第008回国会 法務委員会 第3号
昭和二十五年七月二十日(木曜日)
    午前十一時五十七分開議
 出席委員
   委員長 安部 俊吾君
   理事 押谷 富三君 理事 田嶋 好文君
   理事 猪俣 浩三君
      角田 幸吉君    牧野 寛索君
      松木  弘君    眞鍋  勝君
      山口 好一君    吉田 省三君
      大西 正男君    田万 廣文君
      梨木作次郎君    世耕 弘一君
 出席国務大臣
        法 務 総 裁 大橋 武夫君
 出席政府委員
        法制意見長官  佐藤 達夫君
        検     事
        (法務府民事局
        長)      村上 朝一君
 委員外の出席者
        專  門  員 村  教三君
        專  門  員 小木 貞一君
七月二十日
 委員足鹿覺君辞任につき、その補欠として石井
 繁丸君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 土地台帳法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二号)
 検察行政及びこれと関連する国内治安に関する
 件
    ―――――――――――――
○安部委員長 これより会議を開きます。
 国内治安問題に関しまして、委員猪俣浩三君より発言の通告があります。これを許します。なおこの問題に関連いたしまして、総理大臣と法務総裁の出席を求めておりましたが、総理大臣はやむを得ざる都合がありまして、御出席ができませんので、その点御了承を願います。猪俣浩三君。
○猪俣委員 法務総裁に若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。
 昭和二十二年九月十六日、片山内閣総理大臣に対しまして、警察の根本観念及びその構想、運営につきましての詳細なる書簡が発せられておるのであります。その書簡に準拠いたされまして警察法ができたことは申すまでもないことでありまするが、この昭和二十二年九月十六日のマツカーサー元帥の書簡と、過ぐる七月八日に吉田内閣総理大臣あてに出されましたところの警察増強に関するマツカーサーの書簡との両書簡を比較いたしまして、警察の根本観念について、この両書簡において異同があるものなりや、ないものなりや。政府はこの両書簡を研究せられまして、警察の根本観念については、かわりがないと理解されるのであるか、マツカーサー司令部の意思がかわつたと解釈されるのであるかを、まず承りたいと存ずるのであります。
○大橋国務大臣 警察の根本観念につきましては、二十二年九月十六日の書簡に示されたる根本観念も、また七月八日の書簡に示されたる根本観念も、同様に私どもは考えます。
○猪俣委員 しからば今回国家警察予備隊なる構想が書簡に指示されたのでありますが、この国家警察予備隊なるものも、警察であることにかわりないのであるか、あるいはこれは警察と違つた一種の軍隊であるのか、その御答弁を願いたいと思います。
○大橋国務大臣 国家予備隊と仮称しておられまする七月八日の書面に示されておりまする警察力も、やはり警察である、かように観念いたしております。
○猪俣委員 もし昭和二十二年九月十六日のマツカーサーの書簡の精神と、本年の七月八日のマツカーサーの書簡の精神とが、警察の根本観念において違わず、今回の国警予備隊がすなわち警察であるということにいたしますると、政府の構想なりとして新聞紙上に伝えられるところに、われわれははなはだ疑点を持つに至るのであります。たとえば昭和二十二年九月十六日のマツカーサー書簡、これによりますると、これは非常に長文のものでありまするけれども、もちろん政府におかれましても十分御研究のことだと思いまするけれども、念のために私はこれをちよつと読んでみたい。政府の発表せられるところの今回の警察機構というものは、この書簡の精神とあまりにかけ離れているのではないかという感がするのであります。たとえばかような書簡の文句がある。「一般大衆の統制外に立つ行政長官を長とする、高度に中央集権化された警察官僚を設置し、これを維持することは、日本の封建的過去においてそうであつたように、近代全体主義独裁制の顕著な特徴である。戰前十箇年間、日本の軍閥の最も強大なる武器は中央政府が、都道府縣庁をも含めて、行使した思想警察及び憲兵隊に対する絶対的な権力である。これらの手段を通じて、軍は政治的スパイ網を張り、言論、集会の自由さらに思想の自由まで彈圧し、非道の圧制によつて個人の尊嚴を堕落させるに至つたのである。日本はかくてまつたく警察国家であつた。」かように、このマ書簡の根本精神は、一言にして盡すならば、日本在来の警察国家の中核をつきまして、その弊は、いわゆる中央集権的なところにあるということをこの書簡の至るところで表わしておりまして、今読み上げましたものも、その一節であります。かように日本の警察国家の弊害のよつて来る根源が、中央集権的な制度にあることを看破せられておるのであります。そうしてこれを是正して、民主的警察行政を確立すべきいろいろな法案が出ておるのでありますが、なお国家公安委員会に対しまする構想といたしましても、「中央に於ける適当なる機関は、内閣に直属する公安委員会を設け、その委員には警察官または官吏の経歴を有しない五名の委員で構成すべきものと信ずる。右委員は総理大臣が議会の同意を得て、任命し、一定年数の期間在職するものとする。」こういう文句があります。警察官または官吏の経歴を有しないところの五名の公安委員を設けて、これによつて運営をはかるということを、この警察民主化の一つの構想として指示されておるのであります。なおまた最後にこういう文句もある。「右と関連して銘記すべきことは、民主的社会に於いて公安の維持をつかさどる警察力というものは、究極において、上から課せられた人民に対する抑圧的統制をもつてしては、その最大限の力を発揮し得るものではなく、かえつて人民の公僕として、また人民に直接責任を負うという関係において、初めて無限の力を得るということである。かくすることによつて、またそうすることによつてのみ、人民自身の法律執行機関としての警察に対し、信頼と生みの親としての誇りを感ぜしめ、これを通じて人民の法規に対する尊重の念を助長することができるのである。」かようにしてこの中に明白に指示されておるのであります。この書簡の精神が警察の根本理念として、今日においても法務総裁の答弁のように、これがかわつておらないということに相なりますならば、今回の国家予備隊の構想なりとして伝えられるものとは、根本的にこの書簡の精神とは違つておる。従つて現行法の警察法とまつたく背馳した根本理念に立つことに相なるのでありますが、この点についての法務総裁の所懐をお聞きいたしたいと存ずるのであります。
○大橋国務大臣 私どもは二十二年の九月十六日に示されました警察制度の根本精神と、また七月八日の書簡に現われました警察の根本精神は、それが警察であるという点において何ら差異はない、かように考えております。
○猪俣委員 ちよつと説明がよくわからぬのですが、この書簡の根本精神は、中央集権的な警察制度というものに対して、これを鋭く指摘しておることは、私が今読み上げた文句だけでもわかる。他にまた長文の書簡の中に至るところ、この精神が現われておる。これが日本の警察の現行法の冒頭の文言になつておるいわゆる警察の民主化、地方自治体の自治行政化ということに対しまして、この二つの中心命題のもとに、この警察法の全精神が貫かれておることは法務総裁も御存じだと思う。今回の警察予備隊におきましては、專門に管理いたしまする国務大臣を置いて、その下に本部長官を置いて、これを内閣に直属さす、しかも御承知の通り現行は十二万五千人、国家地方警察は三万しかない。この国家地方警察三万の倍以上の七万五千というものを内閣の直属下に置くというようなこと、しかも公安委員会というような構想も何もない。しかもきようの新聞あたりを見ますと、その本部長官に予定せられておる者は皆古い内務官僚である。なおまた部長級なんかも旧内務官僚からとるというようなこと、しかもまたその警察官として応募する者の中には、昔の兵隊上りの人間が多数おるということも想像される。一体かような警察官、しかも軽火器、装甲車までも装備せるという警察官、これはこの中央集権を極度に排斥いたしましたところのマ書簡の根本精神と、対立しておるものだと考えるのでありますが、これに対する私は法務総裁の答弁を要求したのであります。しかるにそのお答えははつきりしないのであります。今政府の発表せられておるところの国家警察予備隊の構想なるものが、はたして真なりとするならば、このマツカーサー書簡の中央集権的制度を打破し、公安委員会において運営をはかるという警察民主化の根本精神と、いかにしてこれがマツチするものであるか、順応するものであるか、再度当局の御説明を願いたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 まずお断り申し上げておきますが、政府は警察予備隊の構想に関しまして、いまだ何ら発表したることはございません。それから装甲車その他の装備について発表があつたというお話もございますが、これまた同様に、今日決定いたした問題でないということをお断りいたしておきます。
 次にただいま猪俣君から現行警察法において中央集権を排除しておるにもかかわらず、このたびの警察予備隊は中央集権的になるではないか、これはすなわち今日の警察法の根本精神に背反するものではないか、こういう御質問であつたのでございます。しかしながらこのたびの警察予備隊の創設ということは、現行の警察制度に対しまして何らの変更を加えるものではないのであります。すなわち国家地方警察にいたしましても、また自治体警察にいたしましても、これが日本の現行の警察制度の根本として、引続き存続するものであることはもとより申すまでもないことでありまして、このたびの警察予備隊の創設というものは、ただこれら基本的なる警察力の欠陷を補うための補充的なものである、その将来の機構その他におきまして中央集権的な構想が盛られると仮定いたしましても、それは現行のわが国警察制度の根本でありまする現在の地方警察、及び国家警察に対するまつたく補充的な制度である、すなわち現在の制度を根本的にかえようというような性質を持つものではないということを御了解願いたいのであります。
○猪俣委員 私は、第一の質問といたしましては、この国家警察予備隊の編成構想が、中央集権的な構想に新聞に報道される法務総裁がそれは正式に発表してないのだとおつしやられればそれでよろしいのですが、しからば私どもはなお御注文申し上げたい、その意味において今質問しているのであります。警察法を云々言つておるのではない。昭和二十二年九月十六日のマツカーサー書簡の、警察に関する中央集権制度の打破という精神と、どういう関連を持つのであるか、今までの自治体警察、地方警察を廃止するとか何とかいうことの質問ではない。あなたに言わせれば、その上に新たに設けられる警察に違いないのだということであるから、しからば警察の根本理念として指示されておりますところの昭和二十二年九月十六日の、中央集権打破のマッカーサーの根本精神と、これはどういうふうに順応するのであるかの質問をしている。警察法云々と言つているのではないのであります。それは私が次に質問しようといたしておりまするところの勅令第三百十一号、あるいは団体等規正令に関する質問と関連がありますので、この中央集権打破のマツカーサーの書簡なるものが、現在も生きておつて、国家警察予備隊というものも警察である以上は、この精神によつて貫かれなければならぬのじやないかということの質問を申し上げている。どうもその点についての御答弁がない。
 なおこの構想については、まだ発表しておらぬというのでありますが、どうもその点についても私はわからないのである。しからば新聞の今までの報道というものはみな新聞記者の想像で書いたものであるのであるか、あるいはあなたなり官房長官なりが、その資格において公式に新聞記者に発表したものであるか、それを承りたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 政府といたしましては、何ら公式に発表いたしたことはございません。
○猪俣委員 今の中央集権制度打破の精神と、今度設けようとするところの国家警察予備隊との警察の根本観念について、どう調節するのであるかのお答えを願いたいと思います。今まで発表された構想を私は政府の構想なりという先入観念から質問しておるから、こういう質問になるのでありますが、まだ構想がきまつておらない、マ書簡の線に沿うて、昭和二十二年九月十六日のあの中央集権打破の根本精神に従つて、新たなる国警予備隊を組織するのだということになれば、それはそれでいいのであります。私は、中央集権的な機構のように新聞に発表されておりまするがゆえに、質問しておるのでありますから、その点についてのお答えも願いたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 ただいま猪俣君のお述べになりました通り、政府においては、せつかく関係当局と緊密なる連絡のもとに、構想を固めつつあるところであります。従いましてこの構想として具体化されますものは、ひとり本年七月八日の書簡の精神に従うものであるばかりでなく、二十二年九月十六日の書簡の精神に適合するものとなるであろうという予想をいたしております。
○猪俣委員 そうしますと、はなはだ私どもは奇怪に存ずるのでありますが、もう警察予備隊の問題が毎日の新聞に出ておつて、そしてその本部長と申しますか、隊長と申しますか、香川県知事の増原という人が承諾した。あるいは労働省の次官の江口という人が承諾したというようなことまで、新聞に発表せられておるのであります。また本日の新聞を見るならば、大橋法務総裁がなるか、あるいは官房長官がなるか、あるいに増原氏自身を国務大臣に昇格せしめるか、さようなことについて今構想を練つておるというような記事まで出ておるのでありますが、そうするとこの国家警察予備隊の構想というものについては、ほぼ輪郭が明らかになつて来ておると思うのでありますが、これは法務総裁あるいは官房長官が個人の私観をまじえたことを新聞社に発表になつたのであるか。あるいは現段階における閣議の大体の構想を、その資格において発表されたということになるのであるか。あるいはまつたく新聞記者がいいかげんの創作をしたのであるか、それについて発表願いたい。これを私どもが執拗に御質問申し上げるゆえんのものは、この構想いかんによりましては、われわれといたしましても多大の研究を要するのであるし、また一般の国民といたしましても、多大の関心を持つことに相なるのでありますがゆえに、この点について御答弁願いたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 警察予備隊の具体化につきましては、ただいま政府といたしましては、この具体化の準備に当るべき人を選考いたしておるところであります。従いまして今後関係当局と十分な連絡をとりまして、この具体化に努力をいたすということに相成なるのでありまして、構想といたしましては、今後の研究にまつと申し上げるほかはないと存じます。
 それからただいまあわせて猪俣君から、現在の新聞の記事はどういうところから来ておるかということでありますが、これは私としてはお答え申し上げかねるところでございます。
○猪俣委員 どうも大橋法務総裁は役人になつたとたんに口が重くなつたような気がいたします。あなた自身がしやべつたことを答弁ができないというばかな話はないと思う。あなたが言つたなら、言つたと言えばいいじやないですか。しかしあなたの立場もありましようから、それはそれでやめておきます。
 そこで今の大橋法務総裁の全答弁を把握いたしますと、今度の国家警察予備隊に関する構想は、まだ正式に閣議で決定しておらず、ただその準備のための用意をしているにすぎない。しかしながらやはり昭和二十二年九月十六日の中央集権制度打破のマツカーサー元帥の書簡が現在も生きているのであつて、決して本年の七月八日のマ書簡は警察の根本理念について違つておらぬという御答弁だけははつきりしていると思いますし、あなたも内閣の法律顧問であり、有力な閣僚の一人でありますから、どうぞ今後の国家警察予備隊につきましても、このマ書簡の精神及び嚴として存在しております警察法の根本精神にのつとつて、その機構を整備せられんことを願望するものであります。まだ構想はまとまつておらぬと称せられるから、これ以上私どもは追究を差控えます。おそらく今の答弁によりますれば、やはり公安委員会を置いて、中央集権的な制度に新たな構想をもつて進められるものと期待しておる次第であります。
 なお今度は質問の趣旨をいささかかえまして質問いたします。このマ書簡は指令であり、これを政府はポツダム政令によつて処理しようという根本態度のように見受けられるのであります。そこで私はこのマ書簡が指令であり、そうしてこれを政令によつて施行するということになりますと、ここにいろいろ質問申し上げて法務絵裁としての確固たる態度を示していただきたいことがあるのであります。それはいわゆる「昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に關する勅令」これは勅令三百十一号です。以後三百十一号と申しますが、この三百十一号の第二条に、連合国最高司令官の日本帝国政府に対する指令の趣旨に反する行為、その指令を施行するために、日本帝国政府の発する法令に違反する行為、これが三百十一号違反だということになつて処罰せられることに相なつておる。そこでその範囲でありますが、たとえばこの国家警察予備隊七万五千名という人数に対して批判をいたして、そんなものは多過ぎる、必要がないというような批判をした場合、あるいはまた先ほどの質問の趣旨のように、これを内閣直属の警察隊にしてはいけない、中央集権制度はいけないというようなことをもつて、この政令を批判したり、あるいはまたこの予算措置に対しまして、公債の償還費から計上することは不都合だ、公債の償還費は生産金融にまわさるべきものであつて、かような警察の維持費というがごとき純消費金融に、この公債償還費をさいてまわすことは反対であるという趣旨を述べた場合、あるいは中央集権的な国警予備隊、今まで政府の構想なりとして新聞に発表せられたこういう予備隊は軍隊化じやないか、かような内閣の私兵とも見られるような特殊な警察隊の組織には反対であるというようなことを言つた場合、勅令三百十一号あるいは団体等規制令第二条の違反に問わるべきものなりや。近ごろ相当言論その他の集会がきゆうくつになりまして、われわれもまた戰時中のような一種の強迫観念が出て来るのであります。こういう際でありますために、なお言論自由の見地から法務絵裁の確固たる信念が聞きたいと思うのであります。以上私が申し上げましたような国家警察予備隊に対する一般人の批判というものが、あなた方が政令で出された場合には、これはマ司令官の指令に基く政令なるがゆえに政令違反である、こういうふうな取締りをなさることがありやなしや、この点について確たる御答弁を願いたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 ただいまの点につきましては、法制意見長官からお話申し上げます。
○佐藤(達)政府委員 総裁は詳しいことをとおつしやいましたけれども、結局ただいまお尋ねの点は、むしろ猪俣委員の方がお詳しいかと思います。結局一口に申しますれば、ただいまおあげになりました事例で、たとえば批判というお言葉がございましたけれども、その批判という現実の実態がどういうものであるかというような、具体的な事情にもよることでございましようし、この二つの御指摘になりましたポツダム勅令をかたわらにながめながら、現実に起りました具体的行為がこれのどれに該当するかということを一々検討いたしませんと、抽象的にお答えすることは、むしろ差控えた方がよいと思います。
○猪俣委員 法治国家におきまして、そういう具体的なものが起らないと、一々答弁できないようなものを存在させおくことは、われわれ安閑としておれないことになる。しかもそれがための法治国家であります。一定の基準というものがなければならぬ。しかし具体的事実があつた場合に、いろいろ犯罪の内容、刑の量定ということは、考えられることはありましようけれども、今私が質問したような事項についての個々の基準というものを示しておかなければ、いつ何どきわれわれはひつぱられるか、わけがわからぬ。そういう恐怖政治が現出するのであります。こういう勅令三百十一号、あるいは団体等規制令というものが存在しておる。その解釈にあたりまして、今言つた現実の問題がある。いつ起るかわけのわからぬ問題じやない。今日ただいま私は批判をやつているのだから、こういうことをやつた場合に、それは指令違反ということになるのかどうかというようなことだけは、基準を明らかにしておかなければ、その時が来なければわからぬということで、縛られてから皆さんがわかつたのでは、縛られる人も迷惑であります。縛るのか縛らぬのか、それをあらかじめわれわれに示しておかないで、縛つてからゆつくり考えようというので、ぶた箱に入れられてからでは迷惑である。昔の特高警察はよくやつた。つかまえておいてから調べようというのである。それではいかぬ。あなた方は今日答弁ができなければ、明日でもよろしい。確固たる基準を示してもらつて、この程度のことはさようなことにならぬ。もちろんあなたのおつしやつたように、いたずらに反米的な、反占領軍的な思想を鼓吹せんがためにこの国警予備隊制度を批判するということが起りますならば、それはまた問題である。それならばそのようにはつきり言つてもらいたい。私どもはいわゆる昭和二十二年九月十六日のマツカーサー書簡及び日本警察法の根本精神、これに照し合せまして、今度できる国家警察予備隊の構想に対しまして、この精神から批判をした場合にどうかというのが、私の精神でありまして、いたずらに反米闘争にかりたてたり、あるいは反占領軍の宣伝をするために、これを例にしてとりあげるということではない。私の先ほどから質問しました趣旨にのつとつて、なお政府におきましてはまだその構想が十分にできあがつておらぬというのでありまするから、われわれは輿論を喚起し、なお政府にも働きかけまして、そうしてこの本来の警察法の根本精神にたがわざるような警察隊というものをつくつてもらいたい。これは、内外ひとしく、いかなる構想をもつてこの警察隊ができておるか、場合によりますれば、また日本は軍備をするのではないかという疑いも持たれておる今日におきまして、内外人の注目するところでありまするがゆえに、十分な批判を盡したいと思います。そういう立場におきまして、一体警察法の精神から今度できる国家警察予備隊の構想について批判することが、この勅令三百十一号あるいは団体等規正令二条に違反するものなりやいなや、そのくらいの限定せられたる前提のもとに、違反するとかしないとか答弁していただかなければ、つかまえてからゆつくり調べるというようなことではいかぬと思うので、その点をはつきりさせてもらいたい。
○佐藤(達)政府委員 先ほどの言葉が少し足りませんでしたために、大分おしかりを受けた次第でございますが、私の申しました趣旨は、批判と申しましても、その実態によつて、いろいろなヴアライエテイーがあるわけであります。批判の中にも建設的な批判もありましようし、あるいは反抗的な批判もあるわけであります。その意味で、具体的の場合につきまして、それが反抗的なものであるという場合におきましては、これらの政令、勅令に抵触する危險があるというふうにお答え申し上げた次第でございます。
○猪俣委員 どうも政府の答弁というものは曖昧模糊としておるから、私の方から限定して質問いたします。しからば現行の警察法の精神あるいは昭和二十二年九月十六日のマッカーサーの書簡の精神に立脚いたしまして、国家警察予備隊のあり方について批判することは、勅令三百十一号あるいは団体等規正令には大体において違反しないという根本的態度、それを明らかにしてもらいたい。
○佐藤(達)政府委員 ただいま申し述べました批判という言葉の含みます中で、反抗というようなものに該当すればあぶないというふうに考えます。
○猪俣委員 実はわかつたようでわからぬ。(笑声)これはもう少し政府も当局もよく研究して、もう少し具体的な態度を当法務委員会なり、あるいは政府の声明なりで明らかにしていただきたい。かような注文を申し上げるのは、実は民間におきましては、非常な一種の圧迫感がひしひしと出て来ておる。これは朝鮮事変以来環境のしからしめるところでありましようが、何だかまた東條軍閥時代に帰るのじやないかという危惧の念がはなはだある。ことに公安条例というようなものが至るところに強化せられまして、終戰前治安警察法で取締つたよりもなお挾隘な、嚴重な取締りが、自治条例の名において出て来ておる。こういうことに対しましても、私は質問申し上げようと思つて用意をしておつたのでありますが、私ばかり質問を独占してもいけませんから、その点につきましても後日に譲りまするが、かようにいわゆる言論集会その他のことが非常に狭められて来ておつて、そこへ持つて来て団体等規正令あるいは勅令三百十一号というような法規が嚴存しておる。一体どの程度われわれはしやべることが自由になつたのであるか。はなはだきゆうくつな感じを持つて来ておるのであります。そこでこの質問をしたのでありまするから、どうかそういうことに対して、いま少しく親切に、いま少しく詳細に、しかも法治国家であることを忘れず、東條軍閥でない吉田内閣総理大臣の内閣のもとであつたならば、その精神にのつとりまして、国民のいたずらなる自由に対する萎縮心を一掃するよう、私は希望申し上げまして、法務総裁は十二時までということでありまするし、それに私はこの国家警察の構想について、実はもう少し論議したいと思つて用意していたのでありまするけれども、まださつぱりきまつておらぬというような御答弁でありまするので、これ以上質問を申し上げましても、どうものれんに腕押しみたいなことになりまするから、この問題につきましては、これで私は打切ります。
○安部委員長 世耕弘一君。御発言はこの国内治安問題に関連してですか。
○世耕委員 そうです。今の猪俣君からの御発言に関連して私は二、三点…。この間の本会議で質問したときの内容に触れてちよつと説明を承りたいと思います。この間の総理のお話では、七万五千の増員と、海上保安隊員八千人増員するということを言われておつたが、これはもう数字は確定しておるのでございますか。
○大橋国務大臣 数字は、書簡にすでに示されております。
○世耕委員 私は実は数ばかりふやしても、それに伴う装備がなかつたら何にもならぬのじやないか思う。この間私が本会議で申しましたように、二尺足らずのこん棒を振りまわしてみたところで、はたして今後想像されるゲリラ戰術や、その他の暴動に効果があるかどうか。むしろ七万五千人の増員よりも、これを一万人にして、一万人に完全な武装をさした方がいいのではないか、こういうふうな感じを持つのです。それはなぜかと言えば、たとえば話題になりました戰車、機関銃というようなものは、たまを使わなければ、飯は食わぬ、月給もいらぬ、装備だけしておいて、入り用なときに使う。ところが七万五千人の警察の人を使うということになれば、月給も拂わなければならぬ、飯も食わさなければならぬということになる、不経済だ。だから武装するか増員するかということに、大きな政策上の問題も、経済上の問題も触れて来ると思うのでありますが、その七万五千人を運用する上において、予算がどうなつているか。この間大蔵大臣は予算を説明できぬなんと言つたが、数が明示されておつて、予算が説明できぬなんということは無責任なことである。言いにくいことがあればお尋ねしようとは思いませんが、今準備中である、折衝中であるということをお聞きする以上、その心構えがなくして先方と御交渉なさることは、御注意が肝要ではないかと考えるのでありますが、この点のお心構えでよろしゆうございます。
○大橋国務大臣 まことにごもつともな御意見でございまして、さような考えをもちまして、今折衝中でございます。
○安部委員長 梨木委員に伺いますが、関連ですが。
○梨木委員 関連質問です。お伺いいたしたいのですが、このマ書簡で、今度の七万五千並びに八千人の増員ということの構想が進められておるようでありますが、この点につきまして連合軍最高司令部側の発表を見ますと、日本政府がかねがね増員してもらいたいという要請があつたのでこれを許可した、こういうように受取れるような発表があつたように思うのであります。ところで官房長官の発表によりますと、警察を増強する権限を付与されたというようにもなつておるのであります。そこで第一に伺いたいのは、これは日本政府のもう少し警察力を増強してもらいたいという要請に基いてこれが許可されたのか、それとも連合軍最高司令部の判断によつて、増員しろということで増員するようになつたのか、この点のいきさつをまず伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 書簡に現われましたるところでは、日本政府の要請に基いてこれを許可するということは示されてございません。
○梨木委員 だから私の方は、実質的に一体日本政府の方が増強を要請して、そうしてこういう結果になつたのか、それとも連合軍最高司令部の判断で増強するように指令して来たのか、そのいきさつを伺いたいのです。
○大橋国務大臣 ただいまお答え申し上げた通りであります。
○梨木委員 どうもそつけない答弁でわからないのですが、もう一回わかるように説明してもらいたいのです。
○大橋国務大臣 元帥の書簡に現われております限りにおきましては、日本政府の要請に基いてこれが許可されたというような性質のものではない、こうお答え申し上げます。
○梨木委員 それでは伺いますが、これは猪俣委員の質問の中にあつたかもしれませんが、今度できる――警察予備隊と仮称されておりますが、これは一体今ある警察法の適用を受けるのでありますか、受けないのでありますか。
○大橋国務大臣 ただいまありまする警察法は、現行の国家地方警察並びに自治体警察の運営に関する基本法であります。従いまして新たにつくらるべき警察予備隊につきましては、当然にこの警察法が適用あるものとは私は考えておりません。
○梨木委員 ところで、私の聞いたところでは、去る十六日の地方行政委員会におきましては、今度の警察隊の増強の問題は、国内問題よりも国際情勢が、そういう増強の必要を起させるような原因となつておるのである、こういうふうに私は聞いておるのでありますが、この点は国内問題が重点なのか、最近の国際情勢からいたしまして、警察予備隊といいますか、これをつくるようになつたのか、これをお伺いいたしたいと思います。
○大橋国務大臣 今日国内におきまする治安の問題につきましては、いろいろ国際的な、要因が非常に密接な関係のありますことは、御承知の通りであります。これらを含めまして、国内の今日の実情を基礎にして、かような制度の新設が必要になつたものと私は了解いたしております。
○梨木委員 そういたしますと、今度できる警察隊というものは――憲法第九条からいたしますと、警察というものは国内治安に当るのが警察本来の目的であります。これが国際的な紛争解決の手段――そこまで行かないまでも、警察隊というものが一つのそういう国際的な紛争を解決する一つの威嚇だとか、あるいはその手段的に使われるということになりますならば、これは警察の領域を出まして、明らかに軍隊ということになりはしないかと思うのでありますが、この点憲法との振合いはどういうことになるのか、それを伺いたい。
○大橋国務大臣 梨木君の言われます通り、この警察予備隊の創設は、国内における治安それ自体を目的としたものであり、またその範囲に嚴重に限られたものである、こう私は考えるのであります。
○梨木委員 今の御答弁でちよつと私は納得が行かないのでありますが、私の疑問に思うのは、国際的のもろもろの要因が含まれて、今度の警察隊の強化の問題が起つて来たということになれば、何か国際的な問題を処理するための手段にこれが供せられるということになると、これはどうも第九条で戰争を放棄しておるこの憲法の趣旨から行きまして、どうも背反するように思うのであります。
 この点と、もう一つ伺いたいのは、それではこの警察隊というものは、自衛権的な意味も含まれておるのかどうか。これをあわせてお伺いいたします。
○大橋国務大臣 私の説明が不十分でありまして、梨木君の誤解を生じたものと存じますが、このたびの警察予備隊はあくまでも国内治安問題だけに要因を持ち、またそれだけを目的として創設せられるものであります。国際的な環境を云々いたしましたのは、今日の国内の治安は国内の事情だけではきまつて来ない。いろいろな国際的なできごとがありますと、これが必ず国内に波及いたしまして、いろいろ国内の治安が影響を受けて来る場合もある。そういう場合も含めまして、日本の現在の国内治安の実情に即応して、この創設が必要となつたものである、こういう意味でお答えいたしたわけであります。すなわちあくまでもその目的は国内治安でありまして、国際的な問題をこの警察隊によつて処理するというような性質のものでは断じてありません。
 次に自衛権が日本においてかりに行使されるような場合に、この警察隊がどうなるかというお問いでございます。これもただいま申し上げたところによつて御了承願いたいと存じます。
○梨木委員 それでは自衛権的な趣旨でこの警察隊の増強をしたものではないと、こう承つてよろしいのでしようか。
○大橋国務大臣 さようでございます。
○梨木委員 それではその次にお伺いいたしますが、今度新しくできる警察隊というのは、これはポツダム政令で出されるということに承つておるのでありますが、ポツダム政令というのは、これは私たちの承知しているところでは、とにかく憲法を超越したものだと理解しておるのであります。ポツダム勅令五百四十二号、連合軍最高司令官の指令に基いてこれを実施するために、このポツダム政令というのが出て来る、こういうことに私は了解しておるのでありますが、そのポツダム政令で今度の警察隊の機構並びに予算を組むということになれば、これは憲法以上の官庁ができるということに論理的にはなると思いますが、さように了解してよろしいかどうか。
○大橋国務大臣 いわゆるポツダム政令と申しまするものは、現行憲法の際に国会の協賛を得て制定いたしました昭和二十二年四月十八日法律第七十二号日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律、これの第一条の二によりまして、その効力が法律と同様に認められておるわけであります。これは現行憲法のもとにおいても、法律の基礎によつて存続しておるものである。かようにお考えを願いたい。
○梨木委員 このポツダム勅令五百四十二号が現行憲法のもとにおいても有効なものであるかどうかについて、私は反対の見解をとつておるのでありますが、この点は見解の相違でありますから、これ以上は論を進めませんが、しかしこういうことはあるわけなのであります。今法務総裁の見解では、ポツダム勅令五百四十二号というものは、現行憲法のもとにおいても有効だとおつしやるのでありますが、しかし私は反対の見解をとるのでありますが、それはともかくといたしまして、現行憲法のもとにおいても連合軍最高司令官から指令が参ります。その指令が出て参つた場合におきまして、現在の日本の憲法のもとにおいては、どうしても有効に存在し得ないような指令が来ることもあり得ると思うのでありますが、その場合におきまして一体そういう指令をどういうようにして国内的に有効に法制化して行くのか、これをお伺いいたしたいのであります。もつと明確にしますと、こういうことなんです。法務総裁は、ポツダム勅令五百四十二号は現行憲法のもとにおいても有効だ、こうおつしやるが、私はこれは有効ではなくて、実は連合軍最高司令官からいろいろな指令が出て来る、この指令が出て来た場合、これはどうしても政府としては実行しなければならない、その場合には憲法以上のことでも施行しなければならない、そういう事態が出て来るわけです。その場合の必要に応ずるために、このポツダム勅令五百四十二号というものは憲法以上の一つの存在として出て来ておるのじやないかと思うのであります。だからその私の立論の上に立つて、今ポツダム政令でおやりになるということになれば、これは憲法以上の機関をつくることになりはしないかということを伺つたわけなのであります。
○大橋国務大臣 理論上の問題といたしましては、いわゆるポツダム政令というものは憲法上の制度でございまするから、これをもつて憲法違反の実質を持つた規定をつくるということは、今日の憲法上考えられないことであります。また連合国最高司令官の命令は、何人も従わなければならぬ憲法以上の力を持つものではないかというお話、これも理論上にはさよう考えられます。そして、もしかりに憲法と実質的に背反するような指令が来た場合にはどうするか。これはただいままでのところ、そういう実例は幸いにしてございません。今後そういう実例があつたらどうするかということにつきましては、これは仮定の質問として、この際お答えを差控えさせていただきたいと存じます。
○猪俣委員 まだ警察予備隊の構想がきまつておらぬというお説でありまするから、私どもも議員の一人として注文申し上げるのでありますが、七万五千人の増員については私も反対はいたしません。ただしかし現行の警察法によらざる特別なる警察隊をつくるということは、私どもとしては反対なのであります。地方警察の三万を増員することによつて十分目的を達せられるのではないか。なぜならば非常事態の宣言を発しますならば、全警察が内閣総理大臣の指揮命令系統に入ることが今の警察法に規定されておる。そういう仕組みにおいて、しかるにこの警察法と別な、特別な警察隊なるものを政令によつてつくるというようなことは、どうもわれわれは解せない。もし一元的に警察力を発揮しなければならぬという要望がありますならば、そういう非常事態宣言を発して内閣総理大臣の麾下に置くことは可能になつておるこの警察法を疎外して、別なものをつくらなければならぬいかなる理由があるのであるか、その点についてちよつと伺いたいのであります。
○大橋国務大臣 ただいまの点は警察予備隊の制度の具体的な構想が明らかになつた後まで、お答えを保留さしていただきたいと存じます。
○猪俣委員 しからばこの点は法務総裁の言うと通り、われわれの要望としてどうかそれを閣議に持ち込んで、さように取扱うようにお願いしたいのであります。警察法とまた別に警察隊をつくるというようなことは、内外の誤解をかもし出す有害無益な構想であろうと思うのでありますから、しかと法務総裁にお頼みいたしきす。
 それからいま一つは、参議院におけるところの吉田総理大臣の答弁によりますると、共産軍に対抗するために警察予備隊というものを置くのだというふうな答弁に相なつておるのであるが、共産軍という表現をしておる。共産党の内乱的蜂起という言葉じやない。共産軍に対抗する――今朝鮮がああいう事態になつた、いつ何どき共産軍が日本に侵入しないとも限らぬ、それに対抗するために国警予備隊をつくるのだというふうな答弁をなさつておるのであります。しからば一体共産軍というのはどういうことをいうのであるか。もし共産軍が軍隊組織で日本に入つて来た場合に、これと交戰をさせる意味で国家警察予備隊を置くのであるか。もし交戰をさせるのだとするならば、憲法第九条におきまして交戰権を否認しておるのと、いかに調和するのであるか、その点について伺いたい。
○大橋国務大臣 吉田総理大臣の御答弁のうちに共産軍という言葉がありましたかいなか、私詳細に承知いたしておりません。この問題につきましては取調べの上お答え申し上げます。
○梨木委員 ポ政令で警察隊の機構などを出されるとおつしやるのですが、そういうぐあいに承知しておるのでありますが、一体政令で出せというところまでマ書簡は指示しておるのでありましようか。これは法律でやるか政令でやるかは、日本政府の自由にまかせられておるのか。これをひとつ伺つておきたい。
○大橋国務大臣 元帥の書簡自体の中から、明らかに政令でやるべきものなりというような文字上の表現はございません。しかしながらこの書簡の意味をいかに解釈するかということにつきましては、司令部の関係当局の解釈に従わなければなりませんので、この点は單に字句からだけは申し上げかねるわけであります。
○梨木委員 そういたしますと、マ書簡の文面からは政令でやれということはうかがえないが、書簡全体から解釈して、そうすべきだというふうになれば、そうせざるを得ないだろう、私そういうように伺つたのですが、その解釈は、日本政府がこのマ書簡を見て、それによつてこれは政令で出すべきだ、こう日本政府が解釈したのか、それとも連合国最高司令部の関係当局か、どちらがそう解釈したのか、それを明らかにしておいていただきたい。
○大橋国務大臣 すべて連合国関係の発します指令につきましては、最終的には発令官憲が解釈の権限を持つておる建前になつております。
○梨木委員 その発令官憲が解釈権を持つておるというのはわかります。それは一般命令でそうなつておるのでありますが、今度の場合もそう承つてよろしいのでありますか。
○大橋国務大臣 解釈につきましては、いかなる場合も同様の考え方をもつて解釈せらるべきものであると思います。
    ―――――――――――――
○安部委員長 次に土地台帳法等の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑に入ります。さきに質疑の通告がありますので、通告順に許します。田万君。
○田万委員 私は家屋台帳法の改正について政府委員にお伺いしたい。これは条文的な問題でありますが、新法にならんとするところの家屋台帳法の第三章雑則、第二十一条第二項の末端を拝見いたしますと、こういう規定があるのであります。「前項の規定による質問又は検査をなすときは、当該官吏は、その身分を示す証票を携帶し、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。」この明文があるのであります。これは單なる文言にすぎないが、この法文はきわめて官僚的な法文になつておると思う。それはこの身分を示す証票を携帶することはけつこうでございますが、その次の文句で、関係人の請求がなければこれを呈示しなくてもよろしいというふうに解されるのであります。私は常に法は常識的であり、また礼儀的なものでなければいかぬと考えておるのであります。たとえば他人の家に入つて行くのには、こちらから名のつて入つて行かなければならぬというのは礼儀であると思う。向うから求められて初めて、私は何の何がしであると名のることは、きわめて民主的でなく、儀礼にも反すると思う。法律も儀礼を尊重する意味から、この条文は改正して、むしろ当然証票を関係人に呈示しなければならないというようにお改めになることが当然ではないかと考えるのですが、この点ひとつ御答弁を願いたい。
○村上政府委員 家屋台帳法第二十一条の第二項でありますが、これは現行家屋台帳法施行規則第十八条にあります検査章携帶の規定を法律の方に規定いたしたのであります。ただ現行法におきましては、検査章を携帶しなければならないというところまで規定してありまして、呈示しなければならないという規定がないのであります。この法案におきましては、單に携帶するのみならず、もし要求があれば呈示しなければならぬと一歩進めたつもりなのであります。むろん検査に参りますときには、常時身分を示す証票を携帶すべきことは当然現行法通りですが、そのほかに要求があれば呈示しなければならぬという趣旨を規定したのであります。ただいま御指摘がありましたように、他人の家屋に入つて検査をしようという場合には、身分を明らかにし、氏名を明らかにし、また目的を明らかにすることが常識上当然であります。その点につきましては、運用上十分誤りのないように指導いたしたい、かように考えます。
○田万委員 ただいまの御答弁でございましたが、なぜ私が申し上げたように、はつきりと、当然呈示しなければならないというふうにお考えになることができないのでございますか、その点御答弁願いたい。関係人の請求があつた場合には、これを呈示しなければならないというのでなくして、当然呈示しなければならないというふうにすることに対して、何か御議論があるように承れるのでありますが、その議論をひとつお聞かせ願いたい。
○村上政府委員 「関係人の請求があるときは」といたしましたのは、別段深い意味があるのではないのでありまして、なるべく呈示をしないようにというつもりは毛頭ないのであります。関係人の方で別に証票を示してもらいたいという申出がなければ、必ずしも呈示しなくてもいいのではないか、しかし常に携帶はしなければならないということで十分である、かように考えてこのように規定したのであります。
○田万委員 私いろいろ社会のお話を聞きますと、警察官にしても、税務官にしても、登記官にしても、いろいろな事件が起きている。その原因はいろいろあろうが、特に犯罪を犯している事犯について、身分のない者があたかも身分があるがごとくにふれまわつて、しかし実際それはにせの官吏だつたというようなことがたくさんあるのであります。そういうことからいつて、私はそういう間違つたことを起さないために、あらかじめ初からこつちが身分の証明書を呈示してやることが、国民に親切なゆえんではなかろうか。聞かれなければ黙つてそのまま持つて帰る。もしそれが問題になつた時分に、どういう結果になつて来るか。にせの登記官あるいは税務署員、そういうことを想像した場合に、みな個々の国民の方が迷惑をこうむる。あらかじめはつきり示しておけば、国民は安心して捜査を受けることができる、検査を受けることができると思うのであります。いわゆる官庁側からいえば検査権といいますか、捜査権といいますか、一つの権利として強く臨む。これに対して受ける方の側の非常に萎縮している人間が、あなた身分証明書を持つているかということは、よほど性格の強い人でなければ言われない。そういう点から考えて、国民に親切な法律をつくる、国民の法律という意味からいえば、この身分証票なんかにしましても、当然こちらから先に、私はこういう身分の者で、こういうことで調べに来たのだと言うことが、私は最も礼儀的であり、常識的ではないかと思うのであります。あえて「関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。」というような駄文はこれから抹消してしまつた方が、私は非常に感じのよい法律ができると思う。
○村上政府委員 ただいま田万委員の御意見のありました点は、運用上十分気をつけて参りたいと存じます。法律案といたしましては、この程度で運用に誤りなきを期し得るものと考えております。
○田万委員 私が申したように、初めから関係人にこれを呈示しなければならないという規定に改めることにおいて、何か大きな支障でもあると懸念されることがあるのですか。
○村上政府委員 これは他の法令等にあります例にならいましたので、これを改めることによつて家屋台帳自身にどれだけの弊害を生ずるかと言われますと、ただいまのところ、さほど具体的にこういう場合に困るということも申し上げかねるのであります。
○梨木委員 ちよつと今のに関連して……。実はわれわれ民間におりましてこういう規定のためにどういう迷惑をこうむつているかと申しますと、これは上の方におられる役人の方はこれでもよいように思われるかもしれませんが、実際はこういう条文を――身分を示す証票を携帯しなければならない、請求があれば呈示しなければならない、こういう法律を民間の人は知つておらないのです。だから知つておれば、それはある程度請求する人もあるのですが、こういう規定があるということ自体も知らない人は、これは請求もしないわけです。だから法律の規定の上においては必ず当該官吏は身分を示す証票を呈示して、そうして検査並びに質問をしなければならないという規定にしておかなければ、これはこういう規定があつても何にもなりません。実際はこういうことになるのです。こういう規定のあることを知らないのが一般の国民なんですから、この規定によつて弊害を除去しようとする目的は達成できません。必ず示せ、こういうぐあいの規定にならなければ、この規定が少しも生かされて行かない。これが実情です。この点特に実情にかんがみまして、そういうぐあいに直す意思はありませんでしようか。
○村上政府委員 先ほども田万委員に申し上げました通り、御指摘の点は運用上十分に留意いたすことにいたしまして、法案といたしましては、このままにいたしておきたい、かように考えるのであります。
○安部委員長 ほかに質疑はございませんか。
○猪俣委員 私は第七国会におきまして、この法案が提案されましたときに質問したのでありますが、そのときちようど民事局長がお帰りになつたあとか、おいでにならぬために質問が留保になつて、そのまま第七国会は終つたのであります。そこでその点を、しり切れとんぼになつておりますからいま一点御質問申し上げます。それは農地調整法、あるいは自作農創設特別措置法に基きましての自作農の創設に関しまして、登記が非常に遅れている。それがためにいろいろの問題が起つている。今またかような土地台帳法の一部改正をやつて、なおその混乱を増すようなことはないのであるか。さような心配がないならば、その具体的所信をお聞きしたいのであります。
○村上政府委員 農地改革に伴います農地の買收及び売渡しの登記の進行状況についてまず申し上げます。本年の六月末現在におきまして、買收にかかる農地の登記予定面積が百六十一万七千九百四十二町歩になるのであります。このうち本年六月末までに買收登記が完了したものとして、ただいままでに報告がありますのが、百五十二万二千六百二町歩でありまして、予定面積の九四%に当るのであります。また売渡しの方について申し上げますと、登記の予定面積が同じく六月末現在におきまして百八十七万三千八十二町歩でありますが、これに対しまして同日までに登記が完了したものとして、現在までに報告を受けておりますのが百五十八万九千七百三十町歩、すなわち予定面積の八五%になつております。買收及び売渡しの手続の進捗状況に比較いたしまして、都道府県からの登記の嘱託の出るのが非常に遅延いたしましたために、自然登記も予定よりも大分遅れまして、ことに昨年の暮れあたりからことしの春ごろにかけまして、登記の嘱託が一時に殺到いたしましたために、一時嘱託件数の全部を即時にさばいて行くということができなかつた状態があつたのでありますけれども、本年二月ごろからは逐次嘱託件数のうち登記未完了の件数が減少いたしまして、本年六月末ごろには約二十三万町歩、非常に少くなつて参つたのであります。今後の見通しについて申し上げますと、ただいま申し上げましたように、買收及び売渡しの登記の嘱託、登記の未完了の面積がかように隔たりが少くなつて参りました。遠からずすべて完済し得ると見ているのでありますが、今までのところ嘱託あるいは登記の未完了の部分、これは各地の実情を調べてみますと、耕地整理の完了しておちない土地、あるいは登記の前提として土地の分合を要するものについて、分合の手続ができておらないというようなことで、遅れているように見受けられるのでありまして、これらのやや複雑な事件の処理のために、幾らか現在もまだ未完了の部分があろうかと思います。しかしながら、現在までの進捗状況がこのまま継続いたして参りますならば、本年中には完了の域に達するのではないかと考えられるのみならず、全国的に申しますと、農地改革に伴う登記所の事務負担というものは、非常に軽減して参つているのであります。まつたく完了した登記所も、六月現在で二百四十箇所ばかりあるのであります。この台帳事務を登記所に引継いでやつて行けるかどうかというお尋ねの点につきまして、予算の関係とあわせまして御説明申し上げたいと存じますが、台帳事務を登記所に移管するということが、政府部内において決定いたしましたのは、時期が非常に遅れまして、その経費を今年度の法務府の本予算案に計上することができなかつたのであります。従いまして登記所の台帳事務処理の経費は予算に載つておりませんし、また特別の増員の点も考慮されていないのであります。しかしながら、現在までのところ税務署におきまして、台帳事務に従事しております職員の数は、約三千余りでありまして、そのうち賃貸価格の調査決定の事務が省かれますので、登記所にそのすべての人員が必要というわけでもないのでありますが、登記所の職員といたしまして、農地改革登記事務処理のために、約二千人近い増員が行われておつたのであります。この登記が近いうちに完了いたすことになりますと、登記所も台帳事務を処理するための相当の余力を持つことになるのである。かりに八月に移管を受けるといたしましても、さほどの支障なくやつて行けるのではないかと考えているのであります。もつとも土地台帳及び家屋台帳の事務を完全に遂行いたしますためには、この人員だけでは不十分でありまして、二十六年度の予算には相当数の増員を必要とすると考えておる次第であります。なお台帳事務処理に要しまする人件費以外の経費につきまして簡單に申し上げますと、これも先ほど申し上げましたように、本年度の本予算に計上されておりませんので、大蔵省と打合せの結果、とりあえず登記所費の項目をもちましてまかなうことにいたしました。不足を生じた場合には予備費なり、あるいは将来補正予算を提出されるような場合がありましたならば、そういう方面で十分御考慮をお願いいたしたいと考えておるのであります。
○猪俣委員 大体了承いたしましたが、前回提出せられました法案と、今回提出せられました法案との間に二、三相違点ができておるのでありますが、ここに比較表もありますけれども、この理由につきまして簡單に御説明願いたいと思います。
○村上政府委員 前国会におきまして御審議を願いました案と、今回の法案との相違点は四点あるのであります。前回の委員会の期日にお配りいたしました新旧両案の相違点の対照表がありますので、ごらんを願いたいと思うのでありますが、まず第一点は、土地台帳法の第三条を改めたのであります。旧案におきましては、土地台帳法の第三条第二項各号の規定、すなわち第二種として地方税を課せられない土地を列挙しておりますところの、この第二項各号の規定の内容については触れておらないのであります。つまり現行法通りといたしまして、その他のものは最後の第七号の政令の中で規定する予定であつたのであります。たとえば特別市、特別区あるいは市町村組合の所有する土地等につきましては、政令の方にあげる方針であつたのでありますが、今回の案におきましては、地方税法案の三百四十八条の規定にできるだけ形式を合せることにいたしまして、政令で規定する予定でありましたものを法律の上に規定することにいたしました。その点の修正であります。
 第二の点は、土地台帳法の四十三条の規定でありますが、旧案におきましては、東京都の特別区の存する区域、特別市または地方自治法百五十五条第二項の市、すなわち東京以外の五大都市でありますが、これにつきましては、土地台帳法中市または市長に関する規定は、特別区、行政区、区または区長に適用することといたしました。通常の場合市町村に備えつけることになつておりましたところの土地台帳の副本の備えつけ場所を特別区なり区に備えつけること、また申告の経由機関も、通常は市町村長でありますが、区長を経由するというふうになつておつたのであります。改正案におきましては、地方税法案の七百三十匹条の第二項によりまして、これらの地域におきましては東京都または特別市自体が固定資産税を課することになりますので、かような場合には土地台帳の副本、すなわち地方税法の方ではこれが固定資産台帳になるわけでありますが、それの備えつけ場所等は、区よりも都なり特別市の方がいいのではないかというような地方自治庁並びに東京都方面の意見もありまして、その趣旨に改めることにいたしたのであります。なお地方税法案の七百三十六条第一項によりますと、例外的規定といたしまして、都条例の定めるところによつて、東京都の特別区が区税として固定資産税を課することができる場合があるのであります。そういう場合には、台帳副本の備えつけ場所等も東京都でなくて、区の方が適当であろうということで、この但書を設けたのであります。
 第三の点は、第六条の規定であります。第六条は民事訴訟法の整理の規定であります。これは旧案にはなかつたのでありますが、民事訴訟法の六百四十三条第一項第三号を読みますと、土地に対する強制競売の申立て書には、土地台帳に登録された賃貸価格を証すべき証書を添付することになつておりますけれども、地方税法案が成立して実施されますと、賃貸価格というものがなくなりまして、この証書の添付に関する規定が無意義になります。また現行法の民事訴訟法六百四十三条には、家屋に対する強制競売の申立ての場合には、かような規定が置かれていないのであります。また実際の競売の手続等も調査してみますと、これにかわるべきものをつける必要もなかろうということでありますので、六百四十三条第一項第三号のうち、前回の案になかつた賃貸価格の箇所を整理することにいたしたのであります。
 第四の点は施行期日でありまして、前回御審議を願いました案には、昭和二十五年四月一日から施行するとなつておりましたけれども、すでに御承知のように、この法案は地方税法の規定と不可分の関係にありますので、地方税法の施行と同時にこの法律を施行することが必要であろうと存じまして、附則の第一項をかように改めた次第であります。
○安部委員長 ほかに御質疑がないようでありまするから、本日はこの程度といたしまして、次会に続行いたしたいと思います。次会は明二十一日午前十時より開会いたします。案件は、法律案と鉄道公安職員の職権等に関する法律案起草に関する件であります。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時三十五分散会