第007回国会 本会議 第37号
昭和二十五年四月十五日(土曜日)
 議事日程 第三十五号
    午後一時開議
 第一 国会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の手当に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 第二 衆議院事務局職員定員規程中改正案(議院運営委員長提出)
 第三 造林臨時措置法案(内閣提出)
 第四 農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 家畜改良増殖法案(内閣提出)
 第六 肥料取締法案(内閣提出)
 第七 関税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第八 国家公務員等の旅費に関する法律案(内閣提出)
 第九 造船法案(内閣提出)
 第十 国籍法案(内閣提出)
 第十一 国籍法の施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 第十二 電信電話料金法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第十三 質屋営業法案(内閣提出)
 第十四 都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出)
 第十五 火薬類取締法案(内閣提出)
 第十六 精神衛生法案(参議院提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 故議院丹羽彪吉君に対する加藤鐐造君の哀悼の辞内閣からの申出にかかる地方税法案中修正の件
 日程第一 国会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の手当に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 日程第二 衆議院事務局職員定員規程中改正案(議院運営委員長提出)
 日程第三 造林臨時措置法案(内閣提出)
 日程第四 農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 家畜改良増殖法案(内閣提出)
 日程第六 肥料取締法案(内閣提出)
 日程第七 関税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第八 国家公務員等の旅費に関する法律案(内閣提出)
 日程第十 国籍法案(内閣提出)
 日程第十一 国籍法の施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 日程第十二 電信電話料金法の一部を改正する法法案(内閣提出、参議院送付)
 日程第十三 質屋営業法案(内閣提出)
 日程第十四 都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出)
 日程第十五 火薬類取締法案(内閣提出)
 日程第十六 精神衛生法案(参議院提出)
    午後二時八分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 本院議員丹羽彪吉君の逝去につき弔意を表するため加藤鐐造君から発言を求められております。これを許します。加藤鐐造君。
    〔加藤鐐造君登壇〕
○加藤鐐造君 本院議員丹羽彪吉君は、去る四月五日、にわかに病にたおれ、入院加療中のところ、遂に十日に至り逝去されました。まことに痛惜にたえません。この際私は、蕭君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼の辞を述べたいと存じます。丹羽君は岐阜県の御出身でありまして若くして実業界に志し、縦横の鬼才と不撓の努力とをもつて今日の地位を築かれたのであります。御承知のごとく、さきには貴族院議員として鋭意わが憲政のために盡瘁せられたのでありますが、近くは自由党顧問として、また自由党県支部長として政界に重きをなしておられました。昨年一月の総選挙には、衆望を負うて本院に議席を占め、爾来わが民主政治の発展と平和国家の建設のため励精努力を続けておられたのでありまして、君の政治的活躍はなお今後に期待するものが多く、その卓越せる才幹は、日本再建、特に経済再建の途上において幾多貢献すべきものあるを信じて疑わなかつたのであります。しかるに、はからずも急逝せられたことは惜しみてもあまりあり、返す返すも痛恨にたえません。
 ここにいささか哀悼の微衷を述べ、つつしんで君の御冥福を祈る次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 内閣からの申出にかかる地方税法案中修正の件
○議長(幣原喜重郎君) 内閣から、地方税法案中修正したいとの申出があります。この申出を承諾するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて承諾するに決しました。
     ――――◇―――――
 第一 国会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の手当に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 第二 衆議院事務局職員定員規程中改正案(議院運営委員長提出)
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一及び第二は委員長提出の議案でありますから、いずれも委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、国会閉会中委員会が審査を行う場合の手当に関する法律の一部を改正する法律案、日程第二、衆議院事務局職員定員規程中改正案、右両案を一括して議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事石田博英君。
    ―――――――――――――
    〔石田博英君登壇〕
○石田博英君 ただいま議題となりました国会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の手当に関する法律の一部を改正する法律案及び衆議院事務局職員定員規程中一部改正案について、提案の理由を簡單に御説明いたします。
 まず閉会中委員会が審査を行う場合の委員の手当に関する法律の一部改正の案について申し上げれば、国会閉会中委員会において審査が行われます場合、その委員会に出席した委員は、出席日数に応じて、現在日額三百円の手当を受けておるのでありますが、これと同額であつた滞在雑費が今度一日五百円となつことと、また手当は税金を差引かれますので、これらの均衡をとつて一日七百五十円にいたそうとするものであります。
 次に定員規程の一部改正案につきましては、昭和二十五年度において予算上認められました七月以降増員の分参事二人、主事四人のほか、臨時営繕に関する事務に従事する職員を若干一般定員に振りかえ、また事務の都合上主事若干を参事に振りかえるため、現在の参事定員を百六十人に、主事定員を四百五人に、また臨時営繕に関する事務に従事する職員の参事定員を二人に、主事定員を七人にそれぞれ変更しようとするものであります。
 以上の両案はいずれも議院運営委員会において検討の上起案いたしたものでありますから、何とぞ御賛成あらんことを希望いたします。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。両案を可決することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第三、造林臨時措置法案、日程第四、農業協同組合法の一部を改正する法律案、日程第五、家畜改良増殖法案、日程第六、肥料取締法案、右四案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事野原正勝君。
    〔野原正勝君登壇〕
○野原正勝君 ただいま議題と相なりました、内閣提出、農林委員会付託にかかる造林臨時措置法案、農業協同組合法の一部を改正する法律案、家畜改良増殖法案、肥料取締法案、以上を一括して御報告申し上げます。
 まず造林臨時措置法案につきまして御報告いたします。
 御承知のごとく、わが国の森林は、戰職時及び戰後を通じて非常な過伐、濫伐をいたしました結果、森林資源は著しく減耗いたしまして現在民有林だけでも百二十万町歩以上の造林未済地が累積されている状況にありまして、これは国土の保全上はもとより、将来の林産物需給の上にも重大な支障を及ぼすおそれがございます。それゆえ、これら民有林地につきまして植伐の均衡をとりもどし、森林資源の長期維持をはかりますことが今後の民有林行政の最重要事でありますので、この際急速に森林所有者自身の造林意欲を高揚させ、所期の目的を達成したい意向をもちまして、本案を提案されたのであります。
 本法案の内容は、およそ次の四点からなつております。すなわち第一は、国土の保全上急速に造林を必要とする造林地を指定いたし、その所有者または使用收益権著は定められた造林計画に従い植栽をいたすことであります。第二は、造林地の所有者または使用收益権者が造林計画に基いた植栽を行う意見がないか、または定められた期限までに植栽を完了しなかつたときは、別に造林者を指定して造林を行わせること、第三は、造林者の指定を受けた者は、造林地の所有者に対して造林地の地上権の設定に関し協議を求むることができ、協議が整わないときは都道府県知事がこれを裁定すること、第四点は自作農創設特別措置法との関係でありまして、同法により開拓適地として指定され、または未墾地あるいは牧野として買收されたものは造林地の指定はできないが、他方では、造林地は自作農創設特別措置法による指定または買收の処分ができないこととしたこと、以上の四点であり、挙国造林への画期的法律であります。
 本法案は、去る八日付託と相なり、十日提案理由の説明を聞き、翌十一日質疑を行いましたところ、自由党野原委員、共産党山口委員の両委員より発言があり、特に野原委員から、民有地に関してばかりでなく、国有林についても積極的に造林を行うべきであり、また樹苗の育成のため苗木生産者への融資または予約生産の措置を講じ、挙国造林の完璧を期するようにすべきであり、自作農創設特別措置法の改正にあたつては、本造林臨時措置法立法の精神に照し、開拓地として買收せられたる造林地等にしてその目的の用に供せられず、放置せられておる土地に対しては、すみやかに旧所有者、権利者に売りもどしの措置を講ずべきである等の発言があり、これに対し森農林大臣より、自作農創設特別措置法の改正により、すみやかに旧所有者に返還の方途を講ずる旨の答弁があり、また横川林野庁長官より、国有林の要造林地に対しては現行の部分林制度を拡充して希望者に造林せしむること、また造林用苗木の育成に対してはそれぞれ適宜の措置を講ずる旨の答弁がありました。
 次いで、討論の通告がありませんのでこれを省略し、表決に付しましたるところ、多数をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたしました。
 次に農業協同組合法の一部を改正する法律案の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のごとく、農業協同組合法は、農民の自主的なる協同組織の確立助長をはかる目的で昭和二十二年制定せられ、爾後日を追うてその設立は増加いたし、現在、單位農協三万二千余、系統組織である連合会一千余に及びまして、その普及発達は真に目ざましく、戰後農村経済の安定確立に多大の賀献をいたして参つたのであります。しかるに、最近におきまする経済不況によりまして、農業協同組合も深刻な影響をこうむり、その運営にも多大の支障を来たしているのでありますが、農業協同組合は今日農村経済建設の上にきわめて重要な地位を占めておりますので、ぜひともこれが健全な発達をはかる必要があります。
 本法案は、以上の要請に基きまして、これに所要の改正を加えようとするのでありまして、改正の内容は大体次の二点に要約することができると思います。第一点は、農業協同組合連合会の事業兼営を制限したことであります。すなわち、教育指導的事業を行う農業協同組合連合会は、その事業に直接関連する事業以外の他の事業の兼営を禁止する。また都道府県の区域を超える地区の農業協同組合連合会にあつては、購買事業または販売事業を行うものについても、それぞれその事業に直接関連する事業以外の他の事業の兼営を禁止すること。第二点は、農業協同組合の組合員の利益を守り、組合全体の信用を高めるために、組合の経営を適正に処理するに必要な基準を政令で定める、さらに組合の運営並びに経理状況等に関し資料の提出を求め、または検査をする等の監督規定を整備すること、以上の二点であります。
 本法律案は、三月二十三日付託と相なり、二十五日提案理由の説明を聞いたのでありますが、現在農業協同組合は、一般経済不況の影響をこうむり重大な危機にさらされておりますばかりでなく、現在農家用報奨物資の滞貨が一層これに拍車をかけております状況にかんがみ、四月五日、自由党足立委員より、これに対し善処するよう政府に要望すべき旨の決議案が提案され、全会一致をもつて可決を見たのであります。さらに七日、特に森農林大臣の出席を求めまして、農業協同組合運営に関する根本方針につき真劍な質疑が行われました。引続き十日、十一日の両日質疑を続行いたし、自由党の渕、足立、原田、河野四委員、社会党の井上、石井両委員、共産党の山口委員、国民協同党の吉川委員、農民協同党の小平委員の各委員から、農業協同組合の現況と現下経済政策との関連、今後における農業協同組合の健全なる発展のための対策、行政措置をもつて連合会の統合を制限している事実と改正法案との関係等に関しまして政府委員との間に質疑がとりかわされたのでありますが、詳細は速記録についてごらんを願いたいと思います。
 次いで十二日、自由党の遠藤委員より、農業協同組合の金融上の助成促進並びに行政指導及び自治監査助成に関する決議案が提案され、これまた全会一致をもつて可決されました。
 これに引続き討論に移りましたるところ、共産党の山口委員は本案に対する反対意見を述べられ、次いで表決に付しましたるところ、多数をもつて原案の通りに可決すべきものと議決されました。
 次に家畜改良増殖法案につきまして御報告いたします。
 農業の経営を合理化し、農業生産力を増強して、わが国農業経済の安定をはかります上に、畜産の振興はきわめて重要な意義を持つものでありますが、これがためには、種畜を確保し、その利用の増強をはかることが必要であります。この目的のために、昭和二十三年種畜法を制定いたし、その施策を推進して来たのでありますが、施行以来一年有余の経験にかんがみまして改正を要する点があります上に、最近急激な普及を示しておりますところの家畜の人工授精の健全なる発達をもあわせてはかる必要がありますので、現行の種畜法を廃止し、新たに本法案を提案いたし、家畜改良増殖を強力に推進いたそうとするのであります。
 今、本法案の主要な点を申し上げますと、大略次の四点に要約できると思います。すなわち第一点は、現行の種畜法によりますと、種畜検査はすべて農林大臣が行うことになつておりますが、臨時検査の一部については都道府県知事に行わせ、機動的に種畜補充をなし得る方途を開いたこと、第二点は、家畜人工授精の健全な発達をはかるため、家畜人工授精師並びに家畜人工授精所を免許または許可制にするとともに、家畜人工授精の実施に必要な規制を加えたこと、第三点は、現行種畜法にあります家畜登録協会に関する法的規定を廃止いたし、同協会を民間の創意を生かした民主的運営にゆだねることといたしましたこと、第四点といたましては、最近家畜事情が好転いたし、家畜の移動または屠殺の制限をする必要がなくなりましたので、これに関する農林大臣の権限を廃止したこと、以上であります。
 本法律案は、三月三十一日付託と相成り、去る三日提案理由の説明を聞き、引続き質疑を行いましたるところ、自由党の原田、河野両委員、農民協同党小平委員の各委員より、畜産振興並びに農業経済安定化の見地から種種質疑あるいは建設的意見の発表がなされたのでありますが、特にアメリカ産優良家畜の血統を人工授精により取入れる意思はないか、家畜人工受精所の施設の補助金が僅少に過ぎるのではないか等の発言がございました。これに対し政府委員より、アメリカ産の優良家畜の血統の導入については目下関係方面と交渉中であり、また家畜人工授精所施設に関する補助金については、家畜保健衛生所に対する補助金と合算して一箇所約二十四、五万円程度となるから、十分とはいえないが、ほぼ最低を満し得ると思うとの答弁がございました。
 質疑を終了いたし、去る十二日討論に付しましたるところ、自由党を代表し原田委員は、本法案はわが国畜産の改良増殖上画期的意義を持つ重要法案であるから、これが実施には全力を傾注すべきであり、なお本法第二條の、国または都道府県が家畜の改良増殖の促進に有効な事項についてはこれを積極的に行わなければならないとする規定は、抽象的で具体性を欠いているので、これを具体的に規定する修正案を用意したのであるが、今回は間に合わなかつたので他日に譲ることとしたい旨を付言して賛成されたのであります。
 次いで採決に付しましたるところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたしました。
 次に肥料取締法案に付き御報告いたします。
 現在肥料の取締りにつきましては、明治三十二年制定の肥料取締法と、戰後公布されました臨時物資需給調整法に基く間接肥料販売制限規則によつているのでありますが、前者につきましては今日の経済状況に沿わない点が多くなりましたし、後者もまた臨時的のもので不安定でありますので、この際両者を統合して、今日の諸情勢に適応するように作成いたし、本法案として提出されたのであります。
 本法案の内容を見ますると、その主要点は大体次の三点に要約できると思います。第一は、肥料の公定規格を設定いたし、生産業及び輸入業については農林大臣または都道府県知事の登録制とし、公定規格の定められていない新肥料については仮登録制を設け、さらに販売業については、單に都道府県知事に届け出ることとして、現行法上の手続を簡素化したこと、第二は、業者が虚偽の宣伝をし、あるいは品質を低下させるような異物を混入することを禁止し、また肥料の施用上の注意事項を表示させることとし、さらに登録または仮登録ないしはそれらの取消しの場合は、その番号、肥料の名称、保証成分量、業者の住所、氏名等を公表して農業生産者の立場を擁護するようにしたのであります。第三は、現行法の罰則があまり軽過ぎるので、これを強化して体刑を加え、かつ体刑、罰金刑をも併科できることとして肥料の生産、販売の公正を期するようにしたことであります。
 本法律案は、去る四日付託と相なり、十日提案理由の説明を開いたのでありますが、肥料問題につきましては、肥料配給公団令の一部を改正する法律案の審議の際十分検討を遂げ、かつ需給関係も最近著しく改善され、七月末には統制撤廃も見通されるに至りました今日の肥料事情に即応いたすためには、本法案の制定は当然のことでありまして、各委員とも異論がありませんので、質疑を省略いたしました。ただ農林省設置法との関係につきまして僅少の修正を施す必要がありますので、十三日、自由党藥師神委員から修正意見が述べられ、続いて討論を省略して採決に入りましたるところ、全会一致をもつて原案を修正可決すべきものと議決いたしたのであります。なお修正箇所は速記録によつてごらんをいただきたいと思います。
 以上、簡單ながら御報告を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。山口武秀君
    〔山口武秀君登壇〕
○山口武秀君 私は、ただいま御報告になりました四法案中、農業協同組合関係法案につきして、日本共産党を代表し反対の討論をいたすものであります。
 農業協同組合は全国的に行き詰まりを来しまして、おそらく、ことしの秋までには、健全なものとして残るのは、わずかにその三分の一にすぎないだらうということがいわれているのでありますが、今回の法律改正にあたりましても、政府は、この農業協同組合の行き詰まりを打開して農業協同組合全体の信用を高めることをその目的としたのであります。しかしながら、現在の農業協同組合の行き詰まりは現下の辰家の窮乏せる生活の反映でありまして、この農家の窮乏は、吉田内閣の農村収奪の結果起つたわけであります。しかるにもかかわらず、この基本問題に何ら触れるところなくして農業協同組合の行き詰まり打開がなし得る道理はないはずであります。
 農業協同組合が戰後生れました目的と申しますのは、第一に、農業協同組合は自主性を持たなければならないさらにこの農業協同組合は、協同組織の発展によりまして日本農業の生産力の発展に寄與しなければならない、この二つの性格を持つて生れて参つたのであります。しかるに、これまでの実績を見まするときに、農業協同組合はこの当初に約束されました方向とはまつたく相反する方向に進みつつあるわけであります。
 第一に自主性の問題であります。自主的な活動でありまするが、農業協同組合がこれまで行つて来た事業というものに、どこに自主性があつたかということであります。経済事業にいたしましても、その経済事業は、政府の低米価政策に協力して米を供出する、農産物を供出する、これ以外の何ものもなかつたのであります。あるいは指導事業にいたしましても、政府の官僚的な天くだり農業計画に協力する以外の何ものもなかつたのであります。農業協同組合は、実質的には政府の下睛機関と化しまして、この自主性をまつたく喪失しておる現状であります。もちろん。農薬生産力の発展につきましても何ら行うこともなし得ず、これまでの歴代の内閣は、農業協同組合がこの方面において活動するあらゆる條件を奪い去つていたわけであります。
 こうした農業協同組合の状況と申しますものは、戰争中に軍閥の政府に協力いたしまして戰争遂行に努めて参りました農業会と本質的には何らかわるものがないと断ずることができるのであります。今後におきまして、農産物の統制撤廃の段階を迎えまして農業協同組合は一層の苦境に立ち、その経営は行き詰まること明瞭であります。農業協同組合の活動が自主性を失い、これまで官僚統制に依存してその活動を続けて参つたのでありまするが、この統制が撤廃されますると、この基礎がなくなり、さらにそこから生じまする肥料商、米穀商の復活によりまして、協同組合の経営というものはますます行き詰まらざるを得なくなるのであります。
 ここにおきまして、政府は、一時見返り料金、預金部資金を中金を通じて農業協同組合に融資するという評画を立てたそうでありますが、これが今後いかなる形において現われるにしても、あるいはこれがとりやめされるにいたしましても、この融資の問題が重要であろうことはもちろんであります。苦境にあえいでおる農業協同組合は、その融資をめぐりまして、おそらく現在残された少々の自主性をも奪い去られ、独占資本にたあいなく従属させられるということもまた明瞭なのであります。
 今回の改正は、連合会の兼営の禁止であり、さらに農業協同組合の財務処理についてその基準を定めるために政令を出すことになつているわけであります。この改正自体は、それだけを現状から見まするならば特に問題はなく、養成された方もあつたように思われるのでありますが、しかしながら、連合会の兼営の禁止は、本質的に農業協同組合の自主性の侵犯であります。財務処理のために政令を出す問題は、政府の農業協同組合に対する直接の干渉の強化となつて来ることは明瞭であります。この苦境にある農業協同組合は、このような改正によりまして、農民の団体たる本質をますます失い、独占資本が日本の農民を支配する道具として使われることは明らかであります。これを通じて日本農村の植民地的な再編成が進められるだけであります。
 われわれは、このような改正の意図を考えましたときに、このように流れて行く傾向を考えましたときに、いかにしてもこの法律の改正に賛成できる道理はないのであります。
○議長(幣原喜重郎君) 石井繁丸君。
    〔石井繁丸君登壇〕
○石井繁丸君 ただいま委員長の報告になりました農業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表し、以下諸点につき政府に対し嚴重なる注意を喚起し、賛成の討論をいたすものであります。
 御承知の通り、日本農村の民主化は、農地改革の徹底と農業協同組合の健全なる民主的運営並びにこれが充実と相まちまして初めて達成せられるということは、マツカーサー元帥の屡次の指令を持つまでもなく、一般国民のよく了知いたしておるところであります。従つて農協が、農業協同組合法実施以来二箇月を経過したる今日、いかなる道をたどりつつあるかということは、とりもなおさず、日本の農村民主化の道がいかに進められ、そうして日本の農村の経済がいかなる実態にあるかということり指標であります。
 今日、農協は経済的破綻に潤し、崩壊の一歩手前にあることは、各地の農協の理事長の責任自殺や、あるいは預金市拂い停止等に徴し明らかであります。われわれは、吉田内閣の失政が農協を破壊せりと断言するにやぶさかではないのであります。
 元来、農協は農業会より改組せられたものでありまして、農民の民主的組織に切りかえられまましたが、その改組の過程において十分なる指導と啓蒙が徹底せず、旧農業会の持つところの欠陷がそのまま持ち越されたのであります。幸いに、農村経済がインフレ経済の状態にありましたので若干の彈力性を持つたのでありまして、昨年の上半期は、どうにかその関係で持ちこたえたのであるが、ドツジ政策の強圧は、一切の犠牲と、しわよせが農村に持ち込まれまして、昨今のごとき農村の窮状となり、そうして農業協同組合の破綻となつたりでありまして、この点、農業協同組合対策並びに農村経済対策に対し誠意を示さず、逆に農村経済崩壊に拍車をかけて来ましたところの森農政並びに自由党農政に対しまして、全国民が大きなる反撃を加えて立つておるということは当然の道理であります。
 昨今、農協の根本的の行き詰まりは、次のような諸点から発生をいたしておるのであります。
 第一、米価のすえ置きの問題、早場米奨励金の実質的打切りの問題であります。去年におけるところの米穀検査の嚴守がいかに早場米の奨励金を農民から打切つたか。これらの点が新潟県あるいは東北米作地帶等におきまして重大なる影響を與えておるということは、みな御承知のところであろうと考えるのであります、そのほかに、今まで農民が非常にたよりにいたしておつたところの超過供出三倍買上げの打切りであります。これらが非常に大きな農村の収入を減退せしめた原因であります。
 第二点は、農村に対する重税の負担であります。政府は、予算面は農村所得税をまけた、こう申すのであります。しかるに、突然は中小企業が崩壊し、倒産した関係上、それらから予定したところ税金を全部農村に対してしわよせをいたしておるであります。各地方において発生した農村の減税運動、これを政府においては、一部のものが煽動するから起つておるといつて、その責任をのがれんといたしておりまするが、実際農村に税金の横すべりをさしたということが農村の憤激の的でありまして、これらの是正が強く要求せられておるのは当然であります。この点について、農林委員会としては、再三にわたり政府に対して、農民に実際どれだけ税金をかけ、また農民からどれだけ税金をとつたか、これらを他の事業との関係においてはつきりさせろというように、農林委員長の名をもちまして、これが要求をいたしたのでありまするが、大蔵当局は、その点何ら明答をしておらない。その点から見ましても、税金を農民に横すべりさしたということは明らかであります。かような重税が農民を今日の窮境に陷れ、また農協の破綻の原因等をかもしておるのであります。
 次に、米価はそのままにしておきながら、農村における購入物資は引上げておることであります。肥料の七月までにおける七割の値上げ等が示すように、農民は、ここおきましても二重、三重の負担に苦しんでおるのであります。これらの点に対し、政府は適正なる措置を講じ、農村経済の再起の道をはからなければ農村の民主化は永久に葬られる、そうして農業協同組合は再起の道を失うのであります。われわれは、まずこの点につきまして政府に重大なる反省を促さなければならないのであります。
 次に農協自体に対する対策としましては、まず農協の自己資金の充実の問題、あるいは役職員の経営指導力の充実の問題、組合員の教育の問題、あるいは余裕金の管理、運用に対するところの政府の適切なる指導の問題、あるいは講買事業等に対しまして、経済転換期において農業協同組合に過誤を起さしめないところの温情のあるやり方、あるいは加工設備のやり方等に対しまして政府がいろいろと支持あるいは援助する等の問題、あるいは農協の水ぶくれ状態に対する人件費等をいかにするか、かような問題が、将来農協の問題といたしまして要求せられておるので上あります。
 しかしながら、これは恒久対策でありまして、当面の問題として要求せられる問題は次の二点であります。
 まず第一に、農協に対する急速なる金融措置の問題であります。現在農協におきましては、税金を納めるため農民が非常に預金をおろすので、各地におきまして取付あるいは支拂い停止の状態があり、群馬県等におきましても幾つかその事例がある。これが蔓延いたしますれば、ただちに農業協同組合の全面的信用崩壊、信用失墜となりまして、ここに全金融場面におけるところの大きな問題が発生いたす危険があります。これに対しまして森農林大臣は、各個の協同組合をしさいに調査して、貸せるものには貸す、貸せないものには貸さない、かようなことを申しておるのであります。大きな政治の手としまして、いかにしてこの金融崩壊の遂にある農協を救済すべきや、金融措置を構ずべきかということは重大なる問題でありまして政府としましては、拙速でありましても応急措置を急いでいたさなければならないということは、全農協の関係者、全農民の叫びであるのであります。この点につきましては、野原君よりも詳しく報告がありましたので、自由党の各位もみな御了承のところでありますから、われわれは重ねて強く要求をいたすものであります。
 次に報奨物資の問題であります。報奨物資が一般の販売物資よりも高く農民に配給せられるという、このような政治はあり得ないことはもちろんであります。農民に供出を要請し、これに対する報奨物資が一般の市販の品物よりも品物が悪く、かつ値が高いというようなことは、これは吉田内閣において初めて発生いたした現象であります。農民を愚弄する、これ以上のものはないといわざるを得ないのであります。われわれは、これらに対しまして、ただちに政府は緊急措置を講じまして、そうして農業協同組合の振り出したる手形の完全なる解決、並びに農民に対してさような不明な、不見識なる行為をいたしたるについて、全面的なるところの解決を急いでやらなければならないと考えるのであります。
 次に地方税の問題でありまするが、破綻に潤した協同組合に、附加価値税あるいは固定資産税等についていろいろと重圧を加えようといたしております。農協が人件費等において苦しいとき、なお附加価値税において苦しめる場合、どういうような状態になるかということは明らかであります。この点につきまして、地方税その他が農協の負担にならないように、あるいは所得税においても嚴重なる御考慮を加えまして、その面よりする農協の救済の道を講じなければならないと思うのであります。
 森農林大臣は、大体農協の行き詰まりを、これは農業協同組合の責任なりと、一切の責任を農業協同組合に転嫁いたしておるのであります。そうして、応急措置を講ずるのではなく、農業協同組合の経営者が精神を入れかえ、形を改めたときは応援してやる、かようなことを言つておるのであります。農協は過去においていろいろな間違いを起しておりまするが、先ほど述べた通り、農業協同総合の健全なる発達と、これの育成が日本の農村民主化の大きなる一つの足であることは、論議の余地のない問題であります。かような点から考えまして、農薬協同組合の責任、あるいは農業協同組合の立て直りを待ち、精神の入れかえを待つ、かような点は、一面としましては要求せらるべき問題でありますが、さきに述べましたところの金融措置の問題、あるいは報奨物資の問題、あるいは税金等につきまして適切なる措置を講じまして、農村民主化の一本の大きな足として健全なる発達に役立つように、政府といたしまして万全の措置を講ぜられんことを心から希望いたし、また嚴重なる注意を喚起いたしまして、本法案に賛成の討論をいたすのであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 まず日程第三及び第四の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第五及び第六を一括して採決いたします。日程第五の委員長の報告は可決でありまして、日程第六の委員長の報告は修正であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第七、関税法の一部を改正する法律案、日程第八、国家公務員等の旅費に関する法律案、右両案は同一の委員会付託された議案でありまするから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事北澤直吉君。
    〔北澤直吉君登壇〕
○北澤直吉君 ただいま議題となりました二法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果について御報告申し上げます。
 まず関税法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案による改正の要点は次の三点であります。
 その第一点は、昨年十二月法律第二百二十八号をもちまして外国為替及び外国貿易管理法が施行され、これに伴い財産及び貨物の輸出入の取締に関する政令、すなわち昭和二十四年政令第百九十九号が今年六月三十日までに廃止されることとなつておりますが、この政令中に規定してあります旅客の携帶品に関する事項につきましては、取締り上これを存続させる必要がありますので、これを関税法に織り込み、所要の條項を加えようとするものであります。
 その第二点は、輸入免許前に貨物を引取る際の関税の担保は現在では金銭のみに限られているのでありますが、これを拡張して国債等をも担保に認め得るようにいたさんとすおものであります。
 その第三点は、近時密貿易事件が増加し、その質も漸時悪化しつつある情勢に対応するため、犯則事件の調査処分及び罰則上所要の改正を行おうとするものであります。すなわち第一に、輸入禁制品密輸入犯、関税逋脱犯、無免許輸出出入犯等の罰則について調整強化をはかるとともに、これらの犯則の予備及び未遂の処罰の点を明確にし、第二に、従来不明確であつた密輸入または密輸出された犯則物件の処分規定を明確化し、第三に、犯則要件の調査上、犯則嫌疑者または参考人の所持する物件、帳簿または書類等、本人が任意に提出したものを検査または領置することができる旨の規定を設けるとともに、また最近の大規模な密輸事犯がほとんど夜間において行われるのが常態であるのにかんがみ、裁判所の夜間執行の許可状を持つて夜間における臨検、捜索または差押えができる旨の規定を設けようというのであります。
 この法律案に関して、大蔵委員会におきましては、四月十一日政府委員より提案理由の説明を聴取し、十二日質疑飛入り、主として密貿易及びその取締りの実情に関して質疑応答がありましたが、その内容につきましては速記録をごらん願いたいと存じます。
 次いで質疑を打切り、同日討論採決に入りましたところ、まず宮腰委員は民主党を代表して賛成の旨を、竹村委員は日本共産党を代表して反対の旨を、三宅委員は自由党を代表して賛成の旨をそれぞれ討論せられました。次いで採決に入り、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 次に国家公務員等の旅費に関する法律案について申し上げます。
 この法案は、国家公務員等の旅費に関する従前の勅令を廃止し、内国旅行及び外国旅行を通ずる旅費に関する規定を整備統合して公務の円滑な運営に資するとともに、国費の適正な支出をはかるために提出されたものであります。
 次にこの法案の要点について申し上げますと、第一に、従来の内開旅費規則及び外国旅費規則を統合して、内国旅行の旅費と、外国旅行の旅費をあわせ規定することといたしております。第二に、旅費を支給すべき場合、旅費の支給傑作及び打算方法等に関する従来の規定のほかに、新たに旅費の請求手続及び旅行命令に関する規定等を設け、旅行命令は予算の範囲内でのみ発令できることといたしたのであります。第三に、旅費の額につきまして、内国旅行の旅費に、日当、宿泊料、食卓料を従来に比し三割程度引上げを行うこととし、外国旅行の旅費は、連合国軍最高司令部職員の旅費定額等を参考として全面的に定額の改正を行うこととしております。第四に、旅費定額が旅費実費を越える場合におきまする所要の調整、労働基準法の規定による帰郷旅費との関係について所要の規定を設けております。
 以上が、この法案の提出になりました趣旨並びにその要点でありますが、この法案は、四月十一日、本委員会に付託されまして、翌十二日、政府委員より提案理由の説明を聴取し、十三日、各委員より、旅費定額改訂の根拠及び予算との関係等について熱心なる質疑が行われましたが、その詳細については速記録に讓りたいと存じます。
 次いで、十四日討論に入りましたところ、田島委員は日本共産党を代表して、下級公務員に対する引上率が少い等の理由をあげて反対の意を表せられ、前尾委員は自由党を代表して、実情に即した改訂である旨を述べて賛成の意を表せられ、宮腰委員は民主党を代表して、さらに一層の改善を希望して賛成の意を表せられました。次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
○副議長(岩本信行君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。つて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 日程第九は延期されんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程第九は延期するに決しました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第十、国籍法案、日程第十一、国籍法の施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員会理事田嶋好文君。
    〔田嶋好文君登壇〕
○田嶋好文君 ただいま議題となりまた国籍法案及び国籍法の施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法案につきまして、その要旨及び委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 まず国籍法案について申し上げます。
 現行国籍法は明治三十二年の制定であつて、その中には新憲法及び民法の趣旨に沿わない規定も含まれておりますので、これを改める必要が多々あります。それでこの法案を提出したわけであります。この国籍法案と現行法と異なる点を説明すると次の通りであります。
 第一に、現行法では国籍を離脱することができる場合を狭く限定し、かつ国籍の離脱について法務総裁の許可を必要とする場合がありますが、これは国籍離脱の自由を保障した憲法の規定に抵触しますので、この法案では、外国の国籍を有する日本国民はすべて法務総裁に届け出ることによつて自由に日本国籍を離脱できることにしました。
 第二に、現行法では民法の家の制度に立脚する規定がありますので、これらの規定を全部廃止しました。
 第三に、現行法は、妻は夫の国籍に従うという原則及び子は父または母の国籍に従うという原則を採用しています。しかし、これらの原則は憲法第二十四條の精神と合致しませんので、この法案におきましては、妻に夫からの地位の独立を認め、また子についても、出生によつて国籍を取得する場合を除いて、子に父母からの地位の独立を認めることにいたしたのであります。
 第四に、現行法では帰化人等に対しては国務大臣などの官職につく資格を制限していますが、これは法の前に平等であるという憲法の精神に反しますので、この制限を撤廃たしました。
 その他二重国籍の発生の防止や帰化及び国籍の離脱の効力発生の時期などを明確にしています。
 委員会においては、四月四日提案理由の説明を聞き、この法案は憲法施行に伴う当然のの改正であることを了承し、現在日本にある朝鮮人、台湾人等の国籍に関する重要なる問題は講和会議の後でなければ解決することの困難なることを了承したのであります。ただ、第四條第八号に政府を暴力で破壊することを企画する団体とあるのはいかなる団体であるかという質疑がありました。これに対し政府から、刑法に定める内乱罪を企図する団体のことであるか、それより行為の範囲がやや広く、かつ憲法施行前の団体を含まない意味で狭いという答弁がありました。
 かくて四月十二日、討論省略、採決に入りました。その結果、全会一致をもつて政府原案の通り可決した次第であります。
 次に国籍法の施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案について申し上げます。
 第一に、新国籍法の施行に伴い、戸籍法中の国籍の得喪に関する規定を改正しました。
 第二に、外国人を養子または入夫とする明治六年第百三号の布告を廃止いたしました。これに入夫婚姻は現在廃止されてますし、新国籍法では、養子縁組は日本国籍取得の原因とはならぬからであります。
 委員会におきましては、この法案は国籍法の施行に伴い当然に戸籍法の條文を整理したにすぬものでありますから、質疑もなく、四月十二日、討論を省略し採決に入りました。その結果は、全会一致で政府原案通り可決した次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第十二、電信電話料金法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。電気通信委員会理事高塩三郎君。
    〔高塩三郎君登壇〕
○高垣三郎君 ただいま議題となりました電信電話料金法の一部を改正する法律案につきまして、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案の目的は、電信電話料金のうち、警察事務、消防事務、刑事訴訟事務及び日本国有鉄道の鉄道事業の用に供する市外專用電話の市外專用料を改正しようとするものでありますが、これら改正の対象となる專用電話のうち大部分を占めるものは、先般第六国会を通過いたしました警察用電話等の処理に関する法律により警察側より電気通信省に移管せられました警察用電話であります。しかるに、この警察事務の用に供する市外專用電話の市外線專用料は、施設の運用並びに維持に要する実費を著しく下まわつている現状でありますし、消防事務、刑事訴訟事務及び日本国有鉄道事業の用に供するものにつきましても、これとおおむね同様の事情にありますので、今回これらの專用料金を、実際必要な経費を償い得るように現行の約二・三倍に引上げて、これらの市外專用電話の経費と収入との均衡をはかろうとするものであります。
 電気通信委員会におきましては、二月十五日、本案の予備付託、三月一日、本付託を受け、以来数次にわたり会議を開催して政府の提案理由並びに内容の説明を聴取し、また政府との間に質疑応答をかわし、慎重審議を重ねたのでありますが、これらはすべて会議録に讓りたいと思います。
 かくいたしまして委員会は、四月十三日、本法案に対する質疑を終了し、引続き討論を行いましたが、その際、日本共産党を代表して江崎一治君は、本法案に対し反対の意見を、自由党を代表して松本善壽君は賛成の意見を述べられたのであります。
 次いで委員会は採決を行いました結果、大多数をもつて原案の通り可決いたした次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第十三質屋営業法案、日程第十四、都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員会には付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長報告を求めます。地方行政委員野村專太郎君。
    〔野村專太郎君登壇〕
○野村專太郎君 ただいま議題と相なりました質屋営業法案並びに都道府県の所研に属する警察用財産等の処理に関する法律の一部を改正する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず第一に質屋営業法案について申し上げます。
 御承知のごとく、現行質屋取締法は明治二十八年の制定にかかるものでありまして、その内容において時勢に沿わぬものが多く、ことに最近における犯罪激増の情勢のもとにおいて、藏品の質屋及びもぐり質屋に流れるものが少くないので、さきに改正を見たる古物営業法の趣旨にのつとりまして、質屋営業に関して新たなる法律を制定し、藏品の発見、犯罪の防遇等に寄與せしめようとする次第であります。
 本法律案の内容といたしましては、まず質屋の営業は市町村公安委員会の許可を要するものとしております。次に、監督取締りについてはその公正と統一とを期することにいたしてあります。すなわち、質屋営業の許可には一定の基準によることといたし、また業者に対する行政処分をなす場合はこれを具体的に限定し、しかもあらかじめ公開の聽聞を行うべきものと規定いたしております。なお盗犯防止の対策として質物の取扱いを公正明朗にし、業者の協力を得て蔵品の発見を容易にすることができるよう配慮してあります。
 その他本法律案は、業者の保護、質置主の保護、盗犯による被害者の保護等についてそれぞれ規定を設けておるのであります。
 本法案は、去る三月二十八日、本委員会に付託され、三月三十日、委員会において樋貝国務大臣より提案理由の説明を聽取し、四月七日及び一三日の両日にわたり愼重審議をいたしたのであります。
 委員会における質疑応答のおもなるものをあげますと、第一は、第十三條に関するもりであります。質屋が物品を質にとろうとするときは質置主の住所、氏名、職業等を確認しなければならないと規定することは仕業者にかたきをしいるものではないかとの質疑に対し、政府は、怪しいものでないということを認めればよいので、法の運用に十分注意するとの答弁をいたしております。
 第二は、第一六條に関するものであります。質量は質契約をしたときは質札または通帳を質置主に交付しなければならないという規定があるが、質置主がこれを受取ることを好まぬ場合にも質屋は違反となるかとの質疑に対して、政府は、かような場合には質屋に何等の責任がないとの答弁をしております。
 第三は、第七條に関するものであります。質屋の設けるべき質物の保管設備について公定委員会が一定の基準を定めることができるという規定になつているが、このことは地方自治法上疑義があるのではないか、一般公衆の保護の見地からして法律または條例をもつて定めるのが必要ではないかとの質疑に対して、政府は、住民の権利業務に関係するというよりは、従来内規であつたものを一定の公告式によつて公示するということに改めるのであるから原案でよかろうと思うとの答弁をいたしております。
 第四は、警察当局がややともすると営業時間中において営業所及び質屋保管場所に立ち入り、検査、質問に籍口して、いわゆる職権を濫用する場合があるから、地方に対して適当なる通牒をする用意はないか、また罰則が苛酷と思われるが、法の精神にかんがみて規定の運用のよろしきを得るよう地方に対して適当なる指示をする用意があるかという質疑については、政府は、民主警察に誤りなきよう適当なる通牒を出すとの答弁がなされたのであります。
 質疑応答の後討論に入り、自由党の不肖野村、社会党の門司委員、民主党の床次委員よりそれぞれ各党を代表して賛成の討論があり、共産党の立花委員より反対の討論があり、続いて採決の結果、多数をもつて政府提出原案の通り可決と決定いたした次第であります。
 第二に、都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 御承知のごとく、第五回国会において制定された都道府県の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律は、一昨年三月警察法が施行せられ、わが国の警察制度が国家地方警察と自治体警察とにわかれた際、警察の用に供されていた都道府県所有の財産等の中で国家地方警察に必要なものは都道府県が無償で国に譲渡すること、並びに警察法施行後昭和二十三年六月三十日までに国家地方警察の用に供するため都道府県が取得した財産等についても同様とする旨を規定しておるのであります。まだ御承知のごとく、警察法附則第九條は、警察法施行の際またはその施行の後、市町村が新たに警察の責めに任ずることになつた場合においては、現実警察用に供する国有及び都道府県所有の財産等のうち、国家地方警察に不必要で、しかも当該市町村警察に必要というものは、これを無償で市町村に讓與するという規定をいたしております。かような次第で、右二つの法律によつて警察用財産等の帰属はすでに定まつているのであります。しかし、その後の経過において、国及び市町村相互間において、一方の所有する警察用財産等が不必要となり、他方が真にこれを警察用として必要とする場合が生じて参つたのであります。よつて、かような場合に対して国及び市町村相互間における無償讓渡に法律的根拠を設けようとするのが、本法律案の趣旨であります。
 本法律案は、参議院地方行政委員会の発讓にかかるものでありまして、去る四月十日、参議院において可決せられ、即日、本委員会に付託となりました。本委員会においては、四月十三日、参議院地方行政委員会岡田理事より提案理由の説明を聽取し、同日及び翌十四日の二日にわたり愼重審議をいたしたのであります。質疑応答の内容は会議録に讓ることにいたしますが、質疑応答の後、討論を省略し、全会一致をもつて参議院提出原案の通り可決と決定した次第であります。
 以上御報告申し上げます。
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。門司亮君。
    〔門司亮君登壇〕
○門司亮君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されております質屋営業法に対しまして、いささか條件を付して賛成の意を表したいと思うのであります。
 本案は、その説明の内容にもありましたように、従来明治二十八年に制定されました質屋取締法案から、民主的に取締りという文字を除きまして、そうして質屋営業法案になつておるのであります。従つて、その表題だけはいかにも民主的のように見えるのでありますが、提出理由を見ますると、ことごとく現在激増しつづあるとい、事実にとらわれまして、質物の中には藏品その他が非常に多く流れ込んでおるので、これらを取締るたみに、あるいは犯罪の予防のためにこの法律を出すことが必要であると書かれでおるのであります。従いまして、案の表面はいかにも民主的にできておるのでありますが、内容においてはほとんど従来の取締法を主とした法案であるということは、見のがせない事実であるのであります。
 今日、新しい憲法のもとに国民が自由に営業を許されております場合において、この営業を保護するといたしますならば、その案の内容も、やはり営業を本位として、これらの営業者を犯罪防止に協力し得る建前に置いてこそ初めて民主的の法案であるとわれわれは考えるのであります。しかるに、協力を得るというよりも、むしろ取締りに便宜な方法によつてこれの提案がなされたというこの提案理由に対しまして、私どもは、もしこの提案理由そのままの形において行われますならば、ややともいたしますれば職権の濫用、あるいは正常な営業者あるいは一般の公衆に対して苛酷な、不必要な取締り等が行われる懸念を多分に持つのであります。従いまして、運用におきましては、当局は十分その点に御留意を願いたいと考えておるのであります。
 さらに第二の点といたしましては、第七條における公安委員の定める規則において質屋の規格が定められること’に相なつておるのでございますが、現在の公安委員が、はたしてそうした市條例あるいは国の法律にもひとしいような規則を剰定し得るかどうかということは、自治法の解釈から申しましても、いささかの疑義をわれわれは持つものであります。それと同時に、地方の公安委員の諸君の手によつて、もしそれらの法律にひとしいような基本的條件が定められまする場合に、これが、営業を営みまする者の立場から考えて参りまするならば、実際に沿わないような條件がもし制定されまする場合において、その責任の滞属というものがいずれにありやということをわれわれは疑わなければならないのであります。従いまして、この法案の通りにもし運用されるとするならば、どうかそういう点に万遺漏のないように、当局は十分なる注意を拂つていただきまして、そうして間違いのないようにしていただきたいということを、ここに強く要求いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 まず日程第十三につき裁決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第十四につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第十五、火薬取締り法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事小金義照君。
    〔小金義照君登壇〕
○小金義照君 ただいま議題となりました火薬類取締り法案について通商産業委員会における審議の経過並びに結果を簡單に御報告いたします。
 まず提案理由について申し上げますが、現行銃砲火薬類取締法及び同施行規則はそれぞれ明治四十三年及び同四十四年に制定公布せられたものでありまして、その後数回にわたつて修正が行われてはおりますが、いずれも部分的のものにすぎず、従つて今日の時勢に即応するよう根本的改正を断費すべきであるという関係各方面の強い要望にもこたえて、政府は今回本法案を提出するに至つたというのであります。
 次に、本法案の内容について簡單に説明をいたします。本法案は、主として次の諸点、すなわち第一に、銃砲火薬取締り関係を分離して火薬類の取締り関係だけを規定したこと、第二に、新憲法下にふさわしいように法の体系を整備したこと、第三に、行政組織の変革に基く取締り担当機関の変更及びその明確化をはかつたこと、第四に、最近の技術的進歩にかんがみ法の内容を刷新したこと、以上四点に関して現行銃砲加薬取締法に根本的改正を施したものであります。
 次に審議の経過並びに結果について御報告いたします。本法案は、去る三月二十五日、本委員会に付託せられ、同日、提案理由に関する政府の説明を聽取し、その後数回にわたつて各委員と政府側との間に熱心な質疑応答がかわされました。なおその間、参考人として学界並びに業界、労資の代表者から本法案に対する忌憚のないところの意見の開陳を求めまして、審議の参考に供した次第であります。これら質疑応答並びに参考意見の詳細はこれを速記録によつて御承知願いたいと存じます。
 去る十二日をもつて質疑を打切り、昨十四日討論、採決に入りました。まず自由党を代表して中村幸八君は、この際銃砲火薬類取締法の根本的改正を断行することはまことに時宜を得たるものである、條文の内容をしさいに検討すると考慮を要する点なきにしもあらずであるが、これらはいずれも法の運用よろしきを得ることによつて実際上支障なきを得るもののみであり、委員会における質疑応答によつてこれら運用上の不安もすでに一掃せられたから本法案に賛成するという意見を述べられました。次いで社会党を代表して今澄勇君は、主要なる事項を政令にゆだねているものが少くないこと、許可、認可の基準が不明確であること、立入検査が悪用せられるおそれがあることなど官僚取締りの傾向が強く、労働者の正当な権利を擁護する上において遺憾の点が少くないこと、なお輸出の届出制と輸入の許可制についても納得しがたい、かたがた本法案には反対あるという意見が述べられました。次に民主党を代表して有田喜一君は、時宜を得たる改正であり、労働の彈圧に関する不安も政府委員の答弁等によりて一応は解消しておる、しかし要は運用よろしきを得るやいなやにかかつておるということで、次の諸点、すなわち法案の名称と関係係官の心構え、立入検査と労働運動の彈圧並びに犯罪捜査への悪用、罰則規定の適用、販売者の定員制廃止に伴う前後措置、政令による手数料の決定、関係者の保安教育等に関する運用上の警告を付せられまして賛成の意を表せられたのであります。最後に共産党を代表して田代文久君は、労働運動彈圧的性格が多分にあること、従業員の保安が軽視せられていること、火薬産業を外国貸本に隷属せしめる結果わが国を戰争に介入せしめる危險性があるというような諸点から本法案に反対すると述べられたのであります。
 次いで採決に入りましたところ、多数をもつて原案通り可決せられたのであります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。阪本泰良君。
    〔坂本泰良君登壇〕
○坂本泰良君 私は、ただいま提案になりました火薬類取締法案に対しまして、日本社会党を代表しまして反対の討論をいたすものであります。
 火薬類の取締りにつきましては、ただいま委員長の報告にありました通りに、戰前と戰後においてかわつたのであります。しかして、戰前の内務省の所管が戰後商工省になり、引続いて通産省になりまして、何らかの新しき方法でこれを規定しなければならないということはこれが事実でありますが、ここに提案されましたところのこの法案は、その内容において、またその規定するところが、われわれには賛成することができないのでありまして、その点二、三を指摘いたしまして反対の理由を明らかにいたしたいと思うのであります。
 第一の理由は、政令または省令の委任が非常に多過ぎる点であります。六十二箇條のこの法案のうちに、最初の実体的の規定において省令とかあるいは政令とかに委任をしていない條文は少いのであります。従つてまたその理由とするところは、公共の安全とか、あるいは災害発生の防止とかいう美名を持つておるのでありますが、この点がややもすれば反対の方向にあり、公共の安全というのが不安全にならんとするおそれをわれあれは抱くものであります。
 この法律において政令または省令に委任するということは、新憲法のもとにおいては強く否定されておるのであります。すなはち立法権の確率ということが規定されておりまして、自由党の方々も、第三、第四国会あたりでは、この省令、いわゆる命令に委任することを非常に拒否されておるのであります。しかるに、この法案においては、その規定が非常に多い。と申しますのは、私たちは、現在のこの吉田内閣の思想というものは、再び明治憲法の第九條の法令、いわゆる委任命令あるいは行政命令に返らんとする傾向があるということをわれわれは強く注目をいたすものであります。
 すなわち憲法第九條におましては、公共の安寧秩序を保持するため、または臣民の幸福を増進するために天皇は命令を委任することができるということを規定したのであります。しかして、この憲法第九條が、太平洋戰争におきまして、いかなる結果をもたらしたかということは、国民のひとしくとれは承知するところであります。すなわち、昭和十三年にしかれましたところの国家総動員法は、この憲法九條の濫用によつて規定されたのであります。この点につきまして、自由党の先輩の方々は、除名されてまでも強く反対せられたところであります。
 しかるに、現在におきましては、この法律によつてまた昔に返らんとする傾向がある。いわゆる反動に返らんとする傾向がある。この火薬取締法案は、あるいは徴々たるものでありましよう。しかしながら、その徴々たるものに、かような傾向を植えつけましたならば、この吉田内閣のもとにおいて、また反動自由党のもとにおきましては、再び国民をして、さんたんたる状態に陥らせるというおそれがあることを、われわれは強く主張するものであります。しかるがゆえに、この法律におきまして政令または省令に委任するこの点を、われわれは第一の反対の理由といたすのであります。委員長は、法の体系だけを整えたとか、あるいは法の刷新とか申しますけれども、これは法の刷新どころか不刷新であり、体系だけを整えて、実質においては反動に返る悪法であるといわざるを得ないのであります。せつかくこの火薬類取締法を規定するならば、もう少し真劍に、もう少し国民擁護のための法律をつくらなければならないのであります。
 第二は、製造、販売の許可、取消し、許可の基準について、條文中に特定の字句を使い過ぎるのであります。すなわち、先ほど申し上げましたように、公共の安全維持、災害発生の防止、技術上の基準というような名のもとにつくられておる。公共の安全維持というのは、七條、十七條、四十三條、四十五條に使われておる。特に四十三條の立入権の点につきましては、われわれは重大なる注目をするものであります。すなわち、この四十三條の濫用によりまして、武裝警官がその工場内に入つて、法に基くところの純眞なる労働運動に対して、労働者の争讓に対して、これを彈圧するおそれが多分にあるのであります。かような点に対して、われわれは絶対に反対せざるを得ないのであります。なお四十三條におきましては、大臣、知事の強い権限を付與されておるのでありまして、この官僚に権限をまかせるということは、統制をしいるということになつて、火薬類の製造販売に対して民主的な健全なる方法を阻害することに相なるのであります。
 第三に、作業主任者、取扱い主任者に対しまして罰則を加えまして、主任者の命に従わない点については罰則を付していないのであります。この点は、法の体係において矛盾を生じておるのでもあります。
 第四は、輸出については届出制をとります。輸入については許可制をとつておるのであります。この点も、法の体系において矛盾しを来しておるのであります。
 社会党といたしましては、かような点におきまして、この法律に対しては絶対反対を表明いたすのであります。
○副議長(岩本信行君) 田代文久君。
    〔田代文久君登壇〕
○田代文久君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本法案に反対するものであります、
 第一点は、本法案は火薬労働者大衆に対する彈圧法案ともいうべき性格を多分に持つておるということであります。本法案のねらいは、災害を防止し、公共の安全を確保するというのでありますが、実際に災害で迷惑し、危險にさらされておりまするものは、この火薬産業に従事しておりますところの工場労働者諸君であります。従いまして、これらの労働者諸君に対する災害をいかに防除するかという点が明確にされる必要があるのでありますが、この点は何らなされておらないばかりではなく、実は逆に、先ほども同僚の坂本議員が申されましたように、警察権力が工場の中に入りまして、労働者諸君に対しましていろいろの質問をする権利を確保するというようなことが明記されておるのでありまして、これはいかなる工場におきましても、こういう規定はないのであります。
 実例を申し上げますと、この法案とうらはらをなすように、実際に日本火薬におきましては、工場労働者が工場の内外に出入するにあたりまして、その身体検査をやる、あるいは工場がはねまして、工場から出て来る場合には、三十分間以内に工場から出てしまわなければならない、こういう労働者を束縛する規定を工場主の方から押しつけて来ておるし、また関東電気におきましては、組合專従者は工場の中に立ち入つてはならないというごとき非民主的な束縛がすでに厳然として現われておるのであります。
 すなわち本法案は、民主的な組合活動への干渉あるいは制限、禁止、また政府職員あるいは公務員等のごときストライキを自由にやれないという制約を多分に負わされておるところに、われわれは断じて反対せざるを得ないのであります。
 第二の点といたしましては、これはきわめて重要なことでございますが、銃砲火薬取締法におきましては、御承知のように外国資本家、外国の壮人家日本国内において火薬を製造し、あるいは販売することができなかつたのであります。しかるに本法案におきましては、はつきり外国の業者、資本家が日本国内において自由に火薬を製造し、あるいは販売する道がとうとうとして開かれておるのであります。このことはいろいろの説明がございますけれども、前鉄砲火薬取締法のはつきりした改悪であるということがいわれるのでありまして、現在の実際の火薬産業資本家自体すらが圧倒的に本法案のこの部価に対しては特に反対されております事実によりまして、いかに外国資本の日本国内への進出ということがきらわれてるかがいえるのであります。われわれは、この外国資本による平和産業としての日本火薬産業の発展に対しまして、きわめて危惧の念を抱かざるを得ないのであります。要するに、以上の外国資本の進出、労働者に対する圧迫というものは、これが好むと好まざるとにかかわらず、外国の紛争あるいは戰争というようなものに巻き込まれる危險を多分に持つており、その道を開いたものであると僻せざるを得ないのであります。
 実例を申しますと、すでに昨年度におきまして、目下戰乱のちまたに化さんといたしつつある台湾から、日本に対しまして、三百トンの火薬の引合いがあり、また関東電気に対しまして、カーリツトの千トンの引合いがあつたという事実もございますし、また、タス通信は、次のようなことを報じておるのであります。すなわち、テレプレスにより出すと、日本化薬コンツエルンは、すでにアメリカ政府から、火薬あるいは爆薬、地雷、化学製品の注文を受けて生産いたしつつある、石川島コンツエルンは、重軽戦車あるいは装甲自動車、こういうものの製造に従事しつつあるということを述べておりますことが、私が申しましたことを、現実の上ですでにはつきり裏書しておるのであります。
 これを要するに、先ほど委員長が報告されましたように、この法案の提出自体がはつきり自主性がない。外国の大資本家によつて、大きなさし金がなされておるということがはつきり言えるのであるし、その目標は災害の防止あるいは安全確保ということをいつでおりますけれども、これは体のよい労働者弾圧法であり、また日本の火薬産業の外国資本への隷属化法案であり、また好むと好まざるとにかかわらず戰争に巻き込まれ、戰争に飛び込む危險法である。なお申しますと、日本の独立、自衛権の根本問題に触れますところの重大なる意味を持つた法案であり、従いまして、災害を防止すると言いながら、実際は日本のふところの中に爆弾を抱いて自爆自誠する道をこれによつて切り開いておるということがはつきり言えるのでありまして、われわれは断固これに反対する次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
第十六 精神衛生法案(参議院提出)
○副議長(岩本信行君) 日提第十六、精神衛生法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長堀川恭平君。
    〔堀川恭平君登壇〕
○堀川恭平君 ただいま議題となりました精神衛生法案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。
 現在わが国における精神衛生行政は、精神病者監護法並びに精神病院法に基いて運営せられておるのであります。しかして、精神病者看護法は明治三十三年に制定せられ、精神病者の不法監禁を防止することを主たる内容とし、精神病者を監置できる者を保護義務者に限り、いわゆる座敷牢の制度を特定のものについて合法化したものであり、また精神病院法は大正八年に制定せられ、精神病院を府県に設置して、犯罪傾向のある精神病者あるいは身寄りのない精神病者をまずに収容することにいたしたのでありますが、今日精神医学の進歩等に伴い治療及び保護の対象が増加いたしたにもかかわらず、全国の公立及びこれに代用される精神病院のベツド数は二万床に過ぎない結果、病院に収容することができず、座敷牢にある者の数は二千六百余人に達しており、なお入院治療を必要とし、またはこれを希望しながら多数の精神障害者が入院できず、放置されているような実情であります。かかる情勢にかんがみ、精神障害者全般を対象としてこれに適正なる収容保護及びに治療を加えるとともに、各種の指導保護の措置を講じ、精神衛生行政の推進をはかる等、現行の制度を強化拡充して、健全なる社会の実現を期せんとするのが、本案提案の理由でございます。
 次に本法案の内容のおもなる点を申し上げますれば、第一に、正常なる社会生活を破壊する危險のある精神障害者全般を対象とし、従来の狭義の精神病者だけでなく、精神薄弱者及び精神病質者をも加えたことであります。
 第二に、従来の座敷牢による私宅監置の制度を廃して、長期にわたつて自由を拘束する必要のある精神病者は精神病院または精神病室に收容することを原則としたのであります。これがため、従来のごとく主務大臣の命令がある場合のみに限らず、都道府県に精神病院設置の義務を負わせ、また入院を要する者で、経済的能力のない者については都道府県に置いて入院の措置を講ずることとし、国はこれらの費用の二分の一を補助することにしておるのであります。
 第三に、医療及び保護の必要な精神障害者については、警察官、検祭官、刑務所その他の矯正保護施設の長のごとく、職務上精神障害者を取扱うことの多い者に対して通報義務を負わせるとともに、医療保護の必要な精神障害者に対する保護の徹底を期するため、一般人はたれでも精神障害者またはその疑いある者の診察及び保護を都道府県知事に申請することができることといたしたのであります。
 第四は、疾病以外の動機による身体の拘束を防止するため、精神病院への強制收容については新たに精神衛生鑑定医制度を設け、二人以上の一致した鑑定に基くことを必要としたほか、精神障害の特殊性にかんがみまして、仮入院、仮退院の制度を設け、また遠隔地にあつて、ただちに病院へ收容することができない場合の臨時措置として、知事の許可を條件とした保護拘束制度を認めておるのであります。
 第五に、自宅において療養する精神障害者に対して巡回指導の方途を講ずるほか、精神衛生相談所を設けて、誤つた療養による弊害を防止するとともに、さらに進んで精神衛生に関する知識の普及に一段の努力を拂うことといたしているのであります。
 第六に、精神衛生行政の推進とその一層の改善をはかるため、精神衛生審議会を厚生省の附属機関として設置し、関係行政庁及び専門家の協力を得ることにしているのであります。
 本法案は、四月一日、予備審査のため本委員会に付託せられ、同五日、提案者参議院議員中山寿彦君より提案理由の説明を聴取したのでありますが、同七日、本付託、七日、八日の本委員会において、委員と提案者並びに関係当局との間に、費用負担、生活保護法との関係、精神鑑定医の指定及びその活動、収容施設、不服申立の方法、予算措置等の諸点についてきわめて熱心な質難応答が行われた後、質疑を打切り、十四日の本委員会において、自由党を代表して丸山委員より賛成討論があつた後、討論を打切り、採決に入りましたところ、本法案は満場一致をもつて原案通り可決すべきものと決した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。梨木作次郎君。
    〔梨木作次郎君登壇〕
○梨木作次郎君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題になつております精神衛生法案に対しまして反対の討論をいたすものであります。
 ただいまの委員長の御報告の中にもありましたように、現在精神病者の監置は精神病者監護法と精神病院法に上つておるのであります。ところが、この二つの法律は旧憲法下の法律でありまして、人権の保障の上においてきわめて不徹底かつ大きな欠陥を持つておるのであります。従いまして、新憲法下におきましては、あくまでも人権保護の制度が確立されるように改正せられることが要請されておつたのであります。
 この旧法律では、精神病者の入院あるいは退院はすべて行政官庁たる都道府県知事にまかされておつたのであります。このために、行政官憲の専断によつて、精神病者でない者が精神病者として監禁され、このために実に痛ましい犠牲者を多数出しておることは、皆さんも御存じのことであると思うのであります。家庭紛争に関しまして、紛争の相手方に気違いだ、精神病者だというレッテルを張つて、これが官憲と結託いたしまして、これらの人々を精神病院に入れて、みずからの非望を達成するの手段に供したことは、これは多々あるのでおります。私の知つておる松島謙三という人は、華族制度の改革を宮内省に上申したということで、十年間松沢病院に入れられておつたという事実があるのであります。従つて、精神病者の監置にあたりましては、人権の一番ということに十分なる配慮がなされるように法律によりて規定がなされなければならないのであります。
 ところが、この今議案になつておる法律においては、この点に関する改正がほとんどなされておらない。たとえば三十三條並びに三十七條を見ますと、精神病院の長あるいは都道府県知事が、精神病院に入れたり、あるいは退院させることができるようになつております。しかしながら、人の自由を拘束する入権の蹂躙が起らないような十分な保障が、これではとうてい望めないのであります。いやしくも人の自由を拘束するには、法律の手続の上におきましても、またこれを扱う機関は、行政機関から独立したところの、たとえば裁判所のような機関によつて扱われることが必要であります。今日いかなる国家におきましても、精神病者の監禁を決定するには裁判所によつて決定するというような法制になつておるのであります。しかるに、本法にはこれがない。これがこの法案の致命的な欠陥であると思うのであります。
 そのほか、人権保障の種前から見まして、非常に多くの欠陥をこれは持つております。特に今度は、精神病者としての対象となつておる者は――精神薄弱者あるいは精神病質者、これは今日の医学から行きましては精神病者には入らないということになつておるのでありますが、こういう広汎な対象をも含めようというのでありますから、ますます人権保障の撤回ということが法律の上において確立されておらなければならないのであります。従いまして、本法がこのまま通過いたしまするならば、精神病者の名によるところの人権の蹂躙が多々引起されるであろうということをわれわれはおそれるがゆえに、本法案に対して絶対に反対するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 丸山直友君。
    〔丸山直友君登壇〕
○丸山直友君 私は、ただいま上程せられましたた精神衛生法案について、自由党を代表して賛成の討論をなさんとするものであります。
 本法案は、旧法がはなはだ不完全でありましたがために、しかもそれが五十一年間そのまますえ置かれた状態でありましたがゆえに、これの画期的な改善を企図したものでありまして、その概略は先ほど委員長の報告せられた通りでありますがゆえに、これを申し上げることを省略いたしまして、ただいま共産党から反対の意見を表明せられました部分にきまして意見を申し上げたいと存ずる次第であります。
 なお私といたしましては、ただいま御指摘には相なりませんでしたが、さらにもう一つ、お考えにならなかつたのではないかと考える点があるのであります。それは本法に、医療保護の必要の緊迫している精神障害者の保護を行うためには、国民の何人といえどもその保ごの申請を行い得るのであります。これは国民総協力の体制を確立するものではありまするが、ややもすると、何人でもこれが保護申請を行い得るがゆえに、他人を陥れるために申請を行うことがあり得ると考えるのであります。また職務上最も取扱う機会の多い警察官も通報の義務を持つております。この点についても、あるいは共産党から御指摘があるであろうと考えておつたのに、その点は、はなはだ御安心であつたと見えて御指摘がないであります。ただ知事または病院長が決定する権限を持つておるということについて御指摘があつたのであります。私が申し上げました点について、これを救い上げますところの方法が二重、三重、五重にこの法案には盛られ、愼重を期しているということを申し上げたいと思つて、その用意をしておつたわけでありますが、御指摘がなかつたから省略いたします。
 知事または病院長が決定することが不都合であるとおつしやるならば、これに対しては訴願の道が開かれているわけであります。(「そんな訴願では救われないよ」と呼ぶ者あり)それは旧法によりましたがゆえに十年も入れられたというようなことがあつたのでありまして、それを改善するのが今度の法律の目的なのであります。県知事がこれを行いまする場合においては、拘束の必要ありといたしまするには精神鑑定医の診察が必要であります。しかも、その診察には当該吏員の立ち会いが必要であります。保護の任に当たつている者に、診察の日時、場所を通知しなければなりません。なおその上に、本人の後見人、親権を行う者または配偶者等が立合うことができるのであります。これらのこまかい規定が第二十七條にあるのでありましで、ちやんとごらんくだされば、おわかりになるはずであります。
 この結果、精神障害者であるということがそこで判明いたしましても、まだそれを拘束することはできないのであります。本人自身を傷つけるとか、あるいは他人を害するとかのおそれありと医者が決定しなければならないのであります。この決定がなされても、まだ入院收容はできないのであります。第三の関門として、本人もしくは関係者の同意の有無にかかわらず、なお二人以上の精神衛生鑑定医が診察して、その一致した結果をもたらさなければできないのであります。
 しかも、これらの関係者が全部結託して不法な拘束が行われた、こういうような場合に、なおさらにまた救う道があるのであります。すなわち第一は、第三十二條において、知事の行つた処分に不服のある者は訴願法によつて厚生大臣に訴願することができるのであります。また本人が不服を訴えるの道を阻害するごとき監護人等の不法措置が行われた場合におきましては、三十八條において、県知事は医療または保護に欠くことのできない限度において患者の行動の制限を行つておるかいなかの監査の権限をもつてこれを防止することができるのであります。これらの措置をとつてもなお厚生大臣すらも信ずることができないとするならば、その次にはまた一つの法律があるのであります。人身保護法によりまして、不当なる拘束は裁判によつてこれを解くことができるのであります。この裁判の請求はだれができるか、八千万国民は何人といえどもこれを行い得るのであります。(拍手)
 以上のごとく、万全の対応策がこの法律には盛られておるのでありますがゆえに、何らの不安なきものと信ずる次第であります。これをもつてもなお共産党は、知事たのむべからず、鑑定医怪しむべし、厚生大臣も信ずべからず、裁判所また同様なりと言われ、また八千万の国民中一人もこれを訴うる者がないにもかかわらず、なお本人の言うことが正しいのであると言われるならば、その考え方は、むしろ被害妄想的であると申さなければならぬと思うのであります。(拍手)梨木氏の申されましたことは、旧法によつて行われた例をあげられたのであります。新しい法はこれを防止するものでありまして、かかる愼重万全なるところの対策が講じちれた本法案の成立に反対せられますならば、ただいまの理由とは全然反対の方向でありまして、これはむしろ精神衛生法を適用すべき範疇に属せられる方でないかと私は信ずる次第であります。(拍手)
 以上申し述べました理由によりまして、私は本法案に絶対賛成の意を表し、すみやかに可決せられんことを希望する次第であります。
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立)
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 これにて議事日程は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時十一分散会