第007回国会 本会議 第18号
昭和二十五年二月十一日(土曜日)
 議事日程 第十六号
    午後一時開議
 第一 大藏省預金部特別会計の昭和二十五年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律衆(内閣提出)
 第二 昭和二十三年度一般会計予備費使用総調書(その2)
 昭和二十三年度特別会計予備費使用総調書(その2)
 昭和二十三年度特別会計予算総則第四條但書に基く使用総調書
 昭和二十四年度特別会計予備費使用総調書(その一)(承諾を求める件)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 大藏省預金部特別会計の昭和二十五年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
 日程第二 昭和二十三年度一般会計予備費使用総調書(その2)
 昭和二十三年度特別会計予備費使用総調書(その2)
 昭和二十三年度特別会計予算総則第四條但書に基く使用総調書
 昭和二十四年度特別会計予備費使用総調書(その一)(承諾を求める件)
 日本における共産主義活動に関する緊急質問(佐々木盛雄君提出)
 野坂衆三君の一身上の弁明
 二十四年度産米の補正供出並びに二十五年度産米の事前割当に関する緊急質問(井上良二君提出)
 賃金ベース改訂に関する緊急質問(松澤兼人君提出)、中小企業危機に関する緊急質問(今澄勇君提出)
 株価暴落に関する緊急質問(宮腰喜助君提出)
 最近におけるポツダム宣言違反に関する緊急質問(川上貫一君提出)
    午後二時四十三分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事前尾繁三郎君。
    〔前尾繁三郎君登壇〕
○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 この法案は、大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度における歳入不足三億二千三百十六万七千円を補填するため、一般会計から同会計にこの金額の繰入金をいたしまして、同会計の運営を円滑にしようとするために提出されたものであります。この歳入不足の金額は、別途審議中の昭和二十五年度大蔵省預金部特別会計予算に計上されております通り、事務費、預金利子、郵政事業特別会計への繰入金などの歳出合計百二十四億一千三十万七千円と、預金部資金の運用による利子収入、有価証券の償還による益金、日本銀行における預金部当座預金に対する利子などの歳入合計百二十億八千七百四万円との差額であります。なおこの法案では、繰入金につきまして、その性質にかんがみ、後日この会計の財政状況が健全な状態となりましたあかつきには、この繰入金に相当する金額を、予算の定めるところによりまして一般会計へ操りもどさなければならないものとして、これに関する規定を設けておるのであります。
 この法案は、一月二十三日、本委員会に付託されまして、同二十八日、政府委員より提案理由の説明を聴取し、三十日、三十一日の両日にわたり、各委員より、預金部資金の運用状況並びにその運用方針などについて、熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細につきましては速記録に讓りたいと存じます。次いで、二月九月討論に入りましたところ、社会党を代表して田中委員は、昭和二十五年度予算案の全部に対し反対しておる立場より、その一環であるこの法案に対しても反対である、なおこの法については、大衆の預金が期待しておるような運営方針をとられていない点、並びに歳入不足の出る見込みのもとに資金を運用されておるので、さらに不足が多くなるおそれがある点、この二つの点からも反対である旨を述べられ、共産党を代表して竹村委員は、国民大衆の零細な預金を吸収して、これに低い利子を支拂い、その資金を独占資本擁護のために運用して歳入不足を出し、その穴埋めとして一般会計から繰入れを行うことは賛成できぬ、なお予算案全体に対する態度からも反対であるとの旨を述べられ、民主自由党を代表して前隆尾委員は、支拂利子は必ずしも低いものでなく、低利で投資しているのであるから、赤字は現状においてはやむを得ないし、かつ歳、入不足はごく少額で漸次減少しておる、しかも不足額は将来もどし入れられることとなつておるのであるから、一般会計からの繰入れも不当ではないと思う、ついては資金の地方還元と庶民金融としての運用を期待し、今後の投資につき努力を拂つて独立採算の実をあげるよう希望して、本案に賛成する旨を述べ、民主党を代表して宮腰委員は、一般会計よりの繰入れは返還されることにはなつてをるが、結局赤字になる、その上零細な資金を地方に還元せず中小企業に対する融資にも運用していないので反対である、なお予算案に対し反対である立場上からも反対である旨を述べられ、新政治協議会を代表して内藤委員は、資金の運用を株価のてこ入れ、滞貨金融等に向けておることは不満である旨を述べて反対の意を表せられました。
 次いで採決に入りましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決されたのであります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言もなければ、ただちに採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二、昭和二十三年度一般会計予備費使用総調書(その2)外三件の承諾を求める件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員会理事川端佳夫君。
    〔川端佳夫君登壇〕
○川端佳夫君 ただいま上程されました昭和二十三年度一般会計予備費使用総調書(その2)外三件の承諾を求める件につきまして、決算委員会における審査の経過並びに結果を簡單に御報告申し上げます。
 まず昭和二十三年度一般会計予備費使用総調書(その2)について御説明いたしますれば、同会計予備費の予算額は六十五億円であります。同年度使用額は六十二億七千七百六十一万余円であります。この使用額のうち、すでに第五国会において承諾済みの五十一億一千五百六十余万円を除きました残りの十一億六千二百余万円は、昭和二十四年一月八日から同年三月二十八日までの間に使用せられたものでありまして、そのうちおもなる事項は、衆議院議員総選挙に必要な経費、最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費、超過勤務手当予算の不足を補うに必要な経費、アイオン台風災害復旧に必要な経費、北陸地方震災応急措置に必要な経費その他であります。
 次に昭和二十三年度特別会計予備費使用総調書(その2)について御説明いたします。同会計予備費の予算額は百三十五億一千九百七十六万余円でありまして、同年度使用額は六十五億六千六百六十八万余円であります。この使用額のうち、第五国会において承諾済みの二十二億八千六十五万余円をきました残りの四十二億八千六百二万余円は、昭和二十四年一月十日から同年三月三十一日までの間におきまして、印刷庁を初め九特別会計において使用したものであります。そのうちおもなる事項は、農業保険に必要な経費、鉄道共済組合交付金及び退官退職手当に必要な経費、通信事業特別会計の建設及び改良に必要な経費等となつております。
 次に昭和二十三年度特別会計予算総則第四條但書に基く使用総調書につき説明いたします。本件は、この規定により、予備費に準じて、通信事業特別会計中、昭和二十四年三月二十二日に逓信大臣が使用決定した額でありまして、十二億千七百十余万円であります。その内訳は、事業量の増加に伴い必要な経費として十一億三千九百九十二万余円それに借入金償還に必要な経費七千七百二十万円とであります。
 最後に昭和二十四年度特別会計予備費使用総調書(その1)の説明を申し上げます。同会計予備費の予算額は二百億二千七百六十九万余円でありまして、このうち、昭和二十四年六月十四日から同年十二月九日までに、厚生保險等の六特別会計において三十億五千八百五十一万余円を使用しておるものであります。そのうちのおもなる事項は、簡易生命保險及び郵便年金の新契約獲得に要する経費、失業保險の保險金給付に必要な経費、貿易特別会計外国為替資金繰入れに必要な経費、外国為替等買取に伴い必要な経費等となつておるのであります。
 決算委員会は、以上四件の審査にあたつて、政府当局の説明を聴取の上検討いたしたのでありますが、その詳細は速記録に讓ることといたします。
 次いで、昨十日討論を省略し、ただちに裁決の結果、多数をもつて右四件はすべて承諾を與うべきものと議決いたした次第であります。
 右をもつて御報告を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいま議題となつております四件を一括して採決いたします。四件の委員長の報告はいずれも承諾を與うべきものと決したのであります。四件を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて四件とも委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、佐々木盛雄君提出、日本おける共産主義活動に関する緊急質問、これをこの際許可されんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 日本における共産主義活動に関する緊急質問を許可いたします。佐々木盛雄君。
    〔佐々木盛雄君登壇〕
○佐々木盛雄君 私は、日本における共産主義活動に関して簡單に所信を披瀝いたしまして、これに対する政府の見解を求めんとするものであります。もとより私は民主自由党を代表して質問をいたすわけでありまするが、この問題は、共産党を除くすべての日本人的政党並びに祖国再建の熱意に燃える全日本国民の持つ最大の関心事であると考えまするがゆえに、私は、あえてこの際、国民総意の名において政府の明快なる答弁を要求するものであります。(拍手)
 まず第一に、日本における共産主義活動の国際的関連性の問題であります。日本共産党は、もちろん外国勢力とは無関係のものであると主張し、コミンフオルムの指令下にあることを極力否定いたしております。しかしながら、日本共産党の政治局員であり、党の有力なる指導者の一人でありまする衆議院議員野坂參三君は、最近ブカレストのコミンフオルム本部発行の「強固な平和と人民民主主義のために」と題する機関紙におきまして、この機関紙が彼の抱懐する平和革命理論なるものの誤謬を指摘し、野坂はアメリカ帝国主義り召使であると指摘いたしまするや、去る二月六日付の、日本共産党の機関紙であるアカハタ紙上におきまして、自己批判なるものを発表し…
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
○佐々木盛雄君(続) マルクス・レーニン主義の鉄則を金科玉條として信奉することをあらためて確認するとともに、その結論におきまして、日本共産党の最大の使命は国際的革命運動の一翼を担当することであることを強調いたしております。従つて、もし日本共産党が、彼らみずからが誇りまするごとくに、マルクス・レーニン主義の筋金入りの純正なる共産主義者でありまするならば、マルクス・レーニン主義の思想によつて相結ばれた世界の共産党が、その国際的共同戰線におきましても、イデオロギー的に義務づけられておることは、火を見るよりも明らかであります。(拍手)このことは、西ヨーロツパ民主主義諸国の社会党ないし労働党の国際機関でありまするコミスコが、最近世界各国の共産党とコミンフオルムとの関係について発表いたしました声明におきまして、「コミンフオルムは独立した国家政党の民主的な組織ではない。そしてこれは世界のあらゆる共産党が服従を強制されるソ連の手先機関である。」と指摘いたしております、(拍手)このことによりましても、たとい共産党がどのような民主主義の仮面をかぶり、主体性と独立性を強調いたしましようとも、その国際性とソ連依存性はきわめて明らかなところであります。(拍手)また、コミンフオルムの一喝にふるえ上りました野坂參三君が、周章狼狽、ついに愛される共産党の理念を弊履のごとくに一擲しまして、コミンフオルムヘの無條件降伏を誓つた、愛国政治家としてはあるまじき非日本人的媚態、追随の態度こそは、彼ら日本共産党がコミンフオルムの手先におどらされている何よりも生きた証拠であるとぜざるを得ないのであります。従つて、野坂君が、先日この壇上から、わが吉田総理大臣に対して不遜にも投げかげました売国的政治家の汚名は、本日私は、同じこの壇上から、野坂參三君初め共産党三十五名の議員諸君に返上することの機会を持つことを光栄と存じます。(拍手)
 わが民主自由党は、われらの祖国日本を限りなく愛し、その再建を国民大衆とともにこいねがうものでありますから、かくのごとき、われらの祖国を異国に求めて、これに対して絶対忠誠を誓う共産党とは徹底的に闘わなければならないと存ずるのであります。(拍手)政府当局は、日本における共産主義活動とコミンフオルムとの国際的関連性について、いかなる認識を持つておられるか、率直かつ明快なる見解を国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 次は共産主義運動の合法性に関する問題であります。マツカーサー元帥は、昨年七月四日のアメリカ独立記念日に際し長文の重大声明を発表いたしました中で、民主主義と共産主義とを対比いたしまして、民主主義は人類の普遍的原理であるに反し、共産主義は破壊と暗殺と暴力とを事とするテロリズムである、(拍手)従つて、かくのごとき共産主義活動を法律によつて是認し保護することは疑問であるとの結論を日本国民に投げかけているわけであります。(拍手)このときにあたりまして、たまたま野坂君がアカハタ紙上に発表いたしました自己批判におきまして、このマツカーサー生命を完全に裏書きするかのごとくに、「国会を通じて政権に近づこうという考え方は、権力や国会に対するマルクス・レーニン主義的な原則からの逸脱であつて、本質において社会民主主義への偏向である。」と、マルクス・レーニン主義的原則を無視したことが自分の誤りであつたとして、完全に議会政治否認の原則を明らかにしておるのであります。(拍手)さらにまた彼は、「革命は権力の問題であつて、権力は階級的であるとともに、武力によつて裏づけられることを強調しないで、これとの闘争がいつでも平和的手段で行い得るような見解を持つたことは自分の誤りであつた。」と、武力革命の原則をも明らかにしておるのであります。(拍手)
 この野坂君の自己批判なるものは、野坂個人の見解を表明したものにすぎないと、あるいは詭弁を弄するかもしれませんが、この自己批判の前文におきまして特にしるしておりますごとく、日本共産党の中央委員会の決議に基づいて行われたものでありますることは、きわめて明瞭であります。野坂君みずからが書いておりまするごとく、「中央委員会の席上で私は一切を清算することを決意し、そうして私は公然と誤りを認めた」と発表しておりますることによつても、この自己批判なるものに現れた議会政治否認と武力革命達成の原則が世界並びに日本共産党の性格そのものでありますることは、一点疑いの余地ないところであります。(拍手)
 共産党の議会戰術を知りまするためには、コミンテルンの第二回大会において決定されました活動方針を指摘することが必要であろうと考えます。もとよりコミンテルンは、第二次世界大戰を迎えるに及びまして、当面の敵がブルジヨアではなくしてフアシズムにあるとの理由から、一九四五年六月、一応表面上の戦術的解散を行つたのではありますが、しかし、越えて四七年九月には、コミンテルンはコミンフオルムに姿をかえて再び登場いたしたのであります。(拍手)従つて、コミンフオルムがコミンテルンの戰術を継承いたしておりますることは、世界が識者何人もこれを疑わないところであります。(拍手)この第二回コミンテルン大会で決定されました議会戦術を紹介いたしまするならば、彼ら共産党の議員たちが、いかなる目的のためにこの議席に坐つておるかということが、まざまざとわれわれの前に浮び上つて来るわけであります。(拍手)まず、議会戰術の中の二、三の点だけをご紹介いたします。
 まず第一に、この決議は、共産主義は議会の破壊を目的とする、ゆえに、ブルジヨアの国家機関である議会を利用するのは、ただその破壊の目的のためにだけ問題となり得ると言つております。さらにまた、共産党は議会の権能に参與するために議会に進出しておるのではなくて、共産党の議会に進出するのは、議会の内部から大衆を援助し、その行動によつて国家機関である議会自体を粉砕するためであると書いております。(拍手)
 さらにまた、共産党の議会内における活動は、主として議会を革命のためにアジることであると言つております。さらにまた、選挙戰自体については、投票の多数を獲得するのを目的としないで、プロレタリア革命のもとに大衆を動員することを目的とすると書いてある。さらにまた、議会内でのすべての共産党代議士は、立法者ではなくして共産党の煽動員であると考えねばならぬ、(拍手)共産党議員は、一般選挙民大衆に対して責任を持つものではなく、彼らの属する共産党に対して責任を負う、と明らかに規定しております。そして、世界共産党の総本山でありまするコミンフオルムに対して責任を負い、その政治的生命を失つた者に、わが国会におきまして、参議院において中西功君あり、衆議院において、今またわれわれは野坂參三君を発見せんとしておるのであります。
 かくて、各国共産党の議会政治否認、暴力革命の陰謀は、もはやおおうべくもないのでありまするが、この議会政治否認の原則は、レーニンが「国家と革命」の中でもはつきりと確認をしておりまするし、またスターリンも、「レーニン主義の諸問題」の中で、これを強く主張いたしております。また最近では、昨年九月十四日のソ連共産党の機関紙プラウダが、鉄のカーテン内の東欧諸国の国家権力のあり方につきまして「新人民民主主義はブロレタリア独裁の一形体である。強力なる独裁政権のもとに敵階級に対し彈圧を加え、これを撃減する」と述べ、政権をひとたび奪いとれば、暴力を仮借なく人民大衆の上に加えることによつて政権を維持すべきことを強調いたしておるのであります。(拍手)
 かくのごとく、各国共産党の非合法的性格が明白となりましたからには、政府はこれに対する嚴重なる取締りを断行すべきであると考えまするが、当局のこれに対する方針を承りたいのであります。殖田法務総裁は、共産主義の活動が団体等規正令等の法規に触れる場合には取締ると、きわめて消極的対策を示しておられまするが、日本共産党が、端なくも野坂君の自己批判を契機といたしまして、終戰以来今日まで国民大衆を瞞着し続け来りました平和革命と民族独立の欺瞞戰術の仮面を脱ぎ、ここに露骨に議会政治否認と暴力革命断行の性格を共産党みずからが天下に公表いたしました以上、われわれは、共産党の存在そのものをも許すべきではないと信ずるのであります。
○議長(幣原喜重郎君) 佐々木君、――佐々木君、時間が過ぎましたから簡單に願います。
○佐々木盛雄君(続) 政府は、現行の団体等規正令に照し嚴重に取締るべきであると考えまするが、政府の御所見を承りたい。われわれは国破れたりといえ、日本は法治国家として近代国際社会の一員に復帰することを熱願しているのであります。法律によつて国を治めんとするわれわれ日本国民は、法律を無視し、暴力によつて少数者の独裁政治を実現せんとするがごとき非立憲的共産党を合法政党として認めることはできないのであります。われわれ国会は、今こそ近代民主主義政治擁護と新憲法擁護のために、マツカーサー声明がわれわれに與えました「共産主義運動を法律によつて是認することは疑問である」との提案に対し、良識と善意をもつて回答すべきときであろうと信ずるのであります。最後に私は、野坂君並びに共産党三十四名の議員諸君に申し上げたいと考えまするが、諸君たちが、議会政治を否認しながら、こうして議席に坐つているということは、明らかに理論的自殺行為であると言わなければなりません。(拍手)そしてまた、これが單に諸君たちの欺瞞的戰術であるというならば、今日の目ざめたる国民大衆は、この欺瞞政策に瞞着されるほどにおろかではございません。従つて、共産党議員の諸君に一片の良心があるならば、すみやかに国会議員を辞任し、この民主主義の殿堂から去り行かんことを、国民の名において要求いたしまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)
    〔国務大臣殖田俊吉君登壇〕
○国務大臣(殖田俊吉君) お答えをいたします。
 日本における共産主義運動が国際的関連性を有することにつきましては、相当の証左があると考えます。たとえば、過般の野坂氏に対するコミンフオルムの批判がそれであると思うのであります。現在日本において育成されておりまする政治機構は、近代民主主義に基くものであります。この政治機構のもとにおいては、学問及び理想の自由は認められておるのであります。しかし、国際共産主義に関しましては、日本政府は、昨年七月四日のマツカーサー元帥の声明とまつたく見解を一にするものであります。(拍手)すなわち、この声明の中には次のような一節のありますことを思い起こされたいのであります。その一節と申しますのは、かようであります。「しかしながら、現在のごとき共産主義は、政治哲学の基礎の上に立つているものでもなければ、また経済学説を基礎とするものでもなく、またそれらの真面目な主張に基いているものでもない。それは、ひそかに浸透及び欺瞞により、少数分子をして、憲法による多数派の支配から政治的権力を奪うことを許すための暴力と威嚇の道具として発生したものである」云々ということであります。(拍手)
 さて、現在の日本における共産主義対策に関しては、すべての極端分子に対する方策と同じでありまして、すなわち合法的である限り存続を許しまするが、もし非合法的なものであるならば、必要の措置をとり、抑止するのであります。その間十分なる注意をもつて観察を怠らない考えであります。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの佐々木盛雄君の発言について、野坂參三君から一身上の弁明をいたしたいとの申出があります。これを許します。野坂參三君。
    〔野坂參三君登壇〕
○野坂參三君 ただいま民主自由党の佐々木議員から、私の名をさして、ここでいろいろめい論たく説――但し、この「めい」は名ではありません。迷うのめい論、迷論たく説を申されましたが、特に私の自己批判ということが問題になつております。これは、御存じのように共産党内部の理論的問題であり、私個人の思想的問題である。これを何のためにこの国会で論議されるか。過去の日本の国会の歴史においても、あまりない。もし諸君の抱いておられる思想が問題になるならば、まず第一に、私は吉田総理の、あの反動的思想を、ここで糾明しなければならない。(拍手、「ばかなことを言うな」と呼ぶ者あり)
 また佐々木議員は、はたして私の書いたものを読まれたかどうか。読まれても、はたして理解されたかどうか、私は、おそらく何も理解されないと思う。私の書いた主要な問題は、国会否認とか、暴力革命とか、こういうおとぎばなしではない。日本民族の正しき進むべき道をわれわれがここに示したにすぎない。(拍手)もし、しいて国会の中で問題にしたいならば、先月二十五日、この演壇で、私が首相に対する質問演説を行つた。あの内容を、なぜここで問題にされないのか。(拍手)これこそ、われわれの理論を行動の指針として具体的に表わしたものである。(拍手)これは、公人として、国会議員として天下に表明した、私とわが共産党の当面の政策であり綱領である。これがすなわち共産党の立党の精神である。そして、これは共産党十八回拡大中央委員会の決定に基いたものであります。
 私の当国会における過日の演説の内容は、皆さんよく御存じのはずであります。すなわち、日本の植民地化と軍事基地化に反対して独立、平和、自由の日本を建設するために、そして公正なる全面講和を一日も早く実現するために、その実現の方法として全国の愛国者が大同団結すべきことを提唱したのである。(拍手、発言する者多し)これがわれわれの行動である。一体、この演説のどこに国会否認と暴力革命があるか。第一に、私が国会議員としてこの演壇に立つていること自体、また衆参両議院四十一名の共産党議員が積極的に国会内で活動していること自体が、すなわちわれわれが国会を否認していないことの明白な物的証拠ではないか。(拍手)
 先ほど佐々木議員は、われわれ共産党議員に対して、ここにいること自体がわからないという意味のことを申されましたが、われわれは、この国会において、三百万の投票者の積極的な支持を得て、そして、ここにおいて日本の民主化のために闘つている。ところが民主自由党は、私の過日の演説が内外に反響を呼んだ。(「何を言つているか」と呼ぶ者あり)これをおそれて、星島君をこの壇上に送つて、私の演説を反駁しようと試みた。ところが、この反共のドン・キホーテ先生の反駁は失敗に終つた。これは私が言つておるのではない。新聞をごらんなさい。新聞がその通りに書いている。そこで、今回再び問題になつておる問題をここへひつぱり出しておいて、ことさらに共産党と私とを誹謗して、あわよくば共産党を非合法に追いやり、それができなくとも、平和と全面講和促進の国民運動を冷却し、これを妨害するという一つの陰謀の現われである。(拍手)そのために今日再び第二のドン・キホーテをここへ送られた。
 わが共産党は、過去四年半、ポツダム宣言……
○議長(幣原喜重郎君) 野坂君――野坂君、一身上の弁明の範囲を越えないように願います。(拍手)
○野坂參三君(続) 私の演説を最後までお聞きになれば、私が今一身上の弁明をやつておることは、よくおわかりです。共産党は、過去四年半、ポツダム宣言、極東委員会十六原則並びに憲法の嚴正な実施のために、終始一貫努力するとともに、われわれに與えられた当然の権利を主張して来たのであります。しかしながら、今日まで、特に吉田内閣が成立して以来、ポツダム宣言と憲法とが、内外の反動努力によつて、最も露骨に、積極的に蹂躪して来られたのであります。(拍手)これらの実例については、実に枚挙にいとまがない。吉田内閣の全政策自体がすなりちポヅダム宣言の違反と言つても過言ではない。(一拍手)これについては、後ほど川上君より、諸君の前に、いろいろ具体的に申されます。
 佐々木君は、先ほど、われわれが国会を無視し軽視しておるということを申されましたが、一体だれがこの国会を軽視し無視しておるのか。(拍手)それはだれよりも吉田総理であることは、当国会劈頭において、参議院で、すでにあのようなやかましい問題になつておるではないか。
○議長(幣原喜重郎君) 野坂君――野坂君、再度注意を與えます。一身上の弁明の範囲を越えないように願います。
○野坂參三君(続) さらに暴力云々と申されております。しかし、吉田内閣ほど政治的自由を蹂躪し、暴力を行つておる内閣は、終戰後初めてと言つてもさしつかえない。(拍手)たとえば、勤労者を食えないようにしておきながら、人事院の勧告すら無視し、公務員から政治活動の自由や争議権を?奪しておるではないか。(拍手)昨年においては、警官によつて労働者まで殺しておるではないか。(拍手)団体等規正令を悪用して、合法的団体に不当な干渉を行おうとしておるではないか。実にポツダム宣言、憲法、民主主義を実際の行動の上で破壊しているものは、吉田総理とその一派である。(拍手)だから、糾彈さるべきものは吉田総理とその一派以外にはないはずである(拍手)
 しかしながら、吉田総理とその一派は、一体何人の利益のためにこのような反動的政策を実行されているのか。これは日本の国と国民の利益のためでないことだけは何人にも明らかである。(拍手)国会無視と暴力は、世界の歴史の示すように、常にその国の搾取者、支配階級によつて行われている。(拍手)われわれは、あくまで大衆の経済的、政治的団結と闘争によつて、正々堂々と目的の貫徹のために進むものであります。これがすなわち、われわれの基本方針である。しかしこの大衆の正々堂々たる行動を暴力をもつて彈圧しているのは、常に政府ではないか。そこで、暴圧に対して大衆行動をもつて闘うのは、国民に與えられた基本的人権に基く正当防衛である。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 野坂君――野坂君…
○野坂參三君(続) ところが政府は、この正当防衛さえ奪おうとしている。
○議長(幣原喜重郎君) 野坂君――野坂君、討論にわたるようでありますから、再度注意をいたします。
○野坂參三君(続) わかりました。
 さて、吉田民主自由党総裁は、なぜ共産主義者の問題をここに提案されたか。吉田民自党総裁は、なぜ今日ここで私の問題、共産党の運動の問題を特別に提議されたのか。これは思うに、十五年前にヒトラーがドイツで行つたことを、再び日本で繰返そうとしていることではないであろうか。(拍手)今、わが国の独立と自由と平和のために、国外国内の反動勢力と勇敢に先頭に立つて闘つているのは、まず第一に共産党である。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
○野坂參三君(続) 戰争中に、国内と国外において、戰争と軍閥に対して身をもつて闘つたのは共産主義者ではなかつたか。(拍手)そこで、第三次世界大戰を準備する内外の反動勢力にとつては、共産党が最大の敵である。(拍手)何とかして共産党をつぶし、かりに共産党をつぶすことができないならば…
○議長(幣原喜重郎君) 野坂君――野坂君、野坂君の発言は一身上の弁明の範囲を越えているものと認めます。ゆえに発言の中止を命じます。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、井上良二君提出、二十四年度産米の補正供出並びに二十五年度産米の事前割当に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 二十四年度産米の補正供出並びに二十五年度産米の事前割当に関する緊急質問を許可いたします。井上良二君。
    〔議長退席、仮議長着席〕
    〔井上良二君登壇〕
    〔発言する者多し〕
○仮議長(庄司一郎君) 御静粛に願います。―御静粛に願います。
    〔「議事進行」と呼び、その他発言する者多し〕
○井上良二君 私は、昭和二十四年度産米の補正供出と、二十五年度産米の事前割当に関して、主として農林大臣にその所信をたださんとするものであります。
 諸君も御承知のごとく、二十四年度の産米は、数回にわたる台風と病虫害の被害を相当広範囲に受けている実情から、政府みずから、例年の等級制による買上げでは、とうてい完遂の見込みがないと考えまして、新たに五等米制度なるものを設けて、被害米の一部を買い上げる措置をとつたのでありますが、被害がきわめて深刻なる関東、近畿、中国、四国、九州の各地域の農家に対する補正が適正に行われなかつたために、供出割当をめぐつて生産農民の政府に対する不満が急激に高まりますや、政府は遂に、これら被害府県に対して、供出制度実施以来未曽有の、供出責任の一部を免除するの非常措置を講じたのでありますが、この免責石数六十万石を、何ゆえ十六府県に限定したか。実に不可解きわまる処置でありまして、正直に自家用飯米さえ供出して供米の完納に努力しております農民は、断じてこの処置に承服することはできません。
 われわれは、本年度産米が予想以上の減収であるところから、二十四年度の産米の適正化を強く政府に要望したにかかわらず、政府は、最初わずかに百十四万石しか補正はできぬとがんばつて、全国農民の代表者やら府県知事会議、国会における農村を代表する議員の方々から猛烈な補正要求の声が起りますや、一夜にして約二倍の二百四十五万石に補正割当の改訂をしたのであります。しかしわれわれは、この二百四十五万石の補正割当でも、被害府県の供出は実際上非常に困難である点を、逐次農林大臣及び関係当局に具申して、さらに補正量の引上げを要求したにもかかわらず、政府は、司令部の命令であるとして、責任を司令部に転嫁して、減収量の実際に即した補正を行わず、強制割当を行つた結果、今日六十万石の供米の免責という非常措置を講じなければならぬ事態に立至つたことは、政府の供出行政の重大なる失敗である。農林大臣としての責任は重大でありますが、この点に対する農林大臣の所見を、まず第一に伺つておきたいと思うのであります。
 次に政府は、この供米の免責石数を六十万石と査定いたしました根拠は、いかなる理由に基くか、その具体的な算出の基礎を明確にされたいのであります。政府は、この免責の特典から除外されておりますところの府県の補正割当は適正に行われ、供出が完納されるものと考えておるかどうかを承りたい。
 免責の特典から除外された被害地の府県の農家は、政府の命令による供出関係者の強制により、自家保有米を裸供出させられ、なお不足する分を他から借りたり買い入れたりして供出を完納しているのであります。すなわち、一方では供米の完了ができぬとして、これを免責処分に付するの親心を持つて臨む政府が、川一つ隔て、道一つ隔てた県境の隣村では、裸供出を強行する、悪代官にもひとしい行為をもつて臨んでいる。この供出上の不公平を、農林大臣はどう一体考えるかであります。農林大臣は、この裸供出によつて明日の飯米にもこと欠く農家に対して、いかなる方法により、またはいかなる価格をもつてその飯米を確保し配給せんとするか。私はが当然これら保有米を切つて供出する農家に対しては、生産者価格をもつて必要量を配給すべきであると考えますが、政府の所見いかんであります。
 次に政府は、今現実に二十四年度産米の減収がすでに三百万石を突破する実情にあるにかかわらず、しかもまた、その供出に非常に苦心をいたしておるときに、一方においては、東北、北陸等の單作地帯を中心に八十六万石の追加割当を強制せんとしていますが、農家経営の最も困難なこの單作地帯から、はたしてこの追加供出を、目標通りの八十六万石供出せしめる自信が農林大臣にはあるかどうかを承りたい。次に政府は、二十五年度産米の事前割当―六千八百五十余万石という未曽有の割当を農民に強制せんとしていますが、政府は、世界経済の動向と食糧事情から、わが国農業生産に積極的な基本的対策を実行せずして、封建的な農業生産のもと、高い肥料と苛酷な税金と安い米価で、いかにして二十五年度事前割当の六千八百五十余万石が生産されると考えているか。前年度に比して増石割当をいたしましたその根拠を明確にされたいのであります。
 また政府は、国内産主要食糧の生産限度、すなわち自給度を、現在の日本の生産條件から、どの程度が適当と考えているか。また、今後いかに農業労働の出産性を高める基本政策をもつて自給度を高めんとするか。この点を明確にされたいのであります。
 最後に私は、二十四年度産米の補正供出と二十五年度産米の事前割当に関連して、政府に特に承つておきたい点は、二十五米穀年度の需給推算でございます。政府の発表するところによりますと、本米穀年度の供給は八千二百十二万七千石に対し、需要は六千二百六十八万七千石であり、差引き千九百四十四万石が翌二十六年度に持ち越されることになつております。問題は、この二千万石に近い、約四箇月分の配給量に相当する厖大な持越米であります。政府は、私がさきに質問せるごとく、生産農民が徳川時代にもひとしい苛酷な條件のもとに供出を強要せられ、また血の出るような税金を課せられ、その税金の中から三百億に近い補給金を支出して、金利と倉庫料を支拂つて、かくのごとき厖大な保有米を支持つ必要がどうしてあるかを明確にされたいのであります。政府は、公務員並びに一般勤労者の名目的な給與改訂は行わないかわりに、実質上の生活安定をはかるとの声明に基いて、このストツク米をもつて配給基準量を近く引上げる意思を持つているかどうか。われわれは、かくのごとき厖大なストツク米が保有されている現状から、当然配給基準量を引上げるべきであると考えますが、政府の所見を伺いたいのであります。
 最後に、万一配給基準量を引上げることができないということでございますならば、この米は、一体国際情勢の緊迫下から、冷い戰争が熱い戰争に転化することを予想して、戰争準備の食糧買いだめと考えていいかどうか。この点も明らかにされたい。万一、以上二つの理由で買いだめていないとすれば、国際市場における穀物相場は月々低落している現状から、年間不足する最小限度千四百万石ぐらいの輸入にとどめて、輸入食糧に要する補給金その他これに要する経費を国内農業生産の増強の施設に振り向け、供出の合理化と相まつて、農民生活の安定を通じて国内産食糧の自給度を高めるべきであると考えますが、この点に対する大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。
 以上をもつて私の質問を終わります(拍手)
    〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
○国務大臣(森幸太郎君) 井上議員にお答えいたします。
 二十四年産米の供出については、たびたび去る国会の委員会においてよく申し上げておつたので、おわかりのことと存ずるのでありますが、本日緊急質問としてさらにお尋ねでありますので、御承知と思いますけれども、一応お答えいたします。昨年度の供出割当の補正につきましては、お話の通り二百四十五万石に修正いたしたのであります。これは、その当時も申し上げました通り、司令部との折衝の結果によりまして、当初百十四万六百石でありましたかの補正量であつたのでありますが、農林省の実収調査の結果、どうしてもこれでは実際の供出を見ることが困難であるという立場から、二百四十五万石に修正を要請いたしたのであります。しかし、その当時はまだ実収高がはつきり把握されてありません。十二月三日のことでありますから把握できておりませんが、もしも実収高を把握いたしまして、どうしても今お話のような裸供出をせなければならないという場合おきましては、さらに免責制度によつてこれを緩和するという、あらかじめ了解を得て、あの二百四十五万石の補正割当をいたしたのであります。その後、実際問題といたしまして、二百四十五万石の補正では、どうしても予定通りの供出ができ得ないという部分が生じましたので、相当量の免責の量を定めて、その免責の量によつてこれを緩和いたしたいと考えて処置をいたしつつあります。
 それが十六府県に限られて、なぜ全国的にならなかつたかという御質問でありますが、この間の事情は、井上君もよく御承知のことと存じますが、昨年の風水害あるいは病虫害等の発生は各地にわたつておりましたが、局部的であつたのであります。従つて、免責制度を用います所も、これまた局部的でありました。最もひどい所にこの免責制度をやつたのでありますが、全国的にこれが普及しておらないことは、事実に合う措置と御承知願いたいのであります。
 なお、その基礎をいずれに求めたかという問題でありますが、これは各府県においていろいろ別々の事情がでておりますので、まことにこまかい算数によつて出しておりますから、これはあなたも農林委員会へ御出席でありますから、事務当局より詳細に御報告をいたさせます。
 一面において免責をやりながら、一面において超過供出がなし得るか、という御質問でありましたが、これも先ほど申しました通り、一郡、一町村の中におきましても、被害を受けた農家と、被害を受けない農家とあるのでありまして、免責をいたしますのは、その被害を受けた農家であります。また超過供出の能力のあるのは、この被害を受けない農家でありますから、おのずからある程度の超過供出はでき得ることと私は考えております。
 なお自給度を高めるについての方法いかんというお話でありましたが、私は、日本の自給度を年一年と向上させて行きたいと考えるのでありまして、昨年度の生産割当は、井上君も御承知の通り六千七百七十三万二千石であつたのであります。昭和二十五年度におきまして、これを六千八百五十万八千石にいたしたのでありまして、その差はわずかであります。決してさようなむりな生産割当とは考えておりません。この生産割当につきましては、最近年次豊作の年柄をよく考えまして、その三年平均をとつて反収を定め、そうして政府の持つております作付反別を予想いたしまして、これにその収穫高の予想をかねて算出いたしたのでありまして、決して不合理なことをいたしたとは考えておりません。すべてこの数字に対しましては、はつきりした基礎を持つておるのであります。
 なおまた、基準量を引上げないかというお話でありましたが、今日米換算で四十万トンのいも類を買い得ることを許されたのでありますが、今後食糧事情と勘案いたしまして、都合によりましてはその余力が生ずるかとも存じますが、現在においては二合七勺を基準といたしたいと考えております。
 なお、政府の示した端境期の持高が多過ぎるではないか、高い米をそこまでたくさん端境期に持ち込む予定をするのはいかぬではないかというお説でありますが、一応ごもつともであります。食糧を輸入いたしております以上は、できるだけ端境期はがちがちに通りたいのであります。ところが、井上君も御承知の通り、本年からの食糧輸入は、商業の勘定によつて輸入されるものが大方その大部分を占めるようになりますので、外食の輸入ということは、日本の貿易力ということと関連を持つて参るのであります。従つて予定いたしておりますこの外国の食糧がその通り来るか来ないかということは、これは今後日本の産業力によることでありますから、これを持越米の予定数量が莫大であるから、むだな輸入をするようにお考えでありますが、決してさようではないと存じます。ことに日本は天災の多い土地でありますから、これが一千万石あるいは八百万石というような、予想を裏切るような減収をいたしましたときの用意を考えましても、相当の持越米のできる準備をする必要はあろうと考えるのであります。今お話のような、決して冷たい戰争の将来を心配して食糧を確保するというようなことは考えておりません。外国から食糧をもらつておる日本といたしまして、さようなぜいたくは許されないことを御承知願います。
    〔政府委員水田三喜男君登壇〕
○政府委員(水田三喜男君) 食糧の増産をはかつて自給度を高めるというお説には賛成でございますが、さしあたりの需給状態から見まして、予定しております四百五十六億円の食糧補給金を大幅に切つて、それをよそへ向けるという余裕は、現在のところないと存じます。政府は、本年度米麦において二合七勺の配給をやりたい、さらに精白度を強めて、白い御飯とか白いパンを食べさせるようにしたいということを考えております。そうしますと昭和二十四年度の手持よりも、二十五年度末の手持は、二十万トンくらいあるいは減るのじやないか。こういう状態にありますので、現在程度の食糧輸入はどうしても必要だ、従つて、この補給金を切る余地はあまりないのじやないか、こいうふうに考えます。
    〔国務大臣森幸太郎登壇〕
○国務大臣(森幸太郎君) 先ほどお答えに漏れましたので、非上議員にお答えいたします。還元をいたした場合においての米の価格のことでありますが、これは井上議員も食管特別会計法の運用については御体験があるはずでありまして、一応これは配給還元をすべき性質のものではないのであります。還元するくらいならば、なぜ供出さすかということは、理論上に成立つことでありますので、還元配給ということは、名前を言うこともどうかと思います。しかし、裸供出になりました場合において、どうしても自分の生産いたしました食糧だけでは農業再生産ができない、不足をいたしておる農家には、もちろん普通の価格で配給するのは当然でありますが、供出をしたために不足をいたして、それに還元するについては生産者価格でなすべきではないかという御議論でありますが、今日まで、この問題は幾たびも論議をされ、また政府も考慮をいたしたのでありますが、食糧公団の手数料を除いて、運搬と倉庫保管料、これは農村にとどまる経費でありますが、それを加算した程度においてこれを配給するということが今日考えておる程度と御承知を願いたいのであります。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、松澤兼人君提出、賃金ベース改訂に関する緊急質問、これをこの際許可されんことを望みます。
○仮議長(庄司一郎君) 山木君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仮議長(庄司一郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。賃金ベース改訂に関する緊急質問を許可いたします。松澤兼人君。
    〔松澤兼人君登壇〕
○松澤兼人君 私は、政府職員の給與ベース改訂の問題につきまして、日本社会党代表して緊急質問を行いたいと存ずるのであります。
 政府は、最近いわゆる給與白書なるものを発表いたしまして、政府職員の給與を改訂しないという根拠を示したのであります。その内容とするところは、政府が従来しばしば声明しておりますベースはかえないという前提のもとに、独断的、一方的に述べられているのでありまして、われわれから見ますならば、科学的研究の結果と見ることができないのは、まことに遺憾であります。かかる非科学的な数字の羅列をもつて、公務員の生活窮乏に対して目をおおわんとする現内閣の態度は、まことに知性が欠乏しておることを露骨に現わしているのであり、かつ労働対策にまことに貧困であるという事実を暴露しておるものであると信ずるのであります。(拍手)
 質問の第一点は、人事院の勧告の法律的な根拠についてであります。申すまでもなく、人事院は、国家公務員法、新給與法に基き、常に政府員の給與が適正に行われておるかどうかを検封し、これを国会及び内閣に報告するとともに、給與を決定する諸條件の変化によつて給與を百分の五以上増減する必要ありと認めた場合には、すみやかにこれを勧告する義務を持つているのであります。しかも、これらの法律と、人事行政の義務と責任とは、一九四八年七月二十二日に発せられましたマ元帥の書簡に明示せられているものであり、その書簡は、「国家の公益を擁護するために政府職員に課せられた特別の制限がある」こと指摘するとともに、その「事実は政府に対して常に政府職員の福祉並に利益のために十分な保護の手段を講じなければならぬ義務を負わせている」と述べているのであります。この書簡に基いて人事院の勧告の義務が生じ、人事院は、昨年十二月、御承知のように七千八百七十七円のベース改訂の勧告をなしたのであります。
 それ以来今日に至るまで、政府は、人事院の勧告がのめないということをしばしば声明し、また先ほど申しましたように、給與白書において、ベース改訂のできないという根拠を示しているのであります。もしも政府が、これに対し給與改正の義務を履行しないならば、国民として当然享受すべき団体交渉権、罷業権を禁止せられている国家公務員は、いかなる手段によつて自己の生活を防衛することができるでありましようか。同様に、公供企業体職員に対しては、この政府の保護のかわりに、仲裁委員会の裁定が最終絶対の決定として尊重されなければならないという前提に立つて罷業権が制限せられているのであります。政府は、人事院の勧告を無視し、国鉄、専売の裁定を尊重せず、国家公務員の保護の責任を放置し、公共企業体職員の権利を蹂躪しているのであります。最近におきまして国会共同闘争委員に参加する三十四單産の労働組合が、政府戰員の給與の改訂を中心として、すでにスト態勢をとることを宣言し、まさに三月を山とし一大闘争が展開されようとしておるのであります。闘争か餓死か、現在勤労者は、この決定的な段階に追い込まれているのであります。
 民主主義国家においては、法はどこまでも守られなければならないのであります。そのためには、政府みずからが法の精神を尊重し、單に法文の三百代言的な解釈に終始することなく、法のよつてもつて来る根源にさかのぼつて道義的理解をすることによつて、国民の権利を保護すべきものであると考えるのであります。政府は、この際虚心坦懐に、結興の改訂をなすべき予算上の措置を講すべきであると信ずるのでありますが、政府の見解を伺いたいのであります。またもしも、マ元帥の書簡の指摘する政府の保護が履行できない場合においては、当然に政府職員に対しては、あるいは公社職員に対しては、団体交渉権、罷業権を確認し、自由なる立場に立つて政府と交渉せしめることが基本的な人権に即するゆえんであると考えるのでありますが、これについて労働大臣、法務総裁の御見解を伺いたいのであります。
 質問の第二点は、本日の新聞に報ぜられておる国鉄新調停の打切りの問題であります。国鉄調停委員会は、一月二十日、国鉄労働組合から申請されました九千七百円ベース要求問題について、今日まで審議を続けて来たのであります。しかるに、十日、審議を打切りましてただちに仲裁委員会に持ち込むことを決定し、同時に委員長の談話を発表したのであります。この談話によると、打切りの原因は、政府の給與対策がベース不変更の原則によるのであつて、かかる状態のもとにおいては、団体交渉も調停制度もまつたく無意義であり、その機能がかかる状態にあることは、マ元帥書簡に示されている公共企業体労働関係法の精神に違反するものである、と述べているのであります。このことは、きわめて重大な問題であり、法律の精神が今日の政府によつて蹂躪せられているという事実を、おおい隠すことはできないのであります。さらに委員長談話は、委員会が調停打切りの異例なる措置をとつたのは、これにより、政府並びに一般に対し、調停委員会の存在につき正しい反省と批判を求めるための最善の方法である、と言つているのであります。
 国鉄調停委員会の異常たる決意は、政府が法の尊嚴を侵害し、正当の手続きによつて行われておつた労働者の控え目の要求にすら耳を傾けない反動的な態度の現われでありまして、政府はこの調停委員会の決意を無視することはできないと信ずるのであります。民主主義の進展と勤労者の苦難なる闘争によつて、経済社会において確立せられた、かかる法律の秩序が、次から次に破壊せられることは、合理的、進歩的な一切の努力を禁圧し、暴力的な方法による以外には解決の道がないことをさとらしめ、社会不安が増大する結果となることは必定であります。仲裁委員会の権威、調停委員会の職能の尊重、これらの点について、政府はいかなる所見を持つておられるか、労働大臣の御見解を伺いたいのであります。
 質問の第三点は、政府の発表した給與白書によると、七千八百七十七円べースを採用することによつて年間六百億の財源を必要とする。そのためには、地方において平衡交付金の増額、地方税の引上げ、あるいは特別会計における運賃、料金の引上を考慮しなければならない、さらに定員削減の方法によるのでなければ、これらの財源は得られないと述べているのであります。われわれは、政府の計算している六百億は見積り過大であつて、税金のはね返り等を考慮するならば、年間四百億程度をもつて十分であると信じているのであります、しかもこの財源は、二十五年度予算の圧縮により、特に物件費の節約等により捻出される可能性があると確信しておるのであります。一般会計からの債務償還七百五十億についても、われわれは、これが組みかえをなすべきであると主張しているのであります。従つて、政府がもし給與改訂の意思さえあれば、財源捻出に、経済白書に示すがごとく必ずしも困難ではない、かように考えているのでありますが、大蔵大臣は、給與が約一千円引上げられることによつて、はたしてインフレが再発すると考えられるか。あるいは賃金と物価との間に悪循環を起す危険があると考えておられるか。この際政府は、マ書簡の趣旨を尊重して、積極的に給與改訂のためにあらゆる努力を傾倒して、財源確保の方途を講ずべきであると信ずるが、御見解を伺いたいのであります。
 最後に吉田内閣総理大臣に伺いたい。ちようどおられませんけれども、総理大臣は、最近、ベース改訂を行わないで、政府職員の給與内容を引上げるということを声明せられているのであります。ペース改訂を行わないで、内閣総理大臣は、いかなる方法によつて給與内容を引上げることを考えておられるか。それは法律の改正によるのか、あるいは行政的措置によつて十分行われるのか。
 さらに総理大臣は、しばしば行政機構の改革をすると言つておられるのであるが、これは、おそらく民主自由党が常に唱えている、人員整理ということを目途にしておるのではないかと存ずるのでもあります。すでにわれわれは、過般の定員法におきましても、あの定員法が国家の行政能率を低下し、国民に対して多大の不安と不満足とを與えるものであるということを指摘いたしたのでありますが、この上人員整理をいたしますならば、いよいよ事務の能率が低下すると考えるのでありますが、この点について、いかなる御構想を持つておられるか、お伺いしたいのであります。
 以上によりまして緊急質問を終ります。(拍手)
    〔国務大臣増田甲子七君〕
○国務大臣(増田甲子七君) 松澤君にお答え申し上げます。
 政府の給與白書のことについての御質問に対して、まずお答に申し上げます。給與白書に書かれてあります通り、われわれは、中央において三百五十億、また地方において二百五十億の増額を、給與ベース改訂が実行されたとすれば、必ずなさねばならぬと考えております。しかも、給與白書の中にも多少言及しておりまするが、現在のところ、給與額だけでそれだけの予算を増額いたさなければなりませんのみならず、公共事業費だとか、あるいは終処理費等は、給與の増額に伴う食糧、原材料費の価格向上の組込みがされていないのであります。従いまして、御説のごとく、あるいは六百億マイナスに、多少の所得税なりその他の歳入がございましても、一面公共事業費あるいは終戰処理費等において大幅の増額をいたさなければなりません。そういたしますと、皆さん御承知の総合均衡予算というものは根本的に崩れて、再びわれわれはインフレの波の中にさまよわなくてはならない、こう考えておるのであります。でございますから、給與べースは遺憾ながらかえがたいのであります。しかも、人事院の勧告にかかる六千三百七円べースを設定したのは去年の三月でございまして、その三月を一〇〇といたしますと、実質賃金は、十二月は一〇四・二、すなわち四・二%上つておるのであります。しかしながら、政府はこれのみをもつて満足いたしておりません。必需物資の増配とか、あるいは減税といつたようなものを断行いたしまして、いよいよ実質給與の増額をはかりたい、こう考えております。予算の組みかえを行わない点につきましては、今御回答申し上げました。
 次に、給與内容の引上げということを総理はしばしば言明しておるが、これは法律措置によるものか、あるいは行政措置によるものかという御質問にお答え申し上げます。ただいまのところ、われわれは、法律措置による給與内容の引上げを考えておりません。ただしかしながら、行政措置によりまして、すなわち欠員等の相当ある官庁におきましても、もし現在員の公務員が相当能率を上げ、勉強してくれておる場合であるならば、標準なり、わくなりの許す範囲において昇給の実を上げたい、こう思つております。また一面、あるいは超過勤務手当とか、あるいは旅費とかいうものは、実際使用した額に相応するように支給することといたしたい、こう考えております。そういう意味合いから実質給與の増額をはかつて参るつもりであります。
 なお根本的の昇給ということになりますと、あるいは行政の簡素化というようなことが行われ、さらに整理が行われるのではないかという御質問でありますが、われわれは、ただいまのところ、中央地方を通じまして、行政制度の簡素化ということを考えております。現に御承知のごとく、地方制度につきましては行政調査委員会議が設けられるのでございまして、これによつて、あるいは府県の廃合だとか、あるいは市町村の廃合、そういうようなこともございまするし、またこれに関連、相応いたしまして、中央機構の簡素化も必要ではないか、こう考えております。今のところ、事務分量の内容に応じ、あるいは性質に応じたる簡素化をし、そうして国民の負担の軽減をはかる必要がある、こう考えております。その際には、あるいは給與の相当の増額を期し得られるのではないか。御承知のごとく、昭和五年ないし九年に比べますと、当時の実質賃金とは、まだ相当隔たりがあるのでございまして、われわれの目標とするところは、名目賃金の増額ではなくして、実質賃金の増額をだんだんはかつて参りたい、こう考えております。
    〔国務大臣殖田俊吉君登壇〕
○国務大臣(殖田俊吉君) 松澤さんにお答えを申し上げますが、人事院の勧告は、これは勧告を受けますれば、政府といたしましては、十分にこれを検討し考慮する義務はあるのでありますけれども、しかし、それがために法律上の拘束力を政府に加うるものではありません。従つて、政府がこの勧告に基いて給與ベースの改訂を行わないといたしましても、もちろん違法ではありません。従つて、そのために公務員に団体交渉権を生じ、公共企業体労働者に罷業権が生ずるというようなことは、法律上考えられないのであります。
    〔国務大臣鈴木正文君登壇〕
○国務大臣(鈴木正文君) 公労法におきましては、裁定に対して全部これをのまなければ違法であるという考え方は、初めからいたしておらないのでありまして、三十五條に対して十六條があるゆえんは、そうなのであります。従いまして、仲裁案に対して、可能な部分は、もちろんただちに拘束カを持ちますけれども、不可能な部分というものの判断は、政府にもなし得るのであり、さらに最終的には国会の判定によつて承認、不承認が決するのでありまして、こういう所定の手続をとつて、裁定の全部または一部が承認されなかつたという場合においても、これはもちろん違法であるはずはないのでありまして、こういう場合に罷業権が生れることもないわけであります。
 さらに、国鉄の調停委員会が、これをただちに裁定委員会に送り込むということは、決議によればでき得ることでありまして、法律上は何ら違法ではないのであります。昨年の暮れにおける調停、その当時よりも、時間的にまた諸條件もほとんどかわつておらないからという意味におきまして、裁定に移して、裁定案によつて政府及び国会の意思を問うという考え方は成り立ち得るのでありまして、こういう場合において、調停あるいは裁定の機関を無視したということも、もちろんないわけであります。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、今澄勇君提出、中小企業危機に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
○仮議長(庄司一郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仮議長(庄司一郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 中小企業危機に関する緊急質問を許可いたします。今澄勇君。
    〔今澄勇君登壇〕
○今澄勇君 私は、緊急を要する現下の中小企業対策について、次の諸点を質問いたします。
 まず、元来中小企業対策というものはかけ声の大きい割合に実効の上らないものでございますが、現状においては、まつたく対策らしい対策が実際には行われておらないということが事実でございます。先般来、あらゆる質疑において、政府各大臣の答弁は、経済の安定、生産の復興等の合言葉のメモによる朗読の連続で、中小企業の三月危機はあり得ないと、楽観そのものの体に見受けられるのであります。しかしながら、生活苦にあえぐ今日の中小企業者は、それが空念仏であることを十分身をもつて経験されつつあることは、御承知の通りであります。
 そもそも経済の運行については、絶対の條件ともいうべき秩序の維持は、今日の日本においては、占領軍の権威によつて裏づけられておるのであります。政府の経済政策の失敗が、ただちにパニックとなり、あるいは経済破綻とならないのは、そのためでございまして、しかも、米国よりの今日まで十七億ドルに及ぶ援助資金は、大部分大産業の助成に用いられておるのであります。この援助物資の裏づけと、今言つた占領軍の権威によつて、日本の経済は、現象的にはどうにか破綻を免れておるというのが実情であります。金融においても、全国銀行の貸付五千八百八十億の中に、一千億円の滯貨金融、すなわち五分の一が非生産的な滯貨の金融に充てられておるということは、企業の合理化などは、ほとんどなす余地のないことを、雄弁に証明しておるものであります。
 しかるに政府は、みずからの政策の失敗には気づかないで、これらの占領下わが国経済の特殊事情による経済的な指数を掲げて形式的な安定論を述べ、あるいはまた、一切を米国の援助に依存する前提條件のもとに復興の確信を述べるがごとき前提條件のもとにおいては、今の中小企業の深刻なる問題を解決するに、その心構えからして間違つておると思うが、安本長官の御所信を承りたいのであります。
 次に、政府のインフレ収束策の強行による購買力の低下と極端な金詰まり、さらにこれに加うるに、無計画な統制廃止による自由経済への構造的な変化、それは中小企業を自然淘汰の焦点に追い込み、株式の暴落、不渡手形の濫発、滯貨の増大、問屋街のダンピング激化、企業の破綻・倒壊等々を誘発しつつあるのでございまして、その惨状は、皆さん方のすでに御承知の通りであります。しかも見返り資金は、今日まで中小企業に対してどの程度援助せられておるかというと、政府のかけ声にもかかわらず、実績はわずかに二、三億円程度の、雀の涙にひとしい反面、税金は、二十四年度の一―三月の申告所得課税が一千八億の厖大な金額を残しておるのでありまして、その大半は、中小企業者から一―三月に取立てようといたしておるのであります。ここに中小企業の三月危機が唱えられておるところのゆえんがあるのでございまして、蜷川中小企業長官ならずとも、良心と勇気のある人物であるならば、何人が長官となつても、これらの中小企業の危機を訴えるであろうと思うのであります。
 これに対し政府は、これらの長官の免職や、あるいは辞職を強要しておるが、さらば政府は、一体このような中小企業の三月危機に対して、具体的な対策をどのように用意いたしておるものであるか、責任をもつて国民に約束し得る政策を説明されたいのであります。総括的には通産大臣、金融関係については大蔵大臣より、それぞれ詳細な御答弁が願いたいのであります。
 第三点は、問題の中心は金融でございます。ここにお見えになつておる大蔵次官は、見返り資金の長期融資や共同融資、日銀の別わく、商工中金、信用保証協会、損失補償制度等々、おそらくこれらの金融対策を述べられるであろうと思うのであります。しかし、それは表面的な中小企業家への儀礼にすぎないと私は思う。なぜかならば、大蔵大臣は金融資本の代弁者として、手数のかかる、利益の少いこれら中小企業を冷遇し、これを倒壞に導いてもかまわないという決心ではないかと察せられるゆえんが、次の五点あるのであります。
 その一つは、自由経済のもとにおける銀行の任務というものは、安全性と利益率の高いところに金を流すのが当然の姿でなければなりません。しからば、危険率多く、安全性少き中小企業へ金が流れるためには、国家が責任を持つところの中小企業専門の金融機関たる中小企業金融金庫等の設立をするか、あるいは少くとも、これらの金融機関の社会化をはからなければ、現実に中小企業へ金がまわらないのであるが、大蔵大臣は、このような意思は毛頭ないものであると私どもは思う。しかしながら大蔵大臣は、そのような問題について、どのような見解を持つておられるか、お伺いをいたしたい。
 次は、大蔵省預金部の金は、御承知のように国民の零細なる資金を集めてつくつたものであります。しかも、これが現在各種公団その他には流用されておりますが、その最も零細なる資金を中小企業へ融通することこそ、われわれの希望であるにもかかわらず、今日まで大蔵省は、中小企業関係について、これらの預金部資金は一文も融通しておらないのであります。これまた大蔵大臣は、このような預金部資金は絶対に中小企業へは融通する決意のないものであると断定してさしつかえないかどうか、私は明快なる答弁を承りたいのであります。
 次は、中小企業等協同組合法による信用協同組合の設立は、その認可権を大蔵大臣が持つておることは、御承知の通りであります。しかるに大蔵省は、このような組合組織の金融機関を歓迎しないらしいのであります。それはどういうことでわかるかというと、昨年の七月信用協同組合施行以来、今日まで八箇月を経過いたしております。いわゆる中小企業家にとつて、自家専用の機関とも言うべきこれらの信用協同組合の設立が、各地より数十件申請されておるのに対して、大蔵大臣は、事を構えまして、一件も許可を與えておらないのであります。わずかに二月七日に、一件だけ最近許可されておるのでございますが、それは一体どういう理由に基くのか。口には中小企業金融を唱えながら、法律でもつて保障されておるこれらの信用協同組合に対し、大蔵省が設立阻止の態度に出ておるということについて、明快なる御答弁を賜りたいのであります。
 ところが、他方中小企業等協同組合法の施行に伴い、十二月に廃止となつたはずの市街地信用組合については、昨年の十一月、奇怪にも、その連合会ご設立に内認可が與えられておるのであります。巷間伝えるところによれば、銀行局長は独断でその認可を関係者に約し、関係者また運動資金として相当の金品を費消し、今日事志と違い、紛糾をかもしておるとのことであるが、大蔵大臣は、そうしたことがあつたかどうか、この壇上から明快なる御答弁を願いたいのであります。これは国会で定めた法律の精神を無視し、中小企業金融に一片の誠意なきものと断ぜられても仕方のない問題である。総司令部よりのメモによつて、この連合会の設立は中止となつたと聞き及んでおるが、まじめなる中小企業者は、事の真相を知らんと欲しておるのであります。資金難にあえぐこれら中小企業者の信用協同組合設立の努力を踏みにじつたところの、この傲慢不遜な大蔵省の態度は、はたして中小企業を救う熱意ありやいなや、言わずして明瞭であろうと存ずるのであります。(拍手)
 昨年末、政府が声を大にして、いわゆるポリシー・ボード、中小企業特別わくの融資として、マーケツト・オペレーシヨンによる長期設備資金の貸出し二十億円を約束したことは、中小企業の皆様方の、いまだに忘れ得ないところであります。しかるに、現在実行されたものは、これまた、ほとんどその例を見ないのであります。全国八区にまたがるところの通産局を経由してのおびただしき借入れ申込みを、昨年十一月二十四日、中小企業庁は打切つております。これらの、非常な手数をかけ、厖大な書類を整理せて査定に合格した企業に対して、今日まで何ら貸出しを行わない。しかも、その貸出しは、今日一割にも満たないのでありますが、出先の日銀当局は、まつたくあずかり知らぬと、空うそぶいておる実情であります。全国の中小企業者の期待を裏切り、怨嗟の声は、大蔵大臣に対して限りなき憎惡を含んでおります。まじめなる中小企業者を欺いて恬として恥じざる大蔵大臣の所信を伺いたいと存ずるのであります。(拍手)
 さらにもう一点、毎四半期三億円程度の協調融資が、ことしより始められることになりましたが、これも例によつて、その趣旨は金融機関に徹底いたしておりません。かつまた、四半期三億円の金額は、まことに僅少であります。大蔵省においては、これを倍額程度に増額する意思があるかどうか。さらに日銀の中小企業特別融資わくの増大とその取扱いを市中金融機関に拡大の意思があるかどうか。
 以上の五つは、大蔵省が、はたして中小企業のために、表面的な美辞麗句はともかくも、腹の底で、その金融難を打開してやろうという誠意があるかどうかという大きな根拠となるべきものでございますから、懇切丁寧なる御答弁を願いたいと思います。
 次は税金の問題でございますが、二十四年度の申告所得で、一月―三月にしわ寄せせられた未納金額は、前述のごとく一千八億八千万円でございます。そこで、昨年末、仮更正決定を実施いたしまして、十二月に業者に通告があり、大波瀾を生じましたことは、御案内の通りであります。さらに問題は本決定でございますが、国税庁は、一―三月の徴税の重点を申告納税におきまして1月末の確定申告に基いて再更正決定を強行する方針と言われておりまするが、その通りやられる方針であるかどうか、御答弁が願いたい。もしそうだとすれば、再審査要求の続出によりまして、徴税旋風の本舞台は三月に集中することになります。
 しかも、所得申告の期待倍数は、昨年度所得の、一・六倍を税務署は主張いたしておると聞くのでありますが、これは国家予算において前年度の一・四倍弱、推定国民所得において前年度の一・二倍に比し、はなはだしく割高な数字であるので、少しく調査いたしてみたところが、少々の不合理は強引にこれを断行して徴税しろという通達がなされておるとかやに承るのでありますが、そうした事実があるかどうか。あるいはまた、この予算課税方式による見込み課税の方式が、すなわちこのような間違いを生じたものであるということであるならば、これを修正される意思があるかどうか。減税と言われるのでありますけれども、現実に中小企業者のもとに與えられる更正決定は、かかる実情であることを大蔵当局は十分に検討されて、これまた明快なる御答弁を願いたいのであります。
 さらに、三月の徴税がこの年度末に集中するので、これに対する季節的な緩和策、あるいはまた繰延べ納入等の、そのような中小企業に思いやりのある措置をお考えになつておるかどうか。なつておられるとすれば、具体的な方策を承りたいのであります。
 さらに次の一点は、政府は本年度中に産業復興公団、繊維貿易公団、鉄工品貿易公団、閉鎖機関整理委員会、特別調達庁の保有物資を処分するというが、有効需要が極度に減退し、卸問屋の滞貨増大とダンピングの競争が激化いたしておるこの際、数百億に達する政府の滞貨を放出するということは、これは言わずとしれた重大なる問題であります。政府のいう滞貨の減少は、大口機関に限られるところの一部的な傾向で、中小企業庁の統計によりますると、中小企業の滞貸はますます増大いたしております。この際、政府みずからダンピング競爭を行い、数百億の民間資金を政府物資の放出によつて吸い上げるということは、政府みずからが中小企業を壊滅せしむるものといわなければならないが、これに対する通産大臣の見通しと対策を承りたいのであります。
 次に第六点は、中小企業庁発行の、一月二十八日付の実態調査報告によると、最近特に給料の遅配が激増をいたしておるのであります。さきに検事総長から各地に取締りの指令が出たが、いまや、すでにその取締り指令は空文化しております。その証拠には、中小企業庁最近の統計の数字と、労働者が発表いたした、摘発処理いたしたものとの差が非常に大きく開いていることは、十分にこの間の事情を証明するものと存ずるのであります。政府の経済政策の失敗のために、現実の問題としては、検察当局もこれを放任しなければならないというこの事態は、まことにゆゆしき問題でございます。労働大臣並びに殖田法務総裁の御所見を伺いたい。なおこの際あわせて、これらの労働基準法を守り得ない中小企業に従事する労働者を政府の責任において保護する意思が労働大臣はおありであるかどうか、おありならば、その具体的な方策を示されたいのであります。
 第七点としては、三月危機の実相報告が原因して、吉田総理側近の朝飯会において、広川幹事長は、蜷川中小企業庁長官の首切りを発言されたということであるが、これは真実なりやいなや。しかして、稲垣通産大臣は、その後において、蜷川中小企業庁長官に対して辞職を勧告せられたと承るが、これも事実なりやいなや。しかして、蜷川中小企業庁長官は、過日辞表を提出したと伝えられるが、これまた事実なりやいなや。これは通産次官と官房長官にお伺いをいたしたいのであります。もしこれが事実でありとするならば、吉田内閣は、いわゆる宮廷人事を行うものであり、官吏に対する彈圧を行うものである。これは、立法政府の與党の幹部諸君が行政府を私するものなりと言われても弁解の余地はないのであります。(拍手)さきには現職の検事総長が民主自由党より国会議員に出馬が伝えられる等のことがあり、今日また蜷川中小企業庁長官の問題等、まことに独裁的な翼賛政治とも言うべき事態が、次ぎ次ぎと現内閣のもとにおいて行われているが、これに対する官房長官の所信を伺いたいのでございます。
 最後に、中小企業庁は、今通産省内における、大企業に重点を置いた行政に対応して、外局として中小企業の保護と助成指導育成が進められております。しかるに政府は、この重大なる中小企業の危機に臨んで、堂々正論を吐くこの蜷川長官に詰め腹を切らせ、しかも聞くところによれば、これを通商産業省の内局に編成がえをいたしまして、地方組織を大縮小するということが言われておりますが、それは事実かどうか。今後の中小企業庁のあり方について、通産大臣並びに本多国務大臣は見えませんが、官房長官より、中小企業庁の今後のあり方、その機構の縮小、拡大並びに人員の問題について、該細御答弁が願いたいのであります。もしこれが事実とするならば、たとい内局にまわつて、中小企業局に百八、九十人の人員を擁するようになろうとも、地方出先の拡充がなければ、中小企業の振興指導は絶対に不可能であります。内容は、このようなものを包蔵しながら…
○仮議長(庄司一郎君) 今澄君…
○今澄勇君(続) もし蜷川長官の問題が論ぜられたとするならば、政府は、中小企業者に声を大にして空宣伝するけれども、それこそ、まことに羊頭狗肉を売るものといわなければならないのであります。全国の中小企業者千五百万人は、真劍にこれらの問題について目下悩んでおります。各大臣は、何とぞまじめにして誠意あるところの御答弁をされたいことを要求し、もし答弁にして誠意を欠くならば再質問を保留して、質問を打切る次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣増田甲子七君登壇〕
○国務大臣(増田甲子七君) 今澄君にお答え申し上げます。
 このことは予算総会においても答弁をいたしましたが、御指摘のことは話題になつた事実はあるのであります。しかして国会議員、これは、あにただ與党とのみ言いません。野党の国会議員にいたしましても、あるいは国民一般にいたしましても、官吏の言動等について政府に質問する、そうして適当なる措置を求めるということは、あり得ることであり、またなすべきことであると私は考えております。
 それから中小企業庁の問題については、ただいま検討中でございますが、御質問のような事実は、現在のところございません(拍手)
    〔国務大臣青木孝義君登壇〕
○国務大臣(青木孝義君) 今澄議員の御質問に対しましてお答えを申し上げます。今日のわが国経済の実情を、恐慌であるという御意見のようでございますが、政府といたしましては、しばしば申し上げておりまるように、今日の段階では、インフレ経済が終息して、安定化が軌道に乗つておる、こういうふうに考えておる次第でございます。そうして、このことは各種の経済指標に基いて明白に立証しておるところでありまして、もちろん摩擦的現象として、一部企業の経営困難に陥ることも否定しがたい点ではありますが、これを誇大視して恐慌なりとすることは当を得ておらないと信じておる次第でございます。もちろん政府といたしましては、経済の安定化に伴いまして生ずる各般の事態については、それぞれ遺憾なきを期する所存でありまして、これを放任しておるわけではございません。特に中小企業についてのみ申し上げましても、産業の今日の分野におきまする中小企業の有利な特質をますます伸張するように、協同組合化の促進であるとか、技術の指導向上等をはかつておりまして、特に問題となりまする金融対策といたしましては、日銀の別わく融資を必要に応じて拡大し、それから日銀の国債の買上げ操作によりまする設備資金――これは約二十億でありますが、この融通を促進いたしておりまするし、対日援助見返資金より、一―三月におきまして三億円を、同額の市中銀行資金と合せまして融資をいたし、これによつて生ずる百数十億の債券発行余力をもつて協同組合の長期資金に充当し、さらに信用保証協会の拡充にも努めまするほかに、さらにまた中小企業の金融の対象としての適格性を持たせるように、帳簿制度の整備改善にも意を用いておる次第でありましてこれら各種の措置を機動的に運用して参りますることによつて御心配のないような中小企業対策を実行して参りたいと考えております。
    〔国務大臣殖田俊吉君登壇〕
○国務大臣(殖田俊吉君) 労働基準法によりまする賃金不拂いの罰則は、労働者保護のために最も貴重なる法律でありまするから、これを確実に励行する方針でありまして、すでに昨年三月、検事総長より声明を発しましたことは、御承知の通りであります。しかし、この種の事件の検挙捜査は、主として労働基準局がこれに当るのでありまして最後的に検察庁へ送つて参るのであります。昨年一年中におきまして検察庁の受理いたしました件数は約四百二十数件でありまして、そのうち半数以上を起訴いたしております。このごろになりまして、さらにただいまのお話のごとく、これらの事件がふえて参るのでありまするが、少しもそれに対する処置をゆるめる所存はございません。一層これを励行したいと考えております。この種の事件の中におきまして、ことに中小企業の使用者側におきましては、経営がはなはだ困難で、履行不能であるという弁解が非常に多いのでありまするけれども、その事情真にやむを得ないものはともかくといたしましても、いやしくも使用者側に懈怠の事情の認められるものは、あくまでもこれを起訴して行く方針であります。
    〔国務大臣鈴木正文君登壇〕
○国務大臣(鈴木正文君) 賃金があらゆる債務に優先するという原則は、労働基準法の精神にまつても明らかであつて、政府もその見解をとつている次第であります。そうして昨年、こういうふうな意味で、賃金の不拂いが労働基準局関係の手にかかつて解決したあとを見ますると、約七十三億円の不拂いのうち五十六億円――これは二月から十一月まででありまするが、八〇%は解決しておる。そうして解決のできない惡
質なものは、これは摘発して検察局に送つておる。その数字等は、今法務総裁が言つた通りであります。この線に沿いまして、今後も、もちろんこの賃金優先の原則を堅持して参る方針でありますが、同時に、賃金支拂いの根本的の関係は企業自体の中にあるのでありまして、それらは、ただいま安本長官その他から説明がありました一連の経済政策とともに推進されるべきものであると根本的には考えております。
 なお、中小商工業者関係の労働者諸君の労働基準法との関係でありますが、労働基準法が労働者保護の憲法として重要な意味を持つておることは、もちろんでありまして、その精神によつて実行して参ります。ただ、実情に応じて深い考慮を加えつつやつて行くということは、もちろんであります。
    〔政府委員水田三喜男君登壇〕
○政府委員(水田三喜男君) 今澄さんの御質問にお答えいたします。
 中小企業の問題は非常にむずかしい問題でありまして、これを單に金融だけで救うということはできない実情であります。むしろ金融以前の問題として、どういう総合的な産業政策を立てるかということによつて中小企業の問題は初めて解決される。そのためには、たとえば現在の日本の産業の必要にして十分な規模がどの程度のものであるか、この日本産業の規模すら現在確定しないというのは、御承知の通り、たとえば中共貿易とかいうふうに、大陸によつて生きておつた日本の産業として、この貿易がまた十分に行つていないというようなことから、日本の中小企業のあるべき姿がまだはつきりしていない。こういうところに根本的な問題がございまして、これはむしろ金融以前の問題であると考えております。
 大蔵省として、これを金融面でどういうふうに救つて行くかという問題については、非常に努力をしておるのでありますが、中小企業の内容が複雑であるだけ、方法は一本調子では参りません。たとえば、大企業に金融してやることによつて関連的な中小企業の金融を自然につけるという方法とか、あるい問屋とか卸売業者に金をまわしておけば、これが自然に中小企業の間接金融になるというような、いろいろな中小企業の内容に応じた方式を総合的に現在とつております。
 先ほど、その点につきまして懇切な答弁をしてくれという御注文がございましたので、今までとつて来ました、またこれからとろうとするそういう問題について簡單に御報告いたしておきますと、先ほど、大きい銀行は中小企業に金融をしていないというお話でございましたが、現在三百万円以下ぐらいの金額が中小企業に対する金融の金額だということを想定いたしますと、三百万円以下の貸付が、大銀行だけで千五百億円という厖大な数字に達しております。従つて、大企業だけが銀行を独占しておつて、中小企業に金を貸さぬという極端な事実はないと思います。少くとも千五百億円くらいが、大銀行を通じて日本の中小企業の金融になつている。けれども、先ほどの御説の通り、大銀行だけでは、中小企業の金融はどうしてもうまく行かない。従つて、中小企業のための特別な金融機関として、無盡会社とか信用組合を育成する必要がどうしてもある。さらに商工中央金庫の拡充をどうしてもこの際はかりたい、こういう方針に基いて、現在見返り資金並びに預金部資金をこの部面に流してやるということを考えております。先ほどの御質問には、預金部の資金は現在一文も出ていないというお話でしたが、そうではございませんで、この年末において、百億の預金部資金を市中銀行に預託したときに、無盡会社、信用組合にもこの資金を預託してあります。さらに近くまた無盡会社、信用組合にもう少し多額の資金を預託する、こういう方針でございますので、この点は御了承願います。
 さらに見返り資金の問題では、昨日発表いたしました通り、優先株式を銀行に発行させる、それを見返り資金で引受けて、そうして金融債をここで思い切つて多額に発行を許す、こういうようなことを現在決定しましたので、これについても見返り資金は近く四十億前後出ることを、われわれは予想しております。これによつて十倍の債券が発行されても、四百億近い長期資金が近く解決できる、こういうふうに考えております。これによつて、農林中金、商工中金を通じて、中小企業の金融というものは相当円滑に行われるのではないかと考えております。
 それからもう一つの御質問は、信用協同組合の設立を阻止しているのじやないかというお話でございましたが、これは現在特別にこれを阻止しているという点はございません。ただ、殖産会社というものがたくさんできまして、これをどう始末するかということで、大蔵省は非常に骨を折つて、ようやくこれを全国十七にまとめて解決したということになつておりますので、この問題が済んでから、この信用協同組合のいろいろな申請について、これから順次審査して、許可すべきものは許可するという方針であります。
 その次に市街地信用組合の問題の御質問がございましたが、市街地信用組合に中央機関を與えようということで、連合会をつくりたいという考えは、確かに私どもにありました。けれども、これはまだ現在折衝中の事項でございまして、これに伴つて銀行局長云々という問題は一切ございませんので、これも御承知願いたいと思います。
 それから最後は税金の問題でございましたが、昨年の第四・四半期の徴税予定額は大体千六百二十億でしたが、ことしは千五百八十億の予想でございまして、昨年よりは減つております。と同時に、昨年の第四・四半期の徴税額は、昨年の税金の約五割を一月から三月までに集中せしめて、いろいろな問題がございましたが、本年は、千五百八十億という金額は、徴税額の三割でありまして、第四・四半期に税額の三割を集中せしめるという程度になつておりますので、昨年と比べまして、ことしの方が、特にきつく産業を圧迫するというところまでは行かなくて済むのではないかと思つております。一方、本日新聞で発表しました通り、滞貨金融のために預金部資金を百五十億、それから復興金融金庫が持つておる現在の手持金の八十億、合せて二百三十億を近く滞貨金融のために出す、こういうような方式を次々にきめて、これはもう近く実行します。そういう政策とあわせ考えたら、この税金のとり方は、そう心配されなくとも済むのじやないか。それから何か対策があるかというお話でしたが、この千五百八十億のうちでも、われわれは、なおかつ二百七十億くらいは四月以後にずれるのじやないか、こういう一つの見込みの上において極力善処したいと考えますので、よろしくお願いいたします。
    〔政府委員宮幡靖君登壇〕
○政府委員(宮幡靖君) 大臣が公用で不在しておりますので、かわつてお答えいたします。各省、各方面に関連いたしておりますが、通商産業省、ことに中小企業庁に関係のあることを拾つてお答えいたします。
 中小企業の定義につきまして、まず御了承をいただきたいと思います。資本金三百万円未満、従業員百人未満の企業を中小企業のわくの中に入れまして、一応検討いたしております。従いまして、中小企業というものの御議論をなさいます場合におきましては、せひこの範囲においての御議論をいただきたいと思います。
 それから、ただいま中小企業庁が外庁でありますが、これを内局に入れるという問題が進んでおらぬかということでございますが、この問題は、先ほど官房長官からもお答えいたしましたが、ただいま閣議で検討いたしておりますが、通商産業省から提案いたしておりますものには、中小企業庁は依然として存続する方針を堅持いたしております。なお、もし将来にわたりまして中小企業庁を本省内に取入れます場合があるならば、これは産業種目別に構成して参るべきものだと、一応の考えを持つておる状況であります。
 それから金融方面につきましては、大蔵省の方からもいろいろお話がありましたが、中小企業の内容を詳しく申し述べることは省略いたしますが、百人未満の工場と申しましても、事実は従業員十人未満の工場が約八十二、三パーセントに当つております。従つて、個々にこれを指導するということは、なかなか現在の中小企業にとりましては浸透いたさぬわけであります。それで、今回外局としてこれを存置いたしますのにも、新たに九十七人の定員を要求いたしまして、現在の九十四人と合せて百九十一人をもちまして、もつぱら指導が徹底するようにいたしたいと存じておるような次第であります。しかして、融資のわくとか、あるいはいろいろ各議員の中からも、話だけで実行がないじやないかというおしかりを受けます面もたくさんあります。しかし、これは周知徹底しないことが最大の原因でありまして、運転資金につきましても、あるいは設備資金を対象といたします見返り資金の運用についても、それぞれ徹底をはかりまして、今回ようやくにいたしまして、日銀等も、中小企業に対しまする危機説さえ伝わります折柄でありますので、これに力を入れまして、全国の日銀支店にも積極果敢なる通報などをいただきまして、月一億、第四・四半期において三億の見返り資金の融資の中において、本月現在までに、二十六箇工場に対しまして三千二百万円の融資が成立いたしました。これは併合融資でありますから、金額においては六千四百万円であります。中小企業の問題は議論ではありません。現実にこれを片づけるために熱意を傾けて行かなければならぬということを、私は今澄委員にお誓い申し上げます。
 それから信用協同組合の問題は、大蔵当局から御答弁がありましたから蛇足を避けますが、われわれは、信用協同組合の発足を待望する熱意においては、決して今澄議員に劣らないものであります。もし諸種の事情がございますならば、これを突破いたしまして、一日も早くこの制度が実現せられるよう努力をさせていただきたいと存じます。
 蜷川長官の問題でありますが、これはいろいろ官房長官からもお答え申し上げましたので、簡單に申し上げます。かりに広川幹事長から懲戒免官の御要求がありましても、これは当然拒否いたします。さような人事干渉を受くべきものでないという考えを、断固信念的に持つております。従いまして、下馬評におきましては、懲戒免官の手続をとるであろうと申されておりましたが、具体的実情におきましては、蜷川長官の人格識見におきまして、昨年の九月すでに御退官のお申出があり、高級公務員の試験も受けておられません。従いまして、自発的に本人の御進退があるものと私どもは期待しておりました。この人格者に対しまして、何ら大臣や私どもがこの進退に対し容喙する必要がありましよう。実情はあまりに明瞭でありまして、むしろ、かようなものを問題化して議論せられることの方が、いささか私どもは残念に思うような状況であります。(拍手)なお御承知のように、この蜷川問題を取上げました根本は三月危機の問題でありまして、これは安本長官からお答えがありましたので省略いたします。
 次に公団の滞貨の問題でありますが、通商産業省関係は三公団でありまして、産業復興公団は、たいへん御心配のようでありますが、総額において二十七億、そのうち資材面は十三億でありますから、もしこれを投売りいたしましても、中小企業を壊滅する等のことはないでありましようけれども、これも十分今澄君の御批評を体しまして善処して参りたいと思います。その他の二公団につきましては、これは仰せのように、あるいはダンピング的な処理をいたしますれば、必ずや中小企業その他の産業にも惡影響があると考えますので、業者に対しまして、これもあるいは製造部門、あるいは第二次製品部門、あるいは消費部門等の各企業に対しまして、きわめて緊密なる連絡をとりまして、しかも監督筋と申しましようか、関係向きから見られて、いわゆる談合処分したという非難を受けない限度におきまして、市場を圧迫しないような勘案のもとに、ただいま整備を進めております。これは具体的の問題でありますので、事実につきまして、また通商産業委員であられます今澄君に、資料等をもちまして、これこそ懇切丁寧に御理解をいただくように答弁させていただきたいと思います。(拍手)
     ――――◇―――――
○倉石忠雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、宮腰喜助君提出、株価暴落に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
○仮議長(庄司一郎君) 倉石君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仮議長(庄司一郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 株価暴落に関する緊急質問を許可いたします。宮腰喜助君。
    〔宮腰喜助君登壇〕
○宮腰喜助君 私は、民主党を代表いたしまして、大蔵大臣に対し、今日の株価暴落に関する政府の所信をお尋ねいたします。
 言うまでもなく、株式相場は一国経済のバロメーターであります。従いまして、株価が上昇の傾向にある間は、大衆は、これから景気はよくなるだろうという、漠然たるものではあるにしても、一種の安心感と申しますか、ともかく前途に希望を抱くものであります。その反対に、株価がずんずん下つて行く場合は、ますます不景気になりはしないかと、不安の念を抱くものがあるのであります。その意味で、昨今のような株価の大暴落は、国民大衆に、日本経済の将来に対し真に絶望の感を抱かせる、きわめて重大な問題であるといわねばなりません。
 さらにまた、株式の暴落は企業の増資を困難にいたします。増資が困難になりますと、再建整備も停頓し、銀行の貸付の回収もうまく行かず、設備資金の調達も不可能になつてしまうのであります。かくして、企業はいよいよ動きがとれない状態に追い込まれ、金融界におきましても実にゆゆしき大事を引起さざるを得ないものでありまして、勢いのおもむくところ、遂に一大金融恐慌にまで発展しないとは断定できないのであります。
 さらに、そればかりではありません。政府は、二十四年春以来、盛んに証券の民主化をとなえ、新聞、ラジオその他の報道機関を通じまして、株を買つて日本の経済を復興しましよう、国民の一人々々が株を持ちましようというように、宣伝にこれ努めたのであります。その宣伝に乗せられて、今まで株など見たこともなかつたような何十万という多くの人たちが、われもわれもと株を買つたのであります。それには農民もあり、勤労者もあり、家庭の主婦もあるというふうに、実に社会の各階級の人たちを含むのであります。こういう零細な投資家が、今回の株式暴落によつて受けた打撃というものは、けだし想像に絶するものがあると思うのであります。これらの人たちは、まつたく泣くに泣かれず、政府にだまされたと言とつて、悲嘆に暮れているような状態であります。(拍手)かくして株式の暴落は、今日では單なる経済界の問題にとどまらず、実に重大な社会問題と化しているのであります。これでは、証券民主化とはまさに反対の状況に陷つたものであるといわねばなりません。
 そこで最近、政府はこれに対して何らかの対策を講ぜられているということが新聞紙上などで報ぜられておりますことは、おそまきではありますが、当然のことであります。また喜ぶべきことと思うのであります。しかしながら問題は、はたして伝えられるような政府の対策だけで処理できるかどうかでありまして、私といたましては、はなはだその効果を疑うとともに、憂慮にたえないものであります。そこで私は、特に池田大蔵大臣に対して、株価暴落に対する根本的な見解並びに現在とられようとする処置等につき二、三点質問をいたしたいと思うのであります。
 まず第一に、今回の株価の暴落に対して、大蔵大臣はいかなる見解を持つておられるかということを、お伺いしたいのであります。なるほど一般には、二十四年秋から増資が無計画に行われて、市場に重圧を加えたからであるというふうにいわれておりますが、はたしてそれだけの理由で済むのでありましようか。私のおそれておりますのは、実にこの株式市場の異変こそ来るべき大恐慌の前触れではないかという点であります。もしそうだといたしますと、なまはんかな株価対策などでは、とうてい解決できる問題ではなく、政府のこれまでおとりになつた諸政策の根本にまでさかのぼる必要があるわけでありまして、特に政府の急激なデフレ政策について、あらためて再検討する必要があると思うのでありますが、この点に対して、大蔵大臣はどうお考えであるか、明確な御答弁をお願いいたします。
 次に、政府が今回おとりになつた株価対策について質問いたします。まず、百億の預金部資金を市中に預託し、あるいは日銀の内面指導等によつて金融機関に買出動させようとする対策についてであります。私の疑問といたしますのは、金融機関は、はたしてどの程度まで積極的熱意を持つであろうかという点であります。なるほど銀行は、自分の貸出先の企業に対しては、あるいは増資を助けるため、あるいは資産保全のため株価のてこ入れをするかもしれませんが、それも結局は貸出しを円滑に回収せんがためでありまして、時期を見てまた売りもどすのは当然のことと思われます。その結果は、また一般投資家が損をするか、あるいは銀行の経理が非常に不健全なものにならざるを得ないという状態が生ずるでありましよう。さらに昨年の暮れは、銀行の貸出しは貯金の八、九割の額にまで上り、また今年の二、三月には、徴税強行のために大幅の資金難が必至であると思われるのであります。これらを勘案いたしますと、金融機関の買出動ということも、それほど期待できないのではないか、こういう考えを持つております。また行われ得たとしても、ほんの部分的の一時的なものに限られるのではないかと思いまするが、これに対して大蔵大臣はどういう御所信であるか伺いたいと思います。(拍手)
 第三に、これは最近の新聞紙上でも拝見いたしましたが、証券投資会社をつくらせるというようなお考えのようであります。これはまだ單なる御構想にすぎないのかもしれませんが、こういうものが、現状においては、はたしてどの程度の役割を演ずるでありましようか。市場の売残り株、増資を予定されている株等は相当にあり、さらに証券会社は厖大なる株をかかえて苦しんでいる現在、証券投資会社をつくつて、これらの相当部分を買い入れさせようとしても、ほとんど何らの能動的な役割を果し得ずに、動きがとれなくなつてしまうという結果になりはしないか、これをひとつお伺いいたしたいのであります。そのほか、いろいろな証券金融対策、あるいは増資を押えるとか、種々の方策がありましようが、これらはいずれも一時的な糊塗策にすぎないのではないかと思われます。何ゆえならば、株式は、結局は一般の投資家が消化しなくては、どうにもならないものだからであります。従つて、政府の今回おとりになる株価対策は、ほんの応急的、一時的なものにすぎず、根本的な対策はもつと他の所にあると考えられるのでありますが、政府のご認識はいかなるものでございましようか。すなわち私は、政府のあまりにも行き過ぎたデフレ的財政経済政策がその根本的原因であると確信いたすのであります。(拍手)またこれに関しては、見返り資金からの産業投資がいまだにきわめて不活発である点を見のがし得ないのでありまして、これは明らかに政府の怠慢によると言うほかはありません。要するに、極端なデフレ政策の修正、有効需要の喚起等による産業振興方策こそ企業を健全化し、株価を高めるゆえんであり、それによつて初めて国民多数に明るい希望を抱かせ得るものであると思われます。
 先ほども申しました通り、株式相場は一国経済のバロメーターであります。昨年暮以来の株価の大暴落は、最も正直に現内閣の財政経済政策の破綻を表示しているのではないでしようか。政府は、この点にもつと深い認識をお持ちになる必要があると思われますが、これに関する大蔵大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。
 以上をもちまして私の質問を終りたいと思います。(拍手)
    〔政府委員水田三喜男君登壇〕
○政府委員(水田三喜男君) 大蔵大臣にかわつてお答えいたします。
 まず、御質問の第一の株価の暴落原因でございますが、もちろんインフレを急速に押えようとする政策をとりました以上、若干そこに不円滑なところが生ずるのはやむを得ませんので、そういう影響も一部はございますが、やはり原因の一番大きいものは、昨年春の株高に引続きまして、五月以降全国に八箇所の証券取引所を設けましたために、この機をねらつて巨額の増資があり、大量の株式の売出しが行われた。これがやはり一番大きい原因だろうと思います。従つて相当な余剰株を生じて、市場への圧迫材料となつたことは事実と思いますけれども、要するに、これは時期的な調節みついて、われわれの指導に欠くるところがあつたということによるものでございまして、これが大恐慌の前ぶれであるという見方は間違いだろうと思います。
 その次の御質問でございますが、金融機関、ことに銀行の株式保有割合は現在非常に少うございますので、もつと銀行に株式を持たせても決して不健全な経営ではないと思われますので、政府は、年末以来銀行にどんどん買出動させて、同時に証券担保による金融を積極的に勧奬して来ましたので、これによつて株式の暴落をある程度ささえて、現在の通り相当に持直しになつて来たのではないかと考えております。その点は相当の効果があつたと思います。しかし御説の通り、根本的にこれを解決するためには、やはり過剰株式の買収・買取り保有を行いますとともに、また将来起り得る不消化株式に対しまして、一時保有する機関がどうしても必要だと考えられますので、証券保有会社とか、あるいは証券投資会社というような構想をもつて、政府は現在研究しておりますが、どういう規模において、どういう方針において、こういう会社を設立するか、この問題については、現在まだこれを御報告できる段階になつておりませんので、このことは御了承願います。
 次に、株式の値上りをするためには、ひとり直接証券市場への金融だけでは解決いたしませんので、私たちとしては、最も大きな問題は滞貨金融の解決を考えております。これは、先ほど申しました通り、政府の持つております食糧証券を日銀に売却する、それから金融債の償還を早める、こういう手によつて百五十億円という金を預金部から出し、さらに八十億円復金から金を出し、二百三十億円の滞貨金融の解決を、ここであわせて行うとともに、ただいま申しました株式対策の根本策について近く政府が措置をとることによつて、株価をりつぱに維持して、御心配されておるような事態に立至らさせないで済む、こう確信しております。
 以上、お答えを申し上げます。
     ――――◇―――――
○倉石忠雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、川上貫一君提出、最近におけるポツダム宣言違反に関する緊急質問、これをこの際許可せられんことを望みます。
○仮議長(庄司一郎君) 倉石君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仮議長(庄司一郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 最近におけるポツダム宣言違反に関する緊急質問を許可いたします。川上貫一君。
    〔川上貫一君登壇〕
○川上貫一君 私は、日本共産党を代表いたしまして、最近における日本政府のポツダム宣言違反の事実に関する質問をいたします。
 政府がポツダム宣言に常に違反し、民主主義を蹂躪していることは、枚挙にいとまがないと思う。本日この席で明らかに現われている。すなわち、野坂議員の弁明に対して議長はこの発言を禁止している。私は、これについては多く言いません。これが反動吉田内閣の姿である。與党民主自由党の根性なんだ。(拍手)
 さて、新聞紙の報道によりますと、政府は今回アメリカに対して海外日本代表部を設置されるようであります。これは、特定な一国との事実上の外交関係の復活である思います。かようなとりきめが、講和を結ばれない前に行われることは、第一に、日本の国民が今熱望している公正な全面講和の障害となるのではないか。第二には、これは明らかにポツダム宣言違反の疑いがあると思う。一体これは、どういう法的根拠に基いて行われるものであるか。これは日本政府の責任においておやりになるのであるか。あるいはまた総司令部の指令によつて行われるものであるか。またそのどちらでもないのか。
 聞くところによると、この問題は、かつて極東委員会において、ソ同盟並びにイギリス連邦その他の反対によつて、正式決定を見ておらぬと承つております。それにもかかかわらず、かくのごとき事実が行われることを見ると、政府は、口では何と申されても、事実において、正式の講和をも締結せず、ただうやむやのうちに次第に特定国との関係を復活する、そうしてそれに従属する方向を進めておると考えざるを得ない。(拍手)これが吉田総理大臣のやり方ではないか。これが吉田内閣のなしくずし講和ではないか。かようなやり方は、吉田内閣の常套手段だ。
 かつては阿波丸協定をおやりになつた。しかるに政府は、最近において、またまた外国との協定に参加した事実がある。しかも、このやり方は、阿波丸協定以上のものではないかと考えておるのであります。すなわち、去る十二月十六日ブラツセルに石田関税部長を派遣し、吉田総理の信任状を與え、秘密裡に万国関税率公刊に関する協定なるものに調印をしたと伝えられております。これは国会は何も知りません。このことは、去る一月二十三日、石田関税部長が、東京商工会議所における集会において、自分でその事実を明らかに発表している。そうして、石田部長はこうつけ加えている。こういうやり方によつて事実上の講和を積み上げて行くのであります、と言うておるのです。
 そもそもこの協定は、いかなる法的根拠によつて行われたものであるか、どういう基礎によつて結ばれたものであるか。これは明らかに憲法違反である。これはポツダム宣言違反であることは明らかである。講和会議の前に、かようなことが行われ得るのであるか。これは重大な問題でありますから、総理大臣の明確なる御答弁をお願いしたい。
 政府は、これと類似の協定を着々と進めてござる。このことは、その口実のいかんにかかわらず、その内心においては、かような事実をだんだんと積み重ねながら、その事実の上に、これと同様な方法で、特定国と、あらゆる形で、講和によらざる協定を積み上げる。そうしてしまいにこの手で軍事協定または軍事同盟をまで結ぼうとする下心があるのだと疑わざるを得ない。(拍手)
 吉田総理大臣は、各新聞によつて報道されている、日本国内の多数の陸海空軍基地に対する質問に対して、故意に、はつきりした答弁をなさいません。ポツダム宣言の精神は、日本の非軍事化、非武装化を要求しているのであつて、恒久的軍事基地の設定などは、宣言のどこに現われているであろうか。まして、政府が沖縄における軍事基地の強化のために莫大なる物資と多数の人員を動員するごときは、明らかにポツダム宣言違反である。(拍手)この点に関して、内閣総理大臣のはつきりとした御所見を伺いたい。
 同時に政府は、特に最近において、はなはだしく排外思想を黙認し、これを助長する態度に出ておられる。すなわち、本国会におきましても、講和を妨害するものはソ同盟であると言い、ヤルタ協定を否認し、カイロ宣言を誹謗し、失地回復の暴言をなしたものは、ことごとく與党である。(拍手)このことは、言うまでもなく、かつてヒトラーが、軍事侵略の野望のために失地回復を煽動した事実を彷彿せしめるものがある。神経が麻痺してしまえば、かようなことが笑つて聞かれるかしらぬが、ほんとうの日本人ならば、これを真劍に考えなければあれない。かような政府であるからこそ、一方警察、消防の軍隊化をやつている。そうして共産党の弾圧をたくらんでおる。
 民主自由党の花村法務委員長は、本日、北日本におけるいわゆる怪火事件なるもに藉口し、公然と暴力団体と共産党とを結びつけている。この反動者にとつて恐ろしいのは共産党である。第三次世界大戰を準備する反動勢力にとつては、共産党が最大の敵である。何とかして共産党に致命的な打撃を與えることが必要である。もしかりに共産党をつぶすことができたならば、平和と全面講和を要望する民主的勢力を粉碎することは容易であろう。これはちようど、ヒトラーがフアシズムを実現し、戰争を準備するために、まず第一にドイツの共産党を解散したことがある、その次に、社会民主党その他のすべての民主的なものを消滅した。このヒトラーの戰術を、反動勢力は、今民主主義の名をもつて日本に再現しようとしておるのだ。(拍手)
 かくして吉田内閣は、一方においては日本の軍事的復活を助長し、他方においては、ポツダム宣言を忠実に履行しようとする人民勢力、その先頭に立つて闘つておる共産党を弾圧しようとしておる。そうして吉田内閣は、自分でたくらんでおるところの公正でない單独講和、いな單独講和さえも締結せず、なしくずしに特定国との関係を深め、これに隷属する方向を、しやにむに強行しておるではないか。(拍手)これが吉田内閣、その與党の性格であろことを、われわれは、ここではつきり申し上げたい。
 しかしながら、この気違いじみた陰謀が成功する見込みは日々薄らいで来ております。昨年以来、世界の情勢は一変しました。社会主義と人民民主主義の勢力は、世界の総人口の約半数を占めております。この世界の民主勢力は、決して日本に軍事基地を求めてはおりません。日本の平和と独立を保障するために、日本の人民に積極的な援助を與えております。(拍手)この現象は、外国だけのことではありません。去る八日、京都において行われた市長選挙で、民主自由党の推す候補者が落選して、社会党と共産党その他の民主団体の支持した統一戰線候補者が当選しておる。これは何を示すのであるか。それは、わが国を再び戰争に巻き込もうとする吉田内閣と、その背後の大勢力とに対する打撃なんだ。(拍手)平和と前面講和の勝利なんだ。人民の勝利なんである。かような政治を続けておる吉田内閣は、根性をかえて、今日以後ポツダム宣言を守る性根玉が出るかどうか、これをお聞きしたい。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
○国務大臣(吉田茂君) 川上君にお答えをいたします。
 近ごろ、アメリカ政府の勧誘によつて、アメリカのホノルルその他において、しばしの代表機関を設けますが、これは外交機関ではないのであります。單なる事務を処理する、在留民その他の国籍党等を取扱う、いわば事務的村役場のごときものを置くことになつておるのであります。便宜のためであります。外交機関ではないのである。
 また、軍事基地々々々々と言われるが、これは條約を見れば、よくわかるのである。占領下の日本において、連合軍司令部がいかなる軍事施設を持つておるか、これは連合軍の権限であります。(拍手)
 また、いろいろお話があつて、全面講和をするためにとか何とか言わるるけれども、これはあなたの御想像であつて、いかに想像せられても、あなたの臆説に私は答える義務はないのであります。(拍手)
○仮議長(庄司一郎君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十五分散会