第008回国会 厚生委員会 第6号
昭和二十五年七月二十八日(金曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 寺島隆太郎君
   理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君
   理事 金子與重郎君
      中川 俊思君    原田 雪松君
      松井 豊吉君    丸山 直友君
      亘  四郎君    三木 武夫君
      柳原 三郎君    堤 ツルヨ君
      福田 昌子君    苅田アサノ君
      松谷天光光君
 出席政府委員
        外務事務官(政
        務局長)    島津 久大君
        厚生政務次官  平澤 長吉君
 委員外の出席者
        厚生事務官
        (医務局整備課
        長)      小沢 辰男君
        厚生事務官
        (復員局業務課
        長)      岡林 諄吉君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  石橋 卯吉君
        專  門  員 川井 章知君
        專  門  員 引地亮太郎君
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七月二十七日
 医薬分業制度確立に関する陳情書(大津市石川
 町三十九番地滋賀県薬剤師協会長西谷平一)(
 第二三六号)
 らい療養所の医師看護婦の増員に関する陳情書
 (鹿屋市星塚町四千五百二十二番地国立療養所
 星塚敬愛園内大海洋)(第二七〇号)
 衛生教育に関する陳情書(山口市山口県議会議
 長清水為吉)(第二七一号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
 閉会中審査に関する件
 委員派遣承認申請に関する件
 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、
 検疫所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提
 出、承認第二号)
 阿波丸事件による遺族援護に関する件
 医療制度に関する件
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○寺島委員長 これより会議を開きます。
 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、検疫所の設置に関し承認を求むるの件を議題といたします。
 本件に関しましては、前会において質疑を打切つておりますが、討論に入ります前に、苅田委員から発言を求められておりますので、これを許したいと思います。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○寺島委員長 御異議がなければ、これを許します。苅田委員。
○苅田委員 前会の質疑の際に、お伺い漏れいたしました件につきまして、一、二なお御当局の方針を承りたいと思います。それは検疫所を新たに東京に設けるにつきまして、横浜から人員を二十四名東京の方に移して、それでもつて事務を行わせるような御説明を伺つたのでありますけれども、提案理由にも書いてございましたように、大体これは横浜における検疫事務が非常に輻湊いたしまして、そのために東京に設けることになつておりますので、ただ横浜から人員を移しただけでは、その人たちの仕事の量におきまして、非常に過重になるということが考えられると思うのでございます。そういう点につきまして、何らかの処置をお考えになつていられるのでしようか、その点を伺いたいと思います。
○石橋説明員 検疫所の業務は、ちよつと特殊でありまして、忙しいときには非常に忙しいし、またひまになりますと、ちよつと手を休めてほかの研究をしているというような業務の仕方でありますので、御指摘のようなことは、従来定員もございますので、今後東京港及び羽田空港における検疫の事務が増加して参りますれば、当然御指摘のような部面が出て来ると存じますので、新しい来年度の予算においては、この点を補正するような人員の増加をお願いするように、今準備を進めております。
○苅田委員 それでは、そういうようなきわめて繁忙なときにおいては、公務員法の規定に基くいろいろな超過勤務などの手当もあるわけでありますが、そういう点につきまして、御当局の方で臨機に十分な処置をとつていただくことをお願いいたしたいと思います。
 もう一つ聞きたいのは、東京港に荷上げいたします荷物にいたしましても、あるいは羽田空港のようなものでも、もつぱらどういうものが荷上げされているかということを、お聞きできれば一番いいわけですが、つまりどういうふうな船が出入りし、あるいは羽田空港には、どういう要務の飛行機が発着しているか、そういうことをお聞きいたしたいと思います。
○石橋説明員 その点につきましては、従来私どもの聞いておりました範囲では、横浜港における船と種類の違いがあるということは聞いておりませんが、これはちよつとこまかい資料を持つておりませんので、はつきりした種類別の点は申し上げかねます。
○苅田委員 大体現在の貿易もそうでありますが、特に羽田のようなのは、今度の朝鮮の問題を契機として、アメリカ関係からのそういう要務を帶びた飛行機の発着が多くなつていると思うので、当然終戰処理費からその費用がまかなわれればいいと考えられるのですが、七百万円の予算というものが、どういう費目から出ているかということについて、御説明願いたいと思います。
石橋説明員 東京港を一つの検疫所として指定していただこうという案は、今回の事変の始まります前からの案でありまして、すでに私どもとしましては、この事変による定員の増減は考慮に入れないでも、この案をお願いする所存で、またそういう方向でお願いしております。費目は公衆衛生の費目で、厚生省の本省費から出ております。
○苅田委員 大体七百万円の使途ですが、人件費などが加わらないとすれば、これはもつぱらどういう方面に使われるかということも、簡單でけつこうでございますから、お伺いしたいと思います。
○石橋説明員 費用は、検疫所の庁舎がまだありませんので、それの敷地とか建物、それから当然検疫の船等が必要になりますので、そういうのをごく最小限度に要求した額でございます。
○寺島委員長 それでは引続き討論に入るのでありますが、本件についての討論は別に通告もございませんので、これを省略し、ただちに採決をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○寺島委員長 御異議がなければ、これより地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、検疫所の設置に関し承認を求めるの件の採決をいたします。本件に関し承認すべきものと議決するに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○寺島委員長 起立多数。よつて本件は承認をすることに決しました。
    ―――――――――――――
○寺島委員長 次に、阿波丸事件による遺族援護に関する件について発言を求められておりますので、これを許します。青柳委員。
○青柳委員 当厚生委員会は、戰争犠牲者の保護のために、従前から非常な熱意を傾けておるのであります。ことに去る第五国会におきまして、今までほんとうに下積みになつておつた遺族援護の問題が、大ぴらに取上げられるに至りまして、本委員会におきましては、遺族援護のために努力を傾注しておるのでございます。しかるに今回政府御当局より、阿波丸事件によりまして生じた死亡者に対して、見舞金を出されるという、非常にけつこうな法律案が提案せられまして、本院においてただいま審議中であるのでございますが、遺族援護の問題に関連いたしまして、この法律につきまして簡單な質問をさせていただきたいと存じます。
 まず第一点といたしましては、この阿波丸事件の概要につきまして、ごく簡單にお知らせを願いたいと存じます。
○島津政府委員 阿波丸事件の処理につきまして、簡單に御説明申し上げます。御承知の通り、この阿波丸事件は、昭和二十年四月一日に発生いたしたのであります。当時日本に帰還しつつあつた阿波丸が、台湾海峡で撃沈されたという事件でございます。これにつきまして、当時戰争中に、中立国を通じて日本政府からアメリカ政府に交渉をいたしましたところが、アメリカ政府の方は、自分の方に責任があるという意向を通達して参りまして、それによりまして、終戰直前にやはり中立国を通じまして、日本政府から損害賠償を請求いたしておるのであります。その日本側の請求を、アメリカ政府で考慮中であつたのでございますが、昭和二十四年四月六日に、衆参両院で、日本政府は本件についてのアメリカ政府に対する一切の請求権を放棄するという決議が採択されております。なおそのときに、日本政府は国内措置として、本事件の犠牲者を慰藉するため適当な手段を講ずることという趣旨も、この決議の中に入つておるのでございます。この国会の決議に基く要請によりまして、日本政府とアメリカ政府との間に、四月十四日に東京において協定ができまして、国会の決議と同様の趣旨をうたいまして、請求権を――御参考にちよつと関係のところを読んでみますと、「阿波丸の撃沈から生じた米国政府または米国民に対するいかなる種類の請求権をも、日本国政府自身及び一切の関係日本国民のために、すべて放棄する。」この規定は「完全かつ最終的に打ち切るものであつて、これらの請求権は、何人が利害関係者であつても、今後消滅するものとする。」「日本国政府は、この事件の特殊性にかんがみ、この災難で死亡した者の家族及び前記の船舶の所有者に対し、見舞金の支給による適当な待遇を与えるため努力するものとする。」こういう趣旨を根幹としました日米間の協定が成立いたしたのであります。政府としましてはこれに基きまして、見舞金の支給について研究を進めまして、その結果、本年度の予算におきまして、阿波丸事件処理費としまして一億五千七百九十八万一千円というものを計上いたしまして、国会において御承認を経たのでございます。今回の法律案は、この御承認を経ました見舞金をいかなる基準で分配するかという、その基準その他を規定いたしました法律案でございます。
 この見舞金の内容を簡單に申し上げますと、遺族に対する見舞金は、單身者一人について七万円、二人の家族が犠牲となつた場合は十二万円、三人以上の場合は十五万円、これを見舞金として支給いたします。なお船主――郵船会社でございますが、船主に対する見舞金としまして、千三百九十八万円というものを支給いたすことになつております。
 きわめて概要でございますが、事件発生当時からの経過は、大体以上の通りでございます。
○青柳委員 よくわかりました。なお質問したい点は、遭難者の数、それからどういう人が遭難にあつたかという点につきまして、お知らせを願いたい。
○島津政府委員 遭難者の数は、当時の船客名簿を基礎にいたしまして調査いたしました結果が、二千三名という推定になつております。しかしこれは完全な名簿ではございませんので、この法律案が御承認を得て成立いたしましたならば、あらゆる方法で広告をいたしまして、正確な数を得たいという考えでございます。さしあたりのところ、われわれは二千三名という見当でございます。この内訳は、これも名簿によつておりますから、正確ではございませんが、一般人が百名、陸軍関係の軍人軍属が七百五十四、海軍関係の軍人軍属が九百九十八、阿波丸の固有の船員が百四十八、大体そういうことになつております。
○青柳委員 ただいま一番最初にお答えがありました中にございました見舞金は、大体基準として一人では七万円ということに相なつておりますが、その七万円は、いかなる基礎によつて出たものであるかという点について、お知らせを願いたいと思います。
○島津政府委員 七万円の算定の基礎につきましては、通常国際的に認められておりますホフマン式計算法というものによりましたので、これは簡單に申し上げますと、その人が死亡の当時支給されておつた給料をもとにいたしまして、余命年数――これは死亡当時の年齢によつて、多少違つておるのでありますが、かりに十年余命年数があつたといたしますと、それにその当時の収入をかけまして、それから死んだのでございますから、その余命年数間の生計費は差引くという、そういうような複雑な計算をいたしまして、数字を得たのであります。ところが、それは各人によつて異なるのでありますが、今回の事件は、特殊の場合であり、しかも見舞金という性質でございますので、平均をいたしておる。なおこの最初の計算で得た数字に、精神的な慰藉料という意味で、十五割をかけまして、その上に年五分の五年間の複利計算をいたしまして、七万円にきわめて近い数字を得たのであります。これを七万円ということに決定いたしました。
○青柳委員 なお承りたいのは、この見舞金の性質であります。ただいま初めて承知いたしましたのですが、ホフマン式計算法によつて出ますものは、どういうものであるかということであります。結局はその残された遺族に対して、気の毒であつたという精神的の慰藉だけでなく、やはり残された遺族の生計についての考えも入つておるものだと思いますが、その辺のお考えを聞かせていただきたい。
○島津政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、計算の基礎には、当時の所得というものが入つておりましたので、当然精神的慰藉だけでなく、生計ということも考えております。
○青柳委員 外務当局に対する質問はこれで終りました。なおこの問題に関連いたしまして、厚生当局に承りたいのでありますが、政務次官はいかがなりましたでしようか。
○寺島委員長 ただいま参議院の委員会に参つておりますから、ただちに呼びます。
○青柳委員 それではこれに関連しての質問は、政務次官が帰られましてから、なお続行させていただくことにいたします。
○寺島委員長 了承いたしました。
    ―――――――――――――
○寺島委員長 次に、閉会中審査申出の件についてお諮りいたします。当委員会の閉会中における活動を期するため、この際閉会中審査の申出をいたしておきたいと存じますが、いかがとりはからいましようか。
○亘委員 閉会中の審査申出につきましては、審査すべき事件としては、生活保護、結核対策、医療制度、社会保險、社会事業、水道事業、公衆衛生、婦人・兒童保護に関する件とし、目的としては、ただいまの各件の諸調査並びに対策樹立とし、その他の手続に関しましては委員長に一任したいと存じます。
○寺島委員長 ただいまの亘君の動議の通り、閉会中審査の申出をいたしてはいかがかと存じますが。これについて御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○寺島委員長 御異議なしと認め、ただいまの亘君の動議の通り閉会中の審査の申出をいたすことにいたします。
    ―――――――――――――
○寺島委員長 次に閉会中の委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。本件につきましては、閉会中の活動に関することでありますので、一応閉会中の審査事件が付託になつておりますから、申請することを前提といたしまして、あらかじめ決定しておくわけでございますが、いかようにとりはからいましようか。
○亘委員 閉会中の委員派遣に関しましては、派遣の目的は、生活保護、結核対策、医療制度、社会保險、社会事業、水道事業、公衆衛生、婦人・兒童保護に関する諸調査並びに対策樹立ということにし、派遣の期間は各班ともに十日間とし、派遣委員の氏名、派遣地名の選択は委員長に一任したいと存じます。
○寺島委員長 ただいま亘君から動議が出ましたが、本件もただいまの動議の通り申請いたすことに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○寺島委員長 御異議なければさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○寺島委員長 医療制度に関する件を議題とし、本件に関連して国立結核療養所の問題について発言を求められておりますので、これを許します。金子委員。
○金子委員 結核の国立療養所に関しまして、かつてこの療養所の経費といたしまして、見返り資金からの融資を受ける、こういうことを確定しておるように聞いておるのでありますが、この問題がその後一向にはかがしくないように承知しておりますので、一体その金額の使途並びに支出はどうして行われるようにきまつたか、あるいはもしきまつたとしても、その支出はいつされるか、その経緯について、ないしは今後の見通しについて、少しく詳しく具体的に承りたいと思います。
○小沢説明員 実は見返り資金の問題は、非常に重要な問題でございますので、私どもの政府委員をやつております医務局長がこちらに参りまして、いろいろお答えもし、御説明を申し上げるところでございましたが、本日癩療養所の非常に大きな問題がございまして、関係方面から呼出しを受けておりまして、ちようど時間がかち合いましたので、それで私かわりまして、担当の主務の課長として御説明を申し上げたいと思います。お許しを得たいと思います。
 なおできましたならば、見返り資金の現在までの経過と、それから現在関係方面の意向、その他につきまして、詳しく申し上げたいと思うことが一つと、それからもう一つは、私政府委員でないために、責任ある地位にございませんので、速記をやめていただいて、説明を十分にさせていただければ、たいへんけつこうだと思いますが、さようとりはからいを願いたいと思います。
○寺島委員長 それでは速記をやめてください。
    〔速記中止〕
○寺島委員長 それでは速記を始めてください。
○堤委員 ただいま結核対策につきまして、政府の方から御説明を承つたのでございますが、非常に重要な問題でございます。しかも前の国会におきまして決議をいたしております。大体この結核に対する決議というものが、一体どの程度政府において取扱われておるのか、私は非常に疑問を持つております。前の第五国会、第六国会、第七国会を通じてみましても、決議のしつぱなしでございまして、もし決議というものにほんとうに権威があるならば、ただいま説明を聞きました見返り資金の問題なんかも、当然具体化される一つの例として、もはや決定されておらなければならないと思うのであります。その両院の決議がむなしく政府に何ら重要視されずに来ておるということは、はなはだ遺憾に感じます。この国会が始まりましてからも、結核患者の代表、アフターケア・コロニーの問題で、いろいろ民間団体の方々がおいでになりますが、要するに施設費の問題でございます。私が厚生省に行きまして、療養所課長、病院課長、ここにおいでになります整備課長、また医務課長、あらゆる方々にお聞きいたしましても、厚生省内での資金の裏づけというものは、私たちがそれを追究してみても、どうもいたし方のないようなものを聞かされるのでございます。でありますから、私たちといたしましても、どうしてもこの見返り資金にまたなければならない。百四十万の結核患者、しかも年々十四万の人が死んでいる。国民負担は個人または公も合せまして、一億ないし一億五千万円に上るところの損害というものは、私は経済自立を目的とするところの日本の政策に反する最も大きな障害だと思うのであります。でありますから、非生産的なものでございますけれども、大事な人的資源の保護といたしまして、この結核に対する政策は政府が何をさておいてもやらなければならない問題でございますから、ひとつ超党派的に、私たちは結核対策に対して力を入れたいと、かねがね思つて参つたのでございます。それで見返り資金の問題を聞きまして、非常に喜んでおつたのでございますが、もはやそういう段階にまで来ておりまするならば、第七国会におけるところの結核対策に関する決議の扱いに対する政府の説明を一応聞きまして、もし政府のなすべき余地がありますならば、これを私たち委員会として要求し、さらに委員会独自の立場においてこの見返り資金に対する一つの働きかけをするように、委員長においておとりはからいを願つたらいかがかと思いますので、その点政務次官から今までの決議に対する経過をお聞きして、何とかきめていただきたい。
○平澤政府委員 お答えいたします。ただいま仰せられた決議については、政府はもちろん積極的に趣旨に沿うてやらねばならない、こういうことで、閣議におきましても、この問題は日本政府としてはきまつておるのでございます。先ほど私、参りますまでに、どういう御説明がありましたか存じませんけれども、政府としては、見返り資金の問題でございまするから、積極的に折衝を続けておるという、ただいまの状況でございます。従つてその決議については、あくまでも達成しなければならぬ、こういう決意でおる次第でございます。
○堤委員 ただいま政務次官の御答弁を承りまして、はつきりと前の国会の決議に基いて、この見返り資金の問題もやつておるということで、了承いたしました。しかし政務次官も御存じだろうと思うのでございますが、厚生省という省は、非常に大蔵省に対する働きかけなどが下手でございまして、昔からこの中で見ておりましても、非常に非生産的な省でございますので、予算を取ることなんかが、今まで下手でございました。私たちが見ておりましても、まどろこしいようなことがあつたのであります。これは、私は司令部に対して働きかけるような場合においても、同じだろうと思います。それで聞いておりましても、まことに心もとなく存じますので、政府の中におきましても、その点特に留意されまして、厚生省関係の予算を、たとえば今年五億というものを、すでに公共事業費の中に明細に書いてあるのに、よその省にもぎとられるようなことがあるのではないかと、私、懸念いたしますので、これは大臣並びに政務次官の腕にすがるよりしかたがないと思いますから、この点ひとつがんばつていただきたいと思います。
○平澤政府委員 御注意によりまして、十分善処いたします。
○堤委員 それでただいま私が申しました見返り資金六億三千万円に対する衆議院の厚生委員会としての態度を、この委員会で御決定願いたいと思います。皆さんにお諮り願つて、たとえば理事会にかけるとかなんとか、そういうある程度の具体的なものをきめていただきたい。
○寺島委員長 堤君の申出の件については、善処したいと思います。
○堤委員 それではここに整備課長と療養所課長がおいでになりますので、特にお願いしておきたいのは、アフターケア・コロニーの問題であります。私はこの六億三千万円の予算をおとりになつて、いかようにお使いになるか、詳細については存じませんが、私は後保護施設について、もう少し厚生省において力を入れるべきではないかと思いますので、この点について、何かお考えがあるならば、簡單にお聞かせ願いたいと思います。
○小沢説明員 アフターケアの問題につきましては、実は厚生省内における所管は、社会局の所管ということになつておりますので、たいへん恐縮でございますが、次の機会で社会局に追つて御説明させたいと思いますが、お許し願いたいと思います。
○松谷委員 ただいま堤委員に対する事務官の御答弁によりまして、大体渡されます本年度における五億という別途増資は、ことに社会局でない、整備課のもとにおける予算と了承いたしてよろしゆうございましようか。
○小沢説明員 さように御了承願いたいと思います。
○松谷委員 別の問題ですが、先ほど事務官のお話の中に――丸山委員も仰せになつておられましたが、癩問題について、何か問題が起つたというようなことを承つたのでございますが、おさしつかえなければ、この際にその要点でも承つておきたいと思います。
○小沢説明員 別に問題が起きたということではありませんで、御承知の通り癩の療養所内における癩の拘置所ないしは監禁室をどうするか、法務庁と厚生省の所管の問題、あるいは取扱いの方法につきまして、過般来関係先の方と厚生省、法務庁の方でいろいろ協議をしております。今日、できたらさような結論を出して、来年度の予算の折衝も始まつておりますので、関係方面に出向いているわけであります。さよう御了承を願いたい。
    ―――――――――――――
○寺島委員長 次に阿波丸事件による遺族援護に関する件の質疑を続行いたします。本件について青柳委員より政務次官に質問を求められておりますので、これを許します。青柳委員。
○青柳委員 先ほど外務御当局の御説明によりますと、阿波丸事件のために死んだ者二千三名――もつともこれは名簿によるものであつて、不確かであるというお話がございました。その中で陸軍関係軍人軍属七百五十四名、海軍関係軍人軍属九百九十八名。これらの方々は阿波丸の遭難によつて死歿せられたことは、軍人としてのもちろん戰死であろうと存ずるのでありますが、ちようどその道に詳しい岡林説明員もおられるので、その点をはつきりと御説明を願いたいと思います。それから他の一般人百名並びに船員百四十八名があるのでございますが、これらは軍人ではないのでございますけれども、戰争中これらのものが戰争に関連してなくなりました際には、全部が軍属の取扱いを受けて戰死者の取扱いを受けておると思うのでございますが、これらのものも、戰死者であるかどうかという点について、はつきりした御答弁を願いたいと思います。
○岡林説明員 元の軍人軍属で、阿波丸でなくなつた方の取扱いは、ただいま青柳委員の言われましたような、戰死というはつきりした取扱いは、おそらくしていないのではないかと思います。いろいろのいきさつを聞いてみますと、すでに陸軍として当時死亡公報を出したものも若干あるようでありますけれども、それをある時期に撤回をしたという処置もとられておるようでございまして、一部撤回漏れの方もあるかもしれませんが、一般的には阿波丸によつて死亡した、こういうようになつておると考えております。
 それから一般の方でなくなつたときに軍属扱いにしたかどうかという問題でありますが、これは外務省所管の方でございまして、おそらくそのまま一般のお方としてなくなつたということになつておると私は考えております。なお陸軍関係七百数十名のうちで、旧軍人は数十名でありまして、あとは船員あるいは南方開発の要員という方が大部分でございます。
○青柳委員 戰争の際には、その死歿の原因にもいろいろあつたと思うのでございます。直接戰争中に死んだ以外の人々も、戰争に関連してなくなつた際には、戰死の取扱いを受けておつたと思うのでありますが、阿波丸事件の関係者のみに限つて、戰死の取扱いを受けなかつたというふうな御答弁であつたと思うのでありますが、その点もう一ぺん重ねてお尋ねいたします。
○岡林説明員 この点は、私はつきりと調査はしておりませんので、明確なる答弁を要求されましたけれども、今ただちにここではつきり申し上げることはできかねます。早急に関係者の方で調べまして、そうして、あとで青柳委員の方に御答弁をさせていただきます。
○青柳委員 戰争中は、大体広く戰争に関連して死んだ人を、戰死者の取扱いをしたものと私は存じております。しかも、さらに戰争に直接関連しない内地において、戰災のためなくなつた方々、この方々は、もちろん戰死者ではございませんが、その当時の法律によりまして、国家はこれに対して相当な保護を遺族に与えておつたのでございます。国家といたしまして、戰争に関連して、国の内外を問わずなくなつた方に対して保護を与えることは、国家の当然の義務であると私は存ずるのでございます。しかしてこの阿波丸事件でもつてなくなつた方にのみ、見舞金を出す。見舞金の性格は、先ほどの外務御当局のお話によりますと、ひとり精神的なものばかりでなく、生活の問題も考えての、いわゆるホフマン計算方式によるものであるということを知つたのであります。そういたしますと、現在約二百万に上るあの戰争でもつてなくなつた方々、その遺族に対して、政府は何らの手を打つておらないのであります。ひとりこの阿波丸事件によつて遭難した人にのみ七万円の金を出す、こういうことに相なるのであります。もちろんこの阿波丸事件は特別なものであるということは、存じております。しかしながら、政府御当局とされましては、やはり遺族の心を心として、阿波丸事件に関連しておらない方々についても、この阿波丸事件について見舞金を出すと同時に、何らかの処置をとるべきであると私は存ずるのでございます。何とぞ遺族、ことに戰争でもつてなくなつた戰死者は、第五回国会におきまして、厚生大臣は明らかに、公務による死亡者であるということを明言されたのであります。公務による死亡者である以上、政府は何らかこれに対しての処遇をどうしても行わなければならないのであります。しかも現在軍人の遺族の方々は、生活の費用などを要求しておる人ばかりとは限らないのであります。ただ精神的な援護、弔慰金でもいいから、この際国は何とかしてくれろという、ほんとうに悲痛な叫びをしておるのであります。しかも遺族は、非常に弱い老人や婦人が多いのであります。この声も、東京に来てあげる声と違つて、地方においての、非常に弱い、遠慮がちな、しかも実際は政府として非常に考えなければならぬ声があがつておるのであります。何とぞこの阿波丸事件に関連して、他の二百万に及ぶ、何ら政府が手を打つておらない遺族のために政府は考えられて、この際急速に遺族に対して、弔慰金あるいは年金の御処置について、現在より以上の努力を払うべき責任を持つておると、私は断ずるのでございますが、政府御当局の御所見を伺いたいのでございます。
○平澤政府委員 ただいまの御質問は、遺族の問題でございますが、阿波丸との関連としての青柳委員のお話がありましたが、阿波丸事件がありませんでも、仰せられるような遺族の皆さんに対しては、さきに第五国会において公務によるものであるという言明があつたと仰せられたように、国としては何らかの処置を講ずべきであると私は存じております。もとより阿波丸事件の問題は、国際的な関係もございますので、これはこれとして、さらに関連性があるかどうかということについては研究をいたしまするが、それと切り離しましても、この遺族の問題等については、さらに研究いたしまして、善処するように私からお答えいたします。
○青柳委員 私は阿波丸に関連してというけれども、事務的にということを申し上げようと思うのではございません。全般の遺族の気持を察する際に、阿波丸で遭難した人だけが一人当り七万円のお金を、いろいろな原因はありますが、政府が親切にもくれる。しかるにわれわれにはまだくれないのだという気持になる。その気持を政府は取上げて、この際こそ、今までと違つて、熱烈にこの弔慰金、年金の支給の実現のために御努力なさるべきであると存ずるのでございます。
 なお先ほども私の申し上げた中に触れましたが、遺族は老人、婦女子が多い、従つて非常にひつこみ思案で弱いのでございます。これに関連して非常に小さい問題のようで、実は大きい問題が一つございます。それは私この遺族の問題につきまして、たびたび関係方面なども歴訪いたしておりますが、あるときに厚生省の次官の代理として、厚生省の官房の総務課長と私と一緒に関係方面を訪れました。その際に関係方面のある責任者は、私並びに総務課長に対して、遺族の実情はよくわかつた、ついてはこの際新たに各府県に対して遺族の心情をよくくみ上げるように、あらためて通牒を出す、こういうふうなことも議がまとまつたのでございます。しかるに通牒などでまだその点が出ておらないというふうに聞いております。それは政務次官がお帰りになつて総務課長にお聞きになれば、よくわかると思います。その通牒をぜひ出していただきたいのであります。たとえば戰争犠牲者もいろいろございます。ところがその通牒によりますと、引揚者あるいは未復員の留守家族というような方々については、文字でもつてそれを表わすのでございますが、軍人の遺族はいつもそこに入つておらない、まだ政府が見てくれないということが、等というふうに入れられてしまう、こういうところに表われる、こういうことであります。事は非常に小さい問題のようでございますけれども、一番気の毒なのは遺族でございます。何とぞ政府当路におられる方々といたしましては、そういう際にも、遺族ということをはつきりうたい込んで、先ほど申し上げましたような通牒を、この際出すように、ぜひお願いいたしたいと存じます。
○平澤政府委員 仰せられることは、研究して努力いたします。
○寺島委員長 本日はこの程度において散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。
    午後零時一分散会
     ――――◇―――――