第008回国会 本会議 第9号
昭和二十五年七月二十七日(木曜日)
 議事日程 第八号
    午後一時開議
 第一 教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 失業保險法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案(内閣提出、参議院送付)
 第四 商品取引所法案(内閣提出、参議院送付)
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●本日の会議に付した事件
 議院運営委員長辞任の件
 常任委員長の補欠選挙
 日程第一 教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 失業保險法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第四 商品取引所法案(内閣提出、参議院送付)
 低性能船舶買入法案(内閣提出)
 主要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律案(内閣提出)
    午後一時二十七分開議
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) お諮りいたします。議院運営委員長大村清一君から委員長を辞任したいとの申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) つきましては議院運営委員長の補欠選挙を行います。
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○今村忠助君 常任委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて議長は小澤佐重喜君を議院運営委員長に指名いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文部委員長長野長廣君。
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    〔長野長廣君登壇〕
○長野長廣君 ただいま議題と相成りました教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案につきまして、本法案の趣旨並びに文部委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず本法案の趣旨を簡單に御説明いたしますると、本法案は昨年五月の第五国会において制定されまして、九月一日より施行せられたのでありますが、その後着々新しい免許状が交付されますとともに、上級免許状援與のための現職教育もすでに実施せられております。ところで、相当期間にわたつて教職についておりまする教員に対し上級免許状援與に関する特例を規定いたしましたる施行法第七條の有効期間は、第七国会におきまして昭和二十八年三月三十一日までということに相なつたのでありますが、その免許状を受けるのに必要な單位をとるために最も一般的な方法でありまする免許法認定講習の受講希望者が大分多くございまして、今後三年間にその希望を満たすことは、いろいろ困難な事情があると考えられるのであります。従いまして、第七條の有効期間をさらに三年間延長し、すなわち昭和三十一年三月三十一日までといたしまして、この特例の適用を受ける者に対し、さらに容易に上級免許状を受けられるようにしようとするものであります。
 次に、本法案の審議の経過を申し上げます。本法案は、昨二十六日、本委員会に付託せられたのであります。愼重なる審議を重ねまして、各委員より熱心なる質疑が行われましたが、その結果、各党より政府に対しまして、実際教育に支障を来すことなく、かつ受講者の経費負担の軽減をはかり得るように、経験年数と單位数との比率について再検討を加え、通信教授の拡充及び予算措置等につきましてなお十分なる研究を行い、もつて所期の目的を達成するよう、今後ともなお一層努力せられんことを要望いたしまして、討論を省略、採決いたしましたる結果、全会一致をもつて原案は可決せられました。
 以上、本法案の審議の経過並びに結果の報告を終ります。なおその詳細につきましては速記録によつて御了承願います。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二、失業保險法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員会理事福永健司君。
    ―――――――――――――
    〔福永健司君登壇〕
○福永健司君 ただいま議題となりました失業保險法の一部を改正する法律案につきまして、労働委員会の審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本改正案の主要点の第一は、日雇い失業保險金の給付を受ける資格の要件を緩和することであります。すなわち現行の資格要件は、失業前二箇月において三十二日以上事業主に雇用されることを必要とするのでありますが、最近の日雇い労働者の稼働状況にかんがみ、今回これを緩和し、失業前二箇月において二十八日以上稼働した場合に失業保險命の給付を受ける資格が得られるように改めることといたしたのであります。
 次に改正の主要点の第二は、日雇い失業保險金の給付を受けるための待期日数を緩和するとともに、保險経済の状況に応じてこれを合理的に調整できるように改正することといたしたのであります。すなわち原則として、失業した日数が通算して六日または継続して四日の待期日数を経過して初めて保險金の支給を受けることができるようにし、さらに保險経済に余裕があるときはその日数を一日ずつ引下げ、反対の場合には一日ずつ引上げることといたしているのであります。
 本案は、日雇い失業保險制度実施の経験及び最近の失業情勢にかんがみ作成せられたものであり、去る十五日内閣より本院に提出せられ、即日労働委員会に付託されたものであります。よつて労働委員会といたしましては、十九日に会議を開き、政府より提案理由について説明を求め、次いで二十一日及び二十六日の両日にわたつて質疑を行い、続いて討論に入りましたところ、自由党の島田末信君、国民民主党の早川崇君、日本社会党の前田種男君はそれぞれ原案に賛成の意見を述べ、日本共産党の土橋一吉君、労働者農民党の中原健次君はそれぞれ反対の意見を述べられました。かくて採決をいたしました結果、起立多数をもつて原案の通り可決いたすべきものと決定いたした次第でございます。
 以上、簡單でありますが御報告いたします。
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。土橋一吉君。
    〔土橋一吉君登壇〕
○土橋一吉君 ただいま議題となつておりまする失業保險法の一部を改正する法律案につきまして、私は日本共産党を代表して反対の意見を表明するものであります。
 今日、自由労働者諸君の失業の状態は、まさに言語に絶するものがあるのであります。今日まで就労手帳が交付せられております者は全国的に約十万であります。すでに労働省が発表しております顕在的失業者は五十万と称しておりますが、おそらくその数倍にも余る労働者諸君が失業しているのであります。ところが今日就労手帳は十万程度でありますから、これらの失業者に就労手帳を交付するということに相なりまするならば、必然に、各労働者諸君は失業労働者でありながら、さらに失業をするという現状を招来せざるを得ないのであります。でありますから、昨今は特に朝鮮事変を契機といたしまして、各職業安定所におきましては輪番制の問題が起つているのであります。幸いにも東京都内はそれほど激甚ではございませんが、過日京都あるいは名古屋、大阪等の五大市長がわが国会へ陳情をいたしておりまするあの内容を見ましても、日々労働者諸君の失業、あぶれというものが非常に多いのであります。
 そこで今問題の中心点は、これら日雇い労働者の失業保險金に関する問題で、法律案の改正の要綱は、失業者の受給要件の緩和と、さらに受給制限における緩和というので、いわゆる待期日数の問題でありますが、これらの失業者に就労手帳を交付するということに相なりますと、少くとも失業の前二箇月間に二十八日の就労をしなければ失業保險金をもらう資格が出ないのであります。さらにそのような資格を備えまして、いざ失業保險金をもらうという段階になりますと、少くとも通算して六日間、継続して四日間の待期日数を持つということは、今日二百四十円の失業救済の金をもらいまして、四日間連続して、五日目にこの金で一体自由労働者諸君が生活ができるでありましようか。現在の平均家族数は、自由労働者諸君は三人の家族を持つておるのでありますから、二百四十円を五日目にちようだいしましても、三人家族をかかえまして、どこに救済ができるでありましようか。いわんや失業保險金は現在の二百四十円の百分の四十五であるというに至りましては、ほとんど生活が不可能であります。いわんや受給制限としましての二十八日の問題にいたしましても、今日労働省がすでに委員会において発表しておりますように、全国的には一六・三日の稼働日数であります。そうしますと、自由労働者諸君はほとんど一箇月のうち一六・三日しか働かないのでありますから、半数以上は実際的にあぶれているのであります。そういうものが二十八日間の印紙を張らなければならないというきわめて不都合な法律でありますので、われわれは決して政府の申しておりますように自由労働者の保險金に関する緩和の実質を備えていないと思うのであります。
 さらに昨今の自由労働者のあぶれの問題である。輪番制の問題は、すべての日雇い労働者諸君が反対をいたしておりますので、これに対しましては各労働組合がつくられまして、職安の所長あるいは事業体等に対して常に折衝をし、交渉をしておる。これは少くとも労働組合法上の労働組合であるのであります。にもかかわりませず、これに対しましては、国家官憲はあらゆる方法で団体交渉を妨害し、これに彈圧を加える。諸君が一たび新宿の職安なり、あるいはその他の職安にお出ましくださいまして、あの現状をつぶさにごらんくださいますれば、いかに今日の制度が誤つておるかということは、もはや証明する余地はないのであります。
 私は、かかる労働運動に対しまする彈圧と、さらに保險経済の建前を主張いたしまして――政府は、この保險金の支給についても、とやかく制限を加え、その緩和を拒んでおるのでありますが、少くとも自由労働者の失業保險は、社会保障制度下におきましては最も大切なる保險でありますので、保險経済を建前とする政府が、少くとも、もうけるような方法で自由労働者の保險料を徴收し、なおかつこれを適正に拂わないというような制限條項には、私はまつこうから反対すべきであろうと思うのであります。かかる問題は、政府や資本家諸君の政策や決定によりまして自由労働者が今日生産され、さらに吉田政府のもとにおきましては、自由労働者の拡大生産が行われつつあるのであります。でありますから、このような拡大生産については、当然政府及び資本家の全額負担において失業保險を行敢し、しかもそれが無制限に行われなければ、政府のこの罪惡を償うことができないのであります。でありますから、われわれは、まず第一番目に、どうしてもあぶれをいたしました自由労働者諸君に対しましては、即日その出づらなり、あるいはその日当を支拂う必要があると考えております。従やまして、待期日数等は設けるべきではないという基本的な態度をわれわれは堅持いたしておるのであります。第二番目といたしましては、このような受給要件における制限は、先ほども申し上げておりますように、十万の就労手帳に、約五十万の就労手帳を持たざる労働者がおります限りにおいては、どうしても十六・三日の稼働日数では済まされないわけでありますから、最小限度十五日、失業をいたしまする前二月間においては十五日程度の日数に改めませんことには、この法の運用を適正妥当に運行することができないと思うのであります。かかる観点から、このような吉田政府の欺瞞的な、労働階級や、あるいは働く日雇い労働者諸君や、さらに失業をいたしておりまする諸君に対する一応の見せかけの改正法案は、その本質をいよいよ惡からしめるものであります。でありますから、われわれは基本的な方向においてこれが改正せられまするならば賛成をいたしますが、今のような状況においては、これが労働者にとりましては決してより幸いでないのみならず、いよいよこれが彈圧や吉田政府の政策を示すものであると考えるのであります。かかる観点から、私はこの法律案に絶対反対の意見を表明する次第であります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 前田種男君。
    〔前田種男君登壇〕
○前田種男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されておりますところの失業保險法の一部改正案に対して、以下数点の意見を付しまして賛成の意思を表するものであります。
 まず最初に改正案の内容でございますが、これは端的な待期期間の短縮、あるいは三十二日を二十八日に引下げたという程度でございます。私たちは、待期期間の問題につきましては、できますならば待期期間を廃止すべしという意見を持つております。しかし事務的にやむを得ない場合は、この六日を三日にし、あるいは四日を二日にするというように最小限度に切り詰め、そうして労働者諸君の立場を考慮してやることが絶対に必要であろうと私は考えます。
 さらに問題は、この改正案ばかりでなくして、今日の失業対策の全般の問題が緊急の対策でなくてはならぬのでございます。この春の議会で承認されました四十億の失業対策の費用というものは、年度末までにでなくして、切り上げて今日使用されることになつておりますが、今日の失業者の実情は、その予算では足らないという現状になつております。そうした対策をどうするかと申し上げますならば、政府は少くとも緊急に補正予算を提出いたしまして、失業対策の万全を期さなくてはならぬと私は考えます。そうした点等につきまして、今日の政府の所見というものは、あまりにも消極的過ぎるといわざるを得ないのでございます。
 今日職安の末端におきましては、職を求める、あるいはいろいろな点であつせんをするという平常な状態を逸脱いたしまして、今日相当險惡な状態が全国各地にみなぎつておるのでございます。私たちは、こうした問題が起きて参りますところのいろいろな原因等につきましては、事実についてはいろいろの問題があろうかとも考えますが、その根本は、何と申しましても失業者の実際の実情と予算的措置がバランスがとれていないというところに重要な関係があるのでございます。私たちは、そうした関係におきまして、失業対策の根本に対する吉田内閣の積極的な施策がなされなくてはならぬと思うのでございますが、現吉田内閣にそうした施策を要望することは、ちようど山に登つて魚を求めるようなきらいがないとも言えないのでございます。しかし、今日のわが国の経済再建の途上、今日の国民生活の実情を考えてみますならば、こうした緊迫せる対策に対しては少くとも積極的な方策が講じられなければならぬと考えます。さらに日雇い労務者に対しましては、今日二百四十円という賃金を支拂つておりますが、二百四十円で最低の生活が得られるかということになりますと、得られないのであります。私は、この金額をもつと引上げまして、最低の生活を確保してやるという方策が立てられなければならないと考えます。それとともに、一律に二百四十円支拂うというこのやり方に再検討を促さなくてはならないと思います。なぜならば、みんなに一律に二百四十円ずつやるというこのやり方は、一番安易な対策でありますが、私は、その仕事の量の内容、技術の内容、あるいはその能率の内容によつて、よく能率を上げ、あるいはよく働く人々に対しましてはその倍の賃金をやる、あるいは三倍の賃金をやるというように、それぞれ能率に応じて支給するという方策が少くとも考えられなければならぬと考えます。
 さらに保險給付の問題につきまして、今共産党の土橋君は、こちした問題は全額政府負担によつてなされなくてはならぬと言つておりましたが、私は、保險の本質からいつて、この日雇い労働者の失業対策の保險の財源につきましては、主たる財源を国庫が持つことは当然でございますが、やはり被保險者も一部の保險料を負担するということは当然であると考えます。今日の三円の保險料を四円、五円に上げてもさしつかえないのでございますが、被保險給付金が百四十円というような金額では、生活の最低が守れないのでございます。私は、給付金を大幅に引上げまして、そうして仕事をする意思があるにもかかわらず就職口のない人人に対しましては、最低の生活が確保できるような対策を講じてやらなくてはならぬと考えます。
 私は、こうした点等から本案に賛成するのでありますが、今日の職安の現状におきましては、職安関係に働いておりますところの公務員諸君は非常な過労な現状に押し詰められております。その待遇は、みじめな状態に置かれております。私たちは、そうした職安関係に従事しておりますところの公務員諸君の待遇その他の点につきましても緊急な対策を講ずる必要があろうと考えます。
 来月から二十六年度の予算の編成になりますが、二十六年度の予算の編成にあたりましては、失業対策あるいは労働行政の対策には根本的な、大幅な予算を計上して、そうして今日の時局に対処でき得るような対策を要望いたしまして、本案に賛成するものでございます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第三、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長安部俊吾君。
    ―――――――――――――
    〔安部俊吾君登壇〕
○安部俊吾君 ただいま議題となりました罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案につき、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知の通り、本年五月十三日長野県西筑摩郡上松町に起つた火災によりまして、同町中枢部の九割の区域にわたり約六百戸を燒失いたしましたが、うち約半数が借家世帯であり、罹災面積の六割が借地関係でありました。また六月一日の秋田県鷹ノ巣町の火災により、その半数に当る六百六十一戸を燒失いたしましたが、その四割が借家関係にあり、罹災区域の四割が借地関係でありました。
 そこで本法案は、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の規定を発動し、罹災建物の旧借主に優先的に借地権を取得させることにいたしました。これによつて両町の借地借家関係を調整し、その復興促進に資せんとするものであります。
 委員会においては、罹災地の事情を調査し、先例にかんがみ、急速にこの法案を成立させる必要を認めました。よつて質疑、討論を省略し、全会一致をもつて政府原案の通り可決した次第であります。
 右御報告申し上げます。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(幣原喜重郎君) 日程第四、商品取引所法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員長小金義照君。
    〔小金義照君登壇〕
○小金義照君 ただいま議題となりました商品取引所法案につきまして、当委員会における審議の概要並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は第七国会に提案されたのでありますが、時間の関係上審議未了となりましたため、再び提案せられたのであります。
 まず本法案の目的及び要旨を簡單に御説明申し上げます。昨年来、経済九原則及びドツジ・ラインの財政の実施によりまして、インフレーシヨンもようやく終息し、物資の出まわりも好調となり、物価も安定して参り。物資に対する統制も順次解除されつつある情況であります。従つて公定価格制度や配給統制は、ごく限られた一部の商品についてのみ存続し、大部分の商品の生産及び配給は経済原則によつて規制されることと祖なつたのであります。従いまして、商品の価格は需要と供給のバランスによつて決定されることとなり、この需要と供給をなるべく広い範囲にわたつて集中して公正な価格をつくるための市場の形成が必然的に要求されて来るとともに、現物のみならず、先物についての市場も要求されることになり、ここに商品取引所の設立が業界から強く要望されるに至つた次第であります。
 そもそもわが国の商品取引所は、古くは徳川時代の米会所に由来し、戰前におきましては、米を中心とし、綿花、綿糸、綿布、繭、生糸、人絹糸、雑穀、肥料、砂糖等、広汎な種類の商品にわたつて設置されていたのでありますが、戰時に入り、これ等の商品について全面的な統制が行われるに及んでその機能を失い、昭和十六年ごろまでには、ことごとく閉鎖または解散されるに至つたのであります。しかして商品取引所に関する法律も、明治二十六年の制定にかかる取引所法が、数回の改正を経て今日に至つている次第であります。しかるに、現在の経済実情にかんがみ、ここに新たな構想のもとに全面的に改正する必要が生じたのであります。
 以下、改正の主要なる点について簡單に御説明を申し上げます。
 第一に、現行法によりますと、取引所は、株式会社組織によるものと、会員組織によるものと、二者いずれをも認めておるのでありますが、今回の改正案では、会員組織のみが認められることとなつているのであります。
 第二は、取引所の設立にあたつて免許主義をやめて、登録主義をとることとしているのであります。
 第三は、塩引所において上場することのできる商品を濃定している点でございます。この法案では綿花、綿糸、綿布、乾繭、生糸、人絹糸、スフ糸、毛糸、ゴムが法定されておりますが、これらは大体において、かつての取引所に上場されておりました商品でありまして、今後においても取引所の設立が要望せられ、またその必要が認められるものであります。
 第四は、商品取引所行政の重要な事項を調査審議するための機関として商品取引所審議会を設置することであります。これは、取引所行政が国民経済全般に影響するところが広く、しかも各方面に関連を有しますので、主務大臣の権限の行使にあたつては、ほとんどすべてこの審議会の議決を経なければならぬことといたし、もつて取引所行政の運営の万全を難しているのであります。
 第五といたしましては、本法案では民主化という点から種々の規定があります。すなわち証券取引所の先例にならいまして、取引所における各種の紛争を円満に解決するために仲介の制度を創設しておるのであります。
 以上が、本濃案の趣旨並びに重点であります。
 本法案は、予備審査として七月十三日、本委員会に付託せられ、十五日、政府より提案理由を聽取いたしました。越えて二十四日質疑に入り、二十五日、二十六日と三日間にわたり、政府当局と委員との間に熱烈なる質疑応答がかわされたのであります。また二十五日午後、農林委員会との連合審査を行いましたところ、きわめて熱心な質疑があつたのであります。これらの詳細は会議録に讓ることといたしたいと存じます。
 二十六日、参議院より、同院において、施行期日が八月一日となつておりますのを、公布の日より十五日経過した日より施行するという修正が行われまして、正式に本委員会に付託されました。
 全部の質疑を終つて討論に入りましたところ、自由党を代表し福田一君より賛成の意見が述べられ、また国民民主党高橋清治郎君より強い條件を付して賛成意見の開陳があり、日本社会党加藤鐐造君、日本共産党風早八十二君よりは、それぞれその党を代表して本法案に反対の意見が開陳されました。なお農民協同党小平忠君は、本法案の趣旨の基本的な点には賛成であるが、今日これを施行すべき時期ではないからという意味で反対の意見が開陳されたのであります。
 引続き採決に入りましたところ、多数をもちまして可決した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、低性能船舶買入法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 低性能船舶買入法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長前田郁君。
    〔前田郁君登壇〕
○前田郁君 ただいま議題となりました低性能船舶買入法案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、去る七月二十五日、本委員会に付託され、翌二十六日、政府より提案理由の説明を聽取し、これを慎重に審査いたしたのであります。
 本法案の趣旨を簡單に申し上げますと、現在わが国の船舶は、外航適格船がきわめて少いのに反し、内航にしか就航できない船舶があまりに多く、しかも内航貨物の荷動きが激減いたしまして、多数の船舶が繋船を余儀なくされておる実情でありますので、性能の低い船舶を政府が買い上げまして、内航海運事業の正常な運営をはかろうとするものであります。
 その内容のおもなる点を申し上げますと、まず第一点は、性能の低い船舶、すなわち戰時標準型船または船齢三十年以上の船舶を一定の価格で政府が買い上げようとするものであります。次に第二点は、政府の買い入れた船骸を運輸大臣が船主に保管させまして、大蔵大臣が解撤して鉄くずとするものにこれを売り拂うのであります。第三点といたしましては、買入れ船舶の対価は売主の別段預金といたしまして、その使途を退職金の支拂い及び債務の償還に限定いたしたのであります。第四点は、船舶運航令に基く繋船補助制度をば廃止しようとするものであります。
 次に本案に対する質疑のおもなるものを申し上げますと、買入価格はいかなる基準に基いてこれを定めたかの質問に対しまして、政府委員より、用船料算定の際に用いた付保価格の五〇%を基準としたとの答弁でありました。また本法案と新船建造との関係はどうかとの質問に対しましては、政府委員より、新船建造とは全然関係がないとの答弁がありました。その他詳細は速記録に讓りたいと思います。
 かくて討論に入り、日本共産党江崎一治君より反対の意見が述べられました。これにて討論は終結し、採決の結果、本法案は政府原案の通り起立多数をもつて可決いたした次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。江崎一治君。
    〔江崎一治君登壇〕
○江崎一治君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま緊急上程されました低性能船舶買入法案に対しまして反対の意見を述べんとするものであります。
 本法案の提案の理由によりますと、内航貨物の激減によつに内航船舶に多大の過剰が生じ、ために九十万重量トン以上に及ぶところの低性能の船舶が繋船され、これがわが国海運界の非常な重圧となつているのだから、これを国家が買い上げ、鉄くずにすることが必要であるというのでありますが、われわれは、ここに歴代の政府、特に吉田内閣の一貫した大資本擁護の手厚い保護政策を発見することができると考えるのであります。
 船舶会社が、逐次低性能船を近代的の高性能の船に置きかえて行くことはあたりまえのことで、当然これは営業技術の上からやらなければならぬことであります。しかも買入れ対象の船は、船齢が三十年以上にも達したところの老朽船であるとか、戰時標準船であるとかで、前者は長期間にわたつて十分その投下資本が回收された船であり、また後者は、戰時中大船会社が政府から手厚い補助金を支給されてつくつた船でありますので、もはやその利潤は十分に上り、元のとれた船であるのであります。それなのに、何を好んで政府が法案まで出して買い上るのか、まことにわれわれは理解に苦しむ点であります。
 今や、日本海運界は強い戰時色を帯びて来ております。特にこの朝鮮事変以来、軍事的輸送のために徴用された船腹は三十万トンにも達するのであります。特に日本船舶による輸送は、政治的、軍事的に重大な意義を持つに至つておるのであります。この目的のためには、従来のボロ船では役に立たない。そこで政府は、独占的海運資本に本法案によつて手厚い保護を與え、低性能の船舶を破棄して、軍事的要求にも即応し得るところの船舶へ肩がわりさせる機会を與えておると考えるのであります。これは戰争参加への一歩を進めるものといわなければならぬのであります。また一方、本法案は船員の首切り法とでもいうべきものでありまして、船舶の廃棄を理由といたしまして、国際独占資本並びに吉田内閣にとつて好ましからざる進歩的な労働者の首切りを断参行する機会を與えるために、注意深く仕組まれた法案であるのであります。
 かかる意味におきまして、われわれ日本共産党は、この法案に対して、絶対に反対の意思を表示するものであります。(拍手)
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を永めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 主要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律案(内閣提出)
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、主要資糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(幣原喜重郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 主要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長千賀康治君。
    〔千賀康治君登壇〕
○千賀康治君 ただいま議題となりました、内閣提出、農林委員会付託にかかわりまする主要食糧供出報奨物資の配給に伴う損失の補てんに関する法律案につきまして、審議の経過並びに結果の大要を御報告いたします。
 御承知のごとく、従来政府は、主要食糧の供出を促進するため、農家の必需物資であります衣料品、自転車、魚肥等を報奨物資として配給して来たのでありますが、二十四年産米及び甘藷の供出に対しましても同様これが配給を実施いたし、これによりまして供出は著しく促進されたのであります。しかるに、昨年末以来、衣料品を始め一般物価の値下りによりまして、報奨物資はかえつて割高となり、その上農村購買力の低下も加わりまして、これら報奨物資の売れ行きが著しく不振となりました。このため、本年二月末には、都道府県共同荷受組合及び小売段階に、大約二十五億六千万円に達する滞貨を生ずるに至りました。これら報奨物資は農家の必需物資でありますのみならず、その品質、規格も農家向きのものでありますので、この際これら滞貨物資の各品目につき、農家が購入できる価格まで値引して、農家に配給いたしたいのでありますが、それには約八億九千九百万円の損失が予想されるのであります。これにつきまして、政府は去る三月末閣議の決定によりまして、都道府県段階の手持滞貨は、一応取扱い卸商に一定額の値引をして売りもどすことといたし、これによつて生じまする取扱い卸商の損失については、三億三千四百万円を限度として、卸商から政府に納付すべき価格差益金をもつて補償し、この残額五億六千五百万円を、この法律によつて政府が補償するようにいたしたいというのが、提案の理由であります。
 本法案は、昨二十六日、本委員会付託と相なり、同日、廣川農林大臣より提案理由の説明を聞き、次いで質疑を行いましたところ、自由党小笠原委員、社会党井上、足鹿両委員、共産党木村委員、農民協同党河口委員の各委員より発言がございました。詳細は速記録についてごらんを願いたいと思いますが、要点を申し上げますと、農家必需物資も豊富になつた今日、現在のごとき御奬物資配給制度を今後も継続する必要があるかどうかということで、これに対し廣川農林大臣から、現行のごとき物資の配給方法については再検討を加え、より適初な方法を考慮したいと思うが、要は増産計画を立てて、すべてをそこに帰一させることが必要であると思う旨の答弁がありました。次いで本日質疑に入るに先だち、自由党足立委員より、損失補填金を合理的に配分すべきこと、並びにその結果を本委員会に必ず報告すべきことを政府に要望すること、及びこの際質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決すべきことの動議が提出されました。この動議は全委員の賛成を得ましたので、ただちに採決いたしましたるところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたしました。以上御報告いたします。
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○団長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 これにて議事日程は議了いたしました。本日はこれにて散会いたします。
    午後二時十九分散会