第006回国会 本会議 第23号
昭和二十四年十二月二日(金曜日)
 議事日程 第二十二号
    午後一時開議
 第一 在外同胞引揚促進に関する決議案(中山マサ君外二十九名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第二 図書館運営委員長の国立国会図書館法第十一条第二項による審査の結果報告
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●本日の会議に付した事件
 日程第一 在外同胞引揚促進に関する決議案(中山マサ君外二十九名提出)
 議員砂間一良君を懲罰委員会に付するの動議(椎熊三郎君提出)
 休憩の動議(淺沼稻次郎君提出)
 議員椎熊三郎君を懲罰委員会に付するの動議(野坂參三君外四名提出)
 日程第二 図書館運営委員長の国立国会図書館法第十一条第二項による審査の結果報告
 人事官弾劾訴追手続規程案(議院運営委員長提出)
 油糧配給公団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 肥料配給公団令の一部を改正する法律案(内閣提出)
 特別職の職員の給与に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案(星島二郎君外六名提出)
    午後二時五十五分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一は提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。日程第一、在外同胞引揚促進に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。中山マサ君。
    〔中山マサ君登壇〕
○中山マサ君 ただいま議題となりました在外同胞引揚促進に関する決議案につきまして、その趣旨を弁明いたします。
 まずこの案文を朗読いたします。
   在外同胞引揚促進に関する決議
  既往四箇年にわたつて、在外同胞の引揚実施につき、連合国の好意を衷心より感謝する。
  ポツダム宣言受諾以来、われわれが誠実にその実行に努めたことは、本年五月二日連合軍最高司令官マッカーサー元帥の声明によつて明らかなところである。
  しかるに、ポツダム宣言第九条に宣明された捕虜並びに一般拘留同胞の本国送還の一部が未完了であり、拘留中における死亡者の氏名並びに戦犯関係抑留者の氏名のうちに、未発表の部分があることは、誠に遺憾にたえない。このため、その家族はもとより、全国民の集慮は今や絶頂に達している。われわれは、ここに四度あらためて連合国にわれら未完了部分の速やかなる発表と、生存者の本国送還を懇請するとともに、国内における可能且つ最大限の調査及び遺族留守家族に対する援護を徹底させることを期する。
  政府は、これがため慎重且つ果断なる措置をとることをちゆうちよしてはならない。
  右決議する。
 終戦当時の在外同胞の中から、今日までに帰還して参りました者六百二十万、これは四箇年の長き月日にわたりました連合諸国の努力のたまものであることは、何人も疑いをさしはさむ余地がないのでございます。ここに、あらためて国民とともに、私たちは連合国に満腔の感謝をささげるものでございます。しかし、今日なお、連合国軍最高司令部の発表によれば、三十八万人の同胞が未帰還者となつております事実は、留守家族のみならず、私ども国民を、いたずらに不安に陷れるのでございます。
 事新しく言うまでもなく、ポツダム宣言第九条に、日本国軍隊は、武装解除の後すみやかに帰らしめ、平和の業につかしむべき旨、述べてございます。しかるに、故郷にいまだ帰り得ぬのみか、その消息すら家族に伝えられざる人々のかくも多数ありますことは、留守家族の心を痛ましめ、これに対する私ども国民の同情は、今や深くなつて来ておるのでございます。留守家族といたしましては、残留者の帰還が一日もすみやかならんことを熱望してやまないのは、もちろんでございますが、せめては文通が許され、また確実なるところの消息だけでも得られるものならばと、切に求めていられるのでございます。その情報は、わが政府がいかに努力いたしましようとも、また連合国の御協力がございましようとも、拘留しておりますところの国よりの通報がございませんければ、決してその真相がはつきりしないことは、これ、だれもが知るところでございます。(拍手)
 引揚問題につきまして、ここにある一つの時期を画せんとしております今日、政府におきましては、その関係国に迅速なる拘留者の送還を懇請するの道を講ずると同時に、国内にございますところのすべての機関を動員いたしますれば、ある程度の残留者の数は把握できるものと思われますので、この方面におきましても、従来に倍するところの御努力が切に望ましいのでございます。そうして、その結果をすみやかに整理して、その家族を安心させていただくことこそ、政府がとるべき道であろうと私は存ずるのであります。(拍手)これは政府に対して特に強く要望したい点でございます。
 四箇年の長い期間にわたつて待つその家族の苦しい心境に対しまして、未復員者給与法、特別未還者給与法によりまして報いるよりほかに、他に私どもがとるべき道はないのでございます。前述の改正法律案が両院を通過いたしましても、この恩恵にあずかる家族の数はわずかに七、八万であるのでございます。さらに死亡者遺族でありまして、これに対しましては、誠に小額の遺骨引取料と埋葬料が与えられておりますことは、まことに遺憾にたえないのでございます。政府におかれましては、一段と施策の全からんことを期せられるよう、切に要望いたします。
 以上が在外同胞引揚促進に関する決議の趣旨でありますが、皆様御承知のごとく、この種の決議案は四たびここに上程されておりますが、いまだに引揚者に対して満足を与え得ることは、ほど遠いものがあると思うのでございます。願わくは、今回の決議によりまして、急速なる援護状況の改善をはかられることを切に念願いたして、この決議案を提案したのでございます。(拍手)私どもといたしましては、今なお引揚げ得ざる多数の人々を故国に迎えるため、さらに覚悟を新たにして事に当たらんことを、ここに誓うものでございます。
 私は最後に、四年もたちましても、われわれの同胞が帰つて来ることが、政府を通じても、あるいは連合国を通じても、これができないといたしますならば、私どもは、世界の道義心、その真心に訴えてでも、ぜひこのことを完遂したいという、かたい決意を持つておるのでございます。どうぞこの点御了承願います。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これより討論に入ります。池見茂隆君。
    〔池見茂隆君登壇〕
○池見茂隆君 私は、ただいま上程になりました在外同胞引揚促進に関する決議案に対しまして、民主自由党を代表し、衷心より賛成の意思を表明するものであります。(拍手)
 全世界の民族が、国境もなく、差別もなく、ひとしくその祖国を愛し、そのふるさとを思慕するの情けは、人間特有の感情と確信するものであります。(拍手)終戦後すでに四年、その帰国の日を一日千秋のの思いをもつて、あらゆる困難、耐えがたき労苦に耐えつつも、今日なおやむを得ず異境の地に残留せられておるところの人々を思いますときに、またそれらの人々を持つところの家族の方々の心情を考えますときには、いまさら私がここに申し上げるまでもないことであります。従つて、本決議にもありますように、国民及びその留守家族の集慮は、今や頂上に達しておる。まさにその通りであります。留守家族の心境としては、もしも簡単に帰ることができないならば、少なくとも、現在その生死、あるいは明確なるところの員数、その氏名、死亡者氏名等の発表と同時に、残留者の判然たる消息でも知りたいというのが、やむにやまれぬところの家族の心情である。(拍手)たとい敗戦国とは申しますけれども、これらのことを関係各国その筋に、最も強く私は要請することにおいて、何人もこれに反対するものはないと確信する。(拍手)
 もちろん政府といたしましても、今日まで、国内的に各種の手段によつて調査を進められておりますことは、十分承知しております。結局は関係国その筋の明快確実なる通報のなき限り、私ども国民はその完璧を期することはできないのであります。しかし政府といたしましても、四回に及ぶこの決議の目的達成のためには、一段と強力に調査を進められて、一方におきましては拘留者の一日も早き帰還の促進を、あわせてその消息を国内国民にもたらされ、その筋に対する懇請が、現下におけるところの最も政府の大いなる責務であるということを考えるものであります。この点、私は政府に対しまして最も強力に要望いたす次第であります。
 なお、留守家族に対しでき得る限りの救援をなし、現在国民運動としては愛の運動が展開せられ、現在この未復員者給与法の規定によりまして扶養家族の手当を受けておるものも、わずか六万数千、さらに今回特別未帰還者給与法が改正せられまして、その適用範囲が広くされましても、わずか数千家族に及ぶ程度のものでありますがゆえに、私は、これらの留守家族に対し、その救援の態勢をさらに強化していただきたい。
 またわれわれといたしまして最も注目いたしますことは、少なくともこの死歿者の遺族の身上であります。現行法が改正されるといたしましても、遺霊一柱に対しまして、遺骨の引取料、埋葬料合せて三千二百円という給与では、葬式の費用にも足りない状態でありますことは、御承知の通りであります。ゆえに、これらの遺族に対しましては、将来、現在の給与のほかに、弔慰金とでも名目をつけましようか、国家からのいわゆる給与を行なうことが、絶対的に私は必要であると信じておるのであります。ゆえに、この点は特に議員諸公におかれましても、また政府に対しても、私としては心から訴えたい事実であります。(拍手)
 以上、まことに簡単ではありましたけれども、拘留者、遺族、留守家族に関するところの私の所見の一端を披瀝いたしまして、最後に重ねて本案に対する絶対の賛意を表しまして、趣旨の説明を終わります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 堤ツルヨ君。
    〔堤ツルヨ君登壇〕
○堤ツルヨ君 ただいま上程されました在外同胞引揚促進に関する決議案に対し、日本社会党を代表いたしまして賛成の意を表し、同時にわが党の見解を国民の前に明らかにせんとするものであります。
 本夏以来、九万五千に近い同胞の引揚げは、皆様とともに、まことに御同慶にたえぬところでございますが、今なお数の判明せぬ在外同胞のありますことは、本国会といたしましても、はなはだ面目のない次第でございまして、拘留国政府の正式な発表のない限り、これが判然としないことは、皆様も御承知の通りでございます。赤紙で召集されました父が出征いたしますとき、母親のひざの上に乳を飲んでいた赤ん坊も、今日では、はや九歳、十歳のわらべとなつております。顔さえ知らぬ父の帰りを待つ、いじらしい子供らを思いますとき、大きな社会問題の一つとして、真剣な日本民族をあげての促進運動がなされなければなりません。(拍手)
 本決議案の持つ性質は、あくまでも単なる留守家族の問題としてのみ考えられべきものではなく、大きな戦争犠牲者への国民全体の共同責任であることを痛感いたします。しかるに、今日まで、本問題に対して、日本民族をあげての努力がなされたでありましようか。とかく日本人は、おのれさえよければ見て見ぬふりをいたす、はなはだ━━━━━であります。(「ノーノー」と呼び、発言する者多し)留守家族は血みどろな叫びをあげて参りましたが、一部の人々を除きましては、引揚げ促進に関しましても、はなはだ冷淡であつたと申しても、私は過言でないと存じます。この決議案を契機といたしまして、院外にも院内にも、必ずや大きな全民衆の与論が喚起されるであろうことを信じて疑いません。
 さらに進んで申し上げたいことは、本問題が単なる日本民族だけの問題でないということであります。いわゆる人種を越え、国境を越えた、人権擁護の見地から、広く世界人道維持の立場から、全人類に向つて訴えらるべき問題であると存じます。すなわち、ポツダム宣言第九条に示されておりますところの、平和にして生産的なる一市民への復帰は、占領国といわず、被占領国といわず、厳正なるポツダム宣言の履行者でなければなりますまい。さらに九月二日、マッカーサー元帥は、日本人は忠実にポツダム宣言を履行しつつあり、民主化も軌道に乗つたと申しておられるのでありますが、占領下のわれわれ日本人が忠実なるポツダム宣言の履行者でありますれば、なおさらのこと、連合国側における拘留国政府の紳士的なポツダム宣言の履行が伴わなければならないと思うのでございまして、誠意ある在外同胞の実態の発表さえが、終戦五年目の今日になつても、なおされぬということは、何たる━━━━━━でありましようか。(拍手)
 わが党は重ねて申し上げたいと存じます。この意味におきまして、この決議が単なる決議にとどまつてはなりません。院議をもつて国際連合に陳情さるべきものであります。来る十二月四日召集されます次期通常国会には、わが党は、この院議を提唱いたしたいと考えておりますので、この点をもつけ加えておきたいと存じます。
 なお、日本政府が一刻も早く、日本政府の手においてなし得る一切の努力をなされんことを切望するものであります。各市町村または都道府県を通じての、未復員者を持つ世帯の実数、さらに在外同胞よりの音信、または帰還者によるところの情報により、その実態の明かなるものの責任ある発表など、一日千秋の思いで待つ留守家族の身になつてみれば、時々刻々にその調査を報告されるべきでありますのに、幾たびか委員会でも詰問をいたし、その事務の完璧ならんことを要求いたしておりましたにもかかわりませず、その報告もなく、データのないのは、はなはだ遺憾であります。困難事とも思えぬ未復員者を持つ世帯の実数調査など、いまだなされぬことは、まつたく文字通り、国民にいろいろと批判されつつある官僚のサボタージュを遺憾なく露呈していると申しても、過言ではないと思うのでございます。(拍手)公僕としての任務を十分今後果し得るところの官僚の御指導を、林厚生大臣に特に要求するものであります。もちろん、日本政府に手の届かぬところまで列挙して、これをむちうとうとするものでないことを申し上げておきます。
 このたびの補正予算を見ましても、十億二千四百何がしというものを削られておるのでございますが、これらも明らかに政府の不誠意を物語つておると思うのでございます。帰つたところの人数が少なかつたので、予算が不用となつて大蔵省に返上したと申されるでありましようけれども、認識不足もはなはだしいと、私は義憤さえ覚えるのでございます。試みに、いまだ帰らざるところの同胞、舞鶴の平の寮の実態、第一収容病院となつておりますところの舞鶴国立病院の状況、きびしい今日の世相下に職を求めて歩くところの復員者の姿、また引揚者の住宅など、余りましたところの予算は、石にかじりついてでもこれを握つておつて、これらの定着援護に向けなければならないのが政府の職務であろうと私は存ずるのでございます。予算に対しましても、林厚生大臣の今後の善処を要望いたします。
 最後に、本決議案の上程を、ラジオで、新聞で知りましたところの、ささやかなる留守家族、夕げの卓にそつと涙をふくところの老いたる母、疲れたる妻、いたいけな子供らのあることを思いますときに、私は婦人議員の一人として、感無量なるものがございます。どうか男子議員が大部分を占めておられます本国会におきましても、今後引揚げ促進のために理解と愛情と協力を切にこいねがうものでございます。(拍手)これは母の立場から、また婦人議員の立場から、特に全国女性を代表してお願いする次第でございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの堤君の御発言中、不穏当なお言葉があつたように聞いておりました。速記録を取調べの上、適当な処置をとることといたします。
 並木芳雄君。
    〔並木芳雄君登壇〕
○並木芳雄君 ただいま上程になりました決議案に対しまして、民主党野党派を代表しまして、私も心からの賛意を表明するものでございます。(拍手)
 新聞の報道によりますと、引揚船の最後の船は、本日をもつてこの冬の終りだと言われております。政府の責任ある発表によりますと、いまだ帰らざる者数十万、われわれは、この間におけるギャップに対して、ほんとうに涙をのんで、心の中で泣いておるのでございます。幾たびか、この決議案は本会議場に上程されました。そうして、今度こそは、かくのごとき決議案を再び上程しないで済むようということが、各位から叫ばれておつたのでございます。しかるにもかかわらず、二たび、三たび、遂に五たびの冬を迎えるにあたつていまだにかくのごとく多数の同胞が海外に残留して、なつかしの故郷に帰れぬ、このことは、われわれ今や平和的、民主的な日本の本土に暮しておる者としては、耐えられない焦慮の至りであるのでございます。(拍手)
 私は詳しいことは前の皆さんがおつしやいましたから、ここに重ねて申しません。ただ申し上げたいのは、何でもいいから帰してくれ、一人残らず帰してくれ、数が少しくらい合わなくたつて、そんなことは、あとから合せればよいじやないか、とにかく帰してくれ、ということを絶叫したいのであります。
 本問題は、予算委員会においても、外務委員会、厚生委員会、あるいは引揚特別委員会においても、全国国民の総意を代表して、政府に対して熱望に熱望をわれわれは加えておるのでございます。そうしてまた政府側においても、熱心に連合軍当局の方にお願いをしておる、こういう答弁があります。また、過ぐる施政方針演説においても、吉田首相は、特にこの点に触れて、海外同胞引揚げ促進のために全力を尽すということを言われております。われわれはこれを信じたい。信じたいけれども、要は実績である。いくら文句でうまいことを言つても、実績が現れなければ、われわれとしては、がまんできないのであります。そういう意味において、私は、現在の政府が口に唱えることと、実際にやつておることと一致しておるかどうかを疑わざるを得ないのであります。(拍手)白たび宰相は、御殿場に帰ることは急である、大磯に帰ることは急であるけれども、この引揚げ促進ために、司令部の門を幾たびたびぐつたか、われわれはその懇請の実績を知りたいのであります。
 引揚げました方に対しまする福利増進その他の手当等につきましては、これは社会保障の通念とも一貫するところのものでありまして、大蔵大臣が、かつてこの議政壇上で答弁をしたように、社会福祉をするために英本国の労働党がいかに参つておるかをごらんになればわかるといつたような、あの無責任きわまる答弁をするような現内閣に対して、十分の手当をやれということは、われわれ注文する方がむりかもしれないけれども、しかし戦争によつて生じた犠牲の公正なる負担をやるという見地から、現内閣に対して、われわれは健全なる野党として、心から、また力のあらん限り、それらの手当に万全を期せらんことを要望しまして、私は本決議案に賛成するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 砂間一良君。
    〔砂間一良君登壇〕
○砂間一良君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本決議案の趣旨に賛成の意を述べようとするものであります。
 引揚げの問題につきまして、連合国に懇請するとか、国際連合に提訴するとか、世界の人類に訴えるとか、いろいろ御意見がありますけれども、私は、この問題の━━━━━━━━━━でなければならないと思うのであります。(拍手)何となれば、あの侵略的な帝国主義戦争を始めて、国民を赤紙で動員して、兵士を外地に送つたのは、これはアメリカの政府でもなければ、ソビエトの政府でもなくて、実に天皇の政府であつたのであります。(拍手)
 この決議案の中に、その家族はもとより、全国民の集慮は、今や絶頂に達しておる、というような表現がしてありましたが、この国民を集慮不安に陥れている問題の一つは、未引揚者の数字の問題であります。ところが、この数の点につきまして、私ども政府にいろいろ質問いたしますけれども、政府の答弁はまつたくでたらめで、なつていないのであります。(拍手)政府は、口にいろいろ美辞麗句を言うておりますけれども、そのなす実際のところは、何らこの引揚げ促進について熱意も努力も足りないと私どもは感じておるのであります。
 今、三十数万の人たちが残つておるとかいうふうなことが言われておりますけれども、三十万おるか、五十万おるか、あるいは一人もおらないか、それは、終戦当時日本のわれわれの同胞が海外に何人おつたかというこの基本数がはつきりしなければ、今日何人残つておるかという数字も出ないわけであります。ところが、この基本的数字につきまして、政府の発表がきわめてまちまちであります。たとえば、終戦当時、海軍省の発表によりますと、七百七万ということを申してあります。ところが厚生省では、六百三十七万何がしという数字を発表しておりまして、この間実に七十万人からの開きがあるのであります。今日、外務省の引揚渡航課におきまして、われわれ引揚げ委員に配付されておるところのあの資料を見ますと、この引揚げ対象基本数なるものは六百六十一万というふうになつております。この数字は、厚生省の数字よりも二十四万多く、海軍省の数字よりも四十五万少ないのであります。政府の発表しておる数字は三通りもある。それがみんな違つておる。また、外務省の引揚げ基本数にいたしましても、これが始終ぐらぐらかわつておりまして、ちつとも一定しておらないのであります。こういう基礎数字によつて、今日何人海外に残つておるか、三十万人おるのか、あるいは一万人おるのか、あるいはもつと多いのだか、少いのだが、これではいくら残つておるといつても、その根拠がはつきりしないのであります。
 私どもがいろいろ研究してみるところによりますと、政府の発表しておる数字は、満州地区やソビエトの場合と、南方方面の発表の数字では、非常につくり方が違つておるような感じを受けるのであります。何となれば、南方方面はすでに引揚げが全部完了いたしまして、一人も未引揚者は残つておらない、残数がゼロということになつておるのでありますが、そのゼロのところから、どんどん帰つて来ておるのであります。たとえば、中国から百二十三人――これは本年四月から十月までの間でありますが、中国からも百二十三人、それから台湾から二百五十人、ハワイから八十人、香港から五人、南鮮から五百五人その他というように、どんどん帰つて来ておる。ゼロのところから、何でこういう人間が帰つて来る道理がありますか。
 ところが、北方の場合、(「シベリアはどうした」と呼ぶ者あり)シベリア地区や、ソ連地区や、満州地区の場合には、この数字のつくり方が違つておるのであります。たとえば、一九四九年十月一日現在におきまして、ソ連地区引揚総数は百二十七万余人ということになつております。ところが、一九四六年十二月、米ソ協定以後の引揚者の数は、九十八万三千余人でありまして、この間二十九万三千人というものは、つまり米ソ協定前に帰つて来ておるということが確認されるわけであります。また今年の九月二十三日に、大連地区から、高砂丸で千百二十七人帰つて参りました。十月三日、山澄丸で千七百三十四人帰つて来ております。両方合せまして二千八百余人になるのでありますが、これは政府の発表する数字によりますと、大連地区には、もはや残留者が一人もおらないということになつております。今日残留者があるのは、満州地区かソ連地区だけでありますが、この数字は、満州地区から帰つて来たことにはなつておりません。
 それで政府は、どういう苦しい数字の操作をやつておるかといいますと、この二千八百六十一人を大連地区の基本数字に加えて、同じ数をまた差し引いて、そうして残はゼロというインチキなやり方をやつておるのであります。それでは、何人引揚げて来たつて、基本数をふやして行つて、その残数はいつも同じということにしますならば、これでは、いつまででも、たくさんの人が残つておるということになるのであります。
○議長(幣原喜重郎君) 砂間君――砂間君……。
○砂間一良君(続) かようになるのでありまして……。
○議長(幣原喜重郎君) 時間が参りました。
○砂間一良君(続) 私どもは、まず第一に政府にしつかりした責任ある基礎数字の発表を要求したいと思います。(発言する者あり)またそのほかに、国民愛の運動とか何とかいろいろなことを言つておりますけれども、実際のやり方は、ちつとも愛の運動でも何でもない。四年、五年、六年、七年も外地にいて、やつと久しぶりに日本に帰つて来ますと、あの舞鶴の援護局には、大阪警察学校の生徒を三百人も動員して、そうしてみんな監視づきでやつておる。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 砂間君――砂間君……。
○砂間一良君(続) 十一月五日、永徳丸で帰つて来た人が十二名……。
○議長(幣原喜重郎君) 砂間君――砂間君、私の注意が耳に入りませんか。
○砂間一良君(続) こういうようなわけでありまして、私どもは、この引揚げの問題につきまして、もつと政府が責任ある熱意をもつて、ほんとうに一日も早くやつてくれることを希望するわけであります。(拍手)
    〔発言する者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの砂間君の御発言中、不穏当な言葉があつたように聞きとりました。速記録を取調べの上、適当な処置をとることといたします。
 河野金昇君。
    〔河野金昇君登壇〕
○河野金昇君 私は、新政治協議会を代表いたしまして、この決議案に満腔の賛意を表するものであります。(拍手)
 本日のこの会議の様子を、全国の未復員の方が聞いたら、さぞや嘆くであろうと思います。日本の政府、日本の国会は、満場一致でこの決議をしてくれることと期待をしておつたであろうと思いますが、ただいまの共産党の演説を聞きますと、これは賛成とは断じて思えないのであります。(拍手)まるでソビエト政府を代表しておるような演説であるのであります。(拍手、発言する者あり)私どもは、今日まで忍びに忍んで来たのであります。戦争をやめ、武器を放棄した日本人は、一日も早く祖国に帰すということが、ポツダム宣言にはつきりと明記してあるにもかかわらず、アメリカもイギリスも、中国も、みんな帰してくれたのに、今日まで帰らざるものは、中共とかソビエトという、共産党の親戚のようなところばかり残つておるのであります。(拍手、「何人おるんだ」と呼び、その他発言する者あり)君たちだつて知つてるのか……(発言する者あり)
 私が引揚げの委員会の委員長をしており、全国の方々の引揚げ促進の大会なんかに行きましたときに、みなその家族の人たちが涙を浮べて、早く帰してくれといつておるときに、一種人種の違つたような人々が、そういう会合に忍び込んで来ておつて、「おい河野君、引揚げて来たとて職がないじやないか、引揚対策がないじやないか、それよりもソビエトにおつた方が幸福だよ」と言つて、私の演説をじやまする連中が多かつたのであります。(拍手)
 確かに、戦争に負けたお互い日本国民は苦しんでおります。帰つて来て、あるいは職業につけない人もあるであろう、あるいは家が焼けて、家のない人もあるであろうけれども、恐らく中共におる人でも、ソビエトにおる人でも、たとい焼野原になつておろうとも、日本に帰りたい気持ちで一ぱいであろうと思う。あるいは家族の人たちにしてみても、帰つて来たら職がない、食べさせるものがないと思つたとて、たといわずかのものをわけて与えても、きつと帰つて来てもらいたい気持ちで一ぱいであろうと思います。(拍手)
 今日まで、議会のあるたびに、こういう決議案を満場一致でしなければならないことは、何といつても情けないことであります。(拍手)戦い終えて四年になつておるのに、まだこういう決議を繰返さなければならない私たちは、この決議案こそは、満場一致で、国会も政府も背後の国民も、ほんとうに一つとなつて、国民与論を奮起させて、引揚げを一日も早く完了させなければならぬのであります。(拍手)引揚げてきてからの対策は、政府も国会も、おそらく引揚者を何とかしようということにおいては、共通の気持ちであろうと思います。私は、この決議案が満場一致とは行けないにしても、共産党をのけたほかの人々は、心から賛成をしてくださることを信じます。そうして、国会と政府と国民が一体となつて、ほんとうに一日も早く引揚げが完了できるようにしたいものであります。
 本決議案には、新政治協議会を代表して、満腔の賛意を表するのであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 松谷天光光君。
    〔松谷天光光君登壇〕
○松谷天光光君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、ただいま上程になりました本決議案に対し賛成の意を表するものでございます。(拍手)
 ただいま河野議員も申されておりましたように、終戦以来、本国会が開かれまするたびごとに、議会終末におきましては、必ずやこうした決議案を上程し続けて参つたのでありました。まず引揚げを開始していただきたいという懇請に始まり、次いで引揚げの数を増やしていただきたいという趣旨になり、今日では残留者を一刻も早く全員引揚げさせていただきたいという、その一つの段階はたしかにとつて参つてはおるのであります。今日、私どもの一つの大きな心配、また最も私どもの知りたいと願いますことは、また一番の悲しみは、一体われわれの血をわけた兄弟たちが、どこの島に、どこの野に、一体何人生きていてくれるであろうかという現実をつかみたいという、それ一つであります。そうして、一刻も早くこの生きておる兄弟たちがわが家にもどつてもらいたい、わが国に早く帰つてもらいたいという、この念願一つになつて来ておると信じておるのであります。ただいま、この議場に繰りひろげられました一つの場景、この引揚げの問題に対しましても、それぞれ見解の相違はあろうかと思います。しかし、いずれの立場にある日本人にいたしましても、私はその同僚を一刻も早く帰してもらいたいという熱意に、何ら欠くるところ、あるいは差異のあるものはないと信じたいのであります。
 私どもは、今日ここにわれわれに示されたところの、どうしても合わない数字、一方の通信によれば九万五千であり、また一方の発表によりますれば三十八万というその数字の食い違い、私どもは、これをまず徹底的に究明したいのであります。一体出て参りましたものが、どこでどれだけ死んでおるかというその発表を、まずわれわれは、世界人類に対しまして、国際各国に対しまして、人道上から要求をいたしたいのであります。そうして、その生きておる者たちを早く帰していただきたいというその要求へと、進めなければならないと考える次第でございます。
 なお、先ほど来各議員から申されております引揚援護対策につきましては、まず現政府を鞭撻いたしまして、一刻も早く完全なる措置を予算上に計上させなければならないと考えておるやさき、この十億の削減があつたということ自体も、私どもは、この引揚げを遅らせておるところの一つの遠因になりはしなかろうかという危惧を持たざるを得ないのであります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
 こうした国内対策を、完全に国民一致してまず築き上げると同時に、私は、全世界に対しまして、いわゆる連合国に対しまして、この国会一丸となり、国民一丸となりまして、――ソ連または中共地区、満州地区を初めといたしまして、南方にもまだ残つておるというのであるならば、なお一層喜ばしい情報であります。もう一度、全世界におるところの日本人を、ひとつ出してもらいたいという再請願を、われわれは強く要求すべきであると考えるのであります。(拍手)一刻も早くわれわれの兄弟の戸籍を追究したいのであります。生死を確かめたいのであります。そうして、一刻も早く、世界人道の上から、日本人を一人残らず帰してくださることが、世界平和へのまず第一歩のきざしでるということを、われわれは絶叫したいのであります。
 なお今日、私ども早く講和を結びたい。しかも私たちは、全面的講和を望んでおるものではありますが、これにおきましても、ソ連地区、中共地区の同僚を、一刻も早く全員引揚げさせていただくことによりまして、全面的講和こそが、世界平和への一つの出発であるという、その確信を強うすることのできるものであると考えておるのでございます。
 私は、労働者農民党を代表いたしまして、かかる意味を持ちまして、一刻も早くこの決議案が実施されることを心から要望しながら、賛成の意を表するものでございます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終了いたしました。
 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 議員砂間一良君を懲罰委員会に付するの動議(椎熊三郎君提出)
○副議長(岩本信行君) 椎熊三郎君より、成規の賛成を得て、議員砂間一良君を懲罰委員会に付するの動議が提出させられました。右動議を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。提出者椎熊三郎君。
    〔椎熊三郎君登壇〕
○椎熊三郎君 在外同胞引揚げの問題は、ひとりその家族の方々の希望のみではございません。故国に残る全国民の、終戦以来絶えざる念願であつたのでございます。しかるに、その後帰らざるもの、今日に及んでも非常な数に達しておるということでございまして、家族のもの、親戚のもの等は、そのため日夜心事を悩ましておることは、申し上げるまでもございません。従いまして、去る第五国会におきましても、また今日のこの上程されました決議案におきましても、同一の趣旨におきまして、一日も早く同胞の一切引揚げてもらいたいという国民の熱願が凝り固まつて、満場一致の決議案が出たのであると、私は確信いたします。しかるに、この決議案の賛成の意見中に、共産党を代表する砂間君の演説を拝聴いたしますると、その内容は、引揚げ促進に賛成しておるとは私どもは受取れない。(「その通り」拍手)むしろ、反対の意見を述べておるようであります。
 思うに、共産党の戦術は常にしかりです。彼らは、このような引揚げ促進の決議案に、表面切つて反対することはできないでしよう。しかしながら、心の中ではむしろ反対なのでありましよう。(発言する者あり、拍手)これが現実に現れておる。
 全国から集まりましたる遺族の関係者の代表が、ソビエトの大使館に多数行きまして、代表者に面会を求めたときに、何と言つておる。多数の人たちは、あの門前に一昼夜をすわり明かして面会を求めておる。しかるに彼らは、多数をもつて面会を強要することは反ソ的であるからということで、面会を許さなかつたという。(「彼らとはだれだ」と呼ぶ者あり)しかるに共産党━━━━━━は、組合運動などをやる場合に、いつでも多数をもつて強要しておる事実を何と見る。(「彼らとはだれだ」と呼び、その他発言する者あり)私の言う彼らとは、共産主義一味の者━━のこと言うのであります。(拍手)
 諸君、彼らは、この神聖なる議政壇上を利用して、なお同胞引揚げ促進の決議案に賛成するかのごとき態度を装うて、事実は日本政府の責任を追究したり、そうして腹の中ではこれに反対するという事実が、ここに明らかに表明されておる。(拍手)かくのごとき状態は、神聖なる本会議場における同僚の行動として、断じて黙視することはできません。(「何を言うか」)と呼ぶ者あり)ただちに懲罰委員会に付して、相当なる厳罰に処すべきであると私は信じます。(拍手)
 諸君、共産党員の国会内部における行動は、ひとりこのことのみではない。常に彼らは一体、共産主義者は、議会主義者ではないのです。(「その通り」拍手)民主主義ではないのです。しかしながら、彼らの宣伝と、彼らの暴力革命への前提として、国会を利用しておるということだけは、この二、三年明らかになつておる。(拍手)ソビエト政府の状態を見ても、レーニンやスターリンの言つておる言葉を聞きましても、彼らは議会主義者では断じてない。専制主義者なのです。少数の者をもつて多数に強圧を加える専制主義の政治のやり方が共産党の政治のやり方であることは明らかであると思う。
 われわれは日本の民主化のために、かくのごとき者どもが議会に跋屓するなどということは、日本の前途のために嘆かわしい。(拍手)彼らは、議会の行動において、あるいは運営委員会の行動において、常に戦略、戦術、虚位、欺瞞、あらゆる術策を弄して、この国会を彼らの宣伝の具に供せんとする日ごろの行動は、まさに天人ともに許さざるところであると私は思う。(拍手)
 この際私は、不穏当なる言辞を弄して、全国民熱願の同胞引揚げの決議案に対して一つの汚点を残したる砂間君の行動は、ただちに懲罰委員会に付して厳罰に処せよとの動議を提出する次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) ただいまの椎熊君の発言中不穏当の言辞があれば、速記録を取調べの上、適当の処置をとることといたします。
 懲罰事犯ありと告げられたる議員より、弁明の申出があります。これを許します。砂間一良君。
    〔砂間一良君登壇〕
○砂間一良君 ただいま椎熊君より私に対する懲罰動議が提出されておりまして、その動議の理由を聞いておりますと、共産党は提案の趣旨に賛成であるかのごとく装うて、事実においては反対しておると言つておる。こういう、実に陰険な、人をねじ曲げた、そういう曲解をいたしまして、そうして共産党をあえてしいようとしておるのでありますが、その心事やきわめて陋劣であります。
 私は、さつきの決議案の趣旨に賛成する場合におきましても、最初からこの決議案の趣旨には賛成であるということを述べておるのであります。そうしてまた、その採決の際におきましても、共産党は一致して賛成しておる。そうして、議長が異議はないかと言えば、一人も異議はなかつたのであります。また、引揚げの委員会や、あるいはその他これまでの日常の共産党の活動を見ましても、引揚げの問題につきまして、最も熱心に、最も積極的に闘つて来ておるのが共産党であります。
 去る五月六日、日本共産党は、徳田書記長の名前をもつて、ソビエトの共産党の中央委員会に対しまして、特にこの引揚げについてのメッセージを送つておるのであります。私が、さつき引揚げの点につきまして、数字の点を言つたのでありますが、この数次の点が、ちつともはつきりしておらない。これをはつきりさせなければ、国民の焦慮が絶頂に達しておると言つても、その絶頂に達しておる国民を安心させることはできないのであります。従つて政府は、この数字をまずははつきりさせるために努力しろと言つたことが、それが何でいけないのですか。
 諸君のように、ソビエト大使館の前でデモをやつたり、そうして、連合国の一員であるところの大使館の人たちをさして彼らというような、そういう椎熊君の言動が、それが引揚げを遅らしておるのである。共産党を除くこの議場の空気、諸君のようなそういう反ソ、反共的の考えをもつておるからして引揚げが遅れておる。引揚遅延最大の原因は、そこにあるのじやないか。共産党のような、こういうまじめな態度で、そうして、どこの国とも対等に、平等なつき合いをやつて行く。特にこの引揚げ問題を政治的なかけひきの道具にするような、そういうやり方をやめて、冷静に、どこの国とも対等にやつて行くというような、そういう立場をとつて、引揚げ問題から政治的かけひきを抜いてやつて行つて、初めてこの引揚げ問題が円満に解決され、国民の輿望に応えることができるのであります。
 懲罰などと言つて、どこを懲罰するか、ちやんちやらおかしい。どこに理由があるか。私は、引揚げの問題につきましては、共産党は最も熱心であつて、口で言うことと、実際に行つていることと、言行一致しているのは共産党だけであると思つておるくらいであります。(拍手)諸君のような、そういう態度を改めない限りは、この引揚げの問題は、決して完全にうまく行かないということを断言いたしまして、私の一身上の弁明にかえる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○淺沼稻次郎君 この際休憩の動議を提出したいと思います。
    〔発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
○淺沼稻次郎君(続) 砂間君の発言について、椎熊君より、引揚促進についての汚点を残すものであるからという意味合いにおきまして懲罰動議が提出されたのであります。しかし、私ども議席にありまして砂間君の演説を伺つておつたのでありまするが、議長の議場整理力の欠如によりまして……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)従いまして、発言のどこが懲罰に該当するかということをはつきりさして、なおかつ懲罰のごとき、議員の職権に対して制限を加えるの行動というものは、峻厳に、厳粛に行われなければならぬのであります。(拍手)これを取上げまして、ただちに懲罰に付すということは議員の職権の制限に対する行為としましては慎重を欠くものでありまして、社会党といたしましては、速記録を調査するほか、懲罰に対しまして各党の態度を決定するまでに、さらに時間を要しますので、これらの問題につきまして、少なくとも各党がその態度の決定ができるまでの間、暫時休憩せられんことをお願いします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 浅沼君提出の動議を採決いたします。浅沼君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立少数。よつて浅沼君の動議は否決せられました。(拍手)
 懲罰の動議は討論を用いずして採決をいたすことになつております。よつて、ただちに採決いたします。椎熊三郎君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて議員砂間一良君を懲罰委員会に付するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 議員椎熊三郎君を懲罰委員会に付するの動議(野坂參三君外四名提出)
○副議長(岩本信行君) 野坂參三君外四名より、成規の賛成を得て、議員椎熊三郎君を懲罰委員会に付するの動議が提出せられました。右動議を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。提出者春日正一君。
    〔春日正一君登壇〕
○春日正一君 引揚げの重大な決議案の審議にあたつて、こういう議案を提出するということは、非常に遺憾なことでありますけれども、ただいま椎熊三郎君が砂開議員の懲罰の趣旨弁明をしている言葉の中に、引揚げを求める人たちが、ソビエト代表部の門前に行つて、二十四時間夜を明かした。そうしたら、彼らが、こういう行為に対しては“会わぬ”と言つて、断つたというような非難をしておりますけれども、その彼らというのは一体何であるか。明らかにソビエト代表部を指していることはいうまでもない。これは連合国の一員に対する重大なる誹謗であると思う。
 労働者諸君がデモをやるとか何とかいう場合に、常に暴力行為と非難しておられるのは諸君だと思う。それが、こうした行為を外国の代表部にかけておいて、しかもその代表部を非難するというようなことは、おそらく国際的にいつても非常に大きな問題になると思う。(拍手)そうして、こういうことが引揚げを遅らせる大きな要因になつている。連合国全体の手による引揚げというような問題において、一方の連合国に対する、こうした一方的な非難が、実際において引揚げにいろいろな不円滑な点をもたらすということを、十分考えなければならぬと思う。
 従つて、この議場において、連合国の有力な一員に対してなしたこの無礼な言辞に対して、わが国会は、国際的な関係を考えて、当然この椎熊君を懲罰に付し、その責任を明らかにすべきであると思うのであります。これが懲罰動議提出の趣旨であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 懲罰事犯ありと告げられたる議員より弁明の申出があります。これを許します。椎熊三郎君。
    〔「引揚げを妨害しているのは諸君だ」「やかましい」と呼び、その他発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
    〔椎熊三郎君登壇〕
○椎熊三郎君 諸君、この議場の光景を目撃する人々は、私がただいまの発言に対して一身上の弁明をする必要がないことは明白な事実だろうと思いますけれども、いやしくも私の一身上に関することですから、この際弁明を許していただきたい。
 諸君、ソビエト大使館に全国の引揚げの代表者が行つて、陳情のため面会したいということを申し込んだ際に、これを拒絶せられた。しかも、二十四時間の長きにわたつて門前に待ち受けたというこの事実、そうして、この人たちは泣いて国に帰つたのです。諸君は日本人として、この心境をどう思う。
―――――――――――――――――――――
われわれ日本人としては、これは耐えられない事実でございます。(拍手)
 私は、共産党主義者の一部の人々、ことに国会におるこれらの人々は、少なくとも国会議員たるの襟度を持して、国会におきましては日本人らしい態度をとつてもらいたい。しかるに━━の行動は、常に日本人なのかソビエト人なのかわからなぬような行動をとつている。従つて、━━共産党員というものは、日本の憲政をほんとうに発達せしめるために国会に議席を持つているのではなく、━━━最後の理想たる人民政府樹立のための暴力革命遂行の前提条件としてやつて来ている。(拍手)この事実が、あるいは三鷹事件であるとか、人民電車であるとか、汽車の転覆であるとかということになり、ことごとくこれに共産党員が関係している。(拍手)この事実を何と見るか。
 この際私は、私の発言に対して社会党からも発言がありましたから、一言いたします。社会党は、鈴木茂三郎君の声明によつて、今春以来共産党とは明確なる一線を画しておると言つた。私は、それを日本のよき政党の発展のために喜びます。しかし、先般の演説でも私は言つた、社会党の言う共産党との一線が、私の目から見れば不連続線だと。(拍手)ほんとうの一線を画していない。それですから、ときどき何かの問題が起こると、共産党なのか、社会党なのかわからぬような行動をとる。(拍手)これでは、われわれせつかく野党連合などといつてやつて参りましたが、今後はよほど警戒しなければならぬと思う。(拍手)われわれは、この神聖なる日本の議会が、共産主義者の宣伝の舞台などに使われることを、議会のために汚らわしいと思うのである。(拍手)
 今日考えてみますると、四名ぐらいの代議士が一躍三十五、六名になつた。参議院にもおる。これには、みんな共産党の秘書がついておる。今日、日本の国会の中には、毎日おおよそ百名以上の尖鋭分子たる共産党主義者が━━闊歩しておるという事実を、諸君は見のがしてはならないのであります。(拍手)私は、あえて感情的にこのことを言うのではない。わが日本の再建、復興は、共産主義的行動によつて再建せらるるとは、断じて信じがたいのであります。(拍手)よつて私どもは、この共産主義者━の━━━━宣伝に乗じられずして、冷静なる理知判断のもと、日本民主化のために、国民はこういう者━━を国会からおつぱらうということにしなければならぬ。(拍手)
 幸か不幸か、本日砂間君のごときは遂に馬脚を現して、(拍手)共産党らしき態度を示すに至つた。これは懲罰委員会において事態を明確にし、一人でも半人でも共産党を議会からおつぱらうという方向に進まなければいかぬのだと思う。(拍手)私どもは、共産党と違いまして暴力主義者じやございませんから……━━は、最後は暴力なんだ。われわれ民主主義者は、言論の力によつて、正しき世論の批判の前においてのみ、このことを決定することができると思うのであります。(拍手、発言する者多し)
 諸君、私のなしましたる懲罰動議の趣旨弁明の中に不穏当の箇所ありやいなやは、諸君の御判断に訴える以外にございません。(拍手)しかし私は、日本民主化のために共産主義者らのこの陰謀的行動を黙過しては相ならぬという衷心の至誠からこのことを申し上げているのでございまして(拍手、発言する者多し)願わくば、終戦以来日本民主化のために精進せられたる諸君の厳正公平なる御判断に訴えたいと思うのであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) ただいまの椎熊君の御発言中不穏当な言辞があれば、速記録を取調べの上、適当な処置をとることといたします。
 懲罰動議は討論を用いずして採決をいたすのであります。よつて、ただちに採決いたします。野坂君外四名の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立少数。よつて本動議は否決されました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 先刻議決せられました決議案に対し、この際厚生大臣及び外務政務次官より発言を求められております。これを許します。厚生大臣林讓治君。
    〔国務大臣林讓治君登壇〕
○国務大臣(林讓治君) 在外同胞の引揚げ促進につきましては、本院におきまして幾たびか決議をいたされ、政府もその御決議の趣旨に沿うがごとく、関係国の了解と御尽力とを願つて参つたものであります。しかしながら、なお海外に残留するを余儀なくされておる相当の同胞がある今日、申すまでもなく政府といたしましては、さらに一段の努力をいたして参りたい覚悟でおるのでございます。なお在外在留者等の調査につきましても、従来から極力その進捗をはかつてまいつておるのでありまするが、すみやかに完成の域に達するように、今後とも努力を続けて参りたいと考えておる次第であります。留守家族等の援護につきましては、その一部として、本会期中、諸君のお力添えによりまして、二回にわたり、未復員者給與法、特別未帰還者給與法の改正が行われ、諸給與の改善によりまして、長年の御心労に報いるの一端を果し得るように相なつたのでありまするが、もちろんこれのみをもつて満足をいたすべきものではなくその援護は、特に各種の方面から今後徹底をはかつて参りたいと考えておるわけであります。さよう御了承をお願いいたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 外務政務次官川村松助君。
    〔「外務大臣を出せ」と呼び、その他発言する者多し。〕
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。――御静粛に願います。
    〔政府委員川村松助君登壇〕
○政府委員(川村松助君) 先刻議決されました在外同胞引揚……。
    〔発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。――御静粛に願います。
○政府委員(川村松助君)(続) 先刻決議されました在外同胞引揚促進の御決議につきまして、いわゆる外務省としての所信を申し上げます。
 先刻来、本決議案の提案者より、るる開陳されました御趣旨に対しましては、各種の割切れない言葉を除きましては、全面的に私は賛成するものであります。わが同胞の引揚げが、終戦後四年後の今日なおかつ完了せず、いまだに多くの同胞がシベリア、満州の地に残留するのやむなき現状であります。政府といたしましては深く心痛をいたしておりまして、すでに先般来、政府といたしましても、この同胞を五度酷寒のかの地に年を越させたくないという考えかたから、一日もすみやかに帰還のできるように、あるいは司令部にそのあつせん法を懇請したのであります。これに対しまして、司令部よりは、引揚げに対しては万全の手配を尽くしておる旨があるのであります。今後も、政府といたしましては、引揚げ促進に関する限り最善の努力と誠を尽くしまして、必ずその実をあげる決意であります。以上。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第二、図書館運営委員長の国立国会図書館法第十一条第二項による審査の結果報告を求めます。図書館運営委員長早稻田柳右エ門君。
    〔早稻田柳右エ門君登壇〕
○早稻田柳右エ門君 国立国会図書館法第十一条の規定により、今日までの図書館運営委員会における審査の経過並びに結果を御報告を申し上げます。
 本委員会は、去る十一月九日、十七日、十九日、二十四日と四回にわたり委員会を開きまして、まず国立国会図書館の運営の経過について図書館長より報告を聴取いたしました。次いで国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程案及び国立国会図書館法による出版物の納入に関する規程について審査を行いました。
 国立国会図書館組織規程の一部を改正する規程案につきましては、これは各省設置法の施行に伴いまして、各支部図書館の名称の変更及び一部の分割を必要とするに至つたこと、第二には、このたび新たに上野にある日本学術会議の図書室を支部図書館に加えるための改正でございまして、委員会はこの規程案を承認いたしました。
 次いで国立国会図書館法による出版物の納入に関する規程でありますが、これは第五国会中に行われました図書館法改正の結果、当然実施さるべき図書納入のための細部規定でありまして、委員会は本規程に事後承認を與えることに決しました。
 次に、国立国会図書館のその後の経過及び近況についてご報告並びに御紹介いたしたいと存じます。
 まず第一に、ただいま申し上げました納本制度の確立によりまして、新しい書物がほとんど完全に近い程度に入つてくるようになりまして、国会図書館の業務はその一歩を進めたと言い得るのであります。九月末の現状では、図書、パンフレット類約三十六万冊に達し、雑誌類約三千六百種ほどに相なつております。この納入制度によりまして、新刊の書物は漸次順調に増加しつつあります。
 次に国立国会図書館の活動につきましては、第一には国会に対する奉仕、第二には行政、司法各部門に対する奉仕、第三には一般国民に対する奉仕でありまして、そのほか外国との間の図書の交換が行われております。
 まず国会に対する奉仕について申し上げますと、本年九月に、旧参謀本部跡に図書館の三宅坂分室が建てられまして、主として調査立法の仕事はここで行われております。各委員会や議員の要求に応じ、各種の調査及び立法考査の仕事に当つております。ちなみに、本年度四月より九月までの間における調査奉仕の件数は、百十六件に及んでおります。また国会内に図書館の分館が設けられていることは御承知の通りでありますが、議員各位の直接御利用を願いまして、逐次新刊の書物が補充せられつつあります。
 さらに行政、司法の各部門に対する奉仕につきましては、これはそれぞれの支部図書館を通じて間接に行つているわけでありますが、図書館運営委員会より起案提出いたしましたところの支部図書館及びその職員に関しての法律が本年六月より施工されまして、一応の人員も正式に配置せられ、逐次その基礎を固めて参つておるのであります。
 次に一般国民への奉仕につきましては、これは閲覧希望者の増加にもかかわらず、場所や設備の関係並びに書物や職員の関係で、残念ながらいまだ十分とは申されません。
 最後に、外国との図書交換について申し上げたいと存じます。近ごろ一般に外国から書物を送付せらるる数が非常に多くなつて参りましたことは、深く感謝する次第でありまして、アメリカにおける公の刊行物の大部分が送られて来ております。これに対しましては、こちらも、官庁の出版物をアメリカへ送つて答礼にかえておる次第であります。そのほか、司令部の御好意によりまして、アメリカに日刊新聞三十種が現在備えつけられております。最近ユネスコ本部からの連絡もありまして、その方面の書物の寄贈、交換も行われるような機運になつて参りました。またロックフェラー財団から、アメリカを中心とする文学書類のすぐれたコレクション五百冊ほどが贈与されまして、この方面の国際的文化交流の仕事は、きわめて順調に進んで参つておると言い得るのでございます。
 国立国会図書館の経過及び最近の状況は以上のごとくでありますが、二十四年度の図書館予算は僅々一億円でありまして、これでは図書館運営の完璧を期することはおろか、現状の維持すら危ぶまれているような次第であります。図書館運営委員会としましては、本年当初予算の計上にあたり、すみやかに図書館予算の増額措置を講ぜられたき旨を、図書館法の規定に基きまして、議長を通じ強く政府に勧告したのでありますが、政府においては、財政窮迫のゆえをもつて、何らこれに対し処置することなく、僅少の予算をもつてその運営に当らざるを得ない状態に置かれております。いまさら申し上げるまでもございませんが、わが国立国会図書館は、文化国家建設のための重要なる機関であることを、国会も政府も国民も十分に御認識をいただきまして、願わくば来年度予算の審議にあたりましては特別の御考慮を望む次第であります。また図書館側に対しても、国会及び政府との連繋を一段と緊密にせられ、図書館奉仕に万全を旗せられるるよう強く要望する次第であります。
 要するに、わが国立国会図書館は、いまだに創業の初期にあります、真理がわれらを自由にする――真理がわれらを自由にするというこの確信のもとに、日本の民主化と世界平和に寄與することがそもそも国立国会図書館設立の使命でありまして、アメリカを初め先進諸国のごとく、急速にその機能を整備し、図書館の使命を十分に果し得る日は、いまだに遠いのであります。立法府たる国会の活動に即応した機能を発揮し、議員立法のために十分活用される域に達する日も、いまだに遠い感がいたします。しかしながら、この点は議員諸賢の深き御理解と積極的なる御援助、御活用を特に御願い申し上げまして、私の報告を終ります。(拍手)
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、議院運営委員長提出、人事官弾劾訴追手続規程案は……
    〔「定足数が足らぬじやないか」と呼び、その他発言する者多し〕
○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
○今村忠助君(続) 委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 人事官弾劾訴追手続規程案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員長大村清一君。
    〔大村清一君登壇〕
○大村清一君 ただいま議題となりました人事官弾劾訴追手続規程案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 この規定案は、このたび成立いたしました人事官弾劾の訴追に関する法律第六条の規定に基きまして、訴追の手続に関する特別の規定を定めたものであります。
 その内容といたしまするところは、まず訴追の発議は、訴追案をその属する議長に提出する、また人事委員会もその発議を行うことができることといたしました。
 次に訴追案は、予備審査のため他の議院に送付するとともに、人事委員会に付託され、その審議に慎重を期するため、必ず他の院の人事委員会と合同審査会を開かなければならないものといたしました。
 最後に訴追については、両議院の議決が一致しましたときは、衆議院議長から訴追状を最高裁判所に提出するとともに、その写しを、訴追にかかる人事官に送付すべきものといたしたのであります。
 本案につきましては、事前に議院運営委員会におきまして十分なる検討を加えて来たものでありまして、何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げる次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)この際暫時休憩いたします。
    午後四時三十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時三十七分開議
○議長(幣原喜重郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、油糧配給公団法の一部を改正する法律案及び肥料配給公団令の一部を改正する法律案の両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 油糧配給公団法の一部を改正する法律案、肥料配給公団令の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事藥師神岩太郎君。
    〔藥師神岩太郎君登壇〕
○藥師神岩太郎君 ただいま議題と相なりました、内閣提出、油糧配給公団法の一部を改正する法律案並びに肥料配給公団令の一部を改正する法律案に関しまして、農林委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告いたします。
 まず、油糧配給公団法の一部を改正する法律案の内容を説明いたします。本案は、同公団の基本金を、現在の十五億一千万円から二十五億二千六百万円に増額しようというのであります。油糧公団の油脂並びに油脂原料の売買数量及び金額は近年逐次増加し、本年度末におきまする資産勘定は約二十五億に達する見込みでありますが、これに要する資金は、従来預金資金等よりの借入金に依存していたのであります。しかるに、本年度補正予算の編成にあたつて、かような資金見合いの運転資金は一般会計より支出する方針が確定し、それに要する予算上の措置がとられましたので、あわせて法律を改正することと相なつたのであります。
 本改正法律案は、十二月一日、農林委員会に付託と相なりましたので、ただちに政府より提案の理由を聞き、引続き質疑を行いましたところ、民主自由党山村委員、社会党足鹿委員より、国内産重要油脂原料たる菜種の供出制度、価格政索等に関して質問が行われました。これに対して、麦の超過供出分に対して菜種との代替供出を認め、増産に資したい旨の答弁がありました。
 次に、肥料配給公団令の一部を改正する法律案について説明いたします。本案は、同公団の基本金を、現在の五千万円から三十三億二千八百万円に引上げようというのであります。この基本金の増額も、油糧公団の場合と同じく、資産見合いの運転資金は一般会計の支出による原則に従つたものでありまして、金額の算定基礎は、肥料配給公団の年間取扱い金額約四百六十億円のうち、ランニング・ストツク期間を平均二十六日と押えて算出したものであります。改正法律案は、先に述べました油糧配給公団の一部を改正する法律案とともに、十二月一日委員会に付託せられましたもので、一括して議題に供しましたところ、民主自由党河野委員、新政治協議会小平委員、共産党竹村、深澤両委員より、それぞれ公団統制の存廃、経理、肥料値上げ等の問題について質疑が行われましたが、会期も切迫し、予算手続きも終わつた今日まで法律案の提出を怠つたことにつきましては、多数の委員より遺憾の意を表明せられたのでありますが、これら重要問題は別途に小委員会において審議することとし、この際質疑を打切ることに決し、本日両案を一括して討論に移すことと相なり、民主自由党を代表して野原委員は、今般の措置は、健全財政の堅持上当然とらるべき処置であるとして賛成意見を述べられました。これに対して、社会党石井委員、共産党竹村委員、新政治協議会小平委員、また民主党野党派を代表して小林委員よりそれぞれ反対意見が述べられましたが、その意見を要約いたしますと、第一点としては、補正予算が両委院を通過いたした現在、急遽本案件の上程を見ましたことは、はなはだ誠意を欠いたものであること、第二点としては、公団の存続期間は明年三月三十一日限りとなつており、公団のあり方並びにその存続に関し根本的再検討をなすべき段階にあることをもつて、運転資金は借入金をもつてまかなうことが至当であることの二点であります。
 次いで採決を行いましたところ、多数をもつて、両改正法律案はこれを政府原案の通り可決すべきものと決した次第であります。
 以上、簡単でありますが御報告いたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。石井繁丸君。
    〔石井繁丸君登壇〕
○石井繁丸君 ただいま上程されました両法案に対しまして、日本社会党を代表し反対の討論をいたすものであります。
 ただいま委員長代理が述べたごとくに、本法案は、昨日の午後の四時に農林委員会に上程されたものであります。公報等にも出されずに、午後四時に突如上程いたされまして、会期切迫の折柄、急いで審議をしてもらいたいということになり、本日におきましてその質疑を終り、そうして、この二日において討論をし、急遽本会議に上程されるというような段階になつたのであります。この点からしまして、われわれは、先ほど委員長の報告にもありましたごとく、これは国会の審議権を無視するものである、許しがたいものであると、断固その点からも反対をいたしたのであります。
 この法案の内容は、委員長が報告をいたしたごとく、肥料配給公団の基金を五千万円より三十三億二千八百万円に改め、油糧公団の基金を十五億一千万円より二十五億二千六百万円に改め、都合両公団合せて四十二億九千四百万円の増額をいたすものであります。かような大金が、国民の血の出るような税金の中から、世間にいろいろと疑惑の目をもつて見られておるところの油糧、肥料両公団の基金として織り込まれるという法案でありますから、決して簡単なる法案でないのであります。その審議のためには相当に時日を費し、十分に公団の内容を検討した上でなければ結論は下せないということは、民自党各位も異口同音に述べた点であります。提案の遅れた関係上、皆様のボツクスの中にも、本法案はまだ入つておらないのであります。また重要法案は、去る三十日におきまして、ほとんど審議を盡され、そうしてこの期間は、社会党等の主張しました会期延長の期間でありまして、もはやこの期間におきましては、衆議院には重要法案はほとんど残つておらないと、だれもが考えておつた。かようなときにおままして、突如としてかような法案が委員会に付託せられ、本会議に上程せられるということは、何人といえども意見なきを得ないのであります(拍手)
 本法案の予算措置は、ただいま委員長が述べました通り、これは今回の予算において、ついておつたのでありますから、この予算の措置がついたと一緒に、この法案を農林委員会に付託しなければならないということは、農林省事務当局もよく知つておる問題であります。つまり、この法案を会期切迫の昨日出したということは、薪炭問題あるいは食確問題等、農林委員会の強烈なる野党の追撃を恐れたるところの農林省官僚群が、これを韜晦せんとして、国会の審議権を無視して、かような拳に出たということは、一言も弁解の余地はないと断言し得るものであります(拍手)これは、まことに国会として看過すべからざるところの処置でありまして、與党、野党を通じ、国会の審議権を無視するこの態度に対しては、断固反対せざるを得ないものであります。(拍手)
 なお前国会におきまして、この肥料公団の増資ならびに油糧公団の増資が、今回と同じように会期切迫いたして提出せられたので、農林委員長を初め、われわれ委員におきましても、かようなことは国会の審議権を無視するものである、今後十分に警戒をするようにと厳重なる警告を行いましたにかかわらず、またかような処置をとつたということは、はなはだ遺憾でありまして、まことにわれわれは、国会の審議権尊重の立場より、この点を糾明せざるを得なかつたのであります。
 特に、この法案の提案理由に至りましては、ただかように述べてあるだけであります。「肥料配給公団の基本金を増額する必要がある。これがこの法律案を提出する理由である。」、重ねて申しますが、この法案の提案の理由には、「肥料配給公団の基本金を増額する必要がある。これがこの法律案を提出する理由である。」というだけであります。かような提案理由というものは、われわれは、いまだ見たことがないのであります。つまり、この法案の提出理由は、道楽むすこが親に向つて、金がいるから、おやじ出せ、というのような問題で、まことに言語道断なる提案理由の説明であると言わざるを得ないのであります。これは、吉田内閣が国会を軽視しておるのか、または事務官僚が吉田内閣を軽視しておるのか、いずれかの一つでありまして、国会としましては、その権威にかけ、その真相を究明しまして、審議権確立のために断固たる態度をとらなければならないのであります。
 第二点としまして、農林五公団に対しましては、前国会より、その改廃につき論議されまして、食糧、飼料を合せまして食糧公団とし、食料品と油糧を合せまして食品公団として、肥料をそのままにしまして、五公団を三公団にするというような問題に相当の検討が加えられまして、公団再出発の問題が一応論議されておつたのであります。しかるに、選挙等におきましては、公団制度改廃等、いろいろと方策、施策を持つたごとくに申したところの吉田内閣並びに民自党におきましても、政権をとりましたあとは、何ら定見なく、何ら法案に対するところの根本的対策なくして、荏苒今日に及んでおるので、われわれは、その無定見に驚くほかないのであります。
 その公団の存続期間は、御承知の通り、一応二十五年三月末日までとなつておりまして、公団関係者は常に不安の立場に立つておるのであります。その運命が、法律の規定上、来年の三月三十一日までと規定せられておりまして、かような関係上、日本におきましては、御承知の通り、さつまいも、あるいはばれいしよが統制撤廃になりまして、らつかせい、あるいはごま等の作付転換等がなされ、国際的の油の輸入関係等いろいろな問題が発生するので、公団の問題については、肥料にしましても、あるいは油糧等にしましても、根本的なる改訂を加えなければならないという段階に来ておるのであります。
 かような関係上、政府におきましては、すべからく公団問題の本質につきまして正しい方策を立て、従業員の立場を安定し、国民の公団に対する疑惑等を一掃する責任があるのであります。基金の増加あるいはその他の問題は、これらの処置が解決をいたしてからでよろしいのでありまして、何を好んで会期切迫した今日、急遽上程して、これが審議の必要があるのか、疑われるのであります。われわれは、政府に対しまして、これが撤回を要求いたしたいと考えざるを得ないのであります。(拍手)
 ただいま委員長代理は、公団の基金は一般会計から支出し、通貨の縮小をはかり、そうして潜在的悪性インフレを根絶するために必要である、つまりドツジ・ラインでありインヴエントリー・フアイナンスというような立場から、かようにするのが、しごくもつともであり、あたりまえであるというような形を述べておるのであります。ぐあいの悪いときには、みな関係方面の指示があるからというようなことを述べまして、ぐあいのいいときには吉田内閣の手柄にしよう、かようなる態度が常にとられておることを遺憾千万に思うものであります。(拍手)われわれは、これは卑怯千万のやり口であると言わざるを得ないのであります。
 もはや、法規上三月までの存続期間と両公団はきまつておるのでありますから、一応四十三億円を一般会計から基金に繰入るることなくして、預金部資金等を使いまして運転をいたして行くのが当然であるということは、あらゆる企業の経営、あるいはその他の流動資本を使う場合におけるところの企業の根本体系であります。失業者が町にあふるる今日、わずかに十七億円の金を支出して失業対策に充て、あるいは減税と称しまして、自然増収の陰に隠れて苛酷なる徴税をいたしておる。そうして、その金を何ゆえにかような公団に繰入れるか。公共事業費あるいは失業救済費等に充当して実質的なる減税に充てるということが、国民の要求するところであり、また民自党も同じく要求しておるところであろうと考えるのであります。
 われわれは、なぜかようなことを申すかと言いますと、預金部からの借入金でありますれば、比較的その金について預金部特別会計の監視等もありますから、大事に金を使うのであります。しかるに、一たび基金に繰入れられまするや、日本の国民は、公団の金あるいは公金等に対しましては、非常にルーズな考えを持ちますから、今回入りました基金四十三億円等も、公団の経営上、その存続期間が短かいというようなことに籍口されまして、あるいは薪炭特別会計の二の舞を踏み、国民に多くの犠牲と負担をかけるのではないかということをおそれておるものであります。
 かような立場からしまして、われわれは、一、国会の審議権を無視したところの提案であり、国会全体がこの点について反対をしなければならない。第二点としまして、公団制度については根本的改訂を加うべき段階である。この段階において、いたずらに基金をふやすということは、正しい措置ではない。最後といたしまして、ドツジ・ラインの線に隠れまして、公団経理等について正しい予算の方針を組まないということは、国民に対して、はなはだ相済まない措置であるという、この根本的三理由に基いて、本法案につきまして反対の討論をいたすものであります。
○議長(幣原喜重郎君) 大森玉木君
    〔大森玉木君登壇〕
○大森玉木君 私は、民主野党派を代表いたしまして、今度提案になりました肥料配給公団令の一部を改正する法律案並びに油糧配給公団法の一部を改正する法律案に対しまして、反対の意見を申し上げたいと存じます。私は、簡単に二、三点を申し上げまして、反対の理由を申し述べたいと存じます。
 肥料配給公団につきましては、くどくどしく申し上げる必要はありません。昨日提案になつたものでありますので、これは調査をいたさなければなりません。しかしながら、この調査期間を與えられないということは、はなはだ遺憾に思うのであります。
 その調査期間を與えられない理由はどこにあるのか、本日農林委員会で調査をいたしたのでありまするが、名古屋の公団支部長は陸田という人であります。また大阪の公団の支部長は北林という人であります。門司の公団の支部長代理金ヶ井という人、この三人を調査いたしたのであります。そういたしますと、驚くべき事実が公団に存在しておる。(「どつちの公団だ」と呼ぶ者あり)よくお聞きください。それは肥料公団です。
 それはいかなる問題であるかと申しますと、五億六千一万円というものは、帳簿にもどこにもない。しかしながら、これを載せてくれということを頼んだ。そこで、それはだれから頼んだということまでは、まだ追求はいたしておりませんが、かくのごとき問題が、名古屋、大阪、門司において行われておるのであります。これは本日支部長の証言によつて、はつきりしておるのでありまするから、これからの内容等に対して、よく調査をいたさなければならないのであります。しかしながら、大体予算は通つておるそうでありまするが、この法律案が通過いたしまするならば、五千万円の基本金を三十二億七千八百万円、これだけ増加しようというのであります。しかし、この資本金を増加いたしますることは、極端な例でありまするけれども、このようにいたしまして、ないことまで帳簿につけてくれと頼むような人が公団におるといたしまするならば、これはどろぼうにかぎを預けるようなことであります。(拍手)でありまするから、これに対しましては私は絶対に反対をいたすものであります。
 次に油糧公団の問題であります。油糧公団の問題に対しましては、もはや多言を要しません。考査委員会において調査いたしておるのであります。そこで、その調査の結果はいかが相なつたかと申しまするならば、大豆協会に対しまして、六十キロに対して六円十五銭を販売価格の中に織り込んで、それを別途積み立てにしておいた。そして、これをかつてに大豆協会に交付しておるのであります。その金は、一億三千万円といわれておるのであります。しかしながら、これをいろいろな角度から調査いたさんといたしまするならば、どうであつたかと申しますると、この大豆協会と公団とが密接な関係を持つておる。(「何を言つているのだ」と呼び、その他発言する者あり)これは公団が統制案を出したということを申し上げたのであります。あなたが御存じないならば申し上げます。
 大体こういうふうにいたしまして、この六円十五銭というものを統制価格の中に織り込んだ。そうして、そのとつた金は自由かつてに使つた。これを自由に大豆協会に交付した。(「だれなんだ」と呼ぶ者あり)公団であります。これは一体いかなる意味であるか。これらのごとき手段は、背任ではなくて何でありましよう。私は、これらに対しましては、どこまでも調査を進めるの要があると思つておる。
 そういう点からいたしまして、これらの法案を通過いたすことは、まだ今や調査中である。あるいは公団と大豆協会との関係の書類などに対しましては、毎年報告しなければならないものが、二十一、二年から今日まで報告しておらぬ。それらについて、監督庁等が何をしておるか。そうしておいて、その書類は今や焼き捨てたというのであります。かくのごとき関係を有する公団に対しましては、この法案を通過さすことは、これほど危険きわまるものはないと思う。(拍手)これをよく調査の上に提案をいたすことが適当であると私は考えるのでありまして、これに対して反対をいたすのであります。簡単にこれをもつて反対の理由といたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 池田峯雄君。
    〔池田峯雄君登壇〕
○池田峯雄君 私は、ただいま上程されました肥料配給公団令の一部を改正する法律案並びに油糧配給公団法の一部を改正する法律案の両案に対しまして日本共産党を代表いたしまして反対の意思を表明するものであります。
 元来、肥料公団並びに油糧公団に莫大な資金を與えるということについては、予算と並行して審議するのが本来であります。並行審議するというのが、これが原則になつておるにかかわらず、国会が閉会になるまぎわに、こそこそとこの法案を出して来るということは、実に国会の審議権を無視するものでありまして、その点に対しまして、第一に共産党は反対するものであります。実際にまた、こういつた莫大な金を肥料公団に出すというような法律を早く出しますと、ボロが出て来る。ボロが続々とあとから出て参りまして、どうにもこうにも始末がおえなくなるというので、そこで閉会まぎわのどさくさに出して、これを通過させてしまおうという魂胆であることは明らかであります。(拍手)
 先ほどの弁士も言われておりましたように、肥料公団の不正、油糧公団の不正には、実に驚くべきものがあるのである。この肥料公団が、五億何千万円というような莫大な金を使途不明にしておるのは、一体どこから出ておるのか。これは農民の負担で出ておるのである。農民の拂う肥料代金の中に運賃が含まれておる。ところが実際には、運賃というのはそれほどはかからないのである。実際にかかる運賃との差額が、八億二千万円以上にも上つておる。このうち五億数千万円というのが使途不明金になつているのであるが、このほかに、包装材料、諸掛り等の名目で、公団が肥料代金に含めてとつている金が、相当莫大に上つているのであります。たとえば、かます回収費用が一枚六円になつておる。ところが実際には、一枚二円七十八銭しかかかつておらないのである。だからして、この差額が一億二千万円以上にも上つているのである。これを今日まで何ら調査もせず、また悪い官僚があれば、これを徹底的に取締るということも、政治家がこれに関係しておれば、これを徹底的に調査し究明するということもやらないというのは、まさに現吉田内閣の責任であると言わなければならないと思うのである。
 油糧公団も、また同様の方法で、莫大な金を使途不明にしているのである。油脂原料増産協議会であるとか、水産油脂増産協議会であるあとか、あるいは大豆協会であるとか、こういうところにやつておる。人呼んで肥料公団を酒飲み公団と言つておる。肥料公団の帳簿をめくりますと、毎晩のように、神楽坂の某料亭で三万円だ、五万円だというような宴会をやつておる。こういう問題を徹底的に調査究明することをやらないで、莫大な金を、資金が足りないから肥料公団にやりましよう――こういう不当な金は、これは明らかに農民に返すべきである。農民の負担によつて、こういう使途不明の金が出ているのであるから、これは農民に返すべき金である。同時に、まさに不正の上塗り、どろぼうに追銭のような、こんなべらぼうな金がありますならば、この金を六・三制の学校を建築するために、あるいは土地の改良をやるために、農地改革の徹底をはかるために、こういう金をそれに使うべきであると思うのであります。人民の血税によつて、かような不当な金の使い方をする現吉田内閣の政策に対しまして、日本共産党は絶対に反対いたす次第でございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 小平忠君。
    〔小平忠君登壇〕
○小平忠君 私は、新政治協議会を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする油糧配給公団法及び肥料配給公団令の一部を改正する法律案に対し、断固反対するものであります。
 終戦直後におきまして、日本の食糧を増産し、民生を安定せしめるという見地から、肥料の生産並びに油糧の生産をはかり、さらに配給の完全を期する意味におきまして、この両公団設置の問題が取上げられ、これに関しましては、国民の大多数、特に肥料公団のごときは、全国農民の切実なる反対があつたのでありまするが、これは強引に押し切られて設置をみたのであります。しかるに、その後における両公団の運営の実態を調査いたしまするに、すでに諸君が御承知のように、その経営内容において、さらに経理事務において、その不正が天下に暴露せられ、国民の疑惑の念を抱かしめるような結果をもたらしているのであります。
 本問題に関しましては、特に民主自由党におかれましても、昨年来からこの公団廃止の方針を決定せられ、特に選挙民に対して公約せられて、これをすみやかに実施すべく参つておるのであります。しかるに、現段階においても、これを何ら実行の方向に移さざるのみか、さらに今日に至つては、まつたくわれわれの理解しがたいような結果をもたらしているのが、今回のこの法の一部改正である。
 すなわち、この内容は、委員長代理の説明ごとく、さらにすでに反対討論のあつたごとく、まつたくかような公団に対しまして、特に油糧公団においては十億一千六百万円、肥料公団においては三十二億七千八百万万円、合して四十二億九千四百万円の基本金を増加するというこの拳に出たこと、なおこの基本金について一般会計から繰入れに至つては、私は、言語道断、断じて承服できないのであります。
 なぜならば、現在日本の国家財政は、すでに国民の御承知のように、まことに苦しいのである。特に食糧増産の見地においては、土地改良、あるいは農地改革の実施、さらに排水や食糧生産のためへの幾多の予算を計上しなければならないのであるが、本年度の補正予算においては、まつたくこれが踏みにじられて、すずめの涙ほどの予算が計上され、これらの予算に何ら考慮を與えずして、その反面に、この四十億円を突破するという厖大な予算を、かかる国民の疑惑を抱き、さらに農村においては、肥料配給の問題については適期に配給されず、しかも不良な、高価な肥料の配給を無理押しされておる現状から見て、かかる公団に根拠もない厖大な基本金を一般会計から繰入れるということに対しましては、私は、断固承服できないのであります。
 特に私は、農林委員会におきましても、昨日午後四時に、急遽本案が提出されたのでありますが、このときも、私は政府当局に、その意図を追求したのである。特に予算の措置と本件の審議については、まつたく国会の審議権を冒涜しておる。その理由は、本案が補正予算に計上されると同時に並行審議されたのであるならば、ある程度その点においても理解し得るのであるが、すでに補正予算は両院を通過しておる。その後において、この法の改正を急遽出すに至つては、いかなる意図があつたのか、あるいは政府当局の怠慢であつたか、昨日の農林委員会においても、政府当局が、はつきりこれは怠慢であつた、実は忘れておつたということが明らかにされた。諸君、かかる重大な問題において、忘れておつた、手落ちであつたでは済まされない。
 私は、かかる観点において、あえて追求するものではないが、根本的理念において、この公団を明年三月廃止するという段階において、かかる厖大な予算を一般会計から繰入れるという行き方については承服できない。さらに肥料公団、油糧公団については、全国民の強き要望があり、特に肥料公団については、次のごとき強き主張が、昨年来より、切実なる要求として、政府当局なり関係団体に取上げられておるのである。
 その点は、御承知のように、肥料のごときは、まつたく農民だけが使用するものである。この農民だけが使用するところの肥料、これを配給公団になるものを通じて、すなわち複雑な機構のもとに、厖大な人件費と複雑なる配給構造のもとに取扱わせるから適期に配給されない。戦後において農業会が解体し、町村から都道府県、全国に至る間、農協同組合の組織は、真に農民の自主的意欲として盛り上がつた系統組織ができておる。この農業協同組合の系統組織を通じて一元的に配給せしめ得ない理由が那辺にあるか。もし、この農業協同組合をして一元的に配給せしめ得るならば、肥料の配給は円滑になされ、価格においても、低廉に最低限度に食いとめ得るのである。それを、依然としてこの公団廃止の積極的方策に乗り出さず、さらにこの基本金を増額するというこの観点に至つては、私は頑固として反対せざるを得ないのであります。
 以上の点を申し上げまして、政府は、かかる理論的にも現実的にも了解しがたい本改正案のごときは、ただちに撤回されんことを、私は強く要求して終わります。
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。(拍手)よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、特別職の職員の給與に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 特別職の職員の給與に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。人事委員会理事藤枝泉介君(拍手)
    〔藤枝泉介君登壇〕
○藤枝泉介君 ただいま議題となりました特別職の職員の給與に関する法律案につきまして、人事委員会における審査の結果並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、十月二十九日、予備審査のため付託となつたものでありますが、本十二月二日、参議院において修正の上送付せられ、本委員会に付託せられたものであります。まず、本法律案の提案理由とするところ並びに参議院の修正個所について御説明申し上げます。
 従来、特別職の職員の給與につきましては、特別職の職員の俸給等に関する法律によつて規定されていたのでありますが、その後新たに特別職に加えられたものが相当にあり、また、そのあるものは給與に関する法的根拠をまつたく持たない現状であります。従いまして、この際右法律の適用範囲を整理いたしますとともに、支給方法その他につき所要の改正を加えたいというのであります。
 次に、本法律案の内容を簡単に御説明申し上げます。まず本法律案の適用範囲につきましては、第一條において、現在国家公務員法上の特別職である職員を全部網羅いたしますとともに、これを、その職務の性質、勤務の形態等に着眼いたしまして、内閣総理大臣等、地方自治委員会等、侍従及び連合国軍労務者等の四つに分類し、そのおのおのにつき、給與の種類、額、支給方法等を別個に規定することといたしております。
 第一に、内閣総理大臣等につきましては、秘書官を除きまして、他はその給與の種類、額、支給方法等は、おおむね従来の通りであります。ただ秘書官は現在扶養手当及び超過勤務手当の支給を受けておりますが、その職務の性質、勤務の形態から見まして、これに相当する金額を俸給に織り込んで、俸給と勤務地手当の二つを支給することに改めました。
 第二に、地方自治委員会等は、新たに適用範囲に加えられたものでありますが、その給與は、従前の例によりまして日額手当を支給することにいたしました。
 第三に、侍従の給與につきましては、昨年六千三百七円ベースに切りかえた後、昇給し得る措置がとられなかつたのでありますが、今回は、一般職の職員の例によることですし、その例により昇給できることといたしました。
 最後に、連合国軍労務者につきましては、これらの労務者約二十六万人中約十四万人は、従来、政府に対する不正手段による支拂い請求の防止等に関する法律第二條第二項の規定による一般職種別賃金の適用を受けているので、参議院修正案は、この事実を明確にしたものであります。
 次に、食糧配給公団の職員の給與については、これらの職員は、その職務内容の特殊性にかんがみまして特に特別職としたのでありますから、その給與大係も、一般職である他の公団の職員のそれとは、おのずから異るべきであります。そこで、食糧配給公団の職員の給與は、各個人については、一般職の職員の俸給の一割ないし五割、全体としては俸給総額の三割を越えない範囲内で、公団特別手当を支給する現在の限度を明確に規定したのであります。
 次に、給與の支給方法として新たに加えられた規定は、第十四條の重複給與調整に関する規定でありまして、これは、特別職の職員が他の国家公務員の職を兼ねるときの給與については、所要の調整を加えようとするものであります。
 なおこの法律は、現行の特別職の職員だけを適用範囲としておる関係上、国会閉会中新たに特別職の職員となつた者の給與につきましては、その後法律が改正させるまで政令で定めることができるよう、附則中に規定を設けることにいたしました。以上が、大体本法律案の内容であります。
 人事委員会におきましては、本法律案を本日の委員会に上程して、政府より提案理由の説明を聞き、ただちに討論に移りました。民主自由党藤枝委員、日本社会党松澤委員、民主党連立派逢澤委員より賛成の意見があり、日本共産党加藤委員より反対の意見が述べられましたが、採決の結果、多数をもつて右は可決せられ、本法律案は原案通り可決すべきものと議決いたしました。
 右御報告いたします。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立者多数。(拍手)よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、星島二郎君外六名提出、飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異論なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。神田博君。
    〔神田博君登壇〕
○神田博君 ただいま議題に供されました飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、簡単に御説明申し上げます。
 本法律は、前国会において制定を見たものでありまして、当時これが制定にあたりまして、諸般の情勢より、副食券の使用をする規定に相なつておつたのでありまするが、最近のしよう油の需要情勢の好転によりまして、家庭配給を営業に持ち込むの要なく、営業に配給し得るような状態に相なりましたので、この際これを一般配給より除外いたしまして飲食店に配給したい、かように改正いたしたいという案件でございます。当時、この審査にあたりまして、経済安定委員会においても、この副食券の制度につきまして非常な反対の御意見がございまして、その後も種々撤廃の要請があつたのでありまするが、今回この廃止をすると同時に、またこの施行にあたりまして主食の取締を強化したいという点もございましたので、あわせて改正をいたしたい、かようの趣旨でございます。
 本改正によりまして、全国数十万の営業者、またこれらを利用する利用者の家庭におきましても、非常な朗報であろうと考えております。何とぞ満場一致をもちまして通過していただくようにお願いいたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
 去る三十日の本会議における議員の発言中、不穏当と認められる語辞がありますから、速記録よりこれを削除いたしております。御了承を願います。
 明三日は会期終了日でありますが、定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後六時三十二分散会