第007回国会 予算委員会 第28号
昭和二十五年三月二十三日(木曜日)
    午前十時五十一分開議
 出席委員
   委員長 植原悦二郎君
   理事 池田正之輔君 理事 尾崎 末吉君
   理事 小峯 柳多君 理事 苫米地英俊君
   理事 今井  耕君
      淺香 忠雄君    天野 公義君
      井手 光治君    江花  靜君
     岡村利右衞門君    奧村又十郎君
      北澤 直吉君    黒澤富次郎君
      小金 義照君    坂田 道太君
      中村 幸八君    西村 英一君
      丹羽 彪吉君    南  好雄君
      山村新治郎君    稻村 順三君
      西村 榮一君    山本 利壽君
      米原  昶君    松本六太郎君
      岡田 春夫君    世耕 弘一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
       国 務 大 臣 山口喜久一郎君
 出席政府委員
        特別調達庁長官 根道 廣吉君
        総理府事務官
        (特別調達庁長
        官官房長)   岩永 賢一君
        大蔵事務官
        (主計局長)  河野 一之君
 委員外の出席者
        専  門  員 小林幾次郎君
        専  門  員 園山 芳造君
        専  門  員 小竹 豊治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第1
 号)
    ―――――――――――――
○植原委員長 前日に引続き会議を開きます。
 これより質疑を許します。苫米地英俊君。
○苫米地(英)委員 昨日スキヤツプ・イン二〇七六の第三項目になつております実施計画を作成して、一九五
○年二月十五日までに経済科学局に提出するということになつておりますので、その建設の実行計画がどういうものであるか、それを知りたいと思いまして、この書類を要求いたしたのでありますが、それに対して、本日この実施計画の書類を提出したその返信が、ここに提出されておるのであります。この返信はこの実施計画の内容を少しも明らかにしておらないのであります。書簡を向うで了承する、受納するというだけであつて、その書簡にどういうことが書いてあつたかはわからないのでありますが、その実施計画についてまずお伺いしたいと思います。
○根道政府委員 お答えいたします。実は連合国の指令が参りましてから、それに対して返事を出したものがございます。それはお手元に配付するようにいたしておいたつもりでございますが、何かの手違いでまだ参つておらぬとすれば、後刻さつそく差上げることにいたします。その覚書にありますように、政府としては連合国軍人等住宅公社という名称の公法人を設立するために、これに必要な法律案及び予算案を本国会に提出して準備を進め、なお公社は対日援助見返り資金より資金を借り入れて、自己の名において住宅を建設する。しかし事務執行は特別調達庁がその庁費をもつて、公社の名においてこれをなすものとす。当該住宅の家具備えつけ、維持及び運営は、連合国軍の発する調達要求書に基いて、終戰処理費から支出する。この計画に基く法律案及び予算案の詳細は、目下非公式に経済科学局と交渉中であつて、上記の法律案及び予算案を国会に提出することについては、十分に司令部と打合せ承認を願う予定であるということを前提に置きまして、右公社が設立されるまでは、特別調達庁が住宅建設に関する所要の準備をする。それから日本政府は、次のような予定計画を達成するように万全の努力をするということを申しまして、日程をその次に並べて返事をいたしました。それは第一に、二月一日から二月二十八日までの間に公社の設立及び所要資金の調達のための法律案及び予算案を準備する。それから契約の方式及び條件に関する訓令その他契約條項についての所要の準備をする。それから三月一日より三月三十一日までの間におきましては、建築の設計及び仕様書の決定をし、契約書の正式調印をするまでに必要な事前の交渉を完了する。それから法律案及び予算案の国会の通過に意を盡す。それから公社は四月一日から業務を開始して、建設に着手するため必要ないろいろな行政的の措置をとつて、それからさらに四月一日に至れば、公社の正式の成立を見、契約の正式調印をし、建設を開始して、それから八月一日には建設の完了を見るように努力する。しかしながら政府としては容易ならざる事業でありますので、前に申し上げましたような実行計画を達成するためには、左のような措置を要望する。こう申しまして、第一に住宅敷地を新たに取得する必要がある場合には、すみやかに調達要求書を発出されたい。二番目に電気施設、水道施設その他の附帶施設に関する設計を、すみやかにかつ適切に立てることは、建設をすみやかに行うために最も肝要であるので、住宅建設の地域、戸数及び敷地を明確に示す詳細な計画を、二月中に提示されたいということを申しました。また三番目に、住宅建設の基本的設計以外の、給水その他の用役に関する設計は、当該建設敷地の地理的條件等の特殊事情に精通している特別調達庁の本庁及び地方局の技術者に、その作成をまかせていただいて、この仕事に遺憾のないようにしたいということを申し入れたわけであります。今の計画に従いまして、その後諸般の準備を進めて参りましたが、実はこの建てます位置は、早急にやる関係上、新たなる設計をしたのではとうてい間に合いませんので、従来進駐軍がそのために日本政府をして建てさせた家屋と同様なものを建てる。それから設計書はそれを基準にして、ほとんど修正を加えないものをつくる。ただその組合せ等について、若干考慮を拂うということだけになつております。現在におきましては大体の地方はきまつておりますが、まだほんとうの土地そのものが明示されておらぬ場所も相当あるのであります。従いまして業者を集めまして、現場説明等をするまでの状況には至つておりませんけれども、相当部分は本月中に、現場説明にまで行き得る状態に達すると予測しております。
○苫米地(英)委員 昨日委員長から、第四の書類を提出するようにという御要求があつたのでありますが、それも手元についておりませんが、これはどういうことになつておりますか。
○根道政府委員 ただいま特別調達庁において準備中でございますが、印刷のできるまでしばらくお待ちを願いたいと思います。
○苫米地(英)委員 昨日の御答弁で住宅建設の場所がまだ決定しておらぬからわからぬというようなお答えをいただいたのでありますが、この二月二十八日の連合軍から来ました手紙の三のに「首題住宅建設のためには現在PDFの土地を利用し得る限り提供するものとす。」こういう項目がりますので、その次の項目にあるものは別として、これはすでに明らかになつておるものと考えるのでありますが、これを公表することに何か支障でもあつて、ああいうお答えがあつたのか、それをお伺いいたしたいのであります。
○山口国務大臣 昨日のことは私存じませんが、まだ決定してないということを答弁したようでありますが、それは決定しております。但しこれが発表は、本委員会でなさるべき場合においては、速記をとめ、あるいは新聞発表等を控えるというような御了解のもとに、いたしてもさしつかえありません。
○苫米地(英)委員 これを委員長のおはからいによりまして、速記、新聞等の記事をとめて聞かせていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○植原委員長 政府としては、今日の国会は昔と違いまして、国会が主で政府が従であるべきであります。だから公にされて困ることなら、速記はとめることはさしつかえありませんけれども、なるべく議員だけには政府でわかつておるものを御発表願いたいと思うのです。必要ならば速記をとめてよろしいと思います。御発表になれる範囲で詳細な設計でも、場所でも、これは議員に了解せしめることがよろしいと思いますから、どうかそのおつもりで御発表願います。それでは速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○植原委員長 速記を始めてください。稻村順三君。
○稻村委員 まず第一に大蔵大臣にお尋ねしたいのは、この前の予算委員会で、補正予算は出すかどうかという質問に対しまして、今のところ補正予算は出す意思はないというはつきりした答弁があつたのであります。しかるにまだその舌の根のかわかないうちに、もうすでにこういう補正予算の形式でもつて出された。しかもわれわれがこの文書を見ましても、二月一日から三月一日までの間に、すでに予算的措置その他の準備を完了しろという命令があつたのでありますからして、われわれから言うならば、司令部からのこういうふうな命令というのは、おそらく二月以前にあつた。予算が上程されない前にすでにあつたと思われるのであります。そうしたならば、補正予算は出さなければならないというところの予想が、その当時すでにあつたのであると思うのであります。もちろんわれわれが補正予算に対する質問をした趣旨は、賃金ベースと結びつけての問題ではありましたけれども、その当時政府は補正予算を出す意思なしということを言明しておきながら、今日に至つてただちにこういう補正予算を出すということは、政府の食言であり、この点政府の国会に対するところの一つの侮辱であるとも考えておりますが、この点に関して大蔵大臣はどういう責任を感じておるか、伺いたいと思います。
○池田国務大臣 あの当時におきましては、いろいろな問題がございまして、今回の進駐軍の住宅を建てますについて、予算を必要とするかいなかということについて、進駐軍関係方面と折衝中であつたのであります。御承知の通りこれは公社の予算でございまして、どうしてもこういうふうにしなければならぬかどうかということは、研究事項であつたのであります。従いまして研究の末、今回出すことになつたのであります。私は食言とは自分で感じていない次第であります。
○稻村委員 この命令といおうか、最高司令官の要求といおうか、こういうものが二月一日から三月一日までの間に、公社及び所要資金調達のための法律案及び予算案を準備しろ、契約の方式及び條件に関する訓令その他契約條項について、所要の準備をしろというようなことを要求しておるのでありますが、これは一体いつ政府の手元に手交されたのか。その点がおわかりであつたらお尋ねいたしたいと思います。
○河野(一)政府委員 一応関係方面から参りましたのは、二月の初旬でございます。ただ先ほど大蔵大臣から言われました通り、これをやる形式につきましては、なお検討の余地がありまして、予算を出さぬでも済むという考え方もございますし、公社をつくらずに、一般見返り資金から直接業者に契約するというような方式も考えられないこともないのでありまして、その当時の状況としては予算を出さないでも行けるのじやないかという考え方もあつたのであります。その問題につきまして、関係方面と長らく折衝いたしておつた次第でありますが、最後的の結論といたしまして、補正予算を出す方がよかろうということになりまして出すことにいたした次第であります。
○稻村委員 大体二月の初旬というように、早くから出されておるものとするならば、すでにこの政府あての要求の趣旨から見ましても、これは最悪というか、ある場合には補正予算の形をとらなければならなくなるかもしれないという予想は、大体つくと思うのでありますが、これに関して政府は何らの予想を立てずに、またてんでこういう予算措置を講じなくともよろしいという建前の上に立つて考えておつたのであるかどうか、その点をお伺いいたします。
○河野(一)政府委員 私どもといたしましては、必ずしも予算は必要でないとうことで、予算を出さないで行こうというつもりで当時はおりました。また関係方面でもその意向であつたのでありますけれども、現在公社をつくることに相なりましたのと、それから現在公団その他等につきまして予算を組んでいるという建前からいたしますならば、それの方が一応の考え方としては合致するのではないかというような考え方も起りまして、また国会において十分審議をしていただくという建前からいたしまして、予算を出すことにいたした次第であります。
○稻村委員 政府は、一度方針としてきめるというと、その建前をなかなかかえないというのが、これまでのしきたりになつて来ていると思います。たとえば賃金ベースの問題につきまして、一時金を年末に出したりなどいたしましたが、実質上においては、わずかながらでも賃金べースを改訂したと同じような形になるのでありますが、賃金べース改訂せずと言い切つてしまつた以上は、なかなかそういうふうな賃金ベース改訂と言わずに、一時賜金でもつて、何とか実質的に同じような形をとろうと苦慮していると思うのであります。しかるにこの補正予算に限りましては、補正予算は組む必要もないと言い切つておきながら、今になつて補正予算の形をとつたというのは、賃金ベース改訂せずの方針とは逆の形をとつていて、政府の施政の上に一貫しないところが出て来ると思うのでありまして、私が長言と言つたのはその点をさすのでありますが、この点に関するところの政府の所見をお伺いしたいと思います。
○池田国務大臣 これは事情の変更によるものでありまして、その事情の変更は、先ほど主計局長が申された通りであります。
○稻村委員 事情の変更とは、総司令部の意向がそうであつたということによつてかわつたのか、それとも日本政府の考え方がかわつたということを意味するのであるか、その点をはつきり御答弁願いたいと思います。
○池田国務大臣 日本政府の意向がかわつたかどうかということは御想像にまかせますが、今回の補正予算を出すに至りました事情は、先ほど申し上げた通りであります。
○稻村委員 客観的な事情が変化すれば、方針がかわるのは当然なことであると思うのでありますが、どういうふうな客観的事情でありますか。日本政府がこういうようなことをした方がよろしいという断定のもとにやつたのであるか、それともまた他の條件であるのか、その点をはつきりと御答弁願いたいと思います。
○池田国務大臣 進駐軍関係の住宅が非常に不足して参りまして、向うの勧告もありましたので、今回の補正予算を出したのであります。
○稻村委員 進駐軍の住宅が不足したというのは、最初補正予算を出すか、あるいは補正予算を組まずにやつて行けるかという事情とは、無関係だと思うのです。進駐軍の住宅が不足しているというのは、すなわち二月一日から二月二十八日までの間に措置をとれという要求があつたときに、すでに不足はわかつておるのであります。しかるに補正予算にするか、あるいはまた予算的措置を講じないでやつて行くかというような問題は、その後に起つておる問題であります。これは無関係であります。従いまして、何がゆえにこの補正予算を組むという方がよろしいというふうに考えがかわつたのか。どういう事情によつて、そういうふうにかえたのか。その点をお伺いしたいのです。
○池田国務大臣 進駐軍の住宅が非常に不足しておるということと、今回補正予算を組むということは、無関係ではないのであります。今までかまぼこ型の兵舎におつて、非常に不自由がある。これをどういうふうにして解決するかということは考えておつたのですが、今回御承知の通りに、向うからの要求がありまして、それではひとつ二千戸建てようということに相なつたのであります。二千戸建てるにいたしまして、補正予算で行くか、あるいは見返り資金を直接使用するかという問題を、検討しておつたのであります。しこうしてやはり見返資金を使うにいたしましても、補正予算で御審議を願つた方が適当であるという結論に相なりましたのであります。
○稻村委員 そうすると、その当時すでに補正予算を出してやつた方がよろしいというふうに考えておつたという大蔵大臣の結論になつて来ると思います。そういたしますと、何がゆえに大蔵大臣は、先の予算委員会の審議におきまして、補正予算を組む意思がなしという答弁をしたのでありますか。
○池田国務大臣 見返り資金を直接使つて行こうか、あるいはどうしようかという問題は、検討中であつたのであります。補正予算を組んだ方がよいという結論になつたのは、最近であるのであります。
○稻村委員 そうしますと、問題はまたむし返して来るのであります。最初河野主計局長の話を聞いておりますと、補正予算を組まないで、見返り資金を直接流用した方がよろしいという建前を大体とつておつたから、補正予算を組む意思なし、かように答弁した。ところがそのうちに検討の結果、補正予算を組んだ方がよろしいという結論に到達した。これは一体どういう事情によつて、そういうふうにかわつたか、この点を私たちはやはり聞かなければならぬのであります。
○池田国務大臣 先ほど来申し上げております通り、見返り資金を直接運用するか、補正予算を組むかという問題は、検討中であつたのであります。しこうして一般予算案の審議のときに、補正予算を組む考えがあるかというふうなお話のときに、全般の問題として、組む気持はないと答えたのであります。しこうしてそのときにペンデイングの問題はあるのであります。ペンデイングの問題をなぜ言わなかつたかということは、これは政治的に言うべきものじやない。今は検討中のものを、何もかもさらけ出してやるべき筋合いのものでない。こういう考えで申し上げなかつたのであります。しこうして検討の結果、補正予算を組んだ方がよいという結論に相なりましたので、今回御審議を願うことになつたのであります。
○稻村委員 大蔵大臣は、答弁しておるうちにだんだん議会を無視するような答弁になつて来ておるのであります。というのは大蔵大臣は、補正予算を組むか、見返り資金を直接運営するかということについて、その当時考究中であつた。従つて補正予算を出すというのは、一個のペンデイングの問題としてあつたのである。それは一々議会で言うべきじやないと、こういうのでありますが、議会において補正予算を組むかどうかということを質問したときに、いくらペンデイングの問題だからといつて、自分の腹のうちに、補正予算を組まなければならぬという気持を持つていながら、何がゆえに補正予算を組む意思がないと、うそをつくのでありますか。これはやはり大蔵大臣が、自分が国会議員でありながら、議員の質疑に対して、これを軽視するとか、あるいはこれを侮辱するとかいうよな態度にとられても、しかたがないと思うのであります。この点を私、大蔵大臣の食言だと、こう言つてつき込んでおる次第ですが、しかしこの点は、いくら押し問答いたしましても、結局解決のつく問題でないと思いますので、次の問題に移ります。
 次の問題は、きのう苫米地君からも質問しておつたのでありますが、今度は公社組織になるのでありますが、公社組織となつて行く場合に、事務費とか人件費、あるいは修理費というようなものを、これは調達庁という政府がこれを負担しておいて、そうしてあとは公社が負担するということになりますと、公社はただ家賃をあげるというだけの経営の会社になるのでありますが、こういうふうなことは非常に変則的なものだと思うのであります。結局公社でもつて家賃を取立てて経営して行こうとするならば、人件費、事務費、修繕費というものは、これは一応やはり公社が持つべきものであると考えるのであります。何がゆえにこういうふうな変則的な、官庁が事務費、人件費、修繕費というようなものを持つて、そうして事業收入としてこれだけをもつて立つところの会社というものをつくるのであるか。私はこの問題は、今日の状態では何でもないようでありますけれども、こういう前例を残すということは、実に悪例を残すことになるのであつて、今後こういうふうな、何らむずかしい問題があるならば、官吏その他が自分自身の收入だけ確保するような公社をつくつて行くというような、こういう形態のものが今後できないとは保証できないのでありまして、何がゆえにこういう形式をとつたのか。その理由をはつきりと聞きたいのであります。
○河野(一)政府委員 二千戸の件につきましては、終戦処理費の方から維持費、修繕費を出すことに相なつております。この問題につきましては、お手元にありまするように、スキヤツプ・インでそういうふうになつておるのでありますが、これは稻村さんのおつしやる通り、多少変則的な点もございますが、昨日も申し上げましたように、公社は家賃收入を得るための、いわば形式的な存在でもあるということも御考慮を願いたいのであります。それとともに、終戦処理費で維持費を負担するのでありますから、私どもの考え方といたしましては、この公社てつくる二千戸につきましても、できるだけ既定の経費の中からやつて、維持費をふやさないというような考え方を持ちましたために、こういうような経理のやり方にいたしたことも、御了承願いたいと存じます。
○稻村委員 そうすると、公社は新しく建つ家屋の形式的所有者である。こういうことにわれわれは解釈してよろしいのでありますか。実質上はこれは国有なんだから、形式的な所有者にすぎないのだ、こういうふうに解釈してもさしつかえないのか。また公社自身は実質的にこれの所有者である、こう解釈すべきか。その点を明確に御返答願いたいと思う。
○河野(一)政府委員 この公社は法人でありまして、資本金はない、一種特別な法人であります。この法人が持つているものでありまして、実質的にはこの公社の所有でありますが、ただその職員が全部特別調達庁の職員をもつて充てられております。役員以下充てられております。そういう意味におきましては、普通の活動をする公法人と少し違いまして、形式的な点もある。こういうことを申し上げた次第であります。
○稻村委員 收入の家賃は、そうするとこれは公社の収入ですか、国の収入であるのですか。
○河野(一)政府委員 公社の収入でございます。
○稻村委員 そこに私どもは今度の公社なるものに対するところの、非常に変則的なものがうかがわれる。公社は一箇の、家賃をとつて創立するところの企業体であります。その企業体の中に政府が責任をもつて入つている。いな政府が公社の代行機関だ。実際にこの建前から行くと、企業体が政府を代行す場合はしばしばあるのでありますが、これから申しますと政府が企業体の代行機関というふうになつておるので、そこに私たちは将来のいろいろな国家事業というか、そういうものの変則的なタイプを打出す先例になるという危険をこの中に感じております。ことにこういうふうに公社が所有権者であるということになりますと、これも苫米地委員から指摘されておつたように、見返り資金の性格というものがまだはつきりわかつておらない状態であります。これが将来はつきりした場合におきましては、公社が外資をもつてこういうものの管理をし、企業をするということになりますと、はつきりした国有財産というものにはならないという解釈もできるのであります。外資の入つたところの公社が、住宅を建てて、そうして一箇の企業をするという形になりますと、今建つているところのこの進駐軍関係の住宅は、国有財産ではない。こういう解釈が成り立つ危険があるのでありますが、この点に関して政府はどういうふうな観察を持つておるのか。苫米地議員に対する答弁では明確になつておりませんから、もう一度明確に御答弁願いたいと思います。
○河野(一)政府委員 公社は、昨日も申し上げました通り、普通の終戦処理費で建てたものでありますと、これは純粋の国有でありまして、それがために従来の会計検査院等の解釈によりましては、現物給與ということになりまして、家賃がとれない。そういう点からいいますと、今後新しく建てられる二千戸のものにつきまして、税金でやられます占領軍負担を増すということは適当でない。従つてアメリカからの援助資金でこれをやるということにきまつたのであります。それによつて家賃をとり、これをば返して行こうという計画でできたものでありまして、もちろんこの公社の持つておりますものは、純粋の意味の国有財産ではありませんけれども、公社の特別の性格にかんがみまして、国有財産と相類似した性格を持ち、またそれに準じて処理すべきものであろうというふうに考えております。
○稻村委員 昨日苫米地委員に対するところの答弁と同じように、非常にその点漠然としている。見返り資金の性格が明確にならない限りにおきましては、これは單なる外資というふうな形をとりまして、公企業体としてのいわゆる公社ができております。そうしますとこれが、性格は明確でないところの見返り資金によつてできるということになりますと、われわれはこれは国有財産から離れると思う。従来の公団とは違う。公団は政府出資であります。ところがこの場合においては政府出資でなくて、見返り資金という性格のわからないものが資金になつておるのであります。従つて公団のように、解体したならば、その財産は全部国家のものになるという性格のものではないと思うのであります。従いましてわれわれから言うならば、この点将来国有財産であるという保障があるのかどうか。この確信を持ち得るかどうかということの、明確な答弁をしていただきたいのでありますが、ただ類似であるとかいうことだけでは、われわれはこの見返り資金の性格から見て、はつきりした確信を持ち得ないのであります。その点を明確にお願いいたします。
○河野(一)政府委員 見返り資金に対して元利を拂うわけでありますから、これはその元利償却の後においては、ひものつかない完全な公社の財産になる次第であります。現在の国有財産法の建前におきましては、一般の国の官庁が持つておるものだけに、一応適用いたしております。従つて公団、公社等の財産につきましては、国有財産法の適用がないわけであります。鉄道におきましても、今回の予算におきまして見返り資金から四十億出ておりますし、それから通信事業につきましても、百二十億というものを見返り資金から入れております。これらはいずれも出資と申しますか、交付金でありまして、これは利子を拂うものでない。ただもらいつきりでありますが、この公社のこの分は、家賃の収入がありますので、その元利を拂つて行く。それを完済した後においては公社のものであるけれども、国有財産に非常に類似した―国有財産そのものの適用を受けるわけではありませんが、非常に類似したものであるとわれわれは解釈いたしております。
○稻村委員 そうなりますと、ますますどうも議論が混乱して来るのであります。たとえて申しますならば、われわれが社債をやつた場合にも、どんなところで社債を引受けても、それはその元利を返せばその会社は拘束されない。ひもつきでないということが言えるわけでありますが、しかしその間におけるいろいろな客観的な情勢の変化に応じまして、この問題は出て来るわけであります。おそらく見返り資金の性格が明確になるのは、これが済んでから後、たとえば政府に言わせれば十二箇年と言つております。苫米地議員は、今の状態から推して行くと、十六年ぐらいかからなければ元利の償却ができないと言つておる。ずいぶん長い年月であります。その長い年月の間に、たとえば講和條約がある程度進行して、この見返り資金の性格が明確になつて来る。その際になつて来ると、ただちにこの問題は二、三年かあるいは五年の後には、明確にしなければならぬ問題が起きて来る。それからたとえば国際情勢が非常に変化して、そうしていろいろと国際的にも大きな激変が来たという場合には、この問題はただちに問題になつて来るのであります。われわれはそういう場合を考慮するからして、今この問題を問題にしておるのでありまして、償却後のひもが自由になるということをただ考えたのでは、あまりおそ過ぎるのではないか。こういうふうに考えて、それで私は質問しておるのでありまして、河野主計局長の答弁である償却後の話なんというのは、これは要するに議論にならない。こういうふうに思うのですが、その点はどういうふうに考えるか。
○河野(一)政府委員 見返り資金の問題は、これは講和條約がきまつた際においてきまるべき問題でありまして、この公社の現在見返り資金から借りておるものがどうなるかということは、公社の問題でありまして、見返り資金が将来きまつた場合において、これがどうなるかということは、そのとき考えるべき問題だろうと思います。私どもといたしましては、この二千戸はあくまでも公社の財産であるというふうに考えております。
○稻村委員 そうしますと、さつき話しました通り、国有財産にはならないとい垂う見解だということを明確に―たとえば見返り資金の性格いかんによつては、国有財産では全然なくなつてしまう。これは外資によつてできたところの公社の所有として、国有財産から切り離れたものになると予想しておると解釈してもさしつかえありませんか。
○河野(一)政府委員 大分話が違うと思いますが、先ほど申し上げました通り、形式的には公社、公団その他には国有財産の適用がないのであります。ただ公団、公社といえども、これは広い意味において国でありますから、その意味においては国有財産と同様に扱うべきものである。法律的な、形式的なものではござませんが、会計、経理その他すべての問題が同じように扱われておる。そういう意味において、公社の財産であるということを申し上げたわけであります。
○稻村委員 しつこいようですが、まだはつきりとわからぬところがあります。それは公団のような場合には、これは政府の出資というものが相当大きな役割を演じておる。今度の場合は見返り資金という、まだ性格が明確でないものが資金になつておるのであります。従いまして今度の公社の財産の場合には、公団の財産と同一に取扱われないという危険性も含んでおるということを、われわれは考えなければならぬのであつて、そのときにならなければわからぬということでなしに、われわれはこういうものをつくる以上は、そういうことを予想しておつたかどうかということを、政府に対して質問しておるのであるが、この点に対して答弁が少しもないのであります。もう一度御答弁願います。
○河野(一)政府委員 お問いの意味がよくわからないのでありますが、見返り資金の将来は今後きまる問題である。見返り資金から借りて建てておるから、これがひもがつくとか、あるいは外資の問題であるとかいうこととは、これは別個の問題でありまして、あくまでも金を借りて建てておる。これは一般の企業が見返り資金から金を借りておるのと、まつたく同様な立場であると思います。その点は国であろうと一般の企業であろうと、同様に考えております。日本国有鉄道は公社でありますが、これは金を借りるということでなしに、見返り資金から直接出資を受けてやるわけであります。こういういろいろな違いがありまするが、この点におきまして、この公社で持つ二千戸の財産が違う関係に立つとは、私どもは考えておりません。
○稻村委員 この点まだはつきりしたところはわかりませんが、もう一つ私は聞きたいのは、公社のこの収入は、元利償却に使うということになつておるわけでありますが、しかしながら一応やはりこの收入は公社の収入だというかつこうになると、一体政府がこの人件費及び修繕費を何がゆえに負担しなければならないのか。その理由をはつきり聞きたい。これはたとえば鉄道公社であるとか専売公社というようなものは、人件費その他全部自己負担になつておる。それを特別調達庁がそういう人件費、事務費、修繕費というものを、なぜ負担しなければならないか。これは政府の事業だというふうに、直接事業の性格を非常に強く帯びておるのだという意味なのか。あるいは何らかの便宜主義だという意味なのか。この点をはつきりと御答弁願いたいと思います。
○河野(一)政府委員 この点は先ほど申し上げましたことで盡きておりますが、現在終戦処理費に載つておりますもののほかに、修繕費を新しくふやすこともいかがかという考え方もございます。そのほかに公社といたしまして、この修繕費を現在の段階において全部負担するということは、なかなか収入の状況から見て困難ではないかという考え方もございます。それからこの仕事は、特別調達庁において一括おやりになつております。工事の監督もそうでありますし、修繕もその通りでありますので、経理の便宜上から申しましても、この分は公社、この分は終戦処理費というふうに、実際上わけることがなかなか困難であり、また経理上支障を来すというような点、すべての点を勘案いたしました結果、さしあたり修繕費は終戦処理費で負担する。またスキヤツプ・インもそういうふうになつておるからというような次第であるのであります。
○稻村委員 そうすれば何ゆえに公社をつくつたのか。ただ家賃をとるという便宜だけでやつたのか。たとえば修理の上において、経理上の問題だとか、それからどこからどこまでということの区別とかいうことは、これは理由にならぬと思う。なぜかというと、二千戸というものはちやんと対象がきまつておる。どこのどの家は公社が建てるということは、はつきりきまつておる。そうすれば修理を負担すべき家もはつきりきまつておる。経理もどうかといえば、ここから入つたものでもつて元利償却をして行くのだということが明確になつておるとすれば、何も経理の上にも不都合もなければ、また事業の上に不都合もないわけであつて、むしろ私は、人件費や事務費や修繕費というものを政府が負担することによつて、どこからどこまで二千戸の分であるかないかを混同させる危険がある。そういうふうに混同させることが、経理上の不都合だということになれば、かえつて離れた方がはつきりしておるのだが、何ゆえ混同させるようにくつつけなければならぬか。これは私たち逆な答弁を聞いておるような感じがする。その点もう一度はつきりと御答弁願いたい。
○河野(一)政府委員 二千戸建てます分は、終戦処理費で建てました分、約九千八百戸でありますが、この分の建つておる所と大体似たような所に建つのが多かろうと思います。そうしますと電気の問題にしても、水道の問題にしても、同じ電源を使い、同じ水道を使うというものもあり得る。そういうことになると、それは按分すれば一応出て来るごとになりますが、実際PDを出す場合におきましても、なかなかそういつた点について、実際問題として経理上の問題があろうかと思います。そういう意味において私は申し上げたのであります。従来終戦処理費で建てましたものも、全部負担を同じという考え方もございますが、そうすればはつきりした点もありましようが、現在のところでは二千戸は別のものになつておる。従つて経理上の問題も今申し上げたような点がある。こういう意味であります。
○稻村委員 そうするとこれはますます答弁がむちやくちやになるのですが、二千戸というのは家だから、何だか形のない、化学反応か何かみたいに、どこからどこまでと区切りがつかないものと違いまして、家というものは横須賀なら横須賀に十軒つくつたといたしまして、その十軒はどの家は公社がつくつたか、どの家は終戦処理費でつくつたか、前に九千戸あつたものと、新しく二千戸建つたものとの間に、区別がつかないはずはない。従つて家賃もどこからどういうふうにとるかということは、明確なはずであります。そうでなければ家主業というものは勤まらぬはずである。前につくつたのとあとにつくつたのとの間に、区別がつかないということでは、家主業は成立たないと思います。ところがそういうふうなことであつて、何がゆえに公社と調達庁との間を混同させなければならぬか。その理由がどうしてもわからぬ。混同させるということは、だから私は実を言うと、事務費や終戦処理費や人件費というものを調達庁がつくつて、そうして公社というものによつて収入を上げるということ自身が、私にとつてどうしてもふに落ちない。苫米地議員もきのういくら質問しても、この点は明確にならなかつたのでありますが、やはり同じ理由によつてであろうと思うのであります。これは明らかに政府自体が、それを行き当りばつたりに、ただ言われたからつくつたという案にすぎないだろうと私は思いますので、これ以上の追究はやめます。
 次に関連して質問したいことがあるのでありますけれども、この見返り資金のうちに、多くの食糧輸入が含まれていると思いますが、これに関しまして大蔵大臣がもしわかつておれば質問したいと思います。
○池田国務大臣 向うの方からの援助資金のうちには、食糧の輸入が相当入つておるのであります。これは年によつて違いまして、従来よりも、昭和二十五年度におきましては、食糧の輸入は少くなつていると考えております。ほかの綿花その他が相当多くなつていると考えております。どれだけの金額かということは、ただいまのところ私は承知しておりません。
○稻村委員 この食糧輸入に関してでありますが、今度出るところの三百七十万トンといわれ、あるいは三百九十万トンといわれている食糧輸入の予定は、この見返り援助物資の中に、含まれている食糧と、全然別個なものでありますか。多少ダブつているものがあるか。その点をお尋ねいたします。
○池田国務大臣 二十五年度においては食糧の輸入は大豆三十四、五万トンを加えまして、三百七十四、五万トン、従いまして大豆以外は三百四十万トンになつております。この三百四十万トンのうちに、アメリカの援助物資で入つて来るものもありますし、また別に他の貿易で輸入して来るのも入つておるのであります。
○稻村委員 これは直接これと関係ありませんが、関連しておりますので質問いたしますが、この援助物資以外のものとして入つて来るところの食糧に対して、政府は無税で輸入するというふうな意向であるということが新聞に報ぜられておりますが、これは事実でありますか。
○池田国務大臣 ただいまも無税で輸入いたしております。また過去十数年間無税で輸入しておつたと考えておりますが、問題は将来永久に無税というふうなことにするかどうかという問題であろうと思うのであります。私はやはり関税定率法を改正いたします場合におきましては、食糧については一定の輸入税を課することにいたしたいと考えておりますが、今の国内の食糧の価格、外国の価格等から勘案いたしまして、一、二年はやはり暫定的に無税の措置をとりた」、こう考えております。
○稻村委員 無税で食糧を輸入するというのは、それは今日の為替レートの関係からいたしまして、外国のものが相当値段が高いから、そこで今のところそれに税を課さなくとも、国内の農産物には影響がないという建前からして、無税でよろしいとお考えになつておるのでありますかどうか。その点をお伺いいたします。
○池田国務大臣 大体その通りでございます。
○稻村委員 国内の食糧の消費価格とうものを一応低位に維持するために、価格差補給金というものを出しておるのでありますが、この価格差補給金のためにどうかというと、農民も相当多くの税金をやはり負担しておる。この税金の負担も、税金の中から出しておるのでありまして、言葉をかえて申しますならば、逆ではありますけれども、むしろ関税を農民が負担しておるという解釈も成立つのであります。従つてわれわれからいうならば、むしろ食糧が為替関係で高く入つて来るから、圧迫しないということを言つておりますが、逆に高く入つて来て、それが消費者に安く配給せられるがために、農民の相当部分負担しておるところの税金を、ここに価格差補給金で出しておる。従つてわれわれから考えるならば、その農民のいわゆる農産物価格を低位に押えられておる。この問題に対しまして何らかの措置を講じなければならないと、かように考えておりますが、日本の主権というようなものをある程度確立するということから申しましても、かような場合に輸入税をとつて、そうしてこれを農民の価格から安く販売しておるという、この状態を改善するために、農業政策の上にそれをまわすというような、こういう社会政策的と申しますか、農業を保護する政策と申しましようか、こういうことを考えておられるかどうか。その点をお尋ねいたしたいと思います。
○池田国務大臣 国内の主食の価格、並びに外国のそれに対しまする価格は、御存じの通りであるのであります。農民の方々ばかりではありません。一般の国民から税を徴收いたしまして、価格差益金を出しておるのであります。しこうしてただいまお話の通りに、輸入関税を課けまして、そうしてその関税を農民に返すということよりも、私はたびたび申し上げますように、できるだけ早い機会に、いわゆる日本の物価を国際物価にさや寄せしたい。こう考えておるのであります。私は関税を課けてどうこうするよりも、国際物価にさや寄せして、今のような自然の姿ではないことを改めて行くのが、先であると考えております。
○植原委員長 稻村君、まだありますか。見返り資金の問題に関係もないことはないけれども、主体は農業政策でありますし、他の方もありますから、ひとつこの程度で御遠慮願いたいものです。
○稻村委員 それでは遠慮しておきます。
○植原委員長 西村榮一君。
○西村(榮)委員 簡單にお尋ねいたします。この費目は見返り資金で出すよりも、むしろ終戦処理費で出される方が、この費目の性格上から言つて妥当だと思うのですが、大蔵大臣はこの点をどうお考えでありますか。一応伺いたいと思います。
○池田国務大臣 今終戦処理費で出すことになりますと、増税とかいろいろな問題がありますので、見返り資金から出した方が適当であると私は考えております。
○西村(榮)委員 これは進駐軍の住宅費なのでございまして、見返り資金の規則から申しましても、あるいは見返り資金が積み立てられておる性格から言つても、進駐軍の軍人の家族並びに本人の住宅を建設するのに、対日援助費から支出することは、きわめて不適当だと思うのです。同時に将来こういうようなことで、けじめのつかない財政をやつておりますと、終戦処理費を削減して、一見してこれは少くなつたように見えるが、單に対日援助見返り資金のみならず、日本政府の予算の中において、そのけじめがつかないと、他の国費の膨脹が、終戦処理費が削減したという面が、よそに触れて来るという危険を将来持つ悪い前例をつくるのではないかと思うのです。大蔵大臣は首をかしげておられるから、結論として簡單に申しますと、終戦処理費をいくら削つても、ここに悪い例を一つつけておけば、将来それが他の費目で出て行くようなことで、駐屯軍の費用と日本国民の費用とのけじめがつかなくなつて来るのではないか。そういう意味において、私はこれは一つの悪い例をつくるようになりはせぬか。こうお尋ねしておるのです。
○池田国務大臣 将来のことは申し上げられませんが、ただいまの措置といたしましては、見返り資金から五十億程度のものを出した方が適当であると私は考えております。見返り資金につきましては、やはり法律の改正をしなければならないのではないかと思つております。
○西村(榮)委員 私の言うのと少し筋違いの解釈を、大蔵大臣はされておるようなきらいがあるのですが、ただいま大蔵大臣が御答弁になつたように、これを見返り資金から使うということになれば、財政法の改正もしなければならぬし、法律も改正しなければならないのでありまして、同時に、そういう法制上の技術的な問題よりも、むしろそういうむりをして、アメリカ軍人並びに家族の住宅を建設するというような――これはいろいろな関連ありましようが、根本的にはアメリカの軍事費を対日援助費からまかなうごとについて、悪い例をつくるのではないかどうか。この点をお伺いしているのです。前例になるかどうか。悪い例にならないとお考えになつておりますか。
○池田国務大臣 私は悪い例とは考えておりません。見返り資金から今の鉄道とか、あるいは電気通信にも出ておるのであります。しこうして公社をつくりまして、その公社から利子をとり、元本償還をとつて行くのでありますから、お考えのように将来悪例を残すというようには、私は考えていないのであります。
○西村(榮)委員 ただいま大蔵大臣は、電力資金その他が出ておるし、これに対しては悪例にならぬとおつしやるのですが、見返り資金というものができたのは、私が申し上げるまでもなく、大蔵大臣は御存じだと思いますが、対日援助費は、終戦におけるはなはだしく窮乏しておる日本国民の生活窮乏打開のために、食糧その他において援助しよう、第二には、日本経済再建のために復興計画として援助しようという意味においての援助費でありまして、アメリカ国民の納税負担による対日援助費であります。生活窮乏と日本経済の窮迫の打開のための援助費であります。しからばその対日援助なるがゆえに、積み立てられておる見返り資金は、財政法上その他の一つの特例法律をつくりまして、その使途を明確にしなければならないという基準が示されております。しからば、このアメリカ軍人の住宅と、日本国民の生活の窮乏打開と日本経済の再建ということについて、一体どういうふうな関連を持つているか。あなたが先ほど指摘された前例にならぬという電力資金その他は、これすべからく国民の生活改善と日本経済の再建に役立てるために、この対日見返り資金というものがつくられている。これは一体どういう関連がありますか。
○池田国務大臣 終戦処理費から出すか、見返り資金から出すかという問題と思うのであります。ただいまのところ終戦処理費から出すことにいたしますと、増税その他の措置をとらなければならないのであります。しかして私はただいまのところ、そういう措置をとるよりも、見返り資金に余裕金がありますので、これから出した方がけつこうであると考えております。
○西村(榮)委員 私の質問の趣旨を、大蔵大臣はすつかりのみ込んでおられないと思うので、もう一度申しますが、私は終戦処理費からも出すべき性質のものではないと思う。しかし見返り資金よりも終戦処理費の方から出すのが、いくらか近いのではないか。私はアメリカ軍人の住宅というものは、アメリカの軍事費から支出されてしかるべきものであつて、終戰処理費からも出すべきものでない。これは條文において明らかであります。ましてや見返り資金から出すべき性質のものではない。従つてあなたが言われるように、終戦処理費から出すことは、予算の面その他いろいろあるというのであるが、終戦処理費から出すということも、これは予算の変更になり、対日援助費から出すのも、予算の変更を要請されて来るし、またそれには法律の改正も伴わなければならない。そういうようなむりをして、アメリカの軍事費から出すべきものを出さなければならないか。その点を承りたいのであります。
○池田国務大臣 進駐軍の住宅は、お話によれば、アメリカの軍事費から出すべきだというお話のようでありますが、従来日本国民の負担におきまして、進駐軍の住宅を建てているのであります。これはスキヤツプ・インにも示している通りであります。従いまして、今進駐軍の住宅を急に建てなければならないという場合におきまして、終戦処理費から出すか、あるいは見返り資金から出すかという問題が起るのであります。その問題については、私先ほどお答えした通りであります。
○西村(榮)委員 どうしても日本政府がこれを出さなければならないということであれば、私はむしろ法律の改正を要する見返り資金で出すよりも、予算だけの、追加予算で済む終戦処理費でお出しになつて、見返り資金の使用方法は、見返り資金の規則に定めるところによつて、産業資金であるとか、あるいはその他の国民生活の改善のためにお使いになるというふうにされた方が、適当じやないかと思いますが、その点もう一度伺います。
○池田国務大臣 将来の問題としては、議論のあるところであろうと思いますが、ただいまの措置といたしましては、見返り資金から出すことを適当と考えた次第であります。
○西村(榮)委員 水かけ論になりますから、私はこれ以上時間を空費することを避けましよう。
 そこでお伺いしたいのでありますが、この連合軍最高司令官が内閣総理大臣に対して、連合軍に対する家族住宅の追加提供に関する件という通達が来ているのでありますが、こういうふうな問題について通達された先例、並びにこれを国会にそのまま参考資料としての形ではあるが、出されているのでありますが、こういう先例が今までありましたか。私は寡聞にしてあまり聞かないのですが、あつたら、ひとつ承りたいのであります。
○河野(一)政府委員 連合軍関係の指令を委員会に出しましたことは、何回も先例があります。今回は御要望がありましたから、出したのであります。
○西村(榮)委員 はなはだ愚問のようでありますが、大蔵大臣にお伺いしたいのですが、国会がこの連合軍の家族住宅の問題を審議するにあたつて、それは日本政府の出された追加予算書を基礎として審議すべきか。あるいはこの連合軍司令官の指令を大体基礎的参考資料として審議すべきか。その点を承つておきたい。
 それからこの問題の可否については、日本政府に自主的な判断があるのかないのか。この点も承つておきたいと思います。
○池田国務大臣 政府提案の予算は、法律案で御審議願えればいいと思うのであります。これについて自主的な考え方があるかと申しますと、向うと話をいたしまして、政府の責任において提出いたした次第であります。
○西村(榮)委員 私はこの問題について、日本政府には自主的な判断がまかされておるのか。あるいはまかされておらないのか。通達があるのでありますから、通達通り日本政府がお出しになつたのか。あるいはこの通達に対して自主的な判断の余地が日本政府にあつたのかどうか。これを承りたい。
○池田国務大臣 通達によりまして、愼重考慮の結果、提案いたしたのでございます。しかしてこれは日本政府の責任において提出いたしておるのであります。
○西村(榮)委員 それではこれは日本政府の責任においてこれを出された。こう解釈していいのですか。これはくどいようですが、もう一ぺんお伺いします。
○池田国務大臣 さようでございます。
○西村(榮)委員 この点は、日本政府の自主的な判断においてこれを出されたとするならば、議論は私は別な機会に根本的にいたしたいと思つております。きようは事務的な点だけにとどめておきます。そうすると先ほど主税局長の御説明にもありましたが、最近において進駐軍に提供をするところの高級住宅が非常に少くなつたから、これをつくるのだという御説明もありましたが、主としてその他の理由によるものと解釈しております。しかして日本政府の自主的な判断によつて、これが解決せられるといたしますならば、今日日本において住宅で困つておるのは高級住宅ではなしに、これは十五坪前後の大衆の住宅、勤労階級の住宅が非常に困つておりまして、従つて先ほどお話の横浜その他の地域には、まだ二千戸ぐらいの高級住宅があると思うのでありますが、一応これを接収して、この五十億円というものの費用を庶民住宅の建設費の拡充に流用されるというふうに、方法を切りかえてみたらどうかと思うのですが、大蔵大臣の御意見を伺います。
○池田国務大臣 場所も違いますし、規格憂いますので、なかなかそういうことは困難ではないかと思つております。
○西村(榮)委員 私は時間もありませんから、この質問はこれで打切りまして、先ほど来の大蔵大臣の御答弁によつて、終戦処理費並びに見返り資金の全面的なことについては、別の機会において御意見を承りたいと思いますが、最後にお伺いしたいと思うことは、過日の予算委員会におきまして私は大蔵大臣にこう質問をいたしました。対日援助費が米国議会で審議せられた予算と、日本へ実際に到着しておる援助費との間においては、大蔵省の統計のみによても、約四千万ドルかの数次の違いがある。この数字の違いに対してましては、大蔵大臣は軍管費、輸送費等も含まれておるし、かつ沖繩に対して若干まわしたこともある。こういうふうな御答弁でありました。私は対日援助費から、輸送費は別として、軍管費を出すということについては、その意見を保留しておきましたが、とりあえず沖繩へ若干まわつておるという御説明でありましたので、その沖繩へまわつておる分は、何年度においてどういうふうな数字がまわつておるのかということを調査して、これをこの委員会に報告してもらいたいということを希望しておつたのでありますが、いまだに報告がありません。これは大蔵省の数字では七千万ドル、安本の数字では一〇%ないし二一%が、アメリカの議会において審議された予算と日本に到着するものとは、毎年相違しておる。何がゆえにかように莫大なる数字が相違しておるかという点を、明らかにしていただきたいということをお願いしたのでありますが、いまだ明らかになつておらない。従つて本日は本委員会の審議には直接的関連がありませんから、資料もお持ちでなかつたら、次の機会でもけつこうでありますから、そのことを調査して報告していただきたい。これを希望して私の質問を終ります。きよう御答弁できなければあとでけつこうでございます。
○河野(一)政府委員 大蔵省の調査で四千万ドルから違うというお話、これはあの中に出ております通り、議会へ提案いたしました数字であれは入つております。当時の調査ではその数字しかわかりませんので、それをたしか下院において一五%減らされ、上院においてそれが一〇%になり、協議会で一二・五%に減らされた。こういうことになつておりますから、あの数字は実際のものとはその点、差がある。この点だけ御了承願つておきます。それから今まで参りましたアメリカの対日援助の予算でありますが、これは向うの予算では、アジア各地域が一つになつておりまして、日本の分というものははつきりいたしません。実績もいろいろそのときの地域の條件によつて違いますが、アメリカの予算書その他で発表いたしましたところを見ますと、一九四五年から四六年までの年度におきましてガリオアで三億ドルであります一九四六年から四七年まではガリオアで三億一千四百万ドル、一九四七年から四八年までガリオアで四億五千万ドルであります。一九四八年から四十九年まではガリオアで四億三百万ドル、イロアで一億八百万ドル、合計いたしまして五億一千一百万ドルに相なつております。それから一九四九年から五
○年、すなわち現在の年度でありますが、これがガリオアで三億七千九百万ドル、イロアで一億一千六百万ドル、合計四億九千五百万ドルであります。
 それからこれはただいま申し上げましたように、一九四九年から五〇年の四億九千五百万ドルというのは、議会で削減されまして、四億四千五百万ドル程度になつたと推測されます。これは先ほど申し上げましたように、各地域のはわかりませんので、同じ割合で減らされたものとしまして、四億四千五百万ドルになつたと思います。それから昨年六月までの予算を合計いたしますと、十五億七千五百万ドルであります。それで今までにどの程度入つておるかということは、なかなか調査はむずかしいのでありますが、ESSの調査によりますと、一九四五年の九月から四十六年の三月までに、一億九千二百七十万ドル入つておるということになつております。それから四十六年の三月から四十七年一ぱいの間に四億七百万ドル、一九四八年中に四億六千三百九十万ドル、それから昨年でありますが、これは六月まででありますが二億八千七百四十万ドル、合計いたしまして十三億五千百万ドルという調査に相なつております。この予算と実績との差が、結局予算の成立から援助物資を買い取りまして、日本へ持つて来るまでの間に時期的なずれが相当ありますのと、それからこちらにおります文官の事務費等のために一部が使用されている関係もございます。そういう点で両者差異があるわけであります。対日援助のガリオアとイロアの関係はそういうことに相なりますが、これはいずれもアメリカの予算によるものであります。そのほかに現在はございませんが、綿花融資というものがかつてございまして、商品金融会社からの綿花を日本へ融資しておりました。いわゆるCCC綿であります。これが今まで百二十五万俵、一億八千八百万ドルありまして、現在全部完済いたしております。それからこういう援助の予算になる前におきまして、いわゆる占領地回転基金というのがあります。日本の金銀を担保にいたしておるものでありますが、これは一億二千万ドルほど回転基金がありまして、綿花、染料、機械などの形で融資しておりました。それから綿花借款、これはアメリカの輸出入銀行他四銀行に対して、スキヤツプがクレジットを設定しておるもの、これが綿花三十万俵、六千万ドル、こういつたものがあり、これは現在大いに活用されております。以上がアメリカから日本に対して出されておる予算及びその他の措置による援助の大体の状況でございます。
○西村(榮)委員 私が先ほど質問したのに対しては、答弁はきようでなくともいいですから、調べてお答えを願いたい。私の質問したのは、かつて終戦後一九四八年度までにおいて、沖繩に対して対日援助費がまわつた事実があつたかどうか。あつたらその金額を知らしてもらいたいということであつた。今の御説明の文官の事務費を支出されておるというふうなことにつきましては、これはまた議論の余地があると思う。それから今あなたがいろいろの数字をあげて御答弁になられましたが、私が前会大蔵大臣に質問したのは、アメリカが審議完了した予算案を言うたのでありまして、その後において到着しておるものとでは非常なずれがある。大蔵省の統計によつてもずれがあるし、それから安定本部が実際に受取つたという数字に対しても、一〇%ないし一二%の開きが毎年ある。これは大蔵省と安定本部とがよく御協議になつて、政府として統一した答弁を願いたい。安定本部は輸入実績です。これが相違しておるのです。終戦直後から今日まで非常の事態でありましたから、いろいろな点で法律一方では解釈できない使途もあつたと私は思います。私も二、三それを聞いておつたことがあるし、私自身もそれに直面したこともありますが、世界の経済情勢が安定して、日本の混乱がしずまつて参りますならば、こういうふうな費目の使途、また幾ら援助費をもらつて幾ら許されたか、それに関連して終戦処理費は日本国民が幾ら拂つておるかというようなことも、後世の国民が聞いて得心の行く解決をして置かなければならない。沖繩の問題、南鮮の問題も、私自身が直面したことがありましたけれども、南鮮の問題はこれは解決しておるのでありますけれども、沖繩の問題はこの費用が出ておるか出ておらないかということは、日本の講和会議における外交上の問題として、沖繩の帰属が論ぜられるときには、きわめて重要な一つのポイントになる。こういうような意味において聞いておるのでありまして、これは朝野立場が違うという意味において質問しておるのではないということを御銘記なさつて、そういう事実があれば御調査してお答え願いたい、こう思つたのであります。
○植原委員長 政府の御都合もありますので、午後は開きません。明日午前十時より開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時二十四分散会