第007回国会 運輸委員会 第11号
昭和二十五年三月十七日(金曜日)
    午後二時四分開議
 出席委員
   委員長 稻田 直道君
   理事 松本 一郎君 理事 米窪 滿亮君
   理事 佐伯 宗義君 理事 林  百郎君
   理事 木下  榮君
      岡田 五郎君    尾崎 末吉君
      黒澤富次郎君    小西 寅松君
      畠山 鶴吉君    滿尾 君亮君
      清藤 唯七君    上村  進君
      石野 久男君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 大屋 晋三君
 出席政府委員
        運輸事務官
        (海運局長)  岡田 修一君
        運輸事務官
        (船員局長)  山口  伝君
 委員外の出席者
        專  門  員 岩村  勝君
        專  門  員 堤  正威君
    ―――――――――――――
三月十七日
 林百郎君が理事に補欠当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 小委員の補欠選任
 船舶の新運航体制に関する件
    ―――――――――――――
○稻田委員長 それではこれより運輸委員会を開会いたします。
 この際理事の補欠選任についてお諮りをいたします。ただいま理事が一名欠員になつておりまするので、その補欠として林百郎君を理事に選任いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻田委員長 御異議なしと認めます。よつて林百郎君が理事に選任されました。
    ―――――――――――――
○稻田委員長 次に観光小委員の補欠選任についてお諮りいたします。去る三月十五日、黒澤富次郎君の委員辞任に伴い、観光小委員が一名欠員になつておりますが、昨日同君が再び運輸委員に選任いたされましたので、この際同君を観光小委員に選任いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻田委員長 御異議なしと認め、黒澤富次郎君を観光小委員に選任するごとに決しました。
    ―――――――――――――
○稻田委員長 これより船舶の新運航体制に関する件を議題といたし、議事を進めます。御承知のように本件は去る三月七日の委員会におきまして、岡田海運局長より報告がありました司令部よりの日本政府に対する覚書によりまして四月一日以降は、現行の船舶運営会による定期傭船方式を改めまして、八百トン以上の全船舶は、内航、外航ともに全国民営に還元し、船主の自己の責任と計算において自由運行をさせようとするものであります。このことは、戦時中から続けられました船舶の運航体制に、大なる変更を来すものでありまして、従つてこれが実施は、積荷の問題、過剰船腹と繋船の問題、あるいは船員の問題等、いろいろの問題が起りやすいのであります。従いまして、これらの問題につきまして、政府の方針等もただし、もつて海運の健全なる発達を期したいと思うゆえんのものであります。よつてこれより質疑を許します。質疑は通告順をもつて行います。米窪滿亮君。
○米窪委員 運輸大臣がまだお見えにならぬのですが、海運局長、船員局長がお見えになつておりますから、お尋ねしたい点は、まず三月三日のスキャップ・ニイピン、すなわち総司令部の海運関係の方面の指令が出ておりまするが、これによると、四月一日以降船舶運営会の規模が非常に縮小されて、いわゆるCMMCの形で必要の限度において管理することになつておりますが、依然として運営会に残る船舶が大体どのくらいあるか。すなわち従来特定の国とのバーター・システムで貿易が行われていたが、その荷物を運ぶ船舶は、依然として四月一日以降どのくらいあるか。それから三月三日のスキヤツプ・イビンによつてA類とB類とにわかれるのでありますが、このA類に属するトン数が全体どのくらいあつて、B類に属するものかどのくらいあるか。その他先ほど言つた三つの種類に属せざる船舶が全体どのくらいあるか。こういうことはプリントその他いろいろの参考書類によつて、われわれ委員にお示しを願いたのでございまするが、とりあえずそのトン数だけ本日お伺いしたいと思います。
○岡田(修)政府委員 船舶運営会に残存いたしまする船舶は、帰還輸送に従事しておる船舶でございまして、大約六万総トンであります。それから国際航海に従事しておりまする船は、今回の指令によりましてすべて民間側に返されるわけでございまするが、現在日本の領域外に従事しておりまするものは、月によつて違いまするけれども、大約三十万重量トンから三十五万重量トンでございます。今後この種の種類はクラスフアイされました場合にA類に入るわけでございますが、このA類に入るかどうかということは、船主側の選択になつておりまして、まだ何万トンが外航に就航するA類に入るか、あるいは何十万トンが内航に就航するB類に入るか、その点がはつきりしておりません。すべて船主側の希望によつてきめるということになつております。船主側は、この国際航海に従事する船は、一度A類に入りますると、その船が国内に帰つて参りまして、次の航海までの間に半月あるいは一箇月の期間がある。その間において、内地の航海を一航海できる程度余裕があるわけでありまするが、これが今度の指令で、はたしてそういう内国航路に従事することができるかというのは疑問であります。この点目下関係方面と打合せ中でございまして、外国航路に就航する船の上に横たわつている障害といいまするか、困難な事項がどう解決されるかというふうな事柄によつて、船主側は自分の船をA類に入れて、国際航海に従事させるかどうかということをきめるわけでございまして、船主側がその選択をいたしまする前提条件がまだはつきりしない点があるのでございまするから、船主側におきましても、まだその辺まで手が及ばないような次第でございます。
○米窪委員 ただいまの岡田海運局長のお答えは、帰還輸送をしておるのが六万トン、それからまだはつきりせぬが、船主の見通し等によつてA類に配属されると思われるものが三十万トン、こういうお答えであつたのですが、B類及びA、Bいずれにも属しないその他の船の概数はわかりませんか。
○岡田(修)政府委員 B類に属しまする船を、この指令によりましては四つの種類にわける。第一の種類が国際船級協会の規定に合致しております船、たとえばロイドのクラス、あるいはA、Bのクラスを持つております。第二種は日本海事協会のクラスを持つております。第三種はそういうクラスは持つてはいないが、経済的に運航できる船、第四種は経済性のない船、こういうふうな四つのクラスにわけることに相なつております。しかしこのクラスわけは、本年の九月一ぱいまではどのクラスに属しておりましても、繋船補助金を受け得るということになつておりまするので、まだ実はその指令につきまして解決すべき事項が多々ありまするし、そのクラスわけは今すぐに必要というわけでもございませんので、第一種が何万トン、第二種が何万トンというふうなところまで手か及んでいないような次第でございます。運営会から自営に移りまする船は、大修理その他の船かありまするが、大体百八十万重量トンくらいになるかと思います。そのうち大修理その他で実際オペラタブルな状態でない船がありまするので、オペラタブルな状態にある船といたしましては、百七十万重量トンで、従つて先ほど申しましたように三十万重量トンが外航の方に出るといたしますると、内航の方には百四十万重量トンくらいのものがBクラスとして残る、かような推定であります。
○米窪委員 A類、すなわち日本の外航に使用される船が、いろいろの制限を総司令部から依然として受けております。たとえば運賃の点であるとか、あるいは勘定決済の方法であるとかいうことで、いろいろ制限を受けておりますが、一たい総司令部の了解を得てA類へ編入されたものが、今日世界の海運状態が何といつてもスランプの状態でありまして、荷物がなくて、航海しても結局船主の経済が成り立たないので、従つてこれはせつかく外航適格船としてA類に編入されましても、一航海あるいは二航海のうちに、もう採算がとれなくなつたときに、これはB類へ入りたくても、一応スキヤツプ・インの趣旨によつてB類へ復帰できないということになると、そこに必然的な結果として繋船が行われる。失業船員が出て来ると思うのですが、その辺のお見込みはどの程度の繋船が行われ、それからB類へ復帰できないということになると、待機の補助金というものかもらえるのであるか、もらえないのであるか、すなわちB類並に取扱われるのであるか、取扱われぬのであるか。その点をひとつお答えを願いたいと思います。
○岡田(修)政府委員 先ほど申しました外航に従事しておりまする三十万重量トンから三十五万重童トンの中には、船級をとつていない戦標船も含まれておるわけでございます。そういう戦標船も司令官の承認を得ればAクラスに入り得る。従つて外航に従事させまする船は、よく荷物の動きを見て、その動きに適合した船腹を出さなければならぬ。今仰せられましたように、現在国際運賃事情が非常に悪いものですから、外航に普通に動いておりましても相当の赤字が出るわけでございまして、さらにこれが船腹が大量に出てその船か遊ばなければならないということになりますと、ますます船主の経済は苦しくなるわけであります。幸いにして今三十万重量トン程度の船が出ておりますのは、大体荷物に合つて動いているわけでございまするから、船主が外航船として指定いたしまする場合におきましても、その荷物に見合つて休みなく動かし得るという見通しのもとに指定することと思うのであります。また私どももそういうふうに指導いたしたい、かように考えております。ただいま申されましたのは、そういう船がいろいろの手続の関係、その他船主の責任でなしに船を遊休状態に置かなければならない事態があれば、これに対する補償はどうするかということでございまするが、私どもの考えといたしましては、そういう船に対しては、船主の責任でないのであるから、相当の補償を必要とすることが考えられるのでございますが、しかし一面におきまして、そういう補償は国家補助と考えられる――日本船の外国航路就航に対する国家の補助とみなされる点もございまして、今度の指令ではそういう補償の点も一切支給しない、こういう建前に相なつております。この点今回の指令が、日本の船が国家補助をバツクにして運賃の競争をするという誤解を一掃することによりまして、日本船の外国航路に就航する機会をできるだけ広げてやろう、こういう考えから出ておる点からいたしまして、今申しましたような補償の類は、一切できないということになつております。
○米窪委員 私のお尋ねしたいのは、総司令部との了解済みで、一旦A類に編入の許可を受けた、すなわちAクラスの許可を受けたものが、集荷の点、その他の事情でとうてい採算かとれなくなつて、繋船をしなければならないといつたときに、このスキヤツプ・インの文書によつて、B類に復帰ができないことになると、B類に許されている待機の補助金、すなわちごく少数の人間を置いておく人件費等も出ないと解釈するのがほんとうですか。その点を伺います。
○岡田(修)政府委員 その点は先ほど御答弁をいたしましたように、A類に入つた船が内航に就航できるかどうかということは、まだ関係方面でも研究中でございまして、私どもとしては補助金はもらえなくても、ぜひ内国航路に従事できるというふうにしてもらわないと、外航に就航させる危険性が非常に強くなるということで、目下考慮を求めておるのでございます。しかしそういう船がB類に入つて、繋船補助金をもらうということは、このスキヤツプ・インで強く禁止しておるところでございます。ただ内国航路に従事することを認めて、そういう船が繋船し、遊ぶことのないようにしたい、かように考えております。
○米窪委員 B類に属する船が繋船をした場合において、船長を含めて四人の繋船手当が出る。但しそれは八百トンないし二千トンまでの船で、二千トン以上のものについては何ら明文がありませんが、これについては何かの規定とか、あるいは見通しとかいうものがおありになるのですか。
○岡田(修)政府委員 二千トン以上の船にどの程度の乗組員を乗せるかということは、目下私ども運輸省、船主協会、海員組合、こういうところのメンバーで構成しております船員対策委員会で検討中でございます。まだ結論的なところに至つておりませんが、大体二千トン未満の船の乗組員数に応じて、それ以上の型の船の乗船員数を定めたいと考えております。
○米窪委員 帰還輸送に従事する六万トンの船と、先ほどお尋ねした三十万トンないし三十五万トンのデツド・ウエートの船、それから百八十万トンに上るB類、この三つの船の乗組員は大体どのくらいになりますか。
○山口(傳)政府委員 正確な数字は今はつきりしませんが、今度自営運航にまわります船腹の乗組員、予備員は、総体でおよそ三万くらいだと思います。正確に申しますと、その中から八百トン未満の分を落さなければなりませんが、どのくらい落していいか見当がつきません。それから運営会に残ります六万トンの帰還輸送船と米貸与輸送船の乗組員でございますが、この二りを合せて、ただいま約六千人でございます。
○米窪委員 A類とB類のお答えがありませんが、大体どのくらいの船員になりますか。
○岡田(修)政府委員 まだ正確な数を調べておりません。それから先ほどお答えしました十八万重量トンと申しますのは、これは貨物船だけでございまして、しかも内航就航船と外航就航船を合せてでございます。そのほかに民間側に移りますタンカーが約三十三万重量トンくらいございます。
○米窪委員 今日日本の海運で使われておる船員は、大体において乗組員と予備員とにわけることになると思いますが、乗組員が何人くらいであつて、これに対して予備員は何人くらいか。また高級船員と普通船員を通じてどのくらいになるか。これをひとつ御説明願いたい。
○山口(傳)政府委員 正確な数字はわかりませんが、大体この三万人という数字は、乗組定員に対して、予備員の高級につきましては二五%、普通船員については一五%を含めた総数であります。それに若干の差がついておる。大体は乗組員一〇〇%に対して予備員の二五と一五がくついて、それに若干のアルフアーがあるということでございます。
○米窪委員 そうすると三万人というものは船員の全員数であつて、そのうち高級船員の二五%、普通船員の一五%の予備員が入つておると解釈してよろしゆうございますか。
○山口(傳)政府委員 現在までの乗組員と予備員との構成はさようになつております。
○米窪委員 私がお尋ねするのは、それを入れて三万人であるか。こういう意味でございます。
○山口(傳)政府委員 さようでございます。
○米窪委員 外国船は大体においてデツド・ウエートのトン数一トン当り高級船員何人、普通船員何人というように、大体に比率のベースがあるのですが、日本ではその点はトン当り高級船員において何人、普通船員において何人という目安でお出しになつたのであるかどうか、それをお伺いいたします。
○岡田(修)政府委員 現在の乗組定員でございますが、昨年の四月、五月ころでございましたか、船主協会と全日本海員組合との間におきまして各船型に応じて実際の仕事の実情を見て、それぞれの定員数がきめられたわけでございまして、これは米窪委員が一番よく御存じでございますが、船の種類またエンジンの種類によりまして、乗組員数も違うわけでございます。それぞれの型及びエンジンの種類に応じて現在は昔と違いまして、いろいろ複雑な経済統制事務その他の事柄もありますので、そういう点を考慮に入れた合理的な定員がきめられておるわけであります。それでこの員数は外国船に比べまして相当多い員数に相なつております。ノールウエーの一万トン級の船で四十人そこそこのが、現在のA型の船では六十人余りかと思います。これにはわが国の置かれている経済情勢、並びに現在持つております船の質、あるいはたきます石炭の品質とか、その他いろいろな原因に基いておるわけでございますが、一応そういう話合いに基いた定員を立てておるわけでございます。
○米窪委員 わが国の定員が英国、米国、ノールウェー、そういつた諸外国の海運国の実情と比べて、デツト・ウエートの一トン当りの乗組定員が非常に多いということは、今ノールウエーの船の話の一例でわかるのでありますか、当局はその数が多い理由としては、船内設備がまだまだ日本の船では悪い。ことに戦標船においては悪いところがあるから、機械力か足らないとこるを人力をもつて補おう、こういうぐあいに御答弁があつたものと解釈するのですが、最近できる新しい船においても、同様の率をお認めになつておるのかどうか。
 それから日本の海運の総取締りをしておる政府は、将来定員制に対する御考慮を払われておるのか、これが第二点。
 第三点は、今まで船主協会と海員組合の団交において、この問題について交渉されたことがあるかどうか。この三点をお尋ねしたいと思います。
○岡田(修)政府委員 今お尋ねのあとの二点は、船員局長から答弁させていただきます。第一点につきましては、現在の新造船は、やはりその協定に基きました員数を対照してつくられております。この乗組員数か多いということは、一面において船価の点にも影響があるわけでございます。それからまた載貨重量はともかくといたしまして、船の貨物を扱う設備その他においても、船室をそれだけとりますがゆえに、幾分むりをしなければならぬという、乗組定員が多いことから来る不利な点が幾らかあるわけであります。こういう点を考えまして、今後日本海運がほんとうに外国海運と相伍して行きますためには、漸次経済情勢が緩和され、また新造船における設備が改善されることと相まつて、私海運局長といたしましては、労働側に十分お考えを願わなければならない点である。また政府といたしましてもなるべく考慮をいたさなければならない点であると、かように考えております。
○山口(傳)政府委員 将来日本の船舶につきまして、政府としては定員制をとるかというお尋ねでございますが、定員制は今日までのところは、要するに国際条約を基準として、船員法の中に最低基準を盛るようにいたしておりますが、そのきめ方はどういう船型について何人ということは端的にきめら、れませんので、労働条件としてこういう職場は、少くとし八時間制というような時間制をしいた結果、何人乗せなければならぬという形をとつて今までやつておりますが、現在の全体の乗組員が端的に多いじやないかというのは、一応そういう感じはいたしますが、海運局長の言われたことと究極においては私も同じ見地でございますが、いろいろ今までの沿革的にできて来た定員、ことに今やつておりますのは、先ほど申し上げましたように船員法の定員を最低として、その上に両者が、船主と組合とで協定された定員で、逐次これが減りつつあつたのです。これがどこまで減るかという点は十分研究しなければなりませんが、それは船の種類とか、船内施設の関係、あるいは機械化、いろいろなことを見まして、逐次そういうことを実現したい。それでなければ国際海運に競争はできないだろうと思つております。しかし現在のところは、船によつて総人員何人ということが出るような、機械的なきめ方はちよつとできかねると思います。
○米窪委員 将来日本の海運を健全化するために、船員の最低賃金の制度と不可分離の関係があるのは定員制だと思う。この両者なくしては、日本の海運は健全化しないと思うのですが、今の船員局長の御答弁は非常に頼りない。やる腹であるのか、やらない腹であるのか、この点は、日本はこの間の戦いで優秀なる船舶を、ほとんど全部と言つていいほど喪失してしまつて、戦標船だけが残つておると言つても、過言でないような状態である。依然として、戦争中の人員がそのままに温存されておる――温存されておるとは言いませんが、相当私は船を動かすのに、必要以上の船員が乗つておるのではないかと思う。しかしこれを整備するのには、やはり単に人を減らしただけではいけない。一人当りの賃金の最低賃金制によつて、これを保障してやることが必要である。この二つの制度は両々相まつて、日本の海運を健全化する重要な要素であると思うのでありますが、この原則について御当局は、何らかお見通しを持つておられるかどうか、その点をお伺いしたい。
○山口(傳)政府委員 ただいまの米窪委員のおつしやることは、ごもつともでございまして、何も私は最低の定員の研究をやつていないのではございません。むろんやつておりますがいろいろの客観条件を直して行く困難も実はあつたわけでございまして、御意見の通りこの定員制の研究、最低賃金の実現ということは、むろん今後の海運再建のためには、根幹になる、土台になるものだと思つております。両方とも、目下実は研究はいたしております。いずれ船員法の改正という形をとらなくてはなりませんし、最低賃金制につきましては、労働省とも連絡をいたして、ただ船員の場合は、陸とは労働の実態が違いますので、それらの点の研究を先般来内部的に始めておる次第であります。
○米窪委員 四月一日から、従来船舶運営会で雇用しておつた八百トン以上の船が、全部民営還元になるのについて、相当の船員が船主の自営のもとに参るのであります。それが先ほどもたびたび申し上げる通り、世界海運との競争において、Aクラスに入れるものが少い。しかも入れても採算の関係から、Aクラスから転落して、繋船しなければならぬというものが、相当出て、来る。この場合においては、相当の失業船員が出て来ると思うのですが、従来戦争中に失われた優秀船の船員、並びに船舶経済において失業をやむなくされた船員、それらのはけ口は全体どうなつたかということが、これから起る失業船員対策の上に相当重要なる示唆を示すと思うのでありますが、この労務の配置転換が行われたのであるか。単に船員の失業保険の費用だけでまかなわれたものであるか。私はそうは思いませんが、失業保険の給付のほかに、御当局としては労務の配置転換について相当御尽力になつたと思いまするが、大体そういつた点について、もし書類があればあとでいただきますが、大体どういう程度の労務の配置転換、その他失業対策をおとりになつたのか。この点をお伺いしたいと思います。
○山口(傳)政府委員 はつきりした退職者の行先につきましての資料は手元にございませんが、戦後におきまして、行政整理式の出血というのを積極的にやつたことは今までにないのでありまして、ただ戦後船腹に見合う船員としては、相当過剰をかかえておることは事実でございます。運常会当時に、陸上で待機しておつて、それが不満で、だんだんやむなく自然にやめて行くという、本人の意思によつてやめて行くのが相当量ありまして、今日ではほとんどわずかの過剰しかないという状態まで来ました。そういうような事情でございましたので、その退職された方に対して、積極的にどういう職場をあつせんするというような、いわゆる失業対策というような形で、政府は特段にはいたしておりません。なお退職者かどういうふうになりましたかということは、後ほど運常会自体の分でありますと、まとめればまとまりますから、調べたいと思います。
○米窪委員 海員組合は、英国のケーンズの理論から出発しまして、完全雇用ということを常に唱えている。これは今日日本ばかりでなく、英国においてすらなかなか困難であります。しかし英国は一応完全雇用の線を維持しているのですが、日本の今日の現状、ことに海運界における現状は、完全雇用ということは非常に困難だと思うでありまするが、政府の今の御答弁のような、失業対策について基本的な何らの御対策がないということは、非常に心細い。今度この四月一日から運営会が民間に還元することになつて、相当量の失業船員が出て来ると大体予想されるのであります。これは人によつて予想か違うのでしようが、船員の一部においては、約一万人くらいは失業者が出て来ると心配しておるのでありますが、船員局長はどのくらいの見当にお考えになつておるのか、お伺いしたい。
○山口(傳)政府委員 今回のスキヤツプ・インの実施に伴いまして、船員の失業か出はしないかというお尋ねでありますが、これは将来の見通しで、はつきりしたことは言いにくいのでありますけれども、ただいまのところは覚書によりますと、繋船した場合に船主に渡すもの、あるいは船員に真接渡すものとしては、繋船当番式の数名の人ということになつておりまして、表面にはそれだけのことしか書いてございませんが、その後の折衝によつて、いろいろと繋船の船員について関係方面に懇請をいたしておるのであります。ねらいは現在おります船員を、スキヤツプ・インの実施によつて失業者を真接には出さないように、すなわち繋船する船員に対しては予備員の給与をぜひ支給してもらうように、目下懇請をいたしているわけであります。従つて失業者は出さぬつもりで、ただいまのところわれわれは努力いたしております。
○米窪委員 従来の二五%ないし一五%という予備員のほかに、今回の民営還元によつて当然予備員がふえると思いますが、このふえる分はどのくらいであるか、お伺いします。
○岡田(修)政府委員 予備員の数も、何万トン繋船されるかによつて違うわけでございますか、まあ今の国内の荷動きから見まして、貨物船並びにタンカーを含めて八十万重量トンくらいの繋船を必要とするのじやないか。そういたしますと、まあネット・ウエート千トン当り十二人といたしまして、約九千人くらいですか、そこから乗船中の人間を引きますから、幾らになりますか、八千人くらいなものになるわけでございます。この数字ははなはだはつきりといたしておりません。
○米窪委員 まだスキヤツプの方の御交渉が、そこまで行つてないかもしれませんが、坊間伝えられるところによると、昭和二十五年度船舶運常会の清算といいますか、そういう意味において政府からして、そういう費用として出されてる予算が四十二億円ある。この四十二億円のうち、聞くところによると五億円程度が、人件費として使用が許されているように聞いておりますが、その五億円というものは主として繋船された約八千人――これは正確な数ではありませんが、繋船されたことによつて起つて来る予備員八千人に、向う一年間支給する給料と考えてよろしいのでございますか。その辺のところをお伺いします。
○岡田(修)政府委員 船舶運営会の補助予算につきましては、目下関係方面と打合せ中でございます。従いまして、この船員の予備員費として、どの程度にまわるかということも、未定でございます。船員の予備員費の支給方法その他、目下打合せ中でございますが、これの繋船に対する補助金として、船主の必要なる経費として支給する。かように考えておりまして、運営会の中にあります人件費その他にとらわれない。運営会の事費の一つというふうに考えております。
○米窪委員 その四十二億円の内訳をもしお洩らしいただければ、洩らしていただきたいと思う。つまりなお運営会に残つている船の運航費、あるいはその他配船費、そういつたものかどのぐらいあつて、それで、先ほど言う通り、総トン数大体八十万トンの繋船が起るという見通し、そうするとそれの繋船手当であるとか、あるいはそれによつて起つて来る失業船員、つまり予備船員の給料はどのくらいであるか。そういつた内訳がもしおわかりだつたならば、お尋ねしたいと思います。
○岡田(修)政府委員 それらの点につきましては、目下関係方面と打合せ中でございます。まずその前に先ほどお尋ねのありました各型の船に乗船中、船員を幾らにするか、それからそれに対する予備員を幾らに見るか。こういう検討が必要でございます。目下その検討をいたしておる次第でございます。さらにその池の経費にいたしましても、月下どの程度に繋船補助金として見込むかということを検討中でございます。今ただちにお答え申し上げるわけには参りません。
○米窪委員 今の御答弁は驚き入つた御答弁で、あと十二、三日でもつて民営還元というブリンシプルが具体化する。もちろん四月一日にすぐ八十万トン繋船されて、八千人予備員になるということは考えません。しかしここでもつて、その場合においてはどうするか。つまり予備船員に対しては、手当は別として、少くとも基本給料だけは向う何箇月間、あるいは一年間やるというブリンシプルが成立つておらないと、もう日がないのですから、私はその点は至急にGHQの方に御交渉なさらないと、何人か知りませんが、すぐ四月一日から失業者は続出して来るのですから、それらの点については、御当局にもつと御努力を願わなければならぬと思うのであります。これは私の希望ですが、おそらく失業の危機におびえておる船員諸君の、偽らざる心からの希望であると考えております。
 次にお尋ねしたいのは、私労働大臣の当時に、運輸省、労働省との間に、海事の問題について相互関連あるところの連絡機関を設けておりました。当然こういつた重大なる問題は、労働省との間に連絡会議を至急開いて、この民営還元によつて起つて来る予備員の増加ということに対して、労働省との間に十分な労務の配置転換、その他失業対策について、御連絡があつてしかるべきだと思いますが、御当局はどういうふうにお考えになつておるか、お伺いしたい。
○山口(傳)政府委員 労働省と運輸省との間に労働行政の連絡をはかつて大いに協力するようにというお話ですが、このために実は昨年六月でしたか、各省の設置制が改正されたときに、船員労働連絡会議というものを労働省の中に設けまして、それに労働省の各局長、たしか会長は大臣だつたと思いますが、向うの局長、こちらは次官以下で、それぞれ労政関係、基準行政関係、職業安定関係等、全部スタッフが出るようにして、機構もできまして、数回会議をいたしました。昨年の暮れでございましたか、例の政府内の各種の審議会、委員会の整理の問題が出ました際に、その点、労働省でどういうふうにいたされましたか。あのときの閣議の決定の線は、単なる両者間の連絡上のための委員会はやめろという一項目があつたために、これは非常に大事な委員会であるのに、あるいはつぶされておるかもしれません。しかしそれにはかかわらず、その後はそういつた会議はむろんやらなくちやなりませんし、そのほかに実は事務上の連絡の意味で、毎月両方から、主として、課長級でございますが、当務者が会合いたしまして、定例の月の打合会を現にいたしております。当面の問題、いろいろ両方で知恵を出して、情報の交換、並びに対策その他につきまして連絡をいたして、だんだんそれは昔よりは強化をいたして参つておるつもりでございます。
○米窪委員 現在の労働力の需給関係から言つて、今日は求人よりも求職の方がはるかに上まわつておることは、皆さん御承知の通りであります。ことに従来過剰船員のはけ口であつた農村というものは、農村恐慌が起つて来まして、農家の次男、三男が農業を手伝うことができずに、中小企業あるいは都会へ出て来るというような現状のところに、今度向う何箇月間、あるいは一年間、運営会で支給されるところの清算費のうちから、相当の金額が給料として支給されるということであるが、それも先ほどお尋ねしたところがはつきり金額がわからぬし、何箇月間給料をやるかもわからない。しかも何箇月間やつたあとは、その後はどうするかということも何らわからない。こういう状態では船員諸君が非常に心配するのはむりはないと思うのです。そこでそういつた社会の現状、ことに需給関係の険悪化等を御考慮の上、至急失業船員の対策を政府当局においてもお立てになることが、きわめて重大ではないかと私は考える。この点は強く御当局に要望を申し上げる次第であります。
 そこでとりあえず出て来る予備員の増加は、一応運営会に支給される清算費のうちからどのくらいまわるか知りませんが、向う一年間とわれわれは巷間働いておるのですが、給料として支払われるのですか。その期間か過ぎてからのものは、ただちにいわゆる失業者としてほうり出される。その間において政府はせつかくの経験があり、知識があり、体験があるところの船員、しかもこれは農村に行つてもすぐ間に合うものじやない。もう船を動かすだけきり能のない船員であるから、これらの失業者に対する対策としては、外航べ日本の船が一トンでも多く、一隻でも多く就航するようなことが望ましいので、今外航に行けない制限があるのですが、すでに先般議会において、共産党を除き、各派一致でもつて外航促進の決議案が出ております。この決議案の趣旨に沿うて、当時大屋運輸大臣から非常にりつぱなお答えがあつたのですが、しかしああいうお答えだけではだめなんで、具体的にどうする、何トンぐらい出るように増加する。あるいはいろいろ保険の関係や何なりに制約がありますが、そういう船級に対してはどうする、こうする。それから集荷の点についてはこうであるといつた具体的な案が、岡田海運局長お持であるならば、この席上において御発表願いたいと思います。
○岡田(修)政府委員 今回の指令によりまして、船をつないだ場合に、繋船の補助金を出す。その場合に船員については、すぐに解雇することなくして、予備員の給料を考慮しようという気持を現わしておりまする理由は、現在こそ荷動きが非常に少くて、繋船状態にあるけれども、できるだけ早くこの繋船の状態を解消して、日本の船腹が全面的に活躍するようにということを前提としていたしておるのであります。関係方面においても日本船の外航進出については、非常に努力をしてくれております。私どもとしても、もちろん日本海運の本来の使命でございますから、力一ぱい努力をしておるのでありますが、今具体的にどこにどうふえるかということをお話申し上げるまでに、具体的になつていないのであります。ただ民間の自覚になりました場合に、今までより相当日本船の活躍か期待できるであろうということは確言できるのでございます。今度の指令が出されましたのも、先ほど申しましたように、運営会制度という形で、国の補助をバツクにして日本の海運が出て行く。こういう面が非常に支障があつたわけであります。今度はそういう国の補助のバツクなしに、海運業者が自力によつて乗り出して行くわけでございまして、従つて今までのような障害もなくなる。日本船の配船増加について交渉していた相手も、受入れやすいという情勢がつくられるわけであります。また海運業者といたしましても、荷物をつかまえないと自分が死ぬわけでございますから、必死になつて集荷するであろう。現在、日本から出ておりまする貨物にいたしましても、いろいろの制約がありまする結果ではございまするが、自営になりました場合に、相当量日本船の利用がふえて来る、かように考えているのでございます。なお外航上の制約につきましても、連営会でありますると多少の制約があつて、船が遊んでも、やはり国家機関であるというところに、幾分のんきな点がありましたが、今度業者の自営になりますと、そういうわけに行かない。従つてその真剣さがより一層関係方面に伝わり、外航の諸制限の緩和も、早急に改善されるという期待を持つておるのでございます。私どもといたしましては、具体的な事例をあげてお答え申し上げることはできませんが、必死の力をもつて日本船を外航へ振り向けることを増加するようにいたしたい、また期待できる、かように考えるのでございます。
○米窪委員 私、先見の明を、決してここで自慢を申し上げるわけではないのですが、今から三、四年前に、私はイデオロギーの問題でなく船主経済の立場から見まして、船舶運営会を今日のような状態にするということに対しては反対した。それは社会党の言つているような、国営だとか国家管理というような、そういつたイデオロギーの観念から出発したのではなく、運営会には補助金が毎年出ておるが、これが民営に還元したときには、その補助金がそのまま継承されないで、船主に補助金が出ない。しからば船主は集荷の点、運賃の点その他の点において、必ず採算がとれなくなつて、繋船のやむなきに至るであろうということを予言して、これに反対したのでありますが、当時インフレ下における楽観論に押されて、政府も船主もいわゆる民営還元ということをしきりに主張したために、今日のようなデフレの時代になつて民営還元ができたために、今日見るがごとき非常な海運界の危機、混乱が起つたのであります。そこで三月三日のスキヤツプ・インの指令が出たあとで、はなはだ困難でありましようが、私はA類にせよ、B類にせよ、こと、にB類の船においては、運賃のダンピングが起り、元を割つて、運航費を下まわるようなダンピングが行われて、勢い好むと好まざるとにかかわらず、繋船が非常に増加することになるのじやないか。そこで私としては政府御当局の御努力によつて、運営会から八百トン以上の船が民営になつたという原則は私はもつともと思いますが、何とかして当局の了解を得て、何らかの方法において――今度は自運営営会、CMMCということになるのですがこのCMMCの管理のもとに、四月一日以後相当の船を残存せしむる見通しはないのであるか。あるいは御努力されるのであるか。この点は岡田海運局長にお尋ねをしたい。
○岡田(修)政府委員 この指令によりまして、帰還輸送船を除いた一切の船は、民間に返すということでございまするので、過剰船腹を運常会の管理下に置くということは、非常に困難であり、あるいは困難以上に不可能と考えておりまして、それに運営会の管理下においてつなぐかわりに、今度の指令による繋船補助金をもつてつながそう、こういう趣旨でもございますので、その趣旨にのつとつて、最も円滑に相当船腹が繋船されるような方法を講じたい。これには現在事業者団体法その他の法律がございまして、統制的な行動を船主にとらしむるということが、非常に困難でありますけれども、しかし方法によつては、そういう法律に触れないで、十分効果を上げ得る措置がとり得る、かように考えるのでございます。目下その点につきまして、船主側と協議、対策を講じつつあるわけでございます。要は船主側がこの事態をどの程度に認識するか、またこの船に乗組んでおる船員諸君がどの程度に認識し、協力して行くかということにかかつておるのでございます。過去において海運の不況があり、繋船の相当あつたときがございまするが、その当時に比べて、今回の事態はお話にならないほどひどい。悲惨な事態になるわけでありますので、関係者みな協力してこのスキヤツプ・インの趣旨に従つて、船腹充実の局的を達するようにしたい、かように考えておる次第であります。
○稻田委員長 米窪君、運輸大臣が見えましたから……
○米窪委員 私、相当時間をいただいたのですが、この問題は日本の海運界が生きるか死ぬるかの重大問題ですから、同僚各位の御了解を得て、もう少し質問を続けさしていただきたいと思います。
 この失業船員、予備船員の乗船を、吸収するといいますか、解決するというもう一つの方法は、新造船を建造することにあるのであります。政府は大体これに対しては、七十億の対日見返り資金を懇請して、これによつて二十五万トンかの新造船をつくるということであります。これはちようど大臣がお見えになつたのですが、この点はわが党の主張である債務の償還ということに、相当の見返り資金を使つておるのですが、もう予算が通つてしまつたのですが、そこを何とか融通してこの新造船の建造の方の費用をもう少し多くすることができないかどうか。この点をちようど大臣がいらつしやるから、大臣にお側いいたします。
    〔委員長退席、尾崎(末)、委員長代理着席。
○岡田(修)政府委員 今、大臣は途中から見えまして、御質問の要旨がちよつとわかりませんので、私からこの問題だけかわりまして、御答弁を申し上げさしていただきます。本年度におきましては、造船関係に対する見返り資金は、約八十五億出ております。それは二十七万五千トンの新造に対する分と、それから約三十三隻のA型改造に対する資金でございます。これが来年度に本年度の計画に対する残りの金として、約七十億余りがなお必要であるわけでございます。さらに来年度におきましても、運輸当局としては相当量の新造をいたしたい。少くとも二十万総トンの新造をいたしたい、かように考えまして、来年度の見返り資金の使用を、国内の関係各省と打合せをしておるわけでございます。ただ御承知のような今回の措置によりまして、海運界も非常な影響を受けまするので、どの程度に実際の希望があるかどうかは、疑問の点があるわけでございます。
○米窪委員 この見返り資金からいただく金と同額の金を船主が出さないと、新造船はできない。従来は船舶公団があつて、船主負担のうち、さらに八割くらいは船舶公団でこれを持つておつたのですが、それがいよいよ四月一日からなくなるということになると、船主は見返り資金と同額のものを自己負担するということに対しては、非常な困難を感じておそらく一流の船主でなければ、建造はできないということになると思います。しかるに一方においては、農業の方面では農林中央金庫があり、協同組合の方にはそれの特別な金庫があるのにかかわらず、かくのごとき重大なる、危機に際会しておるところの海運界の方には、その金融機関として、海事金庫とでも称すべき何らのものもないということは、政府当局の非常なる認識不足であると私は思う。この点、そういう低利の貸金ができるところの海事金融金庫というようなものが、近い将来においてできるお見込みかどうかということを、私はお尋ねいたします。
○大屋国務大臣 これだけの尨大なる資金を要する、しかも長期にわたつて要する資金に対する特別の金融機関の必要なることは、十分に認識しております。特にただいまの船舶金融に対して、特別の金融機関を設置すべしという議論は、従来もしばしばでございますので、これは大蔵省と私の方でただいま研究中でございますので、そのうちに何とか結論が出ると思つております。
○米窪委員 今の大臣の御答弁は、一応抽象的ですが、御誠意があるように伺つたのですが、一例を申し上げますと、大阪商船会社の資本金は三億円、これは評価がえをしない前です。ところが最近できた大阪丸というのは五億円、この船一ぱいが海難にあつてしまえば、大阪商船はつぶされてしまうという状態にある。船価は非常に高い。この高い船価の船を動かしておる海運業者のために、大臣の今の御答弁の一日も早く実現化することをお願いする次第であります。
 もう一つお尋ねしたい点は、最近ラウンドリー汽船会社と日本の汽船会社の提携の話が、二、三の民間汽船会社との間にできておるそうであります。そういう会社ができると、当然外国船がコーポレーシヨンの形で入つて来まして、ただでさえ就航できない日本の海運会社が、これらのために非常なる混乱に陥つて、繋船数はどんどんふえると思います。われわれはこれには反対でありますが、これに対して政府は何らの手を打つていない。そういうことは相ならぬと禁止してもおらぬし、これを見逃しておるようでありますが、これに対して当局はどういう御意見を持つておるのか。この点お尋ねいたします。
○大屋国務大臣 ただいま米窪君御指摘の、ラウンドリー会社が、合弁会社を組織し傭船をするという話はありましたが、目下立消えの状態になつておると考えております。ところがまたそれと違う系統で、パナマ、あるいはホンジユラス籍の船を傭船して、日米の合弁汽船会社をつくろうという企てかございまして、外資委員会などにかかつておりますが、これをめぐりまして実は政府部内としましてまだ意見が一致をいたしておらないのでありまするが、運輸大臣といたしましては、日本の海運の現状にかんがみまして、さような外国の裸傭船を目的といたしまする合弁会社の設立ということに対しては、当分の間これを許可制にいたしまして、日本の海運の運営の現状とにらみ合して、これの出願がありました際には、吟味して拒否を決するという態度をとつております。それの法律を目下議会に提出しようといたしておりまするが、実はまだ政府部内で意見がまとまりかねておりまして、最も近い将来にこれが解決いたしまして、その法律を出すことと考えておる次第であります。
○米窪委員 パナマにかりに船籍を置くことによつて、トン税その他の税金を免除して、運航費を格安にしようという企てが従来もあつた。この問題についてはITF、すなわち国際運輸労働組合あたりが、国際的な重大問題であるとして、パナマ運河と非常に対立して、かくのごとき船籍の船がその国へ来たときには、積荷その他一切ボイコツトするという、国際的な非常な大問題が起つたことがある。また日本においても、こういつた種類の船が来ることは、いたずらに船員の失業者を多くすると同時に、日本の船主を圧迫することになりますから、大臣においてもこの種の問題については、断固たる決意を持つていただきたいと要望申し上げるのであります。
 最後にお尋ねしたい点は、これも立消えになつたかどうか知りませんが、英国の中古船、あるいはアメリカのリバテイー、あるいはビクトリアというな型の船を、英国の場合においては中古船を購入する。アメリカの場合においては裸傭船で日本へ輸入する。これは日本の船舶法の関係で非常に困難だと思いまするが、一応失業船員吸収のめたにも役立つのではないかと思うのでありますが、これについて大臣あるいは御当局の御意見を伺いたい。
○大屋国務大臣 ただいま米窪委員のおつしやられたような事柄は、今までちよいちよいありましたが、いずれも大口のものは立消えになりましたが、目下一隻だけ中古の船を日本へ売船するという件に対しましては、申出がございます。まだこれをいかように処理するかきめておりません。
○米窪委員 一応私の質問は保留して、本日はこれをもつて終りたいと思います。
○尾崎(末)委員長代理 発言の通告があります。これを許します。林百郎君。
○林(百)委員 いろいろの問題がありますが、私は海員関係のことだけに大臣に対する質問を限りたいと思います。
 昨日も大臣が、いずれ次の機会がいいからということで答弁が保留になつておりますが、スキヤツプ・インによると船舶運営会から船舶の民営移行の問題について、この場合に海員労働者諸君にどういう影響があるかということを、まずお聞きしたいと思います。
○大屋国務大臣 あのスキヤツプ・インを実施いたしました場合に、この内航の繋船をいたします場合には、繋船補助金を出すということになつております。ところがその補助金の内容が、十分であればいいわけでありまするが、これがあのスキヤツプ・インに盛られておりますだけの費目から判断いたしますると、十分ではないのでありまして、従いましてあの通りそのまましかやれないということであれば、非常に海員の給与問題に影響が起きることになります。
○林(百)委員 大体このスキヤツプ・インによつて、日本の船舶は、できればA、B、Cの各グループがいいと思いますが、繋船される船の数と、それから繋船された場合に船員はどうなるかということ、それからその繋船に対する補償の金額が、海員の諸君にどの程度の補償を与えるか。もう少し具体的に答えを願いたい。
○大屋国務大臣 第一問、大体大ざつぱに見当をつけておりまするが、今日本に百七十万トンの船舶があると考えております。そのうち、外航でこなしがつくのを三十万トンといたしますると、あとの百四十万トンが内航で処理すべきものである。ところが今の荷物のぐあいを見ますと、やはり六、七十万トンの繋船を余儀なくされるのじやないか。こういうふうに大ざつぱに考えておるのであります。従いまして六、七十万トンの船舶の乗組員が、それぞれ下船する。しこうしてそのスキヤツプ・インにうたわれております繋船の国家の補助金というものは、船員に対して船長を含めて、八百トンから千トンまでの船を例示いたしておるのでありますが、船長を含めて四人、焚料、船用品あるいは保険料というようなものが、数項目例示してありまするが、それだけではとうてい給与を満たすことができない。従いまして目下当局といたしましては、関係方面に対しましてあのスキヤツプ・インの実行によつて、失業者を出さない方針のもとに、繋船によつて下船する全船員に対しまして、予備員の給与を支給し得るようにしていただきたいという標準のもとに、目下懇請をいたしておるのであります。そこでそういう目標で懇請をいたしておりますのですが、ただいま具体的にと申されましたが、今スキヤプ・インにうたつてある繋船の支出し得る費目では、どのくらい不足するか。この四項目のスキヤプ・インにうたつてある程度の繋船料だけでは船員の給与上どのくらいの不足を来すかということは、ひとつ局長から説明いたさせます。
○岡田(修)政府委員 今度の繋船補助金のうち、船員の給与が実際にどうなるかということでございますが、スキヤプ・インの上では最低の保険料と船用品、港におります場合のバンカー、それに繋船番人程度の最低の乗組員、こういうことになつておるのでありますが、それ以外に、先ほど大臣から答弁いたしましたように、それによつておろされる船員を予備員として見る、こういうことでございます。従つて船員の給与としては、繋船番人として残される乗船中の船員と、従来その船に乗つておりまする予備員の給料、これだけを盛るようにいたしたい。かように目下交渉中でございます。
○林(百)委員 六十万トンあるいは七十万トン繋船になるのですが、これによつて予備員となる船員の大体の数、これを一つ。それから第二としては、予備員の給料はどのくらいの額支払えるのか。普通の給料の何割を払うのか。全部を払うのか。あるはそれを払う時期。一体いつまで払うのかということの見通し。この三点をお聞きしたいと思います。
○岡田(修)政府委員 先ほど米窪委員の御質問に対しましてお答えいたしましたトン数と、ただいま大臣が答弁されたトン数と、ちよつと食い違いがありましたことを御弁解申し上げておきますが、私が先ほど百八十万重量トンと申しましたのは、大修理その他で動かないものを含めたのでありまして大臣の今仰せられたのは運航可能の状態にある船が貨物船で百七十万トン、この点ははつきりしております。それから繋船になるであろうというトン数でございますが、これは見る人によつて非常に違うわけでございます。大体私どもは、貨物船で六十万トンから七十万トン、タンカーを含めて八十万重量トン、これぐらいであらうと思つておりますが、これは実際船主が希望するわけでありまするから、はたしてそれだけ出るかどうか。荷動きとして繋船されるならば、その程度繋船されることになるわけでございます。これに対する予備員となる船員はどのぐらいかということは、実は今手元にはつきりとした数字を持つていないのでございまして、大略先ほども八千人くらいかということを申し上げました。この数字は、あるいは間違つておるかもしれませんから、あとで正確に調べまして、もし間違つておりますれば、訂正させていただきたいと思います。予備員の給料は、船員局長の方から御答弁さしていただきたいと思います。
○山口(傳)政府委員 ただいま関係方面へ懇請をいたしております予備員に入るという案が、かりに案現いたしますと、正確な数字はちよつとわかりませんが、高級船員で害えば一人当り平均およそ八千円ぐらいだと思います。
○林(百)委員 何割になるのですか。
○山口(傳)政府委員 大体高級船員が八千円程度、普通船員が五千円百円程度、高級普通を平均しますと六千五、六百だと思います。この給与の出し方は、予備員といたしましては、乗船手当とか、航路手当とか、そういつたものがなくなります。すなわちこの中身を分折いたしますと、予備員になりました場合には、本俸と扶養家族手当、この二つだけになりますから、さような数字に見当がつくわけであります。時期と申しますると、支払いの時期……
○林(百)委員 再び乗船して、普通の船員として仕事をするまでずつと払うのか。あるいは一定の期間だけ払つて、あとは何としても責任を負えないといつてつつぱなしてしまうのか。その辺はどうなのですか。
○山口(傳)政府委員 いずれその負担分につきましては関係方面と相談の結果できた要旨によりまして、予算を編成して、またその予算を向うと最後的に、折衝するわけですが、予算では二十五年度の予算として、別にその中で途中何箇月しか見ないというような考え方ではございません。二十五年度の予算として組む予定でございます。
○林(百)委員 そうすると二十五年度の予算の中には、一年度中のものを組むのですか。
○山口(傳)政府委員 組みたいと言つて折衝するわけであります。
○林(百)委員 実は御承知の通りにこれは四月一日から実施しなければならない。それでもうあと残るところわずか二週間余りだと思います。また関係方面の意向としては、むしろこの際相当の犠牲者を出してもやむを得ぬというような意向だということで、予備員とし、予備員の予備給料を払うというような方法は、大分困難だということも仄聞しておるのでありますが、その辺の実情をできる限りのところをお知らせ願いたい。これは海員の立場に立つて考えてみますと、非常に自分の一身にかかわる重要な問題でありまして、しかもそうした重大な立場に立つている海員が、全日本の海員の三分の一以上に達するということになりますと、重大な社会問題になると思いますので、でき得る限り将来の見通しについて、詳しいことをお聞きしたいと思います。
○岡田(修)政府委員 この指令を出されました本元の関係方面と折衝しておるわけでありますが、そこでは今お尋ねのような考えはございません。この指令によつて、ただちに船員の方に大きな影響を与えることのないようにという気持のようでございます。しかしこれを具体的に実施いたしますまでには、関係方面の他の部局とも十分打合せを遂げなければなりませんので、私どもとしてはできる限り先ほど来大臣その他から答弁いたしましたような趣旨で努力いたしたい、かように考えております。
○林(百)委員 これは政治的な責任として大臣にお聞きしたいのだが、われわれの聞くところによれば、日本の海運業にある程度犠牲が出てもやむを得ぬ、また海員諸君の中でこのために犠牲が出ても、やむを得ぬという意向のように聞いておるのだが、今の海運局長の答弁を聞くと、非常に楽観的な見方をしておるのでありますが、ここで運輸大臣として、このたびのスキヤツプ・インに関する海員労働者諸君に対する犠牲はないということ、それからかりに最悪の場合でも、予備員あるいは予備給料というような形で、その生活を保障するということをお約束できるかどうか、責任が負えるかどうかはつきりお聞きしたいと思います。
○大屋国務大臣 実はこういうことを御答弁申し上げますが、スキヤツプ・インの実施が四月一日になつておりますし、それから繋船の場合の費用の支出が、先ほど来申し上げました通りにああいうふうにうたつてありますものの、四月一日の実施をもう少し先へ延ばしてくれということ、それからあそこにうたつてある繋船の補助金をもつと増額してくれということを、数日来交渉いたしておりましたが、これは実は断られました。そこで私が本日冒頭に申し上げました通り、失業者を私は出したくないという趣旨に基きまし定、せめて予備員の給料だけでもやつてくれという線を目下強調しております。運輸大臣といたしましてはもちろん船員の失業者を出さない、しかして最低線は、この予備員の給料だけはどうしても支払つてもらいたいという懇請を、目下熱心にやつております。これは相手のある仕事でありまするが、私本心からこれはやつておりまするから、さよう御了承願います。
○林(百)委員 どうもくどいようで、またここだけにこだわりたくないのですが、一生懸命にやつていることは了解するのだが、それで大体責任が持てるかどうかということです。これは海員組合の諸君にとつても重大な関心事で、場合によつては実力を行使してもこれは守らなければならない問題で、いいかげんに済まない社会的な問題にもなると思います。大臣が努力するということは一応了といたしますが、その努力が実を結んで、大丈夫海員諸君の期待に沿うようにできるかどうかという責任ある回答ができるかどうか。できないならできないでよろしうございますから、御答弁願います。
○大屋国務大臣 これは普通の話合いのときに、あるいは質疑応答の際に、慎重に考慮し努力いたしますというものの中にも二色ありまして、儀礼上の分と、ほんとうに真からそう思つているのと二つあるが、このことはほんとうにそう考えてやつているのだから、さよう御了承を願いたいと思います。
○林(百)委員 大分禅問答のようですが、これはこのくらいに打切りまして、次に差迫つた問題ですか、たしか私らの仄聞しているところによりますと、アメリカからチャーターいたしましたリバテイー型八隻、Cワン型五隻、合計十三隻をアメリカへ返還することになつて、すでに出航しているのではないかと思います。そこでこれがアメリカに掃つた後に、これに乗組んでいる日本の船員、大体一隻四十五名くらいで、六百名くらいの船員になると思いますが、これは一体チヤーターした船をアメリカへ返して、帰りはどう送られて来るのか。また送られた後日本へ来てからどう処置されるのか。それをお聞きいたします。
○山口(傳)政府委員 お話の通り十三ぱいで、これが二回にわかれて参りまして、そのうち一ぱいに皆乗つて帰つて来るという方法であります。この返還米船乗組員に対しましては、返還業務についてのいろいろな手当の問題、それから帰還後の処置といいますか、どうなるだろうか、職場がそれだけ減るわけでございますから、この問題につきましては目下折衝が真剣に続けられているので、まだ具体的には確定いたしておりません。
○林(百)委員 そうするとこれはまだ目下折衝中というところで、責任のある回答ができないというように解釈するよりほか道がないと思いますが、具体的にどういう折衝を行つておりますか。もう少し具体的な内容、他の船に配船し直すのか、あるいはやはり予備員としてしまうのか、どういう保障をするのか、もう少し具体的な交渉の内容を聞かしてもらいたい。
○山口(傳)政府委員 終戦後、米船を返した前例は実はございます。そのときにいろいろと手当を出した既成事実がありますので、その線は当時組合も了承し、運営会においてそれだけの手配をしたわけでございますが、その前例によりまして、目下先方と交渉いたしているのであります。手当等につきましては、いろいろの種目にわたつております。向うに滞在するところの費用だとか一々覚えておりませんが、かなりの項目にわたつて、前例によつて要請をいたしております。帰りましてからのことにつきましては、それだけ職場も少くなるので考えてやらなければなりませんが、この返還業務が終るのが、これまでの経験からいたしまして三月くらいと見ておりまして、それ以後の措置につきましては、まだ若干時間の余裕があります。当面最初の返還に行く手当につきましては、第一船団がたしか昨日出たはずであります。あとの船団が月末に出ますので、それに乗つて行く船員にだけはせめて間に合せたいと思つて折衝いたしておる状態であります。
○林(百)委員 そうすると、これについても責任のある答弁を聞くことができない。しかしこれ以上いくら問答していてもしかたがないと思いますので、次の問題に移りたいと思います。このたびのスキヤツプ・イソに対しまして、私はたしかラジオで聞いたのですが、運輸大臣は二つの面を主張されていた。一つは日本の海運が国際的な広い場面に、再出発することになつたというような明るいことを言つておるのですが、その第二の点としては、反面今の状態では非常な犠牲が来るというようなことも言われておる。われわれは率直に考えてみまして、今のこういう状態で、しかもかかる条件で、たとえば外航に関するすべての条件は、GHQでとりきめる。それから一旦内航と外航と区別されたものは、将来交互にかわることもできない。それから日本の商船には、外国からの給水あるいはいろいろの食糧補給、積込みの便宜も何らないということになつて突き放されて、はたして日本の海運界がこのスキヤツプ・インによつて、非常な発展的な方向へ行くというようなことが、ほんとうに考えられるかどうか。その点をひとつ率直に大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○大屋国務大臣 これは原則はやはり運営会方式が廃止されまして船主船がもどされて、船主の自覚ということになるのですから、たいへんこれは海運業の本筋にもどつたわけであります。ところがただいま御指摘のように、実は外航の問題にいたしましても、まだ通商航海条約というものは締結されておりませんので、船がAの港からB、Cの港に入出航する場合に、その船ごとに一々証明書を当局からもらわなければならぬということ、それからまた燃料やいろいろな船用品、食糧品の補給というような問題にいたしましても、非常に不便があり、まだ代理店なども海外に持つことができませんから、荷物が自由に集荷ができない。従いまして非常な制約のもとにおいて、国際的な海運に伍して行くためには、非常なこれはハンデイキヤツプがあるということをそのままにして、実はこのスキヤツプ・インが出ましたわけですから、このスキヤツプ・インを私が受取りに行きましたときに、即座にそれらの点を指摘いたしましてこれではとうてい目的を達成することはできないという意見を述べました。先方も、もちろんそれはよくわかるから、逐時それらのトラブルを解決して行くように交渉しようというお話がありまして、目下それらの点につきまして、たとい通商条約はすぐ期待できませんけれども、日本の外洋船が自由に、世界のハンデイキヤツプのないところと一緒に行けるような実効をかち得るために、いろいろな項目について交渉をしておりまするし、同時に船会社自身の方でも、それぞれどういう対策を講じたならばいいかということを、しき」りに研究をいたしておる次第であります。
○林(百)委員 大臣の御心中は了とする点があるのであります寸か、私どもの調査によりましても、たとえば海外航路に従事する船の許可は、最高司令官に対して申請する。それから最高司令官に対し、予定されておる運営表を提出する。それから日本国外の代理人としての取扱いに対するすべての運賃の精算も、最高司令官を通じなければ行われない。それからクラス・ボートは外航配船を要求し得るが、しかし司令官の許可のある場合はクラス・ボートを得ないでも外航船の資格を有するということ、外航船の許可かあつた場合は、その後は内航船にもどることが許されなくて、しかも外航船には補助金を与えない。内航船の繋船に対しては商船管理委員会の補助費の範囲内で補助費を与えるというような条件、そのほかいろいろな条件もありますが、こうした条件では、日本の船舶を外国航路に就航させるということは、現状ではまず不可能ではないかというふうに私どもは結論づけておる。大臣も大分苦衷を訴えるような答弁でありましたが、ごもつともだと私どもは思うのであります。そこで次に考えられるのは、結局外国船をチャーターして日本の会社と外国の海運会社とが合弁の形で、やつて行くというような形が出て来るのではないかと思いますが、これについての大臣の見通しをお聞きしたい。
○大屋国務大臣 日本の外航船に関するいろいろな制限があり、これが運営上非常な障害になるという事実があつて、高い運賃でなければ就航かできないということから、ただいま林君の仰せられました通り、外国の船を裸でチヤーターして、日本人の船員を乗組ませ、合弁会社をつくつて、安い運賃で荷物を運ぼうというもくろみがもう出て参つております。しかし私どもといたしましては、日本の戦後壊滅した海運業を復興いたさなければならぬ。そこで見返り資金の融資などを受けまして、第五次新造船、あるは2Aの改造というようなことで、現在は非常にプアーであります外洋船を、来年の今ごろまでには八十七、八万トン隻数にしまして百三十一、二隻の外航に耐える船をつくろうということで、海運の再建をいたしておりまするし、そとべ持つて来て形もとにかくフリー・トレード、航主にもどつて自由に航行できるということで、不完全ながらも根本政策は非常にいいのでありますがさて実際は非常なハンディキヤツプがありまして、今の裸傭船式のものに飛び込まれては、それに太刀打ちできない面もあるのです。しかしこの裸傭船をやつて、今そういう合弁会社をつくるという考え方は、日本の既存の船会社には、外国の船を傭船とすることは許されておらぬのでありますから外国人と日本人と合弁で会社をこしらえて、それに自由に裸傭船を許すということになりますと、さなきだにハンディキヤツプのある日本の海運業が、つまり国際的の、一時的のそういう安い運賃の船で攪乱をされるということになりますので、運輸行政の監督者でありまする運輸大臣といたしましては、そういうことを歓迎しないし、喜ばない。また現在はそういう合弁による外国の船会社と日本の船会社との提携による裸傭船というようなことは、許可すべきではない。また許可していい場合にはいたしまするか、これは許可制にいたしまして、フリーにそういう仕事ができるようにしたくはないという方針をとつておりますが、しかしながら一面から考えますと、日本が自国の船でどんどん外航に出て行くことはいいのだが、運賃が高くては世界的に競争ができぬのじやないかということになります、か、そこはまた日本の船で競争に耐えられるように、しかもいういろいろ船会社方面とか、あるいは造船のコストとかいう方面に合理化を行いまして、日本の今の船会社の自営で、うんと安い運賃で、世界の水準運賃で営業が継続し得るというところまで、日本の海運界を持つて行くために、私たち当局も、それから業者自体も、そこまでこぎ着けるように努力をしなければならぬのです。ところが今の裸傭船、合弁会社は、たとえてみると、日本のセメントを南米へ運ぶときに、日本の船で運ぶよりも、その合弁会社の傭船システムで行けば、非常に安いというようなことがありますけれども、それが三百六十五日ずつと継続して、日本から南米へそういう安い運賃で持つて行けるかというと、これはある断片の、セクシヨンを切つて、たまたまその船が帰り船で、復航につまり賃かせぎをする。そして安い運賃で行けるという場合がしばしば見られるのでありまして、それを継続してやることはできない。国際水準の運賃というものは、おのずからそこに標準がありまして、今日本に話がぼつぼつありまする運賃は、その航海だけをとつてみますと非常に安うございますが、継続的にさような安い運賃では行けないというような話を持つて来る。ですから運賃が、日本船で運ぶよりも外国船の方が安いじやないか。外国船を雇つた方がいいじやないかということは、それは一時的の現象をとらえての話で、それが一年もずつと継続して何航海も行けるというほどの根拠のある話ではない。非常にあやふやな、しかもちよつと見の安いオツフアーがたくさん来ている。それに一応眩惑されまして、いろいろな説をなし、いろいろな企てをなす者がありますが、運輸当局といたしましては、そういうものよりも、むしろ日本の海運を根本的に能率化し、合理化して、そして世界的水準の運賃で太刀打ちできるように育成して行きたい。こういうふうに考えますが、林君の御指摘のような事実が、ちよいちよい見えておることも事実であります。
○林(百)委員 この問題については、政府当局の中でも意見の対立があるということを仄聞します。運輸当局としては、原則としてそういう外国からの裸傭船という方針に反対だというのですが、あるいは安本あたりがそれに賛成しておるとか――これは仄聞ですから、あるいは事実と違うかもしれませんが、そういうこともわれわれ聞いておるのであります。やはり運輸大臣の言う通り、外国との合弁というような方式でやることは、結局日本の海運造船業を恐慌のまつただ中へ投げ込んで、外国の大きな海運資本に日本の海運を隷属させることになるから、私どもも実は反対しておるのであります。ところが実際はすでにラウンドリー・カンパニーと日本郵船、大阪商船、三井船舶との間の三社提供の合弁会社の設立の計画、あるいはグリフィス及びスチブンソンと山下、川崎汽船との合弁というような方向が、大分具体的に進んでおりますし、このまま事態を放置すれば、そうした方向へ行かざるを得ないというようにわれわれは考えるのであります。ここで私は、私どもの党のこれに対する方針などを喋々と述べることは差控えたいと思いますが、ただやはりわれわれとしては、一日も早く全面講和を締結しまして、日本の国の海運の、文字通りの、名実ともに独立した、日本政府並びに日本の海運業者の完全な自由と独立のもとに、海運業を営むことができるような状態を、一日も早くつくるということ、さらには、特定国あるいは特定の方面とのみの取引ではなくして、広く中国、あるいは朝鮮、あるいはソビエト、東ヨーロッパというようなところとも海運を開くということとこういうような方向へ一日も早く日本の国の政治を持つて行かなければ、海運業の完全な自由と独立と発展というものはあり得ないと思います。その点、私は大屋運輸大臣の苦衷は察しますけれども、吉田内閣のもとでは、なかなか運輸大臣の考えているような方向に行かないじやないかと思われるのであります。最後に私お聞きしたいのは、かりに日米合弁になりました場合に、そうした外国から裸傭船しました船に乗つている海員諸君の待遇の問題でありますが、これはほとんど日本の労働基準法だとか、いろいろな日本の法律の適用がなくして、あたかも日本の国の敗戦のみじめさを一身にになつたような形の苛酷な労働条件で、外国からの傭船で働いているということをしばしば訴えられるのであります。これはよく聞いてみますと、どうもそれが事実らしいのでありまして、まつたく捕虜と同じような扱いを受けるというような情勢のようでありますが、事実はどうか。またこれに対して、少くとも傭船した以上は、これは日本の海運業に従事しているので、日本政府の監督のもとに従うのでありますから、当然日本の法律によつて保護されるべきものは、保護されるべきだと思います。外国から傭船したからといつて、それに乗組んでいる海員が、捕虜と同じ扱いを受けることはないと思いますが、この辺の実情はどうかということと、将来十分そういう点は注意してやるべきだと思いますが、その点について運輸大臣の見解を聞きたいと思います。
○大屋国務大臣 林君の前段の御質問と御意見の中に、ラウンドリーとそれからグリフィスの二つの合弁会社の話が出ましたが、先ほど米窪委員の御質問に答えたのですがラウンドリーの方は、もはや打切りになつております。それからあとの方のグリフイスの方の話は、まだ打切るところまで行つておりませんが、さように御了承を願います。
 次に、そういう合弁会社をつくつて、それに裸傭船ができて、日本の船員を乗組ませた場合には、これが合弁会社である場合には、やはりGHQのスカジヤツプの監督を受けます。従つて日本の労働法を適用いたしますので、林君御心配のようなことはあり得ない建前になつておりますし、また戦後合弁会社が、日本の船員を傭船形式で乗組ませて就航したという事実はございませんから、御質問のような事実はございません。
○林(百)委員 建前はそういう建前だと言いますが、たとえば外国から傭船しました船、あるいは外国船に日本の海員が海員労働者として従事している場合に、今運輸大臣の言うような――たしか建前はそういう建前のはずなのが、実情は大分ひどい扱いを受けているようであります。ですから十分に実情を調査して、なお私の方も十分実情を調査し、具体的な材料を提供するつもりでありますが、今そちらでも話があつたと思いますが、合弁会社で傭船したという形は、たしかまだ合弁会社ができてないと思いますから、あるいはそれはないかもしれません。あるいは要務者として乗り込んでおるのかと思いますが、いずれにしても日本の国の要務者は、日本の国の法律で保護されるべきだと思いますが、大分ひどい取扱いを受けておるようです。大臣の方も何か関係方面と接触する場合には、十分その実情を関係方面に伝えるとともにわれわれもよく調べまして、具体的な材料を提供いたしますから、十分御配慮願いたい。かりに合弁の形になつたとしても、そのときの労働条件が、依然として外国人に対する要務者と同じような扱いを受けるということになりますと、これは日本の海員労働者諸君にとつては重要な問題でありますから、この点を十分注意していただきたい。
 最後に、われわれが資料として察したいことでありますが、最近の海運の荷動きの状況、どういうものがどういうふうに動いてどういう国籍の、どういう国の間の品物はどう動いておるかということ。この資料をひとつ次会までに提供してもらいたいと思います。同僚の議員の質問もあると思いますから、私の質問はきようはこれで打切りたいと思います。
○大屋国務大臣 ただいまの御質問でありまするが、外国会社との合弁会社は、まだできておりません。従いまして合弁会社に日本の海員が雇われて、それに乗組んでおるという事例はございません。林君もつけ加えられましたが、多分それはいわゆる進駐軍要務者として、進駐軍の船に日本の海員が就航しておる事実はございますから、あるいはその辺の問題じやないかと思いますが、これも慎重によく取調べましてまた御報告いたすことにいたします。
○上村委員 大臣の御説明で大体わかりましたが、海運の革命的な変革時において、これは大きな外国資本の犠牲に日本の海運がなるということになるわけですが、しかもその最も先端に立たせられるのが、海運労働者のようであります。予備員ということは、海員側からいうと、非常に姑息的な救済方法であつて、結局仕事をしない者に給料を払うというような、不徹底な救済の仕方であり、一時的なものであるわけであります。私はそれを悪く言うわけではありませんが、この際こういう戦争の跡始末、特に海運労働者諸君は、最も戦争の苦痛をだれより如実に味わつた労働階級であるわけです。しかもこの労働者は、海の仕事だけをしておる労働者であつて、特にほかの失業者と違つた経験、あるいはきゆうくつな就職というようなものしか持つていないわけであります。それをこういう姑息的な――姑息的と言つては失礼かもしれませんが、こういう方法で満足しておられることは、この際私どもから見て非常に遺憾に思う。せつかくの大臣の御好意ではありますが、はなはだ不徹底である。でありますから、この際これがうんと準備のつくまで引延しをして、そうしてやるか。それは今大臣はお答えできないというのですが、何かもう少し徹底的な救済方法を考える意思はないかということを、ここで確めておきたいと思います。
○大屋国務大臣 今の上村君の御質問ですが、一番いいのは少し実施期を延ばしてもらうのが一番いいのですが、これは絶対に聞いてもらえなかつたので、やむを得ず繋船をした場合に、予備員程度の給与を支払うように、目下懇請しておるわけです。どうもそれ以上に名案というような方法は、根本的に日本経済を隆盛に導いて、内航の荷物の出入の量をふやすという以外に方法がございませんので、やむを得ずそういうふうに考えておる次第であります。
○上村委員 そうするとその予備員という救済方法は、大臣においてはどの程度まで見込みがあるわけですか。
○大屋国務大臣 これは今懇請をいたしておるのでありまして、まだ向うの返事がございませんし、今ここでどの程度見込みがあるかということは、先ほど林君からも質問がありましたが、ちよつと申し上げかねると思います。
○上村委員 よろしゆうございます。
○石野委員 同僚各位の質問でほとんど出尽しておるようでありますから、重複を避けまして、二、三御質問いたしたいと思うのですが、その前に今度のスキヤツプ・インで一番問題になりますのは、日本の海運業を関係方面では、非常に外航に伸ばしてやりたい。そのために力こぶを入れて、そうして今度のような民営の形をとつてくれたのだ、こういう御説明でございます。これが政府の考え方であり、向うの考え方であるというふうに承つたのでありますけれども、しかしその結果としては、全然逆になるということが、しばしば大臣及び政府委員のお言葉ではつきりしておると思うのであります。そこで私は今一応ここでお聞きしたいと思うのでございますが、船主がA類を希望する。その場合に自己計算でやつていけないということについての問題でありますが、これはただスキヤツプ・インの内容からのみ来ておるのでありましようか。それとも何かほかにも自己計算でやれないという理由がおありなのでございましようか。この点ひとつ政府の所見を伺いたいと思います。
○大屋国務大臣 外航に適する船をたくさん所有しておりまして、五はい所有しておりましたものが、その五はいのうち、二はいだけを外航にまわしたいという届出をしまして、その許可を受けてこれが外航に行く。あとの外航適格船でも、三ばいは内航に使つてもいいという建前になつておるのですが、これはやはり外航には今のいろいろな制限もありますし、国際の荷動き、運賃、市場というようなものがありますから、単に自分の持船を金部外航に届けてしまつて、五はいのうち、かりに二はいしか十分な採算がとれない。十分でないにしても、採算かとれないということでは危険ですから、そこにそういうような行き方をスキヤツプ・インにおいて認めて、船主の自己選択によつて、持つておる船の一部は外航に登録して、一部は内航に自由に使え為というような意味合いであると私は考えます。
○石野委員 だから船主の自己選択にまかしておるのであるという御趣旨はよくわかるのですけれども、しかしただいまの船主の実態は、進みもならず、退きもならずという形になつておるのであります。外航に就航しましても損は出るし、内航につくには荷動きがない。繋船はもちろん自己の負担ではとても維持できないという実情になつておるのでありますから、これはやはり今の運輸大臣の御説明のようにすることによつて、日本の海運は将来発展するというような根拠にはならないだろうと思うのでございますけれども、その点についてはどうですか。
○大屋国務大臣 今日本の海運が不振であるということはいろいろなことがありますが、海運自体の面に限局して考えてみますと、船が外航に適格的でないということ、通商航海条約がないために、船が一ぱい一ぱいに寄港する港にクリアランスを一々スキヤプ・インからとらなければならぬということ、こちらの船会社の代理店も先方にございませんから、盲めつぽうで、世界の運賃市場を自分の自主選択の余地がない。いろんなハンデイキヤツプがあるのですけれども、そのハンディキヤツプをとつてしまつて、しこうしてお互いが五次造船で見返り資金七十億、他の資金七十億というあんばいに、適格船の優秀船をつくつて参つて、優秀船が、どんどんできて、しこうして制限が撤廃されて、船主が統制経済にあらざる自由経済のもとの自己計算による外、航に進出して、うんと勉強して運賃市場で活躍するということをやれば、必ず日本の海運は発達することは間違いない。今はちようど統制経済から自由経済えの移りかわりを四月一日からやろうというのですから、そこに非常なわだかまりがありますので、これは統制経済から自由経済に移行する各種の現象をここ二年間見て来て、あなた方御経験の一環のいい例だと思つております。
○石野委員 スキヤツプ・インは、日本の置かれた現在の経済環境との間に、このような姿が出て来たのだという御説明、一応納得できる点もありますが、それ以上重要な点は、やはり吉田内閣の経済政策の中に問題がある。いろいろな施策の中にあるのだというふうに考える。たとえば為替レートの問題等も、当然これに関係する問題であろうと思つております。いずれにいたしましても、そのことは別にいたしまして、とにかく自己計算ではどうしても成立たないような実情に置かれるこのスキヤプ・インが、ただいま三月三日に出まして、それについては大臣の努力によつて四月一日からのを延期を希望したけれども、それもだめだつた。それから繋船料の引上げについても、それもだめだ。予備給料を受面的に出してくれる点のみに、今それこそ真剣になつて懇請しておる、折衝中であるという御説明があつたのでございますが、この予備給料が、もし今政府が意図しておるようなふうに認められなかつた場合におけるところの諸情勢について、どのような対策をとられようとしておられまするか。この点については、これは労働大臣とも関連性があるわけでございますが、所管の大臣としての御意見をお聞きしたいと思います。
○大屋国務大臣 懇請しております予備費程度の支出を、向うでかりに万が一拒絶されたという場合においても、やはり船員をただそのままほうり出して、失業のちまたにほうり出すということは、いわゆる失業を出すということはよろしくないことなので、そこである程度はやはり船主体自己の資本を、経費を食い込んで、マイナスを続けて、船員にある程度の生活を保持できる程度のものをやるというようなことから一応やつて、いたずらに失業者を出さない。要するに失業者を出したくないということに対しまして、またいろいろな手をかんがえなければいかぬと思いますが、その手を一々ここで羅列するわけに行きませんが、何せ早い話が、予備費程度の支出を拒絶されるということになりますと、船主が運航で相当利益を出しておる場合でございましたならば、その方からどんどん給料を支払つていいのですけれども、船主も荷物がないので繋船しなければならぬ状態だつたら、営業上の収入がありませんから、船主が船員に支払いをして遊ばしておいても、しまいには元まで食つてしまうから、こういう姑息な方法は長続きしないということになりますので、ともかくも予備員程度の給与は懇請いたしまして、もしもこれが不幸にしてうまく行かぬという場合には、次から次といろいろな手を打ちたいと思つております。
○石野委員 大臣の御答弁では、何としても失業は出したくないというお話であつた。それにもかかわらず、予備員の給料の問題が認められない場合には、次から次へ手を打つとおつしやつたが、ここで一々その対策を羅列することはできないということの意味は、非常に重要にお考えになつておられるからだということはよくわかるのですけれども、しかし次から次へ手を打つということだけではわれわれは十分納得できないし、ことにこれの直接の該当者となつております、いわゆる全乗組員の三分の一に相当する約一万の海員諸君は、このことのみ今真剣な問題を考えておると思うのであります。従つてこの担当の大臣であられる大屋運輸大臣は、次から次へ打つ手というものが、はたしてその何がしかのものを予算化するということの意味なのであるか。その可能性があるかどうかということについて、はつきり承りたい。
○大屋国務大臣 私はこの問題を真剣に失業者を出さないよう考えておるのですが、この方式が断たれた場合には、ちようど私たちが失業した場合には、あしたからどうしよう、持つておるものを一応売ろうかというところ、それも食つてしまつたらどうしようかといつて考えてみても対策が立たないと同じで、これをやつてもらえなければ非常に困ります。ところで今それらこの方策につきまして運営会と船主と運輸省の三者で一生懸命考えておりますから、まずこれを第一段としてやつて、これがはずれたら次から次と、いろいろ対策の待合せがあるように誤解を生じたかもしれませんが、これが蹴られれば非常に困ります。それではそれにかわる対策を、何か二番手、三番手があるかと言いましても、今船員局長に聞いてみたらないそうです。
○石野委員 船員局長に聞いてみたらないそうだということでありますが、さきに四十二億のうちの五億円というものが、船主に対する繋船補助費として一応きめられておるけれども、この四十二億の中には、ほとんど予備員に対する経費は組んでないのだということを、さきに岡田海運局長でございましたか、船員局長さんでしたか、御答弁があつたようであります。そこで、今手がないというだけでは、政府の無策を暴露するのでありまして、私どもにとれば、むしろ政府はそれだから無能だと言つてしまえばしまいだけれども、それでは済まない。現にそれに該当する人々がやはりいる。しかもそれが四月一日から、それ以上はこんりんざい一日も延ばせないということの御返事があつたのだという御答弁をいただいおる。われわれとしてはこれは非常に重要であります。政府がもしこの問題について施策がないというと、非常に大きな問題を惹起すると思いますので、もう少し誠意のある御答弁といたしまして、何かそうした予備員に該当する人々えの予算的措置の方法についての見通し、あるいはこれは努力的なものでもよろしいのですが、政府の誠意ある大臣の御答弁をいただきた、いのであります。
○岡田(修)政府委員 先ほど米窪委員からの御質問に関連してのお言葉がございましたが、この船員を予備員とした場合の金は、運営会の経費の中から、関係方面でいいとなれば、出せるわけでございます。別にこれに対して五億円とかいう制限はないわけであります。関係方面でそれを出していいという了解を得れば、十分出せるわけであります。それからただいままでの関係方面との交渉は、先ほど大臣からたびたび言いましたように、ここで確言するというようなことはできませんが、非観した状態でないということは言えると思います。その辺でひとつ御推察を願いたいと思います。
○石野委員 運営会から、もし関係方面の許可があれば、その予備員に対しての若干の経費的なものが出るのだということと、それから最近の折衝の過程においては、そう悲観したものでないということは、非常に含みのある言葉のようにも聞きますけれども、しかし何にいたしましても、四月一日というものは非常に厳粛に迫つて参つております。だからこの問題は、家に妻子をかかえてあらゆる海員諸君にとつては、非常に重要だと思うのでございます。のみならず、これはひとり海員だけではなくして、船主の方々に対してもまた大きな問題であり、やがては日本の海運界自体の壊滅を意味するものとさえ思われる重要な問題でもございますので、この点はただいまの政府の答弁があるにもかかわらず、私は再三にわたつての質問をしなければならぬと思うのでございます。いま一度お尋ねいたしますが、二十五年度の予算はすでに衆議院を通つたわけでありますけれども、このうちにおいて、政府といたしましてただいまの形において向うと折衝し、よろしいと言われればというふうな折衝の内容でございます。折衝の過程に盛つてある内容として、どの程度の経費をお組みになつておられるかということをお聞かせ願いたい。
○岡田(修)政府委員 先ほど米窪会員の御質問に答えましたように、ただいま海員組合、船主協会、それから運輸省が一緒になりまして、繋船中の船に対して何者を乗組ませるか、予備員として何者を見るかということを、ともに考究しておるのであります。これは二、三日中にでき上るかと思います。それによりまして一定の繋船トン数を推定いたしまして、来週中には関係方面との話合いを終えるようにいたしたい、かように考えております。
○石野委員 それに対する経費を算定する基礎としていろいろなことを考えておるということは、再三にわたつて聞いております。それが二、三日中には出るのだということでありますならば、そう深くつつこむことはございませんが、私この際お尋ねいたしますけれども、それならばこの繋船のトン数が、先ほど伺いますと約八十万トン、大臣によれば七十万トンくらいでございますが、そういうようなものは、これだけの量が出るということについては、当然国内における内航の荷動きという問題が、関連しておる問題だと思うのでありまけれども、そういう荷動きとの関係において、将来にわたつてこの繋船はどの程度続く見通しを持つておられるのか。ただいまではなく、少くとも本年度内においてどの時期に解消される見込みを持つておられるか。
○岡田(修)政府委員 これは非常にむずかしい御質問であり、また私どもとしても当然考えなければならないものでございますが、非常に推定の困難なものでございます。現在は荷動きが一番少い。荷主の方では、四月以降になると海運会社の競争によつて運賃が下るであろうというので、出荷を差控えております。そういう関係で非常に少い。もう一つは、運営会制度ですと、どうしても役人商売になりまして、荷主の方のかゆいところに手が届くように手がまわらないということもありまして、これが四月以降自営になりますと、内航においても相当量荷物がまわりはせぬか。外航におきましてもなるほど切りかえ当時におきましては、いろいろの制約もあり、あるいは外国の代理店との連繋等もとれないために、十分伸びるとは考えませんが、先ほど言いましたように、船主自体の力、それから日本政府一体となつた努力、並びに関係方面の好意によつて相当量外航においても期待できる。こういうことでこの夏ごろからは、ただいま申しましたような過剰船腹も、ある程度減少するのじやないか。しかしこれが全面的に解消するというふうなことは、今の内外の荷動き状況からいつて困難かと思います。
○石野委員 ただいまの局長のお話では、若干の見通しは明るいものがあつたとしても、全面的にこれを解消させることはできないというような事態であることがはつきりしたわけであります。それであるだけに、私はやはり他面では四月一日の切りかえの延期も拒否されあるいは繋船料金の引上げについても拒否されておる実情にかんがみまして、やはり下船する予備員になられる諸君に対する手当というものは、喫緊の問題としてこれは考えてもらわなければならぬ大きな問題であると思います。これは先ほど林議員も言つておられましたように、社会問題を惹起するであろうとさえ思います。しかしただいままでの政府の御答弁では、まだ十分にその資料が整つていないようでもございますので、私はこれ以上この際としては追究はいたしません。しかし希望といたしましては、どうしても四月一日までにそれに対する対策をとつていただきたいということを、二、三日後にわれわれはその返事を得たいということを申し上げておきます。
 それからただいまの荷動きの問題と関連してでございますが、スキヤツプ・インでA類に所属するところの船は、おそらく私どもの見通しでも非常に小さい数であろうと思うのであります。従つて八十万総トンからの繋船があることとにらみ合せて、外航の問題が、昨日の新聞報道にありましたアチソン長官の、いわゆる中共との貿易の問題と関連いたしましで、どういうような形になるであろうかということについての見通しを、一応聞かせていただきたい。
○岡田(修)政府委員 まだ中共との貿易がどういう形で許されるか、従つてどういう荷物がどの程度に動くかということにつきましては、私どももはつきりとした情報を持つておりません。ただ日本船の戦前におきます配船状況から見ますと、われわれの方でいわゆる近海域と申しておりますが、朝鮮、満州、中国、台湾、南の方は香港、樺太を含めまして、内地沿岸を除いて、大体この方面に百五十万重量トンくらいのものが動いておつたかと思います。ところが現在この方面に動いておりますのは、約十万重量トンそこそこかと思います。従つてこういう面における配船場所が狭められたということが、日本海運が今日非常にきゆうくつになつている一番大きな原因であると思います。
○石野委員 ただいまの問題について、局長は将来の見通しとしては明るいというふうに見ておられますか、どうか、
○岡田(修)政府委員 中共方面のことにつきましては、私何とも申し上げかねますが、朝鮮、台湾方面におきましては相当量ふえるもの、それからその他南方地域につきましても相当ふえるもの、かように期持しているのでございます。
○石野委員 ただいまの点について大臣のお考えを承りたいと思います。
○大屋国務大臣 日本経済がだんだん復興して行くにつれまして、また同時にいろいろな国際関係の好転というような事柄をにらみ合せて、やはりただいま局長の言いました通り、テンポはあまり早くないかもしれませんが、先は伸びるべきものであると私も確信しております。
○石野委員 非常に待機船が多くなりまして、繋船の量が多いということから、やはり船主の間においても、また下船をしている予備員の皆さんにしましても、いわゆる自己防衛といいますか、そういう態勢を必然的にとる傾向が出て来るというように予想されるのであります。たとえば荷待ちをしておりますところの待機船が、特にその船の海運なり、運航ということについて、自由放任という形のスキヤツプ・インの趣旨であつたとはいたしましても、いわゆる共同責任態勢というものをとることが予想されるのではないかと思いますけれども、もしそういう態勢ができましたときに、このスキヤツプ・インの趣旨とのにらみ合せにおいて、政府はどんな取扱いをされようとしておりますか。
○岡田(修)政府委員 現在船主の間で自然発生的に、お互いに親近性のある者同士が集まつて、繋船あるいは配船についての円滑なる実施をはかるような話合いができております。これは事業者団体法その他の関係もございまして統制的にはできませんが、どうしてもそういうような事態になりますと、お互いに手をとり合つて仕事をして行くよりありません。たとえば日本の海運経営の特殊の形態でございますが、船を動かす船主というものはごく少数であります。大部分の船主は、その船を動かす海運業者に傭船に出して、傭船料をもらつて食つて行く。そういう形態であります。そういう日本海運業に従来から存しておつたような形態をとるか、あるいはその他の形態をとるか存じませんが、自然発生的に経営の集中化と申しますか、あるいは経営の合理的な運営を行うように、目下いろいろ船主間において対案が練られているのでございます。
○石野委員 そういうような実情であるということは、私も予想されますので、それに対して政府としてはどういうふうな態度で臨まれるかということを私はお聞きしたいのです。
○岡田(修)政府委員 私どもといたしましては、法律に触れない範囲においてできる限り、そういう合理的な経営方策を進めるようにいたしたいというように考えて、船主側とも協議し、その具体的な実行方策について、指導と申しますとたいへん語弊がありますか、相談に乗つているわけでございます。
○石野委員 もしそういうような態勢が船主側に整いまして、しかもそれらの諸君が非常に自覚のある運営をし、しかも著しいダンピング等を行うことなくして、海運の自分たちの運営を維持して行こうというような努力かはつきりわかるような場合においては、政府はこれに対して何らかの援助を示されますかどうか。
○岡田(修)政府委員 具体的にどう援助するかということの方針といいますか、措置は持ち合せておりませんが、そういう方向に向うように、また円滑に仕事をやつて行けるように指導いたしたいと考えます。
○石野委員 どうもなまず問答のようなもので、結局ピントが私の思うようなところへ一つも来てはくれませんので、非常に遺憾でございます。これでは四月一日に控えましたスキヤツプ・インの実施が、非常に憂えられる状態になるいうことを私はおそれるのでございます。おそらく約一万人に及ぶ、ところの下船しなければならない海員諸君はその人たちに襲いかかつて来ている苦難を切開こうと、ただいま非常な決意をもつて努力していると考えます。もしこのことが強硬に実施されるといたしまするならば、それこそこれらの諸君はその組織を通じて、自分たちの苦しい実情を政府に訴え、またその筋に訴えて、自分たちの生活を守ろうという努力がはつきり出て来るのじやなかろうかと私は思つております。おそらくその場合には、これらの諸君は絶対に下船しないというような態度をとることによつて、自十分たちの意思表明をするかもしれないと私は思います。このような場合に、はたして日本の海運の秩序と将来を期待することかできるであろうかということが非常に憂えられておりまするが、この場合にあたりまして、運輸大臣はどのような処置をされようといたしまするか、これを私は本日の最後の質問にしたいと思います。
○大屋国務大臣 私はあなたの今の考え方にはあまり賛成しません。一生懸命努力しておるのであります。いわゆる人事を尽したという心境でありまして、仮想の場合に仮想の答弁をし、仮想の施設をするということは私は好ましくありません。
○石野委員 どうも総理大臣の御答弁をそのまままねたようなお言葉で、はなはだ恐縮するのですが、どうもそれには賛成できないのです。大屋運輸大臣は、仮想のことに対して答弁はできないと申しまするけれども、大臣自身も言われておりまするように、四月一日から以後はこれを延期することはできないということは、ただいまでははつきりしている。繋船料を上げることもお断りを食つたということもはつきり言われております。そうして下船される諸君に対する予備給料の問題についても、ただいま難航しているというような実情がはつきりしたのでございます。これは大臣としてはなるほど人事を尽しておられるのでございましよう。その点は私もよく了承するのでございますけれども、それとは別に、それと対照になる海員諸君にとつては、自分たちのおまんまの食い上げどきが来ているということを、ひしひしと感ずるで、ありましよう。妻子を抱えた諸君は、今後どうやつて生活して行つたらよいか、おそらくわからないでしよう。先ほど上村委員からも言われておりましたように、海員の特色から申しますると、もし海員が船から揚げられたならば、かつばが陸に揚つたことと同じようなことになり、おそらく生活の道さえも得られないだろうということを、私は憂えるのであります。今日日本再建の途上におきまして、これは非常に悪い状態を残すものだと思いますし、しかもこの事実は海員だけではなくして、将来の日本の海運界を危険にさらすものであるということは、すでに大臣自身も御承知なのでありましよう。そのようなときに、仮想の事実というようなことで御答外を忌避されることは、私は心外でありますので、どうか大臣はあまり肩はらないで、親切な御答弁をくださいますようにお願いいたします。
○大屋国務大臣 石野君がこの現実の問題を、非常に深く御心配くだすつておるお心持は、私も実によくわかりますし、またただいまの質疑応答でもありましたように、今最善を尽してやつておりますので、それが失敗しましたならば、またその次のことを考えるとして、この問題は海員組合も参加いたしまして、運営会と運輸省と三者が、今真剣に考究いたしておりますので、これくらいの程度にいたしまして、こういう場合が起きたときはどうかということは、これはその次のことにいたして、悪い場合が起きましたならば、またその悪い場合を征服いたしますように、大いに努力をいたしたいと思います。
○石野委員 いま一つお聞きいたしたいことは、海員の諸君に対する退職手当の問題でございますが、これはさきごいわゆる退職手当の交付金の問題についての法案が、国会を通うたわけでございますけれども、あの問題を通じてもわかりますように、運営会から船主に返還されました船員諸君の退職手当というものは、船主に保管されてしまつておりまして、本人たちには返つていないわけでございます。現在のように失業という問題が目の前にがらついておりますときに、退職手当金問題に対する新しいいろいろな要求が出て来ようかと思いますし、それをはつきり確立することが、今日の急務であろうと思うのでございますが、この点について政府としてはどういうふうに考えておりますか。
○山口(傳)政府委員 退職金のことをお尋ねでございましたが、この問題につきましては現に組合から運営会並びに船主協会の方に要請が出ておりまして、交渉と申しますか、折衝中でございますが、しかしまだ交渉は妥結を見ておりません。それで運営会から傭船制に切りかえたときには、退職金は法律に書いてあるように、船主に渡すようになつておりますが、あれは船主協会、運営会、組合の協定ができて、現在は一旦船主に行くべきものを、その手から船員退職金管理委員会に一括預けまして、退職するときには規定の率で利子を差上げるということで、船主自体は握つておりません。
○石野委員 その点についての説明はよくわかりましたが、できる限り早くその要精のある問題についての解決をしなければいけないと思うのでございます。そういう点について政府は積極的にそれを推進するという決意をもつて臨んでいただきたいということを私はお願いしまして、一応本日の私の質問を終ります。
○滿尾委員 同僚議員からいろいろ現実の問題について質問が出ましたので、私は少し角度をかえて、わずかばかり御質問を申し上げたいと考えます。
 第一は、今回の民営への還元は、ちようど予期しておられた時期であつたかどうか、早過ぎたのかおそ過ぎたのか。特に民間の船主側の受入れ準備状態はどうであつたかということであります。
○大屋国務大臣 これは実は私どもの予期に反した方向に行つたのであります。最初は外航と内航とわけますにつきましても、運営会の予算を四十二億円とりまして、これは外航にまかして、内航の方は国家で管理する。外航はフリーにいたしまして、内航は管理をするというような方式でわれわれは考えておりました。従いまして予算も四十二億、外航だけに使うというふうに考えをいたしましたところが、最終の結定はただいまのスキヤツプ・インの通りに現われたのでございます。
○滿尾委員 わが国の海運復興の目標を、運輸大臣はどういうところにおいておられますか。さらに具体的に申しますれば、今後約五箇年間におきまして、わが国の外航の船腹をどの程度に充実したいという目標を立てておられるか。同様にまた五箇年間におきまして、内航の船腹をどの程度まで充実したいという目標を持つておられるか。第三といたしまして、日本の海運といたして、内外の船腹の均衡的な構成、つまりバランスをどういう程度に考えて行かれるのであるか。この三点についてお尋ねいたします。
○岡田(修)政府委員 海運復興の目標でございますが、実は日本経済が通常の状態に復帰する場合においては、少くとも四百万トンの船腹を持つようにいたしたい。こういうのが一応の目標でございますが、さらに最近の五箇年計画といたしまして、安本が中心になりました海運復興五箇年計画というものを立てたのでございます。ちよつとここで私数字を記憶しておりませんので、後ほど資料をお届けいたしたいと存じますが、その計画は大体二十五万総トンくらいずつを、毎年つくつて行く計画であつたと思います。しかし今日の海運情勢には非常に変動がございますし、ごとに最近この日本の海運を中心としての動きというものが、非常にかわつて来ておりますので、その計画通りに進み得ない実情にあるわけでございます。たとえば本年度のごときは、計画は二十五万トンでありますが、実際には三十万トンまでつくる。本年度も二十万トンぐらいはつくりたいと思つておりますが、はたして業者の方からそれだけの希望が出るかどうかわかりませんし、実際の実行はそのときどきの情勢に左右されるということにならざるを得ないのであります。それから船腹の構成でございますが、これも詳細な資料があるのでございますけれども、ちよつと今持ち合せておりません。大体の船型から言いますと、小型の船が非常に多い。それから総トン数六千トン以上の大型船もまた非常に多い。中間の中型船は、非常に少い、こういう状況でございます。ところで大型船が外航のできる適格船でありますればよろしいのでございますが、その大型船のほとんどすべてが、いわゆる戦時標準型のA型船、これが約五十万重量トンあるわけであります。実際外航適格船として外国の船級協会のクラスを持つておりまする船は、現在におきましては十一万総トン、重量トンで約十七万重量トン程度のものしかございません。目下私どもり努力は、それらのA型戦標船を改造いたしまして、外航適格船として真に大型船としての目的を達し得るようにということと、新造船を建造いたしまして、外航に就航し得る適格船舶を増加いたしたい。大型船の数は多いのですが、実際に外航に就航できる大型船というものは非常に少い。そういう実際に外航に就航し得る型の大型船を増加するというのが目標でございます。
○滿尾委員 ただいまお尋ねしました中で、外航船と内航船との船腹のバランスをどういうふうにお考えになつておりますかという点についは、御答、弁がなかつた。これも一応お答えをいただきたい。それから海運復興の目標について、目標はおありのようでありまするが、そのときどきの形勢に押し流されるようなお口ぶりに拝聴いたしまして、私は非常に残念に思う。日本の海運復興なんということは、わが国再建の最も重要なポイントでありまするから、相当の困難がありましても、紆余曲折を尽しても、どうしても目的を達成せねばならぬという気魄をまず運輸省自体においてお持ちにならねばいけないと私は考える次第であります。まず均衡の点を伺います。
○岡田(修)政府委員 内航船と外航船の、バランスの問題でございまするが、御承知の通り現在日本の外航を認められておりまする区域が非常に限定されており、それから対象となる貨物も非常に少いものでございまするから、現実の計画といたしましては、どの程度に外航の船腹を充実し、内航の船を持つかということは、ちよつと計画が立てにくいのでございます。しかし目前に見まするように、内航船舶は現在もう非常に過剰でございます。外航に出る船のみが非常に少いものでございますから、今後つくりまする船は、全部外航適格船をつくつて、できるだけそのときといいまするか、今後日本を中心に動く貿易貨物に応じた船腹の確保をはかりたい、かように考えております。計数的に今幾ら外航船を整備するかということは、先ほど言いました海運復興の五箇年計画に掲げておりまする、一応仮定の数字によるほかないわけでございまするが、ただいま手元にございませんので、後ほど申し上げたいと思います。
○滿尾委員 それでは、今度は運行のコストのことについて教えていただきたいと思うのであります。まず外航船についてでありまするが、先ほど大臣なんかのいろいろな御答弁のうちに、代理店が持てなかつたり、またいろいろ運行手続の煩瑣なものがつきまとつておつたり、ただいまのところ占領治下にありまする関係で、さような特殊の制約があるということですが、しかし日本船舶のノルマルな状態において、裸の状態において考えてみまして、外国の船舶との対外的な競争力の点におきまして、もし目前ありまするところの特殊な制約を除いた状態におきまして大臣は先ほど非常に自信のあるお話でありましたが、もう少し内容的に立ち入つて、なぜその大臣の自信が生まれて来るか、そのよつて来るところをちよつと明確にしていただき」たいと考えます。
○岡田(修)政府委員 これは資料のとり方によつているく違うのでございます。資料のとり方と申しますのは、対象になる貨物、あるいは航路によつて違うわけでございまするが、今私の手元に持つておりまするシャトルからばら小麦を積んで横浜に持つて来まする場合、かりに運賃が六ドルというふうにいたしまして、在来船と新造船とのコスト計算をしたものがございます。在来船では有馬山丸、これは一番優秀船でございまするが、これで持つて来まする場合に、大体これは非常に専門的な言葉になりまするが、有馬山丸で六ドルで小麦を持つて来る場合に、運賃の中から傭船料として出し得る限界があります。それが一箇月一重量トン当り八百十七円、これをわれわれの方ではチヤーター・ベースと言つておりますが、それに対して有馬山丸の傭船料として見た場合のコスト、これをバイヤー・ベースと言つておりますが、これが三百四十円です。そうすると、一重量トン当りで四百七十七円もうかる。ところが新造船で参りますと、そのチヤーターベースすなわち運賃の中に含まれておる傭船料を出し得る限度でありますが、これが先ほど言いました有馬山丸では八百十七円であるのに対して、新造船では八百十円、その傭船料原価が千二百六十円、そうしますと四百五十円という赤字になる。ですから新透船を就航させまする場合には赤字になる。しかしこれは片荷の場合であります。これに往航の貨物が幾らかでもある場合には、採算かとれる。新造船か採算がとれないとれないと言つておりますのは、現在日本の船に積んでおりますのが、大体鉄鉱石とかその他のばら積み、不定期積みの貨物でございます。新造船等の高性能の船は、定期航路を開設して定期船として使うのが最も有利なわけでございます。今後そういう方向に持つて行かなければならぬ。そういたしました場合には、新造船といえども赤字を出さずにやれるのではないか。ただその定期航路を開設する場所がどの程度にあるかということが、これから問題でございます。それでそのコストの内訳でございまするが、新造船の運航コストのうちで、一番痛いのは金利でございます。御承知の通り今度六千総トン、重量トン九千トンの船をつくりますとその建造資金が五億六千万円それに要する金利というものか年に五千四百万円払わなければならぬ。ただいま申しましたシャトル、横浜間の一航海における全体の運航コストのうちで、金利が二八%を占めておる。だから耳本船か外国船と競争いたしますために一番不利な点は、この金利が高い点であります。これを先ほどの有馬山丸について見ますると、これはうんと償却しておりまするから、まあ現在ではほとんど金利というものはない。全体のコストのうちで三・二%しか占めていない。そこに非常に大きな差がある。もう一つはたき料でございます。船の使う油、あるいは石炭、これが外国船に比して相当高い。少くとも油において十五百円から二千円ぐらい高い。このたき料が、今申しました航路の一航海において占める割合が二八%でございますから、これが二割なりあるいはそれ以上に下りますと、その点において経費の節約も相当できるわけでございます。船を直接運航いたします場合に、外国船に比して不利な点は金利、それからたき料、すなわちバンカー等の点であります。さらに元に返つて新造船の場合には船の船価のことであります。船の船価は、小型の船においては日本船は非常に安いのでありますが、大型のディーゼルの場合においてはポンド切下げ後の英国の船価と比べますと、幾分か高い。その高い原因は何かと申しますと、たびたび新聞その他、あるいはこちらでも御説明したかと思います。鋼材の価格が相当高くなる。あるいは現在まで安くても品質が悪いとか、あるいはくずが出るとかいうような、実質的に高くなるということに原因しておるわけであります。
○滿尾委員 いろいろお教えいただいて、よくわかりました。非常なる高金利を負担して仕事をしておる点は、まことに同情にたえないと思いますが、日本の海運を復興するためには、日本の船舶を建造する金利を、世界的な水準で建造するよりほかはないだろうと私は思うのであります。そのために政府は特別の措置を講せられる意思はないかどうか。またそのような措置を講ずをことは――世界の金利より安い金利を国家の負担において支持いたしますことは、明らかに不当競争でありますけれども、世界の金利と同じ程度に持つて行くことは、競争を同じ水準に置くことでありますから、私はあくまで不当競争ということはないと思い定すがその点についての政府の御所見を伺いたい。
○大屋国務大臣 これは運輸大臣としてではなく、国務大臣として申し上げますが、金利政策、金利というものには大体コストというものがありまして銀行が預金をどんどん集めて、その預金を集めるためにやはりコストがかかる。そのコストを勘案いたしまして、それが貸出しの率になるということになつておるのです。これは言うまでもないことです。ところでこの見返り資金を使つて新船を建造いたすときに、私どもは世界海運国が、このいわゆる海運の補助という点にかんがみまして、特に安いところでは三%ぐらいの金利で船をつくつておるところもございますので、小くとも見返り資金を使つた金利は、五%ないし五・五%ぐらいまでにしたいと思いまして、いろいろ交渉をいたしましたが、その当時やはり日本の一般の金利は、よかれあしかれ事実において一割以上になつておりますので同じ金である関係上、見返り資金の方の金利をあまり市中の金利と差をつけるわけに行かぬというので――最初はひどい、見返り資金も一割しか、それ以上には負からぬということでありましたが、私ども熱心に懇請いたしまして、とくとワシントンに請求をしていただきまして、七分五厘というところまで一応こぎ着けたのですがその当時の指導的意見は、やはり一般の市中銀行の金利とあまり隔たつたものは、民間のためには放出できない。もつとも昨年見返り資金を使いましたときに、やはり鉄道のごとき公共金業体は、五分の金利で見返り資金を使つておりますが、少くとも私は民間の団体に貸し付ける見返り資金の金利も、五分程度までは下げなければいかぬ、こういう考えを持つておつたのでありますが、昨年度はようやく七分五厘までに成功いたしました。まだこれでは十分でございませんので、まつたくこの点は満尾君と同感でございまして、ひとつ引続いて金利低下に対しまして関係方面その他と交渉いたしたいと思つております。
○尾崎(末)委員長代理 満尾君、まだ相当時間がかかりますか。
○滿尾委員 もう十分ばかりです。
 金利の低下の御努力については、ぜひお願いしたい。一般の市中金利よりこの船舶の金利が安くなつて、一向さしつかえない。そこにつまり国の政策というものか介在しておるのでありますから、外国から不当競争をやるという誤解を招かないように、十分御説明について御努力をお願いして、そういうことを実現していただきたいと思うのです。
 それから今度は内航船のコストについて伺いたいのですか、特にこれはわが国の陸運との関連性がある。私の考えでは、単なる私経済的な見地に立つて言えば、今必ずしも船で物を輸送するのは得でない。鉄道で輸送した方が早い、あるいは確実である、あるいは運賃までも割安であるというような現象が起つておるのでありますけれども、これを国民経済的に大局に立つて考えてみますと、私はただいまの状態は非常に損な状態たと思う。個々の企業体の私経済的な計算ということを抜きにして、国家の立場に立つて考えてみれば、木材であるとか、石炭であるとかいうような、非常な大量の貨物を、この四面海に囲まれている日本が、その恵まれた海運の力を利用しないで、非常な長距離にわたつて貨車にこれを積んで、レールを磨耗して、物理的に非常な物質的な消耗を冒しながら、わずかの運賃操作のために、むりに陸運にこれが行つておる。こういう状態はわが国の運輸界において最も歎かわしい現状である。これは両方の運輸を握つておられる運輸大臣として、最も力を注がれなければならぬ大事な点である。これをぜひ解決していただかねばならぬ。それには結局形の上にそれが作用して参りますのは、運賃の面でそれが出て来る。それでこの内航の船舶運賃と陸運との関連性というもので、なぜ船がこんなに高くなつたか。本来なれば一個にまとめて、しかも抵抗の少い水の上を持つて行くのでありますから、断然船が安くなければならぬ。現にわれわれは戦前に、そういう長い実歴を持つておる。戦後に、どうして戦前の状態に切りかえることができないか。どこに禍根があるか。これをどうしても深く掘り下げて、一刻も早くこの状態を元の経済的にノルマルな状態に復元させることが、運輸大臣として一番なすべき大事な仕事ではないかと、失礼ながら考えておるのでありますが、大臣の御研究と、これに関する御見解とをお伺いしたい。
○岡田(修)政府委員 船の運賃が陸上運賃に比して割高である。従つて本来船で運ぶべきものが、鉄道で運ばれておるではないか。その辺はどうかというようなお尋ねでございますが、お説の通りに、戦前におきましては船の方が非常に割安であつた。ところが戦後におきまして、運賃のコスト計算をやりますと、かえつて船の方が高いという状況が出ておるのであります。それの一番大きな原因といたしましては、鉄道は戦災が非常に少くて、在来の施設が残つている。ところが船は非常に多くの被害を受けまして、戦後に動いておりまする船の多くの部分が、新造もしくは改造、あるいは大修理のために相当の金をかけた。だから元の固定資本というものが非常に高くついている。それが先ほど言いました金利、償却、こういう面に費用となつて現われておるわけです。もう一つは、船の質が悪くて、船の動く期間が割合に少い。稼働率が減つておる。それからもう一つは、船の回転率が前ほど十分ではないというふうなことと、さらに船員の経費が、給料はともかくといたしまして、船の質が悪いとかあるいはその他の事務のために、戦前よりも相当数ふえておる。こういうふうな面から、コスト計算をいたしました場合に、鉄道よりも幾分か割高になるような状況であります。しかしこれも距離によつて違うのでございまして、短距離のものについて見ますると、なるほど船の方が高いと申しますか、割高ではあるのですが、遠距離のものについては、やはり戦前ほど安くはありませんが、船の方が割安である。ただ運賃自体は船の方が安くても、船に附帯する荷役費とか、あるいは港まで出る鉄道の経費、こういうものを合せると、出荷主としては鉄道の方がはるかに有利になる。こういうふうなこともありまして、多くの貨物が鉄道の方に流れて行つていると思うのであります。今度自営になりますると、今日のように非常に船腹が過剰であると何でありまするが、これが適当に繋船せられ、船腹が荷動きに見合うということになりますると、その見台つた船自体の計算をいたした場合におきましては、運営会当時におけるよりはもつと稼働率の向上、あるいは可航率の向上で、コストを切下げる余地が出て来るのであろう、かように考えます。
○滿尾委員 ただいまの御説明につきましては、これは戦前の数字と現在の数字と、実証的な資料をひとつ御提出をいただきたいと思います。それからきよう第二問に申し上げました海運復興の目標等に関する数字につきましても、資料をあとでいただきたいと思います。
 本日はたいへん時間がたちましたので、私の質問はこれで今日のところ打切りまして、次会に保留しておきます。
○尾崎(末)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
    午後五時十三分散会