第007回国会 本会議 第44号
昭和二十五年四月二十九日(土曜日)
 議事日程 第四十二号
    午後一時開議
 第一 牧野法案(内閣提出、参議院回付)
 第二 家畜改良増殖法案(内閣提出、参議院回付)
 第三 競馬法の一部を改正する法律案(上林山榮吉君外十七名提出)
 第四 船主相互保険組合法案(内閣提出)
 第五 つむぎ等の輸入税を免除する法律案(根本龍太郎君外四名提出)
 第六 予算執行職員等の責任に関する法律案(内閣提出)
 第七 水産資源枯渇防止法案(内閣提出)
 第八 司法書士法案(法務委員長提出)
 第九 漁船法案(水産委員長提出)
 第十 消防法の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
 第十一 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十二 地方財政委員会設置法案(内閣提出)
 第十三 経済調査庁法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十四 海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出)
 第十五 水産庁設置法の一部を改正する法律案久内閣提出、参議院送付)
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●本日の会議に付した件、
 日程第一 牧野法案(内閣提出、参議院回付)
 日程第二 家畜改良増殖法案(内閣提出、参議院回付)
 日程第三 競馬法の一部を改正する法律案(上林山榮吉君外十七名提出)
 日程第四 船主相互保險組合法案(内閣提出)
 日程第五 つむぎ等の輸入税を免除する法律案(根本龍太郎君外四名提出)
 日程第六 予算執行職員等の責任に関する法律案(内閣提出)
 日程第七 水産資源枯渇防止法案(内閣提出)
 日程第八 司法書士法案(淡務委院長提出)
 日程第九 漁船法案(水産委員長提出)
 日程第十 消防法の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
 日程第十一 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十二 地方財政委員会設置法案(内閣提出)
 日程第十三 経済調在庁法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十四 海上保庁法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十五 水産庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 土地家屋調査士法案(法務委員長提出)
 滅失鉱業原簿調整等臨時措置法案(内閣提出)
 港湾法案(内閣提出)
 運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 大蔵省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 公衆浴場法の一部を改正する法律案(青柳一郎君外四名提出)
 クリーニング業法案(大石武一君外七名提出)
 外資に関する法律案(内閣提出)
 外交委員会設置法案(内閣提出)
 商法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 生活保護法案(内閣提出、参議院回付)
    午後一時三十五分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
    ―――――――――――――
 第一 牧野法案(内閣提出、参議院回付)
 第二 家畜改良増殖法案(内閣提出、参議院回付)
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、牧野法案の参議院回付案、日程第二、家畜改良増殖法案の参議院回付案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。両案の参議院の修圧に同意するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 日程第三、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事野原正勝君。
    ―――――――――――――
    〔野原正勝君登壇〕
○野原正勝君 ただいま議題と相なりました、上林山榮吉君外十七名提出、競馬法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審議の状況並びに結果の大要を御報告いたします。
 御承知のごとく、著しく災害をこうむつた都市であつて、内閣総理大臣の指定を受けた市は競馬を行うことができる規定になつているのでありますが、その開催回数は年二回以内となつています。しかるに、都道府県及び横浜、名古屋、大阪、神戸の四大都市は年四回開催し得る規定になつているのでありまして、不均衡であります上に、これら指定都市のうちで、その区域内に地方競馬場が所在している市は、市みずからが競馬を開催する回数よりも、都道府県または他の指定市が競馬を開催する回数の方が多い状況にあるのであります。かつまた競馬場の維持管理等に多額の経費を要し、ひいては市の財政上にも多大の影響を與えておりますので、この際競馬場所在の指定市については、競馬の開催回数を年四回以内に増加して開催回数の不均衡を是正いたし、さらにその増加収入によりまして窮乏せる市財政の離合化に費したいというのか、提案の理由であります。
 本改正法律案は、去る二十六日付託と相なり翌二十七日、提案者を代表しで堀川恭平君より提案理由の説明を聞いたのでありますが、本法律案の趣旨はきわめて明瞭であり、かつ競馬場所在市についてのみその開催回数の増加をはからんとするものでありまして、その実施には何らの支障なきものと考えられ、各委員とも異論がありませんので、質疑、討論を省略して採決に付しましたるところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたしました。
 以上御報告いたします。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第四 船主相互保險組合法案(内閣提出)
 第五 つむぎ等の輸入税を免除する法律案(根本龍太郎君外四名提出)
 第六 予算執行職員等の責任に関する法律案(内閣提出)
○議長(幣原喜重郎君)日程第四、船主相互保險組合法案、日程第五、つむぎ等の輸入税を免除する法律案、日程第六、予算執行職員等の責任に関する法律案、右三案は同一の委員会に付託された議案でありまするから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事西村直己君。
    〔西村直己君登壇〕
○西村直己君 ただいま議題となりました船主相互保險組合法案について、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果につき御報告申し上げます。現行の保險業法によりますと、保險事業を営むことのできるものは株式会社または相互会社に限られておりますが、船舶用海上保險におきましては、第一に木船につまして、木船保險法による木船保險組合が解散いたしました後は、危險率の高い木船の保險は保險会社が引受けることを好まず、木船のほとんどすべてが無保険の状態にありますこと、第二は、大型鋼船船主が船舶の運航に伴つて負担する費用及び責任につきましては、現在の損害保險会社の船舶海上保險約款では、担保されざる範囲が少からずある現状なのであります。従いまして、これら損害保険会社の引受けたくない分野につきまして、船舶所有者の間において、相互扶助の精神で相互保險組合を設立しようとする要望は相当人なるものがあるのであります。この法案は右の要望にこたえて提出されたものでありましてその目的とするところは、船主相互保險組合の行う損害保險事業の健全な経営を確保し、その組合員及び組合一般債権者の利益を保護しようとるものであります。
 この法案は、去る二十六日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、ただちに質疑に入り、各委員より保險の範明、金融的措置等について熱心なる資疑が行われ、政府委員より答弁がございました。その詳細については速記録に譲ります。
 次いで討論に入りましたところ、自由党を代表して前尾繁三郎君、社会党を代表いたしまして川島金次君民主党を代表して宮腰喜助君は養成の意を表せられ、共産党を代表して河田賢治君は反対の意表を表せられました。
 次いで採決決に入りましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決されました。
 次に議題となりましたつむぎ等の輸入税を免除する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びにその結果につき御報告申し上げます。
 この法案は、沖縄、大島等から輸入せられますつむぎ及び上布に対する輸入税を昭和二十六年十二月三十一日で免除することとしようとするつもりでございます。現行輸入税表によりますと、これらの物品の大部分は従価十割の輸入税がかけられることになつておるのでありまして、その輸入は全然不可能な状態でございます。今回その輸入税を免除して、輸入を円滑にしようとする次第であります。
 この法案は、去る二十八日、提出者北澤直吉君より提案理由の説明がございまして、ただちに質疑に入りましたところ、各委員から質問がございましたが、その詳細については速記録に譲りたいと存じます。
 次いで討論を省略いたしまして採決の結果、起立多数をもつて本案は原案の通り可決せられました。
 次に議題となりました予算行職員等の責任に関する法律案につい、大蔵委員会における審議経過並びに結果につき御報告申し上げたいと思います。
 この法案は、国及び公団等の予算執行職員が法令または予算に違反した支出等の行為をすることを防止するとともに、予算執行の適正化をはかる目的をもつて、これら職員に対する弁償責任等の制度を確立するために提出されたものであります。
 この法案は、四月十九日、政府委員より提案理由の説明を聽取いたしました。二十五日、法算委員会との連合審査会を開き質疑を続行いたしましたが、その詳細については速記録に譲りたいと思います。
 次いで昨二十八日、小山長規君より、共産党を除く各派共同提案になる修正案が提出いたされました。その内容は、会計検査院の事前審査を受けました支出等の行為については有害責任の検定も懲戒処分の要求することができない旨を規定しております第七條を削りまして、これに伴う関係條文の整理を行つておるのでございます。その理由とするところは、この規定がありますと、予算執行職員が責任を免れるために、ことごとく事前審査を要求することになりまして、そのため事務が澁滞し、支出等の行為が遅延するおそれがあるというのであります。
 次いで討論に入りましたところ、社会党を代表して川島金次君、自由党を代表して小山長規君よりいずれも賛意を表せられ、共産党を代表して河田賢治君は反対の意を表せられました。
 次いで、採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は修正案の通り修正議決されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 三案を一括して採決いたします。日程第四及び第五の委員長の報告は可決でありまして、日程第六の委員長の報告は修正であります。三案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 第七 水産資源枯渇防止法案(内閣提出)
○議長(幣原喜重郎君) 日程岱七、水産資源枯渇防止法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。水産委員長石原圓吉君。
    〔石原圓吉君登壇〕
○石原圓吉君 ただいま議題にとなりました水産資源枯渇防止法案について、本案の概要並びに、水産委員会の密談の経過及び結果につきまして報告いたします。まず政府の提案理由から申し上げます。
 わが国の水産業者は、終戰と同時に広大な漁区と漁船のほとんど全部を失い、あるいは拍傷いたしました当然の結果として国民の栄養食糧の極端なる不足を来し、これを補うために、政府も漁業者もまず漁船の建造を急ぎ、漁獲の最も効率的な機船底びき網漁業の操業に力を集中し、とりあえず国民の栄養食糧を充足して大いに貢献いたしたのであります。ことに東経百三十度以西の機船底びき網漁業のごときは、戰前における漁区の面積と、これに対する漁船の数からいえば、四倍の漁船が操業している削合になります。漁区の範囲をそのままにして必要量の漁獲をあげようとすれば、結局濫獲に陥り、漁場の荒廃を来すことは当然であります。以東底びき網漁業においても、昭和十年から十箇年計画で、約七百隻を目標に調整をはかつたにかかわらず、食糧増産ののびきならぬ必要から、今日までに実に二千七、八百隻の漁船が操業しておるありさまであります。かくのこと現状をこのままにし、成行きにまかせておけば、漁場り荒廃にその極に達し、漁業者の生活をますます窮迫せしめ、ひいては栄養食糧の不足を告げることは明白であります。よつて、すみやかに漁業資源の枯渇を防止し、漁場生産の回復と資源の永続を期する必要があるとのことであります。
 次に本案の内容について説明申し上げます。第一点に、農林大臣は資源枯渇のおそれがあると認めた漁場について、科学的調査に現われた種々の條件業漁船の最高隻数を定める規定であります。第二点に、この最高隻数を定めた場合に、現在の漁船数がそれを越えている場合においては漁業の許可を取消し、操業区域の変更を指定することにし、この場合の勘案事項を具体的に規定しています。それには民主的方法として利害関係人の意見を聞くための公聽会制度を採用したのであります。第三点は、許可の坂消しや操業区域の変更によつてこうむつた損失に対し、政府は中央漁業調整審議会の意見を聞き、政令で定めた方法によつて補償することとし、またこれにかかる漁業従業者に対しても保護規定が設けてあります。第四点は、資源が枯渇するおそれがあると認められる漁業については具体的に科学的調査を実施するということであります。以上が本法案の内容及び趣旨のおもな点であります。
 さて、本案は三月三十日付託されましたので、本委員会は、その重要性にかんがみまして、数回にわたり漁業倒産に関する小委員会を開き愼重審議し、四月二十八日、本委員会において討論を行い、共産党井之口政雄君の反対意見に対し、自由党を代表して鈴木善幸君の賛成意見があり、採決の結果、共産党を除き全員の賛成により原案通ち可決されました。なお本委員会において、政府は以西底びき綱漁船の整理を円滑に実施するため、本法案に規定する補助金についてすみやかに予算的措置を講ずべきである旨の要望事項を決定いたしたのであります。
 以上で本委員会における本法案審議の経過とその結果の御報告を終ります。なお詳しくは会議録により御了承願います(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。井之口政雄君。
    〔井之口政雄君登壇〕
○井之口政雄君 私は、日本共産党を代表といたしまして、水産資源枯渇防止法案に反対するもりであります。
 この法案は、水産資源の枯渇を防止するとう美名に隠れ、以西底びき漁船二百九十四隻を緊留して大漁業会社の集中生産へ導こうとする、きわめて惡辣な法案であります。同時に他方において、その負担を一そう当り三百万円、全体で約六億円を国民の租税負担に転嫁しようとする、とんでもない法案であります。羊頭を掲げて狗肉を売るということわざがありますが、まつたてこういう法案に一番よく適当しております。大体、自由党の出す法案はみなこんなふうになつておる。そこで、共産党はどうしても反対しないわけに行かない。
 森農林大臣は、この法案の結論は至上命令であり、この法案が出ようが出まいが漁船の整理は断行する、従つて、それに対する慾早算りあるなしにかかわらず整理はする、しかしそれでは業者に気の毒だから、補償を規定したこり法案を提出したのだ、こういうことを委員会で述べておられます。もつてこの法案の実体がよくわかると思います。しかもこの補償とても、最初水産庁においては、底びき漁業者自体が共同で負担し、残存業者が整理される案だつたそうでありますが、予算分取りに巧妙な自由党政府の方針で、約六億からの補償額を予算の不用額や補正予算からとろうというわけで、この資源枯渇防止法という、ものものしい法案が出て参りました国民こそいい迷惑であります。
 そもそも第一に、百三十度以西の資源枯渇を真に防止したいという、まじめな計画を立てられようというのでありますならば、中国、朝鮮、ソ同盟をも含んだ全面的な講和を実現して、これらの国々との町のおのおの独立した自主的外交交渉を続け、漁業協定を結び、それを守つて初めて国際信義が全うせられるのでおります。しかるに、自由党の吉田総理の主張せられるように單独講和でよろしいということになつたら、西方並びに北方の漁場は当然掠奪漁業が行われるようになりましよう。たとい三百そうの整理を今断行したとしても、残り六百そうは国際信義を無視して近所を荒しまわることは明らかであります。現に百五十そうに及ぶ漁船が西方海域あるいは北方海域において拿捕されているというこの事、さらに漁船を武装せよというふうな申出、または連合軍の海軍によつてこれを保護しよう、この出動を希望するという反動的な声を放つ者さえある実情にかんがみますれば、今度のこの法案による制限が資源枯渇防止にならないことは明瞭に断定されるのであります。川下の濁りをとめるには、川上を澄ますことなくしては不可能であります。いわんや、單独講和になつて東方や南方の漁区が拡張されたからとて、そこへ行く一部大遠洋漁業資本が跳梁、跋扈をはげしくするだけであります。日本の真の漁業の発達にはなりません。
 次に、底びき漁船の義理は小企業に酷で大企業にゆるやかに行われるような仕組みになつている。従つて、資本の集中をその過程の中に推し進められることは明らかであります。紡績会社がかつて操業を短縮し、大資本へ集中し、産業合理化を行い、価格のつり上げを企図したあの政策を今度の経済恐慌中に実現しようという意図であります。大企業会社が、今までもうけるときは、やみでたんまりもうけておきながら、過剩資本で今日損をするときは国民全般に押しつけようというこの虫のいい陰謀は、断じてわれわれは粉碎しなければならぬと思います。まさにこれらの制限によつて生ずる大失業群に対して十分なる考慮を拂い、数万の失業者の生活保障の法案を制定することこそが最も大事である。こういうことは、これには何ら入つておらぬ。失業者に対しては失業保險法があるなどというような、のがれごとを言つてはだめである。
 実際、今日の失業保險法なるものは、その機能を十分に果すことができないので、この特殊の漁業労働者の失業に対しましては特別の考慮を拂わなければならぬものだと思います。そして全面講和により、漁場の拡張を国際信義の上に立つて行い、整理漁船の合理的な処置を講じ、もし整理される場合も中小業者の利益を尊重し、相互補償による政策をとらしむべきである。これらの漁業許可の権利が漁業法において補償されているというような考えは誤つた考えである。だからこそ、この漁業法に対しても、共産党はその不備を鳴らして大いに反対したものであります。いかに共産党が正しいかは、この一時をもつてしてもわかります。いわんや、今度の法案が実行せられる――現にやられておりまするが、二千万円の調査費用さえも整理船の税金やら繋留費やら所得の償いやらに使おうという、そういうさもしい漁業行政はやめた方がいい。
 全面講和による中国、ソ同盟、朝鮮諸国との民主的な漁業條約を締結するということ、これがかんじんである。それからまた、業を失う漁業労働者の特別失業資金を全額国庫で負担するということ、これがかんじんな第二点である。第三番目に、整理魚船の損失負担は相互にこれを解決しなければならぬ。これが日本共産党の方針である。これでなければ、実際資源の枯渇すらも防止できないし、さまざま生じて来る社会的な問題も解決しないと思います。これをもつて反対いたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 田口長治郎君。
    〔田口長治郎君登壇〕
○田口長治郎君 私は、ただいま上程になつております水産資源枯渇防止法案に対しまして、自由党を代表して賛成の異を表したいと考えるものであります。
 先般、アメリカから漁業の視察団としてアレン氏が参られました。その後カナダの漁業大臣が日本に来られまして、日本の漁業をつぶさにごらんになつて最も奇異に感じられたことは、日本の各種漁場が資源問題についてほとんど考慮を拂つておらない、このことであります。あらゆる地方をまわりまして、この問題に全然触れていないというこを非常に奇異に考えられまして、資源の枯渇という問題について強い勧告を與えておられます。またカナダの漁業大臣は、少くともカナダにおいては、漁業予算の三分の一をこの資源保護、魚類の人口孵化に使つておる、なぜ日本はそういうことをしないのであるか、こういうことを非常に不可思議に考えておられるのであります。
 御承知の通り、日本では、今の考えの通りに、その資源については、官庁も民間もほとんど眼中に置いておらなかつた。魚は海から自然にわいて来るものである、別に保護せぬでもよろしい、こういうような誤つたる観念のもとに、政府の施策におきましても、民間の実際に漁業をする人も、この問題についてはほとんど考えていなかつたのであります。この結果が、最近漁業方法が拡大して来る、あるいは漁船は非常に大きくなつて動力を出す、こういう時代になりますと、いろいろな点において弊害を来しておりまして、今日、日本の沿岸漁業、日本の遠洋漁業、これが非常に行き詰まつております。これにはいろいろな原因がありますけれども、この資源を保護していない、このことが非常に有力な一つの原因になつておると考えるのであります。よつてわれわれは、どうしてもこの日本の資源を、法律的に根拠をつくつて、そうして実際に保護して、漁類の棲息を永遠に継続させる、このことが日本の水産を永久に生かすゆえんであるのであります。
 また、この資源に無関心だということが、漁業について国際的に日本の信用を非常に阻害しております。今日、日本は、東に南に西に漁区の問題がありまして、この問題がなかなか解決しないのも、日本が資源問題についてほとんど考慮なしに、虐殺的に漁業をやつておる、このことが主なる原因になつておるのであります。われわれは、すみやかにこの枯渇防止法を通過させまして、そうして日本の水産資源を維持培養し、また国際的の信用を確保いたしまして、ほんとうに諸外国の信用のもとに、来るべき講和会議におきましては、あのような漁区問題などなしに堂々と公海において漁業ができる、こういう道に持つて行かなければならないと思うのであります。
 この点から申しまして、本法案は最も重要なものでありまして、ただいま共産党から反対意見があつたようでございますが、私は、日本の水産のために、あるいは日本食糧問題のために、はなはだ遺憾とする次第でございます。井之口委員は、自由党が何か大きな会社を保護して小さいものをいじめるのじやないか、こういうようにお話があつたようでございます。これは整理問題につきまして内容を御存じないから、さよう言われるのでございまして、御承知の通り、ただいま底びき網をやりますのには、小さいもので千五百万円、大きいものは四千五百万円かかかります。それだけの金をかけて、そうしてだれでも継続したい、こういう気持でいるのでございますが、五組以下の経営者については触れておりません。ことに一隻船主の場合におきましては、いかなる理由がありましてもこれは整理をしない、大きいところに大部分の整理船を持つて行つております。
 それから補償金を何か大きい会社ばかりやるのではないか、こういうような御意見があつたようでございますが、今申しましたように、一組について千五百万円ないし四千五百万円の経費をかけているものを、井之口君の言われましたように補償金三百万円で片づけることは、これは大にいたしましても小にいたしましても、やつている本人といたしましてはなかなか承知できない問題であります。
 その次に井之口委員は、中国あるいはソ連邦、こういう方面と全面的に講和があつて、しかる後にこの問題を解決したらどうか、この法案を通したらどうか、こういうことを言われたように記憶するのでありますが、われわれは、公海自由の原則によりまして、中国にいたしましても、あるいはソ連にいたしましても、領海に侵入した場合におきましては拿捕されることもやむを得ないと考えるのでありますけれども、公海において、少くとも連合軍以外の一国によつて拿捕されるということは了解に苦しむものであります。何か日本の漁船が先方の領海に侵入しておるこういうようなふうにお考えになつておると思うのでありますけれども、今日、日本の漁船は、先方の領海には一隻も侵入しておりません。公海で仕事をしておるのであります。この点もよく御承知願いたいと思います。
 ただ、ただいま申しましたように、少くとも千五百万円ないし四千五百万円の経費をかけてやつておるものを、そうして皆がやりたい仕事を、一部の人だけにやらせない、整理する場合におきましては、政府は、漁業法に規定しておりますところの補償金の問題につきまして、なるべく早く予算化していただきまして、この重要なる仕事が円滑にできまするように希望を申し述べまして、私は賛成の意見を申し上げる次第でございます。
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は議長の報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第八 司法書士法案(法務委員長提出)
○議長(幣原喜重郎君) 日程第八は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第八、司法書士法案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。法務委員会理事北川定務君。
    〔北川定務君登壇〕
○北川定務君 ただいま上程になりました司法書士法案の議案理由を説明いたします。
 現行司法書士法は、今を隔たる三十余年の昔、すなわち大正八年に制定せられた古い法律であつて、その後若干の事務的修正を加えられましたけれども、実質上の改正は一回もなくて今日に及んでおります。されば、三十年の歳月を経過した今日、しかも新憲法原則に照しますると、現行の司法書士法は改正すべき点が多々あるのであります。よつて衆議院法務委員会は、二月十四日、司法書士に関する小委員会を設け、立案起草に当りました。この間、小委員会を開くこと数回、法務庁、最高裁判所、弁護士会の意向はもとより、計理士会、会計士会、測量士会等広く民間の意向そ徴しました。かくて、四月四日一応の成案を得まして、本日ここに法務委員会の成案として上程する次第であります。
 さて本法案の内容を申し上げます。第一に、現行法によりますと、司法書士は法務局長または地方法務局長の監督を全面的に受けますが、改正法によりますと、認可する場合と懲戒する場合に限つて法務局長または地方法務局長が実際の運営において配慮することといたしました。第二に、現行法によれば司法書士会及び同連合会の規定はありませんが、改正法においては、明文をもつてこれを規定しました。但し、司法書士は当然入会するのでなく、入会するといなとは各司法書士の自由意思によることになつております。第三に、改正法によれば、司法諸士会を設立した場合には、その内部の自治を認めますので、官庁はその会則の変更などを命ずることができないことになつております。第四に、その他の改正は、新憲法の原則に基いて形式や用語を変更したものであります。第五に、現行法でも改正法でも、事務所を設置することや、嘱託を拒絶してはいけないことや、双方の嘱託を受けてはならないことや、訴訟に関與してはならないことや、秘密を遵守すべき義務があることなどは大体同様であります。
 各簡單ながら提案理由を申し上げました。なおこの法案は法務委員会で全会一致にて賛成を得たものでありました。何とぞ議員皆様の御賛成を御願いいたす次第であります。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第九漁船法案(水産委員長提出)
○議長(幣原喜重郎君) 日程第九は委員長提出の議案でありまするから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第九、漁船法案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。水産委員長石原圓吉君。
    〔石原圓吉君登壇〕
○石原圓吉君 ただいま議題となりました漁船法案について、提案の理由とその要旨を説明いたします。
 まず、本法案提案の理由と本委員会における起草の経過について申し上げます。
 わが国の水産業は世界第一であり、重要産業中の最も重要な産業であります。特に戰後、その振興について様々の考慮が拂われ、なかんずく水産業協同組合法、漁業法及び漁港法等の成立を見、漁業経営の合理化がはかられたのでありますが、これらの制度をして十分にその成果を收めしむるには、漁業の根幹たる漁船についても適当な措置を講ずることが必要であります。漁業経営の優否は、漁船の性能とその適否いかんにあるのでありまして、従来漁船について特別な制度がなかつたことは、まことに遺憾なことでありました。
 漁船は、一般の船舶が旅客や貨物を運んで一定の航路を定期的に往復するがごとき單純なるものとは全然性格を異にし、海外と相まつて漁獲を能率的に行うことを使命とするのであります。漁船行政を運輸省が主管する不合理と、農林省と二次元的に取扱うため、漁業者のこうむる煩雑と不便とは、けだし少くなかつたのであります。これらの不便を除き、漁業調整の完遂を期するには、ぜひともこれを一元化する必要を痛感いたすのであります。他方漁船を新造することは、大型、小型の別なく、漁業者にとりましては大きな負担でありますから、せつかく苦心して建造した漁船は、十分に漁撈性能の優秀にしてかつ耐久力のあるものにする必要があるにかかわらず、これを指導監督することについての政府の処置が十分と言えなかつたのであります。
 ここにおいて漁船法を成立せしめて、漁船の船型や性能の向上をはかり、漁船行政を簡素化し、漁船の調整を適切にする必要を認め、本委員会におきましては、昨年の四月から一箇年余にわたり、あまねく漁船行政に関する愼重なる調査研究をして参つたのであります。しかして本委員会は、二月一日会議を開き、全員一致をもつて漁船法案を起草すべきことを決定し、爾来、漁船に関する小委員会において愼重審議をなし、四月二十八日、同小委員会案を決定いたしたのであります。引続き本委員会を開き、本委員会成案の決定を見ましたので、本法案を提出いたした次第であります。
 次に法案の内容について御説明申し上げます。
 第一は、漁船の建造を調整し、登録及び検査に関する制度を確立し、試験を行い、もつて漁船の性能の向上により漁業生産力の合理的発展に資するという目的と、漁船法の適用を受ける船舶の範囲を規定したのであります。
 第二は、漁船の建造調整について、農林大臣は長さ 五メートル以上の動力漁船の建造等の許可を行い、その他の許可は知事に與える等、漁船の建造、改造の許可並びにこれに関係する事項に関して規定したのであります。
 第三は、現在連合軍司令部の指令により行われている漁船登録規則をほとんどそのまま本案に移したものでありまして、漁船登録の規定であります。
 第四は漁船の検査でありますが、現在海上保安長が一般船舶と同様に検査を行つているのであります。これは海上における人命の安全のための最小限の程度でありまして、漁船としては、さらに漁業の種類に順応して十分なる性能を有せしむることが漁撈上最も必要とするのであります。よつて、船主の依頼に応じてこの方面の指導的検査を行おうとする規定であります。
 第五は、漁船に対する試験が従来非常に乏しいため、漁船の性能の不十分なものが多く、また進歩性に欠けていたのであります。新たに科学的基礎試験の必要性にかんがみ漁船に関する規定を設けたのであります。以上がその内容であらましであります。
 本案は、二月一日から四月二十八日まで三回にわたり委員会において愼重審議を遂げ、討論に入り、日本共産党井之口政雄君より反対の意見があり、自由党川村善八郎君より賛成の意見が述べられ、続いて成案の決定について採決を行いましたところ、多数をもつて原案の通り委員会成案の決定を見たのであります。よつて提出方法につきしては、本案は委員会提出の法律案として議員に提出することに多数の賛成を得て決定したのであります。要するに、この法律の成立により漁船行政は著しく簡素化され、適正なる指導監督により漁船の性能は向上し、生産は増進し、漁業は安定性を持ち、国民経済へは大きく寄與するわけであります。さきに漁業法案は改正され、漁港法の制定に次いで、今また漁船法の制度を見るに至らば、ここに一貫したるわが国の水産政策は樹立せられ、斯業進展の基礎は固まるのであります。以上の次第であります。なお詳細につきましては委員会の会議録によつて御承知を願います。
 これをもつて提案理由並びに要旨の説明を終ります。何とぞ御審議の上すみやかに御養成あらんことをお願いします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第十 消防法の一部を改正する法
 律案(地方行政委員長提出)
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第十、消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。地方行政委員川本末治君。
    〔川本末治君登壇〕
○川本末治君 ただいま上程されました消防法改正案起草に関する地方行政委員会の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 消防法は、火災、風水害その他の災害を予防し、これによつて生ずる人的、物的損害をできるだけ少くすることを目的として、昭和二十三年七月、本国会の手によつて起草、成立したものでありまするが、その後同法の具体的運用の体験によりまして、さらにその完璧を期せんがため所要の改正を行う必要を認めまして、地方行政委員会におきましては、本年一月二十八日、不肖川本末治外十二名の小委員を選任いたしまして、鋭意改正案の起草に当つたのであります。そこで消防小委員会は、小委員会を開くこと五回、愼重協議をいたしました結果、ここに一つの試案を得ましたので、本委員会は、四月二十五日、川本小委員長より小委員会の経過並びに結果の報告をなし、関係方面との折衝を行いました。その結果、四月二十八日、最初の試案に二、三修正を加え、これを本委員会の成案といたすべきものと議決いたしたのであります。
 これより改正のおもな要点を拾つて申し上げますと、まず第一点は、火災予防のため消防職員が個人の住居に立入検査するには、第四條の規定により、関係者の承諾がなければこれを許さないことになつておりまするが、火災防止のおそれが著しく大であるために特に緊急の必要がある場合にはこれを許すことにしないと、火災予防上支障が大きいので、公共の危險を排除する意味におきまして、かかる場合に限りこれを許すことに改めて、予防消防の範囲を拡充しようとするものであります。
 第二点は、消防の任務を直接遂行する消防機関のうち消防本部及び消防署を設置しております市町村は、全国でわずか二百有余を算するのみでありまして、その他の市町村はあげて消防団員の献身的な活動に期待しなければならぬ実情にありますので、これら消防団員の予防消防を容易ならしめるために、火災予防のために特に必要があるときは、防火対象物及び期日または期間を指定するという嚴格な條件を付しまして、当該管轄区域内の消防団員に立入検査の権能を認めるとともに、火災現場における消火活動の完全遂行を期するに必要な消防団の長の権限強化をはかつたのであります。
 改正の第三点は、第三章危險物において、現在危險物の貯蔵については規定がありますが、製造所、取扱所については明瞭を欠いておりますので、この点について法律上はつきりさせたことと、従来、消防の用に供する機械器具及び般備に関しては、国家消防庁が一定の規格を定めてこれを勧告することになつておつたのでありますが、これらのものと密接な関係のある防火塗料及び防火液その他の防火薬品に関しては規定を欠いておりましたため支障がはなはだしかつたので、今回はこれらのものをも加えて、もつて支障を排除したのであります。また右に掲げましたものに関して要求があるときは、国家消防庁はこれが検定を行い得ることとし、そしてそのために経費を要しますので手数料を納めるべきことを新たに規定し、一はもつて当業者の便をはかるとともに消防諸設備等の完全を期し、他はもつて收入の確保をはかり、この仕事の完全遂行を期したのであります。
 第四点は市町村長の火災警報発令権であります。従来は、市町村長が都道府県知事から通報を受けたときのみ市町村長の火災警報発令権が認められておつたのでありますが、かくのごとくでは、市町村長が気象の状況、火災の予防上いかに危險であると認めても、知事から通報のない限り警報を発令することができず、面積の広い道県のごときにありましては、すこぶる実情に適しないものがありましたので、今回は、かかる場合には知事からの通報がなくても市町村長が警報を発令することができることとし、もつて実情に即した火災予防の完璧を期したのであります。
 第五点は、消防自動車のサイレン使用及び速度制限に関するものであります。サイレンは、従来は消防自動車が火災現場におもむくときにのみこれを使用することを認められ、訓練の場合はこれが使用は認められていなかつたのでありますが、実際には訓練の際にもこれを使用することを適当と認められる場合がありますので、特に必要がある場合ということと、一般公告をしたときという二つの條件を付して、訓練の際にもサイレンの使用を許し、もつて訓練の完璧を期するとともに、またサイレンの濫用により社会不安を生ぜしめることのないよう愼重を期したのであります。次に速度制限に関するものでありますが、道路交通取締法の規定によりますと、緊急自動車の速度制限は特例を認めて特にその使命を果すよう考慮が拂われておりますのに、一刻も早く火災現場に到着して活動を開始しなければならない任務を持つておる消防自助車に限り時速六十キロを越えてはならないとする現行消防法の規定は、まつたく実際の必要に反し、支障がはなはだしいので、一応六十キロという制限を撤去し、もつて支障のないことを期したのであります。
 第六点は、消火もしくは延燒防止または人命救助のため緊急の必要がある場合、消防対象物や土地の使用、收用処分権または使用制限権は、従来は消防長または消防署長のみに認められておりましたが、消防本部を置かない市町村におきましては消防長も消防署長もおりませんので、かかる市町村にあつては、消防団の長に対してこの種の権限を認めるようにいたしませんと実際上の支障きわめて大なるものがありますので、今回の改正によつて、これを與えることといたしたのであります。しかし、また反面、この権限は非常に強大なものでありまして、もしこれが運用を誤りますと個人の基本的人権に関するもの大なるものを生じまするので、この権限を付與するために、火勢、気象の状況その他周囲の事情から合理的に判断して、延燒防止のためやむを得ないときに限るという嚴格な條件を設けたのであります。
 第七点は、現行法は火災の原因調査及び損害調査にあたり消防長または消防署長に一定の物的調査ができる旨を規定してありますが、これのみをもつていたしましては、與えられた責任を十分にまた正確に遂行することはできがたいので、一定の質問権を消防長または消防署長に與えて人的調査ができるようにいたしますとともに、また放火、失火の犯罪の疑いがあるときは、火災原因の徹底的究明をはかるため、被疑者及び物が警察から検察庁に送付されまするまでの間において一定の質問及び調査ができるようにいたしたのでございます。
 以上のほか、罰則その他若干の改正をはかるとともに語句の整備を行つたのであります。
 これをもちまして本法案提案の理由並びにその概要を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第十一 行政機関職員定員法の一
 部を改正する法律案(内閣提出)
 第十二 地方財政委員会設置法
  案(内閣提出)
 第十三 経済調査法の一部を改
 正する法律案(内閣提出)
 第十四 海上保安庁法の一部を改
 正する法律案(内閣提出)
 第十五 水産庁設置法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、参議
 院送付)
○議長(幣原喜重郎君) 日程第十一、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、日程第十二、地方財政委員会設置法案、日程第十三、経済調査庁法の一部を改正する法律案、日程第十四、海上保安庁法の一部を改正する法律案、日程第十五、水産庁設置法の一部を改正する法律案、右五案は同一の委員会に付託された議案でありますから一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長鈴木明良君。
    〔鈴木明良君登壇〕
○鈴木明良君 ただいま議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、地方財政委員会設置法案、経済調査庁法の一部を改正する法案、海上保安庁法の一部を改正する法案及び水産庁設置法の一部を改正する法律案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果につき御報告申し上げます。
 まず行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 今回の改正案におきましては総定員八十七万三千二百三十七人となつておりまして、現定員と比べますと一千九百六十五人の減となつております。その内容について見ますと、経済統制の廃止、事務の地方移讓等に伴う定員の縮減を行う一方、電信電話業務、国立医療機関等の必要やむを得ないものに対して最小限度の増員を認めておるのであります。これを省別に見ますと、長林、通商産業、運輸、建設、郵政、経済安定本部等主として経済関係の各省におきまして合計一万一千四百八十二人を減ずる一方、総理府、法務府、大蔵、文部、厚生、電気通信、労働の各省におきまして合計九千五百十七人を増加することとなつております。また定員減少に伴う措置といたしましては、六月末まで一律に三箇月の猶予期間を設けるほか、九月末、十二月末の三段階にわけて定員を減少することになつているのであります。なお一般行政機関職員の縮減に伴いまして、終戰処理事業費、特殊財産処理附帶事務費等の支弁にかかる職員についても縮減することになつております。また電気通信省の本省の定員につきましては、引揚援護庁の場合と同様、電気通信業務の状況によつて特に必要ある場合には、予算の定める範囲内において、政令をもつてこれを増加することができることとしたのであります。今回の定員減少に伴い退職するものにつきましては、昨年の行政整理の際と同様、国家公務員法による審査請求の規定を適用しないことになつております。なお退職者の給與金については、昨年の整理と同様の退職手当を支給するため、別途法案が提出されることとなつておるのであります。
 本案は、四月二十五日、本委員会に付託され、政府の説明を聞き、人事委員会との連合審査会を開き審査を進め、整理基準、退職手当等に関し質疑が重ねられたのでありますが、四月二十八日、討論採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 次に地方財政委員会設置法案について申し上げます。
 本案は、地方税制度の改正及び地方財政平衡交付金制度の実施と相まち、地方公共団体の財政に関してその利益を擁護し、もつて地方自治の確立強化をはかるため、総理府の外局として地方財政委員金を設置しようとするものであります。すなわち、現在の地方自治庁の機構をもつてしては、自主的な地方財政の確立強化を推進するには遺憾の点が多い実情にかんがみまして、地方自治庁とは別個に、会議制による強力な機関でありまする地方財政委員会を設置することとして、その所掌事務、権限、組織、事務局等について規定するとともに、地方自治庁設置法の一部を改正して同庁の所掌事務の範囲を縮小し、その主たる性格を国と地方公共団体相互間の連絡機関たることに改め、また地方自治委員会談を諮問機関として改めることといたしておるのであります。しかして地方財政委員会の任務は、相当広汎な独立権限を行使しつつ地方財政自主権の確立を推進し、地方財政に対する一方的な国家意思の支配を排除するとともに、国家財政と地方財政及び地方公共団体の財政相互間の調整をはかることといたしました。同委員会の組織は、両議院の同意を得て内閣総理大臣の任命する五人の委員をもつて構成し、うち三人は各級地方公共団体の執行機関の連合組織がおのおの一人ずつ推薦した者を含まなければならないこととするとともに、委員長は委員の互選によることといたしておるのであります。
 以上は本案のおもなる内容でありますが、なお附則において関係諸法律に改正を加え公布の日からこれを施行しようとするものであります。
 本案に、四月二十二日、本委員会に付託され、政府の説明を聞き、地方行政委員会との連合審査会を開いて審査を重ねたのでありますが、地方行政委員長より委員の推薦者について修正の申入れがあつたのであります。本案に対し、委員三人は各級地方公共団体の執行機関の連合組織と議決機関の連合組織とがそれぞれ共同して推薦した者とするとともに、最初の委員の任命は、国会閉会中の場合は両院の同意を得ないでこれをなすことができることとする旨の修正案が提出されたのであります。
 かくて四月三十人日、討論、採決の結果、多数をもつて修正案の通り修正議決いたしました。
 次に経済調査庁法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案におけるおもなる改正は、経済統制の面にとどまらず、広く経済関係法令の励行を確保するということに改めるとともに、特別調達庁及び公団について業務の調査及び経理の監査を行うことができることとし、かつ調査及び監査の結果必要と認めるときは、関係機関に対し、その所事事項の運営の改善についてその勧告をなし得るよう監査の面を強化するとともに、中央経済調査庁の名称を経済調査庁と改めることがその一つであります。次に、経済安定本部設置法の一部改正と相まち、同本部関係の地方機関を一本に統合して管区経済局と改め、かつ地方経済調査庁を地方経済調査局と改称するとともに、これらの地方機関に、経済調査庁と同様、調査または監査の結果について関係機関に対し勧告する権限を與えております。なお中央及び管区経済調査庁に置かれている物資活用審議会を廃止することといたしております。
 本案は、四月十日、本委員会に付託され、政府の説明を聞き、建設委員会との連合審査会を開いて審査をいたしたのでありますが、建設委員長より、行政官庁たる経済調査庁が、行政官庁たる特別調達庁だけに限つて特に経理の監査を行うことは妥当でなく、かつ国の行政機関に対して、会計検査院以外のものに会計経理の検査または監査の権限を寄與することは妥当でない、また憲法第九十條の規定違反の疑いもあるとの理由で、これに関する規定の削除の申入れがありました。しかして本案に対し、経済調査庁が特別調達庁について行う業務の調査及び経理の監査は一年間に限ること並びに附則中原案における改正漏れの点に関する修正案が提出されたのでありますが、四月二十八日、討論、採決の結果、多数をもつて修正案の通り修正議決いたしました。
 次に海上保安庁法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、海上保安行政の効率化をはかるため同庁の組織に若干の改正を加えようとするものであります。そのおもなるものは、本庁については長官官房を廃し、総務部及び船舶技術部を設けて内部機構を六部とするとともに、沿岸警備業務の特殊性にかんがみ、これを專門的に統轄せしめるため、次長のほかに、これと同格の警備救難監一人を新たに置くこととし、地方機関については、大管区制を採用して全国を六つの海上保安管区にわかち、各管区ごとに管区海上保安本部を設け、その下部機関として、所要の地に海上保安監部その他の事務所を置くことができることといたしております
 本案は、四月十日、本委員会に付託され、政府の説明を聞き、運輸委員会との連合審査会を開いて審査を行いましたが、運輸委員長より、次長の長官補佐事務中総務部の所掌事務を除くこと、管区海上保安本部の位置について、大阪市を神戸市に、福岡市を門司市に改め、また一管区を増して七海上保安管区とし、その本部を舞鶴市に置くことの修正の申入れがありました。しかして本委員会において、次長の長官補佐事務中総務部の所掌事務を除くこと、海上保安部の数並びにその本部の位置について現在の海上保安本部の数及びその本部の位置と同様にすることの修正案が提出され、四月二十八日、討論省略、採決の結果、多数をもつて修正案の通り修正議決いたしました。
 次に水産庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案における改正の要点は、調整法による漁業制度の実施並びに鮮魚介及び加工水産物の統制撤廃に即応して水産庁の所掌事務及び権限並びに部の所掌について改正するとともに、同庁の付託機関である東京水産大学の文部省移管、水産物規格審議会の廃止に伴う所掌の改正を行うものであります。
 本案は、予備審査のため、四月十日、本委員会に付託、四月二十八日参議院の送付を受け、あらためて本委員会に付託と相なつたのであります。本案は、参議院において、政府提出案に対し、過般両院の可決を見ました漁港法との関係から生産部の所掌事務の一部について修正せられておるのであります。本案は、質疑の後、四月二十八日に、討論省略、採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 以上きわめて概略を御報告申し上げましたが、その詳細は会議録で御了承をお願い申し上げます。以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の勧告があります。これを許します。土橋一吉君。
    〔土橋一吉君登壇〕
○土橋一吉君 ただいま議題となつておりまする行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、私は日本共産党を代表いたしまして反対の意見を述べるものであります。
 ただいま委員長の報告があつたのでありまするが、政府の提案理由によりましても、昭和二十五年度の予算定員がすでに決定せられておりまするにかかわらず、その予算定員をはるかに下まわつておりまするところの一万五百七十七名の減員となるのであります。これは、過日の委員会におきまする本多国務大臣の答弁によりましても、政府は約十億円の支出減となる見込みでありまするが、このようなことをいたしまするならば、昨年の六月以降におきまする行政整理によりましては、各官庁とも事務が澁滯をし、かつ公務員諸君の現実の仕事の面におきましては非常に労働過重となつておるのであります。私は、このような政策は、吉田政府が本来労働階級に対しまする首切り專門と労働強化の熟練工であることを証明しておると思うのであります。こういうような政策をいよいよ行いまするならば、民間一般労働階級に及ぼす影響はきわめて甚大であると同時にこの傾向が日本の労働階級を植民地化の方向に導くものと思うのであります。かかる観点から、まず反対を主張するものであります。
 第二点といたしましては、政府自身が提案理由のうちに証明しておりまするがごとく、今回の行政整理は明らかに行政目的におきまする一大転換であるのであります。それは常々吉田政府が申しておりまするように、まず第一に思想の取締りを強化する。あるいは大衆団体のあらゆる行動に対しましては弾圧を加える。第三番目には、最近一般農民といわず、市民といわず、苛酷な悪税の徴收を強化するために組まれております定員の増であります。例を上げて申しますならば、まず思想取締方面におきましては、特別審査局が現在の定員でも多いと思われまするにかかわらず、さらに百十名の増を要求しておるのであります。あるいは少年院においては五十五名の増を要求し、先ほどの委員長報告にもありましたように、海上保安庁の管区や、その他の設備増強のために五百二十六名というようなものが増強されておるのであります。これは明らかに日本の軍事基地化の最もいい証明を、ただいましておるのであります。(拍手)さらに一般市民諸君が重大な関心を持つておられますこの国税庁の公務員の増強であります。これが、このたびの定員法の増におきましては一千二百五名の増であります。こういうようなものは、おそらく全日本の国民諸君は反対せざるを得ないのであります。さらに加えまして地方財政委員会が設置せられるのでありまするが、これは地方財政平衝交付金と関連いたしまして、この新設による増が百一名あるのであります。あるいは最も不可解なる点は、吉田政府の政策よろしきを得ないために、あらゆる犯罪がただいま起つておりまするが、その刑務所、拘置所、こういうものの増設に伴いまして、四百五十七名の公務員諸君が増強されるのであります。こういうものを勘案いたしますと、吉田政府が提案理由に書いておりまするように、明らかに思想の取締りと、大衆運動の彈圧と、さらにこの徴税の強化以外の何ものでもないということを証明いたしておるのであります。
 翻つて考えて参りますと、農林あるいは通産、建設、案本、郵政の方面におきましては多大なる減員を生じておりまするが、このような経済関係におきまする各省が減員をせられるということは、われわれは絶対に反対をしておりまするが、端的に例を申し上げまするならば、たとえば郵政省のごときは、現在は二十六万六百五十五名の定員でありまするが、労働組合側も、あるいは一般識者におきましても、当然三十四万ないし三十五万人を要求しておりまするにかかわらず、郵政大臣は、これに対しまして十五名の定員を減じているのであります。でありまするから、全国の一般市民諸君が要求せられておりまする郵便業務におきましても、貯金業務が澁滯をする、あるいは保險業務が澁滯をする、こういう状態は吉田政府の責任であることを市民諸君が十分了解しなければならぬと思う次第であります。
 さらに第三点といたしましては、整理の基準を政府は示していないのであります。かつ退職金につきましても、委員会において本多国務大臣が、目下閣議をもつて研究中であるような説明をしておりまするが、少くとも行政整理を断行する場合には、その整理の基準を示しまして、どういう者を整理するか、整理される者についてはどの程度の退職金を支給するかは、これは整理に関する表裏一体のものでありますから、当然このような措置が、法案をもつて国会で同時に審議せられることが必要であります。にもかかわらず、政府は行政整理に関する法案だけは上程いたしておりますが、今申し上げた整理基準の準則あるいは退職金については、いまだにこれを出してはいないのであります。こういうことになりますと、昨年の行政整理で現われておりますように、きわめて不当なる行政整理が行われて来るのであります。なお不都合にも、あるいはまた国家公務員法が保証いたしておりますところの苦情処理の問題でありますが、いわゆるアツピール制度をこの法案は拒絶しておりますので、いかに政府が不当なる首切りをいたしましても、公務員諸君は訴願の問題と苦情処理を申し出ることができないのであります。このようなことは、民主国家におきまして、少くとも国家公務員法の立場から考えましても、きわめて不当であると断定せざるを得ないのであります。
 第四点といたしましては、去る国会におきまして問題になりました六千三百七円べースがすえ置きと相なつておりますが、それに加えまして公務員諸君の職階法が通過したのであります。こうなつて参りますと、一般公務員諸君にとりましては、吉田政府と人事員の合作によりまして、賃金状態においては奴隷的な立場、職務の面においてはきわめて機械的な立場において公務を執行することは明瞭であります。同時に、政府が常々行つております彈圧政策と、さらに労働組合の分裂政策は、日本の公務員諸君をいよいよ植民地的な賃金奴隷に落すのであります。加えまして、このような政策は、現在政府が実質的にとりつつありますところのいわゆる全面講和を否定し、單独講和の方向に日本の全産業、全政治、官庁機構を誘導することがきわめて顕著に考えられるのであります。でありまするから、このようなものを確保し、このような高に向わしめることは、單に公務員諸君の首切りの問題にとどまらず、全日本の労働階級に対する一大指針を示しているものと思うのであります。今回の第二次行政整理は、進歩的な思想を持つところの、そのような者を整理し、さらに平和と日本の独立を闘いとるために働いておりまする公務員諸君を、あくまでも実質的單独講和の方向へ政府が導くものであります。さらにわれわれは、平和の闘いと同時に戰争に絶対反対をしているのでありますが、そういう思想持つ者、植民地化、軍事基地化に反対する者を、この整理法案によつて首を切ろうとするのであります。
 以上の観点を考えますならば、われわれは、この植民地的な首切り法案絶対反苅の意見を表明するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 まず日程第十一につき採決いたします。本案の委員長の報告に可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第十二ないし第十五を一括して採決いたします。日程第十二、第十三及び第十四の委員長の報告は修正でありまして、日程第十五の委員長の報告は可決であります。四案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて四葉とも委員長報告の通り決しました。拍手)
     ――――◇―――――
 土地家屋調査法案(法務委員長提出)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、法務委員長提出、土地家屋調査士法案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。土地家屋調査士法案を議題といたします。提出の趣旨弁明を許します。法務委員会理事北川定務君。
    〔北川定務君登壇〕
○北川定務君 ただいま議題となりました土地家屋調査士法案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。御承知のように、今回税制改革の一環として地方税法の改正が行われようとしておりますが、それに伴いまして、土地台帳法案等の一部を改正する法律案が政府より描出せられ、先般修正議決せられた次第であります。それによりますと、従来税務署で取扱つておりました土地、家屋の台帳事務を登記所に移管し、台帳事務と登記事務との間に手続上の簡素化をはかろうするものであります。従つて、土地台帳及び家屋台帳の記載は、不動産登記の目的たる緒権利の基礎となる事実関係を示すものとして、その正確性が特に要請されることとなりました。よつて、土地台帳及び家屋台帳の登録につき必要な土地または家屋に対する調査、測量並びに申告手続が的確に行われるかいなかは、国民の権益並びに国家経済にもきわめて重大な関係を有するのでありますからこれらの調査、測量及び申告手続を業務とする土地家屋調査士に関しまして、新たにその業務範囲、資格、試験、業務執行の方法、懲戒、罰則等を定める必要があるのであります。以上が本法茶の要旨並びに提案理由の概要であります。
 さて法務委員会におきましては、小委員会を設けてこれが立案に当り、四月二十七日、小委員会の成案を得、当法務委員会においては、全会一致をもつて委員会提出の決律案と決定いたした次第であります。何とぞ皆様方の御賛成をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶものあり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案
 (内閣提出)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、減失原簿調製等臨時措置法案を議題となし、この最委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 滅失鉱業原簿調製臨時措置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業理事小金義照君。
    〔小金義照君登壇〕
○小金義照君 ただいま議題となりました滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案の、通商産業原簿委員会における審議の経過並びに結果につきまして御報告申し上げます。
 本法案は、空襲その他戰災により鉱業原簿等が滅失したために不明確になつている鉱業または砂鉱業に関する基本的権利関係を確定することによつて、今後は明確な基礎の上に立つて砿業を実施し、または鉱業に関する出願等の処理をなし、もつて鉱業の円滑な発展に資するのがその目的であります。
 本法案の要旨は、第一に、滅失した鉱業原簿の調製または鉱業に関する願書等につきましては原則として申請によつて処理すること、第二に、権利関係を確定するために、一定期間内に申請をしない者の当該権利を原則として消滅せしめること、第三に、申請の事実が確認できないときは、通商産業局長はこれを却下することができること、但しこの場合には、当該申請人や利害関係人に出頭を求めて公開による聽聞を行い、これらの者から証拠を提示し、または意見を述べる機会を與えること、第四に、却下処分または調製した鉱業原簿の登録事項につき不服のある者は通商産業大臣に異議の申立てをすることができること、この場合にも、却下の場合と同様に聽聞を行い、その結果によつて、異議の申立てについてその決定を行うこと、第五に、経過規定として昭和二十年商工省令第一号及び第二号の規定によつてすでに申請をなし、またはそれによつて調製されている鉱業原簿または砂鉱原簿については、すべてこの法律によつて処理したものとみなしたことであります。
 本案は、四月二十八日、本委員会に付託せられ、提案理由の説明を聽取してから審議に入りました。小金委員、中村委員より、本法案と憲法との関係、原簿保存の点等につき質疑があり、これに対して政府委員よりそれぞれ答弁がありました。審議の詳細は記録によつて御承知願いたいと存じます。
 二十九日午前中に質疑が終了いたしました。討論を省略して採決の結果、本法案は全会一致をもつてこれを可決すべきものと決定した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 港湾法案(内閣提出)
 運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、港湾法案及び運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議をを進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 異議なしと認めます。よつて日程は拍加せられました。
 港湾法案、運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長稻田直道君。
    〔稻田直道君登壇〕
○稻田直道君 ただいま議題となりました港湾法案について、運輸委員会に置ける審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、さる四月二十六日、本委員会に付託され、即日政府より提案理由の説明を聽取し、翌二十七日、関係地方公共団体及び各海運関係者の代表の意見を徴する等、特に慎重に審査いたしたのであります。
 本法案の趣旨を簡單に申し上げますと、海上輸送の拠点ともいうべき港湾の重要性にかんがみまして、港湾管理者を設立し、港湾管理の方式を確立いたしまして、港湾の開発並びに発展をはかろうとするものであります。
 その内容のおもなる点をあげますと、まず第一点といたしましては、国家的及び地方的利益に最も適合する形態の港湾管理者を設定する権能を地方公共団体に與えることであります。次に第二点といたしましては、港湾管理者の定め方、その任務、組織及び財政等について規定したのであります。第三点といたしましては、最大限の地方自治という建前から、政府の監督規制は必要最小限度にとどめたいのであります。第四点といたしましては、一定の港湾工事に対して、その費用を国が義務的に負担し、その他の港湾工事につきましても、必要に応じて財政の許す範囲で補助することとして、港湾の修築または改良について助成策を講じたのであります。
 次に本法案に対する質疑のおもなるものをあげますと、第四條により、港湾局の設立することは、現下の実情から見て早急実現は困難と思われる、従つて第三十三條によつて管理者を設立することもあると思うが、政府の所信はいかんとの質問に対し、政府委員より、設立については地方公共団体の自由意思によるものであるとの答弁がありました。また法案中には地方の実情に沿わない点があるが、政府は将来改正する意思があるかとの質問に対し、政府委員より、次期国会において国会より修正方の要求があればこれに応する用意があるとの答弁がありました。その他詳細は会議録に譲ることとといたします。
 次に討論に入り、自由党を代表して尾崎末吉君より、日本社会党を代表して米〇滿亮君よりそれぞれ賛成の意見を述べられました。また、労働者農民党を代表して石野久男君より、第四條及び第三十三條を次の国会において改正することを條件として賛成の意見を述べられました。次に日本共産党を代表して林百郎君より、本法案は港湾を軍事基地化するおそれがある、また地方港湾は荒廃し、なお港湾行政を複雑化することとなる、よつて本法案に反対する旨を述べられました。
 かくて討論を終局し、ただちに採決の結果、本法案は政府原案通り可決した次第であります。
 次に、ただいま議題となりました運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、四月二十八日、本委員会に付託され、本日、政府より提案理由の説明を聽取したのであります。
 本法案の趣旨を簡單に申し上げますと現行の運輸省設置法による運輸審議会の委員及び日本国有鉄道法による日本国有鉄道の管理委員会の委員は、いずれも両議院の同意を得て内閣総理大臣または内閣が任命することとなつているのでありますが、国会閉会中または衆議院の解散せられている場合に委員の任期が満了しまたは欠員を生じてその後任者を任命する必要があるときは、任命権者が便宜任命を行い得ることとし、その後最初に召集される国会の承認を求め、承認が得られなかつたとき当該委員を遅滞なく罷免することとしようとするものであります。かくて、本法案は、質疑、討論を省略して、ただちに採決の結果、多数をもつて原案通り可決した次第であります。
 以上、簡單でありますが、御報告申し上げます。
○議長(幣原喜重郎君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成に諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
    ―――――――――――――
 大蔵省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長鈴木明良君。
    〔鈴木明良君登壇〕
○鈴木明良君 ただいま議題となりました大蔵省設置法の一部を改正する法律案について内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案におけるおもなる改正は、大蔵省及び証券取引委員会の所掌事務を整備し、公認会計士法の改正に即応して公認会計士管理委員会を大蔵省の外局とし、また国税庁の監察官に、その所属職員に対し職務上必要な監察を行い、かつ職務に関係ある犯罪の捜査権を有せしめることと、国税に関する審査の請求について協議を行う機関として、国税庁及び国税局にそれぞれ、協議団を設置することとし、さらに本省及び外局を通じて審議会等を整理いたしておるのであります。
 本案は、四月十八日、本委員会に付託され、政府の説明を聞き、大蔵委員会との適合審査会を開いて審査を進めたのであります。
 国税庁の監察官について部内の職員に対する犯罪の捜査権を有せしむることは妥当でないとの意見がありましたが、それらの詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 かくて四月二十九日、討論、採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 公衆浴場法の一部を改正する法律案(青柳一郎君外四名提出)クリ一ニング業法案(大石武一君外七名提出)
○山本猛夫君 議事日程追加緊急動疑を提出いたします。すなわち、青柳一郎君外四名提出、公衆浴場法の一部を改正する法律案及び大石武一君外七名提出、クリーニング業法案、以上の両案を疑題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山木君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 公衆浴場法の一部を改正する法律案、クリーニング業法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます、厚生委員会理事中川俊思君。
    〔中川俊思君登壇〕
○中川俊思君  ただいま議題となりました公衆浴場法の一部を改正する法律案及びクリーニング業法案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず公衆浴場法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本改正法案の提出並びにその内容を簡単に申し上げますれば、国民大衆の日常生活において公衆浴場がきわめて重要な役割を果たしておる事実にかんがみ、その配置を適正ならしめ、できる限り多くの人々にこれを利用する便宜を與えるとともに、その濫設を適宜に調節することによつて浴場の経営を健全ならしめ、ひいては衛生的施設を充実せしめることは、公衆衛生上きわめて重要であります。かかる見地から、厚生省は、都道府県知事に対し、公衆浴場の新設許可にあたつては配置の適正を期するように措置すべきことを指示しておるのでありますが、現行の公衆浴場法第二條第二項の規定では、都道府県の條例または規則で公衆浴場の距離制限を実施して行く上に法律的にややむりな点があり、このため各地方でしばしば問題が起きておりますので、今回同條文を改正して、浴場の適正配置につき明確に規定しようとするものであります。なお設置場所の配置の基準につきましては、都道府県が條例をもつて定めることといたしておるのであります。
 本法案は、本月二十九日、本委員会に付託せられ、提案者青柳委員より提案理由の読切を聽取したるのち、ただちに審議に入り、熱心なる質疑応答の後、討論を省略し採決に入りましたところ、本法案は満場一致をもつて原案通り可決すべきものと決した次第であります。
 次にクリーニング業法案について御報告申し上げます。
 従来クリーニング業に対しましては、特にその取締り指導を行うべき法令もなく、自由に放任されていたのでありますが、国民大衆が生活の合理化のために衣服をクリーニングに依頼する必要はますます増大している状況にありますのと、クリーニングの業務が直接身体に接触するものを取扱うことが多いので、国民の健康並びに衛生に及ぼす影響の甚大なるにかんがみ、公衆衛生上の見地から必要な指導及び取締りを行い、その経営を公吏の施設に適合させようとするのが、本法案の提出理由であります。
 本法案の内容のおもなる点を申し上げますと、第一に、本法の適用範囲をドライクリーニング営業及びその他の洗濯業に限定したことでもあります。けだし、この部門における初めての立法である関係上、必要の最小限度の範囲にとどめたわけであります。第二に、本法においては、営業者に対し、その施設及びその依頼された洗濯物の取扱いについて、公衆衛生上必要な措置を行うことを要求するとともに、十名以上の従業者を使用するドライクリーニングの営業者に対しては、試験に合格して免許を受けたドライクリーニング師を少くとも一名採用しなければならないこととしたのであります。第三に、ドライクリーニング師の免許制度を創設したことであります。試験は都道府県知事によつて毎年一回実施せられるのでありますが、その主眼とするとこるは、公衆衛生及び洗濯物の処理方法等ドライクリーニング取扱い上必要とする一般知識について行い、クリーニング従業者の素質の向上をはかるとともに、その身分を法的に確保しようとするものであります。第四に、クリーニング業に対する行政監督は原則として都道府県知事とし、一部大都市においては市長としたことであります。これらの監督機関は、法律の規定により定期の健康診断及び立入り検査を行うことができるようにするとともに、違反者に対しては営業停止、閉鎖処分及び免許取消し処分等の強利手段を用いることができることにいたしまして、公衆衛生上の監督指導の徹底を期したのであります。
 本法案は、本月二十八日、本委員会に付託せられ、二十九日、提案理由の説明を聽取した後、質疑を打切り、討論を省略して採決に入りましたところ、満場一致をもつて原案の通り可決すべきものと決した次第であります。
 以上御報告申し上げます。
○議長(幣原喜重郎君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 外資に関する法律案(内閣提出)
 外資委員会設置法案(内閣提出)
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、外資に関する法律案及び外資委員会設置法案の両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 外資に関する法律案、外交委員会設置法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。経済で定委員長小野瀬忠兵衞君。
    〔小野瀬忠兵衞君登壇〕
○小野瀬忠兵衞君 ただいま議題となりました外資に関する法律案並びに外資委員会設置法案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この外資に関する法律案は、わが国経済の自律とその健全な発展をはかり、かつ国際収支の均衡を維持するためにきわめて必要なる民間外資の導入に関する法律案であります。
 本案の内容について申し上げますと、第一は外資本の投下に関する原則でありますが、外資導入は一定の選択基準に従つて認めることにいたしますけれども、これをできるだけ促進するため、外資に対して加えられている各種の制限や認可制度を、その必要の減少に伴つて逐次緩和ないし廃止して参る根本方針であります。
 第二は、外資導入に伴つて生ずる海外送金を確保する措置を定めたことであります。現在外資導入を阻害している最も大きな原因の一つは、資本投下に伴つて生ずる海外送金将来はたして確実に実行できるかどうかが不明確な点であります。そこで本法においては、わが国経済の自立と発展のため導入を必要と認める外交につきましては、投資の認許可を受けさえすれば、爾後それに伴つて生ずる海外送金が実質的に確保されるようにいたしたのであります。すなわち、外国投資家が技術援助契約を締結し、株式、社債もしくは貸付金、債権等を取得しようとする場合には外資委員会に認可を申請し、外資委員会は、その投資が国際収支の改善に寄與するかいなか、重要産業または公益産業の発展に寄與するかいなか、また契約の條項が公正であるかいないか、詐欺、強迫に基くものでないかいなか等の点について審査し、認可を與えるかいなかを決定いたすのであります。右の審査によつて認可を受ける場合は、技術援助契約に基く特許料、株式の配当金、社債、貸付金の利子または元本の償還金等の海外送金は、あらためて為替管理上の許可を受ける必要がなく、自由に認められることとなるのであります。
 第三は、将来被投資国が強制収用等の措置に出で、その投下資本の回収が不可能になりはしないかという外国投資家の抱く不安を除去するために、外国投資家がわが国において適法に所有する財産権が公権力によつて収用等をされた場合に、その補償金の海外送金を実質的に確保する措置を講ずることとしたのであります。
 第四は、閣僚審議会は確保すべき海外送金の額を外国為替に計上すべきこと、及び負債超過の場合に内閣は応急の措置をとるべきこととし、その準備措置として大蔵大臣が対外の貸借及び収支に関する勘定を作成しておくべきこととして送金確保の裏ずけとしたのであります。
 その他本法においては、外資委員会が技術援助を希望する技術の種類を公表すべきこと、外賓に対する行政処分に関して、外資委員会がその主管官公庁に対して意見を述べまたは所要の勧告を行うべきこと、外資委員会の処分に対する不服申立て手続き、外国投資家の外資委員会に対する報告手続及び罰則等を定めております。
 次に外資委員会設置法は、右の外資に関する法律の施行に伴いまして昨年三月外国人の財産取得に関する政令に基いて設置せられました現在の外資委員会の組織、職務権限等につき、これを法律によつて的確にする必要があるので提出されたのであります。
 本法案によつて従来と異なつた規定の設けられました点は次のようであります。第一は、外資委員会の所掌事務及び権限を明確にし、外資に関する法律に基く職務、権限を加えたのであります。第二は、外資委員会の組織を簡素化かつ民主化いたしたこともあります。すなわち、委員長は従来通り経済安定本部総務長官が充てられますが、委員は従来関係各省の事務次官及び公正取引委員会の委員、合計七人であつたのを、大蔵、通商産業の両省及び外国為替管理委員会を代表する者各一人と、学識経験者三人以内、合計六人以内をもつて組織することといたしたのであります。
 本二法案につきましては、去る四月二十六日、提案理由の説明を聽取し、引続き翌二十七日及び二十八日、二十九日に審議をいたしました。委員会においては、本法がわが国経済の自立と再建に重要なるのみならず、国際経済関係におけるわが国将来の発展に対し決定的なる影響を及ぼす重大法案でありますので、最も慎重に審議に当り、きわめて熱心なる質疑が行われてました。ことに外資を導入すべき産業の種類や、外国投資家に対する処遇のいかんによつてわが国の産業が圧迫を受けることがないか、外国投資家に対する支拂いの送金確保のために外国為替予算に支障がないか等について詳細なる質疑応答がなされましたが、いずれも外資委員会の適切なる運営によつてさしつかえがない旨の答弁がありました。また外国投資家のうちに非居住の在外邦人を含むかとの質問に対しては、これを含む旨の答弁がありました。
 次いで討論に入りましたが、小川委員は自由党を代表して賛成の意見を述べられ、笹山委員は、運営につき特に注意すべきことを希望して賛成の意見を述べられました。また米原委員は共産党を代表し、成田委員は社会党を代表していずれも反対の意見を述べられました。
 次に採決に入りましたが、多数をもつて本法案は原案通り可決されました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。成田知巳君。
    〔成田知巳君登壇〕
○成田知巳君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました外資に関する法律案及び外資委員会設置法案に対し一括反対の意見を申し述べるものであります。
 本法案は、いわゆる後進地開発計画、未開発地開発計画が実施に移されます場合、投資條約におきまして規定さるべき外国投資の保証方法を法律で定めんとするものてありまして、当講和会議により自主権を獲得したあかつき、対等の立場で條約をもつて規定すべき事項を、占領下において日本の法律をもつて規定せんとするものであるところに重大な意味を有するのであります。何を急いでかかる措置に出ずるか、政府の意向はまつたく理解するに苦しむのであります。しかも、かくのごとき重要法案を、会期終了あと一週間に迫りました去る二十六日に突如提案しておきながら、会期切迫を理由といたしまして、公聽会を開いて広く民間の意見を聞くこともなく、十分法案の審議検討の時日も與えずして、多数の力でしやにむに通過せしめんとする政府並びに與党の態度こそは、まさに国会の審議権を蹂躙するもはなはだしいものといわねばなりません。
 吉田内閣成立以来制定されました数多くの法律を見まして私たちの痛感いたしますことは、法律の内容において、またその形式において、だんだん日本の法律という感じが薄くなつて参つた点であります。日本の法律は、申すまでもなく日本人の手によつて、日本人のためにつくらるべきでありますが、最近の諸法律、たとえばかの職階法、外国人の租税減免のための租税特別措置法の改正法律、外国為替及び外国貿易管理法、電力事業再編成法に関する法立案、さらにはまた今回の法案等、一体どこの国の政府が、どこの国の国民のためにつくつているのか、了解に苦しむものであります。(拍手)
 本法案第一條は、本法の目的として、日本経済の自立と、その健全な発展及び国際収支の改善に寄與する云々とうたつてありますが、この法案について、しさいに検討いたすとき、この日本経済云々という文句から日本という文字をとり去つた方が法案の内容と一致するように考えるのであります。
 本法案の骨子は、外国資本の投下に対しまして、第一に、その元本、利子、配当、利潤等の本国送金を自助的かつ優先的に認めるとともに、第二に、外国人財産の特別保護をなさんとするものであります。これがために、法案は、まず第六條及び第十五條におきまして、外国投資家が自国へ送金せんとする元本、利子、配当、利潤の額を外国為替予算に計上するとともに、右の金額は、たとい外国為替予算が全体として赤字になつた場合でも優先的に送金を保護するものであります。次に第十七條におきまして、外国投資家が、わが国において、法律の定むるところによりその財産の全部または一部が収用されまたは買収された場合において、その外国資本家の受領する対価相当額の金額を一箇年間外国為替予算に計上し、第一の場合と同様、外国為替予算が全体として赤字になつても本国送金は優先的に取扱われることになつております。
 さきに衆議院を通過した外国人の租税減免に関する特別措置法改正法と考え合わせますときに、現在わが国の中小企業はもちろん、相当大規模のものまでも、吉田内閣の誤れる財政経済政策の結果、重税と金詰り、国内購買力の激減のため破産、倒産続出している今日これはまことに至れり盡せりの外国資本の保護ぶりであり、いまだ世界各国にその例を見ない珍しい法律だと申さねばなりません。現に、一九四七年、米国が中国と結んだ投資條約、あるいは昨年イタリアと結んだ投資條約は、米国が結んだこの種條約の中で最も有利な條件であると言われていますが、それさえも、米国人が中国、イタリアで、中国人、イタリア人と同一條件で事業活動ができると規定されているに過ぎません。米国国務省官辺ですら、本法案の定めるがごとき、ほとんど無條件ともいうべき利潤送金保証を規定する條約は、いかなる国の政府といえども、責任ある政府はこれを締結しないだろうとさえ言つていることを知らねばなりません。
 提案理由の説明を聞きますと、現在外資導入を阻害している最大の原因に、資本投下によつて生ずる利益の本国送金がはたして確実に実行できるやいなや不明の点にあるのだから、本法案により海外送金を確保すれば大いに外資導入を期待できると言つているのでありますが、問題は、しかしか簡單ではございません。水の低きにつくがごとく利潤を追求して移動するのが資本の運動法則あります。敗戰の結果、国内市場は極度に狭隘となり、加うるに吉田内閣の誤れる超均衡予算により国内の有効需要が激減し、深刻なるデフレ状態に突入している日本経済の現段階において、本法でいかに外国送金を保証しても、純経済的見地からする外交没資がはたして期待することができるでありましようか。かかる惡條件下においても、もし本国送金を保証しさえすれば、経済の合理性を無視しても日本に投下される資本が必ずあるはずだ、それをば政府は期待しているのであるとすれば、その資本投下こそは、決してわが国産業の全般の復興に役立つものではなく、わが国巨大独占資本と外国資本の結び付きによる資本投下であり、その背後には政治的意図を有するものであるといわねばなりません。これこそ、日本経済の復興という民族的利益よりも、外国資本と結び付いた独占資本の階級的利益を重しとする吉田内閣、自由党政策の端的な現れだと申さねばなりません。
 現在、わが国の中小の貿易業者及びこれに従事する労働者は、一ドル三六〇円レ―トという円高レートのもとにおいて、低賃金と労働強化、丁請單価の切下げ等の日本的、原始的産業合理化が強要されながらも、輸出振興に努めています。まさに中小企業者及び労働者は、みずからの肉をそぎ、骨を削りて外貨を獲得しているのであります。本法案は、このたつとき犠牲の結晶である外貨を事実上外国資本に優先的に献上するものであり、外資導入、日本経済再建の実名のもとに日本産業を破壊さすものであります。私たちは、わが国小企業を保護育成することこそ日本産業復興の先決問題であるとの見地から、以上申し上げた理由により、外資に関する法律案と題するも、実は外国資本とこれに結び付いた日本の巨大資本の保護法案にすぎない本法案に、絶対反対の意見を開陳するものであります。
○議長(幣原喜重郎君) 小川平二君。
    〔小川平二君登壇〕
○小川平二君 ただいま議題となりました外資に関する法律案並びに外資委員会設置法案に対し、自由党を代表して賛成の意を表するものであります。
 戰後、経済の復興と自立のために民間外資導入の促進が強く要望されて来ましたことは、御承知の通りでございます。最近、日本経済の本格的な再建が日程に上り、他面アメリカの対日経済援助が漸減する見通しが明らかとなりますとともに、その必要が一層痛感されておるのであります。しかるに、戰後五年のわが国の政治的、社会的、経済的状態は、これを阻害するさまざまな惡條件に満ちていたのであります。もとより資本は、本来純粋に経済的な合理性を追求するものでありますから、安全性と収益性と移動の自由が確保されぬ限り、その導入を期待し得ないことはもちろんであります。インフレの高進、賠償問題の未確定、集中排除の問題、独占禁止法、加うるに煩瑣な統制法規の存在等はいずれも外賓の導入をはばむ原因として作用していたのであります。
 しかるに、ドツジ・ラインに沿つての経済安定施策の強力な実行によつてインフレは終息し、統制は大幅に解除され、為替レートの設定も見、さらに独禁法は過ぐる第五国会において緩和され、集中排除も一段落し、賠償の問題に関しても、アメリカ政府より賠償撤去中止の指令がだされる等、外資の導入のための基礎的な條件がようやく充足されるに至つたのであります。この外資に関する法律案は、受入れ態勢の法的、技術的な仕上げとして重要な意義を持つものというべきであると、考えるのであります。
 本来、外国資本の投下はできる限り自由に認められるべきであります。導入される外交が、みずからの危険において、みずからのリスクにおいて入つて来るというのが本来の筋道であるわけであります。本法律案は、一定の認可基準、すなわち日本経済の発展と国際収支の改善に寄與するものという認可基準によつて導入される資本を選択し、導入外資に一定のわくを設ける反面において、一たび導入された資本に対しては、その利子、利潤の送金はこれを確保するということを骨子とするものでありまして、わが国経済の現段階に対応した措置として適切なものと申すべきであります。なお今日までの実績に徴しても、今後の見通しから申しましても、当面主要な問題となることが予想されます技術の導入に関しては、外資委員会が民間の希望をも徴して、援助を希望する技術の種類を公表することによつて投資国にあらかじめ目安を與えることとなつておるのであります。
 要するに本法律案は、内外の要請にこたえて、民間外資導入の促進という喫緊の課題を解決するために当然に必要不可欠な法的措置を行おうとするものであります。この意味において、本安に全面的な賛意を表するものであります。
 次に外資委員会設置法案は、外資に関する法律案の施行に伴い外資委員会の組織、職務、権限等を明確にするための当然の措置であり、外資委員会の構成に関しても、専門的知識を有する委員からなる簡素な組織による能率的な運営をはかつておりますことは、まことに適切なものとして賛成の意を表する次第であります。
 外国資本の導入によつて、日本経済がただちに全面的な支配を受ける、あるいは植民地化するというような、素朴な、公式的な論議が行われておりますが、この種の論議は多分に宣伝的な意図を含んでおり、実証と分析に基いた公平な議論と申し得ないことはもちろんでございます。過去の日本においても外資は入つております。およそ近代国家で、外国資本の援助なくして産業の基礎を築いた事例は存在いたしません。ソ連といえども往年アメリカの資本を仰ぎましたが、これによつてソ連が植民地化したということをいまだ聞かないのでございます。過去の実績を食いつぶして参りました日本経済が、この際外資の導入に成功しないならば、自立の達成は不可能でありまして、そのことこそ政治的独立の喪失であり、植民地化を意味するものにほかならないと言わざるを得ません。この種の、まことに素朴なる公式的、小児病的論議を反駁いたしまするために、これ以上多言を費す必要を感じないのでございます。
 もとより、この二つの法律の運営いかんはわが国経済の前途に至大の影響を與えることは申すまでもありません。従つてその運営にはあとう限りの慎重を期せられんことを政府に切望いたしまして賛成討論を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 米原昶君。
    〔米原昶君登壇〕
○米原昶君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されました二つの法案に対し反対の意見を述べるものであります。この二つの法案は、先ほど成田君から指摘されました外国人課税に対する特別措置法とともに、卑屈な態度で外国資本を特別に優遇せんとするところのものでありまして、この法案自体がきわめて植民地的な法案であります。一体、講和会議が済まない以前に、かかる法案が提出されること自体が、公正なる全面講和を阻害するところのものであると言わざるを得ないのであります。しかも国際法では、はつきり、講和会議以前に締結された占領国民と被占領国民との投資契約は、それが詐欺、強迫であるという理由で、講和条約においては、この占領下における投資契約を取消すことができるという原則があるのであります。これはきわめて明白なる国際法の原則であります。しかるに吉田内閣は、このたび提案されましたこの法案の中に、この国際法の原則を訂正するための条項を特別に設けまして、そうしてこの国際法の原則に挑戦せんとしておるのであります。
 先ごろ本院を通過しましたところの外国人に対する課税の特別措置法については、ポリトルコという国にそういう前例があるそうでありますけれども、このたび提案されましたこの二つの法案につきましては、どこの国にもそういう前例はないそうであります。條約の形では、先ほど成田君からも話がありましたが、蒋介石の中国と米国の間に一九四七年に結ばれておる。また占領下にあつたイタリアが、その占領を一日でも早く終らせたいがために、切望のあまりに結んだところのアメリカとイタリアの條約があります。しかしながら国内法として、一国の政府がみずからこういう法案を出した例はないのであります。
 昨年十一月二十六日のアメリカの経済雑誌ビズネス・ウイークを見ますと、アメリカ国務省のある官吏がこういうことを言つております。十九世紀に英国艦隊が果した役割りを現在この種の投資条約に期待することは、いささかナイーヴに過ぎると言つておるのであります。すなわち、十九世紀に英国が、当時その強大な海軍の力を背景としまして東洋における植民地その他で莫大な利潤を得た。そういうものをこの條約に期待するのには、あまりにも子供らしいと言つておるのでありす。その子供らしいものを吉田内閣は支持しようとしておるのであります。この雑誌はさらに言つておる。もしこのような條約を調印する外国政府があるとすれば、そのような政府は長く続くことはできないであろうと言つておるのであります。そうしてその実例として、中国の蒋介石政権をあげておるのであります。まさに吉田内閣は、蒋介石政権の轍を踏もうとしてこの法案を提出したかのごとくであります。(拍手)すなわち、かかる卑屈な、殖民地的な、国民感情を無視せる法案を提出するがごとき政府は早晩崩壊するであろうことは、すでに歴史が証明しておるのであります。
 わが日本共産党は、講和会議も済まない以前に、かかる卑屈な形で外国資本導入を行うことには絶対に反対であります。一国に片寄らない、しかも平和産業の復興に必要な外資は、公正な講和の締結によつて初めて可能であります。即時公正な全面講和を実現して、世界の平和愛好諸民族との兄弟的協力による資本、技術、商品の交流、これ以外には日本の独立と平和は望み得ないのであります。こういうやり方によらなければ真の日本の民生的再建は不可能であります。以上、私は日本共産党を代表しまして、この二つの法案に絶対に反対するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、商法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 商法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長花村四郎君。
    〔花村四郎君登壇〕
○花村四郎君 ただいま議題となりました商法の一部を改正する法律案につきまして、提案の要旨及び法務委員会における審議の経過並びに結果の概要をきわめて簡単に御報告申し上げます。
 御承知のように、現行商法は、半世紀前、すなわち明治三十二年に制定せられた大陸法系のものでありますが、終戦後、わが国の政治、社会、文化、経済の全般にわたり着々民主化が実現せられつつあり、産業、企業に密接な関係を持つ商法のうち、株式会社につきましても、一昨年七月、経営者の恣意的な支配の制限と投資大衆の保護を目的とし、株金分割制度が廃止せられたのでありますが、反面、会社は自己資本のプールを失い、資本調達の便を失う結果を生ずるのであります。しかして、わが国産業復興のためには資本調達が不可欠の要請であることは申すまでもないことでありますが、財閥解体、独占禁止の今日におきましては、企業資本はこれを大衆投資に仰がねばなりません。従つて、資本調達の便宜の問題は、同時に投資大衆、すなわち株式会社については株主の保護に帰着するのであります。ここに資本調達の便宜と株主保穫を目的として本案が提出さるるに至つたのであります。
 本法案は、一部改正という形をとつてはおりまするが、実は従来の大陸法系から英米法系への転換であり、実にわが国企業の基本形態である株式会社に根本的な変革を加える全面的大改正にひとしいものであります。
 ここにその内容の要点を簡単に御紹介いたしますと、第一に、資本調達の便宜をはかるために(イ)英米で行われているオーソライズド・キヤピタル・システム、すなわち授権資本制度と、ノン・パー・ストツク、すなわち無額面株式制度を採用したこと、従つて(ロ)取締役会の会社経営権を強化したこと、(ハ)監査役の業務監査をとりやめ、会計監査役を設けたこと、第二に、一般投資大衆保護の要請に応じ株式会社機構の民主化と株主の権利強化等をはかるため、(イ)帳簿書類の閲覧、謄写権を認めたこと、(口)取締役の不正行為、株式の不正発行の差止請求権を認めたこと、(ハ)取締役に法令違反、定款違反または不正行為があつた場合解任の訴えを認めたこと、(ニ)会社にかわり取締役に対する責任追及の訴えを認めたこと、(ホ)取締役選任につき、いわゆる累積投票の制度を認めたこと、(ヘ)定款による議決権制限を認めないこととしたこと、(ト)合併、営業譲渡に反対する株主に自己株式の買取請求権を認めたこと、(チ)株式の譲渡制限を禁止したこと等であります。以上が本案の内容及び提案理由の概要であります。
 さて当法務委員会におきましては、本法案は商法の画期的大改正を企画せんとするものであるのにかんがみまして法案の付託せられまする一箇月以前より、予備審査として小委員会を設置して研究に着手し、資料を収集するとともに、政府当局より、改正を予想せられる重要問題につき詳細な説明を求め、各委員との間に活発な質疑応答を重ねて来たのであります。次いで二月二十四日、本法案が付託せられ、同二十八日、法務総裁より提案理由の説明がありまして、いよいよ本格的審議に入り、委員会を開くこと十七回に及びました。すなわち、財界業種別代表、労働組合、株主代表、学者、弁護士、公認会計士、裁判所等各界より二十名の参考人を委員会に招いて意見を聽取し、さらにまた名古屋、大阪及び鶴岡市に委員を派遣して、衆参両院合同にて地方における各界代表の参考意見を聴取いたしたのであります。その間東京におきましては、特に改正案によつて甚大なる影響をこうむる会社経営者並びに証券業者よりの熱烈なる要望にこたえ、経済団体連合会及び日本証券業協会主催の数百名の会合には、委員長初め有志委員が数回列席し、隔意なき意見の交換を行つたのであります。また四月八日及び十一日には通商産業委員会との連合審査会を開催し、本法施行に伴い経済界に與うる影響の是非につき検討いたしました。
 委員会におけるこれら審議経過の詳細は速記録に譲りますが、おもなる論議を要約いたしますと、一、かかる会社法の全面的改正は、むしろ単行法の制定によるべきではなかつたか、二、改正内容が画期的であり、かつ飛躍的であるため、わが国経済社会の実情に適合するかいなか、特に会社経営倫理の低調なるわが国の現状において、はたして授権資本制及び無額面株式制度が妥当であるか、三、本法は昭和二十六年七月一日より施行せられるものであるが、経過法及び付属法令の整備問題が不明のため経済界に不安を與えていないか、四、株主の権利保護が強化された結果、いわゆる会社荒しの横行が激化するおそれがないか等であります。
 かくして、本四月二十九日、自由党より修正案が提出されましたが、その概要を御紹介いたしますと、まず第一に、内容につきましては、一、特別決議をなす株主総会の定足数に関する規定を緩和し、かつ暫定措置として附則に加え、公布の日から施行し、本法施行の日からその効力を失うこととし、二、少数株主の資格を制限し、いわゆる会社荒しを防止することとし、すなわち取締役行為の差止請求権あるいは総会招集の請求等、改正案において七箇條に規定せられた少数株主の資格を、六箇月前より引続き株式を有する株主と制限し、三、定款、株券及び合併契約書の絶対的記載事項中から、額面、無額面の別及び数または額面、無額面の別の記載を要しないこととし、四、会社の登記事項中に新株の引受権に関する事項を附加することとし、第二に、改正案の数箇條にわたつて字句並びに表現の不適当な部分を修正することとし、結局二十三箇條にわたつて内容並びに字句を修正しようとするものであります。
 次いで討論採決の結果、右の修正案並びに修正部分を除く政府原案を多数をもつて可決し、ここに本法案は修正議決せられた次第であります。
 右御報告申し上げます。
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。加藤充君。
    〔加藤充君登壇〕
○加藤充君 ただいま上程になりました法案に対しまして、簡単に、日本共産党は絶対反対の意見を申し述べるものであります。第一次世界戦争が済みました直後に、ドイツもいわゆる外資導入、とりわけ米国資本の導入に期待するところが多うございまして、株式会社による資本の調達を容易化するために立法の変更をなすべきやというような問題が業界、学界の問題になつたのでありまするが、一九二四年のドイツ法曹大会における問題は、われわれが米国資本が得られるかいなかではなくて、いかなる条件をもつて得られるかであると述べたフレヒトハイムの言説は、大いにここに傾聴に値いする愛国的な響きを持つておるものと確信いたすのであります。なんとなれば、金融資本の力というものは、きわめて完全な、政治的な、独立的な形態を有するところの諸国家さえも、あらゆる経済的あるいは国際関係上の力を持ちまして、その独立を危うくしたほどの力を持つておるものだからであります。こういう点について、このたびの商法改正は何らの手を打つていない、条文の言葉の上をなでまわすならば、この根本的な民族産業の自主性、民族の独立という問題について、木を見て森を見ず、こういうような非難をわれわれは後世のわが民族から浴びせられることを強く警戒しなければならないと思うのであります。
 また第一次世界戦争が済んだ後に、ドイツはいわゆる外資導入をやつて行きましたが、その外資導入の仕方によりまして遂にドイツの軍需産業の勃興となり、それを通じてドイツにおける国際独占資本の活躍強化と相まちまして、遂にはナチス勃興の経済的な、政治的な基盤となり、あの第二次世界大戦に突入して行つてしまつたという、こういう厳粛な歴史的な経験を―今われわれは東洋の軍需工場であるとか、あるいは反共基地とするとか、あるいは軍事基地化というような問題がやかましく問題になつておりますときに、このことをわれわれは忘れてはならないのであるけれども、このたびのこの商法の内部には、何らそれに対して対策が立てられていないばかりでなく、むしろこういうようなきわあて危険な外資、こういうものに対する、あるいはこの前口を開いたような、露拂い的な、どうぞ何でもかんでもいらつしやいというような危険を確かに見届けないわけには行かないのであります。
 最近の見返り資金千三百億、これが従来のように、單に融費とか、あるいは外部的な融通とかいうものでなくて、今年に入つて公企業に対する四百億、私企業に対する、民間企業に対する四百億は、明らかに直接投資として、それらを直接握つて行くという傾向が顕著に現われておるのであります。しかも、民間企業に対するこの見返り資金の運営のやり方は、自主性がないばかりでなしに、結局特殊銀行―金融機関に流し込まれて、金融機関を通じて一般的な企業を大きく支配して行くという傾向が現われていることも見のがすわけに行きません。こういうような問題のときに、一例を引けば興銀の増資の例のように、この見返り資金の運営と償還株というようなこの結びつき、ないしは最近の外国技術パテントの導入というような問題、そうして内国産業資本の五〇%前後の株式をとつて行くのでありますけれども、それは結局増資規定の手続の廃止、同時に現物の出資規定の改正と相まちまして、こういうような問題が、当面わが国の民族産業ないしはわが国の経済再編成の上にきわめて大きな影響を持つものであり、この点を無視してこのたびの商法改正を論ずることは空理空論であると私たちは確信いたすのであります。(拍手)
 最後に一点だけ―商法の改正というものは、こういうように外資、内資ともどもに手を結び合いました結果は、たいへんな民族産業の破壊となり、低賃金、労働強化、首切り、あるいは低米価、重税、そういうようなもので、非常に特別な独占利潤、超過利潤を獲得するために、われわれはひどい無権利と、ひどい収奪のもとにさらされるのでありまして、手形法や小切手法というような技術法の改正と違いまして、商法の改正、会社法の改正というものは、われわれの生活の中に広く深く影響を持つものであるのであります。しかしながら諸君、われわれの先輩は、あの明治十二年から二十六年にかけて、仏人のボアソナードが起草しました民法典の施行に関して、いわゆる法典論争の、大きな熱情をこめた、真剣な、十分慎重な闘争をやつたのであります。これは昭和二十六年の七月一日以降に行つてはならない。それまでにぜひ施行しろというようなこの一文に追い立てられて、何でもかんでも自主性を失つて、(発言する者あり)多数決で問答無用的に押しまくるという、今のやじの言葉がはつきり正直に証明しておる。こういうやり方こそが、最もわれわれは自主性を喪失したものと思う。過ぐる地方税のあの通過のことを思い起して、われわれは、その自主性のないことをここに指摘しなければならない。これをわれわれは反対の大きな理由に掲げざるを得ないのであります。
 皆さん、講和条約締結前におきまして、このように日本の経済的な城明け渡しのような情ない外交に対してホーム・グラウンド―野球ではないがホーム・グラウンドを提供し、そのルールも向うさんの外資のルールで、日本服従、はつきけと明け渡ししてしまうという結果になる。結局、民族独立のために戦争に反対し、軍事基地化に反対するために、平和を確保するために、われわれはこの商法改正には絶対反対の意を表明せざるを得ないものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 参議院から生活保護法案が回付せられました。この際議事日程に追加して右回付案を議題となすに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 生活保護法案の参議院回付案を議題といたします。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。
 明三十日は定刻より本会議の開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十一分散会