第007回国会 本会議 第42号
昭和二十五年四月二十六日(水曜日)
 議事日程 第四十号
    午後一時開議
 第一 臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案(尾島二郎君外九名提出)
 第二 自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 第三 更生緊急保護法案(内閣提出、参議院送付)
 第四 保護司法案(内閣提出、参議院送付)
 第五 教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第六 教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第七 臘虎膃肭獣猟獲取締法の一を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第八 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出農林水物検査所の出張所設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、参議院送付)
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●本日の会議に付した事件
 議員請暇の件
 電波法案(内閣提出、参議院回付)
 放送法案(内閣提出、参議院回付)
 日程第一 臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案(星島二郎君外九名提出)
 特別鉱害復旧臨時措置法案(内閣提出)
 日程第二 自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案(内閣提出)
 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)住宅金融公庫法案(内閣提出)
 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案(畠山鶴吉君外十三名提出)
 飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    午後二時十八分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) お諮りいたします。池田勇人君から、米国財政経済事情視察のため四月二十五日から五月二日まで八日間請暇の申出があります。これを許可するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて許可するに決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) お諮りいたします。この際議事日程に追加して電波法案の参議院回付案及び放送法案の参議院回付案を一括議題となすに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) ご異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 電波法案の参議院回付及び放送法案の参議院回付を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。両案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案を議題といたします。委員の報告を求めます。通商産業委員会理事有田二郎君。
    〔有田二郎君登壇〕
○有田二郎君 ただいま議題となりました臨時石炭鉱業管理法を廃止する法律案の、通商産業委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。
 御承知のごとく臨時石炭鉱業管理法は、過ぐる第一国会におきまして、片山内閣により、石炭の緊急増産確保のために提案されたものであります。当時におきましては、本法の効果につきまして種々論議せられたところでありまするが、昭和二十二年十二月八日成立し、翌年四月一日に施行せられたのであります。同年十二月、いわゆる経済九原則が実施せられ、日本経済が自由競争と自主性の回復の要請のもとに置かれて以来、石炭鉱業におきましても、急速に出炭能率の向上と経営合理化の努力が積極化いたしまして、昭和二十四年度におきましては、いわゆる四千二百万トンの出炭能力をほぼ回復いたしたのであります、従つて、昨年、夏以来、石炭の需給状況は急速に緩和せられ、公団方式による買取り統制の必要も消滅いたしましたため、昨年九月、石炭統制は、一部の銘柄を除き、価格、配給ともに全面的に解除されたのであります。このような環境のもとにおきましては、本来石炭増産のため臨時的に立法された臨時石炭鉱業管理法はすでにその意義を失うに至りましたのみならず、この法律に基く複雑な管理組織と煩瑣な手続は、現状におきましては、かえつて企業の自主性を阻害する向きすら少くないのであります。さらに増産施策の後退によつて行政事務の分量が縮小した現在、臨時石炭鉱業管理法の廃止と、これに伴う石炭局の廃止は、行政機構の簡素化及び国費の節約の点より見てもきわめて必要なことであります。以上の理由によりまして、來年三月の失効の日を待たずして本法を廃止しようとするのが、本法律案の提案理由であります。
 本法律案は、去る四月十九日、委員会に付託せられ、二十一日に、提案者を代表して神田博君より提案理由を聴取し、質疑に入りました。質疑の内容は速記録に譲ることといたします。
 しかして、昨二十五日午前質疑を打切り、討論に入りました。まず国民協同党を代表して河野金昇君は、本法律案は石炭鉱業の現実を正視せざる法案であるとの理由により本案に反対されました。次いで自由党を代表して小金義照君は、昨年夏以来、石炭の需要状況は急迫に緩和せられ、石炭の統制も一部の銘柄を除き価格、配給ともに全面的に解除した現状において臨時石炭鉱業管理法はその意義を失つたから、本法を廃止し、石炭行政制度を簡素化することは最も時宜を得た措置であるとの理由により本案に賛成されました。次いで民主党の有田喜一君は、石炭国管法は産業の復興と経済の安定に至るまでの緊急措置であるが、現在はまだ産業は復興しておらず、経済はいまだ安定していない、かかる際に本法を廃止することは無謀であるとの理由により本案に反対されました。次いで日本社会党を代表して加藤鐐造君は石炭産業は日本再建の基礎であり、これが消長は日本経済の運命を左右するものである、しかもわが国の石炭産業は、現在自己の力のみによつて解決できない幾多の問題をはらんでいるにもかかわらず、突如として本案を提出したことは自己の政策の失敗を隠蔽するものであり、今後石炭産業を企業の自主性と自由放任のみにまかせておくことは日本経済を危機に陷れるのみであるとの理由により本案に反対されました。最後に日本共産党を代表して風早八十二君は、本案は大資本を擁護して中小炭鉱の破滅に拍車をかけるのみであり、外国資本の支配に隷属する道に通ずるのみであるとの理由により、これまた本案に反対されました。
 これにて討論を終り、ただちに採決に入りましたるところ、宿命的なる石炭国管法の廃止を多数をもつで可決すべきものと議決いたした次第であります。
 以上をもつて報告を終ります。
○議長(幣原喜重郎君) これを許します。岡田春夫君。
    〔岡田春夫君登壇〕
○岡田春夫君 自由党から提案になりました国管法の座止について、二、三の問題について質疑をいたしたいと思います。
 先ほど委員長代理の有田君の報告にもありましたように、この国管法が、二十二年の十月に、社会党を中心にして当時の連立内閣に参加した民主党その他の政党によつて、炭鉱民主化のために取上げられたときに、この炭鉱国管法に最も勇敢に反対をして鬪われた有田君あるいは神田君たちが、この炭鉱国管の民主化に反対をされたその努力もかいなく、遂にあの国管法はその当時通過いたしたのであります。しかも、その当時この国管法に反対をして民主化の阻害をされた有田君、神田君の手によつて、これらの人々が委員長の席に着き、提案者になつて、ここに多数の力をもつて途中で質疑を打切つてこの法案を遂に通過させ、本会議に上程させるというような暴挙が行われたのであります。
 そこで、まず第一に提案者にお伺いしたいのでありますが先ほど委員長の報告にもありましたように、国管法廃ルの理由としては、国管が増産を目的としており、現在石炭の生産は出炭能力を回復して、需給の状態も昨年の夏から急速に緩和されて現在ではもはや石炭の増産を必要としない段階にまで至つておるから炭鉱国管法を廃止するのである、かような意味で提案をされておるのであります。そこで、しからば実際に現在石炭の増産は達成されておるかどうかという問題であります。
 この点につきましては、賢明なる有円委員長代理も十分御承知の通りに、昭和二十円年度の増産目標は四千二百万トンである。ところが、この四千二百万トンに対して、実績はわずかに八八%にすぎなかつたのであります。しかも、炭鉱国管法廃止の準備段階としての第一歩をふみ出しました昨年九月の配炭公団廃止以降におきましては、逐次生産は減退を始めておるのであります。その具体的な例として、昨年の第二・四半期においては、生産目標に対して、その生産は一〇二%に達しております。ところが、公団を廃止いたしました第三・四半期の実績は八六%に下り、第四・四半期は七六%に滅退して本年の三月は、昨昭和二十四年の三月に比べまして百万トンの減産をするというような現状であります。
 このようにして、生産が思うようにはかどらなくて、しかも減退を続けておる。この結果として需給関係が著しく緩和されたことが国管法廃止の理由として述べられておりますが、これはまさに増産の結果として需給関係が緩和されたのでなくして、石炭の需要が減退をしたために需給関係が緩和をされたのであります。この点は、吉田内閣の反動政策が中小企業をどんどん没落させたために、石炭の消費を極度に減退させた、ここに根本の原因がある。言葉をかえて言えば、需給関係の緩和は増産による経済再建の現象ではなくて、亡国政治によるところの経済危機の端的なる表現として需給関係の緩和ということが現われているのであります。この点は明確にしなければなりません。
 その実例といたしましていろいろ申し上げて参るべき実例がたくさんありますが、昭和二十四年度の消費の実積を見ましても、昭和二十三年度の消費と何らかわりがないのであります。こういう点から見まして、提案者の説明並びに先ほどの委員長代理の報告によりますと、現在石炭の増産はもはや必要がないというように言われておりますが、現在日本において石炭の増産が必要ないということは、日本の経済の現状を知らないか、あるいは経済再建に対しての熱意をまつたく放棄しているか、あるいはまた、国内の炭鉱に対しては、つぶしてしまつてもよいから、外国から一トン八千円の高い石炭を輸入して、これに一切合財国内経済を依存させようとするか、このいずれかの一つであります。このような形では、日本の真の再建ということは絶対に不可能であります。
 そこで委員長代理並びに提案者にお伺いしたいことは、現在もはや石炭の増産を必要としない段階であるということを委員長報告に言われておりますが、これは一体いかなる根拠に立たれておるのか、その根拠の背景としてこのような増産の必要がないという根拠として、日本経済の見通しをいかにお考えになつておるか、この点を第一にお伺いいたしたいと思います。
 第二の問題でありますが、それは炭鉱国管の廃止後における炭鉱企業の問題であります。炭鉱国管の第一歩として行われた昨年の八月の公団廃止の結果、これによつて増産を阻害して参りましたことは先ほど申し上げた通りでありますが、それと同時に、公団の廃止は炭鉱企業に対して大きな変化を與えたのであります。それはどういう点で與えて来ているかというと、高級炭の極端な値上りと、下級炭の値下りを通じて、優秀な鉱区を持つている財閥炭鉱には莫大な利潤がころがり込む。それと同時に、貧弱な石炭しか採掘のできない中小炭鉱は、公団廃止によつて続々倒産をいたして参つたのであります。
 たとえば高級炭であります原料用炭は、公団価格の当時は一トン五千五百十円でありますこれが今年の一月になりますと六千五百二十円になつております。発生炉用の炭は、公団価格の当時は五千四百五十円であります。これが本年の一月になりますと、また値上りをいたしまして六千三百十円になつておる。このように、高級炭は大体一千円前後の高騰を示しておるのであります。そのために、たとえば財閥炭鉱である三井の三池は、一トンの石炭を掘るたびに大体八百円のもうけになる。三井の芦別は一トンの石炭を掘れば六百円、三菱の高島は一トン千七百七十円、あるいは大夕張は一トン千六百五十円のぼろもうけが行われるのであります。その結果として、昨年の十月から今年の三月までに財閥のもうけた利潤というのは、大体三井鉱山としては十億円の莫大なる利潤がころがり込んでおる。
○議長(幣原喜重郎君) 岡田君、申合せの時間が参りまするから簡單に結論をつけて下さい。
○岡田春夫君(続) 三菱は十五億円の莫大なもうけとなつておる。北炭は資本の三倍のもうけ、十二億円をもうけておるのであります。このように財閥炭鉱は莫大なもうけがころがり込んでおる。
 ところが反面において、中小炭鉱は続々倒産いたしております。昨年の九月から昨年の末までに、中小炭鉱で倒れましたものはすでに八十六炭鉱に及び、その後においても続々中小の炭鉱は崩壊を続けておるのであります。しかも炭鉱の労働者の諸君は、五千四百円という安い賃金のもとにおいて、首切りと鬪いながら労働強化をあえてしなければ生きて行かれないという惨状であります。その結果、炭鉱の災害ば極端にふえております。たとえば昨年の十一月において、炭鉱の災宙は一月だけで一万四千名に達しておる。このようにして炭鉱の災害が極端にふえているということは、公団廃止によるところの経営者の利潤追求、財閥の利潤追求の結果であります。このことが、今度の炭鉱国管の廃止によつてますます助長されるという結果を招くであり土しよう。財閥炭鉱の独占資本の利潤の擁護が行われて、その反面において、自由党の提案によつて中小企業者はどんどんと没落をして行くということは、きわめて明瞭なる事実であります。
 この点について提案者にお伺いをいたしたいのでありますが、国管法廃止によつて国民経済の正常化をはかると言つておられますが、それでは、中小炭鉱の没落に対して自由党はいかなる対策をお持ちになつておるか。
 第二の問題として、経営者、財閥の利潤追求に対しまして、この結果として労働者の生活が極度に不安定になつて参るのでありますが、この労働者の生活の安定についていかなる措置を講じられようとするか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
 最後に通産大臣が見えておられますからお伺いをいたしますが、炭価政策については、それは公団……
○議長(幣原喜重郎君) 岡田君、もう時間がありませんから、すぐ結論をつけてください。
○岡田春夫君(続) 炭価政策は、マーカツトのメモランダムによつて、昨年の九月当時の炭価よりも上げるならば公団の廃止を撤回するであろうということがメモランダムにあつたはずでありますが、最近の炭価高騰の状況から見て、今後炭価対策についてはいかなる措置を諦ぜられるか、この点について最後にお伺いをして質疑を終りたいと思います。
○議長(幣原喜重郎君) 小金義照君。
    〔小金義照君登壇〕
○小金義照君 ただいま議題になりました、いわゆる炭管法の廃止法案につきまして、岡田春夫君から御質問がありましたので、私は提案者の一人としてお答えをいたします。
 承るところによれば、私は知らなかつたのでありますが、岡田春夫君は、この炭管法が出たときに、これではなまぬるいからといつて脱党だか除外だかされた、有田代議士のお話によれば、岡田君はこういう法律案の廃止には喜んで賛成をされて、むしろ質問としては、もつと強い法律案を出す意見はないかというようなお話があるやに期待しておつた、こういうことであります、なおいろいろな方面から、あるいは例を引き、またいろいろ御質問がありましだが、これはおおむね委員会において、ことごどく私どもが承つた意見でありまして、その御意見によつて、この法律を存続すべしという結論は毛頭出ないのであります。この法律は民主化の法律であるというようにおつしやいましたが、これは非常対策としての増産臨時立法であるということが明記してあるのみならず、方々にそれが強く出ております。ところが、第三十八條を初めとして重要なる條文は、おおむね今日まで一ぺんも適用がなかつたという珍しい法律であります。
 わが自由党は、決して石炭の増産を必要としないとは申しません。いい炭はきわめて必要でありまするが、この臨時立法下において出た炭は、おおむね石炭を分析して石と炭であるというような石炭がよけい出たのであります。そこで、この法律とは別個な社会情勢あるいは経済状態の変遷から、すなわち経済九原則を実施せられたころから、ほんとうにいい石炭が増産されまして、昨年の九月十六日を期して、特別の銘柄炭以外のものについては統制がことごとく撤廃されて、配炭公団も廃止になつた。こういう状態で、自由党は決して石炭の増産を必要としないということではありません。
 なおいろいろな観点から申し上げたいのでありますが、おおむねこの問題委員会において論議し盡されておりまするから、速記録によつて御承知を願いたい。
 なお中小炭鉱につきましては、これまたきわめて大切でありますが、その金融その他については所管の政府からお答えがあると思いますので、私の答弁は、これをもつて終ります。(拍手)
    〔国務大臣高瀬荘太郎君登壇〕
○国務大臣(高瀬荘太郎君) お答えいたします。炭価政策についての御質問でありましたが、原料炭その他の一部高級炭につきましては、確かに炭価が公団当時に比べて若干高騰しておることは事実であります。しかしながら、その程度は現在なお比較的僅少でありまして、五%ないし一〇%にとどまつております。從つて目下のところ、炭価の再統制というようなことはまつたく考えておりません。しかし、炭価は一般産業に大きな影響を與えるものでありますので、今後その動向を十分に監視いたしまして、必要な場合には適当な手段をとる考えております。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて質疑は終了いたしました。
 討論の通告があります。これを許します。今澄勇君。
    〔今澄勇君登壇〕
○今澄勇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案に対して絶対に反対の意思を表明するものでございます。(拍手)
 臨時石炭鉱業管理法は、ただいまの委員長報告中にもありましたことく、過ぐる第一国会において、わが党首班内閣が、当時の悪性インフレと縮小再生産とによつて急速に進行しつつありました経済危機を打開するために、全産業の食糧ともいうべき石炭の生産を急速に増大し、これを足がかりとして産業の振興及び民生の安定をはかり、もつて経済安定に至るまでの緊急措置として石炭鉱業を政府において管理し、石炭の生産に関する行政と経営と労働の三者が渾然一体となつてこれが生産目的を達成せんがために提出いたしたものであることは、諸君すでに御承知の通りでございます。(拍手)当時、この革新的法律が国会に提出されるや、時の反対党たる自由党は、院の内外において死にもの狂いの反対運動を展開し、石炭業者また莫大な費用を投じて全国的に反対運動を行い、はては不幸なる刑事事件まで現われ、司直の手が院内にも延びて世上を慄然とならしめたことは、われわれの記憶に新たなるところでございます。今、往時を思い起してみるときにおいて、当時この管理法に反対する理由として自由党の諸君が述べられました点は、第一に、本法中にある生産協議会が業務計画や実施計画の中心機関であることは、現場從業員を偏重して事業主を軽視し、ために炭鉱経営は不振となつて、石炭の増産は不可能であるといつております。第二点は、事業主に業務内容を報告させたり政府が経営内容を検査したりすることは憲法違反であると論じている。第三点は、炭鉱を国家管理にせねばならぬほどの重要な職業であるならば、同時に働く労働者のストライキを制限せよと論じております。これらの論議は、案にわが国炭鉱事業を無視した、反対せんがための暴論をもつて審議を引延ばし、遂には暴力ざたとなり、同僚議員中より懲罰者を出したことは遺憾千万でございました。(拍手)はたせるかな、この時代錯誤的な反対論は、ただいまこの本会議場においてくつがえりました。すなわち私は、委員長報告中にはつきりと、当時のの反対論がいかに荒唐無稽であるかをこの耳で聞きました。これはまことに運命の皮肉といわざるを得ないのであります。
 委員長は、委員長報告書中において、本法廃止の理由として、出炭能率の向上と石炭増産が順調に回復したために、もはや本法の使命は終つたと述べております。このことは、本法に基く石炭の増産が百パーセント所期の効果をあげたことを自由党みずから秘めたものにほかならない。(拍手)そのことはすなわち、二年前自由党の諸君が述べた反対意見はことごとくこれ無責任なる炭鉱資本家の代弁であつたことを委員報告において認めたもので、当時の不見識を委員長みずから暴露したものといわなければならないのであります。(拍手)
 今や突如として本管理法を廃止するにあたりましてその理由として、第一点は、昨年夏以來石炭の需給状況が急速に緩和し、もはや増産を必要としない実情であること、第二番目には、本法の複雑な管理組織と煩瑣なる手続は企業の自主性を阻害し、石炭鉱業は企業の自主性と自由競争のみで十分である、統制はむしろ弊害があるといわれておるのでございますが、この二つの理由は、理論的に見ても、はたまた実践的にも、何らわれわれを納得せしめ得るものではございません。提案者のほんとうの真意は、本決廃止をしやにむに通そうという自由党の態度と考え合せ、察するに、参議院選挙を六月に控えて、大炭鉱業者への媚態を示さんとするものと考えられる。しかしながら、それは逆に国民大衆のきびしき批判を六月選挙において徹底的に受けなければならないであろうことを提案者は覚悟すべきでございましよう。
 本管理法廃止の第一の理由たる、現状において石炭の増産必要なしとのことは、現在のデフレ的縮小再生産に基く一時的な現象をもつて今後増産の必要なしと断言することでございまして、これほまた本末転倒もはなはだしいといわなければなりません。石炭の需要を急減せしめた不景氣政策、すなわち政府の超均衡予算に基くドツジ・ラインを修正して石炭の増産をはかるべきであるのに、提案者は、日本の産業はこれ以上発展の必要なしとの見解から増産の不必要を主張するのか。しかも、深刻な現在のデフレ政策のただ中においても、なおかつ量的な立場からこれを見れば明らかに過剰生産恐慌でございますが、一応これを質的な立場からながめますならば、その増産が著しく要求されております。それはすなわち、先ほどの質疑にもございましたように、配炭公団廃止後、低品位炭の値段は著しく下落している反面、六千カロリ―以上の上級炭が軒並に、一、二割の高騰をいたしておる事実は、これを雄弁に物語つているものでございます。上級炭のこの傾向は今後ますます拍車をかけることが予想されますが、これらの事実にはあえて目をおおうて、石炭の増産を否定するなどと放言するに至つては、わが国産業の植民地化を待望する痴人のたわごととしかわれわれは考えることができません。(拍手)
 次に提案理由の第二として、石炭鉱業は企業の自主性と自由競争のみで十分であるというに至つては、まさに語るに落ちるの感を深くいたす次第でございます。最近の新聞報道よりましても、石炭業者と、鉄鋼業を初めとする重工業者との間に炭価をめぐる対立が深刻化いたしましたために、日産協の石川会長が調停に乗り出さなければどうにもならないという段階にあるが、この対立の問題点が、実に統制撤廃に伴う炭価の根上りと、そのために生ずる基礎産業の苦悩であることは、だれの目にも明瞭でございます。配炭公団廃止後の自由放任の弊害は、すでに本管理法の廃止を待たず、現実の問題として大きく経済界に、産業界にクローズ・アップされておることを強調いたしたいのであります。
 本年一月現在の石炭価格は、日本銀行の卸売物価指数によると、昭和九年から十一年に比して、一般用炭は三百四十二倍、原料用炭は三百三十四倍、発生炉用炭は三百六十二倍と、一般物価の二百二十三倍に比較して相当な割高であるのみならず、電力の九十四倍に比較してまさに四倍という高率な倍率になつておるのであります。その影響を受けて鉄鉱の原価構成に占める石炭の比率は急激に増大て参りました。すなわち銑鉄においては、昭和十年において三〇%、二十三年七月が四〇%であつたのが最近においては実にに五八%に達しておるのであります。また普通鋼々材においても、それぞれ九%から、一一%、さらに一六%となり、これに加うるに、この原料高にもかかわらず、ドツジ・プランの命ずるところにより、この夏までに急速に補助金をはずして国際価格にさや寄せしなければならないというのでありますから、事態は重大なる様相を帶びておるのであります。国際価格を一〇〇といたしまするならば、かくて日本の石炭は一三九、銑鉄は一二八、鋼材は一一一になります。これでは鉄鋼業が国際競争に耐え得るはずがございません。この鉄鋼価格の高騰は造船業、機械工業に甚大な打撃を與え、わが国重化学工業等も今後数箇月を出ずして一大危機に襲われることが予想され、今やわが国の基礎産業は、無計画の産業政策のために動揺いたしておるのであります。計画か自由かの問題は、その方法いかんによることながら、すでに事実問題として、かくも明らかに計画性なき経済のみじめさをわが国の需要基礎産業は立証いたしております。
 これら基礎産業の経営者は、今日政策の誤りに不安動揺しつつあることは、すでに皆様方御承知の通りであります。政府もまた大言壯語に似合わず、池田、白洲の両氏を米国に派遣して対処する等の狼狽ぶりは、みずから事の意外なるに驚いた論拠以外の何ものでもありません。かくのごとき状態のもとにおいて石炭の生産を自由放任するということに、まつたくバランスを失つたわが国経済を根本的にぶちこわすものでございます。
 また一方石炭の生産原価については、すでにいわゆる水増し分の切捨てがほとんど限度に達しており、もはや單純な企業合理化のみでは効果を期待できないばかりでなく、今後資産再評価に存う減価償却費の増大等、経営を正常化するために、何としても石炭の値段を上げざるを得ない事情に今全国の炭鉱はございます。さらに近く良質の開らん炭や仏印炭の輸入も実現しようとして、石炭鉱業は国際的な価格競争にさらされようとしており、真剣に合理化を考えなければならないけれども、わが国現在の石炭資源のあり方では、とうてい海外炭との競争は不可能でございます。しかも、一たび海外炭との競争が始まるならば、原価を割つてこれを争うこととなり、わが国石炭鉱業は、海外の炭田との競争力の前に崩壊する危險すら存しておるのでございます。
 かくのごとく、一方においては、わが国産業自立のために鉄鋼業、化学工業等の産業界より低廉なる供給を渇望されておる反面、石炭の値段は、皮肉にも運賃その他の影響も加えて、むしろ上昇しつつある実情は、われわれに対して冷水三斗の寒心にたえないものを示しておるのでございます。かかる際に石炭産業を自由放任することは、断じて良心ある政治家のなし得るところではございません。配炭公団廃止後の收益力に見るごとく、ただただ一部大手炭鉱の利益集中をはかることを目的としておるものとしか考えられない、何の中小炭鉱救済ぞやと叫びたい次第でございます。(拍手)
 一国の経済救済は、世界経済との関連において、世界各国の大勢と遊離してはあり得ないこともとよりであります。英国の実例を引くまでもなく、困難なる戰後の復興のために、石炭鉱業は国家の統制と保証助成によつて運営せられ、英国の危機を救いつつあることも御承知の通のでございます。しかもなおわが国は、経済力においてはイギリスに比較すべくもなき敗戰国でございます。誤れる現内閣の政策により、インフレの安定のために称して、急行列車の急停車にもひとしい経済混乱のただ中に今わが国はあるのでございます。
 この財政経済政策の失敗から來るところの価格政策の破綻、それから來る貯炭の増加――遂に自由価格という逃避港へ逃げ込み、ために配炭公団を廃止したが、中小炭価は目をおおうの惨述べた通のでございます。現下のわが国の経済情勢のもとにおいては、ますます石炭鉱業に対し強力なる国家の保護と統制が必要である。しかるに、政策の行き詰まつた現政府は、世界の大勢に目をおおい、あたかもこれまでの政策の失敗は臨時石炭鉱業管理法の存続にあつたかのごとく世人に印象づけようとしておることは、その無定見もまたはなはだしいものといわなければなりません。(拍手)
 臨時石炭鉱業管理法は、今や増産の役目を果し、これから安定と自立の方向に進まんとしておるとき、自由党の諸君は強引に臨時石炭鉱業管理法の廃止を行わんといたしております。これこそ、国家百年の大計、一国産業の消長よりも自党の消長に重きを置くものと断ぜざるを得ない理由でございます。(拍手)管理法廃止の結果は今後の産業計画に大なる支障を與え、経済の民主化を後退せしめ、石炭産業自体において石炭鉱業の独占的資本集中は強化せられ、中小炭鉱は壊滅し、増産に協力した労働者を多数失業せしめ、またその生産意欲はとみに減退する等のことは明らかでございます。しかるに、これらの応急的な措置さえ何一つ講ぜられておりません。もし政府が統制を撤廃するならば、増産のために企てられた統制は保護助成のための統制とかわり、それはさらに社会政策的な統制とかわつて漸次自由経済へと移行して行くことは、世界各国の実例でもあり、経済の理論でもございます。しかるに政府は、鉱業法の改正もあとまわし、石炭鉱業安定法等の、わが国の基本産業である石炭事業を助成する法律案も何ら用意がございません。ただ、がむしやらに廃止を強行する自由党並びに吉田内閣は、一部石炭資本家の用心棒とも習うべきか。
 われわれは、石炭鉱業の将來はわが国経済の自立と復興の基礎産業であることを思い、今や企業合理化とコストの引下げに死にもの狂いになつて荒れ狂うであろうところの石炭鉱業の姿を正視するときに、私は、うたた義憤の涙を禁じ得ないのでございます。たとい石炭鉱業管理法が本日の本会議において多数党の力で廃止されようとも、近き将來、わが党は国民輿論の支持の上に立つて断固理想的国家管理法を復活し、あたたかき国家の保護育成政策をもつて、自由党のためにたたきのめされた荒廃せる石炭鉱業を守るであろうことを約束いたしまして、本法律案に反対をする次第でございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 降旗徳弥君。
    〔降旗徳弥君登壇〕
○降旗徳弥君 ただいま議題となりました臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案につきまして、私は自由党を代表して賛成の意を表するものであります。(拍手)
 同法の内容並びにわが国の石炭事情等につきましては委員長報告に述べられておりますから、私はこれを省略いたしまして、多少これと異なつた立局から意見を申し述べたいと存じます。
 すなわち、かつて昭和二十二年、第一回国会におきまして、いわゆる炭管法案が提案されました当時は、石炭は減産いたしまして二千万トン台にすぎず、ためにわが国の生産事業は麻痺、沈滞に陷らざるを得なかつたのでありまして、これを年間三千万トンに増産ぜしむることは、わが国産業経済再建の必須要件であつたのであります。しかして、当時は片山内閣でありましたけれども、すでに芦田内閣胎動のきざしが見え始めておつたころでありまして、從つて当時の困難なる経済事情、複雑なる政治事情を追想いたしますと、今日ここに今澄君の申し述べられた理由とはまつたく別な理由において、業界の努力によつて四千二百万トンの出炭目標を回復し得て、明年三月の終期を待たで同法の廃止法案を上程することは、まことに感慨にたえぬところであります。(拍手)
 すなわち、以上ごとき事情のもとにおきしては、議会における炭管法案是非の議論はまさに白熱化したのでありますが、私はこの際、当時石炭増産に最も責任と熱意を持つた人々の態度について簡單に申し控べておきたいと思うのであります。すなわち、昭和二十二年九月五日並びに同月二十六日には、全国四百三十有余の炭鉱の業者並びに鉱業所長が全員の署名をもつて陳情聾を提出し、総司令部、政府・国会に炭管反対の意を表明しているのでありまして、さらに九月十五日には、社団法人輿論調査所では、長い間にわたつて炭鉱の坑夫一人々々について調査した結果を新聞ラジオに発表いたしまして、その調査人員の大多数がこれまた炭管に反対であつたことを明らかにしているのであります。
 臨時石炭鉱業管理法は、二十二年十二月八日に国会を通過したのでありますが、いわゆる炭管法の重大なる欠陥は、国家の権力をもつて強制するにもかかわらず、これに対する責任ある国家の資金、資材、労力の裏づけがなかつたことであります。これは同法が施行されて以來各方面においてひとしく痛感された事実でありまして、またこの点が同法をして有名無実、煩雑、やつかいな存在にした原因でもあつたのであります。(拍手)
 一体、石炭の増産というがごときは非常に困難なる仕事でありまして、いやしくも即製の法律をもつてしては容易にこれを達成し得るものではありません。これは、二十四年三月二十五日付石炭庁発行にかかる「炭砿国家管理一箇年の足跡」と題する報告書に徴しても明らかなるところでありまして、すなわちこれによつて見れば連合軍指令部の石炭増産推進班並びに同上各地区炭鉱推進班の絶大なる協力がなかつたならば、政府の石炭増産計画はあるいは破綻をしたかもしれなかつたことを示唆しているのであります。さらに二十四年度に入りますと、あるいは企業三原則といい、あるいは経済九原則等によりまして経営の自立性を要請されましたために、炭管法は單に官僚的にして複雑煩瑣な手続を強制するのみの存在となつたのであります。しかしてこの傾向は、同年九月配炭公団が廃止され、大部分の炭価、配給の統制が撤廃され、業者の自由闊達なる競争のもとに優良炭が潮時豊富に市場にに出まわるに至のまして顕著となり、いわゆる臨時的立法たる炭管法はその本來の使命を喪失し、同法廃止の運命を決定したものといわなければならぬのであります。(拍手)
 しかして、私がこの際特に希望を申し述べたいことは、本廃止法案第二條規定の内容についてであのます。すなわち、国家強権の発動によつて與えられた業者の損失はひとしく国家の責任をもつてこれを補償せねばならぬということでありまして、同法施行の上において、特にこの点を強調したいと思うのであります。
 私は最後に、尊敬すべき先輩、友人の多数諸君がこの炭管問題のために迷惑千万な災いをこうむつたことをここに慨歎せざるを得ません。(拍手)まことに政治的に利用さるるところのみ多くして経済的に運営さるる点の少かつたいわゆる炭管法をここに葬り去ることは、日本再建のため裏心より喜びにたえないところであります。(拍手)
 以上をもつて私の賛成演説を終りたと思います。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 風早八十二君。
    〔風早八十二君登壇〕
○風早八十二君 私は、日本共産党を代表して、今日自由党議員の提出にかかる炭管法廃止のその意図するところに対して断固反対するものであります。
 先ほど労農党の岡田春夫君に対して、前に反対したのに、また今度その廃止に反対するのはどうかというお話がありました。われわれ日本共産党は、この前あの炭管法の出るときにあたりまして、これに対して絶対に反対いたしました。今日また自由党がこれを廃止せんとする意図に対して断固として反対しております。(笑声)これは諸君が今お聞きになる通り……。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
○風早八十二君(続) われわれは、今この炭管法の廃止に対して反対せんとするその立場を明らかにいたしたいと思うのであります。
 炭管法の廃止をめぐりまして、かつて炭管法を主張した社会党その他三派の反対論と、自由党の賛成論とのこの二つの立場が、あたかも対決しておるかのごとくに概観されるのであります。しかしながら、これは決して問題の本質をついておるものではない。この対立というのは、実はわれわれから見れば見せかけの対立でありまして、問題の本質は、およそ次のごとくであります。
 終戰後五年たちました現在、今までとられて参りました歴代内閣の石炭産業に対する政策に一貫したものがあつたことはきわめて明瞭であります。いわゆる傾斜生産方式、集中生産方式、そうして配炭公団の廃止から今回の統制撤廃の意図、あるいは炭管法の廃止、この間一貫して独占大炭鉱の強化、他方中小炭鉱の破滅のためのものであつたことはきわめて明らかであります。そのときどき、その局面で、まず最初に統制の強化がとられ、次いで中小炭鉱並びに労働階級の犠牲の上に独占資本の基礎がほぼ固まりました現在におきましては、今度は統制を撤廃する、炭管法を廃止するということになつて現れているのであります。社会党や自由党は、その政策遂行の形こそ異なれ、今までの少くとも実績を見るならば、それぞれ積極的にこの独占責本強化の政策に協力して参つたということはきわめて明らかであります。(拍手)しかしながら、今日におきまして、もはやおおうことのできない明らかになつた事案は、戰後、歴代内閣の連綿たる諸政策が、一貫した国際独占資本の意思の展開として現われておつたということであります。歴代内閣の背後におきまして、これをあやつつて來た国際独占資本の手があるのであります。
 大体、国際独占資本が日本を軍事的植民地化しようとするその過程におきまして、特に石炭産業に対する攻撃が集中されている。これは言うまでもなく、石炭産業のいわゆる低コスト、これが一切の日本の軍事基地化に対する大きな前提條件である。軍事基地化を安上りにするということがその一つである。また肥料である、鉄鋼である、機械製品である、こういうものを安いコストで東南アジアに輸出する。この輸出ができなければ、援助資金の節約のために、アメリカから日本に入つておる食糧輸入を、今度は東南アジアからの日本への輸入に切りかえなければならない。このことができなければ、また援助資金を浮ばせることもできない。援助安全を浮ばせられなければ、アメリカから新しく綿花とが機械とか日本に輸入することもできない。
 こういう次第におきまして、この石炭のコストの切下げということが今や国際独占資本の至上命令となつていることは御承知の通りであります。これこそ日本と東南アジア諸国と一体化した、かつてのあの大東亜共栄圏の新版ではありませんか。日本は、今度は主人公としてではなく、国際独占資本の手先として、新版の大東亜共栄圏の建設に参加させられておるのであります。(拍手)言いかえれば、第三次世界対戦の準備をさせられておるのであります。そうして自由党こそは、公然とその先頭に立つておるのであります。
 また労働者階級に対する内外独占資本のその代理店として出て來ておるところの裏切り民同分子は、炭労のあのなれ合いストの例にも明白でありますごとく、巧妙に大衆を欺瞞して国際独占資本の手先になつておるのであります。社会党は、この炭管法に対して、決して單なる未練から廃止に反対されるのではないとわれわれは確信するものであります。もしも社会党が、真に中小炭鉱業者並びに労働階級のために鬪わんとせられる限りは、国際独占資本に対するその態度を明確にしなければならない。具体的にこれに対して鬪わなければならない。
 国際独占資本の日本石炭業に対する攻撃は、中小炭鉱の破滅、あの日産協のいわゆるカロリーと能率との二乗化された賃金制度、従つて猛烈なる労働強化、大炭鉱に今頻発しておる大災害、また炭鉱機械の導入は、日本の機械工業を破滅させつつ、新版大東亜共栄圏の軍事基地化を容易ならしめようとするものであります。われわれは、炭管法廃止によりましてこの国際独占資本の新たな攻撃のお先棒を勤めんとするところのこの提案者たちの意図に対して断固反対するその立場から、今日のこの提案に対して、わが日本共産党を代表して反対の意見を表明した次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 河野金昇君
  (河野金昇君登壇)
○河野金昇君 私は、国民協同党を代表いたしまして本法案に反対の意を述べるものであります。(拍手)会期も切迫した折に、突如として議員提出で出されたところに、多くの含みがこの法案には残つておると考えるものであります。先ほど自由党の降旗君は、同僚議員が非常に迷惑した法案であるとおつしやつたのでありますけれども、炭鉱業者から金をもらつて、そうして刑務所へ行くような人を出したり、あるいはよその政党を割つたりしたことは、自由党にとつては迷惑ではないのであります。むしろこれは、よその党が迷惑したのでありまして、炭鉱業者から金をとつた者にとりましては自業自得であるといわなければならぬと思うのであります。
 提案の理由を承りますと、増産の目的を達したから、もはやこの法律は必要がなくなつた、とおつしやるのであります。一体石炭はそれほど増産されたかというと、されてはおらないのであります。自由党の内閣が出しました昭和二十四年度の計画から参りますと、四千二百万トンの石炭がなければ日本の経済はまかなえないという建前であつたはずであります。それがドツジ・ラインとかなんとかいうことによりまして日本の産業が萎縮したがために、四千二百万トン必要であるべきものが四千万トン掘れた当時に、もはや需要供給の関係から余つて来たというのでありますが、これは余つたのではなくして、それだけ日本の産業が縮小したものであるといわなければならないのてあります。(拍手)私たちは、この法案が増産の目的を達するために果した功績は相当多いと思います。これは何にも知らないのでありますが、委員会におきましては、提案者もこの点ははつきりと認めておられるのであります。
 この法案は成立はしたけれども、一度も適用したことのない法律だとおつしやるのであります。法律はできましても、これを適用しない方がよいと思う。警察官の持つておるピストルは、持つておつても放たない方が効果はあるのであります。すなわち、業者、労働者あるいは行政官庁、それが増産の目的に反するようなことをした場合には強制命令が出せるということがあるところにこの法案の妙味があると私は考えるものなのであります。(拍手)おそらく日本の産業が回復して来たならば、石炭は四千万トンくらいでは足りなくなることは当然であるのであります。
 全国民は、ドツジ・ラインの修正を心から望んでおるのであります。議会開会中であるにもかかわらず、大蔵大臣がアメリカに行つたようであります。あるいは白洲何がしというような男が、吉田さんの命令を受けてアメリカに行つたそうであります。私は、必ずやこれはドツジ・ラインの修正を懇願しに行つたものであろうと考えておつたのであります。しかるに、提案者の説明を聞きますると、道は近く任軽しで、何も期待するものはないと、はつきりとおつしやつておつたのであります。われわれはそうではない。国会開会中にかかわらず大蔵大臣がこの議会を捨ててアメリカに使いするということに対しては、大きな期待を抱いておるものなのであります。もし池田氏なり白洲氏なりがいろいろな交渉をした結果、ドツジ・ラインを修正するようなことができた場合には、この法律を今廃止してしまつたならば、石炭の増産の目的を達することに不自由を来すものであろうと思うのであります。せつかく使いした連中が帰つて来るまでこの法律は臨時立法であり、来年まで期限があるのでありまするから、せめて来年の期限の来るまで延期される方が自由党のためにもよくはないかと考えるものであります。
 かかる観点から、いろいろと委員会においても論議いたしましたけれどもただ單に、先ほどの降旗君の言ではないけれども、同僚の中からいろいろな問題を出したりなんかしておる、不愉快きわまる法律であるから、これをなくしたいというのが念願であろうと思うのでありまするけれども、そういうような末梢的な感情に走つて国家の大本を誤るべきものではないと思うのであります。
 かかる観点から、われわれはこの法案を廃止することに徹底的に反対をいたすものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたししました
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、特別鉱害復旧臨時措置法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 特別鉱害復旧臨時措置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事神田博君。
    〔神田博君登壇〕
○神田博君 ただいま議題となりました特別鉱害復旧臨時措置法案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。本法案は、旧臘二十三日内閣より提出、即日、本委員会に付託せられたもりでありますが、その内容は、前第六回国会において審議未了となりました政府提出の原案と全然同一のものでありまして、戰時中の強行出炭に基因して発生した時別の鉱害を急速かつ計画的に復旧することによつて公共の福祉を確保し、あわせて石炭鉱業の健全な発達に資するための制度を設ける必要があるというのが、本法案提出の理由であります。
 本委員会においては、特別鉱害のさんたんたる実情にかんがみ、できるだけ早く審議を進めると同時に、法案の内容がきわめて複雑であるため、あらゆる角度から愼重に検討しなければならないという各党一致の意見に基いて、終始一貫、熱心に審議いたした次第でございます。
    〔議長退席、副議長着席〕
すなわち、一月二十三日提案理由の説明を聴取して以来、委員会を開くこと前後七回、この間、建設委員会及び建設委員会並びに災害地対策特別委員会理事との合同打合会を各一回ずつ開催し、また一月四日より一週間にわたつて現地調査を行い、なお二月九、十両日にわたり公聽会を開いて公述人の意見を聽取いたしました。
 かく愼重に検討を加えました結果、ホ法案の條文中には承認いたしがたい点が少くありませんため、これが修正に関し、二月十五日、各党代表よりなれる小委員会を設け、三月十八日、一応の修正案を得たのでありますが、さらに入念に検討いたしまして、結局前後六回にわたる小委員会の結論として最終的修正案を決定し、関係各方面との折衝も終り、本日の委員会において満場一致これを可決いたしました次第であります。
 修正案の全文は時間の関係もあり、これを委員界の会議録に讓ることといたしまして、ここにその主要なる点を御説明いたします。
 第一点は特別鉱害の定義に関するものでありまして、原案第三條第一項第一号及び第二号の、昭和十六年十二月八日から同二十年八月十五日までの間において発生したものであつて、国の石炭増産の要請に基くものとあるのを、「太平洋戰争中、戰争遂行のための緊急な国の要請に基く石炭増産の応急措置としてした法令による命令またはこれに準ずるものと認められるべき行政上の措置に基くもの」と修正したことであります。
 第二点は納付金に関するものでありまして、原案第二十二條第二項では、特別鉱害に関係の有無を問わず、全部の炭鉱から年間出炭量一トンにつき二十円以内を後攻することになつておりましたが、これを修正して、特別鉱害に関係のある炭鉱からはトン当り二十円以内を、また関係のある炭鉱を経営せる鉱業権者の無関係炭鉱からはトン当り十円以内を納付せしめることとし、一般無関係炭鉱の納付義務を免除いたしまた。また工事費と納付金との関係によつては、みずから復旧工事を施工し得る道を開きました。
 第三点は復旧公団に関するものでありまして、すなわち原案第三條の特別鉱害復旧公団を、私的法人ではなく公法上の法人とし、その名称も復旧公社と改め、その役職員を国家公務員としたこと、また公社の業務はおそくも今年末までに通産省に引き渡すこととしたこと、なお主たる事務所の所在地を、東京都ではなく福岡市に変更したこと等であります。
 第四点は鉱害対策審議会に関するものであります。原案第六條第五項によりまして、通商産業大臣は、特別鉱害の認定、復旧工事計画の認可等に関し鉱害対策審議会に諮問しなければならぬことになつておりますが、これを廃止いたしますとともに、本法の規定による通商産業大臣その他の行政官庁の処分に対して不服ある者は裁判所に提訴するこができることといたしました。
 以上御報告申し上げます。
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案の委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告通り決しました。
○副議長(岩本信行君) 日程第二、自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長小笠原八十美君。
    〔小笠原八十美君登壇〕
○小笠原八十美君 ただいま議題と相りました、内閣提出、農林委員会付託にかかわる自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案につきまして、審議の状況並びに結果の大要を御報告いたします。
 御承知のごとく、農地改革は、昭和二十一年実施以来、小作地の解放によりまして、農村の民主化並びに自作農の創設等幾多の功績を残したのでありますが、農地及び牧野の買收並びにそれらの売渡しについてすでにその大部分を終り、目下これらの登記事務を促進しているのでありまして、おおむね所期の目的を達成し得る段階になりました。従いまして、今後はこの達成された成果を恒久的に保持する施策をなすべきことが肝要となつて参りましたので、自作農創設特別措置法、農地調整法並びに食糧確保臨時措置法の関係三法律に所要の改正をいたしたいというのが、提案の理由であります。
 今この改正点の大要を申し上げますと、およそ四点ございます。第一点は、本年二月十一日以後、自作農創設特別措置法の規定に該当する小作地または小作牧野が発生した場合同法による政府買收は行わないこととする。但し、同期日以前の事実に基いて当然政府が買取すべきもので買收漏れとなつたものは、同法の規定を適用して政府が買収する。第二点は、本年二月十一日以後、新たに不在地主または法定制限面積を越える小作地、小作牧野を生じたる場合には、従来の政府買收にかえて強制讓渡をさせる規定をしたことであります。すなわちその場合には、農地委員会または農業委員会の定める計画により直接所有者から小作人に譲渡させるのであります。第三点は、農地の取得ないしは相続または所有権の維持に必要な資金につき政府が貸付その他必要な金融上の措置をとり得ることとしたこと。第四点は、市町村における農地委員会と農業調整委員会を合体して農業委員会と改め、農地及び食糧供出割当の業務を行わしめ、その委員の構成は一号委員、すなわち耕作面積の半分以上を小作しているかまたは二反歩以上の小作者でその耕地面積が所定面積を超えない者から五名、耕作の業を営む者で右に該当しない二号委員から十名を選出し、他に三名以内の選任委員を置くことができること。以上の四点に要約できると思います。
 本法案は三月三十一日付託と相なり四月三日提案理由の説明を聞き、爾後、森農林大臣または政府委員との間に質疑を継続いたし、開拓、食糧、金融あるいは肥料その他生産資材との関係等全農林行政と関連いたし、真剣な質疑が行われ、各党派の委員より発言がございましたが、これを要約いたしますと、農地改革によつて農村の民主化は促進されたのであるが、農家の経営規模はなお細分化の傾向にあるをもつて、本案が意図する農地改革の成果保持のためにとらるべき具体的対策いかんということであつたと思います。これに対しまして政府委員から種種答弁がございましたが、帰するところは、單に農地の問題としてのみでは解決し得ないもので、全農林政策を集中して生産力の向上、経営の合理化、さらに開拓による増反等を行うことが肝要であるということでありました。
 二十四日をもつて質疑を打切りましたが、二十五日、自由党野原委員より、農業委員会委員の選挙規定につき、さきに成立した公職選挙法との関係を調整すること等を内容とした修正案が提出いたされました。続いて討論に移りましたるところ、自由党を代表して八木委員は、自作農創設中心主義を徹底して行うことが自由党の主張であつて、農地改革の成果はマ元帥によつても称揚されたところである、今後はこの成果を恒久化することこそ重要であり、本案はこの趣旨に合致するものであるとして賛成され、また国民協同党吉川委員は、今後の農業政策の重点は農業経営の合理化をはかることであつて、本改正法案の内容そのものはさして重大な意味があるものではない、今後は農地が再び兼併されることのないよう農業委員会の運営に注意を拂うべきであるとの希望を述べて賛意をを表されたのであります。これに対し社会党井上委員は、本法案は資本家的農業政策の一連の表現であつて、農業生産力の基本的向上に寄與するところがないとし、共産党山口委員は、農地改革の打切りというのみでなく封建的土地所有制の復活ル企図するものであるとし、さらに農民協同党小平委員は、自作農の創設を放棄し農地改革の精神を没却するものであるとして、ひとしく反対意見を述べられました。
 次いで野原委員提出の修正案を議題として採決に付しましたるところ、多数をもつて、可決され、続いて修正部分を除く原案について賛否を問いましたところ、これまた多数をもつて可決すべきものと議決いたしました。
 なお修正箇所、質疑、討論の詳細は速記録についてごらんを願いたいと思います。
 以上御報告申します。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。石井繁丸君。
    〔石井繁丸君登壇〕
○石井繁丸君 ただいま上程になりました自作農創立特別措置法の一部を改正する等の法律案に対しましてして、日本社会党を代表し反対をいたすものであります。
 ただいま、委員長の報告にありました通り、自作農創設も大体完了いたし、今後はその維持に重点を置く段階になりましたので所要の改正をいたし、また食糧事情も一応緊急事態を脱却したのでありまして、その関係上、農地委員会、農業調整委員会を一本といたしまして今後の運営をいたしたいというのが、本改正案の大体の趣旨であります。その申すところは一応ごもつともでありまするが、実質的にこれを考えますれば、政府といたしましては何ら自作農維持の根本対策を構ぜず、また農業委員会に対しましてもこれが運営の方針を明らかにいたしませず、本法案を漫然上程いたしましたので、その提案理由の内容と異なり、その本質は自由党のとなえるところの農地改革の打切りでありまして、耕作農民に対するところの一つの挑戰であると断言せざるを得ないのであります。(拍手)
 御承知の通り、耕作者がその土地を保有するといことは、ある意味においては昔から農薬政策の根本でありまして、唐代におきましては班田の制度により、あるいは日本においては口分田の制度によりましてこの耕地を農民に持たせるという努力が幾多の歴史において拂われて来たりであります。しかしながら、この耕地を農民に持たせるということは非常に困難な問題であります。政府の努力が少しゆるぎますと、ただちにその土地が一部の権力者に兼併せれら、あるいはまた小作人り続出というようなことになりまして、この自作農制度というのもは崩壊し来つたのであります。明治におけるところの地主制度の発生も、御承知の通り大体明治二十年を前後する十数年の間に発生いたしたのでありまして、経済界の激変に農民をさらし、あるいはまた自由主義的な資本主義政策の中に農民を放置いたしますれば、ただちに農民はその土地を失いまして、農地の兼併、収奪が行われてしまうのであります。現にせつかく農地の解放を受けながらも、農民はもはやこの二、三年前に解放を受けた土地を失いつつあるというのが現状でありまして、これは皆様もよく御承知のところであろうと存ずるのであります。
 これがためには、ただいま委員長の報告にもありました通り、農林当局といたしまして、農業政策全般にわたりまして、あらゆる政策を最も精力的に行い、最も努力をいたさなければ、自作農の維持というものは絶対にできないのであります。しかるに、現政府を見ますると、せつかく農地の解放を受けながら、それをなくしてしまうというのは農民の怠慢のいたすところであると申しまして、政府の無為政策、自作農維持に対する何らの対策がなきことをたな上げして、漫然といたしておるのであります。われわれは、はなはだ遺憾にたえないのであります。かぐては、いかに政府が、農地改革は一旦完了したが、今後はその維持に重点を置くのだという法文の改正をいたしたといたしましても、これは單に條文の羅列にすぎず、何ら目的を達成することはできないのであります。もし政府が、今回解放されたところの自作農の維持に対しまして誠意がありますならば、すみやかに次のような対策を立てて臨まなければならないと考えるのであります。つまり、経済単位をいかにして確立するかの問題であります。
 かつて、植民地政策当時におきまして、日本は適正規模農家をとなえましたが、われわれはそれには断固反対いたすのであります。しかしながら、六百万の農民に対して五百五十万町歩の土地をもつて、いかに農業経営をいたさしめるか、こういうことは非常に大きな問題であります。この狭い土地を多くの農民に比較的均分に與え、そうして農薬の経営を成立させるというところに、日本農業政策の困難と、日本農業政策の苦労の種があるのでありますが、こういう問題に対して、政府としましては、百二十万町歩の未墾地を対象といたしまして、適当なることろ経営規模の確立、そうしてこの経営の程度であれば農業をもつてその生活が維持し得るというところの方針が立てられなければならないと考えるのであります。
 また人口対策の問題であります。政府におきましては、デフレ政策の結果、昨年度におきまして二百万人の過剰人口を農村に送つております。さなきだに零細化している農地が、デフレ政策の結果、失業者の貯溜場所のごとき、あるいは引受け所のごとき観を呈しまして、農村はいよいよ窮乏と破滅の段階に至るのであります。これに対しまして、政府はむしろ農村が先業者を引受けることを安全弁のごとく解しまして、無為無策、農村の過剰人口に対して何ら手を打たない。これに対しまして、絶対に対策を要求せざるを得ないのであります。(拍手)
 次に食糧政策の問題につきましても、いよいよ日本においてはガリオア資金が枯渇して参り、援助がなくなりまして、日本の食糧は日本の輸出貿易によつてまかなわなければならない段階になつた。こういうときにおきまして、民自党の政策は……(「自由党だ」と呼ぶ者あり)自由党と改めます。――自由党の政策は、食糧の自給政策であるか、あるいはまた海外依存主義であるが、何らこれに対する根本対策なく、あるいは湯河原会談であるとか、あるいは森農林大臣に反対であるとか、かように右顧左眄いたしまして、何ら対策が立てられない。かようなことを考えますというと、農地の根本的維持をするためは、この食糧対策というものを根本的に立てまして、日本の自給制度を大体根幹とし、そうして必要なだけを海外から輸入し、日本の米価あるいは麦価を一応安定せしめ、農民の生活を安定させる方策がなければ絶対にいけないのであります。
 このほかに、税金対策等におきましても、農民が収入の乏しいために、あるい副業をいたしますれば、豚であろうが鶏であろうが、ただちに税金をかけ、過小農が多角経営によつて生きるべき道を全部ふさいで参つているのが自由党の政策であります。かようなことによつて日本の零歳農家が立つて行くということは絶対にないのであります。かような基本対策を無視し、かような根本対策を何ら顧慮せず、今日自作農は維持段階に達したと放言し、かようなるところの一片の條文の改正をいたすということは、まことに無責任しごくでありまして、われわれは、これに対しで何としても反対せざるを得ないのでであります。
 次に、本改正案の内容の二、三について論及いたします。農地解放は……
○副議長(岩本信行君) 石井君――石井君に申上げます。お約束の時間が来ておりますから簡潔に願います。
○石井繁丸君(続) 一応完了したとは言いまするが、まだ完了はいたしておりません。あらゆる場面において、買収の行われない土地、買収漏れの土地が多いのであります。かような農地改革は非常に大きな革命でありまして、この農地改革が一旦目鼻がつきましたあとは、社会党の提唱する第三次農地改革のこの大きな旗じるしをもつて、そうして力強い革命的な前進をいたさなければ本来の目的には到達できないのであります。われわれは、社会党の提唱する第三次農地改革、これに逆行するところの一切の政策はこれ反動政策であるということを申し上げまして、反対の討論を終る次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 八木一郎君
    〔八木一郎君登壇〕
○八木一郎君 私は、ただいま議題となりました自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案に対しまして、自由党を代表して賛成の討論をいたさんとするものであります。私は、委員会においても、またただいま本会議におきましても反対討論に対し耳を傾け、大いにこれを拝聴いたして参つたものでございますが、これによりまして、数日にわたる委員会において反対意見を述べらるる諸君の、特に社会党、共産党その他の諸君から述べられました点は数点をあげることができますので、その反対意見に対し簡單に反説いたしまして賛成討論にかえたいと思う次第であります。
 その第一点は、この法律の改正は、一九四五年十二月九日関係方面から指令され、この與えられたるもとに行われた農地改革であるが、その覚書に反するじやないか、ことに昨年の十月マツカーサー元帥から寄せられたるところの書簡の趣旨から見ても、與えられた農地改革が與えられた方向に行つていないじやないか、こういう批判の声であります。しかし、このことは驚くべき独断であつて、政府を代表いたし、委員会において森農林大臣からも明らかに答弁せられたことく、またマ元帥の書簡にも明らかになつておりますごとく……(「明らかでない」と呼ぶ者あり)明らかでないとという声もありますから、その明文をここに引用いたします。
 すなわちマツカーサー元帥は、農地改革制度実施三周年の記念日でありまする昭和二十四年十月二十日、吉田首相に書簡を送り、農地改革の成果を賞揚しておるのであります。その要旨を言いますと、「今月は歴史上確かに最も成功を示した農地改革制度の実施を始めてから三周年に当る。私はこの機会を利用し、この仕事がりつぱに完成されたのは、一に日本農民諸君の努力によるものとして、農民諸君に敬意を表するものである。今や日本が再び国際社会の仲間入りをしようと努めている際に、この農地改革の成功は、日本が民主主義国家として完成の域に近づきつつあることを示す最も重大で單純な証拠の一つである。今や、今までになし遂げられたことと、今後大いになさなければならないことについてこれを検討し、日本国民が後世長く日本農民の信頼を受けるに足りる義務の本質を測定し確定すべき段階に到達した。」、この段階に到達したと客観的に見ておるではないか。
 そこでわれわれは、「この段階に到達した」この段階において、むしろ農地改革の大事業は一応完了を見たのであるから、この成果を恒久的に、永久的に保持するというために、すなわち農地改革によつて打立てられた諸原則を恒久的に実現して行く建前におきまして、耕作農民の地位を安定し、その労働り成果を公正に享受せしむるために農地の自作地化をはかつて、農業生産力の発展と農村民主化の促進をはかることに役立たすこと、これこそ今回法律改正によつて一層期待することができるものであると信ずるのであります。
 反対意見の第二点は、この法律の改正は改悪だ――社会党、共産党君の合言葉でありまする改悪だという趣旨でありまするが、静かに伺いますと、ほとんど全部一応の完了を見ておるところの今日の段階において、なお今までのように農地解放実施以降今回までとつたと同ように強制買収一本やりで行こうというのであります。しかし、今まで自作農地として創設いたして参りました実績を統計に見ますれば、昨年末現在において、解放面積百八十九万七千十六町歩に対し、売渡し面積百八十六万五千二百三十八町歩であつて、その割合は九八%であり、九九%以上の府県が実に二十五府県の多きに達じております。九九%以上に達したものが二十五府県を占めておる今日、この以後においてもなお解放農地の保全と育成と持続に必要であるところの趣旨を静かに考えてみるときに、なお残つた一%やそこそこのために、政府の改正せんとする、買収にかえて、農地委員会のきめる計画により農地所有者より耕作農民に強制譲渡せしめるということが、なぜ不当であるか、なぜ改悪であるかそういうことを言いたいのであります。
 反対意見の第三点といたしましては、これは農地改革、農民の解放を基幹とするところの本質的な農業政策、農村対策、農地政策ともいうべき意見の点でございますが、こり意見は、いわば見解の相違に帰するところの反対意見であり、私どもが静かに聞きましても、受取りようによつては、どうも反対せんがための反対としか聞き取れません。その論旨は一貫して開き取れないのであります。いたずらに破壊的な言辞を弄しまして現状打破をとなえておるにすぎない。どこに建設的にして、現状をいかに改善するかという点に論及されておるかということでありまして、批判を加える一顧の価値もないと思います。従つて、多くを述べたくないりでありますけれども、われわれの抱懐しておる農地政策の一端について批判を請いたいと思うのであります。
 われわれは、どこまでも自作農地の維持保全をはかりつつ、営農組織の協同化と農村工業化及び副業発展等によりまして、あとう限り国内食糧の増産を期し、自給度の向上をはかるべき諸政策に大いに力をいたして参りたい、このために必要な治山治水あるいは土地改良をあらゆる農地施策の基調として参りたい、こういうふうに考えております。しかるに、反対論者の論旨に従いますと、農地の解放を第三次農地改革にまで飛躍させて、今までなし遂げて来たこの大事な段階を飛び越えて第三次農革にただ進めて行こうとしておりまするが、ここに見解の相違が出て来るのであります。(「何を言つてるんだ」と呼ぶ者あり)
 なるほど、闘う小作農民組合運動の
 先頭に立つて来られた諸君が、今その小作地がすつかり自作地になつてしまいまして、闘う條件と目標を失つて闘志なき、みすぼらしい姿となつてしまつて、しどろもどろの論旨のうちに何か言わなければ相済まぬといつたようなかつこうが見えるのは、むしろこつけいであります。(拍手)わが国全人口の半分を占めておる農業者諸君は、自作農民となつて、われわれと一緒に闘うのである。全部が自作農民となつて、自作地化した農土の上に偉大な大自然と取組んで、国民のかてをまかなう母の気持にになり、尊い心を心といたしまして、この改正法に期待するがごとく、近く選挙せらるるであろう農地委員会を中心にいたしまして、自主的再建の意欲と熱情を傾けて諸般の農業問題を処理しようとする心構えを見せておるではないか。領土が狭く、人口かふえ、困難ながらもこの悪条件と闘いながら農業者自立の諸方策を民主的にきめようとしておるではありませんか。たとえば経営コストの低下については営農組織の近代化、協同化により、余剰労力の吸収については農村工業による生産物の価値上昇により、また零細過小農の不利については、その持てる労働力を農業以外の面にも拡張いたしまして、これに創意くふうを加えようと努めておるではありせんか。
○副議長(岩本信行君) 八木君に申し上げますが、申合わせの時間が参りましたので簡潔に願います。
○八木一郎君(続) 日本農業の将来の発展策を、この自作農創設中心主義と申しますか、この基本的な考えに徹してお考えくださるならば、その効果は期して待つべきものであると私は確信するのでありまして、この穏健にして進歩的な、真劍になつている、まじめな保守主義の自作農階層、今日九九%になるている自作農階層に対して、いつまでも昔ながらの感情にとらわれて、小作運動屋さんが、引かれ者の小うたのように、何とかやらの一つ覚えの、封建勢力の温存だどか、独占資本の偶像だとか、地主勢力の擡頭だとか叫んで、階級闘争にはつたりをかけておらるるという姿を見まして、私はここに立たざるを得なくなるのであります。法律の前には平等であります。自作農となつて、その成果の保持と発展に向い、誠実真劍に額に汗して働く農業者の声なき声に耳を傾け、真に輿諭に耳を傾けらるるならば、ここに修正原案として出されたことに全面的に賛意えお表せられるであろうことを確信するものであり、私はこの見地に立ちましてこの賛成討論を終る次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 横田甚太郎君。
    〔横田甚太郎君登壇〕
○横田甚太郎君 農地改革の二つの目的、農村の民主化と日本農業り生産力を増加するための基礎を築く、この二つの目的は、二つとも達成されてはおりません。にもかかわらず、内外の権力と、これにおもねる人たちは、農地改革が完遂したものだということを言つております。しかし、これは非常なまゆつばものであります。なるほど、地主の持つておつた土地が小作人の名前にはなつたでしよう。しかし、それは落ちぶれた地主からは税金がとりにくい、あるいはそれ以外の負担をさせにくい、しかたがないから、働いているその農民の労働すべてを強奪する意味合いにおきまして農民に地主の土地を持たせ、土地のレツテルをつけたのと何のかわりもないのが、今の農地改革であります。こんなものが成功したと言つておるのであります。
 現に彼らが約束したところの、一九四五年十二月九日の約束の中の何の約束が果されているかということを見てもらいたい。第一に農村における過度の人口集中――日本農業のほとんど半ばを占める農民、一・五エーカ一以下の土地を耕作しておる。この條件の一体どこがかわつたか。慶村には二百万以上の失業者がおるのであります。しかも農民は、依然としてこの農地改革によつて経営は零細化し、ほとんど小さい農業経営に落ちぶれ果ててしまつたのであります。
 その次に、農業金融の高率利息と結びついた農家負担より生ずる苛酷な負担、農家負担を償却し得ないため、全農家の半ば以上は農業所得のみでは生活することができない。商工業に厚く、農業を軽んずる政府の財政政策、農民の利益を無視した、農民及び農民団体に対する政府の官僚的な統制、このようなことの一体どこが改まつたか。これが私たちの問題です。政府は、いわゆる農業の有蓄化をとなえ、有蓄農業を云々いたしますが、農民が豚を飼えば、飼うことによつて引き合うのではないのであつて、豚のくそつぼをつくるのと何のかわりもい。鶏を飼えば、税務署のごろつきのためにただの鶏を飼わせられる以外の何ものでもないのであります。しかも、こういうような條件のもとにおいて、外国から高い食糧がどんどん入つている。この食糧は日本の食糧の自給度のどのくらいに当つておりますかと農林大臣に質問すると、自給度のどのくらいに当るやさえも十分な答弁ができないほどのあやふやな統計であるそいうのが日本の農林行政であります。
 しかも、日本の農村を大ざつはに見まして、大体耕地面積が六百万町歩といわれ、その中の三百万町歩は米をつくるところの秋田であり、三百万町歩は畑地であり、麦をつくつている。いもをつくつておる。この麦とか、いもとかは、現在の條件のもとにおいては、いわゆる対米価比率において優位にあるがためにこの條件ほ保たれているが、しかも、これが一朝にして、最近の配給辞退の点等とり見まして、麦といもとが戰前の対米価比率の点に返つて来たならば、明らかに農村の工作條件はがらりとかわつてしまうのであります。
 こういうような條件のもとにおいて、日本の農政は実にでたらめしごくでありまして、一昨日の農林委員会のごときは――日本から出すところの農林水産物資に対しては嚴密なる検査をやつている。しかし、外国から入つて来るところの、臭くて、高くて、古くて、砕けた、かたわのような外国米に対しては一つの検査もやつておらないで、こういうような米をそのまま配つておる。しかも高い。日本の農村から取上げるところの米が一石四千二百五十円であるにかかわらず、アメリカから来ておるところの米が一石一万七百二十円になり、ビルマから来ておるところの、臭い、かたわの米が九千六百七十円になつておる。こういうようなことになつおるために、日本の農村はどんどんだめになつて行くのであります。
 日本の農村は疲弊し、せつかく農地改革によつて農民の名前になつたところのこの土地さえも持ち得ないで、やみ売りをしているところの状態において、日本の政府は農民を救うために何をやつた。何もやらない。しかも惡辣なることには、政府は農地證券で、いかに反農民的なことをやつたか、これを第一考えなければならぬ。農民は土地を持つておつた。農地改革の当初においては、土地を金儲けの対象にしてはならない、こういうふうに言われたにもかかわらず、日本の農民に対しては労働の成果を十分に享受するところの方法を講ぜずして、わずかに農地證券を買うて六箇月間持つたというだけの証券業者に五億円の金をもうけさしているじやないか。九十三億の金は一体どこから。出したのか二十四年と二十五年に集まつたところのいわゆる農地年代金一時拂收入、あるいは牧野未墾地代金一時拂収入すべてを合せても五十三億しか集まつていない。四十億の不足金をどこから出したか。五億の金を證券業者にもうけさすためには、自由党は、三月三十日の閣議において農地證券の全額償還を決定している。しかも、だんだん経営困難となつて転落するところの日本の農民に対しては何らの施策もやつておらない。このインチキきわまりないやり方で、どうして日本の農地を改革し、農民解放して民主革命の基礎を築いたということが言えるか。
 私たちは、ここにおいて自由党の諸君に言いたいことは、これは明らかに日本の農村を疲弊困懲せしめて、日本においては米がないんだ、夏がないんだ、負けた国でしかたがないからアメリカで余つた高い米を買いましよう、ビルマの余つた、古い、臭い米を買いましよう――農村に売国的な、いわゆる植民地的な條件をつくつて、それを強調しているにすぎない。こういうように現実を無視しておりながら、農地改革は一応終り、そうして成功的に闘われた、やられたというような、こういう間違つた農林行政の延長であるところの自作農創設特別措置法の改悪に対しましては、共産党は断固として反対するので、あります。
○副議長(岩本信行君) 小平忠君
    〔小平忠君登壇〕
○小平忠君 私は、ただいま上程されております自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案に対しまして、農民協同党労働者農民党及び社会革新党の三派を代表いたしまして断固反対の意を表明するもりであります。
 日本農民は長い間封建的なな土地制度の中にしいたげられて参つたのでありますが、幸い、一九四五年十二月九日、連合国軍最高司令官よりなされました農民解放令の指令に拍車をかけられまして、第二次農地改革の実施、あるいは民主的な農業協同組合の設立によりまして、日本農業の近代化という明るい方向に、日本の全農民は偉大なる理想と限りなき希望を持つて雄々しく発足したのであります。しかるに、終戰後の歴代内閣は、御承知のように農民に対し暴政をなし、さらに今次吉田内閣の成立以来、吉田内閣のとられました農業政策は、こどことに農民に対し圧迫するところの諸政策をとつて参つたのであります。その例は、すなわち農民の実情を無視するところの天くだり強権提出をさらに強行し、あるいは他の物価とまつたく均衡のとれないところの低米価をしい、さらに農民経済を破壊するところの重税を課しておるりであります。
    〔副議長退席、議長着席〕
その結果、今日まつたく全国四千万農民も窮乏のどん底にたたき込んでしまつたというこの現実を自由党の諸君は何と考えるか。私は、今日の農村の疲弊困懲に陥つたこの現状はすなわち政府並びに自由党の責任であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 さらに、今回の国会において出されました予算の内容を見まするのに、ことごとく農民に対する過重なる負担を強行せしめております。また日本の食糧需給をまつたく無税したるところの三百四十万トンに達する食糧輸入を計画したり、さらにまた日本の重要食糧たるいも類の統制撤廃をして、いも類生産者に大打撃を與えたり、あるいはまた麦類、雑穀の供出後の自由販売を計画したり、あるいは肥料に対する補給金の削減により、八月以降は大幅な、すなわち七割の値上りを強行して――はたしてこのような政策、このような肥料の値上りを行つて、今日の農民に肥料を購入する資力があるかないかということを、森農林大臣は……(「農林大臣はおらぬぞ」と呼ぶ者あり)大臣は恐れをなして逃げてしまつたらしいが、かかる問題を取上げても、私は今日の農村の重大性をまつたく痛感いたすものであります。
 特に最近政治問題化しておりまするところの、昨年の報奨物資に対する返品の跡始末であります。ところが、これに対しましては、諸君御承知のように、去る三月三十一日になされた閣議の決定に対しまして、四月七日に総理大臣を含めた関係閣僚会議において決定いたしたる、政府の責任において一三億のこの損失を補償するという確定したるこの決定を、一片の指令によつてこれを踏みにじり、依然として三月三十一日の閣議決定の線で強行している。この事実に、私は全農民にかわつて、この国会を通じて、政府並びに與党に対しその責任を追求するものであります。(拍手)
 私は、かかる重大なるときに際しまして、さらに今回政府が提出されました、ただいま議題となつておりまする農地関係の改悪につきましては、言語道断、すなわち農民の解放、農地の改革を根底から打切り、あるいは農村の近代化、農業生産力を著しく減退せしめるものであるということを、私はここに強く指摘をしなければならないのであります。
 その大きなる理由を二、三点申し上げますならば、第一に、今回のこの法の改正は、今後自作農を積極的につくろうとする意図をまつたく放棄いたしておる点であります。
 第二点は、笹恒久化の美名を用いながら、実際は自作農創設特別措置法の一部を農調法に移すだけの形式的な恒久化にすきいのでありまして、実質的に恒久化を確立することをまつたく構じてない点であります。
 第三点は、小作地を通じての社会的隷属関係を温存あるいは逆行せしめようとする意図を示しておる点であります。
 第四点は、未墾地買收について詰問機関たるべき農林地利用計画審議会を設けまして、県農地委員会の上にこれを置き、実質的に県農地委員会の弱体化を考え、政府並びに関係庁の直接人事権を持つ機関を企図しておるのは、これはまつたく非民主的な措置でありまして、すなわちこれは開墾をできなくしたものであるということを私は断じなければならぬのであります。
 第五点は、本改正の最も重要なる点は、農地委員会と農業調整委員会を廃止して新たに農業委員会を設置せんとする意図でありますが、これはまつたく水と油を一緒にするといいますか、まつたく性質の異なつたものを一緒にして、大事な農地改革なり、あるいは農業生産力を高め、食糧供出の完全を期する重要な職務を持つところの農業調整委員会がはたして今後の食糧行政、農地行政を円滑に遂行し得るかという問題について、その結論は明らかに破壊に導き混乱に導くということは、私がここで言明するまでもない。であります。
 かかる問題のほか、さらに農地や牧野の強制買収や、あるいは宅地、建物の買收を打切つたり、これらの問題等を取上げまして、かかる法の改悪を政府並びに與党が多数をもつて押し切らんとすることは、私は日本農村の民主化の上にまことに遺憾とするものであります。
 先ほど、自由党を代表して八木一郎君が、われわれの反対する理由に反駁をすると論じたのでありますが、その内容を弄聽するのに、その内容すべてが、全国農民の納得しえるものは一つもないのであります。かかる説明、かかる考え方をもつて本国会が終了し、自由党の諸君たちが選挙区に帰つて、農村より多数の票をとつて出て来られた諸君たちが一体いかなる答弁をされるか。今年二月以来、全国農民大会や農地委員会の代表者がこの法案に対して反対の意を表明せられておる切実なる声を、諸君たちは何と考えておるのか。私は、おそらくこの国会終了後、参議院議員選挙を目前に控えて、諸君たちが、わが党は與党なるがために万やむを得ず本案に賛成をしたのであつて、真意は反対であるということを説明するだろうと私は思う。そのようなことは断じて許されない。かかる観点において、私は、あくまでも自由党の諸君といえども、正々堂々全国農民のために、日本農業近代化のために、かかる法案に対しましては正しきを主張し、あくまでも日本農業近代化のために努力してもらいたい。
 以上、私は反対の理由なり意見を申し述べて本案に対し三派を代表して断周反対するものであります。
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められん。ことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異論ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異論なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員会理事小山長規君。
    〔小山長規君登壇〕
○小山長規君 ただいま議題となりました米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案について、大藏委員会における審議の経過並びにその結果につき御報告申し上げます。
 この法案は、米国対日援助見返資金を電気通信事業における電信電話等の建設改良費、国有林野事業における事業建設費及び造林に要する経費並びに日本国有鉄道における建設改良費の財源に使用するために、昭和二十五年度におい手予算の定める範囲内で、必要な金額を米国対日援助見返資金特別会計からそれぞれ電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に繰入、日本国有鉄道に公布し、その繰入金または交付金に相当する金額は各特別会計または国有鉄道において国有資本の増加として経理せしむる旨規定しておるものであります。右のような繰入れまたは交付を予定しております金額は、昭和二五年度予算に掲げております通り、電気通信事業特別会計に対し百二十億円、国有林野事業特別会計に対し三十億円、日本国有鉄道に対し四十億円でありますが、この繰入れまたは交付並びにその経理については、これに関する法的措置を必要といたしますので、この法案が提出になつた次第出あります。
 この法案は、二月二十四日、本委員会に付託されまして、三月四日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、三月二七日、本法案に関係のある電気通信、農林及び運輸三委員会との連合審査会を開き、本案と直接関係のある日本国有鉄道法の一部を改正する法律案とともに審議いたしましたところ、各委員より見返り資金の性質、再評価の場合における出資金の取扱い等について熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましてが、出資金と見返資金との関係はどこで切れるかとの質疑に対しては、繰入れも交付も使い切つてしまう、やつてしまうという意味であるから、交付または繰入れをしたときに見返資金との縁は切れるとの答弁がありました。なお四月二十一日、二十四日質疑を続行し、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、質疑応答の詳細については速記緑に譲りたいと存じます。
 なお本案の重要性にかんがみまして、川野大藏委員長とり総司令部経済科学局リード財政課長あてに、政府事業に対する見返り資金からの繰入れまたは交付は無償交付であると了解してさしつかえないが、また右により、見返り資金は、これら政府事業に対し出資者としての権利その他の債権を持つものではないと了解してさしつかえないかとの質疑書を差出しましたところ、同議長より書面を持つて、意見の通りであるとの回答がありました。
 次いで四月二十四日、北澤直吉君より修正案が提出いたされましたが、修正案の内容は、附則において「この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。」となつておりますのを、「この法律は、交付の日から施行し、昭和二十五年四月一日から適用する。」に改めようとするものであります。
 次いで議論に入りましたところ、民主党を代表して宮腰喜助君は、見返り資金を広く民間事業に貸與されたいとの希望条件を付して賛成の意を表せられ、自由党を代表して北澤直吉君は、見返り資金の運用速度をすみやかにすること並びに利率を低くすることを希望して賛成の意を表せられ、社会党を代表して川島金次君は、見返り資金の運用を円滑迅速に行われるよう希望して賛成の意を表せられ、共産党を代表して田島ひで君は、見返り資金の運用について日本政府は自主権を持つていない等の理由をあげて反対の意を表せられました。
 次いで採決の結果、起立多数をもつて本案は修正案のごとく修正議決されました。
 右御報告を申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。田島ひで君
    〔田島ひで君登壇〕
○田島ひで君 共産党をを代表いたしまして、本法案に反対の意を申し述べます。
 見返り資金制度につきましては、今まで共産党といたしまして、再三この制度の性格、運営の面から廃止を主張して参つたのでございますが、今日この米国の対日援助資金につきましては、大蔵大臣の答弁でも明らかになりしたように、これは日本にとつての債務となつておるのでございます。私どもが問題といたしますところの第一点は、この莫大な債務となるところの援助物資の輸入について日本政府はまつたく関與しないのでありまして、従つて援助物資の中には、現在の日本でそれほど必要としないものが相当数入つて来ており、アメリカの過剰のために買いつけられて、日本に與えられる結果となつておるのでございます。先日、週刊東洋経済は、援助物交としての薬品類のごときは、役に立たないもの、時代遅れのものが相当にのぼつておると報じておるのでございます。また、この援助物資の値段が非常に高い。食糧、肥料など高い価格のために、国内におろしますときの価格にいたしますために、輸入補助金として、国民の血税でこれを埋め合せるという、人民收奪の性格を持つておるのでございます。しかるに、この債務の返済につきましては、方法、條件等すべで講和会議のときにきめられるのであるという大蔵大臣の答弁でございまして、何ら確固たる方策を政府は持たないのでございます。見返り資金の投資されている企業が債務の担保として掌握される危険をわれわれは見ないわけには行かないのでございます。
 第二の点といたしまして、見返サ資金の運用の点でございまするが、見返り資金それ自体は、日本国民が援助物資を買つた代金八百八億と、国民の税金の繰入れの四百九十五億の蓄積で、しかも援助物資の輸入は、それが国内に拂い下げられようと、あるいは在庫になろうと、現物を手に入れました後四十五日以内に、ドル債に相当する額を積み立てねばならないのでございます。この資金はあくまでも日本人のものでありまするから、その運用については日本政府の自主性においてなされるべきものでありまするが、事実上はどうかと言いますと、まつたく日本政府の一存では行われていないのでございます。このようにニ重、三重に人民大衆を收奪し、あるいは自主性を持たないところの見返り資金を、政府と資本家階級ば、いかにも日本経済の救い主であるかのごとく宣伝いたし、見返り資金の大量放出によつて三月危機が党服されるかのように言つておりまするが、見返り資金の積立てを強行することそれ自体がすでに中小企業や民族産業を崩壊させ、労働階級の生活の圧迫を前提としているだけに、かかる見返り資金の積極的放出は日経本済の破綻を深め、日本産業の国際的資本への隷属化を強化するものでございます。(拍手)特に本年度の見返り資金の用途が軍事的諸勢力の増強の方面に多く使用されるという点からいたしましても、見返り資金制度そのものに対しまして、われわれはその廃止を主張せざるを得ないのでございます。(拍手)本法案は、かかる見返り資金が日本の二つの重要な基幹産業でありまするところの国有鉄道並びに電気通信事業、さらに国有林野事業にまで資本の増加の形となつて入つて来ているのでございまして、これらの事業が将来債務の対象とならないという保証はないのでございます。たとえば電気通信事業について見ましても、最近政府が受取つたところのCCSの厖大な覚書は、電気通信事業が資金の融資を與えられるためには巌重にある種の條件がいれられなければならないことを提示しているのであります。その條件の一点を見ましても、電気通信事業が固定資産を扱う計画として、日本政府に対して五百八十億円の施設評価額の限度まで一方円單位の不換負債証書を発行することになつておる。見返り資金より融資される資金もまた負債証書によるのであつて、この証書は讓り渡し可能で、保存または売却は政府が適当にすることとなつておりまするから、電気通信事業の私企業化の問題が最近やかましくなつております折からに、今後この事業の性格がどのようになろうとしているかは明らかでございます。国有鉄道におきましても、本日上程されます日本国有鉄道法の一部を改正する法律案と同機様、四十九億の資本のところへ四十億円の増資でございまするから、資本金四五%が見返り資金によつて支配されるわけでございます。国鉄特別改良費の支出面がまた担保物件として便利なものに向けられているというような点から見ましても、われわれは意味深いものを感ずるのでありまして、国鉄わ一兆億円前後の資産が見返り資金で支配されることは、これまた明らかでございます。
 日本の動脈でり、神経ともいえる国有鉄道並びに電気通信事業、さらに国有林野事業が見返り資金を通じまして自立できなくなり、本法案ばまさに内外独占資本の制覇と民族の隷属強化であるという点ににつきましては、われわれは繰返してこの見返り資金の制度化反対を申し述べまして、反対の意見といたしたいと思うのであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたし住す。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長稻田直道君。
    〔稻田直道君登壇〕
○稻田直道君 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、二月二十四日、本委員会に付託され、越えて三月三日政府から提案理由の説明を聴取いたしまして以来、たびたび委員会を開き、その間三月二十七日には大蔵委員会と連合審査を行うなど、特に慎重審議をいたしたのであります。
 本法案の趣旨を申し上げますと、現行の日本国有鉄道法第五條は、日本国有鉄道設立の際における資本金について定め、これが増加に関する規定がないのでありますが先刻上程、可決されました米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案の第二條に対応いたしまして、日本国有鉄道の資本金を政府出資により増加することができる道を開こうとするものであります。
 さて本法案審議にあたりまして、見返り資金の性格、前年度において借入金としたものを今年度において何ゆえに出資金とするか、国有鉄道の独立採算制の精神から見て借入金とするのがよいのではないか等について熱心なる質疑応容がかわされたりでありますが、その詳細は会議録に讓りたいと存じます。
 次いで本日、自由党關谷勝利君より、本法案の附則を「この法律は、公布の日から施行し、昭和二十五年四月一日から適用する。」と修正するという修正動議が提出されました。
 次に討論に入り、日本社会党の米窪滿亮君、自由党の關谷勝利君から、それぞれその党を代表して原案に賛成り意見を述べられました。
 かくて討論を終局し、まず修正案について採決の結果、多数ををもつてこれを可決、次いで右修正部分を除く原案について採決の結果、これまた多数をもつて可決いたしました。よつて本法ほ修正可決すべきものと議決した次第であります。
 以上簡單でありますが、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、住宅金融公庫法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異ぎありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 住宅金融公庫法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長淺利三朗君。
    〔淺利三朗君登壇〕
○淺利三朗君 ただいま議題となりました住宅金融公庫法案について、建設委員会における審議の経過並びに結果をご報告申し上げます。
 まず本法案の要旨を簡單に御説明申し上げます。住宅金融公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするのを融通することを目的としております。その機構は、資本金の全額を政府が出資する独立の金融機関でありまして、一面事業の運営に民関企業の調書を取入れるとともに、他面その公共性にかんがみ、毎年度の予算は国会の議決を必要とし、かつ役員の任命、事業の運営等に関し政府の監督を受けるようになつております。本年度予算におきましては政府出資金五十億円が認められ、かつ対日援助見返資金より百億円の交付金が予定されておりますので、これによつて約八万戸の住宅建設に対して融資が行われる見込みであります。貸付の対象となるのは、みずから居住するために住宅を必要とする者、住宅組合法による住宅組合及びみずから居住するため住宅を必要とする者に対し住宅を建設して賃貸する事業を行う会社その他の法人であり、また貸付の限度は、住宅建設費及びこれに必要な用地費の七割五分以内となつております。また貸付金の利率は年五分五厘とし、償還期限は木造で十五年以内、れんが造等で二十年以内、鉄筋コンクリート造で三十年以内となつております。
 本法案は、四月四日建設委員会に付託され、ただちに建設大臣より提案理由の説明を聽取し、引続き四回にわたりまして、熱心なる質疑応答が行われ、その間四月十一日には、各方面より参考人八名を招致して、その意見を聽取し、進重に審議いたしました。法案の性質上、質疑が続出いたしたのでありますが、そのうちおもなる質疑応答の概要を申し上げます。
 第一に、本公庫の目的は国民大衆が健康で資化的な生活を営むに足りる住宅の建設に必要なる資金を融通することと明記されているにかかわらず、実際に融資を受けるためには五、六万円の手持金を必要とし、かつ月々の償還金も相当顧に上り、改正地方税法による地租、家屋税を加えれば千五百円ないし二千円以上にもなり、最も住宅に困窮している勤労庶民階級にとつでほ高嶺の花になつてしまうのではないかという質問であります。これに対しては、ひとしく国民大衆といつても、最も收入の少い階層に対しては公共事業費による公営賃貸住宅、すなわちいわゆる庶民柱宅の建設が行われており、本法案による金融措置は、その少し上層にある階層で、相当の定收入があり、融資によつて自己所有の住宅を希望する者を対象としているとの答弁でありました。
 第二には、融資賞を受ける者の負担を軽減するために貸付率七割五分を八割に拡大すること、金利は三分ないし四分程度にすること、償還年限を延長すること等の質問があり、これに対しては、貸付率を拡大すれば建設戸数の絶対量が減じ、かつ月々の負担金が増大して、かえつて不利を来すおそれがあり、また金利はわが国の現状では最低であり、償還年限を延長すれば資金の回転を遅らすこととなり、かつこの際融資を受けた人々にのみ特別厚き恩恵を與えることとなるので、むしろ他の多くの人にもこの利益を均霑せしむべき機会を與うることが妥当であるとの答弁でありました。
 築三に、融資対象に関しては、産業労務者住宅を建設する事業主、賃貸住宅を建設する地方公共団体及び店舗併用住宅を建設する個人等をも考慮してはいかがかという点でありますが、これに対しては、産業労務者住宅はむしろ設備資金から支出すべきものであつて、従来行つてきた炭鉱労働者住宅の成績もあまあまり芳しくなかつた事情があり、むしろ職域の住宅組合をもつてほとんど同じ効果を收め得ると思われるのである、また地方公共団体は前述のごとく別に公共事業費による公共賃貸事業を行つておるので、その区別を明確にする必要がある、また店舗併用住宅は、專用住宅を優先せしめる建前上今回は考慮のほかに置きたい、但し一階に店舗があり、二階委以上がアパートになつておるような耐火的複合住宅に関しては住居部分に対してのみ融資をなし得るとの答弁がありました。
 第四には、賃貸住宅を建設する会社その他の法人のほかに、割賦分譲住宅を建設するものに対しても融資を行つてはいかがかという点でありますが’これに対しては、割賦分譲住宅を認めると、資金の貸與が間接的となり複雑化するから適当でないとの答弁がありました。
 第五に、貸付に関する申込みの受理及び審査を銀行に委託し、貸付金にかかる住宅の建設工事の審査を地方公共団体に委託するのは複雑であつて適当ではない、これらはすべて現在住宅行政を担当しておる地方公共団体へ一元的に委託すベきではないかという点であります。これに対しては、資金の交付を行う銀行に最初から申込みの受付をも行わせた方が便宜と考えたものであるという答弁でありました。
 第六に、貸付の決定等に住宅需要者の代表者も加えた民主的機構で行うベきであるという点であります。これに対しては、各地に公庫、都道府県市町村、銀行等の受託機関、需要者等の関係者をもつて組織する協議会を設置して公平に行うよう運営する心算であるとの答弁でありました。
 第七に、住宅用地の獲得が困難である現在、土地の取得を容易にするための法的措置が必要ではないかという点であります。これに対しては、現在宅地法等も研究中であるが、とりあえず用地費に対する融資をも認めてその点を考慮したものであるとの答弁でありました。
 次に参考人といたしましては、地方公共団体代表として神奈川県知事内山岩太郎君の外、金融界、言論界、建設業関係者、労働組合関係、民間団体、需要者側等より八名の諸君が出席され、それぞれ有益なる意見が開陳されたのであります。詳細は速記録に譲ります。
 かくて質疑を終了し、討論に先だち、て、瀬戸山三男君より本案に対する修正案が提出されました。これは第三十八條を次のように改めたいという意見であります。すなわち「訴願法及び行政事件訴訟特別法については、公庫を国の行政機関とみなし、政令で定めるところにより、これを公庫に準用する」というのであります。これは法制上の整備の問題でありまして、原案においては訴訟法の準用のみ規定しているが、これに関連ある行政事件訴訟特例法の準用をも当然規定すべきものであります。
 次に討論に入り、自由党を代表して瀬戸山三男君、民主党を代表して増田連也君、日本社会党を代表して前田榮之君、さらに農民共同党を代表して寺崎覺君より、修正案並びにこれを除く原案に対していずれも賛成の意見を開陳され、日本共産党を代表して砂間一良君よりは、修正案には賛成であるが、これを除く原案には反対するとの意見が述べられました。なお賛成意見を述べられた諸君よりも、政府は現実に本案によつても救えない低收入者のために公営賃貸住宅の建設に必要な予算を大幅に拡張するよう努カすること、また本案による場合においても将来金利の引下げその他の方法により、できるだけ利用者の負担を軽減するよう努めること等の希望が強調されたのであります。また反対理由としては、融資の対象が真の住宅困窮者を救済できない点、手続きが煩雑であつて、ボスのはびこる余地がある点及び住宅用地の收用に関する法律上の規定のない点等でありました。
 次いで採決に入り、瀬戸山君提案の修正案に対しては全会一致をもつて賛成、また修正部分を除く原案に対しては多数をもつて可決いたしました。
 右御報告申し上げます。
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。順次その発言を許します。砂間一良君。
    〔砂間和義君登壇〕
○砂間一良君 私は日本共産党を代表いたしまして、修正部分を除く政府原案に反対の意見を述べるものであります。
 住宅問題は今や日本の重大な社会問題の一つとなつております。これが解決は焦眉の急務であるということは、益谷建設大臣も、その提案理由の説明の中で、わが国の住宅難はきわめて深刻であり、これが解決は政府の最重要課題の一つであると言つておるところを見ましても、政府自身その重要性を認めておるものだと思うのであります。しかるに、自由党吉田内閣の住宅政策の一枚看板ともいうべき本法案は、與党議員瀬戸山君が、委員会の席上で、羊願を掲げて狗肉を売ると評しております通り、何らこの住宅問題の根本的解決策とはならない欺瞞立法であります。
 今日住宅の絶対的不足は、昨年七月末現在におきまして約三百五十三万戸といわれておりますが、これを十三箇年で建設復旧するといたしましても毎年五十五万戸の新築が必要であります。そのほか、人口の自然増加に伴う住宅不足が毎年二十六万戸、また火災とか、地震とか、あるいは洪水等によるところの損失柱宅の不足が約八万戸でりまして、これらを合計いたしますと、年々九十万戸の住宅が不足して行つておるのでおります。しかるに、本法案によりますと、本年度わずかに八万戸の住宅を建設するというのでありまして、これは年々災害で失われて行く住宅の復興にようやく当るくらいでありまして、今日の住宅の絶対的不足及び人口の自然増加に伴うところの住宅難の緩和と言うことには何ら役立たないということになつておるのであります。
 本法案の第一條には、健康にして文化的な生活を営むに足る住宅を建設するというふうなことをいつておりますけれども、しかし、その内容はまことに貧弱でありまして、まことにおこがましい表現と言わなければならないのであります。政府の住宅政策を見ますと、この公庫による住宅建設が約八万戸でありますが、そのほか国庫補助による賃貸住宅二万七千戸を加えましてもわずか十万戸足らずでありまして、これをもつてしましては、今日の住宅不足はとうてい緩和できないばかりか、いなむしろ、かえつて住宅難をますます激化して行くということになつておるのであります。
 この一事をもつてしましても、自由党とその吉田内閣がいかに住宅政策に冷淡であるか、また国民正活に無関心であるかということが言えると思うのであります。吉田内閣と自由党は、内外独占資本に対する補助金の支出や、あるいは日本の直接、間接の軍事基地化を促進するような方面の支出につきましてはきわめて寛大でありますけれど、こういう国民生活の安定をはかるような住宅問題につきましては、まことにけちんぼうであります。
 次に本法案の内容について申し上げまと先ず第一に、融資の対策が住宅の新築に限られておりまして、余裕住宅や、旧軍要施設の改造、あるいは現在住んでおるところの住宅の維持改善という方面には何ら融資の措置が講じられておりません。これは自由党が大金持の余裕住宅を解放する積極的な意思がないということを物語るものと言わなければなりません。今日の住宅難がかくも緊急、焦眉の問題であつて、しかも新築するということが困難であるならば、さしあたり応急措置といたしまして、大金持の大邸宅や余裕住宅を解放いたしまして、これを一人々々が借りて住めるように改造する、あるいは旧軍用施設を転用する、また現在非常にぼろぼろになつているところの営団住宅、これなんか実にひどいものでありまして、雨が漏つて住めないような状態になつておる、こういうものの修繕、あるいは維持補修という方面にも融資の道を講じまして住宅難を緩和すると言う政策がとられなければならないと思うのでありますが、本法案によりますと、こういう方面には融資の道が何ら講ぜられておらない。
 次にこの手続上の問題でありますが、これがきわめて煩瑣でありまして、この点につきましては、自由党の議員であるところの井手君でさえも、驚くべき非能率的法案というような批判を委員会でやつておつたのであります。いろいろな書類を添えまして役所に申し込んで行く。またこの役所の判こををもらつて歩くのがたいへんであります。その申込みの受付を審査する金融機関は、銀行が窓口においてやる。大体銀行が審査するということになつておるのでありますが、その審査り條件は三つある。第一は住宅に困つておる者、第二は世帯主であるということ、第三は返済能力がある者ということであります。一番問題なのは、この返済能力があるということであります。大体建設省において、この住宅金融金庫法案の施行規則をつくつておるようでありますが、この施行規則などによりますと、月々の返済金の約八倍に当るところの定收入がなければ貸せないというようなことを考えておるようであります。こういたしまして、実際には銀行が事実上の審査の権利を持つている。
 大体、銀行に審査させるということが不当であります。この銀行というやつは、石橋を叩いて渡るような商売をやつておるのでありまして、担保のない無産の低收入の勤労者には、法の上では借りられるようにできておりまし手も、実際にはなかなか貸してくれないということになるのであります。また貸付金にしましても、一ぺんにこれを貸してくれるのではない。これを何期にもわけまして、最後の金は、もう家を立てて、でき上つて、火災保険をつけた後でなければ貸してくれない。しかしながら、大工や左官りの手間賃というものは毎日々々拂つて行くのでありますから、こういうようなやり方では実際困る。こういう手続上の点についても、はなはだ遺憾の点が多いのであります
 しかしながら、本法案の最も基本的は欠陥はどこにあるか。第一に、これは自己資金がいる、すなわち頭金がいるということであります。木造十坪の家を建てるにいたしましても、少くとも六、七万円の現金を用意しておかなければ家を建てることができないのであります。現在の勤労階級が、あの六千三百円ベースで縛られておるところの勤労者が、五、六万円の金をどうして工面できますか。しかも在宅で一番困つておるのは、こういう低収入の勤労階級であります。また月々の返済金でありますが、これが地租や家屋税や、これらの諸費用を合算いたしますると、大体毎月千五百円以上返して行ける力がなけれが借りられないりであります。建設省や国会の専門員室で調べたところによりますと千五百円というような基準が出ておりますけれども、しかし、これはきわめてずさんな計算でありまして、実際には二千五百円から三千円以上毎月返済して行く能力があるものでなければ借りられないということになつておる。ここにこの法案の一番大きな欠格と欺瞞性があるのであります。
 今日一番住宅に困つておるのはだれか、低収入の無産の労働者であります。そういう一番困つている人たちが、住宅をつくるための金が借りられない。これでは何にもならない。そうして政府に聞きますと、そういうものは対象としていない、少くとも一万二千百以上の収入のある中産階級の中以上ぐらいの人たちを対象としておる、こういうことを委員会におきましても公然と答弁しておるのでありますが、これでは、勤労者にさも住宅を與えるような錯覚を與えておきまして、事実においては與えない。ここに自由党吉田内閣の最も大きな大衆欺瞞性があると思うのであります。
 それから宅地の問題でありますが、なかんずく戰災都市、大都市等におきましては、家を建てるにしましても、この土地の問題が非常にむずかしい問題であります。ところが本法案によりますと、この土地の収用につきましては何ら法制的措置が講ぜられていない。
 あるいは公庫の余裕金の運用にいたしましても、これは国債を買うとか、あるいは預金部に委託するとか、国庫に預託するとかいろいろありますけれども、しかし、この公庫の金の一部分は銀行に預けることができるという規定になつておる。で、この公庫の余裕金をもちまして、株式が暴落したときの證券対策資金に使うとか、あるいは銀行がこれを自分のいろいろな資金に流用するという危險性がきわめて多いのでありまして、こういう点におきまして、私どもは、この公庫の余裕金があるならば、これは住宅の修繕であるとか、あるいは補修であるとか、そういう方面に流用してもらつたらいいと思うのでありますけれども、そういう方面のことは何も講ぜられていない。
○(幣原喜重郎君) 砂間君、約束の時間が参りました。
○砂間一良君(続) もうすぐ済みます。
 その他こまかい点について申しますと、数々の欠陥がたくさんあるのでありますが、こういう食わせものの法案には私どもは賛成することができないのであります。そこで私どもは、今日の住宅難は戰争で焼かれたためでもある。これは個人の責任てはない。ですから、国が住宅を全部建ててやるのがあたりまえだ。そうして安い借家料で労働者が住めるようにしてやるのがあたりまえだと思う。それからまた余裕住宅や大邸宅をどんどん解放いたしまして、これをどんどん貸してやつた方がいい。そういうふうにしなければならないと思うのでありますが、そういう点について、自由党吉田内閣の住宅政策というものは、まつたくなつておらぬ。かような点におきまして、共産党は本法案に絶対反対するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 瀬戸山三男君。
    〔瀬戸山三男君登壇〕
○瀬戸山三男君 私は、自由党を代表しまして、ただいま議題になつております住宅金融公庫法案の修正集に対し簡単に賛成の意を表します。
 ただいま共産党の砂間君から、自由党並びにその支持する吉田内閣は住宅対策に対してきわめて冷淡である、しかもなつておらぬ、かように申されましたけれども、私の考え方では、現吉田内閣並びに自由党ぐらい住宅対策に真剣に対処しておるものは日本の政治史以来初めてのことであります。先ほど砂間君からいろいろの御批評もありましたけれども、大体見方が違つておるのであります。右と言えば左と申し、白と言えば黒と申されるのが商売でありますけれども、しかし、それでは法律は成立たない。
 現在御承知の通り、先ほど砂間君も申されましたが、大体日本に三百万戸以上の住宅不足があると言われておる。そのうち最も緊急を要する住宅でさえも六十万戸と言われております。それをどういうふうのに解決するのがこの際日本の現状においてよろしいかということを、お互いにきわらて真劍に考えなければならない。もちろん、これが一挙にできる奇術がありましたならば、何もこの国会でがやがや言う必要はない。その記述をもつて九十万戸でも百万戸でも一夜のうちに達てる方策がありましたならば、先ほど砂間君の言われた議論もまさに正当でありますけれども、さような奇術は、日本には、はやりません。(拍手)
 終戰後、食糧は大体改善の道に至つております。また衣料も、国民の努力と、連合国、特にアメリカの援助のために、やや改善の緒についております。ただ問題の住宅は、先ほど申しましたように、きわめて深刻なものがあります。そこで第五国会におきましては、本院において住宅等建設促進の決議をいたして、国会は真劍なる関心を表明いたしておるのであります。そこで政府は、これは少いのでありますが、三十六億円の金を投じて、低家賃の補助住宅を三万戸ぐらい建てようというのが今年の予算である。それだけでは足らないので、ここに十五億得並びに百億、計百五十億の金を投じて、それで利知のできる人たちに一応利用させて八万戸の家を建てようとするのが、どこが悪い。大体見方があなた方は違う。
 この際どういう家を建つべきか。庶民住宅に対しては、少くとも国庫補助百億ぐらいの賃貸住宅を建てるべしということは、私ども、ここにおられる建設大臣に要求いたしております。それとともに、かように金を貸して、それを利用し得る人に早く八万戸ぐらいの家を建てさせて、それと結び合わせて、国民大衆のために文化的で健康な住宅を建てようというのが、この法律案であります。
    〔発言するもの多し〕
○(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。
○瀬戸山三男君(続) もちろん、この法案におきましても相当の欠陥がありましよう。利子を下げろとか、もしくほ償還年限を延ばそうとか、いろいろの問題がありますが、まず実施して、その上で都合が悪かつたら国会において大いに修正すべし、また改正すればよろしいのであります。この際三万戸でも八万戸でも家を建てるのに反対する理由はどこにある。国民大衆は今待望しております。こういう意味において私は賛成いたすのであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 前田榮之助君。
    〔前田榮之助君登壇〕
○前田榮之助君 私は、ただいま上程になつております住宅金融公庫法案の修正案に対し、日本社会党を代表して、希望を付して賛意を表したいと存じます。(拍手)
 戰後、わが国の民生安定に対しましては、衣食住のうち衣料についても食糧についても大体安定の状態になつて国民生活も相当向上して参りましたが、ひとり住宅に対してはいまなお窮乏の機を脱せず、現にその不足数三百五十万戸といわれておるのであります。しかも戰前に比較して、数の不足のみならず、質の低下せることまた甚大であります。第六国会の本会議において、住宅建設促進の決議案が諸君によつて満場一致で可決されておりますが、実に住宅建設こそはわが国現下の緊急を要する重大なる社会問題であります。本住宅金融公庫法案が住宅緩和に相当貢献するところあることは、私どもも認め、賛意を表するところでありますが、なお不十分のところがありますので、日本社会党としては希望を申し上げて賛成したいと思うのであります。
 まず第一に、本法は、政府出費五十億円と、見返り資金百億と、計百五十億円を建設資金に融資して、大体八万一千戸の建設をいたそうとするもりでありますが、提案の理由には、特別金融機関を設置して、国民大衆のために長期かつ低利の住宅建設資金の融通をはかる云々とあつて、国民大衆のためにと力説され、また本法第一條の目的の項には「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」とありまして、あくまでも国民大衆が本法の融資対象であり、本法制度の意義がそこにあることを明記してあるのでありますが、しかし、遺憾ながら本法では、住宅を必要とする国民大衆の大部分は救われないりであります。すなわち、住宅に最も困窮し、かつ渇望している労働者及び小市民層は、敷地の問題、自己資金の六、七万円を要する点、月賦償還金等を考えますと、六千三百七円ベースの今日では、国民大衆の大部分はとうてい利用できないので、大衆ではない、いわゆる少衆の法案であると言わればなりません。よつて私は、本法案は修正の困難なる事情もありますので、これはやむを得ないこととして、国民大衆たる労働者、小市民のための補助住宅が、二十五年産に三十一億円、二万七千戸を予定されておりまするが、資産の余裕ある本法適用者が、八方一千戸に対しあまり寡少なので、その増額により公営住宅、労働者住宅等の拡充をはかり、本法の欠陥を補うべきことを強く主張するものであります。
 第二に要望する点は、本法施行により、これが軌道に乗りますると、百五十億円全額融資することになりますが、その金利五分五厘は、年額利子収入で八億二千五百万円となりまして、公庫の諸経費は半額以下で十分まかなえるのであります。利率五分五厘は適当の時期に引下げを断行すべきことを要求するものであります。
 第三といたしまして、本法による貸付対象は生活協同組合を除外しておるのでありまするが、この種法人の中には、住宅組合のごとく非常に熱心に住宅建設に努力し、相当功績を上げておるものも少くないのであります。よつて、営利を目的としない法人にして住宅を建設して月賦分譲を行うものに対して、住宅組合同様、将来融資の対象とすべきであると思うのであります。この点、政府において十分考慮されんことを要望するものであります。
 第四として、住宅地の開放り問題であります。本法にる融資を受けんとする者の中には、資産、信用等の他の條件は全部整つたが土地が得られないという者が相当あるのであります。しかるに、戰災都市等においては、相当広汎な遊行屋敷を有しながら、都心部において畑同様に荒廃せしめて、みずやら使用しないのみか、他にも使用せしめないものがあるのであります。これは土地の社会性を無視し、都市発展を阻害するのみならず、住宅問題解決に非常な障害となつておるのであります。これらに対して適当なる立法処置を好ずべきであることを主張するものであります。このことは、住宅問題に寄與するばかりでなく、都市計画事業推進のためにも必要なのであります。
 すなわち、第一は補助住宅、公営住宅の拡充、第二は金利の引下げ、第三には生活協同組合等の法人を住宅組合何様に取扱うこと、第四に住宅地の確保のため宅地に対して社会性ある立法処置を講ずること、以上四点の希望を付して修正案に養成するものであります。以上。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採快いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案、委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)十2
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動機を提出いたします。すなわち、畠山鶴吉君外十三名提出、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條のニの災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 罹災都市借地借家臨時処理法弟二十五条の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員会理事押谷富三君。
    〔押谷富三君登壇〕
○押谷富三君 ただいま議題となりました罹災都市借地借家町臨時処置法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のごとく、熱海市は、去る四月三日及び十三日の二度にわたり大火災に襲われまして、駅前商店街、熱海銀座、温泉地帯の大部分を燒失し、罹災戸数千六百三十八戸、その世帶数千八百八十七、罹災人員六千四百五十六名に及び、その損害額実に数十億に上つているのでありまして、その精神的、物質的損害たるや、まことに深刻甚大なるものがあるのであります。これが救済手段として、災害救助法による救助その他免税等の方途もあるのでありますが、これらと平行して、特に住宅を失つた罹災者を保護するため罹災都市借地借家臨時処置法第二十五條の二を発動し、熱海市復興再建の一助とする必要があるものと認め、各派共同提案をもつて本案が提出されるに至つたのであります。
 委員会におきましては、その必要と緊急性を認め、即日、討論を略略し、全会一致をもつて原案通り可決した次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山木君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。経済安定委員長小野瀬忠兵衞君。
    〔小野瀬忠兵衞君登壇〕
○小野瀬忠兵衞君 ただいま議題となりました飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、飲食営業臨時規整法の有効期限を一箇年延長し、主要食糧の制限の一部を解除しようというのであります。現行法は、本年五月一日または経済安定本部廃止の日のいずれか早い時に失効するものと規定されておりますが、現在の主要食糧の需給事情及び米国の対日援助の関係から見ても、また主要食糧の統制下において飲食営業に違法行為をなからしめるためにも、本年五月一日に本法を失効させて飲食営業をただちに自由にさせることは適当でないので、本法の有効期限をさらに一年間延長しようというのであります。また経済安定本部は、経済安定本部設置法の改正により恒久的機関として存置されることになりましたので、「又は経済安定本部廃止の日のいずれか早い時」を削り、「昭和二十五年五月一日」を「昭和二十六年五月一日」に改めようというのであります。
 なお主要食糧も漸次需給事情が好転し、昨年十二月以降はいも類、搬粉等については一部統制が緩和され、自由に販売できるようになつたので、さらに将来食糧管理法及び同法に基く命令の規定により一般に自由に販売することのできるようになつた主要食糧及びこれに料理加工したものについては、飲食営業者はその提供についての制限を解除されることとするために、本法に「主要食糧」とあるのを「主要食糧(その販売について同法又は同法に基く命令の規定による制限がないものを除く。)」に改めようというのであります。
 本案については、去る九月提案理由の説明を聽取し、引続き三月九日、十日、十三日、二十九日、四月一日、十玉日及び十八日に審議をいたしました。委員会においては、主食の需給の状態が好転いたしました今日、飲食営業についても改正するのが当然でありますが、本法が実施されて以来の実績にかんがみまして審議の愼重を期し、資料の要求をいたし、数回の懇談会を開きまして熱心なる質疑が行われました。ことに飲食営業の状態について詳細なる質疑応答がかわされましたが、主用食糧の制限が緩和されるについて、くず米がどうなるかとの質問に対しては、政府は、主食の輸入が必要である今日においては、これを緩和することはできないとの答弁がありました。また外食券、めん類の購入劵、委託加工、兼業、酒類提供等についても質疑がありましたが、これらの問題については現行法が適当でないことが明ちかになりましたので、共産党を除いた各派の共同提案といたしまして本案に修正を加えることにいたしました。
 修正案は次の通りであります。
  飲食営業臨時規整法の一部を改正する法案に対する修正案飲食営業臨時規制法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
 第三條第一項第四号の改正規定を次のように改める。
  第三條第一項第二号中「外食券と引換に」を「外食券又はめん類購入劵と引換に」に、同項第四号中「食糧管理法(昭和十七年法律第四十号)第二條の規定による主要食糧及びこれを調理加工したもの(以下[指定主食という。)」を「指定主食(食糧管理法(昭和十七年法律第四十号)第二条の規定による主要食糧及びこれを調理加工したものをいい、その販売について同法又は同法に基く命令の規定による制限のないもの及び飲食常業を労む者が同法又は同法に基く命令の規定により入手したもの並びにこれらを調理加工したものを除く。)」に、同項第五中「酒類以外の飲物」を「酒類その他の飲物」に改める。
 第三條の改正規定の次に次のように加える。
 第六條を次のように改める。
 (指定主食に関する制限)第六條飲食営業を営む者は、指定主食を提供てはならない。
 第七條を次のように改める。第七條 旅館又は外食券食堂を営む者は、外食券と引換でなければ、めん類外食劵食堂を営む者は、外食劵はめん類の購入劵と引換でなければ、食事を挺供してはならない
 第十條峰び第十條第二項中「外食劵」の下に「又はめん類の購入劵」を加える
 附則第二項として次の項を加える。
  この法律の施行前にした違法行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
 すなわち、この修正案によつて指定主食の制限が緩和され、従来禁止されていた喫茶店等における酒類の提供が許され、めん類購入劵で、外食劵同様に、引きかえでめん類食事が提供されることになるのであります。また附則第二項を加えましたのは、罰則の適用に関する経過規定が必要であると考えたからであります。
 かくて本日、右の修正案について竹山委員より提案理由の説明がありましたが、特に政府の運用の適切化と、業務用配給の社会政策化並びに農民に対する均衡の公平化について要望せられました。
 次いで討論に入りましたが、志田委員は自由党を代表して、笹山委員は民主党を代表してそれぞれ養成の意見を述べられ、米原委員は共産党を代表して反対の意見を述べられました。
 次に採決に入りましたが最初に右の修正案について採決いたしましたとこり、多数をもつて原案通り可決されました。次いで右の修正点を除いた内閣提出の改正案について採決いたしましたところ、多数をもつて原案通り可快されました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決すすに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました
    ―――――――――――――
○山本猛夫君 残余の日程を延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時四十分散会