第006回国会 本会議 第17号
昭和二十四年十一月二十六日(土曜日)
 議事日程 第十六号
    午後一時開議
 第一 道路運送法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 自由討議(前会の続)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 森農林大臣の供出米の補正額についての報告
 外務委員会委員の員数増加の動議(山本猛夫君提出)
 日程第一 道路運送法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 郵政事業特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
 国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 地方行政調査委員会議設置法案(内閣提出)
 国際観光事業の振興促進に関する決議案(栗山長次郎君外二十六名提出)
 日程第二 自由討議 (前会の続)
 昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)
 昭和二十四年度特別会計予算補正(特第一号)
 昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一号)
    午後一時四十八分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 農林大臣より供出米の補正額について発言を求められております。これを許します。農林大臣森幸太郎君。
    〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
○国務大臣(森幸太郎君) この機会をかりまして、昭和二十四年産米供出に対する補正額について御報告を申し上げたいと存じます。
 本年産米の供出事前割当は三千二百三十二万八千六百石であります。本年の作況の関係上、各府県から相当の補正を要求して参つております。又政府にいたしましても、作況の結果、補正を必要と考えておつたのでありまするが、十一月の十五日、司令部より、百十四万六百石を補正すべし、こういう指令を受けまして、政府といたしましては、その間数回にわたつてこの変更方を折衝いたしたのでありますが、これが容認を得られなかつたのでありまして、二十五日に知事会議を開きまして、一応この百十四万六百石を各府県の補正額として割当てたのであります。しかしながら、政府におきましては、今年の作況を知るがゆえに、この百十四万六百石にては、とうてい供出の完納は期しがたいと考えまして、その後関係方面と極力交渉をいたしました結果、今回二百四十五万石の補正の承認を受けたのでございます。(拍手)昨年に比較しまして十五万石の増加でありまするが、なおこれにては十分ではないと存じますけれども、今日日本の食糧事情から考えましてこの二百四十五万石という補正について、農業生産者の御協力を切にお願いいたしたいと存じておるのであります。
 この機会に、今日までの経過を御報告いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 常任委員会委員の員数増加の動議を提出いたします。この際、衆議院規則第九十二條の但書により、外務委員会の委員の員数は別段の議決あるまで三十五人といたされんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) ただいま山本君から提出せられました動議に対し発言の通告があります。これを許します。神山茂夫君。
    〔神山茂夫君登壇〕
○神山茂夫君 共産党を代表しまして、ただいまの動議に対して反対の意思を表明するものであります。
 外務委員会を三十五名にふやすということが、今日動議の形で出て来るまでには、いろいろのいきさつがあつたのであります。すでに諸君も御承知のように、全国民が関心をも持つておりますところの日本に対する講和の問題、この重要な問題につきましては、わが日本共産党は、單に外務委員会の拡充ではなくて、特別委員会の設置が必要であるということを、十一月七日、決議案の形で提出したのであります。これに対しましては、單に共産党だけではなくて、労働者農民党、社会革新党その他の賛成もあつたのでありますが、約二十日間にわたりましてこの論議が引延ばされ、これに対抗するものとして、外務委員会の拡充案が民自党から出て来たのであります。
 外務委員会の拡充を私たちが云々する前に、第一回国会におきまして、各委員会の仕事をどういうふうにするかということが論議された場合の速記録を、参考までに読み上げたいのであります。ことに外務委員会のなすべき権限その他の問題については、すでにこの場合にはつきりしておるので、特に強調しておきたいのであります。これは昭和二十二年六月二十七日の議院運営委員会の速記録によるものてありますが、当時吉川議員は、こういう発言をしておるのであります。「たとえば、外務委員会の第三に「国際会議及び国際機関に関する事項」というのがございますが、この「国際会議」を広く解釈しますと、来るべき平和会議なども、これに含まれるような解釈ができるわけでありますが、平和会議のようなものは、申し上げるまでもなく、この外務委員会に出してあります国際会議とは別個な、大きな意味をもつものでありまして、それが議院の問題となります際には、当然全議員の新たな考えのもとに、外務委員会以外の大きな委員会がもたれて然るべきじやないかと思われるのであります。従つてこの国際会議には、そういう当然近く起きます平和会議のごときが含むものかどうかということを、この際明確に言つておく必要があろうかと思うのであります。」こういう吉川君の問題の提起に対しまして、当時運営委員長でありました淺沼君は、こういうふうに言つております。「しかしこれは重大な問題でありまして、そういうような問題にぶつかつたときに、ひとつ院議に諮つて、どこでやるかということを決定しよう。こういうことで今のような表現を使つたのでありまして、これを御了承願いたいと考える次第であります。」
 淺沼君の意見はこれでわかるのでありますが、さらに参考として私たちが考えておかなければならないのは、大池事務総長の発言であります。(発言する者あり)默つて聞きたまえ。「この終戰後に控えておると思われる講和会議のようなものまで、この国際会議という中にはいるということになれば、一外務委員会の所管事項としては大きに失するのではないか。むしろ、これはわれわれ全体の問題として、しかも重要なものとして、みなタツチできるようなことがいいのではないかというお話でありまして、この国際会議というものは……」「近く予想せられる講和会議のごときものは、日本国の大きな運命をかけておるものでありまするので、これは一つ外務委員会として設けるべきものでなくて、全体の、場合によれば特別委員会であろうと何であろうと、大きな一つの考え方からその問題については取扱うべきが至当であろうという意見が、その委員会では圧倒的でありまして、現実の場合に処して、その問題をこの外務委員会にもつていくがいいか悪いかを、その場合にまた運営委員会等の考えもあり、そのときの情勢に考えてきめていけばいいのであつて、この際の国際会議にそれがはいるか、はいらぬかという字義の決定はせずに進んだ方がよかろうということで、このままにきまつたわけであります。しかし、大体の昨日の皆様の御意見は、当然特別委員会というようなものが設けられるべきが至当であろうという点に御一致のように解釈をして進んでおられました。」
 ここにもはつきりと出ておりますように、講和のような大きな問題は、單に外務委員会だけではなくて、日本国の運命を決する重大な問題でありますので、これには全国民の意思を反映させるような大きな特別委員会が必要であろうということは、今までの国会においては常識となつておつたのであります。(拍手)
 終戰後四年がたちました。終戰直後に予想されておりました講和が、国際情勢のいろいろな関係もありまして、今日になつて大きな問題になつて来たことは、すでに本院においても、また全国民が、さらには全世界の人々が、大きな関心をもつて見ているところであります。従いまして、日本国民の意思を十分に反映した特別大きな委員会が本院に設けられる必要があるということは、まつたく当然のことではないでしようか。
 この際私たちが特に強調しておきたいのは、日本は無條件降服した国であるから、従つて、国民の意思を論じたり、あるいはその意思を云々する必要はないのだというふうな意見が一部にありますが、これこそまつたく誤つた見解なのであります。われわれは、一部の反動的な政治家が、あたかも昔日本が関係しました講和條約のように、こちらから出て行つて対等に話ができるというふうなゼスチユアや宣伝をしていたことを知つております。これは大いに批判さるべきところでありますが、しかし、今はそれはおくとしまして、われわれが降伏しているのはポツダム宣言に対してであります。私たちは、單に無条件降伏したのではなくて、ポツダム宣言に対して無條件降伏しているということを、断じて忘れるべきではないのであります。
 ポツダム宣言の中には、日本の軍国主義的な勢力が一掃され、日本の非武装化が行われ、日本が民主化されたならば、連合軍は撤退する、と書いてあるのであります。こういう事実があり、さらにこの場合、日本人を奴隷化する意思はない、日本人は当然その民族としての発展を保障するということが、はつきり書いてあるのであります。従つて、われわれが無條件降伏をしたところのものは、ポツダム宣言に対してであつて、断じて單なる無條件降伏ではなく、ポツダム宣言を條件とする無條件降伏なのだ。従つて私たちは、国会に国民の意思を十分に反映させる必要がある。
 これを十分に反映させるためには、現在の二十名の外務委員会を、單に三十五名にふやすというような姑息な手段ではなくて、特別委員会――これも單なる特別委員会ではなくて、かつて新憲法制定の際につくられましたような。憲法制定の特別委員会に匹敵するもの、單に匹敵するだけではなくて、さらにもつと大きなものが必要なのであります。従つてわが党は、他の党と協力いたしまして、特別委員会の設置を決議案として出したのでありますが、これに対しては、先ほども申し述べましたように、運営委員会において否決された。そうして、建前が違う、建前が違うということを繰返し繰返し民自党の諸君は言いながら、外務委員会を、初めは二十名と言い、後は三十名と言い、遂には三十五名と妥協して来たのが、今日の動議の根拠になつておるのであります。従つて、この外務委員会の三十五名の拡大案は、ちよつと見ますと、最も民主的な形で国民の意向を組み入れるというふうに見せながら、実は講和特別委員会という、重大な、大きな、超党派的な委員会のできることをおそれて、これをごまかすためにこそ三十五名の委員会をつくろうとしておるのでございます。
 この間におきまして、社会党の側から、初めは趣旨においては賛成であると言う御意見がありました。私たちも、問題は実質が問題でありますので、外務委員会が五十名程度のものになるならば、あえて講和特別委員会を固持するものではないということを、繰返し言明したのであります。さらに民主党の椎熊君たちからあつせん案が出まして、四十名ではどうかというような意見が出ました場合、われわれは、本国会の会期が短いという現状から見まして、これが四十名程度に讓られるならば応じてもよろしいという態度をとつて進んだのであります。ところが、遂に出て来たものが三十五名案であります。従つて、この三十五名そのものは、実は五十名以上の講和特別委員会設置案に対する一つの牽制として出て来ておる。それに対する一つの攻撃として出て来た。あるいはごまかしとして出て来ておる。ここにこそ、われわれが反対せざるを得ない大きな根拠があるのであります。
 私たちは、この際特に強調しておきたいのでありますが、この講和の問題は、まさに日本国民の運命を決するだけでなく、極東における政治情勢を決する上に、重大なる役割を演ずるものであります。日本が全面講和の道を進むか、それとも單独講和の道を進むか、さらに日本が中立を守り得るか、それとも諸君の一部で言われておりますように、軍事基地となるようなことがあるか、これは一日本人の運命にかかわるだけではなく、全世界の動きに大きな影響を持つのであります。従つてわれわれは、あくまで講和特別委員会を、全国民の意思を反映させるような形において持つべきであるという主張を固持しながら、この三十五名案はごまかしであるということを強調して反対します。ごまかしであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 山本君提出の動議を採決いたします。山本君提出の外務委員会の委員の員数を別段の議決あるまで三十五人とすべしとの動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて外務委員会の委員の員数は三十五人とするに決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、道路運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員会委員畠山鶴吉君。
    〔畠山鶴吉君登壇〕
○畠山鶴吉君 ただいま議題となりました道路運送法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、十一月十九日当委員会に付託され、二十一日政府より提案理由の説明を聽取して以来、委員会を開くこと四回、これを愼重審議いたしたのであります。
 本法案の趣旨を御説明申し上げますと、運輸省設置法により全国所要の地に設置されました陸運局分室に道路運送行政の一部を所掌させておりましたが、地方自治強化の見地から、出先機関を地方に委讓する方針に従い、陸運局分室は、十月三十一日をもつてこれを廃止し、道路運送法施行令の一部を改正する政令及び臨時物資需給調整法に基く運輸大臣の権限の一部を都道府県知事に委任する省令等により、貨物軽車両運送事業に関する職権及び自動車の検査、登録並びに燃料、タイヤ等の割当及びその発券等につきましては、すでに都道府県知事に委任しいたしておるのであります。本法案はなお自動車運送事業及び自家用自動車使用に対する監督の職権の一部を都道府県知事に委任し得ることとするために、道路運送法に所要の改正を加えんとするものであります。
 次いで質疑に入り、陸運局分室を廃止して、その職権を地方に委讓することとした理由及びその経過等について、熱心に質疑応答がとりかわされたのでありますが、詳細は会議録に讓りたいと存じます。
 かくて質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決の結果、多数をもつて本法案は原案通り可決した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。米窪滿亮君。
    〔米窪滿亮君登壇〕
○米窪滿亮君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程された法案に対して絶対的に反対するものであります。その反対をする経過について、一言諸君の御了解を得たい点があるのであります。
 それは、本法案はただいま委員長代理がこの壇上から説明されました通り、トラツクあるいは自家用自動車の運営につきまして、従来これを監督しておつた道路監理事務所が廃止されまして、これにかわつて陸運局の分室が十七箇所設けられるという代案が運輸当局から出されたのであります。われわれはこれを了承いたしまして、地方の自治体に委讓しないという業者の各方面から陳情が、おそらくこの席にもおられる諸君のところへも、たくさん来ていることだと思います。運輸当局は、この国民の声に基きまして、陸運局の分室を都道府県に設けることになつたのであります。ところが、閣議の模様は依然として地方へ委讓するという態度が強いということを聞きまして、休会中も継続審議し、運輸委員会は、九月の十二日に民主自由党の諸君が発議して、こういう決議を行つたのでございます。それは、陸運局の分室を都道府県に設置するということは第五国会の決定事項である。しかるに閉会中、閣議決定事項として、これに反対の都道府県への委讓を実現せんとすることは、国会の決定を無視するものと認めるから、政令等により処理せられんとする計画はこれを中止せられ、本問題の最後的処理を次の国会まで保留せられんことを要望するという、この民主自由党発案の決議案は、超党派の態度をもつて、満場一致運輸委員会において決定したのでございます。
 しかるに、この九月十二日から1箇月を経た十月の終わりごろから、閣議は政令を改正して、委讓のできる部分をすでに地方に通達したのみではなく、法律によつてでなければ改正のできない点が、本日ここに上程されました道路運送法となつて現われて来たのでございます。この百八十度の豹変に対しまして、運輸委員会において、私が運輸大臣にその所信を伺つたところが、心境の変化であるというお答えであります。
 この心境の変化によつて来つた理由をお尋ねいたしましたところ、陸運局の分室を設置することを得とあるのは、これが設置できないときには設置し得ざるを得というように解釈してよいという、三百代言的な詭弁を弄した。こういつた点は、従来吉田内閣が院議を無視し、議会を軽視した連続的な現われの一つでございます。(拍手)国民の意思を代表し、国民の意見を代弁しているところのわれわれとして、とうていこれを默視することはできないのであります。この百八十度の転換に対する十分なる説明を、運輸大臣からわれわれは得ることができなかつた。夕べに楚客を迎え、あしたに呉客を送るということわざがある。これは娼婦の態度を言つたのでありますが、こういう点においては、これと一脈共通するがごとき印象をわれわれは受けるのであります。(拍手)
 こういうことがたびたび議会に行われて、多数の威力をもつて、こういうわれわれとして許すべからざる事実を圧伏せんとするがごとき態度は、決して民主主義的な議会にあるまじきことであります。しかも、昨日の運輸委員会においては、民主自由党は多数をもつて質問及び討論を省略して、一気にこれを押し切つたということは、決して公平なる議事ではないということを断言してはばからないのでございます。(拍手)この問題は一見軽い問題のようであるけれども、その底に流れているところの議会の運営の不合理、不公平に対しては、民主自由党の常套手段であるということを私はここに申し上げて、断固として反対の意思を表明するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 田中堯平君。
    〔田中堯平君登壇〕
○田中堯平君 道路運送法の一部改正には、共産党は絶対に反対であります。
 道監の地方委讓ということは、第五国会に提出されていたのであります。ところがわれわれは、次のような理由でこれに反対をした。一体道監のおもなる仕事は、トラツクや乗用車の運送事業でありまするが、こういうものは、大運送、小運送、また地方鉄道や軌道というようなものを一貫いたしまして、全国的に、統一的にこれが監督行政をやるのでなければ、うまいことに行かぬのであります。全国的なものを各地方に分割をして、これの監理行政をすると言いましても、まことにうまく行かない。その結果は、いろいろと弊害が生じて来るのであります。そういう立場から、共産党は終始一貫反対をして来たのであります。
 第五国会におきましては、運輸委員会のほとんど全員が、道監委讓には反対であつたのであります。そこで、政府提出の案も遂に通過せず、わずかに、先ほど米窪議員から説明がありましたように、陸運局の分室を十七ほど設けようということで事がきまつたわけであります。ところが、第五国会において道監の委讓には反対であるという意思が決定しておるにもかかわらず、これを無視し、これを回避して、休会中を利用いたしまして、一片の行政手段――省令あるいは政令というものを用いて、そうして第五国会に提案いたした目的を実現したのが、今度の措置であります。どうしてもこの回避の手段がうまく行かない点、だれが見ても違法行為になるような点、すなわちはつきり申しまするならば、自動車運送事業と自家用車の使用の監督という行政面、これがまたどうしても法律を改正しなければ地方に委讓できないというので、それだけが本案としてここにかかつて来ているのであります。言いかえるならば、もはや行政措置によつて実体は地方に委讓されてしまつて、からだけがここに残つている。これはどうも法律に抵触するから、何とかこれを改正したいというのが本案でありまして、米窪議員の言のごとく、まつたく国会無視である。はなはだ遺憾であります。
 こういう不体裁なことになりますので、最初は運輸大臣みずからも道監の委讓については反対意見でありましたが、今や忽然として賛成となり、道監を委譲したいという御意志、そこで最近の委員会において、何故かくも激変が起きたかを追究いたしましたところ、一向に合理的な説明がない。たつた一言ありまするのは、もつぱら心境の変化――心境の変化とは、皆さん御記憶の通り、あれは軍国主義はなやかなりしころの犬養総裁の言であつた。そのような一言のもとに遁辞をかまえて、一切合切糊塗し去ろうとする、こういう態度、これが民自党の態度であります。
 さて、かくのごとく無理押しをして、どうでもこうでも多数の威力をもつてこの案を押し通そうとするが、その裏には一体何があるか。表面に現われておる立法趣旨を見ますると、出先機関の整理、いわゆる行政整理と、それから地方自治の強化ということがうたわれておりまするが、一体地方自治の強化や行政整理になるか。
 行政整理には、目的は財政上の効果が伴わなければなりませんが、すでに御承知の通り、出先機関がそつくりそのまま地方に委讓されてしまうということならば、何らここに財政的な効果はあがつて来ないのであります。しからば地方自治の強化になるか。今度の改正案によりますると、ただ実務だけを地方に委譲する。人事権その他は一切中央が持つということになつている。このような中途半端な法案でありまするために、地方自治の強化には少しもならない。それのみか、反面の弊害がたいへん多い。
 たとえば、新車を割当てるとか、あるいは石油、ガソリンの配給、タイヤとかチユーブの配給がある。年間を通ずると莫大な量の割当権が地方に委讓されるのでありますが、そうすると、結局地方の大ボス、小ボス、県会議員諸君とか、その他の地方官僚とかいうような人々が、盛んにこの間に泳ぎまわる、結局地方の大ボス、小ボス、利権屋に対して大きなえさを與えてやるという結果になる。地方の大ボス、小ボスには、たいへんいいかもしれない。ことに地方の大ボス、小ボスの上に立つておる反動政党にとつては、たいへん都合がいいかもしれない。しかしながら、泣くのは人民であります。
 ごらんなさい。いろいろな法案に対して、請願がいろいろと出ておるが、この請願の中でも、道監委讓反対の請願が類を絶して多く出ておる。この一事をもつてしてもわかるように、輿論は完全に道監委讓に反対であります。われわれは人民の側に立つて、かかる惡法案に対しては絶対に反対するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 石野久男君。
    〔石野久男君登壇〕
○石野久男君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、本案には絶対に反対するものであります。
 先ほど米窪委員からも申されましたように、本案の審議過程におきましては、政府及び與党の民自党の諸君の絶対多数による横暴が実に極度に達しておる。この法案に対して、休会中、九月十二日に決議がなされたことは、ただいま米窪委員から申された通りであります。このような院の決議を無視したところの政府のやりかたが、ただ一片の心境の変化――民自党の諸君、特に與党の委員の諸君も、またわれわれも心境が変化したのだ。このように言つておる。これは実に国民を欺瞞しておるものである。ほんとうに国民のために政治をしておるものであるかどうかということを私は疑う。
 われわれは、この法案によつて地方自治体が強化されるかというならば、それは絶対に強化されない。そのことは、特にこの法案の実施されることによつて各地方に事務所が設定されましたときの実体は、二頭政治になるのであります。実務は地方自治体がこれを持ち、人事は中央が持たなければならぬという二頭政治は、決して行政の簡素化ではない。のみならず、業者にとつても非常に不便になるのであります。またそれのみならず、私たちは、そのことによつて国民の税の軽減にもならないということを指摘したい。私たちは、あくまでも、これらの法案が、ほんとうに業者のためにも、また国民のためにも、真にそれ自体が日本の再建のために役立つものであるならば、これに賛成するのにやぶさかではありませんけれども、事実はそうではない。まつたく逆に人民を苦しめるところの、産業を破壊する方向に持つて行く法案であるということを指摘して、私たちは反対するものであります。
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、郵政事業特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案及び国民金融公庫法の一部を改正する法律案の両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加されました。
 郵政事業特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事前尾繁三郎君。
    〔前尾繁三郎君登壇〕
○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました郵政事業特別会計の昭和二十四年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案につき、大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 この法案が提出になりました趣旨は、郵便料金の値上げに伴う利用減による収入減のため歳入不足を生ずることになりました郵政事業特別会計に、この歳入不足を補填するために、一般会計から繰入金をいたしまして、同会計の運営を円滑にいたそうとするものであります。この法案の要旨は次の二点であります。すなわち第一は、昭和二十四年度において、一般会計から四億一千二百七十一万七千円を限り郵政事業特別会計に繰入金をすることができることといたしております。第二に、この繰入金につきまして、後日郵政事業特別会計から、この繰入金に相当する金額を、予算の定めるところにより一般会計に繰入れなければならないことといたしております。
 この法案は、十一月二十三日、本委員会に付託されたものでありまして、翌二十四日、政府委員より提案の理由の説明を聽取し、同日質疑に入りましたところ、川島委員より郵便料金値上げ後の収入実績、歳入不足の原因等について、林委員より郵便料金の値下げに対する見解、郵政省関係従業員の待遇問題等について質疑があり、小澤郵政大臣及び中村郵政省経理局長よりそれぞれ答弁がありました。
 次いで、二十五日討論に入りましたところ、前尾委員は民主自由党を代表して、歳入不足が郵便料金値上げによる利用減より生ずることとなつたことは遺憾であるが、今後運営に万全を期し、独立採算制の実をあげられたい旨を述べて賛成の意を表せられ、田中委員は社会党を代表して、職員に対する寒冷地手当、石炭手当等に対する財源が特別会計に見出されないために一般会計から補填するものである点において賛成するものである旨を述べられ、宮腰委員は民主党野党派を代表して、歳入不足は郵便料金値上げによる利用者減に基くものであるから、近い将来に値下げを実行されるよう要望し、また繰入金は後日一般会計にもどし入れられるものであることを考慮して賛成するものである旨を述べられ、林委員は共産党を代表して、郵便料金を合理的に引下げて収入をはかること、郵便年金、郵便保險積立金を郵政省及び電気通信省で運営して財源とすること、人員を補充してサービスを改善し、財源をゆたかにすること、従業員の給與ベースを引上げ、生活を保障して能率をあげること、以上四つの條件を付して賛成の意を表せられました。
 次いで採決に入りましたところ、起立総員をもつて本案は原案の通り可決いたされました。
 以上御報告申し上げます。
 次に議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法案が提出になりました趣旨は、本年六月発足いたしました国民金融公庫の資本金を拡充いたしまして、国民大衆の生活再建のための小口事業資金の円滑な供給をはかりますとともに、公庫の金融機関的な業務にかんがみまして、公庫の余裕金の運用として銀行に対する預金及び郵便貯金の方法を認めることといたし、また国家公務員であります公庫の役職員が特殊の事業に従事しておりますことにかんがみまして、これらに対し特別手当を支給することができるようにしようとするものであります。
 次に、この法案の要点について申し上げます。第一は公庫の資本金の増額に関するものでありまして、公庫の資本金は現在十三億円でありますが、これを十八億円に改めようといたしております。
 第二は公庫の借入金に関するものでありまして、公庫は大蔵大臣の認可を受けて、政府から公庫の予算に定められた金額の借入金をすることができることといたしております。
 第三は公庫の余裕金の運用に関するものでありまして、現在公庫の余裕金は、これをもつて公債もしくは復興金融債券を保有し、またはこれを大蔵省預金部へ預け入れて運用することができることになつておりますが、これを銀行に預け入れ、もしくは郵便貯金に運用することもできることに改めようといたしております。
 第四は公庫の役職員に対する給與に関するものでありまして、公庫の役職員は一般職の国家公務員としての給與を受けるほか、俸給総額の百分の十に相当する金額を越えない範囲で、大蔵大臣の承認を受けて特別手当の支給を受けることができることといたしております。
 以上がこの法案の要点でありますが、この法案は、十一月二十四日、本委員会に付託されたものでありまして、翌二十五日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、質疑に入りましたところ、田中委員より、公庫の貸付状態、庶民金庫より引継いだ債務の返済状態、市街地信用組合の中央金融機関等について質疑があり、愛知大蔵省銀行局長より答弁がありました。
 次いで討論に入りましたところ、北澤委員は民主自由党を代表して、五億円増資は一般庶民金融に貢献するところがある旨を述べて賛成の意を表せられ、田中委員は社会党を代表して、最近の金融梗塞状態においては期待金額にははるかに及ばないが、増資には賛成である旨を述べ、二十五年度には一層資金を充実されたい旨を要望され、宮腰委員は民主党野党派を代表して、資金にはまだわくがあり、貸付には不公平があるから当局において考慮されたい旨を述べて賛成の意を表せられ、河田委員は共産党を代表して、きわめて小額な増資であり、また給與の増額もきわめて低いが賛成する旨を述べ、運用の適正を要望されました。内藤委員は新政治協議会を代表して、農村金融に対する考慮を要望して賛成の意を表せられました。
 次いで採決に入りましたところ、起立総員をもつて本案は原案の通り可決いたされました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいま議題となつている両案を一括して採決いたします。両案は委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長の報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、地方行政調査委員会議設置法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 地方行政調査委員会議設置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事川本末治君。
    〔川本末治君登壇〕
○川本末治君 ただいま議題となりました地方行政調査委員会議設置法案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法案の内容を見ますと、十一箇條のほか、附則をもつて規定されておりますが、まず法案の趣旨を簡單に申し上げます。地方自治を拡充強化することは新憲法の基本方針の一つでありまして、地方自治法、地方財政法、地方税法等の制定改正により着々成果を見て参つたのでありますが、今日までのところでは、主として地方公共団体の機構と運営の部面における民主化に重点が指向せられ、いまだ地方公共団体が処理すべき自治事務及び財源の賦與等の部面については十分な成績を収めるに至らず、従つて地方分権の確立はなお不徹底の状態であります。たまたまシヤウプ使節団がこの点を指摘して、わが国の民主化推進のためには強力な地方公共団体をつくる必要があること、そしてそのため、地方公共団体の財政力を強化する方策と並んで国と地方公共団体との事務の配分を再検討し、まず市町村に、次に都道府県に優先権を與え、国は地方公共団体では有効適切に処理することができない事務のみを引受けるように事務の配分を行うべきことを勧告しておりますことは、御承知の通りであります。この勧告に基いて、政府は、地方行政調査委員会議を、国家行政組織法第八條第一項の規定に基く総理府の機関として臨時に設置するものとしておるのであります。
 次に、この法案の目的とするところを申しますと、地方行政委員会議の所掌事務の範囲、権限、組織を明確に定めるものでありまして、この会議の権限は、地方自治を充実強化して国政の民主化を推進するため、地方自治を基底とする市町村、都道府県及び国相互間の事務の配分の調整等に関する計画につき調査立案し、その結果を内閣及び内閣を経由して国会に勧告することに存するのであります。
 次に、この委員会議の組織について申しますと、内閣総理大臣が両議院の同意を経て任命する委員五人をもつて組織するものとし、その委員の資格は、斯道の卓識者を迎えるよう特別に配慮されております。しかして、議長は委員の中から互選する建前をとり、なお会議の事務処理のために事務局を設け所定の職員を置くこと、專門的事項調査のため專門調査員二十人以内を置くこと、計画の調査立案に関し参考人の出頭及び意見を求め、または関係行政機関、地方公共団体等より記録提出を求め得ることを規定し、その他会議は、関係官公庁の長に対し、職員中より連絡者を指名せしめ得ることを定めております。
 本法律案は、去る十一月十六日、本委員会に付託となりましたので、ただちに十一月十七日委員会を開き、政府より提案理由の説明を聽取した後、十一月十九日、二十二日、二十五日、二十六日の四日間にわたり、政府当局と委員との間に熱心な質疑応答を行つたのでありますが、政府よりは木村国務大臣、本多国務大臣、郡内閣官房副長官以下各政府委員が出席して答弁に当りました。
 質疑の第一点は、第三條にいわゆる調査立案の結果を内閣を経由して国会に勧告するのは、国会の責務を軽視するものであり、また国会には生のままの勧告が提出されないおそれもあり、また時間的に遅延することとなるのみならず、この委員会議の自主性を害することとなり、ひいては勧告の民主性が薄められることにもなる等の理由により、調査立案の結果は、これを直接国会に勧告することになすべきである、できれば一歩を進めて、この会議を国会の機関となすことが、国政の民主化あるいは地方自治の民主化のため適当であると思うがいかんとのことでありましたが、政府は、わが国現在の法制からも、また現在の行政の実際に即応するためにも原案が至当であるのみならず、内閣は会議の勧告を尊重しなければならないということになつているから、地方行政に関しては特に十分にその勧告を尊重することにするので、原案のままでさしつかえないとの答弁でありました。
 質疑の第二点は事務局の定員が少いことで、本年度六人、明年度二十人というがごときことでは、この重大なる調査立案が短期間に完了しないではないかとの質問でありましたが、政府よりは、関係官公庁の各種協力等はもちろん、地方自治庁職員の兼務制度を実施することによつて目的達成に遺憾なきを期する旨の答弁がありましたほか、特に本多国務大臣より、将来必要やむを得ない場合には増員を考慮するとの言明がありました。
 質疑の第三点は、この委員会議の主管大臣は何人であるか、また地方自治委員会議と大体重複するものではないか、また行政制度審議会は不要に帰するのではないかなどの質疑でありました。これらの点に関し、政府よりは、主管大臣は、この会議の成立するまでは、地方自治庁長官たる木村国務大臣の所管であるが、設置された後は内閣総理大臣の所轄の下に置かれることになり、日本学術会議と同じ性格で、総理府の機関となるのである。また地方自治委員会議は、地方自治庁が常時行政行為を行うにあたり、重要な案件を審議して日々の仕事の完璧をねらつているのに反し、この委員会議は、国家百年の大計を調査立案して一定の勧告をするものであるから、両者は重複しない、なお行政制度審議会は国家行政機関について審議することを主眼とするものであり、またその設置について法律上の根拠はなく、内閣総理大臣の諮問に対し答申をするための行政措置に基く存在であつて、両者関連はあろうが、全然性格と目的を異にしたものであるばかりでなく、やがてその目的を果して解消するであろうとの答弁がありました。
 第四点は、この委員会議の存続期間の見通しについて、二箇年内外の期間では、この会議の広汎にして重大な調査立案は完了し得るかとの質問でありまして、これに対し、政府よりは、シヤウプ勧告に従つて、なるべくすみやかに短期間に完了すべきことになつているが、若干延びることはあり得るであろうとの答弁がありました。
 第五点は委員の任期等に関する質疑でありましたが、この会議の目的達成まで委員は交代しない建前であるが、みずから辞任することは認めるであろう、また政党所属の変更等では罷免することはないであろうとの答弁がありました。
 第六点は、專門調査員の任命権は内閣総理大臣にあるから、政府の息のかかつた者が專門調査員の重職につくことになると思われる、議長が任命権を持つことにしてはいかんとの質疑でありますが、政府からは、学識経験のある者の中から、会議の推薦に基くことを條件として任命することになつているから、心配はなかろうとの答弁がありました。
 かくいたしまして、討論採決の結果、共産党を除き多数をもつてこれを可決いたすべきものと決定した次第であります。
 以上御報告を申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 本案については討論の通告があります。これを許します。谷口善太郎君。
    〔谷口善太郎君登壇〕
○谷口善太郎君 簡単にやります。今川本君から非常に詳細な報告がありまして、私ども満足したわけでありますが、川本君の報告の中に、一つだけ拔けているものがある。それは、地方行政委員会としましては、共産党を除くほかは全員一致して賛成したということになつておりますが、内実は、この委員会、つまり地方行政調査委員会議では何もできまい、ほとんど間に合わないだろうというのが、大体地方行政委員会の委員全体の考えであります。私どもは、こういう調査委員会議をつくるということ、あるいは地方自治団体と国との間の事務の調整、それに関する各種の調査をやつて、民主的な立案をするということにつきましては、私どもも大いに賛成なのであります。やらなくちやいけないと思う。そうは思つておりますが、この設置法案による委員会議では何ものもできないだろう、こういうことを私どもは主張したいのであります。今日までいろいろな審議会とか、あるいは委員会をつくりました。しかし、内閣の中に政府機関としてつくつたものに、効果をあげたものがあるか。地方自治庁の中に自治委員会議がありまして、そうして地方自治体と国との間に問題が起つた場合に、これを処理するようになつている。しかし一度でもこの会議が地方自治体の間に合うような有効な働きをしたか。今度のこの設置法案を審議している最中に、自治委員会議の一人である、地方行政委員会委員長をやつている中島さんが委員として出ているが、何ら働きができないということを言つている。こういうものを、いくらつくつても間に合わない。地方自治体の事務と国の事務との間の配分についての、ほんとうに革命的な変化をもたらそうとするこの委員会議を、こういうものにまかせておいて、それでいいと思つているかどうか。私どもは、これにはまかすわけには行かない。特に政府の一機関としてやる場合に、今日の吉田内閣の中では、まつたく民意が無視される。これが今日までの情勢であります。
 そこで私どもは、こういう強力な、地方と国との事務の分担をここに革命的に、民主主義の方向に向つて再整理するための委員会は、政府の一機関としてでなく、われわれ国会議員の責任によつて国会の中につくる、このことを私どもは主張しているのであります。これにつきまして、先ほど川本君の報告の中にもありましたが、諸君は反対と言つているが、地方行政委員会の理事会全員賛成で、特別委員会をつくろうということを申し合わせておる。共産党の言うことだつたら、諸君はただぎやあぎやあ騒ぐだけで、そして反対する。しかし、真にわれわれの当面する大問題を処理するためには、政府の機関でなく、国会の機関を作るということ、これはみんな賛成している。つまり特別委員会をつくつて、その中で、この問題について最もエキスパートである民間及びその他の專門家を集めて、国会の権威と責任でもつてやつて行く、こういう方向でやるべきであつて、政府の一機関、しかも大臣以下のその下風に立つような議長、そういう小さな無力な、いつでもごまかされてしまうような委員会をつくつても何にもならない。單なる形式にすぎない。
 こういう意味で、日本共産党は、この委員会の設置法案に対して反対するものであります。
○議長(幣原喜重郎君) 床次徳二君。
    〔床次徳二君登壇〕
○床次徳二君 私は、民主党野党派を代表いたしまして、ただいま上程せられましたところの地方行政調査委員会議設置法案に対しまして、希望條件を付しまして賛成するものであります。
 御承知の通り、本委員会議は、わが国の地方自治を拡充強化し、国政の民主化をはかる根本を調査研究いたしますところの、きわめて重要なる任務を有するものであります。わが党といたしましては、政府提案の理由に述べてあるがごとく、この会議を、独自性を有する、しかも自主的な行動をとり得さしむるような特別な機関といたしますことにつきまして、根本から賛成なのでありますが、ただいま提案せられましたところの本案の内容を見まするのに、本委員会議は内閣の機関であり、かつその重大なる任務を遂行するにあたりまして、内閣及び内閣を経由して国会に勧告するがごとく規定せられておるのであります。まず機関といたしまして、その独自性並びに自主性に不完全なものを感じますと同時に、その意見を完全に国会に反映することに対しまして、なお遺憾の点があることを認めるのであります。国会が目的といたしますところの将来の地方自治の充実、国政の民主化に対しまして、はたして十分役立つやいなやということに対しまして、なお若干の疑問が残されておるのであります。
 わが国の国政の民主化並びに地方自治の充実に関しましては、われわれ国会といたしまして、最高の府といたしまして、その責任におきまして、その義務におきまして、またその理想におきまして、最高のものをわれわれは感ずるものであります。
 最高の責任、最高の義務、また最も高いところの理想を持ちまして、今後これに処して行きたいと考えるのでありますが、この点に関しまして、今日提案せられましたところの会議が、十分この国会の義務、責任を遂行するにあたりまして遺憾なきよう、私どもは要望するのであります。政府におかれましては、この会議の運営におきまして十分注意を要するとともに、重大なる責任があることを、今日ここに指摘する次第であります。
 シヤウプ使節団の勧告書を見まするに、やはりこの点を考えられておるのでありまして、すなわち、本委員会議は直接国会に勧告すべきことをやはり示して述べておられるのであります。すなわち、今日国会に属し、また国会にただちに意見を勧告するを得しむることが最も適当なりと信ずるのでありますが、しかしながら、現在この法案を、ただちに、ただいま申し上げましたような趣旨において、根本的に修正いたしますことにつきましては、手続上困難がありますので、やむを得ず私どもはこの法案に賛成する次第なのであります。従つて国会におきましても、この地方自治の拡充並びに国政の民主化に関しましては、單に委員会議の職務にまつことなく、国会みずからも十分な研究考慮を必要といたしますので、同時に特別の委員会並びに事務局等の設置の方法を講じまして、将来十分遺憾なきよう努力を必要といたしまするとともに、さらに政府におきましても、この会議の運営にあたりまして、特に国会が遺憾なく職務を遂行し得るがごとく特別なる配意をせられんことを、重ねてここに要望いたす次第であります。
 以上希望條件を付しまして、ここに本案に賛成をいたす次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、栗山長次郎君外二十六名提出、国際観光事業の振興促進に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 国際観光事業の振興促進に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。提出者栗山長次郎君。
    〔栗山長次郎君登壇〕
○栗山長次郎君 ただいま議題となりました国際観光事業の振興促進に関する決議案を朗読いたしまして、簡潔に提出の理由を説明いたします。
  国際観光事業の振興促進に関する決議案
  わが国の国際社会への復帰が近きにあることを予想されるこの際、国際収支の改善に資するとともに、国際親善の増進並びに彼我の文化の交流を図るため、戰後再発足の段階にあるわが国国際観光事業の基本的諸條件を速やかに整備しなければならない。
  衆議院は、さきに院議をもつて観光事業振興方策樹立特別委員会を設け鋭意調査を進めているが、第二次世界大戰の終結を契機とする英、仏、伊、端をはじめ欧州諸観光国におけるし烈なる事業活動にかんがみ、よくこれら諸邦に伍し、わが国観光事業の着実なる発達を期するためには、外客の受入体勢を強力に充実する必要がある。
  よつて本院は、政府に対し速やかに次の事項につき具体的方途を立て、本院に報告することを要求する。
 一 観光関係行政の調整統合
 一 ホテル、交通機関、観光道路及び衛生施設の整備改善
 一 基本的観光施設に対する長期金融その他の助成方策
 一 観光地及び観光資源の整備保存
 一 観光観念の普及
 一 外客接遇の改善
 一 観光宣伝及び外客誘致の強化
  右決議する。
以上であります。
 国際観光事業の対象となります風景、美術、国宝等、またこれに関する諸施設は、重ねて何回でもその目的に供することができ、他の輸出物資のごとく、一度外貨を獲得すれば消費してしまわれるというものと違うところに、国際観光事業の振興をはかつて外貨を獲得し、国際収支の改善をはかることが望ましいのであります。風光明媚なわが国ではありますが、戰争のために、わが国は国際観光の一地域として忘れられたかの感があると思うので、この際国として大いに力を入れて、再発足をいたさなければならぬのであります。
 案文でも申し述べましたように、衆議院の特別委員会は、これが調査をいたしておりますが、観光諸国として知られております国々は、各種の方策を講じて助成をいたしております。わが国における現状は、この点において遺憾な点が多いのであります。ことに、観光事業特別委員会でいろいろな問題を取上げてみますというと、観光事業関係の行政機関がまちまちであり、権限が各所に分割されておつて、その構想を組み立てます上に、また一つの具体的な計画をいたします上に支障の多いことを痛感しておるものであります。
 観光事業の諸設備は、一日にしては成りません。案文で申し上げましたように、やがて講和会議が開かれ、日本が国際社会の一員としてスタートすることになりますが、今のような設備をもつてしては、日本を訪問しようとする希望者がありましても、不安のために、日本に足を向けることを手控える状態であります。私どもは、関係の諸施設を整備して、安心して、喜んで、満足して日本を訪問し、これによつて国際親善、文化の交流をはかるとともに、冒頭に申しましたように、国際収支の改善をはかる得ることを期するものであります。この仕事は、国際競争場裡においてなされる仕事がありますから、ひとりよがりは禁物でありまして、各国のなしております程度のことは、日本でもいたす必要があります。
 こういう関係にあります国際観光事業の振興でありますから、本院におきましても調査を進めており、具体的な方策をこれから皆さんに御審議いただくのでありますが、政府としても万遺憾なきを期することを望みますため、この決議案を提出いたした次第でありまして、何とぞ御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 本案につき討論の通告があります。その発言を許します。砂間一良君。
    〔砂間一良君登壇〕
○砂間一良君 私は、ただいま上程されておる決議案に対しまして、日本共産党を代表して反対の意見を申し上げるものであります。
 国際観光事業の振興と言いますけれども、一体どこの国と国際親善をはかり、また国際文化の交流をはかり、あるいは外客を誘致しようとしておるのでありますか。全面的な講和会議も開かれていない今日、世界各国から自由に日本を観光に来る道は開かれておらないのであります。だだ、特定国の外人が特別の許可を得て入国しておるのが現状であります。この條件のもとで観光事業を云々するということは、特定国の外人にサービスを提供することだけにしかならないのであります。観光事業の振興は、全面講和が成立いたしまして、世界のあらゆる国々から自由に日本に来られるような條件が整つたときに初めて問題にすればよいのであります。私どもは、一部の国々にのみ奉仕するような観光事業には絶対反対であります。
 観光事業の振興と言いますけれども、その具体的内容は何かと言えば、いわく、ホテル事業等、宿泊設備の整備、一等車や展望車など、高級車両の建設、交通機関の整備、あるいは通訳やダンサーなど接客要員の養成、外人向きのダンスホールや高級娯楽場の建設、国立公園や観光施設、観光道路の建設整備等が中心であろうと思うのであります。聞くところによれば、ホテルの建設整備について、日銀より特別融資のあつせんにつきまして、すでに了解を得たそうであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
またホテルを建設いたしまして、このホテルの家屋税やその附加税を半減するというふうなことが論議されておるそうであります。また国鉄では、すでに高級車の建造に着手しておりまして、来年度は一等車を八十両、二等車を二百両建造する計画が立てられておるそうであります。観光関係道路の建設整備につきましては、来年度三十四億円の予算を計上しておるそうであります。その他観光事業の海外宣伝費としましても、巨額の予算が立てられておるということを聞いてあるのであります。今日日本の現状におきまして、かような施策をなすということは、まつたく本末顛倒であり、矛盾不合理もはなはだしいと言わなければならぬと思うのであります。六・三制の校舎さえも建たなくて、馬小屋で授業をやつておるときに、ホテルを建設するなんということが、何で必要でありましようか。たび重なる台風によつて、道路は流れ、橋は落ち、防波堤は決壊して、幾百万の国民が災害に泣き、その復旧費すら出せないようなときに、山の奥にアスフアルトの観光道路をつくるというような、そんな余裕がどこにあるでありましようか。議院食堂に行つて見れば、あの台風被害の写真が出ておるということは、諸君も食事のたびごとに見ておることだと思う。一等車を九十両もつくり、二等車を二百両もつくると言つておきながら、三等車は一台もつくろうとしない。三等に乗る国民は、あの窓ガラスのかわりに板を張つた車両の中で、押し合いへし合いしておるのが現状ではないか。こういうふうな日本の現状からしまして、今日観光なんということは、その時期ではないということがはつきり言える。
 また吉田内閣の失敗によつて、労働者は首切り、低賃金に泣き、失業者はちまたにあふれて、農民は低米価、強制供出、重税に苦しんで、中小企業はばたばたと倒れておる。そうして国民に、ホテルや高級娯楽場を建設して、ダンサーや接客婦を養成し、一部の特権的な人々のみ観光娯楽に打ち興ずるというような状態をつくり出すことが、日本の国民層にいかなる影響を與えるかということは、推して知るべきであります。すでに私どもは、全国至るところに、パンパン娘が、道路や駅頭にあふれておるのを見ておるのであります。この決議案は、まつたく国全体を売り渡そうとするところの亡国政策であると言わなければなりません。
 また提案者は、観光事業は外貨獲得のためだと申しております。しかしながら私は、国全体をパンパンにしてまで金をもうけたいとは思わないのであります。外貨を獲得するためならば、なぜ国内産業を振興して、あらゆる国々との自主対等の貿易を盛んにし、正常な手段によつて外貨を獲得しようとしないのでありますか。この政策は、健全な産業を起こすかわりに、ホテルやダンスホールを繁昌させて、国に不利益な不等価貿易を続けながら、観光に事寄せて特定国の外人のみを招いて、日本を娼婦の地位に押し下げて、汚れた花代をかせごうとするところのパンパン政策であると言わなければならぬのであります。また外貨獲得、外貨獲得と言いますけれども、高級な、ぜいたくな物資をふんだんに使つて、わずかばかりの外貨が落ちたといたしましても、それは形をかえた飢餓輸出でしかないのであります。こんな外貨獲得には、私ども断固として反対であります。
 またこの決議案は、目下観光事業特別委員会で審議中のホテル整備法案が難関にぶつかつておるので、これを通すための伏線として、前段的な、つけ景気的な色彩が多分に強いということが看取されるのてあります。ホテル整備法は、ホテルや旅館業者の一部の人たちの利権屋的法案であります。観光事業振興の陰に隠れて、こういうふうな業者の醜い利権屋的運動が隠されておるのであります。民自党の諸君の中でさえも、心ある人たちは、この法案に反対いたしておるということを、私は承知いたしておるのであります。観光事業の振興なんと言いますれども、今日まつたくその時期でないということは、敗戰日本の現実を見れば、だれにもわかつておるはずであります。
 私は、以上申し上げました理由によりまして、この決議案に対しましては絶対に反対するものであります。
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第二、自由討議を継続いたします。
 園田直君、発言者を指名願います。
○園田直君 民主野党派は並木芳雄君を指名いたします。
○副議長(岩本信行君) 並木芳雄君、発言を許します。
    〔並木芳雄君登壇〕
○並木芳雄君 私は、農業協同組合の危機について自由討議を行い、皆さんとともに考えてみたいと思うものであります。
 農業協同組合が誕生しまして二年間になりました。このお誕生をお祝いして、方々で行事が行われましたし、また二十三日には、新穀収穫の感謝を兼ねて方々で行事が行われまして、表面は、はなはだ、はなやかなように見えるのでありますけれども、一たび農家の台所にまわつて見、農業協同組合の運営にタツチしてみますと、火の車であつて、非常に苦しいということを発見するのでございます。私は、こういう農業協同組合の経営難の原因がどこにあるか、大体農民と、組合の側と、これに対する政府の側との二つにわけてみることができると思います。
 なるほど、二十二日のNHKの録音放送におきまして言われました通り、農業協同組合というものが農業会から移管されたことは、あたかも、うぐいすが、ほとどぎすの卵をかえすような状態であるから、一朝一夕には、この成果というものは求められない。農民の側においても去就に迷う、こういうようなことが言われておりました通り、急激なる変化に対応して、農民あるいは組合の幹部の方々の間におきまして、十分なる運営について軌道に乗つておらない節があるかもしれません。しかし私は、その分野というものは非常に小部分であつて、つらつら考えてみますと、やはり大部分のものは政府当局の指導よろしきを得ないがためであるということを結論したのであります。
 NHKの放送討論会の中にいろいろありましたが、たとえば農業協同組合からの肥料の配給が麦まきに間に合わないとか、あるいは農産加工のときにつき賃が高いとか、あるいは預けた麦の数量が減つてしまつたとか、賃金のまわり方が悪いとか、あるいは害虫駆除についての十分な手当てができておらないとか、またいい品物を安く売つてくれないとか、いろいろこういう注文が出ておりますけれども、これは終局するところ、政府側において十分の手当と指導が行われておらないというところに原因があるものと思うのであります。
 そこで私は、こういうもろもろの現象については、別途質問書を提出して政府にただしたのでありますが、その答弁は非常に抽象的であつて、われわれは何ら政府の具体的かつ積極的な育成方針について聞くことのできないことを、はなはだ遺憾としておるものであります。従いまして、そういう点については、ただいまも申し上げました通り、加工の問題とか、あるいは課税の問題、そういう現象的なものにつきましては、再び質問書によつて当局にただしておりますが、私として本日特に皆さんとともに考えたいのは、農業協同組合というものの経営の本質が現内閣の行き方と一致しておるかどうか、こういう点なのであります。
 農村におきましては、かつて地主と小作人との階級対立がありました。そして、数人の地主というものが小作人を握つてしまつて、いわゆる支配的立場に立つておつたのであります。たとえば選挙のときなどでも、そういう数人の支配権を持つた者をつかめば、その村や町の農民の投票権を全部獲得することができたというような状態があつたのでありまして、そういう支配的地位に立つておつたところの地主的農民というものは、支配する気持になれて、いつしか自由経済あるいは資本主義の経済というものが自分たちに都合がよいのだというような錯覚に陥つておつたのであります。そうして、農民全体の経済の機構、あるいは運営というものが、他の都会の産業とか大資本産業、あるいは基礎産業的な分野に向けられておる優越なる地位と比較いたしまするときに、地方の農村全体というものがBクラスに落とされておる、そういつた差別待遇を受けておるということには、自分は気がつかなかつたのであります。
 しかるに、農地改革その他のいろいろな改革が行われまして、こういう地主対小作の対立といつたようなものが一応解消してしまつた。小作人にしても、それぞれ一本立ちのできる農家になつた。経営者になつた。ここにおいて初めて彼らが気のついたことは、一人一人一本立ちをしておつたのでは、とうていこれは大産業、大資本に対抗すべきすべがないということであるのであります。ここに目をつけましたところの私たち片山、芦田両内閣において、鋭意意を用いてこの零細な、弱い農民の力を結集して、これを一方における基礎産業、重要物資をつくる大資本に対抗せしめて公平なる立場に立たせるためには、協同組合組織によつて育成する以外にはないという結論によつて、農業協同組合法というものを制定したのであります。
 このゆえんをもちまして、もしわれわれの内閣が今日まで継続しておつたとしたならば、急激に弱体化されたところの農村の経営難というものは、従つて農業協同組合の経営難というものは、招来しないで済んだのであります。しかるに、不幸にして現在の吉田内閣は、自由な立場に立つところの資本主義というものを目ざして進んでおる。そのために、協同精神によつて盛り上つて行くところの農業協同組合といつたものに対する手当が、いきおい手薄になつて来るということは、火を見るよりも明らかなことでございまして、われわれは、今日政府がこの点に特に注意をして、農業協同組合の育成に積極的な行動をとらざるにおいては、せつかくりつぱな農業協同組合法というものをつくりましても、これが成果は期待できないということを憂うるものであります。
 従つて、こういう点を考えますときに、昨日森農林大臣に対して不信任案が突きつけられました、これはまた当然のことである。自由主義、資本主義まる出しの経済を主張するところの内閣のもとにおいては、現在の日本の農村というものは絶対に浮かばれないという結論を持つておりますわれわれとしては、当然森農林大臣に対する不信任案が出て来るということは考えられるのであります。しかもこれは、昨日野党方面から、るる指摘された通り、いろいろの現象において、農民いじめの対策について特に不信任案が提案されたのでありますけれども、私の本日の自由討議をもつて言わしむれば、これはまつたく病源がある。いわば、おできができておる。そのできものがぽつりぽつりと表に現われて来る。それをただ手術したにとどまるのであつて、われわれは、もつと掘り下げて考えますときに、病源、病毒というものを切りとらなければ、絶対に農林行政は円滑に行かないということを考えるものであります。
 そういう意味におきまして、私は、協同組合の二年の誕生を迎えるにあたり、農村というものが公正なる立場に立つまで政府は積極的に動いて、そうして先ほどちよつと触れました通り、米や麦の加工の問題とか、あるいは株式会社とかいつた大きな企業に対抗するために、もつと自由な立場を與え、ほんとうに自由競争のできる立場を與えるように、配当の制限などというものに対しても緩和する、あるいは農業協同組合に対する税金のかけ方についても特段の手配を與える、それからまた、しばしば問題になつております通り、報奬物資の優先配給といつたような点において特に積極的な育成方針を講じてもらいたいと思うのであります。
 最後につけ加えたいのは、農業会から農業協同組合に移りましたときに、ある都道府県におきましては、事のあまりに急であつたために、資産の評価について高く売りつけられたところがあるのであります。それは市町村の農業協同組合では問題がなかつたのでありますけれども、府県によりましては、旧農業会の役員だけが資産処理委員の中に加えられまして、新しくできることを予定されておつたところの都道府県の農業協同組合の役員の中からこの委員が出ておらなかつた。そのために両者の間の意思の疎通を欠きまして、その当時としては非常に高い、今となつてみても、とうてい経営ができないような、高い評価をもつて受継がれたところがある。また現在それができておらないところにおいては、非常に高い値段をもつて受継がれたところがある。また現在それができておらないところにおいては、非常に高い値段をもつて売りつながれようとする傾向がある点を指摘しておきたいと思うのであります。こういう点につきましては、今からでも遅くはないのでありまして、適正なる評価を加えませんと、都道府県のいわゆる農業協同組合連合会というものが経営難に陥つてしまつて、市町村の農業協同組合とともに、農村の民主化をはばむことになる。
 私は、あえて各市町村における、たつた一つとは言いません、ほかにもいろいろあると思いますが、最も重大なる日本民主化をはかる基盤としての農業協同組合というものの、今日ここでせつかく芽ばえたその芽をつみ取りたくない。こういう見地から、特に貴重な時間をいただきまして、農業協同組合の危機と題しまして自由討議を行わしていただいた次第でございます。どうもありがとうございました。
○副議長(岩本信行君) 土橋一吉君、発言者を指名願います。
○土橋一吉君 日本共産党は伊藤憲一君を指名いたします。
○副議長(岩本信行君) 伊藤憲一君、発言を許します。
    〔伊藤憲一君登壇〕
○伊藤憲一君 私は、今日全労働者階級の要求になつている給與ベースの改訂について、もつと一般的にいえば賃金の引上げについて述べたいと思うのであります。
 去る八日行われました吉田総理大臣の施政演説において、首相は、日本の国民経済が安定し、労働者の実質賃金が向上しつつあるということを述べたのでありますが、これがまつたくでたらめであるということは、現実に工場労働者の生活を調べてみれば明瞭になるのであります。すなわち、十月三十一日現在、全国の賃金不拂い状況は七千三百三十件に上つて、金額は実に三十五億円に及んでいるのであります。労働者が働いて、そうして名目的にどうであろうとも、この年末を控えて三十五億に上る賃金の不拂い――働いて賃金をもらえないということで、どうして実質賃金の向上ということがあり得るでしようか。明らかに実質賃金は低下している。国民生活は破綻しているのであります。
 この二十三日は、勤労感謝の日として国民の祝日にされております。しかし、その勤労感謝の日には、飯田橋の職業安定所に、この祝祭日にもかかわらず、失業者の群れが職を求めて集まつておるということを、新聞が伝えておるのでありますが、そのすぐ下では、売行きの悪い新卒業生と、新しく大学を出られる諸君の就職難を伝えております。これは十人に一人はいい方で、九人の求人に対して九百余人が応募したという会社さえあるのであります。
 政府はしばしば、実質賃金を引上げるために、やれ厚生施設をふやすとか、医療設備をどうのと言つておりますが、事実はどうでしようか。至るところの工場、事業場において、保安、衛生、厚生等の諸施設は荒廃に帰し、残業と労働強化が労働者を過労に導いておるのであります。その上、工場災害と結核が激増し、生活はもとよりのこと、労働者の肉体そのものが破壊されつつあるのが現状であります。人たるに値するということを基準とする労働基準法は、現吉田内閣によつて、まつたく踏みにじられております。
 たとえば日本鋼管鶴見造船所の例をとりますと、この工場では、入門が一分遅れますと十五分分の賃金を差引く。すなわち十五倍の賃金を差引くのであります。こういうべらぼうな話はない。現に、これは明らかに不当な行為であつて、基準法の違反であります。月給者が一日、二日休み、あるいは一週間休んだつて、月給を差引くところはありません。日給である労働者諸君が、一分遅刻をしたというために、十五倍にあたる十五分の賃金を差引くというような、べらぼうな話はない。こういうことが行い得るとするならば、吉田総理のごときは、国会開会中にもかかわらず、ときどき御殿場にひつ込んだり、大磯にひつ込んだりしている。このたびに吉田総理の給料を十五倍ずつ引いたならば、歳費をやるどころか、吉田総理から歳費をもらわなければならぬ。こういう不合理なことが、労働者階級に対しては平然として行われているのが現状であります。これをもつて実質資金の向上とどうして言えるか。吉田総理は、工場に働いておる労働者諸君の実態を絶対に知らない。
 またこの工場では、進水日がきまると、その日は決して延ばさず、ものすごい追込み作業で、徹夜が繰返されております。組立て工場の屋根はあらしで飛んだままであり、労働者は、その下で、電気熔接という危險な作業をやらされております。しかも、工員の地下たびや手袋は穴だらけで、電線の被覆は破れておる。こういう環境で、土砂降りの中で、屋根から雨が漏る中で熔接作業をやらせている。こういうことの結果、この四月、熔接の伍長である江口君という労働者は感電死するという不祥事が起きておる。この工場の呼吸器病は、昨年の三倍に激増しています。すなわち、病気で欠勤している五百九十一件のうち、二百余件が呼吸器病で休んでいる。
 さて問題の厚生施設でありますが、ここには七百名ほど収容している独身者寮があります。最近まで会社が相当費用は負担しておつたのでありますが、これを実費主義に切りかえて、八百十円の食費が千二百円に上り、ふとんの修理代とか、電燈、水道料金も自分持ちになるというありさまで、この十月から、一人当り平均五百円の実質賃金の低下になつておる。現に労働者が働いているところでは、統計の上で何と言おうとも、実質賃金は低下しているんだ。これが現実です。
 このように、現実の国民生活は、安定どころか、はなはだしく破壊され、実質賃金は低下し、今労働者の生活は、まつたく植民地的な状態に陥つている。従つて、労働者の実質賃金が上らなければ、これはただに生活が安定しないという問題だけではない。今や日本の国民生活が、日本の労働者階級の生活が植民地的な生活に陥りつつあるということです。労働者の多くは、今日疊一疊以下の住宅に住んでいる。ひどいのは、四疊半のアパートに二夫婦が住んでいるのがある。これがはたして独立した国民の生活か。これが現実に生きている労働者階級の状態です。
 政府は何と言おうとも、現に特別職の給料を上げることを用意している。またわれわれ同僚議員諸君は考えなくてはならない。われわれの宿泊料だつて上げることを考えている。これは明らかに、実質的にわれわれの収入が減つているということ、労働者について言えば、労働者の賃金が減つているということを、みずから認めているものであります。現に国鉄の民同すらが、つつましやかという注釈をつけておりますけれども、九千七百円ベースの賃金引上げの要求を掲げざるを得なくなつた。それほど今日賃金引上げの要求というものは全労働者階級の要求になつているのです。(「三鷹事件はどうした」と呼ぶ者あり)今言うよ。
 しかるに政府が、このようなつつましやかな要求を拒否したのみでなく、八千五十八円という、きわめて低い調停案も拒否したということは、この夏に始まり、今日なお続いておる政府の反人民的な政策、首切り政策を、数々の階級的な犯罪を重ねつつ援助し来つた悪質な民同を、今や吉田内閣は育成する経済的な基盤を失つたという最大の弱点を暴露している。だからこそ、諸君が育成した国鉄民同の菊川君が何と言つておるか。もはや法内鬪争の限界が来ておると言つておる。この間の予算委員会においては、高野實君は、こういう吉田内閣のやり方でわれわれは官公庁の労働者及び民同の労働者と共同戰線を張つて、賃金の改訂のために鬪うということを言明せざるを得なくなつておる。こうして吉田内閣は、自分の売国的な政策を遂行するために、労働戰線の分裂を策するために育成した民同を、今日は吉田内閣そのものに向つて牙を向けるような組合に育成しつつある。これが現状だ。
 さて、今三鷹事件はどうしたという話が出たが、殖田法務総裁は、文芸春秋の今月号に「日本バドリオ事件の真相」という手記を発表しておる。その中で、殖田君は、吉田首相を中心とする、あの戰時中の警察体制の国家の中で行つた彼らのクーデタ、陰謀を叙して、自分みずからは、すなわち吉田総理大臣や殖田法務総裁は陰謀家であると、自分でうそぶいております。
○副議長(岩本信行君) 伊藤君に申し上げます。時間が参りましたので、結論をお急ぎ願います。
○伊藤憲一君(続) こういう人々が現在政権を握つておる。一体下山事件の犯人はどうした。これは他殺か自殺か、まだわからない。三鷹事件がだれによつて行なわれたかということは、現に公判が明らかにしつつあるところです。しかし、もうああいう首切りのときのように、今の労働者階級の賃金要求は、労働戰線の分裂、民同を使つての破壊、あるいは下山事件や三鷹事件のような陰謀をもつてしては粉砕することはできない。もう一度吉田内閣は、現実に起つておる国民生活の破綻及び労働者階級の実質賃金の低下を認識して賃金値上げを行わないならば、全労働者階級の統一戰線が、このことを力をもつて貫き、吉田内閣の命とりとなるであろうということを、私は忠告したいのであります。日本共産党は、もちろんこの労働者階級の要求の先頭に立つて鬪うことを誓うものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 福永君、発言者を指名願います。
○福永健司君 民主自由党は福田一君を指名いたします。
○副議長(岩本信行君) 福田一君、発言を許します。
    〔福田一君登壇〕
○福田一君 私は、電力開発について所見を述べて、諸君の御賛成を得たいと存じます。
 産業の振興と国民生活の安定に低廉な動力を必要とすることは、いまさら述べることを要しませんが、いかに原子力の時代が参つたと申しましても、これが世界的に実用化される時代は、担当の歳月を必要とするものと考えます。しからばわれわれは、その動力を石炭と水力に求めなければならないのでありますが、わが国の石炭埋蔵量は非常に貧弱でありまして、毎年四千万トンあて採掘いたしますならば、二百年後には、これを堀り盡してしまうと言われているのであります。しかるに水力電気はおきましては、気候、地形に惠まれまして、今後開発し得べき水力発電量は、千四百万キロの多きに上つているのであります。すなわち、すでに開発せられております六百万キロと比較して、実に二倍余の電力が未開発のままに放置せられているのでありまして、これが開発こそは、われわれ国民が天與の恩惠を十二分に受けて貧弱なる国民生活を改善し得る唯一の道であると申しても過言ではないのであります。(拍手)
 従つてわが国では、戰前戰後を通じまして、水力発電の開発は重要なる国策として取上げられて今日に至つているのでありますが、特に敗戰後は、火力発電所二百八十万キロのうち、約二百万キロは荒廃に帰し、その後百八十万キロを目途としてその修理復旧に当つているのでありますが、あるいは経費、あるいは技術等の関係から、その復旧は遅々として進まず、ために本年のごときも、先般来しばしば節電、停電、休電等の事態を生じているのであります。これは戰後渇水時期には常に起る現象でありますが、これまつたく火力発電所の復旧が予定のごとく進捗せざる結果に基くものでありまして、われわれは、関係当局がこの問題について一層の努力をいたされ、われわれの日常生活に、さらにまた産業動力の供給において万遺憾なきを期せられんことを切望してやまざる次第であります。かくのごとく、火力発電所の急速なる復旧は重要なる問題でありますが、もし水力発電の開発が十分に行われるようになつて、豊富なる電力を得るに至りますならば、節電、休電等の言葉は、われわれの国語から追放されることになるのでありまして、われわれは、この追放が一日も早く行われるよう希望してやまない次第であります。
 この水力開発については、政府は関係方面の了解を得まして、昭和二十四年度より五箇年間に、全国において三十八箇所の地点を選定して、約百万キロの水力発電計画を立案し、目下その実行の途上にあるのでありますが、その実行は遅々として進まず、今なお一箇所の地点も具体的工事に着手しておらないのでありまして、事の緊急性並びに重大性にかんがみまして、まことに遺憾千万であります。
 その遷延しておる理由は、本年度の開発資金として、いわゆる見返り資金を充当することに相なつており、百四十五億円が予定されておりますが、最近に至つて、その第一期分として三十三億円が決定を見ると仄聞するのみでありまして、その間諸種の事情のあることは推察するにかたくはないのでありますが、御存知のごとく、北海道、東北、北陸等の降雪地帶におきましては、現在着手しておらないようでは、工事は来年度まで着手を延期せざるを得ない危險が多分にあるのでありまして、わが国の動力資源が一年間遷延し、ひいてはわれわれの生活に、さらにまた産業の開発に一大支障を来すことをおそれるものであります。
 また政府は、これをもつて失業救済を行う予定であり、百四十五億円の事業費をもつて約三十万人の失業者を救済する方針と承知いたしておるのでありますが、工事の遅延は必然的に失業救済の当初の目的に重大支障を来すものとして、まことに憂慮にたえない次第であります。政府並びに関係当局が、これらの点に思いをいたされまして、一段の努力を拂われんことを切望してやまざるものであります。
 次に電力については、その再編成の問題があるのであります。日発は戰争中に統合せられましたいわゆる独占企業であり、目下その解体が検討されているのでありまして、一昨二十四日には、通産省に電力審議会が設置せられ、その審議も次第に軌道に乗つて来ているのでありますが、伝えられるところによりますと、これは日発を七分割することを原案として審議せられることになつておると聞いておるのであります。しかるに、わが国の電力の配電状況は、全国を九つにわけて、九配電会社がその営業をいたしておるのでありまして、七分割案によつて、配電会社も七つに分割統合を行うことになりますならば、特定の地域においては、電力の供給あるいは配電等の関係において、混乱と支障を起すことが予想せられるのであります。たとえば北陸地方のごときは、北陸配電が目下富山、石川、福井等に配電をいたしておるのでありますが、これが七分割によつて、富山が関東へ、石川、福井が関西へ所属することとなりますならば、はたしてこれら諸府県の産業が所要の電力を確保し得るやいなやは、すこぶる疑問視せられるところでありまして、これと同時に、送電のロス等を考えますならば、日発分割案なるものの審議はよほど愼重を期し、各地産業の状況を十分勘案することが必要であるといわなければなりません。
 およそ電力の開発並びに供給は、事の公共性にかんがみましても、国土総合開発計画の見地より、全国的に諸般の事情を考慮すべきはもちろんでありますが、特に電力が国民の生活と不可分の関係にあることと、産業開発の立地條件、すなわち、いかなる産業をいかなる地域に発達せしむべきかに重点を置いて決定すべきものであります。すなわち国民生活の面よりいたしますならば、国民一人当りが使用する電力量並びに料金は、全国画一的、平等的なるを原則とすべきでありますが、産業の開発の見地より見ますならば、低廉なる動力並びに原料を得る地点においてその産業を発達せしめてこそ、初めて今後の海外貿易において諸外国の製品と競争をなし得るのであります。
 従来わが国においては、水力発電所の近くにおいて諸種の産業が勃興しておるのでありまして、北陸地方の纎維産業あるいは肥料工場等の発達は、ここに起因するところ大なるものがあるのであります。戰争中、これらの自家用発電所あるいは県営発電所は日発に統合せられておるのであり、そのために、地方的なる産業は、その発展に一大支障を来しておる面も少くないのであります。私は、電力再編成にあたつては、これらの事情を十分参酌せられんことを要望すると同時に、この際電力再編成とは分離しても、戰時中買収した電力の復元あるいは優先使用のことを十分考慮せられんことを、政府当局に強く要望するものであります。
 次に私は、電力開発の資金について触れてみたいのであります。現在水力の開発には見返り資金を使用することになつておりますが、講和会議を前にして、この見返り資金の性格も、さらにまたその額も、今後相当の変革を受けることは予想にかたくないところであります。もともと電力開発のごときは、公共的、国家的事業でありますから、政府予算あるいはその他の国の予算的援助を得て行うことは何ら不都合なきところでありますが、見返り資金にかわるべき措置について、今後十分なる研究を行われんことを要望するものであります。
 さらにまた、電力が国民生活と不可分の関係にある点より見て、その開発資金を一般国民より応募せしむるごとき方策も十分研究の余地ある問題と存ずるのであります。たとえば、国民一人当りが百円ずつ電力会社の建設社債に応募しますならば、年額実に八十億円の建設資金を得ることが出来るのであります。この方法としては、各地域地域の発電所の建設社債に応募せしめ、これが工事完了のあかつきには電燈料金の低下を約束するとか、あるいはまた、この社債に若干の富くじ的性格を付與することも考慮し、地域内の国民に、自分らのための開発であるという利害関係をも十分納得させることが、計画実施上注意すべきことと考えるのでありまして、天の與えた惠みを国民の力でわれわれのものにする運動こそは、早々に着手せられるべきものであると存ずるのであります。
○副議長(岩本信行君) 福田君、時間が参りましたので、結論をお急ぎ願います。
○福田一君(続) 次に電力開発と外資導入の問題であります。只見川の水力開発に外資を導入する等、すでにこれは議論の域を離れて実現の時期に入つているのであります。もとよりわれわれは、資金並びに技術の導入には賛成でありますが、機械類その他設備の導入にあたつては、関係産業の保護振興の見地より愼重に検討せらるべきものと考える。この点を特に付言いたすものであります。
 これを要するに、電力に関しては、さきに述べましたことく、諸種の重要問題が山積しておるのでありますが、政府は、これら諸問題の解決に熱意と意気をもつて当られ、一日も早くわれわれ国民が天與の地形、風土の恩惠に浴するよう施策を進められんことを望んでやまざるものであります。政治は、決して国民にこびるのが目的ではない。しかるに、従来の政治は、ややともすれば万人を満足させんとして、万人を失望させております。真に重要なる政策があつたといたしますならば、他を若干犠牲にしてもこれを強力に推進して、初めて議会政治の本来の姿が現われ、その効果が発揮せられるのであると確信するものであります。今後五箇年間に百万キロの水力発電の建設を行つても、なおかつ五箇年後には、需要量に比して三十万キロの不足を生ずるといわれる水力電気の開発のごときは、強力に推し進めらるべき政策の最重要なものであることは、万人の疑わざるところであります。私は、政府と国会が、この意味において電力開発をより積極的に取上げて、これが解決に邁進せられんことを、ここに重ねて強く要望いたしまして、私の討論を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 竹山祐太郎君、発言者を御指名願います。
○竹山祐太郎君 新政治協議会は吉川久衛君を指名いたします。
○副議長(岩本信行君) 吉川久衛君に発言を許します。
    〔吉川久衛君登壇〕
○吉川久衛君 自由討議は、新しい憲法のもとに制定された国会法によつて行われるようになつたのであります。当初は非常に盛会であつたのでありますが、回を重ねるごとに、だんだんと熱がさめてしまいまして、最近はかくのごとく寂寥たるものであります。(「委員会をやつておるからだ」と呼ぶ者あり)私は委員会のことは存じております。この趣旨は、国民の輿論をここに集めて、各施策にこれを織り込もうということにあつたのでありますが。各議員は、本会議において自由討議をすることをまたないでも、各委員会においてそれぞれ国民の希望するところを国会に反映させるような制度が別にありますので、この討議がだんだんと熱がさめて来たところの、これが一つの大きな理由ではないかと思います。(「ノーノー」)そうでないとするならば、この自由討議はもつと盛大に行われなければならないと思う。それが、かくのごとき状況でありましては、私ども順番がまわつて参りまして、この壇上に立つても、はなはだ熱がさめざるを得ないのであります。今後この問題は、運営委員会あたりで十分ひとつ検討を加えていただきたいと思います。(拍手)
 私は、民自党の諸君に與う、というような題で申し上げたいと思つていたのでありますが、民自党の諸君がきわめてわずかでありますから、どうぞ、おいでにならない方にお伝え願えれば幸いであります。
 私は、政治はまじめでなければならないと思います。不渡り手形を発行するような欺瞞政策は、この際絶対に排撃しなければならない。民主自由党は、日本でかつて見ざるところの大政党になつたのであります。(「その通り」「りつぱな大政党だ」と呼ぶ者あり)国民の輿望をになつて、川端君の言われるような、りつぱな政党であるならば、どうか文字通り実行していただきたい。
 最近、民自党が大政党になりましてから行われるところのその政策が、はなはだ国民として疑わしいかどがたくさんあるということで、国民は非常に失望をいたしております。民自党の諸君が構成させるところの今の政府が、熱心にその職責を果たされつつあることは、私も認めたいのであります。けれども、その行われるところの施策は、選挙当時の公約とまつたく矛盾するところのものが行われている。(「指摘しろ」と呼ぶ者あり)指摘いたしましよう。
 その一つの例は、農林大臣が昨日不信任されたそのときに、われわれの同僚議員から、るる述べられたはずであります。ただいま農林委員会において、農林大臣が、一方的に食糧の輸入等は定められないというような、非常に苦しい御答弁をされております。こういうことは、大民自党諸君の責任であるといわざるを得ないのであります。(拍手)私は、わくがきまつているから、もはやしかたがないというならば、国会はやめてしまつた方がいいと思います。行政官吏にまかしておいて十分であります。むだな金を使つて、意義のない国会を運営するよりは、その莫大な金をもつて、今非常に生活にあえいでいるところの、苦しんでいるところの国民を救済してやつた方がどれだけ効果があるかわからない。国会があるからには、日本のこの国民性と、日本の社会制度と、日本の経済状態等を関係方面にじゆんじゆんと説いて、納得させて、そうして日本の政治に協力をしてもらうという方向をとらない限り、われわれの政治活動は意味を持たないのであります。
 たとえば、一つの農業政策を考えてみましても、関係方面が、あの広いアメリカの広野に立つて考えるところの、そういう広い大農経営の方式を持つて日本の農業を見るときに、自分たちの今まで見て来たところのその一つのわくをもつて日本の農業を見るときに、自分たちの今まで見て来たところのその一つのわくをもつて日本の農政なら農政を見る、ここに大きな間違いがあるのであります。かつて日本の関東軍が大陸において何をしたか。島国の日本のこの狭いものの見方をもつて、そうして満州国にあるいは中華民国に押しつけたその結果は、私どもの親しく見て来たところであります。非常な矛盾があつた。同じようなことが今の日本に行われているということも、またやむを得ないと言えばやむを得ないと言えばやむを得ないのでありますが、しかしながら、政治はここであります。
 われわれは、占領政策だと言つて、かりにしかられても、ほんとうに日本の国家と国民の将来を考え、平和的な文化国家の再建によつて世界の平和に貢献し得るところの基礎を確立するためには、八千万国民が、安らかにこの国土の上に生活ができるというような政治が行われなければならないと思う。そのためには、関係方面の人々の認識を改めるために、あらゆる努力がなされなければならない。昨日の農林大臣の不信任案によつて、百十四万石の減額補正が二百四十五万石になつたとするならば、もう一ぺん農林大臣の不信任案をやれば、今度は五百万石くらいの補正になり、もう一ぺんやれば六百万石くらいの補正になる。これも、あるいは農林大臣が窮余の策としての御努力の結果ではなかつたかと思います。
 民自党の諸君は拍手喝采をなさいましたけれども、私どもは、このようにして努力すれば、しただけの効果が現われるのに、ただ関係方面から押しつけられたからしかたがない、やむを得ないというようなことであつたとするならば、国民に対して、政治というものはだめだ、どの党がやつても同じことだという感じを與えるのでありまして、大政党であるところの民自党の諸君の責務やいよいよますます重大であるということを、お覚悟願いたいと思うのであります。
○副議長(岩本信行君) 吉川君に申し上げます。残念ながら時間が参りましたので、結論をお急ぎ願います。
○吉川久衛君 (続) 私は、去る夏、農林委員会の各党の諸君と北海道、東北を、見てまわりました。日本の政治は画一的であるということを見て、これでは非常な不公平があるということを痛切に見て参つたのであります。私は時間がないから詳しく申し上げませんけれども、ちようど給與に関して寒冷地手当があるように、北海道を初めとする東北信十一県に対しまして、特別な地帶にあるところの農業経営者に対して特別なる施策が講ぜられねばならないということを痛感して参つたのであります。
 今の民自党の大政党をもつて支持されるところの現政府は、行わんとするならば、いかなることも可能であります。どうか諸君、この一つだけでも、もし実現していただけるとするならば、国民はこれによつて、やつぱり大きな政党でなければだめだ、大きな政党ならばいいことをしてくれると、占領下にあつても、大きな政党の努力によつて、そうしてわれわれ国民生活は安定するんだというような、そういう安心を與えるような御努力を諸君に願つてやまない次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて自由討議は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○山本猛夫君 委員会に付託中の議案の審議終了を待つため、この際暫時休憩せられんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。この際暫時休憩いたします。
    午後四時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時五十分開議
○副議長(岩本信行君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)、昭和二十四年度特別会計予算補正(特第一号)及び昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一号)、以上の三案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)、昭和二十四年度特別会計予算補正(特第一号)、昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一号)、右三件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長植原悦二郎君。
    〔植原悦二郎君登壇〕
○植原悦二郎君 ただいま議題となりました昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)、同特別会計予算補正(特第一号)、同政府関係機関予算補正(機第一号)、これらに関し、その内容及び委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 これらの補正予算については、先般本会議において政府側より説明があり、また「昭和二十四年度予算補正の説明」という政府提出の資料によつて明らかでありますから、ここでは詳細に御説明申し上げる必要はないと思われます。ただ、今回の補正予算は十五箇月予算と言われるように、明年度予算と並行してその編成が行われ、昭和二十五年度予算の大綱もあわせて発表されております。この点におきましては、従来の單純な追加予算と著しくその性格を異にしておるのであります。また、さきに第五国会において政府が公約いたしました税制改革の一端を実現せんとするものであります。従つて、今後わが国の金融、貿易、物価その他国民経済の基本に重大なる影響を與えるところの種々重要な内容を持つておるものと考えますので、次にその大要につき簡単に御説明申し上げます。
 政府は、今次補正予算の構想といたしましては、当初予算当時より懸案となつておりました価格調整費を削減し、貨物運賃、海上運賃、電気料金及び米価の改訂を行つて物価の均衡をはかり、しかもこれらの諸方策が家計費に及ぼす影響は減税によつてこれを吸収し、さらに公共事業費等の経費を増額して有効需要を増加し、もつて本予算通過後に生ずる内外各般の変化、すなわち災害の発生、ポンド貨切下げの影響、シヤウプ勧告等に対処するとともに、真の総合的均衡予算を実現し、ようやく軌道に乗りましたわが国の経済の安定を強化し、さらにその復興をはからんといたしておるのであります。
 かかる予算の構想によりまして計上された補正予算額は、一般会計において歳入増加額七百七十八億円余、同減少額四百十四億円余、差引き増加額三百六十三億円余であります。歳出増加額六百八十七億円余、減少額三百二十三億円余、差引き増加額三百六十三億円余でありまして、これを当初予算と合計いたしますと、歳入七千四百十億円余、歳出七千四百十億円余となつております。
 また特別会計にあつては、歳入千三百八十七億円余、歳出千三百四十六億円余をそれぞれ増加いたしておりまして、当初予算との合計額は、歳入二兆三千三百四十八億円余、歳出二兆三千十八億円余となつております。
 まず一般会計のおもなる項目につき御説明申し上げます。一般会計歳出においての重要項目は公共事業費であります。公共事業費は、当初予算五百十八億円余に対し、百六億円余の増加でありまして、その増加割合は二割強に当つております。この増加の内容には、本年度に発生した幾多の台風その他の災害の復旧に要する経費八十五億円を最大のものとし、これに都市復興に要する経費、新制中学校校舎建築、引揚者住宅建築等に対する補助などが含まれております。このうち、特に六・三制の経費が当初予算において全額削除されておつた点は、さきの第五国会におきましても種々論議のあつたところでありまして、今回の補正により相当額の計上が行われておりますことは、それらの事情にかんがみるところがあつたものと思われます。なお公共事業費については、明年度において一千億円程度の計上が予定されておりますことは、今後の地方経済や労働事情にも大きな示唆を與えるもののと思われます。
 この公共事業費と関連するものとして失業対策費があげられます。これは、当初予算二十九億円余に対して、十七億円余の増額となつております。直接の失業対策費は、このうち八億五千万円でありますが、別に失業保險特別会計への繰入れ約九億円が増加計上されております。失業問題は、わが国当面の重大社会問題でもありまして、これが解決は国家的要請でもありますので、これに対する支出は、もとより多きに越したことはないのでありますが、財政全体の均衡より見て、この程度の増額にとどまつたものと考えられます。
 引揚者対策については、前述の公共事業費のうち、引揚者住宅建築費一億六千六百万円を計上しているほか、別に二億円が引揚者生業資金として増加計上されております。
 当初予算審議の際重要論議の対象となつた地方配付税配付金は、この補正予算において九十億円の増加となり、これは当初予算五百七十七億円に対し、約一割六分に相当し、当初予算との合計額は六百六十七億円になります。地方財政窮乏の現状に照し、地方の要望にこたえんとしたものでありまして、当然の増加のように考えられます。
 また政府の出資金及び投資関係におきまして合計五十二億九千万余円の増加を見ておりますが、その内容は、肥料配給公団及び油糧公団に対する出資金四十二億九千四百万円、国民金融公庫出資五億円及び新設の輸出信用保險特別会計への繰入れ五億円であります。
 次にこの補正予算において注目すべき点は、インフレ抑制に対する政府の意図が、本予算と同様になお積極的に採用されていることであります。すなわち、まず第一に、食糧管理特別会計への繰入れ増として百七十億円を計上いたしているのであります。この増加は、輸入食糧の増加、米価の改訂、貨物運賃の引上げ等により運転資金の増加が見込まれたためでありまして、これが調達を借入金に求めず、一般会計の租税収入でまかなつていることであります。
 第二には、総合予算の均衡という点を強く堅持していることであります。このことは、特別会計及び政府関係機関収支差額を一般会計より繰入れていることに十分現われていると思われます。すなわち、農業共済保險特別会計への七億七千四百万円、郵政事業特別会計への四億一千二百万円、薪炭需給特別会計への五十四億七千万円、船舶運営会への二十八億四百万円、日本国有鉄道公社への三十億五千二百万円等が計上されていることであります。
 以上のごとき補正増加に対する財源として、政府はまず歳出中の価格調整費を大幅に削減することをもつてこれに応ずることにいたしております。御承知のごとく価格調整費は、為替一本レート決定の結果、輸入物資の価格を通じ国内物価水準に急激なる変動を與えないため、当初予算におきまして二千二十二億円が計上されていたものでありますが、その後内外の経済情勢に照し、また国民経済に対する国家の千與を能う限り排除し、企業の自主性を尊重せんとする政府の方針から、本補正予算の編成にあたつては、これをでき得る限り整理削減することになつたものであります。その結果、安定帶物資分百二十八億円余、輸入物資分百一億円余、その他合計二百三十億円の減額となつて現われているのであります。なお輸入食糧が当初の計画より約六十万トンの増加を見たために、その補給金が相当増額されておりますから、これを勘案すれば、実質上の削減はかなり大きなものがあるのではないかと存じます。
 次に、政府は当初公約の減税を本年度より実現するために二百億二百万円の減税をはかり、これに対しては租税の自然増収二百十三億円余を見込み、差引き租税収入十三億一千万円の増加となつております。国民の租税負担を軽減することは当初予算以来の懸案でありまして、その後シヤウプ使節団の報告があり、それに基き明年度税制の一大改革を行う予定と言われているものであります。本年度においても、とりあえず明年一月一日から所得税及び物品税の若干の軽減を行うとともに、シヤウプ報告に示された期日に先立つて、同じく明年一月一日より取引高税、織物消費税及び清涼飲料税を撤廃することになつております。思うに政府は、この補正予算編成に際し、明年一月より基準米価を四千四百五円とし、消費者価格を現行より十一%弱引上げ、貨物運賃は陸上八割、海上九割三分を引上げ、給與ベースは現在のまますえ置くことを基本方針としたのでありますが、これがために生ずる実質賃金の低下を避けんとする考えから、年度内の減税措置として間接税の減税に主力を置き、これにより大衆の租税負担を軽減し、もつて物価上昇の抑制をはかつたのみならず、進んで物価を下降の趨勢に置くようにいたしたいとのことであります。その他財源といたしまして、前年度剰余金二百六億五千百余万円のほか、官有財産拂下代、復興金融金庫納付金、価格差益納付金、雑収入等があり、また減少分には、タバコ及びアルコール専売益金十五億一千四百万円余があります。
 次に特別会計につき御説明申し上げます。今回新たに設置されることになりました外国為替及び輸出信用保險の両特別会計を加え、合計三十一の特別会計となりましたが、その大部分にわたり補正が行われております。しかして、これらはいずれも当初予算成立後に生じた諸般の事情により、やむを得ない予算措置の必要を生じたものであります。そのうち薪炭需給調節特別会計は、その重要性を認めましたので、これに対する小委員会を開き愼重審議することにいたしました。その結果、相当額の損失のあることが判明し、それがために買入れ代金の支拂いに行き詰まり、巨額の未拂金を生じております。さらに今年度内に償還すべき薪炭証券もあるのであります。これがため生産業者は極度に窮迫し、また集荷団体は、八月一日の買上げ打切りにより相当の打撃をこうむつておりますので、すみやかにこれに対する金融の道を開いてやることが必要となつたのであります。そこで、緊急やむを得ぬ措置といたしまして、五十四億七千万円を一般会計より繰入れ、償還すべきものは償還し、支拂うべきものは支拂うように、当局に対して嚴重に警告を発することにいたしました。
 最後に政府関係機関に関する補正予算は、本年六月一日より政府関係機関となりました日本專売公社及び日本国有鉄道の二つが、その設立とともにそれぞれ従来の專売局特別会計及び国有鉄道事業特別会計の予算をそのまま引き継いだものをしばらく別といたしますれば、価格調整公団外六公団、復興金融金庫並びに船舶運営会に関するものであります。しかして、これらはいずれも海陸貨物運賃の改訂、輸入食糧の数量の増加、米価の改訂等の必要やむを得ない事情のための予算措置と考えられます。
 以上は昭和二十四年度補正予算案の大要でありますが、次に委員会における審議の経過について申し上げます。
 本補正予算案は、十一月十四日予算委員会に付託され、以後二十六日までの間、各党委員と政府側との間に終始熱心なる質疑応答がかわされました。それらの質疑応答の詳細は速記録によつて御了解を願うこととし、今その若干について御報告いたします。
 まず最初に、この予算の性格について、委員より、本年度の当初予算はインフレ収支の予算であつたが、この補正予算は復興予算であると言われている、政府の所信いかんとの質疑がありました。これに対して政府側は、インフレもほぼ収支して、経済も安定の軌道に乗りつつあるので、この予算並びに明年度予算は復興予算としての意義を持ち、公共事業費の増加その他により有効需要を増大せしめているとの答弁でありました。
 次に租税問題について、まず政府は本補正予算において租税の自然増収を多額に見込んでいるが、かかる自然増収は不可能ではないかとの質疑に対して、政府側より、法人税の増収は法人の申告並びに納税成績がはなはだ好調なためであり、源泉所得税の増収も一部民間給與の上昇等の原因によるものであり、酒税の増収も増石によつて生じたものである。従つて、これらはむりのない合理的なものであるとの答弁がありました。
 さらに来年度の減税の見通しについては、来年度の租税のわくは大体四千四百億円程度とし、本年度より七百億円の減税を見込んでいる、軽減の細目については、いまだ確定していない、所得税の軽減に関しては、できるだけ努力したいとの答弁がありました。
 次に米価に関し、政府は一定の所信を有しておらぬようだとの質疑に対しては、政府は主食等の価格は引上げて、国際価格にさや寄せする方針をとつたのであるが、これを一挙に引上げると給與ベースに著しい影響を與えるので、徐々に行う予定であるとの答弁がありました。
 次に金融関係の問題について、まず最初に、最近の金詰りに対していかなる方策をとるつもりかとの質疑に対し、金融の梗塞はある程度やむを得ないが、見返り資金の迅速かつ有効なる活用、日本銀行による融資のあつせん等により調整をはかりたいとの答弁がありました。さらに長期金融に関する質疑に対しては、設備資金は企業の自己調達によるのを原則とし、不能の場合には見返り資金の放出、興業銀行の利用等によつて遺憾なきを期したい、興業銀行並びに特殊部門の金融機関としての農林中央金庫、商工組合中央金庫等の増資並びに債券発行限度の拡張をはかりたい、また不動産金融に関しては、勧業銀行類似の金融機関をつくつて住宅資金の融通もつけて行きたいとの答弁がありました。
 次に貿易の問題に関して、国際情勢の変化等により貿易が不振となり、厖大な滯貨を生じているが、この打開策いかんとの質疑に対しては、バーター貿易の多角的通商協定への切りかえ、めくら貿易の解消、輸出入の大幅民間委讓、その他合理的な為替管理等の諸方策によりこの難関を切り開いて行きたい、また現行為替レートは堅持する方針であるとの答弁がありました。これに関連して、見返り資金は貿易金融に使用する考えがあるかとの質問に対しては、見返り資金は長期投資または債務償還に使用するのが建前であるが、将来輸出滯貨等の処分のような貿易金融にも利用する用意がある、しかし、これを外国商社の貿易資金に使用させるようなことは想像もしていないとの答弁がありました。
 さらに年末並びに第四・四半期の通貨金融情勢の見通しに関する質疑に対しては、年末の通貨発行高を昨年末より低く見ているのは、本年度の税収が順調であることと、政府支拂いが年末に集中しないためである、また第四・四半期には約一千億円くらいの徴税が見込まれる、しかし見返り資金も相当放出できる予定だから、昨年度のごとく急激な通貨収縮は起らないとの答弁がありました。
 次に公共事業費に関して、明年度からの全額国庫負担の災害復旧事業は市町村の分にまで及ぶか、また過年度災害分をも含むかとの質疑がありましたが、これに対して、災害復旧事業をどの程度まで国庫負担とするかは目下検討中で、いまだ最終決定に至らないとの答弁があり、さらに来年度の災害のための地方起債のわくについても、国庫負担の分とにらみ合せて検討中であるとの答弁でありました。また農地改良費が不十分ではないかとの質疑に対しては、本年度は財政面の制限よりやむを得ずこれを圧縮したが、明年度予算においては相当希望が持てるとの答弁がありました。
 また薪炭特別会計への五十四億七千万円の繰入れについて、同会計がとかくの疑惑を生じているこの際、その整理の見通しもつかぬうちに、かかる巨額の繰入れをなすのは不当ではないかとの委員よりの質疑に対し、この繰入れは整理とは別個のものであり、これによつて問題を糊塗するつもりは毛頭なく、整理は整理として嚴格に実施して行く方針であるとの答弁がありました。
 次に失業対策の問題について、都市の雇用数の減少及び農村における厖大な半失業者に対して政府はいかなる対策を有するかとの質疑に対し、失業対策の有するかとの質疑に対し、失業対策の根本は産業の振興、輸出の促進にあるが、経過措置としては失業保險及び失業対策事業によるべきである、潜在失業者に対する対策としては、結局政府の諸経済施策の奏功にまつべきであるとの答弁でありました。
 次に委員会におきましては、本補正予算の重大性にかんがみ、十一月二十一日、参考人として冨士銀行社長迫靜二君外三名の御出席を求め、忌憚のない御意見を聽取いたしました。そのうちの若干をあげますと、復金の貸出を嚴重に回収するのは当然であるが、急激な回収は経済界に支障を来させる、従つて、本予算案に五十億円の復金回収金の増加を計上しているのは賛成できない。給與所得者に対する減税は、今回の程度では、昨年以来の物価騰貴による家計費への影響を相殺していない、加うるに米価の引上げ、価格調整費の削減等を考慮に入れると、実質賃金は低下するであろう、さらに長期の農業資金として財政資金を放出すべきであるとの意見の開陳がありました。
 質疑は本日午前中をもつて終了し、午後補正予算三案につき討論を行い、民主自由党を代表して苫米地英俊君、民主党第十控室を代表して奧村又十郎君、公正倶楽部を代表して世耕弘一君よりそれぞれ賛成の意見を述べられました。また日本社会党を代表して勝間田清一君、民主党第九控室を代表して中曽根康弘君、日本共産党を代表して風早八十二君、新政治協議会を代表して松本六太郎君、労働者農民党を代表して黒田寿男君等よりそれぞれ反対の意見を述べられました。
 討論を終り、予算三案について採決いたした結果、いずれも多数をもつて可決いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。西村榮一君。
    〔西村榮一君登壇〕
○西村榮一君 私、日本社会党を代表いたしまして、本予算案に反対し、かつその趣旨弁明をいたしたいと存ずるのであります。
 本予算案は、ただいま委員長が御報告になりましたように、世にいう十五箇月予算といたしまして、二十五年度予算の一環としての本質があるのでありまして、私ども、その見地に立ちまして、本暫定予算を検討いたしたのであります。
 まず本予算案は、われわれが審議するに際しまして、重要なる法律的な基礎が欠如いたしておるのであります。先ほど委員長がお述べになつたように、本予算案の骨子の大部分は税制改革によるものであると言われたのでありますが、その税制改革に対する法律案が、まだ議了いたしておりません。同時に、貿易特別会計その他あらゆる法律案の提出が遅れておりましたがゆえに、その審議の基礎的條件が欠けているのが本暫定予算の一大欠陥であるとともに、その内容に至りましては、薪炭特別会計等、世の中の疑惑を招来するところの――現在検察当局において調査中の、世人の疑惑の中心となつている予算案が提案されたということにつきましては、その内容においても、形式においても、ずさんきわまるものであるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 次に本予算案は、国民の担税能力をはるかに越えたものでありまして、現在の国民経済が本予算をまかない得るやいなやということについては、多大な検討を要するものがあるのであります。これを内閣統計局の発表によりますと…(「聞く必要がない」と呼ぶ者あり)聞く必要がなければ、君は民主主義を否定するのですか。昭和五年の国民所得が百十八億でありますから、それに物価指数をかけますと、大体三兆一千億円になりますが、生産はわずかに七割でありますから、政府の統計によつて見ますならば、本年度の国民所得は二兆一千七百億円とふまなければならないのであります。
 また一面、実質国民所得は、昭和五年には一人当り百五十六円でありますが、昭和二十三年度におきましては、実質的国民所得は九十七円と、約四割方低下いたしておるのであります。しかるに、当時の国民所得に対しまして課税額は一割四分四厘でありますが、昭和二十四年度になりますと、課税額は、驚くなかれ二割六分四厘と増加いたしたのであります。すなわち、政府の統計によりましても、国民所得は約三割減少せるにかかわらず、税金は倍近く上つておるということが、現下の国民生活の実情であるといわざるを得ない。この税の負担額は非常にむりであるということは、現内閣もお認めになつたのであります。
 過ぐる昭和二十四年度の予等審議に際しまして、総理大臣並びに大蔵大臣は、高額税金が著しく国民生活を圧迫するものであるということをお認めになりまして、近くシヤウプ博士が来朝せられるがゆえに、そのときにおいてわが国の税制は根本的な改革をいたしまして、もつて国民の負担の軽減をはかりますということを、お約束になつたのであります。これは当時議員に対する一時のがれの御答弁であつたとは思われないのでありまして、総理大臣、大蔵大臣みずからが、今日の税金が高く、今日の国民生活が苦悶の状態にあるということをお認めになつたのであります。しかるに、シヤウプ博士が来朝せられて税制勧告案を提示された今日、一体税金は軽減されたであろうか。すなわち実質的には税金は増税となつて、著しく国民の期待を裏切つたのであります。
 私は、單に税率が高いから、あるいは予算額が厖大であるから、国民がその負担に耐えられないと言うのではありません。現在の状況は、残念ながら国家財政をささえるところの国民経済それ自体が崩壊しつつあるところに私はその危險を感ずるのであります。これを私は、政府の発表せられた統計において示してみますならば、政府は、昨年度の国民所得二兆一千六百億円から、本年度の国民所得を二兆九千余億円と見込まれたのであります。その増加額は三割五分であります。その理由といたしますところは、貿易は七割二分の増加、製造工業は一割七分の増加、鉱山業は一割二分、建設事業は八分の生産増加を見積られて、しかして昨年度よりも三割五分の所得の増加を見込まれたのであります。しかるに、過去一年間における現実の国民経済は、残念ながら雇用数におきましては、鉱山業において反対に一割八分減つておるのであります。建設業においてまた一割八分減り、製造工業において一割二分の雇用数が減少いたしておりますし、貿易はまた政府の予定通り進展いたしておりません。しからば、ここに三割五分という国民所得の増加を見込んだ基礎的條件は、現実において崩壞し去つておるといわざるを得ないのであります。この架空にひとしい国民所得の基礎に立つて租税負担額を強行するということは、国民所得がこれだけあるから、国民にこれだけ負担してもらうというのではなくして、これだけの税金をとらなければならないから、国民所得をこれだけ見積つたというにすぎないといわなければならないのでありまして、これが本予算案の一大欠点であり、これを昭和二十五年度に踏襲せんとするところに一大危險を私は感ずるのであります。もし現内閣に国民の苦悶が反映し、公約に忠実ならんとする良心がありまするならば、税制改革の根本義をここに置かなければならないにかかわらず、かつてはシヤウプ博士の来朝に答弁を逃げ、今日はまたわが国の統計技術の不備に籍口してその責任を感ぜざるは、まことに政治家として卑怯なる態度といはざるを得ない。
 また一面、国民経済の基盤をなしまする今日の生産界を一瞥いたしてみまするならば、総理大臣並びに大蔵大臣は、しばしば現下のデフレーシヨン恐慌を否定せられまして、経済は安定化し、国民生活は平靜化しつつあると言われるのであります。何とそれは現実を無視する白々しい言葉であるかといわざるを得ない。私は、この詭弁に対して、これまた事実をあげて現内閣の誤謬を指摘したいと存ずるのであります。
 まず第一にデフレーシヨン問題でありますが、現在なぜデフレーシヨンが深刻化しておるかということは、通貨の総分量が国民経済の必要量以下に切り下げられてしまつたところに異常な金詰まりが出現いたしておるのであります。すなわち通貨の発行量におきましては、昭和五年から九年までの発行量に比較いたしまして、物価指数を考慮いたしまするならば、約五百億円の減少にすぎないのであります。
 問題は、従来の経済が通貨の発行量のみにたよつたのでありまするが、日本の経済をささえておつたのは、日本銀行の通貨発行量だけではありません。それは民間の信用通貨を考慮いたしまして――一例を手形流通高に見まするならば、この手形流通高は、戰前に比較いたしまして五割七分の減少を来しております。また預金額は、戰前に比較いたしまして七割六分という驚くべき減少を来しておるのでありまして、これらの一例を見ましても、信用経済の基礎を日本銀行券並びに民間の手形並び預金の三本建といたしまするならば、健全経済はこの三本の足で立つべきはずのところを、民間の信用通貨と銀行預金という二本の足がはずされてしまつたというところに、現在の経済の危險性を発見するのであります。
 私は、このデフレーシヨン傾向を、現内閣並びに民自党の諸君がしからずと主張せられますならば、今年春以来民間随所に現われたるところの俸給、賃金の遅配、欠配は、よもや現内閣といえども否定し得ないと思うのであります。(拍手)しかも、この顯著なる現われといたしまして、本年七月において、不渡り手形は昨年度の二・九倍、すなわち三倍近くに激増しておるということを考えますならば――昨年の七月に比較して、本年の七月は三倍近くの不渡り手形の激増を見て、なおかつ日本経済が安定しておると言い得るか。私は、これを現内閣に問わざるを得ないのであります。
 またデフレーシヨン恐慌ではないと言われておりまするが、これらの生きた数字と生きた現実に目をおおうて、現在はデフレーシヨン恐慌でないと言う人がありまするならば、私は、気違いが、みずから気違いの中に入つて、狂人でないと言うのとひとしいと存ずるのであります。この観点に立つて、現下の国民経済は、はたして本年度の国政をまかない得るやいなやということを考えてみまするならば、何人もそれは困難を感ずるのであります。すなわち個人の生活におきましても、あるいはまた企業におきましても、すべて赤字が出ておるということは、万人ひとしく認め、政府みずからが告白せられておるのであります。
 しかるに、この厖大なる国民の赤字生活の上に加えるに、本年の厖大なる国民の赤字生活の上に加えるに、本年の厖大なる予算を国民は負担して行かなければならないのでありまするが、問題は單にそれだけではありません。先ほど委員長が御報告になりましたように、個人生活が赤字である。企業が赤字である。しかも、その赤字生活の上に厖大なる予算を国民が負担しておる上に、なお大きな荷物がおおいかぶさつている。それは古い債券の償還であります。債券、公債の債務約一千億円、これにはたして国民経済が耐えられるかどうか。
 私は、賢明なる諸君に向つて、健全か不健全かの問題を論議しようとは思いません。しかしながら、口を開けば均衡予算、健全財政と主張されるが、その健全財政の基礎は何によつて求めるかと言いまするならば、健全なる国民経済の上に立つてこそ初めて健全財政の生命があり得ると思うのであります。(拍手)それには、まず生活上の、あるいは企業の上の赤字を解消して収支のバランスをとり、しかる後に剰余金を捻出いたしまして、その剰余金によつて過去の債務の返済をするということが最も健全なる国民経済の運営であり、国政の運営であるといわなければならないのでありますが、このことを無視し、労働の再生産性と企業の再生産を無視した、單なる収奪のごとき財政は、ますます生産を縮小いたしまして、赤字は増大し、わが国の国民経済は衰滅して、遂に日本は残念ながら植民地経済に転落し、永久に自立困難な経済になるということは、何人も否定し得ないのであります。(拍手)現内閣の財政経済の方針は、意識するとせざるとにかかわらず、わが国の経済を植民地経済に追い込みつつあるということは、これこそ国民が政府の真意那辺にあるかということを、はかりかねておる理由であると申さざるを得ません。
 私は、この財政政策を考えてみまするならば、あたかも現内閣の財政政策は、病気で寝ている病人のまくら元にすわりまして、そのふとんをひつぱがして行くがごとき高利貸的な苛斂誅求が、その財政政策であるといわなければならぬ。同時に、ここに古き債券の償還でありまするが、復金債券償還の一千億円を、私はこれは今日の国民の租税から返還すべきではなくして、それは復興金融金庫の貸付金を回収して、回収の範囲内において古き債券を償却することが最も健全なやり方であるといわざるを得ません。
 なぜ私はこのことを主張するか。私が復興金融金庫について、ここに喋々と論ずるまでもなく、現吉田総理大臣は、つぶさにこの問題は御存じのはずである。すなわち、復興金融金庫は第一次吉田内閣の当時に設立せられましたが、復興金庫が設立せられましたる理由といたしましては、戰争によつて荒廃したわが国経済の復興を促進するために必要であり、他の金融機関から供給を受くること困難な資金の供給を目的とすることが、時の吉田内閣の提案の理由とせられたところであります。(拍手)そのときの大蔵大臣の説明によりますると、わが国産業の復興をはかるために通貨の一千億円や二千億が増発されても、生産が上りさえすれば国民経済は安定するのであるから、通貨増発はあえて恐るるに足らぬという石橋財政の勢いをもつて、野党の反対を押し切つて復興金融金庫は設立せられたのであります。ところが吉田内閣は、その反対のことを現在述べられておる。
 一体吉田内閣の財政政策の真意というものは、過ぐる金融金庫の設立当初の御意思であつたか、あるいは現在の財政政策がその本質であるかということを、私は疑問といたすものであります。これは前回においては、日本の産業を復興するためには、銀行で金融せざるものに対してこの復興金融金庫はやるのであると述べられたことに対して、今はその反対のことを言われる。その前後一貫を欠く財政政策は、單にこれは矛盾ではなくして、これまつたく現内閣に一貫せる財政政策の欠如を物語るものであるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 しかしながら、いずれにいたしましても、そのしりぬぐいは窮迫せる国民大衆にかぶせられておることは否定できないのであります。私は、ここに奇怪にたえないことは、今日の窮迫せる国民の税金の中から古い債券を償却しようとされる六百二十四億円の政府交付公債返還期日は、まだ十年先のことであります。しかも、なおふしぎにたえないのは、石炭等赤字交付公債百四十一億円の償還でありますが、これは支拂い期日が昭和三十四年三月一日になつておるのみならず、それは所有権の記名入りの公債であります。
 この記名入りの公債をなぜ発行したかと申しますると、これは一般に流用してインフレーシヨンになることを防止するために、流通を禁止するの目的を持つたところの記名公債であります。現内閣は、これを百四十一億円、石炭業者に本年四月一日交付せられたのであります。その償還期日は昭和三十四年三月一日、すなわち、今から十年先に支拂う約束をもつて記名公債を発行しているのにかかわらず、窮迫のどん底にある今日の国民から税金をしぼつて、石炭業者に返済なさろうというのであります。(拍手)
 一体現内閣は、いかなる理由によつて、何を好んで、かくも石炭業者に親切の至りを盡されるかということを、国民はふしぎに思うでありましよう。私は、この問題につきまして、はなはだ言いにくいことでありますが、石炭業者を多く親戚に持たれる現内閣の各位は、この国民の疑惑を解かれる必要のあることを警告してやまないのであります。(拍手)
 私は結論を申しましよう。(「でたらめを言うな」と呼び、その他発言する者多し)でたらめではない。予算案に出ている。
    〔発現する者多く、議場騒然〕
○副議長(岩本信行君) 靜粛に願います。
○西村榮一君(続) 私は、かくのごとき石炭業者に対しまして――多大なる犠牲を拂つた石炭は、本年度四千二百万トン採掘いたしました。しかしながら、残念なるかな、この石炭の…。
○副議長(岩本信行君) 西村君に申し上げます。時間が参りましたので、結論をお急ぎください。
○西村榮一君(続) 石炭業者の努力を無視して、石炭業者の努力を用いるにかいなく、今日においては、石炭は駅頭と鉱山に山のように積まれております。萎微沈滯せるところの現内閣の産業政策がデフレーシヨン強行に拍車をかけた結果、今日この石炭を用いることのできないということは、水谷先輩が述べたごとく、これを等閑に付しておくならば、日本の経済は深刻なる恐慌に見舞われ、遂に日本は立つあたわざるところの経済恐慌に見舞われることを懸念いたしまして、本予算案に対しまして、あえて社会党を代表して反対の理由を申し述べた次第であります。御清聽を感謝いたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 苫米地英俊君。
    〔苫米地英俊君登壇〕
○苫米地英俊君 私は、民主自由党を代表して、昭和二十四年度一般会計、特別会計及び政府関係機関の補正予算に対し賛成の意を表するものであります。(拍手)
 申すまでもなく、本年度当初予算は、経済安定に関する九原則の線に沿うて編成せられたものであります。
    〔副議長退席、議長着席〕
その九原則には二つのねらいがあつたのであります。その第一は経済の安定であり、その第二は貿易の振興であります。長年にわたるインフレを一挙に収束するこの均衡予算の実行にあたつては、種々の困難に遭遇することは、もちろん予見せられるところであります。従つて、政府においてそれに対処するため絶えず着々と必要な手を打つて来たことは、国民のひとしく認めるところであり、その結果、わが国の経済がようやく安定の軌道に乗つてすべり出したことは、まさに池田蔵相の言われる通りであります。
 ただこの予想と少しく食い違つた点は、第二の目標、貿易の振興についてでありました。それは、海外の不況の影響を受けて契約の破棄せられたもの、クレームのつけられたもの等が続出し、輸出が一時停頓したことであります。その後、英国のポンドの切下げによる不安が一部国民の間に感ぜられ、三百六十円為替レートの切下げが論ぜられ、そのためにわが国の輸出が見送られたという事態も起りました。しかし、政府の確固たる態度、司令部の声明等の結果、現在ではその不安も一掃せられ、各方面の引合いも順調に回復して来ておるのが現実であります。(拍手)そこで、この好機を利用して、一挙にわが国の経済を真に安定させ、わが国の産業を国際水準まで引上げようと政府が努力していることは、池田蔵相の財政演説によつて明らかにされております。(拍手)
  今後の補正予算は、明年一月より十五箇月にわたる予算の一環であり、本補正予算を見ただけでは、その全貌を明らかにすることはできないのでありますが、予算委員会における質疑応答を通じて、大綱を把握し得たのであります。そして、その全体的構想において適切妥当なりと認めるものであります。
 先ほど同僚西村議員は国民所得について論及せられ、国民所得が多いがゆえに税金を多くするのではなく、税金をとろうとして、これに準じて国民所得を高く評価しておるのであるという意見がありましたが、これは社会党内閣のときに、私が社会党内閣の大蔵大臣栗栖氏に向つて質問した通りであります。(拍手)しかもそのとき、栗栖大蔵大臣は、短期間に三回国民所得を大幅に引上げて、われわれに課税の高くないことを主張したのであります。
 本補正予算においては、均衡予算の嚴格なる建前を堅持しつつ、久しきにわたる国民の要望にこたえ、本年度はとりあえず二百億の減税をしておる。さらに来年度においては七百億の減税が考慮せられており、合計九百億に上ることになるのであります。取引高税、織物消費税を明年一月より廃止し、物品税、清涼飲料税等同じく軽減するようにしてありますが、これはシヤウプ勧告よりも期日が早められておることは注目に値いするものであります。ことに取引高税については、野党の諸君はその廃止が絶対不可能であると申しまして、国民を欺瞞するものであると、こうごうと非難罵倒をわが民自党に加えたものであります。諸君、この事実は、よもやお忘れになつてはおらないと信ずるのであります。(拍手)この減税は国民の要望である。しかるに、野党の諸君は、あるいはこの予算は返上する、あるいは不賛成だと言う。諸君、その根拠が成立ちますか。
 今後の補正予算では、公共事業費は百六億見積つており、うち災害復旧費に八十五億割当てられてあります。これについて、そんな少額なものでどうなるかというような意見がありますが、十五箇月の予算をごらんになれば、来年度の予算においては、公共事業費は、約九百億を見積られる予定であり、合計一千億になるのであります。この巨額の災害復旧費等は、歴代内閣が熱望して、しかも遂になし得なかつたところであることを、諸君はお認めにならざるを得ないだろうと思うのであります。(拍手)この予算に対して諸君は不賛成である、返上すると言うて、これで国民の信にこたえるゆえんでありましようか。(拍手)
 六・三制に要する経費としても十五億円、緊急失業対策に対しては八億五千万が計上されております。六・三制の実施がいかに地方の財政を悩ませ、国家再建の基本たる国民教育の振興を阻害しておつたかは、これは周知の事実であります。このたび、この十五億円の予算が見積られ、来年度の予算には四十五億見積られる予定になつておつて、合計六十億円、これをもつてすれば、国民の要望は達成せられることになつておるのであります。この盛られたところの補正予算を否定し…。
    〔発言するもの多し〕
○議長(幣原喜重郎君) もう少し靜かに願います。
○苫米地英俊君(続) そういうことをして、これで諸君は国民の要望にこたえるものと言うことができましようか。緊急失業対策の八億五千万円は決して十分とは申しかねますが、財政難の今日、これだけ考慮したということは、当局の非常なる努力の結果であると思うのであります。わずかであるがゆえにこれを返上する、これに反対するというのは、これ諸君の国民に対するゆえんでありましようか。国民の要望はそうではないのであります。
 現在産業界に金詰まりに困窮しておるものがあることは事実であります。これに対しても、政府は勧銀、農林中金、商工中金などを通じて金融措置をしておりますが、さらに他方、米国対日援助見返資金の迅速かつ適切なる運用に努力を傾注し、すでに鉄道並びに電信事業に対しては百八十億、民間事業に対しては四億の融資をしており、さらに本年度内には二、三百億程度の民間融資に対しては四億の融資をしており、さらに本年度内には二、三百億程度の民間融資に対して明るい見通しを持つていると、池田蔵相は言明しているのであります。(拍手)これによつて金詰まりは大いに緩和せられ、産業は健全化されることであろうことは明確であります。(拍手)
 これを要するに、政府は経済九原則を堅持しつつ、国民の要望たるわが党の政策をおおむね実行し、民自党の公約を果して、残余の公約は明年度予算によつて完全に果されることになつておるのであります。(拍手)これはわが党政府の大成功であるとわれわれも信じ、国民も認めておるところであります。(拍手)その結果、国民は終戰以来四箇年にして、ようやく精神的にも物質的にも安定感を抱くに至つたことは、いなめない事実であります。国家のために、まことに御同慶にたえないところであります。(拍手)しかるに、野党一部の諸君が、いたずらに事実を歪曲し、政治経済の不安を高らかに唱え、しいて人心を撹乱せんとすることは、まことに遺憾にたえないところであります。(拍手)かくのごときは決して世界に信を博するゆえんではないと信ずるものであります。
 思うに、悪性インフレーシヨンの克服は健全なる経済復興、産業再建の基盤であり、その前提をなすものであります。現在わが国の実情をきわめて公平に客観的に考察すると、政治的にはもちろん、経済的にも、九原則の実行により、ようやく安定を見つつあるのは疑う余地のない事実であります。現在この好機に乗じて、経済九原則、ドツジ・ラインに基く第二の段階、池田蔵相のいわゆる復興予算を樹立すべきときであります。経済再建、産業の復興に対し、国民はこぞつて協力すべきであり、今や洋々たる前途はわれわれの前に横たわり、赫々たる光明はわれらの眼前に輝くのを覚えるのであります。この補正予算をかく見るときは、それは政府の至誠努力の結晶であると断ずべきであり、公平なる国民は、本予算に対して大成功であると見、賛成しておるものであります。よつて私は、本予算に対し満腔の賛意を表するものであります。(拍手)
 なお、予算審議にあたつて論及された軍備放棄及び国際関係につき特に一言いたしたいのであります。軍備の放棄は憲法によつて嚴粛に宣言されたところであり、これに対しては、われわれは一点の疑念も抱かないのであり、また抱くべきではないものと信ずるのであります。しかるに、野党一部の質問において、この点につき種々の場合を臆測し、とかくの議論を弄するやの傾向を見受けたのは、はなはだ不可解のことであります。これはもちろん愛国の至情から出たものではありましようが、翻つて考えると、これはただに国民の真意に反するのみならず、さらに国際関係に甚大なる疑惑を引起さしめ、わが国に対する諸外国の感情に望ましからざる影響を與えることを深く留意すべきであると信じます。諸外国の国民の前に事実によつて示さなければならない。かくすることが、すなわちわが国が一日も早く平和的国際団体に復帰し、その一員たらんことを念願しておるこの念願がすみやかに達せられるゆえんであると確信するものであります。これをもつて私の賛成討論を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 次は川崎秀二君。
    〔川崎秀二君登壇〕
○川崎秀二君 民主党野党派は補正予算に反対するものでございます。(拍手)
 今回の予算につきまして、政府はドツジ・ラインを堅持した均衡予算であると言つておりますが、その実体は、第五国会において成立を見ましたデフレ的総予算によつて起つたところの金融の逼迫、産業の萎靡沈滯、失業者の増加によりまして不景気と社会不安が起り、加えて全国各地の災害のために、遂にこれを修正せざるを得なくなつた政府の申訳的予算でありまして、依然としてデフレ傾向の強いことから、われらは反対するものでございます。
 過ぐる第五国会におきまして、わが党は、この日あることを期し、すでに修正案を提出いたしておるのでございます。今回の補正予算は、その修正案の内容にはるかに及ばず、またその時期を失い、しかして、予算面に現われた問題だけではなく、その背後を流れているところの金融政策、経済政策に立ち入るとき、政策の貧困おおうべからず、一貫性を欠いた措置は驚くべきものがあります。(拍手)しかも、僅々三百六十三億の補正予算の中には、世上多大の疑惑を放たれているところの薪炭特別会計の赤字五十四億の計上が包含されており、一方社会不安を一掃するための建設的予算はまつたくこれを度外視しておることは、まさに現内閣の性格を露骨に露呈したものといわなければならぬのであります。(拍手)
 わが党が反対をいたしまする基本的理由は、予算案の背景となつているところ財政経済政策が、わが国経済の堅実なる復興にとりまして、政府の呼号するような安定正常化の豪語とは逆に、きわめて危險なる症状を呈しておるからでございます。すなわち、前国会において成立を見ました総予算において、従来までインフレ政策の総本山であつた吉田内閣は、ドツジ・ラインの壁にぶつかるや、百八十度急転回をいたしまして、極端なる緊縮政策をとりました結果、金融の梗塞を招き、有効需要は著しく減退したのでございます。世界経済界の不況をも反映いたしまして、内外の有効需要の減退は、おびただしき滯貨を生じ、すでに纎維、石炭、鉄鋼等を初め、八百五十億から千億に上るところの滯貨を生じまして、異常滯貨と認められるものは、さらに農林関係の分を加算して、優に五百億を越える状態でございます。
 これは、いかなることを物語るものでありましようか。正常なる資金の回転率が澁滯しつつあることを意味するものでありまして、これでは、経済の循環というものは、とうてい及びもつかぬものでございます。もし現状において推移いたしますと、ひとり不健全なる企業だけではなく、優秀なる企業も遠からずしてその機能を喪失するに至るのではないかと思うのでございます。
 わが国の産業が世界の貿易に進出したる今日、いわゆる企業の合理化は、行政整理と並んで、本年におきますところの二つの命題であつたことは、何人も異存のないところではございますが、企業の合理化は、労働者側に負担をしている前に、まずもつて経営組織の合理化、冗費の節約に努力が傾注されなければなりません。(拍手)しかるにもかかわらず、吉田内閣の金融政策によつて、常に人員の整理が第一に始まり、しかして、次には操業度を高めることによるところのコストの引下げという形で行われたことは、今後の労資協力態勢に深いみぞをつくつたものといわれなければならぬのでございます。
 次に、極端なる金詰まり政策の結果招いた今日の有効需要の減退ということについては、深くこれを論究しなければならぬ。今日政府は、統制経済を撤廃して自由経済へ移行したことを、いとも鼻高々と、公約の履行と称して宣伝しておるけれども、生産が回復して統制が撤廃させたものではなくして、デフレ政策のために、生産された品物を引受ける産業の収容力がない。これがために物が余つて来ているのでございます。(拍手)
 国家再建の物的原動力といわれた石炭は、本年の四千二百万トンの至上的生産命令を中途にして後退し、現在有効需要減退のために自由販売となつておりますが、このことは、国民経済の規模が縮小し、縮小再生産への転落を意味し、窮乏の日本にとつて決して喜ぶべきことではございません。(拍手)もとよりわれわれも、生産が回復し、需給の関係が調整されるならば、煩瑣なる統制経済はこれを自由に還元することを主張するものでございます。しかしながら、それは必ず漸進的に断行して、経済界の無用の混乱を防がなければならないのであります。
 金融政策において自己本来の主張を放擲いたしました政府は、統制経済撤廃の公約を急いだあまり、意外のところにその破綻を招来いたしておるのであります。(拍手)すなわち、石炭、鉄鋼等の一部においては、補給金の削減によつて三倍ないし四倍の高値を呼んでいる品物がある。また貨物運賃の八割値上げもやむを得なくなつた結果、消費者生計費は漸次高騰しまして、遂に政府は、人事委員会に対してしばしば政治的牽制球を送つたにもかかわらず、官公吏の資金ベース改訂の勧告は今や必至の状態に立ち至つた。ここにドツジ・ライン堅持を豪語した政策は、この一角から崩壊のきざしを見せておるものと断言してはばからぬものでございます。(拍手)自分のものでないものは、由来どこからか馬脚を現わすものであることを、現在の民自党の政策が雄弁に物語つている。
 さらに長期復興計画をたな上げしたことは、敗戰以来着々として経済の安定正常化に努力し来つた国民に対して、その目標を失わしめた意味において、きわめて重大なるものがあります。金融政策の転換と有効需要の減退によつて、明らかに生産計画が変更されなければならぬ。その理由は、私もこれを認むるものでございます。また新たにローガン構想や、その他の新情勢が現われ来て、修正の必要もありませう。しかしながら、さらばといつて、生産計画を放棄することは、国民に前途の光明と指標を失わしめるばかりでなく、近来計画性を増しつつある世界経済の一環としての日本経済復興が、そのよるべき立場を失うからであります。アメリカのフエア・デイールにいたしましても、ヨーロツパの各国にしても、いずれにしろ、資本主義に計画性を賦與して、公共性、社会性を軸として、その大わくのもとにおいて国民の自由なる経済活動を推進いたしておることを、われらは他山の石としなければならないのであります。(拍手)
 これを要するに、財政政策の基本的構想におきまして、吉田首相及び池田大蔵大臣は、今日の経済状態をもつて安定正常化したと言うが、その安定とは、国民生活を圧縮し、生産を縮小させた経済の停滯であるのであります。これをかつてに安定と呼んでいるのであつて、ひつきようするに今回の予算は、資本の安定のみを主眼とし、中小企業、勤労者を犠牲にし、特に農村を冷酷無情にまでしいたげ、弱肉強食の旧資本主義的な本質を明らかにしたものと断定せざるを得ないのでございます。(拍手)
 予算面につきましては、簡單率直の批判を下します。今回補正予算の財源となりましたものは、自然増収二百十三億、前年度剰余金二百六億等がそのおもなるものでございますが、シヤウプ勧告によつて行われた税制の改革は、当然年度内に相当の減額が行われるものと期待したにもかかわりませず、租税改正による収入減二百億と、自然増収二百十三億を差引きいたしまするならば、逆に十三億の増税ではありませんか。看板に偽りあり。(拍手)さらに本年度の滯納百八十三億を加えれば、本年度下半期における国民の負担はますます加重するものといわなければならぬのであります。(拍手)
 歳出の面におきましては、はたしてどうであろうか。地方配付税の増加ということが、しきりに宣伝をされたものでありますが、なるほど九十億が計上されておるが、しかし、その九十億の内容を見ると、驚いたことには、そのうち十八億は、昨年の官公吏の年度末調整資金、例の〇・八の地方借入金をこの際返済し、歳入に入れ直したものである。失業対策費五億、寒冷地手当十三億、府県共済組合の国庫負担六億、伝染病予防等の経費四億その他を入れますと、実際には、地方配付税の増加というものは、わずかに四十億ですぞ。今日地方財政の窮迫はその極に達しております。それゆえに、シヤウプ勧告の重要な項目の一つとして地方配付税の増加が取上げられておるのであつて、政府が今やかねや太鼓で宣伝した地方配付税の増加が、わずかに四十億では、なるほど地方財政に心魂を打ち込んでおる木村国務大臣が、突如として保守合同なるものに対して反対をいたしておることの、その心境を察するに足るものがあるのでございます。(拍手)
 また、本年のデラ、キテイ、あるいはへスター等の台風を初め、数回の台風の惨禍は、地方罹災民にとりましては死活の問題でございます。災害地の復旧には一日もすみやかに国家的保障を與え、でき得るならば国庫が全額これを負担すべきであるに反して、災害地復旧の融資が、預金部資金により、九分四厘あるいは九分五厘というような高利によつて貸付けられておるのであります。今日相当だぶついておる預金部の金は何によつて蓄積されたか。その大部分は、郵便貯金等を初めとする国民の零細な大衆預金によるものであつて、その利率は二分八厘から三分弱という低率のものでございます。しかるに、貸し出すときには九分四厘の高率という。ことに、国庫の全額負担を理想とする災害の融資に対してこれを行うことは、大蔵省は何時の間に高利貸しの元締になつたものでありましようか。(拍手)国民を愚弄する、これよりはなはだしきはないのであります。
 臨時国会召集の理由の一つになりました失業対策が、わずかに緊急失業対策費八億五千八百万円、失業保險費の増加八億五千万円という貧弱な内容では、政府の熱意を疑わざるを得ないのでございます。災害復旧費の中にも、見返り資金の中にも含まれておると、労働大臣はしばしば言うのでありますが、出そうで出ないのは見返り資金だということを、しばしばいわれておる。あの行政整理の旋風の最中、失業対策いかにと、かたずをのんだ国民の期待を、完全に裏切つておるのでございます。
 国民は行政整理の方針を支持したが、それは、各種の不詳事件によつて、国民の感情が、このために政府が転覆してはならない、労働運動の軌道をはずした攻勢によつて国政が左右されてはならないという見地から、政府の方針を支持したのであつて、決して政府の労働政策や失業対策に信頼しておるのではないのであります。しかるに労働大臣は、のど元過ぎれば熱さ忘るるということわざがありますが、このごろにあつては、失業者の数は今秋をピークとしてだんだん減少する、今年度末には百万人も吸収すると豪語しておりますが、七、八月、あの人心不安のさなかにおいて、しばしば関係当局との折衝の際、二百億の予算を要請するとか、あるいは厖大なる失業対策を立てるとか称して、かすかな期待を労働界、産業界に與えておいて、この僅少な予算は、一体これは何事でございますか。
 一体わが国の失業現象は、各国にその例を見ない状態的な現象でありまして、ひとり顯在失業者をもつてのみこれを判断することは早計であります。わが国の潜在失業者は、実に七百万人とも呼ばれておる。それがどこに隠れておるか。厖大なる農村人口の中にひそみ、中小企業の中に身を寄せ、家族制度や企業内の過剩労働にささえられておるのであつて、顯在失業は実に氷山の一角であります。その氷山の一角さえ把握し得ぬ失業対策をもつて足れりとするならば、今訪れておるところの労働運動健全化のチャンスは、みすみすこれを逸することとなりましよう。労働運動健全化の傾向を助長するために、政府は今や日程に上つて来た最低賃金制の実施に着手すべきであります。
 失業対策をも含めて社会不安一掃のためには、広汎なる社会保障制度の確立につとめなければなりません。憲法第二十五條にいう、すべての国民は健康的にして文化的な最低限度の生活を営むことができるという理想社会えのとびらを開くものは、マツカーサー元帥占領政策の最高にして最後の理想といわれる社会保障を日本人みずからの手によつて解決するものでなければならぬのであります。しかるに、補正予算を見ても、来年度予算を見ても、社会保障は、その確立の片鱗さえ現われておらない。社会保障制度審議会の勧告した現在の健康保險あるいは国民健康保險の三十一億の赤字の国庫負担さえ、政府は無視しておるのであります。これでどうして社会保障制度の確立が思い及ぶでありましようか。民自党内閣の社会政策に対する無理解を表明するものといわなければなりません。
 諸君、社会保障制度は断じて社会主義政党だけの專売特許ではないはずだ。今日その広汎なる制度の充実に努めておるのはイギリス労働党であり、実践の責任者はなるほどビーヴアリツジではありましようが、これを発議した者は保守党のチヤーチルであるということを、諸君たちは十分に感銘しなければならぬと私は思うのであります。しかるに、先般水谷長三郎氏の本議場における、今回の予算は勤労者の立場を犠牲にしておる、勤労者の生活を安定させないところに真の経済の安定はない、社会保障をすべきであるという質問に対し、大蔵大臣は、社会保障制度の完備しておるイギリスの経済がかえつて不安定であるというような筋違いの答弁をいたしまして、かえつて民自党のイデオロギーを暴露したものでございます。池田大蔵大臣の立場として、保守党の大臣の立場として、医療国営の行き過ぎや、社会主義的保障を非難するのはよろしい。しかし、日本の社会保障的経費は、生活保護法や社会保險全体を含めても、わずかに国費全体の三%という僅少である。国費の三分の一をさいておるイギリスの現状とは、比較のさたではございません。将来に生きんとする政治家なるものは、よろしく謙虚な立場で先進国の姿をながめ、現実を踏みしめつつ、なお理想の炎を燃やすべきだと思うのであります。(拍手)
 最後に、土地改良費の大幅削減を初め、農業振興の諸費の少いことは、農業政策の方向がこんとんとしておるということとともに、本国会における最大の問題でございまして、森農林大臣不信任案は、なるほど院内の多数によつて否決されたかもしれぬ。しかし、淳朴にして穏健な全国数千万農民の、政府に対する不信の声と、農政最高責任者に対する呪詛の声は、いよいよ今後深刻なるものがあると私は思うのであります。供出米の補正額は、不信任案のおかげもあり、二百四十五万に改訂されたというが、かつての農村の悲惨なる百姓一揆は、すべて時の為政者がその領地の産米予想を誤つたところに端を発しており、政府の責任はいささかも解消されてはおりません。再生産費を償うに足らざる低米価の決定といい、さつまいもの統制撤廃に関する措置の混迷といい、森農政は一体どこへ行くのかと言いたいほどであります。
 それよりも、米券制度と食確法の関係ほど矛盾撞着するものは、他にその類例を見ないのであります。(拍手)民自党の諸君は、食確法があさつてあたり本会議場に臨んで来た場合においては、愛する農民のため、必ずや農民の熱烈なる要望をいれて良心的行動をとられることを深く期待するものであります。
 農業政策は日本人の人口の五割の生活を左右するものであり、これが捜索願いを出さなければならない現状で、どうして日本の安定があるかと私は言いたい。なるほど、この一大危機に際しても、純真にして国を愛し、秩序を重んずる農民は、あえてデモを行い、赤旗を振らなかつたかもしれない。しかし、彼らをして犠牲の立場にのみ立たせ、何らこれに建設的な施策を行わないならば、やがてその怒りは、大地のさけるがごとく、為政者の足元を根底よりゆるがすものと確信するのであります。補正予算案に対し絶対反対するゆえんであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 圖司安正君。
    〔圖司安正君登壇〕
○圖司安正君 私は、民主党連立派を代表して、昭和二十四年度一般会計補正予算、同特別会計補正予算、同政府関係機関補正予算、以上三案に対し、政府原案に賛成するものであります。以下、簡單にその理由を申し上げます。
 第一の理由は、講和会議を前にして、最近連合国、特にアメリカ合衆国よりは、朝野各方面の要路者が次々と来朝され、かつまた貿易その他の国際会議に、わが国の代表者が、正式またはオブザーバーとして出席を許され、従つて、かような国際情勢よりいたしまして、この際より一層国際信用を高め、平和国家として国際社会の一員に加盟するを熱望しているわが国民のまじめな姿を認識してもらうために、そうした内容の予算を盛つている本補正予算は、一日も早く成立せしむる必要があるのであります。
 第二の理由は、敗戰によつて精神的にも経済的にも奈落のどん底にたたきつけられたわが国民が、ようやく廃墟と窮乏の中に奮い立ち、インフレを克服し、生活を安定し、堅忍不抜、協力相扶、真の意味の自立経済と復興政策を確立すべく、ここに大きく国策の指向を転換せんとして、健全財政、均衡予算の内容をば、そのわく内にあつて、極力消極面を押えて積極的な建設面を助長した施策が、この補正予算に多分に盛られている点であります。もとよりわれわれは、この補正予算に十全余すところなく満足感を持つかと言えば、たとえば災害復旧費、六・三制の学校建築費、地方配付税配付金、その他幾多の費目に不満と不十分とを認めます。いわんや、価格調整費は削減しても、特別会計への繰入れや補助金交付のために運賃値上げその他の措置を講じたるごときにおいておやであります。
 またわれわれは、この国会の中におればとて、窓外の行政整理や企業整備による失業者の職を求むる悲痛なる叫び、中小企業者や農業者の金詰まりのうめき、遠く海外よりいまだ帰らざる子を、夫を待つ留守家族のやるせなき気持、しかして敗戰四年、この冬空にいとど身にしむ生活苦に泣きぬれている未亡人や外地引揚者、その他もろもろの社会不安を、ピンピンと心のアンテナに感ぜざるものではありません。そうした経費もまた本補正予算には、十分に計上されておらないと言い得るかもしれません。
 しかしながら、われわれは、今日の占領治下にあるわが国の立場の、きわめて困難にして微妙なるものあるをよく知るものであります。反対せんがために反対することはやさしい。しかし、これまでの反対論のどこに建設的な意見があつたでありましようか。この廃墟と窮乏の中から、国を建て直そうとする熱情が見られたでありましようか。(拍手)私は、このような小兒病的な感傷にとらわれた反対論、しかしてまた国際情勢にきわめてうといところの反対論に対しましては、むしろその反対に反対をしようとするものであります。(拍手)
 要するに本補正予算案は、一言にして申しまするならば、東京の道路のそれのごとく、メーン・ストリートだけは一応の補修はできたかもしれません。しかし、一歩裏通りに入りますれば、いまだ戰後そのままのでこぼこ道であります。滯納の状態や、物価と賃金の関係などを、しさいに検討いたしまするならば、いまだもつて正直者がばかを見て来た終戰後の政治の病根が芟除されてはおりません。これこそは、現内閣が今後責任をもつて解決すべき重大なる問題であろうと、私は誓告いたすのであります。とは言いますものの、本補正予算案は、いわゆるドツジ・ラインを忠実に履践しつつ、国際関係の動きに対処せんとせる、きわめて伸縮性を持つた予算であり、明二十五年度予算の一環として、シヤウプ勧告案をもすでに取入れた、日本人及び日本政府の国際的誠実性と、祖国再建への熱願をば表現しておるものでありまするがゆえに、私どもは、これに対して、そのまじめなる努力に深く敬意を表してやまざるものであります。(拍手)
 最後に私は、昭和二十五年度にこそは、世界の歴史に、新たなる姿の日本が、輝かしい再生の日の丸を打ち振りながら、君が代の国歌を高らかに唱和しつつ、平和の鐘をつくべきときであろうと、かたく信じます。はたしてしからば、平和国家、文化国家としての経費が本補正予算案に盛られておるかが問題でありまするが、この点に関しますると、私どもは、現内閣に対して、将来のかたき約束を誓わなければならないことを誓告いたすのであります。
 はるかに聞く、ヨーロツパの戰勝国必ずしも坦々たる復興の大道を歩いておるものではありません。しかして、われわれは今日敗戰下におるのであります。連合国の占領下に置かれておるのであります。従つて、占領下にあるというこの国際事情のもとにおきましては、今日政府が提出せられましたるこの補正予算の程度のごときは、今日の場合において真にやむを得ざるものであり、しかも最高限に国民の希望を満たしたるものであると私は思うのであります。(拍手)しかしてわれわれは、明年においてこそ国民のいわゆる講和会議への焦点をば最高度に定めると同時に、軍備なき国家としての高き倫理性と道義感と人道精神とを新しき政治の指導理念として、日本のよき伝統を守りながら、国際社会に通ずる健全なる保守政党としての政治体制を確立すべく、その具体的施策を示されるであろうことを、私どもはかたく信じて疑わないのであります。
 この意味におきまして、私どもは本補正予算案に賛成すると同時に、反対せんがための反対をなし、暴力革命に持つて行かんとするところの共産党の政策に対しましては、あくまでもこれに反対をいたし、私は民主党連立派を代表いたしまして本補正予算案に賛意を表するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 次は深澤義守君。
    〔深澤義守君登壇〕
○深澤義守君 ただいま上程されました昭和二十四年度補正予算三案に対しまして、日本共産党を代表して反対の意見を表明するものであります。
 本予算案を編成するにあたりまして吉田内閣のとつた態度は、まつたくその自由性を失つておるのであります。去る九月の末に閣議で決定されておりながら、国会に提出するまでに一箇月半の日子を費しておるのであります。さらに、全国民の早期国会開会の要求を無視いたしまして、開会を遅らせ、開会いたしましても、会期切迫とともに、予算案の審議に際しましては時間を切り詰め、あるいはまた輸出金融保險法の予算を組みながらも、これに対するところの法案は、予算案審議が結了いたしましたその後において提出されておるのであります。かようなことは、明らかに政府が絶対多数の陰に隠れて国会を軽視する態度であると、われわれは断ぜざるを得ない。こういう立場において、われわれは、まず第一番に、この政府のとつた態度に対しまして反対の意を表明するものであります。
 第二に、この補正予算はまつたく反人民的な、売国的な予算であるということをわれわれは断定する。これは労働者の賃金を六千三百円の低賃金にくぎづけし、さらに四千二百五十円の低米価を農民に押しつけまして、その基礎の上に本予算案が構成されておるのであります。労働者の生活は、今やその食費を切り詰めなければならないような状態に追い込まれておる。あるいは一日二食主義、あるいは絶食が非常にふえておるということが現実の状態である。この補正予算によつて労働者の生活状態がよくなることは断じてないのである。
 実質賃金の向上ということを政府は放送しておるけれども、その根拠としておるところの統計の数字自体が、きわめて不完全である。吉田総理も、統計の数字が不完全であるということは、みずから公言せられておる。政府の言うところの実質賃金の引上げは、まつたくこれはインチキであります。現在全国的に巻き起こつておりますところの越年資金要求の声は、これを十分に物語つて余りあるものがあるのであります。官庁の給與をくぎづけにし、これをてことして全産業の賃金を切り下げ、労働強化を行い、首切りを強行するのが政府の意図であります。しかも一方において、鉄道運賃の八割引上げを断行し、電気、ガス料を値上げし、地代、家賃を値上げし、補給金を撤廃することによつて物価を騰貴せしめる。こうした政府の政策は、断じて全日本の勤労階級の賛成しえざるところであります。
 補正予算は、農民に対して四千二百五十円の低米価を押しつけておる。これはまつたく生産費の二分の一にも達しない額であります。しかるに、吉田内閣の森農相は、この生産費が一千円から一万円であると言つている。一石の米を千円で生産するところの農民が、日本のいずこにあるか。この一事だけをもつていたしましても、吉田内閣の農業政策に対しまして、全日本の農民は憤激の声をあげているのであります。(拍手)
 さらに食糧管理特別会計の増額は、日本の農業破壊によつて、もつぱら外国食糧の輸入に依存するところの買弁政策である。災害復旧、土地改良の問題、開墾の問題、干拓あるいは農地改革等は、吉田内閣は全然サボつておる。さらに天くだり的な強制供出によつて、日本の農業生産力を抑圧し、二千万石以上の外国食糧の輸入を計画しているのである。その結果、日本の農業が近き将来において徹底的に破滅し、農民は再び奴隷的な生活に陥れられることは間違いないのであります。
 民自党の諸君が專念いたしました農地委員会の選挙の結果成立いたしました全国農地委員会の協議会の大会は、吉田内閣反対の決議をいたしております。さらに今年度の米の補正の陰においては、全国農業調整委員会も、吉田内閣に協力することをしないということを発表いたしておるのであります。これ自体は、民自党の、さらに吉田内閣の基盤が、今音を立てて全国的に崩壊しておるというところの証左であります。(拍手)昨日の絶対多数は、もはや今日の絶対多数でないということを断じてさしつかえない。
 次に本予算は、中小企業はもとより、外国資本につながらないところの民族産業をも崩壊さしているのである。経済界を襲う不景気の波は、この予算によつて緩和されるどころか、ますます深められて行くのであります。統制撤廃、購買力の減退、輸出の不振、補給金撤廃等の惡條件が重なり重なつて、滯貨と金詰まりはいよいよひどくなつているのであります。これに対して、政府は何らの具体策を持つていないのである。年末から来春にかけて、中小企業の大部分は、倒壊の運命をたどらざるを得ないような状態になつている。かかる予算を政府は復興予算と言つているのであるけれども、まつたく人民を愚弄するもはなはだしいのであります。吉田内閣の言うところの復興予算とは、少数者のための復興予算であり、労働者、農民、中小企業はもちろん、多くの民族産業を倒壊させて、経済恐慌、社会不安をいよいよ増大させるのであります。
 さらに第三に、この予算は水増し増税予算であるとわれわれは断ずるのであります。税制改革は当初の内容と著しく異なつたものであり、面目上苦しまぎれに数字をつくり上げたものであります。しかも、逆に自然増収二百十三億を見込んでおり、補正予算全体では十三億の増税になつているのであります。しかも、逆に自然増収二百十三億を見込んでおり、補正予算全体では十三億の増税になつているのであります。勤労所得税は、当初千二百億に対し、減税は五十六億であるのに、自然増は百四十九億、差引九十二億の増税となつている。申告所得税につきましては、十月末現在において、納税状況は予算の二一%にすぎない。滯納の額は、九月の末に二百九十五億に達しているのである。しかし、これはもともととれない金額を予定していたのでありまして、実質的には何の意味もないのであります。これはまつたく欺瞞以外の何ものでもない。物品税、あるいは織物消費税、取引高税等の間接税の軽減という問題につきましても、実際には吉田内閣の政策によつて、これらを納めるところの事業は崩壊しているのである。従つて、収入の見込みがほとんどないのであります。これを軽減と称するのは、欺瞞もはなはだしいのであります。
 第四に、本予算が不正、腐敗の予算であるということをわれわれは断言する。薪炭特別会計の問題、食糧管理特別会計に対する繰入れ、あるいは公団への出資金は、国民の疑惑の的になつているのであります。政界、財界、官界のボスどもによつて食い荒らされたその穴埋めを、国民の税によつてまかなうようなやり方は、われわれの断じて承服できないところであります。(拍手)薪炭特別会計のこの不正は、もはや疑うところがない。政府もこの点は何ら弁解の余地がないのである。
 さらに公団出資をいたしますところの油糧公団は、考査委員会によつて、すでにその不正が問題になつているではないか。さらに肥料公団の問題についても、運賃をめぐるところの不正問題で、今や幹部が告発されんとしておるような状態である。かように乱脈をきわめたところの公団経理に対して、何ら検討することなく、補正予算に対して、両特別会計において二百二十四億の繰入れを行い、公団に対しては四十三億の巨額の額を、われわれ人民の税金によつて負担するということに対しては、われわれは断じて承服することができないのである。それをあえてやる政府は、この不正と腐敗を擁護していると断じても、何と弁解ができるのであろうか。
 さらにわれわれは、この補正予算は、合理化、首切りの予算であると断定する。政府は、再建のカギは貿易振興にあると言つている。為替レートの変更にはしないと言つている。しかし、その結果は一体どうなるか。ポンドの切下げにつて受けたところの貿易の打撃をすべて勤労大衆に押しつけて、政府の輸出振興対策はすべて企業の合理化であり、それは低賃金、首切り、労働強化によつて勤労大衆を奴隷的な状態に陥れて、そのコストを切り下げんとしているのであります。こうして発生したところの厖大なる失業者、半失業者に対して、はたしていかなる失業政策を政府は持つているか。
 現在全日本には、潜在失業者を含めて一千万の失業者が存在しているのである。しかるに政府の失業対策は、一日就業できる者はわずかに二万人にしかすぎないというような失業対策費である。厖大なる失業者を、この年の瀬の迫る街頭に投げ出しておいて、いたずらに社会不安を増大させるのは、吉田内閣の政策そのものであると、われわれは断ずるのである。
 このような低賃金、低米価を基礎といたしましたところの輸出が、飢餓輸出であり、そしてソーシヤル・ダンピングとして現われて来ることは間違いないのであります。このソーシヤル・ダンピングこそ、かつての侵略戰爭の原因となつていることを、われわれは銘記すべきである。吉田内閣は、再びこの誤りを――のであります。飢餓輸出を中心とするところの貿易体制は、協定貿易の形で進められているのでありますが、この結果は、日本再建に役立たないところの必要なるものがどしどし押しつけられて来るのである。外国の恐慌がわが日本に輸入され、激増する滯貨の山の中で、全人民は労働強化と失業と飢餓にあえがなければならないという結果になるのであります。
 特にこの際注目すべきは、現在国会に提出されておりますところの外国為替及び外国貿易管理法案であります。貿易公団が廃止されて民間貿易となつた場合において、貿易の資金はきわめて莫大であります。この巨額の資金を、日本商社の力をもつてしてはまかない得ない。しかも、この法律によつて莫大な保証金を積み立てなければならない結果、資金の豊富な外国銀行や、あるいはこれと結んだ所の国内の少数の銀行が、外国銀行や外国商館と手を握つて、わが日本の貿易を完全に支配するという危險性があるのであります。貿易と為替を握るものこそ全日本の経済を支配するものであります。この目的を達成するために、このたびこの法案ができているのである。しかもこの法案は、重要な部分はすべて政会にまかされているのであります。かつての白紙委任状的な国家総動員法の再現であるとわれわれは断ずることができる。(拍手)日本の国民生活全体が、今やこの法律によつて外国資本の支配下に屈しようとしているのであります。これこそ吉田内閣の買弁政策の最大の現われであるとわれわれは断ずることができるのであります。(拍手)
 吉田総理は、講和の問題については、常に仮定であるということによつて答えられないけれども、事実は、日英貿易協定のごとく、ある特定国と実質的講和の方向に進んでいるのである。これは必然的に單独講和への道であつて、この道は――の道であるということをわれわれは断ずる。(拍手、「懲罰々々」と呼び、その他発言する者あり)われわれがポツダム宣言と憲法に忠実である限り、講和は、あくまで全面講和以外にあり得ないのである。これこそ全国民の要望であります。世界の情勢と、特に極東の人民勢力強化の状態に、ことさらに目をそむけて、窮乏の底から立ち上らんとする全人民を彈圧と分裂によつて抑圧し、かくて民族の運命を外資に売り渡さんとする吉田内閣の全政策は、一部少数者の利益にのみ奉仕する買弁政策であり、植民地政策であります。補正予算は、この政策をはつきりと現わしたものであります。
 わが日本共産党は、この点において、補正予算三案に対して断固として反対し、同時に越年資金を支給すること、労働省の生活を保障するところの賃金制度を確立すること、生産費を償うところの米価を決定すること、所得税の免税点を四十万円に引上げることを内容とするところの組みかえ予算を要求いたしまして、本補正予算三案に対して断固として反対の意を表明するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの深澤君の発言中不穏当な言葉がありますれば、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。
 次は世耕弘一君。
    〔世耕弘一君登壇〕
○世耕弘一君 私は、公正倶楽部を代表いたしまして、本予算案に警告を付して賛成の意を表したいと思うものであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 靜かに本予算を検討いたしまするに、予算の編成にあたつて相当苦心の跡はうかがわれるのであります。しかしながら、いまだ足らざる点が多々あることを指摘しなければならないのであります。ことに、ドツジ案並びにシヤウプ・プランの線が相当明瞭に現われておりますけれども、吉田ラインあるいは池田プランという形がこの予算案に明瞭に現われていないことは、はなはだ不満足であります。全面的に考察すれば、積極性と建設的な点において欠けるところがあるかと思われるのであります。端的に批評すれば、官僚的臭みが多分にあることを申し上げておきたい。但し、本予算案の中には、相当時局柄緊要にして重要なる予算が計上されておりまするので、一応この予算を承認いたしまして、次年度の本予算において、あらためてわれわれの態度を決定したい、かように考えて本予算に一応賛成の意を表する次第であります。(拍手)
 但し、この際政府に対して特に警告を発したいと思うことは、近来ややもすれば、国会におけるところの決定並びに国会の決議事項に対して、行政の末端において歪曲されたる点が少くないのであります。よつて政府は、今後本予算の執行の上においても細心の注意を拂つて、民主政治の意義に徹するよう、特に警告を付して本予算案に賛成の意を表する次第であります。
○副議長(岩本信行君) 平川篤雄君。
    〔平川篤雄君登壇〕
○平川篤雄君 私は、ただいま上程せられておりまする三案に対しまして反対の意を表明するものであります。
    〔副議長退席、議長着席〕
 反対の第一点は、本案は重税苦と金融難に苦しんでおります国民の多数の期待を裏切つているという点であります。そもそも当初予算がデフレの要因を含んでおるということは、われわれのしばしば指摘したところでありまして、政府もまたこれに気づいておつたということは、前国会における審議に際しまして、常に重要なる点になりますと、見返り資金の運用とシヤウプ氏の税制改革という煙幕の中に蹈晦しておつたという事実をもつて明らかであります。諸君はまた、第五国会閉会後、閣僚並びに党の幹部以下の諸君が、全国各地において濫発をいたしました楽しい公約や、希望に満ちた朗報説を、再び思い起していただきたいのであります。国民は絶対多数党の、いわゆるてこであり、打出の小づちである見返り資金と税制改革というものに多大の期待を寄せて、重税も、金詰まりも、失業も、倒産も、あげて今日まで耐え忍んで来たのであります。
 しかるに、その見返り資金は、現在まで二百十九億使用せられたのみでありまして、大蔵省において検討中のものが百億、しかも大部分は明年度に運用を繰越さざるを得ない状態になつておることが、このたびの審議で明らかになつたのであります。政府は、産業の振興や、それによる失業者吸収、デフレの抑圧、ことに農漁業及び中小商工業の金融等について多大の期待を抱かせていたのでありますが、すべてこれらは一片の夢物語りと化してしまつたのであります。シヤウプ勧告による減税は誇大に宣伝されましたが、本予算において、わずかに二百億にすぎません。これに反しまして、増収分は二百十三億が計上せられておるということは、前の議員からも申されたところであります。これをもつて、運賃の値上げや、主食の値上げや、補給金削減による物価の騰貴等をカバーして、国民の重税を軽減するものとは、絶対に考えられないのであります。
 ことに勧告に反して、農業及び中小企業者の待望いたしております事業所得税の改正が本年度見送られたということは、まことに奇怪千万であります。勤労所得税の軽減が、しきりに給與ベースを上げる必要がないという口実に使われておる点を考え合せますときに、私どもは、農業におきまして、食確法や供出割当の引きかえに、この減税が利用せられるのではないかと、今から大いに警戒を要すると考えるのであります。
 六・三予算は、本年度十五億、明年度四十五億、計六十億の応急的支出をもつて一応打切られるという公算が、きわめて大となつたのであります。おそらく最低に見積りましても四百億の工事を要するのでありますが、これらは一時に殺到いたしまして、三百億は依然国民の寄付的支出を強要することになるでありましよう。九十億の地方配付税の増額などは、これに対して何らの役にも立たないのであります。
 これを要するに、デフレ現象の抑止は不可能である。今後重税の生活苦は打開されない。国民に期待を持たせ、さらにこれを裏切つたところの政治的責任を、政府並びに與党は痛感すべきであります。(拍手)
 反対の第二点は、積極的に復興に向う予算だと政府は誇示いたしておりますが、むしろ彌縫的な消極予算にすぎないのであります。公共事業費の大部分は、本年度災害の十分の一に満たざる復旧に使用せられるのであります。失業対策費も僅少でありまして、前者とあわせ考えましても、これによつて救済せられるデフレの犠牲者は僅少でありまして、ことに農村に現に潜在し、現に潜入しつつある莫大な失業人口は、いかんともしがたいものであります。
 輸出産業についても、政府に確信がなく、頼むところは、ただ適切なる金融措置でありますが、これとてもわずかでありまして、しかも金融機関は、自己資金の不足分を手当することをもつて原則とすると考えております。政府の金融政策というものは、現実に自己資本を持たないところの中小企業者や農民を見殺しにするものであり、これらに依存するわが国経済を破綻に導くものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 政府機関等損失補填金は、三百億の多額に上るのであります。食糧管理の百七十一億は、戰前戰後を通じまして未曽有の三百七十五万トンという食糧の輸入に伴うものであり、これに関連いたしまして、四百七十七億に及ぶ食糧の価格調節補給金は、外国食糧依存、国内産主食低価格政策の結果でありまして、絶対にわれわれの承服しがたいところであります。
 薪炭需給調節の五十四億七千万円の取扱いは、きわめて乱暴であつて、政府は未拂いの薪炭及び買上げを約した未買収薪炭の代金及び利子の引当については、生産者並びに集荷業者に遅滯なく支拂うべきものでありますが、しかしながら、詐欺、横領、横流し等の犯罪の介在を予想せられますところの部分につきましては、むしろ一時借入金等をもつて措置すべきであつて、国民の血税をもつて失政と罪悪をおおわんとすることは、国民の代表たるわれわれのなすに忍びないところでございます。(拍手)
 さきに政府は、安本の五箇年計画の発表を押えました。今もつて成案を持たないということが明らかになつたのであります。講和條約においてわれわれの許されますところの生活水準については、さきにマツコイ氏の声明もあり、活発に、しかしながら謙虚なる態度をもつて、十分に論議を盡されてよいものと私は信ずるのであります。平和的な生活を営む権利というものは、われわれにも留保せられておるはずであります。しかるに、この国民の生活水準について、総理から、しばしばの論議があつたにもかかわらず、何らかの回答を得るに至らなかつたのであります。
 これらを総合いたしますると、本予算は、基底に存すべき国民経済復興の理想を欠き、従つて将来に対する何らの具体性を持つものでないことは明らかであります。
 反対の第三点は、われわれの政策の基盤といたしますところの農業復興の政策に相反するものがあるからであります。政府は、米価審議会の答申を無視いたしまして、四千二百五十円の米価を決定いたしました。農林大臣をもつて言わしむると、生産費は平均石当り三千数百円でけつこうである、この四千二百五十円という米価は、それを上まわるものであるから、さしつかえがないというのであります。かかる農林統計を簡單に信頼いたしますところの農林大臣の知性を疑わざるを得ないのであります。
 価格調整費の削減は、ますます生産費、生活費の増大を予想せしめております。これこそ、低物価による、低米価による低賃金政策をもつて日本産業を復興せんとする政府の企図は明らかなものと言わざるを得ないのでありますが、もしも農民の犠牲をもつて復興を考えるものではないと抗弁するならば、シヤウプ氏勧告通り、農民課税の減税を行うべきであります。米券制度や、かんしよ統制撤廃を呼号するならば、その前に食糧確保臨時措置法の一部改正を撤回すべきである。
    〔議長退席、副議長着席〕
 他物資の価格同様、米価も国際価格にさや寄せをいたしまして、食糧補給金、食管経費の減少分を減税に引当てるべきである。国内自給態勢を基本とする民主自由党の農業政策であるというのならば、まず外国食糧依存の食糧計画を再検討いたしまして、土地改良、開墾、農林金融等の、増産の積極的政策に歳出をさくべきであります。かかる点について、本予算が何ら農民の要望にこたえることがないのみか、政府及び民主自由党に一貫せる農業政策と農村復興の熱意なきものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 われわれは、かかる予算に対し絶対に組みかえを要求いたしまして、反対の意を表明する次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 岡田春夫君。
    〔岡田春夫君登壇〕
○岡田春夫君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、本補正予算案に絶対反対であるばかりでなく、即座に撤回されんことを要求するものであります。
 まずその理由の第一といたしまして、本予算案は、政府、金融資本に対して莫大なる資金の吸収を行つて、その結果産業経済界にデフレ恐慌を招来するものであるということであります。いまさら申し上げるまでもなく、日本の経済界がデフレの現象を明らかに呈して参りましたことは、これを具体的な数字をもつて申し上げる必要はありません。しかるに、本補正予算案において賃金のくぎづけを行い、あるいは農家を破滅させる低米価によつて国内購買力の徹底的な抑圧を行うとともに、反面において、日本の産業経済界から千数百億に余りますところの莫大な資金を吸収せんといたしているのであります。これを予算の中で具体的に申し上げまするならば、鉄道特別会計、食管特別会計、あるいは薪炭赤字の特別会計その他を初めといたしまして、見返り資金の特別会計には八百二十億の資金を擁しながらも、そのうちで三百五十億しか使つておらない。残りの四百数十億は、いまだにアイドル・フアンドとして、そのまま押えているのである。
 このようにして、これら千数百億の資金は、産業経済界から政府に吸収されまして、政府は、金融資本家との間において、旧債務の償還その他の方法をもつて、やつたりとつたりのキヤツチ・ボールの方式をもつて、いたずらに産業経済界のデフレを深刻化せしめている現状であります。これはまことに、日本銀行のポリシー・ボードを中心にして、金融独占資本の支配強化のために吉田内閣が積極的に協力をいたしつつあるという事実を明らかにするものであります。(拍手)その結果、政府と金融資本においては、池田大蔵大臣の言う通りにデイスインフレーシヨンの現象は現われて参るかもしれませんけれども、実際に産業経済界においては極端なるデフレ経済が起りつつあることは、事実をもつて明らかにすることができると思うのであります。(拍手)
 第二点は、本予算案は、めくら貿易によつて国内産業を破滅に追い込んで、日本の国を半植民地的な危機に追い込む亡国予算であるということであります。(拍手)この予算案を見れば、価格調整補給金の削減によつて、八割の貨物運賃の値上げによつて、国内物価はますます値上りになつて行くばかりであります。しかしながら、国際経済の面においては、アメリカの過剩食糧生産の状態によつて、明らかに世界経済恐慌の現象が現われつつある。国際物価は急速に低下の傾向を明らかにいたしているのであります。この国内物価と国際物価との矛盾は、早くもこの補正予算の中に明らかに現われております。それは、食管特別会計の百七十億の一般会計からの繰入れ、この点に明らかに現われているのであります。すなわち、当初の計画から見るならば、実際に二百万トンもよけい輸入を増加しなければならない現状である。このような…(発言する者多し)靜かにしないとやりません。
    〔発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 御靜粛に願います。
○岡田春夫君(続) 最近の現象は、明らかに輸入超過の現象が現われつつある。外国の新聞によれば、日本との貿易は、今まで歴史上かつてないボロもうけの貿易であるから、このような貿易は絶好の條件であるということを書いている。このような状態を見ても、また昨日提出されております外国為替管理法案によりましても、自由貿易という名目によつて、めくら貿易が行われ、日本の植民地化が強行されつつあるのであります。本日経済安定委員会における公聽会において、東京銀行の重役が、日本の民自党の諸君が唱える自由貿易主義によつては、外国の商社に日本の商社が押しまくられる危險性がある、ということを警告いたしておりますことを見ても、この予算案によるならば、われわれは、あくまでもこの予算案は…。
    〔発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 御靜粛に願います。御靜粛に願います。時間があとわずかでありますから御靜粛に願います。
    〔離席する者、発言する者多し〕
○岡田春夫君(続) 靜かにしてください。靜かになるまでやりませんぞ。
○副議長(岩本信行君) 岡田君、発言を進めてください。
○岡田春夫君(続) 聞こえません。靜かにさせてください。
○副議長(岩本信行君) 発言を進めてください。
○岡田春夫君(続) 靜かにしてもらわないと私はやれません。靜かにしてもらわない限りやりません。
○副議長(岩本信行君) 発言をしてください。
○岡田春夫君(続) それでは御靜粛になるならば続行いたします。
 われわれが反対をいたします第三の理由は、先ほども申し上げたように、補正予算…。
○副議長(岩本信行君) 岡田君、ちよつと申し上げておきます。時間はすでに経過しておりますから、きわめて簡單に願います。(拍手)
○岡田春夫君(続) 私は、第三の理由といたしまして、物価の値上げと、減税ではなくて増税を強要する予算であるという意味において絶対に反対いたします。いろいろこれは申し上げる必要はありません。この点については、ただいま民自党の諸君が私に拍手をされました事実を見ても、私の正しさを認めておると思います。(拍手)
 第四の点は、本予算案によつて高級官僚あるいは政界ボスの不正所得を国民にしりぬぐいさせるインチキな予算である、かように私は言わざるを得ないのであります。この点については、薪炭特別会計の面においてもすでに明らかであります。またインチキな予算であるという点を、もう一つだけ申し上げておきますが、鉄道特別会計の予算の中で、石炭費の節約二億円が計上されておりまするけれども、過般公共企業体労働関係法の仲裁委員会におきまして、運輸省の経理局長が、石炭の節約によつて四十億円の退職資金を出したいということを、明確に言明いたしております。この点から見ましても、石炭の節約の中に四十億円の予算が計上されておらない。この点を見ましても、この補正予算が正確ならざるインチキな予算であることは明らかであります。
 これらの点においても、この予算がいかに日本の経済を危機に追い込むものであるか、いかにインチキなものであるかということは、すでに明確であります。
○副議長(岩本信行君) 岡田君、進めてください。
○岡田春夫君(続) 私は、この民自党の提出されました予算に対しまして絶対に反対を主張いたしまして、一日も早く、一時間も早く政府が撤回されんことを要求いたしまして演説を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これより採決に入りたいと思いますが、退場された議員の方が入場されるまで、ちよつとお待ちください。
    〔「採決々々」「早く採決せよ」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) これより採決に入ります。昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)昭和二十四年度特別会計予算補正(特第一号)昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一号)、右三件を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)外二件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○副議長(岩本信行君) 投票漏れはありませんか。
    〔「あり」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 投票漏れありとの少数の声がありますので、これより三分以内に投票を願います。その時間中に投票なきものは棄権とみなします。(拍手)投票される方はお急ぎを願います。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○副議長(岩本信行君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 二百六十四
  可とする者(白票) 二百二十九
    〔拍手〕
  否とする者(青票)   三十五
    〔拍手〕
○副議長(岩本信行君) 右の結果、昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)昭和二十四年度特別会計予算補正(特第一号)及び昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一号)は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)外二件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
   阿左美廣治君  足立 篤郎君
   安部 俊吾君  青木 孝義君
   青木  正君  青柳 一郎君
   淺香 忠雄君  淺利 三朗君
   麻生太賀吉君  天野 公義君
   有田 二郎君  井上 知治君
   飯塚 定輔君  池田正之輔君
   池田 勇人君  池見 茂隆君
   石田 博英君  稻田 直道君
   今村 忠助君  今村長太郎君
   岩川 與助君  宇田  恒君
   宇野秀次郎君  植原悦二郎君
   内海 安吉君  江崎 真澄君
   江花  靜君  遠藤 三郎君
  小笠原八十美君  小川原政信君
   小澤佐重喜君  小高 熹郎君
  小野瀬忠兵衞君  小淵 光平君
   尾関 義一君  越智  茂君
   大石 武一君  大泉 寛三君
   大内 一郎君  大澤嘉平治君
   大野 伴睦君  大橋 武夫君
   大村 清一君  大和田義榮君
   岡延右エ門君  岡崎 勝男君
   岡田 五郎君  岡西 明貞君
  岡野 清豪君  岡村利右衞門君
   押谷 富三君  加藤隆太郎君
   鍛冶 良作君  風間 啓吉君
   片岡伊三郎君  甲木  保君
   門脇勝太郎君  上林山榮吉君
   神田  博君  川野 芳滿君
   川端 佳夫君  河村善八郎君
   川本 末治君  河原伊三郎君
   菅家 喜六君  木村 公平君
   菊池 義郎君  北澤 直吉君
   倉石 忠雄君  栗山長次郎君
   黒澤富次郎君  小金 義照君
   小平 久雄君  小玉 治行君
   小西 英雄君  小峯 柳多君
   五島 秀次君  河野 謙三君
   近藤 鶴代君  佐久間 徹君
   佐々木秀世君  佐瀬 昌三君
   佐藤 榮作君  佐藤 重遠君
   坂田 道太君  坂本  實君
   志田 義信君  清水 逸平君
   篠田 弘作君  澁谷雄太郎君
   島村 一郎君  周東 英雄君
   鈴木 明良君  鈴木 仙八君
   鈴木 善幸君  鈴木 正文君
   關谷 勝利君  千賀 康治君
   田口長治郎君  田中 角榮君
   田中 啓一君  田中 重彌君
  田中 元君    田中 萬逸君
  田渕 光一君   多武良哲三君
  高木 章君    高木 松吉君
  高塩 三郎君   高橋 英吉君
  高橋 權六君   高橋 等君
  高間 松吉君   竹尾 弌君
  玉置 信一君   玉置 實君
  中馬 辰猪君   塚田十一郎君
  塚原 俊郎君   辻 寛一君
  圓谷 光衞君   坪内 八郎君
  飛嶋 繁君    苫米地英俊君
  冨永格五郎君   奈良 治二君
  内藤 隆君    中川 俊思君
  中村 幸八君   中村 純一君
  中山 マサ君   仲内 憲治君
  永井 英修君   永田 節君
  丹羽 彪吉君   西村 英一君
  西村 直己君   西村 久之君
  根本龍太郎君   野原 正勝君
  橋本登美三郎君  橋本 龍伍君
  畠山 鶴吉君   花村 四郎君
  原田 雪松君   樋貝 詮三君
  平井 義一君   平澤 長吉君
  平島 良一君   平野 三郎君
  廣川 弘禪君   福井 勇君
  福田 篤泰君   福田 一君
  福田 喜東君   福永 一臣君
  福永 健司君   藤井 平治君
  藤枝 泉介君   渕 通義君
  船越 弘君    降旗 徳弥君
  星島 二郎君   細田 榮藏君
  本多 市郎君   眞鍋 勝君
  前尾繁三郎君   前田 郁君
  前田 正男君   牧野 寛索君
  増田甲子七君   益谷 秀次君
  松井 豊吉君   松木 弘君
  松田 鐵藏君   松野 頼三君
  松本 善壽君   三池 信君
  三浦寅之助君   三宅 則義君
  水田三喜男君   水谷 昇君
  滿尾 君亮君   南 好雄君
  宮幡 靖君    宮原幸三郎君
  武藤 嘉一君   村上 勇君
  村上 清治君   守島 伍郎君
  森 幸太郎君   森 曉君
  八木 一郎君   藥師神岩太郎君
  柳澤 義男君   山口喜久一郎君
  山口 好一君   山崎 猛君
  山村新治郎君   山本 猛夫君
  山本 久雄君   吉田 茂君
  吉田 省三君   吉武 惠市君
  龍野喜一郎君   若林 義孝君
  渡邊 良夫君   天野 久君
  犬養 健君    奧村又十郎君
  金光 義邦君   小坂善太郎君
  島田 末信君   鈴木 幹雄君
  田中伊三次君   田中不破三君
  田中 豊君    圖司 安正君
  坪川 信三君   中村 又一君
  永井 要造君   長野 長廣君
  原 彪君     保利 茂君
  山崎 岩男君   山本 利壽君
  吉田 安君    浦口 鉄男君
  世耕 弘一君
 否とする議員の氏名
  荒木萬壽夫君   有田 喜一君
  小野 孝君    川崎 秀二君
  小林 運美君   坂口 主税君
  笹山茂太郎君   椎熊 三郎君
  園田 直君    千葉 三郎君
  床次 徳二君   中島 茂喜君
  中曽根康弘君   並木 芳雄君
  畠山 重勇君   林 好次君
  増田 連也君   村瀬 宣親君
  柳原 三郎君   今井 耕君
  岡田 勢一君   金子與重郎君
  河口 陽一君   小平 忠君
  小林 信一君   河野 金昇君
  高倉 定助君   竹山祐太郎君
  寺崎 覺君    中村 寅太君
  羽田野次郎君   平川 篤雄君
  松本 瀧藏君   松本六太郎君
    ―――――――――――――
○副議長(岩本信行君) 明二十七日は日曜日でありますが、特に午後二時より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後八時五十五分散会