第007回国会 本会議 第35号
昭和二十五年四月八日(土曜日)
 議事日程 第三十三号
    午後一時開議
 第一 裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
 第二 裁判所法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
 第三 漁港法案(水産委員長提出)
 第四 牧野法案(内閣提出)
 第五 日本政府在外事務所設置法案(内閣提出)
 第六 電気事業会社の米国対日援助見返資金等の借入金の担保に関する法律案(内閣提出)
 第七 株式の名義書換に関する法律案(内閣提出)
 第八 貴金管理法案(内閣提出)
 第九 地方自治法第五十六條第四項の規定に基き、税関監視署及び税関支署監視署の設置に関し承認を求めるの件
 第十 放送法案(内閣提出)
 第十一 電波法案(内閣提出)
 第十二 電波監理委員会設置法案(内閣提出)第十三 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第十四 図書館法案(内閣提出、参議院送付)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 証券取引委員会委員長及び委員任命につき同感を求めるも件
 鉄道建設促進に関する決議案(尾崎末吉君外四十三名提出)
 伝染病治療にまつわる不正事件に関する緊急質問(岡良一君提出)
 日程第一 裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
 日程第二 裁判所法等の一部を改正する法律案(内閣提出、議院回付)
 水路業務法案(内閣提出、参議院回付)
 日程第三 漁港法案(水産委員長提出)
 日程第四 牧野法案(内閣提出)
 日程第五 日本政府在外事務所設置法案(内閣提出)
 日程第六 電気事業会社の米国対日援助見返資金等の借入金の担保に関する法律案(内閣提出)
 日程第七 株式の名義書換に関する法律案(内閣提出)
 日程第八 貴金属管理法案(内閣提出)
 日程第九 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関監視署及び税関支署監視署の設置に関し承認を求あるの件
 日程第十 放送法案(内閣提出)
 日提第十一 電波法案(内閣提出)
 日程第十二 電波監理委員会設置法案(内閣提出)
 日程第十三 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第十四 図書館法案(内閣提出、参議院送付)
 建築士法案(田中角榮君外六名提出)
    午後一時十九分開議
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) お諮りいたします。内閣から、証券取引委員会の委員長に徳田昂平君を、また委員に島居庄藏君及び藤田國之助君を任命するため本院の同意を得たいと申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本件は同意を與えるに決しました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を、提出いたします。すなわち、尾崎末吉君外四十三名提出、鉄道建設促進に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御神議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 鉄道建設促進に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。尾崎末吉君。
    ―――――――――――――
○尾崎末吉君 私は、ただいま上程せられました鉄道建設促進に関する決議案に対する提案者といたしまして、自由党、日本社会党、民主党、国民協同党、農民協同党、労働者農民党、社会革新党、公正倶楽部、新政協議会を代表いたしまして、その提案理由の趣旨を説明いたします。
 まず決議案を朗読いたします。
   鉄道建設促進に関する決議
 一、わが国の経済的復興と人口問題対策としては、国土の有効利用と国内資源開発が絶対に必要である。
 一、このために第一に必要なのは鉄道の建設であるが、現状は全くこれを停止しており、しかも既に路盤も完成し、採算も成り立つ優良な処さえも空しく放置せられておるものがあるのは、国民のために重大な損害である。
 一、故に諸種の実情に照らして、必要な鉄道の新建設を可能なあらゆる手段をもつて積極的に且つ速やかに実施すべきである。
  右決議する。
 この決議案をお諮りいたしますゆえんのものは、実にわが国の再建をはかり、当面の経済開発と文化、交通の向上をはかるとともに、引続き国内資源の開発を行い、かつわが挾少な国土の有効なる利用を試み、もつて人口問題の対策ともなし、国家永遠の安泰を期たいものであります。
 最近のわが国の実情にかんがみまして、国土の保全とか、国土の有効利用とか、資源の開発とかいう問題が、重要な国策的課題として真劍に取上げられておるのは御承知の通りであります。しかるに、その実情は、山には奧地輸送の困難さから、せつかく生産せられた林産物や薪炭等の滯貨が腐りかけておりまして、また貴重なる鉱山資源はそのままに眠り、豊富な水力電気資源等も未開発のまま放置せれておるのであります。地価、漁村や海辺には、輸送と輸送力にまつ生産とが困難なために、塩や海産物等の国民経済資源が眠つておる状況であります。ところが国有鉄道の昭和二十五年度の予算を見ますと、ただ一本のの鉄道の建設線すら計画せられておらず、国有鉄道が独立採算制ということを狭義に解釈いたまして、経済開発の問題、公益上の問題等いわゆる広義の解釈を怠つておるかのごとく考えれることは、まことに理解に苦しむところであります。
 一体、鉄道の新しい建設線が鉄道の採算に及ぼす効果は、直接の利益のみではなく、列車が迂回していた特定怪路の廃止等〇によりまして鉄道全般に及ぼす利益や、鉄道が社会に及ぼす経済的効果や’文化の向上に及ぼす効果をも十分に考えねばならないことはもとよりであります。また鉄道が国家経済に及ぼす影響を考えますならば、利用者が運賃支拂いに対する利益、すなわち鉄道がないためにトラツク、バス、馬車、索道等によるところの交通及び輸送の実費が、鉄道が開通いたしたために低廉な運賃となり、運送時間は短縮せられ、また輸送の安全と確実性は増すということなどの利益と、鉄道の開通によつて新しい生産ができることや、従来の生産物が増産せられるという利益や、また水力電気や鉱山、耕地等の開発が可能となることなどの利益は莫大なものがあることは申すまでもありません。
 さらにまた眼を広く遠く注ぎまずならば、現在鉄道かないためにトラツクその他の輸送にたよつておるそのトラツク等に必要なゴム、ガソリン等、いわる輸入資材の消費が相当の数量に達するのでありますが、鉄道の開通によりまして、それらの輸入質材を少くするところの海外收支の効果、すなわちドルの消費を減少するという偉大な利益があるのであります。この前国会において承認せられた運賃の値上げによつて、ほぼ経営上の見通しも立つて来たのでありますから、政府も近年のやり方と異つた観点から国有鉄道を指導し、国有鉄道もまた国策の線に沿うところの計画が必要であると信ずるのであります。
 わが国土は、その形が狭くて長く、また起伏が急であるという実情から考えますと、道路輸送では、とうてい地方開発や国土の有効利用に重大なる役割を演ずるとは困難なのでありまして、特に鉄道の輸送と利用とにまつほかはない状態であります。先般、予算委員会第五分科会並びに予算総会等におきまして政府当局にも質問を繰返し、また詳細に調査もいたしましたのでありますが、わが国有鉄道が建設に着手いたしておつた路線で、戰時中に中止いたしたものが実に五十線ありまして、そのうちの三十三線は、路盤が五〇%以上でき上つたもの、または完成したものであり、キロ数におきまして、実に衣炊完成いたしたもの三百六十五キロ、五〇%以上完成いたしたもの百二十五キロに及んでおるのであります。
 これらの路線中若干のものをここにあげてみますと、赤穂線、搾川線、津軽線、日田線、川口線等のごときは、開通いたしますれば、ただちに独立採算が成立つどころか、たいへんな黒字になつて、鉄道全体を潤す結果と相なるのであります。このほかにも、これらに類似のものが別に二十数箇所の路線にわたつておるのであります。また特殊なる路線の例をあげてみますと、岩手県の小本線沿線のごときは、現在の日本の製鉄業維持のために絶対に必要な岩手粘土があつて、その搬出には、索道とトラツクによつて宇野駅まで小運送いたしておるのでありますが、その輸送費はトン当り約八百円という高いものでありまして、粘土原価の約三分の一に及んでおるのであります。この中止いたしておる小本線鉄道が開通をいたしますならば、その運送量は増大し、時間は短縮せられ、非常な開発ができるのであります。しかしながら、普通の鉄運賃で運送をいたしますと、その鉄道の採集が成立たない、赤字となるのでありますが、かりにこの区間に、新しい試みといたしまして、一般鉄道運賃でない特定料金の規定を設けまして、かりにトン当り六百円となるといたしますならば、鉄道の採算も成立つし、まだ粘土の方におきましてもトン当り二百円安くなるという得をする結果と相なるのでありまして、かような方法もこの種の路線には考えられることであるのであります。
 前に申し述べました二十数箇所の路線及び今述べましたものに類似の十余箇所の路線、これらを中止のままで放置をいたしますのは、甚大な損害であるのみでなく、最近特に国民の間から強く要望せられるところの鉄道新建設の声に対しても深く考慮せられねばならぬことと信ずるのであります。もとより、右に述べました三十数箇所の中止線のみでなく、残余の十七線及びいまだ着手せられなかつたところで緊要と思われる地方への鉄道建設ほ絶対に必要であると信ずるのであります。これこそは、祖国再建のための、また平和日本、文化日本、生活安定のための緊要事であります。
 しからば、いかなる予算、いかなる手段によつてこれらの建設に着手するかと申しますならば、一般会計による建設費の利子負担の方法も可能であり、また建設費の一部または全部を一般会計から国有鉄道に交付する道も開かれておるのでありまするが、なおまた幸いにして、日本国有鉄道法中には鉄道債券発行の道も定められておりまして、先般大屋運輸大臣が予算委員会において私の質問に答えられたところによりましても、この鉄道債券は、政府がこれを引受けることができるのであるが、なお鉄道建設の地方関係民及び般国民もまた引受けることができるのでありますから、こうした可能なあらゆる手段方法えおもつて、すみやかに積極的に鉄道の建設に勇ましく出発することが現下最大の緊要事であると確信いたすのであります。
 顧みれば、終戰以来五年、退嬰と自讓と陰鬱と消極的努力の中ぺに、ただ一途、再建を開くことを念願いたして来た私どもは、ここにまず鉄道から積極伸展の道を開き、平和国家、文化国家に進む国民の心をも明朗偉大ならしむべきときであると確信をいたしまして、あえてこの決議案を提出いたした次第であります。わが祖国の再建発達を喜ばずして、これを阻害するかのごとくにも思われる共産党の諸君は、あるいはこの決議案にも反対せられるかもすれませんが、先ほど申し述べました自由党を初めといたしまして、各党これらの人々とともにこの提案をいたした次第であります。
 右提案理由の説明を終ることといたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。
 この際運輸政務次官から発言を求められております。これを許します。運輸政務次官原健三郎君。
    〔政府委員原健三郎君登壇〕
○政府委員(原健三郎君) ただいま鉄道建設線の促進に関しまして、まことに適切な御会議をいただきました。
 御承知のごとく、戰時、戰後を通じまして、現在まで国有鉄道の建設線の施行を実施することができませんでしたのは、もつぱら資材と資金の関係からでございまして、必ずしも建設線が不要であるという考え方からではながつたのであります。政府といたしましては、ただいまの御決議の御趣旨にありますように、建設線が国土の有効利用と国内資源開発上きわめて必要であることを痛感しておりますので、国有鉄道の経営状態の改善に伴い、一旦着手の上中絶いたしました路線、あるいは收益性のある路線等重要路線についての実施の促進をはかりたい所存でございます。さらに国民経済上または輸送系路上必要の路線につきましては、今後十分調査研究を進めて行きたいと考えております。要するに、ただいまの御決議の趣旨に沿うべく今後努力する所在でございます。
 以上、政府の所信を述べた次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 伝染病治療にまつわる不正事件に
 関する緊急質問(岡良一君提出)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、岡良一君提出、伝染病治療にまつわる不正事件に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 伝染病治療にまつわる不正事件に関する緊急質問を許可いたします。岡良一君。
    〔岡良一君登壇〕
○岡良一君 私は、日本社会党の立場から、わが国における公衆衛生の徹底と、結核対策の充実という観点におきまして、最近相次いで惹起されておりますところの二、三の不祥事件に関しまして政府当局の責任を明らかにし、またあわせて今後に処する責任ある措置を要求いたしたいのであります。
 第一点は、本年の春、神奈川県及び東京都におきまして実に爆発的に発生をいたしましたあの発疹チフスの大流行であります。この流行に際しましての予防措置といたしましては、まず予防注射の励行と、この病菌を媒介するしらみの駆除であります。そこで当局とたしましては、当人はもちろんのこと、近隣、居宅、同居者等に対しまして徹底せろDDTの散布をいたしました。都といたしましても、神奈川県といたしましても、実に延べ四十万人の人間を費しまして、十万ポンドのDDTを散布いたしたのでありますが、しかしながら、結果におきましては何らこれを予防することができなかつた。一月十五日に最初に患者が発生いたしましてより、三月二日には、東京都において二百十六名、神奈川県においては三百三十八名という大量の国民がこれに罹感をしたのであります。
 一体、このように莫大な量のDDTを散布し、四十万人からの人間がそれをまき散らすために大わらわになつたのに、どうして爆発的流行を防ぎ得なかつたか。この点を調べましたところかつたか。この点を調べましたととこが、結局DDTが何ら効力がなかつたということが発見されたであります。たとえば、DDTの有効成分であるとか、粒子の大きさとか、タルクの品質、濕度等において、きわめて粗悪なものがあつたのであります。これは笑い話でありますが、一例を申し上げますと、神奈川県のある病院の婦長が、試みに配給になりましたDDTをガラスのいれものの中に居れ、浮浪者のしらみを十数匹これに入れてみると、あくる日もあくる甘も、しらみは依然として健在であつて、三日目に動かなくなつたので、死んだのかと思つて火ばちの上であぶつたところが、またぞろ元気を出して動き出したという、実に笑えないナンセンスを起しているのであります。こういう、うどん粉のようなもの何の役にも立たないものを、四十万人の人間がしかも六十万円からの金を使つてまき散らしておつた。これはまつたく世界の物笑いであります。
 いよいよ伝染病も今後ますます激化しようとする時期を迎えております。しかも、蚊やはえに対して、現在日本におきましてはDDTが最も有力なる武器として、あらゆる家庭がほとんど半強制的に買わされているのであります。かかるものが、現在厚生省の指定生産として、四大メーカーの手によつて生産され配給されているのでありまするが、一体このように効力のないものが全国の家庭に配給されるということになりますならば、家庭の失費のみならず、実に伝染病の蔓延防止のためにも寒心すべき事態が起ろうと思うのでありますが、政府は一体いかなる具体的な準備をもつてDDTの効力の判定をしておられるか、かつまた、今回のこの失態に対していかに責任を明確にせられるか、また今後具体的措置を講じて…こういううどん粉のようなものではなく、ほんとうにきくDDTを配給されるために、いかなる保障を與えておられるかを、この席上において明確にいたしていただきたいのであります、
 大体、近年におけるわが国の薬事行政はまつたく乱脈をきわめまして、不祥事が続発しております。ジフテリアの予防注射を行つて、京都で何十人かの子供が死んでおる。仙台では百日ぜきの注射をやつて、すべての子供が結核にかかつておる。こういうようなことで、その上ヒロポンの中毒だ、アドルムの自殺だと、まつたく乱脈をきわめております。ワクチン類の生産は別といたしまても、多くの日本の製薬は少数の独占的な製薬業者に依存し集中されておるのでありますが、毎日毎日名前だけをかえた新薬がどんどん出て来て、医者も薬剤師も覚えきれるものではない。しかも互いが販売を競つて、自由競争で莫大な広告料を使つておりますから、消費者は薬を買うのか広告料を拂つておるのかわからない始末である。こういうようなことでありますが、この際私は政府の所信をお伺いいたしたいのであります。
 われわれは、製薬に対しては国家的な、計画的な統制が必要であるということをしみじみ感じておるのであります。原料を効率的に活用するためにも、規格を一定の水準に維持するためにも、需要供給のバランスを調整するためにも、また価格を低廉ならしめるためにも、当然製薬事業は公共的な性格を持つべきものであり、国家がその責任に任ずべきものであろうと信ずるのであります。今日品質が粗悪となり、需要供給がアンバランスとなり、価格が不当につり上げられておるのも、ひつきようは、今日のように無計画に、自由放任主義に、大資本の利潤追求のままに放任しておるからである。医療関係では、国立医療所、国立病院が拡充され、社会保険の範囲が広められ、保健所の充実がはかられる等、着々医療の制度と機構は公共化されながら、一方において、製薬方面は依然として利潤追求の私企業に放任されておる。これでは、今うたわれておるところの医療の分業はおろか、むしろ国民が製薬資本もとに、その収奪の対象になつておるという事実をますます強く明らかにしておりますが、厚生大臣の所信を伺いたいのは、われわれが医療の社会化、公共化をうたうためには、あくまでも製薬事業の公共化をその運営の上においに明確に打出す必要があろうと思うのであります。あえて大臣の御所見を承りたいと思います。次に私は、結核の対策につきまして、最近の国立医療所において発生したところり二、三の不正事実について、その責任の所在と今後の所信を承りたいと思います。
 第一は、昨年末、愛知県知多郡国立療養所大府荘における、ある職員を中心とする患者の入院料その他百五十余万円の横領事件であり、他は本年二月末司直の手によつて摘発されましたる、石川県江沼郡の国立医療所の炊事主任を中心とするところの六十万円に近い患者給食費の横領事件であります。金額にわずかでありますけれども、結核医療所において、まかない費を横領するということは、実に人道上の大問題であります。(拍手)
 現在患者は、国立医療所においては、一日わずかに六十五円のまかない費ということに仕切られている。ところが、このような横頭事件のために、この療養所においては、当時一日のまかない費は、三割余りを切り下げられた、わずか四十二円にすぎなかつたのであります。その結果として退院をする者が続出し、なかんずくその期間においては、死亡率さえもがふえておるのであります。これが国立療養所のできごとであります。しかし、司直の手はわすかに二つの不正事件を摘発いたしておりますけれども、われわれは、日ごろ医療所で治療を受けているところの恵庭大衆から、常に病院経営における疑惑と不信の声をいただいておるのであります。
 結核対策は最も重要なる国策の一つといたしまして、現在衆参両院においても特別の委員会が設置せられ、その対策を練りつつあるときに、かかる不祥事が国立療養所の内部において起りましたととは、実にわれわれの結核に対する熱意対して、あたかも敢然と弓を引くに類するのでありまして、明らかにこれは重大なる政治的責任であろうと私は信じます。(拍手)いわんやまたこの問題は、單に汚職官吏一、二の身分の問題ばかりではなく、かかる刑法上の責任ではなく、国立療養所の運営に当るところの現場なり、あるいは中央における行政上の指導監督の任にある諸君の行政的な資任でもあろうと思うのでありますが、現在まで、いまだかかる責任の明確にされたる事実を聞かないことは、われわれの裏心より言納いたしかねるのでありますが、厚生大臣は、これらの点につきまして、いかなる責任を、いかなる限界において具体的に明らかにせられるのであるか。また今後国立療養所で真に安心して患者が療養し得るようなものたらしめろために、いかなる具体的な保障を與えられるかを、この際明確にお答え願いたいのであります。
○副議長(岩本信行君) 岡君に申し上げます。申合せの時間が参りましたので簡潔の願います。
○岡良一君(続) それでは、以上をももちまして私のお尋ねを終ります。なお御答弁によつては再質問をいたしたいと存じます(拍手)
    〔国務大臣林讓治君登壇〕
○国務大臣(林讓治君) 岡君にお答えをいたします。
 ただいま仰せのごとく、東京並びに横浜に発疹チフスの多数の発生を見るに至りましだことは、まことに遺憾この上もないことと考えます。私が就任いたしました早々に当りまして、かの京都にジフテリアの発疹を見るに至つたものでありますから、この薬事の監督につきましては、薬事法に基きまして、中央地方を通じて約一千百名の監視員を任命いたして、これが取締り、指導に事念いたしておつたわけでありますが、かくの、ごとき青脹の発生いたしました事柄につきましては、まことに申訳のないことと培えるわけであります。なお今後の藥務行政につきましては、麻薬取締法の改正による麻薬取締り機構の一元化と、あるいはまた統制事務の縮小にかわつて、企業の整備、販売網の整備、薬事監視の強化と指導及び一般国民に対する薬事知識の普及徹底に重点を置いて参りたいと考えるわけであります。
 なお神奈川県におけるところのDDTの問題でありますが、この効力につきましては、いささか儀養があつたようでありますけれども、これは物理化学試験及び生物試験の結果、効力の発生につきまして若干の時間の遅速の差は認められておりますけれども、国産DDTの製剤も、米国の製品と、しらみその他の昆虫に対しての殺虫の効力は依然同様にあるということが試験の上においても現れているわけでありまして、なお今後におきましては、かかる製品につきまして十二分に注意をいたしまして、こういうような問題を繰り返すことのないようにいたしたいと考えるわけであります。
 なお石川療養所並びに大付荘についてでありますが、これら会計上の不正しか事実がありました事柄につきましてはきわめて遺憾の次第であります。さつそく係官を派遣いたしまして調査いたしました結果、両療養所は、ともにまかない費の流用というものではございませんで、一部担当係の職員の計画的横領背任の行為であるということがわかりましたので、警察並びに地方検察庁におきまして目下取調べ中であり、なおこれに並行いたしまして行政処分の処置も進行中であります。今後は一層指導監督を戦にいたしまして、再びかかる不祥事を招くようなことのないように一段と努力をいたしたいと考えるわけであります。さよう御了承を願います。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 日程第一、裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正する法立案の参議院回付案及び日程第二、裁判所法等の一部を改正する法律案の参議院回付案を一括して議題といたします。
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。両案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて産議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 参議院から水路業務法案が回付せられました。この際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 水路業務法案の参議院回付案を議題といたします。
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第三は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。
 日程第三、漁港法案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。水産委員長石原圓吉君。
  [石原圓吉君登壇]
○石原圓吉君 ただいま議題となりました漁港法案につきまして、その提案の理由並びに要旨を御説明申上げます。
 まず本法案提案の理由並びに本委員会における起草の経過につきまして申し上げます。
 わが国漁業の歴史を見ますと、おもに魚をとることと、新しい漁場を開妬して漁場を拡張することの二点に国の施策が向けられておつたのでありまして、そのために、漁船の研究及びこの助威には、かなりの力が注がれていたのであります。戦争によりまして漁船は大半を減少し、かつまた漁船の状況につきましても種々の変遷を来したのでありますが、漁船は急速に再建造せられて戦前の水準に達したばかりではなく、型も漸次大きくなり、従つで設備も化学科せられた参つたのであります。しかるに、漁船の基地でありかつ漁業の策源地であるわが国の漁港の設備の実情を見ますに、非常に不十分でありまして、国民生活の安定と国民経済の発展に大きな役割を果たしつつある水産業の発達をはかるためにはまことに遺憾であつたのであります。従つて、これをすみやかに整備し、かつその適正なる維持、管理をすることが必然的に重要となつて来たわけであります。
 第一国会以来の全国漁民の熱望にこたえるため、またわが国が世界第一の水産国である立場から漁港設備の根本策を樹立するため、本委員会におきましては、過去約一筒年半にわたりまして調査研究をして参つたのであります。本委員会は、すみやかにこれが立法措置の必要を認め、昨年十二月二十二日会議を開き、全員一致をもつて漁港法案を起草すべきことを決定し、爾来、漁港に関する小委員会において愼重審議をなし、三月三十一日、同心委員会案を決定いたしたのであります。次いで、四月三日の委員会において本委員会成案の決定を見ましたので、本法案を提出いたした次第であります。
 次に本法案の内容の大要につきまして御説明を申し上げます。第一に、本法案の目的は、漁港を整備し、その維持、管理を適正にして、水産業の発達をはかり、国民生活の安定と国民経済の発達に奇興せんとするものであることを明確にいたし、また漁港の施設を基本施設並びに機能施設の二種とし、かつその内容を具体的に規定したのであります。
 第二は漁港の指定であります。従来われわれが常識的に漁港として考えておりましたもののほかに、なお漁港として将来施設を要すべきものが相当ありますので、農林大臣は、漁港審議会の議を経て、かつ関係都道府県知事の意見を徴して、名称、種類及び区域を定め、次に述べるような漁港の指定を行うことといたしたのであります。すなわち漁港は、その利用範囲によりまして、これを第一種、第二種、第三種及び第四種漁港と四種類にいたしました。第一種漁港とは、市町村または水産業協同組合の区域をもつぱら利用範囲としているものでありまして、第二種漁港と申しますのは、第一種漁港よりも広く、第三種漁港よりも狭い範囲の利用を目標をしているものであります。すなわち、おおむね都道府県及びその地方程度を利用の範囲としているものであります。第三種漁港は、その利用範囲が全国的なもりであります。第四種漁港とは、離島その他の地にあつて、漁場の開発または漁船の避難上特に必報な地域の避難港的な意味の漁港であります。
 第三は、漁港に関する重要事項を調査審議するために漁港審議会を置きまして、漁港に関する事項について関係行政官庁に対して意見を提出することがでることとし、委員の数は九人としえ、うち一人は水産庁長官で、他の八人は漁港に関する知識と経験及び漁沿修築の技術運営並びに漁業に関する知識と経験のある者の中から内閣総理大臣が両院の同意を得て任命し、任期は三年といたしたのであります。
 第四は漁港の修築でありますが、農林大臣は漁港審議会の意見を徴し、その意見を採択して漁港整備計画を決定し、さらに閣議の決定を経て国会に提出し承諾を受け、内閣は国の財政の許す範囲内において予算を計上しなければならないこととしたりであります。しかして、事業の旅行者は国または地方公共団体及び水産業協同組合とし、国以外のものが基本施設を修築する場合には、その要する費用のうち、北海道におきましては、第一種、第二種及び第三種漁港は百分の六十、第四種漁港は百分の八十でありますが、その他の地域に起きましては、第一種と第二種漁港に百分の四十、第三種漁港は百分の五十、第四種漁港は百分の七十五または百分の六十を国が負担することとし、かつ国以外のものの行う機能施設についても、予算の範囲内でその費用の一部を国で補助することができることにいたしたのであります。第五は、漁港の維持管理について万全期するため、地方公共団体または水産業協同組合を管理者に指定して、漁港管理計画及び漁港管理規定に従つて同時に維持管理をなすこととし、かつ地元漁民の互選及び地方公共団体の推薦する委員をもつて漁港管理会を設け、漁港の維持管理に関する重要事項を調査審議させることとしましたのであります。
 以上が本法案の要旨であります。
 本案は、四月一日及び四月三日の二日にわたり、本委員会において慎重審議をしまして討論にはいり、日本共産党中西伊之助君より原案一部修正の意見があり、民主党林好次君より、国の支出増額を希望して賛成する旨の意見述べられ、さらに自由党川村善八郎君より委員会原案賛成があつて、続いて原案の決定について採決を行いましたところ、多数をもつて原案通り委員会成案の決定を見たのであります。よつて提出方法につきましては、本案を委員会提出の法律案として議員に提出することに全員の賛成を得て決定したのであります。
 要するに、この法案の成立により漸次漁港が完備されましたあかつきには、少々の荒天にも出港が可能となりまして、全国の漁民が安心して漁港にいそしむこととなり、必然的に漁業能率を増進し、著しき増産が予想されるのであります。以上の次第でありますから、何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことを切に希望する次第であります。なお本案の詳細につきましては委員会会議録によつて御承知をお願いいたします。
 これをもつて、提案の理由並びに要旨の御説明といたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。順次を許します。中西伊之助君。
    〔中西伊之助君登壇〕
○中西伊之助君 私は、日本共産党を代表いたまして、ただいま議題となつております漁港法案に遺憾ながら反対の意思を表示するものであります。(「委員会では賛成しておるではないか」と呼ぶ者あり)それにつきましては、当時修正意見を出したのであります。委員長も報告されたのでお聞きになつたと思うのでありますが、修正意見がいれられれば、むろん委員長に報告の通り賛成するのであります。いれられなければ反対するのは当然なことである。これは、むろん議事法をおわきまえになつておる皆さんは御承知のことだと思います。
 そこで漁港法については、これは漁民大衆が非常に待望しております。水産委員の者にもいろいろと要求がありまして、これは漁民大衆諸君の要望であります。ところが、この法案といたしますと、これは勤労漁民がパンを求めているのに石をもつてするものであります。(「漁民は魚を求めている」と呼ぶ者あり)こういう内容を持つ漁港法案に対して反対せざるを得ないのであります。その反対理由を簡單に申し上げます。
 法案の第一章の総則でありますが、この中に施設が規定されております。この施設でありますが、基本施設と、それから機能施設――これは委員会でありませんから大づがみで申し上げます。この機構を見ますと、実に厖大な施設をしてもいいことになつている。一々申し上げませんが、読んでみますと、漁業用通信施設、これは必要でありますが、しかしながら、さらに陸上無線電信、陸上無線電話及び気象信号所、それから漁船船員の厚生施設、宿泊所、浴場、診療所及び漁船船員ホール、いろいろな施設がここにあります。おそらくこういう施設も必要でありますが、しかしこの場合何よりも必要なことは、キテイ台風その他でますます破壊されているところの沿岸の零細漁民の防波的な施設が最も必要であります。そういうこと以外に厖大なる施設がここに載つておりますが、第一種、第二種、第三種、第四種というふうに漁港の範囲はきめておりますが、この施設については何ら法の規定がないのであります。どこへ持つて行つてもこれを用いることができる。この上に鉄道、軌道、道路、橋築というふうな施設がここに規定してありますが、しからばこの施設は、第一種あるいは第二種その他によつて、これは国の費用も出すのでありますから嚴重に法に規定されていかなければならぬはずであるにもかかわらず、これはどこへ持つて行つてもいいということに法の解釈がなる。これはこの法案がある意図を含むものではないかということをわれわれは考えるのであります。その実例といたしまして、私は具体的に申します。これは横須賀の付近の――場所を申し上げてもいいのでありますが、金沢八景に、最近大きなスケールを持つた漁港が建設されるような計画をしております。ところが漁民たちの話を聞いてみると、何だ、こんなところに漁港をつくる必要がどこにあるのだ、おれたちは利用も何もできないじやないか――ところが、土地は漸次買收計画を立てて、すなわちここに規定しておりますような施設をほうふつせしめるような施設をしている。私ども学生時代からよく知つておりますが、その一帶は、潜水艇もしくは水雷艇――今水電艇というのはないそうでありますが、そうしたものの基地であつた。漁民さえ驚くような厖大なる漁港を、こんな所になぜつくるかというふうな疑問を持つ。おれたち、こんなところに漁港をつくつてもらつたつて一向間に合わない、こういうことを言つておるにもかかわらず、ここに大きなスケールで、ちようどここに規定しておりますような計画をしておることは、どういうことを意味するものであるか、皆さんの御想像にかたくないと思うのであります。諸君ほそれを警察に行かれればよくわかる。
 次にこの漁港の指定でありまするが、これは表裏一体をなしておる農林大臣が、審議会の規定によつて意見をいれる、あるいは議を経るということがあります。しかしながら、むろん審議会というものがいいかげんなものであることは、あとで御説明申し上げますがこういうふうにして、農林大臣がかつて気ままにその場所を、すなわち漁港を選定することができる。
 日本は歴史的に見ましても、海から、あるいは植民地的、あるいは侵略的な努力が入つて来たのであります。明治維新以来――以前もそうでありますが、日本の国土を希求する侵略者は、いつも海から来ている。この歴史的事実をわれわれはよく考えなければならぬと思う。すなわち、海はわれわれ独立を守るところの関門である。この関門が一高級官僚の手によつて自由気ままに指定される。
 そうして、この審議会というものは形式的になりますが、これはどういうものか。総理大臣が任命する、こういうことになつておる。そこにこの資格らしいものがはなはだ抽象的に書いてありますが、そういうふうなことは、任命する際に、そんな資格がなくても、あつたということにすれば、もう今まで自由党内閣や官僚はやつておることでありますから、一向こういう法律にこだわる必要がないのであります。
 そういたしますと、問題はこういうことになつて来る。そういう官僚機構がでぎたのは、皆さんが御承知の通り、電力がそうである。電力に国会の審議権はない。電力の機構がそうである。見返り資金はどうであるか。こういうことにして、官僚の独裁、すなわち東條がやつたような、国会を無視して、そうして一部の官僚機構をつくり上げて、それが独裁的な政治をやるということがこの漁港法案の中にも現われている。(「ないよ」と呼ぶ者あり)こういうことが、あなた方は鈍感でおわかりにならないかもわからない。
 さらにこの修築費でありまするが、この中には――大体において国庫負担とすべきものだと私は考えるのでありますが、国以外のものはどうこうということを書いております。国以外のものとは、都道府県のことであり、あるいは公共団体もしくは事業団体であろうというのでありますが、これをはつきり規定する必要がある。さらに多くにわれわれの疑問とするところがありまするが、こうした審議会の委員を選挙するにも、ただ指名でやつた任命であつてはならない。すなわち、ここに零細漁民の、働く漁民の意思が反映して、その利害がついていなければならぬのでありますが、この審議会と申しますものには、漁民の団体あるいは零細漁民、そうたものの意思が全然反映していない。こういうことは、この法案が官僚的本質を持つておるのでありまして、何ら民主化されていない。農地改革の農地法でありますが、あの農地法も同様であつて、この漁港法一つをとつてみても、何ら民主的なものを持つていない。働く漁民の利益が代表されていない。でありますから、私どもは、漁民がおそらく待望しているであろうところのこの漁港法、これは重ねて申しますが、漁民が切にこれを希望しているにも関わらず、この機構であれば、かえつて日本を戰争に導くところの軍事基地を強化する以外の何ものでもないのでありまして、われわれは、そういう観点から、この法案には全面的に反対するものであります。今後、われわれの修正意見、すなわちこれが漁民の利益を中心に、漁民の意思を尊重するものであれば、何どきでも賛成をいたしまするが――現に漁民がこれを待望しておるのでありますから、共産党はいたずらに反対するものではありませんが、大衆諸君――理由があるから反対する。すなわち、これを軍事基地化し、現にそういう事実がある限りしかたがない。反対せざるを得ない。いたずらに絶対に反対するものではない。もしこの法案が翼に漁民の利益を代表するものであつて、その内容が公正できておるならば賛成するにやぶさかでないのでありますが、不幸にして委員会でその修正案がいれられないために、これに対して反対の意見を申し上げるものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 川村善八郎君。
    〔川村善八郎君登壇〕
○川村善八郎君 私は、ただいま議題となりました漁港法案に対し、自由党を代表いたしまして全面的に賛成の意を表するものであります。(拍手)
 趣旨並びに法案の内容につきましては、ただいま委員長より詳細に説明された通りでありまして、内容全体は、これまでの官僚独害の弊害を排し、すべて民主的にしかも合理的に計画を立てて、漁港並びに漁港に関する附帶施設等を完全に修築し、それらの管理と運用のよろしきを得てその目的を達成する法案であるからであります。以下、簡單に賛意を表するおもなる点を申し上げます。
 まず趣旨について申し上げますと、日本の漁業は逐年戰前に復活して、漁船の数もまさに戰前以上になり、船型も一年々々大きくなつておるが、これらの総合基地であるりつぱな漁港が不足であるから、日本の漁業の発展をはかり、日本経済の確立に寄與するために、これを法律をもつて定め、国家財政の許す範囲内で予算の裏づけをなし、完全な漁港の修築並びに附帶施設等をなし、漁民大衆はもちろん、国民全体の要望にこたえようとする趣旨であり、しかも修築に際しては、これまでの單なる官僚の技術とか職権とか、あるいは権力者の支配等によつて築設されることなく、どこまで漁業水位にその地方に適した漁港き修築し、その目的を達成させようとするものであります。
 法案の内容について賛意を表する諸点を申しますと、第一に、その目的は一貫した計画に基いて立法されておること、第二に、漁港の種類を整備して第一種、第二種、第三種、第四種と四種類にわけ、農林大臣は漁港審議会の議を経て、かつ都道府県知事の意見を徴して、それぞれの利用度に応じて漁港の種類を定めて指定することにしたこと、第三は、これまでの官僚毒害的態度と権力支配等を排除し、漁港修築の目的を達成するために、中央に民生的な漁港議会を設けて、漁港の整備計画にまたは附帯施設計画その他漁港に関する必要な事項について関係行政官庁に意見を提出することができることになつていることと、第四には、農林大臣は漁港審議会の意見を採択して、漁港の整備計画を定めて内閣に提出し、内閣がこれを決定した場合は、これを国会に提出して承認を受け、漁港の整備計画に必要な経費を予算に計上しなればならないことを規定したこと、しかもその漁港の重要度に即して国の負担を多くするようにしたことであります。第五には、漁港の維持、管理、運営等のよろしきを得てその目的を達成するため、農林大臣は漁港審議会の議を経て、かつ関係都道府県知事の意見を徴し、当該漁港所在地の地方公共団体、すなわち都道府県、市町村のほか、特に今回この法律によつて、水産業協同組合も漁港の管理者に指定されることになつたこと、また漁港の管理会の設置にありましては委員九人中その七人は漁民から互選するようになつたこと等、いずれも民主的に、しかもその効果を十分あげられようとしておるのであります。
 以上の諸点から私は全面的に賛成するものでありますが、先ほど共産党の中西議員から、二、三反対の意を表しております。その理由といたしまして、上程することには賛成をするが、自分の、いわゆる共産党の修正意見が取入れられないの限りは不賛成だ、そうして二、三点あげておきます。これに対して、いささか反駁を試みたいと存ずるのであります。(「ヒヤヒヤ」)
 第一に、総則中に施設の範囲が大きいが、第一種から第四種の漁港があるのであるから、これをどこへ持つて行つてもいいようになつておる。私は、中西委員がどこへ持つて行つても悪いと言うそのの根拠が明かでない。私ら漁民は、その能力によつて、その使命を達成するためには、施設を大きくして、どこへ持つて行つてもいいという法律は、まことにけつこうで、民主的だと思つている。それを法律で、ここへはこういう施設をしなければならぬ、どこへはどういう施設をしなければならぬという必要は何もない。そこで漁港審議会がはつきり設けられたのであります。その漁港審議会の委員の選任にあたつても、独善だとか、あるいは官僚かどうだとかいつて批判しておりますが、法案の内容をよく勉強してごらんなさい。よくわかつております。審議会の委員は九人であります。九人とも、先ほど委員長が報告になりましたように、いずれもそれは民主的に選ぶようになつております。もちろんこれには、漁港に体験のあるということも一項にはつきりうたつております。いわゆる技術を持つている者、あるいは漁港の修築に対して経験のある者、これらから総理大臣が両院の承認を得て任命することになつております。われわれ国会議員ほど民主的なものがありますか。われわれは、多数民衆に選挙されてこの議員の席を汚しているのである。その両院の承認を得て任命したならば、これは民主的であると言わなければならぬのであります。その点は、中西議員と私とは意見が相当違つております。どうか詳しいことは法案の内容で勉強願います。
 それから漁港の指定について、審議会は形式で、農林大臣がかつてに指定をする。どこにそういつた規定があるか。農林大臣が指定する場合には、審議会の意見を徴して、しかも地方の公共団体、地方の知事の意見を徴して、そしてこれを国会に諮つて決定するということになつております。どこに一体農林大臣がかうてに指定するというようなことが規定してあるか。これも、あなたが勉強しないという一つの証左であります。
 それから管理会の委員の選任にあたつては漁民の意思が何ら反映しておらない、こう言つておるが、りつぱにこれは反映するようにになつております。委員の数は十一人であります。十一人のうちし人は漁民の互選になつております。時間がありますれば、ゆつくり本文の内容から置いて行きますが、時間がありませんので詳細なことは省略いたしますが、とにかく官理会の委員は、十一名中し名が漁民から互選される。二人がいわゆる地方の事情に明るい者、二人は公益社から出すような制度になつておりまして、これ以上一体漁民の意思をどこに反映せしむるか。過半数以上の漁民の意思が反映するようになつておる法律がどこにあるか。こうした諸点から考えますと、今まで出た法案の中で、この漁港法ほど民主的なものはないということを私は断言できるのであります。
 私は、以上の点から自由党を代表して賛成の討論をする次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 林好次君。
    〔林好次君登壇〕
○林好次君 私は、ただいま提提案になつておりまする漁港法案に対しまして、民主党を代表いたしまして、條件付で、ごく簡單に賛成の意思を表したいと存ずるものであります。
 昭和二十五年度において輸入食糧は三百七十万トンを予定されているわが国の食糧事情を考えますとき、いかにして国内生産を増強して自給度を高めるかということは重大な問題であります。思うに、わが国の蛋白食糧資源の根幹をなすものは水産物であります。この生産の増強と振興こそは、まことに食糧の自給と輸出の増大に貢献するおと大なるものであることを確信するものであります。このときにあたり漁港法が上程され、海洋に関するあらゆる基礎をなす港湾を維持開発し発展させる目的をもつてこの法案が審議されるに至りましたことは至当でありまして、これに並行し漁港法案が上程されたのは当然のそちと言わなければりません。「水産業の発展を図り、これにより国民生活の安定と国民経済の発展とに寄與するために、漁港を整備し、及びその維持管理を適正にすることを目的とする。」と、この法律の目的を一條に明示した漁港法案は、むしろ提出がおそきに過ぎたうらみさえあるのであります。
 戰前において、世界漁場の約三分の一の広さに活躍し、水揚高は世界の約四分の一に上つていたのでありますが、現在最も豊富な北洋漁場を失い、南方漁場や支那海などいずれも制限を受け、近海漁場の開発が期待されている事情であります。この制限された漁場を最も効果的に活用し、水産業発展の基礎となる漁港の整備は完璧を期さなければならないものであります。しかるに、わが国の漁港は戰争によつて極度に荒廃し、さらに数度の台風や地盤沈下などにより、全国的に見て相当にいたんでおるのであります。至急復旧を要するものが多いのであります。
 この漁港の修築整備に関し、本法案においては、修築事業費の国費と地方の負担率が定められているのでありますが、この負担が地元に過重であると思うのであります。すなわち、利用範囲が全国的な漁港ですらも、その修築にあたつては、内地では五割、北海道では四割の地元負担をしなければならないのであります。今日の地方財政は極度に窮乏しており、担税能力の限界にまで来ているのでありまして、かかる過重な地元負担では、せつかくの本法案も喜び迎えられないのではないかとおそれるものであります。離島その他返陬の地にあつて、漁場の開発または漁船の避難揚を特に必要とする港ですらも、地元で四割から二割も負担しなければならないとあつては、避難港もできないのであつて、これかなどは、さつそく全額国庫負担とすべきものであると思うのであります。
 かように考えますとき、本漁港法案の提出はまことに妥当適切なものでありますが、さらに本法案の目的に沿うために、漁港の修築に際し、その費用の負担について、最も近い将来において国の負担額を増額し、地元負担を軽減するということを條件にいたしまして本案に賛成するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第四、牧野法案を議題といたします。委員長の報告をを求めます。農林委員会理事八木一郎君。
    〔八木一郎君登壇〕
○八木一郎君 ただいま議題と相なりました、農林委員会付託にかかわる、内閣提出、牧野法案につきまして、審議の経過並びに結果の大要を御報告いたします。
 現行の牧野法は昭和六年に制定されたものでおりますが、当時の客観情勢に基いて軍用馬の飼育に相当の重点を置いたものであり、また牧野の改良につきましても、牧野組合を中心に強制設立、強制加入を行つて来たものでありまして、自主的な協同組合の運営を主体とすべき今日の新情勢に即応いたさなくなつたのであります。かつ戰時、戰後を通じ過度の使用によつて牧野にも荒廃の度を加えて参りまして、これを放任しておきますことは国土の保全上にも支障をもたらすおそれがあります。しかるに、現在のわが国は、特に農業経営の高度化のためにも、また国見栄養食糧確保のためにも一段と畜産の振興をはかる必要があり、これがためには粗飼料の給源たる牧野の管理経営を適正にし、その改良を促進することが緊要であります。こういう意味合いで、今般現行法を廃止いたし、新たなる事態に適応いたしまする牧野法を立案提出せられたのであります
 今、同法案の内容を見まするに、その要点はおよそ四点からなつております。第一点は、地方公共団体の管理する牧野について、維持改良に必要な牧野管理規程を定める義務を負わせて牧野利用の効率化をはかること、第二点は、畜産の用に供する牧野であつて国土の保全上重要なものに対し、保全及び改良に関し所要の指示を行うことのできる保護牧野制度を規定したこと、第三点は、前に述べました牧野管理規定並びに保護牧野制度に基き牧野の保全及び改良事業を行う者に対する奨励措置の規定であります。第四点は、牧野の害虫の駆除命じ、またはその他必要な報告を徴取することのできる権限の規定を定めたこと、以上の四点であります。
 本法律案は、三月二十九日付託と相なり、三十一日提案理由の説明を聞き、次いで質疑を行いましたるところ、自由党野原、河野、渕、原田、遠藤の五委員、社会党石井、井上両委員の各委員より、今後のわが国畜産は酪農経営が重要視されので、それに即応した牧野対策をとる必要があり、また畜産の健全な発達のために良質な粗飼料の確保に努力すベきである、これらのためには標準牧野の設定が望ましいこと、さらに新牧野法の実施に必要な予算的裏づけがあまりに僅少に過ぎる等の発言がございました。
 次いで四月三日、討論を省略して表決に付しましたるところ、全会一致をもつて原案の通り可決いたすべきものと議決した次第であります。以上御報告いたします。
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第五 日本政府在外事務所設置法
  案(内閣提出)
○副議長(岩本信行君) 日程第五、日本政府在外事務所設置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長岡崎勝男君。
    ―――――――――――――
    〔岡崎勝男君登壇〕
○岡崎勝男君 ただいま議題と相なりました日本政府在外事務所設置法案につきまして、外務委員飼いにおける審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、四月四日内閣から国会に提出され、本委員会に付託され、翌五日委員会において審議をいたしたのであります。
 政府側の説明によりますれば、政府はアメリカ合衆国に日本政府在外事務所を設置することに関する連合国最高司令官の覚書を受領いたしたのであります。この覚書によつて、日米両国間の通商貿易の振興をはかり、かつ米国在留日本人の戸籍事務及び財産問題処理のため、ニユーヨーク、サンフランシスコ、ロスアンゼルス、ホノルル及びシアトルの五箇所に在外事務所を設置するようにとのアメリカ合衆国政府の招請が伝達されました。政府は、貿易振興及び在留日本人保護の重要性にもかんがみ、アメリカ合衆国政府の招請を受託したのであります。よつて政府は、本件を円滑かつすみやかに実施するために、慎重研究の結果、今回日本政府在外事務設置法を制定し、在外事務所の設置、所掌事務並びにこれに置かれる職員及びその給與について規定したいと考えたのでありますが、本法案は、日本の国際社会復帰への第一歩を印するものとして、きわめて意義あるものであると思われるとのことでありました。さらに政府より本法案の各條項につき詳細な説明がありました。
 次いで委員側より多数の質疑が行われ、政府側よりそれぞれ答弁がありましたが、そのおもなるものをあげますれば、必要なる予算については、所要経費は大体一億二千三百四十万円で、そのうち人件費三千九百七十五万円を見込んでおり、昭和二十五年度大蔵省所管海外拂関係諸費より移しかえることに大蔵省と協議したこと、在外事務所の人質は、各一箇所に職員三名、事務職員四名を越えないこととし、各職員には一般職の職員の給與に関する法律による給與のほか在勤手当及び住居手当を支給し、在勤手当は年額三千二百米ドルから五千八百米ドルに至る十階級にわかち、また配偶者を住所に伴う場合には住宅手当として年額千二百米ドルを支給すること、在米日本人の概数は、二重国籍者を含めて、大体ハワイ諸島に二十万、米本土において十六万に上る見込みであること等でありました。なお右に関する詳細は会議録によつて御了承を願います。
 かくて本法案は、質疑終了の後賛否の討論を行い、ただちに採決に入り、多数をもつて可決せられました。
 右報告いたします。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇――――
○副議長(岩本信行君) 日程第六、電気事業会社の米国対日援助見返資金等の借入金の担保に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事小金義照君。
    〔小金義照君登壇〕
○小金義照君 ただいま議題となりました電気事業会社の米国対日援助見返資金等の借入金の担保に関する法律案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を簡單に御報告申し上げます。
 本案の要旨は電源開発、電気事業の復興整備を促進するために従来復興金融金庫及び米国対日援助見返資金より多額の融資が行われていたのでありますが、これらの国家資金による融資は、確実な担保をもつてその債権の保全をはかる必要があるのであります。しかし、公共事業たる電気事業は、その質産について政府の監督を受けているものでありますから、債権の保全のために、しいて特別担保を設定する必要を認めませんので、電気事業法第十九條の規定によりまして社債権者に対して認められている一般担保の制度をもりてその目的を達成させようとするものであります。
 本案は、三月十七日、通商産業委員会に付託され、三月二十二日、政府より提案理由の説明を聽取いたしました。超えて三月二十四日、四月一日及び四日の委員会におきまして、自由党福田一君、民主党有田喜一君、共産党伊藤憲一君及び風早八十二君より熱心なる質疑が行われたのでりますが、その内容は会議録をごらん願いたいと存じます。
 次いで、四月五日討論に入り、自由党を代議して阿左美廣治君より、本案の要旨はまことに適当であるとの賛成意見が述べられ、日本社会党を代表して今澄勇君より、近く提案されるという電気事業再編成に対しては絶対反対の意思表示があり、なお旧外債の処理につき十分善処せられたいという強い要望がありまして本案に賛成の意見が述べられました。民主党を代表して有田喜一君より、将来電気事業に対する社債借入金等については、国の内外を問わず特殊な取扱いをせず、既存社債権者の権利を侵害せざるように善処せられたいとの希望があり、さらに電気事業再編成問題、料金問題、地方税等については、電気事業の公共性を認識して、民意と逆行せざるように留意せられたいとの意見が開陳せられ、本案に賛成せられたのであります。最後に日本共産党を代表して伊藤憲一君より外債処理に対する政府の見解を考えるとき、本案は社債権者の利益を守るといいながら、外債権者の権利を守るためのものと思われる、また見返り資金の性格内容娘に反対であるとの見地がら本案に対して反対の意見が延べられたのであります。
 以上をもつて討論を終り、採決に入りましたところ、多数をもつて可決すべきものと決した次第であります。
 以上簡單でありますが、御報告申し上げた次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。伊藤憲一君。
    〔伊藤憲一君登壇〕
○伊藤憲一君 私は、日本共産党を代表たしまして、ただいま議題となりました電気事業会社の米国対日援助見返資金等の借入金の担保に関する法律案に反対の討論をなさんとずるものであります。
 本法律案は、見返り資金及び復金融資の担保に一般担保制を採用することによつて社債権者の利益を擁護しようとするものでありますが、問題なのは、この法案が守ろうとしている社債権者とはだれであるかということであります。宮幡政務次官が、軍カ社債中、内国債はほんのとるに足らないものである、と言つておりますように、本年一月一日現在、邦貨換算百七十七億余円に上るドル及びポンドの外国債の債権者であります。政府は、外債は政府が承継しておるとか、あるいは担保権は消滅しておるとか言つておりますか、実際にそうなつていないのは明らかであります。たとえば一債権、債務関係の変更は必ず財務代理人の承認を得る。」という約款がこの外債にはある。でありまして、しかもこれは、中に政府が一方的に破棄したものでありまして、敗戰国であるイギリス、アメリカ等が、敗戰国である日本の言い分をそのまま承認するということはあり得ないのであります。従いまして、この点を委員会で追究いたしますと、これが元のように復活するか、あるいはその他の処置をとるかは、ただいま関係当局と折衝中であります、と宮幡政務次官は答えておるのでありますが、この問題を解決しないで本法案を提出するということに対して、われわれは多大な危惧を抱かざるを得ないのであります。
 また外債担保権は、この法律の規定にかかわらず、見返り資金及び復金貸付金の一般担保に先だつて先取特権をもつ事態になるかもしれない、この外債の担保となつておるところの工場財団はこれを保全しており、かつ電気事業が分断された場合にもこれをくずさないという御答弁が政府からあつたのであります。さらにこの処理につきましては将来に向つて乗りかえ償還を考えており、また外資導入法も準備しておるのだという政府からの御答弁もあつたのであしますが、これら一連の御答弁と、またこの外貨債の有力引受会社であるデイロン・リードの副総裁として、アメリカの前陸軍次官ドレーバー氏が先般来朝されまして、日本の電気事業に対する外資のり導入問題について所見を述べられたことを聞いておるのでありますが、こういう事情と、以上の政府の答弁によりて、單にこの外債処理問題を考えてみますならば、この外積が戰前の状態に復活するが、あるいはいわゆる乗りかえ償還をするかのいずれかしか考えられないのであります。
 わが国の電気事業は、一方において、今日見返り資金融資を通じて外国資本に隷腐化し、電気料金の値上げ、軍力の割当、電源開発、さらに電気事業の分断までが、外国資本の意思のままに、どんどん進行しております。ところが、ここには前もつて百七十七億にのぼる借金が眠つていたのでありますが、これを呼びざまして、外国債権者による日本の電気事業支配に道を開くのが本法律であります。
 現在政府は、わが国の電気事業を分断して、外国資本のわが国電気事業に対する交配を強化しようとしておるのでありますが、この分断に対しましては、全野党はもちろんのこと、與党の間にも相当強力な反対があることは、同僚議員諸君のよく知るところであります。しかし、この法律によつて百七十七億円に及ぶ外国債が復活する道を開くならば、分断と同様な結果をもたらすのであります。従つて、日本の人民の利益とわが国の産業を守るために電気事業の分断に反対される諸君はこぞつて本法律案に反対されるように強く要望いたしまして、本法律案に対する反対の討論を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案の委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第七、株式の名義書換に関する法律案、日程第八、貴金属管理法案、日程第九、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関監視署及び税関支署監視署の設置に関し承認を求めるの件、右三件は同一の委員会に付託された案件でありまするから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事北沢直吉君。
    〔北澤直吉君登壇〕
○北澤直吉君 ただいま議題となりました株式の名義書きかえに関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。
 この法案は、株式の名義書きかえの現状にかんがみまして、その手続を簡易迅速にするために提出されたものであります。
 法案の要点は、新たに名義書きかえ代理人の制度を設けまして、株式の名義書きかえに会社の本店で行うほか、会社の支店または名義書きかえ代理人もこれを行うことができることとし、名義書きかえ代別人は、株式の各義書きかえを代行するほか、総合召集の手続、配当金支拂いの通知等の付随業務を行い得ることとしておるりであります。さらに名義書きかえ代理人は、その信用を保持することがぜひとも必要でありますので、資本金百万円以上の会社で、証券取引委員会の登録を受けた者のみが行い得ることとしているのであります。
 この法案は、去る三月三十一日、本委員会に付託せられ、四月六日、政府委員より提案理由の説明を聴取し、引続き名義書きかえ代理人となる会社の種類等について質疑が行われましたが、詳細については速記録に譲りたいと存じます。
 次いで討論に入りましたところ、田中委員は日本社会党を代表し、三宅委員は自由党を代表し、宮腰委員は民主党を代表してそれぞれ養成り意を述べられ、田島委員は共産党を代表して反対の意を述べられました。
 次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。
 次に、ただいま議題となりました貴金属管理法案について、大蔵委員会における実議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。
 この法案は、貴金属を国際收支の改善その他国民経済上最も有効な用途に充てますために、貴金属を政府へ集中し、その取引及び使用に関して総合的に調整する必要がありますので、ここに提案されたものであります。
 この法案の内容につきまして、おもなる点を申し上げますと、まず新たに生産された貴金属地金はすべてこれを政府に集中し、適切な配分計画によつて売却するようにいたしたのであります。また銀及び白金等につきましては、国内取引の統制を廃止して、單に金地金についてのみ国内取引を統制することといたしております。さらに金の重要性に基く産金復興助成の見地から、金鉱業者が機械器具等を輸入する場合には、一定の條件のもとに輸入税を免除することといたしておるのであります。
 以上が、この法案の提出になりました趣旨並びに内容の要点でありますが、本法案は、四月五日、本委員会に付託せられ、同六日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、引続き各委員より、金の生産高及び買上価格、国際通貨基金加入問題等について質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、詳細については速記録をごらん願いたいと存じます。
 次いで討論を省略し採決に入りましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。
 次に、ただいま議題となりました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関監視署及び税関支署監視署の設置に関し承認を求めるの件について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。
 本件は、最近における密貿易の超勢に対応して監視取締りの万全を期し、監視署の配置転換を行うために提出されたもりでありまして、横浜税関平塚監視署外十四監視署を廃止して、新たに横浜税関真鶴監視署外十四監視署を設置することに関し、地方自治法の規定に基き国会の承認を求めておるものであります。
 本件は、三月二十九日、本委員会に付託されまして、四月六日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、翌七日、各委員より密貿易の実情及び取締状況等について熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記録に譲りたいと存じます。
 次いで、討論を省略し採決いたしましたところ、起立総員をもつて本件は承認を興うべきものと議決いたしました。
 以上御報告申し上げます。
○副議長(岩本信行君) まず日程第七につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第八につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第九につき採決いたします。本伴は委員長の報告の通り承認を與えるに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御事議なしと認めます。よつて本件は委員長の報告の通り承認を與えるに決しました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第十、放送法案、日程第十一、電波法案、日程第十二、電波管理委員会設置法案、右三條は同一の委員会に委託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。電気通信委員長辻寛一君。
    〔辻寛一君登壇〕
○辻寛一君 ただいま一括議題となりました電波法案、放送法案及び電波監理委員会設置法案に関し、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず三法案制定の理由について御説明いたします。現在、電波行政に関する法律といたしましては、大正四年の制定にかかる無線電信法が施行されておるりでありますが、御承知の通り、科学技術、なかんずく無線技術の分野は、輓近きわめて顕著な進歩を遂げたのでありまして、これに伴つて国家、社会の各方面におきまする電波利用の状況も、ほとんど昔日に比し一変するに至りました結果、大正初期の法律をもつてしては、もはや今日の電波行政を規律することは不可能と相なつたのであります。加うるに、現行法におきましては、舞線電波及び無線電話は政府がこれを管掌することを原則とし、特定の場合例外的に民間における施設が認あられるという建前をとつておらのでありますが、新憲法のもとにおきましては、本来国民のものである電波は、政応たると民間たるとを問わす、公共の福祉を増進するために、これを最も能率的に利用するもののために公平にその門戸を開放すべきものであり、特に放送の分野におきましては、この精神よりいたしまして、現在の社団法人日本放送協会の独占を排し、一般民間放送のためにも電波利用の道を開くべきであるとの輿論が高まつて参りました。さらに現行無線電信法は、一面において電波監督行政の規定であるとともに、他面また国営に公衆電気通信事業経営に関する規定をも包含しており、行政組織といたしましても、事業官庁たる電気通信省が同時に電波監督官庁と相なつておるのでありますが、法体系を合理化し、行政の公正を期する上からは、法規的にも行政組織上にも、監督行政と事業行政を截然分離することが適当であると申さねばなりません。その他、昨年わが国が加入いたしました国際電気通信條約に基く国内法制の整備、新憲法の要請による従前の命令委任事項の整理等諸般の必要を生じ、これらは、現行法令の部分的改正によつては、とうていその目的を達することができませんので、政府はここに現行無線電信法を廃止し、あらためて電波行政今日の実情に適応する新法律を制定する意図のもとに、この三法案を提出したものであります。
 次に、法案の内容につき主要な点を申し上げます。
 電波法案に九章百十六箇條及び附則よりなる法律案でありまして、その内容は、放送をも含めた無線局の免許、無線設置、無線従事者、無線局の運用、監督、聽聞及び訴訟、罰則等、電波行政を事務、技術の両面から規律する電波の基本法ともいうべきものでありますが、日本的内容に関しましては、現行の取扱いに著しい変更を加えようとするのではありません。ただ特に注目すべき点は、この方針案におきまして、新たに十七個條にわたる聽聞に関する規定を設けておることてありまして、すなわち電波管理委員会規則を制定しようとするとき、電波官理委員会の処分に対する異議の申立があつたとき等の場合、電波管理委員会におきましては、審理官をして利害関係者、参考人等の出頭を求めて、裁判手続に類似した聽聞手続を行わしめ、その調書及び意見書に基いて事案の決定を行う旨の規定並びにこの聽聞手続と訴訟手続との関係に関する規定を置いておるのであります。
 次に放送法案は四章五十八箇條及び附則よりなつておりまして、その内容は、放送に関する総則的規定、日本放送協会に関する規定、協会以外の一般放送事業者に関する規定及び罰則規定であります。
 御承知のごとく、わが国の放送事業は、大正十三年逓信大臣の認可のもとに設立されました社団法人東京放送局によつて開始され、引続き名古屋及び大阪にも放送局が設立されたのでありますが、大正十五年に至つて、これら三放送局が統合されて現在の社団法人日本放送協会が段立されまして以降は、まつたくその独占経営のもとに今日に至つておるのであります。しかるに、今日放送法案の規定により、この社団法人日本放送協会は解放いたし、新たに特殊法人たる日本放送協会が設立されるのでありますが、電波法案の規定によれば、提案理由御説明の際に申し述べました電波解放の原則に従いまして、この日本放送協会のほかに、一般人もまた一定の條件を具備し、電波監理委員会の免許を受くるにおいては、民間企業として放送事業を経営し得ることと相なるのでありまして、このことは、わが国放送事業史における雨期的変革と申しても過言でないと存ずるものであります。
 しかして、日本放送協会の放送事業と、一般民間の放送事業とを、放送法案の規定により比較検討いたしまするに、前者は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的といたし、場合によつては政府の命令を受けて国際放送をも行う任務を持つておりまする関係上、中波受信機を設置した者から受信料を徴収する権利を有するほか、放送債権の発行、所得税及び法人税の免除、土地收用法の適用用各種の特権を付與されておりますが、その反面、電波監理委員会による一般的監督のほか、会計につき会計検査院の検査を受け、さらに收支予算、事業計画、資金計画、放送設備の讓渡等につき、政府機関を経て国会の承認もしくは同意を得ることを必要とし、業務報告書並びに貸借対照表その他の計算書類を政府を経由して国会へ提出する等厳重なる国家監督に服する義務を負うております。また協会が徴収する受信料は国費がこれを定めまするほか、協会に他人の営業に関する広告の放送を行うことを禁ぜられておるのであります。これに反し、一般民間放送事業におきましては、その経費は主として広告放送による收入によつてまかなわれる建前になつておるのでありまして協会に與えられているような特権もほとんどないかわりに、協会が受けているような監督も制約もなく、免許條件の範囲内で最も自由潤達にその事業を経営し得ることになつておるのであります。
 しかしながら、ここに留意すべきは、元来放送事業は、新聞とともに、あるいはそれ以上に近代における強力なる宣伝の具でありまして、その社会民心に與える政治、文化、経済上の影響は、よきにせよ、あしきにせよ、すこぶる強力なるものがあるのであります。加うるにこの事業は、協会放送たると民間放送たるを問わず、ひとしく元来国民全体のものである電波の利用によつて成り立つものであり、電波にその本来の性質よりいたしまして、地域的にはきわめて限られた数しか使用し得ないものでありまする関係上、これが使用の免許を受けることは、それ自体国家よりする大きな特権の付與であります。従つて、協会放送と民間放送との間には前申し述べたような差別は存しまするものの、双方ともひとしく高度の公共性を要求される事業でありまして、これが経営は、いずれの場合も公共の福祉に適応するようになされなければなりません。この精神を明らかにするため、放送法案は、その第一條に、放送が国民に最大限に普及されること、放送の不備不党、真実及び自律を保障すること、放送が健全なる民主主義の発達に資するようにすることの三大原則を揚げて、この法案の目的を明らかにしておるのであります。
 しかしながら、他方放題送、それが強力な宣伝の具であるがゆえに、一層表現の自由を確保されなければなりません。かりてわが国において、軍閥、官僚が放送をその手中に握つて国民に対する虚妄なる宣伝の手段に使つたやり方は、将来断じてこれを再演せしむべきではありません。放送法案におきましては、このいわゆる放送の自由を保障するために、第三條に、放送番組は法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、または規律されることがしない旨を規定しております。
 この法律によつて設立さるべき日本放送協会の目的、業務、組織等は、放送法案に、第七條から第五十條にわたり詳細に規定されておりますが、そのうち協会の組織、構成を要約して出し上げますれば、協会の経費方針を決定し、業務の運営を指導統制する権限と責任とは、八名の委員と協会会長をもつて構成される経営委員会の握るところでありまして、経営委員会委員は、文化、科学、産業その他の分野が公平に代表されるような考慮のもとに、有、識経験者のうちから内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命することになつております。しかして、協会の業務の執行は、経営委員会の任命する会長、経営委員会の同意を得て会長の任命する副会長及び理事がこれに当り、ほかに経営委員会の任命する監事があつて業務の監査に任ずるのであります。なお現在の社団法人日本放送協会は、新しい日本放送協会成立と同時に解散し、その一切の権利業務は新協会において承認することに附則において規定されております。
 以上、放送法案の大要につき御説明申したのでありますが、最後に電波監理委員会設置法案は、電波監督苦行政機関として新たに設置さるべき電波監理委員会の組織、権限を定める二十箇條及び附則よりなる法律案であります。すなわち、総理府の外局として電波監理委員会を設け、これに現在電気通信省の所管となつている電波及び放送に関する監督行政を移管、所掌せしめんとするものでありますが、この行政が特に公平性、不備不党性及び政策の恒久性を強く要望せられていうことにかんがみ、行政機関の形態として委員会制をとることとし、その構成員たる委員長及び六名の委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることがてき、広い経験と知識を有する者のうもから内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命し、かつ委員は毎年一名づつ交代することになつております。電波監理委員会には、事務局として電波監理長官を長とする電波監理総局、並びに前に申し述べました聴聞を行うための審理官五名以内を置くのであります。
 以上をもちまして三法案の内容の概略に関する御説明を終つたのでありますが、申すまでもなく、これら三法案は、わが国の電波行政及び放送事業の将来を左右すべき重大案件でありまするので、電気通信委員会におきましては、昨年十二月二十二日及び二十三日法案の付託を受けまして以来、十数回にわたる会議を開きましたほか、電波監理委員会設置法案につき内閣委員会と、放送法案につき文部委員会と連合審査を行い、さらに放送法案について二日間、他の二法案について一日間の公聴会を開催、三十一名による公述人から意見を徴し、その他本件に関する請願、陳請、意見書、新聞論調等各方面の意見はことごとくこれを考慮の中に取入れ、あらゆる角度から慎重審議を重ねたのでありす。従つて、委員会における政府との間の質疑応答もきわめて精細かつ多岐にわたつておりまして一々御紹介申し上げることは、とうてい時間の許すところでございませんので、これらに関しましてはすべて会議録によつて御承知願うこととし、ここでは單に、委員会において根本的な問題として最も議論の焦点となつたものは、わが国放送事業経営形態を協会放送、民間放送の二本建とすることの可否、民間放送の助長育成の方途、協会に対する国家監督の方法及び受信料法定の適否、電波監理委員会と内閣との関係の問題等であつたことを申し添えるにとどめたいと存じます。
 さて委員会は、本月四日に至り、ようやく三法案に対する質疑を終了いたしたのでありますが、この約三箇月にわたりまする審議の結果、委員多数の意見といたしまして、電波法案及び放送法案に関し若干の点において政府提出原案に修正を加えることが必要であるとの結論に達し、昨七日の委員会席上、電波法案については自由党、日本社会党、民主党、国民協同党及び農民協同党の、また放送法案については自由党、民主党、国民協同党及び農民協同党の各党所属委員の協同提案として、両法案に対する、修正案が提出され、自由党の高塩三郎君がこれが趣旨の説明に当られたのであります。以下、右修正案の内容に関し概略を御説明申し上げたいと存じます。
 まず放送法案に対する修正案は、本則二十二箇條、附則三項にわたる修正でありますが、そのうち主として立法技術の理由によるものを除き、重要な修正点のみについて申し上げます。
 第四條第一項は訂正放送に関する規定でありまして、原案によれば、放送事業者が事実でない事項の放送をした場合、この事項に関する本人または直接関係人から請求があれば、事業者は請求を受けた日から二日以内に訂正取消しり放送をするか、または本人等に弁明の放送をさせなければならないことになつているのでありますが、この規定は実行上種々の障害を惹起するおそれがありますので、修正案におきましては、訂正の請求は権利の侵害を受けた場合に限ること、請求の期間を放送のあつた日から二週間以内とすること、請求を受けた事業者は遅滞なくその放送の真偽につき調査すること、調査の結果真実でないことが判明したときは、その日から二日以内に訂正取消しの放送をすること、本人等の弁明放送は認めないことの五点にわたる修正を加えたのであります。
 第九條は日本放送協会の業務に関する規定でありますが、修正案は、第一項第四号の協会の研究活動の範囲を拡張して放送番組に関するものを加え、第二項第四、五、六の各号と第五項に関し協会の業務範囲を明確にいたしました。
 第十六條第一項につきましては、放送と教育との密接なる関係にかんがみ、経営委員会委員選任の基礎分野に、文化、科学、産業と並んで教育を加えることといたしたのであります。
 第三十二條第二項に、協会が徴収する受信料は月額三十五円とする旨の規定でありますが、この金額は現行のものをそのまま踏襲したにすぎませんので、原案に盛られている受信料法定の趣旨を貫くため、修正案におきましてはこの規定を削除し、新たに第三十七條に一項を追加して、受信料の月額は、国会が同條の規定により協会の收支予算を承認するごとによつてこれを定める旨を規定するとともに、附則に一項を設け、国会が受信料の額を定めるまでは、その月額を三十五円とする旨の経過規定を置くことにいたしたのであります。
 第四十四條は協会の放送番組編集上の準則でありまして、その第三項にいわゆるラジオ・コードに相当する規定でありますが、諸般の角度から検討の結果、修正案におきましては、公安を害しないこと、政治的に公平であること、報道は事実を曲げないですること、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることの四原則をもつて規律することが最も適当であるとして、原案に対し所要の修正を施したものであります。なおこれとともに、前申し述べました通り、放送事業は民間放送といえども高度の公共性を帶びるものでありますから、協会放送に対して要求されるこのラジオ・コードは、民間放送に対してもまた要求さるべきものであるとの見解に立つて、修正案は第五十二條の次に一條を設け、前述の四原則を一般放送事業者に準用することにいたしました。
 第五十條に関する修正は、協会解散の場合、残余財産は国に帰属することといたしまして、第四十八條の規定による免税の根拠を設けたものであります。
 次に電波法案に対する修正案は、本則十六箇條、附則六項にわたつておりますが、その多くは立法技術上の理由に基く修正でありますので御説明を省略し、重要なるもののみについて申し上げることといたします。
 第四十五條第三項は無線従事者国家試験の免除に関する規定でありますが、修正案は免除の條件の緩和をはかるとともに、場合によつては試験の全部を免除することができることと、たし、第五十條第一項、船舶無線電信局の通信長の資格條件についても、実情にかんがみ若干緩和する修正を行つたのであります。
 第七十一條は、電波監理委員会が公益上の必要により無線局の周波数または空中線電力の指定を変更する場合の規定でありますが、原案によりますれば、この変更は、当該無線局の目的の遂行に支障を及ぼさず、かつ無線設備の変更を要しないか、軽微な変更にとどまる場合に限られており、規定の運用上支障を生ずることが予想されますので、修正案は所要の修正を加えるとともに、変更によつて生じた損失は国が補償することとし、これに関する規定を追加いたしました。
 第七十六條は無線局の運用の停止、制限及び免許の取消しに関する規定でありますが、原案においては、これらの処分をなす場合を電波法またはこれに基く命令、処分に違反したときに限つておりまするのを、放送法関係の違反の場合をも含めることに修正いたしました。
 その他第百十二條、第百十三條の刑罰規定の一部の修正によりまして刑罰の軽減をはかり、附則に一項を加えまして、電波法施行後三年間、特定の近海区域においては、第二級無線通信士が主任として国際通信に従事し得る旨の経過規定を設くる等の修正を行いましたほか、附則第一項の施行期日を、公布の日から起算して三十日を経過した日と改めたのであります。この施行期日の修正は、法案審議の状況及び公布後の実施準備期間を考慮したものでありますが、放送法及び電波監理委員会設置法の施行期日はいずれも電波法施行期日と一致するようになつておりますことを念のため申し上げておきます。
 以上、両法案に対する修正案の御説明を経つたのでありますが、委員会は同じく七日討論を行い、まず民主党を代表して川崎秀二君は、電波放送両法案に対する修正案及び修正部分を除く原案並びに電波監理委員会設置法案に対し賛成の意を、共産党を代表して江崎一治君に反対の意見を、国民協同党を代表して今井耕君及び自由党を代表して中村純一君はいずれも賛成の意見を述べられたのであります。次いで日本社会党を代表して受田新吉君は、電波法案に対する修正案、同じく修正部分を除く原案並びに電波監理委員会設置法案に対し賛成の意見を、放送法案に対する修正案及び原案に対して反対の意見を述べられ、引続き委員会は採決に入り、電波法案に対する修正案、同じく修正部分を除く原案、放送法案に対する修正案、同じく修正部分を除く原案、電波監理委員会設置法案の順序をもつて賛否を諮りましたところ、いずれも大多数をもつてこれを可決いたした次第であります。
 これをもつて御報告を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。受田新吉君。
    〔受田新吉君登壇〕
○受田新吉君 私は、ただいま議題となつておりまするところの放送法案につきまして、日本社会党を代表いたしまして反対の討論を試みんとするものてあります。
 さて、われわれ日本が今日文化国家、平和国家として雄々しく立ち上りつつある段階におきまして、その最も重要な言論機関であり、かつ最も大切な文化事業でありまするところの放送事業なるものが、ここに従来の日本放送協会のごとき形態でなく、公共企業体の形式を有する公共性を存分に発揮し得る機関として新たにスタートするという放送法の出発は、まことに待望久しかつたのであります。今回上程されておりまするところの放送法案の内容を見ますると、その第一條に、放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障し、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて放送による表現の自由を確保し、放送に携わる者の職責を明らかにすることよつて放送が健全な民主主義の発達に資するようにする、しかも放送を公共の福祉に適合するように規律してその自由保障をなし、その健全な発達をはかることが目的であるという規定がされておるのでありまして、まことに同感に存ずるのであります。しかるに、この大切なる第一條の規定が、そのほかの降項にいかに盛られておるかということを見るときに、ここに私は、ただいまより申し述べようとする反対理由をあげざるを得ないのであります。
 第一に、協会の中に経常委員会なるものがあげられるのでありますが、この委員の選任方法たるや、広く公共の福祉に関して公正なる判断と各方面の広い知識と経験を有する者の中から、両議院の同意を得て内閣総理大臣がこれを任命するという規定であります。この規定は、ゆだんをすると、その時の政府與党の力によつて、ある特定の片寄つた委員が選出されるおそれがあるのであります。先ほどの第一條の目的にありまするところの不偏不党なる保障が、ここにそこなわれるおそれを見出さざるを得ないのであります。
 さらに第三十二條に参りますと、日本放送協会と受信者との間における受信契約に基く受信料を法文化しておるのであります。この点において、さらにその受信料の切りかえをするときには国会の承認を要するようなことになつておりまして、いやしくも米、麦のごとき主食、あるいはそのほか電気、ガスのごとき生活必需品すらもなお国の規定による法文化をしない立場にあるときに、受信料のごときものが国会の力によつて決定されるということは、ゆだんをすると非常に国会の権威をそこなうおそれを感ずるのであります。
 さらに三十七條へ参りますると、そこには実に多元多岐にわたるところの監督機関が並列しておるのであります。第一に、協会より提出されましたところの収支予算、事業計画、資会計画その他のものは一応これが電波監理委員会に提出され、さらにこれが内閣へまわされ、最後に国会においてこの承認を求めることになつております。次に四十一條へ参りますると、そこには、協会の会計は会計検査院が検査するという規定があるのであります。このように、協会そのものが、内部に経営委員会が存在し、さらに電波監理委員会、国会、政府及び会計検査院という五つの立場からの多元的監督を受けるという点について、真に民主的に、真に円滑な運営がなされるかどうかを疑わざるを得ないのであります。
 私は、ここに日本放送協会が、せつかくコーポレーシヨンとして雄々しく立ち上る段階において、国家権力が強く及びまして、せつかくの民主的な発達を阻害し、真の文化事業、真の言論機関の発達をはばむごとき結果の招来をおそれてやまないのでありまして、これらの点に関しまして種々検討を加え、せつかくの法案であるから、でき得べくんばこの修正を試みて、よつてもつて文化国家推進の重要なる文化事業たらしめようと大いにこれ努めたのでありました。わけてこの放送事業によりまして、特にその公共性なるものは、日本の津々浦々に至るまで、あまねく普及されるという規定が掲げてありまして、この点におきましては、真の公共の福祉のために放送事業の効果がいかに偉大であるかを物語るものでありあります。山間僻地とか、島とか、およそ文化に縁の遠い地域に――ただ一つの言論機関であり、文化事業である放送が、それらの僻遠の地に住む人々に真に文化の潤いを與えるものであることを思うときに、公共性を持つ放送事業のきわめて重大なる使命を思わざるを得ないのであります。私は、これらの点に関して、新しく出発するところのコーポレーシヨンの放送協会が、日本の津々浦々に至るまで、真の文化再現の、文化推進の主体となることを強く強く念願して参りまして、この修正のために、以下申し上げるがごとき努力を傾倒いたしたのであります。
 第一は、経営委員会の中に少くとも文化、教育、産業及びそのほかの各方面の代表者が広く列挙されて、少くともあらゆる段層を代表するところの、すなわち地域代表のみでなく、職域代表を含めて、真に民主的に、真に広く深く経営がなされることを念願して、その修正に努めて参つたのであります。
 さらに電波監理委員会が、新しくできるところの電波監理委員会設置法によりまして、ここに出発をするにかかわらず、その電波監理委員会の機能があまりにも一部の技術的な立場にのみ追いやられて、真に強い権能を持つことができず、せつかく国会の承認を得て任命される委員であるにかかわらず、その委員に與えられたる権能がきわめて薄くして、ただ協会より出されたところの收支予算、事業計画、資金計画のごときものを、意見を付し、検討を加えて、国会にまわすときやり方がなされておるのであります。少くとも電波監理委員会は、いやしくも国会の承認を得て任命されたる民主的な機関である以上、それに対してある程度の幅の広い権能を與え、国会や内閣が一々タツチすることなく、ある程度のものは電波監理委員会において、これにとどめをさすごとき、電波監理委員会の認可制度が必要であると思つたのであります。しかるがゆえに、三十七條の修正については、特に電波監理委員会に一役買つてもらうごとく努力いたしまして、国会もただその報告を受けるにとどまるごとく努力を続けたのでありました。これに対しまして、遂に同意を得るに至らなかつたことは、きわめて遺憾であります。
 さらにいま一つ受信料の問題でありますが、三十五円という受診料を法律をもつて規定することがいかに危険であるかは、現在の段階において最も深刻であります。われわれは、国会において、ここに三十五円という算定基礎をどうして出すかという――油断をしておるというと、国会の権限を失墜するごとき事態が起らざるを得ないと思うのであります。ところが修正案においては、わずかにこの三十五円なる受信料の規定が本文より脱落して附則の末尾に掲げられえたのでありまして、しかも明らかに三十五円なる受信料の月額が明文化しておるのであります。
 以上申し述べましたるごとく、せつかく努力を傾倒いたしましたるこの修正案についても、遂にわれわれが念願するごとき線を出すことができず、ここに遺憾ながら修正案に対しても原案に対しても反対の表明をなさざるを得なかつたのであります。
 私は、この機会に、日本放送協会が公共企業体として出発するとともに、新たに民間放送事業者が堂々たる発足をすることに対しても深く敬意を表しておつたのであります。わけて日本社会党の立場からは、放送の民主化、放送の自由性、これらを尊重するとともに、一方において、協会として新発足するこの放送協会が強く強くその公共性を伸ばすとともに、他の方面においては、いたずらに商業放送にのみ汲々とすることなく、常に公共性を尊重しつつ民間放送会社が全国に、あたかも自由党の立場をそのまま文字通り実現するがごときことなく、真に選ばれたる優秀なる民間会社が出発いたしまして、そしてこの公共企業体である日本放送協会の公共性と、よつてもつて民間放送会社のその広告放送、商業放送の長所を互いに相より相助けて、言論機関として、文化事業として、はなばなしき実を結んでくれることを念願しておつたのであります。しかるに、遂にわれわれの念願通りならず、ここに本法案に反対の意思表示を表明するに至つた事情は、皆様十分お分かりいただけると思うのであります。
 最後に私は、日本放送協会が今後いかに進むべきかという点について、おそらくわれわれが今念願しておりますごとき修正点について……
○副議長(岩本信行君) 受田君、申合せの時間が過ぎておりますから簡潔に願います。
○受田新吉君(続) 修正点につきまして、おそらく近き将来においてこの法案が改正せられるであろうことを待望いたし、さらに日本放送の将来に真の自由と真の放送の不偏不党の立場が確保されることを念願いたいたしまして、われわれんを努力をさらに今後の修正へ集中することをお誓いいたしまして、討論を終る次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 橋本登美三郎君。
    〔橋本登美三郎君登壇〕
○橋本登美三郎君 ただいま議題となりました電波関係三法案に対し、私は自由党を代表いたしまして賛成の意見を表明せんとするものであります。
 右三法案は、本国会におきまする重要なる法案の一つであり、同時に文化法といたしましても画期的なる性質を持つているのでありまして、その影響するところはまことに重大であります。御承知のごとく、電波科学の発達は真に瞠目すべくものがあるのでありまして、今次の第二次世界大戦に現われました電波兵器が近代戦争の様相を一変せしめたと申上げても過言ではないのであります。しかるに、わが国における電波に関する法律はきわめて時代遅れであり、三十数年前の大正四年に制定せられました無線電信法のみという、まことに原始的立法の域を出ていないのであります。本日、この近代的文化法ともいうべき三法案が国会に提出せられるの運びになりましたことは、敗戦日本が新憲法において、文化国家を広く全世界に宣言いたしました新日本の立場の精神より見ましても、まことに異議深きものがあるといわざるを得ないのであります。
 以上のごとき重大なる意義を持つ文化法案でありますがゆえに、われわれは、これが審議にあたりましては慎重に慎重なる論議を重ねたのであります、第一に、この法案は純然たる国民のものであり、国民のための法律でなければならないということでありまして、大正四年に立法せられました無線電信法なるものが、時の政府の行政措置を容易ならしめるための一種の取締法であつたのに対しまして、このたびの電波法案なり放送法案は、その中に流れる精神は、真に国民のための電波を有効に且つ自由に公正に利用せんとするところの法案であります。この法案が、今後の電波文化に対して新しき分野を切り開くと同時に、世界に通ずるところの日本の進歩性を確立するということは、あえて言をまたないところであります。しかし、委員会における討論におきましても、共産党の諸君は、この文化法に対しましてまでも、これは吉田内閣、自由党の反動的宣伝機関である、こういうような言葉を弄しておりますが、こういうような言論が、相変わらざる共産党の虚言であり、同時に、こうした言葉によつて国民をだまさんとする党利党略であることは、言をまたないのであります。(拍手)
 この放送法案において、第四十四條にありますように、ラジオ・コードが、公害を害しないこと、あるいは政治的に公正であるべきこと、こういうことを掲げておりますけれども、もちろんソ連及びソ連衛星国のような国におきましては、かくのごとき政治的公正は必要はないかもしれませんが、少なくとも民主主義国家を標榜し、人民のための国家である以上は、政治上における自由、社会上における倫理というものは当然規定せらるべきところの規定でありまして、いわゆるソ連及びソ連の衛生国の国々の主張するがごとき一方的な宣伝機関をもつてしては、われわれ民主主義の国においては政治的公平とはいわれないのであります。特にこの放送法案が、現在の社団法人である日本放送協会を新たに再編いたしまして、法的に根拠を與え、公共企業体として、いわゆる国民放送局として誕生するということは、まことに重要なる意義をもつと同時に、こくみんの多年の要望でありましたいわゆる民間放送局の実現を見ることのできますことは、国民の文化の向上発展に資するところ大なるものがありと信じて、心から喜びにたえない次第であります。
 御承知のように、イギリスにおきましては公共放送一本であり、アメリカにおきましては民間放送複数性をとつておるのでありますが、今回わが国におきまして、この法案において、公共企業体と民営との二本建を決定いたしましたことは、今後のこの種の社会事業、文化事業関して一つの目標を與えるものと信じまして、われわれは法案の成立にこころから恣意を表せざるを得ないのであります。
 先ほど委員長からも報告がありましたが、この法案につきましては、共産党を除く各派、ことに民主党、国民共同党あるいは農民共同党その他の党派が非常に努力をせられて、よりよき文化立法のために御協力願つたことについては、われわれその委員の一人として心から感謝感激にたえないのでありますが、先ほど来受田社会党代表の演説にもなりました点は、公共企業体となつたところの日本放送協会が、国家機関の直線的な一部となつて、ぞの自主性あるいは独立性を失うことになりはせぬか、こういうような心配によるところの議論であります。この点につきましては、先ほどの御議論にもありましたように、国会が同意を與えたところの日本放送協会の経営委員会、その監督機関である電波監理委員会の委員は、この国民の選んだ国会によつて承認を與えられて任命するのでありますから、まさに公人的性格を持つているのであります。しかるに、なおこの上において事業計画、予算収支書などにつきまして内閣を経て国会の承認を必要とすることは、二重、三重の監督を受ける結果となつて、文化事業の本質が破壊せられるのではないかというのが御非難の一点であります。この社会党の反対の理由については、われわれ一応同意の意を表せざるを得ないのでありまするが、本質の問題といたしまして、社会党の委員であるところの受田委員が、こういう問題についても党派を超えての御協力に対しては、われわれ心から感謝をしているのであります。
 第三十七條、第三十八條、第四十條、第四十七條にあります国会の承認という規定と、第四十一條の会計検査院の検査の規定に対しまして反対でありまするが、この放送法案に対しまして、この意味の反対意見は、私は社会党本来の立場と主張から考えてみまして、はなはだ矛盾がありはせぬかと反問したいのであります。元来社会党は、その社会主義政策によりまして、かつての議会におきましても炭鉱国官を主張いたし、その実現に狂奔いたしましたことは、過去の行動によりまして明らかであります。しかも今回、新しき日本放送協会が、民間的存在からして、国営化あるいは社会化されるところの公共企業体に移行せられるのでありまして、従来の主義主張から考えるならば、当然全面的に賛成しなければならぬと考えざるを得ないのであります。この国会の承認ということに対しましても、政府の答弁にありますように、これは単なる従来の議事の規定のよるところの議決とは性質を異にしまして、一括して承認あるいは不承認という、こういうような簡易な国民の公共企業体に対する責任と監督の一様式というものをきめたのでありまして、いわゆる厳重なる意味における二重、三重の監督権の発動ではないのであります。
 もちろん、先ほども御議論になりました料金の問題でありまするが、これにつきましては、たとい暫定的な規定でありましても、事業予算の審議を行わずしてこれを法文に取入れることについては、真に不適当であるとの見解には同感でありますけれども、今日において、これが修正に先ほど来の御議論のように最善の努力を払つたのでありましたが、遺憾ながらその実現を見ることができなかつた。しかし、この料金にいたしましても、これは暫定的であり、経過的決定でありまして……
○議長(岩本信行君) 橋本君に申し上げます。時間が参りましたから簡潔に願います。
○橋本登美三郎君(続) 法案の性質を曲げるのではありませんので、近代文化の脚光を浴びて、まさに誕生せんといたしまするところの本法案に対しまして、ともに協力と努力を重ねました社会党が反対の立場をとられましたことにつきましては、心から残念であり、遺憾の意を表さざるを得ないものであります。
 時間もありませんので、最後の稀有論といたしまして、今後の日本放送協会あるいは電波行政に関しましては、政府が常に時運の進展について考慮せられて、この三法案を通じての問題でありまするが、この電波科学はその国の文化の水準を決定するところの重要なる問題でありますから、その研究及び応用については政府は格段の努力を拂い、もつて国民生活の向上と文化の発展に最善を盡されんことを要望して、私は三法案に対し賛成の意見を表明し、すみやかにこれが実施を切望して賛成討論を終るものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 江崎一治君。
    〔江崎一治君登壇〕
○江崎一治君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりますところの電波法案、放送法案、電波監理委員会設置法案並びに電波、放送両修正案に対しまして反対の意見を述べんとするものであります。
 政府は長期間にわたつて、電波の民間開放とか放送の民主化という看板で、電波関係三法案を国民の前に盛んに宣伝して来たのでありますが、その真相は、以下詳細に述べますように、政府官僚の驚くべき巧妙な立法詐術によりまして、民主的装飾の陰に隠れて、電波行政全般にわたつて国際的独占資本の集中的支配機構を確立しようとしておるのであります。電波法案に基づく電波行政は、国家行政組織法によつてせつちされる電波監理委員会によつて運営されるのでありますが、この民主的会議体の形を持つ委員会行政に詐術の根源があるのでありまして、民主主義の偽装のもとに、国際的独占資本の決定的支配がこの委員会の中に確立されるのであります。しかも電波監理委員会は、行政機関であるとともに準立法機関としての権限をあわせ持つておりますので、電波行政におけるその集約的独裁権力はまことに恐るべきものがあるのであります。公務員の身分を保障し、そのしの利益を守るべき人事院は、国家公務員のために何の役に立つたのか。結局人事院は、政府と同じ穴のたぬきであつたではないか。その他統計委員会、証券取引委員会や外資委員会のごとき日本の行政委員会は、今日まで、だれのために何をして来たのか。ここまで考えて参りますと、まつたく思い半ばに過ぐるものがあるのであります。
 一方において民間放送を許すと言い、他方において、社団法人日本放送協会を解体して、より民主的な新しい日本放送協会をつくるという。これを政府は電波の民間への解放だと称しておるのでありますが、され実情はどうか。放送法案を見ると、放送協会に対して、第一番に聽取料の徴收の法律化、第二番に放送債券の発行の権限、第三番目に所得税、法人税の免除、その上に第四番目として土地收用法の適用等、まつたく至れり盡せりの庇護を與えておるのであります。その上に実質的に放送周波数を独占しておりますにので、鬼に金棒とはまさにこのことであります。これが惡いと共産党は言うのではありません。問題は、この巨大な基礎を持つ日本放送協会が、日本民族のために、人民大衆のためにその役割を果たしてくれるのならば、われわれは双手をあげて賛成であります。ところが、この吉田内閣が自主性を持たないと同じように、放送協会は、法案の條分のいかんにかかわらず、強い権力に隷属的にならざるを得ない仕組みになつておるのであります。その他新しい放送協会の会長をめぐり、また会計検査院の会計検査の規定をめぐる、はなはだ不明朗な話を聞くのであります。従つて新しく誕生する日本放送協会は、公共の福祉に適合するどころか、その経営委員会のロボツト化とともに、将来百鬼夜行の醜状を天下にさらすのではないかと懸念されるものであります。
 かくのごとく、日本放送協会は圧倒的條件に惠まれておるため、これと競争の立場にある民間放送の経営は、採算をまつたく度外視してやれる、きわめて特殊なもの以外は、一切手が出せないことになるのであります。放送の民主化どころか、その反対に、一定の意図を持つた支配階級の専有物となることは火を見るよりも明らかであります。かくのごとき民間放送に対しては、共産党は反対するものであります。
 電波法案の條文と現行法令の條文とを比較対照して見ますと、よくなつたのは、いかめしい文語体がやさしい口語体になつただけで、その階級的性格は露骨に明確化したのであります。たとえば、無線関係従事者に対する規定はますます苛酷となり、これと正反対に、資本家階級の利益の擁護にはきわめて忠実であるのであります。すなわち、わが国は戦争前から世界有数の海難国と言われております上に、戦後わが国の保有する船舶は、老朽船か、しからずんばドラムカンのような戦時標準船が大部分を占めておるのであります。本法案におきましては、かくのごとき現状をまつたく無視して、従来非常通信装置を持たなければならなかつた船舶のうち、義務船を除いて、その設置の責を免除しておるのであります。かくのごとく、資本家階級の経費の節減をはかるためには海員労働者の生命の安全を犠牲にするがごとき、まつたく天人ともにゆるすべからざるところの暴挙をあえてしておるのであります。
 日本はまだ連合国と講和会議を開いていないので、国際会議に出席する権限はないはずでありますが、政府は、最高司令部の好意によるものだと称して、数回にわたつて国際会議に出席しておるのであります。電波関係においては周波数割当に関する国際会議に出席して、むしろ身分不明応と思われるほど広範囲の割当を得たのであります。ところが、この国の財産ともいうべき周波数がいかに使用されておるかというと、軍事的警察関係に対してはきわめて豊富な割当が行われ、特にこの方面におけるFM式無線通信や超短波多重通信のごとき高性能の通信法は経費を度外視して設備を急ぐなど、まさに戦争前夜の様相を呈しておるのであります。(拍手)これとはまつたく反対に、漁業無線等の産業部門に対してはきわめて僅少の周波数と通信時間が割当られるにすぎず、漁業無線の船舶局のごときは、一回の交信時間がたかだか十数分にすぎず、最近日本近海の補漁に対して無線通信が思うように行かないということが、まつたく致命的な要素と化しつつあるのであります。日本のために割当てられた周波数がかかる実情にあることは、日本民族として真に憂くべき状態に立ち至つたと言わなければなりません。愛知県に依佐美送信所という無線局がありますが……
○副議長(岩本信行君) 江崎君に申し上げます。申合わせの時間が参りましたから簡単に願います。
○江崎一治君(続) ここには、戦争中、旧日本海軍が、全太平洋水域に、日本潜水艦に指令を送つていた、きわめて周波数の低い特殊通信装置がありますが、日本はすでに、軍艦はもちろんのこと、遠洋航路に就航する商船隊もないのに、最近この設備の補修に大わらわであると聞いておりますが、一体これは何のために使用するのが、まつたく身の毛がよだつ感じがするのであります。
 最後にもう一つ重要なことは、これら電波関係三法案が法制化されようとされまいと、吉田内閣は、奴隷根性をまる出しにして、すでにやりたいことはどんどん実行しておるのであります。今回の三法案の提出は、彼らの行為を合法化し、かつ民主的飾りをつけることにすぎないのであります。また電波、放送両法案に対する修正案は、政府原案に対して修正案を出した政党が、あたかも国民のために大いに働いたという印象を與えるための、いわゆる点稼ぎのゼスチユアでありまして、内容はまつたく空虚であります。従いまして、日本共産党は、かかる意図のもとに仕組まれた電波関係三法案並びに電波、放送両修正案に絶対に反対するものでありあます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 川崎秀二君。
    〔川崎秀二君〕
○川崎秀二君 私は、電波関係三法案の修正案に対しまして、大局的見地から賛成するものであります。
 今回国会に上程になりました三法案は、いずれも終戦直後以来、電波と放送がいかにすれば最も民主的かつ公共の福祉に適合するかという角度から、政府当局と関係方面において四年越しにわたるところの折衝が重ねられて来たものでありまして、その間における立案者の苦心は、十分にこれを認むるものでございます。
 電波法案並びに公聽会の論議を十分に絞り込みまして、各党の修正案が通つたわけでありまするから、もはや論議の余地は少ないようであります。ただ問題は、電波法は決して電波の統制法ではんくして、電波の保護法であり、かつ空間の電波の交通整理法ともいうべき性格を強調しなければならないと私は考えておるのでありまして、運用にあたつてはこの面を強く生かして行くことが必要ではなかろうかと考えております。
 ただ、放送法案の中におきまする予算の問題と並びまして、電波監理委員会設置法の中に、委員長の権限の問題並びに委員長と大臣を検認させるという問題は、かなり論議のあつた点でありまして、この点は明確にいたしておかなければならぬのでありますが、電波監理委員会はあくまでも政治的には中立であり、一党一派に偏することなく公安を確保するというところにその独自の性格があると私は思うのであります。従いまして、電波監理委員会がいわゆる行政委員会組織を採用いたしましたことは、この法案における大きな意義を見出すものであります。
 これについて、政府の一部におきましては、責任内閣制の建前から、あくまでも委員長と大臣は兼任すべきであるというような強い意思が與党の内部にも反映いたしまして、一時そのような修正案を出すやに伺つたのでありますが、私は、これは責任内閣制という建前よりも、一應政治的中立であるということウエートがこの法案においては強調されなければならないという点、されに、はなはだ失礼ではありまするが、現内閣の性格からいたしまして、これは正面から反対をしなければならぬという点で、強く委員会の内外を通じて反対をいたしておりましたところ、幸いにいたしまして、賢明なる自由党の電通委員の諸君の御努力によりまして飜意をされましたことは、まことにけつこうな次第と考えるのでございます。
 放送法案の方は、これは現在NHK、すなわち日本放送協会を、公共放送の企業体として新しく発足せしめること、さらにはわが国において待望久しかりし民間放送の実現を含むものでありますから、三法案のうち実質的な中核をなしておりまして、世上多大の関心を集めたのも、けだし当然であると思うのであります。
 放送二十五年の歴史を持つ日本放送協会は、わが国放送界の発展に大きな足跡をとどめてはおりまするが、一方これが長年にわたる独占事業のため、特にその温床に甘んじて、ときに萎靡沈滞し、またときには政治権力に左右されまして、その功罪はまさに相半ばするものと評して過言ではないと思うのでございます。戦時中の軍閥官僚によるところの支配の問題につきましては、先ほど辻委員長が明快に指摘された通りでありまするが、戦争中において、ある逓信省監督官僚のごときは、自分のうちのカナリヤがしばらく鳴かなかつたということで、放送協会の放送を通じてカナリヤを鳴かせまして、そうしてこれを連続放送させるというようなことをやりましたことも、決して笑いごとではないが、われわれはこれを強く銘記して、官僚の統制というものを避けなければならぬ重要な点だろうと思うのでございます。
 今この法案が、ラジオの全国普及とその公共性維持のため、特殊法人としての日本放送協会を設立いたしまして、現在の唯一の放送企業体であるNHKを全面的に吸收し、しかも放送という特殊な事業の性格によりまして、公共、公団の線を避けましてパブリツク・コーポレーシヨンとしたことは、大いなる意義を見出すものであります。かかる公共的な性格を蔕びて発足する以上は、全国普及の義務と、公共のために行う責任以外は、何ものもこれに干渉することはできない、何ものもこれに制約を加えることはできない、真に国民のために放送さるべきところの公共放送の性格をこの際特に強調するのあまり再び官僚統制を招くがごときは、まつたく本法の趣旨でないことを、この際特に強調いたしたいと思うのでございます。
 元来、新聞、通信はすべて自由であります。従いまして、放送もまた自由の建前からいたしまするならば、アメリカの放送のごとく、民間放送のみの対立を招来をすることが最も理想的な行き方と私は思うのでございます。しかしながら、日本の地理的な條件、あるいは経済的な現状、あるいは文化水準というものを考えますと、かのイギリスにおきましても、放送協会は、唯一の公共企業体であるBBC、すなわち英国放送協会がただ一つの存在いたしておる点も大きく参考にいたさなければならぬと思います。それでありまするから、今度の法案におきまして、放送自由の原則というものと、公共性の重視ということをあわせ行うことに着目をいたしたものと私は考え、この点、双手を上げて賛成をいたす次第でございます。
 放送協会の予算の問題についてはいろいろないきさつがありまして、三十七條の條文の解釈について、委員会を通じて非常な論議がございました。しかしながら、最終的に、この予算とは、一般政府関係機関の予算のごとく款項目節を整備して予算委員会の審議を経るというようなものではなしに、国会に承認を求めるところの事案と解釈して、放送協会に対し活発なる機動性を発揮するように認めましたことは、この国会の審議における一大収穫であつたと考えるのであります。
 次に民間放送の誕生については、われらは深くその前途を期待するものであります。一部の人からは、本放送法は日本放送協会の保護法であつて、民間放送を保護する規定がないことはけしからぬというような御意見もあつたようでありますが、私は、むしろ民間放送は自由にこれを伸長させ、のびのびと発達させなければならないという観点からこの法律はつくられておると考えるのであります。従いまして、この新しく発足するところの商業放送が、公共放送には見られない清新なジヤーナル・センス、斬新な企画をもつて新たな分野を開くことができますならば、ラジオの文化は一段の跳躍を見るものと期待をいたしております。
 マルコニーが無線を実用に供してからわずかに五十年、二十世紀の人類の生活に革命的な変遷を投げているものは実に電波の発展であります。特に放送は、世界に起伏する各般現象を瞬時にとらえて各国民にこれを浸透させ、宣伝の上におきましても、周知の上におきましても、平和社会における先鋭なる武器としてはその比類を見ないと申さなければなりません。私は、この放送法案によつて、公共放送たるNHKが全国民から真に公器としての信頼をかち得るよう正しく堅実に発展するよう期待するとともに民間放送がはつきりとして新たなる放送分野を開拓し、われわれ国民が電波から享受するところの幸福がより広く、より深くなることを衷心から希望いたしまして、本案に賛成するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 まず日程第十及び代十一の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。なつて両案とも委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に日程第十二につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第十三学校教育法の一部を改正する法立案、日程第十四、図書館法案、右案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。文部委員会理事高木章君。
    〔高木章君登壇〕
○高木章君 ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案及び図書館法案について、文部委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 まず学校教育法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、次の三点について改正しようとするものであります。すなわちその第一点は、大学の名誉教授に関する規定を新たに設けたことであります。第二点といたしましては、高等学校の定時制課程の定義を明確単純化するとともに、高等学校に定時制の課題を置く場合はその終業年限を四年以上と定めたこと、さらにまた高等学校及び大学における職員に関する規定を若干整理していることであります。第三点は各種学校に関する規定でありまして、他の法律に特別の規定のある学校については、これを各種学校の簡明から除外して各種学校の定義を明確にするとともに、従来許可を受けていない事実上の各種学校に対してはこれを学校教育法の規定によらせるようにいたしておるのであります。以上が政府原案の要所であります。
 さて本案は、二月二十三日、予備審査のため本委員会に付託せられ、二月二十七日、政府の提案理由の説明を聴取した後、ただちに審議に入り、四月七日まで前後四回にわたり、各委員よりきわめて熱心なる質疑応答がございましたが、その詳細は速記録に譲りたと存じます。
 かくて質疑を終局し、討論に入りましたところ、今野委員は共産党を代表して反対の意を表せられ、水谷委員は自由党を代表して賛成の意を表せられ、また松本委員は要望事項を付して賛成の意を表せられました。
 次いで採決の結果、多数をもつて原案通り可決すべきものと決定した次第でございます。
 次に図書館法案について申し上げます。
 社会教育法の精神に基いて、わが国図書館の健全な発達をはかるため、図書館の設置及び運営について必要な規定を設けようとするのが、本案提出の趣旨であります。
 今、内容のおもなる点を申し上げますと、第一に、地方財政の過重なる負担を避けるため、地方公共団体に対して図書館設置の義務を課さず、地方の自主的措置にまかせる一方、一定の基準に達した公立図書館に対しては、国が補助金を交付して積極的な奨励策を講ずるようにいたしておる点であります。第二といたしましては、図書館奉仕の理解を明らかにして、社会教育機関としての図書館の活動面を強調するとともに、公立図書館の利用に対してはすべてこれを無料といたしている点であります。第三には、図書館の職員養成制度を確立しようとしている点であります。第四には、私立図書館に対しては、その自主活動を尊重する意思において、法律的拘束をできるだけ避けるようにしているのであります。
 以上が本案の大要でございますが、文部委員会におきましては、去る三月四日、予備審査のため本委員会に付託されまして以来、前後四回にわたり愼重に審議を重ねました結果、教育基本法の精神から申しましても、また新しい図書館に対する世論の熱心なる要望から申しましても、本案のすみやかなる成立はきわめて時宜に適した処置であると認め、討論を行いましたところ、共産党今野委員より反対、自由党圓谷委員、社会党松本委員より、それぞれ賛成の意見が述べられました。
 次いで討論を終り際けるいたしましたところ、起立多数をもつて原案通り可決すべきものと決定したものであります。
 以上をもつて報告を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 両案一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決する賛成の承君の起立を求ます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 規律多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇――――
○山本猛夫君 事務日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、田中角榮君外六名提出、建築士法案を議題となし、この際委員長の報告を求め。その審議を進められんことを望みます。
○副委員長(岩本信行君) 山本君の助議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 建築士法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員会理事田中角榮君。
  〔田中角榮君登壇〕
○田中角榮君 ただいま議題と相なりました建築士法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申し上げます。
 まず本法案の趣旨を簡單に御説明申し上げます。建築物の災害等に対する安全性を確保し、質の向上をはかることは、個人の生命財産の保護と、社会公共の福祉の増進に重大なる関係を有するものであります。そのためには、專門の知識、技能を有する技術者がその設計及び工事監理を行うことが必要であります。本法案は、その趣旨にのつとり、建築物の設計及び工事監理をつかさどる技術者の資格を定めて、試験制度により建築士の免許登録をすることにより一定の技術水準を確保するとともに、その業務に対する責任制度を確立しようとするものであります。過去数十年来、建築士法制定の必要性は、職者の唱導して来たところでありまして、欧米においては、つとに建築士制度を法制化しているのであります。
 次に本法案の内容に関し、特徴とする点を二、三点御説明申し上げます。第一に、試験による免許登録制度であります。第二に、建築の設計は建築士に、工事の実施は建築業者にと、おのおの責任の所在を明確にすることによりまして、相互に不正、過失の防止をはかることができる点であります。第三に、経過的措置におきましては、附則において、現在の有資格者に対しては、暫定的に試験を用いず、選考によつて免許を與える道を開いているのであります。
 本法案は、四月五日建設委員会に付託せられ、ただちに提案理由の説明を聽取、同日質疑に入りました。次に質疑応答のおもなる点について二、三申し上げます。
 第一は、一級建築士及び二級建築士でなければ設計または工事監理のできない建築物の種類と範囲いかんという点であります。これに対しましては、特殊な用途、構造または大規模なる建築物に限り建築士の設計または工事監理を必要とするが、そのうち特に高級大規模なものは一級建築士によることにいたしましたが、その詳細の規定は、目下政府において立案中の建築基準法によることが適当と思うとの答弁であります。
 第二に、建築士と建設業者との責任の区分を明確にしてはいかんという点であります。これに対しては、建設業者の責任は建設業法により、建築士は本法によりその責任の区分が明示せられているとの答弁でありました。
 第三は、受験資格に建築と土木の学歴のみを考慮し、衛生、工学、機械、電気等を除外した理由いかんという点に対しまして、我が国の学校においては、基礎学科である構造力学は、建築においても土木においても共通に修得せられ、また実務経験者においても、この両者は相互に交流する場合が多く、爾余の学科では建築物の質を確保するという学科に対し必ずしも十分でないから、受験資格より除外した旨の答弁があつたのであります。
 次いで討論に入り、共産党を代表し砂間一良君より、本案は設計者と施工者との区分が明確でない、かつ建築士の資格等についても学歴偏重の点が多いからとの理由により反対討論がありました。次に共産党を除いた各党を代表して自由党の瀬戸山三男君より賛成の討論があり、採決の結果、多数をもつて本法案は原案の通り可決いたしたのであります。詳細は速記録によつて御了承願いたいと存じます。
 以上、簡單ながら御報告を終ります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
 これにて議事日程は議了いたしました。本日はこれにて散会いたします。
   午後五時六分散会