第007回国会 議院運営委員会 第3号
昭和二十四年十二月十六日(金曜日)
    午後一時十三分開議
 出席委員
   委員長 大村 清一君
   理事 石田 博英君 理事 今村 忠助君
   理事 福永 健司君 理事 山本 猛夫君
   理事 椎熊 三郎君 理事 坪川 信三君
      大橋 武夫君    岡延右エ門君
      岡西 明貞君    倉石 忠雄君
      篠田 弘作君    田中  元君
      田渕 光一君    塚原 俊郎君
      福永 一臣君    淺沼稻次郎君
      田中織之進君    土井 直作君
      松井 政吉君    園田  直君
      長谷川四郎君    神山 茂夫君
      梨木作次郎君    寺本  齋君
      石田 一松君    竹山祐太郎君
      岡田 春夫君    中野 四郎君
         内閣官房長官 増田甲子七君
 委員外の出席者
        議     長 幣原喜重郎君
        副  議  長 岩本 信行君
        事 務 総 長 大池  眞君
十二月十五日
 委員篠田弘作君及び福田篤泰君辞任につき、そ
 の補欠として大橋武夫君及び大石武一君が議長
 の指名で委員に選任された。
十二月十六日
 委員大石武一君及び田中織之進君辞任につき、
 その補欠として篠田弘作君及び淺沼稻次郎君が
 議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員松井政吉君辞任につき、その補欠として田
 中織之進君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国政調査承認要求に関する件
 委員派遣承認申請に関する件
 公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に
 基き、国会の議決を求めるの件の取扱い並びに
 付託委員会に関する件
 彈劾裁判所の昭和二十五年度予算に関する件
 両院法規委員の辞任及び補欠選任に関する件
 社会保障制度審議会の委員推薦に関する件
 本日の本会議の議事に関する件
    ―――――――――――――
○大村委員長 これより開会いたします。
 簡單な事項で届いておるものがありますので、それを先に御協議願いたいと思います。まず第一に国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。事務総長より御説明を願います。
○大池事務総長 水産委員会から国政調査承認要求が参つております。調査事項は水産物の生産増強、漁港及び漁船に関する事項、水産貿易に関する事項等について小委員会を設けて資料等を要求いたしたい。こういう御要求でありますので御承認方を願いたいと思います。
○大村委員長 本件は承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 それではさように決します。
    ―――――――――――――
○大池事務総長 ついでに御報告申し上げておきたいことは、先般来の自然休会中に、人事委員会から国家公務員の給與及び人事行政に関する調査要求が参つております。国家公務員の職階制に関する法律案がかかつておりますので、その問題について公聽会を開きたいという人事委員会からの申出がありまして、休会中でありましたために、議長において承認を與えてありますから御了承を願いたいと思います。
○大村委員長 本件はこれを了承するに御異議ありませんか。
○大村委員長 それでは了承することに決定いたしました。
    ―――――――――――――
○大村委員長 次に委員派遣の申請があります。事務総長より御説明を願います。
○大池事務総長 訴追委員会から委員長の名前で、彈劾裁判の訴追をしてもらいたいという申出がありますので、中村又一君、金原舜二君、花村四郎君、山口好一君、佐瀬昌三君の五人の方が十二月二十三日から八日間長野の地方裁判所へ調査に行きたい。こういう御要求でございます。これは何か村長さんが選挙違反にかかりまして、保釈すべきものを保釈しないでおつたために、とうとう死んでしまつたということで、非常に人権を蹂躙してけしからぬ。ぜひ調査をする必要がある。こういう申出であります。
○石田(博)委員 日にちの点については遠慮してもらうことにして、議長一任でどうですか。
○大村委員長 それでは本件は期間八日間を五日間ぐらいに短縮するという目当で、議長においておとりはからいを願うことにして承認することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 それではさように決します。
    ―――――――――――――
○大村委員長 次に彈劾裁判所の明年度の予算について承認を求められております。事務総長より御説明を願います。
○大池事務総長 御承知の通り彈劾裁判所は、一応参議院側の所管事項になつておりますので、参議院の運営委員会の承認を経た後に衆議院にまわつて参りましたために、大分遅れておりますが、彈劾裁判所の来年度の予算要求書を提出することになつておる関係から、当委員会の承認を求めて参つております。彈劾裁判所の総予算は三百七十四万六千円になつておりますが、これはこちらの所管に属しております訴追委員会の例によりまして、まつたく同等の状態のものでございます。従いまして参議院の運営委員会を通過したものであるから、衆議院の方も一応御了承願いたいということで参つておるわけであります。
○大村委員長 本件は了承するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 それではそのように決しました。
    ―――――――――――――
○大村委員長 なお社会保障制度審議会の委員及び両院法規委員会の委員任命の件について事務総長から御報告を願います。
○大池事務総長 御承知の通り社会保障制度審議会の委員の任期が、十二月二十二日に終つてしまう方が二人ございます。これは一番最初に二年議員と一年議員とにわけたために、一年議員がそうなるわけであります。その方は民自党から出ておる青柳一郎さん、社会党から出ておる福田昌子さん、この方々が二十二日で任期が終りますので、後任を一応御推薦願つて、二十三日以後に任命を願いたいと思います。その所属党派の方々でどういう方をお選びになりますか、御考究を願いたいと思う点が一点、それから両院法規委員会の林百郎さんが辞任を申し出られておりますので、その補欠を選挙しなければならぬわけでありますが、その補欠として共産党では一応聽濤さんということにしてございます。これについては本会議で適当な時期にお願いしたいと思います。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ―――――――――――――
○大村委員長 これで雑件の御協議が終りましたから国鉄裁定に関する緊急質問、決議案等がございますが、御異議がなければ公務員の給與問題に関した点でお話をお進め願つたら便宜ではないかと思います。
○土井委員 事務総長にちよつとお伺いしておきたいと思います。例の裁定の案件に対しまして、十三日には大体十六日ぐらいに政府は何らかの措置をとるということを與党側も言つておりましたが、そういう事柄について何らか事務的に、具体的に、政府の方からこちらに手続がありましたか。
○大池事務総長 ただいままで特別な手続を受けておりません。
○石田(博)委員 今官房長官が見えるはずでありますので官房長官がお見えになれば政府側の説明があると思いますが、一応私の方から聽取しておる状態についてお許しがあれば申し上げてみたいと思います。
 この折衝を続けておるのでありますが、当初本日の運営委員会までに政府として何らかの決定的な手続をとり得るという点につきましては、現在のところ時間的に間に合わない状態にございます。但しそれは先行き全然幾日のことかわからぬという意味ではないのでありまして、今日現在の状態におきましては、非常に短い期間のうちに、結論に到達し得る状態にあるそうであります。お約束の時間まで間に合いかねたことについては、まことに與党として責任を感じておる次第であります。そのことについての経過等につきまして御了承の上、いましばらく御猶予を願いたいのであります。
○神山委員 石田君の今の説明は承りましたけれども、十三日に私どもが申合せをいたしましたときには、十六日になつたら大体何とかかつこうをつけて出す。但しその場合十六日というのは、十五日の二十四時が終つたらすぐ十六日だから、その場合時間が二時間、三時間遅れてもしかたがない、そのことは了解すると言つたのですが、今すでに十三時二十何分になつておるわけでありまして、あのときの申合せと情勢が違つておるということを明白にしておきたいと思います。御努力は認めますが、遺憾ながらその努力は実を結んでいない。従つてそのとき申合せた事項につきましても、当然効力を失うものであるということを、まず冒頭に申し上げておきたいと思います。そうしませんと、こういう論議を進められる場合に――そういうことは絶対にないと思いますが、あの申合せと違うではないかと言われると、かえつて事態が紛糾するおそれがありますから、ここは白紙に返つてさつぱりして話合いをしたいと思います。
○石田(博)委員 時間の申合せについて云々ということは、現在の立場においてはいたし方ありません。白紙に返して議論をなさるというなら、申合せはあくまでお互いの話合いによつて記録をはずした申合せでありますので、それを今日白紙に返されるということについて、私どもの方で抗議をしたり、異議を申し立てる論拠その他については別として、そういう気持は持つておりません。
○椎熊委員 わが党は裁定に基いて一日も早く全額を支給したいという念願を持つておるのですから、白紙に返すことは反対です。申合せに従つてあらゆる努力をしてもらいたい。これには協力するという建前です。御承知を願います。
○神山委員 椎熊君はきようの野党各派の懇談会に出て参らなかつたために御承知ないと思いますが、その際に一つの申合せをしたのです。それと同時に野党各派にしても、わが党にしてもこのことを引延ばして解決を遅くしよう。これで政府を困らせようというような、けちな根性は毛頭ないことをこの際申し上げておきます。先日から私どもは一日も早くこの問題は解決して年末も差迫つた労働者諸君の生活を楽にしようというのが念願ですから、その点御了解の上、しかも立場の違う点は違う点として政府の無能力と怠慢の点をはつきりすべきだと思います。
○土井委員 神山君の言うのは、十三日の運営委員会の申合せは、十六日に何らかの形において法案の裏づけ等があつて、体裁をなして出て来るものならということなので、それが事実の上に具現しなければ、当然自然解消ということは念を押すまでもないと思います。それで非常に緻密な神山君が念を押されたのだと思いますが、與党側もその点御了承願いたいと思います。従つて今後の議論はそういう角度から論議されるものと御了承願いたいと思います。
○淺沼委員 事務総長及び議長にお伺いしますが、裁定案は一体どこに宙ぶらりんになつておりますか。
○大池事務総長 この裁定案は議長の手元にありまして、どの委員会に付託しようか、この委員会できめようと思つております。この前の小委員会では一応労働委員会に付託しようということに打合せもしたのですが、小委員会の決定通りぽんと持つて行くことはどうかと思つて、この委員会の決定を待つておる次第であります。
○大村委員長 それでは官房長官が御出席になりましたから……
○土井委員 この際官房長官に伺つておきたいのですが、実は十三日の議院運営委員会では、大体與党側の切なる申入れによりまして、十六日まで問題を論議しないで、その間に裁定案に対して政府が何らかの措置をとつて来るであろう。従つてそれまで一応留保してもらいたいということで待つておつたのであります。ところが先ほど石田委員の御説明によりますると、何らまだ具体的にこれに対する措置が講ぜられておらないということであります。詳しいことは官房長官が見えてから政府の見解を表明されるということでありますが、その後裁定に対する問題についてどういう形になつておるか。言いかえるならば、いつごろこれが具体的に提案されるような運びになるかどうか、十三日の申合せの裏づけとして提案できるかどうかお聞きしたい。
○増田国務大臣 土井さんにお答え申し上げます。政府といたしましては、裁定の全部は御承知の通り当初の予算上、資金上これを受諾することはできませんが、一部は出したいというので、閣僚はあらゆる努力を拂つておる次第でありまして、実は本日午前中にも関係方面から、返事が来ることを熱望し、期待しておつた次第でありますが、まだ午前中は参らぬような次第であります。
○土井委員 午前中には見えないということでありますが、大体の見通しはいかがでございますか。
○増田国務大臣 午前中はむなしく待望しておりましたけれども、午後にはぜひとも何とか返事があることを熱望し、またそう期待しておるわけであります。それからその内容等につきましては、まだ今のところ申し上げる段階ではないのであります。
○土井委員 この際ちよつとお伺いしておきたいのは、きようの朝日新聞の記事によりますと、政府は提案理由の変更をするかもしれないという見出しの上に、これは増田官房長官が記者団会見で言われたことと承知するのでありますが、裁定の一部承諾が十六日午前中に可能となれば、その線に沿うて提案理由を変更し、また結論が出ない場合には、予算上、資金上現在は受諾不可能な旨をつけ加えるかもしれないという話をしております。この前問題になりましたのは、この法案を受理することが合法的であるか、非合法的であるかということの論議がかわされたわけであります。大体この前出された裁定の承認の案は政府の意思表示が全然されておらない。要するに承認してくれというのか、否決してくれというのか意思表示がない。また予算の裏づけもない。従つてこれは案件として法理的に何らの根拠がないものだという建前で、論議がかなり強くされたのであります。この官房長官談によりますると、前に出されたものに、法律的な根拠がないという見解の上に立つて、こういう言葉が発せられておるのかどうか。この点を念のためにこの際お伺いしておきたいのであります。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。私どもが十二日に国会に裁定案を付議したゆえんのものは、この理由書に書いてございます通り、十六條第一項前段に該当すると認めるということを、はつきり政府はうたつておる次第であります。すなわち第一項前段とは、公社の予算上、資金上、不可能な支出を内容とする裁定であるということを、さしている次第であります。そこでいませつかく折衝いたしておりますのは、前にも私申し上げました通り、裁定はもちろんできるだけ尊重して参ります。のみ得る最大限度までのみたいというわけで、せつかく努力しております。そこで何らかの具体案が出ますれば、そのときに修正案というような形で出したいと考えております。十二日の段階におきましては、あくまで第一項に該当するというのが、政府の考え方であります。第一項とは何であるか。予算上、資金上不可能な支出を内容とする裁定であるということは、実は今もつて御返事が来るまでかわつていない状況であります。
○土井委員 大体この前論議された焦点は、公労法の三十五條の但書によつて、十六條にこれがかえつて、十六條の第一項によつてこの提案がされておるのであります。しかしわれわれが承知するところによれば、あらゆる法律案に対しては政府の意思が加えられていなければならぬ。また十六條の面から言つても、予算の裏づけが当然行われなければならないはずである。ところが政府の意思が全然法律案に加えられておらない。また予算の関係も全然ない。そういうものが一体案件として、合法性を有しておるものかどうかということについて、非常な疑問を感ずるわけであります。政府の見解によれば、ただいま官房長官が言われたように、それを合法的なものであるというふうにお考えのようですが、われわれとしてはこれを合法的でないから、従つて受理すべからずという意見を強く主張しておつたわけであります。従つて政府がこの新聞に書いてあるように、結局一部修正とかあるいはまた不可能であるということの説明を加えるかもしれないということは、明らかにある意味において合法性を認めていない裏づけでないかと考えるのでありますが、その点いかがですか。
○増田国務大臣 この新聞の記事のうち、後段のことは今私土井君の御質問に対してお答えいたしませんでしたが、閣議においても愼重審議いたしまして、その結果説明を加えなくとも、第一項と言えばすでにそれは予算上資金上不可能な支出を内容とする裁定であるということをさしたものでありまして、さらに説明を加えることは丁寧になるけれども、あれでさしつかえないという見解に立つておる次第であります。
 それからこの議案を付議するに際しては、予算案を伴うというようなことが法律上必要であるとはわれわれは考えていません。
○神山委員 増田君の答えを聞いておるとたくさん聞かなければならぬことが出て来るのですが、まず第一に聞いておきたいことは今あなたはここで、裁定に基いて全部はできないが、一部はのみたいとおつしやいましたが、これは間違いありませんか。
○増田国務大臣 間違いありません。
○神山委員 そこでもう一つお尋ねいたしますが、これは十二日あるいは十三日の心境であるか、それとも十六日の心境ですか。
○増田国務大臣 政府は初めから実は裁定は尊重しております。だから予算上資金上可能なものであるなら、のみたいと思つて努力して来たわけであります。ところが公労法の指定の日は十日です。それで不可能であるというわけで、しかも公労法は十日内に所定の手続をとることを明記してありますから、その手続をとつた次第であります。それで裁定のあつた日から今日まで、その裁定の一部でも予算上資金上不可能なものを、何らかの方法で可能にいたしたいと思つて努力しておるわけであります。それで返事がかりに関係方面から参りますれば、そのときには一部が可能になることを熱望しておりますから、そのときに修正案を出したい。とにかく十二日の段階においては、不可能であるという意味で国会に付議した次第であります。
○神山委員 あなたは頭が痛いというので、山口国務大臣がかわりに来られたときに私聞いて見ましたら、その日に小沢君が参議院において承認しないことを承認してもらいたいと言つたことが、問題を紛糾させる一つの原因であつた。労働大臣もあとに見えてそう言つたために紛糾した。そのときに山口国務大臣は、できるだけその趣旨を尊重したいと言つている。それなら承認しないという趣旨で、国会で承認してもらいたいという小沢君や、鈴木君の言はどうかと尋ねたら、奈良丸と虎造の節まわしの違いだと詭弁を弄せられたが、浪花節なんかどうでもいい。これはアメリカの浪花節かもしれないが、日本の浪花節は違う。承認と不承認ということは全然違う。政府の見解をはつきりしろと言つたのに、はつきりしないために問題が今日まで延びて来ておる。ここであなたに聞きたいことは、第一にあなたは十日間の期日内に出したいと言われた。しかしこの問題は裁定が出てから十日間という意味でなしに、その前に調停委員会もあるし、政府に対してもいろいろな要求も出ておるわけでありますから、あなた方としては当然何らかの準備があつたと思う。その準備がないために十日に間に合わず、しかも十六日になつてもまだ腰がきまつていない。このことについてはあなた方は政府の内部が不統一です。この遅延の責任はあげて政府にあると認めるかどうか。あなたは認めないと言われると思うが……
○増田国務大臣 神山君の御指摘のように政府部内には意見の懸隔も何もありません。われわれが十二日に国会に付議したのは裁定全部をのむことができません。そこで不承認という意味で提案したのであります。提案いたさないのは公労法違反になりますから提案したわけです。しかしわれわれは裁定案の内容の一部をのみたいと思つて努力しておるわけでありまして、公労法の解釈について、政府部内で意見の不統一は絶対ありません。小沢君の言うことも、山口君の言うことも内容は全然同じでありますから、はつきり申し上げておきます。
○神山委員 先ほどからの説明では、政府の提案理由の説明の中に十六條第一項と書いてある。ところが私どもが参考人として来ていただいた法制局長は何と言つているか、この速記録を見てもらいたい。私たちは国会の運営委員会においてこの人の意見を聞くことは国会の権威を傷つけるものではないかと考えておりますが、一応事務当局と折衝した結果お聞きした。そのときに法制局長は、三十五條に基いて出されたと言つておる。その点についてあなたの所信を聞いておきたい。
○椎熊委員 合法、非合法のことは運営委員会で論じないことに紳士協約をしておる。そこでぼくらは早く全額支給したいということなんだから、本質に向つて議論をしたい。そこで官房長官に聞きたいが、本日の説明を聞くと、裁定案を尊重すると言われておるにもかかわらず、一部は認めると言われる。そうすると政府は初めから全額支給をする意思はなかつたというふうに了承してよろしうございますか。
○増田国務大臣 お答え申し上げます。三十五條の但書に書いてあるからして、あなたの御指摘の通り十六條に返つて来るのであります。われわれが十六條というのは、その根拠は三十五條にある。これは疑いない事実であります。
 それから椎熊さんにお答え申し上げます。私どもは裁定を尊重して最大限度でき得る限り具体化したいと思つて努力しております。それで十日間に一生懸命努力をしました。ところがその十日の日の十二日の段階におきましては、裁定は全部不承認ということを願うよりいたし方ない客観情勢であつたということを申し上げておきます。
○石田(一)委員 ただいま官房長官の説明によると、裁定されてから十日間一生懸命努力されたということでありますが、運輸大臣は十三日に、三日前に政府から渡されたので、われわれは三日間しかないから努力ができなかつたといつておる。
○増田国務大臣 十日と申し上げたのは、今の山口君の言葉と多少相違があつたかも知れませんが、われわれは二日に国鉄を通じてわかつておつた。そこで一生懸命努力しておつたことは事実であります。
○椎熊委員 私の聞くのは、政府は裁定を全面的に尊重すると言いながら、当初から全額支給の意思がなかつたようにうかがえる。そう了解していいかということです。
○増田国務大臣 同意不同意といわれても困りますが、われわれはできる限り裁定を尊重して、具現化するために努力して来ました。
○岡田(春)委員 それでは何らか予算措置が日本国有鉄道によつてとられなければならぬと思いますが、それはいつ出ていますか。
○増田国務大臣 岡田君にお答え申し上げます。国鉄は御承知の通り、全面的に裁定には縛られております。従つて予算的措置その他についても一生懸命くふう勘案はいたしております。
○岡田(春)委員 私の言つたことを誤解しておられる。日本国有鉄道公社は、政府に対して原案を提出しなければならぬことになつておる、それをいつお出しになつたかということを聞いておるのです。
○増田国務大臣 繰返して申し上げます。国鉄当局が裁定には全面的に縛られることは国鉄労働組合と同様であります。そこで予算措置をとつたかということについては申し上げかねますが、いつも加賀山総裁は、われわれは裁定には全面的に拘束されておるということを言つておる。それで運輸大臣にその意思が明確にされておればいいと思います。
○淺沼委員 ただいまの椎熊君の質問されたことは重大なことだと思いますので、念のために聞いておきたい。初めは不承認の承認を求めて来た。その前には裁定は拒否するという態度であつたように伺います。そこで当時の政府の環境と、今の政府の置かれておる環境と違う。行政府が立法府に対して二つの意思が動いておると私は思うのです。初めはどんな心持があつても一つの文書になつて現われて来ればわれわれはその文書によつて判断するほかない。従つてそのときの文書に現われた政府の意思と最近になつて増田官房長官の言われておる言葉と、明らかに政府の意思が二つ動いておる。これは認めなければならぬと思う。しかし政府の努力に対してはわれわれは必ずしも否定するものでないけれども、国会に対する政府の態度が一週間くらいの間に意思が二つになつて出る行為は、これは愼むべきであると思います。一つの意思が出たならば、それが最後まで続くべきである。
 もう一つは、政府は非常に努力されておるということでありますが、一体いつ、具体的にどういうような形になつて表に現われて来るか。それを伺つておきたいと思います。
 それから今は国鉄裁定の問題でありますが、政府はさらに一般官公庁の越冬資金の問題について、非常な努力を拂つておるそうであります。これもどういう経過になつておるかこの際承りたい。
○増田国務大臣 淺沼君にお答え申し上げます。政府として二つ意思は絶対持つておりません。当初から裁定は尊重いたしておりますし、でき得る限り予算上、資金上可能なものは裁定を尊重して、これをのみたいと思つて努力しておることは、二日に裁定の通知を受けた日から今日まで同じであります。しかし法律は十日以内に所定の手続をとることをわれわれに命じておる。それで十日という所定の期日に従わなければなりませんので、われわれは国会に提出した次第であります。今日も予算上資金上不可能を可能にするために努力しております。しからば可能になつた場合どうするかと言いますと、きようかりに関係方面から返事が来たとするならば、今の段階においては経理上資金上不可能でありますが、ある程度了解を得れば可能になる見込みがあります。それで修正案なら修正案という形で出したいと思つておるわけであります。
 それから一般公務員の歳末手当に関しましては、われわれは公共企業体と一般公務員、官公庁職員は同様に扱うべきであるという見地から、一生懸命努力しております。
○神山委員 一般公務員に対する態度はある程度まで了解できました。官房長官にお尋ねいたしたいのは、今おつしやつた言葉は特別調達庁関係まで含めてのことと思いますが、そのあと毎日ここへ押しかけている自由労働者諸君、――一昨日は民自党では木村公平君、きのうは星島総務会長が現われてできるだけ諸君の要望に対して努力すると言われましたが、あなたの今の言葉の中にそれがなかつた。それをひとつ聞いておきたい。
○石田(博)委員 公務員の問題は国鉄裁定と当然関連をして来る問題であります。ところが自由労働者に関する問題は、これは他の一般労働問題の範疇に入る問題であつて、それに対しては民主自由党といたしましても、一般労働問題として深い関心を持つて対策に腐心しておるので、そのことは星島総務会長も、私も木村公平君も一緒に行つて申し上げておるわけであります。しかしそれは本日の議題外だと思います。
○神山委員 私はあえて固執するわけでありませんが、今話が出たから申し上げたわけであります。これは公共企業体の問題と関連しておるので参考に聞いたわけでありますが、この点について官房長官が答えられなければ答えられないでもいい。
○土井委員 この際議事を進行していただきまして、きようの議題に対してどう取進めるかお諮りを願います。
    ―――――――――――――
○大村委員長 この際申し上げます。大体御意見もございますが、ここには緊急質問も出ておりますし、本議場においても明らかにされるところもあろうと思いますから、この際本日の議事をどう扱うかについて御協議願いたいと思います。
○椎熊委員 二日間も休んでおるこの重要な問題です。外から見ると怠慢のようにも思われますし、急いで本会議を開いてこの問題を上程し、上つて来た法案もあつたらそれを上程するように願いたいと思います。
○大池事務総長 本日はお手元にあります薪炭需給特別会計法案、それ以外に緊急質問及び建議案等が出ております。それとからんでそれだけのものを持ち込んでやるか、お諮り願いたいと思います。
○椎熊委員 われわれは国鉄の裁定が眼目で、ほかのものはそれほど重視しておりません。従つて雑件も片づける意味において日程に入れて行きたい。それに先だつて緊急質問をまずやつていただきたい。それは裁定に対する法理上の解釈いかん、その次に日程を入れて、官房長官の言を信じて、最短時間で来るというのでありますから、その間ひとまず休憩してもらいたいと思います。
○大村委員長 椎熊君にお尋ねいたします。緊急質問は各種のものが出ておりますが、本日は国鉄裁定に関するもののみで御異議ありませんか。
○椎熊委員 その他は再開後にお願いいたします。
○淺沼委員 われわれの側から言えば、裁定案は案件として不備であるというわけで、委員会付託を拒否しておる形になつておる。ところが政府及び與党側においては、このままの状態でいいという見解で議長が留保されておる。
○石田(博)委員 私どもの方は合法的であると思つております。しかし議案が受理されたという事実は合法的であると思つておりますが、それを委員会に付託いたします場合においては、現在の種々の情勢から完備した方がいいと思つて、そういう意味で留保しておるわけであります。
○淺沼委員 委員会にかかつておりながら、その可否を決定せずして議長の手先に置くことは、将来議長の責任問題も起つてくるということを申し上げておきます。
○椎熊委員 そういうことを言わない申合せだつたじやないか。議長は各派の政治情勢を見て了解の上で留保してあるので……
○土井委員 実はこの問題については椎熊君の方とわれわれとの間に意見の相違がありまするが、要するにこれを受理することの合法、非合法ということについての関係は、十三日においては大体において論議しないことになつていたのですが、今朝に至つて正式に提案されておるものについて、具体的な手続も意思も加えられていないことがはつきりしたので、與党に対して野党は、この前いろいろ申し合せた事項は、客観的事実の変化によつて御破算にするということを申し上げておる。従つてこの点に対する論議は別として、今淺沼君が言つた問題は一応記録にとどめておいて……
○椎熊委員 そんなことを記録にとどめるくらいなら、なず議長が保留するのか。
○石田(博)委員 その問題については、そのとき話合いした人の御議論にしてもらいたい。われわれは非常に迷惑する。ここでひとつ申し上げておきたいことは、今日の国鉄裁定に関する問題は、予算の許す範囲内におきまして最善の努力を拂つて、何とかできれば全額でものみたいという考えは、全員ことごとく持つておる。従つて今日の見通しとしては、二日ということが考えられるけれども、しかしそれをもう少し延ばした方が、よりよい結果に持つて行けるなら、この問題はしばらく待つてもらいたいという含みで、あのとき採決しなかつた。その点について神山君は、きようという日にちは昨日の二十四時ををもつて切れるということを言われたが、そういう種類の議論と考えていない。そのときの話合いでは、延ばした方がいいときは延ばした方がいいということであつた。
○田中(織)委員 私どもの方の三宅議会対策委員長に正式に申し入れられたことについて、野党各派で相談した結果、一応この前の問題は、前段の論議はともかくとして元へもどすということは私どもの方から申し出ておる。しかし現実はきようの三時ということでございますから、その間二時間や三時間の問題はわれわれは問いません。しかし事実は石田君が先ほど言われた十三日の議論は、石田君の言われる通りそれは認めます。ところがきようになつて私どもの方の三宅議会対策委員長を通じて、野党各派に申し入れられた事項については、三宅議会対策委員長からあなたに返事はしてある。従つてそういう事実の上に立つて、きよう三時以後、五時以後ということになれば、その問題についてはおのずから別だというように、淺沼君のさつきの発言をとつていただけばいいのです。
○土井委員 それは先ほど私が言つたことで盡きておる。従つてこの問題はこれ以上紛糾させないで、議事を進行していただきたい。
○石田(博)委員 私どもが三宅国会対策委員長を通じて申し入れたのも、皆さんの御協力を願うことによつて、できるだけいい結果に進めたいというそのときの申合せの線に沿つて、そういう事情を御報告申し上げて希望を申し上げたので、その点御了承願いたいと思います。
    ―――――――――――――
○大村委員長 それでは議事日程について御協議願います。緊急質問は……
○土井委員 私どもの方からは米窪君、それから石田一松君。
○神山委員 あとの緊急質問は……
○大村委員長 残余については運営委員会を再び開いて御協議申し上げたいと思います。
○石田(博)委員 もう一つ私の方から御了解を得ておきたいと思います。この問題については私どもの方でも緊急質問をしたいと思いますから、一人十五分くらいずつに願いたいと思います。結局三人になります。
○大村委員長 それではこの際お諮り申し上げます。緊急質問と薪炭需給調節特別会計の日程が終りましたら、さらに運営委員会を開いて決議案その他の取扱いを御協議申し上げたいと思います。
○中野(四)委員 薪炭需給調節特別会計法案の討論は何人ですか。
○大池事務総長 社会党の田中さん、民九の宮腰さん、共産党の河田さん、新政治協議会の内藤さん、この四人でございます。
○大村委員長 それではしばらく休憩いたします。
    午後二時二十分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時三十九分開議
○大村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 内閣委員会、建設委員会及び労働委員会の国政調査承認要求の件について、議長より諮問があります。これを議題といたします。事務総長より説明を願います。
○大池事務総長 各委員会から今会期中行政機構に関する事項を調査いたしたいという要求がございます。それと建設委員会から今期中、国土計画、地方計画、都市計画、住宅復興、治山治水事業、道路、連合国の保有する建造物及び設備の営繕等に関する事項、こういう建設面の事項の調査の要求がございます。それから労働委員会からは、労働事情に関する事項の調査をいたしたいという要求がございます。この三委員会の御要求の御承認方をお諮り願います。
○大村委員長 ただいまの国政調査承認要求の件は、議長においてこれを承認すべきものと答申することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 御異議なきものと認めます。さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○田中(織)委員 先ほどの午前の会議に引続き、非常に解決を迫られております国鉄裁定に関する問題について、その後の政府側の状況を伺いたいと思いますから、官房長官の御出席を願つて、この問題の取扱いについて、運営委員会の態度を決定願いたいと思います。官房長官の出席を要求します。
○大村委員長 それではただいま官房長官が見えましたから御質疑を願います。
○椎熊委員 先刻の運営委員会で、官房長官は近い時間に何とか目鼻がつくようなお話があつたが、現段階はどうなつておりますか。
○増田国務大臣 政府は本日午前中にも関係方面から御返事があることを期待しておつた次第でございまするが、午前中もなく、ただいまの時刻に至るまでまだない次第でございます。そこで今も実は一生懸命折衝はいたしております。私どもの見込みといたしましては、ちよつといつということは、はつきり申し上げかねますが、明日中には、そう遅くない時期において御返事があるようにいたしたいというわけで、一生懸命努力もいたしておりまするし、期待もし、熱望もいたしておるという状況でございます。
○田中(織)委員 政府の方で関係筋と折衝しても腐心せられておるという点は理解できるのでありますが、その関係筋と折衝しておるという線、もつと具体的に申しますると、この裁定を国会に承認を求める手続上のことについて、予算の問題はどうなつておるか。
○増田国務大臣 ただいまのところ予算の範囲内においてできるかぎりの経理をいたしたい、こういうわけで向うと折衝いたしておる次第でございます。
○岩本副議長 ちよつと関連して私の方から聞いておきたいが、一ぺんは向うから返事があつて、その返事が、政府側ではさらに努力する必要があるというので、繰返して折衝中なんですか。それともまだ答えが一度も来ない、こういうことですか。
○増田国務大臣 まだ何ら向うから御返事がないという状況でございます。
○淺沼委員 そうすると、さつき言つたことを繰返すことになるのですが、予算の範囲内で経理するということになれば、その承認不承認ということは、あれ以外に何かくつついてのことですか。
○増田国務大臣 お答えいたします。どうして予算の範囲内と申すかと言いますと、既定予算の範囲内でなくてはいかぬ。これだけの一般的な返事はあるのです。われわれは、できれば予算措置ということまでやつて、裁定の線にできる限り沿いたい希望を持つておりますが、既定予算の範囲内でやるということになつております。それで国鉄関係と一般国家公務員、地方公務員、その他地方教職員、これらはすべて同様に扱うのが、いわゆる公平の法則を満足せしめるゆえんであると考えて、政府は鋭意努力しております。事をわけて申しまするが、国鉄関係は向うがよろしいと言われれば、国鉄並びに運輸省関係は経理の範囲内でまかなえる。これは額にもよりますけれども、今のところそういうように考えております。それから一般公務員、国家公務員につきましては、もし手当等が出るということになりますと、一時は超過勤務手当ということで、われわれは歳末の手当を出したいと考えておりましたが、まあ正面切つて関係筋と折衝しておることでありますし、もし向うでよろしいということになれば、一種の臨時的の法的給與制度を打立てる。あくまで今回限りの法的給與でございますが、そういうことをもし向うでよいと言つた場合は、――もつともこれは額にもよりますが、そういうことを研究中でございます。国鉄関係については法的処置はいらぬと考えます。
○椎熊委員 そうすると既定予算の範囲内でやりくりするという政府の決意のようだが、そうなると国会の承認を必要としない、いらないのですね。そうすると今出して来ておる裁定案なるものは、議長の手元に留保しておることは不必要だと思う。政府は御撤回になつたらいかがですか。
○増田国務大臣 そういうことには相ならないのでございます。それは御承知の通り裁定は今月中に六千円拂い、明年は一、二、三とそれぞれ千円ずつ九千円、国鉄五十万人に九をかけて四十五億という数字である。そこでわれわれは一生懸命裁定を尊重し、これを経理の上に具現化すべく努力しておりますが、かりに向うがこのくらいの経理でよろしいということになれば、数の上ではそうなるのでありますが、とにかく若干の範囲は裁定を実施してよろしい、こういうことになりますと、実施し得ざる残余の部分については、やはり十六條二項に該当するから御承認願いたいということで、ただいまは全面的御承認を願いたいということで提案しておりますが、その場合は部分的の承認を願いたいということで、提案を修正いたす考えであります。
○田中(織)委員 その点はわれわれ與党側の解釈と政府側の解釈と対立いたしておる点で、官房長官御承知だと思います。しかし参議院における末弘仲裁委員長の御見解に従いましても、一応政府はあの案の裁定通りに予算を組んで国会に提出する。その予算がかりに政府が均衡予算その他の関係からみて、成立さしてもらつては困る、こういうことがほんとうの政府の腹としてありまする場合には、率直にその理由をつけて予算案を提出することが、十六條二項によるところの裁定に必要なる手続であるというように、明確に末弘仲裁委員長は示されておる。この見解と政府側の見解はまつたく別である。従つてわれわれは官房長官が先ほど御説明されましたように、既定予算の範囲内の経理で処置せられるということになりますならば現に議長の手元に置いてあるこの案件は、国会の承認とか何とか、そういう関係のものでないとわれわれは考えておるわけなんで、その立場から社会党といたしましても、先ほどの椎熊君と同じ意見を持つておる。このまま撤回されるがよろしいと思う。
○増田国務大臣 田中さんにお答え申し上げます。私どもはそういう見解を持つていないのであります。これは意見の相違かもしれませんが、末弘委員長の意見が間違つておるというように政府としては考えております。あるいは行政府内部における法務府といたしましては、そういう解釈はとつておりません。田中さんがよく御承知の通り、あの仲裁に示唆されてある四十五億という金は、国鉄のどこにもありません。そこで予算措置をとらないことには、仲裁はのめないという考えになるのは常識上当然である。十六條というものはそうでないと思う。四十五億が示唆されておろうがおるまいが、とにかく現在の予算ということだと私どもは解釈しております。現在あるところの公社の予算を見まして、資金上、予算上不可能なる内容を持つておる裁定には、政府は拘束されない。しかしながら政治上の関係から、予算措置をとつた方がよいじやないかという意見は、おのずから別個の意見としてあり得ると思いますが、われわれはあの予算をもつてやりたいと考えております。
○田中(織)委員 官房長官が今お述べになりましたところの、十六條の一項による予算上または資金上困難なる場合というのは、既定予算における予算上または資金上の不可能なることを意味せられておるということでありますれば、十六條二項の関係は、既定予算にとらわれない、既定予算でまかない得ない部分についての予算的措置をとるということになる。十六條一項の問題というのは、既定予算だという解釈を政府がとつておられるといたしまするならば、既定予算のわく内でまかない得ない部分について、これは新たなる予算的措置をとることを、裁定が当然義務づけておる。従つてその予算を国会に承認を求める手続をとられることが、十六條の二項の国会の承認を求める手続であるという見解を、われわれは十三日以来終始一貫してとつておるのです。
○増田国務大臣 議運で法律論をしてもなんでありますが、御質問ですからお答え申し上げます。われわれは第十六條の二項を、第一項の内容を持つておる裁定については第二項の手続きをとる、こういうふうに解釈しておる次第でございます。そこで第二項によつてわれわれは手続きをとりました。そこで国会で不承認ということになれば、われわれは政府を拘束する義務が徹底的に解消される。それからかりに承認ということになると、将来は、あの法律からは出て来ませんけれども、政治上国会の承認にもなつたことであるから、今度予算的措置をとらなければならないという政治上の義務がある。しかし十二條からは法律的義務は生じて来ないと考えます。
○石田(一)委員 官房長官の言葉に、法律論をするわけではないが、今のお言葉で行きますと、この第十六條の第二項に、国会の閉会中の場合には、あらためて次の国会が召集されて後に五日間以内にこの手続をとつて国会の承認を求めるとなつておる。要するにこの但書は国会の閉会中の場合の臨時的な措置として、第一項に支拂い禁止の條項があるけれども、国会閉会中の場合には、政府独自の見解において予算的措置を講じ、召集五日以内に付議しなければならない。その事後承諾を求める意味でこの但書が設けられておる、こう解釈する。それゆえに配分の点についてもしこれが国会の承認を得たときには、要するに記載された日付に従つてその効力を生ずると考える。政府、国鉄側で新なる予算を組んだその支拂い可能なる支出予算は、新なる支出を期日にさかのぼつて認める、この意味で但書がある。今の官房長官のお答えは、この但書を全然使われる気がないと考える。
○増田国務大臣 法律論は本会議その他に讓りたいのですが、せつかくのお尋ねですから申し上げます。要するに公共企業体労働関係法は財政法でないから、事後承認の意味において、国会が召集されたのち、五日以内に承認の手続をとれということはありますが、これは書かれた條文を読んでいただきたい。その條文は予算上資金上不可能なる支出は政府を拘束せず、従つて拂うことはしないでよろしい、こういうことです。
○淺沼委員 法理論は別にして、聞いておいた方がよいと思うが、今のことは不承認のことの承認を求めて来ておるということになるから、裁定について、政府に関する限りにおいては不服であるということになるわけですね。ただ日本国有鉄道だけが債務だけを持つておるということになるわけですね。そうなると、今のお話で行けば、年内に裁定では六千円拂えということになつております。政府その他の努力によつて、かりに三千六百円拂われたということになれば、あとの九千円から引いて残つたものは、政府は責任を負わぬということになるのですか。
○増田国務大臣 さようでございます。
○淺沼委員 そうするとそれにならつて他の官公庁の従業員の関係が来ると推定するが、それら官公庁の者の受けるのも、今の範囲内の臨時的な法的措置がとられるが、その限度も今言つたようなことになるというわけですね。
○増田国務大臣 国家公務員の手当のことは、あなたもよく御承知の通り、裁定があるわけでも何でもない。政府が国家公務員の経済的の窮迫な状態をお察しして、できる限りの処置をとりたい、こういう次第でございます。
○淺沼委員 そこで大体差別を設けないということから行けば、見当としてはそういうことをつかんでよろしいですね。
○増田国務大臣 金額のことは、巷間伝えるような金額について、政府は別段かれこれ申し上げかねるわけでありますが、しかしながら国鉄関係について関係方面から了解を得られますれば、同様な扱いをするのが公平なる法則を満足させるゆえんであると考えます。
○淺沼委員 臨時的法的給與制を設けて支拂うということになると、ある意味から賃金ベースの問題に触れて来る。今までは超過勤務手当を支給するという形において、年末越冬資金という形で拂われておつたが、この法的措置を講ぜられるということになれば、賃金ベースをかえられるものと思うが、そう理解してよろしいか。
○増田国務大臣 政府は今のところ九原則、あるいは均衡予算その他の建前から、給與べースの変更は著しく困難であると考えております。年度末の手当は、役人諸君が日本の習慣もありまするし、いわゆるもちつき代という積極的な費用、あるいは消極的に考えても、年末の借金も拂わなければならぬというわけで、ベースということからは離れて、われわれ考慮しておるわけでございます。
○神山委員 淺沼君の質問に関連して、あなたはさつき臨時的な法的給與制度を研究中とおつしやつておりますが、私が心配しておるのは、研究中が来年までかかつたのでは困るのではないか。そういう点を考慮し、何らかの準備をしておるのですか。
○増田国務大臣 御指摘の通り今年でなければ間に合いません。歳末手当と言うか、今年出し得るように一生懸命準備を整えております。
○神山委員 あなたは先ほど椎熊君の法律的見解が間違つておるとおつしやつた。その場合に法務府の見解が大きな役割をしておられるようでありますが、法務府の見解はいつも正しくない。その根拠は食確法の場合に、第五国会と第六国会で、法務府の見解によればきまつたことだと言つておるが、事実はそうでないということは、政令を出したことによつて証拠立てられておる。法務府の見解があてにならない証拠がここにある。そういう事実がある。従つて今度の裁定問題の処理に当つて、あなた方は、自分で公共企業体労働関係法規をきめておき、あるいは国鉄法をきめ、他の労働諸法規をきめておるが、それら諸法規全体の関連から出ておる裁定を、君たち自身の間違つた考えで解釈しておる例がたくさんある。その点に対する見解はどうか。
○石田(一)委員 官房長官の今おつしやつた、公務員に対する法的な根拠のある支給の処置を講じてということは、法律上の根拠を持つようなものを新たにつくろうとしておるように解釈するが、要するにそのつくるという法律は、今年限りの臨時的の措置であるのか、それとも今後の年末毎にこの法律を適用して、全公務員に対する何かの手当が支給できるのか。
○増田国務大臣 先ほど公務員についてわれわれが研究しておるというのは、本年度限りの臨時措置でありまして、淺沼君にも明瞭に申し上げました通り、法律措置によるべきや、超勤等の手当支拂いによるべきかは研究中であります。
○田中(織)委員 官房長官にお伺いしておきたいが、この裁定の問題、これを今の政府の方は主として財政的な見地から取扱つておられるように見受けるのでありますが、問題は嚴然たる法律問題である。ことに公共企業体労働関係法というこの法律の立法趣旨が示しておるように、公共企業体労働関係者の罷業権の運用を奪つたかわりに與えられた仲裁委員会の提案である。それが官房長官に伺いますと、予算その他の関係から裁定の一部分が特に支拂われるといたしましても、あとの債務が確認されておるということなら問題は別ですが、年内に支拂われる部分以外の部分については、これが債務は消滅してしまうような見解を示されておる。これはある意味から言えば、公共企業体労働関係法によつて、仲裁委員会が最後の救済手段を講じておることを、実質的に否定することになる。そういたしますと、公労法に禁止せられておる罷業権の行使というものは、それと対象的の形においてどうなるのか、こういう重大な問題が出て来る。そこで政府に伺いたいのは、政府は財政的の見地からのみ言うておられるようにわれわれ見るのでありますが、公労法の精神からいつて、この法律をどういうようにお考えになつておるか。
○増田国務大臣 われわれは純粹なる法律論をいたしておる次第であります。あなたは国鉄あるいは労働運動の関係から説かれておりまするが、われわれは成文になつた公労法の第十六條、公共企業体の予算上または資金上不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものでないとあるのでありますから、その点から法律論を御展開願いたいと思います。
○椎熊委員 大体政府側から聞くことはこの程度にして、われわれはこの問題の取扱いについて話合うようにすることを提案したい。議長のお手元にこれを留保しておるという形は不明朗です。われわれはこれを受付るべからずという考えを持つております。
○石田(一)委員 椎熊君の提案に賛成です。この問題に対する一般的議論は終つておる。各党所信を述べられて、委員長においてお諮りを願いたいと思います。
○石田(博)委員 私どもの党といたしましては、詳細なる論議はすでに盡されておるのでありまして、私どもの申し述べんとする趣旨は、すでに十三日の運営委員会において展開せられた論議について、速記録をごらん願いたいと思います。時間の関係上結論を申し上げます。私どもは現在政府の提出せられておりまする国鉄裁定に対しての承認を求める議案は、受理するのが適当であつて、合法的なものであると考えておるのであります。
○土井委員 日本社会党といたしましては過般十三日の日にも意見を十分に述べておきましたが、なおこの機会に意見を述べておきますならば、大体今度提案されております裁定の承認案、その内容を検討して行きますと、これには政府の意思というものが全然加わつておらないのが一点、もう一つは三十五條のいわゆる最終決定が十六條にもどつて参りまして、資金上、予算上不可能な場合においては、これを国会にかけることになつておりまするが、その資金上、予算上というこの内容について、はたして資金上どういうふうに不可能なのか、あるいはまた予算上どういうように不可能なのかということが明記されておらないのであります。言いかえまするならば、予算的措置の裏づけが然々行われておらない。しかも前段申し上げましたように、政府がこれを承認してくれというのか、あるいは不承認してくれというのか、その意思表示さえもこれに明記されておらないという実情である。審議の対象をどこに求めておるのかわからないような、こういうような案件は受理すべからざるものである。かように考えておるのであります。従つて本案は受理すべからずという態度をわが党として堅持しております。この点表明しておきます。
○椎熊委員 私は十六條の規定は、国会の承認がなければ使つていけないという政府の支出に対する制限だと思う。しかるに今度官房長官の話等を聞くと、既定予算の範囲内において支給し得ない金、これは国会の承認しない金です。従つて予算的措置のない裁定案を国会に押つけて、これについて承認するかしないかを求めて、政府が責任を回避しようというやり方は、政治的にも卑劣なやり方だし、案としてはなつていない。これを受付けたということにも粗漏があると思う。従つてわれわれはこれを拒否しなければならぬ。それを政治上話合いから議長の手元に保留しておるということで今日まで説明して来ておる。今日まで勤労大衆が満足が行かないまでも、何らかの金をやるという方針のもとに努力しておるということで、われわれ今日まで隠忍自重して来ておるのだが、しかも政府並びに與党においては、多少の努力はしたのだろうが、無能であるのか、なつていないのかしらぬが、未だにその実現を見ない。われわれは今日に至つては、與党並びに政府から煮え湯を飲まされたようなものである。従つて私たちは、この際この案をわれわれの所信通り始末し、政府に返上する、そういうことに決定すべきものだ。これがわが党の主張であります。
○神山委員 共産党としましては、この問題が出ましたときに私が最も強調しましたように、また今椎熊君もおつしやつたように、労働者大衆並びに国民大衆が一日も早く、のどから手を出さんばかりに求めておる問題でありますから、この処置を早くするためにこそ、本件がもつておるところの欠陷、社会党や民野党から指摘された欠陷を、早く直して解決したいと思つておつたが、残念ながら政府側に力がないのか、政府側が無責任なのか、そういうことのためにまつたく体をなしていないものを出して来たばかりでなく、今日に至るもますます体をなしていない。こういう状態でありますから、われわれとしてはこれに対してもちろん反対でありますが、さらに強調したいのは、すでに理論的な反対は土井君、椎熊君からも言われましたが、私は角度をかえて、先ほど増田君の説明によりますと、裁定案の九千円のうち、かりに三千六百円を国鉄の経理によつて支出すれば、残りの債務を負わない、この点について仲裁委員会の裁定を無視するというがごときは、まつたく法治国の精神に反するというよりも、人道を無視したる傍若無人のものである。こういう意味において絶体にこれは反対せざるを得ない。われわれがこれを反対するのは、一日も早く問題を円満かつ急速に、労働者諸者の納得の行くように解決するために、残念ながら反対するのでありますから、この点は十分に了解していただきたい。
○寺本委員 わが党としてはこの問題は法律的に考えればいろいろの疑問もあると思いますが、実際問題としては先ほど政府からもお話がありましたように、極力努力しておられるということを信じまして、この法案を受理することに賛成であります。
○石田(一)委員 新政治協議会は野党各派諸君から御意見が分ましたように、裁定そのものの効力は、三十五條の前段によつて当事者を拘束し、しかも十六條の一項によつて、予算上あるいは資金上支拂い不可能なる面があるということで、国会の承認を求めなければ支拂いができないという支拂の手続に関する規定である。それでなければ十六條の二項の但書に、国会閉会中の規定というものは全然不用のものになる、こういうような見解をとつておる。今回政府が国会に提出をしておりますところの裁定そのものは、野党各派の御意見と同じく、国会としてはこの不備なる裁定そのものを受理するということは穏当でない。この理由をもつて反対をいたします。
○中野(四)委員 野党各派で言い盡されておりますから理由は述べませんが、結論として受理すべからず。
○岡田(春)委員 労働党もあらためて申し上げませんが、政府の措置はなつておらない。もう一つは、国会に責任を転嫁するという意図が明確にあるわけです。第三に特に問題になるのは、日本鉄道法という法律的に扱わなければならないものが、政府において予算の措置について何ら考えてなく、これは公労法及び日本鉄道法のこの二つに明らかに違反しておるという意味で反対である。
○大村委員長 だんだん御意見がわかれておるようでありますから、この際採決いたしたいと思います。
 国鉄に関する裁定の承認を求める件、これを十二日議長が受理したことは合法的であつて、その措置を是認するということに賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○大村委員長 十三人。念のために右受理は違法であるとする諸君の起立を願います。
    〔反対者起立〕
○大村委員長 十一人。受理することを可とするものが多数と認めます。よつて受理することにいたします。
 いかなる委員会にこれを付議することにいたしますか。
○椎熊委員 これは先般も大体話をしたと思いますが、主たるところは労働委員会である。必要があれば合同審議をするということにされたい。
○淺沼委員 希望を申し上げておきますが、労働委員会の場合もありますが、参議院では運輸委員会となつておる。問題は運輸委員会、あるいは人事委員会にも関係がある。運営の委員会について希望がましいことを申し上げるのはいかがかと思いますが、一言希望を申し上げますと、その委員会に加賀山総裁、労組の代表者、こういう人を参考に呼んで、大いに論議を盡していただきたいと思う。
○神山委員 この点についてはすでに十二日の小委員会において、労働委員会を主として審議することが一応きまつておるわけでありますので、この点は一事不再議の原則によりまして、あくまでも労働委員会でおやりくださいますようお願いいたします。
○大村委員長 この際申し上げます。先般運営小委員会におきまして労働委員会に付議するということがきまつておりまするが、しかしこれは一応運営委員会で御承認になることが必要だと考えますので、ただいま椎熊君から御発議がありましたように、本件は労働委員会に付議する。そうして関係委員会と合同審査をするということにいたすことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 そのように決しました。
    ―――――――――――――
○椎熊委員 私どもはこの問題に対してなお緊急質問等がたくさんあり、決議案もありますので、明日は定刻に本会議を開いてこういうものを日程に上せてもらいたい。
○田中(織)委員 この問題はきわめて重大な案件でございますから、あすの本会議で政府側から提案理由の説明を承りたいと思います。
○大村委員長 おぼしめしの点は明日運営委員会にお諮りして決定したいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後六時三十四分散会