第007回国会 本会議 第46号
昭和二十五年五月一日(月曜日)
 議事日程 第四十四号
    午後一時開議
 第一 日本放送協会経営委員会の委員となるべき者の指名につき同意の件
 第二 電波監理委員会委員長及び委員任命につき同意の件
 第三 国家行政組織法の一部を改正する法立案(内閣提出、参議院回付)
 第四 商工会議所法案(足島一郎君外八名提出)
 第五 国土総合開発法案(内閣提出)
 第六 農林水産業施設災害復旧事業国庫補助の暫定措置に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 吉田内閣不信任決議案(苫米地義三君外七名提出)
 吉田内閣不信任決議案(野坂參三君外三十五名提出)
 熱海国際観光温泉文化都市建設法案(本院提出、参議院回付)
 伊東国際観光温泉文化都市建設法案(本院提出、参議院回付)
 熱海国際観光温泉文化都市建設法案(本院議決案)
 伊東国際観光温泉文化都市建設法案(本院議決案)
 日程第一 日本放送協会経営委員会の委員となるべき者の指名につき同意の件
 日程第二 電波監理委員会委員長及び委員任命につき同意の件
 日程第三 国家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
 日程第四 商工会議所法案(星島二郎君外八名提出)
 日程第五 国土総合開発法案(内閣提出)
 日程第六 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律案(内閣提出)
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律案(内閣提出)
 両院協議会協議委員の選挙
    午後二時二十一分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、苫米地義三君外七名提出、吉田内閣不信任決議案及び野坂參三君外三十五名提出吉田内閣不信任決議案の両案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 苫米地義三君外七名提出、吉田内閣不信任決議案、野坂參三君外三十五名提出、吉田内閣不信任決議案、右両案を一括して議題といたします。順次提出者の趣旨弁明を許します。苫米地義三君。
    〔苫米地義三君登壇〕
○苫米地義三君 私は、共産党を除く野党各派を代表いたしまして、吉田内閣の不信任案に関する趣旨弁明をいたすものであります。
 まず決議文を朗読します。
  吉田内閣不信任決議
 衆議院は、吉田内閣を信任せず。
  右決議する。
 衆議院において絶対過半数を擁する自由党を與党とする現内閣は、施政ここに一年、その反動的性格と政策の破綻は、外に国際信用を矢墜し、内に国民の不信を招き、特にその弱肉強食的施策に対する民衆の怨嗟の声は、近米急速度に高まつているのであります。
 まず第一に、吉田内閣は自主的政治信念を喪失しているといわねばなりません。その理由とするところは、昨年の春以来、日本経済復興の基本政策において、盲目的にドツジ・ラインに便乗いたしまして、まつたくその自主性を失い、日本経済の実態に沿わないデツレ政策によつて国内に無用の摩擦を生じ、産業の不振を招来しているこの現実からであります。(拍手)もとより、われわれは連合軍の占慮下にあります。その好意と援助によりまして今日回復を見ているのであり、経済安定の九原則に対しましては心よりこれに賛意を表するものでありますが、これが実施については、いかにすれば日本経済の実態に朗応して、国民の苦悩を最小限度にとどめつつ復興をはかることができるが、いかにすれば国民生活を円滑に引き上げることができるかという点について、行き届いた、思いやりのある政策が打たれねばないのであります。(拍手)しかるに、ドツジ・ラィンを日本経済の実態朗応させつつ有効適切に実施するだけの良心的配慮を欠き、またこれに伴う必要な修正を懇請する努力さえなく、今日の窮状に追い込んでしまつたのであります。(拍手)かかる自主性なき政治は、断固としてこれを斜弾しなければなりません。(拍手)
 二十五年度総予算案を初めといたしまして、新給與法案、地方税法案等の審議をめぐりまして、この政府の自主性なき政治行動は、遂に国権の最高機関たる国会の審議権にまで累を及ぼし、修正案提出の自由までが拘束されるに至つたことは、はなはだ遺憾至極あります。(拍手)これらの重要法案審議にあたり、政府は、絶対多数の與党をして、ほとんど暴力的な議会運営を行わしめ、與党のみで討論、採決を行うといつた、議会史上いまだかつて見ない事態を惹起したのであります。国民をして、国会の自主権なくして民主政治存在の意義ありやいなやを疑わしめるに至つたことは、新憲法史上の一大汚点といわねばなりません。(拍手)これはまさしく議会主義による政党政治にとつて戰後最大の危機が訪れているのであつて、この一点から見ましても、現政府は、その責任の重大なるを感じて、その責任をとらなければならぬと思うのであります。(拍手)
 次に、新しき日本が敗戰の教訓から学びとつた崇高なる新憲法の精神が、吉田首相の外交問題に対する見解によりましてほとんど蹂躙されんとしていることは、きわめて重大な事柄であります。(拍手)吉田首相は、しばしば單独講和もやむなしとし、また連合軍の最高責任者たるマツカーサー元帥が、日本の将来をもつて「太平洋のスイスたれ」と、中立への道を示唆されているにかかわらず、ややもすれば中立堅持について疑念を抱がしむるごとき談話を発表し、国論の分裂を導いていることは、武装を放棄し、恒久の平和を願う日本の前途に暗影を投じたものであります。
 吉田総理は、外交のことは軽々しく口にすべきでないと言われております。このことたるや、われわれもきわめて回想でありますが、しからば、單独講和、中立放棄を思わすごとき言動を放つて国民に不安の念を與えた点について弁解の余地はございません。(拍手)外交問題は、実に全国家、全国民をあげての重大問題でありまして、いやしくも一党一派の独占すべきものではありません。外交問題につきましては、各党各派はその政争の外に置き、互いに胸襟を欄開いて祖国の運命のために協力すべきものであります。われわれは、かねてより超党派外交を提唱し国論の無用な分裂を防ぎ、挙国一致の団結を確保するために、必要あらば党首会議のごときことすら行うべしと主張し、現在においても、この信念を堅持いたしておるのであります。しかるに、この重大問題に対する吉田首相の態度は、あたかも本問題を首相個人によつて独占し、他党はもちろん、国民の輿論すらも聞かざるごときありさまであるのは、まことに非民主的態度であると非難せざるを得ないのであります。(拍手)しかも、この独善的、非民主的態度をもつて実施せんとする政策は、あまりにも他国にのみ依存し、日本国民の真の声を忘れた事大、卑屈の態度といわねばなりません。日本国民の真の声は、平和と中立と、そのための日本国の完全独立の回復であります。かくのごとき世界の正義に通ずる国民の叫びを無視して、まつたく自主性を失つて、いたずらに投機的に一方に偏する政策を推進するならば、まさに日本人の良心は政府によつておおわれ、国際信用の回復を遅らせるのみならず、日本民族千年の方向を誤ることは、火を見るよりも明らかであります。(拍手)
 さらに吉田内閣の財政経済政策に至つては、まつたく総合的経済計画喪失した、その日暮らしの御都合主義であると申さねばなりません。(拍手)貨幣の安定、インフレの收束のみに重点を置いた弱肉強食の自由放任政策のため、そのしわ寄せは必然的に中小企業者、農民及び労働者の生活を脅威することとなつたのであります。ことに本年度予算の審議を通じて国論の反撃を浴びた国債償還千二百八十億の計上のごとき、しやにむに強行する結果は、そのことの不安が心理的に産業界に電大な影響を與え、また現実にデフレ現象を一層に深めて、不景気を深刻にしているのであります。(拍手)
 農業政策については、自由と統制の調整に混乱を生じ、一環した方策もなく、日本農民をして農業経営に多大の不安と困惑を感せしめていることは、農業軽視の現われであつて、わが国の現状にとり、まことにゆゆしき事態であります。また現内閣の弱点たる労働政策は、人事院勧告のベース改訂無視といい、国鉄裁定の不履行といい、ことごとくその当を失し、公務長法、公共企業体労働関係法等の立法趣旨を蹂躙して、あたかも労働者に挑戦するがごとき、態度は終戦後の歴代内閣にいまだかつてない驚くべき反動的態度であると指摘しなければななりません。(拍手)
 最後に、昨年夏以来、吉田首相並びに池田大蔵大臣は、盛んに減税を宣伝して、巧みに国民の歓心を買わんとして来たのであります。なるほど国税においては減税が行われましたが、地方税においては増税となり、かつ地方税法案なるものをしさいに検討すれば、まさに苛斂誅求に国民を泣かしめるものがあります。(拍手)なおまた、法案の審議を通じ予期以上の重税の賦課が明らかになつた今日におきまして、地方税反対の声はほうはいとして全国をおおいつつあることも、けだし当然であります。(拍手)しかも、この悪税法案の通過を国会の終末に強行せしめんとする政府の企図は、文字通り弱い者いじめのはなはだしいもので、民意に対する挑戰をあえて行わんとするんのと断ぜざるを得ないのであります。
 これを要するに、政府は諸般の施策ことごとく当を失し、あまつさえ五井産業事件を初め、鉱工品公団本件のごとき綱紀紊乱を惹起していることは、きわめて重大な事柄であります。今日、もしこの反動的傾向の著しい内閣が引続き施政を担当するならば、吉田首相の独裁的性格と、自由党の多数を頼む横暴によつて、健全なる民主政治の発展はとうてい期待することができないのであります。(拍手)ここに野党各派は、国民の声を代表し、野党当然責務として、かかる内閣の存在はもはや一日も容認すべきでないことを痛感し、あえてここに吉田内閣を信任せざることを明確にせんとするものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 聽濤克巳君。
    〔聽濤克巳君登壇〕
○聽濤克巳君 私は、野党連合を除外した日本共産党独自の吉田内閣不信任決議案を提出いたしまして、これに対する趣旨弁明をいたします。
 まず最初に不信任決議案を朗読いたします。
 衆議院は、吉田内閣を信任せず。
  右決議する。
 今日、日本民族が有史以来最大の危機に立つているときに、吉田内閣は、今国会におきまして、その━━━本性を余すところなく暴露いたしました。(拍手)第一に、日本国民の主権を放棄していることであります。吉田首相という人は、ワンマンとまで言われまして、独裁者のごとくふるまつておりますけれども、これは日本国民に対してだけであつて、日本の外に対しましてては、彼はまことに━━━━を振るようなかつこうをやつている。(拍手)
    〔発言する者多く、職場騒然〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
○聽濤克巳君(続) その証拠に、吉田内閣の政策は自分のものではありません。すべて、おしいただいたものである。今国家予算にいたしましても、二十五年度予算はドツジ予算、あの税制改革にいたしましても、シヤウプ案と言われでいる。あるいはあの見返り資金にいたしましても、ただの一文だつて自分では自由に使えない。自主貿易だとか何とか言つておりますけれども、一体日本のどこに自主性があるか。(拍手)これらの事案につきましては、ここに居並んでおられる與党の諸君といえども、よもや異存はないだろうと思う。
 特に今度の地方税法案の審議において、吉田内閣は何としたか。新聞にも出ているように、関係方面から修正一切まかりならぬと国会に申入れがありました。政府は、それとばかりに與党を督励いたしまして、多数をもつて一挙に審議を打切つて、実は自由党の議員ばかりで衆議院を通過させてしまつたじやないか。(拍手)前代未聞の惜置であります。だが、これでは、いわゆる有力意見がありさえすれば、国民の代表である国会の審議などはどうでもよろしいということなんです。吉田内閣の御ために、日本の国会は、今やかつての翼賛議会以上になりつつあります。(拍手)これで日本の政府とは聞いて驚くばかり。日本国民の主権を失わせておるものは、すなわち吉田首相その人なんだ。(拍手)
 第二は、講和に対する吉田内閣の━━━態度であります。講和と独立には二つの道はありません。その道はただ一つ、ポツダム宣言に基く全面講和を獲得するために全国論を統一し、全国民をあげてこれに奮闘努力することである。しかるに吉田内閣は、さきに單独講和を主張しておりましたが、今国会におきましては、あるいは多数国講和を口にするかと思えば、あるいは戰争終了宣言を期待したり、あるいは條約なき講和を企図したり、ますます国民を混乱に陥れることに努めております。どうしてその都度その言うことがかわるんでしよう。しかも、どうかわりましても、全面講和ということだけは決して口にいたしません。こればなぜでしよう。(拍手)それは吉田内閣が、日本の独立の問題である講和についても、例によつて日本のために行動しているのではなくして、国際独占貸本の反ソ反共政策を日本に実行しようとしておるからだ。(拍手)その証拠に、講和を口にしながら、日本を外国の軍事基地にすることに協力しておるのは何のためだ。(拍手)また講和を口にしながら、講和の当の重要な相手国であるところのソ同盟や中国に罵詈雑言を浴びせ、しかも、あのすさまじい反ソ反共宣伝にうき身をやつしているのは、一体だれに頼まれているのか。さらに講和後も末長く占領軍に日本にいてもらいたいというような、こんな講和を主張するのは、それでも日本のための講和なのか。(拍手)これは外国のための講和なんだ。これでも吉田内閣が日本の利益を擁護する日本の政府だなどと、だれが言えるかというんだ。
 第三には、吉田内閣が日本を軍事基地にすることに進んで協力していることであります。問題は、ポツダム宣言による占領下の日本の状態からはるかに進みまして、世界戰争のための恒久的軍事基地になりつつあるということであります。自由党の諸君は、日本の軍事基地化などということは、共産党の宣伝だと申します。(「その通り」と呼ぶ者あり)どういたしまして、諸君の同僚である吉田首相その人が、今国会で、わざわざ軍事基地の設定に協力することをさして、占領下日本の義務だとまで公言しているじやないか。(拍手)これくらいはつきりした証拠はないじやないか。それどころか、日本のどこそこに幾つ海軍基地や空軍基地などがあるということまで、アメリカや日本の新聞が、公然と繰返して報道しているじやないか。(拍手)まさに世界周知の事実である。一体自由党の諸君は、新聞もお読みにならないのか。
 しかし、こんなことはどうでもよろしい。問題は、日本が軍事基地になるという恐ろしい事実である。いくら占領下だからといつて、日本の義務だなどといつて、これが一体すましておられるのか。もしこれが占領下日本の義務だと吉田首相が強弁するならば、よろしい、証拠を見せてもらいたい。そんな義務は、ポツダム宣言や、降伏文書や、あるいは降伏後における米国の初期の対日方針の中のどこに書いてある。(拍手)これらの嚴然たる国際文書には、逆に日本を徹底的に非軍事化することこそ日本の絶対的な義務であると明記しであるじやないか。(拍手)
 私は、過日、外務委員会におきまして、二の問題について吉田主相に質問を試みました。ところが、彼は最後にどう言つたか、進駐軍に聞いてくれと言つたんだ。まことに御名答であります。だが、日本にとつては何と情ない、危険きわまる御名答でしよう。吉田首相は、講和どころか、実際外国のために日本全体を軍事基地に提供しようとしつつある。これでも国を売るものでないと、だれが言えるか。
 第四には、吉田内閣は戰争準備に協力する態勢を着々と押し進めていることであります。吉田首相は、戰争はここ数年ないと確信すると言明しておりますが、これはおおかみが羊の鳴声をするのに似ておる。たしか東條も、これに似たようなことを言つたはずであります。日本の軍事基地化に協力しておいて、戰争がないとは、一体何という言いぐさでしよう。(拍手)そればかりじやない。最近産業では、軍事産業復活の傾向がきわめて顕著である。八幡製鉄所では艦船用の厚鋼板が製造され、窒素工業では、至るところ塩化ビニールが製造されておる。今まで肥料をつくつておつた工場で航空機燃料がつくられたり、爆薬さえつくられておるじやないか。山口県とか愛知県には大きな石油基地まであります。今国会で明らかになりましたことでは、このほかに公共事業だとか、国土開発だとか、平和都市だとか、あるいは観光事業などという美名のもとに、道路や港湾の建設が着々ともくろまれておる。ちまたには土建景気だとか戰争景気などという言葉さえ流れまして、明らかに軍事インフレ的気構えが横溢しつつあります。
 今や吉田内閣が、全産業、全農業、貿易などすべて日本を軍事植民地的方向に再編成しつつあることは、今国会の審議が明らかにしておるところであります。たとえば貿易だ。自由党は、中日貿易促進の決議案の通過を故意に遅らせているとさえいわれております。そうしておいて韓国や、沖縄や、台湾や、フィリピンや、東南アジア諸国を貿易の相手国として選んでおる、しがし、一体これらの国々はどういう国なんだ。一体あの台湾が明らかに示しておるが、あれはまさに孤城落日の島だ。しかも、これらの国々には、非常に広汎な民族解放の運動が発展しております。今や、これらの国々に対しましでは、この国々で発展しておる民族解放運動を弾圧するために、経済的、軍事的援助政策が着々と行われておりますが、吉田内閣の貿易政策が、まさにこの一環であることは明らかであります。しかも、この方向は、太平洋反共軍事同盟への道を準備すること、これまた間違いありません。(拍手)
 かくのごとくして、日本は極東の防共基地として、世界中に知れ渡つてしまいました。日本は今や反ソ反共の前線雑地となつて来た。しかも、それはだれのためか。中ソ友好同盟條約が、日本からの侵略の危険を指摘して、これを防止して極東と世界の平和を維持する宣言をしたのは、実はこの事実をさしていつておるのであります。かつて東條のもとにおきまして、防共のための東亜における安定勢力という宣言がなされたとたんに戰争は起りました。極東の防共基地とは、明らかに戰争の前夜を意味しております。(拍手)吉田内閣は、一体だれのために日本をこんな危險な関頭に追い込めているのか。
 第五には、吉田内閣は、旧反動勢力の復活や、反ソ反共排外運動や、少数民族の圧迫や、日本人民の民主的大衆運動の弾圧によつて日本帝国主義の伝統を復活しつつあることであります。(拍手)旧関東軍の極悪非道を物語つておる、かの細菌戰犯問題が公表されますると、そのとたんに、主要戰犯の一人、元軍医中将石井四郎は突如姿をくらまし、吉田内閣は、何ゆえか、これをそのまま放置しておる。旧日本軍人の台湾密航説が盛んな最中に、生き証人として台湾から帰国して来た元中佐吉川源三も今日また行方知れず、何ゆえか吉田内閣は、これをこのまま放置しておる。あるいは秋田県の花岡鉱山、信州木曽谷における中国人捕獲の大虐殺事件についてもすでに嚴重抗議を発しておる在日華僑総会に対しまして、いまだに責任ある態度を明らかにしていない。ざらに在旧朝鮮人に対する弾圧に至つては、もはや数え切れないほどある。しかし、最近吉田李承晩密約説さえ報道されて、今日在日朝鮮人は、強制送還の恐怖にさらされております。
 以上私が述べましたこれらの事実は、実は日本侵略戰争の犯罪と残虐さを再び世界の前に明らかにしております。この侵略戰争の罪悪は、特にほかならない中国、朝鮮、ソ同盟に対して加えられたものであります。しかも、戰後三年にもなつて、今もつて吉田内閣のもとにおける日本は、これらの残慮に対して再び悪意ある宣伝と敵対的行動をとりつつある。私は、この事実を心の底から憎まざるを得ません。引揚げ問題、徳田要請問題、手島返還運動、台湾領有問題など飛び出すような百鬼夜行のこの反ソ、反中国の排外運動こそ、実際に日本の人民と中国などの他民族の血でよごれました、あのきたない好戦的日本帝国主義の伝統復活なんだ。(拍手)その頂点に立つておるものが徳田要請問題である。日の丸梯団という戰犯的フアシスト分子の片言隻句をもつて、連合国の一員であるソビエト同盟政府の権威ある公表を否定しようとしておりますが、(笑声)この柄のないところに柄をすげて戰争の口実にするというのは、帝国主義者の伝統的やり方である。それは挑発と恫喝との常套手段である。
 しかし考えてみると、ソ同盟政府と吉田内閣とは、ライオンと子ねこであります。昔から子ねこがライオンを脅迫したという話は聞いたことがない。だが、確かにこの子ねこがライオンに恫喝を試みようとしておる。一体何か。この逆現象は、子ねこが、とらの威を借りてのみやれることなのである。(拍手)徳田要請問題とは、吉田内閣のもとにおける日本の国家が、昔さながらの反ソ軍国主義的性格を他人の力を借りて復活しつつあることを明瞭に物語つております。ポツダム宣言下の日本において、かくのごとく公然と好職的日本帝国主義のあらゆる伝統が復活されておる事実に対しまして、私は目を見張らざるを得ないのであります。私だけではない。世界中が日本を見張らざるを得ない。なぜか。それは世界の平和の脅威が再び日本に現われて来たからだ。しかし、これは歴史が示すように、日本民族にとりましては滅亡と没落の道であります。吉田内閣は、一体だれのために日本にまたまたヒトラーや東條の歩んだ道をもう一ぺんふませようとしておるのか。(拍手、発言する者あり)
 しかし、この吉田内閣に対しては、すでに世界及び日本の輿論は、世界平和の敵としてこれを弾劾しております。ソ同盟と中国の両国は、中ソ條約が示すように、明らかに吉田内閣を帝国主誰者として弾劾しております。このほか、世界を包む巨大な平和擁護運動と民族解放運動に参加しておる数億の人民がおります。この勢力はアメリカにもあります。これほど大きな世界の平和勢力、特に偉大なる平和の基地ソ同盟にたてつこうとする吉田内閣に、蟷螂のおのを振るような状態であります。(拍手、発言する者あり)日本国内においても、平和と全面講和を要求し、戰争に反対する者は、科学者、芸術家、労働者、学生、青年、婦人の間にみなぎり、四月一日から六月末にかけて行われまする平和投票運動は、今や全国の工場、学校及び家庭、さらに各市町村に広がりつつあります。皆さん、千華県の九十九里の片貝町の町民や漁民は、今何のために闘つているか。市長選挙に次いで行われました去る二十一日の京都府知事選挙において再び民主統一戰線が勝利をした事実を、吉田内閣は何と見るか。これこそ一蜷川候補の勝利ではない。明らかに吉田内閣の政策にに反対し、平和と独立を欲求する日本の人民の勝利であります。(拍手) 実際に吉田首相がもし名将ならば昔のことわざではないけれども、桐一葉落ちて今や自分の命運をさとるべきときが来たのだ。(拍手)
 平和と独立のため、そして日本民族の有史以来の危機を救うために、わが党は、日本の愛国的全国民に対しまして民主民族戰線を提唱している。中国人民の勝利も、この方法によつて得られました。日本の人民の努力も、巨大な世界の平和努力と結合させ、やがて何ものをも圧倒する力になることは必至だ。(拍手)日本の民主民族戰線は必ず勝利する。日本の民主民族戰線の勝利のために、世界の平和と民族の独立のためにも、わが党は吉田内閣の即時退陣を要求いたします。(拍手)われわれは、ただに議会において要求するのみではない。議会のそとにおいても人民を結合して、必ずや吉田内閣、その反動的勢力の一掃のために徹底的に闘うことを声明して終ります。(拍手)
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(幣原喜重郎君) ……(発言する者多く、聴取不能)聽濤君り発言中不穏当の言葉があれば、速記録を取調べの上適当の処置を満することといたします。
 これより討論に入ります。植原悦二郎君。
    〔植原悦二郎君登壇〕
○植原悦二郎君 私はへただいま議題になつておりまする吉田内閣不信任決議案に対して、自由党を代表して反対の意思を表白するつもりであります。(拍手)
 実を申しますると、新たに結成されましところの国民民主党の委員長たる苫米地君に対しては非常なる敬承を表し、きわめて、愼重なる態度をもつて苫米地委員長の申される言々句々を拜聴いたしたものであります。
 私が申すまでもなく、皆様方御承知り通り、内閣を退却せしむる三つの道があります。政党内閣のものにおいて、三つの道以外に内閣を退却せしむることはできません。その一つは、御承知のごとく内閣自体が、與党の少数党になることによつてこれを失うことであります。もう一つは、内閣の生命を賭する重要なる法案が衆議院において敗れました際であります。次にもう一つ内閣を退却せしめる方法は、内閣に対して、諸君の御提案のごとく不信任案を提出する場合であります。もちろん、この不信任案を提出するにつきましては、その内閣を支持するところの政党が国民に公約したるところの改革を実行しあたわざりし場合であります。(発言する者多し)諸君に、国家国民のために静かに御清聽を煩わす。
 昨年の一月総選挙を行いまして、その総選挙においてわれわれが国民に公約したことは、皆様方御承知でおりましよう。第一に、国家の財政経済を破壊するところの悪性インフルを収束せしむるということであります。(拍手)第二に私どもが国民に公約いたしましたことは、東條がヒトラーのまねをいたしまして、国家社会主義的統制経済を行つて日本の経済を混乱せしめた。われわれは、これを漸次自由経済に引きもどすということを公約いたしました。(拍手)さらに私どもが国民に公約いたしたことは、行政整理を徹底的に行つて、国家の行政をあらゆる部面において合理化するばかりでなく、民間のすべての企業家にこれをならわしめて日本の産業の合理化をはかり、健全なる発達を期するということであります。(拍手)さらに私ども国民に公約いたしましたことは、できるだけ外貨を導入して日本の経済の復興に資するということでありました。(拍手)さらに私どもが国民に約束いたしましたことは、できるだけ政局を安定せしめ、国民の生活の不安を除き、経済の復興を順調ならしめて講和條約の促進をはかるということでありました。(拍手)
 野党の方々が感情にとらわればいざ知らず、しからざる限り、冷静に御判断なされば、われわれは、この一年三月の間にこの公約を着々実行しておることに対して、天下国民一人の疑惑を抱く者はないと確信いたしておるのであります。(拍手)野党は、ややもすれば政策の行き詰まりであるなどと申されますが、御承知のごとくインフレを今日収束せしめないと、国民のだれ一人が叫びますか。(拍手)それのみならず、反対党はややもすれば、インフレ収束のために日本の経済が破滅するがごとく宣伝されますが、今日の経済状態は、物価の部面を見ましても、労働方面を見ましても、生産の方面を見ましても、外国貿易の方面を見ましても順調に進行しておることは、天下国民の認むるところであります。(拍手)かような見地に立ちまして、冷静に御判断を願わなければならないのであります。
 さらに私どもは、予算の場面について皆様方に申し上げましよう。御承知のごとく、昭和二十五年度の予算は、総額において前年度の予算に比較して約一千億の減額を見ております。そればかりでなく、日本のごときみじみな敗戰国にして、三年や五年の間に九百億以上の減税を企てました内閣は、ほとんど世界に比類ないと申してもさしつかえないと信ずるものであります。(拍手)もちろん、この九百億は全部減税ではありません。皆様方御承知のごとく、県知事も市町村長も直接選挙になつて、日本に知事制度は確立されました。おそらく共産党の方でも、民主主義を行う上には、自治制度の確立、しかもこれに経済が伴なわければならないことを認めない者は一人もございますまい。しからば、自治制度を完成するために、新しい税法によつて、地方に対して四百億の増税ははかつておりまするけれども、税制全体を通じて三百億の減税であることは、おそらく諸君も御否定なさることはできますまい。(拍手)
 そればかりではありません。戰後の失業問題を取扱います上においては、何といたしても公共事業以外に道がないのであります。それゆえに、現内閣は、二十五年度の予算において約九百八十億円内外の公共事業費を見積つておることを、皆様御否定はできますまい。(拍手)さらに国民の要望でありまするところの六・三・三制度につきましては四十五億の費用を計上いたしておることもお認めでありましよう。また日本のような国におきまして、災害復旧の多いことはもちろんでありまするけれども、災害復旧に対しても約三百七十億、それのみではありません。不時の明年度に対する災害に対しても百億以上の予備費を計上しておることは前例のないことであることを皆様方御承知なさい。
 共産党の方に申し上げます。共産党は、吉田内閣を不信任なさるについては政策の問題をお言いなさるので、吉田内閣がこれまで実現した政策をごひろう申すのに、皆様方これに耳をかさないで天下の信頼を得ようなどということは、とんでもないことでございますことを、御承知願いたいのであります。(拍手)
 かようにお考えになりまするときに、どの方面から見ましても、皆様方の吉田内閣不信任案の理由は、野党の諸君御自身にはおおかりでありましようが、国民全体に納得せしむることはできない。さらに諸君に申し上げます。吉田内閣は、まだ成立後一年二、三箇月でありますが、八箇月存在いたしておつた片山内閣や芦田内閣と実績を比較して、皆様方冷静に御判断なさつて、どうお考えになりますか、伺いたいものでございます。(拍手)人を責むるには、まず自分の胸に手を置いてお考えになることが非常に重大なることを御承知願いたいのであります。(拍手)
 もちろん、われわれが声明したことで、実際にまだ完全と申されないことはあります。と申しますことは、国民の生活の安定に対しては、実は食糧の問題はほぼ解決されました。衣料の問題もほぼ解決されましたが、住宅の問題はまだ完全とは申されません。木材、家屋建造の制限を撤廃いたしまして、これに対しても百数十億の予算が計上されたことをごらんになりましたならば、いかに国民生活の衣食住に対しても吉田内閣が注意を拂うかということが、おわかりであろうと思うのであります。(拍手)
 そのほかに、もう一つ皆様方に申し上げなければならないことは、講和條約の促進であります。講和條約がまだ遅々として進まないことに残念しこくであります。講和條約をなるべく早く締結したいことは、今日全国民の要望なりと考えますが、これに対して私どもが考慮をいたさなければならないことは、まず政局の安定をはかること、経済の安定を企てること、人心の不安を除くことであることを考えますときに、議会の絶対多数を有し、政策をことごとく実行するところの内閣に向つて不信任案を提出して講和條約の促進を希望するなど、まことにとんでもないお言葉であると申さなければならないのであります。(拍手)講和條約の促進につきましては、議会の、しかも衆議院の絶対多数を有し、国民に公約したところの政策を着々と実行するところの政府より対外の信頼を得られる内閣は、おそらくないのであります。
 私は、この場合に特に苫米地君に申し上げたいのであります。苫米地君は、外交の問題については、国民がなるべく歩調を合せて、一致の行動をとらなければならぬということを力説されました。その通りであります。アメリカにおいても、英国においても、戰後の復興を企てるために、御承知のごとく、あの党派的に強い争いをしておるところのアメリカにおいても、近ごろは外交上は相提携しなければならないと言うて国論を統一しております。英国においてもその通りであります。むし苫米地君が、真に国家を思い、今日の現状を洞察して、一日も早く講和條約の成立を希望するならば、吉田内閣を支持することあつてしかるべきであることを、特に新党の委員長である苫米地君に御再考を願わしたいものであります。(拍手)
 世間はややもすれば、全面講和でなければならないというような御主張をなさる方があります。全面講和ができればごもつともでありまするが、一方に鉄のカーテンをおろして、すべての世界にその国内の事情をあからさまにいたさないような秘密主義をとり、冷たい戰争を世界各地に行つている状態である場合に、いかに全面講和が希望されると申しましても、これが実現できる可能性がございましようか。政治家は理想を持つことも必要であります。しかし、空論はだめであります。現実に……。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。――静粛に願います。
○植原悦二郎君(続) 現実に足を跡みしめて、しかも世界の大勢を見て、一番よろしい方向に向つて日本の国民をリードいたさなければならないのであります。現在のバルカン半島における光景、バルチツク海におけるところの光景、中国、北朝鮮におけるところの光景をごらんになれば、全面講和たどということは、永久に日本に講和をもたらないということと同一意義であることを御了承願いたいのであります。(拍手)これに対しては、おそらく民主党の方も御異存なかろうと思うのであります。(「――を取消せ」「――という国がどこにあるか」と呼ぶ者あり)
 さらに皆様方に申し上げます。近ごろ永世中立というような議論がありますけれども、第一次世界戰争、第二次世界戰争の歴史を皆様方御承知でありましようが、ルクセンブルグやベルギーがいかなる状態になつたかをお考えなさいましたならば、日本の周囲に冷たい戰争が行われておるときに、永世中立などということは、いかに夢見ても、一種の痴人の夢にひとしいものであるばかりでない。もし中立を維持しようとするならば、その国において、独自で四囲の状況に対立し得るところの力がなければ永世中立などということは維持できるものでないということを、この場合によく銘記していただきたいのであります。
 かように論じ来るならば、共産党の方がどうおつしやつても、吉田内閣弾劾の皆様方のお言葉、苫米地委員長の論旨ば、ここととく支離滅裂で、この場合に一願の値だもないことをよく御了承くださると思います。(拍手)――ならいざ知らず、眞に国家を思う者は、内閣を弾劾するなぞということは、きわめて愼重なる態度をとらなければなりません。私は皆様方が―――のためにこれをやるとは申しませんけれども、真に国家を思う者ならば、さようの態度をとらなければならないということを御了承願いたいのであります。(拍手)これをもつて苫米地君に対する弾劾……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)言葉は盡きております。
 さらに私は、共産党の聽濤君に対して一言申し上げます。聽濤君の御演説をことごとく拜聽いたしておりましたが、聽濤君は、ほんとうに日本の国民として、日本の国家を愛するために御発言なさつたと全国民がこれを聴取するかいなか、私は少からず疑問を抱くものであります。そればかりでない。日本が中国や朝鮮北部のごとくならざることを希望するものであるならば、現在の吉田内閣のとつておりますことは、すベてこれを肯定しなければならないことを御承知なさらなければならないのであります。聽濤君の御演説については、全国民に判断させた方がもつと正しい判断ができると思いまして、これ以上聽濤君の演説を問題とせざる方が私としては正しいことであると思います。
 これをももつて私の決議案対するところの反対の意思はきわめて明瞭である。必ずや皆様方御同意くださると確信いたすものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの植原君の発言中、言葉の間違いがあつたように思いますから、速記録を取調べの上……。
    〔「間違いとは何だ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然、聽取不能〕
○議長(幣原喜重郎君) ただいま議長の宣言は……(発言者多く、議場騒然、聽取不能)不穏当の言葉があれば、速記録を取調べの上適当の措置をとることといたします。
 三宅正一君。
    〔三宅正一君登壇〕
○三宅正一君 ただいま提案せられました内閣不信任決議案に対しまして、私は社会党を代表して賛成の趣旨を申し上げます。
 まず冒頭に申上げたいことは、私はひとり社会党を代表するにとどまらず、またこの決議が野党各派の共同提案となつているにもかかわらず、実質的には現内閣の悪政に憤激して、あるいは死をもつて現内閣に抗議し、あるいは補欠選挙において自由党を続々敗北せしむることによつて現内閣の退陣を要求しつつある国民大多数の声を代表いたしまして、吉田内閣を弾劾ぜんとするものであります。(拍手)
 われわれが吉田内閣を糾弾せんとする第一の理由は、講和外交に対する誤れる方針についてであります。平和国家として、世界の歴史にいまだかつてない特殊な地位を宣明したわが国として、講和会議こそは国家永遠の運命を左右する重大な分岐点であつて、もし一歩誤るならば、非武装、中立、平和の国是は蹂躙せられ、再び人類相剋の悲惨なる戰争に巻き込まれる危險があり、平和追求の理想は一朝にしてくずされるのであります。今や日本国民は、平和主義を堅持する立場から、こぞつて全面講和、永世中立、列国による史全保障並びに軍事基地化反対を信念化しているりである。(拍手)この線こそ、マッカーサー元帥のいわゆる東洋のスイスたれという声明にこたうるものであり、かつ日本国憲法の大精神を守るゆえんであります。
 国民のすべては戰争を心から憎んでおり一戰争を避けるためには何物をも犠牲にしても惜しくないと考えているのであります。もし特定の一国に対し軍事基地を供與いたしますならば、それは日本が中立を放棄して特定国の側に立つたことを意味し、不幸にして戰争が勃発した際は、他の特定国相手に戰いに巻き込まれることは火を見るよりも明らかでありまして、(拍手)いやしくも常識のある国民大衆は、きわめて正確にその心の中に読み取つているのであります。武裝を放棄して、国に一兵も持たざる日本としては、来るべき講和会議において、米、英、中、ソの四大国に対し、日本の永世中立を保障し、かつ日本に対する不可侵を相互に確約すべきことを要請する権利と資格があると信ずるものであります。(拍手)
 しかるに吉田内閣は、單独講和やむなしと解さるるがごとき意向を表明し、またわが国の軍事基地化についても、世上の疑惑を一掃する何ら明確なる態度を示していないのであります。しかも、国民および国民の代表である国会において講和に関し十分論議せらるることを好まざるがごとき態度を示し、秘密のうちに事態を運ぼうとする意図の看取せらるることは、はなはだ遺憾に存ずるところであります。(拍手)かかる吉田首相の態度は、講和会議に対する国論を二分し、平和主義に基く国民的信念に一大動揺を與える結果となるのであつて、吉田内閣の重大な責任といわなければなりません。かかる吉田内閣の態度こそは、平和を愛する国民の期待を裏切ることはなはだしきのであつて、かくのごとき政府をもつて講和会議に臨むことは、心ある国民の断じて賛成し得ないところであると信ずるのであります。(拍手)
 第二に、今や日本の経済は文字通り恐慌状態を現出し、ひとり大銀行と、これにつながる大産業が独占的な利潤をあげているほか、多くの企業は倒壊に瀕し、一面輸出の進展は思うにまかせず、失業者は続出して生産の復興と生産力の向上、国民雇用の増大はまつたく絶望視せられるに至つたのであります。これすなわち政府が強行しつつあるデフレ政策の結果であつて、さきに第一次吉田内閣の石橋財政において、インフレ政策を実施しつつ、ケインズ学説を歪曲、引用してインフレを否定し、遂にインフレを破局的状態に導いたりてあり、現在の第三次吉田内閣の池田財政は、デフレ政策を強行しながら、ドツジ・ラインに藉口してデフレを否定しているのである。しかも、インフレにせよ、デフレにせよ、自由党内閣の経済政策が、国民大衆の犠牲において大資本に奉仕する、良心を失つた資本主義的政策であることは、すでに何人の目にも明らかなる事実であります。(拍手)
 池田大蔵大臣は、渡米の重要目的の一つをドツジ・ラインの修正に置き、それに必要なる資料を携えて行つたそうであるが、参議院選挙目当のゼスチュアでなければ仕合せであると存ずるのであります。(拍手)また池田大蔵大臣の渡米そのこと自体は、政府みずかちデフレによる深刻なる現状を確認するに至つた何よりの証拠でもあるのであります。しかも、経済界の症状はいよいよ悪化して、産業は危殆に瀕し、国民の間には経済的破産による自殺者を続出し、悪質なる経済犯は日を追うてはなはだしくなりつつあつて、かかる事態を招来した吉田内閣の誤まれる経済政策と対策の貧困とは、国民の名において断固として糾弾しなければならぬものであると存ずるのであります。(拍手)
 第三に、吉田内閣は、その労働行政において極端なる反動政策をとつているのであります。かつて吉田首相は、労働運動の指導者をさして不逞の徒と呼び、その反動的性格を暴露したのでありますが、最近の吉田内閣の労働政策は、このような素朴にして幼稚なる表現をもつて無用の感情を刺激するかわりに、組織的かつ計画的に労働運動抑圧の手段をめぐらし、憲法に認められた労働者の基本的権利を大幅に制限するのみならず、労働者の人間として生活する権利を拒否し、法律によつて定められた給與改訂に関する人事院の勧告を無視し、中労委による仲裁裁定の実施を認めず、一年余にわたつて六千三百円ベースのくぎつけを強行し、二次にわたる国鉄裁定を否認して、その間国会の承認を求めるについて、政府の一方的解釈をもつて押し通し、さらにまた裁判所の判決にもかかわらず、これを反省することなく、あくまで抗弁を続け、さらにみずかち法規を蹂躙して、てんとして恥じざるの状態であります。その結果は、生計費の騰貴と伴つて実質賃金は低下し、公務員の生活はいよいよ窮迫し、さらに民間の労働者に至つては、賃金の遅欠配はいよいよ深刻に、かつ普遍化してしかも絶えず失業の脅威にさらされている現状であります。それらに対して、政府は何ら対策の見るべきものなく、労働者はまつたく餓死線上を彷徨しているのであります。しかも民主的労働組合は、法内闘争のわく内において規律ある運動を続けているのでありますが、これに対し、政府はみずから憲法を蹂躙し、法規を無視する非合法の態度に出ているのであつて、かくて労働不安はむしろ政府によつて激成されるという状態にあるのであります。(拍手)すなわち、労働政策に関する限り、吉田内閣の動きはまつたくフアツシヨ的行動ともいうべく、かくて産業経済の真のにない手である労働大衆を敵とする吉田内閣に、民主日本の経済再建を担当する資格はまつたくないものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 次に農村に対しては、さきの第六国会において森農相の不信任案が上程されましたときに明らかにされましたように、転換期のこの重大な農政に対して、吉田内閣はほとんど無為無策であり、全国六百万農家を一大不安に陷れているのであります。しかも、農村に対する国家支出はますますこれを縮小し、農村民主化、農業再建の基本たる農地改革は、地主勢力の温存の底意をもつて打切りを策せられ、農業協同組合の多くは解放一歩手前に置かれておるのでありますが、その責任を多く組合幹部に帰して、政府として有効な救済措置を怠つておるのであります。また土地改良事業に対する補助の大前滅とともに、農業金融の道は完全にとざされたまま、これまた何らの措置も購ぜられておらないのであります。かくて日本の農民は、自由党内閣のもとにおいて、まつたく窒息状態に置かれているのであります。しかるに、與党である自由党は、昨年の総選挙当時の自由販売という公約にとらわれて、ひたすら面子を立てるため、何らかの形でその実現に努めているようでありますが、その自由販売が、今日の段階においては、かえつて消費者を苦しめ、農民を投機及び中間搾取の対象とするものであることは明らかなのであります。(拍手)昨年の総選挙当時は、農村におけるインフレの余燼がいまだ治まらず、ブラツク・マーケツトが広汎に存在したために、その当時の状況においては、自由販売は農民に一種の幻覚を與えたのでありますが、今や、やみ価格が配給価格を下まわろうとするとき、農民はかえつて自由販売に不安を感じ、むしろ反対の意思を表示しているのてあります。この農民の考え方のかわつたこともさとらず、依然として農民のために自由販売をやるのだという考え方は、資本主義政党としても、その理念、政策が十九世紀的な時代遅れであることを物語るものでありまして、農民の手痛き反撃を食うことは必至であります。今や、昭和初頭における農業恐慌当時にほうふつたる農村にとつて、吉田内閣の存在は一日長ければ長いほど、その民主化は阻止せられ、その復興は妨げられて、遂に農村は恐るべき荒廃に帰するであろうことは明らかであります。(拍手)
 次に、政府の大資本中心の集中生涯方式の強行と、中小企業に対する対策の欠如とは、工場数の九八%を占める中小企業者の没落を早め、彼らの間に日々自殺者を出していることは眼前の事実であります。吉田内閣は、中小企業のために三月危機を叫んで警告を発した蜷川中小企業庁長官を懲戒免官とし、中小企業者の五人や六人自殺してもやむを得ないと放言した池田蔵相を、国会会期中をしり目に渡米せしめたのでありますが、この対照的事実こそ、吉田内閣の中小企業に対する考えを最も明らかに示すものであります。しかも、政府によつて免官せられた蜷川氏が、渦般の京都府知事選挙において、保守勢力を破つて快勝したことは、すなわち吉田内閣に対する国民の不信任の意思が大衆的に表示された何よりの証拠であると信ずるものであります。(拍手)
 さらに政府は、今回税制改革を行つて国民の負担を軽減すると称しているが、国税においても、地方税においても、上に軽く下に重い、露骨な勤労階級収奪の税制であるに加え、地方税法中附加価値税のごとき、政府みずから十七回にわたり修正案を用意せるがごとく、なま煮えの税制であり、政府は課税の客体を正確に把握できないために、幾ら増税されるか、大ざつぱな、推測的な予算を組まなければならぬという、国民も政府もどれだけ増税されるか判断に苦しむような課税を行おうとしているのであります。従つて、この原案がそのまま通りますならば、国民の多数、ことに少額所得者が負担の増加に苦しむごとを予想されるのみならず、課税の不均衡はかえつて激化し、事業によつては従来に数十倍する課税を予想されるものもあつて、産業の破壊はもとより、増税に伴う物価の値上りによつて、国民生活の破綻を招くことは、火を見るよりも明らかであります。しかも、現在政府のなすところを見るに、国民に対する徴税攻勢はいよいよはげしく、一部に莫大な脱税者が見られる反面において、多数の良心的な国民は、差押え、公売の声に脅かされて、身を切るような負担を余儀なくされ、吉田内閣の荷政とらよりも恐るべきものあることを、身をもつて体驗しつつあるのであります。(拍手)
 このように、対外的には日本の将来における国際的地位を危うからしめ、国内的には産業を破壊し、国民生活を犠牲にしつつある吉田内閣の施政の実際は、民主主義のルールを蹂躙し、独裁反動の反労働者的、反農民的性格を露骨化したものであつて、與党たる自由党が、最近党名を変更して民主の文字を削つたことも、その意味きわめて深長なるものがあると考えるのであります。(拍手)すなわち吉田内閣は、給與改正に関する人事院の勧告、国鉄に対する中労委の裁定、食確法の一部改正にからむポ政令の実施、二、三重要人事の、農林行政人事の不始末等、法規を蹂躙し、世論を無視し、国会の権威を傷つけること枚挙にいとまなく、しかもこれを強行するに国会における多数の威力をもつてし、進んで審議権を放棄するがごとき態度をとつているのであります。かくのごときは、せつかく新憲法のもとにおいて根を預りつつある民主主義的傾向を根本からくつがえすものであつて、自由党の前身ともいうべき、かつての政友会の原、高橋内閣の絶対多数の後に憲政の危機を招来し、犬養内閣の絶対多数の後にフアシズムの擡頭を許したるがごとく、吉田内閣の絶対多政がかえつて暴力政治の温床となることをおそれるものであります。
 最後に、吉田内閣の時代錯誤的な自由経済主義に基く弱肉強食の思想と、官僚依存の権力的観念と、多数の仮面に隠れた独裁的傾向とによつて、政治的にも社会的にもその腐敗堕落を来しつつあることは理の当然であります。すなわち、五井産業事件、金相哲事件、都不動産事件等にからむ幾多のスキヤンダルを生み、各種公団における不正事件続発等の綱紀紊乱は、また吉田内閣の本質的性格から来たものであり、その政治的責任は明らかであります。
 昨年一月の総選挙において、国民が吉田内閣に二百七十名の絶対多数を與えたのは、その国民的背景の上に国の自主権を回復し、国民の利益と生活を向上せしめんがためであります。しかるに、吉田首相の漫然たる態度は、国民の期待に反し、自主権回復の方向に向けられずして、ひたすらウルトラ・イエス・マンに終始し、その多数の威力は国民大衆に向けられて、むしろ国民を押えるために悪用されつつあるのが、今日の絶対多数の姿であると考えるのであります。(拍手)
 われわれは、以上取上げました幾多の兆候によつて、民心すでに吉田内閣を去つたと断言できるりであつて、来るべき参議院選挙を待たずして退陣することが、むしろ政府のために賢明であることを申し上げまして、ここに本決議案に賛成する次第でございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 本間俊一君。
    〔本間俊一君登壇〕
○本間俊一君 私は、自由党を代表して、議題となつております内閣不信任案に対して反対の討論をいたさんとするものであります。
 野党各派は、吉田内閣の安定政策を、ことさらデフレ政策と逆宣伝しておりますが、それは認識不足と言わなければなりません。吉田内閣成立以来、生産は増大し、物資は豊富になり、輸出は飛躍的に伸暢し、物価は安定し、実質賃金は向上しておるのであります。これは正確な統計に基いて申し上げますならば工業生産については、社民連立内閣当時の二十二年末に比して、二十四年末は倍額に近い増産を示し、輸出は二十三年が二億五千八百万ドルであづたにもかかわらず、二十四年は五億二千万ドルと倍額の躍進を示しております。実質賃金は、二十二年の平均を一〇〇といたしまするならば、二十四年の平均は一九八と向上いたしておるのであります。これは統計が明確に示しておるのみならず、われわれが日常生活において身近に感じておるところであります。これを称してデフレとあえて言うならば、野党の言ういわゆるデイスインフレとは、まさに悪性インフレそのものを指さしておるものと言わなければならないのであります。(拍手)
 もとより、敗戰日本の姿は、経済的基盤が著しく弱くなり、それに加えてインフレの病源が深かつたため、これを急速に正常な経済にもどすことは、決して安易なことではないのであります。従つて、その過程において若干の副作用を伴うことは避けがたいのであります。しかも、わが吉田内閣は、この困難にして、かつ絶対に必要な大政策を果敢になし遂げ、その成果は、レンテンマルクの奇跡以上に世界においても高く評価せられておるのであります。野党の諸君が、片山、芦田内閣において食い散らしました跡始末をわれわれがさせられておるにもかかわらず、不信任案を出すというに至りましては、責任ある政治家の断じてとらざることであると私は確信をするのであります。(拍手)諸君が現状をもつてデフレとの認識の上に立つて、今また往時のごときインフレ政策をとるならば、わがやみ経済は底知れぬ感性インフレの奈落に落ち込むことは火を見るより明らかと申さなければなりません。われわれは国民大衆とともに、片山、芦田内閣当時のインフレ不安と生活の困難を、なまなましい記録として忘れておらないのであります。
 また野党は、口を開けば金詰まりと不景気を言う。(「その通り」と呼ぶ者あり)経済が正常化すれば、インフレやみ景気が後退することはやむを得ません。また従来のわが国経済が、インフレと、拙劣な統制と、やみによつて著しく不自然にゆがめられていただけに、安定によつて若干の整理現象を起すことも過渡的には避けがたいところであります。この整理的現象を一日も早く收拾して、すみやかに正常な発展に導くことが現下の経済政策の核心をなすものであり、わが吉田内閣は、これに向つて最善の努力を傾注いたしておるのであります。すでに二十五年度の予算においても、国及び地方を通じ、実質的は八百億以上の国民負担の軽減を断行しつつも、一面において建設的経費を、前年の倍額に近い二千百億円計上しておる事実を見ましても、安定から本格的復興発展に大きく前進したことが明瞭であります。当面の一時的金詰まりは、この予算を機動的に運用することと、見返り資金、預金部資金を効率的に活用することにより、その他適切な金融施策の奥行により間もなく緩和され、正常な金融の循還が確保せられることを確信いたしておるのであります。
 中小企業問題も、野党諸君が吉田内閣攻撃の材料にいたすのはまつたくお門違いでありまして、今日の中小企業の困難を招来した根拠は、まつたくの困難を召集したした根拠は、まつたく片山、芦田内閣時代におけるインフレ中毒、やみ中毒によるものであります。一体片山、芦田内閣が、わが中小企業に対し何を與えたでありましようか。それは阿片のごときインフレと、やみ経済ではなかつたではありましようか。これによつて偽装され、隠蔽されていた中小企業の本質的な弱点が、経済の正常かとともに表面にに露呈されて来たことも、また避けがたいところであります。これを救い、再建へ導く道は、中小企業の経営の合理化、技術の近代化、再編成等によつて、国際自由経済の中にあつても十分競争に耐え得る基礎を強固にする以外にその道はないのであります。わが吉田内閣は、この正道を強く進みつつあり、その前提として、さしあたり当面の金融緩和のため、百億円に上る政府余裕金の動員活用を初め、見返り資金の協調融資、日銀別わく融資拡大、商工中金、農林中銀の資金の拡充等適切な対策を着々実行しつつあり、また今回の税制改革にあたりましても、特に農業者や中小企業の負担を大幅に軽減いたしておるのであります。中小企業の真の味方は、これに正しい道を與えるわが吉田内閣であり、インフレの甘い望みをもつて誘惑せんとする野党の諸君こそ、むしろ中小企業の敵となりと言わなければならないのであります。(拍手)
 また野党は盛んに農業恐慌を宣伝いたしましたが、農業も中小企業と同様、経済の正常化に伴い異常なやみ景気がなくなつたため、景気の後退したことは事実でありますが、食糧の足らないわが国において、輸入食糧の政府管理を堅持いたします限り、外国食糧の圧迫による農業恐慌は絶対に起り得ないのが理の当然と申さなければなりません。ただ、わが国農業の宿命的弱点は、その経営の零細性にあり、これを救う手段は、農地の改良、経営の有畜多角化、農産物価格支持制度の確立、適地適作等の施策を総合的に推進することであり、吉田内閣の政策の中核も個々に存することを確信いたしておるのであります。
 二十五年度は千二百億の債務償還費を計上いたしておるのだが、これに対して今困つているのだから、古い借金を返済するよりも、政府の仕事の手を広げて、全部使つてしまえ、そうでなければ税金を負けろと主張する。しかしながら、われわれは先の見境もつかずに財布のそこをはたいてしまう根性にはなれないのでありまして、今收入の全部を使つてしまう予算を組めば、国際情勢の変化によつて予断を許されない経済的変動に対して、何らの弾力も容易ももたないことになるのであります。税金を安くする方向が正しいことは、うなづけるにいたしましても、今の徴税の一つの欠点が、年度の終わりに集中して行われるところにあるのでありますから、一度減税予算を組んで、それが足りなくなつて追加予算を組むということは、この欠点をさらに大きくすることになるのでありますから、年間の金融情勢の推移を見て、債権償還の必要がないと認めた場合、年度の終わりに臨んで減税をすることになるのが、この欠点を矯正することにもなるのであります。予算にある程度のゆとりを持たせることは、それ以外の経済のまだ弾力性を欠いておる今日、安定のための不可欠の條件ともいえるのであります。
 雇用量の拡大をはかるために外資の導入をいたさなければなりませんが、資本の導入はただちに植民地化なりと独断し、池田大蔵大臣が、わが国経済の実相を伝えてワシントンの有力な人々と懇談するのに難くせをつけるというような根性では、今日の日本の経済の復興をどもに語る資格がないものといわなければならないのであります。(拍手)野党の諸君は、それはわれわれの選挙対策なりと非難するかもしれないが、今かりに一歩を譲つて選挙対策であろうとも、日本の実情をアメリカの指導者に十分理解してもらうことは、わが一国経済のためきわめて必要なことでありまして、その收穫のいかんにかかわらず、進んでなすべき事柄であります。
 野党の諸君は、口を開けば吉田内閣の重税を攻撃する。それには多少の理由なしといたしません。なるほど二十四年度余算は、前年度に比較すれば四割弱の増加となつております。しかし、それまではどうであつたでありましようか。一般会計を見ても、前年度の三倍以上に年々増加の一途をたどつて来たのであります。そのたびごとに国民に重い税を課して来たのであります。片山、芦田内閣のもとで、年々倍額以上にふえて来た予算を、吉田内閣の手で、やつと四割ふえたのみにとどめることがてきたのであります。さらに二十五年度はどうでありますか。前年度よりも八百億円の予算を減少いたしたのであります。長年にわたり膨脹を続けていた予算が、わが吉田内閣の手によつて初めて少くなつたのであります。予算が減れば初めて税を安くすることが可能となるのでありまして、減税の坂まで、苦しみながらも、やつと今日たどりついたのであります。日本は、吉田内閣が続く限り、これからは減税また減税を実行することが、やつとできるようになつたと申さなければなりません。(拍手)
 われわれは、公約した取引高税を初め、織物消費税を撤廃し、不動産取得税をなくし、入場税並びに物品税の軽減を行い、多くの税目を整理し、破産前夜の地方自治体を救うため、県税と市町村税の区別を明確にして地方自治の確立をはかつたのであります。国税の減つた一部を地方税の増收に充てるのは当然の処置と申さなければなりません。地方税は新税が多いから、野党の諸君の指摘をまつまでもなく、増徴に陥る危險なしとしないのであります。しかし、その金はどこへ行く金でもありません。県会や市町村会が冗費を節約し、適切に運用すれば、政府の施策の調整と相まつて、その弊害を是正することが可能であります。野党の諸君は、單に地方税に反対を呼びながら、改善案を吹聽いたしておりますが、それは描いたもちであります。すき腹を満たすことはできないのでありましてそのもちを、うまそうに描くことは、野党の諸者は上手かもしれませんが、われわれは、ほんとうのもち米で、ほんとうのもちをこしらえる実行力を持つておるのであります。(拍手)野党は、みずから審議権を放棄しておいて、その議事引延ばしの妨害工作が多数決で敗れたからといつてそれが多数の暴力なりというに至りましては、議会政治の常識をわきまえないものとして攻撃しなければなりません。(拍手)
 公団の綱紀粛正を三宅君は叫ばれました。そして、これを現内閣の責任にいたしておりますが、これもお門違いでありまして、これは社会主義の欠点を如実に示したものといわなければならないのであります。(拍手)
 次に、野党の諸君は全面講和でなければならないと主張いたしておりますが、全面講和を希望しない者は、今一人もありません。しかるに、敗戰五年にして、いまだに講和会議が開かれないのは、アメリカやイギリスが多数決方式を主張しているのに、ソ連は四箇国方式を主張して譲らないからでありますことは、皆様も御承知の通りであります。(拍手)ソ連の方式に従えば、米、英、ソ、中の四簡国は極東委員会の常任理4国でありましていわゆる拒否権を持つておりますから、一国でも反対すれば、物事は一つもきまらないのであります。しかるに、最近アメリカにおいても、講和会議に参加しない国がかりにあつても日本と講和を締結すべしとの輿論が高まりつつありますことは、外紙のひとしく報ずるところであります。イギリスにおいても、きようからからロンドンにおいて英連邦諸国対日講和運営委員会が開かれ、対日講和の気運が著しく醸成されております。一方ソ連も、去る二月公表いたしました中ソ友好相互援助條約の第二條において対日講和の早期締結を声明いたしておりますから、ソ連を含む全面講和が可能のように思うのも全然理由なしとはいたさないりであります。ところが、極東委員会の構成国の対日方針を検討いたしますと、ある国は日本を助け、その経済の復興を促進せしめようといのに対して、ある国は、あらゆる角度から日本の経済的再建を妨害し、わが国を混乱と窮乏に導こうというのでありますから、その根本的相違から講和の條件容易に一致しないものと観測するのも、また理由のあることであります。
 一方ソ連は、たつた五日間、日本と名目上の戰争をいたしただけで、満州国における施設を、その賠償額をはるかに越えて持ち去つておることも、これを非難しておる国もあります。その金額は二十億ドルの巨額に上るとも指摘いたされておりますが、その超過分について、連合国の間に返還を求める空気もあると伝えられておりますが、ソ連はこれに応じない態度をとつておるようであつあります。かかる事情等も織りまじつて、一応早期講和を声明しても、ある国のごときは対日講和に参加しないだろうとの見方が国際間において有力になつて来ております。それゆえに、われわれの希望する全面講和がなかなかその実現に困難さを加えておるとの見方も、また有力になりつつあるのであります。わが国の大多数の国民は、一日も早く戰争状態が終結して国際社会の一員となり、平和と独立を回復したいと熱願いたしておるのでありますから、かりに一、二の国が講和に参加しない場合があつても、進んで講和を結び、独立を回復いたしたいと念願いたしておるのが、われわれの基本的感度であります。(拍手)アメリカ、イギリスの各国を初めとして、オーストラリア、カナダ、フィリピンの諸国民の間に対日講和を締結しようという機運が高まりつつある際に、全面講和でなければならぬと主張することは、せつかく盛り上りつつある炎に砂をぶつかけて消さんとするもので、思わざるもはなはだしきものといわなければならないのであります。(拍手)民主党や社会党の諸君が、国際間を律する原則は冷嚴な利害の打算であるということを知つてか知らずにか、現実を無視して、共産党の主張する全面講和の――――――――――――――いるに至りましては、その愚かさに驚かざるを得ないのであります。(拍手)
 次に中立声明の問題でありますが、わが国は、今日降伏文書のもとに法律上の戰争状態が継続いたしておるのでありまして、国際社会の一員としての地位を獲得していないのであります。いわば、われわれは部屋住みの未成年者であります。その未成年者が、大人がけんかもしないのに、けんかをするであろうと予感して、おれは中立だと声をあげても、それは何の効能もないことは、三歳の子供でもわきまえておることであります。しかるに、このような声明を発するに至つては、まつたく国際的感覚の欠如を暴露する以外の何ものでもないと申さなければなりません。(拍手)
 最後に、私は安全保障、軍事基地の問題について一言いいたいのであります。今日は、連合国の当然の権利からわが国を占領いたしておるのでありますから、連合軍の軍事施設に協力するのは、われわれの義務であります。軍事基地の提供が問題となるのは、いよいよ講和が成立して、独立が回復したときであります。もつともその場号、連合軍が日本をして、講和條約の條項を守らせるために保障占領をすることがあります。それは戰勝国の権利であり、われわれがこれを拒否することはできないのでありますから、この場合は問題になりません。保障占領をしない場合、あるいは保障占領の終結時において、わが国の安全をいかにして維持するかということが問題になるわけであります。私は、これを平時と戰争が起つた場合とにわけて考察いたしてみたいと思うのであります。
 われが国は、憲法によつて一切の軍備を放棄したのでありますから、無防備へまる裸であります。今かりに軍備をするということがありと考えてみましても、ほたしてこれが可能かといえば、貧弱な経済力で近代的な軍備をつくり上げるということは、事実上とうていできない相談であります。われわれは、かかる妄想にとらわれてはなりません。しからば、まる裸で安全を保障することができるかというと、平時の場合はどうでありましよう。日本は海岸線の長い国であり、一衣帶水を隔てている大陸は、世界の赤化を使命とする共産党が支配いたしております。講和ができ、進駐軍が徹退いたしました場合、一体どうなるでありましよう。ポーランドやルーマニアやハンガリーのいわゆる東欧諸国が、いかにして鉄のカーテンの中に引入れられたかといえば、共産党にひそかに武器が與えられる。その武器を持つて暴力革命が遂行され、赤い鉄のカーテンがおろされて来たのであります。日本共産党にも武器が密輸されるであろう。さすれば、今日の警察力を押えつけて暴力革命を成功させることが可能であろうと予想することは、現実を遊離した考えでありましよか。無防備のわが国は、共産党の暴力革命に絶好の機会を提供することになると思うのでありますが、民主党や社会党の諸君は、それにいかに対処する方策があるか、その対策を明瞭にする義務を持つておるものと考えるのであります。(拍手)
 次に百歩を譲つて、平時のときは何とかその安全を保持することができたと、かりにいたしましても、われわれは今日戰争は起らないという見通しを持つておるものでありますが、不幸にして、かりに万一戰争が起つた場合はどうなるでありましよ。無防備、まる裸の日本を、世界中のいかなる国もこれを侵さないという保障が得られるでありましようか。この問題を論ずる場合は、日本の戰略的地位を無視しては議論は成り立たないのであります。スイスがなぜ第二次大戰の際中立を守り、戰禍から免れることができたかといえば、アルプスの峻嶮なる山岳地帶でありまして、その戰略的価値がなかつたからであります。中立をいかに守つておりましても、べルギーのごときは、軍備が多少あつたにもかかわらず、ドイツが軍事上の必要から、その軍靴のもとに蹂躙いたしたのであります。わが日本も、南海の一隅にでも位置いたしておりますならば、この危險もきわめて薄いのでありますが、こればかりは簡單に引越しをすることはできません。今日の客観的国際情勢から申しますと、わが国が單に中立を守つていても、戰争の被害からはたして免れ得るかどうかということは保障ができないのであります。交戰国の一国が日本を軍事的に必要とするならば、これを侵すことは、あたかも赤子の手をねじるように容易でありましよう。その場合、一体日本はどなるでありましよう。第二次世界大戰においても、辛うじて本土における地上戰闘はこれを免れることができたが、そのときは空襲どころの騒ぎではありません。われわれが今日まで経験したことのない、本土における地上戰闘の惨禍に遭遇することになるのでありますが、その不幸からいかにして国民を救うかということを、一体野党の諸君は一度でもお考えになつたことがあるのかどうか、私は疑わざるを得ないのであります。(拍手)
 かように考察してみますと、わが国の安全保障ということは、大きな問題でありまして、理想論のとりことなつて、軍事基地反対というようなことを軽々に取扱うべきものでは断じてありません。きわめて愼重に、現実の利害を十分に検討してかからねばならない重大な問題であります。共産党の諸君が軍事基地化反対を叫ぶのは(発言する者あり)無防備、裸の日本において暴力革命のチャンスをつかもうりとする底意のあることを私どもは見のがしてはならないのであります。(発言する者あり)かかる謀略に乗ぜられて、講和会議と最も密接な関係にあるこの問題に関し、今日より軽々に論難するような軽率きわまりない野党が、内閣不信任案を提出するに至つては、まさにこつけい千万なりといわなければなりません。(拍手)
 われわれは、終戰後ようやく小党分立の弊害を克服し、絶対過半数を占めた政党の造成に成功し、やつと混乱期から安定復興へと行進しつつあるのであります。再び政局を混迷に導くがごときは、わが賢明なる国民の断じてくみせざるところであると信じて疑わないものであります。今日こそ吉田内閣が最も必要なのでありましてその責任は重大であります。われらは、政局安定の基盤をますます、強固にしてその安定した政治力の上に、不動の信念と勇気とをもつて日本復興の偉業を成就せすんばやまざる、新たなる責任感に緊張していることを申し上げまして私の不信任案に対する反対討論を終る次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの本間君の発言中不穏当の言葉があれば、速記録を取調べの上、適当な措置をとることといたします。
  松本六太郎君。
    〔松本六太郎君登壇〕
○松本六太郎君 私は、農民協同党を代表いたしまして、ただいま上程せらておりまする内閣不信任案に対しまして賛成の意を表するものであります。(拍手)
 現内閣の失政の数々は枚挙にいとまないのでありまするが、なかんずく、わが国の民主的な、しかも産業再建の基盤でありまするところの農業政策に対しては、まつたく貧困であり、無為無策であると申さなければなりません。(拍手)すなわち、わが国の民主化のために、終戰の直後、昭和二十年十二月九日に、連合軍最高司令官であるマツカーサー元帥から、わが国政府に寄せられましたところの覚書には、日本の民主化、しかして日本の経済再建は農村の民主化によらなければならないということが明らかにせられているのであります。その後、歴代内閣によりまして、ある程度の民主化は進められました。すなわち農地の改革、これを裏づけいたしまするところの協同組合の結成、これらの一連の施策が、ある程度行われて参つたことは御承知の通りであります。しかしながら、その成果に至りましては、今なおまことに憂うべき現状にあることも御承知の通りであります。しかるに、先ほど社会党の三宅君もお触れになりましたことく、無牒にも現内閣は、この農地改革がいまだ完成いたさざるにもかかわらず、この重大なる法律の改正を行いまして、中途半端にこれを葬去ろうとするのであります。
 さらにもう一つ重大な点は、せつかく農村に結成せられました協同組合の現状であります。諸君御承知のごとく、わが国の農村が宿命的に持つておりまするところの脆弱なる経済力の上に立つた農村、この農村の上に新たにいかに困難なものであるかということは想像にかたくないのであります。しかるにもかかわらず、政府はこれに対して何らの施策を持たないのであります。われわれが、事あるごとに、この問題に対して強く政府を鞭韃し、要請をいたしておるにかかわらず、今日なお何らの対策を講ずることなく、漫然これを見送つておるというのが現状であります。
 かくのごとく、日本民主化の基幹であり、日本経済再建の最も重大なる根拠地でありまする農村をして疲弊困憊のどん底に追い込んで顧みないがごときは、まさにわが国のの経済の再建も民主化も放郷したをもであると断言せざるを得ないのであります。(拍手)私は、この一事をもつてしても、現内閣はすみやかに責任をとるべきであると信ずるのであります。
 さらに、しばしば政府に誇大に吹聴せられ、あるいは先ほどの植原先生の反対討論の中に、わが国の財政が著しく建て直つた、また大幅な減税をしたということを申されるのでありまするが、一体大幅な減税と申しまして、今日わが国の国民の負担力に対比いたしまして、はたしてこの減税が有効なものであるか。あるいはまた減税をしたと言われるけれども、それは昭和二十四年度、すなわち昨年度における無謀なる重税、とうてい国民の負担し得ない重税に比べて、やや少額の減税を行つたものでありまして、その減税の根本がすでに誤つている。われわれは、これをしも認めないものではありませんが、今回行われる地方税法の改正によりまして政府が声を大にして宣伝いたしておりまする国民負担の軽減はとうてい実現するものではなく、ややもすれば、かえつて重税を負担する結果になることをおそるるものであります。ゆえに、この内閣が唱えておりまする税制政策も、あるいは経済政策も、一つとして今日の国民の実態に即し、わが国の産業の実態に即して行われておるものではありません。国民から苛斂誅求をして、非常に多額の旧債を償還するというこの一事も、わが国の現段階における財政経済政策としては誤つておるのでありますが、もしこれを強行するといたしまするならば、すなわち国民から膏血をしぼりました以上は、次の栄養となるべき何らかの手を打たなければならない。すなわち金融政策の面におきまして、産業の振興をはかり、あるいはまた国民生活安定の施策が行われなければならぬりであります。しかるに、一方におきましては苛斂誅求をあえていたし、他方においては、これにマツチするところ、の金融政策が全然ゼロであります。さればこそ、先般来、中小企策、農民等の代表者の諸君が、しばしば大挙してこの国会に陳情を続けておる。これにも耳をかさずして、この暴政を続けられまするならば、やがてわが国の生業はことごとく破壊せられるでありましよう。私どもは、かくのごとき財政経済政策を、長く現内閣の手にゆだねて許しておくことはできないのであります。
 なお、いま一つの問題は、歴代の内閣を通じて見ましても、今日ほど綱紀、官紀の弛廃、紊乱をいたしておるときはないのであります。すなわち……(「昭和電工はどうだ」と呼ぶ者あり)昭和電工と言う方がありますけれども、これは国民に與えましたところの影響はむしろ軽微でありました。今日のいわゆる公団その他の政府機関によつて国民に與えておるところの損害は、約三百億に達するといわれておるのであります。この三百億は、ことごとく国民の血税によつてあがなわれなければならぬのであります。さらにまた、総理大臣を初め台閣の諸公が、━━━━━━━━━━━━━━━━世論を喚起するような疑いの目をもつて見られるがごとき状態にありますることは、ゆゆしき大事と申さなければなりません、われわれは、かような濃厚なる疑いを世間に及ぼして、国民に不安の念を與えますがごときことは、少くとも民主政治の上において許すべからざる重大問題であると存ずるのであります。(拍手)
 その他多くの現内閣の不正、暴政数うるにいとまないのでありまするが、先に各派の諸君からもすでに討論せられておりまするし、私は今申し上げました重要なる二、三の点についてのみでも、現内閣はすみやかに責任をとつて退陣すべきであるということを強く要求いたしまして、この討論を経るものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの松本君の発言不穏当な言葉があれば、速記録を取調べの上、適当な措置をとることといたします。
 小坂善太郎君。
    〔小坂善太郎君登壇〕
○小坂善太郎君 私は、自由党を代表いたしまして、ここに野党各派から提案せられましたる吉田内閣不信任案に反対いたしまして、不信任の言葉をそのまま野党の諸君に返上いたしたいと思うのであります。(拍手)
 まず、私は、この不信任案が一体どの程度の決意を持つて野党諸君によつて提案せられたものであるか、この点を第一に伺つておきたいのであります。いうまでもなく、憲法第六十九條には、衆議院で内閣不信任の決議案を可決いたしましたるときには、内閣において総辞職の意思のない限り、十日以上に衆議院が解散されることになつておるのであります。野党の代表者は、今いろいろ立ちかわり演説をされたのでありまするが、その間に、何らこの選挙によつて民意を問わんとするような決意が真実に現われておらないのであります。行間に何ら生彩の気がないのであります。何らのすご味のない、及び腰のふらふらの態度であつて、初めから否決されることはわかつているけれども、何かやつてみないと、社会党にいたしましても、でき立てのほやほやの国民党にいたしましても、国民から忘れられそうであるから、不信任案をとりあえずメーデーの日に出してみようかという、はなはだ不謹慎な態度に見えられるのであります。(拍手)
 大体、野党の国民民主党の最高委員長の苫米地君は――もつとも私には、最高委員長のほかに委員長というものがあるかどうかわかりませんが、ただ他の党派の内紛とか分裂のみに期待をいたしまして、何らの自主性がない、先ごろ新潟で、この次の国会には国民民主党は百名程度になるであろうという談話を発表しておる。このことは、この国会は明日をもつて終わりを告げる、そうしてその次の国会の開会を予想しておるということでありまして、その間に不信任案を出して、国会において開さんを賭して争うというような意図は毛頭ないことを表明しているのであります。(拍手)もつとも苫米地君は、昨年の夏以来、幾たびか改変説を飛ばしている。そうして、他党の分裂に期待するところの、まつたく自主性のない態度に終始しておるのでありますが、そのいずれも、今や何ら形骸をすらとどめていない。われわれは、しばしばその無責任な苫米地放言にあきれ返つておるのでありますが、一方には、そのさびしい心境については同情を禁じ得ないのであります。(拍手)
 社会党の書記長の淺沼君は、先日の京都への遊説の車中談におきまして、秋に政変があるということを言つておる。その後十日もたつていない。十日もたつていないのに、秋まで続くとみずから認めている吉田内閣に対して、ここに不信任案の提出を見ておるのであります。これは一体どういうことでありますか、淺沼君にひとつ伺いたいと思う。これもまたお義理で出した不信任案であるということに私はなろうと思う。與党のわれわれには、どうしてもこのことは了解できない。與党のみならず、野党の中の良識ある諸君も、この矛盾を解決することは、私はおそらくできないのではないかと思う。毎日、新聞を見ているところの国民は、社会党や国民民主党の政策というのは一体どういうものであり、その政治家たちは一体どういう政治的信念を持つて動いていいるのであろうかと、疑問を持つに違いないと私は思う。
 共産党が不信任案を出すということは、これはわかる。共産党の諸君というものは、大体代々木御殿の奥深く巣食つておつて、鉄のカーテンを張りめぐらして、その間から日本再建を妨害するところの指令を発とている。そういう一部の少数の、議会主義を否定するところの売国的赤色グループであかます。(拍手)一昨二十八日にも、代々木の本部前におきまして、嚴重なるピケット・ラインを張りめぐらして、革命方式の戰略戰術に関するところの新テーゼとかいうものを徳田書記長から説明されたのであるが、この不信任案も、徳田書記長のテーゼとやらの一環であろうと私は思う。最近、勇揚同胞をめぐるところの徳田要請問題が暫次国民の前に明らかになつて参りまして、共産党の本質というものが漸次明瞭になつて来た。その本質が暴露せられるに及びまして、周章狼狽、羊の皮を脱ぎ捨てまして、おおかみの本性を現わして参つておるのであります。
 日本共産党は、口に愛国主義を唱え、民主主義を唱える。しかしながら、去る十二月のコミンフオルムの野坂批判によつて、野坂君のいわゆる愛される共産主義、すなわち占領下においても議会を通じて政權に近ずかんとするところの考え方が、アメリカ帝国主義に対するところの屈従であり、召使的であり、彼らの祖国ソビエトに対するところの裏切り行為であると非難を受けまするや、ただちに即頭百ぺん、自己批判とやらいうものをやつて、今までの行動は全部問題である、しかしながら占領下であるから、ときどき奴隷の言葉を使わねばならないなどと言つて、日本国民に対してではない、コミンフオルムに対して謝罪をしておるのであります。
 諸君、今日、日本にあるところの政党は、共産党を除いては、みな日本国民のための政党であります。日本国民が自由に表明せられたるところの意思に基いて選挙した国民代表を国会に法つておるところの政党であります。従つて、われわれは日本国民に対して責任を負い、日本国憲法を忠実に運営する責務を持つておるのでありまして、外国の本部からの指令に回答する必要はないりであります。(拍手)日本共産党は、本質的にこれらの点について異なつておるにもかかわらず、国民を欺瞞して国会に議席を有し、いけずうずうしくも内閣不信任案などを提出しようとしている。逆説的に言うならば、もし吉田内閣が共産党によつて信任されるというならば、むしろわれわれは現内閣を不信任しなければならない。(拍手)でありするから、われわれは。共産党側の不信任案につきましては、共産党は議会においてかかる論義を有する資格なしとして、そつくりそのまま返上を申し上げるのであります。(拍手)
 国民民主党並びに社会党に対しましては、もつと腹をきめて、みずからの積極的な政策をもつて捲土重来せられんことを希望いたします。メーデーの大衆が議会に来るから、そのごきげんを取結ぶために不信任案を出すというような態度では、議会で演説はででても、国民の納得を得ることはできないと思うのであります。(拍手)批判は自由でありますから、吉田内閣を批判するということはよろしいでありましよう。しかしながら、みずから具体的な、建設的な政策を持たないで、ただあれも悪い、これも悪い、これもだめであるというのでは、私は健全なる国民の常識を欺くことはできないと思います。国民は、こういつた批判を正しく再批判すると思うのであります。
 社会党は、共産党との間に明確なる一線を引くということをしばしば声明せられております。しかしながら、先般の京都市長並びに知事選挙において見るごとく、完全に共産党との間に共同戰線が張られておるのであります。この一線は、はなはだ不明確であります。幅の広い社会民主主義ということを聞くのでありまするが、これでは少少幅が広過ぎるのではないか。社会党の諸君の御反省を願いたいと思う。国民民主党の椎熊君は、これを目して、社会党と共産党との間の一線は不連絡線であるということを言つているが、国民民主党も社会党に同調しておられますると、この不連絡線が、いつしか共産党まで続く低気圧になるおそれがあると思う。政権欲に目がくらんで、憲政の常道を誤ることのないように、十分国民民主党の各位に御戒心を願いたいと思う。(拍手)
 さて、今日いかなる政党といえども、また国民のいかなる人といえども、祖国の完全なる平和的な再建を願わざる者はないと思うのであります。今日の占領状態におきまして、これに終止符を打ち、平和国家の列に加わらんとするわが党の基本的な考え方については、すでに植原議員より述べられたところでありますが、今日この講和問題をとらえて政争の具に供せんとする考え方につきましては、嚴にこれを愼んでもらいたいと思う。アメリカにおいても。イギリスにおいても、外交問題は政争の具に供しないという鉄則があります。われわれは、この民主主義の先輩国の態度について深く学ばねばならぬと思うのであります。わが国は、いうまでもなく、いまだ外交上の自主権もない占領下にある状態であります。しかるに、この嚴粛なる事実を忘れて講和問題を論じ、また考える、そういつた領域を越えて政争の具に供せんとすることは、まつたく健全なる国民のとらざるところであります。(拍手)この状態は、あたかも手術を受けつつある病人が、その手術の方法について医者と論争するにも似て、まことに百害あつて一利なきことと考えるのであります。われわれは、新憲法の定めましたるところの徹底的なる平和主義の旗のもと民主化を徹底しなければならぬ。デモクラシーの徹底をしなければならない。われわれの行くべき道はただ一つ、平和主義の旗を振つて民主化を徹底することであるということを知らねばならないと思うのであります。
 自由党の経済政策についていろいろ批判があつたのでありまするが、批判者の考え方の根本にある流れについて私は一言したいと思うのであります。それは、自由党を保守反動ときめつける態度についてであります。保守ということは、進歩に対する反対語ではありません。万物は進歩し、人間は進歩を露呈するものであります。保守という言葉は、進歩の過程において飛躍を避け、革命をきらい、着実に足下を見定めて一歩々々進歩、前進をするという考え方であります。保守とは、その考え方の過程において文化のかおりを身につけ、美しき伝統に対する願置をなし人間性に深く根ざした改革を還げんとする考え方であります。この戰後の動乱期にさおさして、どつしりとおちついた政権担当政党、責任ある政治をなさんとする政党なくんば、いかにして国家の危険を救わんとするのでありますか。私はそれを伺いたいと思うのであります。反動的であるか、保守的であるか、進歩的であるか、あるいはまた革命的であるか、それは言う人自身がきめることではなくて、他人がその行つたところの結果について判断を下す言葉であります。みずから進歩的である、そうして他を保守反動的であるときめつける、その態度のうしろには、あたかも戰争中に、自分のみを愛国者と考え、これを批判する者を非国民とののしつたところの、軍人的あるいは特高警察的な考え方の残達があるのであります。(拍手)野党諸君の反省が願いたいのであります。
 われわれの経済政策中最も主眼とするところのものは、戰後引続いてわれわれを苦しめておつたところのインフレーシヨンを退治、撲滅することであります。われわれは昨年承来、ドツジ安定計画の線に沿いまして、中途半端な妥協排して、インフレ政策のために努力して参つたのでありますが、国民各位の協力を得まして成功を見、物価もそ騰勢をゆるめ、さしも猛威を振つたインフレーシヨンも、その爆発的な再燃はおそらくあるまいという、安定化の一途をたどりつつある状態になつておりますことは、まことに御同慶にたえないのであります。しかも、戰争中の官僚統制の戰滓は、戰後ますます猛威を振い、経済は官僚によつて人為的に組み立てられ、何らの機動性もなく、幾万と張りめぐらされた統制価格の網の中に、流通経済はその正常な機能を停止して、非合理的なやみ経済の中に、売手市物のみが存在して、日本の経済は、ドツジ公使によつて指摘せられるがごとく、高い竹馬の上に乗つて、からくも立つておつたのであります。インフレーシヨンと官僚統制の十字砲火の中に、ぼう然としていた日本国民ともに立つて、このゆがめられた経済の合理性を正常化し、国家の財政資金に依存しながら、みずから努力をしなかつた企業に対して活を入れた、これは吉田内閣であります。インフレが、いかに人々の能率とか、効果とか、あるい採算というものを鷹陣せしめ、ひいてはまじめに働く人々の意欲を失わしめるものであるかということについては、いまさら冗言する必要はないと思います。何としても、日本が国際間に仲間入りできますためには、インフレーシヨン経済を正常化しなければなりません。まじめに働く人々に、勤労の意欲と喜びを味わつてもらわなければなりません。そのためにインフレーシヨンを退治しなければならないのであります。インフレが收束し始めれば、すぐにデフレが来る、そういつた野党諸君の二者択一的な考え方というものは、中道ということをモツトーとせられる野党諸君には似合わない思う。インフレでもデフレレでもない、デイスインフレ政策というものについて、もう少し御研究、御理解が願いたいと思うのであります。(拍手)インフレを收束せしめることを選挙において公的しながら、野党各派は、何ゆえに政府のインフレ安定政策に反対し、ことさらにインフレ時代への郷愁を感じられるのであるか。私は野党の諸君の実意を了解するのに苦しむのであります。(拍手)
 官僚統制経済についても同情であります。不自然なアウタルキー経済のもとにおいて官僚統制が不適当であり、国民もまたその不当を鳴らしておつた。そのゆえに、わが党は、その国民の心にこたえて統制解除を行い、デコントロールの方針をとつておるのでありまして、この非合理的な経済を合理的な経済に改めんとしている努力に対して、何ゆえに野党の諸君は具体案も持たずに反対したのであるか。今わが国は、逐次国際経済に参加を許さ、れ、為替一本レートのもと、輸出のCIF制、輸入のFOB制が認められておるのであります。この世界市場の荒波の中に、売手市場にばかりなれた、平官僚的な、非能率的産業が、はたして存在し得るでありましようか。もちろん、いないであります。世界的に見て存在し得る日本の経済を再建しなければならないのであります。
 われわれのいう自由経済というのは、何も野放しな、のほうずな放任主義をいうのではありません。先ほど三宅君は十九世紀的云々という言葉を言われたのでありますが、今は二十世紀の後半であります。そういうことを言うもの自身の頭の方がよほど私はどうかしておると思う(拍手)自由経済というものは、合理的な経済の調であります。不自然なアウタルキー経済ではない、人工統制経済ではない、そういつた経済の調でありまして、これを罵倒する者は、まつたくためにする議論であるというほかはないのであります。
 インフレ下におけるこんとんたる日本経済が、今コンタリートが固まつた正常経済に凝縮しつつあるのであります。あおの凝縮の際のしわが、あるいは企業に、あるいは中小企業に、あるいは農村や個人の家計によるのでありますが、それが滞貨や金詰まりや税金の形で現れています。野党の諸君は、これを目してデフレであるといのでありますが、インフレ経済から正常経済に移る間の一時的な過度的現象であつて、これは決してデフレ的な恐慌現象ではないのであります。政府におきましては、目下農村の保護助成政策、中小企業の維持育成政策についてそれぞれ万全の対策を用意して、関係方面と折衝しておるのであります。また勤労者の生活の実質的向上について努力いたし、減税を年を追うて行おうといたしておるのであります。インフレーシヨンを攻撃したその同じ口でもつてインフレ安定政策を攻撃する、しかもみずからは、一年前に政権の場にあつて、その間の事情を熟知しておる、しかもみずからがなし得ざりしインフレ收束かなしつつある政府に対して不信任をなさんとする野党の態度は、まことに了解し得ざる以外の何ものでもないのであります。もつとおちついてもらいだい。そうして、世界に向つて目か転じてもらいたいのであります。日本経済の再建と政治の安定に対しで協力せられたいのであります。
 私は、ここに自由党を代表いたしまして、健全なる国民大衆とともに、この吉田内閣に対する不信任案をそのまま野党の諸君に返上いたしたいと思うのであります。(拍手)野党はそれぞれ性格が違つておるという、どの野党が一体責任野党であるのか、その責任の所在も明確でない。頭もなければ胴もない、ちようど化けもりのような寄合い世帯(拍手)、こういう不信任案に対しては一願の値もない。数十分後には、この小兒病的な、根拠りない不信任案というものは、国民の声としてほうむり去られるであろうと思うのであります。
 以上をもつて反対討論といたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 黒田寿男君。
    〔黒田寿男君登壇〕、
○黒田寿男君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、本日野党各派共同提案になりました吉田内閣不信任決議案に対しまして賛成の意を表明したいと思うのであります。(拍手)
 ただいま自由党の小坂君から、野党はいかなる信念をもつて不信任案を出したか、このようなやや冷笑的な御演説があつたのであります。そこで私は、今日わが国の国民の最大多数を占めております労働者あるいは農民、中小業者等のこれらの勤労大衆が、いかに現在の情勢のもとにおきまして吉田内閣の退陣を求めているかということをそれぞれの立場から表明して、私の趣旨にかえたいと思うのであります。(拍手)
 吉田内閣の成立以来今日までとつて参りました一貫した政策は、労働者、農民、中小業者等の勤労大衆の労働とその努力の成果を税金その他の形において強制的に取上げて、これをあるいは旧債務償還、あるいは価格補給金、こういう形を通じまして独占金融資本家の手にささげる、あるいはまた税制改革の美名に隠れまして、かつて税制の改革の歴史において類例を見なかつたほどの大いなる恩典をこれらの独占金融資本家に與える、こういう方法を通じまして、独占金融資本及び大産業資本に対しまして、勤労階級の犠性において、これらの資本家の利益を中心とする経済再建計画を強行したのが、吉田内閣の今日までとつて参りました一貫たる政策でもるのであります。(拍手)
 労働者階級に対しましては、簡單に申しますが、吉田内閣は、労働者階級の死活の要求でありますところの給與増額に対してこれを拒み続けたりであります。低賃金を押しつけして、デフレ政策より来る大量の失業者を街頭にほうり出した。給與の内容を改善して実質賃金の向上をはかるというようなことを弁解がましく申しておりますけけれども、その実際の成績は少しも上つていないのであります。今日はたまたまメーデーの日に当つております。この光景を見ますと、どの地のメーデーの集会におきましても、吉田反動内閣を倒せという言葉の口の端に上らない集会はないのであリます。(拍手)どの示威行進を見ましても、反動吉田内閣を倒せというプラカードの掲げられていない行進は一つもない。(拍手)吉田内閣に対しまして、全国の労働者階級は一齊に諸君がどう思われましようとも、一齊に決定的な不信任の意思表示をしているのであります。今日いかなる表決がこの議場においてなされようとも、わが国の大多数の労働階級は、今や決定的に反吉田内閣であるということは明らかである。私はそう思う。(拍手)
 中小業者の吉田内閣に対する態度はどうでありましようか。吉田内閣の政策は、独占金融資本中心の、経済再建のためには中小業者など自殺してもいいという。あの池田放言の中に端的に現わされているのであります。この政策の本質は、古い時代の、無慈悲な、惨忍冷酷なる、單に利潤追究主義一方に片寄りました資本の論理を純粋に貫こうとするものでありました、およそ民主主義時代における経済政策の精神と逆行したものであると私は考える。(拍手)自殺してもかまわないというような放言は、いやしくも大臣がそういうことを言うということは、わが国の憲法において定められておりますところの基本的人権尊重の精神を蹂躙するものであります。戰争中に、一身を賭して、身を鴻毛の軽さに比すると言つておりました封建的の思想と通ずるものである。これは、やがてただちにフアツシヨ思想と通ずる考え方であります。このような、無常冷酷なる経済政策に対しましては、われわれは徹底的に抗争しなければなりません。中小業者の問題が今日のように深刻になりましたのは、中小業者自身の責任ではないのであります。政府自身のこのような性格を持ちました財政金融政策の結果が今日のごとき中小企業の危機を招来しているのであると私は考える。
 中小企業の行詰まりの原因は、これは政府関係調査機関がみずから申しているところでありますが、第一には売行き不振である。第二は税金による重圧である。第三は銀行関係である。第四は問屋、親工場の支拂い遅延であるというように、その原因をあげているのでありますが、いずれもこれは、現政府のとつておりますデフレ政策の結果かくのごとき、現象が生じたのであります。中小業者の窮境を救いますには、現在の政府のとつておりますこの政策のもとでは断じて不可能である。われわれはそういう主張を持つている。
 たとえば吉田内閣の財政政策は、われわれの目から見ますと、あまりにいわゆる超均衡予算の性質を帯びているのであります。政府は、昭和二十四先度におきましては千五百億円、三十五年度におきましては千二百億円の多額に上ります旧債務償還を行うたのであります。また行おうと決定したのであります。このようなやり方に対しまして、われわれは反対しているのであります。かような超均衡予算、これは必ずデフレ現象を生むところの予算であります。このような政策をやめまして、大衆から取上げたものを大金融資本家や大産業資本家に差上げるという政策をやめて、それだけ租税の軽減あるいは公務員の給与ベースの引上げというような政策を行いまして、大衆の購買力を高めて行く。
 払は、中小業者を救済する第一の方法は、物が売れて行くうな政策をとる、そういう、政策を行えるような経済政策を樹立することであると言いたいのであリます。これを、あるいは私が申しましたようなものに全部利用するのでなくとも、あるいはこの金を、現在の政府が行つておりますように市中の大銀行に拂さないで、政府がみずから直接に失業救済あるいは産業その他の方面に対して貸し出す、こういうふうにいたしますならば、企業ももつと活発なる活動を開始することができるはずであるとわれわれは考えるのであります。これを市中銀行に入れてしまうから問題の解決がむずかしくなつて来る。市中銀行から決して中小業者に金がまわつて来るわけがないのであります。政府は、勤労大衆から多額の税金を取上げて、この税金を旧債務償還というような形で大銀行にしまい込ましてしまう。そこからは、中小業者に対しては金が出て来ない。彼らは利潤追究主流であり、安全第一主義であるからであります。このような政策をとる。これが明らかにデフレ政策になるのである。
 われわれは、このような意味におきまして、現内閣の政策では中小企業は断じて救われない、私の申しましたような大衆の購買力のふえるような政策を中小企業者のためにとらなければならぬ、あるいは彼らのために租税の軽減をはかる、あるいは思い切つた低利長期の金融機関を設けるというようにいたしまして、これらの中小企業家を救わなければならないのであります。しかしながら、政府の政策は、先ほどから申しますように、まさにこれに対して反対である、てんで逆のコースを行つておるのであります。その結果、現在わが国の。中小企業家も血の出るような叫びを上げまして、現在の内閣の政策に対して徹底的な反対の意思表示をしておる労働者階級とひとしく、現内閣の政策にして絶対反対の態度を取つておるのであります。先ほども三宅君が申されましたが、中小企業に対する政策の相違から中小企業庁長官の地位を去らなければならなくなつた蜷川氏が、中小企業家をも含めたあの京都府の選挙におきまして、自由党の候補者を破つて当選したということは、私は現在中小業者もまた現内閣から全然離れた考えを持つておるということを如実に証明した事例であると考えるのであります。(拍手)
 農民はどうでありましようか。農民は、現内閣の政策で、一体今どのようになりつつありましようか、農民はそれによつて、現内閣にはたしてどのような考えを持つておるか、私はこのことをも簡單に考えてみたい。わが国では、戰後、連合国際司令官の命令によりまして農地改革が断行せられたのでありますけれども、残念なことには、この改革の術に当りました政府が、不幸にして民主主義的政府でなくて、保守的政府であつたのであります。そのため、改革の事業は著しくその効果を減穀せられておるのであります。なるほど、百七十万町歩に上る小作地は解放せられました。しかしながら、経済的にもまた技術的にも日本の遅れた農業を大きく改革いたしまして農業の近代化をはかるという政策の裏づけは、残念ながら冷然なかつたのであります。
 そこで、農地改革の結果どうなつたか。そこに現われましたものは、ますます零細化する過小農でありまして、しかもこの零細な自作農に対しまして、資本家政府の政策は、收奪と負担の増加を、安い米価、きびしい供出、高い税金、農産物価格と工業製品との価格のシエーレというような政策を通じて強行したのであります。そこへもつて。来て、吉田内閣が、日本の後輿と安定を、独占金融資本及び巨大なる産業資本の利益を中心とする方式によつて恐慌いたしましたために、その政策の結果といたしまして、日本の農業と農民のこうむる窮乏と收奪、そこから来る農業経営の停滞はますますはなはだしからしめられておるのであります。
  すなわち吉田内閣は、九原則の実地を通じまして農業に対しまして、労働者に対する低賃金を維持するための低米価政策をおくまで強行いたしました。このことが、重い農民の税金の取立てと相まちまして、独占資本のために資本蓄積を容易にすることのみに主力を注ぎまして、反対に農業に対する国家的な財政支出、資金あるいは資材の配分仕極端に抑制せられる政策となつて現われたのであります。このため農業金融は枯渇いたしました。農業におきまして緊急に必要といたします土地改良費や災復復旧費のごときも、国家の予算から、われわれの理想から見れば、はるかに著しく削減せられまして、農業の基礎はまさに荒廃にさらされようとしておるのであります。たとえば公共事業費に対する土地改良費の支出を予算面について見ますと、昭和二十四年度では二二%でありましたが、二十五年度におきましては実に八。五%に下るというような低い率なつてしまつたのであります。農民の税金の負担は戰前に比べまして幾何級決的に増加しておるのに対しまして、農業に対する財政的支出の比率ほほとんど半減しておるといわなければならぬのであります。さらに九原則の実施は、御承知のように厖大なる失業人口農村に追い込みまして、シヤウプ勧告による税制改革によりましても、農民の税負担は、全般的に見まして、いささか、軽減いたしておらないのであります。
 これを要するに、現政府の政策は、農民に対しましても、中小企業家及び労働者に対すると同じように、これを犠牲的立場に追い込みまして、しかも最近において明らかになりましたことで、最も私は重大な問題として今日触れなければならない政策が、現内閣よつてとられつつあるのであります。それは、現内閣が農民に対する収奪を続けながら、そのために荒廃に帰しつつある農業を放棄して省みないというような、そのような露骨な政策を現わし始めたということであります。これは日本の農業政策における重大なる問題であると私は考える。おそらく明治の歴史が始まりまして以来、今日ほど日本の農業が恐るべき危機に直面せられている時期はないと私は考える。
 政府は、さきに農民の要求を踏みにじりまして、二十四年度の産米の価格を赤字米価の範囲において決定した。超過供出に対する特別価格をも昨年度よりも減額したのでありますが、その反面に大量の海外食糧の輸入を試みまして、本年度は、最初政府は約二百二十万トンの搬入計画というようなものを発表しておりましたが、一躍三百七十万トンというようなものに引上げまして、このような大量の海外食糧の輸入が、今やわが国の農業に対しまして深刻なる影響を與えようとしておるのであります。われわれから申しますならば、日本の国内の農業の生産力を増進させる、近代化をはかつて生産量を引上げ、その進歩したる生産技術で生産費を引下げて、これによつて外国の農業と競争することができる、このような方向に対して日本の農業を進めて行く、これこそが農地改革に伴う、また農地改革のもとに行わなければならない唯一の準歩的農業政策である考えるのでありますけれども、政府は、これに対しましては何らの熱意を示さない、何らの措置を講せずして、いきなり大量の輸入食糧に依存して行くという、そういう政策を今とりつつある。これは弱い日本農業を裸のままで国際農業との競争のもとに立たせるということでありまして、まさにわが国の農業は、このような現内閣の農業及び農民の立場を無視した政策によりまして、今や危急存亡の淵に追い込まれているのであります。かようにいたしまして、いよいよわが国の農村の上にも、吉田内閣の政策を中心といたまして本格的な農業恐慌のあらしが吹きすさぼうとしておるのであります。
 このような状態のもとにおきまして私は特に皆さんに申し上げておきたい。現在あらゆる農業団体が一致して蹶起いたしまして、もはや現内閣の農業政策にたよることはできない、みずからの力によつて農業の危機突破の運動を起すよりしかたがないという決意をしております。これは、あらゆる農業団体が、今から一年有余前に自由党の政策に欺瞞されたような、そういう心境を脱して、この一年有半の問に自由党の政府のなす農業政策の結果を見て、今やわれわれはこの内閣を不信任し、みずから立ち上るよりほかないという決意をしたことを表明するものであります。
 小坂議員は、何の確信があつて不信任案を出したかということを野党に対して質問せられたのでありますけれども、私は、今の若干の説明によりまして、わが国のこの議会の外におる勤労大衆が、今こそ一日も早く現内閣に退陣してもらいたいという現内閣に対する不信を抱いておる、こういうことをはつきり申し上げまして、私の本案に対する賛成の意思表示にかえさせていただきたいと思うのであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 小林進君。
    〔小林進君登壇、〕
○小林進君 社会革新党を代表いたしまして、ただいま上程されておる不信任決議案に対し賛成の意見を表明せんとするものでもります。
 吉田内閣、年半の執政を見るに、繰返し述べられたことく、これことごとく失敗の連続であります。外交問題においてしかり。わが国は、今や逼迫せる世界情勢のまん中に投げ出されて、一歩これを誤れば、民族永遠の悲境に陥らなければならない関頭に立つておるのでありまするが、これ対処するには、あくまでも憲法の命ずるところ、平和への確立と永久中立に宗教的信念をもつて進まなければならぬのであります。自由党の植原悦二郎氏は、先ほど永久中立のごときは前例なきナンセンスであるというようなことを言われたのでありまするが、われわれが新憲法を定めるときには、世界にかつて前例のなき崇高なる精神をもつてこの憲法を定めたのでありまして、この精神は、あくまでも平和確立の面で強く持つて進まなければならぬのであります。しかも、この永久中立、全面平和への道は、確かにいばらの道ではございましよう。いばらの道ながら、われらははあえて前例にとらわれず、新たなる世界の歴史を樹立するという崇高なる使命を自党しなければならぬと思うのであります。しかるに、これに対し吉田内閣は、單独講和並びに中立放棄もやむなしという、態度を見せておるがごとき、憲法の精神を蹂躙し、国民を愚弄するもはなはだしきものと言わなければならぬのであります。かくして国民は、今や、求めて火中に飛び込まんとする政府のこの状態にせんせんきようきようとし、その外交政策に恐怖を感じておるのであります。この点においても、政府は当然その責任を感じ、その職をしりぞくべきであると思うのであります。
 内政を見まするに、デイスインフレ、経済安定に名をかりて、もつぱら金融資本家に奉仕し、遂に勤労大衆の大多数を窮乏のどん底に追い込んでしまつたのであります。農村は、今や無為無策の吉田内閣の農村対策によつて恐慌の一歩手前にもありながら、なおかつ五百万の潜在失業者をかかえておるという現状であります。中小企業者に対しては、実際の面において自殺を強要するがごとき重税政策をもつて臨んでおるのでありするし、しかして、今すでに四〇%に近い企業者が破産の返金にあり、労働者諸君に対しては、人事院規則、仲裁裁定等の一切の中立的法律処置を拒否し、一切の輿論を無視して、その低賃金を推し進めんとしておるのであります。しかも、こうして窮乏に追い込まれた働く大衆に対し、収奪にひとしい方法で取上げた税金その他一千三百億円も、国債償還に名をかりて金融資本家に奉仕しているがごとき、冷血そのままの政治と言わなければならぬのであります。
 吉田内閣一年半の資本主義的、自由主義的政策の失敗を最も端的に示しているものは滯賃の問題であります。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) あと時間は五分ですから、皆さん静粛にお聞きください。
○小林進君(続) 国民の血と汗の税金をぶち込んでつくり上げた、あるいは買い上げた輸出入の滯賃が一千億近くたまつておる。これが処分困つて、安値に海外へ放出すれば日本の商品のダンピンゲと言われ、国内に出せば、一切の企業がこの滞貨に押されて破産してしまう。しかたがないから、これを焼いてしまおん、海に捨ててしまおう、国民の税金が売れない品物に化け付けようかなどという意見も出たという、国民の税金が売れない品物に化けて死蔵されているという、この一事のみをもつてしても、吉田内閣の実績を端的に物語つておる失敗の例証であります。このことだけでも、吉田内閣は断固退陣して、これを国民の前に陳謝すべきであると思うのであります。
 断じて実施できぬ二十五年度の予算をつくり上げ、昨年度に二倍する重税の権化たる地方税法案を、與党のみで可決するという国会無視の方法で衆議院を通過せしめ、一切の勤労大衆を二重、三重に縛り上げて、身動きもできぬ形をつくり上げた上に、今度は内閣の大番頭たる池田蔵相をアメリカに飛ばして、そこから、何とかうまく行く、ドツヅさんの意見で修正する、外資もうまく行く等々ごまかしの放送をさせて、それでまた国民をだまして自己の政権の余命を続けようとするがごとき、言語道断と言わなければならぬのであります。国民は、もはや、そんな手段にごまかされないのであります。
 明治の末期、桂首相は、天皇の袖によつて政権を獲得した、袞龍のそでに隠れて政権を私すると、尾崎行雄先生にむちうたれたのであります。今、吉田内閣は、袞龍のそでにあらざる関係方面を利用し、必要以上に庇護あるがごとくに宣伝して、このそでに隠れて税政、悪政の数々を重ねておるのであります。ただ吉田首相と桂首相の異なるところは、桂首相は、袞龍のそでに隠れて、とむちうたれたときに、良心の苛責に耐えかねて顔面蒼白となつたのでありまするが、これに反し吉田首相は、いかに打たれても反省する一片の良心さえお持ちでないのであります。かくのごとき厚顔無恥なる態度をもつて法律を無視し、国会の審議権を無視し、国家の経済秩序を破壊する吉田内閣ととうてい信任することは得ず、即時退陣せられんことを強く要求いたしまして、私の持論にかえておく次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず苫米地義三君外七名提出、吉田内閣不信任決議案につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。苫米地義三君外七名提出。吉田内閣不信任決議案に賛成の諸君は白票、反心の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(幣原喜重郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(幣原喜重郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百九十九
 可とする者(白票)  百四十三
    〔拍手〕
 否とする者(青票) 二百五十六
    〔拍手〕
○議長(幣原喜重郎君) 右の結果、苫米地義三君件七名提出、吉田内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 苫米地義三君外七名提出吉田内閣不信任決議案を可とする議員の氏名
   天野  久君  荒木萬壽夫君
   有田 嘉一君  井出一太郎君
   石田 一松君  稻葉  修君
   小川 半次君  小野 孝君
   大西 正男君  大森 玉木君
   金子與重郎君  金塚  孝君
   川崎 秀二君  木下  榮君
   北村徳太郎君  吉川 久御君
   小林 運美君  小林 信一君
   小松 勇次君  河野 金昇君
   河本 敏夫君  佐伯 宗義君
   坂口 主税君  笹森 順造君
   笹山茂太郎君  志賀健次郎君
   椎熊 三郎君  鈴木 幹雄君
   清藤 唯七君  園田  直君
   高橋清治郎君  竹山祐太郎君
   千葉 三郎君  床次 徳二君
   苫米地義三君  内藤 友明君
   中島 茂喜君  中曽根康弘君
   並木 芳雄君  橋本 金一君
   長谷川四郎君  畠山 重勇君
   早川  崇君  林  好次君
   原   彪君  平川 篤雄君
   福田 繁芳君  藤田 義光君
   船田 享二君  増田 連也君
   松本 瀧藏君  三木 武夫君
   村瀬 宣親君  森山 欽司君
   柳原 三郎君  山手 滿男君
   山本 利壽君  吉田  安君
 早稻田柳右エ門君  足鹿  覺君
   青野 武一君  赤松  勇君
   淺沼稻次郎君  井上 良二君
   猪俣 浩三君  石井 繁丸君
   稻村 順三君  今澄  勇君
   受田 新吉君  大矢 省三君
   岡  良一君  加藤 鐐造君
   勝間田清一君  上林與市郎君
   川島 金次君  久保田鶴松君
   佐々木更三君  佐竹 新松君
   坂本 奉良君  鈴木茂三郎君
   川中織之進君  堤 ツルヨ君
   土井 直作君  成田 知巳君
   西村 榮一君  福田 昌子君
   前田榮之助君  前田 種男君
   松井 政吉君  松岡 馳吉君
   松澤 兼人君  松本 七郎君
   三宅 正一君  武藤運十郎君
   門司  亮君  八百板 正君
   米澤 滿亮君  井之口政雄君
   伊藤 憲一君  池田 峯雄君
   江崎 一治君  加藤  充君
   風早八十二君  春日 正一君
   神山 茂夫君  柄澤登志子君
   川上 貫一君  河田 賢治君
   苅田アサノ君  木村  榮君
   聽濟 克巳君  志賀 義雄君
   砂間 一良君  田島 ひで君
   田代 文久君  田中  平君
   高田 富之君  竹村奈良一君
   立花 敏男君  土橋 一吉君
   中西伊之助君  梨木作次郎君
   野坂 參三君  林  百郎君
   山口 武秀君  横田甚太郎君
   米原   昶君  渡部 義通君
   飯田 義茂君  小平  忠君
   高倉 定助君  寺崎  学君
   中村 寅太君  羽田野次郎君
   松本六太郎君  岡田 春夫君
   黒田 寿男君  玉井 祐吉君
   中原 健次君  松谷天光光君
   大石ヨシエ君  小林  進君
   足立 梅市君
 否とする議員の氏名
   阿左美廣治君  逢澤  實君
   足立 篤郎君  安部 俊吾君
   青木  正君  青柳 一郎君
   淺香 忠雄君  淺利 三朗君
   麻生太賀吉君  天野 公義君
   有田 二郎君  井手 光治君
   井上 知治君  伊藤 郷一君
   飯塚 定輔君  生田 和平君
   池田正之輔君  池見 茂隆君
   石田 博英君  石原 圓吉君
   石原  登君  稻田 直道君
   今泉 貞雄君  今村 忠助君
   岩本 信行君  岩川 與助君
   宇田  恒君  宇野秀次郎君
   植原悦二郎君  内海 安吉君
   江崎 貞澄君  江田斗米吉君
   江花  靜君  遠藤 三郎君
  小笠原八十美君  小川 平二君
   小川原政信君  小澤佐重喜君
   小高 熹郎君 小野瀬忠兵衞君
   尾崎 末吉君  尾関 義一君
   越智  茂君  大石 武一君
   大泉 寛三君  大内 一郎君
   大西 禎男君  大野 伴睦君
   大村 清一君  大和田義榮君
   岡延右エ門君  岡崎 勝男君
   岡田 五郎君  岡西 明貞君
   岡野 清豪君 岡村利右御門君
   奧村又十郎君  押谷 富三君
   加藤隆太郎君  鹿町 彦吉君
   鍛冶 良作君  角田 幸吉君
   風間 啓吉君  柏原 義則君
   片岡伊三郎君  甲木  保君
   門脇脇太郎君  上林山榮吉君
   神田  博君  川西  清君
   川野 芳滿君  川端 佳夫君
   川村善八郎君  川本 末治君
   河原伊三郎君  菅家 喜六君
   木村 公平君  菊池 義郎君
   北川 定務君  北澤 直吉君
   金原 舜二君  倉石 忠雄君
   栗山長次郎君  黒澤富次郎君
   小金 義照君  小坂義太郎君
   小平 久雄君  小玉 治行君
   小西 寅松君  小西 英雄君
   小峯 博多君  小山 長規君
   河野 謙三君  近藤 鶴代君
   佐久間 徹君  佐々木秀世君
   佐々木盛雄君  佐瀬 昌三君
   佐藤 榮作君  佐藤 重遠君
   佐藤 親弘君  坂田 英一君
   坂本  寅君  志田 義信君
   清水 逸平君  塩田賀四郎君
   篠田 弘作君  島田 末信君
   澁谷雄太郎君  島村 一郎君
   首藤 新八君  白井 佐吉君
   庄司 一郎君  周東 英雄君
   鈴木 明良君  鈴木 仙八君
   鈴木 善幸君  鈴木 正文君
   瀬戸山三男君  關内 正一君
   關谷 勝利君  千賀 康治君
   口口長治郎君  田嶋 好文君
   田中 角榮君  田中 啓一君
   田中 彰治君  田中  元君
   田中不破三君  田中 萬逸君
   用中  豊君  田渕 光一君
   多田  勇君  多武良哲三君
   高木  章君  高木吉之助君
   高木 松吉君  高塩 三郎君
   高田 弥市君  高橋 英吉君
   高橋  等君  高橋 松吉君
   竹尾  弌君  玉置 信一君
   玉置  實君  中馬 辰猪君
   關司 安正君  塚田十一郎君
   塚原 俊郎君  土倉 宗明君
   辻  寛一君  圖谷 光衛君
   坪内 八郎君  坪川 信三君
   寺島隆太郎君  寺本  齋君
   東井三代次君  苫米地英俊君
   冨永格五郎君  奈良 治二君
   内藤  隆君  中垣 國男君
   中川 俊思君  中村  満君
   中村 幸八君  中村 純一君
   中山 マサ君  仲内 憲治君
   永井 英修君  永井 要浩君
   永田  節君  長野 長廣君
   夏堀源三郎君  西村 英一君
   西村 直己君  西村 久之君
   根本龍太郎君  野原 正勝君
   野村專太郎君 橋本登美三郎君
   橋本 龍伍君  幡谷仙次郎君
   畠山 鶴吉君  花村 四郎君
   林  讓治君  原 健三郎君
   原田 雪松君  樋貝 詮三君
   平井 義一君  平澤 長吉君
   平島 良一君  平野 三郎君
   廣川 弘禪君  福井  勇君
   福田 篤泰君  福田  一君
   福永 一臣君  福永 健可君
   藤井 平治君  藤枝 泉介君
   渕  通義君  淵上房太郎君
   船永  弘君  古島 義英君
   降旗 徳弥君  保利  茂君
   星島 二郎君  細田 榮藏君
   堀川 恭平君  本間 俊一君
   眞鍋  勝君  前尾繁三郎君
   前田 正男君  牧町 寛索君
   益谷 秀次君  松井 豊吉君
   松浦 東介君  松木  弘君
   松田 鐵藏君  松永 佛骨君
   松野 頼三君  松本 一郎君
   松本 善壽君  丸山 直友君
   三池  信君  三浦寅之助君
   三宅 則義君  水田三喜男君
   水谷  昇君  南  好雄君
   常幡  靖君  宮原幸三郎君
   武藤 嘉一君  村上  勇君
   村上 清治君  守島 伍郎君
   森 幸太郎君  森   曉君
   八木 一郎君 藥師神岩太郎君
   柳津 義男君 山口喜久一郎君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山崎 岩男君  山村新治郎君
   山本 猛夫君  山本 久雄君
   吉田  茂君  吉田吉太郎君
   古武 惠市君  龍野喜一郎君
   若林 義孝君  渡邉 良夫君
   亘  四郎君  犬養  健君
    ―――――――――――――
○議長(幣原喜重郎君) 次に、野坂參三君外三十五名提出、吉田内閣不信任決議案は、苫米地義三君外七名提出の決議案議決の結果、議決を要しないものといたします。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 参議院から本院提出、熱海国際観光温泉文化都市建設法案及び伊東国際観光温泉文化都市建設法案が回付せられました。この際議事日程に追加して、右回付案を一括して議題となすに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 熱海国際観光温泉文化都市建設法案の参議院回付案及び伊東国際観光温泉文化都市建設法案の参議院回付案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。両案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔起立者なし〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立者がありません。よつて参議院の修正に同意せざることに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 憲法第五十九條第二項に基いて再議決のため、熱海国際観光温泉文化都市建設法案の本院議決案及び伊東国際観光温泉文化都市建設法案の本院議決案の両案を一括して議題とされんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて熱海国際観光温泉文化都市建設法案の本院議法案、及び伊東国際観光温泉文化都市建設法案の本院議決案を一括して議題といたします。
 ただちに採決いたします。両案はさきに本院において議決の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立者出席議員の三分の二以上と認めます。よつて両案は、さきの議決の通り、出席議員三分の二以上の多数をもつて可決せられました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一につきお諮りいたします。内閣から、日本放送協会経営委員会の委員となるべき者に矢野一郎君、神野金之助君、本野亨君、大原總一郎君、則内ウラ君、福田虎独君、古宇田清平君、字野親美君を指名するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて同意を與えるに決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二についお諮りいたします。内閣から、電波監理委員会の委員長に富安謙次君を、また委員に網島毅君、上村伸一君、岡咲恕一君、坂直道君、灘川昌邦君、拔山平一君を任命するため本院の同意を求めたいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて同意を與えるに決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第三、国家行政組織法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案の参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第四、商工会議所法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事澁谷雄太郎君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔澁谷雄太郎君登壇〕
○澁谷雄太郎君 ただいま議題と相なりました商工会議所法案につきまして、委員会における審議の概要並びに結果を御報告申し上げます。
 まず本法案の目的及び要旨を簡單に御説明申し上げます。すなわち本法案の目的といたしますところは、第一に、商工業の改善発達に資し、あわせて社会一般の福祉の増進に寄與せんとするものであります。第二には、商工会議所の基準及び原則を明確に規定いたしまして、地区内の商工業の改善発達を促進し、あわせてその地区の福祉と繁栄を増進することを目的とし、会員が任意に加入または脱退することができることとし、また会員はおのおの一個の議決権を有することなどを規定したものであります。第三には、御承知のごとく商工会議所は長年の伝統を持つておりますので、その社会的評価も高いのであります。従いまして、その基礎を強固にいたしますため、民法の公益法人の規定によつて設立されたものに統一し、單なる組合や団体等の法人でないものが商工会議所の伝統をはずかしめることのないように権威づけたものであります。第四に、商工会議所は原則として市の区域に一個に限つて存立せしめることといたしましたが、商工業の分布状況によりましては、市町村及びこれらが合同してつくるもの並びに全国的または都道府県ごとの商工会議所の連合体を設立することを認めました。第五に、商工会議所は事業者団体とて事業者団体法の適用を受けるのでありますが、その行い得る事業の主要なものを列挙いたしました。第六に、この法律に規定する商工会議所としての要件を備えていないものに対しましては商工会議所という名称を使用することを禁止し、必要な罰則を設けたことであります。以上が本法案の目的及び要旨の概要であります。
 本法案は、自由党星島二郎君外八名の提案によるものでありまして、四月三十日委員会に付託せられ、同日、提案者神田博君より提案理由を聴取いたしまして、關内正一君より質疑、討論を省略して採決するの動議が提出せられたのでありますが、共産党を除く各派の賛成によりまして動議は可決せられました。次いで、ただちに採決に入りましたところ、多数をもつて可決いたした次第であります。右簡單でありますが、御報告申し上げます。
○副議長(岩本信行君) 伊藤憲一君より討論の通告がございますが、席においでになりませんので棄権と認めます。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の紀立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第五、国土総合開発法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。経済安定委委員長小野瀬忠兵衞君。
○小野瀬忠兵衞君 ただいま議題となりました国土総合開発法案について、委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。
 御承知のごとく、わが国は狭隘なる国土に過大なる人口を擁し、その生活の維持向上をはかることは、最も重要にしてかつ困難な問題でありますが、これがために戰後の荒廃した国土の保全をはかり、また国土及び資源の積極的、合理的かつ効果的な開発利用を期することは、これによつて人口収容力の増大、産業発展の基盤の育成及び地方振興をはかることとあわせて、現在きわめて緊要なる要請であります。しかしながら、これには、広汎な角度から詳細に検討を加えた、総合的ないわゆる国土総合開発計画を樹立することが必要であります。もちろん、従来からも関係各省においてそれぞれの見地から国土計画の立案に努力して参りましたが、遺憾ながら真に総合的な立案ができておらない実情であります。そこで、さきに内閣に設置されました総合国土開発審議会の答申に基き、内閣において検討の結果提出されましたのが本法案であります。
 本法案の概要について申し上げますれば、この法律の目的は、国土の自然的條件を考慮して、経済、社会、文化等に関する施策の総合的見地から国土を総合的に利用し開発し及び保全し並びに産業立地の適正化をはかり、あわせて社会福祉の向上に資することにあるのでありますが、その目的に沿うべき国土総合開発計画は、申すまでもなく天然資源の利用、災害の防除、産業の適正な立地等のほか、経済、文化、厚生、観光等の各部門にわたる、きわめて広汎多岐な内容をもつものであります。従つて、これを総合して適正かつ効率的な計画を立案するには、現在の各省、各部門にわたる立案の調整と長期の見通しとが必要でありまして、そのために審議機関として総理府に国土総合開発審議会を設けることとし、その事務の運営は経済安定本部をして当らしめようというのであります。
 次に本法案において立案を予定している開発計画は、国が全国の区域について作成する全国総合開発計画、都府県がその区域について作成する地方総合開発計画及び都府県がニ以上の都府県の区域について作成する特定地域総合開発計画の四つであります。本来、本法案では、なるべくそれぞれの地域において地方公共団体を中心として自主的、積極的な開発計画を立案し、これを中央の審議会において総合調整する建前でありますから、都府県総合開発計画、地方総合開発計画及び特定地域総合開発計画の三つの計画につき、その立案者たる都府県がそれぞれ都府県総合開発審議会また地方総合開発審議会の調整審議を経て立案し、これを中央に持ちこむ諸般の手続につき詳細に規定いたしております。もちろん、この立案は強制するものではありませんが、ただ特定地域総合計画については、やや趣を異にして、内閣総理大臣は関係都府県の同意に基き、さらに国土総合開発審議会の議を経て右のごとき特定地域を指定して、その開発計画の促進をはかるとともに、他面これに対し国の負担金、補助金等に関する特例を設け得ることといたしております。なお北海道開発法との関係でありますが、北海道開発庁によつて作成される計画と、本法案による国土総合開発計画との調整は、内閣総理大臣が北海道開発庁長官及び国土総合開発審議会の意見をきいて行うことに本法案ではなつております。
 本法案については、四月二十九日、提案理由の説明を聴取し、審議に入りましたが、作三十日、特に建設委員会と連合審査会を開催いたして審議をいたしました。委員会並びに連合審査会においては、戰後の荒廃したわが国土及び経済の自立及び再建に最も必要なる重大法案でありますので、最も慎重なる審議をいたしまして、熱心なる質疑応答が行われたのであります。
 かくして、昨日討論に入りましたが、國民民主党を代表して守山委員が、社会党を代表して受田委員が、農民協同党を代表して高倉委員が、自由党を代表して志田委員がそれぞれ賛成意見をのべられました。また共産党を代表して米原委員が反対意見を述べられました。
 次いで採決に入りましたが、本案は多数をもつて原案通り可決されました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。米原昶君。
    〔米原昶君登壇〕
○米原昶君 私は、日本共産党を代表しまして、ただいま上程されました国土総合開発法案に対し反対の意見を述べるものであります。
 本法案は、ただいま委員長の報告の通り、きわめて美しい名前を用いまして、荒廃した国土の総合的な開発を意図するがごとくに條文は書かれているのでありますが、現在の日本の情勢下において、ことに吉田内閣のもとにおいてこの法案が実行される限り、明らかに特定の目的を持つた特定の階級に対する利益のみの開発が行われるという意味において、わが日本共産党は、この法案に絶対に反対するものであります。たとえば、この開発計画によつて伝えられているところの只見川を中心とする奥会津地域の開発をとつて見ましても、この開発がいわゆる電源開発のみに重点を置かれていることは明らかでありますが、しかもあの流域変更の結果、阿賀川の水位が下つて、二万五千町歩の田畑が感慨困難を来しているという事実、しかもそのために関係数簡町村にわたつて数万の農民が反対に立ち上ろうとしている事実をわれわれは知らなければならぬのであります。こういう形で、一部の電力資本、そういう者の利益のためにのみ開発されるというのは、決して総合開発といえないのは明らかであります。しかも、これを総合開発の名において実行しようとするところに、われわれがこの法案を批判しなければならない点があるのであります。
 電力の増産にしましても、最近の電力の割当において明らかな通りに、たとえば北陸地方におきましても、ビニール工業というようなものに非常な多くの割当がなされておる。しかも一方には、農薬、中小企業に対する電力の割当を削減されておる。そのビニール工業に対する電力の割当が、結局は機業と養蚕を破壊し、同時に、しかもすでに新潟県においては、本年末には生産過剰になるだろう。そうしてこの工業は、火薬製造の方におそらく転化することは明らかなのであります。かくして、こういう開先計画は、日本の軍事的な潜勢力を増大する方面に使われて行くことは明らかである。
 しかも、数千億を要すると伝えられておるこの総合開発に対して、国内の資本で足りないのは明らかであります。政府の意図しておるところは、外国資本のみに頼ろうとして、ほとんどすべての最近の計画が立てられておるではありませんか。この只見川の開発に対しましても、最近白州何がしという人がアメリカに行つて、この点について外資を懇請しておるということは、すでに新聞紙に伝えられておるところであります。そういう形で外国資本が入つて来る限り、ますますこの計画が日本の軍事基地化を促進するものとなることは明らかである。こういう行き方で行くならば、これは国土開発ではなくして、明らかに国土破壊の計画となつて行くのであります。
 こういう破壊的な計画を実行するがために、今度の法案におきましては三十人の総合開発審議会を設け、これにきわめて高度の独裁的の権限を與えておるのであります。そうして予算の重点的な配分を行わせようとしておる。委員会の政府委員の答弁によりましても、本年度の公共事業費、そういうものの配分をこの委員会において行おうとしておる。しかも、この委員会の助言とか勧告とかいう名目ではありますけれども、事実は内閣総理大臣を通じてこれが地方に出され、地方自治体に出される。この形が地方自治体を圧迫するものとなることは明らかである。これはまつたくヒトラーの国土開発計画と同じものとなるのであります。こういう意味において、日本の全面講和を望み、軍事基地化に反対するわれわれは、絶対にこの法案に反対するものである。
 最近、民主党や社会党の諸君も、軍事基地化反対、全面講和と言つておられますが、その社会党や民心党の諸君が、この法案に対して賛成しておられる。自由党の自由主義の経済に対して、これは計画性を持つた総合開発を憎むものだという意味において賛成しておられますが、まつたくこれは欺瞞的な態度と言わなくちやならぬと思うのであります。これは明らかに日本の軍事基地化を推進せんとするところの基本的な法案になろうとしておるのであります。われわれは、かかる社会党、民主党の欺瞞的態度を痛撃するとともに、かかる重大法案を会期末に迫つたところのわずか一日、二日で強引に押し通しておるところの自由党の独裁的な傾向に反対しまして、私の討論を終る次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 志田義信君。
    〔志田義信君登壇〕
○志田義信君 ただいま議題となりました国土開発法案に関しまして、私は自由党を代表し賛成の討論をいたすものでございます。
 わが国は、敗戦によりまして領土の四割三分を喪失いたし、加えてこれがために、経済の基礎は著しく縮小いたしておるのでございます。その反面に海外より同胞の大量引揚げがあり、人口の自然増加を加えましたならば、近々数年間におきまして九百万人の増加を見ておる実情にあるのであります。一方において領土を失い、他方において人口の増加というこの悲痛なる事態に当面いたしましたわが国の経済生活は、根本的な條件の変化を来しておるという点を認識しなければなりません。
 かかる條件の変化に対処いたしまして、いかにして経済の安定をはかり、あわせて資本の蓄積を行い、さらに進んで国家の繁栄をはかるべきでありましようか。それには、もちろん対外的に輸出の振興をはからなければなりません。対内的には、外に失つたものを内に求めるの政策をとらなければなりません。国土の開発を促進すること、きわめて必要なるゆえんでございます。
 昨今往々にいたしまして、人口の増加に照し合せ、わが国の資源がきわめて貧弱であるという点を指摘される向きがあるのであります。このため、わが国民の民族復興の将来に対しまして、ややもいたしますれば、きわめて悲観的な見解を披瀝せられる向きを見受けるのでありますが、私はさようには考えておらぬのであります。国土を総合的に開発いたしますためには、あくまでも科学的な調査研究を基礎といたしまして、しかも各地方、各地域の持つておる特殊性を十分に生かし、総合的な根本的な開発計画に基きまして、一元的に事業の実施が行われるものでなければならぬと信じておるのでございます。また、かくて初めてその経済効果をあげ得るのではなかろうかと存じておるのでございます。
 しかるに、わが国の現状におきましては、計画の面といわず、あるいは実施の面といわず、この両面から見ましても、中央地方ともに行政機能が著しく分化されておる現状でございます。このために総合的な開発計画が樹立されず、個々にこれが実施されておりますために、その間総合性を欠き、また統一性を欠いておる現状でありまして、貴重な経費も十分にその経済効果を発揮できない実情にあると思つております。
 一本の河川流域に例をとつてみましても、川上の水源滋養に必要なる植林は林野庁の所管であります。上流の山腹工事または下流の農業用水に至りますれば、御承知の通り農林省であります。渓間工事は建設省の所管になります。もしここに発電用ダムを建設する場合におきましては通産省に所属いたしておりまして、またその辺が国立公園に指定されまする場合は厚生省が参與して参るのであります。川を下つて、河川工事はもちろん建設省になります。河口に行きますれば、港湾は運輸省の所管になるのでありまして、わずか一本の河川について見ましても、かくのごとく、各省がそれぞれの立場におきまして、その保全あるいは利用、あるいは開発を計画するということになりますれば、いたずらに各省間のなわ張りを助長するのみでありまして、まことに残念なる結果を招来しておると思います。
 また現在、各都道府県におきまして、それぞれの振興発展をはかるために、地方開発計画が熱心につくられております。しかし、ここにも中央で見られたと同様の問題があります。すなわち地方開発計画も、国と地方を通じて一貫した計画のうちに包含されておりませんので、いたずらに雄大な計画と化し、現実の行政のうちに着々と織り込んで行くという裏づけがないために、地方開発計画書は机上に積み重ねられたままであるというのが今日の現状といわなければなりません。
 かような事態をこの際打開いたしまして、国土の総合的な開発をはかりまするためには、国民の知能を集めて、国土の総合的な、基本的な開発計画を樹立いたしまして、その計画に基いて開発事業の実施を推進することがきわめて肝要なることは、申し上げるまでもないのであります。この目的を達成いたしまするために、本法の示すがごとき独立した機関を設置いたしまして、中央にあつては内閣総理大臣に直属し、地方にあつては都道府県知事に直属する諮問機関をそれぞれ設置いたしまして、これが相互に協同して、総合的な開発計画の樹立及び実施を行わしめることは、きわめて必要であろうかと思うのであります。
 かくのごとき総合開発の事業は、多年にわたり巨大な経費を必要といたしますることは言うまでもありません。われわれ、でき得くんば開発金融公庫等の設置も考慮することが今後大切ではなかろうかと存じておるのであります。また外資導入の面からいたしましても、本法に基き政府が国土の総合開発計画を立てることは、一日を争うに足る緊急なる作業であると信じておる次第であります。私たち政治に志をいたすものといたしましては、夢寝の間にも忘れ得ざる国民の完全就労の理想実現のためにも、本法の成立は国民の期待するところといわなければならぬと存じております。
 審議会の構成、運用、その他政令に譲つておりますところの事務局機関の運営につきましては、特に政府は留意いたしまして適切な処理を講ぜられるよう要望いたしまして、本案に賛成の意を表する次第でございます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    [賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(岩本信行君) 日程第六、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事藥師神岩太郎君。
    〔藥師神岩太郎君登壇〕
○藥師神岩太郎君 ただいま議題と相なりました、内閣提出、農林委員会付託にかかわる農林水産業施設災害腹旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律案につきまして、審議状況並びに結果の大要を御報告いたします。
 本法案は、現在政令をもつて実施いたしておりまする災害復旧に関する国庫補助その他の事項を立法化したにすぎないのでありまして、その要点は、一箇所の工事費十五万円以上のものを補助の対象とし、直接災害によらないものはこれから除外し、また都道府県知事は、補助金の交付を受け工事を行う者に対し調査を行いまたは報告を求める等必要な指示をなし得るようにしたことであります。
 本法案は、二十八日付託と相なり、二十九日提案理由の説明を聞き、同日及び昨日の両日にわたり質疑を行いましたが、詳細な速記録に譲りたいと思います。
 続いて討論に移りましたるところ、共産党のみは反対されたのでありますが、その他は全部賛成意見を述べられたのであります。
 次いで採決の結果、多数をつて原案の通り可決すべきものと議決いたしたのであります。
 以上御報告いたします。
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、地法自活法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 地方自治法の一部を改正る法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事大泉寛三君。
    〔大泉寛三君登壇〕
○大泉寛三君 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案に関する、地方行政委員会の審議の経過並びに結果につきその概要を御報告申し上げます。
 政府の提案にかかわる本法案の目的とするところは、地方公共団体の自主性及び自律性を徹底するとともに、さらに地方自治の運営における公正と効率とを確保しようとするにあるのでありまして、これがために、地方自治運営の現状にかんがみ、地方公共団体における直接請求の手続、地方議会の運営、各種訴訟の手続等の整備並びに地方公共団体の事務処理機構の刷新及び監査機能の強化をはかる等の措置を講じようとするものであります。
 その内容といたします事項は広汎であつて、かつ複雑多岐にわたり、しかも事務手続に関することが多く、これを逐一具体的に述べますことは煩雑にすぎますので、その詳細はあげて委員会の記録に譲りたいと思います。
 本法律案は、昨年十二月十五日、本委員会に付託せられ、同月二十日第一回の委員会を開いてから慎重審議を重ね、地方自治の強化、すなわち法制上並びに運用上における地方公共団体の自主性と、中央の干渉排除等の問題をめぐつて盛んに質疑応容が繰越されたのでありますが、本法案は、その目的とするところが前に述べたことく、その主眼点はおおむね妥当であると認められたのであります。しかしながら、本委員会といたしましては、本案に対し修正を加える必要を認めましたので、次のような修正案を作成いたしたのであります。
 すなわち修正の第一は、都道府県の議会の定例会に限り政府の改正案が毎年四回以上と改めようとするものを、地方行政における議会の重要性にかんがみ、なお現行法通り六回以上とすることであります。
 修正の第二は、地方議会事務局の法制化であります。すなわち、地方制度の変革に伴い、とみに重要性を加えました地方議会の地位と使命とにかんがみ、その機能を遺憾なく発揮させるため、事務局の整備及びその法的基礎の確立は必要なりと認められますので、すでに事実上存する地方議会の事務局を明示しようとするのであります。
 修正の第三は、都道府県または市町村の議会が、知事または市町村長の不信任の議決する場合における議決の定足数に関するものであつて、一たびこれらの長が不信任の議決を受けて議会を解散した後、初めて召集された議会において、再び不信任の議決をする場合にも、なお出席議員の四分の三以上の者の同意を要するというのは、住民の代表である議会に対抗して、理事者の立場が強きに過ぎると思われますから、この場合は出席議員の過半数をもつて足りると修正しようとするのであります。
 修正の第四点は、いわゆる戦時中に合併した市町村の分離に関するものであります。昭和二十三年法律第百七十九号地方自治法の一部を改正する法律の附則第二條に定められた手続、すなわち関係住民の投票に付し、その過半数の同意を得たものは、当該都道府県議会の議決を経て、という手続に変更を加えようとするのであります。すなわち、本法が当初制定された立法の精神並びにその施行後地方における本法運用の実情にかんがみまして、関係住民投票において民意の真正、的確を期するため、有効投票の三分の二以上の同意を得ることを要するように改めるとともに、その同意があつたときは、選挙管理委員会は、このことを都道府県知事及び都道府県の議会に報告することとし、議会は関係住民の意思を尊重する建前から、この報告があつた日から三十日以内に、当該都道府県の議会において、その議員の発議により、出席議員の四分の三以上でこれに同意すべきでないとの議決があつたときに限り、都道府県知事は市町村の廃置文合または境界変更を定めることができないこととし、右の法定期間内に右の議決がない場合は、市町村の配置文合または境界変更を定め、内閣総理大臣に届け出なければならないこととするのであります。なおこの改正法の実際の適用にあたつては、すでにその手続を開始している請求については原則として、なお従前の例によることとする旨の経過規定を設け、地方における混乱を防止したのでります。
 以上四点が主なる修正点でありますが、なお本法の施行期を本年五月十五日としたこと、公安委員会の重要性にかんがみ、法規中に教育委員会等例示してある場合に、公安委員会もその他の委員会中に含ましめないでこれを明示することとし、及び公職選挙法の施行その他制度法規の改廃によつて生じた関係條項に対する必要な改正を加えることなどの修正をしようとするものであります。
 以上、本案並びにこれに対する修正案の概要について申し述べました。
 本法案は、四月二十九日質疑を終え、ただちに討論に入り、採決の結果、修正可決の議決を得たのであります。
 本法の施行期日及び附則第二條の戦時中合併した市町村の分離手続に関する修正についてさらに変更を加える必要が生じましたので、四月三十日、本法案を再議に付することを議決し、その結果、五月一日、委員会において再議に付し、修正案について質疑を行い、採決の結果、修正可決の議決を得たのであります。
 なお本案に関連して、委員から、本法案の実施にあたつては、関係当局がその運用について十分遺憾なきよう対処することを要望する旨の発言があり、さらに地方自治の拡充と行政の簡素化の徹底を期するために、政府はその地方出先機関を都道府県に委譲し、都道府県はその地方事務所をそれぞれ整理統合することが必要と認められるから、すみやかにその実施を要望する旨の陳述があり、本委員会はこれを了承いたしましたことを、ここに御報告申し上げます。
 以上をもつて本法案に対する地方行政委員会における審議の経過並びに結果の概略を御報告いたしました。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。大矢省三君。
    〔大矢省三君登壇〕
○大矢省三君 私は、ただいま上程になりました地方自治法の一部を改正する法律案中の附則第二條五項に対して、日本社会党が代表して、本国会の名誉と権威のために反対をするものであります。(拍手)
 御承知の通りに、本案は、戦時中に住民の意思に反して市町村の合併を行つたことに対して、その分離、統合、境界の変更に対する法律案であるのであります。当時、住民の意思によらずして府県会並びに地方議会において決定したことを、今度は直接住民の投票によりまして三分の二以上の同意を得るということが本案の内容であるのであります。先ほど参議院から回付されて参りました地方に特別施行するところの法律案は、その地方に特殊な事情のあるために、地方住民の投票によつて初めて効力が発することは申すまでもないことであります。近く東京都において行われるところの投票の結果によつて初めてその効力が発生するのでありまして、おそらく全国に――せんだつて可決されたところの広島、長崎、別府等も、ことごとく最高意思決定機関の国会がこれを決定いたしましても、さらにまた地方住民の意思表示があつて初めて効力を発することは申すまでもないのであります。しかるに、三分の二以上の投票を得ておるにかかわらず、さらに府県会の議決を要するというのがこの法案の内容であるのであります。これは民主主義の、真の議会中心、自治体を尊重する建前から行きまするならば、何を好んで府県会がこれらに干渉し、これらの投票によつて三分のニ以上の同意があるにかかわわらずそれを再審議するかということについて、私どもは、まず第一に反対するのであります。
 さらもう一つは、これは世界中の議会制度において、かかるこつけいな、ナンセンスなどがあるのでありましようか。一体、議会政治というものは多数決であります。この多数決の原理に従つてやるというにとは、これは常織上、小学校のいわゆる模擬議会においてもちやんと知つておる(「四分の三とあるじやないか」と呼ぶ者あり)違う違う、四分の三の反対ということは書いてある。字句でないのだ。すなわち四分の一の賛成があれば、その結果がここに効力を発するのであります。先ほど行われたところの不信任決議案も、四分の一あればそれじや通るのか。こういうことが、もしこの本会議で決定されて施行されますならば、おそらくこれに賛成した諸君は、私は府県会議員の嘲笑を買うと思います。しかも一つの汚点を残すのであります。こういうことが、一体多数決の原理として――しかも四分の一の賛成によつて効力を発するというのはフアツシヨであります。議会は必要ない。こういうことを一体平気で行わんとするところに、私どもはこの貴重な時間をかりて反対せざるを得ないところの問題があるのであります。(拍手)
 どうか私は、本国会の名誉と権威のために、よろしく大多数のあるところの與党の自由党の諸君はこれを撤回されて、あらためてその四分の一というところを削つて出されんことを――單にこれは多数を擁して可決するところの人々のためではない。本国会の名誉のために、私はぜひともそういうことを強く希望いたしまして、私の討論を終る次第であります。
○副議長(岩本信行君) 河原伊三郎君。
    〔河原伊三郎君登壇〕
○河原伊三郎君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となつております地方自治法の一部を改正する法律案に対し、委員長の報告に賛成の計論を行わんとするものであります。
 本法案は、さきに本院を通過した地方税法案とともに、地方自治の確立、自治運営の健全化をはかるものでありますが、委員長報告は竿頭さらに一歩を進めたものであり、地方の要望を多く取入れたものでありまして、双手をあげて賛成するゆえんであります。普通、地方公共団体の長の不信任案通過にかかる議会解散によつて生れた新たなる議会におきまして、再びその団体の長の不信任決議をなす場合においても、三分の二以上の出席と、出席議員の四分の三の養成がなければ不信任が成立しないというのが現行法であり、政府原案は、これをそのまま見送つていたのでありますが、かくのごときは、いたずらに当局を不当にかばつて民意を軽んずるものであり、委員長報告はこれに明快なる斧鉞を加えまして、すつきりとした民主政治の軌道に乗せたがごときその一例であります。さらに戦時中合併した市長村の分離問題につきましては、第一、分離せんとする区域の住民の意思を十分尊重する原則を堅持しつつ、諸般の実情にかんがみて、軽挙によつて悔いを残すがごときことなきよう深甚なる考慮を加えまするとともに、附則第二條第五項、当該都道府県議会の議決を経る段において、四分の一以上の賛成がなければ住民の意思に反する議決ができないとしたがごときは、現行法に比較してはるかに飛躍的に住民の意思を尊重するとともに、苦心の跡歴然たるものがあるのでありまして、実にあふるるごとき妙味を感ずるのであります。これに対しまして、しやくし定規的な議論は、われわれのとらざるところであつて、理論と現実とを巧みに調和して行くところに政治の妙味があり、健全なる進歩がもたらされると確信するものであります。
 ことに人民の直接投票の後の都道府県議会の議決無用論を社会党の代表者から承るということは、まことにもつて意外千万に感ぜざるを得ないのであります。大体現行法は、都道府県議会の普通の議決、すなわち多数決による議決をもつてこの住民の意思に反する措置がとられることになつております。この現行法、法律第百七十九号は、いついかにしてできたのであるか。三派連立内閣の有力なる與党として社会党がはなやかに御活躍の昭和二十三年七月二十日に生れたことを想い起していただきたいのであります。これに比して、委員長報告は、はるかに飛躍的であり、また各種の條理をよく参酌して、きわめて民主的にかつ実情的にできておるりでありまして、私が双手をあげて養成するゆえんであります。
 最後に、委員長報告は、地方議会積年の宿望であつたところの事務局の法制化を明確にうたつておりますが、これは必ずや地方議会に好刺激を與え、わが国民政治の基盤たる地方自治は飛躍的前進をなすことを確信するものであります。
 以上の理由によりまして、私は委員長の報告に全幅の賛意を表する次第であります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 池田峯雄君。
    〔池田峯雄君登壇〕
○池田峯雄君 共産党は、この法案の原案並びに修正案に対して反対するものであります。
 住民投票、すなわち戦時中に合併されたものの復元に関する住民投票、こういつたような措置について、大分論争があるようでありますが、この点につきましては、住民の意思を十分尊重するという建前から、いかなる制限も加うべきでないと信ずるのでありまして、そういう建前から修正案に反対いたすものであります。
 そのほかに、この改正案には非常に重大な問題が含まれておるのであります。すなわち第一に、この改正案によりますと、直接請求という憲法で保障された民主的な住民の権利を非常に制限することに改正されるのであります。むしろ署名運動のごとき煩わしき手段をとらないで、住民の意思を自由に発表する村民大会であるとか、町民大会であるとか、こういうところに表現された住民の意思を、これをただちに当局が実行しなければならないというような、こういうふうにすべきにもかかわらず、直接請求の措置をどんどん制限して行く。すなわち、選挙管理委員会が一々署名者を呼び出して、これはお前がほんとうに書いたのか、あるいはまたおどかされて書いたのではないか、あるいはだれかに利益を提供されて書いたのではないか、こういうことを一々署名者に問いただす。しかも、これを偽証罪をもつて威嚇する。――自由党の方は、たいへん偽証罪がすきでございます。こういう偽証罪をもつて一々おどかして、そうして住民の自由なる意思を妨害するものであるのであります。
 さらに、署名の自由を妨害した者等に対しては四年以下の懲役あるいは七万五千円以下の罰金に処するというような規定が設けられておりますが、今日まで、リコールなど運動は、直接、間接、威圧、妨害のうちに行われて来たものでありまして、保守勢力対民主勢力、あるいは地主勢力対農民勢力にあるような明瞭な形に発展した場合、警察や裁判所は一体だれの側に立つかといいますと、大部分これは保守勢力の側に立ちまして、民主努力を弾圧しているのであります。従つて、罰則は表面上自由なる署名を擁護するがごとくできておりますけれども、実際にはまつたく運用されることになるであろうということが考えられるのであります。
 さらに、成規の手続によらない署名を求めた者は一万円以下の罰金に処するといことは、一体何事であるか。成規の手続によらない署名運動は、これはもともと無効なのである。そういう署名運動を一万以下の罰金に処すということは、これは請願や嘆願等にもひとしい署名運動すらこれを禁止せんとするものであることは、これは言うまでもないのであります。
 直接請求の結果に対しては、今まで條例の改廃等の要求が非常に出ておりますけれども、大部分却下されているのが実情であります。このことは、いかに住民の意思が不当に蹂躪されているかとい証拠であります。しかも旧法によりますと、直接請求につきましては、地方税あるいは使用料、手数料等の賦課、徴収に関するものについては直接請求ができないということになつております。ところが地方の住民にとりまして、直接請求して住民の利益を認めさせたいものは、この税金の方の関係でありますが、その税金の関係の直接請求ができないというような規定になつております。こういう規定こそ改めるべきであるにもかかわらず、これをそのまま保存されておるような状態であります。
 また町村長とか市長、こういう者に対する解職の請求について見まするに、多くの首長が、そのまま引込まずに、異議の申立、訴訟、請願をやつております。その理由は、これは自筆ではない、偽筆だということがその口実になつておるのであります。その異議申立て期間中、首長のいすを守りながら、権力をもつて切りくずしをやるというのが常套手段であります。茨城県猿島郡幸島村長は、リコール成立後十一箇月を経過しておりながら、いまだに辞職しておりません。そのために、村民の不信の声はますます高く、事務は澁滯し、村民税の滞納は百万円にも及び、新制中学の建設もできないというような状態になつておる。この改正案では、かような惡徳村長なただちにやめさせるべき住民の権利が何ら保障されない。そればかりか、最高裁判所の最終判決があるまで、順調に言つて九箇月を要するのであります。この九箇月の間、解職請求された首長は、悠悠と時期を待つことがでぎる。こんなリコールが何になるか。それは事実上、直接請求の禁止的弾圧である。憲法に保障された召還権の剥奪であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 さらにまた、府県会とか町村会の定例会の回数を、都道府県においては毎年四回というように減じ、一方知事室と称する官僚機構を強化し、部局の改廃の中にも、農林部と商工部とはいずれか一方しか設置できないというように、地方官僚機構を、地方住民の利益を無視して、売国政府の明瞭なる出先構関、弾圧と收奪の機関たらしめようとし、そのための強化をはからんとしていることが明瞭であります。
 かような意味において、私はこの法案に絶対反対するものであります。(拍手)
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事北澤直吉君。
    〔北澤直吉君登壇〕
○北澤直吉君 ただいま議題となりました国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。この法案は、行政整理により退職いたしました国家公務員等に対する退職手当を、本年度におきましても昨年度と同様、一般退職者よりも有利に支給することといたしますために提出されたものであります。
 この法案につきましては、本日政府委員より提案理由の説明を聴取し、ただちに質疑に入りましたが、質疑応答の詳細については速記録に譲りたいと存じます。
 次いで討倫に入りましたところ、共産党を代表して河田賢治君は、退職手当金額が小額に過ぎる等の理由をあげて反対の意を表せられ、自由党を代表して田中啓一君は賛成の意を表せられました。
 次いで採決の結果、起立多数をもつて本案は原案の通り可決せられました。以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 この際暫時休憩いたします。
    午後六時五十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後九時四分開議
○議長(幣原喜重郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) ただいま参議院から、本院送付の地方税法案は同院において否決した旨の通知に接しました。
○山本猛夫君 憲法第五十九條第三項及び国会法第八十四條第一項の規定により、地方税法案につき両院協議会を求められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成折建立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両院協議会を求めることに決しました。
     ――――◇―――――
 地方税法案両院協議会協議委員の選挙
○議長(幣原喜重郎君) これより両院協議会協議委員選挙を行います。
    ―――――――――――――
○山本猛夫君 協議委員の選挙は、その手続を省略して、議長においてただちに指名されんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて協議委員は議長において指名するに決しました。
 ただちに指名いたします。
  地方税法案両院協議会協議委員
   星島 二郎君 佐藤 榮作君
   根元竜太郎君 大村 清一君
   周東 英雄君 菅家 喜六君
   塚田十一郎君 石田 博英君
   神田  博君 倉石 忠雄君
    〔拍手〕
 ただいま指名いたしました協議委員諸君は、ただちに議長応接室に御参集の上、議長、副議長おのおの一名を互選せられんことを望みます。
 明二日は会期終了日でありますから、午前十時より本会議を開きます。
    午後九時七分散会