第007回国会 大蔵委員会 第26号
昭和二十五年三月六日(月曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 川野 芳滿君
   理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君
   理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君
 理事 川島 金次君 理事 早稻田柳右エ門君
   理事 河田 賢治君 理事 内藤 友明君
      岡野 清豪君    奧村又十郎君
      甲木  保君    佐久間 徹君
      塚田十一郎君    苫米地英俊君
      三宅 則義君    松尾トシ子君
      宮腰 喜助君    木村  榮君
      竹村奈良一君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (主税局長)  平田敬一郎君
        大蔵事務官
        (主税局税制課
        長)      原  純夫君
        国税庁長官   高橋  衞君
 委員外の出席者
        議     員 田嶋 好文君
        大蔵事務官
        (国税庁間税部
        長)      大槻 義公君
        專  門  員 黒田 久太君
        專  門  員 椎木 文也君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件、
 酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
 七号)
 有価証券移転税法を廃止する法律案(内閣提出
 第四八号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五一号)
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五二号)
 富裕税法案(内閣提出第五三号)
 通行税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五四号)
 資産再評価法案(内閣提出第八三号)
 相続税法案(内閣提出第八四号)
 所得税法等の改正に伴う関係法令の整理に関す
 る法律案(内閣提出第八五号)
    ―――――――――――――
○川野委員長 ただいまより会議を開きます。
 九税法案を一括議題として、前会に引続き質疑を継続いたします。河田賢治君。
○河田委員 ごく二、三点簡單に質問したいと思います。第三條の所得税を左の法人には課さないというところの十一項でありますが、「法人たる労働組合及び国家公務員法第九十八條の規定に基く法人たる国家公務員の組合その他の団体」とありますが、その他の団体というのは一体どういうものですか。
○平田政府委員 国家公務員法第九十八條の規定によりまして設立した法人たる団体でありますが、その名称は必ずしもこの組合という名前を用いないで、この九十八條の規定に基く法人たる団体を設立する場合が認められているという、その規定の趣旨を受けまして規定しておるわけでありまして、あるいは現実には現在のところあまりないのかもしれませんが、この九十八條の規定と調子を合せまして、かような規定にいたしておる次第でございます。
○河田委員 青色申告の問題でありまするが、今度の青色申告にはいろいろ貸借対照表とか損益計算書を出さなければならない、こういうことになつておりますが、現在の日本の根本的な教育の方針といたしまして、たとえば地理も習わない、それから歴史なんかも大体教えていないのであります。それから算術なんかにいたしましても、去年あたりから見ると今年は一年低下してやつておる。そうしてかりに所定の一番底い学校を出ましても、なかなかこういう記帳の能力というものはつかぬと思います。現在の政府の教育制度のもとに今日税務当局が要請する、こういう報告書をつくる能力が、今日においてもあるものと根本的にお認めになるか。この点をはつきりしていただきたいと思います。
○平田政府委員 この青色申告の制度を利用し得る納税者の範囲につきまして、御説の通り一定の帳簿の記載入普通の会計原則に従いまして、貸借対照表とかあるいは損益計算書等の作成の義務を命じておる次第でありますが、この青色申告の制度と申しますのは前々から議論がありますように、やはりある程度現状を漸次改善して行くという前提に立つておるのでありまして、單に納税者の現状から申しますと、確かに今河田委員のお話のように、そのレベルにまで達していない納税者の方々が相当多い湿ろうと私は思います。それからまた今後におきましても、急速にこの限度にまで達し得る納税者の方々がどれほどおられるかということにつきましては、いろいろ問題があろうかと思いますが、いやしくもこの制度を設けます場合におきましては、ある程度やはり成規の原則に従いまして記帳をし、それに基きまして会計上の処理をしていただくということを前提にして考えませんと、なかなかかような制度を設けた意味がなくなるのでございます。従いましてこの間も申し上げましたように、その困難の程度をどの辺で引くかということが、実際問題としてなかなか問題であろうかと思いますが、私は率直に申し上げますと、やはり帳簿に対しまして、まず事実を少くとも的確に記帳していただく。これは何と申しましても最小限度の必要性があるのじやなかろうかと考えます。記録をやはり正確に記帳していただくということでなければ、土台からくずれるわけでありまして、そういう能力とそのめんどうさをいとわないでやる。これが最小限度の必要だと思いますが、それ以上どの程度にまで要請するかは、やはりお話の通りにいろいろ考えなければならないと考えます。従いましてこの貸借対照表、損益計算書等の会計原則に基きまする帳簿の整備につきましては、一般の営業者等につきましてはこれを要求いたしておるのでございますが、たとえば農業所得者等につきましては、貸借対照表の提出はこれをしなくても、資格要件に該当するといつたようなことにいたしておるような次第でございまして、その辺のところは今後の運用の実際とも兼ね合せまして、極力適正をはかつて参りたい、かように考えておる次第であります。ある程度この制度はやはり理想を追つた制度でありまして、常に現状を少しずつ改善して行くという前提に立つて御判断願いますことを、重ねてお願いいたしておきたいと考える次第であります。
○河田委員 日雇い労務者は、つまり労働した日または時間によつて算定され、それから税金をとる規定ができておりますが、現在の状態から、また政府では大体二十二日に計算しておきめになつておるようでありますが、その根拠を一体どこに置かれたのか、これを伺いたい。
○平田政府委員 最近までの所得税法は、日雇い労働者については三十日働くものとして税額を計算し、さらに扶養親族につきましても、実は二人として計算して税額を源泉徴収いたしておつたのであります。ところがその後この点についてはいろいろ労務者の方々等の意見を聞きますと、それではいかにも実情に即しないということが明らかになりましたので、最近その日数につきましては二十二日という計算ですることにいたしましたし、また今度附則の別表で定めました税額の計算の際においては、扶養親族は平均三人としまして、従来より一人多くして税額を計算いたしておるのであります。従つてこの程度にいたしておきますれば、私はよほど実に即し得るのではないかと考えまして、あとでめんどうな還付の規定を働かせまして、年間を通じて精算するというような場合は、比較的少いのではないかと考えております。その根拠ということはなかなかむずかしいのでありますが、現在の実際の状況等を各方面にわたりまして調査しました上で、この程度であるならば最も妥当ではないか。最近までの取扱いに比較いたしますと、これで源泉徴收額は相当の軽減になるようでございますから、今の段階におきましてはこの辺のところが妥当ではなかろうか、かように思うのであります。
○河田委員 この科学的の根拠がないという、これはむりからぬことだと思いますが、なるほど東京都とかその他の大都会では、政治的理由から失業救済事業などを政府並びに地方自治体が若干努力してやつておりますが、御承知のように、比較的中都市になりますとほとんど仕事がない。三日に一度しか仕事に出られないというようなことが非常に多いのです。もちろんこの中には給與所得のかからぬ人もおります。それほど給與をもらわない人もおる。しかし今日の日本の経済情勢で、大蔵当局自身が二十三年度に比して労働者数が三%減ということを認めておる際、相当失業者が出るわけでありまして、こういう失業者、三日に一度しか働けない者から、たとい一円であろうと二円であろうと税金をとるということは、まつたくむちやな話ではないかと思います。この日雇い労働者についてはもう少し何らか職業安定所が取扱うとすれば、その働いた日数というものは登録されておりますから、その働いた日数によつて税金を還付するというような方法を考えておらないか、そのことをお聞きします。
○平田政府委員 日雇い労働者の源泉課税を適正にきめるということは、なかなかむずかしいことでございまして、今回も実は大分資料等を各方面かり集めまして、それに基く平均的なところをとらえまして、二十二日、扶養親族三人というものを、大体妥当でなかろうかと考えたのでございますが、個々の労務者ごとの状況は大分違う場合があるだろうと思います。それを源泉徴收の際に一々明らかにいたしまして徴收額をきめるということは、技術則にむずかしいのじやないかと考えまして、私ども平均的なところをとらえまして、しかも従来に比較すれば相当これは減税になるわけでありますから、この辺でやりますればまず妥当なところではあるまいか。年間を通じましてもしも過不足がございますれば、てれは事実に基きまして調整するということは当然でございますので、そういうことにつきましては、これは資料等が十分整つております場合におきましては、税務署といたしましても善処するものではないかと考えております。
○河田委員 日雇い労働者の問題については、私どもはそういう点を十分考慮して、負担の公平という政府の言い分からしても、是正すべきものが多々めると思うわけであります。さらに日雇いの中には入りますが、大工とか左官とかこういう建築方面の労働者で、しかも一応事業をやつているように見えましても、注文する者の方で材料を全部受持つ、こういう場合、この個人が仕事を請負うにしましても、ほとんど自分で材料も何も持たずに、ただからだだけ持つて行くという場合には、政府当局で所得税をかける場合に、これは大体勤労所得としておかけになるかどうか。この点をはつきりしておきたいと思うのであります。というのは、これは地方に参りますと大体事業税というものが今かかつております。ところがこの事業税の適用におきましても、地方自治体におきまして、たとえば宮崎県あたり、あるいはその他の府県等におきまして違うわけです。各地方ごとに解釈が異なつているわけです。これは国税並びに地方自治体の合理化という面から行きましても、やはり政府として一応はつきりしたお考えがあるべきだと思いますが、この点をまずお伺いしておきたいと思うのです。
○平田政府委員 今のお話はおそらく大工、左官等の所得のうち、ある部分を給與所得と見るか事業所得と見るか、この事実の認定をどうするかという問題であろうと思いますが、これは実際問題としてなかなかむずかしい場合が多いと思います。ただやはり大工、左官といたしまして、主として自己の労務を提供して仕事をする場合におきましても、普通の労働者と違いまして、雇用契約に基い一定の賃金給與等を得るという場合と違つて、自己がやはり独立してそういうサービスを提供して、それに対する対価の收入があるという場合におきましては、むしうこれはどちらかと申しますと、原則といたしまして事業所得に該当すべきものではないかと考えるのであります。少し高度の労務になりますが、医師、弁護士、産婆さんといつたような種類の事業者の所得も、大体におきましては、やはり当該所得者の一種の労務と申しますか、サービスと申しますか、そういうことによる対価の收入でございまして、こういうものも性質上は自己が独立でやつておりますので、あぐまでも事業所得と見て、給與所得と見ていないのであります。従いまして大工、左官等の場合におきましても、材料等を提供する場合は、これはもちろん非常にはつきりしておりますが、その他の場合におきましても、みずから独立して、一種の請負みたいな関係に立ちまして労務を提供してそれに対しまして一定の収入がある。こういう場合におきましては、これは原則として事業所得になる。これに反しまして、大工に雇われましたかかえ大工が、その親大工さんから給料なり賃金をもらう場合におきましては、この所得は当然給與所得に入ります。独立してそういう事業をやつているかいないか。仕事をやつているか、いないかということによつて、この限界を判断するよりほかはなかろうかと思います。実際問題としては事実を調査した上で、はたしていずれに該当すべきか、実情に応じまして適切な判定をいたすべきものじやなかろうか、かように考えている次第でございます。
○川野委員長 この際御報告申し上げておきますが、国税庁の長官、国税庁の間税部長、国税部長みなお見えですから御報告申し上げます。
○河田委員 再調査、審査の問題について二、三質問いたしまして政府の意見を聞きます。この再調査の請求は一箇月以内になつておりますが、この再調査の場合に「請求の方式又は手続に人陷があるときは、相当の期間を定めて、その欠陷を補正させることができる。」この「相当の期間」という言葉でありますと、ややともするといろいろな関係で、長くもとれば短かくもとる。こういう点について政府当局では、大体一応の常識として、どのくらいの期間をもつてこの方式や手続の欠陷を指価するお考えでありますか。
○平田政府委員 「相当の期間」と法案に書いてありますが、この解釈と運用け結局常識上妥当な期間を、その個々の場合に応じまして要求することにせざるを得ないのではなかろうか。一律に定めましても必ずしも実情に即しない場合もございますので、その辺のところは行政官庁の運用よろしきを得まして、非難の起らないように、文字通リ税法の定めた「相当の期間」に補正して行くことにしたらどうだろう、かように考えております。
○河田委員 それから審査の請求の場合におきましても、ほとんどこれは税務署の一方的な、きわめて主観的な認定というものが書かれてあつて、客観別な條件とか、そういうものは見てないわけです。だから税務署の方で「理由がないと認めるときは」申請を棄却するとか、あるいは審査の「請求の全部又は一部についてその理由があると認めるときは」その処分を取消さす、こういつたぐあいにきわめて官僚的な、一方的な見解しかここには述べていないわけであります。いつでも問題になるのは、従来の税務署の一方的な決定、一方的なやり方、こういう問題で絶えずトラブルが起る。また納税者も真に納税についての正しい見解を持たずに、これを回避するという状態になるのでありますが、こういう点について、もつと審査請求などの條件について、少くとも客観的な、納税者の納得される事項をこういうところで書き改める必要はないか。これをお聞きしたい。
○平田政府委員 審査に関する法律を今回非常に整備いたしたのであります。今御指摘のように、確かに却下する場合とかあるいは棄却する場合、あるいは全部または一部を取消さす場合といたしまして、法律としていかにも形式的なことだけしか書いてございせんが、実質関係は、大部分はこの條文によつてきまるのではなくして、各税法によつてきまるわけであります。所得の計算につきましては事実をよく調べて、その税法通りの結果になつているか、なつていないか。それぞれ所得税法の各條に該当しているかどうかということをよく調べまして、審査の決定を下すわけであります。従いまして実体的関係はむしろほかの條文全体が、この審査に関係のある実態的関係だと言つても、さしつかえないほどであります。ただこの條文に書いてありますのは、形式的な処理の仕方を規定しているわけでありまして、こういう関係につきましても従来は必ずしも法律の規定ではつきりしないで、事柄の処理がどうもいいかげんというと少し語弊がありますが、適当に片づけてしまうというような点がございましたので、むしろ法律にかように権利義務の関係を明らかにいたしたい。いかにも法律はかどが立つようでございますが、むしろこういう問題はかような手続を明らかにいたしまして、納税者との間に事柄を明瞭にして、できるだけトラブルを少くするという方向に持つて行くことがいいんじやないかという趣旨で、今回は比較的詳しく再調査、審査等に関する処理の方法を定めたもけであります。
 それから審査につきましての最も重要な問題は、今までは当該事件を調べました当該担当官が、審査の処理を最後まで扱いまして、いつまでも解決がつかないという点がありましたので、今回はその点にきましては、協議団というものを別に設けまして、直接調査をやつた者でない他の一1これもも乳ろん前から申し上げておりますように官吏ですが、審査だけを専門に扱います責任のある官吏を置きまして、この官吏には大臣からもいつかお答えがありましたように、なるべく民間の経験のある人等を登用いたしまして任用いたすつもりでございますが、そういうものの組織しました協議団の議に付した上で、国税局長なり国税庁長官が決定するということになりますから、必ずしも当初の決定にとらわれないで、また独自の立場で協議団等が調査して、小平にして適切なる判断を下すということを、大いに期待しているわけでございます。さような点につきましても今回新しく設けられたわけでありまして、再調査、審査、訴訟等に関する法律としましては、今回の改正で私は従来と比べますと、よほど整備されて来たものと考えておりますことを、申し添えておきたいと存じます。
○奧村委員 国税局の間税関係についてお伺いしたいと思います。ごく最近に酒造の原料米が約六万石ほど増配になつたようであります。それによつてかなり酒税が増徴されるはずであると思いますが、その点はどういうふうになつておりますか。
○高橋(衞)政府委員 二十五年度の予算の基本となりました酒の造石高は、二百八十九万四千石であります。なお実は私どもといたしましては、何分にも密造が非常に多い状況にございますので、主として農村にいま少しく安い配給酒を多く出しまして、密造の取締りにも貸したいと考えて、関係方面と鋭意折衝いたしました結果、最近になりまして米を六万六千石だけ増配をしたのであります。大体税額にいたしますと三十二億円程度になるのでありますが、しかしながら何分にも酒の收入は、そのときの経済情勢によつて左右されることが非常に多いのでございます。これは二十四年度において醸造されたものが、ほとんど大部分売れるという見通しのもとに、当初の一千三十億の予算が組まれておりますので、大体この程度のものが増配になりましても、收入としては非常に困難な面もあろうかと思いますので、大差はないものと考えております。
○奧村委員 そこで清酒はかなり昨年度より増石になる。それからしようちゆう等がこれまた増石になる。非常に供給がふえたわけでありますが、こうなつて参りますと、密造防止の対策がよほどしつかり行きませんと、これだけの酒の消化がことしは相当難儀ではなかろうかと思います。特にただいまお話の農村方面こそは非常に疲弊し、金詰まりでありますから、今の価格ではおそらく消化は困難であろうと思う。そこで農村には特配せられるというお話もありますが、ことしの醸造酒の配給の方法をどうおやりになるのですか。自由販売の計画と特配の計画とどういう率になるのでありますか。
○高橋(衞)政府委員 昭和二十四年度におきましては、大体約三割程度の酒が配給酒にまわつたものと存ずるのであります。来年度の計画といたしましては、それより当初の計画におきましては、幾分少い程度の配給酒を予定しております。しかしながら今回は六万六千石の醸造によつて、配給酒も大体昨年程度と同じ割合の配給をやつて行きたいと考えております。ただいま御指摘の通り、農村のみならず密造の取締りということは強力に行われなければ、二十五年度の一千三十億円確保ということが相当困難であると考えますので、実は密造防止の経費といたしましては、本年度は二十四年度に比較いたしまして、別に増額はいたしておりませんけれども、間税全体といたしまましては、たとえば取引高税、織物消費税等が廃止になりまして、幾分の人間の余裕をその方面にまわし得るかと考えますので、でき得る限り現在ありますところの酒造密造対策取締協議会等の機関をフルに動員いたしまして、これが防遏に努めて行きたいと考えております。
○奧村委員 それで特配の方は家庭配給をやはり残されるのでありますか。あるいは農家の特配はやはり供米報奨のみになさるのであるか。その点をお伺いしたい。
○高橋(衞)政府委員 家庭配給は昭和二十四年からすでに廃止をいたしておりますので、二十五年度においてこれを復活するという考えは持つておりません。配給酒の安い値段で出しますものは、鉱山その他の産業用の特配、または農村の報奨用の特配を意味するものであります。
○奧村委員 そこであとの七割の自由販売の酒ですが、これはどうも昨年あたりは自由販売とはいいながら、大体計画によつて倉出しを制限しておられたようですが、もうことしからは倉出しなどの制限は全然してはならぬ、うんと消化に力を入れなければならぬと思うのですが、本年はどういう方法をおとりになりますか。
○高橋(衞)政府委員 実は倉出しの制限というようなことは、今までもやつておりません。昨年度は実は收入の状況が悪かつたものですから、何とかして倉出しを推進してやりたいということで、各酒造業者の方に御協力をお願いしたわけであります。今後におきましても、先ほど冒頭に申し上げましたように、酒の売れ行きがはたしてうまく行くかどうかという点に相当懸念を持つておりますので、何とかして販売の促進についてあらゆる努力を傾倒したいと考えております。
○奧村委員 そういたしますと、密造防止の対策が一番ものを言うことになるわけですが、いままでの程度の考え方では密造防止はとうてい効果が得られないと私は考えます。すでにお耳に入つていると思いますが、大体農村における密造、特に一部の悪質な密造は清酒と同じようなものをつくつて、大体三、四百円で売つております。それがほとんど全国的に氾濫しておりますので、これはよほど徹底した防止対策をいたしませんと、かりに農家に特配の酒を渡しても、農家はこれを喜ばぬということになろうと思う。それで密造防止については大いにおやりになると言われるが、今までとはもつと一段と徹底した対策を行なわねばならぬと思うが、それについて予算的にもどういうことをお考えになつておられるか。お伺いしたい。
○高橋(衞)政府委員 密造取締りに要するところの経費といたしましては、二十五年度におきましても、前年度と同額の三千五百万円を計上しているのであります。実は農村の配給酒等については、従来は田植えにいたしましても刈上げにいたしましても、事務の関係上自然遅延をいたしまして、最も必要な時期にそれが渡らないというふうな欠陥もございましたので、本年はその方式を改めまして、常にあらかじめある程度の量を確保しておいて、適時に必要なときに渡るようにという措置を講じたいと考えておる次第であります。
 なお参考のために申し上げますと、一昨年の十月に酒類密造対策協議会を設置いたしておりますが、その後昨年の九月に至るところの一箇年の間の取締りの実績は、検挙の件数は全国で一万九千件であります。そのうちで悪質なものとして告発したものは四千五百件、脱税として捕捉したものが一億五千万円、罰金は一億七千万円になつております。罰金といたしましては、通告処分をいたしました金額並びに判決確定の分のみであります。しこうして先ほどもちよつと申し上げましたように、取締りに従事するところの職員の面におきましては、二十五年度におきましては相当増強し得ると考えますので、今後は取締りそのものも実質的に相当強化し得ると考えておるのであります。
○奧村委員 密造防止の対策に三千五百万円という予算では、とうてい心もとないと思います。また職員についてもその方に人を入れると言われますが、地方における税務署員の話によりますと、密造防止については何らか特別な生命の保障と言いますか、よほど心づかいをしてくれなければ、密造防止はできぬということを言うておりますので、この点おざなりにやるならばともかくも、これだけ増石の酒を消化させるほどの効果のある密造防止をやろうというならば、よほどの覚悟をもつてやらなければならぬ。これは希望として申し上げておきます。
 国税局についていま一つお伺いいたしたいのですが、従来は国税局で税務署とは別個に直接調査をなされ、また決定をしておられる部分があるのです。すなわち個人所得が百万円以上、あるいは法人で三百万円以上の資本金を持つておるものを直接やつておられるが、税務署の仕事と国税局の仕事の区分がつかなくなつて、地方においてはこう推定する、税務署では別のまたやり方をやるというようなことになつて、非常に税務署の能力が落ちる。しかも税務署の優秀な職員がほとんど国税局に引抜かれて行く。税務署の力を弱めて国税局が強くなる。これは全体の徴税能力に対しては私はマイナスになると思う。これは議論になりますので、一応お耳に入れておきまして、御答弁は要求いたしませんが、また別の機会にとくとこの点は御意見を承りたいと思います。
 次に支店、出張所と本店との関係の納税あるいは徴税の調査、査定ということについては、これはまだ十分でない点が多いのじやなかろうか。たとえば私の所属する税務署にこういうことがあつたのです。富山県に本店があり、福井県の方に支店を持つて事業をやつておる。ところが福井県の方の所得については、福井県の税務署が当然調査する。ところがその所得は本店に行くのであるから熱意がない、何ら調査をせずにほうつておく。富山県だけで決定する。福井県での所得は非常にずさんになる。従つて福井県に本店を持つておるものはぴしぴしやられる。福井県に本店を持たずに支店を持つておるというところは、同じ事業をやつておつても非常に徴税がずさんになる。そういう点の欠点があると思うが、その点についてはどうお考えになりますか。
    〔委員長退席、北澤委員長代理着席〕
○高橋(衞)政府委員 最初に、局の主こういうふうに大納税者を国税局の主管とすることによつて、かえつて能率が落ちるのじやないかという御意見がございましたが、私どもも当初その点は心配したのでありますが、実際にやつてみますと、大納税者について全国的な公平が得られるわけです。しかも取扱いその他についても完全に同じ見方でもつて行きますので、権衡もとれるというような利点もございますし、また個々の税務官吏の、能率も小さなもの、大きなもの全部一緒にすることよりも、大体公平に、しかも同じ状態のものをそれぞれ分担することによつて、相当能率を上げ得るということがはつきりいたしたのであります。いま一点この点についてつけ加えておきたいと考えますことは、国税局で主管いたしております、大納税者につきましては、全部実額調査をするという建前をとつております。ただいままでのところまだ幾分未済はございますが、その目標通り実行ができておるのであります。
 なお第二点の、本店と支店との所在地の違うことによつて、調査の不徹底のものができる、従つて不公平になるおそれがありはしないかという点でありますが、そういうような面におきましても、国税局が主管することによつて、そういう欠陥が相当除かれるの餐あります。従来はそれぞれ他の署の主管に属することにつきましても、支店としては調査は委託をしてやつておつた。その委託をすることよりも国税局が直接主管することによりまして、ただいまおあげになりました例の冨山に本店があり福井に支店があるという場合に、双方一斉に調査をすることができる。そういうことによつて、調査も徹底が期せられますし、また課税の公平も期せられると考えております。
○川野委員 先ほど奥村君が質問いたしました点に関連いたしておりますの容、この際二、三点質問をいたしたいと存じます。委員長みずから議事を妨げますことは恐縮と存じますので、要点だけを簡單に質問してみます。
 まず初めに昭和二十三酒造年度と、昭和二十四酒造年度における税の收入面の数字をお尋ねしてみたいと思います。
○平田政府委員 造石高等は酒造年度で計算いたしておりますが、予算の関係におきましては会計年度で計算いたしておりますので、会計年度で申し上げてみたいと思います。すなわち二十四年度の予算においては、酒税の予算は七百五十二億三千五百万円程度しか計上いたされていないわけでございますが、それに対しまして二十五年度の予算では、千三十億三百万円程度見込んでおるのでございます。差引して二百七十七億六千八百万円程度の増收額を酒税で計上いたしておるわけでございますがこの増收の原因はいろいろございます。その原因について、内訳について御説明いたしました方が御納得行くのじやないかと思いますので、それを今申し上げますが、このうちいろいろ内訳がございまして、大体純粋の造石高の増加によりまして、收入のふえる部分が百六十一億五千百万円程度と見ております。その他の部分が百十六億千七百万円ほどございますが、この中におきましても今回地方の酒消費税を廃止しまして、これを国税たる酒税に統合いたしましたので、その関係の分が六十二億二百万円ほどございます。それから取引高税を廃止し、附加価値税が創設になるわけでありますが、これによりまして両方を通算いたしまして、約十九億千二百万円ほどの増收を見込んでおるわけでございます。と申しますのは、取引高税で一応値段が下りましたが、それを復活するその部分だけはまた元にもどすという意味合いにおいて、酒税に統合したということを申し上げておるわけでございますが、その意味における増收が十九億千二百万円、それから若干かんしよを原料としますしようちゆうその他の部門におきましては、最近非常に増産になりまして製造数量がふえましたので、原單位を若干切り下げる予定であります。しかもかんしよからの、歩どまり等も、従来と比べますと最近は大分よくなりつつあるようであります。こういう点を考えまして製造原価を幾分切り下げようと思つておるのでありますが、その分は十二億円程度見込んでおります。従いましてそれらの分を差引きまして、今回の酒税法の改正によりまして、純粋に新規に増税をはかる分になりますと、二十二億九千六百万円程度に相なるのであります。もちろん取引高税と附加価値税の分の十九億千二百万円は、純粋の増税と見るかどうか問題がございますが、その部面はいずれ今までかかつておつた分でありますから、一応従来の税の部分だと考えますと、今申し上げましたように二十二億九千六百万円が純増税だ。取引高税の関係をさらに新規増税と見ますと、約四十二億円程度が今度の改正による増税である。かような関係になりますことを、御説明申し上げておきたいと思うのであります。
○川野委員 ただいまの平田さんの御説明を聞いておると、四十二億程度の増税であるからそう大した増税でないような意味合いに私はとれたのであります。しかしこの酒税、酒の値上げの点の統計をとつてみますと、昭和十五年度が清酒が特級七十円、二十五年の一月が八万四千八百円でございまして、倍率が千二百十一倍、正規の一級酒が昭和十五年度は七十円、昭和二十五年一月は六万四千七百円で九百二十四倍、これは酒税率の比較です。ところがほかの税率をいろいろと検討してみますと、かくのごとき税率が増したものはほとんど私はないと存じております。従つてこういう税率をかけられます結果が消費者価格に影響を及ぼしまして、清酒の特級が昭和十五年は二円七十銭でありましたものが、二十五年一月には千百四十円で四百二十二倍、合成酒一級が、昭和十五年は二円三十銭であつたものが、二十五年一月は六百四十五円で二百八十倍、しようちゆうは昭和十五年が一円八十八銭であつたものが、二十五年一月が四百二十五円で二百二十六倍、こういうように相当な値上げになつたわけであります。他の物価は大体百五十六倍程度に上つておりますが、酒に至りましてはただいま申しましたような二百九十二倍に上つておる。こういう状態であります。それで今までに酒というものは相当な倍率で値上げになつた。これを局長の話では、わずかな税額であるから当然であるかのように御答弁になつておられますが、私をして言わしむるならば、酒というものはやはり生活必需品の一種ではなかろうか、と考えております。シヤウプ勧告案によりますと、酒がぜいたく品視されているような感もあるわけでありますが、しかしこれは実際日本の国情を知る者といたしましては、勤労者あるいは農村方面、こういうものについては酒は生活必需品であると存じております。料理屋方面で飲む方は、これは必需品であるとは申しかねるのでありますが、そのパーセントは大体二〇%ないし三〇%でございまして、七〇%ないし八〇%は農村あるいは勤労階級が晩酌として飲んでおる。こういうような数字から見ますと酒は生活必需品である、こう私は申し上げたいのでありますが、主税局長においては酒をぜいたく品視されておるか、あるいは生活必需品視されておるが、この点を伺つておきたいと思うのであります。
○平田政府委員 まず最初に申し上げておきますが、私先ほど申し上げましたのは、今回の酒税の増徴分は、現在に比べますと比較的少いということを申し上げたにすぎないのでございます。しからば現在の酒税の税率が相当低いものであるか、高いものであるかという点になりますと、今川野委員長がお話になりましたことは同感でありまして、私どもも相当高い税率だということは認識いたしておるのであります。今いろいろな税率を調べておりますが、酒、タバコに対する日本の税率はどえらい高い税率でありまして、各国に比べましてもひけ目を感じないようであります。あまり感心したことではありませんが、非常に高率になつております。ただイギリス等におきましては、なお相当酒類については高率な課税を賦課しておるようでありまして、はたしてこの税率がよいかどうかということについては、問題があるだろうと思いますが、認識としては相当高い税率であるということは、もちろん認識いたしておるのであります。現在の酒類の小売価格の中においては、酒税の割合から申しましても、また今お話の戦前からの酒税の引上げ倍率から見ましても、相当高いことは申し上げるまでもないことであります。そこでできますならば、私どもも将来においてはこれを一段と引下げる、あるいは今回の増税はなるべく少くするということが望ましいわけでありまして、シヤウプ勧告においては日本は非常に主食に困つておる際である。その際においては酒類にその原料をまわすということはなかなか、むずかしかろう。また妥当ではなかろう。従つてわれわれは数量を少くして、税率を引上げて收入をはかつたらどうか。密造が出たら取締つたらどうか。極端に申しますとそういう意見が非常に強いのでありますが、これに対しましてそういうりくつ一点張りではなかなかむずかしいところがございますので、極力今申し上げましたように数量を増加しまして、税率の引上げは最小限度にとどめまして増收をはかる。その得た増收をもちまして、所要の国家財政をまかないますとともに、所得税その他の税率を極力引下げるということにいたしたのでございます。そういう趣旨からしまして、今回の税率案を提案いたしておるということを御了承願いたいと思います。将来の方向といたしましては、やはりさらに一層食糧事情等と関連いたしまして、極力正規の供給石数を増加いたしまして、税率といたしましては、むしろ引下げの方向に持つて行きますのが、私どもとしましても方向としては正しいのではなかろうか、かように考えておるのでございます。なお酒が必需品か奢侈品かということは非常に議論がありますし、おそらく人によつても見方がいろいろ違うだろうと思いますが、ただ酒はほかの、たとえば主食なんかと違いまして、必ずしも飲まなくても暮して行けるというところが非常に違うのであります。人によつて酒を飲む人と飲まない人があります。同じ労働者の中でも、酒を飲む人と飲まない人があります。酒を飲まないから暮して行けぬという理論は成り立たないと思うのですが、酒を飲むことによつて非常に労働能率が上る場合もございましよう。また反対に飲み過ぎますと下る場合もございましよう。なかなかむずかしいところで、この辺の理論は、どうも私どものような者よりも、委員の皆さんの方がむしろ常識的によくおわかりだろうと思いますから、多く申し上げないのであります。しかし酒の本質がやはりそういうところにあるということから、相当な消費税を世界至るところの国で酒には課税しておるということがあるわけでございます。さような点でございますので、こういう際といたしましては、すなわちまだ一般に組税負担が相当重い際といたしましては、まずこの程度の税を酒から徴收するということはいたし方がなかろう。理想といたしましては極力正規の生産数量をふやしまして、やみ等を追いまくりまして、税收入はぜひ比較的低い税率で相当の財源を上げて行く、こういう方向にもつて行きますのが、私どもの方針であり、かつ理想であるということを重ねて申し上げまして、御説明にかえたいと思う次第でございます。
○川野委員 昔から酒とタバコ、こういうふうに言つておりますが、タバコが値下げになりました際に、酒だけ上げるということになりましたのは、私は多分シヤウプ勧告案によつて、ああいう勧告が出た結果値上げをされたのではなかろうかと想像するわけであります。しかしシヤウプ勧告案の内容を見てみますと、昭和二十五年度は八百億の予算を勧告いたしておると私は信じておる。一面にはぜいたく品視しているが、一面には税を八百億とれ、こういう勧告になつておりますので、税の八百億ということを中心として関係方面にも御交渉になるならば、あるいは値上げをせずに済んだのではなかろうかと思うのであります。御承知のように結果がどういう結論になるかと申しますと、実はただいまいろいろ御説明がございましたが、農村等に参りましては生活必需品であると申し上げたい。それであるから密造取締りのために相当に農家においても危険を冒して実は密造をやつておる。これはどういうわけかと申しますと、御承知のように米一升が四十円、この四十円の米を使つてつくつたしようちうは四、五百円出なさければ飲めない。自分がつくつた米は四十円である。これを飲むときには五百円の金を出さなければ飲めない。こういう実情でございますので、従つて農村等におきましては密造をやるのも当然であると存じております。これはやる方ばかり責めるわけには行きません。あまり値段が高いということで、今日の密造を来すということになると思いますので、そういう点をよくお話になり、税額八百億を取ることを中心として税率をおきめになるならば、今回の値上げはせずに済んだのではなかろうか、こう思うわけでありまするが、これは私に言わしめるならば、いささか大蔵省の手脆の点を疑わざるを得ないのであります。しかし今日すでに御決定になつたわけでありますから、かれこれ申しませんが、私としてはそういうような感がするわけであります。そこで実は申し上げたいのは、千三十億の予算を計上されました当時の原料よりも、今日では相当原料が増して参りました。先ほど御説明がございましたが、六万数千石の米の増配があり、さらに何千トンのこうりやんの増配があるものと存じております。そういたしますると、この予算をつくられました当時よりも、今日は相当酒によるところの増税が見込まれていいじやないかと私は思うのでありますが、この点について平田さんのお考えを承つてみたいと思います。
○平田政府委員 確かにシヤウプ勧告では、酒税の收入は一応八百億円を見積つていることは御指摘の通りでございます。ただ当時におきましては、資料その他が不十分でありましたために、ごく大まかに見積つておられたのであろうと思いますが、勧告はあくまでも原料をふやすのはむりだろう、税率を大幅に上げたらどうかというのが勧告のラインであります。その点に関しましては、私ども極力日本の実情を総司令部にも説明いたしまして、むしろ数量をふやしまして税率の引上げ方は最小限度にとどめまして、原案を作成して国会に提案して御審議をお願いしていることを御了承願いたいと思います。なを考え方といたしましては、私どもは酒税の收入は、売れ行きがとまりまして收入が少くなるということになつては、これは適当でないと考えますが、この際といたしましては、できる限り著しくむりを来さない範囲内におきまして、極力酒税から收入の増加をはかりまして、それで税の全体の收入を極力まかなうことができますならば、やはりまだまだ相当高いところの所得税等の引下げを極力行つた方が、考え方としてはいいのではなかろうかという考えを持つておるのでございます。今回はたとえば勤労所得の一割五分の控除、その他所得税の基礎控除の引上げ等によりまして、約百七、八十億程度の減收を来したのでございますが、その主たる財源は主として酒の供給数量の増加によりまして、最初の見込みよりも酒の收入がふえて来たというところに、実はそういうことを可能ならしめた重要な理由があるのでございます。従いまして、結局全体の租税負担という点から考えますと、この際としては、今回提案いたしましたような程度の税率はいたし方なかろうと考えておるのでございます。しかし重ねて申し上げますが、将来の方向といたしましては、確かに日本の酒税の税率は非常に高うございますので、さらに一層数量をふやしまして、引下げの方向に持つて行きたいと考えておるのであります。今御指摘の原料がその後ふえたのではないかというお話でございますが、これは確かに米も先ほど国税長官からお話がございましたが、たとえば六万七千石程度ふえまして、これによつて清酒の数量もふえるのでございますが、これはすでにお話がありましたように、できましたならば主として農村方面に安い酒として供給して、密造というものを駆逐する方向に有効に使うようにいたしたい。一般の酒につきましては、できる限り新しき価格のもとにおきまして消化をはかりまして、千三十億の予算額を確保する方向に持つて行きたいと考えておる次第でありますが、今のところ私どもといたしましては、これだけ原料がふえたから、すぐさらに予算の見積りがえをしたり、あるいは税率を引下げたりするだけのはつきりした見通しを現在のところまだ持ちません。今後の状況によりまして、もしもさらに事情の変更等がある場合におきましては、あるいは中途において変更するような必要も生ずるかと思いますが、今のところといたしましては、やはり千三十億の酒税の確保は相当困難な点がございますので、この程度原料が増加したから、ただちに増收をいたすとか、あるいは税率を引下げて收入を確保するというような方向にまで行くだけの自信がないということをはつきり申し上げて、御参考にいたしたいと思う次第でございます。今後の状況等を見ました上で、また情勢の変化がございますれば、そのときに応じて必要な調整を加えるべきことは、申し上げるまでもないことと考えております。
○川野委員 実は米が六万六千石増配になるならば十万石の酒ができ得まして、約五十億の増税になるものと私は考えております。さらに先日私どもが醸造試験所に参つたわけでありますが、あすこに参りますと、実はアルコールの添加酒を、現在の一%をさらに三%に増したいという研究をやつておるわけであります。これが全国の百五十数箇所の酒屋に、このアルコール添加酒の試験をさせておる。こういう御報告でありましたが、この点からしますとこれがまた相当の増税になつて来るものと考えます。私の計算では約十億の増税になるものと考えます。さらにこうりやんあるいはきび等の相当の拂下げが、先般関係方面の許可を得られましたので、これらが酒にかわりますと相当な増石になる。従つて私の計算では約百億以上の税が、原料の増配のために得られるものと、こう私は考えるのであります。そこで先ほど半田局長は、確たる収入の見通しがつかないとおつしやいましたが、私はそういう見通しをつけております。ただいまそういう増配がありましたならば、農村にやるところの安い酒をうんと増す、こういう御答弁がありましたが、私はまことにけつこうであると存じます。それで重ねてもう一回、増税の見通しがつくならば、ただいま申し上げました農村方面に特配酒を多量に流す、こういう御計画があるかどうかを、ひとつ御答弁していただきたいと存じます。
○平田政府委員 歳入の見積りはなかなかむずかしいのでありまして、総司令部におきましても、常になるべく確実に見積つてくれというようなことを言われておるのでありますが、私どもといたしましても、やはりこの際としましてはなるべく的確を期する必要がありますので、若干のいい状況がありましても、ただちにそれによつてかえるというわけには、なかなか参らないのではあるまいか。しかし相当経過いたしまして、実績が徐々にはつきり現われて参りました際におきましては、それに応じて必要な調整を加えるのはさしつかえないのではないかと考えます。従いましてそういう点につきましては、今後の状況の推移を見まして、御意見に照らしまして、政府としましても極力善処いたしたいと考えておるのであります。なお今お話のこうりやんについては、私はよく存じていないのでありますが、たしかかんしよの入手が最近少し悪くて、その補充といつたような意味もあるかのように聞いております。この辺は国税庁の方でよくおわかりでございましたら、そちらで御答弁願いたいと思います。さような点もあるかと存じます。
 それから農村の特配につきましては、さきほど長官よりお話がありました通りで、極力農村方面の密造を少くするということが、何んと申しましても今緊急の要務と考えられますので、そういう方向に極力増産になりました酒を有効に使う方が、私どもといたしましても、望ましいのではないかと考えておるのであります。その点につきましては、国税庁の方で何か御説明があろうかと存じます。
○高橋(衞)政府委員 先ほどお話の六万六千石の原料によるところの増収見込額は、全部を配給酒にまわす予定でございますので、これが三十二億と相成つております。なお試験醸造を今年から開始いたしましたので、全国百七十七箇所の製造所におきまして、原料は八千五百石だけを使いまして、ただいま試験醸造をやつておるのであります。お話の通り大体これによつて、もしうまく行けば十億円程度の増收が得られると思うのでありますが、これは試験醸造でございますので、一半は夏前に出しますし、半分程度は夏を越しまして秋に出して、それが十分なる成果をもつて売れるかどうかということを、見きわめて行きたいと考えておるのでございます。何分にも試験醸造のことでございまして、今までの成績を聞いてみますと、試験所等において行いましたものは相当にいい成績を出しておるのでございますが、場所によりましては必ずしもいいものができないという向きもございますし、ある面は相当に実績を見た上で考えなければなるまいかと思うのでございます。なほ三千トンのこうりやんは、これは本年のいもの買収が必ずしも円滑に行つていないので、そんな点からいたしまして税收確保上心配がございますので、特に関係方面にもお願いをいたしまして、三千トンのこうりやんの増配をお願いしたような次第であります。これによつて酒の増石を認め増收を得られるという考え方でなしに、むしろ何とかして千三十億を確保したい。そのためにはこの程度のものを現在において割当をいただかなければ、確保ができないのではなかろうかという心配からいたしまして、そういうような増配をお願いしている次第であります。
○川野委員 どうも当局の御説明を聞いておりますと、原料の増配のために税金の予定以上の収入がむずかしい、こういうような御答弁にも私には聞えたのであります。しかしこれは近く醸造時期も終り、数字もわかると存じますので、どうかひとつ増税の数字が出ましたならば、先ほど主税局長の御説明になりましたような、安い特配酒を農村方面に流すように、ひとつ特にお願いしておきたいと存ずる次第であります。
 ことに今年できました酒が全部円満に売れるかどうか。これは一に密造取締りのいかんにかかつておるものと存じます。先ほどの奥村君の質問に対しまして、三千五百万円の密造取締費がある、こういう御説明でありましたが、実は三千五百万円の密造取締費の中には、警察方面にもまわす費用が入つておる、こういうことも承つたのでありますが、地方税務署だけの取締費は幾らでありますか、お尋ねしてみたいと存じます。
○高橋(衞)政府委員 警察本来の活動のために必要な経費は、全部警察の方面で負担していただくことに相なつております。ただそのために押收物件を引揚げましたり、または人夫を雇つたりいたします運搬費とか人夫費の一部は大体国税庁側の予算でもつて負担する、こういう考え方に相なつております。
○川野委員 そういたしますと、この三千五百万円というのは大蔵省、国税庁関係方面だけで使う金、こう私は了承したわけでありますが、先ほど奥村君の質問に対しまして、今年は税務署員が取引高税等の関係で、相当余つたという御説明ではございませんが、手が少くてそういう方面に取締をさせるから、これくらいの程度で適当である、こういうふうな御答弁であつたと思いますが、しかし二十四年度の三千五百万円のうちには、税務署員の人件費は入つていなかつたと私は存じます。従いまして三千五百万円の密造取締費は、実は足りないのではないかと私は思う。と申しますのは、国税庁の方は御存じないかとも思いますが、地方税務署では酒屋に寄付を申しつけておるのであります。これはもうすでに九州方面では百万円あるいは百五十万円、五十万円という寄付を相当出しておるのであります。公然とは申されませんが、非公式に寄付を出してもらえぬだろうか、こういうふうなことを税務署から申されますと、酒屋というものは税務署に対しては非常に弱いものでありますので、従つて出さなければならない。こういうことになつて実は今日寄付をしいられておるわけであります。しかし地方税務署当局の話を聞きますと、これはまた寄付を申し込むことも、むりからぬことであると存じます。一税務署に現在わずかな費用をやつておられる。こういう実情で、しかもその費用の中から警察関係をどうしても頼まなければならないというので、警察関係の慰労費を見込まなければならない。そうしますとわずかな経費では足らない。こういうことで地方の酒屋に寄付を申し込まれる方の気持も、私はよくわかるのであります。そこで問題は密造取締りが少い、こういう結論に相なると存じます。六、七百億の税金をとるのに三千五百万円を使つた国税庁でございますので、一千三十億円の税金を確保する上においては、私は当然予算の増額をなさなければならない問題であると存ずるのでありますが、これに対して国税庁長官の答弁を求めたいと思います。
○高橋(衞)政府委員 ただいまの予算でもつてお願いいたしております国税庁の職員の数は、二十四年度よりも千五百名を増加した数に相なつております。その点についての定員法の改正の案が、まだ提出されてないようでございますが、それがはつきり決定いたしますると、たとえば申告所得税におきまするところの青色申告の制度による仕事の増加、または審査の処理についての新しい方式による仕事の増加というようなこともございますが、何と申しましても千三十億という非常に大きな額の税でありますし、またこの税が確保されるかどうかということは、今年度の予算の実行上非常に重大な問題でありますので、定員の配置等に関しましては、密造取締りということを特に大きくきわめて重要視して、配置を考えてみたいと考えている次第であります。なほ三千五百万円の金額で十分かという問題になりますと、私どもとしては、お話の通り相当に不足した金額であるとは考えるのでありますが、何分にも財政状態が非常にきゆうくつでありますし、何とかこの既定経費をもつて、これを最も効率的に使用するという方法をもつて、善処して行きたいと考えているのであります。
 なほ地方において、酒の関係の方々に御寄付を願つているというお話でございますが、これは実はただいま初めてお聞きしたのでありまして、もしもそういうふうなことがあちこちに行われるということになりますと、いろいろ弊害も生じますし、また不当な負担をお願いすることでもございますので、そういうような点は十分に今後注意をさして行きたいと考えるのであります。
 ただ密造取締りの問題は、單に税務署だけの力でもつては、とうていこれはなし得ないのであります。一昨年の十月に酒類密造対策協議会をつくりました趣旨も、これは警察方面でありますとか、または検察庁関係その他経済調査庁等が税務署と一体となつて、この密造取締りに協力していただく。これは單に税務署だけの仕事ではなしに、国全体の問題であるという観点から、こういうような協議会をつくつていただいた次場第であります。従いまして、こういうような協議会を円滑に運営することによりまして、各関係官庁その他の御協力を得まして、何とかしてこの取締りの完璧を期して行きたいと考えている次第であります。
○川野委員 密造取締りの少いという問題、これは国税庁の方は多いことを希望されることは当然であると存じますので、この点につきましては、平田主税局長に重ねてお願い申し上げておくわけであります。六、七百億の税金確保のために、昭和二十四年度に三千五百万円を使つたのでございますので、一千三十億の税金確保のためには、当然これは予算の増をしなければ、私は完全な取締りはできないと考えますので、どうかひとつこの点につきましては、重ねての御配慮を願つておきたいと思います。
 さらに先ほど、醸造試験所でアルコールの添加酒の研究をやつておるということでありますが、試験所でやる場合にはりつぱであつても、地方の酒屋において製造する場合には、りつぱな酒になるかどうかわからぬというような御答弁もあつたのであります。こういう点からいたしましても、醸造試験所の研究というものが非常に必要でなかろうかと思うわけであります。ところが醸造試験所の費用が、実は一千万円使つているということであります。しかるに收入が八百万円ございまして、差引実際経費は二百万円であるということであります。一千三十億の税確保のためにわずか国は二百万しか使わない。こういうような考えでは、私は完全な研究はできないと考えます。実は先般農林省関係におきましては、林野の研究所を熊本にも設置されることになつたようであります。農林省関係では新たにそういう研究所をつくろうともくろんでおられる際に、一千三十億の税確保に対するところの酒の研究にたつた二百万円、こういうことではあまりにも情ない次第であると存じますので、この点につきましても深甚の御考慮を願つておきたいと存じます。
 最後にもう一点お尋ね申し上げたいと思いますことは、実は酒の販売機構の問題であります。昨年酒類配給公団を廃止いたしまして、現在の甲機関、乙機関をつくつたわけであります。承るところによりますと近くこの機関の改廃を行われるというようなお話も承つたのでありますが、この点につきましてその御構想を承つてみたいと存じます。
○高橋(衞)政府委員 酒類配給公団を廃止いたしますと同時に、あとの需給関係の混乱を非常に心配いたしまして、またその混乱の結果税收の確保ができないようなことになつても困るという観点からいたしまして、甲機関というものを全国に相当数、申請を受けまして認可をいたしたのであります。なおそれと併行いたしまして、乙機関も相当認可いたしたのでありますが、今までのところ大体円滑に需給が行つていると考えているのであります。当初は割合にその條件を厳格にいたしまして、それほど多くの甲機関を免許いたさなかつたのでございますが、漸次これが軌道に乗りまして円滑に行くに従つて、その点については今後の経過と実績を十分に見ました上で、漸次條件を緩和して行くような方向に行きたいと考えます。
○川野委員 先般の機構改革によりまして甲機関、乙機関をつくつたのでありますが、甲機関に続いて乙機関を多数許された地方におきましては、その機関の競争が激甚をきわめまして、掛売り等も相当に行われまして、経営に相当苦しんでいるというような現下の実情であります。そういう際におきまして、さらにそういう機関を増すということは、その困窮の度合いをさらに増すものであると存ずるのであります。先般のシヤウプ勧告におきましては、そういう点が勘案されたと私は存じます。すなわち酒の値段を上げるとともに、卸機関の強化、こういう一節をうたつているゆえんのものは、卸機関がすでに赤字になつて参つている。卸機関が赤字になりますと、従つて製造家は掛売をしなければならない。掛売りをしますと倒れます。倒れますと税金を納められないで国家の損失を来す。こういうことで私は、シャウプ氏が卸機関の強化という一節をうたつているものと考えます。大蔵当局並びに国税庁におきましては、シヤウプ勧告案の値上げの面だけほいち早く実施されるのでありますが、この卸機関の強化という点におきましては、逆に弱体化させるような方向に構想を練られつつあるかのように私は承つたのであります。シヤウプ勧告案というものが、ただいま申しましたように酒の税金が上つて参ると同時に、卸機関の強化をしなければ、この税の確保ができないという点をうたつていることをよく考えていただきまして、この方向に向つて卸機関を持つて行くのが適当ではなかろうかと考えますが、この点についてさらに御所見を伺つてみたいと存ずるわけであります。
○高橋(衞)政府委員 お話の通り実は大体全国一律の心持で行つたのでありますが、結果から見ますとある地方に養いては承機関が相当多数あり、さらにまた乙機関も根当多数あるということのために、業者によつては経営がある程度困難になつて来たという事態も見られるのでございます。従いまして今後の考え方といたしましては、地方的にしさいに検討いたしまして、一律にそういうふうな考え方はいたしたくないと考えるのであります。しかしながら公団廃止の本来の目的でありまする、なるべく自由にして、独専的の色彩を漸次なくして行くという方向については、やはりある程度考慮を要する点もあろうかと考えますので、それらの点につきましては、それらの特殊な地方についてはやはりそういうふうな方向に歩を進めて行くことが、正しいことではないかと考えております。
○川野委員 昔ピースというタバコをあまり値上げをいたしまして、売れ行き不振のためにピースの値段を下げたということがございます。さらに先般鉄道運賃をあまり値上げをして、今日二等、一等が乗り手がないために近く値下げをやろう、こういうような方向にあることは御承知であろうと存じます。すべてものというものは、あまり上げ過ぎますと売れ行き不振になりまして、従つてまた値下げをやらなければならない。また売るにしましても、密造取締りというようなことをやつて酒をむりに売らなければならない。こういう方向をとらなければならないと思いますので、農民が四十何円で米でつくつたところの酒を一千円、あるいはしようちゆうにおいては四百数十円で買わねばならないというようなことが起りますならば、農民はほんとうに自分の米が安いということをさらに裏づけるものであるという観念も起つて参りますので、酒の問題についてもすでに値段は今日が最頂上に達したという点を、深く認識していただきたいと存ずるわけであります。まだいろいろ質問したい点もございますが、時間の関係で以上を述べまして、私の質問を終ることにいたします。
○奧村委員 主税局長にお尋ねいたしたいと思います。それは申告納税の今年の見積り千五百億円が非常に見積りが過大である。これはこの前もちよつとお尋ねしたのでありますが、どうも十分納得が行きませんので、こまかくお尋ねいたしたいと思う。今年の昭和二十四年度の結果はどうなりますか。二月末の徴收の成績がわかつておりましたら申していただきたいのですが、どうも大蔵大臣の答弁からいたしましても、千七百億の予算通りの徴收はむずかしいということを言うておられます。そういたしますとそれから二百億円少い千五百億円でありますが、これをどう考えても過大である。そこで第一に、昭和二十四年度と比べて税率が非常に低くなつた。これについてどれだけ税收が減ると見積られているか。それから扶養親族がふえるということについて、どれだけの税收が減ると見積つておられるか。基礎控除、勤労控除などの点についてどれだけの見積りがかわると見られるか。それで新たにこの税制改正によつて所得の捕捉が相当ふえると見ておられるはずですが、それは一体どの程度見ておられるか。それからこれもこの前お尋ねしたのですが、シヤウプさんの勧告の中には、前年度の繰越分の徴収がかなりある。これも私に言わせれば、シヤウプさんは非常に過大に見ておられる。それは大蔵省としてはシヤウプさんほどには見ておられないでしうよが、これも今の情勢から行くと非常に少くなるのではないか、こういうことからいたしまして、千五百億円は非常に過大であるというふうに思いますので、このこまかい見積りについていま少しく丁寧に申していただきたいと思うのであります。なぜかと申しますと、最近の経済情勢は非常にデフレ傾向が深刻になつて参りまして、特に中小企業者が没落に瀕している。場合によつてはこの千五百億の予算も、将来近いうちに予算の補正をしなければならぬというふうなことになるのじやないかと考えるので、これらの参考上そういうこまかい点についての見積りの根拠をお尋ねいたします。
○高橋(衞)政府委員 二月末の数字はまだ報告して参つておりませんが、二月二十日現在の收入実績は、予算千七百三億に対して千五十四億であります。パーセンテージにいたしますと六一・九%であります。本年度の見通しといたしましては、昨年一ぱいにおける所得の金額に対する課税としては、大体予算通り行けると考えております。すなわち昨年中における所得はあつたけれども、その後の値下げ、特に衣料品等にはその値下りが顕著のようでありますが、それらの方々にとりましては、その税法に定めるところの税額を、今ちよつと納められることが困難な方が相当ございますので、それらの金額は滞納になつて、翌年度に繰越すというようなことが相当あろうかと考えるのであります。従いまして千七百三億の税收を確保するということは本年度におきましては相当に困難である。多分ある程度の赤字ができるのではないかということを見込んでいるのであります。しからばどの程度の赤字ができるかという問題につきましては、ただいままでのところではちよつと見通しがつきませんので、ただある程度の赤字はやむを得ないのじやないかということだけを申し上げておきます。
○平田政府委員 昭和二十五年度の税制改正後におきまする所得税の見積りにつきましては、先般お手元にその根拠を詳しく説明したものを差上げておいたわけでありまして、その基礎はすでにその資料によればおわかりになりますようりに、すべて二十三年度分の課税実績をもとにいたしまして、それに対して生産、物価、雇用、賃金、それぞれの最近における数字の増加歩合を乗じまして課税所得を見積つたのであります。その際におきまして、私ども一応生産につきましては、経済安定本部の昨年の十一月ごろ推計しましたところの見積りによることにいたしております。それから物価、賃金の水準につきましては、これはいろいろ問題があろうかと思いますが、やはり見積りといたしましては、その当時の状態が横ばいするというふうに見積るのが、一番妥当であるという見解を持つているのでありまして、大体九月ごろの水準が二十五年度においても引続き維持するものとして、所得を計算いたしております。その辺に、今奥村委員のお話になりましたように、問題の点があろうかと思いますが、予算の見積りといたしましては、さような方法をとるのが一番妥当であり、かつ無難であろうと考えまして、さような見積りをいたしているのでございます。ただ米価についてだけは、公定価格をある程度引上げるということを当然食管特別会計においても予定をいたしております。春作も多分一六四パリティー、秋作が一六八パリティーという予定を一応いたしておりますので、農業所得の計算については、そのパリティーをもとにして増加率を予定いたしております。その点国民所得とちよつと計算を違えておりますが、さように見ております。それからさらに二十四年におきまして、御承知のように滞貨が相当増加いたしております。従つて滞貨が増加しますと、生産国民所得は物価が下らない以上それだけふえるのでございますが、各人に帰属するところの分配国民所得は必ずしもふえるとは言いがたい。なかんずく課税の場合においては、まだ現実に処分しないで所得が実現しませんので、滞貨の増によりまして、生産がふえたもののうち滞貨の増に見合う分につきましては、ある程度生産の増加歩合を低目に見ております。この点は安本の計算しております国民所得の計算よりも生産の数字は私どもの方が低くなつております。二十四年度においてそういう事情にあるということも、生産を見る際にある程度考慮に入れて見積りを立てたのでございます。そういうことを前提にいたしまして、それぞれ計数はいつかお手元に配りました数字によつて御検討願います。それで課税所得の全体としての増を見込む。それに対しまして二十三年にくらべますと年数も二年の間がございます。それから税法の改正によつて相当所得の把握も合理的に行き得る可能性がより多くなつて来た。かように見るわけでありまして、そういう意味からして把握の増につきましても、勤労所得と農業所得は三%程度把握の増になる。それから営業所得は前々から非常に問題がございましたように、なお調査不十分の点が相当ございますので、この方は六%程度二十三年度に比べて二十五年度は把握が増す。これは一面におきましては申告がよくなつて、それだけふえる部面も出て来る場合もございましようし、他面におきましては税務官庁の能率が増進いたしまして、調査が正確に行くということによつて出て来る面もあろうかと思います。要するにそういう考え方からいたしまして、勤労所得と農業所得につきましては三%程度把握がふえる。そのほかの営業所得につきましては六%程度ふえる。それをさつき申しました生産、物価、賃金、雇用等の増減指数とさらに相乗じまして、二十五年度の課税所得の推計をいたしておる次第でございます。その推計しました結果の数字は、さらに先ほどお配りしました階級別の表としまして、詳しくお示しいたしておる通りでございます。それに対しまして今度の改正後の税率を適用しまして、それぞれ税額を算定いたしたわけでありますが、一応單に改正前の税法を二十五年度にそのまま適用して算出しました場合と、改正後の税法を適用して算出した場合と、その差額が、前々から申し上げておりますように、形式的に行きますと、税法改正による純増減ということに相なるわけでございますが、この数字は相当大きな数字になるのでございます。
 その大体を申し上げますと、まず基礎控除の引上げによりまして、約三百九十億円程度の減になると見ております。今申し上げましたような見方からいたした場合であります。それから扶養控除を、今まで税額控除で一人当り千八百円から、所得控除で一万二千円に改めたのでございますが、それによりまして相当減収になるのでございまして、七百八十億円程度の減、それから税率の改正によりまして、五百十七億円程度の減、これに反しまして勤労控除は二割五分を一割五分の控除に改めましたので、この方は逆に二百二十八億円程度の増、合算課税の廃止によりまして二百八十億円程度の減、配当所得の軽減等によりまして二十億の減、扶養控除の範囲を学生なり、成年者にも拡張いたしておりますが、それらによりまして七十六億円程度の減、変動所得の課税方法をかえたことによりまして二十三億円の減、再評価による減価償却費が約二十億円の減、雑損のいろいろな災害の控除とか、あるいは医療費の控除等によりまして、約十五億円程度の減であります。その他いろいろこまかい事項が若干ございますが、全体としまして差引き増減しますと、機械的に適用しますと、所得税におきましては千九百億円程度のものが、税法の改正によりまして減ということに相なるわけでございます。と申しますのは、来年度の予算に見込みました課税の総額を、そのまま改正なかりし場合において、同じ課税標準があるということに限定いたしまして、現在の税法を来年そのまま適用した場合の、今申し上げましたような賦課見込額に対しまして、改正後の税法を適用いたしましたことによりまして、かような減收を来すわけでございます。従いまして税法の改正といたしましては、前々から申し上げておりまする通り、税率控除等は予算額の増減が示すより以上に大きなものがあるということは、この数字が物語つておる通りでございます。
 そこで最後に、しからば千五百億の申告所得税がはたして入つて来るか、入つて来ないかという問題でございますが、繰越しにつきましては、大体この説明にありますように、二百七十億円程度が繰越すものと見ております。二十四年度から二十五年度に滞納になり、あるいは二十四年度中に賦課すべきものが、二十五年度に賦課されるというようなものを、約二百七十億円程度見込んでおります。従いまして来年度の分としましては、それを差引きました約千二百三十億円程度が、二十五年度の新税法に基く歳入ということに相なるのでございます。これがはたして入つて来るか来ないか、これは確かに問題はあろうかと思います。税率控除が今申し上げましたように相当大巾に下つておりますので、課税所得が先ほど申し上げましたように、生産物価が予算で見込んでおります通り行くか行かないかということと、それから能率がある程度上るか上らないかということが、実はわかれ目になるわけでありまして、私どもといたしましては、一応この予算を見積りましたときの状態のもとにおきましては、やはり改正後におきましても、この程度の收入は上げることが可能ではなかろうか。またこういうようなことに行きましてこそ、初めて従来から非難がありました税率が高過ぎる、あるいは控除が低過ぎてどうもまじめに納めている人は非常に高い負担になり、抜けておる人ほどうもいい加減な負担になつておる。こういう関係を少しでも是正するということが必要でございますので、政府といたしましては、おそらく国税庁非常に今後問題があろうと思いますが、所得の調査、その他につきましても万全な方法を講じまして、極力税法通りの税務執行ということに努力することに相なるかと思います。しかいたしますならば、現在のところ大体におきまして不可能ではないと考えておりますが、ただ最初に申し上げたように、物価水準を大体九月の水準で横ばいするということを前提といたしております。生産の方は大体におきまして予定通り行きつつあるようでございますし、これはまた私は政府の今の政策が予期通り行きますれば、でき得るのではないかと思いますが、物価水準の方がはたしてどういう方向になりますか。これによりましていろいろ問題が出て来るのではなかろうか。しかし現在のところは、政府といたしましては、あくまでもやはりディス・インフレーシヨンの線を堅持しまして、物価水準として全体として大巾な下落をするというようなことは、政策上もやらないように努めるということになつておりますし、一部の非常に高いやみ価格等が相当下ることもあううと思いますが、全体としましてはそれほど大きな異動をこの際予測するのは妥当ではない。こういう考え方からいたしますと、現在の状況のもとにおきましては、この千五百億円の申告所得税の收入を見込みますのは、私どもとしましては妥当ではなかろうか。もちろん今後いろいろ現実経済の推移に対応しまして、状況の変化がありました場合におきましては、そのときに応じまして歳入予算あるいは歳出予算等につきましても、調整の必要が出て来るかもしれませんが、現在のところといたしましては、いまだそのようなことを考える必要はないのではあるまいか。大体原案によつて御審議願つてさしつかえないのではないか、かように考えておる次第であります。
○奧村委員 私がお尋ねいたしたかつたのは、あとにお話になりました改正前の税法をそのまま昭和二十五年度に適用したものとして、改正後の税法を適用した場合と比べての比較、ただいま御答弁によりますと、千九百億円の減になるということでありますが、それをお尋ねしたかつたので、まことに満足したわけであります。そこで千九百億円の減はこれは税額で減になるのですね。そういたしますと千九百億円の税法の改正によつて減になる。しかもなお千五百億円が徴収できるという見込みになりますと、これは改正前の税法を適用すると、三千四百億円申告納税によつて昭和二十五年度はとれる。こういう見込みのもとに立つておられることに相なる予算であります。主税局長のお話によりますと、二十四年度の繰越し分が二百七十億円見込まれる。従つて二十五年度の分は、千二百億円だ、こういうお話でありますが、しかしこれは毎年追繰りになりますので、二十五年度の分はまた二十五年度中にとれずに、二十六年度に何百億円かが繰越しになるとすれば、千二百三十億円を見積つても千二百三十億円がとおるものではなく、相当繰越しになるから千二百三十円だけを見込んでもむりであります。少くとも千五百億円は見なければならない。三千四百億円というものを昭和二十五年度に改正前の法律においてとれるという見込みについては相当疑問がある。二十三年度に比べましても三千四百億円が申告納税によつてとれると言うが、それほど経済の実態がよくなつたということはわれわれにはとうてい考えられない。むしろこれからは下降の傾向にあるというふうに考えられる。しかしこの点は議論にわたりますから、また別の機会にいたしたいと思います。ただいまお話のこの改正前の税法をもし適用した場合、税率の低下について五百十七億円あるいは扶養親族がふえる点において七百九十億円というのですが、こういう税收見積りについてひとつ印刷して資料としてお出しを願いたいと思います。
○平田政府委員 ちよつと補足して申し上げておきますが、先ほど千九百億円と申しましたのは、源泉課税と申告所得税との両方含んだ分でございます。源泉課税の方が大体六百十億円程度と見ております。申告所得税の方が千二百九十億円程度と見ておりまして、千五百億円は御承知の通りこれは申告所得税であります。勤労所得税は九百九十億円程度と見込んでおります。そこで所得税は昭和二十五年度において約二千五百億円を見込んでおるわけでございまして、それに対して先ほど申しましたのは、もう一ぺん繰返して申し上げますが、正確に申しますと、二十五年度の課税ぺースに対しまして、現行法を機械的に延ばしてそれぞれ税金を計算した場合の收入賦課額と、改正後の税法を適用した場合の賦課見込額との差額ということに相なりますので、御了承願いたいと考える次第であります。なお今の資料はあとでお配りしてもさしつかえないと思いますので、その点も御了承願います。
○奧村委員 各税務署の関税課長、直税課長、庶務課長などの課長級においては始終転勤されておりますが、せめて課長級までの官舎は、各税務署に当然設置すべきであると思いますが、現在完備しておりませんので転勤を非常にいやがつておる。少くとも近々のうち課長級までの官舎はつくるべきであると思いますが、これについてはどういうふうに考えておられますか。
○高橋(衞)政府委員 税務官吏につきましては、各税務署をずつと経験を持つていただくことが、それぞれ各地の状況もよくわかりますし、またそれぞれ各地間におけるところの課税の公平を期するという面から、また場合によりますとあまり長く同じ土地に勤務いたしますと、弊害を生ずるというおそれもございますので、少くとも税務署の首脳部につきましては、そう長く同じ土地に勤務させることをしないという方針をとつておるのであります。従いましてそれらの者に対するところの官舎をつくるということは非常に必要なことだということで、絶えずお願いをしておるのでありますが、ただいまの予算をもつてしては、急速に運ばないわけであります。しかしながら幾分でもその方向に進みたいと考えまして、予算におきましては、庁舎その他施設の買收費といたしまして、二十五年度におきましては二億円の経費を計上しております。これは若い者にとりまして、特に都会地におきまして優秀な官吏を得ようといたしますと、どうしてもいなかの方から人を集めなければならぬので、寮等の施設についても考えたいと思つております。
○平田政府委員 先ほどの川野委員長のお尋ねにちよつと補足してお答え申し上げておきたいと思います。
 酒類の価格につきましては、今回は若干の引上げになるわけであります。二級清酒は六百四十円が六百五十円程度、三級酒四百二十五円が四百五十円程度にそれぞれ引上げになるわけであります。昭和二十四年の五月までは相当高かつたわけでありまして、自由販売酒の値段は二級清酒が八百十円程度、それからしようちゆうが七百八十円程度であつたのでございます。これを昨年五月以降六百四十円を四百二十五円程度に引下げたような次第でありまして、従いまして今回若干上りましたが、なお二十四年五月以前に比べますと、自由販売酒の値段は相当低いものであるということを、この際つけ加えて説明しておきます。
○大上委員 私は資料をお願いしたいと思います。ただいま奥村委員からいろいろ官舎の問題が出ましたが、私もその問題についてお尋ねしたいと思います。昭和二十五年度予算の説明の中の二十ページ十三の項に、「その他」として二億二千百万円を見込んでおりますが、この内訳についての資料をちようだいしたいと思います。
 それからよくどの国会にもお願いをし、あるいは質問してピントが私の方にはピンと来ないのですが、今度この法案の内容を見せてもらつておりますと、こういうことが書いてあります。この所得税その他の税法については永久と言いますか、これは相当長くやる、こういうふうに書いてあります。今回の税制改正は税制全般にわたる改正である。一旦改正された税制は、今後相当の期間持続せられるという前提のもとに立案したという提案趣旨があります。また昨年の十二月でしたか、強制徴收を一時繰延べするという場合に、高橋長官の御答弁では、各税務署に指令書または特別の通牒をもつて云々というお話がありましたが、その他いろいろな税についてこの法律以外の通牒がありましたならば、資料としてちようだいしたい。それによつていろいろ質問したいと思います。
 いま一つは青色申告のために千五百人の者を新規に採用するというようなお話がありましたが、これらの者の年齢、学歴等は高いという言葉がありますが、これはどの程度の基準の人をとる予定か。この三つの資料をちようだいしたいと思います。
○平田政府委員 今の資料のうち、通牒類等を全部というのはなかなかむずかしいと思いますが、必要な事項をひとつお話になりますれば、その分抜萃しましてお配りしたらどうかと思うのでございます。
○木村(榮)委員 今奥村委員の質問に平田さんが答えられました結果によれば、昭和二十五年度は国民一般の生活においては黒字が出るというのですが、六千三百円ペースの労働者の場合、大体大蔵省は一箇年間どのくらい黒字が出ると見込んでおるか。それから国民一人当りの一箇年間の所得額はどのくらいと計算しておつて、一人平均どのくらい二十五年度は黒字になるというふうに見込でんおるか。これをひとつ説明願いたいと思います。
○平田政府委員 私どもの説明しておりますのは、家計の絶対額におきまして黒字が出るか、出ないかという数字はなかなかむずかしい数字でありまして、はつきりしたことはおそらく言えないのじやないかと思います。ただ現在に比べまして、家計費が税制の改正その他によりましてどの程度楽になるか、その生計費の負担がどれだけ減るかということについては、先般たしかお配りしたと思いますが、その統計の通りでございます。それで家族、世帯員の多いところによりますと、税引き手取りが、今の所得に対しまして三%ないし四%程度家計が楽になるということだけで、絶対額がその後におきまして黒字になるか赤字になるかという問題については、簡單には言えないのじやないかと考えております。現状と比べますと、税制の改正をしてこれくらいよいよなるだろうという数字は、作成してお配りしてある通りであります。
○木村(榮)委員 その場合は農産物価格、たとえば米価なんかは現在の米価を予想しているのか。またその他一般の農産物価格は、全般的に大体いつごろの価格を基準になすつているのですか。
○平田政府委員 今申し上げましたのは勤労者でございますが、勤労者につきましては、米の消費者価格―これは最近引上げになりましたので、あの引上げになりました価格を見まして引上げ前と比較いたしております。今度の引上げになりました価格は、大体におきまして先ほど説明しました今後における。パリティー価格の増を、ある程度見込んでおるようでございますから、本年といたしましては、あの消費者米価が大体持続せられるものと見ていいのじやなかろうか、かように考えているのであります。その他補給金が削減されました結果、公定価格が引上けられることによりまする負担の増の方は増の方に見て、他面におきまして間接税の廃止によりまして値下りを来す分についてはその分だけを減に見て、そのほかに所得税の減税による減と、それから地方住民税、地租、家屋税の増徴による増というものを全部考慮に入れまして、今申しました扶養親族が四、五人の世帯でありますと、大体今までの税引き手取りの所得に対しまして、三%前後全体として負担が少くなる、家計費が楽になる、こういう数字は先般お配りしてある通りでございます。重ねて申しますが、それで絶対額が黒字になるか、ならないかという問題はなかなかむずかしい問題で、これは私ども容易にお答えすることはむずかしい問題じやないかと思います。
○木村(榮)委員 そういたしますと、昭和二十五年度の農村の税金は、大体個々の面においては減る面もあるかもしれないが、全般的に言つた場合は決して減らないということが言えるということになりますね。
○平田政府委員 今度の税制改正の中で一番負担が減りますのは農村だと思います。所得税におきましてははつきりわかるのでありますが、平均所得は十万円でありますが、所得十万円で家族が四人の世帯ですと、現在の税法では一万五千円の所得税であります。それが今度の改正後の税制によりますと、五千六百円くらいになるわけでありまして、一万円前後所得税が軽くなる。その反面地租は増徴になりますが、これは先般詳しい資料をお配りいたしましたが、大体田で現在一反当りたしか九十八円―百円弱であります。一町歩つくつております場合におきましては千円弱であります。その負担がかりに二倍半ないし三倍になりましても、千円が三千円になつて、増加しまする税額は二千円であります。家屋税は現在の農村の家屋は賃貸価格が相当低いので、かりに倍率を九百倍程度にいたしまして税率を一・七五%程度にいたしましても、負担は今と比べまして相当ふえますが、絶対額はそれほど大きくございません。そういうものを全部差引して計算しまして、この前お配りしましたような数になるわけでございまして、全体としましては私は今度の改正では、農家は相当負担が減るものと考えておるのであります。一番軽くなりますのは、前から説明しましたように事業所得者で、しかも所得が比較的少くて家族の多い方々が、今度の税法改正では実は一番軽くなります。まさにそれに該当しますのは農家でありまして、農家は非常に軽くなる。それと合せまして、専従者につきましても今まで控除していなかつたものを、新しく一万二千円の控除を認めることになつたのであります。従いまして單作地帯におきましても、多数の家族従業者を控えまして、今まで相当な課税を受けていたところにおきましては、一万二千円の控除によりまして相当税額が下るのであります。従いまして私は今度の改正では、農家の負担は全体としまして一番軽くなるのじやないか、かように見通しを立てておると申し上げた次第であります。
○北澤委員長代理 それでは午後は二時から再開といたしまして、午前はこれにて休憩いたします。
    午後零時三十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十一分開議
○川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 九税法案について質疑を継続いたします。松尾トシ子君。
○松尾委員 私が質問するにあたりまして一言申し上げたいのは、順位が終りに近くなつたもので、大部分の重要な質問がなされたと思いますけれども、本日これが重複するのを私はあえて押し切つていろいろの問題を聞きたいと思います。それは、これが重複すればするほど、国民の痛烈な声だというふうに思つていただきまして、お聞きを願いたいと思います。
 まず第一にお尋ねしたいのは所得税のことであります。この所得税を二つに分けまして、申告課税と源泉課税の比較をしてみたいと思うのであります。この徴收の面に至りまして、申告課税の場合には、二十三年度の租税及び印紙收入予算三千百六十億九千七百万円に対しましての徴收状況を、一覧してみますと、四月の末はわずかに一・五%であるし、五月は五・一%、六月もそれに準じて少くて、十二月に入つてやつと五一・四%、約半分であります。最後に残された二、三箇月の間にあとの半分を徴收するということに相なりまするので、ここに問題が起るのだと思うのです。私が考えるのに、税金というものは利益の一部からとらなければならないにもかかわらず、年度末に一ぺんに取上げられますので、資本の一部をここにつぎ込んでしまいますから、中小企業というものが倒れて行くのだと思うのです。この点において私は当局はほんとうに努力いたしまして、更正決定もつともつと早くや、り、しかも平均に課税をするようにしていただきたいと思うのです。申告課税にいたしましてはかようでありまして、これを源泉に比較しますと、源泉はこういつたことがなくて、しかもわくにはめられたかなり大きな額を毎月毎月とられておるのです。そうして給與ベースは上げることもできないというような現状で、六千三百七円というこの給與をかせぐには、ただかぜげないと思うのです。私はこの六千三百七円というものがもろに全收入だというふうには考えられない。これをかせぐには、一つのコストがいると思うのです。局長さんも委員長さんも同じですけれども、そこに通うのに、月給をとるのに、一つのくつもいれば着物もいるし、これは六千三百七円をかせぐ一つの資金だと思うのです。こんなことから考えますと、收入はそれよりはるかに下まわる。こういう点から考え、そしてまたこの源泉と申告課税の徴收の面から言いますと、源泉がよくこれを納めている関係から、申告課税をおおむね年の半ば以上はカバーしているかつこうになりますから、源泉課税の面におきしては、控除額をもつと高めて行つて、たくさん働いてもらうとか、あるいは給料を少し上げていただくとかしないと、コストがかかるものですから、実際の收入は非常に少いのですけれども、この辺の主税局長のお考えを伺いたい。
○平田政府委員 御質問の趣旨は大体二点のように聞きとつたのであります。
 一つは申告所得税につきまして、もう少し年間なだらかに税が入つて来るようなことが考えられないかという問題と、もう一つは勤労所得につきましてもう少し控除を多くしたらどうかというようなお尋ねかと承つたのであります。前者の問題につきましては、お説のところまことにもつともなところがたくさんあるのでございまして、最近までの実績を見ますと、申告所得税は初期に入るぐあいが悪くて、大部分が一月から四月の間に入つて来る。それも二十四年度は二十三年度に比べますと大分よくなつておりますが、それにいたしましてもなおかつやはり相当多くの部分が、一月以後に入ることになつておるのであります。これは私どもできるだけそういうことのないようにするのが理想だと考えております。今回の改正案によりますと、一応二十五年度からは前年の実績に基きまして、予定申告をしていただいて、それで納税をしてもらうということにいたしましたので、従来に比較いたしますと、その点はよほどよくなるのではないかと期待いたしております。と申しますのはなだらかに入つて来ない最大の原因は、何と申しましても予定申告の成績が悪くて、予定申告で納めていただく税額というものが非常に低い。大部分は確定申告またはその確定申告に対する更正決定に基きまして、收入が入つて来るということになりますのが、その大きな原因であつたのでございます。その点が今回の改正によりますと、一応予定の納税額は前年度の実績額をもとにしまして、原則としましてもちろん特例がありますことは前にも御説明申し上げた通りでありますが、そういうことになりますので、その点は従来に比べますと、よほど改善になるのではないかと考えておるのであります。それにいたしましても、しかし何と申しましても事業所得等の所得自体が、納税者の方自体にもはたして幾らになるかわからないという事柄から、この調査等には相当の手数と時間を要するのであります。従いまして更正決定につきましても、昨年も一応予定申告に対しまして仮更正決定というのをある程度いたしましたが、この仮更正決定はどうしてもなかなか完璧には参りません。どういたしましても確定申告が出まして、過去一箇年間の実績をよく見まして、それに対する本更正決定で適正な課税をして行くということにせざるを得ない。こういう状態であります。従いまして勢い遅れがちになるのでございます。これは極力私どもさようなことのないように、今後におきましても運用に努めて参りたいと考えておりまするし、また制度の上におきましても、今回の改正によりまして、従来よりも幾分かの改善を見るものと実は期待いたしておりますが、なお納税者の側におきましても、予定申告等でなるべく早く思い切つて申告していただいて、納税してもらうということになりますと、実は非常に納めやすい。ところがなかなか手元資金等が苦しいために、ついぎりぎりまで税金は食い延ばしまして、なかなか納めていただけない。納めていただけないことにつきましては、いろいろ理由もあろうと思いまするが、もう少し見切りをつけまして、どうせ納めなければならぬ税金は、少し早目に納めておくというようなことになりますれば、こういうよりな点もよほど緩和されて行く。それによつて結局経営の方も税金に応ずる経営ができましてどたんばになつてあるいはそのときまでにはすでに税金を使つてしまつたり、あるいは投資に充てたりしているために金繰りに困つて税金を納められない。こういうようなことがないように、ひとつ申告をしていただきますことを政府としましても宣伝をし、周知をはかつておるのでございますが、なかなか理想通りの準備ができていないというのが現状であります。しかし今後におきましては、さらに一層努力いたしまして、できる限り早くから税金が入つて来るように努めたい、かように考えておる点を御承知願いたいと思います。
 次に勤労所得税でございますが、これは御説の通り毎日あるいは毎日給與から支拂われる際に、源泉で差引きまして納めていただきます関係上、ほんとど毎月確実に入つて来ております。従いまして、これは常に早いうちから成績がいいのでございまして、納税と申しますか、徴税の成績も非常にいいことは御承知の通りでございます。従いまして申告所得税が遅れて、しかもなかなか納まらないというのに比べまして、勤労所得者はまことに税金を税法通り納めていただいておる。こういうふうに考えておるのでございますが、勤労控除の問題につきましては、実はいろいろ問題があるわけでございます。今御指摘のように勤労所得につきましては、所得の計算上、勤労所得を得るために必要な経費というものを控除する建前にいたしておりません。これはなかなか実際問題といたしましても、たとえばくつはどの程度が收入を得るために必要なものであるか。あるいは被服はどうか、本来の生活に必要な部面もございますし、なかなか事実の認定がむずかしい。通勤費等にいたしましてもはつきりしておる部面と、はつきりしておらない部面といろいろございまして、結局従いまして勤労所得税につきましては、税法上は所得計算は一応原則としまして收入金額そのままによることといたしております。たださような点がございますのと、いま一つは、他の所得に比べまして勤労所得税は何と申しましても担税力が比較的低いという、この二つの点からいたしまして勤労控除をいたしておるのであります。今回の改正案によりますと、これを一割五分にいたしておるのでございます。これをもう少し引上げたらどうかという御意見だろうと思います。この点につきましては、一面におきまして事業所得のうち少額なものにつきましては、これはやはり相当勤労所得的分子が多いのでございます。たとえば農家の所得とかあるいは小常業者の所得の中には、やはりこの農家やあるいは営業主が働いて得た部分の所得が、事業所得の中に入つておるわけでありまして、これとの負担のバランスをどうするかという問題でございます。給與所得についてだけ大巾な控除を認めますと、それだけ事業所得に対して不利になるわけでありまして、勤労所得の控除を多くすれば、ただちにそれで所得税の負担が公平化するということにもならないで、ともかくその少額所得者との負担の均衡を見なければならぬので、その点を考えますと、あまり大巾な開きが出たのでは、かえつて不公平になる。控除といたしましては、あくまでもそういう事業所得者等との関係を考えまして、適当な控除割合を定めた方がいいというので、一割五分にいたしたのでございます。シヤウプ勧告案はさらに理論を徹底いたしまして、その差は一割ぐらいでいいだろうという勧告でございますが、これはいかにも今までの沿革あるいは現在の実情等からいたしまして、少し理想に走り過ぎておるきらいがございますので、私どもといたしましては、一割五分の控除を認めることにいたして提案いたしたのでございます。これ以上引上げますということは、将来の事業所得者との負担の均衡上いかがであろうか、やはり今のところではこの程度が一番妥当ではあるまいか、かように考えておる次第であります。
○松尾委員 ただいまいろいろと御説明願いましたけれども、私は今後の日本の経済をどういうやり方、方針でやつて行こうかということによつて、大分局長さんと私との意見の相違があると思うのです。ですからこの点でそれは打切るといたしまして、第二番目に酒税の問題についてちよつとお尋ねいたしたい。
 午前中に川野委員長が酒税の問題でたいへんこまかく、しかもいろいろ大巾なお尋ねがあつたようでございますけれども、私もちよつぴりこれに触れさせていただきたい。この酒税というものは、言いかえますれば財源として飲ませながら、うかうかと喜ばせながら大きくとれるというので、千三十億もとつてしまうのですけれども、これはちよつとひどいと思うのです。この上に立つてじつくり私が考えてみますと、今まではインフレーシヨンが進行中でありましたから、この間接税をたくさんとることができましたけれども、しかしただいまは財政資金もたくさんあるようになり、むしろ金融資本が産業を圧迫しているような状態に追い込まれていると思うのです。そしてまた言いかえますと、現在では物価の調整問題を解決しなければならない時期に入つておるにもかかわらず、この厖大なる酒税をとるということは、他の物価との調整を欠くのではないか、こんなふうに私は心配しているのであります。この酒税というものは消費税でありますし、また大衆課税にもなりますし、午前中委員長さんが、これを飲んで労働意欲をもつと二倍にも三倍にもすることができるということを申されましたが、こういう点からは確かに大衆課税でもありますし、国民の必需品の一部にもなると思うのです。この点からひとつ千三十億の大きなわくをおきめになつたのか、この物価調整時期に入つておるときに、他の物価とはどういうふうな関係になるか御説明願うと同時に、もう少しお考えになつてはどうかしらと思うのであります。
○平田政府委員 酒税につきましては先ほどからいろいろ御意見があつたわけでございますが、国民の消費するいろいろな物資あるいはサービスのうち、いずれの国民も暮して行く上において必要なようなもの、こういうものにつきましては極力これを廃止しまた減税をはかるというのが、前回今回を通じました税制改正の一貫した方針でございます。たとえば織物消費税、今度の三等乗客に対する通行税、それから取引高税、取引高税は必ずしも消費者の負担に帰するわけではございませんが、消費者の負担に帰する部面が多いというわけで、そういうふうにいやしくも一定の消費をするならば、常にかかるといつたような種類の消費税につきましては、実は大巾な廃減税をいたしておるのでございます。これは消費税の性質上、さようなものは必ずしも理論上妥当ではないという趣旨に照しまして、さような改正をいたしておる次第でございまするが、他方間接税の中では結局奢侈品に対する課税と嗜好品に対する課税、これは今の財政状況から申しますとやはり相当残さざるを得ない。もしも将来国家財政にさらに一段と余裕が出まして、大きな減税をし得るという段階になりますれば、あるいはまたそういうものにつきましても、さらに減税をはかつて行くということが妥当であり可能であると思いますが、現在程度、二十五年度の予算の程度でありますれば、まだこの程度の課税はいたし方ないのじやあるまいか。むしろやはりまだまだ所得税等の基礎控除、扶養控除、そういうものにつきましてもいろいろ議論がございます、そういうものの引上げと、ほかの。残りました関接税の引下げと、どちらを今後におきまして優先してやるかということになりますと、これはまたいろいろまだ考えなければならない問題があるのではないかと思います。酒につきましても私どもいたずらに税率を引上げまして、收入を引上げるのが能がないということはよくわかつておるのでございますが、今の財政事情からいたしますと、数量も極力ふやし税率も妥当なる限りにおきまして適当なる税率を定めまして、それによつて相当なる収入を期待するというのは、今の段階においてはまた適当であり、かつまたやむを得ないのではなかろうか。酒が必需品か奢侈品か嗜好品かということにつきしては、いろいろ議論があるかと思いますが、ほかのものと比べまして、何とか国民は必ず飲まなければ生活して行けないといつたような性質がないというところに、酒の特殊性があるわけでありまして、国民の非常に多くの人が飲んでおる。ことに労働者その他農民等の人が相当よけい消費しておるという事実は、まさにその通りであります。同じ農民、同じ労働者の中におきましても、飲む人あり飲まぬ人あり、また飲む程度も人によつて非常に違う。そういうところにある程度酒の消費税を負担してもいいという根拠があるわけでございまして、今の一般の財政状態のもとにおきましては、この程度でいたしかたない。しかしいずれにしろ先ほど説明しましたように、相当値段といい税率といい高いことは私ども一番認めておりますので、今後はできる限りこの正規の酒の生産をふやしまして、やみ酒を駆逐して、税率はむしろ低くし、値段も低くして、しかも国家財政上相当な收入を上げ得るといつたような方向に、極力持つて行くように努力いたしたい、かように考えておる次第であります。
○松尾委員 次に富裕税の点についてちよつとお尋ねしたいのですが、私が考えるのに、富裕税は所得の補完税であると思うのです。この富裕税を課税するにあたりまして、財産を分散している場合が多いのではないかと思うのです。もちろん五百万円以上の方々に課税をするというのでありまして、日雇い労働者などと違いますから、いろいろな名義で法人へ、あるいはほかの事業へ、組合へというふうに財産を分散していると思うのです。これを課税するにあたつては、個人の資産と法人その他に出資しているものを、全部調査した上でやらないと不公平になると思うのですが、この調査機関なんかというものはどんなふうにおやりになるか、御説明願いたいと思います。
○平田政府委員 お話の通り富裕税におきましては、個人の所有している一切の積極財産から一切の負債を差引きまして、純粋の財産額に課税するわけであります。しこうしてその個人の持つている財産の中には、もちろん法人に対する出資、株式等はその中に入るわけでありまして、従つて法人の形で資産を持つている場合におきましては、法人の資産を調べましてそれを時価で評価しまして、その価格が幾らになるかによつて法人の出資なり持分を評価する。その評価しましたところによりまして、その所有者たる個人の財産の中にそれを算入いたしまして、富裕税の財産額をきめて行くということになるのでございます。そうしまして財産でございますから、同居親族の分を集めて合算することにいたしておりまするし、それからまた年々純資産が三百万円以上、所得は七十万円以上の人の場合は、すべて毎年十二月三十一日現在で一種の貸借対照表を個人の場合も出してもらう。貸借対照表と申しますと非常にむずかしいのでございますが、要するに資産負債表を個人につきましても全部出してもらう。年々それをやる。一方相続税等におきましても資料が集まつて来る、所得税等におきましても資料が集まつて来るということになりますから、私はやはり相当な財産家の場合におきましては、適正な調査ができるのではないかと考えて、おります。そういうことはあくまでも税法通りはつきり負担してもらう。その反面税率その他もあまりむちやくちやなものでないようにしまして、極力税法通りの適正な納税ができまするようにいたしたいというのが、今回の改正案の全体としての趣旨でありますことを申し上げておきたいと思います。
○松尾委員 内容はよくわかるのですけれども、それを調査する場合に申告させるのですね。それですからなかなか人間は人情で申告を自分でちやんとしないと思うのです。こういう場合には相当の税務調査員が必要だと思うのですが、その御準備はおありなのでしようか。
○平田政府委員 もちろん建前は申告納税でありまして、私どもできる限り申告で法律通り出て来ることを期待しておるわけですが、この全部について期待するわけには参りませんから、やはり税務官庁におきましては相当有能な職員をそろえまして、その申告書につきまして個別的によく調べる。五百万円以上でございまするし、現在のところは大体納税者の数が四、五万人程度と見ておりますが、その程度でありますれぼ、相当熟練した官吏をして当らしめますと、適正な調査が可能ではなかろうか、かように考えております。
○松尾委員 次に物品税についてお尋ねしたいと思います。物品税というのは元来消費税でありまして、消費者の負担として支拂われるべき性質のものだと思うのですけれども、それは景気がよいときで、購買力が非常に旺盛なときには、消費者にこれをかけることができると思うのです。何も問題が起らないのです。しかし今日のように中小企業者は崩壊しそうになつて、購買力が非常に落ちて、景気がまつたく悪くなつているときには、ここに重大な問題が起るので、中小企業者の大きな犠牲が問題視されているのだと思うのです。考えてみますと、これは実際には売る場合にとるのが一番適切だと思いますが、日本の今とられている方法は、倉出し課税の方法がとられているので、このように景気が悪くなると、消費者自身の負担で拂わるべきものが、結局中小企業者のいわゆる製造家とか販売者が、大きな犠牲を拂わなければならないことになりはしないかと思うのですが、こういう場合に私はこんなふうに思います。大衆の必要品は全部物品税をとつてしまつて、奢侈品にもつと大きな高いものをかけて、バランスを合したらいいのじやないか、こういうふうになさると、大蔵大臣もそんなに非難を受けたりしなくて済むと思うのです。中小企業もこんなふうな状態でいるのでは、だんだん資本を食つてしまう。現状をよく見てみますと売れないものだからどんどん下げて、資本を食いながらやつているところへ、この消費税いわゆる物品税も抱き込まなければならないということになりますと、なかなか苦しい思うのですが、さきに申したように、奢侈品に高い税率をかける。そして必需品いわゆる中小企業が取扱うようなものは、最低の線まで下げるとかあるいは全廃するとかいうふうに、大巾の飛躍した方針をとることができませんでしようか。
○平田政府委員 物品税につきましては、実は前回の改正で、今お話になりましたような方向の改正を相当いたしたわけであります。大体二百七十億円程度のものを百億円程度減税いたしまして、百七十億円程度のものに改正いたしたのであります。改正の方針といたしましては、極力大衆の必需品に該当すると認められるようなものは課税から除外したり、あるいはある程度税率を下げる。比較的奢侈的なものにつきましては若干下げておりまするが、これは税率をいたずらに高くいたしましてもなかなか收入が入つて来ない。徴税し得る限界におきまして高い税率で課税するという趣旨で、一〇〇%の税率を七〇%程度に引下げたのでございます。しかし今お話のような趣旨で、こういう何人が見ても非常に奢侈的な性質の強いものと申しますのは、全体の数量及び消費金額から申しまして物品税の中でも比較的少いのでありまして、そういうものにいたずらに税率を高くして課税いたしましても、所期の收入が入つて参りません。むしろそういうものにつきましても、ある程度税率は低くした方が、かえつて收入は入つて来るというような面もございまするし、現在のところ、さらに一層奢侈品課税を税率だけ上げて、その收入でさらに大巾な物品税の軽減をはかるというようなことは、どうもむつかしいのではないかと考えているのでございます。ただ将来の方向といたしましては、財政事情の許す限り――物品税につきましては、確かに生活上比較的必要性の強いものもまだ課税に残つているかと思います。しかしこれにつきましてもいろいろ問題がありまして、たとえばラジオはどうか、運動具はどうか、写真機はどうか、いろいろ程度の問題でありまして、その辺の判断がむつかしい場合もございまするが、方向としましては、奢侈性の少いものは漸次課税からとりやめたい。あるいは税率を下げて行く方向が正しいであろう。それから今の段階におきましては、先ほど御意見がありましたように、酒の税金も高い。所得税も高い。まだいろいろな税金もそれぞれ下げたいところがございますので、先般改正しました物品税くらいのところがやはりバランスもとれているのではなかろうか。将来は全体の財政事情及び税制の構成との関係におきましてよく検討して参りたい、かように考えております。
○松尾委員 最後に一点伺います。はつきりした日は覚えておりませんけれども、ずつと前に金融機関再建整備というのがありました。このときに、株主も非常に減資をいたしましたり、また預金者は一万五千円で打切られたり―預金者の一万五千円で打切られたというのは私は非常に痛かつたと思います。こんな調子で、これが波及して社会問題も多々起きたのですけれども、しかし現在は資産再評価もやるし、また銀行も相当の利益を上げて、むしろほくほくのかつこうになつております。ですから私はここで再評価、いわゆる切捨ては零細な預金というものは、何とかしてやらなくちやいけないという気がいたします。少くとも私の記憶では―この委員会で聞いたのですけれども、郵便貯金でもたしか六億円くらい切り捨てられたということを覚えております。これらの零細な預金を、資産再評価もやる際ですから、優先的に別途特別会計でもお立てになつて、この六億円を返還するというようなことをしてあげることはできないでしようか。これはとくと主税局長も、その他の政府の方々とも関連がある問題ですから、御相談の上で、国民にあの当時の苦しみのかわりに喜ばしてやつていただきたいと思います。いかがでございましようか。
○平田政府委員 郵便貯金の問題につきましては、まだ若干未決で残つておる問題もあるかと思いますので、その面につきましてはあるいは後ほど適当なところを調べましてお答えをいたします。全体の考え方といたしましては、御承知の通り戦時補償特別税、企業再建整備法といつたような、敗戦後におきましてどうにも国で支拂い切れないものにつきましては、一種の債務の棒引きみたいなことをいたしまして、それで何とか戦後を切り抜けようというので、ああいうきわめて異例な法律が出たわけであります。そうしまして預金、債券等につきましても、ある程度打切つてしまうということになりまして、預金につきましてもお話の通り一万五千円までは支拂いましたが、それ以上のものにつきましては、相当打切られておるものも多いのでございます。こういう措置に対しまして今からさらにさかのぼりまして、何か救済的な措置を講ずるか講じないかという問題は、これは相当大問題でございますがわれわれまだそこまで先にむし返しまして、そういうものまでさらにまた返すということは、今の状況から見ましてなかなか困難ではないか。場合によりましては、そういうことになりますと、また非常にいろいろな問題を巻き起しまして、むしろ解決困難になりますので、一応今までの措置につきましては、それで解決いたしたものといたしまして、今度の資産の再評価につきましては、若干の再評価税を課祝いたしまして、それによつて極力バランスをはかつて行く。再評価につきましては、物価の騰貴したのに対応いたしまして、單に名目的に値段がつけかえられるにすぎないから何ら実質利益ではない。従つて再評価税を課税すべきではないじやないかという議論があるのでありますが、私どもといたしましては、インフレーシヨンによりまして債権者、預金者等は相当損をしておる。いわんや今のお話の通りに補償打切り等によりまして、預金等を打切られておる人もある。そういう関係もございますので、やはり六%程度の負担は、再評価の差額から納めてもらつてもいいんじやないかという趣旨で、再評価法を立案し提案いたしておるような次第でございます。
 なお郵便貯金の問題につきましては、後ほどよく調べましてお答えいたします。
○松尾委員 私はこういう点はあまりうまく説明がつかないかもしれませんけれども、あの金融機関再建整備法が出ましたときに、たとえば一つの銀行がたいへんな貸出しをして赤字になつておる。こういう場合が基準になつてきめられたというように記憶しておるのですけれども、あのとき一つのものが百五十円であつたけれども、今日再評価するときにはその二百倍、三百倍になつておる。その基準の上に立つてやるなら、むしろあの二十一年の三月十七日のときに再評価をやつておれば、こうした株主の減資だとか、あるいは零細な貯金の犠牲がなかつたと思うのです。そういうところから考えまして、局長さんのお話を聞きますと一度打切つたものでありますし整理は済んだから、そこまでさかのぼると大きな問題に波及して行くとおつしやいますけれども、これはただいまの六%とか何とかいう問題にからみまして、若干でも優先的に返還するというような御意思がないとぐあいが悪いし、むしろそういう場合に中小企業を助け、零細な預金を返還して行くということの方が、国家的に大きな役割を示すんじやないか、こんなふうに考えるのです。同時に政府がこの零細なものに対して、一回打切つたから知らぬというようなふうだと、これはむしろ大蔵大臣のあの話みたいな大きな波及をするのじやないかと思うので、よくお考えになつて、考えてからやるというふうにきめてくださいませ。お願いいたします。
○平田政府委員 固定資産につきましては、前回再建整備法をつくる場合におきまして、原則として再評価しないということで、そのとき解決をはかることにしたことはお話の通りでございます。ただ企業なり金融機関で実際使う固定資産以外の資産につきましては、これはもちろん時価で評価し、あるいはその後におきまして処分して高く売れたような場合におきましては、旧債権者にもどしてやるという建前になつておりまして、現在のところにおきましても、その方面の資金がある程度出て来ておるように聞いております。こういうものにつきましては、適当な機会にまた預金者等に返すといつたようなことに相なるのじやないかと思いますが、その辺ももう少し最近の状態をよく取調べまして、お答えいたしたいと考える次第でございます。
○竹村委員 ちよつとお尋ねいたしたいのですが、二十四年度と二十五年度の農業所得に差があるとこういうふうにおつしやつたんですが、大体二十四年度と二十五年度と比較してどれだけ差があるか。もつとはつきり申しますと、二十五年度の農業所得税としてどれだけお見込みになつておりますか。
○平田政府委員 まだ二十四年度につきましては、更正決定徴収が完結いたしておりませんので、実績を申し上げるわけには参らないのでございますが、予算で見込みました場合におきましては、この前も御説明いたしましたように、たしか四百十九億円程度を二十四年度の予算に見込んでおるのであります。実績は必ずしも予算の通りに参るわけではありませんから、これと若干狂いが来るかもしれませんが、大体その程度に見込んでおります。それに対しまして二十五年度分といたしましては、百六十六億円程度しか見ておりません。そうして二十四年度からやはり納税が遅れまして、入つて来るのが、約六百億円程度あると見ておりますが、これを加えまして二百二十億円程度、二十五年度分千五百億円の見込みの中に見ておるのであります。賦課から申しますると、所得税におきましては相当大巾の減少で、完全に半分以下四割程度しか見ておらないのであります。
○竹村委員 それから固定資産税は大体二十四年度は五十五億だと思いますが、二十五年度は幾らになりますか。
○平田政府委員 固定資産税は二十五年度におきましては総額は五百二十億円であります。ただこれは今申しましたように、御承知のように、地租と家屋税とそれから会社等が持つておりまする減価償却資産の全部の分の税額であります。従いまして農民の負担する地租の額は、あとで調べればわかりますが、その中の一部分にしかすぎません。あとで調べまして申し上げてもけつこうです。
○竹村委員 私は農民に対する二十五年度分は、大体二百億だと思つておるんですが、一応お調べ願つてお知らせ願いたい。そうして今度は住民税の分は、農村部門における農業者におきましては二十五年度は大体幾らですか。これも一つお知らせ願いたい。
○平田政府委員 住民税の分は、結局今度は所得税の限界が大体最高二割ということになつております。従いまして、その分はおのずから見当がつくのでございますが、農民の部分だけのものにつきましては、今正確に計算したものがございませんので、後ほどお知らせいたします。固定資産税の農民の負担は、地租の分は大した額じやないと思つておりますが、この額は後ほど整理しまして、正確な数字を申し上げたいと思います。
○竹村委員 それをお知らせ願つてから最後にお尋ねしたいと思います。しかしそのうち一つお尋ねしておきたいのは、肥料の価格補給金が大体廃止されて、この間農林大臣に聞きますと、大体八月から七割値上げするということであるが、これが二百三十七億円になるのであります。しかし今度のパリティーで行きますと、大体米価が五割ぐらいしか上らないだろうと考えるのですが、そういたしますと、あなたの午前中からのお話を聞いておりますと、大体農家の所得もあまりかわらない、こういうふうな御見解のようでございます。しかし農家も所得が二十四年と二十五年、また二十三年に比べて、私たちは減つて行くという見解に達しておるのでございますけれども、それはどう考えられますか伺いたい。
○平田政府委員 肥料の補給金の分が減つただけ米価に織り込まれるわけでありまして、これは額から申しますと、結局パリティー計算の際には、御承知の通り肥料の分が何パーセントというので、過去の購入実績に応じまして、それぞれ肥料の分が総体で何パーセントとかいう適性なウエイトがきめられてあります。そのウエイトを上つた分と全部乗じまして、米価の引上げになる。最後の米価は、自家労賃の分とかいろいろ生活費の分と全部入つておりますから、最後の米価に現われる分は、それほど大きくないのでありますが、肥料の値上りの分は、少くともパリティー計算上新公定価格に当然織り込まれて行くということになるかと思います。従いまして、その部分は特に農民の新たなる負担にはならないというふうに考えます。それから今申し述べましたように、固定資産税の分は、地租のうちでしかも農地だけでありまして、宅地、建物の分はきわめてわずかであります。これはいずれ的確な材料で申し上げた方がいいと思いますので、それによつて申し上げたいと思います。私は全体として農民の負担は今度の改正によりまして、相当減少すると確信いたしております。
○竹村委員 その結論的なものは、あとでいろいろ資料をいただきまして、議論することといたしまして、一応資産再評価は―これは実は大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、資産再評価は農民にどういうふうに影響するか、それをお聞かせ願いたい。
○平田政府委員 資産再評価が農民にどういう影響があるかという話でございますが、これは農地につきましては、今度やはり再評価法に基きまして、土地価格指数で倍率をきめまして再評価することにいたしております。この再評価するのは、農地の場合におきましてはただちに六%の税を課税するのではないのでありまして、農地を売却した場合におきまして、その再評価した額までの売却額は六%しか取らない。その再評価の額を越えて高く売るような場合におきましては、その分だけ譲渡取得税の課税の対象になるというのでありまして、むしろ今の所得税法をそのまま放置した場合に比べますと、相当負担が減少に相なるのであります。そういう意味の再評価を、農地につきましてもいたすことにいたしております。それから一般の、再評価になりましていろいろ農家の購入するものの値段が上るとか、上らないとかいう問題でありますが、これはなかなか一がいには言えないと思います。現在相当成績を企業が上げておりまして、今の收益で再評価の減価償却ができる場合におきましては、何ら物価には、はね返らないで、企業の内部で吸收して行くということになる。それから企業の合理化に努めまして、値上げをしないでも減価償却ができるというのも、だんだん出て来ると思いまするが、そういう場合も値上げをしなくても済む。しかし現在も相当合理的な経営をやつているが、どうしても今後やはりある程度生産品の値段を上げなければ償却できない、こういう場合におきましては、ものによりますと一、ある程度公定価格等を引上げざるを得ない。また引上げた方がいいという場合も出て来るかと思います。そういう価格は千差万別でありまして、一がいに簡單には言うことは困難ではなかろうかと考えます。政府の方針といたしましては、でき得る限り企業の努力によりまして吸收して、單純に物価騰貴にならないような方針で行きたい。ただしかし合理的な経営をやりましても、なおかつ吸收しきれない分につきましては、適当な時期において、しかも適切な程度において公定価格等の改訂を認めることにしたらどうか、かように考えております。
○竹村委員 私たちの見解では、大体農民に対する資産再評価は直接にはそうだと思いますが、今おつしやいました全体の資産再評価について、物価の高騰ということと、それから米価と農産物価と工業生産品のつり合わない点を問題にして、もちろん表の上においては、あるいは率の上においては、若干そういうように減税になる考えを持つておつても、全体から見て非常に農民め負担になる、こういう考えを私どもは持つておるのでお聞きしたのですが、しかし今おつしやつたように物価はもちろん値上げをしなくてもいいものもあるかもわかりませんが、しかし大体資産再評価によつて減価償却を認めるということになると、物価を上げなければならぬという部門が相当出て来るのではないか。しかも補給金の廃止等によつて、必ず公定価格の値上げをしなくてはならぬ工業生産品が、多分出て來るのではないかと思うのです。政府の方としましては、そういうものであまりこまかく言つてはどうかと思いますが、もちろんそのまますえ置く分と、あるいは上げなければならぬものがあると思いますが、全体として何パーセントぐらい上ると考えておるか承りたい。
○平田政府委員 全体としましては上る率は比較的少いのではないかと見ております。むしろ私どもの歳入計算では、現在の法人の利益の中から増加所得額を差引して計算しておるわけでありまして、ものによりましてはある程度公定価格を上げなければ、償却できないようなものがあることも事実でありましよう。たとえば電気のようなものは、ある程度やはり再評価に基く償却をフルに認めるということになりますと、料金の改訂を必要とするのではなかろうか。ただ現在におきましても、電気についてはすでに特別修繕費等と称しまして、コストの中にある程度維持費を見ております。従いましてよく専門家に聞いてみますと、單に機械的に民間で再評価があるとこれだけ値上げしなくてはならぬということは、むしろ再評価に便乗して値上げしようという声が大分出ておるようでありまして、それほど大きく御判断になる必要はないと思つております。その他の品物につきましては、おおむね最近は自由価格に移行しておりますから、自由価格になりますと、再評価によつて直接上るというのではなくして、まつたく生産コスト、物の需給関係できまつて来ることになりますから、直接再評価のためにどうこうという問題はなかろう。傾向としましては、だんだん統制をはずして自由価格になる。しかも自由価格になりましたので、御承知の通り最近の全体の財政経済政策の影響を受けまして、どちらかと申しますと下りぎみの傾向でございますから、私はこういう措置によりまして、消費者の方に転嫁して非常にその方面に大きな影響を與えるという心配はあまりいらないのじやないか。むしろ企業が能率を上げて、よく再評価をしただけを償却し、健全な経営がはたしてできるかできないか。この辺が今後におきましては、むしろ問題じやないかという考えであります。それから農民の場合において、米のパリティー価格を維持しておる以上においては、かりに物価が上りますと全部米価に行つて、それはまた消費者の方にはね返つて行くという関係になるのでありまして、米価に関する限りにおきましては、パリティー・システムを採用している以上、パリティーのウエイトの見方でいろいろ問題がございましようが、パリティー価格で見ている以上は、これはほかの物価が上つたために、農民が損をするようなことはないようなシステムになつておることを、御留意願いたいと考える次第であります。
○川野委員長 この際ちよつとお諮りいたしますが、国税庁長官は用件があるそうですが、国税庁長官に対する御質疑はございますか。
○三宅(則)委員 私はさきに奥村君の質問の時に、ちよつと五分間ほどお願いしたいと思いましたが、時間がないもので保留しましたが、国税庁長官並びに主税局長がおりますから、この二人にお聞きしたいと思います。
 私は民情調査をいたしまして、関東地方もしくは各当該地域をまわりましたが、どの税務署をまわりましても人間の割に庁舎が狭い。はなはだしきに至りましては、署長が係官もしくは全署員を集めて訓示をいたしたりする講堂なり、あるいは会議場がないために、わずかに署長室の五坪か六坪の所に、係長級までの者を呼びまして、割合に簡單にこれを済ましておるという例があるのであります。こう申しては、はなはだ失礼でありますが、署長の威嚴が徹底しておりません。先ほども奥村君が言われた通り、署長にも課長にも官舎がないというようなことがありまして、非常に士気がゆるんでおるという点を私は痛感したのでありますが、この際主税局長はなるべく予算をとつて、この狭隘なる税務署を拡大する、あるいは改善する。鉄筋コンクリートでありますならば、その上にもう一階木造を建設するというような措置を講ぜられましたならば、まことに能率的でもあり、またほんとうに民主的に税務行政が円滑に行くと考えておりますが、政府といたしましては、どういうような御構想がございますか。これは重大問題でありますので、奥村君の質問に関連いたしまして、一つお伺いいたしたいと思います。
○高橋(衞)政府委員 第一線の税務署に対しまして、非常に御理解のあるお言葉でありまして、まことに恐縮であります。お話の通りただいま各税務署とも非常に狭隘を感じておるのでありますが、何分にも多数の税務署でございますので、一時にこれを増築または改築することは非常に困難でございます。それといま一つは、二十五年度におきましては、昨年の六月にできました調査官の制度等を、もう少し拡充して行きたいと考えております。またこの際新たに協議団の制度等も始めますので、従つて自然税務官吏を局にある程度集中するということが、行われることになろうかと思うのであります。そういうような点とも兼ね合せまして、また私どもが始終まわつてみまして、机の配置の方法であるとか、または内部の整理の方法等を、いま少し考える余地があるのではないかということで、具体的に指示もして参つております。こういうふうにいたしまして、何とかして少しでも能率のよくなるように、また趣旨が徹底するような方法を今後講じて行きたいと考えております。しかしながらそういうような方法によりましてはとうてい救済できないというような、狭隘なまた不便な不都合な税務署も多うございますので、これは順次少しでも予算を計上していただきまして、今後も続けて改築しまた増築して、不便のないようにいたしたいと考えております。
○三宅(則)委員 それで大分わかつて参りましたが、私の感ずるところによりますと、これ以上税務署をふやす必要があると考えております。しかし当局としては予算もあることですから、二十五年度にはおふやしにならぬ考えでおるのでありまするか、またふやす考えでおるのでありますか、伺いたい。
 もう一つ最後に伺いたいことは、やはり税務官吏の素質を向上せしめるには、長官の威嚴がだんだんと各国税局にまわり、国税局の威嚴がまた税務署にまわり、税務署の威嚴が税務官吏に徹底するという線を強く表わすために、一週間に一ぺんでよろしゆうございますから、署長が全職員を集めて訓示というか希望というか、税務行政に対する構想あるいは判断等をよく研究し討議いたしまして官民一体、上の方の思想が下にずうつと浸透するようにやつてもらわなければ、今のままでは下級官吏が割合にいばつており、署長が何だ、国税長官が何だ、われわれがやるのだというようなふしだらな言動をなす者がありますから、嚴重に警告を発していただきたい。この二点について伺います。
○高橋(衞)政府委員 税務官庁の増設が現在においてもなお必要であるということは考えておりますが、何分にも新しく国税局をつくりましたり、または税務署をつくつたりいたしますと、その際に署長以下首脳部をそれぞれ新しく任命し、また非常に不便な場所で勤務しなければならぬということで、かえつて一時的には能率を減退するおそれがございますので、昭和二十五年度はすべての税制が新しくなる際でもございますので、二十五年度だけは、そういうふうな機構の改革と申しますか、税務署の分離というようなことだけは、一応差控えた次第でございます。
 なお御趣旨のように、税務の運営についての方針なり心構えなり、または第一線の若い官吏を十分に教育し指導をすることができるように、常々私どもも苦心をしておるところでございます。設備の関係は御指摘のあつた通りの状況でございますので、いろいろな方法を用いまして、たとえば国税庁が生れましてから、国税庁法によつてできるだけ詳細な通牒なり説明なり、すべてのことについて掲示いたしまして、相当多数の部数を税務署に流しております。またその他の問題につきましても、必ず署長から一々説明を聞かぬでも、第一線に到達するようにという趣旨をもつて、それぞれ施設を講じてやつておる次第でございます。
○内藤(友)委員 高橋さんにお伺いいたしたいのでありますが、私は税務の実際状況がよくわかりませんので、あるいはそういうしろうとくさいこととおしかりを受けるかもしれませんが、法律は平田さんの方でおつくりになるのです。そこでたとえて申しますと、二十五年度の所得税は二千四百八十六億という予算がありますが、この予算というものは、これだけの国民所得があるから、この法律を適用すれば、これだけの税金が納まるのだという予算であると思うのであります。そこであなたの方では、二千四百八十六億というものを頭に入れずに、平田さんがおつくりになつて議会の承認を経た法律をそのままお受取りになつて、それを税務署へ流して、この法律でやるということになさるのでありますか。それとも二千四百八十六億という所得税は、今年課せられた総額だが、金沢の国税局はプラスこれだけだ。広島はこれだけだというように一応示されるのか。そこはどうなつておるのか、実態をお聞かせいただきたいと思います。
○高橋(衞)政府委員 ここ二、三年間、実は目標制度というものを用いまして、第一線の税務署の成績を判定する一つの資料にしましたことは事実であります。しかしながらその制度がシヤウプ勧告におきましても相当批判されておりままうに、いろいろな弊害を生ずるおそれがございますので、今年度からはその制度を完全に廃止しておるのでございます。従つてどの税務署がどれだけとか、またどの国税局がどれだけというような見当は全然立てておりません。なおこういうふうに、たとえば所得税について二千四百何十億という予算が計上されておりますが、これは主税局長の数度にわたる説明にもありました通り、実は昨年の九月の現況においてつくられたところの、いろいろな事柄を前提にしたところの一つの数字でございます。もちろんその積算は、私どもは非常に正しいものだとは考えておりまするが、課税の実際、経済の実際におきましては、必ずしもその通り参つてない場合もあります。また地方によつてそれぞれいろいろ事情が違いますから、私どもといたしましては、政府の予算を基礎にして仕事をするというのではなしに、もつぱら税法を基礎にして仕事をする。従つて結果においてこれだけの收入が出て来ないという場合もありますし、またそれ以上の收入が出て来るということもあり得ると思うのであります。繰返して申しますが、私どもはどこまでもその予算の数字予算の数字はもちろん尊重いたしますが、事情がかわらなければ、これだけの見込みを立てた基礎は確実であるから、全体としてわれわれの努力が十分行つておるならば、これだけの収入が上るはずであるけれども、しかしながらいろいろ事情の変化もございますから、この数字に拘束されることなしに、正しく税法を運用するということにもつばら努めたいと考えております。
○内藤(友)委員 あなたの方では目標の数字をお示しにならぬ。二十四年度の現在からそうやつておられると言われますが、事実はそうではないのであります。もちろんそういう御趣旨が徹底しておらないということか存じませんけれども、私は富山県でありますが、やはり富山県の各税務署のやり口を見ておりましても、そうではないのであります。それはやはり長官はそういうふうなお心持でおられるのかも存じませんが、まだまだ金沢あたりに行きますと、出町の税務署管内がこれだけだぞ、高岡の税務署管内がこれだけだぞと、やはり標準があるのではないか。これが一番問題になります。と申しますのは、私はいずれあとから平田さんの方とお話合いをしたいと思いますが、現に私の県は、昨年は二十二万石の補正を受けた県でありますが、その補正を受けた不作であつたという県が、農業所得税は多かつた。この例を一つ、二つ申し上げてもいいかと思います。先ほど長官にお会いいたしましたあの協同組合の村でありますが、二十三年度に比べて二十四年度は一割五分ほどの不作をしておるのであるけれども、税務署から割当てられた所得額は、全体で三割ふえておるのであります。どこからそういうものがふえて来るのか、どうしても想像がつかぬ。もちろん米は一石につきまして四百何がしか値上りいたしておりますけれども、しかし四百何がしの値上りではない。そういう事実が、これはひとり先ほど来ましたものの村だけではなしに、私のもう一冊の手帳を持つて来ますと、それが実は克明に書いてあるのでありますが、そういうことが事実ある。所得にあらざるものを所得なりとしてかけられて、それが非常にやかましくて、私が出かけて言いに行つて二つ、三つ話をつけたのでありますけれども、そうでないものはみな泣寝入りしているというのがあるのであります。でありますから、もしできますならば大蔵省の省令か何かで、もうそういうことはやらないのだぞという一シヤウプ勧告もそういふことを強く要求したのだし、そういうようなものをお出し願えないものだろうか、どうだろうかと考えるのでありますが、それはいかがでありましようか。そういう通知を徹底的にお出しになる。災いの根源はそこにあると思うのであります。
○高橋(衞)政府委員 もちろん今年度におきましても、当初より各税務署から各国税局長が、おそらくはその年度内においてどの程度の税收になるかという見込みは出させておると思います。また本省といたしましても、各国税局から見込みを提出させておるのであります。ところがそれがもしも割当であり、目標であるというからには、少くともその各局から集まつた見込額が予算を超過しておるものでなければ、目標とか割当とは言えないと思うのでありますが、私どものところえ現在集まつておるのは、実は千七百億に対して百億あまり赤になつておるのであります。しかしながらそのまま別にそれについてとがめだてをするとか、訂正するとかいうことはいたしておりません。しこうして各局におきましては、それは全体として赤になつておるという事実はよく承知しております。
 それからいま一つ昨年と比較して相当不作になつたにもかかわらず、農業所得税が多くなつておるというお話でございます。これは二十三年度の調査がどの程度徹底しておるか、どの程度正確な所得の把握ができておるかという問題と相関連いたしますが、実は二十二年度、二十三年度、二十四年度と税務の仕事もどうやら少しずつ進歩して参りました。また実際の実額調査というものも漸次数が多くなつて参りましたので、あるいは割合が、不作であつたにもかかわらず税が多くなつたというお話が事実であるとすれば、二十四年度においては、所得の調査が相当に正確を期し得られたということでないかと考えるのであります。
○竹村委員 資産再評価によつて二十五年度に資産が再評価されますが、そのときの帳簿価額と、それから資産評価による再評価価額、これはどれくらいか、お見込みがついておつたらお聞かせを願いたいと思います。
○平田政府委員 再評価税を全体で百五十九億円程度見込んでおるわけでございますが、それの算定の基礎といたしまして、それぞれ帳簿価額をもとにいたしております。法人の分が、大体今年の一月一日現在で八百七十四億円程度ではなかろうかと思つております。これに対しまして再評価法に基きまする法律で定めた基準は、約十八倍になつておりまするが、任意でありまするし、また一定の倍率でありまするので、陳腐化している資産もございますから、一応その半分の九・四倍程度の再評価をやろう。そうしますと再評価後の資産の価額が八千二百六十九億ということになります。従いまして今までの帳簿価額の差額が七千三百九十五億でありますが、これに六%の税率をかけますと、約四百四十億円程度になります。但しこれは一ぺんに徴收いたさないので、最初の年はこのうち半分を納める。あとの半分は、それぞれ二年と三年目にさらに半分ずつ納めてもらう。さらに若干延納がございますので、最初の年の半分の四百四十億の半分の二百二十億の約三分の二程度が、昭和二十五年度において歳入として入つて来る、かような計算をいたしております。個人の分もございますが、個人の分は、一応やはり減価償却資産といたしましては比較的少うございまして、再評価後におきまして約六十三億円程度ではなかろうか、かように見ております。これは任意でありますし、個人につきましてはどの程度再評価をやりますかはつきりいたしませ、んので、ある程度内輪に見込んでおるのであります。
○竹村委員 そういたしますと、大体八千二百六十九億というふうに再評価によつてはなるのですが、これに対して減価償却をして行くということになると、必然的に、たとえばいわゆる原価計算の中に含まれる減価償却費というものが、今までよりも相当な部分を占めると思うのです。従つて今までの帳簿価額で減価償却などをやつて行きますと、これのいわゆる生産原価の中に含まれる減価償却費というものはごくわずかでありますが、今度はどれくらいのパーセントになるか。これで勘定すればわかると思いますが、相当ふえておると思うのです。それはどれくらいに勘定しておられるのですか。
○平田政府委員 先ほどちよつと個人の数字は間違いました。個人は帳簿価額が現在大体百六十億、それが平均七倍程度になるとして、千百六十億円程度になるという見込みでございますから、この点は修正いたしておきます。
 それから今お話の、再評価によりまして減再償却がふえる分は、法人所得の計算上実は差引いておるのでございます。その額を申し上げますと、再評価による償却額が四百億円程度増加する、かように見まして、その増加する部分は再評価なかりせば所得が幾らあるであろうか、それをやはり法人につきましても個人と同じように、生産原価等の状況によりまして推計しました課税所得から差引いたものを、法人税の收入として見込んでおるのでございます。
○竹村委員 もう一点だけ聞きたいのですが、今の税金の方はわかつたのですけれども、しかしこの再評価されて、たとえば今までの八百何十何億が、法人の方で八千何億になる。つまり十倍になるが、そうすると結局再評価された資産に対する減償価却費というものは、やはり十倍になつて行く、こういうふうに考えられるわけであります。従つてそうなると、今度いわゆるいろいろな生産費の中に織り込まれる減価償却費というものは、ある程度ふえて行く。そうなるともちろんおつしやるように、ものによつては違いますけれども、やはり十倍も―十倍とはちよつと大きいのですけれども、少くとも相当な部分だけの値上げをしなくてはならぬものが、重要な物資の中に出て来るのではないか、私たちはこう思うのですが、それに対してどうお考えになりますか。
○平田政府委員 法人税の歳入を見積ります場合におきましては、大体二十五年度に終了する事業年度分の利益を、個人と同じように二十三年度分の利益をもとにして、生産、評価等の指数で引延ばしまして見積つておるのであります。その総利益を千四百四十二億円程度見込んでおりますが、その中から大体においては償却による増が引かれるということに見ておりまして、改正後におきましてはその利益が千四十一億円程度に減少する。従いまして税額におきましても、普通所得税の計算上百四十億円程度実は償却費の増加によつて税が減る。これが二十五年度分についての税額計算であります。二十五年度中に收入になる分につきましては、事業年度関係、繰越し関係がございますので、もう少し複雑になりますが、大体御判断になる材料としましてはそれでいいかと思いますが、そのような計算をいたしておるのであります。それで今御心配の非常に物価が上りはしないかという御質問でありますが、これは反対に、私はむしろ物価が上らないのではないか。むしろ企業は再評価による償却費の増を、いかにしてうまく経営して、はたして償却できるかできないか。これが今の状況ですと問題のあるところでございます。値上げしましても売れないような現状でありますので、むしろ結局におきまして、これは企業がいろいろな形で経営を合理的にやりまして、再評価して償却費を負担して行くよりほかない。しかし今の大体の状況から申しますと、現在の利益程度で十分に償却できる企業があります。こういう場合でございましたら、再評価法によりまして国庫の法人税の收入が減るということだけで済んでしまう。結局財政が負担してしまうわけであります。そういう場合におきましては、減税という形でその再評価による償却費の負担がカバーできる。それからなお現在利益をあげていない企業の場合におきましては、これは今申しましたように今後いかにして経営等を建て直して、償却できるかできないかという問題になるかと思います。それから著しく低い公定価格で今押えつけられているものについてだけ、今後再評価による減価償却の負担の増をどうするかという問題があるわけでございまして、この点は、おもなものはさつき申し上げましたように、電気等が一番おもだと思いますが、電気等の場合におきましては、さつき申し上げましたように、実は今の価格の中にも特別の修繕費等と称しまして、相当なものを維持費に見込んでおります。従いましてこれはそう大巾な改正を加えなくても、大体においてやつて行ける。もちろん再評価の程度をどうするかという問題にも関連いたして参りますので、そういう特別な重要産業等におきましては、いろいろな観点を考慮いたしまして、企業におきましても自主的に適正な再評価をやることに努めることになるでありましようし、また政府といたしましても、できるだけ妥当な結論を得るように努めて参りたい、かように考えております。私は今の物価情勢その他から申しますと、再評価による物価のはね返りという問題は、そう大きな問題にならないのではあるまいか。ただ電力とかあるいは地代、家賃―家賃は御承知の通り公定価格では安く押えつけている。古い家につきましては、コストの計算上一応最初の投下資本を金額で同額と見ておりますので、償却費なんかあまり見ていません。従いまして家賃はある程度やはり上ると思います。ただ家賃につきましても、現在保険料等につきましては相当見込んでおりますから、單に再評価による増という見地からだけ考えますと、それは御心配になるほどのことではない。ただその機会に、その他の要素まで少し上げてくれという要望が多いのでございまして、民間で調べられておりますいろいろな再評価の影響をよく検討いたしてみますと、大分便乗組が多いようでございます。そういうものにつきましては、むしろ政府といたしましてはそれ自体がいいかどうかをよく検討しまして、物価政策上適正な公定価格をきめるということに相なるものと考えております。
○竹村委員 実はこの問題はあとでいろいろお話を伺いたいと思いますが、もう一つお聞きしておきたいことは、今おつしやつたように、減価償却の方はそういう面で一応ヵバーするとおつしやいますけれども、実際は上げなくてもやつて行けるということになりますと、私の考えでは、結局労賃部門にこれを転嫁して来るのではないか。そうしなくては実際輸出レートの問題とか、いろいろ考えましても、うまく行かないのではないかと考えますが、こういう点につきましては、後日またあらためてひとつお伺いすることにいたしますが、そういう点も今度のときには、できれば労賃部門には、こういうような影響があるというようなことが、もし参考にお出しになつた表などがありましたならば、お出し願えればけつこうであります。これだけ申しまして本日は終ります。
○川島委員 竹村君が質問されたことについて関連があるのですが、先般の公聴会で、農業関係の責任者が見えましての説明によりますと、来る七月の肥料の値上げ、これを総体的に計算をすると七割の値上げになつて、農民の肥料による負担の直接増が二百三十七億円、こう明確に言われております。そうすると一方先ほどのお話によつても明らかなことく、農民の所得税は、二十四年度が四百二十億、本年度は二百二十億ということになる。大体そういう計算にいたしましても二百億減である。農民全体は肥料の面において二百三十七億の負担増をして、所得税の軽減は二十四年度に比較して二百億減という計算になる。これだけを見ましても、もうすでに農民の負担はその肥料だけの物価を考えただけでも負担増になる。しかもこれを分析してみまするとへ農家の戸数が大体五百万戸と推定をいたしましての計算によりますと、肥料代による負担増は一戸について四千七百円、減税の分につきましては、これも二百億でありますから、二百億といたしましてわずかに一戸は四千円の減税、こういう形になる。しかも直接国税を納めます農家の戸数はおよそ三百万と見ますと、その減税額はもつと低くなつて来るという形になる、こういう計算によりますと、農民の負担は、軽くなるばかりでなしに、一方においては附加価値税、固定資産税、住民税の引上げ、こういうことの一連の法案から来る中央地方の両税を勘案いたしますと、政府は今年度の農民の税の負担においては、非常に軽くなるんだと説明はしておりますけれども、逆に著しく負担増という結果が見られるということになるのでありますが、その点について主税局はどういうふうに見通しを立てておるのでありますか。ちよつと矛盾があるように私は考えるのでありますが、その点について所見を承つておきたいと思います。
○平田政府委員 ただいまお話の中で最初簡單な問題でございますが、今度の新しい事業税は農民には課税しないことになりまして、この方はむしろ減る方であります。附加価値税は農民には課税いたしません。
 それから肥料の補給金の問題でありますが、これは先ほど申し上げましたように補給金を減らして、肥料の値段を上げて米価をそのままにいたしております場合におきましては、まさにお話のようなことに相なるだろうと思います。しかしながら米価は御承知の通りパリティーで計算することになつておりまして、先ほどもちよつと説朗いたしたように、政府といたしましては食糧特別会計におきまする購入見込み価格は、すでに補給金の廃止に対応いたしまして相当引上げる計画でいるのであります。すなわち春作につきましては一六四、秋作につきましては一六八程度のパリティーになります。去年の米価はたしか一五四でしたか六でしたか、そういう数字でございますが、それに対しましてやはり肥料の値上り等によりまして生産費がふえるから、パリティーの指数はそれだけ高くなる。高くなつた分は当然政府の買上げ価格を上げるということになるわけでありますから、その部分に関する限りにおきましては農民には負担はかからない。結局米価がそれだけ上つて行くということになりますので、肥料の補給金に関する限りにおきましては、大体においては私ども別にそれが農民の負担の増ということにはならないのではないか、かように考えておるのであります。今度の米の消費者価格につきましてはさような要素をすでに織り込みまして、先般たしか一割弱の値上げが行われたわけでありまして、その点から申し上げましても、さらに新しい問題はないのではなかろうか。少くとも農民に関する限りにおきましては、肥料の補給金の廃止による負担の増は、結局米価の改訂という形で解決されるというふうに考えておるのであります。
○川島委員 そうするとさらにお尋ねしておかなければならないことになるのですが、肥料の七月最高七割に引上げられて二百三十六億の負担増、その一面に米価の改訂があつた。それによる農民全体の所得増、この割合が何か今のお話ではきわめて僅少のようなお話でありますが、これはいずれひとつお調べの上で、米価の改訂による農民の所得増との関係を、具体的に数字でお示しおきを願いたいのであります。かりに肥料の二百三十六億の負担増旗米価の改訂によつてそこに吸收されている。だから農民の新しい負担増にはならないのだといたしましても、先ほど竹村君のお話のように、固定資産税によつては従来地租、家屋税において五十四、五億のものが今度二百億になると当事者は言明をいたしております。住民税につきましては五十億のものが百億になる、こういう計算を農業組合の中央における当事者は立てて来て、公聽会に証言をいたしておるのであります。今の肥料問題を抜きにいたしましても、結局は少しも農民の負担の軽減にならないということになるわけであります。これは農業関係者の数字をわれわれは前提といたしております。政府の方の数字はいまだに受取つておりませんから、正確とは必ずしも私は信じておりませんが、一応今の農業関係者の数字を正確なものとして前提に考えてみると、差引肥料関係は別といたしましても、負担減にはならぬという計算が一応成り立つてしまうわけであります。その関係は一体どういうふうになりますか。もう一ぺん具体的な数字がありましたならば、示しておいていただきたいと思います。
○平田政府委員 地方税の関係は、政府案としましては最終的に確定になつておりませんので、先ほど申し上げましたように、今正確な数字を申し上げる段階に至つていないのであります。従いましてこの点につきましては、さらに最近の状況に基きます数字を申し上げて御説明をいたしたいと思います。今ここで大体の見当を申し上げますよりも、最近の状態を整理いたしまして申し上げました方がよかろうと思いますので、その際に譲りたいと思います。
 なお肥料の補給金が二百億負担がふえるのではないかというのでありますが、総体の三千万石に対しまして、米価を乗じました農民の米の売上げ金額と申しますか、それは相当尨大な数字に相なりますので、二百億程度でありますと、わずかのパーセンテージにしかならない。肥料はかりに七割上りましても、米価はわずかのパーセンテージの値上りで、その分は吸收できる、こういう関係に相なりますことを御了承願いたいと思います。その辺のことはなおよく調べてお答えしてもけつこうと思います。
 なお所得税の見積りにおきましては、前から申し上げましたように、農産物につきましては、春作は一六四、秋作は一六八、そういうパリティーになるものと存じまして、所得をすでに計算いたしまして、出て来ました数字が先ほど申し上げましたように、二十五年度分としては所得税百六十億、前からの繰越しがありますから、二百二十億程度になる。こういう関係にあるのであります。
○川島委員 いずれそれについての詳しい資料をもらいたいと思います。質問が横飛びになりますが、もう一、二点この機会にお伺いしておきたい。
 政府は協同組合法を制定いたしまして協同組合の育成、維持、発展に大きな期待をかけているのだと、しばしば説明されて来ておるのであります。ところが協同組合は、言うまでもなくおおむね利益経済行為を目標としておるものでなくて、むしろ非営利事業だという理解をわれわれは持つ。その非営利事業である協同組合の今後における発展、育成に対しては、政府もよろしく力をいたすことが至当ではないか。われわれはかように理解をいたし、考えておる。ところが今度の税法によりますと、これら協同組合に対して何らの特別の措置がない。従来協同組合に対しては特別法人として別な税率があり、あるいはまた地方税等についても別途の措置を講ぜられたということが、協同組合に対する政府の政策であつた。ところが今回からはその特別的な税法における措置というものは一向顧みられなくして、もつぱら営利追求を中心といたして活動いたします法人と異ならざる同一の措置を講じようといたしておる。こういうことに対しては、少くとも御承知の通り、最近における各種の協同組合の経理内容は、その歴史の新しいのにもよりますために、しかもまた経済事情がおもわしくないという関係からいたしまして、協同組合の経理内容はおおむね楽ではないということは、局長も大体御存じではないかと思うのであります。ことに生活協同組合の全国の実績によりましても、最近非常に生活協同組合化運動というものが、一般消費市民層の間から盛り上つて参りまして、それぞれその数を加えております。こういうふうに、勤労者がみずからの力と資本によつて、みずからの生活を防衛しようという一つの立上りを見せておつて、組合数というものが漸次増加をいたしておる。こういう生活協同組合の趣旨及び活動に対しましては、できるだけ政府は積極的な育成の方途を講ずべきだと、われわれは確信をいたしておるにもかかわらず、そういう手が何ら打たれずして、ことに今度の税法におきましても、従来法人税に対すると同様な生活協同組合に対しましても処置に出るようなことになるわけであります。そういうことであつては、少くとも非営利会社であり、その組合員の大部分はおおむね勤労者が多いのでありますが、そういう勤労者の生活防衛あるいは改善向上ということが目標でできておりまするこれら生活協同組合に対して、何ゆえに一般の営利団体と同じような税法によつてこれを処置しようとするか。その根拠について私はお伺いを申し上げたい。本来ならばやはりこれら協同組合に対する税というものは、特別な措置があつてしかるべきではないか。そして税の整理の面から行きましても、これらの協同組合の意義ある活動を育成し、かつ協同組合の発展に資することこそが、国民生活の安定を促進するゆえんではないか、かように思うのでありますが、その点について一応御見解を承つておきたいと思います。
○平田政府委員 今回特別法人税につきましても、一般の法人税と同じように普通所得税の三割五分の税率で、一律に課税することにいたしたのであります。その主たる理由は、従来特別法人税につきましては、長く主として保護助長という意味におきまして免税をいたしておりました。それがたしか昭和十五年の改正でありましたか、その際に初めて実は法人税を賦課するということに相なりましたので、従来の沿革上の理由等を考慮いたしまして、税率としましては特別な税率にいたしていたのでございます。ただ最近のようにだんだん事態がかわつて参りましたし、また法人税自体の税率といたしましても、超過所得税もすでにやめになりましたし、また三五%の税率で一律に課税するということにいたしましたので、もうこの段階におきましては、大体法人の所得は一律に三五%という方が、課税の理論から言つて公平ではなかろうかそこで今度新しく、その意味におきまして、従来免税されておりました公益法人の事業から生ずる所得等に対しましても、法人税を課することにいたしたのでございます。こういうものにつきましても、原則としてやはり三五%と申しますと、そう高い税率でもございませんので、一応同じ税率で行く方が公平ではあるまいか、かような考え方からいたしまして一律の税率にいたしたのであります。
 なお特別法人は一つの組合組織でありまして、特別法人として特殊の性格を持つております。それは所得計算上にも現われておりまして、御承知の通り事業の分量に応じまして配当するのであります。一種の歩もどし、歩引きというところに、経済的に申しますと相当する部面もあるのでありますが、その配当は損益の計算上利益に算入しておりません。これはまつたくそういう組合の特殊性から生れて参りますので、そういう制度は残しておきまして、なおそれ以外に現実に特別法人が一定の事業をやりまして收益を上げた場合、その收益を上げたその部面につきましては、やはり三五%程度の一般の法人税の税率で課税するというのが、今の段階におきましては適当ではあるまいか、かような考え方であります。お話のようにさらに一層ここで保護助長を加える必要があるかどうかという、そういう政策的見地につきましては、その点今回の税法はあまり強く織り込まないという考え方でありまして、そういう点をとるかとらないかということは、確かに一つの問題ではあろうかと思いますが、税の公平論から申しますと、むしろこの方が理論に即するのではないか、かように考えておるのでございます。今までは沿革上の理由で差がついていたというふうに考えている次第であります。
○川島委員 私は沿革上の問題に重点を置いて、そういう特別法人に対する特別の措置を必要とするのだということもありますが、今の段階として、局長のお話ではもはや保護助長の必要がないかのような見解でありますが、まだまだ今日の段階においては、協同組合に対する政府の力強い育成の方途が必要なときである。しかも最近における協同組合の実績、ことにこの生活協同組合等における実績はきわめて悪い。金融難あるいはまたお互いの勤労者の生活難等から購買力が少くなつている。そういう面で生活協同組合がせつかく立ち上つておりましても、きわめて困難ないぼらの道をたどつておるというのが、日本全国の協同組合の実情であります。ことに今度の地方税等が政府原案のままに改正をされまして、協同組合にそれがおおいかぶさつて参りますことになりますと、これは私最近手に入れました協同組合の当事者からの計数でありますが、この計数をかりに一応信頼いたしまして一覧いたしてみますと、現在の日本全国における生活協同組合の数は二千三百三十五であります。この二千三百三十五が現行法によつて納めまする税額は、七十七万二千六百六十三円となつておるようであります。しかるに今度の地方税の改正法人税とその他もろもろを加えますと、驚くなかれ四千百二万八百六十九円となる。実に五一・八倍という数字になつております。この数字が確実なものであるかどうかは私はここで申し上げませんが、かりにこの数字が確実でないにせよ、これに近いような大きな負担増が組合におおいかぶさつて来るのではないかという懸念が、非常に多いと私は思うのであります。もしこういうようなことになりますと、せつかく立ち上つております生活協同組合の経営というものは、ほとんど成り立たなくなるのではないか。
 それでなくても今日の協同組合の実情というものは、非常な金融難に陷つておりまして、経営がますます悪化いたして参ります。しかも組合員から新しい資本金を集めようといたしましても、大体勤労者の主婦などが組合員でありますので、そういう増資に引当てられるような余力がないというのが組合の現状であります。そういう組合の現状を無規されて、こういう新しい税法によつて組合にのしかかつて参りますことは、政治的に申せば政府は組合の助長、育成という考えを持たないで、むしろ法人税と一律に扱つて、これらの組合が壊滅的状態になれば好ましいという考えがあるのではないかというくらいに、極端に考えればわれわれは推測されるのであります。こういうようなことになつては、私はせつかくの協同組合運動というものは、まことにこれが一大障害となりまして、ひいてはそれが勤労者の一般生活安定の上に大きな障害を及ぼすのではないか、こういうふうに私は強く考えられるのでありまして、これらの点につきまして、政府当局は何らか別途の方途を講ずるという意思を持つかどうか、研究の余地がないかというようなことについて、もう一つお尋ねしておきたいと思います。
○平田政府委員 今度の全体につきまして、産業なりあるいは特別のものに対して、税の軽減をするかしないかという考え方といたしましては、なるべく必要がある場合におきましては、国会の御審査を経ました予算等の形で、必要な助成なりあるいはその他のことをやつて行く。それがいいかどうかは、もちろんそのときの状況に応じまして判断してきめて行く。税の上におきましては、なるべく負担の点からいつて公平な扱いということにした方がいいではないかという考え方を持つておるのであります。特に協同組合に対して保護助長のつもりはないというわけではないのでありますが、税の上から申しますと同じ三割五分程度の課税でございますれば、いやしくも特別法人が収益の上つた場合でございますから、その場合におきましては三割五分程度の負担でいいのではなかろうか、こういう考えでございます。今お話の負担が非常に違つて参りますのは、おそらく附加価値税の関係だろうと思います。この附加価値税につきましては、いろいろ実は負担関係が従来と違つて参るのでございます。従来は御承知の通り、やはり純益に対して課税しておりましたので、純益がないと事業税はほとんどかからない。あるいは全然かからないものもあつたのでございます。ただ今度はその点につきましては附加価値税に改めまして、純益がなくても一定の事業をやりまして、その企業としまして新しい価値を生んでいる。その価値は單にその企業の純益だけでなくして、人件費とか金利とか地代とかいうものも、その価値の中から生れていると見ておるのでありますが、そういうものを課税標準にしまして課税するということにいたしておるのであります。これがいいかどうかにつきまして、いろいろ議論があるところでありますが、地方税として一応公益的な課税であるという点を一面においては考えるのと、他面におきましては事業税あるいは附加価値税というものは、ある程度やはり経営の過程に入りまして、企業家なり事業家がそろばんをはじいて事業をやる。その負担は消費者かあるいは企業の関係者に大体転嫁するというような構想のもとにこの附加価値税を実は考えているわけでありまして、そういう税としまして新しく事業税を置きかえよう、こういうわけであります。従いましてこの税が全部企業の純益にかかつて来るということになりますと、お話の通り従来と比べまして、非常に大きな負担になるということにもなるのでございますが、ある程度相手方に転嫁するということを考えますと、またその関係は違つた見方が出て来るというわけでありまして、これはなかなかむずかしい点の一つであります。建前といたしましては、むしろ地方税としましての一種の事業課税といたしましては、純益がない場合におきましても、相当な事業をやつて、地方団体から一定の便益を受けている場合は、やはりコスト的な税金といたしまして、附加価値税を納めるということは、税制全体の中で、今度四百四十億円程度でありますが、その程度の附加価値税があるということはいいのじやなかろうかというのが、全体の考え方でございます。従いまして非常に今收益状態の悪い企業の場合は、附加価値税の負担は従来と比べますと非常にふえる。ふえた絶対額が、はたしてしからばその企業が一定の事業をやり、一定の賃金を拂い、一定の金利も拂つている。そういう分量に対しまして耐えられるものであるかどうかということが、結局いいか悪いかの境目になると思うのでありまして、附加価値に対して四%前後の負担でありますれば、私どもといたしましては、大体において経営上消化できるという考え方でおるのでございます。従いましてただこの税率があまり高くなりますと、こういう税は成り立たない。なるべく低くなければならない。これはまつたくさようなことであろうと思います。企業によりまして附加価値税はいろいろ違います。総額は大体四百四十億円程度と見込んでおりますので、従来の事業税と同額であります。従いまして減る面も相当あるわけでございます。中小企業者の場合は、なかんずく商業者の場合は、従来の事業税に比べまして、相当大巾に附加価値税になつた方が事業税よりも減るようであります。その反面大工業の方面は相当ふえるようであります。それから産業組合等非常に利益の少かつた部面におきましては、相当な事業をやつている以上、やはり附加価値税は従来に比べますとふえる。そのふえたあとの結果の姿が、はたして合理的であるかどうかということによつて判断さるべきでありまして、單純に著しくふえるからどうにもいかぬということだけでは、私は判断しにくいのじやないかと考える。今の例の場合におきましても、どういう事業をどの程度にやつているか。一体人件費をどの程度拂つておるか。金利等もどの程度負担しているのか。それに対してはたしてどの程度の附加価値税が拂えるか拂えぬか。そういう見地からいいか悪いかを判断してやつたらどうか、かように考えておるのであります。
○川島委員 この点についてもう少し掘り下げた質問をいたしたいのですが、時間がありませんから……。
    …………………………………
○川野委員長 それではこの際お諮りいたしますが、議員田嶋好文君より、輸出陶磁器に対する物品税免除手続簡易化に関する件及び天然色フィルムの物品税免除の件の二件につきまして、委員外発言を求められております。右両件は議題と関連があるものと思われますので、これを許すに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川野委員長 御異議がないようですから、これを許します。田嶋好文君。
○田嶋好文君 本日は時間が参りましたのに、私のために委員外の発言をお許し願いましたことを、たいへん感謝いたします。
 実は今委員長から申されましたように、輸出陶磁器に対する物品税は免税になつておるのでありますが、その免税手続があまりにも複雑に陥つておりますために、免税の効果が何らないという結果に陥つておるのであります。この点につきまして関係当局に一応質問いたしたいと思います。陶磁器の輸出というものは、わが国の輸出品におきましても非常に重点を占めておるのでありまして、これは見のがすことのできない品物なんでありますが、今御説明申し上げましたように、この物品税の免税手続は、陶磁器炉製造されまして輸出されるまでの間、約十八回ないし三十回の手続を要することとなつております。そしてこの手続は一日でもこの手続を怠りますと、課税上の科料金が徴収されまして、業者はこれがために非常に苦しんでおるのであります。ですが輸出陶磁器は注文生産によるのでありますから、こうしたいたずらな手続をしなくても、発注から積荷までの間に最後と最初の二つの手続で十分にこの免税手続は終ることができると、われわれは技術的に考える。その技術的にやること自体もまことに時宜に適したものであり、かえつて官庁の手続の煩雑さを省きまして、官庁手続の簡素化にもなりますし、実績もあがる、こういうように考えられるのでありますが、政府といたしましては、こうした免税手続に関する限りお考えをくださる御意思がおありになるのかどうか。それとも今まで通りどうしてもこの免税手続は、最初から最後まで三十回ほどの手続をしなければいけないとお考えになつておられるか。この点をお伺いしたいと思います。
○平田政府委員 輸出免税につきましては、一定の手続を必要としておりますことはお話の通りでございますが、今お話のように、同一物品につきまして三十回もあるというような例はあまり聞いていないのでございますが、税法の規定によりまする場合におきましては、製造所から輸出物品を輸出する際に、これは輸出のために出すのであるということで、一定の様式が定まつておりますが、その様式に従いまして物品の種類とか類別、数量、單価、価格、輸出先、輸出方法、税関の名前、そういうものを、一定の様式がきまつておりますので、それに記載して所轄税務署の承認を受けていただけばいいのでございます。そうしまして出した後で今後は税関から現実に輸出されたということの証明が参りまして、それによつて輸出手続が完結する、こういうことになるわけでございますが、三十回といつたような例は何かよほど異例な場合の例ではなかろうか。全体といたしまして私どもの方針としましては、極力輸出を妨げることのないように、正確を期し得る限りできるだけ簡單な方法によりまして、手続を済ませるということには異存はないのでございますが、今お話のように三十回もあるような例はよほど異例であろうかと思いますから、何でしたら具体的に例をお聞きしまして、別途に処置するようにいたしたらどうかと考えております。
○田嶋好文君 これは異例じやないかという御説でございますが、実は私名古屋におりまして、愛知県、岐阜県、三重県、日本の陶磁器の九〇%を生産する地帯、この地帯の実績によつて今質問をしたわけでありますが、簡單に申し上げますと、輸出品の免税手続は素地の業者で輸出申告と着荷証明書、それから現品発送、こういうような手続、その次は素地の業者から素地の商人、素地の商人に渡りますとやはり五回の手続がいる。それから完成業者でやはり五回の手続。それから絵付業者で五回の手続。それから絵付専業者――これは下請になるのですから省かれる場合がありますが、下請の場合は、これもやはり五回、それからサプライアアーに渡りまして同じく六回、そうして関税、こういうことになるのです。私が申し上げますのは素地業者で、まず輸出の許可をとつて、そうして関税に渡るときに最後にとる。こういうようなことで足りるのじやないか。業者ごとに同じことを繰返すと、ちようど三十回程度になります。下請業者を省きますと十八回程度になります。これをひとつ実際上の面につきまして御研究くださいまして、各業者は過怠金を徴収されて非常に苦しんでおります。と同時に不必要な手続を繰返しまして、いたずらに職務範囲を拡大しておる。どうかこの点実地につきまして御研究くださいますれば、確かにそうした不必要な点があり業者も非常に苦しんでおる。いたずらに輸出業者のために煩雑さを増して、輸出にかえつて阻害を来しておるということをお認めくださいますならば、すみやかに手続の簡素化をお願いしたいと思います。これだけで私の今の点に対する質疑を終ります。
 それから関連いたしまして、第二点といたしましては、天然色フイルムの物品税免税に対する点でございますが、御存じのように天然色フィルムというものは、一般フィルムの中に現在含まれておりますでしようが、最近世界の水準を見ましても御了解願えると思いますが、天然色写真というものは現在世界各国の科学の水準、文化の水準のバロメーターになつておるのでありまして、これをおいて現在文化を考え、科学を考えることはできなくなつております。なお娯楽面におきましても、アメリカ等におきましては、もはやことし中に白黒写真は全部天然色にかわつてしまう。ソビエトにおきましても、ニュース映画の一部を除きまして、他は全部天然色にかわつてしまう。イギリスも同様な程度にかわるのでありまして、白黒映画はもはや映画ではなくして、天然色映画が映画だという事実か現われて来つつあるのであります。ところがわが国におきましては、諸外国に率先いたしまして、この研究試作がなされまして、技術は非常に進んでおりまして、もはや諸外国に劣らない程度になつておるのであります。だがこれが実用の域に達していないという現状でございますが、この実用の域に達していないということは、非常に物品税が作用をいたしておるのであります。もしも物品税が天然色映画だけでも免税されるということになりますと、白黒映画よりも、物品税の免除によりまして、わが国にも天然色映画が実現するということが言われるのであります。この点につきまして私たちは学術研究面からも、輸出貿易を振興さす面からも、観光事業を推進する面からも、日本の国策といたしましてぜひとも天然色映画の実現をはからなければならない。こういうふうに強く考えております関係上、天然色写真だけでもいいのでありますが、政府は物品税を免税する御意思があるかどうか。この点をお尋ねいたします。
○平田政府委員 写真のフィルムに対しましては、御承知の通り現在物品税を課税いたしております。普通のフイルムはもちろんのこと、お話のような天然色フィルムに対しましても、物品税がかかるわけでございますが、よく申し上げておりまするように物品税は間接税と申しますか、消費税でございますので、そういうフィルムが普通のフイルムよりもかえつて必需度か強い、あるいは比較的担税力のない者が消費するといつた場合におきましては、どつちかというと比較的考えやすいのでございますが、値段か高く、比較的高級だというような場合におきましては、物品税でこれを特別に考えるということは、物品税の本来の理論から行きますとなかなか難問題があるのでございます。従いまして、かりにそういうものを免税するとなりますと、特に補助金を出すかわりに物品税を免税しようというような考え方になるわけでありまして、そういう見地からはたして物品税を軽減した方がいいか、あるいはその他必要な助成策がいるのか、あるいは助成策がなくても何とか今後発展して行き得るものであるか。さような点をよく研究いたしまして、措置すべきものじやなかろうかと考えておる次第でございます。現在すぐこれを廃止したらどうかということまでは、にわかに結論を得ることはむずかしいのじやなかろうか。しかし聞くところによりますと、苦心してつくつておられるのでありまして、外国品にも負けないようなものができておるように聞いております。これはまことに喜ぱしいことと考えられますので、そういうことを少くとも税で妨げにならぬようなことは、考えた方がいいのじやないかと思うのでございますが、物品税の原則論と対応いたしまして、いかに解決するかはいろいろ問題がありますので、その点御了承願いたいと思うのであります。
○田嶋好文君  最後に一言お尋ねいたしますが、実は天然色フイルムというものは、現在は実質上の財源にはならない。というのはないからならない。ただフイルムに対する物品税があるから、もしも今後つくられるときにはそれに課税される。こういう現象でありまして、財源になつていない天然色フィルムのことでありますから、フィルムの中から天然色フィルムを除くということを一項目入れていただけば解決がつく。財源になつているものを免除するといろいろ税金に影響しまして、非常に困難を来しますが、法律上はあるのだが実際上は財源になつていない。実際上は何も対象にならない。今後できれば税金の対象になるのでありますから、これは政策的な意味で、政治的な意味でお考えくださいますれば、たたちに解決ができる問題であります。その解決できる問題が、ひいては先ほども、私が申し上げましたように、非常に日本の文化水準を示し、科学水準を示す重大な国策として現われますので、この点を税の根本原則というような面からでなしに、国策の面から廃止しても痛くもかゆくもない税金なのでありますから、それを廃止すれば、国策あるいはいろいろな意味においてプフスになるのであります。こういうことでありますから、ぜひその点は真剣にお考え願いたいと思います。
○川野委員長 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時四十一分散会