第008回国会 農林委員会 第3号
昭和二十五年七月十九日(水曜日)
    午前十時九分開議
 出席委員
   委員長 千賀 康治君
   理事 足立 篤郎君 理事 野原 正勝君
   理事 松浦 東介君 理事 小林 運美君
   理事 井上 良二君
      宇野秀次郎君    遠藤 三郎君
      越智  茂君    川西  清君
      河野 謙三君    中馬 辰猪君
      幡谷仙次郎君    原田 雪松君
      八木 一郎君    大森 玉木君
      坂口 主税君    石井 繁丸君
      木村  榮君    山口 武秀君
      河口 陽一君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 廣川 弘禪君
 出席政府委員
        農林政務次官  島村 軍次君
        農林事務官
        (蚕糸局長)  最上 章吉君
        食糧庁長官   安孫子藤吉君
        林野庁長官   横川 信夫君
 委員外の出席者
        農林事務官   山添 利作君
        農林事務官
        (農政局長)  藤田  巖君
        農林事務官
        (畜産局長)  山根 東明君
        專  門  員 岩隈  博君
        專  門  員 藤井  信君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員追加選任及び補欠選任
 食糧、蚕糸、畜産、林業、開拓、土地改良、農
 業課税、農林金融及びその他農政一般に関する
 件
    ―――――――――――――

○千賀委員長 それでは、昨日に引続きまして、会議を開きます。
 日程は農政一般に関する質疑を行います。通告順に発言を許します。井上良二君。
○井上(良)委員 昨日、わが国の農村の基本的な態度について、大臣の御所見を伺つたのでありますが、さらにこの際もう二、三点重要な問題について伺つておきたいのは、一つは食糧需給対策の基本的な対策でありますが、昨日大臣は、輸入食糧は最小限度にとどめて、国内において自給力を高めたい、こういう御所見を拜聴いたしたのであります。もちろんこれは、わが国としては、いずれの内閣がその席につきましようとも、この基本方針は貫かなければなりませんが、ただ問題は輸入食糧を最小限度にとどめたい。ところがこれは一昨日の本会議で私質問をいたしました通り、現在年間大体二百万トン、千四百万石というのがわが国の絶対量の不足する食糧であります。それが昨年十一月の新米穀年度に持ち越した食糧が千六百万石に上つておる。そこへもつて来て、国内産の二十四年度産米が約三千万石近く供出されておる。さらにことしの麦、政府の買い上げるところのいも、これらを加えまして、この秋の十月末の政府の帳じりでは、千九百万石、約二千万石の食糧がだぶつくといいますか、それだけ多く政府は倉庫にストツクしておることになるのであります。そこでこれが国内産の食糧でストツクされておるということならば問題はないのでありますが、問題はこれが大部分外国食糧である。しかもその外国食糧が、消費者の方に絶対喜ばれてない。これはいろいろな関係がありまして、全体の食糧に対する有効需要が減退いたしまして、国内産の自由価格といいますか、国内食糧の自由価格が非常に安くなつて来た。すでに大臣も御存じの通り、東北、北陸等の米産地に参りますと、マル公を下まわる価格で取引されておるところが至るところにある。また農村自体が、現金をどうしてもいろいろな関係で持つておらなければならぬということから、自分の保有米を切つてさえ自由価格で売らうとする。やむにやまれぬ、せつぱ詰まつた状態に追い込まれていることからして、全体の有効需要の減退と農家の現金化というものがマツチしまして、非常に価格が下つて来ている。ところが政府の外国食糧は、大臣も御承知の通り、農民からは対米価比率は八一%三で買い上げている。ところが消費者へこれを売る場合は、九五%六という、ほとんど白米の価格と同等の価格でこれが消費者に配給されている。消費者がこの配給を受けて――これははなはだ自分のことを言うて申しかねますが、私自身の家の計算においても、これは配給所へ配給をとりに行つて、それをさらにパン屋ならパン屋で委託加工をさせまして、そしてまたパン屋からパンをもらつて来る。それへ今度バターなり、あるいはまたジャムなりコーヒーなりを添えて食べるということになりますと、現在東京で取引されております米のやみの自由価格は百四十円でありますが、このやみの百四十円の自由価格のものを買うた方が、はるかに家庭経済としては労力が省けますし、いろいろなむだが省けて、やみ買いの方が実際は経済的だ、こういう事実があるわけであります。その関係からこの粉がどんどん配給辞退になつて、たしか五月、六月の全国的な統計は五万トンに上つております。おそろしいストツクであります。これが全部、実はこのつゆを経過いたしました関係もありまして、虫がつく、あるいはまた目減りする。そういうことと倉庫料、金利、これが全部実は消費者に転嫁されるか、もし消費者に転嫁しないということならば、食管の特別会計の赤字を国庫で負担するか、何かここで手を打たなければならぬ。しかも御存じの通り、輸入食糧は莫大な輸入補給金というものが、本年だけでも四百五十一億予算に計上されておる。こういうことから、私は、絶対量が輸入されるということはこれは当然のことであつて、これに文句を言うべき筋合いではないが、そういう非常にむだの多い、また非常に経費のかさみますところのむだな量を政府が保有しておるということについて、これがいろいろな面で非常な悪影響を及ぼしておるということを、大臣もひとつ十分御検討を願いたい。そこで私自身の考えを言いますと、少くとも輸入は最小限度にとどめて、この方針はあくまで貫いてもらいたい。同時に今のように、かりに私の計算で千四百万石不足するということになりますならば、本年の輸入計画は二千三百万石くらいに上つております。そうすると千九百万石というものが大体浮くのです。そうしますと、これをかりに、補給金の面だけで考えましても、約二百億というものが現実に浮いて来る。そこでこれは今日の朝鮮事件を契機とする国際情勢の変化というものの見通しの上に、非常に重大な関係を持つて来ますが、私が本会議で質問をいたしました通り、この朝鮮事件が、もし朝鮮だけの局地的な問題として解決されて再び東亜の情勢が安定するというのならば、そういう方策もとられましようが、しかし朝鮮事変がどうなるかわからぬ。また発展する危険というものが非常に憂慮される。こういう状態のもとにおいては、政府としては、相当今後ストツクの米を持つておりませんとどうにもなりませんから、私はそのことをあえてどうこう言うのではありませんが、ただ平和的な立場において考えました場合に、今申します通り約二百億の輸入補給金は、われわれの税金の中から、また農民自身の農業收入の中から、これが出されているのでありましてそういう面から考えますと、この輸入食糧の問題は、わが国農業経営及び国民生活に重大な影響を持つており、国家財政にも大きな負担となつておりますから、その点に対して大臣は一体どういう方針を堅持されるつもりか。私自身の考え方を申しますならば、少くともこの時局の見通しをどう一体農林大臣は考えられているか、これによつて実は輸入食糧の問題は論議されなければならぬ。こういうつもりでおるのでありますが、この国内自給食糧対策の問題について、今私の申し上げましたようないろいろ観点から、まず今日朝鮮事件の見通し、それから来るところのわが国の食糧の需給態勢というものについて、一応伺つておきたいと思います。
○廣川国務大臣 井上委員からの農村の基本的な問題についての御質問でありますが、食糧需給の基本的の問題は土地の問題にあるということは、きのうの委員会において、すでに井上君から意思を鮮明されたのでありますが、この問題については、私はまつたく同感であります。土地の基本的な條件に対しましては、これは国会をあげて、農民のために最終、最高の案をつくるように努力いたしたいと、こう考えているのであります。
 それから輸入の問題についてでありますが、輸入の食糧を最小限度にとどめたいということは、これはまつたく日本の農民を考える基本的見地から立つて見ますと、その通りであります。そこで私はここに一つ――これはまつたく私の私見でありますが、今までの麦の品種改良の発達過程をながめて見ますと、今までの麦の品種の固定品種を現在まで持つて来るあの敬虔な態度、日本に麦が適するか適しないかということは、今までにも非常に歴史的に問題になつたのでありますが、これをあのりつぱな品種を固定さして、あすこまで持つて来たのであります。この経験からいたしまして、いもの問題を私は取上げたいと思うのですが、日本の食生活において、特に九州地区あるいはまた四国地区、この方面におけるさつまいもの食生活における役割、こういつたようなことを考えまして、このいもの保存のきく、しかもまたうまさの加わつたもの、なおこれをいも自体として保存するのではなく、種自体として品種の固定ができる、こういうような研究が進められてよろしいのじやないかと、私は考えておるのであります。これはいろいろなメンデリズム、あるいはその他の問題によつて、品種の固定については、私は多分学者間においていろいろな研究があると思うのでありますが、日本の蔬菜あるいはまた食生活の大半をなすものが、熱帯植物に依存いたしているのであります。寒帯地方に産する植物に依存しているのはほとんどないのであります。熱帯地方のものを、特別変異その他のことを勘案いたしまして、日本の品種は固定されているのでありますが、特に近ごろは原種の研究が発達いたしまして、特別変異の発達を非常に促しているのであります。農林省における試験場におきましても、広島の原爆の影響下育つた品種をいろいろ研究いたしているようでありますが、あれに特別変異が出ていると思つているのであります。こういつたようなものからいたしまして、貯蔵の一番むずかしいといわれるいもを、種から保存して、そのときに応じて適地適作を講ずるような方向へ向けられなければならぬのじやないかということを、私はこれはしろうとでありますが、考えているのであります。来年度におきましては、各係に――これはどこで所管しているか、それすら私はまだわかりませんが、こういつたことのほんとうの真剣な検討をいたしてもらいまして、自給度を高める上に貢献してもらいたい、かように私は考えているのであります。なるほど今井上さんのおつしやる通り、日本の食糧は朝鮮問題に左右されることなく、現在におきましては日本に千九百万石くらいのストツクの増がありますが、これも大体輸入食糧がおもでありまして、しかも輸入食糧が、食管会計の赤字を表に出さぬがために、しいて保管しているような品物があるように、私承知いたしております。特にとうもろこしのようなもので、もう下の方が腐つているというようなものまで、しいてこれを黒字に示しているようなものがあるように私は聞いているのでありますが、かようなものはどんどんこれを一般に放出いたしまして、これを広い範囲の食糧として保存することが大事じやないか。すなわち牛、あるいは豚、鶏等の飼料として、これを変形して保存することが、適当じやないかとまで考えているのであります。これに対する輸入食糧の二百億の補給金の問題ですが、これもあなたのおつしやる通り、かようなものがなくて、日本内地の食糧をストックできるようにしなければならぬのであります。ここにどうしても今までの割り切れない食生活の慣習その他からいたしまして、かようになつているのでありますが、その慣習に反した輸入食糧の、麦の粉末を対象とする食糧ですが、これについても十分考えたいと思いまして、省内においては、フリー・クーポン制を採用いたしまして、好きなものをとれるように現在考えているような次第であります。
 それから朝鮮の問題の見通しでありますが、これはまつたく私は露骨に申し上げて、見通しはつかぬのであります。しかし最悪の長期の場合を見通して、われわれがやらなければならぬという心構えだけは持つております。それに対応して国内の自給度を十分高めたい。この点は日本民族全般のためであるから、皆さんの衆知を集めて、省内においてこれを取上げて、そしてわれわれといたしましては万全を期したいと、こう考えている次第であります。
○井上(良)委員 非常に詳細にわたつて、国内の食糧自給の維持方策を述べられて、まつたく私ども同感でありますが、問題は、今の農林省の食糧政策を私どもが見ました場合、私どもかつて農林省の仕事を受け持つたときと違つて、つまり食糧が十日も二十日も遅配、欠配をしてどうにもならなかつた時代と違つて、今日は食糧が飽和点に大体において達しています。それにもかかわらず、依然として農林省の食糧対策は、主要食糧の増産といいますか、このことが非常に重点的に取上げられている。これはたとえて言いますならば、食管が食糧庁という名前になつているけれども、御存じの通り、かんじんの蛋白、脂肪を給源する方面は、まつたく主要食糧の米麦の生産から比べますならば、問題にならぬ経費と人をもつて構成されている。私は将来のわが国の食糧は、いつもここで論議をするのでありますが、やはり蛋白、脂肪を澱粉だ総合しました、総合的な栄養食に、わが国の食糧政策を持つて行かなければならぬ、これは大臣みずから率先されて、自分の家に鶏を飼い、いろいろな家畜を飼われてやられておるということを、われわれは承つておるのでありますが、これから国内の人口が増加し、限られた土地において需給態勢を確立するという場合は、米麦だけの偏重主義ではいけない。またそれは農家経済の上からもいけないし、国民の食生活の上からもいけない。どうしても蛋白、脂肪を豊富にとり得る食糧方策に建て直されなければいけない。そのためにはもつと畜産なら畜産というものに対して力を入れる。われわれは先般国会において、たとえば競馬から上つて参ります国庫收入が、年額約二十億ありますが、この競馬から上つて来ます国庫收入の一部を畜産奨励のために使うべしという法律改正をしておる。法律は改正されておるのです。しかるにそれが一向具体的に予算化されてないのです。これに対して畜産局長なりあるいはそこへ廣川さんが参つておるから、一ぺんその予算をよく検討していただきまして、少くとも国会で決議し、法律が改正されて、競馬收入の三分の一は畜産奨励に使えということになつておりますから――これは既定の畜産局の経費のほかに、それだけプラスになりますので、既定の畜産局の経費がかりに六億あるいは七億ぐらいかかつておるからということで、何かそれとこれとごちやごちやにして考えておるような、大蔵省の考え方らしいのですが、もつてのほかだ。これは現在の既定の予算にプラスして、七億の畜産奨励費として、国会では法律を改正しておりますから、これを実行に移していただきたい。同時に油脂の面におきましても、現在のような油脂課の機構では、とてもわが国全体の油脂政策というものは確立できない。私は少くとも、あれは油脂部なら油脂部という一つの大きな機構にかえて、油糧の重要性というものをもつと国民に認識させ、また国内資源というものをもつと拡大しまして、たとえば大豆あるいは菜種あるいはぬか油、こういうものについて、もつと政府は積極的な手を打つてたとえば耕地の割当なら割当を、主要食糧の割当と一体どう勘案するかという点を十分検討され、また価格においても、取引においても、あるいはそれの生産資金においても、十分政府が考慮されて、少くとも蛋白、脂肪を総合的に食膳に供せられるような対策を、親切にとつてやつてもらいたい。私、現に東京に住んでおりますけれども、東京ほど気候の悪いところはないのです。戦災後焼野原になりました関係で、黄塵がすごいものがあるのです。ここは大体官庁の多いところですから、着ておる着物やら洋服は、非常にりつぱなものを着ておりますけれども、さて家へ帰つて食べておるものは、なつてないのです。実際栄養になるものは食べられない状態に置かれておるのです。これが東京の欠陷になり、あるいは東京都民の非常に健康を害しておる大きな原因ではないかと思うのです。だからどうしても都市生活者は、蛋白、脂肪が豊富にとられませんと、その健康体は維持できない。これは食糧政策として、大臣はぜひこの点を慎重に検討されて、おれが大臣になつて、こういうふうに日本の食糧政策を切りかえたということを、後世の歴史に残るように、この際お考えを願いたい。これをまず伺いたい。
 次に伺つておきたいのは、昨日遠藤さんからも御質問がございましたが、今度の事変に関連をしたとは申しません。もちろん夏がれの端境期でございますので、内地産の食糧が非常に少くなり、特に白米の需要が一方には高まり、一方には供給が減るという関係で、やみ相場が上つて来ております。特に大阪は今二百三十円から二百四十円という相場であります。これでは勤労大衆はどうにもこうにもできないという悲鳴があげれらて、私の方にもずいぶんやかましい投書が来ております。そこでこのやみのべらぼうな値上りに対して、政府は何とか手を打つ必要があろうかと思いますが、一体どういう手を打とうとしておりますか。この際不自然な暴騰に対して政府は、たとえば現にストツツクしておるもの、凍結米なら凍結米をことに暴騰のひどい地域に特別先渡しで放出する――別に余分にくれとは申しませんが、先渡しで放出するという手段をとつて、やみのつり上げをなにするし、そうしてまたそれを一つの契機として、そういう不当なやみ価格の取引をやつておりますやみ商人というものを、徹底的にやつつけるということにしなければ、勤労大衆の食生活は保障できません。これに対するあなたの決意を伺いたい。
 それからあとにたくさん質問をする人もおりますから、私は簡単に伺つておきますが、昨日大臣は、今国会には補正予算を出すことができない、しかし次の機会を見てとか補正予算を出すようにしたいという、現実の農村の危機から、非常に御努力くださつておるその努力に対しては、われわれ感謝をいたします。ところが現に予算化せられなければならぬ問題が起つておるわけであります。たとえて言いますならば報獎物資の滞貨処理の――これは前の農林大臣時代から問題になつております八億円からのものがあります。これを一体どういうふうに金融措置を講じようというのか、少くとも政府は責任をもつて解決しなければならぬのですから――そうしますと、これはいろいろな手があろうと思いますけれども、いかんせん、これは政府の責任においてやらなければならぬ仕事でありまして、当然その処置はやはり予算的措置を伴うのじやないか、私はこう考えておるのであります。予算的措置を考えずに、一体どういう方法でこの金融を処置しようとするか、これを明らかに願わなければなりません。同時に今火のつくような問題として、農協の経営不振の問題、これは藤田農政局長がおいでになつておりますから、現在の実情はよくおわかりだろうと思います。昨日山口委員の質問においてもおわかりの通り、政府に買い上げてもらつた供出の米代さえ、農協を通じてもらえないところの農民がおる。農協は政府から農民に支払われるところの供出代金を預つておいて、それを他に流用して、農民に払つていない。こういう火のつくような農協の経営不振に対して、早急に手を打つてやらなければならぬ。こういう点から私は、いろいろ政府の都合もあり、また今度の国会は地方税法を中心にした国会でありますから、他のいろいろな法律やら予算を出していると、かえつて地方税法そのものの審議が非常に遅れるという御心配もあつてのことかと考えますが、しかし地方税は地方税で、適当な判断のもとに審議が進められておるのでありましようから、この際政府は、少くとも今ただちにできなければ、この臨時国会を多少延期してでも、今申し上げましたような、農村の火のつくような問題について、何とかこれを予算化する、そうして追加予算を出すという手を打つてやらなければいかぬのじやないかと思います。そうしませんと、かりにこの臨時国会が短期に終りました場合に、次の臨時国会といえば、これはおそらく十月、十一月になるのじやないか、そうなつたら、農村は、実際にどうにもこうにもならぬことになつて来る。そういう火のつくような現実の農村の現状を十分に御了承になつて、特にあなたの政治力によつてこの問題の解決をはかつていただきたいと思うが、これに対するお考えを伺いたい。以上三点を伺いまして、私の質問を打切ります。
○廣川国務大臣 農村における蛋白給源のことですが、これはまつたく私はあなたと同じ考え方をいたしておるのであります。日本の食生活を見ますと、二千何百年間の経験からいたしまして、その季節々々にいわゆる脂肪をとるような食生活が、現実として行われておるのであります。それの一番端的な例を申し上げると、一番あぶらを好まない節に、土用のうしの日にうなぎを食うというように、節季々々を通じてこういうようなあぶらをとるように教えておるのであります。それからまた野菜の一番少い、野菜を食べなくちやならぬときに、正月の七草ですが、かゆに青い草を入れて食べるあの慣習、これがいわゆる日本の長い文化生活から得た一つの体験から実を結んでおるのでありますが、こういうような経験からいたしまして、農村で蛋白給源あるいはまた脂肪の給源を非常に苦労してやつておつたのでありますが、それが戦争直前あたりから非常に混乱いたして来ておるのであります。これを元にもどさなければならぬと思つております。特に私が一番感じておることは、各所にダムをつくり、あるいはまた用水をつくりいたしまして、あの魚梯をつくることを忘れておるのであります。魚梯をつくらぬがために魚が上つて行かない。それがために上の農村、山村の人たちが潤いがなくなる、こういうようなことが非常に農村生活をひからびさしておるのでありますが、こういうようなことも十分私は考えたいと思つております。
 それから油の面でありますが、現在私が聞いておるところによりますと、バターはアメリカから現在輸入されんとするものは、日本の市価の半額で入れたい、こう言つて来ておるのであります。こういうようなこともわれわれは非常に考えさせられるのでありまして、酪農をみんなが奨励いたしておるようでありますが、この点に関しても技術的に十分われわれは検討しなければならぬと思う。それからスエーデン、ノールウエーあの辺の酪農が英国市場を圧倒して、あれによつて生活していることはすでにあなた方は御存じだろうと思いますが、われわれといたしましてはいわゆるバターや何かの製造において南方地域をまかなう、これくらいまでの構想を持つてやつていいのじやないかと考えるのでありまして、いわゆる油脂の方面の生活については、まつたくこれは考えなければならぬのであります。特に東北地方のごとく単作地帯で貧農が多い場所は、一番忙しい田植えの時期においては、一番脂肪と蛋白分の多いにしんを北海道から入れておるのであります。それに最も安いヨード分を含んでおるわかめ、こんぶを入れて、かろうじて食生活を補つておるのでありまして、こういうような広い観点から食生活を考えて行かなければならぬことは、あなたの今おつしやる通りであります。こういうような面については、特に畜産物等においては、こういうような方面を十分私は研究してもらうように今後いたしたいと思う次第であります。
 それから畜産の問題でありますが、それに関連いたしまして畜産部の予算の少いことは、きのう私実際委員会で申し上げた通り、非常に伝染病が猛威を振つておる。伝貧あるいは牛疫、その他にわとりの白痢、いろいろな伝染病がどんどん繁殖いたしておるのでありますが、これに対応する対策がないのであります。こういつたことにつきましても、私たちは皆さん方と相談いたしまして、十分対策を講じて畜産方面において一つの時代を画するくらいな考えをもつて、皆さんとともに進んで行きたいと考えております。
 それから競馬の問題でありますが、競馬を民営にするか官営にするか、いろいろ説があるようでありますが、一旦ここで官営になつた以上は、それで收益された金は、特に法律もあることでありますから、でき得る限り、これを畜産の方に向けなければならぬのでありますが、最近は競輪などに圧迫されて大分收入が少くなつておるようであります。しかしこれを何か專門家から聞けば改善の方途が私はありはしないかと考えておりますが、これから出たものは畜産奨励の方にまわして、日本の畜産をほんとうに発達せしめたい、こう考えておるのであります。
 それから今度の朝鮮事件を契機といたしまして、非常にやみ相場が上つておる。これはまつたく事実その通りであります。例が端的でありますが、大阪は今までもさようでありましたが、華僑と同様に、非常に国際市場に直結しておるのでありまして、これが鋭敏にその方面に感覚を働かして、食糧保有というか、あるいは保持というか、米を非常に買いあさつておるようであります。これに対しましては、あなたのをつしやるように、適当に六大都市等に限つて、勤労大衆のために緩和剤を投入したならばどうかということは、まつたくあなたの御意見の通りだろうと思いますので、これは食糧管理局長官と申しましようか、私その名は知りませんが、安孫子君だろうと思います。相談して安孫子君がいいというなら私はやりたいと思つてをります。そこはどうぞおまかせ願います。
 それから今会期において予算を提出しないのはけしからぬじやないかというのは、まつたくその通りであります。これはけしからぬ話であります。私が党におつた場合に、報奨物資の話が出たのでありますが、これはもう十六億から八億になり、八億から五億になり、この間いろいろな苦労をいたしたのでありますが、とうとうあの頑迷な大蔵省を納得させて五億出すということで、きのうもこの委員会でお話があつたので、けさ実はここへ来る前に池田君のところへ行つて来たのでありますが、お前けしからぬ、ぜひこれはやれ。それで法律案は今度の火曜日に出す予定であります。予算が伴わないということがあつては断じてならぬということで、預金部資金を中金に預託する。そうしてそれを出す。それから利子の問題はおつて考える。こういうようなことで池田君と私は意思統一いたしておりますから、それははつきり申し上げます。
 これと関連いたしまして、まだ政府部内でははつきりきまつておりませんが、どうしても私は予算を出さなければならぬと思うことは、米軍の演習地の農村、漁村に対する損害であります。これはどうしても私は出したいと思います。この国会に出すつもりでやつておつたのでありますがなかなかそういうことができませんので、苦労いたしておりますが、出したい。今国会には出さないというように大体きまつておりますから、この次の国会にはどうしても出したいと私は考えております。
 それから農協の問題でありますが、これはたびたび藤田君からも強く教えられておりますし、現実に党におつたときから、農協の代表者諸君から盛んに聞かされておるのでありまして、実際に農村を今後守つて行くためには農協を育て上げなければなりませんので、あらゆる角度から検討いたしまして、資金面あるいはその他の技術面、あらゆる方面からこれをやつて行きたいと思つております。
 最後に私はあなたの質問に対して、すべてを総合して農民に生きる明日の希望を与えることが大事だろうと思います。この農民の希望から国民の希望が私は生れて来ると考えております。アンビシヤスと申しましようか、何というか知らぬが、農民に大きな希望を与えることが政治であると考えておるのでありまして、何かわれわれには報いられるのである。われわれが働くことによつて日本民族が救われて行くのである。しかもまた救われることによつて農村が潤うのである農村の子孫が繁栄するのである、こういつたようなひとつ大きなアンビシヤスをお互いに持たせることが、本委員会の一番大事な使命だと思うのでありまして、あえて農林官僚だけを責めずに、あなた方自身もぜひ責めていただきたいと考える次第であります。
○井上(良)委員 もう一つ大事なことを忘れていましたが、実は新聞やその他で、わが国の農村の健全な発展といいますか、農民の経済的ないろいろな面の健全な地位を安定さすということから、政府は農民組合法を近く制定をするということが伝えられておりますが、この問題について大臣はどういうお考えをお持でございますか。政府としては出すつもりか。それともそれはまだ検討中であつて、とうていそこまで行かないということになつておりますか。この点について一点だけお答えを願いたいと思います。
○廣川国務大臣 この農民組合の問題ですが、これは私は日本の農民が、真に必要なほんとうの組合があつてよろしいと思うのであります。それでただ現在私の聞いておるところでは、既存の農民組合と司令部の示唆とがどうも一致いたさないようであります。それでこれは既存の農民組合にとらわれず、また向うの示唆にとらわれずに、真に農民が欲する農民組合があつてしかるべきであると、私現在考えておる次第でありまして、ただ本国会には間に合わないかと考えております。
○千賀委員長 この際河野謙三君から、井上良二君の質問に直接関連をしておる件で、関連質問の要求を受けております。お許しいたします。
○河野(謙)委員 昨日時間の関係上関連質問を留保しておきましたが、井上さんの御質問のうちの、麦の価格並びに補正量の問題、並びに肥料の問題について、関連して一点お尋ねしたいと思います。
 まず農林大臣に、私は質問にあらずして希望を申し上げておまますが、大臣も御承知のように、農林省といわず政府は、とかく国民に対して要求にはきわめて嚴であつて、責任を果すことにきわめて怠慢であるという事実は、大臣よく御存じのはずです。たとえばここで問題になります麦の問題にいたしましても、米の問題にいたしましても、作付命令とか供出命令は、実に手ぎわよくびしびしとやられますが、いよいよそれが收穫期に入つて政府がとるべき段になると、なかなか補正数量もきまらない、価格もきまらない。二箇月前にできたばれいしよの価格がいまだにきまらない。買取り命令をしておるようなことは、少くとも新大臣においてはさようなことは事小さな問題であつても、一つもそういうことのないように、びしびしと御解決を願いたいということをお願しておきます。
 さてこの麦の問題であります。価格は二、三日のうちにきまるということでありますが、同時にことしの気候からいたしまして、食管の長官は特に御じのように、非常に品質の悪い等級外のものが多いのであります。これは伺うところによりますと、政府はさらに五等級をつくりまして、これを買い上げるということが御決定のようでありますが、これはすみやかに最後の決定をされまして、その措置をとつていただきたい。これをまずお願いしておきます。同時に補正の数量は、一体現在きまつたかきまらないか、私が聞くところによりますと、百六十九万石とか百七十万石とかいう数量が、関係方面と折衝がついたとかつかないとか聞いておりますが、この点についてお伺いしたいのであります。同時にこの百六十九万石とか百七十万石とかいう数量は、五等級というものを設定したという前提のもとに、この補正数量がきまつたのか、五等級はまだ考えておらない、そういう前提のもとにきまつたのか、從つて五等級がもし設定になれば、これによつて補正数量がかわるのかどうか、この点をひとつこの機会にはつきりとお示しを願いたいのであります。
 もう一つお伺いしたいのは、さつまいもももうすでに收穫期に入つております。これもすみやかに価格を設定していただきたいという希望を持つております。同時にこの価格はどこまでも昨年同様に、対米価比率によつて御決定を願いたいと思うのであります。これもよけいなことでありますが、間違つてもこの価格の算定を、昨年と違つた価格によつてきめられることは非常に困ります。
 この機会に一つつけ加えておきますが、食管は最近の方針が少し私は目的をはずれていると思う。食管のおやりになることは、われわれがはたから見ておりますと、食管会計をいかにしてバランスを合わせるかということに汲汲として、大きな目的であるところの食糧政策、農村政策から出発しての食糧管理の行政がとられておらないということを、私ははつきり言えると思う。その結果いもを買うとか買わないとか、いもの値段を去年は対米価比率で買つたけれども、ことしは少し違えなければならぬとか、いもの価格のごときは、じやがいもにしろ、さつまいもにしろ、今度の四億万貫を買うことは、初めから損をすることを前提に買つておる。これは価格維持の政策から出発しておるのでありますが、こういうものから出る赤字は、堂々と国民の前に披露ができると思う。それをこの価格政策からひつぱつておる今までのいもの買上げと同様に扱つて、これによつて赤字を出さないという点から出発上て価格をきめたらいい。買上げ方法をきめることは農民から見ればはなはだ迷惑であるし、このいもの買上げの本旨をはずれておるものと思う。そこで私の質問したいことは、いもをことしも去年きめました通り買うのであるか、買わないのであるか、もちろん買うことにきまつておりますが、最近の政府は農民から非常に信用がありませんから、特にこの機会に私は二億七千万貫のさつまいもと、一億三千万貫のばれいしよは、既定の方針通り買うか買わないかということを、あらためて言明してもらいたいと思います。同時にその価格は、対米価比率によつて決定することが当然でありますけれども、この当然のことは当然のように私は御答弁願いたい、これが一つ。
 ついでに、私はお尋ねしますが、先ほど井上さんから輸入食糧の問題が出たようであります。当初本年度は三百四十万トンの食糧を輸入するということに決定したのでありますが、その後伺いますと、二百九十万トンにこれを減らしたとかいう話もありますが、輸入食糧につきましては、既定の方針通り、どこまでも三百四十万トンの輸入食糧を輸入するつもりかどうかまた最近の事態に応じて、ドル資金等の緩和によりまして、この輸入食糧をさらに当初の三百四十万トンをふやす予定かどうか、これらにつきましても、もしおさしつかえがなければ、この機会にお尋ねをしたいのであります。肥料の問題につきましては、もう一度委員長からお許しを願つて、次の機会にお尋ねしたいと思います。
○木村(榮)委員 議事進行について……。今聞いておりますと、関連質問、関連質問でやられますと、同じことなんです。みな関連がある。そういたしますと、私たちのような小会派はだんだんあとまわしになつて、結果的に発言の機会を与えないというたくみな戦術にひつかかつてしまう。関連というならば、農林委員会だから関連しないものはない、みな関連します。そういう不都合なことはいけないと思います。
○千賀委員長 わかりました。
○廣川国務大臣 これは委員長の言うことでありましようが、小会派であろうと何であろうと、農村のためでありますから、適当の機会に適当に発言していただいて、私もできるだけお答えもいたしますし、また蘊蓄のあるところをお聞きいたしたいと思いますから、どうかとんがらずにお願いいたしたいと思います。
 河野さんのただいまの質問でありますが、政府といたしましては――あなたはきよう十時開会というのに、十一時近くになつてもおいでにならぬので、先ほどすでに井上さんに答弁いたしたのでありますが、もう一回繰返してあなたに申し上げます。それは私は、日本国民が麦の品種改良に払つた経験、また敬虔な態度をもつて麦の品種改良をいたしまして、固定品種をここまで持つて来たこの努力、これと同様に、いもにおいても品種改良をいたしまして、ほんとうの固定品種を残してもらいたいということが一つ。それからこれを根で保存するのでなく種子として、種で保存するまで、いつもの品種の改良をしてもらいたい、こういうような考えを持つて、農林省においては、これについて、あるいは研究室なり研究所なりを設けて、そこまでわれわれは日本の食生活のために行きたいということを、井上君に答えておるのであります。ましてや本年のいもに対して、これを買わないというようなことはしないのでありまして、政府が農民から信用がなくなることは、一番いかぬことであります。これはどうしても、さつまいもも、それからじやがいもも買わなければならぬと私は思つております。ただ対米比率については、いろいろな市価の関係その他で、これは事務の方からお答えがありましようが、どういうことになりますか、私はそのところは承知いたしましておりませんが、買うということだけは間違いないのであります。農作物をつくる農民は敏感でありますから、今年の早場いもと申しましようか、これはお盆ごろにどんどん出ておるのであります。これはよくわかつておりますが、この早く出ているいもを早くこなすような方法を、食管特別会計においても考えなければならぬと思つております。それからあなたのおつしやる通り、食管特別会計は何も営業でありませんので、黒字ばかり出さなければならぬということは、私はないと思います。日本の食生活全般を考えてみまして、どうしてもこうしなければならなかつたということで、国民に納得させればよろしいと私は思います。しかしこういうことで食管特別会計を扱つている人々の人心を弛緩させてはならぬのでありますから、そこは嚴重に引締めて参りますが、しかし日本の食生活の全般のバランスを考えてみなければならぬと思うのであります。今までお互いに苦い経験をなめております。薪炭特別会計その他、いろいろなくさいにおいのしている特別会計を持つておる公団、そういうようなことからみますと、この食生活を扱つている食管特別会計というものは、十分そこに政治性を持たして行くことか、ほんとうに私は必要じやないかと思うのでありますが、しいて赤字を出せというのではないのであります。あなたがおいでにならなかつたときに言つたのでありますが、先ほど申しました通り、われわれのところへ来ている北海道で貯蔵している何とかとうもろこし、あるいはまた土用を越すとどうにもならぬような粉食、こういうようなことについても、これは広く一般にくばつて、単にこれは粉で食うのでなく、広い意味の食生活の対象となる家畜の腹の中に入れて家畜をたくさん飼うことがやはりこれは食管特別会計の広汎なところの意義をなすのでありますから、さようにしたらどうかということまでお話申し上げておるような次第であります。
○安孫子政府委員 補正数量の問題は、実はほぼ事務的には意見が一致いたしておりますけれども、司令部の内部におきまして、まだ最終決定をいたしておりませんので、実は遅れておるわけであります。毎日催促はいたしておりますが、昨日の状況では遅くとも大体今週中には回答する、できればこの二三日中に回答したい、こういう段取りになつております。そういたしますと、知事会議が二十五日には開かれるのではなかろうかと思つております。昨年は七月七日に知事会議を開きまして決定をいたしたのでありますけれども、それから見ますと約二十日間も遅れておりますので、その点は非常に恐縮をいたしておりますけれども、今回の事変、その他の関係もありまして若干遅れたわけでありまして、この点は御了承を願います。
 それから輸入数量は、大体三百四十万トンの下になろうかという見通しであります。ただいまのところでは三百四十万トンの輸入は困難であるという見通しを持つております。もちろん船舶その他の関係からということではありませんで、いろいろ貿易政策の観点等から輸入優先主義をとるということもありまして食糧の輸入につきましては、三百四十万トンの輸入が若干減るであろうという見通しを持つております。
 それからいもの買上げにつきましては、ただいま大臣からお話がございましたが、価格の問題につきましては、対米価比を昨年と必ずしも同様というわけには参らぬかと思います。しかしいもが食糧の窮迫時代に果しました役割も十分考慮に入れまして、その辺は生産者に大きな打撃を与えないという建前で考えて参りたい。本年産のばれいしよの買上げ価格につきましては、昨日最後的にきまりましたので、一両日中に発表いたすことにいたします。
○河野(謙)委員 今の御答弁に対して重ねてお尋ねはいたしません。ただ一言加えておきますが、本委員会でたびたび問題になつたのでありますけれども、補正数量の発表とか、その他の重大発表を、知事会議のあとで発表するというのが従来の慣例でありますけれども、これほど間違つた慣例はないと思う。少くとも、これは特に大臣に要求いたしますけれども、知事会議の前に、寸前でもけつこうですが、少くも知事会議の前に、さようなことは本委員会に御発表を願いたいということを、私はこの機会に希望しておきます。
 次に肥料の問題ですが、これは井上君から大体質問がありましたが、昨日井上君は統制を撤廃して、まつたく自由にするのは云々というお話がありましたが私は党の宣伝をするのではありませんけれども、わが党といたしましては、肥料その他の問題で、統制を撤廃して、ただちにまつたく自由にするということは、特に重要物資においては、さようなことを申したことはないのであります。特に肥料の問題につきましては、公団を廃止すると同時に、肥料の需給調整法をもつて、今後の肥料のために市価の安定、肥料工業の安定をはかり、農村経済の安定をはかるということを非常に期待しておるのであります。ただこれが関係方面に支障が起りまして、通過しなかつたことは御存じの通りであります。そこでいよいよ八月一日から公団が廃止になり、肥料が自由販売になりますが、市価の安定ということは、まつたく農村のためにも、また日本経済全体のためにも重大なことであります。従いまして今後政府の責任におきまして、肥料需給調整法をこの国会または次の国会に提出して、来年の春までにこの実現をはかるという御決意、御決心があるかどうかということを、私はこの機会にお尋ねをいたします。
 もう一つ井上さんの質問に関連するのでありますが、井上さんは昨日肥料の市価の上ることを非常に心配しておられましたが、特に私の心配しておりますことは、上ることよりも、これが暴落したときに、政府はいかなる措置をする心構えができておるかということを心配しておるのであります。御承知の通り肥料は非常にだぶついております。おそらく今度の場合には八十万トンないし九十万トンのものを公団がたな上げして、来年の春まで持ち越すということになると思います。従つて需給調整法がなくとも、向う一箇年間は完全に肥料の需給調整ができると思う。ただ下りました場合に、今の肥料工業が崩壊に瀕するというような形がもし出ました場合に、政府はこれに対していかなる措置をもつて、肥料の市価を安定させるかという方途が、今からおありでなければならぬはずである。いかなる方法によつてこれをやられるか。たとえば輸出をするとか、またある意味の生産制限をやるとか、そういうふうないろいろな方法があると思いますが、いかなる用意があられるか、この機会に伺つておきたい。
 もう一つ私は大事なことでありますから伺いますが、肥料が御承知のように自由販売になりますと、少くも現在の価格よりはある程度上ることは私は必至だと思う。肥料の製造会社が考えておるような価格は実現しないにしても、今の価格よりは上る。かりにこれを昨年の暮れに比較しまして、三割五分アップの現在の価格をさらに五割アップの価格に安定したといたしましても、これによる農民の負担というものは、私が計算いたしまして、大体向う一箇年間に約六十億の負担を農民が増すことになる。この六十億の肥料の値上り、この農民の負担、これに対して政府はいかなる措置をとられるか、米や麦に対しましては、この価格の中に織り込む方法があるでありましようが、その他の農産物はまつたく織り込む余地がない。この肥料公団がやめますと、少くも来年の三月までに公団を廃止いたしまして補給金を撤廃することによつて私の計算では八十三億、政府の負担が軽くなる。この八十三億の補給金の撤廃による政府の負担減、これに何らかの形でひもをつけまして、これを農村の施策に持つて行くということが、肥料の統制撤廃のあとにとるべき当然の措置だと、私はかように考えますが、これは突然のお尋ねでありますから、今ただちにここで具体的に御答弁願おうとは思いませんが、少くとも八十三億の肥料の補給金撤廃、これを何らかの形でひもつきにいたしまして、農林施策の方にこの予算をまわすということに、大臣にひとつ御尽力いただきたいということをお願いいたします。
○廣川国務大臣 肥料の問題でありますが、あなたは特に肥料に対する專門家でありまして、今あなたの考えておる通りのことを私実は考えておるのでありますが、来年度の必要な肥料は、私この間本会議でも意思を鮮明にいたしました通り、市中銀行その他政府の金によつて、これは一応たな上げいたすのであります。何かむずかしい言葉で、ランニング・ストツクという言葉があるそうでありますが、その一部分を残して大半は政府で金融措置を講じて縛るのでありますから、来年においては大した心配はないと思います。それについても肥料需給調整法とかいうような法律をつくつたらどうかということでありますが、これは農村に関することでありますから、特に私はこのことは考えております。また事務の方でもこれは十分研究いたしておるので、決して度はずれたことはしないと思います。また値下り等につきましても、日本の肥料工業を極度に圧迫するようなことは、これもいたしたくないと考えまして、多分その調整法をつくる場合に、この中に織り込まなければならぬ問題ではなかろうかと思うのであります。
 それから八十三億近くの補給金がなくなるが、これに対しての見解はどうかというのでありますが、昨日も申し上げた通り、今までどういうものか農村の予算というものが非常に削減されておつたのであります。これを私が今度農林大臣に就任してから、農林省の連中と折衝してみるというと、今までの大蔵官僚の成績を上げる唯一の方法は、内務省の予算を削ることと、農林省の予算を削ることが成績を上げる一番最大の眼目であつた、こう言つて私に教えてくれるのであります。今後は農林予算をふやすことが大蔵官僚の成績を上げることだ、こう私はかえたいと考えておるのでありまして、皆さん方もどうかそのつもりで、農民のために予算を本気になつておとり願いたいと思うのであります。幸いに閣議におきましても、公共事業費と農林水産の費用は非常に重点的に考えるようにいたしておるのでありまして、皆さん方からも、私至つて心蔵が弱い方でありますから、側面的に御援助願いたいと思うのであります。
○千賀委員長 木村君の発言をお許しいたしますが、その際ちよつと木村君に御了解を得たいと思います。先ほど河野君の質問を陰謀だと言われましたが、私は陰謀ではなかつたと思う。若干河野君の質疑が長かつたのでそう感じられたかもしれませんが、これはあなた自身がよくおわかりになつておる通り、野党が多いときに開会して、あなた方が悪意を持てば、われわれの首は預けてあるのだからどうにでもなるのてあのるが、あなた方のヒユーマニズムに信頼して開会したのでありまして、だからまつたく悪意がないのでありまして、どうかこのなごやかな空気はくずさぬようにお願いいたします。あなたの言葉次第でどうにでもなつて来るので、どうかなごやかな空気を持続していただきたいと思います。
○木村(榮)委員 こまかい点はあとの機会にお尋ねいたしますので、大ざつぱな点だけ二、三伺いたいと思います。昨日から農林大臣がいろいろ抱負経綸を述べられまして、大体了承いたしましたが、ここで私がお尋ねしたいのは、御承知のように日本の農村は一町歩以下の、いわゆる過小農経営といわれますものが、統計を見ましても、六百万農家の中の四百七十五万ということになつております。この四百七十五万戸のかかえております農業人口は、おそらく三千万人近いものと思います。そういたしますと、日本の総人口からいいましても、その四十パーセント近いものが、いわゆるこの過小農経営のわくの中で生活をやつておると考えるのが常識なのであります。そこでお尋ねしたいのは、農林行政においては、保護政策というものが強力に出て来ないと、こういつた段階がうまく処理できないのではないかと考えます。そこできのうから盛んに保護政策、保護政策と言われますが、一体その保護政策というものは、生産に重点を置いた保護政策か、それともまた、負担を軽減さすような保護政策か、そのいずれの方向を大体廣川農政はおとりになるか、この点をお伺いしたい。
○廣川国務大臣 保護政策という言葉が国際的に非常に誤解があるようでありまして、特にアメリカ等における大農生産、こういつたようなことにおいて、資本の投入の対象となる農業を見て来ておる進駐軍関係等においては、保護政策という言葉が非常に煩わしいように聞えるそうでありますが、これは日本の特異性であるのでありまして、私たちも、しいて保護政策という言葉でなく、何と申しますか、農民の自立経済のために国費の投入とか、何とか別のテクニックを使いたいと思うのでありますが、要は国費をどう農村に入れて行くとかいう問題だろうと思うのであります。これを分類して生産的にこれをやるようにやるか、負担の軽減の方面に重点を置くかというあなたの質問でございますが、これは負担の軽減をはかるとともに生産の増強をはかるように国費を投入する。分類せずに不即不離の関係でおやりになつたらどうかと思いますが、いかがでしようか。
○木村(榮)委員 これは言われた通りなんですが、そこでお尋ねしたい点は、統計を見ますと、三反歩から五反歩、五反歩から一町歩という過小農が一番多いのですが、三千万の農民といたしますと、農業生産に携わる人間の一人の耕作反別は、非常にわずかしかない現状だと思いますが、そういたしますと、どうしても生産性だけということよりも、保護政策的なものを相当強力にやらないと、うまく行かないんじやないかと思う一昨日だつたと思いますが、ちようど政務次官もおいでになつておりますが、今度設定されます新しい地方税法、この問題に関連いたしまして、この税法でやるならば、こういつた点がきわめて困難ではないかということを私が申し上げたところが、その通りだ。そこで農林当局としては、この税法はあまり感心したものではない、だから将来相当大幅にこれを改正しなければならねといつたふうな御意見が出たのですが、そういつたことを見ましてもおそらく今のような負担状態では、相当困難な状態になると思いますが、こういう点で、新しい方針として、この負担の軽減を税の面から相当大幅にはかつて行く計画はございませんか。
○廣川国務大臣 先ほどの一町歩以内のいわゆる脱落農に近い農民層が非常に多いということは、きのうの井上君からの、根本的な農村のあり方についての質問ですでにわかると思うのですが、四反歩、五反歩のこの農民が、自立経済を営むことができ得ないということは、わかり切つておるのであります。そこに井上君らのいわゆる第三次、農地改革の眼目があるのでありますが、これについては、農地改革というようなことは、わが党政府はやらぬということははつきりいたしておるのであります。しかしこの現実にわれわれは目をそらして行くわけにいかぬのでありまして、すなわち兼業農といいましようか、こういつたようなものに対しては、私は十分考えなければならぬ。これが単なる、土地をおもちやにすると言つてははなはだ失礼ですが、そういつた、いわゆる鉄道従業員の菜園というようなことで、非常に趣味農園みたいなものになつて、ほんとうの食糧生産の目的に合致するかしないかというような、境目のものがよくあるように聞いておるのでありますが、そういう点については、十分今後われわれは考えたいと思うのであります。しかし零細農であつても、これを高能度に生産力を発揮する、あらゆる科学的な部面を取入れて行けば、あるいはこれは生活の自立ができ得ることになるのではないかとも考えておりますが、土地の交換分合なりあるいはまた土地の改良なり、その他あらゆる方面のことを考えて、これに国費を入れて、いかに小さな反別であつても、それが完全に市中銀行の資本投資の対象になり得るように私たちはしたい、こう考えておるのであります。それから、税負担に関しましては、專門家からそれぞれ答えることにいたします。
○木村(榮)委員 あとでいいです。そこで非常に大ざつぱな点ですが、大体今年の生産見込み並びに価格政策、その他税、諸掛り等を一般的に見まして、今年は農家が大体黒字になるか赤字になるかという見通しはどうなんでしようか。
○廣川国務大臣 どうもその数字になると、至つて不得手でありまして、農政局長なりその他の專門家から、資料によつてお答えしてもらうことにいたします。
○木村(榮)委員 そこで、前の森農林大臣の言葉によりますと、大体農業恐慌というのは、たんぽにぺんぺん草が生えるような状態になつたことを称して、農業恐慌と言うのであつて、現在は農村不況または農業不調という段階である、こういつたふううなことをおつしやつております。そこで廣川農林大臣は――一体田にぺんぺん草が生える状況になるのはたいへんなことですが、そこまで行かなければ恐慌状態じやないという御観点に立つていらつしやるかどうか。
○廣川国務大臣 前農林大臣の森君の言つた心境は、私ははかり知ることはできませんが、少くとも農民收益と都市生活の市民生活とのバランスが破れることが、農村恐慌と考えてさしつかえないじやないか、私はこう考えおります。
○木村(榮)委員 これも細かい点ですが、さつき私が申し上げましたように、この過小農経営における三千万近くの農業人口の中で、失業者、半失業状態といつたようなもののパーセンテージは、大体どのくらいに見ておりますか。
○廣川国務大臣 そのパーセンテージ等も、地方のいろいろな団体から示されておりまするが、まだ私自身としては正確な統計を持つておりません。それで省内の專門家がそれぞれおりますから、あるいはここで御答弁できなければ、適当な時期にお示ししたいと思います。
○木村(榮)委員 細かい点はやめて、さつき安孫子食糧長官の言によれば、輸入優先だから、輸入食糧を優先的に考える、こういうふうな御答弁があつたと思いますが、承つておきたいのは、大体この輸入の状況につきましては、これは非常に大ざつぱな点ですが、外国食糧だけを考慮した食糧輸入の計画であるか、それとも国内の自給度を主にした観点からの輸入計画であるかという点を承つておきたい。
○安孫子政府委員 大体輸入数量をきめますときには、国内の生産量あるいは供出最というものを再高度に見まして、その不足数量を輸入に仰ぐというような建前をとつております。第一に国内の供給力を先に考えて、しかる後にその補填といたしまして、輸入食糧を考えるという建前でございます。
○木村(榮)委員 そういたしますと、前の国会においてあなたが御説明なさつたときに、大体二百万トンくらい入れば、食糧の需給関係は十分だといつたふうた御説明があつたと思いますが、にもかかわらず、三百四十万トンというと大分違つて来ると思いまするが、どういうわけでしようか。
○安孫子政府委員 前々年度の実績が、大体二百万トンちよつとであつたと思います。しかしその後人口の増加、あるいは労務加配の増、その他の需要増等も考えまして、またいつも中間端境期等におきまして、緊急確保をやつて、すれすれの需給操作をやるということでなく、食糧に若干のゆとりを持たせるということが、経済安定の上においても必要であるというような見方をいたしますと、おおむね三百万トン程度のものが必要であるという結論を持つておるのであります。
○木村(榮)委員 これは税金のことですが、納税をやる場合に、どうしても現金がなくて納税がなかなかできないという場合に、現に自作農創設特別措置法によつて農地改革が行われまして、そしてたんぼを買つた、その買つたたんぼを税金のかわりに物納して、一応納めておくといつたふうなことがもし起つた場合は、これはどういうふうな御処理をなさる方針ですか。
○山添政府委員 その物納は認められないのであります。
○木村(榮)委員 もし認められないということになれば、それでは差押えを受けますような場合においても、たんぼだけは差押えをしないということになるのですか。
○山添政府委員 これは法制上、田の差押えを除外するという規定はございません。もし仮定の問題として、そういう事情が起りますれば、これは国としては国有農地にして、従前の人にそのままつくつてもらう、こういう状態が出現することになると思います。
○木村(榮)委員 その場合は、実際としては官物になるのですか。官が沒收するというかつこうになるのですか。
○山添政府委員 沒收ということではないわけでありまして、そういう場合を想像すれば、その財産によつて税を納めた、こういうことになるのであります。
○木村(榮)委員 それから、これもこまかい点ですが、最近における酪農の状態を見ますと、生乳、練乳、粉乳にいたしましても、相当過剰であるというようなことが報道されておる。ところが生産の状況を見ますと、最高であつたのが昭和十六年で、政府の統計では二百八万石できております。ところが去年の生産を見ますと、この二百八万石にはるかに及ばないで、まだ生産は非常に低い。にもかかわらず北海道の方の状況でもそうなんですが、非常に生産過剰で売れない。従つて値段もどんどん下つて行く、こういうような状態にあると思う。これには大きな原因があると思うのですが、大きくこれを見た場合においては、一般国民大衆の生活が低下して、購買力が減つたということと、もう一つは、外国から相当たくさんなそういつた品物が入つて来たということ、この二つに大別して見ることができると思う。今の状況におきましては、政府の方ではこのいずれの方向とお考えになつておられるのですか。
○廣川国務大臣 それは先ほども私が申し上げた通り、現在の市価の半額くらいの価格でバターが入つて来そうなのであります。それで今、私管理局長官と相談したのですが、そういうふうにアメリカから持つて来て、日本の生産品の半額で入る、こういうことにわれわれが非常に考えなければならぬところがあるのではないかと思うのであります。大体あなた方そういう專門家でありまするから、さような値段で、アメリカでなく南方地域なら南方地域なりへ出せるように、お互いが研究し合わなければならぬと、私はこう思つて、先ほど井上君にもそうお答えしたのですが、あなた方から特にこまかく調べた資料なり、あるいは経験なり、ぜひわれわれに教えてもらいたいということがそこにあるのであります。
○木村(榮)委員 そうしますと、大体最近の状況では、外国から相当そういう格安なものが入つて来る。また入つて来る傾向にあるから、そういうことが根本的な原因になつて、酪農における不況というものを招来しておる。こういうふうに理解してよろしいのですか。
○廣川国務大臣 この入つて来るというのは突発事項で、日本の酪農がまだ発達してないのじやなかろうかと思う。かりにバターの例をとつて、その生産過程において、まだ日本の酪農は合理化されていないのじやないか、幼稚じやないか、こういうふうに考えてわれわれはそれについての種々の検討をして行きたい。こういう考えであります。
○木村(榮)委員 これは生産加工の方をおもにした考え方であつて、その前に牛や馬の飼育というものに対しての保護政策というものが、今のところ不十分であるという点が根本的な原因になつておると思うのですが、この点はどうですか。
○廣川国務大臣 保護政策その他については、これは当該局長から弁明いたすと思いますが、そのすべてをひつくるめた、いわゆる生産の合理化、先ほど申し上げた通りあまり保護政策、保護政策という言葉でなく、日本のすべての農業の各自、各部門が自主的に立つて行くような、いわゆる国家が自主的に国費を投入するという、こういうような形でいつでも国におぶさるという形でなく、その辺を進めてもらいたいというのが私の考えですが、いつでも保護政策という形でないような方向で、自主的に行くのにはこうするのだ、これには国家がこう施設をするのだ、しなければならぬと、自主的な考えで行きたいと思うのです。その辺どうも私はぴんと来ないのですが、その点ひとつそのような方向で行きたいと思います。それから專門のことはどうか当該局長からお聞きを願いたいと思います。
○木村(榮)委員 そこで、これはこの間から私が合同審査会のときにも御質問申し上げたのでありますが、特に專門家である農林大臣にお伺いしておきたいのは、先ほどもお話があつたと思うのでありますが、肥料の値上げ、それから農業関係の電力料というようなものの値上げのために、相当大幅な負担が農村にはかかつて来ておる。大体一戸平均どのくらいになるということはわかりませんが、相当大幅に多くなるということは当然だと思う。
    〔委員長退席、野原委員長代理着席〕
 従つて当然今年の秋にできます米の生産価格、その他いもにいたしましても、価格を設定されます場合には、そういう点を御考慮になるはずだと思いますが、このために農村が受けます負担の過重の割合と値上げの割合とを勘案します場合に、大体どのくらいの。パーセンテージをお出しになる御方針か承つておきたい。
○廣川国務大臣 価格設定についても、今までのパリテイ計算で農村が満足しないということはよく承知しております。閣内においても、きのうも端的に申し上げたのですが、池田君のように、生産費中心でどんどん上げて行こう、六千円くらいまで威勢よく上げてしまえ、こういう意見の人もあるが、しかしなかなかそうは行かぬので、その辺苦労しておるのですが、電力料の他のものについても、これも各地域地域で違うのでありまして、電力等については、これは別途の方向で考えたい、こう考えております。
○木村(榮)委員 これは大臣にお尋ねするのもどうかと考えるのですが、最近問題になつておる例の農業公済保険の問題ですが、最初私が申し上げたように、きわめて過小な経営であるから、その経営自体によつては、実は完全に食つて行けないようなことも多い。ところがそういつたような状況であるにかかわらず、保険を納めます場合においては、金額そのものは比較的僅少であつても、生産の割合からこれを見ますと、相当大幅な負担がかかつて来るというような計算になると思う。そこてこの公済保険のやり方を、もう少し根本的に改められる御意向はないですか。
○廣川国務大臣 これは足立君から、実は私が農林大臣にならぬ前に、党におつたときから、非常に詳しくこのことを頭にたたき込まれまして、農林省に行つてからこれまた農政局長の藤田君から、盛んに教えられて、どうしてもこのままではいかぬ。この率あるいは方法等もどうしてもかえなければならぬ、こう教えられて、目下勉強中であります。私の考えといたしましては、もう少しこの制度を取上げて、零細農のために十分役立つようにしたい、こう考えております。
○木村(榮)委員 最後にお尋ねしておきたいのは、今度今地方行政委員会でやつております新しい税法になれば、農村におきましては特に町村民税の場合は、大体ほとんどかかつてしまう。そこで最初に私が申し上げましたように、農村における半失業状態並びに完全な失業状態の人たちに町村民税をかけます場合には、町村の自主性において相当考慮をいたしまして、免税その他の処置をとつてさしつかえないか。これは專門が違うようですが、そういつた場合には、農林省といたしましては、特にそういう点は関係官庁の方へも運動なさつて、相当融通性のあるやり方を御指導なさる、あるいは援助なさるという考えはないか。
○廣川国務大臣 完全失業――これは專門語で言うと顕在失業、潜在失業というような專門語があるそうでありますが、そういうようなものについても、農林省としては何か農民のためになるような施策を講じたいと思つております。
○木村(榮)委員 と言いますのは、都市においては生活保護法などを適用されます場合日に、算定が比較的簡単であつて、農村と比べた場合に、割にやれますが、農村の場合におきましてはなかなかその点が困難である。まあ農家に次男、三男がおれば、どうにかこうにか生活保護法の適用を受けるようなことはないというような見方が多い。ところがこれを経済的に分析してみますと、都市において生活保護法の適用を受けております者や、あるいは失業のためのいろいろな給付を受けております者と、大体大差がないにきまつておる。ところが今のような関係法規のもとにおきましては、比較的農村においては、そういつた場合の調査というようなものが困難である、こういつた関係を御考慮なされば、もう少し農林当局としては、そういつた適用を受けさせるような、保護的な援助と申しますか、そういうものをやつてもらいたいと思うのですが、ひとつ案を立ててもらいたいと思います。
○廣川国務大臣 あなたのおつしやる失業対策は、非常に消極的な面をおつしやつておるようでありますが、われわれこれを積極的に考えまして、いわゆる農業土木を興すなり、あるいはまた農村工業にたくさん金を出すなりして、そういう方面にこの労働力を吸收する面を第一義として考えて行きまして、第二義的にさような方面を考えるのが妥当じやないかと考えております。
○木村(榮)委員 それはあなたのおつしやる通りなんです。ところが実際に末端におきまして、農村から出た場合におきましては、職業安定所なんかにおきましても失業者とは認めない。その附近に相当大きな公共事業がかりにあつたとしても、実際はなかなかそこでは雇つてくれません。だからそういう点をもう少し考慮しておいてもらわぬと、農村出身者――現に農村で生活しております者は、その農村の附近でいろいろな仕事があつても、職業安定所はなかなかその方にまわしてくれぬというのが現状です。その点をもう少し明確に将来御指導願いたい、こういうふうに考えます。
○廣川国務大臣 そういう方面は、一定の水準は農村と市街地と区別をしないようにわれわれとしては心がけたいと思います。しかし端的な例を申し上げますと、去年北海道で行われました旱害対策の失業救済の費用、ああいつたもので、これは私は特別な救済をしなければならぬと考えておりまして先ほど申し上げたのは、そういうところについてなのであります。
○木村(榮)委員 これもこまかい点なんですが、昔の地主勢力は、最近の国際情勢に便乗したと申しますか、非常に攻勢に転じまして、お前たちに渡した土地も、もう一ぺんおれたちにそろそろ返してもらいたいというような空気が濃厚であるように思う。と申しますのは、特に都市の近傍におきましては、これは農地ではないから使用目的を変更するのだというような名前で、現に農地であつたものをそういう理由で――当時の農地改革をやつたときには、県の農地委員会、町村の農地委員会を動かしまして現状のままにしておいたわけです。ところが三箇年もたつた今日、なお依然としてその農地のままのものを、これは地目変更をするのだということで、それをそのままにして、しかもなおそれを拡大する傾向が非常に強い。こういうものに対して、農政局の方からでいいのですが、何か特別な御指示をなさる方針はないでしようか。
○山添政府委員 その問題については適切に扱つておりますので、今特別に指示するところはないと考えております。
○野原委員長代理 河口陽一君。
○河口委員 昨日来、同僚委員の質疑に対しまして、大体明快なる大臣の答弁によりまして了承ができたわけであります。しかし二、三の点について、なお重ねてお伺い申し上げたいと存じます。と申しまするのは、大臣がたびたび御答弁になりましたことによりまして、今後の農林省は非常に力強い、われわれも信頼を置けるという考え方を深くいたしたのであります。一つの例を引いて申し上げますが、どうも今までは大蔵省あるいは通産省に対して、農林省は頭が上らぬというような感じがいたしておつたのでありますが、先ほど大臣の御答弁によりまして、第七国会以来われわれが頭を悩ましておりました報奨リンク物資の値引きの問題を、今日早期に農林大臣が大蔵大臣のところに参つて、一喝してこれはさつきゆうにやれということで、先ほど御答弁になつたことによりまして、非常に私、感謝と敬意を表するものでございます。
 なおこれは昨日の吉川委員あるいは今日の井上委員からの御質問によつて、大体了承を得たのですが、最後の点がまだはつきりしないので、この点をお尋ねいたしたいと存じます。それは先ほど大臣の御答弁では、五億程度予算化するというようなお話でありまして、本臨時国会は予算問題には触れないという最初のお話と多少食い違つておりますが、それが実現できるか。予算化の問題が実現しない場合は、第二段の方法として金融措置が考えられるわけでありますが、大臣はその二段構えの点からこれを御答弁になつたか、ごめんどうですがもう一回御答弁を願いたいと思います。
○廣川国務大臣 先ほど私からお答えいたしたのでありますが、私は秘密を持つているのがきらいな男でありますから、露骨に申し上げたので、池田君に一喝を食らわせたのでなく、池田君に懇請して、結局は頭が上らないのであります。池山君に、これは君知らぬらしいが、実際党も公約し、あるいは国会において時の森君がはつきり言明しておることで、政府が農民に公約をいたしておることなのであるから当然やらなければならぬ。ただこれを予算化するのには、本国会が適当でないと考えるならば金融的処置を講じろ、こういうことなのであります。その通り、これは本国会においては、どうしても予算の処置が講ぜられまいと私は思います。法律だけは今明日中に事務を督励して提出させます。その方面については、きのうも大蔵省からも連絡をとらせてもらつております。それでけさも再確認して来たのですが、金融処理を講ずるということであります。金融処置を講ずるということは、政府預金部資金を中金に預託するということであります。そうしてこれを出す。但しその利子は追つて考えよう。補給金なり何なりであとから考えればいいのではないか。それで九月に開かれる臨時国会に出そう、こういうことでありますから、決して政府はうそをつかないということを農民諸君にお話を願いたいと思います。
○河口委員 たいへん明快なる御答弁によりまして、はつきりいたしたわけであります。感謝申し上げます。
 次にお尋ね申し上げたいことは北海道地方における澱粉袋の問題であります。これは大臣もある程度御承知かとは存じますが、これが一月ごろに、この澱粉袋に必要とする衣料切符が発行されておるのでありますが、それが今日になつてまだ現物化されておらぬ。そのためにこれから生産しようとする澱粉のいれものがないので、非常に困つている実情であります。このことは澱粉を入れるための袋であるから当然必要なので、これはひとつ、農林省でやることが適当であるのかどうかということは私よく存じませんが、もち屋はもち屋で、衣料品なんかは通産省でやつた方がいいのではないか。それを農林省でやつたために現物化ができなくて、今日農民諸君にあるいは製油業者に迷惑をかけているというような感じがいたすのでありますが、こういうことに対しても、通産省の方へ参りますれば、これは僕たちの方でやれば、とつくに現物化ができておつたのだ、こういうことを言つております。これは責任回避のような言葉かとも存じますが一面また理由がわかるので、こういう点についても、通産省と農林省の間がスムースに行つていない。しかして仕事の実行の面にあたつてはいつも農林省が手遅れになつてそのことで農民あるいは社会一般から、農林省に対して必要以上の批判が出ておるように、私は承知するのであります。そういう点も考え合せまして、今後こういうことをやらないように、大臣の先ほど来の御答弁によりまして、こういうことは解消したように考えますが、なおつけ加えてこういうことの起きないように、さらに澱粉袋に対しては政治力のある廣川農林大臣において一段と御配慮いただいて、すみやかに現物化するようお願いする次第であります。これに対して大臣のお見通し等ありますれば、この際御答弁願いたいと思います。
○廣川国務大臣 澱粉の袋のことのようであまりすが、私これについてたびたび陳情を受けて承知いたしております。また私が承知いたしておる以上に、事務の方では頭を悩ましておるだろうと思いまするので、これは通産省に即刻話をいたしまして、早く現物化するように努力いたしたいと思つております。あなたはただ袋だけの御心配のようですが、中身も相当ストックがあつて、中身の問題はもつと大事じやないかと思うのでありますが、今安孫子君から聞くと、三千万貫くらいまだあるそうであります。それに本年度新しくできて来ると、これまた非常に大きな問題でありますが、その点まで御考慮を願いたいと思います。
○河口委員 中身が出ないから袋の問題が起きて来たので、その中身が出てしまえば、あき袋へ製品を入れることができるわけであります。私は言葉を省略しておつたので、大臣ひとつお間違いにならぬように願います。
 次に基本的な問題を一つお尋ねいたしたいと思うのです。私は片山内閣時代から申し上げておることでありますが、あの当時日本の食糧問題を解決する政治家がおつたとすれば、私はその人は日本一の政治家だ、こういうことをわれわれの立場から申し上げておつたのですが、今日ある程度食糧が緩和されたのでそれほどの感じもいたしませんが、まず日本で一番困つておる問題は、人口問題食糧問題だ、私はこういうふうに端的に考えておるわけであります。しかしそのいずれも農村がすべての困難な事情を生み出しておる震源地と申しますか、そういうような感じがするであります。人口にいたしましても、農村における次男坊、三男坊というものはほとんど農業を経営する面積がない。従つてこの次男坊、三男坊というものは、ことごとく都市なりあるいは工業方面なりに吐き出されて来る。従つてそれらが全部人口過剰に相なつて来るのであります。この対策を恒久的に立てた場合には、私は今日のような日本の人口問題を論議する必要はないのではないかと思う。人口問題の恒久的な対策として当然考えられることは、海外転出の問題でありますが、それは今の占領下においては、なかなか言つてみても実現不可能な問題でありますし、さらに消極相な産児制限などをやつてみても、これは十年、二十年先のことであり、日本の将来を考えたときには、政府はこういうことを積極的にやらすべきでないと私は考えておるわけであります。そういう点に対して大臣のお考えをお尋ねしたいのです。
 私は立つたついでに最後まで続けますが、この農村に集まる人口のはけ口をひとつ見出してもらいたい。そのはけ口に対して、私は一つの見解を持つておるものですが、御承知のごとく、北海道の農地というものは、まだ完全に開発されておらない。北海道の今日耕作されておる反別は、大体八十万町歩といわれておるが、きのうも段々畑の陳情がありました。私はこれには反対するものではありませんが、そういうせせこましいことをしなくとも、現在開いておる耕地と同じような、條件のかなつた未開地が、まだ七十万町歩からあるわけであります。これだけの荒廃地を開拓することによつて、現在北海道には四百万の人口がありますが、ほとんど倍の耕地になるわけですから、八百万の人口を入れても何らきゆうくつでないということは、しろうとでも考えられるわけであります。私は現下の日本の人口問題と食糧問題を、北海道の開発によつて、一挙に一石二鳥の手が打たれるということを強く信じておるのであります。いろいろ当面せる農業問題はありましようが、こうしたいわゆる大局に立つた日本の農業政策を立てることによつて、国家経済も人口問題も、あらゆる困難な問題がある程度解決されるという確信を持つておるものですが、こういう点に対して、大臣の所見を一応承つておきたいのであります。
○廣川国務大臣 先ほども申し上げたのでありますが、この朝鮮事変を契機といたしまして、いわゆる日本の食糧の自給度を確立するという声が起きたこと、この輿論が非常に大事なのでありまして、農村の自覚を促し、また都全生活をしている人たちの自覚を非常に促しておるのでありまして、この輿論をわれわれは考えなければいかぬ。これをほんとうに政策の上に具体化して行かなければならぬと考えておるのであります。特に小さな農民――これを脱落農と言うか零細農と申しますか、テクニツクは私よく存じませんが、その次男坊、三男坊の今後の農業経営についての御心配でありますが、これも考はあなたとまつたく同様な考え方を持つておるのでありまして、農林省においても、入植計画の方面に非常に重点を置いて現在考えておるのであります。
 最後の北海道の問題でありますが、これは第二次吉田内閣ができた場合に、内閣に審議会を持つようにということで、総合国土開発計画、北海道開発計画、それから四国の開発計画を特に入れたのでありましたが、これは削つて北海道と日本の総合国土開発計画を入れたのであります。その中の北海道総合開発計画の中には、それを十分織込んでおるのでありまして、これはあなたのうしろにおられる宮城県のわれわれの大先輩が、その担当をしてくれたのでありますが、それを今度北海道の総合開発計画を、建設大臣が兼務にしておりますが、これは増田君にも私はよく宵つておいてあるのでありまして、北海道の総合開発をやることによつて、日本の農村の次男坊、三男坊のいわゆる分離計画が確立すると、私は申しておるのであります。あなたのおつしやる通り、これは耕地面積からのみ申し上げましても、八百万の人口を擁することができるのでありますが、これに商業人口、漁業人口、工業人口といつたようなものを入れますると、まだ北海道において、われわれの人口をさばく余地が十分あるのであります。北海道においては米ができないということを、長い間言われておつたのでありますが、あの通りあの平野に米が実つておるのであります。あの農産物をほんとうに今後北海道に適するようなぐあいに品種の改良をいたしまして、北海道独自の固定品種をつくつて行くならば、決して心配ないと思うのであります。そういつたような方面に、われわれとしましては力を盡したいと考えている次第であります。
○野原委員長代理 ちよつと河口君に申し上げますが、大臣は十二時三十分まできりおれないそうですが、あと多勢おりますので、なるべく要点だけ……。
○河口委員 たいへん力強い御答弁をいただいたのでありますが、ただ現在のような北海道の開拓をやつておつたのでは、百年河清を待つようなもので、全然成立たぬと思うのです。ということは、あの北海道の荒廃地に向つて、くわ一ちようやかま一ちようの引揚者、あるいは帰農者に依頼してやつておるようなことでは、これは全部逃げ出してしまうというような現状です。せつかく入植したが逃げ出しておる現状です。そこで私考えますのは、先ほど木村君がいろいろおつしやつたが、北海道の現在の泥炭地などは、国家が施設をして暗渠排水の幹線を掘つてやれば、りつぱに耕地になる。それをやらぬために、耕地にならぬで荒廃地になつておるという現状、あるいはまた原木原野の見渡す限りの平野が、酸性土壤のために耕地化ができない。これを国費でもつて多少の改良をやつてやれば、りつばな耕地になるのです。そういうことによつて人口問題、食糧問題が解決する。今の自由党は積極政策をとつておるというのですが、実際にやられておることは消極的なことだけしかやつておられぬ。廣川農林大臣に私の期待するところは、その積極的な政策です。北海道農地の開発という面に十分に働いていただきたい。そのことが国内諸般の問題の解決のポイントになる、かように私は御主張申し上げるわけであります。この問題に対しては、こまかく專門的にいろいろと研究しておるので、後刻また大臣と懇談的にお話し申し上げたいと思いますので、本日はこの程度で質問を打切つておきます。
○廣川国務大臣 北海道の開拓史をごらんになればよくわかるのでありますが、北海道の開拓は、決して北海道の自治体に今までまかしてあつたことはないのであります。大体中央において指導いたしておつて、あの程度にまで来ておることは、皆さん方よく御存じだと思います。そこで私たちは、北海道総合開発に関する計画を現在立てておるのでありますが、政府といたしましては、今までの開拓史から研究いたしまして、これを十分高能率的に取扱つて行きたと考えるのであります。で来年度の予算方針をとるにあたりましても、北海道総合開発庁といいますか、それに全部の予算を一応とらして、そうして現業官庁の方で担当してどんどんやつて行くというように、あそこでひとつまとめたいと、私たちは考えておるのであります。実際予算編成になつてみないとわかりませんが、私たちの構想はそうなのです。あの大きな、しかも大陸的気候を持つた北海道でありますから、内地の一つの小さな自治体を対象とすることは非常に違つておるのであります。その点特にあなた方は向うに住まつておられて、現在よく御存じなのでありますから、あなた方からりつぱな資料をいただいて、そしてわれわれの参考にしてもらいたいと思う次第であります。残された余裕のある土地というと、日本のいわゆる高層地帯と北海道以外にないのでありますから、どうか親切な資料を私たちにお示しあらんことをお願いいたします。
○山口(武)委員 昨日来農林大臣にいろいろ質問いたしまして、それに対して大分調子のいいお答えが続けられて来ておるのでありますが、私は各委員がそれを納得いたし、大分喜んでおすわりになつておる様子が一向にわかりませんので、少しお聞きしたいと思う。と申しますのは、大臣はいろいろ題目を並べられましたし、各委員も希望を並べられまして、それに対してたいへん都合のいいような話になつておるのでありますが、一体どのような手段で農林大臣はそれを実現されるか、基本的なものを明らかにされたい。その以前に、現在の日本農家経済の実情というものに対する認識という、農政における基本問題についての態度が、一向にこれまでの質疑の内容からは明瞭にされていないわけであります。従つて、私はまず農林大臣にお聞きいたしたいのでありますが、これは就任早々でもありましようし、時間もありませんので、あまりこまかいことはお聞きいたしませんが、ともかく現在農家が窮乏しておることは事実なのであります。これは御承知だろうと思うのであります。一体農家はなぜ窮乏しておるか。これについての御説明をお聞きいたしたいと思います。
○廣川国務大臣 今まで調子よくしやべつて、調子よくみんな笑つておるようだが、実際のことはどうかというお話ですが、要するに今まで皆さんがおつしやることは、国家予算をどう農村に導いて行くか。この灌漑用水をどう持つて行つて流すかということにあると思うのであります。それをわれわれ政府のものが、本気になつて灌漑用水を早くつくることじやないかと私は考えております。それから農村の基本的な問題として、農村経済が極度に窮乏しておる。これをどう思うか。どう体得しているかというお尋ねでありますが、これは農村を統計調査で見ますと、統計は真実を示すそうでありますが、観念的には、われわれは農村が非常に困つておるということを身近かに感ずるのでありますが、統計部長から聞いておるところによると、決して困つていないのであります。そこが観念的な農村窮之と、統計的な基礎材料をもととした農村窮之との違うところでありまして、これはまたいずれにその方面から、あなたの手元に詳細な資料を提出いたします。
○山口(武)委員 それから農村に対する政策が今まで十分にとられていなかつた。それが今度は本気でやるということを言われておりますが、そうすると、これまでの自由党内閣におきましては、あなたが農林大臣になられるまでは、本気でやられなかつたのでしようか。
○廣川国務大臣 それは私個人のことを言つておるのでありまして、私は今までしろうとでわからなかつたが、このいすについた以上は本気でやるということの、あなたの誤解であると思いますから、党自体に誤解を生じないようにお願いします。
○山口(武)委員 なお、先ほど、私が現在の農業政策を立てる場合におきまして、われわれが基本的な問題として当面いたしますのは、農家経営の窮之した状態であろう、こう質問いたしましたのに、これについて大臣は統計官のことを言われたのでありますが、この窮之自体をどう解決するかという問題になりますと、その原因が明らかにされなくてはならないはずである。従つて、この原因についての認識を、農林大臣はどのようにお持ちになつておられるか。これを聞くと大体廣川農政というものの本質がわかるのではないかと思つて質問をいたしたのでありますが、それについてのお答えがなかつたわけです。従つてそれに対する見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。
○廣川国務大臣 農村は、多角的にいろいろな経営をいたしておるのでありまして、牛馬による收入の減、森林による收入の減、あるいはまた米麦、その他いろいろな多角的な経営的の影響があると思うのでありますが、統計部の方で非常に詳細にその統計をとつておりますので、私はこれを基底としてやつて行きたい、こう考えておるのであります。ただ農村が窮乏しておるということは、観念論的にはわかるのでありますが、その基礎的な資料に基きまして、農林省としては今後一々手を打つて行きたい、こう考えております。
○山口(武)委員 依然私にはわからないのですが、この問題はまあいいと思うのであります。ただ私の申し上げておきたいと思いますのは、農村の窮乏について統計云々というようなことを言われておりますが、農家経済の窮乏というものは規定の事実で、そのことを明らかにすることではなくて、窮乏の原因が何によつて来ているかということを明らかにしてもらいたかつた。それについて現在程度の認識しかないと今の答弁では受取れて、きわめて遺憾でありますので、さらに御勉強を願いたいと思うのであります。
 なおここで聞いておきたいと思います。昨日の答弁の際におきまして、農林大臣は、日本の農村において農業協同組合の果す役割はきわめて重要なものであると申されたのでありますが、一体農業協同組合がどのような役割を果すのか、われわれにはとんと合点が行かないのであります。なぜかと申しまするならば、これまでの農業協同組合を見て参りますと、結成された当初の目的とは相反しまして、農家経済のために貢献しているというような、本質的な筋は何ら出ていないのであります。戦争中の農業会のやつて来た仕事を引受けて、単に国家のために奉仕するというような名目で、農村收奪強行の片棒をかついでいるだけではないか。このような実情にあるのでありますが、一体農林大臣はどのような点から、農業協同組合が大きな役割を果すということを言われたのか、これをお聞きしたいのであります。
○廣川国務大臣 農業協同組合の本旨に反するようなことをしておることを御指摘でございますが、農業協同組合はいわゆる農村自体のために盡し、しかもそのことが即刻国のためになるということがその本旨であろうと、私は思うのでありまして、その方向に向つて進めて行かなければならぬのであります。あなたのおつしやるような農業協同組合がもしあるとすれば、それは邪道でありますので、農村のためになるような協同組合を、われわれは極力指導して行きたい、こう考えております。
○山口(武)委員 時間もありませんから簡単にいたしますが、きわめて文学的なお答えでありまして、農林大臣のお答えとしては、私はきわめて遺憾なのであります。なお私は、農林大臣がさらに御勉強なされたころにあらためて質問いたすことにして、これで打切ります。
○千賀委員長 石井繁丸君。
○石井委員 今までにいろいろと各委員が大きいこと小さいことを質問いたし、農林大臣の御意見を伺いまして、横川農政の全貌が現われて質問の余地はないのでありますが、時間の関係上一、二点だけ大ざつぱに質問いたしたいと思うのであります。
 これは日本の農村の今後の大きな問題となるのですが、ただいま農林大臣も申された通り、アメリカから乳製品を日本の価格の半分くらいで入れたいという問題が起つて来ておる。また一面においては、海外から来る食糧は非常に割高で、価格差補給金を出しておる。こんな観点からも非常に論じられているのであります。補給金を出すうちはよいのでありますが、大体今後の傾向としては、アメリカその他の力強い農業が、過剰食糧をある意味においてはダンピングするような事態が起るのではないかと思うのであります。朝鮮事変が解決をして、第三次世界戦争の危険が遠のいて来ると、ロシヤあたりからもダンピングをいたすと思います。食糧くらいやつかいなものはないのでありまして、足りないと非常に困つてしまうが、余るとこれもまた始末に困る。余つて来るとダンピングが行われる。そこで農村は非常に心配しておりますが、日本のような小さい農家では、海外のダンピングには太刀打ちができない、こういうように考えているのであります。今までアメリカ等は、国内価格よりも安いものにはかれこれ申しておりますが、逆に日本海外から安いものが入る場合は何らの防禦措置が講ぜられない、こういうふうに考えるのであります。だんだん日本の食糧も増産せられ、国際的関係においても、食糧のダンピングがよけいされるではなかろうかという段階が近づきつつあるので、ここで講和会議等ができて解決すればよいのでありますが、そういうことのできる前におきましても、ひとつ関税の自主権をとつて、食糧をダンピングされた場合は、ダンピング価格を押えるために関税障壁を設ける、こういうような政策が自由党の自由主義政策と常に並行して考えられないと、農家は参るのではなかろうか、こういうふうに考えるので、これらの点について、農林大臣はどういうふうな対策をもつて臨んでおられるか、お尋ねをいたしたいと思うのであります。
○廣川国務大臣 これは小麦の例をとつて御判断になればわかりますが、国際市場は非常に安くなつておりまして日本の小麦が太刀打ちできないということはよくおかりだろうと思うのであります。そこでわれわれといたしましては、今現に関税が設けられておるのでありますが、前につくられたもので、率が非常に建つておるのであります。このことについては、われわれ今せつかく折衝中でありますが、決して日本の農民を破綻に瀕せしめるようなことをしたくないという考えから、われわれは関税を設ける必要を感じておる次第であります。
○石井委員 今までは林業問題については触れられなかつたのでありますが、私はいつも考えるのであります。こういう狭い日本の国土において、原始林があるということは、まことに不可解なことであると思うのであります。大体山林軌道を一本入れれば、ただちにその原始林がわれわれの支配下に来る。ちよつとジープを走らせても、太平洋側から日本海側にすつ飛んでしまうという狭い国土に、原始林があると言つて林野庁も自慢にしているし、また林野関係の今までの人も、それを自慢にしているというような状態でありますが、大体日本に原始林があるということが不可解千万で、ほかのものと違つて、木はある年令が過ぎると価値がなくなつてしまうのであります。ここへ見返り資金が融通されるようになつておりますので、農林大臣は、ひとつ農林大臣中に、日本には原始林がないようにあらゆる地帯に山林軌道をつけて、平地林の過剰伐採を防止して、奥地林を開発する。そうして自然倒木等による富の損失を防ぐ、こういうような構想等が立てられなければなるまいと思うのであります。今まで大体食糧問題等を中心として論ぜられましたが、非常に大きな場面の森林行政におきましても、さような大きな見地から対策を立てていただきたいと思うのであります。この点についてお尋ねいたします。
○廣川国務大臣 原生林につきましては、ちよつとあなたと私意見を異にするのであります。水源林と申しましようか、用水の根源である原生林は、私はでき得る限り残したいと思つております。また原生林の樹相を見ればわかるのでありますが、自然その間に長く樹齢を保つたものが倒れて、そのあとから新たな木が生れて参りまするので、この原生林をあまり荒しますると、平野が非常に荒れて参りまするので、徳川時代の林業政策等をごらんになればわかりますが、これをおとめ山と称して、山に入ること自体を非常に制限いたしまして、原生林の保有に努めて参つておるのであります。日本に原生林のあることは、日本にとつて非常に幸いなことなのであります。特に原生林に棲息している鳥類等の繁殖等によつて、農産物への影響も非常に違つて来るのであります。これは単に原生林を価値づけるというあなたのお考えでありますが、原生林をある程度間伐したり何かして、平野林をあまり荒さないというこの見方は、私賛成するのでありますが、原生林はやはりあくまで保つて行く方が、日本の森林保存のためによろしいのではないか、こう私は考えるのでありまして、ただ平野林を荒さないようにして、原生林を間伐でもいたして、これを価値づけるということには賛成でありますが、原生林はあくまで私は、日本の誇りとして持ちたい、こう考えております。
○石井委員 大体農林大臣の意見も私の意見も違わない。私が前申した通り、原生林で森林軌道も何も入れないで、自然のままに立ち腐れにしておく、こういう森林を残しておくようではいけない。やはりあらゆる所に森林軌道等をしき、欣伐あるは間伐等をやつて、そうして自然林の中においても利用価値のあるものを残すようにする、こういうふうに最大の努力が払われなけれげならない。森林軌道等を少しも利用しないで、自然の荒れるままにしておく。そこで腐つた木が、洪水のときにおいては、まとまつて流れて来て、災害を大きくする原因等をなしておる。これらについては、ひとつ大きな努力を払つて、あらゆる場面において森林軌道等を入れて、そうして森林の利用価値をはかつてもらつて、人間の力の及ばないところの森林を残しておくことのないようにしてもらいたい、こういう意見であります。
 それから小さいことでありますが、当面の問題でありまするから、お尋ねをしておきたいのであります。今日の新聞によりますと、五等麦を設定するというようなことでありまして、食糧会計の非常に苦しい中においても、農林大臣並びに食糧長官はいろいろと努力を払つておられますが、大体どのような見通し並びに四等との価格差はどんなような御処置をされるようになつておるか。これらについて御研究になつた点をひとつ御答弁願いたいと思います。
○廣川国務大臣 これはあなたが御存じのように、全国からその作物の状況に応じて陳情が参つておるのでありまして、この民の声を聞くことが国会のあり方でありまた政府のあり方であると思います。これは食管特別会計から申しますと、買わぬ方が黒字で非常によろしいのでありますが、先ほどどなたからかお話があつたように、単に黒字ということでなく、農民のありのままの姿を直視して行くことが妥当であるという考えから適所適地に、五等麦と申しましようか、つくりまして、そうして一俵に五斗五升入れなければ目方ができないということにならないように、五等麦をつくりまして、これを買い上げて行きたいし。しかし価格その他につきましては目下検討中でありますから、さよう御承知願います。
 それから森林のことですが、あなたの杞憂の点は、でき得る限りそういう方向に盡したい。しかし原生林は日本の宝としてこれを残したい。日本の文化財保護法というようなものが近ごろできたようですが、天然資源を残しておくというこのことは、やはりわれわれとしては考えなければならぬのでありまして、原生林等は極力これを残すようにお骨折りを願いたいと思います。
○石井委員 価格の点も急いで御決定になつて、なるべく農民の期待に沿うように御努力願いたい。特にことしの麦は、篤農家で、今まで五斗入れたんだと言うと、ほとんど検査しなくてもいいと言われた人が出したものが、みんな五斗以上入つていても、合格品はちつともないというようなわけで、非常に弱つておるのであります。ひとつ至急価格の改訂をいたして、処置をとつていただきたい。それに関連して、ことしは食糧が少しゆとりがあるので、今までは供出を督励したのでありますが、ことしは各地におきまして、そうあわてて出さなくてもいいから、今度の検査にはなるべく半分くらい持つて来て、あとはその後倉庫でも見つけたら買い上げる、こういうようなことを言つておるのであります。ところが半分ぐらい出して合格をしても、その金は農手や何かにみなとられてしまつて、盆が来ても農家としては少しの現金手当ができない。こういう実情になるのでありますが、ひとつこれらの点につきまして、農林省といたしまして、農家に現金收入を得させるという点について、いろいろ考慮を払わなければならぬのでありますが、どんなお考えでそれらを措置なさるか、御答弁を願いたいのであります。
○藤田説明員 麦の代金が入りましても、従来の農手の決済に使われるという問題でございますが、今後の肥料その他の生産資金については、さらに農手を利用することによつてできるかと考えております。ただ農手の対象になりませんような地帯は、非常にお困りかと思いますが、これはやはり協同組合が、自分らの力でそういうような営農資金のめんどうを見る。また系統金融機関もできるだけ金融の範囲内においてめんどうを見るというやり方をとる以外に、方法がないと思いますのと、もう一つ、やはり農家に現金收入を得させる意味といたしましては、いわゆる換金作物を、われわれといたしましてもできるだけ奨励する、あるいはまた単作地帯におきましては、二毛作の可能になるような條件をつくり上げて行く、こういうような方法、さらにまた農村工業なり農村副業というものを、できる限り奨励いたしまして、それによつて農家に收入を得させるという方向に努力して参りたいと思つております。
○石井委員 食糧庁長官にもお尋ねしたいが、倉庫の関係で買うのを少しゆつくりしたい、かようなことになりますと、いろいろと農政局長も骨折つておるようですけれども、これから換金作物をつくつても、当面の間に合わぬので、ひとつ何か便法でもつて、検査をどんどんやつて、どつか部落に詰め込んでおいても、金の方は払うというふうな処置によつて、なるべく金融を得させるようなお考えがあるかどうか、ひとつお尋ねをいたしたいのであります。
○安孫子政府委員 今のお話は、あるいは群馬にそういう事例があるのかと思いますけれども、私どもとしましては、麦の供出なり米の供出につきましては、従来の方針とかわつておりません。やはり供出はできるだけ早く完納してもらいたいということを切望しているわけであります。ただ従来早場米でいろいろ批判がありましたが、あまりにその方面で督励を受けますと、農産業の上にも悪い影響を持つ部分もありますので、そういう点はないようにしたいと思つております。今度の麦の供出について、倉庫等が不十分なために買い控えをしているというようなことは、絶対ないようにいたしたいと思いますので、ただいまのような事情がありましたならば、私の方から嚴重に督励して、さようなことのないように訂正させておきます。
○千賀委員長 時間がありませんので、次に移ります。原田雪松君。
○原田委員 昨日来米畜産の必要性については、各委員からるる質問がありましたので、重ねてお尋ねする必要はないかもしれぬと思いますが、ただこの際、重要な点を二、三つまんで、お尋ねをしておきたいと思います。
 その前に、この委員会に私どもしよつちゆう出ておるのでありますが、新農林大臣になられましてから、時間の励行を嚴格に、しかもまじめに、真剣に私どもにお答えくださいました。これはまことに従来に見られないところの現象だと感謝いたしております。私きようは遅刻して申訳ないのでありますが、この後は時間を必ず励行いたしますので、どうかその意味において、政府委員も必ず時間通りに御出席願いたいということを、一応前提としてお願いいたしておきます。
 私のお尋ねせんとするところは、畜産の価格の問題であります。最近御承知の通り、あらゆる物資が非常なる下落をしておりますが、特に畜産の下落ははなはだしいのであります。たとえば子牛馬の下落、あるいはその他の中小動物の下落、あるいは成畜の下落が見られる。ところがこれには非常な矛盾があるので、物価の問題は、今日の国家再建の民生的な考え方からして、改めてもらわなければならぬ要点があると思うのであります。なぜならば、畜産面の相場というものは、国が把握すべきものであると思いますが、そうでなく、特殊の特権階級の者がこれを牛耳つているのであります。たとえば肉の価格によつて全部の家畜の価格を制圧している。農村がいかに高く売ろうといたしましても、一部の特権階級の人たちが手をまわして押えて、だんだんとたたいて下落をさせる。おそらくこれでは農村が浮ぶ瀬がないと思います。畜産の高揚にも、消化の裏づけがまことに不完全でありますために、非常なる隘路を生じているのであります。そういう点から見て、一部の特殊の人のみに、この大きな農業経営の主体をなすところの畜産をゆだねて置くということは、国自体が間違つているのではないか、私はこの点を根本的に新大臣によつて改農していただきたいと思うのであります。それによつて初めて安心したところの畜産の奨励も生産増殖もできるのであります。これは申すまでもなく皆さん御承知の通り、肉によつて相場が左右せられるということは、まことに遺憾であります。この点について政府は、将来の価格改訂あるいは価格の維持というものに対しまして、どういう考えを持つていられるか、これを一応お伺いしたい。
 第二点は、全国の無畜農業というものは、農家の約五割であります。その五割の無畜農業の解消のために、非常に馬力をかけて奨励をやつております。もらろん頭数は、戦前に比較しまして、あまりかわらなくなつておりますけれども、まだまだ無畜農業というものが農家の半数ある。もちろん零細農でありますから、農家は有畜でなくてもよろしいという面が多少あるかもしれませんけれども、農林省の統計を見ますと、今日耕地の七・八%が酸性土壌化しているという現状であります。しかも政府は土地改良事業というようなものに重点をおいて推進しておられるのでありますが、この酸性土壌というものを防がなければ、おそらくこの後の日本農村の再建の上に増産の上に、非常なる阻む点が出て来ると存ずるのであります。そういう意味からしても、少くもこれは有畜農業化して、厩堆肥の高度の利用を奨励してもらわなければならない。そうして不足分にカリ分の補給をやる。そのために金肥の補給をやる。こういうことでなければ、農家の経営は成立たないのじやないか、私はさように思うのであります。そういう面から、一日も早く無畜農業の解消に努力すべきだと考えております。これに対して政府に何か施策があるならば、この際教えていただきたい。これが第二点であります。
 先ほど伺うと、農林大臣は、伝貧であるとか、あるいは牛疫であるとか、その他の伝染病の問題まで、私どもがあきれるほど知つておられるようであります。実例を申し上げますと、現に、私どもが前国会以来、日本の馬のために一番恐しいのは伝貧だということを叫んでおります。少くとも全頭数の三割は伝貧にかかつているだろうという見通しをつけて、私どもは一日も早く伝貧研究所を設置し、この病気を撲滅すべしということを申し上げておりますが、今なお手をつけておられないようであります。最近青森県の実例を見ますと、馬匹頭数の約三・八%が罹病しているようであります。そうして殺処分にしたければならないものが、少くも五万も八万も出るのではないかと思う。これは大きな国宝に損耗することになるのであります。この際重要な農耕馬を八万も十万も殺処分にすることになりますと、これの損失は申すまでもなく、国のこれに対する裏づけとしての補償金はきわめて厖大なものになりますので、一日も早く伝貧の研究所をつくつて、根本的撲滅策を講ずる必要があると思いますが、これに対して、政府は伝貧研究所をただちにつくる意思があるかどうか、これをお尋ねしておきたいと思います。
 なおついでに金融の問題をお尋ねしておきたいと思います。これは酪農に限りませんが、特に酪農振興地帯で、牛を買おう、買おうと思つて、ほんとうに熱望いたしておりますけれども、資金の裏づけがない。先ほどからだんだんお話がありました通り、農村の金詰まりは予想外であります。買わんと欲すれども資金がない。借りようとしても借さない。最近の中金の借出しは、市中銀行よりも官僚式でもつと悪い。農村に対してはきわめて不親切である。私どもは、中金は農村の私どものためにつくられた中金であると思つているのに、市中銀行に頭を下げるよりもよほどむずかしいというのでは、これは不合理である。この際、私どもは中金の民主化ということを前国会から申し上げておるのでありますが、新大臣の手腕を識見によつてぜひ是正していただいて、そうしてこれはあらゆる産業に及びますが、畜産の面から言いますと、導入資金の融資をこの中金を通じてやつていただくように御配慮が願いたい。そうしますと、これは無畜農業の解消にただちに役立つのみならず、種牡畜の国有買上げの貸与、あるいは優良牝畜の国の買上げの貸与、こういうことは一度国がやつた実績があるのでありますから、この点をぜひ取上げて、地域的に改良の根本をお考えくださいまして、そうして増殖をはかつていただきますならば、おそらくこの国に順応した畜産の完全なる発達ができると考えるのであります。
○千賀委員長 原田君、この際ちよつと御相談いたしますが、もう廣田大臣の退席の時間が来ております。そこであなたの答弁はほかの政府委員にやつていただきますから、どうか御了承願います。
○原田委員 大体の答弁だけは大臣から一口聞かしていただかなければ困る。大臣がおられるから、私は出たくないのに出席して質問をしようと思つておる。それを止められるならば、私ははなはだけしからぬと思う。
○千賀委員長 理事会では十二時三十分までに打切るという申合せができております。
○原田委員 あと五分でいい。要は私の申し上げましたのは今の四点でありますが、最後に酪農問題が先ほど取上げられておるようでありますし、私どもも酪農問題には十二分の関心を持つております。現在のような日本の酪農状態では、おそらく輸出ということには向きません。大臣の御承知のように、日本製品よりも外国製品が半値ということになると、太刀打ができない。私どものねらいというものは、東亜の朝鮮なり支那なりに輸出する以外には方法がないと思います。ところが御承知の通り、今戦乱のちまたである。だからこれは望み薄である。そういたしますと、国内消費に充てなければならない。国内消費にするにいたしましても、脂肪、蛋白給源の食生活の改善をやれば、おのずから国内消費で解決ができる。たとえば配給面からいいますと、私どもは現に朝はパン、牛乳でやつておつて何でもありません。子供も相当やつております。だから今のインテリ層の人で、しかも配給を受ける人だけは、その半分でもかまわないから、食生活の改善によりまして、一食だけをパン、牛乳で補う。こういうことになりますと、国内の消費で相当消化に役立つことができるのみならず、酪農の振興ということとタイアップして、体位を向上することができる。どうかこの際こういうこともお考えいただきまして、ぜひ食生活改善の方法を考えていただきたい。そうしますと今の酪農振興地帯と酪農地帯と合せましても、酪農の生産量は不足する。今はほとんど牛乳を菓子に使用するくらいのものであります。パター、チーズをつくる以外には、ほとんど生乳として出るのでありますが、これもうまくさばけておりません。これも配給機構とうまく合せて考えますれば、自然消化ができるという見通しも持つております。どうかこの際こういうことも一応お考えいただきまして、将来の畜産のために、新大臣を迎えまして、私どもは非常に気強く思つておりますが、こういう政策をどしどし取上げていただきたいと存ずるのであります。いろいろ申し上げることもありますが、時間も制約を受けておりますし、また委員長からなかなかやかましく怒られますので、この程度で質問を打切ります。
○廣川国務大臣 まるで私の方の畜産局のまわし者のようなお言葉で、私の方の畜産局は、あなたと同じことを私に言つておられるのであります。日本の牛馬の市場でありますが、これは私たちも前から考えておるのであります。手をそでの中に入れて相場をきめるというようなことで、一部の人に独占されておるということは、どうしても私どもは首肯できません。これは畜産局の方々と相談いたしまして、ほんとうの公設の市場を設けて市価を決定するということが、私は大事だろうと考えております。これは畜産局の人たちと一生懸命相談いたしております。
 それから有畜農といいますか、備畜農といいますか、この方々の手によつて、土壌の酸化しておるところを改良いたしまして、日本の農業收入をふやすことも、まつたく私その通りに考えております。これはあなたがただいま申しました国有民養と申しましようか、国で牛馬を持つて民家がこれを養つて行くという国有貸付け牛馬の方式ですが、これは日本に前からございまして、実は私あたりのうちでも、もとは六、七十頭の牛馬を持つて貸し付けておつたのでありまして、一年貸し付けて、その次に子供をもらうという貸付方法でありますが、これを今私たちの畜産局においても、どう具体化するかに懸命にやつておるような次第であります。
 それから金融問題についてでございますが、われわれの中金であつたものがどうも官僚の中金になつたというお考えのようでありますが、これはこの前私たちが党におつたときも、これを民主化するのに非常に骨を折られたことを承知いたしておりますが、これもあなたの希望のように民主化いたしまして、ほんとうの農民の中金にするように、われわれもせつかく努力いたしたいと思つております。
 それから食生活の問題でありますが、酪農と関連いたしましての食生活の改善、これもあなたと私は説をまつたく同じくいたしておるのであります。お互いが外国人に接する場合に、外国人と同様な食べ物を食べ、同様な着物を、同様なタバコを吸つておるならば、必ず卑屈な考えにならぬということが、外交官の信條だそうでありますが、われわれといたしましても、今後国際間に伍する上におきましても、食生活を十分改善いたしまして、彼らとまつたく同様な食生活をするようにいたしまして、酪農と日本の食生活を直結いたすように、お互いがひとつ気をつけて参りたいと考えておるような次第であります。
○千賀委員長 この際お諮りをいたします。原田君の御質問もまだ発言が残つておるようでございまするし、そのほかに両君がまだ残つております。しかし廣川農林大臣はすでに十二時三十分までしか出席できぬという初めからの約束をいたしておるので、もう時間を経過いたしております。どうか次の機会に発言をお願いすることにいたしまして、大臣の退席を認めていただきたいと思います。大臣はきようは定時間にせつかく来られたので、これはかけ引でないのですから、どうか御了承願います。
○八木委員 時間励行の議事進行の発言をお許し願いたい。本日は慣例を破つて定時間の十時に出席することを約束通りに実行されたことに対して、私は満腔の敬意を表して、その熱意のある大臣のおられるこの席で、今後の委員会の運営は、少くともこの農林委員会の名誉のために、時間嚴守、時間励行ということをはつきり確認していただいて、その細目については、たとえば政府委員が出て来ても議員が出て来ても政府委員がいない、かような場合にはどうするかというようなことまで理事会においてきめていただきたい。それからただいま私が議事進行に関して提案いたしたいのは、始めるにも時間嚴守であるが、打切りも嚴守で行く、こういうことを提案しておいて、細目は理事会にゆだねたいと思いますから、皆さんにお諮り願つて御決定を願いたいと思います。
○千賀委員長 承知いたしました。暫時休憩いたします。
    午後零時四十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時五十三分開議
○千賀委員長 休憩前に引続きまして、会議を開きます。
 この機会にお諮りをいたします。まず公団に関する小委員の宇野秀次郎君から、小委員を辞任いたしたいとの申出がありますが、これを許可することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千賀委員長 御異議なしと認めます。従つてその補欠を選任いたしたいと思います。これは委員長において指名いたすに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千賀委員長 御異議なしと認めます。よつて河口陽一君を公団に関する小委員に指名いたします。
 次にいま一つお諮りをいたします。畜産に関する小委員会は、小委員会が十名でありますが、これを一名増員いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千賀委員長 異議なしと認めます。一名増加するに決しました。よつて小委員の追加選任を行いたいと思いますが、これは委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○千賀委員長 異議なしと認め、宇野秀次郎君を畜産に関する小委員に補欠選任いたしました。
 明日の会議についてでありますが、ただいま理事会におきまして、地方税並びに農村電力の件について会議を開くことに決しました。詳細は公報に記載をいたします。
  これで会議を閉じます。
    午後零時五十五分散会