第008回国会 海外同胞引揚に関する特別委員会 第2号
昭和二十五年七月十四日若林義孝君が委員長に、
足立篤郎君、池見茂隆君、小西英雄君、玉置信一
君、坂口主税君、受田新吉君及び竹村奈良一君が
理事に当選した。
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昭和二十五年七月二十日(木曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 若林 義孝君
   理事 足立 篤郎君 理事 池見 茂隆君
   理事 小西 英雄君 理事 玉置 信一君
   理事 受田 新吉君
      青柳 一郎君    伊藤 郷一君
      小川 平二君    佐々木秀世君
      庄司 一郎君    玉置  實君
      中山 マサ君    天野  久君
      小林 信一君    岡  良一君
      堤 ツルヨ君    井之口政雄君
      苅田アサノ君    羽田野次郎君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 黒川 武雄君
        国 務 大 臣 林  讓治君
 出席政府委員
        外務政務次官  草葉 隆圓君
        厚生政務次官  平澤 長吉君
        国家地方警察本
        部警備部長   柏村 信雄君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (管理局引揚課
        長)      武野 義治君
        厚生事務官
        (引揚援護庁援
        護局長)    田邊 繁雄君
        厚生事務官
        (引揚援護庁復
        員局業務課長) 岡林 諄吉君
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七月十七日
 委員高倉定助君辞任につき、その補欠として羽
 田野次郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
 委員竹村奈良一君辞任につき、その補欠として
 井之口政雄君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
 海外同胞引揚に関する件
 留守家族援護に関する件
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○若林委員長 これより会議を開きます。
 本日の議題は主として引揚げに関する問題と留守家族援護の件につきまして議事を進めることにいたしたいと思うのでありますが、最近国外の情勢も種々変化をいたして参つたのであります。特に隣国朝鮮に関することに関しまして、非常にこれが障害になつておるような感を深くいたしまして、一抹の不安を国民全体に与えておるのではないかと思うのでありまして、そういう場合であり、また一昨日来留守家族の方たちが東京を中心にお集まりになりまして、一大国民運動の喚起に努められておるときであります。このときに当局に対して事情をただして事態を鮮明にし、おいでになつておられまする方たちにわれわれとしてお目にかかるとき、少しでも正確な事柄を御報告申し上げたいと考えますので、今日早急でありましたが、この会議を開くに至つたのであります。
 初めに順序といたしまして、関係当局でまだ見えておられません箇所がありますので、主として留守家族援護の件につきまして、未復員者給与法並びに特別未帰還者給与法の実施の状況について、当局より説明を承りたいと思います。
○岡林説明員 ただいま委員長から申されました未復員者給与法の給与につきまして、現況がどうなつておるかということについて基本的に御説明申し上げます。
 未復員者給与法の給与は、これを大きくわけまして、一般的の給与と、それから未復員者が災害を受けた場合の給与と、この二つにわかれるのでございます。あとの場合を災害給与、こういうぐあいにわれわれは申しております。一般的の給与と申しますと、これは俸給とか、あるいは扶養手当というようなものでございまして、その額は、俸給につきましては、従前この法律ができました当時は月に百円でございました。昨年の改正によりましてこれが三百円になりまして、現在に至つております。なお俸給の支給の時期は、御本人が復員をせられましたときに、それまでの支給をしていなかつた分の給与を一括して差上げるということにしておりましたが、本年四月分から、お留守宅のある方に対しましては、お留守宅に扶養家族手当と一緒に差上げるというように変更せられました。
 次は扶養手当は、現在の公務員の扶養手当と同様でございまして、妻及び子供のうちの一人がそれぞれれ六百円、その他の扶養家族につきましては一人について四百円、この扶養手当が渡つております。
 次に特殊なものといたしまして、内地に上陸いたしまして、復員をいたしますときの郷里にお帰りになる帰郷旅費といたしまして、帰られる先の遠近に応じまして、各人に千円ないし三千円の旅費を帰郷旅費としてお渡しをしております。
 次は不幸にして抑留中になくなられたというお方に対しましては、御遺骨をそれぞれの各都道府県の世話課において御遺族にお渡しをいたします。その際に遺骨の埋葬に要する経費として、一体について一千五百円、それから御遺族がお引取りになるために来られます旅費といたしまして、一千七百円、計三千二百円を差上げております。
 以上が一般の給与でございまして、次に災害給与につきましては、これは一昨年の暮れにおきまして、初めて法律改正によつてできたのでございますが、未復員中において、自分の責めに帰することのできない事由によつて病にかかり、あるいはけがをせられたという方々に対しまして、帰られてから引続いて療養をしなくてはいけないというお方に、国で療養を行うという制度が設けられたのであります。それからやはり同じような理由で負傷せられ、あるいは病にかかられておなおりになつたけれども、どうにもあとに傷痍が残りまして不具、癈疾になられたという方々に対しまして、あるいはただいま申しました国の療養を受けております者がなおつてやはり不具、癈疾になつた場合、あるいは療養を引続いて受け、なおらない。しかし――先ほど申し落しましたが、療養の期間は復員をしてから三年間、こういう前提をせられておりますので、なおらないままでその期間の三年がたつたという場合におきまして、傷害一時金というものを差上げております。この額は一番重い者、たとえば両眼が盲になられたという方方に対しましても、一万九千円であります。これが傷害一時金の制度。それから先ほど未復員中になくなられた方に対しまして遺骨を伝達する際に、遺骨の埋葬費を差上げる、こう申し上げましたが、災害給与といたしまして今国の療養を受けておるその間に、不幸にもなくなられたという方に対しましても、遺骨の埋葬の経費として一千五百円を差上げております。以上三つが災害給与でございます。これが現在の未復員者給与法の給与の内容でございまして、特別未帰還者給与法の方につきましては、私の方の所管ではございません。援護局の方の所管でございますが、特別未帰還者給与法の給与も、この未復員者給与法の給与を準用しておりますから、大体内容的には同じでございます。簡單でありますが内容の説明を終ります。
○若林委員長 これに関連して御質疑はありませんか。――天野君。
○天野(久)委員 ちよつとお尋ねしますが、この特別未帰還者給与法の範囲の広がつた法案が通過いたしたのは、先国会でありますが、そこで法の精神は、いわゆる特別未帰還者であろうとも、国のために向うに残された者で、ひとしくこの恩典に浴さしめんとしてこしらえた法案であります。しかるに今のところ外務省の管理局引揚課におきまして、あるいはその他の課におきまして、細則をみずから制定されて、そして現に帰還しておらない、主人があちらに残つておる、しかしどこにおるかわからないという名目のもとに、これに給与を与えない、こういう結果になつております。そこでその内容を聞きますと、拉致されてどこにおるということがわかつた人には給与することができるが、拉致されたことがわかつておつても、その行先のわからない者には給与を与えることができない、こういう矛盾きわまつた給与をいたしておると聞きますが、一体その細則はどこでつくられたか、まず承りたいと思います。
○岡林説明員 特別未帰還者の認定という問題を、ただいま天野委員は御質問になつたことと存じます。これはすべて外務省の方の所管でございまして外務省の方で認定の要件を定めまして、そして各都道府県の民生部の方に流しております。従つてこの内容につきましては、実はこれをはつきり存じ上げませんので、ここで詳しい説明は省略させていただきたいと思います。
○天野(久)委員 外務省で聞きますと、これは厚生省でこしらえられた細則であるので、われわれはよく内容はわからぬ、こう言われておりまするが、今業務課長の言われることが、公然たる席上で言われるので正しいものと承知いたします。そこで厚生省の方としてのお考えを一応承りたいと思いまするが、われわれが民間におりまして、民間人があの戰争のどさくさまぎれに、好まざる戰争のために、家族離散いたして主人がいまだ帰らない。しかして細君が子供を連れて帰つておるが、あちらにおつたために、こちらの生業は捨てて行つておつて、今收入の道も断たれておる、こういうような状態であることは、だれが考えても当然そういう結果になる、こう考えなければなりません。そこで向うに拉致されたこと、帰らないということが現実の問題であることははつきりいたしておる。しかしてその行先がわかつた者には与えるが、行先のわからない者には与えない。しかもわれわれから考えれば、その頼みとする主人がどこに生きていて、確かにこういう仕事をして現存しておるということを聞いておる家族と、また自分の主人がどこにどうしておるかわからないという家族とでは、その気持の上においても相当な隔たりがなければならぬ。自分の主人が確かに生きておるということなら、それだけでもそのわかつた人は安心ができる。そのわかつた人には金を与えるが、わからない人には金を与えない。しかも未復員者名簿をこしらえて、未復員者名簿に記載がないので与えない、こういうこともありますが、その名簿の調製に当つても、それはいろいろな情報の收集その他によつて、これを基礎にこしらえておるものであつて、はつきりした確かに間違わないという未復員者名簿がこしらえられるはずはないと思う。こういうような状態であるときに、その拉致されたことがはつきりしておるが、行方がわからない者に対しては支給しないということは、一体人道上そういう処置がよろしいかどうか。われわれが考えますると、拉致されたということがわかつて、そうして確かにこれが死亡したかしないかということがわからない、こういうものに対しては、ひとしく家族に給与を与えるべきだとわれわれは考えるが、厚生省のお考えを承つておきたいと思います。
○岡林説明員 ただいまの御質問は、復員局の業務課長である私といたしましては、特別未帰還者給与法の事務は全然取扱つておりません。従つてただいまの天野委員の御質問に対しまして私から的確なる御答弁をするということは、やや行き過ぎの感じがしますので、援護局長が後刻参りますから、援護局長から明確な御答弁を聞いていただきたいと思うのであります。
 お言葉の中にありました未復員者名簿の問題につきましては、これは私の方の所管でございますので、一言述べさせていただきますが、未復員者名簿が必ずしも正確確実なるものではないということは、その通りだと思います。すなわち百パーセント確実であるということは言えないと思います。しかしながら復員局といたしましては、あらゆる手を尽し、もちろん前からあります名簿をそのままうのみにすることなく、帰つて来た者からいろいろの情報を得まして、そろしてあらゆる手段を尽して未復員者名簿の確実性を期しております。また今まで名簿の上に載つていなかつたものでも、そういうような情報によつて、たとえば満州において終戰前に召集を受けたといような資料の確実な者につきましては、逐次未復員者名簿を修正いたしまして、それに加えて行くというようにいたしまして、その確実性を期しておる次第であります。もちろん百パーセント確実ということはここでは申し上げられませんけれども、相当程度の信憑度の強いものができておるということは、はつきり申し上げていいと考えております。
○庄司委員 議事進行について……。本日はまことに重大な、緊急な委員会であると思います。しかるにここには外務大臣がお見えになつておりません。外務大臣吉田茂君がもし渉外その他公務のために来られないということであるならば、委員長はしかるべく外務次官、あるいは外務政務次官等を招致されて、委員の質問に答弁させていただきたい。総理大臣吉田茂君の出席を求めます。総理大臣がもし余儀ないことのために出席できない場合は林副総理、黒川厚生大臣の臨席を要求いたします。私ただいままで政府委員の答弁を聞いておつたが、それはぼくの所管じやないから言わないというような意味における逃げ口上的な答弁でありまして、本委員会の円滑な運営のためには、はなはだ遺憾であります。さような意味において、ただいま委員長を通じて――委員長はあえて私の提案を理事会にお諮りするまでもないことであると思います。以上の責任者を本委員会に招致されて、委員の質問に答弁させられんことを望んでやみません。
    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○若林委員長 動議を妥当なものと認めまして、採決を待たずに申入れをいたしたいと思います。
○堤委員 ただいまの業務課長の御答弁を承つておりましたが、これは外務省の管轄だからとか、これはわれわれの管轄だからとかいうような御答弁が多くて非常に困るのです。留守家族を対象にして、あなた方がなわ張り的な根性をお持ちになつて答弁をなされるということで、非常に迷惑をこうむるのは留守家族であります。だから今の天野さんに対する御答弁を承りまして、特別未帰還者給与法は外務省でやつておることならば、厚生省の業務課長として私はこういう意見を持つておるという、もう少し誠実な御答弁があつてもいいのじやないかと思います。どうも外務省と援護庁とはこの問題をはさんで、こういうわかれた答弁をなさらないで、一つにしていただきたいと思うのです。これは今單なる一つの例を取上げただけですが、すべてがそうなんです。留守家族は相当困つておるのです。この点は今後御答弁に御注意願いたいと思います。
○田邊説明員 遅れて参りましたので、先ほど天野委員に対する業務課長の御説明の中に、多少食い違いがあつたようでございますが、私からあらためてお答え申し上げたいと思います。特別未帰還者給与法というのは、御承知の通り国会の提出による法律でございまして、当初はソ連地域内にあつて、軍人軍属等いわゆる捕虜とまつたく同様の実情にあつた一法般人に対して、未復員者給与法を準用するという法律でございまして、その後国会におかれまして、この法律の適用範囲をソ連地域だけに限定せずに、中共地域等にも拡張する必要があるというので拡張になつたのであります。その法律の中には、ソ連地域における未復員者と同様な状態にあつた者ということがはつきり書いてあるわけであります。従いましてこの法律は、未復員者給与法というような法律の精神にも相なつておるわけであります。事務当局といたしましては、当時中共地域内に残留しておる方々の実情がはつきりいたしませんので、はたして特別未帰還者であるのか、未帰還者であるのかということは、事務的には非常に認定が困難であるということは、再三国会でもその法律の審議当時に申し上げておつたのでありますが、それでも一歩前進ではないかという御意見がございましたので、わかつた範囲内で適用しようということで御了承願つたわけであります。従いましてこの認定につきましては、自分の自発的意思によつて残つた方々は当初から除外されております。ただ向うの政府機関なりに留用になつている方はわかり次第認定するということで、認定の具体的な選定については外務省が在外未帰還者の調査をやつておりますが、認定の根本の基準なり、あるいは認定の最後の締めくくりの方は厚生省の引揚援護庁においていたしております。ただ在外未帰還者の調査は外務省でいたしておる関係上、個々の人については外務省がわれわれの方できめた標準に従つて拾い出しておるわけであります。それは中共地域等からの通信によつてわかり次第すぐに連絡をいたしまして、その範囲等をきめて手続をいたしておるような次第であります。
○玉置(信)委員 在外未帰還者の実情調査は外務省がやつていると局長が御答弁になりましたが、留守家族の点についての実態調査をやることは、厚生省の援護局の所管ではないかと思いますが、もしそうだとしたら、実態調査を最近やられたことがあるかどうか伺いたい。
○田邊説明員 私の方は引揚援護庁の援護局というのを担当しております。この援護局というのは、引揚者の援護を受持つという役目であります。主として応急援護、家へ帰るまでの援護であります。同時に若干定着援護も関連してやつております。ただ特別未帰還者給与法は軍人軍属ではないかという関係上、外務省で所管するわけにも行かず、復員局で所管するわけにも行かず、便宜私の方で所管しております。そういう関係から留守家族の実態調査といろ点は、私の方では担当していないわけであります。
○天野(久)委員 今の御説明によりますと、特別未帰還者給与法は、一般邦人であつても、軍人と同じように向うに拉致されて捕虜となつた者はこれに該当するということですね。
○田邊説明員 特別未帰還者給与法第一条をお読みになりますると、はつきりその定義が書いてございます。ソ連地域内において未復員者と同様の実情にある者というふうに書いてあります。
○天野(久)委員 それは前国会において、われわれはソ連だけにいる者がその給与を受けて、他にいる者が受けないということは不公平であるという見地から、あの範囲を広げて参つたことはご承知の通りであります。われわれがあの法を制定した精神は、同じ国民が向うの地に主人が残されて、家族だけが帰つておる。そうして生活に苦しんでおるのに、国のあたたかい恩典に浴せしめなければいけないということが目的でやつたのであります。そこでわが山梨県にも三十何人か該当者がありますが、それに対して言葉が悪いかもしれないが、文句をつけて拒否している形がある。しかも拉致されたということは、はつきりしておる。そうしてその拉致される前においては、軍の通訳に特に雇われて行つた。こういうことまではつきりしておるが、その後の居所がわからないために、給與ができない、こういうようなことまで言つておる。これに対していろいろと外務省の管理局の人に聞きますると、この細則は厚生省でこしらえたので、われわれはその厚生省でこしらえた細則に従つてやつておるのだ、こういうことを言つておられる。一体このたくさんな、しかも子供だけ連れて帰つた人たちが、日々の生活にあえいでおる。しかも一方の人は同じ形でもらつておる。一方の人は同じ形だがもらえないということになると、その人たちは非常なひがみを持つ。しかも日々の生活に窮しておる。従つてこういう点に対しては、先ほども言われた通り、未復員者名簿は百パーセントまで確実でない。それは確実でないことがわれわれもはつきり了承できる。従つてそういう立場にある者であるので、これに対しては親心をもつて給与を与える。こういう観点から処置されることがわれわれは望ましいと思うし、またとるべき道ではないかと考えておりますが、その点について御答弁を願いたと思います。
○田邊説明員 ごもつともであると思います。実は特別未帰還者給与法というのは、その名前の示す通り、援護の法律ではないのでありまして、表面は給与であります。従つて要援護者のみに限定されておりません。要援護者であるといなとを問わず、該当者に対してすべて給与法を適用して給与を支給するという建前になつております。この法律の適用が拡張になりましたのは、お話の通りソ連地域外においても、ソ連地域内の未復員者と同様の一般邦人があるということからこれを適用いたすのでありますが、ただお話のごとき実情がはつきりしない者に対して認定をするということも非常に困難がありますので、当初は非常に嚴密に調査をして、確実な者から認定するという方針をとつております。ただお話の通り、この法律は結果において未帰還者家族の援護になる法律でございますので、その点は十分含んで、運用の面においてできるだけ広く適用したいという気持で認定いたしたのであります。ただ何ら実態のわからない者に対しましては届出をしていただきまして、将来はつきりしたときにおいては、その届出をした際にさかのぼつて給与を支給する、こういう規定になつておりますので、届出だけはしていただきたいということを、機会あるごとに各府県を通じて徹底しておるわけであります。従いまして、はつきりすれば届出をしたときにさかのぼつて支給されますので、現在保留になつておるからといつて、絶対出ないというものではないのであります。将来何らかの形において本人の実態が明らかになり、しかしてそれが未帰還者給与法の該当者であるということになれば、届け出たときにさかのぼつて適用されることになりますので、その点もあわせて御了承願いたいと思います。
○天野(久)委員 今の御答弁によりますとはつきりすれば拂う、こういうことなんですが、はつきりするということは一体どの点まで行けばいいのか。こちらから行つて向うの実情を調査するわけにも事実行きますまい。またああいう戰乱のちまたにあつたときに、これが寸分違わない証左がここに上つたということにもぼくは行きかねると思う。そこでそのはつきりというのはどの程度をはつきりというのか、その点をひとつ承つておきたい。
○田邊説明員 最近中共地区から通信がだんだんと参つております。それから帰還者からの証言によつても、未帰還者の消息がだんだんわかつて来ております。この調査によつて資料を得られた者に対して認定をする、こういう建前でおります。従いまして、全然消息のわからない者に対しましては保留にいたすことにいたしております。
○天野(久)委員 それでは事例をあげしお聞きしますが、帰還した人から、はつきりこの人はこういう事情で軍の通訳に雇われて行つて、そうしてそのまま拉致された、こういうはつきりした情報、いわゆる証拠が入つておるのだが、その点まで行つた者はどうなりますか。
○田邊説明員 ただいまの御質問のような事例におきまして、はつきり実情がわかつておれば、それは特別未帰還者として認定する取扱いをいたすことになつております。
○天野(久)委員 事実そういう例があるにもかかわらず、これを拒否している形がある。国民ひとしく好まない戰争のために、みずから志願したものでもなくて、余儀なくその窮地に追い込まれた家族が日本にはたくさんある。わが山梨県だけでも三十一件ある。日本全国を通じてみれば相当な数になつておる。そこで三十一件のうちわずか三人かそこらを該当者として取上げて、あとは事情が具備しないからということで拒否されておる。しかもその中には、はつきりと軍の通訳にお願いしたいと言つてむりやりに頼んだのが、無給であるとの理由によつてこれを拒否している形がある。これはりつぱな証人があり、りつぱな証拠が来ておる。それにもかかわらずこれを拒否している形がある。これはせつかく国が国民のためにあたたかい手を差延べてやろうというのを、役人諸君がややもするとさえぎつていると私は思う。国民は甲の人がもらい、乙の人がもらわないと非常なひがみを感じておる。その金が幾らであろうが、その金の多寡によらず、なぜ自分にはくれないか、自分の夫は軍のために連れて行かれて、ただ子供だけを連れて帰つて、しかもそれが生活に窮して、日々その食に追われておる。一方においては同じ形でもらつておる人がある。自分は同じ形でもらわないということになれば、本人のみならず、それに関連した人は国のやり方に対して非常なひがみを持つておる。従つてこういう問題については、いま少し寛大なあたたかみをもつて取扱つてもらいたいと思います。今の話は実例でありますので、また後日係の方によく事情を申し上げて、伺いたいと思います。
○堤委員 議事進行について……。ただいま議事進行について御発言があつたように、責任ある答弁のできる方がおでましにならないと、私たちの党の方でも、きようはぜひこれだけについては大臣並びに法務総裁あたりから答弁を聞きたいというような問題を持つて出ているのですが、質問ができないわけです。しかも時間は今や十一時半になつております。あとどれくらい引続いておやりになるつもりか知りませんが、もつと責任ある大臣なり関係当局の方がおいでになられる見通しは、委員長の方でつきましたでしようか。その辺の見通しを言つていただいて、議事の進行を願いたい。
○池見委員 私は遅れて参りましたが、ただいま堤委員のお話はしごくごもつともと存じます。さらに申し上げたいことは、一昨日ですか、全国留守家族大会というのが東京において行われることになつておりましたけれども、これも時局の関係と申しますか、そういつたことによつて流会になつたのであります。つきましては、それを目標に全国から相当数苗守家族として上京されている方々を事実まのあたりに見るのであります。これはおそらく委員会の各委員とも、その選出の各地区の留守家族の方々の陳情をお受けになつたことと私は思うのであります。私もただいま福岡県の五十数名の方にお話をして参つたのでありますが、これらの家族の方々の切々たる現在の心境を承るときにおきましては、この委員会は、五月二十二日のタス通信の発表後における日本の引揚げ促進に対する運動、ないしは定着援護の問題につきましては、少くともわれわれ議員といたしましては、前の国会より以上に大いなるところの決意と考えを持つている。さらに政府におきましても、その答弁、その話されるところは、これらの留守家族の人々の心を少しでも安らかに導くようにしなければならないという意味において、私はただいまの堤君の発言に対しましては大いなる賛意を表し、政府各位の御出席を求むる次第であります。
○受田委員 堤、池見両議員からの発言に関連して、私よりこれに意見をつけ加えたいと思います。実は明日抑留同胞を救出する国民運動の大会を開催する予定になつて、国会はあげてこれを支援するという態勢ができておつた。ところがこれが十六日の突発的な事態のために中止のやむなきに至つた。しかしすでにそのとき全国各府県の代表は、それぞれ列車の人となり、あるいは出発の用意をしておつて、それらの人が一昨日やむにやまれず東京にやつて來た。そうして切々の情を各方面に訴えているが、集団行動ができないというので各個分散の行動をしておる。こういう形をもつて昨日、一昨日、さらに本日にわたつて、国会その他へあの皆様の切実なるお声が聞かされておる。こういうような非常に重大な事態になつておるときに、ちようどこの委員会が持たれたのでありまするが、若林さんも今度の新しい委員長として感激をもつてこの仕事にあたつておられるのでありますが、実はこの最高の責任者であり、あるいは政府の代表者である吉田総理が、この点に非常に関心が薄いのであります。先ほど庄司委員か言うた通り、吉田さんはこの引揚委員会にはまだ一回も外務大臣として出たことがないのです。そうして施政演説で時折引揚げを言いますけれども、事実引揚者の代表者と会談したということもない。そういうような関係で、実は今日多数の人が来ておられるのだが、一国の総理が引揚げ問題にいかに関心を持つておるか、どういう対策を持つておるかという微衷だけでも示してもらいたい。マツカーサー元帥ですら引揚者の代表と去る五月二十一日に会つているのです。そういう事実から、今日十二時に総理が代表者と会談をするということを言うておるのでありますが、ここに三三五五集まつた人たちは猛烈な申入れをしておるのでありますから、委員会をあげて超党派的に、引揚げ問題に総理が関心を寄せ、総理の誠意を示してもらうために、十二時に代表者と会見する機会に、各県代表にも全部会つて一言あいさつをしてもらいたいと思うので、この点委員長として皆さんに諮つていただいて、この一事をもつて政府がいかに熱意を持つているかを示してもらいたいと思う。この点をひとつお諮りくださるようお願いいたします。
○若林委員長 今の受田君の御発言中にありましたように、昨日議員連盟の申出によりまして、各県の代表者に吉田総理が顔を出してごあいさつを願いたいということの申入れをいたしたのでありますが、その結果、今日十二時に官邸において各県の代表者の諸君と会われることの申出があつたのであります。本委員会といたしましては、今日庄司委員の申されたように重大なときでありますので、特に引揚げに関することと、未復員家族の方々の援護を中心とした問題を取上げて、緊急にこの委員会を開くに至つたのであります。連絡その他不十分であつたとも思いますが、ただいまのところでは、外務政務次官、厚生次官にここに御出席するように今取運んでおるのでありまして、私といたしましては、十二時十分くらい前までにここを終り、あるいは一時休憩でもよろしいが、総理官邸へ行つて、われわれも未復員の家族の代表の方たちと一緒になつて、総理に対してお口添えをする機会を持ちたい、こういうように思つておるのでありまして、今これを変更いたしますと、あるいは十二時の皆様方との会見が変更されるおそれがあるのではないかという気持がいたします。幸い今日ここに外務省の引揚課長が御出席になつておりますので、時間がありませんけれども、引揚課長から緊迫せる引揚げ状態をまず承れればと思うのですが、いかがでございましようか。
○玉置(信)委員 ただいま委員長からせつかくのお話でございましたが、先ほど来各委員からの御意見のごとく、事きわめて重大であり、緊迫せる今日の情勢下においては、やはり外務大臣として御出席を願つて、責任ある意思を表明していただくことが当然のことと思うのであります。私は先ほど来いろいろと御質問を申し上げたいことがあるのでありますが、はなはだ礼を失する言葉かもしれませんが、今日御列席の政府委員よりはとうてい満足なる御答弁を得られないと思いまして、実は発言を遠慮いたしておるわけであります。従いまして、本委員会はこの程度で一応休憩を宣しまして、休憩中に委員長から外務大臣にその申入れをし、その結果によつて午後再開するという手続をとられるよう特に要請するものであります。
○若林委員長 今連絡があつたのですが、総理大臣と厚生大臣が総理官邸において会われることについての打合せをしておられる。また厚生次官は十二時までにここに着くように来る運びになつておるとのことであります、
 なお申しますと、皆様各委員の御熱意のほどが爆発的に盛り上つたのでありまして、本委員会の面目まことに躍如たるものがあると思うのであります。これを機会に、この委員会の重要性を発揮する意味におきましても、今日は皆様方各委員の御納得の行くまで続行いたしたいと思います。しかしながら総理と代表者諸君との会見がありますので、これをもつて一時休憩をいたしまして、大体三時ごろから再開することにいたします。
    午前十一時四十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時三十五分開議
○若林委員長 会議を開きます。
 休憩前に引続き引揚げに関する問題並びに留守家族援護に関する件につきまして、当局より説明を聴取することにいたします。ただいま出席の当局は、国務大臣林讓治君が副総理として御臨席を願つております。それから厚生大臣の黒川武雄君、引揚援護庁援護局長田邊繁雄君、外務政務次官の草葉隆圓君、厚生政務次官の平澤長吉君の各位が見えておられますから、そのぞれ関係の御説明を承ることにいたします。別に委員の各位から題目を設けての何がございませんければ、委員長の方から指名をすることにいたします。林副総理。
○林国務大臣 この委員会にいまだかつて総理大臣が出席をいたしたことがないというので、きよう御希望がございましたが、ちようどいろいろの用件があつて出席ができませんので、私がかわつて出席をするようにということで、私出席いたしました。一応総理大臣の出ることができませんことをおわびを申し上げます。なおその他の問題につきましては、所管大臣の方から御説明があることと考えます。
○黒川国務大臣 先ほど未帰還者の留守家族の代表の方々が吉田総理大臣にお会いになりまして、その際吉田総理大臣は心から皆さんのまだお帰りにならない方々に対しての同情の言葉、それからその引揚げに対する努力についていろいろお話になりましたが、さだめし委員各位におかれましても、その点はお聞き及びのことと存じます。厚生省といたしましては、引揚げ後のことにつきまして、できるだけのことをいたしております次第でございます。なお未復員者の給与法とか、あるいはその他につきまして、いろいろと留守家族の方々の御希望もあるようでございまして、十分にその点は一昨日以来お聞きするほか、前から考えておるところでございます。私厚生大臣といたしましては、できるだけのことをいたしまして、留守家族の方々に対して、せめてもの心ばかりのことぐらいしかできないかも知れませんが、私としては全力を尽して、この問題について皆さんに幾分なりともお喜びいただくようにしたいという念願でございます。
○草葉政府委員 外務省といたしましは、なおソビエト地区並びに中共地区を通じましての三十七万余各の未帰還者が、何とかして一日も早く帰還のできますよう、あらゆる方法を講じながら従来進めて参つておる次第であります。先般四月並びに六月、タス通信を通じまして、これでいわゆる抑留者の引揚げは完了したという発表があつたのでありますが、ただいま申し上げました通り、なお三十七万有余名の未引揚者がいらつしやることを確信いたしまして、さらに帰還促進をあらゆる方法をもつて進めつつあり、今後なお力強く進める予定でございます。なお未帰還の留守家族の皆さん方には、いろいろと長らく御心配、御不安の点も多かろうと存じますが、どうぞこの点をご了承賜わりたいと存ずる次第でございます。
○若林委員長 質疑に移ります。玉置信一君。
○玉置(信)委員 この機会に私は林副総理並びに外務政務次官、黒川厚生大臣にお伺いをいたしたいと思うのであります。海外抑留者同胞引揚げ促進に関しましては、吉田総理大臣兼外務大臣は政局担当の都度、今日に至る間において熱心にこれを取上げ、関係方面に引揚げ促進の推進をなされておられたことは、あまねく周知せられているところであります。ことに第六国会において、衆参両院の決議に基きまして、総理大臣はただちにマツカーサー元帥にこの決議に基いての申入れをいたし、連合国に対していろいろと御配慮を願つておられたことも、当時新聞等で国民全体が承知しているところであります。しかしながら第七国会における衆参両院一致の促進決議におきまして――しかもこの内容は私ども委員会において相当論議をいたし、研究もいたし当時の段階においては、もはや普通の引揚げ促進の運動ではとうてい所期の目的を達し得られない、従つてよろしくこれを世界人道の立場から、世界人道協会、あるいは万国赤十字社、さらにまた国連等に呼びかけ、国連の力によつて引揚げの促進をはかるよう、できることならば国連によつて中立国の現地調査団を派遣していただいて、引揚げの促進をはかつていただくようにという意味を合せ、さらに引揚げ援護の問題をつぶさにつけ加えての決議をいたしたのでございます。その後その決議をいかような形において政府は取扱つておられるかということについて、国会においては、私どもいまだ具体的に承知をいたしておりません。この問題は政府において、特に総理大臣兼外務大臣においていかようにこれをとりはからつておられるか、この点をまず先にお伺いをいたしたいのであります。
○草葉政府委員 五月二日の衆参両院の引揚げ促進と、その実現についての決議に対しましては、政府におきましてもその心持を同じくいたしておる次第であります。幸いに第百十三回の対日理事会におきまして、シーボルト議長から、この決議は国際連合事務総局の方へ送付いたしたという御発表があつたのであります。従つて衆参両院の決議は、すでに国際連合の方へお取次を願つておると存じております。従いまして、いずれは国際連合の総会におきまして、衆参両院の決議はそれぞれ取上げられるものと私どもは確信をいたしておる次第であります。
○玉置(信)委員 たいだま外務政務次官の御答弁によりますと、国連においてはこれを取上げられておることと思うというお話でございますが、私どもの仄聞するところによりますと、国連より極東調査団が近く派遣されるやに承つておりまするが、この点について、外務当局においては公式な情報を得ておられないのでありますかどうか、この点を伺います。
○草葉政府委員 実は国際連合の総会は九月に第三回が開かれると存じます。従いまして、おそらくこの提案提訴はそのときの総会に付議されまして、その上で処置を講じられることかと存じますが、ただいまの御質問の件につきましては、外務省の方では何ら連絡に接しておりません。この点御了承を願います。
○玉置(信)委員 林副総理より、前回も委員会において懇切なる引揚げ促進についての御答弁を得たことがございます。本日もまたその一貫した御意思のあるところを聞いて力強く思つておるのであります。先ほどの外務政務次官の御答弁によりますと、あらゆる手段を講じて引揚げ促進のために万全を期しつつあるということでございますが、御承知のごとく、かつて中共当局は、中共地区の抑留邦人、中国に在住する日本人を送還するというようなことをほのめかしたことがあるのであります。しかし最近朝鮮問題以来、相当事態が困難に陥つておることはだれしも認めておるところであります。この事態に対処してあらゆる手段を講じ、引揚げ促進のため最善を尽すというただいまの御答弁はどういう方法で最善を尽すお考えであるか、それをまずお伺いしたいのであります。
○林国務大臣 ただいまの御質問でありますが、こちらの方から先方、中共などに対して要求いたしますことは直接に行うことができぬのでありまして、やはりGHQと申しましようか、クレムリンと申しましようか、そちらを通じまして、絶えずわれわれの方であらゆる手段を講じてその要望をいたして参つたような次第であります。
○堤委員 議事進行についてでございますが、質問はなるべく通告順に、委員長は公平にやつていただきたいのでございます。もし林副総理が総理大臣のかわりとしてお出ましになつておるのに対して質問があるならば、先にそれをまとめて済ませて、他の質問を行うようにしていただいてはいかがでしようか。
○若林委員長 ただいまの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○若林委員長 それでは林副総理に対して御質疑のある方――堤ツルヨ君。
○堤委員 それでは林副総理にお尋ねをいたします。大分留守家族の代表とお会いになつて、この声はあつたろうと思うのでございますが、全国から集まりましたところの留守家族の代表者の救出大会でございますが、これが中止のやむなきに至りました。一旦許しておいて、十五日突如として、北海道並びに九州あたりは汽車に乗られてから中止になつたというようなことなのでございまして、私どもといたしましては、特定の思想団体でもございませんし、片寄つた意見を持つた特別な団体でもございません。これは世界の人道から、私たちがポツダム宣言の履行をあちら側に要求する建前から申しましても、当然これは許されていい会でありますのに禁止になりました。これについてあちらから参つた指令に対して政府がどれくらい努力をされたか、私は留守家族としても納得が行かないだろうと思いますので、一応その経過について総理大臣のかわりとして御説明を伺いたい。
○佐々木(秀)委員 ただいま堤君から、過般のいわゆる集会に対しての御質問がありましたが、そのことに対して私は副総理からお答えするというのがちよつと的はずれではないかと思うのです。そこで先ほど委員長にもお願いしておきまして、集会、デモ禁止、あるいはまた無届集会というようなことにもなるのではないかと思われますので、その方の担当である法務庁関係の政府委員の出席を請求していたのですが、私はその專門的な立場の人から御答弁願つた方が一番いいのではないかと考えますので、ひとつ委員長におかれてもおとりはからいを願いたい。
○若林委員長 さようとりはからいます。林副総理のこれに対する御見解だけを承つておきます。
○林国務大臣 私も実は引揚者の大会に対する副会長を勤めておりましたので、ぜひこういう問題を実行いたしたいと、及ばずながら御援助申し上げておつた一人であります。しかしながら今日の時局と申しましようか、にわかに中止になりましたことにつきましては、私そのものとしても非常に遺憾と考えたものであります。従つて遠方よりお越しになりました方々に御迷惑をかけたこと、まことに私ども同感であります。しかしながらにわかに時局の問題ともかんがみてとでも申しましようか、参りました点については、私副総理ではありますけれども、ただいまのところよく存じておりません。従つて專門と申しましようか、所管の法務庁の方から御説明を願うようにいたしたいと思います。
○岡(良)委員 先ほど国際連合のお話がありましたので、林副総理にこの際お聞きしたいと思いますが、政府の最近発表せられております外交方針なり外交政策と引揚げ促進の問題との関連につきまして二、三お尋ねをいたしたいと思うのであります。政府はいわゆる單独講和、または多数講和ということをうたつておられるのでありますが、これはアメリカあるいはイギリス等の諸国とは講和を結ぶけれども、中共やソビエト同盟とはいまだ講和を結ばないという結果に相なろうことは当然推定できるのであります。従つてこれら諸国とわが国との関係は依然として占領、被占領の関係になりますので、われわれはこれらの政府と対等の立場においてものを申し上げるわけに行かない状況におかれるのであります。こういうような建前の外交政策、方針というものが日本政府の名によつて堂々と声明せられますことは、ソ同盟、特に中共地区に非常に多くのわれわれの同胞がまだ抑留せられておるのでありますが、これらの同胞を一日も早く引揚げしめたい、留守家族のみならず、日本国民としても、人道を愛し、人権を守るという建前において、またポツダム宣言第九条における「日本国軍隊ハ完全二武装ヲ解除セラレタル後各自の家庭二復帰シ平和的且生産的ノ生活ヲ営ムノ機会を得シメラルベシ」という趣旨に基きましても、われわれは一日も早く帰つてもらいたい。ところがその国との間においては別途の関係が依然として残るというふうな、いわゆる多数講和、單独講和というふうな外交方針が政府によつて公に発表されることは、引揚げ促進にとつては重大なる障害になるのではなかろうかということを私は懸念いたすのでありますが、この点についてまず林副総理の御見解を伺いたいのであります。
○林国務大臣 ただいまの單独講和などにつきましては、総理がしばしば議場で述べられておる通りでありまして、ただいまのところにおいては連合国を通じてすべての問題をやつておるわけでありますので、その單独講和にいたしましても、全面講和を大体望んではおりますが、しかしながら中共などにつきましては、できない方面ということで、特にそういう方面を限つてこれを除いておるものではないのでありますから、幸いにしてその單独講和の中に入つていただくことができれば私はけつこうだろうと思います。従つてただいま單独講和ということをお話になりましても、あえてこれが引揚者に対して支障があるものとは、私そのものは考えておらぬわけであります。
○岡(良)委員 さらにお尋ねをいたしますが、最近これも本会議場においても総理から直接お述べになつたのでありますが、朝鮮の動乱に関連いたしまして、国連への協力を惜しまないということを明言せられておるのであります。ところが新聞の伝えるところによれば、中共の軍隊が朝鮮と満州の国境に集結をしておるというような、形において非常にあわただしさを感ぜしめますし、あるいはまた国連警察軍の派遣はソ同盟としては非合法であるということは、国連の安全保障理事会において明らかに申しておる次第であります。こういうような事情を考えますときに、政府が軽卒に国連の警察軍に対して協力するというような意思表示をする、このことも、重ねて引揚げの促進を一日も早かれと祈つておるわれわれ国民にとつては、何らか阻害になり得るような、従つて相手国政府の心証に対して悪い影響を與えるような懸念を感ずるのでありますが、そういうようなことに対して林副理の御見解を伺いたいと思います。
○林国務大臣 この問題につきましても総理が本会議その他委員会において述べられた通りでありますから、私といたしましては支障あるものとは考えておりません。
○岡(良)委員 それでは関連した問題でありますので、一言草葉政務次官にお尋ねをいたします。先ほどの御答弁によれば、国際連合の九月総会等において、何らか善処ざれることを期待するというお答えでありました。言うまでもなく中共はいまだ国際連合には加盟しておりません。しかも国際連合とソ同盟の関係はきわめて險悪なものがあることも、新聞紙上でわれわれは承知いたしております。従いまして国際連合の九月総会が引揚げの促進に対してどの程度具体的な手を打たれるかということについては、われわれといたしましては決して楽観的な期待は持てないのではないかという気がいたしますが、外務省としてはどの程度の期待を持つておられるか、その点の見通しについてまず承りたいと思います。
○草葉政府委員 この点につきましては、実は外務省といたしましても、こういうふうになるだろうというふうなことは現在では何ら申し上げかねる次第でございます。ただ私どもの強い希望といたしまして、両院から五月二日に決議され、かつシーボルト議長がすでに国際連合事務局に出したという御声明によりまして、必ずや何かの形で取上げていただくことを強く期待しておる次第であります。
○岡(良)委員 最近留守家族の方には、中共地区から頻々たるたよりが来ておることは御承知の通りだろうと思います。私もやはり昨日一人の年とつたお父さんから手紙を見せてもらいましたが、親心とすれば、手紙が来ないよりも、手紙を見れば見るほど一日も早く顔を見たいというのが人情であります。しかるに現在中共と日本の関係は、国際連合によつても積極的な手は何ら期待することができないという状態にある。日本と中共との間には、対等にもの申すような立場に立つておらないとすれば、結局公式的には何ら手がないというわけであります。それでわれわれの考え方でありますが、打明けたところ、やはりこの際留守家族や、引揚げ促進団体や、そうした人たちの代表でも五、六人中共に送つて、そうして同じアジア人であるならば、やはりアジア人の気持は察してくれると思うのでありますが、民間的な形で交渉する、こういうようなことで、何とかひとつ中共政府との間における連絡をつくつて行くような道がないものでしようか、その点をひとつ外務政務次官のお考えを承りたい。
○草葉政府委員 ただいまのお話のように、最近向うから随時、またときどき留守家族あての手紙が参つておるようであります。従いましてあるいはただいま御希望のような方法がとられるなら、これも一つかとも存じますが、現在の情勢におきましては、御案内のような日本の立場でございますから、これをただちに実行し得るということは期待が持ちがたいのではないかと存じております。
○岡(良)委員 とにかく私が申し上げましたことは、まことにしろうとの思いつきのようでありますけれども、政府対政府の関係において公に何ら手の打ちようがないという段階であり、国際連合の場合でも、われわれの見通しが非常に悲観的でありますので、こういう手が打ち得るならばということでなく、ひとつ打つというぐらいの意気込みで、総司令部その他関係方面とも折衝していただいて、何とかこの問題の解決に対して漸進的な措置をお願いをいたしたいと思うのであります。なお私は最近、やはりこれも中共地区から送られて来たはがきによりますと、間接に聞いたことでありますが、抑留されておるところのわれわれの同胞の中には、中国の内戰に従事をしておる者もいるかのようなことを聞いたのでありますが、そういう点について、外務省その他において何らかの情報をお持ちであつたならば、この機会にお聞かせを願いたい。
○草葉政府委員 外務省といたしましても、留守家族あてに向うから参りました手紙で承知いたす程度でございまして、ただいまの御質問のように、それぞれ従事しておられる状態は承知いたしかねている次第であります。
○岡(良)委員 もしそういう事実がなければまことにけつこうでありますけれども、しかしそういうことは特に留守家族にとつては大きな精神的な打撃になることは当然であろうと思います。なおかつさきにも申し述べたように、われわれはすでに敗戰によつて武装を放棄し、あるいは交戰権を放棄いたしまして、ポツダム宣言の嚴正な実施の道は、刻々国内態勢においても民主化なりあるいはいろいろな形において達しつつあるのであります。ところが一方ある特定の地においては、日本人の同胞がいまだ平和にして生産的な生活に従事せしめられるどころか、むしろ戰争にかり立てられているような事実がありとするならば、この場合われわれがたとい被占領国であるとしましても、当然政府の責任ある弁明といたしまして、そういう内戰にかり立てることは絶対反対であるというような強い意思表示をしていただくことを、この機会にくれぐれもお願いいたしておく次第であります。
○池見委員 私はまず第一に外務次官にお伺いしたいと思います。第五国会以來、引揚問題の論議の焦点となつておりましたことは、少くとも在外抑留者の数の問題であつたのであります。特にソ連地区におけるところの抑留者の数の問題については、非常に深刻なる論議が続けられておつたのでありまするけれども、遺憾ながらその明確なる数を把握することができずして今日に及んでおつたのであります。しかるに草葉政務次官から、今日三十七万余名という未帰還者があるという御発表がありましたが、現在われわれの想像するところでは、ソ連地区、中共地区、満州、北鮮方面におけるものが最もその重点を占めているものと思いますが、この三十七万余名の内訳がわかつておれば聞かしていただきたいと思います。
○草葉政府委員 この数につきましては、実は第百十三回対日理事会でシーボルト議長からも詳しくその内容について説明のありました数で、三十七万というのですから、大体においてはソビエト地区三十一万、中共地区六万、こういう見当であります。
○池見委員 それでは草葉次官のお話の数は、対日理事会におけるシーボルト議長からお話になつた数だと心得ていいですね。われわれはいわゆる三十一万数千のソ連地区における抑留者ということは、およそ今日まで考えておつたのであります。しかるに五月二十二日のタス通信の発表によりまして、青天の露盤的な大きな衝動をわれわれは受けたのであります。三十一万数千名の者がまだソ連地区に残つているこの場合、未帰還者の留守家族の方々は、これにおいてソ連は完了したという発表によつて、一つの大きな衝動を受けている。さらに私がお尋ねしたいことは、三十一万の抑留者の中に生存または死亡、行方不明、こういつた数の把握ができたならば、留守家族の方々においても、それぞれの環境においてあきらめ、ないしは納得あるいは安心が行けるものだと考える。その意味合いから、私は当時の本会議で緊急質問の場合に、生死ないしは行方不明の明確なる数字をひとつ御調査を願うということを申し上げておきましたけれどもこの状態においてのその後における外務省としての御処置はどういうふうになつておるか、一応聞きたい。
○草葉政府委員 ただいまの三十七万の数字は、同時に日本政府がそう信じており、またそうであるといたしておる数字であります。従つてその内容を十分調査すべきであるし、また進めておるわけであります。これは実は御案内のような状態でございますし、もう帰還は全部完了したというタス通信を通じての声明でございますが、ただいま申し上げました通りに、三十七万余名がなお残留しておる。従つてその中でどのくらい死亡者があるか、どのくらいの生存者があるかということは、実はこちらでは調査がいたしかねるのでありまして、ただ内地にいらつしやいます留守家族についての調査以外には方法を持つておらない次第であります。内地にいらつしやいます留守家族につきましては、それぞれ十分なる調査を進めつつある次第であります。
○池見委員 草葉政務次官のお話も一応私は了承いたします。先ほど副総理が、いずれにしても現在の日本政府としては、直接交渉の権限を持たない。全部GHQを通じた一つの調査の依頼である。ここを通した向うの情報であるということでありますがゆえに、これ以上私は追究いたしませんが、少くとも国内におけるところの未復員者の家族の明確なる数字、これも国内的には非常に困難と思いますけれども、政府は一刻も早くその数の把握に努力をしていただきたい。これが少くとも日本政府におけるところの早急の任務である。さらに今お話のごとく、日本政付としてはGHQを通じなければならない。特に先ほど国際連合の調査団が九月には日本に来るといつたふうな話もあつたということであればあるほど、これらの問題は最も重大なる調査事項の一項として、私はそういうふうなことを向うに懇請していただきたいということをつけ加えて申し上げておきます。
 数の問題はその程度で終りますが、中共地区におけるところの現在の抑留者が六万程度ある。これはさつきの委員から話がありましたが、中共地区に抑留されておる邦人の一部ないしはその多分が、現在の中国内戰にかり立てられておるということは、外務省にも先方より来たところの情報が入つており、ないしは日本国内におけるところの留守家族の人々の手元にも來ておる。これは事実である。しかしそれはたよりであるが、おそらく私は事実として想像してかなりということを考えておるのであります。しかるにその内戰にかり立てられざる人は、これも伝え聞くところによりますと、一定の旅費ないしは便船等があつたならば、内地に送還することが可能であるということを書いてあるという情報を聞いたのであります。そうしたならば、これも直接交渉ができないならば、GHQを通じまして、それらの事情にある者を――内戰にかり立てられておるということは、これは国際法による捕虜の取扱いにも違反しておりますけれども、それらのものに関係がなくて、一定の旅費と一定の便船があつたならば帰れるといつたものは、邦人の集団的なものをつくつてもらつて、そうしてこれらの人々を一刻も早く内地に引揚げせしむるというふうなことを考えることも、また促進の一環ではなかろうかと考える。この意味において、外務省はそういつた内戰にかり立てられざる人々のそれらの情報を得ておられるかどうか、お伺いしたい。
○草葉政府委員 留守家族あての手紙等が参ることにつきましては、外務省といたしましても、それぞれの方々と極力連絡いたし、またこういう手紙等が参りましたら、外務省にも御連絡を願いまするよう、常にあらゆる方法でお願いを申し上げたいと存じます。これらを資料にいたしまして、ただいまの御希望のような点を十分外務省といたしましても促進いたしたいと存じております。
○佐々木(秀)委員 草葉次官にお伺いしますが、先ほど数の点につきまして三十七万余名ということでございましたが、対日理事会の発表におきましては三十七万六千名とはつきりした数字が出ておりますし、その後タス通信によりますと、昨年中に九万五千名帰して、それで全部だという。その九万五千名なるものが、この三十七万六千名の中の九万五千名でしようか。それとも九万五千名が三十七万六千名のほかにいたという数字でしようか。その点をひとつはつきりしていただきたい。
○草葉政府委員 これは一九四九年十二月二十一日現在において、三十七万六千九百二十九名、こういうことでございます。
○佐々木(秀)委員 先ほど池見委員からもお話があつたのですが、要するに三十七万六千数名という数字が出ておるのですが、それは数字の上の数字でありまして、はたしてそれだけ実在しておるかどうかということについては、大きな疑問があると思うのであります。但し、ここで私は先ほどの池見委員の考え方と同様な考えを持つておるのですが、かつて徳田球一氏を初めとする日本共産党の引揚げ妨害問題につきまして、数箇月にわたつて、衆議院におきましてもその引揚げ問題を取上げたのでありますが、たまたま二十数名の証人を喚問いたしましたその節に、その証人の一証言によりますと、カラガンダの第九分所等においては、一收容所におきまして千名内外が收容されておるうち、一年間のうちに、四分の一、すなわち二百五十名近くも死亡しておつたという事実を目のあたり見て来たということを証言されておるのであります。そういう見て来たという証言がありますることによりましても、相当な死亡者があるのではないかと考えます。もちろん行方不明になつたという数字はわからないにいたしましても、死亡した者の処置につきましては、いかに冷酷なるソビエトといえども、必ずやその処置はできておると思いますので、先ほど来話が出たように、日本としては独立性を持つてもおりませんし、また單独にソビエトに交渉することもできませんが、今後あるいは国際赤十字社等を通じまして、この死亡者の数を明らかにしてもらいたいという要請を、外務省においてやる御意思があるかどうか、お聞きしたいのであります。
○草葉政府委員 従来もそうでございましたが、今後もその点につきましては、外務省といたしましても努めていたしたいと存じております。
○佐々木(秀)委員 ただいま草葉政務次官のお話で満足するものではありませんが、これはいわゆる平和条約等にもある問題でございますから、積極的にこの死亡者の名簿をいうものをソビエトから提出されるように、御努力が願いたいと思う。
 もう一つお伺いしたいことは、国内におきましては、この委員会を開き、かつはまた院外におきましては、抑留されておる留守家族の人たちが、あるいは地方におきまして、あるいは中央におきましていろいろと引揚げ促進に対しまして涙ぐましい努力を続けておるのであります。その反面に、先般来考査委員会等において明らかにされたように、日本共産党のいわゆる書記長なるものが、一九四九年の九月十五日、カラカンダ二百二十八地区第九分所において、反動分子は帰してもらいたくないというような要請をしたという事実が明らかにされたのであります。ただそこにおきまして、それを通訳いたしました菅証人の証言によりますと、これが要請であつた、あるいは期待であつたということが論議されたようでありますが、私から言うならば、それが期待であろうと要請であろうと、どちらでもかまいません。要するに反動分子は帰してもらいたくないというこの共産党の考え方というものは、明らかに日本共産党が引揚げ促進に対して妨害をしておるのであります。そのことにつきましては、日本の法律等によりましてそれを処罰する何らの規定もありません。しかしながら道義的には、こうした行動というものは、世界人類のいろいろな点から考えましても、断じて許すべきものではないと思うのであります。こういうものに対して外務省が、ただこういう事実があつたというようなことで傍観しておることは、いわゆる留守家族に対しても、国民に対しましても、申訳がないと思いますが、こうした行動に対する外務省としての見解をお聞きしたいと思うのであります。
○草葉政府委員 今回留守家族の奪還闘争大会等の催しが開かれまして、それが目的を達することができなかつたのはまことに遺憾でございます。さらにまた、全国の引揚げ促進大会等が計画されておりましたが、これもその目的を達し得ない現下の情勢でありまして、まことに遺憾でございますが、これらを通じて、ただいまお話にありましたように、留守家族の皆様方がほんとうに涙ぐましい、言語に絶する五年有余の長い間引揚げの日をお待ちになつておる心境は、これらの方々がみずから直接訴え、あるいは要求するという立場だけよりも、むしろ国民全体がその心持になつて運動すべきものと私どもは存じまして、かつまたその心持にこたえて政府も大いに進むべきものと存じておる次第でございます。今後におきましては、国民全体が同じ心持になつて引揚げ促進を強力に推進して行く、その一端を政府もになつて進めて行かなければならぬと考えておる次第であります。
○佐々木(秀)委員 私は国民全体がこれに協力するということは当然だ。しかしそういう涙ぐましい運動を各地においてしておるにもかかわらず、反面これを妨害するような日本共産党のやり方に対して、どういうお考えを持つておられるか。同時にそれを国内的に解決できないならば、国際的にもこういう共産党のやり方に対する何らかの処置がないものかどうか、そういう点を私はお聞きしたのであります。
○苅田委員 私は外務政務次官にお聞きしたいのですが、きよう二、三度にわたりまして数の問題でもつて、三十七万なにがしと確信しておるというようなお言葉だつたのです。ところが前国会におきましては、総理大臣が国会の本会議の席上で、この問題については想像であるということをはつきりお答えになりました。それは私ども国会議員だけではなくて、あの言葉を通じて全国の人が聞いておると思うのです。それにもかかわりませずなお今日確信しておると言われるからには、よほどはつきりした証拠があると思うので、その確信についてさらにお伺いしたいことが一点と、それから今日御発表になりました数字は、ソビエト地区において抑留者が三十一万、中共において六万、こういう御発表でございましたが、私は本委員会に出ますのはきようが初めてですけれども、前任者からの引継ぎによりますと、政府の発表といたしましては、すでに中共六万、樺太八万、シベリヤ二十三万という数字が同じように発表されております。そういたしますと、お答えになるたびに政府側の発表の残留者の数字が違つておる。こういうことでは、私どもはその点からもこの発表の数字については非常にまゆつばものだということを考えなければなりません。こういう点につきまして、確信があるとおつしやるならば、その証拠を出していただきたいと思います。
○草葉政府委員 ただいまの数字は同じだと思います。樺太、千島を含めました数字でございます。
○苅田委員 最初の問いにつきましてはどうですか。
○草葉政府委員 これは私ども現在その数字を信じております。
○苅田委員 あなたはこれは確信を持つておるとおつしやつたのですけれども、首相の方ははつきりこれは想像だと言つておいでになるわけです。(「共産党はいないと言つておるじやないか」と呼びその他発言する者あり)ただいま皆さんの方から、共産党はいないと言つておるじやないかと言われましたが、連合国の一方の国であるソ連が正式な発表機関として許したタス通信が、現在は戰犯その他重患の人約二千名以外は残留していないということを発表しておりますので、私どもは、この発表にはつきり反対である、こはかくかくの理由でそういうことは間違つておるというようなはつきりした証拠がない以上、これに対しまして無條件にあなた方のおつしやることを信用することができないわけで、そのためにも、先ほどから他の委員からもいろいろと御要求のあつたように、わかつておるなら詳しい資料を出してもらいたいということを言うわけなんです。
 さらにもう一つ私がここで申し上げたいととは、二十三年の暮れあたりに発表されました――発表されなかつたでしようが、外務省の省内の資料によれば、ただいま御発表になりました地域以外も、たとえばスマトラだとか、あるいは佛印だとか、あるいはその他当時のラングーン地区、米軍地区、英軍地区にもなお多数の残留者があるということも政府の資料として出ておるわけなんです。あるいはこぐ最近の例からいえば、つい最近国際的な通信社の発表を見ましても、朝鮮の水原の附近では十三人の日本人の将兵が戰死しておる。こういうこともあるとして見れば、南鮮においての残留者というものすら政府の方はつかんでいないということになるわけです。ですから、もういないと言つている方に向つて返せもどせと言う以外に――ほんとうに留守家族として自分たちのところに帰してもらいたいというその心情には、まつたく私どもも同感なんです。ですから政府の方ではもつとできるだけの力を注いで、他の地方につきましても政府は一体どれだけの調査ができておるか、そういうことにつきましても、やはり私はこの席上で皆さんに発表していただきたいと思う。つい先だつての朝日新聞によりますれば、サイゴンからのたよりといたしまして、あそこで戰つている佛印軍の中には八万人の日本将兵がいるという――これも確信できないと思いますが、こういうたよりも載つておつたわけです。そういう方面に対しまして当局としてはどのような方法をもつて調査をしておられるか、そういうこともあわせて私は御報告願いたいと思います。
○草葉政府委員 ただいまの御質問につきまして、ソ連地区並びにソ連圏内と申しますか、そのほかの米英その他の地区からは詳細に通報が参つております。従つて十分外務省は承知をしております。但しソ連地区の方からは、今日まで何らの通報もいただいておりませんので、この状況は承知いたしかねております。従いましてタス通信を通じて発表いたしましたことで、これで全部送還終了ということは、私どもは信じかねておる次第であります。
○苅田委員 それならあなたの方でその他の地区に残つておる、こういうふうにお考えになる数字というものがこちらに発表されているように聞いていないのですが、そういう数字について、詳細な資料というものを御発表いただけるわけなんですか。
○草葉政府委員 その他の数字につきましては、公式にいつでも発表いたしておりますから、御承知願つていただきます。
○玉置(實)委員 私はただいま共産党の苅田委員から質問がありましたのに対して、非常に疑惑を感じたわけであります。苅田委員に対して、私は一応この問題を進める立場からお伺いをいたしたいと思うのであります。苅田委員はタス通信の発表によつて、ソ連政府は送還し終つた、これを信じておる、こういうことであります。そうするともうソ連には日本人がだれ一人残つていないとあなたは言われるのでありますか。その点をお聞きして次に御質問いたしたいと思います。
○苅田委員 タス通信を通じて正式に発表された人員以外は残つていないということを信ずる以外に、方法がないと思います。
○玉置(實)委員 先ほど苅田委員は朝日新聞に載つておりました、サイゴンにまだ残つておるものが八万人ほどもおるということを、新聞によつてこれを想像しているということを確信を持つて今質問をされておる。そうするとわれわれ委員として、しかも私は前会の第七国会のさ中において、中山委員長らとともに舞鶴に最後の引揚船の二隻が入つたときに、実は御慰問かたがた歓迎の意味においてお伺いいたしました。そのときの引揚者の話によりますと、自分たちが帰つて来るときに、未だソ連地区に残つておる者が四千何百名でしたか、住所氏名まで書いておる記録を帰る途中においてソ連側に取上げられたということを言つておる。あなたの言うようにタス通信で全部送還し終つたというならば、こういうのはないはずだ。現にこういう方がおる。
 それ以外にまだタス通信の発表したところと現在帰つて来た者の間において三千人くらいの食い違いが出ておる。ソ連政府は公式にタス通信を通じて発表したという、それが私はでたらめだと思う。この残存しておるものが私は何十万とは言いません。現に証拠を持つて帰られた引揚者の中の話を聞いてもいまだに残つておる。これらの数がおるという現実問題もあなたは否定するのですか。
○苅田委員 あなたは引揚者の話をお聞きになつたというのですけれども、同じようにソ連から引揚げて來た方で、しかも衆議院の考査特別委員会におきまして、その答弁の中に、あなたの言われたこととは全然違つた発言をした帰還者もいるわけです。つまりほかの奥地から帰つて來た人が、とうていこれだけの人数が残つておるということは思われない、こういうことを言つておる人もあるわけでありまして、この問題につきましては、やはりあなた方のおつしやることが必ずしも正当であるということも、帰つた人の口から出た言葉として、私どもはそのまま肯定するわけには行かない。また現在まだ留守家族の方が相当数いらつしやるということは事実です。これはほかのことで私は数字を捕捉しております。しかしその人たちが必ずソ連地区にいらつしやるという証拠もない。私どもが直接お聞きした話には、行方不明になられたときどこにおられたかと聞いたら、南支那におつた。こういうものがあなた方の宣伝か何か知りませんが、みなソ連にいるというような形でもつて、ソ連に残つておるというようなことを考えておいでになるのですけれども、私はやはりそういう意味で、もつと公平な立場から、ほんとうに残留者の家族の一日も早く帰してもらいたいという運動をしない限り、こういう方たちの嘆きは解決されないと思うから申し上げたわけであります。
○佐々木(秀)委員 ただいま共産党の苅田委員の発言は重大であります。しかも神聖なる委員会におきまして、だれそれが考査委員会でもう引揚者がいないのだという証言があつたということでありますから、もしその証言が、あつたとするならば、考査委員会における速記録をお調べを願つて、そうしてもしただいまの苅田委員の発言が事実であるならば私は承服いたしますがただこうした委員会におきまして、その事実もないのに、ただ引揚者がいないというような証言があるから玉置委員の言われたようなことはでたらめだ、その言葉は私たちは黙視することはできませんので、委員長におかれましては、ただいま苅田委員の発言を重視せられまして、考査委員会における証人の証言の速記録をお調べになつて、適当な御処置を願いたいというとを、私はここに提案するものであります。
○若林委員長 苅田君の発言についての重要な箇所につきましては、佐々木委員の申出の通り、委員長において速記録を調べました上で、適当な措置をとるよう次会においてお諮りをいたすことにいたします。
○池見委員 議事進行ということで申し上げますが、私が先ほど申し上げましたように、数の問題については第五国会以来、非常に紛糾を来した問題なのであります。しかるに少くともタス通信によつて、共産党の代表者がその発表を見て、これは非常に喜ばしいことである、これで完了してよかつたというような新聞発表をして、ソ連地区における引揚げが完了したということを言つておる。それであるがゆえにこの数字の問題に触れる場合においては、少くとも共産党以外の議員がこれを検討しただすことにおいて、私は適当なる一つの結論を得るものと確信しておる。それがために最初に草葉政府委員に向つて、私は三十七万余名というものの内容がどうであるか、日本政府における国内の調査はどうなつておるかといつたようなことを尋ね、さらにその生存ないしは死亡、行方不明のごときも、その筋を通じ、ないしは国連に要請して、もつてそれを明確に表示してもらいたいという、この程度において、私は数の問題には触れないということを申し上げておりましたが、たまたま共産党がああいつた発表に対しては全面的な承認をしておりながら、私どものいわゆる質問ないしは話に対してはただいまも苅田委員から話がありましたが、公平なる立場においてという言葉を使う。どこにその公平と不公平の標準を置いて言われたか、まことに私はけしからぬ話だと考えておる。こういつた意味から、私はこの数の問題においてはこの程度でもつて打切つていただきたい。さらに私は定着援護の問題ないしはその他の問題について論議を進めて行かれんことを要望し、その議事の進行をはかりたい。
○若林委員長 数の問題についてはこの程度に今日はとどめておきたいと思います。
 では議事進行についてですか、堤君。
○堤委員 今池見委員もおつしやいました通り、苅田さんの言葉を聞いていても矛盾があるのです。タス通信を信じるよりほかはないとこうおつしやつて、あとから岡山県あたりにも留守家族が出ておるのを認めざるを得ないということを現におつしやる通り、こういう矛盾があるのですから。それから佐々木さん自身も、外務政務次官の言葉に対しても疑義があるとおつしやつておる。数に対してはこれは相当問題になつて今日まで來たのでありますから、ただいまの池見委員のように、また政党と政党とが対立するような関係でもつて、この数の問題をてんやわんやしないで、ひとつ私も池見委員と同じく、数のことについては、あること自体がはつきりしておるから委員会を持つておるのですから、もうこれで打切つて、もつと重要な問題にもつて行つてもらいたい。
○若林委員長 関連しておりますか――佐々木秀世君。
○佐々木(秀)委員 数の問題でてんやわんやしちやいかぬという堤委員のお話ですが、もちろんこの数の問題は、はつきりした数字、一人も間違いないという数字はあり得ないと思う。ただ大体の見当だけはわれわれも予測し得られるのでありますから、この問題をこの程度に打切ることはけつこうですが、但し、共産党が先ほど言つているような、二千名で全部だというこの発言が、この神聖なる引揚委員会においてなされたというこの事実だけは、私は抹消しなければならぬと思う。そうでなければ、もう引揚げが完了したならば、何にもこの国会に引揚対策特別委員会というものはいらない。それよりも、帰つて來た人の援護対策でも考えた方がいいのです。こうして引揚対策委員会をつくつておくということは、いわゆる残留者が相当いるということが事実だから、われわれが神聖なる国会において引揚対策委員会をつくつているのですから、共産党の数字に対しては問題にしませんが、その他の委員の数字はある程度根拠あるものとして、いわゆる重要なる数字の発言であるということだけはお認め願つて、数字の問題はこの程度で切打ることだけは賛成いたします。
○若林委員長 では数を除いた問題に関しては、もう大体、これで打切ることにいたしましたから、それ以外の問題についての発言を許します。中山マサ君。
○中山委員 私はきようは、厚生大臣がお帰りになりましたから……。
○若林委員長 政務次官が来ております。
○中山委員 私は厚生の問題に入る前に、一言私も言わせていただきたいと思います。というのは、共産党がああいうことをおつしやるということは、今日ここへ代表の方がおいでになつたことを否定しておいでになることになる。ですから私はそういうことは認めないということに賛成をする一人であります。私も去年一年間、この問題で闘つて来まして、いろいろな人に会いましたが、大阪府だけでも千や二千の留守家族があることは、この間大会をやつてみてわかつておるのですから、こういうむちやをおつしやると実に困ると思うのです。
 それで今度は厚生の問題ですが、きよう出て來ていらつしやる方の中に非常に生活に困つておつて、それで生活保護法の適用を受けておるが、もしまだ帰らないところの人の給料をもらうと、それだけ引かれる、こういうことでございます。こういうことに対して特別の御処置が願えないものでございましようか。去年の十二月でございましたか、海軍の側では全部給料が家庭に渡つておる。しかるに陸軍は昔からのしきたりで本人渡しになつておる。そのために海軍だけがもらつて陸軍がもりつていないということがあるのであります。モスラー氏に大分私どもはやかましく言つて行つたのでありますけれども、それがどうにもならなかつたのです。が、何とかもし厚生省の方でこういう規則をおつくりになりましたりですから、この未帰還者の家庭に限つて、それを引かないというような御配慮は願えないものかどうか。私は現住ここに来ていらつしやる方々の中からそういう声を聞きまして、これはどうも私としては考えて行かなければならぬ問題だと痛切に感じましたので、御配慮が願えるかどうか伺いたいと思います。
○平澤政府委員 お答えいたします。御承知の通り私はこの間就任いたしたものでございますが、各般のことをそれぞれ大臣の方針並びに御趣旨に従つてやつて参らねばならないと思つて、いろいろなことについて研究をいたしたのでございますが、ただいま中山委員から仰せになられましたことも、そういう差別的なことがありますれば、ぜひともそれは一緒にして行かなければならない。こういうことでそれぞれ事務当局にこの間会いまして、それを並べて参ろう、こういうふうに実は相談をいたしておつたような次第であります。この点具体化いたしますれば、また具体化いたしまするように、私どもの方で進めて参りたいと思つております。
○中山委員 ぜひひとつ……。ここで受け流すだけでなく、現に困つている人があるのでございますから、特別な制度でも設けていただいて、未帰還者の家庭に限つてというようなものでもつて、とれをぜひ実現して行つていただきたいと率直にお願いをいたします。
○若林委員長 ちよつと傍聴人の方に申し上げたいと思うのでありますが、各委員が発言中に、あるいはそれを終つたときに、皆様方としてはやむを得ないことだと思いますが感きわまつて拍手をいたしましたり、あるいは御発言になるようなことがあつて、喧嘩をきわめるというおそれがありますときには、退場をしていただかなければならぬことになりますから、その点ひとつ冷静なお気持で、むずかしいことだと思いますけれども、この場所はそういう場所でございますから、御注意を申し上げておきたいと思います。
 それからなお外務省関係の御質問のある方がございますか。発言の申出の順序がありますので、その順序に従つて行きたいと思います。では受田新吉君。
○受田委員 質問の要点を申し上げて、簡單な筋書きでお尋ねしますから、お答えを願いたいと思います。
 私は最初に非常に根本的な問題を尋ねたいのですが、前の昭和二十三年の国会で、引揚同胞対策審議会が生れた。その審議会が引揚げ促進並びに援護の重要問題で、常に政府に要請するととを審議することになつておつたのですが、この第七国会でさらに一年間延長して、来年の八月の末までこれを続けることになりました。その委員の一人であると私は思いまするが、田邊局長の方で、この審議会において、先ほどからしばしば論議されたこの引揚げ問題が、外務省、厚生省、そのほか労働省等の関係各省の間の連絡調整にも非常に役に立つておると思うので、セクト的に、外務省は一般邦人、厚生省は復員関係及び軍人軍属というような取扱いをしないで、総合的に引揚げ問題を審議するという非常に大きな役割を果して来たと思うのですが、これの動きがどんなになつておるか。委員の一人であると思うのでお尋ねしたいのですが……。
○田邊説明員 私、引揚対策審議会の事務長をいたしております。引揚委員会の開催並びに委員会に出で議事の整理、そういうことを担当いたしております。お話の通り、引揚げ対策のねらいの一つは、各省間における引揚げ対策の総合調整ということをいたしております。従いまして問題がありますごとに、その問題につきまして関係各省の方にお集まりいただきまして、総合的に審議いたしております。引揚げ促進の問題につきましては対策審議会にまつまでもなく、常に外務省、厚生省、運輸省等が密接な連絡をとつて万全を期しております。ただ中共地区からの引揚げにつきましては、二度ばかり促進の決議がありまして、政府の方に勧告があつたように記憶しております。また留守家族の援護等の問題につきましては、再三審議会ではかりまして答申をいたしまして、大体その線に沿うて施策が実現されて来ているような次第でございます。
○受田委員 これに関連して外務政務次官にお尋ねいたします。外国から引揚げて来る人たちを迎えるために、配船計画が常に嚴密になされているはずであります。舞鶴にはいつもこれらの同胞をお迎えするための船が用意されてあり、これに対して船員その他の物資が充実されてあるはずでありますが、こういう問題が現に国際間の空気の深化とともに、いささか支障を来すようなおそれはないかと憂えるものでありますが、これらの復員業務について万遺憾なきか、現在もなお講ぜられているかどうかをお伺いしたいのであります。
○草葉政府委員 これは引揚が開始されます前に、それぞれその通知があります。それに基きまして十分遺憾なきよう手配をいたすわけでございます。従いまして現下の国際情勢におきましても、引揚げに支障を来すというようなことは全然いたさないつもりで進んでおります。
○受田委員 そうすると現在復員業務に従事しておる舞鶴援護局を初めとして、厚生省にも所管の局があるし、いろいろと対策がとられておるのでありますが、このいろいろなセクションの動き及び諸般の計画は、今後現にソ連地区その他から引揚げの問題が提供されなくても、依然として強力にこれが続けられるか、もしくはこれらに今のところ向うから帰るという通告があれば、いつでも待機できるとおつしやつておるのですが、現実にはそれが今見通しがつかぬので、いささかその見通しがきくまではゆるめてもいいというような、緩急よろしきを得るような対策になつておるのか、そこをお伺いしたいのであります。
○草葉政府委員 これは外務省並びに厚生省両方に関係がありますので、私からお答えをさせていただきます。先ほどお答え申し上げました通り、この問題もいつでも決して手拔かりのない態勢をとつて参つておりますから、この点は御了承願いたいと思います。
○受田委員 今引揚げ問題は非常に重大な段階に達しておると思うのであります。共産党の皆さんはソ連の発表を信じて、もはやあとにおらないと言つておられるのです。それからこういうように国際間の空気が朝鮮を中心に非常に逼迫しておるという現状において、なおわれわれが残された多数の同胞に引揚げていただくための対策をとることがいかに困難な問題であるかは、今日より大きなことはないと思います。ところがこういうときになつて来ると、とかくのど元過ぎれば暑さを忘れて、こちらへ帰つて来た人たちも、また自分の家族が帰つて来るとついゆだんをして、あとの残つた人のために協力していないということも起るし、また政府自身においても、当分向うから通告も来そうもないからというので心をゆるめるおそれがある。このときにむしろ政府は陣頭に立つて、引揚げ促進のいろいろな具体的な、もつと親切な方法をとつて、残つた留守家族に大きな安心を与えるような対策をとるべきだ。その第一歩として、まず私はもつと徹底した未帰還者の実態調査がいると思うのでありますが、この調査費に、復員業務関係からごくわずかしか予算がとつていないと思うのでありますが、昭和二十五年度の復員業務に関して調査費に充てられる予算と、これに対して各府県の世話課がとりつつある対策について、復員業務関係を担当しておられる政府委員に御答弁を願いたいのであります。
 それとあわせて未復員者及び特別未帰還者の給与の問題ですが、これが一般の、こちらへ帰つて従来と同じような形で勤務した人たちと、その待遇の上に相当の差異ができている。これらのギャップをどうして調節するかという点について、当局はどう考えておられるか。一般邦人で官公吏をやつておつた者の未復員者の待遇は、こちらで同期で勤務していた者と相当の差異をつけられておる。この差異を是正する意思はないか。
 それからもう一つ朝鮮、満州等で恩給をもらつて公務に従事しておつた者が、死んでいるという発表もされていないにかかわらず、行方不明のゆえをもつて給与を与えておらぬとか、家族の人に恩給の支給を停止しております。実に行方不明者に対して冷遇されておりますので、けさほどの委員会で発言された通り、未帰還の一般邦人に対して特別未帰還者給与法のわくをもつと拡げて、解釈をもつと緩和して、とにかく向うにいるという見当がつけばこれに給与を与えるような対策がいるのではないか。五十億円以上の引揚げ費用を予算にとつておつて、ごくわずかしか使用してないのでありますから、こういう点をその方へ振り向けるような対策をお考えになつて行くようにして、現に一番困つている一般援護の問題についても、さしあたり一つ一つもつと親切なやり方をとつて行くようにしないと、引揚げ問題は非常に行き詰まつて来ると思います。この点をお尋ねしたいと思います。
○田邊説明員 最後に御質問になりました特別未帰還者給与法の範囲をもつと緩和せよというお話でございますが、この点につきましては、午前中委員会において詳細私から御説明申し上げております。重ねてお尋ねでありますので、簡單に御説明申し上げます。この法律は特別未帰還者給与法でございまして、未復員者給与法ではないのであります。つまり外地に在留しておりまする一般邦人のうちの特別な事情にある者、つまりソ連地域内における元軍人、軍属、強制的に向うに行つている捕虜と同様に在留せられておる方に対して、未復員者給与法を準用するという法律であります。これは国会において立案されて、国会で通つたものでございます。従いましてこれは実情を認定することが非常に事務的には困難であります。しかし一歩でも前進せしめるということで、この法律が中共地区まで拡張になつております。幸い中共地区からの通信がだんだんと参つておりますので、その認定の範囲も拡充されて来るのではないか、またそのように努力したいと思います。
 なお官公吏と未復員者給与法との関係についてのお尋ねがございましたが、国または地方公共団体の公務員で、現に俸給を受けている方にはダブつて給与する必要がございませんので、特別未帰還者法を適用しないのであります。ただこういう方が外地から帰られまして病気になつた場合には、この特別未帰還者法によつて、全額国費で三年間療養できるように、最近改正をいたしました。
○受田委員 今の御答弁の中で問題の核心に触れていないのは、こちらの官公吏として待遇と、その後向うへ拉致された後の待遇は前の待遇がそのまますえ置かれた期間がちよつとあつたために、非常に差異がある。こちらでずつと勤務していた人と、向うへ行つておつた人たちでは、こちらにもどつたときにはそれを是正することになつておるが、その途中では非常に冷遇されている。こういう点の是正を、現在こちらにいるものとある程度調和がとれるように、待遇の改善をはかつて行く必要がないかということをお尋ねしたのです。
○田邊説明員 これは実は各官庁での職員の待遇の問題でありますが、これはやはり一率のある方針がありまして、国家公務員法上の取扱いがきまつておるようでございます。これにつきましては、応召した当時の俸給あるいはその規則をつくつた当時の実情に即して何か規則ができておる。あまり詳細に記憶しておりませんが……。
○受田委員 その給与がやはり復員業務に従事され、引揚げ問題に関連しておられる方々が強力に主張されないというと、大蔵省の給与局関係などはそういうことを非常に冷淡に考えておる。向うから帰つて来て初めて俸給の切りかえをするというような点が非常に多くなつているので、ひとつ引揚げに関係する皆さんが努力されないと、この点は効果が薄いことを申し上げておいて、特に今引揚同胞審議会などでこれを取上げていただいて、各省間の連絡調整をはかるために、外務省、厚生省の皆さんが、骨を折つていただくようにお願いいたしたいのであります。
 それからさつきお尋ねいたしたことをお答えいただきたいのですが、まだ余裕があるようでございますから、もう一つ申し上げておきたいのであります。この引揚げ問題は、今度の全国の留守家族の大会を持つこの事態ほど、こういう非常に窮迫した悲惨な状態に立至るほど逼迫している。そうすると向うにはもうこつちへ帰す人がいないのだ、ソ連の意見と、それからシーボルド議長の対日理事会における声明と非常に大きな差異がある。今日問題は中共地区だと思ふ。中共地区においてはまだ何万人残つておるということを明言もしないし、現に向うからたよりもよこしているんだし、それからやみ船を利用してこちらへ帰しておるという状態になつておるのでありますが、先ほど同僚岡議員から質問があつたごとく、中共地区を通じての帰還促進ということは、これは非常に効果的だと思うのでありますが、外務当局は総司令部を通じてやるとは言いながらも、一方においてこういう具体的な実例がある以上、直接何らかこういう資料をつかまえては、司令部に行つて働きかけて、たとえば向うへ使節団を派遣するとか、運賃を出して、向うから帰してもらうための具体策を立てる用意はないか、この点を政務次官にお尋ねしたいと思います。
○草葉政府委員 これは先ほどもお答えいたしました通り、外務省といたしましても、今後もあらゆる方法で引揚げ促進を努めたいと存じております。ことに昨年はソビエト政府の力によりまして、中共地区から相当数の引揚げがなされました。まことに感謝いたした次第でございまするが、今後におきましても、昨年のような方法が立てられまするならば、なお私どもは感激にたえないと存じます。ただいまの点につきましても、今後あらゆる方法で進めて行きたいと存じますから、御了承を願います。
○受田委員 最後にお尋ねして私の質問を終ります。この引揚げ問題は繰返し申し上げる通り、もはや非常に徹底した極点に来ておる。従つて今までのようなやり方では、この引揚げ問題の解決はできなくなつておる。私はこの点を皆さんとともにこの際根本的にわれわれ議員が反省し、政府も反省して、これからの引揚げ問題はどうしたらいいかというもつと掘り下つた立場でこれを考えて行かなければならぬ。上すべりでいくら意見の交換をやつてもだめだ。せつかく厚生次官も外務次官もおいでるから、もつと政治的な手を打つ必要がある。先ほど副総理も厚生大臣も来られたのであるが、こうした大きな線で各省間の連絡調整をはかつて、厚生省の所管だとが、外務省の所管だとかいう幅の狭い動きでなくて、一括して引揚げ問題を考え、しかもこの海外同胞引揚特別委員会というものは超党派的に、あらゆる委員会に超越して、各省の上に立つたところの大きな線で動くところの委員会であるから、ひとつ高い立場で政治的手を打つてもらいたい。従つて外務政務次官は、外務大臣があのようなこの委員会に一ぺんも出ないような男だから、政務次官が、外務大臣を大いに叱吃激励して、外務大臣にかわつていくらでも答弁できるような大きな政治的幅を持たしてもらつて、事実上の外務大臣として、外務大臣は專任を置かぬと言つておるのですから、あなたが外務大臣という立場でひとつ思い切つた意見を述べ、思い切つた対策も抱負も述べてもらつて、骨も折つてもらつて、この引揚げ問題には外務省が本気でやるのだということを厚生省と一緒になつて各方面に示してもらつて、今後委員会があるたびにあなた方首脳部として出てもらいたい。外務大臣もどうかここへつれて来てこの問題に関心を持つてもらい、骨を折つていただきたい。われわれも党派も越えてこの問題の解決に努力しておるのでありますから、この差迫つた問題の解決には、もはやこの大会に来られたあの留守家族の人たちが、再びこういう会合を持つということはおそらく近い将来には得がたいだろうと思いますから、この人たちの気持もわれわれが今後実際の働きの上において示すようにして、政府が本腰で、今までのような特別委員会を何か別物の扱いで軽く取扱うようなことがなく、若林新委員長を迎えて、馬力をかけて努力してやつてもらいたいということを、政府要路に要望しておきます。
○平澤政府委員 先ほどお尋ねがありました調査費は、二十五年度二千四百万円であります。それを全国五十の世話課にそねぞねやつておるのであります。来年度はほぼ同額をさらに要求いたしたいということで相談をいたしておるところであります。
○受田委員 ただいま二千四百万円の予算を組んで、しかも本年も同じような予算を組もうというような計画のようですが、復員業務は一つの大きな仕事で、全国世話課に二千四百万円をわけたとしたら、五十あるとして大体どれだけですか、五十万円ですか、五十万円であれば、その調査にあたる職員が二、三人で精一ぱいですよ。それでもまだ杳として行方不明で、三十何万とかいつて議論しておる。この大事な数字の解明もできやしないではないですか。ひとつこの際復員業務に関係する二千四百万円を十倍から二十倍にふやして、未復員者実態調査に徹底的な努力をするように政府はしなければならぬ。
○平澤政府委員 ただいま私は同額と申し上げましたのは取消します。ただいま審議しておりますのは四千万円程度に実は今相談しております。しかしながら受田委員のお話もありまして、さらに検討することといたします。
○受田委員 ひとつよろしく願います。
○若林委員長 小林信一君。
○小林(信)委員 今の受田委員の質問に関連してお聞きしたいのですが、直接交渉ということは非常に困難な現在、留守家族の方たちはどんな方法でもやつて一人でも帰してもらいたい、こういう熱望が今の実情だと思うのですが、これに対して先ほど質問の中に、やみ船でも帰つて来るような事実があるというようなことを申されたのですが、はたしてそういう事実を外務省当局において調査されておるかどうか。
○草葉政府委員 実は確実な点は了承いたしかねている次第でありますが、さような風評も聞いております。その程度で御了承願います。
○小林(信)委員 もしあるとすれば、政府はどういうふうに処置されるかお伺いしたいと思います。
○草葉政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、さような風評は聞かないでもございませんけれども、実はこちらの方ではまだ承知いたしておりません。従がつていわゆる密入国と申しますか、あるいは密貿易と申しますか、そういうものとの関係もありますから、そういう場合におきましては、それぞれの立場の処置がありまするので、私どもは、現存までさようの方法で具体的にお帰りになるというようなことでなく、便宜をはかられて帰られる場合が実はあつたのではないかと考えます。
○小林(信)委員 留守家族の人たちの気持を考えれば、そういう何らかの方法があれば、先ほど受田委員の言われたように、これを司令部なりあるいは他に折衝して、政府があらゆる努力を講じ、これから端を発して、との人たちに帰れるような手はずをすることも努力してもらいたい。今の場合、実は私たちも聞いているわけなのですが、米国船に便乗して帰国さしてもらえることが多々ある、これには相当な費用を向うで渡さなければ帰してもらえないということを聞くのです。もしこういうことが英国政府に対しても、あるいは軍政部に対しても了解がつくものならば、もう少しこれを積極的にやつて、その人たちが金がなくて帰れないような場合には、こちらへ寄港したときに、寄港の場所で日本政府が何らかの手はずをして金を支拂うというようなことでもこの際講じてもらいたい。これが留守家族の人たちの気持じやないかと思うのですが、今のお話を聞いておると、やはり正式なものでなければ政府としては手がつけられないということなのですが、そこら辺を開拓して行く気持はないかどうか。
○草葉政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、便船を利用して帰つて来るというようなことがあります。また今後も、ただいまお話のようにたより等がありますけれども、この点につきましては十分研究いたしまして、相当な方法を講じたいと思います。
○小林(信)委員 伺うところによれば、大連地区とか、あるいは上海、香港各地で中共の態勢というものがまちまちであるようで、帰すとも帰さぬともはつきりしておらぬ。たまたまさようなことを伺いますと、やはり政府はここに何らかの工作をされて――正式な交渉ができない重大な時期なのですから、ただできないできないだけでほうつておくのでなくて、全面的な努力をしていただきたいと、私は留守家族の方たちの気持を考えてこの際特にお願いしたいのです。
○井之口委員 私が大阪の方でちよつと聞いた話なのですが、ある未引揚者――未引揚者か何か知りませんが、とにかくいまだ帰つて来られない人のお母さんが、自分のむすこはいつ帰つて来るだろうかということを非常に心配しておつた。ところがその人の戰友が引揚げて参りまして、このお母さんを訪問していわく、あなたのむすこさんは、満州からフイリピンの方に一緒に送られて行つて、そうしてフイリピンの戰線において戰死された、その戰死された現場を私は見ておつて、これをお母さんに伝えてくれということで私は帰つて来たのだ、こういうことをお話した。ところでそのお母さんは、これは気の毒なことをした、かわいそうなことをしたというのであきらめておつたのですが、それから後に政府の方からはがきが舞い込んで来た、お前さんのむすこはまだ生きているのだ、お前さんのむすこはソ連にいるのだというふうな通知状が来た。それでそのお母さんはまるで気違いみたいになつてしまつて、これはたいへんだ、自分のむすこは生きているのだ、だれしも自分のむすこというものは生きていてほしいという感情があるのであります。それでこのお母さんは周囲の人のとめるのも聞かないで、東京に来て大使館にすわり込みに行つたという事実がある。こういうわけで、もし政府のやり方が不十分でありますと、人間の弱い心持につけ込んで来て、ここに引揚げということがひとつの政治的な意図を持つて来る。先ほど委員の方が、調査というものが不十分だということを言つている、聞く政府の方でもそれを証明されている。それを吉田総理大臣はソ同盟からの未引揚者の数は想像以上の数だということを言つておられる。今のお話を聞きますと、対日理事会におけるシーボルト議長の声明を基礎としているということを言つておられますが、対日理事会にはソ同盟の代表も出ている、ところがソ同盟の代表は出席を拒否しておる、こういう事情のもとにおいて、ソ同盟の代表の言は信ぜられないのであります。政府では、その問題はそちらは信じない、片方だけを信ずるのであるか、この点を御説明願いたい。かつ今日中国共産党によつて指導されておりまする人たちで、それはなるほどまだ引揚げて参らぬ方がたくさんいらつしやいましよう、なお北鮮方面にもいらつしやいましようし、南鮮方面にもいらつしやるでしよう。こういう場合に、しかも中共によつて指導されているところの政府の代表が国連にもまだ出席していない、イギリスは中国の新しい政権を認めている、にかかわらずまだここに参加していない。日本の……。
○若林委員長 井之口君、あなたの先ほどの数に関しての問題は、一応打ち切りということになつておりますから……。
○井之口委員 いいえ、私の言うのは、そういう問題が政治的に利用されることに対して質問しておるのです。政治的な利用ということを申し上げておるわけでありますから、たまにそれに言及するわけでありますから、その点は委員長御容認を願いたいと思います。―――――――――――――――――――――
  (発言する者多く、議場騒然)
○若林委員長 井之口君、発言に注意してください。
○井之口委員 さて政府の方針といたしましては、まだ引揚げて来られない方も、中国やそれから朝鮮なんかにもたくさんおいでになるでしよう。そういう方々の家族に対しても、この救護方法が徹底しておりません。並びに、もし政府がまだそのほかにソビエト同盟からも引揚げていないというならば、これらの家族に対する予算は十分に組んでおらなければならぬはずだ。ところがそういうことはしない。そうしてただ数だけを用いておる。真に必要な、真に日本人民が必要としているところのものに対しては、政府は何らの手を打たない。こういうことで、われわれは国際的に日本の立場を明らかにすることができるだろうか。この点をひとつ明らかにしてもらいたい。
 それからさらに一つの例でありますが、昨年、一昨年あたりからでありますか、モスクワ放送は、日本の向うにいる抑留者の名前をどんどんと発表しておつた。こうこういろ人が抑留者として健康で、そうして愉快に働いておる、帰る日を待つているから、お父さん、みんな心配しないで待つてくださいと毎晩々々放送しておつた。それに対して政府は、その名前をキャッチして発表したかどうか、一つもしない。ほんとうに政府が向うにいる抑留者並びにその家族の真情に同情するならば、そういう人の名前でもどんどん発表して、こうこういう人がたくさんおるのだからということを、日本全体に発表すべきである。その点に対してはどうですか。
 さらに国際赤十字条約によつて、こういう捕虜の人たちが、抑留者の人たちが、日本に手紙を出しておる。中国に抑留されておる人たちでさえも手紙が来ておるということを、いろいろな委員によつてさつきから立証されております。そういうものがどんどん来ておる。だれでも母国はなつかしいものだ。そのなつかしい母国に対してどんどん手紙が来ておるに違いない。しかも東京、大阪、みんな焼野原になつてしまつて、その人たちはどこへ行つてよいかわからないでいる。そういう手紙なんかを政府は一々丹念に調べて、これを発表して、そうしてその人たちのほんとうの数を明らかに示して、それらの家族を探してやる。そういう努力をしたか、してはいない。そういうことをしないでおいて、まだ引揚げて来ない、引揚げて来ないと言つて、これを政治的に利用して、反ソ、反共の戰線に日本を引き込もうとしたならば、日本はきわめてあぶない。日本はこういうことをしたならば、亡国に立ち至るのである。世界の人口の約年数に達する八億からの人口は、今人民政府のもとにある。資本主義の国だけじやない。われわれはこれをよく認識して、よろしく政府というものは、この際国会に対してこれを明瞭に言わなければならぬ。そういうことも十分考慮しているかどうか。
○若林委員長 井之口君、あなたの質問は問題がはずれておりますから、発言をとめていただきます。
 大体通告によります発言はこれで終つたのでありますが、まだそれ以外にあるのですか。
○苅田委員 今の質問についての御返答はないのですか。その答弁について、やはりもう少し納得の行く態度でやつてもらいたい。答弁がなければ、答弁がないということを委員長から言つてもらいたい。
○若林委員長 委員長においては、ただいま質問は全然本委員会の問題外にあると思います。
○平澤政府委員 あるいは私の答弁は肯繁に当つておりまするかどうかわかりませんけれども、援護の問題については、厚生省といたしましては、先ほど外務政務次官が申されました数字を基礎として、それを対象としてやつておるということをお答え申し上げます。
○苅田委員 まず第一番にお聞きいたしたいことは、シベリア並びに中共地区以外の、外務省でつかんでおられる全部の残留者、帰つて来ない未復員者の数字につきましての資料をひとつお願いしたい。これはいつでも要求があれば出すとおつしやつていますが、南北朝鮮、特に南鮮は日本とは特殊な状態にあるので、はつきりした状態もつかめると思います。すでに先ほど申しますように、今度の朝鮮の紛争の中には、水原あたりではすでに戰死者も出ておると、国際放送でもされておるようなわけなんですから、そういう残留者の詳細な、あなた方の持つておられるだけの数字をどんどん発表していただきたいということが一つ。
 それから現在未復員者給与法、これの総額並びにそれに対する人員数、これについては先国会で発表されたと聞いておりますが、四万何千人分だと聞いておるのですが、これを各府県について、どれだけ実際未復員者給与法の援護を受けておる家族があられるかということを調査しようとすると、県庁におきましては、この数字は一切発表してはいけないという達しが来ておる、こういうので発表を拒んでおるのであります。ただいま次官も、この問題ならば、われわれ政府もやつておることだから、はつきり数字をつかんでおる、こういう御答弁があつたので、それならばなぜ各府県においてこの数字が発表されないか、私どもは理由がわからないのであります。やはりこれはもし御発表ができない理由があるとすれば、これはわれわれ国会で立てた予算について、これがどういうふうに実施されておるかということの内訳なんで、これは結局総額も発表されておるわけなんですから、この点について私は発表を拒まれる理由はないと思いますが、これについて御答弁を聞かしていただきたい。
○平澤政府委員 実は外地からの引揚げの数につきましては、従来再三具体的に皆様方に御発表申し上げておることであります。従つてそれ以後の移動はございませんから、それをもつて御了承願います。
 それから未復員者のあとの方の問題については、私はまだよく存じておりません。よくひとつ関係方面と研究いたしまして、お答えをいたします。
○池見委員 今の点は別といたしまして、私は未復員者給与法によつて現在支給されておりますところの金額につきましては、終戰後すでに五箇年をけみした今日において、いわゆる一家の柱石を失われておると言えば語弊がありますけれども、おそらくそういう状態に立ち至つておられるところのこの留守家族の人に対しましては、私は予算の措置が伴う一つのことではありますけれども、厚生省におかれては、現仕支給されておるところの金額をしてさらに増額をして、もつて私は一応この留守家族の人々の経済的な援助の一部を表現していただきたいというきわめて切なる希望を持つておりますが、この点について厚生次官の御見解を承りたい。
○平澤政府委員 この問題に対しては、実は先ほども申し上げましたが、大臣がただいまおりませんが、御希望に沿うことができるかどうかはここで断言できませんけれども、十分御意見のあるところに従つて進めて参りたい、かように思つております。
○苅田委員 ただいま厚生次官の方からその点については知らないとおつしやつたのですが、それではひとつ御趣旨に沿うではなく、各県の方では、私どもが聞けば、実際どういうわけでこの数字が発表できないのか、自分たちも理解できないと言つているわけですが、これは厚生省の方から発表していいという許可さえあれば、すぐに発表すると言つておりますから、お取調べの上すぐ発表していい、こういう許可を出していただきたい。それともそれが発表できないということであれば、どういうわけで発表できないかということについて、今御存じないということであれば、またこのことについて御答弁していただく方がなければ、この問題を次の委員会で御答弁されることをお願いしておきたいと思います。
 それから先刻佐々木委員の方からも御発言がありましたが、この委員会が実際に引揚げた方の援護のための委員会にしてもらいたいという御発言は、自由党の御発言であつたといえども、非常に私は賛成なわけです。実際引揚げて来た方が、引揚げた内地でほんとうに帰つてよかつたというような生活をしておいでにならない具体的な実情を、私ども厚生委員として東京でもしばしばいろいろな引揚寮とか、あるいは母子寮とかに行つて見ましても、あるいは上野の浮浪者のそういう人たちが集まつているところに行きましても、現に寒い年末にあの都庁ですわり込んだ浮浪者の中には、つい二三箇月前に中共地区から引揚げて来たというような復員者の方が入つておる実情ですから、どうぞこの委員会が――本日はすでに時間もございませんでしようし、あるいは関係大臣の御出席もありませんが、あと至急に理事会でも開いて、引揚援護の問題についてまとまつた委員会をしていただきますようにお願い申し上げまして、私の質問は保留しておきます。
○足立委員 私は言葉じりをとらえるわけじやありませんが、先ほど共産党の井之口委員の御発言の中に、私の聞き間違いでなければ、現在朝鮮で起つております事態について、断定的な批判的意見が含まれておつたと思います。それはどういうことかと申しますと、現在の―――――――――――――――――という断定的な意見の発表があつたと記憶しております。委員長は速記録をお調べ願います。このような発言は、現在の日本の置かれております国際情勢のもとにおきまして、日本の国会の速記録にとどめるには、はなはだ不穏当な言辞であろうかと私は考えます。これを善処されんことを希望いたします。
 なおこの機会に一言私は申し上げたいのでありますが、先ほど苅田委員その他からも御発言がありました数の問題で大分もめたのでありますが、日本政府としては、終戰当時の動員計画から推算をして出す以外に、数を判定する方法はおそらくあるまい。これを的確に把握しようとすれば、ソ連の国際道義に基く正式な通告をまつて初めて判定がなし得るのである、それが行われないということは非常に問題だろうと思うのでありまして、共産党の諸君も、人の子としていかようにお考えになつておられるか。あの帝国主義日本が武力侵略をたくましゆうしました時代においてさえも、アメリカの捕虜の実情を中立国を通じて連絡いたしておつたのであります。それが阿波丸事件になつたことは申し上げるまでもない。それにもかかわらず、正義人道を愛すると共産党が宣伝されておりますソ同盟において、なおかつ日本の捕虜の実情も死亡者もいまだに正式の通告がない。ラジオ放送ぐらいのことで、日本政府が責任をもつて発表できるものではありません。これを共産党の諸君はどのようにお考えになつているか。人の子としての良心に訴えて、共産党の諸君のお考えを聞くことができたら幸いと思います。委員長のとりはからいを願います。
○若林委員長 井之口委員の先ほどの発言について、ただいま足立委員から申出があつたのでありますが、速記録を調べまして、適当な措置を委員長においてとりはからうことにいたしたいと思います。
 なお足立君が希望しておられますが、共産党の委員諸君に対しての弁明を許します。
○井之口委員 朝鮮のことは内乱と申している。内乱が鎮定されて統一されることを希望するかどうかということを聞いている。よく互いにあげ足をとらえまして、懲罰とか何とかいうことがはやる、そういうことをやつて、日本の国の政治がつめのあかほども進みやしません。われわれはあくまでもほんとうに日本の独立を要望し、そして日本人が備えているこの真心をお互いに見てとらなければなりません。そのためにわれわれはこうしてわざわざ出て來て――大衆に投票されて、みなの信頼を受けて出て来て発言している。そういう枝葉のけちなあげ足をとつてどうこうすることは、われわれ国会議員としてなすべきことじやない、こう申し上げます。
○若林委員長 足立君よろしいですか。
○足立委員 今のは私の発言からはずれております。ソ連が発表しないのは、共産党員は何と考えているかということです。
○玉置(信)委員 先ほど井之口君の言われたのは、モスコー放送を毎晩やつておつたのに、日本政府がこれをキヤツチしてなぜ報告しないかということであつたが、これはまことに詭弁もきわまるもので、国際戰時公法によりますと、捕虜はその相手国に対して何名いるか、その氏名をみな通告しなければならぬにもかかわらず、その戰時国際公法を無視して、今日までその数と氏名をみな発表しておりません。その発表しないことを一体正当なものであるかどうかを井之口君にお伺いします。
○井之口委員 非常にいい機会を与えてくれまして、私も長々とお答えしたと思います。(「簡單でいい」と呼ぶ者あり)長い方が御理解になるだろうと思います。そこで共産党員は人間としてどう思うか、こういう御質問でありますが、共産党員こそまつたく人間らしい人間なんだ。引揚げて来て路頭に迷うような人をほつたらかしておいて、何の引揚げ促進だ。日本国内における失業問題、その他引揚げて来た人人に対する対策、こういうものを十分にしていない。これをして初めてほんとうに人間らしいと言われる。
○若林委員長 井之口君に御注意申し上げますが、あなたの言われていることは要点をはずれております。
○井之口委員 共産党員が最も人間らしい。お帰りになることを希望している。対日理事会においてのシーボルト議長の発表に対して、それが基準であるということを言つておられる。これに反対しておる連合国の一員であるソビエト同盟の発言は、どうなつておるかということを質問したのに御返事がない。
○若林委員長 井之口君に御注意申し上げますが、ただいまのあなたに対する質疑は、ラジオ放送してやつておるにもかかわらず、なぜ政府がこれをキャッチして発表しないかと詰め寄られたから、戰時国際法によつての義務をソ連が果していないのを、あなたがどう思われるのかという質問なんです。
○井之口委員 先ほど、ソビエト同盟がラジオで放送しておるというようなことは大して問題ではない、こういうふうなことを言つておられた。それが重大な問題だと思う。日本人がラジオで自分の声で発表している。これより確実な証拠がどこにある。こういう確実な証拠を握らないで、ほんとうに何にもならない。あべこべの問題だ。
○若林委員長 それではこの問題はこれをもつて打切ります。
○池見委員 私は法務関係について、警備部長さんが御出席ですからお尋ねしますが、一昨日東京都において全国の留守家族大会が行われるということは、すでに数日前より各県の団体に向つて通牒が発せられ、かつその予定をもつて一昨日東京都に参集されたと私は心得えておるのであります。その場合において、遺憾ながら集会の禁止ということのために、この家族大会が流会になつたことは、私はこの大会の性格からいたしまして、労働組合の大会であるとか、その他政治的な性格を持つ大会であるとかいうような危險性を持つ会でなくして、あくまでも同じ悲境に悲しむ、同じ環境にその苦労をともにする全国留守家族の方々のつどいであつて、これはまつたく肉親を思うところの、その切々たる全国留守家族の方々の気持を表現して、一日も早く引揚げ促進を政府に、あるいはその筋に、さらに関係方面に要請すべく、われわれが院内においてなす国内活動の一つの大きな側面的国民運動の姿として現われて来たのであります。これに対して当局がこの流会の処置をとられた、その法的根拠を私はお伺いしたいと思う。
○柏村政府委員 ただいまお尋ねの引湯げ促進運動の大会の開催につきまして、これを禁止した措置についてのお尋ねでありましたが、この点は所轄が警視庁にかかつております。警視庁におきまして先般公安条例を改正いたしまして、この公安条例に基いて、警視庁が必要と認めて禁止をいたしたのではないかと思います。ただその根拠並びにそのときの状況等については、私警視庁より詳しく状況を聞いておりませんので、もしその点について詳しい点までお調べくださるようなお考えでありますならば、警視庁の当局者にお尋ねを願いたいと思います。
○池見委員 ただいまのお話では、警視庁の公安条例に基いてそちらの方で行われた処置であるがゆえに、警備部長の方ではその点までは存じてないということになつておりますので、これ以上には追究いたさずして、その方に適当の機会に伺うことにいたします。
 われわれは日本国民の輿論を喚起し、さらにその日本国民の中の一部の留守家族の気持を表現する上におきましては、先ほど受田委員は、こういつた留守家族大会のごときは再び行われるであろうかというきわめて悲観的なお話がありましたけれども、勇を鼓してさらにこの目的の達成するまでは、私はこういつた会合は、将来法にもとらざる限り、やるべきであるということを確信しておる。その意味において私は、さらに次の機会にその法的根拠について質問いたしたいと思います。
○若林委員長 今日法務総裁出席のはずであつたのでありますが、その筋への交渉のために出て行つておるそうであります。事重大でありますから、次会にはぜひ出席願うようにいたします。
○受田委員 今の池見委員の質問につけ加えて質問したいのであります。それはこのような重大な会合を、地方の者が出発した直後において禁止するということであるならば、なぜもう少し前に手を打つてもらえなかつたかということです。すでに地方から出ておる者は多額の旅費を使い、意気込んで出ておるものを途中でとめるというようなことは、船が岸を離れ、矢が弦を離れておるものをとめることと同じことであり、非常に残酷な話である。この点について国警の方針としては、集会やデモに対する取扱いは常に余裕をもつてやられるような必要があると思う。いかに状態の急変があるとは言いながら、すでに出発した直後においてやめさせるという措置は、賢明なる文化国家のとるべき措置ではない。現に国家警察にしても、自治体警察にしても、どうも任務遂行に事欠くような点があり、共産党の幹部の諸君の動向さえも依然として行方不明という状況になつておるし、ちよつと形容しがたい状況であります。今度の集会は非常に筋の通るものだというので許していただける空気になつておつたのですが、急にこれが押えられたという点に不満を持つておるのでありますから、どうか集まられた人々が納得するようなことにしておかないと、将来に禍根を残すおそれがありますから、筋を通して、弁明の機会を与えていただくように、警視庁と御連絡をされまして、また国警も警視庁がいなくても説明ができるように、今後お願いしたいのであります。
○若林委員長 本日はこの程度で散会いたしたいと思います。
    午後五時五十一分散会