第008回国会 文部委員会 第3号
昭和二十五年七月二十六日(水曜日)
    午前十一時九分開議
 出席委員
   委員長 長野 長廣君
   理事 岡延右エ門君 理事 小西 英雄君
   理事 圓谷 光衞君 理事 小林 信一君
   理事 松本 七郎君
      甲木  保君    坂田 道太君
      高木  章君    東井三代次君
      平島 良一君    若林 義孝君
      井出一太郎君    笹森 順造君
      坂本 泰良君    今野 武雄君
      浦口 鉄男君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 天野 貞祐君
 出席政府委員
        文部政務次官  水谷  昇君
        文部事務官(官
        房総務課長)  森田  孝君
        文部事務官(大
        學学術局長)  稻田 清助君
        文部事務官(調
        査普及局長)  關口 隆克君
 委員外の出席者
       專  門  員 横田重左衞門君
        專  門  員 石井  勗君
    ―――――――――――――
七月二十六日
 教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一八号)
同月二十四日
 標準義務教育費に関する法律制定促進並びに六
 ・三制校舍整備費国庫補助継続交付の請願(田
 中不破三君紹介)(第三〇一号)
 標準義務教育費に関する法律制定促進の請願(
 田渕光一君紹介)(第三〇二号)
 同(若林義孝君紹介)(第三五七号)
 教育功労者の表彰に関する請願(圓谷光衞君紹
 介)(第三五六号)
 六・三制校舍整備費国庫補助増額に関する請願
 (若林義孝君紹介)(第三五八号)
 同(甲木保君外一名紹介)(第四二二号)
 教育財政確立に関する請願(佐久間徹君紹介)
 (第四二三号)
同月二十五日
 職業教育法制定に関する請願(若林義孝君外二
 名紹介)(第四五四号)
 公民館に対する国庫補助増額等に関する請願(
 若林義孝君紹介)(第四五五号)
 函館市に文科系大学設置の請願(田中元君紹
 介)(第四五六号)
 岩手県に対する六・三制校舍整備費国庫補助増
 額並びに姉体中学校建築補助金増額の請願(志
 賀健次郎君紹介)(第五一二号)
 六・三制校舍整備費国庫補助増額並びに標準義
 務教育費に関する法律制定の請願(坂本泰良君
 紹介)(第五一三号)
 平和記念章の制定普及に関する請願(大内一郎
 君紹介)(第五一四号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
 六・三制校舍整備費増額の陳情書外二件(宮城
 県黒川郡大松沢村成田川武内直惠外二十四名)
 (第一一八号)
 標準義務教育費確保に関する法律制定の陳情書
 外三十二件(佐賀県東松浦郡名護屋村伊藤佐一
 外六万八千名)(第一三四号)
 六・三制校舍整備費に対する国庫補助継続の陳
 情書外四十四件(佐賀県藤津郡多良村育友会長
 永尾戈一外六万五千名)(第一三五号)
 学齢兒童の就学奨励に関する陳情書(鶴岡市
 鶴岡市議会議長佐藤政吉)(第一三六号)
 日光二社文化財保存事業に関する陳情書(栃木
 県上都賀郡日光町日光二社一寺文化財保存委員
 会長辻善之助)(第一三七号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一八号)文部行政に関する件
    ―――――――――――――
○岡委員長代理 これより会議を開きます。
 議事に入るに先だち御報告申し上げます。本委員会で決定いたしました国政調査承認要求は、昨二十五日承認になりましたので、御報告いたしておきます。
 次に前会に引続き文部行政に関する件の質疑を許します。坂本泰良君。
○坂本(泰)委員 第一に学生の政治運動の件でありますが、前会他の委員からも相当質問がありましたから、私は結論の意味で、一、二点お伺いしたいと思います。
 それは学生も社会の一員であるから、政治活動の面にのみ特定の制約を受けるという点は反対でありますが、しかしそれかといつて、学生が一般社会人と同様に政治活動ができるということも、これは少し行き過ぎではないかという見解を持つております。今までの答弁を聞いておりますと、相当制約を受くべきものだというふうに、総合して私は承つておりますが、その限界をどうするかという点について、大臣は考えておられるかどうか。
 なお七月十三日に、全学連の一斉捜索がありました、これとからみまして、学生の政治活動の限界、これを大臣としては具体的に示して、学生の政治活動の方針をはつきりさせる意思があるかどうか。どういう限界でお考えになつておるか、その点をお伺いしたいと思います。
○稻田政府委員 ただいま先般の全学連の事件に関連して、学生の政治運動に対する限界という御質問でございます。これは昨日、一般的に大臣からお答えがあつたのでございますが、個々の具体的問題について判断いたすほかないと考えております。ただいま御引例になりました先般の全学連の問題につきましては、これは御承知のように、いわゆる政令違反の事件として取調べを受けたわけであります。その団体全体の動向がどうであるとか、あるいはそれに対する処置をどうするかということまで行つておりませんで、いろいろ文書あるいは図画によりまして、政令違反の事実があつたということについての捜索を受けた、こういう事件であります。一応お答え申し上げます。
○坂本(泰)委員 そういう政令違反の捜索を受けるというような、学生に対する事件が起きた。やはりこれを契機にいたしまして、学生の政治活動について、一般学生は全然やることはできないだろうかという点については、非常に不満を持つておりますし、またやるとしましたならば、どこまでやつていいかという点も、非常に疑問を持つのであります。そこで自己の見解でやつておれば、あるいは行き過ぎとして、また全学連のような捜索の問題が起るということを考えると、学生の現在の政治活動については、どうしていいかという方針がないわけであります。そこで結論としてお伺いいたしたいのは、その政治活動に対する基準と申しますか、そういう点を大臣、並びに政府においては考えておられるか、考えておられるならば、どういうように具体的にやる考えか。ただ相当制約されるとか、非常に制約されるというような抽象的なことでは、満足できないものでありますから、その点をさらにお聞きしたいと思います。
○稻田政府委員 一般的に申しますれば、学園の政治的の中立を維持するという見地からいたしまして、政治的中立を維持するに支障ありと認められるような学生の運動を抑止いたしたい、こう申すほかはないと思います。
○坂本(泰)委員 そういたしますと、学生の政治活動はこれを認める、ただその制限を今の答弁のように個々的の問題で処理するという限度にとどまるわけですか。何か基準、そういうものは持つておられないか。また大臣としてこの点について、單に相当制限されるという抽象的なことでなくて、大臣におかれてもつと具体的に学生の、ことに大学生なんかが現在やらんとする運動に対して、どういう見解を持つておられるか、それをお聞きしたい。
○天野国務大臣 私もこの前も申し上げましたが、学生は今指導を受けておる身分だということが、学生のあり方の根本的な点だと思つております。だからして、指導を受けながら、他日社会に出て指導者になる基本的な準備をして行かなければならない。そういう建前から、学生が自分の基本的な準備というものを怠つて、そうして実際の社会の政治活動に従事するということになると、学園に政治活動を持ち込んで、学園が本來努むべき学問研究、そういうものを阻害することになつてしまうから、そういう意味で学生のそれを阻害するような、つまり普通の言葉でいえば、学園の政治的中立性を阻害するような活動はいけない、こういうことでございます。それに対してどういう基準であるのだ、こう言われますと、私はそれはやはり一々の具体的な事実について言うよりいたし方ないと、ただいまは思つております。もつと明確に、これだけのことはいけないのだ、たとえば追放になつておられる人たちの概念規定として、政治活動はどういうものだとか、ああいうようなもつとこまかい規定ができたならば、その方がよいかという考えがありますが、ただいまは、私は遺憾ながらそれを用意いたしておりません。
○坂本(泰)委員 大臣の答弁で大体了承いたしますが、ただ私は、たとえば法学にすれば單に概念的な学問だけでなくて、やはり裁判官とか弁護士とか、その他実際家を呼んで、たとえば民法にすれば民法演習、刑法にすれば刑法演習ということをやりまして、そして実際と学問とをマツチさせまして、そうして学校を卒業した際において、社会に出まして、ただちに社会の用に立つという方法が考えられておる。現在の情勢は、この政治活動の問題から行きますと、今度はわれわれが勉強しました当時とは逆になりまして、少し行き過ぎではないかという観点が出て来る。理論を研究するよりも、実際活動の面に入つて、そうして社会人と同じ政治活動をやる、そういう面が逆になつておるじやないかと考えるのであります。そこで教育基本法とかその他がありますけれども、この点については、何としても学生の政治活動をどの程度に指導して行くか、また学生自身が研究と実際とをどの程度にやつて行くかという点は、これはことに大学教育の基本じやないかと思うのであります。そこでその点は單なる抽象的な学生の本分を逸脱するかどうかという点だけの見解でなくて、やはりもう少し学問の研究、学問の自由と同時に、実際運動についての基準と申しますか、そういう点について考慮を払う。しかもその基準を定めるについても、單に文部省の官僚的のものではいかない、教育基本法なんかも、多分に官僚的なものでありますが、そういうものでなくて、やはり実際家、国会関係もまじえたところの研究会あるいは審議会か何かをつくりまして、至急にそういう問題を解決する必要がありはしないかということを要望いたしまして、この問題は打切ります。
 次に、教員の政治活動の問題について一、二お尋ねいたしたいのでありますが、今回の参議院選挙後におきまして、文部省は地方連絡課長の名儀で教育長に内翰を送りまして、そうして参議院選挙についての調査報告を求められた事実があるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
○森田政府委員 ただいま仰せの地方連絡課長の内翰をもつて、今回の参議院選挙に際して、教員の政治活動の実情に関しての報告を求めたことは事実であります。しかしながら、これには文部省の設置法におきましても、教育委員会法におきましても、文部省は教育委員会から情報資料の提供を求めることができることになつておりまして、この両法によつて與えられた権限に基いて、必要なる資料を要求したわけであります。しかしながら、これを要求してどういうように使うとか、あるいはまたどういうような措置を講ずるという予定のもとに要求をいたしたのではないのでありまして、世上よく今回の参議院選挙におきまして、教員の政治活動が非常にはなはだしかつた、行き過ぎであつたというような世論を往々聞きますので。このような世論がある場合におきましては、文部省におきまして、当然その実態を一応知つておく必要があるので、資料、情報の提供を要求した次第であります。
○坂本(泰)委員 そういう目的でやられるならば、教育長だけに対して、そういう調査報告を求めるというのは、これは一方的ではないかと思う。そうであるならば、やはり日教組、県教組という民主的な団体もある。そちらに対しても、そういう同じようなことを求めて、そうして両方からやらなければならない。それをせずに、單に教育長にだけやるのは官僚的であつて、一方的のみの調査報告を求めたのではないかという懸念があるのですが、その点について伺いたい。
○森田政府委員 ただいま仰せになつた点は、まことにごもつともでありまして、ただ取締りの役に当つております教育委員会からのみ一方的な報告を求めて、これが真実であるという判断を下すのは、誤りであろうとわれわれも考えております。しかしながら、われわれが権限をもつて要求し得るものは、教育委員会だけでありまして、その他には、でき得る限り各種の情報を提出していただくことを希望いたすのでありますけれども、権限をもつてその調査なり、あるいは資料の提出を要求することは、できないのであります。従いまして、機会あるごとにわれわれといたしましては、この点に関しまする情報、資料を持つておられる方方には、あるいはまた団体に対しては、そのような点についての資料をいただくようにお願いいたしておるのでありますが、これは單に願望でありまして、提出していただいたところもないではないと私は想像しておりますが、すべての点に対して落度なく情報資料を各方面からとるということが、どの程度行くかは、今のところわからないような状態でございます。
○坂本(泰)委員 そこでその内容でありますが、この選挙についての一般的な傾向その他の調査報告はいいけれども、一歩進んで選挙違反関係のものも調査報告を求めたと聞いておりますが、その点いかがでありますか。
○森田政府委員 先ほどから御説明申し上げますように、文部省として要求いたしましたのは、特に選挙違反として要求いたしたことはないのでありまして、單に教員の参議院選挙における政治活動の実際の有無、あるいはその概要というものを要求したにすぎないのでありまして、警察関係その他の調査しておられるような選挙違反の関係というようなことを、特にうたつて要求した事実はないのであります。
○坂本(泰)委員 うたつてやつたわけじやないけれども、大体の文部省の意図は、選挙違反なんかの調査が主になつたんじやないかと思われる点もあるのです。その点現在集まつておる調査はどういうぐあいになつておりますか。
○森田政府委員 御承知の通りに、警察関係では参議院選挙以後、これは單に教員に限らないで、選挙違反の有無について、それぞれ調査しておることだろうと想像いたしておりますが、このような調査に載つて来るのは、選挙活動としてはなはだ表面に出やすい部分であるのであります。従いまして、調査の結果資料としてそういうものが含まれておることは、もちろんあり得ると思います。しかしながら、文部省としては警察的な選挙違反の事実を摘発する興味も権限もありませんので、そのようなことを特に意図してやつたことはないのであります。
○坂本(泰)委員 その点はそうでなければけつこうでありますが、もしも今回の調査報告によつて、警察その他の機関が調査するような選挙違反関係を主として文部省がやつたことになれば、これは権限外の越権行為だと思う。そこでお聞きいたしたいのは、教員の政治活動が予想される、その教員の政治活動の裏づけとするために、この調査報告を求めたんじやないかという懸念が非常にあるのですが、その点を承つておきたい。
○森田政府委員 教員と申しましても、御承知の通り官立学校の教員は、国家公務員の身分になつておりますが、公立学校の教員は地方公務員としての身分があるわけであります。私立学校の先生は、教員としての資格を持つておられますけれども、個人としての法律上の取扱いを受けるという三種の取扱いの違いがあるのであります。ただその三種とも共通いたしておりますのは、教員として教育基本法並びに学校教育法等の適用を受けることでありまして、御承知の通り、教育基本法の第八條に、学校としての政治教育及び政治活動の規定があるのでありますが、この趣旨に沿うことが、教員としては官公私立を問わず必要であるということがいえるのであります。それから国家公務員としての官立学校の先生は、御存じの通り国家公務員法並びにこれに基きます人事院規則によつて、それぞれ制限を受けております。地方公務員につきましては、これらの制限がないのでありまして、私立学校についても同様であります。しかしながら、教育基本法の点から考えまして、政治的な中立性を維持するように努力していただくということは必要であります。なお選挙に関しましては、御承知の通りに公職選挙法その他によりまして、学校の先生がその地位を利用して選挙活動を行うことは、禁止せられておるのでありまして、その地位を利用して選挙活動を行つたかどうかということが、問題になるのでありますが、これもまた選挙活動としては、それぞれの選挙違反の問題として、警察その他によつて取扱われる問題でありまして、文部省といたしましては、以上申し上げました法律の趣旨は常に守られておると考えておりますが、これらが守られておらない事実がもしあるとすれば、一応文部省としても知つておく必要があるという意味で調査いたしたのであります。
○坂本(泰)委員 この問題は、大体これで打切りますが、ただ、今政府委員の説明のような目的ならばよろしいけれども――われわれは、国家公務員は別に考えておりませんが、地方公務員の適用を受ける一般教職員であります、これに対する政治活動は、現在の状態においても、今政府委員の説明のように、その地位を利用してやるとかどうとかという問題は、これは抑制することはできると思うのであります。それをさらにこの選挙違反の統計的なものを集めるということが主になつては、これは権限の逸脱だと思うのであります。その点は今後にそういう教員の政治活動についての裏づけの資料というふうなことに濫用せられないことを要望いたしまして、最後に、大臣に教職員の政治活動について、根本的にはこれはやはり教職員といえども、社会人と同様でありますから、政治活動を許さなければならない。しかしながら、今問題になつておるのは、地方公務員法の問題と、それから地方公務員法とは別個に、新たに教職員の政治活動に対する禁止の規定を出す意図がありやいなや、この点大臣の御見解を承つておきたいと思います。
○天野国務大臣 ただいま承つております通り、教育者が教育者としての社会的なあり方に対して、一定の制約を受けるは、これは当然の話だということは、坂本さんも御了承のことだと思います。その上に地方公務員というものの範囲の制限は、教育者も受けるということは、私はやむを得ないかと思います。ただ地方公務員を越えた教育者に何か特別の制限を與えるというようなことは、私は考えておりません。
○坂本(泰)委員 大体わかりましたが、ただ私がおそれるのは、地方公務員法が、将来あるいは近い国会に出さるべき予想と、それと離れて――やはり地方公務員であるから、地方公務員法によつての教職員の問題は、これは当然のことでありますが、それと別個に、あるいはその前において、この教職員の政治活動のいわゆる制限と申しますか、こういう法律を出すべき考えを持つておられるかどうか、その点を伺いたい。
 それから認定講習の問題について承りたいと思つておりましたが、すでに改正法律案も出ておりますから、これで打切りたいと思います。
○天野国務大臣 私はどういう規定があつても、地方公務員の範囲内のことと、自分は現在考えております。
○圓谷委員 ただいま坂本君の質問になりましたところの、教育者の政治活動について、文部大臣の見解を承りたいと思います。文部委員の諸君は、すべて、教育者の政治活動というようなことは、決してこれを切るという考えも持つていないし、また教育者が長年の間の封建制度から脱して、自主性をとりもどしまして、政治に対する関與、それから政治活動というものは、これは憲法の規定において、個人としては当然許されるべきものだと私は考えております。しかしここで問題になりますことは、教員組合という一つの団体が、この政治活動を起す場合においては、これは政治資金規正法によつて届出をしない場合においては、三千円以上十万円までの罰金、また責任者に対して体刑の規定があるのであります。そこで私は今回参議院において十一名ですか、社会党の公認候補として立つて、たくさん当選した。社会党にとつてはまことにこれは喜ばしいことであつたでしよう、たくさんの当選者を見たのですから――。しかし社会党を除く他党においては、実にこれは不愉快な現象であつたと思うのですが、教育者のために、真にこういうことがよろしいかどうか。そこで私は、この団体が届出をしてやつたかどうかということが、第一点として伺いたいのであります。それから、届け出た期日がいつであつたか、それと二つ承りたいのです。
 私は福島県でありますが、一月の二十三日に行われました福島県の知事の選挙においても、執行委員会決定事項として、日教組の書記長からこういう通知を各学校に出しております。「知事選挙対策に関する件」これは文書でもつて出しておるのですから、明らかに違反だと私は思うのですが「教員組合としては党派に拘泥せず、人物、識見ともに知事にふさわしき鈴木義男を推す。組合員一人につき十票以上を獲得のこと」これは私は実際その文書を見ておる。さらにまた日教組の本部からは、こういう「指令第二十三号」でありますが、「五月一日、二日、三日に行われる琴平大会までの暫定鬪争方針として、別項のごとき指令等二十三号を作成、十日各都道府県教組に指令した。なお中央執行委員会では、十三日より二十日までの間日教組推薦候補者の参議院選挙対策、琴平の定期大会準備打合せ、さらに指令二十三号の徹底化を期すべく地方各ブロックにオルグを派遣することとなつた。」として、「今次鬪争の発展に関する件、」前段を拔きますが、そのあとに問題になるところは、「六、参議院選挙鬪争に集約せよ。三月鬪争の体験を生かし、特に最近の政府の反動的横暴性を全組合員と大衆に宣傳して、反政府の輿論喚起に努めよ。県内統一候補を立て、具体的に他の労農市民団体しとともに選挙対策に関する機関を設置し、強力な共同鬪争を進めよ。全国選対の決定に従つて、中央地方の組織からの候補に集中する工作を、即時、具体的に展開せよ。」これらのことが組合団体としてこれがやられたとするならば、明らかに団体等規正令と、政治資金規正法に違反すると私は思うのであります。しかしそれが届出をしてなされれば、もちろんさしつかえない、また個人としての政治活動は憲法によつて許されておりますし、これは当然やらなければならぬことでありますけれども、私が一番心配なことは、今度の選挙の結果において、あるPTAの会長が私のところへ参りまして、父兄は、子供がかわいいから、先生の言うことも聞くが、しかし社会党の候補者を一々父兄に呼びかけられては、私どもは、こういう教育者は村にいてもらつては困るということを言つて来た者もあります。はたして教育者がこういう活動をやることが、教育者のためになるかどうか。一方的な政党、社会党という一つの党の公認候補を立てて教育者がやるのは、政党的な制肘を受けるのではないかという心配を私はいたすものであります。教育者がこういう団体という一つの組織のもとに、一方的な政党を支持してやるという場合においては、これはよほど考慮しなければならぬのではないか。社会党ではこれは自分の方ですから喜ぶでしよう。但し、今回の選挙においては、私の教え子で先生をしている者もありますが、小笠原君のために一人五票取れという指令だ、これは文書ではやらなかつたが、一人五票取つて、その名前を書いて報告しろという指令だつた。それでその人が言うのには、名前を書いて報告するのには、個々面接をしなければならない、第三者の選挙演説は許されておるが、名前を書いて報告するためには、個々面接をして、あなたが入れてくれるかどうかということをやらなければならぬが、これは違反になるのでしようかと、私のところに聞きに来た。これは事実なんです。こういうように、教育者の地位を利用して父兄にタッチするような選挙方法が、はたして民主的であるか。教育者は、一般労働者とは違つて、生徒を指導するという特殊性がある、さらに父兄やPTA会などに関係があるのでありますが、その父兄や何かは、人である以上、おのおの異なる政党を支持していると思う。こういう場合に、ただ社会党の一環として、一方的に社会党だけの選挙対策をやるということが、私は教育者としていいかどうか、これを心配するのです。私の見解としては、最もよき教育者は、父兄から信頼を受ける教育者でなくては、絶対に教壇に立てないと思う。教育者の生命は、父兄の信頼を受けて、その子弟を愛をもつて訓育することである。その教育者が、ただ社会党の一環として選挙対策をやるということは、これは社会党の方に対しては、まことに気の毒なことでありますが、一つの組織のもとに、一方的な政党を支持するということはどうかという考えを持つております。さしあたりお伺いすることは、そういう行為は、団体等規正令あるいは政治資金規正法に違反するというようなことが問題になつて来ると思いますが、はたしてこれらのことが届出をされてやられたかどうか。御調査になつていないとすれば、これは至急御調査を願つて、届出の事実についてはつきり私は承りたい。それだけです。
○森田政府委員 ただいま圓谷委員からの御質問がありましたが、日教組及び各都道府県の教員組合が、団体等規正令で届出をしておるかどうかということは、ただいま手元に日時なりその他わかつておりませんので、今本省の係に問い合せ中でありまして、できれば来次第お知らせいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
○岡委員長代理 それでは次に日程を追加し、教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案を議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡委員長代理 御異議がなければ、教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案は、本日ただいま付託せられた法案であります。これより提案理由の説明を求めます。天野文部大臣。
    ―――――――――――――
○天野国務大臣 ただいま議題となりました教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を申し述べます。
 昨年五月、第五国会において制定され、九月一日より施行されました教育職員免許法施行法は、同時に制定されました教育職員免許法の実施に伴う経過的事項を定めたものでありまして、旧令による教員免許状の所有者等に対する新免許状の授與及び相当期間教職にあつた教員に対する上級免許状授與の特例等を規定したものであります。これらの法律により、各都道府県においては、着々新しい免許状が交付され、また上級免許状授與のための現職教育も、すでに実施されておるのであります。
 ところで相当期間教職にあつた教員に対する上級免許状授與の特例を規定した施行法第七條の有効期間は、第七国会における同法一部改正により、昭和二十八年三月三十一日までとされたのでありますが、上級免許状を受けるために必要とする單位を取得する最も一般的な方法である免許法認定講習をこの三年間に実施することは、諸般の事情により相当困難と判断されるに至りましたので、第七條の有効期間を、さらに三年延長し、この特例の適用を受け得る人々に対し、容易に上級免許状を受け得る機会を與えようとするものであります。
 以上が教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案の提案の理由であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
    ―――――――――――――
○岡委員長代理 本法案の質疑に入るに先だちまして、文部行政に関する一般質問を継続いたします。井出一太郎君。
○井出委員 今朝の新聞紙を見ますると、文化財保護法に基く文化財保護委員会でありまするが、これが近く発足をする、そしてその委員の人選等も出ておるのでありまして、何か本日の閣議決定を見た上で、国会べ承認が求められる、かように報道されておりまするが、これが事実でありまするかどうか、まずそれを確かめておきたいと思います。
○天野国務大臣 ただいまの御質問に対してお答えいたします。
 今おつしやるような準備を十分いたしております。けれども、まだ閣議の決定も経ておりませんから、それを経て、できるならこの国会に出したいという考えを抱いております。
○井出委員 この委員の人選は、非常に重大であると思うのでありますが、これに対する何か人選の基準とでも申しましようか、そういうものがおありならば、伺いたいと思います。
○天野国務大臣 基準ということも、非常にむすかしいのでございますが、これはいわゆる專門的な知識というばかりではないのです。專門委員というものは、ほかにできますから、純粋な文化財に対する專門家という意味ではない。けれども、やはり專門的な知識も持つておられることが望ましいという考えから、そういうような專門家を主として選びましたけれども、同時にまた、純粋の專門家が下にいるのですから、この委員会をほんとうに運営して、そしてその目的が達せられるように適すると考えられる人を選び出したわけでございます。
    〔岡委員長代理退席、委員長着席〕
○井出委員 ただいまの御答弁で、まだ真の意味において確定はしておらぬということでありますから、新聞紙上に報道された一々の方についてどうこうは、今日申し上げるのは早いのかと思います。ただ私、念のために伺つておきますが、その五名の人選の中に、前の文部次官をされました有光さんの名前が出ておつたと思います。有光さん自身に、私は何の恩怨もございませんけれども、たしか先ごろの法隆寺の炎上事件のございました当時、有光さんは現職の次官であつたような気がいたします。これは私の記憶の誤りかもしれませんから、その点を念のために伺つておきます。
○天野国務大臣 有光さんは、当時の次官ではございません、当時の次官は井手さんでございます。
○井出委員 井手さんが次官で、有光さんは当時もう職を離れておりましたとすると、その辺の前後関係は……。
○天野国務大臣 有光さんはやめておられました。
○井出委員 それではまた追つて伺うことにいたします。
○若林委員 今朝来の一般質問に関連して、お伺いをいたしておきたいと思います。学生の政治活動が、先ほど来問題になつておりますが、わが国の今日までの学生の政治活動を大観をしてみますのに、純真な学生の気持から出ておる運動とは思えない運動が、全般的の純真な学生の運動のごとく偽装されて行われておつたように思うのであります。一皮はいでみると、生活の経済的事情によつて、ある政党から報酬を受けることを條件としておるような者が、大学の学生の中心になつておりまして、それが学生全体の運動のごとき観を呈したことがあるのであります。先ほど来文部大臣は、学生は物を学ぼうとする過程にあるものである、それを逸脱するような者に対しては――というお答えがあつたのでありまして、しごく同感でありますが、文部当局といたしまして、私が先ほど申し述べましたような事実をお認めになつておるかどうか、お気づきに相なつておるかどうか、これを伺いたいと思います。
○稻田政府委員 お話のような事例もあるように聞いておりますが、全般的ではないと思います。
○若林委員 私は純真な、ほんとうにやむにやまれぬ学生の政治活動というものは、あるいは押えることができぬようなことがあるかもしれぬと思いますが、しかしながら、一派の外部の者がこれを利用することについては、よほどこれは、文部省ばかりでなしに、大学当局が、純真な学生たちを守るためにも、この点に特に留意をせられて、大学の学生の政治活動というものを取締られるよう希望してやまないのであります。
 それから全然問題は別なのでありますが、私、今日資料を持つて来るのを忘れたのでありますが、一言だけ申し上げておきたいと思いますのは、一般の問題でありますが、各学校におきまして、教課程はきめられておるが、その教育に当ります教職員の中に、教課程にきめられておるだけのものの教育に当る資格に欠けておる部類があることを聞くのであります。たとえてみますと、芸術関係に類するものの教員の素質の不足と申しますか、あるいはその数の不足と申しますか、それらが顯著に現われておりまして、これに対する欠陷を補う要望が多々あるのでありますが、文部省はこの点どういう御認識を持ち、どういう打開策を持つておられますか、お伺いをいたしたいと思います。
○稻田政府委員 お話のごとく、新しい学制になつて、新しい教育課程が成り立ちました場合に、それに適応する適当な人を得るということは、全般的に非常に困難な状況になつております。各学校におきましても、この点特に力を入れられまして、広く人材を集めることに努められております。また文部省といたしましても、各学校間における新しい教育課程の研究会あるいは学校を通じてのそうした研究会といつたような性質のものを、奨励もいたしておりまして、相当こういうことが行われておるのでありますが、それによりまして、新しい教育課程に適応した教育活動が今後旺盛になることを、期待いたしておるわけでございます。
○若林委員 お気持は大体了承するのでありますが、ある教科によりましては、隠れたる人材を探して、これを充足することはできるかもしれぬと思うのであります。しかし科目によりますと、いわゆる絶対量においてないもの、たとえてみますと、戰時中、芸術関係の音楽あるいは図画、そういうようなものをきわめて軽視した感じがあつたのでありますが、ここに逆にこれを重んずるというような行き方になつておりますので、いかにこれを充足しようと思われましても、すでに絶対量において不足しておる。何らかここに具体的の――その養成の学部を拡充して行く。学部が存在しておりましても、それに対する指導者がおらないために、学生が応募をして来ないという、非常な困難があると思うのであります。今日私は、ただここに一石をこの委員会において投ずるにとどめておきますが、これに対する格段の御留意をくださいまして、早急に具体的措置、予算的措置を講ぜられて、教課程を充足し得るような行き方をやつて行つていただきたいと思います。一応私の話はこれで終ります。
○今野委員 先ほど学生の政治活動並びに教職員の政治活動について、お話があつたのでありますが、この間あの全学連の搜査を、政令違反という疑いでされた、その場合に学校当局の許可なしに、それに何ら断ることなしに、警官が東大内に入つて、かつてに搜査をしておるわけであります。このことについては、こういうことをずつと許すつもりなのかどうか、文部省の見解をお伺いしたいと思います。
○稻田政府委員 お話のような例につきましては、もとより学園の自治というものを尊重いたします私どもといたしましては、まことに遺憾なことでありまして、学園の自治による秩序が安全に維持されるにおきましては、そうした事態はもちろんなくなり得る問題だと思つております。ただ、もちろん学校といえども、いわゆる治外法権的な領域でございませんので、そうしたいろいろな事件の搜査というようなことがありました場合に、学長の立場におきまして、これを拒否することはできない。でき得る限り学園自体の自治によつて、そうした警察官の介入をなからしめることに努めるということ以外には、方法はないかと考えております。将来にかけましても、われわれといたしましても、また学校当局におきましても、そうした事象の起らないように、もちろん極力努めて参りたいと考えております。
○今野委員 私が聞いておりますのは、学校の管理者である学長や何かに何ら断らないで――それを拒む理由はないかもしれませんが、断らないでそういうところへ乱入する――これは個人の家でも、普通の家宅搜索のような場合には、たいがい管理者に搜査状を示して許可を得てやるわけでありますが、そういうことを何らしないでやる、こういうことでありますれば、学校の中の自治というものは、根本から破壞されるわけであります。その点について、文部省は報告を受けておるだろうと思いますが、今までにどういう処置をとつたか、それをお聞かせ願いたいと思います。
○稻田政府委員 将来の問題につきましては、先ほど申し上げた通りでございまして、たとえばポ政令の適用等につきましても、その学内の秩序維持の責任者の力の範囲におけることは、できる限り管理者にまかせてもらうというような話合いをいたしておるようなわけでございます。先般行われました搜査の場合におきましては、一般のこうした搜査の手続によつていたされたわけであります。その場におけるいろいろな責任者の了解を得て、学内に入られたことだと考えます。
○今野委員 この間東大当局は、新聞によれば、警察に対して抗議を申し込まれておるのです。何らの許可なく、あるいは何らの連絡なくそういうことをやつたということに対して、抗議を申し込んでおる。こういうことに、文部省としては無関心でおつてよろしいのかどうか、その点をお伺いしておるわけであります。今の稻田さんのお話によりますと、十分連絡をとつてやつておるということですが、事実はそうじやないから、聞いておるわけです。
○稻田政府委員 お話のように、学校当局、そういう面との十分な連絡の必要なことは、先ほど申し上げたのでありますが、搜査上違法な処置であるとは申しにくい、こういうように申しておるのであります。
○今野委員 それから先ほど文部大臣は、やはりこの間もそうでありますが、学園の場合には、中立性を保持するということを盛んに言われたのであります。しかし中立性ということは、非常に解釈がいろいろあり得るわけであります、あいまいな言葉であります。ヨーロッパ諸国の大学等においては、たとえば、フランスなどは特にそうでありますが、中立性というものは、いかなる政党を支持してもよろしい、いかなる政治活動をやつてもよろしいという意味に、大体において解釈されておるようであります。ところが、日本においては、従来大学は、とかく戰前においては、政治活動は最もいけないことだ。それで教育基本法の第八條なんかにおいても、やはり政治教育やなんかを活発にしろということが言われておるわけです。但し、それが第二項でもつて一つのところに学校が片寄つてはならぬというようなことが念のために言われておるわけであります。そういうような点を考えてみますると、やはり今中立性ということが、政治活動をやつてはいけないというように、消極的に解釈されると、やつぱり日本を民主化するという基本的な点からいつて、どうも不適切なように考えられるわけであります。文部大臣としては、中立性というものをどういうふうに言われておるのか。今まで言われただけでは、非常にあいまいで、何のことかわからないので、ちよつとお伺いいたします。
○天野国務大臣 私はこの間から申しておりますように、学園が政治の鬪争の場になつては困るということを非常に考えております。そういう学園が鬪争の場になるような活動を学生がしては、私がたびたび申しておりますように、将来ほんとうに社会を指導するような人にはなれない、だから今はその準備をしよう。一体社会にある一つの考えで、非常に間違つた考えがあると私は思う。それは大学なら大学というものが、その人間を完成してしまうというような考え方でありますが、そうじやない。大学というようなところは、ほんとうの基本的なことを習うのであつて、それの実際の応用とか、それを実際に適用してみるとかいうふうなことは、社会でもつてやるべきものである。社会はもう学校とはまるで縁のない実際のことばかりである。大学というところも、やはりそういうところだというような考えは、非常に私は間違つておると思う。大学においては、ほんとうに基本的な研究をしようというのです。私は政治活動というものを、全体的に排斥しようということを申したことはないのであつて、それには制限がある、学生という社会的なあり方から制限があるということを申したわけでございます。私は自分ではわかつておるつもりでございますが、そういう考えであります。
○今野委員 先ほど坂本さんからも、その制限というような点があいまいだということを、いろいろ追究があつたわけであります。私どもも、お話を承つておると、つまり学園が鬪争の場所になつてはいけない、そういう面から、現実的には制限が出て来る。ところが現実と照し合せて考えてみると、学園内の治安維持という見地から、政治活動を制限する、こういうふうに考えられるわけであります。(「政党が利用するからいけないのだ」と呼ぶ者あり)私はそうしなければ、学園というものは発展しないと思う。そういうことを言うのでありますが、ヨーロッパの学園が、そういうことによつてはたして根本的に困難に直面してどうにもならなかつたかどうか、そういうような論拠が一体どこから出て来るのか。私は歴史的にそういう事実をあまり知らないのであります。逆にそういうような社会の動きを活発に反映することによつて、かえつて活発な学問の研究がなされるということの方が、歴史上の事実である、こういうふうに私どもは歴史を続んで来たし、見て参つたのであります。今まで大臣なんかの言われたことは、何かそういう事実に基かないで、そうしてこうしたらよかろうというような、そういう独断のように聞えるわけであります。だから、そういう点を、もつとはつきりした根拠をつけて言つていただきたい。そうでないと、何か官僚その他が言うような一つの独断論の……。
    〔発言する者あり〕
○岡(延)委員 議事進行に関して発言を許されました。今野委員は、過日この一般行政に対しましては、長々と他の委員よりも長い時間を費して質疑をしておる。今お尋ねの件等についても、今野委員は質疑をされたということは、われわれ確かに知つておるのであります。そしてまた、ただいまある委員の質問に対して関連質問というが、その質問よりも長々とやる。ほんとうの質問に対する関連質問というものは、簡單にやるというのが常識である。国会の習慣、運営の上からいつて、非常に悪例を残すということを私はおそれるものであります。その意味において、委員長において適当に注意されんことを望みます。
 それからもう一つの理由は、この教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案は、先ほど私が委員長席から申し上げました通り、この客観的情勢下においては、一刻一瞬を争う法案だと、私はわれわれの政治的センスから判断いたします。でありまするから、できるだけこれを簡潔にしていただいて、この法案をすみやかに一刻も早く通すように努力していただきたい。
○今野委員 さつきやつぱり圓谷委員は、相当長く関連質問をやられた。若林君のごときは、関連しない事項を関連質問の中に入れてやつた。それを、野党だからといつて一方的にそんなことを言うのは、けしからぬと思うのです。もつと言論の自由は、せめてこの中だけでも確保していただきたい。
○長野委員長 今野君、よくあなたの御趣旨はわかります。ひとつ委員長に免じてこの際この辺にして、また機会はありますからそのときにお願いいたします。
○笹森委員 今議事進行に関する質問がありましたから、一応私は讓りましてこの次にいたします。
    ―――――――――――――
○長野委員長 岡君の動議も、事実上の成立を見たものとして、本件に関する質疑はこの辺で打切りまして、次に教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案の質疑に入ります。松本七郎君。
○松本(七)委員 この問題につきましては、先般一般行政の質問のときにも、すでに触れましたから、ごく重点的に、簡單に大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
 先般の一般質問のときにも大臣からお答えがございましたが、もう一度ここであらためてはつきり御答弁をいただきたいと思いますのは、本日出て参りましたこの施行法の一部を改正する法律案の、認定講習を六年間に延期するという点でございますが、これは緊急を要する最低限度の改正である、いわば暫定的な措置としてこれをやるので、この免許法並びに施行法を全般的に再検討する必要を大臣が認めておられると私どもは了解したわけであります。この前提に基いて、今後どういう点を改正したらいいかというようなことについては、大臣も法律改正委員会というものを、もつと利害関係の深い日教組の代表等を加えてつくつて、ひとつ十分研究して行く、いわゆる実地調査を十分にやる。そうしてどういう点を改正したらいいかということについても十分の研究をやろう。またこの認定講習に要する経費の問題では、二十五年度についても、できるだけ補正予算その他で確保すべく努力しよう、二十六年度においては一般予算でもつて十分に獲得する努力をして行きたい、こういうような点。それからさらに、本日出て参りました法律案が通過いたしましたときには、当然認定講習の現在やつておりますものを、計画変更をやらなければならぬ。それについては、地方で齟齬を来さないように、十分地方にその趣旨を徹底するような最善の努力をするというような点を、私どもは伺つておつたのでありますが、これらは間違いがないかどうか、もう一度ここではつきり御答弁を願いたい。
○天野国務大臣 今おつしやつた点は、すべて私がいたしたいと思つておることであります。ただ第一の点について、こういう点を御了解願いたい。研究するということは、必ず何でも改正してしまうということにはならない、研究して改正すべきものがあれば改正する。ことにまた御了解願いたいことは、ここで新しい法律をつくるという場合と、すでにあるものを、しかも昨年国会の承認を得たものを研究をするという場合には、そこによほどの相違があることも当然の話だというようなことも、お考えおき願いたいと思います。
 第二の点、第三の点については、私はそのままそういたしたいと思います。
○松本(七)委員 大臣が大体においてこの法律に不備な点があるということは認めておられるように承つております。なお情勢の変化等で不十分と思われておつても、その改正の実現が困難であろうというような点を憂慮されておるだろうと思いますが、御信念に従つて十分努力していただくことを要望いたします。
 そこで質問はその程度にしておきたいと思いますが、ただ委員長にこの機会にお願いしておきたいのは、現在やつております認定講習の実地の調査は、国会でもやる必要がありますので、先般の国政調査の中に当然含まれるものという解釈のもとにわれわれ了承した。この点特に国会でも実地調査を十分やつていただくことと、それからこの施行法の改正については、今までいろいろな法律を審議いたしました場合に、いつも政府提出の法律案の場合には、いよいよ提出して来てからでなければこの委員会で扱わない。また扱うことが困難であつたわけであります。ところが、それを形式的にそういうふうにやつて参りますると、会期は迫つて来て、改めたいところも改めることができない、かんじんな関係方面との折衝等もやる余地がなくなるというような事態が、しばしばございました。特に先般の標準義務教育費の確保に関する問題でも、事前にここで審議したいということを、極力皆さん要望しておられたにかかわらず、法律案が出て来なければ審議できないということのあつたために、それならば義務教育費の確保に関する件として事前に審議すべきだということを、御提議申し上げたことがあるのでありますが、あの際はとうとう提出にならずに終つてしまつている。今度の免許法の問題も、非常に重要であり、かついよいよ審議するときにあたつていろいろな困難に遭遇することが予想される。それでありますから、この点法律案が出て来なくても、事前に免許法に関する件として委員会で十分審議する御努力を、今まで以上に委員長の方でおとりはからいを願いたい。この予算の措置についても、国会でももつと廣範囲にこれが獲得方に努力していただくように、委員長のおとりはからいを特にこの機会で要望しておきます。質問を打切ります。
○長野委員長 委員長としては承知いたしました。
○笹森委員 ただいま大臣から、この法案の提出の理由の御説明がありましたので、概括的には了承いたしたのでありますが、特にこの際どうしても必要があるので、二、三お尋ねしなければならぬ具体的なことがあるのであります。それはこの法律案を提出せられますのには、諸般の事情により相当困難と判断されるということが言われておるのであります。そこでこの諸般の事情により相当困難という、これを除去するのでなければ、單に三年間延長したということだけでは、その目的を達しがたいと思うのであります。私どもも、現に受講しておりまする者、あるいは教授しておりまする側の、両方からの意見をいろいろ聞いており、また体験も知つているのであります。こういうことで文部当局におかれましてこの提案をするにあたつては、この諸般の事情により相当困難性のあるというのは、どういうことをねらいとして、どういう困難があるかということについて、まず大臣の御説明を願いたいと思います。
○天野国務大臣 これは、この間から私は申し述べたように思つております。つまりこの講習をいたしますと、受講する方の者は、非常に経済的にも健康的にも、また生徒の教育の上にもいろいろ支障が起つておる。そのためにこれを三年にやるということは、そういうことがますますひどくなるから、これを六年に延ばせばもつとゆとりができてよくなるという点で、私は六年にするということ自体が、非常に意味を持つているという考えであります。
○笹森委員 そこまではわかつておるのであります。そこでこれからの対策として実際にお考えを願いたいのは、なぜ一体そういうぐあいに経済的な負担をするか、健康上の支障を来すかということを救う道は、もつと具体的に考えていただかなければならぬ。つまり、第一は教授力が非常に不足している。しかもその教授に対して、実績をあげるだけの指導者の用意ができていない。今日日本の教育のおよそすべては、新しい制度を適用するまでの諸準備の成立たぬうちに、先に計画が進んでおるというところに弱点があるので、特に今度の教員の指導の面においても、この点が大いに指摘されなければならぬ。でありますから、この教授力の充足に関して、文部大臣はもつと具体的にどういう計画を実際にお持ちになつておるかという点を、まず第一にお聞きしたい。
 その次には、場所の問題でありまするが、東京におきましては、相当箇所も多く、また交通の便宜もそう悪くはないのでありまするが、遠隔の地において、学校の非常に遠いところに散在しておりまする地方においては、この交通の上で非常に困難を感じているというような全国的な状況をごらんくださつて、そういうところに対しては、特にこの場所を多くしていただかなければならない。あるいはまた、すでにやつておる学校で、使用する場所が非常に狭くて、多数の者が非常なむりをしてそこに押し込まれておるというような状況等がある。従いまして、場所、教室等の実際の面にくふうをしていただかなければならぬ点がたくさんある。
 その次の点は何であるかと申しますと、一からげに重要な点だけを申し上げたいと思いますが、実際教授をしておりまする者の教授の仕方が、非常にまずい。そこで、もつと習う者が習い得るような参考書なり、あるいはまた教科書なり、あるいはアウト・ラインぐらいはつくつて、これを配付するだけの親切味があれば、今お話になつた点で救われる点がたくさんある。これらの点の用意なしに、ただ予算をどうするということだけでは、実際的な問題にならない。特にまた必要なことは、通信教授のようなものをもう少し多くやつてもらつて、そこで通信教授の答えだけでは不満足であろうから、それ以外に実際の最後の試験等はやるとしても、そういう実際に即するようなことを具体的にもつと考えて、出版物等における力をもつともつと整えていただくという用意、そうしてさらに最後には、今日まで日本の教育の面に国家が支拂つておつた相当以上の親切味をもつて、先ほどお話せられた予算等の、受講者に対する援助等に関する具体的な、たとえば交通費をどうするとか、止宿費をどうするとか、そういういろいろな方面に向つても、この三年に延びたということに安心のできる方面の心づかいをやつてもらいたい。これがために、補正予算その他が今もらえなくても、せつかく三年間延ばしたということであるならば、もつと具体的にその困難さを救う道を、ここで少くともアウト・ラインだけでもはつきりさせていただくことによつて、みんなが勇んで受講しようという気になれば、非常にいい結果を得られると思うのであります。これは親切ないい案だと思つております。従いましてそれが徹底するようなことを、抽象的でなく、もう少し具体的に述べていただけるならば、もし今日その実現に対する確信がないにしても、こういう方法によつて行きましようということぐらいな親切な文部大臣の御配慮を願いたいと思います。
○天野国務大臣 ただいま笹森さんのお述べになつたことは、一々ごもつともだと思います。ことにこういう新学制を、準備なくして全般的に出発してしまつたというところに、私は非常な間違いがあつたというふうに思つております。しかし先ほど申したように、新しいところにものを始めるというのと、すでにあるところ、出発してしまつたところへものをやるというのとは、そこに非常な相違があるというこも、御承認いただけることだろうと思います。私は三年の間に、仰せのようにできるだけ大学とか、そういうところを通じてよい教授力を養うとか、またその経費については、できるだけ早い機会にこれをとるとか、通信教授を盛んにするとか、その他いろいろの方法が考えられると思うのですが、そういうことを一々今私がここに述べ立てても、はたしてそれが現実に即するかどうか、私にも自信がございませんから、ただいまぐらいの答弁で、御了承を願いたいと思います。
○今野委員 提案理由の中に、免許法認定講習の受講を希望する者が多い、そして諸般の事情によりその希望を満たすことが困難であるというようなことがあつたのであります。しかし私は念のために伺いたいのですが、いろいろな点からやはり現在行われている認定講習そのものに相当疑義を持つている。これは大臣もお認めになつておる。その具体的な例を、この間中野の例でちよつと申したのですが、先ほど文部省の方にお伺いしたところが、まだ何ら調査に手をつけていないということであります。なお調査中でありますが、これは中野区の野方小学校で行われた講習でありまして、講習員百名のうち中野区の教員が八十八名、大泉学校の教員が十二名、それで会場は野方小学校でやつたのであります。その中で講習員一人当り五百五十円集めて、二人の者が応じなかつたら、除名するとおどかして、むりに納めさせておる。そしてそのうち講師への謝礼は月千円、それから接待費が一日に二百円、それで二万五千円ほどで、それからもう一つは二万五千円ほどでもつて講師と教育庁の役人と交渉に当つた幹部の間で宴会を持ちまして、そして野方小学校の教頭のごときは、くつをはくことができないで、くつを間違えるくらい深醉いしていたというようなことが言われております。そうしてその趣旨は、講師に試験をよろしくやつてもらいたいという趣旨だつた、こういうふうに幹部から説明されているという事実があるわけであります。封建的色彩の比較的少い東京のまん中でさえ、こういうことがあるということでは、全国で行われているこの認定講習の質というものは、非常に疑わしいものになる。そうしてあの免許法にあるあのたくさんの段階の免許状が、そういうことでもつていいかげんに許されて、それによつてある意味での職階的な制度が確立されるということになると、教育にとつては非常なマイナスになつてしまつて、アメリカの教育使節団が勧告した趣旨とはまつたく反対になつてしまうと考えるわけでございまして、これは非常に重大なことだと思う。この件については、私どもはさらに調査を進めておりますけれども、文部省としては、いかにこういう問題に対処なさる気か、その点をお伺いしたいと思います。
○稻田政府委員 ただいまお話の事実につきましては、文部省としても調査いたしたいと考えております。ただこの講習の運営全般は、繰返して申し上げますように、教育委員会自体の責任においておやりになることでありますので、われわれといたしましては、さしずはできませんけれども、よく状況は調査いたします。
○今野委員 さしずはできないと言うけれども、明白にこの趣旨に反するということについては、いろいろと注意を與えたり、指導することが、文部省の責任でございますから、この点は間違いなくやつていただきたいと思います。
 次に、先ほど国政調査の件で、こういう問題について委員会として調査するということになつたわけでございますが、さつそくに專門員の方に骨を折つていただいて、調査して、その上で必要ならばここへ証人を呼んで来て事柄をはつきりさせる、こういうような手続をとつていただきたいと思いますが、いかがでございましようか。
○長野委員長 委員会に関する件につきましては、少くともさような事実があるといううわさがあるだけでも、これは明らかにする必要があると思いますから、しかるべく手を盡します。
○小林(信)委員 先ほど笹森先生から質問した点ですが、この法律がこういう形になつて現われるのには、相当文部大臣が御苦労なさつてここまでこぎ着けたということを、私はよく知つておるのでありまして、衷心から感謝しておるものですが、やはりこういう形式的なものになつて現われて来れば、形式的に質問することをお許し願いたいと思います。諸般の事情により相当困難と判断されるという笹森先生の指摘された点でございますが、この言葉からうかがいますと、何か受講者がたくさんあつて、これを受入れるのに困難であるから、その事情からして年数を延ばしたというような形に受取れるのですが、一般の輿論、あるいは教育当事者の叫びというふうなものを聞きますと――最近の新聞あるいは今朝あたりも、ラジオ等で輿論が放送されておつたのですが、そういうものを聞きましても、そういうことにはまだ合致しておらない。こういう点からして、第七国会において相当論議されました二十八年三月三十一日までを三十一年八月三十一日まで延ばすということについては、私どもは、さきに当局に対して要望したのですが、そのときには、二十八年三月三十一日でよろしいと、文部省は確信を持つて答えられた。これをかく是正するにあたりましては、相当な調査をして、綿密な方法を用いてこれを調査なさつたと思うのです。それでその調査の方法、内容等をお伺いしたいのですが、それよりも、その結果として、ここに現われているように、ただ三年の延長をするということだけで、はたしてその事態に即応できるという確信があるか、それとも、そのほかにいろいろの点があるけれども、とにかくこの際は暫定的にこれだけだというのか、その点をお伺いしたいのです。
○天野国務大臣 この文章も、今小林さんがおつしやるような点から言うと、私としても、非常にいい文章だとは必ずしも思いません。いかにもこちらのやるのがむずかしいというふうにばかりとれて、教師の方が受けるのに、非常にいろいろの困難を伴うことが出るような感じがいたさないでもありません。しかしこの文章では、そういう意味を含めてもさしつかえないと私は思いますから、このままで私はよいと思うのであります。
 第一の点については、その理由はたびたび申しましたから、ここには申しませんが、教員諸君がこれを受けて行くのに、健康的に、財政的に、また教育的に、法文そのものの内容とか、そういうものをここに含めておるという考えでございます。
 それから、これは一つの改正であつて、これで満足するかというお話でございますが、その点については、私は今後十分検討いたしたいと思います。自分自身の漠然たる考えでは、決してこれでよいとは思いませんけれども、どういう点がどういうようなことは、なお一層研究してみたいと思います。
 なお、くどいようでございますが、一度出発してこういうふうにできたものを直すということは、新しいものをつくるということとは違つた意味を持つているということを、小林さんやその他の方にも御了承願いたいと思います。
○小林(信)委員 ですから私は、こういうふうに形式的に出れば、形式的な質問をするのだということを、あらかじめ御了承願つておいたわけなんです。そういう点も、こういうところで私たちが確認していないと、やはり私たちの責任なんですから、その責任を貫徹する上からも、文部省が調査なさつた点について、実はこの際文部大臣から諸般の事情を詳しくお伺いしたいわけなんであります。先ほど今野さんの御質問の中にもあつた点ですが、教職員の方たちは、講習を受けたあとは試験を受けるわけです、そうして初めて認定されるわけでありますが、この試験とか講習というものが、公正な運営委員会等で運営されていないところでは、先ほど指摘されたように、講師の方を饗応したり、あるいは、その人たちに謝礼をしなくてもいいものを、講習費に追われながらも教員諸君が自分から出すという事実が出て来る。これはやはりその試験ができなくても、できた形にしてもらおうということが、相当考えられるのです。そういうことは、今野さんが調査されたばかりでなく、私たちもたくさんな実例を聞いておりますが、そういうことでやる認定講習というものは、決して意味がないと私は思うのであります。そういうことを、文部省はやはりつぶさに調査していただかなければならぬと思うのです。そういう点からすれば、もつと根本的な検討も必要である。私たちの聞いておるところを申し上げれば、校長さんたちは、自分たちは既得権を侵されている、こういう例は終戰後日本の国内に他に見ないのだ。お医者さんが一定の学校を卒業して、そうして見習いか何かやつて、その上で国家試験を受けて初めて開業医になるというような制度ができているが、従来の開業医というものは別にそれに規制されない。ところが先生だけがそういうふうな点を特別に処置されるということは、非常に不満である。従つてそれは教育界を混乱させることになり、教育の発展を阻害することにもなると言つておる。それから校長さんばかりでなく、従来代用教員という方たちがあつたのですが、この方たちも、代用教員になつた以上は、一つの権利を認められておつたわけです。これが既得権を喪失されて、臨時免許状という形でもつて一年ごとに更新するというふうなことも、やはり他の社会にないところの一つの機構がこわされておる形なんです。そうして実際やるところの講習というものは、そういう実にならないような講習が行われておるとしたら、この講習の制度に対しても、相当考慮されなければならぬのではないか。こういうような点からしても、文部省がいかなる方法でいかに検討されて、ここにこういう提案がなされておるかということを、十分私たちお伺いしたいのです。文部大臣に直接個人的にお伺いして、文部大臣の意図も十分存じております。先ほど御答弁の中に将来研究してりつぱな法律にする、しかし研究して改訂すべきものがあつたら改訂するのだというような、きわめて漠然たるものをお持ちになつておるのですが、ほんとうならば、文部省としてこことこことここは改訂しなければならないのだというような、はつきりしたものをここに明示していただくことが、最も忠実な行政機関ではないかと思うのです。従つて私はこういうような、私に言わせれば、三年延長というようなことは、そこにどんな御努力があつてこういう成果をもたらしたかは別にしまして、現在の教員諸君の持つておる認定講習に対するいろいろな要望から考えれば、ほんとうに満足し得られないものだと思うのです。一番問題になりますのは、やはり質問の方たちからいろいろ出ましたように、経費の問題だと思うのですが、ここに参考資料として出されております資料を拝見しましても、各府県とも非常にばらばらでありまして、はたして文部省として各府県とも、大体教員一人に対しては適正な費用が計上されておると確信しておられるかどうか、こういうことも聞きたいところです。それから先ほどの講師に饗応するというようなことからして、真劍な講習を受けずに試験だけパスすればいいというような態度がもたらされておるという点から、将来の講習をするための運営をどんなに民主的にされるかという点についても、お伺いしたいところであります。それから私たちが最も世間で問題になつておりましたときに考慮しました点は、校長さんの既得権の問題あるいは臨時免許状を與えられた人たちの問題等から考えまして、もつと経験年数を認める、これを加味されることを考慮されておらないか、もしこれが認められるならば、教員諸君にとつては、非常にいい影響を與えるのではないかと思うのです。それから單位をもつと重点的に考慮して、数を少くして行くというような方法が、非常に要望されておるし、また必要だと私たちも痛感しておるのですが、これらの点について御意見をお伺いしたいのです。
○天野国務大臣 ただいま小林委員から申されましたことは、非常にごもつともな点が多いのでございます。そういう意味でこの法案が不備だということは、私もかねがね申し上げておる通りであります。またこれについていろいろな弊害が起つているということも、まことに残念しごくなことだと思います。しかし一部にこの弊害が起つたから、それでこの法案そのものが悪いということにはならないと思いますが、そういう弊害が起つていることは残念なことで、文部省としては都道府県にそういうことがあるなら、何らかの方法においてこれを警告するとか、もつと研究することは、非常に必要なことだと思います。今御指摘になつたような点は、すべて今後私どもは十分考えて善処したいという考えでございます。
○小林(信)委員 そこで私たちは一般教職員の方たち、あるいは父兄の方たち、生徒諸君の要望を非常に感じますと、これには時間的になるべく早く文部大臣の考えておられることも実現していただきたいという点から、これから研究されるとか、あるいは私たちが国政調査してその報告等もまた申し上げていろいろと御参考にするわけなんですが、そうした結果をいつ実現するように運ばれるか。私に希望を言わしめれば、次期国会には、検討して改正すべき点があつたならば、これを改正する、それは次期国会においてやるということで御検討できるかどうか、お伺いしたいのです。
○天野国務大臣 私は前々から申しておりますように、これを研究する委員会、またそれだけでなく、運営について経験のある人に集まつてもらつた委員会とか、そういうものをつくつて、早急にやりたいという考えを持つております。それから私の希望を言えば、できるだけ早い機会に国会に提出いたしたいという考えであります。
○小林(信)委員 政府委員の方にお伺いしたいのです。教育予算額調べというこの資料を提出されたのですが、これに対して文部省が何か見解を持つておいでになつたらお伺いしたいのです。
○稻田政府委員 これはこればかりでなく、あらゆる地方教育費について言われることでありますが、地方の財政の事情その他によりまして、必ずしも全国同一水準に行つていないことは、私どもといたしましても非常に遺憾に考えております。これらの問題を解決する方法として、先般標準義務教育費等の問題も考え、あるいはまた平衡交付金制度の運用に関連いたしまして、地方の教育行政が、地方財政のいかんによつて長短がないようにということを、今後極力努めて参りたいと考えております。
○小林(信)委員 その問題が一番重大な問題だと思うのですが、全国的に各府県とも一応標準というものをもつて予算が計上されるかどうか、これが各府県のそういう自治的な調整によつてなされる現状ならば、私たちは文句はないのですが、この調書から見ましても、そういうことが実現されておらないとすれば、これは国庫において相当見てやらなければならぬ点があるのじやないか。これに対して文部省はいかに措置するかということを、私はお伺いしたいのです。
○稻田政府委員 今それをお答えいたしたつもりでございますが、言葉が足りませんで申訳ありません。一般財政の均衡による教育行政が、非常に各府県まちまちであるということは、われわれといたしましても極力是正して行かなければならぬ。今日の地方財政の組織から申しますれば、こうした点は原則として平衡交付金制度の運用によつて解決し得る問題である。従つて平衡交付金制度を運用しまして、平衡交付金の充実というような問題について、われわれとしても将来極力努力して参りたいと思います。
○小林(信)委員 その点も私わかつておつたのですが、これを次期国会あたりで追加予算として計上するような運びにしてもらえるかどうか、こういう具体的な問題をお聞きしたわけです。
○稻田政府委員 補正予算を提出する機会がありますれば、その機会において、本年度といえども十分考慮したいと考えます。
○今野委員 この現職教育予算の調べ、これは地方費だけですか。
○稻田政府委員 地方費だけでございます。
○今野委員 国庫から出ていませんね。
○稻田政府委員 この表の中には入つておりません。
○今野委員 国庫から出ておる分を加算すればどうなるかということは、わかつておるのですか。
○稻田政府委員 大学の費用に計上しておりますものが二千万円余でございます。
○岡(延)委員 本案に対する質疑はこれにて打切り、ただちに討論採決に入らんことを望みます。
○長野委員長 ちよつと速記をやめてください。
    〔速記中止〕
○長野委員長 速記を始めてください。
○岡(延)委員 それでは討論を省略し、ただちに採決に入られんことを望みます。
○長野委員長 ただいまの岡君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長野委員長 それでは討論を省略いたしまして、本案の採決に入ることにいたします。
 教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案の政府原案について採決いたします。賛成の方の起立を求めます。
    〔総員起立〕
○長野委員長 起立総員。よつて原案の通り可決せられました。
 なお報告書の提出等につきましては、委員長に御一任をいただきたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長野委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時五十五分散会