第009回国会 大蔵委員会 第7号
昭和二十五年十二月二日(土曜日)
    午前十時五十二分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 小山 長規君
   理事 奧村又十郎君 理事 西村 直己君
      淺香 忠雄君    有田 二郎君
      佐久間 徹君    島村 一郎君
      苫米地英俊君    三宅 則義君
      宮幡  靖君    内藤 友明君
      川島 金次君    米原  昶君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  西川甚五郎君
        大蔵事務官
        (主税局長)  平田敬一郎君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  舟山 正吉君
 委員外の出席者
        專  門  員 推木 文也君
        專  門  員 黒田 久太君
    ―――――――――――――
十二月二日
 特別鉱害復旧特別会計法案(内閣提出第二六
 号)
 未復員者給与法の一部を改正する法律案(内村
 清次君外十八名提出、参法第一号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
 連合審査会開会に関する件
 国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第六号)
 所得税法臨時特例法案(内閣提出第九号)
 砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一〇号)
 揮発油税法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一一号)
 物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 一七号)
 特別鉱害復旧特別会計法案(内閣提出第二六
 号)
    ―――――――――――――
○小山委員長代理 これより会議を開きます。
 所得税法臨時特例法案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案の四法律案を一括議題といたしまして、前会に引続き質疑を継続いたします。
○三宅(則)委員 私は今回の税法改正に対しまして、大蔵当局並びに議員各位の熱意によりまして、だんだんと改善せられつつある姿を見まして欣快にたえません。ことに戰時中できました物品税等についての改廃は、おそらく将来は全廃せられることと信ずるのでありますが、しかも本年度におきましても、大分改善せられたと見えるのであります。そこで根本のことを平田主税局長にひとつお尋ねいたしたいと思います。私どもは法律を審議し、その内容を検討しつつあるのでありますが、要するにこまかいことは政令によつてつくるというのが、今までの官吏の方の常套の手段であると思うのであります。もちろん、あまり細部にわたることは急速に法律化できないということになりますれば、恕すべき点もないではございませんが、むしろこうしたような根本的に改廃しようという熱意をもつてつくられた場合におきましては、施行規則と申しますか、細則に対しましても、なぜこれを御一緒にお出しにならぬのであろうか、こう思うのでありますが、しかし何か腹案を持つておられましようか。それについて平田主税局長の明快なる御答弁を得たいと思います。
○平田政府委員 物品税につきましては今お話のように細目の免税点、あるいは大きな課税品目の中で、さらにこまかい品目をどの程度取入れるかという面につきましては、従来から実は政令にゆだねて参つておりまして、私どもできる限り法律で定めるという方針には異はないのでございますけれども、細目の点になりますと、あるいは年度の途中で若干の変更を加える必要が生ずる場合もございますし、やはり大体今のような行き方で今後も参りたいというふうに考えております。そこで内容を示せという御要求、これはまことにごもつともでございまして、目下歳入に影響のないこまかい問題で、なお若干調査中のものがございます。そういうものの整備次第お手元にお配りいたすつもりでございます。内容は大体前回たしか申し上げたと考えます。免税点の細目等につきましては、その資料によりましてごらん願うように、お願いいたしておく次第であります。なお具体的に御質問がございますれば、現在考えておる腹案につきましては、御説明申し上げてもさしつかえないと存ずる次第であります。
○三宅(則)委員 今政府の誠意ある答弁でありまして、私はその一部分はたしかに了承するわけでありまして、今度の物品税改廃については、大体において当を得ていると私は断定し得られると思う。ただ二、三思いついた点でありますが、お伺いしたい点が残つておりますから、この場合資料なり、もしくは記憶に残つておりましたならば承りたいと思います。私は今度の改廃について非常によろしい点は、農作物もしくは零細の企業に対して免税せられ、廃止されたということを見まして、まことによろしいと思うのでありますが、ここにお伺いいたしたいのは零細企業の一つでありますが、紙いわゆる用紙において第一回の物品税がかかり、その製作いたしたものに対しては、また第二次的にかかつたものがたしか残つておる。こういうものはなるべくはずすという線に沿いたいというのが私の念願でありまして、たとえて申しますとアルバムであるとか、色紙短冊というようなものについても、零細な企業のものがやつておるのでありまして、業者もわずか数十軒もしくは全国において百軒以内であるということを聞いておるのであります。こういうような家庭工業、家内工業に属するようなものについては、全然はずしてよろしいと思うのであります。まだ今度の改廃には残つておるかと思うのですが、もしわかりましたならば承りたいと思います。
○平田政府委員 物品税につきましては、やはり一番ものさしになります点は、その物品が一体消費上いかなる性質を持つているかというのを、最大の中心点に置いておるのでございます。たとえば甲類に属するようなものは最も奢侈的であつて、消費者に担税力がある、こういう考え方からきめております。その他物品税課税に取入れる、取入れないということの主たるねらいは、そのような点から実は判断を加えておるのであります。ただ今御指摘のように、他方におきましては、やはり徴税技術ということもあわせて考えなければなりません。そういう点から考えますと、零細企業者が数多くいる。しかも生産の工程等が複雑でありまして、なかなか思うような把握ができないというようなものにつきましては、第二次的にそういう考慮も加えまして、はずすべきものははずすという考えにいたしております。ただしかし、たとえば甲類に属するような物品でございますと、相当課税手続が煩雑でありましても、やはり課税することにしておかないと、これは物品税として理論に反することになります。ただ課税すべきであるか、課税すべきでないか、商品自体の性質から行きましても、よほど迷うような品物につきましては、徴税技術等の点も考えて、しからばどれをはずすか、こういうようなことになるわけでありましてその辺いろいろな角度からものさしを当てはめまして、この可否の決定をいたしておるような次第でございます。今御指摘のアルバム等につきましても、いろいろ研究を加えましたが、やはりアルバムの中には相当な高級品もある。それで物品税をさらに大幅に整理するときば別でございますが、やはり免税点というようなものも大体二百円にするつもりでございますが、二百円以上は課税するということになりますと、やはりアルバム等につきましても、相当高価なものは課税するという方針に相なります。従いまして結局そういう考え方で免税点を設けまして、今申し上げましたような趣旨に即応するような改正を行つたらどうだろうか、こういう要領で物品税の可否を決定しておるということを、御了承願いたいと思う次第であります。
○三宅(則)委員 今平田局長のお話によつて大分わかつて参りました。確かにアルバムも三越等において代表的に並んでおるものは、一万円とか二万円とかいうようなものもある。相当これは海外のおみやげ品として出るものがあるのでありまして、そういうものについては当然課税が必要であろうと思います。それは賛成です。しかし中、小学校等における卒業記念のアルバムとか、あるいは採集いたしました植物の見本等をはるようなものについては、免税点は多少政府のお考えと違うかもしれませんが、二百円よりもう少し上げて三百円くらいにしてもらいたいというような希望もあるわけでありますから、とくと事務当局では御研究願いたいと思います。
 次に運動具については、御承知の通り大部分は小学校、中学校等においてもやつておることでありますから、こういうものはとる必要がないと思います。ここにも載つておりますピンポンなどは、女学校や中学校でやつておりますが、そうした零細なものもおとりになる様子であるか。これも全然なくしてしまうということであるか。もし明細なものがありましたら、承りたいと思います。
○平田政府委員 運動具につきましても、お話のような趣旨を考えまして、運動具の中で特に必要性の強いと認められる野球、庭球、ピンポン等のボール類は、今回の改正では課税品目から除外いたしたいと考えております。ただしかしスキーの用具その他の運動具は、もちろん体育ということもございますが、他方において若干の娯楽的要素もございますし、やはり今の物品税のシステムの中におきましては、課税から全部除外するのは少し行き過ぎであるという意味で、税率が一般に二割から一割に下りますので、その程度で、残余のものについては課税をする考えでございます。
○三宅(則)委員 それでは先ほどお話した、かねて主張しておりました碾茶、紅茶等も今度の大幅の削減によりまして大英断を行われるということについては、私は感謝いたします。
 次に電球でありまするが、もちろん高級な電球はけつこうでありまするが、日常使う電球はもちろんないと思いますが、ここに電球類と載つておりますので、これは相当高級なもののことをおつしやるのでしようか、その辺をお話願いたい。
○平田政府委員 お話の通り考えておりまして、普通の電球は全然税をはずしたいと考えております。
○三宅(則)委員 たいへんよくわかりました。それからこれは零細企業でありまして、かみそり、爪切り、毛拔きというよのはとる必要がないと思いますが、当然これははずしておると思います。もしこの機会にわかりましたならば、どの程度に進んでおるか、お話願いたい。
○平田政府委員 大体お話のようなものは、課税から除外する考えでございます。
○三宅(則)委員 私は物品税についての政府の努力並びに国会議員の努力に対して満足に考えておりますが、将来の基準といたしまして、通常国会において多少余裕が見られた場合においては、さらにこれに対する考慮を払われる余裕を持つておられますか。当分今のままで行くような様子でありますか。それについて平田さんのお話を願いたい。
○平田政府委員 通常国会におきましては、物品税については若干條文等の改正はあるかもしれませんが、課税、非課税、税率等につきましては、これで来年度実行いたしたい。何しろ一月から実行することでございますので、さらに四月からまたかえるということはいかがであろうかと考えております。
○三宅(則)委員 物品税に対することについては、大部分了承いたしました。なるべく今後一年くらいはかえない方針であろうかと思いますが、将来は、私どもの構想といたしましては、物品税はほとんどなくしてしまいたいというのが中心であろうと思います。一年くらい過ぎたならば、先のことはわかりませんが、政府といたしましてもそういう気持を多少持つておるか、持つてないか。将来あるといたしますれば、私は全廃いたしたいと思いますが、これに対する当局のお判断を承りたい。
○平田政府委員 物品税はなかなかめんどうな割合に收入も大したことはございませんし、業者としてもなかなか手数が多いというので、税としましてはいろいろ問題の多い税だと考えております。ただ消費税の中におきましては、酒、タバコに対する課税、砂糖などと並びまして、やはり一種のぜいたく品と申しますか、生活に必要な程度の低い品物につきまして課税のシステムを残すというのは、理論的には非常に妥当な考え方でございます。そのような意味において、今すぐこれを全廃するということに行くのはなかなか問題が多かろうと思いますが、財政需要との関連、さらに所得税の負担の軽減の程度等も考えまして、そのようなことについても将来は研究して参りたいと考えております。
○三宅(則)委員 物品税のことについては、大体今までの改廃でけつこうであると思いますから、所得税について多少申し上げたいと思います。この前の委員会におきましても質問いたしましたから、なるべくダブらない程度で申し上げたいと思います。私どもは今度の税法改正によりまして、所得税の納税者が大分減つたと思います。私の観点では大体六〇%くらいの納税者がなくなつたのではないかと思いますが、政府としては、何人くらい今まであつて、今度の改廃によつてどのくらい減じたと思つていらつしやるか。わかりましたならばお話願いたい。
○平田政府委員 納税者の数は、二十五年度の改正によりましても相当減つたわけでございます。今度の改正は、本年度といたしましては年の中途でございますし、申告所得税にはほとんど影響はないわけであります。勤労所得税には影響があるわけでございますが、来年度の予算と伴いまして、本格的に改正いたします際に、適確な資料をつくつて申し上げた方がよかろうと思います。一番納税者の多かつた昭和二十四年度は、私ども日本の税の負担が一番多かつた年だと見ております。従つて所得税も一番重かつたと考えておりますが、このときに比べまして相当減るようであります。昭和二十四年度の納税者は、勤労所得税の納税者千二百四十二万一千人、それに対しまして今年の補正予算で最終的に納税者になるだろうという見込の者が千百四十八万人、これは先般川島委員にお答えした通りでありますが、来年度は、今の税法を当てはめますと、これからさらに一割強減るのではないか、百万以上減少するのではないかと見ております。それから申告所得税の納税者が昭和二十四年度は七百五十六万人ですが、今年は農民等の大幅の納税者減がありまして、その結果大体五百三十七万七千人程度になりますから、二十四年度に比べまして本年度は二百二、三十万人の納税者の減少という見込みを立てております。来年度改正によりまして、さらにこの人間が二割近く減るのではないかと見ておりますが、そういうものの正確な計算につきましては、来年度の税制改正並びに見積額がきまりました上で、御説明申し上げたいと考えております。
○三宅(則)委員 実は一昨日でありましたか、公聽会の際に、所得税法の改正等につきまして公述人の陳述を聞いたわけであります。日本橋の税務署長の梅津勘藏君などがここに出て参りまして、もちろん当局でありますから、税の改廃はまことにけつこうであるという趣旨を陳述いたしました。私は、第一線の税務署長が、苦情処理とか審査請求とか再調査等に対しては、末端の係官等にまかせることなく、署長、課長が第一線に乗り出して苦情を解決したらよかろうということを申しましたところ、幸いに署長は、私に第一線に立つて難問題は解決いたしますという趣旨のことを答弁しておりました。平田さんも国税局もしくは国税庁の係官等に指示なさいます場合には、どうか係官が第一線に立つように、むしろ課長とか署長というものが第一線に立ちまして、これを解決した方が早く行くのではないかと思いますが、平田さんはどういうふうに考えておりますか、承りたいと思います。
○平田政府委員 お話の点はもつともでございまして、納税者にできるだけ直接署長等が接触いたしまして、解決をはかるという方向に行くべきことは当然のことであります。そのようなことによつて問題が解決できる場合が相当多いだろうということを、私も考えるわけでございまして、まつたく同感でございます。
○三宅(則)委員 今平田局長のお話の通りです。難問題に限つて署長なり課長なりが第一線に立つ、この趣旨を徹底していただきたいと思います。
 次に申し上げたいことは、近ごろ法人会あるいは青色申告会というものが各税務署にできつつあります。もちろん法律ではありませんが、ある意味において納税を促進するためによろしいという線もありますが、場合によりますとボス的な存在が相当残りはしないかと思うのでありますが、これに対しまして当局はどういうふうに考えておりますか、ちよつと承りたいと思います。
○平田政府委員 今の問題は先日三宅さんにお答えしたようでありますが、これはやはり当局の通牒等の内容を徹底させ、その他納税者の全般的な意見を聞く意味におきましても、非常にいいのではないかと思います。
○三宅(則)委員 そこで税務当局に申し上げるのでありますが、青色申告会もしくは法人会等については、法律ではないわけでありまして、任意にやつておるのであります。たしかにそれを伝達することについてうまくやりますならばけつこうでありまするが、前の所得税調査員の復活というようなことを私ども一応考えたのであります。この前も質問いたしたのでありますが、当分はそれを考えないと仰せになりましたが、やはり資料なり参考の文献等につきましては、業種あるいはそういう団体の資料をおとりになることはけつこうであると思いますから、どうか末端に至りましてはボス的な存在にならぬようにして、しかもまたこれが政府の意思を徹底できまするように、運用の妙を期することが必要であると思います。それでむしろこれを法律化したらどうかと思いますが、それについて構想がありましたら承りたい。
○平田政府委員 この問題はたびたび前の議会から申し上げた通りでありまして、方針は変更いたしておりません。
○三宅(則)委員 それではよくわかりました。さらにもう一、二点を追加して申し上げたいのですが、地方におきましては税額を決定する上において、昨年の所得に対して地方税がかかるように税法ができておりまして、これは改廃したらよかろうという陳情があるのです。シヤウプ勧告には昨年の税額によつてきめることになつておりますが、これは非常に困るという陳情を私はたくさん受けているのですが、政府の方ではこれについてどういうように考えておられますか承りたい。
○平田政府委員 市町村民税の課税標準の問題でありますが、第二次勧告では、場合によつては源泉課税を認めたり、あるいは所得税式の課税方式を認めてやりたいという市町村があれば、その余地を残したらいいという勧告をもらつております。これにつきましては目下研究中であります。なかなか当年度課税というのは御承知の通りむづかしい問題でありまして、市町村が所得税と同じような方式に一緒に乘つかつてよく消化し得るかどうか、私は非常に疑問があると思うのであります。今は御承知の通り国税できまつたあとを追つかけて、そして若干補正する余地を残しておりますが、所得税式、予算課税式徴税方法をとりまして、はたして、うまくやれるかどうか、これはなかなかよさそうで、また技術的に問題がありまして簡單でないのであります。しかしそういうことにつきましてはもつともな場合もございますので、一応研究してみたいと思います。
○三宅(則)委員 もう一点、町村によりましては郵便局の配達人であるとか、局員であるとか、あるいは小学校の先生であるとか、農業協同組合に勤めている勤人が、村で一番の地方税を納めるかしらになつておる。そして従来村で二、三番の人が十数番くらいに落ちているというわけで非常に矛盾が多いので、これは国税と地方税に関係のあります平田さんなり、あるいは財務委員会等と御研究の上で、どうしても次の国会には出してもらいたいという希望を持つておるのですが、もう一つこれに対する構想を承りたい。
○平田政府委員 勤労所得者も営業者も農家も、みんな前年度の成績に課税しておりますので、負担に不公平があつたとすれば、所得の把握が不十分な結果ではなかつたかと考えるのであります。従いましてそういう点につきましては、むしろ市町村民税の課税を契機にいたしまして、大いに公平に所得の課税ができるように、市町村と税務署が協力してやつたらいいと思います。しかしこれは所得税でありますから、資産には応じません。資産に応じて納めるのは今度の固定資産税であります。従来の住民税は資産割と所得割の両方が加わつておりましたが、これが今度はつきりと固定資産税と住民税とにわかれて参つたのでございます。従いまして勤労者の所得が現実に多ければ、財産はなくとも市町村民税はよけいに納めるのは当然であります。そのかわり土地家屋等を持つております人につきましては、固定資産税がかかつて来るということで、市町村民税と固定資産税との関係で考えていただきたいと思います。
○三宅(則)委員 まだあと質問したいことがたくさんあるのですが、ほかに御発言があるようですから、本日はこの程度にして次会に讓ります。
    〔小山委員長代理退席、西村(直)委員長代理着席)
    ―――――――――――――
○西村(直)委員長代理 次に国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでに昨日の委員会におきまして質疑終了となつておりますので、本案を議題といたしまして討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。小山長規君。
○小山委員 私は自由党を代表いたしましてただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案については、賛成の意を表するものであります。
 国民金融公庫の資金は、零細なる国民大衆の生業資金として融資せられておるのでありますが、すでに第七国会において増資いたしました分につきましては、政府当局の説明によりますと、九月においてすでに資金枯渇の状態になつておりまして、一日も早く資金の分量の増加ということは、国民大衆の熱烈な希望であるのであります。そこでただいま提案になりましたように、本年度の分としまして、とりあえず十億円を増資しようというのが本案であります。聞くところによりますと、さらに来年度においては二十億の増資をなし、また預金部資金の借入れ等を行いまして、相当金額の国民大衆のために貸与する資金源をつくりたいというのが、政府当局の意向のようであります。この資金の分量等については、われわれにおいてもいささか足りないというような感じを持ちますけれども、本法律案に関しまする限りは、一日も早くこれらの法案が成立いたしまして、国民大衆が熱望しておりますところの零細企業資金が、国民の間に一日も早く融資せられるように促進したいというその熱意におきまして、賛成するにやぶさかでないのであります。
 以上をもちまして賛成の討論といたします。
○西村(直)委員長代理 内藤友明君。
○内藤(友)委員 本案に対しまして、條件付で賛成いたします。
 條件の第一は、さらに、この資本金をふやすこと、第二は、政府は農林漁業に対する金融措置をほんとうにやること、この條件を付しまして賛成いたします。
○西村(直)委員長代理 川島金次君。
○川島委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本案につき政府に対して強い要望を付しまして賛成いたしたいと思います。
 昨今における国民経済の実情からいたしまして、ことに中小庶民金融の重要性が一段と加わつて参りましたとき、少くとも政府は積極的にその金融対策を講ずべきであると私どもは考えておるのであります。このときにあたつて、この国民金融公庫法の一部を改正して増資をいたすという意図は、了とするものでありますが、その増資たるやわずかに十億、総額四十億という資本金にしかすぎない。かくのごとき僅少なる資本をもつていたしましては、現実に当面いたしておりまする一般庶民層の深刻な金融難に対処することは、まつたく不可能と言つてもいいくらいな事情であるのであります。ことに政府は、国民大衆から吸い上げておりまする預金部等にも、相当大幅な余裕金があるにもかかわらず、この蓄積された資金を大衆のために使わせるという考えを持たないということなどは、われわれの承服しがたいところであるのであります。本来は、われわれはまず本金庫の資本金を百五十億に改め、この資本金は政府が全額を出資するものとし、財政事情の許す限りにおいては、その払込額が資本金の全額に達するよう予算措置を講じなければならないという、一種の拘束的な改正案を出して、すみやかにこの困難な金融難打開の方策を立てるべきであるという考え方を持つておつたのでありまするが、不幸にいたしまして時間的に間に合いませんので、残念ながらこの改正案を出すことを一時保留するのやむなきに至つた次第であります。政府はよろしく現在の国民経済の実相に即応いたしまして、少くとも明年度の新しき予算におきましては、さらに本金庫の大幅な資金増額を断行すべきであるということを、強く要望する次第であります。
 次に要望しておきたいことは、先般も委員会の席上で一応申し上げておいたのでありますが、借入れの際に、本来ならばすえ置き期間というものが措置としてはあり得るのでありますが、実際にはこれが適用されておらないで、借受人はその翌月からいやおうなしにただちに月賦償還に応じなければならないという形になつておる。これは金融公庫の設立の趣旨、また金融公庫の金を借入れまする側の経済実情に即しまして、まことに合理的ではない形であると私どもは信じております。せつかくすえ置き期間の措置があるのでございまするから、実際に即してできるだけ適用し、借受人の便に供し、かつまた貸金の回收にも円滑をはかるという二つの建前を推進してもらいたいということと、第三には、この公庫の金利が、全般的な今日の金利傾向からいたしまして、若干高いという感じがいたしますので、この金利問題も、来るべき新年度におきましては、政府はすみやかに新たなる検討を遂げて出直してもらいたい。以上三つを強く要望いたしまして、本案に賛成いたすものであります。
○西村(直)委員長代理 米原昶君。
○米原委員 私は日本共産党を代表しまして、政府に対し三つの條件をつけまして、本案に賛成するものであります。
 中小企業が非常な金融難に陷つている現在、非常にわずかでこれだけではとうてい解決できる問題ではないけれども、少くともこの年末にあたつて十億でも増加するということ、そしてこの国民金融公庫が庶民金融の面で若干の実績をあげているという点において、われわれはこれに賛成するにやぶさかでないのであります。ただ、本法案の質疑の経過からわれわれが感じました点について、三つほどの強い要望を條件として付したいと思うのであります。
 第一は、政府委員の説明でも、全国各地の支所が大体各府県にできるような状態になつて来たという話でありましたが、まだ各府県の郡市にそういう取扱所が拡充されるまでに至つていないという点で、少くとも各府県一つの支所を確立すること、それから各郡市に取扱所を置くこと、これを急速に拡充してもらいたい。これが第一の希望條件であります。
 第二に資金の点でありますが、ただいま川島君からも指摘がありましたように、少くとも百五十億円以上、これをできるだけ早く拡充するようにしていただきたい。
 第三に、これは昨日の質疑でもわが党の竹村議員が指摘されましたときに、政府委員からもその点を了承されたのでありますが、少くとも貸付から月賦償還期までの期間を最低六箇月のすえ置きとすること、こういう條件をできるだけ早く実現されるように要望しまして、本案に賛成するものであります。
○西村(直)委員長代理 討論は終局いたしました。
 次に本案を採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立をお願いいたします。
    〔総員起立〕
○西村(直)委員長代理 起立総員。よつて本案は原案の通り可決されました。
 なお本案に関する報告書作成及び提出の件につきましては、委員長に御一任を願いたいと思います。
    ―――――――――――――
○西村(直)委員長代理 さらに所得税法臨時特例法案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案、及び物品税法の一部を改正する法律案の四法律案を一括議題といたしまして、前回に引続き質疑を継続いたします。
○小山委員 物品税の今度の改正につきましては、法案並びにこの法案の提出説明を見ましても、非常にすつきりした形になつておると思うのでありますが、ただ一点、これは国民大衆がおそらく聞かんとするところであろうと思うのでありますけれども、紙の課税を廃止せられなかつた理由についてお伺いいたしたいのであります。
○平田政府委員 紙を非課税にするかしないかにつきましては、いろいろの角度から検討いたしたのでありますが、何しろ紙は物品税の収入のうちの一番大きな収入を占めておりまして、これをはずすかはずさないかは、実は相当全体の収入に影響があるのでございます。従いまして私ども財政収入さえ許せば、紙ははずしたいという希望は持つているわけでございますが、来年度の予算に関連いたしましても、なお租税収入としましては、一方で減税しつつ他方におきましては相当収入を期待するというような事情もございまして、今回は税率を五%程度に引下げまして存置するという方が、全体の見地から考えましていいだろうという考え方で、このような案にいたしたような次第でございます。一割で存置するのはいかにもこのほかの物品と公平を失しますので、五分程度の課税でございますれば妥当じやないか。それからもうひとつ考えますと、用紙の方は相当生産もふえつつありますし、しかも売れ行きも増加しつつあるのでございまして、はたして紙を全廃いたしまして値段が完全に下るか下らないか。その辺のところにつきましても、若干の危惧があるわけでございまして、せつかく物品税は全部はずしたが、紙の値段は下らないということになりましたのでは、これはまた物品税の本旨に一致した結果にも相なりませんので、まずこの程度の改正を行いましたのが、今の段階の紙界の実情等に照しまして妥当ではないか、こういう点もあわせ織り込みまして、原案のような改正にいたした次第でございます。
○小山委員 ただいまの説明で了承いたしました。
 次に今年度補正予算については八億一千万の減収を見ておるのでありますが、来年度は、この説明に書いてある通りに、従来の百七十二億よりもさらに百二億の減収になる、こういうふうにこの説明は読むのでありますか。それとも百二億円の減税になるというのは、相当な増収を見込んでのものでありまして、この減税の結果において百二億の減収になるというのか。どうもわからないかもしれませんが、本年度の予算における百七十二億が百二億減るのか、あるいはそうでなくて、いわゆる税法上の減税であるのかその辺の説明をお願いいたします。
○平田政府委員 最近の物品の生産の状況、売れ行きの状況等を考えまして、来年度はある程度自然増収が出ると思いますが、そういうものに比べましての数字でございます。
○小山委員 まだおわかりにならないかもしれませんが、来年度は物品税をどの程度に見ておいでになりますか。
○平田政府委員 まだ正確な数字はきめていないのでございます。大体今の税法で見ますと百億くらいは減るだろうと、ごく概数として御参考までに申し上げておきますことを御了承願いたいと思います。
○米原委員 私が最初にお尋ねしたいのは、今度の税制改革で、昨年の臨時国会でも同じようなことが問題になつたのでありますが、税法上は減税になつていて、実際上は税金がふえている。これについてはいろいろの意見は別としまして、いわゆる自然増というものが相当多く出ているわけであります。税制を改正すれば六十八億円ほどの自然増が見込まれるということになつているようでありますが、いわゆる自然増の根拠を少し説明していただきたいと思います。
○平田政府委員 最近お手元に補正予算の説明としまして、相当詳細な説明を実はお配りいたしておるわけでございます。これを一々御説明すればわかるわけでございますが、そのうちおもな点だけを申し上げたいと思います。
 大体この前も申し上げましたように、当初予算は昨年の九月水準、実は九月の賃金物価等の水準を予定しまして編成いたしわけでございます。その後いろいろな情勢の変化等もございましたので、今回の見込みは最近の状況をもとにしまして計算をいたしております。しこうしてふえるものはふやす、減るものは減らす。それで勤労所得税、法人税は相当増収になつておりまするが、申告所得税は三百三十億の減収を立てており、再評価税等の実績が明らかになりましたので、減る分は減らすということで、この分も九十七億程度減を立てております。そうして全体といたしまして、彼此比べますと六十八億円程度の自然増収が出て来る、こういう計算にいたしたのでございます。そうしまして増収を出している問題は、勤労所得税と法人税でございますが、これは予算説明にも説明いたしておりますように、すべて最近までの課税実績をもとにして計算いたしておるのであります。つまり勤労所得税でございますと、本年の四月から十月までの収入実績が、すでに六百二十三億一千百万円ほど国庫に現実に入つて来ております。今後どういうふうに入つて来るかを少し見込んだわけでありまして、その見込み方といたしまして、これはなるべく最近の実績をもとにした方がいいだろうというので、まず一月分の収入額を幾らに見るかという計算をしてみました。その際に大体やはり八月から十月までの平均額をとつた方がいいのじやないかというので、その月平均額が百一億六千七百万円になつておるのであります。これを、あと五箇月ございますので、五を乘じまして五百八億三千五百万円をまず見る。そのほかに――八月から十月までは賞与のない月でございますから、年末の賞与の分を加算する。その額を一月分の四七・四%、これは前年の実績等に応じまして見積ります。すなわち四十八億千九百万円、それからいつもございますように、翌年度になりましてから、前年の分が整理期間中に入つて来る収入がございます。会計年度が四月まででございますので、四月に入つて来る分を二十五億四千二百万円、これをプラスしました。さらに今度公務員の給与ベースの改正で増がございます。その増、年末給与の分が二十億九千三百万、給与の引上げ分が来年の一月から三月までの分としまして十三億四千万円、合せまして三十四億三千三百万円、この数字をさらにプラスいたしました。そうして出て来ました数字が千二百三十九億四千七百万円でございます。さようにいたしまして、増收の見方は、私どもしごく最近までの事実に基きまして見積つておるわけでございまして、これは当然のことでございます。参考までに申し上げますが、昨年の九月に比べまして、ことしの九月の全産業の名目賃金は一割七分増加いたしております。裏から申し上げますと、そのような賃金、給与の増加がこのような実績の増となつて現われて来ているのじやないかと見ているわけでございますが、今回は年度の途中でもございますので、最近までの実績をもとにしまして、できる限り見積りの的確を期するために、このような計算方法を採用したようなわけでございます。それに対しまして、今回の所得税法の改正案を当てはめますと、二・二五箇月分であります。一般給与二箇月分、すなわち一月及び二月分、歳入は三月分は翌年度に影響しますので、民間企業の分は二箇月分、役所の方は俸給支払い後ただちに納めることになつておりまして、三箇月分に響くわけであります。それを平均しまして、二・二五箇月分と見ておりますのが、先般申し上げました年減税額三百億の二・二五箇月分でありまして、それが五十六億三千百万円となり、これの減税による額を見込んで、差引補正予算に計上したわけであります。従いまして給与所得税に関する限りは、相当確実であるということを確信いたしております。
 それから法人税につきましては、最初当初予算では三百八十六億円見込んでいたのでありますが、それも最近までの実績に基きまして、百八十六億円の増収を出しまして、五百七十二億七千八百万円と見込んでおります。これもすべて最近までの実績を基本にいたしております。すなわちことしの四月から十月までの実績が二百九十九億七千四百万円ほどすでに入つており、この実績に基いて今後幾ら入るだろうということを見たわけであります。法人税は月によつていろいろ異動がありますので、毎月の平均を最近の状況で出すわけには参りませんから、前一箇年に入つた法人税の総収入に対しまして、四月から十月までに入つた額は、前年度の何割であつたかという数字を押えたわけであります。その数字を押えますと、昨年の法人税の全体の収入に対しまして、昨年の十月までに入りました分が四一・七%になつております。従いまして十一月以後に入つて来る分は、一〇〇から四一・七を差引いた五八・三%下期に入るという計算になるわけでございますが、ただ最近非常に申告の成績がよくなつております。また昨年は下期に大分更正決定でふえた分等がございますので、その分は若干下期に入る分を割引した方がいいのではないかというので、それを一割一分差引きまして下期に入つて来る分が五三・七%と抑えたのであります。すなわち昨年に比べまして、その額を出ますと、三百四十六億七千七百万円入つて来ることになります。それを單純に合計しますと、六百四十六億円ぐらいになるのであります。これに税法改正の関係を織り込みましたわけでありまして、すなわち、ことしの上期には起務所得税はまだ相当入つておりますので、その分を約一〇%と見込みまして、三十四億円を見込みました。さらに再評価をやりまして、減価償却費がふえ、それで減る分がございます。その分も上期にはほとんど影響がなく、下期でございますので、その分を三十九億円差引きまして、それで出て来ました数字が五百七十二億七千八百万円という数字でございます。従いまして法人税の収入見込も相当確実で、むしろ最近の九月の決算状況等を見ますと、私どもとしては自信たつぷりでございまして、法人税は大丈夫だと考えております。
 それから問題は申告所得税でありますが、これは当初予算千五百三億五千百万円に対しまして、三百三十二億円の減収を見ております。これは幸いにしまして、本年度から予定申告は前年の実績基準で申告するようになりましたので、予定申告で前年実績で申告すべき額というものは比較的はつきりしたものが出て参つたわけであります。それをもとにしまして計算いたしたのであります。昨年をもとにしますと、今年度については税法の大改革がありますので、いろいろ推定が入つて来ますので、改正後の税法を当てはめました。昨年の実績を基準にした本年の予定申告の実績額については、十一月の農業の分は若干の見積りをしておりますが、大体実績に基きまして、その額をスタートにして計算したのであります。こうして計算しました場合に、農業におきましては生産が前年度二%、物価が、マル公の引上げによつて一六・六%、米の公定価格は二割強上る見込みでございます。また野菜等の値下り等の関係もございまして、平均いたしまして一六・六%、それを合せたものが一八・九%、これだけが前年実績をもとにしましたのに対して、今年の農業所得はふえることになるという計算をいたしたわけでございます。それから営業所得については、生産が最近の状況にかんがみまして、前年に比べまして一五・四%ふえます。それから物価は、これは消費者物価指数等は御承知の通り昨年に比べましてあまり上つておりません。しかし生産財物価指数が上つておりますので、両者を加えまして〇・四、大体前年平均と同じでございます。今年一年の物価平均から見て、営業者の所得については一割五分九厘の増になるのであります。税法改正によつて申告成績も大分よくなり、役所の能率もふえますし、御承知の通り営業所得におきまして、捕捉に不十分な点がございましたことは御指摘の通りでございまして、そういう点を八%見込みまして、二割五分二厘の増加を営業者については見ております。その他のものについてもそれぞれ考慮いたしまして、申告所得は全体として二割一分一厘の所得の増となり、それで計算して当てはめてみますと、千百九十四億円の税金額が今年の賦課見込みとなるのであります。それに対しまして本年度中に入つて来る分を七五%と押えまして、本年度の申告所得税は従いまして八百九十五億五千二百万円、このように見込んでおるわけでございます。それに過年度分の滯納から入るものが二百七十五億五千六百万円、これは当初予算の見込みと同額でございます。それを合せたものが千百七十一億八百万円、こういう数字になるのであります。当初予算と違いますのは、先般も申しましたように、今度は税務署で誤謬訂正をした後の前年実績が、予定申告に表われておるわけであります。従いまして正味のところを押えたわけであります。今までは当初決定をもとにして、それに所得の増等を適用いたしまして、それでこの当年度に幾ら入つて来るか。徴収歩合でその辺のところをしんしやくする目安にしておいたのでありますが、今回ははつきりした所得がありますので、それをもとにして計算したものであり、その辺のところが当初予算の見積りに比べまして、かわつて来ておる大きな理由であります。その原因は税法の改正に際しまして、いろいろこまかく見込んだわけでありますが、合算等の廃止による影響が、私どもの見方よりも農業、小営業者等において大きかつた点もあるようでございます。でありますけれども、いずれもそういう点は予定申告をもとにしましたが、全部今度の改正を織り込んだものを基本にしています。そういう意味で今までよりもスタートがより確実なものを基礎にしておるという意味で、今回の方が今までよりも確実な見積りになるのではないかと、このように存じております。問題は決定見込額の七五%が入つて来るか来ないかという問題であります。最近の経済情勢は若干好転を示しておりますので、私どもとしてはこの程度の収入を申告所得税から期待しますのは、妥当ではないかというように考えておる次第でございます。
○奧村委員 ただいまの申告納税の税収見込みについて、徴収歩合が総合して七五%であつて、これは確実である。この御説明としては、本年度は特に誤謬訂正などの内容にかたいところを見込んでおる、こういう御説明でありますが、昭和二十四年度の徴収歩合は六三%であります。今の見込みは七五%で、一二%よけいに見込んでおる、誤謬訂正は見てあるという御説明でありますが、この予算の見積りの中には私は見てないと思う。なぜならば、申告所得税の今度の見積りの基本は七月の予定申告であります。七月予定申告というものは、昨年の税務署の更正決定を一応土台にして申告をさせておるのであります。これに対しては減額承認の制度はありますが、これは申請者のほとんど二割程度しか認めていない。従つていよいよ確定申告の際には、一端申告は出してありましても、相当問題がある。それだけでなしに、その上に生産物価その他の増収を見込んでおる。これが二一%見込んである。この二一%の中には、相当更正決定があるだろうと思う。この更正決定の徴収歩合は非常に悪い。昭和二十四年度では三割程度しか入つていない。このことを考えると、ただいま誤謬訂正は見ておるとおつしやるが、どうも私たちは誤謬訂正を見ておるように理解できないのであります。その点もう一度伺いたいと思います。
○平田政府委員 予定申告の課税の基礎になりました所得金額というものは、二十四年度の当初決定額から、その後審査の請求が出まして、誤謬訂正をしたあとの二十四年分の所得金額が基礎になつておるのであります。もちろん審査請求者のうち若干――たとえば大阪局のように少し書類が遅れておるところがありまして、これはお話の通に若干問題がありますが、ほとんど大部分のものにつきましては、審査処理後の二十四年度の課税決定額が予定申告の基礎になつております。それをもとといたしまして算定いたしております。今までは二十四年度の当初決定を実はもとにしまして、算定いたしていたわけであります。今年も正確に申しますと、当初決定では総税額千九百億強ということになつております。それが予定申告の基礎になりました当時の訂正後の所得税額は、千七百億弱であつたのであります。千九百億を基礎にいたしますと、お話の通り徴収の歩合等につきましても、七五%見るのがいいかどうか、そこに問題が出て来るだろうと思うのでありますが、千七百億、これは前年度の税額千七百億に相当した課税基礎をもとにして計算いたしておりますので、本年度としては七五%は妥当じやないか。またこの程度は入つて来なければ、勤労所得者との負担のバランスもはかり得ない。国税庁におきましても調査の的確を期しまして、一方においては申告調査も極力上げまして、それによつて納税の促進をはかると同時に、先般から申し上げております営業者等につきましても、三割ないし四割の実額調査を励行いたしまして、更正決定後の紛糾を少くすると同時に、決定した税額は確実に入るように勉強いたしておる次第であります。その点を考えあわせますと、今後さらに物価等が下落したり、著しくデフレ的な現象を生じない限りにおいては、私どもはこの程度が妥当やないか、このように考えております。
○奧村委員 少し私は満足できない点があると思うのであります。この御説明では、七月予定申告には誤謬訂正は相当見ておる。千九百億を千七百億に二百億落しておる分でやつておるのだ、こういうことでありますが、実際は私はそうはならぬと思います。と申しますのは、七月予定申告は六月十五日限りで減額承認を認めておるのでありますから、それ以後の減額承認は認めていない。それから七月三十一日限りでありますが、七月三十一日までに誤謬訂正は全部私は出盡しておるとは思えない。現在滯納四百億余りの中にまだあるのじやないか。税務当局では審査は済んでおると言われますが、現実には税金が入つておらない。現実に税金が入つておらないということは、審査が済んでも納税者が納得しておらないという事実が多い。そういうことの議論のよしあしは別として、現実に徴収歩合が上るか上らないかという議論になれば、誤謬訂正は十分に見積られておらないということに、私は結論づけられると思います。しかも二割以内の減収ならば、これは原則として前年度の実績で行こう、こういうことでありますが、確定申告においては、二割以内の減収というものは相当現われて来ると思う。ところが生産物価その他増収になる率は相当ここで見込んでおられるが、減収の率というものはここに一つも見込んでいない。この意味で私はそこに相当余分に見られた分があるように考えられます。
○平田政府委員 今の点は、確かにお話のような要素があることは、私どもも否認するものではありません。すなわち予定申告になりました基本の中に、まだ審査が未決でありまして、その後減つたものもあると思います。しかしその額は全体からいたしますとわずかだ。もちろん人によつては、なおいまだ審査が決定していない納税者もございますが、大体におきましては予定申告まで処理いたしております。数から申し、あるいは総税額に響くものとしては、ほとんど大部分は済んでいる。ただ大阪局において大分残つておるところがあるように聞いておりますが、これは若干あることは確かにあるのであります。問題は額の問題で、額の問題につきましては、私どもはそれほど大きな額ではないと思う。大体は予定申告できまつた税額が前年度の最終課税額に近いと、かように考えております。なおそれに関連いたしまして、こういう点もあるのであります。と申しますのは、個人におきまして調査に少し時日を要したために、その後におきまして調査した結果、申告に対してふえているものも相当あるのでございます。そういうものもございまするし、今お話のような未決のものも若干ございますが、概して申し上げますれば、私が最初申し上げたようなことを申すことができるということを、御了承願いたい次第でございます。詳細な点はこまかい数字に分折してみないと御納得できないかと思いますが、私どもがデータを集めまして判断いたしました結果は、さようなことになつております。
○米原委員 局長の説明で大体わかるのですが、一点ちよつと不可解に感ずる点があります。法人税の昨年度の四月から十月までの実績が四一・七%ですか、それをもとにして十一月以後が五八・三%入る、こういう計算が一つの要素になつておるようでありますが、今年は六月未に起りました朝鮮事変の影響を受けて、相当特需景気というものが起つているわけです。先日の公聽会で公述人の一部の方からもそういう点の指摘がありましたが、相当大きな利潤を上げている。ところによると、前年の三月、四月までと比べて四十倍も利潤を上げているところがあるという例を、この前話されたようでありますが、相当これは大きなものであると思う。ところが四月から十月までが、前年は大体四一・七%入つておるので、今年も同じ割合でこれを計算したということは、増収をむしろ少く見積つておると考えなければならない。この点が一つ疑問なのですが、伺いたいと思います。
○平田政府委員 その点は先ほど申し上げましたように、昨年は実際におきまして、年度末ごろに更正決定の未決を相当処理いたしまして、大分よけいに入つて来たような事情もあるのでございます。お話のような見方は、まことにそういう見方も有力な見方としてあると思いますが、しからば今の段階でどの程度ふくらましたらいいか。これはなかなかむずかしい問題でございますので、私どもといたしましては、一応今までの実績をもとにいたしまして、なるべく的確な見積りをしよう、こういう意味で法人税の見積りをした次第であります。今年の九月の決算等の状況を見ますと、相当これでもまだ内輪の見積りになると思いますが、これは今後の推移を見なければわかりません。しかし法人税に関する限りは、一般に水ぶくれというお話でございますけれども、そんなことは絶対にない、こんなふうに考えておる次第であります。
○米原委員 そうしますと、その特需景気の影響というものは、今後出て来るかもしれないけれども、一応現在のところこの程度で計算しておるということになるようでありまして、あまりその影響というものを考えておらないように逆に見えるのですが、そうしますと、これについて聞いておきたいのは、今度の補正予算が出るにあたりまして、新聞、雑誌なんかに、相当以前からその内容の一部が伝えられておつたわけです。その当時の新聞雑誌を見ますと、政府の原案では自然増収は確かに二十五億くらいしか見積つてなかつた。ところがそれがドツジ氏が来られましてから急に六十八億になつて来た、この点非常に不可解にわれわれは感じておるわけです。こういう点について、どういうわけで突然二十五億が六十八億にふくれて来たかという点を、さらに説明願いたいわけです。
○平田政府委員 今米原さんは二十五億と六十八億というようにおつしやいましたが、元と比較していただきたいのです。と申しますのは、税収の全額が四百四十六億なんです。それに対しまして最初は経済情勢の見通し等もつきがたかつたものですから、大体給与ベースの改訂に伴うはね返りの関係、これは少くとも増収を見てもいいだろうというので、二十五億程度と実は見ていたのでございますが、それに対しまして、今申しましたように、十月までの課税の実績が明らかになりましたので、それを若干織り込んだわけでございます。織り込んだ結果、六十八億程度の増収を見込み得るということになつたわけでございますが、これはいずれも四千四百四十六億に対しまして、六十八億の増収であり、最初は二十五億の増収を見ていたということでございますから、これは本年度に関しましては、若干増収いたしましたが、これはほとんど差から申しますると、それほどの差ではない、このように見ております。来年度になりますと、これは全期間になりますので、相当影響が出て来るのではないか、このように見ておる次第であります。従いまして二十五億、六十八億という比較にあらずして、四千四百四十六億に対して、一体幾らの増収を見積つておるかということで御判定願いたいと考える次第でございます。
○米原委員 一応そういう説明も成立つでしようが、そうしますとその二十五億最初に見積られたというのは、大体八月ないし九月ごろまでの実績の計算で、そうなつたというのでございましようか。
○平田政府委員 お話の通り、大体九月に政府の一応の案をつくつたわけでございますが、課税実績がはつきり出て来ましたのは七月ないし八月ごろでございます。その当時の事績に照しまして、その当時といたしましては、全体としてはことしも収入はあまり増減がないという数字が、いろいろ検討いたしまして出て参りました。ただ給与の改訂等に伴いまして出て来る分を増収と見たらどうかというので、二十五億の増収を見積つた次第であります。
○宮幡委員 税法が提案されましてから、最初に総括的な質問を少々やらしていただいたわけでありますが、すでに各委員の質問も相当進みまして、もう尋ねるところはないではなかろうか、こういう段階まで進んで参つたのであります。そこで当面の法律案の数字とか、あるいは字句とかいうことを少々離れまして、総括的な税の建前について、当大蔵委員会として一応考えておかなければならない点を二、三お伺いいたします。
 すでに昨日大蔵大臣が出て参りまして、またその他の機会におきましても、あらゆる意味において日本の資本の蓄積ということを強調せられております。その一つの蓄積の方法として、企業への蓄積、こういうことが言い得ると思います。その資本の蓄積を法人税の面で見ますると、先般舟山銀行局長の答弁の中にも、資本の蓄積の具体的な問題は、ほとんど税の問題に関連しておる、こういうようなことの説明がありました。これはごもつともだと私も思つておりますが、そういたしますと、法人税の税率を引下げることにまさつたことはありませんが、他の方法で、もう少し資本の蓄積を実行化する上におきましての考慮が、税制の上で考られなければならないと思うのであります。この税率を安くするという問題は、これはわかり切つておりますから、少し離れてほかの方から考えますと、大体現在の国税の体系と地方税の体系とをながめますると、まつたく相反するような思想が流れておるのであります。国税におきましては、御承知のようにやはり所得のあるところに課税する、あるいは応能提供の原理と申しますか、とにかく所得のある者に課税するのだという一貫した形がまだ残つておりますが、地方税に至りますと、顯著な例は固定資産税が一種の財産税的な性格を帶びておる。附加価値税及び住民税の均等割におきましては、これは所得のあるとなしとにかかわらず、あるいは社会連帶説とでも申しますか、住民である以上は、また課税物件を持つておる以上は、收益があるといなとにかかわらず、国民として行政費の負担をなすべきだという観念が通つております。この二つの観念が相交錯いたしまして、中央では減税となり、地方では増税となるというような非難も受けなければならないわけであります。こういう面から見ますと、資本蓄積という問題を対象といたしました法人税の課税方式においては、将来におきましては、すぐにはできないでありましようが、かつてやりましたように、これは私個人でつくつておる言葉でありまするから、全国的に通用するかどうかわかりませんけれども、いわゆる税引き課税、税金を損金に見ましたその残りに課税する、こういう方式を採用していただかなかつたならば、企業の中に資本蓄積というものを具体化することは困難である。むしろ現在の税込み課税をいたしますならば、実在しない固定資産と化し、あるいは債権と化しまして、少くとも流動資産になつておりませんものから課税の現金を徴収しなければならない。こういうことで、むしろ資本の蓄積を食いつぶして行くという税の体系が残るであろうと思います。ぜひとも他に、損益にかかわらず納めなければならない地方税としての固定資産税、附加価値税あるいは住民税の均等割というようなものが個人、法人を通じて現われておる現在でありまするので、利益に課税するものも、その利益から払われましたものを損金に計上するという税の体系に進むべきものだと思いまするが、これらの点につきまして、現在の大蔵省としてお考えになつておる方針を、さしつかえない程度でけつこうでありますから、御説明をいただきたいと思います。
○平田政府委員 宮幡委員の御説はいつも伺つておりまして、一つの研究すべき御説だと思いますが、ただやはり所得課税とその他の課税ということにつきまして、その点、理論的に実は峻別いたしておるわけであります。純粹の、ネツトの所得に対して課せられる税金、それを直接課税標準にいたしまして課脱するという税金は、その所得の中から納める税金であります。これに反しまして、地租家屋税、固定資産税、附加価値税、こういうものは一種のコストを形成するものでありまして、これは所得税を課する際の課税所得から控除して、課税所得金額を計算すべきである。こういう一つのプリンシプルを立てておるわけでありますが、これがいいか悪いかという問題だろうと思います。今御指摘の固定資産税と附加価値税は、これは所得計算上、法人、個人を通じ、個人の場合は営業用でありますればこれは当然差引きます。消費用のものは差引きません。何となれば消費自体が所得の処分であります。しかし営業用の家具、家屋にかかるところの固定資産税、これは一つの経費と見ましてやはり差引いております。ただ法人税は一種の所得課税であります。法人所得税並びに市町村民税、これはやはり私どもは所得の中かも直接支払われる税である、このように考えております。住民税の人頭割といえども同様でございます。所得のない者には人頭割は来ません。所得のある者にしかかからないことに税法上なつております。やはり所得の中から払われる税だ、こういうふうに考えられておるのであります。このような税につきましては、やはり私は税金を差引かないものにかけるのが、理論的ではなかろうかと考えておるのであります。たとえて申し上げますれば、私ども年に二十万円の収入がある。その所得の中から所得税を払つておる。去年払いました所得税を今年の私の所得から差引いて所得税をかけるというのは、これはやはり理論的にどうであろうか。それは法人税の場合も同様でありまして、法人が事業をやりまして所得を生んだ。その所得から前年納めた法人税を差引くというのは、どうもこれは理論的に少しいかがであろうかと存じまして、所得を計算して、その所得の中から三割五分を税金として納めてもらう、こういう観念にいたしております。税引きというような行き方は、どうも所得課税の理論からいたしましてどうであろうか、繰返して申すのでありますが、私どもはそういう理論的立場を持つておるということを御了承願いたいと考える次第でございます。
○宮幡委員 別に平田局長さんと議論するわけではありませんが、大蔵省が従来持つて参りたした所得と課税との問題を峻別しておるという精神を一貫いたしまして、はたして資本の蓄積ができるのかどうか。狭い日本の税制史の上を見ましても、かつて法人税は明らかに税引課税であつた。当時は資本主義の導入された時代でありまして、資本の蓄積が盛んに行われたのであります。これらの実績を見ますと、このことをみだりに捨てるということは、理論としては拜聽できるものがあるのでありますが、しかし実際問題として、もし資本の蓄積ということを大見出しに掲げて、大旗を振り立てる以上は、どうも再考の余地があると、これは私の個人の意見でありますが、考えなければなりません。しかも住民税の人頭割は所得がないとかけない。これはわかります。しかし附加価値税はなくてもかける。これをやらなければならないことになつておりますが、そうなりますと、固定資産税の財産税的な性格に対しましても、一つの反省がいる。やはり元の税法のように、税引き課税ということを大いに再考しなければならない時代ではなかろうか。大蔵省のお考えになつておる方向は、これは時勢としては当然のことであつて、これに非難を加えたり、あるいはこれに反撃をいたすものでは決してありませんけれども、どうしても将来の資本の蓄積ということに限つてお話をいたしますと、法人税等のごときは再考を加えていただく余地があるのではなかろうか。大蔵省には安全な研究機関があり、税の問題についとは日夜肝膽を碎かれてあるのでありますから、現在の主義主張に固定して、これをコンクリートのものとせず、もう少し彈力のあるようなお考え方を持ちまして、将来の研究にぜひゆだねていただきたいと思うのであります。資本の蓄積が税法によつて解決されるという以上、現在の法人税法などは、残念ながら時勢としては適当であつても、その主義のもとには不適当のものであるといわなければならないわけであります。この点は議論になりますから、これ以上は申しません。あと調べた数字を並べたり、世界の税法の話をするだけであつて、これは局長さんにはとんでもないお説教みたいになりまして、恐縮でありますからやめますが、とにかく私は税の体系としては納得行きません。もつと地方税とも合せまして、一貫したものであるならばよいのでありますが、どうも一貫しておりません。ことにわれわれのとなえております自由主義経済の観点から考えますると、固定資産税というのは、たといシヤウプ博士の勧告でありましても、一言なかるべからずといつて強い信念を持つものでありまして、こういうものはぜひとも将来にわたつて御研究をいただきたい。それだけをお願いいたしておきます。
 それから中小企業の危機に瀕しておる問題は、常にやかましく言われております。今回の国民金融公庫の法律案の審議においてさえも、十億出すのがよいということはみんな知つておりながら、これに対していろいろな希望や條件がついて質疑をかわされ、討論も行われたわけであります。こういうような状況で、中小企業に対しまする税の対策というものについて、もう少し思いをいたしていただきたい。かつて小資本の法人に対しまして、超過所得税に対しまする軽減税率を設けたような場合がありました。これは実績としてあるわけでありますが、こういうことを反省いたしまして、中小企業の現在法人として組織されておりますもので、もし資本金百万円未満、あるいは二百万円未満のものに対しましては、法人税の三五%を三〇%に軽減する、あるいは二五%に軽減するというような措置を講じて、中小企業を税の面から保護育成すべきだと考えております。これも今すぐやれというのではありませんが、できるだけ早い方がいいのであります。そういうお考えをお持ちになつておるかどうか。税の面からの中小企業対策と申しますれば、普遍的な基礎控除とか、あるいは扶養控除とか、そういうものだけでなく、一つの配慮をいたすべきだろうと思います。これはたびたび委員の間から質疑があります勤労控除、あるいは自家労力の專門の事業に対します特殊の控除を設けろというような主張とも相関連がありますので、今の点につきまして、中小企業の立場をどういうふうにお考えになつておるか、ちよつと承りたいと思います。
○平田政府委員 まず最初の問題につきましてちよつと補足しておきますが、私はやはり所得の計算方法その他はあくまでも理論的に行きまして、政策上必要あれば税率その他で堂々と表からやるべきことはやつたらどうか、こういう考え方をとるものであります。そういう関係から見まして、今度の法人課税は実は宮幡さんも御存じの通り、相当企業の立場を考慮した税率にし、むしろ川島委員あたりからは反対論が出ておるほど、法人課税の制度は企業の立をを考慮した制度であります。すなわち法人と個人の配当の二重課税を、全然今までと違いましてやめました。法人の所得については、法人で課税して、それが分配されれば個人所得として所得税が課せられる。これは現在のアメリカの制度ですが、イギリス式の制度にならいまして、法人のみに課せられる法人の所得税として、徹底的な税制にしてしまつた。それに超過所得税もやめまして、三五%フラツトの税金にしておる。おそらく宮幡先生は最近の会社の会計をやつておられるだろうと思いますが、この一年間で法人の税金がいかに合理的になつたか。三五%の税金を納めて楽な決算を示して、改善の姿がはつきり出ております。相当の利潤を上げまして、法人税を納めてあと配当しますけれども、なお相当の留保所得になりまして、それで事業の拡張に充てる。こういうようなことができるような状態に、二十五年度の税制改革で大幅にかわつたと、実はその点は考えております。従つて問題はただ減価償却の問題につきまして、年限の相当古いものを若干アジヤストしまして、ある程度にしておるのでありますが、これについては大分検討の余地があるのでありまして、償却年限をさらに合理化し、陳腐化した資産等のとりかえを早く認めるような方向につきまして、なお研究いたしております。そういうようなことができますれば。法人の課税というものはさらに一層経済的に見ましても合理的なものになるのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。外国の例等は申し上げる必要もないと思います。
 それから個人と法人との負担の比較に関連しまして、中小の法人の税金を考えたらどうかという問題、これはごもつともな提案であると思いますが、これも最近までの実情を見ますと、実はみな個人から法人になつておる。この一、二年のうちあるいは最近なりつつあるものは相当大きな数になつておるのです。これは私單に表面の税額なり税率の問題だけではないと思います。個人の所得税というものは御承知の通り相当重い。重いからこそ私どもは常に減税の場合は、個人の所得税をまず下げたいというふうに考えておるわけでございます。大体普通の法人になるような会社、個人の企業は所得四、五十万から百万くらいのところが多いのでございますが、この辺のところになつて来ますと、所得税は今の状態では必ずしも軽くない。従いまして所得税の累進税率は今百万円のものを五五にいたしました。これがさらに大幅に減るようなときでも来れば、これは考えてみる必要があると思いますが、現在のような所得税の状態でありますと、少くとも法人の税の負担を比較しまして、法人の負担をさらに下げたらどうかという結論には、まだ今の段階では到達していない。しかし将来の問題としましては、そういう問題も大いに研究の余地はあるであろうということを申し上げまして答弁といたします。
○宮幡委員 平田政府委員の御説明は、私は現状におきましてはことごとく納得行けるものであります。しかしながら三五%で、二十五年度の法人税の改正によりまして、画期的にはそうでありませんけれども、それで資本の蓄積が達成されると満足されるかどうかの点につきましては、残念ながら疑問を残さなければならぬのであります。企業の経理実態を見まして、なるほどこれならば所得を隱さなくてもよいから、みな申告しろというよい思想になつて来たことは事実であります。また事業の性質によりましては、三百万、五百万の会社でも、短期間にその資本全額の利益を上げるというような特殊な状況も出て参りまして、そういうものから見れば三五%を喜んで納めて、所要の財政利益を規定する固定資産の償却も十分行われているのではないか、こういう見方もあります。ところが法人の決算は、現在の制度にいたしますと年に二回であります。二回で特殊な業種におきましては、電力事情等に支配されまして、前半と後半との間に業務の営業成績に格段の相違が出ておるものが非常に多いのであります。こういう場合において、年間通算の計算ならばお説のようなことが言えます。あるいはその企業を始めてから、相当年数を調節していただけるならば何も文句はないのでありますが、経済は悪性インフレを克服し、デイス・インフレからだんだん安定の度合いを増して来ておる現状におきまして、かつての利益というものはみな名目的な利益であります。蓄積されていない利益であります。それは現在三五%の課税といえども、税法の計算上におきましては利益が出て参りましても、決してこれが実質的の利益としてとどまつていない以上は、やはりつらい課税であります。いわんや前半において莫大な利益を収め、そして税金を納め、後半におきまして莫大な欠損が出たというような事業が、この経済收縮の折柄は大分起つておるのであります。こういう場合前年の利益は繰越し繰りもどしとかいうような方法もありますけれども、現在の制度ではこれは救われておりません。もし担々とした平常の経済が続くといたしますならば、あなたのおつしやるように表面堂々たる方法によりまして、法人税をあえて中小企業に限らず、税率を引下げてやつて行くということが一番いいと思いますが、現在の問題といたしましては、特段の何らかの考慮が必要である。資本の蓄積という大題目を掲げて参りますれば、やはり税引課税、税が損金になるという観念においてこそ、初めて税金を喜んで納めて行く国民思想が、ほうはいとして起ることを私は信じてあります。税金はもうけのうちから出すということになりますと、そのことはりくつで片づければ幾らでも片づきますが、観念といたしましては、利益を何とかして内輪にしようという思想にともすれば行きがちであります。税金を喜んで納めれば、それは損金になるのだ、こういうような観念になりますれば、税の行政の上におきまして画期的な明朗さが現われ、税務官吏も末端において非常な苦しみをいたさなくなるのではなかろうか。これは私の所見でありますので、決して御答弁はいりませんが私はそう考えてあります。
 それから法人経営と個人経営の問題に言及されておりますが、われわれはあるいは小さな資本主義業者としての一つの間違つたことかしりませんが、法人経営というものは一つの資本操作の手段である。それ自体人格があると私どもは認めたくありません。どつちかと申しますと、法人企業というものは、資本操作の一つの手段でありまして、あくまでこれは還元されたところの個人の所得において税はとられる。法人などというものは、むしろ国家の財政さえ資本の蓄積があり、十分均衡がとれて参りましたならば、これは無税にする方がいいと強い意見を持つておる人間でありますから、まだまだそういう点におきましては局長さんに相当御研究をいただきたい。これはお願いでありますので、もう少し日本の中小企業を初めといたしましてのあらゆる産業に対する税の解釈を、大蔵大臣が大所高所から構想いたしますいわゆる資本の蓄積、こういうことの題目にもつと合うようにしていただきたい。これはわれわれ政府与党といたしまして念願してやみません。もう十二時半になりましたのでこれ以上は申しませんが、どうぞ将来よろしくお願いいたします。
○平田政府委員 今、宮幡委員は論点としてはなかなか重要な論点を、ことごとくつかれたと思うのですが、ただいまお話のようなところは、実は二十五年度の改正で相当にやつている。おそらく宮幡委員は、前回の国会には委員として御出席になるひまがなかつたのではないかと思うのでございますが、今お話の通り法人は即株主のものだという理論構成の税制になつております。それゆえにこそ配当所得に対する源泉課税もやめましたし、それから個人から配当を総合して課税する場合におきましては、法人税の分を個人の所得税から差引くのであります。これは完全に法人は株主の一つの経営の手段である、こういう観念で貫いた税制にしておる。これがビジネスの見地からすると、いかに好ましい税制であるかということは、さつきから指摘した通りであります。それからもうけがあり、損があるような場合におきましては、繰越し繰りもどしの制度を採用いたしておりますが、これもまさに宮幡委員の御要望になつたような解決をすでにはかつておる。従いまして今のお話のような点は、大部分解決をはかつておるのですか、ただ最後に税引き税制におきましては、遺憾ながら理論的立場を異にしておることだけはひとつ御了承願いまして、よろしく願いたいと思います。
○川島委員 明後日さらにお尋ねしたいことがあるのですが、その前提としてちよつと当局に資料があれば示しておいてもらいたいのですが、五万円、十万円、十五万から百万の所得別階層の人員ですが、そこにお持ちであつたら示しておいてもらいたい。
○平田政府委員 ことしの分は先ほど申しましたように、課税実績をもとにして見積つておるわけでありまして、古い分はございますが、来年は本格的に全部資料を整備しておりますので、本予算では全部そういう資料を調整する見込みでおります。ただ本年度の分としましては、どうもあまり正確なことを申し上げることのできないのを残念に思いますが、二十四年度の分でしたら全部資料がございます。あとでお届けします。
○西村(直)委員長代理 暫時休憩いたします。
    午後零時三十分休憩
    ―――――――――――――
    午後三時四十四分開議
○奧村委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。
 所得税法臨時特例法案、砂糖消費、税法の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案、及び物品税法の一部を改正する法律案の四法律案を一括議題といたしまして、休憩前に引続き質疑を継続いたします。米原昶君。
○米原委員 午前中の質疑が関連質問の途中で切られたので、元にもどりますが、午前中の話では、法人税の自然増の点について昨年とは若干違う。十月までが四一・七%、この収税率を今年も用いて、しかも今年の場合は、昨年と違つてさらにそれから一割を引いてやつた、そういう点をすでにこの中に織り込んだ。午前中の説明では、そういう点もあるから大体この程度が見込まれたとおつしやいましたけれども、その点はすでにこのパーセントの中に見込まれておるとすると、これはむしろ相当少い自然増になつておるのではないかというふうに、結論が出て来るのですが、もう少しその点を明確にお答弁願いたい。
○平田政府委員 その点は少し補足しまして御説明申し上げますが、今年の上半期の実際の申告の状況を見てみますと、各会社とも非常に申告の成績がよろしいようであります。従いまして更正決定による法人税の増収額は、昨年に比べますと、今年は比較的少いのじやないかということを見込んでおります。それが一つと、それから先ほど申し上げましたように昨年は年度末にその未決一掃をやりまして、相当多くの法人につきまして更正決定で増加した分がございます。その二つの点を考慮に入れますと、やはり私どもとしましては、去年の下期に入つて来たほどに、今年の下期は入つて来ないというふうに見ざるを得ぬのじやないか。お話のように十月以後の分におきまして、事変の影響等により相当増収を来す要素も確かにありますが、それは私どもとしましては、十月までの実績に現われた限度においてそういう点を見込む。あまり多くを予想で見込みますのは、どうも適切でございませんので、今申し上げましたような点を考慮いたしまして、一割一分程度、むしろ下期は入つて来る分が去年よりも少いだろう、こういう見方を立てたわけであります。従いまして、今後相当下期の分が顯著によくなるという予想を立てますと、あるいはお説のような点もあるかと思いますが、今申し上げしまたような事情もございますので、今歳入もございますので今歳入見積りを立てますものとしては、こういう行き方の方がいいのではないかという考えでございます。しかしこれは見解によりましては、相当もつと出て来るのではないかという見方も、あるいはあるかもしれませんが、そこまであまり大幅に見込みますことはいかがかと考えまして、十月までの成績に現われて来たところで收入を見込んでおる、こういう計算にいたしておる次第であります。
○米原委員 その説明はわかつているのですが、とにかくそういう要素が全部織り込まれておるということになるのですが、それを今年の場合、單純に四月から十月までの実績――この点非常に誤まつて来るのではないかということは明らかなんです。事変後急激に利潤が増大していることは公然たる事実です。これをなぜこの要素の中に織り込んでおられないか。ただ四月から十月までの実績に現われた面だけを、毎年と同じように計算に入れられたということになりますと、事変の影響、特需の影響というものが、大きな要素として何らこの自然増の中に織り込まれていないということになると思いますが、その点の見通しはむしろ全然立てない方がいいと考えて、これは組まれたものでありますか。
○平田政府委員 十月までの収入実績を見込んでおりますので、相当程度は織り込まれていると見ておりますが、ただこの下半期にさらに特に顯著に現われるのではないかという予想を立てまして、見込みでさらに一層の見積り増をするということは、今申し上げました点からいたしまして、差控えたということでございます。従いまして、これをもつと勇敢にそういう将来の点を見込むか、見込まないか、物価等についても将来相当上ると見るか、そこまでは私ども歳入見込みにつきまして見積つておりません。つまり一番直近の状況に基きまして、この辺で大体物価、賃金も横ばいするというような少しぐらい騰貴するかもしれませんが、歳入見積りとしては、かもしれないということをあまり見込むことは適当でありませんので、一番新しい情勢のもとで歳入を見積るということにいたしておる次第であります。従いまして、本年の予算に現われます数字といたしましては、先ほどから申し上げましたような数字に、現在として相なるということでございます。
○米原委員 そうしますと、先日の公聽会で公述人の意見を聞きましても、一部の産業では相当な利潤が上つておる。それから中小企業の方にはまだそこまでの特殊な影響は現われていない。ある部面ではつぶれかかつているという企業もずいぶんあります。こういうことが報告されておるわけであります。これは事実であると思う。ところがそういう要素を予想に見積る場合に、單に生産の増加率、物価の値上り、そういうものだけを一般的に見て、それで率を出して計算しておられるように、先ほどの説明では伺つたわけでありますが、そうしますと、一方では非常に大企業で利潤を上げている点が何ら見積られていない。しかも同じ率で中小企業の、ことに申告所得の方にやはり一方では非常に利潤が上つていると同じように、物価の値上りとか、生産の増大とかの率を出して行つて、これで予測を立てて行くということになりますと、勢い中小企業の方には、今度は非常な水増しになるということについてはいろいろ議論がありましようけれども、実際上いわゆる世間で言われている水増し増税を押しつけるという面が一方では出て来る、こういうふうに懸念するわけです。全然そういう要素が織り込まれていない。單なる生産の増大、一般的な物価の指数、これだけではこの点は予想にならないじやないかと思うわけですが、この点を明らかにしていただきたい。
○平田政府委員 申告所得税の見積りにつきましては、今お話のようにこれは最近上昇しておりますところの物価、最近すでに実現を見ておりますところの生産、但し生産の方は、これは安本等で相当的確な見込みを立てておりますので、若干のさらに今後の増を見ておりまして、それに基きまして、一般的な所得を計算しておるわでございます。従いまして申告所得税に関する限りにおきましては、あまりこまかい細工をいたしませんで、ごく一般的なところで見込みを立てるのだ。午前中は奧村委員から御指摘がありましたように、徴収歩合等の問題につきましては、一つは基礎を修正いたしましたのと、それからもう一つは今後の状況等も考えまして、七五%という徴収率を見ることにいたしたのでございます。なお予算は、もちろん私ども現在の段階におきまして、今までの税法を当てはめれば、現在の納税者の納税状況なり、あるいは税務官庁の能率のもとにおきまして、実はどの程度入つて来るかという見積りにすぎないのでございます。税金はもちろん納税者に対しましては税法を適正に執行いたしまして、それによつて徴収するということに盡きるわけでありまして、それをやりますれば、この程度の収入は入つて来るだろうという見込みを立てておる次第でありますのでお話のように見積りをこうしたから徴税上こうだというような点は、私はもはや払拭して行かなければならぬのじやないか、そういうふうに考えております。法人税の場合などは特に明らかでありまして、これはもちろん会社の申告いかん、またその後における税務官庁の戸別調査のいかんによりまして、成績が左右されるということになりますので、申告所得税の場合におきましても、これはもちろん大体のところを見積りいたしているわけでございますので、見積りは見積りといたしまして、納税者の個別調査にあたりましては、個別的に的確を期するように行くべきものだ、こういうふうに考えておる次第であります。今の段階におきまして、見積り方法といたしましては、大体今回の補正予算で提案しておりますような見積り方法が正しいだろう、こういうふうに考えておる次第であります。
○米原委員 予算でありますからもちろん見積りでありまして、これを予算で組んだだけ必らず税金が入つて来るなどということは、実際問題としてはあり得ない。しかし大体の今までの経験と最近の経済の状況を見合わせて、予測を立ててきめられておるものだと思うのです。それが現在のような朝鮮事件以後の新しいいろいろな情勢になつて来た。これはだれしも認めなくてはならぬところで、そういう要素をあまりに見積らずにこういうものを立てられた。私は詳しい数字は知りませんが、税金の自然増というようなものは非常に多かつたり少かつたり、初めの予算と非常に狂う程度が、最近は過去と比べてどうかということは私はよく知りませんが、しかしあまりにも今から考えて狂うものを出されておるというところに、私は問題があると思うのです。当然もう少る予測を立てて出すべきじやないか。そうすれば当然法人税などは、もう少しとれるはずじやないかということも考えられるのでありますが、この点ははなはだ遺憾といたします。
 それからただいまおつしやいました二、三年前、ことにそういう傾向が現われておりましたが、税金の予想額に大体上の方から通達か何かあつて、そうして各地の税務署が見込みで上からかけて来る。こういう傾向は確かに最近では少くなつておるように思います。しかし実際問題は依然としてこれが絶えてないように思います。そういう例はあまりこの委員会の席上であげるのもどうかと思いますので、簡單に申しますが、これは実は第七国会に、この大蔵委員会で田中織之進君が指摘しました一つの事件がある。浅草の室川というげたやさんの所得税の問題だつたらしいのでありますが、これは速記録に出ております。そのときに非常に過酷な押しつけ的な査定が来た。二十四万円という査定が来た。それが常識で考えてもあまりにも不自然な話なんて、この委員会で、この問題を田中君が出しまして、結局そういうことがあつた結果、税務署の方でも修正査定をいたしまして、その結果二十四万円という所得が六万五千四百円、四分の一近くに下つておるわけです。ところがその同じ人が、同じ昭和二十四年度にこれと関連して取引高税がかかつて来た。取引高税の方は九十三万円と来ておるわけです。このときに取引高税の方も同時に問題になつて、所得税の方が修正されれば取引高税の方もこれと関連しておるわけでありますから、当然修正されるだろうという言質も得ていたわけです。ところがそれがそのままにされてしまつて、所得税の方はなるほど少くなつたけれども、取引高税の方はこれと同じに全然修正してくれない。所得税が六万五千円に修正される程度のものなら、取引高税の方は実際の税金としては免税点以下のものだ。それなのに取引高税が九十三万円、こう査定して来た。そこで所得税の方がこういうふうになつたのだから、取引高税の方も当然かえてくれということを交渉したらしいのでありますが、どうしてもこつちの方は聞き入れてくれない。先月の二十一日にそこに差押えにやつて来た。こういう事情で、これは議会の中で問題になつたことだし、事情がはつきりしておるのだから、ちよつと待つてくれということを言つたのだけれども聞いてくれない。近所の人がびつくりしてかけつけて来た。待つてくれということを言つていたところが、警官を呼んで来まして、この近所の人と当人とが公務執行妨害だということでひつぱられた。こういう問題が起つておるわけです。こういうふうに前にやつた査定を押しつけてかけて来るというやり方を、依然として押し通そうとする傾向がやはり残つておるわけなんであります。こういう点で、今度の場合もなるほど予算に従つて税金をとるわけではない。実際は個人々々の実態を調べてとる。こういうことは事実なんです。そういうふうになつておるはずなんだけれども、大体それに基いて、全国の税務署で一種の見積りは立てると思います。やはりそれに合せようとして、こういうような問題が依然として絶えないのではないか。こういう点について主税局長はどう考えられるか、ひとつ聞きたいのであります。
○平田政府委員 ただいまお話のような事例がありますことを、私どもときどき聞いておりまして、やはりそういう場合においては、あくまでも事実をよく調べまして、最初からできるだけ間違つた決定を少くするように、万一調査が不十分なこと等のために、決定が過大でありました場合におきましては、あとでよく調べまして、直すべきものはすみやかに直すようにということを、最近は特にやかましく言つて来ておるわけであります。おそらく今のケースの場合におきまして、はたしてどの程度帳簿資料があつたのか。これは私具体問題につきましては、調べた上でないとお答えいたしかねますが、お話のようなことが事実であるとするならば、取引高税の課税標準もおそらく間違つていたのではなかろうかと推定されるわけであります。その点につきましての具体ケースは、なお必要でありますれば、国税庁に監督官というのがございまして、そういうようなものの調査監督に当つておりますので、調べさせたいと思いますので、あとで資料をいただきたいと存じます。なお一般的な問題に対しましては、要するに今申し上げましたような、あるいは今米原さんがお話になりましたように、税金というものはあくまでも個別的に、各納税者について所得を税法の計算に従つて正しく計算して、それに対して的確に所得税を計算して納めてもらう、実はこの一点に盡きるわけでございまして、その他の要素を個別的な納税者の場合に当てはめるのはよろしくない、このように考えております。ただ帳面が不完全だとか、あるいは農業所得者のごとく記録がないというような場合におきましては、これは標準というのをつくつておりますが、これは外形的に、ある程度米の収入が幾らあるか、それから営業者の場合も、売上金は所得に比べまして割合に捕捉しやすい。だから売上金を調べまして、それに対して普通の収益率が二割なら二割、三割なら三割、これも業態別にそれぞれ違つた調査をいたしまして、所得者の実情に即し得る所得を見出すように努力しておるわけであります。従いましで、方針といたしましては、極力そういうことで個々の納税者の所得の実態を調べて、それに税法を適用して税金を納税せしめるというのが本旨でございますので、そういう本旨の徹底に対しましては、私どもといたしましては将来も一層努力いたしたい、このように考えておるのでございますが、予算はそういうことは直接関係はございません。全体としまして所得の推移状況等を考え、さらにまた実際の納税成績等も考えまして、そのときとしてできる限り妥当な見積りをつくるように努めておりますことを、御了承願いたいと思います。
    ―――――――――――――
○奧村委員長代理 ただいま大蔵政務次官が御出席になりましたので、この際本日付託になりました特別鉱害復旧特別会計法案を議題として、政府当局の説明を聽取しておきたいと存じます。西川政務次官。
    ―――――――――――――
○西川政府委員 ただいま議題となりました特別鉱害復旧特別会計法案の提出の理由を御説明申し上げます。
 従来特別鉱害に関する納付金の徴収及び復旧工事の費用の負担のための支出等の経理は、特別鉱害復旧臨時措置法に規定する特別鉱害復旧公社において行うこととなつていたのでありますが、別途提出いたしまして御審議を願つております通り、今回同法の一部を改正して、特別鉱害復旧公社を廃し、国においてその業務を引継ぐこととなつたのに伴い、これに関する政府の経理を明確にするため、特別鉱害復旧特別会計を設置することにしたのであります。本会計は特別鉱害復旧臨時措置法に規定する納付金、受益者負担金、寄付その他付属雑収入をもつて歳入とし、同法の規定による復旧工事に要する費用の負担のための交付金、その他の諸費をもつて歳出といたします。なお本法案は、この会計の予算及び決算の作成及び提出に関する手続等、特別会計に必要な事項をあわせ規定いたしております。
 何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
○奧村委員長代理 政府当局の提案の趣旨説明は終りました。
 この際お諮りいたしたいことがございます。本日通産委員会より、本案に関し連合審査会を開いてほしい旨の申入れがありましたが、本案について通産委員会と連合審査会を開会することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奧村委員長代理 御異議がないようでありまするからさよう決定いたします。なお連合審査会開会の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。
    ―――――――――――――
○奧村委員長代理 ただいまの税関係四法律案の質疑を続行いたします。米原昶君。
○米原委員 問題点をかえまして、今度の給与所得税の基礎控除並びに、扶養控除の点ですが、先日も公聽会で各公述人の意見によりますと、基礎控除三万円、扶養控除一万五千円程度では、とうてい食えないというような意見が多かつたわけであります。そういう最低生活費をどの程度に見るかということについては、私は政治的な立場、国の財政全体をどういうふうに見るかという立場の相違で議論になりますから、そういう点でなく、実際に今度の改正によつて実質的に少しでもよくなるのかならぬのかという点について、川島委員からも大分質問がありましたが、その回答を聞いておりましても、まだ理論的にはつきり数字が出てないように思います。ここに出されております資料を見まして、大体主食の騰貴を見積つた結果が、これで見ますと一・五%程度下るという数字だけは出ておりますが、その他のいろいろな要素をかみ合せて、全体としてほんとうに下るのか。われわれの感じからすると、最近――去年と比べるのでなくて、この春と比べて、やはり朝鮮事変以後急激に物価が上つておることは事実なのです。たとえばメリヤスの糸の値段をとつてみても、千百五十円が千九百五十円になつておる。この前燃料の話がありましたが、二百六十円程度だつたものが三百六十円になつておる。それからたとえばしようゆの例をとつてみても、百十円だつたものが百三十四円五十銭になつておる。こういうふうに相当程度上つておるのが実情だと思います。そういう要素を全部織りまぜて行くと、やはり事変前と比べると、実質的にはむしろずつと上つておるのでありまして、その結果としてはそんなに下らないのではないか。実質的にはやはり今までよりも生活が苦しいのではないかというふうに感ぜられるわけなのです。この点について、單に主食だけでなくて、もつといろいろな要素を織りまぜて、実質的には少しでも下るということなら、ひとつその説明をやつてもらいたいわけなのです。
○平田政府委員 お話のような点を一言にして表現し得るような資料というものはむずかしいかと思いますが、私どもは大体CPI――これは一つの家計の、ことに勤労者の購買する物資の物価を表現するものと見ておるのでございますけれども、CPIがどういうふうに動いておるか。これは非常に重要な一つのフアクターと見ております。これと名目賃金がどう動いておるか。それと関連いたしまして、結局名目賃金をCPIで割つたものが、特殊の実質賃金の増減になると思います。その賃金がどういうふうに動いておるか。これが一つの重要な要素だと思いますが、先般川島委員にも申し上げましたように、昨年の九月に比較しましてこの一年間にどういうふうな足取りを示したかというようなことを考えておるわけでありまして、それによりますと、CPIは昨年九月に対してことしの九月は九三でございます。それから全産業の名目賃金、これは昨年の九月に比べまして一一七という数学を示しております。従いましてそれをCPIで割りますと、実質賃金は一一五・三というような数字になるようであります。こういう点から申しますと、どうもやはり勤労者の生活は、この一年間くらいの間に相当改善されて来ているということは、これは私事実だろうと思うのです。この事実はどうも否定できないと思うのでございます。ただ何ゆえにしからばわれわれは苦しいように感ずるかと申しますと、戰前に比べますと、まだやはりこれでも低いのではないか。ことに勤労階級の中でも知識労働者等の生活水準の下り方がまた戰前に比べますと大きいのじやないかと私は見ておりますが、そのような点があります。生活はよくなつたが、なかなかよくなつたように感じないというのが実態ではないかというふうに感じます。しかしながら今申し上げましたような数字から申し上げましても、この際基礎控除を二万五千円から三万円に上げますことは、これは私はやはり相当な改善になるのではないかということを考えます。もしもこのCPIが非常に高くなりまして、さらに名目的に物価が高くなるということになりますと、結局免税点を上げましても、大した問題ではないということになりますが、今申しあげましたような資料に基きますと、そういう議論は大したことはないのではないか。そして今後おそらくCPIは若干の騰貴をいたすだろうと思つておりますが、今申し上げましたように米価の引上げによりまするCPIの増加は、その資料に算定済みでございます。その他の原因によつて物価がどの程度に上るか、これはなかなかむずかしい問題だろうと思いますが、大臣からもお話になり、また私からも川島委員にお話しましたように、これは結局財政政策、経済政策をどういうふうにやつて行くかという問題、海外の物価がどういうふうになつて行くかという問題に関連して来ると思いますが、物価だけ上つて賃金は全然上らない。かりに物価が上りますれば、予測するということはどうも話が適当でないのではないか。最近の社会の形勢によりますと、CPIが上つて賃金が下つて来たという状況であります。だから生産が予定している通りふえて行きますと――やつぱりあるいはふえるかもしれない。もちろん歳入見込みはそういう、かもしれないというものは見込んでおりませんが、そういうことによりまして、やはり経済の内部において、おのずからある程度バランスが働いておるという関係に相なるのではないか。それを全部税だけの措置で吸収するということは必ずしも適切でない。しかしそういうふうに、全体としてまた物価なり賃金が名目的に動いて行きますれば、これはまたそのときにおきまして、はたして三万円が妥当であるかどうか、これはおそらく検討の必要はあろうかと思いますが、現在までの価格、賃金の足取り、それから今後予想される普通の程度の変動ということを考えますと、私どもは今度の減税で相当実質的に軽減になるのではないだろうか、このように考えておる次第であります。繰返して申し上げますが、CPIが相当上りまして、名目的に貨幣の購買力が減つて来るということになりますと、これはやはり引上げましても大した減税にはほんとうはなつておらない。しかしCPIが今のような状態、あるいはそれから若干微騰というような傾向でありましたならば、私は今度の所得税の改正というものは、実質的にも相当の負担の軽減になるということは、はつきり言い得るのじやないか、このように考えておるのでございます。それから六月のときと比較しましても、やみ物価、生産財物価等は相当上つておりますが、CPIはほとんど上つておりません。上り方が非常に微弱でありまして、六月の水準が一番底のようでございますが、これが八八くらいの数字になつております。だから五%くらいは六月に比べますと最近上つているわけでございます。この程度でございますれば、私はなおやはり相当な実質的軽減になるのじやあるまいか、かように見ておる次第でございます。
○米原委員 ちよつともう少し数字をお伺いしますが、六月が八八で、名目賃金の方は六月はどのくらいですか。
○平田政府委員 ことしの全産業の名目賃金は、五月が八千八百四円、六月九千二百六十八円、九月九千五百四十三円、こういう数字であります。
○米原委員 そうしますと、これで見ますと上り方は一〇%以下ですね。名目賃金とCPIは大体並行して上つているように見えますが……。
○平田政府委員 CPIは去年の九月のものでありますが、去年の一箇年の平均と比べましても、九月はCPIが九四・六、六月が九〇になつております。九〇が底になりまして、ことしの一月は九八・三、二月が九四・二というふうに順々に下りまして、六月が九〇で底のようでございます。七月は九二・二に上り、八月は九四・三に上り、九月は九四・六、こういう情勢になつているようでございます。
○米原委員 次の問題に移ります。もう一つだけ私は簡單にお聞きしたいのでありますが、確定申告の提出期限を一箇月延長した点であります。この点について十月二十日の日本経済新聞を見ますと、こんな記事が出ております。確定申告を延ばすことについて確定申告のときには課税所得の九〇%、それから税額の八〇%を確保する。これをやるために延ばすのだ、こういうような記事が出ておりますが……。
○平田政府委員 今申し上げましたのは、別にそういうものをきめてやつているわけではありませんが、できるだけ申告の成績を上げよう。と申しますのは、申告が低くてあとで更正決定をしますと、トラブルがそれだけ多いのみならず、納税成績もかえつてよくない。だからなるべく役所の方におきましてもよく調べまして、正しい申告が出るように納税者にも話し、納税者も余分の期間をとりまして、すつかり計算してもらつて、正しい所得金額を出してもらう、こういう意味で一箇月延ばすわけでございます。その際といたしましては、でき得れば今までと違いまして申告で、大体一般的に予想される税金に対しまして、今お話のような程度のところまで行き得ることが非常に望ましいのではないか、こういう考え方をとつておるわけであります。しかしこれは何と申しますか一つの目安にすぎませんで、それを一律に強行するという性質のものでもございません。それくらいの程度の成績が上りますれば、あとの更正決定額のトラブル並びに納税トラブルがよほど少くなる。納税成績がよくなるのじやないか、こういうことを研究いたしておる次第でございます。
○米原委員 ところが午前中のお話では、たしか営業所得の話だつたと思いますが、二五・二%予定申告より増加する。それから農業所得の方は一八・九%予定申告より増加する、こういうことを見込まれておるわけであります。ところがその点でおそらく納税者と税務署の間に問題が起ると思うのでありますが、実際問題としては去年と比べて二割ないし二割五分、これだけの増加を税務署が強制するようなことになるのじやないか。この成績を上げるためにいろいろな問題、トラブルが起つて来るのじやないかということを思うわけなので、むしろそれをやるために、そして納税の成績を上げさせるためにわざわざ一箇月延ばす、こういうふうにしかとれないのでありますが、この点はどうでしうか。
○平田政府委員 その点はどうも少しそいうふうにおとりになることは遺憾だと思いますが、農業所得はつまり米価が去年の四千三百幾らから五千五百円に上るわけであります。従いまして農家の所得の大部分を占めまする米の所得というものは、これは非常にはつきりいたしておるわけでありまして、一割七分程度ふえますのは、これは納税者も簡問に納得していただけるのではないか。しかし野菜とかくだものは必ずしもそうではございません。野菜はむしろ昨年よりも値下りしておりますから、これは下るところも出て来ると思います。それからくだものなんかも作柄がよくて値段が下つているものが相当ありますから、これは物価と生産の相乘積で出て来ますものがはたしてどうなりますか。これも実情に応じてよく調べなければならないので、概して申しまして、このように米価が改訂になりますれば、大して問題はなかろうと思います。
 それから営業の場合におきましては先般から申し上げておりますように――現在でもそうですが、営業者の三〇%から四〇%につきましては、なるべく個別の実額調査をやるということで、現在もうすでに操作に着手いたしております。個別的にあくまでも帳面なりその他の営業成績をよく調べまして、それで的確な課税をする、こういうことでやつておりまして、そういう調査が完璧に行きますれば、今の経済情勢――物価水準等の推移から見まして、大体二割五分くらいの増加におちつくのじやないかということを見ているわけであります。従いまして二割五分とかなんとかいうことは結果でありまして、それが先にきまるものではないことを御了承願いたいと思うのであります。営業者につきましてはあくまでも個別的によく調べまして、中には課税の拔けていたものは、あるいは倍くらいに所得のふえる人も出て来るかもしれないと思うのであります。反対に一般的には二割五分くらいふえましても、中には減る人も出て来るかと思います。そのふえる割合も人によつて非常にまちまちだと申います。そういうことをあくまでも個別的に調べまして適格な所得をつかんで、その負担の不公平がないようにしてやるということで、役所としても努力いたしております。納税者といたしましても計算をできるだけ正確にやつてもらいまして、それによつて申告をしてもらう。それで申告所得税を少しでも本旨に従つて理想的な運用をはかつて行こう、こういうことが私どもの当面の目標でございまして、そういうことをやります一端として申告期限を一月延ばしたいということで、かような法律案を提案いたしたような次第でございます。
○米原委員 それと関連してちよつと聞きますが、前年と比べて大体納税の見込みを立てられているようでありますが、その場合に生産の増加とそれから価格の上り方と、大体これが標準になつているようでありますが、実際の税金を納める側から見ると、これだけでは実際困る点が非常に多いのじやないかと思います。実際に税金を払う中小業者や農民の場合は、いろいろな問題があると思います。たとえば金詰まりの問題とかいろいろな問題があると思います。そういう問題がどういうふうに――ただ価格の上り方で、たとえば米も上るけれども同時に肥料は六倍にも上つている。そういうのがどういう形でこれに織り込まれて行くのか。ただ価格が全体として上るから、それにパーセントとしてかけると、非常に困つた場合になると思うのでありますが、どういうふうになつているのですか。
○平田政府委員 その点は、たとえば個別的に農家なら農家の所得調査をやりますから、結局一年間にその農家なら農家がその農作物を幾ら収穫したか、それを大体生産者の販売価格、これで収入を計算するわけであります。それに対しましてその生産物をつくるために要した費用、肥料も高くなつておりますれば、その高くなつた肥料の価格を見込みまして、それぞれ差引きしまして所得が出て来る。従いまして営業者の場合も同じでありまして、やはり売る物の値段が高くなつて来ますと、仕入れる物も高くなりましようが、それはもちろんその際に正しく計算して出す、こういう原則になるわけであります大体におきまして仕入額と売上高と平行して上つて行きますれば、従つてその点は物価が上つただけ所得がふえて来るということになりまして、反対に売る物よりも仕入れが高くなりますと、必ずしも物価が高くなつただけ所得がふえないかもしれませんが、反対に安い原料を持つていて高く売れた、こういう場合におきましては、これは物価が上つた以上に今度は所得がふえて来る場合もあると思います。しかしこれは個々の納税者によつていろいろ違いまするし、業態によつてもいろいろ違つて来ると思います。それをなお一々全部計算して予算を見積るということはなかなかむずかしいので、大体における課税所得の推移はどういうふうになるかというものをつかみまする数字といたしましては、やはり一番基本的には生産と物価がどうなるか。これが一番大きなフアクターだと考えまするが、そういうような方法で私どもは課税所得を見積つておるわけであります。個々の納税者の場合は、あくまでも今申し上げましたように個別的に事情をよく調べまして、それぞれ適切な計算をしなければならない。こういう建前にいたしておる次第でございます。
○米原委員 そこに問題があります。農民の場合にはことにはつきりしていると思うのですが、米の上るよりも以上に肥料なんか上つている。ところがそういうときにただ一般的な物価の上りだけで、見積りが立ててあるというところに問題があると思います。なるほど税務署で実際査定する場合に、個々人について調べるということになつているのは明らかです。
    〔奧村委員長代理退席、小山委員長代理着席〕
 ところが農民の方は、帳簿をつけない農家が大部です。そうすると結局見込みでやつて行く。それがこういう基準で行くということになると非常に問題があると思います。大体中小企業や何かの場合は、ことに物価が上るときにこの問題が起つて来るのじやないか。大体日本の物価体系を考えてみると、統制がはずされた後も一つの独占的の物価体系があると思います。大企業の生産関係、こういうものの物価が一番早くはね上る。消費物資がその次、こういうふうになつております。この体系の中で税金の見積りをやりますと、原料の方は非常に高く、予定よりずつと上つておる。そうして自分のところの製品の方は、米にしましても、中小企業の製品にしても、消費物資の方は上り方がそれと比べて低い。そのときに全体の平均を見積りでやるということになるからこそ、大体物価の上るときの税務署の査定の問題について、中小企業や農家で問題が起る。その点に大きな間違いがあるのじやないか。この点はすぐそういう要素を見積つて行かないと、これは非常なむちやな収税をやらなくちやならぬということが、実際問題として起つて来るのじやないか、こう思わざるを得ないのですが、この点について御説明願います。
○平田政府委員 農家の場合は所得の標準率というのをつくつております。この場合幾つかの代表的な農家につきまして調べているわけであります。そうしまして現実の収入と現実の支出を正確に調べまして、大体農家の所得収入当り幾らの査定にするか、こういう計算をいたしております。それでもちろんことしもそういう計算をやる見込みでございます。米が上る、反対に肥料が上る、肥料が上つた分は上つたものとして計算しております。しかし生産資材の中におきましても、たとえば地下たびとか作業衣とかいうのは、去年一年に比べましてやはり最近相当下つております。しかし必要経費に算入される物資にしても、肥料のようにマル公がはずされて上つて来たものもありますが、反対に昨年から今年にかけての一般物価の下落に伴いまして、下つておるものも相当あります。そういうもの全体としましてそれぞれフアクターを見まして、所得収入当りどのくらいにことし査定するのがいいかということを、実は計算しております。そうしまして最近の状況から見ますと、むしろ米の値段がマル公の関係で遅れてだんだんに上つて来た。それでむしろ最近では米の値段が上ることによつて、相当収入歩合はよくなるのじやないか。これはまだそこまで詳しく計算しておりませんが、今まで計算しておる二、三の事例を考えてみますと、どつちかと申しますと、米の大幅引上げによりまして、割合によくなるのじやないかという節が、多いのじやないかと見ております。その辺は個別的に各農家の所得の標準をつくる際に、あくまでも事実に基いて適正を期せばいいのじやないか。全体といたしましては、大体生産と物価との推移に応じまして、所得を計算して参りますと、必ずしもそれに応じない人もあり、応ずる人もありますが、見込みとしては、大体いいところに行くのじやないか、このように考えております。中小企業の場合においても同様でありまして、大体やはり商人の場合でも、取扱い数量の増減と、それから物価が高くなるか、低くなるか、それによりまして所得の計算が出て来る、こういう関係に相なつておると考えます。ことに営業者の場合におきましては、仕入れた商品――安いときに仕入れまして、高くなつてから売るという関係になりますと、実は物価の値上り以上に所得がふえて来る。反対に高く仕入れまして安く売りますと、物価が下落した以上に所得が減つて来る、こういう関係もあるのでございますが、最近の大体の状況から見ますと、高くなつたり安くなつたりしております。やみ物価等は相当下落しておりますけれども、全体の水準は、生産財の方は昨年より高めで、消費財の方は低めになつておりまして、今申し上げましたような見積り方もやりますれば、まず妥当なところに行くのじやないかというふうに考えます。そうしまして、あくまでも個々の納税者の所得は、さつき申しましたように、農業の場合でも、帳簿のない方には、所得の標準率をつくります際に、個別的なサンプル調査をしつかりいたしまして、それで計算するということにいたしますれば、具体的には、お話のような結果がなくて済むということになりまするし、かような方向に向つて鋭意調査の方針を進めておる次第でございますことを、重ねて申し上げます。
○米原委員 今の説明で、サンプル調査のやり方でやられるというのはわかります。それなら一通りは理由は立つておると思います。ところが一般的にこの補正予算に組まれておる予定額、これはそういうサンプル調査を基本にしたものではなくて、ただ生産の増大と価格の値上り、これだけ見積つたような説明を午前中聞きましたが、個々の場合もちろんそういうやり方でやるのはけつこうですが、それと一般的な補正予算の組み方とが、すつかり食い違つておるということになると、この補正予算というものも、非常に根拠が疑わしくなつて来るわけです。そういういうふうに午前中の説明では聞いたのです。そういうやり方を、一方では絶対のわくとしてやつており、実際の税務署のやり方はサンプル調査をやるということになると、非常に狂いが来るのじやないかと思います。
○平田政府委員 今申し上げましたように、個々の納税者につきましては、若干のでこぼこがあるだろう。ある納税者は、価格が上つた以上に利益のふえる人もあるでしようし、ある納税者は、価格が上つたほど、必ずしも所得のふえない人もあるでしようし、農家の場合におきましても、米と麦、あるいはいも、果実、いろいろの場合におきましてそれぞれ差はあると思いまするが、大体そういうものを集計して合計をとつてみますと、結論としましては、生産と物価で見合うと、大体において大差がないような状況になるということを考えまして、予算の見積りといたしましては、一々そういうものを見積りましてやるということは、とうてい不可能でございますから、私どもといたしましては、去年の課税実績から、今申しましたような要素で算定いたしまして、見積りを立てておるような次第でございます。もちろん二十四年度の課税実績をもとにしておりますから、この実績に今申し上げましたようなものが積み上りまして、結論が出ております。それを引伸ばす場合におきましては、大体生産物価あるいは営業所得については、課税が多いという非難が確かにあるのでございますが、能率を上げ、営業者の申告成績をよくしまして、見積りの正確を期しておるわけでございます。これ以上程度のささいな見積りをさせるということは、なかなかむずかしいのじやないか、かように考えております。
○米原委員 なぜこんな問題ばかりこまかく聞くかというと、実際問題としては押しつけ的なものが実に多い、その点がきのうも問題になつておりましたが、今おつしやつたようなやり方で行けば、やはりことしも強権的な収税が行われるということになるのじやないか、そういうつもりで私は聞いたのです。大体予算を立てるときに、サンプル調査でやつたものと、こういう大ざつぱな見積りと狂いはないとおつしやいますが、これはそう簡單に言えないのじやないか。そう同じような割合で、消費財も、生産材も、物価は上つていないのです。むしろ消費材は下つておるという面が相当あります。そういう点から見て、これは非常に不自然な計算ではないかと思わざるを得ないのです。これは議論になりますから、私の質問はきようはこれだけにいたします。
○奧村委員 午前中から米原君の、特に申告納税の税収見積りに対する御質問に関連して、この点のみを二、三お尋ねしたいと思います。ほかにも質問がありますが、なるべく私は御遠慮申し上げます。
 それはやはり申告納税の税収の、特に徴収歩合を甘く見ておられるということについてであります。まず七月の予定申告を土台として税収見積りをしておられる。それは七百二十一億と税額を見ておられる、これについても実はまだ議論はありますが、一応それは午前中も話が出ましたのでさておきまして、その次の問題に移りたいと思います。
 すなわち一応七百二十一億円を、七月予定申告の実績を基礎として見積つておられる。ところがその後の生産及び物価あるいはいろいろな事情から、結論として千百九十四億を見積つておられる。これだけをつまり徴収決定をせられるお考えであろうと思うのであります。そうしますと、七百二十一億からなお五百億増加される、こういうふうに見ておられるわけであります。それが今度は二月の確定申告におきまして、予定申告よりも減る部分もあるし、あるいは多少ふえる部分もあるでしようが、一応七百二十一億という、この予定申告の基礎による金額でもつて、確定申告が大体出るものと思うのであります。あるいはその他いろいろほかにも徴収漏れもあるでしようが、そう大してかわらないのじやないか。そこで結局更正決定によつて五百億近くのものが見られるのじやないか。そうするとこの五百億というものの更正決定については、平田局長のお考えになるように、そう簡單にこれは行かぬのじやないか、こういうふうに思うのであります。七百億に対して約七割増収、更正決定が約七割ふえるということになれば、この更正決定の分の五百億については、おそらくこれは年度内の収入は、五百億に対して三割見当になるのではないか。こういうふうになると、やはり税収見積りの七五%というものは非常に甘過ぎる、こういうふうに思うのでありますが、その点はどういうふうにお考えですか。
○平田政府委員 非常にいいところをお尋ね願つたと思うのでありますが、この所得税額の変動は、所得の変動より相当大幅に動くということは、前々から申し上げておるわけであります。一例を申し上げますと、農業所得の場合、特に皆さんに御徹底願つておきたいと思いますが、農業所得の総平均は、大体一戸当り十万円をちよつと越えております。それでたとえば家族四人おりますと、基礎控除が二万五千円と、家族控除が四万八千円、合せて七万三千円、これを所得金額から控除して課税所得が出て来ておるのでありますが、その額は二万七千円ということになります。それに対する税額を求めますと、二〇%で五千四百円、こういう税金です。ところがこの所得がかりに一割ふえるとしますと、課税所得は二万七千円に一万円を加えて三万七千円になりまして、税額から申しますと、三万七千円の二〇%でありますから七千四百円になるのであります。そうすると税金は、五千四百円から七千四百円になりますので、所得が一割ふえると、税額においては三割以上ふえる、実はこういう関係になるのであります。その他営業所得においてもすべて同様でありますが、所得の増と税額の増との間におきましては、相当の開きが出て来るのであります。そのほか累進税率の関係で、一段階上りますと、税額の増が非常に出て来るのであります。所得税は景気変動に対して非常に敏感でありまして、所得が減ると相当減つて来るし、反対にふえますと相当ふえて来るのでありまして、所得のふえた結果は、今まで失格の人まで含まれるようになりますから、さらにこまかい分析を要するのでありますが、この表で所得金額の増加歩合、それから課税所得金額の増加歩合と、税額の増加歩合、この三つを比較検討を願いますと、その関係がよくわかるのであります。従いまして私どもとしましては、そういうことをできるだけしさいに見積りまして、この数字を出しているわけでありまして、米価の引上げ、生産の増加等によりまして、実際の所得が一割五分ふえるか、二割五分まで営業所得がふえるか、これが問題でありますが。私ども事実そうなると思つておるのでありますが、それをお認め願いますれば、結論としてはこのような数字が出て来るのであります。
 そこで第二の問題としまして、それでは一体納税者はそんな申告をするだろうかという問題になるのであります。これはお話の通りなかなか簡單な仕事ではない、こう考えておるのであります。でございますが、農業所得の場合は比載的標準率が出ておりまして、この標準率をつくる際に、さつき米原さんからもお話になりましたような要素も全部織り込みまして、サンプル調査をやりまして、それで米につきましては何円の収入があるか、これを調べまして、その収入金幾ら当り所得率幾ら、こういう率をつくるわけでございます。このつくりますときにおきましては、できるだけ町村等の意見も聞くことにいたしておりますが、それで計算いたしますと、比較的簡單に計算が出て来る。それから納税者の個々の事情によりまして、いや自分は非常に肥料の安いとき買いそこねたとか何とかいう事情は、これはまた個別的にしんしやくしなければならぬと思うのであります。そういう要素がございますけれども、大体はそれでこの所得が農業の場合には出て来る。そうして町村等に指導してもらいますと、所得金額としては去年十万円であつたものが、今年は十一万五千円申告してもらうというようなことが、比較的わかりやすく出て来るのであります。そうしますと、税金がおのずから出て来るということになりまして、私は申告は、できるだけ税務署側におきましても勉強して、納税者によく話す。納税者もやはり税金を納める気でやつてもらう。最近とにかく頭から納めない気でかかつて来る納税者もございますが、これではどうもしかたがないのでありまして、結局最後はけんかずくになる場合もございますが、税法できまつたものはいたし方ないとして、納める気でかかつてもらえば、私はよほど申告の成績はよくなり得るのではないかということを確信しております。またそうならなければ、実は申告所得税はうまく行かないということに相なりまして、そういう点が今後二、三年の間に、どの程度まで改善できるかできないかによりまして、この申告納税制度の可否を決定しなければならぬと思いますけれども、相当行き得るというように思つております。営業の場合におきましては、なかなか農業ほど簡單に行きませんので、おそらく納税者と意見が違う場合も出て来るだろうと思います。従いまして役所の側におきましては、できるだけ――最近もぼつぼつ調べておりますが、十二月から一月にかけまして個別的に調べて、三割ないし四割の納税者につきましては、帳面を調べまして、実情を把握するということを一生懸命やつております。そうしますとおのずから納税者に対しましても、税務署へ相談に見えた場合に、役所の調べはこのくらいになつておるというようなことが言い得ると思います。極力申告で出してもらつて話を事前にやつておく、そうしますと納税の成績も比較的いいのではないか、こういうような考え方で、一月申告期限を延ばしたわけであります。もちろん先ほど米原さんからお話のように、予算できまつておれば何んでもかんでも押しつけるというような気持はありません。大体今申し上げましたような方法によつてやりますれば、結果としてこういう程度の成績が上るのではないかという見込みを、実は立てておるわけでありまして、そういう点から申し上げますと、私どもの徴収歩合七五%を見ることにつきましても、これは努力次第ですが、そう食い違いはないのではないか、このように見ておるのでございます。それと、昨年も予算では七四%見て六三%ぐらいの成績しかしらなかつたのじやないか、こういう点もございますが、これは午前中説明しましたように、実は誤謬訂正前の当初決定額をもとにしたのでありますが、今年からは予定申告ではつきり直したところが出て来ましたので、それをとりましたら、少し成績のぐあいは上つておるようであります。従来と比べまして特に引上げておるということはございません。若干は税の負担は下つたのでありますから、納税者も奮発してもらう、税務署も徴税成績をよくする。とにかく昨年は千九百億を決定した。それを今年は千百九十億を見込んでおる。七百数十億の減税が今年の税法改正で実行になつておるのです。そういう点を考慮に入れますと、このような見方をしますのは至極適切ではないか。またこれくらいはやらなければ、勤労所得者との間の負担の均衡がとれないので、納税者も勉強をし、税務署も一生懸命努力しまして、大きなトラブルや文句なく、申告所得税が納まるように努力すべきではないか。このように主税局としては実は考えておる次第であります。
○奧村委員 非常に御丁寧に御答弁になりましたが、かんじんの要点にはどうも触れておられぬように思うので、重ねてお尋ねいたします。私はこの申告納税の見積りが昨年も今年も甘過ぎたということは、これは日本の税制の、特に申告納税の成功のために、これは非常に阻害をしたと思う。昨年の申告納税の見積りで千九百億を見積つたということは、これはたいへんな間違いであつた。その見積つたことをどうしても徴収決定しなければならぬということであの問題になつた。いわゆる参考指示額と申しますか、割当と申しますか、ああいうような調整をやつたわけであります。それでその見積りが不当であつたという証拠として、すでに実際は千三百七十億しかとれない。昨年御存じの通り補正予算で千七百億、二百億円見積りを減らされた。ところが今年度のこの千五百億円の税収見積りも非常に甘かつた。甘いということはすでにわれわれは大蔵委員会で十分お話を申し上げた通り、今回三百三十億を補正なすつたので、これはけつこうでありますが、その補正のなさり方が私はまだ足らぬと思う。これはやはり思い切つてたびたび補正することのないような、もつと実態に合う見積りをされるのがほんとうじやないか。その意味でどうもわれわれとしては、まだ納得が行かぬ点があるのでお尋ねをいたします。
 第一に本年度の申告税につきまして、すでに百三十億円余りの滯納がある。これはどういうわけか。そこで七月予定申告を基礎として七百二十一億の税額になつておる。そうすると三期で分割納税するのでございますから、大体七月予定申告の分は二百四、五十億円、この二百四、五十億円の税額に対しまして百三十億円の滯納があるということになると、この七月予定申告そのものは、はたして納税者はこれを納めるつもりで申告したのかどうか。これは更正決定のやり方のように、やはり税務署の方でもう法律通りに前年度の実績で出すべきだと、むりに令書を押しつけて、徴収の方はとれるかとれぬかおかまいなしに、この令書を突きつけたというふうな事態が多少あつたのではないか。こういうことで予定申告の滯納が百数十億円あるということは、相当注目すべき問題と思うのでありますが、この点はどういう事情であるか。どういうふうなことに御解釈になつておられるか。
○平田政府委員 今お話の滯納はおそらく第二期分までを含めた税額の滯納額と見ております。と申しますのは十月末の数字だろうと思いますが、十月は第二期に該当しておるのでございます。
 そこでいま一つ問題になりますのは、過年度分の滯納が大分お説のように残つております。何としましてもまず過年度分を片づけることが大事であるということで、極力過年度分の滯納の整理に努めておるわけであります。従つて九月、十月ごろ過年度分で徴収しました分が相当残つておりまして、そういう関係もあつて、一期分の滯納が若干残つているということは確かに事実でございまするが、この点につきましてはさらに十一月、十二月と滯納整理を続行いたしておるわけで、来年の一月あたりからは今年度の滯納の整理にさらに一層努力をしよう、こういう関係ももう一つあるかと存じます。それで私ども何と申しましても営業所得その他の見積りにつきましては、あくまでも実際の状況を考慮すると同時に、いかにすれば適正になるべきかということを考えつつやるべきでありまして、市町村民税の徴収の実績等にかんがみましても、むしろ勤労者の税額に比べまして、営業者等の税額は生活程度その他に比べまして低いということは、これは常識じやないが、こう思うのでありますが、そういう点の調査を極力やはり適正化し、さらに納税者にも勉強してもらいまして、負担のバランスをはかる必要がある。このように考えておるわけでございます。しからばといつて、いたずらに理想を追うわけには参りませんので、今申し上げましたように最近までの大体の数字等にかんがみまして、見積りといたしましてはできるだけ正しい見積りをしよう。今奥村さんのお話になりましたように、確かに今までは当初決定額をもとにした金額を引伸ばして、それで七五%ぐらいの数字を見ておつたのでありますが、そこにすでに問題があつたのだろうと考えまして、今回は若干審査で残つておる分も含まれておりますが、大体は処理済みの金額をもとにした金額を引伸ばして、計算しているような次第でございますので、お話のような点は、私はよほど今回の見積りで考慮に入れているということは、言い得ると考えるのでございます。
○奧村委員 私の資料が不十分であるかどうか存じませんが、国税庁からの資料によりますと、九月末の本年度の滯納が百二十億ほどあるように見えるのであります。そういたしますと現在の滯納というのは、大体七月予定申告でないのかと思いますが、これはまたあとからお調べ願うことといたしまして、ともかく七月予定申告の実際の納税状況は、非常に芳ばしくないと私は見ておるのであります。これを土台として、うまく行つて確定申告が七百二十億くらいになるんじやないか。税務署のお調べになつて決定されたのは、更生決定の分に入れるべきだと思います。つまり所得の脱漏、それから新たに捕捉した分は、更正決定の分と見るべきであります。更正決定の分は従来非常に納税歩合が悪いので、まあ三割程度、こういうことになりますと、この七百二十億の確定申告の分の歩合は七五%でけつこうでありますが、更正決定の分の五百億、これは昨年の例に徹しても非常に歩合が悪い。私は六三%の昨年の実績以上にはとうていむりだと思うのでありますが、私のお尋ね申し上げておることは、要するに来年の二月に確定申告が七百二十億程度でとどまるので、あとの今回増収の見積りをしておられる五百億は、更正決定で徴収決定をなさることになるんじやないかと思いますが、その点はどうお考えですか。
○平田政府委員 今の点が非常に大事な問題だと考えておるわけでございますが、私どもはさつき申しましたように、農業所得等につきましては、標準率の調査を極力適正化しまして、申告前に納税者に標準率をみな知らせてしまう。もちろん強制するわけではございませんが、税務署としては今年の米一石当りの所得はこれくらいに見ておる、こういうことを納税者に、事前に町村役場等を通じて知らしておこうと考えておるのであります。昨年もそういうことをやりまして、成績を非常によく上げておる例があります。新潟県等はその例でございまして、新潟県等はほとんど納税者に対しては更正決定をやつておりません。全体の一割にも足らないような数字でありまして、北陸におきましてはそういうことでうまく行つておるところが大分あるようであります。従いまして申告は若干遅れましても、事前に申告の基準と申しますか、それを示しまして、それで申告してもらいたい。もちろんこれは個々の納税者によりまして実情が違いますから、強要するわけじやございません。自分が正しいと思う人は、別にそれによる必要はないわけでございますが、ただそういう方向に行きますれば、農業等につきましては、税務署の調査額よりも申告で出て来る税額は相当増加するんじやないか。ここで営業につきましては実は一番苦労を要するところでございますので、さつきも申しましたように、実額調査を――最近そろそろサンプル調査を大分やつておりますが、今後もさらに続行いたしまして、三割ないし四割の営業者の納税者の方々につきまして実際に所得を調べる。そうしますと、納税者が所得を申告する前にある程度のことはわかつて来る。そうしますと、そういうものに基きまして、申告でできるだけ税務署の調査に近いところが出るように相談する。またそうしますと申告の成績も相当よくなつて来るだろう。そうしましたらおのずから納得ずくの納税になりますから、納税の成績も上つて来るだろう。これを実は非常に期待して、そういう方針で国税庁と目下全面的に計画を立てて進めておるわけでございます。そういう点から、私は大体この程度に見るのはそうむりではなかろう。もちろん納税者も相当勉強してもらわなくてはならぬし、役所の側におきましても、自然にほうつておいて上る成績ではないと思います。やはり相当適正課税及び税の適正な納付ということに努力は要すると思いまするが、相当の努力をいたしますればまず入つて来るんじやないか。ただしかし昨年の下半期の情勢のように、物価がどんどん下つて来る、金詰まりが激化するというような情勢になつて来まして、昨年の二、三月ごろのようになりますと、なかなかそう簡單には行かぬと思いますが、今のところは皆さん大体御懸念になつておりますような心配も、まずなかろうというふうに考えまして、見積りしておるわけでございます。ただ経済情勢にさらに急激な変化がありますれば、これは奥村さんのお話のように少しどうもむりなところが出て来るのではないかと思いますが、今のような状況が大体今後続く。むしろ中小企業等につきましては、漸次特需等の浸透も若干ながら出て来るということも考えられますし、まず妥当ではあるまいか。またこの程度は納税者も勉強して、役所も勉強して行かなければ、どうも勤労所得者との間にバランスを失し、それがひいて住民税の負担の不公平になりまして、結局税の負担が不公平というような非難を受けるような結果になると思います。政府といたしましては極力個別的に課税の適正公平を期する。これを鉄則といたしまして、このような成績をあげるべく努力いたしたい、かように考えております。
○奧村委員 ただいまの答弁によりますと、このくらいはとりたいのだ。まずそのためにはこういう対策をとつておる。そういうような御答弁に承るのですが、税収見積りはこのくらいとりたいのだというよりも、客観的にこの程度とれると、もう少し客観的な見通しで立てるのが当然だと思います。これくらいとらなければならぬ、またとりたいのだということで税収見積りをやられた日には、またそれによつて国税庁がその税収をあげなければならぬということになりますれば、先ほどからいろいろお話がありますような弊害が起る。私はもう少し客観的な見積り、当然このくらいの見積りは間違いないのだという御説明を聞きたかつたが、その点の御説明が足りないように思うのであります。
○平田政府委員 その点はくれぐれも申し上げておるわけで、たとえば申告の資料についてもこういうことをする。これはいいことでございまして、何も悪いことではないと思います。農民につきましてもサンプル調査を徹底的にやつて、それによつて標準率を的確化して、それによつて課税をやつてもらうということを、役場を通じて頼むことが悪いことであるというなら、これはもちろんやるべきではないと思いますが、これはいいことだと思います。しかも今までの経験から顧みまして可能性があると私は考えております。営業者につきましても三割ないし四割の個別調査というものは、国税庁はすでに予算を見積ります前から計画を立てまして、実行いたしております。それも大体において実行できるのではないか。こう見ております。そういうことをやりますればこのような結果が生れるだろう。こういうことでございまして、もちろんさつき申しましたのはそういう適正課税、納税の促進ということについて努力するのは当然のことと思いますが、それが現在考えられるような能率、現在考えられるような條件のもとにおきまして、できる範囲内でそういうことを予測いたしまして、それで見積りを立てるということは、決して奥村さんのお話のような非難を受くべき筋合いのものではない、私はかように確信をいたします。奥村さんは反対に予定申告の税額だけしか申告されないだろうということを、断定しておられるようでございますが、そういう断定は私ども必らずしも正しくないというふうに考えるわけであります。ただこれはあくまでも一つの予測であり見積りでございますから、結果におきまして若干の狂いが来るか来ないか。これはもちろん実績が出ないとわかりにくいと思いますが、今までの実態の中で、それから経済情勢につきましても、去年の下半期からことしの上半期へかけてのような物価の顯著な下落の傾向がないので、これは私どもそうむりのない予測だと考えます。かようなことを考えますと、まずこのような計算をするのが妥当でないか、こういうふうに実は考えておる次第であります。
○奧村委員 私はこの確定申告のほかに、更正決定を五百億するのがいいとか、悪いとかいうのじやなしに、そういう徴収決定をなさつても、実際国家に入る徴収歩合の見積りが甘い。徴収歩合のことを言うておる。それでただいま局長の御答弁は、大体直税の方でこのくらいの決定はしたい。また所得の捕捉はしたい、こういうふうにやつておるので、それはけつこうであります。しかし今日の税務行政というものは、この徴収決定――直税の決定の方と実際の徴収の方とは非常に離れておる。徴収を決定したから必らず税金が入るというのとは違う。特に大阪方面のごときは徴収決定と実際の徴収歩合は、特にひどいところになると、徴収歩合が二割あるいは三割というところがあることは御存じの通りであります。それで私の言うのも、徴収決定よりも今の予算の見積りには、実際入つて来る金でありますから、この七五%が甘過ぎるということを申し上げたのです。これはしかし議論にわたりますから……。しかし今年度特に地方税の滯納整理その他いろいろな情勢を考えると、私は確かにこれは甘過ぎる。これは来年になつてどちらが正しかつたか、ひとつやつてみたいと思うのであります。
 まだ二、三質問がありますが、この程度で終つておきます。
○小山委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時七分散会
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