第007回国会 運輸委員会 第34号
昭和二十五年四月二十九日(土曜日)
    午前十時五十七分開議
  出席委員
   委員長 稻田 直道君
  理事 岡村利右衞門君 理事 關谷 勝利君
   理事 木下  榮君 理事 米窪 滿亮君
   理事 林  百郎君
      岡田 五郎君    尾崎 末吉君
      尾関 義一君    黒澤富次郎君
      坪内 八郎君    畠山 鶴吉君
      清藤 唯七君    飯田 義茂君
      石野 久男君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 大屋 晋三君
 出席政府委員
        運輸事務官
        (大臣官房長) 荒木茂久二君
        運輸事務官
        (海運局長)  岡田 修一君
        運輸事務官
        (鉄道監督局
        長)      足羽 則之君
        運 輸 技 官
        (港湾局長)  後藤 憲一君
 委員外の出席者
        専  門  員 岩村  勢君
        専  門  員 堤  正威君
    ―――――――――――――
四月二十九日
 委員川本末治君離任につき、その補欠として里
 澤富次郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員の補欠選任に関する件
 港湾法案(内閣提出第一八七号)
 運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正
 する法律案(内閣提出第一九〇号)
 観光小委員長より報告聴取
    ―――――――――――――
○關谷委員長代理 これより運輸委員会を開会いたします。
 本日の議事に入ります前に、お諮りいたします。昨日、黒澤富次郎君が委員を辞任されましたのて、観光小委員が一名欠員になりましたが、同君が再び本日運輸委員に選任せられましたので、同君を観光小委員に任命いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「里議なし」と呼ぶ者あり〕
○關谷委員長代理 御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○關谷委員長代理 これより昨二十八日、本委員会に付託になりました運輸設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題として審査に入ります。まず本案の趣旨につきまして政府の説明を求めます。荒木官房長。
○荒木政府委員 運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する理由について御説明申し上げます。
 運輸審議会及び日本国有敏道の監理委員会の委員の任命については、運輸省設置法及び日本国有鉄道法の規定により、それぞれ両議院の同意を得ることになつているのでありますが、国会閉会中任期が満了し、または欠員を生じて、その後任者を任命する必要がある場合において、任命権者が便宜任命を行い、その後最初に召集される国会において承認を求め、承認が得られなかつたときは、任命権者は、当該委員を遅滞なく罷免することを規定するため、両法律に所要の改正をするものであります。
 なお運輸審議会及び監理委員会の委員は、いわゆる任期を異にする段階任用制により任命されているため、運輸審議会は二名の委員が、また監理委員会は一名の委員が、それぞれ来る六月に任期を満了するので、その後件者を存命する必要があるのであります。
 以上、この法律案の提案理由について申し述べましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。1
○關谷委員長代理 本案に対する質疑はしばらく留保いたしまして、港湾法案を議題といたし、前回に引続き質疑を行います。質疑の通告かあります。これを許します。林百郎君。
○林(百)委員 私は簡単に三点ほどお聞きしたいと思います。この港湾法でありますが、これはわれわれ常識的に考えまして実は私は港湾のことはよくわからないのですが、こうした港湾のような国家めな施設を国家的な統制の
 わくから、国家的な支配力からばらばらに離して、地方公共団体へこれをまかせるということは、日本の国の国情から言つて、どうしてもそういうことをしなければならないのかどうか。これはやはり日本の国情の必要からやむを得ずこうやつているのか、あるいはそうでないのか。この法案を立法するに至つた根本的な必要性はどこにあるのかということを、ますお聞きしたいと思います。
○後藤政府委員 港湾に対するお考えが、国情からして国が統制すべきてあつて、公共団体にまかすべきでないというようなお考えでありますけれども、港湾を発生的に考えますと、やはり港を持ちます公正団体というものは、最初はごく小さな漁船の出入りから、逐次一般商船が入るようになつて、その間の施設を営々と辛苦して築造し発展する。そうしてその発展はいずれもみな経済的理由において発表して来たのでありまして、それがまたただちに公共団体それ自身の繁栄にも直接の明係を持つものでありますから、公共団体に自治的にこの繁栄を全面的にまかせて、国としては大きな国家目的に沿う程度のさしずをして十分にやつて行くその方が単に国家目的というところだけからひもを引いてさしずするよりも、港の繁栄に実際にそぐうという点から、こういう大幅な地方自治を与える法案を出したわけであります。
○林(百)委員 これは港湾局長も御存じだと思いますが、港湾の施般に対する費用だとか、あるいはそれを改善し修築するための費用というものは、非常に厖大なものであります。御存じの通りに今あらゆる港湾はまつたく荒廃に帰しているので、むしろこの際大きな国家的の援助をもつてこれを修築しない限り、日本の港湾ば実に寒心すべきものがあると思う。そういう際に、非常に財政力の乏しい地方に、この港湾の一切の責任を重点的にまかせてしまうということが、日本の国の現在の国情から言つて必要かどうか。むしろ戦争中、終戦後、非常に手が抜かれて、台風やその他によつて、たとえば横浜港のごときもそうでありますが、まつたく荒廃に帰している際は、むしろ国家がこれに十分手を伸ばして修築し、改築し、港湾としこの体裁を整える責任もあり、また実力も国家があるのでありますが、そういう際に国家がわざわざ地方自治あるいは地方にこの責任を分担させてしまう。それで港をばらばらに国家的な統制から解いてしまうということが、私はどうしてもわからないので、実際あなた方は日本の国策から言つて、日本政府の発案から言つて、どうしても港湾行政についてはこうしなければならないということから始まつたのかどうか、もう一度その点をお伺いしたいと思います。
○後藤政府委員 日本のように多くの港湾を持たざるを得ない状況にあります国柄といたしましては、国の費用をもつてやるといいましても、やはりそこに力の限度がある。現に一千億以上の災害を受けております。これは公共事業全般ではありますか、それに対してわずかな費用しか年々支出できないというような事態にあるわけであります。それよりも、同じことか港湾についてもやはり言われまして、全国で四千近い港湾、そのうち特に重要なものが百近くありますが、それらのものを国費をもつて、あるいは国が大部分の費用をもつてというような考え方をもつてしては、どうしてもほんとうの港湾の機能を発揮する開発というものは遅れるし、また創意の加わつた特徴のある港湾を発達させることはできない。むしろおのおのの港湾を生命とし、その港湾によつて生きておる人たちが、その創意によつて動いて行く。それに対して国といたしましてはできるだけの財政的な援助をし、またその他の面におきましても助成するという立場に立つた方が、港湾の成長をして順調ならしめるという信念のもとに、この法案の草案に着手したわけであります。
○林(百)委員 後藤局長の答弁の中にもあるように、一千億もの費用なくしては、港湾らしい港湾に復帰することができない。国家ですら十分な回復の手を伸ばすことができないという際に、その港湾て利益を得ておる立場があるのだから、その立場で十分やつたらいいではないかということは、これはむしろ国家か負うべき責任を回避することになる。もちろんその強いヒンター・ラノドを持つておる港湾は別として、ほとんどその他の地方港湾のごときは、この法案によつてますます荒廃に帰してしまうと思うのでありまと。港湾の性格から言つても、港湾というのはその国の一つの象徴たと思うのです。その港に入つて来れば、その国の盛衰か象徴されておる。これは一家のうちの表玄関だと思う。表玄関を国が手をまわさなくて、その地方でかつてにやつたらいいじやないかということは、私はどうしても日本の国の従来の港湾行政の建前、またわれわれの日本的なものの考え方から寄つて、これは考えられないことだと思う。やはりどこかから、こうしたらどうかというような意見でもあつて、それをやむを得ずのんであるのだが、やむを得ずのむというわけに行かないから、もつともらしい理由を後藤局長さんが一生懸命にわれわれに言つておるのだというようにも思われるのであります。そこでその根本論はその程度にいたしまして、一体この港湾法によつて、地方公共団体としては幾らの予算を今中央から補助してもらいたいという要求が出ておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
○後藤政府委員 さいせん申し上げましたことについて、ちよつと誤解があるようですから申し上げておきますが、一千億というのは河川、港湾、道路、農業、その他公共事業全般の災害費の総額か、その程度になつておるということを申し上げたわけであります。その点は訂正申し上げます。
 港湾に対する地方の要望は年々参りますが、これはやはり予算編成のいわば技術的の面もありまして、当初の要求は相当数量が大きいので、毎年予算編成までに集まります各地の要望の工事費を総括いたしますと、二十五年度の予算編成の際に集まりましたのは、約二百八十億程度の要望があつたわけであります。しかしながらそういうのはおのおのが一気にやるとか、あるいはまた過大な計画をするとかいう点がありますことをいろいろ考慮いたしまして、逐次各港との間の話合いを続けて、それらを査定して参るようなわけでありまして、要求そのものかただちに妥当な数字であるとは考えるわけに行くまいと思います。
○林(百)委員 後藤局長の話から聞いても、いろいろ今までの日本の港湾が受けていた被害のこまかいことを言われたようでありますが、一千億程度もあるという場合には、せめて中央から二百八十億くらいの援助をしてもらいたいというのは、私は決して地方からの要求がむりでないと思いますが、この二百八十億の地方からの要求のどこにむりがありますか。
○後藤政府委員 その一千億という内容は、今申し上げましたように、公共事業費総体に対する災害の額を申し上げただけでもつて、一千億と二百八十億との間には関連はございません。二百八十億というのは二十五年度の当初に、各地方からおのおのが見立てまして、本年この程度をやりたいという要望の数字の集計なのであります。
○林(百)委員 私は信州の山の奥で、港のことはよくわからぬのですか、実は横浜の港を見ましても、台風で防波堤なんか全部くずれている。横浜、神戸あたりなら、港の附近に大きな町があつて、財政的な負担に耐えられるとしても、そのほかの港湾は、国家的な補助の手から切り離されて、お前たち地方の自主性によつてこれをまかなえといわれても、不可能だと思うのです。今局長の言う一千億円のうち、せめて二百八十億という地方公共団体の要求に対して、しからば昭和二十五年度の港湾の公共事業費は幾らになつておるのですか。
○後藤政府委員 今年度の港湾の予算は四十三億であります。二百八千億という総体の数字を集計いたしまして、それらを事業の繁閑、工事の軽重を査定いたしまして四十三億、これは国費でやりまして、それ以外の地方の負担を入れますならば、公共事業費としては約七十億ほどになると思うのであります。従つて二百八十億というものに対して、本年度の事業は七十億ということになりますか、予算の請求の際は、いろいろと多く吹つかけるような、従来のおもしろくない慣例もありますから、そういうようなことになりますか、二百八十億全部のむというようなことは必ずしも望ましいことではないと思います。
○林(百)委員 それからもう一つ、そうすると中央への援助か二日八十億を要求され、そのうち満たされるのはわずか四十三億という話でありますが、この法案の通過によつて、地方公共団体の財政的負担になると思われるのはどのくらいですか。
○後藤政府委員 従来と大差ないと思います。今その数字をはつきり申し上げられませんが、工事の方たけは約七十億のうち、国費でやるのは四十三億といたしますれば、三十七億ほどの地方負担になります。それ以外の経常費につきましては、従来地方がやつておつたのに、少しもふえることもなし、減ずることもなし、従来と同じだと思います。
○林(百)委員 そうすると、従来の費用ではとうてい港湾の復旧ができないから、中央への補助令を仰いでおるのでありますから、そのほか積極的に地方で港湾の修築のための財政的な余力が従来とかわりないということになれば、港湾に対する積極的な修築とか回復とかいうような費用は、どうなるのですか。
○後藤政府委員 その点はこの法案によりましても、従来みな各地の公共団体がおのおのやつておりましたのを、はつきりと工人公をきめるということを規定したのでありまして、費用の点で国の補助いたしますものも従来通りでありますから、地方の工事に対する負担も、やはりその工事の繁関、軽重によつて違いはございますが、従来通りであります。また運営、経営につきましても、はつきりさせろという点だけでありまして、経費においてはそう大した動きはないと思います。
○林(百)委員 そうすると結局港湾の修築だとか、そういう方面については従来通り、中央ができるだけのことを援助する。しかしその援助というのは、本年度は地方の要木が二百八十億だか、四十三億程度でもやむを得ないということであつて、この法条によつて地方公共団体が特に財政的な負担が増加する点はないというように解釈してよいですか。
○後藤政府委員 その通りであります。
○林(百)委員 その次にこの法案と、それから一応これは政府当局で考えておられたのが法案としてまた出て来ないのですか、白田地帯法というものを一時考えたことがある。この自由地帯法、あるいは自由地帯を日本の国に設けるということと、この港湾法との間に何らかの関連があるかないか、この点伺いたいと思います。
○後藤政府委員 自由地帯法もしくは自由港法という問題は、われわれとしても日本の現状、ごとに今後の産業の発達あるいは貿易の伸張という関係から考えると、ぜひ持たなければならぬと思うのでありますがこの法案との直接の関連性はありません。自由港をつくりますについての地帯とか運用とかについては、やはりこの法実の基礎に基いて自由港伝を考えることになりますけれども、直接の関係はございません。
○林(百)委員 そうすると、後藤局長あるいは政府当局としては、将来日本に自由地帯を設ける、あるいは自由地帯、自由港、いずれの構想になるか、いろいろの構想があるわけでありますが、これを般ける方がよろしいと考えるか。なお設けたいと思うということは間違いないですね。
○後藤政府委員 私は自由港域なり、あるいは自由港法という制度は、日本に設けるべきだと思つております。
○林(百)委員 今驚くべきことを聞いたわけでありますが、そこでその自由港あるいは自由地帯を将来設ける場合には、やはりこの港湾法による新しい港湾の行政権想、これを基礎にして、将来当然自由地帯なりあるいは自由港の構想に進んで行く一つの過程と考えていいかどうか。
○後藤政府委員 この法案は自由港法なりあるいは自由港域法なりの基礎にはなりますが、自由港法なり自由港城法なりを設けることを前提として、この法案をつくつたのではありません。
    〔關谷委員長代理退席、委員長再席〕
○林(百)委員 前提として考えないにしても、自山地帯を設ける、あるいは自由港を設けるという場合には、こういうように港湾行政に対する国家的の統制を切り離してばらばらにした方が、これはやりいいわけです。だからあなたが何と考えておるか知らぬが交際は将来自由地帯あるいは自由港を設けるために、国家的な統制から港湾をばらばらに切り離して行くことの構想のもとに、これが行われておつたようにわれわれは考えるのですが、その点はどうですか。
○後藤政府委員 自由港の自由という言葉に非常にとらわれたように、私ただいまのお話では聞きますが、自由港の自由という意味は、関税法の覊絆から離れるということ以外には、何の自由もないのであります。この組織は地方自治にまかすのだ。この法案の原則が港の管理を地方自治にまかすのだということと、自由港を設けるということには、思想的には何の関連もございません。むしろ自由港につきましては、国家統制が強くなるのじやないかと思います。
○林(百)委員 後藤局長と私との考えはまつたく見解の相違でありまして、むしろ自由地帯にするためには、国家的な統制から切り離して、その港湾に対していろいろの意思が国家を通ずるのではなくして、直接その切り離された管理主体に意思表示ができる。その意思表示をするためには、自分の意思’を簡単に入れるためには、国家の統制というようなものから切り離してしまつた方が、いろいろな意見が簡単に入りやすいから、むしろこれを国家的な行政の機関から切り離して行くということが考えられる。この点は後藤局長と私の考えが全然違うのであります。
 それからもう一つお聞きしたいのは、将来日本の国に道州制を設けるということが考えられておる。これはアメリカ的な考えでありますが、日本の国を八つか九つの道州というようにわけてしまつて、これをそれぞれ相当独立的な色彩が強い行政地帯にする。いわゆる連邦的な構想を日本の国は持つておるように考えておるのであります。この道州制とこの港湾の関係について、政府では考えたことがあるのか。あるいは示唆を受けたことがあるのか。聞あるいは全然そんなことは初めていたのか。この点をお聞きしたい。
○後藤政府委員 道州制というのはうわさを聞いておりますだけで、道州制の法案もまた出しておりませんし、また道州制を前提としてこの法案を考えたことは絶対にございませんし、またそれについての示唆を受けたこともございません。われわれといたしましても現にまだ何もない。あるいはまた法案の提出されておらない道州制を前提としてものを考えるわけに行きませんので、全然関係がないと断言できます。
○林(百)委員 私の質疑はこれで終るのでありますが、結局われわれの心配することは、むしろ国家的の立場から十分港湾行政というものは、国家が責任を持つて強力にこれを把握し、援助をすべきことが当然の考えだと思いますが、これを地方自治体にばらばらに切り離してまかせるということは、将来日本の国が植民地化の方向に行く、いわゆる自由地帯だとか、自由港湾だとか、あるいは道州制だとか、こういうものとは、一連の関係のもとにこの法案ができたのであつて、決して日本政府の最少の必要と創意からなされたのでないということの、非常な強い危惧の念を私は持つておるのであります。その点について私と後藤局長との見解は違つておりますが、おそらくどちらの心配が正しかつたかということは将来の事実によつて示されると思いますが、なお政府当局としてもこの法案について十分、将来日本の国がいわゆる道州制をとる、あるいは自由地帯を設けさるを得なくなるような動向と、一連の関係があるかないかということを十分に検討されることを私は希望しまして、私の質問を終りたいと存じます。
○米窪委員 関連質問でありますが、昨日も後藤局長にお尋ねしたのですが、第五十八條の第三項に関連することになるのですが、港湾に関係のある地方公共団体が従来出資をしておる財産、あるいは現在持つておる港湾施設、こういつたものの管理者、すなわちポート・オーソリテイーができた場合の港湾管理者に、これを讓渡する場合の手続についてでありますが、この点明確に私も質問してなかつたのですが、もう一応確かめたいと思うのです。第五十八條の第三項において「地方自治法第二百十三條第二項の規定は、地方公共団体が、港湾管理者に港湾施設を讓渡し、貸し付け、又は管理を委託する場合には、適用しない。」すなわち単に地方公共団体の議決機関がこれを決定したのみをもつて足るのでなくして、その地方公共団体の居住民の意思表示が行われて、初めてこういつた財産の委讓ができるのが、地方自治法の第二百十三條第二項の規定であります。これを特にこの法案において必要と認めないという意味の規定がここにあるのでありますが、いわゆる、ポート・オーソリテイー、港務局というものは、公法人ではありますけれども、同じく公法人である地方公共団体とは、性格において若干の食い違いがあるのでありまして、従つてそういう懸念があるからこそ、この法文をここに置いてあるようでございます。こういう規定があるということは、結局讓渡する場合に非常な支障がそこに起つて来ると思います。精神においてはこの條文はこれを削除することに港湾局長は何ら異議がない。私は字句及び手続の点についてお尋ねするのではなくて、精神において必ずしもこれにはこだわらない。この條項をとつてもよいという御方針であるかどうかをお尋ねいたします。
○後藤政府委員 本法に規定しておりますところの港務局は、地方自治法によるところのいわゆる公共団体と考えられるのであります。第五條の、港務局は営利を目的としない公法上の法人であるということ、第十條の法人税を課さないということ、また二十八條の港務局に対する出資者は、それを組織する地方公共団体以外の者であつてはならないという、これらの点を考えまして、自治法による公共団体と考られます。従つて地方公兵団似の重要財産を讓渡する際の生民投票というものは、地方自治法によつてもその必要がないということになりますから、この第五十八條の第三項は、念のためにつけたという意味でありますから、これを削除いたしましても、少しもさしつかえないわけであります。ただ念のためにつけた点に御了解を願いたいと思います。
○米窪委員 もう一点お尋ねしたいのは、昨日政府当局と所係地方の公共団体の代美者の諸君との懇談会の席上で、四條の予定港湾区域を地先水面とする地域を区域とする地方公共団体のこの六字は、必ずしも地方公共団体のこの六字でなくて、これは市町村ということに改めることに対して、政府当局も御異議がおありでないように聞いておりますが、私はこの六字を三字に修正するという意味でお尋ねするのでなくして、精神的に市町村という意味にこれを置きかえてもよろしいお考えであるかどうかを、局長にお尋ねいたします。
○後藤政府委員 第四條のただいまお話の項に対する問題でありますが、この地方公共団体という言葉だけならば、なるほど都道府県市町村というものを、包括的に意味いたします。けれどもこの「又は」以下の項には、地先水両とするという意味を限定されておりますから、市町村に重点を置く公共団体である、こう解釈してしかるべきだと思います。従つて今後の場合に、これが市町村と文字をかえろとおつしやる場合につきましては、政府としては大した異議はないと考えます。
○稻田委員長 これにて質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。討論の通告があります。これを許します。尾崎末吉君。
○尾崎(末)委員 きわめて簡単に、自由党を代表いたしまして、賛成の討論をいたします。この法律は、昨日も私が総括質問におきまして申し上げましたように、港湾管理者の設立による港湾の開発、利用及び管理の方法を定めることを目的とする法律であります。その開発、利用及び管理に関しては、提案理由に政府から御説明になりましたように、最大限の地方自治権を与える。そうして国家的及び地方的利益に最も適合する形態の港湾管理者を設立する権能は、地方公共団体に与えるというのでありまして、従つてこの建前から政府の監督規制は、国家的利益を確保するための必要最小限度にとどめるのであります。しかしながら港湾の開発責任を地方に移すことが、地方財政の不当な圧迫にならぬように、国の助成策を十分に講ずるのだ。すなわち権限は地方公共団体が持つ。国は港湾の開発のために助成の積極的立場をとることと、国家的利益を確保するための若干の監督規制をするというのが、この法律の目的なのでありますから、この法律案の根本は、まことにりつぱな法律案てあるということを言えるのであります。ただ各條阜にわたりましては、多くの批評もあり、各字句その他について修正すべきものも、相当にあるように見受けるのでありますが、考えまするに、この問題が起りまして、実に一年中以上の歳月をけみして参つたのであります。従いましてわれわれ国会議員におきましても、林君などとともに、同様にこれを相当に研究もいたし、論議もいたし、地方各方面からの陳情や意見等も聞きまして、相当にこの法律については、努力を傾注して参つたのこあります。たた法律案となつて審議いたします期間は、わずかなものであつたのでありますが、この最後の案がまとまりますには、関係方面とも四回にわたる長い折衝をいたしましてでき上つた法律なのでありますから、そういう点から考えますことと、いま一つは、いわゆる公聴会にかわるべき参考人十二人にわたる意見を聞いたのでありましたが、一部の参考人で、希望を述べられた方はありましたが、反対をせられた方は一人もなかつたのであります。従いまして、かような法律でありますから、これはすみやかにこれを通過成立せしめまして、法律の目的に沿うところの組織並びに運営を公共団体になさしめる。政府はこれに対して最大限の助成をなす。こういうところにお進めを願いたいと思うのであります。なお来るべき国会等におきまして修正すべき点等がありましたら、これらの点については十分に検討を加えたい。こういうように申しまして、賛成の討論にいたします。
○稻田委員長 次は林百郎君。
○林(百)委員 私は簡単に反対の討論をしたいと思いますが、大体この法案の主たる内容は、港湾の管理、運営に関して、最大限に地方に自治権を与える。地方公共団体、または港務局をして、一元的に行政せしむるというのが、大体法案の骨子だと思うのであります。ところが法案の表面はこうなつておりますか、実際は地方の自治という民主的なカモフラージのもとに、機構は委員会」制度を設けておりますけれども、この委員会を通じて、時の政府、あるいは政府以外のいろいろな発言権が簡単に入りやすいような形に、むしろ切りかえられておる。もし一元的国宝的な強力な統制があるならば、やはり国会にかけるとか、あるいは国家的な問題として検討されるにもかかわらず、これが地方同体にまかされるということになれば、いろいろの意思が簡単に入りやすい。要するに地方自治だとか、委員会だとかいうカモフラージのもとに、将来いろいろな意思が日本の港湾に対して簡単に入りやすい形になつて行くのじやないかということを、われわれは心配しておるのであります。忌憂であれば辛いてありますが、日本の港湾が軍事的な、植民地的な目的に供されようという場合に、非常に簡単に向うの意向が入りやすいような形になる。これは決して忌憂でないと思うのであります。これは追浜を見ても、あるいは積須賀を見ても、横浜を見ても、どこの国の船が一番あるか、どこの国の船が煙を出し、どこの国の船が繋船しておるかということを見ればわかる。あそこの家屋がどこに使われておるということを見れば、そんなことはりくつの外だと思う。これをもつともらしく、いかにも日本の国のためた、あるいは民主的だということが、この法案の表面の理由なのであるが、実際のねらいはむしろそこにあるということを言わざるを得ないのであります。これが反対の理由の第一であります。
 第二は、この法案によつて重要な港湾は整備される。しかし地方の港湾はまつたく荒廃のまま放置される。現に日本の港湾の種類を見ますと、大体重要港湾は、第一種港湾が六、第二種が三十七、地方港湾が二千四百八十九、圧倒的な多数を地方港湾に占められておるのであります。しかもこの地方港湾は、その地方の乏しい財政的な背後地しか持つていない港であります。これを乏しい地方財政しか持つていない地方の管理にまかせることになれば、もう日本の国の港の圧倒的な数を占めておる地方港湾が、荒廃に帰すべきことは明らかなことである。しかも昭和二十五年度の港湾関係の公共事業費を見ましても、どこの港に一番多く交付せられるかということ、横浜、神戸、門司、下関、若松、こういうような重要港湾ばかりであります。そのほかの地方港湾には、一つとして公共事業費すら、国家的な援助が与えられない。それを地方の乏しい財政にまかせられて、どうして地方港湾はやれるか。しかもこの地方港湾を通じて、日本の海運のすべてはほとんど機帆船でなされておる。この機帆船を中心としての地方港湾が、ほとんど港湾法によつて壊滅の状態に瀕するということが、この法案に対する第二の反対の理由であります。
 第三の理由といたしましては、管理主体をめぐつて、各関係市町村、あるいは県の利害が対立し、あるいはいろいろの管理権をめぐつての対立が生じて来る。現員に横浜、川崎、あるいは神奈川県、あるいは政府の海運局自体、こういうような関係が明確でないために、いろいろ対立が生じておるということで、かえつて港湾行政を非常に複雑化しておることは明らかである。そんなことを知らないならどうかしている。こういう形からいつて、表面はもつともらしいりくつをつけておるが、実際はむしろ日本の港湾行政を混乱に陥れ、しかも将来において日本の国の港湾に対する植民地化の方向に行く危険が多分にあるという点から、私はこの法案については絶対に反荷するものであります。
○稻田委員長 次は米窪滿亮君。
○米窪委員 この法案は一昨年くらいから爼上に上りまして、もみにもんでようやく一昨日上程された法案で、相当軍要な法案だと思うのです。それが国会における審議が、わずか衆議院において三日間という短日月の間に、われわれがこれに対する意見を述べるということは、まことにわれわれとしても苦しい立場なんです。しかも一昨年この法案が爼上に上つたときには――私はりくつを申し上げません。現実から申し上げて、各港湾においても中央の各出先機関がある。たとえば大蔵省、運輸省、厚生省、農林省、労働省、それから建設省、こういつた各省の出先機関があつて、窓口が幾つもわかれて、関係業者は非常に迷惑しておるのです。この港湾俵によつて港務局あるいはポート・オ―ソリテイーができたときには、この不便が一掃されて、港湾行政が一元化されて行くという、非常な望みをわれわれは持つておつた。おそらくこの点がなかつたならば、この港湾法を設定する理由は一つもないと思う。ところがこの港湾法の條文には、一つもこの点について触れていない。この港湾法はわれわれの当初の予期に全然相反したものであつて、まことに不徹底不完全なものであるということは、どうしてもいなむことができないのであります。それで私は非常に失望を感じた。しかし一昨日各業者の参考人の諸君の意見をお聞きすると、ともかくもそういう欠点はあるけれども、港湾法をすみやかに国会を通過してもらいたいという、期せずして一致した要望であります。しかしこの港湾法の第四條以下の、港務局を設置するという点においては第四條、第十二條、第十六條と十七條、すなわち経営委員会の資格の問題、それから第五十八條、その他経理の面におきまして、中央と地方との関係がきわめて不明瞭である。こういう点でいわゆる港湾局、すなわちポートー・オーソリティーというものを、ただちに日本において実行することは、今まで申し上げたいろいろな理由から見て、はなはだ不徹底、不完全なるものになるという点において、私はこれに対して非常なる危惧と、そうして失望を感じております。しかし昨日の業者と政府当局とわれわれとの懇談会においては、とりあえず第三十三條の方法によつて、すなわちポート・マ不ジノグボードの形によつて発足して、残余の点、すなわち港務局に関するこの法案の骨子である点は、来るべき臨時国会において相当の大修正をすることについては、業者においても政府当局においても異議がない、一致した意見であるということがわかりましたから、これらの点を條件といたしまして、私は不完全ながら、不本意ながら、この法案に賛成するものであります。
○稻田委員長 石野久男君。
○石野委員 私はこの法条に対しまして、條件付て賛成いたしたいと思います。
 本法案は非常に今期の切迫した時期に、しかも厖大な内容を持つものを提出されておりまして、ほとんど審議が十分に行われていないのは事実であります。しかもこの法案の目的とする港湾の開発、利用及び管理、運営等に関しまして、いろいろと検討を加えなければならないものがたくさんあるのであります。そのことは昨日等にあける委員会及び関係の諸君との懇談会においても、はつきりしておるところでございます。にもかかわらず払のこの法案に対して賛成する理由は、ただいまのこの法の目的に沿う港湾の開発、あるいは利用、管理等に関しまして、現在行われておるいろいろな操作と、この法案によつて不十分ではあつても切り開かれて行くという点のにらみ合せにおいて、若干の進歩性を認めるからであります。問題は中央政府におきまするところの一元的な行政に、われわれは全的に依存したいのでありますが、しかし実情から言いますと、それは非常に困難な面がある。むしろ各地域におけるところのポート・オーソリテイー等における運営が、将来に一元的な港湾行政としてなされなければならぬということを考えつつも、それができない現状におきまして、しかも今日この法案において規定されるような形のものができて行くならば、少くともその地域におけるところの港湾、特に地方港湾等におきまする不備を是正する面が、下部から盛り上る事態をつくつて来るのであろう、こういうふうに私は考えるのであります。このような観点から、私はこの法案に賛成するものでございます。但しこの法案の実施にあたりましては、すてに第四條及び第三十三條におけるところの各関係地域における繋争等が、非常に大きな問題としてわれわれに懸念を残しております。この点は昨日来各党の委員諸君が十分に政府にもたたし、しかも大きな條件として、次の臨時国会においては、大修正するであろうということさえも言われておるのでございまして、このいう観点から見まして私は、第四條及び第三十三條に関する政府当局の処置の問題、特に官側のこの法案に帯する将来の地方公共団体に対する公的な圧迫等を、形式的になされないようにしていただきたいというこの條件は、ぜひ今日この法案を通すにあたつて必要なものであると思うのでございます。従つて本法を通すにあたつては、本委員会といたしまして、この三十三條に対する所係地方団体の要望を、特に附帯條件として入れた上で成立せしむるように要望いたしたいのであります。この要望を傑作といたしまして、私は本法に賛成するものであります。
○稻田委員長 これにて討論は終局いたしました。
 引続きこれより港湾法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○稻田委員長 多数であります。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
 なおお諮りいたします。本案に対する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻田委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。
    ―――――――――――――
○稻田委員長 これより先ほど留保いたしました運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑に入ります。
○關谷委員 この運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案は、きわめて簡単であり、かつ明瞭でありますので、質疑、討論を省略して、探決せられんことを望みます。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻田委員長 御異議なければ、これよりただちに採決に入ります。
 これより運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔養成者起立〕
○稻田委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決すべきものと決しました。
 なおお諮りいたしますが、本案に対する委員令報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻田委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。
    ―――――――――――――
○稻田委員長 次に観光小委員長畠山君より委員会の報告をいたしたいという申出がありますからこれを許します。畠山君。
○畠山(鶴)委員 四月二十八日観光小委員会を開き、ホテル整備法案の主務大臣決定の件は、四月二十日次官会議、同二十一日の閣議で、主務大臣は運輸大臣と決定いたしましたので、この際御報告を申し上げます。
 次いで同委員会は観光業者の代表より意見、希望等を聴取いたしまして、五時二十分散会いたしました。右御報告いたします。
○稻田委員長 本件につき何か御意見はありませんか――なければ畠山君の報告の通り了承いたしました。
 暫時休憩をいたしまして、再開の場合にはまた御連絡申し上げたいと思います。
 暫時休憩をいたします。
    午前十一時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕