第006回国会 本会議 第21号
昭和二十四年十一月三十日(水曜日)
 議事日程 第二十号
    午前零時二十分開議
 第一 岩本副議長不信任決議案(田中織之進君外四十六名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第二 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 昭和二十四年十一月二十八日農林委員会における決議無効に関する決議案(鈴木茂三郎君外七名提出)
  (委員会審査省略要求事件)
 第四 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案(第五回国会内閣提出)
 第五 復興金融金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第七 旧軍関係債権の処理に関する法律案(内閣提出)
 第八 郵便物運送委託法案(内閣提出、参議院送付)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 岩本副議長不信任決議案(田中織之進君外四十六名提出)
 日程第二 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 昭和二十四年十一月二十八日農林委員会における決議無効に関する決議案(鈴木茂三郎君外七名提出)
 日程第四 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案(第五回国会内閣提出)国会の会期延長の件
 日程第五 復興金融金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 旧軍関係債権の処理に関する法立案(内閣提出)
 日程第八 郵便物運送委託法案(内閣提出、参議院送付)
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 身体障害者福祉法案(青柳一郎君外十名提出)
 参議院提出、未復員者給與法の一部を改正する法律案及び特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案の両案は同院から委員会の審査を省略されたいとの要求があるが、委員会の審査を省略しないこととし、委員会に付託されたいとの動議(今村忠助君提出)
    午前零時四十三分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一は提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程第一、岩本副議長不信任決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。赤松勇君。
    〔赤松勇君登壇〕
○赤松勇君 私は、野党各派を代表いたしまして、岩本副議長に対する不信任案の趣旨弁明をいたします。
 まず最初に申し上げたいことは、今回岩本副議長が渡米されるにあたりまして、衆議院において野党側から不信任案を上程しなければならない状態に立ち至つたことは、個人の情におきましては、はなはだ忍びないものがあるのでございますが、私どもといたしましては、今後国会の民主的な運営に関しまして、この際どうしても副議長に対し強い反省を要求するという意味におきまして、やむを得ず、涙をのんでこの不信任案をば提出いたしたのでございます。
 会議の一般的な民主的運営に関しましては、すでに川崎君から詳しくこれを申し上げましたので、私は再びこれを繰返そうとは存じませんが、たた二、三の点をあげまして、岩本副議長がいかに会議の運営に関しまして非民主的な態度をおとりになつたかということを指摘いたしまして、不信任案提出の趣旨弁明にかえたいと思うのでございます。
 先ほど、民自党を代表されまして江崎真澄君は、去る二十六日の予算審議の際における野党側の退場の問題に触れられまして、いわゆる審議権を放棄したものであるということに言及されたのでございます。このことは、岩本副議長に関係のないことではないのでありまして、あの予算が審議されておりまするときに、現に岩本副議長がこの議長席におられたのでありますから、当然これは問題にすべき性質ものであると思うのでございます。
 そこで、二十六日の予算審議の際でございまするが、一体二十四年度の補正予算、この問題になりまする二十四年度の補正予算は、これに盛られておりまする内容に関しまして、国民は非常な関心を持つておりまするし…
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。
○赤松勇君(続) また国会といたしましても、この補正予算に対しましては十分なる審議を盡さなければならぬことは言うまでもないのであります。しかるに、この補正予算が審議され、八千万国民がこの補正予算に対しまして非常な大きな関心を拂つておりまする際に、その審議を妨害したものは一体だれでございましようか。すなわち、その際労農党の岡田春夫君が登壇をいたしまして、労働者農民党の立場から発言をしておりました際に、よしんば労農党がどのような少数党でありましようとも、その少数党の意見を十分聞くということがすなわち多数党の襟度ではないでありましようか。(拍手)もし少数党の言論を抑圧し、少数党なるがゆえに議長が一方的に言論を封殺するならば、戰時中の東條内閣のもとにおける帝国議会と、一体どこにかわりがあるのだ。(拍手)すなわち、これこそ一党独裁の政治といわざるを得ないのであります。
 すでに本年総選挙が終了いたしました際に、民主自由党が二百七十名の多数派であるということは歴然たる事実なんだ。もしも多数派が一方的に国会を運営するということになれば、少数党は国会に来る必要はないのだ。なぜ今日の立憲政治が、なぜ今日の憲法が少数の反対党の存在を許しておるのか。これは、国内におけるところのいろいろな階級が、いろいろな立場の人が、これらの階級を代表し、その立場を代表して、おのおの多数派と少数派、與党と野党の相互の言論をこの国会において十分に延べ盡してやつて行くというのが民主主義の原理ではないか。この民主主義の原理を破壊しておるのは、ほかならぬ二百七十名を擁しているところの民主自由党そのものではないか。(拍手)
 諸君、われわれは新憲法が施行されて以来数度この国会に臨んだ。そして、いろいろなものを審議した。その際に、いろいろなやじも出ておる。やじは、ある程度許されていいと思う。しかしながら、あの際の民主自由党の諸君のとつた態度は何だ。名札をたたいて議事を妨害し、中にはお念仏をとなえて議事を妨害するとは何ごとであるか。それが新憲法下にいけるところの近代的保守政党としてのやり方であるか。諸君は国民の前に恥じないか。諸君の中で、お念仏をとなえた不謹慎きわまる議員がおる。この議員は、吉田内閣を葬るお念仏ならけつこうであるが……。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。
○赤松勇君(続) 少くとも、民主的な立場から出ておりまするところの議員の発言を妨害するために、かような愚劣きわまるやじを飛ばしたいといたしますならば、一体民主国家の存在というものはどこにあるでございましようか。(拍手)しかもその際、岩本副議長は、これらの愚劣きわまる妨害に対しまして、ほとんどこれを制止しようとはしなかつたのであります。その後野党代表が、議長応接室において、岩本副議長に対して抗議を申し込んだ。(「でたらめを言うな」と呼び者あり)でたらめではない。君がわからないんだ。君の方の議院運営委員に聞け。そうして議長応接室におきまして、岩本副議長に対して、あなたはこの議長席から下を見ておつたから、その際にだれが名札をたたいたかおわかりになるでしよう、こう言つたら、岩本副議長答えていわく、私はよくわかりませんでしたが、ほとんどみんながたたいておつたんじやありませんか、とこう言つておる。われわれが事務総長にこれを聞いたならば、事務総長はこう言つております。野党の人たちは名札をたたかなかつたと思う、こう言つておるんだ。一体この議長席におつて、名札をたたいたのが民主自由党であるかないかということが、それがわからないようなめくらの議長で、はたして議場の整理がつくと諸君思うか。(拍手)
 先ほど、民自党を代表して江崎君は、野党が故意に議事の妨害をやつておるということを言つている。ところが諸君、昨今の農林委員会においてはどうなのだ。昨日の農林委員会におきましては、與党の諸君は、恥知らずにも、(発言する者多し)與党の諸君は恥知らずにも、農林委員会におけるところの議事録━━━━━━━━━━━━━━━━━━農林委員会におきましては、食糧法が、多数をもつてこれに賛成し、可決され━━━━てある。諸君、━━━━━━━━━━━━━━━━一つには、今後国会の運営は、委員会の運営は、委員長と速記者だけで運営すればよいということになる。(「でたらめを言うな」と呼び、その他発言する者多し)そうじやないか。しかも、あの農林委員会におけるところの議事混乱のまつ最中に、だれが起立したかしないか全然わからない。しかも、正式なる委員会での発言がないにもかかわらず、後に至つて━━━━━━━━━━するとは何ごとであるか。これこそ国会の尊嚴を傷つけ、さらに━━━━━━━━と言わざるを得ないじやないか。
 こういうことはもちろん農林委員会自身の問題であるが、どこからこういうことが出ておるかと申しまするならば、いわゆる民主自由党の多数を背景といたしまして、絶えず議事の妨害をし、一方的な運営を進めておるところの議長や副議長の、この反動的な、露骨な、非民主的な態度が各委員会に現われておるということを、われわれは指摘しなければならない。(拍手)
 現に、先ほど川崎君並びにわが党の佐竹議員が演壇において演説をしておつたその際に、岩本副議長が議長席についておつた。諸君自身がよく見たろう。その際に、あの猛烈な演説の妨害に対しまして、一体何度注意を與えたのか。佐竹議員の発言に対しましては、たつた一回注意しただけじやないか。これが正しい議長のやり方か。また諸君たちは、岩本副議長が…。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。
○赤松勇君(続) 岩本副議長が、たとい一回でも二回でも制止したにもかかわらず、その制止に従わなかつたということは、とりもなおさず、民主自由党から出て参りました岩本副議長に対する諸君自身の不信任を意味しているじやないか。(拍手)だといたしますれば、その議長の制止に服し得ないような無能力な副議長であるといたしますならば、当然野党が出しておりまするこの不信任案に、民主自由党はあげて同調すべきであると考えるのであります。(拍手)
 今度岩本副議長はアメリカに渡られるのでございますが、私のこの際。岩本副議長にお願いしたいことは、どうぞアメリカにお行きになりましたならば、アメリカの国会の運営を十分御見学くださいまして…。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 靜かにしてください。
○赤松勇君(続) そうして、民主主義というものはどういうものであるかということを十分学んで来ていただきたい。そういたしますならば、岩本副議長ははずかしくて、海を渡つて再び日本に帰ることができないでございましよう。(拍手)
 私は、岩本副議長に対しましては、渡米に際してかような不信任案を上程することは遺憾でございますが、しかしながら、古い議員の諸君は知つているか、かつて選挙法委員会におきまして、岩本副議長がいかに一方的な運営をやつたかということは、ここにちやんと議事録に示してある。もし諸君が欲するならば、この議事録の中の二、三を諸君に紹介して、彼の運営の一方的な―それは決して偶然に出たものではなくて、彼の性格から、すなわち民主自由党の反動的な性格から生れたものであるということを立証しよう。(拍手)
 昭和二十二年三月二十五日の選挙法委員会におきまして、岩本副議長は、わが党の佐竹委員の発言に対しまして、これが中止を命じました。その際に、速記録にはこう書いてある。
 発言を許しておりません。
    〔「発言中だ」「速記録を見よ」「発言を許していないというのを取消せ」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
そのうち、むりやりに委員長は散会を宣しているのだ。これがまず一つ。
 第二に、わが党の鈴木義男氏が、やはり委員会におきまして発言中、
 承服できません。言論の自由の府におきまして、よほど重大なることのない限り、議員の言論を止むることはできません。
こう申しましたら、岩本委員長は、同じくその言論を抑圧いたしました。そこで鈴木委員は立ちまして、
 わが国民の政治意識の状態では、選挙区が小さくなればなるほど…。
こう発言いたしましたならば、
 鈴木君、発言を禁止いたしました。
こういつて発言を禁止し、なお発言をしようといたしたならば、ただちに散会をいたしまして、委員会のすべての発言というものは、これを禁止してしまつている。
 まだあるぞ。同じく三月二十日でございますが、これまたやはり委員の質問に対しまして、これが発言の中止を命じまして、やはりこれも一方的に打ち切つている。その際にこういう発言がある。
    〔「委員長に良心があるか」「そんな立憲政治があるか」と呼び、その他発言する者多し〕このときに、委員会をそのまま打切つて散会を宣しておるのだ。
 そうして、選挙法委員会の最後の日に至つて、彼は委員長のあいさつをいたしますときに、こう言つておる。
  一言御挨拶を申し上げます。連日にわたしまして雄壮活発なる御審議を願いまして、ここに議了を見ましたことは、ひとえに各位の御精励の賜でありまして、まことに感激にたえません。この間委員長の不徳のために各位に御迷惑をおかけいたしました点を厚くおわび申し上げます。
こう言つているんだ。岩本君のもとにおいては、必ず雄壮活発なる審議が絶えず行われる。そうして不徳のために、いつも各位に迷惑をかけている。これは日本人がみずから立証しておるのでありますから、天下これほど明らかな事実はないのである。
 諸君、このような委員会の運営をいたしますことは、多数の威力でもつて副議長に推薦した民主自由党自身の大きな責任である。私どもは、すでに会議の運営に関する一般的な態度については川崎君から詳しく申し上げましたから、あえて私はこれを繰返すものではないのでありますが、このように、岩本副議長就任以来、まつたく会議は一方的に、非民主的に運営されておるのでございまして、このような副議長のもとにおいて、私どもが国民の信託にこたえて、正常なる状態において議案を審議することは絶対に不可能であるのでございます。そういう意味におきまして、私どもはこの際岩本副議長に対しまして不信任案を提出して、諸君の御賛同を得たいと思うのでございます。
 以上をもちまして、私の趣旨弁明にかえたいと存じます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これより討論に入ります。大橋武夫君。
    〔大橋武雄君登壇〕
○大橋武夫君 私は、民主党連立派並びにわが民主自由党を代表いたしまして、田中織之進君外四十五名提出の副議長岩本信行君に対する不信任の決議案に対し反対の態度を表明するものであります。
 去る二十六日、補正予算の審議に際し、岡田春夫君の演説中に、数氏を残しまして、社会、共産、労農三党の諸君は一齊に退場せられまして、採決に際し入場せず、しかも投票に際しましては、遂に投票をすることなく、副議長岩本氏の再三の親切なる勧告にもかかわらず、すべてこれを棄権せられるという醜態を満天下にさらされたのであります。(拍手)
 一体三党の諸君は、何を血迷つて、かかる態度に出られたのでありましようか。かくのごとき行動に対しましては、国会議員として最も重要なる職員である審議権の放棄であると批評されましても、まつたく返す言葉はないだろうと存ずるのであります。(拍手)実に国会の権威を傷つくるのはなはだしき所行といわねばなりません。
 国会の審議は、議事の円滑なる進行があつて初めて可能なのであります。しかるに、今期国会開会以来、三党の諸君のなしたる態度というものは、はたしていかなるものであつたでありましよう。諸君は、発言の機会をとらえるごとに、無意味なる内閣及び與党に対する非難攻撃のみをいたしておる。攻撃のための攻撃、何ら議案に対して親切なる審議をいたしたことは、私いまだ見ておらないのであります。お定まりの金融独占資本論であるとか、吉田内閣の打倒であるとか、実に愚にもつかないことばかり並べ立てておるのがその審議態度であつたのではありませんか。ことに、社会党内閣当時復興を阻害せられたるその結果、今日わが党といたしましては、あらゆる努力をして復興にいそしんでおるその閣僚に対して、何ら意味のない非難攻撃を加えておるのが、諸君の本国会における態度であります。(拍手)かくのごときは、まつたく議事妨害という以外の何物でもございません。その最も端的なる現われが、二十六日の本会議における総退場並びに投票拒否の諸君の態度であつたのであります。
 しかしながら私は、この審議権の放棄ということについて、今日ここにおいて非難攻撃しようと思つておるのではございません。ただ、何ゆえに国会議員として最も恥ずべき、かくのごとき行動に出られたかということを、少く諸君とともに研究してみたいと思う。
 二十六日の予算の討論において、諸君の代表者たちは、予算返上を唱えられて討論を要求せられました。それがために、社会党に対しては二十四分、共産党には十九分、労働党には六分という時間が與えられました。彼らは、この時間に対して、これでは短かくて何にもしやべれないと言つてこぼしておられるのを、私はひそかに聞いたのであります。これを聞きまして、私は、彼らはさだめし内容豊富なる演説をされるに違いないと思つて刮目して待つておつたのである。
 われわれは與党として、諸君とは違つて、国家建設のこの大切なる政局を担当いたしておりますがゆえに、反対党の諸君でありましても、よい意見があれば、できるだけこれを傾聴したいと、熱心に聞いておつたのであります。しかるに、諸君がこの壇上においてわれわれに語つたところは、そもそもいかなることでありましたろうか。実に諸君の代表者たちの言われたことは、愚にもつかない、内閣に対する單なる非難攻撃にすぎなかつた。何ら建設的なる、国民一般が聞きたいと思つて要求いたしております積極的なる意見も、具体的の政策も、その片鱗すらここで語ることはできなかつたのであります。つまり、予算の討論にかこつけて、ただふだんの鬱憤を晴らすという、愚にもつかない悪口雑言をここで並べておつただけではありませんか。もし諸君がああいうふうな演説をされるならば、二分か三分の時間があればよろしい。結局ここで言つたことは、民主自由党並びに連立派の他の政党のこしらえた予算に賛成するのはしやくにさわるという、それだけの感情を表白せられた以外の何物でもなかつたのであります。(拍手)
 しかしながら、私の言わなければならないのはこの点であります。諸君は討論において、單に政府に対する悪口の放言をいたしておる。そうして、一応反対であるというならば、なぜ討論において言われたように、採決の際に反対の投票をされなかつたのでありましようか。しかし私は、これを非難しようとは思いません。そもそも諸君はこの壇上において何らの政策の具体的なものを語らなかつたのは、語らなかつたのではなくて、持合せがなかつたのであります。
 今日、われわれ国家を建設します際において、社会主義、共産主義の人々が、建設のための具体的な計画を持つておるはずがありましようか。この人たちに対して積極的なる政策を聞かんとするとの要求が、そもそも初めからむりであつたということがわかるのであります。そして、このことを最もよく知つておるのがこの諸君たちであります。でありますから、諸君は予算に対して悪口を言つてみたものの、さて自分たちには何らの政策はない。この政府の編成した予算以上のりつぱな予算をつくるべき自信も能力も全然持ち合わせておらないのであります。このことを諸君みずからが最もよく知つておられるがゆえに、いざ投票という場合におきましては、さすがに良心的な諸君でありますがゆえに、これに反対したところで、自分たちには、これ以上の予算をつくることはできない。であるから、これを批評するところの能力も力もない。ない以上は、政府によろしくお願いする。自分たちには、この予算はいいと言う力もなければ、悪いと言う力もない。いいという投票も、悪いという投票もする力がないということを告白したのが、あの当日の諸君の態度であつたのであります。(拍手)
 かくのごとくにいたしまして、諸君はああいう態度をとられました。あの態度は、私どもといたしますると、実に良心的な、見上げた、りつぱな態度であつたと思います。私どもは、反対の主張をいたしますと、ややもすると、これに引きずられるおそれがある。しかるにもかかわらず、諸君は、そういう行きがかりにとらわれることなしに、自己の良心に従つて、りつぱな行動をとられた。(拍手)政策の持合せのない反対党の諸君としてとられる最悪の態度は、あの当日の態度であるということを、私は確かに感心いたしておるのであります。(拍手)
 かようにいたしまして(発言する者多し)―ただしかし、諸君にとつてきわめて不幸であつたことは、諸君のりつぱなる精神にもかかわらず、諸君のとられた態度は、世上一般から見ますと、これは投票権の放棄、すなわち審議権の放棄という批評を受けることを免れないのであります。従いまして私は、その後諸君がこの審議権の放棄をいかに説明して国民諸君の理解を得られるかということについて、興味を持つて今日まで待つておつた。(拍手)ところが、これに対して諸君のなされた仕方は何であつたかと申しますと、二十六日の晩において、諸君はきわめて良心的に、自己に能力もなければ力もない、それを国民の前に発表される、ああいう良心的な行動をとられたのにもかかわらず、その後世上におきまして、いわゆる諸君の行動の非難せられまするや、これを避ける方法として諸君の考え出したあさましい知惠は、自分たちの行動の責任を岩本副議長に転嫁せんとすることもこれであつたのであります。(拍手)
 諸君の代表者は、ただいま、この壇上において、岩本副議長に対する不信の理由を説明せられました、その内容は、例によつて何らとるべきものはございません。(拍手)私は、その内容について、ここで批判する価値すらないものと思う。結局あれは、諸君が世間の非難に対する体裁をいかにしてつくろうかという、諸君の悲しむべき努力の現われにすぎない。(拍手)この不信任案は、かくのごとく一顧の価値すらなきものでありまするがゆえに、私はこれ以上申し上げる必要はないと思います。(拍手)これすなわち、私どもがこの不信任案に対し反対する理由でございます。どうか三党の諸君、諸君のために恥を知つてください。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 林百郎君。
    〔林百郎君登壇〕
○林百郎君 私は、野党…(拍手)私は…(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 林君、発言を続けてください。
○林百郎君(続) これじや発言ができないじやないか。―注意してくださらなければ、できはしないじやないか。できはしないじやないか。(「やれよ、卑怯者」「何が卑怯」だと呼び、その他発言する者多し)私は、野党各派を代表して、岩本副議長不信任案に対し賛成の意を表する次第であります。(拍手)その理由は、去る二十五日…(拍手)
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。
○林百郎君(続) 第一に、去る二十五日、農林大臣の不信任案に対する社会革新新党の小林進君の賛成討論、並びに去る二十六日の補正予算案の討議の際における労働者農民党岡田春夫君の反対討論において、民自党の諸君は名札をもつて発言を妨害したのであります。(拍手)かかる妨害は、最も悪質きわまる妨害であり、多数の―であります。(拍手)これこそが民自党のフアツシヨの象徴であると言うべきものと思うのであります。(拍手)しかも、この名札による悪質なる妨害に対しては、副議長は何らこれを制止し得なかつたのであります。(拍手)われわれ社会党並びに共産党は、遂にこの卑劣なる妨害のために(拍手)一齊退場の余儀なきに至らしめられたのであります。(拍手)この名札による発言の妨害のごとく最も悪質なる妨害に対して、これを制止することのできないような副議長は、まつたく議長としての資格を喪失しておるものと思うのであります。(拍手)しかもわれわれが、一齊退場の余儀なきに至つたのは、これはまつたく日ごろの岩本副議長に対する不信任の感情の自然発生的な爆発以外の何ものでもないのであります。(拍手)
 われわれは、この一齊退場の善後処置としまして、社会党の淺沼君との申合せのもとに、本議場に入場の申合せをするに至つたのでありますけれども、このわれわれの本議場に対する入場の誠意も、岩本副議長の不誠意きわまる行為によつて阻止せらざるを得なかつたのであります。しかも…(「やれやれ」と呼び、その他発言する者あり)しかも、われわれの聞くところによれば、民自党の代議士会における岩本副議長の諸君に対する注意は、二十六日の民自党の諸君の言動は靜粛過ぎたとは言えませんとの、実にわれわれの憤激にたえないような注意をしているのであります。(拍手)
 しかも、この二十五日、二十六日におけるところの岩本副議長の無能ぶりのみでなくして、第五回臨時国会における食糧確保臨時措置法に関する継続審査の際の議事運行におきましても、まつたく與党的立場のもとに…(「やれやれ」「やらなければやめろ」と呼び、その他発言する者多し)できないじやないか。何時間でもこうやつているぞ…(「議長、議長」「何をぼやぼやしている」「降壇しろ」と呼び、その他発言する者多し)
 第五回臨時国会における、食糧確保臨時措置法の継続審査の際における議事運行におきましても、まつたく與党的立場のもとに、国会法並びに議事規則をまつたく無視して、一方的に議事の運行をなされたのであります。(拍手)われわれは、この第五回臨時国会の際にも、岩本副議長に対して抗議を申し込んだのでありますけれども、これに対して岩本副議長は遺憾であるとの意を表明しているのであります。
 また二十六日の岡田春夫君の問題につきましても、われわれが岩本副議長に抗議を申し込んだとき、これまた依然として遺憾であるとの意を表明しているのであります。しかも、この遺憾の意の表明は、まつたくかえるのつらに水のような表情のもとになされて、反省の一片すら見ることができないのであります。
 そもそも憲法第四十一條によりますれば、国会は国権の最高機関である。しかも各議院の議長は、その議院の秩序を維持して、議事を整理し、議院の事務を監督し、議院を代表しているのであります。決して一党一派の議長ではないのであります。(拍手)しかるにもかかわらず、まつたく一党一派、與党の手先と化しているところの岩本副議長のごときは、憲法におきましても、また国会法に照しても、断じて副議長たる資格はないのであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 林君――、林君。
○林百郎君(続) われわれに言わしめれば、民自党は、老齢なる議長はあたかも單なる形式的な看板としておいて、実際強引に與党的な行動をさせ、自党の利益のために運営を主宰させるために岩本副議長を就任せしめているものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)このたび、国会は再び延長に至らんとしておるのでありますけれども、これまつたく與党並びに副議長が――議長もそうでありますが、国会運営のへんぱ的な、與党的な行動に基因するところが多大であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 われわれは、かかる民自党の多数の━━━━と、多数の━━━━━━と、また多数による発言を制止することのできないような副議長に対しては、断じてわれわれは信任することができないのであります。(拍手)私も言う多数の━━━━とは、名札によつてこの登壇者の発言を妨害するような行為は、国会の中においては、これを━━━━と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)われわれは、かかる行為は多数のフアシズムの象徴であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)かかる多数の横暴を制止する誠意もなく、また院の代表としての公正な処置をとることのできないような岩本副議長に対しては、われわれは院を代表し、この重大なる国権の最高機関たる国会の議事の運営たる重大なる責任を付託することは断じてできないと思う次第であります。
 以上の理由をもちまして、私は絶対に副議長に対しては不信任の意思を表明し、本岩本副議長に対する不信任案に対し滿腔の賛意を表する次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの林君の発言中、民自党をさして―と言われた言葉は、不穏当と認めますからお取消しを願います。
○林百郎君 承知しました。
○議長(幣原喜重郎君) なお、先ほどの大橋君の発言中不穏当の言葉があるとの申出がありましたから、これは速記録を調べました上、もしかかるところがあるならば適当な処置をとることといたします。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 言論を妨害する意味の拍手は、お控え願いたいと思います。(拍手)
 これにて討論は終局いたしました。
 本案につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 これより氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(幣原喜重郎君) 投票漏れはありませんか。
    〔「投票漏れあります」「投票漏れあります」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 投票漏れはありませんか。―投票漏れなしと認めます。(拍手)投票箱閉鎖。開匣。閉鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(幣原喜重郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百五十七
  可とする者(白票) 百二十九
    〔拍手〕
  否とする者(青票) 二百二十八
    〔拍手〕
    〔「採決に異議あり」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。
 右の結果、岩本副議長不信任議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 岩本副議長不信任決議案を可とする議員の氏名
   足鹿  覺君  青野 武一君
   赤松  勇君  淺沼稻次郎君
   井上 良二君  猪俣 浩三君
   石井 繁丸君  石川金次郎君
   稻村 順三君  今澄  勇君
   受田 新吉君  大矢 省三君
   加藤 鐐造君  上林與市郎君
   川島 金次君  久保田鶴松君
   佐々木更三君  佐竹 新市君
   坂本 泰良君  鈴木茂三郎君
   鈴木 義男君  田中織之進君
   田万 廣文君  堤 ツルヨ君
   戸叶 里子君  土井 直作君
   中崎  敏君  成田 知巳君
   西村 榮一君  福田 昌子君
   前田榮之助君  前田 種男君
   松井 政吉君  松尾トシ子君
   松岡 駒吉君  松澤 兼人君
   松本 七郎君  三宅 正一君
   水谷長三郎君  門司  亮君
   森戸 辰男君  八百板 正君
   山口シヅエ君  米窪 滿亮君
   荒木萬壽夫君  有田 喜一君
   稻葉  修君  小野  孝君
   大森 玉木君  川崎 秀二君
   北村徳太郎君  小林 運美君
   河本 敏夫君  坂口 主税君
   笹山茂太郎君  志賀健次郎君
   清藤 唯七君  園田  直君
   高橋清治郎君  千葉 三郎君
   床次 徳二君  中島 茂喜君
   中曽根康弘君  並木 芳雄君
   畠山 重勇君  林  好次君
   藤田 義光君  増田 連也君
   宮腰 喜助君  柳原 三郎君
   井之口政雄君  伊藤 憲一君
   池田 峯雄君  江崎 一治君
   加藤  充君  風早八十二君
   春日 正一君  上村  進君
   柄澤登志子君  川上 貫一君
   河田 賢治君  苅田アサノ君
   木村  榮君  聽濤 克巳君
   今野 武雄君  志賀 義雄君
   砂間 一良君  田島 ひで君
   田代 文久君  田中 堯平君
   高田 富之君  竹村奈良一君
   谷口善太郎君  土橋 一吉君
   中西伊之助君  梨木作次郎君
   林  百郎君  深澤 義守君
   山口 武秀君  横田甚太郎君
   米原  昶君  飯田 義茂君
   石田 一松君  今井  耕君
   岡田 勢一君  金子與重郎君
   木下  榮君  吉川 久衛君
   小平  忠君  小林 信一君
   河野 金昇君  笹森 順造君
   寺崎  覺君  内藤 友明君
   中村 寅太君  羽田野次郎君
   船田 享二君  三木 武夫君
   水野彦治郎君  山手 滿男君
   石野 久男君  岡田 春夫君
   黒田 寿男君  玉井 祐吉君
   松谷天光光君  衞藤  速君
   佐竹 晴記君  早川  崇君
   北 二郎君
 否とする議員の氏名
   阿左美廣治君  足立 篤郎君
   安部 俊吾君  青木 孝義君
   青木  正君  青柳 一郎君
   淺香 忠雄君  淺利 三朗君
   麻生太賀吉君  天野 公義君
   有田 二郎君  井手 光治君
   井上 知治君  飯塚 定輔君
   池田正之輔君  池見 茂隆君
   石田 博英君  石原  登君
   稻田 直道君  今泉 貞雄君
   今村 忠助君  岩川 與助君
   宇田  恒君  宇野秀次郎君
   内海 安吉君  江崎 真澄君
   江田斗米吉君  江花  靜君
  遠藤 三郎君  小笠原八十美君
   小川原政信君  小澤佐重喜君
   小高 熹郎君 小野瀬忠兵衞君
   小淵 光平君  尾関 義一君
   越智  茂君  大石 武一君
   大泉 寛三君  大内 一郎君
   大上  司君  大澤嘉平治君
   大橋 武夫君  大村 清一君
   大和田義榮君  岡延右エ門君
   岡崎 勝男君  岡田 五郎君
   岡西 明貞君  岡野 清豪君
  岡村利右衞門君  押谷 富三君
   鍛冶 良作君  角田 幸吉君
   風間 啓吉君  柏原 義則君
   片岡伊三郎君  甲木  保君
   門脇勝太郎君  神田  博君
   川西  清君  川野 芳滿君
   川端 佳夫君  川村善八郎君
   川本 末治君  河原伊三郎君
   菅家 喜六君  木村 公平君
   北川 定務君  北澤 直吉君
   金原 舜二君  倉石 忠雄君
   栗山長次郎君  黒澤富次郎君
   小金 義照君  小平 久雄君
   小玉 治行君  小西 寅松君
   小山 長規君  河野 謙三君
   近藤 鶴代君  佐久間 徹君
   佐々木秀世君  佐瀬 昌三君
   佐藤 榮作君  佐藤 重遠君
   佐藤 親弘君  坂田 英一君
   坂田 道太君  坂本  實君
   志田 義信君  篠田 弘作君
   澁谷雄太郎君  白井 佐吉君
   庄司 一郎君  周東 英雄君
   鈴木 仙八君  鈴木 善幸君
   鈴木 正文君  瀬戸山三男君
   關内 正一君  關谷 勝利君
   千賀 康治君  田口長治郎君
   田嶋 好文君  田中 角榮君
   田中 啓一君  田中 重彌君
   田中  元君  田渕 光一君
   多武良哲三君  高木  章君
   高木吉之助君  高木 松吉君
   高橋 英吉君  高橋  等君
   高間 松吉君  竹尾  弌君
   玉置 信一君  玉置  實君
   中馬 辰猪君  塚原 俊郎君
   土倉 宗明君  辻  寛一君
   圓谷 光衞君  坪内 八郎君
   苫米地英俊君  冨永格五郎君
   奈良 治二君  内藤  隆君
   中川 俊思君  中野 武雄君
   中村  清君  中村 幸八君
   中村 純一君  中山 マサ君
   仲内 憲治君  永井 英修君
   永田  節君  夏堀源三郎君
   二階堂 進君  丹羽 彪吉君
   西村 英一君  西村 直己君
   根本龍太郎君  野原 正勝君
  野村專太郎君  橋本登美三郎君
   橋本 龍伍君  畠山 鶴吉君
   花村 四郎君  原 健三郎君
   樋貝 詮三君  平井 義一君
   平澤 長吉君  平島 良一君
   平野 三郎君  廣川 弘禪君
   福田 篤泰君  福田  一君
   福田 喜東君  福永 健司君
   藤枝 泉介君  渕  通義君
   淵上房太郎君  船越  弘君
   降旗 徳弥君  星島 二郎君
   細田 榮藏君  本多 市郎君
   眞鍋  勝君  前尾繁三郎君
   前田 正男君  牧野 寛索君
   増田甲子七君  益谷 秀次君
   松井 豊吉君  松木  弘君
   松田 鐵藏君  松野 頼三君
   松本 善壽君  丸山 直友君
   三池  信君  三浦寅之助君
   三宅 則義君  水田三喜男君
   水谷  昇君  南  好雄君
   宮幡  靖君  宮原幸三郎君
   武藤 嘉一君  村上  勇君
   村上 清治君  守島 伍郎君
   森 幸太郎君  森   曉君
  藥師神岩太郎君  柳澤 義男君
  山口喜久一郎君  山口六郎次君
   山崎  猛君  山本 猛夫君
   山本 久雄君  吉田 省三君
   吉田吉太郎君  吉武 惠市君
   龍野喜一郎君  若林 義孝君
   渡邊 良夫君  亘  四郎君
   犬養  健君  大西 正男君
   奧村又十郎君  金光 義邦君
   小松 勇次君  鈴木 幹雄君
   田中伊三次君  田中不破三君
   田中  豊君  橘  直治君
   坪川 信三君  寺本  齋君
   永井 要造君  長野 長廣君
   原   彪君  保利  茂君
 山崎 岩男君  早稻田柳右エ門君
    ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長稻田直道君。
    〔稻田直道君登壇〕
○稻田直道君 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、十一月二十四日当委員会に付託され、二十五日、政府から提案理由の説明を聴取いたしまして以来、委員会を聞くこと二回、その間二十八日には利害関係者の意見を聴取するなど、特に慎重審議を重ねたのであります。
 本法案の趣旨といたしまするところを簡單に申し上げまするならば、日本国有鉄道は、現行運賃によつては、経済事情の変化その他の事情によりまして、本年度においておよそ八十六億円、明二十五年度におきましては約二百数十億円の收入減が予想せられまするので、これが收支の均衡をはかりまするために、明年一月一日より貨物運賃を八割値上げせんとするものでありまして、なおこれによつて海陸輸送調整の目的をも達せんとするものであります。
 次に質疑応答のおもなる点を申し上げまするならば、まず国鉄財政の均衡をはかるためには、何よりまず経営の合理化、能率化によつて独立採算制の基礎を確立しなければならないと思うが、政府はこれについていかなる対策を持つているかとの質問に対しましては、政府から、国鉄経営の合理化、能率の増進については種々努力を重ねて来たのであるが、公共企業体となつて日もなお浅いので、いまだ十分の効果をあげていない、今後もこれらの点について十分努力して行きたいと考えているとの答弁があつたのであります。また貨物運賃八割値上げ実施の結果、物価の値上りを来し、ひいては生計費に及ぼす影響も少くないと思うがどうかとの質問に対しましては、貨物運賃の価格に占める割合を主要二十六品目について見ると、わずかに二・三%であつて、これを八割値上げしても、昭和十一年度の平均割合四・六%にも達せず、全体として見れば、値上げ部分はその流通過程において吸收されるものと思われるから、これが生計費に及ぼす影響はきわめて少ないと思うとの答弁があつたのであります。
 次に、貨物運賃の等級は、経済事情の変化に伴つて実情に即しないと思う。が、これに検討を加えて適当なる改正を行う意思はないかとの質問に対しましては、これが調整については民間関係者の意見をも徴して実施したいと考えているとの答弁があつたのであります。
 次にまた、鉄道貨物運賃の値上げに伴つて海上運賃及び小運送料金、トラック運賃の調整をする考えがあるかどうかとの質問に対しましては、海上運賃については明年一月一日から九割三分の値上げを認めたいと考えているが、小運送料金、トラック運賃については今回は値上げしない方針であるとの答弁があつたのであります。なお、値上げの中小工業者に及ぼす影響、特に木材業者等に及ぼす影響その他についても熱心に質疑応答がかわされたのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 かくて質疑を打切り、討論に入り、日本社会党松井政吉君から、その党を代表して原案に反対の意見を述べられ、次いで民主自由党關谷勝利君から、政府において貨物運賃の等級について検討を加え、新等級を四月一日から実施すること、及び木材、亜炭、一部の果物等の物資については、何らかの方法により可及的すみやかに運賃値下げを行うことを考慮することを條件として原案に賛成する旨の意見を述べられました。次いで、日本共産党柄澤登志子君、労働者農民党石野久男君から、それぞれその党を代表して原案に反対の意見を述べられたのであります。
 かくて討論を終局して、ただちに採決の結果、多数をもつて本法案は原案通り可決した次第であります。
 以上、簡單でありますが御報告を終ります。
○議長(幣原喜重郎君) 委員長の報告に対し質疑の通告があります。これを許します。川島金次君。
    〔川島金次君登壇〕
○川島金次君 私は、ただいま委員長から報告になりました件について、委員長及びたまたま出席されておりまする運輸大臣に対して若干の質問を試みたいと思う。
 稻田委員長の報告によりますれば、国鉄運賃の改正問題に対しましては、きわめて慎重審議をいたしたとの、冒頭における報告があつたのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)與党の諸君はその通りだと言われておられますが、事実は反対であります。いやしくも国鉄運賃八割の大幅の値上げは、現下の国民経済に及ぼす影響がきわめて重大であることは言うまでもありません。しかもこの大幅な値上げは、かつては諸君民自党は絶対反対を表明して来た問題であります。従つて、與党はもちろん、野党のわれわれにおいても、十分の時間をもつて、文字通り名実ともに慎重審議すべき重大問題であることは、あらためて言うまでもないことであります。
 しかるに、稻田委員長が本案を審議いたしまする委員会における議事の運営に対しましては、私も少からず疑問を持つものであります。その一つは、少くとも委員会における議事の運営に対しましては、その委員会の責任を付託されておりまする委員長と、さらに與党から選出されておりまする理事はもとより、野党各派の理事諸君とともに、その議事の円滑なる運営をはかるというのが、少くとも委員長の責任でなければならないのであります。しかるにかかわらず、本案は一昨日、すなわち二十八日の午前十一時過ぎになつて最後の審議が俎上に上せられたのであります。
 この問題に対しましては、わが党といたしましても、きわめて重大な案件と考え、最も慎重審議いたすべきであるとの見地から、わが党から出ておりまする運輸委員会の米窪委員は、この問題の審議に先立ちまして、稻田委員長との間に、この法案はきわめて重大な法案であるがゆえに、少くとも本日の討論、採決だけはこれを明日に延期して、十分に本日の審議を続けようではないかとの申入れをいたしたのであります。この米窪委員の申入れに対しまして、稻田委員長は、これに対し欣然として内諾を與えたのであります。従つて、稻田委員長にして政治家たるの立場において、かりそめにも信義の精神がありといたしまするならば、わが米窪委員との間において協定されましたこの事実を守ることこそ政治家の努めであり、あわせて責任ある委員長の責任でなければならないと思うのであります。(拍手)
 しかるにかかわらず、稻田委員長――よもやこれは稻田委員長の本心ではないと思うのでありますが、與党多くの強要的な要求にあつて、そのために、おそらくしぶしぶと稻田委員長はやつたことであろうと、私は好意的に了解をいたすものでありまするが、ともかく、このようなわが党の米窪委員との間に協定ができておりながら、二十八日の十一時過ぎから開始されました本案の審議の最後において。米窪氏との間における協定を無視し、わが党その他の党から、さらに幾多の質問があることを承知いたしておりながら、突如として與党内からの質問打切りの動議を提出せしめたのみならず、さらにまた稻田委員長は、與党から出て参りました質疑打切りの動議に重ねて、討議、採決の動議をただちに採択して、多数の力をもつて、遂にこの法案を強圧的に可決成立せしめたのであります。
 この一事は、すなわち私が前段に申し上げましたごとく、稻田委員長の信義を裏切ることのはなはだしきものであるということを、われわれは痛感せざるを得ないのであります。(拍手)このような審議経過と採決を通して成立いたしました本案に対しまして、はたして、稻田委員長は何ら良心にそむくところなきやいなや、この点を私は委員長に質問申し上げるのであります。
 第二点は、この討論打切りにあたりまして、あらかじめ野党の中で各一名ずつの討論の通告があつたのであります。さらにまた共産党では、柄澤君のほかに田中君から、委員長のもとに、討論の際には討論をいたしたいとの通告が新たにあり、しかもその通告に対しましては、委員長は、それをすなおに受取つておつたということを私は聞いておるのでありまして、従つて討論の際に、與党、野党を通じてその討論が行われた最後に、あらかじめ田中君は稻田委員長に対して討論の通告を行い、それを了承されたものと理解いたしまして、討論終結の刹那に、田中委員から委員長に対して発言をいたそうといたしたのであります。しかるにかかわらず、委員長はあらかじめその事柄を十分に承知いたしておきながら、その田中君の発言の態度に対しましては、これをまつたく無視いたしまして、一方的に討論の終結を宣告いたしたということは、委員長のこれまた二重の信義を裏切つた行為であると、私は院長を追究せざるを得ないのであります。(拍手)この事柄に対して委員長はいかなる所見を持つておりますかということを、第二点にお伺いをする次第であります。
 一体、先ほどから少数党の議事の妨害とか、あるいは多数党の議事の妨害とか、いろいろの論議がここではなやかに展開されておりまするけれども、事いやしくも国民経済の全般に深刻重大な影響を及ぼすところの、この国鉄運賃八割という厖大な、大幅な値上げの重大問題に対しては、われわれ議会生活において、微力ではありまするけれども、かくのごとき重要なる法案の審議を終了せしめるために、少くとも十数時間を必要とするであろうということは、諸君といえどもこれを認めるところであろうと思うのであります。しかるにかかわらず、稻田委員長は、與党とともに、少数党の野党派の言論を抑圧的な態度をもつて終始一貫し、かくのごとき重要法案をわずかに八時間にして討論終結せしめたということは、委員会がこの重要な法案に対して国民的責任がありやなしやを私は疑わざるを得ないのであります。(拍手)この点について、委員長は、いかなる見解に立つて、この重大な法案に対し、わずか八時間足らずで質疑を終了せしめたかという点を、お伺いを申し上げるのであります。
 最後に私は、この機会に運輸大臣に二点ほどお伺いをいたしたいと思います。ただいま上程されました国鉄運賃の大幅の値上げは、すなわちいうところの国鉄の独立採算制への努力の現われであるということは言うまでもございません。そこで、この独立採算制を基調として、今や運輸大臣の配下にあるところの国鉄五十万の労働組合員は、最も堅実にして最も力強き国鉄復興運動に立ち上りを見せておることは、運輸大臣も肝に銘じて御承知のことと思うのであります。かくのごとき五十万に及ぶ国鉄労働組合員諸君が強力に立ち上りを示しておるときにもかかわらず、国鉄労働組合五十万の諸君は、昨今の物価騰貴にもかかわらず、必然的な生計の困難にもかかわらず一意国鉄復興に全努力を傾けておる次第であります。この五十万の国鉄労働組合員の窮迫した生計の実態に対して、運輸大臣は、年度末に、これら五十万の国鉄労働組合員に対して何らかの待遇的な措置を講ずる意思があるかどうかということを、まずお伺いするのであります。(拍手)
 さらに政府は、先ほど来、公務員の賃金の値上げをする意思がないと言明いたしておりまするが、政府の値上げの意思があるとないとにかかわらず、国鉄、ことに五十万労働者が、刻下の生計の窮乏に追いやられておりまする実態については、少くとも運輸大臣である大屋さんにおかれましては、十分に理解されておることであろうと思うのであります。そこで最後にお伺いいたしますが、政府ことに運輸大臣は、これら国鉄従業員五十万の窮迫した生計の実態を救済する意味合いにおきましても、さらにまた今後の国鉄五十万の労働組合員諸君に一層国鉄復興運動に全力をあげての協力をこいねがいまする建前からいいましても、これらに対する賃金の改訂について、大屋運輸大臣はいかなる見解を持つておりまするか。この機会にあわせて具体的な答弁を求める次第であります。(拍手)
    〔稻田直道君登壇〕
○稻田直道君 米窪滿亮君より一応のお話のありましたことは事実であります。一体、本法案が参議院に参りまして、参議院がこれを慎重審議いたしまするには、少くとも二日間なければならぬという申出が、ひんぴんとして委員長にありました。しかるがゆえに、私といたしましては、相なるべくは昨日中に終らなければならぬと思うておりましたから、相なるべくならば終りたいというような話を米窪君にはいたしました。ところが、きのう公聴会にかわりまする参考人の意見の陳述を聞きましたところが、あにはからんや、労働組合の代表の菊川君から、運賃値上げに賛成であるという驚くべき陳述があつたのであります。(拍手)ところが、社会党の米窪君は狼狽をいたされまして、さつそく党に帰つて御相談なすつたらしいのであります。その結果、私のところに走つて参られまして、実は労働組合の方が賛成の意見を述べたために、党では大動揺が起きて、二つに意見がわかれておつて(拍手)非常に困つておる、ことによると明日は條件つきの賛成演説をせなければならぬかもしれぬと思うから、きようの採決は明日まで待つてくれい、そうすれば條件つきの賛成討論をするかもしれぬから、というのであります。(拍手)しかるがゆえに、委員長といたしましては御同情いたしまして、(笑声、拍手、発言する者多し)それでは一応党の方に問うて御返事をすると言うて党に尋ねましたところが、社会党がそういうふうに心境の変化を来されるならば、まあことによつたならば明日まで延期してもよろしいが、会期の延長をしないならば、そうは行かないという答弁があつたのです。党の方からですよ。わが党からですよ。(笑声)で、そのことを米窪君に申しましたところが、米窪君も了承されたのです。ところが、その後におきまして、わが党の理事の前田郁君が走つて来て、委員長、どうしても会期の延長はしないと言うから―党の幹部がしないと言うから、きよう中に上げなければならぬ、という報告がありましたによつて、條件つきに米窪君に申しておりましたから、すぐに米窪君にそのことを伝えてくれと言うて、前田君が行つたのです。米窪君は、それならばしかたがないからやつてくれと言つたのであります。(拍手、発言する者多し)そういう了解のもとに委員長は議事の進行をいたしたのであります。
 次は、もう一人田中堯平君が討論の申込みをしておつたのではないかということでありまするが、事務員の者には通告しておつたかも知らぬけれども、私はよくそれは知らなかつた。たまたまわが党の理事の關谷君から討論終結の動議が出たによつて、一旦動議が出た以上は、これは委員会に問わなければ、委員長の責任が立たないのです。問うたところが、委員会は多数をもつて動議に賛成をしたから、委員長は討議終結の結末をつけたのであります。(笑声、拍手、発言する者多し)
 言論を圧迫したということであるが、野党の諸君の演説は、とかく冗長に走つて、議事を延ばそうそうとするような傾向が見えたによつて、委員長は適当に注意したのであつて、決して言論は圧迫しておりません。わずかの時間の間に委員長は議事の進行をしたというけれども、会期が切迫して、もう日にちがいないのに上程されたから、急いだことは事実であるが、決しておるそかなる取扱いはいたしておりませんから、さよう御承知を願いたいと思います。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 委員長の報告に対する質疑ということでありまするから、運輸大臣よりは答弁がないそうであります。
 米窪君より一身上の弁明を求められましたから、これを許します。簡単にお述べを願います。
    〔米窪滿亮君登壇〕
○米窪滿亮君 ただいまわが党の川島君より、稻田委員長に対しまして質問をいたしましたところ、稻田委員長の御返事は、私を引例して、事実を歪曲して誹謗の言辞を弄したということであります。
 この運賃値上げにつきましては、一昨日の晩、稻田委員長と、社会党の理事である私との間で、討論は昨日まで延ばすという大体の了解があつたのに、この了解を無視して、急に昨夜討論を行つたのでございます。しかも、参考人の菊川孝夫君がこの法案に対して賛成したことは、国鉄の組合の事情でありまして、菊川孝夫君自身が、党に対して同調してくれということは絶対に言わないと言明しておることをもつて見ましても、菊川孝夫君のこの言明によつてわが党が狼狽したとか、あわてたとかいうことは、一つもないのでございます。(拍手)この点、委員長の言明は、事実を歪曲して、いたずらに私の名誉を毀損しようとするものでありまして、委員長は公党の代表者であるべきにもかかわらず、その心事の陋劣なるものを私は卑しむものであります。ここに、はつきりと私の立場を言明して、委員長の答弁の不当を表明しておきます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。これを許します。松井政吉君。
    〔川島金次君発言を求む〕
○議長(幣原喜重郎君) 川島君、時間が経過しておりますから、どうぞお控えを願います。松井君に発言を許しました。
    〔松井政吉君登壇〕
○松井政吉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になつておりまする国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対しまして反対の意見を述べるものであります。(拍手)
 第一点は、今回の鉄道運賃八割値上げの理由が明確でないということであります。説明の中にもございましたが、御承知の通り、五月の旅客運賃六割値上げによりまして生じたものは、八十六億円の赤字であります。この八十六億円の赤字を埋めるために、今度は貨物運賃の八割値上げをしようとするのであります。しかも第五国会におきまして、運輸大臣は、貨物運賃等の値上げをいたしますると、経済的な見地から見ても、物貨の変動等に影響があるので、上げないということを言明いたしたのでありますにもかかわらず、今回の八割の値上げの理由は、單に旅客運賃を値上げいたしましたけれども、予想に対する收入が減じまして赤字を生じたために、それの穴埋めをすることが一つの理由と、独立採算制を一挙にして実現しようとする考え方と、さらにその使途につきましては、借入金と償却金利子と大半が使われることによつてのみ値上げをしようとするのであります。
 われわれは、こういう考え方の上に立つて値上げをしようとすることについて、了解が行かないのであります。なぜかなれば、幾たびの政府委員の答弁によりましても、あるいは大臣の答弁によりましても、委員会においては、これだけの大幅な値上げをいたしますけれども、国有鉄道従業員の給與、福利厚生のために上げるものではないということを、現実に言つておるのであります。従いまして、われわれが考えます場合に、国有鉄道は御承知の通り国民全体を利用の対象とする公共的事業でありまして、公益性を失つてはならないのであります。従いまして、独立採算制と、旅客運賃値上げによつて生じた赤字克服という建前から、国有鉄道の公益性を失い、そのために利用者としての国民大衆に大なる迷惑を及ぼすとしますならば、運賃値上げをすべきではないという考え方を持つておるのであります。(拍手)
 さらに私は、この問題を追究いたしまする場合におきまして、使途についても先ほども一言触れましたけれども、今日五十万の鉄道従業員が、物価の変動による賃金ペースの改訂の要求をいたしているのであります。公共性を最高度に生かし、貨物輸送という重大なる事業に携わる人々の生活の保障をし、サービスの向上をし、さらに公共性を生かしながら逐次独立採算制の方向をとることが、計画的にして、公共企業体としての国有鉄道の本分でなければならないと考えるのであります。(拍手)しかるに、サービス増強あるいは事業の経営等について背負い切れないほど義務を背負つておりまする従業員諸君には、これだけの大幅の値上げが一銭もまわらないということにつきまして、大なる不満を抱くものであります。(拍手)
 さらに中小企業に対しての影響でありますが、多くの資料をいただいたのでありまするが、その資料がきわめて不備であることを指摘しなければならないのであります。昭和十一年から本年の七月までの物価指数、あるいは運賃の賃率の指数等が、きわめてこまやかに示されたのでありまするが、七月から現在までにおける物価の変動については触れておらないのであります。七月から以降現在までにおきまして、石炭の補助金の打切り、あるいは硫化鉱その他のあらゆる補給金の打切りによりまして、物価が急角度に変動しているということが明瞭にうたわれていないので、あります。
 しかも私は、この一例を石炭にとりますならば、資料には、配炭公団があつた時代の資料をもつて、七月現在三千三百四十八円に対する現行運賃の賃率が示されておるのであります。その後配炭公団が廃されたために、九月十五日以降の石炭価格は、特に低品位を中心とする常磐、宇部のごときは、三千三百四十八円の平均価格よりも、三割価格が下落しているのであります。それに、現在の運賃に対しまして八割値上りをいたしましたとするならば、大体石炭価格に対する三割から四割は運賃によつて占められているということに相なるのであります。それを、七月現在の不備なる資料によりまして、六級、七級あるいは九級という等級は、そのまま現在のものを八割値上げしようということは、いかに不備なる資料と非科学的資料に基いて今日の値上げを断行しようとしているかということが明確であります。(拍手)
 重要なる中小企業家が、営々として、今日の経済変動、物価の変動の中に、しかも金融難の中に押し流されながら、ようやく踏みこらえて自分の事業を経営しようとしておる木材、石炭、亜炭のごときものにつきまして、八割の運賃値上げがいかに影響するかということを考えまするならば―たださえ、石炭の場合、公団がはずされて、中小企業が二〇%閉山をいたしておりまして、その労働者の失業が急角度に上昇し、現在失業しない労働者でも賃金五割もらつているところの労働者はいい方であります。かような状態のところに、さらに運賃八割値上げなどということになりまするならば、ただいま申し上げた事業を中心として、中小企業は八割運賃値上げによつて壊滅に瀕するのであります。(拍手)これが日本の産業、経済に影響することは大なるものがあります。
 私はあえて言う。民主自由党の諸君の中においても、亜炭によつて事業を営んでいる者、石炭によつて事業を営んでいる者、あるいは木材関係の業者がおります。その人々は、今回の八割値上げについて、いかに反対の気持ちを持つているかということを、率直に指摘いたしたい。こういう考え方から見ても、今回八割値上げの運賃が、輿論に対して、現実に即して、いかにむりなものであるかということを明瞭に申し上げたいのであります。
 さらに國民大衆の生活に影響のある面につきまして、政府委員及び大臣は、生活に影響がないとはいえないけれども、きわめて軽微である、という答弁をいたしているのであります。ところが、かりに生活費の中で、八割の運賃値上げが――食糧品の運賃の値上げ、その他日常生活上必要欠くべからざるものに八割の値上げが加算されて物価が移動するといたしますならば、これについて、生計の関係から行きますならば、一割以上の生計費の影響があることは、明瞭な数字になつているのであります。しかも、この事柄は、御承知の通り農林委員会におきまして、食糧品の運賃値上げが問題になり、さらに運輸委員会におきまして、さらに運輸委員会におきまして、食料品の等級の変更をしなければならないのではないかというような話も伺つているのであります。従いまして、農といわず、都市における消費者諸君といわず、ひとしく八割値上げによりまして、国民大衆の生活に影響あること甚大だといわなければならないのであります。
 さらに私は申し上げますが、先ほどの委員長の報告並びに川島君に対する委員長の答弁及び米窪さんの一身上の弁明にもありましたが、民主自由党の諸君は、参考意見を陳述に来ました国鉄労組が、やむを得ないものとして賛成したということにつきまして、鬼の首をとつたように、委員会におきましても、討論の中で、わが党は攻撃を受けたのであります。しかしながら、この労働組合の諸君の陳述の中で、徹夜をして夜勤をいたしましても、十年の手当しか今日もらえないということまで、るる述べられているのであります。従いまして、国鉄の諸君をその他の労働組合の諸君が、いろいろ反対理由はあるけれども、やむを得ずしてこれに賛成をするという意味は、この悲惨なる手当、悲惨なる給與、悲惨なる厚生福利施設について、八割の運賃値上げをしたならば、大屋運輸大臣が情をもつて給與ペースを上げてくれるだろうということを考えの中に入れながら、やむを得ず賛成した。これは手当の増額を要求しているということであります。(拍手)この裏がわからずして、やむを得ず賛成したということにつきまして、鬼の首でもとつたような考え方で運賃値上げに賛成するところの心理の了解に苦しむものであります。
 さらに審議の過程におきまして、稻田委員長が報告され及びただいまの川島君の質問に対して答えておりますが、参議院にまわさなければならないので、やむを得ず討議採決をしろという與党側の理事の話があつたのであつたということを言いましたけれども、当日は御承知の通り、本日も問題になりました食糧確保臨時措置法の問題が農林委員会にかけられており、重大なる影響を社会に及ぼす運賃値上げの問題が運輸委員会にかけられている。その晩に、むり押しにむり押しして討論採決したところに、昨日朝から晩まで一日審議することができないという不祥事が起つたではないか。もしこの事柄がこういうことになるならば、われわれが申し入れたように、その日は質問で打切つて、昨日の朝十時からゆつくり討論採決しても結果は同じことだというようなことを考えますならば、いかなる場合におきましても、多数を頼みに、審議がむり押しされているということについて、大なる不満を持つものであります。
 さらにもう一つ申し上げまするが、民主党の第九控室、すなわち民主党の野党派の諸君が、きようはバスの関係があるので、委員長は討論をあすにまわすと言うから、きようの質疑は打切つて、あした来て討論をやるから帰りますと言つて帰つた。それに対して私は、委員長は少くとも、反対の野党の諸君が欠席しているところにおいて討論採決することについては、待たなければならぬじやないかということを申し上げておる。そういうことも聞かずして、あした討論採決があると目して帰つた野党の諸君の発言を封じて、討論採決しているのであります。いかに非民主的な審議の過程を経て強引に押したかということが、これによつても明瞭であります。私は、こういう非民主的な審議の過程を経て来たところにつきまして、むり押しをしなければ今国会において非常に通過が困難になるということで、與党側が多数を持つておりながら、あわてにあわてた結果が、遂に昨日一日何にもできないという不祥事を招いた原因であるということを指摘いたしたいのであります。
 かような立場から考えまして、わが日本社会党は、運賃値上げの…。
○議長(幣原喜重郎君) 松井君、もうお約束の時間が参りました。
○松井政吉君(続) はい。―本法律案に対しまして、絶対に反対の意思を表明するものであります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
○副議長(岩本信行君) 關谷勝利君。
    〔關谷勝利君登壇〕
○關谷勝利君 私は、ただいま議題と相なりました国有鉄道運賃法の一部改正法律案に対しまして、賛成の討論を試みるものであります。(拍手)
 本法案は、原価計算の点から申しましても、国有鉄道の独立採算制の立場から申しましても、また海陸運賃調整の立場から申しましても、当然のことであると存ずるのであります。すなわち原価計算におきましては、日本国有鉄道は、その経費に対しまする收入率はわずかに四九%でありまして、経費に対する半額以下にとどめられておつたのでありまして、国鉄がこれを企業体として経営いたしまする以上、当然の値上げであると存ずるのであります。なおまた、今二十四年度におきまして予想いたされますところの八十六億ないし九十一億の赤字補填の点より申しましても、これまた当然と言わなければならないのであります。なおまた、この海陸運賃調整の立場から申しましても、かくのごとき国鉄の政策運賃をもちまして、採算運賃でありまするところの海上を圧迫することは、これは大資本の中小企業に対する圧迫と申さなければならないのでありまして、この点、社会党、共産党の諸君といえども反対でき得ざる点であると考えているのであります。(拍手)
 私が本年の五月十四日に、この本会議場におきまして、海陸運賃調整の立場上より、鉄道運賃が二・三倍、汽船の運賃が一・八倍、小型鋼船の運賃二倍を主張いたしまして決議案を提出いたしました際には、共産党を除くほとんど大部分の各派がこれに賛成をいたしているのであります。しかるにもかかわらず、半歳を出でずして、この運賃値上げに対しまして反対するこれらの人々の、その信念いずこにありやと言わざるを得ないのであります。(拍手)この運賃値上げに賛成をいたしましたその当時の提案者の名前の一部を、参考に朗読いたします。松澤兼人君、門司亮君、米窪滿亮君、荒木萬壽夫君、有田喜一君、川崎秀二君、北村徳太郎君、河本敏夫君、椎熊三郎君、中曽根康弘君、並木芳雄君、山手滿男君、これらの人々が、この運賃値上げに対して、五月十四日には賛成をいたしているのであります。(拍手)わずか半年たちました今日、この運賃値上げに反対するがごとき、その信念いずくにありやと、再び問わざるを得ないのであります。(拍手)
 なおまた、数日前の運輸委員会におきまして、先ほどの松井政吉君から話がありましたけれども、参考人として、喚問いたしました全日本海員労働組合の代表者並びに国鉄労働組合の代表者等は、ことごとくこの運賃値上げに対して賛成をいたしているのであります。今松井政吉君が、これは夜勤手当がほしいからだというような、まことにさもしい根性のことを申しておりましたが、そのようなことではないのでありまして、あらゆる角度からこれに賛成をいたしておつたのであります。なおまた菊川孝夫君は、私が今日申します事柄は責任をもつて申し上げておりますと、なおまたこれが全国鉄労働者の意思であることを確信して申し上げます、そろつて労働者諸君が賛成をいたしておるのであります。労働者の代表をもつてみずから任じておりますところの社会党あるいは労農党が、労働者の意思を無視して運賃値上げに反対するがごときは、まことに奇怪至極と言わなければならないのであります。
 しかもこの改正案に対しましては、公益性の見地よりいたしまして、採算上から見ました場合には、二倍にいたすべきものを八割の値上げにとどめているのでありまして、その点十分考慮をいたされておるのであります。しかもこれは、討論の際の附帶條件といたしまして、素材、亜炭等のごとき重要物資であつて、著しく負担を過重するがごときものに対しては、四月一日からは等級の改正を行いまして、これを軽減することに相なつておりまするし、なおまた、実施以後その間におきましても、臨時の割引をいたしまして、産業発展のために寄與すべく、公共性は強く唱えられておるのであります。
 さような観点からいたしまして、私は、この運賃値上げに対しましては賛成の意を表するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 清藤唯七君。
    〔清藤唯七君登壇〕
○清藤唯七君 私は、民主野党派を代表いたしまして、ただいま議題になりました運賃値上げ案に対しまして反対の意見を申し述べたいと存じます。(拍手)
 民自党は、在野党時代、内閣において運賃値上げ案に対しまして、国民負担の過重を不可なろといたしまして、共産党と同調してこれに反対したことは、周知の事実であります。(拍手)しかるに、一朝民自党が政権をとるや、にわかに態度を変更いたしまして、数次にわたり運賃の値上げ案を可決いたし、今回また国民生活に重大なる影響のある貨物運賃の八割値上げを遂行せんとすることは、朝三暮四、大政党のあり方といたしまして、まことに遺憾にたえません。
 本値上げ案の理由としてあげられるところによれば、本年の六月旅客運賃六割値上げによりまして收支が適合する予定であつたところ、その後の実績は、旅客、特に定期以外の旅客の著しい減少によりまして、予定の收入をあげることはできず、本年度の收入不足額は約九十一億円を見込まれるに至つたのであります。しかして国鉄においては、この不足を補填するために極力経費の節減をはかつたのでありますが、その不足を補填することに至らないので、貨物八割の値上げによる増收に求めようとするのが、今回の趣旨であるのであります。すなわち、前回の旅客運賃値上げによる收支計画のずさんであつたことが実証せられたこととなるのであります。今回あな埋めといたしまして、貨物運賃の八割値上げをしようというのであります。しかしながら、これははたして、わが国民経済の現状から見まして、国鉄の有する公共的使命から見まして、妥当なる方法でありましようか。私は、すこぶる疑いなきを得ないのであります。
 まず、日本の産業に及ぼす影響について考察するに、国鉄当局は、値上げによる各種産業への影響をことさらに過小評価しておるのでありまするが、私の見るところによれば、一般産業に対しまして基礎的な重要性を有する石炭の原価に及ぼす影響、木材その他の大量貨物の原価に及ぼす影響はことに大であつて、その他の物資についても、貨物運賃の値上げは原価の高騰を招来する原因となり、現在極度の不景気下にあるわが国民生活をますます困難ならしめ、ことに購買力の衰微しておる現在において、運賃値上げ分を価格に徴收させることは不可能であるから、産業、ことに中小企業に対しましては、まことに破壊的な影響を及ぼすことは明らかであります。(拍手)
 鉄道輸送量の一三%を占める木材について申しますれば、現在においてすら、木材の原価中に占むるところの運賃の割合は、素材において一三%を示しておるのであつて、これがさらに八割値上げをせられることになりますと、実に林業界の存立が危くなるのであります。石炭について申しますれば、今回の値上げが炭価に及ぼす影響は一〇%以上と見込まれるのでありますが、さらに炭鉱用坑木、鉄鋼業の資材の値上りによるはね返りを加えるときは、相当大なる影響を来すことになるのであつて、さらにわが国産業の再建のために欠くべからざる重要原料たる石灰石については、現在ですら、運賃は原価中の六三%を占めるのであります。これが八割運賃の値上げは、必然的に石灰石の供給に支障を来し、産業を抑制する結果となるに至ることは明らかであります。(拍手)なお、現在輸出産業として気を吐いておりまするところの陶磁器、タイル、衛生陶器等については、今回の値上げは企業体制の崩壊を意味する重大性を有するのであります。本員が値上げ案に対して反対せんとする第一の論議は、実に以上のごとき点であるのであります。
 わが党が本値上げ案に反対せんとする他の論拠は、本値上げによつて、はたして予期通りの増收が期せられるかどうかという問題であります。最近における経済界のデフレ傾向から見ますれば運賃値上げをしないでも、輸送量は減退の徴があります。たとえば石炭についても、現在のごとく相当貯蔵量が増加しており、四千二百万トンの目標達成は見込みなく、従つて、本年度貨物輸送の目標たる一億四千万トンは、現在においても一割方下まわることが予想されておるのであります。
 元来、運賃の値上げは、一般景気が上向の際は予定通りの増收をあげ得るのでありますが、下向の際は、値上げによつて、かえつてますます輸送量を減退させ、従つて予期通りの増收を得られないことが、過去幾多の例によつて立証せられておるのであります。(拍手)すなわち、前国会における旅客運賃の値上げについても、わが党はこれに反対し、かつその値上げが予期通りの増收を得られないであろうことを予言したのであつて、はたして改正後の実績は、これを裏書きしております。大幅の減收となつて現われ、ここに今回の貨物八割値上げ案となつて現われたのであつて、今回も前回と同じく景気下向の過程にあり、かくのごとき際は値上げを避けて、極力経費の節約に努め、やむを得ざる場合においてのみ一般会計によつてこれを調整すべきであると思うが、国鉄経営の合理化を描いて、運賃値上げの安易なる方法をとり、さなきだに不況に悩む一般産業界に新たなる圧力を及ぼすことは、避けなければならないと考える次第であります。(拍手)
 次に、本値上げ案の物価に及ぼす影響は、当局の説明は故意に影響を過小評価するがごとき感があるのでありますが、單純に総平均の数字を見るときにおいて僅少であるかもしれないのであるが、石炭、木材について、個々的にこれを見るときにおいて、実に深刻な影響が察せられるのであります。個々の製品の価格を分析してこれを見ますれば、運賃の値上げに伴い、その製品の構成する原料の価格といたしまして、かつまた製品の価格としても、ともに高くなるのであるから、二次、三次製品ないし最終製品については、運賃値上げ率の三倍、五倍と累増的に影響するものと見るのが正当であつて、本値上げの物価に対する影響は、決して軽視することを許さないのであります。
 今春、旅客運賃値上げの際は、何がゆえに貨物運賃のみをすえ置いたのであるか、国策としての物価水準を維持せんがためであつたのであつて、当時大屋運輸大臣は、日本の経済自立のために要求されている経済九原則の根底に、物価水準を維持するということが強い要請となつておるので、この際物価に影響を及ぼすおそれのある貨物運賃の改訂は見合わせたと公言しております。しかるに、この国策の要請は、今日といえども改変せられていないのであつて、この点よりするも、物価に対して前記のごとき影響のある貨物運賃の値上げをすることは、右の要請に反するものとして反対せざるを得ないのであります。
 本員の考えるところによりますれば国鉄がその経営原価なりとして、これを運賃の形態によつて利用者大衆に負担せしめるためには、次の二要件を必要とすると考えるのである。その一つは、具体的経営原価が能率的経営におけるものたることを要す。ゆえに、能率的ならざる過剰原価は、これを経費節減によつて除去すべきことである。これを運賃として利用者に課することは正当ではない。その二は、運賃の率が輸送の対象たる貨物負担の限度内たるを要すること。限度を越えて値上げするも、結局運輸量の減少となり、予想の收入を得ることができないのであります。値上げは妥当なりとは言われないのであります。しかして、今回の値上げが以上の要件を備えるやいなやということは、大きな疑問を持つているのであります。
 かくのごとき意味におきまして、如上の理由によりまして、本値上げ案に対して、民主野党派を代表いたしまして反対の意見といたす次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 柄澤登志子君
    〔柄澤登志子君登壇〕
○柄澤登志子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程になりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に反対の態度を表明するものでございます。
 本法案は、日本共産党といたしましては、まずこの法案を提出いたす政府の政治的な無節操に対しまして、反省を促したのであります。それは、七十有余年の長い伝統を持ちました国有鉄道が、この財政的な破綻を来しましたのは、昭和十九年以来でございます。この昭和十九年以来の国有鉄道の赤字の原因というものが、どこにあるかということは、ただいまの吉田内閣の指摘しました理由といたしましては、人員過剰であること、この運賃が低廉であること、ここにその原因を求めまして、そしてなお、これが国営事業であるということに籍口いたしまして、民主自由党の政策であります国営事業の民営への移行という大きな変革を、鉄道事業の上に、まず政府は実施したのであります。その政策の大転換の結果、九万数千の労働者大衆が整理され、旅客運賃が六割上つた。
 運輸大臣は、幾たびも幾たびも、この政策によつてのみ国有鉄道の独立採算制というものは確保されることを主張されたのであります。しかるに、その独立採算制が公共企業体に実施されまして以来まだ幾ばくもたたない今日、すでにその政策の破綻が、今日八十数億の、九十一億の赤字になつているのであります。貨物運賃を上げたならば物価に影響すると言われましたその舌の根もかわかぬうちに、今度政府は、この貨物運賃を八割上げなければならないという方針に出でざるを得なくなつたのは、民主自由党のこの独立採算制の方針そのものに矛盾があるということを、われわれは指摘せざるを得ないのであります。つまり、公共企業体というようなコーポレーション的な形態は、あの公共の利益を考えずに、産業の企業性というものを考えずに運営しなければならないところの、鉄道の経営には合致しておらぬということであります。それが、現に今日では私鉄へ移行しなければならないということを主張しておりながら、私鉄が、すでに各地におきまして、地方産業の崩壞とともに、この私鉄の廃止という現実となつて生れて来ているのであります。
 この点は、政府におきましても、すでに幾たびも指摘されております。すなわち、国有鉄道の現在の赤字の原因はどこにあるかと申しますれば、これは運賃の多少や、あるいは吉田内閣が主張しておりますように、暴走電車であるとか、共産党の策謀であるとかということは…(発言する者多し)まつたく詭弁でございまして、政府の政策そのものに破綻があるのであります。(発言するもの多し)これは、あの政府当局が、明らかに経済九原則の実施によつて国有鉄道の赤字ができた、すなわち、乗客の人員が減り、貨物の数が減つて不景気になつた結果、その経済情勢の見通しを誤つて、今日赤字になつたということを主張しているのであります。このみずからの政策の破綻を恥じるところもなく否定しました貨物運賃の値上げによつて解決しようというのが、この悪辣な法案の趣旨であります。(拍手)すなわち国有鉄道は、戦前、人件費と物件費の歩合いというものは、物件費の方が四割幾らでございまして、人件費の方が多かつたのでありますが、今日では人件費の方が四割幾らに減りまして、物件費が五割五分という率を示しているのであります。この事実を見ましても、行政整理の一つの試驗台として国有鉄道の人員を首切るというとは、実に單なる労働者弾圧以外の何ものでもないのであります。従いまして、いくら首を切りましても、いくら運賃を上げましても、国有鉄道の赤字というものは絶対に排除することができないのであります。でありますから、われわれといたしましては、国有鉄道の独立採算制を得ること、すなわち採算をとるための貨物運賃値上げという政府のこの第一の理由は、まずこの事実によりましてこれを粉碎することができるのであります。すなわち物件費、石炭、鉄というようなものが、戦後政府の政策によりまして、藪谷営業局長の説明によりますれば、厖大な高騰率を示したのであります。窮状を押えて、こういう独占的な物資を高くつり上げたということに、国有鉄道の赤字の原因がございまして、これをそのままにすえ置きまして、何ら指一つ加えずに、運賃と首切り、労働強化という、人民大衆にのみ転嫁するこの方針は、みずから国有鉄道の赤字を今後もさらに拡大して行くということを指摘せざるを得ないのであります。(拍手)
 第二に、輸送力の維持増強に必要な経費をまかなうために必要だと言われております。しかしながら、この貨物運賃の増收によりまして、どう引当てるかということを調査いたしますと、今度補正予算に組んでおりますものは、確か寒冷地手当、石炭手当だけであります。しかし、いくら大臣に、あるいは政府当局に質問いたしましても、現在仲裁裁判にかかつておりますあの悲痛な国鉄労働者諸君の要求というものは、新たなるこの貨物運賃の増徴によりましては何ら保障されないということが明らかになつておるのであります。これは、減価償却のごとき、むしろ金融資本の奉仕に終るということを、われわれは指摘せざるを得ないのであります。
 実に現在の国鉄の状況と申しますのは、檢修費その他の非常なる削減によりまして、職場の状態を調査いたしますると、代議士諸公の慄然とするような線路の状態、機関車の状態が実現されておるのであります。しかも、輸送力の維持増強と申しましても、一般勤労大衆のための、働く人民のためのあの通勤列車のごときは、一、二等旅客のへいわ号などを走らせますために、通勤列車を二本も削減しておる。観光列車とか、寝台列車、展望列車をつくりますために、三等の列車の新造計画は、来年は一台もないという状態でございまして、大衆の輸送に対する国有鉄道の寄與というものは、何ら期待できないのであります。さらに貨物の輸送にいたしましても、戦後平和的な産業が回復いたしますると、小さな貨車がふえるはずでございますのに、何のゆえか、現実におきましては三十トン貨車の要求があるということを承つております。この点におきまして、われわれは、貨物の輸送というものが日本の平和のために使わなければならないということを指摘いたしまして、現実の日本国有鉄道の輸送の方向に対しまして、重大なる警告を発さなければならないのであります。
 さらに第三点といたしまして、海陸運賃の調整ということを言われておられるのであります。この点につきましては、運輸委員会の中の海運関係の議員の方から非常に熱心なる御指示があつたのでありますけれども、政府当局はどういう腹かといいますと、この運賃を上げたあとには、今度海上の運賃を上げると言われております。これは貨物運賃に絶対に上げないという言質を與えておられました現在の運輸大臣が、旅客運賃を上げまし今日、平気で、その言葉を弊履のごとく捨てて、この貨物運賃を上げておるのを見ましても、必ずやまた海上の運賃が上げられることは歴然たる事実でございまして、貿易の上におけるあの不当なる高い海上の運賃に対しまして、日本の海上運賃がさや寄せされるようなことは絶対に避けなければならない。むしろ、安い運賃をわれわれはつくつて行かなければならないと思うのであります。
 このいずれの点から見ましても、このたびの貨物運賃の値上げは、政府の政策の破綻を示すものであり、その破綻を全部大衆に転嫁して中小産業をつぶして行き、さらに赤字を拡大して、政府の言つておりますように、やがては外資に日本国有鉄道を引渡すような結果に終るということを指摘いたしまして、共産党といたしましては絶対に反対の意思を表明するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) ただいまの柄澤君の発言中不穏当な言辞があれば、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。
 河野金昇君。
    〔河野金昇君登壇〕
○河野金昇君 私は、新政治協議会を代表いたしまして、貨物運賃値上げ法案に反対をするものであります。
 民主自由党の諸君が、野党の時代には、非常に思いつきのよいことを、勇敢に、大胆に御発表になつたことに対しては、私はいささか敬意を表しておるのであります。しかしながら、それが一旦政権をおとりになると、逆なこともまた勇敢におやりになることに対しては、あきれ果てたと言わなければならないのであります。(拍手)たとえば、選挙にときに供出後の米の自由販売を唱えておられましたけれども、本日この問題が解決したあとには、供出後の超過供出を法制化する、いわゆる食確法の一部改正を、おそらく多数でむり押しなさろうとしておるのであります。また、この運賃の値上げの問題にいたしましても、野党時代に勇敢に反対をして来られたことに対しては私敬意を表しておりますが、今日この運賃値上げにまた勇敢に賛成なさることに対しては、いささか軽蔑を覚えるものであります。(拍手)
 前の議会において、旅客運賃を六割値上げをするときに、そこにおられます大屋運輸大臣は、物価水準を維持するためには、物価に影響のある貨物運賃の値上げは見合わせるということを、はつきりとおつしやつておるのであります。それからわずかに半年しかたつていないのであります。旅客運賃を六割せつかくお上げになつたけれども、それは日本の経済事情、客観情勢を知らなかつたがために、かえつて收入減となつてしまつた。運輸大臣の説明をかりれば、本年度八十六億の赤字が出るようであるから、今度は貨物運賃を八割値上げをして穴埋めをしようとしておられるのであります。しかも、大屋氏のおつしやることを聞きますると、次の国会には、遠距離逓減、一、二等倍率の引下げのために、さらに鉄道運賃の改正の法案を出すかもわからない、ということをおつしやつておるのであります。この五月に旅客運賃を上げて、結局目的を果さず、このたび貨物運賃を八割上げ、次の国会に旅客運賃をまた下げるというに至つては、一体政府の方針がいずれにあるや、疑わざるを得ないのであります。(拍手)何ら根本的な対策を持たないで、ただ安易なる運賃の値上げ、あるいは値下げをしている。何回そんなことを繰返してみても、この問題は解決するものではないと思うのであります。その日暮しでなく、独立採算制の基礎を確立するために、新たなる構想と具体的な案を持つて出直して来られた方が、かえつていいと思うものであります。(拍手)
 大屋氏は、五月のときには、物価に影響があるから貨物運賃の値上げは差控えておいたが、最近はインフレが收束し、価格統制をいろいろはずして来たから、大した影響はなかろう、とおつしやつておるのでありますが、これは、おそらく大屋さんの本心ではなかろうと思うのであります。国鉄の運賃を値上げすれば、当然私鉄とか、あるいはトラックの値上りとなるくらいのことは、わかつておるはずであります。そういうものの値が上つて来れば、当然基礎産業の資材のコストが高くなり、結局それが物価改訂の要因となり、インフレ再発の動機となるくらいのことは、一般の優等生である大屋さん、帝国人絹会社の社長として経済界に苦労をなさつておるところの大屋さんならば、きつとおわかりになつておることであろうと思うのであります。
 政府は、ポンドの切下げがあつたにかかわらず、対外為替レートは三百六十円ですえ置くと言つておられる。その上に今度運賃の値上げをなさるのでありまするが、その結果は、たださえ不振をきわめておるところの、わが国貿易界に一層の打撃を與えるというくらいのことは、きつと実業界に活躍しておられる民自党の諸君は、百も承知の上であろうと思うのであります。(拍手)
 政府は、米価を四千二百五十円の低米価に決定し、補給金を大幅に削減し、給與は上げないと言つておられる。しかるに、貨物運賃の大幅の値上げをおやりになるということは、結局どういう結果が起きて来るでありますしようか。農村では、肥料とか農機具等の値上りとなつて、たださえ疲弊困憊に向いつつあるところの農家経済を、一層困窮に陥れることとなると思うのであります。勤労者は、政府の言明とは逆に、実質賃金の低下を來すと思うのであります。中小商工業者が、金詰まりと購買力不足によつて破産状態に向いつつあるということは、これまた皆様方もお認めになつておることであろうと思うのであります。そのときに運賃の値上げをなさることは、結局原料の値上げとなり、一層有効需要の低下となり、事業は一層不振になつて行くというくらいのことも、おわかりのことであろうと思うのであります。結局、農民、労働者、中小商工業者はますます苦しくなつて行きます。この運賃値上げに便乗をして、産業資本家は、かえつていろいろな物価の値上げの方向に持つて来ることも、火を見るよりも明らかなことであります。
 この値上げは、せつかく收束しようとしておるところのインフレを、再び誘発する危険性を多分に持つており、値上げしても経済界に大した影響はないと見ておられるのは、あまりにも甘い考え方であると言わなければならぬと思うのであります。(拍手)
 たとえば、民主自由党の大村清一君、運営委員長の大村清一君、社団法人日本林業協会会長の大村清一君、この大村清一君が、林業団体連絡懇談会を代表して、運賃値上げは経済界、特に林業に及ぼす影響が甚大であるから、この値上げは考え直してくれという要望書を議院に提出しておられるということは、おそらく大村さんも御承知のことであろうと思うのであります。(拍手)私は多くをここで論じようとは思いません。大村さん自身が大きな影響があると見ておられるようなこの貨物運賃の値上げであるのであります。民自党の諸君、一片の良心があるならば、この運賃値上げの法案は返上されることが適当であろうと思います。
 私は、かかる意味におきまして、新政治協議会を代表して、この運賃値上げに反対をいたすものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 石野久男君。
    〔石野久男君登壇〕
○石野久男君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、ただいま上程されておりまする国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対しまして反対の意見を申し述べんとするものであります。以下四点につきまして、前の反対の方たちが申しましたことと重複しない点において、私は意見を開陳したいと思つております。
 まず第一番に、政府がしばしば言つておりまする、この運賃は国民生活に影響しないという点に対しては、国民生活を一層圧迫し、中小企業を徹底的に壊滅させるところの、民主自由党の低物価政策に反するものであるという点から、私は反対するものであります。
 この運賃値上げが、どの程度生活費に影響するかということにつきまして、先ほど民主自由党の諸君が引用されておりました、昨日の運輸委員会に参考人として参りました国鉄の菊川氏は、このように言つております。組合としては、おそらく運賃の消費生活者に影響する程度は、その生活費の約六%ないし八%は影響するであろう、このように言つておるのでございます。決して政府の言うように軽微なものではありません。また安本の資料をもつていたしましても、物価に影響するところは約六・五%だと言われております。(「菊川はそんなに偉いのか」と呼ぶ者あり)菊川に対して、民主自由党は非常に大きな期待をしているから私は申し上げるのであります。
 われわれは、政府は言うごとく、そう簡単に物価に影響しないものではないということを、はつきり申し上げるとともに、またこの運賃値上げは、中小企業に対して、どの程度に影響するものであるかということについては、ただいま河野議員からも引用されておりましたけれども、日本産業協議会会長石川一郎氏の名をもつて運輸委員会に出されましたところの資料の中で、いかに中小企業の諸君が苦しんでおるかということ、この運賃値上げが、いかにこれらの中小企業の諸君に打撃を與えるかということの実例を、ここに私は皆さんに御紹介したいのでございます。
 すなわち、木材の素材は、政府は五・五%だと言うけれども、一三・六%影響しておるのだ。これにまた八割の値上げが来るのだから、その影響は実に大きいと言つておる。製材においては、三%のものが七・三二%である、このように言つておる。輸出陶磁器におきましては、現行一一・二%のものが、運賃値上げによつて二〇・二%になるタイルにおいては、七・五%が一三・五%衛生陶器においては、一二・六%が二二・七%、このように言つておるのでございます。石炭においては約一〇%くらいの打撃があるであらうということを、昨日の参考人は言つておる。石灰石等においても、先ほども反対議院から言われておつた通りであります。
 かきのごとくにして、中小企業を代表する諸君は、何ときのう言つておるか。現に、日本の中小企業の諸君はすでに壁にぶつかつて、首をつつておるのである。その首をつつている首つり人間を、この運賃値上げをする政府が、残酷にも下から足をひつぱつておるのがこの運賃値上げであると言つておるではないか。この事実は、民自党の諸君自身が、よく自分の経営を通じて御承知のはずであります。従つて、われわれは、このような運賃の値上げは、日本の全産業に対して與える影響の大なることを、率直に、民主自由党の諸君も、また政府自身も認めなければならない。われわれは、かかる観点からもこれに反対するものであります。
 第二点といたしましては、企業へのこのような影響を、民主自由党は巧みにすりかえようとしておる。それは、さつきの委員長報告にもありましたように、等級の変更をもつて、これを巧みに肩すかししようとしているのであります。等級変更をもつて産業の打撃を回避しようとするその考え方こそは、以下三つの点におきまして、政府の無策無能を表明するものであると言わなければならぬのであります。
 まず等級変更においては、政府が所期するところの、いわゆる運賃変更による予定收入というものは、確保されないということであります。第二点は、等級変更をしなければならないような運賃の値上げをすること自体が無策無能であるということであります。しかもまた、この等級変更によつて一部の産業は救われまするが、他面全産業に與えられる打撃は、どのような形で、どのような産業にその負担を集中、しわ寄せされて来るかということを考えていただきたい。
 おそらくは、この等級変更をなし得る企業こそは、政府に対して、あるいは民主自由党に対して、抵抗力の強い産業でもあろうと思うのであります。従つてまた、これらの抵抗力のない小さな産業こそは、すべての運賃値上げによる重荷を一手に背負わなければならないということになるのであつて、それは中小企業を壊滅に陥らしめるところの、まつたく産業政策としてなつていない運賃の値上げであると言わなければなりません。かかる観点から、私はまず第二の点として反対するものであります。
 第三の点は、われわれはこの運賃値上げをします国鉄当局が、今までにも、国鉄内部の経営のまずさ、このまずさを、人員整理あるいは運賃の値上げ、あるいは値下げということでしばしばやつて来たのでありますが、今日この運賃値上げがはたして当局の所期するような收入が得られるかどうかということを考えましても、それはもうすでに他の弁士諸君が言つたごとく、旅客運賃のときにすでに現われている。この八十六億だといわれる赤字においても見られるごとくに、決してそれでは救われないのであります。
 かくのごとくして、政府は、あるいは国鉄は、自己の経営内におけるまずさを、すべて運賃値上げに持つて来ておるのでありまするが、しかし、今日国鉄の内情はどのような形にあるのでしようか。国鉄が現在稼働させているところの車は、どのような状態になつているか。日本鉄道車輛工業協会からの「鉄道車輛工業の現状と将来」というこの冊報は、皆さんお手元にあるはずである。この冊報の中に、どういうふうに書いてあるか。蒸気機関車が現在動いているもので、最も古いものは、明治十九年六月に就動したものである。現在六十二年たつている貨車は明治四年十一月、七十七歳であります。客車は明治十五年、電車は明治二十三年、最も文化的な電気機関車にしても大正八年、三十年の年齢を持つているのであります。(「けつこうじやないか」と呼ぶ者あり)けつこうだと皆さんは言われる。しかし諸君、この事実はどういう形になつて出て来ているか。
 当局から出ているところの資料によつて、現在の日本の車の修復、いわゆる休車率というものを皆さん見てごらんなさい。昭和十一年を百として、すべての車は二倍以上になつているのでございます。皆さんはおわかりにならないと思いますから申し上げますが。機関車は、昭和十一年に比べて二倍半になつております。二倍半休車しているのでございます。病院行きであります。客車は一倍四、貨車は一倍半、電車は二倍、このように、日本の国鉄内部の経営上におけるところのまずさというものが、現に今日の運賃收入の減額を示しているものであり、経営のむりをここに暴露しているものでございます。このようにして、運賃の値上げが、まつたく経営内部におけるところの…。
○副議長(岩本信行君) 石野君、ちよつと申し上げます。時間がすでに過ぎましたからなるべく結論をお早く願います。
○石野久男君(続) かくのごとく、経営内部におきまする十分なる注意も拂われずして、その経営のまづさを、人員の整理または賃下げ、今日のこの八割運賃値上げに持つて来ているということに対しては、絶対に反対であります。しかも、これらのことは、今日車両工業を全滅の危機に陥れたということにおいても、またわれわれは反対しなければならないのであります。
 なお、われわれは、第四の点といたしまして、運賃の値上げが八十六億二千六百九十七万円の赤字にあるということでございまするが、われわれは、この八十六億二千六百九十七万円という赤字に対して大きな疑義を持つものであります。昭和二十四年度補正予算の説明資料の中におきまして、当局の数字を合していみましても、すでにこの八十六億よりも二十四億少いと見積られるものでありますが、その算定の基礎となつておるところの基準等に対して、われわれの意見をもつて計算いたしまするならば、おそらくこれは五十億減少の三十三億ぐらいで赤字はとまるものと考えられるのでございます。
 われわれは、このような観点に立つて、この問題に対する政府の意見を求めたのでありまするが、それに対する十分な説明がありませんでした。私は、かくのごとき不備な資料をもつて今日の運賃値上げをすることに対して、絶対に反対するものである。この値上げは、特に国民生活を人間並以下に突き落すものである。それは、民自党の集中生産方式に基くところの、独占資本に奉仕しようとする、欺瞞と弾圧に満ちた、狡智にたけた、人民大衆に対しては一番手取り早く…(発言する者多く、聴取不能)ところの拙劣な値上げ案であるということを強調いたしまして、わが党の反対意見を終るものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 本案につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○副議長(岩本信行君) 投票漏れはありませんか。―投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○副議長(岩本信行君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百三十二
  可とする者(白票) 二百十一
    〔拍手〕
  否とする者(青票) 百二十一
    〔拍手〕
○副議長(岩本信行君) 右の結果、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 本案を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
   阿左美廣治君  足立 篤郎君
   安部 俊吾君  青木  正君
   青柳 一郎君  淺香 忠雄君
   淺利 三朗君  麻生太賀吉君
   天野 公義君  有田 二郎君
   井手 光治君  井上 知治君
   飯塚 定輔君  池見 茂隆君
   石田 博英君  稻田 直道君
   今泉 貞雄君  今村 忠助君
   岩川 與助君  宇田  恒君
   宇野秀次郎君  内海 安吉君
   江田斗米吉君  江花  靜君
   遠藤 三郎君 小笠原八十美君
   小川原政信君  小澤佐重喜君
   小高 熹郎君 小野瀬忠兵衞君
   小淵 光平君  尾関 義一君
   越智  茂君  大石 武一君
   大泉 寛三君  大内 一郎君
   大上  司君  大澤嘉平治君
   大橋 武夫君  大村 清一君
   大和田義榮君  岡延右エ門君
   岡崎 勝男君  岡田 五郎君
   岡西 明貞君  岡野 清豪君
   押谷 富三君  鍛冶 良作君
   角田 幸吉君  風間 啓吉君
   柏原 義則君  片岡伊三郎君
   甲木  保君  門脇勝太郎君
   神田  博君  川西  清君
   川野 芳滿君  川端 佳夫君
   川村善八郎君  川本 末治君
   河原伊三郎君  菅家 喜六君
   木村 公平君  北川 定務君
   北澤 直吉君  金原 舜二君
   倉石 忠雄君  栗山長次郎君
   小金 義照君  小平 久雄君
   小玉 治行君  小西 寅松君
   小山 長規君  河野 謙三君
   近藤 鶴代君  佐久間 徹君
   佐々木秀世君  佐瀬 昌三君
   佐藤 榮作君  佐藤 重遠君
   坂田 英一君  坂田 道太君
   坂本  實君  塩田賀四郎君
   篠田 弘作君  澁谷雄太郎君
   白井 佐吉君  庄司 一郎君
   周東 英雄君  鈴木 善幸君
   鈴木 正文君  瀬戸山三男君
   關内 正一君  關谷 勝利君
   千賀 康治君  田口長治郎君
   田嶋 好文君  田中 角榮君
   田中 啓一君  田中 重彌君
   田中  元君  田渕 光一君
   多武良哲三君  高木  章君
   高木吉之助君  高木 松吉君
   高田 弥市君  高橋 英吉君
   高橋 權六君  高橋  等君
   高間 松吉君  竹尾  弌君
   玉置 信一君  玉置  實君
   塚原 俊郎君  土倉 宗明君
   辻  寛一君  圓谷 光衞君
   坪内  八郎君  苫米地英俊君
   冨永格五郎君  奈良 治二君
   内藤  隆君  中川 俊思君
   中野 武雄君  中村  清君
   中村 幸八君  中山 マサ君
   仲内 憲治君  永井 英修君
   永田  節君  夏堀源三郎君
   丹羽 彪吉君  西村 英一君
   根本龍太郎君  野原 正勝君
   野村專太郎君 橋本登美三郎君
   橋本 龍伍君  畠山 鶴吉君
   花村 四郎君  原 健三郎君
   樋員 詮三君  平井 義一君
   平津 長吉君  平島 良一君
   平野 三郎君  廣川 弘禪君
   福田 篤泰君  福田  一君
   福田 喜東君  福永 一臣君
   福永 健司君  藤枝 泉介君
   渕  通義君  淵上房太郎君
   船越  弘君  降旗 徳弥君
   細田 榮藏君  本多 市郎君
   眞鍋  勝君  前尾繁三郎君
   前田 正男君  増田甲子七君
   益谷 秀次君  松井 豊吉君
   松木  弘君  松田 鐵藏君
   松野 頼三君  松本 善壽君
   丸山 直友君  三池  信君
   三浦寅之助君  三宅 則義君
   水谷三喜男君  水谷  昇君
   南  好雄君  宮原幸三郎君
   武藤 嘉一君  村上  勇君
   村上 清治君  守島 伍郎君
   森 幸太郎君  森   曉君
  藥師神岩太郎君  柳澤 義男君
  山口喜久一郎君  山口六郎次君
   山崎  猛君  山本 久雄君
   吉田 省三君  吉田吉太郎君
   吉武 惠市君  龍野喜一郎君
   若林 義孝君  渡邊 良夫君
   亘  四郎君  犬養  健君
   大西 正男君  奧村又十郎君
   金光 義邦君  田中伊三次君
   田中不破三君  田中  豊君
   橘  直治君  坪川 信三君
   寺本  齋君  永井 要造君
   保利  茂君  山崎 岩男君
 早稻田柳右エ門君
 否とする議員の氏名
   足鹿  覺君  青野 武一君
   赤松  勇君  淺沼稻次郎君
   井上 良二君  猪俣 浩三君
   石井 繁丸君  石川金次郎君
   稻村 順三君  今澄  勇君
   受田 新吉君  大矢 省三君
   加藤 鐐造君  上林與市郎君
   川島 金次君  久保田鶴松君
   佐々木更三君  佐竹 新市君
   坂本 泰良君  鈴木茂三郎君
   鈴木 義男君  田中織之進君
   田万 廣文君  堤 ツルヨ君
   戸叶 里子君  中崎  敏君
   成田 知巳君  西村 榮一君
   福田 昌子君  前田榮之助君
   前田 種男君  松井 政吉君
   松尾トシ子君  松岡 駒吉君
   松澤 兼人君  松本 七郎君
   三宅 正一君  水谷長三郎君
   門司  亮君  森戸 辰男君
   八百坂 正君  山口シヅエ君
   米窪 滿亮君  荒木萬壽夫君
   有田 喜一君  稻葉  修君
   小野  孝君  川崎 秀二君
   北村徳太郎君  坂口 主税君
   笹山茂太郎君  清藤 唯七君
   園田  直君  高橋清治郎君
   千葉 三郎君  床次 徳二君
   中島 茂喜君  中曽根康弘君
   並木 芳雄君  橋本 金一君
  長谷川亘四郎君  畠山 重勇君
   林  好次君  増田 連也君
   宮腰 喜助君  村瀬 宣親君
   柳原 三郎君  井之口政雄君
   伊藤 憲一君  池田 峯雄君
   江崎 一治君  加藤  充君
   風早八十二君  春日 正一君
   上村  進君  柄澤登志子君
   川上 貫一君  河田 賢治君
   苅田アサノ君  木村  榮君
   聽濤 克巳君  今野 武雄君
   志賀 義雄君  砂間 一良君
   田島 ひで君  田中 堯平君
   高田 富之君  竹村奈良一君
   谷口善太郎君  土橋 一吉君
   中西伊之助君  梨木作次郎君
   林  百郎君  深澤 義守君
   山口 武秀君  横田甚太郎君
   米原  昶君  飯田 義茂君
   石田 一松君  今井  耕君
   岡田 勢一君  金子與重郎君
   木下  榮君  吉川 久衛君
   小平  忠君  小林 信一君
   河野 金昇君  笹森 順造君
   寺崎  覺君  中村 寅太君
   羽田野次郎君  船田 享二君
   松本 瀧藏君  三木 武夫君
   石野 久男君  岡田 春夫君
   黒田 寿男君  玉井 祐吉君
   松谷天光光君  佐竹 晴記君
   浦口 鉄男君
    ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第三は、提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。
 日程第三、昭和二十四年十一月二十八日農林委員会における決議無効に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。八百板正君。
    〔八百板正君登壇〕
○八百板正君 私は、ただいま上程されました。昭和二十四年十一月二十八日農林委員会における決議無効に関する決議案につき、共同提案者たる野党各派を代表いたしまして、その趣旨弁明をいたさんとするものであります。(拍手)
 まず決議案を朗續いたします。
  昭和二十四年十一月二十八日農林委員会における決議無効に関する決議
  昭和二十四年十一月二十八日農林委員会における食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案の決議は、国会法及び衆議院規則に反する違法な審議を経ているから無効である。
  右決議する。
    〔拍手〕
 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案に関しまして―この法律は、御承知の通り、すでに農民に対して主食糧の生産割当をいたしておるものに対し、その生産計画にかかわりなく、農林大臣が食糧需給上必要と認めた場合においては、作の豊凶にかかわらず、幾らでも農民に対して追加割当を命令し、応じなければ強権の発動をもあえてすることができるように、法制化せんとするものであります。しかし、今日もはや、かくのごとき法律改正は、その必要を認めないものでありまして、このことは、さきに供出後の米の自由販売を唱え、今は逆に、これとはまつたく似ても似つかぬところの追加供出の法制化を―この法律改正を押し切らんとする民主自由党の諸君の中にも、改正には内心反対を唱えるものが相当にあるのでありまして、この点より見るも明らかであります。すなわち私は、民主自由党の代議士の中にも、政治に対する良心を持つている人が、まだいくら残つていることに対しまして、深甚の敬意を表するものであります。(拍手)
 さて、この法案の審議の経過を見まするに、本件は第五国会において提案せられまして、参議院において先議議決せられたものでありまするが、衆議院の審議を終了するに至らず、農林委員会の継続審議に付され、第六国会に及んだのであります。この案件が会期不継続の建前に立つて、第六国会にそのまますべり込んで参つたことについては、種々疑義もあることであつたのでありまして、むしろ政府は、提出以来諸般の事情の変化もあり、第六国会を持たず、案件の撤回をするのが至当であつたのであります。(拍手)
 かりに、これを適法なものといたしましても、昨十一月二十八日午後九時三十一分以後の農林委員会の状態は、とうてい何人といえども正常なる委員会の審議と認めることはできないのであります。委員会はまつたく構成せず、体をなさざる混乱のうちにおいて、いつの間にか成立可決され、本会議にまわされんとしておるのでありまするが、各党各派十三名の農林委員は、まつたく委員室におりながら、委員会に参加した事実がないと申しておるというようなふしぎなる経過となつておるのであります。これは実に一方的に、不法に、作為的に行われた虚偽の会議でありまして、われわれは、断じてその効力を認めることができないのであります。(拍手)
 ところが記録を見ると、それはいつの間にか一応まとまつておるのでありまして、まつたく唖然たらざるを得ないのであります。この委員会は、小笠原委員長がまず理事会の申合せを尊重せず、一方的、不公平な審議を強行せんとしたことに端を発しまして、委員長に対する不信任が小林委員より出て参りまして、委員長代理として山村理事が立つたのでありまするが、不信任動議の審議にあたりまして、委員長代理は、またその審議に公正を欠いたのであります。すなわち、委員長代理が、これより討論に入ります、ということを宣言いたしました後において、民主自由党の八木委員から発言を求め、八木委員は、突然討論打切りの動議にこれを切りかえて参たのであります。この不当なる発言を処理いたしましたところの代理委員長の処理は、まことに公正を欠くものがあつたのでありまして、ここに重ねて委員長代理に対する不信任案が出るということになつて参つたものであります。
 元来速記というものは、委員会が現実に開かれて、その委員会の記録でなければならないのでありまするが、━━━━━、実体たる委員会がないのに、記録だけでき上つたというのでありまして、━━━━━━━━━━━━━━━━━今試みに、先ほど写して参りましたので、参考までに、あまり長くもありませんから、速記を読み上げて御説明申し上げたいと思いまするが、速記録によりますと、
    午後九時三十一分開議
 ○山村委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。
    〔発言する者多し〕
 ○山村委員長代理 御着席を願います。小林君外十一名提出、委員長不信任案を採決いたします。賛成の方の御起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
と、こう書いてあります。
 ○山村委員長代理 起立少数。よつて否決されました。
こういうふうに、きれいに書かれておりまするが、実際においては、会議は混乱のうちに、まつたく何が何だかわからないうちに行われているということを申し上げておくものでございます。(拍手)
 次に
    〔山村委員長代理退席、委員長着席〕
 ○小笠原委員長 これより…(発言する者多く、議題騒然、聽取不能)…決議案を議題とし、討論に入ります。小林君の退場を命じます。これより討論の時間は一人十分以内とし…御異議ありませんか。
    〔「異議あり」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
こういうふうになつております。
    〔「異議あり」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 ○小笠原委員長 御異議ないようであります。…(発言する者多く、議場騒然、聽取不能)…時間の制限がありますから…(発言する者多く、聽取不能)…退場を命じます。…(聽取不能)賛成の方の起立を求めます。
 記録にはこういうふうになつておりまするけれども、現実にこの委員会の部屋に入つておつた人は、何が何だかわからないという状態において進められておつたのであります。「賛成者起立」と書いてありまするが、全員総立ちの状態の中において、たれが起立したかということは、一体わかるでありましようか。
 ○小笠原委員長 起立多数。よつて討論の時間は一人十分以内に限ることに決定いたしました。これより討論に入ります。松浦君。――松浦君。
ところが、このあとで松浦君が発言をいたしておりますが、私は普通の人間でありまするならば――耳が八つあつても、この松浦君を呼んだ名前は聞こえなかつたのであります。ところが、松浦君はちやんと立つて、
 私は民主自由党を代表して、ただいま課題となつておりまする食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案に賛意を表するものであります。われわれは、元来統制経済中から継続せられておりまする…(聽取不能)…供出には…するものでありますが、しかしながら
云々というふうになつております。
 次に
 ○小笠原委員長 他に反対討論はありませんか。
    〔「異議あり」「異議なし」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
 ○小笠原委員長 山村君。
 ○山村委員 爾余の討論は打切られんことを望みます。
 ○小笠原委員長 討論終局の動議が出ました。
ところが実際は、こんな動議が出たということは、だれも知らないのであります。(拍手)
    〔「異議あり」「異議なし」「賛成」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
 ○小笠原委員長 討論終局に賛成の方は起立を願います。
    〔賛成者起立〕
ところが、先ほど申上げましたように、総員起立の状態において、だれが賛成者で、だれが反対したということは、まつたくわからないのであります。しかもこの中には、委員もおれば、委員外の人も、傍聽者もおるという状態でありまして、定足数があるかないかも、何もまつたくわからないという状態であつたのであります。ところが小笠原委員長は、起立多数。よつて討論は打切ることに決しました。
    〔「異議あり」「異議あり」と呼び、その他発言する者多く、議題騒然〕
 ○小笠原委員長 これより食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
と書いてありますが、これまた先ほどと同樣でありまして、総起立の状態において、だれが起立したかということは、まつたくわかる余地もないのであります。
 ○小笠原委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
これで九時四十九分となつて終つておるのであります。
 かようにして、委員長は議決せられたことに一応なつておるのでありますが、あの委員会に出席されていたところの委員、大多数の傍聽者は、今読み上げた記録をお聞きになつて、與党の諸君も、おそらく唖然として驚いておられるであろうと思つております。あの状態の中におきましては、いかに有能━━━━━といえども、あの状態を━━━記録することは不可能であります。もしそれ━━━━━━━━━一方的に、議了されぬことを議了したというふうに作成されるといたしたならば、それは国権の最高機関をもつて任ずる国会が、みずからの立法府の権限を蹂躙するものであるといわなければならないのであります。(拍手)さらにまた、━━━━━━━━━━━━━━━━━。三千万農民が、成行きいかんと、監視の眼をこの食確法の中に集中いたしておるこのときにあたつて、国民監視の中に、われわれは国民の代表として、真劍に、何人もうなづける形において審議をしなければならないのに、こんなことは、はたして許されるでありましようか。━━━━━━━━━━━━━━━━。こんなことをするならば、常任委員会などはいらないのであります。
 しかも、委員会の審議を冷靜に、客観的にこれを見て、国会の権威ある運用を行うべきところの運営委員会においてすら、本件の効力に関する審議は、何ら冷靜に審議せられず、理不盡にも多数をもつて押し切り、農林委員会と同樣のことが繰返されておるのであります。(拍手)私は、国会の権威のため、諸君の名誉のため、この議決の無効決議をすべきことを主張するものであります。最高の立法府がやらないことをやつたと、うそをつき、これで法律をつくつて、こんな法律を農民にだけ守れと言うのであるか。こんな悪例を今後に残すといたしましたならば、今日以後の国会の権威のために、断じて見のがすことができないと思うのであります。(拍手)
 そもそも食糧確保臨時措置法のこの改正は、すなわち生産の確保を目的といたしましたところの法律であります。しかし、この法律改正が通りますならば、食糧の確保はできなくなります。むしろこれは、食糧の確保でなくして供出の確保であります。生産確保の処置は何らとられておらないのであります。この法律の中には、第三條に、生産確保のための政府の果すべき義務を規定いたしておるのでありますが、しかし、この資金、資材の裏づけは、一向に政府の手によつて実行いたされておらないのであります。
 今日、農村の近代化であるとか、合理化であるとか、あるいは外国農業に対して太刀打ちのできるように日本の農業を引上げなければならないというふうなことが問題にせられておるのであります。あるいは農業協同組合がそういう役割を果すものとして考えられる。しかしながら、今日日本の農業は、零細なる農民の自己資金をもつてしては、とうていみずからの経営を改善することができないという状態にあるわけであります。重い税金を政府はとる一方でありまして、当然この農民の重い税金に対する、農民の生活を引上げるための財政上のお返しの支出を農村につぎ込まなければならないのであります。この義務があるのであります。農村の貧乏が農民の責任によつて起つておりまするならば、農民みずからの力によつて、資金の心配をするということもよろしいでありましようけれども、これらの責任は、あげて政治の責任といわなければならないのであります。
 ところが、今日政府は、農業政策の上において、農民に対して、自由競争だ、財政的援助はやらない、農民みずからの力で立ち上がれ、金がいるならば、百姓の信用で借りろというように、冷酷にも、これをつつぱなしておるのであります。自由競争というものは、同じ立場に立つておる人に対してのみ言い得ることでありまして、長い間農民を押さえつけて参りましたところの政治のため、段違いができておる、この遅れておる農民に対して、同じ立場に立つて自由競争をやれと言つても、これはむりな話でありまして、こういう遅れたものを踏みつけてやつて行くやり方では、断じて民主主義というものは成長すえうわけはないのであります。
 ところが財政援助はしないと一方においては言いながら、農民のつくつた食糧は、安い値段で供出を強制しておるのであります。米の値段のきめ方は、一体あれは何ですか。專門家を集めて農民の意見を聞くようなかつこうちして、事実、米価審議会の意見の四千七百円を弊履のごとく踏みにじり、四千二百五十円の低米価を決定したではありませんか、これでは米の値段ではありません。しかも、農林大臣の意見がほとんど尊重せられずに、財政上の理由が主となつて、米のことはまつたく御存じない大蔵省あたりの立場からきめられておるではありませんか。農林大臣が大蔵大臣の兼任みたいはかつこうであります。これでは、米価ではなくして、農民の財政の負担の重さを定めたところの年貢と同樣のものであるといわなければならないのであります。かような性格の米価で米を供出せしめて、さらに追加供出の値段の三倍を二倍に引下げて、農民に対する財政のしわ寄せをかくのごとく押しつけておるということは、まつたく見るにたえないものがあるといわなければならないのであります。
 一昨日の補正会議は、二百四十五万石の補正をきめたのでありますが、このとき、一方において、ここに追加供出を法制化するところに農民威圧の悪法が、しかもインチキ同然の審議によつて、国会がこれをきめつけようとしておるのであります。これでは片手で、ちよつとばかり百姓の頭をなでて、こちらの手でひつぱたくと同樣でありまして、われわれは、農民の立場において、断じてこれを承認することができないのであります。こんなことをいたしますならば、食糧確保どころではなくして、食糧の生産は低下するということは、火を見るよりも明らかであります。こうした法律の強行は、農民の不満と反撃を買つて、食糧確保の意図する方向とはまつたく逆の結果を招くであろうということを考えるわけであります。
 民主自由党の諸君も、また虚心坦懐、省みて過ちを改めるにはばかることなく、率直に、みずからの品位を守るために、本決議に賛成されるよう特に勧告いたしまして、農林委員会の決議無効の趣旨弁明を終るものであります。

○副議長(岩本信行君) これより討論に入ります。足立篤郎君。
    〔足立篤郎君登壇〕
○足立篤郎君 ただいま議題となりました、一昨日の農林委員会における決議無効の決議案に対しまして、民主自由党を代表して反対の討論を行わんとするものであります。(拍手)
 食確法改正案の審議は、御承知の通り第五国会以来継続して、すでに十二分の審議が盡され、一昨日ようやく本国会の大詰めとなりまして、最後的審議が行われたのであります。一昨日の審議は、われわれ與党側の委員といたしましては、あくまで円満裡に事を運ばんとする考えから、当初より、野党側の御希望に対しまして、できるだけの讓歩をいたし、特に小笠原委員長は、忍ぶべからざるものを忍んで、むしろ與党側議員の意見さえも押えまして、審議時間を延長し、十分論議を盡した上、これを解決せんと努力されたのであります。質疑時間として各派が紳士的にきめました時間が終了するや、社会党の田中織之進君から特に御希望がありまして、追加質疑を行つておる事実があるのであります。この協定にないことをしても委員長は認めまして、その質疑を許したのでありまして、この会期切迫の際に、しかも当初より協定をいたしておりましたその協定にないことをさえも委員長のとりはからいは、ただいま私が申し上げましたようなお気持であふれておつたものと私は信じております。
 しかるに野党側は、田中君の質疑が終了いたしますと、次々と議事遷延の策を弄しまして、動機その他の発言を行い、遂に委員長の不信任案を提出し、続いて仮委員長に対する不信任案をも提出して、議事の混乱を策して来たのであります。議場を混乱せしめるために、ことさらに騒ぎ立て、あるいはかつてに議席を離れて委員長席に殺到し、議事の進行を妨害するのみならず、委員長を包囲いたしまして、いわゆるつるし上げにもひとしき行動をとつたのであります。(拍手)與党側の隠忍自重につけ込みまして、怒号、叫喚、そうして脅迫的言辞を弄しまして、議事の妨害をはかり、あまつさえ多数の委員外議員が委員室になだれ込んで参りまして、議事の混乱を策したのであります。まことに陋劣きわまりない、唾棄すべき行動であります。(拍手)
    〔「よくそんなことが言えたものだ」「うるさい、恥を知れ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
○副議長(岩本信行君) 御靜粛に願います。
○足立篤郎君(続) 現に、先ほど副議長の不信任案について趣旨弁明を行いました社会党の赤松君、あるいは共産党の林君、当日農林委員会にあらざるにもかかわらず、委員室に乱入しまして、かつて気ままな暴言を吐き、議事進行を著しく妨害いたしたのであります。(拍手)
 先ほど林君は、民主自由党の多数による言論を、―であると、ここで申されました。ただいま私が御報告申し上げましたような、一昨日の農林委員会におきますところの野党諸君の行動は、行動は、━━以上の━━と言わざるを得ないのであります。まさに━━━━━であります。現に…
    〔「━━━━━とは何だ、取消してください」「━━━━━とは何だ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
○足立篤郎君(続) 現に議場混乱の当時、仮委員長をいたしておりましたわが党の山村君は、委員長席に着いていながら、乱暴ろうぜきの目にあいまして…
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○副議長(岩本信行君) 御靜粛に願います。
○足立篤郎君(続) ところきらわず、なぐられたということを、御本人がはつきり申しております。この混乱が終りました際には、山村仮委員長は、頭髪は乱れ、顔面紅潮いたしまして、まことに見る影もない状態で、この野党議員の包囲を脱出いたしたのであります。
 以上の状況下におきまして、議事はきわめて困難でございましたが、與党側委員の結束によりまして、討論を打切り、採決を終了いたしたのであります。申すまでもなく、與党は絶対多数でありますので、與党側委員のみをもつて委員会は有効に成立いたしました。(拍手)現に議席を離れて室内を彷徨しておりました野党側委員の諸君は、自らの審議権を放棄したものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)その経過は速記録によつて明瞭であります。(「違う違う」と呼ぶ者あり)
 私は、一昨日の経過をまのあたり体験いたしまして、見のがすことのできない事実は、この神聖なる民主国会の議事の妨害が、民主政治の敵であるところの脅迫と━━によつてなされた事実であります。(拍手)かりに、この決議が無効であると主張するならば、これこそ野党側の━━による妨害によるものでありまして、民主政治にかわる━━政治と言わざるを得ないのであります。
    〔「━━とは何だ」と呼び、その他発言する者多し」〕
○副議長(岩本信行君) 靜粛に願います。
○足立篤郎君(続) のみならず、自己の非を顧みず、翻つて他をそしらんとする野党各派の本日の態度は、その良心を疑うものであります。われわれは、かくのごときことを断じて認めることはできないのみならず、一昨日の農林委員会における野党各派の行動は、民主政治を破壊する、野蛮きわまる━━主義者の行為といわざるを得ません。(拍手)冷靜なる国民の批判は、やがて峻烈きわまるものとなつて、一大鉄槌を下さずにはおかないと思います。
    〔「━━とは何だ、取消せ」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○副議長(岩本信行君) 靜粛に。――御着席を願います。
○足立篤郎君(続) 私は、ここに野党各派の諸君に対し冷嚴なる警告を発するものであります。(拍手)
 以上の事実にかんがみまして、わが民主自由党は、本決議案に対し断固として反対の意思を表明するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) ただいまの足立君の発言中━━という言葉は取消しを命じます。その他不穏当なる言辞があれば、速記録を取調べ、適当の措置をとることといたします。
 村瀬宣親君。
    〔村瀬宣親君登壇〕
○村瀬宣親君 私は、民主野党派を代表して、ただいま上程に相なりました昭和二十四年十一月二十八日農林委員会における決議無効に関する決議案に賛成の意を表明するものであります。(拍手)
 昨日の農林委員会は、食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案をめぐつて、混乱のまま散会となつたのでありまするが、そもそも食礁法改正案は、孟子のいわゆる民を罔するの方策として、全国農民の視聴を集めた、きわめて重要なる法律案でありまして、第五国会以来、農林常任委員会は、精魂を傾けて慎重審議に当つて参つたのであります。
 由来、わが国の歴史は、三千年の久しきにわたつて、常に農民の犠牲において国家の発展がはかられて来たのでありまするが、新憲法実施後の今日において、再び農民の犠牲の上に経済の再建をはからんとする思想が、食礁法改正の根底となつているのであります。従つて、食礁法の改正案は、食糧を確保する根本方策を、農民の協力によらず、農民に対する脅迫によつて確立せんとするものであり、(拍手)農民の増産意欲を振興するかわりに、農民の恐怖観念を振起して農産物を供出せしめんとするものであります。
 わが国の農民は、文化にも恵まれず、何らの娯楽もなく労働基準法の実施にもかかわりなく、ただ勤労を生涯の使命として、腰のかがむまで重労働に服している実情でありますが、かかる苦難多き朝夕にかえるものは、ただ何ものにも束縛されず、大気の中に自由な天地を楽しまんとする一点にあるのであります。ことに、今日まで全国農民は、今回改正の眼目となつている主食の超過供出についても、ほとんどその責任を果して来ているのでありまして、世界の食糧事情の好転により、日本農業の転換期に立つ農民は、みずから迫り来る運命を予期して、米麦の供出についても、つとめてその増大をはからんと苦慮しているときでありますから、農民心理にさからうことなく、政策よろしきを得るならば、増産と忍苦をもつて政府の食糧政策に協力することは、何人も疑う余地はないのであります。もし不安ありとするならば、それは、政府が道理にもとる收奪価格をきめて、米の再生産を償うことのできない低米価をもつて農家経済を崩壊せしめんとする政策のために、農民が全面的に離反することを想定するからであります。(拍手)
 吉田内閣成立以来、施政の基本方針として自由主義を高く掲げ、あらゆる統制を撤廃して、幾多の摩擦や混乱をも顧みず、まつしぐらに自由主義経済に復帰する政策を実行しながら、ひとり勤勉なる農民に対してのみ無法なる束縛政策をとり、強権を振りかざして農産物を供出せしめんとする食確法改正案は、農民の人権擁護の観点からも、これが審議に心血を注ぐべきは当然であります。参議院においては、第五国会において食確法の改正案を審議した結果、本案は農民に対する一方的な義務づけのみを規定し、これをしいる政府の側に、義務の履行につき何らの責任規定も設けられていないことを片手落ちとして、食糧増産確保基本法案を立案し、一方において農民にかたきをしいる代償として、主要食糧農産物の増産を容易かつ適切ならしめるため、土地改良、災害復旧、農村金融その他重要なる数項につき、政府において積極的な措置を講ずる責任を、法律をもつて義務づけることとしたのであります。昨日、農林委員会において食確法改正案の質疑終了に伴い、当然この食糧増産確保基本法に対する立案者及び政府の真意をただしておく必要ありとして、これを提案したのでありまするが、小笠原農林委員長は耳をかさず、言論を封じてこれを否決してしまつたのであります。食確法改正案の最後の腹をきめるには、表裏一体をなす食糧増産確保基本法の真髄につき最後のだめを押すことは、農林委員として当然の責務であるにかかわらず、これに対する処置を誤つたところより、あるいは理事会の申合せを無視して委員の発言を封じた責任等を追究して、遂に小笠原農林委員長の不信任案が提出せられ、かわつて委員長席に着いた山村委員長代理は、委員長不信任案の討論に入ることを宣告しておきながら、その後に至つて、議事進行に籍口して、一人の討論者をも許可せず、多数による言論封鎖の一手を強行せんとしたために、重ねて委員長代理の不信任案が提出せられ、議場は極度の混乱に陥り、農林委員にして自席になる者ほとんどなく、傍聴の議員と入りまじつて、喧騒と混乱の中に散会となつたのでありまして、委員長、委員長代理ともに不信任のままの状態において、議場の整理も、発言の聞取りも、まつたく不可能であり、かりに賛否を起立に問うたとしても、何人が起立して、何人がすわつていたかを確認することは、絶対に不可能な状態にあつたのであります。
 これを証明する一例として、昨日の農林委員会の速記録と称するものを見てみますと、これほど重要な食確法改正案の討論が、單に松浦君の賛成討論一人にとどまり、あれほど身命を賭して反対して来た野党各派の農林委員は、全部委員会場におつたにもかかわらず、一人の反対論も速記の上に現われていないのであります。日本農民の現状を知つている委員は、本法案が農民をして格子なき牢獄につながんとする、道義にもとつた法律であることを指摘して、たとい血を吐いても、全国農民の名において反対討論を絶叫し、新憲法下の日本において、かくのごとき農民に対する恐怖政治をしかんとした政府のあつたことを、国会の歴史の上に銘記して置かねばならぬと思わぬものはないのであります。しかるに、この記録の見出されないのは、いかに昨日の農林委員会の会場が混乱の極にあつたかを証明しているのでありまして、かりにその間の速記録━━━━━━ができているとしても、かくのごとき喧騒混乱の状態の中に━━━━━━━━━━━━━━━━━━━できないのであります。
 最後に、ただいま足立委員会は、野党が━━━的行為に出たと言われましたが、事実はその反対である。一例を申し上げたい。田中委員が、最後に事務総長を呼んで来て、おとなしく冷靜に両院の不信任案に対する処置を聞いておつたそのとき、委員長席のコツプやフラスコをとりのけて、戰闘態勢に入つたのはだれであつたか。(拍手)実に民自党の方々が━━、委員長の命令したのでもなく、互いに傍聽に入り込んでおつたところの民主自由党の代議士たちが、みずからフラスコをとりのけて机の上を整理したということは、これは野党各派が、冷靜に議事の進行にあたつておつたものを、ことさらに戰闘態勢に入つたものでありまして、(拍手)もしきのうの委員会に━━行使した者がありといたしまするならば、それは民主自由党の方々なのであります。
 私は、以上の理由により、本決議案に賛成の意を表するのであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 高田富之君。
    〔高田富之君登壇〕
○高田富之君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本決議案に全面的に賛意を表するものであります。
 私も、この日、委員の一人として、最後の通告に基づく質問をいたしたのであります。前日の理事会におきましては、私どもも了承いたしまして、ぜひとも有終の美を飾るべき質問をいたし、計画的に議事を運行いたしまして、そうして円満裡に本結論がこの本会議に掲案せられることを期待し、予期しておつたのであります。そうして私どもは、約束通り、正午前十時にはちやんと委員会には出たのであります。
 しかるに、このくれぐれの約束にそむいて、十時以後に遅れて参りましたのは、與党の委員諸君であつたのであります。私どもは熱心なる質問を展開いたしておりますと、與党の諸君は引延ばし策だというようなことを呼号して、委員長席へ殺到いたしました。このことには、私どもは質問しておりながら、非常に異樣の感に打たれた。あのような理事会における約束があるにもかかわらず、今度は私どもに対しまして発言を封じ、計画的にこれらの審議を略しまして、いわば━━的にこれを本会議を持つて来ようとする意図が、午前中すでにうかがわれたのであります。はたせるかな、午後に至りまして、まつたく無法きわまる方法によりまして発言を押え――このことは、先ほど提案者が速記録を読み上げました。
 私どもは、この速記録を見ましても、この委員会は、まつたく委員長一人がやつた委員会であることは、疑う余地がありません(拍手)そうして、賛成者が起立をしたというようなことが書いてありますけれども、立つていましたのは、ほとんど全員でありまして、そうして口々に万歳を呼号しながら、たくさんの人々が両手をあげて、もうほとんど連続的に立つておりました。これが採決でありますか。こういうふうな、委員であるか委員でないか、何がなんだか全然わからないうちで、万歳が終始連呼されておる中に、このような混乱のうちにこの委員会が散会したのであります。私は正面におりまして、最後まで見ておりましたけれども、おそらく民自党の委員諸君といえども、あの席におきましては、委員長が何を言つたのか、何をしているのか、全然わからなかつたことは事実であります。(拍手、発言する者多し)
 私は、ここでふしぎに思うことは、今まで長い間、食糧確保臨時措置法の改正につきましては、與党の委員諸君も通過を望むがごとく、望まざるがごどく、だらだらやつて参りました。そうして最後になりますと、このように手段を選ばずに、これを強引に通過するがごとき態度に出るに至つたことであります。これは新聞紙上にも報道せられておりますように、吉田首相がこれを心配しまして、民自党の農林委員諸君と幹部を外相官邸に招き、最後的に強いお達しがあつたらしいのであります。こういうふうに、総理大臣の一言によつて、諸君が言わんとすることも言えず、信念を主張することができないようなもので、もしあるとすれば、これこそ民主自由党の二百七十名は、これはまつたく、私は政党というには値しないものではないかと思うのであります。(拍手、発言するもの多し)もしこういうことで委員長がやられるならば、━━━━━━━━━━━━━━━━━こういうふうな、ばかばかしいことが、これが正当な委員会の議決として、この本会議場の日程に上されるがごときことは、これは常識ある者のとうてい許すことができない暴挙であります。
 このことにつきましては、一昨年の十二月、ほぼ同じような事態があつたのでありまして、時の自由党におきましては――、ここに速記録を持つて来ておりますけれども、御存じの方もあるでしようが、今民自党の諸君は、このことを思い起していただきたい。実にりつぱなことを言つておられる。敬服する。ことに、このとき演壇に立たれましたのは、私の同郷埼玉県選出の現民自党代議士であられる、崇敬おくあたわざる私の先輩であります佐瀬昌三さんであります。(笑声)この佐瀬昌三さんは、御承知のように、りつぱな法律家としまして、いろいろ事実も述べておりますけれども、法律論のところでは、明確にかくのごとく言つておられる。これをもつて、私の違法論の根拠に、そのままここで拝借させていただきたい。「およそ議案、法案にして委員会の審議に付されたる場合は、その審議終了の後に初めて本会議にこれを議題となし得ることは、国会法及び衆議院規則第百十一條、第百十五條、第百二十二條等に照らして、きわめて明瞭であります。しかるに、右のように、農林委員会は全然審議を終了せずして、うやむやのうちに散会したにもかかわらず、議長はいわゆる四公団法案を議題に供したのでありますが、未だ委員会において審議を終了せざる議案を議題となすごときは、まさに衆議院規則第百二十二條による場合のほかは、同規則第百十五條に反するところの、議長の違法行為であるといわざるを得ないのであります。これ本会議における違法の第一であります。」なお、るる詳細にこの違法を説明いたされまして、「この違法なる行為によつてできたるところの表決が、はたして有効に成立し得るものであるかどうか。諸君の常識の判断によつて明白であります。」最後の結論は、「かかるもろもろの違法行為は、議会政治を根底から覆えす暴挙であり、名誉ある第一回国会にぬぐべからざるお点を印したものであるといわなければなりません。われらは、憲法を尊重し、議会政治を擁護するために、かかる独裁違法行為には断固反撃するものであります。」このような理由をもちまして、農林委員会決議並びに本会議の決議無効の緊急決議案は、このような佐瀬さんのりつぱな論旨に対しまして、民主自由党の前身である自由党の方々は、割れるような拍手を送られております。
 こういうように、おそらくこのときの事態は、自由党の諸君が相当おられたのでありましようけれども、今回の事件のようなものではなかつたと、私の聞いた範囲では言つております。しかし、事態はどうであろうとも、小さいことであろうとも、良心的にその小さいことを取上げて、このように堂々たる主張をせらた当時の面影が、今の民主自由党のどこにあるのでありますか。少くとも私の尊敬する佐瀬さんだけは、われわれと同じ立場をとつてくれておると確信しております。
 私は、今回の農林委員会におけるこの大失態は、これは單に偶然的なものではないと思う。これは民主自由党の国会運営の常套手段であります。たとえば野党の発言を押えること、私どもが野党連合で提案いたしました決議案、現在国民の最も関心の的でありますところの失業対策決議案とか、あるいは賃金ベース引上げ勧告に関する決議案というような、目下最も重――少なくとも本臨時議会におきましては、まつ先に大々的に取上げられなければならない議案を、これを委員会に付託した。委員会に付託したまでは、まあいいといたしましても、付託された委員会は全然休業であります。サボタージユをやつておるのであります。こういうふうにいたしまして、ずつとサボつて参りまして、最後のどん詰まりに来ますと、いろいろなものを一ぺんに出して、そうして発言を押えて一挙に通過させてしまおうという、多数をたのむ━━的な運営方針が終始一貫とらえておるのであります。
 このようなやり方を諸君が行いますゆえんは、結局民自党の諸君がやろうとすることが、ことごとく国を破壊に導き、外貨に隷属せしめ、売国的な諸政策を実行する上においては、十分な論議をかわし、国民の前にその正体をさらけ出すことをおそれ、諸君は多数をたのんで、時間がないということを口火にして、会期すれすれにこれを徹底的に通過せしめるのが、諸君の国会運営の基本方針なのです。こういう方針がとられている限り、今回のような事件は、これからもしばしば諸君の手によつて引起されるでありまししよう。
 私どもは、このようなフアツシヨン的なやり方――諸君は、おそらくできるならば、国家総動員法か全権委任法でもつくつて、全部吉田さんにおまかせしたいというのが本音でありましよう。しかしながら、かような国会軽視の諸君のやり方に対しまして、私どもは今後とも徹底的に闘う。そうして、国会の権威を高め、民主主義を徹底するために、わが党は志を同じゆうする諸党とともに徹底的に闘つて行く所存であります。
 諸君は、口を開けば、共産党は議会軽視であるとか、議会無視であるとか、暴力党であるとかいうことを言いますけれども、これは、前討論者も言われました通り、そのまま諸君に当てはまる言葉でありまして、私どもは、今日の憲法の中にある進歩的な精神と徹底的に伸ばして、そうして国会の機能を最大限に活用し、もつて平和的方法による革命をやるということは、しばしば中外に宣明しておる通りであります。こういう立場に立ちまして、このたび本決議案が野党の共同提案として出るにあたりまして、わが党は率先これに参加し、そうしてこのフアシズムの方向を歩む民自党の諸君に対し、今後とも闘い抜く決議をここに明らかにした次第であります。どうか民自党の諸君が、かつての自由党の言つた言葉を思い起して、国会の権威のために、本決議案に対しては全面的に賛意を表せられんことを、特に御忠告申し上げる次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 吉川久衛君。
    〔吉川久衛君登壇〕
○吉川久衛君 私は、新政治協議会を代表いたしまして、ただいまの決議案に対して賛成に意を表するものであります。(拍手)
 私は、第一回国会以来、委員会をかわること四回、その間、今回の農林委員会ぐらい非常に気分のよいところはないように感じております。その原因は、われわれの平素敬愛するところの小笠原氏を委員長とし、そうして委員諸君の人柄によるのかと、いつも感激していたものでありまして、すべての議事がきわめてスムーズに行われて来たのであります。ところが、一昨日のあの光景は何たる醜態でありましよう。これは、この問題が食糧確保臨時措置法の一部改正に関する法律案であり、この法律案なるものは、民自党の諸君の支持されるところの吉田内閣が、まつたく平素の主張と矛盾したところのものを上程されたところに発するのであります。
 この食糧確保臨時措置法は、元ありましたところの作付統制にかわつて、そうして次から次へと、農林官僚の手先によつて追加供出がはてしなく繰返されては、農民は安心して製産に服することはできない。そこで、事前制当制度をとりまして、一定の割当量をきめて、それ以上は、民自党の諸君の言われるような自由販売ができればけつこうでありますが、配給制度で統制されている限り、自由販売はできないということから、特別価格を持つて買い上げるようなことによつて、再生産の資本の蓄積をやらせるような思いやりによつてできていたのであります。しかも、それが実施以来満一年を経過せず、本国会において制定されたものが末端まで行き渡らないうちに、これをすぐ改正しなければならないということは、一体どこに理由があるのでありましようか。農民は、事前割当によつて、供出の超過分に対しては相当の高い価格をもつて買つてもらえるということで、非常に生産意欲が高揚することに相なつたのであります。政府の需要調節の都合で超過分の供出割当を要請されたのでありますが、ただの一回もこれが断られたことがなかつた。これをはばんだことがない。
 しかるにもかかわらず、この食糧確保臨時措置法に対して一部改正の法律案を上程されたということ、これはおそらく民自党の諸君の願うところではなかつた。民自党の諸君の支持されているはずの吉田内閣が、まつたく民自党の諸君から浮いて、そうして政府案として出されたものであります。審議の過程におきまして、民自党の諸君は、これはわれわれの審議すべきものでないということが明瞭に相なつて参りましたので、われわれ野党の人々とともに、まつたく同じ態度をとられたのが、すなわち第五国会において、遂にこれが完全に審議することができないで、継続審議に移されるに至つた根本原因でございます。(拍手)
 しかるに、本国会におきまして、民自党の諸君の態度がすつかりおかわりになりました。これは吉田総理に因果を含められたか何か知りませんが、おそらく民自党の農林委員の諸君は――、少なくとも民自党の農林委員会の諸君は、農林政策として、かくのごとき悪法を通してはならないということは、重々おわかりのはずでありますけれども、民自党の農林委員会以外の大部分の方々が、農林行政に対する無理解から、これらの人々をして、遂にこの法案を通過させなければならないという状態に追い込んだことを、私は考えさせられるのであります。(拍手)民自党の性格を如実に示しているものであると言うことができると思うのであります。これすなわち、この国会におきまして、審議の最後におきまして、かくのごとき問題が勃発したところの一つの原因であつたと思います。
 もう一つは、社会党の井上委員が出されましたところの動議、すなわち、食糧確保臨時措置法の一部改正法律案は、昭和二十三年十二月二十四日司令部から出されましたところの指令に基いて成案せられたのでありますけれども、それはただ農民から取上げる面ばかりを考えている、農民に與えることを考えていない一方的な收奪の法案であるから、これに対する一つの裏づけを與えなければ、増産して食糧を確保することはできない、こういうことで、参議院においては増産の基本法案というものを附帯して参議院にまわしてよこされたわけであります。この問題をあわせて考えることにおいて、初めて司令部から出たところの指令の趣旨にも沿い、しかも国民農政の将来に対しては、これでなければならない、しかるに、この問題について参議院からの説明を求める意思はないかという動議を出されたのに対して、小笠原委員長は、これを委員会にも理事会にも諮らないで、すみやかにこれを採決して、そしてこの農林行政に対するところの無理解な態度をとられたということが、遂にこのような事態を生んだところの大きな原因になつておるわけであります。(拍手)
 私は、委員会における理事といたしまして、小笠原委員長を助けて、何とかしてこの問題を円満に解決したいと、あらゆる努力をいたしたのであります。そのために、私は委員長と速記台との中間にあつて…(「乱暴したのだろう」と呼ぶ者あり)乱暴した覚えはございません。理事会を開いて、そうしてすみやかにこの問題を処理したらどうかということを、幾たびか進言したのでございますけれども、何のためか、非常におあせりのようでありまして、遂にわれわれの要求はいれていただけませんでした。そのために事態は紛糾する。そのうちに委員以外の諸君が入り込んで来て、議場はいよいよ混乱に陥つたのであります。
 提案理由の説明にもありました、あるいは賛成演説をなさつた同僚議員の諸君の言葉の通り、私は全面的にこれを認めるものであります。そうして、そのときの光景は、━━━━━━━━━━━━━━━━━はなはだ奇怪千万であるといわざるえを得ないのであります。(拍手)私は、かつて野溝農林委員長がとられたときの行動も、この目で拝見をいたしました。国会というところは、ずいぶんむちやなことをするところだなと思いましたが、しかしながら、このときに比べて、まだまだ非常な相違があるのであります。今回のごとき、あのような事態において可決されたとするならば、一体われわれの議員審議権というものはどうなるのでありましようか。あのような光景を国民の目の前にさらしたならば、国民はおそらく失望落胆するでありましよう。選良の集まつた国会において、あのような醜状をさらして、しかも速記もとれないような、状況下において、これで可決したというような、そういう国会の運営で、一体国民のための政治がとれるでありましようか。(拍手)
 諸君、本日の議院運営委員会は、数時間にわたりましてこの問題について審議され、そうしてほとんどの結論が得られないで、遂に夕刻に達したのであります。ところが、民自党の諸君の中にも、きわめて賢明な方がおられました。そうして、野党から二、三名、與党から一、二名の、きわめて少数の人々によつて基本的な話をしてそれから運営委員会へ持つて行こうじやないかというこが提案されました。それが遂に、今晩のような、このように、問題がきわめて円滑に進むようになつたもとになつているわけであります。急がばまわれで、混沌たる混乱の状態において、むりをして可決するような、国会の権威を失うような、そういうむちやをせずに、手を盡してやるべきが大党の態度でなければならないと思います。私は、あの委員会における混乱のさ中において、速記もとれないような状況下において行われて可決されたところの決議は…
○副議長(岩本信行君) 吉川君に申し上げます。簡單に願います。
○吉川久衛君(続) 効果なきものと認めざるを得ないのであります。
 こういう意味におきまして、私は本案に対して絶対賛成するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これについて討論は終局いたしました。
 本案につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を御持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○副議長(岩本信行君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。閉厘。閉鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○副議長(岩本信行君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百二十五
  可とする者(白票) 百十五
    〔拍手〕
  否とする者(青票) 二百十
    〔拍手〕
○副議長(岩本信行君) 右の結果、本案は否決せられました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 昭和二十四年十一月二十八日農林委員会における決議無効に関する決議案を可とする議員の氏名
   足鹿  覺君  青野 武一君
   淺沼稻次郎君  井上 良二君
   猪俣 浩三君  石井 繁丸君
   石川金次郎君  稻村 順三君
   今澄  勇君  受田 新吉君
   大矢 省三君  加藤 鐐造君
   上林與市郎君  川島 金次君
   久保田鶴松君  佐々木更三君
   佐竹 新市君  坂本 泰良君
   鈴木茂三郎君  鈴木 義男君
   田中織之進君  田万 廣文君
   堤 ツルヨ君  戸叶 里子君
   中崎  敏君  成田 智巳君
   西村 榮一君  福田 昌子君
   前田 種男君  松井 政吉君
   松尾トシ子君  松岡 駒吉君
   松澤 兼人君  三宅 正一君
   水谷長三郎君  門司  亮君
   森戸 辰男君  八百坂 正君
   山口シヅエ君  米窪 滿亮君
   荒木萬壽夫君  有田 喜一君
   小野  孝君  川崎 秀二君
   小林 運美君  坂口 主税君
   笹山茂太郎君  清藤 唯七君
   園田  直君  高橋清治郎君
   床次 憲二君  中島 茂喜君
   中曽根康弘君  橋本 金一君
   長谷川四郎君  畠山 重勇君
   林  好次君  増田 連也君
   宮腰 喜助君  村瀬 宣親君
   井之口政雄君  伊藤 憲一君
   池田 峯雄君  江崎 一治君
   加藤  充君  風早八十二君
   春日 正一君  上村  進君
   柄澤登志子君  河田 賢治君
   苅田アサノ君  木村  榮君
   聽濤 克巳君  今野 武雄君
   志賀 義雄君  砂間 一良君
   田島 ひで君  田中 堯平君
   高田 富之君  竹村奈良一君
   谷口善太郎君  土橋 一吉君
   中西伊之助君  梨木作次郎君
   林  百郎君  深澤 義守君
   横田甚太郎君  米原  昶君
   飯田 義茂君  石田 一松君
   今井  耕君  岡田 勢一君
   金子與重郎君  吉川 久衛君
   小平  忠君  小林 信一君
   河野 金昇君  笹森 順造君
   寺崎  覺君  内藤 友明君
   中村 寅太君  羽田野次郎君
   船田 淳二君  松本 瀧藏君
   三木 武夫君  水野彦次郎君
   山手 滿男君  石野 久男君
   岡田 春夫君  黒田 寿男君
   玉井 祐吉君  松谷天光光君
   小林  進君  佐竹 晴記君
   北  二郎君
 否とする議員の氏名
   亜左美廣治君  足立 篤郎君
   安部 俊吾君  青木  正君
   青柳 一郎君  淺香 忠雄君
   淺利 三朗君  麻生太賀吉君
   天野 公義君  有田 二郎君
   井手 光治君  井上 知治君
   飯塚 定輔君  池見 茂隆君
   石田 博英君  稻田 直道君
   今泉 貞雄君  今村 忠助君
   岩川 與助君  宇田  恒君
   内海 安吉君  江崎 真澄君
   江田斗米吉君  江花  靜君
   遠藤 三郎君 小笠原八十美君
   小川原政信君  小澤佐重吉君
   小高 熹郎君 小野瀬忠兵衞君
   小淵 光平君  尾関 義一君
   越智  茂君  大石 武一君
   大泉 寛三君  大内 一郎君
   大上  司君  大野 伴睦君
   大橋 武夫君  大村 清一君
   大和田義榮君  岡延右エ門君
   岡崎 勝男君  岡田 五郎君
   岡西 明貞君  岡野 清豪君
  岡村利右衞門君  押谷 富三君
   鍛冶 良作君  角田 幸吉君
   風間 啓吉君  柏原 義則君
   片岡伊三郎君  甲木  保君
   門脇勝太郎君  神田  博君
   川西  清君  川野 芳滿君
   川端 佳夫君  川村善八郎君
   川本 末治君  河原伊三郎君
   菅家 喜六君  木村 公平君
   北川 定務君  北澤 直吉君
   金原 舜二君  倉石 忠雄君
   栗山長治郎君  小金 義照君
   小平 久雄君  小玉 治行君
   小西 寅松君  小山 長規君
   河野 謙三君  近藤 鶴代君
   佐久間 徹君  佐々木秀世君
   佐瀬 昌三君  佐藤 榮作君
   佐藤 重遠君  坂田 英一君
   坂本  實君  塩田賀四郎君
   篠田 弘作君  澁谷雄太郎君
   白井 佐吉君  周藤 英雄君
   鈴木 仙八君  鈴木 善幸君
   瀬戸山三男君  關内 正一君
   關谷 勝利君  千賀 康治君
   田口長治郎君  田嶋 好文君
   田中 角榮君  田中 啓一君
   田中  元君  田渕 光一君
   多武良哲三君  高木  章君
   高木吉之助君  高木 松吉君
   高田 弥市君  高橋 英吉君
   高橋 權六君  高橋  等君
   高間 松吉君  竹尾  弌君
   玉置 信一君  玉置  實君
   塚原 俊郎君  土倉 宗明君
   辻  寛一君  圓谷 光衞君
   坪内 八郎君  苫米地英俊君
   冨永格五郎君  奈良 治二君
   内藤  隆君  中川 俊思君
   仲野 武世君  中村  清君
   中村 幸八君  中村 純一君
   中山 マサ君  仲内 憲治君
   永井 英修君  夏堀源三郎君
   丹羽 彪吉君  西村 英一君
   西村 直己君  根本龍太郎君
   野原 正勝君  野村專太郎君
  橋本登美三郎君  橋本 龍伍君
   畠山 鶴吉君  花村 四郎君
   樋貝 詮三君  平井 義一君
   平澤 長吉君  平島 良一君
   平野 三郎君  廣川 弘禪君
   福田 篤泰君  福田  一君
   福田 喜東君  福永 一臣君
   福永 健司君  藤枝 泉介君
   渕  通義君  淵上房太郎君
   船越  弘君  降幡 徳弥君
   星島 二郎君  細田 榮藏君
   本多 市郎君  眞鍋  勝君
   前尾繁三郎君  前田 正男君
   増田甲子七君  益谷 秀次君
   松井 豊吉君  松本  弘君
   松田 鐵藏君  松野 頼三君
   松本 善壽君  丸山 直友君
   三池  信君  三浦寅之助君
   三宅 則義君  水田三喜男君
   水谷  昇君  南  好雄君
   宮幡  靖君  武藤 憲一君
   村上  勇君  村上 清治君
   守島 伍郎君  森 幸太郎君
   森   曉君 藥師神岩太郎君
   柳澤 義男君  山口六郎次君
   山崎  猛君  山村新治郎君
   山本 久雄君  吉田 省三君
   吉田吉太郎君  吉武 惠市君
   龍野喜一郎君  若林 義孝君
   渡邊 良夫君  亘  四郎君
   犬養  健君  大西 正男君
   奧村又十郎君  金光 義邦君
   鈴木 幹雄君  田中伊三郎君
   田中不破三君  田中  豊君
   坪田 信三君  寺本  齋君
   長野 長廣君  保利  茂君
  山崎 岩男君 早稻田柳右エ門君
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第四、食糧雄確保臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長小笠原八十美君。
    〔小笠原八十美君登壇〕
○小笠原八十美君 ただいま議題と相なりました、内閣提出、農林委員会付託にかわります食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審議の経過及び結果の大要を御報告申し上げます。
 御承知の如く、目下わが国は主要食糧の不足分を輸入食糧に依存し、しかもその多くが、連合軍占領地救済基金より供給されております。しかしながら、昨年末経済九原則が公表せられ、また今年度初頭、一本為替レートの設定も見まして、経済の自主安定化を急速に実現する段階に立ち至つたのでありまして、これがため国内産食糧を可能な限り集荷し、これを公平に配分することが必要でありまして、かかる措置をとつた後初めて真の不足量の輸入につき、連合軍の援助を要請することが適当であります。
 諮つて現行の食糧確保臨時措置法を見まするに、主要食糧農産物の生産供出その他に関する農業計画の指示を作付の事前に行い、爾後供出割当数量は増加せられない規定になつており、超過供出については農民の自発的意思にのみ期待するものといたしております。しかし、国内食糧を適正に利用しなければならない点から見ますれば、現行の食糧確保臨時措置法は必ずしも妥当だと言えないのであります。今般政府は、かかる客観的情勢に即応するため食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案を提出し、大よそ次の五点の改正を意図いたしました。
 第一点は、都道府県知事は、地方農業調整委員を設置した場合、同委員会の議決を経て、その区域の市町村別農業計画を定めることといたしました。
 第二点は、現行法では、農業計画に対する生産者の異議の申立期間十日とあるのを、都道府県知事が定める期間内とすることに改めたのであります。
 第三は、個人に対する供出割当の指示を、農林大臣が様式を定めた書面によるべきことを明文化したことであります。
 第四点は、本会成案の主眼点でありまして、生産が当初の見込みに比して増加し、供出の余力を生じた場合、かつ国の食糧事情からも食糧需給の均衛保持上必要があると認められるときには、政府は中央農業調整審議会及び都道府県知事の意見に基いて、事前割当供出数量の増額変更をなし得ることといたしたのであります。
 第五点は、いわゆる地方補正を法的制度として認めたのであります。
 御承知のごとく、本法律案は、昨年十二月二十四日をもつて、日本政府あてに発せられました主要食糧集荷に関する指令に基き作成せられまして、内閣より第五国会に提出せられまして、四月二十一日、参議院農業委員会に付託せられるとともに、予備審査のため本院に参考送付せられたものであります。農林委員会におきましては、本改正法律案が付託せられまするや、その大貿的重要性にかんがみまして、本法律案と表裏一体の関係にあります米価、課税、リンク物資等の諸問題にも関連して、あるいは関係政府当局にただし、または民間各種農業団体関係者の意見を撤し、愼重なる審議を重ねる一方、親しく関東、関西両方面に一週間にわたつて現地調査団を派遣いたし、供出制度に関する的確なる現地事情のはあくに努めまして、審議に遺憾なきを期した次第であります。(拍手)
    〔副議長退席、議長着席〕
 しかして、五月二十八日、参議院は政府原案に対し、第一点は、転落農家に対する供出免除を明瞭にし、第二点は、割当供出に対する減額または増加補正について、原案は農林大臣が一方的に変更を指示する規定になつているのに対し、下からも申立ての道を開き、第三点は、農業計画に対する生産者の異議の申立ての期間を公表のあつた日から十日以内とし、第四点は、生産障害除去のための森林の伐採については、濫伐にわたることのないよう森林法との調整をはかる等の諸点にわたつて若干の修正を施して可決し、衆議院に送付して参り、農林委員会に正式付託と相なつたのであります。以後、引続き本委員会におきまして、食糧需給計画、農業関係予算、農業課税、食料価格政策等あらゆる見地から熱心に検討を加えたのであります。
 もとより参議院側の修正点については、多数の委員によつて賛意を表せられたのでありますが、本改正法律案の主眼点でありまする超過供出の法制化を行いまするからには、当然一歩進んで、至極かつ具体的に格段の増産対策の裏づけがなさるべきでありますが、当時の施策をもつてしては、いまだ適足しがたいとの有力な意見が多数委員により主帳せられまして、遂に第五国会の会期中には結論を見るに至らなかつたのであります。
 そこで、本改正法案は、休会中の継続審査に付せられることと相なつたのであります。爾来本委員会は、酷暑を冒し、前後十五日にわたり会議を開き、またこの間北海道、東北、中部、九州、四国等各地に現地調査団を派遣いたし、農村の実態並びに本改正法律案に対する農民の意向等をもつぶさに調査する等、委員各位には、閉会中にもかかわらず、異常なる御努力をお願いしたようなわけであります。
 第六国会の成立を見まするや、この継続審査案件は引続き農林委員会に付託せられ、再びあらゆる角度より、またあらゆる立場より、余すところなく、白熱的論議が闘わされることと相なつたのでありますが、その間におきまして、食糧農業政策をめぐる客観的条件は漸次好転してよかつたのであります。
 すなわち、今夏来朝せられましたシヤウブ使節団による税制改革の勧告によりまして、農民に対する勤労控除並びに家族農業従事者に対する基礎控除は、ほぼ実現の見通しを持つに至りました。また第一点は、農機具、農業の生産、配給の取扱いを、国内需要のものは農林省に一元化すること、第二点は、いも類は、その供出完了後は、政府以外の者への売渡しを自由にすること、第三点は、農地の災害復旧、防止並びに改良事業については、政府みずから計画を立て、または適切な助成を行うよう――(「うそを言え」と呼ぶ者あり)ここは大切だから聞け。――予算並びに賃金上の措置につき極力努力することに相なりました。第四、供出報奨用のリンタ物資、その他重要な農家必需物資については、数量を確保するとともに、農民の希望する時期に、希望する配給経路により受配制度を実施すること、第五、いも類その他の主要食糧農産物の生産、利用、加工、貯蔵及び流通について、予算上並びに資金上の措置につき極力努力すること、第六、食糧増産の基礎をます畜産復興のための飼料圃については、全国に二十五万町歩を確保すること、以上六項目については、すでに開議決定を見たのであります。(「委員長らしくやれ」と呼び、その他発言する者多し)静かになさい。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
○小笠原八十美君(続) その他農林金融を緩和するため、農林中央金庫法を改正して債権発行制度を拡張し、かつ機構の民主化をはかる件につきましても、近くこれが文法措置をとる運びとなつております。また大豆、とうもろこしを除く雑穀の供出完了後における自由販売についても、引続き考慮中であります。本年度産米の減額補正につきましては、作況のしり下がりの悪化に伴い、心配せられたのでありますが、当初計画より倍以上の緩和を見るに至りました。また米価も、必ずしも農民各位の十分な満足を得る程度とは言いがたいといたしましても、パリテイ指数に適合する一応の数字が発表せられたのであります。
 もとより、以上のものをもつて足れりとするものではなく、今後ますます予算の執行あるいは行政の運営の面で政府の善処を連挙しなければなりませんが、とにかく前国会において本改正法律案の通過をはばんでおりました諸要因のうち、大部分が解決の見通しを得たわけであります。(拍手)また一方におきましては、世界食糧事情の好転と海外貿易の進展に伴いまして、輸入食料の増加もまた予想せられるのでありますが、本法律案は、この点につきまして調節的役割を果し得るものであります。
 すなわち、現在これらの輸入は、対日援助資金並びに商業資金に依存するものでありますが、対日援助資金は今後逓減するものと考えられ、また商業資金によるものにつきましては、なお不確定でありまして、明確な数字的な予定が立ちがたいのでありますから、本法律案は、臨時立法として、当面の食糧需給の均等保持に重要な役割を演ずることがでえきるのであります。一方、本法の適切な運営によりまして、農家は余剰米を法律に基いて追加供出することにより、むしろ農家経済の安定に役立ち得ることが、(「ノーノー」)農林大臣の説明により、あるいは質疑応答を通じて、多数の委員により確認せられたのであります。
 かくて、本改正法律案は、内閣より提出せられまして以来およそ半数余にわたり、委員会を開くこと数十回に及んで、白熱的な論議が展開されましたが、遂に一昨年二十八日、一切の質疑は終局し、次いで討論採決に移ることと相なりました。
 民主自由党を代表して松浦委員より、本法律案は、わが国現下の情勢上当然可決すべきものと認める、しかし、今後における農村の実態を洞察して、諸般の増産対策に遺憾のないようにとの意見が開議せられました。このとき、民自党山本委員より、爾後の討論を省略して、ただちに採決せよとの動議が提出せられ、委員長よりこの旨諮りましたるところ、多数の賛成を得ましたので、ただちに採決に移り、多数をもつて、本法律案は参議院より回付せられた原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。(拍手、発言する者あり)
 わが国は、今次敗戰によりまして、食糧事情もまた非常に窮迫いたしたのでありますが、今日まで国民の中から一人の餓死者を出すことのなかつたことは、一にかかつて連合軍の好意的な援助によるものであることは、いまさら説明するまでもないところであります。本法律案は、御承知のごとく、わが国経済の自立化をはかるため、経済九原則の趣旨にのつとつて立案作成せられたものでありまして、わが国経済も安定化の過程をたどるに至りました今日、本法律案の成立を見ますることは、連合軍の好意にこたえるわが国の儀礼であると信ずるのであります。(拍手、発言する者あり)以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 委員長の報告に対し質疑の通告があります。これを許します。竹村奈良一君。
    〔竹村奈良一君登壇〕
○竹村奈良一君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま行われました食糧確保臨時措置法の一部改正案に対しまして、委員長に対する質問をいたしたいのであります。
 まず第一点は、この法律案が、第五臨時国会から現在に至るまで、委員長も言われたごとく、半歳にわたつていろいろ討議が重ねられて参つたのであります。ところが、委員長も言われたごとく、反対議論は一つもなかつた。しかも、この反対議論が一つもないにもかかわらず、民主自由党だけがこの賛成討論をやつておられる。少なくとも六箇月にわたつて審議が行われました重要なる法案に対して、しかもこの法案通過阻止のためには、実に農民の血の出るような叫びが全国から上つておるのであります。これは委員長といえども十分知つておられるはずである。この全国農民の血の出るような反対意見があつたにかかわらず、本国会の農林委員長において反対意見が一つも述べられていないというこの現実離れをした委員会の審議が国民の代表の集まる国会において行われたという事実が、もしそのまま農民諸君の耳に入つたならば、おそらくこの国会は、全国民から遊離したものとしての存在であると言われる。この責任は委員長にあると思うのでありますけれども、この国会と国民とを遊離せしめ、国会の権威を失墜せしめたるところの責任を、はたして委員長は負われるかどうかということを、お伺いしたいのであります。
 第二点は、先ほどから、本会におきまして、この法案をめぐつて、一昨夜の委員会の決定が無効であり、決定に至つていないという議論がされておる。これは多数によつて否決されましたけれども、しかしその原因は、先ほどからいろいろ議論されておるように、問題は委員会が混乱したのである。従つて、混乱の結果これが可決せられたかどうかわからないといような議論が出たこと自体は、結局委員会が騒然として混乱されておつたことは、諸君の認められる通りである。しからば、この委員会の運用の責任は一体たれが負うか。少なくとも委員会の運用は委員長が責任をもつて運営しなければならない。従つて、もし混乱し、騒擾者があるとすれば、その者に潔く退場を命じて、委員会におけるところの秩序を立て、整然とした静粛のうちに開けるような委員会を組織し、これをつくるのが委員長の責任である。しかるに、騒然たる中にそのまま委員会を継続するがごとき事態は、委員長の責任を放棄したものであると私たちは考えるが、これに対して、委員長は一体どんな責任を持たれるか。これが第二点であります。
 第三点は、本法の改正案が成立せられようとされておりますけれども、しかしながら、元来食糧確保臨時措置法というこの法律そのものが、政府において、実際面においては実行せられておらない。このことは、たびたび論ぜられておる。この法律におきましては、政府の責任において地方等を調査して、その上に個々の農民に対して生産割当をすることになつておりますけれども、実際におきましては、部落あるいは村、あるいはまた個々の個人に対して事前割当されておりましても、この食糧法に規定されておるところの補正の問題等につきまして、個々の農民からいろいろ補正要求がありましても、その量だけを政府はしておらない。つまり、現在の基本法である食確法そのものが政府においてすでに破られ、しかも、この食確法というものが破られて実行されていない。つまり、政府においてこの法律を破られておる今日、その実行できな得ない法律を、なおその上に改正するということは、元がないのに何ゆえに改正されるか。これに対して委員長は、適当に政府に対して、食確法が今まで完全に行われておらないところの事実を、あの質疑応答の中に言つておりながら、これに対するところの適切なる警告を與えていなくしてこの改正案を通したということ自体、これも委員長は、全国農民に対して何と申訳されるかということを、お聞きしたいのであります。
 もう一つは、この法律を通されたならば、一体現在の農村において、この法律によつて農民がどれだけ苦しまなければならないか。少なくとも、現在のような経済的の状態において、政府は安い価格できめて收奪しておる。しかも、收奪の方法は、結局において今日の農村の全体を考えましたときに、農民はちようど、徳川時代における封建的な搾取のもとに年貢米をとられたと同じような形において、政府に收奪されておる。しかも、この收奪に対する報いとして、政府は何もやつていない。
 ちようど今日の農村、今日の農民は、かつて啄木が「働けど働けどわが暮し楽にならざる、じつと手を見る」と歌われた、あのような生活の状態に於かれておる。これに対し政府に対して、委員長は、この農民の苦しい生活をどういうふうに緩和し、どういうふうな方策をとられ、委員長として、そういう警告をどういうふうに與えられ、どういうふうな方式をとられるかを政府に要求せられたかということを、お聞きいたします。しかも、このことを明快にされない限り、この法案は、結局において――現在民主党は、多数によつてむりをして押切つたけれども、しかしながら、やがては全国農民から裁かれる日のあることを銘記して、委員長は十分農民の生活を援護するために、政府に答弁を要求し、政府に警告され、そうして農民の生活を守るために、どれだけの努力をされたかということを、お聞きしたいのであります。
    〔「共産党の宣伝だ」と呼び、その他発言する者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
    〔小笠原八十美君登壇〕
○小笠原八十美君 竹村君にお答えいたします。
 第一点は、討論に出られないのは、ふしぎだと思います。竹村君は、農林委員会の速記を見ればわかりますが、三十五人のうちの一割以上を、あなた一人でやつておるのであります。その人が、なぜ討論のときに討論の通告をしないかということを、私はふしぎに思つておる。
    〔「ふしぎじや答弁にならないよ」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
○小笠原八十美君(続) それから、あなたの方で今言われたところの――この法律について、農民はどんなに苦しむかしらぬと、あなたはお尋ねになつておる。(「そんな答弁がどこにあるか」た呼び、その他発言する者多く、議場騒然、聴取不能)私と考えを別にしておる。昨年は、いかにもこの食確法について私も躊躇しました。どうしてもこれを通したくないと思つた。今年のように輸入食料が余るほど来る時分には、農民の…(発表する者多く、聴取不能)かえつてそれらの調整をはかるためにも…(「逆じやないか」と呼び、その他発言する者多し)逆になつておる。それが一方には、やはり日本の凶作、非常な不況なところへ、災害の…(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)調節するために、内外とも今度はこれが必要になつて来た。あなたは心配するが、農民から、これを通してくれといつて、私に陳情があるのです。ここ三箇月たつてごらんなさい。どこの農村に行つても、小笠原委員長は歓迎されます。
 なお政府は、税制のことでも、またすべて農民に対しては、生活必需品その他一切に、政府の大きな力をもつて、農民に満足を與えるこころの責任を持つということを、開議まで開いてやつておる。災害付給費なんか大きな復活をして、金融の裏づけをして、農民はずつと満足するように、ちやんと手配をしておりますから、御安心ください。
○竹村奈良一君 議長、再質問。
○議長(幣原喜重郎君) 竹村君、自席から簡單に願います。
○竹村奈良一君 議長から許可が出ましたから、簡單に再質問いたします。
 まず委員長は、一昨夜われわれ野党側がなぜ反対討論をしなかつたか、ふしぎであると言われた。しかしながら、そのふしぎな原因は、委員会が混乱して、われわれの…(発言する者多く、徴収不能)反対討論の通告を委員長が聞けなかつたような混乱の状態のもとに置かれている。委員会を、なぜ委員長の責任において、これを静粛にしなかつたということに対する答弁がないが、これを明確にしてもらいたい。
 それから委員長は、輸入食糧がどんどん入つて来るから、農民からは法律をもつて安い値段でしぼり上げなければならぬと言うけれども…(「そんなこと言いやせぬ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然、聴取不能)そういうものについて、農民からむりにしぼり上げるということは…(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)この輸入に対して、委員長はどうして政府に警告されないか。この二点を聞きたいのであります。
    〔小笠原八十美君登壇〕
○小笠原八十美君 お答えいたします。委員長は、議事進行ができないときは責任を負うので、合法的にちやんと議事進行ができれば、責任を負わなくてもいいのであります。(拍手)
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(幣原喜重郎君) …(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)討論の通告があります。これを許します。足鹿覺君。
    〔足鹿覺君登壇〕
○足鹿覺君 ただいま上程されました食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、私は日本社会党を代表いたしまして、絶対反対の意見を表明せんとするものであります。(拍手)
 本法は、すでに第二回国会において法律として成立し、去る第五国会に提出いたされました。参議院では一部これが修正可決されましたけれども、本院におきましては、この法律が追加供出を法制化し、これを強権の対象とせんとする憲法であることにより大問題となりまして、政党政を超越して熱烈なる反対の空気に包まれ、継続審議となつて今日に及んだのでありますが、一方院外におきましても、農業団体はもちろん、農民団体等はあげて絶対反対を表明し、法案通過措止のために全力を盡したことは、われわれのいまだ記憶に新たなるものがありまして、各位のすでによく御存じの通りであります。私は、いまさらあらためてこれが反対理由について喋喋を要しないと思いますが、第五国会提案当時と、第六国会の今日の間には、同じ法律でありましても、さらに反対理由が大きく強く当時より主張せられる情勢に立ち至つておりますし、またこの情勢の変化は、さらにさらに拡大され、確実になろうとしておりますので、かかる新しい観点から、おもなる反対理由を鮮明にし、われわれの態度を明確にいたしたいと存ずるものであります。
 まず第一点といたしましては、政府は本法案の改正を必要とするという客観的條件の大きな変化をまつたく無視しておるという点であります。すなわちそれは、食糧の需給状況並びにその見通しの点についてであります。今や、国際小麦協定参加が確定的となりまして、これが実現のあかつきには、今後四箇年にわたつて、国内小麦価格とほとんど同類あるいはそれ以下の価格でもつて大量の輸入が約束されるに至りました一方、去る十一月二十二日、日英新通商協定の調印によつて、一億四千三百万ポンド、約四億ドルの取引を行うことをとりきめられ、政府は今年度、ビルマから米十万トン、イラン、イラクから大麦三万三千トン、その他オーストラリアからの小麦を合わせますと、食糧三十万トン近くの輸入が予定されているとのことであります。これらの事情を反映して、来る二十五米穀年度においては、約三百七十五万トンの、しかもコマーシヤル・フアンドに重点を置かれた輸入の構想すら伝えられておるのであります。しかして政府は、来年一月より、いもの自由販売を認め、穀類のみの二合七勺配給の確保の構想、あるいは米券による米の自由販売等をもつて臨みつつありまして、このことは、国内において可能最大限の食糧確保をはかり、その不足分を輸入にまつという従来の方針は放擲せらまして、今や食糧政策は一大転換期に直面しつつあるのであります。
 かかる情勢と事実のもとにおいて、あえて追加供出の法制化を中心とする政府の本案提出理由によると、国内生産食糧は、可能な限り余すところなく集荷すると言つておりますが、本政生法律案は、民自党及び現内閣の公約でありまする米の自由販売、各種統制の撤廃を目ざす自由経済政策と全然相いれないところの矛盾きわまるものであると同時に、これは公約の放棄、政策の自己否定でありまして、民主自由党としての政策的自殺行為と断定してはばからないものであります。(拍手)
 次に、第二の反対理由といたしまして指摘いたしたいのは、本法案は、農民が営々辛苦の成果を、強権をもつて追加供出せしめんとすることにのみ汲吸といたし、いかにすれば農民が喜んで供出し得るか、そうして国の施策に協力することができるかということについては、何らの具体的な施策を講じておらないのであります。農業生産の増強を企図し、わが国過小農経営が、世界農業の一環として、それとの競争に耐え得ることがごとき農業近代化を促進し、農業の生産性を高めるための、後進産業策としての日本農業のための国家的保護政策が何ら構ぜられることなく、本末転倒して、かかる悪法を提出しておる点についてであります。
 すなわち、最近における現政府の農業政策を見るに、増産を促進し、これを協力に推進する方途とは逆行いたしまして、反動的農業政策を採用せんとしつつあるのでありまして、その集中的現れといたしましては、政府は農地改革の形式的完了を強調し、予算圧縮の口火をもつて、自作農創設維持特別措置法の破棄、農地委員会の廃止統合等、事実上の農地改革打切りの暴挙をあえてせんとし、農村の民主化を圧殺せんといたしておるのであります。あるいはまた、増産の基盤というべき土地改良に関する公共事業費のごときを大幅に縮減し、昭和二十四年度補正予算の編成につきましても、土地改良関係には何らの措置をも講じ得ず、来年度予算についても、公共事業中に占める農地改良の予算は、二十四年度の二〇%に対し、来二十五年度は八・五%程度しか計上いたしておらないのであります。戰時、戰後を通じて行われた掠奪生産によつて破壊された地方開発のために、今や農民は、自発的に、懸命に政府に協力しておるのでありますが、この協力に、はたして何を與えたでありましよう。全国の農民諸君の憤激はまさに高潮に達すると言つても決して過言ではないと思うのであります。(拍手)
 第三点といたしまして、追加供出割当を法制化いたしますとき、現行事前割当制度はまつたく無意味なものに化するのであります。しかして、その結果は、農民は何を努力目標にするか。その目標を見失うに至ることは、農村の実情に若干通ずる者のひとしく気のつくことであろうと存じますが、食糧確保臨時措置法がこの改正案のままの姿で行きますならば、戦争中における作付統制合的な性格のみを残して、政府の一方的條件のみで供出を強制する結果となつて、生産意欲を著しく減退せしめ、かえつて政府が考えておる計画生産とは逆な結果すら来しことを、私どもは優うるのであります。しかも、農業の保有量や生産資材配給量が、とうてい農家の切実な要望にはこたえておらない場合、事事前当を越えて農家が増産をし、供出することは、すべての資材の入手、労力の確保、ともに農民の創意と血のにじむ努力の結晶でありまして、この粒々辛苦の農民の結晶に対して、一方的條件でもつて供出を強要する権利は、断じて政府にないと、私は断言してはばからないものであります。(拍手)
 かかる無謀な法律を多数の力によつて成立せしめられましても、そうして農民にこれを押しつけられましても、それがたいと民主的は議会において民主的形式で決定されたと強弁をいたしましても、放そのものの実施の結果は、必ずや徳川幕府治下における封建政治の内容と異ならざる結果をもたらさぬと、だれが断ずることができましようか。
 最後に私は、私の最も反対理由として強調し、政府、與党の猛省を促したい点についてでありますが、本年度米価決定の経緯と、これが結果及び本年度産米の補正割当の実情をめぐつて、本法との関連において指摘してみたいと思います。
 すなわち政府は、米価審議会の答申をまつたく無視し、四千二百五十円の定米価をもつてこれを押え、超過供出報奨金の三倍を二倍に引上げ、早期供出奨励金に対するところの検査制度の過酷等、あるいは予算的制限措置、米券制度等、一連の国内価格抑圧の方策をとつていることは周知の通りであります。しかも、かかる低米価各政策のもと、予想以外の不作によつて減収千二百万石といわれる作況に基いて、農民の悲痛な減額補正の要請にもかかわらず、これを二百四十五万石に辛うじて抑制しつつあるところの点についてであります。
 このこと自体がどこから来るかというと、申すまでもなく、ドツジ・ラインに基く急速なる自立経済は、貿易バランスを急速に発展確立することを目標といたしております。これを前提として国内経済のあり方を組み立てておるのでありますが、貿易関係から見ました場合に、日本品の輸出先は、主として東南アジア、ポンド圈であります。この東南アジア地帯より輸出いたしますものは、ほとんどその大部分が食糧品と原料品であることは御存じの通りであります。この地帯に日本の商品を売り込まんといたしますならば、どうしてもパーターによるほかない。向こうの食糧を輸入しなければならないのでありまして、これらの輸入数量の増大は、ポンドの切下げによつてその影響は減殺されるとは申せ、いまだ国内生産者価格を相当上まわつていることも明らかであります。
 また国内公債を主体として見ました場合に、農業パリテイ指数も若干上昇を見せておりまして、その結果として、食糧の国内消費者価格の値上がりを来さざるを得ない実情にあることも、また職者のよくみとめているところであります。しかも、ポンド切下げに即応して円レート切下げがただちに行われないといたしまするならば、国内輸出商工業は、これに相応するところの態勢をつくり上げて行かなければならぬ。すなわち、企業の合理化を強行せざるを得ないのでありますから、各自賃金の値上がりは、とうてい期待することができない。一方、生計費中のエンゲル係数について見まするならば、すでにエンゲル係数は六二%の高率に達しておりまして、これ以上上昇せしめることは、とうてい不可能な事態であります。従つて、現在以外の労働事情の悪化は、労働者を刺激し、労働者は、生活権擁護のために、いろいろ困難なる労働情勢の続発となつて現れ出ることは、想像にかたくないのであります。この労働事情の不安からいたしても、ドツジ・ラインの構想が暗礁に乗り上げないと、だれが断言できるでありましよう。(拍手)かくして、最後のしわは、現政府の方針に基いて、消費者価格の値上がりを実質的に吸収するためのいろいろな施策、なかんずく所得税の軽減、主食増配の措置等によつて、この国内消費者価額の値上がりを一方において吸収する。すなわち、いもの統制撤廃、穀類のみによつて二合七勺の配給を確保するということが、この構想の裏づけとなつていることも明らかであります。主食の値上がりの家計費へのはね返りを吸収いたしまして、賃金値上げの要求を抑圧し、一方において低米価で農民を押え、一方において労働者の賃金値上げの要求を圧殺し、一石二鳥の効果をねらつたのが、今回の食糧確保臨時措置法の根底を流れる一環した思想であると存ずるのであります。(拍手)このためには輸入食糧価格が問題となつて参りまして、高い輸入食糧の数量の増加が消費者価格に及ぼす影響をでき得る限り食いとめるためには、低い生産者価格の国内食糧を最も多く獲得する必要に迫られて来ることは明らかであります。そのためには、低米価四千二百五十円、並びに本年産米の減額補正を最小限度に食いとめようといした政府の措置についても、これはあまりにも明らかであり、おおうことのできない事実であろうと存じます。しかして、これが立法的な基礎を食確法の改正に求めんとしたものでありまして、本食確法の改正法律案こそは、低米価、低賃金によつて、農民と労働者の犠牲の上に日本資本主義の債権をはからんとするところの、吉田内閣の一切の反動施策に一環としての意図を持つておることが、明瞭にうかがわれるのであります。(拍手)
 私どもは、かかる観点から、この臨時措置法の改正法律案を、單に農民のみの反対の声として取上げることはできない。少なくとも、今回の食糧確保臨時措置法に対するところの反対の意思表示は、單に農民大衆のみならず、働く労働者、俸給生活者、そうして現在悩み苦しんでいる小さな企業をも合せて、私ども勤労者の名において断固本法改正の提案に対して反対の意思表示をいたしたいのであります。
 以上、これを要約いたしまするならば、本法案は吉田内閣の農業政策の貧困さを露骨に表明していると申してさしつかえありません。一方、農村経済を破壊せんとする最も憎むべき悪法であります。私どもは、如上の観点に立ち、日本再建の基礎として長い間苦しい生活に耐えて来た農民にこれ以上の負担をさせることによつて、資本主義の再建をはからんとする残忍性をよく認識することにおいて、わが日本社会党は、断固これが反対を表明するとともに、労働者、農民、すべての働く勤労者の名において、これが即時撤回を要求いたしまして、私の反対討論を終わりたいと存ずるのであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 山村新治郎君。
    〔山村新治郎君登壇〕
○山村新治郎君 私は、農民政党として光栄ある歴史と伝統を有する民主自由党を代表して、委員長報告の食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案に賛意を表するものであります。(拍手)
 振り返つて見まするに、食確法は、昨年七月、芦田、片山連立内閣によつてでき上がつたものであります。しかして、今回の改正は、何らその基本的性格をかえてはおらないのであります。従つて、野党の民主、社会両党の反対は、一年前のことをたな上げしたか、忘れたか、いささかその政治節操を疑わざるを得ないのであります。わが党は、現在の野党が政府與党当時においてつくつたこの不良性の遺産を、苦心さんたん、しりぬぐいをしているのであつて、野党の諸君から感謝をされこそすれ、反対される理由はごうまつもないのであります。(拍手)
 今回改正の要点は、第八條によりまして、供出数量の増減を、食糧事情によつて、政府が農民に命令でき得る点にあるのであります。食糧の絶対安全性を持たない日本としては、万一の場合に備えて、一応全部の食糧を確保する準備は必要である。これ本法案賛成の一つの理由であります。
 また実際においては、芦田、片山内閣で本法が成立された直後から、形式上は農民の自主的供出の名のもとに、天くだり超過供出がなされておつたのであります。法律にないのに命令されるよりも、法律に明らかにされた方が、農民としてはるかに納得がせきるし、法律に明記されていないのに、一方的に天くだり供出をしいるということは、いかに農民に対する冒涜であり罪悪であるかは、あまりにも明らかではありませんか。(拍手)これ本法案の賛成の第二点であります。
 なるほど、野党の諸君が言われるように、民主自由党は、芦田内閣のときのように、食確法には反対して来た。かく言う私も、その先陣を承つて反対して来たのである。ところが、その私でさえここに賛成せんとする根本的の理由が生まれて来たことを、諸君は気づかないのである。それは、世界情勢の変化により、わが国の食糧事情が、ここ一、二箇月の間に大転換をして来たことに基因するものであります。(拍手)今まで百七、八十万トンの輸入食糧が、来年度は三百五十万トンも入ろうとしております。まさに情勢は大転換をしているのである。
 諸君、真に政治は生きものである。われわれ政治家は、生きた民衆の声なき声を実際政治の上に生かさねばならぬのであります。賢明なる農民諸君は、今日まで、むしろ食確法に賛成しているのである。野党の諸君は、かつて民主自由党が食確法に反対したから農民諸君の選挙の点を相当いただいた、ということを、先ほどから言われております。また、これに反対すれば、この次は落選だ、というようなやじも飛んでおります。これは、最初の点は事実でありましよう。しかし、それを今回野党の諸君がまねられても、棚の下に、いつもどじようはおりなせんぞ。(拍手)
 農民諸君は、先見の明のない政治家は大きらいであります。現在すでにやみ値の方が、超過供出の値段よりも、はるかに下まわつている地方があります。今まで農民を苦しめておつた食確法は、今日では農民の利益を守る法律になつておるのであります。(拍手)恐ろしいのは自然の経済の大勢であります。この自然の大勢のもとにおいては、社会主義、共産主義などのイデオロギーは、立ちどころに吹き飛ばされてしまうのであります。(拍手)これ本法賛成の根本理由であり、その第三点となすゆえんであります。
 農民が今まで超過供出を喜ばなかつたおもなる原因は、超過供出によつて税金が重くかかつて参ることを心配した点であります。しかるに、わが農林行政のホープ、森農林大臣の努力によつて、農家の一大減税の福音がもたらされたのであります。昨日の農林委員会において、大蔵大臣は、はつきりと、本年度の当初予算、農業所得に対する五百億の課税が四百二十億に補正せられ、来年度は二百億に減ぜられるであろうということを声明せられました。これを個人の場合に当てはめてみれば、農家の平均所得十万円のとき、その扶養家族を四人とみるときは、現行法によれば一万六千五十円、それが五千六百円に減ぜられます。なお専従者の控除を引けば、三千五百円くらいの大減税となるのであります。地方がどうだというような御意見もあるようでありますが、なるほど住民税その他はあるいは一応増すかもしれませんが、農業事業税が廃止せられることは、これをマイナスにして余りあるものといわなければなりません。(拍手)皆さん、やみ値段よりも高く売れて、税金の心配がなくなりますれば、農家は自分の飯米を節約しても、喜んで超過供出をして来るありましよう。すなわち、改正の要点、超過供出の法制化は、何ら農民を苦しめることにならないのであります。これ賛成の第四点の理由であります。
 特に食糧事情が好転しておる今日、天くだり的超過供出の必要は必然的になくなつて来ております。農林大臣は、超過供出の強権発動せずと、昨日の農林委員会において言明せられました。従つて、農家の保護政策の見地から、ぜひともこの改正案が必要となつて参るのであります。これ賛成の第五点であります。
 また、食糧事情の好転と申しましても、その一部はアメリカの援助資金を仰いでおるのであります。アメリカ国民のこの好意に対しましても、みずからの持てるすべての食糧を供出することこそ、日本農民に課せられた唯一かつ有効なる外交上の使命であり、また日本農民の誇りであると信ずるものであります。これ賛成の第六点といたしまして、全国農民諸君に平和愛好国民としての輝く光栄をになわれんことを望むものであります。
 さて野党の諸君は、先ほどからたびたびわが党の公約違反を追究されているようでございます。(「山村君、納得の行くように説明してくれ」と呼ぶ者あり)納得のいくように御説明を申し上げまするが、公約違反を諸君は追究されなするけれども、はつきり申し上げまするが、わが党は自由主義の経済は絶対に捨ててはおらないということであります。いな、その理想実現に着着歩を進めているのであります。諸君、公約の実現がないと言われますけれども、いも類の供出完遂後の自由販売は、わが党公約の履行以外の何ものであるか、ということをいわざるを得ないのであります。すなわち、われわれの理想は自由主義の経済であり、この食確法をもつて最高の供出方法とは考えておらないのであります。むしろ野党のしりぬぐいをしながら…(発言する者あり)諸君、野党の諸君のしりぬぐいをしながら、自由経済への過渡的便法といして、公約を生かすための大道として、本法案に賛成するものであります。(拍手)従つて、本法案の存続の期間は来年度一ぱいとしたのであります。また、この存続期間といえども、われわれは情勢の変化によつては、この法律案を廃止せんといたしている用意もございます。特に、わが党年来の主張であるところの自由経済の原則にのつとりまして、よりよき供出方法を、いな、むしろ世界経済に対応でき得るような農村保護の政策を十分加味してるところの、かつての政府買上げ制度のごとき政策を樹立し、日本農村の安定をはからんとする甲意あることを、この際広く天下に声明するものであります。(拍手)
 すなわち食確法は、食糧事情の大変化によりまして、今まで農家を苦しめておつたものが、農家のためになつて来たのであります。われわれは、改正案によつて、毒薬を変じて良薬たらしめたのであります。(「ばかなことを言うな」と呼び、その他発言する者あり)諸君、ばかなことをと言うならば、本年度の麦の超過供出一一六%の現実を何と見るのであるか。またいも類――先ほどやじが飛びましたいも類政府買上げの要望は、これまた食確法の必要を裏づけているものである。
 しかしながら、法の運用は、ときに正宗の名刀となつて国民を守り、あるいはまたその運用を誤れば村正の妖刀となるおそれもございます。かるがゆえに、政府はよろしくその運用にあたつては農民の生産意欲を減退せしめざるように意を用いなければならない。特にその保有米を優先的に認め、超過供出の割当は情勢の許す限り農民の自主性にまつべきである。私は、重ねて当局がこの法案の運用をあやまたざることを、全農民の名において警告を発するものであります。
 最後に私は、この法の運用に対する要望にとどまらず、次の三点を、全国民の半数を占める農民のために、恵まれること少き農村のために、強く政府に要望するものであります。
一、政府はすみやかに農地の災害復旧、土地改良については、その予算と資金援助並びに 助成について、万遺憾ならしむべし。
一、農村の金融梗塞打開のため、農林中央金庫の拡大強化並びに農村協同組合を通じての 融資の道を講ずべし。
一、農民を農奴的存在より解放して、土地の生産性高騰と労働高率の増進のため、増産技 術、経営技術、能率技術の向上をはかるべし。(拍手)
 私は、以上三点のかたい実行を強く政府に迫りまして、日本農村の繁栄と幸福を心から祈りつつ、本法案に賛成するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 小林運美君。
    〔小林運美君登壇〕
○小林運美君 私は、民主党野党派を代表いたしまして、ただいま議題となつております食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案に対しまして絶対反対をするものであります。(拍手)
 去る二十六日の本会議の劈頭に、森農林大臣は特に発言を求めまして、本年度産米の減額補正量は二百四十五万石に決定を見たと、その喜びをあの口元に含んで、前日のあの顔色はどこへ飛んで行つたか、まことに複雑な顔をして御報告にまりました。諸君、二十五日のあの知事会議に、ことしの補正に対しては、森農林大臣は身命を賭して関係方面に折衝をしてみたけれども、遂に百十四万石はびた一文も欠けることはできないと言つておつたのであります。ところが、一晩のうちに百三十万五石を増して二百四十五万石になつたのは、一体これは何を意味するか。先日の中央農業調整審議会におきましても、あの知事会議においても、この本議場におきまする農相の不信任の討論におきましても、森農政に対する批判において明らかなる通りであります。これは全国民の輿論が通じたのであります。本年の減額補正では二百四十五万石に決定をいたしました。満足するものではありませんが、私は、ここにおいて国民の輿論を十分にキヤツチして、輿論にこたえる努力に欠けておつたことを指摘したいのであります。(拍手)
 この食確法の改正は、第五回国会から引続きまして、休会中も継続審議をいたして参りましたが、全国のあらゆる農民団体はもちろん、わが国の食糧問題を心配しております農民、いな、全国民は絶対に反対であります。與党、民自党の諸君の中にも、明らかに反対をしておつた人がおる。その辺にたくさんおる。(拍手)これをむりやりに、絶対多数を頼んで、強引に押し切ろうというのは、一体何でありましよう。今年の一月の総選挙に、民自党の諸君に国民が投票をたくさんしたのは、一体何のためか。こんなことをよつてもらうために国民は投票したのではないのだ。(拍手)
 本改正法案のねらいであります輸入食糧との関係でありますが、終戦以来、わが国の食糧配給所要量の約二割五分は輸入食糧に仰いでおります。しかも今日までは、その大部分を連合国占領地救済基金によつて供給せられまして、自力で調達されたものでないことは明らかでありますが、いつまでもこの連合軍の好意ある援助にすがることは不本意でありますので、わが国の必要食糧は自力によつて最大限に確保し、集荷して、これを公平に分配せねばならないことは、論をまたないのであります。要は、農民の努力によつて増産せられました食糧を最大限に確保されればそれでいいのでありまして、その方法が、強権によつて、政府の圧力をもつて正直な農民を縛つて、たたき出させるような方法、これが本改正案の骨子であるのであります。(拍手)かような強権と圧力をもつてする超過供出制度を法制化いたしまして、むりやりに押しつけなくても、農民をして食糧を増産させ得るような処置は十分に講じまして、農民の自発的意志によつて供出させる方法はいくらでもあると思う。
 事前割当によつて農民が自己の農業計画を立て、増産する。増産したのはお天気がよかつたからで、それを強制的に供出させるというのでは、まじめな農民の増産意欲はますます低下するのであります。あの照りつける炎天下の草取り、指のつめから血がにじんでおります。その苦労をして増産した食糧であります。並たいていの苦労ではない。本年産の米価は、全国農民の予想を裏切りまして、われわれも民自党の諸君もこの米価は国会の意思を尊重するのだ、こういうことを主張しておつたその国会の意見も無視しまして、しかも政府のお名ざしのあの米価審議会の決定であります四千七百円にも達しない。再生産費をはるかに下まわるような、あの四千二百五十円に決定されました。しかも、この改正によります強制的な超過供出の買上げ代金は、今までの三倍を二倍に引下げたのであります。これでは、泣いている赤ん坊に、あめをやるから泣くのはやめなさいと言つて、泣きやんでしまつたら、あめをやらないというような、子供だましだ。
 次に、この法律には非常なる大欠陥がある。これは先般の農林委員会においても、私は農林大臣にお尋ねをしたのでありますが、全然答弁がなつておりません。それは、災害等によりまして、ほんとうにやむを得ない事由にによつて、当初に定められました供出数量の供出が不可能となつた場合でありますが、この場合、生産者の意思を尊重しまして、供出数量の変更に対する異議の申立て、すなわち減額補正を認めまして、適当に割当ての変更の公正を期し、農業の納得のいく供出を行うことになつておりますが、この場合に、市町村から府県から全国と、減額補正の数量を、下からだんだん積み上げて来たときに、これが実収によつて明らかになつた場合、その集計が、今回の場合のように、減額補正糧が二百四十五万石と先に決定されておつて、それが絶対命令で動かせないような場合はどうするか、という問題であります。すなわち、農林大臣の指示した農業計画と、個々の農家の真実の災害等による実収による減額の集計がぶつつかるのであります。
 先般の麦の補正を行つたときの例といたしまして、農林大臣は、これにかように答えておるのであります。かようなむりな補正をしても、ないものは出ないと言つておつたけれども、実際やつてみると、予定以外に供出が出来てしまつた、これでは関係方面に対して合わす顔がない、と言つておられるのであります。こういう御返事でありますが、そこに重大なる見方の相違がある。これは農家が真実にあり余つて供出するのではない。まじめな、ばか正直な農民が、上から押しつけられて、圧力によつて、自分のたべるものも食べないで供出している実情を、しつかりあなたは知らなければならぬのであります。(拍手)いわゆる裸供出をやつておるのであります。これでは、割当変更の公正も、農家の納得も、全然ないという結論になるのであります。
 政府は、今後五等米の制度を考えておるようでありますが、還元米の売渡し価格におきましては、今もつてはつきりしたお考えがないようであります。かような場合は、絶対還元米は農家の生産者価格で売渡すのが当然と私は考えます。(拍手)かかる、食糧自給を根本的に破壊するような食糧不確保臨時措置法と私は言いたい。(拍手)こんな不確保臨時措置法を、むりやりに、多数を頼んでやらねばならない政府與党は、全然見込みのない供出後の米の自由販売というような御名案をお出しになつたのだ。それでもまだ性懲りがなくて、米券制度というような、この大事な食糧問題を一部特権階級の投機の対象にするような制度をお考えになつた。(拍手)これは、自分でなつたなわで、自分の首をくくるようなものと、ちつともかわりがない。
 先日の新聞によりますと、吉田首相が、小笠原委員長その他民自党の関係の皆さまに、かような農民の絶対反対する法案だけれども、黙つてのんでもらいたいと言われたそうであります。あなた方は、それで農村に帰れますか。(「帰れるよ」と呼び、その他発言する者あり)農村の人たちに顔向けができますか。
 政府のお話によりますと、本年二百九十万トンの輸入食糧を、来年は三百七十五万トンに増加する予定だそうであります。先般の日英通商協定によります三十万トンのポンド地域からの責任輸入食糧の問題も、農村では心配しておりますよ。農業恐慌は、どこかの国の夢ではなくなつて来ているのだ。農村をいじめて、たたいて、しぼりとつて、日本の再建ができますか。(発言する者あり)
 私は、以上をもちまして、本食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案には、全国農民の名において絶対反対を絶叫して、私の討論を終わるのであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 島田末信君。
    〔島田末信君登壇〕
○島田末信君 私は、民主党連立派を代表いたしまして、ただいま議題となつております食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案に対しまして、強い希望條件を付して、簡単に賛成の意見を述べるものであります。
 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案は、昨年の暮れ、マツカーサー元帥から吉田総理あてに発せられました経済九原則に関する書簡のうち、食糧の完全集荷に関する重要な問題といたしまして明示せられましたところのスキヤツプ・イン六二七号に基いておりますことは、すでに皆さんも御承知の通りであります。すなわち、政府によつて第五国会に提案せられ、参議院の可決を得たのみで、本院の可決を見るに至らず、今国会において継続審議に付せられていたわけでありますが、これは本法案が追加供出の法制化を規定するものでありますだけに、当時の、あるいは米価、あるいは農業者に対する課税並びに供出数量、その他諸生産用資材の配給などとにらみ合せて、農業生産者に対する重要な意味を持つていましただけに、慎重に考慮せられましたことは、まことに当然と言わねばなりません。すなわち、食糧確保臨時措置法は、供出の事前割当を法制化するために、第二国会において成立した法律でありまして、当時の政府の提案理由の説明によりましても、追加供出を行わないことを明示しておるのであります。しかるに、今回の改正案におきましては、追加割当に対する法的強制がその主要部分をなしておりますことは、従来の制度に対して、きわめて重要なる変化であると申さなければなりません。
 しかしながら、翻つて現下わが国の食糧事情を考えてみますならば、最近は、輸入食糧の増加、経済諸情勢の好転、農民各位の異常なる努力の結果、終戦当時の事情に比べますれば、食糧事情は相当程度改善せられたのでありますけれども、九原則に基く食糧集荷が、能率化の実施を行わなくてもよいほど好転しているとは言われないのであります。まことに食糧は国民生活維持の根幹でありまして、現在二合七勺の配給基準量を維持するために、連合軍の対日援助資金により輸入を受けている事情は依然としてかわつていないのでありますがゆえに、国際信義の立場からいいましても、食糧需給上必要とする国内食糧の最大限の能率的集荷をはからねばならぬ事情にあると申さねばならぬのであります。これが本法案の可決に賛成いたします、まず第一点であります。
 第二は、食糧需給の安定を目標とする農業計画運用の観点から意見を申し述べます。すなわち現行法によりますと、事前割当数量の変更は減額補正のみであるために、一部に減収地帯があるが、ほかに豊作地帯がある場合においても、豊作地帯に対しまして供出数量の追加割当を行うことができないことになつておりますがゆえに、その間に、豊凶の差によつて、地方農民が不公平なる扱いを受けることが、いかんともなしがたいのでありまして、農家の期待するような供出数量の補正を行うことは困難なる事情に置かれているのであります。従つて、この点を改正するならば、豊作地帯の超過供出による補填を見返りといたしまして、減収地帯に対し、農家の期待に沿うよう供出数量の補正が可能となりますように、豊凶農村間の相互調整を行うことができるのであります。従つて、本法律の運用よろしきを得るならば、供出負担の公平化を実施することができるのでありまして、われわれの主張する社会連帯の精神にまつたく合致するものといわなければなりません。(拍手)これが、われわれの本法律案に賛成する第二点であります。
 今や、わが国経済が国際経済に中に溶け込むに従いまして、戦争中及び戦後においてとつて来た封鎖孤立経済下における農業政策は、一大転機をなさねばならぬ時期が到来したのであります。しかもその政策は、農民に自立せんとする意欲を燃え立たせるものでなければなりませんが、同時にまた、その自立を可能ならしむるものでもなければなりません。(拍手)われわれは、ここに強い希望條件を述べて、政府に善処を要望したいと思うのであります。
 まず第一に、民主党としては、さきの米価審議会においても主張した通り、今日の米価は、国際農産物価から見て低位にあるのであります。これを財政の許す限り引上げ、農業生産確保並びに農家経済安定を一日も早くはかるよう努力せられんことを強く要望いたしたいのであります。
 さらに肥料、作業衣その他農家購入必需品、報奨物資は、良質のものを多量に供給するほか、その供給価格は特に低廉とするため、肥料価格差補給金を継続していただきたいと同時に、作業衣等につきましては、特別価格を設定することによりまして適切なる措置をとるよう望みたいのであります。
 また、農業生産の基本である土地改良については、最大限度に財政資金を支出し、個人施設に対しても助成する等、土地改良に関する関係法規の改正については特段の努力を要望したいのであります。
 なお農業課税の適正化については、さきの国会においても、超過供出分については源泉課税とすること、また農業専従者家族について扶養控除を認めることを要望していたのでありますが、農業課税適正化について、政府はシヤウプ勧告案の線に沿うて、その実現を期待しているやに聞いておるのでありますが、この点は税制改革の際実現するよう特に望みたいのであります。
 政府においても、いも類その他の主食の生産、利用、加工、貯蔵等について、予算並びに資金上の措置を講じ、いも類は供出完了後の自由販売も認むる決定をなしたようでありますが、今私の述べましたる希望については、ぜひとも善処をされたいと思います。
 以上述べましたごとく、本法案は、敗戦後の日本経済を建て直す上に、まことに緊急なる必要から生じた過渡的なものでありますので、本来ならば、責任供出以上に生産せられたる農家は、それ以上のものは自由に処分し、勤労の成果を満喫して、大いに喜んでいただきたい気持ちで一ぱいなのでありますが、現下食糧のやむを得ざる事情のもとにおきましては、われわれは、全国三千万余の農民に対し、いましばらくのしんぼうをしてもらいたいという、まことに拜みたいような気持ちのもとに、本法案の成立を期するものであります。同時に、この法律が不必要になる日の一日もすみやかならんことを念願し、かつまた、われわれもその努力を誓つて、本法案の賛成演説を終るものであります。
○副議長(岩本信行君) 横田甚太郎君。
    〔横田甚太郎君登壇〕
○横田甚太郎君 日本人のあまり喜ばぬこの法案、夜を徹し、あかつきを迎え、そうして強行されてこれを可決される。一体たれの利益のためにこれを可決されるのか。共産党は反対のために反対するのではありません。反対せざるを得ない恨みの重なるところの食確法の改悪であるがために、われわれは反対するのであります。(拍手)
 乏しき食糧をわかち合うはずになつておるところの配給と供出制度の日本の村にやみ米があり、町にいも粉の配給を辞退して、やみ米を食わされている矛盾があるのであります。生活の苦があるのであります。強権供出のもとに米麦供出完了後の自由販売だなんて世迷い言を言つて、絶対多数にふくれ上つた民自党が、議会にへたり込んで、しかもいまだに米券制度だなんて迷つた恥の上塗りをやつている。みずからの民族、日本政府の能力において、日本の農村にできる作物の勘定も処理できぬ無能な政治、さればこそ、異国の人が、経済の九原則、供出制度の改善だと勧告するのである。竹馬経済の足を切れ、他人から援助を受けるのは、個人の場合もそうだが、一人前の口はきけぬと、勧告が重なるんだ。」
 食糧法の勧告をいい口実にして、民自党の幹部は、地方農民とのつながりに気をもむにかかわらず、民自党内のまじめな議員の気持ちも考慮できず、自党の結束をがたつかせつつも、この法案を通さなけらばならぬ最悪の日を今迎えておるのであります。絶対多数の記名投票に踊る民自党と、それにつながる議員諸公を、日本の歴史は絶対見のがさないであろう。農民は、日本農業破壊の推進される日として、このときを忘れないであろう。あわれ、この法案通過のこの日こそ、民自党政権衰滅の弔鐘が野に山に鳴り響くときであります。村に民自の誇る農村のやみ探題、やみ富農から、選挙に気を使う府県知事までが叛旗を翻すのがこの日です。町に重税、労働者の首を切り、低賃金に押さえた民自党は、きようまた農民の米を略奪にひとしくもぎとらなければならないのか。
 一体、政府は供出をどう考えておるか。供出米というものは、一体神や仏に供えるところの洗い米か。お布施米なのか。供え米か。それとも売り買いの売買米か。神や仏への供米であるなれば、値段が安いとか高いとか、多いとか少ないとか言うては、農民が笑われるでしよう。しかし、供え物をとる主であつた朕は、高天ケ原の神の子ではなくなつておるのであります。(拍手)
 食糧庁に行けば買入課があり、政府はまた、二十四年度産の米麦の買入れと言つておるのであります。農民と政府の間の米麦の売り買いではないか。売り買いなれば、値段が引き合えば売ろう、安ければ売らぬというのが、人の世の常識であります。つくつた米を買うてもらおうとしないような農民なんてありはしない。引合わない値段で奪い取ろうとするから、政府への供出にはむりが伴う。
 農民が納得づくで出す米は、政府がやきもちをやいて、売るな、売ると罰するぞと、巡査を立ちんぼうのようにじやまをさせていても、ずいぶん米は出ておるのではないか。しかも、政府がおせつかいをやいて、配給だといつて渡す米は真黒で、農民が納得づくで出す米は真白なんだ。
 外国食糧は二百三十万トン、一千五百十八万石あればやつて行けると予定する農相に、三百十五万トン、二千七十九万石、つまり五百六十一万石もよけいにやろうという、世界に余つて来た食糧事情を注視すべきである。外国の米を、一石九千六百七十一円から一万七百二十円で買い、日本の米は一石四千二百五十円でむしりとつておる。この高い外国米を、安く奪い取つた日本の米と同じ値段で配給して、外国食糧で腹をふくらせる日本の危機を、日本国民になぜはつきり知らせないのか。外国の食糧に拂う高い金を日本の農民に出さないのか。
 外国の米を高く買えば買うほど、日本の米は安く買い叩かれねばならない。これでは、日本の人口の半ばを占めるところの農業生産が、日本の食糧計画の中核にならずに、高い外国食糧輸入の足し、補う分、いわゆる補助農業にしかならない。このようなやり方こそが、世界農業とのつながりにおいて成立するところの日本の農業発展を阻害し、農民をやみ米、やみ収入に依存させ、農村の暗黒面を保持し、配給を乱し、供出を阻害し、日本農業をつぶし、町の購買力を減退させ、世界に類例のない低賃金労働者のプールをつくり、失業者を氾濫させ、政治と経済とをフアツシヨ化させて行くのである。
 強権供出下の農民、それはお上で価格をきめられ、つくつた自分の飯米さえも奪い取られ、それを還元配給で高く押し売りされ、食い米量さえあてがいぶちで、労働賃金はもちろん安くきめる。これでは、まるで国家生産農場の収奪に使われるところの囚人労働者と何のかわりもない。こんな農村事情のもとでは、土地改良、水利、経営、娯楽等、農民生計のすべてを国庫で支給するのが当然なんだ。
 米を安くつくれるように、農村改革に思い切つたところの政府資金の裏づけをせよ。それなくして供出制度の改善はあり得ない。その項目を記入しておらない。引合う農産物の最低価格を保証すると明示せよ。農民の食う米を残すと明示せよ。供出に名をかり、農民の飯米さえも奪い取り、供米出富士だけを積み上げて行つて、これで供出が終りましたというようなやり方をするということは、厳罰に処すと規定するべきである。
 やみ米を売れる間は売つておく。供出しろと言つておく。しかし、それが今や世界中から余つて来て、とれなくなつて来ると、いものときと同じように、売れる間はとるけれども、もはややみ米が売れなくなつたら政府は知らぬというような、突返すようなことで、どうして日本の農民が保障されるであろうか、と考えていただきたい。
 米の値段は、どこの農業団体に人たちでも、五千五百円から下のものはありやしない。であるにもかかわらず、政府は四千二百円程度でとつて行く。まさに一石について一千円以上も米を安くとつて行く。とするなれば、日本の農村から三千万石の供出をとるとするならば、優に三百億の農民からの収奪になるということを、はつきりと知らるべきである。(拍手)
 日本の食糧の自給体制に対するところの配慮なく、町に働く人々の配給に幸いしないで、農民保護の一片だにないこの悪法、農民よりとるものは安くして、報奨物資はむちやに高く売りつけている。収奪、強奪法規。今でさえ悪評高くて、首筋寒き農相を何回も迎えなくてはならなような、その震源地になる、その強権、天くだりの供出法規のより一層の改悪には、日本共産党は断固反対であります。日本共産党は、近き将来、必ず日本の全農民と、町に働き、配給に生きる人々とのかたい提携と、全国民の反抗によつて、この悪法を撤廃させ、これをむりじいに通した農民への忘恩の党、絶対多数の民主自由党を粉砕するであろう。いまに見ろ。一昨夜の委員会の納得の行かぬやり方、これに対しては、国民的大抗議運動を展開します。諸君が納得させなかつたならば、従わない人のふえるということを覚悟されよ。
 ビルの中や、歳費のぬくもりの中におられましたならば、農民が待つているのがわからないでしよう。しかし、食確法反対のビラをまいたり、ポスターを張つたり、怒りのための演説会や各種の農民の会合を用意して、知事から、市町村長から、各種の議員から、各種の農業団体の人たちが、あなたたちの帰りを待つているであろう。そうして、その人たちは、あなた方に聞くであろう。そのとき、あなたたちは食確法を通してきたのは私でありますということを、どの面さげて言えるか、ということを御記憶願いたい。これに対して何とお答になるかということも、はつきりと考えていただきたい。
 諸君らの前にありますところの青い札、あるいは白い札、それは自由におとりください。議場の中におきましては、あなたたちの投票を強要するところの何ものもないはずなんだ。何ものもないはずなんだ。では皆さん、ゆつくりとお考えになりまして、そうして帰つたときに、議場で酔うておつて、知らない間に食確法がと通りました、気がついたら通つておつたんです、強権発動もやられるでしよう、米もとられるでしよう、困るでしよう、ということをお答えなさい。
 わが党は、これに対しては断然反対です。だから私は、皆さんの前にあるところの青い札と白い札をよくお考えになつてから後投票なさるように勧告いたします。私は、この法案に対して絶対反対です。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 小平忠君。
    〔小平忠君登壇〕
○小平忠君 私は、新政治協議会を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案に対しまして断固反対し、さらに本件は、農林委員会の決議は無効でありますから、すみやかにこれを撤回されんことを要求するものであります。
 まず食糧確保措置法なるものは、すでに皆さま方の御承知のように、これは昨年の第二国会において、全国農民の切実なる反対を押し切つて通された。特にその際に、民主自由党がこれに反対をされたということは、天下周知の事実であります。
 そもそも供出という文字につきましては、東條内閣時代における、いわゆる侵略戦争当時、神に供えるというこの言葉から供出という文字を使つた。この文字をいまだに現政府が使つているということ、これ自体が、いかに民主自由党が、いわゆる政府が、農民から搾取をするという考え方が明らかであるかということを、私は申し上げたい。従いまして、この臨時措置法は、今日のところ、これを廃止すべきにもかかわらず、今またその一部を改悪して、これを強化せんとするこの意図に至つては、まつたくこの法の目的でありますところの食糧増産の施策を完全に離れて、農民の増産意欲を減退せしめる以外の何ものでもない、最も大きなる悪法と言わなければならないと私は思うのであります。
 去る一月の総選挙において、民自党は、供出後の米の自由販売を、農村における唯一の政策として公約せられ、そうして農村の多くの票を獲得して第一党となつた。この舌の根のかわかぬうちに、これとまつたく反対方向の供出の強化をさらに強化するところのこの改正案を提出されたということについては、まつたく農民の意思を無視し、農民を欺瞞したものである。従つて私は、ここに全国農民にかわつて、断固皆さん方を排撃しなければならぬ。
 特に、一昨日の農林委員会において、民自党は多数に依存をして急遽討論を打切り、一挙にこの改悪を可決せんとし、さらに本日この本会議に提案するがごときは、まつたく民主政治を破壊し、新憲法の精神を蹂躙する以外の何ものでもないと私は思うのである。こういうようなことでは、農村の民主化はおろか、ますます農村は封建的官僚支配主義に追い込まれ、再び農村を痩幣困憊のどん底に陥れていくでありましよう。
 特に、先ほど小笠原農林委員長の委員会の報告の中に、この法案は総司令部に対する礼儀として通したのであるというような説明をされた。これはまことに大いなる失言である。少なくとも公開の席上において、総司令部の礼儀として通すということを‥‥(「何を言つているのだ。」と呼ぶ者あり)真にこの法案の改悪が農民のために最も正しいものであるならば、あくまで堂々とそれを主張すべきである。
 そこで私は、この機会に、本改正の最も不合理きわまる重要なる点を指摘いたしたいと思うのであります。第一に、この改正案の内容で、供出の割当に対して、従来は農民個々の異議申立てができたのであります。ところが、この改正案によりますと、一応異議の申立てはできるようになつておりますが、極度に日数が制限されて、事実は異議の申立てを禁止したも同然であります。これが第一点。
 第二点は農家保有量の問題であります。少くとも超過供出をする場合は、農家保有量は絶対に不安なからしむる法的措置を必要とするにもかかわらず、これの措置がまつたくなされていないのであります。
 第三点は超過供出代金でありますが、政府は、今まで超過供出は三倍の価格で買い上げる法的措置をとり――権利義務の均衡をはかることが最も必要であります。しかるに、今回政府は突如として、これを二倍に引下げ、供出のみを強要するという一方的措置で、いよいよ農奴的政策の馬脚を現わしておるではありませんか。
 次に第四点は、課税の軽減をはからなければならないのでありますが、これまた、まつたくほおかむり措置をとつておる。農民並びに勤労者の税負担の多いことは天下周知の通りでありまして、せつかく努力とくふうと汗の結晶でとり得たものが、大部分供出を強要せられ、さらに税金となつてしまうような現在の制度で、何の食糧の増産意欲があり得るでありましようか。
 第五点としては、今までの事前割当は、今日の日本農村事情の現状よりして、決して軽すぎるとは考えないのであります。従つて、補正超過供出などという事態は起こり得ない。もしありとするならば、これは事前割当の不公正より生ずるのでありまして、ごく僅少なものであります。現に本年のごときは、逆に一千万石を突破する減額補正を全国都道府県から要請されておるではありませんか。かかる現実よりしても、本改正案は、この法律の立体性がますます失われておるのであります。
 そもそも経済九原則による食糧供出の合理化は、強権による強制供出を指示せるものではなくして、生産増強と供出の平衡せる態勢をいうのであります。供出は生産の裏づけがあつて初めて達成されるのであります。今この改正案を見ますというと、食糧供出の合理化にあらずして、農民をして供出を拒否せしめるような、いわば非国民的な取扱いであつて、農民の自主性、農民の愛国的勤労をまつたく無視したものと言わなければならないのであります。
 最後に、最も重要な点は、農産物の価格の問題であります。そもそも米価の算定は、生産費を基礎とした、すなわち実質実効価格によつて、民主的な価格審議会の意思を十分に反映し、最終決定は国会の議を経てこれを決定することが最も合理的であると確信いたしておりまするが、しかるに政府においては、科学的な根拠のない、バリテイ方式によつて、それも本年度は、政府みずから天くだり的につくつたる、米価審議会の意思をも尊重せず、その価格決定にあたつては、まつたく無視したる、翌年度の生産を償い得ないところの、わずか石当り四千二百五十円という低価格に決定したことは、いよいよ農民から一方的に搾取する考え以外に何ものもないと私は思うのであります。
 さらに政府は、明年一月より現行消費者価格を一一%値上げして、石当り六千七百五十円に決定しようといたしておりまするが、そういたしますと、今回決定の生産者価格とは、実に二千五百円という大きな開きができるのであります。これでは、生産者たる農民も、消費者たる一般国民大衆も、ともに官僚や資本家の犠牲とならなければならない。かかる誤れる価格政策に対しては断固承服できないのであります。
 われわれは、米価のみを高くせよという考え方は決して持つていない。他物価との均衡がとれて、生産の裏づけがなされ、農民の納得の行く価格であるならばよろしいのである。もし生産の裏づけがなされて、他物価との均衡がとれ、農民の納得の行く価格であるならば、農民は安心をして増産に励み、収穫された農産物は、農家保有量を残す全数量を喜んで販売するであろうと私は確信をする。すなわち、公正な価格政策が行われたならば、このような悪法、このような改悪をしなくとも、さらに食糧の供出制度などはやらなくとも、この日本の食糧問題は円滑に――農産物の価格問題、米価問題が、農民に納得の行く価格であるならば、私は根本的にすべての問題が解決するということを、この際強く指摘したいのであります。(拍手)
 さらに政府は、明年度おいて、従来より約二倍に近い三百七十五万トンの食糧の購入を計画し、さらにいも類の統制も撤廃をすると言つておきながら、
    〔議長退席、副議長着席〕
半面に超過供出を法制化する、すなわち現在の供出制度をさらに強化するこの考え方、これについては、まつたくその真意那辺にあるのか、その了解に苦しむ者であります。
 日本は一日も早く食糧の自給態勢を確立いたしまして、民生の安定を期することが、祖国復興に與えられた最も重大なる課題であります。かかる観点に立つて、戦後農民は、あらゆる悪條件を克服いたしまして、鋭意増産に努力して参つておるのでございます。特に、昨年の第二国会を通過した食確法は、食糧供出数量を事前に割当てて、農民に生産目標を與え、さらに供出の完璧を期さんとしたもので、これはまつたく農民の意思を無視したものでありましたが、食糧問題の重要性にかんがみまして、農民は最善の努力を沸つた結果、皆さんも御承知のように、昨年度においては割当の百パーセント供出を完遂し、さらに百二十四万七千余石の超過供出をいたしております。これはまつたく農民の自発的、自主的努力と認識によるものでありまして、私は、この農民の自主的な真情を思うときに、まつたく感涙にむせぶものがあるのであります。
 しかるに政府は、農民は純朴である、しぼれば幾らでもしぼれるというような考え方で、今回のごとく、收奪があれば收奪あつただけ、法的強制力をもつて供出せしめようというがごときは、一体何たることか。(『田の草も取らないで何を言つてる』と呼ぶ者あり)黙れ。かくのごとく収穫の全数量を強制的に供出せしむるのであるならば、何も事前割当制度のごときもいらないはずである。昨年は割当以外の供出は自由である、超過供出の分に対しては決して翌年の割当に何らの影響を及ぼすものでないと言つて、御承知のように匿名供出などをさせておきながら、これに課税したり、本年はさらにこれを強制的に供出の対象に持つていくような法の改正をして、はたして農民が納得するであろうか。
 さらに農林大臣は、本法の改正が、現実的にも理論的にも不当であると追究されれば、これは関係当局の指令であると言訳をして逃げる。さらに提案理由の説明の中にも、その事項が明らかにされておる。このようなことは、民主国会を冒涜し、さらに責任転嫁もはなはだしいものと思う。まつたく農林大臣の無能ぶりを遺憾なく発揮したものと私は申し上げたい。(拍手)
 なお農林大臣は、昨年の第二国会において、この食確法に強硬なる反対をしておつた。ところが、一旦農林大臣の席についたならば、まつたく手の裏を返したように供出強化をする。この改悪を積極的に推進する、それははたして農林大臣の本意であろうか。おそらく農林大臣が心ある政治家なら、真に農林大臣が全国三千万農民の父であるならば、すなわち関係当局の指令であると言われても、全国三千万農民の父であるという気持ちがあるならば、職を賭しても闘うべきであつて、最善の努力をすべきであると私は思うのである。しかるに、農林大臣の今日までの行動は、まつたく微弱であり、何らのベストを尽くしていないということを、この際私は強く申し上げたい。
 さらに民自党の諸君は、昨年食確法に反対し、本年度の選挙には、先ほど申し上げたように、供出後の米の自由販売ということを公約して、農民から多数の票を獲得して、二百余名の農村代議士がここに当選して来ておられるではないか。ところが、この面において、民自党の特に農村を基盤にして来た代議士諸君の心境、まことにただならぬものあるということを、私は同情申し上げたい。
 特に、去る第五国会において、民自党の農林委員の諸君たちは、全員この改悪に反対をしておつた。従つて、今度のこの国会において、本改正案によもや賛成をしようとは思わなかつたが、一昨日の農林委員会において、突如本改正案に賛成したのは、一体いかなる心境、いかなる理由であつたか。特に諸君たちは、投票してくれた純真な農民に対し、一体どんな顔を下げて選挙区に帰れるか。
 ここまで言われれば、諸君たちにも良心があるのであるからして、本改正案にはおそらく賛成はしないであろうと私は思いますが、もし賛成をする人があつたならば、私はその人を選挙区あるいは全国農民に伝えて、すなわち厳粛なる農民の審判を受けるということを覚悟してもらいたい。もし諸君たちに良心があり、しかもこれに反対をできないのであるならば、この際いさぎよく棄権する意味で退場したまえ。
○副議長(岩本信行君) 小平君に申し上げます。時間が参りましたので簡単に願います。
○小平忠君(続) 今や農村は、まつたく一大農業恐慌のまつただ中に突つ込まれようとしている。再生産を償えないところの低米価、さらに生産資材の入手離、農村金融の破綻、連年の災害等に悩まされている農民に対して、私は、かかる農奴的、侮辱的食確法の改悪に対しては、断固反対するとともに、委員会の決定がすなわち不当であり、可決がされていないこの法案に対しましては、私はすみやかに撤回されるということをこの際強く要求いたしまして、私の討論を終ります(拍手)
○副議長(岩本信行君) ただいまの小平君の発言中不穏当の言辞があれば、速記録を取調べの上、適当に処置いたします。
 玉井祐吉君。
    〔玉井祐吉君登壇〕
○玉井祐吉君 私は、労働者農民党を代表して、ただいま上程になつている食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案に対して反対の意思を表明するものでございます。
 吉田内閣の農政は、一つとして現実的に農村を救済すべきものと言い得るものは存在しなかつたのでありますが、ことに今回提出されたる本案のごときは、民自党の選挙の公約としての、供出後の米の自由販売、あるいはさつまいもの統制の撤廃、米券制度の提案とともに、日本農業を破壊し、同時に耕作農民の生活を脅かすものだといわなけらばならない性質のものであります。(拍手)本案は、一見しまするに、他の統制撤廃の諸政策と相矛盾する形を備えておりますけれども、その根本的、経済的機能の点よりこれを考察いたしますると、耕作農民の貧困化をはかりつつ、土地改革を逆転せしめ、日本民族の痛切なる要求たる永世中立を売り渡そうとする結果を招来するものであります。(拍手、発言する者あり)関係のないように思つておられるところに勉強の不足があります。
 本案は、供出後の自由販売の公約をごまかして、自由販売不能の既成事実をつくり上げるために、徹底的に農民から米をとり上げるのがその目的の一つであります。(拍手)この改悪は、事前割当の制度を破壞しつつ、他方において、その結果するところ、法律と多数の陰に隠れて、政府と民自党の名において、わが国の全耕作農民の保有米をとり上げ、農民の労働力再生産の基礎たる食糧を奪うものであります。
 しかも農林大臣は、食確法の適用には手心を加えると、こう言つております。しかしながら、手心を加えなければならないような法律を、なぜつくるのであろうか。手心を加えなければならない本案は、まつたく誤りであつて、これをつくるために努力するということは、民自党にとつても、国会にとつても、まことにとんでもない御苦労だといわなければならないのであります。このことは、同時に、政府みずから法律を犯す傾向を助長せしめ、立法府たる国会を侮辱するものだといわなければなりません。しかも、この考え方こそ、税法に手心を加え、脱税を承認し、まじめな勤労大衆の負担を増大せしむる精神とかわりないものだといわなければならないのであります。
 本案は、戦後最大の豊作だといわれるような作物報告事務所の誇大妄想的豊作予想を唯一無二の資料として、事前割当を強行しつつ、超過供出を強要し、これによつて農民の貧乏を促進するところの、とんでもない改正だといわなければならないのであります。(拍手)
 かくのごとく、この法律と、この法律をつくることに協力した人々によつて、貧困化されたところの耕作農民は、土地解放を通じて得たところの、あこがれの農地さえも手放すことを余儀なくされ、遂には、その土地は再び地主に巻き上げられてしまうことになるのであります。かくのごときは、単なる結果だけではなくて、同時に現在の政府と民自党の目的としておるところであります。すなわち、現在農林省では、不在地主の範囲を縮小し、あるいは保有地の保有制限を越えて所有することのできるように、農林省において、地主的三次農地改革の計画を実行しつつあるのであります。
 このような証拠から考えてみて、以上のようなことを明瞭にすることができるのみならず、さらに他方、翻つて世界穀物市場との関係を見る場合には、この食確法の改悪は、外国の食糧の輸入を必要以上に流入せしめて、日本の農業を破壊し、耕作農民の農業を奪い去るおそれが十分にあるのであります。すなわち、アメリカの国務省は、日本及びドイツに対し、一箇年に三億プツシエル、すなわち約六千万石の小麦を輸出することが出来ると言つているほどの状況であります。これは、ほとんど日本全国の本年度の米の実質的な総収穫量に近い小麦がアメリカから輸出し得ることを示しておるものでありまして、もしもこれを日独半分ずつにわけて輸入するようなことになつたといたしましても、三千万石の小麦が入るということを考えなければならないのであります。そのほかに、スターリング地域からも、ポンドの切下げによつて相当に安価な米が流入し、平和の宣誓によつて海上保険が引下げられ、最高約一石二千円ほどの米が輸入されるのではないかというような状況になつております。
 このような世界的な食糧事情の好転というものは、ただでさえ日本農業を危機にさらすものであるのにもかかわらず、政府はその上にさつまいもの統制を撤廃しておきながら、他方において、食糧不足を被害妄想的に世界に宣伝する本案というものは、きわめて危険な性格を有するものだといわなければならないのであります。これは、政府の農村虐待政策、すなわち早場米の検査制度を強化して奨励金をごまかし、土地改良及び災害復旧費を出し惜しみ、河川改修費の削減とともに低米価を押しつけるという一連の農業虐待政策と相まつて、日本の農村の恐慌に拍車をかけ、やがては日本から農業を抹殺し、農民を路頭に迷わせるものであります。
 政府は、農業調整委員会を解消させて、そうして農地委員会にこれを合併させ、十五名の委員会にこしらえ上げて、小作の代表を三名だけ認めようという立案を、現に農林省でやつているではないか。こういうような考え方は、すなわち今の方向を明らかに証拠立てるものだといわなければならないのであります。
 不幸にして、現在の状況から戦争が勃発するようなことがあつた場合には、この食確法の改悪によつて農業を失つた日本は、食糧を供給しておる国に従属しつつ再び戦争に巻き込まれざるを得ないということに注意をしていただきたいのであります。(拍手)永世中立はおろか、有為の青年を殺戮し、多数の未亡人をつくり上げ、親なき子を街頭に迷わせるところの本法は、絶対にたたきつぶさなければならない性質のものであります。その場合に、もしもわれわれが中立を固執する場合には、われわれの糧道は杜絶し、その結果何千万の同胞が餓死せざるを得なくなるおそれが十分にあるのであります。
 これを要するに、本案は、耕作農民の食糧を奪い、耕作農民を貧困化せしめ、土地改革を逆転させて地主に土地を集中せしめ、農業恐慌を促進し、日本を戦争に引きずり込み、同時にわれわれに飢餓を要求する、かかる結果を招来することを予言して、本案に対して反対の意思を表明するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) ただいまの玉井君の発言中不穏当の言辞がありますれば、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。
 小林進君。
    〔小林進君登壇〕
○小林進君 ただいま上程せられておりまする法律案に対し、私は社会革新党を代表し、全面的に反対を表明するものであります。
 そもそも食糧確保臨時措置法が昭和二十三年制定せらるる前、不肖私もまた農民組合の一代表者として、その企画に参画いたしておりまするので、一体どうして食糧確保臨時措置法ができたかという、その法律の立法趣旨には深く精通しているのであります。それは当時の社会党の平野農相の手で立案せられたのでありますが、これがつくられるに至つた根本は、昭和二十一年度の産米に対し天くだり式な割当をして、その上になおかつ一割の追加供出を行つたのであります。この百パーセントの供出に加うる一割の追加供出の強制のために、農民は全国をあげて塗炭の苦しみに陥つたのでありますが、これに対し政府は、さらに追撃の手をゆるめず、全国に強権の発動を行いまして、武装警官を農民の個々のうちに派遣いたしたのであります。武装した警官は、あるいは農家の天井板をはぐり、あるいは床板をはぐつて、そして米の所在を尋ねた。老人はおののき、子供は泣き叫ぶという悲惨なる残虐行為が、この民主化の日本に現われたのでありました。(「片山内閣か」と呼ぶ者あり)当時は吉田内閣の時代であります。こういうような恐るべき強権発動に、農民はもはや生産意欲を失うなみならず、まつたく生きる気持ちもなかつた。この強権発動に対し、この追加供出に対し、世論はこの農民の悲惨なる状態を支持するに至つたのでありまして、ここに初めて食糧確保臨時措置法という法律の成立の必要が認められるようになつたのであります。従つて、食糧確保臨時措置法の最も中心となるところは、第七條の第四項目の、すなわち事前割当を完了すれば、再び断じて追加割当てをしないということであつたのであります。
 この最も重要なる要点を――このたびの食糧確保臨時措置法の改正に基きまして、この最も大切なる一点の第七條の第四項目を取去つてしまつて、依然として追加供出を、一回でも二回でも、政府のお気の召すままに、農民の手に一粒の米がある限りはこれを取上げるような追加供出に、この改正法律が改められたということは、食糧確保臨時措置法の立方精神をまつたく剥奪してしまつた、悪法の限りであるといわなければならぬのであります。(拍手)その意味において、われわれは、全面的にこの食糧確保臨時措置法案には反対しなければならない。また、昭和二十二年の春行われた強権の発動と、追加割当ての強制撤収というあの恐るべき前代未聞の残虐なる行為が、再び本日を期してわが日本の農村に行われんとする前兆が現われた点において、私どもは心の底から反対せざるを得ぬのであります(拍手)
 さて、こういうような形で食糧確保臨時措置法が成立し、この二十三年度の産米に初めて実施せられたのであります。幸いに豊作を相まつて、農民はこの法律のもとに容易に百パーセントの供出をして、なお強権の発動がないにもかかわらず、昨年度は百万石以上の超過供出をいたしました。そうして政府に協力いたしたのであります。ただ、この食糧確保臨時措置法に対し、一、二の欠陥があつたのであります。それは、農民はなおかつこの法律に基いて食糧を出さんといたしました。三倍価格の買上げ――超過供出をして、あくまで政府に協力せんとしたのでありますけれども、そこに一つの欠点と目さるるのは、三倍価格で出して、一石一万八百円有余の金をもらつても、そのあとには税金がついてまわつて来る。三倍価格で売つた金が、ただちに税金で取上げられる。しかも、この三倍価格の税金が総合所得に入れられるために、超過供出を出したばかりに、あるいは総合所得税が二倍にもはね上るという危険があること、この点において、やや農民が超過供出を躊躇するところがあつたのであります。それからいま一つ、超過供出を出すというと、出したことが実績になつて、翌年度より自分の供出の基準にせられるということを恐れた。
 この二つの点において、やや農民諸君がこの食確法に基く供出を恐れまして、一部なお若干米を横流し、やみ流しするという習慣を取去ることができなかつたのであります。ただ、今年の七月ないし八月の最も米の不足する端境期におきましても、青森、岩手県下におきましては、やみ米が大体七十円から七十三円、新潟あたりにおきましても、やみ米の価格が八十円から九十円程度であつた。超過供出で出せば、一升につき三倍の価格の百八円で政府に公然と売りつけられる米を、農民がなぜ七十円や八十円のやみ売りをしたか。それはすなわち、食確法に基いて三倍で買い上げられても、ただちにその金を税金として巻き上げられるという一つの危険があつたからである。それからいま一つは、この超過供出をもつて、翌年度のいわゆる供出の前提にされるという二つの危険のために、あえて三倍価格の超過供出に農民が若干逡巡したところがあつたのであります。
 この事実に基いて、われわれは、全国各種の農民団体あるいは農民諸君と手をつないで食確法の改革のために、三倍の価格で買い上げてくれろ、そうしてその三倍の価格で買い上げた超過供出に対しては税金を免除してもらいたい、超過供出に対しては匿名供出を認めてもらいたい、超過分に対する税金の免除と、この二つだけを政府が認めてくれるならば、現在のままの食確法に基いて、われわれは一升の米も横流しはしない、やみには流さない。全保有米をあげてもなお政府のために協力するであろう、これが供出を促進し、完全に農民をして正しく政府に米を出させる唯一最善の方法であるということを、声をしぼつて政府に進言し、あるいは陳情して参つたのであります。しかるに、この切実なる農民の要求、この正しい、納得ずくめのわれわれの陳情を一笑に付して、しかも食確法の根本的、基本的性格をここにかえて、あらためて、こういう強力な力、この力をもつて農民の手から米を収奪するがごとき改悪の法律をもつてしましたる点、われわれは断じてこれに承服することはできぬのであります。
 民自党の諸君は、選挙の三代公約の一つとされまして、超過供出の低減あるいは米の自由販売を唱導せられました。おそらく、天下にこれほど公約違反のことを平然とおやりになつた党は珍しいと思うのであります。さすがに、これほどの偽り、これほどの裏切りの姿を天下にお見せするのも何だか気がひけるとみえて、とうとうわれわれを夜中に縛りつけて、あかつきに斬るというような残虐なる法案の通過をおはかりになりました。
 しかし、確かにわれわれは、あかつきに祈らせられたのでありましよう。けれども、あかつきに祈るものはあなた方であるということを、私ははつきり申し上げたいのであります。今や、この法案の通過に対し、全国の農民が、まなじりをあげて、あなた方の裏切りに対し断固たる鉄槌を加えるであろう、断固たる農民の憤りが、すさまじい勢いで盛り上るであろうということを、私ははつきりここで申し上げたいのであります。私の演説が終ると、いま一人済んで、そのあとで投票が始まる。今あなたたちが青票を握るか白票を握るか、まさに日本農業史の中で最も恥ずべき、残虐なる法制が、ただいま定められようといたしておるのであります。まだ諸君らに一片の良心があるならば、賛成投票をするなどという誤れる行為をよく反省していただきたいと思うのであります。それができなかつたら、せめて投票のときにはどんどんひとつ表へ出て、自分たちの良心のあり方を見せていただかれんことを切にお願い申し上げまして、食確法に対する断固反対の意見にかえておく次第であります。
○副議長(岩本信行君) 北二郎君。
    〔北二郎君登壇〕
○北二郎君 私は、ただいま上程に相なりました食料確保臨時措置法の一部を改正する法律案に、農民新党の立場と公正クラブの立場より反対の意を表するものであります。非常に時間が制約されておりますので、ごく簡単にその理由を申し上げたいと思うのであります。
 そもそも食糧確保臨時措置法なるものが昨年審議されましたときに、これは私の見当では当つていないかと思いますが、農民の反対が七割、賛成が三割といつたような状態であつたと思うのであります。私たち、当時日本農民党といたしまして、これにかわる民主的にしてかつ理想的な法律案を作成し、食料需給調整法の名のもとに、議員提出の法案として提出したのでありますが、残念ながら審議未了、受付けない、これであります。当時、農民の強い反対にもかかわらず、欠陥だらけのこの法案――まつたく農民の意思を弊履のごとく捨て去り、事実上強力な官僚統制を可能にし、生産から出荷に至る全部門を全面的に官僚の支配下に制約されたのであります。
 皆さん、その結果として現われ来つたものが何でありますか。農家の生産資材はもとより、あれほどやかましく言われました農家保有量さえもとられ、はなはだしきは、官僚が机の上でかつてに、今まで夢にも見たことのない割当の数字を強制したではありませんか。従つて、農民側からごうごうとして反対のあつたことは、諸君もまだ記憶の新しいことと存じ上げるのであります。
 また、ここに最も重大なことは、この法案のねらいであります。この法案のどこに重要性があるかという問題でありますが、これは皆さんも御存じの通り、低米価にして農村の農作物を取上げようという法案であります。具体的に言いますならば……。(「わかつている、わかつている」と叫び、その他発言する者多し)わかつておると言つても、なかなかわからない。低米価で――チューリツプの根を一反植えるのと、米を一反植えるのと、どつちが金になるか、これはチューリツプの法が二倍にも三倍にもなるのであります。そうすれば農民は、これでは価格が合わないからチューリツプをつくる。そういたしますと、農民は食糧をつくらぬ。そこで作付面積を統制したのであります。従つて、本法原案が、食糧を安定する上にも、生産を向上する上にも、はなはだしく障害となつておることは、いまさら多言を用しないところであります。かかることは、とりもなおさず、政府並びに民自党諸君のわが国の農林行政、これに自身がないことを明らかに示すものであります。これでは、日本の農林行政、なかんずく食糧行政をいうものは、そのときまぐれの出まかせで、まつたくその先はまつ暗であると言つても、私は過言でないと思うのであります。
 さらにまた非常に不可解なことは、先ほども各派からここで言われましたが、本案とまつたく縁の遠い供出後の自由販売ということを民自党は公約いたしたにもかかわらず、選挙直後におきまして、何ら法律の根拠なく、供出後の農家手持米を供出させるべく、閣議において強権の発動を決定しておるのであります。昨年、われわれと一緒に民自党の方が反対をした。しかし私は、今に化けの皮が現われるぞと思つたら、今ちようど化けの皮が現われてしまつたのであります。またこれを実行に移しまして、全国至るところに転落農家を続出せしめ、これがため農民は農業にいや気を起し、土地放棄さえもありますことは、大事な国民食糧確保の上からも、人権擁護の上からも、まことに慨嘆にたえざる次第であります。政府並びに民自党の考えておる日本農村の民主化及び日本農業の再建を、どういう方針でどこでいたしますのか、まつたく具体性に乏しいということを、われわれは悲しまざるを得ないのであります。
 また先ほど、山村委員が、これは輸入食糧があるのだから農民は助かると言われましたが、今年の予算を見てみますと、これは表面に現われておりませんが、食糧特別会計、それから補正予算というものは、大量の輸入食糧をてことしておるということが言われます。吉田首相はあすこに見えられておりますが、野党時代に、日本の食糧の自給自足ということを言われました。日本に百五十万町歩からの土地を遊ばせておいて、いまさら外国から食糧を輸入するとは何事です。それでは、日本の農民は、まつたくその先まつ暗、虚説状態になるのも、むりのないところであります。
 過般も私は、森農林大臣に、家畜の飼料、またその確保につきまして御質問申し上げたところが、日本は外国から食糧を輸入しておる今日、家畜に十分なる飼料を與えられなくてもしかたがないという答弁であります。皆さん、日本農業の原動力ともいうべき家畜に飼料を與えずして食糧が確保できると思つたならば、はたしてこういう考えの農林大臣には、農家の経営がわかつておるのか、あえて私は農林大臣にお伺いしたいと思う。しかも、農を知り農を愛する者にとつては、これは笑いごとどころか、限りなき忿懣を禁じ得ないのであります。
 さて、ただいまこの法律案によつて行われようとしておりますことは、従来の収穫予想に基く供出割当にかわつて、昨年から、作付面に、農業計画という形で、生産数量、保有量、それから供出割当量があらかじめ決定され、指示されておつたのでありますが、その目的は、主要食糧の出荷を公正かつ計画的に行うことであり、かつまた、これらの生産に必要な肥料、農薬もしくは農機具などの配給、これの数量と見合つて決定するとされておるのでありますが、その本質は、何よりも低米価によつて出荷数量をあらかじめ確保することであり、その他これに必要な物資は、ただ確保すべき数量を合理化するに過ぎないのであります。従つて、農民は一方的に犠牲を受け、農民を奴隷視しているのも、私ははなはだしいと思うのであります。
 米価にいたしましても、これは物価庁においても、農林省においても、皆さん御存じとと思う。大臣みずからが、安過ぎると言つておる。こういう価格で供出させておるのであります。またこの法案を見ますと、百姓はしぼればしぼるほど出るという、一方的な考え方である。供出の割当を農民に強制いたしましても、これはあたかも木によつて魚を求めるの類であります。すなわち、根本的にむりがあり矛盾があるこういう仕事は、古来成功したためしを聞かないのであります。
 御承知のごとく、昭和五年には六千六百万石生産されております。昭和六年には五千九百万石できております。ただいまの農村の食糧生産を計算しますと、これに近い生産をしているのであります。すなわち、今最も戦前に近い生産をしておるのは、ひとり農民だけだと言つても決して過言ではありません。これは民自党の方も了承していただけると思うのであります。しかるに、諸君のこの農民に望む考え方は酷である。出荷に際しましては、強権の発動、あるいは強権の作付、その上超過分までも強権でたたく。農民にとりましては、これほどの悪法は天下にない。すなわち、日本の官僚及び民自党の諸君は、農民に対して、今や挑戦せんとしておる。挑戦でなくして何でありましようか。
 諸君は、常に食糧問題をやかましく論じられております。今日の食糧問題の解決、国民の生死にかかわる重要性を持つ大切な食糧の増産、これに対して、政府は当然打つべき手を打たず、ただ官僚のなすがままに、政府はすつかり官僚のとりことなつておるような感を深くするものであります。ここに農林行政に対しての政府のゆだんがあり、怠慢がある。
 米価の合理化――、米価に対して申し上げますれば、これはバリテイ計算だと言いながら、この基準‥‥。(拍手)まあ聞いてください。基準年次におきまして、きんしは七銭‥‥。(拍手)
○副議長(岩本信行君) お静かに願います。
○北二郎君(続) 山口大臣みずから手をたたくのはやめろ‥‥(拍手)当時きんしが七銭‥‥(拍手)当時きんしが七銭‥‥(拍手)
○副議長(岩本信行君) お静かに願います。
○北二郎君(続) 当時きんしが七銭‥‥(拍手)当時きんしが七銭、今が十五円とすれば二百倍。皆さん、今のきんしというものは、これはいたどりばつかり、少くともピースくらいの値打は十分にあるとすれば、このバリテイ計算は何百倍になりますか。少くとも七、八百倍になるのであります。かように、現在圧迫と強制により、官僚に農民を蹂躙させておつては、これは決して増産にはならないのであります。生産者が心から奮起するならば、日本の国内で食糧の自給自足のごときは困難ではない。それには、農民のみに犠牲をしいておることをやめ、全国民を公平な立場に置くことがかんじんである。
 第一、農産物の価格の決定に対して農民に発言権を與えず……。
○副議長(岩本信行君) 北君に申し上げます。時間が参りましたので、結論をお急ぎ願います。
○北二郎君(続) もう少しで結論が出ますから――一部官僚は、これをかつてにきめ、かくしてその価格で強制する。皆さん、はたして新憲法は、かくのごとき暴力、暴政を認めておるのでありましようか。憲法第二十九條には、明瞭に私有財産を認め、財産権は侵してはならないと定めてある。また公正な価格でなければ公共の用にも供してはならないと定めてあるのであります。しかるに、生産者の意思はもとより、国会にもかけず、ただ官僚がかつてにきめておる。私は高いとか安いとか別問題だと思う、爾来農民は、同胞愛の上にこそ生きてこれに応じて来たが、しかも政府はこれになれて、農民はむりがきくなどと思つたら、とんでもない間違い。皆さん、仏の顔も三度までということもあるではありませんか。だれが見ましても一目瞭然たる生産費方式をバリテイ方式に改め‥‥(拍手)議長、注意してください。
○副議長(岩本信行君) 申し上げます。――申し上げます。今ちよい、しばらくでありますから、御静粛に願います。(笑声)
○北二郎君(続) だれの目にも一目瞭然たる生産費主義を、かつてに不適当といたしまして、農家の大衆にふなれな低米価の算出をして、からくりをしておるのであります。これにもかかわらず、民自党ないし日本官僚は、さらにこれに輪をかけておるようなものである。政府みずからが出荷を阻害し、生産意欲を根本的になくしておる。
 今や、農民の不満はその極に達しております。それがもはや危険状態に陥つておるが、政府はこれに気づくことなく、このありさまで、なお農家が政府の言いなりに、すなおに供出するとでも思つたならば、これはとんでもない誤算である。しかのみならず、吾人は、農民の生活意欲の減退を‥‥。
    〔「時間だ時間だ」と呼び、その他発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 北君――北君、結論を早く願います。
○北二郎君(続) しかのみならず、吾人は‥‥
    〔「時間だ」「懲罰だ」と呼び、その他発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 静粛に願います。
○北二郎君(続) 日本農民の生産意欲の減退を来すことを非常におそれておるものであります。これでもなおかつ民主自由党の諸君が多数の力を過信し――天然と機械力でなく、特に日本の農業は手でつくつておる。この日本の農業の本質をわきまえず、この悪報を通すならば、これは日本農業の根本的破壊である。昭和二十年十二月九日マツカーサー司令部の覚書による農民解放と、勤労分の成果を搾取すべからずという趣旨を躊躇せんとする、許すべからざる悪法である。特に日本は、今調和条約を前にして、将来独立国として立つのに、国内の食糧の政策の失敗は、ひとり農民だけではない。(「時間だ」「懲罰だ」と呼ぶ者あり)ひとり農民だけではない。
    〔「計画的だ」「中止しろ」と呼び、その他発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 北君、発言の中止を命じます。
    〔北二郎君発言を継続〕
○副議長(岩本信行君) 北君の降壇を命じます。
    〔北二郎君なお発言を継続〕
○副議長(岩本信行君) 執行を命じます。
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 本案につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○副議長(岩本信行君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○副議長(岩本信行君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百三十八
  可とする者(白票)   二百九
    〔拍手〕
  否とする者(青票)  百二十九
    〔拍手〕
○副議長(岩本信行君) 右の結果、食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 本案を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
   阿左美廣治君  安部 俊吾君
   青木  正君  青柳 一郎君
   淺香 忠雄君  淺利 三朗君
   麻生太賀吉君  天野 公義君
   有田 二郎君  井手 光治君
   井上 知治君  飯塚 定輔君
   池田正之輔君  池見 茂隆君
   石田 博英君  石原  登君
   稻田 直道君  今泉 貞雄君
   今村 忠助君  岩川 與助君
   宇田  慎君  宇野秀次郎君
   内海 安吉君  江崎 真澄君
   江田斗米吉君  江花  靜君
  小笠原八十美君  小川原政信君
   小澤佐重喜君  小高 熹郎君
  小野瀬忠兵衞君  小澤 光平君
   尾関 義一君  越智  茂君
   大石 武一君  大泉 寛三君
   大内 一郎君  大上  司君
   大澤嘉平治君  大野 伴睦君
   大橋 武夫君  大村 清一君
   大和田義榮君  岡延右エ門君
   岡崎 勝男君  岡田 五郎君
   岡西 明貞君  岡野 清豪君
  岡村利右衞門君  押谷 富三君
   鍛冶 良作君  角田 幸吉君
   風間 啓吉君  片岡伊三郎君
   甲木  保君  門脇勝太郎君
   神田  博君  川西  清君
   川端 健夫君  川村善八郎君
   川本 末治君  河原伊三郎君
   菅家 喜六君  木村 公平君
   北川 定務君  北澤 直吉君
   倉石 忠雄君  栗山長次郎君
   小金 義照君  小平 久雄君
   小玉 治行君  小西 寅松君
   小山 長規君  河野 誠三君
   近藤 鶴代君  佐久間 撤君
   佐々木秀世君  佐瀬 昌三君
   佐藤 榮作君  佐藤 重造君
   坂田 英一君  坂田 道太君
   坂田  寛君  塩田賀四郎君
   篠田 弘作君  澁谷雄太郎君
   白井 佐吉君  庄司 一郎君
   周東 英雄君  鈴木 仙八君
   鈴木 善幸君  瀬戸山三男君
   關谷 勝利君  千賀 康治君
   田口長治郎君  田嶋 好文君
   田中 角榮君  田中  元君
   田渕 光一君  多武良晋三君
   高木  章君  高木吉之助君
   高田 弥市君  高橋 英吉君
   高橋 權六君  高橋  等君
   高間 松吉君  竹尾  弌君
   玉置 信一君  玉置  實君
   塚原 俊郎君  土倉 宗明君
   辻  寛一君  圓谷 光衞君
   坪内 八郎君  苫米地英俊君
   冨永格五郎君  奈良 治二君
   内藤  隆君  中川 俊思君
   中村  清君  中村 幸八君
   中村 純一君  中山 マサ君
   仲内 憲治君  永井 英修君
   永田  節君  夏堀源三郎君
   丹羽 彪吉君  西村 英一君
   西村 直己君  根本惣太郎君
   野原 正勝君  野村專太郎君
  橋本登美三郎君  橋本 龍伍君
   畠山 鶴吉君  花村 四郎君
   原 健三郎君  樋貝 詮三君
   平井 義一君  平澤 長吉君
   平島 良一君  平野 三郎君
   廣川 弘禪君  福田 篤泰君
   福田  一君  福永 健司君
   藤枝 泉介君  渕  通義君
   淵上房太郎君  降旗 徳弥君
   星島 二郎君  細田 榮藏君
   本多 市郎君  眞鍋  勝君
   前尾繁三郎君  前田 正男君
   牧野 寛索君  増田甲子七君
   益谷 秀次君  松井 豊吉君
   松木  弘君  松田 鐵藏君
   松野 頼三君  松本 善壽君
   丸山 直友君  三池  信君
   三浦寅之助君  三宅 則義君
   水田三喜男君  水谷  昇君
   南  好雄君  宮崎  靖君
   宮原幸三郎君  武藤 嘉一君
   村上  勇君  村上 清治君
   守島 伍郎君  森 幸太郎君
   森   曉君 藥師神岩太郎君
   柳澤 義男君 山口喜久一郎君
   山口六郎次君  山崎  猛君
   山村新治郎君  山本 猛夫君
   山本 久雄君  吉田  茂君
   吉田 省三君  吉田吉太郎君
   吉武 惠市君  龍野喜一郎君
   若林 義孝君  渡邊 良夫君
   亘  四郎君  大西 正男君
   島田 末信君  鈴木 幹雄君
   田中不破三君  田中  豊君
   橘  直治君  坪田 信三君
   寺本  齋君  永井 要造君
   長野 長廣君  保利  茂君
   山崎 岩男君
 否とする議員の氏名
   足鹿  覺君  青野 武一君
   赤松  勇君  淺沼稻次郎君
   井上 良二君  猪俣 浩三君
   石井 繁丸君  石川金次郎君
   稲村 顎三君  受田 新吉君
   大矢 省三君  岡  良一君
   加藤 鐐造君  上林奥市郎君
   川島 金次君  久保田鶴松君
   佐々木更三君  佐竹 新市君
   坂本 泰良君  鈴木茂三郎君
   鈴木 義男君  田中織之進君
   田万 廣文君  堤 ウルコ君
   戸叶 里子君  土井 直作君
   中崎  敏君  西村 榮一君
   福田 昌子君  前田榮之助君
   前田 種男君  松井 政吉君
   松尾トシ子君  松岡 駒吉君
   松澤 兼人君  松本 七郎君
   三宅 正一君  水谷長三郎君
   門司  亮君  森戸 辰男君
   八百板 正君  山口シヅエ君
   米窪 滿亮君  荒木萬壽夫君
   有田 喜一君  稲森  修君
   小野  孝君  大森 玉木君
   川崎 秀二君  北村徳太郎君
   小林 運美君  坂口 主税君
   笹山茂太郎君  志賀健次郎君
   椎熊 三郎君  清藤 唯七君
   園田  直君  高橋清治郎君
   千葉 三郎君  床次 徳二君
   中島 茂喜君  中曽根康弘君
   並木 芳雄君  橋本 金一君
   長谷川四郎君  島田 重勇君
   林  好次君  藤田 義光君
   増山 連也君  宮崎 喜助君
   村瀬 宣親君  梶原 三郎君
   井之口政雄君  伊藤 憲一君
   池田 峯雄君  江崎 一治君
   加藤  充君  風早八十二君
   春日 正一君  上村  進君
   柄澤登志子君  川上 貫一君
   河田 賢治君  苅田アサノ君
   木村  榮君  聽濤 克巳君
   今野 武雄君  志賀 義雄君
   砂間 一良君  田島 ひで君
   田代 文久君  田中 堯平君
   高田 富之君  竹村奈良一君
   谷口善太郎君  土橋 一吉君
   中西伊之助君  梨木作次郎君
   林  百郎君  深澤 義守君
   横田甚太郎君  米原  昶君
   飯田 義茂君  石田 一松君
   今井  耕君  金子與重郎君
   木下  榮君  吉川 久衛君
   小平  忠君  小林 信一君
   河野 金昇君  寺崎  覺君
   内藤 友明君  中村 寅太君
   羽田野次郎君  船田 享二君
   三木 武夫君  水野彦治郎君
   山手 滿男君  石野 久男君
   岡田 春夫君  黒田 寿男君
   玉井 祐吉君  松谷天光光君
   小林  進君  佐竹 晴記君
   早川  崇君  浦口 鉄男君
   北  二郎君
    ―――――――――――――
○副議長(岩本信行君) この際午後一時まで休憩いたします。
    午前九時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時三十四分開議
○議長(幣原喜重郎君) 休憩前に引續き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) お諮りいたします。今回の会期は本日をもつて終了することになつておりますが、翌十二月一日より十二月三日まで三日間会期を延長したいと存じ、これを発議いたします。
 本件につき発言の通告があります。これを許します。松井政吉君
    〔松井政吉君登壇〕
○松井政吉君 私は、野党各派を代表いたしまして、ただいま議題となりました会期三日間延長に関する議題に対しまして反対の意見を述べるものであります。
 御承知の通り、今国会におきまして、野党各派は、当初からきわめて民主的な審査の実行及び国会の運営につきまして、できるだけゆとりのある日時をとることが必要だということで、四十日を主張いたしたのであります。ところが、政府、與党一体となりまして、三十日でよろしいということで、採決の結果破れたのであります。その後七日間を延長しなければならないということにつきましても、最初の主張通り、野党は通常国会までにおける期間一ぱいの延長をすべきであるという主張をしたのでありますが、これもまた七日間の延長ということに決定したのであります。ところが、また本日になりまして、再び三日間を延長するということになつたのであります。
 野党各派が本日の三日間延長に対してなぜ反対をしなければならないのか。さらにまた流布されておるところの説によりますれば、議会の運営の状況と会期を延長しなければならない責任は野党にあるという悪宣伝をしておるという事実があるのであります。この事柄につきまして、私は野党各派として明快に意思を表明したいのであります。
 第一点は政府の責任であります。われわれは、政府及び行政府の長たる内閣及び総理大臣に、国会の運営上必要な事柄がありますので、議院運営委員会に出席を願いたいという要求を、幾たびか野党各派としていたしたのでありますが、いまだかつて一回も御出席がないのであります。参議院におきまする運営委員会には出席をなさいましても、衆議院の運営上に関する事柄につきまして、総理大臣の出席を求めましても出席がない。この事柄は、あらゆる場面におきまして、総理大臣の国会軽視の考え方がここに現われておるといわなければならないのであります。(拍手)
 さらにまた、法律案の提出の時期、操作に関しまして、当初増田官房長官は、八日に施政方針演説、予算案、税制改革案等一緒に上程したいということを申し述べたり、あるいは十日説を言い、十二日になり、結局十四日に延びておるのであります。こういう無計画なる見通しの限りによりまして、遂に十分なる審議期間がとれなかつたのであります。
 この事情は、わが野党各派が、いわゆる八月二十五日に臨時国会を要求いたしておるのでありますが、それを二月延ばして、十月の二十五日になつて、ようやく開いたのであります。その間二箇月におきまして、きわめて準備が完了されていなければならないはずであります。にもかかわらず、二月も延ばして開いておきながら、わらに会期の問題につきまして、いわゆるわが党の四十日、野党各派の四十日、この説を多数によつて押し切りながら、一切の公約を裏切りまして、法案提出期日を遅らせ、あるいは運営上に支障を来した。こういう事柄は、明らかに総理大臣を初め政府全体が国会を軽視し、憲法の精神を蹂躙しているといわなければならないのであります。(拍手)
 さらに私は、與党の責任について申し上げたいのであります。野党各派は、きわめて民主的にして、しかも実をあげるように議会の運営を運ぶべく協力をいたしているのでありますが、多数を占める與党の横暴は、常任委員会の審査の経過におきましても、本会議場のおける、たまたま混乱惹起におきましても、一切をあげて運営を遅らせ、ひいては会期延長をしなければならない状態に相なつたことにつきましては、一切をあげてわれわれは與党たる民主自由党の責任であると言いたいのであります。(拍手)
 一例を申上げますならば、昨日から本日におけまして、本会議において長時間もみにもみにもみ抜いております。いわゆる食確法の問題にいたしましても、農林常任委員会におきまして、與党の諸君が民主的な運営を考え、きわめて公平な審査の取扱いをいたしますならば、きわめてスムーズに運ぶのでありますが、常任委員会の運営の仕方におきましても、あらゆる委員会において、かくのごとき状態が現われていることが、審査に支障を来し、予定の日数に予定の法案の審査を終了することができなしという結果を生んでいるのであります。こういう事柄からいたしましても、この事柄は、国会の権威を失墜し、さらに秩序の保持について、きわめて冷淡な態度であり、国会法、衆議院規則を無視した態度であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 さらに、通常国会との関連においてでありまするが、通常国会は四日に召集されているのであります。本日会期が終了いたしましても、継続審査の形で通常国会に入りまして、百五十日間にわたる長期の国会において十分審査ができるのであります。本日になつて三日間会期延長をして、むりをしなければならない理由と根拠がないのであります。
 従いまして、わが党、野党各派は、こういうあらゆる点から見ましても、三日間会期延長ということについて賛成いたしかねるのであります。会期を三日間延長しなければならないことは政府と與党の一切の責任であるという点を明白にいたしまして、私の反対の意見を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 本件につき採決いたします。会期を十二月一日から三日間延長することに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて会期は三日間延長するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第五、復興金融金庫法の一部を改正する法律案、日程第六、復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第七、旧軍関係債権の処理に関する法律案、右三案は同一の委員会に付託せられたものでありまするから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員会理事小山長規君。
    〔小山長規君登壇〕
○小山長規君 ただいま議題となりました復興金融金庫法の一部を改正する法律案並びに復興金融金庫に対する政府出資等に関する法律の一部を改正する法律案について、大蔵委員会に於ける審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず両法案が提出になりました趣旨について申し上げますと、第一の法案は、資本金の減資に関するものであり、第二の法案は、回収金の国庫納付に関するものでありますが、順序として、第二の法案より先に申し上げます。
 復興金融金庫におきましては、本年十月以降、新規業務を一切停止することになりましたので、今後の回収金につきましては、新たなる貸付等に転用することなく、この回収金額から必要経費を差引きました残額を、国庫に納付させることとしようとするものであります。
 次に第一の法案は、新規業務停止に伴つて不要となります未拂込み資本金が、昭和二十五年三月末現在において約二百五十億円に上る見込みとなりますので、これだけの金額を、昭和二十四年度の決算時において、現在の資本金より減資いたしますとともに、さきに申し述べました回収金が国庫に納付されました場合には、さらにその納付金額に相当する金額の減資を行うこととしようとするものであります。
 次に、両法案の要点について、これも説明の都合上、第二の法案より先に申し上げますと、その第一点は回収金の国庫納付に関する基本規定でありまして、毎事業年度における回収金は、その金額から、復金債券の償還に要する経費等政令で定めるものを差引いた残額を、その年度において国庫に納付しなければならないことといたしております。
 第二点は回収金の国庫納付に関する特殊規定でありまして、昭和二十四年度に限り、納付に関する支出予算額が実際の納付額に対して不足するときは、その不足額は年度において納付することといたしております。
 次に第一の法案の要点について申し上げますと、その第一点は不要となります未拂込み資本金の減資に関するものでありまして、現在の資本金額千四百五十億円を、二百五十億円減資して千二百億円に改めることといたしております。
 第二点は回収金の国庫納付の場合における減資に関するものでありまして、回収金が納付された場合には、その翌年度の末日において、納付金額に相当する金額の減資を行うものとすることといたしております。なおこの第一の法案は、復興金融金庫の昭和二十四年度の決算のときから施行することといたしております。
 以上の二法案は、十一月二十四日、本委員会に付託されたものでありまして、翌二十五日、政府委員より提案理由の説明を聴取し、二十七日質疑に入つたのでありますが、詳細の点は会議録に讓ことといたします。
 次いで討論に入りましたところ、三宅委員は民主自由党を代表して、回収を厳重に行うことを希望して賛成の意を表せられ、川島委員は社会党を代表して、復金融資は経済安定のため必要なものであるが、機構が民主化されていないこと、回収金は中小企業等に投資して、金詰まりの打開に使用さるべきものであること、という理由をあげて反対の意を表せられ、河田委員は共産党を代表して、この法案は復金融資を停止し、回収を内容とするものであるから賛成である旨を延べ、回収については政府が適切な処置をとり、次の国会に報告されること、本委員会で調査することを要望する旨條件を付されました。内藤委員は新政治協議会を代表して、回収金を農業方面に融資せられることを希望して賛成の意を表せられました。
 次いで採決に入りましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたされました。以上御報告申し上げます。(拍手)
 次に議題となりました旧軍関係債権の処理に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。
 まず、この法律が提出になりました趣旨について申し上げます。この法案で旧軍関係債権と申しておりますものは、旧陸軍省、旧海軍省及び旧軍需省関係の債権でありまして、これら各省が、物品の製造契約等に対して前金拂い、または概算拂いをしましたために拂い過ぎとなりましたもの、軍需品の拂下げ代金、間違つて支拂いましたものなどで、未回収になつております債権でありますが、その金額は現在約十六億四千万円、件数にいたしまして約八千八百件あるのであります。このうちには、債務者が特別経理会社または閉鎖機関に指定されましたため、債務の弁済が法律上制限または禁止されているものが多額に上つておりますが、その他の債権につきましても、終戦後の変動によりまして、債務者の住所、居所不明等種々の障害がありまして、徴収が進行しておらない状態であります。従いまして、特別経理会社または閉鎖機関に指定されておりますものにつきましては、それぞれ当該法令によつて処理するほかないのでありますが、さような制限のないものにつきましては延納または分納を許し、あるいは特別の譲歩をなし、あるいは催告及び催促を行いました上滞納処分をする等の手段をとり、また債務者の住所、居所不明等のために徴収不可能と認められます場合には、その債務を免除するなどの処置をとりまして、迅速な徴収と整理の進行をはかろうといたしておる次第であります。
 以上がこの法案の提出になりました趣旨でありますが、次にこの法案の要点について申し上げます。
 第一に、債務者の資力の状況によりましては、三年を越えない期限をもつて延納または分納を許すことといたしておりますが、その場合には、確実な担保を提出させ、また大蔵大臣の定める利息をつけなければならないことといたしております。
 第二に、裁判所の和解または調停によりまして特別の譲歩をすることができることといたしております。
 第三に、債務者が書面によつて債務を承認したもの、または催告書によつて債権が確定したものにつきましては、さらに債務支拂いの督促をいたしました上、なお期限内に完納しないときには、国税徴収法に規定しております滞納処分の手続に準じまして徴収処分をすることができることといたしております。但し、この場合には、国税において認められておりますような優先権は認められないのであります。
 第四に、債務者の住所または居所が不明のため徴収可能と認められます場合には、その債務を免除することができることといたしております。なお住居または居所不明の債務者に対する告知、催告、督促及び債務免除の通知については官報の公告によることができるということになつております。
第五に、債務者は、確定した債権について、国を被告として異議の訴えを提出することができるということになつております。
 以上がこの法案の要点でありますが、次に審議の経過並びに結果について申し上げます。
 この法案は、十月二十八日、本委員会に付託されたものでありまして、同三十一日、政府委員より提案理由の説明を聴取し、十一月八日、入江衆議院法制局長より、この法案に関する関係筋の参考意見を聴取し、十一月十二日より質疑に入り、各委員から熱心な質疑が行われ、それぞれ政府側より答弁がありました。質疑応答の詳細については会議録に讓ることといたします。
 次いで、二十八日討論に入るに先だち、前尾委員より民主自由党、民主党、新政治協議会各派合同の修正案を提出されましたが、修正案は、第一に、旧軍関係債権とは何であるかを明定し、第二に、大蔵大臣が定める利息とあるのを、大蔵大臣が市場金利を考慮して定める基準による利息と改め、第三に、債権が確定されても、債務者の住所または居所が不明である間は、滞納処分をしないことができることとするものであります。
 続いて討論に入りましたところ、田中委員は社会党を代表して、この法案は債権取立てのためでなく、巨額の債権を打切ろうとする意図が見られる旨を述べて反対の意を表せられ、林委員は共産党を代表して、臨時軍事費より支出された巨額の債権が徴収されないこと、債権を取立てるのでなくて、債務者を保護するものであること、軍事的な潜勢力を温存する意図が見えると、わが国は恒久的平和を確保すべき国際的義務を有するにもかかわらず、これに逆行するものであることの四つの理由をあげて反対の意を表せられ、前尾委員は民主自由党を代表して、債権の迅速な取立て並びに整理の進捗をはかるためには、ぜひともこの法案が必要である旨を述べて賛成の意を表されました。
 次いで採決に入りましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案は起立多数をもつて可決せされ、よつて本案は修正議決された次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。田中織之進君。
    〔田中織之進君登壇〕
○田中織之進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程に相なりました復興金融金庫に関する二つの改正法律案並びに旧軍関係債権の処理に関する法律案の三案に対しまして、反対の討論を行わんとするものでございます。まず復興金融金庫に関する二つの法案に対しまする反対の理由を申し述べます。
 復興金融金庫の現在までの機構並びに運営につきましては、これは幾多の問題のあつたことは、皆さんも御承知の通りでありまして、この点に対しましては、われわれは従来から、この復興金融金庫の民主的な運営について主張して参りましたものでございまするが、われわれは、今回の臨時国会の開会に先立ちまして、現内閣が行つておりますいわゆるデフレ政策のための金融難を打開する方法といたしまして、この復興金融金庫の機構を徹底的に改革いたしまして、また現在の主として独占産業を中心といたして貸し出されておりまする莫大なる貸付金の回収をすみやかにいたしまして、これらの回収金をもつて、現下金融に対する最も切実なる要望を持つております中小企業に対する政府保証によるところの融資機関たらしむべしということを中心とする復興金融金庫の改正法律案並びに商工中金の改正法律案及び農林中央金庫の改正法律案の三案を立案いたしまして、これを本国会に提出いたすべく努力をいたしたのでございまするが、政府は、この野党三派によりまするところの金融難打開のための改正法律案に対しまして、何らこれが実現のための協力をせずに、今にわかにこの法律案を提出いたしました。
 ことに、この改正法律案の中には、いうまでもなく、現在まで復金が辛うじて行つておりましたところの貸付業務を全面的に廃止いたしまして、明年三月末をもつて二百五十億の減資を行おうとするのでありまするが、われわれの反対の第一の理由は、われわれが主張いたしましたところの、復金の民主的な機構改革による中小企業に対する金融機関として復金を活用すべしというわれわれの主張とは、まるきり反対の方向に、この改正法律案が持つて行かれておるという点が第一点であります。(拍手)
 大蔵大臣もしばしば、中小企業を中心とする産業に対する長期の政府保証によるところの融資の必要を認めておられるのでありまして、その一つの方法といたしましては、復金にかわりまして、公認のこうした長期融資機関たらしめ、同時に商工中金あるいは農林中央金庫を活用するということを、本国会におきましても、たびたび言明いたしておるのであります。それにもかかわらず、ことに最も重要なる商工中金法の改正法律案並びに農村金融に対する農林中央金庫に対しまする必要なる改正法律案が、すでに会期も、ただいまのむり押しによるところの三日間の延長にもかかわらず、わずか三日しかない現在に、商工中央金庫法なり、あるいは農林中央金庫法の改正法律案が、大蔵大臣のたびたびの言明にもかかわらず、現在なおこの国会に提出されないということは、政府が本国会において、金融政策のただ一つのものとして国民に公約いたしましたものを、この会期のまさに終了せんとする瞬間において踏みにじつておる事実を示しておるのでありまして、これが、われわれが本法案に反対する理由の第二でございます。
 ことに、現在までの復興金融金庫が回収いたしました貸付金のうち一部分は、御承知の通り農村金融の方面に向けられておるのでございますが、今申し上げました農林中央金庫法の改正案が出ないのならば、今回の改正法律案によつて、復金回収金によりますところの農村金融への道が完全にとざされてしまうということは、われわれが本法案に反対いたしまするところの第三の論拠でございます。
 さらに政府は、国民の膏血であるところの税金並びに貴重なる見返り資金の関係から、復金債の償還をきわめて急いでおるのであります。本年度復金債の償還期の来ておりますものは百億内外とわれわれは考えておるのであります。従いまして、本案に反対すると同時に、われわれは見返り資金からいたしまする六百二十五億の復金債の償還は、本年度償還期が参つておりますところの百億にとどめまして、残りの五百二十五億は、これを産業融資の方面にまわすべしということを主張するものでございます。(拍手)
 以上が、われわれ復興金融金庫に関する二つの改正法律案に対する反対の理由でございます。
 次に、旧軍関係債権の処理に関する法律案に対する反対の理由を簡単に申し述べます。旧陸海軍省並びに軍需省等の、いわゆる戦争中及び敗戦直後におきまするところの未回収債権というものは、いわゆる臨時軍事費を中心といたしまして、おそらく現在なお数百億、いな、数千百億に上るであろうということは、これは歴然たる事実でございます。しかるに政府は、今回の旧軍関係債権の処理に関する法律案の立案にあたりまして、こうした旧軍関係債権といたしまして政府が確定したものは、十六億数千万円にすぎないのであります。われわれが数百億に達すると見込まれるところの旧軍関係債権を、わずか十六億数千万円と確定いたしました。これを処理回収するという名目のもとにおいて、実は取残されておるところの厖大なる旧軍関係債権を打ち切ろうとする意図に対しまして、断固反対するものであります。
 さらに、この十六億の旧軍関係債権の内容といたしまして、これだけ厖大な資料をわれわれ委員会に提出したのでございますが、このうちには、大きい金額は一億に近い何千万円というものから、小さい金額にいたしまするならば五円二十五銭、あるいは七十八円三十銭、こういうような、きわめて零細なる金額に至るまで計上されておるのであります。さらにそのうちには、特経会社あるいは閉鎖機関、こういうものはやむを得ないといたしましても、政府機関でありまするところの逓信局であるとか、あるいはたとえば参議院の野田俊作君に対する二万何千円というような、こういう当然回収されておらなければならない金額までが、未回収債権としてこれにあげられておるのであります。ことに、この十六億数千万円の未回収債権のうち、その三分の二以上は、あるいは特経会社であるとか、あるいは閉鎖機関であるとか、こういう形において、実はその十六億の三分の二に当るこれらの部分に属するものは、いつ回収できるかということも、はつきりいたしておらないのであります。
 さらに本法案は、旧軍債権の処理と称しながら、実は住所が不定であるとか、いろいろの理由をつけ加えまして、政府が一応予定いたしておりまする十六億数千万円のうち、おそらく大部分がこれまた実質的には打切られるところの、きわめて反動的な意図を持つておるのでありまして、厖大なるところの旧軍債権を未回収のままに打切つて、敗戦直後あるいは敗戦直後どさくさに軍部その他の官僚と結託いたしましたところの一部悪徳なる連中の財産を保全しようとする、きわめて反動的な意図を持つておるものでございまするので、われわれは、本法案に対しましては、以上の理由によりまして、断固反対することを申し述べて、私の討論を終る次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 林百郎君。
    〔林百郎君登壇〕
○林百郎君 ただいま議題になりました三法案について、ごく簡単に賛成並びに反対の意思を表明したいと思うのであります。
 まず、復金関係の二法案につきましては、わが党といたしましては賛成いたすのであります。ただわれわれは、この復金が国民の血税を無條件で一部の大資本家に不正融資していたものでありまして、わが党は、常にかかる金融の方法については絶対反対をしておつたのであります。ことに、復金が不正腐敗の伏魔殿である。たとえば昭和電工事件のごとき、前栗栖大蔵大臣のごとき苦々しい例があるのみならず、さらに一例を申しますと、三建工業株式会社その他八土建工業に対する二億六千万円の不正融資、その他われわれは、会計検査院の調査によりますと、数限りなき不正融資を委員会において暴露したのであります。
 そこでわが党としましては、この復金融資に対しましては、第一に、徹底的に不正の融資を調査するということ、次には、この不正融資をすみやかに厳重に回収するということ、第三につきましては、この回収に要する費用については、いやしくも一点の不当不正なきことを心がけるという條件のもとに、本法案によるところの復金の融資を回収し、これを国庫へ納める、国庫へ納めた分だけは復金の資本を減少するという、復金の不正融資の回収の方法を規定したところの本法案につきましては、賛成の意を表する次第であります。
 その次に問題になります旧軍関係債権の処理に関する法律案でありますけれども、これにつきましては、わが党は反対の意思を表明するのであります。
 皆様御存じのごとく、臨時軍事費は、国民の血税であり、これは徹底的に徴収しなければならないものであります。この臨時軍事費の昭和十二年から昭和二十年の総計は、実に二千九十三億の厖大に上るのであります。この利子だけでも五十億に当るのでありますけれども、このたびの法案によるところのこの軍関係処理として処理される債権は、わずかに十六億というのであります。われわれは、この臨時軍事費の五十億の利子の三分の一にも足りないような債権しかここに俎上にされないというところに、この臨時軍事費が、いかに不正に、終戦当時のどさくさにまぎれて、軍需工場並びに軍関係の高級将校によつて使われていたかということが明らかだと思うのであります。
 一例を申しますと、軍需省航空兵器総局が、興東特殊工業株式会社に対し、納入せぬ自動車代として千四百万円の金を拂つているのであります。これは全部会計検査院の調査であります。昭和二十年におきましては、小西某に対して、軍需省航空兵器総局は、契約をしただけで九百万円を支拂つているのであります。中島飛行機におきましては、昭和二十年の四月から八月までのわずか五箇月の間に、第一軍需工場に指定されただけで、二十九億の金を不当に消費しておるのであります。この次に、この中島飛行機におきましては、解散にあたりまして、高級職員で、勤続わずか七、八年の者に対して、驚くなかれ、実に五十箇月分の退職金を不当に使つておるのであります。さらに軍需省の航空兵器総局と商工省の整理部第二軍需工廠の川西航空機は、軍需品の九千万円の代金として、実に三億円の金を不当にとつているのであります。しかも、終戦当時の高級陸軍将校、軍属の退職金、莫大な軍需物資が、いかに不正に隠匿されたかということは、天下周知の事実であります。(拍手)しかるにもかかわらず、この回収代金がわずか十六億ということは、だれが納得することができるでありましようか。
 すなわち、この法案の陰には、恐るべき日本の軍事的な潜勢力の温存という憎むべき意図があるということは、明らかだと思うのであります。(拍手)しかも、二千九十何億の臨時軍事費を、わずか十六億に減らして、その十六億のこの軍債権の回収の方法といたしましては、第一には、納付の期限は延期することができる。利息は税金ですら、日歩二十銭であるにもかかわらず、当時の金利とにらみ合せて適当に大蔵大臣が定めるということだけであつて、何ら金利の規定が確定されておらない。第二は、分割の納付が認められている。第三には、一万円以下のものは担保を提供しなくてもよい。第四としては、裁判所の和解、調停による十分の譲歩をするということが規定されている。第五としては、住所または居所が五年間不明の場合には免除してやる。しかもこの五年間は特効中断の方法がなくして、五年たてば、いやでも応でも債権がなくなるような手続がされておるのであります。しかも、徴収処分、いわゆる税金と同じ方法で徴収をしても、他の債権では絶対に優先しないというのであります。そのほか、特殊経理会社、閉鎖機関の処理は、清算が未了だからといつて、今もつて債権すら確定しておらないのであります。三菱重工業あるいは東洋レーヨン、三菱化成というような百二十軍需会社に対して、わずか百万円か二百万円の金すら取立てることのできないような法案が、この法案の内容なのであります。(拍手)驚くべきことは、大阪逓信局のわずか七十円の金をとることができなくて、旧軍債権として残つているのであります。そのほか、交易営団が食べたところの牛肉、豚肉の債権百万円すらが、今もつて取立てることができなくて、旧軍債権として残されておるのであります。
 皆さん、われわれの血の出るような税金で、しかも夫をなくし、父親をなくし、子供をなくして、あの悲惨な戦争の犠牲によつてまかなわれたこの臨時軍事費が、こんな形で処理されていいでしようか。われわれは、あの死んだ諸君に対して、かかる法案に何のかんばせあつて賛成することができるでありませうか。(拍手)しかも、かかる軍需物資に対して、これが取立てを怠ることによつて、この厖大な軍需物資の値上りによる差金、あるいは債権の金利に対するもうけというものは、実に莫大なものであるのであります。われわれは、勤労所得税をとる前に、まずこの旧軍債権を徹底的に徴収することによつて十分日本の勤労階級の利益を守ることができると思うのであります。(拍手)
 われわれは、ここでポツダム宣言を想起しなければならない。ポツダム宣言によれば、日本国民を欺瞞して、これをして世界征服の挙に出ずるの過誤を犯さしめたる者の権力及び勢力は永久に除去されなければならないということが規定されているのであります。しかもポツダム宣言には、日本の国の戰争遂行能力が破碎せらるるまでは日本は占領されるということが書いてあるのであります。すなわちわれわれは、もし日本の国に軍事的な潜勢力を温存するようなことをするならば、日本の国の占領は永久になされ、日本の国の植民地化は永久になされ、の本の国の独立はいつの日にか期することができるでありましようか。(拍手)われわれは、かかる日本の国の軍事的な潜勢力を温存し、国際的な義務に違反し、日本の独立を阻害するようなかかる法案こそは、吉田内閣の本質を最も露骨に表わしたものといわなければならぬのであります。われわれは、かかる吉田内閣の反動的な意図を持つた法案に対しては断固反対するものであります。
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず、日程第五及び第六を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告通り可決いたしました。(拍手)
 次に、日程第七につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第八、郵便物運送委託法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。郵政委員会理事白井佐吉君。
    〔白井佐吉君登壇〕
○白井佐吉君 ただいま議題となりました郵便物運送委託法案に関し、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 最初に、政府の議案提出の理由並びに法案の内容の概略を御説明申し上げます。郵便業務の一部をなす郵便物の取集め、運送及び配達は、事業の性質上、国においてみずから行うのが本来の建前でありますが、国有鉄道及び地方鉄道によつて郵便物の運送を運送する場合のように、当然これらの運送機関に郵便物を委託する必要がある場合または自動車等を郵便物の運送に使用する場合もしくは山間僻地における郵便物の取集め、配達の場合のように、事業経済の観点から、民間運送業者等に委託するのを適当とする場合が少くないので、郵便法第五條においても、郵政大臣が法律の定めるところに従い、郵便の業務の一部を他のものに行わせる場合を予想しているのであります。しかるに、郵政大臣が郵便物の運送を委託する場合に関する法律としては、鉄道船舶郵便法があるのみで、しかもその規定の対象は地方鉄道法による鉄道運送業者及び商法による船舶運送業者に限定されていて、その他の場合については規定するところがないばかりでなく、運送を委託する場合、委託する方法等については明文を欠いているほか、同法に定められている料金率も現下の情勢に沿わない等、現行法律には幾多不備の点がありますので、これらの不備を補う目的をもつて本法案の提出を見た次第であります。
 次に、本法律案に規定してある重要な点を御説明申し上げます。まず第一に、郵政大臣が郵便物の運送等を他に委託することのできる場合の條件を明示し、委託により業務を経営することが郵政省の直営とするよりも経済的であり、かつ郵便物の運送上支障がない場合に限定いたしておるのであります。
 第二に、郵便物の運送を委託する方法を規定し、運送等の委託は競争による契約を原則とし、競争に応ずる者がない等の理由で競争契約によることができなかつた場合、あるいは鉄道または軌道を使用する必要がある場合で、当該区間にその数が二つ以上ないとき等に限り、例外として随時契約によることを許容いたしておるのであります。
 第三には運送料金でありますが、一般には、郵便物の運送原価に公正妥当な利潤を加えた金額を基準とし、運送事業者でその資本金の金額を政府が出資するもの及び地方公共団体については、郵便物の運送原価のみを基準とし、さらにこの基準の設定にあたつては、運輸大臣があらかじめ郵政大臣に協議の上、運輸審議会に諮つて決定することにいたしておるのであります。
 以上申し上げましたほか、運送事業者が契約に応じなかつた場合における業務の確保上、鉄道軌道その他特に指定した一般運送業者に対する郵便物の運送及び運送に関しての最低限度必要な事項の要求及び右に対する補償金額に関する規定、運送等の業務取扱いの基準及び郵便物の取扱い上守るべき受託者の業務に関する規定等を設けているとともに、所要の罰則規定、法律の施行期日、鉄道船舶郵便法の廃止及びこの法律施行の際における必要な経過的措置等をも規定いたしておるのであります。なお本法案は、参議院で一部修正になつたものであります。
 以上、本法律案の提出理由及びその内容の概略を御説明申し上げた次第であります。
 本法案の付託以来、委員会はまず提案理由を聴取した後、引続き政府との間に郵便物の運送等を委託している現状、ことに現在自動車運送の八割を占めている日本郵便逓送会社の運送に関し、その会社の設立の経緯並びに沿革、郵政省との関係及び本法案施行後における当該会社に対する郵政省の取扱い方針、委託事務に従事する者の法令上の地位、罰則の適用関係等につき詳細にわたる質疑応答を重ね、審議の慎重周到を期しましたほか、さらに運送等を委託することのできるための主要條件たる、委託することが経済的であることの意義を明らかにいたしました上、現在ややもすれば民営企業に比し不経済の弊に墜しやすき直営企業形態につき根本的な検討研究を盡し、将来能率的、合理的運営のもとに郵便物の運送等を直営に移行せしめる用意ありやの点に関しても、政府の所見をただしたのでありますが、その詳細は会議録に讓りたいと思います。
 かくて、本委員会は本月二十二日質疑を打切り、次いで同二十八日討論に入つたのでありますが、その際、民主自由党を代表して加藤隣太郎君より本案に賛成の意見を、日本共産党を代表して井之口政雄君より本案に反対の意見を、日本社会党を代表して淺沼稻次郎君より及び民主党を代表して山本利壽君よりそれぞれ本案に賛成の意見を述べられたのでありますが、賛成の意見を述べられた諸君の意見のうちにも、特に自動車運送の委託に関しては、せつかくの民主的規定をして真に実効あらしめるよう、その運用につき格段の配慮をなすとともに、その能率的運営による直営形態に対しても、実現の可能性につき根本的、科学的検討を加え、もつて独占事業に対する国民の負託にこたえる必要があること、委託業務に従事する者に対しても、利害均衡の観点に立つて、その法律上の地位の確立をはかり、もつて郵便物の保護を一層厚からしめる必要があること等を政府に対し要望する声が強かつたのであります。次いで採決の結果、多数をもつて原案通り可決いたした次第でございます。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言もなければ、ただちに採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、議院運営委員長提出、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せらせました。
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事今村忠助君。

    〔今村忠助君登壇〕
○今村忠助君 ただいま議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案について、提案の理由を御説明いたします。
 本案は議院運営委員会において立案いたしたものでありまして、改正の第一点は、議院の秘書は現在月額七千円の給料を受けておるのでありますが、一般公務員の給與との均衡上、これを月額九千円に引上げる必要がありますので、本年十一月一日から増額支給することといたしました。
 第二点は、御承知のように、今回人事官弾劾の訴追に関する法律の制定に伴いまして、これに関する費用支出の規定を設ける必要がございますので、衆議院議長から人事官弾劾の訴追に関する訴訟を行うことを指定された議員は、その職務の遂行に必要な実費として、別に定める額を受けることといたした次第であります。
 改正の第三点は、各議院の常任委員長等の役員及び特別委員長は、国会開会中の雑費として、予算の範囲内で日額二百円を越えぬ額を支給することといたしました。
 この案は議院運営委員会において検討いたしたものであります。何とぞ御賛成あらんことを希望して、本案の説明を終る次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの今村君の御報告中、二百円を越えぬと言われたのは、越えぬですか、越えるですか、はつきりしてください。
○今村忠助君 二百円を越えぬです。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、青柳一郎君外十名提出、身体障害者福祉法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 身体障害者福祉法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事大石武一君。
    〔大石武一君登壇〕
○大石武一君 ただいま議題となりました身体障害者福祉法案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 新しい憲法のもと、生活保護法、児童福祉法、諸種の社会保険立法により、すべて国民は健康にして文化的な最低限度の生活を享受することを保障されることとなつたのであります。しかしながら、さんたんたる戰禍や、公務や、廃業による災害または疾病等によつて身体に重大な障害を負い、過酷な運命に苦しんでいる全国およそ八十万の人々に対する立法のみは、終戦後四年に至る今日まで何ら考慮せらるることなく、破局的な社会経済情勢のもとに、この数年を、むなしく精神的な苦痛と身体障害のハンデイキヤツプを追いつつ呻吟するにまかせ来つたのであります。
 これが対策につきましては、社会の各方面より立法の要望は強く現われておりまして、第一回会以来、これが援護、補償に関する法案の制定、あるいは福祉に関する請願、陳情となつて本院に提出せられましたこともすでに十数件に達し、第五国会においては、御承知のごとく、鈴木仙八議員外十九名より、各派共同提出になる身体障害者対策に関する議決案が提出せられ、本会議において、満場一致をもつて通過を見たのであります。
 本委員会においては、前国会後も引続きこれが対策樹立に関し熱心な調査審議を継続しておつたのでありますが、他面衆議院厚生委員会においても同様の調査審議が行われて参りましたので、同委員会並びに関係当局とも密接なる連絡の上、遂に本法案を決定し、今回これを各派共同提案として提出いたした次第であります。
 本法案は、身体障害者に対し、いわゆる特権的保護を與えんとするものではなく、いわばこれは厚生援護にとどまる法案であります。因、地方公共団体が自分の義務として身体障害者のために各種の指導援護を行い、一日も早くこれらの人々をその失望、沈滯の生活から救い上げ、明るい活動の世界に送り出すことを目的とするものでありまして、現下の社会経済情勢から見て、早急に成立を必要とするものであります。
 次に、この法案の内容について、そのおもなる点を御説明申し上げます。第一に、身体障害者の自発的な更正への意欲を根本といたしまして、その更正に必要な物品を交付し、訓練を施し、一般人と同等の社会的活動能力を発揮させることを主眼とするものでありまして、特別の権利や保護を與え、一生国の負担においてせわをするという、いわゆる特権的保護を規定するものでないのであります。
 第二に、本法案の対象は、児童福祉法との競合を避けまして、十八歳以上のいわゆる労働年齢にある者で、盲聾唖、肢体不自由の障害のため労働能力の損傷されているものであります。また、これらの人々をすべて職権により登録するのではなく、本人の自発的な申請に基いて身体障害者手帳を交付し、これに基いて法上の取扱いをするのであります。
 第三に、厚生擁護の体系といたしましては、厚生省に中央身体障害者福祉審議会を置き、また都道府県には地方福祉審議会を置き、法の施行機関は都道府県知事とするものであります。知事の下に数名の身体障害者福祉司を置き、実質的にはこの専門家が個々の身体障害者のせわをするのでありまして、市町村長は知事の行政活動に協力するという態勢をとつているのであります。
 第四は福祉の措置でありますが、一定の手続により身体障害者手帳を受けた者に対しては、義肢、補聴器、車いす等を交付し、必要な更正調整施設や職業安定所等へ紹介し、その他万般の更正相談を行うこと、及び重度の者に対しては国有鉄道の運賃の減額、タバコ小売人指定の場合の特別な取扱いを行うこと、公共施設内に売店を設置することを優先的に許すこと、さらに盲人その他重度の者の製作したほうき、ぞうきん等政令で定める物品については、国、地方公共団体が一定の條件のもとに購買すべきこと等であります。
 第五は、国、都道府県及び市町村は、これらの者に訓練指導を與え、または各種の利便を與える施設を設置することができるという機能を規定しております。なお、私人がこれらと同じような施設を設置することは何らさしつかえありませんが、その運営等について監督する必要がありますので、届出制をとることにいたしておるのであります。
 第六は、この法律の施行に要する経費は一応すべて都道府県の支弁でありますが、生活保護法、児童福祉法と同じように、一般の行政的経費については二分の一、特殊の行政経費すなわち義肢等の交付に要するもの、または施設の運営に要するもの等については十分の八、施設の設置費については二分の一と、それぞれ国庫が負担することを規定いたしておるのであります。
 本法案は、十一月二十四日、本委員会に付託せられ、同二十五日、提案者大石議員より提案理由の説明を聴取したのでありますが、本法案の重要性とその立案の経緯にかんがみ、参議院からも同一内容の法案が提出されておりました関係上、参議院厚生委員会と二日間にわたる合同審査を行い、委員と提案者並びに関係当局との間に、結核患者の後保護の問題、生活保護法及び児童福祉法との関係、身体障害者福祉審議会の構成、鉄道運賃減額、所得税の特別控除、職業指導、各種売店、タバコ小売人の選定、独立営業者に対する金融面の裏づけ等のほか、本法案運営上考慮すべき事項並びに本法案施行に関する予算措置等の諸点について、きわめて熱心な質疑応答が行われ、次いで二十八日及び本日、本委員会において審議の結果、運輸委員会との連合審査会を開き、国鉄運賃減額の特典を受くる身体障害者の範囲、運輸当局における実施準備手続等につき慎重なる質疑応答が重ねられたのでありますが、運輸委員よりは、将来減額の実施面において事務上の支障を生じた場合には、すみやかに本法案の改正を行うこと、との希望意見をもつて、原案通り本法案に賛成する旨の発言があつたのでありまして、これらの詳細は会議録について御承知願いたいと存じます。
 かくて、引続き厚生委員会を開き、質疑を終了した後、討論に入りましたが、まず民主自由党を代表して亘委員よりは、本法運用上における末端機関の心構え、結核患者保護及び予算措置等について、次に社会党を代表して岡委員よりは、盲人に対する所得税特別控除の他の身体障害者への拡張、入場税、ラジオ聴取料の免除、独立営業者への金融的措置、運賃減額等の私鉄への拡張、結核患者の後保護等について、さらに共産党を代表して伊藤委員よりは、施行予算の増額、身体障害者福祉審議会の構成及び権限、所得税特別控除の拡張、運賃全免、生活保護法の改善等について、それぞれ希望的意見の関連があつたのであります。
 続いて採決に入りましたところ、本法案は満場一致原案通り可決すべきものと決した次第であります。
 以上御報告申し上げます。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 議異議なしと認めます。(拍手)よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 参議院提出にかかわる未復員者給與法の一部を改正する法律案及び特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案の両案は、同院から委員会の審査を省略されたとの要求がありますが、委員会の審議を省略しないこととし、委員会に付託されんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 議長は両案を大蔵委員会に付託いたします。
 明一日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後六時四十九分散会