第008回国会 大蔵委員会 第15号
昭和二十五年八月三十一日(木曜日)
    午後二時十四分開議
 出席委員
   委員長 夏堀源三郎君
   理事 奧村又十郎君 理事 西村 直己君
   理事 田中織之進君
      淺香 忠雄君    有田 二郎君
      大上  司君    佐久間 徹君
      高間 松吉君    三宅 則義君
      内藤 友明君    宮腰 喜助君
      竹村奈良一君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主税局長)  平田敬一郎君
        国税庁長官   高橋  衞君
        專  門  員 椎木 文也君
        專  門  員 黒田 久太君
八月二十六日
 委員高田富之君辞任につき、その補欠として林
 百郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十一日
 委員林百郎君辞任につき、その補欠として高田
 富之君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事大上司君の補欠として西村直己君が理事に
 当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 徴税問題に関する件
 派遣委員の調査報告に関する件
    ―――――――――――――
○夏堀委員長 これより会議を開きます。
 まずお諮りいたします。本日理事大上司君が理事を辞任されましたので、この際理事の補欠選挙を行いたいと存じますが、これは前回通り委員長において指名するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○夏堀委員長 御異議がないようでありますから、西村直己君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
○夏堀委員長 次に税制及び金融に関する件を議題といたします。本日は銀行局長が都合によつてお見えになりませんので、主として徴税問題を取上げたいと存じます。徴税問題については本委員会におきまして、先般来委員派遣によつての実地調査を行つて参りましたが、各派遣班よりの報告書が委員長のもとに提出されておりますので、この際派遣各班よりの報告を省略いたしまして、これらの実地調査の結果に基いて、これから政府当局に質疑を行うことにいたします。
 質疑に入る前にこの際お諮りいたしたいと存じます。今回の実地調査の結果につきましては、ただいま来朝中のシヤウプ博士との約束もあり、来月の五日までに調査の結果を報告いたしたいと存じますが、各班の現地調査の結果をまとめ、その結果をシヤウプ博士のもとに参考のために送付することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○夏堀委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。なお本報告書の作成等につきましては、委員長及び理事に御一任を願いたいと存じます。
 それでは質疑を許します。
○三宅(則)委員 私は議事進行について発言を求めます。というのは、かつて夏堀大蔵委員長より、各選挙区ごとに税務署に対しまして滯納の状況、これに対する今後の見通し等について調査を終え、委員長のお手元まで提出せよという命令の手紙が参つております。よつて私はただちに自分の選挙区であります愛知県岡崎の税務署長にその由を申し伝え、八月二十五日までにぜひその実際調査を終え、報告をするようにという依頼状を書留で出しておきました。ところがその返事が、国税庁長官に申してあるから、あなたの方には申されないという、まことに劔もほろろのあいさつであります。まことに国会軽視もはなはだしいものであると思う。私はこの際委員長から国税庁長官高橋衛君を通じて、愛知県岡崎税務署長に対して嚴重に催促をいたし、国会は重視すべきものであり、軽視すべきものにあらずというこの言を、嚴重にこの際催告せられんことを希望するものであります。
○夏堀委員長 ただいまの三宅君のお発言については、これは国会の独自の立場において、シヤウプ使節団にこの報告をとりまとめて報告するという約束をいたしたのであります。そのための国政調査でありますので、その資料をほしいという場合に、これを提出せぬということははなはだ遺憾なことであると存じまするので、この際国税庁長官はこうした問題に対してどのようなことをお考えになつておるか、今後この問題に対してどういう処置をおとりになるかということに対する御答弁を願いたいと思います。
○高橋説明員 先般来、大蔵委員の方が主として国税の徴收関係について各地をおまわりになりまして、税務署の実際の運営状況または滯納の状況その他について、しさいに検討せられまして、十分御理解も得られ、また今後ほんとうに実情を御理解になつた上で、絶大な御協力を得られることと存じまして、非常に期待申し上げておる次第であります。もちろん私どもは、税務は税務署の税務ではなく、私ども税務官吏がいかに立ち働きましても、税を徴收することにつきましては、税務官吏のみによつては絶対になし得られないのであります。これはどこまでも国民の意識がそこに向つて、国民全般がこれをどうして解決するかということについて、非常な熱意をもつてやることによつてのみ、初めて税務行政の完遂がなし得ると思うのであります。皆さんはもちろんその意味において、非常な熱意をもつて調査いただいているのでありますから、その面におきましての御協力は当然われわれとしてすべきことであり、またそれを怠つてはならないことであると考えておる次第であります。
○佐久間委員 ただいま三宅委員から御質問がありましたが、私も選挙区へ参りまして――私は千葉でございますが、千葉の税務署へみずから参りましてその由を伝えたのであります。そして滯納の金額及びこれらに対する措置についてどういうぐあいにしておるか、できるだけすみやかに回答を述べるようにということを申しておきましたところが、いまだもつて何の返事もない。そのときに署長がおりませんので、総務課長に私は申伝えて参つたのであります。総務課長の意見といたしましては、やはり国税庁云々ということを申しておりました。そこで私が申しまするのに、最近マツカーサー司令官の厚意によりまして、議員各位が盛んにアメリカを見学して参つておるが、アメリカの政治の中心はやはり議会であり、議会の委員会というものは非常な権威を持つてやつておる。こういうことを話した。そういう報告をわれわれは受けておる。ついてはこういう問題について、われわれがあなた方に依頼することについては、あなた方はこれに対して誠意を披瀝すべきであると私は思うから、すみやかに回答をせられるようにということを念を押して参つたのに、今日に至るも依然として回答がございません。要するにこれはこれらの税務署を監督する立場にある人々が、今までそういう指導を怠つておつた、こういうふうに私は解釈せざるを得ないのでありまして、この責任はきわめて重大であると思うから、委員長においても十分この点を追究していただきたいと思います。
○有田(二)委員 この際国税庁長官に関連した問題について、御意見なりその後の方針について伺いたい。
 私、先般国政調査に参りましたときに、国税庁から所得税課の吉國氏をわざわざ大阪によこして、万遺漏ないように非常に御苦心になり、あるいは間税部長もお越しで、非常に気を使つておられるという点については、私は国税庁の方々の、特に正示総務部長の心づかいについては非常に多とするものであり、非常によくなつて来ておると思うのであります。私の調査いたしました結果の一例は、大阪の安倍野の税務署長――決して悪い意味ではないのでありますが、国会から国政調査に專門委員室の田中君を連れて参りましたときでも、安倍野の署長に対して直税課長を呼んでもらいたいと話をしましたところが、直税課長は今お客があつて忙しいから呼ぶわけに行かぬ、こういう答弁であります。しかしいろいろ角立つてはいけない、税務署でそこの署長をしかるようなことがあつては、あとあと署長の威令が行われないようでは困る、かように考えましたので、総務部長にその旨を申伝えまして、総務部長から安倍野の署長に注意をさせたのでありますが、これは單なる一例でありまして、他の先輩議員からお話がありました通りに、税務署長の指導がうまくできていない。従つて各税務署員においても――これはいずれゆつくり長官その他の方々に申したいのでありますが、人権蹂躙の事実が非常に多い。私は人権蹂躙の現場を把握している。專門委員室の田中氏とともに現場をつかまえて来ておる。その他いろいろの事態がたくさんある。こういう点について順次その事実をあげて行きたいと考えます。
 さらにまたこの前あなたがアメリカに行つている留呼中に、総務部長の正示氏に対して質問したのは、大阪の西成税務署の丹羽署長が、長州出身で非常にきついことは御存じの通りだが、淀川に転勤になつた。先般私税務署長を大阪国税局に集めまして懇談しましたけれども、その後丹羽署長の行動というものは、淀川でも相かわらず問答無益で税金をとるということである。管内の方々の意見を十分聞いて、そうしてとるべきものはとり、いけないところは改めて行くというように署長にお願いしておいたのでありますが、これまた改められていないという事実を昨日知つたのであります。こういうようなことの指導を十分にしていただく。さらに、岐阜南税務署の直税の係長が、これまた異議申請に対して、お前が死ぬまで調べてやらない、こういうような非常な脅喝をした者が郡上税務署の直税課長に栄転している。こういうような事態が非常に多いので、こういう私ども今回調べたことを全部この際はつきりして、爾今はこういう間違つた行為をした者は首にする、やめさせる、あるいは処分する、あるいは国会においてこれを告発するというような方向をとらないと、あやまちがあつてもそれを転任させるというようなことで糊塗している点が非常に多い。この際われわれ調査したもので責任者を出そうとは考えていない。爾今ひとつ十分にこれに対して処置をとる、あるいは国会においてこれを告発するという方向に行くべきではないかと考える。これらに対する長官の御意見いかん。
○高橋説明員 御承知の通り本年六月末におきますところの税金の滯納金額は千百三十九億に上つております。件数にいたしまして約七百八十万件に上つております。しかしてこの滯納になつている税金の中で、真に国の歳入になり得るかいなか、徴收し得るかいなかということは、これは国家の休戚に重大な関係のあるものでありますから、今後財政政策、経済政策すべての面に、非常にシーリアスな関係を持つものと考えるのであります。御承知の通り税務官吏は滯納処分に従事することを最もきらいます。滯納処分に従事している税務官吏は一日も早く他の係にかえてもらいたい。もうこれだけやつたんだからもう他にかえてもらえぬかという希望をみな持つている。にもかかわらず、税の負担の公平のために、また国家の非常に応ずるために、情を忍んでやつているというのが現在の実情であります。お話のような人権蹂躙にわたることがあつたといたしますれば、まことに遺憾なことであります。もしそういうふうな事実があれば、これはすみやかに矯正すべき問題だと思います。しかしながら同時に、税務官吏がいかにみずから欲せざること、つらいことをかたきを忍んでやつているかという事情も、十分に今回の御視察によつて御了察を願えたことと私信ずるのであります。そういうような点も税務官吏に対して同情の眼をもつて、外部からひとつ十分に御協力をお願いいたしたいと考えるのであります。ただいま御質問の点に関しましては、私昨年国税庁発足直後にきわめて嚴格な訓令も出しておりますし、またその後各地に苦情相談所も設置いたしまして、そうしてもつぱら税務署員の非違または態度の悪いものに対する納税者または一般の方の御意見も十分伺つて、それによつて信賞必罰を明らかにしたい。それによつて税務官吏の態度をよくするとともに、民主的にやつて行きたいという熱意のもとに、こういうふうな施設もつくつたのでありますが、実際上それがその後相当に活用されておるように思うのであります。もちろん非常に若い者が多いのでございますから、感情に走つて妥当でないところの言動をなすということもあろうと思いますが、何とかあたたかい心をもつてこれを指導して、急速にこれが態度を変更して行くようにいたしたいと考えるのであります。先般米国に参りまして、向うの制度もよく見て参りまして、非常に参考になる点が多いのであります。何と申しましても民主政治というものは相互に信頼する。税の面で申しまするならば、大多数の人が正直であり、少くとも善意であるということを前提にして対処するということでなければ、この仕事の改善はあり得ようはずがございません。向うでは納税者五千三百万のうち、調査しておりまする件数はわずかに四%で済んでおるのであります。しかもその四%のうち、一・五%を更正決定をしておるにすぎません。それでなおかつ無期検査によりまして、全体どの程度脱税があり、どの程度督促があるかという調査を昨年いたした結果が出ておるのでありますが、きわめてわずかしか受けたものがない。国民はみな自分の所得をきわめて正確に報告をし、正確に納税をしておるということが十分うかがえるのであります。これはもちろん国民の社会道徳の程度その他にも非常に大きな影響もあり、また納税者と政府との間がきわめて円滑であり、対立の関係がないというところに、根本の原因もあるのであります。ところが根本には、税の負担が重いということが、税務行政に大きな支障を與えているという問題もあると思うのであります。いずれにいたしましても、とにかく大多数の人が善意であり、正直であるという前提のもとにお相手をするということが、絶対に必要なのであります。事実問題といたしましては、調査してみますると、かなり低い申告しかしておられない結果として、更正決定をせられるという結果になつております。また納税者の方は納税者の方で、正直に申告をしてもまた上目に、その上にぶつかけて更正決定をするのじやないかということで税務署を信頼しない。そういうふうな双方の悪循環が断たれなければ、どうしても改善はできぬ。従つて税務署側のそういうふうな不都合なと申しますか、むしろ妥当でないところの態度をもつておるものはこの際改めて、そうして税務官吏の気分もこの際完全に一新して行きたいというふうに私ども考えております。しかしながら民主主義的な方法というものは、いわばまわり道をすることであります。権力にたよつて税を徴收するということが、さしあたりの問題としては一番やさしい、一番金のかからぬ方法であります。従つてそういうふうなまわり道をすることによつて、また丁寧にすることによつて、二、三年後においては必ずそれがプラスになつで帰つて来るということを、私は自信をもつて考えておるのであります。さしあたりの問題としては、それが歳入に大きく影響するということが考慮されるのであります。向うの税務官庁におきましては、歳入予算の確保という責任が全然免除されております。御承知の通り予算におきましては、歳出予算は国会で決定いたしまするけれども、歳入予算は單純な参考にしかすぎないのであります。従つて政府はそれだけの歳入を確保しなければならぬというところの責任は、何らないのであります。ところが日本の制度におきましては、国税庁といたしましては、それだけの歳入の確保をどうしてもはからなければならぬという責任を、同時に負わされておる次第であります。従つてその双方の責任を――歳入を確保しながら、しかも税務官吏をいかにしてよくして行くか、いかにして税務行政をよくするかという面に非常な溢路があり、困難があり、ジレンマがあるのであります。そういう点もひとつ十分に御了承願いまして、私ども税務官庁側はこの際画期的な気分の改善をはかり、納税者はどこまでもお客さんであり、ちようど銀行の預金者のように扱う。そういうふうな考え方でもつて態度をさらに一新して行きたいと考えておりますので、どうぞ納税者側の国民を代表していらつしやる皆さん方におかれましても、国民の気分をそういうふうにかえていただくように、この際こういう席でお願い申し上げるのははなはだ恐縮でありますが、ぜひ皆さんの御奮発をお願いいたしまして、この悪循環をとつていただきたいとお願いする次第であります。
○有田(二)委員 高橋国税庁長官の御訓示をちようだいいたし、まことに恐縮にたえぬのですが、われわれも国税庁長官のお話を承るまでもなく、今日の事態をよく認識しております。またわれわれも実地を調査いたしまして、いかに税務署の各位が非常に御苦労をなさつておるかという点をよく認識しております。しかし私の申し上げるのは、あやまちをあやまちとして是正する。税務署員に対する同情と、それから悪いことを悪いこととして是正して行くということと、おのずから別の問題であります。今日のこの滯納の起る原因の一つは、十分な調査をしないで決定している。更正決定のやり方が非常にめちやくちやである。私が今質問しましたのは、阿部野の署長の問題と淀川の丹羽署長の問題を御質問申し上げた。これに対して何ら答弁がない。しかしこの点に対しては、いずれあくまでも国税庁長官によく御質問したいと考えております。
 同時に苦情相談所の話が出ましたが、私が大阪で調査したのでは、苦情相談所から出すと、かえつて税務署の人の反感を買う。従つて逆の効果を来しておる例があります。せつかくあなたが親心をもつて苦情相談所をつくつて、よくして行きたいと考えているこの機構も、その指導よろしきを得ていないために逆効果を来して、苦情相談所から紹介状をもらつて行つたために、逆にかえつて悪い結果を生んでおるという実例もあるのであります。そうして私が調査しましたのは、直税部の法人税課の方のものを調査したのでありますが、私が調査課をやらなかつたゆえんのものは、査察部というものは、これはもうわけるべきものである。今日の調査官というものはほとんど査察官の気持で、相当のむりをやつておる事実がたくさんあるのであります。これに今さわると、徴税の問題について長官が御心配になる点があるのです。私が調べたのは、直税部の法人税課の人の限定された計画のものを調べたので、二十件調べたうち八件を徹夜で調べております。しかも自分たちは交替で寝ながら社長、常務、経理課長というものを徹夜で調べさせている。恐喝、脅迫にいたつては言語同断であります。私は專門委員室の田中君と二人で現場を押えた。それを基礎にして報告書をとつた。二十件調べましたうち八件を徹夜で調べておる。そうしてそのうち一件だけは相手方の徹夜してもかまいませんという紙をとつておりますが、あとの七件は全然そういうものをとつていない。さらに大阪の清水谷における東洋薄鉄板のごときは相手方の判をとつて、そうして国税局の者がみずから判を押した、こういう越権行為をしておる。さらに大正区の臨港製鉄のごときは、お前たちを逮捕する、これから検察庁に突き出すのだと言つて、そこの專務の腕を握つて一町ほど向うの野原に連れて行つて、これを恐喝調査をしている。そうして私どもが調査いたしましたのは、ほとんど全部恐喝、脅迫を、あたかも査察官が検察庁から令状を持つて行つてでもやらないような越権行為を、直税部の法人税課が、しかもそれが模範の調べと称して、各税務署の若い吏員をはべらして人権蹂躙をやる模範を示している。かような長官の親心に対して全然反対の指導のしかたをしているのに対して、長官は何とお考えになりますか。私は返答を求めたいと思います。
○高橋説明員 ただいまお話の点については、私事実を承知しておりませんので、よくお話を伺つた上で具体的に考えてみたいと思います。
○有田(二)委員 具体的な事実はすでにこちらに来ておる。ですから長官がお帰りになつて直税部でお調べになりましたなら、もうこういうことに対する報告はこちらへ参つて来ておると思う。おそらくこれは一例でありまして、われわれはよく税務署員の苦労を知つておる。しかしながら更正決定のやり方について、たとえば直税課と徴收官との間の連絡が全然とれない。良質の滯納者もあれば、悪質の滯納者もある。また非常にお気の毒な滯納者もある。いろいろあるわけなんですが、單に滯納額の金額だけを見て、これが徴收に当つておるという面も多々あるのであります。横の連絡が十分にできてない。同じ税務署の中でも、私が調べました生野の税務署では――御承知の通り生野の税務署は、大阪局内の八十四の税務署のうち八十一番であります。その成績の悪い税務署を調査いたしましたときでも、直税課長は確信をもつてその決定をやつたのだと、われわれに報告しておりますが、総務課次長の報告では、自分たちはこまかい数字はわからないけれども、徴收に出まして非常に決定がむりだつたということを痛感しておる、こういつた総務課次長の報告であつた。これらもまた大阪の南税務署を調べましても、総務課と直税課の間の連絡がほとんどできていない。たとえば誤謬訂正で落す場合でも、必ず総務課と連絡をとつて、これだけまけてやるからこれだけ税金を納めるかどうかという話合いをすべきであるにかかわらず、直税課の方では誤謬訂正をかつてにする。総務課の方ではなかなか税金が入らないというような事実があつて、同じ税務署の中でも横の連繋がとれていない。それからさらに調査課のごときは、個人百万円以上は局の調査になり、それ以下は税務署になるというので、百万円以上になると局へ行くからという名目のもとに、九十万円台でなるべく押えて行こうとする税務署があるのであります。これらの機構の上においても十分検討してみる必要がいろいろあると思う。どうかあまりにも全国の――私の調査した特に大阪局管内の状態を見ますると、人権蹂躙の事実が非常に多い。しかも令状を持つてやる査察官でもなかなか行わないようなことをやつておる。私の調査したのでは、査察課の方の調査は非常にうまくやつておる。査察官が令状を持つて調べた。告発したものも告発しないものもいろいろ調査しましたが、その結末が査察課の方は比較的うまくやつておるにもかかわらず、調査課あるいは直税課その他の税務署でやられている行為は非常に行き過ぎが多い。こういう点をひとつ真劍に、悪いところは悪いところでどんどん改めて行く。いいところはいいところでどんどん伸ばして行く。ただ全体として今の税務署員が薄給である、そして非常にお気の毒であるということは、われわれ大蔵委員のひとしく痛感しておるところであります。これに対してはわれわれは一日も早く是正して行きたいと思つておるのでありますけれども、税務吏員の不徳行為に対しては断固これ処置をする。われわれが今まで調べた範囲では、これが処分の仕方が非常に少い。もつと私は徹底的によくない者は処分をして、そうして今日は非常に失業をしている人も多いのですから、良質ないい税務官吏をどんどんふやして行く。さらにもつと指導育成に力を入れて、そうしてこういうはなはだ忌まわしい事実が少しでも少くなるようにしたい。さらにまた、むしろ国税庁は廃止すべきだという意見を私が持つゆえんのものは、国庁税は大蔵省でないのだ。国税庁というものは大蔵省に対立した別個のものである。大蔵大臣でも手が及ばないのだというような間違つた考えを持つ税務吏員が地方にある。これは国税庁をなくした方がかえつていいのではないかという考えすら私は持つ。どうかいずれ委員会を重ねるたびごとに、詳細に私の調査した点を長官に質問いたしたいと思う。今の国税庁長官の話では税務署員に同情してくれというお話ですが、悪いところはたくさんある。非常にあり過ぎる。ですからその点をひとつ考えてくださつて、いいところは伸ばして行くことはもちろんだが、悪いところについては改めていただくということを、長官の口から答弁を伺いたい。
○高橋説明員 先ほども申し上げましたが、税務官吏の悪質なものについては、私これを処分するにやぶさかなものではないのでありますが、現に昨年度中におきましても行政整理以外にもつぱらそういうような非違のゆえをもつて、また態度が悪いというゆえをもつて処分した者が千二百名に上つておりますが、今年度に入りましてもその態度は全然かえておりません。むしろ強化して行く方針であります。
 なお更正決定の基礎が非常に薄弱である、またはやむなく更正決定をするという問題については、これは実情を十分に申し上げてみたいと思います。昨二十四年度におきましては、申告所得税の問題で、全国で実際に調査をいたしました件数が全体に対して一八%、その他のものにつきましてはこれは全部権衡調査といたしまして柱立てになる人を調査して、その間の店舗の状況、従業員の数とか、またはその他外形標準等によつてならしてやる方法をとつておるのであります。今日の税務官吏の数から言つて、また質から言つて、能力から言つて、今年度は納税者の数も相当少くなりますので、実情調査も相当飛躍して増加したいと思いますが、いかに努力をいたしましても四〇%以上にすることは非常に困難であります。従つてあとの方について更正決定を全然やらないで捨てておくということになれば、これは調査した方についても更正決定をする。従つてその点については十分説明申し上げることはできる。また完全なる徴税がなし得ると思うのでありますが、それだけの方法によつて今日の歳入予算は絶対にまかなわれないということを私ども感じております。もちろん私自身調査しないものについて、また確実にほんとうの徹底的の調査をしないで更正決定するということは絶対に避くへきものである。少くともここ一、二年を経過期間として今年、来年くらいはやむを得ぬかもしれないが、再来年においては調査しないものは絶対に更正決定はやらないという建前で行くようにいたしたいと考えております。今年度の歳入予算を考え、来年度の歳入予算を考えますときに、そうのんびりとそういうふうな理想的な方法をとつて行くということはとうていなし得ざることじやないか。私どもいろいろ御非難もありまするし、またその面について妥当でなく、私ども自信を持ち得ないという面もあるのでありますが、にもかかわらずあえてそれをやらなければならぬという点は、そういう点にあるのであります。その点は皆さんにおかれましてもひとつ御了承をお願いしたいと思うのであります。
○有田(二)委員 そうすると、人権蹂躪があつても了承してくれというのですか。
○高橋説明員 はつきり申し上げますが、人権蹂躙を了承せよということを申し上げているのでは全然ないのであります。更正決定を全面的にせざるを得ない。権衡調査に基いて、更正決定も本年、来年度ぐらいは、いかに努力しましても免れ得ないだろうという見通しを持つているのであります。
○有田(二)委員 更正決定のやり方について、もちろん更正決定をやらざるを得ないことは、われわれも了承するのであります。更正決定に持つて行くやり方について、私はいろいろ検討してみなければならぬ点があるのじやないかと思う。あなた方は自分の部下であるから、更正決定をやることについて、たとえば非常に誤謬訂正が多い。いずれ他の委員会でもお話がありますから、私から申し上げただけではいけませんが、相当誤謬訂正が多いということを考えても、また私たちが調査したところでは、更正決定の上において非常にむりがある。あなたは国税庁長官として雲の上の人だから、下々のことはわからないかもしれないけれども、われわれはよく選挙民からいろいろな話を聞き、実際の下の話をよく知つておる。更正決定そのものは時期が来るまでしかたがないとしても、更正決定のやり方において、はなはだむりなところがある。たとえば私が調査したときも、たつた二日ぐらいで決定しておる。ほとんど全部二日できめるということのために、徹夜が八件もある。徹夜をやり、あるいはむりにそういう決定に持つて行こうとするときに、いや逮捕する、いや査察にまわす、いやどうする、お前の個人の所得を調べる、あらゆる脅迫をやつて自分の更正決定の線まで持つて来る。あるいは判を押させようとするような非常なむりなやり方が多いのですが、こういうむりなやり方に対して、長官としてどう考えておるか。
○高橋説明員 現在の日本の税務機構または実際の動かし方について、私どもは相当に反省を要する点があると思います。というのは、現在の税務署のやり方は、何と申しますか、税務署の職員の一人々々が個々に働いているという感じがするのであります。やはりこれは一つの組織として、組織が働いて行くというかつこうに持つて行かなければならないということを痛感しております。言いかえますならば、たとえば資料の收集、これは納税者の方になるべく迷惑をかけないで真相をつかむためには、どうしても資料の收集を大規模にやらなければならない。收集を大規模にやつて、それを十分整理することによつて、確実な資料をもつて調査に当る。そういうことにいたしますれば、時間も短時間で済む、また納税者にも迷惑をかけることも少くて済むということになると思います。これはアメリカの話になつて恐縮でありますが、向うでは年間一億三千五百万の資料を集めまして、全国から全部集めております。そうして各納税者ごとに整理して、そしてその資料を基礎にして、悪いと思われる者の摘発をして調査をするという考え方でやつております。最初に申し上げました通り、私どもは税務官吏が紳士的であり、丁重であり、親切であり、お客さんとして銀行の預金者のごとく扱うのだという考え方のもとにすべてやつて行きたい。従つてお話のような脅迫的な、または時日を制限するために、どうしてもやらざるを得ないということで、納税者に迷惑をかけるという面はできるだけ避けて行く、何とかして避けて行くという考え方で、今後行きたいと考えておるのであります。従つて権衡調査によるところの更正決定のごときは、これをできるだけ早く廃止して行きたいと考えております。しかしながらもしもそれについて実際に合はないという場合におきましては、どんどん審査の請求をしていただきますと、その審査の請求の扱いにつきましても、今後丁重にいたしたい。今回協議団というものを設けました趣旨もやはりそこにある。この協議団の運用等につきましても非常な注意を拂いまして、今後の運営に遺憾のないようにということを期しておるわけであります。そういうふうな方法によりまして、敵味方という感じでなしに、とにかく税法にいかにして適合せしめるか、いかにして正しい税の納め方をしていただくかという考え方のもとに、すべてを処理して行きたい、そういうふうに考えております。
○有田(二)委員 今長官からの全国のいろいろな話がありましたが、われわれ調査しました結果、やはりこれはたぬきときつねという感じを受けるのです。まじめな納税者、まじめな税務吏員を除きまして、よくない納税者、よくない税務吏員を比較しますときに、たぬきときつねの化かし合い、化かした方が勝ちだというような感をわれわれは受けるのです。それでわれわれとしては、もちろんこの際国民大運動を起して、正しく納める。あるいは現状では、税金をとられたらとられ損だ、よけい出したら来年またよけい出さなければならないというような考え方のもとに、なるべくごまかそうとする結果になつたことは、その本人が悪いことはもちろんだけれども、税務の方においても、行政の方面においても私は責任があると思う。たとえば今回の減額承認の問題にしましても、六月十五日に行うのに、大阪の天王寺の税務署のごときは、六月十三日に管内の各幹部を集めて減額承認書を出すように、しかしなるべく出してくれるなという指導をして六月十五日に締切る。たつた二日であります。そういうような減額承認という方法を国会において設けても、実際においては各税務署の指導方針というものはこれをやらないということで、お互いがはなはだどうも尖鋭化した状態である。われわれとしては正しい税金を納める者については、将来できる限り勲章を出す、あるいは報奨を出す、奨励の道をとり、税金を納めるということが、個人の誇りであるという方向に持つて行くならば別でありますが、よけい税金を納めると、税務署が来年は減額承認を許さない、こういう制度があるために、なるべくこれをごまかそうとする。今日のごまかそうとする責任の一端はもちろん納税者にもあるでしようが、これは徴税者にもある。特に更正決定の点において非常に遺憾の点が多い。いずれ数字をもつてこまかく国税庁長官の意見を徴取いたしますが、とにかくあなたがアメリカへ行かれてお帰りになつたことを大いに期待している。もちろん日本とアメリカとは非常に違うのであります。アメリカの制度そのままを日本に持つて来たところで、今日の日本の納税者の気持というものは、アメリカの納税者の気持とは相当の隔たりがある。従つてアメリカの制度のまままねても、はたしてそれに相当するところの税金がとれるかどうか疑わしい。従つてあなたのアメリカにおける経験を十分生かすとともに、日本の納税者の気持をかえて行つて、両々相まつて将来理想的な運営に進むという必要が私はあると思う。われわれは税務署の方方のいけないことはいけないとして申し上げる。しかし税務吏員に対してわれわれが何らの同情と何らの感謝もしていない、かように解釈をされては困るのであります。薄給に甘んじて非常な御苦労をなさつている税務吏員に対しては、感謝の気持を持つて来た。決して誤解はしていない。しかしわれわれが調査した中であまりにも人権蹂躙の事実が多いし、あまりにも考え方が間違つている。あるいはかつて明治十年前後の悪い役人、あるいは悪代官のような言葉を使うような税務吏員が非常に多い。こういうようなことはひとつ急角度に是正をして、言葉は丁寧、態度はいんぎんであつても、税務吏員としてその職務を執行して行く点についてはどんどん遠慮なくやつて行く。しかしながら態度なりあるいは言葉なりは、あくまでもいんぎん丁寧である。そうしてただいま長官が申された通りにお得意先である、お客さんである、かような考えでできるだけそういう方向でやつて行く。またわれわれがこれはよくないと感じたものは、もつと査察官制度を研究してもらつて、査察官をもつとふやすなり、査察官制度をもつと研究していただいて、そういうものはどんどん査察官の手によつてやつて行く。そうして普通の正しい人に対して、あるいは弱い人に対して、今日一部とられている税務署の悪行為に対しては、断固排撃していただかなければならぬ。この点はおそらく御同感であろうと思う。どうか長官はその点でわれわれと手を握つて努力していただきたい。今までのようなやり方でなく、まつたく国税庁とわれわれが一体になつて現情の悪弊を打破しない限り、日本は救われない。かように実は考えているのであります。ひとつこれに対する長官の御所見を伺いたい。
○高橋説明員 ただいま有田ざんからきわめて熱心な積極的な御意見を伺いました。まつたく私も心強くも感じますし、また将来非常な希望も持てるような感じもいたすのであります。今日の現状を見ますると、どうしてこれを改善して行くか、どうしてこの悪循環を断ち切つて参る方向に向わせるかという問題に対して、ほとんど絶望に近いような感じにときどき打たれるのでありますが、要はとにかく一人でも多く正直な人をつくるということ、善意を尊重して、善意を啓発育成して行くということで、非常な熱意をもつてこの仕事に当るならば、必ず近い将来にはそういう点が生れて来るのではないかと感じておるのであります。私も帰つて参りまして以来、そういうふうな方向に向つて日夜苦心をしておる次第であります。ただいまのお話を伺いまして非常に感激にたえません。
○三宅(則)委員 私は四点ありますが、最初に二点だけ申し上げます。実はこの前高橋国税庁長官の留守中に正示総務部長を通じまして、当時の広島国税局長塩見君をこの委員会に呼んだのです。そうしていろいろな部下の上において多少の間違い、あるいは検察当局に告発せられた等のことがあつたのでありますが、その始末もつけないうちに、聞くところによると、今度大阪国税局長に栄転せられたという話でありますが、それは事実であるかどうか。そういたしますならば、もう少しよく愼重に結末をつけてから、栄転させた方がよろしいのではないかと思いますが、これに対しまして国税庁長官はどう思つておられるかということが一点。
 第二点は、先ほど本員並びに竹村委員あるいは有田委員が、千葉あるいは阿倍野などの税務署長の名前を列挙せられまして、これに対する質問をいたしたわけでありますが、どうかこの一週間もしくは十日以内にそれに対する回答を本委員会によこしていただきたい。この二点を最初に申し上げます。
○高橋説明員 新聞等でごらんの通り、人事は昨日発令になつたのであります。なお三宅さんにこの機会にお願いを申し上げておきたいと思いますが、もちろん私どもはあらゆる努力を盡しまして、皆さんに実情を知つていただき、御協力をお願いする方向に向つて行きたいと思つておりますが、同時に私ども今までわれわれのやつて参りましたあとを反省してみますと、法律には税務官吏が納税者の祕密を漏らしてはならないという嚴格な一條があるのであります。しかもその祕密を漏らした場合においては嚴重な罰則がついておるのであります。米国に参りまして、私ども具体的なケースについていろいろどういうふうに処理しておるかという問題について、日本の国税庁長官として向うが正式に招待しておる人間が、そういうようなケースについて調べようと思つても、絶対に祕密であります。国会にも見せていない。だからあなたにもお見せするわけには行かない。ただ口頭でこういうふうな例のときにはどうするかという質問があればお答えする。こういうふうでありまして、これは納税者の祕密を守る。納税者は何事でも打明けて話をしても、ほかに漏れる心配がないのだという状況に持つて行くことが、やはり税務行政を進歩せしめるゆえんであります。国会に提出する文書につきましても、すべて国税庁長官を通じ、大統領の認可を経て出しておるというのが向うの実情であります。しかしながら日本でそれをやろうというような考え方を決定しておるのではないのであります。ことに具体的なケースでないところの数字等については、さしつかえないものについてはどんどん差上げて、実情を知つていただき、今後御協力を願うということは私どもぜひいたしたいと考えております。三宅さんは税務については非常な專門家であられますから、よくおわかりではあろうと思いますし、先輩に対しましてはなはだ恐縮な言葉でありますが、この点を申し上げておきます。
○三宅(則)委員 われわれも個人々々の祕密を漏らせということは言つておらない。全税務署の滯納額はどれぐらいの額があるのかということをお聞きしておるのでありまして、これは決して祕密ではない。国政調査として当然のことである。これを夏堀委員長はわれわれに要求しておるのである。われわれは委員長に協力して、国税の滯納などは一掃したいという気持でやつておるのでありまして、個人々々のだれの祕密を漏らせということではありません。これはひとつはつきりしてもらわなければ困る。
○奧村委員 ただいま三宅委員のわれわれ大蔵委員会の国税調査に関する質問に対して、長官は全然別個の問題を持ち出されて、あたかも大蔵委員に教育をせられるような話をなさつたが、まことに意外千万であります。もちろん納税者の祕密ということはわれわれよく知つている。しかしそれとは全然別個に、徴税の成績、申告の状況、そういうことを税務署について調べるのに、納税者の祕密と混同して、あたかも今回の税務署の態度を肯定せられるがごとき御答弁はまことに意外であります。長官はそういうふうに言われるが、五十万円以上の所得者は明らかに公告することになつているし、また閲覧に行く場合には、税務署は閲覧させるという義務もあります。納税者の祕密というものには限度がある。われわれ国会議員としてそれをも乗り越えて調べに行こうとはしておりません。全然別個の問題を取上げて、われわれの国政調査に対して、税務署の態度を肯定するがごとき言辞のあるのは意外千万である。そこでお尋ねしますが、千葉税務署、それから三宅委員の国政調査に対する税務署の態度、これは当然改むべきことであると思うが、これに対して長官は具体的に税務署長に指示を出して、即刻報告するようになさるかどうかお伺いいたします。
○高橋説明員 私の申し上げましたことが非常に皆さんの誤解の種になつているようでありまして、まことに恐縮に思います。私が申し上げましたことは、現在の税務官吏がややもすればその間の区分を――奥村さんのようにはつきり区分を御存じの方はいいのでありますが、税務官吏は必ずしもその区分をはつきりしないおそれを持つておりますので、私はその点についてもう少し祕密保持の態度を今後強調して行きたいということを、ついででありましたので特に申し上げた次第でありまして、決して三宅さんの御要求なり皆さんの御要求を不当としたり、またはそれに応じないような考えを申し上げたのではないのであります。その点御要求の通り指示をいたします。その点はぜひひとつ皆さんにおかれましては誤解のないようにいたされたいと思います。それからもう一つ先ほど閲覧の制度があると申されましたが、閲覧の制度は以前の税法でありまして、今回は五十万円以上のものについて目録を得て、申告額だけを呈示することになつているだけであります。
○三宅(則)委員 先ほどの続きでありまするが、あなたの留守中に塩見局長に質問いたしましたところ、部下のうちに手落ちがあつたということをはつきり言つているのでありますが、その結末をつけないうちに官吏がどんどん栄転してよろしいものであるかどうか。あなたは同僚でありまするからして伺いたい。もう一つ関連して言います。こういうような国会において審議されるときには、国税庁長官は部下、たとえば部長とか課長とかを連れて来ておいて、国会の真意はどこにあるか、こういうことを国民に徹底するとともに、官庁の官公吏にも徹底してもらいたいと思いますが、そういう用意があるか。その二点を承りたい。
○高橋説明員 昨日の人事の異動に関しましては、十分に私の責任において調査をした結果、さしつかえないという見解のもとにいたした次第であります。なお御希望の、できるだけ部下を連れて来てほしいというお言葉は、どうも私自身はなはだ至らぬせいでありまして、十分に御質問に答え得ないという意味においてはなはだ残念に存ずるのであります。できるだけそういう御意見に沿いたいと考えております。
○有田(二)委員 今三宅委員からお話がありましたが、この間大阪の総務部長からこつちに来た間税部長の松田君をまた広島に持つて行く。ようやく間税のことがわかつて来た。――私先般松田間税部長と一緒に大阪に行つたときに、一体君酒の税金は幾らだと聞いてもよく知らぬ。勉強してようやくわかりかけたところへ広島へ帰る、こういうような人事の仕方は私はよくないと思うが、長官は、どういうふうにお考えになりますか。
○高橋説明員 お話の通り日本の官吏が非常に頻繁に異動するということは、これは重大な欠陷であります。従つて今の有田さんのお話の通り、私も短期間の異動というものは特別の事情がない限り、絶対に避けたいという考えを持つております。今回の松田君の話は、これはどうもやむを得ない、他に方法がないという考え方のもとに、やむを得ずああいう措置をとりましたことを申し上げます。私の全般的な考え方といたしましては、少くとも同一地に二年以上は駐在する、勤務するということによつて、その土地の人もよくわかり事情もわかり、そうしていたずらに権力をもつて徴税するとか、がたがたするということではなく、眼光紙背に徹するというふうに漸次なつて行く。それによつて摩擦も少くなり、しかも真相をつかむという方向に向つて行きたいと思つております。
○有田(二)委員 それでは松岡間税部長を広島の局長にせられたのは、長官として――ことにあの人はここの間税部長になつたのはそう長い過去ではない。そうして先生も一生懸命勉強して、ようやく間税部長としてこうあるべきだろうというところぐらいまでわかりかけたところでかわつてしまつた。今の長官の方針ではなるべくそうしたくない。少くとも二年は、いてもらうという御所見と非常に違うが、松田君が間税部長として適当でなかつたとお考えであるか。さらにまたどういう事情があつておかわりになつたか。何だか長官のお話を聞いておると、わかつておるようでわからぬようなことになるのですが、松田君の場合、間税部長として適当でない、かようにお考えになつたか。また広島の局長に持つて行くのに、何も間税部長になつて、ようやくこれからわかりかけた人物を持つて行かなくても、他に適当な人物があつたのではないかと、かように考えるのですが、長官の御所見を伺いたい。
○高橋説明員 具体的な人事につきまして、お前は適任でないからこつちにまわれというようなものの言い方は、私はいたしたくないと考えます。また公開の席上でもございますので、そういうことは避けたいと思うのでありますが、ただ先ほども申し上げました通り、できるだけ長く勤務していただくという考え方には一つもかわりはございません。今回アメリカに参りまして、向うの実際の運営の状況を見て参りまして、ますますその感を深くして、できるだけ動かさないような方針で行きたいと思います。しかしながらやはり事務能率の増進をはかりましたり、または人の監督をよくしたりいたしますためには、どうしても機構の改正を伴わざるを得ないのであります。実は先般も協議団をつくりますときに関連して、ある程度相当の予期せざるところの異動をなさざるを得なかつたというような状態になつたのであります。今後もある程度の機構の改正はやはりやつて行かなければ、ほんとうの改善ができぬのじやないか。そういう場合におきましては、どうも事志と反しても、ちようど動乱期でありますので、もう少し安定期に入るまで、ある程度の異動はやむを得ないのではないか。これは言いのがれのような感じもありますけれども、実際それぞれそのポストについておるその人が一番適任であり、どの人ならばほんとうにやつて行けるかというような事情を考えてみますならば、そういうような事例が起りますことは、やむを得ない場合があるということを御了承願いたいと思います。
○有田(二)委員 長官のお話もわからないことはないのでありますが、あなたがアメリカからお帰りになつた後の人事です。アメリカからお帰りになる前の留守中に起つた人事なら、私はあえてあなたに申さない。少くともアメリカでそれだけの所見を、新しい知識を得てお帰りになつたあなたが、特に今度とられた松田君の人事については、私ははなはだ遺憾だと思う。松田君は大阪でも密造の取締りについて、私は予算委員会の理事をしているので、有田さん予算をひとつできるだけとつていただいて、密造の取締りに御協力をいただきたいという話があつて、今度の予算で密造の取締りの面について、われわれは国会の立場で協力したい、かく申しておつたのでありますが、それが突如としてああいうようなことでは、長官が何と言われても、どうも私は納得できないのであります。しかし人事で、すでに発表されたのでありますからやむを得ないのですが、爾今の人事には十分御注意願いたい。今までは税務署の人も、国税局、国税庁の人も、相当辛辣に税金をとる。辛辣にやつて金の面で成績が上る者、それが栄転するという感じをわれわれは受けるのですが、これからの人事というものは、管内の人と円満にやりながら上手に税金をとつて行く人、摩擦が少く、しかも上手に、できるだけよけいに税金をとつて行ける人を栄転さすべきだと私は思う。管内との摩擦がはげしく、いかに摩擦があろうがなかろうが、金額さえあげて行く者であればどんどん栄転させて行くというようなやり方は、少くともアメリカで勉強されてお帰りになつたあなたの、これからとる策ではないと私は思うのでありますが、この人事については、私が今申し上げたような、管内と円満裡に、でき得る限りよけいに成績を上げて行く人を栄転さす。管内で摩擦が多く、いかなる摩擦を生じても金さえとつて行けばいいという人を栄転させる栄転主義よりは、私は管内と円満裡に、でき得る限りうまく税金をとつて行くという人を栄転させる、かような人事であるべきだと思いますが、これに対する御所見を伺いたいと思います。
○高橋説明員 ただいまの有田さんの御意見に私はまつたく同感であります。ただこの際、これもあるいは誤解されるおそれがある言動になると思いますので、十分誤解のないようにお聞取り願いたいのでありますが、税というものはどこまでも正確に、税法の通り個々にきめて行くということが本来の精神であります。従いまして今年の春は、御承知の通り五百の税務署のうち二百までが大衆のデモに襲われております。しかも大衆の威力によつて動かされる場合もなきにしもあらずであります。率直に申し上げまして、そういうふうな欠陷は私も認めております。そういうふうな団体交渉と申しますか、大衆の威力によりまして、もしも幾分でも税額が変更され、動かされるという場合には、事前にそれについて手を打つことによつて、実際上妥協してうまくやつた。従つて騒ぎが表に起らなかつたという、そういうケースも実際問題としてあり得るのであります。それははなはだよろしくないことで、税務行政の外道であります。税というものは個々に具体的に、議論のあるところは十分にお聞きして、納得していただいて、完納するということが理想であります。私どもといたしましては、もちろんその騒ぎの性質にもよりますが、ただ外面からだけ見て、騒ぎがあそこに起つたからいかぬというように考えないで、その基本をなすところのいろいろな動きに対しても十分検討を加え、そうしてそれが税務署長の態度あるいはそのやり方が非常に妥当でないために、そういうふうなことが起つたという場合には、もちろんこれはどんどんかえて行きたいと思います。先ほど来非常に御同情のお言葉をいただいておりますように、なかなかむずかしい納税者も多いのでありまして、非常に苦心を要するのであります。ただいたずらにいばつて権力にたよるということは、これは一番安易な方法でありますが、そういうような安易な方法ではなしに、もう少し民主的に、苦労をして、お互いに納税者の心をよく知つて行こうじやないか。お互いによくなつて行こうじやないかという心をもつて、熱意をもつてやつていただくとうような方を、栄転させるというふうに考えております。
○有田(二)委員 今長官から、税務署の管内の人とよく協力してということに対して御注意がありましたが、私は現在の産業人というものはほとんど今日金詰まりのためにつぶれかかつておる。特に中小企業が非常な窮地にあるということは長官もよく御存じであります。気息えんえんたる鶏を育成しながら卵を生まして行く、税金をとつて行くということが必要なのであります。私が管内との摩擦を少くしてという意味はそういう意味であります。今日事業をつぶしてしまつても、今年だけ税金をとれば、来年は税金をとらなくていいというならば別でありますが、永久に税金をとらなければ日本の財政は立つて行かないのであります。從つてただいま長官が言われた通りに更正決定を続けて行かなければならぬ。この事態はあなたみずからお認めになつておるわけであります。更正決定をやらなければならぬところには、どうしても神様でない限りはむりが伴う。從つてそういうのは非常に気の毒だ。私はここに死んだ人の遺言書を持つております。あなたにいつか見せますが、署長に遺言書を書いて死んだ人がある。そういうように税のために幾多死んでいる人もあることは、あなたも御存じの通りである。税をとつて行く上においては、事業をつぶして、鶏を殺してしまつたのでは将来のためによくないのであります。気息えんえんたる鶏を育成しながら税金をとる。初めから脱税をやつておるというような悪質なものに対しては断固たる処置をとる。あるいは査察官にまわして令状を執行するのはあたりまえであります。しかしながらまことに気の毒な人たちがある。それらの人に一掬の涙も持たないで、断固たる処置をやつて行くことに対しては、われわれは反対であります。どこまでもその状態を考え、しかもその状態が、今後数年更正決定を続けて行かなければならぬ。この現状から十分お考え願つて、鶏を殺さないで育成しながら卵を生まして行く。管内の人とよく連絡しながらやつて行く。今日は朝鮮事変以来民主化同盟の方のいろいろなことも、漸次少くなりつつあるわけであります。どうか管内の人たちと摩擦しないで、できる限り成績を上げて行くという人を栄転させて行く。どんなことをやつてもいいのだ、税金さえとればいいのだというやり方がいいというのではなくして、円滑にできる限りの税金をとつて行く、こういう点に人事の重点を置いていただきたいと思うのでありますが、これに対して御所見を承りたい。
○高橋説明員 御意見の点はまつたく私も同感であります。事業を殺さないで育成して行くという問題につきましては、そういうような心持でやつて行くことは当然でありますが、ただ現在の税法は必ずしもそういうふうにはなつておりません。すべてのことに税務官吏は、その法規に忠実に從うことを要求されておるのであります。その点につきましてはどうぞ国会において、十分今後御研究を願いたいというふうに考える次第であります。
○有田(二)委員 しからば長官にお尋ねいたしますが、誤謬訂正はどういうふうにおやりになつておりますか。誤謬訂正は現実に――少くとも私の調べたところによりますと、ある税務署のごときは四割から四割五分というふうに非常な誤謬訂正がある。しかして誤謬訂正をする場合は、先刻申し上げましたように、徴收の方と直税課とよく連絡をとつて、うまく誤謬訂正をやりながら税金をとつて行くという方法について意見を申し上げたのであります。とにかく誤謬訂正ができないのかと言えば誤謬訂正を相当やつておる、四割も四割五分もやつておるところに、更正決定のむりもあるけれども――いずれ係官がたくさん出て来られたときに、私実例をあげて申し上げたいと思いますが、とにかく私の申し上げたことに対して、長官はそういう人事はやらぬ、あくまでもめちやくちやに税金をとつて行く者を栄転させるのかどうか、こういう御方針であるのかどうか承りたい。
○高橋説明員 誤謬訂正に関する問題は所得の決定の誤謬訂正であります。滯納処分に関しましては、一応所得額については法律的に確定し、税額についても県吏員の確定した後の執行の問題であります。その後にあたつて誤謬訂正をする権限は、税務官庁には與えられていないのであります。重大なる誤りを発見した場合には、もちろん訂正をなし得る場合はあるのでありますが、原則としてそういう権限はないのであります。また繰返して申し上げました通り、有田委員の御説には私は、全然同感であるということを申し上げておきます。
○竹村委員 気にかかるので一点だけ聞いておきたいと思います。実は最近におきまして、小さい職業、たとえば職工を十人、二十人くらいしか使つていない工場で、賃金が二箇月ないし三箇月くらい遅配になりておる。そうしてようやく少し金をこしらえてこれを拂おうといたしましたときに、前の滯納分ですぐそれを差押えられる、こういうようなことが行われようとしておるのでありますが、私は都会の小さい工場でそういうことをやられたのでは、おそらく職工は、労働者の方はすぐ生活に困難を感ずるのでありますけれども、こういうような問題に対して、滯納の取立てということに一体国税庁はどういうような方針を持つておられるか。これを伺いたいと思います。
○高橋説明員 現在滯納になつておりまする工場等におきまして、相当経営が困難であるというところもあるのであります。滯納のもとになる金額が正しくあるという場合におきましては、これは国税に優先を認めておるのであります。一日も早く徴收するということが税法上の義務になつております。從いまして実情は十分調査をし、秘法上できる限りの配慮はいたしておりますが、やはりそれを漫然としてとることはできかねるかと考えております。
○竹村委員 ところがたとえば滯納の税金を分割拂いでもするような道を考慮する工場では、分割拂いでこの月はこれだけ、この月はこれだけ拂うというはつきりした方針を立てている。そうしてその分担分は一応拂うが、それ以外にできた金というものは、職工のいわゆる遅配にした給料に充てようと考えた場合とか、将来の経営上のこともいろいろあると思いますが、それでもやはり優先して給料よりも先にしやにむにおとりになる考えかどうか伺いたい。
○高橋説明員 法律上は分割拂いの制度は認められていないのでありますが、実際問題といたしましては、私どもの取扱いといたしまして、確実に分納の計画をお立てになり、またその分納の計画通り実行なさるという熱意がある場合においては、もちろん当事者の御計画なり、御意思を尊重して全部やつておる次第であります。
○竹村委員 先ほど長官はたとえば国税庁は取立てにおいていろいろ問題があるが、何分国家の歳入とにらみ合せて徴税というものはやらなくちやならぬ。従つていろいろなむりが起るから、問題は税法の問題であると言われましたが、その通りであろうと私は思います。
 そこで次にお聞きいたしたいのは、たとえば二十五年度の予定申告におきまして、各税務署においては大体平均昨年度と比較いたしましての税收入は四割ぐらいというふうに、各税務署で調査いたしましたところでは言つておるわけであります。従つてこういう形で参りますならば、予定申告に基いてやるのでありますが、そういたしますと、今度の最終確定申告におきましては、これと同じような率で出て参りますと、おそらく昨年度の税收と比較いたしまして四割どまりであろうと考えるのであります。そういう場合に先ほど申されました歳入とにらみ合せて徴税をやらなければならぬというふうになつて参りますと、今度はおそらく確定申告後において歳入通りの徴收をやろうとするならば、勢い更正決定をおやりになることは必至である。しかもこの更正決定はそういう歳入とにらみ合せるという建前から、たとえば予定申告あるいは確定申告において、当然すべき申告をやつておりましても、ここに一つのむりが伴うのではないか。実質上納税者がいわゆる所得だけを正直に申告をいたしましても、なお歳入に満たないという現象が起りました場合においては、歳入とにらみ合せての徴税ということになりますと、勢い更正決定、從つて国税庁よりのいわゆる割当というものを、暗黙のうちに実現しなければならないというか、それが中心になつて参ると思うのであります。これに対して長官はどういうふうにお考えになつて、歳入とにらみ合せておやりになるのか。たとえば今年の予定申告では御調査になつたと思いますが、各税務署では昨年度の四割程度、従つて昨年度と比較して四割徴税は得られると思いますが、それは一体どうなつておりますか。
○高橋説明員 御承知の通り今回の税法は、予定申告は前年の実績を下つてはならないという規定でありますから、従つてそれ以上実際の申告をしておられる人もほとんどないようでありますが、各税務署とも前年の申告のあつた通り出しておるというのが実情であります。これで本年度の税收がとまるのだということは、私も考えておりません。例を申し上げますれば、これは予想数字も入つておるのでありますけれども、計算の昨年との比較の上昇の割合、これもやはり一割三分くらいは上つております。それから今後の見通しがどうなるか、これによつて相当大きな影響を来すのであります。たとえば米価のきまり方もどんなふうになるか、これもまだ未決の問題であります。米価の問題もおそらくは昨年通りというふうなことにはなるまいと存じております。またさらに先ほど来申し上げております通り、滯納税額が一千億円を越えておる。ここからどれだけ收入できるかという問題が、やはりわれわれの努力の対象となつて残るのであります。あなたのお話のような割当とか、またそれをしやにむにとらんがために、事実に反したところの更正決定をするというようなことは絶対にいたしません。
○竹村委員 そういうことになりますと、国税庁の見込みでは昨年度よりも所得が増大する。まずこれが第一点。それからもう一つは、いわゆる滯納整理による千億余の滯納整理の分が幾らか入つて来る。こういうことでむりな更正決定はやらなくてもいいという話であります。また米価の決定をしていない。もちろんその通りでありますが、しかし私はいろいろな面において、生産が増大したからといつて、必ずしも所得がふえるということにはなり得ないかと思います。しかし現在の国税庁の見込みでは、そういうむりな更正決定をしなくても、このままでも当然歳入だけは見積れる、こう考えておられるということだけで大体了承するのであります。
 そこでもう一つ、ついでに考えをお聞きしたいのでありますけれども、最近往々にして特需景気と言われておる一部があるわけであります。これは実質的にどれだけ特需景気があるか、私はつまびらかでないのでありますけれども、しかし特需景気の声が出る限り、あの朝鮮事変によつて一応得分はあるはずであります。こういう特需景気によつて利得を得たものに対して、国税庁としては、たとえば特別利得税というような制度を事務的に考えておられるかどうか。これはもちろん大蔵大臣に聞くのがほんとうでありますが、もし事務的にあなたの方として、そういうことをやられてしかるべきであると考えておられるかどうか。この点だけをお聞きしておきたい。
○高橋説明員 ただいまの御質問は税制に関する質問でありますから、私からお答えすることは妥当でないと考えます。
○宮腰委員 私の質問しようというのも税制に関する問題です。実は地方税と国税との徴收衝突の問題ですが、いずれにしても地方税が非常に増大しておる関係から、なかなか地方でも税を納められない。納められなければ徴收法でびしびしとつて行くだろうと思いますが、その場合に、一番先に手をつけたものが優先するのだということになると、国税と地方税の間において徴收上の競争が起ると思うのですが、この点は何か改正しまして、国税だけは優先するのだという形に修正することができないかどうか。これは大分納税者が心配をしておるようですが、この点について長官はどういうお考えをお持ちでしようか。
○高橋説明員 制度に関する問題でありまして、私が申し上げると、あるいはあとからおもしろくない結果を生ずることでもありますが、せつかくの御質問でございますので、私の感じだけを申し上げます。現在の、先に手をつけたものが全部優先するという制度には、今回の法律改正で初めてなつたのでありますが、それまでは国税が第一優先、国税をとつてなおかつ滯納処分があつた場合に、残りがあるならば地方税にまわすという建前であつたのであります。地方財政の実情もゆたかでありませんので、そういうふうに国が第一でやつて行くという考え方も必ずしも妥当でないという考え方から、どちらでも先に手をつけたものがという建前になつたのでありますが、必ずしもそういう競争というようなことにはならないのじやないかと私は感じております。
 それからいまひとつ私の感じでありますが、もしもそれをどちらで差押えをしても、結果については税の割合によつて分配するということになりますと、実は私どもそういうことを申し上げるのははなはだ変でありますけれども、国税の方ではみな一生懸命にかたきを忍んでやつてくれておるのであります。しかしながら地方税になりますと、なかなかおやりにならぬ。そうして国税でやつたところのわけ前だけを要求するというようなことになりますと、われわれとしてもちよつとその間の実際の徴税費のかかり方とか、または努力の仕方とかいう方面において、必ずしも公平でないのじやないかというふうな感じがいたします。ありのままの感じを申し上げておきます。
○奧村委員 国政調査に関連しての政府委員に対する質疑はまだまだたくさんありますが、これはまだ国政調査が続いておるのですから、一応まとめて別の機会に質疑いたすことにいたしたいと思います。ただ先ほど議事進行の発言中、三宅委員から、また佐久間委員からお尋ねしたところの、税務署のわれわれ大蔵委員に対する国政に関する報告書を、国税庁から出させるように指令を出すかどうか。これの質問に対してどうしてもまだ長官がはつきりした答弁をしておられぬので、これをはつきり御答弁願つて、次に話を進めたいと思います。
 国政調査、これは長官も御存じの通り、衆議院議長の承認を得て、国政調査をやつておるわけであります。特に大蔵委員長が各委員の地元の税制の調査をやれということで、各税務署に対して調べておる。決してそんな個人の税の祕密というようなことを侵すような調査ではない。そういう調査について税務署が澁つておるということは、どうも国税庁の方から何か外部にそういう資料を出してはならぬというような指示があると思われるが、特に大蔵委員の調査に関してはそういうことでは困る。今長官のお話のように、立法上においてよくわれわれに考えてもらいたいということならば、われわれはその税制の実態を知らなければ、立法上うまくやつて行けぬ。こういうことでありますから税務署長に対しては、大蔵委員の調査に対して至急報告を出すように指令を出してくださるかどうか、重ねてお尋ねをいたします。
○高橋説明員 先ほど御要求の資料につきましては、すぐ私の手元に取寄せまして、私の方で調製をしてお出しいたすことにいたします。
○奧村委員 そういたしますと、われわれ大蔵委員は直接税務署に調査に行くという権限については、国税庁は拒否なさるのですか。
○高橋説明員 拒否する気持もなければ、むしろぜひやつていただきたいという考えを持つておる次第であります。
○奧村委員 そうすると直接に名古屋における税務署、千葉における税務署にわれわれ大蔵委員が調査に行つた場合、税務署長がそれに対して返答するということを拒否した。それを国税庁長官は承認なさるのですか。今のお言葉によると、税務署から国税庁を通じて資料を出す。われわれの調査はすべて国税庁を通じなければ調査はできぬ、こういうことになると思うが、その点はいかがですか。
○高橋説明員 必ずしも国税庁を通さなければならぬというふうに、回答申し上げたのでは全然ございません。便宜上こちらにいらつしやることでございますから、私の方で取寄せましようということを申し上げたのです。
○奧村委員 おととい、われわれ調査委員が東京国税局に調査に行きました。ところが徴收の歩合、あるいは申告の総計、各税務署ごとの金額及び歩合、こういうことを尋ねましたところ、書類を出して来た。ところがこれは国税庁にお伺いしなければ外部には出せません。こういうことでその資料をわれわれが持ち帰ることをどうしても承諾しなかつたのです。一応国税庁長官の承認を得るということでその場は済ませましたが、さようなことでは、われわれ今後局に行つての調査はできない。さしあたつて二日には関東、信越の調査をすることになつておりますが、そういうことでは調査ができぬと思う。それについては国税庁の方から各局及び税務署に対して、直接の調査に対しては返答するな、資料を出すな、こういうことになつておるのですか。はつきり御答弁を願いたいと思います。
○高橋説明員 国政調査に関しましては、できるだけ協力申し上げるようにという通達をいたしております。しこうしてただいまのお話の点につきましては、私はまだ東京国税局の話を全然聞いておりませんから、どういう事情であつたか存じません。存じませんが、私の方でも実は最近に報告をとつたのであります。これはシヤウプ使節団にも出す必要がございますので、とりまとめをいたしておるのでありますが、実はその統計に非常に大きな誤謬があちこちにある。そこでその修正をしてもらいたいということを今要求をしておるのであります。従つてただいまの数字でもつて何らかの判断をせられるといつたことになりますと、その点に誤解を招くおそれがあるという趣旨ではないかと思います。また国税庁でも各方面からとつた報告を再検討しておるところであります。そういうところからおそらくは出す自信がないと考えたのではなかろうかと考えております。
○奧村委員 この数字がはなはだ厖大にわたるので、また計算上からも非常にわずかな時間のうちに計算をするので、間違いがあることはわれわれもよく了承しておりますので、その点間違つた数字を基礎として調査をせられるのは困るという議論はよくわかります。その事情からのみわれわれの調査に対して資料を出しにくいのか、そのほかに何か資料を出しにくい理由があるのかどうか伺いたい。
○高橋説明員 それ以外に出しにくい理由はないと思います。私どもはただいやしくも国会が国政調査をおやりになる以上は、やはりその数字をもつて今後国政をお考えになるでありましようから、これは非常に重大な問題だと思います。従つてその基礎については、責任の持てる数字でなければいかぬといつも考えておるわけであります。ただいまの数字のごときは、実は非常に急ぎましたので、三日、四日各税務署もほとんど徹夜をしてつくり上げたような次第であります。ところが私ども達観して物事を考えてみまして、一つの事項を推して考えて行つて、どうもここに誤りがあるということが指摘できる、こういう事柄からいたしまして、ただいま検討を加えておるような次第であります。
○淺香委員 大体質疑応答が終りかけているかのように思いますが、本日の委員会における質疑応答ぶりを見ておりますと、高橋長官の答弁には、まことに愼重を欠く遺憾な点が多々あるのでございます。といいますのは、最初三宅、佐久間委員からの質問に対して、また委員長から要求されましたような問題に対して、的はずれな答弁をしておられるのみならず、各委員にアメリカにおけるところの話もよろしいのですけれども、それが何だか委員を教育されているかのような感じを與えられたということは、各委員とも同感だろうと思います。なおまた有田委員が言われましたように、鶏を殺してしまえば卵は生まれない。鶏が先か卵が先かというような質問に対しても、その趣旨に対して賛成ではあるけれども、これは今の立場としてはどうにもならぬ、しかるべく国会で考慮しようというような、つつ放したような答弁をしておる。どうも遺憾な点がありますので、議事進行に名をかりまして、私が今質問申し上げますことは、つまり委員から答弁を求めました場合には、率直にその内容だけお答えになりまして、あまり私的なこと、その質問のらち外を越えるような答弁は、今後は少しお控えなすつていただいた方が、円満に行くのではないかと考えるのでありますが、高橋長官の御答弁を伺いたいと思います。
○高橋説明員 私の言葉が至らないために重大な御叱責をこうむりました。今後十分愼みます。
○有田(二)委員 今の淺香委員の質問で、私は質問することをやめますが、どうか長官に御注意願いたいことは、質問されたことをお答え願いたい。それ以外にわれわれが、いかにも全国の税務吏員を全部悪く考えておるように解釈されたりするようなことは、非常に遺憾だと思います。ただいま他の委員からお話になつた税務署の問題も、われわれから税務署に出かけるというのは、税務署の仕事が忙しいし、一々この国会に呼び出してはいけないと思うから行くのです。長官の御協力がなければ、われわれはどんどん各税務署を呼び出してここで調査できる。しかしそれでは実際に人数が非常に少くて困つておられると思うから、私どもの方で出かけて行くのでありますから、その点を十分お考えになつていただきたい。われわれは何もいじめに行くわけではないのです。立法府としてよりいいようにするために行くのであります。また自分の顏に墨がついておつても自分ではわからない。顏に墨がついておるから、その墨をとつたらどうかということをわれわれは注意をしに行くのでありますから、その点は十分誤解のないように、国政調査に対しては、国税庁方面でも相当われわれがいじめに行く、こういうふうにお考えになつておるだろうと考えますけれども、いけないところはいけないとして指摘する。大阪の国税局に大上委員、田中委員、奧村委員と一緒に行きましたが、いけないところはいけない、またいいところはいいとはつきり示されて非常に参考になつた。従来の自分たちを反省をするのに非常なものがあつたというように、大阪局の方々も言つておられる。われわれも今までのあやまちについては目をつぶるが、これからのことについて十分に注意をしてもらいたいということを言つたのであります。われわれが税務署を調査する件につきまして、何も税務署に行く必要はないので、用事があつたらここに呼び出して調べる権限を持つておるが、そういうことをしてはいけないと考えてわれわれはやつておるので、その点は長官から各税務署の方へ十分御伝達願つて、一緒によりよき状態を生んで行くということに御協力を願いたいと思います。
○奧村委員 きようの委員会では、来年度の大蔵省の予算について、大体の輪郭を懇談的に政府委員から説明を願うという用意をしておつたはずでありますが、関係の政府委員が見えておりません。国税庁長官がお見えでありますから、せめて国税庁関係の来年度の予算について懇談的に御説明を願いたいと思います。と申しますのは、国政調査の結果によりましても、たとえば超過勤務手当、あるいは旅費、あるいは税務署などの官舎、あるいは滯納整理費、あるいは密造対策費、こういうものがかなり不足しておるというふうに感じておる。これは予算が決定してからこういう話をされるよりも、むしろ予算の折衝中にその話を聞いて、われわれも何らかの方法でお手伝いをしたい、こういう意味から懇談的にお尋ねをしたいのでありますから、許す範囲において御説明を願いたいと思います。都合によつては速記をとめて御説明願つてもよいと思います。
○夏堀委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○夏堀委員長 それでは速記を始めて……。
○有田(二)委員 結局国にとつては金もうけをしておるわけなのだから、そういう機関に対してはやはりできる限りの費用をさいて予算をとつて行くべきである。私も奥村君も一緒に予算委員をしておるわけです。予算の面においてわれわれできるだけとる。また私たち国政調査に参りましたときに、そういつたいろいろな陳情を聞いておるわけです。従つてそちらだけでおやりにならぬで、こういうものをやつておるからこつちからもひとつやるように、われわれもそれで動くという意味合いで申し上げておるのでして、特に今長官から税務署を減らす。――私も岐阜の郡上税務署へ行きましたが、八千万円から九千万円くらいの税金をとつておる所の総務課長、直税課長、間税課長、それから三十億も四十億もとつておる所の間税課長、総務課長、直税課長も同じことです。大きいところは課長の数をもつとふやして、たとえば直税一課長、二課長を設けるとかして、税の決定の上においてむりのないようにすることが必要だ。また小さいところは出張所にして、そこに課長二人ぐらい置いて調べて行くとか、何とか研究によつて実際に即した方法の道もいろいろある。それからまた現場の税務吏員が実際経費が非常に足りなくて苦労しておる、あるいは税務署長が官舎がないために遠い所から通つて来ておる、あるいは課長が通つて来ておるが、少くとも課長級以上の官舎はちやんと用意すべきだと思う。かような考えをおそらくどの委員も一緒に持つておるわけです。従つてもう少し打割つて親戚づきあいになつて、こういうものを考えて努力しておるのだからひとつ協力してもらいたいといえば、われわれも打割つて、実はこういう考えを持つておる。よりよき徴税の方法をやつて行くためにはこういうようにして行きたいと言う。今までのように一つそこにものを置いて話をするのでなくして、打割つてお互いが話をし合つてものを考えて行く。アメリカへ行かれてより民主的になられたあなたは、税務署とわれわれ国会との間ももつと民主的に話し合つて、われわれもできる限り協力すべきところは協力する、またあなた方もわれわれの力をできるだけ借りるというような方向へ行くべきだ、そういう意味のお話が奧村委員からあつたが、向うから決定がある前にわれわれは日をさいて主計局長なり大臣なりに――特に大臣は税務出身の大臣だから、どうしても税金中心でやるから、これだけはぜひ必要だ。各警察署長には署長官舎があるとか、その他のお役所にはほとんどそういうふうなものがあるのに、税務署だけがないというような点については遺憾である。その他の点についてもいろいろあるわけですが、どうかこれについての長官のさらに突き進んだ御意見を伺いたい。
○高橋説明員 税務職員に対して非常に御同情のある、またほんとうに実情に即したところのお言葉をいただきまして、まことに感謝にたえないところであります。ただこれは、簡單に比較するのはあるいは誤りであるかとも思いますが、アメリカにおきましては、百ドル当り五十二セントの徴税率になつておる。もちろん更正決定の調査の割合が非常に少いということになつておるのでありまして、ただちにそれのまねをするということは必ずしも妥当でないと思います。私ども現在三%近くの人件費を使つておりまして、昨二十四年度から二十五年度に移ります際におきましても、税額は相当多額、七百億程度の減税を見たのにかかわらず、徴税費としてはむしろ超過をしたというふうな状況になつておるのであります。それらの点につきましてはやはり時勢を考え、内部の金の使い方をもう少し効率的に、とうとい金でありますから、もつとうまく使つて行くという方向に持つて行くということをもつぱら考えております。それらの点につきましては皆さんに十分御批判をお願いして行きたいと思います。実は折衝の段階がまだきわめてあいまいであつて、しかも要求しました金額自体が実は私の留守の間に要求された金額であります。私自身も実はまだ十分にどれだけわかるというところまできまつてないような状況であります。その点御了承を願います。
○有田(二)委員 今長官から三%というお話がありましたが、先般大阪で調べましたときに、大体人件費としては国税庁の方は二・五%、今度の地方税の場合は七%になつておるし、今度は地方税はあらゆる努力をしましても、ある程度の増加は免かれない。そういうような点から考えても、アメリカと日本と比較して、アメリカがその程度だから日本も二・五%という考え方は当らないのであつて、漸次アメリカへの理想をわれわれは完成して行かなければならぬ。しかしこれについてはまだまだ日本はアメリカに比べて非常に劣つておるわけであります。将来日本の国民がアメリカの国民と同じような富の程度になり、同じような状態になつた場合は別でありますが、敗戰後の日本の現状としてはいたし方がないのであります。アメリカの例というのは必ずしも日本にはそのまま当てはまらない。従つて今奧村委員の言われたように、いろいろと是正しなければならぬ点がある。われわれは強力に応援したいのでありますが、それに対して長官はまあまあと言つて腰を引いておられる。長官の話を聞くと、それではわれわれはひとつも応援せぬでよいのかということになる。われわれが応援しようというのにあなたはいらぬと言う。これでは困るのであります。もつとすなおに私たちの考えを聞いていただいて、向うに劣らぬようにしたいと考えておるのであります。
    ―――――――――――――
○夏堀委員長 次にただいま議題となつております徴税問題に関連して、午前中の理事会において関東、信越方面の徴税状況の実地調査を行いたいとの発言がありましたので、この際お諮りいたします。徴税状況に関し関東、信越方面の実地調査を行うことに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○夏堀委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。
 なお調査人員、日数等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○夏堀委員長 では、次会は金融問題等に関して明日午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもつて散会いたします。
    午後四時一分散会