第006回国会 予算委員会 第6号
昭和二十四年十一月二十一日(月曜日)
    午前十時二十五分開議
 出席委員
   委員長 植原悦二郎君
   理事 池田正之輔君 理事 上林山榮吉君
   理事 小峯 柳多君 理事 庄司 一郎君
   理事 苫米地英俊君 理事 勝間田清一君
   理事 川崎 秀二君 理事 風早八十二君
   理事 圖司 安正君 理事 今井  耕君
      淺香 忠雄君    天野 公義君
     岡村利右衞門君    尾崎 末吉君
      角田 幸吉君    北澤 直吉君
      小金 義照君    小平 久雄君
      坂田 道太君    島村 一郎君
      高橋  等君    田中 啓一君
      玉置  實君    塚田十一郎君
      西村 英一君    丹羽 彪吉君
      松浦 東介君    松野 頼三君
      南  好雄君    稻村 順三君
      西村 榮一君    武藤運十郎君
      北村徳太郎君    中曽根康弘君
      村瀬 宣親君    深澤 義守君
      米原  昶君    奧村又十郎君
      小坂善太郎君    平田 篤雄君
      松本六太郎君    黒田 寿男君
      世耕 弘一君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (富士銀行社
        長)      迫  静二君
        参  考  人
        (東京商科大学
        教授)     井藤 半彌君
        参  考  人
        (農林中央金庫
        理事長)    湯河 元威君
        参  考  人
        (労働総同盟総
        主事)     高野  實君
        参  考  人
        (東京都知事) 安井誠一郎君
        専  門  員 小竹 豊治君
    ―――――――――――――
十一月二十一日
 委員松本一郎君辞任につき、その補欠として坪
 内八郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十一月十九日
 予算組替に関する請願(田中堯平君外二名紹
 介)(第一一八〇号)
 同(田島ひで君外一名紹介)(第一一八一号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十四年度一般会計予算補正(第一号)
 昭和二十四年度特別会計予算補正(特第一号)
 昭和二十四年度政府関係機関予算補正(機第一
 号)
    ―――――――――――――
○植原委員長 会議を開きます。
 これより追加予算に関しまして、参考人より御意見を聴取することにいたします。
 開会にあたり本日御出席の参考人各位にごあいさつを申し上げます。申すまでもなく、目下委員会において審査中の追加予算は、今国会における最も重要な案件であります。よつて委員会においては広く各層の学識経験者各位のお声を聞き、本案の審査を一層権威あらしめ、遺憾なからしめんとするのであります。各位の豊富な御意見を承ることができますのは、本委員会の今後の審査に、多大の参考となるものと期待するのであります。各位におかれては、その立場々々より腹蔵なき御意見の御開陳をお願いいたします。本日は御多忙中のところ貴重な時間をおさきくださいまして、御出席いただきましたことについては、委員長として厚くお礼を申し上げる次第であります。
 なお発言の時間は二十分程度といたし、その後において委員より質疑があることと存じますが、これに対しても忌憚なくお答えを願いたいと思います。
 それではこれより会議に臨みます。富士銀行社長迫静二君より御意見の開陳を願います。
○迫参考人 私富士銀行の迫でございます。参考人というのはどういうことをやるのか、実は存ぜずにおりまして、一昨日補正予算の説明書をいただきまして、昨日拝見をいたしたわけでありますが、私ども仕事の関係上、銀行のバランス・シートとか会社のバランス・シートを見ますれば、一目にして大体その会社の内容をつかみ得るのでありますが、国家予算についてふなれのため、なかなかその正鵠をつかむということはむずかしかつたわけであります。ただ一般的に私の感じた問題について簡単に申し上げてみたいと思います。
 今日の日本において、いわゆるドツジ・ラインがどう守られて行くべきであろうか、これをさらに戦略に実行すべしという意見と、それからドツジ・ラインは今後は相当緩和すべしとの意見があると言つていいと思います。今日の補正予算を見ますと、大体において右の二点を調整して編成しようとされた苦心の跡があると見てていいのではないかと思います。結論的に申しますと、何かもう少し緩和の線が強くてもいいのではなかろうか。二十四年度の支出は抑止予算を含めまして、前年度予算支出に比して大体五七%の増加であり、それから雇用の説明その他から見まして、明年度の予算を見ますと、本年度に比してわずかに八九%すなわち九割の支出になつております。本年の状態において、本年度の政府の拠出によつてですら、政府の有効需要が非常に減退を来して、これによつて財界に非常に大きなシヨツクを受けたことを考えますと、明年においては、デフレはさらにはなはだしいものがあるのではないか、こう私は予想いたします。当局の苦心はいろいろあるところと察しますが、明年度の予算をもつて復興予算であると言つておられる点も了解できるのでありますが、おそらく実際にはこの財政支出では、さらにひどいデフレ深刻化ということがあるのではないか、これを懸念いたすのであります。この欠陥を救うには伸縮性ある金融政策をとることが最も必要であると私は考えます。いろいろと拝見いたしましたが、公共事業費の支出、これは私ども地方をまわりますと、実に台風の災害の復旧が遅々としておる。これについての政府支出が十分であるかどうかという点から見ますと、これはいろいろ予算上の関係で十分とは申しがたいのでありますが、かくのごとき復旧支出があることは当然であろうと思います。またこの支出がむしろ少いのではないか、もつと支出を多くして復旧をすみやかにしないことには、地方においていろいろの災害が年々たびたび繰返され、私ども銀行の立場から見ましても、絶えずこの水害の面から来ます投資によつて、銀行貸出しについてもいろいろと苦心する面が多いのでありますが、すみやかにかくのごとき復旧には、もつと力を入れていただきたいと考える次第であります。
 それからもう一つ考えますことは、復金の問題についてでありますが、復金の貸出しについての問題ということは、これを厳格に行うのは当然であります。この貸出しの回収を厳格にすべしという議論があることは私は当然だと思いますが、事業面から見ますときに、この回収が特に急激であることは、これは避けないと、いろいろの面で支障を起す。事業の状態から申しましても、復金から資金の融通を仰いだものは、いろいろの面で苦心の多い会社が多いのでありますから、これが回収については極力厳格にするとはいえ、回収の時期について、現在の一般化しておる金融詰まりの点からも考慮すべきである。明年度に当初予定していたところの復金会集金のうち、五十億円を本年度内に回収することになつておるのは、私ははなはだ不適当であろうかと最近の疑問として感じておる次第であります。
 今後は補給金の削減、あるいは米価、電力料金、運賃の引上げ、また固定資産再評価の結果、生産コストが上し、これによつて物価は上る傾向にあるのであろうと思いますから、この予算を強行するためには、物価政策上異常な努力を要するであろうと思います。これとあわせまして明年より貿易がローガン構想に従うことになりますと、この面からも物価政策は急速な転換を行わなければならないのではないか。この点政府では資金問題とあわせて非常に重要な点であろうかと考える次第であります。
 それから毎年年末に考えることでありますが、政府の支拂いが年迫つていよいよ十二月の末になつて多いのであります。これが毎年繰返されるのであります。政府支拂いは十一月の末あるいは十二月の初めから、極力促進をしていただきたい。これが年末の金詰まりを緩和する非常に大きな力ではないかと考えております。
 それから見返り援助資金の放出でありますが、これが非常に遅れておる。これは私どもといたしましては、少くとも十月からどんどん出て来るものであろうと川一位をいたしておつたわけであります。この遅延ということも今日の非常に大きな金詰まりの原因である。この点につきましても、極力詰めていただきたいと考える次第であります。
 実は私、こういう問題につきましてどういうお答えをしていいかわかりませんので、いろいろ御質問もございましたら、後刻お答えすることにいたしまして、簡単でございますが、まず最近の問題、一、二を取上げまして今度の予算についての説明書を読んだ感じを申しあげました。(拍手)
○小峯委員 ただいまのお話に関連して、お言葉に従つて少し御質問申し上げたいと思いますが、どうか委員長の今おつしやつたような意味で、積極的に自由に御発言願いたいと思います。
 最初に短期金融と長期金融との分担の問題なのでありますが、日本の銀行の発達の歴史からいいますと、普通銀行がかなり長期の金融をやつて来たような実情があつて、それを直すように勧めて来ましたのが、また戦争で逆もどりをしておつたのではないかと考えます。戦後金融のあり方として、長期と短期金融にわけよう。ことに最近ドツジ氏が見えてからの考え方は、長期金融は証券によろう。足りないものは興業銀行で補わせようじやないか。一般銀行は短期金融機関としての分野を画然としようというような方向だと思います。しかし先ほどあなたのお話にもありましたように、復興金融金庫というものがあつて、長期金融を積極的に担当しておつたときには、その傾向が画然となるのではないかという見通しもあつたのでありますが、復興金融金庫は実は御承知のような状態であります。また今のお話のようにその回収さえ、実は多少実情を無視してまで回収しようという傾向がありますので、その二つの分野の確定した線というものがまだどうもはつきり出ていない。ことに最近の金詰まりで、短期金融の名において、長期金融を借りかえ借りかえしてまかなつておるものがあるのではないか。これはしろうと目で考えておるのですが、そんな実情をたくさん知つておられる社長さんのお立場から、ひとつざつくばらんに聞かしていただきたいと思います。
○迫参考人 今日の日本の物価状態からしまして、いろいろの施設をやつて行く。御承知のように日本の現在の生産は、戦前の七割程度にすぎない。ここで経済を安定させるにつきまして、さらに縮小した状態において安定をさせるということでは不十分であります。それについてはもつと生産面において拡充すべきものは多々ある。ところでこの長期資金の問題になつて参りますが、かくのごとき状態の日本においては、ただいまお話のように長期金融をまかなう専門の一つの銀行があつてしかるべきであると考えます。日本においてもやはり復金のようなものが、存続することがいいと私は考えておりましたが、これは復金については特別な当局なりその他の御意見によつて、金融は続け得ないというような状態になつております。しからばこれは何をもつてまかなうかということになりますが、今日いろいろの構想はあると思いますが、これはある面においては普通銀行において最近まかなつております。たとえば船の建設資金あるいは工場の設備資金等もまかなつておりますが、御承知のように日本の預金状態から考えますと、普通銀行に集まつておるものの大部分が短期資金であります。総預金の大体一七%程度――これはちよつと正確ではないかもしれませんが、大体その見当であります。これが普通の定期預金であります。その他はすべて普通の短期預金であります。そうしますとこれによつて長期資金をまかなうということは、今日普通銀行においてはでき得ないところであります。しかしこれも先刻のお話のように、戦争中もむろん長期資金を多少なりまかなつておりましたが、今日においてはそれ以上に長期資金を出しております。われわれといたしましても、今日金融機関全般において長期資金をまかなう面において、足りないところは普通銀行において興銀債を持つてやる。そうして興銀において長期資金をまかなう。これが大体の今のやり方である。その以外に普通銀行も力の及ぶ限りにできるだけその面にも協力をして参る。かくのごときことによつておう支障なくまかなつておると考えます。それでよろしゆうございますか。
○小峯委員 今のお話でもあつたのですが、預金の増加の見通しなのでありますが、今年は当初予算で予定した数字は、初め心配しておつたのですが、実はむしろ成績がいいのであります。しかしこの状態が続くかどうかということに対しましては、多少疑問があります。なぜかといいますと、貨幣価値が安定して来たという見通しのもとに、かなり締つた気持で預金も集まつておるのだと思いますが、今度は現実に国の経済の繰りまわしがなかなかむずかしくなりますから、そろそろそういう現実の状態が影響して来るのではないかと考えます。銀行を通じての預金の見通し、それからシヤウプ勧告案で無記名預金の廃止ということを言つておりますが、これは日本の現状では影響が大きかろうと思います。実際にお扱いになつておるお立場から無記名預金に対するお考え方を承りたい。
○迫参考人 無記名預金についてただいまお話がありましたが、私どもといたしましてもこの無記名預金の廃止ということについて、その後の影響については非常に心配いたしておるものであります。今日全般にお客様の間でも無記名預金がなくなるということについて心配をしておられます。これは理論的に申せば、徴税の建前上廃止すべしということは理論的にはまつたくこの説に従わざるを得ないのでありますが、今日までの日本の状態から考えますと、いろいろと零細な預金が集まつて来て――これは日本人の修正あるいは経済知識の不足ばかりではないと思いますが、直接投資ができずに銀行に集めて、これを銀行が投資をするという形態が日本では従来とられた。しかるところ今日すべて預金者の名前が出て来るということについて、これに非常に不安を持つております。この点につきましては、私どもとしましても今日の日本の状態においてはいまだ資金不足の状態であり、それからもう一つはインフレは今日落ちついて参つたとはいいますが、まつたくインフレにこれで収束したとは言い切れないと思います。今日のような状態においては、われわれはなお預金を蓄積させ、資金を吸収させるという面に力をいたさなければならぬ。そんな意味からいたしまして、私は今日なお当分の間は、この無記名預金をもつて換物させないように持つて行くことが、今日の日本の実情に適したものだと思つております。これについては銀行協会でも意見を先般だしております。無記名預金の廃止ということがあれば、極力当分延ばしていただきたいということを、やむを得ない場合の希望として申しますが、できればこれは存続をしたい、これが日本の実情に即するという意見を持つております。
○小峯委員 今の無記名預金の問題でありますが、これは金利をよほど下げても、なお無記名にした方が、記名にするよりも集まる可能性があるとお考えになりますか。実は金利の引下げの問題として取上げませんと、御承知のように国際経済に結びつく準備の予算でありますから、金利の水準があまりに違い過ぎる。どういう角度からでも少くとも金利を引下げたいということが、金融に対するいわば政治上の要求だろうと思いますが、そういうことでもし今の無記名の預金を金利を下げて残すということになると、それが多少でも――これは大したことはないと思いますが、金利引下げのことに幾らかでも刺激になるかと思います。経営の合理化ということで金利の引下げということを大蔵大臣は言つておるのでありますが、あなたが御経営なさつておる立場から経営を締めて金利が下るかどうか。もう一つに千円札が近く出るようになりますが、千円札が出ると出納業務はよほど違うだろうということを昨日も大蔵大臣は言つておりますが、それも実際上のお立場からどう考えておりますか。金利引下げの問題に関連して二、三お尋ね申し上げます。
○迫参考人 ただいま小峯さんのお話のように金利の引下げの問題でありますが、まず第一に無記名定期預金の金利を下げて、資金はどうだ、集まり方はどうだというお話でありますが、もしそういうことがあつても無記名というものは存続すると思います。そうして貸金は減らない、これは金利の問題ばかりではありません。これは一つは日本人の従来の自分の台所をのぞかれたくないというのが、非常に大きな原因円をなして来たと思います。
 それからもう一つは、賃金の金利引げの問題でありますが、これは私どもも極力合理化をやつて、この金利引下げの面に持つていきたい、これは努力をいたしております。先般来合理化対策委員会をつくりまして、まず最初にやりましたことは、銀行の広告についてこれを極力自粛する。これについて具体的に申し上げますと、たとえば新聞の広告については同一紙において月に二面以下に切詰める。それから大きな立看板はこれを廃止する。そうして営業店舗の方向を示す立看板程度にする。その他の一般に立てておるようなものは今年度内に全部取拂う。これも一つの大きな合理化であります。その他におきましても、銀行は大体において非常に金は切詰めておるわけですが、まず先刻お話の千円札によつてどうだということでありますが、かりに千円札を発行したらどうだろうか。大体輸送面で支店から本店へ輸送します金が、かりに百万、二百万あるいは三百万として、これが千円札になれば二人行くところが一人で行ける。それから扱う人数の問題にしてもこれで一人か二人はどんな小さな店でも省ける。そういたしますと、私どもの方で大体今行員が八千名おるわけですが、このうち一体どれくらいの人数が減るだろうかということをいろいろやつておりますが、一店かりに二人減しますと、百八十の店ですから三百六十名、三人減らせば五百名という大体の見当がつきます。これによつてどれだけの金利が下るかということになりますと、これはあまり小さな問題になるかもしれませんが、しかしあらゆる面から切詰めて、金利は引下げる方向に持つて行きたいということは、当面努力はいたしております。しかし預金の構成から申しまして、金利水準を外国の水準に持つていけるかというとなかなかできない。戦前といえども同様でありましたが、日本の金利水準は外国の水準とは非常に大きな開きが戦前からあります。しかし今日のこの金利でいいかと言えば、これはできるだけ銀行の経営合理化によつて、下げられるだけは下げるべきである。それについては努力はいたします。但し今日これを自由にどこに大体最高金利を押えて行くか。戦前は御承知のように最低金利を押えて、その範囲で自由にやつておりました。今度は最高を押えることになりますと、ここで考えなければならぬことは、各銀行の中でいろいろ採算面において違いがあります。従つてある銀行はこれで採算がとれる。ある銀行はとれないという面が出て来る。そうすると銀行の経営が不健全になるということは、やがてここに大きなまた財界にシヨツクを与えるわけでありますから、この点からいつて、銀行の全般が一応これで行けるという、そこの線で押えなければならないと思います。しかしこれはわれわれの同業者全部寄りまして、こういう委員会をつくつて今この問題を進めておりますが、まず第一にさつき申しました広告の問題、その他逐次問題を取上げてお互いにやつておる次第であります。御了承願いたいと思います
○小峯委員 実は年末金融の問題でありますが、この国会で、本会議でも委員会でもしばしば問題になりましたが、政府側では実はそう心配していないようであります。私どもどうもことしの年末金融は、今までとは少し違いはせぬかという気がするのであります。御承知のようにドツジ金融といいますか、そういうものが強く出ておりますことが多少違います。米の出まわり資金なんかよほど状態が違う。御承知のごとく不渡手形なんかが激増しております。私の考えでは大口の金融は比較的その点で恵まれていると思うのですが、中小企業は大分圧迫されておる。不渡手形の状態など計算しましても、特にそれがひどい。何かそこに矛盾というか、弱みを内包しておる状態が、今までと違うような気がするのであります。そこで年末金融に対して、あなたの考え、特に注意しなければならぬことについて、市中銀行としての感覚からお教え願いたい。
○迫参考人 この年末につきましては、ただいまお話のようによほどきゆうくつであろうと考えます。政府では心配はいらないとおつしやいますが、私どもは相当これでは年末はきゆうくつであろうと実は考えております。
 ところで今の中小企業あるいはその他において、非常に不渡りが多いということでありますが、これは戦争中この不渡りにつきましての手続きが非常にルーズになつておつた。かくのごときことは、手形の信用あるいは一般の信用の保持上おもしろくないということで、この不渡りについては厳格な書類、証憑によることに各地でやつております。大阪でやりまして、以後各地でやつております。これは禅僧中の非常に濫立したと申しますか、いろいろの事業会社がこんな面が非常にルーズでありまして、それから起つて来ております。それからまた十分業界に整理が行われていない。弱体のものがそこに来つていろいろとしつぽを出して来たものが相当あると思います。そんなことで最近不渡りが非常に激増しております。これは実は私どもも非常に悩んでおる問題の一つであります。しかしここで年末の金融につきまして、中小企業者のみならず、大企業者についてもこれは非常に弱つておる。この点につきまして最近私どもが実際に体験するところは、やはり大企業が行き詰まりを来して、その下請業者が非常に弱つておる、こういう状態が強いようであります。
 この疎通の問題でありますが、これはここで時間をちようだいして卒直に申し上げますと、大体において事業会社の状態から申しますと、戦争中小さな形態で多額の借金を借りてやつて参つた。大体戦前あるいはもう少し前では、借入れは資本金程度あるいは資本金の倍ぐらいが普通であつた。ところが今日においては資本金の何百倍、何千倍と借りておる会社が非常に多い。これは会社自身が資本の充実をもつとはかるべきであります。これが今日いろいろな会社において行われ、漸次資本を充実して参つて来ておりますが、これが非常に大きな額に上つて、株式会社として株式の消化不良の状態を起しておると申してもいいのじやないかと考えるのであります。しかしこの充実をしきれない会社においては、これが逐次淘汰されるということは、今日においてはあるいはやむを得ぬのじやないかと思います。しかし今日地方におきましても、私どもは極力地方の実情に従つて、中小企業者に対して十分力をいたすようにということは、各銀行とも今日努力をいたしております。ただそこにいろいろの限界があるわけでありますが、今日損失補償について、各地の業界あるいは県の補償とか、あるいはいろいろ信用保証協会というものが設立され、この面から今日資金についての供給は漸次伸びかかつておると考えております。この面については私どもさらにもつと努力しなくちやならぬと考えております。
○庄司委員 一点だけお伺いしたいのは、ただいま小峯君に対するお答えのうちに、地方においても中小企業等に相当力を入れておるやの御回答がありましたが、私は東北地方の者ですが、中央銀行の何々支店というのが、仙台にも福島にも、その他地方の大都市、小都市に相当数がふえておるのでありますが、預金は積極的に募集されておるけれども、中央銀行の何々支店というものの貸出しは、貯金の額と比較すると、その差額があまりにもあり過ぎ夢る、つまり極端に言うと地方には一向に――絶体というわけではありませんが、貸出しの額あるいは貸出の件数がきわめて鮮少である、かような非難が至るところの地方に劈頭しておるのであります。私はこのごろまで通貨安定宮城県会長なんというような仕事をさせられて、預金募集にはかなり一生懸命やつたつもりでございますが、特に中小企業者等の面において、預貯金はするけれども、貸出しはしてくれない。特に中央の出店、各支店等に対する非難の声が相当多いのでございますが、ただ預貯金だけを集めて、中央に預金が偏重する、あるいは集中するというだけであつてはならない。ただいまのお話では、大分力こぶを入れておらるるようなお話に承りましたけれども、事実は決してそうでないようで、相当けんけんごうごうたる非難の声があるようでありますが、あなた方の団体である銀行協会等においては、どんな方針でおやりになつておられますか。たとえば東北から一箇年に十億の定期の預金を募集された場合は、何割くらい貸出しをされるというのか。お仲間の打合せというようなものがあつておやりになつておるものでありましようか。念のために伺つておきたいと思います。
○迫参考人 ただいまの御質問でありますが最近資金の地方還元ということが各地で唱えられまして、これにつきまして、私は二、三申し上げてみたいと思いますが、日本の復興は重点的にやつて行くべきだということは、これは終戦直後立てられた問題であります。地方で集めた額を全部地方へかりに出すとしましたら、日本は何も復興はできなかつたろうと思います。それからまた一方から申しまして、たとえば発送電の社債が出る。あるいは発送電への貸金がある、これは一例でありますが、こういう中央においてまかなつておる資金というものは、これは大銀行のみならず、各銀行がやつて、中央においてこれをまかなつて、これがひいては地方に行つておるという面が非常に多いのであります。今日におきまして、地方で集めた額の何割を地方にまわすというようなお約束も、また申合せも、何にもございません。むろんそういうことはないわけでありますが、しかし地方において、私ども店を出しております以上、地方にできるだけの御貢献をしたいと考えておりますが、いかんせん、日本先般をながめて、日本の今日の再建に、どういう面から漸次出して行くべきかということは、やはり一応今日日本が復興途上にある以上、考えなければならないのではないかと考えます。ただそのバランスについては、各銀行おのおのの立場がありまして、これは一概には申し得ないと思いますが、今日その地方還元論に対して、私どもも極力できるだけのことはいたしておりますが、今日の資金不足の状態から、十分とは申し上げかねるわけでございます。その努力をいたしておるところは、ひとつ御認識を得たいと思います。
○中曽根委員 一つ二つ、お尋ねいたしたいのであります。来年の三月くらいまでに、銀行金利を引下げることは、はたして現在の銀行の経理その他から見て可能ですか、不可能ですか、その点をまずお伺いいたします。
○迫参考人 この要請は大分強いのでありますが、まだこの前一厘金利を引下げましたとき、その当時は相当苦しい面もありましたわけでありますが、しかしここで千円札が出る。これが一体どれだけのものが出るのであろうか。これは先刻申し上げました合理化対策委員会において、極力今研究を進めております。どれだけのものが出るであろうかということは、これは各銀行おのおのの立場によつてよほど違いますから、全般のものを集めてみないと、どうという結論がにわかに出にくいわけであります。それから先刻申し上げましたように、ある銀行はそれができる、ある銀行はそれができないというところが出ると思います。ただ今日の金利は、これは最高を押えてありますので、そこで大体において各銀行が行けるというところで最高を決めなければならぬ。一つでも、あるいは二つでも、不健全になるという概念があるときには、これはやれないわけでありますが、ただいま御質問の来年三月ごろという御質問には、まだ私一個人としては、なかなか申し上げにくいわけであります。これはもう少し研究をさしていただきます。
○中曽根委員 実は大蔵大臣がこの席上で、来年の三月ぐらいには引下げ得ると思うというような答弁をされたのですが、私は大蔵大臣は何か成算があつて言われたと思うのですが、おそらくそれは千円札の発行とか、あるいはまた銀行の経理をもつと合理化して、たとえば給与ベースなんか、銀行が極端によいようですが、そういうものを切つて行くというような構想があるのじやないか。千円札のことはそれでいいのですが、銀行の今の給与が非常にいいというのを、もう少し切つて行くというわけには行かないのですか。ほかの産業から見ると、あまりにも離れ過ぎている。実際の銀行の経理の状況からいつて、どういうような御感想をお持ちか、どの程合理化ができるか、御説明を願いたいと思います。
○迫参考人 給与面について、よく銀行は高いということを申されます。これはよく各会社の人数で給与額を割つてみてお出しになつたのが多いと思いますが、銀行は御承知のように、入りまして、永勤者が非常に多いのであります。私の銀行あたりにしましても、毎年二十五年以上の表彰をいたしますが、二十年以上の勤続者というものが、これは私の銀行あたりの例をとりましても、おそらく千名ぐらいおると思います。六、七百名は二十五年という者がおります。そういう永勤者がおりますし、大体において銀行に入つたものは、そうかわらない。そういうことで、結局一行の給与全般を人数で割つてみると、比較的高いという数字が出て来るように思います。それと、もう一つは、銀行には大体において専門学校以上の卒業者が多いわけであります。従つて銀行の給与は、高いと申しましても、その人たちの水準からしますと、それほど私は高くないと考える次第であります。それから、これを切るということにつきましては、各銀行の立場もありますが、上げないということは、今一応各銀行とも押えております。この以上にはもう持つて行かない。それからもう一つに、銀行という仕事の関係上、あまり生活者にあえがせると、これは非常に悪い結果が出る場合が多いので、これについては私ども銀行経営の立場から申しますと、十分とは行かないまでも、生活にあえぐ状態に置いておつては、銀行の仕事を健全に運営できないかと考えておる次第でございます。
○中曽根委員 一県一行主義というものを訂正するというような新聞記事や、大蔵大臣の説明がありましたが、現在の資金状況や信用状態を見て、はたして地方資本で地方銀行の設立が実際可能かどうか。東京の大きな資本が入つて行けばあるいは可能かもしれないが、実際問題として一県一行主義を修正するということは、どういう現実的な効果を持つているか、それをひとつ御批判願いたいと思います。
○迫参考人 この間新聞で私も大蔵大臣の御意見を拝見いたしましたが、一県一行主義を従来とつて来ておつたが、それを固守しないという意味だろうと私は解釈いたしました。しかし現実も問題として、今日銀行を新に設立して、地方でやつて行くということは、非常に困難な問題であると私は考えます。事実一行当りの預金を考えると、どうしたつて最低一行当り四百万円ぐらいはなければならないかと考えます。各立地条件によつてかわると思いますが、四百万円かあるいは四百五十万円を要する。そうしますと地方で一つの銀行を今後新たに設立して、これによつて健全に経営して行くということは、なかなか困難であろうと考えます。ことに今後往年のように銀行が濫立をして、そうして不健全なものが出るということは、今日の日本の復興途上戒心しなければならない問題であろうと私は考えます。これはただ私一人の考えでありますが、私はそういうものはなかなか事実上としては困難であろう、ただ大蔵大臣の言われるのは、従来一県一行主義というものを固守しておつたが、固守しないという意味であろうかと私は解釈して、あのお話を拝見したわけであります。
○植原委員長 次に東京商科大学教授井藤半彌君にお願いいたします。
○井藤参考人 東京商科大学教授伊藤半彌であります。お招きにあずかりまして、今度の補正予算を中心に考えを述べたいと考えます。
 今度の補正予算というものは、金額から申しますと三百六十三億、非常に少いのであります。しかしながらこれは正式の予算ではもちろんございませんけれども、最近政府から来年度すなわち二十五年度の予算の大網が発表になりました。それが六千六百四億円、それでこの補正予算を問題にいたしまするときには、やはりことし当初予算、それから二十五年度の予算の計画、これをあわせて考慮する必要があると思うのであります。ところが今度一般会計のほかに特別会計その他の予算も出ておりますが、政府においては予算の純計の公表をしておりません。それでやむを得ず私は一般会計だけを問題にしたいと思います。補正予算の経費と歳入、この二つの問題を中心にいたしまして、来年度の予算との関連において意見を述べたいと思います。
 まず経費でありますが、これは皆さんにこういうことを申し上げるのは失礼で御案内の通りでございますが、当初予算が七千四十六億、今度の補正額が三百六十三億でありまして、昭和二十四年度の一般会計予算合計七千四百十億となるのであります。そこで今度補正額が三百六十三億円、当初予算が七千四十六億でございますので、その比率を求めますと、わずかに五%であります。当初予算に対しまして、今度の補正予算が五%しかふえておらないというので、金額から申しますときわめて小さな問題のようでございますけれども、この五%というものは、いわば氷山が水面より大部分沈んでおりまして、その一部が表面に出たとのと同じような関係がございまして、政府の政策がこのわずか五%増しの補正予算の中にもよく現われておると思うのであります。そこで経費の問題を経費の総額と経費の内容の二つに分けまして、一学校委員の立場から意見を述べさしていただきます。
 まず経費の総額につきまして次の三つの特徴を指摘して見たいと思います。まず一番の特徴は、追加予算といたしまして金額が非常に少いのであります。御案内の通り昨年までは追加予算の金額が非常に多くて、大体当初予算よりも多いことが多かつたが、今度は追加予算の金額が非常に少い。これは一つの特徴だと思うのであります。
 二番目の特徴でございますが、これは来年度の予算の大網と今年度の予算を比べますと、相当な経費節減が計画されておる次第であります。今年度の予算は今回の補正予算を加えますと七千四百十億であります。それに対しまして、政府発表の昭和二十五年の予算の大綱の金額を見ますと、もちろんこれは大体の大綱で正式なものでないと思いますが、六千六百四億であります。すなわち昭和二十四年度は七千四百億昭和二十五年度は六千六百億、差引いたしますと大体八百六億の減少になつでおるのであります。もちろんこれは一般会計だけであります。そこで八百六億の減少ということは、ことしの七千四百億に対する割合を求めますと一一%の減少であります。それで近ごろの日本の財政の発達を見ますと、一一%――もちろん一般会計だけでありまして、特別会計は入つておりませんので、ちよつと不正確でございますが、一一%の経費節減の計画を立てたということは、大正、昭和を通じてないことであります。実はきのう私大正、昭和にかけての決算予算を見たのでありますが、一一%の削減をやろうとする計画を立てたということは初めてであります。もう少し具体的に数字を申しますと、大正四年、これは決算でありますが、大正四年度の決算は前年度に比しますと一〇%、一割の削減であります。それから大正十四年は前年度に比しますとやはり六%の減少、昭和に入りまして、昭和四年度が前年度に比しまして四%の減少、昭和五年度が前年度に比しまして一〇%の減少、昭和六年度が前年度に比しまして五%の減少、それ以後は大体ふえております。それで大正四年が前年度に比して一〇%の減少、昭和五年度が一〇%、その他は四%ないし五%、六%という程度でありますが、来年度はともかく一一%も削減しようとするのでありますからして、相当思い切つた緊縮計画ではないかと思われるのであります。これが第二点であります。
 第三の点は、今度の補正予算をも加えました昭和二十四年度の予算の、日本の国民経済に対する規模との関係でありますが、昭和二十四年度の国民経済の規模を示すものといたしまして、やはり多くの人が言いまするように国民所得をとつてみました。この国民所得は今年の九月二十二日安本の発表したものでありまして、昭和二十四年度の国民所得は、二兆九千八十三億といわれております。昭和二十五年度が三兆九百億といわれております。そこでこの一般会計と国民所得を割算いたしますと、昭和二十四年度は二五%、来年度昭和二十五年度は二一%と減つておるのであります。これは今年度の経費の総額についての特徴でございますが、これを見て私が感じますことは、非常なる緊縮財政をとろうとしておるということ、そうしてこれによつてインフレーシヨンを回避しようとする努力がなされておること、これは言うまでもなく、その背後にいわゆるドツジ安定計画の方針が貫かれておるということを、数字によつて示すものではないかと考えます。今のは経費の数量の問題であります。
 今度は経費の内容の問題でありますが、今のドツジ安定計画が、経費の内容を見ましても現われておるのであります。それで補正予算額三百六十三億の増加でありますが、この増加の内容を見ますと、追加のものが六百八十六億、それから減収分が三百二十二億、差引いたしまして三百六十三億の補正増となつたのであります。そこでどういうものが増加したか、どういうものが減少したか、これを見ますと、やはり今申しましたことがよく現われておるのでありまして、これは申し上げるまでもなく、皆さん御案内のことと思いますので、ごく簡単に申しますと、増加いたしました分は公共事業費、災害復旧費その他、これがふえたということは当然のことだと思います。それから地方配付金が九十億ふえておりますが、これはシヤウブ勧告などの線に沿つて少しふやしたのではないかと思うのであります。それから公団への出資金、これは食糧公団であるとか、肥料公団などの出資金がふえております。それから特別会計、これは食糧管理特別会計であるとか、薪炭需給調整特別会計などであります。それから鉄道や郵便事業などの赤字を埋めるそういう特別会計や、政府機関の損失補填金、これも少しふえておるのであります。そこで公共事業費、地方配布金の増加は別といたしまして、あとの公団の出資金の増加、その他特別会計や政府機関の損失補填金の増加の内容を見ますと、大体その一つは官業の赤字を税金その他一般会計でまかなうという建前、薪炭特別会計の赤字五十四億、これは今政治問題になつておることでありまして、私といたしましても一国民といたしまして、内容をもつとはつきり知りたいと思つておるのでありますが、とにかくその赤字を税金その他一般会計によつて埋めよう、それから依然として鉄道や郵政事業の赤字がありますので、これも一般会計で埋める、すなわち主として税金で埋める。それから公団であるとか食糧管理特別会計の運転資金、これも借入金によらないで税金その他一般会計で埋めようとしておるのであります。これなんかも例のドツジ安定計画のきびしい文字通りの遵奉ということが行われておると思うのであります。
 今度減少したものは何かと申しますと、おもなものは言うまでもなく価格調整費でありますが、この価格調整費というものは現在では企業助成金的な性質を持つておりますので、だんだん時代遅れになつております。それでこの価格調整費を二百三十億削減いたしました。これを政府が期待しておりますように、企業の合理化で叫収できればいいのでありますが、企業の合理化で全部吸収するのはむずかしいと言われております。そうするとどういたしましても、一般われわれの生活費が騰貴する。物価が騰貴いたしますために、生活費の騰貴は免れないものと考えられるのであります。これも安本の計算でありまして外部に発表されたものでありますが、価格調整費――これはやや古いのでありますが、政府の原案といわれておる三百四十七億円、これを節約することによつて、勤労者の生計にどれだけの影響があるか、ということを調査したものが配布されております。それを見ますと、勤労者の生活費支出高一世帯平均月額で三百五十六円生計費がふえる計算になつております。もちろんこれは予算に盛つてある価格調整費の削減と金額が違いますので、比較にはならぬのでありますけれども、やはり三百円内外の生計費がふえるのじやないかと大ざつぱに私は推定するのであります。
 以上述べましたのが補正予算の経費の内容のおもな点でありますが、こういう増加及び減少の内容を見ますと、また緊縮予算でありますドツジ安定計画またシヤウプ勧告などの要素が取入れられておると思うのであります。これが二十四年度の補正予算についてでございましたが、二十五年度の予算の大綱を見ましても、それと同じ傾向が現われておるのであります。
 私、二十五年度の予算大綱として新聞その他に発表されておるもののうちから、金額の多いものをピツク・アツプいたしました。そういたしますと、大体補正予算でふえておるものと一致するのでございまして、金額の多いものは何かと申しますと、公共事業費、地方財政平衡交付金、国債費、債務償還費、こういうようなものが断然金額が多いのであります。それから二十五年度の予算で減額がはなはだしいのは、価格調整費であります。すなわち二十四年度の補正予算と、二十五年度の予算の大綱と大体同じ線の上に乗つておるということがわかるのであります。
 歳出はそれだけにいたしまして、歳入の問題に移りますが、二十四年度の歳入は当初予算が七千四十九億、補正予算が三百六十三億、合計いたしまして一般会計歳入が七千四百十三億となつております。そこで三百六十三億の補正予算の内訳でございますが、これももう皆さん御案内のことでございますが、前年度二十三年度の純剰余金の繰入れが大体二百億、それから雑収入が百四十三億、それから税金としての増加高が十三億となつております。問題は税金の増加高十三億であります。そこで以下租税の問題について意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 租税十三億の増加の内容を見ますと、法人税その他の自然増数が現在の税法で計算して二百十三億見込まれております。ところが今度政府が国会に提出いたしました減税案によりますと、大体二百億減税することになつております。自然増数が二百十三億で減税が二百億、差引十三億の増加となつております。問題は減税の内容であります。この減税の内容は、これも申し上げるまでもなく勤労所得税、給与所得税の源泉徴収分の一月から三月までの分を減税する、それから織物消費税を全廃する、清涼飲料税は実質的には多少残るわでありますが、形式的に全廃する、取引高税も全廃する、物品税も軽減する、こういうことになつておるのであります。ところでこの減税の内容を見ますと、例のシヤウプ勧告の精神が非常に強く現われておるのであります。もちろん今度の減税は、シヤゥプ勧告の一部だけを取上げたものでありまして、全面的のものではございませんが、このわずか一部の中にもやはり氷山の頭が現われておるのでございまして、シヤウプ勧告の精神がよく出ておると思うのであります。シヤウプ勧告の一般方針は申すまでもなく直接税中心主義をとつて、間接税や消費税はできるだけ軽減するわけで、政府提出の今度の税法の改正案を見ましても、やはり直接税を中心にして、間接税をうんと蔵らすというシヤウプ勧告の線に沿うて行われておるのであります。ところが私はシヤウプ勧告につきまして、一学校委員といたしまして多くの疑問を持つております。その疑問としておりますものの二つの点が、今度の関係あります減税案に使われておるのであります。念のために申し上げておきますが、私はシヤウプ勧告全体を通読いたしまして、まことにりつぱな近代的な勧告案であり、近代的な税制をつくろうとするものであることは言うまでもないのでありまして、私もその点は同感であります。ことにシヤウプ使節団の四箇月にわたる多大の労に対しましては、感謝を惜しむものではございませんが、しかしながら客観的に一つ一つの案を見ますと。これは必ずしも全面的に賛成し得ないのでありまして、これにに多くの批評の余地があるのではなかろうかと思うのであります。ところが私の多少疑問に思うことが今度の減税の処置にも関係がありますので、この点について率直に私の意見を申し上げることをお許し願いたいと思います。
 まず第一番の点は、織物消費税の全廃と物品税との関係であります。御案内の通り日本では、織物消費税と物品税とは法律が別になつておるので別の項目になつておりますけれども、織物消費税といつても物価にかかる消費税でありまして、両方同じであります。ところがシヤウプ勧告を見ますと、こういうような勧告が出ております。織物消費税は現在四〇%かかつておりますが、これを全廃せよ。それから物品税のうち、くつ、はきものでありますが、これは現在二〇%かかつておるが全廃せよ。その根拠は生活必需品に税金をかけるのはいかんからやめろというのであります。それから物品税のうちの甲種、すなわち宝石などでありますが、これに対して現在一〇〇%の税金がかかかつております。宝石のような極端なぜいたく品には一〇〇%税金をかけてもよいのだけれども、税金があまり重くなり過ぎると徴税上不便があるので七〇%に下げたらどうか、これがシヤウプ勧告であります。それから乙種、これは写真の機械なんかでありますが、乙種に対して八〇%の物品税がかかつておりますが、これを六〇%に下げよ、それから一般法人の事業用、営業用品物、たとえば計算器をあげておりますが、こういうものは免税にするのがよかろう、こういうものがシヤウプ勧告の織物消費税並びに物品税に関する勧告であります。
 これから私の意見を申し述べさせていただきたいと思うのでありますが、この物品税というものと、織物消費税というものは有機的同一体をなしておるものでありまして、一方を減らすことによつて、ほかのものを捨てておいてよいかと申しますと、税金というものは、本来どんな税金でもみな弊害があるものでありまして、減税というものはどんな方向から見ても減税することがよいのであります。つまりある品物を減税すれば、ほかの方はそのままにしておいてよいかと申しますと、ちよつとそうは言えないのであります。たとえば織物消費税の四〇%を減税にいたします。ところが物品税を見ますと、現在メリヤスには三〇%の税金がかかつております。織物消費税の四〇%を減税するのだつたら、メリヤスはどうか、フエルトはどうかいうことになるのであります。それからまた生活必需品を免税にするのだつたら、たとえば歯みがきに対して現在物品税として二〇%の税金がかかつておるが、これは減らす必要があるのではなかろうか等々いろいろ問題があるのであります。ところが今度の政府の計画を見ますと、シヤウプ勧告において論ずべくして論じ得なかつた問題、すなわち物品税と織物消費税その他消費税の不均衡を整備しようとする努力をいたしまして、シヤウプ勧告にないような減税計画を立てました。私は率直に申しまして、政府のこの態度には賛成であります。もちろん内容は別であります。なかなかこまかな案が出まして、何を幾らに減らしたとかなんとか書いてありますが、私は一々検討いたしませんでしたので、内容自体についてはいいか悪いかは別としまして、とにかくシヤウプ勧告案よりもさらに一歩進んで、消費税の減税措置を研究したという点は、私はシヤウプ勧告案にまさるものと考えておるのであります。
 ところが次の問題、給与所得税の減税でありますが、これに私今申しましたこととは少し意見が逆になります。給与所得税の一月から三月までの減税でありますが、政府の今度国会に提出しております原案は、シヤウプ勧告案を文字通り忠実にとりまして減税計画を立てたのでございます。これはもちろん給与所得税で、しかも源泉徴収の分だけでありますが、内容につきましては皆さん御案内のことだと思います。あれを見ますと、確かに形式上では減税になつております。形の上では減税になつておるのでありまして、だれひとり増税になつておるものはございません。原稿税率、改正税率によつて計算した租税負担高に関する表を見ますと、すべてのものが減税になつております。現にシヤウプ勧告におきましても所得税だけについて申しますと、所得税についてはすべての人について減税するので、だれの負担もみんな現在に比べて軽くするのだと言つております。確かに形式的に見るとそうなるのでありますが、実質的に見ますと私は増税になつておる部分があると思うのであります。ことに勤労生活者に対する所得税につきましては、実質的に見て増税になつておるものが多いのであります。勤労生活者に対する、たとえば勤労控除が二五%が一〇%に下つたとかその他につきまして、感じからいつてどうも下げ方が少いという声はよく聞くのでありますが、数字によつて実質的に増税という証明をしたのが割合に少いのであります。そこで私は今日、シヤウプ勧告案と、今度実施した政府の原案は、勤労生活者については、実質的に見て増税になるということを、数字によつて証明したいと思うのであります。シヤウプ勧告案ではなぜすべての人について――勤労者も入れてでありますが、所得税の減税になるかというと、去年と今年の消費の価値が同一であると仮定したからであります。ところが事実は後に申し上げますように、貨幣価値は同一ではございません。貨幣の価値が同一であれば、累進税でも何でも問題はないのでありますが、インフレーシヨン社会においてはどうかと申しますと、累進税をかけておる税金でしかもインフレーシヨンが起りますと、国民の租税負担が自動的に増すのであります。たとえて申しますと、一万円の所得に対して一割の税金がかかる、それから二万円の所得に対して二割の税金がかかると仮定いたします。ところがこの間に物価が二倍になつて貨幣の価値が二分の一になつた。そうすると一万円の所得の人が二万円の所得階級に入りますので、従来だつたならば一割の税金がかかつておつたものが、今度は二割の税金がかかることになるのでありまして、累進税がかけられておる社会、しかもインフレーシヨンが起つて税制改革がない場合には、租税負担は自動的に増すのであります。これと同じ関係が、今度のシヤウプ勧告案を文字通り採用いたしました制度の中に現われておるのであります。そこで去年と今年の物価の騰貴率を比較いたしますと、――去年と申しましても、私は二十三年の七月をとりました。なぜ二十三年の七月をとつたかと申しますと、現行の所得税法が実施されましたのが二十三年の七月であるからであります。それから最近の物価指数は二十四年の九月をとりました。この二つの物価指数は日本銀行の卸売物価指数をとつたのでありますが、この二つの物価指数を比べますと、去年の七月に対して今年の九月は一・五倍すなわち五割増になつております。またもう一つ勤労者の賃金指数を見てみますと、これは七大府県の男工労働者賃金指数でございますが、これを去年の七月と今年の八月と比較いたしますと、一八倍、八割ふえております。この賃金の方は参考のために申し上げたのでありますが、とにかく物価が五割増しておる。裏から申しますと貨幣の価値が五割減つたことになる。だから別の見地から申しますと、去年の七月一万円の価値は、現在の価値に直すと一万五千円となるのであります。従つて去年の一万円の所得に対する租税負担が、今度の改正案の一万五千円の者に対する税率と同じになつて、初めて実質的に見て増税でないということになるのであります。ところが今言つたようにずらして計算いたしますと、実質的に増税ということになります。政府発表の数字を使つて申しますと、独身の勤労者で月に一万円の所得の者について去年の七月できた現行税率で計算いたしますと、独身で月給一万円の人に対する現在の税金は、千六百四十五円であります。パーセンテージから申しますと一六・四五%であります。ところが今度の改正案では一万円に対して幾らかというと、税金は千五百五十八円、一五・五八%であります。そういたしますと、去年の七月から行われておる現在の制度と政府のこの改正案に比べますと、前は一六・四五%今度は一五・五八%でありますので、外観上〇・八七%減税になつております。こういう点から申しますと、すべての人について減税になつておるのでありますが、私がさつき申しましたような実質計算をいたしますと、増税になつております。すなわち具体的に数字を申し上げますと月給一万円の独身者の税率は一六・四五%であります。ところが今度の改正案における一万五千円のところを見ますと、二〇・九四%すなわち一万円の月給は実質的に一万五千円にあたるのでありますから、去年の七月一六・四五%であつたものが、今度は二〇・九四%になるのでありますから、差引四・四九%だけ実質的に申しまして、独身の勤労生活者の租税負担がふえているということが言えるのであります。これと同じ計算は夫婦者についても言えます。夫婦者についてどれだけになるかと申しますと、去年の一万円の者に対する税率は一四・九五%、ところが今度の改正案によると、一万五千円の者に対する税率は一八・二七%差引三・三二%の実質的増税であります。それから夫婦と子供一人の場合はどうかというと、去年七月の一万円に対する税金が一三・四五%であつたものが、今度の改正案で一万五千円の場合は一五・七七%でありまして、差引二・三二%の増税ということになります。それから夫婦と子供二人の場合はどうかというと、去年の七月の計算で一万円に対する税率一一・九%の者が、今度の政府案で一方五千円のところを見ますと、一四・三〇%、差引二・三五%依然として増税であります。次に夫婦と子供三人の場合はどうか。去年七月の一万円に対する税率は一〇・四五%でありますが、一万五千円に対する政府の改正案の税率は一一・三八%で、同じく〇・九三%の増税であります。これが夫婦と子供四人になりますと、実質的に減税になるのでありまして、これが一万円に対して九・九五%、ところが今度の政府改正案によると、一万五千円に対する税率が九・四五%でありまして、差引〇・五〇%の減ということになつております。ここになつてやつと名実ともに形式的にも実質的にも減税となつておるのであります。私は今一万円のものだけとつて一万五千円にしてその税率を見たのでありますが、八千円の者を五割増して一万二千円にしても同じ結果が出るのであります。これによつてわかることは、扶養家族の数の多いほど、実質的に見て負担が軽くなるということ、そして勤労生活者の負担というものは実質的に見て軽くなつておらぬのであります。
 なぜそうなつたかという理由でありますが、これはシヤウプ勧告案において次の二つのことがあるからこうなつたのであります。すなわち一つは、勤労所得は現在では二五%の控除が認められていたものが、シヤウプ勧告案では一割控除に減らしたということであります。もう一つは、これはあまり人が注意しないことでありますが、非常に重要なことであります。シヤウプ勧告案においては税率はすべて累進税を減らしております。ところが私は二つの税率を比べてみますと、課税所得十二万円から二十五万円までの税率は、シヤウプ勧告案も現在日本で行われている税率も一致するのであります。こういうことがありますために、今言つたように勤労者の実質的負担が重くなつておると思うのであります。で私は今度来るべき通常国会において、税制に関する全面的な改正が行われると思う次第でありますが御当局においてこの点何とか御留意願いたいと思うのであります。
 こういうふうに勤労生活者その他について申しますと、所得税はふえるけれども、そのかわり間接税は減つているところもあります。また地方の住民税はふえています。その他価格調整費廃止後の物価騰貴によつて負担を増す、また新給与ベースがそうなつているか等、いろいろの問題がからんでいるのでありますが、私の申しました問題は所得税だけについて申したのであります。
 それから租税の国民所得に対する割合でありますが、この租税の中には専売益金が加えてあります。これは結論を申しますと二十四年度は二二%であります。もちろんこれは国税だけで地方税は入つておりません。これに対して二十五年度は一八%でありますから、実質的に見まして、国民全体としての国税負担は、二十四年度の二二%のものが二十五年度は一八%で、実質的に減ることになつておることは事実であります。しかしまた以上二十五年度について申しましたことは、政府予算の大綱があの通り実行できるという前提に立つているのでありまして、あの内容が狂つて来れば、私の申しましたことの大部分がかわつて来るということは申すまでもないことであります。
 これをもつて私の意見開陳を終ることにいたします。御清聴を感謝いたします。(拍手)
○植原委員長 どなたか質問がありますか。
○稻村委員 直接税に対する租税の依存度だんだん強くなつて行くということは、これは普通のことなのでありますが、勤労大衆の負担が非常に重いということを前提にするということ、間接税が軽くなつて直接税によけいに重点が置かれているということに、ただ原則的にいうところの、直接税と間接税との関係というばかりが考えられないものが、あるような感じがするのでありますが、その点についての御所見を伺いたいと思います。
○井藤参考人 まつたくお話の通りだと思います。ただ御案内の通り、シヤウプ勧告案と申しますものは、一年とか二年とかの暫定的な税制ではなくて、少くとも数年間はかえなくてもいいような、理想的な税制をつくろう、これが目的でございますから、私も、一両年の問題だといたしますと、日本の国民の納税道徳、税務機構その他の点につきまして、今度のシヤウプ勧告案が少し強過ぎるのではないかという感じがするのであります。そしてシヤウプ勧告案というものが、今申しましたように、どちらかと申しますと、遠い将来を考えてつくつた税制でございますので、やはり同じ勤労生活者に税金をかけるにしても、直接税はできるだけ重くする、間接税は軽くしようというので、暫定的な、処置といたしますと、いろいろ変なところが出て来るのでありますけれども、長期を考えてこういう案を立てるといたしますと、やはり勤労生活者に対する場合におきましても、直接税を重くし、間接税を軽くするという一般手的な原則は、それでいいのではないかと考えております。
○西村(榮)委員 伊藤先生にお伺いしたいのですが、シヤウプ勧告案の結論からして、私の感ずるところは、税制体系としては一応整つておるとしても、日本の現実を見て、政治的に考えて実情と一致しないという点がたくさん発見できる。たとえて言えば、今後日本は、五年なり七年なり長期にわたつて、国家資本累積の源泉は、国民の消費節約に求めなければならぬと思うのです。ところが間接税を軽減して、直接税中心主義で行くということは、この実情に背反するところの結果を招来するのではないか。私の言わんとするところは、間接税によつて一応政治的には消費節約をはかる、耐乏生活をはかる、その上に立つて国家の資本累積を大衆の手によつて求めて、産業発展の源泉をそこに求める、従つて直接税はある程度まで軽減して、間接税をふやす方が、耐乏生活と国民の消費節約という政治的な面に合致するのではないか。しかるにシヤウプ勧告はこれと逆行するというような感じを抱くのですが、先生のご見解はいかがでしようか。
○井藤参考人 先ほどの御質問に対してお答えいたしましたことと、結局同じことを言うのではないかと私は思いますが、ただいまの御感想でございますが、これは実は私新聞か雑誌に書いたことがございまして、大体同じような考えを持つておるのであります。と申しますのは、日本の国民所得の分布状態その他を見ますと、大分違つて、国中が全部貧乏になつたことになつております。それでシヤウプ勧告の数字よりも、私の使つた数字の方がやや古いのです。ですが、大体の傾向は同じことです。たしか課税所得二十万円以下のものは、人数から申しましても、金額から申しましても、大体九割であります。ですから、ちよつと二十万円と申しますと、非常に金持ちのようでございますけれども、これは昭和十一年ごろの貨幣の価値に直しますと、一千円であります。昭和十一年ごろの一千円というと、第三種所得税は千二百円以下が免税でありましたから、これは免税であります。だから今から十数年前までは免税であつた連中が、大部分所得税を負担する、こういう変態状態であります。そういう点を考慮いたしますと、直接税というのは金持ちが大体において負担する、間接税というのは大衆が負担するのだと、オーソドツクスとしてわれわれ学校教授がそう申しますが、しかしながら事実はどうかというと、直接税も大衆が負担する。間接税も大衆が負担する。別な言葉で申しますと、日本には大金持ちがないのであります。ですから、私は率直な意見を申しますと、ここしばらくの間は、間接税中心で行く方が、税務機構の貧弱なこととか、国民道徳から考えまして、遺憾ながら間接税中心主義の方がまだよいのではないかと考えます。但し今おつしやいましたのは、資本蓄積という側面からおつしやましたが、私は税務行政という立場から、その方がよいのではないかと思つておるのであります。ただこういう批評に対しまして、シヤウプ勧告案は、一年や二年で改める制度でなく、りつぱなものをつくる、長く続くのだということを言つておりまして、あのように綿密な制度ができております。たとえば繰りもどし制度とか、繰越し制度とか、あるいは相続税と所得税と一緒にしたものとか、なかなか学校教員が考えましたら、理論的に非常に綿密なものができ上つておるのですけれども、実施するとなると、人民がこなせるか、税務官吏がこなせるか、これに非常に問題があると思う。ただシヤウプ博士一行といたしましては、できるだけ恒久的なよい制度をつくろう、そういう点に重点を置かれたために、そういうふうになつたのではないかと考えております。
○上林山委員 勤労所得税に対するただいまの御見解に対しては、われわれもある程度共鳴をし、また実質的な改正をはからなければならぬと考えておるのでありますが、そういう立場からいたしまして、勤労所得税のみを中心にして、実質賃金が下つておるんだ、こういうようなご見解、ないしは増税になつておるんだというようなご見解のようでありましたが、間接税の減税による面、ないしは米麦中心の輸入食糧が非常にふえまして、大体二合七勺の米麦を配給することができると政府は言明しておるのでありますし、かつまた厚生施設によつて勤労大衆に対する実質的な賃金の向上をはかる、こういうような、予算全体から来る立場から考えた場合に、実際の所得に対して相当の影響がここに及んで来るのでありますが、そのパーセンテージを、あなたの方においてはどういうふうに見ておられるか、この点を伺つてみたいと思います
○井藤参考人 実は、今度お招きにあずかりましたとき、私これを数字的に計算しようとして、計数をあさつたのであります。それで、前に申しました、今から一箇月ほど前に安本の出しました価格調整費、当時政府の原案は三百六十億でありましたが、あれを減らすことによつて一般の生活費が幾ら高くなるか、これを数字を出して、やつたのですが、これを私が調べた動機も、今御質問がありましたのと同じようなことから計算をやりかけたのであります。ところが御満足の行くような数字的な計算ができたかというと、私といたしましては、できておりません。しかしながら、これは当然やるべきことで、私もやろうとして努力したということは申し上げておきます
○風早委員 今上林山君が質問されたことは、やつぱり重要なのでありまして、私も同じような点をひとつ伺いたいのであります。
 今政府は、実質賃金が上つた、まだこれから上る見通しだということを言つておるわけでありますが、この点は、税金の面、またその他今上林山君が言われました線から、総合的に言わなければならない。少くとも税金の面から言いますと、実質的には負担は大部分の勤労者については過徴している。これは今るる御説明になりましたように、数字的にも明らかなことと思います。ところが問題は、さらに厚生施設その他おこういう面でありますが、これは現実を見ますと、厚生施設費というものは大体今まで会社側がこれを負担しておりました。その他電燈料、水道料等々といつたようなものも、これもたとえば独身寮とか社宅というものにつきましては、これは会社側が負担するのが通常でありました。そういうものが現在では実質主義、その次は今度はもう自費だ、こういうふうな傾向が最近ずつと出て来ております。こういう点をひとつご考慮になりまして、全体としてあなたはこの勤労者の実質負担というものはふえたのか減つたのか、これについてひとつ率直なる御見解また御結論を承りたいと思います。
○井藤参考人 大体先ほどの御質問と同じような御趣旨かと思います。実は私先ほど意見を申し上げました通り、所得税について実質的に見て増税になる。それから住民税その他地方税につきましても、やはり実質的にも形式的にも増税になります。これは勤労者だけではありません。それから価格調整費によつて物価騰貴ということはやはり負担の増加になるのであります。それから給与ベースの関係とか、そういうことで私は問題の所在を提出はしておつたつもりでありますが、ただいま御指摘の厚生施設云々という問題、これもまた同様に考慮すべきことと思います。それで私といたしましては、やはり大体の感じを言うだけでは意味をなさないので、何とか不正確でも数字を出そうとして努力をいたしましたが、先ほど申しましたように数字を出すことができなかつたのであります。ただ一般的に言い得ることに、ドツジ安定計画というものは――ドツジさんはそんなことは言つたことはないというお話でありますが、俗にこれは国民耐乏だということを言つております。だからその点から申しますと、やはり感じから申しますと、それほどわれわれの生活、ことに勤労者の生活がよくなるだろうというような感じは、私は少くともここ一両年はしないのであります。しかしこれは私の感じでありまして、数字的基礎がございませんので、はなはだ怪しいものでございますが、私といたしましては数字的基礎が何とかできるような資料を持ちたい、また政府当局におかれましても、その他の方面におかれても、そういう研究をやつてわれわれに見せていただきたい、私からむしろお願い申し上げたいのであります。
○植原委員長 休憩いたしまして、午後一時から開会いたします。なお念のために申し上げておきますが、せつかくお忙しいところを参考人の方はお出かけになつておるのでありますから、なるべく御質問なさる前には十分にその方の御意見を伺つておいてお聞きになるようにひとつお願いいたします。
    午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
    午後一時三十四分開議
○庄司委員長代理 ただいまより休憩前に引続き会議を開きます。
 実は委員長は零時半から常任委員長会議に御出席でありますので、お見えになりますまで私が代行いたします。
 参考人よりの御公述を続行いたします。湯河さんにお願い申し上げます。
○湯河参考人 本日お招きをいただきました湯河でございます。本年度の追加予算に関連して、私の感じましたことを数点申し上げてみたいと存知ます。私は農林中央金庫に勤めている関係から、農業問題を、資金あるいは資本という間から、日ごろいろいろ考えさせられているのでございます。そこでそういうお話をしてみたいと思うのでありますが、前提としてごく最近までの情勢をしばらく申し上げてみたいと思います。
 終戦後農地改革が行われ、あるいは農業会が解体されて農業協同組合ができたのでありますが、これらの御措置によつて、わが国の農業の基本的な経済的基礎が大いにかわつて参つたのでございますが、われわれはこれらの措置によりまして、将来を大いに期待しておつたわけでございます。ところが御承知の通りに、戦争によつて農業の受けた資本の荒廃と申しますか、生産力の減少はまことに著しいものがございますし、また戦時中並びに終戦直後のあのインフレの高進に際しては、当初は農業もそのインフレの恩恵に浴しておつたような感じもあつたのでございますが、しばらくたちますと、もうインフレにくつついて行けないというので、農村からいろいろと声が出ております。たとえば税金が重くて耐えられないとか、あるいはシェーレがきつきつなつて来たとか、あるいは食糧の供出がとうてい耐えられないとか、いろいろなことが申されたわけであります。せつかく農地改革や農業協同組合を新しくつくつては参りましたが、かような悪條件がございますために、これらの改革的措置も、おの効果を十分に発揮することができないままに、漸次農村の経済は苦しい間に立至つて参りました。御記憶もあるかと存じますが、二十二年の春以来農業金融というものは、非常に資金詰まりを感ずるように相なつた次第でございまして、ちようど春先以来税金の支拂いであるとか、あるいは常長資金の調達であるとかという局面に立ちまして、農業機関が非常に枯渇して参りました。二十三年にはそれが農業手形という制度によりまして若干緩和され、本年度はこの農業手形がさらに多額に用いられるというふうになつたのでございますが、これすなわち反面から申しますれば、農業の資金が足りないということで、春先必要とされますものの大きなものは、肥料の購入とか、農機具、農薬等の調達でございますが、これらの資金はすなわち農業の休息資本でございます。この資本が欠乏して来たということから、農業手形の導入という形に相なつた次第でございます。これらの資金を借りますことは、結局昔のお百姓のいわゆる青田売りの姿にほかならないのでございまして、農業経済がそれだけ悪くなつたからそういう必要が生じたということでございます。農業金融は協同組合の組織による組合金融でございますので、個々の農家の手元に資金がございませんときには、この組合金融全体が資金に詰まるのでございます。農家はこの組合金融によつて必要なる資金を調達しようというのでございますから、自分の手元が苦しいときでも、組合の資金が楽でありさえすれば助かるわけでございますが、組合金融の方も詰まるということになりますと、農家としましてもまつたく行き詰まる。そこで外部から資金を借入れるという意味をもつて、農業手形によつて日本銀行の資金を導入するという措置がとられたのでございます。これは次になりますと、敬遠されます米あるいはいもその他の供出農作物の代金によりまして、返済されることに相なつておりますが、また翌年の春になると同じことを繰返すという姿でございます。これはすなわち農業金融の短期資金のいわゆる季節性とこう申されております現象が、最近特に著しくなつて参つておるのでございますが、これは何と申しましても、農業経済それ自身が苦しくなつておるからだと思います。われわれは何と申しましてもこのままに放任されておりますと、いわゆる青田売りの忌まわしい姿、すなわち商人や高利貸から農民が搾取されるという姿が出て参りますので、それを合理化した金融でやつて参ろうというので、農業手形というものが用いられておることは御承知の通りであります。
 問題はそればかりではなくて、せつかく農地改革あるいは農業協同組合の設立等の措置によりまして今後日本の農村を民主化するとともに、日本の農業の生産力を高めようという切なる期待を持つておる次第でございますが、この農業の生産力を高めるという間において、基本的に大切なものの一つとして、農業の長期の固定資本を入れるという問題がございますが、これはどうなつておるかと申しますと、協同組合という組合金融によりましては、固定資本の長期金融がまかない得ないものであることは、おわかりいただいていると思います。組合金融はいわゆる預金を基礎にいたします預金銀行でございますから、これが長期の融資をなし得ないことは、もとよりおわかりのことと思います。従来この面に対しまして、つまり農業の生産力を高めるようないわゆる固定資本をいかにして調達したかと申しますと、これは大体勧銀あるいは農工銀行、北海道拓殖銀行等の不動産抵当長期金融機関がこれを担当して参つたわけであります。ところでこれらの金融機関は御承知でございましようが、一方において農地改革によつて不動産の抵当は経済的にできなくなつたということがございます。土地を担保に入れ、農地を担保に入れて金を貸してくれと言いましても、だれも貸してくれません。また土地の担保価格というものは、今の公定価格によつてみますれば非常にわずかなものでありまして、低くなつております。これらのことからいたしまして、不動産抵当金融というものが破壊されておりますし、また先ほど申し上げました勧業銀行あるいは拓殖銀行等は、過般の金融機関再建整備法の適用によりまして、これは全部普通の商業銀行にかわつてしまつたのでございます。これらの点からいたしまして生産のために必要なる農業の固定資本をまかなう長期金融機関がなくなつてしまつたということが言えるのであります。
 そこで問題は農業の最近の情勢と財政との関係が出て来るわけでございます。実は過去長い間、日本の農業は非常に生産性の低い悩みを持つておつた次第でございまして、鉱工業の方面における資本主義の著しい発展と比較いたしますと、農業は非常に遅れているということが申されております。これは日本の農業の本質に基きますいろいろな悩み、つまり規模が小さい、あるいは立地条件が悪い、あるいは技術がまだ伸びぬとか、あるいは自然的な災害等が多いとか、いろいろございますが、基本的にはさような日本の零細規模の農業に対しては、普通の金融によつて資本を調達することはできないという悩みがございます。これがもし鉱工業でございますればあるいは株式会社を結成して株を募集するとか、あるいは社債を発行して金を借りて来るとかいうふうな道がございまして、証券市場が今日また将来にわたつて育成されて参りますれば、その方向によつて長期の固定資本を調達することが筋道かと存じます。もしこれができないような場合に、初めて勧銀あるいは興銀、農工銀、拓銀といつたふうなものが、その長期の特殊の金融を営むことになるのではないかと存ずるのであります。農業は規模が小さくて株式組織をとることもできませんので、証券市場につながることもできない。こういうわけでございまして、従来勧銀とかあるいは拓銀というふうなものが、農業の長期金融をはかつておつた次第でございますが、それではとうてい日本の農業は立ち行かぬ、生産力を伸ばすことができないというので、明治、大正にわたりまして財政の面から農業に対して、多大の援助が出ておる次第でございます。これは何も日本の農村を特にえこひいきするとい意味ではなく、日本の農業が国全体の産業、経済中において占める地位、あるいは農民が日本全体において占める地位というものを考えますれば、どうしてもこれを衰減するままにして置くことは、全体としてよくないという見地に立ちまして、この措置がとられたものかと存じますが、いわゆる助成金政策、補助金政策というふうなものがございまして、これらの補助金制作等はその当時からいろいろ批判を受けておつた次第でございますが、しかしその経済的の意味はただいま申し上げましたように農業には鉱工業のような資本調達方式がとれない。不十分である。そこで国全体の資本蓄積を租税という形によつて、また補助金という形によつて再配分して、農業に必要なる資本を与えるという意味において、この措置がとられていたものと思うのでございます。なおそのほかに預金部低利資金というものがございまして、この預金部低利資金というものは、あるいは郵便貯金でございますとか、あるいは簡易生命保険積立金でありますとかいうふうなものが、政府の操作によりまして農業に地方還元されておつた次第でございます。これは普通の銀行、金融機関が提供いたします資金よりも、低利に有利な条件でもつて農業に提供されておつた。これも普通の銀行、金融機関が提供します条件で農業が資金を調達しても、経営が引合わぬということから来る、やむを得ざる事情から出た措置かと存じます。これらの財政あるいは準財政的な農業に対する投資というものがどうなつたかと申しますと、終戦後は日本の財政基礎が非常に緊縮した、あるいは中間工業、あるいは植民地を失つたということからして財政の規模が縮小して、もはや従来のような補助金は出せぬということになり、また預金部低利資金のごときは、その筋の意思によりまして、あるいは公債であるとか国債、あるいは公団資金等のほかは使つてはいけないということになりましたために、これらのものは農業に用いられることがなくなつて参りました次第であります。かようにいたしまして、農業の生産力を伸ばすべき固定資本の調達に必要なる金融機関、長期投資金融機関もなくなつて、財政金融も出ない。あるいは預金部低金利資金もなくなつたということからいたしまして、農業としては、いかにして今後自分の資本を調達するかということに、非常に当惑を感じておる次第でございます。先ほども申しましたように、農業のプロパーの金融である組合金融は、預金を基礎とする短期の金融機関として、しかもその役割を果すのになかなか容易でない農業手形等の制度を用いなければならぬという状態でございますが、もしそれ農業の長期金融に至りましては、従来からありました各般のルートがほとんどみんななくなつてしまつて、非常に今当惑を感じております。先ほども申し上げましたように、農地改革はできた、あるいは協同組合がはなばなしく発足しておるということがございましても、その基礎になります農業経済というものは、戦争によつて相当荒廃しておるし、インフレの初期におきましてこそ若干農村は潤いましたが、農村の人達は当時――今から顧みると惜しいのでございますが、それらのインフレ的資金を何か有用に使つておりますれば、まだしもでございますが、そのときどきの当座の消費享楽面にそれを使つてしまつたようなわけでございます。今日いざ長期資金が必要だというときにぶつかりまして、まことに当惑を感じておるような次第でございます。
 こういう事態からいたしまして、今度の予算を拝見いたしましても、また二十四年度の予算を拝見いたしましても、農業に関する諸費については、いろいろと御配慮はいただいておるように思いますが、われわれが資金、資本の立場からながめておりまして、感じておりまする不足というものは、相当大きいのでございまして、このままにしておくことはどうかというふうな感じがいたします。一面におきまして、基本的には、何かここに農地改革後に日本の農業の生産力を伸ばすべき、特別の金融的措置を考えるということは当然でございます。しかしまた他面におきまして、従来財政上の補助金、助成金、あるいは低利資金等のものがあつて、初めて日本の農業が他の鉱工業に追随して、均衡を得た発達を遂げて参りました経過にかんがみまして、これらの措置がほとんどなくなつておるということは、これはやはり相当の問題であろうと存ぜられます。要するに農業に対する財政支出は、単なる指導、監督の費用というものばかりではございませんので、その中には金融調達をすることのむずかしい農業資本に対して、財政が国全体の資本蓄積を再配分するというような意味を持つておるのではないかと思われますように農業に資本を与えていたのでございます。これは過去において、農業と鉱工業とのアンバランスを、これによつてわずかに調整して参りましたし、また将来にわたつて考えますれば、鉱工業の方向におきましては、先ほど申し上げましたように、証券市場であるとか、あるいは各種の金融措置等もとられましようが、農業方面おいては、どうしてもこういうものがとられにくいことからいたしまして、そのせめてもの穴埋めに、財政という問題が相当大きな役割を果すべきものと信ずるのでございます。この委員会等も、いろいろ予算を御審議いただきます際に、われわれがそんなような苦痛を感じておりますことをおくみとりいただきまして、いろいろとよき予算を組んでいただくことになりますれば、まことに仕合せである。かように存ずる次第であります。これが第一点であります。
 もう一点申し上げたいと存じますことは、実は先ほど来申し上げましたように、終戦後農業の線は、農地改革なり、協同組合なりという、かなりドラスティックな変革が行われております。そうしてその変革にたえるだけでも相当今悩んでおります。しかるに今や、安定経済であるとか、あるいは貿易再開であるとかいうふうな、当時かすかに、まだ将来の問題と思つて予定されておりました問題が目前に現われて参りましたのであります。われわれは、この安定経済に入るについて、いろいろの問題が起つて来る、あるいは貿易再開がされて、外国農業との戦争が起るというようなことは、日本の農業にとりましては、これは容易ならぬ事態というふうに存ぜられる次第でございます。今国家のやつていらつしやる措置を皆民間から拝見いたしておりますと、何だか眼前の事象にとらわれて右往左往していらつしやるような気がいたします。あるいは統制というふうなものをはずすというふうなことをおつしやる。これは戦時中の統制経済が、安定経済に入つて、順次自由な経済に立ちもどるということでございますから、われわれはもとよりこれはそうあるべきものとは存じておりますが、この御措置をおきめになりますときには、われわれ民間の者として、ぜひお考えおきを願いたいと存じますことは、それは当然筋道でございましようが、それ前提たるいろいろの準備を十分にしておいていただいて、そうして統制の解除をしていただきたいということを切実に願うのでございます。実はこの春、薪の統制を解除されました。あるいは薪炭の統制を解除されました。これはいずれも、経済情勢がかわつて参りますれば、さようなことになるべきものとわれわれは信じておりますが、しかしそう言つては何でございますが、いかにも無準備でその御措置をとられたような気がしてなりません。これは具体的にはそうでなかつたのかもしれませんが、少くとも金融の窓口から見ておりますと、その準備がないというような気がして、そのために農家の方々も相当苦しまれたのでございましようが、われわれ金融機関の者も相当面くらいましたし、今後あるいは食糧もゆたかになつて参りますというようなことを考えますれば、今の統制がどうなりますか、その他いろいろさような問題が起るかと思いますが、そういう際には、若干経費がかかつても、必要な措置を十分ご準備になりました上で、それを解除になるように、ひとつお考えをお願いいたしたい。
 そこで、問題はそればかりではございません。われわれの尤も深い関心を持つておりますのは、日本の農業が担任しております食糧の問題、この食糧の問題につきまして、外国の農業との競争という形において展開されます問題でございます。これらにつきましては、実は基本的には、食糧自給の問題をやはりもつとはつきりわれわれは認識すべきではないかというふうに思うのでございます。食糧自給の問題は、平和的な日本、軍備を持つていない日本が、ほんとうに中立を守るためには、この食糧が国内において自給できるということは、これは相当大事な問題であろうとおもうのであります。外国との関係において食糧の輸入ができれば、国内において食糧を自給するということは、あまり考えないでもよいじやないかというふうにお思いになる方がいらつしやるかとも思いますが、われわれは、ことに私は、戦時中食糧の供給関係に非常に深い関係のあるお仕事に関係しておりましたので、やはりその感じが深い。基本的には、外国の食糧が入つて来るということが、単に農家の経済、農業の経済にどう響くという問題じやなくして、国全体の問題として、食糧はできるだけ国内において自給するという態度をもつて行くことが必要ではないかと思います。それとともに、今申し上げましたように、外国農業との競争において、安い食糧が日本の農薬を圧迫するということになりますと、かつて植民地の食糧が日本の内地の食糧に対して、非常な圧迫を加えましたような状態が出て来るということになりますれば、やはり日本の農業にとつてこれは容易でない事態だと存ずるのでございます。これが安定経済あるいは貿易再開等によつて招来されますいろいろな事態、あるいは日本の鉱工業が非常に盛んになつて来て、農業があとについて行けない、あるいはこれから先不景気になり、鉱工業の方面が、都市が衰えて来て、日本の農業は次第にその市場をどこに得るのかというような問題、そこに積極、消極、いろいろな問題が将来に予測がつくのでありますが、これらの事態は農地改革あるいは農業協同組合法を制定されました当時と違つて、さらに第三と申しますか、そう言つてもいいぐらいな基本的な農業政策が、ここに確立されなければならぬ段階が、今目前に来ておるのではないかというふうに存ぜられます。いたずらに目の前にあるところの問題を処理することに急であつてはならない。ここに農地改革だとか、農業協同組合というふうなものの基本的な改革が、今度は農業政策全般においてとられる必要があるのではないか、それはもう即刻にその必要が迫つておるというふうな感じがいたしておるように考える次第でございます。私ども金融あるいは資金、資本の仕事に関係しております者のきわめて狭い見解でございますが、日本の農業の将来につきましてそんなことを感じますので、皆様方いろいろ国の予算を御審議なさいますときに、われわれのさような気持もおくみとりくださいましてよろしく御審議願いたいのであります。(拍手)
○風早委員 ただいま湯河さんからいろいろ参考になることを伺いまして、どうもありがとうございました。特に最後にお述べになりました日本食糧の自給体制をもつと真剣に考えなければならないじやないかという点につきましては、まつたく同感でありまして、この点をいかにして生かすかにつきまして若干御質問申し上げてみたいと思います。大体日本の食糧自給の問題かいかに大事であるかということは論はないのでありますが、これがてんでできないことならば、論じてみたところでしようがない。しかし可能性が多分にある問題であるという意味におきまして、現実の問題として取上げて行かなけれならぬと思う。その点でたとえば積極的な意見を一つ申しますれば、現在外国の食糧がどんどん入つており、またこれからますます外国食糧の輸入の増大という傾向になつておりますが、その輸入のたびにどんどんと補給金がふえるのであります。当初予算で食糧だけについてすでに四百六億円も補給金が計上せられておるのであります。今度また百二十億ばかりのものが追加せられておる。つまり莫大な補給金がおまけにこれについて来る。そのもとの値段は別としましても、この補給金だけについても、これをなぜ農業改革、自給促進の方向へ向けないかということは、農民自身も非常に疑問に思つておるところであろうと思うのであります。そういう点で一体どういう方法で、どれくらい金をかけたら、さしずめ自給ができるかという点についての、積極的な御意見がありましたら、この際にぜひ伺わしていただきたい。これは私ども国会議員といたしましても、できるだけ御意見を尊重してその実現に努力したいという立場から申し上げる次第であります。
○湯河参考人 ただいま風早委員から食糧の自給が可能であるかどうかという点、またそれを自給するについては、どのくらいなことをしなければならぬかということについてのお話がございましたが、私は食糧の自給問題というものについて、どうも世間の方の御認識が少し足りないということを感じて、先ほどのことをおこがましくも申し上げた次第でございますが、実は日本人の食糧を国内において自給すると申しましても、程度の問題だと思います。戦時中最高度に自給いたしましても、あるいは終戦後の状態といたしましても、いもだとか何かいろいろなものをまぜまして大体八十パーセントあるいは八十数パーセントというところであるのでございますが、すでに米麦等は相当むりをしてつくつており、またいもなどもむりをしてつくつておりますので、これ以上に絶対自給ということになりますと、相当大きな計算をしなければならない。世間の人の関心が、どうせその程度の自給なら、もつと自給度を落してもいいではないかとお考えになつて、ともすれば鉱工業偏重の政策――これは日本の経済全体としては調和のとれない政策だと思いますが、その方向に御論議が進みがちであるので、先ほどのことを申し上げた次第であります。今風早委員の仰せになりました、たとえば四、五百億の補給金が出ているが、これにどれだけをプラスしてやつたら完全に自給することができるかということにつきましては、私もまつたく民間の一人といたしまして、データを持つておりませんので、数字的にはお答えできませんが、しかし現状さえさらに軽くしようという気持が、世間にはおありではないかということを心配して、私は申し上げた次第でございます。
○風早委員 今お話がございましたが、あなたの御担当の農村金融の面からだけでも、ある程度問題は明らかになるのではないかと思います。消極的な面から申しますと、たとえば災害の問題でありますが、災害によつて生じている農業生産の被害というものは、全体の収穫に対して二割以上に達しているということであつたのであります。そのうちの大部分は自然なものであるというよりも、災害に対する手当をやつておらないためにこういうことになつている、はなはだもつたいない話でありまして、災害の復旧、あるいは災害予防についてもう少し金を出したならば、そういうことは起らなかつたという面もあるわけであります。そのほか肥料の問題にいたしましても、今肥料が買いたくても買えないという状態で、これを金融の面から解決して行くこともできると思うのであります。肥料があつても買えないという場合がしばしばでありますから、その点からも改革できやしないか。それからもう少し積極的な方策としては機械化でありますとか、もつと優秀な技術を農業に及ぼして行くとかいつた点があると思いますが、それにはもちろん金がさつそくかかりますから、これも金を見積つてひとつ考えていただきたい。
 それからさらにもつと積極的には開拓という問題が、すでに百五十万町歩開拓計画なども出ているのでありますが、ただ時日がサボられている、そういう点をもつと積極的にやれば、現在でも食糧は絶対額から言えば米麦合せれば、子供を入れても一人当り一年一石くらいはあるはずであります。一日二合七勺はおろか三合くらいはあるはずであります。もちろん酒にも使いますし、いろいろ消耗もありますから、それほどには使えませんが、絶対額から言つてもあるはずであります。従つてもう少しこれに何割か加えれば、大体において自給はできる。どこまでも封鎖経済にする必要はありませんが、大体において日本の独立のために、自給ができるという見通しは立ちはしないかと思うのです。そういう点で金融の面からさしずめどのくらい農業にまわしてもらいたいか。今農業協同組合あたりは、預金もどんどん減りまして、市中銀行の大きいところはどんどんふえておりますが、まつたく逆に減つておる。こういうような現状でありますから、具体的にどのくらいな金を、どういう方法で、どこへまわしてもらいたいといつたふうな御意見がぜひ伺いたいのであります。
○湯河参考人 先ほどお答えしたことがまことに不十分でございまして、今風早さんのおつしやつたようなことだと私の方で申し上げることもございます。
 一番先に申し上げましたように、抽象的に農業資金がどうしても必要だと申し上げたのは、やはり長期の資金の問題が一番基本になるのでございます。たとえば災害の復旧であるとか、あるいは土地改良であるとか、こういうものには実は地方には相当の要求がございます、この要求は数百億にも上るものでございますが、それが果して金融でまかない得るか、あるいは先ほど申し上げた、従来からありました助成金政策等を、農業の方においてさらにお考え直していただくということによつて行くべきか、これはいろいろあるかと思いますが、相当の資金需要はそこにあるわけであります。実際それはすればするだけの効果は確かにあると思います。また肥料の問題等につきましては、先ほど来申し上げました農業手形の制度を、今後もいろいろ間違いないように運用して参りますれば、農村に対するいろいろな援助ができるかと思います。それで実は地方にそういう需要がございましても、それを金融の面から扱いまして、はたして適切なる償還計画を立てた融資ができるかどうかということになりますと、いろいろ問題がございます。また実際事業としても、どの事業を先にするか、どの地方の開拓とか、あるいは土地改良を先にするかということにつきましては、産業政策上のいろいろの見解もございます。
    〔庄司委員長代理退席、委員長着席〕
 われわれ金融機関としてこなし得る限界というものもあるわけでありまして、実は昨年から農林漁業復興融資というものを始めまして、一月五億ぐらいの資金を消化して参つたのでございます。それが昨年の十二月から今年の三月まで約二十億の金がそういつた意味においては出たわけてありますが、この復興融資暫定措置というものが、この四月以来杜絶しておりまして、その後においてはエイド・フアンドから将来でるのではないかということが現在申されておりますし、私の方の農林中央金庫自身といたしましても、マーケツト・オペレーシヨンによりまして資金の調達をいたしまして、農村の資金を操作しております。しかしそれらの措置にも限りがあることでありまして、われわれとしては、もし可能でございますれば、この際農林中央金庫の増資をいたしまして、あわせて債券発行の限度を引上げていただくということにお願いできますれば、ここに約百六十億ぐらいの資金の調達ができる。それらのものをもつて、とにかくできるだけのことをして参りたいという考え方をしておる次第であります。
○勝間田委員 農業金融に御関係の湯河さんに、金融機関を通じてのいろいろ御質問を実はさしていただきたいと存ずるのでありますが、今の政府はちようどこの前の第五国会のときに、こういうことを安本長官が実は言われておつたのであります。日本農民はいたずらに政府に頼ることなく、勤勉に働いて貯金をして、自分でやつて行けということを財政演説でいたされたわけでありますが、われわれ一番心配いたしますのは、先ほど来お話もあつたことでありますが、結局農業が生産力を発展さして、いわゆる資本の増高をこれからやつて行かなければならぬといつた場合を考えると、早く言えば、自分で持つておる資本で農業経営の改善をやつて行く。その場合には単純な再生産もやつて、なおかつ追加投資に振り向けて行くという面を考えざるを得ないし、それからもしそれができないとすれば、農業外に蓄積された資本というものを、農業資本としてもう一つ持つて来るという以外にはない。それが金融の面ではかられなければ、財政投資で、いわゆる税金その他の面からこれを持つて来なければならない。いずれかの道が結局ここで考えられて来なければ、とても農業の拡張ということはできないし、現状維持ということも非常に困難だと実は考えておるのでありますが、そういう面から考えて行きまして、現在の農民のいわゆる資本の蓄積力というものを、銀行の窓口などからごらんになつて現在どのように変化を遂げておるか、たとえば預金の面、あるいは貸出しの面、いろいろな面から見てその事情がおわかりになりますならば、この際まず第一にお知らせ願いたいと思います。
○湯河参考人 勝間田さんのお話の通りに私も思うのでございます。農民自身は先ほども申しましたように、明治以来資本の蓄積ということがなかなかむずかしかつた。特に終戦後農地改革あるいは協同組合等ができましたけれども、これまたまだ未熟、不十分でございますか、一層むずかしくなつて来ているように思うのです。そこで外部から資金を投入する、あるいはそれが金融であるとか、あるいは財政投資であるということも必要であることは御意見の通りであります。農民自身の資金の蓄積力は最近どうかということに関連いたしましては、実は資金の蓄積はやはり農業経済自身の実績の問題と、それから農民の心構えの問題と両方だと思うのであります。インフレ時期に濫費した資金を、やはりあのときに使わずにおけば、という気もいたすのですが、これは死児のよわいを数える類のことだと思います。今日の姿におきまして、シェーレがきついとか、あるいは税金が重いということは、普通にしておきますれば、資金の蓄積がいよいよ困難になつて来るわけであります。農地改革で小作料が安くなつた、あるいは自作農になるときに土地資本を少く投資したので足りた。つまり資本利子を少く扱えばいいような状態におきまして、やはり農地改革は資本蓄積の可能性を農民に与えたのであります。与えたものを、そのままであれば――確かに農民の気持さえ直つて、これをむだ使いさえしなければいいわけでありますが、与えたものをそんなことには使わずに、ただ税金とか、あるいは価格のシェーレというものによつて收奪されて行く、だから、せつかく農地改革で与えられたそういう蓄積可能の余剰というものが、今收奪されているというような感じがしてなりません。これはわれわれ金融機関から見てでございますから、世間の方々から見れば、そうでないと言われるかもしれませんが、大体そういう気がいたします。ところで、今日の東北の一角に現われました農業資金対策運動というものがございます。これは農業の方々が、やはり年々農業手形のやつかいになるということはまずいのだ、こんなことをしておれば借金奴隷になるということから自覚をなさいまして、そして一年一作の単作地帯において、秋の取入れ代金は、これから先一年間にどういうふうに支出しなければならぬかという予算計画を各農家が立てる。そして税金はいつ拂う、あるいは学校の費用はいつ拂うというふうな、いろいろの支出計画に即応した定期預金を積立てるというような考え方を、東北のお百姓の方々がお始めになりまして、それが今組合に結集され、あるいは連合会に結集されつつあるのであります。これらは一番苦しい単作地帯の方が一番早く目ざめられたことであります。資金蓄積力というものはやはり総体的には減つて来ております。しかしふえましても、農家の方のお気持がそうなりませんと蓄積できませんが、また減つて参りましても、今の東北の皆さんのようになさると蓄積が可能ではないかと思います。しかししよせんは全体の資金の総循環から見ますと、農村からは資金が都市の方に、農業から鉱工業へ流出するものが多いと思います。税金、価格、あるいは手数料、保険料、その他で流れ出るもの、それから農村に投資されるもの全体を引き合せて比較して見ますと、やはり出る方が多い。このことは日本の資本蓄積というものが農村にはできにくいということを証明しておると思います。そのことはなおもう一つ申せば、結局金利の差ということになります。農業の方で拂える金利の方が、鉱工業の方で拂える金利よりも低い。そこで資金は金利の高い方に流れるという意味におきまして、そういう傾向は絶えないかと思います。でありますから、農家の方が苦しい中にいろいろくふうなさいましても、あるべき資金蓄積量にも達し得ないというふうに思われますので、そこはここに何か特段のごくふうを願いたい。たとえば、財政投資であるとか、あるいは特殊金融機構であるとか、こういうもの、たとえば最低金利的な資金を財政から附与される。別に開拓者金融法などはそうでございますが、何かそういう御措置がないと、国全体が不均衡になる。かような気がいたします。
○勝間田委員 それからもう一つ、先の風早君の御質問にあつたのでありますが、現在長期金融のいろいろな需要が相当多いと思いますが、その点をもう少し内容に関してお話を伺いたいと思うのであります。どういう種類のいわゆる長期資金の需要が一番大きいか。たとえば災害復旧とか、土地改良とか、あるいは農機具とか、いろいろの問題があろうと思いますけれども、現在一番農民が要求している長期資金の内容は、どういうものであるかということを、もう少しお知らせ願いたいと思います。それからその中を見ていわゆる災害復旧的な、早く言えば現状の生産設備を単純に維持して行くものと、さらに拡張して行くものと私はあろうと思いますが、現在の段階においてはどういう水準にそれがあるのかどうか。この点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○湯河参考人 今日長期金融の場合は、先ほど申し上げましたように、数百億と申し上げましたが、最も切実に感じられておりますのは、やはり土地改良資金――土地改良資金と申しますと、いろいろございますが、政府が前から予定されまして、いずれ助成金を出してやるからやれと言われたのが、助成金が打切られて、仕事が中途半端になつておる。あるいは予算が小さかつたので、仕事の方が先に進んで金がないというふうなのが、最も切実な要求になつております。しかし災害の復旧ということは、これはまつたく現状を回復するだけでございます。これも災害があるたびに大分押し寄せて来ておられますが、われわれとしては基本的には土地改良として両方こめておりますが、災害の復旧ということも急いでやれという意味で、両方平行的にやつております。それからそのほかに農業で必要とされておりますのは家畜の導入資金、これは大家畜、特に乳牛、あるいは役牛の導入資金、あるいは小家畜の購入資金等が、一年なり数年にわたります循環計画で要求されております。これらにつきましては実は畜産政策、有畜農業の政策とかね合いませんと、必ずしも需要があるからといつて、やたらに認めていいかどうかということは問題があると思います。そのほかに農村工業の施設をしたいというので、お客様がたくさんおいでになります。来ますけれども、これまた今後の経済情勢から見まして、これがはたしてほんとうに御融通申し上げていいかどうかということが若干問題になります。農具の資金等は比較的規模の小さいものは短期に間に合つております。また基本的に生産力を高めるような農具資金の需要は、まだあまり多く現われておりません。大体そういうような傾向でございます。
○勝間田委員 先ほど農林中央金庫法の一部を改正して役百六十億ぐらいですか、増資をいたしたいということでございますが、その百六十億程度で一体どの程度の始末ができましようか。今の資金需要に対して十分やつて参れましようか。その点を最後にお尋ねしたい。
 それからもう一つは、十分それをやつた場合において、その債券の消化ができるかどうか。その点についての時期の問題など、また可能性の問題などについてお尋ねをいたしたいと思います。
○湯河参考人 百六十億と申し上げたのは、農林債券の発行限度でございますから、そのうち現在二十億すでに発行しておりますから、百四十億になるわけでございます。私はこれで一両年はやれると思います。それから先どうなるかというと、問題がある。これに先ほど来申し上げたように、基本的にやはり勧銀あるいは拓銀等が農業投資を締め出しまして、そうして預金部資金も出ない、それから国家の、財政からもほとんど出ないというときには、何か基本的な抜本塞源的な長期金融機構の確立が必要だ。これは農地改革によつて、農地の担保制をなくさしたこととも関連いたしまして、それをいろいろ御検討をいただくのに一両年かかる。その間のつなぎには、今度の農林中金法の改正は役に立つかように思うのでございます。さてその百六十億でございますが、その資金調達はどうするか、だれが債券を消化するか、担当問題があります。困難と思いますけれども、実は長期の資金を投資するのに、普通の興業債券のようなああいう條件の資金を集めましたのでは、農業投資には向きませんので、何かここに低利の資金を集めなければならない。それは何も債券でなくても、農民の長期の資金を――定期の預金を集めればいい、それを債券でやれば動きはせぬかという筋もございます。しかしこれももともとむりな話でありまして、債券を発行するならば、農業内の蓄積でなしに、農業外の資金をもつてこれに充てたい。ここにどうしても金利の差というものが災いしております。将来の問題として今の事態ではなかなかむずかしいのでありますが、あるいは預金部資金をさらに活用するか、あるいはエイド・フアンドをさらに活用して行くか、ないしは国家資金をさらにもらうか、この措置さえ開けていれば、何とかそこにくふうがつくのじやないかと今いろいろくふうをいたしておりますが、この農林債券をどう消化するかということに、今後一段とくふうがいる非常にむずかしい問題になつて来ようかと思います。
○稻村委員 今の勝間田君の質問に関連してお伺いいたしますが、長期資金が今の状態で、農村に対する政府の長期資金がよけい出ないために、農林中金が非常に苦労な立場に立つておられることはよくわかるのでありますが、今中金が長期資金のために農林債券の発行と増資を問題になさつておるようでありますが、これまでの状態からしまして、農林債券の消化の状態はどんなふうになつておりますか。それからまた農林債の一般消化ということは非常にむずかしいと思うのでありまして、結局どこかに大口引受けをしてもらつているに違いないと思うのでありますが、主として大口引受けをしているところはどこか。ことに農林債を一般的にやると申しましても、消化に相当時間がかかると思うのであります。そうしますと、応急的にどこかに大口消化をしてもらう形になることと思いますが、その点をまずお伺いしたいと思います。
○湯河参考人 過去におきましては、農林債券は預金等の引受けと、復興金融金庫の引受けという二つの道があつただけでありまして、一般市中にこれを公募したという事例は残念ながらない次第でございます。
○稻村委員 そうしますと今度の場合になりますと、一般消化の可能性があるかどうか、私たちは疑問に思うのでありますが、その点どこか大目に引受けるというようなところが一応予定が立つているのでありましようか。
○湯河参考人 今のところまだ確実な予定は立つておりません。しかし現実に農林中央金庫では、現在特別定期と申しまして、農業協同組合から特に長期の貯金を集めております。これは昨年暮でありましたか、勧業銀行が割公をいたしまして、それに農村の資金が吸着しては困ると思いまして、農林中金が特別定期という制度をつくつてみましたところ、現在まで五十数億円の特別定期が来ております。これは別に債券という形ではありませんで、預金でございますが、特別定期という形でやる債券類似のものであります。これはもう少し努力してみたいと考えております。そのほか先ほど来申し上げましたように、情勢の変化に伴いまして、預金部、フアンド、その他国家資金、こういうものもまんざらではないというふうに思つております。
○稻村委員 そうしますと、結局言えば、これは国家資金の投資というものを前提としなければ、なかなか長期資金ができないという結論になります。
 その次に増資の状態でありますが、これは中金法に定められたところによつて、政府ないしは農業協同組合が出資をする形になるのでありますけれども、先ほど申しました通り、農業協同組合においては、なかなか金融が円滑に行つていないために、長期の増資に応ずるというようなことは、普通の株式会社の配当のように、簡單に今できない状態にあると思うのであります。従つて増資した部分に対して、長期金融をそう当てにしてやるわけには行かないと思うのでありますが、この点湯河さんの御見解を伺いたいと思います。
○湯河参考人 農林中金の増資は実は今度政府の方でも特例をお考えになりましたので、私どもは協同組合の諸君と御相談してみたのであります。法律の御審議があまり進んでいない際に、あまり申し上げるのはどうかと思つておりますが、協同組合の諸君からは、非常に困難であるけれども、やつてみようというお気持をわれわれ受取つておりまして、今全面的に協同組合の増資運動をやつておりますので、その一環としてやる。それから政府がこれに出資するということは、昨年の四月に再建準備で政府出資を打切りまして以来、われわれは意図しておりません。
○稻村委員 先ほどいろいろな人の質問がありました通り、土地改良とか災害復旧費とか、あるいは家畜導入費というような方向に、長期資金が非常に需要されていろいろいうことになりますと、結局長期資金というようなものは、中金再建の消化の問題から言つても、増資の問題から申しましても、長期資金というのは中金が引受けるにいたしましても、国家資金に依存する程度が非常に大きいと思うのであります。従つて今度の補正予算の範囲内においては、中金のいわゆる長期貸付に関する活動が、ほとんど思つた通りの何分の一ぐらいしかできないというふうに私感ぜられるのでありますが、この点に関して湯河さんはどうお考えになつておりしましようか。
○湯河参考人 補正予算を拝見いたしましては稻村さんと同じ感じを持つておりますが、問題は大きく考えていただかなければならぬ、かように考えております。ただ農林中金といたしましては、最近長期投資の資金は若干準備いたしております。
○深澤委員 湯河さんのお話をお聞きまして、われわれ非常に参考になつたのであります。現在日本の経済が安定しているか、安定していないかという議論あるのでありますが、そういう見地から日本の農業の実態を見ますと、ただいま湯河さんがお話になりましたように、農地改革が行われ、農業協同組合がつくられまして、農村の経済的地位を高めるという努力も、十分にその成果を発揮せずに、結局青田売りというようなことさえ行われ、農業手形が非常に利用されているというぐあいに申されまして、さらに多少のインフレによつてたくわえられた資本も、価格のシエーレあるいは税金等によつて、吸收されつつあるという農村の現状をお話になりましたが、われわれもそれに対して大体同じ感じを持つているものであります。ことにわれわれは本年の春ごろから、農村には非常に深刻な恐慌の姿が現われているというぐあいに考えているのでありますが、現状に放置しておきますならば、いよいよ農村は深刻なる恐慌の中に入つて行くということが想像されるのであります。その点についてもう一度御意見を拝聴したいと思います。
○湯河参考人 先ほど申し上げましたように、農村の実情はほんとうに心配はいたしております。しかしよくなる面もございますし、悪くなる面もあると思うのでございます。私は農村の事態に対して一喜一憂すベからずということを申しておりますが、少しぐらいよいとなつたことがあつても、またすぐ悪くなるし、悪くなるといつても、もつと悪くなるかもしれぬと考えて行けということを申しております。それで先ほどもちよつと触れたと思うのでありますが、自由経済政策といいますか、あるいは貿易再開後の政策というものがこの際確立して、新しい事態に対応する第三の政策が、農地改革、農業協同組合の次に何らかの農業の基本的政策の確立の必要があるらしいという気持がしているわけであります。
○深澤委員 非常に楽観されている部分もあると思うのですが、農林中金もこの際資本の充実をいたしまして、農村を十分金融的に救つて行こうというお考えがおありのようですけれども、現在市町村の末端の状況は、ほとんどその資金に枯渇をいたしております。もちろんそれは農民経済が反映しているのであります。こういうような現状において、農民自体の経済の中から、資金の調達をなし得る可能性があるとお考えになつているのであるか、この点をひとつお伺いしたい。
○湯河参考人 その問題は先ほどちよつとお答え申し上げましたが、相対的のものだと思います。苦しければ苦しいなりに詰めることもできるし、また楽であつてもその気がなければどうにもならない。ところで東北の単作地帯の苦しいところ――たとえば山形県の庄内の広瀬村では、農家資金蓄積対策運動というものが起つております。これは今年の米の借用代金を蓄積するという、まことに見上げた動きでありますが、この成果を少し見てみたいと思つております。
○深澤委員 そういうことが全国的に可能であれば、まことに農村の苦しい状態を解決することも非常に困難でないと考えるのでありますが、しかし十月末現在の租税納入の状況を見ましても、特に申告所得税におきましては、二一%しかまだ納税できていないということ自体が、いかに農村の深刻な内容を反映しているかということが想像できるわけであります。こういうような状況において、先ほど湯河さんがお話になりましたように、今度の補正予算にも計上してありますように、外国食糧の輸入が非常にたくさんになつた。そういう状態の中に、日本の農業が外国農業に圧迫されて行くという危険性が多分にあることは、湯河さんも認められておるのであります。こういう苦しい現状の中に、さらにこうした外国農業の重圧が加わつて来るということの中に、はたして農家自体が自己資金を調達することが、可能であるかどうかということは、はなはだ疑問であると思います。もう一つの問題は現在政府。関係方面ににおいても、日本の農業を一般の企業と同じように自立して行くべきものであるというぐあいに考えられている関係上、土地改良なんかの問題につきましても、農民自体が利益をするのであるから、農民自体の力においてこれをやつて行くべきであるという見解を持つておるのであります。ところが一面において、供用あるいは価格の面におきましては、依然として政府は農業に対して公共的な性格を要求しておるのであります。生産する方面におきましては、農民自体に自己企業的な性格を押しつけ、生産物を処分する面におきましては、公共的な性格を押しつけているというこの矛盾の中に農民は苦しんでおる。こういう内外の圧迫のために苦しんでいる農民たちは、とうてい自己の力においては立ち得ない。全面的な国家の補助と育成なしには、農村は立ち行かないという見解をわれわれは持つておるのであります。こういう根本的な見解について、湯河さんの御見解をもう一度伺いたいと思います。
○湯河参考人 外国農業との競争と申しますか、圧迫ということも、これはわれわれ計算に入れなければならない。食糧自体が大切だと申しましても、客観的情勢上そういうこともまた考えておかなければならない。一方において公共的な農業ということを言われながら、一方においては自立しなければならないと言われて苦しい面もございまして、われわれといたしましては、そういう面は確かにあると思います。全体の情勢として経済がこれから先ますます苦しくなつて来るし、そうなつて来れば、農業自身ますますいろんな方面から苦しい立場に追い込まれて来ると思います。一番先に申しましたように農家の方々としても、あるいは協同組合としても、少くともできるだけのことは自分でお盡し願う。自分のことはしないで政府の援助だけでやつていると、戦前あるいは戦争中の農業のような封建的な形になる、あるいは官僚主義の形になる。これから先は農地改革後に協同組合をつくつて、自分でできるだけのことはやはりやる。そして日本の国全体としてながめて、農業には農業の必要なものは与えるという形をとつて行くことがいいと思うのであります。補助金というものは、個別的な補助金――今では公共事業費という形になつておりますが個別的なものはやはり金融で行くべきではないかという感じがいたします。公共施設的なものは補助金でやる。しかして金融の資金自体が協同組合的な蓄積で間に合わないところは、何かそれは過去においてあつたのですが、預金部低利資金とかあるいは現在ございます開拓金融とか、何かああいうふうな国家的な資金が回転資金として準備されて、金融をやつて行くというようなことが考えられるのではないかという気がいたします。
○今井委員 たいへん御高見を拝聴いたしましたが、時間もないので一点だけお伺いいたします。農村の経済が非常に緊迫しておるのでありますが、本年の供米代金の歩どまりはどういうようになつておりますか。
○湯河参考人 本年の供米代金の状況は、実は供出が遅れておるのでございますが、価格は去年のままでございます。それから早期供出奨励は天気が悪かつたり、あるいは検査が幾重であつたりいたしまして、十分出なかつたのでございます。それにもかかわらず、実は全体として、また特に私たちの農林中央金庫の帳簿の上に、昨年より成績よく現われております。これはもとより農業手形を相当多額に返還しておりますし――これは蓄積して勘定したからなんでありまして、農業手形の償還ということを別といたしますれば、これはあれだけのものを借りた以上は、将来の蓄積が少いことはどうかと思います。しかし本年の供米代金の蓄積としては、農業手形の償還を入れなければ気の毒だと思いまして計算いたしますと昨年の蓄積よりよろしいわけであります。しかしなおそれは十月末の状態であります。そういたしますとこれは想像でございますが、まず早場米地帯の蓄積が今集まつている。先ほど申しました東北の農家資金蓄積対策運動等の効果が何らか出ているのではないかという気がいたします。しかしもう一つ申し上げておきたいことは、われわれの今後の見通しといたしましては、どうもまだ楽観はできないようであります。われわれは実はこの年末の通貨の膨張をおそれまして、もう財政の面からいつても大したインフレ的な様相はないし、金融的な面からいつてもないし、問題は通貨の膨張は、供米代金の吸着ができるかできないかにかかると存じまして、相当貯蓄運動を展開しておつたのでございますが、しかしいろいろ皆様方からお話がございましたように、複雑なむずかしい面もございますので、十一月、十二月と、これから本格的に蓄積が始まる、それにつきまして、特に九州や西の方には災害等もございました、で、どうなるかということは、はつきりいたしませんが、目先は今申したように、若干よろしいようでございます。
○稻村委員 ちよつと質問するのを忘れておつたことがありますので、伺いますが、長期並びに短期金融が非常にこういうふうに詰まつて来ておりますと、一つは農業協同組合全体の問題として、金融の面からあるいは政府の代行として米の買入れ資金の融通、その他いろいろの面を通じて、農業協同組合の財政の状態も非常に悪い、こう考えているわけであります。この点について、今政府で何か知らぬがてこを入れて、そうして特殊の金融をするなり、あるいはまた特殊の一個の財政的な計画なり立ててやらないと、農業協同組合の経常が、一層悪化するのではないかというふうに想像されるのですが、その点について湯河さんの現在の農林中央金庫の状態を、ちよつと簡単に御説明願いたいと思います。
○湯河参考人 農業協同組合全体の様子は、目先は先ほど申し上げました供米代金の資金の蓄積が入りますので、いつも秋から冬にかけましては目先は楽になるのであります。一番苦しくなるのは、やはり春先でございます。その意味をもちましては今この際この補正予算に何らかの御処置がなければ、どうにもならぬ問題というほどにも考えませんがしかし先ほど来お願い申し上げておりますことは、何とか一刻も早くお願いしたい。ただもう一つ先ほど来申し上げません問題で、農業協同組合の諸君の非常に悩んでおります問題がございます。それは農業会の解散から、その資金を新しい協同組合が引継ぐのであります。これは当然承継ではございませんで、譲り渡しを受けなければなりませんので、その資金を引受ける資産がいる。これは農業協同組合が自己資本を、出資を十分にそれに即応するだけ持つていらつしやれば問題はないのであります。しかし協同組合の設立は自由である、大した出資もいらない、なくても、とにかく急いでつくれということで、おつくりになつたところもございまして、資金が少い。従つて厖大なる農業会の資産を引受けるということについて、相当の悩みを持つていらつしやる。ところで精算は段段結了に近づいて来る。こういう問題がございます。これを金融的に解決するといいますれば、今の農業協同組合金融内部の蓄積でやつて行くと、相当に苦しいだろうという感じがございます。これは差迫つた問題でございます。
○今井委員 ただいまの農業会の引継ぎに要する資金の問題は、非常に重要な問題ですが、どういうふうにしたらいいかということについて、何か御名案がありましたら、拝聴したいと思います。
○湯河参考人 この問題は、財産を御継承になり、譲り受けになる組合なり、連合会の皆様方のいろいろごくふうのいるところであると思つております。農林中央金庫は県農業会、全国農業会の清算人になつておりますので、われわれの方でいろいろ農業会の事情を承知しております、また府県の連合会あるいは全国連合会なども金融機関でございまして、若干情勢はわかつておりますので、われわれといたしましては、この農業会の資産をお引受けになることは、これは農業会の解散を完了して、新しい協同組合の運営の基礎である。だからこれをなさることを基本として、新しい連合会の運営をいろいろお考えいただきたい。それに必要な資金はできるだけ御自分で御調達いただいて、もし足りなければ信用機関から普通の條件で、できるだけのことはお盡し申しましようといつて、御相談をいたしております。いろいろ承りますと、それではなかなかむずかしいということを仰せになつていらつしやるようであります。ところによつてはむずかしいのではないかとも思います。全面的にそうむずかしいとおつしやつても、片方でいろいろまた事業の面等においてごくふうがあれば、おできにならぬこともないかと思うのであります。しかし非常に苦しいということを言つていらつしやいまして、寄り寄りお集まりになりますと、何か政府の方に特別な御処置をしていただきたいということを申しております。農林中央金庫自身の立場から申しますと、生産的な資金、長期資金等の御融通も考えております。それと農業会資産の引受けとを、條件を越えるということも、これは金融的にも困難なことでありますので、そういう條件でいかがでございましようかということをお話申し上げております。
○植原委員長 次に総同盟総主事高野實君の陳述を願います。
○高野参考人 補正予算につきまして、ごく短かく労働の立場から意見を申し上げさしていただきます。
 第一点は賃金ベースの問題が、今度の補正予算では何ら触れられておらない。このことについて申し上げます。私どもは経済九原則の見解に対して、その原則に賛意を表しましたし、またドツジ・ラインにつきましても、いろいろ異論はあるが、しかしながらマッカーサー元帥が日本の国民に与えた手紙にあるように、その犠牲を国民各階層が平等に背負い得るようにして行く。こういう努力が政府の側においても、あるいは金融の側においても、十分に拂われるならば、これは弱体な日本経済の根本的改革の政策として尊重したい。かように考えて努力して参つたのでありますが、この半年間の私どもの経験によりまして、残念なことに、われわれが当初に最も強く憂慮し、かつ訴えました通りの結果が生れて来たように思われます。すなわちこの半年間に進んでおりますドツジ・ラインの実情を見ますと、たとえば企業整備にいたしましても、なるほど日本の経済の上で、不必要な脆弱な企業が倒れることはよくわかるのでありますが、しかしそれだけでなくて、かなりたくさんの企業がこぞつて企業整備を行う、企業整備を首切りと賃下げの方法によつて進める、こういうようにやりまして、この四月、五月、六月とうなぎ上りに上つて来ました解雇の数は、ようやく前年度から見ますならば十数倍の多きに上り、日本の産業の歴史の中で、かつて見なかつたところの厖大な失業者を生むということになりました。また賃金の方面においても、数字の上では小康を保つておるように見えますが、しかしその内容に至りましては、いわゆる労働強化が行われ、あるいは賃金の不拂いが行われ、遅延が行われ、労働者は目も当てられぬ姿になつていることが事実であります。また今まで支拂われておつた賃金のほかに、共済施設的な制度の方面におきましても、企業整備の名において、あるいは企業合理化の名において、それらのものが続々はぎとられまして、数字に現われませんでした多くの賃金給与の部面が取去られるに至つております。輩出しました失業者は、政府の統計によればわずかに三、四十万のように見えますが、この半年間に出ました任意退職者の数は、おそらくその数倍に及ぶものと思われますし、日本の戦後の特殊な事情から、潜在失業者が相当数固定して来ておりますので、このような失業者のいろいろな段階のものが農村に大きくしわ寄せされまして、農村人口をこのわずか半年くらいの間に三十万も四十万も増大せしめておりますし、この増大が地方々々の公共事業に至るまで日雇い賃金を恐ろしく引下げてしまつております。このような直接の賃金の低下並びに失業者が各就業者のふところにぶらさがつた形で生活資金を引上げております上に、最近行われます米価の改訂や、あるいは電力や運賃やその他補給金の撤廃によるはねかえりなど数えてみますと、昨年度七月の生計費に比べまして、およそ三十七、八パーセントも引上げなければならない事態にあると考えられます。さらにシヤウプ税制の改革によつて一応考えられます租税の面からの軽減などを考えましても、なおかつ地方税あるいは住宅費などを考慮に入れますと、これらのものはことごとく御破算になりまして、直接一万五千円以下の勤労者には影響がないというところになりますので、今公務員を初め多くの労働者の間では、何とか賃金を値上げをしてもらわなければならぬというところに立つております。昨年末六三ベースが成立しましたときも、労働者側としては、決して六三ベースが正当の値段であるというようには考えておりませんでしたが、そういう不正当であるとさえ考えておりました六三ベースの上に、さらにこの半年間のうちに三十七、八パーセントの引上げを行うべき根拠が出て来ております。そういうことから、私どもはぜひこの際給与ベースを根本的に改善をいたしたいと考えております。そうして今度の補正予算の中には、この公務員の給与ベースを引上げる問題をぜひ織り込んでもらいたいと思つて参りましたが、これがことごとく取上げられておりません。なお国鉄並びに専売公社の労働者が公労法を適用されまして、争議権を持ちませんために、それぞれ賃金要求を法律によつて調停委員会に持ち出しました。そのうち国鉄の調停委員会は賃金ベースについて一箇の成案を得ましてこれを提示したのでありますが、労働組合側がこれを承認したにもかかわらず、政府側はこれを拒絶いたしました。私は専売公社の調停委員をやつておりますが、今賃金ベースについて算定中でございます。もしまたわれわれの算定いたしました賃金ベースが、たまたま労働組合側によつて承認せられるが、政府の側においてはこれを拒絶されるのではないかという心配をしておるところであります。このようにしてせつかく法律によつてストライキを禁止している国鉄並びに専売の関係労働者の要求を、調停委員会なりあるいは仲裁委員会において解決する意思がどうも政府にはない、また政府にはそういう能力がないということになりますと、これははなはだ重大な局面を描かずにはいない問題になると思いますが、こういう重大な問題を今度の補正予算では全然見のがしておると思われます。こういうことはあらためて重大な問題として御審議を願いたいものと考えます。
 第二点は、失業対策の問題でありますが、失業者の数につきましてはなかなか明らかにすることができません。これは日本の経済やあるいは国民の習慣が、まだまだ封建的な要素を多分に含んでありますために、いわゆる顕在して失業手当をとる者がはなはだ少い。これに反して潜在して何らかの仕事に従事をする、不定期なかせぎをしながらみずからの失業を明らかにしない者がたくさんございます。また失業者がふえる一方に、女の子や老人の就業者の数がふえておりますし、内職の労働人口もふえておりますが、こういうものは多かれ少なかれ失業者の部類に属する労働人口であります。こういうものを数えて参りますと、日本の労働人口の大よそ半分にも達する失業者があるのではないか。こういう大きな失業者の数量を前にいたしまして、今度の予算におきましては、八億五千万円程度の数字が計上されておるだけであつて、これを日額百七十二円で使用するとすれば、一日一万四千ぐらいの数にしか当りません。このようなわずかな失業対策費で、どうして当面起つておる失業を防止することができるか、とうていそれは不可能であります。また本年四、五月ごろからようやくはげしくなりました解雇者の、ふところに入りました退職手当金がもうそろそろ消えて参る時期です。これらの人人がほんとうにふところに文なしの状態に陥るということになりますれば、失業問題は今年末から来春にかけて、新たな様相を呈するに違いなかろうと思うのでありますが、こういうものをたいへん軽く見て、八億五千万円程度の金額しか失業対策費に充てておらない。これでは辞退ははなはだ憂慮すべきものがあるに相違ない。公共事業費の方は百億ほど掲げてありますが、この中で八十五億は災害復旧費に充てておりますから、実際に失業対策の部類に当ります公共事業の費用は、はなはだ少ないのであつて、いわゆる公共事業費が失業対策の役には立たない実情であると思われます。大蔵大臣は過日の演説で、安定から復興へという大きなみえを切りましたが、しかしこれは実際には当てはまらないような言い分ではないか、かようにさえ思われるのであります。大蔵大臣は安定から復興へ言つているが、しかしそれでは物価は安定しているかといえば、そうではなくて漸騰しておる。その漸騰はいつ破れるわからないような種類の性格を持つておる。そして漸騰があればこそ、労働者は実質賃金を引下げられて賃金の値上げを要求しているのである。賃金の安定と物価の安定とは深い関係があるが、しかし賃金を増額しなければ当面の安定は得られない、また復興は得られないというとこうに立つておるのではないか。政府は特に超均衡予算の立場に立つて、銀行家の利益のためにこの予算を駆使しておる。そして国鉄や通信その他特別会計の扱い方、なかんずく建設勘定の方の削減等が直接デフレの傾向を現わして、十五箇月予算といわれるものも、日本の経済の将来を決して明るいものと断定せしむるような條件を持つていない。来年度の予算では公共事業費に相当の金額を計上しておるように見えます。そして特に治田地水の方面に多くの努力を注ぐでありましよう。これは民自党内閣がもし不正をしないで使用箇所を十分に適切なものにすれば、それぞれ農業の清算には相当に役立つかもしれない。また失業者が農村にしわ寄せされている現在、若干の効果があるに違いないが、そういう事態を進めるだけでは、決して今日のデフレ傾向を改めることも、失業対策全くすることもできない。今予算の面で、もう一度日本の経済の根本的改革、日本の経済復興五箇年計画を強く出さなければならないときにあたつているのではないか。特ににデフレの第一の原因となつている超均衡予算についてつけ加えるならば、過去の国債や国家債務の債権を税金で変換するという考え方が、補正予算ではもちろんのこと、来年度の予算でもぬぐい去られていない。こういうことはデフレ、不況をますます促進することになりはしないか。補正予算に食糧管理特別会計の増加資金約百七十億を計上しておりますが、このような資金は、当然輸出滞貨の拂下げ等を行つてそういう財源からまかなうべきものであつて、こういうはき出し得る財源こそ給与の改善に充てるべきではないか。外国食糧を無計画に相手を選ばずに購入しておるという事実に対してこれを予算の上で十分に制約すべきではないか。ごく最近も塩をふんだんに仕入れることになつて、専売公社の予備費の二十三億を使い果してしまいました。このような問題もこれから続々起る危険があるのに、政府は今度の予算では、しきりに外国食糧を輸入する計画を無無計画に承認しておる。こういうことでは決してよい予算を組むことはできまい。また国鉄、通信特別会計の建設勘定も、現在のまま放置するならば、国鉄も通信もそれぞれ破滅に瀕する危険がある。このような費用は一段と増額するように努力すべきである。車輌工業のごときも、昨年度の半分しか計上されていないということであれば、これは車輌工業のほとんど八〇%の遊休となつてしまうのではないか。この事態について、国会はあらためて十分な警告を発しなければならない。また薪炭特別会計五十四億のごときも、いろいろ疑惑や不正に包まれておる今日、このようなものにあえて支出を行わないで、こういうお金こそ、国鉄電化やあるいは電源開発などの金に充てるべきではないかと考えております。また大蔵大臣は見返り勘定をこれから放出するというのでありますが、これらのものが、ぜひ勤労大衆の雇用力を吸収する経済復興の事業に投資されて、当面は失業者の問題、日本経済の根本的改革の問題に使われなければならないだろう。今われわれが当面しておる問題は、このような予算措置をのんで行くならば、当面デイス・インフレではなくて、デフレーシヨンが起つて、労働者はもつとひどい目にあう危険にさらされておる。そういう意味で多くの民主労組の間では、国会のいろいろな法案や予算に対して、国会共闘委員会を組織して闘つておるが、今度の補正予算に対しては、給与ベースの改善が何ら考慮されていないという問題と、失業対策について必要な要求が出ていないという点と、それに加えて、デフレ傾向をますます促進してしまうような数々の政策について、反対の意向を持つております。そこでわれわれはこの予算措置に対して、大きな反対の意思表示を本席においていたす次第です。
○勝間田委員 一つずつお尋ねしたいと思います。今度政府は、いわゆる実質賃金を確保するのだという一つの名目でありましようが、所得税法の一部改正を考えておるようであります。その点を見ますと、いわゆる基礎控除二万四千円、それから勤労控除一割というようなことで一応出ておりますけれども、所得税法のこの問題については、労働組合はどう考えておりますか、お伺いいたしたいと思います。
○高野参考人 基礎控除を三万五千円程度くらいに引上げたいと思つております。それから扶養控除を一人千六百円くらいと考えております。
○勝間田委員 勤労控除の率はどうでしようか。
○高野参考人 率は前回通り二五%くらいにしたい。
○勝間田委員 二五%くらいですか。
○高野参考人 はい。
○勝間田委員 これは非常にこまかいことでありますが、しかし非常に重要な点だと思います。今度政府は減税を行うというようなことでありますが、源泉の徴收分の自然増收を、百四十九億五千万円ばかり見積もつておりまして、それから税法の改正による、今も申しましたようなことで、約五十六億六千六百万円軽減する。しかし税引すると、かえつて減税にはならないで、源泉の徴収は九十二億八千四百万円ふえる。従つて二十四年度の予算は当初千二百億だつたものが千二百九十四億になるというような、実に厖大な源泉徴収がまだ行われるわけでありますが、これから失業が起きたり、民間の給与もだんだん下がつて来ているような実情で、一体勤労者からどういう税金がふえ、自然増収すると思われますか、あるいは思われないか。この点をお尋ねしたいと思います。
○高野参考人 今度は百四十九億も自然増収するように計算をしておりますが、そういうことはとうてい起る見込みはないと思います。なぜならば一方では賃金値上げが起つて参ります。しかし他方では賃金の不拂いが相当広範囲に起つて、実際上賃金が支拂われないことになりますし、また失業者の数が相当にふえる。そうして不拂いを起すような資本家のところでは、むしろこういう金は使い込まれてしまうということが実際で、とうてい百四十九億などという金は、特にこの際自然増収として見込むのはむりがあると思います。
○勝間田委員 共闘会議などをおつくりになつて非常に熱心な御希望があるそうでありますが、今賃金をどの程度――これもおそらく労働組合としては、多いに越したことはないと思われるに違いありませんが、しかし国家財政を考え、あるいは日本の将来を考えてみて、これくらいはどうしても要求しなければならないというのが、国鉄、全農いろいろあろうかと思いますが、各関係方面の賃金の要求額をお知らせ願つたならばけつこうだと思います。
○高野参考人 国鉄はすでは九千七百円案を出しましたが、この九千七百円案というのは全体の基準になろうと思うんです。そして労働組合の全部のスローガン的な要求になります。そこであるいは日教組の場合には日教組の年齢や男女別などによりまして、一万一千円ぐらいになりましようし、専売局のように女の多いところはそれぞれ九千二百円ぐらいになる、こういうふうにそれぞれなろうと思いますが、スローガン的な目標になるものは、大体九千七百円、こういうふうに考えております。
○勝間田委員 今の政府は鉄道運賃を値上げしないと言つておつたのでありますが、今度大巾に貨物運賃の八割値上げということを案に出しておるのでございます。この貨物運賃の八割値上げは、生活に及ぼす影響が大であると私は思うのでありますが、どういうふうに労働組合ではお考えになつていらつしやいましようか。
○高野参考人 運賃、電力料金などの値上りのために、大体生活費にはね上つて来るのは七%ぐらいではないかと思つております。
○勝間田委員 高野さんは先ほど非常に真剣なお話をされておつたのでありますが、この給与ベースが改訂にならない、特に今罷業権などがない、団体交渉権なども大巾に制限されている、だからこそ人事院がいわゆる五%の生活費の値上りがあつた場合には、当然勧告すべき責務を実は持つておると思うが、まだ勧告も実はなされておらない。この問題は非常に私は一方的であると私は考えておりますけれども、これがもし給与ベースが改訂にならないという場合におきましては、余程重大な事態も保しがたいというような御説明もあつたのでありますが、私はきわめて重大なことだと考えるのであります。特にこの問題は官吏といたしましては現在いろいろの制限がある。罷業権が否定されておる、あるいは合法性というような問題もいろいろある。しかし聞くところによると、民間の団体が同調しておるというようなことも聞いておるのでありますが、そういう点についてお話ができたら聞かしていただきたいと思います。
○高野参考人 国鉄の調停委員会が八千五十円ほどの裁定をいたしましてこれを提出いたしましたが、労働組合はこれを承認しておりますにもかかわらず、政府側はこれを拒否いたしました。人事院はたびたび七千八百円程度の試案を持つていることが明らかになりましたけれども、それは四囲の事情から人事院の案として政府に提出することができないでおるように聞いております。そういうやさきに吉田総理大臣が議会において、給与ベースの改訂を行わず、こういうように演説をされたことは、はなはだ遺憾に感じております。すでに国鉄調停委員会では一つの案を提出しているのであるし、人事院もまたすでに成案を持つておるという場合には、政府はよろしくその調停案をできるだけ早く提出せしめて、国会において御審議を願いたいと申すのが当然です。しかるに総理大臣がそういう態度に出るのでなくて、ひとりぎめに給与ベースの改訂を行わずと申しました。これに対しては労働組合側は全員こぞつて不満の意思を表明しております。私どもは近く専売公社の調停委員会の方も給与ベースを発表することになると思いますが、各労働組合の要求、各調停委員会あるいは仲裁委員会の案が出そろいましたところで、給与ベース関係の多くの労働組合と共同戦線を張り、これを中軸にして今起つているたくさんの越年賃金の闘争や、あるいは賃金不拂いの争議や、そういうものを集積いたしまして、給与ベース引上げの要求運動を今月末から全国的に盛り上げて行くことができると思います。私どもはこの闘争はただに官公吏の給与ベースを上げるという問題だけではなくて、日本の経済を根本的に改革する復興運動としてこれを取上げたい、かように考えております。そして政府が公務員の給与ベースを抑えることによつて、民間労組の賃金要求を押えよう、あるいはあべこべに実質賃金の切下げを促進しようとしておる、この陰謀的な態度に対して、鋭く闘いたい、かように思つております。
○風早委員 高野さんの御公述に対しまして、非常に賛意を表したいと思うのでありますが、かねがね政府は実質賃金は上つておる、また上りつつあるということを申しておる。これは高野さんは根本的にインチキだというふうにお考えになりますか、その点ちよつとお伺いしておきたいと思います。
○高野参考人 私は政府が実質賃金を確保するように努力したいと言いながら、何らなすところがないという事実を明らかにしたいと思うのです。もし政府が賃金ベースをそのままにして、実質賃金の充実をはかりたいというならば、その考え通りに、具体的な予算を今度の補正予算の中にも盛るべきであつたと思うのです。そういうことをしないでおるというところに、御説の通りインチキではないかという非難も起ろうと思うのであります。インフレーシヨンが進行しておる最中には、賃金を値上げしてもかえつてシーソーゲームになるという一般論があるとするならば、政府はよろしく実質賃金の値上げになるような具体的政策を、共済制度なり住宅問題なり、労務用物資の増配なり、それぞれ具体的な実質賃金の値上げになる予算を組むべきだと思います。そういう意味で、インチキと考えるかというお話に対し、私は政府ははなはだしく不誠意であると、かようにお答えをいたします。
○風早委員 政府は不誠意であるのみならず、大体この実質賃金が上つておるというようなことは、まつたく事実がこれを裏切つております。根本的に事実が裏切つておりますので、この点については先ほどからも若干その根拠を高野さんの方からも提示せられておると思います。政府の方ではいわゆるCPIの数字なんかでも今まではフィツシヤー方式というやつでやつておりまして、これではどんどん生計費は上つておつた。ところが今度はラスパイレス式というやつにかえまして、とたんに生計費は下つたことになる。これを八月に発表して、この統計の数字から、実質賃金は上つたということを言おうとしておるのであります。この数字がいかにインチキであるかということは、とにかく高野さん方は事実をもつて十分に論戦していただきたいと思う。税金の面だけから言いまして、しかもその中で特に所得税の面だけから言いましても、これはほんのけさほども井藤半彌教授が、これはもう実質負担は上つておるのだ、すなわち税金負担は増大して来るのだということを、はつきり数字から論証しておられたほどであります。しかしそれに税金の面からだけ言いましても、まだ地方税はちつとも勘定に入つていないので、地方税ことに住民税の負担増ということから考えますと、明らかに税金負担は増であるということは、だれも疑うことはできないと思う。そのほか物価の値上り、これも言うまでもありません。電燈、ガス料金などは言うまでもありませんが、それだけでも七%も上つたということは、生計費に影響するということを言われておりますが、まさしくその通りだと思うのであります。そのほかにいろいろ賃金の遅欠配というものが、一般に勘定に入れられておらないのでありますけれども、これが一番大きいのでありますから、この点は十分にひとつお取上げ願いたいと思う。
 それから超過勤務手当なんかが往々にして支拂われない。削減される。こういう事実は至るところにほとんど例外なく起つておるのであります。これもぜひ取上げていただきたい。さらに厚生施設に関するいろいろの費用なども、今までは賃金の低い関係から、事実上は会社から出ておつたという関係があるのであります。これを逐次削減する、実費で支弁させる、こういつたような方向に事実来ておるわけでありますから、こういうことも実質賃金を引下げる大きなフアクターとなつておりますから、その点をひとつぜひ取上げていただきたい。まあいずれにしましても、大体実質賃金が上つておるといつた政府の言い分というものが、まつたくインチキである。ただ統計でごまかしておる。統計そのものがごまかしであるということは明らかだと思うのであります。その意味で総同盟の代表たる高野さんが、今日この点を率直に確認されまして、これから大いに全国的に賃金の引上げのための運動を起して行くと言われることは、非常に賛成であります。
 そこで一、二注文的にお尋ねしておきたいわけでありますが、大体いかにしてこの賃金の実質的の引上げをやつて行くか。これは政府はその実を示さないが、あなた方はその実をこれから身をもつて示そうとされるのでありますがその場合にどういう方法が可能であるか、どういう方法が有効であるか、こういう点も御意見を伺いたいと思うのであります。それは先ほど全国的運動ということを言われましたが、やはり根本にこういう運動自体につきましても大きな障害を今生じておる。すなわち団体交渉権といつたようなものが実際に有名無実になつてしまつた。国鉄の例によりましても、実際団体交渉はやつてみたものの効果が上らないし、逆効果であるという実例が、すでに九千七百円ベースの要求のときに出ておる。そういう意味でひとつ団体交渉権を真に奪回するという点についてもお考えがあるがどうか、この点についてひとつお伺いしておきたいわけであります。
 さらに何といつても、全国的の運動は、全労働機関が一丸とならなければ、これはやはり効果が薄いわけであります。この点もどうしても今までの往々にして示されました分裂政策、こういつたような分製政策をこの際に排除して、どこまでも大きく一丸となつてこの運動をやられるか、そういう点につきまして御高見承ればたいへんけつこうだと思います。
○高野参考人 短かくお答え申し上げます。実質賃金を引上げる運動は、全国的な規模においては給与ベースの改訂競争として闘いたいと思います。そうしてその給与ベース闘争が団体交渉その他において、具体的に議会に対しても、それぞれの企業に対しても反映しない、こういうことでありますれば、ストライキ権を持つておる民間労組が、強力にこれと相呼応して闘う決心を持つております。また実質賃金の確保につきましては、それぞれ企業における団体交渉その他の手段を通じて実現をいたしたいと思いますが、当面国家における予算でぜひ組んでもらわなければならないものは、住宅の問題であります。この住宅の問題を大きく取上げたいと考えております。また実質賃金を引上げるために必要なことは、失業者を早く就業させることでありますから、国家の予算の中で失業者を吸収するに足る、強力な建設的事業を計画してもらいたいと考えております。かような運動がそれぞれ今年末から来春にかけて、官庁労働者、公企業関係の労働者、それに加えて民間労働者が広く共同戦線を張つて闘うつもりであります。
○稻村委員 今の給与ベースと関聯して非常に小さな問題でありますけれども、最近夜勤手当などが出されるというと、その夜勤手当に課税されてしまう。しかも最初には、これは増田官房長官なども夜勤手当などには課税されるはずがない、こういうような話があつたというのであります。ところが国鉄では、夜勤手当が、多いので一日四十円、少いのになると十円くらいでありますが、夜勤する以上はどうしても夜食が必要なのであります。その夜食を食うにも足りないような金が加わると、それに課税されるために、全体としてこれが総合されると、全部でもつて、もらつたものよりもまだよけいに精勤になつてかかつてしまう。ことに首になつてしまつた人間で、最初とらなかつたのを一ぺんに固めてとるために、四千円くらいかかつて来て大分参つておるというような話も聞いておるのでありますが、こういうような例は、あなた方労働組合に関係している人は方々で聞かれるだろうと思いますが、どうですか。
○高野参考人 仰せの通り、聞かされております。国鉄の場合には、決算を見ますと、賃金の一八%が基準外労働になつておりますが、予算の方を見ますと、基準外労働は五%しか組まれておりません。そういうことからとうとい基準外労働に対して、不当にわずかなものしか支拂つておりません。こういうものも予算委員会において十分に御検討を願いたいものと思つております。
○稻村委員 もう一つやはりそれに似た話でありますが、非常に、無計画的な馘首をやつために、国鉄では実は退職手当に窮してしまつて、そのために四十億の金を石炭代の中から退職手当の中に流用した、こういうような話を私聞いたのでありますが、この点も労働組合運動の指導者でもある高野さんもお聞きであろうと思いますが、どうですか。
○高野参考人 そのような話を聞いております。専売公社の方の予算の中には、三万八千四十一人しか賃金が計上されていないのですが、そこまで切つてしまいましたために、現在二千八百人ほどの臨時職員を使つております。そういうふうに今度の定員法による首切には相当修正を要するものがあります。国鉄の場合でも、調整人員として大よそ五、六千人のものは持つていなければ、実際に運営ができないのではないかと思うのです。そういう点でいろいろ予算面でむりがある。そういうむりのある事実を、今度の補正予算で十分に補正すべきものではなかつたかと考えております。
○植原委員長 東京都知事安井誠一郎君が午前中にお見えになりました。出席して地方財政について意見を陳述するということでありましたが、渉外局の方から用があつて急に来るようにと呼ばれて参つて、できるだけ早く帰つて来るということでありましたが、まだお見えになりません。それゆえに、参考人としてお願いした方は安井誠一郎君を除きまして、全部御出席くだされまして御意見を陳述くださいました。
 この次の質問順位は稻村順三君でありますが、今日はこれにて散会いたしまして、明日十時定刻から開会いたします。
    午後三時五十五分散会