第006回国会 本会議 第16号
昭和二十四年十一月二十五日(金曜日)
 議事日程 第十五号
    午後一時開議
 第一 価格調整公団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 自由討議(前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した事件
 森農林大臣不信任決議案(井上良二君外百二十一名提出)
 農林大臣森幸太郎君に対する不信任決議案(野坂參三君外三十五名提出)
 日程第一 価格調整公団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
    午後四時三十八分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、井上良二君外百二十一名提出、森農林大臣不信任決議案及び野坂參三君外三十五名提出、農林大臣森幸太郎君に対する不信任決議案、以上の両案は提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際一括上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 森農林大臣不信任決議案、農林大臣森幸太郎君に対する不信任決議案、右両案を一括して議題といたします。順次提出者の趣旨弁明を許します。井上良二君。
    〔「農林大臣がいないじやないか」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
○議長(幣原喜重郎君) 農林大臣は、ただいま予算総会において発言中でございます。それが済み次第、ただちにこちらへ参ることになつております。
    〔井上良二君登壇〕
○井上良二君 ただいま議題となりました森農林大臣の不信任案に関する趣旨弁明をいたします。
 まず決議案を朗読いたします。
   決 議
 衆議院は森農林大臣を信任せず
 右決議する
 私は、この際、日本社会党、民主党野党派、新政治協議会、社会革新党、同時に労働者農民党、これら各派を代表いたしまして、森農林大臣不信任に関する趣旨を説明いたしたいと思うのであります。(拍手)
 吉田内閣は、経済安定の基礎を労働者、農民を犠牲とする低賃金と低米価に置く方針をとり、この方針において、森農林大臣は、大臣就任以来、農業政策において、食糧増産の基本でありますところの開墾、開拓、土地改良、農業水利、災害復旧等に関する予算を削減するのみならず、これらの政策に対してその熱意を欠き、生産に全力をあげようとする農民の期待を完全に裏切つたのであります。
 御存じの通り、土地改良、農業水利、災害復旧等に関する国庫補助によるこれらの事業は、過去数年来、わが国の食糧のきわめて困難なる現状にかんがみて、政府は、あらゆる予算の困難な中から、これらの事業の達成に全力を注いで来たのにかかわらず、第五国会に提案された昭和二十四年度予算案において、これら土地改良、災害復旧等に対する小規模の国庫補助は完全にこれを打切つて、生産農民の血のにじむ努力によつてこれをやれというがごとき、冷淡きわまる予算処置を講じたのは森農林大臣であります。(拍手)
 しかも森農林大臣は、就任以来、わが国の民主化の基盤であり、特に連合国から、日本民主化の重大なる根幹として、その遂行をやかましく要求されておりますところの農地改革問題に対しては、きわめて冷淡であり、きわめてこれに対する熱意を欠き、世上伝えられるところによりますと、農地改革は打切りではないかというような疑いさえ生ずるがごとき態度をとりましたことは、農村の民主化と、わが国民主化の前途の上に非常に暗い影を投じたことは疑いない事実であります。
 さらにまた、薪炭特別会計における赤字問題、食糧特別会計における赤字問題‥‥。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。――静粛に願います。
○井上良二君(続) これらの諸問題は、まつたく農林大臣の監督よろしきを得なかつた結果生じた問題であつて、森農林大臣が本問題に関して何ら責任を負わぬということは、はなはだもつて政治家として、断じて許すことのでき得ない事実であると私は思うのであります。(拍手)
 その他森農政の跡をわれわれが検討してみますと、いろいろ農政上、わが国農民の納得し得ない、協力することのできない失政が相次いで起つて参りまして、わが国農村の将来に非常に重大な危機を與えるに至つたのであります。特に二十四年度産米の收穫期にあたりまして、農林大臣は、まず本年度産米の価格決定にあつては米価審議会の答申を十分尊重して決定すると申しながら、米価審議会の決定いたしました四千七百円の生産者価格を、わずか三等米四千二百五十円という、再生産費さえ償うことのでき得ない、はるかに下まわる低米価でこれを押えつけ、一方民主自由党が、野党時代から選挙を通して唱えて参りましたところの、供出後の米の自由販売というこの公約をまつたく踏みにじつて、食糧確保臨時措置法の一部を改正して、追加供出を強制的に行おうとする法律案を、今この国会に提案をして、これをむりやりに通そうといたしておるのであります。(拍手)
 諸君、今日わが国の食糧事情の見地から、いかに考えてみましても、この食糧確保臨時措置法がいかなるものであるかということは、ここにおいでになりますところの各議員の方々は、特にやじを飛ばしておりますところの民自党の皆さんは、大部分が、農民の血のにじむ一票を投票してもらつて、これによつて当選をしたところの人々であるのであります。(拍手)農民の血のにじむところの一票によつて投票されて当選しながら、国会においては、これら農民の要求をまつたく踏みにじつて飯米さえ残すことのでき得ない強権供出によつてこれを巻き上げようとする法律案をあなた方が通して、これで一体農林大臣としての責任がとれ、国会議員としての責任があなた方とれるのですか。(拍手)断じてとれないのです。
 しかも政府は、特に民自党は、吉田内閣は、去年の暮れの十二月二十四日に、司令部から、スカピン六千二百五十七、この指令をもらつておるにかかわらず――この指令によりますと、供出後の米を、できるだけ政府が、法律の力をもつて、これを政府の手に集めるように処置を講ぜよという通達でございます。この通達を政府みずから受取りながら、ふところに、これをじつとなおしておいて、それで選挙のときは、供出後の米の自由販売なんと言うて農民をだまかして、いざ当選するや、今度は、ふところになおしてあるこの命令書を出して、(笑声)そりや司令部の命令だから、食確法は通さにやならぬというのが森農林大臣であります。(拍手)他方、かくのごとく食確法の一部を改正して、農民に裸供出を要求する法律をつくろうとする。一方この法律は、食糧の需給が困難だという見通しに立つて改正をしようとするのであります。
 しかるに、主要食糧の一つでありますところのいも類の統制に対しては、一体どうしようとじておるのですか。主要食糧の一つであるいも類を統制から撤廃しようとするのが━の頭の考え方なんです。(発言する者多く、議場騒然)この主要食糧に対して、━と言うて悪かつたら、━は取消しますよ。(発言する者多く、議場騒然)議長、静かにさしてください。発言しておる。取消しますと言つておる。取消します。━とかいう言葉が問題だそうですから、私は森さんということを申しておるのであつて、━という言葉にさわりがありましたなら、その言葉は取消しますから、ゆつくりあなた方も黙つて聞いてもらいたい。かくのごとく畑作地帯に重大な関係のありますいも類の統制撤廃に関して、その措置よろしきを得ず、これらいも類の生産農民に極度の不安を與えまして、将来の食糧確保の上に多大な支障を與えておるのであります。
 また森農林大臣は、民自党の米券制度なる案に迷わされて、本年度産米の正確なる実收額を押えることができず、粒数計算による統計的な予想收穫高を六千五百万石と発表した。しかるに、本年の稻作は、前後四回にわたる台風によるところの災害、病虫害の被害は、全国の各府県の知事からの申告によりましても一千百万石に達しており、また直接食糧供出の責任者たる農林省の食糧庁の調査によりましても、五百万石くらいの減收を見込んで廃るのであります。さらにまた農林大臣自身も、この減額補正については相当考慮の余地があり、三百万石くらいは補正をしなければならぬと、たびたび言明をされておるのであります。しかるに政府が最近発表しましたところの本年度産米の補正額は、わずかに百十四万石という、まつたく実情を無視しましたところの数量であります。しかもこの百十四万石は、いかなる実牧の査定によつて押えた数字であるか。政府にいくら説明を求めましても、政府は説明のでき得ない数字であるのであります。
 御存じのごとく、全国の農民は、政府のデフレ政策の結果、物価高と重税に抗し、台風の被害と病虫害の被害によりまして、まつたく窮乏のあらしの中にあつて、飯米さえ確保できない農民が、連日政府機関に猛烈なる補正減額の陳情をしておるのに対して、これに何らの耳を傾けることなく、この血のにじむ真剣な農民の戸は、遂に中央農業調整委員会の声となつてこれが爆発いたし、政府が指示いたしました百十四万石の減額補正の数字に対して、完全にこの委員会は拒否の態度をとつておるのであります。また本日東京食糧事務所において開かれておりまするところの、補正問題をめぐる全国知事会議においても、おそらくこの政府の減額補正の百十四万石は、完全に否決される運命にあることは当然でございます。(拍手)かくのごとく、この補正割当は、本年の供出完遂に重大な支障を来し、特に当の供出責任者でありますところの市町村長は、この補正が政府によつて天くだり的に強要されまするときは、おそらく市町村農業調整委員とともに連名辞職をする者が相次いで起つて来るであろうことは、今日火を見るよりも明らかであります。
 かくのごとき事態が予想されますのにかかわらず、当の責任者であります森農林大臣が、この減額補正に対して、具体的な数字をもつて、関係筋との問に、十分納得せしめるところの努力と誠意を欠いたことを考えますならば、その責任はきわめて重大であるということをわれわれは考えなければなりません。この問題に対して、民主自由党の皆さんが真劍にお考えになつて、私がその問題を中心に、特に森農林大臣の責任を追究し、その退陣を要求するに至りましたことに対して、あなた方二百六十六名の中から、大いにやつてくれという人がたくさんあるということは、何としても否定できない事実であります。これは、やはり国会では政府を支持するが、帰れば農民のきげんをとらなければ、次の選挙にあぶないからであります。
 そういう点をあなた方が静かに考えられるときに、真にわが国の立つておりますところの国際的な立場において、非常に困難な任務でありますけれども、世界経済の動向と食糧事情の見通しに対して十分なる認識を欠いて、その結果が、まさにわが国農村を恐慌への一歩前夜にまで追い込んだ責任は、森農林大臣であるといわなければならないのであります。
 私は、なおかつ具体的に、たとえば三倍にすべきところの超過供出の奨励金を、二倍に引下げてみたり、あるいは食糧検査制度を強化して、かよわい農民の腕を縛り上げてみたり、その他こまかい、農民を重圧する諸問題を持つておりますけれども、時間の関係がありますから、私は以上申し上げました数々の理由によつてこの際森農林大臣に、責任を負うてその地位を去つてもらうことが、全国三千万農民の血のにじむ要求に基く結果であり、ひいてはわが国農業生産が確保され、食糧事情が確立されるという見地に立つて森さんに進んで大臣をやめてもらうことを要求するわけであります。
 以上をもつて説明を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの井上君の発言中不穏当の言葉がありまするならば、速記録を取調べの上、適当の措置をとることといたします。
 竹村奈良一君。
    〔竹村奈良一君登壇〕
○竹村奈良一君 私は、日本共産党を代表いたしまして、森農林大臣の不信任決議案の趣旨を弁明するものであります。現に社会党やまた野党によるところの不信任案を提出されておりますが、これに対し、わが党は、その趣旨について多少の相違はありますけれども、それが相違につきましては各派に同調いたしまして、現在の失政によりますところの国民大衆の苦悩の生活苦を打開するために、野党の各派が共同いたしまして、鬪争力を強化して、そうして野党各派によるところの、吉田の失政を打倒することを目的としておりますがゆえに、統一提案を要望したのでありますが、われわれの提案が承認されないので、遺憾ながら、われわれはあえて農民大衆の意思を代表して、本決議案を提出するものであります。(拍手)
 吉田内閣の農業政策が、わが国の農業を破壊しつつあることは、幾多の事例によつて明らかにされたところでありますけれども、まず第一といたしまして、本年度の米価の決定にあたりましては、政府は米価審議会なるものを組織いたしましたけれども、その委員の任命たるや、実に天くだり的であつて、この米価審議会なるものを政府の御用機関化せんとしたことは、これは周知の事実であります。(拍手)しかも、その御用機関化されたるところの審議会において決定されました一石四千七百円の米価すら取上げることなくして、わずかに石四千二百五十円という低米価を決定したのであります。わが党が常に主張いたしておりますところの、再生産を可能ならしめる、少くとも一石七千円以上の米価が無視されたことは、食糧自給を考えることなく、ひたすらに外国の食糧を輸入することだけを目的として、実に国内の食糧自給態勢ということを度外税しておるところの証拠であります。(拍手)
 この輸入食糧につきましても、小麦協定加入を要望して百五十万トンを輸入すれば、国内の食糧自給態勢は十分でき得るにもかかわらず、少くとも農林大臣の声明によりますならば、三百二十万トン以上を輸入せんとする、すなわち外国食糧の重圧のもとに、わが農業をおしひしがんとするところの、売国的農業政策であるといわなければならぬのであります。(拍手)
    〔議長退席、副議長著席〕
 一方において、本年度の米穀の收穫予想に対しましては、政治的な意図をもつて厖大な数字を発表し、科学的調査に基かず、事前割当よりも下まわる農家の減收は、地方各府県庁からの補正要求は一千二十七万石であるにもかかわらず、しかも作報あるいは食糧事務所において、各府県の個々の農家に対して引いた事前割当の一線、それ以下の減收で、五百万石であると政府みずからが説明しながら、今日その三分の一にも満たない、わずかな補正石数をもつて、その責任を全国府県知事や、あるいは農業調整委員に転嫁せんとしているのであります。(拍手)これがゆえに、おそらく全国農業調整委員の諸君も、あるいは本日の知事会議においてすら、この補正割当に対する反対を決議せざるを得ない事実こそが、森農政に対する一大不信であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 また農地改革に対しましては、これを阻止する方法をとつている。しかもこれがために、各地における農地法の違反事件が激増しているところの事実がある。これを証明するものは、少くとも本年の十月十日に農林省の発表せる数字が雄弁にこれを物語つているのであります。しかも、従来行われておりましたところの、農地改革完成のために必要な予算的措置をとることなくして、これを阻害し、その方法を通じて、かつての地主的、封建的農村の復活を志して、農村の民主化を阻害して、ポツダム宣言に反し、大山林地主を保護し、山林原野の解放を怠つて、隠然たる農村の軍事的基盤の復活を意図しつつあるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 なお漁村に対しましても、漁業民主化のための漁業法案の成立を遅らしめて、反動的な漁業ボスの温存をはかつている。しかも、漁業労働者あるいは零細漁民の生活を破壊しつつあるところの事実があるのであります。
 また食糧特別会計の厖大な赤字、あるいは薪炭特別会計の五十四億余の赤字を初めとして、その他数えきれない農政に対する紊乱が暴露されているのであります。しかも、農村におけるいわゆる六・三制によるところの新制中学校の建設に対しましては、わずかに本年の追加予算で十五億円を計上されたにすぎない。これを薪炭特別会計の赤字五十四億何ぼと比較いたしますならば、いかに今日の政治というものが不正と腐敗にとりまかれているかということが、はつきりするのであります。(拍手)
 こうした不正と腐敗と農村破壊政策の結果といたしまして、農村におきまする金詰まりは、ますますひどくなつて来ている。昨年農業手形の発行の最高のときには――これは昨年の九月でありますけれども、二十四億一千万円であつた。ところが、本年度八月におけるところの農業手形の発行高は、百四十五億三千万円という、昨年に比して少くとも六倍以上を発行している。しかも、この金というものが、農業生産のために使われているのではなくして、少くとも農家の生活消費の面に莫大に使われているというこの事実こそは、何を物語つているか。しかも日銀によるところの国内通貨の割合年度別を見ましても、農村においては毎年激減しているのであります。つまり日銀の発表によりますならば、本年度の農村における通貨は五百十七億円であつて本年度の全体からの割合を見るならば、一七%にすぎないのであります。このことは、結局吉田内閣の実際の政策が、独占資本の忠実なる奉仕者として、この役割を果すために、低米価を基礎とするところの低賃金政策を強行して、外資の導入と、そうしてソーシヤル・ダンピングによるところの国の植民地化をはかる一連の政策の現われであります。(拍手)しかも、この現われである農村におきますところの厖大な潜在失業者に対して、何らの対策を、いまだに一片すら示していない事実こそは、農村における失業者を餓死せしめるところの方策だといわざるを得ないのであります。(拍手)
 しかも、この吉田内閣の政策こそが、現在の森農政を生み出したものであつて、このことは、全国農民が骨身にこたえて知つておる。それが証拠に、過日の全国農業調整委員会の全国協議会あるいは農地委員会全国協議会全国大会においては、この吉田内閣の暴政に対して反対し、すみやかに退陣せられんことを決議していることを見ても明らかである。(拍手)わが党は、農民諸君の反対決議を全面的に支持いたしまして、全日本農民の各において、吉田亡国、売国政策の代弁者であり、しかも日本農民の農林大臣ではなしに、だれかの農政を忠実に実行するところの森農林大臣の退陣を要求するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。周東英雄君。
    〔周東英雄君登壇〕
○周東英雄君 私は、民主自由党を代表して、ただいま上程せられております森農林大臣不信任案に対し反対の意見を述べるものであります。(拍手)
 森君は至誠の人でありまして、その経歴からいたしまして、農林漁業に対しては深い見識と熱意を持つている人であります。森君が国務大臣に就任以来傾けられた農政に対する意見というものは、実に当を得たものでありますが、ことに農林大臣に就任以来は、日夜苦境にある農村の復興に荒して努力を続けて来られたのであります。
 しかしながら、農業復興に対しましては、何と申しましても、農業部門だけですべてが解決するものではないのであります。すべて政治、経済を一環といたしまして、その復興と関連し、またこれと並行して施策すべきが至当であります。すでに吉田内閣が成立以来、九原則にのつとり、経済復興に対しては、予算面におきましては均衡予算を作成いたし、自立経済の確立に対して努力を傾けて来た結果、国民の周知の通り、あれほど高進いたしましたインフレが、今日收束の過程に入つておることは、認めておるところであります。(拍手)インフレの收束なくして、そこに農村といえども健全なる復興はできないのであります。社会党内閣におきましても、当時からインフレの收束に対して、声ばかりかけておりましたけれども、かつての社会党内閣におきましても、芦田内閣におきましても、これに対して何らの施策がとれなかつたことは、ひいてもつて農村の復興を妨げたことといわなければならぬと私は考えます。(拍手)先ほどからいろいろと不信任に対する理由を述べられましたが、その一つも肯繁にあたつておらぬことを私は断言いたします。(拍手)一体農民の負担においてと言われましたが、吉田内閣成立以来、森君は大蔵大臣と折衝の上、農民負担の軽減について第一に努力せられた方であります。(拍手)今日すでに来年度予算に現われておりますように、農業事業税の廃止、農業生産に対して、その專従者に対する免税点、農家扶養家族に対する免税点の引上げ等によりまして、おそらくは国税の面において、農業者の負担が半額近くも軽減されておることは、これは農林大臣が農業のために考えなかつたとは言えないと思うのであります。
 さらにまた、一体社会党内閣においてお考えにならなかつた点でありますけれども、今日の日本の経済復興に対しては、減少した資本を返すことが最も必要であります。農業資本というものは、工業資本の減少に比べまして、総体的にはやや少いかもしれません。しかしながら、戰争の継続とともに、荒れた山のために、洪水のために、耕地、農地が流されたことは幾たびかあります。この根本方策、治山治水計画を確立するということは、農林大臣のかねてからの主張であります。今日わが党の政策として、第一番目に治山治水計画を立てて、農業資本、土地の維持保全をはかつたことは、これは農林大臣の功績と認めていいのであります。(拍手)また土地改良、農業水利等に関する予算は減らされたと言いますけれども、かつての内閣に比べまして、今日ほど土地改良、農業水利、干拓関係において予算を増額されたということは、これまた農林大臣の功績であると考えるのであります。
 また先ほどからいろいろお話がありましたが、薪炭特別会計の問題であります。これはむしろ現内閣において、従来のやり方について不適当な点を改むべしという考え方からして、森君の勇気と英断によつて薪炭特別会計が閉鎖され、今日その改革に著手されたものでありまして、このことから、もしも多少とも弊害が起きたとすれば、これすなわち統制経済から起る弊害であつたとわれわれは考えるのであります。(拍手)
 また、先ほど共産党の諸君が言われましたが、農地改革を森君は阻止しているという話であります。そういうことは絶対にありません。むしろ社会党なり芦田内閣等においてやられた農地改革の跡始末をしているのであります。農地改革によつて小作農民が土地の所有権を得たことは最も喜ぶべきことでありますけれども、これは土地所有権を得ただけでありまして、過小農化した農家をいかにして経営するかということは、今後農家経営を安定させる方策と、農業が他の産業の復興に貢献をなして行くためにとるべき各種の政策を総合的に考えて初めて農地改革の実を結ぶのであります。(拍手)その点について、森君は今日粉骨砕心して研究をされているのでありまして、今日わが党は、世界情勢並びに経済情勢の変化に伴つて、当然農村がこうむることあるべき将来の事態を予想して、いかにして将来の農村を確立し、農業経営の安定をはかり、農業が他の産業への貢献率を高めるかということについて、新しく政策を練つているのでありまして、これらはすべて今後の施策によつていただきたいと思うのであります。
 以上各種の点からいたしまして、森君に対する不信任ということは当らぬものと考えるのでありまして、われわれは反射を申し上げるのであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 椎熊三郎君。
    〔椎熊三郎君登壇〕
○椎熊三郎君 ただいま議題となつておりまする森農林大臣不信任案に対し、私は民主党野党派を代表いたしまして、上程案のうち、社会党井上君から趣旨弁明をせられたる野党各派連合による不信任案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
 この際特に一言付言いたしたいのは、同じ不信任案であつても、共産党提案の不信任案には同調できないという理由を、わが党の立場からいささか弁明しておきたい。(拍手)諸君、これは将来わが党の農村問題、農業政策に対する誤解を招くおそれがあるので、特に明確にしておかなければならぬ点であります。
 日本共産党は、終戰以来、日本の公認政党とはなりましたが、かつて彼らは、本質的なる農村政策、農業政策というものを発表したことがございません。彼らは、農地改革であるとか、農産物の価格のつり上げであるとか、農民の負担軽減であるとかいうことは間々言う場合があります。(笑声)しかしながら、それは共産党の本質の農業政策ではない。諸君、共産党の本質の農業政策とは、はたして何ぞや。諸君、日本共産党がソビエト労農ロシアの共産党と関係がないならば別なことだが、そんな共産党というものは、世界には存在ができないのです。従つて、彼らの祖国はソビエト労農ロシアである。(拍手)従つて、ソビエトの農業政策は本質的には農地の国有であり、集団耕作である。全面供出の圧力的、圧迫的な政策である。(拍手)従つてわれわれは一つの農村問題を論ずるにいたしましても、かくのごとき国家破壊の思想を抱くような者どもとは同調することができないのであります。(拍手)
 社会党は、鈴木茂三郎君が天下に宣言して、共産党と明らかなる一線を画しているとは言いながら、間々その境界線が明白ではない。(笑声、拍手)その一線は、まさに不連続線なのであります。(笑声)
 そこで私は、健全なる日本の保守党としての立場から、この見地の上に立つて、今日吉田内閣のもとにおける森農林大臣のごとき存在を許しては相ならぬという点をこれから申し上げます。
 諸君、本年一月の総選挙で、民主自由党は二百六十九名の絶対多数をとつた。この二百六十九名の多数のうち、大よそ二百二十名までは、ことごとく農村の投票によつて出られた方々である。すなわち、諸君の中の二百名余りは農村代表者だと申しても過言ではない。そこで民主自由党は、立党以来、農村問題に対する権威ある政党たることを自負し、吹聽しておつたのである。しかるに、その後内閣の施政の実績を見て、農村出身が大部分たる諸君は、はたしていかなる心境にあらるるか。それは、過ぐる第五国会において明らかに現われておる。かの食確法審議の際における諸君の態度はどうであつたか。ほとんど全員はこれに反対ではなかつたか。忘れてはいけませんぞ。(笑声)
 かくのごとくして、この民主自由党が天下に公約したる農村政策、農業政策なるものは、一つも実施せられておらない。その最大の原因は、大事な内閣の閣僚の中に、森農相のごとき、農村問題に対する権威ある識見を持たざる、その日暮しの人に重大なる農政をまかしておくというところにあるのであつて、吉田総理大臣は、さだめし残念な境地におらるると私は思う。(笑声)私は、二百七十名からの民主自由党の中には、農村問題に対する達見をお持ちの方々を多数存じ上げておる。ただいまこの演壇に立たれたる周東君のごときも、私は農村問題における院内の権威者として、日ごろ崇拜している。(笑声)この周東君のごときでも、もし農林大臣であつたならば、今日のごとき失敗はなかつたであろう。そこで、巷間伝うるところによれば、最近内閣が改造でもするというときに、吉田さんは一番先にやり玉に上げるのは森農相だという。第一番が森農相、第二番目は――気の毒だから申し上げない。(笑声)いろいろある。私の崇拜しておるほどの周東君ですら、この壇上に立つて今何と言われた。あなたほどのまじめな政治家が、この壇上に立つて今申されたことは、ことごとく詭弁でございますぞ。国民を欺くもの、それではいけない。
 私は第一、森農林大臣が、本日わが国の重大なる時局に際して、農林大臣の席にあるべからずという論拠の一つとして、最近の彼の米穀收穫の問題に対する見識を疑うのであります。彼は、本年度の米穀收穫予想高を、九月二十五日現在と称して発表したところによりますと、六千五百五十四万石だ。われわれは、本年これほどの収穫があつたにもせよ、なお災害、病虫害等によるところの減收は一千万石が越えると認めておる。ひとり議員が認めたのみではない。日本国中における食糧関係の権威者は、ことごとくこれを認めておる。森農林大臣も、実はそのことを兜つておる。にもかかわらず、彼は、十月二十二日の発表には六千五百五十四万石で、去年よりも百四十五万石増收だというのです。この発表を聞いて、全国の農民は愕然としたんです。諸君、これを憤慨した者は、ひとりわれわれのみではない。諸君のうち、ほとんど全部が憤慨したではないか。農林委員会における満場一致の空気はそれであつた。諸君、與党からまで憤慨される農相が、晏如として今なおその職にあるということは、政治家として恥を知らざるもはなはだしきものであると私は思う。(拍手)
 なお諸君、米価の決定に至りましては、こつけいのさたである。政府の任命したる審議会の決定を蹂躙し、四千二百五十円ときめた。その農林大臣の類の、ものの考え方のあり方に私は疑いを生ずる。こういうもので、一体わが国の農村問題、農業政策というものを、あるいは食糧問題というものを、われわれは信頼してまかしておくことができるかどうか。
 現に本年は、外国より二百九十万トンから輸入するという。足りないから輸入することは当然だが、政府は自給自足を目ざして増産の奨励をなしておるにもかかわりませず、来年は三百七十五万トンの輸入だ。このことを聞いた農民諸君は、まさに日本農業の恐慌来と、ふるえ上つておるのである。今日農民は、増産してしかるべきか、手をゆるめてしかるべきか、右せんか左せんか、混乱の状態にあるということが、この農林大臣の手によつて行われておる。
 諸君は、さだめし私の言に、真実は賛成なんだろうが、與党の悲しさで、そんなことを言つたら――現下のわが国の食糧事情では、とうていこの米券問題なんというものは実施することができないということは、常識ある者のことごとく認識するところだ。しかるに彼は、米券をやるのやら、やらぬのやら、再三にわたる言明に、いまだ態度を明らかにせず、農民におきましては、どうなることか、不安のどん底に置かれておるのであります。
 諸君、食糧は、われわれ民族にとりましては、生存のために第一義的なものだ。この大事な食糧問題に関して、全国民にこれほどの不安を與えるというこの一事をもつてしても、彼は農林大臣たるの資格は断じてないと私は思う。(拍手)
 なお、先ほど周東君からも言われましたが、農民の負担を軽減したという。周東君ほどの人がそういうことを論ぜられては、私ははなはだ遺憾にたえない。諸君、今度の税制改革による国民負担の状態を点検してごらんなさい。地方税負担によつて、農民の負担は加重されこそすれ、一銭一厘といえども軽減せられないではないか。(拍手)農林大臣のこの無能ぶりに加うるに、今日の安本長官、今日の大蔵大臣、これらの方々の感覚は、ともすれば農村に対する特殊差別的な感覚があるのではないかと、私は遺憾に思う。(拍手)かくして、農村の負担は日に日に加重せられ、農民の計画は先の見通しを失つて、暗夜にちようちんを失えるがごとし。(「ノーノー」)まさにこの不安状態は、森農林大臣の重大なる責任であることを私は断言いたします。
 あるいはまた、薪炭特別会計の問題で周東君が論議せられましたが、去る二十二日、予算小委員会におけるこの問題の際に、会計検査院の役人が出張して証明せられるところによりますと、この会計上、まさに五億四千万円というものは会計法違反だという。これは現内閣になつてからの問題ですぞ。すなわちこれは、日本の憲法における第八十五條の違反でもある。諸君は、われわれとともにこの憲法を守らんとしておる。わが国復興の途上において、政府みずからがこの憲法の大精神を蹂躙せんとするがごとき恐れ多い事件をでかしたというこの一事だけでも、森農林大臣は晏如としてその席におるべきではない。
 諸君、二百何十名の民主自由党の諸君といえども、昨日来の農相弾劾の空気を察知して、われわれを――さしておるこの状態は、一体何か。あれを早くやめさしてくれという。もつとも、あとがまをほしいのも多少はおるだろうが、それは別として、諸君の大部分ともに森農林大臣には賛成ではない。
 そこで私は、民主自由党を與党とするところの吉田内閣は、まさに切迫しつつあるかの感を呈する講和会議の問題で、吉田総理大臣の全面的知識、すなわち外交官としての敏腕を振われるにおいては、国内問題は安心してまかしてもいいというような閣僚をそろえておかなければ、吉田さんのほんとうの力が出ないのではないだろうか。一々ああいう者どもの心配をさせたのでは、ほんとうの力の発揮にも相なりません。これはひとり吉田内閣の損失ではない。わが国全体の損失でありますので、諸君も吉田内閣の手によつて講和談判を成功させたいと思うなら、われらと同調してこの決議案に賛成して、一日も早く森農林大臣の御退任をお願いしたいのであります。
 ここに私は、わが国農村の真の意味の更生発展と、そうして今外交関係の逼迫しておる今日、総理大臣の政治力を外交一点に集中せしめる意味からいつても、軟弱な内政的閣僚は、ことごとくこれを清算いたしまして、新たなる人材を登用すべしという意見を諸君に開陳いたしまして、ここにわが党は、在野党各派連合の、井上君が弁明に及びましたるこの決議案に対しまして、満腔の賛意を表する次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) ただいまの椎熊君の発言中不穏当の言辞があれば、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。
 竹山祐太郎君。
    〔竹山祐太郎君登壇〕
○竹山祐太郎君 私は、新政治協議会を代表して、ただいま議題となりました森農林大臣不信任に関する井上良二君以下の決議案に射して、賛成の討論をいたさんとするものであります。(拍手)本年こそは、日本農業の転換の重大なる時期であります。このときにあたりまして、わが再建途上の困難なる日本の農林大臣の不信任をいたさなければならないということは、国民とともに、まことに悲しみにたえないものであります。(拍手)
 一体周東君の説明を聞きましても、重大なる問題は今後に残されて、今後を見ろということであります。われわれが心配をいたしておりますところは、この今年こそは日本農業転換の重大時期であるにもかかわらず、これを担当する森農林大臣の施政は、今日までのところ、いかにひいき目に見ても、この事態の認識は根本から誤つておると考えなければなりません。(拍手)この点が、決して私は森君個人の人格を云々するのではなくて、周東君の言をかりて言えば、全体の閣僚が、経済、金融、財政すべての面から見て、森君の農業担当の部分に対する認識の欠如から来ておるとも考えられるのであります。(拍手)昨日の予算総会における吉田首相の食糧問題に関する答弁を聞きましても、おそらくこれを聞かれた諸君は同感であろうと考えます。われわれは、この根本的な認識の誤りから、農業の今後に重大なる影響を及ぼすであろうことを心痛する余り、森農林大臣を不信任いたさなければならないのであります。
 今日の政治の上において、われわれが一番心配をいたしますことは、この政府の施政下にあつて、広く全国の農民が、ほんとうに喜んで、その天職であるべき食糧の生産に熱意をこめて働ける態勢にあるかどうかということであります。これを混乱せしめ、動揺せしめ、ほんとうに日本再建の基礎である食糧生産の確保を危うからしめんとしつつある森農政に対して反対をいたさざるを得ないのであります。
 今年の政府の発表を見ましても、輸入食糧三百七十五万トンは、戰前・戰後を通じて、日本にかつてない輸入量であります。この点が、敗戰以来お互い国民の苦しい中で、援助食糧によつてようやく生きて来た事態と、この百万トン以上も超過する大きな輸入食糧を控えて、日本農業の経営をいかにするかという点に対する、政府の国民を納得せしむる計画というものが、残念ながらわれわれは今日まで聞くことを得ません。その点が、今国会の劈頭におきまして、私が国際小麦協定の参加にあたつての政府の態度、その心構えについて緊急質問をいたしたゆえんであります。しかるに今日まで、これに対し納得をさせる答弁は決して得られておりません。
 今、日英通商協定等によつて、南方の米を中心とする食糧は、いやでも入らなければなりません。現に国際協定の予想をされる百二十万トンを越える小麦の輸入量が、政府が計画されておりますところを見れば、協定以上の輸入がいかほどになるかということは、想像に余りあります。この小麦と米とのはさみ撃ちに合つた日本農業の生産というものを、いかに確保し、いかに農民生活の安定を来さんとするのか、その辺の政府の計画たるや、いかなる機会においても、われわれは納得することはできません。従つて、国民全体の、またことに農民全体の大きな不安のもとであるのであります。
 われわれは、終戦以来、非常な狭い国土の中に厖大なる農村人口を保有せしめられている事態というものを認識するならば、日本の農業政策が、完全手放しの自由経済にほうり出して、これを維持することの不可能であることは、いかに民主自由党の諸君といえども御承知であろうと思います。こういう見地から考えるならば、今日こそ、もうすでに食確法のごときは問題ではありません。輸入食糧を含む、国内食糧を含んでの大転換、百八十度切りかえた食糧管理制度をすみやかに確立してそのもとに食糧政策の進展を早からしめなければ、混乱をしてから農村の救済を叫んでもおそいのであります。
 かつての農村恐慌のときに、農村救うべしとの輿論はどこから出たかといえば、大阪の実業家の中から出たことは。おそらく諸君は御承知がないかもしれません。この農村経済を破壊せしめたあとは、必ず民主自由党の諸君も、農村救済を資本家の側から言わざるを得ないと考えます。(拍手)われわれは、決して單なる農民の立場だけを考えて主張しておるのではありません。日本の国家再建の根本である食糧生産と、それによつて立つ農民経済の安定とを確立し得る農業政策の確立が遅れれば遅れるほど、大きなる期待はますます危険に瀕するのであります。周東君の言う、ゆつくり見ていてくれという時間的な余裕は、われわれは持てないのであります。
 農業は、決してきようやつて、きようきまる問題ではありません。一年、二年の後の将来を見通した政策こそ、今日のこの転換期にあつて最も重大なる問題であります。その意味において、われわれは、一々今までの森農相の失政を取上げるほどの時間的余裕がありませんから申し上げません。今日の認識において誤つておる森農相を民自党の内閣が改めない限り、日本の農村は破滅せざるを得ないのであります。(拍手)われわれは、この事態に心痛する余り農民諸君のこの燃え上る希望を反映して今日森農林大臣の不信任案提出に際して、絶大なる熱意をもつて賛成の討論をいたすのであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 玉井祐吉君。
    〔玉井祐吉君登壇〕
○玉井祐吉君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、ただいまの御提案に対して賛成の趣旨を述べたいと思う次第であります。(拍手)ただいま各党から、いろいろな角度からお話のありましたように、現在の食糧事情のもとにおいて、民主自由党の農林大臣は、二つの相反する方向の政策をとろうとして偽ります。すなわち一つは、先ほども指摘のあつた通り、食確法の改悪を通じて、農民諸君の現在のこの不作の状態を、さらに強化せしめるような食糧の供出を実行せしめようという計画をしております。すなわち御承知のように、民自党の人たちが、先般の選挙において、供出後の食糧は自由販売にさせるという公約のもとに、これを実行したわけでありますが、しかも他方において‥‥(発言する者多し)よくお聞きなさい。――われわれが注意しなければならないのは、徹底的に供出をさせることによつて、残りの米はないのだから、自由販売をさせることができないのだと言つて、ほおかむりをしようという計画だと言わざるを得ないのであります。(拍手)もしもこの考え方が正しいとするならば、今度の態度に対しては、われわれは絶対に賛成をするわけには参らないのであります。
 すでに多くの農民諸君が、幾たびも農林省を訪れ、本年度の作柄の悪いことを訴え、他方において、作報の数字の非常な誤りであることを述べております。しかるにもかかわらず、作報のスモール・サンプリングの制度というものを、現在の農林省において、いささかも整理しようという計画がないのは、大きな誤りだと言わざるを得ない。(拍手)
 他方において、農林大臣の手を通じて、先般の国際小麦協定に対して、農林省から、ある官吏が送り出されております。ところが、その際問題にしなければいけないのは、先ほどでも新政治協議会からも話のありましたように、外国の食糧が多量にこの際輸入されよりとしております。アメリカにおいても、すでにここ四、五年間を通じて、小麦だけでも十億ブツシェルとれておる。こういうような状態のもとで、これが日本の国内に流入して来る場合、これを一体どういうように処理して行こうとしているのであるか。
 こういうような状態をもつて、現在の森農政を通じては、とうてい正確なる農民生活を保障する方向というものは生れて来ないと言わざるを得ないのであります。すなわち、今後現われて来る食糧の事情は、むしろ日本の農業を残しておくのか、あるいはつぶしてしまうのか、いずれかを選ばなければばらぬことになつて来る。それを承知で、諸君の代表であるところの農林大臣が、この方向をとろうとしておる点については、われわれはまことに危劍千万なやり方だと言わざるを得ないのであります。
 ところが、あらゆる角度から見て、一本の国内には、あくまでも農業を残しておかなければならないはずであります。世界の恐慌は世界ともにやつて参ります。こういうような情勢において、われわれが考える必要のあるのは、これらの食糧の問題をより有利にするために、そして農民諸君の立場を守つて行くためには、農民保護の方針を立てなければなりません。(「あたりまえのことがわからぬか」と呼ぶ者あり)あたりまえのことがわかつていないので、私が申し上げておる。
 そこで、外国のこういうような食糧が入つて来るよりも、日本の農民の手を通じて、より多くの食糧を生産させるためには、低米価政策をとるということは大きな誤りだと言わなければなりません。むしろ米価はより高くしなければ、現在の農民諸君から多くの食糧を供出してもろうことはできないのであります。ところが他方において、災害復旧費の問題につきましても、多くの災害を受けた土地がたくさんあるのにもかかわらず、この費用さえもまかなわないで、口先だけで農民のためだと言つても、問題にはならないのであります。
 さらにわれわれが追究しなければならない問題がある。それはすなわち、米の検査制度を採用してこれを強化することによつて、さびしい、収入のない單作地帯に対する生活の補助であるべき早場米の補助金を削るという方法をきめて、それによつて單作地帯の農民を苦しめ、その金をごまかすという方針を政府は採用しておるのであります。これらのやり方が、はたして農民の立場を守り、農民の生産をより増大させるところの農業保護政策であるかどうかということを考えていただかなければならないのであります。
 さらにわれわれは、その後において現在の営林署で行つておる薪炭の問題について申し上げます。営林署が焼いて、しかもあなた方の手元にも送り出しておる炭があります。これを称して官行炭と呼んでおりますが、その炭は、山で何度も何度も包装しかえて、莫大もない高い値段について、あなた方の手元に配給されておるわけである。しかも、その差額はだれが負担しておるかというと、あなた方自身がこれからつくろうとするところの予算、大衆が拂わなければならないところの予算からその差額をごまかして一部の者に有利に運ぼうとしておるのであります。(「百姓の生活がわかるか」と呼ぶ者あり)わからないと思つておるところに誤りがあります。われわれは、このような立案から、現在の食糧政策を通じて農業保護政策をとらなければならない現在の段階において、今指摘したような各種の誤つた政策を採用するということは、これはあくまでも森農政の誤つた方向を示したものであると同時に、われわれは、これに対して絶対に賛成することができない。しかも、今申し上げたような意味から、この不信任案に対して、われわれは大賛成の拍手をもつて不信任を実行したいと思う。(拍手)簡単にわが党の趣旨を述べた次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 小林進君。
    〔小林進君登壇〕
○小林進君 森農林大臣の不信任決議案に対し、私は社会革新党を代表し賛成の意見を申し述べたいと存じます。
 今や日本の農業は、世界農業の一環として重大なる転換期に遭遇いたしておるのでありますが、この重大なる時期に際し、森農相は、就任以来幾多の失敗を繰返しておるのであります。
 第一の問題は米価決定に関する問題であります。米価審議会が四千七百円が適当なりという意見を具申しているのに対し、これを無視して四千二百五十円の基準米価を決定いたしておることは、まつたく世論を無視し、農民をいよいよ経済的破綻に追い込む暴挙なりといわなければならぬのであります。しかも超過供出の買上げ価格については、従来通り三倍にするということについては、別にその筋にも反対がなく、承知も可能なりということであるにもかかわらず、これを二倍の価格にして、昨年度より石二千円余も下まわる安い値段で買上げておるのであります。これに対し、わが党の佐竹書記長が、本会議場において、これは政府の独自の意見なのか、與党の意向をくんだものなのかを質問したのに対し、農相黙して語らず、あえて返答をせぬのは、はなはだ非民主的なる態度といわなければならぬのであります。われわれは、決して米価の高値を要求するものではなく、諸物価との均衡を一に要求してやまないのであります。しかるに、運賃、電力等諸多の物価が二割、三割ないし八割まで値上げせられんとする今日、その均衡を破つて、あくまで米価のみ低物価をもつてし、しかも農民を押えんとするがごときは、これ勤労者とともに農民のみに犠牲を強要する、誤れる農政なりと断ぜざるを得ないのであります。
 しかも、この四千二百五十円の基準米価を決定するや、農相は、米の消費者価格について、ただちに一月一日より一一%値上げすることを宣言しておるのであります。すなわち、従来十キロ四百五円の消費者価格を四百五十円に値上げするというのであります。十キロ四百五十円を一石に換算いたしますれば六千七百五十円になるのでありまして、生産者価格と消費者価格の間に石二千五百円の開きがあるのであります。米価審議会においては、四千七百円の米価を決定するとともに、消費者価格については、一石について千円以上の開きがあつてはならぬということを、あわせて決議いたしておるのでありますが、農相は、これをもまつたく無視いたしまして、一石について二千五百円、一升について実に二十五円の中間経費を加えて消費者に売らんとしておるのであります。農民より一升四十二円五十銭の米を買い上げて、消費者に六十七円五十銭の米を売る。その間六割以上の中間経費が含まれているがごとき、断じてわれわれの黙認し得ないところでありまして、国民の死活に関する主食に六割もの中間経費を含めているがごとき、森農相の無為無策、失政を物語る何よりも好個の例といわなければならぬのであります。生産者を泣かせ、消費者をも泣かせる米価を決定したる点、われらの断じて承服し得ないところでありまして、生産者、消費者両方の立場より、断固として農相の退陣を要求いたすものであります。
 第二の問題は世界食糧事情の好転に伴う日本農村のあり方について、森農相には何らの信念、何らの対策をも見ることができぬ点であります。もと世界食糧事情の好転を武器として日本の食糧を安定に導かんとする考えならば、これは自立安定計画にあらずして、他立安定計画、他人のふんどしによつて相撲をとる愚策といわなければならぬのであります。
 今や、講和條約の成立とともに條約成立後の戦争を放棄した日本のあり方について、国民ひとしく関心を寄せておるところであります。それが国際連合の保障たると永世中立たるを問わず、わが日本は、常に戰争の局外に立つことを、憲法によつて世界に宣言いたしておるのでありまするが、はたして最悪の戦争勃発の場合、今日のごとき輸入食糧に依存しておるままの姿でこの小島にとじ込められた日本が、はたして戰争の局外に立つことができるかどうか。みずからの食糧をもつてみずからの口を潤してこそ、この島国で中立を維持することができるのでありまして、他国の援助によつて腹を満たす国民が、はたして中立を宣言することができるかどうかを、よくお考え願いたいと思うのであります。
 第三次世界大戰と、原子爆弾による戰争への恐怖は、今なお世界に満ちております。これが万一にも勃発した場合、はたして戦争の危険を冒してまでわが日本の食糧を心配してくれる国があるかどうか。その援助を受けて、なおかつわれわれは戰争の局外に立つことができるかどうか。われわれ日本が、あくまでも戰争の放棄と永世中立の念願を持つならば、これを事実によつて示す前提として、われわれは、われわれの食糧はわれわれの力で解決するという、断固たる政策を持たなければならぬのであります。しかるに農相は、かくのごとき恒久平和へのための農政を持たず、わずか五十万トンの輸入増、来年度三百七十万トンの輸入食糧に眩惑されて、従来通りの保護政策一増産への熱意をまつたく失つて‥‥
    〔発言するもの多し〕
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
○小林進君(続) 輸入米という土足をもつて農民をけ飛ばさんとする政策を見せておるのでありまして、この点、われわれは断じて森農政を信ずることができぬのであります。
 第三の問題は、補正の減額に関する問題であります。農林大臣は、十二日、参議院本会議において、予想収穫高六千五百万石に対し約一割の減収が見込まれておると言明しておるのであります。一割といえば六百五十万石‥‥。
    〔発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
○小林進君(続) 供出量だけに見ても、三百六十万石の減収であります。これに対し各県よりの補正要求が一千百万石に及んでおるに対し、わずか百十四万石の補正量を定めて能事終れりとしておる。これに対し、わが党の佐竹書記長が、補正が幾ばくであるか、百十四万石では実に不測の問題が惹起する危険があるということを、辞を低うして本会議場で質問しておるにもかかわらず、農相は恬然として、回答すら與えていないのであります。真に非民主的、言語道断の態度といわなければならないのであります。
    〔発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
○小林進君(続) 農林大臣は、いかなる調査に基いて一千百万石の補正割当を無視したか。いかなる調査に基いて百十四万石の補正数量を割出したか。これに対して一言の回答も與えられぬ非民主的大臣に、われわれは農相として断じて信頼を置くことができぬのであります。
 しかも一方には、食糧確保臨時措置法の通過を待つて、約一百七十万石の超過米を取上げんとする。これは左手に無言の威圧を加え、右手に権力の刀を持つて農民をいためつける政策であると称するのほかはなく、徳川三百年の農奴にもまさる失政であり、悪政であるといわなければならぬのであります。
 第四には、いも類の統制撤廃に関する食言があり、その他薪炭需給特別会計の赤字の問題、早場米供出に関する供出量のわくの割当の問題、白米供出禁止の問題、マル徳倉庫解除の問題等々、政府の一方的都合に基く、一つ一つ農民に與えられたわずかばかりの保護と利益を剥奪して行く失政が、枚挙にいとまのないほど繰返されておるのであります。かくて農村経済はまつたく破綻に瀕し、その自立はまつたく不可能といわなければならぬのであります。森農相は、現閣僚中、人物、識見、最もすぐれた人であります。民自党における最もすぐれた農政家であります。この森農相がかくの、ごとき失政を繰返すに至つたのは、一に内閣の性格のしからしむるところであり、民自党の伝統である古典的自由主義、資本主義の犠牲に供せられた結果にほかならずと断じ、衷心より同情にたえぬ次第であります。
 農相はすべからく退陣して、この古き衣を脱ぎ捨てて、まつたく新しい感覚と構想のもとに再び農林大臣に就任される日の一日も早からんことを祈りつつ、この不信任決議案に全面的賛意を表する次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず、井上良二君外百二十一名提出、森農林大臣不信任決議案につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。井上良二君外百二十一名提出、森農林大臣不信任決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 これより氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○副議長(岩本信行君) 投票漏れはありませんか。……投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖、開匣、開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○副議長(岩本信行君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百五十九
  可とする者(白票) 百二十
    〔拍手〕
  否とする者(青票) 二百三十九
    〔拍手〕
○副議長(岩本信行君) 右の結果、井上良二君外百二十一名提出、森農林大臣不信任決議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 井上良二君外百二十一名提出森農林大臣不信任決議案を可とする議員の氏名
   青野 武一君  赤松  勇君
   淺沼稻次郎君  井上 良二君
   猪俣 浩三君  石井 繁丸君
   石川金次郎君  稻村 順三君
   受田 新吉君  大矢 省三君
   加藤 鐐造君  勝間田清一君
   川島 金次君  佐々木更三君
   佐竹 新市君  坂本 泰良君
   鈴木茂三郎君  鈴木 義男君
   田中織之進君  堤 ツルヨ君
   土井 直作君  中崎  敏君
   西村 榮一君  前田榮之助君
   松尾トシ子君  松本 七郎君
   三宅 正一君  水谷長三郎君
   門司  亮君  森戸 辰男君
   山口シヅエ君  荒木萬壽夫君
   有田 喜一君  稻葉  修君
   小川 半次君  小野  孝君
   川崎 秀二君  北村徳太郎君
   小林 運美君  河本 敏夫君
   佐伯 宗義君  坂口 主税君
   笹山茂太郎君  椎熊 三郎君
   清藤 唯七君  園田  直君
   高橋清治郎君  千葉 三郎君
   床次 徳二君  苫米地義三君
   中島 茂喜君  中曽根康弘君
   並木 芳雄君  橋本 金一君
   長谷川四郎君  畠山 重勇君
   林  好次君  藤田 義光君
   増田 連也君  村瀬 宣親君
   柳原 三郎君  井之口政雄君
   伊藤 憲一君  池田 峯雄君
   江崎 一治君  加藤  充君
   風早八十二君  春日 正一君
   神山 茂夫君  柄澤登志子君
   川上 貫一君  河田 賢治君
   苅田アサノ君  木村  榮君
   今野 武雄君  砂間 一良君
   田島 ひで君  田代 文久君
   田中 堯平君  高田 富之君
   竹村奈良一君  谷口善太郎君
   土橋 一吉君  梨木作次郎君
   野坂 參三君  林  百郎君
   深澤 義守君  横田甚太郎君
   米原  昶君  渡部 義通君
   石田 一松君  今井  耕君
   金子與重郎君  河口 陽一君
   吉川 久衛君  小平  忠君
   小林 信一君  河野 金昇君
   高倉 定助君  竹山祐太郎君
   寺崎  覺君  内藤 友明君
   中村 寅太君  平川 篤雄君
   松本 瀧藏君  松本六太郎君
   三木 武夫君  水野彦治郎君
   山手 滿男君  石野 久男君
   岡田 春夫君  黒田 寿男君
   玉井 祐吉君  中原 健次君
   松谷天光光君  大石ヨシエ君
   小林  進君  佐竹 晴記君
   早川  崇君  北  二郎君
 否とする議員の氏名
   阿左美廣治君  足立 篤郎君
   安部 俊吾君  青木 孝義君
   青木  正君  青柳 一郎君
   淺香 忠雄君  淺利 三朗君
   麻生太賀吉君  天野 公義君
   有田 二郎君  井上 知治君
   伊藤 郷一君  飯塚 定輔君
   池田正之輔君  石田 博英君
   石原 圓吉君  石原  登君
   稻田 直道君  今村 忠助君
   今村長太郎君  岩川 與助君
   宇田  恒君  宇野秀次郎君
   植原悦二郎君  内海 安吉君
   江田斗米吉君  江花  靜君
   遠藤 三郎君  小川 平二君
   小川原政信君  小澤佐重喜君
  小野瀬忠兵衞君  小淵 光平君
   尾関 義一君  越智  茂君
   大石 武一君  大泉 寛三君
   大内 一郎君  大上  司君
   大澤嘉平治君  大野 伴睦君
   大橋 武夫君  大村 清一君
   大和田義榮君  岡延右エ門君
   岡崎 勝男君  岡田 五郎君
   岡西 明貞君  岡野 清豪君
  岡村利右衞門君  押谷 富三君
   鍛冶 良作君  角田 幸吉君
   風間 啓吉君  片岡伊三郎君
   甲木  保君  門脇勝太郎君
   上林山榮吉君  神田  博君
   川野 芳滿君  川端 佳夫君
   川村善八郎君  川本 末治君
   河原伊三郎君  菅家 喜六君
   木村 公平君  北川 定務君
   北澤 直吉君  金原 舜二君
   倉石 忠雄君  栗山長次郎君
   黒澤富次郎君  小金 義照君
   小平 久雄君  小玉 治行君
   小西 寅松君  小峯 柳多君
   小山 長規君  五島 秀次君
   河野 謙三君  近藤 鶴代君
   佐々木秀世君  佐瀬 昌三君
   佐藤 榮作君  佐藤 重遠君
   佐藤 親弘君  坂田 英一君
   坂田 道太君  坂本  實君
   志田 義信君  清水 逸平君
   篠田 弘作君  澁谷雄太郎君
   島村 一郎君  庄司 一郎君
   周東 英雄君  鈴木 明良君
   鈴木 仙八君  瀬戸山三男君
   關内 正一君  關谷 勝利君
   千賀 康治君  田口長治郎君
   田中 啓一君  田中 重彌君
   田中  元君  田中 萬逸君
   田渕 光一君  多田  勇君
   多武良哲三君  高木  章君
   高木吉之助君  高木 松吉君
   高塩 三郎君  高田 弥市君
   高橋 英吉君  高橋 權六君
   高橋  等君  高間 松吉君
   竹尾  弌君  玉置 信一君
   玉置  實君  中馬 辰猪君
   塚田十一郎君  塚原 俊郎君
   辻  寛一君  圓谷 光衞君
   坪内 八郎君  苫米地英俊君
   奈良 治二君  内藤  隆君
   中川 俊思君  中野 武雄君
   中村  清君  中村 幸八君
   中村 純一君  中山 マサ君
   仲内 憲治君  永井 英修君
   永田  節君  二階堂 進君
   丹羽 彪吉君  西村 英一君
   西村 直己君  西村 久之君
   根本龍太郎君  野原 正勝君
   野村專太郎君  橋本 龍伍君
   幡谷仙次郎君  畠山 鶴吉君
   花村 四郎君  原田 雪松君
   平澤 長吉君  平島 良一君
   平野 三郎君  廣川 弘禪君
   福井  勇君  福田 篤泰君
   福田  一君  福田 喜東君
   福永 一臣君  福永 健司君
   藤井 平治君  藤枝 泉介君
   渕  通義君  淵上房太郎君
   船越  弘君  降旗 徳弥君
   星島 二郎君  細田 榮藏君
   本多 市郎君  眞鍋  勝君
   前田  郁君  前田 正男君
   牧野 寛索君  増田甲子七君
   益谷 秀次君  松浦 東介君
   松木  弘君  松野 頼三君
   松本 一郎君  松本 善壽君
   丸山 直友君  三池  信君
   三浦寅之助君  三宅 則義君
   水田三喜男君  水谷  昇君
   南  好雄君  宮幡  靖君
   宮原幸三郎君  百武藤嘉一君
   村上  勇君  村上 清治君
   守島 伍郎君  森   曉君
   八木 一郎君 藥師神岩太郎君
   柳澤 道男君 山口喜久一郎君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山崎  猛君  山村新治郎君
   山本 猛夫君  山本 久雄君
   吉田 省三君  吉田吉太郎君
   吉武 惠市君  若林 義孝君
   渡邊 良夫君  亘  四郎君
   逢澤  寛君  犬養  健君
   奧村又十郎君  金光 義邦君
  木村小左衞門君  久野 忠治君
   小坂善太郎君  小松 勇次君
   島田 末信君  鈴木 幹雄君
   田中伊三次君  田中不破三君
   田中  豊君  橘  直治君
   圖司 安正君  坪川 信三君
   中村 又一君  永井 要造君
   長野 長廣君  原   彪君
   保利  茂君  山崎 岩男君
   山本 利壽君  吉田  安君
 早稻田柳右エ門君
○副議長(岩本信行君) 次に、野坂參三君外三十五名提出、農林大臣森幸太郎君に対する不信任決議案は、井上良二君外百二十一名提出の決議案議決の結果、議決を要しないものといたします。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第一、価格調整公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。経済安定委員長小野瀬忠兵衞君。
    ―――――――――――――
    〔小野瀬忠兵衞君登壇〕
○小野瀬忠兵衛君 ただいま議題となりました価格調整公団法の一部を改正する法律案について委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、現行の価格調整公団法第三條第三項に「価格調整公団の運転資金は、必要があるときには、復興金融金庫から借り入れるものとする。」とあるのを「価格調整公団の運転資金は、必要があるときには、国の機関又はこれに準ずるものからの借入金によることができる。」と改正せんとするものであります。
 御承知のごとく、価格調整公団の運転資金は、現行法により復興金融金庫よりの借入金によることになつておりまして、復金借入金の残高は、本年・三月末以来常に二十七億九千万円余に上つているのでありますが、さらに本年六月より価格改訂、認証手形の立てかえ決済等のため本年三月以降において最高十二億余円の増加運転資金を必要とする状態であります。一方認証手形について見まするに、公団の業務を買取売りもどし制から差金取引制に移行するとともに、買取売もどしの場合においても、認証の期間を短縮することによつて認証手形の残高を減少する方針をとつて来たにもかかわらず、九月末において、なお残高約六十億円となつているのであります。しかるに、業界の金詰りのために、右の方針を急激に強行するならば、認証手形の不渡りとなるおそれがあり、公団としては何らかの金融機関から金融を仰ぐ必要が多くなるのであります。他方、物価統制の廃止により今後公団の取扱い品目が順次統制からはずれて参りますると、従来循環的に決済されておりました当該品目の認証手形が、公団との取引停止によりまして切りかえ決済が不能になる懸念が増大いたし、ひいては金融市場に不測の動揺を與えるおそれもあるのであります。
 以上の事情を勘案いたしまして、本公団についても、農林五公団と同様に、復金が貸出しをしない現状においては復金一本で資金をまかなうという現行法の規定は実情に即しませんので、新為に義金をまかなう道を開かん一とするのが本法案の要旨であります。
 本法案については、去る十七日提案一理由の説明を聴取し、引続き二十二日一及び二四日に審議をいたしました。委員会においては、最近各種の公団にとかくの問題の多いことにかんがみましてその審議にあたつては特に愼重を期し、資料の要求をいたしまするとともに、委員諸君と政府委員との間に熱心なる質疑応答が行われました。最も論議の焦点となりましたのは、公団の経理の不正不当問題、赤字金融問題等でありまして、いずれも忌揮のない意見が開陳され、諸般の実情を明確にすることを得たのであります。
 かくて二十四日討論に入りましたが、民主自由党を代表して志田委員、民主連立派を代表して田中委員、民主野党派を代表して笹山委員、社会党を代表して成田委員が、いずれも今後公団の資金運営につき愼重を期すべきことを要求し、現在の実情においては、この改正は必要やむを得ないものとして、賛成意見を述べられました。また共産党を代表して米原委員、労農党を代表して岡田委員が、それぞれ、現状においてこの改正は適当でないと反対意見を述べられました。次いで採決に入りましたが、本法案は多数をもつて原案通り可決されました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。米原昶君。
    〔米原昶君登壇〕
○米原昶君 私は、日本共産党を代表しまして、ただいま上程されました価格調整公団法の一部改正法律案に反対の意見を表明するものであります。
 この公団は価格調整を目的とするものであつて、金融を目的とするものでないことは明らかなはずであります。しかるに実際においては、一日にこの公団に出入りする金が約七億円ということで、巨大な銀行の役割を果しておる。ここに問題があるのであります。もちろん、本年度予算に組まれた安定帯物資に封ずる補給金約一千億円のうち、その半ばに近い四百数十億円が、この公団を通じて支拂われておるのでありますけれども、この価格差補給金を別としても、一日に約六億円の金が一動いておるのであります。これは、この公団が価格差補給金の支拂いをやると同時に、価格プール、運賃プールの業務を行つておるからであります。しかし、ただプールの仕事をやるというだけならば、理論的に言えば、プール価格は、赤字メーカーと黒字メーカーの生産者価格の平均のところできまるのであつて、現実には、理論的に言えば、このためにそんな大きな赤字が出るはずはないのであります。ところが実際には、多額の赤字をこの公団はプール業務で出しておるのであります。去る第五国会で予算がきまりました折に、この公団がプールの赤字を出しておりまして、それを埋めるための金だけでも約九億円が予算に計上されておるのであります。なぜ九億円の赤字が出たか。つまり、メーカーが公団に売りもどしの代金をなかなか支拂わない。ことに、最近は非常な金詰りのために、非常にこの代金がこげついておるのであります。九月末までで、実に二十八億円のこげつきができておるのであります。こうした商品を一々全面的に公団が買取つて売りもどすといういわゆる全面買取り売りもどし方式では、あまりにもこういう金がかかり過ぎるというので、ただいま委員長の報告にもありましたように、いわゆる差金決済の方式によつてやるというふうに移つては募ります。しかしながら、差金決済の方式に移つても、赤字・メーカーの方は、公団に売ればもうかるから取引しますが、黒字メーカーの方は公団に売ればかえつて損をする関係でありますから、むしろ公団との取引を避けるようになつて来る。そうしてやみ取引をやつて行くということになり、逆に公団のプールの赤字は雪だるま式に増大するわけであります。この点は、委員会でも政府委員が明白に認めておるところであります。差金決済方式によつても、決してこの赤字は解消しないのであります。
 さらに、昨年六月から、こういうような価格調整の名前をかりて無制限な復金の融資をやるというようなことは制限されたために、認証手形制度にかわつております。しかしながら、認証手形制度にかわりましても実情は同じであります。手形の決済が来ても、これが決済できない。この九月末でも、六十五億円の手形が落ちないでおるのであります。そうして、これを公団が業者に肩がわりして拂つておる。この手形に伴うところの二重金融、マラソン金融の事実があることも、委員会において政府委員がはつきり認めておるのであります。マラソン金融については、はつきり認めておるではありませんか。こうした金を、今までは復金から借入れてたが、今度は大蔵省の預金部から十二億円出せというのであります。
 こうしてこの公団は、表面は価格調整に名をかりておるけれども、実は一大銀行であつて業者の赤字のしりぬぐい機関となつておるのであります。こうした公団運営の中であるからこそ、業者と公団幹部の間にいろいろの不正事件が起つて来るのは当然であります。委員会におきましても、あるいは仙台の石砂支部における坂田工業会社の八十万円の不正金融事件、菅原組の不正事件、あるいは大阪支部、福岡支部における不正事件が指摘されたのであります。そうしてまた、本公団の仙台支部や本部の幹部が、公団の金を自分の個人名義で預金しておつたという事実も、はつきりと政府委員が認めておるのであります。(拍手)驚くべき腐敗事実が明らかになつておるのであります。
 また公団が、昨年度、この手数料として六億円の黒字を出しておる。ところが、この黒字を当然公団法に従つて国庫に納入すべきにかかわらず、これをごまかしで、運転資金に動かしておるのであります。この事実も、委員会に河野主計局長が出て来まして、はつきりと認めたのであります。こういう当然国庫に納むべき六億円の金を運転資金にまわしておる。しかも九億円も一般会計から繰入れておるのであります。この六億円と九億円と合計して、十五億円の金があるではありませんか。これがあるにもかかわらず、さらに十二億円の金を出す必要がどこにあるか。しかも、これによつて一部業者の赤字のしりぬぐいにこれを使おうとしている。
 ことに最近は、国内市場の不況で、大量のストックが各地にできている。大きな業者は、この手持のストックを、あたかも売つたごとくに装つてたとえば出荷伝票を偽造して、本公団に買いとらしているようなことが、実際に行われているのであります。これは、本公団の認証手形の決済状況を、業種別に、品種別に、会社別にわけて出ている数字で見れば、はつきりわかるのであります。
 最近では、この公団で扱う物資も次第に減らされて来て、統制が次第に撤廃されようとしている。ところが、統制の撤廃を差控えて、これが迫れば迫るほど、ますますこの公団に対する売込が増加しているのであります。統制の撤廃が迫ると、これを待ち構えて、このストックをこの公団に売り込んでしまう。統制撤廃前の荒かせぎをしているのであります。それゆえに、何のためにこういう公団に預金部の金を十二億円も出す必要があるか。ここにこそ官僚統制の弊害がはつきり現われているのであります。民主自由党の諸君は、統制撤廃、統制撤廃と言つているが、統制撤廃が迫つているので、こういう荒かせぎを政府はさしているのであります。
 この公団をつくつたのは、一体だれであるか。この公団は第一次吉田内閣が立案したものではありませんか。そうして、こういう公団をつくつて、こういう公団の幹部と大資本家と結びつかして、今まで大きな荒かせぎをして来た。今統制撤廃が間近に迫り、巧みにここにストックを売り込んで、最近の国内のものすごいストックを売り込んで、またもや荒かせぎをさせようとしている。われわれはそういう意味で、一部大資本家や地方のボス資本家と結んでいるこういう民自党の政策に対して反対する。そうして、こういう無意味な十五億円の金があるにもかかわらず、さらに十二億円つぎ込もうとしているこういう法案に対して、絶対に反対するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。人事委員会理事藤枝泉介君。
    〔藤枝泉介君登壇〕
○藤枝泉介君 ただいま議題となりました政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案の、人事委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、十月二十六日、本委員会に付託されまして十一月十八日より数回にわたつて委員会を開催、審議を重ねた次第であります。
 本法案の要旨を簡単に御紹介申し上げます。御承知の通り、政府職員の新給與実施に関する法律が公布施行された当時は、人事院はいまだ設置されておらず、その実施機関としては、臨時に新給與実施本部が設置されていたのであります。その後国家公務員法が改正され、人事院が正式に発足いたしましてから、右の新給與法の一部を改正し、給與に関する基礎的な部分は人事院が担当し、これが運用及び実施面は新給與実施本部が担当するという、二元的運用が行われて参つたのであります。今回人事院の機構の整備に伴いまして、給與行政機関を一元化するため、新給與実施本部を廃止してその権限を人事院に移すというのが、本法案の要旨であります。
 以下、質疑応答のおもなる点を申し上げますれば、国家公務員の給與ベース改訂、超過勤務手当その他の諸手当並びに年末賞典の支給等についてそれぞれ質疑があり、これに対する政府側の答弁を申し上げますれば、浅井人事院総裁からは、給與ベース改訂の勧告はできるだけすみやかに行いたい旨、鈴木労働大臣からは、名目賃金の引上げよりは実質賃金の引上げを行いたい旨、増田官房長官よりは、国家公務員の年末賞與の支給は法規上不可能であるが、法規の許す範囲内において給與の実質的向上を考慮したき旨、それぞれ答弁がありました。詳細は委員会会議録により御承知願います。
 本日質疑を終了いたし、討論を省略、全会一致の賛成をもつて、本法案は原案通り可決すべきものと議決いたしました。以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長花村四郎君。
    〔花村四郎君登壇〕
○花村四郎君 ただいま議題と相なりました裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、便宜一括してその法案の要旨及び委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 裁判官の報酬等に関する法律及び検察官の俸給等に関する法律は、昨年六月、第二国会において成立し、その後第四国会においてそれぞれその一部が改正せられまして今日に及んでおることは御承知の通りであります。これは、いわゆる月収五千二百三十円をぺースとする一般政府職員の給與に関する法律案の例に準じまして改正立案をせられたものであります。しかるに、その後政府職員の給與ベースは六千三百七円と改められ、本年の一月一日から実施せられておるのであります。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般政府職員の例にならい、その給與基準を引上げる必要があるというのが、この両法案の提案の要旨でございます。さて当委員会におきましては、これら提案を審議するにあたりまして、第一に、何ゆえ判事補及び簡易裁判所判事のみが昇給をいたして判事は昇給しないのか、すなわち同法第十條の規定に従えば、一般政府職員の増給があつた場合には、裁判官に対してはスライド式に報酬の増額があるべきで、政府は裁判官の上級下級を問わず一様に増給すべきではないかという質疑がありました。これに対し政府より、昭和二十五年度の予算において、でき得るだけ早く善処したいという答弁があつたのであります。
 第二に、裁判官に準じて取扱わるべき検察官の俸給についても、今回の措置は五号俸検事以下のみを増給し、上級検事の俸給は何らの変更もなき点につき同趣旨の質疑がありました。これに対し政府当局より、二十五年度予算において善処する旨の答弁がありましたので、十一月二十五日採決の結果、全会一致をもつて政府原案通り可決いたした次第でございます。
 右御報告申し上げます。
○副議長(岩本信行君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。

    ―――――――――――――
○山本猛夫君 自由討議は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後七時三分散会