第008回国会 法務委員会 第2号
昭和二十五年七月十四日
      押谷 富三君    北川 定務君
      田嶋 好文君    中村 又一君
      猪俣 浩三君
が理事に当選した。
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昭和二十五年七月十八日(火曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 安部 俊吾君
   理事 押谷 富三君 理事 北川 定務君
   理事 猪俣 浩三君
      鍛冶 良作君    佐瀬 昌三君
      高橋 英吉君    牧野 寛索君
      松木  弘君    吉田 省三君
      田万 廣文君    上村  進君
      梨木作次郎君    世耕 弘一君
 出席政府委員
        法務政務次官  高木 松吉君
 委員外の出席者
        検     事
        (検務局長)  高橋 一郎君
        最高裁判所事務
        総長      五鬼上堅磐君
        専  門  員 村  教三君
        専  門  員 小木 貞一君
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七月十七日
 委員石井繁丸君辞任につき、その補欠として足
 鹿覺君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
 小委員会設置に関する件
 小委員及び小委員長選任
 土地台帳法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二号)
 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の
 災害及び同条の規定を適用する地区を定める法
 律案(内閣提出第六号)(予)
 人権擁護に関する件
 集会デモ禁止に関する件
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○安部委員長 これより会議を開きます。
 本日の議事日程に入ります前に、去る十四日の委員会におきまして協議決定し、議長に提出いたしました国政調査承認要求書は、十五日議長において承認されましたことをお知らせ申します。
 本日の議事日程は、土地台帳法等の一部を改正する法律案、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案及び人権擁護に関する件であります。まず土地台帳法等の一部を改正する法律案について、政府の提案理由の説明を聴取することにいたします。
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○高木政府委員 土地台帳法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 現在の土地台帳及び家屋台帳は、土地家屋の状況を明らかにし、地租及び家屋税を徴収するために必要な事項を登録する課税台帳でありますと同時に、地籍、家屋籍に関する台帳といたしまして、不動産登記制度の基礎ともなつているのであります。しかるにこの土地台帳及び家屋台帳に登録する賃貸価格の調査決定は、税務署においてこれを行うこととなつております関係上、その台帳の事務は税務署の所管とされていたのでありますが、他方不動産登記の事務が登記所の所管でありますために、不動産制度の見地から考えますならば、いたずらに手続を煩雑にし、事務処理の円滑を欠くうらみがあつたのであります。今回地方税法の改正が行われようとしておりますが、これによりますと、地租及び家屋税は市町村がこれを徴収することといたしますとともに、その課税は、右の賃貸価格を基準とせず、毎年市町村において認定する土地家屋の価格を基準として行われることになりますが、その結果といたしまして、賃貸価格の登録をする必要がなくなり、従つてまた税務署において台帳事務をつかさどる理由も消滅することとなるのであります。ここにおいて、土地台帳及び家屋台帳の事務は、これと最も関係の深い不動産登記の事務をつかさどる登記所に移管し、あわせて土地台帳及び家屋台帳の事務と不動産登記の事務との間に、ある程度の手続上の簡易化をはかりますとともに、従来通り市町村に土地台帳、家屋台帳の副本を備え、市町村の課税上支障を生じないように相互の連絡をはかることといたしたのであります。以上申し述べました趣旨によりまして、土地台帳法、家屋台帳法、不動産登記法その他関係法律の規定に所要の改正を加えるため、この法律案を提出いたした次第であります。
 以下この法律案の重点を申し上げますと、まず、土地台帳法の改正におきましては、第一に、土地台帳の事務を登記所に移管いたします結果、登記所に土地台帳を備え、その登録の事務は、当該土地につき、登記の事務をつかさどる登記所がつかさどるものといたしました。
 第二に今後は土地台帳に賃貸価格を登録する必要がなくなりますので、土地の賃貸価格に関する規定は、全部廃止することといたしました。なお市町村におきましては、土地台帳の副本に課税の基準となる土地の価格を記載することとなりますので、今後は土地台帳にも市町村長の通知により土地の価格を記載するものといたしました。
 第三に土地の異動に関する所有者の申告は、現在ではすべて市町村を経由してすることとなつておりますが、今後は、直接登記所に対してすることもできるものといたしました。
 第四に法令により登記名義人またはその相続人に代位のて、不動産の表示の変更その他の前提登記を申請し、または嘱託することができる場合でも、従来は、土地台帳法による申告を代位してすることができませんでしたため、種々手続上の不便を生じましたので、今後は、これらの登記を申請し、または嘱託し得るものは、土地台帳法による申告者に代位してその申告をすることができるものといたしました。
 第五に現在土地台帳の閲覧は許されないこととなつておりますが、今後土地台帳が登記所に移管されますと、登記との関係が現在以上密接となり、その閲覧の必要を生じて参りますので、従来の謄本の交付の制度のほかに、新たに土地台帳の閲覧を認めることといたしました。
 第六に現行の土地台帳法は、申告、土地台帳の副本等に関する重要な事項をも、その施行規則においてこれを規定いたしておりますが、これらの規定を整理いたしまして、土地台帳法中に取入れることといたしました。
 第七に罰則につきまして、他の法律における罰則との均衡をはかるため必要な整備を行うことといたしました。
 次に家屋台帳法の改正におきましては、土地台帳法の改正と同様の趣旨によりまして、第一に、登記所に家屋台帳を備え、その登録の事務は、当該家屋につき登記の事務をつかさどる登記所がつかさどるものとし、第二に、家屋の賃貸価格に関する規定を廃止するとともに、家屋台帳には市町村長が通知した家屋の価格を記載するものとし、第三に家屋台帳法施行規則中重要な規定を家屋台帳法中に取入れることといたしましたほか、家屋に関する申告、家屋台帳の閲覧、罰則の整備につきましても、土地台帳法とほぼ同様の改正を加えることといたしました。
 さらに不動産登記法の改正におきましては、第一に現在登記所が土地の所有権、質権もしくは地上権または家屋の所有権の得喪変更等に関する事項の登記をしました場合には、これを税務署に通知して、税務署はこれに基いて土地台帳または家屋台帳の登録を修正することとなつておりますが、今後はその必要がなくなりますので、その通知を廃することといたしました。
 第二に現在不動産の所有権の保存の登記及び不動産の分割、合併その他表示変更の登記を申請する場合には、土地台帳また家屋台帳の謄本を添付することとなつておりますが、今後はその必要がなくなりますので、これらの謄本の添付を要しないものといたしました。
 第三に不動産または、登記名義人の表示が、登記簿と土地台帳または家屋台帳と符合しない場合にには、その一致をはかるための措置としまして、当該不動産または登記名義人の表示の変更の登記により、まずこれを符合させた後、他の登記をすべきものといたしました。
 第四に登記申請の手続の簡易化をはかる意味におきまして、土地台帳法または家屋台帳法による申告をする場合に別に登記の登記録税の納付があれば、その申告のほかに、不動産の表示もしくは登記名義人の表示の変更の登記または所有権保存の登記の申請があるものとみなして、その登記をすることといたしました。
 なお第七国会におきまして、本法律案と同様の法律案を提案いたしまして御審議を願いました結果、衆議院本会議において可決され、参議院におきましても、法務委員会においては可決すべきものと議決されたのでありますが、地方税法案との関係がありますので、結局成立を見るに至らなかつたのであります。今回の法律案は、地方税法案に形式的に規定を合せるために、土地台帳法第三条その他二、三の規定を修正いたしておりますほかは、すべて前回の法律案と同様であります。
 以上申し上げましたのが、この法律案についての概要であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願いいたします。
○安部委員長 これにて提案理由の説明は終りました。御質疑がありませんか。――質疑がなければ……。
○梨木委員 これはこの前の国会に審議をされたらしいのでありますが、われわれはまだ受取つたばかりで、今提案理由の説明があつたばかりでありますから、この質疑については、もう少し続行してもらいたい。これを動議として提出いたします。
○安部委員長 続行するという動議ですか。
○梨木委員 そうです。きようはこれで打切つて……。
○安部委員長 それでは質疑はこれで打切りません。
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○安部委員長 次に罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案を議題といたします。政府より提案理由の説明を聴取いたします。
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○高木政府委員 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 罹災都市借地借家臨時処理法は、あるいは罹災建物の旧借主に優先的に借地権を取得させ、あるいは罹災地の借地権で今後存続させる意思がないと認めれらたものを消滅させる等の道を開き、借地借家関係を調整して戦争による罹災都市の急速なる復興をはかることを目的として制定されたのでありますが、その後同法の改正により第二十五条の二の規定が追加せられた結果、戦災の場合のみならず、別に法律で指定した火災、震災、風水害その他の災害の場合にも、同法の規定を適用して、かかる災害地の復興の促進に資することとなつたのであります。そうして同法第二十七条第二項によりますと、その適用地区もまた災害ごとに別に法律で定めることになつているのであります。
 よつて去る五月十三日長野県西筑摩郡上松町に発生いたしました火災及び去る六月一日秋田県北秋田郡鷹巣町に発生いたしました火災につきまして、それぞれ地元の県及び町の意向をも参酌しまして、その被害状況等を調査検討いたしましたところ、右災害につき、同地区にも罹災都市借地借家臨時処理法の規定を適用することといたしますのが、同町の借地借家関係を調整し、もつてすみやかに同町を復興させるゆえんと考えられますので、ここに本法律案を提出した次第であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決せられんことをお願いいたす次第であります。
○安部委員長 これにて提案理由の説明は終りました。御質疑がありませんか。
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○安部委員長 御質疑がなければ、次に人権擁護に関する件を議題といたします。これは去る十二日の夕刊中部日本に報道された大阪地方裁判所に関する事件でありまするが、なおこの件につきまして押谷委員より発言の通告がありますので、これを許します。
○押谷委員 まだ最高裁判所の事務総長がお見えになつておりませんが、ちよつと待つてはいかがでしようか。
○安部委員長 それでは最高裁判所の方より事務総長が来るまでしばらく待つことにいたします。
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○安部委員長 この際お諮りいたします。今日の日程を追加いたしまして、小委員会設置に関する件を議題といたしたいと思うのでありますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安部委員長 御異議なしと認めて、さよう決します。さきに承認を得ました国政調査事件のうち、早急な法制化の望まれる鉄道犯罪に関する件、土地家屋調査士に関する件及び限時法に関する件について、それぞれ小委員会を設けて、その調査及び法案の起草に当りたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安部委員長 御異議なければ鉄道犯罪に関する小委員会、土地家屋調査士に関する小委員会及び限時法に関する小委員会を設置することに決します。
 次に小委員選任の件についてお諮りいたします。小委員選任の件は、選挙の手続を省略いたしまして、委員長において御指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安部委員長 御異議なしと認めまして、それでは鉄道犯罪に関する小委員として
   田嶋 好文君  花村 四郎君
   佐瀬 昌二君  大西 正男君
   猪俣 浩三君  梨木作次郎君
   世耕 弘一君  安部 俊吾君
以上八名を指名いたします。
 土地家屋調査士に関する小委員といたしましては
   押谷 富三君  角田 幸吉君
   北川 定務君  佐瀬 昌三君
   田嶋 好文君  山口 好一君
   大西 正男君  中村 又一君
   猪俣 浩三君  梨木作次郎君
   世耕 弘一君  安部 俊吾君
の十二名であります。
 限時法に関する小委員といたしましては
   北川 定務君  高橋 英吉君
   田嶋 好文君  山口 好一君
   牧野 寛索君  大西 正男君
   中村 又一君  猪俣 浩三君
   田万 廣文君  上村  進君
   安部 俊吾君
の十一名を御指名いたします。
 次に小委員長選任の件についてお諮りいたします。
○牧野委員 小委員長の選任については、選挙の手続を省略して、委員長において御指名あらんことを望みます。
○安部委員長 ただいまの牧野寛索君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安部委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長より御指名申します。鉄道犯罪に関する小委員会小委員長佐瀬昌三君、土地家屋調査士に関する小委員会小委員長田嶋好文君、限時法に関する小委員会小委員長北川定務君を御推薦いたします。
    ―――――――――――――
○安部委員長 それではただいま最高裁判所事務総長がお見えになりましたから、押谷富三君から発言があります。
○押谷委員 お尋ねしますのは、七月十二日の中部日本新聞に掲載されておる件でありまして、大阪の八尾市に起りました人権蹂躪問題について、最高裁判所事務総長並びに法務次官にお尋ねいたしたいと存じます。
 事件の概要は、去る六月二十六日関西線八尾駅において松本三智男と称する男が、暴漢に襲われて暴行傷害を受けたのでありますが、これにつき八尾市警察署において、同市の韓止夫と称する二十七才の青年を容疑者とにらみ、翌二十七日午前三時ごろ同人の自宅でこれを緊急逮捕して、引続き勾留したのであります。この事件につき、勾留状は六月二十九日大阪地方裁判所判事によつて出されておりますが、かんじんの逮捕令状は、警察が請求することを忘れていたため出されておりません。ところがこの逮捕状がないことを、逮捕から九日を経過した本月六日に至つて初めて発見して、周章狼狽した警察官は、裁判所書記官補としめし合せて、不法にも日付をさかのぼらせて、六月二十九日付の逮捕令状を作成して、裁判官の署名捺印を求め、判事もまた迂闊千万にもこれに署名捺印したという事件であります。申すまでもなく憲法二十三条により、何人も、現行犯以外は逮捕令状によらねば逮捕されないことは、もちろんであります。また緊急逮捕の場合も、逮捕後ただちに逮捕令状を請求して、もし令状が発せられないときは、即時被疑者を釈放しなければならぬことは、刑事訴訟法第二百十条に明記されているところであります。しかるに逮捕令状のないまま九日間も被疑者を勾留したことは、人権蹂躙もはなはだしきものといわねばなりません。この点について、さきに最高裁判所に事実の調査を求めておきましたが、調査ができておりますれば、その結果と、これに対するお考えを承りたい。
○安部委員長 この際お諮りいたします。ただいまの押谷委員の発言に関して最高裁判所より発言を求めておりますが、これを許すに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安部委員長 御異議なしと認め、発言を許します。五鬼上最高裁判所事務総長。
○五鬼上説明員 お尋ねの案件につきましては、目下最高裁判所の方で大阪地方裁判所に照会して、その事実を確かめつつあるのであります。ただ新聞の記事だけでは、どういう経過で勾留状が発せられたかよくわからぬのです。なおその照会したのに対して、まだ今まで回答がありませんので、いずれ回答かあり次第詳細に御答弁申し上げたいと思うのであります。お尋ねのごとく、緊急逮捕に関する手続は、仰せられるような手続が定められてありますが、それがもしお尋ねのような事実であつたならば、どういうようないきさつでそういうことになつたのか、どの程度まで裁判所がそれに関知したかは、十分調査して、明確な御答弁を申し上げたいと存じます。ただいまのところでは、私の方に資料が参つておりませんので、はなはだ遺憾でありますけれども、資料が参り次第お答えいたすことにしたいと思います。
○押谷委員 この事件について私の聞いたところでは、判事が逮捕状を出す際に、警察官あるいはその他の人から、逮捕状を落したとか、なくしたとか言つて、偽つて署名捺印を求めたということでありますが、一体裁判官の事務取扱い上、逮捕令状の再発行というようなことが事実許されているかどうかを一応お伺いしたいと思います。
○五鬼上説明員 逮捕令状の効力かなくなつたとか、あるいは実際に失われておるような場合には、再び逮捕令状を出しておると思われます。
○押谷委員 この事件のように期日が一定の日を過ぎましてから、逮捕後九日も経過してから、日にちをさかのぼらせて出すというような取扱いがあるものですか。
○五鬼上説明員 かような事実は今までないと思います。
○押谷委員 判事が勾留状を出す場合におきまして、当該被疑者に逮捕令状が出されているかどうかというふうなことをまず調べてから勾留状を出すのが、妥当ではないかと思うのでありますが、この勾留状を出す場合に、逮捕令状か出されているかどうかというふうなことは職権で調査するようになつておらないのですか、その点をお伺いしたい。
○五鬼上説明員 普通の手続といたしましては、逮捕令状が出されているかどうかということを、一応取調べてやつていることと思います。
○押谷委員 新憲法の精神からしますれば、逮捕令状の請求があつた場合におきまして、裁判官は一応内容を調査して、その請求を拒否すべき場合がなければならぬと思うのであります。今日の実情はほとんど盲判で例外なく出されていると思うのでありますが、もしそうであれば、憲法の精神も制度のねらいも、まつたく蹂躪されているといわなければなりません。そこでこの関係をまずお尋ねいたしたいと思います。
○五鬼上説明員 新刑訴のもとにおける逮捕状、勾留の制度につきましては、立法自体に検討を要するものがあるのであります。ただいま仰せられたように、令状を発する裁判官に必要な審査権を与えるかどうかということは、これは明文がございませんので、かような明文をもつて与えなければならぬというような意見もあるのであります。目下最高裁判所の方においては、その手続については研究中であります。なお逮捕状の却下の割合については、今詳しい数字は持つておりませんが、新刑訴の公布当時に比較して、最近においては却下する率が相当増加しているということは申し上げられると思います。
○押谷委員 その却下はやはり内容を調査した上での却下ですか。
○五鬼上説明員 その点は今少し資料を調べないと、どういう点でどう却下したのか、ただ率が多少増しつつあるということだけでありまして、どういう理由で却下したか、たくさんあるだろうと思いますので……
○押谷委員 これは今日でなくてもいいわけでありますが、最近における逮捕令状の請求があつた数と、却下されました数との統計がもしありますれば、お示しを願いたいと存じます。それからこれに関連して法務政務次官にお尋ねいたしたいと存ずるのでありますが、最近緊急逮捕の濫用は、まつたく目に余るものがあると存じます。この濫用はまさに枚挙にいとまのない程度に達しておるのでありまして、今日にして何らかの手を打つにあらずんば、たいへんな事態になるのではないかと思うのでありますが、これによつて人権が蹂躪されておりますことは、まことにおびただしいのであります。新刑事訴訟法でも改正して、緊急逮捕の制度をやめにしなければならぬ事態に立ち至るのではないかと、私どもは考えているのでありますが、法務次官におかれてはどうお考えになつておられるか、この点をお伺いしておきたいと思います。
○高橋(一)政府委員 政務次官にかわりまして、私からお答えをいたしたいと思うのでありますが、緊急逮捕の濫用ということにつきましては、一般の逮捕あるいは現行犯による逮捕と同様に、いやしくも濫用すべからざることは、お説の通りと考えるのであります。緊急逮捕いたしました場合でも、ただちに裁判官に逮捕状の請求をいたしまして、もし認められなければ、ただちに釈放しなければならないことに相なつておるのでありまして、私どもといたしましては、現在の段階において、さように緊急逮捕が濫用されておるというふうには承知いたしておりませんが、しかしそういうことのないように今後とも十分注意いたすつもりであります。
○押谷委員 これは後日具体的な例を示しましてこの緊急逮捕の濫用による人権蹂躪のことは、重ねてお尋ねをする機会があると存じますが、最近犯罪の捜査検挙にあたつて、逮捕令状がむやみやたらに濫用されておる傾向があることであります。これは私か関係いたしました選挙違反の事件でありますが、一つの事件で二十数名に逮捕状が出されて、そうしてそれか起訴されたのは、ただ一人というような事例もあります。また先般の参議院の選挙の後におきましても、選挙違反関係でずいぶん逮捕令状が濫発されているようでありますが、逮捕される本人にとりましては、きわめて重大な問題であるにかかわらず、検察当局あるいは警察官は、きわめてむぞうさに、日常茶飯事のごとくこれを取扱つておりますることは、まことに遺憾しごくと存じます。そこで最近における逮捕令状が出された数と、これに対して起訴された数と、不起訴になつた数との統計があればお示しを願いたいと存じます。この点ついての御意見を承りたいと思います。
○高橋(一)政府委員 具体的に逮捕状の濫発ではないかというような事案につきましては個々に注意して調査をいたします。
 なおただいまの御要求の逮捕令状が出た数と、それに照応する起訴、不起訴の数というものも、後に資料として提出いたしたいと考えております。
○押谷委員 なお今日までの多くの場合におきまして、逮捕令状が出された場合は、ただちにそのことが新聞に報道されるのであります。特にそれが有名人の場合におきましては、逮捕令状はもちろん、単なる召喚の場合でも、ほとんど例外なく新聞に載ることになつております。本人にとりましては、これくらい迷惑しごくなことはないのでありまして、後日疑いが晴れましても、一々世間に弁明して歩くわけにも行きません。これによつて毀損された名誉はなかなか回復困難であります。従つて逮捕令状を取扱うすべての係官は、慎重の上にも慎重を期しまして、その秘密を厳守することが、犯罪捜査の上からも、また本人の名誉を尊重する上からも、絶対必要だと思うのでありますが、事実はこれに反して取扱う係官から、これを漏らされているというような実情にあるごとく考えられるのであります。こういうような点について、今何とか適当な手を打つにあらずんば、これは非常な迷惑を受けている人が多いと思うのであります。この点一つお伺いしたいと思います。
○高橋(一)政府委員 刑事事件の被疑者となつたというような段階で、非常にぎようぎようしく新聞に扱われて迷惑をこうむるというようなことは、ままあることでございまして、そういうことはきわめて遺憾であるというふうに考えております。検察庁としましては、こういう点につきまして、絶対にそういうことを漏らさないというふうに取扱つておるのでありますが、何分捜査活動は大勢の人でいろいろな動きをいたすものでありますから、一方新聞社の取材活動も非常に熾烈でございまして、不本意ながらそういうことが出るということがございますけれども、警察として十分注意を払つておるはずでございます。これは新聞の方の関係もございますし、できるだけ関係者の自粛によりまして、是正いたしたい問題であるというふうに考えます。
○押谷委員 今の新聞に漏らす問題でありますが、これは私の知つておる範囲では、ほとんど例外なく実は漏れているのでありまして、はなはだしきは逮捕令状が出たことが新聞に書かれて、それから数時間後あるいはその翌日に逮捕に来るというようなことが多いのであります。これは何人かが漏らさなければ、逮捕令状が出たというようなことはなかなかわからない事態にあると思うのであります。特に本人の名誉のために、また捜査の完璧を期するために、この点を将来とも御注意を願いたいと存じます。
○鍛冶委員 ちよつと関連して――今五鬼上事務総長の答弁の中でちよつと重大なことがあると思いますから、お伺いいたします。逮捕状を判事が発せられるとき、事実を調べてやるかどうか、条文にないからというお話でありましたが、われわれはいやしくも裁判官が出します令状は裁判の結果だ、裁判であるならば事実を調べ、これに証拠がなくては決定ができないものと考えております。これは新刑事訴訟法だけではありません。旧刑事訴訟法の時代でも、われわれはやかましく言つた。十日の強制処分に対しては、判事には審査権がないなどという説をしておつた人がありますが、いやしくも判事が裁判をする上において、審査をしないで裁判できるわけはないと思うのですが、この点はいかがお答えでしようか。
○五鬼上説明員 私が先ほど申し上げましたのは、少し言葉が足らなかつたのだと思いますが、事実を申し上げておるのではなくて、結局裁判官に逮捕状を発付する必要性の審査権があるかないかということは、相当意見がまちまちのようにわれわれは考えております。この点について明文をもつてはつきり審査権があるんだということを定めたらいいじやないかというような説もあるということを申し上げたのであります。事実も全然調査しないで発付するというような権限はないのであります。
○鍛冶委員 これは世上往々聞くことですが、ことに選挙違反などになると、裁判所から令状の判を押してもらつたものを何枚か預かつておいて必要のあるときに警察官が書き入れて出すということを聞くのですが、さような事実はありますか。まずそれから伺いたい。
○五鬼上説明員 裁判所としては、さような事実は承つておりません。白紙の令状を先に渡しておるというようなことは、われわれのところではそういう事実があるということはございません。
○鍛冶委員 検察庁の方では、そういうことはあまりないと思います。これは警察です。われわれでも、りつぱな人を何もそんな逮捕状を持つて行かぬでも、出て来いと言えば来るんだし、そんなことをやらなくてもいいじやないかと言いますか、近ごろは逮捕状を出さなければ出て来ない人があるから、いやでも出て来るためには逮捕状を出さんならぬ。こういうことで今柳谷君の言われたような大きな弊害か生じておると思うのですが、要否にかかわらず警察官が逮捕状を持つて行くように、検察庁において指導しておられるかどうか、この点を検察当局から承つておきたいと思います。
○高橋(一)政府委員 白紙の令状を受取つておつて、これを捜査の用に使うというようなことは、絶対にしないというふうに指導いたしております。
○鍛冶委員 それはもちろんのことですが、それでなくても要否にかかわらず、何でもかんでも調べるときは逮捕状を持つて行つて調べる方が便利だ、こういう指導をしておられますか。
○高橋(一)政府委員 御質問の趣旨を十分了解しませんで失礼いたしました。捜査の際には何でも逮捕した方が便利だというような指導は、絶対いたしておりません。
○鍛冶委員 以上の点から、最高裁判所並びに検察当局にお願いいたしますことは、いやしくも逮捕状を出される以上は、逮捕の要否を確められた上、裁判をした上でなかつたら出さぬということの指導をしてもらいたいと考えます。なおまた検察当局においても、逮捕するにあらざれば取調べができぬという重大なる必要性を認めない限りは、これを使用せないというような指導をしてもらいたいと思います。異議がなければ御返事はいりませんが、もしあるならば御返事を願いたいと思います。
○高橋(一)政府委員 全然異議はございません。なお先ほど問題になりました大阪の事件につきまして、法務府といたしましては、大阪地方検察庁に照会して、一応の調べの結果が参つておりますから、それをこの際御報告したいと思うのであります。
 現在は関係の警察と裁判所のそれぞれ職員につきまして、捜査をいたした段階でありますが、問題の韓正夫は強盗傷人罪の嫌疑によつて、六月二十八日の午前三時半ごろ同人の自宅で緊急逮補したのであります。即日逮捕状の請求をすれば万全だつたのでございますが、たまたま同署ではそれから数時間前に、官内で発生しました賭博の現行犯の犯人を十八名逮捕しておりまして、その取調べに忙殺されたために韓の逮捕状の請求は、翌日の二十九日に延びたようであります。それで二十九日の午後五時ごろ、大阪地方裁判所において勾留状と同時に逮捕状の請求をいたしまして、逮捕状と勾留状との発付を受けまして、身柄を同署で拘束の上、引続き捜査を継続して七月六日身柄とともに一件記録を検察庁に送つたのでありますが、その際に逮捕状が紛失しておることを発見をした同署の職員が、裁判所の緊急処分係という係があるそうでありますが、そこにお話をして、さきに逮捕状を発しました裁判官に対して逮捕状紛失の顛末を申告して、その再発行を受たのであります。ところがさきに紛失した逮捕状がその後間もなく同署において発見されましたので、一件記録にはこちらの逮捕状を添付して送り、再発行された逮捕状はそのまま地方裁判所へ返却したものである、こういうことであります。かような場合におきましても、逮捕状の再発行ということは不穏当でありまして、逮捕状が出たということを証明するための何か紛失始末書のようなものをつくつて、これに裁判所の方の証明でもいただくというふうにでもすれば、一番よかつたのじやないかと思うのでありますが、そのような手続をしないで、再発行という形式をとつたのは、若干不穫当であると思いますけれども、実態はただいまのような事情でありまして、深くとがむべきものはないのではないかというように見受けられるのであります。
 なおこの被疑者の事件がどうなつたかと申しますと、最初強盗傷人の嫌疑でありましたけれども、検察庁において事案検討の結果、七月の十三日に恐喝罪で令状切りかえの上切りかえと申しますのは、それまで強盗傷人の勾留状になつておつたようでありますが、それを恐喝罪として身柄付のまま大阪地方裁判所に公判を請求しておるようであります。従いまして先ほどの御疑問にもありましたように、起訴もできないような事件を、このような乱暴な手続で勾留したというような実態でもないようであります。なお捜査を続けておるようでありますけれども、もし特段のことがなければ、これをもつて私の方の御報告にかえて、かわりがありましたら、またこちらで御報告いたしたいというように考えております。
○梨木委員 検務局長と最高裁判所の事務総長に伺いたいのですが、この逮捕状のことでありますが、最近職業安定所におきまして、あぶれがたくさん出る。そこで仕事をもらいたいというような陳情が行われておるのでありますが、これに対しまして、具体的な例を申しますならば、渋谷職業安定所のことでありますが、そこでは警察官が参りまして、おれは逮捕状を持つておるのだがと言つて、いつでも逮捕するぞといつておどかしておるのであります。で聞きますと、いつでも逮捕できるのだ、名前を書かない逮捕状を持つているのだ、こういうようなことを言つておどかしておるのであります。そこでまず検務局長に伺いたいのは、一体検察庁では今の質問にもありましたが、名前を書かない逮捕状を出して、こういう大衆行動の場合に逮捕するのに便宜のように、名前を空白にしたままの逮捕状の請求をされておるのかどうか。そういう指導をしておるのかどうか。事実そういうような名前を書かない逮捕状を持つて、そのような言動を警官が行つておるのでありますから、この点についての指導の方針並びに具点的に――これは渋谷職業安定所のことでありまして、渋谷のそこの所轄の警察官が、そういう行動を行つておるかどうかを調査して報告してもらいたい。これがまず検務局長に伺いたい点であります。
○高橋(一)政府委員 ただいまのような事実につきましては、私どもは全然聞いておりませんし、またそのような場合はおおむね現行犯逮捕をするのが普通ではないか。つまり職業安定所で最近行われますことは、公務執行妨害でありますとか、暴力行為というようなことが多いのでありまして、そういう事案につきましては、その場で必要であれば現行犯逮捕ができるのでありまして、特に令状がないのに令状を持つておるというような指導をするわけがないというふうに考えられるのであります。また白紙の令状を持つておるといつたようなことは、事実あり得ないことと考えておるのであります。
○梨木委員 それは、まことに実情を知らない御答弁なんでありまして、実際、暴行とか公務執行妨害で――それはなるほどそういう事実があるなら現行犯として逮捕できます。ところが、今私が質問した事実というのは、何もやつておらない。ちやんとすわつているだけなんです。そういう者を逮捕しようとする場合に、それをおどかしてやつている。だからそこが問題なのでありまして、事実、公務執行妨害も暴行も何も加えておらないのに、単にそれをけ散らすために、逮捕状を持つておるぞと言つておどかしておるのであります。こういう事実なんでありまして、これは検務長官においても、もつと職業安定所の実情をよく見て、そして御答弁を願いたい、こういうように思うのであります。
 それから、これは先ほども最高裁判所の事務総長の御答弁もありましたので、繰返して申しませんが、名前を書かない逮捕状というものを事実出したことが全国的にあるかどうか、そういう違法な逮捕状は出さないように、厳重にやつてもらいたいと思うのでありますが、その点についての御所見を伺いたいと思います。
○五鬼上説明員 先ほども御答弁申し上げましたように、白紙の逮捕状を出したという例は、われわれ一つも見ておりません。またさようなことはないと信じております。
○梨木委員 それから検務長官に伺いたいのでありますが、反戦的な行動をしたために、検挙並びに起訴されたという事実がどれくらいあるか。その統計並びにその内容を伺いたいのであります。
○高橋(一)政府委員 反戦的な行動と申しますと、非常に内容が確定できないので、統計的にもこれはつかみにくいと思うのでございます。どのようなふうに考えたらよろしいか。
○梨木委員 具体的には、反戦的なビラをまくとか、あるいは反戦的な演説をするとか、あるいは反戦的な新聞を発行するとか、大体こういうことであります。そういうことで検挙並びに起訴された件数と、どういう内容で検挙起訴されているか、これを伺いたい。
○高橋(一)政府委員 ただいまのような事案は全国各地で行われておりますので、統計が必ずしも正確であるとは言えませんが、一応七月十日ごろにとりまとめた事案といたしましては、例の五月三十日の事件に関しまする質問書を内容とする昭和二十一年勅令三百十一号違反で検挙された者が七十七人くらいあります。それからその他の反戦ビラなどにつきましては四十三人あります。合計いたしますと百二十名、こういうことになります。
○梨木委員 その反戦ビラの内容、これは戦争を放棄し、武装を放棄した日本の憲法の趣旨から申しまして、戦争に反対するいうことがなぜ犯罪的な行為と目せられるのか、きわめてこれは重大なことなんでありまして、どういう点が犯罪の容疑になつているのか。これは今後の日本の人民が戦争に巻き込まれないために、平和を守るための運動を展開して行く上において、人民の行動の基準になるものでありますから、これをお示しを願いたいと思います。
○高橋(一)政府委員 五月三十日の事件に関しまするいわゆる質問書と申しますのは、梨本さんもよく御存じだと思つておりますが、これは勅令三百十一号によりまして、一九四五年終戦の年の九月十日の出版及び言論の自由に関する覚書という指令がございます。それに、論議し得ざる事項は、占領軍の公表せられざる軍事的活動、占領軍に対する虚偽または破壊的な批判及び風説ということになつておりますが、この虚偽または破壊的な批判ということで検挙、訴追されているのであります。それからその他の反戦ビラ等につきまして、内容を今日具体的に記憶しておりませんけれども、やはり今申し上げました虚偽または破壊的な批判ということに該当するということで検挙、処理されているのであります。従いまして、非常に健全なる政党がまじめに政策を論議するというような場合の言論というものには、触れていないのでありまして、要するに一連の、事態を混乱と破壊に導いて行こうというような組織的な意図から来るところの言論が、対象になつているのであります。
○梨木委員 反戦ビラで四十三人が検挙されたというのでありますが、これは違反をしているという法規は、どれに該当しているのかということが一つ。それから今御答弁のありました破壊的な批評だとか、こういうことなのでありますが、この四十三人の質問書の事件の点はわかりますが、しかし四十三人の反戦ビラの問題で検挙されたということの内容は、非常に重大でありますので、この四十三人が検挙、起訴されたのならば、その内容を具体的に一つ一つ資料を御提出願いたいと思います。これが一つ。具体的に伺いますが、戦争に反対だということ、並びに武器の輸送に反対、それから南鮮向けの武器輸送反対、こういうこと、南鮮から手を引け、こういうようなことは、私は日本を戦争に巻き込まれないように平和を守る一つの運動であると思いますが、この程度のことを一体検察庁は取締つておるのかどうか、これをお伺いいたします。
○高橋(一)政府委員 ただいまお尋ねの法律上の根拠でありますが、昭和二十一年勅令第三百十一号というのがございます。これは聯合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する件という勅令でありますが、それにこういうことが規定してあります。「占領目的に有害な行為をした者は、これを十年以下の懲役若しくは七万五千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」というのが第四条にありまして、第二条の第三項に「この勅令において、占領目的に有害な行為というのは、聯合国最高司令官の日本帝国政府に対する指令の趣旨に反する行為、」云々を言うのであるという規定がございます。従いまして根拠となるべき指令の存在を必要とするものでありますが、これは先ほども申しましたように、今回の質問書その他の事件におきましては、一九四五年九月十日の言論及び出版の自由に関する件というメモランダム、これがいわゆる連合国最高司令官の日本政府に対する指令でございますが、これに違反するのであります。従つてこの勅令の第四条で処罰される、こういうことであります。ほかにも言論関係では、たとえば一九四五年の九月十六日だつたと思いますけれども、いわゆるブレス・コードと称せられる指令がございまして、やはり言論関係が中正公平であるべきこと、真実であるべきことを規定しておるのであります。
 次は、たとえば武器輸送反対というようなスローガンはどうなるかというお尋ねではないかと思うのでありますが、これらは具体的にそのときの事情環境といつたものを総合的に判断すべき問題であると考えるのであります。従つて単なるそういうスローガンであるから、このような指令違反にはならないというふうに断定することはできないのではないか。たとえば現に占領政策の一環として武器の積出しが行われております地域におきまして、武器輸送反対というようなスローガンを大いに宣伝する、そのことがひいて現実の占領政策の遂行に障害となるというような事態におきましては、やはり問題となるのではないかというふうに考えられるのであります。一概にはどうも申し上げられないのであります。
○梨木委員 今の御答弁の中で、占領政策の一環として武器輸送が行われるということは私には了解できないのであります。われわれの了解しておるところでは、日本を占領し管理しておるということは、日本を民主化し、日本の武装を撤廃し、日本を平和的な国家にするために、これを助長し援助するために、占領政策というものが行われておるものと私は考えておる。ところがあなたの御答弁では、占領政策の一環として武器の輸送が日本人民に指令されるということは、私は了解できないのでありますが、そういうことがあり得るのでありましようか。
○高橋(一)政府委員 表現の問題は別といたしまして、この問題は本会議等ですでに種々論議か尽されておるところでございますし、私どもがここで答弁するに適しない問題であると考えるのであります。
○梨木委員 御答弁ができないとおつしやれば、それまでですから、いずれまた法務総裁に伺いますが、しかし実際日本検察の総元締めであられる検務長官から、われわれはあなたの言明や取締り方針を伺いまして、それによつて行動の一つのめどをつければならぬのであります。でありますから、この点については具体的には戦争反対、軍事基地化反対というようなビラをまいたり演説をするということは、これは私は占領政策に有害なる行為中のどこに該当するかわからない。あなは今武器輸送反対だけの問題について御答弁がありましたが、戦争反対、軍事基地化反対、平和を守れ、平和投票をやれというようなことは、これはどうなるのでありましようか、これをひとつ具体的に伺いたい。
○高橋(一)政府委員 先ほどから申し上げております通り、いろいろな仮説の例を掲げて、ここでそれを具体的に論議することは不適当であると考えるのであります。たとえば平和投票につきまして、別の例をとりますと、選挙違反になるかどうかというような問題で、平和投票は選挙違反になるかならぬかというようなことは、抽象的には必ずしもきめにくい問題で、実際ありました選挙の当日に、特に一定の事情のもとに平和投票を行うというようなことは、ひいて特定の候補者のための選挙運動というふうに認められる。従つていわゆる当日運動というようなものに該当するということも考えられるのでありまして、抽象的にここでその間の限界を申し上げることはできないのであります。
○梨木委員 私は非常に大事なことを聞いておるのでありまして、実際今一般国民の間には、どういうふうな一つの不安と恐怖状態があるかと申しますと、戦争に反対だというビラをまくと、すぐとつつかまる、平和投票をやれというと、すぐとつつかまるので、そういうこともできないというような不安が事実あるのです。だから私は仮説の問題ではなくて、具体的に戦争反対、軍事基地化反対、平和投票――今選挙も何もないのですから、平和投票の署名を求めるというようなことは、これは取締つておるのかないのか、これだけを伺いたい。これは非常に大事なことでありますから、明確な御答弁をいただきたい。
○安部委員長 梨木君に御注意を申し上げますが、ただいまの問題は大阪地方裁判所の逮捕状に関する質疑でありまして、その問題の範囲内におとどめを願いたいと思います。大分広汎にわたつたようでありますから、質疑はこの程度において……
○梨木委員 これだけ御答弁を願いたい。これでおしまいです。
○高橋(一)政府委員 平和投票が違反になるかどうかというお尋ねでありますけれども、それをどういう意図でお聞きになりますのか、平和投票ということをどこでどういうふうな場合に実行されるのであるか、われわれには実はわかりませんので、そういう具体的に解決すべき問題をここで抽象的に申し上げることはできないのであります。
○梨木委員 それでははつきり申します。今私がここで平和投票の御署名をお願いしますと歩くことさえも――まさかここでやつては取締らないだろうが、下部へ行きますと取締つておるのです。でありますからこれはちつとも抽象的ではない。私具体的に申しておるのでありますから……
○高橋(一)政府委員 ただいまのお話でも具体的に判断すべき場合ではない。これは何もこの種の事案ではなくて、具体的に判断すべき問題につきましては、あらかじめ申し上げることができない場合があります。ただ私どもが考えております一つの限界について、これを言い表わす適当な言葉がもしあれば、お話しておいた方がよろしいのでありますが、一つは責任ある言論というふうなことも考えておるのであります。ただこの意味を具体的に明確にすることは、非常に困難でありますけれども、何らかの御参考にもなるかと思いまして申し上げる次第であります。
○世耕委員 ちよつと関連して……今の御答弁によると、いろいろな判断ができるのですけれども、朝鮮問題の起る以前に私は武器輸送をしているのを目撃したことがあるのだが、ことさらに武器輸送に反対するという理由は私は成立たぬと思う。現在われわれは鉄道の沿線に住んでおりますけれども、武器輸送はすでに過去において何度もやつている。だから取立ててそういう問題を扱うこと自体がおかしいのではないか。平和投票云々と、ことさらに取扱うところに疑義が生じてくるのではないか。また軍事基地のごときも、これも問題ですが、すでに軍事墓地は至るところにつくつている「ではないか、つくつている」やつを向うがかつてに使用することを反対すること自体がおかしいではないか、こういうところに当局の扱い方の微妙な動きがあるのではないかと思つているのです。
○高橋(一)政府委員 そういう点がございます。
○高橋(英)委員 ちよつと私も関連質問したいのですが、最近反戦運動とか平和運動とかいうのは、言葉の上には非常にきれいなわけなのです。具体的に共産党の関係者などがやつていることが、はたして反戦運動であるか、平和運動であるかということは問題だと思うのですが、この質疑応答の場合に、政府当局の方でこの質問に巻き込まれてから、何の気なしに反戦ビラだとか、平和運動、平和署名だとかいうふうに無条件にその言葉を肯定されたような形でお使いになるということは、誤解を招くことになりはしないかと思うのですが、かつて鈴木茂三郎さんが本会議で言つておりましたが、東洋平和のためならというので、日本が侵略戦争をやつておつたと同じように、言葉も、梨木君の立場としては、反戦ビラとか平和運動とか署名とかいうことは、もつともな表現だと思うけれども、答弁の方ではそれを無条件に肯定したような表現はちよつとどうかと思うのです。この点について御感想を伺いたいと思います。
○高橋(一)政府委員 かなりそういうきらいがあるのであります。
    ―――――――――――――
○安部委員長 この際集会デモ禁止に関する件につきまして、梨木作次郎君より高橋検務局長に対し質疑の通告があります。日程を追加いたしましてこれを許します。梨木作次郎君。
○梨木委員 六月の上旬だつたと思いますが、集会デモが最初東京都一円に禁止されました。その後これが拡大されまして、全国的に集会デモの禁止が行われたのでありますが、まずこの法的根拠、それからこの措置によつて東京都を初め全国的にどの程度の集会デモが禁止されたか、その統計があつたらお示し願いたいと思います。
○高橋(一)政府委員 これは警察の方の措置でございますので、むしろ警察の方からお聞きを願つた方がよろしいのではないかと考えるのであります。
○梨木委員 しかしながらこれは警察のさらに上におつて、こういう一つの禁止措置か行われた。こういう禁止に違反したものに対して取締りをなさるのだろうと思うのでありますが、そういう面からあなたの方は関係があると思うのでありまして、この集会デモ禁止についての法的根拠というものは、あなたの方は研究されておるだろうと思うのです。いよいよ集会デモ禁止に違反してやつた場合に、これは一つの事件になるのだろうと思うのです。事件になつた場合にあなたの方はどう扱われるか、そういう点において単に第一線の警察がこの問題を扱つておるということだけでは、済まされないと思うのでありまして、あなたの方として集会デモ禁止の措置がとられた後において、これに違反したものをどういうぐあいに扱つておられるか、扱われるについてはあなたの法的の見解はどうなつておるか、これを明確にお示しを願いたい。
○高橋(一)政府委員 それでは法律的な点についてお答えいたします。六月二日以降の東京都におきますところのデモ集会禁止の措置は、五月三十日の占領軍兵士に対しまする暴行事件を契機として、都内の不穏な情勢にかんがみて、総司令部当局者からの指示によりまして、特別の事態に対処する臨時の措置としてなされたものであります。また六月十六日の国警長官の同様の措置も、このような状態が全国的に波及するものと認められたところから、指示に基いていたしました措置であります。一般命令第一号第十二項に、連合国最高司令官その他連合国官憲の指示には、政府はこれに従うべき旨が定められております。このような占領軍当局者の有権的な指示を遂行することは、政府あるいは警察の責任であると思います。従つて、もしそれに対して、暴行または脅迫をもつて反抗するときは、公務執行妨害罪の成立を見るのでございます。そのように考えております。
○梨木委員 そこで伺いたいのでありますが、その連合軍最高司令部から日本の政府機関のどこへそういう指令があつたのでございますか。指令と申しますか、指示と申しますか、その原文並びに翻訳をひとつ提供してもらいたい。
○高橋(一)政府委員 ただいまのような点は警察の方でお確めを願いたい。警察の方では、自分の方の直接経験したことでありますから、お答えできる限りはお答えするだろうと思います。
○世耕委員 実はきよう私来がけに聞いたのですが、ソビエトからの引揚促進運動の会合の中止を命ぜられたということを聞いておるのでありますが、こういうような場合に、暑いから、めんどうくさいから、もうこの会合も中止してしまえというような、警察の便宜上から中止することもあり得ると想像するのです。集会デモ禁止の趣旨については、われわれ了解できますが、つい身がつてな処置をとることが、往往にして行き過ぎの結果を生むと思いますが、だれかこれについて間違いのないような示唆を与える方法があるのでございますか。
○高橋(一)政府委員 ただいまの御懸念の点は、各都道府県以下の公安委員会の権限として、これを行つておるはずでございます。従つて私どもには運用の実際は詳細にわかつておりません。
○安部委員長 今日はこの程度で散会いたしたいと思います。次回の委員会は公報をもつてお知らせいたします。
    午後零時二十四分散会