第007回国会 議院運営委員会 第41号
昭和二十五年四月三日(月曜日)
    午後五時二十三分開議
 出席委員
   委員長 大村 清一君
   理事 菅家 喜六君 理事 寺本  齋君
   理事 土井 直作君 理事 椎熊 三郎君
   理事 林  百郎君 理事 石田 一松君
      麻生太賀吉君    岡延右エ門君
      篠田 弘作君    島田 末信君
      高橋 英吉君    田中  元君
      田渕 光一君    塚原 俊郎君
      福田 篤泰君    本間 俊一君
      松野 頼三君    南  好雄君
      吉武 惠市君    渡邊 良夫君
      園田  直君    梨木作次郎君
      黒田 寿男君
 委員外の出席者
        議     長 幣原喜重郎君
        副  議  長 岩本 信行君
        議     員 竹山祐太郎君
        議     員 中村 寅太君
        議     員 小林  進君
        議     員 浦口 鉄男君
        事 務 総 長 大池  眞君
    ―――――――――――――
四月三日
 委員岡西明貞君、倉石忠雄君、佐々木秀世君、
 多武良哲三君、福田喜東君、福永健司君、山本
 猛夫君、竹村奈良一君及び石野久男君辞任につ
 き、その補欠として吉武惠市君、渡邊良夫君、
 松野頼三君、本間俊一君、福田篤泰君、高橋英
 吉君、南好雄君、梨木作次郎君及び黒田寿男君
 が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 次回の本会議に関する件
    ―――――――――――――
○大村委員長 これより会議を開きます。
 運営委員会を開くに至りました経緯について、事務総長より御説明を願います。
○大池事務総長 私から特に本日運営委員会を御招集願いました経緯について御報告申し上げます。けさほど、十一時ごろでございますか、参議院の副議長が、議長代理としてこちらに参られまして、一つの申し入れがございました。それは、本日参議院において予算案の討議をいたしておる次第でありまするが、この予算案が可決になるのか否決になるのか見通しが確実にわからない問題が一つ、否決に相なるような場合が起り得るといたしました場合には、法律によりまして、衆議院から参議院の方へ両院協議会を求められなければならない規定に相なつておるけれども、衆議院の方は、本日の公報その他を見ても、本日並びに明日も本会議を開く予定になつていないようである、従つて公報上からわれわれが察知するところによれば、少くとも木曜日までこのままになる形になつておるが、参議院の方でたまたまそういうようなことが起つた場合に対する措置をも衆議院議長の方で一応御考慮願いたい、こういうような参議院議長からの申入れが私どもの方にあつた次第であります。それと相前後いたしまして自由党の方々が参られまして、参議院の方で万々一予算が否決になるような場合が起つたときに、本会議を木曜日以後に開くというようなままの情勢では相ならぬと思うので、至急に運営委員会を招集してもらつて、そうしてこれに対する対策というか、処置をあらかじめ考究しておいてもらいたいから、運営委員会を緊急に招集を願うように、運営委員長まで申入れがあつたのであります。たまたま運営委員長はおられませんでしたから、至急運営委員長に連絡をとりまして、各党にもそういう申入れによつて運営委員会を開かなければならなくなつた事情を御説明申し上げたのでありますが、自由党からも、一応運営委員会を御招集になつた事情を御説明願いたいと思います。大体経緯を御説明申し上げました。
○岡(延)委員 自由党が緊急に運営委員会を開いていただきたいということを申し入れました理由は、大体事務総長の説明に尽きておると思いますが、御案内の通り、われわれとしましては、社会党の大会に敬意を表して、あしたは定例本会議の日でありますけれども休会に決定したことは、皆さん御承知の通りであります。そうしてこれが公報に報告になつた次第でありますけれども、実は昨夜以来、また本日午前の情勢によりますと、参議院で予算が否決されるかもしれないといような、きわめて重大な場面に直面いたしましたので、われわれとしましては、予算案がこのような情勢を続けて行くことは、まことに国家にとつて危殆である、またこの間せつかく給與ベースの法律も通りましたけれども、予算が通過しなければ政府の諸支拂いに支障を来す、そこで参議院において予算が否決になりましたならば、本日でも本会議を開いていただきたいと思いまして、この運営委員会の招集をお願いいたしたのであります。事情御了察の上、何とぞ御了承願いたいと思います。
○椎熊委員 目下のところは、その必要がないわけですが……。
○岡(延)委員 否決されるか、可決されるか、その点はぎりぎり決着のところで、ほんとうにやつてみないとわからない状態ですが、その事態は決して解消していない。まず運営委員会を開いて、今日不可能とすれば、あすでも開き得る態勢を整えておいていただきたいと思います。
○岩本副議長 どうして不可能です。
○林(百)委員 岩本副議長はどうして不可能かと言われますが、われわれの検討するところでは不可能だと思います。かりにむりをしてやつても、惡例を残すことになると思ます。岡君は社会党大会に恩を着せるようなことを言つておりますが、これは実際自由党の諸君の国会運営に対する非常に軽率な態度の一つの現われと思います。われわれは、ぜひ社会党のために本会議を休んでくれとお願いしたこともない。やはり参議院の情勢と、予算という大事な議案が上つておる限り、いつでも開き得る態勢を自由党の諸君から求むべきだつたと思います。いずれにしても、参議院の情勢もわからないし、かりに参議院で否決された場合に、本日本会議を開くことは、われわれの見解では不可能だと思いますから、われわれは反対いたします。
○椎熊委員 事務総長に伺いますが、手続はどうですか。
○大池事務総長 時間の関係もございまするし、向うの結果を見ないで、ただ予想をして議長の方で招集することは、これは確かに法規上も不可能だと思います。はつきり否決ということの通知が、こちらにもしあつたと仮定すれば、そのときから、衆議院は向うに対して両院協議会を求むべき義務が発生するわけでありますから、その義務を果すための会議をいつ開くというようなことが、そのときにわいて来るわけであります。そこで、順当に従来の形式をとつて行くならば、そういう客観情勢のないときにきめましたことを議長において取消して、皆さんに通知して本会議を開く方途を講ずれば開き得るわけであります。
○椎熊委員 たとえば参議院が否決した場合に、こつちから両院協議会を求めるわけですが、その場合に時間的制約がありますか。
○大池事務総長 そういうことはございません。
○椎熊委員 そうすれば、きよう否決されても、きよう本会議を開くことは、招集の通告その他からしても時間的に不都合ではないか。
○大池事務総長 午前中に自由党から要求があつたときには、大体四時ごろまでには採決ができ得る、その場合、四時ごろ事情を聞いてからでは、時間をとつて本会議が開けませんから、至急に手続をとつていただいて、そういう場合が万々一あつたらどうするかという対策を講ずるために御協力願う態勢を整えておいた方かいいのではないか、あしたは本会議日ですが、一応この前開くまいということに決しているのですから、参議院においてそういう事態が起つた場合、きようでも開きたい。ところが、向うは決議案の関係で遅れておるようであります。
○椎熊委員 私は、たとい四時ごろ上つても、きよう開くことはちつとも困難でないと思います。事務総長は困難だと言われますが、ただこれは非常に不合理だと思います。議会を円滑にやつて行くには、そういうむりをしないでも、時間的制約がなければ、あすでも、あさつてでもやつてよいと思います。ことに前回申合せがあるのですから、あすでも、あさつてでもいい。今の参議院の様子は通過しそうだから、運営委員会としては結果を見てゆつくり相談したらいかがですか。
○土井委員 先ほどのお言葉の中にもありましたように、社会党の大会に対して非常に敬意を表していただきまして、きようと明日と本会議を開かないことに御決定願いましたことは、一応お礼を申し上げておきます。
 そこで、ただいままでいろいろお話がありましたが、参議院の方で予算をかりに否決したといたしましても、すでに公報でもつて、本日と明日は本会議を開かないことになつております関係から、それぞれの議員が、この二日間を有効に利用する立場において、離京しておる者も相当にあると思うのであります。ことに四時、五時過ぎから緊急に招集するということ自体が、議会の運営の上において、あまりよい例を残すことにならないと思います。そこで、明日わが党としては大会をやつておりますので、できるなら本会議を開いてもらいたくないと思いますが、これはわが党だけの事情でありますので、参議院で予算案を否決するような事態に相なりました場合、明日しいてお開きになるとすれば、わが党として、これに反対すべき何ものもないと思つております。大会でなければ、実は真正面から反対したいところでありますが、私どもの方で大会をやつておりまする関係上、明日本会議を開かないことにしていただいた、こういう立場から考慮して、一応いわゆる謙譲の美徳をもつて、明日開かれるなら決して反対いたしません。但し、きよう開くことは実際の上において賛成しがたいと思います。
○篠田委員 今土井君並びに椎熊君からお話があり、また先ほど林君から、たとい社会党の申入れがあつたとしても、その申入れを無条件で受入れて、そうして本会議を開く準備をしなかつたことは自由党の軽率であるというお話がありましたが、従来も各党の大会にはこれは例のあることでありまして、お互い院内における同僚として、各党の立場は十分尊重し合つて来ておるわけでありますから、そういう申入れがあつた場合に、これを受入れたことが軽率であるということは当らないと思います。それから、実際問題として今晩開けるか、開けないかということは別問題といたしまして、事態が非常に緊急である。しかもその間、あさつてという椎熊君のお話もありますが、そういうような成行きにまかせることになれば、その間非常な空白ができますし、今晩開けるか開けないかという技術的問題は別として、今晩どうしても開けるような努力をしていただきたいと思います。
○菅家委員 ただいま椎熊君、土井君林君からお話がありましたが、御議論しごくごもつともと存じます。これについて私どもの方で相談したいと思いますので、五分間ほど休憩を願いたいと思います。
○椎熊委員 参考までに私どもの方の意見を聞いていただきたい。きようは技術的にも不可能です。しかし、與党としては一刻も早くやりたいでしよよう。そこで、せつかくきよう開いたのですから、あす午前十時から運営委員会を開くことにしておいてはどうですか。
○石田(一)委員 ただいま椎熊君のおつしやいました意見にわれわれは同調いたします。
○大村委員長 ほかに御発言はございませんか。
○林(百)委員 私の方は、原則としてこの予算に反対して来たのでありますから、予算を通過させるために協力することは不可能であります。一応私たちの立場を表明いたします。
○黒田委員 私の方も、きようはむりだと思います。椎熊君の説に賛成いたします。
○大村委員長 他に御発言ございませんか。それでは自由党の方から御希望もありますので、暫時休憇いたします。
   午後五時四十三分休憇
     ――――◇―――――
    午後五時五十二分開議
○大村委員長 休憇前に引続き会議を開きます。
○本間委員 先ほど私どもの方から、本日運営委員会を招集していただいた趣旨を皆さんに申し上げた次第でありますが、参議院の方は、そろ手間取らずに結論が出ると思いますから、それまで運営委員会を暫時休憇していただくようにお願いいたしたいと思います。その点、お諮り願いたいと思います。
○林(百)委員 参議院の結果がわかるまで運営委員会をしばらく休憇というようなお話もあるようでありますが、実はどこから命令が出たか知らないが、宿舎に帰る議員に対して自動車を出してくれない。われわれ運営委員はいいが、議員連中はどうしていいかわからない。私は、むりだと思いますので、一応議員は帰して、運営委員だけということなら賛成できますが、議員全部は困ると思います。
○土井委員 今のお話ですが、実際上の問題としてどうです。たとえば、さつき言いましたように、参議院で否決したとしても、きよう本会議を開くことは事実上困難だと思います。従つて、この場合、先ほど椎熊君が言われたように、明日午前十時に運営委員会を開くことにしておいても遅くないではないか。どうせ明日中に両院協議会を開いて、両院の話合いがつかないときには、その報告をすれば自動的に衆議院の決議が生きて来るわけです。あしたの本会議は両院協議会の委員をあげるだけの仕事ですから、あしたのうちに本会議を開けるような手順さえふんでおけばいいのではないかと思います。
○椎熊委員 その際、もし否決になつた場合には、あすの本会議を開くということを公報に載せておけばいいでしよう。それでは間に合いませんか。
○大池事務総長 間に合います。
○本間委員 そう時間がかからないで済むらしいですから、もうしばらくお待ち願います。
○林(百)委員 もう十分もたてば参議院の結果がわかるということですが、その間に、ちようど考査委員会のあの問題がありますから、それをやつていましようか。実はきようも考査委員会があるのですが、野党全部考査委員会に出席していません。そんなこともありますし、これをやつている間に参議院の結果がわかると思いますが‥‥。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ―――――――――――――
○大村委員長 それでは、皆さん御異議がなければ、この問題はしばらく保留して、考査委員会の問題についてお願いいたします。
○石田(一)委員 前回の運営委員会で議題とした鍛冶考査特別委員長の問題でありますが、この委員会でも重大な問題として取上げられ、各党の態度を今きめつつある次第であります。そこで、きよう考査特別委員会において、私は考査特別委員会の性格からして、一時この問題が決定するまで、鍛冶委員長は委員長の席を他の理事に譲つて委員長の席をしりぞくべきであるという動議を出して敗れたのであります。この際御参考までに申し上げておきますが、この問題の重要性は、立法府にいわゆる捜査官が直接入つて来て捜査したということと、その内容が、偽証罪に問われておる田中政司君の検事局における申立て――検事から聞くところによりますと、昨年の七月二十五日でしたか、当日の考査委員会は、過半数の十五名以上が出席していなかつた、であるから、あの日の考査委員会は成立していない、その成立していない委員会で宣言をしようと、証言の拒否をしようと、あるいは宣誓を拒否しようと、偽証罪で告発されることはないと言つておる。それに対して、検察庁としては、あの日この院内に入つて来て、直接われわれに申しましたことは、速記録に書いてある十六人の委員の名前だけでは信用できぬ、そこで速記録に出ている議員諸君を一応呼んで当日の様子を聞いて、はたしてこの過半数が出ていたかどうかを私は捜査のため聞くのであるということであります。こうした内容を捜査しておるので、この捜査は、捜査内容においても実に重大である。この検察官を、しかも自分の委員長室に入れておる。そこで、鍛冶委員長は委員長の席をしりぞいて、他の自由党の理事が代行すべきであるという動議を私出したのですが、これすら、さつきも申した通り敗れた。こういうことでありますので、この運営委員会においても、林君の提案によつて各党の態度は保留になつておるのでありますが、この際愼重に問題を取上げて御審議を願いたいと思います。
○椎熊委員 この問題は非常に重大だと思うのであります。わが党は、いまだ党議が決定しておりません。というのは、予算案その他重大な案件が両院に懸案中でありますから、それとこれと混同するようでもいけないので、緊急やむを得ないものから処理して行こうということで、わが党は態度をきめておらないのであります。しかし、この委員会で、ただいま石田一松君が発言されたような問題が取上げられるとすれば、考査委員会は超党派的なものであるということを決議の中にうたつておる。しかるに、多数でもつて正しいことを蹂躪するがごときことをいたしましたならば、先般来考査委員会は党派的であるといつている非難が当ることになる。私は、国会の権威の上からこれを看過することはできない。こういう問題こそ超党派的に考えて、国会が日本国最高の機関であるということを守り拔くことがわれわれの最高の義務であると思う。このことは、自由党の諸君におかれても考慮せられたい。軽々に多数をもつてこれを蹂躪することは非常な禍根を将来に残すことになる。私は、きようただちにこの問題の結論を出せとは言わない。わが党も、いまだ態度がきまつていない。愼重の上にも愼重を期さなければならぬが、かりそめにも多数をもつてこれを蹂躪するがごときことは、していただきたくない。ことに、国会の速記録に明示されておる出席議員の氏名等について、検察当局が疑つてこれを尋問し、また尋問された議員がこれに応じて答えるというようなことは、国会議員の権威をみずから放棄したものである。これは別として、多数をもつて乱暴なことをするなら、われわれの方の意見はますます硬化する。
○篠田委員 鍛冶委員長の問題は、先般この運営委員会で問題になりました。その後、椎熊君の動議によつて、重要問題であるから各党において態度をきめようということになりまして、もちろん自由党においても、ただちに役員会を開きました。しかし、これに対しては法律上の疑義もあるし、簡單に決定し得ない問題でありますから、この問題は、わが党においても、もう少し研究する段階に入つておるのであります。それで、さつき石田一松君の動議を多数をもつて否決したというようにとられておりますが、今言うように、運営委員会において各党の態度を決定することになつておるので、石田君から鍛冶委員長の退席を要求されたのでありますが、そういう関係から、われわれとしてはまだ懸案中の問題で、運営委員会においても態度を決定しない問題について、現在執行しておる委員長の退席を求められることは明らかに不都合であると考えて、採決した結果、多数をもつて否決したのであります。今椎熊君の言われるように、何でもかんでも多数で否決して行こうというような考えは、われわれにはもちろんありません。
○林(百)委員 この際議長さんに事実関係をお伺いいたしたい。大体われわれの考えておるところでは、院の警察権、あるいは秩序維持の権限は、もつぱら議長にある。しかるに、検事が院内に入つて来て捜査権を行使することは、院の秩序にとつて重要な問題だと思う。また警察権行使の上におきましても非常に重要な問題であります。これはもつぱら議長の権限にまかせられておる。そこで、鍛冶委員長が岸川検事を院の中に招致して捜査に協力することについては、議長に照会があり、議長のさしずに従つて行つたのかどうか。その点の事実関係をはつきりさしていただきたいと思います。
○幣原議長 それは議長に意見を問いに来られたことは絶体ありません。
○高橋(英)委員 事務総長にお伺いいたします。不当財委の昭電問題のときに、検事が傍聽席に常に来ておつた。あれはどういう権限で来ておつたのですか。
○大池事務総長 傍聽はだれでもできることになつております。委員長が許されたときには、一般国民としてだれが来てもさしつかえないことになつておる。これは委員長の権能で認められることになつておりますから、必ずしも不当財委のみならず、その他の場合でも、だれが来ようとさしつかえありません。
○高橋(英)委員 だれでもいいことになつておるのでしようが、傍聽を許す理由があるでしよう。あの場合、われわれは毎日来て監視つきでやられたように思います。形式上は傍聽ですが、実際上は、その点検察権の行使が院内において継続されたように思つたのですが……。
○椎熊委員 君はそれさえ神経質に考えるくらいだから、この問題はなお一層……。
○梨木委員 この前鍛冶委員長は、この運営委員会の席上で、あれは強制捜査でなく、任意に参考人としてお聞きする程度だつたからということで、非常に簡單に考えておられた。しかしながら、当日私は、神山委員にああいう文書が来たので、委員長に会つて、この文書には「貴庁に出張の上捜査を行います」という文字が使つてある、この点を指摘して、国会内において捜査を行うことを鍛冶委員長独断で許すことは不法ではないかと追究した。ところが鍛冶委員長は、参考人に任意に聞く程度だから、かまわぬではないかという意見であつた。もちろん、捜査には、強制捜査と任意捜査と二つある。しかしながら、少くとも捜査であることに間違いない。捜査を国会内において行うことは、これは衆議院規則の二百八条に「議長は、衛視及び警察官吏を指揮して議院内部の警察権を行う。」とありまして、国会の警察権は議長に專属しておる。議長の指揮下においてあらゆる捜査も行われなければならぬ。従つて、少くとも捜査を行う限りにおいては、議長の承認がなければならぬ。これは明白だと思う。こういうことが、單に一委員長の権限で行われることになりましたならば、これは国会内に司法権がどんどん入り込んで来て、いろいろな捜査をすることを容認することになつて、非常に重要な問題になる。決して強制捜査権だけでないということをはつきり銘記していただきたい。そういう点で、鍛冶委員長のとつた態度は、議会の独立と尊嚴に対する重大な侵犯だと思います。
 続いて、先ほど石田委員からも申されましたが、きようの考査委員会において問題にしたことは、とにかく議長の承認なくして司法官を導入したことは当人も認めておる。しかも運営委員会において、これが重大問題になつておるのでありますからして、そういう議会の権威を失墜するような行動をあえてした委員長が委員長の席に着いて委員会を運営をし、その委員長のもとにおいてわれわれが行動することは非常に不見識であるから、ほかの理事にかわつてもらいたいという趣旨で動議を提出しておるのでありまして、これは私たちは当然のことだと思います。その点、御了承願いたい。
○林(百)委員 今まで国会内に検事が入つて来て調書をつくり、母印を押したとかなんとかいう前例はありますか。
○大池事務総長 それは、私自身直接存じません。ただ私の知つている範囲では、今度の問題は、委員会が不法ありと認めて、委員会がだれそれを告発しておる。委員長はもちろん委員会の代表者になつておりませんが、委員会が原告の立場であり、被告の証言の中に、ふに落ちない点があるというので、委員会の告発者に対して、実際その通りであるかどうか確かめに来ておるので、かつての例としては、議員の被疑事件が院内で行われたと認められて、それが事件に相なつておる場合に、その現実の場所がはたしてそうなつておるかどうか見たいということで、実地検証と言いますか、そういう場合に、向うから要請がありまして、数人の検事等が来て実際を調べて行くという事態はしばしばありました。また旧議事堂内においても、たとえば暴行事件で、それが告発を受けた場合に、現場を調べなければ、はたしてそういう暴行があつたかどうかわからないので、検事その他が相当数入つて、現場を写真にとつて行つたというようなことは、しばしばあつたことであります。今回の事件そのものについては、どういう関係であるか、直接タツチしておりませんので、われわれわかりません。
○梨木委員 私は、その当日岸川検事にも会つておる。あなたはどうして国会の中に入り込んで来て、こういう委員を調べるのか、と聞くと、実は私は、国会内に入つて来て調べようと思わなかつた、実は遠慮して、最初議員会館でお調べしようと思つて考査委員会へ連絡したら、いや中に入つて来て調べてもいいというわけで、実は委員長室に来ている、ということでした。それで特に強調しておきたいことは、本来ならば、検事の話によると、十数名の委員を調べたい、しかし議員の方々も非常に忙しいから、こちらに私が出張してお伺いするわけなんだ、こういうことであります。それは、そういえばそうですが、しかし一方から言えば、本来なら、議員が忙しければ、各議員のお宅なり何なりに出かけて行つて聞いて来るのが当然だ。これを見ますと、議会に行つて、十ぱ一からげに調べようというやり方である。しかもそれを、鍛冶委員長は、委員長の名前で、各委員に、こういう検事が、こういうぐあいに捜査するから手配方頼む、右御通知しますというので、明らかに警視庁の警官が検察官の下働きをするようなことをあえてしておるという点は、議員としての権限を失墜するような行動だと思います。
○林(百)委員 先ほど検事が乗り込んで実地検証したといふのは、場所を見に来たのでしよう。しかし、少くともこの中で調書をとつたということはないと思いますし、かりにこの中に入つて来る場合においても、議長は運営委員会に諮り、議長の指揮でやつて来たと思います。しかるに、検事の方はむしろ国会に敬意を表して国会外でやるというのに、わざわざ中に招致してやるばかはないと思います。しかも、先ほどの弁解によると、むしろ委員会が告発した事件であるからと言つておるが、しかし議員自身の被疑事件について捜査する場合に、鍛冶委員長のような人であれば、それを断るという保証が得られない。そこで、当然鍛冶委員長としては、理事に交代するどころか、自分自身がはつきりした進退をすることを、国会自身の権威の上にわれわれは望むものであります。しかも、議長に何らの連絡もない。これは各議員においても、国会の権威のために正しい結論を出すようにしていただきたいと思います。
○椎熊委員 従つて、きようの運営委員会においていろいろ論議すべき筋合いでないと思いますが、さつき事務総長の言われたように、新議会になつてから、西尾さんの除名問題が本会議に上程されたときに、井上良二君が場外に出された。しかるに、三たび場内に入つて乱斗さわぎが起つた。その場合に実地検証に来ておる。それより先、幣原さんが臨時総理大臣代理のときに、非常な暴行事件があつた。その際、検事が写真班を連れて来て実際の状況を撮影した。そのことが大問題になつた。それを取上げたのは、そのときの政友会の島田俊雄氏です。その際派出問題として、警視庁の刑事が私服で廊下を歩いているのをつかまえて、国会の権威を蹂躪したということで、ネクタイをつかんで引出した。そのために、予算委員会の審議が数日間とまつた。それほど昔の人は国会の権威を保つためにやつた。島田さんの議論に対しては、そのときの憲政会の人も反駁できなかつた。一刑事が廊下を歩いておつても許さなかつた。もう一つは、一刑事が守衛長のところに私服で来ておるのを大野伴睦さんが見て、引きずり出しておる。その当時、大野さんはまだ議員でなかつた。しかるに、われわれ国会議員の中から、かかる事態を惣起したといことは、われわれとして見のがすわけにいかぬ。しかし私は、きようこれをどうしろというのではありません。
○岩本副議長 今話題になつておる鍛冶君の扱つた事件、これは皆さんのおつしやる通り、非常に愼重な研究を遂げて、将来の惡例にならぬように、きまりをつけたいと存じます。そこで、なおさら進んで国会の権威を高めるように、再びそういうことのないようにするためには、法律的なしつかりした根拠をこしらえなければなりません。そこで、われわれよく法律はわかりませんから、今研究してもらつております。ところが專門家の申しまするには、捜査上必要があれば、宮中たりとも、国会たりといえども出張してならぬという規定はどこにもないということであります。宮中でもどこでも行つちやいけないという規定がない。そう言う人もあります。しからば、どういうふうにしたら椎熊君の理想のようなことを達成することができるかということを将来研究しなければなりません。従つてわれわれの方でも、あくまでつつぱり得る根拠を発見するように御尽力願いたいと思います。
○高橋(英)委員 今の副議長のお話のの、捜査権は宮中まで及ぶ、国会であつても容赦しないということは強制捜査で、任意捜査はまた別です。
○石田(一)委員 今の法律問題は私よく存じませんが、ただ私がこの際事務総長あるいは議長にお聞きしておきたいことは、先ほど私が申しました、検事が捜査しようとしたその内容であります。すなわち、当日の十六人の委員の名前が書いてありますが、少くとも私及び神山君、この二人は、現実にこの証人が証言拒否、あるいは偽証をしたときにはいなかつた。これだけは、ここではつきり申し上げます。なぜかというと、当日まずこれが劈頭に取上げられましたので、ちよつと私時間が遅れたために、この証人は済んでいたのであります。こういうことがありますので、もし検事がわれわれ十六名の者を捜査した結果、あの日の委員会は定足数が足らないという判断を検察庁がして、委員長の名によつて偽証罪として告発したその被疑者を、何ら正式に開かれていない委員会であるから偽証罪は成立しないといつて釈放したというような場合がもし出来したといたしますと、この法律関係は、事務総長としてはどういうふうにお考えになりますか。
○大池事務総長 私も、それは法律上どうなるかという意味のことを申し上げることはできないのですが、私どもとしては、定足数ありやいなやは議長もしくは委員長の認定で会議を開き、また進めておるわけけでありまして、もし現実に委員長がはつきりと定足数のないものと認めた場合には、それによる処置をとり得るはずでありますし、もしそういうことが認定困難であるなら、委員の中から、今定足数がないのではないかという正式の発言があれば、もちろん定足数ありやいなやは委員長がこれを調べなければならぬと思つているわけであります。何ら委員からもそういう発言がなく、しかも十六人の諸君が出席された事実はその通りあるのでありまして、この出席された時刻が、何時に出て何時に中座して、何時に入つたという記録が明瞭につくつてあるわけではありません。一応それだけの方々がおつた事実はあるのでありまして、あるときに、ある人が出て、ある人がいなかつたということは、現実の会議体ではあろうと思います。従つて、定足数の問題は、現実に問題が起つて、定足数に疑いがあるというわけで調べた上で、定足数がはつきりあつたかどうか認定するほかないと思います。その現実問題を裁判官がいかに判断するか、正しいか正しくないかは、学者もしくは慣例によつて考える問題が非常に多かろうと思います。
○石田(一)委員 ただいまの事務総長の見解は、私は正しいと思うのであります。ただこれは、考査委員会自体の問題であるとすればそれまででありますけれども、少くとも運営委員会にとつても重大問題でありますので、もし委員会において告発された被疑者が、定足数不足の理由で釈放される、あるいは無罪になる場合があつたときには、定足数は国会としてはあつたと見ておるので、再び委員会は相当の手続をとらなければならないものと考えるのでありますが、この点はどうお考えになりますか。
○大池事務総長 それは考査委員会が、その場合の相手方に偽証もしくはこれに類するようなことがあつたと認定して告発いたした次第でありますから、それの結果を見て、また委員会としての態度も御決定になり得ると思います。従つて、われわれといたしましても、将来の委員会運営上重大問題になることでありますから、かかる場合に対する処置は十分考慮をして、当運営委員会においても、将来の問題として御研究願いたいと思います。
○林(百)委員 先ほど岩本副議長のお話がありましたが、副議長として、そういう場合にはどういう処置をされますか。
○岩本副議長 事件が起つた場合には、自分の認定に基いてやります。
○林(百)委員 副議長の言葉を聞けば、何か今度の問題を是認するような印象を受けたのですが……。
○岩本副議長 とんでもないことです。
○林(百)委員 実は考査委員会でこういう問題が起きておる。それは石田君からさつきのような動議が出て、これが多数で否決され、野党の委員が全部退場しているときです。少くとも自由党の諸君は、その範囲のことは鍛冶委員長に勧告してもらいたい。やはり問題が決定するまで石田君の動議のような方法をとるべきが至当だと思う。
○篠田委員 今の林君のお話はおかしいと思う。これは政治的責任と法律的責任と両方考えなければ善処できない問題だと思います。そこで、椎熊君の言われるように、それほどむずかしい問題だから、われわれは法律的にも調べており、政治的責任も当然党で考えている。従つて、われわれが勧告するとか何とかいうことは、すべての調査ができたときに、われわれが自発的に善処すべきで、共産党に強要されて善処すべきでないと思う。ですから、これをいかにさばくかというようなことは、各党の態度がきまり、自由党の意見がまとまつてからでいいので、委員会継続中に委員長を退席させることは合法的でないと思う。われわれは、法律的根拠によつて石田君の動議を否決しただけで、別に多数をもつて否決したとか、政治的責任を感じないとか、また法律一点ばりで否決したということはない。われわれも議員の一人です。院内の権威を保つことは、みんな考えておる。だから、あなた方から強制されて委員長を退席させるというようなことは、全然考えていません。
○林(百)委員 少くとも院の秩序に関する権限は議長が握つておる。議長の許可なくして、しかも検事自身が国会内に入ることを遠慮しているのに、来たまえと言つて入れて、国会でつくつておる速記録が信用できないから、議員から調書をとつて判を押させるというようなことは、これは認めるわけにいかない。われわれは、何も共産党の立場からそういうことを攻撃しておるのではない。
○篠田委員 われわれは、椎熊君が言われるほどこれは重大問題であるから、政治的にも法律的にも研究しておる。またあなたは、検事が遠慮しているのを委員長がむりに入れと言つたということですが、そういうことも研究しなければなりません。鍛冶君が、入つちや惡いのを、まあ入れと言つたということは、これは調べてみなければわかりません。そういう政治的にも法律的にも問題になつている途中において、国会が明らかに院議をもつて認めている委員長に退席しろということはおかしいと思う。
○石田(一)委員 先ほどの速記録を調べていただけばわかりますけれども、私は委員長の退席を要求しておりません。ただ委員長の席を他の理事に譲つたらどうかと言つているのです。
○梨木委員 ほかの理事にかわつてもらえという動議の趣旨は、これがこの前の運営委員会で問題になつて、各党が党に持ち帰つて態度を決定することになつておつた。少くとも運営委員会事実を認めて問題になつておる人で、国会の権威を失墜する行動があつたことは間違いない。そういう委員長のもとにおいて、われわれは委員会の運営を容認して行くことはたえられない。それで暫定的に退席された方がいいのではないかということを追究したので、最終的な責任を追究したのではない。
○土井委員 これは椎熊君の動議によりまして、各党で、院の権威を保持するために十分態度を決定することになつておるのでありますから、これ以上論議を進めないで、各党の態度を決定してから、あらためてこの問題を取上げて愼重に協議をしていただくように、この際提議いたします。
○大村委員長 ただいまの土井君の動議に異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 それでは、そのように決します。
○篠田委員 今土井君の言われたことに、われわれ異議なく賛成したのでありますが、この際しばらく休憩していただきたいと思います。休憩の動議を提出いたします。
○土井委員 きようは、事実上この時間から見て本会議を開くことはできませんから、参議院のことを考えて休憩していることは愚かなことです。この際運営委会を散会してしまつてはどうですか。
○大村委員長 ちよつと懇談を願います。
    〔速記中止〕
○大村委員長 それでは速記を願います。
 暫時休憩いたします。
    午後六時四十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後八時開議
○大村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
○本間委員 本日は緊急に運営委員会を御招集願いましたところ、各位には長時間御協力くださいまして、まことに感謝にたえない次第であります。参議院の議決も御承知のような結果に相なりました。自由党といたしまして、本日の皆様の御協力に対して衷心から御礼を申し上げます。
○椎熊委員 私はこの際ー言したいのですが、絶対多数を持つておる政府も與党も、一体どういう作戰計画でこういうむだなことをするのか。参議院において予算案が否決されても、両院協議会でけんかわかれさえすれば、こちらの意見通りにきまることは明らかである。それにもかかわらず、この数日来、反対党を抱き込むとか、あるいはいろいろなことをするということは、絶対多数党として、まことに恥ずべきことである。結果において政府が困るならともかく、何も困ることはない。こういう問題は、泰然自若として、われわれに迷惑をかけないようにやつていただきたい。これは日本の国会の権威を維持する上において非常な醜態であつた。今後お愼み願いたい。
○大村委員長 本日はせつかく御参集願いましたが、参議院の予算案通過によりまして自然消滅になりました。
 これにて散会いたします。
    午後八時三分散会