第007回国会 本会議 第20号
昭和二十五年二月二十八日(火曜日)
 議事日程 第十八号
    午後一時開議
 第一 地方税法の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
 第二 日本学術会議法の一部を改正する法立案(内閣提出、参議院送付)
 第三 食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計(内閣提出)
 第四 自由討議
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 地方税法の一部を改正する法立案(地方行政委員長提出)
 日程第二 日本学術会議法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
 中ソ條約成立に際して我国の外交政策のあり方に関しての緊急質問(山本利壽君提出)
 中ソ條約に関する緊急質問(志賀義雄君提出)
 国鉄裁定の効力に関する裁判所の判決に関する緊急質問(猪俣浩君三提出)
 地方税法の一部を改正する法律案(本院提出、参議院回付)
    午後一時五十分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議もなしと認めます。
 日程第一、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨答弁を許します。地方行政委員長中島守利君。
    〔中島守利君登壇〕
○中島守利君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について、その提案理由並びに要旨を御説明申し上げます。御承知のように、地方税制度につきましては、シヤウプ勧告に基く画期的改革が行われようとしているのでおりまして、その全体的構想も、ほぼ明らかになつて参つたのでありますが、そのうち特に入場税の税率軽減、不動産取得税の廃止のごときは、その方面としては、まことに当然の改正でありまして、国民一般がその実施の一日もすみやかならんことを要望して参つたところであります。地方行政委員会といたしましては、かくのごとき世論の帰趨を察知して、前国会においても、その早急な実施をはかるべく法律案の提出準備をいたしたのでありますが、諸般の情勢から、その実現を見るに至らなかつたのであります。やむなく政府の地方税法改正法律案の早期提出に期待をかけて今日に至つた次第であります。しかるに、右法案はいまだに提案の運びに至らず、しかもその国会における審議には相当の日子を要することが予想されるのでありまして、このままで推移いたしますならば、入場税の引下げ、不動産取得税等の廃止を、おそくとも三月一日から実施したいというわれわれの希望は、まつたく実現し得ない事情になつたのであります。本委員会は、これを遺憾として、国会独自の立場から本法律案を起草し、去る二月二十五日の委員会において、各党各派の賛成を得て、満場一致これを可決し、ここに提出いたす次第であります。
 次に、本法案の内容を簡單に御説明申し上げますと、まずその第一点は入場税に関するものでありまして、従来市町村が賦課しておりました入場税の附加税を廃止して都道府県税一本に改めたこと、これが一つ。さらにその税率を百分の百五十から百分の百に軽減し、博覧会場、展覧会場、遊園地等に入場する者、または運動競技で、学生その他アマチユアの行うものについて観覧料を徴する場合においては百分の四十とすることに改めたのであります。わが国の入場税が世界最高と称せられる高率のものであることは一般の常識でありまして、国民文化の向上、健全娯楽の普及を著しく阻害して来たことは、いまさら申すまでもありません。今回の改正は、税率引下げの点において決して満足なものではないのでありますが、早急実施を主眼とした関係上、さしあたりこの程度にとどめ、地方税法の全面的改正の機会において一層の軽減をはかりたいと考えているのであります。
 なおこの際つけ加えておきたいことは、入場税の本年三月分の收入は昭和二十五年度の歳入に繰入れられるものでありますから、三月一日から改正を実施しても、この地方団体の本年度予算には何ら影響がないという点であります。
 改正の第二点は、不動産取得税及びその附加税を初めとし、自動車税における自動車の取得、漁業権税における漁業権の取得、その他の税目についての取得に対する課税をすべて廃止したことであります。これは取引高税の廃止に始まる流通税一般の撤廃という、わた国税制の一大変革の一環をなすものでありまして、資産の移転を円滑にし、その経済的利用を増大せしめようとする趣旨に基くことは申すまでもありません。
 最後に、本法案は明三月一日より実施すべきものといたしたのであります。
 以上、大要の御説明をいたしました。諸君の御賛成を希望いたします。
○議長(幣原喜重郎君) 別に発言の通告もありません。ただちに採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二、日本学術会議法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文部委員会理事圓谷光衞君。
    ―――――――――――――
    〔圓谷光衞君登壇〕
○圓谷光衞君 ただいま議題となりました日本学術会議法の一部を改正する法律案について、本案の概要、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、去る二月十七日、参議院より本院に送付され、文部委員会に付託となつたものでありまして、第二回国会において制定されました日本学術会議法のうち、次の二点につき改正しようとするものであります。
 まずその第一点は、日本学術会議の会員が国会議院と兼職できるようにしようとするものであります。すなわち従来は、日本学術会議の会員である者が衆議院議員に立候補しようとする場合には、衆議院議員選挙法の規定によりまして、その職を辞さなければならなかつたのであります。また参議院議員になろうとする場合にも、選挙に当選した後において、どちらか一方の職を辞さなければならなかつたのであります。なおまた、すでに国会議員である者が日本学術会議会員になろうとするときは、国会法の規定により、国会の議決に基いて初めて兼職が許されたわけでありますが、今回は、それらの不便を除きまして、会員は国会議員を兼ねることを妨げないと規定しようとするものであります。
 次に第二点といたしましては、日本学術会議の会員の選挙権及び被選挙権の認定の基準を明らかにしたのであります。すなわち従来は、科学者として選挙権及び被選挙権を有する者の認定が、その人の研究論文もしくは業績報告またはこれにかわるべき所属の学会もしくは研究機関の責任者の証明により研究者であることが証明された者と規定されていたのであります。しかしながら、今回の改正案におきましては、科学者としての研究業績を客観的公正に判断できるような研究論文または業績報告のみにおり研究者であることが認定される者でなければならないとし、その認定を行うものを選挙管理会と規定いたしたのであります。
 以上が本法案改正の要旨並びに内容であります。
 さて文部委員としましては、本案について慎重に審議をいたしました後、本改正案の趣旨の妥当なることを認めまして、討論を省略して採決に入り、全会一致をもつて原稿通り可決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただちに採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第三、食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長川野芳滿君。
    〔川野芳滿君登壇〕
○川野芳滿君 ただいま議題となりました食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案につき、大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 この法案は、昭和二十五年度において、食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするため、一般会計から二十六億九千二百一千円を限りこの会計に繰入れることができる旨を規定しておるものであります。農業災害補償法第十二條の規定によりますと、食糧管理特別会計は、農業共済組合の組合員の支拂うべき農作物共済にかかる共済掛金の一部を負担し、この負担金は、食糧消費者が負担するよう食料の売渡し価格に織り込むことになつておりますが、食糧消費者価格の値上がりに伴う家計費に及ぼす影響等を考慮いたしまして、昭和二十二年度から、この負担金を食糧消費者に負担させないようにすることができる臨時的措置を講じて参つております。昭和二十五年度におきましても、同種の臨時的措置を講ずるよう別途法的措置が予定されておるのでありますが、これに伴いまして、食糧管理特別会計から共済掛金の一部負担金として農業共済再保險特別会計に繰入れます二十六億九千二百一万一千円を限り、一般会計から食糧管理特別会計に繰入れることができるようにいたしまして、この会計に生じまする歳入不足を補填しようとするものであります。
 以上が、この法案の内容並びに提出になりました趣旨でありますが、この法案は、二月七日、本委員会に付託され、翌八日、政府委員より提出理由の説明を聴取し、二月十四日より数日にわたり、各委員より、主食の生産者価格と消費者価格との開きの内容並びにその圧縮可能性、食糧配給公団の業務状況及びその経理内容、輸入食糧の見通し等について熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細につきましては速記録に譲りたいと存じます。
 次に、二月二十五日討論にはいりましたところ、前尾委員は民主自由党を代表して、食糧管理特別会計の運用、食糧配給公団の運営については、政府は慎重を紀欠期し、冗費を節約し、消費者価格の低減をはかるべきであるが、この法案に関する限り、将来は別として、この種の歳入不足を消費者負担とすることは策を得たものではないから賛成する旨を述べられ、川島委員は社会党を代表して、租税は公正適切であると同時に、その使途は国民の納得でいるものでなければならない。この法案における金額の使途は、表面上納得できぬものではないが、裏面における食糧管理特別会計の操作運用については納得できむものがある、独立採算制ならば、一時借入金をもつて補填できるものである、この意味において本法案に対しては反対である旨を述べられ、宮腰委員は民主党を代表して、法案の費目については反対の理由を認めないが、食糧管理特別会計、食糧配給公団の内容を検討してみると、いろいろ不審の点がある、従つてこれを国民の血税をもつてまかなうことは反対である旨を述べられ、竹村委員は共産党を代表して、法案そのものには問題はないが、中間経費の縮小、供米買上げ値段の適正、繰入食糧に対する補給金の減少等の方法によらないで、一般会計からの繰入金によつて消費者の負担をなくしようとするのは、食糧政策に対する無方針を隠せんとするものである、この意味において本法案に反対する旨を述べられました。
 次いで採決に入りましたところ、起立多数をもつて、本法案は原案の通り可決いたされました。
○議長(幣原喜重郎君) 本案については討論の通告があります。これを許します。田中織之進君。
    〔田中織之進君登壇〕
○田中織之進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案に対しまして反対の意思を表明せんとするものであります。
 農業共済再保險の消費者が負担すべき保險料金を消費者価格に転嫁することは、現在の米麦の消費者価格が非常に高くなつておる現状から見まして、さらに消費者価格を引上げることは適当でないから、一般会計から二十六億九千二百一万円を繰入れしようとするのが本案の趣旨でございます。これは一見きわめて妥当な処置に見えるのでありますが、しかしながら、われわれが現在行われておれいますところの米麦の消費者価格を検討してみまする場合に、農民から一石四千二百五十円で貰い上げたところの米が、食糧配給公団の手から消費者に売り渡されるときには、実に二千円からの開きがあるのであります。従いまして、農再保険の消費者負担分は、むしろこの消費者価格の節減によりまして当然生み出すべき筋合いものであるというのが、われわれの本法案に対して反対するおもなる理由でございます。
 消費者価格に転嫁することを避けると申されますけれども、一般会計から食糧管理特別会計に二十六億九千万円を繰入れるということは、一万において国民の血税をこれに充当することになるのでありまして、消費者のみならず、一般国民に対してこの保険掛金を転嫁することにひとしい結果に相なるのであります。われわれは、これは断じて承服できないのであります。
 ことに食糧管理特別会計は、年間四千八百億という厖大なる予算を持つており、またこの食糧特別会計から消費者に配給するところの機関でありまする食糧配給公団の予算を見ましても、これまた四千三百六十億という厖大なる額に達するのでありまして、われわれは、今審議中の予算案を検討いたしまして、やはりここにも大きな冗費が含まれておることを指摘せざるを得ないのてあります。従いまして、当然の筋合いといたしまして、現在の二千円からの開きのある消費者価格をつり上げるということには、われわれはあくまで反対するものでございます。
 同時に、現に貿易特別会計から食管特別会計が受入れる価格と、食管特別会計から食糧配給公団が食糧を買い入れる価格との間に三十数億の開きがある。この点につきましては、大蔵省の主計当局が、その三十数億の開きがあいて、具体的にわれわれを納得せしめるだけの説明ができない。また食糧配給公団の経費九百億のうちの約三分の一が包装費その他の経費であるというような点を検討して参りますならば、農再保険の関係で消費者負担分二十六億九千万円を補填する必要ありといたしまするならば、この食管、食糧配給公団の両会計の圧縮によりまして、当然補填できるものとわれわれは信じまするがゆえに、政府はすみやかに一般会計から繰入れることをとりやめられまして、これら消費者価格の再検討並びに食管、食糧配給公団予算を再検討いたしまして、これから二十六億九千万円を捻出すべきであるということを主張いたしまして、わが社会党とい心しましては、遺憾ながら本法案に反対の意思を表明するものでございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 宮腰喜助君。
    〔宮腰喜助君登壇〕
○宮腰喜助君 私は、民主党を代表いたしまして、次の理事によしまして、食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入れに関する法律案に対して反対するものであります。
 本案は、一般会計から繰入れをなさんとする金銭の使途は、農業災害補償法第十乗の規定によりまして、農業共済組合員の支拂うべき農作物共済にかかる共済掛金の一部をこの金融において負担し、さらにこの負担金は、食糧消費者が負担するよう食糧の売渡し価格に織り込むことになつておりますが、食糧消費者価格の値上げに伴う家計費に及ぼす影響等を考慮いたしまして昭和二十二年度から引続き、この負担金を食糧消費者に転嫁させないことができるとり臨時措置を講じて来たのでありまして、昭和二十五年度においても同様の臨時措置を講じい、一般会計から本特別会計に二十六億九千万円を繰入れせんとするもりであります。
 本案は、一応りつぱな目的に使用せんとするごときではありまするも、その裏面には、種々の疑問を持たれる点があるのであります。政府は、第六国会以来、たびたび一般会計よりする特別会計への繰入れの法案を提出して来たのであります。ことに需給特別会計のごとき、赤字五十六億を補填せんがために、国民の血税によりこれをまかなわんとしたのでありますが、野党はこれに大反対をいたして来たのであります。食糧管理特別会計、この薪炭特別会計とは性質を異にするものではありますが、根底においては、同様に幾多の不合理な点が伏在しておるのであります。
 食糧管理特別会計の予算並びに食糧配給公団の予算表を研究してみてもわかるのでありますが、たとえば生産者価格と消費者価格との中間経費が多過ぎるのであります。二十三度、石当り二百三十五円であつたものが、二十五年度には二千五百円となつております。米価審議会では一千円以上は上げないという條件になつておるにかかわらず、こういうぐあいに変更されておるのであります。また人夫費の五億二千万円の支出のごときも、公団職員の合理的な配置によつて相当額の節約ができるのであります。また公団に建物所有権がないのに修理費一億円を支出する予算を計上したり、またあき俵、から袋等の容器回収手数料に五億数千万円を出しておるのであります。われわれは、この点に至りましては、まつたく疑問を持つて来るのであります。たとえば、一応配給所に食糧を輸送したトラツクで、その帰り車で容器回収が可能であるにかかわらず、特別に輸送会社をつくりまして、この団体に厖大な手数料を拂つておるのであります。その問題については、委員会も相当論議講じたのであります。また麻袋だとか、あるいは粉袋等は、食管特別会計等にも出て来たり、配給公団予算にも現われ、重複の疑問を持つのであります。また公団予算表には、むか代金として、一マル公六十五円四十八銭として計四億四千七百五十万円を評上しておるのであるが、実際にはマル公を改定して、一俵百九十円で売却し、計十五億余円となるべきに、十億円以上故意に予算表に記載していないのであります。この問題については、予算の組みかえをしてほしいのだということを再三要求したのであります
 一方また、報喫物資を地方農業協同組合に送つておるのであります。しかし、地方の金詰りと、この物品は旧税決の物品税の税込み価格で処理している関係上、現在の市場価格より高いものがあるのでありまして、農村では引取方を回避しておるのであります。ために政府は、この財政損失を来す危険が十分あるのであります。また政府は、昨年定員法によりまして、公団職員六千人ぐらいの人員整理をやつたのでありますが、その後、延人員四万八千人くらいの臨時職員を雇つておるのであります。これがため、昨年度の早場米奨励金七十億円を支拂う準備そしておつたのでありますが、定員法の人員整理のために手不足となりまして、二十八億円を残して、生産者に迷惑をかけておるのであります。来二十五年度三月には、食糧公団の廃止等があり、しかも昨年度より多くの予算を計上し来つた点並びに経理上に種々の疑問を持つて来るのであります。
 本法案の題目はりつぱでも、その裏面を考えると、一般国民の血の出るような税金によつてこれをまかなわんとする意図があるので、われわれは絶体にこの法案に反対するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 竹村奈良一君。
    〔竹村奈良一君登壇〕
○竹村奈良一君 私は食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法立案に対しまして、日本共産党を代表して反対するものであります。
 本法案そのものは、農産物の共済掛金の一部を消費者に負担さすことなく、一般会計から二十六億九千二百一万一千円に限り繰入れるという、もつともらしい理由をつけておるのであります。しかしながら、はたしてこれだけの金額を一般会計から繰入れなければ消費者価格を引上げればならないのでありましようか。決してそうではないのであります。これは現政府の食糧行政に対するところの無能力と、自主性のない無方針が原因であります。
 まず第一にあげられるのは生産者価格と消費者価格の差でありまして、昭和二十三年は、中間経費が石当り二百三十五円あり、二十四年度には、その差はますます大きくなつておる。そうして、現在では石当り二千五百円で、本年度の米の中間経費の総額は約六百六十二億という厖大なものであります。これは毎年増大の途をたどつているのであつて、米価審議会の、中間経費を一石一千円にとどめよという條件すら無視され、その倍以上も使つておるのであります。
 第二の点といたしましては、二十四年度におきますところの農家の供出せる米の等級は、検査制度の強化によつて、二十三年度は一、二等が七割強であつたのでありすが、本年は、一、二等が二割で、三、四等が――しかも五等をこしらえて、これが八割に達しておるのであります。従つて、米の買上げ値段は、一等米と四等米の差は石当り四百円の開きがあり、等級の差において、昨年に比較すれば買上代金に相当な影響があり、それだけ中間利が大きくなつているのであります。これに対して政府は、三等、四等、五等の米を配給しながら、消費者価格を引下げないのみか、この点に関して、政府は委員会におきまして、その額は大したものではないと言明しておるのであります。しかしながら、かりに米の供出量の八割を一、二等で買い上げるのと、三等、四等、五等を八割にするのとでは、その代金で約百億円の差があるのであります。これだけは、昨年と比較するならば、米の質の悪い分を代金として百億円だけ多く負担してるのでありまして、この点から見ても消費者価格を引下げるべきが当然であるにかかわらず、政府は何らの手段も講ぜずに、国民の血税によるところの一般会計から繰入れ、そうして消費者の負担を軽くするのだとは、欺麟もはなはだしいといわざるを得ないのであります。
 第三点は輸入食糧であります。政府は、二十五年十一月一日への食糧持越量を二百九十万六千トンと予定しているのでありますが、そのため三百七十万トンの輸入を考えているりであります。しかし、現在世界の食糧事情は、農産物生産の増大によつてますます好転しているのが現状であります。その一例といたしまして日本経済新聞二十日付の報ずるとろによるならば、アメリカにおいては、戦前は実施されていたが、ここ十年間はけたはずれの需要のために必要のなかつた生産制限、すなわち小麦、綿花、とうもろこし、米などの主要農産物の作付面積の制限を受けることになつていみということが報ぜられているのを見れば、これで判然とするのであります。
 しかるに政府は、この世界的な農産物の増大の折、あえて食糧の持越量を増大させるために輸入の増加を企図して、国内では、いも類の主要食糧としての利用を考えずに、食糧輸入のために四百五十六億の補給金を計上しているのでありますが、これこそ政府の食糧行政に対する無能を遺憾なく暴露しているところの証拠であります。
 たとえば、本年度の国内需給を見れば、持越高を百万トンに押えるならば、輸入食糧は約百九十万トン減ずることができるのでありまして、そういたしますならば、補給金は約二百二十億円が不要になるわけであります。これを国内生産者にまわすならば、米の供出価格は行当り四千九百八十円とすることができるのでありまして、これは米価審議会が答申しておりますところの一石四千七百円より上まわることができ、そうして消費者にも何ら値上げする必要がないのであります。またこれを肥料補給金にまわすならば、本年八月から七割値上げされるという肥料の値上げ総領は、概算で約二百三十億余でありますから、肥料の価上げもする必要はないのであります。
 この事火に見られるように、政府は、世界食糧生産の増大と上昇のもとに、先行き安くなる明るい食糧事情にある折、あえて手持食糧を増大し、高いときに多くの外国食糧を買い、国内生産者には低米価を押しつけ、いも類の利用、すなわち国内食糧の活用を怠り、米麦だけの強制供出をしい、消費者には高い価格で売りつけ、国民の血税を惜しげもなく外国食糧の輸入に向け、消費者に配給量をすえ置き、ひたすら食糧の国内手持ちの増大に努めているのは、一体何を意味するのかと言いたいのであります。(拍手)政府は戰争準備をするというりであれば、食糧貯蔵も必要となりますが、そうでないならば、将来やすくなるであろう外国食糧を、手持ちを増大さすために、必要以上に編入する必要がどこにあるかと言いたいのであります。このことは、農政に対する無方針の現われであり、国内食糧自給体制の諸方針、なかんずく開墾、干拓、土地改良を怠り、日本農業を破滅に導く悪性といつわざるを得ないのであります。(拍手)
 この意味において、わが党は、食糧行政の根本的は改革を要求する見地から、本法案に反対するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論ほ終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本利壽君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、山本議を提出いたします。すなわち、山本利壽君提出、中ソ條約成立に際して我国の外交政策のあり方に関しての緊急質問、これをこの際許可されんことを望ます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 中ソ條約成立に際して我国の外交政策のあり方に関しての緊急質問を許可いたします。山本利壽君。
    〔山本利壽君登壇〕
○山本利壽君 吉田首相は、二月二十一日の政府與党連絡会の席上において、最近の国際事情に言及し、局外中立とか、永世中立などという消極的な態度ではなく、戦争をなからしめるために、諸国民に平和愛好の道をたどるおうにさせるとの気概を、われわれは持たなければならない云々と述べられたとのことであります。平素、外交問題に関してあまりに消極的であり、むしろ退的であると考えていたわれわれは、突如その首相の口からこの言葉を聞いて、驚きもし、かつ意を強くいたした次第であります。しかしながら、今日まで一つとして、外交問題に対しては、積極的な手段が講ぜられていないように思うのでありますから、この際、今回の首相の言明が、いたずらに口頭に終わることなく、わが国の外交を根本的に刷新していただきたく、二、三の重要問題について御質問申し上げる次第であります。
 敗戦以来、わが国は四等国、五等国と呼ばれ、国民もまたかく呼ばれて、その地位に甘んじているかに見えるのでありますけれども、軍備こそ持たざれ、われわれは八千万の人口を有する一大民族であるということを忘れてはなりません。(拍手)米国、ソ連、中華民国、インド等に及ぼすとするも、地球上約八十箇国の中で、八千万の人口を有するものが幾つあるでありましようか。しかも、この八千万の人々が、敗戦以来依然として軍国主義の衣を脱ぎ捨てて、文化国家、民主主義の方向へ進みつつあるのでありまして、われわれは、世界平和、人類福祉のために貢献するの日の近いことを念願している次第であります。
 しかしながら、この民族はいかにしで守らるべきでありましようか。昨秋以来、わが国の自衛権につきては、本国会並びに世上識者の間にいろいろの論議がかわされたのでありますけれども、吉田首相も、今年に入つて、わが国には自衛権がありと言われている。しからば、万一の場合、わが国の自衛権はいかなる形において発動せられるおかと質問すれば、その時が来てみねばわからぬ、仮定の問題には返答いたしかねる、とのことであります。しかしながら、この答えはまことに明瞭でありまして、万一わが国土が他の民族による戦場と化する場合には、われわれは、その一方にくみして戦うか、あるいは二つにわかれて、双方国民同士が殺するか、この二つに一つでありまして、理論的には傍観することが考えられますけれども、今日の現状においては、われわれは決してそれを許されないのであります。
 しかしわれわれは、新憲法によつて、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を自覚するのであつて、平和を愛好する諸国民の公正と審議に信頼してわれらの安全と生存を保持しようと決意して、ここに戦争を放棄したのであります。無防備にしてこの目的を達するがためには、わが国土が戦場と化してからでは、すでにおそいのであります。(拍手)国際的緊迫感をわれわれの身辺にいささかでも感ずるときに、われわれは声を大にして、絶対的平和手段によつて完全なる民族の独立を熱望するものであるということを中外に向つて繰返し繰返し宣言すること、すなわち、このことのみがわれわれに残されたる自衛権の発動であると私は考えるのであります。(拍手)
 かくすることによつて、国内的には、再び軍国の夢に誘われがちの人々の心を正道に呼びもどし、諸外国に向かつては、その公正と審議の念を起こしてもろうよすがともなり得るのであります。
 今や欧州においては、一応二大勢力の均衡が出き上り、国際的紛争の舞台はアジアにまわつて来たのでありますが、この際にあたり、吉田首相は、ただいま私の申し述べました自衛権の観念のもとに、この国会の壇上より、あるいは新聞、ラヂオその他を通じて、わが国の立場を大胆率直に繰返し宣明する意思があるかないかということを、まず第一に伺いたいのであります。(拍手)
 次に、二月十四日モスクワで調印せられましたる中ソ同盟條約締結に対してでありますが、新聞紙の伝うろところによれば、その内容は、日本帝園主義復活と、その協同国の侵略阻止に当らというのであります。言葉をかえるなれば、日本及び日本に協同するところの国を仮想侵略国としての條約であります。無防備であり、占領軍のさしず通りに、政治も経済も文化も、すべてその通りにわれわれは従いまして、文北国家の育成をひたすら念願しておるのに、われわれは何がゆえに他国から仮想侵略国と見なされるのでありましようか。その理由は二つ考えられるのであります。
 その一つは、わが国の人口過剰ということであります。ある国から武器を與えられるならば、日本は立ちどころに数十万、数百万の大軍を編成し得るという、疑心暗鬼によるものと私は考えます。この国際的な疑念を取除くためには、国際的信義と善意によつて、わが国の人口を、世界中、南米諸国であるとか南方各地、あるいはわが国民を入れるところの余地が十分にある地方に向つての移民としての移動を考えるべきであると考えます。現在、ハワイその他南北アメリカにおいては、日本人は五十五万を算しておるのでありますけれど、日本人の移民と、しての優秀性は、これらの人々がよく証明しておることと考えます。
 支那事変以来、朝鮮、満州、北支等へのわが民族の移動は、これは特殊なものといたしまして、明治三十一年より昭和十年までの数を調べてみれば、移民として約五十七万、非移民として八十万余、合計百三十七万の人々が海外に渡航いたしたのであります。しかるに、敗戦の今日においては、約六百万人のものが送還され、四割三分の国土を失つたあとへ、われわれはひしめき合つておるのであります。このことが日本の経済を困難ならしめ、さらにひいては世界の疑惑を招くというのであれば、この際吉田首相は、声を大にして、われわれを援助しつつあるところの連合国に向つて、われわれの過剰人口を移動せしめることを懇請すべきであると私は考えるものであります。(拍手)
 この点に関して、吉田首相は、移民問題は講和問題解決後であるということを言われるけれども、われわれは、貿易関係その他の問題と同じく、これは講和会議をまつまでもなく、世界平和のため、日本再興のために考慮していただくことを要請して一向さしつかえないと考えますこの点に関しての吉田首相の御見解を承りたいのであります。
 第三には、わが国が中ソより仮想侵略国として扱われるいま一つの問題、わが国土が他国の艇事墓地化しつつあるのではないかという疑念があるかのようであります。(拍手)この点に関しては、二十三日の外務委員会においても議論せられたのでありますけれども、かかる論議は、たちまちにして祉上に流布されがちのものでります。でありますから、首相の考えておられるごとく、さようなことはないということを言明し得るならば、この壇上より中外に向つてその不安を一掃されたいことを念願するものでありますこれが私の問わんとする第三のポイントであります。
 終戦以来、米国初め連合国諸国のわれわれに與えられた数々の好意は、まことに感謝にたえないところであります。あらゆる方面におけろ保護、物交の援助、海外同胞引揚げに対する便宜、近くは日本人戦犯者に対する減刑・釈放等、この好意と援助によつてのみ、われわれは敗戦の廃墟のさ中から再び立ち上ることができたのであります。私自身アメリカに居住したことがありますけれども、米国は真にキリスト教の国、自由の国、平和愛好の国でありますから、わが民族の完全なる独立と絶対的平和手段を堅持することに対しては、必ずや満腔の支持を與えられることと確信するものであります。他方ソ連邦におきおしても、われわれの新憲法制定にあたつては、これが指示と監視を連合国の一員として與えられたことを考えますときに、われわれが憲法に従つて主張し行動することには何らさしつかえないと感ずるのであります。
 しかるに、この二大勢力が、今や、明白に対立いたしまして、冷たい戦争を続けておるのであります。場合によつては熱い戦争に突入するかもしれないというふうなかん事を世人に與えていることは、まことに遺憾しごくと存ずるのであります。何となれば、この二大国の融和なくしては、われわれ日本人に真の平和はありません。また原始爆弾を保有するこのニ大国の融和なくしては、單にわが国のみならず、全世界に真の平和はないと感ずるものであります。わが国を除き、ほとんどすべての国が武器を持つておりますけれども、おのおの自分の国の治安維持には役立ちまいようけれども、その軍備は、今や原子爆弾を持たざる場合に何らの意義を有しないのであります。かりに原子爆弾を持たない二つの国が戦いに入つたとしても、その一方にソ連または米国が加担いたしました場合には、その戦争に入つた原因のどちらが正しく、どちらがよこしまであるということは問題外にして、そのいずれかの国が味方した方が、たちまちに勝利を得るのではありませんか。米ソを除いてすべての国家は、今こそ武器を捨てて無防備の国家となり、米国並びにソ連に向つて、原子爆弾を使用しないことを要請すべきであると考えるのでありますが、個人の場合と同じく、国家においてもさんたんたる味わいを味わわないうちな、なかなかその道に出ることはできないと考えるのであります。
 ここにおいて、この地球上において原子爆弾の洗礼を受けた者は、わが日本人のみであります。武器を持たずして、しかも経済的に薄弱なる日本人から原子力の管理を説くことは、まことにおかしいように思われるかもわかりませんが、われわれ日本人こそ、原子爆弾の惨害がいかにひどいものであるかということを述べる資格のある唯一の国民であると、われわれは考えるのであります。今こそ、わが民族の先頭に立つ吉田総理大臣兼外務大臣こそ、あの爆弾によつて死んだ多くの人人の魂と、その残した遺族と、手を失い、足を失い、さらに顔面をひきつらせて、この苦しい世の中に生きている人々の声を代表して、大きく原子爆弾の惨害を世界に説いて、しかしてソ連及び米国に向つて、原子爆弾の使用禁止並びに今後の原子力の国際管理を要請すべきではないかと考えるものであります。この意味において、この件に対して吉田総理大臣の御見解を承りたいと思うのであります。
 一体吉田総理は、多年……
○議長(幣原喜重郎君) 山本君、お約束の時間はすでに過ぎております。
○山本利壽君(続) 外交官としてわが国の権威者でありますけれども、先般の外務委員会において、すべては自分の勘によつてやると言われたのでありますれけれども、戦争時代、わが国の軍閥が、いかにその勘を過信してわが国を滅亡に導いたかということを考えるときに、この大切なる外交の問題に関しては、單なる首相の勘によることをわれわれは不安に思うのであります。よろしくわれわれの言、すべての者言葉を聞かれまして、すべてを国民の前に明確に立て、われわれの負託に沿われんことを要望し、私の質問演説を終るものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 吉田首相は、ただいま、やむを得ない用件のために出席ができませんが、政務次官が見えております。質問の要旨は政務次官から首相へお伝えを願うこととして、総理大臣は適当の機会に答弁せられるよう議長においてとりはからうことといたします。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、志賀義雄君提出、中ソ條約に関する緊急質問、これをこの際許可されんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 中ソ條約に関する緊急質問を許可いたします。志賀義雄君。
    〔志賀義雄君登壇〕
○志賀義雄君 大事な中ソ友好同盟相互援助條約に関するこの緊急質問のときに、吉田首相がやむを得ない事由でここへ出られないというのは、これ吉田首相の国会軽視の一つであると思うのであります。(拍手)
 去る二月十四日、中ソ友好同盟相互援助條約が締結されましたが、第二次世界大戦において、ナチス・ドイツと軍国主義日本とに対し、最も長期にわたり、かつ両国軍の主力を引受けて、遂にこれを倒して、世界をフアシズムと軍国主義、すなわち全体主義の支配から救う上に決定的な役割を演じたソ同盟と中国とが、この條約を結んだことは、日本にとつても重大な影響があるところで、これは何人も認めておりますが、特に日本共産党は、これが全面講和、公正な民主主義的講和の即時締結を推進する偉大な力であることを認めて、全面的にこれを支持するものであります。(拍手)しかるに吉田首相は、先日の外務委員会で、竹尾委員の質問に答えて、それが中国以外に出て、東亜の、少なくとも日本にどういう影響を生ずるか、私は影響はないと思います。と答えているが、これは世界の大勢に吉田首相が暗いという無知から生れた言葉ではなくて、まさに詭弁と欺とでありあます。
 條約の前書きに、はつきりとこう書いてある。日本帝国主義の再起、及び日本あるいはいかなる形式にせよ侵略行為の上で日本と結びつくいかなる国家の新たな侵略をも防止する決心を持つと言い、また第一條には、日本あるいは直接間接に侵略行為の上で日本と結びつくその他のいかなる国家の新たな侵略とも、また平和の破壊をも制止する、と書いてあります。
 武力を持たない日本がソ同盟や中国を侵略することはあり得ないという弁解が、社会党の鈴木茂三君をも含む日本の多くの政党代表者のはやり言葉でありますが、第二次世界大戦で日本帝国主義の攻略をこうむり、またそれまで何世紀以上にわたつて常に侵略を受けた周辺の諸国は、決してそれを信用していません。ベルサイユ條約で軍備を極端に制限されたドイツが、はたして侵略をあきらめたか。ヒトラーの徒党がドイツを支配すると、遂にあの野蛮きわまる国内の弾圧と国外の侵略とが行われたではありませんか。現に日本では、警察とその武装はますます増強され、明らかに警察軍の方向に発展しているのであります。海上保安庁その他あらゆる軍事組織へ転換し得る官庁が強化されています。これは明らかにポツダム宣言に禁止された非軍事化に反するものであります。吉田首相は、この軍事的強化を一体とまかすつもりであるかどうか。
 首相は、星島君の質問に答えて、われわれが、かかる日本の国の輝かしき歴史を考えるとき、過去を考えてみるならば、再び国際団体に立つ日があれば、必ずかつての輝かしき歴史を繰返すことを夢見ておる証拠ではありませんか。
 しかも首相は、数年間米ソ間の戦争は起り得ない、これは外交官としての勘であると言つて居ますが、首相が満州の総領事であり、田中内閣の外務次官としての経歴を思い出すとき、そんな勘に導かれていたら、日本人は世界の情勢をまつたく勘違いして、戦争と隷属の地獄にひつぱり込まれることは、火を見るより明らかであります。吉田首相が戦争は起り得ないと言うのは、日本帝国主義の再起、現に日々の新聞で報道されておる日本の軍事基地化、永久基地化を隠す魂胆以外の何ものでもないのであります。私は、公然と報道されておる事実だけから論ずるのでありますが、首相は、日本の軍事基地の問題について、なぜこれをごまかす態度をとり、これを国会において公然と言わないのであるか、この点を私は首相に明らかにしてもらいたいと思うのであります。
 中ソ條約の第二條によりますと、締結国の双方は、互いの同意の上に立つて、第二次世界大戦のときの同盟国とおもに、できるだけ短期間に共同で対日講和締結を獲得することを保障する、とあります。同盟国とともに、というのは、共産党が年来主張しておる全面講和のことであり、首相が、中ソ両国が明らかに全面講和を主張しておるのに、なぜ対日講和に影響がないぞちうのであるか。しかも條約は、できるだけ短期間に、共同で対日講和の締結、すなわち公正な民主主義的講和の即時締結を提唱しておるのであります。
 そこで首相は、中ソ両国が講和を遅らせるというデマを、もはや続けることができなくなつて、先日の外務委員会では、こう言つております。また條約ができたから、その條約が必ず行われるか、これは行われる場合もあれば、行われない場合もあります。ことにソビエト国が條約を破棄したとか無視したとかいうことは、過去においてもずいぶんあつたことでありますから、中ソ條約ができた、それが日本の講和とどういう関係があるか、あるいはまた中ソ條約が、中国において、約束通り一九五二年に至れば撤兵するか、あるいは引渡しをするということが行われ得るか行われないか、これも相当疑問のあるものではないか、こういうふうに言つております。
 ソ同盟が條約を破棄した例は確かにあります。それは何か。ツアール政治が、日本帝国主義政府と、第一次世界戦争のとき、満州を分割して、アメリカ、イギリス両国を介入させないという犯罪的な秘密條約をつくつておつたのですが、これを革命の初めに暴露して破棄したことはあります。だから、その当時文筆で活躍しておつた徳富蘇峯は何と言つたか。この事実に対して、これこそ偽善者が聖書の祈祷会をやつているときに待合の勘定書を公表されたようなものだと皮肉つたことがあります。それ以外には、相手国が信義をもつて條約を履行するときには、ソビエト同盟が條約を無視し破棄したことはないのであります。首相は、一体そんなことを言う資格があるか。
 ポツダム宣言は、日本の非軍事化とともに民主化を要求しております。しかるに、最近でも法務府と東京地方検察庁では、共産党員なるがゆえに十三名の職員が首切られています。これは憲法及び労働基準法の違反であり、それを当然だという民自党の諸君は、憲法も労働基準法も御存じないということになるのであります。(拍手)法律の番人をもつて自任する法務府と検察庁が、こんなことをやつでいる。それは吉田首相の任命した長官の命令で行われたことであります。一体、ポツダム宣言のどこに共産主義者は首切つてよろしいということが書いてありますか。あるならば、吉田首相はそれを出してみるがよろしい。
 また政府は、国鉄裁定に対して、裁判所の判決を相かわらず頑迷に拒否し、上訴しようとしています。だが、公共企業体労働関係法は、労働基本権たる争議権を奪つたものである。それ自体が違法でありますが、さらに仲裁委員会の決定に従うという條項までも吉田首相は無視しておる。こうした事実こそ、吉田総理が法律を暴力的に破り、民主化に逆行する証拠であります。朝連を団体等規正令という日本の法律で解散しながら、そのことは法務府総裁も公言したことでありますが、朝鮮人連盟の解散は最高司令官の権限で、日本の裁判所では扱えない、こういう答弁を裁判諸ではやつておる。これでどうして周辺の諸民族が日本帝国主義の再起を警戒せずにおられましようか。
 要するに中ソ條約は、七億の国民が、帝国主義的侵略を制止する自信と、日本の独立を保障する熱意と、世界の恒久平和を確立する実力とを表明したものであります。これに対して吉田首相がはつきりした態度を公表することは、これはポツダム宣言の要求する義務であります。これまで吉田首相は、しばしば架空の問題には答えられないと言つてごまかして来たが、過去の輝かしい歴史を繰返し得るというような、帝国主義的な架空な妄想をこの壇上で言い、まだ中ソ條約は日本に影響がないなどと、人を驚かせるようなドン・キホーテ的の架空の言葉をもてあそぶ以上、厳然たる国際的事実であり、そうして日本の独立と世界の平和に重大な関係のあるこの中ソ條約に関する質問に対して、首相は明確に答弁する義務があると思うのであります。
 これをもつて私の質問を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 志賀君の質問に対する総理大臣の答弁は適当の機会に願うことにいたします。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、猪俣浩三君提出、国鉄裁定の効力に関する裁判所の判決に関する緊急質問、これをこの際許可されんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 国鉄裁定の効力に関する裁判所の判決に関する緊急質問を許可いたします。猪俣浩三君。
    〔猪俣浩三君登壇〕
○猪俣浩三君 総理大臣に御質問を申し上げたいと存じたのでありますが、おいでにならぬ。きようは数人総理大臣を氏名されておるのに、おいでにならない。先般私は、食糧政令についての質問の際に、やはり総理大臣の御答弁をお願いしたのでありますが、御出席にならなかつた。あとで新聞を見ましたところが、腹が立つたのであります。お嬢さんと一緒にデパートで何か買物をなさつて、銀のとやらをお買いになつた。これは、はなはだ私は遺憾に存ずるのでありますが、どうか側近の方々は、さような行動を総理がなさらぬように御注意をなさつていただきたいのであります。
 民主憲法政治の行われる国におきましては、司法権が尊重せられることは申すまでもないのでありまして、司法権の独立ということが非常に大切なことに相なつておるのであります。イギリスにいたしましても、アメリカにいたしましても、民主国家の先進国は、みんな司法権の独立、判決の尊重ということに重きを置いておるのであります。裁判所に特別の権限を持たせまして、そうしてその判決に対しましては、特別にこれを尊重するということが民主政治の中核であるということは、古今の歴史に徴して明らかなことでございます。そこで、われわれも民主国家として進展いたして行くにつきましては、この裁判所の特別の地位というものを十分尊重いたしまして――この裁判所の意思表示は判決であります。この裁判に対しましては十二分なる尊重を持つということが、すべて合法的に国務の進展をはかる上におきまして、われわれ日常心がけなければならぬ大切なことであると思います。そこで私は、総理大臣に対しまして、この国鉄裁定につきまして、すでに東京地方裁判所の判決が出ているのでありますが、この判決を尊重なさる意思があるか、ないのであるか、率直にお尋ねしたいのであります。尊重するのであるか、しないのであるか、尊重するということになりまするならば、次に以下のことをお尋ねしたいのであります。
 この判決の主文におきましては、過ぐる日、昨年の十二月二日、公共企業体仲裁委員会におきまして裁定になりました、その裁定に従えという採決になつておるのでありますが、この判決に服従なさるところの意思があるかないか、これをお尋ねしたい。
    〔議長退席、仮議長着席〕
この判決に対して上訴をするということでありますが、御存じの通り、今回の判決は、緊急の必要ありとして仮処分の申請をいたしたのであります。かりに支拂えというところの請求をしたのであります。そこで、仮処分の判決に対しましては、これを停止するところの手続がありません。上訴いたしましても、停止はされておらぬで、判決はそのまま生きているのであります。最高裁判所まで参りまして労働組合側が敗訴いたしましたときに初めてこの判決は不利に展開するのでありあすが、それまでは、この地方裁判所の仮処分の判決というものは生きているのでありまするから、たといお公社あるいは政府の合作によりまして上訴いたしましても、これを停止するところの手続がない以上は、この裁判は現在生きているのであります。
 しからば、この判決に従いなさる御意思があるのであるか、ないのであるか、私はその意味においてお聞き申したいものである。そこで、この判決に従うということになるならば、この判決の理由におきまして、少なくとも公社は三億二百四十三万七千円はすみやかに支拂えというところの勧告をしておるのである。しからば、この判決の趣旨を尊重なされて、これを支拂うように御労力なさるのであるかえどうか。
 最後に私が総理大臣にお尋ねいたしたいことは、この上訴あるいは上告をなさつて、この問題をずるずるにひつぱつておいでになつて、最後に最高裁判所が敗訴の判決をお受けになつたときにその責任をどうなさるのであるか、これをお尋ねしたいのである。
 私は、去る二十四日に、法務委員会におきまして、殖田法務総裁に対して、明日は国鉄裁定について判決が下るのであるが、もし公社側が敗訴した場合には政府はいかなる処置をとるかという質問をいたしました際に、殖田総裁は、九分九厘そんなことはない、そんなことはないから今答弁できない、こういうような言をなさつておつた。ところが、一日違いで、まつたくこの法務総裁の見解は粉砕されまして、労働組合側に勝訴の判決が上つた。そこで、政府はやはり九分九厘勝つというような放言をなさつて、上訴なさろうとしておるのでありますが、結局いおいて負けたときに、政府の面目及びその責任はどうなるのであるかを、御答弁願いたいと思うのであります。
 次に増田官房長官にお尋ねしたいのであります。先ほど申し上げましたように、司法権の独立を守るということは民主政治の中核でありまするが、司法権の独立とは何ぞやということは、その国の歴史において変遷がある。旧憲法におきまして、いわゆる特権階級が跋いたしておりましたる際には、司法権の独立の内容は、その特権階級に対して、一般大衆の自由を、基本的人権を守るところの防壁をなした、そういう意味におきまして司法権の独立があつた。
 今日、この特権階級が打倒されまして、民主憲法の時代になりまして、そうして国会の権威が高まり、政党政治が確立せられた今日におきまして、司法権の確立とは何ぞや。その内容は、多政党に対することろの確立でありますし、なおまた政党内閣の制度によりまして、その多数党の内閣が行政権を握るのである。国会をも支配し、また行政の中枢部を支配するのは多数党でありますがゆえに、この制度――この制度自体を私は悪いと言うのではありませんが、この制度によりまして、多数党の政治力というものは強大に相なる。このものが與れば、すなわちまたそこに間違いもできるのでありまして、この多数党の威力が正当に運ばれておる場合はよろしいのでありまするが、これが曲つて運用せられましたときに、すなわち司法権の独立ということが起つて来るのでありまして、裁判所におきまして、あらゆる努力に拮抗して基本的人権を擁護する今日におきまして、司法権の独立とは、すなわち多数党に対する障壁となし、一般大衆の生存権を守るのが司法権の独立というふうに理解しなければならないと思うのであります。
 この意味におきまして、私どもは、司法権の独立ということこそ、真に民主政治をしてまつすぐに、有終の美をなさしむる大切なことだと考えるのでありまするが、さてこの見地から見ますると、増田官房長官の御意見に対しては、いささか遺憾なきを得ないのであります。増田官房長官は、この国鉄裁定が発表せられますつると、裁判所が政府に介入したのはおもしろくない、不都合だというような御意見を発表された。かようなこと、及び昨日は次官会議とやらを催されまして、この次官会議においても、この裁判に対して非難をされておる。しかし、ある個人あるいは学者、かような者が判決に対して批評いたしますることは、言論の自由でさしつかえないのでありまするけれども、一国の行政機関、相当高位の行政機関が、この判決に対して非難がましい非難をするということは、司法権の独立を脅かすものであります。
 過ぐる日、国会の参議院の法務委員会におきましては、浦和充子事件なるものがありました。この裁判に対しまして、法務委員会が、国政調査権によりまして、この裁判を調査いたしました。批評いたしました。そういたしますると、学者あるいは法を守らんとするところ弁護士会その他の專門家、憂国の志士は、この法務委員会が判決の批評をみだりにやることは司法権の独立に悪影響を及ぼす、一私人が、一学者が、その学問的見地から発表することはさしつかえないのでありますが、一国のいわゆる国家機関が、公然と判決に対して非難を浴びせるということは、司法権の独立に與える影響はおもしろくない、かようなことで、ごうごうたる輿論に相なつて来ておるのであります。そういう見地からいたしましえ、この政府の大官である増田さん――あるいは次官会議において、かような意見を発表なさる、ただ上訴するということならばさしつかえないのでありますが、政府に介入するなんてけしからぬとか何とかいうところの批評をなさるということは、これが上訴されるなら、なおさらであります。上訴判決の裁判官が、いかなる行政権その他の努力にも独立して、独自の良心によつて判決しようとすることの妨げになる。かようなことはお慎みあつてしかるべきだと思うのでありますが、増田官房長官は、かような行動でもさしつかえない、行政権がみだりに判決の内容を批評してもさしつかえないという御見解であるかどうかを承りたいのであります。
 なお、きようは総理がおいでになりませんし、増田さんはなかなか法律通でいらつしやるようでありますから御質疑申し上げるのでありますが、ただいま申し上げましたように、仮処分の判決というものは停止決定ができないのでありまして、上訴の判決においてこれをくつがえす以外に方法はない。しからば、この上訴をなさつても、この東京地方裁判所の判決というものは今生きておるのであるからして、これに服従するとうことが判決を尊重するゆえんになると思うのでありまするが、上訴さえしておけば、かようなことに服従させないでもよろしいか。これは政府よりも公社でありまするけれども、公社と政府は一体をなしておりまするから、政府の見解を聞きたいのでありますが、真に判決を尊重するならば、今現に生きておるこの判決を尊重なさる御意志がないのであるか。上訴されても決してこの判決は効力を停止されないということを頭に置いて御答弁願いたいのであります。
 それからなお公共企業体仲裁委員会の性格でありまするが、この性格につきましては、判決文におきまして、実にりつぱな見解をとつておるのであります。増田官房長官も、この判決の内容をごらんになつたと思うのでありまして、私は、これに御意見があるかどうかを承りたいのであります。判決文には、かようになつております。仲裁委員会による仲裁の制度は、公共の福祉のため、申請人の職員から争議権を奪つた代償として、その争議権並びに生存権を保障するための制度として設けられたものである、こういうところの仲裁委員会の性格につきまして、増田官房長官は、この判決と異なつた御意見があるのであるかないのであるか、承りたいと思うのであります。
 すべて近ごろは、調停手続あるいは仲裁手続というものが進歩発達して参りまして、封建的な普通の裁判所の判決にかえまして、借地借家調停法、あるいは金銭債務調停法、そういう調停制度が発達して、判決にかわるところの調停裁判というものをやつておるのであります。それと同じ趣旨に基きまして、公共企業体の調停制度というものができ、仲裁委員会というものができておるのであります。これは政府あるいは公社、労働組合、そのいずれもの上に立つて判断を下すものでなければならぬのであります。かような制度でありまするゆえに、この仲裁裁定の効力というものは、判決と同じところの効力、最高裁判所の判決と同じ効力を持たせたければならない。
 これは区裁判所におきますところの調停手続においても、皆さん御存じの通り調書というものができますが、和解ができますれば、これは最高裁判所の判決と同じ効力がありまして、その和解調書に盛られた條項を不履行いたしますと、ただちに強制執行権が発生することに相なつておる。これに対しては動かすことはできないのであります。調停手続におきまして、すでにこれだけの判決と同じ効力を與えている以上は、この公共企業体仲裁委員会におきまする仲裁裁定というものに対して、これが国会の承認とか不承認とかいうものによつて効力が消滅するとか発生するとかいうような議論は、この公労法の根本精神をはき違え、仲裁委員会の制度の根本精神をおはき違えになつているのじやないかと思うのでありますので、あえて御質問申し上げる次第であります。
 なお池田大蔵大臣に御質問申し上げるのであります。この仲裁裁定におきましては、判決文におきまして、三億二百四十三万七千円を即時支拂えというところの判決に相なつておるのでありますが、この金を公社をして支拂わしめる意思がありますか、ありませんか。また、目下国鉄労組におきましては団体交渉を申し入れておるのでありまするが、公社の方では何ら応せざるがごとく選延いたしておるりであります。政府が真に判決を重んじまするならば、公社をしてすみやかに団体交渉に移らしめ、そして裁判所の判決に示されましたところの金額だけでもすみやかに拂うことによりまして紛争を根本的に根絶する。そうして忌まわしい事件が起らぬように――あるいはストライキ、ゼネスト、場合によりましては東京駅の売上金を差押えをする、あるいは加賀山総帥のいす、テーブルから、部屋から、みな押えてしまうというようなことが起りますことは、はなはだ感心しないのでありまして、さようなことを起さぬように、池田大蔵大臣は特別の御配慮をなさる御意思があるかないか。
 なお大蔵大臣にお聞きしたいことは、この既定予算の中の流用、移用、あるいは予算費の支出というようなことは、大蔵大臣の承認によつてできることである。職員の給與は、予算上、目というところに数えられておりますから、給與の改善が起ります場合には、必ずやこの予算の流用とか、予備費の使用というものをしなければ待遇の改善はできないりくつになつております。しかるに、大蔵大臣がこれに承認を與えないと、これができないということに相なりまするならば、それこそ、この判決書がうたつておりまする通り、大蔵大臣の頭一つで、この予算上あるいは資金上可能か不可能かという問題が決定せられる、それによつて仲裁裁定の効力が発生したり発生しなかつたりするというようなことに相なりまして、これはまことに本末転倒の、ばかばかしい議論だと思うのであります。
 私どもは、この意味におきまして、この予算費目の流用問題の裁量は、これは自由裁量ではない、大体一般においては自由裁量でありましようが、この仲裁裁定にこたえるべき費目の流用をやること、予備費の支出をやることは、これは大蔵大臣あるいは内閣におきましての自由裁量を許されているものではなくして、法規裁量として、まさに公労法の精神に従いまして、すみやかに紛糾を解決する方針のもとに、この承認を與えるべきが至当でありまして、もし大蔵大臣の頭によつてどうにもできる自由裁量だということになりますと、仲裁委員会の仲裁の効力なんというものは、みなへのかつぱで飛んでしまうのであります。かような解釈が許されるということは、公労法それ自体の自滅をはかる理論でありまして、われわれは、とうてい承服することはできないのであります。
 なおまた一九四八年七月二十二日の連合軍最高司令官の書簡、他の一般公職に與えられたる保護にかえて調停、仲裁の制度を設けなければならないという書簡が総理大臣に送られているのでありますが、この最高司令官の書簡の精神にも違反するのでありまして、この大蔵大臣の、いわゆる費目の流用の裁定に、自由裁量ではなくて法規裁量だと思うのでありますが、大蔵大臣の所信はどうでありますか、その点を承りたいと思うのであります。
 なお労働大臣にお尋ねいたしますることに、この公労法の第一條二項によりますならば、経済的紛争をできるだけ防止し、且つ、主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を盡さなければならない。」と書いてありますが、一体労働大臣は、関係者の一人として、いかなる努力をなさつたのであるか。大蔵大臣や、あるいは増田官房長官あたりに、あごで使われておつたようなとはないのであるか。労働者の監督官庁として、どの程度一体法律の精神に従つた御努力をなさつたのであるか。今までしなかつたならば、それでも仕方がありませんが、こういう判決が出て、あなたの立場には百万の味方ができたのでありますから、今度こそ、この判決の趣旨に従つて、ただちに三億何千というものは支拂い、なお予算ができました際には次の二十六億というものを支拂うように労働大臣は御努力なさる意思があるかないかをお尋ねいたしまして、私の質問を終ります。
    〔国務大臣増田甲子七君登壇〕
○国務大臣(増田甲子七君) 猪俣君にお答え申し上げます。
 政府は、さきになされた仮処分に対する判決ついては不服でございます。でございますから、国鉄をして本日上訴せしめるつもりでございます。しかして、猪俣君は御指摘になりましたが、われわれは、あの判決を政治的判決というふうには考えておりません。しかし、十六條第一項は行政上の裁量事項であると、こう思つております。第十六條第一項、すなわち公社の予算上、資金上裁定の内容を実現し得るか否かということの選定は、これひとえに行政官庁にまかされたる裁量権の範囲内のことである、こう考えております。しかして、行政官庁はいかなる裁量をするかと言いますと、国会によつて議決された予算の精神に従つて、支出が可能であるか不可能であるかを認定すべきものである。現に猪俣君も御存じの通りに、すでに十五億五百万円を出したために八億ないし九億くらい赤字を出すというほどに、現在の裁定の一部をのんだあの範囲内においても、三月末においては予算上、資金上不可能であることは、きわめて明瞭に相なつておる次第でございます。
 しかして猪俣君は仲裁裁定は判決と同様なものである、国会の決議のいかんによつてこれを左右することはできないのであるというふうに言われますが、われわれは、そういう考えではございません。そういたしますと、公労法第十六條第二項は全然無視された形になるのであります。第十六條第二項によつて国会が一定の行動をされたその行動は、判決と同様尊重すべきものである。三権分立のことを言われますが、われわれは、司法権も行政権も立法権も重んずべきものと思つております。ことに国会は国権の最高機関である。たとい司法権といえども、立法機関の内容、あるいは行政機関の行動の内容にまで干渉はできない、こう考えております。
    〔国務大臣池田勇人君登壇〕
○国務大臣(池田勇人君) 猪俣君の御質問に対しましては、増田官房長官のお答えで足りると思うのでありますが、特に御質問になりましたので、重複する点もございますが、お答え申し上げます。
 十六條第一項は政府を拘束せずという規定通り、予算の流用その他につきましては自由裁量と考えております。従いまして、先般国鉄に対しまする仲裁委員会の決定がありましたときに、私は、その裁定の趣旨を十分尊重いたしまして、予算のやりくりをして十五億五百万円を捻出したことは御承知の通りであります。その後におきまして、いかに考えましても三億数百万円のお金を出す余裕はないのでございます。
    〔国務大臣鈴木正文君登壇〕
○国務大臣(鈴木正文君) 可能なるものについては、またでき得る限り可能な部面を多くしようという点につきましては、十分努力いたしました。また不可能なものにつきましては論外であります。これ以上努力する余地がないという状態であります。
    ―――――――――――――
○山本猛夫君 緊急を要する議案の参議院から回付されるのを待つため、この際暫時休憩せられんことを望みます。
○仮委員長(庄司一郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仮委員長(庄司一郎君) 御異議なしと認めます。この際暫時休憩いたします。
    午後三時三十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時五十一分開議
○仮委員長(庄司一郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○仮委員長(庄司一郎君) ただいま参議院から、本院提出、地方税法の一部を改定する法律案が回付せられました。この際議事日程に追加して今回議案を議題となすに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仮委員長(庄司一郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 地方税法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
○仮委員長(庄司一郎君) ただちに採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○仮委員長(庄司一郎君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。(拍手)
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○山本猛夫君 自由討議は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
○仮委員長(庄司一郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○仮委員長(庄司一郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時五十三分散会