第008回国会 外務委員会 第3号
昭和二十五年七月二十二日(土曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 守島 伍郎君
   理事 北澤 直吉君 理事 佐々木盛雄君
   理事 竹尾  弌君 理事 小川 半次君
   理事 西村 榮一君
      大村 清一君    小川原政信君
      尾関 義一君    菊池 義郎君
      近藤 鶴代君    仲内 憲治君
      中山 マサ君    並木 芳雄君
      松本 瀧藏君    山本 利壽君
      田中 堯平君    渡辺 義通君
 出席政府委員
        外務政務次官  草葉 隆圓君
        外務事務次官  太田 一郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 佐藤 敏人君
        專  門  員 村瀬 忠夫君
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本日の会議に付した事件
 日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第八号)
 国際情勢等に関する件
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○守島委員長 ただいまより会議を開きます。
 日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案、第八号を議題といたします。
 質疑は終つておりますので、ただちに討論に移ります。討論は通告順によりこれを許します。北澤委員。
○北澤委員 私は自由党を代表しまして、ただいま議題となりました日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案に関しまして、賛成の意を表せんとするものであります。
 この法律案の趣旨は、政府の御努力によりまして、アメリカ以外の数箇国との間に在外事務所を設置する話合いが進捗しまして、近い将来にその実現を期待し得るようになりましたので、これに伴いまして在外事務所を新たに設置する国々の物価事情あるいはその他の事情を考慮しまして、職員の在勤手当及び住居手当等につきまして適当に定めるように修正せんとするものでありまして、まことに時宜に適したことと思います。
 ただこの機会に二点だけ希望を述べておきますが、申すまでもなく、現在の複雑な国際情勢にきまして、日本としましてはできるだけ正確な国際情勢に関する知識を把握する必要がある。ことに従来問題となつておりましたいわゆる盲貿易を打開しますためにも、こういうふうな日本政府の在外機関がたくさん設置されることが希望されるのであります。従いまして、今後におきましては、さらにこのほかの国々におきましても、なるべく多くの日本の在外事務所を設置し得るように、今後とも政府の御努力を希望いたします。
 それからもう一点は、この在外事務所設置法に規定されております在勤手当及び住居手当等でありますが、どうもわれわれの見るところをもつていたしますと、これでは十分に在外事務所の活動ができないと思うのであります。
 従いまして、ひとつ日本の財政事情を考慮する必要もありますが、日本の財政事情の許す範囲内におきまして、さらにこの在勤手当、それから住居手当というものを増額するように御考慮願いたい。この二つを希望申しまして、私は自由党を代表いたしましてこの法案に賛成するものであります。
○守島委員長 小川君。
○小川(半)委員 民主党は本案に賛成するものであります。
 ただ希望といたしまして、御承知のごとく戦前までのわが国の在外職員は、当時の日本の軍閥の力を背景として、かなり海外において勢力を張つておつたのでありますが、今日のわが国においては軍の力というものがないのであつて、それこそ裸一貫の人間の力と申しますか、われわれの力で回復して行かなければならぬのであつて、非常に大きな努力と熱意が必要であろうと思うのであります。従つて過去の日本の状態と違つて、そうした面から見てもある程度の機密と申しまするか、いろいろな不経済が伴うだろうと思いますので、その点も将来政府は親心を持つて、これらの在外職員に対する経済の点を考えて上げなければならぬと同時に、在外事務所の職員たちも、日本の経済が一日も早く自立できるように、諸外国の情報調査を正確に集めて、政府との連絡を緊密にするような不断の努力を願いたいのであります。こういう希望を申し上げまして、私は賛成するものであります。
○守島委員長 田中委員。
○田中(堯)委員 本案に対しては日本共産党は反対であります。理由は以下述べる通りであります。
 簡潔に申し上げますが、第一に、われわれは常にこれまでなしくずし講和ということを申して来ましたが、今日本は占領治下にあつて独立の人格を付与されておるわけでもないし、特定の国と外交折衝などを持ち得ることなどが許されていないことは、論ずるまでもありません。しかるにこの在外事務所を設置するということそれ自体が、すでに特定の国とだけは、独立の人格がないにもかかわらず、大体独立の人格があるかのごとき取扱いのもとに、外交折衝の一部とも言うべき重要なる貿易関係を処理して行こうというわけであります。最初は本年五月にアメリカに五箇所在外事務所が設置されましたが、このたび拡張されるその計画を見ましても、今現われておる五箇国はことごとく世界の資本主義の支配圏内、言いかえますならば、ウオール街の資本の勢力圏内というところにのみ、こういう事務所が設定されることになつておるのであります。われわれは今世界が二つに割れておるときに、ただ一方にのみ一辺倒と申しますか、そういう態度をとることは、非常に不利益な立場に置かれることになるのであります。これは外交的に不利益になるということだけではなしに、実際の経済の面から見ましても、過去百日間在外事務所が五箇所米国内に設けられて、しからば日本の国民経済に、あるいは貿易の面に、どのように有利なる影響が現われて来たかということになると、これは私どもの見るところでは、少しもよき状態にはなつておらぬ。昨日実績を政府から説明されましたが、その実績の説明というのは、ただ在外事務所を向うに設けて、出先の役人諸氏が盛んに歓待を受けた、あるいは日本の貿易事情や経済事情についての調査の委託を受けたとかいうようなことが実績であるかのような御説明でありましたけれども、そういうことを日本の国民は望んでおるのではない。今外国と貿易を開いて、一時も早くこの窒息状態の日本の経済を再建してもらい、国民生活の安定を期しようというのが念願であるにかかわらず、この念願に対してはほとんどこたえることがなかつたのであります。そんなものは三箇月やそこらの実績によつて、にわかに将来を断定するのは早計であるというふうな議論もありましようけれども、最初申しましたように、今日世界が二つにわかれておるのに、ただ一方にのみそういうふうな関係を持つて行くということであつてみれば、これは勢い日本の国の経済や人民の生活ということを基礎にしての考慮から行われるのではなしに、結局二大陣営の対立関係に、日本を十分利用しようという傾向の方が圧倒的に支配して行くのであります。露骨に申しますならば、特定の資本主義国あるいは帝国主義国が極東に制覆をとなえようとする場合、どうしてもこういうふうな在外事務所というものも必要になつて来るわけであります。その貿易の実際を見ましても、たとえば日本人にとつて今日ではそれほど必要でない食糧― ―おそらく私どもの計算ならば百五十万トンもあればOKであるはずのものを、約四百万トン近くも輸入するというようなことが行われる。あるいは日本の中小企業、ことに日本の平和産業の復興に不可欠の原材料の輸入はそれほど行われないで、戦争のための準備に役立つような戦略物資の輸入が盛んに行われる。一例を示せばそういうわけで、結局日本の国民経済を建直そうということが主眼ではなしに、二大対立化しておる片一方の陣営のために御奉公するという意味が圧倒的に濃厚なのであります。そのためにわれわれ国民の膏血をしぼつた、とうとい税金をもつて、相当なる資力をもつて今まで五箇所経営して来たのでありますが、さらにこれをもう五箇国に拡張するというにおいては、いよいよわれわれは反対せざるを得ないのであります。こういうふうな態度をもし日本がとつて行くならば、行く行くは戦争に巻き込まれるという危険があるだけではないのでありまして、さらには戦争を誘発する一つの動機にもなるわけであります。ソ同盟とか中国という方面では、おれの方にはこういうような事務所の設置はない――もちろんそれが全世界的に公平にやるというならいいけれども、早初から一辺倒的な処置が行われておるので、そういうむだなことをするならば、日本を認めるわけに行かぬということになりかねない。すなわち全面講和にとつても一つの障害になつて来るのであります。かくのごとくにして日本を非常にむりな立場に陥れる措置であるから、われわれはどうしても反対せざるを得ないのであります。
 以上が日本共産党が本案に反対する理由の概略であります。
○守島委員長 これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。日本政府在外事務所設置法の一部を改正する法律案を原案通り可決するに御賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○守島委員長 起立多数。よつて本案は可決いたしました。なお草場政務次官より発言を求めておりますから、発言を許します。
○草葉政府委員 日本政府在外事務所設置法の一部改正に関する法律案につきまして慎重御審議の上御可決をいただきまして、感謝申し上げる次第であります。政府におきましては御趣旨を十分尊重し、関係方面並びに関係各国と今後十分なる協議を遂げまして、また態勢を整えてすみやかにこれが目的を達成いたしますよう、御趣旨に沿う所存でございます。
○守島委員長 なお、報告書の作成については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○守島委員長 御異議がなければさようとりはからいます。
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○守島委員長 それではこれより国際情勢等に関する件について懇談いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○守島委員長 御異議がないようですからさようとりはからいます。
 これより懇談会に移ります。
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    〔午前十時五十分懇談会に入る〕
    〔午後零時二十分懇談会を終る〕
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    〔懇談会を終つて散会〕
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