第006回国会 本会議 第22号
昭和二十四年十二月一日(木曜日)
 議事日程 第二十一号
    午後一時開議
 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 国の所有に属する物品の売拂代金の納付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第三 刑事補償法案(内閣提出)
 第四 地方財政法等の一部を改正する法律案(上林山榮吉君外十名提出)
 第五 人事官弾劾の訴追に関する法律案(議院運営委員長提出)
 第六 競馬法の一部を改正する法律案(小笠原八十美君外十五名提出)
 第七 警察用電話等の処理に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第八 農業生産確保に関する決議案(小笠原八十美君外十名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第九 東北振興に関する決議案(小笠原八十美君外十二名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第一〇 ユネスコ運動に関する決議案(星島二郎君外十三名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第一一 在外同胞引揚促進に関する決議案(中山マサ君外二十九名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第一二 予防接種に関する決議案(近藤鶴代君外十一名提出)(委員会審査省略要求事件)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 国の所有に属する物品の売拂代金の納付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 刑事補償法案(内閣提出)
 日程第四 地方財政法等の一部を改正する法律案(上林山榮吉君外十名提出)
 日程第五 人事官弾劾の訴追に関する法律案(議院運営委員長提出)
 日程第六 競馬法の一部を改正する法律案(小笠原八十美君外十五名提出)
 日程第七 警察用電話等の処理に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 未復員者給與法の一部を改正する法律案(参議院提出)
 特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案(参議院提出)
 医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案(大石武一君提出)
 日程第十 ユネスコ運動に関する決議案(星島二郎君外十三名提出)
 日程第八 農業生産確保に関する決議案(小笠原八十美君外十各提出)
 日程第九 東北振興に関する決議案(小笠原八十美君外十二名提出)
 日程第十二 予防接種に関する決議案(近藤鶴代君外十一名提出)
    午後二時二十分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、日程第二、国の所有に属する物品の売拂代金の納付に関する法律の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事小山長規君。
    〔小山長規君登壇〕
○小山長規君 ただいま議題となりました食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を概略申し上げます。
 まず、この法案が提出になりました趣旨について申し上げます。第一に、食糧証券及び借入金等の限度額は現在千五百億円となつておりまして、これは昭和二十三年度の生産者価格を四千百九円と見込んで計算されたものでありますが、今般、昭和二十四年産米の政府買入れ価格を四千四百円程度と見込み、さらに輸入食料の増加等によりまして、食糧証券の発行高は、昭和二十五年一月末においては約千六百七十億円に達するものと見込まれるのであります。従いまして、この会計の運営を円滑にするため、食糧証券及び借入金等の法定限度額千五百億円を千七百億円まで引上げようとするものであります。
 第二に、輸入食糧の増加と食料価格の改定等の影響によりまして、明年度に持ち越されます手持食料の価格は、二十三年度末に比べまして相当の増額が予定されるのでありますが、食糧証券が増加いたしますと、この面から通貨の増発をきたす恐れがありますので、通貨増発抑制のために、この年度末における残高を、前年度末における残高と同額の千百八十億円にすえ置くことといたし、また従来主食の生産者価格の引上げは消費者価格の引上げと同時に行つて参りましたが、今回は家計費への影響等を考慮いたしまして、消費者価格は今年十二月末まで現行価格にすえ置くことといたす予定でありますため、その期間に生ずべき損失等をも考慮いたしまして、この会計の歳入不足を補填いたしますため、一般会計から百七十億九千三百万円をこの会計に繰入れようとするものであります。
 この法案は、十一月二十三日、本委員会に付託され、翌二十四日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、二十七、二十八、二十九の三日間にわたり審議を行い、各委員より熱心な質疑が行われ、それぞれ政府側より答弁がありました。質疑応答の詳細については、速記録に譲ることといたします
 次いで討論に入り、田中委員は民主自由党を代表して、輸入食料の増加と政府の米買い入れ価格の引上げ等によつて、食糧証券は来年一月の買入れ最盛期には約二百億円不足するのであるから、法定限度額を千五百億より千七百億円まで引上げるのは適当であり、また現下の経済情勢下においては、証券の増発によらずに一般会計からの繰入れによることが適当である旨を述べて賛成の意を表せられ、川島委員は社会党を代表して、特別会計の赤字補填を証券の発行によるか一般会計からの繰入れによるかは大きなポイントである、勤労大衆の生活いよいよ窮迫しつつある今日、一般国民の負担となる繰入れには反対である、また輸入食料の増加は農村経済に重大なる影響を及ぼすものである旨を述べて反対の意を表せられ、宮腰委員は民主党野党派を代表して、運転資金の不足は借入金をもつてまかなうべきであり、食糧証券の発行を前年度の千百八十億円にとどめるためというのは、顧みて他を言うものであると述べて、反対の意を表せられ、深澤委員は共産党を代表して、政府は資金運転操作のためであると言うが、これは明らかに赤字の補填である、また政府の輸入食糧依存主義の現われである旨を述べて、反対の意を表せられ、内藤委員は新政治協議会を代表して、本年四月消費者価格引上げによる政府の手持米の値上りは百億円に上るが、これは農民の受取るべきものである、またシヤウプ勧告は十月一日より農業事業所得税の減税を勧告しているにかかわらず、政府はこれを無視している、政府の農村施策は皆無であつて、これも安易な食料政策の現われである旨を述べて、反対の意を表せられました。
 次いで採決に入りましたところ、起立多数をもつて、本案は原案の通り可決いたされました。
 次に議題となりました国の所有に属する物品の充拂代金の納付に関する法律の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。
 この法案が提出になりましたのは、国の所有に属する物品の売拂代金の納付につきまして、第一に、延納の特約ができる場合の規定を整備し、第二に、延納に対する利息をつけないことができるように改め、第三に、この法律を公団等にも準用することとしようとするためでありまして、改正しようといたしております点は次の三点であります。
 すなわち第一点は、延納の特約のできる場合の規定の整備に関するものでありまして、現行法におきましては、売拂代金の納付を一時に行うことが困難と認められます特殊の場合には、担保を提供させ、利息を付して、一年以内の延納の特約をすることができることとなつておりますが、このほかに、取引上の慣行等によりまして、売拂代金の納付前に、物品の引渡しを行う必要があると認められます場合には、担保を提供させ、利息を付して、半年以内の延納の特約をすることができることといたしております。
 第二点は、延納に対する利息の免除に関するものでありまして、現行法におきましては、利息をつけることを要しない場合としては、国の内部または相互間の売拂いの場合に限定されておりますが、このほかに利息をつけることが適当でないと認められます場合には利息をつけないことができることといたしております。
 第三点は、この法律を公団等にも準用することに関するものでありまして、現行法におきましては、この法律の適用は国に限られておりますが、さらにこれを法令による公団、日本專売公社及び日本国有鉄道がその所有に属する物品を売り拂う場合におきまして、売拂代金の納付及びその延納の特約をする場合にも準用することといたしております。
 以上がこの法案の要点でありますが、この法案は、十一月十二日、本委員会に付託されたものでありまして、十四日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、同日より質疑に入り各委員から熱心な質疑が行われ、それぞれ政府側より答弁がありました。質疑応答の詳細については速記録に讓ることといたします。
 次いで二十九日、討論を省略し、採決に入りましたところ、起立多数をもつて、本案は原案の通力可決いたされました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。田中織之進君。
    〔田中織之進君登壇〕
○田中織之進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする、大蔵委員会に付託せられました二法案のうち、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に請しまして、反対の討論を行わんとするものであります。
 政府は、最近における食糧需給状況の好転を理由といたしまして、一方においては主食でありまするいもの供出完了後の統制撤廃を決定いたしておるのであります。しかるにもかかわらず、一方におきましては、本特別会計法を改正いたしまして、一般会計からこの特別会計に百七十億の繰入れをしなければならぬようにいたしたのであります。そのために、輸入食糧が著しく増加を示しておるのであります。
 さらに、政府の最近における食糧政策において、きわめて不可解な問題は、食糧需給の好転を叫んでおる反面において、いわゆる超過供出を法制化いたしまするところの食糧確保臨時措置法の改悪をいたしまして、昨日の本院におきまして、多数をもつて、むりやりにこれを押し切つてしまつたのであります。政府が大蔵委員会に提出いたしました資料によつても明らかなことく、超過供出がその方法よろしきを得まするならば、今回政府が企図した法律をもつて強制するというようなことをやらないでもないのであります。昨年度においても超過供出が予定以上に行われましたために、食糧管理特別会計においては二十億の赤字を出すというような結果を来しておるのであります。
 われわれは、昨日の食確法の改悪に対しまして、全野党打つて一丸として反対いたしましたように、政府が、食糧政策におきまして、片一方において主食であるいもの統制を撤廃しながら、米麦等につきましては強権をもつて超過供出を強制しようとするがごとき矛盾撞着したところの政策に反射する建前におきまして、食糧管理特別会計の一般会計からの百七十億の繰入れに対しましては、われわれは断固として反対するものであります。(拍手)
 さらに、なるほど政府のこのやり方をもつていたしましたならば、食糧管理特別会計における不足金が生ずることは、われわれも認めるにやぶさかではございません。しかしながら、これは年度を通じて見まするならば、必ずしも赤字として出て来るものではないのであります。従つて、食管特別会計の運営のために必要なる一時的な資金は、食糧証券の借りかえ、その他の方法によりまして、十分運営ができると思うのであります。
 年度末になりまして食糧証券を増発いたしますならば、通貨の膨脹を来すということを申しておりますが、これは大蔵大臣が、本会議場において、本年十二月末における通貨の増発につきましても、四、五億円の通貨の増発は決してインフレを助長するものではないと言明しておるりでありますから、食管特別会計に必要な資金は、食糧証券の借りかえ、増発という形におきましても、われわれはこれを一時借入れの形において運用すべきであるということを主張する立場から、この一般会計からの繰入れに対しましては反対するものであります。
 さらに反対する理由は、現行の米麦の消費者売渡し価格と、農民からの買上げ価格との間に、二千二百五十円の開きがあるということであります。このものすごい中間経費を削減することなく、政府は今回の米価決定にあたりましては、若干の生産者価格の引上げを行いましたけれども、これをスライドした形において、明年一月一日から一一%の消費者価格の引上げを行わんとしており、この生産者価格と消費者価格との間の二千二百五十円の中には、食糧行政の一般的な経費までを織り込んでいるという、きわめて矛盾した措置が行われておるのであります。この食糧行政費をまかなうために、今日農民を中心といたしまして、一般国民は、すでに担税力をオーバーいたしたところの過重な税の負担をしておることはいうまでもないのであります。従つて、食糧行政に必要な人件費その他の経費は、当然一般国民が負担いたしたところのこの税金の中からまかなうべきであります。それにもかかわらず、食管特別会計の独立採算制の名に隠れて、消費者価格に少なからぬ食糧行政費を織り込んでいるというこの矛盾に対しましては、われわれは断じて承服することができないのであります。
 さらに一般会計から食糧会計に対して百七十億の繰入れをいたしますことは、農民にとつて言わしめるならば、一般の税金において第一回目に負担し、消費者価格におきまして二回目の税金の負担をしさらに今回の一般会計からの繰入れで百七十億を負担するということでありまして、税金の画におきまして農民の負担する税金は、二重あるいは三重になるということを指摘いたしたいのでございます。
 さらに食糧特別会計の運営自体につきましても、昨年度において百二十四億という厖大なる赤字を出しており、消費者に対しましては掛売りを要望する声を踏みにじつておるにもかかわらず、三月三十一日現在で百三十億という未收金を出しておりまするような食糧管理特別会計の運営に対しましても十分検討し、改正を加えなければならぬ点を認めまするがゆえに、以上の理由によりまして、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に対しましては、わが社会党わが社会党といたしましては断固反対の意思を表明するものでございます。
 次に、国の所有する物品の売拂代金の納付に関する法律につきましては、われわれは、この法律によりまして、いわゆる給料の遅配、欠配に基いて一般勤労者から要望いたしておりまする主食の掛売りが行われ得るという根拠が、委員会において明確にされておるという点を明らかに確認してもらうこと、同時に、今回の改正によりまして、公団の所有する物品の売拂いにあたりましても、本法を適用するにあたりましては、最近通産省関係の公団におきまして、手持ちの滞貨を処分するにあたつて、マル公あるいは時価というようなものを全然無視いたしまして、需要者の希望する価格によつて拂い下げるというようなことが、この法律の改正を見越して企図せられておることを聞きまするので、今回のこの法律の改正の趣旨に従いまして、公団等の所有する物品の売拂いに関しましても、国有財産処分の基本方針を必ず堅持し、この法律に規定せられておる條項をかたく適用しなければならないという、この二つの希望意見を申し述べまして本案に対しましては賛成の意思を表明する次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 宮腰喜助君。
    〔宮腰喜助君登壇〕
○宮腰喜助君 私は、民主党野党派を代表いたしまして、食糧管理特別会計法の一部改正案に対しまして、反対をするものであります。(拍手)
 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の第一点は、食糧証舞及び借入金等の限度額千五百億円を千七百億円に引上げようとすることであります。第二点は、この会計の歳入不足を補填するため、昭和二十四年において、一般会計から百七十億余円を限りこの会計に繰入れをすることができるということの改正案であります。要するに運転資金の不足補填であります。しかし、運転資金の不足補填である限り、借入金でまかなうのが当然であります。現に法律でも借入金のできる制度が開かれているにもかかわらず、税金收入をもつてまかなうことは適当でないのであります。
 また一面、インフレ防止対策として考えるとしても、借入金で一向支障ないはずであります。輸入食糧を輸入すれば、必ず代金は回收されるわけであるので、その間の単なる一時的つなぎ資金たる性質のものだから、何らインフレ原因となる理由は存在しないのであります。いわんや、食糧証券の年度末残高を、前年度末と同額の千百八十億円にすえ置くために必要だと言われるがごとき政府の説明は、顧みて他を言うものであります。従つて、税金支弁によらんとする政府案を、借入金によることにより、少くとも百七十億余円だけを農業所得税等の軽減に充つべきであります。
 またシヤウプ勧告案にも、農業所得税軽減を本年十月一日よりなさるべきであるということになつているにかかわらず、今回の所得税特例案には、全然考慮されておりません。また補正予算にも、土地改良費などは全然盛られておりません。これらより考えて、農業所得税軽減、土地改良等の積極的財源として活用することが、現下の国民的要望にこたえるゆえんであるのであります。(拍手)
 ことに、食糧の国内自給態勢の強化は、日本経済自立の大前提であるのに、政府はこれについて何らの計画もなく、また海外食糧事情の趨勢についての見通しもなくして、本年百五十万トンの主食増加輸入を決定し、明年度三百七十万トンにも上る輸入をなさんとするところに、国民的不満と農民の懸念があることは否定できない。このような無計画なる食糧輸入に伴う不当なる血税支弁のため一般会計より特別会計に繰入れることには、絶対反対せざるを得ないのであります。
 以上をもちまして、私の反対討論を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 深澤義守君。
    〔深澤義守君登壇〕
○深澤義守君 ただいま議題となりました二法案に対しまして、日本共産党は反対の意思を表明するものであります。
 第一の食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案でありますが、この法律案は、米価の値上げによることと、輸入食糧の増加によることと、さらに鉄道運賃の値上げによりまして食管特別会計の運転資金が増加したということが、その根拠でありますが、しかしながら、現在食糧特別会計が持つておりまするところの百三十億の厖大な赤字に対しましては、何ら触れていないのであります。実は、この赤字こそが問題であります。従つて、われわれは、運転資金のために一般会計より百七十億を繰入れるのであるということになつておるが、その本質はこの赤字補填のためであるということを、はつきり指摘しなければならないのであります。
 しかも、その赤字の内容を検討いたしまするときに、食糧公団よりの未納付金が六十億円あるのであります。ところが、二十三年度の決算におきまして、食糧公団は五十四億の預貯金を持ちながらも、政府に対する支拂いを五十数億怠つておるという事実があるのであります。全日本の国民は、この食糧公団の経理、食糧公団の運営に対しましては、多大の疑惑を持つておるのであります。すでに全国数箇所におきまして、この食糧公団をめぐるところの不正事件が突発しているのであります。従つてわれわれは、この政府機関であるところの食糧公団の経理とその運営を徹底的に検討することなしに、本案に対して賛成することは断じてできないのであります。
 さらに政府は、この食管特別会計の赤字を何とかして隠蔽せんとして、これを農民と消費者に転嫁しようとして努力しているのであります。本年度におけるところの全国的な産米の検査が厳重になつだということも、これは公団の食糧管理特別会計の赤字をカバーしようとする政府の努力であります。さらに超過供出価格の三倍を二倍に切り下げたことも、その一つの現われであります。さらに消費者に対しましては、本年の四月、消費者価格を上げる場合におきまして、農林大臣は、農林委員会において、はつきり言明しておる。来年の四月まで一箇年間のあらゆる要素を取入れて値上げしたのであるから、来年四月までは、一年間絶対に米価は上げないということを公約されておるにもかかわらず、来年一月から米価を上げるということ自体が、まことに政府の公約違反であり、これこそ消費者に赤字を転嫁しようとするところの陰謀であるというぐあいに、われわれは指摘せざるを得ないのであります。こういう一点から申しまして、われわれは、この法案に対しまして賛成することができない。
 第二点は輸入食糧の増加の問題でありますが、これはしばしばわれわれが指摘しておりますように、日本の食糧問題は自立方針で行かなければならないという、この根本方針を政府は放擲いたしまして、ひたすらに外国食糧に依存するという方向をたどつているために、この年度末におけるところの食糧の手持ちも数十万トンの増加を来しており、それが倉庫に眠つておるというような現状に到達しているのであります。こういう状態において、無計画的に輸入をいたしまするならば、日本農業がますます圧迫されるという結果になる。こういう意味において、われわれは、この法案に対して反対するのであります。
 さらに鉄道運賃の問題でありますが、この値上げが生計費に影響いたしまして、国民に非常な影響を與えるという意味において、われわれは、鉄道運賃値上げに対しましては大反対をして参つたのでありますが、ここにおいても、この鉄道運賃の値上げがこの食糧管理特別会計の運営に大きな影響を来し、これが結局消費者に大きな負担をかけるという結論になります。そういう意味において、われわれは、この鉄道運賃の値上げに反対して参りました関係におきましても、この食糧管理特別会計法の一部改正法律案に対して断じて賛成することはできないというのであります。
 第二の、国の所有に属する物品の売拂代金の納付に関する法律の一部を改正する問題でありますが、この問題に対しましても、われわれは、国の所有に属する物品、公社の所有に属する物品、公団の所有に属する物品等が、今後続々拂い下げて行かれるのでありますが、すでに新聞にも発表せられておるように、輸出品あるいは輸入品の滞貨の数百億を整理する、国内向けに売り拂うというような問題が、具体的に現われているのであります。また特別調達庁の解除物件としての七十三億も、これを民間に拂い下げるという計画があるのでありますが、こういう拂下げに対しまして、半箇年間、代金の延納を認める、あるいは担保の利息をも免除することができるというような規定を設けること自体の中に、今後政府と官僚と業者との間にいろいろなスキヤンダルを生む可能性がある。そういう危険性をこの法案の中にはつきり見ることができるのであります。
 政府は、一面において労働者に低賃金を押しつけ、農民に対して低米価を押しつけ、さらに税金の問題に対しましては、強権をもつて取上げるという苛酷な手段をとりながらも、一方業者に対しては、この国の物品を拂い下げる場合において、半箇年の延納を認める、ある場合には担保利子を免除するのを認めるがごとき法案は、明らかに片手落ちの処置であり、そこにわれわれは、今後におけるところの不正腐敗が生れる原因をつくつておるという意味において、本法案に断じて賛成することはできない。
 こういう意味において、日本共産党は、この二法律案に対しまして、断固として反対の意思を表明するものであります。
○議長(幣原喜重郎君) 田中啓一君。
    〔田中啓一君登壇〕
○田中啓一君 私は、民主自由党を代表いたしまして、ただいま上程の二法案に対し賛意を表するものであります。(拍手)
 第一、食管特別会計法の改正は、委員長の報告にもありました通り二点でありまして、一つは、本特別会計の借入れ限度が現在千五百億円でありますものを千七百億円にいたすということ、一つは、二十四年度末におきましては、一般会計より百七十億九千三百万円を本特別会計に繰入れんとするものであります。本特別会計は、その前身たる米穀需給特別会計設置のときから勘定いたしますと、約三十年になるのでありまして、その間、政府は買入量の増加と、また食糧の価格騰貴に従いまして、借入れ限度もしばしば拡張して参りました。当初、大正十年には二億円でありましたものが、現在は千五百億円になつておるのであります。今後の食糧需給の推移を見込みまして、買入れ最盛期である明年一月末には、なお買入れ資金が約二百億円近く不足する見込みでありますので、ここに限度を二百億円だけ拡張せんとするものであります。
 次に、本特別会計に百七十億円を繰入れせんとする理由を申し上げますと、本会計年度末、すなわち明春三月末における政府の手持食糧の数量は、昨年度末に比べまして著しく増加をいたしまして、約三百八十一万九千トンに上る見込みであります。昨年度に比べますと約八十万トンの増加であります。従つて、これに見合います政府の借入金、すなわち内容を申しますれば食糧証券でございますが、その発行額は約千三百五十億に上らねばならぬこととなるわけであります。すなわち、昨年度末に比べますれば約百七十億円の増加見込みであるのであります。この増加は、日本銀行の紙幣増発ということにそれだけなるわけであるのであります。今や、インフレーシヨンもようやく收束し、経済は安定の軌道に乘り始めたとは言いながら、なお引締めるべきは引締める段階であると思うのでありまして、政府が、この年度末を越すのに、紙幣増発の方法によらず、一般会計よりの繰入金によつてこれをまかなわんとするのは、適切であると考えるのであります。
 本案に反対の方々の御議論を伺つておりますと、この一般会計より特別会計に繰入れることにつきまして、いろいろ御議論があるようでありまして、中には、これをもつて赤字を補填するものなりと、かようにおつしやる方もあるのでございますが、先ほど申しましたように、明年三月末におきまする政府の手持食糧の額約八十万トン、五百万石というものを金に換算いたしますれば、ちようど百七十億前後になろのでありまして、財産の額と借入金の額とは、ぴつたりと一致するのでありまして、何らこのために赤字補填の意味はないと思うのであります。さような次第でありまして、私どもは、本食管特別会計には賛意を表する次第であります。
 また次の、国の所有に属する物品の売拂代金の納付に関する法律の一部を改正する法律案につきましても、現下の経済情勢にかんがみまして、かくのごとき売拂方法によることは、おおむね適切なりと存じまするので、これまた賛意を表するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。まず、日程第一につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に、日程第二につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第三、刑事補償法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員会理事角田幸吉君。
    〔角田幸吉君登壇〕
○角田幸吉君 ただいま議題と相なりました刑事補償法案について、その要旨及び委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず要旨から申し上げますと、新憲法は、第四十條において刑事補償を規定しております。この規定は、もし刑事司法機関が誤りに陷つたときは、国民に対し国に対する補償請求権を認め、もつて人身の自由を保障せんとしているのであります。しかるに、現行刑事補償法は、旧憲法時代に制定されたものであつて、多々改正すべき点があります。その改正をしたのが本法案であります。
 その内容は、第一に、刑事補償法の本質は、国家賠償法の本質と同様の考え方をとりました。第二に、刑事補償の原因を拡大しました。第三に、補償金額を引上げました。以上が政府原案の要旨であります。
 さて、法務委員会においては、十一月十日より審議々開始しました。質疑のおもなるものは、第一に、憲法に定める無罪の裁判の中に、無罪に近い裁判をも含むのではないか、具体的に言えば、公訴の棄却の判決、決定や、免訴の判決などを含むのではないかという質疑がありました。第二に、補償請求権は、譲渡禁止だけでなく、差押え禁止をもしてはどうかという質疑がありました。
 次いで修正案が提出されました。その内容は、補償期限の「三箇月」を「一箇年」とすること、「差押え」の語句を入れることなどであります。
 かくて、十一月二十九日採決に入り、修正案は全会一致にて可決され、その修正部分を除くその他の部分は、政府原案の通り全会一致にて可決されました。かくて、本法案は修定議決された次第であります。
 右御報告申し上げました。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第四、地方財政法等の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事野村專太郎君。
    〔野村專太郎君登壇〕
○野村專太郎君 ただいま議題となりました地方財政法等の一部を改正する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を、きわめて簡單に御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院議員上林山榮吉君外十名の議員諸君の共同提案になるものでありまして、十一月二十八日、本委員会に付託となり、同月二十九日、委員会を開いて審議の結果、可決すべきものと決定いたしたのであります。
 本法案の趣旨は、従来都道府県並びに五大都市に労して公共事業の財源に充てる必要ある場合には、当せん金付証票を発売することが認められていたのでありますが、今回その範囲を戰災都市一般に推し及ぼし、戰災による財政上の特別の必要を勘案して、内閣総理大臣が指定した市にも発売し得るよう改正するものであります。しかして、この趣旨に基き、地方財政法の一部、当せん金付証票法の一部並びに地方自治庁設置法の一部にそれぞれ所要の改正を加えんとするのが、本改正案の内容であります。
 本改正案の提案理由は、これによつて戰災の痛手から立ち上るべく、財政難と鬪いつつ努力している戰災都市に、その財源調達を容易ならしめようとするにあることは、多く説明いたすまでもございません。
 質疑応答の後、討論、採決に入り、多数をもつて可決すべきものと決定いたした次第であります。
 以上、簡單に御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。谷口善太郎君。
    〔谷口善太郎君登壇〕
○谷口善太郎君 日本共産党は、本案に対して反対いたします。
 戰災都市の復興のためにいろいろと援助し、その財政をゆたかにする必至のあることは当然であります。しかし、これは国がなすべき当然のことでありまして、今提案になりましたように、地方自治体、特に戰災都市に、しかも当せん金付の、いわゆる富くじを売らすことによつて金を集めて、その責任に転嫁するというやり方につきすしては、私どもは賛成できないのであります。
 戰災復興都市計画の再検討に関する基本方針という閣議決定によりまして、いわゆる五箇年計画がきまつているようでありますが、これに基いて国が戰災都市に與える公共事業費は、五年を通じて三百六十二億ぐらいであるということが伝えられております。しかも、この五箇年計画で、最初の年は三十六億ぐらいしか国が負担しないということが伝えられております。戰争によつて三十幾つかの都市が破壞され、この恐ろしい戰災の陰には、戰争によつておそろしい金儲けをしたところの財閥、資本家、官僚及び軍閥の上層がおります。この連中の戰争によつて得た不当な利得を国が取上げて、当然この戰災都市の復興の財源に充てるべきだと私どもは考えておる。にもかかわらず政府は、そのようなことをなさらずに、戰災をこうむつて困つておる都市に、この復興計画のほとんどすべてを転嫁するようなことをやつて来ておる。上林山君その他から出された本案も、この政府の施策を裏づけするために、つまり政府の責任でなすべきことを地方団体に転嫁するという、この施策のしり馬に乘りまして、しかも富くじを売らせる、ばくちをやらせる、こういう形で戰災復興をやろうとするのであります。
 諸君は、今町で売られておるいわゆる富くじ、当せん金付の、あの宝くじというものは、どういう人々に買われておるか、どういう益を與えておるかを御承知でしようか。終戰後のインフレの中で、やみ購買力の蓄積がある。これを捕捉できないという理由から、富くじの発行を許しております、しかし、今日では、政府の施策の悪さのために、たくさんの失業者と、産業の破壞から来る国民生活の窮乏は、ここ数年前の状態とまつたくかわつて来ておる。たくさんの失業者たちが、食えなくて、配給物資すらとれない、こういう状態にいるのでありますが、この宝くじなるものは、実は、こういう窮乏生活にある人々が百万円当らないだろうか、百万円がほしいという、いわゆる射倖心につられて、非常にむりをして、これにひつかかつておる。おかみさんたちが、子供を背負つて、あの宝くじを買う列の中にいる。はだしの子供たちも、これに加わつておる。三十幾つかの都市にこの宝くじを売らせる権利を與えて、もつともつとひどくこの不健全な、病的な生活にこういう人々を追い込んで行くところの道を開こうというのが、この案であると私どもは思うのであります。
 これは、たとえば教育の問題で、何ら教育に対する積極的な方途を持たず、教育の低下が、普通の小さい子供にまで、非常な勢いで今現われておる。この愚民政策、あるいはまたホテルをよくするとか、観光道路をつくるとか、外国からの観光客を集めて、日本をしてパンパンガール的な、実にくだらない方向に向わそうとする。いわゆる観光事業のごときパンパンガール的な政策とも表裏するものであると思うのであります。
 今日まで、都道府県あるいは五大都市、これが当せん金付のいわゆる宝くじというものを幾つか売つている経験があります。しかしながら、これはどういうものに使われたか。当せん金付証票法によりますと、事業計画をはつきりして、それによつて許可するということに、一応なつておりますが、何に使われたか全然報告がない。私どもの知るところによりますれば、また新聞の報道するところによりますれば、たとえば茨城県のごとく、宝くじを売出し、その賞品に出す石けんを買い集めるのに、土地のボスと理事者との間で結託して、不正事件が起つておる。そういう不正と、一方においては、国民をばかにし、生活態度に対して恐ろしい堕落、病的な精神を與えようとするところの、この法案をもつと広げようというやり方、これが、とりもなおさず、今の政府のやり方に便乘して、さらに日本国民をして、ばかばかしい、いわゆる植民地的な、かつての上海の状態に陷れようとするところの意図がある。私どもは、こういう意味で、絶対に本案には賛成できないのであります。
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第五は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第五、人事官弾劾の訴追に関する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員長大村清一君。
○大村清一君 ただいま議題となりました人事官弾劾の訴追に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 第三回国会におきまして、国家公務員法が改正せられまして、人事官の弾劾の訴追は国会が行うことに相なつたのであります。しかして、訴追については新たに法律を制定するの必要を生じまして、今期国会において、議院運営委員会が法案起草の任にあたりまして、五回にわたり愼重審議の結果、ようやくここにその成案を得た次第であります。
 今、この法律案の内容につき御説明申し上げますれば、第一は、人事官弾劾の訴追についての国会の代表者の点であります。ただいま申し上げました通り、国家公務員法では、国会が人事官の弾劾の訴追をすることになつておりますが、何人が国会を代表するのであるかを定めておりません。よつて、何人がこれに当るのであるかを定める必要が生じたのであります。現在の国会法の建前からいたしまして、衆議院議長がこれに当るのが至当と認められますので、衆議院議長が国会を代表することにいたしました。しかして衆議院議長は、議員の任期満了、あるいは衆議院が解散された場合におきましては、その資格を喪失いたしますので、その臨時の措置として、総選挙後の国会において新たに衆議院議長が選挙されるまでの間は、参議院議長が衆議院議長の権限を行うことにいたした次第であります。
 第二は、人事官弾劾の訴追に関する訴訟を行わせる議員の指定であります。先に述べましたように、弾劾の訴追について国会を代表するものは衆議院議長でありますが、議長が訴訟事務を行うことは、事実上不可能であります。そこで、両院の議長が協議して、実際の訴訟を行わせる者を両院の議員の中から指定し得ることといたしました。しかして、指定を受けた議員は、その訴訟について裁判上の一切の行為をする権限を有することとしたのであります。但し、弁護士を訴訟代理人に選任したり、またはその他の重要な事項については、衆議院議長と協議しなければならないことといたしました。
 第三は訴訟の指定を受けた議員の指定の取消しまたは辞任のことであります。すなわち、指定を受けた議員について、やむを得ない事情が生じたときは、両院の議長が協議の上、その指定を取消すことができることとしたのであります。また、これらの者がみずから辞任しようとするときは、衆議院議長の許可を得て辞任することができることといたしたのであります。
 第四は、人事官弾劾の訴追の手続に関する特別の規定は、両議院一致の議決によつて別にこれを定めることといたしたのであります。
 以上、その概要について御説明をいたしたのでありますが、何とぞ諸君の御賛成を望みます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第六、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長小笠原八十美君。
    〔小笠原八十美君登壇〕
○小笠原八十美君 ただいま議題となつております、小笠原八十美君外十五名提出、競馬法の一部を改正する法律案につきまして、委員会の経過並びに結果の大要を御報告いたします。
 御存じの通り、現行競馬法によりまして、内閣総理大臣の指定する戰災市町村は、一年に二回を限つてみずから競馬を主張することができるように相なつているのでありますが、六大都市のうち、京都は戰災市ではなく、東京は府県並に扱われていますので、特別問題はないとしまして、他の横浜、名古屋、大阪、神戸のごとく、戰災者も多く、都市復興に要する経費も巨額に上る一方、市財政は極度に窮迫を告げておりまする大都市が、一般市町村と同樣の取扱いを受けていますことは、むしろ悪平等とも称すべきでありまするので、この際競馬法の一部を改正して、府県同樣に、年四回以内に増加し、市財政拡充に資したいというのが、本法案提出の理由であります。
 本案は、十一月三十日農林委員会付託と相なり、ただちに提案者の説明を聞いたのでありますが、改正内容は至つて明瞭であり、しかも、これらの都市は、市内及びその周辺に多数の競馬フアンを擁しており、出場馬にも事欠かず、かつ設備も整つておりまするので、競馬回数の増加に対応する條件は完全に具備せるものと認められまするので、質疑討論を省略することとし、ただちに表決に付しましたるところ、全会一致をもつて原案のまま可決すべきものと決した次第であります。
 以上御報告いたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第七、警察用電話等の処理に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。電気通信委員長辻寛一君。
    〔辻寛一君登壇〕
○辻寛一君 ただいま議題となりました警察用電話等の処理に関する法律案につき、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 先般の警察機構の全面的改革に伴いまして、国及び地方自治体の警察用電気通信施設を急速に整備強化いたしますると同時に、公衆通信、警察通信間の施設、資金、要員の総合利用による経済化をはかる目的をもつて、政府におきましては、昭和二十三年六月、警察用有線電気通信施設の建設保守を当時の逓信省に移し、これを基幹として所要の通信網を構成するとともに、無線施設は有線施設の補助手段として、これが整備は警察側において当るの根本原則を定め、さらに現存する警察用有線電気通信設備は、屋内交換裝置等を除いて、これを逓信省に移管し、警察用として專用回線を必要とする区間は逓信省施設により、專用回線を利用できない区間は逓信省施設を優先的に使用する等の方針を決しました後、中央及び地方に、関係官庁の職員よりなる協議会を設けて、具体的な移管方法を協議した結果、同年八月一日、逓信大臣と国家公安委員会との間の協定に基き、警察用電話市内專用八千八百十八回線、市外專用四千八百三十回線の維持管理権が逓信省に仮移管せられたのであります。しかしながら、これら施設は都道府県の財産でありまする関係上所有権の移転につきましては、予算措置のほか法律を必要といたしまするため、今回政府より本法案の提出を見た次第であります。
 以上、本法律案提出の経過と理由とについて申し述べたのでありますが、本案の内容とするところは、第一、地方公共体の所有する警察用有線電気通信設備及びその機器、素材は、屋内交換設備を除いて、これを国に讓り渡すこと、第二、この讓渡は原則として有償とし、買收価格は国家公安委員会の委員、地方自治委員及び関係官庁の職員をもつて組織する評価審議会の評価によつて決定し、国は昭和二十五年度から毎年その五分の一以上を支拂い、支拂い未済部分に対しては年五分の利子を付すること、第三、国は設備の移管に際し、警察通信を中断しないことを保証し、さらに将来においても電気通信省が一方的に專用の取消しや停止をしないことを規定する一方、專用者側においても、專用料金の支拂いについて必要な措置をとるべき旨を規定したこと等が、主要な点でございます。
 なお本案は参議院送付にかかるものでありまして、参議院におきましては、政府提出案の第八條及び第九條につき、誤つて解釈されるおそれある一部字句を修正議決いたしておりますることを、念のためつけ加えて申し上げます。
 電気通信委員会におきましては、十一月十八日、本案の予備付託、同二十八日、本付託を受け、数次にわたり会議を開催して、政府の提案理由並びに内容の説明を聽取し、政府との間に質疑応答を重ね、十一月二十五日には、地方行政委員会との連合審査会を開いて討議する等、愼重に審議を加えたのでありますが、質疑応答の詳細は会議録に讓り、その二、三について要点を申し上げますれば、一、在来の警察用電話設備には老朽、荒廃の程度がはなはだしいものも相当にあるが、これの建設、保守を引受ける結果、電気通信特別会計の負担を増大し、公衆通信の改善を阻害し、かつ従業員の労働強化を招くおそれはないかという質疑に対し、政府は、警察通信の建設保守は原則として独立採算主義によつてこれを行う方針であるから、公衆通信に悪影響を與えるとは思われない、また移管に伴つて必要とする人員、経費はこれを確保するから、労働過重のおそれはない旨を答弁をし、二、国営電気通信が将来民営となつた場合、警察通信の処理方針いかんという問に対して、政府は、国営電気通信の民営化は、あらゆる角度からその利害得失につき愼重に検討しなければならぬ重大問題であつて、警察通信の処理をどうするかは、電気通信の企業形態に関する国策の大綱が決定した後において、その理念に従つて決せらるべきものと考える旨答弁がありました。三、さらに法律の根拠なくして、昨年八月、逓信省と国家公安委員会との問に警察電話の仮移管を行つた理由いかんとの質疑に射しては、政府は、右は單に維持管理権の移管であつて、憲法もしくは法律に抵触しない限り、政府部内における事務配分の問題として適法に行い得ると認むる旨を答え、四、警察電話の保守を電気通信省に移管した場合、警察通信の機密保持は万全を期し得られるかとの問に対し、政府は、單に機密保持のみの見地よりすれば、警察みずから保守に当る方がまさつておるが、施設の改善をはかり、通信機能を増大するためにこの措置をとつたのであつて、警察通信の機密確保については十分努力する旨を答弁いたしております。
 かくして委員会は、十一月二十八日、本法案に対する質疑を終了し、十一月二十九日討論を行つたのでありますが、その際、日本共産党を代表して田島ひで君より、一般利用者へのサービス低下、従業員の労働強化、特高警察機構の復活等を招来するおそれありとの理由で本案に反対の意見を述べられ、次いで民主自由党を代表して中村純一君は、本案に賛成の意見を述べ、あわせて本案施行の上は、政府においては警察通信の機密保持につき万全の措置を講ぜられたい旨要望せられるところがございました。
 次いで採決の結果、大多数をもつて原案の通り可決いたした次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り涙するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、参議院提出、未復員者給與法の一部を改正する法律案及び特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案の両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 未復員者給與法の一部を改正する法律案、特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事前尾繁三郎君。
    〔前尾繁三郎君登壇〕
○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました未復員者給與法の一部を改正する法律案及び特別未帰還巻給與法の一部を改正する法律案の二法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、本法律案の内容を申し上げます。未復員者給與法の一部を改正する法律案におきましては、現在の経済情勢を考慮し、未復員者またはその遺族の生活の安定に資するため、未復員者に支給する俸給月額百円を三百円に、帰郷旅費千円を、郷里までの距離に応じ、千円から三千円までに、遺骨の引取りに要する経費、死亡者一人当初千五百円を千七百円にそれぞれ引上げるとともに、復員患者の療養期間二年を三年に延長せんとするものであります。
 次に特別未帰還者給與法の一部を改正する法律案におきましては、樺太、千島、北緯三十八度以北の朝鮮、関東州、満州及び主務大臣の指定する地域を除く中国本土の地域内においてソビエト社会主義共和国連邦の地域内の未復員者と同機の実情にある一般邦人に対しても、特別未帰還者として未復員者に準じ給與の支給をなさんとするものであります。
 この法案は、いずれも参議院で発議せられたものでありますが昨十一月三十日、大蔵委員会に付託せられ、本日、参議院議員岡元義人君の説明を聽取したる後、質疑を行いました。質疑の詳細は会議録を参照願うことといたしたいと思いますが、予算的措置に関する質疑に対しては、大蔵政務次官よりも、予算に関しては、今回の予算により十分支出し得る旨の説明がありました。
 次いで、討論を省略し、採決いたしましたところ、総員起立、可決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に発言者もありませんから、ただちに採決いたします。両案は委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、大石武一君提出、医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員会理事松永佛骨君。
○松永佛骨君 ただいま議題となりました医師国家試験予備試験の受験資格の特例に関する法律案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 内地において医師たるの資格に関しては、医師法第二章及び第三章に規定するところでありますが、従前大陸、特に満州方面向けの医師の養成を目的としていた興亜医学館、東洋医学院等の卒業生は、内地において医師たるの資格を與えられていないので、これらの者に将来医師たり得る道を開くため、医師国家試験予備試験を受ける機会を與えようとするのが、本法案の提案理由であります。
 その内容は、医師国家試験予備試験の受験資格に関する医師法第十二條の規定に対する特例を開こうとするものでありますが、その経過的必要性にかんがみ、受験は本法案施行の日から五年以内に行われる予備試験に限り、かつ二回を越えて受験することはできないものとしておるのであります。
 本法案は、十一月二十九日、厚生委員会に付託せられ、十二月一日、提案者大石議員より提案理由の説明を聽取した後、質疑に入りましたが、次いで質疑を終了し、討論を経て採決に入りましたところ、本法案は満場一致をもつて原案通り可決すべきものと決した次第でございます。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
○山本猛夫君 議事日程順序変更の緊急動議を提出いたします。すなわち、日程第十は提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際繰上げ上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せられました。
 日程第十、ユネスコ運動に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。森戸辰男君。
    〔森戸辰男君登壇〕
○森戸辰男君 ただいま上程になりましたユネスコ運動に関する決議案について、共産党を除く各党有志を代表して、その提案の趣旨を弁明いたします。
 まず案文を読みます。
   ユネスコ運動に関する決議
  日本国民が文化国家を理想とし、過去の戰争責任を反省して平和憲法を制定したるにかんがみ、本院は、教育科学文化を通して世界平和を実現しようとする国際連合教育科学文化機関の企図に対して、全幅的な賛意を表明し、ユネスコ精神の全国民の普及徹底を期する。
  われらは、わが国に駐日代表を派したユネスコ本部の好意を謝するとともに、日本の速やかなる正式参加を要望する。政府は、民間ユネスコ運動と協力して、これが準備態勢を整え、平和精神の振起高揚に最善を致すべきである。
  右決議する。
 御承知のごとく、ユネスコ、すなわち国際連合教育科学文化機関は、国際連合の経済社会理事会の管轄に属する專門機関でありまして、四年前ロンドンに創設されたものであります。その目的とするところは、教育と科学と文化を通じて、万人のために中和な世界を建設するにある。ユネスコは、その憲章の冒頭にしるされているように、戰争は人間の心の中で始まるものであるから、平和のとりでは人間の心の中に築かれねばならないという見地に立ち、平和が失敗に終らないためには、政府間の單なる政治的及び経済的なとりきめだけにとどめず、それを全人類の知的及び道義的な連帯関係の上に築き上げなければならないと考えるのであります。かような理由によつて、ユネスコに加盟した国々は、すべての人々に教育に関する完全かつ平等な機会を與えること、何ものによつても拘束されずに客観的な真理を探究すること、思想及び知識を自由に交換すること、各国民の問の意思の疎通をはかるための方法を向上発展させること、そして各国民が互いに理解し合い、お互いの生活を一層真実に完全に認識するようになるために、それらの方法を利用することを決意したのであります。
 今日、ユネスコの加盟国は、世界に存する七十余箇国中、五十箇国に及んでおりますが、わが国は、遺憾ながら、いまだこれに加盟するに至つておりません。かように、日本はまだ加盟国ではないけれども、敗戰後のわが国は、まつたくユネスコの精神にのつとつて再建されたと申しても過言ではありません。なぜかと申しますに日本国民は、文化国家の理想を高く掲げ、かつ世界に比類のない絶対平和の憲法を制定することによつて、平和的な文化国家を新しい日本の国是といたしたからであります。それゆえ、世界平和を実現しようとするユネスコの企図に全幅的な賛意を表し、全国民一人々々の心の中へ、この精神の普及徹底を期することは、新憲法の前文に示されているように、恒久平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚し、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した日本国民の総意を代表するわれわれ国会議員の、当然の責務と申してもよいのではありますまいか。(拍手)
 先ごろ、ユネスコ運動を積極的に支持する衆参両院の有志議員が、国会ユネスコ協力議員連盟を結成したゆえんも、ここに存するのでありまして、結成に際し、連盟は、ユネスコ精神の全国民への普及徹底と、日本のユネスコヘの急速なる正式参加を要望するとともに、世界平和への方途として、原子力時代を迎えたわれわれは、この近代科学の成果が、世界平和と人類の福祉を確保するよう、適切なる国際管理下に置かるべきことを切望する旨を決議したことを、ここに申し添えたいと存じます。(拍手)
 先ほど申したように、わが国は、いまだユネスコに加盟しておりません。にもかかわらず、ユネスコに対する関心と、ユネスコ運動の展開においては、決して世界の諸国に劣つていない。政府の側において、文部省、外務省は、とくよりユネスコの重要性を認めて、これに対する強い関心を示して来ました。しかし、この点で特に注意すべきは、民間におけるユネスコ協力会の運動の非常に発達していることでありまして、現在、全国諸地法に七十余の協力会ができており、昨年五月には、東京でその全国連盟が結成されました。民間運動のかような発達は、世界に類の少いところでありまして、非加盟国はもちろん、加盟国においてすら、アメリカ以外には、ほとんど見られないのではないかといわれておるのであります。
 昨年の秋、パリの本部から、郭博士が、東洋諸国のユネスコ運動を視察するため派遣され、その途上、わが国をもおとずれられましたが、その際、郭博士は、日本におけるこの運動に驚嘆されまして、この事実に基いて、きわめて好意ある報告を本部になされたと聞いております。この報告に基いて、また総司令部の民間情報教育局の力強い協力もありまして、この春、パリの本部は非、加盟のわが国に、李博士を駐日代表として派遣いたされました。また、本年九月のパリの総会では、李代表や民間情報教育局のバンス博士の非常なお骨折りもあつて、日本の社会科学者のユネスコ精神に沿う研究に補助金を與えること、ブツク・クーポン制を日本に拡張して、日本人に外国図書購入の便宜を供すること、日本人に奬学資金を給與すること、ユネスコ主催の技術的、專門的会合に日本人の参加を認めることなど、日本にとつてきわめて有利な決議がなされたのであります。それらの好意ある態度と措置に対しまして、われわれは、ここに深甚の感謝の意を表したいと同時に、必要な條件の整い次第、わが国がすみやかにユネスコヘの正式参加を許されるよう要望してやまないのであります。
 われわれは、ユネスコへの正式参加の強い要望を持つております一方、政府も国民も、これが準備態勢を整えることに最善をいたさねばなりません。世界平和の実現と平和日本の建設は、官民のわからない全日本国民の目標であります。それゆえ、政府は、独善的官僚化の弊に陷ることなく、よく民間運動と提携協力して、その支持と促進に努むべきであります他面、民間における協力運動もまた、ユネスコの民衆性に対して確固たる自信を持つとともに、ユネスコ運動が政府と国民との一体的な運動であることを正しく理解して、ともすれば文化運動の陷りやすい逸脱、偏向に堕しないよう健実なる道を歩むことが期待されるのであります。
 今日、待望の講和会議が近きにありますが、国民の関心が平和と独立の問題に集中しておるのは当然でございます。われわれは、敗戰日本が現実に置かれている国際的地位を誤らずに認識した上で、講和会議に対する、従つて独立と平和に対する国民の衷心の希望を率直に表明することを躊躇すべきではないと思うのでありますが、同時に、われわれがなすべき、そうしてわれわれの力でなし得る最も重要な課題が、講和を迎えるにふさわしい準備態勢を国内に整えることにあると確信するものであります。そうして、この準備態勢の最大なるものは、軍国主義の残滓を清掃して平和主義を確立することにあります。ユネスコの運動とその精神の普及徹底の目ざすところは、まさに平和精神を振起、高揚いたしまして、世界平和の実現のため、平和日本建設のため、日本国民一人々々の心の中に平和のとりでを構築することにほかならないのであります。
 私は、諸君の本提案に御賛成くださることをお願いしてやまぬ次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 本決議案につきましては討論の通告があります。これを許します。今野武雄君。
    〔今野武雄君登壇〕
○今野武雄君 日本共産党は、ユネスコ運動に対しては愼重な態度をとりたい、こういうふうに考えておる次第であります。そうして、みずからユネスコの精神を汚しているような吉田内閣にこんな決議案を突きつけることは、木によつて魚を求めるがごとき、むだなことであるというばかりではなくして、国民に対して、現在の政府は、ユネスコの精神を遵奉しているかのような幻想を與えて、有害な結果をもたらす、こういう意味において、この決議案に反対なわけなのであります。
 第一、このユネスコの精神でありますが、先ほども森戸議員から申された通り、ユネスコ憲章、あるいはユネスコの人権宣言、あるいは綱領、いろいろな点において、私どもも賛意を表するような言葉がたくさん述べられておるのであります。ところが、それが日本において現実にはどうなつているかということになると、非常に大きな疑いがあるのであります。たとえば、このユネスコの人権宣言は、先般マツカーサ元帥もこれを取上げられて、これを守らなければいかぬということを言つておるのでありますが、この基本的な人権という問題、これは日本の憲法にもはつきりうたつてあることであります。
 ところがそういうものが、たとえば人事院規則とか、あるいは労働運動に対するあの警官の暴行、そのほか朝連の解散問題、あるいは三鷹、松川事件等における検察当局の態度、こういうようなものにおいて、すつかり蹂躪されているということ、あるいは教育文化が促進されなければいかぬということ、学問の自由が守られなければいかぬということを言いながらそういうものが、いずれも條件つきでしか認められていない。まるで明治憲法と同様の建前で行われておるわけであります。
 特に、たとえば朝鮮人の学校閉鎖問題などでは、大阪の地方裁判所では、これは文部省でこういう指令を出す権限はない、これは知事の権限であるから、こういうものに対しては当然執行を停止すべきであるというので、仮執行をいたしまして、そうして学校閉鎖をやめた。ところが、それに対して吉田総理大臣は、奥の手を出して来て、あの行政一般を妨げるおそれがあるというような抽象的な理由をもつて、仮執行に対して異議申請をした。そうして、これを無効ならしめている。まるで行政権をもつて司法権を蹂躙するかのような印象を與える。そういうことも起つておるわけでございます。そういうような次第でありまして、日本の現状は、決してこのユネスコに参加するような態勢をとりつつないということが第一であります。
 のみならず、日本において、ユネスコ運動というものは、いかなる形でせられているか。先ほど森戸議員が、ユネスコ協力会ということを申されました。これは非常に進歩的な方々にも入つて、なかなかりつぱな活動をやつているところもございます。しかしながら、その方々の中から、最近ユネスコの官僚化に対する有力な抗議が提出されているということも、また忘れてはならないのであります。朝日新聞の社説などにおきましても、今度ユネスコの会議に出す入を選ぶにあたつて、外務省一名、文部省二名、民間一名というように、民間を軽視することに対して、有力な警告が発せられておるのであります。
 なお、その外務省の官僚たちが、一体ユネスコの名のもとに何をやつているかということは、たとえば、このパンフレツト――ユネスコ・シリーズと称するこのパンフレツトなどが、有力に示しておると思うのでありますが、この中で、外務省調査届局の第三課長の曽野明君が、ソ連をめぐる国際情勢と題しまして、この趣旨のことを講演しても歩いておるのでありますが、反ソ的な言辞を、至るところにおいて弄しておるのであります。しかも、そのシリーズのなおその次の目録を見てみますと、「冬空の記録」とか「赤い牢獄」とかいうふうに、反ソ宣伝の一つの道具になつておる。そういう事実もあるのでございます。
 元来、ユネスコの趣旨は、教育、科学、文化を通じて平和を促進するというところにあるのであります。ところが、これでは平和を促進するのでなくて、戰争をあおるような結果になるのであります。(拍手)こういうようなやり方に対しては、われわれとしては、あくまで反対しなければならない。それで、私ども共産党に所属する共産党員も、ユネスコの協力会等にたくさん入つておる。そういうところにおいて、それを民主化すべく努めておりまするが、現在こういうものが官僚の手によつて促進されておるということに対しては、われわれ強い抗議を申し込まなければならない。
 そうしてまた、私どものユネスコの参加を求めるという件についても、これが貿易協定やその他の問題と同じようになつてはならないと考える。自主性がなくして、われわれはどうしてこういうものに参加できるか、これを深く考えてみなければいけない。貿易の問題におきましても、自主性がないままに、われわれが貿易協定その他でやつて行けば、どういう結果をもたらすか。いかにわれわれが損をしなければならないか、植民地化を招くような結果にならないか。こういうことについては、この壇上でも、わが党はたびたび申したわけでございますが、このユネスコ問題についても、そのおそれが決してないわけではない。
 私どもの見るところによれば、この問題は、日本がポツダム宣言を忠実に実行して全面講和を結ぶ、そういうあかつきにおいて、りつぱにやり得ることであるし、またそのときになつてこの問題を検討し、そうしてやらなければならない、こういうふうに考える次第であります。しかしながら、同時に私どもは、そういう全面講和をもたらすためにも、今の協力会の運動などが、もつと健全な、民主的な発展を遂げることを祈つてやまない次第であります。
 以上をもつて、簡單でありまするが、私どもの反射の理由を申させていただきました。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 岡崎勝男君。
    〔岡崎勝男君登壇〕
○岡崎勝男君 私は、民主自由党を代表して、ただいま上程になりましたユネスコ運動に関する決議案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
 そもそもユネスコの組織は、今次の戰争中、すなわち昭和十七年、連合各国の文部大臣がロンドンに集合して平和確立の方途を協議したるに端を発し、種々なる研究の結果、昭和二十年、ようやく成立を量るに至つたものであります。成立後すでに四年余りを経過いたしまして、その必要はいよいよ各国に認識せられ、その運動は日を追つて盛んになりつつあるのであります。ことに本運動の特徴としては、従来のごとく、文化問題を、ただに芸術、美術等に限定することなく、新聞、雑誌、ラジオ、映画等の報道機関より、図書館、博物館等に及び、さらに教育並びに社会科学、自然科学等の部門をも包含し、広範囲なる一般生活の向上を目ざして、その活動を拡大した点にあるのであります。これは、まことに文化問題に対し新しき時代の意義を與えたものと言うべきでありましよう。
 また、先ほど森戸議員も申されました通り、ユネスコ憲章の前文においては、世界の平和の基礎を、單に政治的の協定に置かず、人類の知的なものの上に築かんとしておるのでありまして、これはまことに人類の高き道義の上に平和を建設せんとするものと考えるのであります。(拍手)
 わが国は、現在平和なる国家として発展し、世界の文化に貢献せんことを期しておるものでありまして、ユネスコの目的が、わが国の国是とまつたく一致するものなることは、疑いをいれないところであります。ことに、最近講和の問題も論議せらるるに至りまして、わが国の独立回復の日の遠からざらんことを期待されております。もとより国際社会への復帰は、民族の熱望であり、かつわが国経済自立の道でもありますが、これを單に自国の利己的見地のみより要望いたしますことは、世界各国の賛同を得るゆえんではないと考えられるのであります。要は、わが国の国際社会への復帰が、世界にとつてプラスであり、決してマイナスでないということを諸国が認識したときに、初めてわれわれの希望も達成せられるものでありましよう。
 この意味において、わが国民がユネスコの平和運動に参加して、その文化向上の目的に協力いたしますことは、国民の誠意を実際に示す方法としても、この際最も時宜に適したものでありまして、本決議案の趣旨は、政党政派の別なく賛成せらるべきものと信ずるのであります。(拍手)
 しかるに、ただいま共産党の今野議員は、本決議案の趣旨はけつこうであるが、吉田内閣の性格とか国内の実情から見て、この際決議案に賛成することはむだであるという趣旨を申されたのであります。私は、吉田内閣の性格も、国内の実状も、決して今野議員のおつしやるようではないと信ずるのであります。(拍手)かりに百歩を讓りまして、今野議員の言われる通りだといたしましたならば、ますますかかる運動を実践いたしまして、国内の状態を改善すべきものだと信ずるのであります。(拍手)また今野議員は、外務省のパンフレツトや、あるいは貿易問題を引用されまして、本決議案に反射の趣旨を述べられたのでありますが、このような事項は、本決議案とは何ら関係のない問題でありまして、おそらくこの決議案の反対討論を利用されて、共産党の主張を宣伝するに努められたにすぎないと思うのであります。(拍手)もつともソ連邦は、ただいまユネスコに参加しておらないのでありますから、あるいはその意味では、共産党が参加されないのもむりはないかと考えるのであります。(拍手)
 いずれにしましても、ただいま、わが国は、まだユネスコに加盟を許されておらないのであります。しかしながら現在すでに、その代表は正式にわが国に駐在いたしまして、ユネスコ精神の普及に多大の努力を傾けておらるるのであります。今や全国にほうはいとして起りつつあるユネスコ運動は、今後これを教育、科学、文化の総合的国民運動にまで発展せしめ‥‥
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
○岡崎勝男君(続) 将来わが国が正式加入の日に傭うべきであると信ずるのであります。
 以上の理由によりまして、民主自由党は、本決議案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 北村徳太郎君
    〔北村徳太郎君登壇〕
○北村徳太郎君 ユネスコ運動決議案につきましては、提案理由を御説明になりました森戸君、また岡崎君の賛成の御演説によつて、もはや十分に要は盡されておると思うのであります。従つて、私はきわめて簡單に賛成の意見を述べたいと思うのであります。
 今や、講和の問題がほとんど全国民の大きな関心を集めております際、私どもは、この一点から考えましても、この際国内の態勢を固めて行かなければならぬ。特に、成熟した精神的なこれに対応すべき態度というものを固めて行くことが、刻下のきわめて必要なる、切実なる問題であると考えるのであります。(拍手)
 われわれは、すでに世界に類例のない憲法において戰争を放棄しております。平和を宣言いたしております。しかもまた、マツカーサー元帥のきわめて人道主義的な指導に基きまして、爾来日本の民主化はだんだん具体的になりつつありますが、しかしながら、民主化の急速なる発展の裏には、おのおの国民の一人々々の強い自覚に基く、内側から来る、さらに強いものの裏づけがなければなりません。国民の自覚を基礎として、強力なる基盤が、ここから立てられて来なければならぬ。真の民主革命は、政治的、経済的、あるいは社会の外的な分野においてというよりも、むしろ人間の内側において、これが次第々々に成熟して来るということを期待しなければならぬと思うのであります。人格のこの自覚に基かねばならぬ。
 共産党の諸君は、やはりわれわれと同じように、民主主義をお唱えになるのでありますけれども、これは人格の平等観に立つていない。人格観が違うのでありまして、従つて、常時唯物史観の上に立つ共産党の諸君と私どもの立場が違うことは、世界観が違うのでありますから、けだし当然であります。(拍手「階級観が違う」と呼び、その他発言する者あり)
 昨年十二月に、ハクスレー氏がユネスコの事務局長を辞任されて、そうして新たにボデイ博士が二代の事務局長に就任いたしました際に、彼は、こういうふうなあいさつをしておるのであります。自分は、メキシコにおいて外務大臣と文部大臣をやつたことがある、そうして、教育者の義務と外交官の責務が鋭く対立するということはあり得ないということを申しまして、もし教育者がこの若い世代の人々の気持を無視して、偏狭な非人道的な国家主義というものに教育家が屈伏せしめられるならば、これは当然また外交官の分野にあつては、復讐を念とする好戰的な、侵略的な方向へ押しやられることを余儀なくするであろう、かようにボデイ博士は申しまして、ユネスコが国際連合の專門機関として、教育、文化、科学等の基礎によつて、人間性の根底にそういう知性と道義性というものをつちかつて行くということこそ、実は世界平和の根底でなければならぬ、これを強く主張しておるのであります。すなわち、人間性の中に道義性と知性とを打立て、それが世界連帯の立場において高揚せられるところにユネスコ運動があり、またきわめて根本的な平和運動があるということを強調いたしておるのであります。(拍手)これこそ私は、結局ゆるぎのない平和の基礎であるということを痛感いたすのでございます。
 日本は、今ユネスコ運動を通じて、一つの窓を世界に向つて開こうとしておる。これは世界の大道であります。この大道の上に、ユネスコ運動において日本が立つて行くということは、きわめて必要であります。また、真に民主的な、平和的な文化国家を建設するということは、こういう点から立ち上がらなければならぬということは、これは国民全体の認めるところであります。(拍手)これこそ、日本が今後よりどころとして立つべき、平和への、むしろ唯一の道である、かように私は考えるのでございます。
 今、新しい兵器の出現によつて、世界は新たなる恐怖を持つておる。世界人類の危機が来たと言われておる。ユネスコ憲章の冒頭には、先ほど森戸君もお話になりましたが、戰争は人間の心の中から平和の破れることからできる、従つて、人間の心の中に平和のとりでを築かねばならない、これがユネスコ憲章の冒頭に掲げられた言葉でございます。(「それだけじやないんだよ」と呼ぶ者あり)今まで、世界の歴史は、平和のために、という名において、大義名文というカモフラージにおいて幾たびか戰争が繰返されておる。今また世界の二つの大きな陣営が、おのおの原子兵力をもつて相対立しておるということも、現実の事実であります。しかし、今やかようなときにおいて、もし原子力という大きな破壞力が動くならば、これは一体どうなるのであるか。ここに、われわれ人類が、もはや滅亡の道をたどるか、平和か、二者択一的な状態に置かれておることを自覚しなければならぬと思うのであります。
 私は、やはりトルストイが言つたように、戰争は違法である、そういうことを前提として考えるという考え方まで掘り下げなければならない。戰争は違法である、そういうふうな鋭い平和観に立つことが必要であると思うのであります。人類の知的な、道義的な、しかもまた世界連帶的な上に立つて平和を立てるこのユネスコ運動は、私は、およそ人間である限り、これはまた平和を念願する限り、文化を欲求する限り、当然の責務であるし、また当然の権利である、かように考えるのでございます。(拍手)
 日本が、憲法において戰争を放棄したということと、ユネスコの平和の理想とは、完全に一致するものであつて私は、全世界に向つて堂々とこの運動が推進せられるときに、日本が一日も早く正式に加入することは願わしいことであるし、それまでに、われわれは国内において今やほうはいとして起つておるユネスコ運動に一段と拍車をかけて、この進路を一層進めて行きたいと考えるのであります。
 大きな力は、よい目的に有効に使われるとともに、悪い目的のためにも奉仕せしめられると申します。人類がかつて知らなかつた原子力による破壞というものを最初に受けたものは日本である。日本は、この破壞を最初に受けた被害者でありますから、従つて、このことによる大きな警戒、大きな恐怖に対するわれわれの態度というものを世界に向つて警告する日本は、特殊な立場におるということもまた認めなければなりません。こういう脅威を世界に向つて警戒を求め、関心を新たにするという、むしろ日本は、この意味においては、唯一の特別なる立場におるということを私どもは自党するのであります。
 この意味におきましても、戰争放棄、無武裝、こういうような理想を推し進めて行かなければならぬ。これが宗教的信念にまで到達するほどの勢いをもつて深く掘り下げなければならぬと思うのであります。すなわち、悪い目的、破壞のために使われた原子力が、どうかこれがよい目的、文化、教育あるいは科学のために用いられて、このことによつて、万人がほんとうに幸福を味うというような域に達することを念願しなければならぬと思うのであります。
 日本におきましては、先ほどお話がございましたけれども、いまだ正式加入はないが、ドクター・リーは、パリから派遣せられて日本に駐在しておる。また特殊な事実としては、本日ここで国会において論議せられておりますけれども、これより先、日本の学生は、世界に例がないといわれるのでありますが、自発的に学生のユネスコ運動を起して、これが学生の間に広く推進されつつあるということも、注目すべきことの一つであると思うのであります。ユネスコの崇高な精神が、原子力の武器か、あるいは道徳の再武裝か、こういうことになる。世界は、平和か、人類の滅亡の道か、かようないま一つの関頭に立つておると考えるのでございます。私は、あまり遠からざるうちに、おそらくは講和が来るであろうと思う。こういう大きな課題、世界は平和か滅亡かという大きな課題を解決すべき光栄の日が日本講和の日であれかしと念願するものであります。
 共産党の諸君は、吉田内閣がいけない、あるいは官僚がいけない、あるいは三鷹事件がどうであるというようなことをおつしやつておるけれども、これはナンセンスである。そういうものではない。ユネスコのほんとうの精神というものは、心をしずめて十分に御検討になると、諸君が言われる通りになるのであるから、なおさらユネスコ運動に精進しなければならぬことになるということを私は申しまして、民主野党派を代表いたしまして、この運動に対して心よりの賛意を表するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 小坂善太郎君。
    〔小坂善太郎君登壇〕
○小坂善太郎君 私は、民主連立派を代表いたしまして、ただいま上程せられましたところのユネスコ運動に関する決議案に対しまして、いささか所懷を述べて賛成の意を表したいと思うのであります。
 言うまでもなく、わが国は、新憲法第九條におきまして、戰争を永遠に放棄することを高らかにうたつておるのであります。これは、国家といたしましては徹底的な平和主義であり、民族といたしましては、透徹したところの理想主義の旗であると思うのであります。これは、われわれが、日本国始まつて以来の、史上いまだかつてないところの非常な悲劇の中で体得いたしました尊い経験の反省であり、またこれは、過去に対するところの、きびしい反省の真実の声であると同時に、また将来に冠して永遠の平和への真実の希望の表現にほかならないと思うのであります。
 しかしながら、こうしたわれわれ国民の真実の希望と覚悟が、單なる国民のかけ戸にとどまり、またわが国内部における国民の單独のせりふ、モノローグに終つてしまつたのでは、何にもならないと思うのであります。この世界平和への願いの声は、全世界をかけまわらねばなりません。今や、敗戰の荒涼たる日本の山河の中に生れた真実の発見、平和を希求するところの戰争放棄の旗は、全港界に向つて振られねばならないと思うのであります。しかしながら、問題は平和の実践であります。平和に対する現実の追求はいかにして求めらるべきかということでなければなりません。この平和実践への旗として、ユネスコ精神の全国民への普及徹底をはかりますることは、きわめて時宜に適したことであると考えるのであります。
 一九四五年十一月、ロンドンにおきましてCAME会議によつて、初めて相互理解、相互信頼の風を全世界に彌漫せしめんとする理想が打立てられたのでありますが、翌年パリにおいて、このユネスコ運動は、広く全世界に向つて取上げられて参つたのであります。この人種、性別、言語あるいは宗教の差別なしに、人権及び基本的な自由を普遍的に尊重し助長して行こうとするために、教育、科学、文化を通して、諸国民の間に世界における相互の連帶性を認識せしめ、知性と理性に基く正義の観念を高めることを目的といたしましたこの大理想は、今後大きな人類の共同目標であろうと思うのであります。
 教育にも、文化にも、科学にも、国境はありません。この国境を越えた教育、科学、文化を通して、合理主義と人間性に徹した倫理を通してのみ世界平和への道は求めらるべきものであると思うのであります。私は、教育を何よりも重いものであると考え、また科学的にものを考え、そうして文化というものを尊重する日本人が一人でも多くできるように努力しなければならないと思う。これは私は本院の使命でなければならないと思うのであります。真のリベラリズム、ほんとうの自由主義というものを日本人の間に瀰漫せしめねばならぬと思います。また、真のリベラリストは、ほんとうに戰争を永遠に地上から追放する力にならなければならぬと私は考えるのであります。
 世界の科学技術の進歩は、遂に原子力時代を生んだのでありますが、技術や機械の進歩は、人類の福祉を持ち来すべきものでありまして、決して人類の不幸を招来する戰争の道具であつてはならないことは言うまでもないのであります。キリスト教文化に深く国民思想の根柢を置くアメリカにおきまして、原子力の平和的利用を考え、その実施においてすでに成功し、最近におきましては、アイソトープというような驚くべき化学製品の発見すらなされている現状であります。
 最近、わが国に偉大なる科学者湯川博士が生れ、ノーベル賞を授賞せられたのでありまして、本院におきましても、近くこれを表彰すると聞いておるのでありますが、今日このことに至るまで、わが国にかかる偉大なる科学者が存在していたことを、はたして幾人の日本人が知つていたであろうか。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
○小坂善太郎君(続) また、その中間子理論とはいかなるものであるかということを、常識的にも説明し得る人が、一体日本人の中に幾人おるであろうかということを考えますと、われわれは、われわれの科学技術に対するところの国民的な関心のレベルというものに対しては、あらためて反省せざるを得ないように考えるのであります。と同時に、私どもは、国内における科学教育文化、こういつた崇高なる目的に携わる人々に対する尊敬心の高揚、そしてその待遇の向上について、あらためて思いをいたさねばならないと深く考えるのであります。教育、科学、文化の振興は、それ自体文化国家をつくる、教育国家をつくる、技術国家をつくる目的でなければならないのでありまして、決して手段と考えるべきではないのであります。
 最近、総司令部の指摘するところによりますると、日本の技術は世界水準に比して十年から遅れておる、はなはだしきは二十年も遅れておるということを言われておるのであります。今後、人口の多い、土地の少いこのわが国が生きる道は、高度の技術を持ち、技術によつて生産を確保することであり、また国民が高度に文化的であるということにあると思うのであります。講和会議に関する知らせがしきりに来て論議せられておりますが、教育、文化、科学を尊重する平和国民としての日本国民が、その平和的実践の方途として、ここにユネスコ運動を全国的に展開すべく、本院において決議を行いますることは、まことに時宜に適したものであると考えます。(拍手)
 さきに、共産党の今野君が反対論を述べられましたが、これを伺つておりますると、これは共産党の立場からするところの現状に対する御批判であつて、これは本決議案のみならず、常に、あらゆる法案が出るたびに、われわれが聞いておるところであります。もとより、その立場からするところの議論は自由でありまするが、本決議案の討論に関しまする限り、本決議案の趣旨をもう少しよく理解されて御討論願いたいと考えるのであります。(拍手)
 ここにわれわれは、わが国に駐日代表を派したところのユネスコ本部の好意を謝するとともに、日本のすみやかなる正式参加を要望いたしまして、ここに民主党連立派を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 笹森順造君。
    〔笹森順造君登壇〕
○笹森順造君 ただいまここに議題となりましたユネスコ運動に関する決議案に対しまして、新政治協議会を代表して私は賛成の意を表し、その理由を簡單に申し述べたいと思います。
 私どもがユネスコ運動に賛成をしまするゆえんのものは、私ども日本民族の本来の平和を愛好するという姿に復帰せんとする、その熱心なる考えからでありまして、先般来、あるいは学生の中に協力会の運動があり、全国各地にこの運動が盛んに今起つておりますることから考えてみても、明らかなのであります。この意味で、これはユネスコの精神が民族の魂に、その欲求に、ぴつたり合つておるというところに、ただいま提案されたる深い意味があると思うのであります。(拍手)
 時あたかも、先ほど来、皆様方の御発言のごとくに、対日講和の問題が国際社会に取上げられておりまするばかりでなく、この議場においても、皆様方が活発に御論議をなされたのであります。しかして、この講和ができ上りました後に当然来なければならないわが国民の安全保障の問題が、最も真剣に討議をせられて参つたのであります。この困難なる問題を解決しまするためには、何といたしましても、近い将来においては国際連合に加盟することによつて、これがわれわれの期待を実現し得ることと考えられるのであります。この直接の関連においても、私は、ユネスコ連動を強力に推進して、この希望へと進んで行くべきことが、今の段階において最も必要なことであろうと考えられるのであります。(拍手)過去における国際連盟が失敗に帰しましても、私どもは、現在の国際連合をぜひ成功せしめ、とりわけこのユネスコの運動は、ぜひともみんなで協力して、これを成功せしめたいと思うのであります。
 ある人々の考え方の中には、今日なお自分の国だけが最も優秀なるものであり、いわゆる公正的なる秩序の最高單位として考えておりまするがゆえに、国際的のいかなる情勢にかかわらず、これは他に従属すべきものではない、あくまでもこれは最高なるものであり、至高なるものであるとして、あるいは條約その他によつて束縛せられる点がありましても、最高のものであるという理念を、今でも持つている者がないでもありません。しかし、いかなる国家でありましても、現在においては、また将来においては、国際社会から遊離し、隔絶し、單独で存在し得ざることは明らかであります。(拍手)
 あるいはまた、従来思想を云々しまする人の中に、おのれの思想だけが至高、最高のものであつて、他の思想の存在を許さないということであれば、これこそ非民主的であります。(拍手)ここに私ども、ユネスコの大きな働きが現われて来るということを考えなければなりません。私どもが再び無用なる人類の惨過を繰返さないためには、やはり良識のありまするところの世界の国民が、ここに深き思いをいたしておるのであります。
 私から事詳しく申し上げまするまでもなく、この国際連合が、政治、経済、労働、食糧、交通、科学、文化、教育、宗教等、これらのものを取扱いまする場合に、これらのものは、すべてみな世界に共通するものである普遍性を認めて、そこに一つの観点を見出し、結論を見出したいという努力にほかならないのであります。従いまして、私どもは、この大きな努力に向つて、もう一度反省をする必要がある。新しい世紀をつくり出そうとするならば、やはり私どもは、まつたく新しい思想、物の見方を生んで来なければならぬのであります。この反省がなされなければならない。
 そこで、私どもがどうすればよろしいかと申しますると、今日まで私どもは、この世の中に、教育があり、あるいはまた文化があり、あるいはまた科学があるならば、それで人間が幸福になり、進歩するものだと考えておつたかもしれませんが、これが非常なあやまちであつたことを、私どもは今見出すのであります。一番学校をたくさん持つておつたところの国、最も進んだ科学を持つておつたところの国、しかして高い文化を誇つたところの国が、二度まであの世界大戰の惨禍を起したではございませんか。ここに私どもが思い当りまする場合に、やはり学問も訓練も、これがすべての人に幸福を與えるということにおいてのみ存在の価値があると信ずるのであります。この意味で、私どもがよく考えなければならないことは、すべての思想も、すべての努力も、これことごとく国際的社会適応性をその根本に持たなければならぬのであります。この深き理解を與えるのが、すなわちこのユネスコでなければならない。またそうであるのであります。
 例を申し上げますならば、私ども、かりに軍備を持たざるところの国が、どうして平和的に安全の保障が與えられるかと申しますると、これは世界のすべての人が、その国家民族に対する安全的なる考え方を持つことが先立たなければならぬのであります。あるいはまた、世界のすべての人々が欠乏から救われようとするならば、すべての人が要求しまするところのその要請を、すべての人が同情的に理解して参らなければならぬのであります。これがすなわち、ユネスコにおいてなしとげ得られる最も大きなことであります。
 そこで、私は最後に申し上げたいのでありますが、このユネスコの運動は、国家的なる機関、あるいは大きな思想的な運動そのものが、自己だけが最高のものだと思う考え方を捨てて、お互いに話合いの上で、人の話をよく聞いて、氷炭粗いれずとなすところの思想も、どこに困難性があるかの氷解の点を見出す努力が必要なのであります。(「その通り」拍手)あるいはまた、世界の物資、資源をことごとく必要なものにわけ與えると申しましても、一体世界全体の貿易の隘路が、困難性がどこにあるかということをよく研究いたしまして、そうして話合いの上でこれらの問題をきめて行かなければならぬと思うのであります。この意味において、結局するところ、私ども主張いたしておりまする協同友愛の精神によつて世界が初めてでき上るものだと考えられるのであります。(拍手)
 かく考えまするときに、私どもがユネスコに対してこの運動を展開しようというときには、單にユネスコから私ども民族が恩惠を受けるということばかりでなくして、やはり先ほど来だんだんお話のありましたように、日本民族の把握しておりまする、普遍的にしてしかも高い文化的のにおいのありますものを、ことごとくこれを收録し、また整理し、顯彰して、これをもつてユネスコ自体に貢献する用意が、今からなされる必要があると思うのであります。かくいたしまして、私どもがこのユネスコの運動をますます盛んに展開することをここで決意して、しかしてまた、国内におけるユネスコ活動を、政府当局においてもこれをよく理解し、また助成し、しかして、すみやかに国際ユネスコに参加ができるように、懸命にしてまた適切なる施策をとられんことを要望いたしまして、本決議案に賛成するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  (賛成者起立)
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。(拍手)よつて本案は可決いたしました。
 この際外務政務次官より発言を求められております。これを許します。外務政務次官川村松助君。
    〔政府委員川村松助君登壇〕
○政府委員(川村松助君) ただいま星島二郎君外十三名の議員各位の提出にかかわるユネスコ運動に関する決議が採択になりましたことは、将来の国際文化興隆のため、まことに欣快にたえないところであります。
 ユネスコ本部及び総司令部におきましても、わが国の国をあげての深いユネスコへの関心にかんがみ、好意ある考慮をいたされているのでありまして、本年の第四回総会におきましても、昨年の総会に比しまして、さらに広汎なる対日事業計画とその予算が盛られているのであります。また、近くはわが国官民の代表四名が、アメリカ国内におけるユネスコ事情の研究のために渡米を許されることに相なりました。
 こういう機運に臨みまして、外務省といたしましては、本決議の御趣旨に沿いまして、民間におけるユネスコ運動と緊密に協力しつつ、ユネスコの対日事業を促進するとともに、わが国のユネスコ加盟の際に備えまして万全の準備を期している次第であります。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第八は提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第八、農業生産確保に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。小笠原八十美君。
    〔小笠原八十美君登壇〕
○小笠原八十美君 ただいま議題と相なりました農業生産確保に関する決議案につき、私は各党各派を代表し、いささか趣旨の弁明を試みんとするものであります。
 まず決議案の内容を朗読いたします。
  政府は、世界経済の動向と食糧事情にかんがみ、わが国農業を国際的水準に急速に発展せしめるため、昭和十五年度予算において相当多額の国家資金を農業に投下し、農業の近代化への途をひらき、農業生産の増強と農家経済の安定を図るべし。
  右決議する。
 御承知のごとく、わが国の農業は、戰時中、戰後を通じまして、深刻なる食糧事情に対処し、国民の生存を保障して参つたのでありますが、わが国農業経営の実態は、欧米のそれに比較しまして著しく零細規模であり、経営の内部に多くの弱点を包蔵していることは、ここに申し述べるまでもありません。
 しかるに、今日インフレーシヨンの收束、経済の安定の段階に入りまして、均衡財政の方針がとられましたため、米価も必ずしも十分に納得する水準にきめられたとは申せす、逆に供出も決して軽いとは言えない状態でございますし、土地改良、災害復旧のための予算も、いまだ満足できないのであります。他方におきましては、世界の食糧事情の回復に伴い、農業に対する外よりの圧力もようやく顕著となり、世にいわゆる農業恐慌が来ないとは言えない情勢であるのでありまして、漫然と推移せんか、農村は恐るべき経済的、思想的混乱のるつぼと化することは明らかであります。
 こういう客観情勢の変化に対処いたしまして、いかなる方策をとるべきでありましようか。言うまでもなく、農業生産の合理化をはかり、国際競争力を付與するために、いわゆる農業近代化への方策を強力に推進し、もつて農業生産と農家生活を確固たる基盤の上に置くことが大切であります。農業近代化の具体的方法は、もちろん一にしてとどまらないわけでありますが、それを実現するために最も必要な前提條件は、何と申しましても農村の諸施設を行うために必要な資金を確保することにあります。
 数年前に新聞等をにぎわしました農村インフレは、すでに過去の夢でございまして、今日の農村の実情は、著しい金詰まりによつて特徴づけられており、農業の零細規模と相まつて、農村の自己資金によつてこの窮境を打開することは、はなはだしく困難な状態であります。最近、農林中央金庫法を改正いたしまして、いささかこの要求に応じようといたしておりますが、もとより九牛の一毛にすぎないのでありまして、この際政府は思い切つて相当多額の国家資金を農業、畜産業等に投下し、農業政策の転換の期に即応して、農業生産の基礎となるべき物的條件を大規模に整備することが、刻下最大の課題であると信ずるものであります。
 農業有畜化の必要が唱えられて、すでに久しいにもかかわらず、戰後、わが国農業に即応する畜産の改良も見るべきものなく、一面農家の家畜導入資金がまつたく枯渇しておりますために、今日においてすら、最も重要な農業生産手段たる役畜なしで農業を営む、いわゆる無畜農家の率が、全国農家の五五%も占めておりまする状況では、どうして今後国際農業に伍して農業生産の確保ができましようか。このことを例にとりましても、思い半ばに過ぎるものがあるのであります。
 われわれは、こういう点を深刻に反省しなければなりません。従つて政府は、二十五年度予算において、以上申し述べた線に沿い、すみやかに方針を定め、善処せられますよう、ここに決議案を上程して政府の注意を喚起いたすとともに、皆様の御賛同を得たいと存ずる次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に発言もなければ、ただちに採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
 この際農林政務次官より発言を求められております。これを許します。農林政務次官坂本實君。
    〔政府委員坂本實君登壇〕
○政府委員(坂本實君) ただいま満場一致をもつて御決議に相なりました農業生産確保に関する決議に対しまして、一言政府の所信を申し述べたいと存じます。
 世界の食糧事情が、今日わが国農産物価格に対し直接、間接にある程度の影響を與えることは避けがたいと思わるのでありまして、わが国農業の水準をこれに即応するように引上げることは、ぜひとも必要なことと思われるのであります。よつて、本決議の御趣旨のごとく、明年度以降において、農業生産力の基盤を確立するため、與う限りの国家資金をこれに投下するとともに、技術の改良、資材の供給等、生産力の増強と農家経済の安定に資すべく、あらゆる施策を講ずべきは当然でありまして、政府は、これがため最善の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 先刻のユネスコ運動に関する決議に対し、文部大臣より発言を求められております。これを許します。文部大臣高瀬荘太郎君。
    〔国務大臣高瀬荘太郎君登壇〕
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 先ほどのユネスコ運動に関する御決議につきまして、文部省としての所見を申し述べたいと思います。
 教育、科学、文化の国際的協力を促進し、これを通して世界の恒久平和に貢献しようとするユネスコ運動と、平和的な文化国家を建設し、世界人類の福祉に寄與しようといたしますわが国家の高遠なる理想とは、きわめて深い関係のありますことは明らかであります。従いまして、わが国は、まだユネスコに正式加盟は許されておらないのでありますが、従来におきましても、政府といたしましては、国内のユネスコ運動の促進及びユネスコ精神の普及徹底には相当の努力をして参つたのであります。ただいまユネスコ運動に関する御決議がありましたが、これによりまして、文部省といたしましては、さらに決意を新たにし、今回結成されましたユネスコ議員連盟その他の民間ユネスコ協力諸団体と緊密な連絡をとりまして、国内における今後のこの運動の推進助成のために全力を盡して参りたいと考えております。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 日程第九は提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第九、東北振興に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。圖司安正君。
    〔圖司安正君登壇〕
○圖司安正君 ただいま議題となりました東北振興――その範囲は、北方の寒冷積雪地帶、單作地帶をも含めて広く解釈するのでありますが、東北振興に関する決議案について、各党各派の関係議員を代表いたしまして、その趣旨を弁明いたします。
 まず案文を朗読いたします。
   東北振興に関する決議
 東北地方(新潟県を含む。)は他地方に比して産業、経済、文化その他各般にわたりすこぶる後進的な地位にある。その因つて来たる原因は、降積雪が長期間にわたる等自然の悪條件も大きいが、更に政府の施策がすべて画一的若しくは中央偏重的であつて、東北の自然と人心に合致しないところに最も重大な原因がある。わが国経済が国際経済に復帰せんとする今日、政府は、東北地方の現状を注視し、日本経済興隆の一環として、本地方の産業振興を図るため、速やかに左記の施策を講ずべきである。
 一 災害復旧費、土地改良費、道路改修費、河川港湾構築費、学校建築費をはじめ公共事業費については国庫補助率を高めるとともに前渡金又は適実な方法で政府支拂の時期を失せざるの措置を講ずること。
 二 税制改革については降積雪期間における收入減と防雪、除雪、保温等の支出増とを充分に調査し、必要経費の算定基準を明確化するとともに税率の軽減その他の特別措置を法制化すること。
 三 地方財政平衡交付金制度を創設するについては、長きにわたる官民各界の中央さく取によつて疲弊困ぱいせる地方財政の実状にかんがみ、政府が吸い上げる財政收入よりも少くない金額を、平衡交付金として配付するの措置を講ずること。
 四 昭和二十一年度以降二十三年度までの国税收入は、独り仙台財務局だけがいわゆる徴收目標額の一二〇%乃至一三〇%の実績なるについては、その一〇〇%を超過せる部分について付するか又は昭和二十四年度以降の減税額に充当するの措置を講ずること。
 五 未開発資源、観光資源等を積極的に開発して速やかに東北振興の恒久対策を樹立実行すること。
  右決議する。
 第一は、東北地方は一年一作、すなわち單作地帶であるばかりでなく、風水害、旱害、凍害、冷害、雪害と災害の種類が多く、かつその頻発の度も高いのであります。従つて、土木工事でも建築工事でも、不必要と思わるる個所が一番大切なのであつて、手数をかけ、頑丈につくり、それだけよけいな経費がかかります。しかも、維持費や修理費がこれまた莫大であるばかりでなく、十一月から翌年の四月までは、寒冷や積雪のために工事ができませんので、工事はすべて十一月中に切り上げねばなりません。従つて、全国一律の補助率では、工事量は三分の二にも充たず、それだけに、災害はさらに災害を重ねて、拔き差しならぬ結果になるのであります。この際補助率を高むるとともに、政府支拂いは前渡金か、さもなくば分割拂いをもつて繰上げ支給の道を開くこそ緊急事なのであります。
 第二は、シヤウプ勧告に基きまして、画期的税声改革が行われようとしておるのでありますが、東北地方の税率だけは、特別に税法の中に、明確に三分の一を減ずる旨の例外規定をせよというのであります。御承知のごとく、今日の税法には、職業別や所得階軒別の考慮はなされていますが、地域別の考慮は全然なされておりません。税法ではありませんが、前国会において、議員立法として、政府の反対まで押し切つて成立させた石炭、寒冷地手当を官吏に支給する法律は、この趣旨の一つの現われでありますが、実は農民や商工業者には、いまだ何らの措置も講ぜられておりません。これでは明らかに不公平であります。しかも、冬期の降積雪のため、健康経済にとつて、一メートル以下は一二%、一メートル以上二メートル以下は一五%、二メートル以上三メートル以下は二〇%、三メートル以上は二五%の失費があるとは、農林省積雪地方農村経済調査所の調査発表するところであります。この数字は、経済帳簿に記入して、明らかに家計費の上に現われたものでありますが、それよりもなお單作地帶であるという莫大な損失は、苗代半作、取入れ半作等の俚言に徴しても十分に察知できるのであります。大蔵省は、それらの事情は課税調査に際して十分に考慮すると言われますが、もしそうとするならば、むしろ大蔵省が内部でこつそり手心を加えるよりも、税法の表に出して、はつきり税率を軽減した方が、より政治的な効果があるばかりでなく、末端税務署においても、法規に従つて徴税すればいいのであつて、考慮したとかしないとかいつて、農民あるいは商工業者といざこざを起さずに済むのであります。(拍手)
 第三は、地方財政平衡交付金の問題でありますが、従来東北地方は、中央政府及び中央の資本家から、白河以北一山百文の待遇を受けて参りました。たとえば、国有林收入のごときは年々一億円に近い、もしくはそれ以上の純益を献上して、他の管内の損失まで補つて来たのであります。米しかり、木炭しかり、電気しかり、国民経済、国民生活に必要な基礎物質は、基礎物質なるのゆえをもつて、不当な廉価で搾取され来つたことは、今日きわめて明らかな事実であります。しかるに、中央からの交付金または配当すべき利益は、二階から目薬の程度にとどまるのでありまして、おそらくは、どこの県の財政を見ても、中央に吸い上げられる国費関係だけでも、国庫より交付される配付金、補助金等の総額の約二割か三割は多いでありましよう。そもそも地方配付税制度は、貧弱なる地方団体の救済を目的とする制度なるにかかわらず、結果は人口稠密な都会地を潤す制度と化し去つてしまいました。財政が貧弱であればあるほど、国家の委任事務は地方団体の固有事務を圧迫し、やがては税の強化となつて、住民を塗炭の苦に泣かしむるに至るのであります。この際政府は、直接、間接東北から吸い上げる財政收入よりも少くない金額を平衡交付金の配布基準の中に織り込んで、東北の財政を救済することの急務が痛感されるのであります。(拍手)
 第四は、最近最も大きな社会問題を巻き起している、いわゆる税金旋風の問題でありますが、大蔵省発表の表に明らかなように、仙台財務局だけが、いつも第一位の好成績で、徴收目標額の一二〇%ないし二二〇%を示していることは、一体何を物語るでありましようか。おそらくは、正直にして純朴な東北人は、東北とごまの油はしぼればしぼるほど出るものなり、とのたとえのように、税務署のなすがままにまかせているがためでありましよう。しかも、われわれの実地調査によれば、今日の税務署員は、二十五歳以下の者が七、八十パーセント、二年以下の経験の者がこれまた七、八十パーセントであつて、そこにいろいろと、いざこざの耐えないものがあるやに推察されます。ともあれ、問題は、農林省のごとき、超過供出米を三倍の値段で買い、報奬物資をくれるということもなく、ただ取りつぱなしの税金のことですから、きわめて公平なる措置としては、この際一〇〇%を超ゆる額だけは還付するか、それが手続上めんどうで、できなければ、本年度以降の減税額に織り込むことの当然であることを強調するのであります。(拍手)
 第五は、東北振興に関する恒久対策の樹立実行の問題でありますが、このことに関しては、昭和八年の大凶作後、内閣に設置された東北振興調査会の答申によつて、昨年の満鉄にならい、東北興業及び東北振興電力の二会社をつくりましたが、かんじんの首脳部に官僚の古手をもつて任命したるがゆえに、興業の方は半身不随となり、電力の方は政府に統合されてしまつたのであります。しかしながら、東北にいまだに眠つている木材、石炭、亜炭、鉄、銅、硫化鉱、陶土、農産物、畜産物、海水産物その他の産業資源や電力資源等に、これを開発すれば、国土培養、経済復興には大きく寄與貢献し得るものであります。さらに十和田、朝日及び出羽、三山、磐梯、吾妻等は、わが国の北方地帶のすぐれた景観を世界に紹介する上にも見のがしてはならない観光資源であります。要するに、東北振興方策については、原敬内閣以来、あるいは東北調査会、雪害対策調査会、東北振興調査会等、相当の努力を拂つて来られたにもかかわらず、いまだ有終の美果を收め得なかつたのは、アメリカのTVAのごとき厖大な構想と、思い切つて根本的、恒久的施策を強力に推進するの力がなかつたからであります。
 最後に強調いたしたいことは、文明は北進するという世界の常識であります。資源と人口とのアンバランスを最大の苦悩とするわが国の將来に残された唯一のホープは、東北以外にはないではありませんか。しかるに、東北を現在のごとき原始産業のままに放置して、いたずらに採取の対象となすがごときは、国家の一大損失でなくて何でありましよう。玉みがかざれば光なし、一日一刻も早く、政府は東北振興の総合国策について、責任をもつて万遺憾なきを期せられんことを切に要望してやみません。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
 この際建設政務次官より発言を求められております。これを許します。建設政務次官鈴木仙八君。
    〔政府委員鈴木仙八君登壇〕
○政府委員(鈴木仙八君) ただいま決議になりました、小笠原八十美君外十二名提出の東北振興に関する決議案につきましては、その実情にかんがみまして、まつたく御趣旨の通り、きわめて適当なことと存ずる次第であります。よつて建設省関係におきましては、極力本案実現に対しまして努力をいたしたいと考えておる次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 日程第十一は延期されんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程第十一は延期するに決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十二は提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第十二、予防接種に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。山口シヅエ君。
    〔山口シヅエ君登壇〕
○山口シヅエ君 予防接種に関する決議案に趣旨を説明いたします。
 各党婦人議員を代表いたしまして、これより決議に対する趣旨を申し上げます。
 伝染病その他疾病の予防並びに治療は、人類の最大関心事でなければなりません。なぜならば、それは人間の生命に関するものであるからであります。国際連合において、目下米英は、人数と文化の破壞を防ぐため、平和確保案を提出しております。国際的にも、国内的な問題におきましても、人の生命に関するものより大きな問題はないと思います。人が生命を失う以上の悲しみはありません。ことに、助かるべき生命が、桑の不足に上りまして助からないことに至つては、まつたく悲惨のきわみと言わなければなりません。
 戰後、伝染病予防は強化されて参りました。去る第二国会においては、伝染病予防法が制定され、法定伝染病を十一種に漸次増加いたしまして、ワクチンの予防薬によつて、これら伝染病並びにその他の疾病の予防に、政府も予算を増加して、国民の健康に遺憾なからしむるよう、せつかく努力中のこととは存じますが、現在は、まことに悲しむべき状態を示しておるのでざいます。
 結核は、罹病率及び死亡率ともに依然として高まりつつあります。ことに、昨今寒さに向つて、百日ぜきの発生は、昨年に比して罹病率が二・五倍、死亡率に至つては約五倍の増加を示しております。ことにジフテリアにおいては、昨年度は、粗製ワクチンのため多くの尊い人命を失つた戰慄すべき事実は、すでに皆様の御存じのことと存じます(拍手)そのおもな原因は、あげて予防ワクチンの品質不良と生産量の不足にあるのであります。
 先般、新宿街頭において、結核予防に対するBCGワクチン使用を普及宣伝しておりましたのを聞きまして、その効力を知り、喜んで探しまわつたが、遂に入手できず、たいへん落胆いたし、また憤慨いたして、ある一家庭の主婦から、政府の宣伝に偽りがあるとの非難の声が新聞の投書欄に見られましたが、この主婦の痛烈な声こそ、大衆の声として、われわれは率直に聞かなければならないと存じます。(拍手)
 伝染病の多いということは、文化国家として恥ずべきごとでございます。憲法第二十五條には、国民はすベて健康で文化的な生活を営む権利を有すると規定してあります。もちろん、憲法は国の道標であつて、急速に目的に到達することは不可能といたしましても、現状では、憲法の看板に偽りありと言われても、やむを得ないことでございましよう。政府は、至急に周到なる対策を講じて、予防接種に関する予算の増額をはかるとともに、品質と供給を良好ならしめ、予防と治療の完璧を期し、もつて大衆の声にこたえるべきであります。
 この目的を達することについては、いかなる政党のイデオロギーにおいても異論のないところであります。よつて、各政党婦人議員全員が、以上の理由によりまして、右決議案を提出いたしました。各位の御賛同をお願いする次第でございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
 この際厚生政務次官より発言を求められております。これを許します。厚生政務次官矢野酉雄君。
    〔政府委員矢野酉雄君登壇〕
○政府委員(矢野酉雄君) ただいまの御決議に対して、厚生省の決意を披瀝申し上げます。
 予防接種に関する決議に対する政府の考えといたしましては、実は過般京都及び島根に起りました不幸な事項に対して、ワクチン類の使用を禁止せざるを得ない事態に立ち至つたのであります。その後、製薬会社の親密なる検査をいたしまして、しばらくその生産を中止するとともに、いかにして世の期待に沿うりつぱな注射液等を生産せしめるかという対策を論じまして、本年の二月より、ワクチン類の再検査に合格したものは販売を許可するとともに、四月から、優良なる製造工場に対して生産を許すことにいたしておる次第であります。ただいまでは、だんだんその供給量も増加いたしまして、BCGワクチンにつきましては、本年度接種計画一千二百万人の大体準備ができているような次第であります。来年度は三千六百万人分に対してその準備を進めております。
 さらにジフテリヤ・トキソイド、ジフテリヤ血清並びに百日せきワクチンにつきましては、現状のままでは、まだ十分な需要量に達しないのでありまするから、今製造工場等を督励いたしまして、その需要量に達するよう努力をいたしているような次第であります。
 さらに結核問題についての御意見が中に含まれておりましたが、明年度は、国立療養所におきましては八千五百床の病床を増加し、三億五千万円の増加の御審議を皆様にお願いした次第であります。さらに地方公共団体に対しましても八百床の増加をもくろみ、これに対する国庫の補助を考えております。さらにストレプトマイシンの国産につきましても、ただいま準備を進めて、来年九号からは大体工業化が実現すると思いますから、五百キログラムの生産ができると思います。さらに輸入におきましては四百キログラムの準備を整えておる次第でありますから、一応御決議の線にだんだん沿うのであろうと思いますが、せつかく山口議員の烈々たる御要望でありましたので、厚生当局は、十分その御決議に従うように万全の処置を講ずるつもりであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 明二日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後五時二十三分散会