第006回国会 予算委員会 第5号
昭和二十四年十一月十九日(土曜日)
   午前十時四十分開催
 出席委員
   委員長 植原悦二郎君
   理事 池田正之輔君 理事 上林山榮吉君
   理事 小峯 柳多君 理事 庄司 一郎君
   理事 苫米地英俊君 理事 勝間田清一君
   理事 川崎 秀二君 理事 風早八十二君
   理事 圖司 安正君 理事 今井  耕君
      淺香 忠雄君    天野 公義君
      井手 光治君    大上  司君
     岡村利右衞門君    尾崎 末吉君
      角田 幸吉君    北澤 直吉君
      小金 義照君    小平 久雄君
      坂田 道太君    島村 一郎君
      周東 英雄君    高橋  等君
      田中 啓一君    玉置  實君
      塚田十一郎君    西村 英一君
      丹羽 彪吉君    松浦 東介君
      松野 頼三君    松木 一郎君
      南  好雄君    稻村 順三君
      西村 榮一君    水谷長三郎君
      武藤運十郎君    北村徳太郎君
      中曽根康弘君    村瀬 宣親君
      野坂 參三君    深澤 義守君
      米原  昶君    奥村又十郎君
      小坂善太郎君    平川 篤雄君
      松本六太郎君    黒田 寿男君
      世耕 弘一君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  吉田  茂君
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
        文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
        農 林 大 臣 森 幸太郎君
        通商産業大臣  稻垣平太郎君
        運 輸 大 臣 大屋 晋三君
        郵 政 大 臣
        電気通信大臣  小澤佐重喜君
        国 務 大 臣 青木 孝義君
        国 務 大 臣 本多 市郎君
        国 務 大 臣 増田甲子七君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (地方自治庁財
        務政長)    荻田  保君
        外務事務官
        (條約局長)  西村 熊雄君
        外務事務官
        (管理局長)  倭島 英二君
        大蔵政務次官  水田三喜男君
        大蔵事務官   森永貞市郎君
        (官房長)
        大蔵事務官
        (主計局長)  河野 一之君
        大蔵事務官
        (主税局長)  平田敬一郎君
        通商産業政務次
        官       宮幡  靖君
        経済安定政務次
        官       西村 久之君
        経済安定事務官
        (財政金融局
        長)      内田 常雄君
 委員外の出席者
        専  門  員 小竹 豊治君
十一月十九日
 委員船越弘君辞任につき、その補欠として小金
 義照君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十一月十九日
 予算組替に関する請願(田中堯平君他二名紹
 介)(第一一八〇号)
 同(田島ひで君他一名紹介)(第一一八一号)
を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)
 昭和二十四年度特別会計予算補正(特第一号)
 昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一
 号)
    ―――――――――――――
○植原委員長 これより会議を開きます。質疑に入ります。庄司市郎君。
○庄司委員 文部大臣に対してきわめて簡単な二、三のお尋ねをしてみたいと思います。
 その一点は、教育制度の改革により、各都道府県等には教育委員会が設けられまして、ここに発足して以来約一年をけみしたのでございますが、教育委員会が当該都道府県内においていろいろと教育上の諸計画を立て、特にその諸計画が予算面等に当然触れた場合におきまして、それらの予算を都道府県の知事に対して要求をさるる建前となつておるこてや、むろん文部大臣におかれてご承知の通りであります。しかるに都道府県の教育委員会がいかなる公正妥当なる、あるいは当該府県に適応したけつこうな諸計画を立てましても、またそれに伴うところの予算措置を都道府県に要求いたしましても、当該府県において府県財政上とうてい該教育委員会の要請にはこたえ得ない。また特に都道府県の地方議会等において反対をされました場合においては、教育委員会が熟誠をもつて確立したるところの教育施策がほとんど行われ得ないという、かようなトラブルが今各地方に起きておるのであります。かような観点から、各地方の教育委員会あるいは教育行政をよかれかしと断つておりますところのPTAの連合会あるいは教育組合等々においては、何とか教育委員会に独自的に予算措置を立て得るところの権限を与えてもらいたい、さような財政措置を自主的にあるいは独自的にとり得ることができるように、教育委員会法等の改正が望ましいというような声が、相当公正な輿論として抬頭しておるのでございますが、こういう点について文部当局は何らかのお考えがございましようか。あるいは教育委員会法の改正等をもくろまれておらるるものであるかどうか。そういう点についてお伺い申し上げたいと思います。
○高瀬国務大臣 お答えいたします。教育委員会の活動につきまして、財政面でただいまお話になりましたような点につき、実際上困難な点がいろいろあることは事実であります。文部省といたしましては、お話のような趣旨で適当な方法を考えたいといろいろ研究いたしております。今度この臨時国会へ教育委員会法の一部改正の法律を提案としておりますが、それによりますと、教育委員会と県の議会あるいは庁との関係につきまして、職務権限を相当明確にするということになつております。今まではつきりしなかつた点を明確にするという点はそれでできるのでありますけれども、財政上の権限を拡張するというところまでは実は行つておりません。文部省が今まで考えておりましたところでは、教育財政法というようなものをつくりまして、教育委員会にある程度の財政権を持たせるようにしていということを考えております。けれどもこれはまだ具体的にどういうことになりますか、見通しを持つておりません。要するに御趣旨のような点で地方の教育についてはいろいろと支障があることは事実でありますから、今後適当な方法を考えて行きたいと思つておる状態であります。
○庄司委員 ただいまのお答えで一応了承申し上げましたが、第二点にお伺いしたいことは、海外より引揚げられたる同胞を、全国のある特定の町村等には、その好むと好まざるとを問わず、府県等より無縁故者の割当と称して、むりやりにあるいは百戸あるいは三百戸という相当数の無縁故者を、ほとんど天くだり的に入植させられた町村が相当あるのであります。私が最近観察いたしましたある村は、三百何十戸の無縁故者をじやにむに県当局より入植させられた、そのために義務教育である小学校児童の数がその村においては約五百名ふえたのでございます。そういう関係上、教室は従来でさえも不足を告げておつたところへ、約五百名の児童がじやんじやん入学して参りましてために、いわゆる二部教育、三部教育というような教育上望ましくないはめに陥らざるを得ない結果と相なりました。お伺い申し上げますと、全国八箇町村かに引揚げ児童の入植関係か何かの名目のもとに、若干の町村に対する補助をお出しになつておるということを聞いておりますが、今申し上げたように、あまり好まざるにもかかわらず、同胞愛の上からしかたなくお引受けした当該町村が、何百名の義務教育の児童がふえたために、小学校の教室を増築しなければならない、かような状態に相なつております場合、ただいま議題となつておる補正第一号予算の中には、新制中学関係の教室の補助が十五億円ですか、さようなものが計上されておりますことはけつこうでございますが、ただいま申し上げたような事由によつて、小学校の児童が引揚者の入植に伴うて相当数にふえて、余儀なく小学校の教室を増築さざるを得ないというような町村に対する校舎、教室増築に関する補助は、ただいま議題となつておる議案では不可能であるかもしれませんけれども、将来、来年度の予算において文部大臣はどういうふうにお考えになつておるか。それらの関係町村あるいは町村議会が何とかしてほしいという切実なる要望が、今回この議会の請願面にたくさん現れておるのでございますが、こういう点について文相のご意見を承つておきたいと思います。
○高瀬国務大臣 お答えいたします。引揚げ入植者の児童が急激にふえまして、地方の市町村で義務教育費及び建築等について、財政的に非常に困難な場合が生じておるというお話でありますが、これも事実でありまして、文部省としてはもちろんそれをよく認識しております。お話にありましたように、ごくわずかではありますが、引揚者の児童のための教育施設に対する建築費補助は特別に出しております。しかしそれもなくて足りないところもむろんあります。それに対しましては、文部省はむろん地方からの申請あるいは文部省の調査いたしました資料に基きまして、義務教育費の不足分、建築費の必要な分等は十分考慮いたしまして、予算の割当ては今まで予算が足りませんので、なかなか思うように行つておりません。今回は建築費に対する補助の予算もできましたし、二十五年度はまたそれが相当計上される予定でありますから、建築費についてそういう事情はむろん考慮する予定であります。そのほか建築費ばかりでなく、教員の俸給費補助の義務教育費負担金につきましても、同様のことが起きますが、それも今度の補正予算にある程度は増額が予定されておりますし、来年度はよほどその点も楽になるつもりでありますから、御趣旨の点はよく考慮いたしたと考えております。
○庄司委員 もう一点だけお伺いしておきたいと思います。それは寒冷地手当の問題ですが、昔は年末ボーナスというようなものを支給されておつたのでありますが、そういうことも最近は政府の財政上不可能に相なつております。しかるに北海道等において石炭手当、あるいは寒冷地手当というものが若干公務員には出ておりますが、北海道のみならず、全国的に小学校教員あるいは新制中学などの義務教育関係、あるいは大学教授といえども、ある特殊の積雪地帯あるいは寒冷地帯の方面において、防寒具において、あるいははきもの等において、特に公務上必要欠くべからざるものを求めるために、相当なる経費がかかつておる。そういう方面に対しての寒冷地手当、あるいは教職員手当、さような関係において、文部大臣はどういう措置をとられようとしておるか、本年度においてあるいは来年度の予算面を通してどういうお考えであるか。これは北海道だけの資金であつては、北海道のためには非常にけつこうでございますが、北海道に準ずるところの積雪、寒冷地等にとりましては、はなはだ不公正なことに相なると思うのであります。こういう点においてどういう御考慮をめぐらされておるか、お伺いいたしたいと思います。
○高瀬国務大臣 寒冷地手当につきましては、地方教育公務員につきましても今回の補正予算の中に予定されておりますので、他の公務員同様に支給ができると考えております。地域については非常に寒い地方に対しましては、他の公務員と同様に手当が支給されると考えております。
○庄司委員 寒冷地手当も若干御考慮の上で組まれておると言われますが、その寒冷地手当を支給される都道府県の範囲はいかがでございますか。かようなことをお伺い申し上げるのは、宮城県において、県南の伊具郡角田町という所、は大体北緯三十七度程度であるが、同じ宮城県であつても、もらえない所ともらえる所がわかれておるのであります。これがため非常なトラブルを起こしておるような状態でありますので、もし文部大臣ご承知であれば、寒冷地手当の交付を受け得る都道府県の大体の範囲を伺つておきたいと思います。
○河野政府委員 石炭手当は北海道に在籍する職員について支給いたされます。寒冷地手当は、これは石炭手当と同様でありますが、その支給の地域について人事院の勧告がございまして、そのラインに沿つて支給される予定でありますが、大体北海道、東北地方、北陸、山陰方面でありまして、一部長野県、山梨県等も入ります。この土地の状況によりまして最高一箇月分の俸給の八割、最低二割というように段階をつけてあるわけでございます。
○植原委員長 庄司君に申し上げますが、木村国務大臣はご病気であります。本多国務大臣が出ておられますから、この際地方問題に関する御質疑をお願いします。
○庄司委員 地方自治庁長官の木村君にお尋ねしたかつたのですが、本多さんが八面六臂の賢明なる頭脳をもつて答え得るという委員長の見通しのもとに、念のために伺つておきます。
 私は一昨日の時事新報の記事を見てその感を梁うしたのでありますが、納税は国税であろうと地方税であろうと、納税義務者が正しい理解をもつて納税を完納しなければならぬことは言うまでもございません。しかるに一昨日の時事新報の報道が正しい報道であるという確信の上において、私は具体的な実例を通してお伺い申上げるのですが、それはこういう記事であります。日本共産党なる正当がその党資金カンパを確保せんがために、各地方において前進座という――その座員は全部党員であるとうわさに聞いておりますが、そういう内容のことは関係ありません。これはあたりまえの興行のやり方ではなくて、招待状を発して、招待者は大体百円なら百円の金をご祝儀という名目のもとに持つて来るようなことを党員諸君が宣伝をして、招待状という形式で、実質においてやはり入場料をとつておる。しかるに入場税を拂わぬ。これは党のカンパの関係であるから納税の義務がないというような解釈でありますか、その入場税の支拂いを拒絶しておる。よつて長野県の税務課当局は、地方税法百二十六條の二の罰則規定を準用して、その興行の主催者である責任者の事務所のいろんな動産まで差押えをしたというのが新聞の報道であります。むろん私の常識としては、地方税法によつて、たとい引揚者であろうと、あるいは母の会であろうと、その他の慈善団体であろうと、いろんな興行をやる場合において、ただいまの地方税務当局は税をとつておるのであります。特定の政党が資金カンパをとるために、招待状という美名のもとに、この入場税を一見合法的なるがごとく装つて、その納税に支拂いを拒絶しておるというようなことがあつては、これはいけないことだ。さようなことであつては野坂君の言う愛される共産党にはなれないのであります。納税についてはいかなる日本国民といえども、拂うべきものは快く拂うべきものだ。しかるに都道府県においてはさような御連中の後難を恐れてか、さわらぬ神にたたりなしというようなたとえの上であるか、全然とらない県もある。また一昨日の時事新報が伝えたことく、断々固として差押えまで百二十六條の二を適用してやつておるというような県もある。かようなことについて、地方自治庁は都道府県等にどういう指導をされておるか、あるいはそういうことを都道府県の知事会議等において御指示等をなされたことがあるか、あるいは共産党の資金カンパをとるためであるから、そらは大目に見てとらぬでもいいというような御指示が行われておるものかどうか、これは全国一定の統制あるやり方をやりませんならば、せつかく租税完納の納税普及運動を、国会の中においても団体を組織してやつておる場合において、これはよくない反税的な思想の普及に陥りやすい傾向があると思うのであります。そこで私は特に木村地方自治庁長官にお伺いしておきたいのであつたのでございますが、今お見えにならないということで、はなはだご迷惑かどうかわかりませんけれども、本多国務相に一応お伺い申し上げ、またこれはたとえ地方税でありましてもやはり国の関係でありますから、国税関係において大蔵当局の見解もただしておきたいと思うのであります。
○本多国務大臣 ただいま御質問の中で、共産党主催なるがゆえに免税せよというようなことは、地方自治庁といたしましても、通牒しているという事実はもちろんないことと存じます。ただいま御指摘の事実について、それが脱税になるものかどうかということについては、調査いたしまして善処したいと存じます。
○河野政府委員 地方税につきましては、地方税法によりまして一定の課税標準を定めて、それに対して課税するわけでありますが、その事実が法律に定めるものに該当するかどうかということは、地方団体においてその認定の権限を持つておるわけであります。御指摘のような事態は調査いたしませんと、私は何とも確答申し上げるわけに行かないのでございますが、現在のところ、招待状その他会員券等につきましても、その施設に入場し得るというような性質のものでありますならば、たとえそれが無料のものでも、現在のところ課税するというような取扱になつていると私は考えております。詳細はその点について実態を調査した上で申し上げたいと思います。
○風早委員 ちよつと関連して……
○植原委員長 関連質問だけお許しします。風早君。
○風早委員 関連質問をします。その前に、今庄司君が日本共産党なるものと言つたが、一体何ですか。これははなはだけしからぬことです。日本共産党は今お隣の席にすわつておるのであります。なるものでも何でもない、共産党と言つてもらいたい。
 それはとにかくとして、今お尋ねの地方税は、たとえば前進座なんか一座が共産党のために演出をやつておるというような場合でありますが、そういう場合に税金をのがれておるといつたようなことは事実に反しておる。これは今河野主計局長が税法に違反しておれば、もちろんそういうことは取締つけておるはずだという話でありましたが、現在の税務署が脱税を許しているようなそんなばかなことはない。(「それは税務署ではない」「地方の税務課だ」と呼ぶ者あり)都道府県のやつていることでも同じことだ。共産党が何かやる場合に……
○植原委員長 静かに願います。
○風早委員 とにかく何のためにこういう質問をされたかわけがわからないというのが一つと、大体今の税金は……
○植原委員長 風早君、関連質問を願います。あなたの釈明をここで聞いているのではありません。
○風早委員 一体政党の活動として、一定の大衆から基金カンパをすることは、きわめて合法的であるとわれわれは考えている。この基金カンパをして、それに応じた人たちを集会場に招待する場合において、前進座であろうが何であろうが、くろうとであろうがしろうとであろうが、それらに演劇や何かをやらせて、そのカンパに応じてくれた人たちをねぎらうということは、政党の一つの活動でありまして……
○植原委員長 風早君、君の釈明を聞く場合ではありません。政府に対して関連質問をしてください。
○風早委員 そういう場合においてこれが脱税になると考えておられるか、その点をお聞きしたい。
○本多国務大臣 具体的な事実について調査をしなければ、それが脱税に該当するかどうかということは申し上げられませんけれども、ただいま例をもつてお話になりましたような場合、それが興業と認められる性質のものでありましたならば、今のような場合にも脱税に該当する場合が生じて来るのではなかろうかと考えております。
○植原委員長 いずれにしても政府では取調べて返事するということであります。事十台でありますから、政府もただいまの庄司君の御質問に関する事項に対して厳密な調査をして、この予算委員会の開会中に政府の御答弁を願います。
 文部大臣がお見えになつている際に、圖司安正君に文部大臣に対する質問を許します。
○圖司委員 文部大臣に簡単に御質問を申し上げたいのであります。それは新制中学の校舎建築の問題であります。文部省では小中学校生徒一人当りの校舎建築基準面積を〇・七坪としておられるようでございますが、御承知でもございましようけれども、われわれ積雪地方の校舎はどうしても冬季の関係、積雪の関係から坪数をよけいとらなければならぬのであります。たとえば雨天体操場のごときものでも、その他冬季文教場とか、冬季寄宿舎だとか、そうした特殊の施設を要する点から申しましても、この〇・七坪の基準面積を一様に適用せられましたのでは、そこに財政上はなはだ困難を感ずる事態を生ずるのでございます。そこで文部大臣にお伺いしたいことは、この〇・七坪の基準面積に対しまして、特にそうした事情のある地方に例外をお認めになる御意思があられるかどうか。またそうした措置を現実におとりになつておられる事実がおありでありましようか。そうした点をまずお伺い申し上げたいのであります。
○高瀬国務大臣 お答えいたします。小中学校の建築の基準面積として〇・七坪というものを計画しております。これは最小限度の基準でありまして、これで足りるというわけではありません。最も緊急に整備すべき基準面積であります。これを適用する場合に、各地方の実情に応じて適当な調整が必要ではないか、こういう御意見でありますが、文部省もむろんそういうことを考えまして、基準は基準といたしまして、地方の実情に応じまして適当な調整をやりたいと考えております。
○圖司委員 その点は了承したのでありますが、なおこれに関連いたしまして、東北や積雪地方方面では、一つの村で四箇所も五箇所も冬季の寄宿舎を設けたり、文教場を臨時に設置しなければならぬ地方が少なくないのでございます。そうした特別施設に対しまして、かつて文部省では全額国庫負担をもつてその設備費の一切をまかなつたこともあつたのでございますが、現在は文部省としてそうした特殊の施設に対して、あるいは臨時の施設に対して全額国庫負担をなさる御意思がおありかどうか。その点をお伺いいたしたいのであります。
○高瀬国務大臣 お答えいたします。寒冷地の酷寒の地方におけるいろいろな建築につきまして、特別な処置を考えなければならないということは、もちろん文部省も計画をいたしておりまして、予算の中にもそれを考慮しております。しかしその建築費補助について、全額補助ということは考えておりません。今までも国立の学校については、むろん全額を国庫が負担したわけでありますけれども、そうでない公立の学校に対しましては、全額を補助したという例は、ないのではないかと思つております。
○圖司委員 ただいまの文部大臣の御答弁では、そうした例はないのではないか、こういうお話でございますが、実はあるのであります。それは雪害対策調査会なり、あるいは東北振興調査会の答申によりまして、すでに昭和五、六年ごろには政府においてそうした事実が多分にあるのでございますから、お調べおきを願いたいと存じます。その問題はいずれお調べになつて御答弁をいただきたいと思います。
 次に教育の問題でございますが、定員定額の問題についてお伺いをいたしたいのであります。政府では校長だとか、養護訓導だとか、あるいは結核で休養しておる教員までを含めて、定員定額制を画一的に施行されておるのでございますが、この定員定額制なるものは、先ほど来申し上げますように、東北あるいは積雪寒冷地のようにきわめて区域が広く、しかも人口のまばらな地方におきましては、臨時にいろいろな文教場なり、あるいは巡回教育制度などを設けなければならぬ関係からいたしまして、一様に定員定額制を施行されましたのでは、実情に沿わない点が多分に出て来るのであります。たとえば二十人三十人くらいの生徒をもつて一学級をどうしてもつくらなければならぬような町村は、決して少なくはございません。それがひいて教員の諸質なり、あるいは市町村の財政に及ぼす影響というものは少からざるものがあるのでありますけれども、文部省におかれましては、定員定額制について、特殊地域に限りまして例外を認めるという御意見はございませんでしようか。その点をお伺いいたしたいと思います。
○高瀬国務大臣 定員定額制による予算措置は、国庫補助の基準をきめた制度でありますして、予算措置の場合にはこれに基いて決定されるのでありますが、これを各地方に割当てるにつきましては、文部省としましては決して画一的には実行いたしておりませんで、地方の実情に応じてそれぞれ調整をいたしておるのであります。ただしかし今年度初めてこの制度を実施いたしましたためには、実情に沿わない点も確かに多少はありまして、いかに調整をしようと思いましても、調整が円滑に行かなかつた例もございます。それで今度の補正予算で、その実情に即した若干の調整をする措置も講じてございます。それから来年度につきましては一般交付金からこれが出ることになりますけれども、今年度よりは改善を加えまして、地方の実情に即した円滑な処置がとれるように期待をいたしております。
○圖司委員 その点は了承いたしたのでありますが、最後にもう一点お伺いいたしたいことは、新制中学の校舎建築でございます。本年度は補正予算に十五億円を盛られておるのでございますが、すでに町村におきましては、特に東北のごとく雪の早く降つて来る地方では、もう文部省の予算的措置を持つことができないで、市町村の財政なり、あるいは一般寄附金によつて、校舎の建築にとりかかり、また完了した所も少なくないのであります。そうした町村に対しまして、現在何らかの補助金も交付せられておらないのでございますけれども、文部省といたしましては、この補正予算の中から、すでに本年度に完成し、もしくは着手した町村に対しましても、補助金を出されるお考えでありましようかどうか。さらにまた来年度準備いたしまして、明年度にわたつてこれが完成を期しておる所も少なくないと思うのでありますが、そうした地方に対しましての文部省の処置はいかになつておりましようか、お伺いしたいと思います。
○高瀬国務大臣 お答えいたします。新制中学の建築が、地方の財源あるいは交付金等によつて完全にでき上つておるという場合におきまして、法規上国庫が補助するということはできない事情にあります。しかし建築に着手したとか、でき上つたと申しましても、実情がいろいろあると思います。ですからそれらはやはり具体的に実情をよく調べまして、適当な処置を講じて行きたいと思つております。
 それから建築補助の予算は、補正予算では十五億円でございますけれども来年度はもう少しよけい予算が計上されると期待しておりますので、建築の着手進行状況等に応じまして、それを配当することにいたしますれば、実際上そう不便なくできるのじやないかと思つております。
○植原委員長 農林大臣がお見えになつておりますが、稲村君も、中曽根君も総理がおいでにならなければ農林大臣への質問をなさらぬ、こうおつしやいますが、その次の順位からいいますと、風早八十二君は農林大臣に質問なさることになつておりますが、この場合、農林大臣に御質問くだすつてはどうですか。
○風早委員 総理大臣を待ちます。
○植原委員長 それでは圖司君が農林大臣に質問がありますね。圖司安正君。
○圖司委員 農林大臣にお伺い申し上げたいのでありますが、今日日本農村は、経済九原則を忠実に実践しなければならない立場のもとにおきまして、きわめて困難なる道を歩いておると思うのでありますけれども、それに対しまして、農林省の災害復旧、土地改良、共済保険、あるいは農業計画というような経費はまことに貧弱でございまして、農村といたしましては、農林省に対してはなはだ期待薄の状態にあるのであります。農林大臣といたしましては、この際そうした生産の基盤を培養すべき最も重要な経費に対しまして、これをもつと増額する御趣旨はおありになつておらないかどうか。その点をまずお伺い申し上げたいのであります。
○森国務大臣 お答えいたします。農林行政の上におきまして、しかも年々災害を受けておる現状といたしまして、災害復旧に対しましては、特に予算の方面においても苦慮いたしておるのであります。何分予算のわくが定められてあるのでありますが、今回災害復旧に対しましては、特に五億余万円を見積もりまして、災害の復旧に資したいと存じております。なお土地改良につきましても、前年度は相当の期待をかけておつたのでありますが、これが実現でき得なかつたのであります。明年度の予算におきまして、土地改良につきましては相当の希望を持つて処しておるわけであります。今後特に単作地帯等の問題につきましても、これが土地改良によりまして、単作地より二毛作地に転換に得られる面もあり得るのでありまして、そういう方面につきましては、特に土地改良の費用を支出したいと考えておるのであります。何分予算が局限されておりますので、農林当局といたしましては、相当の希望を持つのでありますが、しかしできるだけの努力を拂いまして、予算の獲得を実現いたしたいと考えておるわけであります。
○圖司委員 ただいま農林大臣は災害復旧、土地改良という問題に対して相当の熱意をお示しになられたのでございますが、この災害復旧、土地改良の問題に関しましては、前議会におきまして御承知のごとく、満場一致の決議案となつて農林省に強く要請いたしている事項でございます。日本農村は御承知のように、その性格がきわめて公的色彩が強いのでございます。たとえば生産物の割当にいたしましても、あるいは供出制度にいたしましても、物価の問題にいたしましても、農民の声を聞くということよりも、むしろ国家の必要からして、これを天くだり式にやつているきらいがなきにしもあらずでございます。といたしますれば、農林省といたいしましては、農民が生産増強のために必要とする生産の基盤である土地改良というものに対しましては、もつともつと熱意を示して行かなければならないのではないか。私をして言わしめましたならば、むしろ政府の力によつて全額経費を支出いたしまして、災害復旧なり、あるいは土地改良をなすべきではないかと考えているのであります。シヤウプ税制の勧告によりますれば、災害復旧に対しましては、全額国庫負担金をもつてなすべきであるとの勧告もあるのでありますが、それはひとり河川による土木関係ばかりでなく、耕地関係までも全額国庫負担の御趣旨なりやいなや、またそうした線に沿うて、農林当局は施策を講ぜられようとしておられるのかどうか、その点をお尋ね申し上げたいのであります。
○森国務大臣 災害復旧に対して国庫全額負担というシヤウプの勧告もあるのでありますが、この勧告が全面的に受入れられるかどうか、まだ決定の段階に入つておらぬと存じているのであります。農地の災害に対しましても、これを全面的に国庫が負担するということは、とうていでき得ないのでありまして、国家もこれを助成し、また所有者みずからも自分の耕地の復旧に努力するという気持を持つて行かなければ、国費の上から全額これを助成することはでき得ないと考えているわけであります。
○圖司委員 農林大臣のおつしやつことも一応うなずけるのでありますけれども、現在農林省の施行しておられます災害復旧のいろいろな事業、あるいは土地改良に属する事業などを見ますと、その間におきまして建設省との間に、十分の連れくがとられておらない節も見受けられないわけでもなく、あるいはまた安本との間に相剋摩擦がないわけでもないように見受けられるのであります。そこに一貫した国策としての災害復旧、あるいは土地生産力の培養をはかるための、国土計画の一環としての土地改良というような問題を特に大きく取上げて、総合的な施策の上にやつて行かなければならないと思うのでありますが、それに対しまして農林大臣はどういうふうにお考えになつておられましようか、たとえば農林省の砂防と建設省の砂防工事の問題、あるいは農林省の防災溜池と建設省の堰堤工事の問題、その他潅漑用水と河水統制の問題が、いろいろな面において政府の施策がばらばらになつておりますがために、農民は非常な迷惑をこうむつておる向きもありますし、市町村はそれがために扶養の経費の支出をしなければならぬというような事情にもございますので、そうした点の調整は農林大臣としてどういうふうにやつて行かれる御意思があるか。はつきり国策としてのあり方をお伺い申し上げたいのであります。
○森国務大臣 お答えいたします。この問題につきましては昨日建設大臣から庄司委員の御質問にお答えいたした次第であります。今日までの実績におきまして、お話のような総合的の立場から見まして、統制が欠けておるというような実例も決してないとは申し上げられないのでありますが、お説の通り国家が事業をいたします上においては、その立場々々においてかつて気ままなことをやるということは、国費の使用の上から申しましても、非常なむだがあるのでありますから、政府におきましては特にこの点に慎重な態度をとりまして、農林省、建設省、運輸省等のおのおの専門的な技術方面を生かす意味におきまして、双方連絡のとれるように、これは小さい事業は別でありますけれども、大きい事業に対しましては、各省おのおのの立場によつて立案いたしましたことを持ち寄りましてそうして相互間にむだのないような施策をなすように、審議会を設けてやることにいたしておるわけであります。
○圖司委員 それでは次に農家経済問題についてお伺い申し上げたいのであります。特に現在の農家は、経済九原則の相当深刻なる余波をこうむりつつあるのでありますが、そのうちでもわれわれの見のがすことのできないのは、税金問題でございます。農林省の農家経済調査によりますと、大蔵省が現在課税標準として示しております調査方法は、現に埼玉県の某村、これは二毛作関係の対象となつておる村であります。それから千葉県の某村は、一毛作地帯として大蔵省が対象として調査した村でありますが、そうした大蔵省方面の調査は相当詳しくつつ込んでおるようでありますが、農林省では常に一歩を譲つておる。農家経済の調査は今後の農家の経済なり、あるいは新農村をつくる上の基盤として、最も重視しなければならない事柄だと思いますが、どうもそうした点において、いつでも農林省は遅れておるのじやないか。かような感を深くいたしておるのでありますが、現在農業総合研究所あるいはその支所等において調査しておられる経済調査、さらにはまた農業改良局、農政局、おのおのの立場から経済調査を施行されておりますが、すべてばらばらになつて、そこに統制のとられておらないような、計画的なものがないような感じを深くするのでありますけれども、今後農林省といたしましては、農業総合研究所におきまして、最も科学的な、しかも実態に即した調査を農村のすみずみにまで施行して、まず農家経済の実態を明らかにするということが、今後の新しい農村をつくる基礎的な要件であると思われます。それに対しまして農林省は今後どのような施策を講ぜられようとせられるのであるか、その点お伺い申し上げたいのであります。
○森国務大臣 実際この農村の経済調査ということは、昔から相当やつておりまして、従来は農業会に委託いたしてやらしておつたのでありますが、農業会の解体いたしました今日は農林省がみずからやつているのであります。実は納税の問題につきましても、一体農業者事態がどれだけ自分の農業経営の上において利益を得ておるかということを知らない。それで課税されましても、それが適正な課税であるかいないかということさえ、判断に苦しむというような状態でありまして、農業者と税務署との間に相当の問題があつたようなこともありましたので、これではほんとうに納得する納税ができないという考えを持ちまして、農林省の改良局におきまして、特に農業の経営実態をつかむということが重大な意味を持つと考えまして、従来一千戸足らずのものを持つておりましたが、これを五千五百戸に増加いたしまして、そうして十一農区十六階級にわけたのであります。御承知のように日本の農業経営は北から南と相当の区域がありまして、おのおの農業経営の環境がかわつておりますので、これを十一農区に定め、しかもその一区においていろいろの段階を調査する必要がありますので、十六段階の階級をつくりました。そうしてこられの統計によつて、農業経営の実態をつかむということをいたしておりますので、その結果はばらばらにあちらこちらも調査しておるということでなく、相当これは責任ある調査をいたすことができることになつておりますので、納税に対する考え方、また将来農業経営の上におきまして、おのずから顧みる資料にいたしたいか、かように思つて調査をしておるようなわけであります。
○圖司委員 最後に、今後日本農村のあり方は、どうしても農工一体化の方向に向つて行かなければならぬと思うのでありますけれども、特に単作地帯の農家の将来は、あらゆる面において憂慮せられる点が今のうちから看取せられるのであります。従つて農林省といたしましては、単作地帯の共済保険の問題とか、あるいは農業計画とか、あるいは農村工業化とか、そうした立体的な農業を指導する上においての確立した政策を樹立する必要があり、その線に沿うて指導を進め、施策を講じて行かなければならぬと思うのでありますが、農林省といたしましては、単作地帯に対する一連の国策の上に立つた施策が確立し得られるかどうか、その点をお伺いいたしたいのであります。
○森国務大臣 単作地帯に対しましては、今日米価、農産物価が統制せられておる関係上、その経営の上におきましては、いろいろな不利な立場におりますので、単作地帯に対しましては特に考慮を拂わなければならない。単作地帯に対する農業経営の指導の面におきましては、特に委員会を設けまして研究を進めておるのでありかす。単作地帯の実情が先ほど申しました通り、その土地の事情でどうしても改良できない面もありましようが、また技術の浸透によりまして、単作地帯を脱却し得る地方も決してないとは考えられないので、その方面に対しては土地改良を浸透して行かなければならないと考えております。またこういう地方に限らず、いずれの農業経営の上におきましても、工業を取入れて行く。単作地帯はことにさようでありますが、労力の一箇年のあんばいがはなはだ不均衡になつておりますので、その余剰労力と申しますか、ひまなときの労力を利用する上において、その地方に適切なる農村工業を取入れて行きたい、かような指導をすべきであるということを考えておるわけであります。
○圖司委員 最後に共済保険のことに、ついてお伺いいたしたいのであります。農家の農業における共済制度は、先般来東北地方あるいは北陸を含めた積雪地方などで、特に災害の頻度の高い地方に対しては、その補助率を高めるとか、その他特別施策を講じてもらいたいという要望をいたしておるのでありますが、それに対して農林大臣はいかがお考えになつておられましようか。同時にまた単作地帯あるいは積雪地方の農村は、負担の面におきましても、他の地方と異なる施策を講ずることが肝要であると思われるのであります。議会におきましても、かつて地租に関する限りは東北地方は百分の三・八であつたものを百分の二・六にすべしという、いわゆる三分の一の減税法案を満場一致で可決したことがあるのでありますが、そうした問題に対しまして、農林省はどのようにお考えになつておられましようか。この点をお伺いしたいのであります。
○森国務大臣 農業災害対策に対しましては、できた災害に対しましては極力予算の方面より努力し、またその復興に対して資金の融通等の考慮を拂つて行くのでありますが、この災害をできるだけ防止するという方面に力を盡すことが、最も適切なやり方だと考えておるのであります。従つて治山治水のことがここに浮び上つて来るのでありまして、特に治山治水に力を入れまして、一期天災の参りました場合の被害を極度に少なくいたしたい。また病虫害等の発生につきましても、技術の指導と、災害予防に対する指導ということに、一段の努力を拂つて行きたいと考えておるわけであります。
○植原委員長 この際各大臣方に国務大臣としてよく御了承願つておきたいことがあります。本日参議院の本会において予算案に対する質疑の継続のあることは承知いたしております。しかし予算案に対する質疑は大蔵大臣を中心のものでありまして、それに関連して他の大臣にも質問が起こりましよう。しかしそれは政府委員が出ておりまして、その質問の要旨をとつて他日お答えになつてもよろしいのであります。ところが予算総会におけるところの質疑応答は一問一答でありますがゆえに、大臣が御出席にならない限りは質疑は進まないのであります。ことに会期はきわめて切迫いたしております。この国会は御承知の通り、補正予算と中心として開かれた国会と考えてもよろしいのであります。聡明なる大臣諸君はよく御承知でありましようけでども、なるべくこの重大なる予算の審議を促進するという立場から申しますならば、大蔵大臣以外の大臣は予算中心に御出席願つておかなければ、各大臣との一問一答の質疑応答は進まないのであります。委員諸君も非常に御勉強くださいまして、本日のごときは正十時から開会するという宣言に対して、時間を誤らなんでおでかけになつた方も相当あつたように見受けます。かように委員は気をそろえて予算の審議を促進しようとしておるときでありますがゆえに、国務大臣の方々はこれを全官僚にお伝えくださいまして、予算総会の審議と本会との審議につきまして十分御考慮の上、午後には各大臣がそろつて御出席になり、予算総会の質疑を促進するように、政府御自身の立場からもつとめて御勉強願いたいと思います。同時に委員の方々もなるべく時局の重大なることを御推察くださいまして、協力に予算審議を進行するようにお願いいたしたいと思います。
 午前はこの程度において休憩いたしまして、午後は一時から厳格に質疑を継続いたすことを御承知願います。
    午前十一時四十九分休憩
     ―――――・―――――
    午後一時二十八分開議
○植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 質疑に入ります。小峯柳多君。
○小峯委員 大蔵大臣は十五日の本会議における財政演説の中で「今後の施策の方向は、わが国民の努力によつてかち得た経済の安定をさらに強化し、その基盤の上に国際経済との関連を重視しつつ、わが国の経済を再建、復興、発展させて行くことにあると信じます。」と言つておられるのであります。この補正予算を境目にいたしまして、従来の安定予算を復興予算に切りかえた、もちろん相対的な意味でありますが、そういうことを言つておられるのであります。二十四年度当初予算は十箇月でございましたが、この補正予算は本予算と通算して約十五箇月、いわば関係筋の御指導による予算も、ここで少し境目が来たように思うのであります。そこで過去十箇月間の予算が、はたして大蔵大臣の考え通りの安定予算であつたかどうか、さらに正確に言うと、再建、復興、発展の基盤たり得るほどに安定予算であつたかどうかということに対しましては、これはいろいろ意見もありますが、多少私は問題があると思うのであります。しかし少なくとも現在の日本経済の状態からいいまして、二十四年度当初予算のあの安定に片寄つた、消極的な予算を続けて行つてはいけない段階に来ていることは、私どもも認めるのであります。そういう意味で、相対的な意味でありますが、安定予算から復興予算に切りかえたということは大賛成であります。当面必要とされた安定が一応軌道に乗り、しかもなおこの予算を続けて行きますと、育てなければならぬ復興の芽までつんでしまうような危険性も実は多少あると思いますので、この切りかえは賛成いたします。しかしこういうふうな予算の切りかえをやろうといたしましても、金融の問題は非常に大きくなつて来ると思うのであります。復興予算であればあるほど、この金融の問題が非常に重要になつて来ると思いますので、その金融の問題を少し詳細に伺いたいと思うのであります。大臣もそういう意味で財政演説の中でかなり詳しく金融の問題に触れておりますが、その考え方に対しましては私どももよく了承いたします。しかし何といいましても本会議の話で、抽象的な部面が相当ありますので、その点を伺いたいのであります。
 なお私は金融の問題を一つの体系でいろいろの面から伺いたいのでありますが、第一番目にはこの前本会議でおつしやつた池田金融といいますか、その構想を具体的に伺つて、第二番目には長期金融の問題に関連して、ほとんど問題にされてない証券の政策を伺つてみたいのであります。三番目には外資導入の現実の問題とその見通しの問題、第四番目には外国銀行の対邦人業務進出の問題でありますが、その問題について御意見を伺い、第五番目に中小企業金融の問題をただし、第六番目に結論として年末金融の見通しを伺いたいと思うのであります。
 最初にいわゆる池田金融の構想についてなのでありますが、日銀のマーケツト・オペレーシヨンを積極的にやるとか、融資のあつせん制度を積極的に活用するとか、対日援助見返り資金の有効運用をやるとか、長期金融機関として日本興業銀行、農林中金、商工中金の債権発行をはかるとか、不動産金融機関の自主的設立を期待するとか、銀行経営の合理化による金利の引下げをやるとか、一県一行主議の修正、小規模銀行を設立するというようなことをおつしやつております。この項目について少し具体的に伺いたいが、第一にマーケツト・オペレーシヨンであります。マーケツト・オペレーシヨンを初めて以来どのくらいの国債を買つておつて、今後また年末にかけてどのくらい買う見込みがあるか。お買いになつた国債各金融機関一律に買つておられるか、重点を置いておられるか、この問題を最初にお伺いいたしたいと思います。
○池田国務大臣 先般の国会で御賛成を得まして、発足いたしました日本銀行の政策委員会は、その後活発に活動をいたしております。マーケツト・オペレーシヨンでどれだけの国債を買つているか、今数字を私は持つておりません。しかしいずれにいたしましても、金融の緩慢梗塞をできるだけ緩和いたしますために、相当のマーケツト・オペレーシヨンをやつていることは確かであります。またマーケツト・オペレーシヨンをやるにいたしましても、資金の種類によしましていろいろな方法があるものであります。たとえば株式の方につきかしては生命保険会社などを使い、あるいは中小の商業資金につきましては無盡会社あるいは信用組合を使いますとか、いろいろな方法をとつているのであります。
○小峯委員 ただいまマーケツト・オペレーシヨンの数字の点は承れませんでしたが、私は今の金融制度の中で、これは相当重いものだたと思います。年末金融を判断する上、あるいは来春の金融などを考えます場合に、重要な材料だと思いますので、腹の中に入れていただきたいと思います。なお今の御答弁の中で触れておりましたが、私ひとつ伺いたいことは、このマーケツト・オペレーシヨンの対象は国債だけでなく、今生命保険の話もちよつと出ましたが、生命保険にやらせることが正式の意味でマーケツト・オペレーシヨンになるかどうか、私は疑問がありますが、日銀でやらせるとして、その対象に株式、社債を考慮することができるかどうか、あるいはそういうことを考えていいかということをお伺いいたします。
○池田国務大臣 国債ばかりでなしに、社債等をも対象にしてやつております。将来は株式なんかにつきましてもやるべきであると考えております。
○小峯委員 それから見返り資金の問題を大臣は盛んに云つておりますが、私は見返り資金も、これはもちろん関係筋の御意見もありましようが、マーケツト・オペレーシヨンのような形で、日銀を通して使うというふうなことが相当でもできれば、今のような非常な運用難というような問題も解消するように思うのでありますが、こういう問題が考えられるかどうか、伺つておきたい。
○池田国務大臣 見返り資金につきましては、ただいまのところ鉄道、通信の公債の引受け以外に、相当金が余つております。従つて直接投資に向けていない。相当のものは証券の引受け、あるいは日銀への預けというふうになつております。これは間接には日銀のマーケツト・オペレーシヨンのプラスをしているということであります。
○小峯委員 第二に融資あつせん制度を大臣は盛んに云つておりますが、この融資あつせん制度ができてから、また数字になるので恐縮でありますが、どのくらいの実績をあげているか。先ほど申し上げましたように、こういう方法は多少金融のうちでも計画性を持ち得るものだと思いますので、その点を伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 融資あつせん制度はこの四月から相当活溌に行つております。今数字は覚えておりませんが、これによりまして相当の、長期金融等に便益を与えていることは見のがすべからざる事実であります。
○小峯委員 その融資あつせんの制度をもつと積極的に、構想をかえてやるという考え方でございますか。ことに年末年始にかけてそういうお考えでありますかどうか、伺いたい。
○池田国務大臣 特にこれを発達さすということは考えておりません。やはり市中銀行自体が自分の責任においてやるのが常道でございます。ただ相手方の状態、あるいは融通しべき金額につきまして、市中銀行が合同して、日本銀行の融資あつせんのもとにやるのは一つの方法でありますが、これを特に伸ばして行くという考え方はありません。
○小峯委員 第三番目に、見返り資金の有効活用の問題であります。それぞれの会議で御答弁なさつているようでありますが、なおこの会議の席におきましても見返り資金活用の実績を一応承りたいと思います。
○池田国務大臣 見返り資金の活用状況につきましては、ただいまのところ八百二十億円ばかり見返り資金の方に組み入れまして、鉄道に百億円、電気通信に八十億円、合計百八十億が公債の引受けに充てられております。民間の方への直接融資は二件で四億円足らず、従いまして六百十数億円のものはまだ使わずにあるのでありますが、これを遊ばしておつてもいけませんので、日銀所有の食糧証券を肩がわりして引受け、同時にまた日本銀行へ二百億円足らずの預金をいたしております。今までに復金債の償還に充てているのは、大体昨日までで三十億円程度だと記憶いたしております。本年度は見返り資金で復金債の償還は六百二十四億円を予定いたしておるのであります。なお見返り資金の解除申請の件でありますが、ただいままでのところ大蔵省に申請のあつたのは二百七、八十億円余りであります。そのうち四、五日前までは百六十億円ばかりを関係方面に申請いたしております。残り百二十億円は今大蔵省で審査中でございますが、この二百七、八十億円のものは今年度内、すなわち本年の三月までに、ほとんど大部分を直接融資に充て得るよう申請し、また実現に努力いたしておる状況でございます。
○小峯委員 ただいまのお話で、大蔵省及び関係方面で審議中の数字はわかつたのでありますが、その内容について大体どんな方面のものだというふうなことが、おわかりでしたら承つておきたいと思います。
○池田国務大臣 向うに申請いたしました百六十数億円のうち、おもなるものは電気関係の百五億円でございます。その他船舶、石炭、鉄鋼がこれに次いでおります。
○小峯委員 二十四年度の当初予算を審議いたしましたときに、大蔵大臣はデイス・インフレ論を強く主張しておられました。私は当時審議に参加いたしまして、そのデイス・インフレ論の中には見返り資金がスムーズに運用されるということが條件であつたように思うのでありますが、そういう條件が当時デイス・インフレ論をおやりになつた時分と、多少食い違つて来ておるということをお考えになつておらぬと。あるいはまた今お話を承つたように預金も遊ばしていないというお説でありましたので、その点でカバーできておるかどうかということを伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 見返り資金をすみやかに活用することは、前から念願をし、努力いたしておつたのでありますが、今までのところは、お話申し上げたような状況でございまして、なお当初に、すなわち第五国会において資金計画を申し上げましたそのときには、貯蓄の増強は大体一年間二千五百億円を目標にいたしまして、二千三百億円の実績が上がるだろう。こういうことを申しておつたのであります。その際いろいろな事情もありましたのが、実は私の見込み以上に相当の預金がふえて参りました。そういうことで見返り資金が予定通りに出ないことを補つておりますし、また今云つたように条件がかわつて引受けた関係上、日銀から市中銀行への融資をふやしまして、すなわち昨年の今ごろから申しますと、ほとんど倍額の千億を超えるというような状況でございまして、見返り資金が遅れたということは、いろいろな手を打つて補いをつけておるのであります。
○小峯委員 ただいまの御答弁を伺いましたが、私はやはり見返り資金というより、長期金融というものが今のような形で多少つかえておる。預金が集まつて一般の金融にはそう不便がないとおつしやつておりますが、今の日本の金融の逼迫という状態は、長期金融難から来ておるのであつて一応短期の金融でそれをカバーしておるかのように見えますが、それだけにまた私は非常に複雑な様相を呈しておると思うのであります。何といたしましても長期金融を促進させなければ、今の日本の金融、ことに大臣のおつしやるように復興を考える予算の金融としては、うまくないと思うのであります。なお今の見返り資金の貸出しの条件でありますが、期限、金利等はいろいろ問題があつたようでありますが、どういうふうにきまる見込みであるか、お伺いしたいのであります。
○池田国務大臣 見返り資金の貸出しの条件は、一応金利は七分五厘以上ということにきまつております。相手方によりましてかわることあるべしと御承知おきを願います。また機関につきましては、当初解除になりました日銀関係の放出分は、二箇年ということになつております。それから第二回目に解除になりました飯野海運のタンカーの建造につきましては、多分十年間ということに相なつておると考えております。従いまして個々の貸出の場合にきまる問題だと思います。なお見返り資金が出るのが遅れたのは、はやりその理由が相当あつたのであります。すなわち金利の問題、そうして期間の問題、これがはつきりしなかつたために、業者の方からの申請が遅れたのは一つの事実でございます。また申請いたしますについても、償還計画がなかなか立たなかつたのが、遅れました相当の理由であつたようであります。
○小峯委員 見返り資金の動き出しが遅れた理由を今伺いましたが、私は手続上の煩瑣の問題、承りますと大分たくさん書類を出されるそうでありますが、これなんかもそういうことでひつかかつておるのではないか。その辺から来る影響はさしたるものはないとお考えになつておりますか。その点だけ伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 手続上の問題は、できるだけ簡素にすべく努力いたして、初めは三通を出していただいておつたのであります。一通は日本銀行、一通は大蔵省、そうして一通は関係方面、こういうふうにやつておつたのでありますが、関係方面におきましても見返り資金の係の方と、そうしてまた出す業種を監督しておる係の方、いろいろな係が参りますので、当初の三部というのでは、かえつて一つの書類でずつと持ちまわるというのではいかぬというので、手数ではございますが、最近は五部出してもらうことにいたしておるのであります。やはり手続きがある程度うるさくても、早く出るような方法をとつたらいいのではないかというので、徐々に改善をいたしておるような状況でございます。
○小峯委員 今のお話ですと、一応軌道に乗つたらこれからはそうひつかからずに行くというような話のようですが、先般来新聞紙上で、これは通産筋の案だつたというふうに記憶するのでありますが、ただいま見返り資金の動き方が鈍い。これをもつとしつかり使うためには、この見返り資金を使つて何か日本開発銀行というようなものをつくつたらどうかというような記事があつたように思います。これは本人が考えても、相手方がある場合はそう簡単に参りませんが、しかしこういうことも一つの考え方で、日本の再建にほんとうに役立つようなものを厳正に選んで行くならば、大蔵省を通じて出したりするよりいいのではないかという気もするのではありますが、その辺の御所見を承りたいと思います。
○池田国務大臣 一つのお考えかと思うのでありますが、対日援助見返り資金特別会計法には、関係方面の許可を得てということになつておるのであります。従いまして見返り資金を開発銀行のようなものに入れますにしましても、やはりその都度許可を得るということになりますので、ただいまのところではあまり改善にならないのではないか。私は今の制度でも、役所あるいは民間の方でずつとなれて来、そうして動き出して来れば、どんどん出るのではないか。しかしてまた私の仄聞するところによりますと、当初の考えよりも、今の経済の実情を見て、関係方面でもよほど積極的になつて来ておられるような形も見えますので、あまり心配はいらないのではないかと考えております。
○小峯委員 第四番目は、長期金融機関として日本興業銀行を育てるとおつしやつておるのでありますが、その日本興業銀行の育て方であります。その前に長期金融がいかに詰まつておるかということを大臣も御承知だと思いますが、この長期金融の詰まり方が実は非常にひどいのであります。これは大阪の商工会議所が先般調べて表をつくつて、私どもに送つてくださつた中にあるのでありますが、その中で長期金融がどうにもこうにもならない会社を五十六社調べてあります。マイニングの会社が一社、インダストリーの会社が四十三社、あとは少ないのでありますが、全部で五十六社あります。そうしてこの五十六社について詳細な内訳を言つて来ておりますが、小さい会社も大きい会社も――小さいといいましても百万円未満のものは一社もありません。大きいのは五億円以上の会社がありますが、そういう会社押しなべて長期金融はどうにもならないという状態であります。そうしてまたなぜそういうふうに長期金融に困つておるかという原因を調べた中に、銀行からの借入金、興業銀行からの借入金ができないということが三割八分強、復金の融資がとまつたために困つているというのが二割九分、それだけを合わせましても六割八分ぐらいになつております。しかもその資金の用途の内容でありますが、復旧修理改良資金というのが四二%強、新増設資金というのが三九%、そしてまた合理化資金といいますが、企業整備に伴ういろいろな資金が一八%で、どれもこれも日本の工業の復興のためになくちやならぬものになつておるのであります。こまかいことは申し上げませんが、その資料を見ましてもまんべんなくどの会社も長期金融に困つているし、その長期金融ができなければ会社の復興、産業の復興があり得ないのだという非常に深刻な事情を訴えて来ております。そういうことは御承知で案を立てておられるのだと思いますけれども、非常に長期金融の問題は深刻である。その長期金融が先ほど申しましたように、短期の金融にまで食い込んでありまして、日本の金融様相というものの中味を非常に複雑にしておると思つております。その話はともかくといたしまして、大蔵大臣のおつしやる興業銀行を育成するというその構想を伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 興業銀行はその資本金の二〇倍の興業債券の発行を認めるということになつております。第五回国会で五億円の資本金を十億円に増資し、二〇倍ということに御賛成を得て、着々債権の発行をいたしておるわけであります。しかして興業債券の発行状況は非常に順調でございます。ただいままでで貸出も五、六〇億ぐらいに上つておるのではないかと記憶しております。今後におきましても増資し、あるいは債権発行の倍数をふやす等、格段の処置を講じて行きたいと思うのでありますが、いずれにいたしましてもこの設備資金、長期資金というものは、私は原則として自己資金によるという建前で進んで行きたいと思います。しかしてその自己資金の足らないところを金融機関で行こう、こういう考えで行つておるのでありますが、何分にも日本の銀行制度は、敗戦後いろいろな議論がありましたが、建直しに入つて来たのは昨年の初めごろからでありますから、従来のいろいろな関係もありまして、商業金融で行くべきところが、やはり長期資金、設備資金というもので出しておるようなこともあるのでありますが、これからは今までのこんとんたる状態を改めまして、市中金融は商業銀行から、そして長期資金、設備資金については足らざるところは興業銀行、あるいは中小商工業者に対しましては商工中金、こういうふうな方法をとつて行きたいと考えます。
○小峯委員 わが国の金融分野に関しまして、非常に御明快なお考えをお伺いいたしましたが、しかし実際はこういうその通り問屋はおろさない場合が多いのであります。現に今自己資金のお話が出ましたが、最近の市場の状態ではこの自己資金にすつかり困つておりまして、株式などの引受金融を特に日銀があつせんしなければならぬような現状であります。このことが反映してか、実は興業銀行に対する需要が非常に多いのであります。興業銀行の資本金をふやして債権の発行限度を上げるというお話でありますが、これも急いで上げませんと、私どもの調べでは来年の二月、三月には興業銀行の資金が枯渇するような状態であります。それに間に合うようにするつもりで、従つて通常国会でもおやりになるつもりかどうか伺います。
○池田国務大臣 興銀方の改正につきましては、できるだけ早い機会に御審議を願いたいと考えております。なお自己資金の募集の状況でございますが、この四月から後半年間に増資が非常に行われたのであります。小峯さんも御承知でありましようが、とにかく四〇二、三〇億というような増資が行われまして、いまだかつてない状況であつたのであります。また社債につきましても、六箇月間に七〇億程度の社債の増加があるような状態であります。今四月から九月までの間に非常に増資が行われたためにちよつとピークになつておるかと思いますが、このピークは何としても切り抜けなければならないので、われわれとしてもいろいろ施策をめぐらしつつある状況であります。
○小峯委員 証券に関するお考えもあわせて伺いましたが、この興銀の資金には事欠かぬように手続きはするというお考えでありました。なおそれに関連いたしまして、ひとつ現金の跡片づけの問題を伺いたいのでありますが、まだ日本の今の経済の段階では、ビジネス・ベースだけの金融機関ではなかなかまかないきれぬと思うのであります。私どもは自由主義経済ということを主張しますが、事金融に関しましてはこれの計画性ということを考えて行かなければならぬと思うのであります。それで復興金融金庫のような機能がまだ日本の経済には必要だと思います。たまたまいろいろな問題で、復興金融金庫は本来の正確を離れて、かなり世間から低く見られたり、いろいろな見方をされておるようでありますが、金融機能プロパーから見ますと、どうしてもこういうものがなくちやならぬと私どもは考えるのであります。そこで今の復金は、たとえば新規貸出については開店休業になつておりますが、この形をかえて、一ぺんやつてみる考えはないか。これは関係筋もありましようが、そのまま使うのでなく、たとえば復金の第二会社というようなものを、復金とうたわずに証券投資会社でも証券引受会社でもいいのでありますが、そういうものを設けて、そうして日本の自己資金をまかなう証券の引受に協力するような態勢をとつたならば、日本の長期資金調達の上に非常に役立つのではないかと考えるのであります。先ほど申しましたようにあちらの関係もありましよう。しかしこういくようなことを大蔵大臣として考えたり主張したようなことはないか。あるいはこの復金を保証業務に活用する――生の金を出すのでなくて保証に一部を使うようになりますと、活用が非常に大きい。しかも復金には現在一二〇億くらいの金が入つております。予算の面で新しく計上をいたしませんでも、たとえばドツジ・ラインをくずさないでも復金を使える方法がある。そういう意味で復金の後片づけと申しますか、これを更生させる道についてお考えがあつたら伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 復興金融金庫は御承知の通り来年一月でやめることに相なつておるのであります。お話の点もまことにごもつともな点がありますので、私は就任以来いろいろな検討をいたしておりますが、ただいまのところでは、やはり復金は予定通り来年の一月からもう整理に入る段階に話ができておるのであります。従いまして今年度におきましては、利子その他のものを一般会計に繰入れることになつておりましたが、元本の回収した分も一般会計に繰入れることにいたします関係上、法律案も近々出します。補正予算におきましても五〇億円の繰入れをしたわけでございます。来年度におきましては大体元本の回収その他利子を合わせまして、一般会計への繰入れが百八十七億というふうなことになつておるのであります。従いまして復金は将来だんだん精算に入つて行つて、その策務を停止する。こういうことに政府は方針をきめておるのであります。しからば今後のわが国のいわゆる長期資金あるいは証券金融に対して、何か新たな機関がいるのではないかということになるのでありますが、そのことにつきましては、私はただいまのところ、やはり日本興業銀行を使い、また中小商工業者につきましては商工中金、農林中金でやつて行こう。一応これで進んであるのであります。しこうしてこれはやはり昔から議論のあるところでござおまして、市中銀行にするか専門銀行にするか、これは各国おのおのその方法が違つておるのでございますが、ただいまのところでは今の興銀中心に、財政演説で申しのべましたようなことで行こうと考えております。
○小峯委員 一月で締めるというお話なのでありますが、そのあとにもまだ相当利用のできる骨が残るのであります。その骨を利用できる方法はないか。私の申し上げたのは、何か第二会社のようなものをつくつて、それをあと保証銀行的な意味にでも活用する方法ができぬものかを伺つたのでありますが、お考えがないようであります。しかしどうかこれを研究していただいて、なかなかいい面もあるのでありますから、まだ日本の段階ではビジネス・ベースだけではやれないというように、先ほど私が申し上げましたような意味で跡片づけの問題も御研究願つておきたいと思います。
 それから商工中金を強くするんだということをおつしやつておられますが、これは通産大臣と共管かもしれませんから、適当にお二人でお答えを願つていいのでありますが、どのくらいこれを強くするかということをまずお伺いいたしたいのであります。
○池田国務大臣 ただいまのところ、出費は一億五千万円でございますが、これを五億円に増資いたしまして、二十倍の商工債権の発行を考えておるのでありますが、これは御承知の通り商工中金とは申しますけれども、今実際運用しております金は三十億足らずでございまして、まだいなかの小さい銀行にも劣つておるという状態であります。しこうしてこの四月ごろから中小商工金融が相当問題になりましたので、極力日銀から商工中金に別わく融資をいたしまして、事業の増加をはかり、金融の円滑をはかつておるのでありますが、まだ十分ではございません。従いましてあそこの人的機構もかえて、今申し上げましたような商工債券の発行の拡大をはかり、刷新して行きたいつもりであろます。人的機構の改正も始めております。
○小峯委員 商工中金のお考えは想像した以上に積極的なので非常に満足いたします。その商工中金の問題でありますが、たとえば債権の問題も、ただこれをふくらましたからすぐに消化ができるという問題ではありませんので、消化の方面でも相当考えてみなければならぬ面があるだろうと思います。なおそういうふうに資本の規模がふくまれますのを機会に、通産大臣はこの商工中金の新しい構想として、たとえば信用協同組合あるいは市街地信用組合のようなものを傘下に改めて、農業金融における農林中央金庫のようなぐあいにまで商工中かねを持つて行くという構想――これに限つたことはないのでありますが、そういう新しい何か構想がおありでしたら伺つてみたいと思います。
○稻垣国務大臣 ただいま小峯さんの御質問の問題はまつたく同感であります。われわれといたしましても商工中金がこのたび増資し、あるいは債権発行額をふやすという機会におきまして、なおいわゆる信用協同組合あるいは市街地信用組合、とういつた面との関連においても十分機能を果たすようにしたいと考えておるわけであります。
○小峯委員 先ほど大蔵大臣のお言葉の中に、別わく融資のお話がありましたが、実は調べてみますと、これが非常に働いておるのであります。正直なところ債権によつて資金を求めますと、どうしても資金のコストは高くつきまして、中小商工業の金融はなかなかこれがうまく働かないのでありまして、別わくの融資が非常に歓迎されておるようでありますが、これももちろん無制限にやつていいというものではありませんが、なおこれをふやすお考えがあるか、ことに年末に際しましては、中小企業の金融は非常にむずかしくなると思いますので、その点も考慮に入れて御答弁願いたいと思います。
○池田国務大臣 別わく融資はただいまのところ二十二億出ておりますが、もつとふやしたいという考えでおります。また商工債券の消化につきましても、商工中金と組合との関係をもう少し改善し、お話の通りに農業協同組合と農林中金とのような関係に持つて行くべく今工作をいたしておるのであります。何と申しましても、結局商工中金を拡大強化し、信用のあるものにするのが、一番の早道でございますので、そういう方法で進んで参りたいと思います。
○小峯委員 二十二億の別わく融資のお話が出ましたが、これは事務当局でもけつこうでありますが、年末にかけてさらに具体的にどのくらいふやすというようなお考えがあるか、おさしつかえなければお伺いいたします。
○池田国務大臣 これから三億円くらい年末に出したいという考えを持つております。
○小峯委員 商工中金の問題で通産大臣に伺いたいのでありますが、この仕事のやり方も、現在のところは、組合に対する金融で、組合を通して金融するようになつておると承知いたしております。しかしそれを組合でなくて、組合員であればその構成員に直接にやつてもいいというようなところまでやる方がいいというようなところまでやる方が、便利な場合もあるし、あるいはまたいろいろな中小企業の復興のために役立つような法人に対しても、許可でも得れば貸すような形にまで広げて行けば、商工中金が資金的にも力が出ますし、活溌になると思うのでありますが、そんなお考えはございませんか。
○稻垣国務大臣 ただいまの御質問の点、たとえば直接組合員にやるとか、組合の保証によつて中小法人にやるというような問題につきましても、われわれの方は、お説の通り、これは中小企業に対する金融として、最も重要なものであると考えますので、研究をいたしておりますが、大体そういう方向に持つて行きたいと考えております。
○小峯委員 もう一つ通産大臣に伺いたいのでありますが、この商工中金の店舗の数が比較的少ないのであります。銀行の店舗を増すときに、道づれで各県に一つずつくらいつくりたいという商工中金の意図が押えられて来たと思います。この間も大蔵大臣は、本会議で地方に小形銀行をつくつてもいいというお話のありましたやさきでありますが、商工中金が本格的に活動しますためには、支店、支所、出張所のできていないところに、出張所をつくるというのうなことを考えていいと思うのでありますが、そういうことに対するお考えを伺いたいと思います。
○稻垣国務大臣 その問題につきましては、各地で現在商工中金の支店、出張所のない方面から希望がかなりたくさん参つております。これは各地の状況を十分調査する上においても必要であると考えますので、商工中金との間に支店をふやす、あるいは出張所をふやす問題について話合いをいたしておる次第であります。
○小峯委員 次に池田金融の中に不動産金融を待望する、自主的に持ち上つて来れば、これを歓迎するというような意味のことをおつしやつたようでありますが、どういう姿の不動産金融機関を考えられておるか、その構想を伺いたいと思います。
○池田国務大臣 まだ検討中でここで申し上げるのはいかがかと思うのでありますが、何分にも今債権を発行いたしまして、新たに金融機関を設けてやることになりますと、かなり経費がかかるのであります。御承知の通り既存の金融機関では長いものの債権でございますと、その金利も九分、九分五厘で、これにいろいろな経費をかけますと、どうしても一割五、六分くらいで貸さないと赤字が出る。こういう状況であるのであります。しこうしてまた不動産金融につきましては特殊の知識を要する、こういう関係もありますので、まだほんの私の思いつきでございますが、従来の不動産金融に経験を持つております勧業銀行の別働隊のようなものをこしらえて、これに来年度から住宅資金として出す予定である五十億円というものを結びつけて、やつて行つてはどうかということで検討を続けておる次第であります。
○小峯委員 今のお言葉の中の勧業銀行の別働隊という意味でありますが、御承知のように勧銀は不動産銀行から普通銀行に姿をかえております。それをまたかえさせるのはおかしいように思いますが、その関係において何か特別なものをお考えになつておられるか伺いたいと思います。
○池田国務大臣 これは勧業銀行の別働隊と申しましても、勧業銀行内に置くのではございません。今までの勧業銀行等の専門家、経験者を引抜いて、別の不動産金融会社をこしらえる。そうして今までの知識技能を勝つようして行こうというので、別個の金融機関にいたしたいと考えております。
○小峯委員 その不動産金融機関に対する大臣の御着想は、シヤウブ勧告が不動産税を勧めておりますが、それと何か御関係がありますか。というのは不動産に対する税金が、これも調べて相当たくさんかかるとすれば、そういう機会にこんなものをというような考えで考えたわけでありますか。
○池田国務大臣 シヤウブ勧告とは全然別でございます。シヤウブ勧告では地方税の不動産取得税の百二十億円というのは多う過ぎる。これでは不動産取引も何もできないというようなことも出ておるのでありますが、私の不動産金融というのは、中小商工金融におきましても、その見合いになるものは、従来不動産を担保にして出ておるというう実情でありますので、中小商工金融の一助ともなりますし、また片一方では住宅不足のこの際でありますから、新築の方にもそれをまわす、こういう考えであるのであります。
○小峯委員 演説の中で金利の引下げも言つておられますが、金利のギャップが非常に大きいのであります。御承知の通りアメリカ、イギリスに対しまして日本の金利が非常に高くなつておりまして、一般の貸出しは一割近いものになつております。あちらでは一・一九%、せいぜい一・七五%ぐらいのものになつているそうでありますが、これだけ違つておりますと、大蔵大臣が演説の中で言われた「国際経済との関連を重視し」ということに、なかなか支障が来ると思うのであります。それで金利を下げたいとおつしやるのは、気持はよくわかりますが、それではその金利をいつごろからどのくらい下げたい考えか、こういうことはなかなか伺いにくい、またお答えにくい点かもしれませんが、安いほどいい、早いほどいいにきまつているのでありますから、多少こういうことでも具体的に伺つておきませんと、金融の前途を考えます場合の手がかりにならぬと思います。おさしつかえなければお考えを承りたいと思います。
○池田国務大臣 財政演説で申し述べました通りに、今後金利をできるだけたくさん早い機会に下げて行くつもりで、検討いたしておるのであります。お話の通りに、外国に比べまして非常に金利は高うございます。預金利子は大したことはないのでありますが、あの今の預金利子で計算いたしますと、銀行の資金コストが八分三、四厘くらいになる。非常に高い、何でこんなに高くなるかと申しますと、一般事務費が相当かかりますのみならず、銀行員の俸給も私は相当高いのではないか、というふうに考えております。「銀行の経営を合理化し」ということは、この資金コストを下げたいという念願から言つておるのであります。しかし今までの金利はどうかと申しますと、八月の貿易手形につきまして二厘ほど下げました。九月十五日から一般金利の二銭八厘を一厘下げているのであります。今後それがどのくらい下げ得られるかという問題は、見返り資金から復金債を償還いたしますその償還の時期、また預金がどれだけ増加するかという問題、そうしてまた銀行の事務から考えましても、今非常に手数をかけておりますのは出納関係、窓口で百円札の計算に非常な手数をかけているのであります。従つて預金が相当ふえて経費を節約し、しかも最も経費のかさんでおります札の計算、これは千円札を出すことによりまして、よほど経費も少なくなる、こういうことから考えますと、私は来年の三月までには、ある程度見通しがつくのではないか、遅くとも来年三月の決算期以後において、早い機会にまた二回目の引き下げが行われることを来たいし得るのではないかという気持を持つております。
○植原委員長 小峯君、ちよつと御相談があります。総理はたいへんお忙しいし、時間もかなり切り詰めなければならないと思うし、総理に対する質問がかなりありますから、あなたの大蔵大臣に対する質問は、そこで保留しまして、時間の許す限り総理に対する質問を開始したいと思いますが……
○小峯委員 それではもう一点簡単に伺つておきます。今のお話の中で千円札の話が出ましたが、千円札は、いつから姿を現わすか、伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 今御承知の通りに、通貨は二千九百五、六十億円でございます。その二千九百五、六十億円のうち、九〇%以上が百円札であるのであります。そういたしますと、年末に三千五百億になつたときにどの程度の千円札が必要かということになれば、ただいままで刷り上がりましたものが百五、六十億程度でございます。晝夜兼業でやつておりますが、十二月の中ごろでもまだ三百億ぐらいしかでき上らない。出す場合には少なくとも相当のストックを持つて、そうして東京だけでなく、九州にも北海道にもやはり置いておかなければならぬということになりますと、どんなに急いでも年末までに顔見せできるかどうかというところであります。今後の年末の金融の増強等を勘案いたしまして、なるべく早い機会に出したいと思つております。
○植原委員長 庄司一郎君。
○庄司委員 内閣総理大臣に対して簡単な一、二のお尋ねをしてみたいと思います。それは総理大臣におかれては、本会議その他において、しばしばわが国のこの後の経済復興、あるいは殖産興業の積極的な打開は、総合国土計画の実現にあるというような意味の御演説が行われておりました。まことに当を得たけつこうな御意見でございますが、その総理の御理解とされるところの総合国土開発は、いかなる方法によつてその結論を得られんとするものであるか、たとえば内閣各省大臣中の産業あるいは経済関係の官僚諸君によつて一つの委員会等をつくられて、総合開発的な施策を推進されんとするものであるか、あるいは官制による行政組織法の基準のもとに、昔あつた外交調査会のような権威のあるところの調査会をつくられて、それでもつて各界各層在野の権威を網羅した、さような会合において献策を受けられんとするものであるか、その総理の御理想はまことに高遠にしてけつこうでございますが、総合開発のその結論を――もろもろの具体的な施策を確立される方法が、どういう方法で結論づけられるものであるかどうかということを伺つておきたいと思います。きのう実は建設大臣に対してこの点に触れたお尋ねをいたしましたところ、十二分な満足な御答弁がありませんでした。ある一本の河川をとつても、川の上流は農林省が、土砂扞止林あるいは砂防工事をやつておる、河川の中央は建設省がやつておる、河口、港湾は運輸省がやつておるというような、ばらばらな国土計画でありまして、そこに一貫した統制脈絡、さような連緊がはなはだ稀薄であるような感じをされてなりませんので、そこでどうしても一貫作業において統合された一元的な方法において、国土の荒廃を打開して行かなければならない。復興して行かなければならない、積極的にあくまでも積極進取な振興施策をとつて行かなければならない。かような重大なる時期において、総理より本会議において、国土計画をあくまでも推進して行くというような意味の御節を拝聴したのでありますが、その方法、施策いかんというような点について、総理の御信念を承つておきたいのであります。
○吉田国務大臣 お答えをいたします。むろん内閣閣僚を主として一般の計画を進めるのでありますが、その前にどういうふうにして行けば目的を達するか、しかも各方面の意見をいれて、そして的確な計画を立てるか、まだ具体的に閣僚に相談はいたあしておりませんから、まず私一個の腹案としてお聞きを願いたいと思います。
 強のところは安定本部あたりが中心になつて関係省をまとめて行くというのがいいのではないか。そして安定本部においては、たとえば治水の専門家とか、あるいは水力電気の専門家とか、あるいは土木の専門家というような学歴においても経験においても有能な、あまりたくさんでない専門家を顧問なりあるいは諮問機関として、一応の計画を立てて、そして各省と連絡をとつて行くというのが一番実際的ではないかというので、今閣僚と相談をいたしております。そういうような構想のもとに何か早く結論を得て、そうして土木事業費等を有効に使いたいというような腹案をもつて進んでおります。まだ成案を得て閣僚に提出して、成案を確定したというところまで行ておりませんが、第一どういう専門家があるか私も実は知らないので、諮問機関を置くとしても、どういう人が適当であるか、その人選なども心当たりには探つておる程度であると御承知を願いたいと思います。
○庄司委員 総理の御理想の総合国土計画をすみやかに推進するために適当な機関を設けられて、迅速果敢に施策の諮問をなさるというような形式をとられることも、もとよりけつこうでございます。また産業経済関係の今御説のような安本本位といいましようか、中心といいますか、そういうような機関によつて施策の具体化を研究されることもけつこうでございますが、わが国の総合開発のためには、どうしても権威のある内容のある機関を設けて、根本的な調査研究対策を講ずるためには、やはり官制による行政組織法を基準としたような会合を設けられて、少なくとも向う三箇年あるいは五箇年の年月を要しても、永遠にわが国の打開のために、大きな構想のもとに総理の御理想を実現して行くというような段取りでなければ、ただ線香花火的な一時的なものであつてはならない。そういう意味からよく御考慮くださいまして、御善処願いたいと思うのであります。
 もう一点御伺い申し上げたいのは、前議会においてここにいらつしやる岡司代議士は、総理大臣に対してこの席でこういう質問を出されました。新時代に文化の点において、殖産興業の点において、交通、運輸、港湾その他の点において、すべて遅れがちの東北地方の開発、振興のために、政府はどういう施策をとつて行くかというような意味の質問に対しまして、当時総理は、内閣において、特に単作地帯であり、積雪地帯である東方区のためには、特殊なる適当なる施策をして行くつもりである、そういう方針を研究させているというような意味の御答弁が、確かにあらわれたことを記憶しておるのでありますが、その後政府部内において、適当な省等において、いかにせば単作地帯であり、寒冷地帯であり、あるいは寒害地帯であり、交通、文化の遅れている東北地方のためんび、どういう施策が妥当であるかというような御研究をなされたか、あるいは具体的なるそういう政策を来年度の予算面を通して実現されようとしておらるるか。こういう点についてお尋ねをしておきたいと思うのであります。
○吉田国務大臣 ただいま考えておる一つは、東北振興開発会社ですか、あの会社をもつと充実するなり、仕事の方面を改善するといいますが、考え方を違えて、あの機関を利用するということも一つの方法ではないか。もう一つ最も望みを嘱しているのは、只見川の電源開発も考えております。これは東北の中に入るかどうか私も地理的に知らないが、しかしアメリカあたりの電源開発の様子、また治水などの話を聞いてみて、従来砂漠にひとしいようなところが、今日においては相当豊饒な土地にかわつて、そして収穫も戰前の四倍といいましたか、五倍といいましたか、相当治水、疎水のために農地が改良されて、その他の仕事も興つているという話を聞いておりますので、日本でもぜひ只見川なりその他の河川を利用する方法はないだろうかというので研究しております。現に只見川については、御承知の通り技師が測量に行つて、最近帰つて来ているはずだと思います。多分今実測の結果について調査をしているのだろうと思いますが、やがてこれも数日中には一応の結果が現われるであろうと思つて、報告を待つております。電源開発から起つて、農事の改革もそうでありますが、地方におけるいろいろな興業が興るということも考えられるでありましうよし、もし只見川の実測ができて、そうしてある方法が立てば、その他の河用にも自然及ぼすことができるであろうと思つて、只見川の実測の結果を今主として待つておるような状態であります。一応お答えをいたします。
○庄司委員 よろしゆうございます。
○植原委員長 稻村順三君。
○稻村委員 私は本委員会でまず、吉田総理に対して予算の点についてただしてみたいと思います。
 その一つは、予算委員会は言うまでもなく、一国の財政に関するものを審議するのでありまして、国会中最も重要な性質を持つておる機関であります。最近しばしば総理が衆参両院の議員の質問に対して、答えておるところに徴して見ますると、はなはだ遺憾な点が多いのでありますが、こういうことはわれわれ委員会の一員として、これをあくまでも糾明しなければなたないと思うものであります。たとえば過日参議院の星野議員が質問したのに対して、国会特に参議院が公会議に関して、軽々に論ずることは慎んでもらわなければならないというような意味合いのことを言つておりますし、また昨日の本委員会における西村委員の質疑に対して、渉外関係の人には会つた、しかしだれに会つたかということは答えるべきことではないというような返答でありました。私たち議員が総理に対して一応の質問をしたのに対して、かような態度というものは、それは議員を愚弄し、かかる態度をもつてする場合には、予算委員会の審議権を無視するというような傾向になる危険があるので、特にこの点について質問する次第であります。議員が国会においていかなる言動をなさなければならないかということは――今の国際情勢下において事国際問題に関しては、特に慎重でなければならないということは、もちろん言うまでもありません。しかしながらそうだからといつて、それは行政長官たるところの総理大臣がこれに干渉すべき性質のものではありません。われわれは行政府という立場から見た場合の国会というものは、あくまでもいかなる言論をなしてもこれは自由であります。ただわれわれは議員が慎重な態度をとらなければならないということは、それは議員みずからの自粛にまつだけでありまして、行政長官たるところの総理大臣の監督を承け足るがごとき感じを持つような言動は、絶対に慎んでもらはなければならないと思うのであります。むしろわれわれは総理大臣を選任したのでありますから、国会こそ、総理大臣を監督すべき責任を持つておるのであります。また総理大臣が外国の、ことに渉外関係の人に会つたということは、これを一々国会内に報告すべき性質のものでないということは、常識でわかつております。しかしながらこのごろややもすると、政府の官僚たちが、渉外に事寄せて、しばしば重要な席をはずすことが多いのであります。従つて閣僚が重要な席をはずしたために、国会の審議がしばしば澁滞しがちであるということは、これまた否認することはできないのであります。私は、西村君はこの点に対して質問をしたのであろうと思うのであります。時あたかも一昨昨日は、本会議に予算の審議がなされようとしておつたのでありまして、これはことに今日の時勢から申しますれば、きわめて重要であつて、政府自身が一日も早く、一時間も早く、これを審議してくれと言つて、われわれ議員に督促をしておるのであります。その即即をしているときに、渉外関係の人に会わなければならないということであつたから、そこで問題が起こつたのであります。私は渉外関係の人に総理あるいは閣僚の人が会うことにこれを一々報告せよとは決して言いません。また占領下においては、連合軍司令官の命令が憲法以上のものであるということは、国民すべてが知つているところであります。従つて重要な会見のある場合には、あえてこれに対して干渉するという意思は少しも持つていないのであります。しかしながら過去においてしばしば渉外に事寄せて重要な席をはずしたという事実に徴しまして、われわれははたしていかなる性質の人に会うのかということをただしかつたのであります。そして翌日の読売新聞に書いているのを読んでみますと、この渉外関係という人が、連合軍関係あるいはアメリカ政府の公式要務を持つた人でないように私は察せられたであります。そこで私たちはこの際において、単に個人としての外人と会うということと、公式要務を持つた外人に会うということとは、区別しなければならないと思うのであります。これくらいなけじめは、賢明なる吉田総理は百も承知の上であろうと私は考えております。従いましてもし読売新聞に書いているがごとき性質の人であれば、私どもは総理がこの重要なるところの本会議の席をはずすことができないからと言つて、その会見を一日やあるいはまた五時間ぐらいは引き延ばすことは、少しもさしつかえない性質のものであろうと思うのであります。しかも私はかようなことが新聞にも出ていない、新聞記者もこういうことがわかつていないというならば、それは国会の権威のために、こういう人に会うために本会議をはずしたことを、そのまま渉外だと言つて済ましておけるかもしれません。しかしながら議員が知らないのにちやんと新聞記者はこれを知つております。そして翌日の新聞にはこれを報道しておるのであります。新聞記者が知つた以上は、われわれとしては、黙つているわけには行かぬのであります。総理の責任をここに追究しなければならないという問題は、国会の権威にかけてもやらなければならぬのであります。私はこういうふうな態度をもつてこの予算委員会を続けて行くならば、予算の審議が澁滞しても、それはわれわれの責任ではなくて、総理のかような考え方の責任であるといわざるを得ないのであります。その点に関して総理の率直なる所見を承りたいと思います。
○吉田国務大臣 参議院における私の軽々しく云々というお話は、昨日でありましたか、一昨日でありましたか、参議院で私が申し述べた通りであります。決して干渉するとか、あるいは参議院の自由な議論を抑制するとか、やめてもらいたいとか言つたわけではなしに、希望しただけの話であります。講和会議の問題のごときは重要であるから、今日の現状において非常に関係が微妙であり、ことに軍備の問題については、日本において再軍備しやしないか。あるいはドイツが先年戦争のあとでソビエトに飛行将校その他を送つて、そして飛行機の研究なり、飛行機部隊をこしらえておつたというようなうわさなどがあるために、日本において同じようなことをしておるのではないか、支那あたりでやつておるのではないか、ことにオーストラリアとしては、そういう日本の再軍備について非常に神経がとがつておるから、発言は慎重にお考え願いたい、こう申しただけの話で、議論をしてはいけないとか、干渉したとか、そういう気持は毛頭持つておりません。
 また私が外国人に会つた、この外国人はどういう人であるか、それが渉外関係であるかだれであるか、新聞の報道については一々私は責任を持つわけに行きませんが、しかし私の会う人は、決して遊びに会つているわけではなくて、個人といえども公務に関係した人であります。渉外関係のことであります。それ以上は外務大臣としてお答えができません。どこの国でも外務大臣がだれに会つてこういう話をしたということを、一々国会において弁明し、説明する事例はないのみならず、外交の機密は相当議会においても尊重されておるのでありますから、私としては一々こういう人に会つた、こういう話をいたしたということは申しにくいのであります。しかしながらこの重要なる予算委員会をほうり出して、そうして渉外関係に事寄せてこの席をはずしたということは、少なくとも私においては一ぺんもありません。
○稻村委員 今の総理大臣の答弁は私の質問からずいぶんはずれておると思うのであります。私が言うのは、一般の国民、新聞を見た人もそうでありますけれども、結局私たちから見るならば、このバランスを――この国会の本会議に出ることが重要であるか、また渉外関係の人に会わなければならぬとすれば、その人にどうしても総理が会わなければならぬかというような、バランスの問題に対して、とかくの批評が出るのであります。私たちはそういうことがわからぬでおるならばいいのであります。しかし新聞に書いているところを見ると、そんなことまでしないで、やはり何とかしてこの会議に出た方が、ほんとうであるということだけは想像されるのであります。そういう場合に、私たちはそういうことがわかつた以上は、総理が会つたからとか、あるいはどういう人に会つたとか、その内容はどういうことをしたとかいうことを聞くのではないのであつて、すでにわかつた以上は、その点に関して総理の釈明が必要だと私は思うのであります。その点を私は追究しているのであります。
○吉田国務大臣 どうも話がしつこいようでありますが、とにかく私は予算委員会を尊重して、自分の職務――外務大臣としての職務なり、総理大臣とての職務と委員会出席とはなるべく調和さして、両方に迷惑をかけないようにいたすつもりでありますから、どうぞあなたも外務大臣として渉外事務を取扱うことを、なるべく妨害しないで――妨害というとおかしいが、両方の立場が相一致するようにお考えを願いたいと思います。
○稻村委員 そこで私は最後にお尋ねしたいことがあるのですが、それはこういうふうな問題が起こつたというのは、総理という職と外務大臣という職とを兼任しておるというところから起こつてきたのではないかと思います。これは実を申しますと、今新聞で見ますと、民自党をワン・マン・パーテイーと言つております。それから吉田内閣を名づけてワン・マン・キャビネットと言つております。これはどういうことかというと、吉田さんだけが偉くて、あとは全部偉くないという意味であります。そういうことについて吉田さんはいささか世評におだてられて、そうしてこういう気持に――外務大臣もおれでなければならぬ、総理大臣もおれでなければならぬ、しまいになつたならば、あいたところの大臣は全部おれでなければならぬというので、兼ねておるところに私はこういうふうに両方の調和ができないような問題が起こつて来るのであると思うのであります。このくらいな程度の渉外の事務であるならば、専任の外務大臣がおりますれば、おそらくこういう問題は起こらずに済んだろうと私は考えておりますし、また有能なるところの外務次官でもおりますならば、それでもつて大体片づいた問題であろうと思うのであります。しかるにかかわらず、吉田想りつがこういうふうな調和もできないような状態になあつたということは、これは専任の外務大臣を持つていなかつたためである。小さな問題でこれくたいなことが起こるのでありますから、もつともつと大きな問題が起つたならば、おそらく吉田総理は自分自身が失脚しなければならぬほどの問題にぶつつかると思うのであります。従いまして私はこの際吉田総理に御質問したいのでありますけれども、専任の外務大臣を支給置く意思ありやいなやということであります。
○吉田国務大臣 今お話のようにすべての大臣を兼任するような気持は毛頭ないのであります。また外務大臣はなるべく早くやめたいと思いますけれども、私が外務大臣を兼ねておる方が、この際においてはいいと考えておりますので、専任の外務大臣を置く考えはございません。あとは御意見でありますからよく承つておきます。
○稻村委員 もう一つ、今度は外務大臣としての吉田茂氏に質問したいと思うのであります。それは最近におきまして貿易振興が経済復興ときわめて重要な関係のあることは、世人ひとしく認めているところでありますが、この貿易が最近におきまして非常に不振になつております。特にその不振になつた一番大きな原因は、コスト高ということでありますが、そのコストを引下げるために、政府におきましては産業の合理化であるとか、種々なことに対して苦心しているようでありますが、この産業の合理化とか外国為替の安定の問題は、急にその効果を期待することは、日本の今日に産業の状態をもつてしては、なかなか不可能であると思うのであります。しかしながらこれを外向的な処置によりまして貿易条件を改善して行く、そうしてその改善からコストを引下げられる部分が特に多いのではないかと思うのであります。たとえば日本の輸出の中に、はなはだしいのになると五〇%も海運の運賃と保険の料金にとられるというようなこともありますし、また日本の海外における商館もありませんので、そのためにいわゆる盲貿易というものがなされまして、そのための利ざやが非常に高いというようなことも言われております。従つてある商品のごときは、外国市場において日本の買付値段の約三倍くらい売られているというような話さえ聞くのであります。従いましてそれならば貿易条件の改善といえばいかなるものであるかと申し真すれば、それは海運を自営すること、あるいはまたCIF契約を何とかしなければならないということ、盲貿易の打破というようなこと等が、日本の貿易を振興する上において、きわめて重要な要素となつております上に、このことは外交的な措置にまたなければならなと思うのでありますが、これに関して吉田外務大臣はいかなる法策をとつているか、またその方策をとろうとしているかを伺いたいと思います。
○吉田国務大臣 お尋ねにつきましては外務大臣としてお答えをいたします。今日考えておりますことは、まず第一に貿易の各個別の協定を主として考えております。現に問題になつておるのは、日英通商協定をしきりに急いでおりますが、なるべく個々の国との協定を急ぎたいと思つております。フランスでありましたか、イタリーでありましたか、ドイツでありましたか、ちよつと今忘れましたが、イタリーのごときも各国との間の個別の通商協定を急ぎつつあるような状態でありますが、日本もなるべく各個別の通商協定を結びたい考えでおります。南米のどこでありましたか、ちよつと忘れましたが、協定はできるるある。あるいはできたということも聞いております。またそうしたいものだと思います。
 それから船の問題でありますが、これは過日も、たとえばマレー半島あたりから物資を持つて来るのに船賃が非常にかかる、そこで日本の船を送りたいという話もいたしてみたのでありますが、承知するところによると、マレーなどにおいて戦争後における日本人に対する反感が非常に強い。今船を持つて行けば荷積みをする人夫も得ることができないかもしれないというような状態にあるから、なるべくイギリス政府としてはそういう事態になるようにいたしたいと思うが、いかにも人気が悪いから、人気がもう少し改善されなければ日本の船を寄せても危険ではないかというような話で、これは一例でありますが、その他ずいぶんそういうために船が寄せられないとか、あるいはまた現に日本船が就航しておらないのであります。もう一つは外洋に行く船がはなはだ少い。戦争のために非常に減つて、外航に持つて行く船はわずか五、六そうであるというような状態でございますから、新造船をなるべくよけいつくることに、政府としても盡力しておるわけであります。今の保険の話は、これは結局その外航につく、外国に行き得る船――ロイドなり何なりの標準に合するものでなければ、保険がつけられないわけでありますから、これもりつぱな船を持つに至つて、初めてこの問題が起こつて来るわけであります。その他できるだけ日本の貿易が伸展するように、各種の協定その他に入ろうと考えて、総司令部でもそのつもりで盡力してくれております。盲貿易のことは御同感であります。
○植原委員長 ちよつと速記をとめて。
  (速記中止)
○植原委員長 速記を始めてくだい。
 ただいま速記をとめたようなことですし、国のために非常に重要なることですから、どうか新聞の方でもその点で十分御注意を願いたいと思います。特にこの点は委員長からお願い申し上げます。次に中曽根康弘君。
○中曽根委員 民主党を代表いたしまして総理大臣にお尋ねいたします。
 まず一番初めにお伺いいたしたいのは、講和会議の問題でありますが、今講和條約の内容や何かを論議するよりも、当面日本国民として考えなければならないのは、講和会議をどういう態勢でわれわれは乗り切るか、どういう心構えで臨まなければならないか、こういう問題が当面の問題であるだろうと思います。そこで講和会議の政治態勢でありますが、いろいろなやり方が考えられます。たとえば単独内閣であるとか、あるいは連立内閣であるとか、あるいは共産党を除く挙国連立内閣であるとか、いろいろやり方が考えられます。私個人としましては、共産党がただ一つ在野で挙国連立内閣で乗り切るということは、はなはだ危険でありますのが、一体総理大臣は単独内閣でやるのがよろしいか、連立内閣でやるのがよろしいか、共産党を除く挙国連立内閣でやるのがよろしいか、総理大臣の所信をまずお伺いしたいと思います。
○吉田国務大臣 ただいまのお話は仮定の問題で、ちよつと私がここで何がよかろうということを申し上げにくいが、抽象的に申しますと、日本の国が安定し、政情が安定し、経済が安定して、日本は国際団体の一員としてりつぱに世界の平和、安定、繁栄に資するに足る国と認められるように持つて行くことがいい。こう抽象論以外にお答えができません。
○中曽根委員 私が申し上げたのは仮定の問題ではないのでありまして、講和会議は少なくとも来年ぐらいには行われそうな情勢にあるのであります。従つて日本国民としてどういうふうに態勢を整えて行くかということが、当面の最も大きな問題であるだろうと思います。講和会議に対しては、われわれは挙国一致の態度をとらなければならない。必ずしも挙国連立を必要としないけれども、ともかく与党、野党おのおの挙国一致で臨まなければならないと思う。従つてだれが総理大臣になろうと、われわれは国家のためには協力する点においてやぶさかでない、こういう確信を持つておる。伝えるところによると、民自党におきまして星島総務会長でありましたか、そういう態勢を整えるために、党首の会合をやろうというようなお企てすらあつたと言われておる。私ら虚心坦懐にそういう事態は好ましいと実は考えておつた。必ずしもそれは連立内閣に入るという意味ではないのです。総理大臣はそういうような挙国一致の態度すらも必要ないと思われるのか。もしそういうことが必要であるならば、その精神に基いて、どういう方向に政治態勢を持つて行くかということが当然なければならないと思いますが、総理大臣の御意見を承りたいと思います。
○吉田国務大臣 私は今申した通りに、日本の国が安定され、そうして外国から見て真に国際団体の一員として迎えるに足るという信念を与えるような政治構成がよい。こう申し上げる以外に私はお答えができません。
○中曽根委員 しからば具体的にお尋ねいたしますが、吉田現内閣がこのまま続いて行くことが、世界から信用され、安定して行くとあなたはお考えですか。
○吉田国務大臣 私はそう考えます。
○中曽根委員 そういたしますと、あなたはこの内閣で講和会議を乗り切るという信念をお持ちであり、そういう方向に進められるというお考えでありますか。
○吉田国務大臣 その通りに考えます。
○中曽根委員 そこでもう一つこの点についてお尋ねいたしますが、この間四月、犬養さんとあなたがこういう連立内閣をおつくりになつたときに、犬養さんは憲法改正というようなことをひつからめて、国会で三分の二の多数が必要だというようなことをわれわれ議員におさとしになつたことがあります。これはおそらく吉田内閣が講和会議をやろうという伏線があつてやつたのかもわかりませんが、われわれ国民が今考えておることは、たとえば日本の自衛問題であるとか、あるいは国際連合に加入するとかなんとかいう問題、あるいはそのほかいろいろな問題で、憲法改正を必要とする事態が来るのではないかということを一部では心配しておる。吉田総理大臣は憲法改正の御意思があるのか、ないのか。その点をはつきりしていただきたいと思うのであります。
○吉田国務大臣 私は憲法改正の意思はございません。
○中曽根委員 よくわかりました。その次にお尋ねいたします。しからば、講和会議の態勢に乗り組むために、現在の陣容の顔ぶれであなたはお進みになるのですか。内閣改造をやる御意思はあるのか、現在のような貧弱な態勢ではたして乗り切れるかどうか、われわれは心配をしておるのでありますから、老婆心ながらお尋ねいたしておきます。
○吉田国務大臣 私は必ずしも今お話のような弱体な内閣とは考えておりませんから、今のところはその意思はありません。
○中曽根委員 御答弁を聞いて大分安心した閣僚もあられると思います。その次にお伺いいたします。これは別な話でありますが、ともかく日本は東南アジア方面の諸国にかなりひどいこともやつたので、大分誤解もあると思うのです。そこで私はこういう誤解を何とか解くような外交政策というか、渉外政策がなければならないと日ごろ心配そておつたのです。最近議員団がアメリカを訪問したり、あるいはその他のことが外国の好意によつて行われておりますが、わが国民の意思として、たとえばフイリピンであるとかあるいはビルマであるとか、その他東南アジアの諸国あるいはアメリカの議員を、国民が招待するような構想をやることが、誤解を解く上にいいのではないかと思うのです。国民全体はそれを非常に喜ぶと思うのであります。そういうようなことを総理大臣はどういうふうにお考えになるか。そういう御意思があるか、お尋ねいたします。
 第二は吉田総理大臣自身がアメリカ或いはその他の国に行かれる問題はどうか。インドのネール氏あるいはフイリピンのキリノ大統領はアメリカに行かれておりますが、敗戦国が行くということはむずかしいことだけれども、マツカーサー元帥にお願いして、吉田総理大臣が直接にアメリカへ行かれるという御構想はおありにならないか、これもお尋ねいたします。
○吉田国務大臣 今のお話のことはたいへんけつこうであると思いますけれども、これは日本としてただちに交渉を開くことができない。外交関係はとざされておりますから、御趣意はけつこうだと思いますけれども、しからばといつてただいまここでもつてどうする、こうするということは申し上げにくいのであります。
○中曽根委員 その次にお伺いいたします。われわれはポツダム宣言によつて降伏いたしたのであります。われわれが今受けておる制肘というものは、ポツダム宣言とかあるいはカイロ宣言などであると思うのでありますが、われわれはここで無制限に義務だけ負つておるのか、あるいは権利の余地はないのであるか。この点国民の一部がたいへん心配しておるのであります。たとえばわれわれはポツダム宣言によりまして各自の家庭に復帰し、平和的かつ生産的の生活を営む機会を得しめらるべしといわれちおる。しかるにわれわれの同胞はいまだにソ連から帰つて来ていない。これらのわれわれの権利といわれるかどうか、つまり利益、これを救済する方法は絶対にないのか。アメリカというものを通す以外にないのか。あるいは連合国がこの條文を解釈するのであるから、われわれは連合国の意思のみに従うのであつて、何ら救済の道がない。そういうのであるならば、このポツダム宣言を受諾したときの国民の意思とやや違うものがあるのではないかと思うのであります。客観的に見てソ連が今やつておることは、ポツダム宣言違反であると私個人は考えるのでありますがこういうように無條件的にわれわれは義務のみを負つておつて、これらを救済する方法はないのか。たとえばアメリカにお願いいたしまして、これを国際連合の問題にしてもろう。これはたいへんむずかしい問題になると思いますけれども、アメリカを経由して国際連合の問題にしてもろうという糸口がつけば、日本国民には曙光がさし込みます。そういう曙光をさし込ませるような政策をぜひおとりになる必要があると思いますが、このポツダム宣言その他の解釈の問題に関して、ただいまの国際連合に訴えるというような方法はとられないものかどうか、総理大臣にお伺いいたします。
○吉田国務大臣 事実について申せば、総司令部として、あるいは米国政府として、手をかえ品をかえ、ずいぶんソ連にもやかましくと言つては何であるかもしれないけれども、絶えず懇談をし、話もし、希望もし来つたのであります。しかるに結果においては、われわれが希望するごとく遂還されておらないものでありますから、今のような御希望も出、また国民にもそういう希望を持つておる人もありましようが、これに対してどうするということは当局者たる外務大臣としてお答えいたしにくう存じます。
○中曽根委員 外務大臣がそれがお答えできないとすると、日本の遺族や日本国民の悲しみというものは、講和会議が済んでもあるいは解けないことになるかもしれないのであります。こういう状態を続かせるということは、敗戦後に生き残つたわれわれとして、はなはだ申訳ないことであると思うのでありますが、このまま流れて行つて外務大臣はよろしいとお思いになるのか。どういうふうな打開策をお持ちになつておるか、積極的な御所信を私は承りたいと思うのであります。
○吉田国務大臣 むろん私としてはこのままではいけない、困る。また未帰還者の家族親者等に対して、まことに気の毒だと考えますから、できるだけの手段を講じております。しからばこうするとか、ああするとかいうことは、私の地位として今申し上げにくいのであります。
○中曽根委員 この問題についてもう一つお伺いいたしますが、われわれは交戦国同士においては戦争状態が継続しておると思うのですが、中立国との関係は戦争状態はないと思う。われわれが日清戦争をやつて、その戦争が終つた後、清国のスイスに対する関係などの状態が、われわれ日本としてもあるのではないかと思う。ただわれわれ無條件降伏をしておりますから、これを管理しておる連合国なりあるいはマツカーサー元帥というものが、日本の外交能力をとめておる。しかし日本のスイスに対する外交能力はある。ただ日本がとめられておるために、それが復活することができないというだけであると思う。従つてマツカーサー元帥あるいはその他の機関が、中立国に対する外交関係を日本をして復活せしめるということは、私は講和会議前といえども可能であるだろうと思う。現にオーストリーでありますか、イタリーでありますか、そういう事実があります。そういう事態に現在の事態を展開して行くという御所信はありませんか。またそういう見込みはありませんか、外務大臣にお伺いいたします。
○吉田国務大臣 現在のところは連合国により日本の外交権が停止されておる状態で、総司令官の指揮のもとに入つておるのであります。ゆえにできないのであります。
○中曽根委員 できないことはわかつておりますが、外務大臣はそれを打開する意思がないのか、方策がないのか、そのことを承りたい。
○吉田国務大臣 できないのでありますから、希望としては打開いたしたいと思いますが、いかんともできない状態にあります。
○中曽根委員 もう一つ條約上の問題でお尋ねいたしますが、われわれは国際條約の上からは、ポツダム宣言あるいはそれから発してカイロ宣言等に制肘されておるわけでありますが、ヤルタ秘密協定はわれわれは何ら関係がないと思うのであります。このことは講和会議で領土條約やその他が問題になつたときに、われわれはあるいはこういう問題が考えられなければならないというおそれがあると思いますので、ヤルタ協定というものは敗戦日本として何ら関係がないかどうか、総理大臣の御見解を承つておきたいと思います。
○吉田国務大臣 いつのステートメントでありましたか、アメリカ側の見解としては、ヤルタ協定は協定国である各国の間の関係であつて、すなわち連合国としては日本に対してある権利はあるけれども、日本国民はヤルタ協定なりその他の協定によつて、主張することはできない地位にあるのだということは、トルーマンでありましたかだれかが、アメリカ政府の意見として、はつきり述べております。
○中曽根委員 アメリカの見解はそうかもしれませんが、日本の外務大臣として條約解釈をなさつた場合に、あなたはヤルタ協定というものをどうお考えになつているか、そのことを承つている。
○吉田国務大臣 日本としてはアメリカの解釈に従うよりほかしかたがない状態に今日あると思います。
○中曽根委員 もう一つ條約上の問題で承りたいと思います。この間うち一番問題になつた軍事基地の供与という問題でありますが、たとえばわれわれが條約によつて、軍事基地でなく外国にこれを租借させるということも、あるいは将来起こるかもしれない。たとえば香港のような場合であります。そういうような考えで実はそれを供与した、しかしあとでその国がこれを軍事基地に転用したという場合が起るかもしれない。われわれがそういうことを知らないで、軍事基地でなくて租借させたというようなことは、憲法違反にはなるのかならないのか、総理大臣の所信を承りたいのであります。
○吉田国務大臣 そういう仮定の問題については外務大臣としてお答えが出来ません。
○中曽根委員 私は仮定の問題を言つているのではないのであつて、国民が今一番危惧を持ち、不安を持つて考えていることを、総理大臣としてあるいは外務大臣として承つておきたいと思つている。これは條約の解釈の問題であつて、必ずしもいろいろな周囲のことを考える必要のない問題であるだろうと思う。ただいま申し上げましたように、一般的にこれを租借させた場合にあとで転用された、これは憲法違反になるかならないか、憲法の解釈問題としてもう一回承りたいと思います。
○吉田国務大臣 そういう事実の問題が起こつた場合に、互いに研究いたしたいと思います。
○中曽根委員 総理大臣は一年も前から外交や講和條約の問題を御研究なさつておるということを新聞で拝見しております。当然それらの問題も研究済みであると思う。もし研究していないなら、これは怠慢であると私は思う。総理大臣がお答えにならない以上は、そういう問題すらまだ吉田内閣は研究していないと私は解釈いたします。
 その次に承りたいと思いますのは、この間うち吉田内閣は、たとえば朝連の解散であるとかあるいは朝鮮人学校の閉鎖であるとか、一連の政策をお取上げになつた。私はあれを見て非常に悲しんだのであります。われわれが東亜諸民俗に与えた惨害その他の大きな障害というものは、はかり知れざるものでありまして朝鮮の人やあるいは台湾の人や中国の人が、日本で現在多少のいろいろな支障を起こしている、そんなどころの騒ぎではないと思う。われわれはやはりアジア人として、日本人として、一つのアジアというものを復興して進まなければならない。そういう際に、敗戦国の日本として、今まで迷惑をかけた近隣の諸国人に対して、」あまり刺激的な政策をやるということは、私は国家百年のためにとらない。吉田内閣がこの間おとりななつた、たとえば朝鮮人学校の閉鎖という問題を考えてみても、韓国の李承晩系統の南鮮の人が来て、あれをいろいろ調べているようです。私はこれは今後の日韓関係に一つのきずを与えたと思う。やつたことはしようがないが、あれを閉鎖したままでおき、解散したままでおくというようなことは、はなはだ不親切な態度だと思う。たとえば解散を命じたなら、送還するというところまで行かなければならぬ。送還するかぎりは財産をみな持つて向こうへ帰つてよろしい、一千円とか二千円とか制限しない、そういう取扱いをして向こうへ送還するというところまでやつて、初めて閉鎖とか解散とかいうものはやるべきである。学校の問題もそうです。そういうような刺激的な政策を吉田内閣はどうしておとりになつたか。掃除大臣のあの措置をおとりになつた時のお考えを承りたい。
○吉田国務大臣 これは各地における騒擾事件でありますとか、密輸入であるとか、あるいは強盗、窃盗、いろいろな不詳事件が朝鮮人によつて起つた。ことに平その他の地方において相当重大な騒擾が起つておる。またある殺人事件もあるいはそういう関係で出たのではないか。いろいろな問題があり、そして日本の治安を維持するためにやむを得ずとつた次第であつて、決して朝鮮人に同情のない訳ではないのであります。ゆえにまた差押えした財産などは現に適当な処分をして、返還するとかなんとかいうことをしておりますので、今その善後処置についてはしきりに研究中であります。また日本の法律を破り、日本の治安を破るような朝鮮人は送還いたしたいと思つておりますが、しかしこれは総司令部の関係もありますから交渉中であります。
○中曽根委員 総理大臣にお断りしておきますが、私は何も朝鮮でもなければ、共産党員でもない。私はやはり日本人として、将来の日本のためを思つて率直に申し上げておるのであります。日本が過去において東亜各地でやつた罪業というものは、ぬぐうべからざるものであり、強盗をやつた、強姦をやつた、それくらいのものでぬぐわれるものではない。そういう大きな罪の自覚立つて外交というものは行われなければならない。今後このようなことが吉田内閣によつてますます続行されるということになれば、あなたはそのうちにおなくなりになるからいいかもしれないが、われわれはあとになつて大いに迷惑をする。そういうしりぬぐいをわれわれはやりたくない。吉田内閣はそのような政策を今後やらぬということを、総理大臣に対して希望して、私の総理大臣に対する質問を終ります。
○植原委員長 次に今井君。(「質問の届出の順序が違う」と呼ぶ者あり)順序を今井君がかえることを御承知くだすつておられましたから、風早八十二君。
○風早委員 吉田総理に三点ばかり質問いたしたいと思います。
 第一は外債の償還と軍事基地の問題であります。第二は見返り資金の運営の問題であります。第三は日本農業の将来、こういう問題であります。
 質問に入ります前に総理に二つばかり申し上げておきたいことがあるのであります。その一つは講和問題についてのわれわれの発言についてであります。講和問題は御承知のように、現在朝野をあげて全国民が非常な関心を持つておるのであります。現に日々新聞で講和問題を取扱つておらない日はない。それくらい輿論が沸き立つておる。この問題につきまして国会議員だけが、少しでもその発言を制限せられる。先ほど総理は抑制する意思はないと言われましたが、事実そういう点を総理が何ら干渉される必要はない。その点につきましてわれわれは発言の自由を十分に留保しておくということを申し上げたい。
 第二に総理は例によつて仮定の上に立つては話ができない。いつもこれで逃げられる。この仮定の上に立つて話ができないということは、どこから教わられた知恵が知りませんが、常にこれをやる。しかしながら今中曽根君も言われましたように、これは仮定の問題ではありません。現在講和会議の問題はもう現実の問題であります。政治というものは来年度の問題でも再来年度の問題でもない。現実の問題として取上げられる問題でありまして、仮定の問題ではない。この点について仮定の上に立つては答えられないということは言つてもらいたくない。ぜひ答えてもらわなければ、国会の審議というものは進まない。このことを申し上げていきます。
 軍事基地の問題でありますが、昨日本会議で私の質問に対して、総理は現在軍事條約の締結はない。これはあたりまえであります。軍事協定の締結もない、これも現在の事実としてはあたりまえであります。しかしながらこれからそういう軍事條約あるいは軍事協定といつたものを、締結せられる意思があるかどうかということを私は承つておる。またそういう意思があられなくても、実際に事態をこのままにしておいたならば、結局軍事基盤を提供する危険を生ずるのではないか、この点についての見通しを伺つておつたのであります。しかしながらこれらの点についてはお答えがない。今日あらためてこの点について私は伺いたい。なぜなればこの軍事基地というものが、もしもわれわれの意思に基こうと基くまいと事実設定されるならば、それはどうしたつて、こうしたつて日本を戦争に巻き込んで行く危険がある。この点で私はぜひともこの問題にははつきりした責任のある御回答を願いたい。
 それから外債の問題でありますが、外債が実にたくさんある。外債、いわゆる狭い意味での外債だけでなく、米軍その他の浪費というものは莫大であります。これは米軍につきましてだけでも一日に百万ドルある。毎日々々百万ドルの金を食つておる。これは終戦処理費とはまつたく違います。これだけの費用というものが日本の借金として積み重なつておるわけであります。さらに旧日本軍の占領地におきまして発行いたしました軍票、各種の銀行券、損傷財産というものに関連しまして、弁済しなければならないものがたくさんある。また戦後のいわゆる援助資金、これも先般マツカーサー元帥閣下がアメリカの国会に対して送つた書簡の中にもたびたび私の申しておるようにはつきりしたこの債務の規定があるわけです。もしもこの債務を支拂わない場合においては、われわれは先取特権の用意があると申しておる、先取特権とは何か、これは今日本の九州には石炭がたくさんとれる。あの辺が目ぼしいからこの先取特権の対象にしようということになればどうなる。九州はとられてしまう。(笑声)じようだんじやない。そういうことはあり得る。九州の全土をとることはないけれども、軍事基地という問題に関連してみた場合には大いにあり得る。このことを伺いたい。こういう積み重なつている援助資金その他日本の債務というものの総額はどのくらいあるか。これはたいへんなものになる。それを出してください。そして債務をいかなる方法によつて支拂われるか。首相は先般新聞紙上に伝えるところによりましても、この外債の償還ということには非常に熱心である。この点はわれわれも別に意義を申し立てるわけではない。しかしながらこの莫大なる外債を、はたしていかなる方法によつて償還せんとするか、これが問題なのであります。私が最も心配するのは首相の単独講和、このいわゆる単独講和の場合におきまして、かねて新聞にも伝わつておる――これはアメリカ筋の意見として伝わつておる軍事條約というものを締結されて、その中で軍事基地を設定される。それがこの外債償還の一部と鋼管條件になる。こういうことは決してあり得ないことじやない。そういう危険があると思うから、われわれは質問するのであります。また国民がこれを最も憂えておるから質問するのであります。この点について総理より明確なる御答弁を願いたい。
○吉田国務大臣 お話の軍事基地の問題は、講和条約にどういう要求があるか、講和助役の問題が出てここに初めて具体的問題になるので、私としては仮定の問題であるからというのではなく、こういう問題に軽々しく私が触れれば、いろいろな国際問題といいますか、外国の誤解とか善解とかうず巻いて来まして、やがて誤解が生ずるとすれば、講和条約に影響を生じますから、こういう問題については外務大臣としてお答えしない方が、国家のためにいいと考えますからお答えいたしません。それからまた債務についてはどれだけの債務を債務として考えるか。私の申したことはいやしくも日本の義務に属する債務は全部償還すべきである。日本の国民の名誉においてこれを償還すべきである。これをどうして償還するかといえば、貿易の伸展によつて蓄積された外資で拂う以外に方法はないはずであります。一応お答えします。
○風早委員 今総理は仮定の上に立つてではないが、この問題について答えることは国際的に影響があると言われた。しかし問題は簡単であります。われわれがポツダム宣言の趣旨に従つてこの問題に答弁されるならば、だれにも恐れることはない。先般現に参議院におきまして――これはむろん別な意味で取消されたそうでありますが、しかしながら参議院においては、首相は相当のことを言つておられるように新聞で承つておる。これは首相が取消されたということ自身、われわれはまた問題だと思います。なぜならば、ポツダム宣言の趣旨に従つて首相が同様な発言をされたのであるならば、何もこれを取消す必要はない。この点について首相が今ただただ答弁を回避せられるということは、これは結局その御答弁の内容が、むしろ国際的な反響ということよりも、国内でその結果が、結局は軍事基地を提供してしまうというような恐るべき結果になるということを、国民に知らせることを恐れるためであるとわれわれは断ぜざるを得ない。この点について首相の御所見を承りたい。
○吉田国務大臣 私が取消した言葉については、ここで責任を持ちません。
○風早委員 第二に、これは池田大蔵大臣にも伺いたいけれども、見返り資金の運営の問題につきまして、この際解くに総理に伺いたいのは、この根本方針についてであります。見返り資金というものにつきましては、まず第一にその運営が日本の自由にならない、連合軍最高司令官がこれの運営について承認を与えなくてはならぬ、こういつたような条文があつたのでありまして、これは幸い民自党の諸君の御同意を得まして削除することができたのでありますが、しかしながら、こういう条文があつたほどでありまして、われわれは事実の上でこれがどうなつておるかということは十分に監視しております。さらに第二に見返り資金の実際に入つて来るということにつきまして、これは結局今首相も言つておられます貿易計画が、順当に進みました場合において、初めて千七百五〇億円というものは入つて来るわけであります。貿易計画が破綻した場合には入つて来ない。最初からその危険があつた。これが第一であります。第二に、将来その金をどう使うかということは、将来その金をどう使うかということは、第一点に関連して非常に問題である。この見返り資金が、たとえば災害の問題でありますとか、六・三制でありますとか、今日最も焦眉の急を告げておる用途に供せられるというならば、まことにけつこうである。見返り資金けつこうでありますが、しかしながら、第一の点とも関連いたしまして、必ずしも日本の経済の自主的な再建にほんとうに使われておるか、使われるかどうか。この点が非常に疑念があつた。しかしながら、これは前国会においてはまだ抽象的な問題であつた。しかるに今日までの数箇月の間に、いよいよこの問題が実証せられて、われわれがかねて案じておつた通りになつて来た。この最後の点でありますが、何よりもかによりも見返り資金がとんでもないところに使われ、また使われようとしておる。たとえば石油の問題をとつてみましても、カルテツクスと興亜石油の契約があります。石油というものが、日本に足りないから外国から輸入するということはけつこうであります。しかしながら、そういうふうにして輸入されるならば、ほんとうに日本の再建に役に立つものに使わなければなりません。しかるにこの石油はどこに行つたかさつぱり行方がわからない。全然日本の産業や農村は言うまでもなく、漁村にもまた機帆船にも使われておらない。こういう事実がある。一体どこに石油が行つたか。しかもどんどん石油が入つて来る、見返り資金は興亜石油というものにどんどんとつぎ込まれる。これは見返り資金の用途をはなはだ誤つておる根本的な実例であると思う。見返り資金というものをそういう点に使つてもらいたくない。ほんとうに日本の再建のために使つてもらいたい。こういう点で二十四年度予算案、並びに補正予算案を通じ、根本的な運営方針として、これをどこまでも日本の自主的再建に役に立つところに使うつもりであるかどうか。今年さらに来年に通ずるこの予算の運営について、てこであると内閣も認めておられるこの見返り資金の根本的な運営方針、これをどこまでも日本の自主的な再建に役に立つところに使うつもりであるか。今までそれが実際に使われておらないということについて、総理大臣はその事実を認められるかどうか。これらの点について私は特に吉田総理の御所見を伺いたい。これがもしもはつきりしておらなければ、大蔵大臣がどういうところで使おうと、これはわれわれとしても責任と追及しがたいのでありまして、はつきりした御所見を伺いたいわけであります。
○吉田国務大臣 従来見返り資金といいますか、アメリカの援助資金がどこに使われたか、おもに現実にどういうふうに使われたかというその形跡が明瞭でないから、日本の復興のために明瞭に使われるために、特に千四百幾らでありますか、これを日本の復興のために使えるようにというので、今度別種の取扱をすることになつて、お話のような明らかに復興を助けるがごとき用途に使う、また使いつつあるのであります。また使うためにいろいろ厳重な調査をして、その用途を譲らないようにいたしておるのであります。
 石油の問題については私はあまり知りませんから、関係者からお答えいたさせます。
○風早委員 今抽象的には、何でもかんでも日本再建の役に立つために使う、そう言われるのでありますが、事実がそれを許さない。先ほども申しました興亜石油におきましては、興亜石油の増資の見積書などを見ましても、事実その経費のほとんど大部分というものは見返り資金で使つている。しかもその石油たるや、先ほど申しましたように、これが日本の再建には少しも役立つてはおらないのみか、それの反対と思われる方向にこれが流れておるということは事実が示している。でありますから、今の吉田首相のこの御答弁は、ただ単に言葉の上で再建に役立つために使つているつもりだと言われるだけでありまして、全然事実に反しているということにつきまして、これを認めるかどうかということについては、まだお答えがないわけでありますから、これをお答え願いたい。
○吉田国務大臣 ただいま申した通り、石油につきましては私よく存じませんから、取調べた上お答えいたします。
○風早委員 それでは今の点は、安本長官にお答え願いますが、まだ総理への質問がもう一点残つておりますから、留保しておきます。
○青木国務大臣 ただいま御質問の石油会社云々は私どもは存じておりません。御承知かどうか存じませんが、今まで入つております中から、鉄道に百億、通信に八十二億、それから日窒に一億七千万円、飯野海運に二億一千万円、それだけが決定いたしておるのでありまして、それ以外にただいま風早君のおつしやいましたものは私ども存じておりません。
○風早委員 これはこの経営の実際にそれを受取つている面から調べてある事実でありますが、それを政府が知らないというのは政府の責任であります。われわれが興亜石油の帳簿から調べてあるのだから、これくらい確かなことなはい。
 それでは総理大臣に第三点をお伺いしたいのであります。問題は日本農業の将来であります。日本農業の問題は決して農林大臣の問題ではない。また農林大臣にお聞きしてもこれは十分にはお答えは得られないと思つております。そこで問題は、今、日本の経済再建につきまして、日本農業というものが一体どういう位置を持つているか、日本農業の位置付けを御説明願いたいと思います。どういうふうに政府は農業というものを考えておられるか、これをはつきりしてもらえれば、農林大臣もたいへん喜ばれると思う。今現に政府がとつておられる政策によれば、日本農業はもう刻々に没落してしまう。農民の生活はむろん破壊されますが、農業そのものが没落してしまう。そうなつたら日本自身がもう立つて行かれない。われわれはただ単に自給自足ということを言つておりません。しかし少なくとも食糧に関する限りは、どこまでも日本農業を発展させて、その上にわれわれの少くも必要である八千万の食糧は確保したい。これは日本を独立国とするためには、どうしても必要な前提条件なのであります。しかるに今とられているような食糧輸入第一政策、これはまつたくこの目的に反している。食糧を輸入するためにどんどん補給金が増している。これだけの五百数十億の補給金を、もしも日本農業のためにまわすならば、日本農業は立ちどころに発展するのでありまして、食糧問題もむろん解決する。現在においても大体実際の数字からいえば、今日どんな赤ん坊を加えても、一年一人当り一石の米麦はあるのです。これは自家保有米の関係がありますから、それだけで十分でないことはわかつております。しかしもしもこの五百数十億の莫大なる補給金を、高い食糧を入れるために使うくらいならば、せめてその半分ぐらいでも農業の発展のためにつぎ込まれるならば、農業はたちまち発展する。こういう点で根本的にやり方が間違つているのじやないか。われわれはどこまでも日本の農業、ひいては日本の民族を犠牲にする外国依存政策、外国食糧導入政策というものを、根本的にこの際きりかえてもらいたい。この点で総理大臣の御所見を聞いてみたいと思います。
○吉田国務大臣 今日日本としては主要食糧が欠乏しているために、外国から食糧の輸入を仰ぐという以外に、日本の国民食糧の問題は解決できないから、輸入を得ているわけであります。将来もこのままでもつて外国の食糧に依存するとわれわれは言つているのではないのであります。日本の農業を高度化して行つて、単に養蚕とか米とかいうようなもののみに依存せずして、多角経営といいますか、何かむずかしい用語があるようですが、そういう多角経営をして、農業の高度化をはかつて行つて、そうして農業として自立農業、日本の食糧の自立化はもちろんでありますが、さらに進んで日本の農産物をも外国に輸出する。日本の経済の基礎をなす農業を十分育成することについてはわれわれも考えております。しかし単に五百億余の金を農業に費やしたからといつて、農業の根本的問題は界蹴るするものではないと思います。長年にわたつて日本の農業の発達を専心はかるべきものであるということを、われわれは考えております。
○風早委員 総理大臣は考えていると言われるのでありますが、実際に何もやつておらない。この食糧の導入は、今食糧が不足であるということを唯一の理由にせられますが、これは当らない。先ほど申したように、実際食糧はある。ただこれは政府の施策よりしきを得ないから、十分に配給されないだけである。現在でももうあるのだから、これをもう少し日本農業の発展の方向に手を加えたら、立ちどころに解決する。そういう点を全然無視して、政府の施策の失敗をおおい隠して、ただ単に足りないから入れるのだと言つている。ほんとうに足りないのならば、入れるのもしかたがないが、足りないのではない。まだほかに増産の方法がある。そこへまず第一にわれわれは力点を置くべきじやないかということを言つているわけであります。
 さらに日本の農業並びに農民を非常にさんたんたる状態に陥れているのは、ただ単にそれだけの問題ではない。あらゆる施策について農業、農民をないがしろにしていることは明らかである。たとえばこの十月四日に決算委員会がありまして、われわれはこの委員会において検査米の問題を出した。政府は検査米の規則の改正を九月二日にやつておりますが、これは今まさにこれから早場米を出そうとして、とにかく一年間致々営々と働いて、これから出そうとしているやさきに、政府はこの早場米の四等米の奨励金を廃止した。こういう乱暴なことをやつている。これは一体何ですか。そこで私は、こういうけちくさい、けしからぬことをやるのは、それほど財政的な穴があいているのか、と聞いたわけであります。それに対して政府当局は答えて曰く、それは財政的な理由じやない。しからばこれは政治的な理由であるか、と追究した。ところがこれに対して、それは政治的な理由だ、つまり関係筋の意向だ、と言う。こういう次第でありまして、すべてあなた方の政策の根本、日本農業や農民を苦しめるその根本は、結局外国依存策にまつたく基因しているということが、明らかになつた……
○植原委員長 風早君、あなたの総理に対する質問は、今井君が譲つて質問を許すことになつたのであります。まだそうりにたくさん質問もありますから、質問はけつこうですが、あなたの議論を聞いているようなぐあいですから、なるたけ議論の分を除いて、単刀直入に質問を願いたいのであります。
○風早委員 先ほどから承つておりますと、総理大臣は何も御存知ない。総理大臣に質問するのは骨が折れる。だから一々説明しておかなければわからない。多角経営だとかなんだとか、今問題になつているカルテツクスと興亜石油との契約問題もわからない。そういう次第でありますから、やむを得ず私はるる説明しているわけであります。
 しかしもうこれでやめますが、あとはもう一点だけ……結局吉田総理大臣は、日本の農業の将来、日本の農業の見通しを考えていると言うけれども、実際いかに具体的に日本農業を発展させるつもりがあるか、もしつもりがあるならば、どういう方向でされようとするのか、それは日本農業の根本的問題ですから、お尋ねいたします。
○植原委員長 総理大臣はお答えありません。――今井耕君。
○今井委員 第五回国会におきまして、遺家族の援護とか、土地改良の促進とか、いろいろ決議されております。この補正予算を見ますと、そのうち六・三制の問題については、不足ながら十五億円の予算が計上されておりますが、ほかのものについては何らこれに触れておりません。これはまことにわれわれ遺憾と存ずるのであります。一般の国民も、全会一致で決議されたのであるから、これは大いに期待いたしております。なおこの決議につきましては、政府、与党も全部賛成であります。こういうものが具体化されないということは、国会中心主義の政治、民主主義の政治から考えましても、まことに遺憾に思うものでありますから、この国会の決議に対するところの政府の責任につきまして、首相の所見を承つておきたいと思います。
○植原委員長 はなはだ失礼でありますけれども、よく聞こえなたつたそうですから、いま一度今井君の質問を繰返していただきたいと思います。
○今井委員 第五回国会におきまして、いろいろ土地改良の促進に関する決議とか、あるいは遺家族の援護に関する決議案が成立いたしております。これに対して今回のこの補正予算には六・三制の問題につきましては不十分ながら十五億円の予算が計上されております。しかし他の問題につきましては、何らこれに触れておりません。これはまことに遺憾に考えるのであります。国民といたしましても全会一致で決議したのでありますから、ぜひ実現されるものと大いに期待いたしております。われわれももとよりであります。こういうような国の最高の機関である国会の決議したものは、当然政府の責任においてこれが実現されなければなりません。こういう国会の決議に対する政府の責任につきまして首相の所見をお伺いしたい、こういうふうに考えるのであります。
○吉田国務大臣 六・三制の問題については、御承知の通り十五億と記憶しますが、補正予算にも載つておりますし、二十五年度の予算にも相当額計上いたしております。土地改良については、これは土木費等において相当計上されて、治水、治山及び土地改良は別に項目として載せておるはずと記憶いたしております。それからまた遺家族の保護のことについては、厚生省において相当予算に計上しておるはずだと思います。決して議会の決議を無視しておりません。その決議に従つて予算に相当の措置を講じておるはずであります。しかしながら何分予算が不十分のときでありますからして、御満足の行くまで計上してあるかどうかは存じませんが、相当の計画を立てておるはずであります。
○今井委員 遺家族の援護の問題につきましては、厚生省予算に若干組んである。こういう御答弁でありましたが、土地改良の経費につきましては、災害復旧の予算が計上されておるだけでありまして、一文も計上されておらぬように承つております。さらにこの点について御解答を願います。
○吉田国務大臣 お答えいたします。八十五億何がしの復旧土木費の中に組んでおるそうであります。
○今井委員 その八十五億の内容でありますが、それはあの決議案に沿うような内容のものとは違うのであります。首相はその内容を十分御承知でないと考えますが、その点一言お答え願います。
○吉田国務大臣 主管大臣からお答えいたします。
○青木国務大臣 土地改良の費用でありますが、これは補正予算のうちの八十五億というものを、それからその内容についての問題が未決定の部分がございますので、この点についてはなお私どもの方で十分検討をいたしまして、早急に決定をいたしまして、申し上げたいと存じております。
○今井委員 納得の行くところまで御答弁がいただけぬのでありますが、私は決議案に対する政府の責任を聞いておるのです。従つてあの決議案の趣旨に沿うところのものであることを私は解くに希望いたします。
○植原委員長 次に勝間田清一君。
○勝間田委員 私は少しかわつた面を総理大臣にお尋ねしたいと思います。この前再々総理も答弁はされておるようでありますが、あらためてはつきり伺いたいと思いますのは、長期計画をせつかく立てておつたのに、これをおやめになつた。今までの総理の答弁というものは、ほとんどわれわれは理解できないのでありますが、いかなる理由で長期計画をおやめになつて発表を差控えたが、その辺の理由をお聞かせ願いたい。
○吉田国務大臣 お答えいたしますが、この五箇年計画の書類ができた以後において、いろいろな事態が起つておるのであります。たとえばドツジとか、シヤウブとか、税制とかあるいは予算とか当時調査委員において考えられなかつた問題もいろいろ起つておるのでありまして、ポンド切下げとか国際の関係がいろいろかわつておりますから、一応政府においてあの印刷物について再検をするようにもうしておるのであります。現に今再検中であります。
○勝間田委員 その後シヤウブさんが来るし、あるいはドツジさんが来るということで、事情がかわつたからこれを再検討することになつたというお話でありますが、そうすると、今までお話になつたこと、たとえば新聞紙上でこれはアウタルキーの性格が強いと言われておつたのでありますが、これは誤報でありましようか。どうでありましようか。一応お尋ねいたします。
○吉田国務大臣 私は新聞にそういう発表をいたしたことはありません。
○勝間田委員 現在そういうことを考えておりませんでしようか。そうは理解しておりませんが……
○吉田国務大臣 今申した通りに再検をさせておる間であります。
○勝間田委員 この前本会議で述べられておつたのでありますが、どうも四年や五年は短か過ぎる、もつと長くなければ困るというような御説明をされておつたのであります。きようの御答弁とはたいへん違うようでありますけれども、いわゆる長期の大計があるから、これは短いのでやめるのだ、こういうように解釈することはそれは誤りであるかどうか、その点を重ねてお答え願いたい。
○吉田国務大臣 お答えしますが、私の言うのは五箇年というのは、たとえば五箇年計画として考えてみても、五箇年は長きに失し、もしくは短きに失する。なぜかというと、日本の統計も十分でなし、またその後いろいろな国際関係の変転きわまりないこの際において、五箇年計画を立てるのは立てたが、その計画については政府においてさらに検討をする必要がある。そうしないと、もし間違つた論拠、あるいは間違つた統計によつて、思い設けなかつた事態が生じたにもかかわらず、その以前において書き上げた書類を発表することは、政府としてどうだろうか。すなわち慎重に再検討をして発表するこう申しておるのであります。
○勝間田委員 その後の條件がかわつたから、そういう條件をよく加味して再検討をするということがありますが、今までの安定本部にあつた委員会をやはり活用されて、そこで新しい條件というものを組みかえて再検討されるのでありますか、あるいはまた別の機構でもつくつて再検討されることになるのでありましようか、そのてんをお尋ねしたいと思います。
○吉田国務大臣 内閣としては、安定本部においてさらに検討させますが、従来の委員を使うか使わないかはきめておりません。
○勝間田委員 次にお伺いしたい事柄は、従来五箇年計画なり、三箇年計画を立てる場合に、一番注目されておつたのは、昭和五十九年の平均生活水準に立ち返つて行くということを、目標にした計画というものを立てておつたわけであります。聞くところによれば、極東委員会において一九五二年にこの水準に到達することを承認されておるということでありますから、この問題は日本の産業水準を考えて行く場合に非常に重要だと実は考えるのであります。それでいわゆる五箇年計画というものを無視することについては私は反対でありますし、また再検討するということでありますから、一応は了承いたしますけれども、もし講和会議の開催される場合における日本に許される産業水準という問題について、吉田総理はどうお考えでありましようか、所見を伺いたいと思います。
○吉田国務大臣 講和條約の問題については、講和條約の原案を見た上でなければ、われわれは何とも申すことかできません。どういう計画をもつてわれわれの方へ臨むか、今日のところは検討がつきにくいのであります。さらに具体的な提案を見た上で御相談いたします。
○勝間田委員 しかしこの一九五二年にこの水準にまで日本の生活水準をもどすという極東委員会の認定というものは、非常に重要だろうと考えますが、これについていかようにお考えになりましようか。
○吉田国務大臣 この点も私は外務大臣として批評する立場に今ありませんからして、お答えは留保いたします。
○勝間田委員 従来の賠償撤去の問題にいたしましても、あるいはいろいろの経済政策の問題にいたしましても、ポツダム宣言にあります通りに、日本が再び戦争を起こすことのないように、それから当時においては私の記憶に間違いがなければ、もう一つの条件は、日本国が戦つたアジアの諸民族の生活以上の生活をさせない程度において、この二つの条件において日本の産業水準というものがきめられ、また同時に賠償撤去の問題も論議されて、これが漸次緩和を見つつあるということは、われわれ非常に喜びだと思いますけれども、これらの問題を含めて私は講和会議の問題について、日本の産業水準を、希望としてやはり日本国民が相当高く持つておるこたは必要だろうと考えるのでありますが、それを現在の内閣は、とかく私は疑惑を持つのでありますけれども、統制を撤廃するとか、あるいは自由貿易にする、あるいは多角貿易にするというような面でこの問題が軽視されて、漸次日本のそういつた水準の問題がないがしろにされて行くような心配を実は持つわけであります。それで吉田総理に対して、これらについてはひとつ十分な見解を持つていただきたいと考えておるわけであります。この点について吉田総理の所見を承つて、私の質問を終ることにいたします。
○吉田国務大臣 私一個の所見をここに述べるということは、やはり講和条約の関係において、極東委員会その他の論議に対して批評を加えるとか、あるいは賛否いずれか議論をしなければならぬということになりますから、そのためにいろいろな国際間に誤解もしくは善解、いろいろなうわさを生ずるということはおもしろくないと思いますから、これに対するお答えは留保いたします。
○植原委員長 これで今まで総理に通告された総理大臣に対する質疑は一応終りました。もちろんなお本日あらためて野坂、黒田、世耕君などより、総理大臣に対する質問をしたいとの御希望を申し出ております。これは次会に総理大臣のお出かけのときに願いまして、一応予定された総理大臣に対する質問をこの程度で今日とどめまして、次の質疑に移りたいと思います。
 大蔵大臣は税制委員会に今おるそうですが、すぐもどつて参るそうであります。それでこの際安本長官もおいでになりますが、稲村君、安本長官に御質問くださいますか。
○稻村委員 私は大蔵大臣の質問に関連して言うのですから、大蔵大臣に対する質問を……
○植原委員長 それならば、あなたの質問の中に運輸大臣に対する質問がありますが、それはなお大蔵大臣に関連する……
○稻村委員 こま切れでやつてもしようがないので、大蔵大臣に対する質問に関連してやるのです。
○植原委員長 それならば、あなたのはあとまわしにするよりいたし方がありません。それじや中曽根君、安本長官に御質問になりますか。
○中曽根委員 大蔵大臣は何分後に参られますか。
○植原委員長 大蔵大臣はすぐ大蔵委員会の方からおいでになりますが、大蔵大臣が参りますれば、小峯君の質問が少し残つていますから、それを済まさなければなりませんので、あなたここで安本長官に対して御質問くだされば、時間の節約の上からいつて、たいへん便利だと思います。
○中曽根委員 私はやはり大蔵大臣と安本長官とは一緒に聞いてもらつた方がいいと思う。
○植原委員長 この際薪炭問題に関する小委員会を開きたいという小委員会からの希望がありますから、これを許します。
 では、大蔵大臣に対する質問の継続を許します。小峯柳多君。
○小峯委員 先ほど大蔵大臣の質疑を続けておりまして、金利引下げという問題に入つておつたのでありますが、その金利を引下げるためには、経営を合理化しなければいけないし、資金の量も相当ふえなければいけない。そういうふうに経営を固めて金利を下げるというお話も出ましたが、最近銀行の経営を引締めるため、あるいはこれを合理的にするために、検査を行つておるように承知しております。しかしその検査のやり方が、従来のそれとは少し趣を異にしておるように聞き及んでいるのでありますが、その新しい構想の検査のやり方について、おさしつかえない範囲で承りたい。
○池田国務大臣 銀行の検査を拡充することによりましてやつております。検査の方法の変化等は銀行局長をしてお知らせいたさせます。
○小峯委員 銀行局長からのあとの答弁を期待いたしまして、問題を次に移します。
 金融機関の経理基準と申しますか、先ほど大臣の答弁の中に、銀行の経理の点に触れておりましたが、大蔵省はその点を考えておるようにも聞いておりますので、その後の成行き、これに対する御見解を承りたいと思います。
○池田国務大臣 金融機関の経理基準につきましては検討いたしておるのであります。これは税制改正の問題等とも関連いたしまして、目下検討中でございます。
○小峯委員 さらに金利の引下げの問題に関連いたしまして、高率適用の問題であります。御承知のように、日銀からの借入れが一定限度に達しますと、この高率適用を受けるのでありますが、これが金利の引下げに多少阻害になつておるといたしますれば、高率適用の問題をもう一ぺん考え直してもいいというように考えられるのでありますが、この高率適用の問題をどうお考えになりますか。金利引下げの問題と関連して伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 金利の引下げの問題と高率適用の問題とは、そう重大な関連はないと考えております。ただいまのところ毎月の状況を見ますと、五、六行程度でございまして、しかも高率適用を受ける金額は、ごく少額であるのでございます。従つて一般金利の問題と直接の関係がないように考えます。なお高率適用をこのまま置くか置かぬかという問題でありますが、これは私はあれをきめました当時とは、情勢がほよどかわつておりますので、少し検討してみたいという気持で研究いたしております。
○小峯委員 高率適用の問題は、これからの質問とも実は関連があるのであります。それは大蔵大臣の御見解で地方と中央に金利、特に預金金利にさやをつけるお考えはないか、御承知のように昔は甲種、乙種というように、地方別に預金金利はかえておつたのであります。戦争中地方の金を中央で自由に使うという企図であつたかどうかしれませんが、この金利の差額が現在は撤廃されております。地方で使おうと思つて集めた金を、中央に持つて来て地方を犠牲にして使つておるような点があるかと思います。もし地方の預金利子を上げますと、資金コストの点から中央に集中することが不可能になります。自然地方金融の改善に役立つのだろうと思いますが、その点いかにお考えになりますか。この点あるいは先走つておるかもしれませんが、承りたいと思います。
○池田国務大臣 同じ銀行で中央の大銀行と地方の銀行と金利をかえてやるいう御意見でございますが、私は必ずしもそう考えておりません。しかしてそのお考えの前提として、地方の六十ばかりの銀行と、中央小野銀行との預け合い関係が、非常に多いように御想像のようでありますが、私はそうたくさんとは思いません。もし預け合いがあるならば、地方の農業協同組合でありますとか、特殊の機関とのつながりを考えなければなりません。銀行間においてはそうないと考えております。
  (委員長退席、上林山委員長代理着席)
○小峯委員 地方の金利の問題に関連いたしまして、実は一県一行主義の修正という問題をやや具体的に伺いたいのであります。大臣の御演説の中にもありましたが、この修正は大臣として思い切つた構想だろうと思います。銀行は一県一行に固まりましていわば共存の経営から申しまして、独占的な経営になりやすいのであります。そういう点をねらつて一県一行主義の修正を御構想になつておると考えます。この問題はなかなか簡単でありませんので、今の地方銀行でも長い間の信用と歴史、伝統というものがございまして、急に一県一行主義を修正しても、なかなか信用ある銀行というもは生まれないだろうと思います。大臣は地方の金融でこれをつくつた方がいい、これをつくるんだという意味のことを言つておられますが、そういう條件はどういう基準で御認定になるか、またどの程度の数のものをお考えになつておりますか、その辺のことを伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 今地方で新たに銀行を興すという声があまり出ないのは、一県一行主義を大蔵省が固持しておるということを前提としての現象だろうと思います。私は一県一行主義を嚴守するものではないのでありまして、そこにおのずから新しい銀行が燃え上つて来ることを期待しております。その燃え上つて来たときにはどの程度許すかと申しますれば、それはやはり地方の経済事情、またはそれを計画する人の信用等から検討して行かなければならぬ問題だろうと思います。
○小峯委員 ただいまの大蔵大臣の御答弁ですと、銀行が一県一行以外にできることを期待するのだ、ただその場合にいろいろな條件を考えてきめるのだとおつしやいますが、そうしますと、特に小型の銀行とか、特殊の意味合いを持つた、今までの普通の銀行とやや趣の違つたものを期待しておるのではなくて、同じようなものの数がふえることを、希望者があれば認めるという趣旨のことでありますか、承つておきたいと思います。
○池田国務大臣 さようでございます。特殊の銀行とはただいまのところ考えておりません。
○小峯委員 そういたしますと、その期待される銀行の営業地域などの問題も、これはそのとき適宜に考えればいいが、あなたの演説の中から直感的に、これは一県の範囲に営業区域を限つたような小型の銀行でも考えたというふうに承知したのでありますが、全然今までの地方銀行と違つた新しいものが生まれると承知していいのですか、重ねてお伺いいたします。
○池田国務大臣 何も新しくできる銀行が一県内にとどまるということは考えておりません。今までの一県一行主義のもとにおきましても、所によつては両県にまたがり、しかも本店所在地以外の券で業務をたくさんやるという場合もあるのでありますから、何も地域的に厳格な意味で考えておりません。
○小峯委員 実はそういう御質問を申し上げましたのは、無盡会社がこのごろは信用もついて参りまして、気力もなかなか出て参つたのであります。その無盡会社の銀行預金の問題が御承知のようにときどき問題になります。そういう意味で無盡銀行というものに改組して、私が最初に申し上げました地方の特殊の銀行というふうに持つて行く方が、いいのではないかろいう意見も一部にあるのでありますが、その観点でお伺いしたのであります。従つて無盡銀行というようなものとの関連またそういうものをお考えになつておりはしないか、この点を伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 無盡会社が無盡契約以外に預金を受入れることにつきましては、ただいま検討しております。もし無盡会社が一般の預金を受入れることができないということになつて参ります際には、おのずからまた別の方向で行かなければならぬと思います。私は無盡会社は今の状態で進むことを前提にしております。
○小峯委員 私は大蔵大臣のいわゆる池田金融の構想を伺つて参つたのでありますが、以上伺いましたことは、昭和二十三年の八月に総司令部から参つております金融制度改革の指針というようなものとの関係、大体その線での今までの御構想であつたとお考えになりますか、その辺を伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 昭和二十三年の司令部との折衝はよく知つておりませんが、私はこの構想は何も司令部の意向と反するものではないと考えます。
○小峯委員 また大蔵省では、各種の金融機関を種々集大成した金融業法というものを考えておつたことがあつたと承知しておりますが、今まで伺つた構想では将来金融業法でもできれば、その中に盛り込む構想と承知していいか、その点を伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 金融業法の問題が先般あつたということは聞いておりますが、私は就任以来正式に金融業法案その他を見たことはございません。その後金融業法につきましては具体的にどういうふうに進んでいるか、大臣としてまだ聞いたことはありません。
○小峯委員 以上いろいろ金融のお話を聞いたのでありますが、この機会に金融に対する根本的な考え方について承つておきたいと思います。先般も同僚勝間田委員から、安定本部の長官に対して、統制経済をやめて自由経済にする場合、何を目標にしておるかという話がありましたが、自由主義経済の中の金融のあり方というものを、一応考えてみておかなければならぬと思うのであります。私どもは自由主義経済というものを主張して参つておりますが、この自由主義経済は自由放任経済でないことは言うまでもなく、どうしても財政の裏づけとしての金融というものを計画化して、自由主義経済の中に生かさなければ、近代的な経済にならぬというふうに考えておるのであります。ことに敗戦経済の建て直しでありますから、この財政金融に対する計画化ということが絶対に必要だと思います。そこで私どもが今度の予算の編成や何かを見ましても、まだ金融的に計画化が必要であるのだが、ただ金融制度の現実の上に現れて来ておる方向は、非常にこれがコマーシヤル・レース、ビジネス・レースで来ておると思うのであります。今の段階ではポリテイカルな、計画的な面で運用されねばならぬと思うのでありますが、現実の金融機関がコマーシヤル・レースに還元されておるので、この矛盾があると私どもは思うのであります。そういう意味でよほど上手にかじをとつていただきませんと、金融の必要性が強調されながら、実際の面ではその重要性が生きて来ないように思うのであります。その辺のことに対するお考え、同時にしかるがゆえに金融に対するますます熱心なる御関心を持つていただきたいと思います。この見解も加えて承つておきたいと思います。
○池田国務大臣 今までは財政と金融がかなり混淆いたしておつたのでありますが、国家財政が金融におんぶする場面が、だんだん少なくなるような方向でやつておるのであります。従いまして将来は財政と金融とのつながりがよほど少なくなつて来て、金融は金融でやつて行くことになると思うのであります。しかしいずれにいたしましても、性質上全然離れることはできないと思うのであります。しかし大蔵省は金融の主管官庁でございますから、たとえばそれがコマーシヤル・レースで行きましようとも、国の経済の発展その他についての示唆は、しなければならぬと思つております。
○小峯委員 次に長期金融機関に関連して、証券政策について大臣の御所見をただしておきたいと存じます。先ほどの大臣の御答弁の中で、短期金融と長期金融とをわける。そうして長期金融はなるべく自己資本によるのだ。そうして足りない分だけを興業銀行のような機関で補いたいとおつしやつておりましたが、その自己資本の調達の面がすなわち証券市場の問題であります。従来は証券市場といいますと、端へ寄つておりまして、経済政策の中で、どちらかというと、ごく片すみに寄せられておつたように思います。しかし今日の証券の役割は、非常に状態がかわつて参りまして、先ほど大臣の御答弁にありましたように、自己資本を重視する限り、証券政策というものをはつきり立てて行かなければ成らぬと思うのであります。また最近証券民主化というようなことをいいまして、ラジオでもつて毎日家庭の主婦にまで呼びかけておるのであります。議会においても大蔵委員会が中心になりまして、証券民主化議員連盟というものがありまして、この活動を実はやつて参つておるのであります。そういうふうにすでに証券は非常に広いペースでもつて、国民大衆の中に今までにない規模で浸透しておると思うのであります。金融の制度からいいまして、長期金融市場としての証券の重大性が盛り上つて来ておる。国民大衆の中に浸透して来ておるし、現実の問題といたしまして、産業政策からいいましても国際経済と関連する。通産大臣もお見えになつておりますが、日本の諸設備はあまりにも立ち遅れだと思います。どうしても設備の更新をしなければ、国際的な関連において産業復興をするということは、痴人の夢になると思うのであります。そういう意味で非常にこの場合、証券の問題が大きく盛り上つて来ておるのでありますが、この証券に対する政策をぜひとも経済政策の中できめ上げておかなければいかぬと思います。従来は証券政策ではありません。証券対策というそのときどきの場あたりの方法で扱つて来た。たとえばブームのときには押え、非常に沈滞したときにはこれに対する救済策を講ずる。こういうふうに体系のない証券対策であつたと思いますが、今日ここまで来た段階におきましては、証券政策というものを経済政策の中できめ上げておいて、そして証券政策の線に沿つて対策を立てて行くようにいたさなければこれほど役割が大きくなつた――また同時に証券市場の規模というものが、べらぼうな規模になつておるのであります。これもすでに大臣は先ほどもお話がありましたから御承知でありましようが、数字を見て実はびつくりするほど大きくなつておるのであります。ちよつと数字だけ簡単に申し上げますと、戦争前に拂込み資本金が四百十五億九百万円でありましたものが、今日千六百八十八億、株数にしまして戦前が八億三千万株でありましたものが、今日三十三億七千六百万株、戦前といいますのは数字の都合で十九年九月になつておりますが、最近十月末になつてからなお莫大なものになつております。加えて証券というものの性質は消耗品ではありません。また流行の変遷でこれがはやりすたりのあるようなものではありません。発行されたものだけは必ず累積されておりますのがこの商品の特徴であると思います。
 以上簡単に申し上げたようなことから、ぜひ証券政策というものをはつきり立てる必要があると思いますが、直接これの利益をこうむつておる通商産業大臣は、ただこれは大蔵省の管轄だというふうに考えておりますと、あなた方の産業復興は進みません。そういう意味でのどの程度の関心を持つておられるか。またどの程度の構想を持つておられるか。直接の受益者から御意見を承りたいと思います。
○稻垣国務大臣 お答えいたします。ただいま御指摘がありましたように、企業の合理化という面から申しましても、また産業の今後のあり方、日本の産業が国際市価との関連において、その構成の面からいいましても自己資本においてまかなうということにおいて、われわれはこの証券の問題につきまして特別な関心を持たなければならない。これはまつたく御同感でありましす。そこでわれわれといたしましては、この産業の構成のあり方と関連いたしまして、証券の消化という問題につきましても、われわれはわれわれの企業局におきまして、特に力を入れて証券の消化のために必要な融資のあつせんも考えておりますし、そういつた問題につきまして、特に力を入れてやつて行くべきものであり、また現にやつて来ておるということをお答え申し上げておきます。
○小峯委員 ただいまの問題に関して、所管大臣たる大蔵大臣の構想を承りたいと思います。私の申し上げたことに対しても御所見もあわせて伺えれば幸いであります。
○池田国務大臣 証券政策につきましてはまつたく同感でございます。われわれといたしましても証券事務局を設けまして、これは政策に誤りのないように検討いたしております。お話の通りに最近の増資は非常におびただしいものであるのであります。どちらかといえば、ごく最近はあまり増資ばやりになりまして、そして次に来るべき増資の構えがないという状況で、御承知の通り先月の下旬ごろから相当株もたれがして来た。しかして最も緊要な産業で、これから増資をするのに増資のしようがないという状態が起つたのであります。従いましてまた思いを新たにいたしまして、金融の面、また株式担保の問題等につきまして検討を加えております。御承知の通りにこの証券政策の重要性にかんがみまして融資準則を改め、従来は証券金融としては大体三億円程度しか出していなかつたのを、八月ごろからどんどん出すようにいたしまして、今ではこの十月ごろには三十数億の証券金融を出しておる状態であります。株式担保の融資につきましても、特段のくふうをこらしておる状態であります。ところが今後国債がだんだん減つて来て、そうして株式がふえ、社債がふえるといつたことになつて参りますと、日本銀行の社債、株式に対する今までの考え方を改めなければならぬ。従いまして社債につきましては国債同様に取扱うようにいたしております。今後も株に対しましては、そういうような考えで進みたいと考えておる次第であります。
  (上林山委員長代理退席、委員長着席)
○小峯委員 非常に深い知識を持たれたような御答弁を伺いましたが、私は証券政策という問題を、ぜひひとつ真剣にお取上げになつていただきたいと思います。私見を申し上げますと、たとえば株価そのものにいたしましても、SCLCから放出している株価は私どもから申しますと、非常にでたらめだと思います。市場が非常にいいときには、ちようど普通の商売人のようにいつまでも高く、悪いときには安くといつたように株価をきめております。私は、この変革期の株価に対しましても、科学的な見方があつてもいいと思う。これはもちろんひとりよがりになるかもしれませんが、少なくとも現在証券の民主化を政府がかねや太鼓ではやし立てておりますときに、高ければ高く売り、安ければ安く売るというような、いわゆる夜店の商人のようなことがあつてはならないと思います。たとえ市場が沸き立つておりましても、SCLCのきめる株価は冷静であるというようにあつてほしいと思うのであります。そういう意味で、証券政策の根幹は、科学的に――いろいろ異論はありましようけれども、事務当局としての株価の、見方というものをきめておいて、そうして証券金融方式――今お話のありました通りこれをはつきりと立てておかなければならぬと思うのであります。ことに優良株を日銀の担保にするという問題はネグレクトされておりますが、これはぜひ考えなければならぬ問題だと思います。また優良株式についてもこういうような考え方をしていいのではないか。そのときの市況に応じまして、優良株式の銘柄とか、貸出し措置、あるいは株式の見返り担保の範囲などをかげんしてはどうか。株式発行と引受に関しましても、これを計画化するような機関、これは日銀法との関係もありましようが、いわゆる自主的な調整をするような機関も考えなければいかぬじやないかと思います。そうしてまた証券会社の親の機関のような意味で、先ほど私は復興金融金庫の後片づけの問題を質問いたしましたが、証券会社と直接密着するような証券投資会社のようなものを、将来の問題として考えなければいかぬじやないか。これは私の私見でありますが、とにかく一つの骨格として証券政策というものをきめておきませんと、これほど大きくなつた市場というものを、とても処理して行くわけには参らぬと思うのであります。これは御答弁を要求するわけではありませんが、そういうことも御考慮願いたいと思います。これがいわば証券政策の実体になると思います。大臣は現在の株式市況に対して、このままでいいとお考えになるか。何ほどかのことを考えなければならぬとお考えになるか、その点を伺つておきたいのであります。
○池田国務大臣 設備資金が最近相当減りますので、今までのような方策ではいけないと考えております。証券政策に対します小峯委員のお話はまつたく同感であります。私は今後証券金融につきましてとらんとしておる処置も、お話の中に相当含まれております。
○小峯委員 なおこの際、株式市場の問題になつております税金の問題についてお伺いいたしますが、税金といえば、ここだけの問題ではありません。税の問題は本会議でも問題になりましたが、なかなか税のとり方にも問題があるのであります。私どもはこの予算委員会で、徴税目標いわばわくの問題を取上げまして、そのわくをなくなすようにいたしました結果、実態調査で税金をとることが強化されております。税法といたしましてはまことに当然でありますが、やはりそうなりますと、税務署長の頭か何かでやられ、いわゆる苛斂誅求になる傾向もあるのであります。その一つの現れとして証券業者に対する税の問題があります。これは非常に影響があるのであります。と申しますのは、これは一般のものと違いまして、証券取引法に関係がありまして、その資産と借入金の割合がある程度を越すと、その借入金の配分をとめるという問題がありまして、今の徴税の問題が強行されますれば、ほとんど全国の取引店が配分の限度の停止を食わなければならぬというような、機械的なことになると思うのであります。そういう問題がありますので、税法のことではありませんが、この税の扱い方に対しても、特段のお考えがなければならぬというように考えるのでありますが、御所見を伺つておきたい。
○池田国務大臣 今まで税の方面であまりに無関心であつたそしりもあるのであります。従いましてお話の通りに、実態調査に移りまして急に参りますと、あまり関心の持つていなかつた者が、非常に御不満のような場合も起つて来るのは、これはいたしかたのないことと思います。しかしいたしかたがないからといつてそのままにほつておいて、重要な証券政策に誤りを起こしてはいけないので、それは個々の問題につきまして検討をし、善処いたしたいと考えております。
○小峯委員 次に長期金融に関連いたしまして、外資導入の問題でありますが、これは昨日青木安本長官の御答弁をいただきましたが、ただその中で、一、二大蔵大臣にお尋ねいたしたいのは、外資導入の態勢についてであります。この一番いい態勢は、借りたものは返す態勢であろうと思います。そういう意味で、外債の償還に関して、大蔵大臣が非常に関心を持たれておりましたことは、よく承知いたすのでございますが、その外債償還の措置をどういうふうに予算化しておるか、その点を伺いたいと思います。
○池田国務大臣 外債の償還つきましては、総理大臣以下たびたび発表になつたのでありますが私は来年度の予算におきましては、大体債務償還を五百億程度に見込んでおりますので、こういうところから国債整理基金特別会計の中で処置いたしますか、あるいは別個の特別会計をつくりますか、今検討いたしておる次第でございます。何分今までは管理貿易であつて、外債の支拂いをすると申しましても、政府が外貨資金を持つていなかつた。今後は民間貿易に移りますし、また政府としても外貨資金を持ち得る状態になつて来ることになれば、われわれの声明が外国にも非常によく届くだろうと思うのであります。従いましてできるだけ早く、すなわち来国会におきましては、具体的な措置を講じて、はつきり現したいと考えております。
○小峯委員 私ははつきり外債の償還金だということを示すために、何か特別勘定でも起して、これを広く外国から見ていただくという方法もあると思います。なお今のお話に関連して、外債の問題でありますが、それに関連して金の問題が出て来ると思います。金の買入れ値段あるいは産金政策について、通産大臣の御構想を承りたいと思います。
○稻垣国務大臣 産金政策についてお話申し上げます。現在日本の産金は、大体二トン半から三トン、うち半トンないし一トンは貯鉱からやりましたもので、新しい鉱石によるものは二トンないし二トン半の程度であります。これは主として歯科用でありますとか。あるいは細工用に使われておるわけであります。ところが御存じのような考え方で、われわれとしましては産金を大いに促進して行かなければならぬ、こういう考え方を持つております。そこで大体三年間の計画といたしまして、三年後には十トンの計画を立てております。と申しますのは、ただいまこの産金に対しまして必要であるところの採鉱精錬の設備、浮遊選鉱の設備といつたようなものが、非常に欠けておるのであります。そこでわれわれといたしましては、大体北海道の湧ノ舞とかあるいは鹿児島の串木野といつたような大きな金山に対しまして、これが設備の改修または新設について、いろいろ話合いを進めておるわけであります。これに対する融資のあつせんも、現在いたしておるような次第でありまして、大体三年後を期して十トンのところへ持つて行きたい、かように存じております。それと同時に予算の面におきましては、採鉱の資金等助成金といたしまして、大体千四百万円をただいまの計上いたしておるような次第であります。できるだけ予定の期間に、予定の数量をあげるようにいたしたい、かように考えております。
○小峯委員 産金価格の改訂の問題はお考えになつておりませんか。
○池田国務大臣 金の問題についてお話申し上げます。産金政策は国際貸借の上から申しましても、非常に重要な問題でありますので、ただいまのところ、御承知の通りに、貴金属特別会計を設けまして国内産を買上げ、大体生産の半分程度が歯医者その他へ行つておるようであります。本年も大体貴金属特別会計二十四億円ほどを見込んでおるのであります。買入価格は一グラム四百五円で行つております。これは今の一ドル三百六十円というところから換算いたしておるのであります。アメリカの方で金の引上げというような議論があるのでありますが、ただいまのところは今のアメリカの相場によりまして、ドル三百六十円で一グラム四百五円ということになつております。
○小峯委員 次に外銀の問題で少し伺いたいことがあります。外国銀行が日本すでに相当の店舗を持つて営業しておりますことは御承知の通りでありますが、その営業は、先ほども総理からお話がありましたように、非常に制限された占領管理の範囲内でやつておると思うのであります。この外銀が――現在は日本人との取引を認められておりませんが、法人に対して営業をやりたいという問題が出ておりまして、一ころは邦銀側と外銀側との間に、多少の見解の違いもあつてように承知いたしております。しかし最近はその問題も落ちついて、どうやらこの問題も政府の腹構えひとつで、実現できるのじやないかというところに来ておるように想像するのでありますが、外銀問題に関しまして、おさしつかえのない範囲で御答弁願いたいと思います。
○池田国務大臣 外銀の問題でありますが、貿易が民間に移つて参りますと、どうしても外国為替銀行が必要であるわけです。従いまして従来外国為替を取扱つておりました銀行十を選びまして、外国為替銀行として指定する見込みであります。なほ取扱い銀行といたしまして地方銀行八つを計画いたしておる次第であります。しかして国内銀行での外国為替銀行を指定いたしますと同時に、やはり同じ條件のもとで外国の銀行にも営業を許し、そうして国内の銀行も外国の銀行も同様の制限のもとに、大蔵大臣の管轄のもとに営業を免許して行く計画です。
○小峯委員 今同じ條件、同じ取締り、同じ監督のもとでやるというお話がありましたが、もし日本の外国為替を扱う銀行が、海外にコルレスができません間にこれをやりますと自然外銀のために為替取引を独占される傾向になるのであります。従つて日本の銀行も海外にコルレスが持てるということになりませんと、今の話はわからぬように思うのでありますが、そのコルレス開設の見通しがおわかりでしたら伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 国内銀行が外国に支店を持たない場合におきましては、外国銀行に独占されるきらいがあるのではないかというお話はその通りでありますが、あるいは運用によりまして必ずしも独占されるのではないという気持を持つております。しかして国内銀行が外国に支店を持つまで営業をさせないということも、いかがなものかと思うのであります。従いまして、私はまず受入れ態勢をこちらの方でおいおいにそういうふうにして、向こうの出方を待つという方法で行きたいと思います。
○小峯委員 非常に寛大なお考えのようでありますが、私は実はそれに対して多少心配があると思うのであります。どうかそういう意味でおもむろにとおつしやらずに――もちろんこれは相手のある問題でありますので、いろいろ外国との関係もありましようが、できるだけ早く少しでも多くコルレスをお開きになつて、その時期と相前後するくらいのことをお考えになりませんと、やはり外銀が出るときになると、対邦人業務まで影響があると思うのであります。また為替を扱う機関の懸念もそこにあるのでありますから、どうかその問題が実現しますときには、取締りも監督が完全に同じにする、税務行政の適用も同じくする、銀行の検査も同じくすると同時に、コルレスの問題も提起していただきたいということを、特に申し添えておきたいと思うのであります。
 最後に年末金融について伺いたいと思います。この問題は大臣もすでに耳にたこのできているくらいでありますが、ほんとうに重大な問題であると思うのであります。毎年今ごろになりますと、年末金融の問題が町の話題になるなり方が少し深刻であるように思うのであります。第一番目の理由は、大臣のいわゆる安定経済、ドツジ・ラインの経済が始まつて以来の初めての年末だということが一つだろうと思います。従つて昨年の年末は少しは金融の手当もしていただけたのでございますが、今年はドツジ・ラインでもつてどういう形でやるか、少し心配だということもありはしないかと思います。安定経済がかなり強く行われておりまして、各部面における萎縮の面が、かなり出て参つております。滞貨の問題は通商産業大臣からお話がありましたが、これもばかにならない問題になつております。また御承知でもありましようが、現実に不渡手形が激増しております。数字は申し上げませんけれども御想像はつくと思います。また現在金融界がどうにかこうにかやつて行けるとお考えになると間違いであつて、すでにこういうところに非常に不渡りの金額を見ますと、中小金融が非常に困つているという形が出ておるのであります。そこにしわが寄つておりまして、辛うじてしの息抜きでもつて金融が保つて行つている状態だろうと思います。また第二番目には、毎年供米代金の出まわりが順序よく出まわつて来るのでありますが、今年は天候の関係もあり、また米価決定の遅延問題もありまして、供米代金の出まわりが遅れております。こういうことが重なりまして、年末金融が真劍な問題になるのだと思います。先般米の答弁を新聞で拝見いたしますと、大臣は年末金融大丈夫と言つているように報道されておりますが一体年末の通貨発行高を大臣はどのくらいと見ておられるかを、最初に伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 ただいまのところ私の計算では、昨年の三千五百六十億円程度より、少し下まわるのではないかぐらいに見ております。
○小峯委員 私はそういう数字の押え方が非常に危険だと思います。非常に危険だという意味よりも金が借りられないような形のものが相当ふえた。こういう結果でこういつた数字になるのではないかという心配があるのであります。また先ほど来中小企業の金融のお話を承りましたが、とてもこのままでは行けませんので、この金融をもう少しゆるめる問題もありましよう。あるいは政府支拂いは順調に進んでおるようでありますから、特に支拂いを促進することによつて通貨がふえるとも考えられません。しかし何といつても供米代金は細々ながらもこれがまわつて参りまして、大体これでもつて五百億円くらいは通貨の増発になりはしないかという感じがいたします。ことに滞貨の問題があつて金融が出ておりますがいわばそういうことで金融の流れが非常にイレギユラーになつておりまして、金融が固まつておるのであります。従つて正式な金融というものは、かりに昨年と同じような通貨発行を大蔵大臣が予想いたしましても、その金融の内容が非常に違つて来やしないかと思うのであります。そういう意味で、もしその程度のことをお考えになつておると、結局年末金融に対して、まだ大蔵大臣が積極的に考えておらない実は証拠のような気がいたして心配なのであります。金融の問題はいずれも見通しの問題になりますから、私はここでりくつを言いましても、水かけ論になりましようが、どうかこの年末金融を大蔵大臣が科学的な根拠で引受けたような姿を、少なくともそういうつもりに国民に見ていただいて、安心していただくようにしていただかなければいかぬと思うのであります。
 なお中小企業金融のことに触れましたが、先ほどわく外の融資を三億ふやすとおつしやいましたが、そのほかに特に中小企業金融に対して、年末打つ手をお考えになつておるかどうか、その点を伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 年末の通貨発行高につきましては、本委員会のみならず、本会議あるいは他の委員会で論議になつておるのであります。いろいろな計算方法がございます。九月の初めごろには四千億を超えるだろうというふうな話もございました。それからまた三千八百億ぐらいだろうというふうな話もあつたのであります。私が昨年の暮よりも下まわるのではないかということを今申し上げたのは、いろいろな数字をあたりまして、米価が四千六百五十円程度になつた場合を想像し、しかも十一月の税収入が四百億円余りという前提のもとに計算いたしますと、大体三千六百億円程度になるのであります。御承知の通り、昨年は十一月に政府支拂が六百億、十二月は九百億に相なりました。今年はどうかといいますと、よほどかわつて参つております。昨年末非常にふえたというのは、政府の支拂いが十二月にどかつと行つたためにふえたのであります。私は今年はそういうことをせずに、十一月にどんどん政府支拂いを促進して、十二月には還元するような方法をとつて行く。そしてまた今年あまりふえないというのは、貿易会計におきましても、昨年は十一月、十二月に相当支拂い超過があつたのでありますが、今年は御承知の通りに滞貨物資を売拂いいたします関係上、非常に受超になるのであります。しかして税の収入は四百億円余りか、五百億円程度近くまで入つて来るのであります。こういうことを考えますと、今の科学的の計算では、昨年よりも少し減るのではないか、こういうことをお答えいたしたのであります。しかし年末の金融を円滑にやつて行くためには、それはその場においていろいろな方法もあるのであります。私は今想像し得ることをずつと考えまして、虚心坦懐に計算いたしますと、昨年の状態よりも少し下まわるのではないか。しかし私は下まわることをもつていいともしておりません。また上まわることをもつていいともしておりません。しかしそれはそのときどきの状態によつて、適当な措置を講ずる用意をいたしておるのであります。
○小峯委員 もう一点伺いたいと思いますが、来春の引上げ超が税金の関係で非常に多いと想定されるのでありますが、かりに三千四百億程度でもつて年末を越しますと、おそらく千四、五百億ぐらい引上げ超になりはしないかと思う。年末年度末の数字が非常に小さくなる。これは非常に機械的な計算になりますが、そういう点で来春はまた春の風が吹くということになりましようが、その辺のことも御承知おきになつて善処していただかなければならぬと思います。この問題に対する見解をもう一点伺つておきたいと思います。
○池田国務大臣 今年の一月から三月までの政府の受超は、千二百億円程度だつたかと思います。私は来年の一月から三月までの受超は、今年よりも二百億ばかり減りまして、千億程度ではないか。それはどういう関係かと申しますと、昨年よりは今年の方が税の収入が非常に順調に行つております。すなわち――三月でうんと取上げる前に相当入つておるのであります。従いまして今年の一月から三月程度の受超は出て来ない。しかもまた片一方で見返り資金が一―三月には相当出る見込みを立てておりますので、私は今年度内、また来年の四、五月ごろまでは大体ずつと予定通り順調に行くと考えております。
○小峯委員 いろいろお話を承りましたが、金融に関する御見解も、大体私どもが承つて納得するものが多いのであります。大蔵大臣は非常に税金の大家といわれておりまして、金融の方はそれよりは少し劣つておるんじやないかというふうな見方もありますが、今回答弁を承りまして、あらためて税金以上に金融も詳しいことを知りまして……(「やおちようやるな」と呼びその他発言する者あり)ありがとうございました。
○植原委員長 この際御報告申し上げることがあります。先刻の理事会の申合せもありましたので、明日の日曜日は休むことにいたして、明後二十一日午前十時より開会いたします。
 追加予算に関し参考人より意見を聴取することにいたしたいと存じます。理事会におきまして選定いたしました参考人は、金融界より、冨士銀行の社長迫静二君、地方財政関係から、東京都知事安井誠一郎君、労組よりは、総同盟総主事高野實君、財政問題の観点より一橋大学教授井藤牛彌君、農業問題について農林中金理事長の湯河元威君、以上五名のご出席を煩わすことになりましたから、御了承願いたいと思います。なおこの人選は委員諸君の意向を参酌していたしましたので、これらの方々の御意見を十分に承る点から申しましても、せつかくおいでの方に敬意を表する点につきましても、どうか皆様方つとめて御出席を願いたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時五十八分散会