第007回国会 本会議 第4号
昭和二十四年十二月十六日(金曜日)
 議事日程 第二号
    午後一時会議
 第一 薪炭需給調節特別会計における債務の支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 国鉄仲裁委員会の最低に関する緊急質問(米窪滿亮君提出)
 公共企業体仲裁委員会の裁定に関する緊急質問(石田一松君提出)
 日程第一 新炭需給調節特別会計における債務の支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
    午後三時十一分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、米窪滿亮君提出、国鉄仲裁委員会の裁定に関する緊急質問及び石田一松君提出、公共企業体仲裁委員会の裁定に関する緊急質問、以上を逐次許可せられんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山木君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 国鉄仲裁委員会の裁定に関する緊急質問を許可いたします。米窪滿亮君。
    〔米窪滿亮君登壇〕
○米窪滿亮君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になつた案件につき、数個の点を政府に対し質問いたしたいと思うものでございます。
 ただいまわれえあれの手元へ配付された仲裁委員会の裁定の問題でございまするが、仲裁委員会の裁定につきましては、公共企業体労働関係法第三十五條の規定によりまして、この裁定は最終的決定で、当事者の双方を拘束するということが明らかになつておるのでございます。この種の裁定は、また労調法第三十四條によりまして、労働協約と同等の効力が発生することが規定されておるのでございます。ただ、この公共企業体労働関係法り第十六條の第一項におきまして、公共企業体の予算上または資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない、また国会によつて所定の行為――われわれはこれを予算的措置と解釈しておりますが、所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出できない、こう規定しておるのでございます。しかも、同じ第十六條の二項におきまして、このような協定がなされたときは、政府は、その締結後十日以内に、これを国会に付議して、その承認を求めなければならない、と規定しておるのでございます。
 この十六條の第二項におきまして「十日以内」という期限をつけておることは、きわめて重要な点でございまして裁定が政府に送られたとき、政府は第十六條第一項に規定されたごとき内容を持つ支出については、これを即時しなくてよいという解釈であると、われわれは考えておるのでございます。そういう内容を持つ支出は、ただちにしなくてもよいというのが二の項目の規定であると、われわれは解釈しおるのでございまして、第十六條第二項において「十日以内に、これを国会に付議してその承認を求めかなければならない。」としてあるのは、すでに当事者双方を強制的に拘束しておる裁定を、いまさらあらためて国会に付議して、その証人を求むるという意味ではないと、われわれは解釈しておるのであります。(拍手)従つて、どうすればこの裁定の精神に沿うような予算的措置がとられろかということを、行政府である政府は十日以内に考究すべ、きものであると、われわれは解釈しておるのであります。
 これに対して政府当局は、あるいは今私が申し上げた解釈と違つた解釈を持つておらるるかもしれませんが、公労法、すなわち公共金葉体労働関係法は、国家公務員法に準拠じまして、罷業権を奪われた公共企業体労働者を保護する法律でありますから、規定のない点、あるいは規定の明確でない点は、労働者に有利に解釈すべきが法的精神であると、われわれは解釈するのであります。(拍手)従つて、国会に付議してその承認を求むるということは、裁定そのものではないのでございまして、裁定を具体化する予算的措置を指すものてあることは想像に余りあるのでございます。
 これによつて見るときに、この裁定と不可分離の関係にあるところの予算的措置の裏づけのない議案を政府から提出されたことは、議案として不完全なものであることは言うまでもないのでありまして、そのことは、国鉄法第三十八條第三項、同じく第三十九條第二項の精神に準じて明らかであると、われわれは考えておるのであります。従つて、こういう形で提出されましたことは、徹頭徹尾不合理にして不法であると、われわれは考えるのであります。(拍手)
 従つて、この点は、十三日に開かれました本院の議院運営委員会において果然問題になつたのでありまして、このとき政府から出されたところの法案の提出の説明書と理由書は、こういうぐあいになつておる。「公共企業体仲裁委員会の別紙裁定について、公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定により、国会の議決を求める。」というのが説明書でありまして、「昭和二十四年十二月二日、公共企業体仲裁委員会が、国鉄労働組合の申請にかかる賃金ベース改定の問題に関して下した裁定は、公共企業体労働関係法第十六條第一項に該当するので、同條第二項の規定により、国会に附議する必要があるからである。」これが理由書であります。従つて、これに、われわれが求めておるところのよ算的措置というものは、その片鱗すらうががうことができないのでございます。従つて、当時運営委員会に出席したところの野党の委員は全部、こういう理由でもつてこの重大なる案件が国会に提出されたことに対して反対の態度をとつたことは、これは当然なことでございます。しかも、十三日から今日まで、政府與党並びに野党の間に意見の一致を見ずして、この十六日まで両者とも態度を保留して来たことは、皆様御承知の通りであります。
 しかるに、今日に至つても、なおいまだ政府の態度は、十三日における態度と何らの変更がない。従つて、このことによつて国会の運営が混乱に陷り、議事が遷延されたということは、明らかに野党の責任でなくして、政府及び與党の責任であると言わざるを得ないのであります。(拍手)しかも、公労法第十六條第二項の精神を蹂躪せんとする政府の態度は、まさに非立憲であり、非民主的であると断言せざるを得ないのであります。(拍手)政府は、以上の点から見て、この案件を潔く撤回し、予算的措置をつけて再びこれを提出するお考えがあるかどうかということを、この際官房長官にお尋ねしたいと思う。
 第二の点は、これは労働大臣にお尋ねしたいと思うのであります。公労法、すなわち公共企業体労働関係法の第三十七條においては、幾多のほかの法律を準用すべきことを規定してありますが、その準用規定のわくからはずれておるものが労働関係調整法の第三十四條であります。このことは相当重要な点であります。この労調法の第三十四條の規定は何であるかというと、かくのことぎ仲裁委員会の裁定は労働協約と同等の効力を持つという解釈であります。従つて、予算的措置を随伴しておらない政府今回の提案が、不幸にしてこの国会で否決されることがあつた場合、あるいは国会そのものからして、予算的措置か、あるいは予算に準ずるような対案が出まして、しかもそれが、この裁定の関係当事者双方あるいは一方に対して満足すべきものでない場合においては、この裁定は依然として効力が残るということを、われわれは考えておるのであります。(拍手)すなわち、これを言いかえますと、否決されたときはもちろんのこと、その決定に対して、国鉄労組の方から出しておる、あるいは仲裁委員会で裁決したところのその点が不十分であると、その残余に対しては債権債務の関係が残るものであると思うが、これについて労働大臣の御説明を承りたいと思うのであります。
 第三には、官房長官――おいでにならぬようでありますが――並びに運輸大臣にお尋ねしたい。国鉄は事業止多分に公共性を持つておる企業体であることは、私が言うまでもない。しかし、これはあくまでも行政機関ではないりであります。従つて、その役職員は公務員ではないのでございます。このことは、仲裁委員会の裁定書に、はつきりと書いてあるのでございます。従つて、公社役職員の賃金を国家公務員の給與と同じ準則によつて定めなければならないという何らかの法的根拠はありません。公社としては、その企業体である性質上、経営者的見地からその責任を持つて独自に職員の給與を決定し得べき立場に立つておると私は考えるのでございます。しかるに鉄道公社は、改正日本国有鉄道法第四十四條の後段におきまして、政府の財政、予算のわく内においてのみ給與準則を作成し得るものなることが規定されております。かくのごとくにして、せつかく公社に與えられた独立採算制の自主性は、この一点において、まさに蹂躪されておると言つてよろしいと、私は思うのであります。
 公社役職員の給與が国の予算に準ずる取扱いを受けるのは、公社の公共性に基くの一点であらまして、現行法上国家公務員の給與と同一準則によらなければならないという何らの法的根拠はないのであります。国鉄法第二十八條が、職員の給與を定むるにあたり、生計費及びに国家公務員及び民間事業の従業員における給與その他の條件を考慮して定めなくてはならないと規定しておることは、その明らかなる証拠であると言わなければ成らないのであります。従つて公社は、その企業体である性質上、経営者的見地から職員の給與を自主的に決定する権限をも有するはずであります。
 しかるに、それが今日依然として、予算の一部として運輸大臣を経て大蔵大臣に提出しなくてはならないという現状は、何の意味の公共企業体であるか、何の意味の独立採算制であるか、疑わざるを得ないのであります。(拍手)おそらくこれは、盲腸的存在以上の価値を有しておらないところの国有鉄道事業特別会計法、財政法、会計法、国有財産法等によつて制肘されるからでありまして、これによつて被害をこうむるものは公社の職員である。政府は、その予算編成にあたり、收支のバランスをとるためと言つて公務員の給與をくぎづけにしたその考え方の流れが、今日すでに公務員の束縛から離れて、独立採算性のもとに、公共の二字はありまするが、企業体の職員となつている従業員に対して、依然として公務員並にその給與をくぎずけにせんとするものでありまして、まことに反動的な思想といわなくてはならないのであります。(拍手)
 かくのごとくにして、こういう制肘を受けた国鉄当局は、その経営灘を解決するため、その一つの方法として、昇給昇格の繰延べ、超過勤務手当の支拂い停止その他の待遇悪化を招来しまして、本年六月の国鉄から公社への移行の当時、行政整理が行われた当時及びその以降のにおける職員の損害は、毎月一人当り千円に上るということが、裁定書に書かれてあるのであります。政府は、これらの不当にして矛盾きわまる監督制度を廃止し、公社をして純然たる企業体形の内容を保たしむる決意を有するかどうか。これが質問の第二点でありまして、運輸大臣の明確なる御答弁を願いたいと思うのであります。
 第四の点は、仲裁委員会の裁定は、公社はその職員に対して、本年十二月中に三十億円、明年一月より三月までの間、賃金ベースの改定あるまで、毎月五億円を支給しなくてはならない、というのがあります。しかし、裁定がここに達するまでには、昭和二十三年七月のCPSを基準としまして、これに見合うところの生活費として、月額九千七百円に給與を上げてくれという要求をしたのに対しまして、国鉄労組のこの要求は、公社によつて拒絶されました。これがために、賃金ベースの改訂及び年末賞與金の支給その他に関する紛争として、労組側から国鉄の中央調停委員会に申請されたことは、皆さんすでに御承知の通りでございます。
 これに対して、調停委員会は、賃金ベースは月額八千五十八円として、十月からこれを支給する、但し年末賞與金は支給しない、という調停案を決定したのでございます。この調停案に対して、労組側は進んで潔く応諾したのでありますが、公社側はこれを拒否したので、ここに公労法第三十四條第二号の規定に基いて仲裁委員会に仲裁の申請をなし、仲裁委員会は上述のごとき裁定を下したのでございます。従つて、この裁定がなされるに至つたそもそもの動機は、給與ベースの改訂に始まることは明らかでございます。また、現行の官吏の給與ベース六千三百七円と民間企業の平均給料との差額は、大体において二千五百円に上るのでございます。
 国家公務員法実施ににあたりまして、マツカーサー元帥は昨年の二月一日、同じく七月二十四日、同じく八月一日、スチユアートは昨年の九月二十八日、フーヴアー氏は昨年八月二十五日、マツコイ氏は本年十月十五日に、あるいは書簡、あるいは声明書の形において、公務員の職責の重要性を説いて、公務員の事務執行に対して、公僕としての自覚を望んだのでございまするが、同時に、国家は公務員に対してこれを保護するため、民間企業従業員の平均給料よりも多からず、また少からざる給與を與うべき意味の警告ないし希望を具陳しているのでございます。予算の編成方針、経済安定方策等において、総司令部の占領政策にきわめて忠実なるところの吉田政府が、事労働政策に関する限り、その方針、その政策に従わないのは、どういうわけでありますか。一昨年、吉田首相が、不用意の中に、労働者に対して不不逞の輩と彼は言つた。これは不用意の問であるとわれわれは解釈しておりましたが、今日になつてても、なおかつかくのごとき労働者に冷淡な政策は、彼の頭の根底に、不逞の輩の思想がいまだに残つておるということを断ずるものであります。(拍手)以上の質問に対して、官房長官及び労働大臣から御答弁を願いたいと思います。
 最後にお伺いしたい点は、現在国鉄従業員は、自分たちの主張と相当の開きのある裁定に快く服して、公共企業体の精神を生かさんとしております。国鉄労組が、民主主義の最底線を守らんとして、きわめて穏健な、かつ悲壮な抗議手段としてハンガー・ストライキを継続し、すてに数日に及んでおる。これは重大なる社会問題、人道問題に発展せんとしておるのであります。もちろん、一部の東京方面におけるハンストは、去る十三日以来中止いたしておりますが、いまだに全国的にはこのハンストが継続しておりまして、現に国鉄三十六支部九十余名の者がハンストをやつておりまして、このハンストは他の官公庁の従業員にも波及しようとする形勢にあるのでございます。今や彼らの運動は、合法闘争の限界にまで来ております。もしもこの限界が破れたとしたならば、この限界を越えたときにおいて、わが国の民主的な労働運動が、いかなる形に変ずるかということは、まこといわれわれは憂慮にたえないのである。(拍手)政府は、かくのごとき見通しに対して、いかなるお考えと対策をお持ちになるか、労働大臣の明確なる御答弁を願いたいと思います。
 以上をもつて私の質問を終ります。(拍手)
    〔国務大臣増田甲子七君登壇〕
○国務大臣(増田甲子七君) 米窪君にお答え申し上げます。
 政府が今回国鉄仲裁委員会の規定を国会に提出したゆえんのものは、去る二日裁定が政府に提示されて以来、われわれはでき得る限りこれを尊重し、経理の上に具現化するために全面的な努力をささげて参りましたが、十二日、すなわち公労法の所定の期日までには、まだ具体的の結果を上げることができなかつたために、当日の段階におきましては、裁定に全面的に拒否するという意味において、われわれは国会にこれを付議した次第でございます。その趣旨は、あの提案理由に明示されております。すなわち、この裁定は、公労法第十六條第一項に該当する、こういうことが書いてあります。第一項とは何ぞや。すなわち、予算上、賃金上不可能なる内容を持つておるところの裁定は、政府を拘束するものではない、こういうことを、さらにうたい直す必要はない。すなわち、第十六條第一項に該当するという趣旨は、あくまで理由書に明示してあるごとき次第であります。従いまして、予算の同時提議ということはいたしませんし、また撤回する意思をも持つていないことを、ここに明瞭に申し上げておきます。
 それから、一般公務員あるいは公社関係の労働者諸君の給與条件をでき得る限り維持し改善いたしたいということは、もとより社会党の諸君と全然同感でございます。但し、あくまでもわれわれは、九原則に基く総合均衡予算の範囲内において官吏の実質的給與を維持し改善しようという確信のもとに立つておりますことを、この際明言いたしておきます。(拍手)
    〔国務大臣鈴木正文君登壇〕
○国務大臣(鈴木正文君) 御質問の第一点に指摘された点、すなわち労調法第三十四條の規定、つまり仲裁裁定は協約と同一の効力を有するということは、公労法第三十七條で、公労法には準用されておらないこと、御承知の通りであります。従いまして、公労法による仲裁裁定の効力は、同法第三十五條及び第十六条によりて決定されるのであります。裁定は、一応公労法第三十五條で、当事者双方とも最終的決定としてこれに服従すべしということになつておりますけれども、同條の但書で、予算または賃金上支出不可能なものは、第十六條に定める手続きにより、国会の承認またはその不承認によつてその拘束力がきまるものであり、もし承認がなければ、当事者であるところの公社、組合は拘束されず、債権債務は生じないというのが、政府の見解であります。
 それから民主運動の将来という点につきまして、この問題とも開通して御質問がありましたけれども、最近の各組合、特に国鉄の組合の指導者の方々が、民主的、建制的な立場に立つて指導して来られたということに対しましては、私どもは深く敬意を拂つておるのでございまして、予算その価の許す限りにおいて、これらの人々に対して、この仲裁問題に対し政府の全力をあげたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣大屋晋三郎君登壇〕
○国務大臣(大屋晋三君) 米窪君の私に対する御質問は、公共企業体である日本国有鉄道の職員は、いわゆる公務員ではない、しかるに、いろいろな制約があり、せつかく公共企業体という別な組織体にしたが、これでは運営上いろいろな支障があつてまずいと思うが、これを何とか改正して、国鉄の総裁みずから、国鉄の従業員みずからで、自由自在に、他の制約を受けずに経営ができるようにする腹はないかというような御質問だと、私は拜聴いたしました。この問題は、私も大体同感でございますが、いろいろな法規その他の関係があり、かつまた七十年の長い歴史から一応公共企業体という制度に切りかえて、まだ時間が少いので、その事件の結果のいろいろの実績がまだ十分に現われておりませんから、いずれ米窪君御指摘の問題は、私も筋においては同感でありますから、将来十分に研究をいたすつもりであります。(拍手)
    〔米窪滿亮君登壇〕
○米窪滿亮君 私の質問に対する三大臣の答弁は、大よそ不満足な点が多いのでございます、ただ時間の関係がありまするから、私の一質問に対してお答えのなかつた点を、ただ一点、官房長官に再質問したいと思います。
 その点は何であるかというと、国家公務員法及び公共企業体労働関係法のできたときに、マツカーサー元帥及びその他関係方面の高官からして、これらの相当の義務を課せられたる公共性を持つておる公務員及び労働者に対して、保護をすべき精神を具現するために、民間企業従業員の平均給料よりも多からず、少からざるもりをやれということは、はつきりと声明及び勧告に現われておる。しかるに政府は、今日まで何らその処置をとつておらない。いかなる考えを持つておるか、これに対していかなる責任を持つておるかということを、官房長官にお伺いします。
    〔国務大臣増田甲子七君登壇〕
○国務大臣(増田甲子七君) 米窪君に対しては、先ほどお答えしたつもりでありまするが、まだ御理解がないようでありまするが、私は、公社労働者といわず、国家公務員といわず、その勤労條件はでき得る限りこれを維持し、これを改善いたしたい。勤労條件中最も重要である給與条件のごときは、もとより政府は最も配慮いたしております。ただ、しかしながら、一面において九原則の実施ということが各政党に課されたる至大の要請であるということは、これまた米窪君御存じの通りでございます。九原則の具体的解釈であるところの総合均衡予算の範囲内においてわれわれはでき得る限り公社労働者並びに国家公務員の勤労條件並びに給與條件を維持し改善いたしたいと、一生懸命努力しておる次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 次は公共企業体仲裁委員会の裁定に関する緊急質問を許可いたします。石田一松君。
    〔石田一松君登壇〕
○石田一松君 私は、新政治協議開を代表いたしまして、公共企業体仲裁委員会の裁定に関する緊急質問を政府の関係閣僚になしたいと思うものであります。それについて二、三重要な関連を持つた事項もございますので、関係各大臣並びに人事院総裁にお尋ねをいたします。但し、この際人事院の方から、総裁は急病のために目下お手当をしていらつしやるそうでありますので、人事院総裁に対する質問は、後日文書か何かをもつて議長を通じて御答弁を賜わらんことを、この際冒頭にお願いしておきます。
 質問にあたりまして、特にこの際私は強調をしておきたいと思いますことは、公共企業体の仲裁委員会が、今回のように国鉄の当事者間の紛争に対して裁定をした。このことは、御承知のように、本年の六月一日より実施された公共企業体労働関係法のまず最初の裁定であるということでございます。それでございますので、この裁定の効力であるとか、その関係法文の解釈等につきましては愼重の上にも愼重を重ねまして、後日、このわれわれの取扱つた取扱い方が、万人だれが見ても首肯できるという程度までに、これが取扱いまたは解釈をされなくては、今後に惡い先例を残すものであると私は考えるのであります。この点に関しまして、もしも今回この裁定に関して、国会における多数の力をもつてこれを不当に評釈し、あるいは取扱うというようなことがあつたといたしましたならば、国権の最高機関であるところのこの国会そのものが、みずから立法したところの法律を、みずから蹂躪するという結果に陥つて来ると私は思うのであります。(拍手)しかもその結果、直接に公共企業体で働く幾十万の従業員、並びにその家族を合算いたしましたならば、おそらく百万、百五十万人という多数の人々の、これは死活を制するところの問題であるのであります。
 この点に関しまして、国鉄従業員諸君が、今年の夏以来、いわゆる破壊的な非合法労働通動というものを極力排撃いたしまして、わが国の置かれておる現実を潔く認識して、産業の復興の重責というものを痛感し、その職場を今日まで忠実に守つて来たというその功績は、おそらく政府、與党の諸君といえども、これは認めて、いらつしやることと私は思うのであります。(拍手)
 要するに、今面の裁定にほ、国鉄従業員諸君が最低の生活線を確保するために、法律上許されたあらゆる合法的な手段――合法的であつて、しかもただ一つの手段を選んで、遂に、あの人たちとしては不満足ながらも、最後に勝ち取つたこれが仲裁委員会の裁定なのであります。この、あの人たちの命にもかえがたい裁定というものが、たとえば政府の労働問題に対する無能、無策のために、何らのこれに対する事前の対策がなかつたために、この裁定の一部が改廃され、また一部が曲げられ、全部が不承認の形をとられるなどというようなことになりましたならば、これこそ私に、人情論的にはまつたく冷血漢的な横暴である、しかも法理論的にこれを言うならば、議会政治、民主政治の破壊的暴挙であるとも言い得ると思つているのであります。(拍手)
 公共企業体労働関係法の第十七條によりまして、御承知のように、公共企業体の従業員諸君は、いわゆるストライキ、怠業、あるいはこれを煽動すること、そそのかすこと等、類似行為までも強く禁止されているのであります。ただ一つの残されたところの、この仲裁委員会に規定を求めて仲裁する方法、しかも同法の三十五條に、これは当事者が拘束される最終的決定であるという明文があるにもかかわらず、これを国会が多数の意思をもつて否認し去るということは、私は何としても、こういう先例は残したくない、こういう考え方を持つているのであります。
 今後、公共事業体の従業員諸君が、もしこの裁定が国会の多数によつてくつがえされるということなつたならば、公共企業体職員の生活権の保護のためにするところの運動というものは、どういう手段によつて、何によつて彼らの目的が貫徹できるのでありますか。(拍手)仲裁委員会が裁定したことが最後のものであるというので、彼らは争議、怠業という行為、あらゆる非合法的なことをやらないでいる。その仲裁委員会の最後の決定が国会の多数でくつがえし得るとしたならば、あの人たちは、何をもつて彼らの目的を貫徹することが今後できるのでありますか。(拍手)もしこのことがなされたならば、その勢いのおもむくところは、いただいま米窪氏もおつしやつておりましたように、遂には合法運動法頼むに足らず、結局これは非合法の運動に傾く可能性が客観的に十分にあるのであります。君は、もしこの国鉄の従業員諸君、あるいは官公労の人たちが、今後非合法の運動に、このことのために移行するということがあつたならば、その責任はあげて府並びにその與党が負わなければならないものであると思います。(拍手)
 かかる観点に立ちまして、私は、以下数点、閣僚に具体的なる質問をいたしたいと思います。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
○石田一松君 まず第一に、総理大臣並びに人事院総裁に御質問を申し上げるのでありますが、およそ国家公務員、あるいはまた公共企業体の職員、あるいは公務員諸君の給與の支給であるとか、あるいは変更、手当の支給等の審議にあたりまして、その重要なる基礎となりますものは、給與の総額、給與の時期並びに給與を受ける人員でございます。この点につきまして、総理大臣並びに人事院総裁に対して、裁定との関俵も深うございますので、お尋ねをしたいと思いますが、昭和二十四年十二月一日現在、国家公務員の総数、すなわち実在の公務員数は幾人であるかということでございます。もちろん、十二月一日現在が調査の結果不可能であるということは想像できますので、可及的に最近御調査なさいしました資料によつてでけつこうでございますが、はたして政府は、国家公務員あるいは公共企業体の従業員は幾人であると把握して給與の問題を考究していらつしやるか、この点をお尋ねするのであります。
 また人事院総裁におかれましては、おそらく賃金ベースの勧告などをなさいますについて、人事院の権威のためにも、政府とは別に、人事院独自の観点においての調査による史料によつて公務員の数を把握していらつしやることと思います。そこで、この際特に人事院の特別調査によるところの国家公務員の総数、実際数をお数え願いたいと思います。この点につきましては、後日委員会におきまして御答弁のあつたあかつき、委員長を通じて、政府にその資料の提出を要求するつもりでおりますので、確実なる数字を御説明、御報告願いたいと思います。
 次に、これに関連いたしまして、大蔵大臣にちよつとお尋ねをいたしますが、国家公務員に支給すべき人件費といたしまして二十四年度の予算に計上してある総額と、実在の公務員に支給されておる実際の支給額の総額とが一致するかどうか。すなわち、予算定員というものがあつて、実際においては人件費が余るのではないか。もし余るとすれば、今年度どのくらい余る予算でこれをまかなつておるか。このことについて、はつきりした御説明を願いたいと思うのであります。
 いま一つ大蔵大臣にお尋ねしたいことは、ドツジ・ラインによるところの今年度の総予算は絶対的のものであるというような説明をわれわれはしばしば承つておるのでありますが、聞くところによると、今回のこの裁定案については、国鉄における車輛の修理費とか、あるいは石炭の値下りによるその浮いた金によつてこれをまかなおうとする予算的措置がなされておるというのでありますが、そうすると、最初に二十四年度の予算を提出なさいましたときには、節約すれば節約可能、繰延べすれば繰延べ可能の車輛の修理費などが、ドツジ・ラインの絶対的の線であるといつて予算の中に組まれていたのであるかどうか。このことを、私は特にこの際大蔵大臣にお尋ねしておきたいを思うのであります。
 この点については、各省大臣、特に本多国務大臣の関係、あるいは労働大臣の関係においてお尋ねしたいと思うのでありますが、先般定員法によるところの行政整理がなされまして、相当の首切りがありましたが、この首切りの結果、各省、各官庁の公務員の数は、定員法に明示したところの数と同じであるか。聞くところによれば、ある省においては、数千人という人数を、定員から食い込んで首をきつておる事実があるということを聞くのでありますが、この点に関しまして、責任の地位にあられた本多国務大臣、並びにできるならば小澤郵政大臣あたりから、特に丁寧なる御説明を求めたいと思うのであります。
 以下、法務総裁並びにこの公労法が審議されました当時の労働大臣であり、現在官房長官をやつていらつしやいます増田さんに、特にお尋ねいたしたいと思います。公共企業体労働関係法は、その立法にあたりまして、労働委員会で、昨年の十一月二十日ごろ審議の当時、労働大臣であつた増田さんの答弁にかわりまして、労働省の事務官の、今ここにいらつしやいます賀來さんが出席なさいまして、こういう説明をなさつておるのであります。すなわち、この法律の第三十五條の仲裁委員会の裁定は、当事者を拘束する最終的なものである、当事者はこの裁定服従しなければならないことはももちろんであつて、この裁定をくづがえし得るものは裁判所の権限である、こういう意味のことをおつしやいまして、この裁定こそは行政官庁における最終の決定であるということを言明なさつておるのであります。すなわち、この裁定は、国会が立法した法律の規定に基いて組織された仲裁委員会という公の機関によつてなされた裁定でありまして、言葉をかえて言うならば、国会は法律によつて、この仲裁委員会を、公共企業体の当局並びに職員の間における紛争の最終決定機関として認めた、私はこう評すべきであると思うのでありますが、政府の見解はどうであるか。
 その結果といたしまして、この裁定が当事者によつてもし守られない場合におきまして、ただいま申しました賀來政府委員が説明をした、裁判所に当事者の一方が訴える、その訴えによつて裁判所が裁判をした結果、あるいはまたこの裁定の効力より違つた判決がなし得ることはあり得ると考えるのが正しい解釈である、こういうふうに私は考えるのでありますが、その点について、殖田法務総裁はどうお考えになるのか。私は、その結論といたしましては、それらの手続き以外には、公共企業体仲裁委員会の決定を変更し、あるいは否認し、拒否するという機関は国家にあり得ないと思うのでありますが、この点に関してのお考えを承りたいと思います。
 少くとも本法は、三十五條の但書に規定がある事項の裁定でない場合、すなわち第十六條に規定する、公共企業体の予算上または資金上不可能な資金の支出を内容としない裁定は、第三十五條の前段にありますように、当時者双方を拘束し、裁定の示すところに従つて、当事者はそれぞれ債権債務の権利または義務を負うものであることだけは当然であります。そういたしますと、三十三條の但書によりまして、第十六條によるというのは、十六條の第一項のみをさすのであつて、第二項はささないと解するのが正しいと思うのでありますが、この点についての御説明を願います。それは、予算上または資金上不可能な資金の支出――国会が所定の行為、すなわち政府を通じて提出された新たなる、いわゆる追加予算を是認するという手続が済むまでは、国民の負担になる支出、支拂いという行為を禁止したものでありまして、この裁定そのものの効力を云々する規定ではないと私は解すべきであると思うのでありますが、この点についての法務総裁の御見解を承りたいと思います。
 すなわち、裁定の効力は、政府の国民に対する提案または予算的措置の提出、このことによつて、裁定された裁定そのものの効力には、何ら本質上変更がないということであります。あくまでも、この裁定の効力は、効力のあるままの状態に置かれ、しかも、一方当事者は、三十三條の前段によつてこの裁定に拘束され、これに服従し、しかも必要なる手続をとつて、当事者はこの裁定に盛つた内容の協定をなすべきであると私は解します。この裁定を締結し、裁定が協定となつても、十六條の第一項で、協定だけでは予算上または資金上不可能の支出を支拂つてはならんないという、この際にも支拂いの事実を停止したままでありまして、この際の仲裁委員会の裁定そのものの効力は決して消滅しておらないと私は考えるのでございますが、殖田法務総裁の見解を私は承りたいと思うのであります。
 ただいま申し上げました、支拂いの停止を命ぜられておる間に国会が審議をする、しかもまたこの際協定が結ばれる、結ばれたときに第二項等が適用される、こういうふうに解して、初めて私は、本法がいわゆる公共企業体の爭議権、憲法に認められた爭議権を剥奪された特殊の地位にある方々の保護のために立法された法律の精神にかなうものであると理解するのであります。もし三十五條の但書が十六條の二項にまで及ぶといたしますと、一番最後に、この協定は、それに記載された日付にさかのぼつて効力を発生するものとする、という規定がございますが、もし三十五條の但書によつて第十六條の第二項が適用されると解釈いたしましたならば、もしこの裁定そのものが、今回のように、不法にも政府によつて国会に提出されようとしておるが、その効力というものは、国会で認められたときには、裁定をした日にさかのぼつてこの効力が及ぶのか、それとも実際に当事者同士が協定を結んだときにこの効力が発生するのかという、まことに法律上問題になる疑義を生ずるのであります。この際私は、この第十六條の二項というものは、第三十五條の但書によるところの第十六條のうちには含まない、すなわち、第一一項によつて協定がなされたあかつきに初めて第二項の協定のいわゆる規定が生きる、こう解釈するのが私は正しいと考えるのでありますが、この点に関する政府の見解を、はつきりと承りたいと思うのであります。
 公共企業体の予算上あるいは資金上不可能な支拂いを内容としているという委員会の裁定または当事者間の協定というその事案を、この法律そのものは、すでに認めておるのであります。公共企業体が予算上、資金上支出不可能な協定をなす、あるいはまた、そういう裁定が仲裁委員会でなされることがあるということを予測し、それを認めての立法が十六條、三十五條であると解したのであります。ゆえに、先ほど来官房長官が、国家の財政上、予算上また国鉄の予算上不可能でありますので、とい言葉をお使いになりましたが、予参上あるいは資金上、この裁定そのものが、支拂いをするのに不可能であるという理由でもつて、この裁定の無効あるいは一部の改廃というようなことを許すということは、法律には一切書いてないのであります。
 予算上不可能だということは、現在日本が置かれている特殊事情によつて、関係当局の一応の了承を得なければならないという特殊事情があるから、予算上不可能であるから、この裁定には同意できないということを、政府が言つておるのであります。私は、その意味がわからないのではございません。その意味は十分に了承するのでありますが、もしそういうことで、この法律の解釈を曲げてやつたとして、第一回の裁定に対して、こうした判断を下すとするならば、後日日本が独立国家となり、しかも占領国軍の占領というわくから離れたときからでも、はたしてそういう解釈ができるかどうか。おそらくそのときには、この先例を破つて、再び正しい解釈に返る。すなわち、法律はあくまでも嚴正なものであり、しかも公共企業体労働関係法は、その理由に示されている通りに、昭和二十三年七月二十二日付内閣総理大臣あての連合国最高司令官の書簡に基いて、これが提出されているのであります。すなわち、最高司令官の書簡に基いてなされたものであります。であるとするならば、たとい占領治下におけるといえども、この法の解釈は絶対に嚴正になされなければならぬ、私はこういうふうに考えておるのであります。
 さて、今回の政府並びに国鉄当局がつくつていらつしやいます予算的措置あるいは資金的な措置というものは、第十六條第一項に規定された、いわゆる公共企業体の予算的あるいは資金的に不可能なる支拂いでは……。
    〔「浅草でやれ」と呼び、その他発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。
○石田一松君(続) 今回の裁定に対して政府がとりつつあるところのこの予算的措置というものは、公共企業体労働関係法の第十六項あるいは第三十五條に規定するところの、公共企業体の予算上、資金上不可能な支出というべき筋合いのものではない、すなわち、これは可能な範囲におけるところの流用をするというのでありますので、それであつたならば、この公共企業体の仲裁委員会によつてなされた裁定そのものを国会に提出する理由も何もなくなつてしまう、こう私は申し上げたいのであります。もしこの観点に立ちますならば、すみやかにこの裁定なるものを撤回なさいまして、この以上の努力をなさいまして、公共企業体の予算上あるいは資金上不可能でない支拂いであるという範囲にまて流用なさいまして、この仲裁案を撤回をして、しかも国会にこれを提出することなく、政府並びに国鉄の当局が、この裁定に盛られた内容の四十五億の全額をすみやかに支給されることが最も賢明なる処置であると思いますが、そういう点について官房長官のお考えを承りたいと思います。
 たいへんおやかましいことでございますので、ではこの辺で質問を打切りたいと偉います。たいへん失礼をいたしました。
    〔発言する者多し〕
○議長(幣原喜重郎君) 静粛に願います。――浅井人事院総裁は病気のため出席いたしかねるということであります。それゆえに、同総裁に求められたる答弁は迫つて適当の機会に願うことにいたします。
 次に副総理林国務大臣。
    〔国務大臣林讓治君登壇〕
○国務大臣(林讓治君) 吉田総理にかわつてお答えをいたします。国家公務員の現在の数につきまして御質問であつたのでありますが、ただいま手元にあしります十一月一日現在の数によりますれば、定員法に定められた国家行政機関の乗員は八十四万九千二十八名になつております。従つて、十二月一日の点につきましては、まだそれが総合いたされておりませんので、お答えがいたしかねます。
 なお、本日大蔵大臣が出てお答えをすべきははずでありますけれども、所用のため出席をいたしておりませんので、この大蔵大臣に対する答弁は他日いたさせるようにいたしますから、さよう御了承願います。(拍手)
    〔国務大臣本多市郎君登壇〕
○国務大臣(本多市郎君) 私に対する御質問は、先般の定員法による行政整理の際の人口整理が定員法の数に食い込んで行われてほいなかつたかという御殿問でありますが、実は各省々々の内部部局の定数を定めまするに、それぞれ職種による人員の合理的なる権威をいたしまして定まるのでありまして、かようにいたしますと、職種、技術等の関係から、配置転換のきかない欠員の面を生ずるのでございます。さらにまた整理中に退職者も生じましたために、整理の完了いたしました十一月一日の実員は、定員よりも一万余下まわつておつたのでありますが、これはただいま申し上げました、配置転換のきかない、たとえば病院でありましたならば、国師に欠員があつても、これに事務員をもつて配置転換をすることができないという面から生ずる、やむを得ざる欠員でありまして、従つて、整理の根拠となつておりまする定員法におきましても、定員法の定員を越えないように整理しなければならないということになつておる次第でありまして、御了承願いたいと存じます。
    〔国務大臣殖田俊吉君登壇〕
○国務大臣(殖田俊吉君) 石田君にお答えをいたします。裁定は通常の場合は最終的でありまして、最終的に当事者を拘束するものであります。しかしながら、予算上、資金上不可能な支出を内容とする今回のごとき裁定におきましては、国会の承認があつて初めてその効力を発生するものであります。このことは、公労法第三十五條及び第十六條の規定をよくお読みになれば明瞭であると思います。すなわち、支出不可能な今回のごとき裁定は、国家の承認があつて初めて拘束力を生ずることとなりますから、裁判所の問題となりますのは、その拘束力を発生した後の問題でありまして、もし国会が承認を與えられません場合には、裁判所の問題となることはできないのであります。(拍手)
    〔石田一松君登壇〕
○石田一松君 再質問をいたします。
 ただいま林副総理が御答弁くださいましたその御答弁の八十四万九千幾らというものは、林副総理のおつしやつたのは、定員法に定めたところの定員の公務員の数がそうだとおつしやつておるのでありまして、私が総理大臣にお尋ねしたのは、各省の定員法によるところの人数をを合算したものが幾らあるかということをお尋ねしたのではありません。日本国家の国家公務員の実在数が幾人であるか、それを幾人とつかんで、賃金ベースとか、あるいはあらゆる問題を検討されておるのであるか、このことをお尋ねしたのであります。
 それから、ただいま本多国務大臣から、十一月一日現在で、定員法に定められた各省の定員より約一万余下まわつている、こういう話でありますが、そうすると、これは――大蔵大臣はお留守でございますが、特に大蔵大臣にお尋ねしたいのは、一万余下まわつた人件費というものは、どういうふうに処分されておるのか、このことを、もう一度大蔵大臣にお尋ねすることを追加しておきます。
 また殖田法務総裁からの私に対する御答弁は、まことに御明快なる御答弁でございますけれども、私は、ただいまの御答弁では、まだ十分なる了承が参りません。しかし、ここは委員会ではございませんので、労働委員会等におきまして、逐次こまかく質問を繰返したいと思います。これで打切ります。
○議長(幣原喜重郎君) 大蔵大臣は、ただいまやむを得ざる所用のために出席しかねるということでありますから、適当の機会に答弁を願うことにいたします。
    〔国務大臣林讓治君登壇〕
○国務大臣(林讓治君) 御質問の、十二月一日現在における国家公務員の現在数についてのお話でございましたが、先ほど申し上げましたように、いろいろ総合するような関係からいたしまして、十二月一日現在といたしましては、その数が判然いたしておりません。従いまして、十一月一日現在の数を八十四万九千二十八名と申し上げたわけでありますから、さよう御了承を願いたいと思います。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、薪炭需給調整特別会計における債務の支拂財源に充てるための一般会計一からする繰入金に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事前尾繁三郎君。
    〔前尾繁三郎君登壇〕
○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました薪炭需給調節特別会計における債務の支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法案は、第六国会において本院を通過し、参議院において議決に至らなかつたもりのでありまして、本月四日、本院に再提出されたのでありますが、念のため法案の内容を申し上げますと、政府は、薪炭需給調節特別会計における債務の支拂財源に充てるたら、昭和二十四年度において、一般会計から五十四億七千万円を限りこの会計に繰入金をすることができるというのであります。
 この法案は、十二月四日、本委員会に付託されまして、十五日、政府委員より提案理由の説明を聽取し、質疑に入りましたところ、各委員より熱心なる質疑が行われ、政府委員よりそれぞれ答弁がありましたが、そり詳細については速記録に讓ることといたしまして、今その若干について御報告申し上げます。
 繰入金はどういうふうに使われるかという質疑に対しては、生産者に緊急に支拂わねばならぬ債務があればその支拂いに使い、なお急を要する薪炭証券の償還にこれを使うとの答弁があり、生産者に体する支拂いは本年中に行うかという質疑に対しましては、手続さえ済めばただちに支拂うとの答弁があり、本特別会計の清算はいつごろまでに修了するかとの質疑に対しましては、この年度内に完了するよう努力しているとの答弁がありました。
 次いで討論に入りましたところ、田中啓一委員は民主自由党を代表して、出産者に対する支拂いを急速に行うことと、債権の回收については、特段の努力を拂うべきことを希望して賛成の意を表せられ、井上委員は社会党を代表して、緊急必要な生産者に対する支拂いのために繰入金をすることについては賛成であるが、急を要しない薪炭証券償還のために繰入金をすることについては反対である、従つて野党四派では修正動議を提出することになつていたのであるが、生産者に対する支拂いが緊急を要することを考えてこれを撤回した、この法案は右の二つのことが抱き合いとなつているので、生産者に対する支拂分のみを支出することに修正しない限り反対であるとの旨を述べて反対の意を表せられ、宮腰委員は民主党野党派を代表して、井上委員と大体同様の趣旨を述べて反対の意を表せられ、河田委員は共産党を代表して、赤字は政府の怠慢によるものである、取立つべきものを取立てないで莫大な債券が残つているにもかかわらず、国民の血税をもつて赤字を埋めることには反対にあるとの旨を述べて、反対の意を表せられました。
 次いで採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の遮り可決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 本案については討論の通告があります。逐次その発言を許します。田中織之進君。
    〔田中織之進君登壇〕
○田中織之進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題と相なつておりまする薪炭需給調節特別会計へ一般会計から繰入れをする法律案に対しまして、遺憾ながら反対の意思を表明するものであります。
 ただいま委員長代理の報告にありました通り、本案は、過ぐる第六国会におきまして、本院は多数をもつてこれを通しましたけれども、参議院で審議未了になつたものであります。その審議未了の理由は、薪炭特別会計の厖大なる赤字につきまして、その原因並びにその赤字補填のための政府としての責任ある努力をなさずして、国民の血税でありまする五十四億七千万円を繰入れすることは不当であるという見地から、参議院において審議未了に相なつたものとわれわれは了承しておるのであります。しかるに政府は、本案に対しまするこの国会の意思を十分にくみ入れて、当然修正した形において出さなければならないにもかかわらず、性懲りもなく、前国会において審議未了となつたそのままの形において本国会に再提出するがごとき、このきわめて不手際な態度に対しまして、われわれは遺憾ながら賛成することはできないのであります。
 われわれは、薪炭特別会計における二十数億に達しまするところの、いわゆる生産者に対する未拂金の問題につきましては、これは第六国会以前から、早急に支拂うべしというところの強い主張をなし来つたものであります。しかしながら政府は、薪炭特別会計への五十四億七千万円の一般会計からの繰入れに関しまする補正予算の編成にあたりましても、生産者に対する未拂金の早急支拂いということを忘れて、日本銀行の主として持つておりまするところの薪炭証券五十四億七千万円の償還の目的にのみ一般会計からの繰入れを計画いたしておつたということは、今までの国会の審議において明確になつておるところであります。
 政府は、年末を控えまして、與党の内部におきましても、たとえば農業協同組合等の関係において、生産者が未拂金を年内に支拂つてくれというこの強い要望の前に、この特別会計への繰入れについての承認を求めて来られた。その與党の委員諸君の努力は、われわれは了とするのでありまするけれども、昨日の委員会におきましても、生産者に対する年内支拂いの保証につきましては、必ずしも明確でないのであります。
 ただいま前尾委員長代理から報告されましたように、われわれは、これが通された場合に必ず年内に支拂われるかということについて大蔵大臣にただしましたけれども、手続が済めばただちに支拂うと言う。薪炭生産者に対するところの二十数億に上るこの未拂金は、すでに本年の三月以後、何らの利子もつけられずに放置されているものでありまして、私は、手続の済む済まないの問題ではないと思う。政府は、これは予算的な措置によらなくても、薪炭証券の借りかえその他の処置によつて、今までに十分拂われておらなければならない性質のものであるにかかわらず、年内に生産者に支拂うという点においても、われわれは必ずしも釈然とするだけの政府の答弁が得られておらないという点は、われわれが本案に対しまして反対せざるを得ない理由の第二点であります。
 さらに生産者に対する未拂金は、本年の三月ごろから滯つておるのであります。しかし私は、前国会の本案に対する討論におきまして申し上げましたように、事実上薪炭特別会計の買入れが中止されておる本年の五月二十日に、二十八億数千万円という莫大なる薪炭証券が一度に発行せられておるのであります。それについて政府は、三月ごろから滯つておるところの生産者に対する未拂金の支拂いにこれを充当しておらぬということは、明らかに政府の怠慢であります。年の暮れが迫つて、生産者に対する支拂金の問題で政府は騒ぐ前に、五月二十日に二十八億数千万の薪炭証券の残りを発行したときに、なぜ生産者に支拂つてやらないか。これはすべて私は森農林大臣の責任であると言わざるを得ない。
 さらに、昨日の委員会では委員の追究によつて次の点が明確になつておる。すなわち、五十四億七千万円のうち約二十億円は、生産者に対して大体年内に支拂われる。残り三十四億七千万円については、その中から十二月の二十日に償還期が参りますところの二十五億数千万円の薪炭証券の償還に充てられ、残りの約八億は、一月の十日に償還期が参りまするところの薪炭誠券二十八億数千万円のうち、その端数八億幾らが償還に充てられて、薪炭証券の残りの二十億は、一月末に五億、二月末に七億、三月末に八億で、合計二十億を償還するという、この計画が明確にされておるのであるまするが、われわれは、こうした薪炭証券を、生産者に対する未拂金の支拂いに名をかりて、これを抱き合して一般会計から繰入れするということに反対をいたしておるのでありまして、おそらくこれは、前国会におけると同様に、本院は多数をもつて押し通すでありましようが、しかし委員会において明らかにせられたこのことは明確に実行されなければならないものであるという意味において、私は特に昨日の委員会で明確になつた点を本議場において重ねて確認しておくもりであります。
 さらに昨日の委員会において、薪炭特別会計に対する債務の総額は八十七億に達するということが明らかにされておるのであります。しかしながら、現在薪炭会計につきましては、あるいは未拂金の回收、未收金り回收、また手持薪炭の償却等によつて、三十数億の債券を一応持つておるのでありまして、差引いたしますならば、政府の説明によれば、五十四億四千万円が薪炭特別会計の赤字補填であると、かように申しております。しかし、今日までに明らかになつておる点は、八十七億のこの債務、すなわち赤字のうちで、実際に回收の可能なものは、一月末の五億、二月末の八億、三月末の七億の合計二十億でありまして、そういたしますならば、今回かりに五十四億七千万円の一般会計からの繰入れを行いましても、本年度末までには、さらに少くとも十億の赤字繰入れを認めてもらわなければならないという、かような相談をわれわれ国会に政府が持つて来なければ、まだいい方だと思つておる。そのくらいに、薪炭特別会計の赤字の額につきましては、いまだ明確ではない。かかる過程におきまして、政府が国民の血税の中から、かくのごとき厖大なる金額を薪炭特別会計の赤字補填に充当するということに対しましては、われわれは絶対に賛成できないのであります。
 ただいまも本法案が上程される以前に問題になりました国鉄のあの仲裁委員会の裁定に対しまして、政府は今日まで何らの予算的な措置を講じておらない。それにもかかわらず、借りかえの必ずしも不可能でないところの薪炭証券の償還のためには、日本銀行のためには、あなたたちは、この薪炭特別会計の繰入れに関する法律を臆面もなく出すというようなことをやつておるのであります。まさに私は主客転倒しておるという点をあわせてつけ加えますて、生産者に対する未拂金の未払いに充てるための約二十億の一般会計からする繰入れはやむを得ない、また当然の処置であると考えますけれども、それに合せて、先へ延ばし、また借りかえの可能な薪炭証券の償却に、ただ地に国民の血税を充填するということは、政府が歳末を控えて、他になお重要なる予算的措置を講じなければならない問題を控えておるやさきだけに、われわれは賛成することができない。この点を明確にいたしまして、わが社会党といたしましては、遺憾ながら本法案に対しましては反対の意見であるということを申し上げる次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 田中啓一君。
    〔田中啓一君登壇〕
○田中啓一君 私は、民主自由党を代表しまして、本案に賛意を表するものであります。
 本案は、委員長報告にもありました通り、目下精算途中にありますところの薪炭需給特別会計における債務の支拂い財源に充てるために一般会計より繰入金をなさんとするものであります。御承知の通り、この特別会計には相当の赤字が累積しておるであらうということは事実であります。よつて、かくのごとき赤字を補填せんがために、租税を財源とする一般会計より繰入れることは不適当なりとおつしやつておるのでありますが、しかし、すでに赤字のできておるものは、いかにせんやであります。
 しかも、本特別会計の成立は相当古いのでありまして、終戰後のみでも数代の内閣にわたりまして、代々の政府時代におきまして、赤字が累積しておるのであります。しかし、今や薪炭需給を調節せんがための特別会計の操作は必要がありませんので、一日も早くその店をしまわんとするのでありまして、かくのごとき事態になりますれば、もし赤字が出、かつ政府の支拂いが滯つておりますような場合においては、どうしても一般会計より繰入れて、政府が支拂うものを支拂うのは当然のことではありませんか。
 ただいまの田中織之進君の御意見を伺つておりますと、生産者等この会計に債券を持つておるもの、すなわち政府の債務に対しましては、すみやかに支拂え、今日まで遅延しておるのはおそいではないか、こういう御意見でありまして、われわれも、まことに同感であります。しかし、この法案が成立しなければ拂えねではありませんか。佛えと言つておきながら、拂えないような話をなさるというのは、一体どういうわけでありますか。その御精神が一体どこにあるか、われわれは了解に苦しむのであります。
 また、さらに御意見を伺つておりますと、その未拂い分だけについて一般会計から繰入れて、薪炭証券の償還については繰入れるに及ばない、かような御意見があつたのでありますが、薪炭証券も、ただで借りておるわけではありません。やはり日銀から利子を拂つて借りておるわけでありまして、結局借りるならば、その利子も一般会計より拂うほかにはないのであります。(「赤字の責任をどうするのだ」と呼ぶ者あり)責任は代々の政府であります。
 かくのごとき状態でありまして、私どもは、今や生産期に入つておりますところのこの特別会計におきましては、取るものは一日もすみやかに鋭意督励してお取りなさるがよろしい、拂うものは一日も早くお拂いなさい、かような趣旨におきまして本案に賛成すうものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 宮腰喜助君。
    〔宮腰喜助君登壇〕
○宮腰喜助君 私は、民主党野党派を代表いたしまして、薪炭需給調節特別会計における債券の支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案について反対討論するものであります。
 本案は、六六国会に提出し、参議院において審議未了となつたもので、本案を再び第七国会に提出されたのであります。私らは、この法案に反対せんがために反射対するのでなく、国民の血税による支拂いに反対するものであります。今回野党の協議において、本案の修正動議を提出する準備を進めておつたのでありましたが、実際修正動議を提出しても、関係筋に手続し、承認を経なければなりません。しかるに、そういう意味においては、実際に薪炭生産者に対する今年度末の支拂いが不可能になるので、生産者に対する親心から、野党四派の修正動議は撤回したのであります。従つて私らは、薪炭生産者に対する急速なる支拂い促進は当初より主張し来つたのであります。
 何ゆえに本法案に反対するかという理由は、すでに予算処置としては第六国会の予算に盛られているのではありまするが、その五十四億七千万円のうち、薪炭生産者に支拂うところの二十二億九千百万円はやむを得ざるとしても、残金を薪炭証券決済に支拂うことに反対するものであります。今これだけの金を日本銀行等に支拂わざれば、日本銀行運営上困るほどの金額でもないのであります。
 この薪炭特別会計に関しては、国民注視の的となつておるのでありまして、予算委員会、農林委員会において相当論議を盡され、諸君がすでに速記録により十分御承知のことでありまする通り、ことに予算委員会において、国家警察長官から、不正ありとして全国的に犯罪捜査中であるとの答弁があり、また現在未回收債券も相当あります。現在手持品の売却処分をも急いでいるのであります。従つて、これらの債権回収竝びに手持品処分、国家警察における犯罪捜査をすることにより、不足赤字が幾らと確定して来るのであります。これらの一切の手続を完了せずして、国民の血税により支拂うこは絶対に反対するものであります。(拍手)
 ことに、政府が発表した金額と会計検査員で発表した金額との両者の間には根本的の相違があるのであります。会計検査院は、薪炭特別会計の損失額の中に、昭和二十二年度の支拂い未済につき、二十三年度分において一億八千万円を過年度支出として決済し、さらに二十三年度の支拂い未済につき、二十四年度において五億五千万円を過年度支出として決済している事実を指摘しておりまするが、二十三年度においては、支拂い元受資金に余裕がなかつたのみならず、予算外残額もなかつたのでありまするから、これは薪炭特別会計が、無軌道をもつて、めちやくちやの予算経理をしたその跡始末を、二十四年度において新規に発生した経費のごとく装い、これを支出して当面を糊塗せんとしたところを、会計検査院に摘発せられたのであります。(拍手)かくのごとく、会計法第十一條及び第十二條の支出負担行為に関する規定や、同法第十四條の支出予算に関する規定並びに両法條二十七條の過年度支出の規定に違反した支出をなし、国の財政を紊乱した薪炭特別会計については、その責任の帰趨を明らかにすることが繰入れ可否決定の先決問題であります。
 以上の理由により、薪炭生産者に対する支拂いは促進をなすべきであるとともに、薪炭証券に対する支拂いは、犯罪追求、手持品の処分、債券の回收、赤字が確定するまで延期すべきであると考えるのであります。国民の血税による支拂いに対して反対するものであります。
 以上をもつて私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 奧村又十郎君
    〔奧村又十郎君登壇〕
○奧村又十郎君 私は本案に賛成の討論をいたすものであります。
 すでに前国会におきまして、衆議院としては可決した事情でありまして、いまさらその理由を申し上げる必要はないと思いますが、反対の方々があまりにくどくお話しになりまするので、その御心中をお察しいたしますると、私も一言申し上げざるを得ないのであります。(拍手)
 すなわち、社会党の田中君は、生産者に代金を支拂うべきであると力説しておられます。しかし、いかにも薪炭証券のしりぬぐいはしなくてもいい、こういうふうに承るのであります。これは田中君としては、なかなか苦しいところでありまして、社会党が政権をとつた時代の責任を問われ、痛い傷に触れられては困るから、單に生産者のことのみを言うておられまするが、薪炭証券なるものは、やはり薪炭特別会計創始以来の制度であつて、この責任は、やはり社会党といえどものがれられないのであります。(拍手)この点につきまして、なんと申しましても、吉田内閣の責任のみを追及いたしまして、民主党あるいは社会党の政権担当時代の責任は顧みておられないと断言せざるを得ないのであります。(拍手)しかし、この薪炭特別会計の制度は、何と申しましても、まことに官僚制度の欠点を暴露したものでありまして、この点については、われわれは大いに反省し、また政府に対しても、その訂正を要望しなければならぬと思うのであります。
 しかし、私ほただ一点、特に民主野党の諸君、社会党の諸君に申し上げておきたい。この問題は、諸君に対する最も尊い、痛烈な教訓であることをお忘れになつていただいては困るのであります。(拍手)すなわち、この制度の欠陥たるや、單式簿記制度を根幹とした非常な無責任な制度でありまして、薪炭の買入れ代金、売渡し代金、また商品とのつき合せができない、照合ができない、責任ある正しい決算ができない、この制度の欠陥を暴露しておるのであります。すなわち、官僚機構でもつて民間企業にとつてかわわせる、すなわつ役人が商人のまねをいたしまするならば、今後においても、かかる失敗を繰返すという、尊い教訓であるということを、お忘れになつていただいては困るのであります。(拍手)
 社会党は、社会主義計画経済を根本政策としておられます。民主野党は、資本主義の上に計画経済のわくをはめようとしておられるのであります。この計画経済の行き方においては、役人の統制なり商売はどうしても避けられないのであります。従つて、この教訓からいたしまして、諸君らの政策について再び失敗を繰返さぬよう。どうか諸君らみずから十分にこの教訓を身に体していただきたいと考えまして、これを強調して私の賛成討論といたします。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 河田賢治君
   〔河田賢治君登壇〕
○河田賢治君 ここに上程されました薪炭需給調節特別会計における債務の支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案に対して、私は日本共産党を代表して反対の意思を表明するものであります。
 さきの第六国会における食管法とともに、本法律案は参議院の本会議に上程の運びに至らず、審議未了となつたのは、明らかに森農政に対する最大の、かつ現実的な不信任を表明するものであり、衆議院の野党各派の森農相不信任決議案の、これは事実上の承認とも言えるのであります。しかるに政府は本会議及び委員会等における論議や希望に何らの反省や修正を加えることなく、第六国会提出案そのままを再びこの第七国会の劈頭に提出して来た。この心臓の強さ、ずうずうしさ、これにはまつたく、あきれざるを得ないのであります。
 第一に反対する理由は、この赤字に対する政府の責任回避であります。今年の繰入れ赤字五十四億七千万円の内容には、横持料あるいは早期つきがま費、特別小で料の予算品目にない支出や、あるいはからす木炭、空気木炭等の現品不足、たなおろし不足等、数え切れないほどでありますが、農林当局は、これを歴代内閣の責任に帰し、あるいは事務当局は帳簿が單式制であつたというようなことにその責めを帰しまして、笑うべき答弁をしておるのであります。
 特に奇怪なことは、森農相は、二月の大臣就任当時、薪炭会計の状態について損害を受けたかとの私の質問に対して、長官から何の報告も受けていないと言つておる。三浦長官に、大臣への報告の義務はないかと私が質問すると、義務はあるだろうが報告はしていないと言つておるのである。大臣が自己の所管事項について部下に報告を要求しない、あるいは長官が進んで大臣に所管事項の内容を報告しないというようなことでは、何のために大臣になられたのか。これはまさにロボツト以上の何ものでもないのであります。政府当局は、この五十四億七千万円の赤字に対して、自分が勇敢に責めを負わんとする者は、一人もこの委員会の討議においても出ていない。このように無責任な政府の態度に対して、まず本案に私たちは反対せざるを得ないのである。
 第二の反対理由は、債券の取立てに怠慢である、国民の血税による穴埋めになるということ、これであります。現在政府が取立てるべき債券は三十三億七千万円であるが、このうち卸売業者のみでも二十二億五千万円に達しております。一般の消費者からは、卸売りをせずに現金で徴収している薪炭代、これが卸売業者の手元に、取立ずにそのまま放任されておる。一方政府が未拂いになつておるのは二十三億、すなわち薪炭の製造者に支拂うべきものは、このうち十五億であるのであります。だから、年の暮れを控えて政府に要求している薪炭製造者ヘの十五億は、卸業者から取立てれば、これはとつくに支拂われているはずなのである。それゆえ、われわれは、生産者への支拂いは、この卸業者から即時取立てを要求したい。
 却業者が、いかにこの会計を悪用しておるかということについては、農林省の職員からなる全農林労働組合の「薪炭特別会計破綻の実相」と題するパンフレツトを私はここに例示したい。特に民自党の諸君は、耳を洗つてよく聞いていただきたい。(拍手)この財源をどこからとるべきか。私は、森農林大臣の部下である農林省の職員組合の発表したものによつて発表したいのである。
 この中には、こう書いてある。「卸業者の利潤は、横持料等による手数料の増加、備蓄保管経費を理由とした手数料等の公認されたもののほか、薪炭の目減りを不当に多く評価して買いたたいた未拂金を他に転用して高利を得たり、備蓄用の薪炭を横流ししたり、あるいは表面上いわゆる裁定未済で政府の所有に属する薪炭を、実際上は配給にまわしたりして、その間に不当の利益を得ていることは、薪炭業界の周知の事実になつている。これを裏づけるものとして、薪炭業界の大御所、参議院議員のH氏は」――ここで私は註釈を加える。これは参議院の、多分民自党に属しておられる廣瀬與兵衞氏ではないかと思う。「H氏は常に薪炭統制の秘密をいち早くキヤツチして、全国の薪炭業者に情報を流し、さらに今回の特別会計の破綻に際しても、未拂金の納入はできる限り延引するようにせよとの命令を流しているとも言われている。このように、当局は卸業者に対してははるかに無能であり、若干の努力を拂つてはいるが、効果はほとんど上らなかつたのである。」、これが農森当局の職員の実情である。
 このようにして、卸業者から十分取立てれば、生産業者に対して、ただちにこれを支拂うことができる。これを取立てないところの政府の怠慢、これこそ私が先ほど申しました政府の責任の回避という問題ともからみ合うのであります。そうして、このようにして、五十四億の赤字をわれわれの血税、血の出るような税金から穴埋めすることには、絶対反対であります。
 第三に、本案と並行して職員に対する身分と生活の保障が伴つていない。特別会計は今精算事務に入つているが、清算事務に携わる職員は、莫大な債権の取立てや、そのほか励精をはかり、完了後は他の農林行政に転換して身分を保障し、もつて赤字を少しでも減少せしむべきである。ところが、職員問題に対しては何ら明確な対策を政府は声明していないのであります。汚職的な官吏は、会計を紊乱しておきながら、各地方の薪炭会社あるいはその他の会社の重役に納まつているのであるが、まじめな、特に下級職員に対しての政府の義務を果していない。
 以上の三つの理由によつて本案に反対するのであるが、同時に迫り来る冬に対して、消費地の荷受けは減り、木炭あるいはたきぎの消費者は困窮しつつあるにもかかわらず、夏の手持がある、あるいは他方には購買力が減少した、すなわち購買力が減少したから需給関係は大したことはないとうそぶいている。これが農林当局が大蔵委員会において説明いたしました需給関係における状態なのであります。このような無責任な農林当局、そして官公吏に対する給與を上げることはわかつている、金融業者や卸売業者に対して血税をみつぐには嬉々として喜んでおるところの本案の撤回を私は要求して、反対の討論を終わる次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。(拍手)
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 この際暫時休憩いたします。
    午後四時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後六時四十一分開議
○副議長(岩本信行君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 明十七日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後六時四十二分散会