第006回国会 農林委員会 第13号
昭和二十四年十一月二十八日(月曜日)
    午前十時五十分開議
 出席委員
   委員長 小笠原八十美君
   理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君
  理事 八木 一郎君 理事 藥師神岩太郎君
   理事 山村新治郎君 理事 井上 良二君
   理事 小林 運美君 理事 竹村奈良一君
   理事 吉川 久衛君
      足立 篤郎君    安部 俊吾君
      宇野秀次郎君    遠藤 三郎君
      小淵 光平君    河野 謙三君
      中村  清君    原田 雪松君
      平野 三郎君    渕  通義君
      村上 清治君    守島 伍郎君
      山本 久雄君    渡邊 良夫君
      足鹿  覺君    石井 繁丸君
      田中織之進君    坂口 主税君
      村瀬 宣親君    高田 富之君
      横田甚太郎君    島田 末信君
      田中伊三次君    保利  茂君
      小平  忠君    北  二郎君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
        農 林 大 臣 森 幸太郎君
 出席政府委員
        農林政務次官  坂本  實君
        農林事務官
        (畜産局長)  山根 東明君
 委員外の出席者
        農林事務官   藤田  巖君
        農林事務官   最上 章吉君
        農林事務官   安田善一郎君
        事 務 総 長 大池  眞君
        專  門  員 岩隈  博君
        專  門  員 藤井  信君
十一月二十八日
 委員平澤長吉君、佐々木更三君、大森玉木君、
 高田富之君、寺島隆太郎君、寺本齋君及び中垣
 國男君辞任につき、その補欠として小淵光平君、
 田中織之進君、村瀬宣親君、北二郎君、保利茂
 君、島田末信君、及び田中伊三次君が議長の指
 名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案(
 内閣提出、第五回国会閣法第七三号)
 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第五五号)
    ―――――――――――――
○小笠原委員長 これより会議を開きます。
 去る十一月二十五日内閣提出にかかる農業災害補償法の一部を改正する法律案が本委員会に付託と相なりました。それではただいまより本案を議題としその審議に入ります。まず政府の提案理由の説明を求めます。
    ―――――――――――――
○坂本政府委員 ただいま議題となりました農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
  農業災害補償法の一部を改正する法律案
   農業災害補償法の一部を改正する法律
 農業災害補償事法(昭和二十二年法律第百八十五号)の一部を次のように改正する。
 第十三條の二を次のように改める。
 第十三條の二 国庫は、昭和二十四年度及び昭和二十五年度において、農業共済組合の組合員の支拂うべき蚕繭共済に係る共済掛金のうち、共済金額を都道府県別に合計した金額に左の率を合計したものを乗じて得た金額の合計に相当する金額を負担する。
  一 当該都道府県の蚕繭共済に係る第百七條第四項第一号に規定する通常共済掛金一標準率から全都道府県の通常共済掛金標準率のうち最低のものを差し引いて得た率の八分の七
  二 当該都道府県の蚕繭共済に係る第百七條第四項第二号に規定する異常共済掛金標準率の八分の七
  三 当該都道府県の蚕繭共済に係る第百七條第四項第三号に規定する超異常共済掛金標準率
 第十三條の二の次に次の二條を加える。
 第十三條の三 国庫は、昭和二十四年度及び昭和二十五年度において農業共済組合の組合員の支拂うべき牛又は馬の死亡廃用共済に係る共済掛金のうち、第百十四條第一項第一号の定款で定める最低の共済掛金の二分の一に相当する金額を負担する。
 第十三條の四 前二條の負担金には、第十二條第二項及び第十三條の規定を準用する。
    附 則
 1 この法律は、公布の日から施行する。
 2 農業共済再保険特別会計法(昭和十九年法律第十一号)の一部を次のように改正する。
   第三條中「食糧管理特別会計ヨリノ受入金、農業災害補償法第十三條の二第一項ノ規定ニ依ル負担金」を「一般会計及食糧管理特別会計ヨリノ受入金」に、「(同法第十三條の二第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)」を「(同法第十三條の四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)」に改める。
   第四條中「家畜共済ニ関スル再保險事業経営上ノ再保險料、」の下に「一般会計ヨリノ受入金、」を、「同事業経営上ノ再保險金、」の下に「農業災害補償法第十三條の四ニ於テ準用スル同法第十三條ノ規定ニ依ル交付金、」を加える。
 農業災害補償法は昭和二十二年十二月、第二国会において成立を見、爾来数回にわたる改正を経て今日に至つておるのでありますが、今回その後の社会経済事情に順応して農村経済施策の一環として、この制度の円滑な運営を期するため、この法律案を提案する次第であります。以下この法律案の主要な内容について御説明いたします。
 第一は、蚕繭共済にかかわる共済掛金の一部を国庫において負担する点であります。現行法におきましては、蚕繭共済にかかわる共済掛金の一部を全国三百余の製糸業者及び蚕種製造業者が各人の繭または種繭の取引数量に応じて分担し、この負担金を製糸業者等から生糸または普通蚕種を譲り受ける者に転嫁することができるように政府においてその販売価格の統制額を定めるのでありますが、御承知のように、今年五月に蚕糸に関する価格、割当その他の諸統制を撤廃いたしましたので、かかる措置は不可能と相なつたのであります。ここにおいて、この法律案では右の事情に対処するため、現行の製糸業者等の負担を廃止するとともに、農業災害に対する国家的補償と養蚕業の重要性にかんがみまして、国家財政の将来をも勘案いたし、とりあえず昭和二十四年度及び昭和二十五年度において蚕繭共済にかかわる共済掛金のうち、従来の製糸業者等の負担金と同額を一般会計において負担することといたしたのであります。
 第二は、牛馬の死亡廃用共済にかかわる共済掛金の二部を国庫において負担する点であります。牛馬の死亡廃用共済につきましては、従来農家の任意加入制によつていたのでありますが、つとに全頭加入に関する措置について地方の強い要望もあり、牛馬が主要かつ高価な農業生産手段でありますので、牛馬の死亡等に対する補償制度の重要性にかんがみまして、第五国会におきましてはこの点を改正いたし、現行法では農業共済組合の議決によつて、農業を営む組合員は百円から二百円までの最底の共済掛金負担で、その所有または管理する牛馬を死亡廃用共済に付すべきものといたしておるのであります。しかるところ牛馬の全頭加入の実現は農家に加入義務を課するばかりでなく、これに合せて真に農家が加入しやすい方途を講ずる必要がありますので、政府におきましては、全頭加入による危險度の低下を勘案いたし、加入義務の議決をした農業共済組合に適用する共済掛金標準率の引下げを行つたのでありますが、さらにこの法律案におきましては、国家的補償と畜産振興の見地から、競馬益金の一部を見合財源として、これまた国家財政の将来をも考慮いたし、とりあえず昭和二十四年度及び昭和二十五年度において、牛馬の死亡廃用共済の共済掛金の一部を一般会計において負担することといたしたのであります。
 以上がこの法律案の大要でありまして、これに伴う予算上の措置につきましても、昭和二十四年度補正予算案及び昭和二十五年度本予算案におきまして、それぞれ所要額を計上いたすこととなつておりますので、何とぞ愼重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
○小笠原委員長 これにて本案に対する提案理由の説明は終りました。引続き本案に対する質疑に入ります。
○足立(篤)委員 農家災害補償法の一部改正案の要旨は、ただいま御説明のありました通り、家畜及び蚕繭共済に関する掛金の一部国庫負担を定めんとするものでありまして、第五国会における本制度の画期的な改正の裏づけができるというわけでございますので、全国の農民のためにまことに慶賀にたえないと存ずるのであります。政府並びに関係者の御努力に対しましては、この機会に敬意と謝意を表する次第でありますが、ただ私はここで数点明らかにしておきたいと思います点を御質問いたしたいと思います。
 第一に、本改正案によりますれば、せつかくのこのよい改正が二十四、五の両年度に限られておるという点でありまして、このせつかくの改正を今後ぜひ継続いたし、なおでき得れば、さらに国庫補償の度合を高めまして、完全なる農業災害補償法として、これが将来ともその基礎を確立いたしますようにわれわれは希望いたしておるわけでありますが、これに対する政府の御見解はどうかという点であります。
 第二は、いわゆる農村恐慌に備えまして、この農業災害補償制度は、農村の保護政策として完璧を期するためには、さらに農家の負担を軽減し、いわゆる農民に愛される共済制度に仕上げて行かなければならないと、われわれは日ごろ強く信じておるわけでありますが、これにつきましては、国庫の負担を全般的にさらに拡充いたしまして、農民の負担軽減をはからなければならぬと存じておるわけでありますが、これに対する政府の御見解を承つておきたいと思うのであります。
 なお負担軽減の問題にからみまして、現在定められております各都道府県別の標準被害率の問題でありますが、これは県段階における連合会にきわめて大きな負担を背負わせるものでありまして、一旦非常災害がありました場合には、ここに大きな赤字を生じ、借金を背負つて連合会がやつて行かなければならぬという事態に現にあるわけであります。日本の特殊な災害国としての事情からいたしますと、県段階に負担を背負わせることは、非常なむりがあると考えておるわけでありまして、県段階におきましてはこの補填の方法がないというのが実情であります。かりに被害の少いところでありまして、損金による蓄積ができたといたしましても、これこそ私は困窮いたしました場合の蓄積資本として保存すべきものであつて最近のように相次ぐ被害があります場合には、県段階の連合会は、まさに滅亡の危機に瀕しておるといつても過言ではないと考えておるところでありますが、この標準被害率に対して、将来画期的に改正する御意思なきやありやという点を、第二点としてつけ加えて承つておきます。
 第三点としては、單作地帯あるいは寒冷地帯等の特殊地帯に対するこの補償制度の完備につきまして、最近全国から要望があるわけであります。この制度が先ほども申し上げましたように、営農の裏づけとして十分な機能を発揮いたしますためには、このような特殊な地帶に対しては、やはり特殊な方策を講ずる必要があると私ども日ごろ信じておるわけであります。すなわち補償限度の引上げあるいは農民負担の軽減、また全国的に現在要望のあります掛金の物納制度、こういつた点についても、本制度がいわゆる先ほど申し上げた農民に愛される共済制度として確立いたしますために、政府の善処を煩わしたいと思つておるのでありますが、この点につきましてのお考えを承つておきたいと思います。
 第四は、本制度を完全なる保護法として、すなわち解放されたる農民の経営を完全に裏づけるものとして、将来発展させるためには、私はさらに一歩つつ込んで、耕地の補償制度まで発展しなければならないと考えておるわけでありますが、この問題は、いまだわれわれ自身におきましても十分な資料の用意もありませんし、研究不十分でございますが、政府におかれましては、どのようにこれに対してお考えになつておられるか。私は自由経済時代におきますこの解放農民の完全なる保護政策といたしましては、ここまでつつ込んで来なければ、本制度は意味がないとは申しませんが、十全は期せられないと考えておるわけでありまして、この点までぜひお考え願いたいと思つておるわけでありますが、この点に対するお答えを願いたいと思います。
 以上大まかにして四点につきまして、簡單に御質問申し上げます。
○藤田説明員 お答えを申し上げます。今回の改正法案は昭和二十四年度及び二十五年度について適用することに相なつております。これは現在の財政の関係等からいたしまして、さように相なつたわけでありますが、私どもといたしましては、決してこの制度は單に二十四、五年度で打切られてしまうべき性質のものではないのでありまして、本制度はこれをその後も引続いて継続をいたし、さらにより完全な制度に進めて参りたい。こういうふうなことにつきまして、極力努力をいたしたいと考えております。
 それから第二点の国庫負担の増額の問題でありますが、御承知の通り、現在農家は非常に農業経営が苦しくなつております。金詰まりその他で共済の掛金も滯りがちだ、こういうふうな現状であるわけであります。従つてわれわれといたしましては、掛金につきましても国庫負担の道を開き、あるいはまた事務費につきましても、これを極力国庫負担とする。こういうことで努力をいたしておるわけであります。苦しい財政の中でも漸次改善はされておるわけでありますけれども、決してまだ満足すべき状態ではございません。今後一層こういうふうな点につきましては、財政の許します限り、極力国庫負担の増額によつて、組合員の負担を軽減するように措置して参りたい、かように考えております。
 それから標準被害率の問題でございますが、御承知のように標準被害率は五年に一回ずつ改正をする。こういうことに相なつて進めておるわけであります。現在、先ほど申し上げました農家の負担の軽減の趣旨、並びにこの制度が社会保險的な性質を持つておる。こういうふうな考え方からいたしまして、私どもといたしましても、極力この点は、できるだけたくさんの災害がこの保險によつて救われるような方向に研究を進めて行きたい。現在でも麦につきまして、この標準被害率につきましては再検討をいたしております。その他お話のございましたようないろいろな意味で、補償制度が農民に愛されるような制度になる点につきましては、私どももしごく同感でございます。極力その趣旨が実現するように、完全な補償制度が実施されますように努力して参りたいと思います。
 それから單作地帶についてのお話が出たのでありますが、單作地帶は、さらに大きな観点から、私どもは取上げて行かなければならぬと考えておりますので、現在水稻單作地帶の專門委員との会合も開きまして、單作地帶の対策も考究いたしております。そういうふうな総合的な單作地帶の施策の一環といたしまして保險制度の観点から改善を加うる点がございますならば、その点は十分研究をいたしまして、でき得る限りの措置はとつて参りたい、かように考えております。
 それから災害耕地を、復旧の関係でこれをも保險の目的に入れる問題でありますが、これにつきましては、私どもも最近の耕地放棄の原因が災害による問題であるということも十分承知いたしております。この点については、なお私どもの調査も完全とはまだ申せないのでありますから、極力調査を進めまして、調査完了次第これも含めるような方向に進めて参りたい、かように思つております。
○原田委員 この法案には大体において私賛意を表するのでございますが、この際家畜共済保險について二、三点お伺い申し上げたい。これは最も重要な問題でありますので、確答を得たいと思つております。
 本独立予算は一億七千六百八万八千円でありますが、この財源に国営競馬益金收入の三分の一を入れる、こういうふうになつておるようであります。私どもは競馬の益金につきましては、大蔵大臣に直接ぶつかつて聞いたときも、全額をやろうというようなことの言明を得ておりません。農林大臣にお問いいたしましたところ、予算措置の場合は、大蔵省と相談しなければならぬから、はつきりお答えできない。こういうことで競馬益金というものは、はたして畜産奨励金に全部まわるかということが疑問視されるのであります。しかも私が大蔵大臣に伺いましたのは、三分の一の益金ならば七億四千万円になるのだ、ところが大蔵大臣は農林省の畜産局の予算が六億二千万円であるから、それをカバーして七億四千万円から出すのだ、こういうお答えがあつたように聞いております。私はそういう意味じやなくして、これはプラスの七億四千万円でなければ全国の畜産奨励費などというものになるものじやない、ぜひそういうふうにやつてもらいたい。こういう要求をいたしておるのでありますが、その全貌が今なお判然といたしておりません。ところが今日この予算を見ますと、これが競馬益金から出すということにはつきりうたわれておるのでありますが、はたして私の要求いたしました通り、この競馬益金というものの三分の一が畜産奨励費にまわされることに決定したのであるかどうか、これをちよつとお伺いいたしたいと思います。
 第二の問題は、この競馬益金の使途の問題でありますが、まず第一に共済保險の方に使われておると思いますが、あとに私の言う計算からしますと、七億四千万円が残ることになる。この金をどういうふうに使うつもりであるか、これも重ねてお伺いいたしておきます。なお重要な問題は、この共済保險が全頭加入ということを言つております。全頭加入ということはどういう意義を有するのであるか、この点に非常なる疑問を持つているのであります。従来は任意加入であつて、しかも全頭加入、こういうふうになつております。末端に至る場合はそれが強制加入になつております。強制加入すべしというような、パンフレットを末端には配つております。今日のような民主主義国家建設の途上において、農民のみを自由意思を尊重しないで強制加入ということは、はたして当を得ているかどうか、私はこの点に重大な疑問を持つているのであります。この点について政府の所信を伺いたい。それから次の問題は、保險共済組合が、どれだけの死亡率と廃用率があつたか、そのパーセンテージを示してもらいたいと思います。それと同時に、関連して重要な問題は、全国の開業しているところの獣医師の生活安定を脅威しているという面が大きな問題である。本委員会では、第五国会の場合に、獣医である連中が試験制度の問題でいろいろ陳情いたしました場合には、あれは三千人内外の若手の連中であるが、それを取上げて試験制度まで改良して、十二分働きをしてもらつたことを私感謝いたします。ところが、私の言いますところの開業獣医師は、日本全国で一万数百人いるのであります。この一万数百人の開業獣医師の、ただちにパンの問題に影響するこの問題を、平易に取上げて制圧を加えるということは、私どもはその專門的立場から、実に見のがすことのできないところの社会問題だと考えるのであります。私の県のごときは、よく共済組合とマッチいたしまして、全部の獣医を嘱託という名儀で一応形をつけております。そうしませんと非常なる問題を惹起した。ところが、他の府県におきますと、今なお保險共済組合と開業獣医師との間に大なる溝がある。しかも相剋摩擦が絶えないような現状にあるのであります。なおその上に、共済組合は各地に家畜診療所をつくる、そこに獣医を駐在せしめる、一部の開業獣医師を駐在するが、大部分は放任的の立場に置かれている。たとえば、五十人府県に開業獣医師があると、二十人使つてあとの三十人は、お前たち食おうが食うまいがこつちはかまわない、こういうようなやり方はおそらく時代錯誤であると私は考えるのであります。その点についての見通し、ぜひ当局の御意見をただしたいと思うのであります。なお共済組合の性格も、私などから言うと、農業保險と家畜の共済保險とはおのずから性格が違つているということが言える。なんとなれば、農作物は台風とか水害とかの天災地変を受ける。家畜の方は、伝染病にかからない限り特別なる災害をこうむる面が少ないのである。もし伝染病にかかるならば、これはこの間提案されましたところの伝染病予防法によつて、相当の国が補償をしている。だからこういうことは、別途に私は考慮すべきものではなかろうかと思う。家畜に限つてこの問題は別個の性格を有しているということは、はつきりしていると思います。のみならず、この一億七千万円余の金は、見方によつては国の助成金――今では補助ということは絶対いけないとなつておりますけれども、助成の形になる性格を持つていると思う。のみならず一般の養畜業者からはそれだけの掛金を取つている。その金を両方から合せた場合に幾らになるか。少くとも全国の家畜数を調べますと、三百五十万あります、保險にかかる見込みのものが。そうすると、これに十億以上の金があがつて来る。その畜産からあがつたところの金をどう使うつもりであるか。私どもはこの金があらゆる総合的の農業面にばらまかれて、そうして養畜農民はただ苦しみの一途をたどるのではなかろうか、こういうことを憂慮するものであります。この点について政府の御意見をただして、なお重要の点は時間の都合で言い残しもたくさんありますから、またお答えによつてこちらから御質問申し上げたい、このように考えております。
 最後に、政府がこの法案を通されても差支えないが、私の言うような性格の異つたものを、むりやりにこれにくつつけて行く考えが将来あるかどうか。なお、飜つて、これは自主的に町村單位によつて家留保險共済組合をつくらせて、それに助成する気持があるか。私どもは現に町村單位でこの共済組合をつくつて相当の利益をあげ、その利益は全部家畜の導入資金なり、交換売買の場合の追銭なりにして、非常なる畜産の発展のもとをつくつた実例をたくさん持つております。私どもは、国が養畜農民の自主権を無視して、天くだり式にやるということはどうかと考える。この点について政府の明答を望みます。
○藤田説明員 過般の国会で、競馬法改正にとりまして、競馬益金の三分の一が、畜産振興の見地からこれを必要な施設にまわすべきだということになつております点でありますが、これにつきまして、今回農業災害補償法の部面におきましても、お話しの一億七千万円程度が、国庫から特別会計の方に繰入れに相なつておりますほかに、さらに家畜共済事業の事務費負担金といたしまして、一億一千万円程度のものは予算に計上されたわけであります。実は競馬益金のうち三分の一に相当する七億がいかに使われるかという詳細につきましては、実はこれは畜産関係の予算もあり、あるいは農政局関係の予審もあり、総合いたしまして見合いにいたしませんと、はつきりは申せないのでありますが、農林省としてはこの法律案の趣旨を極力尊重いたしまして、畜産方面でも予算の計上に農業災害補償制事度につきましても今回の予算が成立する、こういうことに相なつたわけであります。どういうふうなことになつているかという詳細な点については、現在まだ資料を持つておりませんので詳しく申されませんが、農林省といたしましては、法律案の趣旨によつて極力これを主張して、実現をいたしているわけであります。それから家畜保險が全頭加入で、しかも村に行けば強制的にすすめられているということでありますが、これは御承知の死亡廃用共済につきましては、法律の改正によりまして、総会の決議できまりました場合は、組合員は全部これに加入すべきものとする、こういうふうなことに相なつております。そのほかの点につきましては任意であるわけであります。しかしながら共済の事業の性質から申しまして、やはりすべてのものがこれに入つて行くということが、保險の最後の目的を達成する上にきわめて必要なことであります。われわれといたしましては、もちろんこれを、農家に強制すべき性質のものじやないと思います。しかしながら保險のよいことをよくその趣旨を説明いたしまして、農家の納得を得て農家が快くこの保險制度に入るように、われわれとしては指導して行くべきものである。そういうようなことで、農家がよく納得してこの保險制度に入つてもらえるように、われわれとしては努めて行く、そういうような指導でやつて参りたいと思つております。
 それから開業医と診療所の問題について御質問がございましたが、これは従来ともいろいろ紛糾を起しておつたのでありますが、獣医協会等ともいろいろ御相談をいたしまして、本年の八月二十六日に、農政局の方から各地方庁に通牒を出しまして、診療所と開業医との関係は円満にやつてもらいたい、そうして考え方といたしましては、開業獣医師を本人の承諾を得て全面的に共済団体の嘱託にして行く、そういうふうな指導方針でやつていただきたいということを、通牒でよく明示しております。われわれといたしまして、もとより家畜共済保險の運営の円滑適正を期するためには、どうしても開業獣医師の方々の全面的な御協力を得なければ、とうていできないのであります。無用な摩擦を起さないように、われわれといたしましては、極力開業獣医師の方の御承諾を得て、診療所の施設にその方の御協力を得るようにやつております。従つてもしも診療所の方でこれを拒むというようなことがあるということでありますと、これはまさしく私どもの意図とは反するわけであります。そういうことのありませんように、なお十分注意をいたして参りたい、かように思つておるわけであります。なお家畜保險は、その他の水稻農作物あるいは産繭共済とは性質が違うのであるから、これを別途にやりたい、別途につくつたらどうか、こういうお話でありますが、私どもといたしましては、農家の総合経営というような見地からいたしまして、やはりこれも包含いたしまして、一本の共済保險として進めて参る。そうしてその中においておのずから必要な施策はそれぞれ講じて参りたい、かように思つております。
○原田委員 それでは競馬の益金は畜産奨励費にもらえるということを考えてよろしいのですか。でなければ、農林大臣がお話になりました一億二千万円のカバーというのと、今度の予算は一億七千余万円でありますから、その開きがあると思います。
○小笠原委員長 原田委員に申し上げます。競馬の益金の問題は、大蔵大臣と農林大臣とともに来てりつぱにその解決がつく機会をあとでつくる予定でありますから、それはあとで質問願います。
○原田委員 この問題はあとにいたします。
 第二の問題は、全頭加入ということは、要するに末端においてはこれを強制加入のような通牒を出してあります。だからその辺に食い違いがあるということを私ははつきり証拠を持つて、おります。だからこういう食い違いのないように、また獣医師との点は事実そういうことのないようにというお話でありますが、死亡率等から見ましても、私は保險組合は非常に損をしておると思う。若い連中の、経験のない、手腕識見のないものを役人に仕立てるから、そういう人たちが官僚的性格をもつて威張る。開業獣医師は、多年基盤を持つて地方住民によく接しており、親しみを持つておる。そういうものとの間の相剋摩擦が起つて来るが、片一方の方は、ぼくらの方はこれでいいのだというような、一つの、何というか、感情でなく、事実上営業事の摩擦があるように思います。そのために、この診断治療に経験のないものがやつておるために、死亡率が高まる。加入頭数に比しても、現在の陣容では、おそらく三百五十万頭の家畜を治療して、完全に加入指導までして行くということには非常に欠陷があり、全面的に開業獣医師をしてやらすべきものだと思う。これをやらせなければ、おそらく手がまわらない。のみならず、死亡率が多ければそれだけ組合は損をする。この点をよく役人が知らない。私どもは事実やつて来ておるので、末端の行政をよく知つておる。その点に非常な食い違いがあるということをはつきり申し上げる。のみならず、診療所におる技術員は、時間的な考えをもつて、夜往診なんかしない者がある。死なないでよいものを死なす例がたくさんある。なお最もひどいのは、切迫屠殺にしないでよいものを、これは補償するのだからめんどくさいから切迫にしてかまわぬじやないかというようなことで、助かるべきものを切迫にまわす実例も知つております。しかもその実例は何らか特殊営業者との間に連絡があるようなことも知つておりますので、そういうことがあるがゆえに、死亡率が非常に高まつて来るという実例がある。だからよほどこの点は、役人の諸君が机の上ばかりでなく、地方の事情をよく御調査になつて、こういうところの不明朗な隘路を打開するような気持でやつてもらわなければ、おそらく畜産の高揚は成りがたしと思う。ただ補償金を出すから死んでもかまわない。すずめの涙に近いような補償金をやつて今日牛馬のこんなに高い時代に何になりましようか。おそらくこれは自主的にその地方々々の事情に即した総合組合をつくらせて、その運営をカバーして行くというような行き方が将来性があるんじやないか、私はさように考えるのでありますが、その点についての当局の御意見をもう一遍伺つておきたいと思います。
○藤田説明員 御趣旨の点につきましては、われわれといたしましても今後十分注意いたしまして、御懸念の点のないように運営について万全を期して行きたい、かように考えております。
○原田委員 時間が非常に切迫して、さしとめを食つておりますから、詳しいことは申し上げません。ただ先ほど申し上げました死亡率と廃用率のパーセンテージを出してもらいたい。つけ加えますが、四・五とか、四・八という死亡率でありますが、これは間違つておる。のみならず、予定頭数の中にも非常に計算が間違つております。だからそのパーセンテージをかけた加入者のものは、四・五も四・八も一緒ではたまらない。私どもの実例では決してそんなに死なない。馬で罹病数の一・五死ねば、これは悪い成績なんです。しかも四・五も五・も死ぬようになつておる。非常に未経験者を採用するようになつた結果、死なさぬでよいものを、あたら農具である牛馬を死なすという原因がここにあると思う。その点が私の知らんと欲するところでありますから、一層嚴格に御調査を願います。加入頭数の数字も大分間違つでおります。それも私とつておりますけれども、時間の都合上お尋ねいたしませんが、これにも非常な食い違いがある。どうかそういう食い違いのないように、しかも完全無欠に、せつかくつくつた組合が農民のためになるようなものならば、農民の意思に反するようなことのないように、御善処方をお願い申し上げまして私の質問を打切ります。
○小笠原委員長 今の数字の点は書面であとでとることにします。小林君。
○小林(運)委員 この農業災害補償法の一部を改正する法律案が出ましたのは、前段にあります蚕糸業の統制を今年の五月に撤廃をいたしたことから始まつておるのでありまして、これはひとり農業災害補償法に関係するのみならず、蚕糸業の統制を撤廃いたしましたことに関係しまして、蚕糸業の全面的にわたりまして、異常な異変が起つたのは御承知の通りでございます。一体政府におきましては、蚕糸業の統制を撤廃するにあたりまして、いかなる方策を講じてかような撤廃をいたしたかということを、まず第一にお伺いいたしたいのであります。蚕糸業の各種の統制につきましては、われわれもいろいろ意見がございまして、蚕糸業の統制の撤廃をいたすことについては、全面的にこれを否定するものではないのでありますが、政府におきまして、かかる大きな統制をはずすにあたりまして、万全の準備がなければならぬと思うのであります。今回の統制撤廃によりまして蚕糸業がこうむりました影響は、非常に甚大でございます。特に本年の繭の値段のことにつきましても、非常に高くなり、また安くなるというような不安定な状況をかもしまして、養蚕農家を初め、製糸業者あるいはこれに関連いたします企業者、また海外におきます需要者等にも、非常に大きな影響をもたらしたのでありますが、一体政府は今後の蚕糸業を、どんなふうに考えているかということを、まず一応承つてみたいと思うのであります。
○最上説明員 ただいまの小林委員の御質問でございますが、本年四月に單一為替レートが設定されましたと同時に、輸出に関する補助金的なものが一切認められないことになりましたので、蚕糸業も従来の統制を撤廃いたしまして、自由競争による合理化の促進ということが必要になりましたので、統制を撤廃いたしたのでございます。ただその際に、製糸業者が、従来の公定価格より申して、相当高い繭を手持ちいたしておつたのでございますが、それに関しましては特別の措置を講じまして、輸出生糸の繊維公団による三万俵の買上げということで、その前後の措置は一応とつたのでございますが、その後当時の状況から見まして、海外における不況、ことにアメリカにおきまする経済界の不況、あるいはそれに伴いまする国内の金詰まりということや、あるいはその後のシヤウプ使節団の織物消費税等の税制の改革問題、あるいはポンド切下げ等によりまして、本年の蚕糸業は非常な波乱があつたのでございますが、今後の蚕糸業といたしまして現在最も重要な問題は、第一に本年の経験等から見て、また従来の経験等から見まして、この糸価の安定をはかるということが最も必要だと考えますし、またこの点につきましては国内の業者あるいは海外の関係業者等からも強い要望がございますので、政府におきましても関係団体等とも協議をいたしまして、一案を得て糸価の安定対策を関係方面と協議をいたしておるのでございますが、今日まで不幸にして、まだはつきりした正式の回答を得ていないのでございます。この糸価の安定の問題につきましては、今後ともなお何らかの打開策を講じるように、最善の努力を拂うつもりででございます。
 次に今後の蚕糸業といたしまして最も重要なことは、現在製糸の設備と繭の生産が非常に不均衡になつておりまして、繭が足りないというようなことがございますので、来年度はできるだけ繭の増産ということに最善の努力をいたしたい。これにつきましては、関係の団査等とも目下協議をいたしまして、全国的の増産の計画等もいたしておるのでございますが、この産繭の増額ということに最善の努力をいたしたい。それと同時に需要の増進、ことに海外におきます需要の増進ということにつきまして大いに努力をいたしたい、かように考えておるのでございます。なおこの需要の増進につきましては、目下蚕糸調査会において、いろいろ具体的に検討いたしておるのでございますが、本年の六月にスイスにおきまして国際繭業同盟というものが組織されまして、生糸の生産あるいは消費の関係まで、各国が一つの国際的な団体を組織しまして、繭業の繁栄のために、繭業の需要の増進のために、一大運動を起そうということによりまして、そういう機関ができたのでございます。これにつきましては、日本におきましてもこれに相当する機関ができておるのでございまして、実は来年の秋には、ニユーヨークにおきまして、国際繭業同盟の総会があることに予定されておりますし、その際に、また絹の消費の宣伝のための博覧会のようなものをやるような予定にもなつておりますので、繭の増産と同時に、海外の繭の需要の増進ということに最善の努力をいたしたいと考えておる次第であります。
    〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕
○小林(運)委員 先ほど蚕糸局長から蚕糸業の状態につきまして、いろいろ御説明がありましたが、その際に、これは昨年から本年と、ヨーロツパにおきまして国際繭業連盟ができまして、その際におきまする世界各国の絹に関係します人たちの一致した世論といたしまして、今後蚕糸業の伸展は、糸価の安定をしなければならぬということを、異口同音に唱えておるのであります。これは今起つた問題ではなくて、すでに長年の経験からいたしまして、蚕糸業のがんは糸価の不安定である。糸価の暴騰暴落にあると言われて来ておるのでありますが、この件に関しまして、政府は糸価の安定をはかつて行きたいと言われるが、その方法は一体どういう方法でおやりになるのか、関係方面と御折衝中のようではございますが、大体政府ははつきりした見通しがあるのかどうか、幸いに大臣がお見えになりましたので、特に大臣は蚕糸業には相当の造詣を持つておられるのでありますが、今後の蚕糸業の安定に対して、いかようなお考えを持つておりますか、大臣から直接御説明を承りたいと思うのであります。
○森国務大臣 糸価の安定ということは、望ましいことであることはもちろんでありまするが、その価格をどういうところに落ちつかすことがいいかという問題であります。今日まで統制をいたしておりましたことは、ある場合においては生産者を非常に制約いたしまして、自由な立場に置かれなかつた。いわゆる繭の価格をきめて、それによつて糸価はこのくらいのものが適当であろうということを考えて、統制をいたして来たのでありまするが、御承知の生糸というものが、国内需要と海外需要と二つの面がありますので、海外需要が今日自主的に許されない。しかも輸出生糸に対しましては、御承知のように価格における制約がせられておるのでありますから、このわくによつてすべてが定められておつたのであります。しかし今日の生産状態は、加工設備は相当にできておりますけれども、いわゆる生産原料が非常に不足いたしております。そのために、この統制をはずしまして自由な立場におきました結果は、一時的の現象であるとは存じますけれども、繭が非常な高い値段に上つて、製糸企業の上に非常な危險性を持つて来たのでありますが、これは一時的な現象でありましていずれ落ちつくところに落ちつくものと私は思います。一体製糸業者が原料の状況を考えずに設備の拡張をいたしたということが、今日のような現象を現わしたのでありまして、さきに政府は蚕糸業五箇年計画を立てましたけれども、製糸設備の方は比較的早く五箇年計画の遂行ができたのでありますが、食糧等の事情のために、繭の生産が機械設備の完成に伴わなかつた結果、繭の値段は不合理な立場にあつたのであります。一旦このわくをはずしました結果は、自然の姿と申しますか、需給の関係から申しまして、繭の値段が非常に上つて来た。これは当然の現象であります。従つてここに製糸業者としては非常な採算割れを生ずる、競争買いをしなければならぬというような現象になつたのでありますが、製糸業者も今後に対しましては、相当自分の企業の実態というものを考えて、そして自分の企業能力に応ずる原料をいかにして獲得するかということに、今すぐ進まなければならないのではないか。今まで製糸業者があまりに政府の施策に依頼し過ぎておつたような傾きがある、私はかように考えております。しかし何と申しましても相手方は外国でありますから、外国の企業に伴うところの生産であるという一面と、また国内の衣料資源としての面と、この二つの面を持つておるわけであります。しかし政府といたしましては、関係方面としてもこの糸価の安定ということは望んでおりますし――この望んでおるということは、日本の蚕糸業を考えてか、あるいはアメリカの企業原料としての糸価の安定を望むか、この二つの考え方があろうと思うのでありますが、関係方面においても今日のような暴騰暴落する生糸に対しましては、アメリカの企業界におきましても、原料として非常に危險性を考えておるわけでありますから、当然輸出企業といたしましては糸価の安定ということは望ましいことであり、また内地におきましても衣料の原料といたしまして、糸価の安定しておることは、すべての場合において必要なことでありますから、養蚕家の收支を償うということを考慮いたしまして、糸価というものはある程度の安定を必要といたすのであります。つきましては、関係方面もその希望がありますので、関係方面との折衝も目下継続いたしておるわけでありまして、場合によりましては、この糸価安定施設に対して、政府も積極的な施策を講じで行かなければならないのではないか。目下かように研究を進めておるようなわけであります。
○小林(運)委員 ただいま大臣から、蘊蓄のある蚕糸業に対する各般の御答弁がありましたが、お話の中に糸価の安定を何らかの形ではかつて行きたいということでございましたが、この問題につきましては、過去においても生産組合でありますとかいろいろの施設を講じまして、毎回ごとに相当の成功を收めておることは御承知の通りであります。この行き方につきまして、今まで関係業者を初め、政府当局にもいろいろ考えがあつたようであります。
    〔松浦委員長代理退席、小笠原委員長着席〕
 たとえばこの糸価の安定をはかるために、非常なる糸価の騰貴の場合、あるいは非常なる低落の場合に、買上げあるいは売渡しというような方法をとつて行く方法があるのであります。さようの場合におきまして、政府は特別会計であるとか、あるいは公社であるとか、公団であるとかいうような施設がここに考えられるのでありますが、そのうちどのような形体でおやりになるお考えを持つておりますか。その点をお伺いいたしたいのであります。
○森国務大臣 その方法においては、はつきりお答えするところまでの結論は出ておりませんけれども、今日の民主主義的にすべてを考えて行かなければならぬ立場におきましては、政府がある公社とも申すようなものをこしらえさせまして、それに相当の資力を保有させて、そうして糸価の暴騰、暴落に対する処置をとる。いわゆるかつてやりましたような糸価安定施設のような気持で、しかも企業者あるいは養蚕農家の意思を、その手段によつてあまり抑圧しないという方法によつて、糸価の安定、いわゆる繭価の安定をはかつて行きたい。こういう構想を持つておるのでありますが、それは特別会計によつてやるか、あるいは公社式においてこれをやるか、まだ研究の途中でありますので、結論は申し上げられません。まだ先方との交渉の道中にあるのでありますが、そういう気持で進んでおるわけであります。
○小笠原委員長 それでは大臣が見えましたので、農業災害補償法の一部を改正する法律案の審査は暫時とどめまして次に移ります。
    ―――――――――――――
○小笠原委員長 次に前会に引続き食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案に対する質疑を継続いたします。
○松浦委員 食確法の審議も、第五国会以来のものでありまして、本委員会といたしましては愼重審議を続けたわけでありますが、いよいよ大詰めとなつて来たようであります。われわれもこの法案につきましては、いろいろの疑点を持つておるわけでありますが、ようやく最近一つの見通しを持つに至つたのであります。そこで最後に森農林大臣に二、三特に重要と思われる点につきまして、お尋ねをいたしたいのであります。
 その第一点は、すなわち食確法は今の日本の立場、ことに連合国の好意ある助成なくしてはやつて行けないような、わが国の食糧事情のこの現実から推しまして、政府の御苦心の御説明を、われわれは一応了としなければならないとも思われるのでありますけれども、この法律の一番悪い点は、法律のよい面は適用されることまことに少く、たとえば本年度の供米の補正問題等につきましても、なかなか主張を通すことは困難であり、むずかしいのであります。しかるにその逆に悪い面は、取締り面のごとき、ただちに適用せられるではないかというような心配が多々あることであります。農林大臣は日本の農政の元締めといたしまして、いわゆる農林官僚をよく監督し、これを末端まで抑えまして、この法律の適用を誤らざるように努力するか、また責任をもつて御努力なさるかどうか、この点について大臣の責任のある御答弁を承りたいのであります。
○森国務大臣 食糧確保臨時措置法につきましては、立案せられました当時の事情とはよほど食糧事情もかわつて来ておるのであります。もともと現在施行されております法案につきましては、相当今日まで議論が鬪わされて来たのでありますが、昨年末経済九原則を示されると同時に、アメリカから食糧を輸入しておる日本といたして、食糧の確保についてあまりにだらしがない。アメリカに対しても、いま少しくはつきりと食糧確保の法制化を必要とするということで、指示を受けて、この改正法案を出したようなわけであります。従つてこの食糧確保臨時措置法の改正法案は、食糧事情が非常に緊迫しておる、どうしてもこうしても事前割当を確保して行かなければ基準の配給もできないという場合に、現在の法律においてはあまりにも弱い。それであるからそういう場合に対しまして、この法律の強化が必要である。こういうことで、改正法案は九原則に基いて指示され、提案いたしたような次第であります。幸いに食糧事情も外国の食糧輸入と、また日本内地の生産増とのためによほど緩和されて参りまして、当初昨年末の考え方と、今の考え方とは非常に事情がかわつて来ておるとは存ずるのでありますが、いかに今日の食糧事情が緩和されましたつて、それが日本の自主的な立場によつて緩和されたのではない。いわゆる輸入食糧によつて緩和されたということを考えますと、いつ何どき食糧事情がまた緊迫するとも考えられませんので、一応法制の完備は必要といたすのであります。従つて今日改正法案を御審議願つて、これを御決議願いましても、この法によつて、よく俗に世の中に伝えられておるような、超過供出を強権発動する、必ず割当てて、これを強制的に徴収するというほど、今日の食糧事情は緊迫いたしておりません。今回の補正割当におきましても、また中央委員会の御希望によりまして、今回の超過供出に対しまして、自主的な立場に置いてくれという御希望がありますが、しかしこれは、そういうようなことによつて政府が予定通りの食糧を確保することの困難な場合を想像いたしますれば、この法律案の通過によりまして、超過供出の必要量は確保せられなければならないのであります。従つてこの法律を出しまして、必ず強権発動というようなことをただちに想像するということは、少し早過ぎるようなことでありまして政府はあくまでも法は法なりで、この法を生かしまして、日本の食糧事情に欠陥のないようにいたしたい、かように考えておるわけであります。
○松浦委員 ただいまの農林大臣の御答弁によりまして、現在の食糧事情から推して、強権発動のようなことは想像しなくてもよろしい。こういうような御答弁を承つて、やや私も安心をいたしたのであります。その次にお伺いしたいことは、世界の食糧事情の変化によりまして、当然わが国の食糧事情にも大きな変化が予想せられると思うのであります。そういうことは必至のことと考えてよろしいと思うのである。そのときにあたりまして、あるいは今日の臨時立法でありますところの食確法のごときは、まつたく不必要な時代が早晩来るのではないかと考えておりますが、かかる情勢の変化が起りました場合は、農林大臣はそのときこそ勇敢に、率直に、すみやかにこういう法律を廃止するか、または農民の保護のために大改正を加えるような用意があるかどうか、この点をひとつ伺いたいのであります。
○森国務大臣 世界の食糧事情は現在好転しつつあるのであります。今後日本の食糧事情が、この好転しておる世界の食糧事情によりまして、影響を及ぼされることは当然であります。もとより本法案は名の示すごとく臨時措置法でありますので、今後あるいは日本国内の食糧は、政府が責任をもつて、これをぜひとも確保しなければならないという要求をされるような事態も想像されるのであります。今日のように食糧事情が漸次改善される場合におきまして、こういう臨時的な法律は、そういう場合はもとより臨時立法でありますから、これを廃止することは当然のことと、かように考えておるわけであります。
○松浦委員 もう一点伺いますが、外国の輸入食糧等が入りますと、そこにいろいろな事情を考えなければならないと思うのでありますが、こういうことが起きますと、農村の経済にも、また農家の個々の経済にも大きな変化が起きて来るのではないかと思います。どうしてもこれに対するだけの方法を考えなければなりません。これには農村における大きな資金が必要であると思うのでありますが、これらの金融対策につきましては、政府は農林中央金庫強化等の措置も考えられておるようでありますが、これについて概略を承りたいのであります。
○森国務大臣 御承知の、今農村においては非常に金融が緊迫いたしておることは、担保力を失つたことが一つの大きな原因と考えております。従つて年々歳々起りますところの災害復旧等におきましても、自力をもつてこれをなすことが非常に困難な状態でありますので、公共事業費等において団体的な仕事はやつておりますけれども、個人に対する助成等は、ドツジ予算の方針によりまして許され得ないのであります。しかしこのままに置きますと、復興上どうしても土地改良、あるいはその他金融の面につきまして、農村が行き詰まつておる現状におきましては政府は長期の低利な資金を貸すということを考えて行かなければならぬと思うのであります。それにつきましては、まず第一に、協同組合の健全な強化発達ということを考えて行かなければならぬことと、農林中央金庫をも、今お話のように、せつかく内容の充実を考えまして、百六十億くらいの融資のわくをつけて行きたい。また一面においては、本補正予算において御決議いただきました耕地の災害に対しましては、わずかでありますが、本年の災害に対する復旧も、五億五千万ばかりの経費でありますが、これによつてやりました。なお土地改良につきましては、過去二十年来行われつつ、その完結でき得ないような問題も相当残つておりますので、こういうものに対しては、政府において見返り資金によつて、特別会計の方法によつてでも金利の補給をいたして、四分五厘か五分五厘くらいの安い金利の金を、土地改良法に基く事業に対して融資するというようなことも、一つの方法であるということを考えまして、目下その進捗に検討を加えておるわけでありますが、とりあえず中央農林金庫に対しては百六十億のわくをつくつて、農林水産等の金融の資金にいたしたい、かように考えておるわけであります。
○小笠原委員長  山村新治郎君。
○山村委員 時間もありませんので、簡單に一点だけ伺います。それはいもの統制を供出完遂後は撤廃せられたのでありますが、雑穀の統制ははたしていつ撤廃するか、特に落花生についてはいかなる方針をとるか、お答え願いたいのであります。
○森国務大臣 雑穀のうちでなお統制を継続しなければならないものは、輸入関係をもつております大豆でありますが、そのほかの雑穀につきましては、従来のような統制をする必要がないのではないか、近くこれらのものもはずして行きたい、かような考えを持つております。
○井上(良)委員 今山村さんの御質問によりますと、いもの供出を完了いたしました場合は統制をはずす、つまり完納農業の残つたいもは自由販売する。こういうことがきまりましたか。
○森国務大臣 いもの割当は、御承知の通り本年度は約七億万貫の割当をいたしておりまして、それに対する一割は、超過供出のものとして、予算において計画を立てておるわけであります。これらのものを完納いたしたものに対しましては、これを政府に売ろうと政府以外に売ろうと自由にするということを決定、関係方面の了解を得まして近く実施するはずであります。
○井上(良)委員 そうすると、それは食糧管理法なり食糧法を改正せずにできるのですか。
○森国務大臣 法の改正でなくして、省令によつてこれをやり得るのであります。
○井上(良)委員 その省令は、何法の根拠によつて出すのですか。
○森国務大臣 食糧管理法の施行規則によつてやります。
○高田(富)委員 それでは前に関連のことをちよつと簡單に、先にお伺いしておきたいと思います。
 ただいま大臣は、土地改良事業等に対しましては、見返り資金の中から相当出すようなことを述べられました。これは非常に重大なことであつて、政府におきましては、公共事業その他災害復旧などに対しまして、見返り資金のことをこの春以来約束して来ましたが、いまだかつてこれが実行されたためしがありません。明らかな見通しと確信を持つていられるのでありましたら、土地改良事業への見返り資金の融資はどれくらいであるか、もう一度はつきりお答えを願つておきたいと思います。
○森国務大臣 見返り資金は、政府が計画いたしまして、司令部等の交渉容認を受けて実行するわけでありますが、運輸省方面、郵政省方面はすでに出ております。今私が土地改良の特別会計で考えておりますのは、二百億万円五箇年計画によりまして、年々四十億万円の範囲内でこれを支出したいと起案いたして折衝しているわけであります。
○高田(富)委員 それは相当進捗しておりますか。そうして相当確実性がありますか。
○森国務大臣 確実性をあらしたいと今努力をいたしておるわけであります。
○高田(富)委員 それでは食糧法の質問に入りたいと思います。
 超過供出が法制化されるということになりますと、事前割当量でさえも、今日では大半の農家がとうてい納まらない非常な苦境にありますので、もとの法律がつくられますときから今日まで、国会の内外において、あの通り大きな反対運動が行われ、一度はついに原案も流れ、修正案もまた先般の国会で流れました。それほどまでにこれは重大な問題であるのに、政府におきましては、超過供出が完了したあとでもまだゆとりは十分あるということを前提とされまして、米券制度を実行するということをしばしば言明されて参りました。またただいまでも努力中だというようなことを聞いております。これはあちら側におきましても、もうはつきり否定しておるにもかかわらず、最後的な努力を続けるということを、しばしば新聞紙上を通じて声明しているのであります。こういうようなことは、結局今度の割当にいたしましても、今度の補正問題にからみまして、日本政府側の主張が非常に根拠薄弱で、とればいくらでもとれるというふうな観念をもつて折衝に当られたのでは、大臣がいかに熱心に折衝されましても、相当額の補正を得られないのは私は当然だと思う。先般知事会議あるいは全国食糧調整委員会におきましても、政府は米券制度を云々しているが、こういうふうなことがこのたび県の補正要求のいれられない大きな原因で、この点政府に責任があるということを、異口同音に述べております。これは全国農民の声であります。この点にかんがみまして、この席上米券制度に対するお考えを、もう一度はつきり述べていただきたいと思います。
○森国務大臣 米券制度は政府は発案しておりません。与党である民自党において研究を進められておるのであります。また政府も、与党の研究されておる米券制度については、事務的、科学的に研究を進めたのでありますが、政府は米券制度を法制化するというようなことを皆さんに御相談いたしておりません。日本の食糧確保については、今御相談願つておる法律が是なりとかように信じておるのであります。米券制度に対する批判は、私としてどちらでもありますが、今政府が米券の法制を取上げているということは決してないのでありますから、どうか誤解のないようにお願いいたします。
○高田(富)委員 しかしながら政府と民自党というものは一体のものであります。この席上で米券制度は正しいものであるか、合理的なものであるか、それとも合理的なものでないとお考えになるか、大臣にはつきり言つていただきたいと思います。
○森国務大臣 米券法につきましては、今申し上げた通りであります。政府がこれを起案いたしたわけではありません。与党として考えておる米券法につきましては、政府としては決して無関心ではおりません。十分研究をいたしておりますが、やり方によつては決して世間に伝えられておるような悪法でもなく、この運用に妙味もあり、またこの運用によりまして、食糧の確保が一層進められるということも考えられるようであります。政府は今これを提案するというようなことは考えておりませんが、米券法につきましては、私といたしましても相当研究を進めておるわけであります。
○高田(富)委員 米券制によりまして、なお一層食糧の確保ができるとも考えておるということでありますが、そういうふうなお考えで行きますと、実際の收穫量は、知事や食糧調整委員やその他の者が言つて来るようなものではなくして、まだまだ相当あるという観念が、やはり農林大臣にあることになると思う。そういうことから今回の補正につきまして、結局合理的な意見を出すことができなかつた。食糧の生産高等について、合理性のある主張ができなかつたということになると思うのであります。そういうふうなことの結果、今度は政府が初め言明されたものの半分以下の補正しかできなくて、地方の持つて来ましたものの数分の一になつたと思うのであります。大臣の考えるように、ごく一部には相当の不正をやり、この苛酷な供出制度の下におきましても、なお余裕のある者もあるでしようが、これは例外です。ごく少いです。圧倒的多数の者は、今回の供出によりまして、――ましてや改正法律が通過しまして、さらに事前割当よりも余計にこれを割当て、強権発動でやるというような態勢になりますと、飯米を出してもまだ足りないような、悲惨な農家がたくさん出ることは明らかであります。政府といたしましては、実收については調査中であると先般答えられましたが、この調査が進捗いたしまして、現実にどうにもこれではいかぬということが判明したならば、再度強く補ごを懇請し、これを政府の責任において再び実行する意思はありますか。
○森国務大臣 十二月の末かあるいは一月になつて実收量が確定すると存じますが、従来補正は作報の報告に基いて、しかも九月二十五日現在の予想に基いて補正をして参つたのであります。本年は特別に病虫害がありましたので、十一月にさらに調査をいたしたようなわけでありますが、現在の考えておりまする二百四十五万石の補正を許されましたが、しかし司令部としては、司令部の六千九百二十万石の予想が減つたともいうわけではない。また農林省が第一回に発表しておる六千五百余万石の予想が間違つておつたというようにも考えない。とにかく二百四十五万石という補正を承認するという書面を私はもらつたのであります。従つて今後はつきり実收高ができました場合においても、この補正をさらにやり直すことは考えておりません。今お話のような、自分の保有量がなくなつてしまうというような供出面は、あつてはならないのでありまして、そういう場合においては還元配給の措置をとつて行きたいと考えております。
○高田(富)委員 そうすると、政府はこれ以上の補正は今後どういう結果が実情から出て来ても、やる考えはないということになると、これはもう昨年度の供出のときにも実例は相当ありました。飯米を出してもまだ足らない。その結果どういう事態が起りましたか。この重大な事態に対して政府はどういう措置をとつたか。現在の供出制度の不合理、このためにいかに多くの農民が泣いておるかという実情について、大臣の認識ははなはだ甘いと私は思う。私どもは決してだてや酔興で大臣の不信任案を出したのではありません。もしこのままの態勢で、政府が再度補正に臨まないという態勢で臨む場合には、まず県知事が相当あなたに食つてかかるでありましよう。しかしそれもあなたの断固とした態度で、遂にのませるかもしれない。のんだときはどうなりますか。今度は県知事は市町村長に向つて再びあなたと同じ強硬な意見をはくのであります。そしてそとで大悶着をやりまして、さらに市町村長もやむなく引受ける。この市町村長はどうしますか。最後には、結局農民諸君のところに責任はすべて転嫁されます。昨年度はこの結果どういう事態が起きたか。全国各地においては、遂には日本の政府の責任、官憲の責任によつてはいかんともしがたく、いろいろの手を借りざるを得なくなりました。そして有無を言わせず飯米を取上げられました。このことは私ども日本人として非常な屈辱であり、日本の政府にとつては重大な責任問題です。このような事態が、本年もさらに一層苛酷に行われることは明らかであります。断言しておきます。冗談ではありません。こういうことが行われるのは、日本政府並びに官僚が責任を負わないというところに原因があるのであります。すべて責任を農民に転嫁するところに弊害があるのであります。自分が確信のないようなことを他人に押しつけることはできない。そのときにはみずから責任をとること、そうすることなしには、このような暴政はやまないのであります。昨年はそういうふうな態勢のもとで供出をさせられました。飯米も出しましたがまだ足りません。そのときどうしましたか。多数の人たちが一斉に不供出罪で検挙されました。しかし検挙しただけでは完納はできません。そうしておいて、完納させるために官憲はいかなる手段をとりましたか。みんな一札とりまして、どういう手段を講じてもいいから出せということで、釈放をいたしました。これらの釈放された農民諸君は、ない金を工面し、借金をし、はなはだしきに至りましては、協同組合が県の信連から金を借りて参りまして、大量のやみをやりまして、他府県からまでいろいろなものを買い集めて完納をいたしました。その結果一人当り平均十万円程度の借財を負つた村々が、一県で十数箇村にわたつております。その借金はいまだに残つております。この借金を返すために、今年度の收穫の中から現物で返さなければならない。借金は供出代金の中から差引かれます。このような事態が現実に全国各所に起つておる。このやみをやらせたことは、積極的にやらせたのですが、これを官憲はただ黙認したように言つております。かりに黙認したとしましても、重大な犯罪です。検察当局がやみをやらせて完納させたんです。そういうことはたくさんあります。なおそのほかに、県といたしましてどういう措置をとつたところがあるかというと、どうしても完納できないために、農家に配給すべき農家用の米を配給したことにして、これを供出したことにいたしまして、帳簿上のから供出操作をいたしまして、数字のつじつまを合せました。その結果、後日経済調査庁が調査をいたしました結果、これは超過供出までしたということは、まつかなうそであつて、前割当までも実は供出していなかつたのだということが、今日になつて指摘された。このようなことをやつてまで官僚は百パーセント出したいという、自己の責任をまぬかるるために、不法行為まであえてして、つじつまを合せておるのであります。これに対して政府は、どういう措置をとりましたか。これらの不法行為をやりました官憲並びに行政庁に対し、政府はその責任をいかに糾明されましたか、その点を明確にしていただきたいと思います。
○森国務大臣 全国的にあつたようなお話でありますが、一部にはそういうことがあつたと聞いております。埼玉県にそういうことがあつたようでありまして、この委員会においても問題になつておるようでありますが、これは内容をよく検討しなければ、責任がどこにあるかということは、はつきりしないのでありまして、その内容を十分はつきりした上において、政府としては善処すべきであると考えております。
○高田(富)委員 すでにこれは半年も前から、経済調査庁が中央において本腰を入れて調査し、その結果は発表もされておるのです。いまだにこれに対して処置をとつてないということは、いかに官僚が無責任であるか、すべての責任を農民に転嫁しているかといういい例でありまして、しかもさつき私が申し上げましたように、町村長や、農業協同組合長までがやむを得ず金を借りて大量のやみをやりまして、これを農民に与えて供出させました。この事態が済みますと、検察庁はやみをやつたというので、自分が黙認しておきながら、百パーセント完遂以後におきまして、この町村長を起訴しようというような気配をもつて、書類送検をいたしました。こういうふうにしてあくまで自己の責任は回避し、すべての責めを農民に負わせております。政府のこの責任を感じない態度、このために農民は泣き、農村は崩壞して行きます。このような事態に立ち至つたために、今年度にもその影響があるのであります。さきも言いましたように、借財はこれから引かれる、現物ももうどんどん食つておるというところに対しましては、どうしても徹底的に調査をいたしまして、保有米は完全に確保させてやらなければなりません。昨年は、保有米は出せば還元配給をすると約束したにもかかわらず、還元配給はほとんど滯つております。私の調査したところによりますと、個々にまわつて調べましたけれども、八人家族で半年間の間に米が一俵しか配給にならない。その他いろいろたまには配給になりますけれども、米は一俵です。そのために還元、特にさつき言いましたような、配給したことにしてこれを供出したことにするというような措置をとりましたために、農家配給米は、それだけ余裕のある農家の方にはいいことになりますけれども、当然受けるべき農家配給米がそれだけ削られまして、農家の還元配給米は不定もはなはだしいのであります。さつき大臣は、そういう場合には還元配給するからいいと、簡單に言われますけれども、還元配給は、予期せざる多数の転落農家ができた場合にも、対処できるだけの還元米の用意があるかということをお尋ねしておきたいと思います。
○森国務大臣 食糧の需給推算は立つておるのであります。ことに端境期の手持米も相当あります。なお輸入食糧の放出許可等の数量も相当あるのでありますから、もしそういう場合におきましても、十分に還元配給ができることは確実であります。
○高田(富)委員 保有米を出したならば、必ず配給は確保するといわれたと私どもは了承する。しからば問題は、出す場合と買う場合は価格に非常な開きがあります。現在では配給も受けられない貧農が相当多いのであります。これに対して還元配給する場合の価格は、生産者の価格でやるか、金のないときには一時的には掛売りでもやる意思があるかどうかを、承つておきたいと思います。
○森国務大臣 政府は商業行為をやつているのではありませんから、掛売りというようなことはできません。価格の面におきましては、その供出価格に対して、大体同じ価格をもつて還元しろという要求はあります。そういう要求も一応ごもつともと存じますが、公団等の手数料を除いた価格において今日まで還元をいたしております。
○高田(富)委員 超過供出に対しまして非常に重税がかかるということが、現在非常な問題になつておる。ことにこの前の麦の供出等につきましては、相当超過供出があつたということで、現在税務署では目を皿のようにしてこれを調査し、非常な重税をもつて臨む態度をとつておるのであります。今後このような法案が通過いたすにつきましては、特に税金の関係は、政府としましては責任を持つて考慮しなければならないと思うのです。この前の麦のときに超過供出が非常に多かつたのは、実は金詰まりのために生活資金にも窮しまして、飯米までも出して超過供出に充てたからであります。政府においては、どうかこの点について明確な対策を示していただきたいと思います。その点についての所見を伺いたい。
○森国務大臣 收入のあるところに課税せられるのは、いずれの場合におきましても当然であります。超過供出があつたから、それに対して重税をかけるということは毛頭ありません。今度農村に対する課税は非常に安くなりまして、地方税を加えましても約三割は減税されることと、大蔵大臣は声明いたしております。超過供出をしたからそれで重税がかけられるというようなことは決してないと考えております。
○高田(富)委員 税金問題をここで論争するのもどうかと思いますのでやめておきますけれども、三割も軽くなると大蔵大臣が言つておるということは事実です。しかしながら実際に軽くなるかならぬかは別問題でありまして、先般来本会議においても論ぜられました通り、肥料の値段もうんと上る、一般物価も相当上る、地方税も数倍になるというようないろいろな條件におきましては、農民の負担は絶対的にも、特に相対的に言いますれば、非常に過重になるということは、事実であります。この点については論争はいたしません。
 さてこの供出の問題でありますが、さつきもちよつと触れましたように、大多数の者は、現在の苛酷な供出制度のもとでは、飯米も出さなければならぬ、出してもまだ足らぬという状態にいよいよなつて参つたのであります。しかしながら一部には、まだまだ森農相が楽観しておられますように、米券制度にした方がたくさん出るだろうと言われるところからしても、余るものがある。ここに不合理がある。これを改めることなしには完全な供出、自主的な明朗な供出ということはできません。その末端において現われる供出の不合理というものは、まことにこれははなはだし過ぎるのでありまして、これは厳密に公平ということは、科学的にはむずかしいかもしれませんけれども、だれの目から見てもあまりにも不公正過ぎる今の割当に対して、これをこのままほおつておいて、現在の供出制度をただ強化するということは、この弊害を一層著しからしめるのみであります。ここにおいて、現在の台帳面と実際の耕作の面積状況とがはなはだしく違つておる。これを至急に調査しまして、すぐだれにでも納得できるように是正する必要があると思う。地方の等級にしましても、地方の等級を精密にやつておるところはまつたくありません。ほぼいいと思われるようにやつておるところは非常に寥々たるもので、大部分はまつたくやつておらない。はなはだしきに至りましては、地方の等級ではなくて、耕しておる人間によつて等級をつけておるところがある。こういうふうなばかばかしい状態をそのまま放置いたしまして、ただ供出量を加重し、ただいたずらに強権発動の範囲を拡大するという行き方は、ますます農村の費民主化を促進する結果になる。どうか農村の民主化の建前から、ここではつきりと大臣にお伺いしておきたいことは、この農地の一筆調査による地方並びに面積の適正な把握を至急――これは民間の協力も得まして大々的にやる必要があると思いますが、この点についての所見を伺いたいと思います。
○森国務大臣 高田委員は近ごろ農林委員会へ参つてくださつたのだから、そういう御質問が出ると思うのですが、このことは再三の委員会で申し上げておるのであります。一体現在の供出制度は決して完全なものではありません。だから地方に応じて適量な負担、いわゆる昔の年貢を納めましたように行けば、非常に理想的なんでありまして、そういうふうにこれをやりたい。一筆調査もやりたいと思つているのです。ところが一筆調査をやりますと、三十億か四十億の金がいります。もちろんこれは国家の基礎ですから、政府としては、どうしてもやりたいということは考えているのです。反別なんかも、隠し反別がありまして非常に違う。供出制度をやりましてから、日本の耕地面積は減つて来るのです。三百万町歩が二百八十万、二百七十五万というように、年々縮んでおる。ところが肥料をやると言うとふえて行く、こういうのが日本の耕地面積でありますから、これは根本的に改めなければならぬと考えております。でありますから今日の供出のやり方は決して完全だとは思つておりません。しかし何とかして皆さんにも御協力願つて、ほんとうに実際のものをつかんで、今お話のような地方に応じて、納得の行く昔の年貢を納めたように、これの量をきめたいということが理想なんです。そういう理想に一歩々々近づくように研究を進めて行くわけでありますから、御協力を切にお願いする次第であります。
○高田(富)委員 前々からこの委員会で詳しく論議されておつたそうでありますから、詳しいことはやめます。しかしそういうことが論議されておるのに、そういうことが先決問題であるのに、それをあとまわしにして、今までの、悪い制度をさらに悪くするような、こういう法案を出すからあらためて問題になるのです。こういうことをやれば、ますます端末の不合理を拡大するのです。そういうふうな考えでありますから、米券制度のようなことを考えられて、ますます不公正が拡大されるのです。さてこの問題は大分論議されたそうですから、遠慮しておきます。
 それでは次にお伺いいたしたいことは、食糧確保臨時措置法なるものが提案されるに至りましたときには、これは戰後の荒廃の結果、農業が世界的に荒廃いたしまして、食糧需給関係はきわめて逼迫いたしました。そういう世界的な食糧需給関係の大きな逼迫のもとにおきまして、わが国におきましてもこういうふうな法律が考え出されたのであります。ところが現在は、さつきも農相が言うように、事情はかわつて来た。今まででさえこのような反対がありまして、二年間も延びて来たこの法律を、世界の食糧事情がまるで一変いたしました今日では、米穀の割当制も撤廃になり、食糧も過剰が問題になり、輸入も相当に拡大しておりますのに、こういうときにあらためてこれをさらに拡大するということは、まつたく国際情勢の変化を考えていないと私は思う。こういうふうな状態において、農民がみな農業恐慌に襲われることを憂えておるときに、大臣はなお心配だからということを言いますが、心配なのは今後たくさん食糧が入つて来ることが心配なんだ。どうかここではつきりしていただきたいことは、大臣は世界の食糧事情はこれから過剰の傾向になつて来るとお考えになつておるのか、それともそうでない、反対だとお考えになつておるのか。明確に御答弁願いたいと思う。
○森国務大臣 これはずいぶんやかましい問題になつたのでありまして、今日本の食糧事情がよいかと言われてもこれはガリオアで来るものもあり、バーターで来るのもあり、予定されただけでありまして、これはほんとうに来るかどうかわかりません。それですから日本の食糧事情は決して安易な状態におるわけではない。ここでたまたま外国食糧が今年よけいに入つて来たからといつて、あんからかんとしておつてはえらいことになります。ですからこういう制度も要る。いわゆる家に消火器を備えつけておくのも同じことであります。いくら今年三百万トン入るからといつても、もう日本の食糧が手放しでよいとは考えておりません。
○高田(富)委員 一方で事情が好転しているといつて、いもの統制を撤廃しておきながら、まだ心配だから余つたらためておけというようなことで輸入するということは、これはまつたく矛盾もはなはだしい。だから何回でも聞かざるを得ないのです。そこで念のためにもう一度お伺いしておきたいことは、小麦協定への参加は確実にできるとお考えになつておりますか、どうですか。
○森国務大臣 小麦協定国に参加することは、今申し込んでおるのでありますが、多分参加は許されるだろうと思います。申し込んでおいたのは百二十万トンでありますから、これはよし日本の自給度が増しましたところで、現在三百十一万トンも輸入しておる小麦のうち百二十万トンぐらいは、五箇年間確実にこれを約束しても別にさしつかえない。こう思つておりまして、まだ加入が許されるか、許されないかわかりませんが、多分許されるだろうと思います。
○高田(富)委員 こういうふうな法律によりまして、主食の取締りは一層嚴重になりまして、ここに配付されました資料によつて見ましても、昨年のごとき六十万人からの人々が主食関係の違反で検挙されております。ところが最近の主食の取締りにつきましては、非常に行き過ぎがある。まつたくこれは人道上許すべからざる取締りをやつております。これらにつきましては、実情によつてもう少し緩和したやり方をやらないと、これは政府に対する大きな反感を無用に拡大する結果になると思いますが、食糧関係を担当する大臣といたしまして、この小さな、生活上やむを得ざる食糧のやみ行為等に対する取締りを、大幅に緩和する意思はないかどうか承つておきたい。
    〔小笠原委員長退席、松浦委員長代理着席〕
○森国務大臣 御親切な御注意でありましたが、法はあくまで法であります。しかしその実情において取締ることは必要でありますが、あくまでも法を犯した者は、法を犯した者として取締るのが法の建前であります。
○高田(富)委員 いよいよ断固としてこの悪法を通そうという決意のようでありますが、そうなると問題は、これもさつきから論じたと言われるかもしれませんが、あらためてここに重大な問題が出て来る。それは価格の問題でありまして、いよいよ根こそぎとるということになりますと、今までは多少やみでも何でもやりまして、再生産を償い、細々と生活を続けて来ましたが、この価格で根こそぎとられれば、みなつぶれるのであります。そこで米価の決定について先般の、竹村委員の質問に対して、大臣は、調査したところ千円でできるところもあるし、一万円のところもある、これを算術平均したものが四千円ぐらいになるということを言つて、千円程度の生産費のところまでも算術計算の中に入れられた。ところが農林省の食糧生産費調査というものは、パリティー指数よりも安く去年までは出たそうですが、これははなはだ不合理な生産費の計算であると思う。その一番重大な点は、農家の労力、自給肥料等の価格を、どういう基準できめておるかという点でこの点をひとつ御説明願いたい。
    〔松浦委員長代理退席、小笠原委員長着席〕
○森国務大臣 あなた方はどうも飛躍してものをお考えになるから困るのですが、この間申し上げたのは生産費、それからパリテイー指数との関連を申し上げたのであります。二十三年度の統計によりますと、二十三年度の価格はパリテイー指数によつて三千六百何十円でしたか、こまかい数字は覚えませんがきめたのであります。二十三年度の五百戸近い農家について、個人的に調査したその平均価格が三千五百何ぼでありまして、ちようどパリテイー指数と合つた。こういう例を出した。その中には千円そこそこの生産費もあるし、一万円そこそこの生産費のものもあつたわけであります。これは農林省の統計調査部でやつた調査の数字であります。だから本会議でこの間あなたの方のだれかが千円で生産ができるとか、何とかお話がありましたが、これは二十三年度の調査によつて三千六百何ぼときめたパリテイー指数と、それから五百何戸の生産費の中央をとつたものと、ほぼ相似たものである。こういうことを私は引例して申し上げたのであります。それでありますから、二十四年度の生産費調査は出ておかません。二十四年度の生産費を調査したら、あるいは四千二百何十円になるかもしれません。それはわかりませんが、パリテイー指数というものは、大体五百戸近い科学的な調査をやつた生産費と、パリテイー指数とほぼ相似たものが出ておる。ですからこの数字より上にかかつた人は、経費をできるだけ節約するように指導しなければならぬ。こういうことを申し上げたのであります。それを千円でもできるものがある、こういう極端な御議論をされますが、二十三年度の統計の数字がそうなつておる。だから。パリテイー指数というものは、決してむだにしたものではない。こういう引例で申し上げたことを、御承知願いたいと思います。
○小笠原委員長 それでは午前中はこの程度にとどめまして、午後二時半より開会することといたします。
 暫時休憩いたします。
    午後零時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    午前二時五十一分開議
○小笠原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 それでは先ほどの理事会の申合せの通り、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、その質疑を継続いたします。小林委員。
○小林(運)委員 先ほどに引続きまして質疑をいたします。本年の統制解除によりまして蚕糸業に受けた打撃が非常に多かつたのでありますが、特に蚕繭の処理の問題につきまして私は二、三御質問申し上げたいのであります。本年統制が解除されまして、蚕繭の処理に非常な混乱を起したのであります。従来蚕繭処理につきましては蚕繭処理統制法等もございまして、業者間にある程度の話合いがついておつたのでありますが、今回の統制解除によりまして、すべてのものは統制がなくなつてしまつた。そのために非常な混乱が起きたのであります。特に本年の夏秋蚕の混乱は、実に名状しがたいような混乱を起したのでありまして、かような問題が明年の春繭におきましても、今後におきましても、相当大きな問題になるのではないかと思うのでありますが、この蚕繭処理に関しまして、政府は今後いかなる方法をおとりになりますか、御所見を承りたいのであります。
○最上説明員 統制撤廃後におきまして繭の処理に関しまして、春繭につきましてはさしたる混乱もなかつたのでございますが、この夏秋蚕あるいは晩秋蚕等におきましては、ある程度の、また地方によりましては相当の混乱を来したのでございます。これはいろいろの原因があるのでございまして、糸価の暴騰、あるいはポンド切下げによる為替の思惑というようなことも手伝つておるものと思われるのでございます。従いまして統制を撤廃いたしまして、自由な競争にいたしました以上は、やはり繭の処理等につきましても、統制撤廃後の実態に即応した考え方をしてなければならないと思つておるのでございますが、要しますに、これは農林省といたしましては、蚕繭の合理的な処理ということを中心に考えまして、また養蚕農民の団体であります農業協同組合等を中心といたしました、団体協約による蚕繭の処理というようなことを、できるだけ奨励してやつて行きたい、かように考えておるのでございます。
○小林(運)委員 具体的の問題に触れられませんので、いかなる処置を講ずるか、はつきりしたことがつかめてないのを遺憾といたしますが、この蚕繭処理の混乱を起します原因は、製糸設備と蚕繭の量の食い違いが一番大きな原因ではないかと考えるのであります。先ほど大臣がこの問題に二、三触れまして、製糸の設備は五箇年計画によつて非常に進展をした、こういうようなお話でありますが、一体五箇年計画というものは製糸だけの問題ではない。蚕繭とにらみ合しての計画でなければならぬと思うのであります。この製糸の設備につきまして、従来製糸業法によりまして嚴重に取締りをし、蚕繭とにらみ合せて製糸業の許可を今までやつておつたところが、途中においてどういう理由か知らぬけれども、特別な業者に対して今までの取扱いとかわつた取扱いをして、どんどん製糸の免許をしてしまつたという事実が多々ございます。この問題に関しまして、日本シルク事件というような事件も起きているのは、御承知の通りでありまして、政府がこういう大きな計画を立ててそれに対して、十分にその計画を遂行するために均衡を保つてやるべきであると考えるのでありますが、今までの農林省のとりました製糸の免許に関して、非情に不公平なことがあるように私は考えるのであります。しかも製糸業者と申しましても、現在機械座繰と称します業者がありまして、これはその使用しまする原料繭は、いわゆる機械製糸とほとんど同じものをやつております。こういう関係を一体これからどういうふうに農林省はお考えになつておやりになつて行くか、この点につきまして御見解を伺いたいのであります。
○最上説明員 繭の取引の混乱が、製糸の設備と原料との不均衡から来ているということは事実でございまして、この点につきましては、従来の繭の生産が、いろいろな事情から計画通りに行かなかつたということが大きな原因になつているのでございます。またいわゆる機械座繰等の問題等もこれにからんで来ているのでありますが、この点につきましては、繭の増産をはかるということが一番大事なことでございまして、設備と原料の不均衡ということも、要するに原料が増産されるならば自然に緩和され、また解決されると思いますので、今後は繭の増産に全力を盡したいと考えているのでございます。
○小林(運)委員 製糸設備はすでに五箇年計画によつてどんどんふやしておつたけれども、これを解決するには原料をふやさなければならぬ。これはまつたくその通りでありますが、はたして蚕繭の増産が現在のままでどの程度にできるかということは、これは疑問だろうと思います。そういう観点から、すでに製糸業者の間においては、現在原料が足りないというので、これから設備制限をして行こうというような業者の声もあるのであります。現在ある程度の仮認可のようなものをやつている製糸業者がたくさんおりますが、仮認可をやつております製糸業者に対しまして、政府はこれをこの、まま続けておきますか、それとも仮認可は一応取消すという態度に出られますか、その点をはつきりお答え願いたいと思うのであります。
○最上説明員 先ほど申しましたように、設備と原料との不均衡が現在ありますので、これを調整して均衡を得せしめるということは、最も大事なことでございますが、そのためには根本的の解決方法といたしましては、繭を増産するということが一番根本的な解決方法でございますが、これにつきましては、実は来年度、どのくらいの増産ができるかということにつきましては、関係の民間団体等とも通じまして、また全国各地方の状況等も勘案しまして、目下検討中でございます。それと同時に、ただいま小林委員が申されましたように、この設備の問題も制限するとか、あるいは封印するとかいうような声も一部の業者には強くあるのでございますが、この問題は、繭の増産がどのくらいできるかという見通しの問題と同時に、この設備の制限の問題につきまして、製糸業者の間にも非常にいろいろの意見あるので、ございまして、また地方によつてその事情も非常に異なりますので、そういう業者の意見あるいは地方の実情等を十分調査いたしまして、蚕糸業全体の見地から適切な方策を考えたい、かように考えておるのであります。
○小林(運)委員 適切な処置ということが問題なのでありまして、たとえば東北の産繭の非常に潤沢な地方においては設備の制限の必要がない。また中国方面の原料の少いところではどうしてもやつて行けない、こういう意見がございます。そうかといつて、すでに現実の問題として、原料繭が年間を通じて三分の一以上足りない、この現実の問題をどうされますか。来年の繭の増産をはかるといつても、急に倍に増産するということは、桑園の実態から考えまして、まつたくこれは不可能な問題だと思う。これを現実の問題として、この不均衡をどういうふうに処理されるか。関係業者と相談をすると言うけれども、一体政府はどういう方法を持つておられるか。現実の問題をお聞きしたいのであります。
○最上説明員 この原料と設備の不均衡の問題でございますが、これは地方によりまして、非常に事情が違いますので、結局現在におきましても、その地方におきまして、地方に応じたような、自発的にあるいは自主的に適当な方策を各業者がとつておるので、ございまして、現在の状態におきまして、政府がそれに対してああいう手を打つことか、こういう手を打つとか、今すぐの問題といたしましては、考えていないのでございます。要しますに、来年度はこの不均衡の解決の問題といたしまして繭をできるだけ増産するということと同時に、この設備の問題につきましては、よく業界の意向を聞き、また地方の実情を考えまして、蚕糸業全体の見地から適切な方策を考えたい、かように考えておる次第であります。
○小林(運)委員 どうも抽象的でありまして私は現実の問題をお尋ねしておるのですか、さようなことでは、まつたく野放しと言つても過言ではないと考えられるのであります。それで、先ほど私が申しましたように、この問題を解決するには、製糸の設備を非常に無計画に認可してしまつて、仮認可とはいいながら、すでに業者は仕事を開始している。こういう点に私は原因があると思う。これをもつと政府は考えを新たにして、この問題を何とか解決しなければならぬというふうに私は考えます。
 そこでもう一つ問題は、先ほど来申し上げております機械座繰りというような、いつでもすぐできるような人たちが相当いい繭をとつている、こういうものに何ら負担がない。保險金はその人たちの方へどんどん流れて行つてしまうことになるのだが、いわゆる機械製糸業者のみがこれを負担している、こういう不均衡がある。この機械座繰りの問題を一体どういうふうにお考えになりますか。
○最上説明員 先ほど来申し上げましたように、機械座繰りの問題につきましては、現在機械製糸全体の設備と原料繭との間に非常に不均衡がございますので、この全体の不均衡の問題を解決する際にその問題も十分考えたい、かように考えているのであります。幸いにこの国庫による保險金の一部の負担が実現いたしますならば、不公平の問題もおのずから解決するものと考えているのであります。
○小林(運)委員 この保險金の問題は一応解決いたしますにしろ、今まで不均衡があつたということも将来相当影響を持つて来る。たとえば今までの養蚕の指導費の問題等もございます。養蚕農家に対する負担というような点から考えましても、機械製糸はそれらの経費を非常に負担しているけれども、機械座繰りというようなものはこれの負担をしていない。その他の点において非常な差別待遇がある。これを具体的に、これから機械座繰りをどうするのだということを、はつきりここでお答え願いたいのであります。
○最上説明員 指導員の問題等について、機械製糸と機械座繰りの間に非常に不公平があるというようなお話でございますが、確かにそういう点も従来あつたところもあると思います。同時に今後の方針といたしましては、そういう両者の間に不公平がないように、また不均衡にならないように指導して行きたいと考えております。
○小林(運)委員 どうも意図はそういうふうにして行きたいというお話だけで、具体的にどうというお話がないのは実に遺憾であります。私はこのことにつきましては、またあらためて政府の所見を伺います。
 先ほど糸価安定の問題についていろいろお話がありました際に、現在の輸出の値段はフロワー・プライスによつて一応抑えられておりますが、このフロワー・プライスの問題は、今後どういうふうなお考えをもつてやつて行かれますか、その点を承りたいのであります。
    〔委員長退席、山村委員長代理着席〕
○最上説明員 フロワー・プライスは司令部の方針といたしまして、先般廃止されたのでありますが、絹類につきましては、今年一ぱいは維持するということになつておりますので、今年一ぱいはあるわけでありますが、来年からは業者の一部にはフロワー・プライスの延期を希望している向きもあるのでございます。しかしこれは関係方面の方針もございますので、来年一月以降はなお延期して行くということは困難ではないかと考えております。
○小林(運)委員 次にこの法案にも関係がございますが蚕種業者に対する問題でございます。蚕種業者にこの負担金を持たしておりますが、これも来年度におきましては、蚕種業者に対する負担金はなくなつております。今まで政府は蚕種業者に対する施設を講じておらない。これは先ほど来産繭の増産によつて云々というようなお話がございましたが、蚕種業者の中にもいろいろある。製糸兼営のものがほとんど大部分でありまして、共同施設組合を持つて昔からの蚕種業を継続している連中に対しては何ら見ておらない。蚕種業者に対して政府はこれから、どういう手をもつてこれらの業者を指導されますか、蚕種業者に対するお考えを承りたいのであります。
○最上説明員 蚕種業者に対する指導方針でございますが、蚕種は蚕質あるいは生糸の質を向上させる上におきまして最も重要なものでございますし、また養蚕の合理化の上におきましても重要なものでございます。しこうして蚕種の取引につきましては、養蚕業者の団体と蚕種製造業者とが相協力してやることが望ましいことでございまするからして、そういう方向に向つて蚕種業者の意欲を極力指導育成して行きたい、かように考えておる次第であります。
○山村委員長代理 小林君、時間の関係もございますから、簡單に要点を願います。
○小林(運)委員 蚕種業者には、先ほども申し上げましたように、製糸兼営の業者と二つあります。そうして、製糸兼営の業者がやはり製糸に有利な種をつくるのは当然でございます。ところが共同施設組合等によりまして、従来蚕種業者はやはり養蚕家の立場に立つて、産繭が安全にできる方法でやつておりました。こういうようなものに対して、政府はこれからどういうふうに考えで行くかという点についての質問でございます。
○最上説明員 小林委員が言われましたように、蚕種業者にもいろいろな業者があるのでございますが、製糸兼営の人は別といたしまして、そうでない蚕種業者に、優良品種の供給でありますとか、あるいはその他の方法によりまして金融の便宜等も与えまして、できるだけ必要な補助育成をして行きたい、かように考えておる次第であります。
○小林(運)委員 この法案の、二十四年度及び二十五年度の共済掛金は一般会計において負担をするという、この財源はどういうところから求められますか。
○藤田説明員 これは一般会計から特別会計へ繰入れることになります。
○竹村委員 この問題につきましては、大体簡單にするという申合せでありますので、申合せを尊重して長々しくやる気はありません。
 畜産と蚕糸の共済の面はいろいろ改善をされたのでありますけれども、米麦の共済面について政府は最近に改善されるとか、あるいはいろいろなことをやられる考えを持つておるかどうか。ひとつこれを聞かしていただきたいと思います。
○藤田説明員 米麦、いわゆる農業勘定面の問題でありますが、これにつきまして私どもで考えておりますのは、新しく保險事故として虫害を加える――これは多年の要望でもございますので、次の通常国会にはこれを加えてもらいたい、かように思つております。
○竹村委員 他は畜産局長が来られてからやりたいのですが……
○山村委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。
○井上(良)委員 農業災害補償法の農民の掛金の問題ですが、先般農林委員会で九州地方その他をまわりましたときに、農民から保險金の支拂いについて非常に意見がございまして、私はこれは相互扶助の共済保險であるから――苦しいであろうけれども、やはり災害を受け非常な打撃をこうむつておる農民を救済する一つの国家的施設であるから、できるだけ御協力願いたい、こういうことを切に申しておいたのですけれども、被害を受ける地帯は大体毎年受けて、被害を受けていない地方は毎年強制的にこの保險金をかけなければならない。しかも最近、農家の收入その他の関係から、これを何とかしてくれという声が切実なので、政府においても、主要食糧その他が国家管理されておる現状から考えますならば、これは農民の怠慢によつて生じた被害ではないのでありまして、自然現象のやむを得ない結果から生することであつて、当然その損害は国家が補償するということでなければ建前が合わないのです。そこでこれに対して政府は一体来年度予算あるいはその後において、どういう対策をとつて、これら農民の切実な要望にこたえようとしておるか、この点をまず私は伺いたいと思います。
○藤田説明員 御趣旨の通りでありまして、この農業災害補償法は、これはやはり国家が相当の積極的な助長をしませんければ、とうてい農家だけではやつていけないのでありまして、そこでただいまお話の共済事故が、現在は風水害、干害、冷害、その他気象上の原因による災害及び病害、こうなつております。たとえば、お話の風水害というようなことになりますと、やはり特定の区域というものが立てられるわけでありますが、先ほどちよつと申しましたように、共済について、虫害ということも考えておりますので、そういたしますと、相当各方面ともいずれも何らかの害というものが予想されることになるわけであります。そういうふうにだんだん各農家とも、いずれもそれに該当するような事故が起つた場合の救済ができますように、保險事故あるいは共済目的その他について、できるだけこれを拡張して行く、そうして、できますならば国庫負担を増額いたしまして、農家の負担のあまり過重にならないようにして行きたい、かように思つております。
○井上(良)委員 それからもう一つは保險金の支拂いの問題でありますが、ある地方に参りますと去年の保險金をもらいますのに、今年の掛金をかけぬことには拂わないというようなことを言うておる地域がございます。保險金の支拂いと農民がかけるものとは別のものであるにかかわらず、地方々々のそれぞれ管轄しておる組合の方でもつてまず掛金をかけろ、しからば支拂う、こういうことを言うのですが、これは会計が苦しいのでそういうことをやらしておるのですか、どういうことになつておるのですか。
○藤田説明員 私どもの方では、あまりその点についてそういう声も聞きませんが、つまり本年の災害のための保險金を支拂うのに、その次の掛金をかけなければ拂わないというふうなことでありますれば、それはちよつとおかしなことであるわけでありますから、私ども了解に苦しむわけであります。あるいはそれに関連しての、つまり保險金をもらうについての掛金の問題であればそれは当然であると思いますが、一応実情を調査いたしまして、あまり行き過ぎのないようにしたいと思います。
○井上(良)委員 それからこれの補償の実際の範囲ですが、つまり被害を受けた田畑の作物の査定の方法は、一体どういうぐあいになつておるのですか。これの押え方いかんによつて保險金の支拂いの上の高低がきまるのでありまして、どういう審査の方法によつてきめておりますか、具体的にお示し願います。
○藤田説明員 損害の評価につきましては、現在御承知のように、共済組合員でありますとか、あるいは作物報告事務所の補助員でありますとか、あるいはそのほか農業調整委員でありますとか、篤農家でありますとか、そういうふうな村の者が、たしか二十五人くらい委員になりまして、一筆の土地ごとに被害を算定し、集まりました材料によつては坪刈りをし、そうして実收の違いの実際を見まして決定をいたします。
○吉川委員 委員長がかわられたから、まず今の委員長が前の委員長の言葉を引継がれるかどうかを伺つておかなければならないのですが……
○山村委員長代理 どういう点でございますか。
○吉川委員 先ほど原田委員の御質問はきわめて重要な問題であると思います。その問題というのは、第五臨時国会を通じて本委員会において問題になつたものでありますが、それは農林省の畜産局の予算があまりに少い。今日本農業は一大転換をしなければならない時期に立至つておる。ここで日本の農業の再編をするためには、畜産の振興予算をもつと計上しなければならない。これは与党、野党をあげて問題にされて、そうして競馬の益金の三分の一に該当する予算を、畜産振興のためにとるということを決定されたのです。もしこれがあのきめられた通りに行われないとするならば、農林委員会で決定されたことが根底からくつがえされてしまう。まつたく無視されたことになつて、本委員会の面目いずこにありやということになる。この重要問題を畜産の権威者である原田委員から御質疑になつた。それに対して小笠原委員長は、これは適当な機会に文書をもつて答えてもらおうじやないか、あるいは機会をつくるというようなことを言われました。それは確かに言われた。そこでこの問題がこのチャンスを失つたならば、二十五年度の問題ならばいざ知らず、われわれの委員会で決定した事項は、二十四年度すなわち本年度内において解決されなければならない問題なのです。大蔵大臣は本会議において私の緊急質問に対して、補正予算の際に考慮するつもりでおりますと答えておるのです。これがもし実施されないとするならば、わが農林委員会はまつたくその審議権を、蹂躪されたことになる。われわれの委員会の面目にかけても、この問題はすみやかに解決されなければならないと思う。そこで原田委員の御質問に対して、すみや一かにこのチャンスをのがさずに、御回答いただけるかどうか、委員長にお聞きします。
○山村委員長代理 お答えいたします。吉川君のおつしやることごもつともでございます。小笠原委員長がお答えになつたときには私はちようど欠席しておりませんでしたが、やはり私もこの点は重要な問題でございますので、適当な時期になるべく早く政府の所信をただしたいと存じております。しかしただいまは御存じのように、農業災害補償法案をやつておるのでございまして、あながち関係はなくは、ございません。むしろ見方によつては今御発言のことは非常に重要性を持つのでありますが、なおこの法案については、先ほど来理事会におきましても、大体異議なく可決のような話の運びもできておりますので、一応この法案を終りましてから、小笠原委員長が参りましてからのことにいたしたいと思います。
○吉川委員 たいへん御明答をいただいたわけでありますが、私は権威ある同僚委員の原田君の御質問をきわめて重大に考えるのであります。ことに政府の御説明によりますと、ただいまどちらからか、それは少し見当違いじやないかというようなやじだか御注意だか出たようでありますが、私は政府の提案理由の説明の中に、競馬益金の一部を見合せるように説明されておる。そうするとその問題に関係ないとは言われない。
○山村委員長代理 お答え上ます。私は関係ないとは申し上げておりません。先ほど来吉川君の御意見を伺つておると、御質問でなく、討論の際において述べらるべき御意見のように伺うのであります。従つてそれは討論の際に申されるか、あるいはまた別の機会に正式にその機会をつくるか、いずれかがよろしいのではないかと思うのであります。いずれ近く小笠原委員長が参りますことですから、一応農業災害補償法案の議事を進めていただきたいと思います。
○吉川委員 お急ぎのようでありますから簡單にいたします。私は僣越かもしれませんが、この質疑は十分盡されて討論なんか省畧して採決されることを実は望んでおる。質疑だけは十分にひとつ……今も委員長のお言葉でありますが、私は質問のつもりであります。但し残念ながら農林大臣と畜産局長がお見えにならないから、お見えになつてから畜産の問題はお尋ねすることにします。
 そこで蚕糸局長がお見えでございますからお伺いいたしますが、産繭手形の新設をなさるようなうわさを聞いておりますが、その通りでございますか。
○最上説明員 蚕糸業に対します農業手形については、目下考慮中であります。
○吉川委員 考慮ということでははつきりしないのでありますが、相当世間で問題になつておる。私は一応はけつこうな考え方だと思うのです。ただいま考慮というような程度なんですか、それとも世間に伝えられておるほどもつと具体的に進んでおるのかどうか、もう少しはつきりしたところを伺いたい。
○最上説明員 その点については目下そういうことが実現するように日銀当局とも交渉中であります。
○山村委員長代理 ほかに質疑はありませんか――別にないようでありますから、これにて質疑は終局いたしました。
 引続き本案に対する討論に移ります。討論の通告はありませんから、この際討論を省畧して、ただちに本案に対する採決を行います。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔総員起立〕
○山村委員長代理 起立総員、よつて本案は原案の通り可決いたしました。なおこの際報告書の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山村委員長代理 御異議なしと認めます。それではさよう決します。暫時休憩いたします。
    午後三時三十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時四十一分開議
○小笠原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 それでは食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、その質疑を継続いたします。石井委員。
○石井委員 この食確法が前国会におきまして提案せられたときに、一番冒頭に質問をいたしたのであります。その当時民自党は二百七十名の多数をとりまして、国際的食糧事情の大変転期に際して、そして日本が非常に狭少な農耕地において、多数の農民を擁しておる。こういうような立場におきまして、ひとつ大きな農業政策が打立てられなければならないと思う、そういうふうに大臣に質問をいたしだのであります。各国の情勢を見ましても、御承知の通り、ロシヤにおいては、スターリンが農業につきましては、自然改良というような大きな問題を提案いたして、オビ、イエニセイ等の川を裏海の方に流そうとしておる。そうして中央アジアを大開拓する。あるいはまたシベリア等におきまして、二千キロにわたるところの防風林を何本か敷いて、そうして大農業計画を立て、アメリカにおきましては、T・V・A等の大きな農業施設、あるいは農業灌漑施設等をいたしまして増産に努めておる。世界各国の情勢を見ると、農業政策において一大飛躍発展をしておる。日本もこういう変転期に際しまして、非常に大きな手が打たれなければならないのではなかろうか。大臣はその当時、いろいろな問題が出ますれば、アメリカに感謝するためにわれわれはこうしなければならぬ。アメリカに感謝するためにこういうような手を打たなければならない、かようなことばかり申しておつて、大きな政策を打立てない。かような点について大きなる抱負と構想をもつて日本の農業政策を打立てられる御意向はあるのかないのかと申しましたならば、来るべき通常国会、あるいは臨時国会等が開かれましたならば、民自党におきましては、あるいは吉田内閣としましては、大きな農業政策を展開いたしまして、そうして絶対多数を支持してくれた農民の御期待に沿いたい、こういうふうな御答弁をいたされたのでありますが、もはや組閣以来一年を経過いたしまして、この辺で吉田内閣としましては、大きな農業政策を展開せられまして、国民にこれを問う、こういうふうな段階がなければなるまいと思うのであります。今までの糊塗的なる政策でなく一転換期におけるところの大きな農業政策を森農林大臣は展開いたして、これを通常国会の劈頭あるいは通常国会の一月等におきまして、広く輿論に問い、そうして日本の農民に示すという方策をお持ちであるかどうか承つておきたいのであります。
○森国務大臣 農業政策というものは、今驚天動地の目新らしきものが発見されるものでもないのでありまして従来農業政策というものが各般の問題に総合的に計画されておるのであります。その政策をどの点に中心を置いて行くかということが問題でありまして、しかも現在の日本の情勢は、御承知の通り予算編成すら日本みずからの力によつてその大綱がきまらないという状態において自主的な根本的な農業政策を、樹立してこれを推進するということは、なかなか容易ならざることと考えるのであります。われわれはこの狭い郷土を持ちまして、いかにしてこの多数の農業者が生活の基準を高めて行くかということが問題であります。一面においては、日本の食糧が海外より輸入されてまかなつておるという現状から見まして、この食糧の確保ということを主として取上げなければならないのであります。この食糧増産ということと、農業者の生活基準を高めて行くという面とは、おのずから考え方をかえて行かなければならぬと思うのであります。ただ食糧を増産すれば、それだけ農業者の生活が高まつて行くということには結論されないのであります。われわれは今、日本の場合は、何をおいてもこの食糧の自給率を高めて、海外依存を少くするということは、将来講和條約の結ばれた場合におきましても、その問題が第一に考えられて行くのでありますから、従来とてもとつて参りました食糧増産の道を、一層強化して行かなければならぬと思うのであります。日本の農業政策の将来といたしましては、局限されたる角度において、増加し行く人口をどういうようにしてまかなつて行くかということと、この農業に従事しておる国民の生活基準を高めて行くということを、取上げて行かなければならぬと思うのであります。増産の面におきましては、北海道のごときまだまだ増産の余地がありますので、政府におきましては、特に北海道の耕地の開拓、食糧の増産について力を入れておるわけでありますが、日本の今日の事情は、申し上げるまでもなく年々歳々風水害に見舞われるのでありまして、昔といえども大風、大雨がなかつたとは思われぬのでありますが、いかにも近年の風水害のはなはだしさということは、結局戰争の余波を受けた国土の荒廃ということが第一に数え上げられますので、われわれは耕作の安全性から考えましても、また国土の安全性から言いましても、治山治水ということに一番骨を折つて、そうしてわずかくらいな大風、わずかくらいの大雨にも被害がないように国土を守るということを、根本的に立てて行かなければならぬと思うのであります。
 なお次の問題といたしまして、農業経営の問題でありますが、今後世界の食糧が――むろん一縮一張ありましよう。今は非常に潤沢でありますけれども、またどういうふうに世界の食糧事情が悪くなつて来るかもわかりませんが、とにもかくにも現在では世界の食糧事情はいいのであります。いいのであるが、今はこういう国が閉じられておつて、自主的な貿易がないのでありまして、アメリカから食糧をもらつておるという事情でありますから、みずからの考えをみずから延ばすということはわれわれ容易な事柄ではありませんが、将来におきまして、世界の食糧と日本の農産物の生産が対立して行くということを考える場合に、どうして日本の農産物を市場において優位な位置を占めさすかということでありまして、現在では外国の食糧が日本の食糧よりは高いのでありますが、もしこれが日本の農産物より価格が下るということになつた場合において、はたして日本の食糧が今の形でなしに――今はガリオアとして来るのでありますけれども、今の形でなしに、どんどん外国から食糧が輸入されるというような場合を想像いたしますときに、昔のように関税政策ということが行われればともかくも、今後はそういうこともなかなかむずかしい事情があろうと考えますので、日本の農産物は海外の農産物の価格というものを考えて今後考えて行かなければならぬと思うのであります。それにしましても、現在の生産費をできるだけ低めて行くということは、いずれの時代でも必要でありまして、外国の農産物の価格が高いから日本の農産物の生産費も上つてもいいということは考えられないのでありまして、どういう事情のもとにおいても、その生産費を切り詰めて行く、生産原価を安くして行くということは努力しなければならぬと思うのであります。それにしましては、まだまだ日本の農業協同組合ができて間もないことでありますが、これから協同組合の健全なる発達を指導いたしまして、協同組合の力によつて、農業者が真にみずから生きる道を進めて行くと同時に、耕作の上におきましても、品種の改良あるいは栽培法の改善、あるいは肥料等、また農業経営の組織の上においてこれを有畜化し、あるいは工業化して、農業経営が楽に行けるような政策をとつて行くということでなければならぬと思うのであります。今ただちに驚天動地のような新しい農業政策を立てるということは、今日の日本の事情におきましては考えてもでき得ないことでありますので、私は一日も早くそういう時期に達するということを望むと同時に、こういう現段階におきましても、みずから農業経営の上において、そういう気持をもつて各般の指導をして行くということにしたいと考えているわけであります。
○石井委員 農林大臣も日本の実情に即しまして、これは日本がアメリカやロシヤのように、土地が広く人口稀少の土地でないから、驚天動地の仕事はできない、こう申されるのであります。それは非常にごもつともなことであります。私らもあるいはジャワ、あるいは支那その他各地を経めぐつて来ましたが、アジア農業としましてはどこの国も非常に土地が狭く、人口が多い。アジア農業の苦しさがそこにあり、またアジア農民の生活の窮迫化もそこにある。そこで日本の実情に即して、非常に大きな構想と万般行き届いたところの政策を打つてもらわなければならない。そういう点を農民は大いに期待をいたしておるだろうと思うのであります。食糧等のことにつきましては、かれこれ申さなくてもよく国民全体が了知しているのであります。国際的な小麦の生産におきましても、輸出の中心をなす米、加、濠、阿等におきまして、大体戰前に十億ブッシェルであつたものが、もはや二十億ブッシェルの生産量に来ている。ロシヤのごときにおいては、一番悪いときに七億ブッシェルでありましたものが今や十億ブッシェルの点まで来ている。かように非常に生産が増加している。米におきましても、輸出国は輸出能力を回復して来ている。その価格におきましても、戰前の位置にまで回復して、食糧価格の点におきましても、日本を貿易関係上の非常な窮地に立たせようとする状況が見られる。そこで過日来農林委員の――特に民自党の農林委員の方々等が、いろいろとと農林大臣と懇談を遂げて、民自党は今度は吉田内閣の手を通じて、明年の一月を期して相当に日本の実情に即した手を打つ。こういうふうに新聞等に発表してあるのであります。一例を申し上げますと、ちようど大蔵大臣も来ておりますが、農業所得への課税は一般勤労者並みとして家族農業従事者に対しては基礎控除をする。また減額査定を受けたときは差額超過分等は超過供出の取扱いとする。肥料、農機具、農薬等の生産配給の取扱いを農林省に一元化する。雑穀類、いも等は供出完了後は自由販売にする。農地の災害復旧並びに改良事業については、個人または団体経営のものについても国が助成をする。こういうような農民の期待をしているところの問題を取上げて、来年は十分の予算措置等も講じ、あるいは来年の一月等においては立法措置をも講じまして、十分に農民の期待に沿うようにするというふうな点が発表されているのであります。これらの点につきましては、税の問題は大蔵大臣、その他の問題につきましては農林大臣としまして、かような国民の期待を満し得るような方策が立案され、農民にこれが実現をいたしてもらえるようになるのであるか。その点御答弁を願います。
○池田国務大臣 農民の方々の負担軽減につきましては、来る国会におきまして、減税案を提案すべくただいま準備をいたしておるところであります。
○森国務大臣 今御質問の要綱につきましては、実現いたすように努力いたしたいと思います。
○北委員 予算の問題が出ましたので、大蔵大臣にお伺いしたいのでありまするが、農村の税というものは若干軽減されるようになつておりますが、今度の予算は税制改革や、補正予算を組むことが眼目となつております。第二段といたしましては、明年度予算と並行して十五箇年計画であります。その前提としては、日本の経済の復興に米価をくぎづけした、いわゆる農民を犠牲にした点が非常に多い。輸入食糧の大増加、これを考えてみますと、これは予算の帳簿の上には現われておりませんが、価格調整費を洗つてみますと、今度の十五箇月の計画というものは、大量の輸入食糧を希望しておるということが言われる。これは農民として重大問題だと思うのでありますが、この点についての所見、これが一点と、それから価格調整費の廃止、来年は半分くらいになるそうでおりますが、このときに米価に対してスライドを行うか行わぬか。この二点をお伺いしておきます。
○池田国務大臣 今日の補正予算については、補正を最少限度にとどめまして、本格的の減税その他についての財政政策は、来年度の予算に十分織り込むことにしておるのであります。次の価格調整費を減らすことによつて、米価に影響があります場合は、もちろん米価はかえるのであります。昭和二十五年度においては、大体米価の消費者価格はかえない方針であります。
○北委員 生産者価格はスライドするのですか。
○池田国務大臣 昭和二十五年に生産される生産者価格については、ただいまのところパリテイー計算で行く方針であります。その関係上、どうしてもスライドするとは言えませんが、生産者価格はかわつて来ると考えざるを得ません。
○石井委員 一点大蔵大臣に確かめておきたいのは、大体農業課税においては、国並びに地方の税金を通じまして、来年度においては三割程度の減税になる。こういうような点が、先刻も農林大臣より申されておるようなわけでありまして、大蔵大臣としても、確信をもつて、大体来年は地方税並びに国税を通じて、農村の税負担は、今年より三割くらいは減税になるというように、断言できるのでありましようか。その点を確かめておきたいと思います。
○池田国務大臣 来年度の予算がはつきりきまるまでは正確な数字は申し上げられませんが、大体その程度の減税は期待し得ると考えております。
○石井委員 この食糧確保臨時措置法というものは、立法の当時もはつきりされた通り、供出目標を事前に定めておる。そうして農民がその事前目標よりも努力をして増産をした分については、三倍等の価格によつて買上げる。もし不作等の場合には、これが補正をして、転落農家等の出ることを防止するというのが立法の中心の極言で、その間において供出制度を確立して、日本の農民の生活並びに日本の食生活を安定せしめる。これが趣旨であつたことは、もう疑う余地がない。その後におきまして、農民は昨年の米におきまして、追加供出を強制いたさないでも、日本の食糧事情に非常に努力をして、百八十万石の超過供出をいたし、この百八十万石の超過供出が、今年の七、八、九月分端境期を安定化させたということは、隠れのない事実であります。また麦においても、農民は努力をいたしまして、一一六%つまり一六%以上も超過供出をいたしておる。つまり農民は供出国策に非常に協力をいたしておる。こういうふうに考えるのでありますが、この立法を見ますと、農民が日本の食糧供出政策に協力しないから、かような立法をするのだ、こういう農民に対する不信の立法であるというふうに考えるのであります。農林大臣としては、日本の農民が供出に対して非常に積極的に協力をしておるという点を、お認めになるのではなかろうかと思うわけであります。農民に対する農林大臣の御所信のほどを承つておきたいと思うのであります。
○森国務大臣 お話の通り、日本の食糧事情をよく察知せられまして、昨年度は超過供出のごときも割当はいたしたのでありますが、自主的供出の形をとつたのであります。しかし経済九原則に基きまして、日本に食糧が余裕のあるという場合においては、これを法制的に確保するの処置をとれという、これはアメリカから食糧をもらつている関係でもありますが、そういう指令によりまして食確法の改正を提案いたしたような次第であります。
○石井委員 農林大臣は日本の農民が自主的に食糧供出に協力をしておると認める。しかしながらアメリカにおけるところの援助の関係上、本立法を出さざるの余儀ない立場になつておると言われるのでありますが、農民としましては、実際にこれだけ努力をしていながら、補正その他については努力をしないで、こういうふうにたいへんとれたならば、また追加供出を命ずるというようなことに対しては、何か裏切られたような感じを非常に強く持つものである。海外から食糧の援助を受けておることに制約されますのは、もつともの点がありますが、やはり日本の農民としましては自分たちの食う物を割いても、日本の国民の食生活の安定には資したいというような点は、フランス等の農民の非常に利己的にふるまつたことに対して、雲泥の相違であろうと思うのであります。この点を一例をもつて、どうも海外から食糧の援助を受けておるのだから、余儀ないのだというようなことであつては、農林大臣の担当する農政が、農民から失望せられるような結果になるのではなかろうかと思うのである。実際にこれらの点につきましては、今暫定的にかような立法をする。しかしながら国際的な食糧の実情その他いろいろと今後の点を考慮して、早晩ほんとうに農民に納得の行くところの立法的措置を講ずるというような御見解をもつて、今回のこの改正の、農民の政府に対するところの不信の感情等を拂拭するところの御確信があるか、どうか承つておきたいのであります。
○森国務大臣 御質問の要点は、少し把握しかねておりますが、現在は今申しましたような、臨時的な法案ではあります。日本の食糧事情が、将来講和條約の締結後におきまして、自然の姿にもどしてもさしつかえない食糧事情になるということを、こちらは所つておるわけであります。またさようにしなければならぬと思うのでありまして、この場合においては、もちろんこういう法案の必要がなくなることはむろん当然であります。
○石井委員 これは過日竹村委員その他から農林大臣に言われまして、その間答弁がもつれまして、ほんとうに農村の人たが聞きたい点がはつきりできなかつたのであります。今度さつまいもの点につきましては、来年からは統制が撤廃され、ばれいしよもしかりということになりますと、かんしよ作付面積五十万町歩、ばれいしよ作付面積三十二万町歩ということになるのであります。ここで農林大臣は過日来日本のさつま、あるいはばれいしよというものは、その必要性があつて農民がつくるのであるから、この耕作面積が急速にかわるようなことは考えられないと言われたのであります。そうしてある数量を買上げまして、食糧にまわすことによつてこの間の問題は大体心配はなかろうと楽観をされておるように聞いておるのであります。大体G・H・Q関係からのいろいろなる発表等を見ますると、さつまいも並びにばれいしよというものが配給に乘らなくも日本の現在の食糧が確保されるという、確信がつくのであれば、さつまいも並びにばれいしよの統制撤廃をいたしてもさしつかえないというような点が、その筋の御意見であるように承われるわけであります。そこでさつまいも並びにばれいしよが、政府の予定するように作付面積がなく、これが減りまして買上げができないというふうな実情が出るというと、さつまいも、ばれいしよにかわつて麦あるいは陸稻等によつてその不足分が供出の面において加重される。つまり五十万町歩のうちの何万町歩、あるいは二十万町歩、ばれいしよのうちの十何万町歩ぐらいが、麦あるいは陸稻等の作付対象と見なされて、米麦の供出事前割当量において増加せられるというようなことが考えられるわけであります。この点につきまして、さつまいもあるいはばれいしよが自由作付となりましても、今後におきまして麦あるいは米等において、その点からする供出の増額ということは考えられない、そういうことはない。こういうふうにお考えでありましようか。そういう場合においては、米あるいは麦等において、今までよりも事前割当量をふやすというふうなお考えでありましようかどうか、これを承つておきたいのであります。
○森国務大臣 いもが廃止になりましても麦がふえるとは思いません。いものかわりにあるいは陸稻をやるかもしれませんが、いものかわりに麦をやるということはできないことを存じております。
○石井委員 それでは大体このさつまの対象耕地、あるいはばれいしよの対象耕地におきましては、ある点の数量は、それからのさつま、ばれいしよを買上げ、その他の点につきましては、いろいろ農林当局としまして、あるいは他の作物への転換その他の措置を講じまして、大体農民の今後の時局に相応するところの作物に切りかえてやるように指導して、食糧の面、供出の面等において過重負担をかけるというようなことはない。かように農民に御断言できるかどうか承つておきたいのであります。
○森国務大臣 戰争のおかげとも思いますのは、いもの作付がふえたことであります。どうかしてこのふえたさつまいも栽培を減らしたくないというふうに考えておるのであります。しかし地方的におきましてはさらに有利な作物もあろうと考えますので、転作に対しましては相当こちらも指導をいたして、有利な転作をはかつて行きたいと思います。しかしいも類はこれだけ普及いたしたものをにわかに減らすということは、農業経営の上から申しましても重大な関係がありますから、政府におきましては、いもを食糧とともに工業原料としての活路をさらに一層強化して、農業経営に資したい、かような構想をもつて今計画を進めておるような次第であります。
○山村委員 関連いたしまして大蔵大臣も見えられておりますので、一点だけ最も重要な問題で伺いたいのであります。それは農村に対する課税の問題でありますが、今までのこの委員会におきましても、たびたびこの問題は論ぜられたのでありますが、たまたま食確法が今まさに通過せんとしておりまして、これによりまして超過供出は法制化される等の段階に立ち至つております。われわれはこれに対しまして源泉課税の要望その他をいたしたのであります。これは望みなきやにも伺つたのでありますが、今度の補正予算案並びに明年度の予算案によつて、大蔵当局といたしましては農村の課税に対しましてはどれだけ減税されんとするところの用意があるかということを、具体的に数字を上げて説明されんことを希望いたします。
○池田国務大臣 シヤウプ勧告案には、農業あるいは中小商工業、いわゆる事業所得に対しまして、昭和二十四年度から減税の勧告があつたのでありまするが、ある機会に申し述べましたように、減税は来年の一月からスタートしようということに決心いたしまして、今回の補正予算では、農村に対しましての税の軽減は提案いたしておりませんが、来年度におきましては、農村に対しまして相当の軽減をいたしたいと考えております。
 まずシヤウプ勧告案によりまして私の見通しを申し上げますると、シヤウプ勧告案におきましては、基礎控除は二万四千円、扶養控除は所得で一万二千円でありまして、控除と税率とにつきまして相当の補正をいたしております。これによつて計算してみますと、農家の平均所得は十万円程度といたしまして、扶養家族が四人ということを基礎にいたしますと、ただいまの税法では一万六千五十円の負担でありまして、シヤウプ勧告案によりますと、これが五千六百円で、三分の一程度に相なるのであります。もつと重要なことは、今まで農業に従事しておられる方につきましては記号―成年の男子、女子がその農業所得の收得を得ることに参加いたしておるのでありますが、その控除を認めておりません。しかしシヤウプ勧告におきましては、成年男子であつても控除をすることにいたしておりますので、この控除が相当響いて来て、今の一万六千五十円が五千六百円になる以上に負担の軽減になると思うのであります。一人專従者の控除を認めますと、シヤウプ勧告によつて一万二千円の基礎控除をいたします関係上、それが二千四百円ということになるから、五千六百円から二千四百円を引いた三千二百円の所得税の負担となります。従いましてこうやつて計算してみますと、昭和二十四年につきましては、当初農業者に対しまする課税を五百億円――正確に申しますと四百九十七億円の所得税を見込んでおつたのでありますが、今回の補正予算でこれを減額いたしまして四百十九億円程度、すなわち八十億円程度の減を見ておるのであります。
 それから来年度どうなるかと申しますと、私の観測では、当初予算の四百九十七億円が二百億円くらいとなり、三百億円近い所得税の減になると想像いたしておるのであります。ある人は国税については相当の減税になるけれども、地租、家屋税、あるいは住民税について相当の増税になると言いますが、これはシヤウプ勧告が言つておる通り、相当の増税になりましよう。しかしこれを検討してみますと、農業の所得税がそんなに減つて来ることになると、住民税の増加も、他の大営業者等に行きますので、農民の方にはそう大した増税にならぬ。また地租、家屋税が増税になりましても、固定資産を地租、家屋税並に課税することは、相当の増税になるのでありますが、農家はこの影響はあまりないということになると、地租、家屋税、住民税を合せまして、本年度におきましては七十億円余であつたと思いますが、それが来年度増税になりましても、百六十億円程度に相なるのであります。純増は――私の見込んでおるところでは、本年度の地租、家屋税、住民税の七十億円が百六十億円程度になつて、九十億円の増税だ。所得税は三百億円近い減税、地方税の方は九十億円程度の増税になる。しかもまた地方税の農家の負担しております事業税というものは、今年の予算では四十七億円を見込んでおります。そういたしますと、大体地方税を通じまして四十億円程度の増税になる。片一方では所得税の三百億円近い減税、そうして地方税は四十億円程度の増税になりますと、先ほどのお話にお答えいたしましたように、今年五百数十億円の農家の負担が来年は三百六十億円程度になるのではないか、こういう見通しを持つておるのであります。従いまして私は、シヤウプ勧告案通りに行きまして、農家に関しては相当の減税になるということが言えるのであります。なお取引高税あるいは物品税等の減税をやります。またタバコの引下げを来年度からやる計画になつておりますので、全体といたしましては、私は農家の方が各階級を通じまして一番減税になるのではないかと想像しておるのであります。
○井上(良)委員 先に農林大臣にお願いします。先ほど私が質問しました、いもの供出後の自由取引について、大臣は法的根拠は食糧管理法施行令でやると言われる。ところが食糧管理法施行令のどこに一体そういうことが書いてあるのですか。それをはつきりしてもらいたい。
○森国務大臣 施行令の二十條でやれると思います。
○井上(良)委員 食糧管理法施行令第二十條は、「昭和二十二年法律第二百四十七号(食糧管理法の一部を改正する法律)附則第六條第一項の規定により存続する地方食糧営団については、従前の第十九條第二項、第二十條及び第二十一條の規定は、この政令施行後も、なおその効力を有する。」と書いてあるだけで、何もあなたの政府で、かつてにいもを自由に売つていいという規定はないではありませんか。
○安田説明員 かわつて答弁いたします。いもの供出後の自由販売につきましては食糧管理法の本法では供出割当を受けましたいもについて、政府の売渡し義務を第三條の規定に基いて規定をいたしておるだけでありまして供出完了後にこれを販売しようといたします場合には、食糧管理法の第九條の規定に基きまして農林省令が出ておりまして売渡しをしようとする場合には、供出完了後でも政府だけである。無償讓渡をする場合には供出完了後でなければならぬという規定が、同じ法律第九條に基きまして農林省令第二十二條において規定をいたしてありますので、その両規定を農林省令の改正で行いますれば、供出後の自由販売はできることになつておるのであります。
○井上(良)委員 私が今読んで聞かせたのですが、それにはこれが書いてないのですが、どこをあなたはさしておるのですか。第二十條をもう一ぺんよんでみなさい。
○安田説明員 農林省令でありまする食糧管理法施行規則で、第二十一條は、「食糧管理法第三條第一項、令第七條又は令第九條の規定により売り渡すべき場合を除いて、米麦等の生産者は、その生産した米麦等を政府以外の者に売り渡してはならない。」第三項は「前二項の規定は、農林大臣の指定する場合、又は特別の事情により都道府県知事の許可を受けた場合には適用上ない。」次に第二十二條といたしまして、「米麦等の生産者又はでん粉の製造をする者は、措置法」――これは食確法でありますが、「措置法第七條第一項、同法第八條第五項において準用する同法第六條第二項又は第十八條の規定により定められ、又は改定された数量に相当する米麦等又はでん粉を食糧管理法第三條第一項又は令第四條の規定に基き売り渡した後でなければ、その生産し先米麦等又は製造したでん粉を譲り渡してはならない。但し、農林大臣の指定する場合又は特別の事情により都道府県知事の許可を受けた場合は、この限りでない。」この二つの條文の「米麦等」と申しまするのは、かんしよ、ばれいしよを含んだものを申します。
○石井委員 ただいま農林大臣は、日本におけるところの食糧については、将来価格補償という点も考慮しなければならない、かように申されて、農林政策の大綱を説明されたのであります。現在におきましては、海外の食糧が日本の食糧よりも割高になつております。その点もありますが、将来、シヤウプ勧告案を見ますと、低米価により低賃金によつて輸出をしなければならないというふうにシヤウプ勧告案の構想はできておるように思う。特に附加価値等の問題が論ぜられまして、どうしてもそういうふうになる。そうしますと、それらの勧告等からなされるのは、大体自由競争下に日本の農業も立たされて、低米価に押しつけられる、こういうふうに考えられるのであつて、将来において日本の米が海外の食糧から重圧を受けるようなときにおいては、農産物に対して価格の補償制というような農村個々の政策等も十分に考慮して政策を進めて行く、さような点について、予算等も考慮されて行くかどうかという点の大蔵大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○池田国務大臣 私といたしましては、農業政策は最も重要な国策でありますので、お話のように将来米価が国際米価と比べまして、いろいろなむずかしい点が起つて来た場合には、買上げをするとか、あるいは補助金を出す。あらゆる方策を講じてやつて行きたいと考えております。
○石井委員 大蔵大臣にもう一点。そうすると農民に対してはいろいろ税務においても手厚いお考えをお持ちのようで、非常に農民としては喜ぶと思うのであります。そこで実際の税の取立てになりますと、農家で鶏五羽飼つても十羽飼つても、卵の收益があるというので、じきに税をかける。豚を飼うというとただちに税をかける。税金の至らざるなきまでによくこまかに取立てをする。ところが農村の人といえども、たとえば卵を食べる、あるいは豚等を一農家において一頭くらい、飼うということは、日本国民の食の内容向上のためにも、非常にこれは必要なことだ。それを、豚を飼えば豚で幾らになる、鶏を五羽飼えばどうだというふうに、くまなく税金を取立てるようになりますると、農村の有畜化、あるいは日本に優良蛋白資源を供給するというような点をおのずから杜絶するようになるのであります。こういうような点につきまして、農村の有畜化によつて土地を肥やし、農民の食生活を改善させ、あわせて都市の食生活を改善させるというような点から、一農家について豚の一頭や、あるいは十羽や十四、五羽の鶏くらいは、課税対象としないというような含みが、日本の文化農村の建設の上に必要ではないかと思われるのであります。これらについて大蔵大臣の御答弁をお願いしたいと思うのであります。
○池田国務大臣 蛋白資源の補給の問題と、所得税の課税配分の問題とは、別個に取扱うべき問題だと考えております。ただいまの税法では、所得のあるところには所得税を課する、こういうことに相なつておりますので、税法上は、豚を持つておられて、それが子を産んで、その子豚を三千円で売つた五千円で売つたというときには、課税せざるを得ません。
 では将来の問題としてどうかということのなりますると、なかなかやつかいな問題として検討を要することと思うのであります。たとえば来年から医療費等も一定限度で引こうというようなことも考えております。例をほかにとつて見ますると、公務員なんか超過勤務手当で、月に一時間、二時間残つたからというて百円、二百円もらつたというような場合に、これも課税しなくてもいいじやないかというような議論も出て来ると思うのであります。ただいまの税法では、所得のあるところには課税する建前になつております。
○井上(良)委員 大蔵大臣にちよつと関連して伺うのですが、本年度の輸入食糧並びに明年度の輸入食糧に対して、相当商業的な勘定が入るようでございます。その商業勘定から食糧輸入に充てる金額はおよそどのくらい見積られておりますか。つまりガリオア資金の運用でございますが、どうでございますか。商業資金から外国食糧を輸入する金額は一体どのくらい見込まれておりますか。
○池田国務大臣 食糧管理特別会計へ一般会計から繰入れました百七十億円のうち、相当部分がそれに当るのであります。
○井上(良)委員 輸入補給金が食糧関係で大体四百億ほど出ておるように考えますが、これらの補給金はいつごろ撤廃する見込みでございますか。
○池田国務大臣 来年度におきましては四百数十億円を見込んでおります。しこうしてこの中には、小麦協定に入つた場合におきましては、これが六十億程度減る見込みでおります。しこうして補給金の計算の根拠は外国の主食のCIF価格と国内の供出価格の差になつておりまするから、外国の穀類価格の変動と、国内の主食の供出価格の変動とによりまして、かわつて来るわけであるのであります。
○小平(忠)委員 私大蔵大臣に超過供出に対する課税問題についてお伺いしたいと思うのですが、米価についてはまことに再生産を償えないところの低米価にきめられておる。日本の食糧事情からしてこの超過供出制度というものを認めておりながら、これに対して課税をするということは不当であると私は思う。これに対して大蔵大臣は、今後その超過供出に対する課税というものは、どう考えておるか、これが第一点であります。
 次は農業事業税の問題でございますが、現在の課税の実態は、農業であるという関係において、わずかに二畝、三畝つくつておるところの蔬菜について税をかける。しかるに農業でなき場合においては、それが一反歩、二反歩つくつておりましても課税されない。これは非常に農民に対する不当なる課税であると考えられますが、この二点について大蔵大臣の御答弁を願います。
○池田国務大臣 所得のあるところに所得税を課税するということは当然でございます。私は国会できめられました所得税法に従つてやつておるのであります。超過供出でありましても所得であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
○石井委員 最後に一点お伺いいたします。農地改革のことでありますが、農地改革というものは、大体農地委員会でやるところの買收売渡し、これを委員会で決定するのは非常に簡單でありまするが、さてそれを買上げの登記をし、売渡しの登記をするということになりますと、非常に日本の登記法上困難が発生するのであります。そうでありますから、委員会において農地の方は百八十万町歩買つたということになりますが、登記になるとまだ売渡しの登記は六%きりである。買收登記の方は二四%、ほとんど登記は糸口についただけにすぎないというふうな形になつております。しかるにもはや農地改革は終れり、農地の買收、売渡しは済んだ、こういうふうに考えて、予算等におきましても、農業調整委員会や農地委員会等は一緒にして、農業委員会としてしまう。こういうようなお考えがいろいろと述べられおるのであります。農地の改革に対する今後におけるところの予算措置という点につきまして、十分に登記事務その他の点が進められるような予算措置が講ぜられるのであるかどうか、まだその点についてはほとんど登記が緒についただけで、十分に今後もその促進方について、政府当局としては予算その他の考慮を拂われるかどうか。その点を承りたいと思うのであります。
○池田国務大臣 農地委員会は従来二人の書記を置いてやつております。大体農地の方は買收、売拂いの仕事も九五%程度進んでおると考えております。牧野の方は予定以上に進んでおります。従いまして今残つておる仕事はその残務整理の仕事が大部分でありますので、来年度におきましてはこの委員会を縮小いたしまして、大体ただいまのところでは、一委員会一人程度を見込んでおるのであります。しこうして売拂い、買收の登記事務につきましては、元々予算上認めておつたのであります。予算上その後計画の中に入つたのでありますが、お話の通りに非常にその事務が遅れておりますので、今回の補正予算に特に一億円余りを支出いたしましで、その登記事務の完了に進むようにいたしておるのであります。
○小笠原委員長 ちよつと速記をとめて、ここで理事会をやりますから……
    〔速記中止〕
○小笠原委員長 それでは速記を始めてください。この際お諮りいたします。時間の関係もありますから、御質疑は一人の時間を十五分以内とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議があるようでありますから、採決いたします。ただいまの時間制限に賛成の方の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小笠原委員長 起立多数。よつて質疑の時間を一人十五分以内と決しまして、質疑を継続いたします。但し石井君は一点。
○石井委員 農林大臣のいろいろな農業政策につきましては、第五国会においては十分なる構想をもつて臨むと言われました。そうして今後の食糧事情等に照しまして、大蔵大臣も価格補償というような点も十分に検討を加えた農業政策を考慮に入れたい、こういうような点を申されました。いろいろな点が明瞭になり、またばれいしよ、かんしよの作付反別については、これを統制しないといつても、米麦をふやすようなこともしない。大蔵大臣も大体来年の農業課税は三割減税は責任を持つ、こういうような点を申されたのであります。今までの吉田内閣の農業政策を見ますと、常にその掲げるところはもつともの点を掲げまして、実行に至りますと龍頭蛇尾になるというのが一番の欠陷だ、つまり羊頭狗肉の感が強かつたのであります。今度はひとつ大きな責任を持つて十分に農民の期待に沿うような農業政策を断行していただきたいと思うのであります。
 最後に一点、例の農地改革につきましては、もはやこれが終つた、登記というものは残務整理であるということを申されておりますが、登記ということが実際は一番大きな問題になるのであります。農業相続の関係が均分相続等になりますと、いよいよ土地をめぐつて登記関係が複雑になるのであります。この農地の買上げと売渡しの登記を急いで軌道に乗せておきませんと、今後農村不動産課税というような問題がほとんど困難になる、土地の帰属関係というような問題心非常に複雑になるということは明らかである。しかるに一億円の予算を組んだ、それは残務整理にすぎない、今までに登記ができるのがあたりまえだというようなことを大蔵大臣は言われますが、全然登記問題に対してはしろうとであるから、さようなことを申される。農林大臣は農地改革につきまして、今回の一億円の予算増額によつて登記簿が完全に終り、もはや農地改革は終息段階に達しておつたというようにお考えであるか。またこの登記を敏速にするためには相当の計画を立てて、相当の予算を組まなければならないとお考えになつておるかどうか。最後に確かめまして私の質問を終りたいと思うわけであります。
○森国務大臣 予算は一億増加したと申しますが、既墾地につきましては三億八千八百万円、未墾地については六億六百万円組んでおりますので、登記事務の進捗については至急にこれらの解決をいたしたい、かように努力いたしておるわけであります。
○小笠原委員長 村瀬君。
○村瀬委員 私は農林委員会における速記録を全部、特にこの食糧確保臨時措置法に関する分は読んでみたのでありますが、はつきりした大臣の御意見がわからないので、要約をいたして質問をいたしたいと思うのであります。
 農林大臣は、海外から食糧を輸入しておる間は、農民にむりな政策を強いるのもやむを得ないというような感じを持つておられるかのごとく想像されるのでありますが、一体日本は農民の犠牲において海外への発展その他長い歴史を持つて参つたのでありますが、新憲法がしかれて生れかわつた今日においても、なおかつ国家の再建を農民の犠牲の上に打建てようとされておるのであるかどうか、そうでなければそうでないという理由をお示し願いたいのであります。ことに食糧を確保する上におきましても、その方策として農民の協力によらんとするのであるか、農民を脅迫せんとするのであるか、増産意欲を高揚して食糧を確保せんとするのであるか、農民に供出観念を起させて、生産に従事せしめんとするのであるか。この改正案の底を流れておる思想を考えてみますと、私は農林大臣の御心境に非常な疑念を持つのでありますが、この際明確に御答弁を願いたい。
○森国務大臣 決して脅迫というような考え方は持つておりません。日本の再建のためには、あらゆる階級が犠牲を拂つて、一日も早く再建日本を育て上げなければならぬと思います。今日本が食糧をアメリカからもらつておるという事情を考えるならば、われわれ農村といたしましても、できるだけの食糧を増産いたして、これを政府が確保するということは、これは当然の責任と考えておるわけであります。
○村瀬委員 かつて農林大臣は、ガリオアで食糧が入つておるのだから、パリテイーによつて価格をきめるのもやむを得ないということを予算委員会でお述べになりました。パリテイーが農民を非常に残酷な目に合わせておることは、既定の事実であります。ガリオア物資で入つておるのとパリテイーできめるのと、どういう関連があるかということを伺いましても、一向はつきりした御答弁がありません。ただ農林大臣のお考えとして、早く国際価格に米価を持つて行くべきだということは、たびたび言われておるのであります。はたしてそうであるといたしますならば、一応国際価格に米価を上げて、そうしていろいろ日本の再建のために、あるいは輸出のために、米価を下げねばならないのならば、米価は五十円にでも六十円にでも売るようにして、その差額は農民をも含めた国民全体が、補給金なり何なりの方法で持つて行く。これならば農民にむりは行かないのでありますが、そこまでのお考えを持つておるかどうか。あなたはいつも国際価格に早くさや寄せすべきであるという原則は、言われておるのでありますが、そうしますならば、早く米価を国際価格のところまでさや寄せをして、そうしてどうしても政策上安くしなければならないというのならば、その差額は農民だけに負担させないで、農民をも含めた全国民が負担するということをとるのが、公平の原則ではないかと思うのでありますが、いかようにお考えになりますか。
○森国務大臣 パリティー指数によることが、今日の段階として妥当であると申しましたのは、農民が生活する上において購入するいろいろな物資と、農業生産との価格の均衡を保たしむるということに、このパリテイー指数を用いることが最も妥当であると考えるのであります。将来は外国の農産物と価格を一致さす。現在は御承知の通り、外国食糧は非常に高いのでありますから、これと一致させますことによりましては、賃金その他物価の高騰を来すという関係がありますので、生産者の立場として、自分らの購入するいろいろの物資と、農産物との価格の均衡を保たすという意味から、このパリテイー指数が妥当だと考えております。
○村瀬委員 私は農林大臣にこの間も、同じパリテイーでありながら、農林省のあなたの部下のつくられたのは四千五百十六円八十三銭であつた。それにはキャラメルも入つておれば、酒も、りんごも、みかんも入つておつた。そうすると、パリティーの指数が上る。ところがそれを破棄して、そうして安本のつくつた四千二百六十三円に近い四千二百五十円というものを採用した。百姓はキャラメルも食べないでよろしい。酒も飲まないでよろしいというような、さような冷酷なパリティーは不都合であると言つたら、あなたも多少それはお認めになつておつたようである。そういうむりなパリテイーを――あなたの方にはちやんと四千五百十六円というパリティーをつくつておきながら、その方を使わないで、安い方のパリテイーを使う。そこに農民がいつまでたつても浮び上れぬ原因があるのでありますが、次を急ぎますから先を急ぎますが、食糧に関する特別会計ができまして二、三十年になります。その間におきまして、昭和七、八年、あの非常な農村不況の時代には、この特別会計は生産者擁護の立場に立ちました。しかしそれ以外の長い期間は、常に消費者の立場に立つてこの特別会計は活用をして参つたのでありますけれども、この波はもうここらで方針がかわりまして、農民の立場に立つた機能を発揮せんければならぬ時代が来ると思う。私は今日の食糧事情の変転から考えますならば、むしろ本法案ごときものを、農民の代表が反対するよりも、喜んでこれに賛成して、もつと多く買うてください。もつとたくさん買うてくださいというような、そういう法案ができなければならぬ時期が来ておると思うのでありますが、なぜ反対せんければならぬかということは、いわゆる冷酷な掠奪価格をあなたがおきめになるからであります。そこでもうここらでこの特別会計なるものは、農民擁護の立場に転換する時期が来ておると考えますが、農林大臣はどのようにお考えになりますか。
○森国務大臣 食糧事情の好転しておる今日の段階におきまして、将来世界の食糧事情の増産等のことを考えますと、あるいは今お話のように、あくまで国家が農業保護、農産物の価格を保護する意味において、政策を転換するような時期が来ておるではないか、こういうお考えでありますが、これは見解の相違でありまして、この臨時措置法といたしましては、まず当分このままにおいて持続すべき日本の食糧事情である、かように考えておるわけであります。
○村瀬委員 一体今までの農民は、たしかに森さん、そのほか日本の政府に協力して参つておるのであります。現に法制化されておらない超過供出におきましても、ほとんどその責任は果して参つております。今日農民もひしひしとして世界の食糧事情はわかつて来ておるのでありますから、たといこれを法律で縛つて強迫をして出さそうとしなくても、農民はできる限りは協力をいたすのであります。過去においてもいたして来ておつたのであります。この事実を無視して、もし幻におびえて農林大臣が不安をお感じになるとするならば、道理にもとる掠奪価格をきめて、たとえば去年までマル公の三倍であつた超過供出代金を、理由もなしに二倍に引下げてみたら、とうてい米の再生産を償うことのできないのはわかつておる。四千二百五十円というような不合理な低米価をきめて、農家経済を崩壞のふちに陷れんとするような政策をおとりになるために、やがて農民は全面的に離反するであろうことを予想してかかる不合理な改正を思いついたものとしか私たちには思えないのであります。ちようど徳川時代の悪代官が、平素の自分の苛斂誅求に苦しむ悲惨な農民の姿におびえて、やがて百姓一揆に襲われはしないかという強迫観念にとらわれて、思慮分別を忘れて、狂気じみた乱暴なおきてを次々につくつて行く姿が、この食確法の改正になつて現われたと思うのでありますが、一体超過供出に今まで農民は協力して来たとお思いになりますか、どうでありますか。
○森国務大臣 超過供出に対しましては、自主的な供出で協力をしてもらつたのでありますが、しかしながら全面的にすべてが協力ということでなしに、いろいろの段階をふんで参つたことも考えられるのであります。
○村瀬委員 ますます超過供出にあまり協力しないというような御答弁を伺いますと私はもう一度掘り下げて、森農林大臣の農民観というものを伺わずにはおれない。一体労働基準法の制定がされましたけれども、農民だけはただ勤労を生涯の使命として、朝から晩まで腰のかがむまで働き続けておるのであります。文化にも恵まれず、何らの娯楽もなく、生涯を重労働に服するのでありますが、この苦難多き朝夕にかえるものは、ただ一つ、天上天下唯我独尊、何ものにも束縛されずに、のびのびとした生活ができるというのが、農民のただ一つの頼みの綱なのであります。その根本的な――これはおそらく民主自由党の自由思想にも反対はないと思うのでありますが、この思想と逆行して、国民は自由に自由にとこう言つておきながら、農民だけもう一つ一つとがんじがらめに縛りつけようとするこの法案は、一体それで農民の協力が今後得られるとお考えになるでありましようか。特にかような方策と民主自由党現内閣の方針とにその一致点があるならば、その点を伺いたいのであります。
○森国務大臣 村瀬君の御意見は御意見として承つておきます。政府といたしましては、今日の段階として、この法律案の御審議を必要と考えて、御審議を願つておるわけであります。
○小笠原委員長 村瀬君あと二分です。
○村瀬委員 先ほど農林大臣の最初の御答弁の中に、これを出したからと言つて、すぐに強権発動に持つて行くようなことはないであろう、一応消火器をすえておくというような意味でつくつておるのであるという御答弁がありました。私はこれは問うに落ちず語るに落ちたものであると思います。今やこの法案に対しては、実際にこれを及ぼすということは、農林大臣もあまりその必要をお考えになつておらない。これはただある方面に対する面子を立てようとするお考えから出ておるのではないかという感じがいたします。もちろん私はこの改正案が、昨年十二月二十四日のスキヤツプ・インに基いて立案されたものもある。極東委員会の農民十六原則をも忘れておるものではありません。しかしながら、かような全国農民を非常な思想的な混乱に陥れ、反逆をも予想されるような残酷な法案を、何がゆえにおつくりになるか、その心境がまだわれわれははつきりといたさないのでありまするが、このために食糧の増産意欲が停滯をするとお考えにならないかどうか。これに対して、その停滯を防ぐ具体的な方策を、どの程度までお持ちになつておられるかを伺いたいのであります。
○森国務大臣 この法案のぜひとも御審議を願わなければならぬことにつきましては、たびたびこの委員会において申し上げておりますので、すでに諸君も御承知のことと存じますから、繰返しません。
○小笠原委員長 横田君。
    〔「違う違う」「理事会の約束を守れ」と呼び、その他発言する者多し〕
○小笠原委員長 先刻の委員会の決定は質疑者一人について十五分ということになつております。従つて質疑者お互いに時間を融通することは、そのような委員会の申合せがない以上は、認あられません。従つて村瀬君の時間はこれで終りました。必要があれば、小林君御自身が自分の持ち時間で御質疑あらんことを願います。横田君。――横田君、棄権なさいますか。
○横田委員 棄権しません。
○小笠原委員長 それでは質疑にお立ちなさい。もう十三分であります。
○村瀬委員 農林大臣は繰返さないと御答弁になりましたが、パリテイ計算が物価の……
○小笠原委員長 横田君。横田君。
    〔「委員長不信任だ」と呼び、その他発言する者多し〕、
○小笠原委員長 お静かに願います。横田君。あなた棄権なさいますか。やるならおやりください。
    〔発言する者多し〕
○小林(運)委員 議事進行について。これは議事進行でありますから、約束の時間とか何とかいうものには関係がないから、よく聞いてもらいたい。先ほど議事進行についての理事会を開いたときに、委員長ははつきり、もし時間が足りなければほかの人に譲るという話をしておつた。それをあなたが一方的にきめて、そういうことを宣言するというのは、これはまつたく委員長の独断だ。こういうことをやつて、この大事な委員会がほんとうの審議ができますか。
○小笠原委員長 ではお答えいたします。そういう仲裁を入れましたけれども、とうとう十五分ということに委員会がきまつたわけであります。かけたところが、あなた方の方が御異議があるので、多数で決定いたしたので、これはやむを得ません。
○小林(運)委員 そういうのは委員長の独断であつてそれはわれわれはまだはつきりしていない。もしそういうことをやるなら、もう一ぺん理事会を開くべきだ。これは採決になつていない。委員長が今かつてにそういうことを言つただけなんだ。
    〔「理事会を開くべきだ」と呼び、その他発言する者多し〕
○小笠原委員長 もう理事会を開く必要はない。横田君。
○小林(運)委員 理事会を再開することの動議を提出いたします。
○小笠原委員長 それではちよつと速記をやめて。
    〔速記中止〕
○小笠原委員長 速記を始めてください。
○横田委員 大臣に伺いますが、大臣は十一月の十七日の本委員会に来られまして、答弁されたのでありますが、それをお取消しになつているのでありまするけれども、そのうちの一体どこをお取消しになつているかということをはつきり伺います。大体私たちは森農相に対する不信任案を提出した政党に参加しております。この農政には反対であります。しかし十七日に思い切つて言われました答弁の中には、答弁のうちには全文ではないのだが、非常に日本人として考えなければならないまじめな点があるのであります。だから私たちはこれを好感を持つて迎えたのであります。ところがいつも悪いことはぐつと押し切るけれども、いいことをちよつと言われると、すぐお取消しになるのです。これはどの点がお取消しになつたか。全文か、全文じやないかということを聞きたいのであります。御希望ならここに全文筆記したものがありますから、読み上げてもよろしゆうございますが、明細に伺いたいのであります。
○森国務大臣 全文を取消しました。
○横田委員 われわれは大臣を何回待つておつたかわからない。それでたまたまお出ましになつたのであります。そこで精魂を傾けて社会党の井上氏も質問したのです。私も質問したのですが、これで二回目です。その質問に対してあなたが全文お取消しになつた。そのうちにこういうことがあるのですが、これはおそらくお取消しになつていないだろうと思います。たしか大臣の今言われたのもやがてお取消しされると思います。それはなぜかと申しますと、井上氏の発言に対して取消され、たのであつて、私が質問したことに対出しては取消しになつておらぬだろう。たとえて申しますと、農村におきましては、百円札を農民にたくさん持たしたが、日本の通化がたくさん発行されておるから、日本の通貨高より見て農民が非常に貧乏しておる。百円札を持たすというおもちやつをやりながら、かえつて貧乏させておるようなひどいことがあるかと言つたときに、大臣の答えはこういうことを言われた。農村にはたくさん收入があつた。思わぬところの收入が入つて、もつと極端に申しましたならば、今日の農村では非常に農民が金を使うことを覚えたということを言われたのであります。そうして農村が貧乏になつて来たから、どうして再建するかということに対しましては、長期の融資をいたすと言われたのであります。おそらくこれは国内の問題でありまして、外国の勢力がからんでおらぬから、これまではお取消しになつておらぬはずである。これまでお取消しになつておるのなら、これは非常に腰が拔けておる。これもお取消しになつたかということを伺いたいのであります。
○森国務大臣 速記録を見ておらぬからわからないのでありますけれども、農村が一時インフレ景気によりまして、金が非常にたくさんとつた。ところがそのインフレの景気も失せて、今農村は非常に金詰まりになつておる。その金詰まりに対してわれわれは金融の道を考えなければならない。それは担保力のない農村に対しては、中央金庫あるいはその他の方法によつて長期の安い金をまわすということを考えなければならない。こういう気持でお答えしたのであります。
○横田委員 そうすると、農民が金を使うということを覚えたということに対しまして、私は疑問を持つたのです。同じあなたの属しておる政府が、汽車を出すのに、ほろ酔い汽車を出しておる。行方不明の汽車を出しておる。農村では畠をつぶして馬を走らせておる。遊ぶことをやらしておつて、遊ぶことが、上手になつて金を使うことが多くなつたことが農民の貧乏になつた原因であるということは言えないと思う。農林大臣が、今の吉田さんが首班となつておるこのやり方に対しましては、日本の農村事情から非常に不満を持つておられるということをお聞きしたのであります。なぜかと申しますと、米価が決定されたときには、新聞の伝えるところによれば、増田さんや大蔵大臣はこれに十分満足なさつたらしいが、あなた自身はこれに満足されておらぬから、おれは署名していないということが新聞に報ぜられておるのであります。閣議は非常に権威あるものと思つておるのにかかわらず、米の値段をきめる場合に、はつきりと承認しなければならない当の親分であるあなたが、米の値段がきまつたのを知らないという。そんなことをするから、農村の農民は、大臣の知らない米価であるから、これを守りやしない。だから農村には二つも三つも値段がある。そこで聞きたいのは、森農相はこういう今の政府のもとにおいて非常に押しひしがれた形において、非常に不満を持つておられるのであるか。そうでなかつたらこれに満足しておられるのか。それを承りたい。
○森国務大臣 お答えの限りではないと思いますが、米価の問題ではないのでありまして、それは超過供出の二倍、三倍という問題であります。
○横田委員 大体供出というものは――はつきり伺いたいのですが私も生産農民として、政府に米を畧奪された覚えがあります。そこで伺いたいのですが、大体供出というものを供え米のように考えられておられるのか。神様や仏様に供えるようなお布施米や、あらい米のように考えておられるのか。それともこれは売り買いの米か。それを伺いたい。政府はそれを買い入れるのか、むしりとるのか、供えさすのか、それを聞きたい。
○森国務大臣 お答する限りではありません。
○横田委員 これは、どういうわけで答えられないのだ。その点を伺いたい。政府が十分認識しておりますところの各農業協同組合の出しておる米価というものは、優に五千五百円程度であります。五千五百円より安い米価を要求しておるところは、どこにもない。政府はこれに対して五千五百円を出さずに、四千四百円百程度の米価で買うておられる――四千二百円程度で買うておられる。こういうことであるならば、石にして一千円づつの畧奪である。そこで聞きたい。日本の農民は、五千五百円を一番おとなしい農民でもくれというのにもかかわらず、あなたも出したいであろうが、あなたが言われるように、それがドツジ・ラインで出せずに、四千二百円であるというならば、四千二百円の米をつくれるような農業に対する改革案を持つておられるのか。これを承りたいのであります。
○森国務大臣 五千円といい、六千円といい、四千円といい、それは計算のいかんによるのでありまして、どれが正鵠であるかということは、おのおの立場によつて違うのであります。
○横田委員 あなたが米をつくるのじやなくして、米をつくるのはこつちである。だからその米を買う気か、むしりとる気か聞いておるのだ。それに対する答弁をお願いいたします。
○森国務大臣 政府は適当と考えた価格において供出をしてもらうのであります。
○横田委員 適当な基準は一体どこにあるのですか。第一世界の農業事情から申しまして、今までは供出反対が日本の農村におけるスローガンであつたかもしれないが、やがて世界にありあまるのであろうところの食糧によつて、日本にたくさんの米が入つて来る。現に政府の答弁によりましても、ここに出ておりますように、シヤムの米は一石が九千六百七十一円であります。アメリカから入つておりますところの米は一石が一万七百二十円であります。これは政府の答弁であります。日本の米は一等が四千四百五円。どうして外国の米は高く買うて、日本の米を安く買うのか。こんな根性はどこから出て来るのか。外国に高く拂う金を、日本の農村に入れていただいて、日本の農村を改革する意思があるかどうか。それを聞きたい。
○森国務大臣 外国の米が日本の金をもつてすればそういう価格になるのでありますが、それは日本では大方はガリオア資金から援助を受けておるのであります。
○横田委員 しかし援助を受けておつても、あなたはこれをもらつておるのだと言われますけれども、マツカーサー元帥はやつておるのではないということを言つておる。アメリカの納税者には決して迷惑かけない、一文といえども損させない。やがて借金として拂わなければならぬ。拂わなかつた場合に、これが一体どんな形にかわるかということを考えていただきたい。そういたしましたなら、日本の農村において、米をなるだけ多くつくつて、外国の米を少く買うことこそが、日本の今後の食糧問題の中心になると思うのであります。だから私は、安い値段で引合うようになるような農村の改革の構想を承りたいのであります。
○森国務大臣 ガリオア資金は御承知の援助費ですから、その援助費によつて、アメリカの国民の負担によつて日本が食糧を輸入してもらつておるわけであります。
○横田委員 降伏四周年のマツカーサー元帥の声明といたしまして、国内資源を最高度に利用し、かつ有力な平和事業に日本の人力を効果的に使うことによつて日本の経済が安定し、アメリカの援助に依存することを、やめる日の到来が早められることになろう、ということを言われている。とれるように書いておるのであります。重ねてマッカーサー元帥が、アメリカの議会に対して書簡を送つて、その中で、援助資金は慈善事業でない、アメリカの納税者には一文の損もかけないという意味のことを言つておられる。それからまたこういうことを言つております。簡單に申します。アメリカから食糧が来ておる。個人でもそうだが、国もそうだ。外国から食糧をもらつておる人、個人でも他人から養い扶持をもらつておる人は、大きなことは言えない。またやつておる人は、同時にこれに対して、勧告するところの権限があるのだというのであります。この考え方の中において、初めて日本に対する勧告が重なるのであります。だから私たちは、日本においても、民自党の方でもこれをきらわれると思う。たとえば本法案の通過をきらわれると思う。こういうようなことも勧告のためにやらんとするのであるならば、なろうことなら日本の米を、現在の段階においては農民が好むような形において、引合う米価で買い上げてもらう。それさえもできずに四千二百円にうちひしがれたのであるならば、四千二百円で米がつくれるような農業経営の形にかえていただく。そうしない限りにおいては、供出というようなものは実際考えて見ると、まるで与えるものもなしに、つくつた者に対しては、食う米さえも制限いたしまして、金も政府がかつてにきめて、これはまるで徴役労働のようなものでございます。それから食う米さえもとつてしまう。とつてしまつた人に対しては、とつたときの値段と売るときの値段が違つておるのであります。これでまた押売りするのであります。こういうような国営の徴役労働にひとしい強制労働のもとにおきますところの農民に対しましては、農業経営であろうと、あるいはまた米作のいろいろの研究であろうと、あらゆるものを政府の費用のうちから出すべきであろうと思う。だから今後においては、政府はこの点に対しましては、うんと金をお出しになるように御奮鬪なさるつもりか、これがいれられなかつたら、野党の不信任案に対して、みずからおやめになりますか、この点を聞きたい。
○小笠原委員長 横田君時間がいつぱいです。答弁だけ。
○森国務大臣 お答えいたします。先ほど申しましたように、米価をきめますについては、その生産しておるところの農業者が、購入物資等の価格の均衡のとれるように今価格をきめておるわけであります。その米価によつて農業経営の引合うような農業施策を進めて行つて行くということを、農業政策として行わねばならぬと思います。
○小平(忠)委員 時間を極端に制限されましたので、与えられた十五分間に重要な点を率直に農林大臣に承りたいと思います。
 第一点は、常に問題になつております米価の問題、農産物価格の問題は、供出問題の根本的結果左右するものであると考える。しかるに政府は今年特に農民や消費者の要望によつて米価審議会なるものをつくりました。この米価審議会なるものはまつたく天くだり的な、実にでたらめなものであります。しかしそれをつくらしておきながら、その米価審議会の答申案である四千七百円を下まわること、実に三百円も四百円も開きがある。この政府が発表した四千二百五十円というものに対しまして、四千二百五十円という価格がはたして真に労働再生産を償い得るかということについて、農林大臣はそれで満足であると言つておりますが、おそらく農政について権威ある農林大臣においては、その四千二百五十円においては、とうてい償い得ないとお考えになつておると思う。特に生産者価格が本年きめられた四千二百五十円に対しまして、消費者価格は幾らかというに、政府は明年一月から現行の消費者価格を一一%値上げして石六千七百五十円ということになる。その開きは実に二千五百円もあるのでありますが、消費者においては現在の一升六十二円五十銭でも、おそらくまじめな生活でやつておる人は、配給を受けることに非常に困つておる。その内容を追究して見ると、食糧公団なるものを依然として介在せしめ、全国に一万七千の従業員を擁し、その人件費だけでも数十億になる。こういつたような矛盾のあることをやつておるから、生産者も消費者も苦しい。私はここに農林大臣に承りたいことは、二千五百円という生産者価格と消費者価格の開きの内容であります。これをこの際つまびらかに御報告願いたい。
○森国務大臣 消費者価格が一月から一一%上るということは予想されておりますが、運賃等の決定もはつきりしておりませんので、まだ消費者価格ははつきりきまりません。
○小平(忠)委員 農林大臣の答弁は不満です。すでに資料等も出しておきながら、ごまかした答弁をされたのは遺憾に思う。私は価格の問題については、実に供出制度に根本的示唆を与えるものであるということを申し上げたことは、この価格が真に農民の再生産を償い、特に農民が要求しておることは、單に米価を上げるということのみを要求しておるのでない。すなわち農民が納得の行く価格というのは、翌年の再生産を償い、さらに他の物価と均衡がとれればいい。ところが現在においては、農林大臣も御承知のように、とうてい他の物価と均衡がとれない。そこで今回の計算の基礎たるパリテイー方式の内容については、これはまつたく科学的なものあるということを説明されておるが、その内容に至つては、その基本パリテイー指数についても、とり上げた品目についても、真に農業団体の意思を盛り上げた数字と相反するものと見ておる。私が最後に申し上げたいことは、この価格が真に農民の納得の行く価格であれば、おそらく食確法という法律もいらない、供出制度もいらない、納得の行く価格であれば、農民は喜んで生産した全数量を販売するだろう。これに対して森農林大臣は、この価格問題について、私の最後に強くつけ加えたい点は、この価格をもつて明年度いかに物価に変動があつた場合でも、その価格で押し切るつもりか、あるいはスライドするつもりであるか、その基本的な考え方を承りたいのであります。
○森国務大臣 生産費を基準としてきめない以上、パリティー指数できめた以上は、物価の変動によつてバツク・ペイすることはもちろんであります。
○小平(忠)委員 その回答は確かに私は承つておきます。
 次はこの食確法の一部改正に重大な関連を持つ輸入食糧問題であります。政府は明年度三百七十五万トンの食糧の輸入を計画されておる。二千万石を突破するような尨大なる食糧を輸入し、さらにいも類の統制を撤廃するということを言つておきながら、いかなる理由によつてこの食確法を一部改正して、超過供出をさらに法制化して、強権発動の対象に持つて行くような考え方をなさるのか、たびたび農林大臣は、日本の食糧事情というものは、現在決して楽観を許さないということをおつしやつておるのでありますが、私はここに大きなる矛盾があると思うのであります。この矛盾を農林大臣はいかにお考えになつておるか伺いたい。
○森国務大臣 これはたびたび私申し上げておいたはずなんです。食糧というものはがつちりと收支予算を立てて行くようなわけではありませんから、八千万国民の食糧を預かつておる以上は、相当の余裕を持つておらなければならぬ。三百十一万トンの輸入が予定されておる。予定は予定です。それですから予定なんかを確実なものとして計画を立てる。そこに危險性があります。それだから私はこの食糧の輸入がたまたま三百十一万トンになりましても、日本としては、食糧の充実確保を、はつきりとつかみ得るだけの措置をとつて行くことは当然であります。
○小平(忠)委員 実に私は了解に苦しむ答弁を伺つたのですが、この問題については、去る二十四日の委員会においても、まずわれわれは外国の食糧事情を把握したいという見地から、政務次官あるいは安孫子食糧庁長官にも外国食糧についてその資料を要求したのです。そのときにはつきり政府委員は、これをただちに委員会に提出するとおつしやつておきながら、いまだに資料の提出がない。そういう点から今後の日本はいろいろな面において、やはり何といつても食糧問題が重要な課題である。私はこういつた食糧輸入政策をとつた場合において、現在農村が一段と実に過激なる、深刻なる農業恐慌の中につつ込まれるであろうと私は思うのであります。農林大臣の答弁はかなりあいまいでありますが、時間がありませんから、次の質問に移りたいと思います。
 次は今度の食確法の改正の中で、私は政府の答弁なり、あるいは改正点について非常に疑わしく思われる点は、超過供出の法制化をしようというようなことを考えたその半面に、農家保有量の問題であります。これについてはやはり法的根拠を与えて、生産農民に確固たる安定感を与えることが必要であろうと思うのであります。しかしこの点が本法の改正点にはない、これに対して農林大臣は農家保有量の法的処置について、いかなる考え方を持つておるか承りたいと思います。
○森国務大臣 作柄良好のために超過供出を要求する場合におきましては、もちろん農家の保有に対しても一部増加を認めることは当然であります。
○小平(忠)委員 それを承つておるのではなくて、法的根拠を持たせる考えは今後ないかということを聞いておるのであります。
○森国務大臣 供出、保有量等につきましては、命令をもつてなし得ることになつておりますので、超過供出を追加してやるという場合においては、もちろん保有の量も増額することができ得るのであります。
○小平(忠)委員 次に伺いたい問題は事前割当について異議のあつた場合は申出がなし得る。一応申出をなし得る処置は講ぜられておりますが、現実には二十日という期限を限定して、まつたく禁止しておるのも同然であります。そういつたような本法の改正で、はたして農民が納得上得るかということを考えてみますときに、單なる法文でごまかしをしてはいかぬ。その点について事実上禁止になつておる。この異議の申立て期間についてどういうふうに農林大臣はお考えになりますか。
○森国務大臣 これは知事の定める期間と考えておりますが、なかんずく末端までの割当が予定通り運んでおりません。ですからにわかに渡してもう異議の申立ての期間がないということは事実上ありません。知事が期間を定めてやつておるわけであります。
○小笠原委員長 あと三分。
○小平(忠)委員 本法の改正は非常に大事な点でありまして実際に現実に即しない改正をした場合に、やはり国家の権威において、委員会の権威においても愼重審議して、今からでも修正する点があつたならば、民自党が通すという腹を持つていても、あるいは政府が通すという腹を持つていても、この際修正するくらいの腹を持つておいてほしい。農林大臣の今の答弁では、現実には異議の申立てがなし得ると言つておりますができません。そういうような問題について、私はまことに不満であります。
 次に先ほど私は大蔵大臣に質問いたしましたところが、大蔵大臣は何らの回答をせずに引下つた。農林大臣はいかなる考えを持つておるか承りたいのであります。この課税の、根本的問題これは価格の問題でも課税の問題でも同様でありますが、まつたく農林大臣の意思が全然反映されないで、大蔵官僚の手によつてすべてが律せられていると思う。農林大臣の不信任案が出たのは当然である。農業事業税のごとき、まつたく矛盾きわまるもはなはだしい。農民たちの蔬菜まで税金をかけて、農民でない場合には二反歩つくつても三反歩つくつても税金をかけない。こんな矛盾のある話はない。これについて農林大臣はいかなる考えを持つておるか承りたい。
○森国務大臣 今まで農業者に対する課税が不的確であるという声が相当あります。また私もこれは農業者が納得し得る納税でなければならないと思います。大蔵大臣の言うごとくに、收入のあるところに必ず課税がある、これは税の原則であります。従つて農林省におきましても、この農業改良局の調査によりまして、農業者が経営する上において、どれだけの税金を納めるような経営ができておるか、その経済調査を非常に広げましてやらせておるのであります。ただ今税務署からこれだけ納めろ、その納める額がはたして適正であるか、どうかということは、農家自身がはつきりしておらない。こういう現状であるから、納得し得るような、課税に応じ得られるように経済調査をやらしておるのであります。私は收入のあるところ、これは当然国民として義務を来す納税でありまするが、それが納得の行く、いわゆる自分がこれだけもうかつたのだから、これだけ出してもいいのだという、納得の行く資料を農家みずからがつかむということを、農林省といたしましても指導し、その統計をまとめておるわけであります。
○小笠原委員長 坂口君。
    〔「まだ時間がある」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 いや時間一ぱいであります。坂口君。
    〔「通告順にやつてもらわなければ困る」と呼び、その他発言する者多し〕
○小笠原委員長 通告順が坂口君です。
○田中(織)委員 議事進行について――実はただいま本会議に、本委員会で審議をいたしました、また食糧確保臨時措置法の改正案ときわめて重大なる関係にあります農業災害補償法の一部改正法律案が上程せられるやに聞いておるのであります。この委員長報告は八木理事がやられるそうで、この席におられないのでありますが、農林委員が一名もこの重要なる法案の本会議の審議に参加できないということは、きわめて遺憾なことだと思いますので、本委員会は暫時休憩せられんことを望みます。動議を提出いたします。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 ただいま田中君から、本会議で農業災害補償法の一部改正法律事案が上程されるやに聞くから、休憩すべしとの動議が提出されました。この動議に賛成の方の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小笠原委員長 起立少数。よつて休憩動議は否決されました。
 会議を続行いたします。(拍手)坂口君。
○坂口委員 私は簡單に質問いたします。長い間、しかもほとんど全委員が納得の行かない、また全国の農民の納得の行かないこういう改正法案、これについていまさらいろいろ申し上げましても、同じことを繰返すことになると思います。しかしよく経済安定九原則の趣旨によつてこれをおやりになつたということを申されるのでございますが、あの趣旨はきわめて抽象的でございまして、主要食糧の能率的集荷というようなことを政府の責任でやればよろしい。その方法として、こういう食確法の一部改正というような、きわめて強い、しかも全農民に非常な重圧を加えるような感じを与えるこういう法案を選ばれたということ、これについて私は他に方法がなかつたかどうか、どういうふうにいろいろ御研究になり、ましたか、それを一応お聞きしたいと思います。
○森国務大臣 九原則に基きまして、十二月の二十四日でありましたか、スキヤツプ・インが参りまして、その指令に基いてこの法案を出したのであります。
○坂口委員 それに基いておやりになつたということはわかつておりますが、これよりほかに選ぶ方法がなかつたかということであります。それをお聞きしたい。
○森国務大臣 政府といたしましてはこの方途をとるよりほかに道がなかつたのであります。
○坂口委員 私はこの能率的の集荷ということにつきましては、他に研究すればある。ことにこの集荷を能率的に完全にやるということは、先ほどからたびたび各委員がお話になりましたように、農民の心からの協力というものがなくてはできない。法をもつていかにこれを網しようといたしましても、できないものはできないのであります。そこに私は法律の威嚴もないし、政治もないと思う。この点につきまして、私ははなはだお考えを遺憾に思う。ことに前国会において、あれほどこの改正法案について、農林委員会全員が反対というか、少くとも賛成する人はなかつた。それから今日まで情勢も変化しておりますのに、これについて何らの変更も加えずしてそのまま押し通しておられる。私はこれについて非常に疑問に思う。大臣、農林当局の態度というものが、きわめて安易に、怠慢に過ごされたのではないかというような感じを持つております。もちろんそういうことはないかもしれませんけれども、しかしながら私が特に大臣のお考えを伺いたいことは、この法律をながめて見ますと、たびたび指摘されたところでございますが、結局非常に強制ということが強く響いておるのであります。農民に対して、現法におきましても相当なる、強制でございましたが、今回はさらにその上に加わつた。しかもそれだけ加えておる。ほかのは少しずつ改正はございますけれども、ほとんど意味がない。これはものの考え方に非常なむりがありはしないか。この日本をあげて民主化をしようとしておる時代におきまして、相かわらず政府の考えが、法規をもつて目的のために手段を選ばないというような権道をとつておる。この態度をかえていないのじやないか、そういうところに民主的な、ことに農政事であるところの森大臣のごときが、強い力、強い御考慮を拂われなければならないと思う。その点私は非常に遺憾に思う。私は決して政府の官吏を、尊敬しないわけでは、ございません。今日国民大衆の間にはようやく民主主義教育が行われまして、民主的になつておるのでございますが、しかしながら官吏の人たちの間には、往々にして相かわらず戰争中、戰争前と同じような基調において立案し、企画し、実施しようとする。これを見破つてこれを指導して行くということが政治家の務めであり、また最高の責任者の務めであると思う。そういう点については、もちろん十分練達堪能の大臣でございますから、お考えになつておるとは思いますけれども、また政府の役人の人も、決して悪意をもつてやつておるわけではないと思うのでございますけれども、しかしながらこういう法案を起案し、これをまた持ち出そうとするこの実際を見まして、いかにもこの時代にふさわしからぬところの考え方が背後にありはせぬか、少くとも時代とともに進もうとするところの考え方が欠如してはいないかということについて、大臣の御感想をお聞きしたい。
○森国務大臣 御趣旨まことにごもつともであります。微力な私でありますが、御趣旨の通りの気持によりまして、官吏一同に臨んでおるわけであります。
○坂口委員 かりに一歩讓りまして、たびたび指摘されましたように、こういう法案、こういうかつこうをもつて行きますといたしましても、私はこれに対しては、農家農民に非常に重い義務を押しつけるのでありますから、同時にこれには国家ないしは政府の責任が一方にうたわれなければならぬ。そういう法律の形式でありましたならば、まだ考える余地があると思います。参議院で先般発案審議されておりますところの食糧増産確保基本法案、あの考え方はこの食確法の一部改正に関連してできたものと私は考えますが、あの考え方が当然な考え方である。しかしながら、あれはただ抽象的に並べてあるだけでありまして、ああいうものを法律としても、あれは大した効果はないと思う。しかしあつてもなくてもいいというよりは、あつた方がいいかもしれない。しかしながらこういうものでなくして、ああいうもの、あるいは先ほどからたびたびありました農村政策、あるいは政府資金をどうするというようなこと、あるいは米価の問題とか、超過供出の価格補償というようなものが、同時にうたわれるところの法案でなければ体をなさない。ただ農民からこういう一方的に米を集めさえすればいいというような、目的のために手段を選ばない、よらしむべしというような法律の立案の考え方、これは私はどうしても賛成することができない。そういう点について、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○森国務大臣 御意見でありますから、承つておくだけでありますが、こういうことを義務ずける場合におきまして、政府はただ法律によりて保護するということのみよりも、予算等の措置において、農業者の生産を高め、経 営を合理化するような努力を続けて行きたい、かように考えております。
○坂口委員 そういたしますと、いろいろ今までおやりになりましたこと、またやろうとしておられること、まず米価の問題がございます。これはむし返されておりますから、申しませんが、米価審議会というものをせつかくつくつて、国会で審議をするかわりにやつたというようなことまで、この間は答弁された。そういうものがつくられておつて、そこで愼重に審議され、その答申を尊重しない。そして低い米価にきめられたというようなことまである。あるいはこの間から非常に指摘されました肥料の場合は、公団その他において配給をいたしますときに、農家から代金を早く取上げて、そして適時に適品を配給するという方面のことは、十分できていないというようなこともございます。あるいはまた来年度からやろうという構想のようでございますが、たとえば農家の税の源泉徴收というようなこと、あるいは報奨物資等についても、適時適品というような行き方は、一つもできていない。それはやられる意思はあるかもしれない。しかしながら物によつては、たとえば肥料の資金のごときは、明らかに農家に対して不親切なやり方である。またその他予算的にと言われますけれども、予算的措置においても、たとえば農業道路、農業利水、あるいは土地改良、治山治水、そういう方面について、どれだけの措置をされたか。また最近の例の減額補正問題というようなことにつきましても、ことごとく十分なことはできない。そういう点を考えてみますと、ただ政府のやり方だけにまかせておくことはできない。あれだけ重い義務を負わせて、農民がこれを納得して信頼するということは、とうていできない。そういう点について私は法の上に今言つたようなことを希望するのでございます。しかしながらこれについて、今これを撤回して次の国会に出されるような意思は、おそらくないだろうと思いますので、これは御答弁をいただきません。
 もう一つは、先ほどから、世界の食糧事情にやはり不安があるから、相当にたくさんのものを用意しておかなければならぬという御答弁のようでございますが、これはすべて物は見通しのつけ方でありまして、現在のところ当分の間、私は世界の食糧は漸次多くなつて参ると思う。そういう関係から、アジア地区においても非常に余る。またアジア地区がかりに米が十分ではない、十分に買い付けられないといいましても、貿易の関係も、やはり日本との間にバーターをしなければならぬ必要に迫られる。またアメリカとかその他におきましても、ヨーロッパの生産回復とともにたいへんな過剰になりつつある。そういう情勢を考えますと、来年度に三百七十五万トンの予定だと言われても、十分入ると思う。また再来年も入る。そういう見通しのもとに考えてみますと、この三月と違つて、情勢のかわつたときに、この法案をいわばたなざらしのものを提出される必要はないと私は思いますが、そういう点についてひとつ……
○森国務大臣 世界の食糧事情の好転に対して、この法案が必要か必要でないかということは、たびたび私がお答えいたしたのであります。世界の食糧がよくなつたからといつて、将来はただくれるわけではないのであります。どうしても自給度を高めて行かなければならぬのでありますから、先ほどお答えいたしました通り、一たまたま一時的現象として、世界の食糧がよくなつたからといつて、日本は安易な気持を持つてはならない。かように考えているわけであります。
○坂口委員 今のお話の安易な気持とか、自給度を高めるとか、そういうことではない。あなたは人によく言葉を飛躍するとか何とか御注意になりますが、今の答弁はまるで子供に言うようなことを言われた。しかしまあこれで打切ります。
○小笠原委員長 それでは北二郎君。
○北委員 私はまず第一番にお伺いしたい点は、戰時中、戰後を通じて、官僚統制という弊害が日本に非常に多かつたということは、農林大臣御承知の通りであります。この官僚の統制と民主主義はいかにも縁の遠いものだと思うが、農林大臣はこの点どう考える
○森国務大臣 北君のお考え通りであります。
○北委員 しからば本法案に盛られている、農民をしばるところのあの法文は、いわゆる官僚統制の強化であるということは、農林大臣は御承知でございましようか。昨年も農林大臣はここにおいて、この法案は官僚統制だということを言われたが、この点御了承になられますか。
○森国務大臣 この法案提出の理由のときに説明いたしました事情であります。
○北委員 それでは官僚統制だと了解していいですか。
○森国務大臣 近ごろ委員になられて、繰返されて非常に困るわけでありますが、日本の食糧事情が、この法案を出さざるを得ない事情に置かれて、この法案を出したのであります。
○北委員 官僚統制を認めるか認めぬかということを聞いておる。
○森国務大臣 官僚統制と言つて、この法案が今日の段階として必要な事情によつてこれをやつたんでありまするから、これは政府が統制するのであります。
○北委員 官僚の統制ですね、しからば私はお伺いしたいのでありますが、森農林大臣は去年も官僚統制だと言われた、その官僚統制は民主主義というものに逆行せられることだと今言われた。そうすると民主主義に逆行だということは、ポツダム宣言に逆行でないですか。
○森国務大臣 国会の承認を求めて決議されました法律によつてやるのでありますから、決して官僚がこれをやるということはないのであります。
○北委員 そこで私は提出の條文にも書いてありましたが、連合軍の指令によりと書いてある。森農林大臣はしばしば関係方面のためにやむを得ないと言われるが、野党時代は反対であつたから、森農林大臣はやむを得ないと、そういう放言をしておるのでありますが、そこで伺いたいことは、日本の政府に責任が一体あるのかないのか、この点はつきりお伺いしたい。
○森国務大臣 占領治下の国民といたしまして、司令部の指令には従わなければなりません。従う以上は政府は責任を持つてこのすべての行政をやつて行くのであります。
○北委員 しからば政府は責任あると言われますが、これは先ほどの官僚の統制ということも了承された、そうすると、現民自党内閣は占領政策に反対ではないか。民主主義に反対なら占領政策に反対じやないか。この点についての御答弁を願いたい。
○森国務大臣 官僚統制ではありません。民主主義統制であります。
○北委員 しからば民主主義統制というものは農民を強権でたたく。その上に保有米まで取上げる。これが民主主義統制ですか。この点ひとつ御答弁願いたい。
○森国務大臣 民主主義の国会においておきめになりますれば、その通りやることは決して官僚統制でも何でもありません。
○北委員 あなたはそう言つて今官僚をかばわれるけれども、あなたは野党時代に官僚統制と言つてついておつたではないか、農林省に入つてしまつたらすぐ気持が豹変してしまう。それだから、みんなが不信任を申すゆえんはそこにあるんだ。
 次にこの、法案と重大な関係にある米価問題でありましが、過般も民主党の人から、いわゆる米価問題のパリティー計算についていろいろ御議論がありました。しかしこれは私はもつと掘下げて考える必要がある。このパリティー計算の基礎を昭和九年、十年、十一年ととられておりますが、昭和八年には日本全国の豊作、これは全面的な豊作で、昭和九年には台湾朝鮮の輸入米を入れますと、政府は米が余つて困つておつた。実は東京湾の沖へ投げたとか、そういうことも聞きます。しかも政府はこのときの価格操作維持費に当時の十億からの金を出しておるが、こんなものを基準にする基準年度の米価というものは、一体正しいのであるか、正しくないのであるか。もう一つ大事なことは、その当時の疲弊した農村経済の時代に返すつもりですか、これが科学的な計算でありますか、この点について……
○森国務大臣 九年、十年、十一年に基準年次をとつたのは、あの当時における農産物価格と工業品価格とのつり合いが比較的よくとれておつたという考え方で、一年ではとてもいけないから、九、十、十一と三箇年の平均を基準にしているわけです。
○北委員 時間がないようですから次に移りますが、そこで、現在政府は何ら法律に法的な根拠のないのに、この事前割当というものを農村に強制している。これをどう考えられますか、この点をひとつお伺いいたしたい。
○森国務大臣 事前割当は食確法にあります。
○北委員 追加割当は何の法律的根拠があるのか。
○森国務大臣 お答えします。今日までの追加供出は、自主的な供出をお願いしたのであります。
○小笠原委員長 北委員、もう時間一ぱいです。
○北委員 その次にお伺いしたいことは、この法律案によつて、日本の農業が非常に掠奪的になる、いわゆる地方というものが非常に消耗します。この点について、政府は何らか対策がありますか。
○森国務大臣  この法律の施行によつて、土地が瘠薄になるということは考えておりません。
○北委員 森農林大臣は非常に百姓をやられておつて、稻つくりとか、いもをつくることは上手かもしれませんが農政についてはぼくはゼロだと思う。なぜならば、天然と人力による日本の農業の本質もわきまえずに価格をきめる、一体低米価にして農民の生産意欲というものが上りますか、この点をひとつお伺いしたい。
    〔発言する者多し〕
○小笠原委員長 北君に大臣から答弁ありません。
○森国務大臣 わからなかつたからもう一度質問してください。
○小笠原委員長 時間は一分まけます。(笑声)
○北委員 農業の本質をわきまえず、かかる悪法をやつて、はたして農村の生産意欲が出るか、あなたがもしもほんとうに農業をやられておつたならば生産意欲がなくては作物はとれないのです。これは種をまいて、一年に二回なり三回なり草とりをやらなければとれない、この生産意欲をなくして、二回、三回草とりをするものを一回にしてみなさい、生産は半減するではないか、この点について大臣はどう思われているか。
○森国務大臣 決してさような考え方は私は持つておりません。
○北委員 いかなる理由でそういう考えを持つておられないか。
○小笠原委員長 北君今度は時間一ぱいですから……
○森国務大臣 この法案を出したがために、生産意欲が減退するというようなことは第一ありません。
○田中(織)委員 議事進行について……ただいま本会議では所得税法その他重要な税制改革の法案が上程に相なつております。この採決は議院運営委員会の決定に従いまして記名投票ということになつておりますから、われわれ全員本会議に参加するために、本委員会は暫時休憩されんことを望む動議を提出いたします。
○小笠原委員長 ただいま本会議に臨むという田中君の動議が出ました。これに賛成の方の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小笠原委員長 起立少数。よつて否決されました。
    〔発言する者、離席する者多し〕
○小笠原委員長 これで通告の質疑は終つたのですが、先刻新たに委員となられた田中君から、五分以内でよいから質疑を許されたいとの申出があります。これを……
    〔「本会議の定足数が足りないと言つているじやないか」と呼び、その他発言する者多し〕
○小笠原委員長 本委員会は、本会議中でありますが、特に議長の許可を得て開会しておるのでありますから、御承知を願います。(拍手)
    〔発言する者、離席する者多し〕
○小笠原委員長 おすわりください。静粛に……
 これで通告者の質疑は終つたのですが、先刻新たに委員となられた田中君から、五分以内でよいから質疑を許されたいとの申出があります。五分以内とし、これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 それでは五分以内として、田中君の質疑を許します。田中委員。
○田中(織)委員 きわめて時間が制限されましたので、重要な点について農林大臣に伺いたいのであります。先ほど小平委員から、現在の米の消費者価格と生産者価格との中間経費二千二百五十円の内訳について、大臣に御説明を求められたのでありますが、大臣から答弁がないのでありますけれども、この中で等級間格差が現在の消費者価格の中に三十九円二十五銭でございますが、これは最近におけるいわゆる検査規格の嚴格化によりまして、四等米制度を設けておる関係から見まして、現在、今後の消費者価格の中にどの程度に等級間格差によるところの消費者への転嫁が行われるか、この際農林大臣から明らかにしていただきたいと思うのであります。
○森国務大臣 事務的な問題ですから、説明員から説明いたさせます。
○安田説明員 かわつて御答弁いたしますが、昭和二十四年度産米の等級間格差でありまして、消費者米価に織り込まれるものは、石当り四十四円であります。
○田中(織)委員 重要なる本委員会に農林大臣から、ことに二千二百五十円の内訳について説明ができないということは、きわめて遺憾であります。われわれ野党として不信任案を出さざるを得ない理由もそこにある。私はこの消費者価格の中に含まれておりまする人件費の中で、いわゆる行政費に関する部分がどの程度含まれておるか。また行政費の中で食糧庁の関係で、どの範囲までが消費者価格に転嫁される部分になつておるかということについて、農林大臣に伺いたいのであります。これはなぜかと申しますると、行政費は、農民を含めまして、一般国民が税金の形においてこれを負担することになつておるのであります。従つてこれが消費者価格に入るという形で、一般消費者の手を通じて、実は農民の負担にかかつておる。そういたしまするならば、農民は食糧行政に関する行政費と、一般の行政費負担と、この二つの面において租税負担を、端的に申しまするならば、二重の負担をしておるということに相なるのでありまするが、現在消費者価格の中に含まれておる食糧関係の行政費がどこまで入つておるか。その点をひとつ農林大臣に直接お答えを願いたいと思います。
○森国務大臣 二十三年の産米について申し上げますと、行政費としまして、人件費が石当り八十九円九十七銭五厘、これは農業者に負担させておるのでありません。消費者価格に負担さしておるわけであります。
○田中(織)委員 大臣の答弁では、私の伺つておる点のお答えになつておらないのでありますが、時間がございませんから――現在の消費者価格の中に農民が一般に負担しておる税金で当然まかなわれるべきところの食糧行政に関する行政費が少からずこれに織り込まれておるということの事実を、農林大臣は銘記していただきたいと思うのであります。
 次に食糧管理特別会計に関する赤字の問題でございまするが、大蔵委員会でいただきました資料によりますると、これは本年の三月三十一日現在でございまするが、百二十四億八千九百万円と出ておるのであります。この赤字の内容について、農林大臣直接御説明を願いたい。同時にその中には百三十九億六千七百万円という收入未済金がございます。従つて最近におきましては、一般消費者の方で消費者価格の高い関係もあり、片一方賃金その他の遅拂い等の関係から、米の掛売りの要求の声もあるにもかかわらず、農林当局はこれを拒否しておる。実は法律の上から申し上げまするならば、これは明らかに法律の上で掛売り制度が認められておる。これは政府の所有するものの売拂いに関する代金の納入に関する法律という法律によつて当然認められておることは、法制的に明らかになつておるのでありますが、実際は掛売り制度を認めておらないにもかかわらず、三月三十一日現在において百三十九億六千七百万円という收入未済金があるのでありますが、これはどういう意味で、どういう関係から、こういう未済金になつて来ておるのかという点を、大臣直接御答弁願います。
○森国務大臣 お答えいたします。数字は少し違うようでありますが、食糧特別会計の二十三年度の赤字と申しますか、百二十億ばかりあります。そのうち六十億というものは公団から特別会計へもどる金であります。いわゆる返る金がずれておりますので、それは四月からだんだんと特別会計にもどつて来る金であります。そのあとの二十億は超過供出の予定よりも増加しておつたがための補給金、いわゆる奨励金が二十億、それからかんしよの――切手かんしよでありますが、これが昨年は非常に供出が多くありまして、そのために四十億近くの予算よりは余計支出をいたしたということになつておるのであります。これは公団の手持ちいたしております各種食糧の配給によりましてカバーして行くのでありますが、従つて赤字というものは現在一応特別会計にはないわけになつております。
○田中(織)委員 大臣の御説明の中には二十億は超過供出の奨励金、その超過供出は予想外にあつたために奨励金を出した。これが食糧管理特別会計の赤字になつておるということを言つておる。金額は二十億ということを申されておるのであります。これによつても明らかであります通りに、現在までのいわゆる超過供出についてはマル公三倍に買上げる、これに対して食確法によるところの食糧の確保というような処置を講じますならば、農民は嚴に法律で強制しなくても超過供出をやつておる。政府の予定しておつたものよりも、すでに二十億というものが赤字として食糧管理特別会計から出さざるを得ないということが、これが三十三年度産米の実績として現われておるのであります。それにもかかわらず、今回この超過供出の法制化のための食確法の改悪を行うということについては、われわれの、また全国三千万農民の納得できない理由がある、なお農林大臣は、この超過供出の超過分について二十億の赤字が計上されておるということでありますが、現行消費者価格に織り込まれておる超過供出分が一石当り三百九十二円九十二銭入つておるのであります。そういう関係から申しましても、超過供出というものは政府が考えて、食確法を改悪しなくても、十分他の方法、たとえば超過供出の代金を今度はあべこべに二倍に引下げたけれども、これを四倍に引上げる、五倍に引上げる、これに見合うところの肥料その他の資材を確保するという方法によりまして、十分超過供出というものは確保できて、現下の食糧需給関係に寄与する面が、必ず農民の協力によつてできるということを、われわれは確信するのであります。それにもかかわらず、本法をあえて――これは法制的にも問題なのでありますが、第五特別国会の最終日において、継続審議という形でやる。また会期不継続の原則から申しますれば、本国会にいつ提出されたかということも明確ではない。私は多くを即しませんが、現在の吉田内閣のとつておりますデフレ政策の一切のしわ寄せが、農民に課せられておるということは、あなたもくわをとつて耕した農民である以上は、おわかりのことであろうと思います。供出の面、米価の点がしかり、税金の面しかり、あらゆる金融の面においてしかり。あなたは先ほど、予算の面において並行的にこうした超過供出の法制化に対処するところの処置を講ぜられると言われましたが、何ら予算の上に講ぜられていない。金融問題においても、政府は当初演説の中にも、農林中央金庫法の改正によりまして、農林資金を獲得するということを申しましたけれども、会期あますところ二日になつた今日、農林中金法の提出を見ておらない。こうした点について森農林大臣は、農民の父の立場においていかなる努力をしておるのであるか。一切のデフレ政策の犠牲を農村にしわ寄せいたしまして、農民は今や爆発の寸前にあるということは、あなたは十分あなたの農民としての生活体験から感じられてあるはずであります。私はこの瞬間において、農林大臣にこの食確法の改悪案は、経済九原則の條項にあるところの食糧供出の計画、能率の向上という面から見ますならば、大いに逸脱したものでありますから、この際本案を撤回をしてもらいたい。この点について農林大臣は現下の農民の大きな苦痛と、一切のデフレのしわ寄せが農民に寄せられておるという点から、この点についてとくと考えていただきたいと思うのであります。農林大臣の真の農民の立場における所見を最後に伺つておきたいのであります。
○森国務大臣 幾たびもお答えいたしました通り、この法案は撤回する意思はありません。また今回の臨時国会は、御承知の通り補正予算に対する国会であります。農林中金の金融の問題等につきましては、来る通常国会において御審議を願うつもりであります。
○小笠原委員長 これにて質疑通告者全部の質疑は終りました。よつて本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
    〔「反対々々」「委員外発言」と呼び、その他発言する者多し〕
○小笠原委員長 ちよつと申し上げます。傍聽者議員に申し上げます。議長から、記名投票のため傍聽の議員は本会議に出席されたいとのことであります。お伝え申し上げます。ちよつと速記をやめて……
    〔速記中止〕
○小笠原委員長 それでは速記をとつてください。理事会の申合せによりこの際暫時休憩して、正八時十分より再開いたします。
    午後七時四十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後八時十七分開議
○小笠原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。井上君。
○井上(良)委員 議事進行に関して……この際委員長に特にお願いをして、御了解を得ておきたい問題がございます。それは御承知のように、食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案は、去る第五国会以来これが上程され、審議を重ねることおそらく数十回の長きにわたつておりますが、この法案が本委員会に正式に回付されますとともに、参議院の方からこの法案と表裏一体の法案として、食糧増産確保基本法案なるものが本委員会に回付されて来ておるのであります。御承知のように食糧確保臨時措置法を一部改正する法案の根拠は、大臣からもまた政府委員らもいろいろ御説明がございました通り、これは関係筋の指示に基きますものを法文化しましたものでございまして、その関係筋の指示の内容は、すでに皆さん御存じの通り、一方においては食糧増産に対して政府は最大限の措置を講ぜよ、こういうことが一方に指示されており、最大限に増産の措置を講ずるとともに、一方において増産された分については、法的措置を講じて、これを集荷するの措置を講ぜよ、こういう二つの命令事になつておるのであります。しかるに政府の方では、前段の増産に対する法的措置については何ら明文化して参らぬところから、参議院の方におきましては、この点に重要な関心を拂いまして、数回委員会おいて本問題対していろいろな検討を加えました結果、ここに食糧増産確保基本法案なるものを作成し、司令部との間に数回にわたる折衝を加えました結果、本委員会に回付されております。原案が参議院の本会議を通過いたしまして、こちらに回付されておるのであります。かくのごとくこの食糧増産確保基本法案は、食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案と表裏一体の法案でございまして、参議院が、食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案がいかに現下供出制度のもとにおける農民の大きな負担になるかということを考慮して、農民の高まるところの不平不満を少しでも緩和し、そして食糧増産にさらに一段の御協力を願う。そのためには食糧増産に必要なる基本的な裏づけをしてやる必要があるというところから、この法律案が成立をしたようなわけでありまして、従つてこの際食糧確保臨時措置法の質疑がまず終了いたしました際、委員長はこの法案の提案者であります参議院の議員の方をここへお呼び願いまして、この法案に対する審議を進めることが、参議院に対する信義の上からも、またこの法案を審議する上からも、またこの法案を円滑に通過させる上からも、絶対に必要な條件と私は考えます。よつてこの際委員長は、食糧増産確保基本法案をまず議題に供せられて、これに対する質疑を継続されたいとの動議を私は提出いたします。
○小笠原委員長 ただいまの井上君の動議に賛成の方は御起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小笠原委員長 起立少数、よつて動議は否決されました。
  ただいま小林運美君外十一名委員より委員長不信任案の動議が提出されました。私の一身上のことに関しまするので、山村理事に委員長の席を讓ります。
  〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○小笠原委員長 それではかわつて山村理事に讓ることにいたしますから、御了承を願います。
    〔委員長退席、山村委員長代理着席〕
○山村委員長代理 御着席を願います。それではしばらく仮委員長を勤めます。ただいま小林君外十一名から提出されました委員長不信任の動議を議題といたします。その極言弁明を求めますが、その弁明は五分以内にしたいと思います。(発言する者多し)ただいまの時間制限に対し賛成の方の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○山村委員長代理 起立多数。よつて時間は五分以内ときまりました。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○山村委員長代理 五分以内において趣旨弁明を許します。小林君。
○小林(運)委員 私はただいま同僚議員の賛成を得まして、小笠原委員長の不信任の動議を提出したものでありますが、そもそもこの食糧確保臨時措置法は、第五国会以来、長日月にわたりまして、農民の代表として国会に出て来たわれわれが、まじめに、真劍になつて討議して参つたのであります。その間における小笠原委員長の努力は多とするものが多々ございますが、本日この最終の段階に至りまして、委員長のとつた態度に対しては、まことに遺憾の意を表したいのであります。特に先ほど来理事会を開催して、いろいろとりきめをしたのに対して、委員長は一方的に委員長の独断をもつて、われわれの審議権を無視したことが多々あつたのであります。先ほどわが党の村瀬委員の発言中にも、われわれ理事会の意思を無視して、時間の制限を強行するというような無暴をあえていたしました。のみならずただいまは同僚井上委員から重夫なる発言があつて、この食糧確保臨時措置法については、去る第五国会におきまして、参議院におきましては先議いたしまして、この法案を何とかして農民のためになるようにというので、参議院は非常に努力をして修正の意見も出、またこれだけではまだ足りないというので、食糧確保基本法というものを参議院の側におきまして熱心におつくりになつて、衆議院の方に回付しておつたのであります。その食糧確保臨時措置法の裏づけどもなる非常に重要な問題を、この委員会に食糧確保臨時措置法とともに、二つ一緒にしてわれわれは審議を続けて来た。ところが突然これだけ質疑を打切つて討論に入る態勢に持つて来る。これは先ほど申し上げました、委員長の独断の行為であると私は信ずるのであります。かような重要な問題を、委員のわれわれに正式に諮るでもなく、ただ起立採決というような、われわれ国会議員を侮辱したような態度をとつたことは、もつてのほかだと私は考えるのであります。私はかかる点におきまして、小笠原委員長の不信任を提出しまして、諸君の冷静なる御判断を願い、先ほど井上委員から発言になりましたことをもつとゆつくり、十分に国民の意のあるところを聞きただす、参議院の側におきまして、どういう意向があるかということをわれわれ聞きたい。それを何も聞かないうちに、ただうやむやに済ますというようなことがあつては、われわれ国会の審議というものは、いつになつたら、どうやつたら、これは国民の前にわからせるかということを、私は考えるのであります。同僚農林委員の諸君は……
○山村委員長代理 小林君、時間はあと一分です。
○小林(運)委員 夏の暑い盛りもここに集まつていろいろ審議を続けて来た。この最終の段階になつて、こういうみつともないことをする委員長は、絶対にわれわれは反対したい。不信任を表明するものであります。委員の諸君の、御賛成を得たいと思うのであります。
○山村委員長代理 これより討論に入りたいと思います。八木君。
○八木委員 動議を提出いたします。ただいまの小林君の趣旨弁明によりまして、十分盡きておると思いますから、討論を省畧し、ただちに採決されんことを望みます。
○山村委員長代理 ただいま……
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然、聽取不能〕
○山村委員長代理 討論省畧の動議に賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○山村委員長代理 起立多数。よつて討論は省畧いたします……
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然、聽取不能〕
○山村委員長代理 それでは五分間休憩いたします。
    午後八時四十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後八時五十二分開議
○山村委員長代理 開会いたします。
 私がただいま討論に入ろうといたしました折、八木君から討論を省畧してただちに採決すべしとの動議が出ていたのであります。これが先決ですから、まずこの動議から採決いたします。
 ただいま八木一郎君から提出いたされました討論省畧の動議に賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○山村委員長代理 起立多数。よつて討論は省畧するに決しました。
 ただいま委員長の不信任動議が出て、私が委員長の指名によりまして委員長の職務を行うことになりましたところ、さらに私に対する不信任動議が出ておりますが、これは小笠原委員長の不信任動議が先決問題でありますから、それを先に処理して後、私が席をしりぞきまして御審議を願うことにいたします。
 それでは小林君外十一名提出の委員長不信任案の問題につきまして採決いたします……
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○山村委員長代理 暫時休憩いたします。
    午後八時五十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後九時十分開議
○山村委員長代理 それでは再開いたします。
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
○山村委員長代理 それではしばらく休憩いたします。
    午後九時十一分休憩、
     ――――◇―――――
    午後九時三十一分開議
○山村委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。
    〔発言する者多し〕
○山村委員長代理 御着席を願います。
 小林君外十一名提出、委員長不信任案を採決いたします。賛成の方の御起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山村委員長代理 起立少数。よつて否決されました。
    〔山村委員長代理退席、委員長着席〕
○小笠原委員長 これより……(発言する者多く、事議場騒然、聽取不能)……法律案を議題とし、討論に入ります。小林君の退場を命じます。これより討論の時間は一人十分以内とし……御異議ありませんか。
    〔「異議あり」「異議なし」と、呼ぶ者あり〕
○小笠原委員長 御異議がないようであります……(発言する者多く、議場騒然、聽取不能)……時間の制限がありますから……(発言する者多く、聽取不能)……退場を命じます……(聽取不能)……賛成の方の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小笠原委員長 起立多数。よつて討論の時間は一人十分以内に限ることに決定いたしました。
 これより討論に入ります。松浦君――、松浦君。
○松浦委員 私は民主自由党を代表して、ただいま議題となつておりまする食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案に賛意を表するものであります。われわれは元来統制経済中から継続せられておりまする……(聽取不能)供出には……するものでありますが、しかしながら政治は現実である。わが国の現在置かれております国際的立場、また連合国の好意ある援助、または……なくしてはやつて行かれない……現在の食糧事情を勘案…(聽取不能)御承知のように社会党……片山口内閣の当時より……しかして第二国会において……民主党、社会党、国民協同党の芦田内閣のときに……法律でございました。しかして……の一部を改正する……いわゆる追加供出の補正に対しても、よく考えてみると、現在特殊情勢下にあるわが国としてすでに行われておるものは、現実面においては何らかわりはないものであります。ただわれわれが従来この……を天下の悪法と言われ、あるいは農民を……であつたかといえば、それは日本の行政機構……これがこの……で適用されるごときわめて薄く……悪い面……取締りに悪用するが……明らかにされたことにあるのでありまして、適用のいかん、また運営のいかんによつて、みずから性格がかわつて来るのであります。われわれはこの点を重視いたしまして、本日午前中の本委員会において、私からこの点に関し森農林大臣に所信をただしたところ、大臣から決して適用を誤らない。強権発動をやらない……想像も……私はこの農林大臣の御答弁は決して個人の意見にあらずして、日本政府の要請のもとに、農林大臣の言明に信……かつわれわれもこの精神を生かすために、行政官庁の監督を嚴にすべき決意を新たにすべきものと信じます。
 もう一点この法律に不安を感ずる点は、この法律は……である。法律の……は昭和二十六年三月末でありますが、これがいつまで継続されるかということは、言うまでもなく世界市場の好転による大きな変化に伴いまして、わが国の食糧事情もまたその余波を受けて、一大転換は必至でございましよう。二十五年度政府予算の中にもこれを予感せられる内容が多く盛られております。これは明瞭に看取できると思う。そこで大きな変化が来れば、この法律は……必要なる……この法律を……取扱うか、ただちに廃止するか、もしくはそのときは情勢が逆転して……この法律……を生かして、あるいは価格の維持であるとか……あるいは耕作農民のつくつた……があるとか……ともかく農民の……に向つて改正さるべき……この点に対して農林大臣……森農相は、明確に本法は……ものであると……勇敢に答えられました。われわれはまたこれに関して、單に政府に……ものではない。立法府たる国会の権威にかけても……(聽取不能)党の運命にかけても……農民……全責任を負つて来た……党の運命をかけても絶対多数……あるのであります。なお今後の……農林の……多角的農業経営のためにも、また農家の……やるためにも……この際多大の資金がなければならない。金融の道は必要であります。政府は耕作農民……農林中央金庫の改組強化……(発言する者多く、聽取不能)……これは九牛の一毛に過ぎません……対策を立案中であります……また見返り資金の運用が……政府は……われわれは……あつてはならない……眼を注ぎ、民主政治に……これがわれわれの信條でなければならぬと信じます。
 以上のような点を総合的に勘案しました結果、民自党を代表して賛成の意見を申し述べます。
○小笠原委員長 他に反対討論はありませんか。
    〔「異議あり」「異議なし」と呼び、その他発言する者多く議場騒然〕
○小笠原委員長 山村君。
○山村委員 爾余の討論は打切られんことを望みます。
○小笠原委員長 討論終局の動議が出ました。
    〔「異議あり」「異議なし」「賛成」と呼び、その他発言する者多く議場騒然〕
○小笠原委員長 討論終局に賛成の方は起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○小笠原委員長 起立多数。よつて討論を打切ることに決しました。
    〔「異議あり」「異議あり」と呼び、その他発言する者多く議場騒然〕
○小笠原委員長 これより食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案につき採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小笠原委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)
 なお本案に関する委員会報告書は委員長に一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議あり」「異議なし」と呼び、その他発言する者多く議場騒然〕
○小笠原委員長 御異議があるようでありますから、異議のない人の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小笠原委員長 起立多数。よつて……(聽取不能)認めました。
 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつて通知することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
    午後九時四十九分散会