第007回国会 本会議 第8号
昭和二十四年十二月二十二日(木曜日)
 議事日程 第六号
    午後一時開議
 第一 自由討議
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 食糧確保臨時措置に関するポツダム政令に就いての緊急質問(猪俣浩三君提出)
 外国航路進出及び二A型改装促進並びに外国船傭船契約に関する緊急質問(岡田勢一君及び江崎一治君提出)
 日程第一 自由討議
    午後三時十二分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち猪俣浩三君提出、食糧確保臨時措置に関するポツダム政令に就いての緊急質問、これをこの際許可されんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 食糧確保臨時措置に関するポツダム政令に就いての緊急質問を許可いたします。猪俣浩三君。
    〔猪俣浩三君登壇〕
○猪俣浩三君 政令第三八四号、食糧確保に関する臨時措置に関するポツダム政令につきましての質問を、総理大臣及び殖田法務総裁、森農林大臣にいたしたいと存ずるのであります。ところが総理大臣はお見えにならぬので、総理大臣がお見えにならぬと、私の質問の大半の趣旨は失われるのでありますが、やむを得ませんから、副総理に代用でがまんいたします。
 日本国憲法の第四十一條によりますれば、国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関であるということが明記せられておるのであります。この趣旨は、国会は行政権に優越するものであり、なお国民の権利義務に関する法規の制定は、原則として法律をもつてするものであることを明言し、わが国の民主政治の根本を明らかにしたところの憲法法規であると考えるのであります。
 そこで、私どもは、明治憲法旧憲法の趣旨を考えますると、旧憲法の第八條、また第九條におきましては、あるいは緊急勅令の措置、あるいは独立命令と学者が名づけておりまするところの、行政権の專断によつて発布できる命令の規定があつたのでありまするが、新憲法になりましてからは、緊急勅令の趣旨及び独立命令の趣旨一切を抹殺いたしまして国会が唯一の立法機関であると制定されたのであります。しかあるべきことであると考えるのであります。但し、委任立法ということに学者間にも異議がありまするけれども、通説に従いまして、私どもも、委任命令の存在新憲法においても否定はいたしません。しかし、新憲法の各條章には、委任命令のことにつきましては一言も規定しておらないのであります。全憲法の精神から見まして、委任命令なるものは、きわめて制限せられた趣旨にのみ許さるべきものであることは、これは民主憲法の建前から当然のことであると存ずるのであります。
 この趣旨から考えまして、この政府が公布いたされましたるところの政令三八四号というものに対しましては、私ども不可解に存ずる、第五国会及び第六国会におきまして、いずれも議決に至らなかつた法律の趣旨と同様なるものを、国会開議中におきまして、突如として、行政権の專断によりまして、命令をもつて出すということは、この憲法第四十一條の全精神にまつたく違反する行動であると断じたいと思うのであります。(拍手)
 そこで、この民主憲法に相なりましてから、委任立法それ自体につきましても学者間に異議があるこの時代におきまして、国会の開会中、いつでも国会の審議にかけられる情勢のもとにおきまして、何がゆえに行政の專断によつて、しかも国民の権利義務に重大なるところの関係ありまする、かかる法規命令を政令で出されたのであるか。私どもは、憲法第四十一條を御理解なさつておるのであるのかどうか、はなはだ疑問なきを得ないのであります。
 吉田総理大臣は、本月の三日、第六国会の運営の状況に対して批判をなされておる。どうも議会の運営はおもしろくない、ことに野党の態度は、はなはだおもしろからず、これは、三日、参議院におきまして、この食確法改正案が握りつぶしの運命になること必然であつたときに発せられた総理大臣の言葉であります。思うに総理大臣は、この自己の計画いたしましたるところの食確法の改正案に対して、議会が自分の思い通りにならず、審議未了になる形勢に際しまして、はなはだおもしろくないという感情を、この談話によつて発表されたのであろうと思うのであります。
 国会は、民主自由党のごとく、白たび宰相の命令のままには動かぬのであります。(拍手)。反対党があるのであります。大所高所から見まして、非難すべきものは非難する。賛成すべきものは賛成する。国民の輿論を代表いたしまして、農民何百万、何千万の声を代表いたしまして、反対すべきものは反対するのであります。自己の思うままにならざることをもつて国会の運営を非難し、国会の開会中にもかかわらず、政令でもつて單独に出してしまうということは、国会軽視のはなはだしきものなりと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 私は、吉田総理大臣に、こ政令の公布が、わが日本国憲法の、この民主憲法の全精神から見まして妥当なりとお考えになるやいなやをお聞きしたい、妥当ならずとするならば、妥当ではないけれども、かくかくの理由によつて出さなければならない事情があつたというならば、その事情を明確にしていただきたいと思つたのでありまするが、相かわらず国会には出ておいでにならぬ、自分は国会へ出ておらぬで、国会の運営を非難されておる。これも非民主的であると思うのであります。
 私は総理大臣の心境をお聞きしたかつた。真に日本の国を民主国家として再建するのには、この憲法の全精神を体して進まなければならぬこの際に、この国会中に政令でもつて公布したというようなことが、はたして前例と相なりまするならば、これは日本の民主化の大いなる妨害に相なる。首相の心境いかんということを、ただしたかつたのであります。ところが、その総理大臣がおいでにならぬ、そこで、答弁なされてもなされぬでもよろしゆうございますが、もし副総理が、総理大臣の心を鏡のごとく御存じであるならば答弁していただきたい。
 次に殖田法務総裁にお尋ねいたしたいのであります。今回の政令三百八十四号は、いわゆる勅令五百四十二号、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件、この法令を基礎法として公布された政令であつて、委任命令であります。そこで私は、この基礎法であるところの、いわゆるポ勅令と称せられておりますものの効力につきまして、法務総裁の御見解を承りたいと思つておるのであります。
 この勅令は、御存じの通り、昭和二十年九月二十日に公布されたものでありまして、緊急勅令として、旧憲法の第八條にのつとつてなされたものであります。当時、終戰後間もない実情でありまするから、かような勅令が、緊急の要ありとして公布されたことについては、われわれ了解できるのであります。ところが、昭和二十二年の五月には、新しい憲法が効力を発生いたしました。そこで、この在来の勅令、命令その他は一応御破算いたしまして、新しい出発をいたすことに相なつたのであります。
 これに対しては経過法が出ておる。昭和二十二年四月十八日に、この経過法が出ておるのであります。それは、日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律、第七十二号の法律として出ているのであります。この第一條の四を見ますと、かくかくの法令は、これは法律となるものである、かような規定があり、しからざるものは、第一条の規定によりまして、昭和二十二年十二月三十一日をもつて効力を廃止されることに相なつておるのであります。しかるに、この法律第七十二号には、いわゆるポツダム勅令第五百四十二号というものは列挙されておりません。そこで、この勅令五官四十二号は、この法律ができたとき――新憲法が発布された際に、少くとも昭和二十二年十二月三十一日までに効力を失つたものであるという有力なる学者間の議論があるのであります。法務総裁は、このポ勅令に対しまして、いかなるお考えを持つているのであるか。
 吉田総理大臣のすきな、相当有力な学者間に、この効力はなくなつておるという議論をする者がある。これに対して、いかなるお考えを持つておるのであるか。なおこの勅令が、たとい形式的には効力あるものといたしましても、憲法の精神から見まして、かかる勅令を存置することが憲法の全精神に違反することにならないかどうかということを承りたい。
 なぜと申しますと、この勅令五百四十二号というもの、今度の政令の基礎となりましたものは、実に驚くべき簡潔なる命令でありまして、前文数十字にすぎぬのであります。ちよつと念のため読んでみます。「政府ハ「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ連合国最高司令官ノ為ス要求ニ係ル事項ヲ実施スル為特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ為シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得」、これだけであります。驚くべき委任立法であります。最高司令官のなす要求だということを、政府がそういうふうに理解いたしますと、無限に、政令が国会を置去りにして出る、そうして、いかなる罰則でも設けることができるという、実に抽象的、一般的、包括的な勅令であります。かような勅令が、この新憲法第四十一条の原則に照らしまして、存在を許さるべきはずがない。
 終戦直後の際にはいざ知らず、国内秩序が整いまして、新しい憲法が制定せられました今日におきまして、いかなる学者といえども、新憲法のもとにおいては、包括的委任立法が違憲であるということにご異論がないのであります。それでありまするから、これは現内閣だけを責めるわけには行かぬと思う。これは歴代内閣の責任でありまして、かような勅令を今日まで放置しておつたということは、国会の責任でもある。歴代内閣と申しましても、久邇宮の内閣や、この議長の幣原さんの内閣は責任ないと思います。片山内閣以来、新憲法の制定せられました以来の内閣は、時を経るに従つて、責任が加重せられておる。こういう数十字に足らないような法令を出して、しかも勅令で出しておいて、ここから無限に、われわれの権利義務を縛りつけるところの政令を、国会とは関係なしに出されるということは、これは立憲国、民主国としては想像することのできない現象であります。
 西暦一九三三年三月、ヒトラーが政権を確立いたしまするや、いわゆる授権法といわれますところの一般委任立法、国会の立法権の大半を政府に移讓するところの法案を提出いたしまして、むりやりに国会を通過せしめて法律とした。この授権法によりまして、立法の大権は政府に移つてしまつた。爾来、ヒトラー政権は、これを法的根拠といたしまして、ナチスの独裁搾取政権を確立したのであります。
 わが日本国におきましても、昭和十三年、日支事変の後に、軍部官僚の勢力が強大化しますると、国会を圧迫いたしまして、国家総動員法なる法律を提案した。これに対しましては、当時の国会におきまして、われわれの先輩が、軍部、官僚の勢力強大のもとにおきましても、さすがに獅子奮迅の勢いをもつて、この国家総動員法は一般包括的なる委任立法であるがゆえに憲法違反であると称しまして、白熱的な論戰がこの壇上に行われたのであります。その委任立法なりとして非難攻撃せられましたいわゆる国家総動員法も、全文五十條からなつておる大法律でありまして、相当具体的なことを法律に規定し、細則を勅令に委任するという形のものであります。それすら、戰時中の非常事態にありました国会におきましても、議員諸侯が徹底的に論戰をいたしまして、当時の速記録をごらんになるとわかるのでありますが、実に偉大なる速記録ができあがつておる。その中心は‥‥。
○議長(幣原喜重郎君) 猪俣君、申合の時間が参りました。早く結論をつけてください。
○猪俣浩三君(続) その中心は、この点であつたのであります。しかるに、今日民主憲法の時代におきまして、かような数十字に足らないような勅令を根拠といたしまして、政令をどんどん出されるということは、実に私どもは不可解であり、またこれに対して、何ら非難攻撃することなく、唯々諾々としておるということは、戰時中の議会の諸公にも劣ることではないかと考えるのであります。
 そこで法務総裁は、かような勅令は廃止して新しく立法する、どうしても最高司令官の命令を伝える必要がありますならば、法律によつて嚴重にわくをきめて、そのわくの範疇におきまして、いわゆる一般立法――白紙委任立法と称せられないような法律をつくりまして、政令をお出しになつたらいいと思うのでありますが、その意思ありやいなやであります。
 もつと論じたいのですが、時間がありませんので、次に森農林大臣にお聞きします。森農林大臣は、全国知事会議の席上におきまして、本年度供出については強権発動をしないということを制約せられたかに聞いております。はたして事実なりやいなや。なおまた、新聞紙の伝えるところによれば、この政令がいり用でないならば、いつでも廃止するというようなことを発表せられておる様子でありますが、その意思があるかどうか。もし、いつ何時でも廃止するような法律であるならば、なぜ農民一般の憤激を買つておりますところの政令を、今回むりやりに出されたのであるか。どうしても出さなければならぬ何らかの特殊の事情がありましたならば、その御釈明を願いたいと思うのであります。
 私は、もつとたくさん論じたいでありましたが、時間の制限が来ましたので、これで打切りますが、答弁のいかんによりましては再質問を許していただきたいと思うのであります。(拍手)
    〔国務大臣林讓治君登壇〕
○国務大臣(林讓治君) 猪俣君にお答えをいたします。この食糧確保臨時措置に関するポツダム政令は、連合軍最高司令官の覚書指令に対しまして、その最も適切な履行をいたした次第であるわけでありますから、さよう御了承をお願いいたしたいと考えます。(拍手)
    〔国務大臣殖田俊吉君登壇〕、
○国務大臣(殖田俊吉君) 猪股さんにお答えを申し上げます。
 勅令五百四十二号は、いろいろ御議論もあるのでありますが、私どもの見ますところでは、議会の承認を得ました緊急勅令でありまして、法律と全然同一のものでございます。従つて、新憲法下におきましても、法律として敢然に有効なものであると考えているのであります。この点につきましては疑いのないところでありまして、昨年六月二十三日の最高裁判所の判決もあるのであります。
 さらに、この勅令は広汎品な委任立法を規定しているものであるから、これをやめる気はないかというお話でございまするが、御議論はごもつともであります。しかしながら、連合国最高司令官の要求を誠実に実施すべき義務を負うておりまするわが国といたしましては、具体的な一々の場合に応じまして、種々異なつた態様の要求事項のすべてを迅速に履行するためには、現行の勅令五百四十二号の規定するごとき内容を必要とすると考えているのであります。従つて、前述のように、勅令五百四十二号が法律と全然同一のものであり、現に有効である以上は、政府といたしましては、この際これにかわる法律案を提出する意思はございません。
 それから、これはほかの大臣に関係いたしまするが、議会の閉会中にポツダム政令を出すことは、おもしろくないではないかというお尋ねでございます。政府は、事情の許す限り法律案の形式で提案することに、実は努めているのであります。従つて、本件につきましても、当初は、この意味におきまして、総司令部の了解を得ました上、第五国会に提出したのでございます。ところが、これは第六国会に引続いてご審議を願つたのでありますが、不幸にして成立をいたしませんでした。そこで、連合国最高司令官の要求が依然として存在する以上、これを実現する必要がありますので、政令としてこれを立法いたしたのであります。(拍手)
    〔国務大臣森幸太郎君登壇〕
○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。
 本年度の超過供出に対しましては、知事会議において、その各府県別の割当は受けているが、これは本年の実收がまだわからぬ当時であるし、本年の作柄はよくないと思うから、この補正割当を受ける一つの條件として、強制的な措置に出てくれないようにという要求がありましたので、政府は、その要求を受入れておつたのであります。たまたま今回ポ政令を出さざるを得ないような立場になりましたけれども、この契約の履行をするために、司令部の特別な了解を得まして、二十四年産米米の超過供出に対しましては、この政令によらざることの了解を求めたわけであります。
 なお、この法案につきまして、もしも国会が司令部の面会されたる趣旨に、かような法律を審議立案されるならば、このポツダム政令は廃止することにやぶさかでないということを申し上げたのであります。(拍手)
    〔猪俣浩三君発言を求む〕
○議長(幣原喜重郎君) 再質問は、もう既に時間が過ぎているから許しません。
     ――――◇―――――
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、岡田勢一君及び江崎一治君提出、外国航路進出及び二A型改装促進並びに外国船傭船契約に関する緊急質問をこの際許可されんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 外国航路進出及び二A型改装促進並びに外船傭船契約に関する緊急質問を許可いたします。岡田勢一君。
    〔岡田勢一君登壇〕
○岡田勢一君 私は、新政治協議会を代表して、かつ海運議員連盟の賛成を得まして、外国航路進出推進に関するその他数項目にわたつて質問を試みんとするものであります。
 戰後わが国の各種企業は、一様に苦難の道をたどつて来たのでありますが、わけても海運関係の事業は、十数万の過剰船員並びに関係従業員とともに、今やまさに死活の関頭に立つておるのであります。先日勃発いたしました全国の船員ストライキは、二十四時間を経ざる十八日の夜、無事に解決をいたしまして、一般国民に対する被害を最小限度に食いとめましたが、これは労資双方が、当時おのおの誠意を披瀝して努力をされた結果で、まことに不幸中の幸いであつたのだあります。
 わが政界並びに運輸交通界における多年の功労者であります参議院の運輸委員長、日本船主協会の会長である板谷順助君が、去る十九日午後三時、このストライキ解決後の善後措置に関する公務の執行中に倒れられまして、あたかも本日、芝青松寺におきまして葬儀が営まれたのでありますが、板谷氏は、今日の海運関係業界のこの苦悩を、無言のうちに表現されたものと言えるのでありまして、私は衷心から哀悼の意を表する次第であります。(拍手)
 日本の海運は、終戰後、総司令部の好意ある指導によりまして、漸次貿易は復活しつつありますが、試みに昭和二十三年度の実績を見ますと、輸入は米貨五億二千六百万ドル、輸出同じく一億七千三百万ドル、差引三億五千三百万ドルの入超となつておるのでありますが、もしこの物資全部を日本の船舶で輸送したとしたならば、その運賃收入は約一億一千四百万ドルとなりまして、入超額の三分の一をまかない得ることとなるのであります。昭和二十四年度の輸出入物資の数量は、おおよそ一千六百万トンと見られておりますが、このうち、日本船舶によつて、はたして幾ばくを輸送し得るのでありましようか。今日までの経過を総合して推測いたしますに、それは、右予定数量のわずかに一割五分程度ではないかと思われるのであります。
 もちろん、外航配船には、ある種の制限が加えられており、また適格船の少いということも不利な條件ではありますが、現在日本内地では、相当多数の船舶が、積荷不足のために停船しておるのであります。これらの船は、一部非能率船でありましても、日本側において、海上保險その他のリスクを負担いたしますならば、鉄鉱、原塩あるいは燐鉱石等の比較的価格の安い貨物であるならば、輸送することは不可能ではないのでありまして、現に、これらの国際階級のないない船でも配船されているのであります。
 最近の外誌の報道によりますと、西ドイツは、既に国際航路制限が撤廃されたということであります。政府は、外航進出に対して、ほんとうに真劍な努力を拂つておられますかどうか。現実の問題としまして、今日までのところは、先に申し述べた通り、すこぶる寒心にたえない実情であります。昭和二十四年度第四・四半期、二十五年度中において、政府はいかなる貿易輸送の計画を立てておられますか。はたして、どれほど進出できる見通しが立つておりますか、数字的に御説明願いたいと思うのであります。
 第二は、第五次新造船の建造工事認可の促進に関する件についてであります。第五次新船の建造に際しまして、その資金の半額をエード資金をもつて融資されることになりましたことは、業界全般の感謝するところでありまして、政府当局並びに関係方面に敬意を表する次第であります。
 日本海運の前途は、まことに憂慮すべき状態でありますけれども、先に第五次新船計画が発表されまするや、海運業者たちは、前途に横たわります危險を覚悟の上で、国策に協力するために、こぞつて新船建造を申請し、海運復興に大なる熱意を示しているのであります。今回、輸出CIF、輸入FOB建の採用が実現いたしまして、さらにまた、第六国会におきまして成立・実施されました外国為替及び外国貿易管理法によりまして、大幅の自由取り引きが許されるようになつたことなどは、わが貿易・海運の前途に大なる光明を與えたものであります。
 しかるところ、かんじんの遠洋外航に的確の船舶が、わずかに十万トン内外しかないという貧弱な現状でありましては、とうていその効果をあげることはできない。この第五次新船計画の発表されましたのは、すでに本年盛夏の候であつたのでありますが、各船主から運輸省当局に対する申請は、八月二十二日をもつて打切られ、これに対しまして、新船建造資格審査委員会が組織せられまして、愼重なる審議・檢討の結果、運輸当局の承認のもとに、九月十三日に、適格船主会社四十社、油糟船並びに大型・中型貨物船合計四十六隻、これを建造する造船所二十一社がそれぞれ合格と決定して、発表されたのであります。しかるに、その後三箇月半を経過したる今日におきまして、いまだに認可もありませんことは、一体いかなる事情で、かくのごとく送れておるのでございましようか。根本問題として、エード資金は既に融資が認められておるのであり、現在の一般経済界の現状から考えましても、一日も早く工事着手の実現が鶴首せられておることは、政府当局においても、おわかりのはずであります。
 今日、問題の金詰まり、あるいは証券界、投資界の不振等に相関連いたしまして、現在国内全般の金融界は大なる危機に直面しております。この際、新造船工事の着手いかんは、いまや一海運、一造船企業だけの問題ではないのであります。かくのごとく遅延しておりますことは、政府の怠慢ではないかと考えられるのであります。政府は、いつごろになりましたら、この五次造船の建造認可をされるお考えでありますか。的確なところを御答弁願いたいと思うのであります。
 次に、二A型の改装工事でありますが、現在日本に所有しておりまする二A型は、約四十一隻、総トン数にして二十七、八トンで、これらの汽船は、これを速やかに改装して、国際階級を持たせ、外航に進出させますることは、前にも申し述べましたように、まことに有効なる措置であります。これに対しましても、改装費の一部がエード資金の融資を認められるようになりましたことは敬意を表する次第でありますが、この改装工事着手も新船と同様の理由によりまして、速やかなる認可を希望するものであります。
 さらに、外国船の傭船または買い入れの問題であります。一部新聞の伝えるところによりますと、アメリカからリバテイ型の大量傭船、あるいはまた、ポンド地域からの古船の輸入などが話題に上つておるのでありますが、私は、日本の対外収支の関係、すなわち貿易じりの決済の外貨不足に悩んでおる実情、それと国内企業の保護、失業者救済等の見地から、これらに対しましては、いずれ「ム絶対に反対であります。日本におきましても、戰時標準型の船舶などは、漸次解体しなければならない運命にあるのであります。今話題に上つておりますような外国の戰時標準型あるいは古船等は、これまた数年を出でずして解体さるべき運命にあるのでありまして、遠からず、第一次世界大戰後に参りましたように、日本に対しましてスクラツプとして搬入する時期が来るものと、私は信じておるのであります。現在の日本の立場上、これらの船舶を手に入れたといたしましても、もしその船腹を十分に満たし、現有船舶をも遊ばせないほど度の外国向けの積荷の獲得が保証されない限りは、日本の経済全般に、逆に大なる障害をつくる結果になることは、疑う余地がないと思います。一、二A型の改装は、いつごろになつたら許可される御意向でありますか。二、政府は外国の傭船及び買船問題について何らかの定見を有しておられまするかどうか、御答弁を願いたいと思います。
 第四は、船舶運営会予算の増額についてであります。政府は、明二十五年度の船舶運営会補助金の予算を四十二億円と内定され、その事業内容は、五千トン以上の大型船舶を傭船して、外航用として運航配船をなし、五千トン以下の船舶を全部解除して船主の自由運航にまかすと言われております。さらに五千トン以上の船でも、国際船級を持たない船は、運営会傭船から除外されるということであります。この構想につきましては少からず疑問を持つものであります。もし、右の構想で実施されるとするならば、デツド・ウエートトン百万トン前後の大量船舶が、内地沿岸航路に集中されて来ることになる。現在の内地の荷動きの状態から見まして、かくのごとき大量船舶の殺到は、たちまちにして、積荷の争奪と、不当に激烈なる競争を惹起いたしまして、大河乱に陥ることは、火を見るより明らかである。
 今回政府は、国鉄貨物運賃八割、海上運賃九割三分の値上げをいたしまして、海陸運賃の調整をはかられるということでありますが、もしこのようなことになりますると、鉄道の貨物がどんどん海上に流れて参りまして、国鉄は逆に赤字という奇現象を呈することになるでありましよう。また、一体デツド・ウエート・トン五千トンで線を引いたということでありますが、その根拠と理由が私はわからぬのであります。
 従来、日本の海運は、朝鮮、滿州、支那方面と日本との海上輸送を担任して来たのであります。今や、きわめて近き将来におきまして、朝鮮及び中共支那との貿易輸送は、本格的に復活される機運に向つております。東洋における経済復興に寄與するため、日本の中小型汽船の出航活躍は、これら隣接諸国からも期待されておるところであります。政府は、明年四月以降、民間に解除される五千トン以下の艦船のうち、支那沿岸等の近海第一区に就航できる適格船は、その積荷協商が成立したときは、トリツプ・チヤーターで就航せしめるといわれておりますが、三千トン以下の艦船のうちにも、近海第二区、第三区に就航できるものが相当隻数あるのでありますが、一体それらは放任されるりでありますかどうか。もし、明二十五年度の外国航路進出の量が、政府がただいま予算に組んでおられます運営会補助四十二億円という予算のわく内以上に日本艦船が出航しないといたしまするならば、これは実にゆゆしい問題であると思うのであります。
 現在の困難なる過渡的段階におきましては、少くとも明二十五年度中は、近海航路以上の外航可能の船舶は全部運営会において管理され、もし過剰の場合は繋船する等適当の措置を講じまして、内地輸送市場の混乱を未然に防ぎ、一方におきましては、また可及的に近海、外航にも進出を努力すべきであると思うのであります。そのためには、運営会予算は数億円程度を増額さるべきではありますまいか。しかし私は、政府が長時日にわたつて紆余曲折を経て努力の結果、ようやくにしてまとめ上げられましたところの明年度予算案が、いよいよ国会に提出されんといたしております今になつて修正を主張するということは、国政全般の澁滯をおそれまするがゆえに、これを避けるのであります。前述の海運関係企業の実態をよく把握せられまして、かつ、そのあげるべき効果をも十分御認識なさいまして、きわめて近き将来において運営会予算の補正を具体化されんことを要望するものであります。この点につきましても、大蔵大臣はおるすでありますから、あとで御返事を伺いたいが、安定本部長官、運輸大臣などの御所見を具体的に伺いたいのであります。以上をもつて私の質問を終ります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 江崎一治君。
    〔江崎一治君登壇〕
○江崎一治君 私は、日本共産党を代表いたしまして、政府に対しまして、日本国民としてはなはだ理解に苦しむ本問題につきまして緊急質問を行う次第であります。
 敗戰後すでに四年、どうやら明年は講和問題が急速に具体化する気運に向つておることは、ご同慶にたえない次第でありますが、実は、この講和問題の帰趨こそは、将来の日本民族にとつて、民族の運命を決する分岐点であると考えられるのであります。私が、ただいま政府に対して質問しようとしておりますことは、この講和問題に深く関連しておるところの、来年度十二月二十二日におきます五十万トンに及ぶ裸傭船の計画であります。
 この計画の内容は、アメリカのラウンドリー汽船会社から、ヴイクトリア型並びにリバテイ型の、しかも老朽船を、国際相場の三割高をもちまして借り受け、日米合弁の船会社をつくろうというのであります。その出資額の割合は、アメリカのラウンドリー会社が六〇%、日本側は、日本郵船、大阪商船、三井船舶の三つの会社で、合計四〇%ということになつておるのであります。また、この日米合弁の船会社は、来年八月から開始されますところの外国航路の海運六十万トン、さらに再来年の三月から百十万トンを独占する予定になつておるのでありまして、この計画は、一方においては国内の他の船会社、たとえば山下汽船、それから川先汽船、あるいは東方海運などの会社を国内航路へくぎづけして、国外への発展の道をまつたくとざしてしまつておるのであります。従つて、それらの船会社は、自滅のほかない窮状に追い込まれておる現状であります。
 他方におきまして、これが日本造船界に與える影響は、まつたく破滅的なものでありまして、来年度の造船計画でありますところの第五次造船計画、すなわち五十六隻、三十万トンに及ぶ造船計画は、ために、まつたく中止のやむなきに至つておるのであります。これは單に労働者、船員の問題であるばかりでなく、実に日本の造船業界にとりまして、まさに生死の瀬戸ぎわに立たされたということになるのであります。ここまで考えて参りますと、この民主自由党を與党とする現政府は、一体どこの国の政府であるかということを疑いたくなるのであります。(拍手)私は、この五十万トンの裸傭船計画が、日本の産業並びに労働者に対して、どういう影響があるかということについて、安本長官、それから運輸大臣に対して、偽らざる答弁を求めるのであります。
 そこでに念のためにつけ加えておきますが、わが日本共産党は、何でもかでも外資の導入に反対であるというような、ばかなことは言つておらぬのであります。わが日本共産党は、労働者の生活を破壊し、日本の産業を破壊するところの、かかる外資導入は、絶対に見のがし得ないということを申し上げておきます。むしろ本件は、超党派的な問題でありまして、外資委員会は、かかる計画に対して絶対に許可を與えるべきでない、この意見を具して私の質問演説にいたします。(拍手)
    〔国務大臣大屋晋三君登壇〕
○国務大臣(大屋晋三君) 岡田君の御質問の第一点は、外航進出に対して政府はどういう確信を持つておるかという問題でございますが、御承知の通りに、政府といたしましては、現在外航に適する船が非常に少いということ、それからまた、外航を考えます際にいろいろな制約があるということ、すなわち、日本の海運の外航は一に連合国の管理下に置かれておるというような事柄がございますので、あらゆる機会に、外航に進出できまするように努力をいたしておる次第でございまするが、現在のところでは、この最も隘路といたしましては、わが国に、国際満載吃水線の條約に適合します。いわゆる外航適格船、船級船というものが、七万三千トン、十二はいしかないのであります。政府といたしましては、これが整備に最大の努力をいたす計画を立てまして、この第五次新造船計画におきまして、四十六はい、四十万重量トンほど、見返り資金から七十億円の金融を得まして、一ぱいごとに、当該所要資産の五〇%を、見返り資金の方から融資をしておる次第であります。また同時に、あとの問題で岡田さんから質問がありましたが、在来のA型の改修の戰標船を、やはり外国の船級協会と緊密な連絡の上に、なるべく多数の船級が取得できまするような施策を進めておる次第でございます。これらの、いわゆる新造船の計画におきましても、あるいは改造の計画におきましても、いずれもこれは緊急性のある問題でございますので、前の新造船は五〇%でございますが、この改造船の方には、特に見返り資金の方から、船主に対して七〇%に融資の率を高めまして、すでに二十九はいある中に、二十三はいの改造許可が現実におりて参つたような次第でございます。外航の問題に対しましては、重量トン四十万トンの新造船と、それから戰標船の改造二十九隻、そのうち現に二十三隻が許可が参つておる。こういう計画を持ちまして、外航の準備をいたしておる次第であります。
 第二点の御質問は、新造船計画でありまするが、これは、ただいま申し上げました通り、四十万重量トンの計画でありまして、ただいま岡田君が御指摘になりました通り、なるほど船主の希望は、八月下旬に締切りまして、その決定を九月の中旬にいたしたのでございまするが、実はこれは、日本政府から日本銀行に委嘱をいたしまして、各船主からそれぞれのアプリケーシヨンを出させまして、融資ん基本的の條件を險討して参つておるのであります。これは、おしかりを受けました通り、この九月以降相当の時間が経過しておることは、まことに政府といたしましても残念に思うのでありますが、現在におきましては、日本側におきますあらゆる調査手配は全部完了いたしまして、目下関係方面にまわつておる次第でありまするから、これはもう、ごく僅々のうちにその認可が参ると思いますが、参りますれば、資金の裏づけができまして、ただちにこれが造船所の方にまわる。従いまして、現下最も重大なこの労働問題の解決という点に対しましても、手近にこれが有効な働きをいたすと考えております。
 次に、外船の傭船の話、あるいは古船の日本に対する引合いというのが、ちよいちよい非公式に行われておるのであります。しかしながら、外国から引合いのありまする船は概して古船で、しかも能率的には、はなはだ不完全な船であるというような事柄、それからまた、いわゆるリバテイ型あるいはヴイクトリア型の船を傭船するというような考え方で、ちらちら非公式にいろいろな話もございますが、運輸省といたしましては、外国の古船の購入ないし傭船という点に対しましては、幸い司令部の好意によりまして、わが国の第五次造船計画並びに海Aの改造計画が有力に現実に手についておりまする関係上、いわゆる外船の買船あるいは傭船ということに対しましては、愼重な態度をもつてこれを検討しておる次第であります。
 なお最後に、船舶運営会の来年度の予算四十二億を増額せよというお話でございましたが、なるほど、わが国の船舶は現在大体二百万トンございまして、そのうち、艦船運営会で六十万トン保有しております。従いまして、民間に還元いたしました船舶のトン数は百四十万トン、しかるに、現在の日本の樺太、朝鮮辺までを含みました、いわゆる内航及び近海航路の実情におきましては、この百四十万トンの船腹が相当過剰を来しておることは事実なのでございます。これに対しまして、ただいま岡田君は、船舶運営会の予算を増して、これらのものもひとつ予算の裏づけで解決せよという御意見でありまするが、目下のところ、政府は、船舶運営会の予算をそのままふやすという考えはございませんが、現実にある大体五十万トンの余剰船腹の処置につきましては、運営会の予算を増額するという方法以外の何らかの適切な方法を発見すべく目下努力中でありまするから、さように御了承を願いたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣青木孝義君登壇〕
○国務大臣(青木孝義君) ただいまの江崎委員の御質問に対してお答えを申し上げます。江崎議員は、最近ラウンドリー会社と日本の三井船舶、大阪商船、日本郵船、これらの会社が合弁会社をつくつて、日本の海運を独占するのではないか、そういう場合においては、現在の日本の船舶会社、また造船業、そういつたものは、このために大きな圧迫をこうむつて没落するのではないか、こういつたような御質問であつたと存じます。この問題は、御承知かと存じまするが、問題として、すなわち話としては持ち込まれておるようでありますが、しかし、私どもの扱つております外交委員会まで、具体的に上つて参つておりません。従つて、この問題が登場して参りますれば、日本経済の全体の角度から考えまして、日本の政府としては十分検討して善処いたしたいと存じます。(拍手)
     ――――◇―――――
 第一 自由討議
○議長(幣原喜重郎君) これより選挙法改正に関する自由討議に入ります。
 山本猛夫君、発言者を指名願います。
○山本猛夫君 民主自由党は野村專太郎君を指名いたします。
○議長(幣原喜重郎君) 野村專太郎君、発言を許します。
    〔野村專太郎君登壇〕
○野村專太郎君 私は、公職選挙法について、きわめて自由な立場に立つて、個人的の所見を述べてみたいと思います。
 従来、各種の選挙にあたつては、種種雑多の形式で行われたのでありまして、少政の選挙関係者が、その都度、その選挙について法規を研究模索しながら実施されておつたのであります。従つて、一般有権者においては、すこぶる難解の結果、思わざる違反等に善良なる人々が関係する等の弊害があつたのでございまするが、この点、今回の公職選挙法は、あらゆる選挙が一つの法律によつて適用されることになつた点は、一つの進歩であると思うのであります。しかし、衆参両院選挙法、地方自治法、教育委員会法等を、一応現在の憲法のわく内で整理改正されました、消極的、事務的出ていないことを遺憾とする次第であります。
 すなわち、参議院の選挙法については、竿頭一歩を進めて、憲法のの改正をまつて、二院制殿の本質をそれぞれ確立すべきであると信ずるのであります。その投票方法につきましても、衆議院と同じ方法、すなわち直接投票をもつて現在行われでおるようなこと、ただ選挙の区域において全国区の制度があるとい『異色のみでありまして、広く学識に富んだ人材を全国から求めるという期待をもつて、一応私らは、これを認めるのでありまするが、衆議院とはかわつた投票方法によつて参議院は構成すべきものと考えるのであります。また、その任期についても、六年は長きに失すると思うのでありまして、(拍手)その結果は、性格的に消極、ときによつては、頑迷な、批判的な立動に堕しやすい危險があると思うのであります。
 一体選挙法は、憲法の精神にのつとつて、選挙人の意思が、自由に、公明適正に行われねばならないわけでありまして、私ら候補者に立つ立場のみによるよりも、有権者のための選挙法でなければならないと思うのであります。さきに行われました選挙法特例につきましては、その費用をかけない点等におきまして、いい点もあるのでありますが、有権者にとつては、あまりに峻嚴な、近寄りがたい、冷たい法律であつたという感じが、見のがせないと思うのであります。しかし、選挙の公営の趣旨は、大いにこれを助長すべきものでありまして、由来、日本の選挙法ほどむずかしいものは、世界にも私は少いと思うのであります。
 次に、最近とみにやかましく論議されておりまする、従来の報道よりさらに飛躍して、評論の自由の問題でありますが、これは原則的には、憲法の條章によつて、いわゆる表現の自由が認められておるのでありまして、これに対しては何人も反対することはないと、思うのであります。現実においては、政党については、この評論は現在までも行われておるのでありまして、さらにこれを個人まで及ぼそうとするものでありまするが、政党は人をもつて構成しておるのでありまするから、その單位となる議員を選挙するに、権威ある評論の自由に、大いに歓迎すべきであると考えるのであります。しかし、公職選挙法は、地方公共団体の議員にまで適用されるのでありまして、数多くの機関紙が、正義に立脚し、大胆に、高度の権威ある評論の自由を発揮することは、かなりの困難のことと思います。これは、どうしても有権者の政治に対する認識が普及、徹底することが、その前提として要望されると思うのであります。政党を構成する個人を吟味せずして、健全なる政党はあり得ないと信じまするがゆえに、言論界については道義と責任を強く要望し、日本の民主政治の礎石たらんことを期待するものであります。
 次に選挙の区域について申し上げたいと思いまするが、理想といたしましては、二大政党をもつてしまするのが最も望ましいことでありまするが、政党の現在の配置の状況からいたしまして、私は、中選挙区が、この場合最も望ましいと思いまするが、しかし、全県一区のごときはこれを改め、でき得れば二人区、三人区、せめて四人区以内にとどめることが適切ではないかと考えるのであります。
 さらに別表の問題についてでありますが、現在行われでおりまする別表につきましては、終戰直後、人口のまことに不安定なうちに統計をとつたものに基礎を置いておるのでありまして、将来行わるべき国勢調査の結果に対しては、十分改正すべきものであると考えるのであります。
 個別訪問につきましては、いろいろ考え方もありますが、評論の自由と並行して若干緩和し、平凡な、体力的な運動に堕してはいけないのでありまして、これは、現在委員会が考えておりまする、ある程度の知己関係等に対して候補者自身が行われますることに対しては、私は認むべきであると考えておるものであります。
 次に、兼職立候補の廃止について、いささか申し上げておきますが、私は、公務員中におきましても、選挙によつて出ました公務員につきましては、別に考えてもよいのではないかと思うのであります。国会議員も、かりに任期滿了の場合に対しては、現職のまま立候補することになるのでありまして、全国の都道府県の、たとえば県会、あるいは地方議員のごときは、今日の場合では、辞職をして出なければ立候補できないようなことでありまして、その後におきまする補欠選挙に対しましては、厖大な国費の使用を要するのでありまして、私は、広く人材を求めて、何人といえども均等に機会を與えるべきであると思います。また反面、地方共団体の議員は、他の公職に対しても、あわせて立候補することができるのでありますが、地方自治の重要性からいたしまして、目的の一つの公職に全力をかけるべきであろうと思いますので、あります。従つて、これらを、いたずらに乱立、無秩序の状態に放置すべきことは、私はいけないと思うのであります。もつとも、この問題に対しては、地方自治法の改正にまつのはもちろんであります。
 結論といたしまして、この公職選挙法、新選挙法こそ、選挙民に親しみやすい、平易のうちに公明適正に意思が表明されるよう、平常時に政治教育に万全を期し、民主政治の確立を期待するつもりでなければならないと思う次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 山本猛夫君、次の発言者をを御指名願います。
○山本猛夫君 民主自由党は中川俊思君を指名いたします。
○議長(幣原喜重郎君) 中川俊思君、発言を許します。
    〔中川俊思君登壇〕
○中川俊思君 私は、本院選挙法特別改正委員会が第五国会以来審議を継続しておりまする公職選挙法案要綱の主要な点につきまして、若干の意見を申し述べ、諸君の御批判に訴えたいと存ずるのであります。
 本要綱案は、現行の衆参両院議員、地方公共団体の議会の議員及び長、並びに教育委員会の委員に関する選挙関係法令を総合統一化しまして、内容を改正整備し、名称を公職選挙法と名づけんとしているもので、全体は、第一章総則以下、十七章二百七十三條及び附則よりなつていることは、諸君すでに御承知の通りであります。しかして本法案が、現行法に改正を加えるに至つた最大の理由は、今春一月に行われました選挙が、幾多の細かい取締法規のもと、選挙運動を萎縮せしめ、公営の美名に隠れ、官僚の統制選挙に終始したため、選挙の本旨たる自由闊達を著しく阻害したことに基因するものでありまして、このことは、諸君が身をもつて体験された通りであります、
 さて、本要綱案の詳細にわたつて論及することは、時間の関係上不可能でありますが、私は、まず第一に、衆参両院の選挙区制について若干の意見を申し述べたいと存じます。
 巷間、参議院の全国区の廃止が批判の対象となつておるようでありますが、これは、去る第五国会において、社会党、共産党の参議院の繊員諸君が、衆議院と同様、暫しく党派性を発揮したのが原因であります。しかし根本問題は、憲法代四十三條の「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」という、両院の間に何ら本質的等差のないことに基因すると存ずるのであります。この点については、憲法改正の折、その不徹底がつとに叫ばれ、衆議院におきましては、次のごとき附帶決議さえ行われたのであります。すなわち、参議院が衆議院と重復するがごとき機関になることは、その意義を没却するものである、政府は、この点に留意し、参議院の構成については、つとめて社会各部門、各職域の知識経験者がその議員となるに容易なるよう考慮すべきである、こういう附帶決議があつたのであります。これは、今もかわることのない、参議院議員選挙法を改正する場合におきまするところの主眼でなくてはならないと存ずるのであります。
 第二院が第一院と同様なら無用であるし、反対なら有害だという有名な言葉がありまするが、要するに参議院は、政情の不溶定に処して、よく衆議院の行き過ぎを公正に批判する立場だけは忘れてはならないのでございます。将来憲法が改正され、参議院議員が全国民を代表する議員ばかりでなくてもよいようになり、衆参両院の性格がかわれば、全国区の問題はまた別でありますが、全国区におきましては、幾多の弊害ももちろん認めます。けれども、現在におきましては、まだ全国区の改正の時期ではないと私は考えるのであります。これを要するに、憲法の改正に触れないで、ただ全国区の廃止をとなえてみましても、決して完全なるところの改正はできないと存ずるのであります。
 次に、衆議院の選挙区制の問題でありますが、現行の中選挙区制は、過去において行われました大選挙区制並びに小選挙区制とも幾多の弊害を伴つたことを理由とし、その弊害を除去することを忘れて、ただ漠然と、その中間であるところの中選挙区制を採用しているというにすぎませんが、この中選挙区制も、必ずしも前二者に対して完璧な選挙区制とは申されません。また幾多の弊害を認めざるを得ないのであります。
 選挙においては、政党並びに候補者の主義、政見が有権者に徹底することが第一條件であります。その関係上、できるだけ選茶区は小さくして、この目的が達成されることに留意しなくてはならないと考えます。諸君は、ことごとく中選挙区制によつて当選されました関係上、現行法に一応賛意を表されることは当然でありましようが、諸君の体験上、僅々二十日足らずの運動期間のうちに、とうてい選挙区全般にわたり諸君の政権を徹底さすことの不可能なことは、十分お認めと考えるのであります。このことは、同時にまた有権者諸君も、候補者の主義、政権に認識を欠く結果と相なることは申すまでもありません。ゆえに私は、弊害のあるところは互いに衆知を結集して是正に努めるとして、新然小選挙区制に改正すべきことを強く主張するものであります。
 諸君御承知のごとく、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア等においても、それぞれ小選挙区制を採用して今日に至つておるのであります。一郡、一市において互いに覇を争い、堂堂の戰いを経て当選の栄光を獲得した者こそ、再建日本を背負うに足る、真に代表たる資格を具備した士と存ずるのであります。小選挙区制においては、買收その他の忌まわしき弊害を伴ななどと、けちをつけておることは、近代文化の恩典に浴しつつ、勇躍民主国家の建設に立ち上がらんとしつつある国民感情を侮辱したものであり、みずからは封建的意識から脱却しきれないところの、哀れな存在と言うべきであります。選挙区を広くすることによつて、おこぼれの札をかき集め、しやにむに当選さえすればいいというような候補者に、はたしてこの難局を担当し、再建日本を背負う資格ありやいなや、疑わざるを得ないのであります。本要綱においては、この私の主張は取入れられなかつたのでありますが、さらに諸君の御研究を願いたいと存じます。
 その他、本要綱案は、選挙権並びに被選挙権において、居住條件の短縮、範囲の拡大をなすとともに、投票においても、現行法の絶対的要素でありますところの自書を改め、代理投票を認めるなど、幾多敗正されんとしていることは、まことに機宜の処置と申されますが、何といつても、本要綱中最大の関心事は、選挙のエキスとも称せられる選挙運動であります。冒頭に申し述べましたことく、今春の選挙が統制選挙となり、自由、明朗、闊達を阻害いたしましたことにより、本要綱案においては、特にこの選挙運動の改正に主眼が注がれたことは申すまでもありません。
 まず第一は、戸別訪問の問題でありますが、過去において、戸別訪問が自由に行われた時代においては、忌まわしき弊害が随伴して、選挙の公正を著しく阻害しましたために、大正十四年の普通選挙の実と同時に、このことは禁止され、今日に至つていることは、諸君御承知の通りであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
しかるに、本要綱案第百三十八條を拜見いたしますと、一何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて戸別訪問をすることができない。」と明記しておきながら、但書を付して、「但し、公職の候保者が親族、平素親交の間柄にある知己その他密接な間柄にある者を訪門することは、この限りでない。」となつておるのでありますが、戸別訪問を認めるがごとく認めざるがごとく、幽霊案となりておるのであります。この点、特に検討の余地があると存じます。事実、われわれが選挙に直面し、特に親しい友人や親戚を訪問することは、従来しばしば繰返されたところであり、また当然のことのようでありますが、このために選挙違反の処罰を受けた実例をも見のがすわけにに参らないのであります。
 そこで私は、検察当局の意向を聽取しておく必要を痛感いたしまして、委院長にこの旨を進言し、さようとりはからつてもらつたりでありますが、結局、検察当局においても、この條項、すなわち戸別訪問のどこからどこまでが戸別訪問になるかならないかという限界点については、明確な言明はできなかつたようであります。衆参両院議員の候補者においては、各町村に参りましても、戸別に親交の間柄にある人はいないかもしれませんが、この選挙法が、公職選挙法として、町村が議会の議院及び長の選挙にも適用されるといたしまするならば、同一町村内に常時生活しておる者の大半は、親交の間柄にある者ばかりというも過言ではありますまい。この場合、町村議員並びに長の候補者には、この但書に従い、各戸別訪問をした場合、これがはたして処罰の対象になるかどうかという点であります。この第百三十八條は、向後行われますところの選挙において、必ずや私は問題を起す條項と存じますので、特に諸君の御検討を願つて、適切なる改正を要望するものであります。
 さらに、昨今重大な問題となつて、いまだに本要綱案中決定を見ざるものに、新聞の報道及び評論の自由に関する問題があります。すなわち、委員会におきましては、要鋼案第百四十八條において、新聞の報道は認めるが、特定の政党並びに候補者に対し事実を歪曲し選挙の公正を害するがごとき評論に対しては制約をしなければならないということになる。原則としては、憲法の保障する言論の自由を認めることによつて評論をを認めるが、上述のごとき場合に許さないという態度を持しておるのであります。これに対し、新聞協会より猛烈なる反対が叫ばれ、無條件に評論も許すべしと、強硬なる申出が委員会になされたのであります。よつて、委員会といたしましては、新聞社側と懇談会々開催して、意向を聽取いたしたのでありますが、遂に結論に到達せず、今日に至つておりますが、この点、きわめて重大なる問題と存じますので、重ねて諸君の御検討を煩わしたいと存じます。
 私どもが、憲法の保障する言論、集会、結社の自由を拘束することのできないことは論をまちませんが、終戰後、ややともすれば、この点を悪用する一部の政党や、悪徳新聞、雑誌が跋扈して会社の秩序を乱し、日本再建に重大なるところの支障なしておりますことは、まことに遺憾千万のたえないりであります。世上ややもすれば、自由をはき違え、わがまま、放縦、利己主義を混淆し、これをしも自由と称し、著しく社会に害毒を流しつつある幾多の事例を見るのでありますが、憲法第十二條は、自由に対する制約を明記いたしております。国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によるべきことを要請するとともに、その濫用を戒め、公共の福祉に反せせることを規定いたしておるりであります。
 選挙に際し、悪徳新聞が横行闊歩し、巧みに候補者の弱点につけ入つたり、事実無根の報道や、名誉毀損に該当するがこどき評論をなし、てんとして恥じざる行動の行われることは、私どもの、かねて聞き及んでおるところであります。私どもは、もちろん、堂堂たる日刊新聞で、しかも新聞協会加盟紙等に、さようのことがあろうとは毛頭考えていなかつたのでありますが、先般新聞社側との懇談会の席上、新聞協会より承れば、某県の相当な日刊紙でも、対面の保持上いかがわしき事由のため、新聞協会から警告が発せられたとりことであります。しかも全国で、協会加盟紙はわずかに百四十八社とのことでありまして、これら一流新聞を除いた残余幾百幾十の新聞の中には、新聞としての使命に徹せるもののみとは考えられないところの幾多の悪徳新聞のあることは、天下周知の事実であります。
 新聞に自由があるとともに、国民一人一人にもまた自由が與えられているのでありまして、他人の自由を蹂躪して、自己のみの自由を貫かんとするがごときは、自由の本旨に反するものと申さなければならません。新聞協会より委員会あてに寄せられたる意見書を拜見しますと、理論としては、さすが高邁なる識見の持主であろことに、多大の敬意を拂うものでありますが、遺憾ながら、選挙の実際とは、およそかけ離れた御理論でありまして、選挙に必勝を期して闘うわれわれの、とうてい解釈に苦しむところであります。
 これを要するに、われわれも大いに反省を要するとともに、新聞社側におかれても、社会の木鐸としてより以上の責任を痛感され、お互い自戒自粛に努力するに至らば、こうした紛争は自然解消するもりと存じます。しかしながら、現段階においては、遺憾ながらその域に到達しておりません。われわれも大いに反省これ努めるとともに、新聞社側に対しても、ある程度の制約を要請することは、やむを得ざるところであります。
 新聞社から先般委員会に寄せられました意見書によりますと、選挙目当の悪徳新聞を排除するに必要な民衆の啓蒙運動については、協会加盟各新聞社は十分協力する用意があると述べられ、暗に悪徳新聞の存在を認められておりますが、この点、特に協会加盟の各社の御助力をお願いするとともに、協力していただかなくてもよい時期になりました節は、われわれにおいても、評論の自由に何ら。制約をも加える必要はなくなるわけであります。何とぞ今後新聞協会並びに全国の各新聞社におかれては、このわれわれに対しまして格段の御助力をお願いいしたいと存ずるのであります。
 いかなる新聞であろうとも、選挙に際し、特定政党、特定候補者に対し無制限に評論を許すべきではないという以上の点に関し、私は、遺憾ながら以上の理由により、今日の状態においては、ある程度の規制はやむを得ないと存じますが、諸君におかれても、選挙の際、直接関係のあることでありますから、十分御検討を賜わりまして、結論を與えられんことを切望いたします。
 その他、今回の選挙法改正要綱案を大観いたしますと、選挙運動の自由を理由に、各種の制限がたくさん撤廃いたされておりますために、莫大なるところの経費を要する懸念があるのであります。このことは、選挙に際し、できるだけ経費の節約をはからんとする選挙公営の本旨に反する結果となるのでありまして、しよせん、角をためて牛を殺す結果を予想されるのであります。この点、要綱案全般を十分に御検討願つて、私どもの立法が後世悪評を殘さざるよう諸君の御協力を待望して、私の討議を終る次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○山本猛夫君 本日の自由討議はこの程度にとどめ、明二十三日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時四十六分散会