを二千七百円としておるのであります。しかも実際の支給時期がすでに経過しているにかかわらず、今日に至るまでいまだ目鼻がつかない状態になつておるのであります。以上の経緯にかんがみまして、以下数点について総理大臣以下関係の各大臣の御答弁を得たいと存ずるのであります。
 まず総理大臣に対しましては、この法律は、上述いたしましたように委員会提出の法律であり、衆参両院全員一致の賛成によつて成立したという特別な事情があるのであります。国権の最高機関たる国会全員の意志によつて発議され、決定されたこの法律が、今日に至るまでいまだ実施を見ないということは、政府の国会軽視の現われではないかとわれわれは存じておるのであります。この実施が遅延いたしました理由及び実施の見通しについて総理大臣に伺いたいのであります。
 なお吉田総理大臣は、年末賞与をお出しになるということを新聞で発表しておられるのでありまして、まことにけつこうなことでありますが、石炭及び寒冷地手当がいまだに支給されておらない現状から申しまして、年末賞与のごときは、またこれは不可能に終わるのではないかと考えておるのでありますが、年末賞与は何箇月ぐらいお出しになるお考えであるか、その準備、進捗の状況についてお話願いたいのであります。
 増田官房長官に対しまして、官房長官は、石炭手当は最初八月末に支給すると言い、それが九月、十月、十一月になつて、いまだできておらないのであります。特に私は、石炭価格が人事院の勧告と違つているという点についてお尋ねをいたしたい。官房長官は、配炭公団の廃止によつて石炭価格は下落するというお考えを持つておられるのでありますが、われわれの調査によりますと、統制撤廃後の石炭の価格はかえつて騰貴しておるのであります。従つて、単価の将来の見通しと、この単価が下らなかつた場合においては、人事院の勧告どおり三千三百二十一円九十銭という単価の決定を、もう一度閣議においてなされるかどうか伺いたいのであります。
 大蔵大臣に対しましては――大蔵大臣は本日はおいでにならないようでありますが、今日まで、その責任者でありながら、いまだ支給できないというその根本的な事情は、この法律に規定せられている支給を単なる事務官僚に一任いたしまして、積極的に、政治的に解決しようという努力がなかつたからであろうと存ずるのであります。従つて、現在の段階及びその実施の時期につきまして明確なる御答弁を伺いたいのであります。すでに新聞は、東北地方において寒波が襲来していることを報告し、また実際に初雪すら降つているということを報じておるのであります。迫り来る冬将軍の猛威を前にいたしまして、関係職員は戦々恐々としておるのであります。どうか一日も早くこの両手当が支給せられるようにご努力を願いたいと存じておるのであります。
 木村国務大臣に対しましては地方職員に対する分、大屋運輸大臣に対しましては国鉄職員に対する分について御答弁を得たい。
 さらに浅井人事院総裁に対しましては、人事院が法律の額面通り政府に対して勧告されましたことについては敬意を表するものでありますが、いまだこの勧告の内容が実現せられておらないということにつきまして、総裁は勧告しつぱなしでいいとお考えであるか。勧告の内容が実現されるために、さらに多くの努力をなされなければならないと信ずるのでありますが、勧告後政府に対していかなる折衝をなされたか、積極的の努力をなされたか、お伺いいたしたいのであります。
 関連の事項といたしまして、私がひとつお尋ねいたしたいことは、国家公務員法第二十八条によりますと、人事院は毎年一回、俸給表が適当であるかどうかということについて国会及び内閣に対し報告をしなければならないことになつておるのであります。また給与を決定する条件が変化して、給与を百分の五以上増減する必要がある場合には、この報告にあわせて人事院は勧告しなければならないことになつているのであります。政府職員の家計の実情は、昨年末の六千三百七円ベースの採用によつて、やや改善の実を見たのでありますが、しかし全都市生計費は、昨年の七月より本年の七月に三七%の上昇となつており、全工業労働者平均月収は七二%の上昇となつているのであります。昨年十二月ベースの改定が行われたときには、工業労働者平均賃金が六千九百二十一円でありましたので、ほぼ政府職員と均衡がとれておつたのでありますが、本年七月にはすでに二千円の開きが出ておるのであります。さらに実効物価指数について見ますと、CPIは昨年の七月と本年の七月とではすでに三〇%の上昇となり、これによつて実質生計費は七〇から七三に上つております。実質賃金は三二%の上昇を示しておりますが、この上昇の傾向は、本年の一月、三月を境といたしまして、急激に直線的に下降し始めているのであります。ここでわれわれは、新給与ベースの採用によつてこの実質賃金の下降の傾向を防止しなければ、政府職員の生活は破綻に瀕すると考えているのであります。政府は、シャウブ勧告の実施によりまして、税負担の軽減によつて国民生活の安定を期待するように見受けられるのでありますが、経済安定本部調査課発表の資料によりましても、この分はほとんど影響がないのであります。以上簡単に申し上げましたことによりまして、われわれは人事院総裁に対しまして、この国家公務員法第二十八条の勧告をいつごろお出しになるか、あるいは給与改定の作業進捗の状況がどの程度まで振興しているか、ベース改訂の腹案等につきまして詳細に承りたいのであります。
 吉田総理大臣に伺いたいことは、政府はしばしば給与の引上げを行わないと言明して来ておるのでありますが、人事院の勧告があつた場合でも政府は給与改定の意志がないのかどうかと承りたいのであります。あるいは政府は、給与改定を行わずに、福利施設等の拡充によつて保護を与えたいと考えておられるようでありますが、実際的には、いかなる事を具体的に考えておられるか承りたいのであります。
 以上によりまして私の緊急質問を終わりたいと存ずる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 寒冷地手当が今なを実施されずにおるのは残念でありますが、これは各省おのおの違つた制度を持つておるために、なるべくは一致した、あまり過不足のない支給をしたいというような考えから、今なお実施されておりませんが、これは近く実施するはずであります。
 また年末賞与のことは、これは私どもとしては、どうかして出したい、支給の道を講じたいと、今せつかく考えておりますが、しかしながら、これは補正予算の上に組み入れておらないものでありますから、各省がおのおの諸給等を倹約して出すよりほかしかたがないと思います。その方法については今せつかく各省において研究しております。
 また人事院から政府職員の手当の増給という問題が出た場合にはどうするか。これはそのときに至つて考えます。今日において申し上げることはできません。(拍手)
    〔国務大臣木村小左衞門君登壇〕
○国務大臣(木村小左衞門君) 地方公務員に対する寒冷地手当並びに北海道在勤の職員に対しまする石炭手当につきましては、これは現行法の規定によりますると、政府職員に準じて地方公務員も支給されることと相成つておるのでありますが、ただいま松澤議員からお述べになりましたように、この法律はまだ最終的な処置がついておりませんので、正式な支給はいたしておりませんが、しかし全国を通じまして地方公務員は非常に多数を占めておりますので、おいおい寒冷に向かいます折柄、このままにして捨てておけないものと考えまして、極めて緊急を要しまする問題でありますので、先に一、二箇月前、便宜上適当な財源の処置を講じておいたつもりでございます。松澤議員がご希望になりました線に沿いまして、なおまたその要旨に従いまして、すみやかに成規の手続をふんで支給いたしたいと考えておる次第でございます。
    〔政府委員浅井清君登壇〕
○政府委員(浅井清君) 松澤さんにお答えを申し上げます。お示しのごとく、この法律は国会の発案にかかる法律でございまして、しかも両院を全会一致をもつて通過いたしました法律でございますから、わが憲法の建前から申しましてももつとも尊重すべきものとのお示しは、まことにごもつともに存ずる次第でございます。ゆえに人事院といたしましては、もつとも誠実に、かつもつとも迅速に、この法の命ぜられましたる勧告を内閣総理大臣に対していたした次第でございます。ことに石炭手当につきましては、八月中にこれを支給し得るようにとの心づかいをいたして勧告をした次第でございます。しかるに、その石炭手当の価格が、人事院の勧告よりも下回つておりまする点、ことにただいまにいたりまするまで支給されません点におきましては、松澤さんと同様に、人事院といたしましては、誠に遺憾に存ずる次第でございます。しかしながら、人事院といたしましては、この勧告を実現いたしまするために、その後も努力を続け、今日に至つておる次第でございまするが、ただ人事院は直接給与を支給すべき立場にございませんために、これは内閣、ことに財政当局の御盡力に待つよりしかたがないと存じておる次第でございます。
 次に国家公務員法二十八条の給与ベースの問題に尽きてお尋ねがございましたが、まずこの二十八条の、給与が適正であるかどうかに対する報告を、いつまでにするかとのお尋ねでございましたが、これは一箇年以内ということになつておりまして、この一箇年はこの二十八条による改正がなされてから一箇年、すなわち本年の十二月までと考えておる次第でございます。
 次に百分の五以上給与を動かします必要を認めたときに勧告をいたすべき義務を二十八条が規定いたしておりますことは、これまたお示しの通りでございます。人事院といたしましては、この義務を誠実に履行する決心でおるのでございます。ただいま総理大臣の、人事院より勧告があれば、そのときは考慮するとの御答弁は、まことにうれしく存ずる次第でございます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 質問四、失業対策に関する緊急質問を許可いたします。前田種男君。
    〔前田種男君登壇〕
○前田種男君 私は、お許しを得まして、緊急失業対策に関して二、三の点を指摘いたしまして、総理大臣、大蔵大臣、安本長官並びに労働大臣、農林大臣の御答弁を求めたいと考えます。
 まず私の調査によります失業の現状を見ますと、本年一月から九月までに、閉鎖事業所が一千百七十二、総業を休止した事業所が二百一、事業を縮小した件数が四千六百三十二、さらに政府が言つておりますところの完全失業者が四十万ないし五十万というのでありますが、私らの調査によりますと、潜在失業、半失業、あるいは失業保険、失業救済の対象になりますところの失業者の総数は、今日国内に四百万を突破しておると見ておるのでございます。しかも、そのうちの約三百万は農村に帰農いたしまして、農村は労働力がいらぬにもかかわらず、都市その他の工業地帯において働くことができないために農村に吸収されておるという今日の悲惨な現状になつておるのでございます。しかも失業保険被保険者の数は、本年八月末をもつて二十万八千になつております。本年の四月に比べますと約三倍半の増を示しておるのでございます。この状態で参りますと、本年末には相当数の被保険者の数が増えるというのが今日の現状でございます。
 さらに炭鉱の状態はどうでありましようか。過ぐる国会まで、四千二百万トン増産せなくてはならないと非常に努力したにもかかわらず、今日では石炭がそういうないという現状になつております。しかも中小炭鉱業者は、今日自分の一切の資産を投げ出して、企業の経営に汲々たる現状でございます。しかも賃金の遅欠配はますますその悪質を示しつつあるというのが、今日の現状でございます。こうした中にあつて、政府が追加予算として関係方面に提出しておりますところの、直接緊急失業対策費用というものは八億五千万円、公共事業費の中から五億円、微々たるものでございます。
 こうした状態のもとにおいて、一体政府は緊迫せる失業対策に対していかなる施策を持つておるかという点について、私が総理大臣にお尋ね申したい第一の点は、総理大臣は、過ぐる国会の私の質問に対して、当初予算におけるところの失業対策費用が盛られていなかつたことは均衡予算の関係上遺憾と存ずる、しかし九月に予定されておるところの臨時国会においては、十分失業対策費を計上して諸君の期待に沿いたいという答弁をしておられます。九月に予定された国会は、今日ただいま開かれておりますが、もう明日から十一月になるにもかかわらず、予算案はいつ国会に提出されるか分らない現状でございます。しかも、補正予算に盛られておりますところの予算案というものは、微々たるものであるわけでございます。こうした予算の内容において、果たして今申し上げました厖大な失業対策の緊急的な処置ができるかどうかという点について、御答弁を願いたいと思います。
 予算に提案されております問題は、補正予算並びに来年度の予算と相関連するのでございますが、関係方面に提出されておりますところの予算の内容は、昨日来朝されましたドツジ公使の再審議の上決定されると言われております。しかも、われわれの聞くところによりますと、政府の出しております予算の内容につきましては、十分なる検討をせなければオーケーがもらえないという事情にあるということが推測されるのであります。もし万一さような状態になつた場合に、総理として、この失業対策に対するところの予算に対して、いかなる積極性をもつて本国会に提出されるような努力をされるかという点について、明快なる御答弁を願つておきたいと考えます。
 さらに総理は、過日の記者会見におきましても、失業対策の根本は輸出の振興、経済の安定にあると言つておられますが、輸出の振興、経済の安定という抽象的な言葉によつて、失業対策が解決されるものではございません。具体的に日本産業をどう建て直すかという点に対するところの、積極的な施策が示されなくてはならぬと考えます。
 過ぐる国会において、安本長官は数字をあげまして、失業対策の具体案として、明るくなつた輸出産業に対して、二十万の数を配置転換して吸収することができると言つておられるのでございます。しかも、二十四年、二十五年、二十六年、二十七年と、約百万以上の労働力を年々増やすことができるという安本の計画を、この春の国会には発表されておるのでございますが、今日の輸出の不振はどうでありましよう。われわれは、そのときにも、政府の考え方は甘過ぎる、輸出産業に二十万の失業者を吸収することができるというような甘い考えで輸出対策をやるということは誤診であるということを指摘したのにもかかわらず、そうしたことができると言つておきながら、わずか半期たつかたたない今日、輸出は滞貨しております。今日輸出産業それ自体が多くの失業者を出さなくてはならない運命に置かれておりますが、こうした基本的な日本の経済産業の対策に対して政府はいかなる所信を持つておられるかという点を明確に願いたいと思います。特に産業の再建の基本的な問題につきましては、失業者に対して失業手当を出すというよりも、その前段でありますところの雇用量を増やすという問題に主力を注がなくてはならぬと考えます。日本の産業に対して、あるいは金融の対策、金利の引下げ、公共事業の拡充、あるいは基幹産業の振興、あるいは対日援助見返資金をもつと有効に活用するという問題等々に対するところの具体的な施策が必要であると私は考えます。見返り資金の問題につきましても、いろいろ新聞宣伝におきましては、五百億あるいは九百億の金を広凡なる失業対策に注ぐことができると言つておりながら、今なお何らの具体的な内容も示されていないという今日の現状でございます。さらに本年は特に災害が大きかつた。そのために何百億という災害復旧費がいるのでございますが、私は失業対策の見地から、今日治水の問題、植林の問題等について、もつと政府は熱意を示さなくてはならぬと考えます。私たちの子供の頃、学校を卒業するときには、県庁から、ひのきやすぎの苗木をもらいまして、卒業記念にそれぞれ植林をしたのでございます。今日こそ、荒れ果てたところの戦争後の日本の国土を培養するためには、この問題についてもつと政府は積極的な施策を講じまして、一方には災害復旧のため、一方には治山治水のため、一方には失業対策の面から施策を講じなくてはならないと考えますが、こうした問題に対するところの対策を承つておきたいと考えます。
 さらに、国内の一部で問題にしておりますところの、中共貿易を再開することによつて、中国との貿易を再開することによつて日本の産業が振興し、日本の貿易が振興されると一部には言われております。この問題は、日本の国内の経済問題として重要な問題でございますから、この機会に総理大臣から、中共貿易の再開に対するところの基本的な政府の対策を明らかにしていただきたいと考えます。
 さらに海外移民の問題は、私は多年主張しておる問題でありますが、国土の狭められたわが日本におきまして、八千万以上の労働力を持つておりますところのわれわれは、どうしても海外に移民し、出かせぎが許されるように努力せなくてはならぬと思いますが、この問題に対するところの政府の善処、処置、あるいは今後の要請等に対する決意を明らかにしていただきたいと考えます。
 さらに、最近問題になつておりますところの露天商の禁止の問題は、これまた大きな失業問題でございます。職場を失つた多くの労働者が、わずかの退職手当で露店を持つて、そうして自力で生活して行こうとするところの道が、今回の露天商の禁止によつて全部ふさがれてしまうのであります。全く露天商は路頭に迷うという現状でありますが、この問題に対する総理の見解を明らかにしていただきたいと考えます。
 さらに、今日求職者の約七割は二十台の青少年の諸君でございます。二十台の青少年の人が大部分失業しておるという今日の現状は、将来の日本を背負つて立つ場合を考えた場合に、思想問題の立場からも、社会秩序の面から見ても重要な問題であろうと思いますが、こうした問題に対するところの総理の所見を明らかにお示し願いたいと私は考えます。
 労働大臣に対しましては、過日労働大臣は、甲府で記者会見をされました席上で、政府は約二百万の労働者を吸収するところの施策を持つておると発表しております。内容を見ますと、なるほどと思うような内容はございません。しかし、真に政府が二百万の労働者を吸収するところの対策があるならば、この機会に明確にその施策を発表していただきたいと考えます。
 さらに、緊急失業対策法はすでに施行されておりますが、その審議の際、予算の伴わないところの緊急失業対策法においては失業者の救済は不可能だとわれわれは指摘しましたが、緊急失業対策法の施行に伴うところのいろいろな施策を、政府はいかようになしておるか、その点についても明らかにしていただきたい。
 さらに、失業保険の給付期間が、さきほども申しましたように、六箇月の期間の大半が、この年末から来年の正月にかけてそれぞれ切れるということになります。もしそうといたしますならば、六箇月を過ぎたところの、給付のもらえないところの多くの失業者は、何らの失業対策の具体的な内容の示されない今日において、さらに生活は逼迫すると考えます。そうした対策として、あるいは具体的な案がなければ六箇月の給付期間を延長して応急的な措置を講ずる、あるいはその他の方法を講ずる道があるかどうかという点を明らかにしていただきたいと考えます。
 私は、以上の点につきまして、主として総理大臣あるいは安本長官、労働大臣、あるいは経済的金融問題につきましては大蔵大臣にそれぞれ丁寧親切な御答弁を要求いたしまして質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) 前田君にお答えをいたします。
 失業対策についていろいろお話がありましたが、政府としても、この問題は非常に重大に考えており、財政の逼迫しておるときにもかかわらず、失業救済に関する財政の費目を挙げておるのであります。これは単に失業者手当あるいは保険というようなことのみならず、先ほどお話の通りに、雇用量増大のためとか、あるいは産業安定のためにとかいうような費用を、補正予算の上にもかなり組み入れております。すなわち、千二十億でありますかの土木費も失業対策の一つと考えておるのであります。これは、失業問題の全体にわたつて政府の予算を御検討になれば、政府が失業問題にどれだけ注意を払つておるかということがおわかりになるであろうと思います。
 また特別見返り資金については、これは現に折衝中であります。近日両方の協議がととのつて、漸次見返り資金も支出することができるようになると考えております。その他外資導入とか、あるいはまた外国人の企業とかは、漸次話が進みつつあるのであります。ただ、これには多少日本の現在の法制を改める必要があると思いますので、この法制上の措置については政府においても考えております。要するに、これらを総合して、政府の失業対策として国会に予算を提出し、また法律案を提出しつつあるのであります。
 中共貿易についてお話がありますが、これは政府としても、中共貿易がますます盛んに再開せらるることは希望するのでありますが、しかしながら、現に中共は戦争――内乱の状態にあるのであつて、戦争状態が存続しておるにもかかわらず、中共との間の貿易を開けと言われても、これはおつしやる方がむりではないかと考えます。(拍手)
    〔国務大臣鈴木正文君登壇〕
○国務大臣(鈴木正文君) お答えいたします。
 失業者の数の計算は、いろいろな角度から、ずいぶんいろいろな見方があるのでございますが、現在日本におきましては、総理府の労働力調査に現れたる数字、それから労働省の職業安定所の第一線に現われた趨勢、これらのものを比較して推定することが、許された可能な方法なのでございます。これらの数字から見ますると、労働力調査によれば、本年の五月、全国の就業者の総数は三千六百二十九万人であります。そのうち追加労働を希望している者が四百十八万人ございます。この四百十八万人の中で、現に一週に三十五時間以上働いておるという者が二百六十六万人であり、三十四時間以内二十時間以上就労しておるという者が百二万人、それから十九時間以内就労しておるという者が五十万人であります。その他に、調査中一週間完全に失業し、同時にその一週間の間に就職運動をしたという、きわめて厳密な意味における、最も狭い意味における失業者というものが、同月において四十四万人という数字が現われておつたのであります。この数字をどういうふうに解釈するか、完全失業者の考え方の上に立つておりますので、ややこれよりは多いのではないかという観測も、職業安定所の第一線等から見ますると、うかがえるのでございます。これらの関係を考えまして、これは勿論推定でございますけれども、政府は目下四、五十万といいましたのは、事務当局もしくは新聞の間違いでありまして、五、六十万人ぐらいの、こういう狭い意味の完全失業者があるのではないかと考えております。その上に四百数十万人の、ただいま申し上げましたところの不完全就業者の一群があるというのが実情だと思うのでございます。但し、この不完全就業者の中でも二百六十六万人というものは、一週に三十五時間以上間に就労しておる人たちでありまして、この人たちは、普通の意味における失業者というよりは、この就業を続けていつて、国民経済の新しい建直りの中に完全就労に向かつて進んで行くという考え方に持つて行ける人たちであると考えておるのであります。十九時間以下の五十万人という人たちは、今申しました、ごく狭義の五、六十万人の人たちとともに、あわせて直接的な失業対策の対象としなければならない。その数は大体百万人前後、もしその中間のものも、情勢によつてさらに条件が悪化してくる場合に、これをも加えましたならば二百万人ぐらいというのが、今推定できる大体の実情でございます。
 これに対しまして、予算案は、補正予算にいたしましても、二十五年度予算にいたしましても、それぞれの準備を整えておるわけでございます。もちろん、総理もただいま申しましたように、失業対策の根本は、国民経済の建直しと、最終的に配置転換をもつて終了しなければ納まらないのでありまして、前田さんが今申しました緊急失業対策というのが必要切実無比のものではありまするけれども、失業対策全体のほんの一部分を占めるものでありまして、これのみによつて政府は失業対策を完成しようというふうな考え方を持つておらないのであります。根本はあくまでも政府の施策全体に盛られます経済復興により、さらにそれと相並びまして公共事業費、見返り資金の使用、それから今申しましたところの緊急失業対策、そうしてそれらの時間的のずれをつなぐ方法といたしましては失業保険の強力な援用、これらをもつて対処して行くというのが根本的の考え方でございまして、そういう意味におきまして、かりに現在の予算案がそのまま成立するとすればただいま前田さんのあげましたように、来年度においては二百万人前後、補正におきましては百二十万人前後の吸収計画も立ちますということを申し上げたのでございまして、予算案自身は、ドツジ氏も来ておられます際でありますので、不日それが決定を待つて、改めて明確に決定したところの数字を持つて、委員会なりその他なりでご説明申し上げたいと存じます。
 それから露天商の問題につきましては、これはなかなか困難な問題でございますけれども、都方面とも連絡いたしまして、特殊の委員会というふうなもの、名前はどうなりますかわかりませんが、これをつくつて、もし適当な土地に転職がある程度可能であるならば、そういうことをも考えてやつて行く。それから、最も必要な場合には緊急失業対策をもつて措置して行くという考え方をもつて臨んでおります。
 最後に緊急失業対策、二十四年度予算に盛られました八億八百万円のその後の状況についての御質問でございましたが、これは少いのでございまして、中途から繰上げ使用をいたしました。その結果、十月からはすでに第四・四半期の分をも使つておるのでございまして、簡単に申しますると、本年の四月ごろこの緊急失業対策費によつて吸収されておつた労働者の約二、三倍の人が現在吸収されておる。補正予算が通りましたならば、四倍ぐらいの人は吸収され得る計画になつております。しかしながら、補正予算その他の問題につきましては、ただいま申しましたように、その最終的決定を待つて責任のある御答弁をいたしたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣青木孝義君登壇〕
○国務大臣(青木孝義君) ただいまの前田さんの御質問にお答えを申し上げます。
 御承知の通りに、ただいま労働大臣から説明されました数字はおおむね経済安定本部の示しております統計と一致をいたしております。従つて、この統計の数字等についての説明は申し上げる必要がないかと存じます。私どもは、御承知の通り経済安定本部として、生産の推進と、これに即応するところの労働力の問題は、絶えずこれを検討いたしておる次第でございまして、そういう意味から、これまでもしばしば新聞等にも出ておりますが、御承知の通りに、大体貿易の振興と産業の復興におきまして十七万人ぐらいを吸収する。あるいはまた公共事業及び失業対策等におきまして二十万人、失業保険等におきまして大体五十三万人というふうな数字が出ておりますが、
    〔議長退席、副議長着席〕
これらのことも、もちろん経済安定本部として確認をいたして、それが推進に努めたいと存じております。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 質問五、藷類統制撤廃に関する緊急質問を許可いたします。金子與重郎君。
    〔金子與重郎君登壇〕
○金子與重郎君 私は、新政治協議会を代表いたしまして、いも類の統制撤廃に関しまして、森農林大臣より、政府の方針につき的確な御答弁を求めるものであります。
 そもそもいも類の栽培面積は、昨年度におきまして、ばれいしよ、かんしよ合せて六十五万三千町歩、その収穫高は二十五億余万貫に達しておりまして、昨年度の供出料は、米に換算いたしまして、かんしよ六百余万石、ばれいしよ百八十余万石、合せて七百八十四万石という厖大な量に上り、食糧需給に役立ち、わが国民の飢餓寸前の食糧危機を突破するものに多大な貢献をいたしましたのであります。のみならず、他方生産部門におきましては、農業経営の上にきわめて重要な地位を占めておる次第であります。
 しかるに、最近政府は、食糧事情の好転によりまして、何らの経過的な措置を講ずることなく、今や農業経営の上に重要な部門に組み込まれておりますところのいも類の統制をはずして、政府のみの一方的の都合によつて、これの買入れ数量を一方的に制限しようとすることに、かりになつたとするならば、全国の農家は、その作付転換によりまして非常な混乱を来すばかりでなく、価格下落のために、農業経営の上にも甚大な影響を来すのであります。そうして全国の農民に対して、供出制度に対する農民の不信を招く結果となるのであります。
 そこで大臣にお尋ねいたしまする第一は、昭和二十四年度産のかんしよの統制を、はたして緩和するのか。緩和するとするならば、その時期と方法はどういうふうにしてやるか。なお具体的に申し上げるならば、昭和二十四年度、いわゆるこの秋のほしかんしよ並びに生いもの超過供出の買上げを制限するようなことはするかしないか。これが第一点であります。
 それから第二点といたしましては、昭和二十五年度、いわゆる来年におきましてこれを撤廃するのか、あるいは一部緩和するのか、緩和するとするならば、その時期と方法を早く政府は発表すべきでありまするが、これに対するご意見を承りたいのであります。新聞紙上等におきまして、一般の農民の諸氏は、食糧のきわめて楽観的な統制撤廃の記事をときどき見ておりまするが、はたしてこの統制がどうなるかということに対して、政府または実際の行政方面からは何ら的確な方針に接しておりませんので、非常に困つておる。なぜならば、今は、ばれいしよの種いもの準備時期であります。また、かんしよにおきましては、昨年度のように、工業用のものと食用のものと同じような立場でつくつたものが、供出前になつて非常な値開きになつておる。こういうことであるならば、かんしよにおきましては、今のうちから品種をとりかえなければならぬ。また統制が撤廃になるとするならば、後の作付の準備をしなければならないその種子の関係、こういうことがありまするがゆえに、一日も早くこの方針を定めて全国農民に周知さすべきだと思うのであります。
 その次に第三といたしまして、政府には日本の根本的な食糧政策をどういうふうにお考えになつておるかという点であります。またかりに、かんしよを除外いたしたといたしまして、現行の二号七勺の配給をすることができるか。もしできるとするならば、その基本数字はどういうふうにお考えであるか。この点をお尋ねしたいのであります。本年度におきまして、なるほど外国の食糧は一時的に順調に入つておりまするけれども、わが国の本年度における作柄というものは、最近鎌入れに際しまして、かつての数回にわたる災害並びに旱魃の結果が著しく現われて参りまして、過日農林省の発表のような楽観すべき豊作は、とうてい見込みなしと信ずるのであります。ことに、かんしよというものは、最近非常に嫌われ始めておりますけれども、かんしよは、現在日本が畑作として耕作いたしておりまするあらゆる作物のうち最も澱粉量の多い、最もカロリーの高い作物であることを考えたときに、最近かんしよというものを軽々しく見過ぎてはおらないかということを考えておるものであります。
 次に第四の問題といたしまして、いも類の統制をかりに撤廃した場合、かつていも類を作付けてありました畑地に対して、米麦その他の主要穀類の作付を、農家に強要するようなことを今後するかしないかという問題であります。この問題につきまして、なぜこういうことをお尋ね申し上げるかと申しますと、過日の連合軍総司令官の覚書の第二項に、こういうことがあるのであります。現在並びに予見し得る将来における穀類の供給は、価格及び配給の統制を緩和するほど十分ではないのである。それゆえに、いも類に対する統制廃止とともに、穀類の供出、配給、統制の強化が行われることが期待される、こういうふうなことが勧告されてあるのでありますが、これに対して農林大臣はどういうふうな処置を取られるか。現在かりにいも類の統制を撤廃し、あるいは緩和したとしても、その後作地に、畑があるがゆえに何でも作れるというふうな考え方で行くならば、これは非常な間違いでありまして、ことに全国のかんしよ地帯を見ますると、おおむね珪藻土であり、極端な乾燥地であり、ほかの主穀の栽培には非常に不適当な土地が多いのでありまして、また輪作の点からいつても、単に畑地であり夏作であるがゆえに、夏作をそれにかえればよいというように簡単に参らないと思うのであります。またもう一つの理由は、主穀を割当てることになりますと、現在の米麦主穀の割当は、今の農民にとりまして、ほとんど最大限の域にまで過重になつている。この二つの点から行きまして、この点を、農民の立場から、ことに強く申し上げたいのであります。
 第五は、いも類の統制撤廃により生ずる畑作地の作付転換を、政府はあらかじめ用意をしておかなければならないと思うのでありますが、この作付転換の具体案がありましたならば、これについてご説明を願いたいのであります。
 第六の問題といたしまして、統制されております主穀初め農産物の割当栽培をいたしておるのでありますが、これにつきまして、本年度のごとく農民の期待を裏切るような規定の改正を政府が一方的に行いまして、農民の生産並びに供出の意欲を阻害すると思われるようなことを、時々やつておるのであります。今後こうした処置は絶対にとるべきでないと私は信ずるのでありますが、これに対する政府の所信を伺いたいのであります。
 たとえば、昭和二十四年度のかんしよ集荷配給対策要綱というのを九月一日に農林省は発表いたしました。九月にすでに供出すべきさつまいもの供出が迫つているにもかかわらず九月一日にこれを発表して、四等規格を新たに定めまして、その買上げ価格が十貫目百円、しかも俵代を入れて百円でありますから、これから俵代を差引くならば、肥料代、手間代、その他の栽培の諸費用はおろか、掘取賃だけの手間代すらないのであります。また米のごときも、政府は早場米の買上げの直前にあたりまして、生産検査の規格を厳重にいたしまして、四等米に対する奨励金を撤廃し、ために全国の早場米生産地の農民の非常なる不信を買つておるのであります。
 いやしくも農民は、自己の損益の責任において農業を経営しておるのであります。それに対して政府は、一つの特定作物の栽培割当をいたさせまして、農民がその約束であるところの供出を果たさなかつたときには食糧法その他によつてこれを罰する。そうして百姓の方は、割当てられた作物であるがゆえに、肥栽、管理、収穫その他に一年近くもの長い間汗とあぶらをしぼつたにもかかわらず、供出の直前になりますと政府の一方処置によつて、極端に値段を下げて来る。あるいは奨励金を打切つてしまう。こういうふうなことをいたすならば、政府がいかに食料増産に努力せよ、あるいは政府を信ぜよと言つてみたところで、農民がこれに対して政府を信用しないという結果、食料増産に悪い影響が来るということが考えられるのであります。
 政府の作付統制割当は一つの契約栽培のあり方でなくてはならぬと思うのであります。契約栽培である以上は、一つの契約栽培をした場合、一方の人たちがこれを履行しなかつた場合には罪人になり、反対側は、これを自由自在、かつてに履行しなくてもよろしいのだというような契約というものは、これはどこの社会でも通用しない。でありますから、私は政府であろうが、農民であろうが、約束したことは守るという考えのもとに、政治を行わなければならないと思うのであります。これが農民の場合、ことごとく裏切られた形で今日まで来ておることは、はなはだ遺憾だと思うのであります。
 最後にもう一つお聞きしたいことは、政府がいも類統制によりまして今まで受けましたところの損失、すなわち特別会計のいも類から来る赤字は、一体どれだけの金額になつておるか、具体的にご説明が願いたいのであります。なおその内容におきまして、その損失というものは、政府が価格の構成を決める際のきめ方が悪かつたために来た赤字であるか、あるいは腐敗その他操作上の欠陥から来る損害がどれだけあるか、この二つをわけてご説明願いたいのであります。
 以上七つの点につきまして、質問を申し上げたわけでありますが、農業の恒久性にかんがみまして、少なくとも一年前に計画を立ててやらなかつたならば、急激に政策を変換いたしましても、恒久的な農業計画に対しては非常な支障を期す。それが結局日本の食糧計画にも大きな齟齬を期すということを考えましたときに、ただいものことではありますが、全国の農民のこれに対する迷惑は非常に大きなものでありますがゆえにあえてここで緊急質問を申し上げた次第であります。(拍手)
    〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
○国務大臣(森幸太郎君) いもの統制問題につきまして、七箇項目をあげての御質問でありましたが、お答えをいたします。
 まず第一に考えていただかなければならぬことは日本の食糧の状態であります。われわれは、戦争を終わりまして以来四箇年間、幸いと豊作型が続いたのでありまして、やや食糧の前途は明朗化されたように考えるのでありまするが、なおかつアメリカから御承知の食糧の補給を受けているのであります。この立場から、日本といたしましては、国内における自給度をできるだけ高めまして、このアメリカの食糧に対する行為を、むしろ工事原料の輸入に仰ぎ、そうして輸出貿易を盛んにするということは、日本再建の途上として考えねばならぬことと存ずるのであります。従つて、食糧の自給自足ということが、はたしてできるかどうか、こういう問題でありまするが、年々増加いたしまする人口を控えまして、限りある国土によつてこれを養うということは、なかなか困難な問題であります。食糧として考えられるものは、御承知のように今日では、米麦のほかに、いも類を主要食糧として考えているのでありまするが、今日このいも類で、年間を通じてどれだけの食糧が国民に配給されておるかと申しますと、先ほどお話もありましたが、約四百万石であります。この数量から見ますると、配給食糧の約八パーセントでありまして、年間を通じまして二十二日ないし二十三日の配給ができることになつておるのであります。従つて、今日日本の食糧の配給の計画は、米麦のほかに、かんしよ、ばれいしよを加えまして、二合七勺の配給をいたしておるのであります。それでこの際いも類を自由にするということは、日本の食糧事情から絶対許されないのであります。二十四年度の食糧事情におきましても、すでに発表いたしておりまする通り、計画に基きまして、約七億万貫を買い入れまして、これが主要食糧としての配給の計画を立てておるのでありますが、この二十四年度の供出の買上げに対して緩和するのではないかという御質問と、さらに超過供出をどうするか、こういうお尋ねでありました。この超過供出の制度は、日本の食糧事情が非常に緊迫いたしまして、ある一定の限度においてはなかなか予定の配給ができない。しかし、幸いに増産されて、なお余裕があるというものに対しましては、アメリカから食糧を輸入してもらつておる立場といたしまして、これに一定の奨励金を付して、超過供出をしてもらうということが、今日までとられて参つたのであります。本年は食糧事情が緩和されたと言いながら、決していも類を自由にしてもいいという立場には置かれておらないのでありまして、この超過供出のことにつきましても、すでに発表いたしておる通りであります。しかし、発表いたしております通り、超過供出は一定の奨励金を出すということになつておるのでありまするが、本年は、ある期間後において超過供出をしてもらつたものに対して奨励金を出す。こういうことを決めまして、お約束をいたしておるのであります。昨年の供出の状態は、一時に供出が輻湊いたしまして、非常に運送に困難をいたし、配給に支障を来たしたのでありまするから、本年は計画的に供出をしてもらうことにいたしまして、そうして配給の混雑を防ぐということに今年の制度を進めておるわけであります。
 明年度のいもに対しての御質問でありましたが、司令部の方からも先般覚書が発せられまして、二十五年度においては、いも類は主要食糧として考えなくてもいいような食糧事情になつておる、こういう覚書の一段があるのであります。なお末項には、先程説明されました通り、しかし日本の穀類統制は決して緩和すべきものではない、米麦においてはさらに強化すべきであると述べられてあるのであります。従つて、もしいも類を自由にした場合において、さらに米麦の生産を強要するようなことがありはしないかというお尋ねでありますが、一体農業経営というものは、さよう簡単に変更を許さないのであります。さつまいもというものが、戦争以来主要食糧として重要な位置を占めまして、農民諸君に格別なる協力を求めまして、今日のように生産額をふやして参つたのでありますが、今かりにこれの統制を解除いたしましても、日本の食糧事情は、決してさつまいも、あるいはばれいしよというものを食糧から除くことは許されないのであります。また農業の経営の上から申しましても、米麦における経営ということは、まことに危険なものでありまして、今後におきましても、いも類の生産はますます盛大にせなければならぬと、かように考えておるのであります。ただ、今日まで誤られましたる一つの点は、質よりも量ということが考えられましたがために、品種の劣惡なものが、ただ収量の多いという点において取上げられて来た欠点であります。これは今後において是正しなければならぬと考えるのでありまして、明年の生産におきましても、この品種の改良、いわゆる含有糖分によつて価格を定めるということにして行かなければならぬと、かように考えておるのであります。明年度におきましても、依然としてアメリカから食糧を仰がなければならぬ今日といたしましては、いも類もまた配給いたしまする食糧の一部分を当然占めるわけだと、かように考えるわけであります。
 次にいも類の検査についていろいろお話になつたのでありますが、昨年は非常に混雑いたしましたためでもありますが、腐敗をいたす等のことがありましたので、本年は等級の規格を改良いたしまして、そうして御承知の通りの規格によつて検査をいたしておるわけであります。従来特殊な品種につきまして、茨城一号であるとか、あるいは護国というものについて、地方的にこの等級を上げろという要求も相当あるのでありまするが、生産者の立場と、また消費者の立場をかんがえますことと、そうして国家財政の上からも考慮を拂わなければならぬという観点から、今日規定いたしました規格が本年度といたしましては妥当であると、かように考えたわけであります。
 なお、もしも、かんしよ、ばれいしよを転作いたした場合の、跡地に対しての御質問でありまするが、農業経営ということは農家の経営規模によつて考慮されるものでありますし、また地方的事情がありますので、その跡地には、こういうものをつくるべきである、あるいは、こういうものでなければならぬということは、強要できるものではなくて、地方的にこれを指導するべきものであると、かように考えておるのであります。
 なお、いも類の統制を撤廃した場合の主食二合七勺の配給の基本数字を示されたい、こういう御質問があつたのでありまするが、先ほど申しました通り、いも類を食糧からはずしまして、そうして二合七勺の配給ができるということは、今日の日本の食糧事情としては、とうていでき得ないのであります。ことにアメリカからもらつております食糧というものは、こちらの計画によつて輸入されるのではなくして、先方より予算の範囲内において輸入されるのでありまするから、こちらにおいて食糧になり得るものを持ちながら、それを顧みずして、すべてこれをアメリカに依存するということは、とうてい今日の食糧事情としては許されないのでありまして、従つていも類の統制を撤廃した場合の二合七勺の配給の基準というものは、とうてい考えられないのであります。
 なお食管の特別会計についての御質問でありますが、これは昭和二十三年度末の数字によりますと、赤字が百二十四億円あります。うち六十億円は、公団に対して事務費を特別会計から交付いたしたもので、昭和二十四年度のうちに、公団から政府に納付することになつております。そのほかに二十億ありまするが、これは早場米奨励金のための赤字であります。次に四十四億円ありますが、いも類及び切りぼしであります。昨年は切りぼしは一一五%の供出を予定いたしておつたのでありまするが、一四三%供出をみまして、二・五倍の超過奨励金を加えましたがために、この四十四億という赤字が出たのであります。配給の辞退は昨年は大したものがなかつたのでありまするが、この配給辞退の分は工業用に転換いたしたのでありますから、腐敗したものは大したものではなかつたのであります。また欠減、腐敗は一般の風評に相当上つておりまするが、数字の上からもうしますと五パーセント程度であつたのであります。これは公団のマージン等中間経費に見込んだものの範囲内でまかなつておるような次第であります。これが二十三年度末の特別会計の赤字の内容であります。
 大体以上をもつてお答えといたしたいと存じます。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、山手滿男君提出、貿易振興対策に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 貿易振興対策に関する緊急質問を許可します。山手滿男君。
    〔山手滿男君登壇〕
○山手滿男君 私は、わが国の貿易振興対策樹立に関しまして緊急質問を行いたいと思います。
 日本の経済自立のために貿易を振興せしめることは、まことに緊要事中の緊要事であることについては、皆様御異議がないと思います。しかしながら、今年に入りましてからのわが国の貿易の実態をよく観察してみますると、まことに残念ながら、満足すべき事柄は一つもないといわざるを得ないのであります。特に先般為替の一本レートの設定、あるいは最近英国のポンドの切下げがありましてからこの方、業界人は非嘆のどん底に落とされたと言つても私は過言ではないと思うのであります。幸いにも過般総司令部当局より、円の切下げ問題について、あるいは貿易手続、貿易條件の簡素化に関しまして、きわめて適切なる御指示があつたのでありまして、この点われわれも御同慶の至りに存じておるのでありまするけれども、決してかくのごとき問題によつて日本の貿易が将来晏如として楽観できるものとは考えられないのであります。先一般来、外紙、外国通信の報道するところによりますると、ポンド切下げ後、マレー、シンガポール政庁におきましては、日本を含むドル地域よりの輸入を少数の品目のみに制限いたしまして、わが国よりの輸出増大を期待せられておりまするところの化学製品、窯業製品、あるいは繊維製品等に対しまして、種々過酷なる條件のもとにこれが輸入を制限し、または輸入禁止的な措置を行わんとしておるやに報道しておるのであります。
 先般フロア・プライスに対しまする関係当局の声明直後におきましても、海外におきまする反響はきわめてわれわれに不利であるといわざるを得ないのであります。これをよく静かにながめて見ますると、わが国の経済自立のためには、すみやかに貿易方策を徹底的に検討いたしまして、これが推進策を政府がはつきり明示して行かなければならないと考えるのであるまするが、その点において、政府は現在いまだにほとんど国民に安心し得るようないろいろな政策の宣明を行つておらないのであります。日英通商協定の締結も近いように聞いておるのでありますが、これらの点につきまして、政府は今後單に貿易手続の簡素化とか何とかいうふうなことでなしに、あるいは統制の解除という風な單に気休め的な言葉でなしに、いかに有効適切な方策を具体的に関係方面に懇請して行くかということを宣明していただきたいと思うのであります。
 まだわが国の今日の貿易は、いわゆる盲貿易であります。業者がいわゆるクレームの問題や、キャンセルの問題や、いろいろ悩んで参つておりまする多くの問題も、結論からいたしますと、この盲貿易から来ておるといわざるを得ないのであります。政府もまた、従来時折、業界人の海外渡航、あるいは領事、商務官の海外進出等、あるいはまた日本船舶の外航就航の問題等につきましては、断片的に談話的なものは発表せられておるのでありまするが、こういういわゆる盲貿易を打開して、わが国の貿易を実質的に推進して行かすための具体的な有効な方策をどういうふうに今進めつつあるか、またどういうふうに話が進んで行つて、その見通しはどうかということを、私ははつきりさせていただきたいと思うのであります。今日日英協定、あるいは日独通商協定、そのほかの支拂い協定、いろいろな問題、あるいは輸入物資買付市場の調整の問題等があるのであります。この協定は、できるだけ多角的に各国と個々に多く結んで行くことが望ましいと思うのでありますが、政府は現在それをどういうふうに進行せしめつつあるか、はつきりさせてもらいたいと思うのであります。
 ことに貿易の点につきましては、協定を結ぶ相手方と、またわが国が従来から非常に密接な関係にありましたところの東洋諸国との関係を、現在どういうふうに調整して行くかという問題、これはもう非常に大切なる問題であると私は思うのであります。たとえて言うならば、日韓貿易はどういうふうになつて行きつつあるか。さきに総理大臣からちよつと触れられた問題でありますが、対中国貿易はどういうふうに考えておるか、あるいは南方方面に対する貿易はどういうふうに政府は進めて行くつもりであるか、こういうふうな問題についてもつと掘り下げて具体的に政府の考えておること、あるいは現在進行して行きつつあるいろいろな話し合いの内容を、さしつかえない程度に私は宣明していただきたいと思うのであります。
 最後に、また政府はいわゆる自由貿易港制と自由貿易地帯の設定を考慮しておるやに聞いておるのでありまするが、アメリカ方面におきましては、飛行場地帯にそういうものを設けるというふうないろいろの企てがあるそうであります。現在わが国で自由貿易港を設定して行くという計画があるのかどうか、あるとすれば、どういう方向でやろうとするのか、それをはつきりさせていただきたいと思います。
 要するに結論といたしましては、現在わが国の貿易関係はきわめて楽観できるような報道が間々なされるのでありまするが、実相は決して楽観できないというのが実情なんでありまして、その間貿易の総合的なる見通しを政府といたしましては国民に明らかにしていただいて、そうして国民に安心をさせていただきたいと思うのであります。この問題につきましては、対外関係もあろうと思いますので、総理大臣あるいは通商産業大臣の明確なる答弁を求めたいと思つておりましたが、総理大臣がおいでになりませんので、官房長官あるいは通商産業次官に明確なる答弁をお願いする次第であります(拍手)
    〔政府委員宮幡靖君登壇〕
○政府委員(宮幡靖君) ただいまの御質問にお答えいたします。たいへん貿易不振の点に御配慮をいただきますことは、当面の役所といたしまして、まずもつて敬意を表し、感謝をいたします。すでに御質問の中に自問自答のように現在の状況をお示しになつておりますので、きわめて要領を簡単に申し上げたいと思います。
 御承知のように、すでに質問者のお言葉の中にもございましたように、盲貿易でありましたことをまず打開しなければ貿易の振興を期せられないことは明らかでありまして、質問者の仰せられましたように、それぞれの施策を実行いたしつつある現状にございます。またこれに伴いまして、諸般の手続も、表面に現れましたところは、まことに遅滞放漫のごとくあるいはお見えになるかもしれませんが、三百六十円レートを設定いたしまして、貿易第一主義をもつて国の経済再建をはかるべく志しました現内閣といたしましては、一日もこの問題を等閑視いたしておりません。その経過はここでつまびらかに申し上げる自由を持つておりませんが、たとえて申し上げますならば、最近許されましたフロア・プライスの撤廃のごとき、その筋と交渉を開始いたしましたのは去る六月の初めでございます。その間、すべての機関を動員いたしまして、司令部のそれぞれの機関に伺いまして、わが国輸出の振興のためには、まずもつて国内産業の合理化が必要である、日本商品のコストを切下げ、国際価格へのさや寄せが第一番であるが、これを実行したとしても、ドル最低価格があつては、合理化された商品の輸出は必ず阻害されるであろうから、ぜひともダンピングにならない程度においてフロア・プライスの撤廃をしていただきたい、これはじゆんじゆんとお願いいたしましたが、経過においては、不幸にいたしまして、数回にわたりましてこれを認めないと言う言葉によつての返答があつたのでございましたが、最近に至りまして御承知のようにこれが撤廃のお許しをいただいたような次第であります。
 また東洋諸国との貿易等の問題につきましても、先ほど総理大臣から、中共に対しますいろいろな問題は現在考えられない、かように答えておきますが、考えられない中におきましても来るべき時期に備えまして、それぞれの勘案をいたしております。
 貿易條件の改善につきましては、すでに質問者の山手さんから自分でおこたえがあつたようでありますが、船をまず日本の船にすること、運賃も保険料も円建にすること、特に東洋地域におきまして最恵国の待遇を與えられたいこと、かような六條件をもつて交渉いたしましてそのうち許されたものがあり、許されないものがある、かような段階になつておりまして、先ほどもお話のありました中にポンドの切下げに対しまする対策を怠つておるやの御言葉もありましたけれども、通商産業省といたしましては、ポンドの切下げを外部に発表する不用意はいたしませんでしたが、省内といたしましては、おおむね三ドル二十五セント程度にポンドの切下げがあるのではなかろうかという想定のもとにそれぞれ国の産業を指導して参りました。ポンド切下げの結果は、御承知の通り二ドル八十セントでございました。ここに四十五セントの開きが出て参つております。この四十五セントの開きを調整することは、はなはだ残念ではありまするが、業者の御負担として御努力を願わなければならない、さような状況にあります。決してポンドの切下げを晴天の霹靂のごとく受けまして、直接通商産業省の諸施策の上にまつこうから火の粉を浴びるような状況には進んで参つておらないことを御了承願いたいのであります。
 また日英協定の現状は、新聞でも御承知の通り、三億九千万ドル程度をもつて協定がすでに成立したと報告いたしたいような状況にまでなつております。しかし、この発表は司令部がなさることでありまして、ただいまこの席で、はつきり申し上げられません。日英協定の遅れました原因は、ポンド地域の出超九千万ポンドを、ドル資金をもつて決済するかいなかの問題によつて遅れておつたのでありました。この問題を、いわゆる貸勘定といたしまして、今後の貿易勘定において相談して参る方法をとりました結果、日英協定というものが、ようやく浮かび上がつて参つたのであります。
 また朝鮮に対しまする問題は、先般新聞紙上で報道せられましたように、当初より小滝通商官を派遣いたしまして、オブザーバーとして韓国において開かれましたある協定会議に参加しておりまして、この方面の打開に努力いたしております。
 ポンド切下げの状況を輸出不振と結びつけまして、おおむね悲観的観測が多いのでありまするが、逆にこれを輸入の面に関して考察いたしますると、わが国産業の自立のために利するところがはなはだ多いのであります。これを具体的に申しますならば、従来日本に不足しておりましたゴム資源のごとき、年間輸入計画二万六千トンが、今回五万二千トン程度輸入が許される段階になつております。また日本の基礎的産業であり、また輸出貿易の花形であるべき紡績におきましては、その原毛の輸入が、従来おおむね年間十四万俵程度でございましたけれども、今回濠州毛だけで二十五万四千俵これが輸入を計画され、また実施の面にすでに移つております。このほか羊毛にいたしましても同様な段階がそれぞれ運ばれております。ただ、現在いまだ皆様に御報告を申し上げることにできないものは、油に対しまする南方地域との話し合いでございます。しかし、これもおそらく今臨時国会もしくは通常国会を通じては適当な機会において皆様に御報告申し上げる機会があろうかと考えております。
 また自由港区地帯の問題につきましては、はつきり申し上げますれば、現在通商産業省としては、この問題を決定的には考えておりません。ただ自由港区地帯を設けまして、ここに加工場あるいは包装施設等を設けまして輸入あるいは日本を通過いたします物資の包装がえ、あるいは加工等によりまして日本の加工収入を期することは、一つの貿易外収入として当然の措置であろうと思います。その意味において、日本の利益が失われるということにならない限度において、これらの制度も将来的において考慮してみたいと考えております。
 質問が非常に広範囲でありまして、十分要旨を盡さないかもしれませんが、不足の点はまた通商産業委員会等で詳しく申し上げます。
 以上をもつて答弁にかえます。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、食糧の輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 食糧の輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長川野芳滿君。
    〔川野芳滿君登壇〕
○川野芳滿君 ただいま議題となりました食糧の輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律が提出いたされました趣旨は、わが国現下の食糧事情にかんがみまして、米麦等の主要食糧に対する輸入税はなお一年間免除する必要があると考えられますとともに、現在輸入税を免除いたしております茶及び重炭酸ソーダに対しましては、もはやこれを免除する必要がないという見解よりいたしまして、これに関する現行法に所要の改正を行うとするものであります。この趣旨に基きまして、この法案では次のような二点について改正を行おうといたしております。
 第一は、米麦等の主要食糧に対する輸入税をなお一年間免除することに関するものでありまして、この点については、現行法で輸入税免除の有効期限が本年十二月三十一日までとなつておりますのを、昭和二十年十二月三十一日までに改正しようといたしております。
 第二は、茶及び重炭酸ソーダに対する輸入税免除を廃止することに関するものでありまして、この点については、現行法で輸入税を免除する品名が掲げられております別表からこの二品目を削除しようといたしております。
 この法案は、去る十月二十六日、本委員会に付託されたものでありまして、翌二十七日政府委員より提案理由の説明を聴取し、二十九日及び三十一日の両日質疑を行いましたところ、小峯委員より関税に関する政府の方針等について、田中委員より明年度食糧輸入予想額等について、深澤委員より主要食糧に対する免税の根拠、食糧自給に関する政府の方針、国際小麦協定参加の場合の影響等について、林委員より免税と食糧問題との関係、食糧事情の見通し等について北澤委員より南方米の輸入等について質疑がありまして、坂本農林政務次官、安孫子食糧庁長官及び政府説明員よりそれぞれ答弁がありました。
 次いで討論に入りましたるところ、前尾委員は民主自由党を代表して、不等価格貿易の是正、食糧自給の強化を強く希望する旨の意見を付して賛成の意を表せられ、深澤委員は共産党を代表して、この法案は、食糧の外国依存政策の現われである、食糧は自給自足を堅持するべきであるとの理由をあげて反対の意を表せられ、宮腰委員は民主党を代表して、食糧の自給態勢を確立されること等を要望して賛成の意を表せられました。次いで採決に入りましたるところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたした次第であります。
 以上、簡單でございまするが御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。深澤義守君。
    〔深澤義守君登壇〕
○深澤義守君 ただいま上程されました食糧の輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案に対しまして、日本共産党を代表いたしまして反対の意を表明するものであります。
 米麦等主食に関する輸入税につきましては、二十三年度の実績によりますれば六億六千六百万円の免税の実績があるのであります。さらに輸入税を課する茶に対しましては、二十三年度の実績はわずかの五千円、また重炭酸ソーダについては何ら輸入の実績がなかつたのであります。この法案は、まさに吉田内閣の堅持しておりますところの食糧外国依存の方針が現われたものでありまして、わが党といたしましては、食糧の問題につきましては、民族独立の基礎といたしましては、あくまで自給自足の態勢を主張する立場から、この諸外国依存方針の一環である本法案に対しましては断固として反対しなければならないのであります。(拍手)
 政府はこの食糧輸入の問題に関しましては、日本の農業は決して圧迫されない、また日本の食糧事情を安定するためには、どうしても食糧を輸入しなければならない、また日本の全体の生産復興のためにも食糧の輸入が必要であることを強調しておるのでありまするが、われわれは、それよりもまず日本内地における食糧自給の問題に対して政府がどれだけの努力と誠意を持つておるかと言う問題をしさいに検討すべきであると考えるのであります。現在二十四年度におけるところの米の供出が具体的に促進されておる段階にありながら、政府はまだ今年度の米価の決定をいたしていないのであります。すでに米価審議会におきましては四千七百円が決定されておるにかかわらずもちろんこの値段も、まだ生産費を償うことのできないもので、日本農民としては不満の価格でありまするが、供出が始つておる現在の段階におきまして、それすら政府はまだ決定していないという無誠意きわまる態度をとつておるのであります。さらに災害の復旧の問題に関しましても、この予算は徹底的に打切られたために全国におきましては二百万ないし三百万の食糧の生産されるところの耕地が荒廃に帰しておるということは、これまた否定することのできない事実であります。
 さらに土地改良の問題に対しましても、戦争中の荒廃に荒廃を重ねた日本の耕地は、もはや徹底的な土地改良なしには若返る方法はないのであります。しかるに第五国会において、これを一応隠蔽するために土地改良法案を通したが、その裏づけとなるべき予算は何ら盛つていないというのが現状であります。さらに肥料の問題に対しましても、百五十万トンの肥料の生産設置を持ちながら、これを百万トンに押さえて外国の輸入肥料に依存しておるというのが今日の政府の政策であります。さらに農地改革の問題に対しましても、農地改革の行き過ぎを主張いたしまして日本の食糧増産の根拠である農地改革をまつたくここで打切ろうとしておるのが今日の吉田内閣の態度であります。さらに税金、供出の問題に対しましても、農民は非常な圧迫と苦痛のもとにあえいでおるのであります。これらの事実は、まつたく日本の食糧の増産に対して政府は誠意を持つておるどころか、かえつて農業を破壊するという意図を持つておることすら、われわれは断定することができるのであります。(拍手)
 さらに国際小麦協定の問題に対しまして、政府の希望輸入数量として計画いたしたものは、二十五年度において二百三十万トン、二十六年度において二百八十万トン、二十七年度において三百五十万トン、二十八年度において三百七十万トンということを発表しておるのでありますが、この莫大なる数量を輸入するという意図が発表せられておるところにこそ、日本の食糧自給態勢を打切つて外国食糧に依存しようとする意図がはつきり現れておるのであります。(拍手)さらに政府は、いわゆるガリオア資金を口実にいたしましては、あらゆる恩恵的な宣伝をいたしておるのでありますが、ガリオア資金は決してただもらうのではない、最終的にはわれわれ国民の税によつて負担するところの借財である、ということをはつきり主張することによりまして、外国から輸入されるものに対しまして、ガリオア資金なるがゆえに特別の扱いをするということに対しては、われわれは賛成できないのであります。
 日本の食糧の自給態勢の問題に対しましては、二十四年度の農業計画を見ましても、米麦において八千三百六十万石がとれるということがはつきりしております。さらにかんしよ、ばれいしよにおきまして二十億満貫の生産があるのです。さらに食糧政策の上において価格政策のよろしきを得るならば、この総計の一割以上を公然たる配給のルートの上に上することは決して不可能ではないのであります。さらに災害復旧、土地改良の問題を含めまするならば、日本における食糧の自給態勢は計数的にも必ず可能であるという確信を持つております。さらに外国の食料輸入を打切りまするならば、そこに四百億円の輸入補給金が浮かんで来るのであります。それを、日本の食糧自給の方面にまわすならば飛躍的な農業生産の発展を期待することは否定することができないとわれわれは主張するのであります。こういう意味合いにおきまして、われわれは国内における自給態勢に対して精力的に努力いたしまして、それで足りない部分こそフリー・ファンドによつて現在の小麦協定価格よりも安い価格で輸出しておりますところのアルゼンチンあるいはソ連等から食糧を輸入することによつて、日本の食糧は、内地の食糧を圧迫することなしに外国輸入の道があるのであります。(拍手)こういう立場においてわれわれは日本の食糧問題を解決すべきであるという主張をいたすのであります。この外国依存の食糧対策の現われであるところの輸入税免除に対しましては、断固として共産党としては反対するのであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するのに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、米窪滿亮君提出、海運復興に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 海運復興に関する緊急質問を許可いたします。米窪滿亮君。
    〔米窪滿亮君登壇〕
○米窪滿亮君 私は、日本社会党を代表するとともに、百八十余名になつております海運議員連盟の総意を体しまして、今や崩壊の一歩手前に迫つております海運業の問題につきまして、ごく簡單に数点について関係大臣に御質問申し上げたいと思います。
 日本産業の再建は、再生産された労働力によるところの生産増強と、海外における輸出入の貿易の振興にあることは、私が多く言う必要がないのでありまして、この両点につきましては、現下の情勢はきわめて萎靡沈衰しておることは、皆さんもすでに御承知の通りであります。この角度から見まして今日の貿易は、先ほど同僚山手君が御指摘になつた通り、いわゆる盲貿易であると同時に、FOB貿易でございまして、自国船によつて海外への輸出及び輸入の品物を運ぶという段階に参つておりません。すなわちこの際海運産業を振興しない限り日本の経済再建は決して実現しないものと断定してもさしつかえないのでございます。(拍手)
 この点につきまして私御質問申し上げたい点は、最近新聞紙上をにぎわしている海陸運賃の調整というものがどうなつたか。新聞紙の伝えるところによると、政府は汽車の貨物運賃を九割上げるということがきまつておるということでございまするが、これに対して運輸省と経済安定本部との間に若干意見の食い違いがあるということを聞いております。この問題と関連して、われわれが考えなければならない点は、かつては船で運んでおつた荷物が陸上へ転移しまして、陸運にとられておる。ことに鉄道省が使用しておつた省炭と称する石炭が、大部分自分の省で使う石炭であるというので鉄道がこれを運んでおりまして、そのため汽船及び機帆船で運んでおつた石炭が鉄道の方へ移転しております。その他の荷物も同様の推進をたどつておりまするが、この際お尋ねしたい点は、鉄道の貨物を九割上げるということと関連して、われわれが知りたいことは、船の荷物の運賃をどの程度調整するかという点でございます。この点をまず第一にお尋ねしたいと思うのでございます。
 第二の点は、船舶運営会と称しまして、今日日本の国が保有している船舶の大部分を動かしているこの公団が、来年の三月三十一日をもつて解散すると伝えられております。この解散についての処置をどうおとりになるか。船舶運営会は相当の赤字を出しておりますが、伝えられるところによると、この臨時国会に約二十億円の補正予算を出してその赤字を埋めると言つておりますが、私の聞くところによると、二十億円ではこの穴はふさがらない。この点を運輸大臣はどうお考えになつているか。またこの二十億円のうちに、船舶運営会で雇われておつた者の退職によるところの退職金その他のそういう人事の費用が入つているかどうか、この点をお尋ねしたいと思うのでございます。さらに来年三月三十一日限りでもつて解散される運営会のあとはどうするか。若干の船は遠洋へ航海するという意味で、船舶運営会に残されると思うのでございますが、これに対しても、伝えられるところによると、攻府は二十億円を来年度の予算に支出して、そうしてどういう形で残るか知りませんが、あるいは船舶運営会といい、あるいはCMMCと伝えられておりますが、私はこの点は貿易問題に非常に重大な影響を及ぼすと思います。運輸大臣は、これらの見通しにいてどう考えられるか。
 第三点は、攻府は公団を順次廃止する力針をとつておられます。ここに船舶公団というものがあります。船をつくる場合において、船主が出資をしたほかに、船舶公団がこれに対して同額あるいは六割、八割の船舶建造資金を貸しております。この船舶公団を廃止した後に、今後はどういう形で攻府は残すつもりであるか。これは外航へ日本の船が進出して参りまして、外国の荷物を日本船で運ぶためには、どうしても新しい船を建造しなければならないのでございますが、これと関連して船舶会団をどうお取扱いになるお考えであるか、この点をお伺いします。
 その次に第四点としてお伺いしたい点は、この点は攻府として御回答にあるいはお困りかもしれませんが、今航路の関係で押えられている、あるいは建造トン数で押えられているところの日本の船を、そのトン数の制限、航路の制限を撤廃するように、どの程度に関係筋と今まで交渉ができておりますか、あるいは今後どの程度見通しがつくか、この点が明らかにならないと、日本の貿易は依然として盲貿易、依然としてFOB貿易を続けて行かなければならない。非常に高い外国の運賃と、非常に高い外国の保險に、日本の輸出の純利益は奪い去られてしまうのでありまして、決して自立的な日本の海運産業は起らないと思うのでございます。この点は攻府の確信のあるところを、ひとつ告白される程度において御答弁願いたい。第五点は、かくのごとくに新しいロイドの検査、あるいはABの検査というものをとる資格のある船をつくらなければならないのでございますが、これは御承知の通り、非常に多額の建造資金を要するのでございます。聞くところによると、例の対日援助見返資金の中から、七十億円というものを政府は一般会計へ振り込むことを先方と交渉しておるということであります。しかし、この七十億円エイド・ファンドのほかに、同額の金を船主は出さなければならない。しかるに、これに対して金利が今日非常に高い。エイドファンドに対しては七分五厘に引下げてもらいましたが、それと同額の、船主が支弁するところの資金に対しては、日本の今日の日銀その他興業銀行等の金融関係においては、きわめて嚴重なる融資の対策をとつている。ある一定のわくを越すと、すぐ高率強化という制度を振りまわして来るのでございまして、船主は大きい新しい船、ロイドの検査を受けることのできる程度の船をつくりたいのであるけれども、金融の点で、これがなかなかつくれないというのが現状であります。この点について大蔵大臣はどういうお考えを持つておるか、お伺いしたいと思うのでございます。次に機帆船の問題であります。日本の機帆船は、従来非常に日本の海運業のために役立つて参りました。ところが、この機帆船は石炭をたくのでなくて、いわゆる重油をたく機船でございます。しかるに、昨年まで約七千キロリットル外国から重油が入つておつたのが、本年はわずかに一千キロリツトル、六分の一に減つております。しかも、外国から来る総量は減つておらない。その差額はどう使われておるか、私どもにはわかりません。しかし、このいわゆる機帆船の燃料は今日極度に縛られておるために、機帆船は各港々にみな停船しております。この状態をいかにして当局は打破されるつもりであるか、関係筋との御交渉がどの程度に進んでおるか、あるいはそのかわりの方法はどうお考えになつておるか、この点をはつきりとお尋ねしたいと思います。第七点は、今日、日本通運株式会社という会社がございます。これは特殊法人でございまして、非常に大きな資本と組織を持つております。これが現在各港の港湾荷役に食い込んで来ております。最近、この特殊法人であつた日本通運株式会社法という法律がなくなりまして、これにかわる港湾事業法といつたような法案が出るそうでございますが、かりに、そういうぐあいに特殊法人を取消して普通の商事会社になりましても、あの大きな資本と組織を持つておる通運会社が各港において港湾荷役に関係して来れば、各港の港運会社は、みなもろに倒れてしまいます。しかもー方において、この通運会社というものは経清力集中排除の対象になつておりまするが、いまだに幾つにこれをわけるかという分団の方式がきまつておりません。これについて、当局者である運輸大臣はどうお考えであるか。こういう一種のカルテル、大きな資本というものを許しておつて、各港湾の荷役がこれらの会社に独占されるということを見のがしておられるかどうか、この点をお尋ねしておきます。最後にお尋ねしたい点は、今日かくのごとく海運産業が萎靡沈衰しておるのでございまして、船主といい、あるいはドック会社といい、あるいは港運会社といい、必然の結果として企業整備というものを行いつつあります。私、この際会社の名前はあげませんが、大体平均三分の一ないし二分の一の従業員を首切つております。しかもこの従業員というものは、單なる労働者でなくして熟練の労働者であります。多年の年期をかけて、多年の経験と技術を持つておる熟練の労働者であります。これを、目先の採算にとらわれて、この際いわゆる赤字を埋めるために首切つておりまするが、これに対して労働大臣は、そういう企業家のいわゆる目先の勘定によつて 将来復興することを希望し、あるいは復興しなければならない日本の海運産業のために、なぜこれを温存せしむるところの方策をおとりにならぬか。あるいは、すでにおとりになつておるか。もしとらなければ、これの失業対策はどうされるつもりであるか。この点について労働大臣にお尋ねしたいと思うのであります。今日総理大臣はすでにおいでになりませんが、この対外的な渉外的な問題について、運輸大臣がお答えにならなければ、搏c官房長官からして、この関係筋の意向を、お許しがある程度において御発表を願いたいと思うのであります。本日ここに携えて参つたのは、船主側及び港運業者扱び船員あるいは造船所の組合及び港運会社の組合、労資双方から参つており、しかも、これはわずか一部にすぎない陳情書でございます。どうぞ、このさんたんたる海運産業の没落に瀕しておる実情をひとつよく御理解の上、親切にして丁寧な御答弁を願いたいと思うのであります。(拍手)
    〔国務大臣大屋晋三君登壇〕
○国務大臣(大屋晋三君) 米窪君にお答えをいたします。第一の御質問は海陸運賃の問題でございます。これは米窪君御質問の御趣旨通りの実情でございます。現在、陸上のいわゆる鉄道の貨物の運賃は攻策運賃でございまして、原価のわずかに四九%を徴収しておる程度でありまして、あとの五一%は、これはいわゆる補助をいたしております関係で、従いまして、この海運の運賃も、コストが一〇〇%かかつておりまするものを、わずかに五〇%とつており、ともにいずれもこれは不健全なる運賃でありまするがために、御承知のように今回は、鉄道の方が来年の三月までに九十億という莫大な赤字を招来し、かつまた海運の方も、米窪君が熱心に御心配の通り、非常に海運業者が採算上に困難を来しておるということで、これを今回是正いたすことは、ぜひ諸君に御協力を願いたいと思いまして、攻府といたしましても、私の運輸省といたしましても、大体陸上運賃を九〇%、九割引上げていわゆるこの調整をしたい。その過程におきまして、米窪君御指摘の通り、実はまだ運輸省並びに物価関係、安本関係の方におきまして多少の意見の食い違いがございますが、ここ一両日のうちに、これは解決をいたします。その場合には、貨物陸上九割の場合には海上は九割三分ということでバランスをとつて行きたいと考えております。
 次に第二点は船舶運営会の関係でございまするが、船舶運営会は、過去のいわゆる統制会方式ないし助成金方式のにおいが相当濃厚でありまするがゆえに、この辺で一応日本海運の自立を船主諸君に促したいという意味合いにおきまして、日本攻府といたしましては、本年度限りで船舶連営会は廃止したいつもりをいたしておるのであります。しかるに、米窪君御承知の通り、わが国の船舶の運営の仕事たるや、これはいわゆるスカジヤツプの監督のもとに、CMMCがこれをつかさどることに相なつておりますので、日本攻府といたしましては、これを本年度限り廃上する意向でありまするが、関係筋の最も重大な関心を持つておる問題でございますることを御了承願いたいのであります。そこで、言うまでもなく、この経済的の措置は、今までの形と急に飛躍的に新規な方式に改めますと、そこに非常なギヤップが起きまするにかんがみまして、この船舶運営会も、本年度は御承知の通り六十二億の補助金を国庫からもらつておつたのでありますが、これを本年度限り廃止いたしました場合に、来年度これをゼロにいたしますると、そこに非常な混乱を招来するおそれがございますので、二十億円の助成金を出すことにいたしたのであります。米窪君の御所論によりますと、この二十億円は僅少に過ぎる、政府はこの二十億円でどういうあんばいにやつて行くかというお尋ねでありまするが、ゼロにするよりも二十億はベターでありまして、この点は、船主諸君の努力、攻府のいわゆる熱心な海運政策の助長によりまして、二十億円で来年は切り上げて、再来年からはゼロにする、いわゆる段階的に持つて行きたい、さように考えておる次第であります。
 第三は船舶公団の御質問でありまするが、これは御承知のように、日本の経済が――御承知の商船隊が壊滅いたしまして、さらにこの船舶建造の場合に、船主個人の経済力において般をつくることができませなんだ関係上、いわゆる船舶公団なる制度を設けまして、船主の自力の経済と公団の出資によるいわゆる共有の形におきまして、船舶公団が日本の造船に非常な寄與をいたしておりましたが、これもやはり、そろそろこの辺で、こういうシステムは打切りにした方がよろしいと考えまして、船舶公団は本年度限りでやめることにいたしたのでありますが、先ほど申し上げました運営会関係と一緒で、船舶公団は廃止しまして、ただちに共有関係を船主の方にのみこれを転嫁するということは、重大なる船主の危機――船主が倒産するおそれがありますので、船舶公団廃止後におきまする形は目下最も適当な方法を考えておるところで、まだ具体案が出ておりませんが、いいものを出しますから御安心願いたいと思います。
 第四の点は、外航、日本のいわゆるオーシヨン・ゴーイング、日本の外航に対して、商船がなくなつて――非常に日本の外航に適する船がなくなつておるが、この問題に対して攻府はどういうふうに考えておるかという御質問でございます。在来、この外航の問題に対しましては、御承知の通り現在日本において外航に適する船が非常に少いということは事実でありまして、これがために国際貿易じりが常に入超を招来しておるということは、われわれこれを非常に心配しておるのでございまするが、着々あらゆるチャンスを利用いたしまして、連合国関係筋に外航の制限を撤廃せられんことを懇請いたしておるのでございます。目下のところ、さしたる具体的の、まだいわゆる朗報がないのでありますが、これは国際的にもいろいろ複雑なる関係がございますることは米窪君御承知の通りでありまして、引続きまして最善の努力をいたす考えであることを御了承願いたいと思います。
 第五番の御質問は機帆船の問題であります。これもまことに困つた問題でありまして、油の増配二千キロリツトルを懇請いたしておりますが、いまだその懇請に対しまして十分満足なる回答が得られない次第でございす。この点につきましては、いわゆる最善の努力をいたします。(拍手)
 最後に第六の御質問は、日本通運株式会社の機構をいかようにするかという御質問でございますが、これはやはり米窪君御指摘の通り、この会社の特権を排除いたすことにいたしまして、それに関係いたします法律案を提出いたす考えを持つておりますがゆえに、日通は特権のない普通の商業会社に相なることに決定いたしておりますから、さよう御了承顧いたいと思います。
    〔国務大臣鈴木正文君登壇〕
○国務大臣(鈴木正文君) お答えいたします。海員の職業安定行政は運輸省の関係に属し、また失業保険の方は厚生省の関係等になつておりますけれども、私どもといたしましても、この問題は特に重要でございますから、その方面と十分連絡をとり、ただいま御指摘になりましたように、特殊の技能を温存して行くという点につきましては、労働省関係の職業行政とも連絡をとりまして、でき得る限りこの大事な技術を保存して行きたいと存じます。(拍手)
    〔政府委員水田三喜男君登壇〕
○政府委員(水田三喜男君) 造船資金に関する部分の御質問にお答えいたします。
 海運における設備資金といたしましては、今日までのところ、銀行から三十三億円、そのうち興業銀行から十億円、復興金融金庫から百二十六億円、合計百五十九億円の調達となつておりますが、現在これから振興させようとする第五次造船計画は、御承知の通りタンカーが六隻、大型船が三十五隻、中型船が六隻、合計約三十万トンでありまして、これに要する資金は二百億円以上が予想せられております。そのうちで、船主が自己調達できる見込みの額は、約百五十億円前後が予想されておりますが、このうちで現在までまとまつておりますのは、興業銀行から三十五億九千万円出すということが内諾済みでありまして、そのほかの資金は、興業銀行を中心にしまして、大銀行筋の共同融資をあつせんすることにして、現在進行中であります。そのほかの資金は、先ほど御質問がありました通り、大体全部をエイド・ファンドにまつという考えで今日まで努力して参りましたが、ただいまのところ、飯野海運に対して約二億一千万円が許可になつただけで、そのほかにつきましても、極力この資金に期待をかけることにいたしまして、政府としては努力するつもりでございます。
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○山本猛夫君 本日はこれにて散会せられんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君提出の動議を採決いたします。山本君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて山本君の動議は可決されました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十八分散会